経済産業委員会 第6号
- 発言数
- 120 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2026/05/21
会議録
○委員長(浜口誠君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、三上えり君が委員を辞任され、その補欠として森本真治君が選任されました。 ─────────────
○委員長(浜口誠君) 経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 政府から趣旨説明を聴取いたします。赤澤経済産業大臣。
○国務大臣(赤澤亮正君) 経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 強い経済を実現する成長戦略を強力に推進するため、二〇三〇年度に百三十五兆円、二〇四〇年度に二百兆円という官民で掲げる国内の民間投資額の目標も見据え、国内の供給能力の更なる強化が必要です。各国の投資囲い込み競争の激化や、米国関税措置などの国際経済事情の急激な変化を始め、資源価格の変動等による物価の継続的な上昇、人口減少や少子高齢化など、我が国は様々な経済社会情勢の変化に直面しています。こうした中にあっても、企業の継続的な賃上げの源泉となる稼ぐ力の確保にもつなげていくため、民間企業の国内での高付加価値な成長投資を促し、我が国の産業競争力の一層の強化を力強く後押ししていく必要があります。 こうした状況を踏まえ、国内投資の促進による事業の高付加価値化と、海外需要開拓や安定的な原材料の確保を通じた供給網の強靱化を一体的に推し進めるとともに、国内の事業活動の基盤となる産業用地の整備や担い手の確保に資する生活基盤の維持を図るため、本法律案を提出した次第であります。 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。 まず、産業競争力強化法の一部改正です。 第一に、事業の高付加価値化のための設備投資を促進する施策を講じます。同法に規定する生産性向上設備等のうち、事業の将来における高い生産性の確保に特に資するものとして経済産業大臣が確認したものを特定生産性向上設備等と定義し、原則全業種を対象に、当該設備等への投資に対して、即時償却又は税額控除七%等を措置する大胆な投資促進税制を講じます。 さらに、設備投資に向けた資金調達を円滑化するため、予見し難い国際経済事情の急激な変化に対応して行う事業変更についての計画と、事業費の上昇による事業環境の変化に対応して行う事業変更についての計画を新設し、主務大臣の認定を受けた計画に従って行う設備投資について、株式会社日本政策金融公庫のツーステップローンなどの措置を講じます。 第二に、産業の担い手の確保に資する生活基盤の維持のための措置を講じます。人口減少や少子高齢化に伴う生活の維持に必要な物品又は役務の需要の減少等に対応して事業者が行う事業変更についての計画を新設し、行政庁の認定を受けた計画に従って行う事業について、独立行政法人中小企業基盤整備機構による債務保証などの措置を講じます。また、当該計画の策定、実施に関し情報提供等を行う機関を認定する制度を新設します。 次に、地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律の一部改正です。 まず、既存の用地の条件の改善を図るため、地域経済牽引事業の用に供される工場等に対する生活環境の保持を前提とした緑地面積率等の規制の特例緩和や、データセンターに対する工業用水の供給の義務付けなどを措置します。加えて、都道府県知事等の承認を受けた計画に従って行う地域経済牽引事業の用に供するための土地の整備事業について、官民連携で用地を整備する際の地権者の土地譲渡に係る税率の軽減などの措置を講じます。 次に、貿易保険法の一部改正です。 日米政府の戦略的投資イニシアチブを着実に履行するため、株式会社日本貿易保険の業務について、本邦企業の供給網の強靱化の対応のため特に必要な日本国以外の国の政府との間の取決めとして経済産業大臣が定める取決めに係る貿易保険又は再保険の引受けに係るものを特定引受業務とし、当該業務に係る所要の手続を定めます。また、その経理について特別勘定を設けて整理するものとし、特別勘定の健全性の確保等のために国債の交付等に係る措置を講じます。 以上が本法律案の提案理由及びその要旨でございます。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願いを申し上げます。
○委員長(浜口誠君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 ─────────────
○委員長(浜口誠君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に一橋大学経済研究所特命教授深尾京司君、株式会社丸紅経済研究所代表取締役社長今村卓君及び熊本県知事木村敬君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(浜口誠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(浜口誠君) 速記を起こしてください。 ─────────────
○委員長(浜口誠君) 経済社会情勢の変化を踏まえた企業の事業活動の持続的な発展を図るための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案を議題とし、参考人の皆様から御意見を伺います。 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、深尾参考人、今村参考人、木村参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず深尾参考人からお願いをいたします。深尾参考人。
○参考人(深尾京司君) 一橋大学の経済研究所の深尾です。 私の専門は、生産性の計測、マクロ経済学、それから経済史です。今日は、こういった視点から、設備投資促進の意義、今回の法案への期待、留意すべき点等についてお話ししたいと思います。 配付していただいた資料の二ページ目を御覧ください。この図は、日本全体の労働生産性、労働生産性は労働時間当たりどれだけGDPをつくり出したかで測りますが、その上昇とその源泉を表しています。 標準的な経済学によれば、労働生産性の上昇は、スライドの右側に書いたように、三つの要因の和と考えることができます。一つ目は資本装備率、労働時間当たりの資本投入が増えることによる労働生産性の上昇、二番目は熟練の蓄積や教育水準上昇によって労働の質が上昇することによる生産性の上昇、三番目は新技術の導入や資源配分効率化による生産性の上昇。これを全要素生産性の上昇ないしTFPの上昇というふうに呼んでいます。 左側の図に戻りますと、これは、一九七〇年以降、十年ごとに日本の労働生産性がどのように上昇したかを示しています。七〇年代、八〇年代には、それぞれ十年間で労働生産性が約五割上昇しました。失われた三十年と言われる一九九〇年以降、この労働生産性の上昇が急速に低下してきました。 この失われた三十年の間を見ますと、この労働生産性の上昇の低下の要因が大きく異なっていることが分かります。一九九〇年代には、不良債権問題等を背景にTFPの上昇がほとんど喪失しました。一方で、資本蓄積は比較的堅調で、これが労働生産性の上昇を牽引しました。二〇〇〇年代以降は、TFPの上昇は比較的回復したんですが、資本蓄積の方が極めて停滞したために、労働生産性の上昇が更に下がったということになります。 ここから言えることは、近年の停滞は主として資本蓄積減速によると。同時に、労働の質の上昇なんですが、熟練が蓄積されにくい非正規雇用が増えたこともあって、緑の部分、労働の質上昇の寄与もかなり下がった、最近ではマイナスになっているという、人的資本面でも課題があることが分かります。 次の資料、三ページ目の資料を御覧ください。これは国際比較したもので、この図は、国際比較が難しい教育、医療、政府サービスを除いた経済活動を市場経済といいますが、市場経済の経済成長の源泉を二〇〇五年から二〇一八年について主要五か国で比較したものです。 先ほどの三つの要因、資本と労働の質とTFP以外に、総労働時間が増えることでも経済成長が達成できます。日本の市場経済の成長率はこの主要五か国中最低なわけですが、その最低になった原因は、一つは少子高齢化による総労働時間増加の寄与がマイナスで、大きなマイナスであったことですが、もう一つは、黄色い部分、資本サービス投入増加の寄与が五か国中で最小であったということも経済成長の停滞の大きな原因だと言えます。一方で、TFPの上昇、青い部分は、ドイツに次いで二位、アメリカと同率で二位になっています。したがって、TFPの上昇率は二〇〇〇年代以降比較的堅調で、資本の蓄積が何とも少ないということが確認できます。 次のページを御覧ください。四ページ目ですね。これは資本係数、資本ストックをGDPと比べてどれぐらい資本ストックがあるかということを、これ一九四五年から推移を見たものです。 見ていただくと分かるように、二〇〇〇年代以降資本係数が下がるという、日本の経済史でも珍しいことが起きています。こういうことが起きているのは戦後混乱期以来というふうに言えます。青い線が経済全体の資本ストックの対GDP比ですが、赤い方の線は公的固定資産、いわゆるインフラストラクチャーの対GDP比ですが、これも二〇〇〇年代以降下落していることが分かります。資本投資が非常に停滞していますから、企業の生産設備やインフラストラクチャーの老朽化も恐らくこの背後で著しいというふうに考えることができます。 五ページ目を御覧ください。 なぜ二〇〇〇年代半ば以降資本係数が低下したかですが、既存の説明の中には、それだけでは十分に説明できないということが言えます。例えば、人口減少ですが、労働者一人当たりの資本の増加も停滞しているということは説明できません。それから、TFPの停滞ですが、先ほど見ていただいたように、国際比較では日本のTFP上昇というのはそれほど低くないという、最近はですね、ことが言えます。それから、介護など労働集約的産業の拡大ですが、投資の停滞は産業横断的でして、ほとんどの産業で投資が停滞しています。したがって、これも、これだけでも説明できないということになります。 有力な説明としては、一つは製造業の空洞化、工場が海外に移転したということ、それから大企業、中堅企業におけるリストラ中心の生産性の向上策、それから女性労働者の、女性や高齢者の労働参加が拡大したことで労働供給制約が緩和され、企業に省力化投資を急がせる圧力が恐らく弱かったこと、こういったことが指摘できると思います。 ただし、現在はこの投資停滞の前提要因が変化しつつあるということにも注意すべきだと思います。労働不足、賃金上昇が起きています。それから、AI、ロボットなど新技術が進歩し、新しい投資機会が生まれています。また、国際環境が悪化しているために、工場の国内回帰の兆しが見られます。また、設備が老朽化して刷新投資をせざるを得ない状況になりつつあります。 六ページを御覧ください。これは、OECD加盟諸国の時間当たり労働生産性を物価の違いを調整した上で比較しているOECDのデータです。 日本は黄色い棒になりますが、OECDの中でもかなり低い順位に今やなっているということが分かります。国際比較によると、例えば米国との比較によると、この労働生産性格差の最大の原因は資本装備率の違い、二番目にTFPの水準が日本は低いといったことが指摘されています。このことは、労働生産性を引き上げる大きな余地があるというふうに考えることもできます。 経済史の視点から、次の七ページを見ていただきたいんですが、これは、一七〇〇年からという超長期で、技術フロンティア国、技術フロンティア国は、一九〇〇年以前は英国、一九〇〇年以降は米国としていますが、技術フロンティア国と比べて日本の一人当たりGDPが技術フロンティア国の何割ぐらいだったかということを表しています。 一七〇〇年には、英国の大体日本の一人当たりGDPは五〇%でした。過去にその技術フロンティア国から引き離されたことが三回あります。一回目は、幕末期で産業革命に乗り遅れたことです。二番目は、第二次大戦の敗戦です。三番目は、現在起きている、二〇〇〇年、一九九〇年以降ぐらいに起きたことです。過去二回は大きな改革によってキャッチアップを成し遂げたわけですが、現在は第三のキャッチアップ期にあるというふうに考えることもできるかと思います。まあ、入る可能性があるだけで、キャッチアップできるかどうかは、大きな改革をする、投資を促進する、そういったことによって初めて実現できると思います。 最後に、もう一つ経済史の視点から指摘させてください。次のページ、八ページ目の資料を御覧ください。 この図は、機械産業について、一九六九年における工場の分布、工場数の全国の地域別の分布を見ています。これが青と白の棒グラフです。それと、一九六九年から九三年における新規の工場の立地の分布、これも工場数です、を赤い棒で示しています。 見ていただくと分かるように、一九七〇年頃を境に、それまでの工場の分布とそれ以降の新規立地が大きく変化したことが分かります。いわゆる地方の時代が一九七〇年から起きました。大都市圏の人手不足や工場の規制によって、工場の地方進出が急速にこの時期進みました。これは、製造業の労働生産性というのは当時比較的高いので、労働生産性の地域間格差の縮小にこれは寄与しました。しかし、一九九〇年代以降、工場立地は主に海外で行われるようになりました。いわゆる製造業の空洞化です。先ほどお話しした工場の国内回帰の兆しというのは、それをうまく達成できれば新しい地方の時代をもたらす可能性があるというふうに言うことはできると思います。 少し飛んで、十一ページを御覧ください。私の報告の主な分析結果と政策含意です。 近年の日本経済停滞の主因は、TFPの停滞ではなく、資本蓄積の停滞です。資本ストック増加率がGDP成長率を下回り、資本係数が低下しつつあります。国際比較では、日本のTFP上昇率というのはそれほど低いわけではないということが確認できます。 二番目に、投資停滞の前提条件は変化しつつあります。労働不足、賃金上昇、AI、ロボットなど新技術、工場の国内回帰の兆し、設備の老朽化といった点です。 三番目に、日本は第三のキャッチアップ期に入る可能性があるというふうにも言えると思います。ただし、そのためには国内の設備投資や広い意味でのインフラの整備等が重要だろうと思います。 四番目に、地方立地の促進は、地域経済活性化、地方の時代をもう一回もたらす可能性があるということも言えるかと思います。 次のページを御覧ください。 今回の法案への期待ですが、第一に、投資コスト低下によって民間設備投資の促進が期待できます。投資促進税制は、設備の刷新やAI、ロボット、ソフトウェア導入の初期費用を軽減します。また、労働生産性向上に資する投資を後押しします。 二番目に、産業用地整備による国内、地方投資の促進が期待できます。これは、製造業の国内回帰や地域間経済格差の縮小に寄与します。また、地方の生活基盤維持は、担い手である労働者の確保の観点からも重要です。 三番目に、今回の法案は、特定企業、産業への過度な集中を避ける設計になっており、これも効率的な投資の促進を進める上でプラスの要因だというふうに思います。 最後の十三ページを御覧ください。 ただし、留意すべき点もあります。 第一に、政策効果の検証が重要です。投資量が増えるかどうかだけではなくて、労働生産性向上や新技術の普及につながるかを継続的に検証していく必要があると思います。 二番目に、投資のボトルネックの解消です。報道されているように、建設コストが急騰し、建設の遅延が起きています。それから、安定的かつ競争力のある電力供給への配慮も必要です。 三番目に、ハードだけでなく制度の改革も必要です。労働移動の地域間、企業間での移動の促進、人材の育成、リスキリング、規制改革、デジタル基盤整備等が重要だと思います。 私の結論です。 日本経済の問題は、近年では生産性向上能力そのものの欠如というより、資本蓄積停滞にあった可能性が高いと思います。現在は、労働不足、AI、ロボット技術の進歩、製造業の国内回帰の兆しなどにより、長く続いた投資停滞の前提条件が変化しつつあります。今重要なことは、この潮目の変化を一時的な投資ブームで終わらせず、持続的な生産性向上と地方活性化につなげることであると考えます。 ありがとうございました。
○委員長(浜口誠君) ありがとうございました。 次に、今村参考人、お願いをいたします。今村参考人。
○参考人(今村卓君) 本日は、大変貴重な機会をいただき、ありがとうございます。丸紅経済研究所社長の今村でございます。 私は、我が国と世界で貿易投資を行っております丸紅のシンクタンクを率いまして、世界情勢、世界経済、国際金融などの分析を日々行っております。中でもアメリカの政治経済の分析あるいは日米経済の関係が専門でございます。 本日は、この議題の中でも、本邦企業の供給網の強靱化への対応として、貿易保険法の改正につきまして意見を述べたいと思います。そして、前提となっています必要な外国政府との取決めということで想定されています日米政府の戦略的投資イニシアティブ、これにつきましてもより詳しく御説明したいと思います。 私自身は、このイニシアティブは、うまく運用、適切な運用ができれば、日米関係それから日本経済、日本企業にとって中長期的に十分な恩恵をもたらし得ると考えております。 具体的に御説明させていただきます。 最初に、アメリカの優位性といいますか、日本にとって投資すべき対象であるということの御説明でございます。 アメリカは、引き続き世界最大の経済大国であり続けると思います。IMFの世界経済見通しによれば、二〇三一年のアメリカの名目GDPは約三十九兆ドルと見込まれ、日本の約八倍に達する見通しです。そして、そのアメリカは、先進国では数少ない人口増加が続く国でございます。人口は、二〇二五年の三億五千万人から二〇五〇年までに三億七千万人まで増える見通しでございます。実質経済成長率も、この間、二〇五〇年まで年平均一・七%が見込まれると、非常に安定成長ができる国でありまして、しかもそれが内需主導でございます。日本企業から見れば、世界で最も進出して事業と収益を伸ばしやすい国がアメリカでございます。 経済規模と成長率で見れば、アメリカに次ぐ大国として中国がございます。しかし、中国は、これだけ発展を遂げてきてもなお、輸出主導であり、供給過剰の経済であります。これは恐らく今後も相当変わらないと思われます。アメリカとは経済発展のモデルが極めて異なっておりまして、日本企業にとっては、この中国への投資を通じて収益を上げ、拡大していくということは非常に難しいということが言えると思います。 一方で、日本国内でございますけれども、今回の法案ですね、この産業競争力強化法の一部改正等につきましても、やっぱり国内投資の促進ということが強く示されておりまして、私もこの投資の拡大は十分可能であると思いますし、また必要であると思います。ただ一方で、人口減少等の日本固有のやっぱりこの制約を考えますと、日本企業としましては、国内投資と海外投資、とりわけアメリカへの投資の両輪で成長を続けていくことが大事であり、それが日本経済の繁栄の持続にも必要であると考えております。 そして、その日本企業でございますが、既にアメリカへの投資では近年勝ち筋を見出しつつあります。アメリカの発表によりますと、二〇一九年以降、日本企業はアメリカへ年平均四百億ドル近い投資を行い続けてきており、直接投資を続けてきております。二四年末の最新のデータによりますと、投資残高も八千百九十二億ドル、約百三十兆円に達しまして、これはアメリカに投資する国としては世界最大になっております。 その対米投資から得られる収益も着実に増え続けておりまして、最近は年間三百五十億ドル近くに達しております。直接投資の収益はその多くが実際にはアメリカでの再投資に回っているのが現実でございますが、そうはいっても、近年は配当などで日本に還流される金額も非常に多くなってきております。積極的にアメリカに投資する企業が日本でも株主還元という形で増やしておりまして、日本での株価の上昇にもつながっているということで、十分波及する良い好循環が生まれつつあるのが現実でございます。 かつて、日本とアメリカの経済関係は貿易、中でも輸出が中心、日本からの輸出が中心でございましたし、対米貿易の黒字の多さがアメリカでアメリカの雇用を奪っているなどと批判を浴び続けてきた経緯がございます。 かつて、アメリカの貿易戦争の相手も日本だった時期がございます。日本企業は、この経験を教訓として、八〇年代からアメリカとの経済関係を貿易から雇用創出、アメリカで雇用を創出する投資への転換を進めてまいりました。自由貿易の観点からはやや疑念というものもございましたけれども。 しかし、その後でございます。二〇〇〇年代から中国がアメリカに対して巨額の、過去の日本をはるかに上回る輸出と貿易黒字を記録するようになってきております。競争に敗れたアメリカの製造業の雇用が大きく失われ、チャイナ・ショックという言葉がアメリカで広がっております。保護主義がアメリカで超党派で支持され、自由貿易がアメリカの国益に反するという見方が広がっております。対中強硬姿勢をそして唱えたトランプ氏が二〇一六年の大統領選で勝利し、その後も、米中の貿易戦争、それから昨年のトランプ第二次政権によります高関税政策につながっているという経緯もございます。これを振り返れば、日本企業の貿易から投資への転換は正しい判断であったと思われます。 そして、ただ、その投資が海外に開放されているアメリカ、非常にオープンなアメリカとはいえ、実際には外国企業がアメリカに投資をして安定した収益を得られるようになり、しかも、更にその規模を拡大していくということは実は容易なことではございません。日本も一年当たりの投資収益が今三百億ドルを超えるようになったのは二〇二〇年代に入ってからでございます。同水準の投資収益を得ている国も、日本以外ではカナダ、ドイツ、イギリスぐらいでございまして、いずれも日本に匹敵する投資残高のある国であります。 アメリカでのこの投資の成功には、アメリカでの競争環境、市場の特性、雇用慣行ですとか法規制、それから社会との共生など、熟知することが必要でございまして、やはり経験が必要でございます。アメリカで、あるいはこのアメリカよりも強い製造業ですとかサービス業が自国にあるということも大事でございまして、こうした国のみが着実に投資を伸ばしているのだと思います。 実際、アジアの中国、ベトナム、韓国、台湾などは、対米輸出、それから貿易黒字も多いんでありますが、直接投資の残高は一千億ドルに達しておりません。やはり、まだまだ対米投資を伸ばし得る条件がそろっていないのが現実でございまして、韓国、台湾は今このこうしたアメリカ向けの投資を増やそうとしておりますけれども、まだまだ苦戦が続くと思われます。そして、今後も投資を伸ばし得るのが、これを、条件をクリアしております日本であるということになります。 とはいえ、日本企業の対米投資にもやはり限度がございます。投資を行いますのは個社でございまして、一件当たりの規模はどうしても限られます。各社厳しいやはり投資基準を設定しておりまして、対象が絞り込まれております。必然的に大型、特にある意味リスクの大きい挑戦的な案件というのはどうしても少なくなるものが実態でございます。 そして、そうした下で具体的に例えばこれがどのような弊害を生んでいるかというと、例えばアメリカの先端産業でございます。日本企業の投資が伸びる対象とはちょっと異なる可能性が高いと思われます。 例えば、現在、アメリカで大手テック企業が、激しい競争を通じて、極めて積極的にAI関連あるいはデータセンター等への投資を続けております。これが実は今のアメリカ経済の成長を支えている面もございますけれども、ここに直接挑む日本企業は極めて少ないと思われます。投資規模が非常に大き過ぎますし、日本企業が決して業界内で優位な立場を確保しているわけではございません。投資対象としては、この分野、非常に有望ではありますが、見送る企業が多いのが大半になってくると思います。さらに、アメリカの国内企業だけでも、アメリカで投資機会がありながら、なかなか実現しないといったインフラ等の分野もたくさんございます。 そうした個社の投資の限界を超えて日本の対米投資の新境地を切り開く、あるいは日米関係を新たなレベルまで深化させる可能性を有しておりますのが今回のこの日米政府の戦略的投資イニシアティブであると思います。 この両政府間の投資に関する共同ファクトシートに記されておりますエネルギー、AI向け電源開発やAIインフラ、重要鉱物等の分野、もう発表されたこの第一陣、第二陣のプロジェクトを見ましても、いずれもやっぱり個社の直接投資では手が届かない、このイニシアティブが向いているということを示している内容になっていると思います。 そして、この日本の投資法人とアメリカの現物出資で組成されます特別目的事業体によるプロジェクトでございますけれども、これ一種のGOCOですか、国有施設の民間操業スキームでございます。JBICと民間金融機関からの融資、それからJBICの出資とアメリカからの現物出資というものを組み合わせたこの事業体が、民間事業体、者に事業運営を委託する役割分担もやはり今回は必要になってくるというふうに見ております。 個社のこの対米直接投資の多くは、やはり日本の一定規模以上の企業にしかできない、そうしたことも実は今回のこのイニシアティブの特に魅力といったものを示していると思います。 このイニシアティブは、プロジェクトに参加する企業、金融機関の役割、リスク負担が限定され、融資、プロジェクト運営、製品供給、これ輸出も含みます、日本からの、それからこの製品を引き取るオフテーカーといった機能に日本企業が参加する機会が多くなります。個社の直接投資よりもはるかに多くの企業、それから大企業から中小企業まで、スタートアップまでも関与が可能になるスキームでございまして、日米の経済関係、それから日米をつなぐサプライチェーンに参加できる企業の数も増えてくることが期待できます。幅も広がると思います。アメリカにとっても、このイニシアティブなしでは実現しなかった案件が十分あり得るということでございまして、大きな成果になってくると思います。 実際、この発表済みのプロジェクトを見ましても、関連機器等の供給とオフテーカーとしての関与というところから、日本企業が多く関心を示しております。一方で、この関心を示す日本企業でありますが、よく見れば、実はアメリカで投資済みの経験が多い企業もやっぱりこの中で多く占めているということでございまして、やはりアメリカでしっかり投資と事業の経験がある日本だからこそ、このイニシアティブをしっかり回していけるというところも、やはりこの可能性を既に示唆しているというところかと思います。 そして、このイニシアティブを支えますのは日本からの融資でございます、金額的にも特に大きいのはですね。とりわけ過半を占めると予想されます民間金融機関の融資でございます。 各金融機関は、もちろんアメリカでのファイナンスの経験は豊富でございますが、従来のファイナンス手法では、独自のプロジェクトの各行によります検証あるいはデューデリジェンスといったものが不可欠でございまして、これどうしても相当の時間とコストが必要になってしまいます。イニシアティブの資金の規模も、従来のファイナンス方法では各金融機関を圧迫するリスクもあります。NEXIの保証付きの融資は、この民間金融機関のリスクをカバーする形になり、イニシアティブとプロジェクトの制約を取り払い、円滑な運用をするという意味で重要な意味を持っていると思います。 一方で、このイニシアティブの資金の規模の大きさが、貿易保険法の改正を通じたNEXIの特定引受業務の創設と財務基盤の強化を必要としていると思います。イニシアティブの着実な履行、日米経済関係の深化、日本企業のアメリカに関わる事業と収益の拡大、日米関係の一層の安定の鍵も握っているというふうに思っております。 そして一方で、このNEXIの保証によりまして個々のプロジェクトのリスクがもちろん消えるわけではございません。全ての案件がバンカブル、いわゆる銀行融資が可能であること、それからフィージブル、プロジェクトに関わる企業が収益を持続的に確保できることがもちろん必要でございまして、期限やイニシアティブの目標規模の達成が優先され、案件の精査が不足するということはあってはならないと思っております。この点がこのイニシアティブのリスクであり、懸念というところではちょっと本質になってくるかと思います。 しかし、この案件の失敗は、日本だけでなく、アメリカにも実は多大な損失をもたらします。アメリカにとっては、案件実現が勝利ではなく、事業継続までしっかり確立しなければ、やがてその事業は撤退、そして雇用の減少ですとかということがなり、結果としてアメリカにまた新たな産業の衰退地域、ラストベルトを生み出してしまうことになりかねないということであります。日本だけが損失を被り、アメリカは得をするという組合せにはないということも、やはり私は思っているところでございます。 そして、この案件の収益性や持続性の確立というところでは、分散された役割を担う企業、金融機関、政府がそれぞれリスクを洗い出し、取り除いていくことがもちろん大事でございます。 イニシアティブでは、日米両国で構成いたします協議委員会、投資委員会の厳格な判断がとりわけ重要になります。中でも、日本政府、JBIC、NEXI等が、協議委員会やその前段階での案件審査、不適格案件の拒否が、しっかりやっていくことが必要になってくるわけでございまして、イニシアティブの成否もこのスキームでは協議委員会に大きく懸かってくるかと考えております。 JBICとNEXIに損失が生じれば、これ国民負担の増大ということになってしまうわけでございまして、イニシアティブそのものを揺るがすことになりかねません。そうしたところから、やっぱり、案件審査に、だからこそ深く関わり、リスク解消に、例えばNEXIがその機能を十分発揮していくためにも、この貿易保険法の改正が重要であると思います。 ファイナンスは、事業の進捗に応じて、今回このスキームでは段階的に実行する仕組みになっています。それでもイニシアティブの規模の大きさがありますので、民間金融機関のドル調達ですとか融資余力などの懸念はどうしても残ってしまう部分はあります。そこはいろいろ日本以外の金融機関の関与を必要に応じて求めていく、あるいはプロジェクトを成功に導く優れた事業主体そのものの確保といったことも重要になってまいります。 こうしたことを併せてしっかりと進めていくことが大事でございまして、改めて、さらに、今後でありますけれども、日米政府のこのイニシアティブを構成項目とした日米関税合意がそもそもございました。その後のアメリカの高関税政策の、実は変化しているわけでございまして、前提が大きく変わってきている。そして、具体的なプロジェクトや案件の進捗も通じてイニシアティブと、日米の意味も変わってきているということでございまして、そうしたものも踏まえて、日米政府間でしっかりこうしたもの、このイニシアティブはどれが一番具体的に今良いのかということをしっかりその都度やはり協議していくことが大事かと思います。 そして、今、日本だけがこうしたことをしっかり行えている、湾岸諸国ですとかEU、韓国とも似たプロジェクトやイニシアティブをつくっておりますけれども、なかなか投資が増えていないという現実を踏まえて、日本がしっかり行えているということをしっかりアメリカに訴え、そしてこのイニシアティブの重要性を両政府が共有していくということ、そしてそのためにもやっぱり貿易保険法の改正が必要であるということを申し上げたいと思います。 以上でございます。
○委員長(浜口誠君) ありがとうございました。 次に、木村参考人、お願いいたします。木村参考人。
○参考人(木村敬君) 熊本県知事の木村敬でございます。 議員各位におかれましては、平素より熊本県に格別の御支援を賜りまして、誠にありがとうございます。 とりわけ、先月は熊本地震の発生から十年という節目の年を迎えました。我が国観測史上初めての震度七が二度、前震、本震と二度襲った熊本地震、多くの尊い命が失われ、被害総額も、推計ではありますが、官民合わせて約三・八兆円という熊本県経済過去にない深い痛手を負いましたが、それから十年間、国の本当に総力を挙げた力強い御支援をいただきまして、熊本県は今、半導体分野を中心に我が国の経済安全保障の一翼を担うにまで至りました。熊本地震の甚大な被害からここに至るまで、本当に力強く復旧復興を遂げるに当たって、国の御支援にまずもって改めて深く感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。 さて、本日は、産業競争力強化法の一部を改正する法律案の御審議に当たりまして、特に産業基盤整備、また産業の担い手確保の観点で、熊本県の課題、取組をということでお招きいただきました。まだ就任二年のひよっこの知事で、私にこのような機会を与えていただきましたことに感謝申し上げます。 お手元のこの資料に即しまして御説明申し上げたいと思います。 おめくりいただきまして、右下に三ページと書いてあります。二〇二一年の十一月にTSMC、世界的な半導体企業でありますTSMCの進出を契機に、熊本を中心に九州各県で半導体関連の集積が進んでおります。また、今年に入ってからの動きとしましては、二月五日にTSMCのシーシー・ウェイCEOが首相官邸訪問いたしまして、高市総理、木原官房長官と面会され、その際に、今度建設する第二工場で現在世界最先端の三ナノ半導体を製造する方針が示されまして、AI、自動運転など、今後の日本の産業を支える半導体生産への期待が高まっております。 また、ちょっと右側に新聞の記事、見出しを挿入いたしましたが、今月八日には、ソニーが決算発表会で、ソニーとTSMCが戦略的提携に向けた基本合意書を締結したという表明がありました。 熊本県内の拠点で次世代のイメージセンサーの開発生産ラインを構築するということで、今後、日本と台湾の高度な技術連携によりまして、熊本で次世代のイメージセンサーが生み出され、AIとかロボティクス、あと自動運転など、新技術の社会実装につながることが期待されます。そうすれば、熊本県が、日本の未来をつくる新たな産業を支える半導体の製造拠点として更なる存在感を発揮することとなりますので、この発表も大変うれしく思っています。 ここの全体の総論を申し上げれば、やはり我が国が経済安全保障をしっかりと確保するとともに、持続的な経済成長を続けて、お子さん、お孫さんの世代にしっかりとこの日本の未来を託していくためには、今やちょっと少なくなってしまったにせよ、この勝ち組に乗っている日本の民間企業をしっかりと支援し続けることが今大変重要なことだと思っております。今回の法案では、企業の大胆な設備投資などに対する支援が盛り込まれていまして、熊本県としても大いに期待をするところでありまして、国と歩調をそろえて取り組んでまいります。 次の四ページを御覧ください。 TSMCの進出効果を簡単に御説明すると、令和三年、二〇二一年に進出決定以来、県内の企業立地は増加しておりまして、令和七年の総投資額は二兆円を超えています。こういうことで、県内のGDP、ここにちょっと数字に、メモに入れていなくて申し訳ありませんが、熊本地震の前年、二〇一五年を一〇〇とした場合に、十年後の二〇二五年は、現在は約一二〇です。金額ベースでは、GDPが五・八兆円から十年間で六・九五兆円、二〇%増加しておりまして、熊本県としての目標であるGDP八兆円に今迫る状況です。 右のまた五ページ目を御覧ください。 TSMCの進出効果、進出で目に見える波及効果の一つとしては、熊本の国際化が挙げられます。阿蘇くまもと空港の国際定期便数は、現在、六路線、週四十四便となっておりまして、くまもと空港は、地方空港として全国一位の国際便数を誇っております。言うならば、ローカルからグローバルへ、地方と世界が直接つながる状況が熊本に生まれておりまして、国際線の旅客者数も、昨年、令和七年度の速報値では六十四万人ということで、前年から三割増となっております。 次の六ページを御覧ください。 現在、国において地域未来戦略の検討がなされているところでありますが、熊本県は国の動きと軌を一にしながら、九州全体で進める戦略産業クラスター計画の素案作りに今深く関与しております。特に半導体分野では、シリコンアイランド九州の再生を掲げて、九州全体でインフラ整備や人材育成に取り組んでまいります。ここはもう九州一丸となって取り組んでいきます。 また、次の七ページを御覧ください。 県としても、地域産業成長プランの策定をいち早く表明しております。熊本県の地域産業成長プランでは、半導体産業と半導体ユーザー産業を大きな柱としております。半導体チップをもう製造するだけではなくて、そのチップを活用したユーザー産業を国内に形成していかなければ、将来にわたって日本国内で十分な付加価値を生み出すことはできません。そのため、日本国内でGDPの向上につながる未来型の産業育成を進めていく必要があると考えております。またさらに、熊本県、全国有数の農業県でもありますので、食のみやこ熊本県の創造やライフサイエンス、そしてまた観光も加えた、こうした三つの柱で今後の成長戦略を進めています。 そうした中で、八ページを御覧ください。 これは、くまもとサイエンスパークの構想イメージです。我が国は、政府が国策としてTSMCを誘致して、先端半導体の製造拠点として今や世界から注目される存在となっておりますが、先ほどの繰り返しになるんですけれども、先端半導体を生産しても、それを輸出するだけでは十分ではないと私ども考えています。半導体を作るだけではなくて、それを使う産業、すなわちユーザー産業を国内に育成、集積させなければ、日本が再び世界市場へ打って出ることはできないと思っております。 ここにあります、左側にありますAI、自動運転、ロボット、遠隔診療など、日本にまだまだ伸び代のある未来型産業の集積があります。これをしっかりと進めていくためには、産学官の連携によって研究開発から製造までを支える施設機能を整備したイノベーション創出拠点が今こそ必要ではないでしょうか。 そうした中で、右のまた九ページを御覧ください。 熊本県では、アメリカのシリコンバレー、台湾のサイエンスパークのような拠点を、TSMCの日本法人であるJASMやソニー、東京エレクトロン、TELなどの近隣にイノベーション創発エリアというものを整備して、サイエンスパークを具体化する取組を県が先導して進めております。これによって産学官連携、産学連携を更に強化して、新たな産業創出につなげてまいります。 次の十ページを御覧ください。 この法案にも関わります熊本県内の工業団地の整備状況でございますが、現在、既存の県営工業団地八か所は全て売り切れてしまっています。こうした中、現在、県、市町村が主体となって県内各地で新たな工業団地の整備を進めておりますが、ここに一から十まであるうち、三番と四番の産業用地はもう既に官民連携で整備を行っておりますし、先ほど私が御紹介いたしましたくまもとサイエンスパークについても民間主導で用地の整備が進められています。 こうした官民連携での産業団地の整備は、これ時代の今流れと言えますので、今般の法改正は大変意義のあるものと考えております。 十一ページを御覧ください。 ここから、産業基盤を支えるインフラ整備の状況を御説明いたします。 まず、道路インフラです。TSMC誘致という国家プロジェクトに伴って、このTSMCが進出する辺りはもう大変激しい交通渋滞が発生、拡大しておりまして、企業集積に伴う最大の懸案の一つでございます。この地域課題に対応するために、令和五年、岸田政権のときに国が創設いただいた地域産業構造転換インフラ整備推進交付金によって多年度にわたる支援をいただいております。この交付金、極めて有効に機能しておりまして、TSMC周辺の道路整備や、後ほど申し上げます各種インフラ整備に活用されています。 この交付金、ただ一方で、実際は、今現在、補正予算での措置となっております。また、熊本のみならず、北海道、岩手、広島、新潟などの地域にとっても非常に重要な交付金でございます。基金化ですとか複数年にわたる安定的な措置について、是非御検討いただきたいと思います。 次の十二ページを御覧ください。 現在、国直轄事業として高規格道路の整備もこのTSMCの進出に合わせて極めて順調に進んでいただいており、感謝しております。また、これには実は地元サイドもしっかりと努力を重ねています。無料の高速道路を造れではなくて、有料道路事業によって整備を推進していくべきだというのを地元から逆に提案をしております。受益者負担の考えにしっかりと基づいて早期整備していくことが重要だと、地元や受益者にも一端の負担をお願いしながら、着実にインフラ整備を進めることが重要であると考えております。 続きまして、十三ページです。 工場排水を対象とする特定公共下水道事業について、熊本県のために新たに採択をいただきまして、現在、処理場や管路の整備を進めております。また、熊本県は全国でも名高い地下水都市であります。ですので、地下水の保全が県民の高い関心事となっています。そのため、地下水の使用量を抑制する観点から、既存のダムを水源に、使われていない未利用水を工業用水として活用する取組も進めています。これ、いずれもインフラ交付金で御支援いただいておりますので、継続的な御支援をお願いしたいと思っております。 続きまして、十四ページを御覧ください。 空港アクセス鉄道の整備とJR豊肥線の輸送力強化です。先ほど申し上げましたように、今、国際航空路線数、地方空港全国一位に、くまもと空港躍り出ました。この空港は半導体関連産業の集積地域と国内外を結ぶ空の玄関口ですので、産業集積やインバウンドの増加で今後も利用客数が増加いたします。そこで、新たに鉄道を整備することで、半導体関連産業集積地へのアクセスを強化しつつ、熊本県民の実は今最大の関心事であり、強い強い不満がたまっているこの渋滞問題の解消を鉄軌道の整備によってしっかりと進めていきたいと考えています。 鉄道インフラの強化を地域未来戦略の中で位置付けていただくことで、我が国の安全保障を担う熊本県のこの大きな社会変革の基盤を整備するとともに、この経済安全保障に対する県民からの共感も得られるものと考えておりますので、国のお力添え、強力な御支援をお願いしたいと思っております。 続いて、十五ページです。人材育成の話を一つさせていただきます。 熊本県では、熊本県立大学に新たに半導体学部を設置することを目指して、現在文科省に認可申請を行っています。少子化の中での対応ですので、既存のちょっと文系の学部の定員を六十名減らして、その六十名を半導体の分野に振り替える、振り向ける形でまずは進めていきます。 県としてできることを着実に進めるとともに、左側にあります、熊本大学を始め、熊本県内のあらゆる機関を総動員して人材育成の強化を図ってまいりたいと考えております。 続きまして、本日御審議いただいている地域未来投資促進法に更に関連いたしまして、熊本県における現行法の活用状況を次の十六ページで御説明いたします。 熊本県は、県内全域を対象に基本計画を定めておりまして、農林水産業、真ん中の枠括弧のところに、要件一のところにありますけれども、農林水産業、自然共生型産業、成長ものづくり分野、デジタル関連、観光・物産、まちづくりの六つの地域特性を設定いたしまして、こうした地域特性を生かして、高い付加価値を創出するなどの要件を満たす事業を地域経済牽引事業として認定しています。 次の十七ページに、熊本県がこの地域未来投資促進法で認定、施行されてから九年間で認定した二百九十四件の事業があります。全国有数の承認件数となっていますけれども、分野別で見ますと、半導体分野を含めた成長ものづくり分野が一番多いところではあるんですけれども、同時に、農林水産業やバイオなど幅広い分野でこの法律は活用されています。 ちょっと具体例を二つ下に挙げさせていただきましたが、事例一は、これは半導体の製造装置の部品を製造する物づくりの事業者でございます。また、この右側は、ちょっと今いわゆる半導体で元気のいい県北部ではなくて、県南部の方にあります酪農家による乳製品の販売製造事業などです。これにも使われていまして、多岐にわたる設備投資で活用の事例が見られています。 今回の法改正は、熊本県にとって大変意義があると思っております。是非、この法案、法改正をしっかり熊本県も活用したいと思っております。 続きまして、今法案で予定されていますエッセンシャルサービスの維持に関するところについて、簡単に御説明させていただきます。 十九ページを御覧ください。 熊本県内の人口推移ですけれども、どこの県も同様ですけれども、人口減少と少子高齢化が見込まれています。二〇五〇年には、今二〇二五年時点での県の総人口は百六十八万三千人ですけれども、二〇五〇年には三十二万八千人減少して百三十五万五千人になる見込みです。 特に注目すべきは、この人口構造の変化です。グラフにあります老年人口、赤いところはほぼ横ばいで推移するんですけれども、生産人口が急激に減ります。ということは、エッセンシャルサービスにおいては、サービスの需要は一定程度ずっと存在し続ける一方で、産業の担い手が不足するということで、産業人材の確保が熊本にとって喫緊の課題でございます。 続いて、二十ページ、二十一ページを、二枚比較して併せて御覧ください。 熊本県内における職業別の求人倍率です。やはりその業種間での人手不足感のこの乖離というのが今非常に鮮明になっております。特に、赤枠で囲っていますけれども、医療技術者、介護サービス産業、また二十一ページの方に、接客、給仕職業、輸送、機械運転事業者などにおいて求人倍率が非常に高い水準で推移していまして、これらの職種はいずれも地域社会の維持、存続に欠かせないエッセンシャルサービスでございます。生活基盤を支える現場ほど人手不足が顕著になっています。 二十二ページを御覧ください。 県内における新規高校卒の割合についても、県内就職率が六七・一%で全国平均を下回っています。やっぱり相当数の高校卒業生が県外で就職していることを意味しておりまして、県内定着を進めていかなければいけません。 そのために、熊本県は、二十三ページで、くまもとで働こう推進本部ということで、県庁の縦割りの組織を横串に刺して、新規学卒者の県内定着、教育機関と連携した人材育成、DXによる生産性の向上、働きやすい職場づくりなどを掲げて具体的な施策を検討しています。 今般の法案で、エッセンシャルサービスの合理化、多角化、広域化などを推進するということは、県内の私どもの認識と一致しております。 ちょっと時間オーバーしていますが、最後に最終ページを御覧ください。 こうしたエッセンシャルサービスの効率化に関しての先進的な取組です。 一つは交通分野で、左側の事例でございますが、県内のタクシー会社十社が合併して、配車システムを一元化することによって事業の効率化を図っていますし、この会社は、この後、バス事業者と連携して、バス路線の車両の小型化とか利用者の少ないバス路線をタクシー会社が代行していくなどの取組を考えております。 また、右側の福祉事業については、資格を要する分野と要しない分野を切り分けて、資格を要しない分野について、業務については、障害を持つ方やアクティブシニアにも働きやすい環境を整備すること、また、ICTの技術を積極的に入れることで、サービスの質の向上や離職率の低下と、かつ事業の効率化を共に実現させているような事例がございます。 こうした事例を参考に、引き続きエッセンシャルサービスの充実と効率化に向けても熊本県、取り組んでまいります。 結びになりますが、熊本地震から十年という今、この十年間、本当に熊本地震からの復興に対して全国からいただいた御支援への恩返しを胸に、今後とも取り組んでまいりますので、引き続き御指導、御支援のほどよろしくお願いします。 以上でございます。
○委員長(浜口誠君) ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。 質疑のある方は順次御発言願います。
○浅尾慶一郎君 自由民主党の浅尾慶一郎です。 参考人の皆様方には、大変貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。 まず最初に、深尾参考人に伺わせていただきたいと思いますが、資本蓄積がこれから大変重要になってくるという御主張でございました。その中で、今回の法案の中で二点、設備投資の即時償却、そして投資した額の七%税額控除と入っておりますけれども、設備投資の方ですね、即時償却の方は、本来はそのこと自体が、何というんですかね、償却を、投資額を何年で回収するかというのは本来企業が考えればいい話で、私自身はそれを国が規定するのはおかしいので、長く掛けて償却しようと思えばそれはそれでもいいしとは思っております。 そういう中で、その点について、別にあって駄目という意味ではありませんけれども、設備投資の即時償却だけではそれほどつながらないんではないかなというふうに、資本蓄積の増加とかですね、というふうに思っておりますが、税額控除七%はこれはつながっていくんではないかなというふうに考えております。 一点だけ、先ほど木村知事からTSMCの話もありましたが、私がかつて聞いた話でいうと、例えば台湾の例でいうと、成長を促す産業に半導体というのはもちろんあるわけですけれども、経常利益と税引き後利益を比べると、何と、その調べた人の話、この人は日本の半導体産業をつくった人でありますけれども、税引き後利益の方が大きいと、つまり、頑張って稼いだら、その分補助金を付けると、税を取るんじゃなくて、補助金を付けることによって産業を育てていったという話がございます。 そういう観点からいうと、今回の法案の、繰り返しになりますけれども、設備投資の即時償却と税額控除七%は必要だと思いますが、更にもし加えるとしたらどういったものがあったらいいかという点について、深尾参考人に伺いたいと思います。
○参考人(深尾京司君) 私、投資減税が投資にどう波及するかに関する専門家ではないので、ほかにどういう政策があるかというのはすぐにはいいアイデアはありませんが、一橋の例えば佐藤主光先生の実証研究等によると、やはり法人税考えるときに限界税率が非常に重要で、あとタックスベースがどれくらいかという、広くなるとやっぱり阻害要因になるといった指摘もありまして、幅広くやはり企業の投資活動に関する税を引き下げることは投資を促進する上で大事だと思います。 済みません、余り細かい情報は持っていません。
○浅尾慶一郎君 もう一点、関係で伺わせていただければというふうに思いますが、今キャッチアップの大きな可能性があるという話を伺わせていただきました。 一方で、先ほど今村参考人の方から、アメリカでは多分、ハイパースケーラーを中心に多分投資額が非常に大きなものが増えてきていると。つまり、その成長の度合いの大きい産業の資本蓄積率が高くなっているという中で、これをどうキャッチアップしていくかということについて、もし御意見があれば伺わせていただければというふうに思います。
○参考人(深尾京司君) 日本は、かなり技術フロンティアから、先ほどお話ししたように、引き離されてしまっていて、やることはすごく多くあって、例えば、一般のサービス業とか含めて非常に広範に、道路とか上下水道とかもそうですが、非常に広範に投資を促進していく必要が私はあると思います。 ですから、先端的な産業に重点的に投資するだけではなくて、社会一般の、先ほどお話ししたように、全産業押しなべて投資が非常に停滞していて、アメリカとの比率も遅れていますので、もちろん先端的な産業で打って出るというのも大事だと思いますけど、今回の法案の考え方、広く投資を促進するというのも私は大事だというふうに思います。
○浅尾慶一郎君 最後に、深尾参考人への質問の最後としては、御指摘がありましたそのTFPの方は大分回復しているということでございますけれども、その主な要因はどういうところにあるというふうに考えますか。
○参考人(深尾京司君) 例えば、中小企業の間でとか中堅企業の間で競争が非常に激しくなって、生産性の高いところが生産を拡大する、それから、生産性が高くても資金がないところを、買収が起きてそこに新たに資金をつぎ込むといったですね、昔、新陳代謝が、日本は非常に産業の新陳代謝が低いと言われていましたけど、その状況が変わりつつあるというのは一つは大きいと思います。 あと、ヨーロッパ、特に大陸ヨーロッパで非常に、特にフランスとかで、あとは英国も停滞しているんですけど、その背後で、ちょうど日本で九〇年代に起きたようなことが向こうでは起きつつあると。日本はそれをある程度脱したというふうに考えています。
○浅尾慶一郎君 ありがとうございます。 それでは次に、今村参考人に伺わせていただきたいと思います。 初めに、エネルギー、AI、データセンター等の分野を指摘されておりました。そのときに、オフテーカーが大事だという話をされました。エネルギー分野について、もし御存じであればでありますが、ガス、シェールガスですけれども、この積出しは今、メキシコ湾岸というふうに考えておりますが、日本ないしはアジアに持ってくるということを考えた場合には、アメリカ全土は、御案内のとおり、ヘンリーハブでパイプラインつながっておりますから、太平洋側から積出しをしたらいいんじゃないかなとかねて私自身は思っておりまして、ただ、カリフォルニア州は州の法律で規制があると、それからワシントン州は州知事がどちらかというと化石燃料の輸出に反対ということでその積出し港を造るのは難しいというふうに聞いておりますが、オレゴンはまだそういったものは、知事は民主党の知事でありますけれども、ないということでありますけれども、例えば元々いらした商社さん、今でもその商社さんの関係だと思いますが、そういった、オレゴンで、太平洋側で液化するプラントを造るというような計画みたいなものというのは、具体的にあるかないかという話とは別に、可能性として検討されたことはあるんでしょうか。
○参考人(今村卓君) 御質問ありがとうございます。 オレゴン州は実際、ビジネスには非常にフレンドリーなんですね。私ども、穀物等の輸出の大きな拠点になっております。 ただ、このシェール、それから一連のこのLNGに向けたとなりますと、この地域を例えば採算性として合うかどうかという点で、私たちは余りここからの案件というのはそんなに聞いたこともなく、あるいは我々もここを試みたこともなくということでございまして、やはりその距離、それから一連の設備ということで、こうしたものは価格競争力がもうすぐにその差が出てしまいますので、よりやっぱり近い場所あるいは集積がある場所ということが結局大事になってきて、それが多分距離による競争力といったものの差をはるかに超えるものがあるんだろうとは思います。
○浅尾慶一郎君 もう一点、先ほど、日本が投資残高では八千百九十二億ドルですか、御指摘があって、世界最大であると。ドイツ、カナダ、イギリスもそれにつながる部分もあるのかもしれませんが。 これ、投資をしているということは、当然のことながら雇用も生んでいるということだと思いますが、かなり前から投資を始めていますので、もうその会社に勤めて辞められた方というのもいらっしゃるんだと思いますが、多分、多くの企業において、ホームカミングデーとか、そのOBも来れるようなことをやっておられるんじゃないかなというふうに思いますけれども。 適切な表現かどうかは別として、国会の場ですから、そういう場所にはその地域の議員も来られるということは、場合によってその地域の雇用を日本の会社がつくっているんだということを、私自身はもう少し政治的に活用した方がいいんじゃないかなというふうに思いますが、そういったことについて何かアドバイスがあれば教えていただければと思います。
○参考人(今村卓君) アメリカの実際の日系企業がつくっているこれ統計がございまして、ちょっとまだ古い、二〇二三年、二四年ぐらいの数字かと思いますが、百万人にほぼ達しております。アメリカの雇用そのものに大きくプラスになるような規模では必ずしもないんでありますけれども、地域によりましては非常に日本企業が貢献していることは事実でございますし、実際にこうした日本企業の投資をより強く歓迎しているのは州政府ですとか地方政府でございまして、特にこうしたところで大きな歓迎を受けておりますし、また、日本企業の雇用というのは非常に賃金が高い、それから、できればその地域として伸ばしたい産業の有能な人材をしっかり育成をしていくということで、ある意味このように生態系ができてきているということでございます。 日本の国内での人手不足と組み合わせた形でアメリカでこうして伸びているということで、一種両立している部分もございますので、是非これは今後も伸ばしていくべきですし、政治的にもやっぱりそれはしっかり訴えていくべきだと思っておりますが、実際は民間企業としても今せっせとそれをやっているところでございます。
○浅尾慶一郎君 ありがとうございました。 それでは、木村知事に伺わせていただきたいと思います。 熊本県、TSMCの進出によって大変いろんな面でこれからも更に発展をしていく要素があるというふうに思いますが、今日の御意見の中で、半導体の用途を更に県内、あるいは全体、九州全体でということかもしれませんが、日本国内で広げていきたいというふうな話がございました。具体的に何かそういったことの支援でやっていられることがあれば教えていただければと思います。
○参考人(木村敬君) 浅尾先生、ありがとうございます。 やはり、いろいろな、TSMCの最高幹部とかとも話していると、やはり日本の持つ力というのはすごいものがあると。例えば、高校生までの、特に理系の高校生の力というのは、もう台湾は全然日本にはかなわない。ただ、言葉ですけど、大学に入っちゃうとそれが駄目になるって、何かそこはちょっと皮肉られはしました。 もう一つが、やはり福祉とか医療というのは日本はやっぱりもう最高だと。そうした中で、やはり、例えばここの八ページにもありますように、ロボットとか自動走行、特に今、日本は、半導体を使ったところでいくとソニーがそのイメージセンサーの部門で今世界のトップを走っていて、そこに今、猛烈に韓国や中国が追いかけてきている状況です。そこの日本の勝ち組をしっかりすることによって、やはりこれからは、例えば自動運転なんかの場合にも、人間は目が二個しかないんですけれども、すばらしいセンサーは目みたいなものですので、それが前後左右八個、十六個と増えればすごくいいものが開けていきます。 特にやはり政府に求めていくのは、やはりせっかくこの勝ち組のセンサーみたいなとか、あとパワー半導体なんかもまだ分野の中では、日本はまだ強い分野にありますので、そうしたところをしっかりとやはり勝ち続けさせるということがもう一つ大事だと思うんです。 あともう一つが、やはり大学との連携です。日本はやはり、ノーベル賞を毎年取る、ほぼ毎年に近いぐらい取れるような、すごく大きな基礎研究、優れた、世界に伸びているところがあるのを、なかなかこれが産業化に生かされていません。実装、社会実装も含めてですね。そして、やはりその産学の連携を、やはり、これはもちろん経済産業委員会だけでなくて、文部科学省等々も含めてなんですけれども、政府全体で後押ししていただけると、いろいろなことが、まだこの国では十分新たな勝ち組になる産業は出せると思っております。
○浅尾慶一郎君 時間になりましたので、最後、今の御発言について私の意見だけ申し上げて終わりたいと思いますけれども。 十五ページに、熊本県立大学で半導体学部を、文系の人数を減らして増やしたというのは、大変、文系の学生ばっかりで、大学になると駄目になるという御発言ありましたので、多分そういう意味では大変いいことなんじゃないかなというふうに思いますということを申し上げて、質問を終えたいと思います。 ありがとうございました。
○古賀之士君 立憲民主・無所属の古賀之士でございます。 今日は、三人の参考人の皆様方に貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。 お時間の関係もございますので、また、お考えも先にまとめていただいた方がいいかと思いますので、三人の皆様方にもうまとめてお尋ねをいたします。 まず、深尾京司参考人にお尋ねをいたします。 労働生産性を上げるために労働の質的な向上が必要とされていらっしゃいますが、その解決方法がもしイメージとしておありでしたら教えていただきたいのが一点。 それからあと、そういった労働の質も含めて検証が必要だということが結論で本日も述べられていらっしゃいますが、その検証は具体的にどのような方法がよろしいのでしょうか。具体的にもしイメージがあれば教えていただきたいと思っております。 それから、今村卓参考人にお尋ねをいたします。 サプライチェーンの強靱化という点を考えますと、投資先というのは、御専門の米国はもちろんですけれども、それ以外の例えばEUですとか、あるいは資源国なども考えられます。そのベストミックスといったものをもしお持ちでしたら、それも教えていただけたら。 また、今日の御発言の中に、いわゆる対米投資と国内投資、両方が必要だと。そのバランス、割合についても、もしベストミックスありましたら教えていただけないでしょうか。 それから、熊本県知事も務められていらっしゃいます木村敬参考人にお尋ねをいたします。 二〇二四年の資料では、熊本に分譲可能な産業用地というのは三十八ヘクタールあると伺っておりました。今は、お話がありましたとおり、売り切れの状態だということですね。今の現状を踏まえて、今後どのようなことを今考えていらっしゃるのか、お尋ねをします。 その中で、特にその産業用地に関しては、半導体は、先ほどお話がありましたとおり、いわゆる産業の米として様々なユーズに見知る、いわゆる物づくりも必要だというのは大変私も共感をしております。と同時に、隣県の福岡県あるいは大分県からも、いわゆる九州は一つという考え方で連携の声が上がっていると思いますが、その辺の最新の状況と、それと木村敬参考人のお考えを教えていただければと思います。 それから、結びになりますが、様々な地域での事業の統合や強力な推進をされていることに敬意を表しますとともに、これで人口流出がどの程度食い止められるのか、なかなか難しい問題だと思いますが、御答弁いただければと思います。 以上でございます。では、順番にお願いいたします。
○参考人(深尾京司君) 私には二つ御質問がありました。 一つは、労働の質の上昇が停滞している、また下落していることにどう対応するかということで、やはり非正規雇用の問題が、女性とかそれから高齢者中心に熟練が蓄積されない大きな原因だというふうに思います。これを何とか解決していく、同一労働同一賃金の考え方は正しい政策だと思いますが、そういうことを含めてより解決していく必要があると思います。同時に、企業はある程度雇用の流動性を保つために非正規雇用を雇っているというところもありますので、いかに雇用の流動性も高めていくかということも大事だと思います。 それから、二番目の御質問は、単に投資の量が増えるだけではなくて、生産性の上昇にいかにつながるかということを検証すべきだということをお話ししたんですが、それどうやるかという御質問だと思いますが、基本的には、企業の、企業レベルのデータ、例えば企業活動基本調査等で労働生産性等は分かって、これは悉皆の調査、ある規模以上は悉皆の調査なので、こういうことで例えばある程度把握できます。それから、労働については、しかし、質については、例えば賃金構造基本調査とかは悉皆ではありませんので、十分に検証が難しい可能性があります。その辺りは、例えば補助金を支援するときにそういう情報も集めるような工夫も必要かと思います。 あとAIとかロボットの導入については、これは、日本の統計はまだ完全に整備されていませんで、例えば全国イノベーション調査でロボットとかビッグデータの利用について調べていますけど、これ悉皆の調査ではありません。そういった面で、AIとかロボットの導入については、もっと統計制度を整備して、いかに社会にそれが浸透しているか、それによって生産性が上がっているか、雇用にマイナスの影響がないかというようなことをより調べていく必要があると思います。 以上です。
○参考人(今村卓君) まずは、海外の地域別の投資のいわゆる適正配分ということでございますけれども、やはり各地域の経済の構造でございますね、これをよく見ていくことが必要でございまして、例えば、よりこれから先、世界的にやっぱりちょっと保護主義の動きがどうしてもなかなか強いまま続いていくと思われますし、どうも分断という動きも出てきますから、やっぱり地産地消、それから、その意味でいうと内需が大きい国といったことが必然的に投資が増えていく。 そして、それは、多分人口が多い国がやっぱりその投資対象になっていくということでございまして、具体的に申し上げれば、今、日本企業が特に関心を強く高めているのはインドでございます。ここは多分順調に伸びていくと思いますし、それを追う形で、例えばASEANのフィリピン、インドネシアという、やっぱり人口一億、二億を超えるような国々、そしてまだまだ伸び代があるという国は、ここはしっかり内需を狙っていくというところで増えていきますし、一方で、EUですとか産油国ということであれば、こちらは例えばやっぱり気候変動対策等で優れている技術のある、そうしたものを今度EUでよく積極的に行って、技術を取り込んで、それを日本に裨益していくというところも考えられますし、今、産油国でいえば、ちょうどまさにこのイラン情勢もこういう状況でございますから、しっかり資源の確保という点で、こちらはむしろ政府と協力する形でやっていく必要があります。 それから、対外、対内の構成でございますけれども、現在、やっぱり三十年近い賃金の低迷、それから円安もございまして、国内の投資のコストが実はかなり低くなってきているものがございます。むしろ海外の方がよっぽど高いというところがございまして、その一方で、じゃ、国内、非常に割安になって魅力も増えてきているんですが、そうはいっても、じゃ、需要を目指すとなると、やっぱり人口の問題があるということもございますし、さらに、伸びる産業であっても、やっぱり拡大しようとすると、あらゆる産業は今人手不足に直面しているということでございまして、ここは、やっぱりAIの活用ですとか、できるだけ人手不足を克服するような面で日本でそういう先端的なものを行っていく、そしてまた、人も少なくなってきておりますから、国内では、より賃金の高い、あるいは収益性の高い投資といったものに集中していく。付加価値の高いものにして、そして各国の所得の状況に合わせて、そうした、やや量産型のものの投資は海外でしっかりと行っていくということで、金額の適正配分というものよりは、それぞれの経済の状況に合った組合せでベストミックスといったものは決まってくるということでありまして、現実には多分両方とも伸びていくことになると思います。
○参考人(木村敬君) ありがとうございます。 まず、産業用地、産業団地につきましては、まさにこの今回の資料、十ページに挙げましたとおり、今ほとんど売り尽くしております。市町村と連携して新しい工業団地の整備を進めていますけれども、一方で、熊本は農業県でもありますので、農地とのバランスをどうしていくかというところについても、これは実は非常に大事な要素でございまして、県の農地担当がしっかり間に入って、例えば農地の中でも基盤整備がされていないような農地から中心に、もし開発するんであればですね、そういうところに誘導していく、又は耕作放棄地などを活用して逆に農業団地みたいのをつくっていくと。そういうふうなちょっといろいろなチャレンジングな試みもして、農地と産業用団地のバランスも図りながら整備を進めています。 また、福岡や九州各県との連携は、まさに先生おっしゃるとおりでございまして、今この六ページにも掲げた九州経済産業局が中心になってまとめている九州版の地域未来戦略、言うならば、の戦略産業クラスター計画は、非常に今これは順調に進めておりますし、私も福岡県の服部知事始め九州各県の知事さんとよく日々連絡を取り合いながら、足の引っ張り合いがこれ起きないように実はうまく進められているのが、このいいところだと思っています。来週もちょうど九州知事会議がありますので、そうした中でも連携して進めているところでございます。 また、最近では九州大学さんが、本当に石橋総長のお力をもって、熊本大学の方に半導体系での分室をつくるとかいう過去じゃあり得ないようなことが今起きて、九州内の連携がいろいろ起きています。 最後、この人口流出をどの程度食い止められるか。 これはもう確かに大きな課題でありますけれども、先ほど、熊本がまだまだ弱いと言っていた高卒、高校出た子の県内就職率も大分上がってきておりますし、非常に今、新しく熊本大学にできた半導体系のコースには九州外から来るという、今まで普通は大体、九州外から九州に来ることは余りなかったんです。九大以外なかったんですけれども、そうした流れも生まれておりますので、今後やはり、しっかり人口流出を九州全体で食い止めていくという発想でこれからも頑張っていきたいと思っております。 以上でございます。
○古賀之士君 三人の参考人の皆様方、簡潔に、そして分かりやすい御答弁ありがとうございました。 もう少し時間がございますので、それこそ今度は逆に伺います。熊本県知事である木村敬参考人、今、教育の問題もありましたが、かつて旧五高、旧制五高もあったぐらい、かつては全国から熊本にも若者が集まってきた時代もございました。そういう意味での熊本の今後九州での在り方というものをどのように産業的に考えていらっしゃるかというのが一点、まずお尋ねをいたします。
○参考人(木村敬君) まさに、産業というのはもう都道府県単位で完結するものではないと思っています。もちろん、地場産業又はその伝統的な工芸とか、その中でそれぞれの独自の工夫を凝らしたものというのは歴史があるとしても、この半導体や様々な、いわゆる世界的に打って出る日本の未来産業というのは、少なくとも、最低でも九州がちょうどまとまることで台湾とある種伍していけるといいますか、台湾はもう、あそこが一つに全部もう、まあ国と言うと非常に語弊が、言い方あるんですが、国としてあそこはまとまっていますので、すごく台湾中でいろいろな官民連携、いろんな動きがあります。 ですので、やっぱりしっかり九州まとまっていくということでございますので、熊本一県のためにこうしたことを私たちは全然訴えるつもりはございません。しっかりこの日本が再生していくために九州でまとまっていきたいと思っております。
○古賀之士君 ありがとうございます。 では、今村卓参考人に伺います。 先ほど資源国のお話もさせていただきましたし、また御答弁もいただきました。今後、やっぱり経済安全保障も考えていく上で、この投資なり、あるいは友好関係をしっかり結んでいかなければならない、そういう意味でのキーになる国々、こういったものが今村参考人の中におありになると思いますので、御披露いただけないでしょうか。
○参考人(今村卓君) こうした資源国、もちろん我が国としましては、しっかりそうした資源、特に石油、ガスといったエネルギーというのは確保していくことが大事でありますけれども、資源国の観点から何が必要としているのかということを見ていく必要がございまして、いずれもその先の将来では、こうした資源の枯渇ないしは脱炭素の進展ということを見込んで産業の多角化を実は求めているというケースがよく多くございます。 そうしたところに日本企業の得意分野と組み合わせるという形になりまして、その国の産業発展を支えていくということが恐らく両方にとって相互にある意味得になるという組合せでございまして、現にサウジアラビアですとかUAEとはそうした組合せでいろんなものが進み始めてきたと思います。今回のこのイランの情勢でかなりまた混乱してしまっておりますけれども、その先を実は見据えていくことが大事かと思います。
○古賀之士君 ありがとうございました。 では、深尾京司参考人に伺います。 様々な形での検証というのを先ほど教えていただきましたけれども、今回のこういったROI一五%以上という高いハードルを乗り越えてこられた企業に対しても一定程度の検証も必要だという御答弁もいただいておりますが、これ例えばラピダスの場合は、三か月に一度をめどにした国会での報告というものが規定されております。 深尾京司参考人は、こういったROIの一五%で認められた、そういった企業に対しての何かその検証として、国会への報告などは視野の中にございますでしょうか。
○参考人(深尾京司君) 特にそこまでは考えていないです。先ほどお話ししたように、企業データでかなりの程度を確認することができますので、まずそれをするということが重要だというふうに私は考えます。
○古賀之士君 時間になりましたので結びます。ありがとうございました。
○竹詰仁君 国民民主党・新緑風会の竹詰仁です。 今日は、三人の参考人の皆さん、ありがとうございました。 まず初めに、深尾参考人にお尋ね、お伺いいたします。 今日お配りいただいた最終ページに投資のボトルネックの解消ということで、二つの点で、建設の遅延と安定的かつ競争力のある電力供給の配慮等が重要という、この点についてお伺いいたしますけれども、どちらも、一民間企業あるいは民間企業だけでその建設の遅延を解消するとか、あるいは電力会社だけで安定供給をやるというのはなかなか難しい状況でありますので、そうであれば、国としてこの建設遅延に対する対応、そして安定的かつ競争力のある電力供給は国としてはどういった方策を、施策をやるべきだとお考えなのか、お知恵があれば教えていただきたいと思います。
○参考人(深尾京司君) 建設コスト、建設遅延については、やはり建設業自体が合理化する、生産性を上げるということを怠っているような、十分に行われていないような気が私はしています。 そこをいかに促進するかと。これは経産省だけではなくて、恐らく国交省の問題でもあると思うんですけど、そういう政策を打たれていくことが重要だと思います。例えば、政策投資銀行の調査などで投資の計画を見ると、本当に実行できるのはごく僅かに今なっていると思います。それをいかに計画が達成できるようにするかということは、事後検証を含めてもう少し研究する必要があるというふうに思います。
○竹詰仁君 電力の方はいかがですか。
○参考人(深尾京司君) 電力は、やはり総合的にエネルギー政策、電力政策を考えていく、原発の問題も含めて総合的に考えていく必要があるというふうに思います。
○竹詰仁君 続いてもう一問、深尾参考人ですね。 製造業の国内回帰が必要だということで、全くそうだと思うんですけれども、その際には、その前に説明していただいた、できるだけ地方の方がいいんだと、そういう御意見も含まれていたと思うんですけれども、その地方がいいんだということについて、あるいはその地方であればできるだけ分散した方がいいのかとか、集積した方がいいのかとか、恐らく都心に持っていった方がいいんだというお考えではないと推察したんですけれども、その地方に持っていった方がいいんだということを、もう一度、ちょっとその、何というんですかね、メリットを御説明いただけると有り難いです。
○参考人(深尾京司君) 高度成長期には首都圏とか都心で、大都市圏で工業も投資が行われたわけですが、今、そういう用地というのはほとんど売却されて住宅に変わっています。その意味でも、今から大都市圏で工業を増やす、もちろん余り土地を要さないような製造業というのはあり得ると思いますけど、それは難しいことで、自然に地方に、これからもし工場の国内回帰が起きるとすれば地方に進むと思います。 そこではやはり産業集積というのは大事でして、先ほど九州のお話もありましたけど、産業集積、ただ、いろんな産業がありますので、ここにはこういうものを集積させる、そういったことを国が企業と一緒にとか地方と一緒に考えていくということで、産業集積は守るけれど、大都市に回帰させるものではないということだと思います。
○竹詰仁君 ありがとうございました。 続いて、今村参考人にお尋ねいたします。 今回の日米の戦略的投資イニシアチブで、三月に米国でのSMRとガス火力発電所を締結したということで、参考人の中に、米国に投資することは決して日本にとっても悪いことじゃなくて、むしろメリットがあることなんだということでしたけれども、このSMRとかガス火力発電所に日本が参入することは、もうちょっと、日本にとってどんなメリットがあるかということをお考えなのか、教えていただけますでしょうか。
○参考人(今村卓君) まず、現状起きておりますアメリカでのそのAIに関するまあある意味演算需要の爆発的な増大でございますね、それに伴って電力消費が物すごく増えてきて、電力が足りなくなってきている。それをとにかく増やさなければということでございまして、日本以上にやっぱり電力が足りない状況になってきている現実がございます。 そこで出てきているものとして、まず、このアメリカ、ガスは豊富でございますから、ガスを使っていくということ。それから、SMRというところにもなってくるということでございまして、やはりこの世界で最も伸びている地域にしっかり日本企業が食い込んで、しかも、今回は恐らくその機器の納入といったところがより多く増えてくると思いますから、そこでしっかり需要を確保していくということはその規模のスケールメリットも働いてまいりますから、日本企業としては是非やるべきということになってくると思いますし、SMRは、ある意味でやっぱり、恐らくアメリカのその先端になっていきますから、そこで進む技術といったものを今後日本においても取り込んで活用していくという点でも、やっぱりしっかり入っておくべきということかと思います。
○竹詰仁君 ありがとうございます。 その場合、今の日本企業にもメリットがあるというのは理解した上で、規制の問題がやはりアメリカと日本では違うと思うんですね。 SMRやるには当然アメリカの規制をクリアするということで、なかなか日本の場合はいわゆるその原子力の規制が厳しいわけですけれども、ガス火力も、例えば環境アセスとか、そういったことで、今、米国では爆発的なAI需要もあって電力が足りないんだということでしたけど、参考人から見て、それに対応するには、発電所を造る規制がしっかり、ある意味前向きになってないと、これ造れないんだと思うんですけれども、その点で米国に学ぶ点、あるいは、米国だったらこういうふうにしているからこういうのは進みやすいんだよということがあれば御教示いただきたいと思います。
○参考人(今村卓君) 実際、アメリカのもう個々の電力、発電所ですとかあるいは製造業の工場といったところですが、実際に投資して設置しようとすると、物すごく実はたくさんの規制がございまして、進出する企業には大きなこの懸念、なかなか投資のスケジュールどおりに進まないですとか、コストが膨らむという点で課題になっております。 実は、ですからこそ今回のこのイニシアティブが重要でございまして、ある意味アメリカ側がその規制をしっかり自国でスムーズにしていく、そして、この円滑な投資のために協力をしていくために、アメリカが現物出資をするなり、あるいは政府の方でしっかりサポートしていくということになっていきますから、スピードアップ、特に、ある意味時間を買うといったところで、こうしたところでまずしっかりこのベースをアメリカにおいてつくっていく。そして、その辺り、そこの過程でどのような規制緩和が行われているのかということをしっかり、実例となりますので、それを見た上で、それを日本でも使えるものなのか、もちろん国の違い、それから地域の違いもありますから、そのまま丸ごと使えるということではございませんけれども、そうしたこの加速度的に投資をするときに必要なものが何かというところの先行例を是非、こうしたことを通じて学んでいけるという点では良いチャンスであると思います。
○竹詰仁君 もう一問、今村参考人ですね。 この日米投資イニシアチブで、米国の言いなりになってしまうのではないかと、そういう懸念というのがあるわけですけれども、先ほどおっしゃった中でも協議委員会というのがありますということで、いや、これ、この枠組みは決して米国の言いなりになるわけじゃないということを御説明いただくのか、あるいは、そうならないためにはどうすべきだということが一番の大事なことなのか。この今の枠組みで問題ないということなのか、あるいは、この枠組みはまだ怪しいから、だからこそ日本としてはこういうコミットとか、あるいは更にこういう制度を設けるべきなんだとか、ちょっとその点でアドバイスがあればいただきたいと思います。
○参考人(今村卓君) 現実には、今回、最終的な投資を決定する委員会には日本は関与できない仕組みになっています。この点で、どうしてもやっぱり不利になっている印象は否めないところはございますけれども、今回対象とするのはビジネス、事業でございまして、こうしたものをやっぱり、その案件自体の収益性がどれだけ確保できるかという、いわゆるそこの精査はその下の段階でどうしても行って、それをこの委員会といいますか、上の、例えば、会社でいえば経営会議というようなものへ上げていく形になっておりますから、その前段階の、今回でいえば協議委員会でありますが、こちらでしっかり絞り込んでいくことが大事かと思います。実際、今回、パイプラインといいますか、リストに挙がっているものを見ていましても、ちょっとこれは難しいんではないかといったもの、いっぱい実はあるのが実態かと思います。 ただ、それをしっかり融資をする、ないしはこの保証をする側から、我々はやっぱり国民に迷惑を掛けるわけにいかないということで、厳しく精査して、できないものはできません、そして、収益を上げないとアメリカも苦労しますよと。事業はやっぱり続けていくことになりますので、一回勝っても駄目なんですね。その事業がその地域に行って結局潰れてしまうと、また先ほど申しましたラストベルトつくっちゃうことになりますから、それはアメリカにとっての大きな重荷にもなってくるわけでありますから、そうではない持続する事業をしっかり日米で頑張って協力してやりましょうというところで、今はそのスキームもできておりますし、今後の運用を通じて、もう少し日本とアメリカの意見の出し方で、ベストミックスといったものを今後修正していくことも考えていいのではないかと思います。
○竹詰仁君 ありがとうございました。 続いて、木村参考人にですね。 産業用地の確保という点で、既に土地を例えば県が持っているとか市が持っているとか、そういったところだったらある程度確保しやすいと思うんですけれども、民間企業が既に保有している、所有しているその土地、それを併せて確保していく必要が、産業用地として確保していく必要があると思うんですけれども、そういった点で、その地域との共生という意味で、知事として、どういったところに何か特別なスキームを用意しているとか、あるいはこういうダイアローグを、対話を重ねているとか、そういった工夫をされている、あるいはしようとしている点について御教示いただければと思います。
○参考人(木村敬君) ありがとうございます。 まさに、その用地、産業用地の確保というのは今非常に大変でございまして、特にやはり企業さんのニーズは、オーダーは早いですから、ですので、このTSMC進出決定以降、例えば熊本県の北部にある玉名市なんかは、いわゆる廃校になった学校を、中は、学校の校舎は潰したんですが、体育館なんかはそのまま生かしながら産業用地として企業の方に御提供して、もう、すぐ決まった事例もあります。 やはり県有地とかも、そういういい土地もそんなにございませんので、今回はやっぱり民間で、一つはまず民間が中心に進めていただけることで、行政が買収行為をしていくよりも迅速に、これは民間のやはりノウハウなのか、多分交渉の上手さとかもあるのかもしれませんけれども、そこにやはり今回の法改正で民民での取引に優遇をしていくというのはとても意義があると思っております。 ただ、そうした上で、先ほどもちょろっとお話ししたところにも重なるんですけれども、やはり県としては、地域の中で乱開発が起きないようにしっかりと地域住民の皆さんの理解を得ていく努力というのが大事だと思いますし、特に、先ほど申し上げたように、農地とかとのバランスというところでいろいろな県民の皆さんの御意見もありますので、あえて、半導体に限らずですけれども、産業用地の整備に当たって、農業分野、農業担当の、農地担当の職員に、今回は半導体なんですけど、半導体拠点調整会議というのを設けさせて、農業の側から見てどういう課題があるか、また農地転用とかの乱開発にならないようにするかというところをしっかりと、実は県庁内に専門チームをつくって、それが市町村と連携しながら許認可を出していくという形にして、そういう形でやはり県と市町村が一体となって、地元の皆さんの声を的確に捉え、かつ企業のニーズに応じていくという、非常にバランスを取って歩んでいるところです。
○竹詰仁君 ちょっと今の後半の話とつながることだと思うんですけれども、先ほど渋滞の話を知事していただいたんですけれども、渋滞を解消するために道路を良くするとか、そういう、そのことは分かるんですけど、そもそも渋滞が起きないように、例えば産業用地を自由につくらせてしまうとあるところに固まるから、固まるからこそ渋滞が発生したりするわけじゃないですか。よく、例えばバンコクとかジャカルタとかあるいはマニラとか、物すごい渋滞なわけですけれども、ここはやっぱり先に車社会になっちゃったという感じで、その前に人がどこに移動するかということを考えていれば、そこまで渋滞が起きなかったのにということが私はあると思うんですね。 ですので、その産業用地を選ぶときに、今ある渋滞を解消するから道路を整備するということだけじゃなくて、その前にやるべき、その渋滞が起きないような用地を選んでおくということも大事かなと思うんですけれども、そういった点でより工夫が必要じゃないかと思うんですが、ちょっと知事の見解をいただきたいと思います。
○参考人(木村敬君) ありがとうございます。 まさに先生のおっしゃるとおりでございます。そうした中で、ただ一方で、企業がやはりある程度集積をすることによるメリットといいますか、今回、そのサイエンスパークのイノベーション創発なんというのは、やっぱり立地した企業さんが、それぞれのいろんな人、物、知恵を出し合って新しいイノベーションを起こしていこうということなので、やはりそこは新しいある種の町づくり的な発想で、面的に、まあここぐらいまではやりましょうという形で広げています。ですので、そういう意味では、ある意味でそのインフラ整備も含めたところで、見越した整備だと思っています。 あと、なるべく外に広げられるものは広げていくということで、分散した立地を進めているところでもございます。並行して行っています。
○竹詰仁君 以上です。ありがとうございました。
○石川博崇君 公明党の石川博崇でございます。 今日は、三名の参考人の皆様、本当に貴重な御意見を、見解を開陳いただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。 まず、深尾参考人に御質問させていただきたいと思います。 深尾参考人の御説明の中で、日本は第三のキャッチアップ期に入る可能性があるという御指摘がございました。これ、以前から深尾参考人、御指摘されていることだというふうに承知をしております。幕末そして敗戦後の高度経済成長、高度成長期に続く時期に入っていかなければならないと私も思っております。 その上で、以前、二〇二一年の雑誌のインタビューの中で、深尾参考人、この第三のキャッチアップの時期においては第三次産業の役割が大きくなるということを御指摘されているのを読ませていただきました。今日、御説明でちょっと飛ばされ、時間の関係で飛ばされたんだと思うんですけど、九ページ目、十ページ目に第一次産業、第二次産業、第三次産業というのを示された上で、地方の時代ということを書かれていらっしゃいますが、この点ともしかしたら関係するのかもしれませんが、この点についてもう少し詳しく教えていただけると大変有り難いなと思います。
○参考人(深尾京司君) この九ページ、十ページの図では、一九三五年からって、戦前から示しているんですけど、産業の相対的な生産性というのはかなり変わって、御承知のように変わってきました。今は、特に第三次産業の中にも非常に高付加価値、昔は、例えば商業とか飲食店とかなかなか労働生産性が低いところが多かったわけですが、現在は、例えば情報通信のように産業を支える、昔もそういう産業を支える運輸のようなところあったわけですけど、その重要性が高まっていて、ただ、現在はそれはかなり東京に集まっているところがあります。そういうものを地方にもある程度興していくということは大事だと思いますし、あと、AI、ロボットというのも、物だけではなくて、御承知のようにそのサービス、企業がAI、ロボットを導入できるようにいろんな形でサービスを提供する、通信を担うというようなことが大事になっていますので、そういう面で第三次産業の重要性というのは高まりつつあるし、地方にとっても大事な要因だというふうに考えています。
○石川博崇君 ありがとうございます。 もう一問、深尾参考人にお聞きしたいと思います。 深尾参考人は、独立法人経済産業研究所、RIETIの理事長も務めていらっしゃいます。このRIETIは、エビデンスに基づくEBPMの政策提言を行っていくということを使命とされているというふうに認識しておりますが、その観点で、今回の大胆な投資促進税制をどう評価されているのかということについて、以前、御案内のとおり二〇一四年には同様の生産性向上設備投資促進税制が措置されて、当時は税額控除五%と、今回の七%に比べると低いわけですけれども、それでも、二〇一三年度に設備投資の額が八十一兆円であったものが、三年後の二〇一六年度には八十七兆円になるという一定の投資促進効果があったというふうに思います。 それよりも更に今回深掘りをして大胆な投資促進税制を措置するわけですけれども、このことによって得られる効果であるとか、あるいは期待であるとか、さらに留意点なんかもあれば、もし御知見を教えていただければと思います。
○参考人(深尾京司君) 先ほどもお話ししたように、企業の例えば政府統計等を使ってモニターしていく、足りない情報については、例えば支援、対処した企業から情報を提供させてモニターしていくといったことは是非必要だというふうに思います。 先ほどもお話ししたように、ボトルネックは、AIとかロボットとかいった新技術の導入については必ずしも今の政府統計だけでは分からないところもありますので、こういうものをどう捉えていくかというのは、例えば統計制度の改革も含めて、非常に大きな、社会が変わるときですので、雇用がどう失われるかということも含めて、より精緻に見ていく、統計制度自体を変えて見ていく必要があるというふうに思います。
○石川博崇君 大変ありがとうございます。 続いて、今村参考人に御質問させていただきたいと思います。 今日の今村参考人の御説明で、この日米の戦略的投資イニシアチブの重要性、また、日本こそが優位性があり、そして日本こそがこの対米投資というのを牽引していかなければいけないと。また、個別各社で手が届かないところに対して日米が手を差し伸べていく、また今回のNEXIの貿易保険法の改正で届くようにしていくということの重要性が非常によく分かりました。 その上で、今村参考人に教えていただきたいんですが、これまで第一弾、第二弾とプロジェクトが六事業公表されていますけれども、第二弾が公表されたときに、今村参考人が恐らくインタビューか何かに答えられていたと思いますけれども、第二弾のプロジェクトまではいずれも長期的に期待できる案件で、採算性も十分に見極められた案件だと。他方で、まだ選ばれていない、先ほども、リストの中で難しい案件もあるという話もちらっとおっしゃっていましたけれども、今後その第三弾、第四弾に行くほど案件選定が難しくなっていくというのは恐らく自明なのだろうなというふうに思います。 今後のプロジェクトの中で収益性確保が難しいというのは、例えばどういう案件があって、あるいは、そういう分野においても参画しやすい環境整備を日本として、あるいは日米でどう後押しをして、その更なる今後の第三弾、第四弾を開いていくべきか。これは結構課題も多いんではないかと、大きいんではないかというふうに思いますが、この辺についての今村参考人の御意見を聞かせていただけますでしょうか。
○参考人(今村卓君) この第一、第二弾見ておりますと、やはりある意味、AIですとか、あるいは先ほど申しましたアメリカで物すごく必要となっている電力、それから半導体関連、あるいは経済安全保障で、例えば一つの案件で人工ダイヤということですよね、そうした、実は中国が圧倒的な割合を占めていて、しかし、やっぱりアメリカ、日本といった同志国で組み合わせてこうしたものが必要になってくるだろうという特性がうまく組み合わさったものが、どうしてもこれ最初に出てくるケースかと思います。 実際にこうしたものが、金融機関、特にJBIC、それから金融機関から見てもこれならできるという話になってきて先行していくわけでありますけれども、同じAIや電力関連でありましても、やはりそのロケーション、場所ですね、それから、そうした実際のそのある州、やるとおっしゃっている州にそれだけの需要がありますかという辺りで、だんだんこうした、我々はちょっとこれは後回しにしたいという案件が残っていくのが恐らく現実だと思います。 もちろん、今あるリストから全てこれを順次やっていくというわけではなく、今後新しく出てくるものはいっぱいあるかと思いますけれども、やっぱりその点で、事業そのものがまず割高になっていないかどうか、やっぱり厳密に見ていく必要があります。それは、たとえ有望な分野であっても割高になってしまう案件はどうしてもありますので、そうしたものは残念ですけれどももう少し組み直してきてくださいと、そして、適正な価格、コストであれば我々はもう一回認めますという形で、こうしたある意味壁打ちといいますか、こうした実際のこの修正を求めていくようなことによって、今は無理でも恐らくその先は実は可能なものに変わっていくものも出てくるということで、順次埋まっていくということになってきますし、最終的にちょっとこれはどう見ても無理ですといったものは、これは諦めていただくしかないということかと思います。 安易に日本の資金が使えるからというふうな案件が出てきているケースも、今回はかなりそうしたものは振り落とされていると思いますけれども、やはりこれだけの規模がありますので、どうしてもそうしたものが少なくとも申請はされてくる可能性はありますから、そうしたものをしっかり踏まえて、あくまでもしっかりした良いものを積み上げていく、そして結果としてこうした目標額が達成できればそれでよしということかと思います。
○石川博崇君 まさにふるいに掛けていくということがこれから一層重要になってくるんだろうなという気がいたします。 もう一点、今村参考人にお聞きしたいのが、今も人工ダイヤモンドのお話少しなさいましたが、この人工ダイヤモンド、中国が生産の大部分を占めているということで、経済安全保障上、極めて今回日米で取り組むというのは大きな意義が私もあるというふうに思います。 一方で、大量生産している中国、また価格戦略という意味では圧倒的に優位に立っているこの中国に対して、日米で同様にこのコストパフォーマンス発揮できるかというと、なかなか正直難しいんだろうなというふうに思いますし、今村参考人もそのことをネットの記事か何かで述べておられるのを読ませていただきました。 一方で、日米で取り組むその部分の優位性というものをいかに市場に認知させていくのかということも重要なんだというふうに思います。経済安全保障という大目的、この付加価値を市場がどう理解をし、協力を得ていくのかということとか、あるいは高くてもサプライチェーンの安定性とかが期待できるということで選んでいただけるのかとか、難しいんだけれども、どう日米で取り組むこの人工ダイヤモンドを定着させていくのかということについて、課題も多いんだと思うんですが、どうやって取り組んでいけばいいかについて御知見があれば教えていただけますでしょうか。
○参考人(今村卓君) やはり企業にとってみれば、その採算、そうした収益が大事でありますが、どうしてもこの最低価格、あるいはその価格の安いものを優先的に捉えていこうという思考がある意味習性としてはあると思います。 ところが、現実には、この今回の中国の経済的に威圧を行った対象があったりですとか、あるいは今回のイラン情勢等を見ましても、やっぱり一地域に固まっておくということは非常に、やっぱり中東への依存が高過ぎた問題であったりということもありますから、そうしたリスクを加味して、どこから調達するか、そうした面で一種の評価のポートフォリオをしっかりつくることが大事だと。価格だけではないですよということでありまして、安定的な調達のためには、多少価格が高くてもやはりここを確保していくことが、長い目で見れば、いろんな目詰まりを起こさないですとか、実は安定的な操業につながっていくということで、多分そうしたものから総合点を出していくという形で構成を組み合わせていくということになりますし、幸い、この重要鉱物にしろ、あるいはこうしたダイヤモンドにしろ、決してこの製品に占めるコストということで見れば極めて高いわけではないところがありますから、価格が多少二倍であっても、それは吸収できるというケースが結構多いと思います。そうした観点で、しっかり組合せをつくっていくことが大事かと思います。
○石川博崇君 ありがとうございます。 それでは、最後に木村参考人に御質問をさせていただければと思います。 今日は、遠いところお越しいただいて、本当にありがとうございます。 熊本は、本当にこのTSMCを始め、これからの可能性を大きく秘めていることについて語っていただき、本当すばらしいなということを感じました。 その中で、中小企業あるいはスタートアップ、こういった方々も大変活躍されていらっしゃるんだというふうに思いますが、こうした中小企業対策あるいは誘致も含めて、県として取り組んでいらっしゃることがあれば教えていただけますでしょうか。
○参考人(木村敬君) なかなか、やはり世界的な大企業であるTSMCの日本法人JASMに、もうティア1、ティア2みたいな、直接やはりその中小企業が参入するというのはなかなか現実的には難しいところがあるんですけれども、様々な分野、一時、TSMCとのパートナー企業に更に入っていく、その中に入っていくなどという形でも今技術の商談会みたいなのをいろいろやっておりますし、あと、実際ちょっとTSMCの調達の関係でも、国内調達、彼ら七割か何かを目指していますので、それを含めて、それをしっかり県内調達するようにいろいろな仕掛けをやっています。 ただ、その中で、今後に向けたやはり大きなテーマとして、間に実は熊本大学をかますことで、熊本の、まあ中小企業というほどの中小では、そこそこなんだけど、やっぱり経済規模で中小企業なんですけれども、熊本の地場の企業さんがその加工技術を生かして、大学と連携してTSMCにつながるような半導体の三次元積層に関するプロジェクトに県内の中小企業が入って、これ今、これ内閣府の地方大学交付金を使いながらそれをやって、既に十件程度のプロジェクトの中で三つぐらい実は特許を取れそうなものも出てきたりしています。そうした形で、なかなか、中小企業の技術力を引き出して、そういう大企業につなげていけるような、そういう努力もしているところでございます。 また、スタートアップについては、これも半導体を使ったスタートアップをこれからはもっと広げていきたいと思っていますけれども、まずはちょっと半導体とは切り離したところで、でも、スタートアップ政策、熊本県、そしてまた熊本市と一緒になって、スタートアップのクロスポイントという、学生、ベンチャーが集える場をつくったり、スタートアップのイベントをやったりとかして盛り上げるようにしていますし、あと、資金調達ができるようなルートもいろいろ検討したりしています。
○石川博崇君 ありがとうございます。 最後に、木村参考人にお聞きしたいのは、先ほど資料の中で、求人倍率の状況について示していただきました。全国的にも人手不足というのは本当に深刻なわけですけれども、熊本でもやはり、いわゆるエッセンシャルサービスと言われるところでもこのように苦労されているということかと思います。 今回の法案でエッセンシャルサービスの担い手確保についての施策が盛り込まれておりまして、その中で、各地方自治体が協議会を設けて、このエッセンシャルサービスの担い手確保を支援する機関なんかを巻き込んで担い手確保していこうというような仕組みがつくられることになりますが、熊本県で、まだ法案成立前ですけれども、こうした協議会でどのような機関、支援機関を巻き込んでいこうと考えて、どのようにこのエッセンシャルサービスの人手確保をこの法案をてこに進めていこうというふうに考えているか、もしあれば教えていただけますでしょうか。
○参考人(木村敬君) ありがとうございます。 まさに今、既に各分野分野、業界業界で県と又は市町村も巻き込みながら連携して、例えばバスの運転手などは、今もう非常にドライバーさん確保困難になっていますので、そうしたのを県がかなり旗振り役になって業界と一緒に協議会をつくったりしていますので、そういうのが今回の法案を基に、やはりその国の制度的なバックアップを基に、また場合によっては予算的な何かもあるのかもしれませんけれども、進められることはもう大いに歓迎しています。 今、それぞれがやはり業界業界で進めていますので、それをやはりもっとこういう協議会で進めていくことは有り難いと思っておりますし、また、今、別途、熊本県というか全国的に、私学の無償化に絡んで公立高校の魅力化というのを今文部科学省が旗を振っていますけれども、そこでしっかりとこのエッセンシャルワーカーに着目して、農業や工業などをかなり実は県はてこ入れしようと思っていますので、そういうところともつながっていくといいなと思っております。
○石川博崇君 以上で終わります。ありがとうございました。
○松野明美君 日本維新の会の松野明美です。どうぞよろしくお願いいたします。 本日は、三名の参考人の皆様、大変貴重なお話をありがとうございました。もしかしたら木村参考人だけになるかもしれませんが、何とぞよろしくお願いいたします。 木村参考人とは、私、御本人が総務部長、そして副知事時代に、県議会議員として熊本のために一緒に汗を流させていただきました。まさか知事になられるなんてという、ちょっとびっくりしたところでございますが、やはり熊本が大好きということで、本当に今かじ取り役として、趣味の温泉旅行もなかなか行けないんじゃないかと心配しているところでございますが。 今日は、本当は私ではなかったんです、質問が。上野ほたる議員だったんですが、同僚の上野議員だったんですが、急遽、木村参考人がいらっしゃるということで、私がちょっと質問の機会を奪ってしまって、そういうことで、よろしくお願いいたします。 この熊本県、本当に、前総理にも地方創生について伺ったことがありますが、いや、松野さん、熊本県は一番元気があるところではないですかというふうに回答をいただいたことがあります。そういう中で、やっぱり熊本県は、TSMCというものがありまして、もう本当に元気に活躍していると思いますが、やっぱりなかなか地方が、地方対東京となりまして、東京ということで、地方が自分たちの地元の魅力を発信することがなかなか難しいという中で、木村参考人はまだ知事として二年間ということなんですが、何がこの基本となるのか、何がここのポイントとなるのか、この活性化ということで、どのようにお感じになるか、お尋ねをいたします。
○参考人(木村敬君) 松野先生におかれましては、本当に私も役人時代からもずっと御縁いただきましてありがとうございます。今日質問に立っていただきましてありがとうございます。 今、私も元々総務省の役人で、全国の都道府県に出向したり、自治体の支援をしてまいりましたけれども、やはり地方創生というのをライフワークにして生きてきたわけなんですけれども、今回のTSMCの熊本に来たのも、もちろん一つは国策として、経済安全保障の一環で、日本の国内に半導体の製造拠点がやっぱり復活すべきだという大きな政府の思いはあったのは事実なんですけれども、一方でやはり熊本は、実は六十年前に、来年で実は熊本県に初めてやってきた半導体企業が創業して六十年になるんですけれども、六十年間ずっと実は熊本の基幹産業だったんですね。 ですので、やはりその地域のそれぞれの強み、まあ勝ち筋といいますか、熊本の場合は、やはりその半導体企業、昔の昭和六十年代、日本が半導体の世界、DRAMでトップ握っていた頃の関連企業があって、それがその後、ソニーさんが後から来てセンサー作りでまた作ってということで、やはりその地域にある企業群、それはもう地元の企業の群があって、そこに乗っかったということですので、やっぱり日本の各地域地域がそれぞれに生きてきたあかしがあるわけなんで、そこのある種の伝統にもしっかりのっとってやはり産業政策とか地域の魅力づくり、地方創生はやっていくべきだと考えていますので、そういう意味で、今回のTSMC、半導体は、やっぱりこれまで六十年間の熊本の産業政策と合致したというところがあるので、各地域地域もそういう自分の持つ、何というか、強みをしっかり見出してほしいと思っております。
○松野明美君 ありがとうございます。 やはり、私も時々地元に戻りますが、さっき言ったように、どうしても地方というのは地方対東京になってしまいますが、やっぱりなかなか、やっぱりTSMCというものがあって、熊本県というのはアジアに目を向けたなというふうに感じます。やっぱり熊本対アジアというような形でどんどんと視野を広げていただきたいと思っております。 そんな中で、TSMCもそうなんですけど、くまもとサイエンスパークという、実現に向けて動いていらっしゃると思うんですが、実は余りこれ言いたくないんですが、先日は、八代市の市庁舎の建設によります収賄で八代市議会議員の方が逮捕されたということで、やっぱり大きなお金が動くときというのは、やはりトップとしてかなり管理、そして目を向けていかなければならないと思うんですが、その辺り厳しくこれからやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(木村敬君) まさにその点はそのとおりでございまして、民間が中心、例えばこのサイエンスパークについても、今の整備に当たっては、民間事業者が中心となって行っているとはいえ、県と一緒になってやるべきところについて、しっかりと公明、公平性、そして透明性を確保して行っていくべきものと思っております。 まず、県が発注する工事につきましては、当然ですけれども、しっかりとした基準に基づいてやっておりますので、昨今、あの世間をにぎわした県内の自治体のようなことはもう県では絶対起こさないつもりでおりますし、また、これ以外にも幾つかの大きなプロジェクトまだ進みますので、一つ一つ県としてしっかりと監視の目を光らせてやっていきたいと思っております。
○松野明美君 そこはどうぞよろしくお願いいたします。 先ほどちょっと気になったことがありまして、木村参考人の口から、企業というのは、中小企業、特に零細企業とか小さい企業がやっぱりいっぱいありますね、特に熊本県もあるんですが、やはり勝ち組の企業をどんどんと伸ばしていく、それは私は賛成なんですよね、やっぱり残すべき企業は残していくということで。ただ、やっぱり負け組って、いわゆる勝ちの反対は負けなんですけれども、そういう厳しい企業というのもしっかりと手を掛けていただきたいというふうに私自身思うんですよ。その辺り、いかが感じられますでしょうか。
○参考人(木村敬君) 勝ち筋の企業について申し上げたのは、たまたま、先ほどソニーとかパワー半導体を例に申し上げたのが、これはなかなか政府の経済政策として、日本はなかなかこれまでは弱いところとか日本にないところを政府がお金出して支援するという方向にばかり向いていて、勝ち組を、今世界で勝てているのを常に勝たせ続けるというところに弱かったんじゃないかという視点での私はお答えをしたつもりでございます。 今先生おっしゃられた中で、松野先生おっしゃられた中で、まさに今回の発表の後半のエッセンシャルワーカー、エッセンシャルな、いわゆる県民又は国民が必要とされるその分野についてはやっぱりしっかりと守り、かつ育てていく。先ほど、いろいろな工夫をして、やっぱり絶対この地域の交通とか医療、福祉の現場を崩壊させることはあってはなりませんので、守るべきものはしっかり、当然、県民生活にとって必要なものは守っていきたいと思っております。
○松野明美君 分かりました。 ただ、そういう活気のある、活気があるから木村参考人もこの場にいらっしゃったと思うんですが、やっぱり活気があっても人口減少が厳しいということで、水上村、木村参考人、御存じですか、水上村に青山学院大学の駅伝部が合宿をして地域活性化をされているということで、そういうスポーツと熊本県という、そういうふうなことでもっと盛り上げていくと、どんどんと合宿とかに来て、そしてまた人口がちょっと盛り上がってくるんではないかなと私自身は思うんですが、その辺り、そのきっかけづくりというのはいかが感じますか。
○参考人(木村敬君) ありがとうございます。松野先生と松村委員と私ぐらいしか知らない言葉がどんどん出て恐縮なんですけれども。 ちょっと補足させながら申し上げますと、熊本県と宮崎県境にある水上村という一番県にとって端にある村が、ちょっと一番高地にあるというところを生かして高地トレーニングということで、陸上のトラックを整備して大学の陸上競技の合宿誘致を努めて、今、青山学院を始め多くの企業が来て、その中で青山学院の、正確に言うと原監督が自ら民宿を買われて、そこを大学生、いわゆるキャンプの拠点にしたりということで、今非常に潤っています。 ただ、その際にも、本当に水上村が自分たちのポテンシャル、一番中山間の厳しい県境の土地で何がうちのほかとは違う優位性なのかというのを一生懸命考えた中で、高地である、高い土地であるということを生かしてスポーツ合宿誘致をしようということだと思っていますので、まさにそういう各地域地域の持ち味を生かしていくことの大きな成功例だと思っています。 そうした中で、今、やはりスポーツというのは大きな可能性を持つ産業にもなると思っております。熊本県、今度、県立体育館をアリーナにしようという今動きをしておりますし、野球場も移転、再建しようとしているのも、やはりスポーツが、これまでする側だけだったのが、見る側、支える側ということで大きな産業になり得るというところだと思っています。 地域地域にそれぞれ、同じことを各市町村なり都道府県がやってもいけません、それでは逆に有利になりませんので、熊本県の中においても、今、松野委員おっしゃられましたようなスポーツ産業というのも非常に大きな分野ということで頑張っていきたいと思っております。
○松野明美君 陸上の駅伝の選手がユニホームに水上村という何か付けて走られたということで、非常に水上村のSNSのアクセス数ががあっと伸びたというような、そういうことも、もうそれがきっかけなんですね。そういうことで行っていただければと思っています。 最後になると思いますが、私たち日本維新の会は、副首都構想というのを挙げて、掲げております。そういう中で、やはり熊本県、熊本地震から十年がたちました。やっぱり、いろんな教訓を生かしながら、副首都というのは、いろいろあると思いますが、その中にも、この防災、特にその教訓を生かしてやっていくということで、東京が大規模災害になったときに何も止めることなくやっていける、その予備のエンジンということで思っておりますが、この熊本県、副首都に手を挙げられるかどうか、お尋ねをいたします。挙げていらっしゃいますかね。いかがでしょうか。
○参考人(木村敬君) 副首都構想につきましては、大変興味を持っておりますし、以前、記者会見等で聞かれたときには、可能性はあるとは言っております。 ただ、熊本県にとって今一番大事なパートナーである福岡県さんもそこにしっかり手を挙げていますので、九州の中で足を引っ張り合うことがないように、それはしっかりと福岡県と連携していきたいと思っております。 ただ、実際、災害が起きたときには、松野委員、災害との関係も申し述べていただきましたけれども、やはり南海トラフ地震で災害が起きたときには、宮崎や大分のような東九州に入り込むのは、九州の中でも熊本が拠点になって進出していくことだと思っています。そのためにも、広域防災拠点として熊本はその役割、副首都にかかわらず、しっかりと果たしていくべきだと思っておりまして、今、ある種の九州を代表する広域防災拠点としての機能を今後とも強化していくつもりでございます。
○松野明美君 ありがとうございます。 やっぱり、副首都というのは一つではなくてもいいと思うんですね。その中で、やっぱり人の命を守る、国民の命を守るというのはやっぱり最大の大切なところであると思いますので、福岡県さんとは、仲がいいとかですね、タッグを組んでいかれると思いますが、いろいろと話し合っていただきまして、福岡がいいのか、どこどこがいいのか、熊本がいいのかというのは、きちんとやっていただければと思います。是非手を挙げていただいて、選ばれていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。 以上になります。ありがとうございました。
○櫻井祥子君 参政党の櫻井祥子です。 本日は、参考人の皆様、本当にお話ありがとうございました。大変参考になりました。 それでは、まず深尾参考人からお話伺いたいと思うんですけれど、この資料に、ちょっと参考にしまして、最初、TFPについてのお話があったと思います。全要素生産性ですね、このTFPをどう計算しているのかということを、ちょっとまず定義を確認したいんですけれど、実質のGDPの成長みたいなものがあって、そこから資本の寄与と労働の寄与というのを除いたものというのがTFPという認識で間違っていないですか。
○参考人(深尾京司君) 残差として算出しています。 ただ、企業のミクロデータとかで検証すると、そのTFPが高い理由というのはいろいろ分かってきて、そういうことから幻ではないというふうに経済学者は考えています。
○櫻井祥子君 ありがとうございます。 そのTFPについてもうちょっと詳しく伺いたいんですけれど、ここでは新技術の導入だったり資源配分効果によるということが書いてあるんですけれど、これ日本も一九九〇年代とかちょっとだけマイナスということになっていたりして、あと、三ページの方でも諸外国のグラフが載っていましたが、そちらでもイギリスやフランスがマイナスになっているという部分があるんですけど、これはマイナスとなっているのはどう捉えればいいんでしょうか。
○参考人(深尾京司君) 例えば世界金融危機が二〇〇〇年代の末にあって、そこで特にヨーロッパの銀行というのはかなり傷んだというふうに言われています。で、日本の不良債権問題と同じようなことがそれ以後、二〇一〇年代に起きて、そのことがTFPの上昇の停滞の一つの原因になったと。 それから、将来のためのいろんな無形資産投資ですね。無形資産投資の中には、研究開発のように、もう既に投資の中に、資本蓄積の中に含めているデータ、投資もありますけど、そうじゃない、例えば働いている人を訓練するとか、そういうデータ、資本蓄積には入っていない将来のための投資がヨーロッパでは例えば停滞したということが言われて、日本でも、例えば九〇年代にはそういうことが起きたんだと思います。
○櫻井祥子君 なるほど。 それでは、例えばですけれど、投資が実るまでの期間とかというのがあると思うんですね。その間とかには、やっぱりTFPがマイナスになるというのはあり得るというお話ですか。
○参考人(深尾京司君) 新規に設備投資をした後で、しばらくの間、例えば工場が順調に稼働するようになるまでの間、生産性が落ちるというようなことは、ミクロのデータではありますが、マクロ的に見れば余りその効果はないというふうに思います。
○櫻井祥子君 ありがとうございます。 じゃ、少しお話変えまして、引き続き深尾参考人にお話伺いたいんですけれど、四ページのところで、公的固定資産の対GDP比というものが載っていたと思うんですけれど、私は結構この停滞が日本の成長の阻害の一因ではないかなと思っている面があるんですけれど、他国と比較してこの日本の公的固定資産がどうだったかというのは、今もしちょっとお話しできれば是非お願いいたします。
○参考人(深尾京司君) 済みません、公的資本についての他国の増加の動向については調べてないです。例えば中国なんかは、御承知のように、新幹線造ったり、物すごく公的投資していますが、ただ、先進主要国の動向については今押さえていませんが、後日調べて御報告することはできると思います。 日本で減っているのは、かなりやっぱりゆゆしい事態だというふうには思います。
○櫻井祥子君 ありがとうございます。 是非、結構、他国比較を見たいなと、このグラフを見て思いまして、というのも、結構アメリカとかではやっぱりそのインフラ投資というものに対してすごく重要視されているのが大統領が変わっても余り変わらないのかなという部分で思っていたりしまして、特に民間の企業が景気が悪くて余り投資ができないという状態のときにこそ政府がそのインフラ投資で支える面というのがかなり重要じゃないかなと思っていますので、是非、もしよかったら後ででも参考資料をいただけたら大変うれしいです。 もう一点、続けてお伺いしたいんですけれど、次の五ページのところで、女性や高齢者の労働参加が拡大したことによって労働供給制約が緩和され、企業に省力化投資を急がせる圧力が弱かったということをお書きになっているんですけれど、これが、今政府がこれからも進めようとされている外国人労働者の受入れについてもかなり同じことが言えるのではないかなという懸念を持っておりまして、やっぱりそれによって賃金の停滞につながるだとか、投資を、企業に投資を後押しするのとは逆の方向性に行ってしまうのではないかとか、そういったことを、少し御意見ありましたら是非お伺いしたいです。
○参考人(深尾京司君) 政府の見通しは、御承知のように、毎年〇・二%外国人労働が入ってくるということだと思いますので、ここ十年ぐらいで起きた女性、高齢者の労働供給の増加に比べれば規模としてはずっと小さいというふうに思います。 人口が非常に減少している状況ですので、実際には〇・二%より少し急速に最近のところ入っていますけど、それでも焼け石に水というのが現状で、それで供給制約が少しはましになっても、これで省力化投資を急がせる圧力が弱まるかというと、そんなことはないんではないかというふうに思います。
○櫻井祥子君 ありがとうございます。 それでは、一度、今村参考人の方にお話を伺いたいと思います。 この日米の投資イニシアチブのそもそものきっかけである関税の発動について少しお伺いしたいんですけれど、そもそも本来の関税発動の目的であったところは、やっぱりアメリカの中での自国産業保護であったりとか、あと、その貿易収支の改善ということだったと思うんですけれど、今、現状、それで発動した関税が違憲判決が出たりとかというのが続いているかと思うんですが、そこについてちょっと詳しくお話しいただけたらなと思います。
○参考人(今村卓君) トランプ大統領が就任してから、四月でしたか、二五年の四月に、解放の日と称して相互関税等も含めた高関税政策がもう一気に導入されたわけであります。それを受けて今回のこの一連のイニシアティブにもなってきているところがありますけれども、現実に一年たってみて、かなり成果ははかばかしくなかったといったことが言えるかと思います。 御指摘のとおり、そもそも法的にもやはり違憲であったということが一つ出ておりまして、相互関税はその意味で失効というか、もう違憲になりまして、むしろ現在、その還付が始まっている状況です。これも、どれだけスムーズに還付するかを今競うという何とも不思議な状態になっております。 そしてさらに、残りの関税に関しても、例えば、トランプ大統領は、これは外国が払うのだ、あるいは外国企業が払ってアメリカ国民の負担なんて余りないということをおっしゃっていたわけですが、その後の実証分析を見ておりますと、やはり九割近くはアメリカ企業、アメリカ国民が負担しておりまして、それが今、足下、実際のアメリカのインフレにも少し影響しているところでございます。 そして、アメリカは、この十一月、中間選挙を控えておりますから、かなりこの関税が重荷になってきておりまして、先日の米中首脳会談でも、実際は中国に対する関税を引き下げるような話になってきたりということで、多分トランプ氏としても、今この関税に関して余り触れたくないというところに変わってきているところかと思います。 そして、もう一つの大きな狙いということで、今、製造業の復権があった、ないしは貿易収支の改善といったこともあったんですが、貿易赤字も余り変わっておりません。中国からのものはぐっと減りましたけれども、ほかのアジアから、ある意味迂回等を通じ、によって増えてきて、あるいはここ最近では台湾からの半導体の急速な輸入の増加によってやっぱり大きくなっている部分もありまして、余り変わっていないですし、加えて、製造業は復権の兆しすら見えないというところでございます。雇用もむしろなかなか伸びない状況でございまして、やはりアメリカ国内における製造業の復権はこういうことをやってみてもなかなか難しいのが現実にはちょっと表れてきているというところでありますので、ちょっとこれから先、関税政策をどこまで強く出してくるか、かなり疑問視していいところになってきているかと思います。
○櫻井祥子君 ありがとうございます。 今、第一弾のもので違憲判決が出て、その後、一律一〇%のものについても違法判決が出たという認識なんですけれど、その後、三百一条でしたっけ、自国に何か危機があるからとか、そういったことを原因、要因で関税を掛けられるみたいなお話にもし移行するのではないかということが言われていたと思うんですけど、じゃ、もう結構その懸念は薄いというか、それによって日本がどういう影響を受けるかというのがもしあればお伺いしたいです。
○参考人(今村卓君) 違憲判決が出ました相互関税は、非常にトランプ政権にとってみれば使い勝手の良い政策だったんですね。かなりトランプ政権、トランプ氏がこの国に対しては高関税を掛けたいと思えば掛けられる政策でありました。これはもう違憲判決が出まして使えなくなりまして、代わりに、おっしゃいましたこの一〇%の関税もあるんですが、こちらも現在、最高裁ではなく下級審の段階で、これはやっぱり間違っているという判決が出ているところです。これはただ、恐らく百五十日間しか使えない政策でありますので、最高裁の審議まで行かないで多分失効して終わることになると思います。 残りは三百一条でございまして、現実に、これ例えば自動車の関税等を上げるような話もあるんですけれども、やはりインフレ圧力につながるですとか、その地域の、ある意味決してこのアメリカに得にならないということが一年掛けて出てきてしまっておりますので、一部の競争上確かに、しっかり掛けようという国に対して、あるいは貿易赤字が非常に膨らんでいる国に対して掛けるような動きはあるかと思いますが、かなり限定的な動きになってきますし、また、三百一条は、掛けられる方の国ないしは企業もしっかりこれ反論のチャンスが与えられているものでありますから、それほどトランプ氏がかなり思いのままに使える政策ではないというところでございますね。
○櫻井祥子君 ありがとうございます。よく分かりました。 それでは、続いて木村参考人の方にお話を伺いたいと思います。 まず、大学のことについて聞きたいんですけれど、私もかねがね本当に地方にそういった専門性のある大学ができることってすごくいいことではないかと思っておりまして、元々、ちょっと今大学って、とにかく一般的に大学に行くんだというこの進学だけが目的になっていて、余り将来の職業と結び付いていない学生さんがかなり多いと思うんですね。でも、それよりはやっぱり、大学か、もう少し前の高校生ぐらいから、自分の将来の職業と関連する教育を受けられるということが今後の日本にとってかなり重要なのではないかなと思っていましたので、こうした半導体の学部ができるというのは非常にいいことだなと思うんですけれど。 その中で、やっぱり新しい学部をつくるというのはかなり大変なことかなとも思いまして、カリキュラムの作り方であったりとか、あるいはその専門的な知見のある先生方をどう集めるのかとか、是非、今どういった取組をされているのか、教えてください。
○参考人(木村敬君) 櫻井委員、ありがとうございます。 まさに新学部、今、十五ページに資料を掲げていますけれども、来年からの開学といいますか、来年スタートに向けて今準備を進めております。 ただ、今回、ちょっと理事長に、元々東大でかなり半導体のプロジェクトをやってきた先生になっていただいて、もうともかく、オールジャパンじゃないですけど、その先生の人脈を生かして今いろんなところから集めています。また、県内のその他の大学、熊本大学とかとも連携して、例えば県立大学の半導体学部に全ての、何というか、実験用の機材とかを用意するのではなくて、ほかの大学の既存の施設も生かすという形での連携も試みています。 あとまた、それ以外に、先ほどおっしゃっていただいたように、やっぱり高校生からの様々な機会も大事ですので、この十五ページにも掲げていますけれども、県立高校にも半導体情報科というのを理科系の水俣高校というところにつくってみたり、私立の開新高校というところにも半導体情報コースつくったりとか、いわゆる官民、公私を超えて、そしてまた、高校生の頃から又は中学生からでもそういう将来のキャリア教育というのを推進していく中でしっかりと、熊本に、また地方にこういう学びの場をしっかりつくっていきたいと思っております。 以上です。
○櫻井祥子君 済みません。最後、少し時間がないのですが、手短にお伺いします。 半導体工場で、やはり地下水の保全というのがかなり大きな国民の関心事だったかなと思うんですけれど、今回もデータセンターの水の供給の話がこの産競法にも含まれておりまして、どういった議論があったかですとか、是非教えていただけたらと思います。
○参考人(木村敬君) もう手短にお答えしますが、やはり熊本は実は百万都市で、水道が全部地下水で賄われているという希有な土地ですので、やはり水に対する関心がすごい高いということで、TSMCの第一工場の誘致に当たって、これなかなか県外の人にはちょっと分かりづらい言葉なんですけど、実は水を使った分だけつくってくださいというのをルール化しました。 冬場の田んぼに水を張ると、そこから水がずっと浸透していって実際水がつくれたりとか、上流にあります阿蘇の、阿蘇山にあります草原を維持していくことで、そこでまた水がつくれるとかをちゃんと定量化して、実は使った地下水の量の一〇〇%をいわゆる涵養してくださいという、県のこれは規則の方でルール改正をして、これをTSMC始め各企業に守ってもらうことで県民の理解を得ています。
○櫻井祥子君 ありがとうございました。大変参考になりました。 これで質問を終わります。ありがとうございました。
○百田尚樹君 日本保守党の百田尚樹です。 今日は、三人の参考人の皆さん、貴重な意見ありがとうございました。 私は本職は小説家でありまして、その習性から、本を読んでも映画見ても、この作者の言いたかったことは一言で言うと何やろうと、そういう考える癖がありまして、人の話を聞いても、この人の言いたいことは一言で言うと何かなと、そういう考える癖があります。 その意味でいいますと、今日の参考人の皆さんのおっしゃったことは、あくまで私個人の感覚から申し上げますと、深尾さんは、日本の企業が伸びていないのは資本蓄積がもう一つやと、これが大事だということですね。資本蓄積といいますと、もうけを使い切らずに更に次の利益のために使うというようなことやと思いますが。今村さんは、アメリカの投資は非常にもうかると、だからどんどんやろうということやないかと思います。木村さんは、熊本はTSMCなどで非常に発展していると。皆さん言いたかったことはこういうことやと思うんですが、ちょっと私の強引な解釈かもしれませんが、それでちょっと皆さんに御質問させていただきます。 深尾さんにまず質問です。 先ほどの表の中に、日本の企業が、日本の産業が発展していかない、この三十年間で駄目になった理由の一つとして、労働の質の寄与が下がっているというようなことがありましたけど、これはっきり言いますと、労働の質の低下と考えてもいいと思うんですが、これは深尾さんに質問したいんですが、近年、外国人労働者の大量流入がやっぱり労働者の質の低下につながっている可能性はありますか。
○参考人(深尾京司君) 先ほどお答えしたように、外国人の流入って労働全体から見るとそれほど大きくないんで、そんなに影響はないというふうに思います。 あと、国勢調査で外国人労働のある程度は学歴について分かるわけですが、全員を把握、国勢調査で把握できているかどうかという問題はありますが、そこで見ると、結構外国人の教育の水準って高いんですね。 例えば、一橋の大学院なんかでも中国の人等いっぱい来て卒業して就職していきますが、そういう意味でも、外国人が日本の労働の質の低下の大きな要因になっているということはないです。
○百田尚樹君 外国人といいましても、非常に教育水準の高い人もいればそうでない人もいると思うんですが、その辺のそのバランスは、ちょっと統計的なものは私持っていないんで分からないんですが。 日本の外国人労働者は、これももう一概には言えませんけど、どうしても低収入の、人が集まらないところに安い外国人労働者を入れようという傾向が多いと思いますが、これは事実ですか。
○参考人(深尾京司君) 先ほどもお話ししたように、今、国勢調査で見る限りはそういうことは確実には言えないと思います。 現在、例えば賃金構造基本調査とかほかの労働統計でも、外国人の人の情報について、旗を立てるというか、分かるようにして分析を始める経済学者が出ていますが、まだはっきりした結果は出ていないと思います。外国人労働全体が労働の質を下げているというエビデンスは今まだないというふうに思います。一部賃金が低いとかいった、同じ例えば職種とか産業でも賃金が低いといった結果は最近出始めていると思います。
○百田尚樹君 じゃ、そうしますと、この労働の質の低下ということは、例えば働き方改革、つまり労働時間規制が、これが日本の全体の生産力を下げているという考え方はありますか。
○参考人(深尾京司君) 先ほど、最初に申し上げたとおり、労働の質低下の主要な原因、これ要因分解ができるわけですが、主要な原因は、非正規雇用が拡大したことで熟練が蓄積されなかったということが最大の原因だというふうに思います。
○百田尚樹君 なるほど。 そうすると、やっぱりこの派遣の労働者が相当増えたということが、これ一番大きな原因と考えますか。
○参考人(深尾京司君) 派遣というよりは、パートとか、時間を決めて働く、それは厚労省の調査等でも、家庭の問題もあって、例えば親の介護とか子供を育てるとかいったこともあって、必要があってもちろんその非正規雇用を選ばれている労働者がかなり多いわけですが、だけど、そういう人たちが、今は雇い止めもあって、熟練が蓄積されないということで労働の質が落ちているんだということが大きいんだと思います。
○百田尚樹君 分かりました。ありがとうございます。 じゃ、それでは次に今村さんに質問させていただきます。 今回、トランプ大統領の約束した対米投資に関してなんですが、どうでしょう、日本が提供した資金の元利返済相当分を確保するまで日米がそれぞれ五〇、五〇で分配と、ところが、その後、残りについては米国が九〇%、日本が一〇%という配分と。非常にこれ配分比率としてはもうこれ投資に見合わないんじゃないかという感じがするんですが、これはちょっと採算が見込まれると私には思えませんが、これは今後、アメリカとのこの今回のトランプさんの八十兆円約束したという、これは再交渉するべきではないかと思うんですが、これいかがでしょう。
○参考人(今村卓君) この九対一、元利の返済が終わった後でございますけれども、九対一になっているという、実際の日本側のその受け取る投資法人なんですが、こちらは恐らくJBICの出資の方でございます。この規模は実は融資に比べれば極めて小さいというふうに言われておりまして、投資法人自体の規模が非常に限られる一方で、アメリカはこの資金ではなく現物ですね、土地ですとか、そうしたものを出資する形になるんですけれども、こちらを金額に換算した場合に日米の一体この出資比率といったものがどうなるかは、実際プロジェクトを見てみないと分からないところがございます。もしかすると、アメリカのこの投資等の出資が実は金額に換算すると非常に大きくなっていて、それに見合った形での九対一になっている可能性もありますし、一方で、やっぱりそうはいっても、やっぱりこの九対一というのはかなりアメリカに配慮したものになっているかというと、これ実際に今後進めてみないと分からないところがございますので、これから先、実際に進んでいく中で、やっぱりこれはおかしいということがあれば、それを議論をして、それを修正していくですとか、実際にこのスキームが動いて、このプロジェクトが動いていきますと、いかにアメリカにこれはメリットが出ているかということになってくれば、恐らくトランプ政権は多分柔軟に動いてくると思います。更にやっぱり投資はしてほしいということになっていきますので、当初決めた、この枠組みを決めたときとお互いにやっぱり考えていることが違ってくるというところもあります。その意味でやっぱり議論を続けていくことが大事だと思います。
○百田尚樹君 いろんな数字の見方はありますけど、普通、単純に九対一というのはもうどういうふうに繕ってもバランスが悪いと私は感じますけれども、次の質問行かせていただきます。 投資したら、そのリターンがある、もうかる、だから対米投資はどんどんやれというような、そんなふうに私は受け取ったんですけれども、ただ、確かに利益、金だけを考えたらそれもいいかもしれません。しかし、日本全体を考えると、金はもうかっても、その分をもし、本来、日本企業に投資していたら、日本の産業、日本の企業がすごく発展するんじゃないかと。逆に、日本のライバルであるアメリカの企業に投資したら、逆にこれは日本の企業にとってはマイナスになるんじゃないかという考え方を私なんかはしてしまうんですが、この辺、いかがでしょう。
○参考人(今村卓君) 個々の企業が、やっぱりどの配分がいいかということは恐らくしっかり判断していると思います。日本でもちろん投資することが良ければという、これ実際、日本企業でも近年は特に日本向けの投資を増やしたりしておりますし、あるいは日本での事業とアメリカでの事業ですが、海外の事業をどういう組合せにするかということは、日本で例えばどういう人材がしっかり確保できるかとか、例えばアメリカですと製造業の人材って意外と確保できなかったりという課題もあったりしますので、それに合わせた形での、各企業が、ベストミックスといいますか、その企業にとっての良い組合せをつくっていると思います。 実際には、恐らく今、日本企業が例えば日本に投資をしようとしてなかなか今課題として直面しているのは、ほとんどの業種がやっぱり今人手不足でございます。その面で投資しようにもできない。一方で、アメリカにしっかり投資するチャンスがあるのであれば、これをしっかりしていこうという組合せでアメリカへの投資をお勧めしているということでございます。
○百田尚樹君 企業の論理としては、やっぱりもうかるところには投資するということがあると思います。今、これもアメリカの話やから、なるほど、うんうんと聞いているんですが、仮にこれが中国に対して投資したらめちゃくちゃリターンが大きいよと、そうなってきたら、どんどん中国に投資しようということになったら、これはさすがに多くの人は、ちょっと待てよ、これはおかしいんじゃないかと考えると思うんですね。 つまり、例えば、確かに利益を考えたら海外に投資するのは大いにあると思うんですが、やっぱり日本の国益を考えての、常にこれを見据えることが僕は必要やと思います。済みません、ちょっと私の意見でしたけど。 じゃ、次に木村さんに質問させていただきます。 地方に産業を興すことは、地方を発展させるためにも、あるいは人口流出を防ぐためにも非常に大事なことだと思います。その意味では、TSMC熊本工場の存在は大きいものと思いますが、あえて質問をさせていただきます。 TSMC熊本工場には一兆二千億円超の補助金が支出されると聞いていますが、さらにインフラ整備などにもこれはもう相当なお金が掛かります。先ほど言いましたように、交通網、それから高速道路ですか、そういうもう渋滞の。そう考えると、それでもメリットは相当大きいと考えられますか。
○参考人(木村敬君) やはり、TSMCのこの最初の第一工場については、今、日本が、当時コロナになって日本に輸入してくる半導体が入ってこなくなったことによって、日本が世界に誇る、俗に言うと日本での勝ち組であったトヨタのレクサスとかソニーのセンサーが作れなくなったということで、半導体の製造工程を国内に持ってこようという中で、残念ながら、日本の企業で、それ本来だったらNECとかそういうところができていたんですけれども、昭和の頃はですね、今そういうのができないので、一番同盟国で近い考え、価値観を持つTSMCが来たということで、メリットがあったと思っています。 そしてまた、先ほど百田先生からのお話ありましたけど、一番私が言いたいのは、やっぱり熊本から日本の未来産業をつくっていきたい、この半導体の最先端を使ってですね。やっぱり日本が世界にまた打って出る産業をつくっていくべきというのが、で、そうやって考えれば、この一兆円の意味はあると思っています。そこまで行けばですね。
○百田尚樹君 私は余り詳しくないんですけど、聞くところによりますと、熊本のTSMCですか、の半導体は必ずしも最先端のものではないと聞いていますが、つまりごく一般的なものと聞いているんですが、これいかがでしょう。
○参考人(木村敬君) これは正しいと思います。第一工場については、まさに先ほど申し上げたトヨタのレクサスの車載器ですとか、CMOSセンサーに入るいわゆる二十何ナノといういわゆるレガシー半導体、いわゆる通常の汎用品。ところが、それを国内で作る基盤がないというのがこの失われた三十年間の中での日本の失敗だったので、それを取り戻すということで、TSMCでありますけれども、ここにはトヨタ、デンソー、ソニーが出資していますので、その日本法人のJASMと思っております。
○百田尚樹君 TSMCの進出で、経営陣や高度人材も含めて外国人が増えていくと考えられますが、現実に、実際に外国人は大量に入っているんでしょうか、そのTSMC関係に関して。その弊害とかありますか。
○参考人(木村敬君) TSMCの関係では、第一工場の立ち上げの過程で約三百人程度の先端技術者が台湾から入ってきました。台湾の方々はさらに御家族を帯同してきますので、掛ける二から三倍ぐらいの台湾人の方が増えました。ただ、その方々は徐々に、一旦少なくなって、また、第二工場の建設でまた増えていくと思っています。 ただ、その台湾の方々は、はっきり言えば、TSMC社が全部をしっかり押さえていますので、むしろ今熊本での、今国にも提案しているのは、やはり外国人材が熊本に、日本に入ってきたときに、しっかりと地方自治体が後をフォローできないのが今の実はこの国の制度、法務省とかが情報を持っていて、地方自治体はその外国人がどこで働いているかという情報を実は持っていないんですね。それをしっかり持てるようにして、ある意味でしっかり管理して、しっかりと母国にお返しする制度をつくってほしいと熊本県は思っております。
○百田尚樹君 といいますと、今の話聞いていますと、TSMCで働く従業員の皆さんの、台湾の方は、日本に永住するんじゃなくて、ある一定の時間になったら本国に戻られると、そういう認識でよろしいでしょうか。
○参考人(木村敬君) もう出張、いわゆる長期の海外出張という形で来ているというふうに認識しています。
○百田尚樹君 ありがとうございました。私の質問は以上です。
○委員長(浜口誠君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。 参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後零時三十八分散会