国土交通委員会 第12号
- 発言数
- 150 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2026/06/03
会議録
○冨樫委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、国土交通省大臣官房技術審議官小林賢太郎君外二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○冨樫委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ―――――――――――――
○冨樫委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高橋祐介君。
○高橋委員 おはようございます。自由民主党の高橋祐介でございます。 私、今現在二期目でありますが、一期目が二十一日間ということで、戦後最短の衆議院議員を全うさせていただきまして、前回は質問に立たせていただく機会もありませんでしたので、今回が初質問となります。 初質問に当たって、国会に送り出していただきました地元の皆様、そして、この会、このような質問の場を与えていただきました先輩議員を始め、全ての皆様に感謝の念を持って質問に立たせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 今回の建築物省エネ法の一部を改正する法律案でありますが、こちらは、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、国内のCO2排出量の約四割を占める建築物分野の取組が重要であります。 私の地元北海道でも、ゼロカーボン北海道と宣言し、様々な施策が進められているところであります。 北海道では、寒冷地であるため、気密性の高い住宅を推進してまいりましたが、結果的に住宅・建築物の省エネ化が進みました。例えば、住宅の窓は、本州で一般的なアルミサッシよりも、断熱性の高い樹脂のサッシが普及しております。そして、皆様も御存じかもしれませんが、北海道の住宅は、窓が二重、三重、そして玄関フードも二重、三重になっているような住宅も大変多くあります。 北海道庁では北方型住宅ゼロという考え方を打ち出し、現在全国で適合が義務づけられている省エネ基準や、今後政府が二〇三〇年までに引上げを予定していますZEH水準よりも更に高い省エネ性能の住宅の供給が既に進んでいるところであります。 今申し上げたのは北海道の例でありますが、北海道のみならず、全国で確実に住宅・建築物の省エネ化が推進していくことは大変重要であると考えております。 さて、今回、改正法案を審議する前に当たりまして、前回改正である令和四年の建築物省エネ法改正の影響についてまずは触れさせていただきます。 令和四年の改正内容につきまして、全ての住宅・建築物における省エネ基準の適合義務化について、昨年四月に施行されております。現在は、戸建て住宅を含めて、工事に着工する前の段階で住宅・建築物の省エネ性能を計算し、民間機関などによるチェックが必要であるとなっております。 このため、着工前にチェックする期間が長くなりまして、国交省の資料によりますと、改正前は三日から七日、約一週間、それが施行後は、昨年九月時点では約三十九日間、私の地元の関係者に確認しますと、場合によっては三か月から四か月延びているというようなケースも聞いております。 そこで、この審査の長期化が北海道のみならず全国で現在どのような状況で、それに対して政府はどのような対策を取っていて、現状どういうふうになっているのか、また、それとともに、この課題に対する今後の政府の方針そして支援策などがありましたら、併せてお伺いいたします。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 令和七年四月、昨年四月の改正建築物省エネ法、建築基準法の施行によりまして、原則全ての新築、増改築されます建築物に対して省エネ基準への適合を義務化したところであります。また、併せて、二階建ての木造戸建て住宅などに係る建築確認における審査省略制度の見直しなども行われたところであります。 この改正によりまして、例えば二階建ての木造戸建て住宅についても、エネルギー消費性能基準への適合性判定が必要となるとともに、建築確認において構造などの審査事項が増えることから、法改正前と比較して建築確認手続が長期化することはある程度予想されており、建築主事が行う場合の法定処理期間を七日間から三十五日間に見直すとともに、施行まで約三年間の準備期間を設けて、様々な対策を講じてまいりました。 施行前には、申請者、審査者双方に対して、説明会、講習会の開催、テキストなどの作成、オンライン講座の開設や、申請図書の作成支援を行う建築士向けのサポートセンターの設置などを行ったところであります。 また、施行後におきましては、都道府県に対しまして、建築士サポートセンターへの案内や業務が逼迫していない審査機関への案内など、申請先の平準化を図るように要請をしてきたところであります。 さらには、不慣れな申請者に向けた算定マニュアルの作成やオンライン動画の配信、手続のデジタル完結を可能とするための電子申請受付システムの供用開始などをしたところであります。 先月上旬に申請者、審査者双方に対して実施をいたしました実態調査によりまして審査期間の改善は確認できているところでありますけれども、依然として一部の機関においては長期化しているという実態も確認できたところでございます。 引き続き、状況を注視するとともに、建築確認手続の円滑化に向けて必要な措置を講じてまいりたいと考えてございます。
○高橋委員 ありがとうございます。前回法案の改正についてですが、現場の事業者にとっては大変高い関心事項でありますので、是非、引き続きの政府の対応、そして情報発信、どうぞよろしくお願いいたします。 次に、先導的な省エネ技術を評価する大臣認定についてであります。 今回の改正法案では、二〇三〇年そして二〇五〇年の二段階でZEH、ZEB水準の高い評価を確保という目標に向けて、建築分野の省エネ化を更に前に進めるための新しい制度が盛り込まれております。 今回の先導的な省エネ技術を評価する大臣認定制度、こちらの制度の概要に加えて、この認定を受けることで事業者はどのようなメリットがあるのか、また、特に寒冷地において想定される先導的な技術はどのようなものがあるのか、具体例がもしあれば併せてお伺いいたします。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 現在、例えば自然換気システムなど先導的な省エネ技術が開発、実装されてきております。また、寒冷地においては、冬に降った雪や氷結した氷をエネルギーとして活用する雪氷熱利用設備という技術もございます。 一方で、このような先導的な省エネ技術につきましては、現行の省エネ基準の算定ルールでは、その省エネ性能の評価が困難であります。 このため、先導的な省エネ技術につきまして、専門機関による評価を受けた上で、省エネ性能がZEHやZEB水準と同等であることを建築物単位で個別に国土交通大臣が認定する仕組みを創設することとしたものであります。 大臣による認定を受けてZEH、ZEB水準を満たすこととなった建築物につきましては、所管行政庁による認定を受けることで、ZEH、ZEB水準を満たすために通常の建築物の容積率を超えることとなる部分につきまして、延べ面積の十分の一を上限として不算入とできるといったメリットがございます。
○高橋委員 ありがとうございます。しっかりと、そのような事業者のメリット部分というのに対しても情報発信を引き続きどうぞよろしくお願いいたします。 次に、リフォームの省エネ化に対する国の支援制度についてであります。 今回創設する制度はいずれも主に新築を対象としたものであると認識をしておりますが、地域の方が既に住んでいる住宅についても、適切なリフォームによって省エネ性能を向上させることは大変重要であると考えております。 例えば、私の地元札幌市では、札幌市住宅エコリフォーム補助制度という支援を行っており、窓の断熱改修、いわゆる窓補助金や全熱交換器の設置などに対して補助金を出して、省エネリフォームの促進に取り組んでおります。 日本全国でおよそ五千六百万戸もの住宅ストックが存在するとのことですが、政府において、これらの既存住宅の省エネ性能の改善のためにリフォームへの支援策を含めた様々な施策に更に取り組む必要があると考えておりますが、政府の認識や具体的な方針等があればお聞かせください。
○酒井副大臣 おはようございます。高橋委員にお答えをいたします。 二〇五〇年に住宅のストック平均でZEH水準の省エネ性能を確保するという目標の達成のためには、おっしゃいました既存住宅の省エネ化が重要でございまして、補助、税制、融資などあらゆる施策を総動員をして促進を図っているところでございます。 具体的に申し上げますと、令和七年度補正予算等で創設したみらいエコ住宅二〇二六事業によるリフォームへの補助、リフォームの促進税制、そして住宅金融支援機構によるグリーンリフォームローン等によるリフォーム工事に伴う負担への支援や、既存住宅の断熱性の向上が居住者の健康に与える影響などのメリットの周知などを行っております。 引き続き、こうした取組を通じて、既存住宅の省エネの促進化をしてまいりたいと思います。
○高橋委員 ありがとうございます。是非、新築のみならず、リフォーム分野に対しての支援も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。 次に、建築物のライフサイクルカーボン評価制度についてであります。 今回の改正法案では、これまで注力を注いできました使用段階の省エネだけではなく、資材製造そして解体までのライフサイクル全体での省エネ、省資源、脱炭素の取組を評価する仕組みとして、建築物ライフサイクルカーボン評価制度を創設することとされております。 本法案では、ライフサイクルカーボンの評価の普及のために、関係者の責務の明確化、統一の算定ルールの策定や第三者認証・表示制度など様々な措置を規定していますが、特に、一定の規模、用途の建築物について、ライフサイクルカーボンの評価の実施と評価結果の国への届出を義務づける制度と提案をされております。 これは事業者からすると更に手間がかかってしまうことになりますが、それでも、今回、改正して実行するこの届出義務制度の狙い、そして、どういったものを義務の対象とするかについて、御説明をお願いいたします。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 建築物のライフサイクルカーボン評価は、これまでの建築物の省エネ施策では評価をしてこなかった資材製造段階、施工段階や解体段階を含めて、建築物のライフサイクル全体の脱炭素化の取組を評価する仕組みであります。 本法案におきましては、統一的な算定ルールを定めるとともに、五千平方メートル以上の事務所の新築、増改築をしようとするときには、着工の十四日前までに、ライフサイクルカーボン評価の結果を建築主から国土交通大臣に届け出る義務を設けることとしております。 こうした取組を通じて、建築物の長寿命化や低炭素建材の活用など、建築物のライフサイクル全体での温室効果ガス排出量を削減するよう考慮した建築設計の定着を図るとともに、鉄、コンクリート、木材などの資材製造段階の脱炭素化の取組を促してまいります。
○高橋委員 ありがとうございます。 まずは、こちらに関しましては、大手企業が手がけることの多い大規模なオフィスビルから算定の義務化をする方針とのことで、中小事業者が一律に負荷が増えるような改正ではないということが分かりました。しかしながら、私としては、大手のみならず、中小事業者の皆様の御理解と御協力をしっかりと得れるような、引き続きの政府としての対応をどうぞよろしくお願いいたします。 次に、上位住宅トップランナー制度についてであります。 省エネ関連では、もう一つ、上位住宅トップランナー制度というものを創設するとのことですが、この制度の目的と、上位住宅トップランナーとしてどのような企業を対象とするのか、その概要の御説明をお願いいたします。特に、実際の現場を担う地域の工務店の方々がこの制度によってどのような影響を受けるのか、お伺いいたします。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 現行の建築物省エネ法に基づきます住宅トップランナー制度におきましては、供給戸数で市場のおおむね二分の一をカバーする、いわゆる大手の住宅事業者に対して、国が省エネ基準よりも高い目標を設定して、住宅の省エネ性能向上の取組を進めているところであります。 具体的には、ZEH水準の省エネ性能の適合義務化を目指す二〇三〇年度よりも前に、住宅トップランナー事業者についてはZEH水準に相当する省エネ性能の達成を求めており、その結果として、ZEH水準の住宅に求められる省エネ性能の高い建材、具体的には、断熱材や複層ガラス、樹脂サッシ、高効率給湯設備などが一般化をいたしまして、地域の中小工務店におきましてもZEH水準の住宅に取り組みやすくなるなど、トップランナー事業者が市場全体を牽引している効果を上げております。 こうした取組を実施してきた結果として、近年、住宅トップランナー事業者の中のより大手の事業者につきましては、ZEH水準を更に上回る、より高度な省エネ性能の住宅を多数供給している状況でございます。 こうした状況を踏まえまして、住宅供給戸数が特に多い最大手の住宅供給事業者には、更に市場を牽引していただくべく、ZEH水準を更に上回る、より高度な省エネ性能の住宅の供給に関する計画を提出していただき、毎年度その取組状況を報告いただく、そういった仕組みを導入することとしたものであります。 これによりまして、現行の住宅トップランナー制度と同様に、省エネ性能の高い建材、設備の一般化が図られ、地域の工務店などの中小事業者におきましても、省エネ性能の高い住宅を供給しやすくなるものと考えております。
○高橋委員 ありがとうございます。私も、地方において省エネ性能の高い住宅が建てられるような環境を整えていくことが大変重要であると考えております。 最後に、本改正案を通じて、国際的な取組が進む中、国内において脱炭素化や省エネ化を進めていく意義、また、これから広めていくに当たっての意気込みを大臣からお伺いいたします。
○金子国務大臣 おはようございます。高橋委員の初質問に大臣として初答弁をさせていただきます。 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現のためには、我が国の温室効果ガスの総排出量の約四割を占める建築分野における脱炭素化の取組は非常に重要です。 本法案によりまして、建築物の省エネ化を引き続き促進するとともに、建築物の長寿命化や低炭素建材の活用など、建築物のライフサイクル全体での温室効果ガス排出量を削減するよう考慮した建築設計の定着を図り、鉄、コンクリート、木材などの建築資材の製造段階での脱炭素化の取組を促してまいります。
○高橋委員 ありがとうございます。 この法案によって、今後、我が国が先導的に建築分野の脱炭素化と省エネ化を進めていくことによって国際的に引っ張っていく存在になっていくことを期待して、私の初質問を終えさせていただきます。 どうもありがとうございました。
○冨樫委員長 次に、西岡秀子君。
○西岡(秀)委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。 本日は、私たちが日頃いただいております質問時間に、私が別の委員会に所属をいたしておりまして、今日開会が重なっております。委員長、両筆頭、各会派の理事の皆様また委員の先生方にお許しをいただきまして、質問の順番を調整をいただきましたことに感謝を申し上げ、質問に入らせていただきます。 本日は、法案審議ということで、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律案につきまして質問させていただきます。 まず、二〇五〇カーボンニュートラルの実現へ向けまして、我が国のエネルギーの消費量の三割を占める建築分野における取組が喫緊の課題となっております。これまで、本法律改正案に至るまでの間、建築物の省エネに係る法整備が随時行われてまいりました。これまでの成果についてどのように分析をしておられるのかということにつきましてまずお伺いを申し上げて、そして、様々な制度変更に当たってはその制度の周知徹底が大変重要だと思いますけれども、どのようにお取り組みいただいてきたかということについても併せて質問させていただきます。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 住宅・建築物の省エネルギー政策につきましては、オイルショックを契機とした一九七九年の省エネ法制定以来、これまで、省エネ基準の整備、建築主の届出制度や住宅トップランナー制度の創設、建築物省エネ法の制定など、段階的に制度の見直しを実施してまいりました。 おおむね半世紀をかけて、昨年四月に、戸建て住宅を含めた全ての新築住宅・建築物につきまして省エネ基準適合を義務化するに至ったところであります。 これまでの長年の取組によりまして、断熱性能の確保、高効率な暖冷房設備、給湯器設備の採用などが一般化されまして、住宅・建築物の省エネ性能の向上が図られたところでございます。 具体的には、新築住宅の省エネ基準適合率が二〇〇四年度には一五%であったのに対し、昨年度の適合義務化により一〇〇%に達しております。さらには、新築住宅のZEH水準の適合率につきましては、二〇一九年度に一二%であったところ、五年後の二〇二四年度には六〇%に増加をしております。 また、基準適合義務化など制度見直しに向けた環境整備については、これまでも、省エネ性能の高い住宅の供給に対する補助や省エネ計算方法の周知、普及、住宅の断熱施工の講習会などを通じた中小工務店などの技術力向上などの支援に取り組んできたところでございます。 とりわけ制度見直しの周知につきましては、例えば昨年四月の法施行前には、設計者に対する説明会、講習会の開催、テキストなどの作成、オンライン講座の開設や、申請図書の作成支援を行う建築士向けのサポートセンターを全都道府県で設置するなどを行っております。 本法案の施行に当たりましても、サポート体制の確保など、円滑な施行に向けた環境整備を図ってまいります。
○西岡(秀)委員 今、具体的な数字もお示しいただきまして、随時、法改正に伴いまして達成が進んできたというところでございますけれども、これまでは、建築分野においては、使用時のエネルギー使用量に主眼が置かれておりました。本改正においては、資材製造段階から建設、施工、使用、更新、解体の工程まで含めた炭素量の総量削減を進める必要性を踏まえて、この改正案が提出をされたと承知をいたしております。法律の名称も変更されております。 本改正には基本理念が規定をされておりまして、建築物の安全性、快適性、建築物の取得又は賃貸に当たっての国民の負担能力、アフォーダビリティー等が盛り込まれました。今回明記された基本理念が今後の建築物の省エネ政策にどのように反映されていくのかということにつきまして、お尋ねをさせていただきます。
○酒井副大臣 お答えを申し上げます。 住宅や建築物は国民の生活や社会経済活動の基盤でありまして、その設計や施工、維持管理を行うに当たっては、経済的な側面、社会的側面、環境的側面等の多彩な観点を踏まえる必要がございます。 このため、本法案では、建築物の省エネ性能向上や脱炭素化に取り組むに当たっての基本理念として、建築物の必要な性能を確保することや国民の負担能力を考慮することなどを規定をしております。 国土交通省におきましては、建築物の省エネ性能の向上や脱炭素化の促進に当たりまして、省エネ性能の向上を推進する一方で、住宅の本来の機能や快適性が損なわれていないか、そして、脱炭素化を推進する一方で、建築物の耐震性能などのそのほかの性能やコストの妥当性が損なわれていないかなど、多様な観点を踏まえた上で、設計、施工、維持管理が行われるよう、各種制度の運用を行ってまいります。
○西岡(秀)委員 今、副大臣からお話がありました省エネ、また脱炭素については、様々な、耐震化を含めたこれまでのいろいろな分野でのお取組も含めて総合的な取組も必要だというふうに思いますので、しっかり進めていただきたいというふうに思っております。 本改正案には、建築物のライフサイクルカーボンの評価制度、先導的な省エネ技術を評価する大臣認定、また建築物の環境性能の第三者認証・表示制度が盛り込まれております。その中で、建築物のライフサイクルカーボン評価制度についてお尋ねをいたします。 改正案では、まず第一歩として、五千平方メートル以上の大規模な事務所建物に対して、新築する場合などについて建築物ライフサイクルカーボン評価結果の提出を義務づけられております。二千平方メートル以上の非住宅建築物の新築や改築にも、建築士の建築主への説明を課すことが盛り込まれております。 建築物の全ての工程を含めて、これまで見えてこなかった炭素を可視化し、削減をより推進していくことになりますけれども、その義務化によってどのような効果が期待されているのでしょうか。また、その一連の工程には様々なステークホルダーが関与していくこととなりますが、義務化により設計者等に新たな負担、例えば、算定の作業、また事務的な負担などが生じることが想定をされております。新たに生じる負担軽減のために、国の支援体制をどのように考えておられるのか、その方針についてお伺いいたします。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 本法案では、ライフサイクルカーボン評価の実施の促進及び定着を図るため、ライフサイクルカーボン評価結果の届出義務のほか、建築士による説明制度、第三者認証・表示制度などを導入することとしております。 これらによりまして、建築物の長寿命化、既存躯体の活用、低炭素建材やリサイクル・リユース材の活用など、ライフサイクル全体で環境負荷軽減を考慮した建築設計の定着や、建材などの脱炭素投資、技術革新といった効果が期待をされます。 一方で、評価の実施などが設計者などの負担となることも想定されますので、国土交通省といたしましては、実務上、参考となる分かりやすい算定マニュアルを作成、公表するとともに、統一の評価ルールにおいて、標準的な算定方法とは別に簡易な算定方法も策定するといった取組を行ってまいります。 その上で、併せて、設計者や審査者向けの講習会の開催などによる周知や、設計者などがライフサイクルカーボン評価を行う費用の支援などを令和八年度当初予算に盛り込んでおり、これらを通じまして、ライフサイクルカーボン評価の円滑な実施をサポートしてまいります。
○西岡(秀)委員 中小、小規模の設計事務所を含めた設計士の負担を含めて、しっかり国の支援制度を取組をいただきたいと思います。 続きまして、評価制度を運用するに当たっては、建設材料などの炭素排出量の原単位のデータをどのように整備していくかが極めて重要となります。 このデータをどのように整備していく方針であるかということについてお伺いをし、また、その場合、データの公平性、信頼性を担保していくことは極めて重要だと考えております。欧州など、既に先進的な取組を進めている諸外国の事例もありますけれども、今後どのように進めていく方針であるかということについてお伺いをいたします。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 今回創設をいたしますライフサイクルカーボン評価制度におきましては、新たに建材、設備製造時の脱炭素化の取組が評価されることとなりますが、その実効性を高めるには、それぞれの建材や設備において、製造時の温室効果ガス排出量原単位と言われるものを整備していくことが重要となります。 本法案におきましては、排出量原単位の算定方法や表示内容を国が定めた上で、建材や設備の製造事業者がその旨を建材や設備の広告などに表示できることとしており、国が定めた方法などに沿っていないにもかかわらず沿っていると表示をしたり、紛らわしいものを表示したりすることを禁止しております。 また、アメリカやヨーロッパなどにおきましては、建材や設備の製造事業者が作成をした排出量原単位を第三者が検証するという体制が構築されているものと承知をしております。 一方、我が国におきましては、ライフサイクルカーボン評価の普及に向けた取組がまだ緒についたばかりであり、排出量原単位の整備を進めていく必要がある現状におきましては、まずは、第三者検証のないデータについても活用可能とし、社会的コストが過大とならない形で原単位の整備を促進していきたいというふうに思います。 中長期的には、排出量原単位の正確性などを向上させることも重要であると考えております。現在、第三者検証を行います人材の育成のための研修などへの支援も行っているところであり、引き続き、必要な環境整備に取り組んでまいります。
○西岡(秀)委員 今、人材のお話も御答弁の中にありましたけれども、算定体制を整備するに当たっては、また、評価を担い運用する専門人材が必要になるというふうに思います。 その人材育成や体制整備を今後どのように進めていかれる方針であるかということをお伺いをいたします。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 委員の御指摘のとおり、建築物ライフサイクルカーボン評価制度の実施に当たりましては、評価を担う専門人材の育成や体制整備が極めて重要と考えております。 このため、令和八年度当初予算におきまして、ライフサイクルカーボン評価に向けた設計者、施工者などの人材育成、体制整備に関する所要の予算を盛り込んでおります。 こうした予算も活用しながら、関係者への制度周知を行うとともに、ライフサイクルカーボンの算定方法に関するマニュアルの作成、算定の講習会の開催や相談窓口の設置など、設計者、施工者などへのサポート体制の確保に取り組んでまいります。
○西岡(秀)委員 専門人材の育成にしっかり取り組んでいただきたいと同時に、評価指針の中にはインセンティブ的な評価指針も必要ではないかというふうに思っておりますので、様々な角度から評価指針に取り組んでいただきたいということも併せてお願いを申し上げたいと思います。 続きまして、対象となる材料の側面からいいますと、セメントやコンクリート、鉄鋼など様々あるというふうに思いますけれども、木材利用についてお伺いをいたします。 木材の更なる利用促進が令和四年の改正にも盛り込まれたところでございますけれども、脱炭素の面からも、また国産材活用の側面からも、国産材の木材の利用は大変重要な取組であると認識をいたしております。この評価制度においては、木材の活用についてはどのように位置づけられ、また、このことをどのように国産材の利用促進につなげていく方針であるかということについてお伺いをさせていただきます。
○酒井副大臣 お答えを申し上げます。 ライフサイクルカーボン評価は、建築物の資材製造段階から解体の段階に至るまでの温室効果ガス排出量を算定、評価するものでございまして、鉄、コンクリート、木材などの異なる構造種別の間でもその排出量の比較を行うこともできます。 一般的には、木材は、鉄やコンクリートのように資材製造段階で高温に熱する必要がなく、資材製造時の排出量が少ない、そして、鉄やコンクリートに比べて軽量であるために、基礎などの下部構造への負荷が小さく、基礎に用いるコンクリートの資材量を減らすことができる結果として排出量が減るということでございます。一方で、部位によっては石こうボードなどの耐火被覆が必要であり、その場合には排出量が増加するといった特徴がございます。 こうした木材の特徴をうまく設計に取り入れることで排出量の削減が可能となり、本制度の導入によって、こうした設計者、施工者、建築主の取組が定量的に評価できることとなります。 国土交通省といたしましては、建築物のライフサイクルカーボン評価を普及させることで、建築物における木材利用も含めて二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた事業者の積極的な取組を促してまいります。
○西岡(秀)委員 適切な場所で利用していくということはもう当然のことだというふうに思っておりますけれども、やはり、この木材の利用、今、高層建築にも木材が利用されるという活用が大変広がっていると認識をいたしておりますので、この新しい制度の中でも国産材の利用促進がしっかりと進んでいくように、是非お取組をお願い申し上げたいと思います。 続きまして、新築のみならず既存建築物の脱炭素化の推進というのも同時に極めて重要だと認識をいたしております。 再生可能エネルギー利用の促進による建築物の省エネルギー性能の一層の向上や脱炭素を求められるわけでございますけれども、中でもペロブスカイト太陽電池の活用の促進が大変期待をされるところでございます。今後、実用化に向けてどのように取り組んでいかれる方針であるかということを金子大臣に御見解をお伺いをさせていただきます。
○金子国務大臣 お答えいたします。 ペロブスカイト太陽電池は、薄くて軽量であり、運搬や設置が容易であることから、従来型の太陽光発電設備が主に設置されてきた建築物の屋根だけではなく、これまで設置が難しかった壁面や曲面など、既存住宅を含めて建築物の多様な場所に設置することが期待されています。 一方で、建築物に広く普及させるに当たっては、従来型と比較してコストが高いこと、施工方法が十分に確立していないことなどの課題があると認識をしております。このため、政府と民間企業が一体となりまして、様々な技術開発や実用化に向けた取組を行っているところでございます。 また、ペロブスカイト太陽電池は、従来の太陽光パネルに比べて製造時の温室効果ガス排出量が少なくなり、ライフサイクルカーボン評価の観点から有利となる可能性があると承知をしております。 国土交通省といたしましては、本法案によるライフサイクルカーボン評価制度の創設等を通じて、建築物におけるペロブスカイト太陽電池の需要の創出に取り組んでまいります。
○西岡(秀)委員 大臣から御答弁いただきましたけれども、この評価制度の中でペロブスカイト太陽電池の一層の実用化に向けた取組が促進されることにつながるというふうに思いますので、是非、この活用促進、実用化の取組にスピードアップを図って取り組んでいただければというふうに思っております。ありがとうございます。 関連いたしまして、先ほど、基本理念のところにも盛り込まれておりました国民の負担能力、アフォーダビリティーというのが盛り込まれておりましたけれども、近年、都市部を中心として、新築、中古物件の価格ですとか家賃が上昇して、住宅におけるセーフティーネット全般が大変脆弱になっているという現実があると認識をいたしております。 東京都を始めとして、自治体においては、官民連携ファンドによって、子育てや新婚家庭に向けた安価な家賃で住むことができるアフォーダビリティー住宅の供給が進められております。これは、人口流出を防ぐという施策の一面もあるというふうに思っておりますけれども、住宅のセーフティーネット施策、これを充実強化することは極めて重要だと思っております。 その中で、国としても、家賃補助制度の充実や、良質で手軽な住宅を供給する体制の整備を一層後押ししていくための支援策が必要であるというふうに思いますけれども、政府の見解をお伺いをさせていただきます。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 住まいは生活の基盤であり、持家であるかあるいは賃貸住宅であるかを問わず、誰もが安心して暮らせる住まいを確保することは大変重要な課題と認識をしております。 このため、賃貸住宅については、家賃の消費税が非課税とされているほか、低所得者を対象とした公営住宅の供給や、住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット住宅の確保、家賃低廉化への支援などに取り組んでいるところであります。 また、委員御指摘のとおり、地方公共団体においても様々な取組が行われており、関連して、こども家庭庁におきまして、地方公共団体を通じた新婚世帯に対する家賃などへの支援が行われているものと承知をしております。 国土交通省といたしましては、地方公共団体や関係省庁と連携をいたしまして、国民一人一人がそれぞれのニーズに応じた住まいを柔軟に選択できる、そういった環境の整備にしっかりと取り組んでまいります。
○西岡(秀)委員 ちょうど時間となりましたけれども、やはり、家賃補助の拡充、今、賃貸住宅に住んでいる方は大変多くなっておりますので、しっかり後押しの政策充実をお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○冨樫委員長 次に、佐藤英道君。
○佐藤(英)委員 おはようございます。中道改革連合の佐藤英道です。 まず、今、西岡委員も指摘をされておりましたけれども、私の方からも、ペロブスカイト太陽電池の有用性と開発状況について、まず経済産業省にお伺いをさせていただきたいと思います。 進展する省エネの新技術として、ペロブスカイト太陽電池が挙げられます。昨年十一月に、地元北海道の苫小牧市において行われておりますペロブスカイト太陽電池の実証実験の現場を視察をいたしました。耐久性やメンテナンスのしやすさなどについて調査をしている現場を間近で拝見し、その高いポテンシャルを実感をいたしました。 そこで、従来のシリコン製太陽電池と比べて、このペロブスカイト太陽電池にはどのような優位性や建築物への導入メリットがあるのか、お伺いをしたいと思います。 また、あわせて、苫小牧を始め国内各地で様々な実証実験が進められていると承知をしておりますが、現在の技術開発の状況について、また実用化に向けた見通しについてお伺いをいたします。
○小林(大)政府参考人 お答えいたします。 御質問のペロブスカイト太陽電池は、特に日本に強みのあるフィルム型は従来のシリコン型にはない軽量で柔軟という特徴を有しております。このため、工場の屋根や建物の壁面といった従来では設置が困難であった建築物等への導入が可能となるメリットがございまして、地域共生と再エネの導入を両立するものと期待をしております。 量産技術については、経済産業省において、グリーンイノベーション基金を活用した支援を行っております。性能面では、発電効率一五%の量産技術を確立いたしました。発電コストについては、二〇三〇年度にはシリコン太陽電池相当のキロワットアワー当たり十四円、そうした水準の技術確立を目指して開発を進めているところでございます。 実用化のめどについても御質問がございました。 昨年度より、国内企業での事業化が開始したところでございます。経済産業省としては、二〇三〇年までの早期にギガワット級の生産体制を構築をするべく支援をしておりまして、五年で三千億円規模の大規模投資が既に開始しているところでございます。 引き続き、量産技術の確立、生産体制整備、需要の創出について、三位一体で取り組んでまいりたいと考えております。
○佐藤(英)委員 大いに期待しておりますので、政府を挙げて取り組んでいただきたいと思います。 我が国のCO2の排出量のうち、建築分野が占める割合は約四割に達しております。これまで、建築物の使用段階の省エネに着目してきましたが、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現には、資材の製造から施工、解体に至るライフサイクル全体の脱炭素化が不可欠であります。本案でこの画期的な評価制度を導入する意義は極めて大きいと思います。 しかし、従来の省エネ性能の向上であれば、光熱費の削減という明確なメリットが購入者に示され購入者に還元されるために、事業者もそれを強みとしてアピールできました。しかし、今回の評価制度は、資材製造や解体段階のCO2も含むため、建築物の購入者や一次取得者にとってはそのメリットを直接的に感じにくいのではないかというふうに懸念を感じているんです。 国への届出などの新たな対応を求められる建築主や関係事業者の理解をどのように得ていくのか、また、本制度の創設により、事業者や購入者にとって具体的にどのようなメリットが生じるのか、大臣の見解を伺います。
○金子国務大臣 佐藤委員にお答え申し上げます。 ライフサイクルカーボン評価制度は、資材製造段階、施工段階、解体段階を含めたライフサイクル全体の脱炭素化の取組を評価する制度であり、建築主や幅広い関係事業者による取組が重要であります。 このように、幅広い関係者に制度の意義や内容についてしっかりと理解いただくために、本法案の施行まで二年程度の準備期間を確保するとともに、今年度当初予算におきましても、設計者や審査者向けの講習会の開催等による周知のための費用を盛り込んでいるところでございます。 また、ライフサイクルカーボン評価を行うメリットとして、建築主や購入者は金融機関、投資家やテナントなどに対して建築物の環境性能を定量的にアピールできること、設計者や施工者は設計、施工上の脱炭素化の工夫や努力が適切に評価されることが考えられるため、本法案で創設いたします第三者認証・表示制度等の運用に当たっては、このようなメリットの周知にも取り組んでまいります。
○佐藤(英)委員 どうか、事業者や購入者にとっての具体的なメリットをPRをしながら進めていただければと思います。 さて、中小事業者の負担軽減と義務化の対象範囲の妥当性について伺います。 設計時評価に関し、技術や労力の面で地域の中小事業者が十分に対応できるのか懸念されます。努力義務の対象から除外される環境への負担が少ない建築物とは具体的にどのような建築物を想定しているのでしょうか。また、国への計画、評価結果の届出を義務づける対象について、政府の資料では五千平米以上の事務所が予定されております。このように、対象となる建築物の面積や用途をあらかじめ限定した理由とその妥当性について認識を伺います。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 まず、環境への負荷が少ないものというものにつきましては、地域の中小工務店などが担う戸建て住宅などの小規模な住宅や建築物、こういったものを想定をしております。 次に、ライフサイクルカーボン評価の届出制度の創設に当たりまして、その対象とする建築物でございますが、規制による環境負荷の低減による便益と事業者への負担なども勘案いたしまして、かつ、現在の取組状況も踏まえまして、建築主、設計者、施工者にとって抵抗感なく評価を実施できる規模、用途のものから開始をすることが重要と考えております。 具体的には、着工棟数に比べまして温室効果ガス排出量が大きいことに加えまして、これまで行われてきたライフサイクルカーボン評価の実績や環境不動産に係る認証件数は事務所の用途が最も多く、算定を行う事業者にとっても負担が少ないと考えられることなどから、五千平方メートル以上の大規模な事務所を届出義務の対象とすることとしたところであります。
○佐藤(英)委員 本制度は、建築士や建設業者、建材・設備メーカーから登録認証機関まで、極めて多くの多様な関係者が連携して動く仕組みになっています。公布から二年以内である二〇二八年度までの限られた期間の中で、これら現場の関係者に対し、統一ルールの解説資料の提供や説明会の開催、相談への対応など、どのようにスピード感を持って進めていくのでしょうか。 さらに、中長期的にこの評価を適切かつ客観的に担うことができる専門的な実務人材の育成に向けて、国土交通省としては今後どのような具体的な支援や取組を考えているのでしょうか。伺います。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 委員の御指摘のとおり、ライフサイクルカーボン評価制度の実施に当たりましては、多様な関係者に対する制度内容の周知や人材育成を図ることが重要と考えております。 このため、令和八年度予算におきまして、ライフサイクルカーボン評価に向けた設計者、施工者などの人材育成、体制整備に関する所要の予算を盛り込んでいるところでございます。 こうした予算も活用しながら、関係者への制度周知を行うとともに、ライフサイクルカーボン算定の講習会の開催や算定方法に関するマニュアルの作成、相談窓口の設置など、設計者、施工者などへのサポート体制の確保にスピード感を持って対応してまいります。 また、中長期的な人材育成につきましては、これまでも、建築物のライフサイクルカーボン評価制度の検討に当たりましては、日本建築学会などにおける長年の研究の蓄積を踏まえ、産学官連携で、評価方法、評価ツール、設計事例集やマニュアルの整備などを進めるとともに、人材育成にも取り組んでまいりました。 本法案施行後は、国において、制度の運用状況、データ、事例、知見などを広く発信するとともに、大学などの研究教育機関や他省庁とも連携をいたしまして、ライフサイクルカーボンの削減を考慮した設計や施工、こういったことを実施できる人材の育成に取り組んでまいります。 こうした取組を通じまして、制度の円滑な開始を図るとともに、ライフサイクルカーボン評価の普及に向けた中長期の人材育成に努めてまいります。
○佐藤(英)委員 しっかり対応していただければと思います。 次に、耐震性能や国民の負担能力と脱炭素化の促進の関係について伺ってまいりたいと思います。 一般的に、建築物の耐震性を高めるためには資材の使用量を増やす必要があります。一方で、資材の数量が増えるとCO2などの排出量は増加します。このように、脱炭素化の促進と耐震性能の向上は両立し得ない関係にあります。また、一般的に、CO2等の排出量が少ない高性能な資材の使用が増えると購入者の経済的負担も増加するのではないでしょうか。 脱炭素化の促進は重要でありますが、世界有数の地震国である我が国において、建築物の耐震性の確保は絶対的に必要なものであると思います。また、北海道のような雪国では積雪対策も必須であり、国民負担の大幅な増加は経済活動や国民の住宅の確保へ悪影響が懸念されるのではないかと私は不安に思っているんです。 脱炭素化の促進の取組は、建築物の安全性、いわゆる耐震性能や積雪対策等の確保が前提であると理解してよろしいんでしょうか。また、国民負担の増加の可能性についてはどのように考慮されるのか、伺います。
○宿本政府参考人 住宅や建築物は国民の生活や経済社会活動の基盤であり、その設計や施工、維持管理を行うに当たっては、経済的側面、社会的側面、環境的側面などの多様な観点を踏まえる必要があると考えております。 建築物の省エネ性能の向上や脱炭素化の促進に際しても、省エネ性能の向上を推進する一方で、委員御指摘の耐震性も含めて、住宅の本来の機能や快適性が損なわれないか、脱炭素化を推進する一方で、建築物の耐震性能などのその他の性能やコストの妥当性が損なわれていないかなど、多様な観点を踏まえた上で、設計、施工、維持管理が行われる必要があると考えております。 そのため、本法案では、建築物の省エネ性能向上や脱炭素化に取り組むに当たっての基本理念として、国民の負担能力を考慮することや耐震性能などの建築物に必要な性能を確保することなどを規定をしてございます。 こうした基本理念も踏まえて、脱炭素化の促進に伴うコストの妥当性や耐震性との関係については、建築設計において建築物に対する多様な要求の一つの要素として判断されるものと考えております。 個々の設計におきまして、このような考え方を建築士が施主に対して丁寧に説明できるよう促してまいります。
○佐藤(英)委員 それでは、例えば北海道を始めとする寒冷地においては、冬期間における暖房の負荷が大きく、省エネルギーを推進する上で最大の課題は、いかに冬のエネルギー消費を削減するかにあります。 住宅の省エネ基準のうち、外壁や窓の断熱性能を定める外皮基準は、全国の地域区分ごとに想定されております。寒冷地である北海道においては、温暖な地域に比べて高い断熱仕様が求められております。 高性能な断熱材や複層ガラスの導入は、住宅の使用段階におけるエネルギー消費量の低減や住民の光熱費抑制に直結し、将来的な脱炭素化に大きく寄与するものであります。しかし、その一方で、初期の建設コストが他の地域に比べて相対的に高くなるという、寒冷地特有の構造的な課題も抱えております。 ここで懸念されるのは、高断熱住宅の義務化や促進が、結果として、住宅取得費の上昇を招き、とりわけ寒冷地の中低所得層においてマイホームの取得そのものを断念せざるを得ない状況をつくり出しかねないのではないかという不安があります。 今回の法改正の要綱に示された基本理念の中にも、「建築物の取得又は賃借に当たっての国民の負担能力を考慮しつつ、」という文言が明記されております。 政府は、住宅の省エネルギー政策を強化していくことが結果として地域間や所得間における住宅取得の格差を拡大させるリスクについて、どのように認識をされていらっしゃるのでしょうか。また、負担能力に課題を抱える層に対しても、過度な負担を強いることなく省エネ住宅の普及を進めるために具体的な対応を講じていくべきと考えますが、見解を伺います。
○酒井副大臣 先生御指摘のように、省エネの性能向上の取組は、住宅を含む建築物の取得等に当たっての国民の負担能力を考慮しつつ行うべきものであることから、本法案においてもその旨を理念規定として定めております。 そして、政府としては、二〇三〇年に新築住宅についてZEH水準の省エネ性能を確保することも目標としております。 今後、住宅に義務づけられている省エネ基準のZEH水準への引上げについては、市場における住宅の省エネ性能の実態に加えて、関係各主体の今後の取組の進捗や、建材だとか設備機器のコストの低減、一般化の状況等を踏まえて行うことで、住宅取得に際し過度な負担が生じないよう留意をして取り組んでまいりたいと存じております。
○佐藤(英)委員 それでは、こうした高度な省エネ技術や低炭素建材の普及を加速させ、建築コストの低減を実効性あるものとするために、今後、財政や税制、金融の各面において具体的な支援策を講じていくべきと考えますが、見解を伺います。
○酒井副大臣 佐藤委員御指摘のとおりでございまして、住宅市場全体への高度な省エネ技術を普及させるためには、省エネ性能の高い住宅に対する支援が重要であるというふうに認識をしております。 このため、国土交通省といたしましては、省エネ性能の高い住宅について、補助、税制、融資制度を総動員をして支援を進めているところでございます。具体的には、みらいエコ住宅二〇二六事業による補助や、住宅ローン減税による税制優遇、フラット35Sによる金利の引下げなどの支援措置を講じているところでございます。 引き続き、省エネ性能の高い住宅の普及状況等を踏まえて、必要な支援ができるよう努めてまいります。
○佐藤(英)委員 よろしくお願いしたいと思います。 次に、木材の利用促進について伺ってまいります。 私の地元である北海道は、豊かな森林資源に恵まれた我が国最大の林業地帯であります。北海道においては、北海道地域材利用推進方針を定め、道内産の木材を道内で加工、消費する地産地消の取組、すなわち地域材の利用促進を官民一体となって進めております。 輸送過程におけるCO2排出の削減という観点からも、また、疲弊する地方の林業、木材産業を活性化し、地域経済の持続可能な循環を創出するという観点からも、建築物GXにおいて地域材の積極的な利用を位置づけて推進することは不可欠であると考えます。 さて、この度の法改正を機に、建築物GXの旗振りの下で、全国各地の特色を生かした地域材の利用促進に取り組むべきと考えますが、具体的な支援策や、今後の普及に向けた基本方針について見解を伺います。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 木材の利用の促進は、地球温暖化対策、循環型社会の形成、地域経済の活性化などに資するものであり、建築物における地域材を含めた木材利用の促進は重要な課題であると認識をしております。 このため、国土交通省では、これまで、建築基準法における耐震基準や防耐火基準の合理化を進めるとともに、中大規模建築物の木造化の普及に資するプロジェクトや、それを担う設計者などの育成に対して支援を行ってきたところであります。 また、ライフサイクルカーボン評価の視点で申し上げますと、木材は、鉄やコンクリートと比べて資材製造段階の温室効果ガス排出量が少なく、また、地場の木材を用いることで、資材輸送時の温室効果ガス排出量も少なくなることが見込まれる一方で、部位によっては石こうボードなどの耐火被覆が必要となり、その場合には排出量が増加するといった特徴がございます。 本法案で創設をいたしますライフサイクルカーボン評価制度によりまして、こうした木材の特徴が定量的に評価をでき、建築主や設計者などによる最適な建築設計の選択が可能になると考えております。 さらに、建築物における木材の利用に係る環境価値を適切に評価する観点から、温室効果ガス排出量原単位などの整備に対する支援や、ライフサイクルカーボンの削減につながる設計、施工上の工夫などの事例集の作成などにも取り組んでまいります。 国土交通省といたしましては、これらの取組を通じて、今後も、農林水産省を始めとする関係省庁とも連携をして、建築物における地域材を含めた木材利用の拡大に積極的に取り組んでまいります。
○佐藤(英)委員 それでは、木材利用における耐震性や防耐火性能といった性能面の課題をどのように認識し、これを克服するための技術開発や建築基準の合理化、あるいは設計実務者への普及啓発にどのように取り組んでいくのでしょうか。今後の実務的な対応についてもお聞かせください。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 中大規模建築物などにおきまして木材の利用を促進するに当たっては、建築物の安全性が確保されることが前提となりますが、これまでは、木造化などに対する耐震性能や防火性能などの技術的知見の蓄積が十分でない、普及していないなどの課題があったと認識をしております。 このため、国土交通省では、民間事業者などが有する知見なども活用し、耐震性能や防耐火性能に関する実験や検証などを通じて、安全性を確保するための技術的知見の蓄積を行いながら、中大規模建築物の木造化が可能となるよう、建築基準法に基づく建築基準の合理化に取り組んできたところであります。 また、中大規模木造建築物に関する設計、施工上の技術的知見の更なる蓄積や普及を図るため、先導的な設計、施工技術や、新たな工法、材料を活用した木造建築物の普及に資する優良なプロジェクトに対する支援を行うとともに、設計者が中大規模木造建築物の設計に関する知識や技術を習得できるよう、全国規模での講習会を実施することにより、担い手の確保、育成に取り組んでいるところでございます。 今後とも、農林水産省、林野庁とも連携をいたしましてこうした取組を一体的に進めることにより、建築物の安全性を確保しつつ、木材利用のより一層の促進に取り組んでまいります。
○佐藤(英)委員 是非、木材利用の促進について政府を挙げて取り組んでいただければと思います。 次に、中東情勢による建築資材高騰の影響と対応について大臣にお伺いをしてまいりたいと思います。 五月十二日の日本経済新聞の報道によりますと、国内の不動産大手事業者が新築マンションの契約者に対し、物流の混乱などによって引渡しが遅れる可能性、当初予定していた建材の変更を余儀なくされる可能性がある旨を事前に通知し始めたことが明らかになりました。 民間事業者の現場レベルにおいて、中東情勢によるマンション販売や施工への具体的な悪影響が既に顕在化しつつあるのではないでしょうか。中大規模建築物から一般の住宅に至るまで、建築資材や設備の高騰、さらには調達遅延は、事業者の経営を圧迫するだけではなく国民の住宅取得や経済活動そのものを大きく冷え込ませる要因となり得るのではないでしょうか。 このように、中東情勢の緊迫化に起因する建築、建設資材や建築設備の供給遅延、価格高騰の実態について国土交通省として現在どのように認識し、注視しているのか、また、今後の更なる情勢悪化も想定される中、資材の安定的な確保や価格急騰の緩和に向けて、関係省庁とも連携し、どのように対応していく方針か、伺います。
○金子国務大臣 中東情勢に関しては、大変、全国各地で混乱あるいは心配のお声を多く聞くところでございます。昨日も、高市総理を始め経済産業大臣等、関係大臣がそろった中で第九回目の中東情勢に関する関係閣僚会議を開かせていただいて、現状の把握、そして何をすべきかということを協議をしたところでございます。 ナフサ由来の建設、住宅資材につきましては、経済産業省と連携をし、供給の偏りや流通の目詰まりの解消に向けた取組を着実に進めているところでございます。 委員御指摘のマンションにつきましては、報道にあった大手ディベロッパーからは現時点で引渡しの遅延等は生じていないと聞いておりますが、戸建て住宅など小規模な工事を担う中小工務店や一人親方などからは、依然として、建設、住宅資材の安定確保や工事代金、工期への影響などを心配する切実なお声が寄せられております。 これを踏まえまして、住宅分野につきましては、情報提供窓口を設置するとともに、住宅建材・設備需給情報連絡会議を四月から三回開催をしておりまして、住宅関連団体や関係省庁との連携によりまして需給情報等の収集、発信を強化しているところでございます。 加えて、先ほど申し上げましたように、特に声の届きにくい一人親方や工務店を始めとする中小事業者等のお声を丁寧に伺うべく、私から本省、地方整備局等の幹部に直接指示をいたしまして、現場に近い地方整備局等において、全国団体を通じてお話を聞くだけではなく、全建総連等の地方組織等と連携をし、こちらからお声がけするなど、積極的な、お話を聞くために丁寧に情報の収集や提供を行っているところでございます。 また、価格の上昇に対しましては、工務店等が建築主と請負代金の変更協議を円滑に行えるよう、関係団体を通じて、建築主に早期に状況や今後の見通しを説明することや、建設業法に基づく契約変更の協議の仕組みの活用等について周知したところでございます。 引き続き、建設、住宅資材の価格や需給の動向を注視するとともに、地域ごとに工務店や一人親方を始めとした現場の声も丁寧に伺いながら、経済産業省等と連携をしまして、建設、住宅資材の供給の安定化等にしっかりこれからも対応してまいります。
○佐藤(英)委員 ちょっと一問飛ばして、最後に大臣にもう一度伺いたいんですけれども、今後の住宅政策の在り方について伺います。 省エネ化という環境への要請を強める余り、国民の方々が手頃な価格で安心して住める家を失うことがあれば、それはやはり本末転倒であります。本案の基本理念に、国民の負担能力を考慮しつつ、長期にわたり良好な状態で使用することができる建築物の確保が掲げられているのは、まさにこの両者のバランスを決して崩してはならないという警鐘であると思います。 住宅価格や家賃が高騰し、国民の生活防衛が叫ばれる今、政府は、住宅の省エネ化、脱炭素化の推進と国民が手頃な価格で安心して住むことができる居住の安定の確保という、一見すると矛盾しかねない二つの重要課題を今後の住宅政策においてどのように調和させて、両立させていく考えなのでしょうか。負担能力に不安を抱える現役世代や低所得層が決して置き去りにされることなく、誰もが恩恵を受けられる持続可能な住宅政策のグランドデザインについて、大臣の見解を伺います。
○金子国務大臣 住まいは生活の基盤であり、佐藤委員御指摘の住宅の省エネ化、脱炭素化の推進と国民が手頃な価格で安心して住むことができる居住の安定の確保は、いずれも極めて重要な課題と認識をしております。 本年三月に閣議決定いたしました新たな住生活基本計画においては、多世代にわたり活用される住宅ストックの形成を目標の一つとしており、本法案における上位住宅トップランナー制度や、省エネ性能の高い住宅の取得支援によって、質の高い住宅ストックの形成を進めてまいります。 さらに、既存住宅ストックの性能向上も重要であり、省エネリフォームに対する支援によって住宅ストックの省エネ性能の向上を進めてまいります。 また、住生活基本計画では、住宅確保要配慮者が安心して暮らせる居住環境、居住支援体制の整備や、過度な負担なく希望する住生活を実現できる環境整備も目標としております。 このため、公的賃貸住宅と民間賃貸住宅の双方での住宅セーフティーネットの構築を進めるとともに、既存住宅の質の向上や流通の促進を通じた多様で比較的手頃な選択肢の提供、今後増加が見込まれる相続空き家の有効活用などに取り組むこととしております。 国土交通省としては、住生活基本計画に基づく各種施策に取り組むことによりまして、将来世代に継承する良質な住宅ストックの形成を進めるとともに、国民一人一人が希望する住まいを確保できる環境整備に取り組んでまいります。
○佐藤(英)委員 よろしくお願いします。 終わります。
○冨樫委員長 次に、福重隆浩君。
○福重委員 中道改革連合の福重隆浩でございます。 早速ですが、質問に入らせていただきます。 今回の法案は、住宅や建築物の断熱性能向上や省エネ設備の導入を進めることにより、エネルギー消費とCO2排出の削減を図る極めて重要な法律であると理解しております。 一方で、近年は、資材費の高騰、人手不足、物流コストの上昇など、様々な要因によって建築コストが高止まりをしており、住宅購入そのものを断念される方が出ておられます。 さらに、原油の九割以上を中東地域に依存している我が国にとって、現下のイラン情勢等を背景とした原油価格の高止まりにより、石油由来資材の価格上昇や供給不安も懸念されております。現場からは、資材が入らない、見積りが組めないといった切実な声も聞かれており、地場の工務店の中には、事業継続を断念し、廃業を選択する事業者も増えてきております。 そのような中で、ZEH水準を更に進めていく場合、いずれ国民の住宅取得負担が更に増加し、結果として住宅購入の更なる減少につながりかねないことを強く懸念しております。 だからこそ、国として、購入者への十分な支援措置はもとより、体力の弱い中小、地場の工務店への支援、人材育成、技術支援を一体的に進めなければ、安易な義務化は難しいのではないかと考えております。また、ZEBについても、近年、公共施設設備において、入札不調や計画の見直しが増加しており、自治体現場では大変厳しい状況が続いております。導入目標だけを掲げるのではなく、中小事業者などの設計、施工、維持管理までを含めた継続的なフォロー体制をどのように構築していくのか、国のロードマップをお伺いいたします。
○金子国務大臣 お答え申し上げます。 住宅・建築物の省エネ対策につきましては、二〇五〇年に向けたロードマップとして、二〇二五年度の省エネ基準適合義務化、二〇三〇年度の新築住宅・建築物のZEH、ZEB水準の確保、二〇五〇年のストック平均でのZEH、ZEB水準の確保などの目標を掲げまして、段階的に取組を進めているところでございます。 また、今回新たに創設いたしますライフサイクルカーボン評価制度についても、本法案による届出制度の創設等を第一ステップとして、将来的なライフサイクルカーボンの削減策の検討も含めて二〇五〇年に向けたロードマップを新たに策定いただいたところでございます。 これらのロードマップにおいては、委員御指摘の中小工務店を含む設計、施工、維持管理等の様々な関係者への周知、普及や人材育成、技術力の向上などの取組が位置づけられており、今年度予算においても、必要な予算を盛り込んでいるところでございます。 こうした予算も活用しながら、関係者への制度の周知を徹底するとともに、省エネ性能やライフサイクルカーボンの算定の講習会の開催、住宅の断熱施工の研修会の開催、相談窓口の設置など、中小工務店を含む関係事業者のサポート体制の確保に万全を期してまいります。
○福重委員 金子大臣、ありがとうございました。 住宅建築は地元の経済波及効果も高いことから、今回の法改正によって着工件数が更に減少することがないよう、国交省としてしっかり御対応いただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。 それでは、次の質問に入ります。 本法案で創設される上位住宅トップランナー制度は、市場の四分の一を占める大手事業者に、断熱等級六と七や、BEIが〇・六五といった、ZEH水準を上回る極めて高い供給目標を求めることとしています。 しかし、令和五年度時点の新築住宅におけるZEH水準適合率は四六・一%にとどまっており、基準の更なる引上げは高性能建材の需給逼迫を招き、調達コストの上昇が住宅価格に転嫁されることが想像されます。現役世代は、実質賃金の伸び悩みと住宅価格の高騰により、住宅取得が本当に困難な状況にあります。政府は住宅のアフォーダビリティーを基本理念に掲げていますが、規制の高度化によるコスト上昇とアフォーダビリティーの実現は両立できるのでしょうか。大手事業者の先導的な取組が中小事業者へ技術、コストの両面で波及し、市場全体の価格低減につながるまでには相当な時間を要するのではないかと思っております。 そこでお伺いをいたしますが、エンドユーザーが夢を持って高性能住宅を選択できるよう、みらいエコ住宅二〇二六事業等、税制や補助金の支援策を時限的なものにせず、より強力で持続的、継続的なインセンティブが必要と考えますが、政府の御見解をお伺いいたします。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 住宅の省エネ性能の向上や脱炭素化の促進に当たっては、国民の住宅取得能力にも配慮する必要がございます。 したがいまして、本法案では、省エネ性能の向上や脱炭素化の促進の取組は、住宅を含む建築物の取得や賃借に当たっての国民の負担能力を考慮しつつ行うものであることを理念規定として定めております。 また、省エネ性能の向上につきましては、一般論として、省エネ性能の向上により、住宅の取得価格は高くなりますが、居住後の光熱費の削減効果で、当初の費用についてある程度は回収ができるものと考えております。 その上で、国土交通省といたしましては、省エネ性能の高い住宅の初期負担を軽減して取得を支援するため、これまで、みらいエコ住宅二〇二六事業や住宅ローン減税などの支援措置を講じているところであり、引き続き、省エネ性能の高い住宅の普及状況なども踏まえつつ、必要な支援ができるよう努めてまいります。
○福重委員 御答弁ありがとうございました。 本当に人生の中において一番大きな買物は、住宅だと思うんですね。国民の皆さんが夢を諦めないように、本当に国交省がしっかりとバックアップしていく、そして地域への波及効果の高いそういった住宅建築が増えるようにしっかりと頑張っていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。 次の質問に入ります。 断熱等級六や七、BEIが〇・六五といった、ZEH水準とは、資料によると、冬場の室内温度が十五度を下回ることが極めて少なく、家電や照明などを使用する際の一次エネルギー消費量が約三〇から四〇%削減でき、高い省エネ効果が期待できるとされています。まさに快適な住環境です。 一方で、新築をZEH水準に引き上げても、日本の住宅のストックは多くは依然として低断熱のままとなってしまいます。地場の工務店では、新築の商談が減り、中古の住宅をリフォームして住み続ける方が増えていると聞いております。また、住宅設備の営業チームでも、今は、新築は動かないからこそ、営業スタイルは中古住宅や空き家の性能をいかにアップさせるか、その提案営業の方がやりがいがあるし、住宅市場のためにもなると言っておりました。そういう意味では、今回の法改正は中小の事業者にとっても大きな関心事であります。 そこで、お伺いをいたします。 この法改正が中古住宅改修や空き家の再生の分野にどのような影響を与えると考えているのでしょうか。御見解をお伺いいたします。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 本年三月に閣議決定をいたしました住生活基本計画におきましては、過度な負担なく希望する住生活を実現できる環境整備を目標の一つとしてございまして、こうした観点からも、委員御指摘の空き家を含めた既存住宅ストックの省エネ改修など性能向上を図りつつ、有効活用していくことが重要になると考えております。 一般的に申し上げますと、スクラップ・アンド・ビルドで建て替えていくよりも、改修により既存住宅・建築物を活用する方が環境負荷が少ないと考えられます。本法案によりますライフサイクルカーボン評価では、それらを定量的に比較検討できるようになってまいります。 こうしたライフサイクルカーボン評価が広く世の中に普及をし、その考え方が広く一般の方々に定着をすることで、中古住宅の改修や空き家の再生の推進に資することを期待しているところでございます。
○福重委員 関連してお伺いをいたします。 国土交通省のEBPM検証によれば、住宅ローン減税の省エネ上乗せ措置がなくなった場合、子育て世帯等のZEH取得は四割から五割も減少するという衝撃的な試算が出てきています。住宅ローン減税については、支援対象が高い環境性能を有する住宅に重点化される中で、国民の多様な住宅ニーズ、とりわけ中古住宅や空き家の活用、さらに単身世帯を含む幅広い居住形態への対応という観点も重要であると思います。 そこで、お伺いいたします。 現在の制度は、国民の多様な住宅ニーズに十分かなうものとなっているのか、政府の見解をお伺いいたします。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 住宅ローン減税につきましては、令和八年度税制改正におきまして、様々な社会変化やニーズに応じた住まいの確保を支援していくといった観点も踏まえ、豊かな住生活を実現するために、質の高い既存住宅の借入限度額、控除期間の拡充や子育て世帯などへの借入限度額の上乗せに加えて、四十平米以上の住宅を対象とするという床面積要件の緩和などの措置が講じられ、既存住宅ストックの利活用の促進、子育て支援の充実、世帯規模の変化への対応を図ってきたところでございます。 今後も、社会の情勢やニーズの変化に的確に対応するため、様々な声に耳を傾けながら、国民一人一人が過度な経済的負担を感じることなく希望する住まいを確保できるような環境整備に取り組んでまいります。
○福重委員 ありがとうございました。是非よろしくお願い申し上げます。 次の質問に移ります。 制度が複雑になればなるほど、その隙をつく悪質な事業者が現れてまいります。私の記憶では、平成十一年の次世代省エネ基準改正や令和四年の建築物省エネ法改正の前後に、国の法律が変わったので今すぐ断熱改修をしなければ違法になりますよ等の虚偽説明を行う訪問販売業者による被害が全国で相次ぎました。 現在も、国民生活センターへの住宅リフォーム、点検関連の相談件数は一万件を超えると聞いております。警察庁のまとめによると、二〇二五年の悪質リフォーム事件の摘発件数は八十三件、摘発者人数は百七十五人と過去最多であり、被害総額は前年の約四十五億五千万円から三倍以上の百五十一億六千万に上ったとのこと。匿名・流動型犯罪グループ、いわゆるトクリュウが絡む事件も増えているとのことでございます。 そこで、お伺いをいたします。 今回の法改正には、ライフサイクルカーボン、第三者認証、ZEB、ZEH水準といった専門用語が法制度の中に据えられていますが、一般消費者、とりわけ情報取得が困難な高齢者世帯などに任意なのか義務なのかが分かりにくく、CMやラジオ、自治体の窓口、出張講座なども活用して確実に情報を届けることが私は必要であるというふうに考えております。 安心して省エネ化に取り組めるよう、消費者庁等と連携し、住宅リフォーム・紛争処理支援センター等の相談窓口をどう強化していくのでしょうか。注意喚起のチラシ配布だけではなく、被害を未然に防ぐ仕組みとして、悪質事業者を市場から排除する法執行、この両輪の整備を強く求めたいと思いますが、御見解をお伺いいたします。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 今回の改正に際しまして、リフォーム詐欺を未然に防止するために、制度の内容にとどまらず、消費者として気をつけていただくべきことや住宅リフォーム工事に関する相談先の情報などを消費者の方々に対して分かりやすく周知をすることが大変重要であると認識をしております。 これまでも、住宅リフォーム工事に関するトラブルを未然に防止する観点から、消費者庁などと連携をして悪質リフォームに関する注意喚起のチラシの配布や、建築士などの専門家と連携をした電話相談の窓口設置、リフォームに関する見積りチェックサービスなどの取組を進めており、令和六年度は、リフォームに関する電話相談は約一万二千件、見積りチェックサービスは約五百件利用されているところでございます。 引き続き、消費者庁などとも連携をいたしまして悪質リフォームに関する注意喚起を図っていくとともに、こうした情報を消費者に正しく確実に届けるために、オンラインセミナーなどの国レベルの情報提供はもちろんのこと、市区町村の広報誌への掲載など自治体レベルの御協力も含めて、様々な媒体を通じた方策に取り組んでまいります。
○福重委員 ありがとうございました。 今までもやっていただいていたと思うんですね。でも、それでも、やはりこういったリフォーム詐欺だとか、そういったことが減らない、また増えている。こういったことに対して、やはり、これを撲滅するんだという強い意思が国交省、消費者庁には必要だと思うんです。 そういった意味で、しっかりと連携を増やして、例えばラジオCM、よく高齢者の方はラジオを聞いていますので、CMで、何か御不安なときはすぐ消費者センターに電話をしてみてくださいとか、そういったところで的確にそういった相談センターのことを周知するだとか、そういうような具体的なことを徹底してやっていただいて、こういったことが起こらないように頑張っていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。 次の第三者認証・表示制度の質問につきましては飛ばさせていただきまして、問六のトレードオフの考え方について質問をさせていただきます。 資材を多く使って耐震性や防火性を高めれば、一時的にライフサイクルCO2評価が悪化するトレードオフが生じます。しかし、建物の長寿命化も脱炭素です。そのときに、防災対策のためにCO2排出量が増えたが建物の寿命が百年に延びたといった貢献を正当に評価し、国民が安全に移動し、安心して過ごせる建築物の見える化、利用者にもそのメリットが伝わる仕組みはあるのでしょうか。御答弁をお願いいたします。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 建築物の耐震性能や防火性能を高めることで温室効果ガス排出量が多くなる、いわゆるトレードオフが生じるケースがあることは承知をしており、脱炭素化を推進する一方で、耐震性能など、その他の性能が損なわれないようにすることが重要であると考えております。 そのため、本法案では、建築物の省エネ性能向上や脱炭素化に取り組むに当たっての基本理念として、耐震性能や防火性能などの建築物の必要な性能を確保することや建築物の長寿命化に配慮することなどを規定をしてございます。 こうした理念に基づき、具体的には、建築物ライフサイクルカーボン評価の届出制度におきまして、ライフサイクルカーボンの定量的な算定結果に加えて、耐震性能や長寿命化の取組も記載するなど、トレードオフが存在することを踏まえて、総合的な評価が可能となるように取り組んでまいります。 また、消費者の方々に対しましては、脱炭素化の推進と耐震性能などの確保にトレードオフが生じるケースがあることを含め、ライフサイクルカーボン評価の考え方を広く周知をすることが重要だと考えております。 本法案で創設をいたしますライフサイクルカーボンの第三者認証・評価制度に加えて、耐震等級を含む住宅性能表示制度や長期優良住宅認定制度など、住宅・建築物の性能に係る各種制度の活用を通じまして、消費者に情報が分かりやすく伝わり、それぞれが重視する性能に応じて住宅・建築物を選ぶことができるような市場の環境整備に努めてまいります。
○福重委員 ありがとうございました。何とぞよろしくお願い申し上げます。 次の質問に入ります。 二〇二八年度をめどに、建設から解体までのCO2排出量を評価する建築物ライフサイクルアセスメントを実施するとしています。 資料によると、ヨーロッパでは先行して建築物の炭素排出規制が始まっています。日本が算定、評価ルールの確立で遅れれば、日本の建築産業は国際市場から排除されるリスクがあると言われております。実際に建築士として長年業界に関わってきた方のお話を伺ったところ、今回の法改正はまさに我が意を得たり、欧米に遅れること十年、国民の生命を守り、環境保全及び健康の維持促進を目指す内容となっており、その方向性を高く評価できるとのことでございました。 木材の脱炭素性セメントは再生骨材を使用しています。最近は自己修復型コンクリート技術もあります。法改正とルールが単に企業の事務負担増に終わらないよう、日本の優れた省エネ建材や技術を世界標準へと押し上げながら、国内サプライチェーンにもしっかりとつなげるという大臣の力強いメッセージを是非国内の産業界へ発信していただきたいと思いますが、大臣の御決意を伺います。
○金子国務大臣 今回新たに導入いたしますライフサイクルカーボン評価制度は、これまでの建築物の省エネ施策では評価してこなかった資材製造段階、施工段階や解体段階を含め、建築物のライフサイクル全体の脱炭素化の取組を評価する仕組みであります。 この仕組みによりまして、建築物のライフサイクルに関する資材、施工等の各事業者の脱炭素化の取組が可視化され、それが投資家、金融機関、建物利用者によって評価されることで、脱炭素化に取り組む建築物等が選ばれるようになり、その結果として、更に取組を進めるべく、建築生産事業者や建材・設備製造事業者の技術開発及び実装が促進されるといった好循環を生み出すことが期待されます。 建築物ライフサイクルカーボンの評価は、欧州を始め国際的な潮流となっております。本法案によりまして、我が国の建築物の脱炭素技術の投資、イノベーションの加速や国際競争力の強化にもつなげられるよう、しっかり取り組んでまいります。
○福重委員 ありがとうございました。 大臣の強いリーダーシップに期待いたしますので、どうかよろしくお願い申し上げます。 次の、ライフサイクルカーボンの評価の導入の手続負担等の増加の防止についての質問は、時間の関係上、割愛をさせていただきます。 次は、建築士の役割と処遇改善についてお伺いをいたします。 改正案では、建築士に対し、建築主への説明やライフサイクルカーボン評価実施への協力が求められており、建築士の社会的責任と役割は更に大きくなると考えられます。そのため、建築士の社会的評価向上と併せて、有資格者の報酬、待遇改善についても検討すべきではないでしょうか。 現行制度では、資格試験の難易度や業務の高度化に対し、十分な評価や報酬体系が整っているとは言い難い状況にあると思っております。持続的に質の高い建築行政、建築設計を実現するためにも、専門人材に対する適正な評価制度の構築と人材育成が必要であると考えますが、御見解をお伺いいたします。
○上田大臣政務官 建築物のライフサイクルカーボン評価は、建築物の設計から施工、維持管理に至るまでの建築物の生産段階全体を見据えて環境性能を向上させるという視点が必要となるため、建築士を始めとする専門人材の皆様方の役割はより一層重要になると考えております。 他方で、建築士の高齢化が進展しており、建築士事務所に所属する建築士の数は、現在の傾向が維持される場合、三十年後には半減するという推計もあるところです。 国土交通省では、これまで、建築士を確保し、質の高い建築物の生産を実現するため、建築士資格者制度の見直しや建築士の適正な報酬確保、業界団体と連携しつつ、人材育成や専門人材が適切に評価される環境整備に取り組んでまいりました。 また、現在、社会資本整備審議会において、今後十年間の建築物の生産や、これに関連する行政等の取組の方向性を示す建築分野の中長期ビジョンの策定に向けて御議論をいただいております。 このビジョンには、建築士を始めとする専門人材の確保、育成の方針も盛り込むこととされており、こうした議論を通じて、引き続き、産学官が連携し、専門人材が適正に評価され、持続的に人材が確保される環境の整備に取り組んでまいります。 以上でございます。
○福重委員 御答弁ありがとうございました。 今、半減をするというショッキングな御答弁もございましたけれども、しっかりとここは守らなければならないところでございますので、本当に、産官学と連携してしっかりとした人材育成に努めていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。 次に、ちょっと少し角度を変えさせていただきまして、熱中症対策についてお伺いをさせていただきます。 近年、記録的な猛暑が全国各地で続いており、建設、土木の現場においても作業員の安全確保が極めて重要な課題となっております。 そこで、建設現場を始めとする屋外作業における熱中症対策の観点から、作業時間の柔軟化や適切な工期設定など、働き方の在り方についてお伺いをいたします。 昨年、私の地元群馬県の伊勢崎市では、八月に国内最高気温四十一・八度を記録いたしました。夏場、屋外での作業は命の危険を感じるレベルに達しております。報道によると、群馬県庁の県土整備部において、夏場の工事について、作業は早朝と夕方以降とし、昼間は休むなどの対応を検討中とのことでございました。昨日、県土整備部長とも意見交換を電話でさせていただきました。本当に並々ならぬ思いでしっかり取り組んでいきたいというような話でございました。 夜の作業は危険との声もあるかと思いますが、近年の気候変動を考えますと、今後の公共事業においては、柔軟な働き方を取り入れたり、猛暑対策をしっかり進めていくことが重要と考えます。国交省の考え方と支援についてお伺いをいたします。
○上田大臣政務官 近年、夏の暑さは一層厳しさを増しており、建設現場における労働環境の改善は技能労働者の安全確保や担い手確保の観点から極めて重要な課題と認識をしております。 このため、国土交通省では、昨年十二月に、工期の設定や熱中症対策に関する費用等について支援する取組を猛暑対策サポートパッケージとして取りまとめ、地方公共団体や民間発注者にも周知したところです。 このパッケージでは、猛暑期間や猛暑時間帯の作業回避、熱中症対策に必要な経費の確保などを柱とし、このパッケージに基づいて、直轄工事においては、受注者の判断により猛暑期間には工事を実施しない取組、早朝や夜間に工事を行うことなどにより猛暑時間帯での工事を回避する取組、現場における熱中症対策に要する費用への支援の拡充といった取組を進めております。 国土交通省としては、このような取組の好事例を地方公共団体や民間発注者に横展開することで、建設現場における労働環境の改善に努めてまいります。 以上でございます。
○福重委員 ありがとうございました。 時間になりましたのでこれで終わりますけれども、私、地域を回っていると、夏場の建築、そして土木の現場は、本当に大変な思いで仕事をしてくださっておられます。そういった方々、そしてまた、若い方々が、そういった姿を見ても私たちもまた入職したいと思えるように、やはり、そういった業界を支えていく、それが私は国交省の大事な使命だというふうに思っておりますので、大臣先頭に、しっかりとした猛暑対策を本当に、これは自治体、そして民間を巻き込んでやっていただきたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○冨樫委員長 次に、住吉寛紀君。
○住吉委員 住吉です。 まずは、台風六号が接近する中で、滞りなく委員会が開催されました。職員の方始め関係者の皆様に心から感謝を申し上げたいというふうに思います。また、大きな被害が出ないことを切に願っております。 それでは、建築物省エネ改正法について質問させていただきます。 大きく二点、質問させていただきます。 一つは、ペロブスカイト、先ほど来議論なされておりますが、このペロブスカイト太陽電池の普及促進、そしてまた、災害に強い森づくりという意味で、国産木材の普及促進に向けての取組をお伺いしたいと思います。 まずはペロブスカイト太陽光電池でございますが、私は、現在、日本維新の会エネルギー安全保障分科会の事務局長を務めております。昨今の地政学リスクの高まり、特にホルムズ海峡の緊張といった事態を鑑みれば、我が国のエネルギー構造を自立型へと転換すること、これはもはや一刻の猶予も許されない状況です。我が党としても政府への提言を取りまとめている最中ですが、その戦略的核となるのが日本発の技術であるペロブスカイト太陽電池です。 先日、私は積水ソーラーフィルム株式会社を視察いたしました。同社は、二〇二七年に百メガワット級の製造ライン稼働を目指し、まさに社運を懸けて、量産体制の整備というかなり大きなリスクを取っております。本来、民間企業であれば、ある程度ニーズがあった上で量産体制に移るわけですが、ある意味、見切り発車で民間企業がリスクを取っているというような状況です。 かつて日本は、二〇〇〇年頃には太陽光パネルで世界シェア五〇%を誇るトップランナーでした。しかし、その後の投資スピードの欠如や需要創出の遅れにより、現在は、中国の、海外勢に押され、シェアは一%以下にまで転落していったという痛恨の歴史がございます。 これは、太陽光電池以外にも、技術で勝って量産体制のときに負ける、日本はこの失敗を繰り返してまいりました。現在、積水化学のみならず、パナソニックやカネカといった企業も政府支援を受け、早期の社会実装に向けてしのぎを削っております。まさに今、日本がイニシアチブを握るのか、また過去の苦い歴史を繰り返すのかの大きな分水嶺に立っております。 この状況下で、政府として、このペロブスカイト太陽電池、日本の優位性であったりエネルギー安全保障上の認識であったり、また現在の世界における日本の立ち位置など、どのように認識しているのか、資源エネルギー庁にお伺いいたします。
○小林(大)政府参考人 お答えいたします。 ペロブスカイト太陽電池については、特にフィルム型については、発電層を外気から保護する封止技術や、実用化に当たって鍵となる耐久性の向上、大型化等の技術面で日本に強みがあります。これらで今後世界をリードすることを期待しているものでございます。 また、主な原材料のヨウ素は日本が世界第二位の産出量を有しているなど、サプライチェーンの自立性の面でも高いものがあり、エネルギー安全保障の観点においても貢献できると考えております。 また、御指摘の量産ですけれども、現状については、昨年度から御指摘の国内企業での事業化が開始しておりまして、その先、経済産業省としては、二〇三〇年までの早期にギガワット級の生産体制を構築をするべく支援をしております。五年で三千億円規模の大規模投資が既に開始しているところでございます。 引き続き、今申し上げた量産技術の確立と生産体制の整備、さらには需要の創出ということを三位一体で取り組んで、諸外国に先駆けて社会実装できるように取り組んでまいりたいと考えております。
○住吉委員 御答弁ありがとうございます。 御答弁の中で、日本に今現在優位性があると。ただ、答弁にはなかったんですが、じゃ、日本が今完全にトップランナーで走り切っているかというと、決してそうではなく、海外勢の追い上げもすごいというふうに聞いております。 その中で、ペロブスカイト太陽電池の需要をつくっていかなければならないという中で、やはり、今回、建物でのニーズ、これも大きいのではないかというふうに思います。 そこで、このペロブスカイト太陽電池最大の武器、これは軽量性と柔軟性です。従来のシリコン型では耐荷重の問題で設置が不可能だった、ビルの壁面や強度の低い屋根、特に例えば学校の体育館の屋根などは、災害の発生時でも避難所になりますので、非常に相性がいいのかと思っております。あらゆる場所に貼る形での導入が期待されております。 視察した現場でも、その薄さというのは驚異的で、我々も地元で政治活動でポスターを貼っておりますが、あの両面テープとワッポンみたいな形で貼れる、多分そんなに長くは貼れないですけれども、イメージ的にはそれぐらいでも貼れるのではないかと思いました。 しかし、普及を阻む深刻な壁、これが既存の規制です。現場の声によれば、現在では耐可燃性の問題等から、軽量なシート状であるにもかかわらず、従来の重厚なシリコン型と同様の固定方法でなければならないという、新技術の優位性を全く生かし切れていない状況です。これでは、せっかくの国産技術も宝の持ち腐れです。 今回の法改正では、先導的な省エネ技術を用いた建築物に対し、大臣が個別にZEH、ZEB水準適合を認定する仕組みが創設されます。ペロブスカイトのような革新的技術が古い基準という足かせに縛られることなく、その特性を最大限に生かせるよう柔軟な対応を検討すべきと考えます。 現在、国交省として、建物設置における課題をどう把握しているのか、御所見をお伺いいたします。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 ペロブスカイト太陽電池は、薄くて軽量であり、運搬や設置が容易でありますので、従来型の太陽光発電設備が主に設置されてきた建築物の屋根だけではなく、これまで設置が難しかった壁面や曲面など、建築物の多様な場所に設置をすることが期待をされています。 一方で、建築物に広く普及させるに当たっては、従来型のものと比較をしてコストが高いこと、施工方法が十分に確立していないことなどの課題があると認識をしております。 このため、現在、経済産業省では、グリーンイノベーション基金におきまして、発電コストの低減に向けた量産技術の開発や、高層ビルの壁面やドーム状の軽量屋根など建築物の実用箇所への施工の実証など、実用化に向けた取組が進められているところであります。 なお、ペロブスカイト太陽電池に樹脂などの可燃物が含まれる場合、火災時に延焼拡大を招くおそれがございます。そのため、建築基準法において防火上の性能が要求をされる場合は、所要の性能を満たす必要が出てまいります。 防火上の性能については、個別に確認をした上で大臣認定を行うということも考えられますし、この認定実績が積み重ねられることにより、一般基準化していくということも考えられるところでございます。 いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、引き続き、関係省庁と連携をいたしまして、ペロブスカイト太陽電池の普及促進に取り組んでまいります。
○住吉委員 この建築物へのペロブスカイト太陽電池の活用というのは、エネルギー自給率向上を左右する国策として極めて重要であると私は考えております。 この点についても大臣のお考えをお伺いしたいと思いますし、あわせて、この普及に当たって、民間企業のリスクにのみに頼るのではなく、政府が強力な需要を創出することが不可欠だと考えております。 特に、国土交通省が所管する公共施設、あるいは道路、鉄道、港湾、空港といった広大なインフラ空間はペロブスカイトの特性を生かせる絶好のフィールドです。かつてのシリコン型のときのように、この政府の初動が遅れれば、再び量産規模で海外勢に圧倒されてしまいます。日本のエネルギー安全保障の根幹を守るために、国交省が主導してインフラ空間等への積極的な導入を進めるべきだと考えますが、大臣の決意をお伺いいたします。
○金子国務大臣 住吉委員御指摘のとおり、我が国のエネルギー安全保障等の観点から、ペロブスカイト太陽電池の導入拡大は重要なことと考えておりまして、国土交通省環境行動計画にも位置づけ、活用を図ることとしております。 ペロブスカイト太陽電池は、資材製造段階で高温に熱する必要がないため、従来のシリコン型の太陽光パネルに比べて製造時の温室効果ガス排出量が少なくなり、ライフサイクルカーボン評価の観点から有利となる可能性があると承知をしております。 国土交通省としては、ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた取組の動向を踏まえ、本法案によるライフサイクルカーボン評価制度の創設等を通じて、建築物におけるペロブスカイト太陽電池の需要の創出に取り組んでまいります。 また、御指摘のインフラ空間につきましても、技術開発の動向等を踏まえつつ、地域の理解や環境への配慮を前提として、積極的な導入を検討してまいります。
○住吉委員 是非、積極的な導入を進めていただければと思います。 最後に、国産木材の利用促進についてお伺いしたいと思います。 私も地方議員のときには、兵庫県議会の維新の会県議団の政調会長として、当時、県産木材推進条例、これを議員提案で制定いたしました。 現在、国内の林業というのは衰退の一途をたどっております。手入れの行き届かない森林の増加、これは近年の線状降水帯による豪雨災害において激甚な土砂崩れを引き起こす一因となっております。また、国土の七割を森林が占めているにもかかわらず、コロナ禍でウッドショックと言われたこともありました。国内に木材がないという事態に陥ったこと自体、私にとっては大変ショックでございました。 今回の法改正では、法律名に脱炭素化の促進が加わり、資材製造から解体までライフサイクル全体を評価するライフサイクルカーボン評価制度が導入されます。説明のポンチ絵にもありましたが、大林組のポートプラスのような先導的な事例に見られるCLT技術なども今後期待したいところでございます。 林業再生、災害防止、そしてカーボンニュートラルの実現という三兎を追い、国産木材の活用をどう加速させていくのか、御所見をお伺いいたします。
○酒井副大臣 お答えを申し上げます。 我が国の森林資源が本格的な利用期を迎える中、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向けては、木造の建築物の一層の普及を図ることが重要だというふうに認識をしております。 このため、国土交通省では、建築物における木材利用の推進を図る観点から、これまで、建築基準法における構造・防火関係基準の合理化を進めるとともに、中大規模建築物の木造化の普及に資するプロジェクトへの支援や設計者などの担い手の育成支援等を進めてきたところでございます。 また、本法案で制度を創設する建築物ライフサイクルカーボン評価は、資材製造段階から解体段階に至るまでの温室効果ガス排出量を算定、評価するものでございまして、鉄、コンクリート、木材などの異なる構造種別間での排出量の比較を行うことができるようにもなります。 木材は、鉄やコンクリートと比べて資材製造段階の温室効果ガス排出量が少なく、また、地場の木材を用いることで資材輸送時の温室効果ガス排出量が少なくなることが見込まれますが、ライフサイクルカーボン評価においては、こうした特徴を定量的に評価することが可能でございます。 国土交通省といたしましては、本法案で創設するライフサイクルカーボン評価制度の活用も通じまして、今後も、農林水産省を始めとする関係省庁と連携をして、建築物における国産材を含めた木材利用の拡大に積極的に取り組んでまいります。
○住吉委員 本法案が国産木材の利活用につながり、最終的に手入れの行き届いた、災害に強い森づくりになることを期待しております。 以上で終わります。ありがとうございました。
○冨樫委員長 次に、臼木秀剛君。
○臼木委員 国民民主党・無所属クラブの臼木秀剛と申します。 今日は、改正建築物省エネ法についての質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。 この改正法につきましては、この間ずっと改正をされてきた法律の中でも、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた大きな一里塚になるものだと承知をしております。 私も、今回、法改正に関して、建築士また建築現場に関わっておられる方々に、これからこの法改正があったらどのようなことが想定されるのかということをいろいろお聞きをしていたところ、皆様からいただいたのは、異口同音に、そもそも、現状、確認審査についていろいろと改善をしてから次に進んでいってほしいというようなお声をたくさんいただきました。 そういう意味でも、まず、今、現行、昨年四月施行となった改正建築物省エネ法、また建築基準法の問題点をちょっと確認をさせていただいた後、法案の方の内容に進ませていただきます。 昨年四月施行となった改正建築物省エネ法では、全ての新築住宅、非住宅に省エネ基準適合が義務づけられ、また、建築基準法では、確認審査についても旧四号特例の審査省略が廃止されるなどによりまして、現場の事務的な負担、さらには審査に要する期間が増加した結果、設計から着工までのリードタイムがかなり長期化しているというお声をいただいております。 先ほど高橋委員からも質問がありましたし、この点、先ほどの御答弁を聞いていると、国交省としてもある程度こういった点は予想しており、法定審査期間を七日から三十五日というふうに延長し、また、三年間の周知期間を設けて取組をしてきたと。そういった課題についても認識はしているので、引き続き注視をしていくというような御答弁があったかと記憶しております。 ただ、昨日レクをいただいた際に、この審査期間の状況はどうなっているのかという点を御説明をいただき、この四月にアンケートを国交省の方で取られた、四月の一日から四月の十日まで法施行後の調査をしたということですが、この結果を見てみると、若干改善はされているものの、まだ法定で決められた三十五日を超える四十日から五十日、さらには、それを上回るように、最大で言うと三月末時点で百四十日から百五十日というような非常に長い審査期間を要するものもあるということが御説明をいただいております。 こういった、改善はされてきているとはいえ、まだまだ長期化していると思っておりますので、引き続き注視をしていくという御答弁で、これで本当に十分なのかというところが私はやはり疑問でありますので、そもそも、原因については先ほど簡単に御説明をいただいておりますが、こういった点について、さらに、どのような認識を持っておられるのか、そして、こういった三か月、四か月とかかるようなものがまだまだ残っている中でどのような対策を行っていくのかという点、御答弁をいただいてよろしいでしょうか。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 昨年四月の改正建築物省エネ法、建築基準法の施行によりまして、全ての新築、増改築される建築物に対しまして省エネ基準への適合を義務化、二階建ての木造戸建て住宅などに係る建築確認における審査省略制度の見直しなどが行われました。 この改正により建築確認による審査事項が増えますことから、法改正前と比較をして指定確認検査機関の負担も増えていくということはある程度想定をされておりました。審査の日数を要するということも想定をしていたわけでございます。 確認、検査の体制につきましては、平成十年の建築基準法の改正によりまして、民間の指定確認検査機関が建築確認や検査を行えるようにして以降、建築確認の件数自体は減少する中で、指定確認検査機関における確認検査員の人数は全国的に見れば大幅に増加をしてきたわけでございます。 さらに、確認検査員の高齢化が顕著である実態を踏まえ、将来的な担い手不足に対応するため、令和五年の建築基準法の改正によりまして、小規模住宅などに特化をした審査者資格制度も創設をしているところであります。いわゆる二級建築基準適合判定資格者という新しい制度を創設をしております。 さらには、国土交通省では、指定確認検査機関の地域偏在などにも対応するために、計画地によらずに円滑に建築確認や検査の手続を行えるようにできるよう、オンラインによる申請やリモートでの検査を行うことができる環境を整備をしているところでございます。 このように、審査者側の体制整備はしっかり取っておりますけれども、依然として、委員御指摘のとおり、一部で長期化している方がいらっしゃいます。こういった方は、やはり、審査のいろいろ手戻りも多くて日数を要しているというのが実態でございます。ただ、そういう方々にも、様々、相談窓口などを通じて、引き続き、こういった制度の的確な運営、手続のオンライン化などを通じて、建築確認、検査体制の確保に努めつつ、審査の円滑化に努めてまいりたいというふうに考えております。
○臼木委員 ありがとうございます。 今ちょうど確認検査機関の話もありましたので、先にこちらを質問させていただきたいと思います。 今、確認検査機関を民間に担っていただいておりますけれども、やはり、今回、建築確認を含め、また省エネ適判もやっていただく、基本的には同時に、同時といいますか同じところでやっていただくというのが多いというふうに伺っていますが、この体制について、先ほど、きちんとやっていただくようにしているということもありましたが、今回、この省エネ適判というものを確認検査機関にもお願いをするという中で、北海道では、北海道第二の都市の旭川という市があるんですが、旭川では、この省エネ適判への対応ができないということで確認検査機関が撤退をしてしまったというような話も伺っており、少なからず現場への影響もあったということも聞いております。 また、本年二月には行政処分がされるなど、確認検査機関は従来いろいろ問題も指摘をされているところではありますが、やはり確認審査などに対しての信頼性、また全国どこでも画一的にきちんと安全性が担保されるということが必要ではあると思っておりますので、確認検査機関の人員も含めて、やはりまだまだかなり課題があるのではないかということも指摘をされておりますけれども、ここについての課題認識、改めて御確認をしてよろしいでしょうか。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 先ほども御答弁いたしましたけれども、今、民間の指定確認検査機関が建築確認を行えるようになって以降、例えば確認検査員の数は、平成十四年度、二〇〇二年度の末で、これは制度が始まってしばらくの段階でありますけれども、六百三十五人であったところ、足下、令和六年度では三千四百六十五人に増えてございます。 ただ一方で、委員御指摘のように、特に北海道で、人員の不足ですとか、それから遠隔地になかなか行くのが大変だということがございまして、これは北海道庁とも我々何度も何度も議論をして、むしろ、デジタル化、オンライン化を進めていって、現場に行って確認するのではなくて、リモートで確認できるようにしてほしいですとか、様々、御要望いただいております。御要望の内容は我々も共感するところがたくさんございますので、これまで可能な範囲でオンラインによる申請やリモートでの検査を行うことができるような環境整備に努めてきたところでございます。 引き続き、こうしたことを通じて、指定確認検査機関の地域偏在や、要するに、審査者の地域偏在に対応してまいりたいと考えております。
○臼木委員 引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。 そして、今、先ほどお話をさせていただいた審査にかかる期間は長期化している、また設計から着工までのリードタイムが延びているということは、現場にいろいろな影響を与える中で、一つは、資金繰りにやはり苦慮する事業者も出てきているというお声もいただきました。審査期間が延びることによって融資の期限切れが起こってしまう、また再申込みをしても融資が不可になってしまうという事案も出ていると聞いています。 また、北海道を始め、冬場、積雪が多いようなところ、寒冷なところにおいては、工期がずれ込むことで越冬工事が必要になるというような、やはり現場の負担が大きくなるということも聞いています。凍結防止剤の混入や、コンクリートを養生しなきゃいけない、また、現場で作業いただく皆さんも一定の温度がなければ当然働いていただけませんので、現場は採暖燃料費などの出費がかさむことにもなりますので、副次的に様々な負担が現場に出てくることになります。 そもそも国交省としてこういった現場の状況を把握されているのかということについてお聞きをしたいのと、また、こういった融資の関係であったり追加でいろいろな負担が出てきてしまうということに対して、中小企業庁を始め、関係省庁ときちんと連絡、連携を取って対応をいただきたいということを、国交省としても取組を何らか行っているのかという点、御答弁いただいてよろしいでしょうか。
○金子国務大臣 局長からもるる御説明申し上げましたけれども、昨年四月の改正建築物省エネ法、建築基準法の施行によりまして、建築確認における審査事項が増えることから、建築主事が行う場合の法定処理期間を七日から三十五日に見直しております。 その上で、改正後の制度に対応した図書作成に不慣れな申請者がおり、申請図書の補正のやり取りに時間を要していること等により、建築確認の審査に要する期間が長期化しているとの声があることは、指定確認検査機関への聞き取りにより、把握をしております。 本年四月上旬に、申請者、審査者双方に対して実施した実態調査により、依然として一部の指定確認検査機関において審査期間が長期化している実態はあるものの、全体としては改善が確認できているところでございます。 建築確認手続が長期化することは法改正時点においてもある程度想定はされていたため、施行まで約三年間の準備期間を設け、様々な対策を講じてまいりました。 施行前には、申請者、審査者双方に対し、説明会、講習会の開催、テキスト等の作成、オンライン講座の開設や、申請図書の作成支援を行う建築士向けサポートセンターの全都道府県での設置等を行ったところであります。 また、施行後においては、都道府県に対して、建築士サポートセンターや業務が逼迫していない審査機関へ案内するなど、申請先の平準化を図るよう要請するとともに、昨年十一月から、申請図書の不備の削減を目的とした、AIを活用した建築確認申請図書の事前チェックサービスを提供しているところでございます。 建築確認に要する長期化に伴い、先ほど御指摘がございました、資金繰りが悪化している中小事業者に対しては、ふだん取引のある民間金融機関のほか、日本政策金融公庫による融資の利用も可能であることを業界団体を通じて周知をしております。 今後も引き続き状況を注視するとともに、建築確認手続の円滑化に向け必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
○臼木委員 ありがとうございます。 問題認識はいただいていると思っておりますので、現場で起こっている様々な声になるべく、それは現場も皆様努力はしていただくということは当たり前ではありますけれども、必要な施策、対応はきちんと取っていくということも、これは大臣からも御発言をいただきましたので、対応いただきたいと思います。 それから、もう一つが、図面や計算書で適正に設計を行っても、やはり施工の熟練度によってどうしても生じてしまう性能のばらつきというのが出てくるというようなお声もいただいています。これをきちんとどのように評価していくのかということも、これから大きな課題であって、現場のところで出てくる問題だと思っています。 工期や予算の制約があったり、また現場も今かなり人手不足が起こっておりますので、こういった様々な要因があるのだとは思いますけれども、どうしても現場において当初の図面、計算書等からずれた形で結果が出てきてしまう。こういった点でいえば、施工の品質や監理の質というものをどのように担保していくのかということも、またここも大きな問題にはなってくると思っています。 現状、建築士による工事監理、また建築主事や指定確認検査機関による審査や検査が行われているというのは、これはたてつけではあると思いますが、現場できちんと施工品質、監理の質をどのように担保していくべきだと考えているのか、この点、国交省、お答えをいただきたいと思います。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 建築士の独占業務の一つとして、設計のほかに工事監理という業務がございます。これは建築士でなければ行うことができないものでございます。 建築物の工事におきましては、建築士である工事監理者により、その工事内容が設計図書のとおりに実施されているかどうかの確認が行われることとなっており、工事監理者を定めなければ工事を行えないということになってございます。そういう工事は禁止をされております。 また、工事が完了したときには、指定確認検査機関などによります完了検査の手続におきまして、工事監理が適切にされているかどうかの状況の確認などを通じて、建築物の建築基準への適合状況が検査されることとなっております。 こうした仕組みを通じて、建築物の施工の品質や監理の品質を担保することとしているところでございます。
○臼木委員 ありがとうございます。ここがきちんと徹底をされるように是非お願いをいたします。 ちょっと時間がなくなってきたので、急ぎ、駆け足で聞いていきたいと思いますが。 それから、今回、省エネ適判が新たに入ってくることや、また、資材価格の高騰、施工状況、様々いろいろな現場で対応しなければいけないような状況が出てくることによって、確認申請の変更が発生する頻度が上がっているということもお聞きをしております。申請の変更に際しては、軽微な変更であってもそれなりに申請手数料を要するような場合もあるというお声もありますが、こういう意味でも現場の費用負担が増えてきているというお声もあります。 この点について、軽微な変更の場合にはどの程度の申請手数料を要するのか、こういうことも含め、国交省としてどのような認識でおられるか、また何らか対応が私は必要ではないかなと思うんですが、この点、御答弁お願いしてよろしいでしょうか。
○金子国務大臣 平成七年四月の改正建築物省エネ法、建築基準法の施行によりまして、建築確認の前に、省エネ適判機関等による省エネ基準への適合性判定が必要となりました。 建築確認による確認済証の交付後、完了検査までの間に省エネ関係の変更が生じた場合であっても、省エネ性能に影響しない変更や性能の低下が一定の範囲内に収まる変更については、完了検査申請時に軽微な変更が生じた旨の説明書を提出することで対応可能となっております。 当該説明書を提出する場合、完了検査を行う指定確認検査機関によっては、必要な費用を検査の申請料に反映していることもあると承知をしております。 また、変更による省エネ性能の低下が一定の範囲内に収まらない場合は、省エネ適判機関による証明書の発行や変更後の内容での省エネ基準への適合性判定が必要であり、所要の申請料が発生をいたします。 これらの申請料は、省エネ適判機関や指定確認検査機関が業務を行うに当たって必要なものと考えられますが、省エネ基準適合性判定等の手続について運用改善すべき点がないかに関しまして、国土交通省として、関係者へのヒアリング等を通じてしっかりと検討させていただきます。
○臼木委員 ありがとうございます。 あくまで民間の皆さんにやっていただいているので、実費含めて必要なものは取っていただくのは当たり前ですけれども、ここにつきましても、是非、改善点があるということを今大臣からも御発言いただきましたので、御対応よろしくお願いいたします。 最後、法案の内容になりますが、今回、木材の活用につきまして、これは推進をしていくということだと思いますが、建築時の木材利用については評価制度上どのような位置づけになっていくと考えておられるか、木材利用の優位性についてどのように考えていくのかという点、まず御答弁いただいてよろしいでしょうか。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 ライフサイクルカーボン評価は、建築物の資材製造段階から解体段階に至るまでの温室効果ガス排出量を算定、評価するものでありまして、鉄やコンクリート、木材などの異なる構造種別間でも排出量の比較を行うことが可能となります。 ライフサイクルカーボン評価の視点で見ますと、一般的に、木材は、鉄やコンクリートのように資材製造段階で高温に熱する必要がなく、資材製造時の排出量が少ない、また、鉄やコンクリートに比べて軽量でありますので、基礎などの下部構造への負荷が小さくなって、基礎に用いるコンクリートの資材量を減らすことができる結果として排出量が減る、一方で、部位によっては石こうボードなどの耐火被覆が必要であり、その場合には排出量が増加をするといった特徴がございます。 こうした木材の特徴をうまく設計に取り入れることで、木材ならではの空間を作るということともに、温室効果ガス排出量の削減が可能となり、ライフサイクルカーボン評価制度の導入によって、こうした設計者や施工者、建築主の取組が定量的に評価できることとなってまいります。 国土交通省といたしましては、建築物のライフサイクルカーボン評価を普及させることで、建築物における木材利用も含めて二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた事業者の積極的な取組を促してまいりたいと考えております。
○冨樫委員長 約束の時間になっています。
○臼木委員 ありがとうございます。 本来であれば、木質ペレットの未利用材のみならず、建築廃材等を利用したバイオマスストーブの件も少しお聞きをしたかったんですが、また一般質疑があると信じておりますので、そこでお聞きをしたいと思います。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○冨樫委員長 次に、吉川里奈君。
○吉川委員 参政党の吉川里奈です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。 本法案は、建築物の省エネ性能の向上に加え、建築物のライフサイクル全体での脱炭素化を進めるものであります。参政党としては、省エネへの取組に否定の意はありませんが、行き過ぎた脱炭素政策に対しては反対の立場を示しています。 いわゆる脱炭素化の効果については、国民の間にも一定の疑問がございます。内閣府が昨年実施した気候変動に関する世論調査においては、約九割がCO2排出削減に取り組みたいと回答する一方で、前回調査と比べ、対策に懐疑的な割合というのも増加しています。 脱炭素政策に取り組みたくない理由のうちに、効果があるのか分からないと回答される方が過半に上り、国民の間にも、脱炭素化の必要性を認めつつも、その具体的な効果についての疑問が残っているものと考えます。 本法案の改正というのは、二〇五〇年カーボンニュートラル実現へのプロセスの一部であります。今、国民生活といいますと、中東発のエネルギー危機に直面している状況であり、電気代、建築資材の価格、そして住宅価格、金利、人件費の上昇に直面しているという状況の時期に、政府が建築部門で脱炭素政策を進めるのであれば、しっかりとメリットとデメリットを数字で示す責任があると考えております。 キヤノングローバル戦略研究所の杉山大志研究主幹が、環境省が報告する我が国のCO2排出量と国連IPCCが示すCO2の排出量と気温上昇の関係を用いて試算されたデータによりますと、日本全体のCO2の排出量をゼロとした場合、世界の平均気温への影響は〇・〇〇六度程度というふうに述べられております。これは日本全体の場合であって、建築部門における脱炭素政策における気温の低下効果というのは更にその一部にすぎないというふうに考えます。 ここで国交省に伺いますが、今回の法改正により、二〇三〇年、二〇四〇年、二〇五〇年度までに、それぞれどの程度CO2が削減されると見込み、そして、それは世界の平均気温に換算すれば何度の低下になると見込まれているのか、具体的な数値で教えてください。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 政府では、地球温暖化対策計画におきまして、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、二〇三〇年度と二〇四〇年度における各部門ごとの温室効果ガス排出削減量の目安を設定しているところでございます。 今回の法案により創設をいたします制度につきましては、地球温暖化対策計画においては、産業、運輸部門に計上している脱炭素化の取組を建築分野で受け止めて加速させる取組や、新築住宅・建築物の二〇三〇年度の目標達成に向けて建築分野における省エネ対策を加速させる取組であり、現行の目標に対して追加的なCO2の削減を目指すものではなく、お尋ねの数値についてお示しすることは困難であります。 今回の法改正は、あくまでも、二〇一三年度と比較をして、二〇三〇年度において、業務その他部門で約一・二億トンCO2、家庭部門で約一・四億トンCO2などの削減目安の実現に貢献するための取組であると御理解をいただきたいと思います。
○吉川委員 あくまでも目安に向けた取組であって、気温の換算というところに関しての数字はデータとして計算はされていないということが分かりました。 次に、電気代の高騰について伺ってまいります。 本法案は、太陽光パネルの設置を直接義務づけるものではないと承知はしておりますが、政府の二〇五〇年カーボンニュートラル、ゼロの実現に向けた方針にのっとり建築物のゼロエミッション化を進めるのであれば、建築物への太陽光パネルの設置あるいはメガソーラーからの電力購入など、太陽光発電の導入は加速することになります。FIT制度や補助金があれば、建築主や事業者から見ると直接負担は小さく見えるかもしれませんが、電気代や税などを通じて、最終的には国民が負担することとなってまいります。 また、太陽光発電は、発電所単体の費用だけでは評価できず、天候によって出力が変更、変動するため、出力制御や蓄電池の設置であったり、いわゆる電力系の統合コストというものがかさんでまいります。 ここで、資料の一を御覧ください。 経産省の発電コスト検証ワーキンググループの資料を用いて比較をした、杉山先生の作成された、環境委員会の参考陳述時に提出をされたデータなんですけれども、これは既設、新設の火力、原子力発電の活用を用いた電力発電と太陽光発電を比較したコストなんですが、キロワット時当たりのコストを比較しますと、太陽光発電を使用した場合に約三十円の発電コスト上昇が起き、家庭におきますと月当たり約一万二千円、年間十四万四千円の負担が増加となり、日本全体で年間三十兆円規模の国民負担の増加になるとのことです。 これはあくまでも概算にすぎないというふうなお答えを説明の際にいただきましたが、だからこそ政府自体の試算というものをすべきではないかと考えます。 エネルギー基本計画においても、二〇三〇年に新築戸建ての住宅の約六割に太陽光発電設備の設置を目指す方針というものが環境省から示され、建築部門の脱炭素化を進めることにより、太陽光発電などの導入が増えることになります。これによって電気料金がどの程度上昇するのか、キロワットアワー当たりの金額と日本全体の追加の負担金額について、お示しをいただけますでしょうか。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 本法案におけます新たな大臣認定制度と上位住宅トップランナー制度の創設につきまして、二〇三〇年度の新築住宅・建築物のZEH、ZEB水準の確保や、二〇五〇年のストック平均でのZEH、ZEB水準の確保に向けた取組であります。 このZEH、ZEB水準につきましては、太陽光発電設備による創エネルギー分を除いた省エネ性能に関する基準としていることから、建築物における太陽光発電設備の設置を必須としているものではございません。 また、本法案で創設をいたしますライフサイクルカーボン評価制度につきましては、建築物における脱炭素化の取組を評価するものであります。 その取組の一環として太陽光発電設備の活用は考えられるところでございますが、太陽光発電設備などの再生可能エネルギーによる創エネルギーの取扱いを含めて、評価ルールなどの詳細は今後検討することとしておりますので、現時点において、御指摘の点についてお示しすることは困難でございます。
○吉川委員 二〇五〇年までにカーボンニュートラル、ゼロを実現するために、本法案では大きな建築物に関するライフサイクルカーボン評価制度を導入するということでありますが、既に二〇三〇年新築ZEH、ZEB水準の導入というものも方向性として位置づけられており、やはり、これから考えるというのではなくて、現段階で方向性は決まっているのでありますから、しっかりと試算をする必要があるというふうに考えます。 そもそも、太陽光パネルによる発電に関しては、FIT制度によって電気代に再エネ賦課金というものが上乗せされて、国民の皆様全体で、国全体で負担をしております。 二〇二六年度の単価で概算すると、年間三・二兆円、一人当たりの負担額は年間約二・六万円、開始当初からの賦課金の単価を比べますと約十九倍に既に跳ね上がっており、投資家や再エネ事業者だけが潤い、国民にとってはメリットはどこにあるのかというようなことが考えられ、私たちとしては、これは一体誰のための政策なのかというところにも疑問を呈しております。 こういったところから、やはり、太陽光パネルの導入が、新築住宅向けにも六割設置していきましょうという方向性を示されておりますので、この電気代、家庭の場合は電気代が安くなるのではないかというお話もありますが、太陽光発電設備というのは耐用年数十年から二十年ぐらい、結局二十年後には交換するに当たってもまたその費用もかかり、リサイクル、廃棄においてもこれからまた更にお金もかかってくる、国民負担になるというところ、設置者の負担になるということになりますので、やはりそういったところも考えた上で、本当に必要な制度なのかというところは慎重な検討をしていただきたいというふうに考えます。 ちょっと質問の順番を変えていきます。六番の質問に行きます。 国際的な建築物のライフサイクルカーボン評価の取組について伺います。 建築物のライフサイクルカーボン評価について、第四次答申の資料によりますと、国際的な動向というものが示されておりますが、欧州各国の導入状況はある一方で、その他の国については記載がされておりません。 ここで、資料の二枚目を御覧になっていただきたいんですが、こちらは、二〇二三年の世界のエネルギー起源の排出量のうち、CO2の排出量を国別に表記しているんですが、中国、米国、インドの三国でCO2排出量の半分を占めております。他方、EUの二十七か国は六・六%、そして日本においては僅か二・七%にすぎません。 本気でパリ協定の目標を実現しようとするのであれば、これらの排出量の多い国の取組というものが非常に重要と考えますが、この中国や米国、インドにおける建築物の脱炭素化の取組、特に本法案に関わる建築物ライフサイクルカーボン評価の導入状況というのはどのようになっているのか、教えてください。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 アメリカにおきましては、建築物の省エネルギー政策や脱炭素政策は州ごとに取組が進められており、例えばカリフォルニア州においては、二〇四〇年のカーボンニュートラル達成に向けて、一定規模以上の非住宅建築物を対象として、建材の製造時などにおける温室効果ガス排出量に上限を設ける制度が導入されているものと承知をしております。また、ボストン市においても、少し制度が異なりますけれども、そういう制度はあると承知をしております。 また、中国におきましては、二〇六〇年のカーボンニュートラル実現に向けて、建築物のライフサイクルカーボンに関する統一的な算定ルールを国として整備をしており、一部の都市においては、建材製造時などの温室効果ガス排出量に上限を設定する取組も行われていると承知をしております。 さらに、インドにおきましては、二〇七〇年のカーボンニュートラル達成に向けて、政府が策定をした表示制度におきまして低炭素建材の採用が評価項目として位置づけられていると承知をしております。 このように、排出量の多い国々においても、カーボンニュートラルの実現に向けて、省エネルギー対策に加えて、建材製造時の温室効果ガス削減のための何らかの取組が講じられているところでございます。 なお、建築物のライフサイクルカーボン政策に関する国際的な研究イニシアチブにおきまして、我が国やヨーロッパの研究者に加えて、アメリカや中国、インドに限らず、韓国、シンガポール、ブラジルなどの研究者も参画をして、こうした評価方法や具体的な政策について定期的な議論を行っていると伺っております。
○吉川委員 各国それぞれ取組をしているということでありますが、米国においても中国においてもそこは一部というところでありまして、そもそも、こういった建築物ライフサイクルカーボン評価制度であったり、省エネをやっていても、脱炭素に向けた取組というのは、パリ協定に参加している以上は建前上は言っておられますけれども、実際、国の中でどれだけできているのかというところで、日本が一生懸命頑張りましょうという状況にあるのかなというふうに考えます。 ここで七番の質問に行きますが、これまで、我が党としては、脱炭素政策について懐疑的である政策ということを主張しております。我が国においては、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に向けて脱炭素政策はもはや絶対的なものでありと、議論することさえも容易ではないというふうな空気感を感じております。 しかし、世界を見ますと、脱炭素に関する世界の潮流というのはもう既に変化が起きています。 米国については、第二次トランプ政権発足後、パリ協定からの再離脱、温室効果ガスの危険性認定の撤回、EVや再エネに対する補助金の削減、縮小など、脱炭素政策の大転換を進めています。 また、EUについては、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー供給不安や再エネの高いコストにより電力価格が高騰し、域内産業に負担を強いた結果、域内産業の空洞化が進みました。そして、EUが巨額の予算を投じて創出した再エネ事業の恩恵は、欧州企業ではなく、EUが輸入している太陽光パネルの九八%が中国企業からのものであって、結局、自国ではなく他国がこの利益を享受しているということになりまして、EUのグリーン政策というのは、CO2の排出量の削減から、生産能力の確保とそして国内産業の競争力の強化を含んだ地政学的戦略へと再定義されたと指摘があります。 ヨーロッパにおいては、こういった環境政策の見直しを訴える新興政党等も大きく躍進をして、これは、今メディアではポピュリズムなどと批判されていますが、エネルギー価格の高騰や産業の空洞化など、国民の苦しみを顧みない現実離れした脱炭素政策に対する市民の厳しい声が表れているというふうに考えます。 これはもう、イギリスも、イタリアも、フランスも、ドイツも、ハンガリーも、ポーランドも、オーストラリア、オランダ、本当に世界各国で国が二分化するような議論が進んでいるんですけれども、我が国日本として、政府はどのようにこの世界の変化を認識されているのか。そして、脱炭素政策を抜本的に見直し、今こそ、エネルギーの安定供給、コストの安い、原子力、火力を始めとしたエネルギーの供給を第一とする政策に転換すべきではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○金子国務大臣 吉川委員の御意見を拝聴した上で、お答え申し上げます。 頻発化、激甚化する自然災害を始め気候変動に対応すべく、温室効果ガス削減の政府目標の実現に向けて、国土交通省としてもしっかりと役割を果たしていく必要があり、住宅・建築物分野でも環境性能を確保することが重要であります。 本法案で創設いたします建築物のライフサイクルカーボン評価制度は、これまでの省エネ施策では評価してこなかった資材製造段階の取組を含めたライフサイクル全体の省エネ対策、省資源、脱炭素対策を評価する仕組みであります。 これは、脱炭素の観点のみならず、資材製造から解体までの各段階における省エネ対策の徹底によりましてエネルギーの安定供給に資するとともに、脱炭素や木造建築に係る投資や技術革新を促進することで経済成長にも資するものであります。 建築物ライフサイクルカーボンの評価は、ヨーロッパを始め国際的な潮流となっております。本法案により、我が国の建築物の脱炭素技術の投資、イノベーションの加速や国際競争力の強化にもつなげられるよう、しっかりと取り組んでまいります。
○吉川委員 結局、政府の方針にのっとった上で脱炭素政策を進めていくということかと思います。 しかしながら、私は、様々な工務店の方々や、あと大企業と言われるような工務店の方にもお伺いしましたが、そもそも、今、二〇二五年から始まりました、省エネに対する義務化が進んでおります、新築の省エネ基準の義務化ですね。この手続においても、大企業であれば、事務員さんがいらっしゃいますので、そこは分業して手続をすることができると。しかしながら、ビルを建てる上で、これだけのたくさんの資料を準備しないとできないので、一般の地域の産業を営まれている工務店の皆さんにとっては非常に大きな重圧になっているということは示唆されるというふうにおっしゃられておりました。 となると、今回、この法案が可決し、さらに新築ZEH、ZEB水準が義務化となっていくことになりますと、結局、富裕層の方々が建てる高性能の住宅を国民の税金で負担をしていくというような形になっていくことも示唆されます。 これまで努力してマイホームを建てていた方々が、結局、そういった高性能で価格も上がっていくとなると、マイホームさえも手が届かない。そして、こういった煩雑な手続をしていく上では、大手企業にはもちろん高性能で価格も上がりますから追い風となりますが、住宅市場の寡占化が進み、地域に根差した産業が、結局道が閉ざされていってしまう、淘汰されてしまうのではないかというところも示唆されます。 建築物のライフサイクルカーボンの算定・評価等を促進する制度に関する検討会というものが開かれているんですけれども、ここに関しても、結局、促進側の、もちろん名前にも入っていますよね、促進側の御用学者さんだったり、大手ディベロッパーだったり。中小工務店や建設、設備事業者の方々は、オブザーバーとして意見を述べたことが、直接議論はできないような状況にあるんですね。 今、やはり、中東情勢の悪化というものを常々私は委員会でも訴えておりますが、コロナ禍よりも非常に、中小企業事業者の皆さんには、資材の高騰のみならず、供給困難といった、物価高、こういった目詰まりが起きている状況で……
○冨樫委員長 申し上げます。 約束の時間になりましたので、まとめてください。
○吉川委員 はい。 なので、非常に負担が多い、倒産への懸念となっております。 今日から審議が始まります補正予算もたったの三兆円しかなく、ガソリン代を百七十円に抑えるというところだけで本当に大丈夫なのか、私たちとしては国に対して非常に疑問を呈しております。 こういったところも含めて、やはり国交省として、この脱炭素の見直し、環境省、経産省とも共に取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○冨樫委員長 次に、須田英太郎君。
○須田委員 皆様、こんにちは。チームみらいの須田英太郎です。 本日は、建築物省エネ法の改正案についてお伺いいたします。 私は、元々、都市開発やまちづくりのスタートアップを経営しておりました。経済産業省が中心となって進めてきたスマートビルディング共創機構の立ち上げにも関わらせていただいた経緯がございます。本日、皆さんと議論している建築物のライフサイクル全体での脱炭素は、まさにスマートビルディング共創機構が立ち上げ当初から目指してきた、運用段階を含めた建物の高度化、これと深く重なるテーマでございます。 建物は設計のとおりには機能しません。竣工して引き渡された瞬間から、設計のときの想定と運用時の実態というのはずれが生じるものでございます。本法案が、設計時で完結する制度ではなく、運用段階での実態を捉えて改善を回していく制度として機能するように、本日は三点お伺いいたします。 まず一点目、設計時の評価と運用実態のギャップへの対応についてお伺いいたします。 本法案で設計される建築物の通算炭素排出量の評価、これは新築の設計データに基づいて着工時に算定する仕組みだと理解をしております。しかしながら、建築物の材料製造から解体までに排出されるCO2や建物を使っているときに出るCO2は、設計時の想定と乖離することが多くございます。英国、イギリスのエネルギー研究所の調査では、実際のエネルギー使用量が予測の最大二・五倍になるよというような調査結果も示されておりまして、設計の値と実態の差というのは小さくない、そういったものでございます。 海外に目を向けると、例えばオーストラリアにはNABERSという建築物の環境性能の評価の制度がございます。こちらでは、評価のために過去十二か月の電気やガスなどの実際の使用料の実測値、これを光熱費の明細から確認するような仕組みです。設計上の予測だけではなくて、原則として実際の運用の実績に基づいて評価をするようなものです。さらに、格付は原則十二か月で失効しますので、継続的に評価を維持するためには最新の実績値で再評価をしていく、そういうような前提となった制度となっています。 また、オーストラリアでは、一定の要件を満たす一千平米以上のオフィス空間の売買や賃貸のときには、NABERSの評価を含むエネルギーの効率情報の開示というものが義務化されていて、オフィス市場の大部分をカバーするまでに定着をしております。実測値ベースの評価制度として、参考にすべき先行事例であると考えております。 我が国でも、建物の電力の使用量などを計測、管理するBEMSというシステムがございます。こういったものの実測データを活用していけば、こういった実測値に基づく評価を実現していく道筋が見えてくるのではないかと考えております。 そこで、大臣にお伺いいたします。 実測データに基づいて建物の性能を継続的に把握する仕組みを今回の法制度の中で新設する評価基準に組み込んでいくべきと考えておりますが、運用段階の継続的な評価の制度化について大臣の御見解をお聞かせください。
○金子国務大臣 これまで深く関わっておられて、法案の制度等々も、改正についてもよくお分かりだということでございますので、しっかりお答えを申し上げたいと思います。 建築物のライフサイクルカーボンの評価制度は、設計段階においてライフサイクルカーボンを算定するものでありますが、設計段階の算定は、その負担軽減のため、必ずしも精緻なものではないこと、実際の建物運用に当たっては、空調時間など設計段階で想定している標準的な使い方とは異なることといった事情により、設計段階の算定結果と実績値とは必ずしも一致しないということでございます。 一方で、委員御指摘のとおり、評価結果と実態とに余りに大きな差が生じることは望ましくないため、これまでも、空調設備の運転効率や床暖房の評価方法などについて、実態に基づき最新のデータへの更新を図ってきたほか、更なる評価方法の見直しについても検討を進めているところでございます。 また、今般創設いたしますライフサイクルカーボン評価の第三者認証・表示制度においては、エネルギー使用実績に基づく評価、表示についても検討することとしております。 御指摘のコミッショニングやデジタルツインについては、いずれも建築物の使用段階でのエネルギー消費量や温室効果ガス排出量削減に有効な手法と認識しておりますが、現時点では、精緻なシミュレーションのニーズ、費用対効果や、ツールを使いこなすための人材育成などの課題もあることから、引き続き、有識者と議論を進めてまいりたいと思っております。
○須田委員 大臣、ありがとうございます。 更なる評価方法の見直し、使用実績に基づく評価、表示についても御検討いただいていると明確に御答弁いただきました。ありがとうございます。 今おっしゃっていただいたような運用段階の継続的な評価を評価基準に盛り込んでいくこと、これは、建物の全期間での脱炭素を実現していくためには、次のステップとして非常に重要なものだと考えておりますので、是非引き続き前に進めていただきますよう、よろしくお願いいたします。 次に、この認証制度の活用を促す経済的な動機づけ、インセンティブ設計についてお伺いいたします。発注者側への働きかけについても併せてお伺いいたします。 第三者認証・表示制度、こちらは建築物の脱炭素性能を見える化、促進していく上で非常に重要な改正だと評価をしております。一方で、現場の事業者の方々からは、既存の類似の認証制度についても実際にお話をお伺いいたしますと、認証を取得しても賃料への反映は僅かに増える程度にとどまってしまって、認証取得のためにかかる費用に見合う経済的な見返りが得られづらいよというような声もお伺いすることがございました。 そこで、大臣にお伺いいたします。 この第三者認証や表示制度を含む評価制度を実効性あるものとしていくために、税制の優遇や公共調達における優遇等の動機づけの在り方、並びに発注時の条件に認証取得を盛り込むような形での公共調達の在り方、こういった方針について御見解をお伺いいたします。
○金子国務大臣 本法案では、省エネや脱炭素化について優れている建築物が市場で選ばれる環境を整備するため、建築物の環境性能の第三者認証・表示制度を創設することとしております。 本表示制度の活用を促進するためには、環境性能が高い建築物に対する支援も重要と認識をしておりまして、モデル的にライフサイクルカーボン削減に取り組んだ建築プロジェクトに対する支援を行ってまいります。 また、国や地方公共団体が発注、建設する建築物についても、ライフサイクルカーボン評価の実施を促すとともに、併せて、本表示制度の活用を促し、制度の普及を図ることも重要と認識をしております。 本法案においては、ライフサイクルカーボン評価実施の義務づけ対象として、民間建築物で五千平米以上の事務所の新築、増改築とする予定であるところ、国が建設する建築物については、その対象を広げ、二千平米以上の事務所の新築、増改築とすることとしております。 また、地方公共団体が建設をいたします建築物については、地球温暖化対策推進法に基づく地方公共団体実行計画においてライフサイクルカーボン評価の実施を位置づけるように環境省を通じて働きかけ、取組を促すこととしております。 こうした取組によりまして、国や地方公共団体の建築物におけるライフサイクルカーボン評価の実施を促すとともに、国土交通省としても、関係省庁や地方公共団体に対して、本表示制度の内容や趣旨を伝えることで、制度の活用を促してまいりたいと思います。
○須田委員 大臣、ありがとうございます。関係省庁や自治体へ対しても積極的に働きかけていただきますよう、よろしくお願いいたします。 次に、少し順番を変えまして、建物の運用段階の省エネ、脱炭素化を支えるサービスの活用推進についてお伺いいたします。 建物は、完成時点では設計どおりに見えても、運用の段階でエネルギー消費が設計値と乖離してくるものでございます。この差分を埋めていく運用段階の高度化、これは、建物の性能を継続的に検証する事業者や、エネルギーの使用状況を計測、分析するような事業者、あるいは省エネ改修を成果保証型で請け負っていくような事業者さんなど、運用段階を専門的に支えていく事業者の方々が担っておられます。 アメリカでは、こういったサービスがそれぞれ確立された産業として大きな規模を持っております。この三つの業界を合わせた市場規模は年間一兆円を超えるというような規模感で、運用段階で建物を性能改善していくという産業が定着して育っているというような状況でございます。 日本は、建設会社の皆さんの技術力が非常に高いこともありまして、でき上がった建物は設計どおりだという感覚が根強くございますけれども、この運用段階で実態を把握するという視点は、今後ますます重要になっていくと考えております。 そこで、こちらも大臣にお伺いいたします。 建築物の脱炭素化を進める上で、こうした建物の運用段階の省エネ、脱炭素を支えるサービスの活用を推進していくお考えがあるか、並びにその活用推進をどのような形で進めていくのか、御見解をお聞かせください。
○金子国務大臣 BEMS、HEMSなどのエネルギーマネジメントサービスについては、エネルギー需給最適化を含むエネルギー政策を所管する経済産業省においても取り組んでいるものと承知をしておりますが、こうした手法は、建築物における省エネ化、低炭素化に資することから、国土交通省においても活用促進を進めているところでございます。 具体的には、先導的な省エネ技術を活用したモデル事業や高度な省エネ住宅への補助事業において、BEMS、HEMSの設置に対する支援を実施しているところでございます。 新たに創設いたしますライフサイクルカーボン評価制度においても、エネルギーマネジメントの取組が適切に評価されるよう検討を進めるとともに、その普及促進に向けて関係省庁と連携して取り組んでまいります。
○須田委員 ありがとうございます。 建築物の脱炭素化を進めていく上で、今おっしゃっていただいたようなサービスの活用は非常に不可欠でございます。経産省とも連携しながら、活用が広がる環境整備を進めていただきますようによろしくお願いいたします。 続いて、もう一点お伺いいたします。 この運用段階の建物の高度化は、今議論しているような脱炭素にとどまらず、スマートビル全体の文脈でも非常に重要になってまいります。経産省主導で設立されたスマートビルディング共創機構など、ほかの組織と連携して、国土交通省としてどのような役割を果たしていくのか、大臣の御見解をお聞かせください。
○金子国務大臣 国土交通省では、建築物の総合的な環境性能を一体的に評価する建築環境総合性能評価システム、通称CASBEEに対する支援等を行っております。 例えば、オフィスを対象とした評価システムであるCASBEEウェルネスオフィスでは、建築物の運用段階における評価を行うことも可能であり、健康性、快適性のための取組や、安全、安心性等について評価項目としております。 また、先導的な建築プロジェクトへの支援を行う国土交通省の補助金でございますサステナブル建築物等先導事業においては、設備の運用改善や省エネ設備の導入を通じて省エネ効果等を引き出すサービスを提供する事業者やエネルギーサービス事業者など、建築主と一体的にあるいは連携して省CO2技術を導入する場合についても、支援の対象としているところでございます。 御指摘のスマートビルディング共創機構は、デジタルやデータを活用したスマートビルの普及促進活動を行う団体と承知をしておりますが、国土交通省といたしましては、引き続き、建築物の総合的な性能の向上について、関係省庁とも連携しながら取り組んでまいります。
○須田委員 ありがとうございます。 最後に、既存の建築物への本制度の展開についてお伺いいたします。 我が国の既存建築物の延べ面積は、新築建築物の約六十五倍に上ると言われております。新築の評価を進めるだけでは、建築物全体の脱炭素は達成できません。 そこで、政府にお伺いいたします。 本法案で創設される評価制度を既存の建築物へ展開していく予定並びに実測データに基づく評価の方針について、お考えをお聞かせください。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 本法案で定める届出義務は、新築や増改築のみを対象としてございます。 一方で、建築物ライフサイクルカーボンに係る算定、評価のルールや第三者認証・表示制度については、新築や増改築のみならず、既存ストックにおいても、運用改善を行う際や設備更新などの改修を行う際にも活用可能なものとする予定でございます。 また、この制度では、建築物の使用段階の温室効果ガス排出量についても、設計段階の算定とは別に、エネルギー消費量の実績を基に評価を行い、認証を受けることも可能とする予定としております。
○冨樫委員長 約束の時間となりました。
○須田委員 時間となりましたので以上で質問を終わりますけれども、関係省庁と連携していただいた上で、利用段階での実測値の計測も含めて、この評価制度をブラッシュアップしていただきますようによろしくお願いいたします。 以上で私の質疑を終わります。ありがとうございました。
○冨樫委員長 次に、畑野君枝君。
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。 建築物省エネ法改正案について伺います。 本法案は、法律名を、建築物のエネルギー消費性能の向上及び脱炭素化の促進に関する法律に改めるとしております。 気候危機は現実のものになっています。台風や大雨による甚大な被害がもたらされ、今日、台風六号の接近で、関東地方で危険警報が相次いで出されています。今年は、五月に既に猛暑日を観測した地点もありました。建設業など戸外での仕事は、生命の危機と直結する事態になっております。熱中症など、様々な事態です。 再生可能エネルギーの拡大と省エネルギーの徹底は、もはや選択肢ではなく、不可欠な課題です。限られたカーボンバジェット、残されたCO2排出量の上限を踏まえ、どのように排出削減を進めるのかが問われています。 政府は、二〇三〇年度に二〇一三年度比四六%の温室効果ガスの削減を掲げており、そのために国全体で七・六億トンのCO2削減が必要としています。国土交通省は、二〇三〇年新築ZEH、ZEB水準、二〇五〇年ストック平均ZEH、ZEB水準を掲げています。 金子恭之国土交通大臣に伺います。 建築物のライフサイクルカーボン全体について、二〇三〇年、二〇五〇年に向けて、どの程度のCO2削減を見込んでいるのでしょうか。特に、建築物使用段階のオペレーショナルカーボンだけでなく、建材製造、施工、改修、解体など、エンボディードカーボンについて、具体的な削減目標や削減のロードマップを持っているのか、伺います。
○金子国務大臣 畑野委員にお答え申し上げます。 委員御指摘の脱炭素化に向けたロードマップとしては、地球温暖化対策計画において、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、二〇三〇年度における業務その他、家庭、産業、運輸の各部門ごとの温室効果ガス排出削減量の目安を設定をしております。 具体的には、二〇三〇年度における削減量の目安として、建築物の使用段階については、二〇一三年度比で、業務その他部門において約一・二億トン、家庭部門において約一・四億トンのCO2削減、建築物の資材製造、施工、解体段階については、建築関連に特化した形では設定されていませんが、計画全体の中では、産業部門、運輸部門など、削減量の目安が設定されている部門の一部に含まれております。 本法案によるライフサイクルカーボン評価の促進は、建築物のライフサイクル全体での温室効果ガス排出量を削減するよう考慮した建築設計の定着を図ることを目的としており、本法案の運用などを通じて、地球温暖化対策計画に掲げたロードマップの実現に寄与してまいります。
○畑野委員 大臣にお答えいただいたんですけれども、確認なんですけれども、スピード感を持ってやるべきじゃないかと思うんです。そういう点では、エンボディードカーボンも建築分野でなかなか出ないという話なので、そういうのも具体的に促進していただきたいと思うので、一言、いかがでしょうか。
○金子国務大臣 御指摘のこともございますし、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○畑野委員 是非お願いいたします。 政府は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、二〇五〇年までに全ての既存建築物のストック平均でエネルギー消費の少ないZEH、ZEB水準を確保する目標を掲げています。 国交省の脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会の試算でも、新築建築物の省エネ化だけでなく、既存建築物の省エネ改修や高効率設備への更新を織り込んで、ようやく二〇五〇年にストック平均でZEH、ZEB水準が見込まれるとしております。 一方で、本法案におけるライフサイクルカーボン評価の義務化は、五千平方メートル以上の新築建築物が中心であり、既存建築物は対象となっていません。建築物は長期間使用されるものであり、二〇五〇年時点でも、現在存在している既存建築物がストックの大部分を占めることになります。 既存建築物について、ライフサイクルカーボン評価を含め、どのように対策を強化していくお考えでしょうか。大臣に伺います。
○金子国務大臣 委員御指摘のとおり、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、既存建築物の省エネ化や脱炭素化に取り組むことは大変重要であります。 本法案で創設いたしますライフサイクルカーボン評価結果の第三者認証・評価制度は、既存ストックも対象とする予定でございます。 当該制度の活用によりまして、建築主や設計者が、省エネ改修を行わずにそのまま活用し続ける場合と改修を行う場合のライフサイクルカーボンを比較して、改修コストや光熱費、温室効果ガスの削減効果を把握することで改修を行うかどうかを判断したり、あるいは削減効果を表示しアピールすることで、環境負荷を考慮した事業に貢献したいと考える投資家や金融機関からの投融資につなげたり、環境負荷の低いビルに入居したいと考えるテナント企業の誘致につなげるといったことが期待されます。 国土交通省としては、補助、税制、融資などの支援制度や今般創設いたしますライフサイクルカーボン評価制度を通じて、既存ストックの省エネ改修を強力に推進してまいります。
○畑野委員 リフォーム助成など、要望もあるわけですけれども、目標を持って実効性ある対策を進めるためには、規制も含めた対策を是非検討していただきたいと思います。 ライフサイクルカーボン評価に当たっては、今後、低炭素建材やGX建材の活用が進められていくことになりますが、その評価の在り方は極めて重要です。鉄鋼分野では高炉にCCSを組み合わせる手法も検討されていると聞きますが、CCSについては、CO2排出削減効果やCO2の回収、貯留の面でも課題が山積しています。 千葉県の九十九里沖ではCCS事業に向けた試掘許可が出されましたが、南関東ガス田との関係や、プレートが三つも重なる、世界でもまれな地震地帯であって、住民から不安の声が上がっております。 CCSは、現時点で実用化されている技術ではありませんが、製造過程、エネルギー源、輸送、施工まで含め、ライフサイクル全体でCO2削減につながると言えるのか、その点を国土交通省に確認します。
○宿本政府参考人 お答えをいたします。 今回創設をいたしますライフサイクルカーボン評価制度におきましては、新たに建材、設備製造時の脱炭素化の取組が評価されることとなりますが、その実効性を高めるためには、それぞれの建材、設備において、製造時の温室効果ガス排出量原単位と言われるものを整備することが重要となります。 この法案におきましては、排出量原単位の算定方法や表示内容を国が定めた上で、建材・設備製造事業者がその旨を建材、設備の広告などに表示ができることとしております。 排出量原単位は、建材、設備の製造過程で排出される温室効果ガスを算定するということになりますが、委員御指摘の、排出されたCO2を回収して地中に貯留するCCS技術や、CO2を回収後に利用するCCU技術による貯留や利用の扱いについては、国際的に見てもまだ定まっていないところであり、国際的な動向も踏まえ、今後、有識者や関係省庁と議論をして検討してまいりたいと考えております。
○畑野委員 御答弁のように、CCSを活用した高炉由来鉄鋼については、それをグリーンスチールと位置づけることの是非をめぐって、ヨーロッパでも議論が続いていると聞いております。 政府は、CCS支援事業費として、これまで約九百一億円もの予算を計上していますが、CCSは、コストや安全性、長期的な管理責任など、解決されていない課題が多く、実用化も見通せていないということで、結局は、化石燃料の利用を前提とした対策になるものだということを指摘し、やめるよう求めておきます。 今回の制度では、五千平方メートル以上の事務所等が対象となっていますが、高層マンションなどの大規模住宅は対象となっていません。 大規模マンションは、大量の鉄鋼、セメント等を使用し、ライフサイクルカーボンの観点からも影響が大きいと考えられますが、なぜ対象から外したのか、大臣に伺います。
○金子国務大臣 五千平米以上の大規模な事務所は、着工棟数に比べて温室効果ガス排出量が大きいことに加えまして、構造種別が多様で、内装、外装、設備等が充実しているため、建材の排出量データの蓄積が期待されること、設計上の削減措置が多様であり、知見の蓄積が期待されることなど、他の建築用途への波及効果が大きいことから、まずは今回の届出制度の対象としたものでございます。 また、これまで行われてきたライフサイクルカーボン評価の実績や建築物の環境負荷に関する認証の件数は事務所用途が一番多いことから、建築主、設計者、施工者にとって最も抵抗感なく算定を開始できる対象であると考えられます。 一方、住宅については、住宅購入者や賃借人における脱炭素の関心はまだ高いとは言えず、取得等に関して相当の配慮が必要であることから、規制的措置として一律にライフサイクルカーボン評価実施の負担を求める届出義務の対象にはしておりません。
○畑野委員 建築分野全体の脱炭素化につなげるためにも、住宅分野の推進、一方で、住宅の価格問題、これはそれぞれ対策を、家賃補助などを含めて行うべきだというふうに申し上げておきます。 最後に、EUでは、加盟国に対し、二〇二八年から、一千平方メートル超の新築建築物についてライフサイクルカーボンの算定、公表を義務づけることを求めています。一部の国では、ライフサイクルカーボン排出量そのものに上限値を設ける規制も導入しています。なぜ日本では、今回の法案で、五千平方メートル以上の事務所等という限定的な制度設計となったのか。EUと比べても、対象範囲、規制内容とも、極めて限定的ではないでしょうか。いかがですか。
○金子国務大臣 EU加盟国の一部の国では、事務所以外の用途も対象として、建築物ごとの温室効果ガス排出量の上限値を設定した規制が既に導入されていると承知をしております。 一方、我が国では、ライフサイクルカーボン評価についてこれから統一ルールが定められようとする段階でございます。 これまで取り組んできた建築物の省エネ政策の場合、基準の整備から届出義務、説明義務などの施策を段階的に講じ、おおむね半世紀をかけて全面的な基準適合義務化に至ったところであり、ライフサイクルカーボン評価制度も同様に、段階的な施策の導入が必要であると考えております。 そのため、本法案では、まずはライフサイクルカーボン評価が一般的に行われております環境整備を進めることとし、統一的な算定、評価のルール整備に加えて、上限値を設けた着工規制ではなく、最も効果的、効率的に政策効果が上げられるものとして五千平米以上の事務所ビルを対象とした届出制度を創設いたします。 今後、ライフサイクルカーボン評価の普及に向けて、本法案で創設する制度をしっかりと運用してまいります。
○畑野委員 将来世代への責任を果たすためにも、より踏み込んだ対策を強く求めて、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○冨樫委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○冨樫委員長 これより討論に入ります。 討論の申出がありますので、これを許します。吉川里奈君。
○吉川委員 会派を代表し、本法案について、反対の立場から討論を行います。 参政党は、省エネルギーや省資源の取組そのものを否定するものではありません。しかし、本法案は、法律名に脱炭素化の促進が明記されることからも明らかなように、建築物の省エネ性能の向上にとどまらず、ライフサイクル全体の炭素排出量を評価し、脱炭素化を制度として進めるものであります。 政府は、二〇五〇年カーボンニュートラルに向け、二〇三〇年の新築ZEH、ZEB水準、二〇五〇年の建築物ストック平均での同水準達成を目指しています。また、エネルギー基本計画では、二〇三〇年に新築戸建て住宅の六割に太陽光発電設備の設置を目指す方針も掲げられております。 本法案が直ちに一般住宅や太陽光パネル設置を義務づけるものではないとしても、政府方針上は建築市場全体へ脱炭素評価を広げるプロセスの一環であり、将来的な影響を慎重に見極める必要があります。 建築分野で脱炭素政策を進めるのであれば、その費用対効果を数値に基づいて国民に示すことが不可欠です。日本全体が二〇五〇年にCO2排出量を実質ゼロにしても、世界平均気温への影響は〇・〇〇六度程度にとどまるとの試算もあり、建築分野の脱炭素化による効果はその更に一部にすぎません。 一方で、太陽光発電を主とする再エネ導入の推進は、電力系統を安定させるための追加コストを伴い、その負担は電気料金や再エネ賦課金を通じて国民生活に及びます。 また、本法案は、建築材料や設備の製造事業者、とりわけ中小メーカーにも影響を及ぼしかねません。形式上は努力義務であっても、低炭素建材が選ばれる市場になれば、CO2原単位を示せない事業者の製品は採用されにくくなります。中小メーカーにとって、製品ごとの算定、検証、更新、事務負担は重い負担となり、事実上の参入障壁となるおそれがあります。 さらに、昨今の中東情勢の緊迫化を踏まえれば、我が国に求められるのは、脱炭素という政府目標の達成を急ぐことではありません。必要なのは、安価で安定的な、現実に即したエネルギー供給体制の確保であります。エネルギー安全保障と産業競争力を軽視したまま、脱炭素政策を進めるべきではありません。 政府が脱炭素化を制度として進めるのであれば、電気代、建築コスト、建材・設備メーカーや工務店への事務負担、そして実際の気温低下効果を含めた費用対効果を国民に分かる形で示すべきです。負担に見合う効果が明確でないまま、国民生活と、我が国を支える中小事業者に将来的な負担を及ぼしかねない本法案の方向性には、賛同することができません。 以上の理由により、参政党は本法案に反対をいたします。
○冨樫委員長 これにて討論は終局いたしました。 ―――――――――――――
○冨樫委員長 これより採決に入ります。 内閣提出、建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○冨樫委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○冨樫委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ―――――――――――――
○冨樫委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十分散会