外交・安全保障に関する調査会 第1号
- 発言数
- 89 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2025/02/12
会議録
○会長(猪口邦子君) ただいまから外交・安全保障に関する調査会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、岩本剛人君が委員を辞任され、その補欠として比嘉奈津美君が選任されました。 ─────────────
○会長(猪口邦子君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 外交・安全保障に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(猪口邦子君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(猪口邦子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○会長(猪口邦子君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 外交・安全保障に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(猪口邦子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 ─────────────
○会長(猪口邦子君) 外交・安全保障に関する調査を議題といたします。 本日は、「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」のうち、「中東情勢をめぐる現状と諸課題」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。 御出席いただいております参考人は、防衛大学校名誉教授立山良司君、拓殖大学教授佐藤丙午君及び立命館大学国際関係学部准教授越智萌君でございます。 この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、立山参考人、佐藤参考人、越智参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までをめどに質疑を行いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず立山参考人からお願いいたします。立山参考人。
○参考人(立山良司君) 立山でございます。どうぞよろしくお願いします。 私は、中東の現代政治、特にイスラエルとパレスチナ問題を専門にしております。 御承知のとおり、一昨年十月七日にハマスが大規模なイスラエルへの越境攻撃を行って、それ以降、ガザはずっと戦闘状態が続いておりました。加えて、レバノンのシーア派組織ヒズボラがイスラエルへ攻撃をする、あるいはイスラエルとイランの間での応酬がある。加えて、直接は関係ないんですけれども、連鎖的にシリアのアサド政権が崩壊して新しい暫定政権ができてまだ二か月程度という状態にあります。そういう中でトランプ政権が発足をいたしました。トランプ政権にとっては、中東というのはかなり大きな政策課題になるだろうと思います。 二十分という時間でございますので、今日は私は、そのガザの状況、それからイラン、特にイランの核開発をめぐる状況、それに全体、中東全体をどういうふうに考えればいいのかという点をお話をさせていただきたいと思います。 まず、十五か月ガザでは戦闘が続いたわけですけれども、先月一月十五日にイスラエルとハマスの間で停戦の合意がなされ、一月十九日に停戦が発効し、停戦期間が始まりました。 その停戦の合意の内容は、三ページ目、最後のページに骨子を書いておりますが、三段階から載っておりまして、第一段階、四十二日が一月十九日からスタートしたわけでございます。それで、この間、イスラエルは、イスラエル、ハマス双方が戦闘をやめる。それで、イスラエル軍は人口密集地から撤退する。人質はこの四十二日間に三十三人を段階的に解放する。他方、イスラエルの方は拘留しているパレスチナ人を段階的にやはり釈放する。で、大規模な人道支援、援助を開始するということになっております。さらには、第二段階に向けての交渉を行うことになっております。 その後、第二段階が四十二日間、さらには第三段階と続くわけですけれども、この数日ニュースでも流れておりますけれども、この月曜日、十日にハマスが、今週の土曜日、二月十五日に予定されております三人の人質の解放を実施しないかもしれないという声明を出しました。それは、イスラエルが人道支援物資の搬入を阻害している及びパレスチナ住民に対して銃撃をしている、現にパレスチナ住民がイスラエル軍によって三人銃撃されて死ぬという事件が日曜日に起きていますので、こういう事態を捉えたことだろうと思います。 それで、予定どおりに進むのかという問題が浮上してきたんですけれども、トランプ大統領が、その直後に、今週の土曜日、さっき申し上げた二月十五日の正午までに、この正午が、何で正午が出てきたのかよく分からないんですけれども、正午までに三人の人質じゃなくて全人質を解放しろと、そうでなければ大変な目に遭う、地獄の蓋が開くというような表現をしまして、今のところ、それに対してハマスがまた強く反発をする。他方、イスラエルの方は、三人ではなくて全人質の解放という新しい要求を掲げる形になりまして、どうなるか今のところよく分からない状態であります。 いずれにしましても、これまで、資料の(1)のところにございますけれども、人質は十六人、これとは別枠で、別枠というのは三十三人という第一段階の中の十六人が解放され、加えてタイ人五人が解放されております。他方、パレスチナ人の拘束者は七百六十六人が解放されております。 イスラエルは人口密集地から撤退しておりまして、これも末尾に地図がございますが、ガザの周辺地域にイスラエル軍は撤退をしておりまして、人口密集地といいますか、まあガザは元々狭いところです、人口密集地がほとんどなんですけれども、周辺地域にイスラエル軍は撤退を完了したという状況になっております。 あと、住民も北の方から南の方に逃げたりしている人たちが多数いるわけですけれども、それなりの数が南から北に戻ったりというようなこともあり、人道支援物資の搬入も行われていたという状況の中で、先ほど申し上げたように、この数日間、二月十五日の人質解放をめぐって状況がよく分からなくなってしまったということです。 あと、第二段階の交渉も、本来であれば二月三日にスタートしているはずなんですけれども、今のところスタートしていない模様です。模様と申しますのは、裏で交渉をしているのかもしれませんけれども、正式には交渉はスタートしていないということです。 一昨年の十月七日から十五か月以上の戦闘が続いていたわけで、この今申し上げたような合意の内容というのは、昨年の五月に、五月末にバイデン大統領が提示した提案、停戦合意案とほとんど一緒なわけです。それがやっとこの一月になって合意に達したのはなぜかということですけど、イスラエル側からすると、人質の命が、かなり亡くなっている人も多いだろうという推測を含め、推定を含めてですね、命の危険が迫っている。それから、いつまでたってもハマスはやはり抗戦をやめない。それから、ハマスがその第一段階でイスラエル軍の完全撤退といったようなそれまでの条件を緩めた。それから、イスラエルもまた戦争長期化によって社会的、経済的な負担が増えている。さらには、その就任直前でしたけれども、トランプさんからの圧力があったというようなことだと思いますし、ハマスの方も、イスラエルは現実には攻撃をやめない。それで、相当数の幹部が殺されておりますので、ハマスの組織の存続自体が危ぶまれる、さらには非常に苦しい状況にあるガザのパレスチナ住民のハマス批判が起きるおそれがある、あるいは実際に起きております。 それから、連帯を表明して一緒にイスラエル攻撃をしていたイランとかヒズボラが弱体化してしまった。それに、後でまた申し上げますけれども、戦後にハマスが、まあ戦後というのはかぎ括弧付きですが、あくまでも、戦後にハマスが関与する可能性があるということです。 で、今後の課題ですけれども、もちろんこれはその停戦が維持できるかどうか、さらには第二段階に進むことができるのかということです。 イスラエルの連立政権の中には強硬派が、そのハマス解決まで戦闘を続けるべきで、もし第二段階にそのまま行ってしまえば連立から抜けるということを言っております。連立から抜けた場合、ネタニヤフ政権は過半数割れになってしまうという状態になっております。 でも一方で、今まで十六人解放されたわけで、イスラエル国内では全員解放を目指してもっと停戦を続けるべきだという意見も続いておりますし、あと、トランプ大統領が何を考えているかよく分かりませんけれども、少なくともこの合意が成立した段階では、トランプ、まだそのときは大統領に就任していませんけれども、トランプさんからの圧力があったということは間違いないようです。 今後の大きな問題は、そのトランプ、トランプじゃない、ガザをどうするのかということです。 ここにも書いてありますとおり、例えば瓦れきが五千万トン以上出ていると推定をされています。これは東日本大震災のときの瓦れき三千万トンをはるかに超える量であり、加えて、ガザというのは東京二十三区の中と比べて面積が僅か六〇%程度しかありません。ですから、非常に狭い範囲に膨大な量の瓦れきがあって、まさに瓦れきの山と化しているという状態であるわけです。 そういう中で、その人道、緊急人道支援をやり、さらには将来に向けて復旧復興をやっていく、そのためにはどういう統治形態があり得るのか、誰がどういう形でガザの秩序を維持していくのかということが必要なわけです。よく言われるのは、今、西岸の一部を統治しておりますパレスチナ自治政府がございますが、そのパレスチナ自治政府がガザでかつては統治をしていたんですけれども、その後ハマスの実効支配になり、しかし、今回の状況によって、またパレスチナ自治政府の統治を再開するという考え方もございます。ただし、イスラエルはそのパレスチナ自治政府の統治を認めないと言っております。じゃ、どうするんだというと、具体的な案はございません。 そうした中で、またトランプ大統領が、ガザを中東のリビエラにするという、私から見ると荒唐無稽なとしか思いようがない、それは、国際法上も、国際人道法上も全く許せないことですし、加えて、そのパレスチナのガザの二百二十万人ぐらいの住民がいますが、彼らはガザの中に必死に食らい付いて住んでいるわけで、その人たちを、どういう形でするか分かりませんが、もし強制的にするとすれば、これは完全に国際法違反ですけれども、ヨルダンなりエジプトに移送する、あるいは追放をして、そこでガザをすばらしいリビエラにするというようなことは荒唐無稽としか思えないわけです。 もう一つの問題点は、ハマスを完全に排除できるのかということです。 この十五か月間、ハマスは非常に厳しい状況に置かれ、組織的にも大打撃を受けております。しかし、支援物資が届き始めた、停戦が始まってから。動画を見ていますと、ハマスの警察官がすっと出てきて、交通整理なんかをやっているわけですね。それは、その十月七日の大規模攻撃の以前までハマスは実効支配をガザでしていて、約五万人の行政スタッフ、教育とか医療とか、様々な行政サービスを担う職員を抱えていたわけです。ですから、その人たちがまた出てきている。それは全員がハマスということではなくて、ハマスに関係している人、あるいは生活をするためにそういう行政に携わっている人がいると思うんですけれども、そういうハマスの存在をどうするのかということで、また御質問があればお答えしたいと思いますけれども、そのハマス抜きのガザというのはもう考えられないわけです。 日本を含め、ハマスが実効支配をし始めた二〇〇六年以降、ハマスはテロ組織だから接触をしないというノーコンタクトポリシーというのを取ってきましたが、実際にはいるわけですから、その人とコンタクト、その組織、実効支配をしている組織にコンタクトしないまま支援をすることも復興、復旧復興を図ることも不可能なわけです。そこをどうするのかということはもっと真剣に考えるべきかと私は思っております。 次に、イランの核開発問題に進みます。 イランは、もう新聞等でもマスメディアでも書かれておりますとおり、この半年ぐらいの間に大きく弱体化しました。弱体化の要因は二つあります。一つは、アサド政権、シリアのアサド政権が崩壊し、ヒズボラが弱体化したということで、イランからイラク、シリアを抜けてレバノンまで結んでいく、戦闘員あるいは武器をイランからレバノンまで送っていた回廊がほとんど使えなくなってしまいました。閉じた状態になっております。ですから、イランは、イランの外側、イランより前の方で、前方で防衛をするという戦略を取ってきた、前方防衛戦略を持っていたんですけれども、その前方防衛戦略は今ほとんど破綻してしまったと言っていいわけです。いわゆる抵抗の枢軸というのがいなくなってしまったということです。それに、もう一つは、イスラエルは昨年の四月と十月にイランを攻撃をしておりますが、この攻撃の結果、イランの防空システムがほとんど機能しなくなってしまったと言われております。アメリカの政府高官は、イランの防空システムは今や丸裸だと表したほどでございます。 そういう状況の中で、イランは、二〇二一年、二二年頃から、そのウラン濃縮のスピードを加速化させております。現在、濃縮、六〇%の濃縮ウランは、昨年十月のIAEAの推定では百八十二・三キログラムとされていて、これは、更に濃縮を、九〇%まで濃縮をしていけば四発分の原子爆弾、核兵器を造れる量だと言われております。 また、イラン国内で核抑止力に対する議論が出ております。イランは、最高指導者のハメネイ師が二〇〇〇年代の初めにイスラム・シーア派の教令という、法学上、イスラム法学上の裁定を出しておりまして、核兵器を持たないというふうに宣言をしております。それを理由として、イランは、我々の核開発はあくまでも平和利用であるということを主張し続けてきたわけですけれども、先ほど申し上げたように、そのイランの前方戦略、前方防衛戦略あるいは防空システムがほとんど機能しなくなったという事態を踏まえまして、イランの国内で核抑止力をもっと見直すべきではないかという議論が出ております。すぐに核兵器を持てということではありませんけれども、全く核兵器化の選択肢をなくすことは良くないのではないかという議論も出てきております。 加えて、イランは、そのIAEAなんかも指摘しておりますけれども、核兵器の起爆装置の研究などをしている、あるいは開発をしているという疑いを払拭できない状態になっております。 まあ、トランプ大統領はイランとディールをして戦争は好まないということを言っていますけれども、どうやって何を、何と何をディールするのかというのは全く見えてこないわけです。制裁解除すれば、イランは、核兵器開発は、核開発をスピードダウンするということがディールになれば可能かと思うんですけれども、核開発全てをやめろ、あるいはミサイル開発を全部やめろ、あるいはテロ支援を全部やめろというようなことがディールの中に入ってくるとすれば、ディールは成立しない可能性が高いわけです。 他方で、イスラエルは、イランの抑止力が非常に弱体化したことをもってカッツ国防相が脅威を取り除く最大のチャンスと言っておりますが、イランに対するイスラエルの攻撃というのも、距離が片道で二千キロぐらいあって、地下に核開発施設があるという状態を見て考えますと、軍事的行動ができるのかというと、疑問がなきにしもあらずという状況です。 もう時間が間もなく迫っておりますので、最後に、中東の問題について三ページの一から六まで書いておりますが、なぜ中東がこれだけ不安定要因があるのかというと、一番の要因は、恐らく国家として凝集性が非常に欠けている。それはなぜかといいますと、長い間植民地支配で、人工的につくられた国家であり、国内に様々な民族、様々な宗教、宗派を抱えている、ですから、その国のあるべき姿が国民の間で完全に共有されたものがない。 一番分かりやすいのは、世俗的な国家にするべきか、もう完全にイスラム教の教えに従った国家にするべきか、その間にはまたいろんな取組方があり得るわけです。そうすると、同じ例えばイスラム主義といっても意見が異なってくる。いわんや、民族が違う、宗教が違うともっと異なってくるということで、国家としての収れんがない、あるいは一体性がない。そのことが、それでも力を、政権を維持しなければいけませんから、強権的な政権になっていく、反対意見は述べさせない、民主主義は育たない、あるいは国境を人、物、金がどんどん移動するという状態になっている。で、パレスチナ問題もあるというようなことかと思います。 今後、今申し上げたガザ、イランの核問題、それにシリアの移行政権とかレバノンの問題もございます。日本は中東にまだ石油を、九〇%以上の原油を依存をしております。そういう中で日本がどうする、何をしていくのか。もちろんガザへの支援等を行っていくべきだと思いますが、やはり一番重要なことは、繰り返し日本も外交政策の根幹として据えている一つである法に基づく秩序、法の支配、これをどう実現していくのか。余りにも法の支配が、あるいは法に基づく秩序が行われていないのが今の中東、特に最もひどい例がガザかと思うんですけれども、そういう中で日本がどういうふうに声を上げていくというのかということが一番重要かと思います。 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。 次に、佐藤参考人にお願いいたします。佐藤参考人。
○参考人(佐藤丙午君) ありがとうございます。 拓殖大学海外事情研究所所長・国際学部教授の佐藤丙午です。私の専門は、国際関係論や安全保障を中心に勉強させていただいております。 本日は、参議院外交・安全保障に関する調査会にお招きいただき、感謝いたします。 会長の猪口邦子先生には、私が研究を志したときより、様々な場面で御指導をいただいております。本日は、中東地域の諸問題から人工知能に関わる、AIに関する軍備管理・軍縮の問題を説明させていただく上で、改めて先生に心より感謝申し上げるとともに、御指導の成果をお返しする気持ちで臨みたいというふうに考えております。 まず、AIの軍事利用に関する最近の話題を紹介させていただきたいと思います。 二〇二五年一月に、グーグル社が二〇二四年のラウンドアップ報告書を発表しております。その際、グーグル社が、その中に含まれているAIの倫理原則よりAIの軍事等への利用に関する項目を削除したということが話題になっております。これは、しかし、グーグル社がAIの軍事利用拡大に転換したと理解するのではなく、軍事安全保障の分野においてAIの利用というのが非常に一般的な、極めて一般的な現象になっている現実というものを反映した反応であるというふうに考えるべきだと考えております。 実際、AIの軍事利用は、イスラエルのハマスに対する攻撃において大きく注目を集めました。二〇二三年十月以降、複数の米国紙は、イスラエル軍、IDFの、ガザ地区のハマスの構成員の情報を収集し、ごめんなさい、イスラエル軍がガザ地区のハマスの構成員の情報を収集し、それをAIで分析し、攻撃に利用していると報じています。実際、IDFは、二〇一九年五月に、参謀本部諜報局の下に、新たに標的特定を目的にした部門を立ち上げております。その組織に関する説明を見る限り、IDFとイスラエルの情報機関、特にユニット八二〇〇という機関が注目を集めておりますけれども、それと諜報機関というのは長期間にわたってハマスに関する情報の収集に当たっており、それらを攻撃に利用するためにAIの活用を進めるということを決定したようです。 軍事分野におけるAIの活用には、複数の段階が想定されます。特定通常兵器使用禁止制限条約、CCWと申しますけれども、ここにおいては、攻撃に至るまでの段階を、NATOなどが利用するターゲティングサイクルを援用して、司令官の目的明確化、標的の探索、追跡、標的、攻撃、また攻撃後の評価などに分類して、それぞれの段階でのAIの活用に関する規制の可否を検討しています。 イスラエルによるAIの利用では、ハブソラ、英語名でゴスペルと申しますけれども、それであるとか、ラベンダーと呼ばれるAIの利用が報じられています。報じられていると申し上げるのは、これは公式な表明ではないためです。以下、報道ベースで申し上げますが、ゴスペルは機械学習の機能を使用して標的を特定するもの、そして、ラベンダーは人的な標的の特定と行動把握、恐らくこれには追跡も含まれると思いますけれども、それを可能にするAIであると言われております。しかしながら、いずれも攻撃を実施する際の判断は、IDFの司令官によって行われます。その意味で、これらAIは、攻撃の意思決定の支援システムであって、兵器そのものではありません。 ゴスペルは、IDFとイスラエルの情報機関及び諜報組織の協働によって、衛星、通信など複数の情報源から情報を収集し、標的の特定を目的にしているようです。これは、標的の特定や発見において、IDFが過去苦慮してきた標的リストの枯渇という問題に対応するものであるというふうにされております。 ここに、AIの軍事利用の一つの特徴があります。つまり、リアルタイムで大量のデータを分析して攻撃に活用する、いわゆるデータサイエンスの領域に関わる特徴です。 御存じのとおり、データは、映像、これは物理イメージや生体情報を含みますけれども、それや音声など、様々な形態が存在します。そして、データ分析の軍事利用では、利用目的による区分が想定されます。例えば、先に申し上げた標的の発見に加え、例えば、各国が仮釈放の決定などで用いられる対象の将来の行動予測であるとか、目的に応じた軍事的な行動の提案なども、これは生成AIで、皆様御存じだと思いますけれども、AIにおけるデータ活用の一例だというふうに言えます。 IDFのAI利用を分析した研究では、IDFが攻撃支援、情報分析に加え、プロアクティブな予測、指揮命令系統の効率化などの分野でAIの効率化、活用を図っているとしております。ただ、多く見られる分析には、多くの場合は証拠が明示されておらず、イスラエルによる軍事分野におけるAIの活用を神話のように語る傾向も見られるため、確実な実態の把握が必要であるというふうに考えております。 ただ、確実に言えることは、生成AIなどの開発が進むことにより、イスラエルに限らず多くの国が攻撃における意思決定システムとして、の支援システムとしてAIの活用を拡大することになるであろうということが予想されることであると思います。 つまり、AIの軍事利用の可能性の幅は、攻撃支援に限らず、攻撃に関する意思決定前の段階での標的探索、また行動予測による標的の発見、さらには一般的な意味での意思決定支援システムなどまで存在します。IDFのゴスペルにおける標的は物理目標が中心でありますけれども、ラベンダーと呼ばれるシステムは個人の特定、また、これはホエアズダディーと呼ばれるAIも存在しますけれども、存在するというふうに指摘されておりますが、このようなシステムは行動把握を目的とするなど、複数のシステムをIDFは利用しているというふうに分析されています。 難しい点は、これらの例から示されるように、AIは軍事的に利用されてはいますけれども、それら技術そのものの開発意図や技術は必ずしも軍事利用に特化したものであったわけではないという点です。 そして、忘れるべきではないことにおいては、イスラエルの、ごめんなさい、AIの軍事利用はイスラエルだけが行っているものではないということであります。 このように、AIの軍事利用が急速に進む中、そこには大きなリスクが存在しております。イスラエルの問題を出発点として申し上げるとすれば、そこには人道法上の問題や倫理的な問題が存在します。 人道法上の問題は、ガザでの戦闘で顕著に見られたとおり、民間人の附帯被害の問題です。ジュネーブ諸条約第一追加議定書の下では、事実上、一定の附帯被害の発生、一定の附帯被害が発生することが想定されています。しかし、その被害の程度の判断は各国の決定に委ねられております。したがって、そこにおける解釈の幅は極めて大きいものがあります。もちろんのこと、附帯被害がゼロであることは理想ではございますけれども、今回のガザの戦闘では、イスラエルにおける標的と附帯被害の割合というのは一対二十とも、それ以上にも設定されていたとも報じられております。その分だけ標的、一つの標的を攻撃する上で附帯被害が大きくなるという現象が発生します。 AIの軍事利用の問題においては、兵器の資格審査、適格審査の問題も指摘する必要があると思います。現在、防衛省・自衛隊でも検討が進んでいるというふうに聞いておりますけれども、第一追加議定書第三十六条の兵器審査が、AIの直接的な兵器利用や意思決定システムなどでの活用に関してAIの技術や用途についてどこまで、またどの程度の審査をすることが必要であり、なおかつそれが十分であるのか、それを検討することが日本のみならず国際社会においても急務になっておると思います。なお、さらに、兵器審査の国際的な普遍化に関わる問題においては、軍備管理・軍縮において国際協調が必要な分野だと思います。 さらに、AIの問題においては、AIの信頼性の問題がございます。先ほど申し上げたゴスペルについて言えば、その信頼度は九〇%であるというふうに評価されております。逆に言うと、一〇%は誤爆が発生するということになりますけれども、これを九九%以上に近づける、信頼性を九九%以上に近づける技術もあるというふうには指摘されておりますけれども、しかしながら、ゴスペル以外のシステムにおいて同じ状況にあると言えるかどうかは判断付かない状況にあります。情報収集とその正確性には一定の限界があり、どうしても間違った情報に基づく誤った判断が発生します。また、AIのアルゴリズム自体にバイアスが存在するともされています。 もしAIを使用しなかったとしても、人間の司令官が誤った判断を下すケースというのは数多く存在します。このため、先ほど申し上げたCCWにおいても、また国連のグテーレス事務総長や中満泉事務次長などが進める新たな平和への課題においても、またオランダと韓国が進めてきた軍事領域における責任あるAI利用、REAIMというふうに申し上げますけれども、これにおいても、AIの軍事利用は避けられないということを前提に、兵器システムにおける人間の関与を確実に担保することの重要性というものを強調しております。 現在、CCWでは、自律型致死無人兵器システム、いわゆるLAWSの規制において検討が進められており、二〇一九年までには、既に指導原則、ガイディングプリンシプルと呼ばれますけれども、これの合意が得られております。この原則では人道法の遵守が改めて強調されています。この合意は、もちろんのこと、ウクライナやガザでの問題が発生する前の文書ですけれども、特にIDFにおける、IDFによるAIの軍事利用が指摘される中、改めてこの問題での国際合意に関する議論の活性化が必要であると感じております。 やはり、ウクライナやガザでの戦闘の状況を見ると、AIの軍事利用、軍事面での利用拡大は避けられないというふうに感じます。つまり、各国は既にその競争状態に至っており、日本が無関心であることはできないということであります。考慮すべきなのは、しかし、AIの軍事面での利用は、必ずしも攻撃に特化した側面での利用に限られることなく、また、IDFの利用方法にしても、それが国際法を遵守した使用であるということを彼らが主張していることを完全に否定することはできないということであります。 このような状況を踏まえると、日本は、CCWで議論されているような禁止と規制の二段階アプローチを精緻化し、国際的な合意が得られる内容へと進化させることが必要であるというふうに感じております。そして、AIの軍事利用を止めることができないということを前提に、その中でどのようにすれば人道法のより良い遵守が可能なのかということを検討していく、検討していってほしいと考えております。 韓国は、AIの軍事利用を加速化し、恐らく日本の防衛省・自衛隊が短期的には追い付くことが困難な状況にまで至っております。韓国は、それとともに、規制の議論で国際社会を牽引しております。両面での、軍事及び規制における両面での貢献があって初めて国際的に実行力ある議論を主導することができるというふうに韓国の状況を見て感じております。 したがって、日本においては、これら問題に対処し、AIの規制を促進する施策をIDFの事例等から学び、日本の政策の検討につなげてほしいと思います。 どうもありがとうございました。以上でございます。
○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。 次に、越智参考人にお願いいたします。越智参考人。
○参考人(越智萌君) 越智と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 現在は、立命館大学国際関係学部及び研究科の准教授として学生に基礎法や国際法、国際機構論などの授業を教えている傍ら、特に国際刑事裁判所、ICCの手続や正義に関する問題に着目して研究をずっと続けてまいりました。今般のパレスチナ、イスラエルの事態に関するICCの動向やこれに対する正義と平和の問題について、社会学的な観点からの分析も行っております。 そこで、この調査会における私の意見陳述の位置付けですけれども、国際社会における法の支配のための具体策について検討するものです。特に、中東情勢においては、国際法遵守の確保は急務になっております。国際法を守らせるためにどのような手段や制度があり、それに対する障壁にはどのようなものがあり、そしてそれらの障壁を克服するには、日本、特に立法府はどのような具体策を取るべきなのかについて、特に、近年急速に発展する国際刑事司法制度の観点から多くの具体例を御紹介しながら意見を述べたいと思います。 それでは、レジュメの一、現代国際社会における国際法遵守確保の規範状況に参ります。やや基本的な、大学の授業で聞かれるような部分もあるかと思いますけれども、まず基本的なところからになりますが、(1)、法遵守論です。 法遵守論は、法に関わる人間の行動を分析する法社会学の分野で発展してきました。例えば、社会における規範を学習して自分のものとして内面化する法的な社会化と呼ばれる現象や、大人になる過程において、子供が大人になる過程において、周りの人と同じことをして社会の一員として認められたいという欲求によって法を守るようになるといった法的発達の理論もあります。そして、その中では、最も伝統的なものが、刑罰の恐怖によって逸脱行動を抑止するという刑罰抑止論がございます。 (2)、他方で、国際社会における国際法遵守というのは、少し違ったアプローチが必要になります。国内での一個人の問題とはやや異なることは御想像のとおりかと思います。それは、伝統的に、国際法を守るというのは国家のことであって、国家の義務と責任を論じることが主流だったためです。 そのため、従来の国際法遵守確保メカニズムというのは、返報と呼ばれるものや対抗措置、国際裁判や、それから、いわゆるネーミング・アンド・シェーミングといったような、評判を気にするといったメカニズムによって、いわゆる一般的には、相互主義というものに基づくものが主流でございました。逆に言えば、国内法遵守確保の基本である刑事制裁の手段というのは、国際法遵守メカニズムとしては従来は余り考慮されてきたものとは言えませんでした。 しかし、実際上、国家といっても、それは実態のない存在であって、実際に行動、国家の行動を決定するのは人間であります。そして、国際法を守るかどうかを決めるのも、国家の政策を決定する権限を有した特定の人間であったり、軍であれば、前線で戦っている一人一人の兵士なわけです。そのため、国際法違反に対する制裁といいますのは、国家という国際責任主体に対するものと、政策決定権を持つ個人に対するものの二段構えになる必要が従来からありました。 そこで、(3)、現代国際社会ですけれども、法遵守確保の手段として刑事制裁の措置が存在する世界であると言えると思います。このことを認識することによって、国際関係における法遵守というものを見る視点が一つ増えているというところをまず御確認いただきたいと思います。 この国の政策を決定する個人に対する刑罰抑止というメカニズムは、近年、国際機関とそれから国家機関の両者で補完し合いながら運営されています。国際機関としては、先ほど名前が出てきました国際刑事裁判所、ICCがメインのものとして運営されているという状況です。 ICCについて少しだけお話ししますと、国際法違反の重大な犯罪、全ての国際法違反ではないですけれども、その中でも重大な犯罪、中核犯罪と呼ばれるカテゴリーのものを行った個人に対して、個人の刑事責任を問い、そして刑事制裁を科す機能を持つ国際機関になっています。 中核犯罪は、レジュメ一ページの最後の方に挙げている四つの犯罪を指しています。これに加えて、各国に訴追義務を定めているのが国際規制条約でして、これらで定義される国際犯罪というのが国際規制犯罪と呼ばれるものとなっています。 この二つの国際犯罪の類型が、次の、レジュメ、次のページの、二ページの一番上のところの図にありますように、実はオーバーラップする関係になっているところが少し混乱を生んでいる部分もあるんですけれども、図のように、戦争犯罪とジェノサイドについては国際規制条約もありながらICCの管轄犯罪でもあるという形になっていて、それから、中核犯罪の一番上にあります人道に対する犯罪、これについては、国連の国際法委員会でただいま条約草案が作成されているところという状況だと思います。 そして、(4)、現代では、国家が立法又は政策を決定する段階で、特に中核犯罪の該当性を考慮する必要性があるということです。特に次の三つを考慮する必要があります。 ①、第一に、国自体が中核犯罪を行わないようにするということです。国に中核犯罪を行わない義務を課す条約があります。ジェノサイド条約、日本は加盟しておりませんけれども、ジェノサイド条約や、戦争犯罪について定めるジュネーブ諸条約等によるものです。また、いかなる逸脱も認められない強行規範として、拷問の禁止等が挙げられることがあります。 ②、第二に、これら犯罪に責任のある人が自国にいる場合、捜査を行い、訴追を行う義務が発生しています。こちらの方がむしろ日本の立法府にとって関心事になる必要がある部分かと思いますけれども、だと思います。 ICC規程締約国は、特に、ICCから逮捕状が出ている人物を国内で発見した場合、逮捕、引渡しを行う義務を負っています。逆に言うと、何もしない、非協力というのが違法化された状態になっているというわけです。ほとんどのケースでICC締約国はこの義務を守っています。 レジュメ三ページに一旦飛びますけれども、一面に表があると思いますが、表一ですね。ICCにこれまで引き渡された被疑者というのは実は二十名余りこれまでおりまして、それぞれの逮捕は、この表の一番右の列にどういうケースで、どういう経緯でこの人たちが逮捕され引き渡されたかというのを書いておりまして、全て埋めては、埋めれてはいないんですけれども、多くはヨーロッパ諸国、そしてアフリカ諸国が協力したケースになっております。 一つ興味深いのは、ンタガンダという人のケース、二〇一三年のケースですけれども、ルワンダのアメリカ大使館に被疑者が出頭して、そして、アメリカは御承知のとおりICC加盟国ではありませんので、ルワンダ政府と協力して実際に引渡しを実現させたというケースもあります。 あと、ほかにも、表の上の方だと、国連の平和維持軍要員殺害について国が逮捕したりであるとか、一番最初はその平和維持活動の部隊によって身柄が拘束されたりといった形で、国家当局の警察が逮捕する場合もあるし、国連の要員、国際機関の職員が逮捕する場合もあるということで、様々なルートを通ってICCに被疑者が引き渡されてきたと言えると思います。 一旦、またレジュメ二ページに戻りまして、また、現代では、知らなかった、できなかったという言い逃れが難しくなっていると思います。先ほどの表に挙げたように、アフリカの反政府武装勢力の場合ですと、ジャングルの奥深くに逃れていてなかなか見付けられない、そして身柄を、その人が滞在していたということが後で分かったとしても、そのいたときは分からなかったということが、まあ本当に事実としてあったんだろうなと思うんですけれども、現代、これがだんだん難しくなっているということで、これには通信や記録、捜査技術が飛躍的に向上しているということで、誰がどこにいるかというのが多くはSNS等々通じてリアルタイムで分かってしまうということが挙げられます。外国で起きた犯罪でも刑事訴追を行うことが技術的に可能になりつつあるということが背景にあります。 特に、市民社会が国際的なネットワークを通じて、情報網、そしてオープンソースを利用して捜査を続けておりまして、例えばドイツやウクライナなんかでも、市民社会が持ってきた証拠を通じて刑事司法当局が捜査、訴追を開始するといった事例が増加しております。 このような刑事司法の網による違法行為の国際的取締りという国際法遵守確保制度の中では、これに協力しないこと自体が中核犯罪への加担とみなされるという、ややインパクトの高い波及効果があります。 例えば、二〇二五年一月、昨月ですね、ICC被疑者のリビア人の元刑務官がヨーロッパを旅行しているという情報があって、ベルギーなんかにもいたそうなんですけれども、イタリアにいるときに身柄拘束をされたということなんですが、その後、イタリアが引渡しを行わずに当該者をリビアに帰国させたということについて、イタリアのメローニ首相に対し犯罪幇助の疑いが掛けられるという事態にまで発展しております。 レジュメ四ページに飛びまして、③に、中核犯罪行為に直接協力するというパターンも義務違反を生じるという法解釈が拡大していることも付け加えておきたいと思います。 二〇二四年三月に、ニカラグアが国際司法裁判所、ICJに対して、ドイツによるイスラエルへの武器輸出について提訴をしています。これは、ジェノサイドや国際人道法違反に協力すること、国として武器を輸出することで協力することがこれら犯罪の防止義務に違反することなどを訴えるものです。まだ本案には進んでおりませんけれども、今後、新たな国際法解釈が見られる可能性があるということで注視しているところになります。 それでは、二、ICCの活動に入ります。 このような国際法遵守制度を背景に、中東情勢、特にイスラエル・パレスチナ紛争を見ると、従来と違った見方が必要になってくることがお分かりかと存じます。 (1)、まず、個人に対する刑罰抑止のメカニズムとしてICCによる捜査と逮捕状発付を見ると、どのように見えるでしょうか。 ICCは、昨年十一月二十一日に、イスラエル側二名及びハマス側一名についてICC予審裁判部が逮捕状を発付しております。ハマス側のICC被疑者となったデイフ氏については先日ハマスにより死亡が確認されましたので、実質的にはイスラエル側二名のみをICCが逮捕状を出しているという状況になっております。この二人に対する容疑のリストは表二を御覧ください。 逮捕状は、ICC検察官が要請をして、そして予審裁判部が発出するというもので、そのときに根拠と必要性があるかを審査した上で発付するという制度になっております。 十一月に出された逮捕状なんですけれども、この表二で挙げていますように、実は五月に検察官が請求した訴因の全てについて認められたわけではなくて、人道に対する犯罪としては、殺人、迫害及びその他の非人道的行為について共同正犯としての責任に関する合理的な疑いがあることが認められています。また、戦争犯罪としては、飢餓を戦争の手段として利用したことと文民の攻撃についてのみ認められています。 ICJ、国際司法裁判所で南アフリカが今提訴を、イスラエルを提訴しているジェノサイドの容疑に関しては、検察官がそもそもこれを要請しなかったということになります。また、ジェノサイドに近い人道に対する犯罪の一番上のところ、絶滅させる罪や、戦争犯罪としての二番目のところ、意図的な苦しみを与えるという戦争犯罪についても認められていません。 これらがなぜなのかについての公式な説明は、逮捕状の決定自体が秘密裏に、秘密として扱われていて公開されていないので、今のところ分かることはできないんですけれども、ただし、これらの二つの罪についてはジェノサイドと非常に要件が近いということで注目がされていたんですが、理由が分からないまま逮捕状の対象とはなっていないということです。ただし、その他の容疑や人物に対しても逮捕状が請求されている可能性もありますし、また既に非公開で発付されている可能性も実はあるということなので、今後の発展がここはある可能性があるということです。 (2)、ネタニヤフ首相に対する逮捕協力の姿勢に関してですが、諸国により態度、立場が分かれております。 図の二と三からは、協力を表明した国と非協力を表明した国に国際社会がぱっくり分かれてしまっていることが分かります。本件については、国がICC加盟国かどうかに加えて、イスラエルがICC非加盟であることによって、国際法上の国家元首免除の規制が適用されるか否かについて立場が分かれていることが主な理由になっています。それ以前に、ICCに入っていない国に関しては、ICC自体の合法性について疑いを掛ける立場もあります。それから、直近ですと、二月六日にトランプ大統領が、アメリカ人及びイスラエルに対する捜査の動き、特に逮捕状発付を踏まえてICCを脅威とみなして協力することを禁じる大統領令を出しております。昨日、当該大統領令の対象として、ICC検察官、カリム・カーン氏が名前、名指しされるということになっております。 アメリカ下院で可決されて上院にて不採択となった非合法裁判対策法案というのがあったんですけれども、これは不採択となっていますが、今回の大統領令、大統領令で元々の法案よりは影響が抑えられた内容にはなっているということなんですけれども、おおむね、二〇二〇年のときの、最初のときの、第一次のトランプ政権のときの制裁法案、制裁の大統領令とほぼ同じ内容になっているということで、これによる実質的な影響も懸念されるところです。 レジュメ五ページに参りまして、(3)、国による訴追です。 これらは余り日本では報道されていない部分もあるかもしれませんけれども、二〇二三年の十月七日、ハマスによる襲撃事件に関しては、まずアメリカがこのハマスの指導者、今回もう既に死亡が確認されている人たちも含め、逮捕状を出しています。イスラエル側は逮捕状を一切出していません。これについて、国内の世論では反対する意見があるんですけれども、なぜなのかということは分かっていませんが、一般に言われているのは、人質交換の対象にするためには国内で逮捕状が出ていると進められないということもあって、イスラエルとしては犯罪としては扱わないままになっているということのようです。 イスラエル側の被疑者に関しては、二〇二五年一月六日に、ブラジルで休暇を過ごしていた元イスラエル国防軍兵士に対してNGO等からの通報によって国内捜査が始まるといったことや、また先月、ベルギーでも、この国防軍の兵士が公務で来るというときに、ことに際して、ベルギーにいる市民団体の方から訴追を進めるべきだというような告発がなされるなど、国際的な包囲網があることが分かると思われます。 では、これを踏まえまして、三、最後に、今後の日本の取組の在り方について意見を述べます。 (1)、中核犯罪の被疑者が日本国内で発見される可能性、これ実は年々高まっています。地理的に近いロシアからの旅行客に紛れる可能性もありますし、またウクライナやシリアの難民、それから、今後ガザの難民を受け入れることになれば、その中に紛れた中核犯罪被疑者を受け入れてしまうことなどが現実的に想定されるようになります。そのときにどうするかに関して、捜査、逮捕をするのであれば、それについての対外的な説明のシミュレーションを行っておく必要があると思われます。 また、国家元首、政府の長、そして外務大臣といういわゆるトロイカや、外交官が日本に滞在する際、人的な免除、そして中核犯罪訴追のどちらを優先するべきかといった国際法上の難しい決断を迫られる可能性があります。日本がどのような対応を取るべきか、事前に十分協議し、立法を通じて対応を決めておく必要があると考えます。 それから、(2)、日本による義務違反の可能性なんですけれども、日本による準備状況、概算ですが、半分程度できているのかなと考えています。ICCに対して協力をするための法整備は十分あるとは思いますけれども、ICCとの協力実践がないこと、それから、外国への引渡しは、実践が増えてきてはいますけれども、これら日本刑法に規定がある犯罪についてであるので、実体法上の問題が直接生じるといった事例は今のところないのかなと思っております。 ICC規程上の犯罪であっても、日本で犯罪とならない行為が幾つかあります。これ、二〇〇七年にICCに加盟する際に、こちらの調査会でも検討が十分されましたし、立法府で幅広い調査が行われた結果ではあるんですけれども、そのときの発表がありまして、レジュメの六ページ、一番最後のページに表三を挙げております。 日本がICCに加盟する際、こういった日本の国内法で処罰できない行為をリストアップしていましたけれども、これらはレアケースなので想定が不要という形で処理されていましたが、実際、ロシアのショイグ元国防大臣、そしてゲラシモフ参謀総長は二つ目と三つ目の犯罪について逮捕状が出されているということで、レアケースだと思っていたけれども、そうではなかったということがだんだん分かってきたのかなというふうに思っております。 では、まとめますけれども、また近年のICC、判例変更が幾つかございます。そして、中核犯罪の特徴的な要件である文脈的要件について日本の刑法で要素として取り込めるようにしなければ、日本人がICCで裁判されるという事態が現実的に想定されるようになっております。ですので、可能であれば、中核犯罪に対応する概念を立法で取り込むことが、この議論を新しく始めることが必要なのかなというふうに提案したいと思います。 最後、②ですけれども、ICCや外国、市民社会から特定の中核犯罪について捜査、訴追の義務を指摘された場合に備えて訓練が必要だと言われております。特に、中核犯罪の捜査、訴追のために必要な証拠の類型というのは恐らく通常の国内刑法で想定されるものと違うところがありますので、教育プログラムを作成し、実施していくことが必要だと考えております。 私からは以上になります。ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。 まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。 また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力お願いいたします。 質疑のある方は順次御発言願います。 では、松川るい君。
○松川るい君 ありがとうございます。 まず冒頭、私が心から敬愛する猪口調査会長の下でこうして質問をさせていただくことができることを本当に有り難く、うれしく思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○会長(猪口邦子君) 恐れ入ります。ありがとう。
○松川るい君 まず、立山参考人にお伺いしたいと存じます。 私、停戦合意ができたこと、今ちょっとこの数日で怪しくはなっていますけれども、本当に良かったなと心から思っております。余りにも多くの犠牲者が出てしまいました。ですので、この停戦合意を何とかちゃんと第二段階に至るまで着地させていくということが非常に今は大事であろうと思うところです。 ただ、私自身もイスラエルにも行ったこともありますし、パレスチナに行ったこともありますし、イランにもあるんですけど、それぞれの国の認識ギャップが余りにも大き過ぎて、非常にやはりこの中東和平であったり中東情勢の、イラン問題も含めてですけど、安定って難しいなと思います。イスラエルもイランもそれぞれ、自分は敵に囲まれた被害者意識の非常に大きいという状況なわけですし、もちろんパレスチナの方々は言うまでもないところであります。 この構造の中で、今、私、直近大変心配しておりますのは、もちろん停戦がうまくいくかということもなんですけど、イランが核開発を完成させてしまおうとしたら、その前に、恐らくイスラエルは攻撃を本当に考えるだろうと思います。その場合には、イランとイスラエルが衝突するとなると、本当に中東全体がひっくり返る状態になると思うわけであります。 となりますと、やはりこの核開発を断念させるという圧力、それからイスラエルに攻撃をさせないという圧力、そしてハマスに、これ以上のイスラエルに対しての、何でしょうね、この停戦を守るということを含めて、守らせることができるのはやっぱりアメリカだけなんじゃないのかなと。 先生にお伺いしたいのは、停戦を続けていく上でも、第二段階の恒久的な停戦の維持における枠組みには、私はそういう意味で、力による平和といいますか、トランプさんによる平和というか、理由といいますか、第二段階において、やっぱりアメリカの関与なくして実際上そのガザの統治の維持って難しいんじゃないかと思うんですが、ここについて先生のお考えを、もう少しありましたら教えていただきたいと存じます。
○参考人(立山良司君) 御質問ありがとうございます。 第二段階のアメリカの関与の必要性があるのではないかということですけれども、関与をどういうことでおっしゃっているのか、今の御質問での私の理解では、ある意味では力によってその合意を守らせるというふうなことなのかなというふうにも聞こえたんですけれども、恐らく、この一年三か月、十五か月間の状況を見てますと、やはりハマスに力でもってイスラエルなりほかの国の意図を押し付けることはできないと思うんですね。 それはなぜかというと、やはりハマスはガザの中で、軍事組織としてだけではなくて、先ほどもお話ししましたように、その行政サービスとかのもやっていますし、もっと更に言えば、イデオロギーとしてパレスチナ人の、一〇〇%とは申しませんが、一定の支持を得ているわけです。それは、もっと下がっていくと、底辺に下っていくと、占領という実態があって、それに対して抵抗しているのはハマスである、だから、我々占領下にあるパレスチナ人はハマスを支持するあるいは支援をするという、この状態がある限り、幾らハマスに停戦合意を守れと言っても難しい。 加えて、今先生がおっしゃられましたように、その相互の認識ギャップというのは非常に大きいわけです。それは、別の言い方をすると、相互不信の塊ということです。 ですから、今回もハマスが最初に言ったのは、冒頭申し上げましたけれども、二つの、イスラエルが停戦合意を守っていない。一つは人道支援物資の搬入を妨害している、もう一つはパレスチナ人に対して銃撃をしているということだったんですけれども、私はこれを聞いたときには、ああ、きっとうまくいくだろうと思ったんです。なぜならば、人道支援物資の搬入というのは、ある意味ではそのゲートを大きくするか小さくするかという問題だけですので、ある意味では技術的な問題ですから、そういう形にしていけば、二月十五日の三人の人質の解放というのは実現するであろう。ただ、いろいろ、ハマス内の政治とかイスラエル内の政治の状態があってうまくはいかないかもしれないけれどもと思っていたんですが、トランプ発言が出てきて事態が物すごく複雑になってしまっているというのが今で、今の状態かと思います。 ですから、やはりハマス、日本は残念ながら、先ほども申し上げましたように、ノーコンタクトポリシーということでハマスとの接触は日本政府には全くありませんけれども、そのハマスと接触をしているアラブ諸国なんか等を通じてもハマスに説得をする、同時にイスラエルにも説得をするというようなことしかできることはないんではないかと私は考えております。
○松川るい君 ありがとうございます。 もう一つだけお伺いしたいんですけれども、イランの核開発、核抑止の議論がイラン国内であるというお話をされました。ペゼシュキアン大統領という、まあどちらかというと協調派と、まあ比較の問題だと思いますけど、言われる大統領が登場したこととか、イランの今勢力が中東の中で落ちている、ざっくり言うと、イランとロシアが後退をしてアメリカとイスラエルが出ているのかなという気が、あとアラブですね。 その中で、イランの国内の変革というのは、何か兆しは見えないのでしょうか。変革という意味は、例えばヘジャブをかぶった女性がそれによって非常に暴力を受けるといったこととかですね、締め付けがあると思うんですけど、そこにおける少し、もう少しポジティブな変化といいますか、はないのでしょうか。
○参考人(立山良司君) イラン国内は今非常に、経済的に非常に難しい状況になっています。それは、石油の輸出が制裁でうまくいかないというようなこともありますし、それから、イスラエルの攻撃によってイランの通貨が大幅に下落して、その結果、物価が急上昇している。さらには、おっしゃられたように、一昨年に、昨年ですか、ベール、ヘジャブというのをかぶる強制問題。さらには、もっと長く言えば、非常に抑圧的な体制が続いていて自由に物を言えない、そういう問題がもう累積をしているのは事実でございます。ですからこそ、昨年の七月にペゼシュキアン大統領という改革派の大統領が当選をした、その原動力になったと思うんです。 ですから、そういう意味ではポジティブな側面なんですけど、他方で、イランの核政策あるいは核開発政策を誰が決めているのかというと、大統領を基にした行政府ではなくて、恐らく言われているのは、イラン革命防衛、イスラム革命防衛隊という、IRGCという軍とは違う武装組織であって、それが最高指導者の下で核開発を進めていると言われています。 ですから、ペゼシュキアン大統領がアメリカと、トランプ大統領、トランプ政権と対話をと言っても、それがそのままうまくいくのかというのはイランの国内政治の力関係にもよってくるかと思います。
○松川るい君 ありがとうございます。 済みません、佐藤先生と越智先生にも質問したいんですけど、まだ一つだけいいのかな、どうでしょう。 申し遅れました。越智先生、是非ですね、私、一番、韓国はAIの軍事利用を加速して、もう恐らく日本が追い付けないぐらいのところに先に行っているよ、同時に規制についての議論もリードしているということには、非常に、何というか、危機感といいますか、やらねばということを覚えました。 ちょっと質問はできないんですけど、また引き続き先生がこの点において、日本はどうしていくべきかについて御研究をされていかれる、また教えていただけることを楽しみにしております。 ありがとうございます。 済みません、時間が押しました。
○会長(猪口邦子君) それでは、古賀之士君。
○古賀之士君 古賀之士と申します。 今日は、立山参考人、佐藤参考人、越智参考人、いいお話をありがとうございました。 まず、立山参考人にお尋ねをいたします。 トランプ大統領、よく分からないというようなお話もございましたけれども、私見で結構でございます、いわゆるそのリビエラ化というこの真意、私見で結構ですので、どのようなお考えをお持ちなんでしょうか。そして、今後、この停戦に向けていくであろうかあるまいか、その辺も含めてですが、キーパーソンとなる人物やキーカントリーとなるようなものがありましたら是非教えてください。 それから、佐藤参考人、お尋ねいたします。 先ほどのお話のとおり、私も、韓国のそのAIの先進性というもの、国際的にもリードしているというお話に重大な関心を寄せております。この軍事力のAI化に伴って今後様変わりするであろう、どのようなことが予想され得るのか、また我が国においてどのようなことが課題となってくるのか、そして場合によってはもう必要となくなってしまうような分野がこれによって出てくるのか、この辺についてもお話を伺えればと思います。 それから、越智参考人、ICCの現状についての課題を伺います。 これ例えば、レジュメにわざわざしっかりとアンダーラインで、冒頭の一ページ目に、国際法を守らせるというところにアンダーラインが引いてあるところにやはり重大な関心がありまして、この点について、例えばICCの場合、罰金や罰則が守らない場合にはあるのでしょうか。そして、このICCの活動を維持していくためにはどのような課題があるのか、そして私たち日本はどのようなふうに今関わっていったらよろしいのかと。 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○参考人(立山良司君) 御質問ありがとうございます。 まず、トランプ大統領が、提案と言っていいのかよく分かりませんが、口にずっとしているガザのリビエラ化構想といいますか、そもそも、まず第一に、私理解できないのは、そのネタニヤフ首相との共同記者会見のときにトランプ大統領が言ったのは、ガザをテークオーバー、あるいはオウンと言ったんですね、日本では所有するとかというふうに訳されていますが。 それから、その後、数日後に彼がSNSに書いたのは、戦闘終了後にイスラエルがアメリカにガザをハンドオーバーすると言っているんです。でも、ガザってイスラエルのものでもありませんし、ICCなりICJの判断でもパレスチナ国家の領土であるとなっているわけです。加えて、ガザには個人の所有者がいるわけです、地主さんが。それをどうするんだろうかというのは私には全く分からない。 さらに、もう一つ別の問題は、二百万人、二百数十万人のそのガザの住民をエジプトなりヨルダンに、最近もうトランプ大統領が言っているのは、もうずっと永遠に追放すると言っていますよね。で、その間にガザをすばらしいリゾート地にする。この案は、恐らく、一昨年の二月にトランプ大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナーが、ガザはすばらしい土地、リゾート地になるという案を出しているんですけれども、案を語っているんですけれども、それをそのまま、そのままというか、発展させているんだろうと思いますが、土地の所有権とか不動産ビジネスに長く関わってきた人間が、あるいはその土地に住んでいる人の居住権とかというのをどう考えているんだろうというのが私には理解できないところでございます。 それから、もう一つ、じゃ、ガザ停戦の維持にはどうすればいいのかという、どうすれば、誰がキーパーソン、誰がキーカントリーかということですけれども、やはりそれはイスラエルの政治指導部とそれからガザの政治指導者、イスラエルの場合でしたらネタニヤフ首相ということになりますが、私は、そのトランプ大統領がずっと就任前から言っているのは、イスラエルとサウジアラビアの関係正常化を図りたい。前の、二〇二〇年のUAEとイスラエルとの関係正常化などをアブラハム合意と呼んでいますから、アブラハム合意二・〇を実現したいと言っているわけです。 それで、私は期待を込めて思って言っているんですけれども、もしアブラハム合意二・〇を実現したければ、ガザが戦争状態である限り、サウジはイスラエルとの関係正常化は絶対にしません。つまり、ガザを停戦状態に、ガザの停戦状態維持する必要がある。それは、やはりトランプ大統領が圧力を掛ける可能性がある。トランプ大統領にどこまで期待ができるのかも私には分かりませんが、それがキーパーソンだろうと思います。 以上です。
○参考人(佐藤丙午君) ありがとうございます。 韓国が国際的にリードしているということについて、様々な評価があるのは事実でございますけれども、特に軍事分野におけるAIの利用、若しくは、軍事における革命とは申しませんけれども、軍事における能力向上において、韓国がこの地域において一つの主導をしている国であることは間違いないと思っております。 その中で、韓国の状況を見ている限りにおいて、今後様変わりする分野は幾つか想定されます。 韓国が特に力を入れているのは個別の兵隊の能力ですね、ヒューマンエンハンスメントに力を入れております。これは、兵隊自身が装着する装着物というか、ギアとよく言いますけれども、それのネットワーク化、IoT化というふうに言ってしまうのはちょっとあれかもしれませんけど、要は、それをいかに効率的に使うかによって、彼ら自体と、彼ら自身と、前線の兵隊と後方の部隊とのネットワークを緊密化するというのが一つの方向としてあるようであります。 もう一つ韓国で進んでいるなというふうに感じますのが、前線のロボット化であります。 これは、元々はその地雷除去のために無人の車両の開発というところから始まったようでありますけれども、そういう防御的な方法から攻撃的な防衛装備の開発に進んでおりまして、特に、昨年、一昨年ぐらいに注目を集めたのは、ファントムフリートと言われる、いわゆる無人艦船ですかね、それの開発にも力入れております。 それ以外にも、韓国に限らず、国際的な技術の議論を見ている限りにおいては、例えばロジスティックスであるとか、兵たんの能力であるとか、小型化、小型化ですね、兵器の小型化というのも大きく検討の内容として進んでおります。 その中で、恐らく、兵士の訓練といいますか、兵士の資質というものが恐らく一番大きな変化であろうというふうに言われておりまして、それは、ゲーミングといいますか、そういうコンピューターのソフトを開発したりであるとか、シミュレーションゲームで戦うことを、ウクライナの人も訓練で使っておりますので、そういう分野における能力を向上させるというのが、今後の兵士にとっての必要な素質であるというふうに言われております。 それに伴って必要となってしまう分野、恐らくカテゴリーとして分野があることはないんでしょうけれども、しかしながら、効率化、省人化、また必要な変化を行っていく中で、これまでのような兵器、兵士の資質というものとは違う要請が出てくると思いますので、その中で恐らく、カテゴリーとしてなのかマンパワーなのか分かりませんけれども、それらが大きく変貌していくことは間違いないと思います。 ありがとうございます。
○参考人(越智萌君) 御質問ありがとうございます。 国際法を守らせるために何がすべきかということで、まずICCにできることといいますのは、まず、逮捕されて捜査をされますと、通常の刑事裁判が行われます。これはストリーミングで国際世界全体に配信されまして、そして有罪になった場合には、最高で終身刑、最長三十年の拘禁刑、また罰金刑、そして被害者の数と被害に応じて個人資産が差し押さえられて賠償金として提供されることになります。これが基本的な制度ではありますけれども、身体的な罰よりかは、といいますよりは、精神的、政治的な罰を与えることが恐らくこの制度の目的でありますでしょうし、この期間、本人が政治の場から退くということが重要になってきます。 これは表現主義的な正義という言い方をするんですけれども、法を守るのは人であって、皆様、先生方、ふだん政策決定に関わっておられると思いますけれども、政策は一人の力では決まらないということは分かっている上で、法を守るのはその一人一人だということもまた事実だということで、政策決定に関わる一人一人が、こういった正義の問題と、それから罰を受けるという可能性を念頭に置いて国政に関わっていくという制度になっていることが一つ国際法を守らせるというところにおいて今ある制度かなというふうに思っております。 ありがとうございました。
○古賀之士君 ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) では、塩田博昭君。
○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。 今日は、三人の参考人の皆様から大変貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。 まず、立山参考人の方にお伺いさせていただきたいと思います。 先ほどもお話がございましたけれども、ちょっと基本的な確認ですけれども、一年以上にわたってこの衝突が続いたわけでございますけれども、この一月十九日に停戦合意が発効いたしまして、ガザ情勢というのはやはり新たな局面を迎えていると、これは誰もがそう認識するわけでございますけれども、なぜこのタイミングでやはり停戦合意に至ったのかですね。先ほども先生が述べられましたけれども、やはりその肝になる理由と背景について改めてお聞きしたいということと、この停戦合意の維持について、やはりこの履行を確保していくための条件と課題について、もう少し詳しく教えていただきたいと思います。
○参考人(立山良司君) 御質問ありがとうございます。 明確にこれが理由というのはなかなか特定し難いんですね。恐らく一番根底にあるのは、イスラエルの側もハマスの側も十五か月間の戦闘で疲れたということだと思います。もちろん、ハマスの側は多数の戦闘員を幹部含めて失っていますし、それに、そのハマスが基盤としているガザの社会があれほどひどい状況になっているという問題があります。イスラエルの方は、財政赤字が拡大をしているとか、長期にわたる動員で、例えば家庭が壊れてしまうとか、前線に兵士として行かなければいけない二十代、三十代の予備役の兵士たちの生活が壊れていってしまっているというような問題もございます。 そういう中で、イスラエルでは人質解放を求める運動というのも高まってきておりましたし、加えて、トランプ政権、トランプ大統領がまだ大統領になる前ですけれども、その中東特使をネタニヤフ首相の下に派遣をして非常に説得をしたという、しかも、それが、十五日に合意ができたわけですけれども、二十日には大統領就任式が控えているという状態だったわけですから、それが恐らく一番直近の引き金のような、原因になったのではないかと思います。 そうですね、そういうことでよろしいでしょうか。
○塩田博昭君 ありがとうございます。 それでは、ちょっと越智参考人にお伺いしたいと思いますけれども、二十一世紀の国際平和の実現において、当然、各主権国家に国際規範や国際法の精神が根付いて、新たな戦争の抑止力として機能するということは不可欠でございますけれども、そういう意味において、国際刑事裁判所、ICCの法の支配の実効性を高めること非常に重要であると、このように思います。 当然、ICCが、イスラエルのネタニヤフ首相やガラント前国防相、またハマスの軍事部門責任者などに逮捕状を請求したことが、特にアメリカにおいては強く反発を今もしているわけでございますし、欧州各国も慎重姿勢を示しているということと、一方で、この対応は、プーチン大統領のときと異なって、グローバルサウスの国々が不信感を強めかねないような事態にもなっているんではないかというふうに思うわけでございまして、これまで国際秩序の重要性を掲げてきた日本がやはりこういう問題に対してどう対応していくのかということについて、越智参考人の御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(越智萌君) ありがとうございます。 御指摘いただいたように、プーチン大統領等への逮捕状のときと今回とで大きく対応が異なっている国があるわけです。その理由として挙げられているものの一つが、民主主義国家、民主国家の国民に選ばれた指導者に対して逮捕状を出すのはどういうことなのか、それはハマスという反政府武装勢力と同等に扱っていいのかという問題が一つ背景にあるように思います。 この問題に対して、日本政府、特にコメントをしないという対応ではあると思うんですけれども、一つ、ICCの今回イスラエル対応において問題があったと私は考えておりまして、といいますのも、イスラエルの検事総長が表に立って、ICCと、交渉ではないんですけれども情報提供をしたり、それからイスラエル側の被害者ですね、十月七日の攻撃の被害者団体もICCにおいて陳述を行ってという形で、全くそのICCとイスラエルが交流がないわけではなかった。それから、カリム・カーンICC検察官もイスラエルに訪問をしているということから、コミュニケーションがあったにもかかわらず、二回目の予定されていた訪問をキャンセルして、若干サプライズのような形で逮捕状を請求してしまったという経緯があります。 これについて、イスラエルのICCと対応していた国家の、まあ公務員の人たちは、非常に、簡単に言ってしまうと、心情を害されて、外交がちゃんとできる国という扱いを受けられなかったという部分があるのかなと思います。 こういったことを考えますと、独裁政権の国でICCと全くコミュニケーションを取らなかったロシアのような国と、こうしてICCに情報を提供して協力している国に同じ対応をしてしまったICCというのは、少しそこは問題があったのではないかというふうに思われるわけです。手続的な正義といいますか、公正な対応をする裁判所なのであれば、メディアにも出ていて対話もできる状態の人に対しては、逮捕状だけではなくて、ほかにも召喚状という手段などもあったので、もしかすると、そうした対話が成立している相手との関係としてはもう少し違うコミュニケーションの仕方もあったのではないかという、今研究者の間で分析を進めているところですけれども、ICCもその国によって、対応の仕方によって、コミュニケーションの在り方によって、もう少し人間としての関係性を重視した対応をするということで、日本からもそういった手続、それから外交のやり方等についても提案することができるかなというふうには思っております。
○塩田博昭君 ありがとうございます。 ちょっと時間の関係で、この後もう一問だけ三人の参考人にお伺いしようと思っていたんですが、ちょっと時間が余りございませんので、佐藤参考人に、じゃ、ちょっとまとめてお答えいただけると有り難いんですが、この中東情勢の安定化は国際社会にとって長年の課題でございますけれども、こういう中にあって、この課題解決においてはどの国も民族も取り残されない包摂性の高い国際社会を目指すという考え方がやはり不可欠であるというふうに思います。 その実現に向けては、国連のみならず、G7であるとかG20などを含めた重層的な、多角的な国際多国間枠組みを相互に補完させていくアプローチ、これ重要だと思っているんですね。そういう部分において日本が果たすべき役割について、ちょっと専門と少しあれかもしれませんが、佐藤先生、いかがでしょうか。
○参考人(佐藤丙午君) ありがとうございます。 国際関係論は私の専門でもございますので、その観点から一言だけ申し上げますと、包括性の高い枠組みを今の国際秩序の下で実現するのは極めて難しいと思います。国連においてもそれだけの力を持ち得るかどうかも分かりません。しかしながら、様々な特定の課題において多国間の枠組みというのは存在し得ると思いますし、それが機能を発揮する場面というのも非常に多いと思います。もしそれを更に言うのであれば、多国間枠組みを複数設け、その一つ一つがうまくいかなくなっても別の枠組みの中でその課題というものを追求していくのが必要だと思います。 すなわち、一つの解決策に依存するのではなく、複数の解決策を複数のトラックで進めていくこと、そのトラックを維持することが可能なだけの人的なリソースを日本から出すことというのがこの多国間の枠組みで問題を解決する上では極めて必要なのではないかというふうに思っております。
○塩田博昭君 ありがとうございました。 以上で終わります。
○会長(猪口邦子君) それでは、串田誠一君。
○串田誠一君 日本維新の会の串田誠一です。 今日はありがとうございます。 越智参考人にお聞きを、教えていただきたいんですけれども、資料の六ページの中核犯罪のうち国内法で処罰できない行為の主要な例ということで、こういったようなことがあるというのは、私も、ああ、そうなんだなとびっくりしているんですけれども、この中で、八条の2(b)の四と二十三というのは、何か日本が今までこういう危険な状況に体験的に余りなかったということで、処罰というものの立法事実ということが認識されなかったからこういう法定刑が定められていなかったのかなというふうに思っているんですけれども、将来的に日本もこういったようなものを今後国際社会の中で規定していく必要があると参考人はお思いになられるのかというのが一点。 二点目は、この中で、八条の2の(b)の二というのが、確かに日本の刑法には器物損壊罪の未遂犯がないわけですけれども、そういう意味で、まあぱっと見ただけですると、この四つのうちこの二だけがかなり刑軽いようなものの中でICCが規定をしているというのはちょっと違和感を僕は覚えているんですが、これを、こういうふうな形でICCがこれを規定したというのはどういう趣旨なのか、未遂犯の中でも何か戦争に関する目的を持ったことを行ったことで初めて成立をするという規定になっているのかを教えていただきたいと思います。
○参考人(越智萌君) ありがとうございます。 おっしゃったように、二〇〇七年に加盟する際に、幅広く日本の刑法にある犯罪、そこで犯罪化されている行為を列挙して、そしてローマ規程にある定義と照らし合わせてこういったものをあぶり出してきたわけで、そのとき、新たな立法は必要ないというのは、立法事実がないというのもそうなんですけれども、刑法学者の広範な理解としては、ICCで規定するような重大犯罪というのは、その根本になっている行為ほとんど全て日本の刑法でも犯罪と考えられているという理解に落ち着いたというものがございます。 そこでは未遂犯というのは非常に軽い類型に思われるということで、恐らく、これまでのICCのケース、それからICCの前身になっている旧ユーゴの国際刑事法廷とルワンダの国際刑事法廷の判例でも、未遂犯というのはその前面に出て訴追、単品、単独で訴追されたという事実がほとんどありませんので、これが入っているのは規定の形式上というふうな理解もあるかと思います。 ただ、今起きているような、国境を越えて他国が外国に今侵略をしていくというケースというのは、御承知のように、ここ戦後、第二次世界大戦後ほとんどなかった現象でして、今回のように、大陸、国境を越えてミサイルを撃って、外国の電力インフラを冬に破壊するということや、森林やダムを壊していくということというのは、ウクライナ紛争から、本当に起きるんだということで、立法事実という認識は日本だけでなく国際社会でも高まったのかなというふうに考えています。 そういう意味では、こういったこと起きないと思っていたのは国際社会でも同じで、ただ、近年こういうことがあるということで、未遂犯を、未遂犯というのは、一個一個の犯罪についてというよりは、規定上、どの全ての犯罪について未遂犯成立をするという形になっていますので、網羅性を保つためには必要だという反面、恐らくこれだけについて日本で立法するというのは非常に難しいのかなと考えます。 ですので、一番最初の御質問ですけれども、日本の立法の方法としては、一個一個の行為を一個ずつ対応しているから大丈夫というアプローチではなくて、国際社会で成立している犯罪概念というものを、それ自体として受け止めて立法に反映させていくということが必要なのかなというふうに考えております。
○串田誠一君 ありがとうございます。 立山参考人にお聞きをしたいと思うんですが、かなり基本的な質問になってしまうんですけど、ハマスがイスラエルに攻撃をすると、今までの歴史からすると報復を受けるというのはもう当然想定していたことなのではないかなと思うんですが、このような現状、ここまでになってしまうということ自体、ハマス自体はその時点で認識していて、結果的には想定内で今進行しているということなのか、それとも全く想定外になっているのか、一体どこを着地点としてハマスはその時点で思っていたと参考人は思われたのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○参考人(立山良司君) 御質問ありがとうございます。 過去何回か、ハマスが攻撃してはイスラエルが報復攻撃をするということは繰り返し行われてきましたけれども、今回は極めて大規模であり、その結果として多数のイスラエル国民が死に、あるいは人質に取られたということで、かつてない規模の報復攻撃がつい先日まで続いていたということ。これは、恐らくハマスは当然報復攻撃はあると想定していたと思いますけれども、そのパレスチナ人の研究者に私が聞いた話では、それに事実として報道としてもいろいろ分析されているところですけれども、ハマスが二年近くにわたって十月七日攻撃を準備をしていたわけですね。それは、当然イスラエルは知っていたはずで、これだけの規模になるかもしれないというのも想定していたはず。ところが、イスラエルはそれに対して十分な対応を、事前の対応を取っていなかった、その結果としてハマスがやった攻撃はハマスが想定した以上よりもはるかに大規模な攻撃になってしまって、はるかに大規模な、甚大な被害をイスラエル側に与えてしまって、結果としてはイスラエル社会がハマスを絶対に許すなという、イスラエル社会の中にそういう議論が、主張が強くまかり通って、もうそのガザで何が起きていようが我々はハマスを壊滅するんだという主張が正当性を、イスラエルの、ユダヤ人の少なくとも社会の中では持ってしまったということだと思うんですね。 ですから、もちろんハマスが攻撃をしたのはそのガザが封鎖状態にずっとあること、さらには生活が非常に苦しいこと、それで、あと、先ほど申し上げましたけれども、アラブ首長国連邦、UAEなんかがイスラエルとの関係正常化をし、サウジアラビアも間もなくするであろうということで、パレスチナ問題が置き去りにされるという不安感はあったと思いますけれども、まさかここまで攻撃がハマス側から見てうまくいくとは思わなかったというのが非常に大きな理由なんではないかと思います。
○串田誠一君 ありがとうございます。 佐藤参考人にお聞きをしたいんですが、AIの軍事利用ということなんですけれども、前から言われている、例えばGPSなどの場合には、有事になるとあえてその正確ではないGPSの情報を流して錯乱させるというようなことも言われているんですが、このAIというのは、グーグルとかそういう民間会社がやっているようなときに、有事になった場合、このAI自身もその軍事目的のためにあえて間違った情報を流すというような、そんなことはあり得ないんでしょうか。
○参考人(佐藤丙午君) ありがとうございます。 いわゆる偽情報であるとか攪乱のための情報の話を先生がされたのかなというふうに思いますけれども、それは十分ある話でございます。現に、現在もグーグルのマップを御覧いただければ分かるんですけれども、各国が秘匿したい軍事ターゲット、軍事施設については、様々な形で、マスキングではないんですけれども、様々な加工がされておりまして、正確にその画像を得ることができないような状況にもなっております。 したがって、そういう技術がもう既に実現されているのであれば、有事においてもしグーグル社がそういう形で何らかの軍事活動に協力する場合においては、それなりの加工を行う能力があるということでございますので、ただ、それはグーグル社が有事において必ずするというわけではないということは改めて付け加えておきたいと思いますけれども、そういう能力自体は既にそこに存在するということを踏まえた対応をする必要があるというのが私のお答えでございます。
○串田誠一君 大変参考になりました。ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) それでは、浜口誠君。
○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。 今日は、三人の参考人の皆さん、ありがとうございました。 まず、私から越智参考人の方にお伺いしたいと思います。 御提示いただいた資料の五ページのところに、中核犯罪の被疑者が日本に入国する可能性があるという御指摘がございます。特にロシアとかシリアから日本に来るんではないかということですが。 これ、情報だけしっかり国家間で連携できていれば水際で入国というのは防げるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、先生が御指摘されているこの課題意識というのは、シミュレーションをしっかりやったらどうかということを提言されていますけれども、そういう国家間の情報の管理が、互いに協力ができていてもこういうことをしっかりやっておかないといけないという問題意識なんでしょうか。その辺り、少し御説明をいただければと思います。
○参考人(越智萌君) ありがとうございます。 御指摘のように、入国管理の観点でいいますと、そうですね、ビザを必要な国の場合は事前に分かるということもあると思うんですけれども、難民というのを想定するとそうではないということが一つと。 それから、その国家間で議論してどうするか対応を決めるという場合でもそのチャンネルは必要なのかなというふうに思いまして、その場合、日本もその態度決定として、例えばICCの被疑者ほどの大物ではなくても、今回、例えばウクライナの場合ですと、一人一人のロシアの兵士の顔と名前が割れている状態で、それぞれの人がどこでどんな残虐行為をしたかというのが割と多くの市民団体、NGOの方でデータベースになっていて、追跡をしている団体がいます。そうなってくると、国が把握していないんだけれども、市民団体が、この人は戦争犯罪をやった人だという情報だけが先に出てくるというケースも想定されるわけです。 そうすると、国が準備していることの想定外のことになってしまって、では、日本政府としてこの人を逮捕して訴追するのか、それとも強制送還するのかどうするのかというところについてシミュレーションしておいた方がいいのではないかという提案になっております。
○浜口誠君 ありがとうございます。 では、続いて佐藤参考人にお伺いしたいと思います。 AIの軍事利用ということで今日は御示唆いただきましたけれども、日本の自衛隊において、このAIの活用状況、参考人としてどのように受け止めておられるのかということと、日米のこの連携の状況、AIの軍事利用に対して日本と米国との間でどういった動きが今出ているのか、その辺についての参考人の御意見をいただきたいと思います。
○参考人(佐藤丙午君) ありがとうございます。 御存じのとおり、自衛隊においてもAIの活用を積極的に進めるという方針は出されておりますし、現に様々な組織改編の中でAIの研究に関わる領域についても重点的に行っているというふうにも聞いております。 しかしながら、どういう形で、なぜAIを使うかというところについては、残念ながらまだ十分に説明はされていないなというふうに感じるところがありますし、同時にそれは日本のAI活用における大きな課題を示しているんだと思います。 すなわち、それがロジスティックスのために使われるのか、それとも戦場における最終的な手段として、戦域において使われるのか、戦場において使われるのか、戦闘において使われるのか、いろんなレベルがあると思いますけれども、どこのレベルにおいてAIの活用を図るのかということに関するコンセンサスというのはあると、もしかしたらあるのかもしれませんけど、私自身のところでは余り把握しておりません。 その中で、AIの活用において、日本において一番重要な課題であろうと思われるのは、AIがもしできたとしても、それを、どういうデータを、情報をかませるかということが大きな問題だと思います。例えば、先ほどのグーグルの例でいえば、グーグルはかつて国防総省からプロジェクト・メイブンというものに参加を求められ、それは、国防総省が保有する映像、音声、様々な情報というものの分類分けを行うと、端的に言ってしまえば、それを委託を言われたときに、グーグル社員の中でそれは軍事利用につながるからということで反対運動が起こったことがあります。 結果的にグーグルはそれを受けなかったんですけれども、しかしながら、そのときに改めて、軍事利用においては、そのAI自体が兵器利用されるというよりもAIを使う際の情報がどこからどう来るのかというのが大きな問題だというふうにクローズアップされたことがございます。 それは、二番目の御質問にあります日米の連携とも大きく関わり合いがあります。共に恐らく一つのプログラムを、アルゴリズムを使ったとしても、それにかませる情報が日米において変わっているのであれば、恐らく全く違った結論をAIが出すということが十分に想定されます。ただ、御存じのとおり、情報の利用の方法については、日米において法制度の違いがございますので、日米が、もし日米の、米軍と、自衛隊と米軍が協力を進めたいというふうに考えたとしても、それを支える上での情報をどういう形で活用するかというところでの制度インフラに違いがございますので、おのずからそこにはある程度の限界があるんだろうなというふうには思っております。 それらの問題も含めて、恐らく防衛省・自衛隊は日米の間での連携をどう深めるかということについての検討は進められていると思いますし、日米間の2プラス2及び首脳会談のレベルでの様々なステートメントを見る限りにおいてもAI分野における協力というのがうたわれておりますので、そこについては、私のようなプライベートな、大学の教員の身分では得られない情報でありますので、そこについては防衛省としても公開可能な情報の活用を図っていただきたいなというふうに希望するところでございます。
○浜口誠君 ありがとうございます。 では、続きまして、立山参考人にお伺いしたいと思います。 このガザの停戦というのが恒久的なものになるというふうに期待はしたいと思いますが、一方で、参考人の方からも、その復興をどうしていくのかという御指摘が資料の中にもございました。この復興をですね、戦後の対応ということで、その枠組みとして、ハマスとパレスチナ自治政府との連携というのはこのガザ地区においてはやっぱりできないのかと。 やっぱりパレスチナの自治政府が主体的にハマスと連携するような枠組みができればまた一歩復旧にもつながっていくんではないかなというふうには受け止めるんですけれども、そういった可能性はなかなか難しいのかどうか、立山参考人としての御意見をいただければと思います。
○参考人(立山良司君) 実際に、ハマスとそれからパレスチナ自治政府、パレスチナ自治政府が主体となっているのはファタハというパレスチナの政治集団ですけれども、そのファタハとハマスがライバル関係にあるわけですけれども、それが、例えば昨年の七月か八月には中国の仲介で統一政府をつくるという宣言を出しておりますし、最近でも、エジプトの仲介で、党派制のないテクノクラートの組織をつくってガザの復興、復旧復興に当たるという議論もしております。ですから、可能性はないわけではありません。 ただ、最大の問題は、繰り返しになっていますけれども、支援をする多くの国は、ハマスにコンタクトを取らないという政策を取っているわけですね。そうすると、もし、ガザの復興主体がハマスとファタハの連立のような政権であると、支援をできない、あるいは少なくとも協議もできないというような状況になってしまうわけです。 もちろん、無党派のテクノクラート集団をつくるということであればそれでいいんですけれども、そういうことを乗り越えることができるのか。更に言えば、イスラエルとかアメリカがテロリストのハマスを入れていいのかという議論もするのは確実であって、ですから、私としては、むしろ日本はより第三者的な立場にあるわけですから、そういう議論をリードしていただければと思っている次第です。
○浜口誠君 最後、立山参考人に、最終的には米国が相当介入しないと、ガザの今後についてのリーダーシップをアメリカが握っているというような受け止めなのかどうか、その点について、御意見を最後伺いたいと思います。
○参考人(立山良司君) 過去何回もガザは攻撃の対象になり、復興復旧のプロジェクトというのは行われてきたわけです。でも、過去において、アメリカがリーダーシップを取ったことはほとんどございません。というのは、イスラエルとの関係で、ガザを支援するというのに後ろ向き、あるいは少なくとも積極的ではないということです。むしろ、だからこそ、ヨーロッパ諸国とか日本とか、さらには関係するアラブ諸国がリーダーシップを取っていく必要があると思っております。
○浜口誠君 終わります。
○会長(猪口邦子君) では、岩渕友君。
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。 今日は、参考人の皆様、本当にありがとうございます。 ガザでの人道危機が深刻化し始めてから一年三か月余りたちますけれども、無差別攻撃によって少なくとも四万六千人以上の方が亡くなられて、負傷者は十万人を超えていると、九割が住まいを追われているということで、非常に深刻な状況になっていると思います。 現地で医療を提供して子供たちを支援している北海道パレスチナ医療奉仕団というところがあるんですけれども、そこの医師の方からお話を伺ったときに、環境破壊、人権破壊、あらゆる破壊で社会は崩壊が進んでいるというような実態をお聞きをして、一刻も早い停戦合意が求められているということを痛感してきました。 こうした状況の下で、イスラエルとハマスがガザでの停戦で合意されたということは歓迎すべきことだし、国際世論、そして国際的な取組の成果だというふうに考えています。この停戦を恒久化していくこと、全ての人質の解放、人道支援や復興につながる、つなげることができるように、国際社会の働きかけが更に重要になっていると思っています。 そうしたときに、トランプ大統領がガザの住民を恒久的に移住させると、アメリカが長期的に所有をし開発をするというふうに発言をしたということは、ガザの人々に更なる苦難をもたらす暴論だと、アメリカの同盟国を含む国々や国連から非難の声が上がるのは当然だというふうに思いますし、日本政府はこの発言について抗議し、撤回を求めるべきだというふうに考えています。 初めに、越智参考人にお伺いをします。 即時停戦を求める国連決議や、先ほどもお話ありましたけど、南アフリカによる国際司法裁判所、ICJへの提訴を受けて発せられた暫定措置や、国際刑事裁判所、ICCがネタニヤフ首相らに出した逮捕状などがイスラエル政権の強い圧力になっているというふうに考えます。 そうした下で、トランプ大統領がそのICCの職員への制裁を可能とする大統領令に署名をしたことにICCの赤根所長が深い遺憾の意を表明をされて、七十九の国と地域が共同声明で非難をするということになっています。ところが、日本は声明に加わらなかったわけですよね。これは問題だというふうに考えているんですけれども、そのICCが現在の中東情勢の下で果たしている役割と今後の課題について、参考人の考えをお聞かせください。
○参考人(越智萌君) ありがとうございます。 今の状況、特に国際法をめぐる状況についてまとめていただいたのかなと思いまして、それを背景にICCの役割ということなんですけれども、数多くあって、それをどういうふうにフレーミングして把握するかということですが、私のアプローチとしては、今回の意見陳述の冒頭にも申し上げましたように、刑事制裁という制度がもう一つ増えたということをまず認識するためにICCがあると。まあ、ちょっと本当は逆の関係であるべきだとは思うんですが、私たち、国際社会のことだと認識に少し時間が掛かるというか、ギャップがあるわけです。 その中で、一つの国の中での秩序を守るのと同じように、国際社会にも刑事制裁という処罰という形での法遵守の仕組みがあるということをまず認識する、そのためにもICCがあって、それがあり続けるためにICCが発信を続けているという形で、本来の、もうちょっと物理的な力で、本来、罪を犯している人を捕まえて排除するということまでできていなくても、そういう制度があることを、あること自体の確認のために制度としてあり続けているのが一つ重要かなと思っております。 もう一つ、その今、赤根所長が前面に出られているということですけれども、それはまあICCの制度の所長でありますので、その役割としてあるということと、それから日本国籍であるということ、まあ私自身もうれしく思いますけれども、それと、その日本の政府の意向をICCが代弁しているように見えないようにするというのも一つの在り方かなと思いますので、日本としては民主主義の国だし、それから国際機関にいる国際公務員というのは個人の資格で独立した存在だということを踏まえて、お互い、それから日本の政府の意見をあえて赤根さんが言っているように見えないような立場になっていることも私はうれしい、いいことなのかなというふうに思っていますので、日本の政府の役割とそれからICCの赤根所長の役割というのは本当に切り離して考えることが必要だと思いますし、日本政府の方も所長が日本人だということを余り前面に出さない方が本来は正しいやり方なのではないかなというふうに思っているというところで、ICCの役割、そういった印象、象徴的なものではあるんですけれども、ただ、実際に今まで二十名ほど移送されたということをお伝えしましたが、その人たちが政権からしばらくの間いなくなるというところで国内の改革が進むという事例もあるところなので、今後は実際の、ICCの本来の制度、物理的な力の方の制度を支援していくことが重要かなと考えております。
○岩渕友君 ありがとうございます。 次に、立山参考人にお伺いするんですが、ガザへの支援や復興が求められている一方で、支援を続けるUNRWAの活動を禁止する法律がイスラエルで施行されました。 立山参考人はUNRWAの職員をされていたということなので、UNRWAが果たしている役割の重要性と、そのガザへの大規模な人道支援をすぐにでも再開するということが重要だというふうに考えるんですけれども、参考人の御所見を伺いたいと思います。
○参考人(立山良司君) 一月の三十日にイスラエルで二つの法が効果を発揮しまして、一つはイスラエル国内でUNRWAの活動を禁止する、この場合のイスラエル国内というのは東エルサレム、東エルサレムは占領地ですけれども、イスラエル側はもう自国領だと主張しているわけですね。で、東エルサレムを含むイスラエルと、及びそのイスラエル政府関係者、機関がUNRWAと接触することを禁止するというもので、そうすると、例えば占領地、ヨルダン川西岸でもいいですし、ガザでもいいですけれども、そこでUNRWAが活動をする場合に、その占領地に入っていくのにはイスラエル軍の許可がUNRWAのスタッフでも必要なわけです。しかし、イスラエル政府機関と接触できないということになれば、西岸での活動あるいはガザでの活動ができない。それは、支援物資を受け取ろうとしてもイスラエルの港に取りに行けない、許可も取れないというようなことになるわけです。 他方で、ヨルダン、西岸で例えばUNRWAは一万三千人のスタッフを擁していました。それは別に、いわゆる通常でいう国連職員というイメージじゃなくて、トラックの運転手さんから学校の先生から医療現場の看護婦さんとかお医者さんとか、もう様々です。そういう人々がいるからこそ、ある支援物資が届いてもそれをずっとディストリビュートできる、配給できるというシステムになっているわけです。これはほかの国連機関ではできません。ですからこそ、UNRWAの活動が非常に重要であるわけです。 今のところ、一月三十日以降、UNRWAの活動が西岸とガザでどこまで障害、ストップしているかというのはちょっと明確な情報を私は持っていませんけれども、この本当に一月三十日に発効した法律がきちんとイスラエル側が適用するのであれば、UNRWAの活動は非常に大きな障害を受け、それは更にそのガザの支援、復旧復興に大きな障害になると思います。
○岩渕友君 ありがとうございます。 最後に、本当は全員にお聞きしたかったんですけど時間があるので、佐藤参考人にお伺いをするのですが、そのガザでの停戦の恒久化、復興につなげていくために重要だというふうに参考人がお考えになっていることについてお聞かせください。
○参考人(佐藤丙午君) 必ずしもガザにおける平和構築の専門家ではございませんけれども、私がこれまでしてきた安全保障の議論から、の側から申し上げるとすれば、やはりそのガザ地区の中に再びハマスの戦闘員と呼ばれている人たちというのを入れないような保障をしていくというのが、イスラエルにとってもアメリカにとっても、またこれパレスチナ自体にとっても重要なのではないかなというふうに考えております。 ただ、先ほどラベンダーというAIのソフトを御紹介申し上げましたけれども、これは、イスラエルがハマスの戦闘員を含めた様々な情報をインプットして、その中で、誰がどこでどういうふうな活動をして、ハマスの活動以外どういう活動をしているかということを特定することが可能なソフトでございます。もしイスラエルがそれに依存した形で攻撃を行っているということなのであれば、その恒久化を目指す中で、様々な恐らくパレスチナ、ハマス、元ハマスの人間も含めて入って開発に協力すると思うんですけれども、その中で、行動自体が、ガザ地区の復興自体の行動自体がテロ組織の再建というふうに取られてしまう可能性もあると思いますので、そこの問題を注意深く、イスラエルにしてもハマスにしても考えながら、共に復興を目指していくというのが望ましい姿だというふうには思っております。
○岩渕友君 以上で終わります。ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) では、伊波洋一君。
○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。 今日は、御三名の参考人の皆さんのお話、大変いろいろ内容新しいものいっぱいあったので、聞かせていただきましたが、まず、御三名に一番最初に共通での質問をさせていただきたいと思います。 越智参考人が示した資料四の、このネタニヤフに対する支持あるいは協力、協力しないという図を見ますと、ヨーロッパも随分分かれていることになっているし、それから、ある意味でアジア、アフリカ、ラテンアメリカなどにやはり協力をする仕組みがちゃんとでき上がっていると。つまり、今のこの問題、今日の問題というのは、いわゆる国際法や国際人道法、そしてまた法の支配というものを守ろうとする国の問題と、それにもかかわらず力で現状変更しようとする部分、この部分がまさにガザの問題としてはあるんだろうと思います。 今、ウクライナでの戦争とこのガザが主要な戦闘状態だと思うんですが、一方は、いわゆる正規の戦争ではなくて、まさに多くの人たち、一般の住民が亡くなっていくような、そういう戦争になっている。これをトランプ政権においてはアメリカが支持しているという、ある意味で、ガザをですね。そういうふうに考えますと、でも、一方では、アジア、アフリカ、ラテンアメリカなどのような第三世界と言われている国の皆さんは、そういう戦争に対してノーと言っていると。 ある意味で、私、今世界はどんどん、いっぱい多くの戦争はありましたけれども、だんだん戦争はなくなっているように思うんですね。そういう中で、戦争をしているこのウクライナの状況がなくなり、それからガザがなくなれば、ある程度、大国の戦争というのは基本的には起こらない流れで、いわゆる法の支配、あるいは国際人道法や様々な形で交渉による世界の秩序が保たれていく可能性というのは一体どう思っていらっしゃるか。 つまり、今の世界の状況が、決して、あのガザの状況が、毎日のようにテレビで映されている状況を見ていると、誰もがこれを、イスラエルを支持する人というのはなかなかいないんじゃないかなと私自身は思っているんですが、そういう世界がだんだん形成されてきて、国際刑事裁判所もでき上がってきたということで、なおかつこれだけの実績をつくってきたということを考えますと、これからの世界のありようですけれども、今ある国々にとって戦争というものがどの程度の意味を持つものになるのかということを、まず立山参考人、そして佐藤参考人、越智参考人の順で、これからの予測といいますか、どういうふうになるであろうかというのを考えていらっしゃいますか。
○参考人(立山良司君) 大変難しい御質問をいただいたんですけれども、最初の御報告で申し上げましたとおり、中東というのは様々な不安定要因があります。国としての凝集力が弱いとか、国境の浸透性が高いとか、そういう意味で、どうしても、国家間戦争ではないにせよ一定の暴力が起きてしまう、その暴力が、ハマスは国家ではありませんけれども、あれだけの甚大な被害をイスラエル側に引き起こすだけの力を持っている。あるいは、このガザ戦争中に起きたことですけれども、イエメンという国の中のフーシー派という武装勢力が前を通る船を船舶攻撃をして、日本の関係している船舶も拿捕され、乗組員が人質になりました。 こういう状況というのをどうするのかという、もちろん、おっしゃるとおり、戦争がなくなればいいわけですけれども、それを完全に抑え込むこともできない、そういうジレンマという状態は続くと思うんですね。 ですから、一方で法の支配が重要だということを強く強調していく必要もありますし、国連の安保理がこのガザ問題でほとんど機能しなかったという現実もありますけれども、そういう制度をどうやって変えていくかという問題にも関わってくることだと思います。あるいは、その現在の国際秩序というのをそのグローバルサウスと言われている国々がどう考えているのかという問題にも関わってくるかと思います。ですから、相当幅広い議論を今後ともやっていく必要があるかと思います。
○参考人(佐藤丙午君) ありがとうございます。 非常に難しく重い課題だと思いますし、先ほどの私の陳述の冒頭の話からさせていただきますと、これは恐らく会長の御専門ではないかなというふうに思ったりもするわけでございますけれども、恐らく、大国間の大戦争がなくなってくる可能性というのは恐らくあると思います。 ただ、そのなぜなくなるかというのは、なくなる可能性があるかということは国際関係における大きな課題でございまして、そこは、一つは法の支配による規範の確立という意見もあれば、また核兵器を含めた軍事力による相互抑止が戦争をなくすという説もございます。 この二つの説のどちらが正しいということは恐らくないんでしょうけれども、双方にはそれぞれ問題がございます。 国際法による法の支配というのは、恐らく国際組織であるとか規範による大国の行動の抑制ということを求めていくことになりますので、そうなってくると、パワーの関係においては、弱い国、今回でいえばグローバルサウスのような国が国力以上のパワーを国際法秩序の中で得てしまうという問題がございます。これは、大国間の不満をかき立てるに十分な条件でございます。それが恐らく一つ、破綻の要因になる可能性というのが恐らくあると思います。 もう一つは、軍事力による平和というのは本来的に不安定なものであることは言うまでもございません。核兵器がもし、過去、第二次世界大戦後の国際社会の安定に貢献したということがあるのであれば、若しくは核兵器を持つことによって国力以上のパワーを持つということが保障される、若しくはそういうふうに見られることが起きるのであれば、恐らく多くの国は核兵器を求めて、それによるディスプロポーショナルなとか、そういう言い方をしますけれども、その本来持つべき国力以上のパワーを持つために核に手を出す国というのが出てきてもおかしくありません。 すなわち、国際法においても、また軍事力を通じた平和においても、両方ともに様々な問題が出てくると思いますので、それを一気に解決する方策というのは、残念ながら私自身は回答というものは持ち合わせてございませんけれども、その国際法による支配、また軍事力により安定というものをいかにマネージしていくか、この緊張関係の中で我々は暮らしていかなければいけないのではないかなというふうに考えております。
○参考人(越智萌君) ありがとうございます。 お二人の参考人が言われたことに加えて言えることは何かと考えておりましたけれども、一つは、その戦争が持つ意味がどう変わっていくのかということですね。第二次世界大戦以降、特に冷戦下において、国とそれから反政府の武装組織、ないしは反政府武装組織同士の内戦というものが主流だったわけです。二十一世紀に入ってから、こういった国家間、ないし今の大規模な超大国が関わるような戦争というものを見るようになって、多くの人、特に若い人たちは国際社会は危険になっているんじゃないかというふうに考える人が増えていると思います。 ただ一方で、こういったことよく言われますけれども、暴力がよく見えるようになったというのも大きな変化だと思います。監視カメラが道にあり、SNSで遠くの国の家の中の、被害に遭った方の病院での姿などを見ることができるようになり、そして、市民団体が世界中で活躍しているということで、今まで見えなかった暴力がよく見えるようになった世界であるということも言えると思います。内戦も、私たちはメディアで見る程度だったものが身近なものに感じられるようになって、そして、若い人が、その結果、世界は危険になっているように感じるというのが現代なのかなと思います。 そんな中で、従来のメディアがやはり大国間の戦争やネタニヤフ氏に対する逮捕状などのニュースばかりに注目しているのは引き続きそのとおりで、そこで今まで見えていなかった内戦などが余計に見えなくなるということが起きているのかなというのも一つ思っているところです。 ですので、ICCの実績、確かにそうなんですけれども、これまで過去二十年間やってきたのは、内戦における戦争犯罪を扱ってきた機関ですが、今回のようなことが起きるまでほとんど着目されてこなかったというのも事実だと思います。 ですので、見えるようになったものと、そしてそれに隠れてしまったものというのを見直す機会にもしていく中で、暴力、戦争だけじゃない暴力というのがどれほどあるかということに目を凝らしやすくなったというところと、それが政策に反映されやすくなったというところが一つの進歩なのかなというふうに考えております。
○伊波洋一君 どうもありがとうございました。 時間のようです。
○会長(猪口邦子君) それでは、齊藤健一郎君。
○齊藤健一郎君 NHKから国民を守る党、齊藤健一郎です。今日はよろしくお願いいたします。 まず、越智参考人にお伺いします。 法の秩序を世界でつくっていく上でICCが機能をしていかないといけないと思うんですけれども、やはりその中で、やっぱり米中ロが未加盟であるというところに関して、機能させていく上ではもうかなり障害にはなるのではないかなというふうに思うんですけれども、米中ロが加盟をする可能性というのがあるのかどうなのか、お伺いさせていただきたいと思います。
○参考人(越智萌君) ありがとうございます。 御指摘のとおり、米中ロ、最初ICCをつくった際、一九九八年のローマ会議ではいずれの国もローマ規程自体には署名をしていて、こういった組織がつくられるべきだということには同意をしていたわけです。ただ、国会、各国の議会で承認が得られず加盟に至らなかった。そして、ロシアについては、逮捕状、クリミアについて捜査が始まった段階で署名を撤回し、そして、アメリカについてはトランプ氏が署名を撤回するという形で、近年更に反対する姿勢に変わっていったというところがあります。 これをどう考えるかということですけれども、もちろん、第二次世界大戦後のニュルンベルク裁判をモデルにしてつくられて、同じようなことが二度と起きないようにということでその制度自体には賛同していたわけですから、ICCという制度自体に何か問題がある可能性もありますし、ICCが、先ほど少し出ましたけれども、コミュニケーションをうまく取って、各国と協力、友好的な関係を築きながら協力できるような機関になっていけばまた相互不信も減っていく可能性もある。 特に、今回、ウクライナの事態に関してはアメリカのバイデン大統領もすごく歩み寄る姿勢があったということで、今後、ICCの国際機関としての振る舞いによっては加盟の可能性も、政権交代等々含め、全くないわけではないということで、これは、国内の政治、そしてICCの国際機関としての正統性、そして振る舞い方に影響される問題だろうなというふうに考えております。
○齊藤健一郎君 ありがとうございます。 続いて、佐藤参考人の方にお伺いいたします。 先ほど伊波委員の方からもその脅威についてのお話ありましたが、グローバルサウスが実際にLAWSのようなシステムを手に入れることというのは多分今後考えられなくもないのかなというふうに考えたとき、中国のドローンであったりとかというのが割と世界の中で先端を走っているときに、中国から輸出によってグローバルサウスに流れるというような、そのような脅威というものは考えられるのかどうかというのをお伺いさせてください。
○参考人(佐藤丙午君) ありがとうございます。 LAWSの問題においてはグローバルサウスが極めて大きな存在感を見せているのは事実でございます。 彼ら自体、LAWSの規制を求めているのはよく知られるところでございますが、同時にLAWSに関わる技術ないしは物資の輸出の管理についても反対しているというのも彼らの立場ではございます。 あるときに、彼らはこれを、デジタルNPTだと、新しい差別条約を作ろうとしているのかというふうに言った方がおられまして、それを見ていると、彼らが、十分な平等な立場で、技術移転の問題にせよ、AIの開発にせよ、行うべきだということを考えていることを改めて認識しました。 そういう意味において、G8、あっ、G7のAIのプリンシプルにおいても誰も取り残さないということが一つの原則としてありますので、AIの開発において差別的な措置を行うということについては、グローバルサウスも、また先進国の側も反対するところなんだろうなというふうに思います。 しかしながら、その中で、ドローン含めた様々な先端兵器がグローバルサウスの国々によって調達され、使用されているのも事実でございます。恐らくいろんな評価はあると思いますけれども、今、よく日本は軍事的に言えばドローン後進国だというふうにやゆされるように、自衛隊、防衛省・自衛隊が持つよりもかなり先端的なドローン若しくはAIの統制システムで運用しているケースというのもあります。 そう考えていくと、これまでのような、これまでの輸出管理に見られるような、先進国、要は、技術的に発展した国からそうでない国に対して技術が流れるのを防止するという形での輸出管理、安全保障貿易管理の形というのは確実に不適切です。少なくともAIに関しては不適切になっていて、これをグローバルサウスと共に、どういう形で安全なものにしていくかということを共に考える必要がある、これがこの後の軍備管理・軍縮においては極めて求められている立場、視点なのではないかなというふうに考えております。
○齊藤健一郎君 ありがとうございます。 そして、立山参考人に最後一つお伺いをさせていただきたいと思います。 これは、中東情勢に関するそのメディアの報道の仕方ということをお伺いしたいんですけれども、元UNRWAでお仕事をされていたということもありまして、割とこの日本の報道の中で、UNRWAイコールハマスだと、イコール悪だというような風潮も、この日本の中の、この世論の中にも結構あったわけで、是非、日本としてもUNRWAに対しての支援金を出すべきでないというような声が一時期すごく高まりました。 政府として再開をしたことは非常に喜ばしいことではあるのですが、このメディアの報道によって、ここ、国民が誤った判断をして、それによって政府が誤った判断をしてしまうというようなことというのが、やはり今回のあのトランプ大統領のUSAIDの件に関しても、報道の仕方がミスリードになるおそれというのが非常に怖いなというふうに思っているんですけれども、特にこの中東情勢に関するそのメディアの報道の仕方というところを立山参考人の方からちょっと御意見をお伺いしたいなというふうに思います。
○参考人(立山良司君) 私、UNRWAについては一応フォローはしているんですけれども、日本の中で、UNRWAはハマスである、あるいは悪であるという声が通常の報道で上がっているのは、私は残念ながら認識をしておりません。様々なメディアの中でそういう声が上がって、あるいはそのUNRWAに日本が拠出金を出すべきではないという声が上がっているのかもしれませんけれども、私が接していたり、あるいは私が聞かれたりした点では、そういう声は聞いておりません。 むしろ、今回のガザをめぐる報道では、もちろんいろんな意見があったのは承知をしていますけれども、全体として見れば、やはり人道に対する問題というのが大きくクローズアップされ、それは、特に民間人が多数殺害されるとか、あるいは飢餓状態が発生するとかそういうこと、あるいはアメリカが限りなくイスラエルを支援し続けるという、そういう問題に対してかなり鋭い批判なり指摘はあったんだろうと私は思います。 その意味で非常に、まあ全てを見ているわけではございませんけれども、私が見ている範囲では、一定の現実を伝えることにおいて日本のメディアは役に立っているというか有効であったんではないかと認識をしています。
○齊藤健一郎君 ありがとうございます。 一部、エコーチェンバーみたいなという言葉もありますが、割と報道の取り方次第で、割とネットかいわいでUNRWAに対しての拠出、政府に対しての批判というものが結構声があったのかなというふうに私自身は認識をちょっとしているんですけれども、実際にこの現場に携わっている方からの意見として、日本政府、日本のメディアの報道として正しく報道されていたというふうな見解をお持ちでしたら、多少の安心はしたので、今後とも、メディアにおけるその報道の仕方というものに関して正しい報道というものをメディア自体も心掛けていただくように、我々としても監視をしていかないといけないのかなということなので、それぞれのプロの方々にメディアに正しく情報発信をしてもらうようなこともまた今後ともお教えいただけたらなというふうに思います。 私からは以上です。
○会長(猪口邦子君) 以上で各会派の一巡目の質疑は終了いたしました。 他に質疑のある方は挙手をお願いいたします。 杉尾秀哉君。
○杉尾秀哉君 ありがとうございます。立憲民主党の杉尾と申します。 三人の先生方、今日はどうも、本当に貴重な御意見、そして御見解示していただきまして、大変ありがとうございます。 私も、ちょうど四半世紀ぐらい前なんですけれども、当時、私、ワシントンでクリントン大統領の取材をしておりまして、クリントン大統領がガザ地区に行って、ちょっと内容忘れましたけれども、そのときに同行した覚えがありまして、あのガザ地区、本当きれいな、リビエラと言ったのもまあ本当に、うそではないほど本当にきれいな場所、確かに貧しい状況ではありましたけれども、しかし、あのガザ地区がもう跡形もなく、言葉は良くないですけど、瓦れきの山となっている。そして、四万人以上のパレスチナ人、もちろんイスラエル人もいますけれども、殺害されたと、殺されたという事実、本当に愕然とせざるを得ないわけですが。 そこで、ちょっとまず立山参考人に伺いたいんですけれども、さっきシリアの話を少し触れられておられましたが、アサド政権、中東最後の独裁者と言われておりましたけれども、アサド政権が崩壊したことの影響を、例えば、ロシアの拠点でもあったわけだし、それからイラン、ヒズボラの拠点でもあったわけなので、このアサド政権の崩壊後のシリアをどう見るかということと、シリアの安定というのは極めて重要だと思っていまして、シリアが混乱すると、また中東に一つ波乱要因というか不確定要素が増えるということで、このシリアをこれから日本がどう支援していくかということも含めて、御見解がありましたら聞かせていただきたいというふうに思います。
○参考人(立山良司君) シリアもまたガザと、国ですから規模が違う状況で、大変な状況になっております。十数年にわたる内戦で破壊が行われていて、復興だけで二千億ドル以上掛かるだろうというような推定もございますし、国外避難の難民が六百万人ぐらい、国内避難民が七百万人ぐらい、人口の半分以上ということです。ですからこそ、何らかの安定が必要なわけですけれども、他方で、アサド政権が崩壊することによって、現在、力の真空状態といいますか、空白状態が起きたのも事実であって、それを誰がどう埋めるかというと、周りが今様々な形でその現在の非常に弱い移行政権に働きかけをしているというのが事実ですし、シリアの中でもまた様々な民族とか宗教、宗派の組織があって、分断支配を、シリアを、しているということですから、外からの介入に弱いという状況もあると思うんですね。 こういう中で、やはりおっしゃられたとおり、シリアというのは、非常に中東の中、特に東アラブ地域の中でシリアの安定というのは重要なことなわけですから、日本もまた既にその移行政権とは接触をしているようですけれども、どういう形で復興、復旧復興を支援していくのか、特に日本の場合には、お金を出すということもありますけれども、同時に、様々な人づくりとかそういうことに関しての支援を長期的な視点から行っていく、そういうような働きかけが必要なんじゃないかと思っております。
○杉尾秀哉君 それから、もう一つ立山参考人に伺いたいことがありまして、日本というのは、イスラエルもそうですけれども、アラブ諸国とも関係が良好で、まあ日本にはPLOの事務所もありますし、その意味では日本が本当はその和平の仲介役みたいなことができればいいんでしょうけれども、まあ現実問題そうはなかなかいかないという中で、これからその第二段階、第三段階と移行できるかどうか、第三段階になって例えば復興ということになると、日本として何ができるかということなんですけれども。 UNRWAのその活動も含めてなかなか不確定要素が多い中で、日本としてこのパレスチナのその和平の中でできることですね、先生なりにどういうことを考えておられるのか、その点もお聞かせいただけると有り難いと思います。
○参考人(立山良司君) もちろん、パレスチナ独立国家ができてイスラエルと共存をしていくという、いわゆる二国家解決案というのが実現すればいいわけですけれども、現実にはそう簡単にはいかない、ガザの状況しかりですし、ヨルダン川西岸の状況もしかりです。 ですから、長期的に、やはりパレスチナ人、占領下にあるパレスチナ人をどう支えていくのかという視点が必要でありますし、もちろんガザに関して言えば、緊急な支援も必要ですし、長期的な視点にわたる支援も必要だと思いますけれども、シリアにおいてもそうなんだろうと思いますが、緊急支援をしながらも、長期的な要素は何なのかということを考えて支援をしていく必要がある。緊急支援が終わった、次は復旧、次は復興というような段階的なものではなくて、現在の緊急支援の中に将来の復興も見据えたような取組、それはさっき申し上げたような教育とか医療体制とか、そういうことを含めた取組、支援が必要かと思っております。
○杉尾秀哉君 今おっしゃられていることはまさにそのとおりだというふうに思っていまして、ただ、それもこのまま和平が進んでいかないといけないわけなので、またいつ壊れるか分からないというような状況の中で、引き続き我々も重大な関心を持って注視しなければいけないと思うんですが。 今度は佐藤参考人に伺いたいと思いますけれども、先ほど示していただいた資料の二枚目の下半分のところなんですけれども、いわゆるそのAIによる軍事利用という中で、人道法上の問題と信頼性の問題というのをこの二つ課題を挙げておられますが、一応こう情報があって、そのヒューミントがあって情報があって、それにそのいろんな要素を考慮した上でAIが分析をしてターゲティングするんだろうということを一つ考えられるんですけれども。 あのガザのめちゃくちゃさ、あの壊れ方とか見ると、これはもうAIとかいう以前に、もうとにかく手当たり次第にミサイルで攻撃しまくっているという、もう跡形もなくなっているような、そういうふうな、まあもちろんそういうところを多く報道はしているということはあると思うんですけれども、そのAIの軍事利用というのは、本当に果たしてどこまでその信用性が、信頼性があるんだろうという、やっぱりちょっと疑問に感じるわけなんですけれどもね。その辺、佐藤参考人のお考え聞かせていただければ有り難いと思います。
○参考人(佐藤丙午君) ありがとうございます。 確かにガザの状況を見る限りにおいては、あんなにこう、何というんですかね、時間差を置いてばらばらにする必要はなくて、もしあの最終的に破壊、あのもたらした破壊だけが目的なのであれば、もっとほかの方法は恐らくあったと思うんです。これは破壊を正当しているわけではなくて、破壊という行為だけを考えたときにですね。そうなったときに、あれを見て、イスラエルがAIを使用して非常に効率的、効果的に破壊を行ったんだというふうに言われても、にわかにそれは信じ難いものがあるのは事実だと思います。 恐らく、今回のイスラエルの行動、軍事行動の中にもいろんなエラーがあると思いますし、大きな誤爆も含めて様々なミスをしているんだと思います。我々は、軍事技術の開発においてはやはりトライ・アンド・エラーが必然ではありますけれども、トライ・アンド・エラーのエラーの部分において起こる大きな人道的な被害というのに我々は目を背ける、背けてはいけないというふうに思います。 その中で、今回のイスラエルの軍事行動において、何が成功したもので何が失敗したものであるかということは検討する必要があると思いますし、恐らくイスラエルの方からはそういう情報って出てこないと思います。そういう意味において、外部の日本のような立場の国が、イスラエルとの関係の中で、またパレスチナとの関係、先ほど杉尾先生がおっしゃったように、PLOとの関係も日本としては一定以上維持しているわけですから、そういうものの中で、いわゆるアフター・アクション・レポートみたいなものを日本として検討していき、それを将来の規制に関わる議論若しくは将来のAIの技術開発のコントロールに関わる議論につなげていくというのが、今回、不幸にして犠牲になった方々の犠牲を完全に無駄にしないための一つの重要な方策ではないかというふうに思っております。
○杉尾秀哉君 もう時間ですかね。 本当は、最後に越智参考人に、ICCの所長が日本人になられたので、ちょっと日本としてどういうことが何かできるんだろうということを伺いたかったんですけど、ちょっと時間なので、この辺でやめさせていただきます。 ありがとうございました。大変、越智先生、済みません。 以上です。
○会長(猪口邦子君) 伊波委員。
○伊波洋一君 済みません、二巡目で質問させていただきます。 佐藤参考人だけに質問したいと思いますが、今日の資料の中にもあります民間人附帯被害の問題というのがあります。これは、ジュネーブ諸条約第一追加議定書等で、やっぱり住民に被害を与えてはいけない。で、日本は、実は九条があって、そういうことを考えない世界で、二〇〇四年にこれを批准をしたということで。というのは、戦争しない国がする国になろうとしてきたわけですね。 もうそれで、この十年間で完全に戦争する国になっていまして、今、防衛省では配備するミサイルのその附帯被害について今一生懸命考えているというようなことが聞こえますが、そこら辺の状況について、もし御存じでしたら教えていただけませんか。
○参考人(佐藤丙午君) ありがとうございます。 民間人の附帯被害の問題というのは、こういう戦争に関わる問題若しくは軍事力行使に関わる問題においては、どこの局面においても極めて悲惨な、非常に心を痛めるような問題であることは言うまでもございません。 我々日本として見て、日本もジュネーブ諸条約の追加議定書に参加していますけれども、これはたしか、私の記憶が正しければ、イラクに自衛隊を派遣する際に、国際基準に合わせた形で活動しなければいけないということを前提に条約に加盟したものでございまして、この加盟においては、これはそれこそバックグラウンドで聞くような話なのかもしれませんけれども、外務省も防衛省も驚くほど、議論が国会でないままこの条約の批准が通ってしまったということがあったと思います。 要は、もちろんこれは、皆さん、議員の皆様がこの問題について無関心であったりであるとか、ジュネーブ諸条約を一〇〇%受け入れたがゆえにそういう議論がなかったということを申し上げたいのではなくて、この条約の中で恐らく様々な問題がこの後も起きていくと思います。 自衛隊が戦争をする、まあ日本が戦争をする国になったかどうかというのは恐らく政治的にいろんな判断のあるところだとは思いますけれども、ただ、現場で実際のそういう行動、戦闘行為に関わらざる得ない防衛省・自衛隊にとってみるとこれは極めて深刻な問題でございますので、戦争するしないはともかくとして、今のジュネーブ諸条約の議定書を自衛隊がいかに守り、守ることができ、民間人の附帯被害を最小限にすることができるかということについての議論が、特にこの参議院において活性化されることを期待しております。
○伊波洋一君 私、外交防衛委員会にもおるんですけれども、今日、石破総理の訪米報告の本会議がありまして、南西諸島における米軍といいますかね、日米の関与をより多くするということに対する質問がありまして、どういうことなんだと聞いたら、要するに演習をここでやりますよということなんです。でも、二〇二二年、二三年、二四年と、本当に以前と違って、本当に全国的な演習が今、日本で行われています、日米の演習が。それはいわゆる中国との戦争なんですけれども、そのために例えば沖縄では、南西諸島の四十の島々を攻撃拠点にするという日米合意の下での戦争計画が作られたということでももうある程度確定されているんですけれども、そのために先島の全住民十二万人を九州、山口に移す、それから奄美の島々の十万人を移すという計画が内閣官房を中心に本当に詳細に作られていまして、もう介護されている人は何名かということも含めてですね。 でも、実際多くの国民は知らないですよね。国会議員も知らないです。でも、このタイムリミットは二〇二八年なんです。二〇二八年を想定してそれが行われ、そして安保三文書と四十三兆円のお金のうち十五兆円が全国三百の自衛隊基地、空自施設、海自基地の弾薬を積み増すことと装備を積み増すこと、これに使われるんですね。もう始まっています。私たちの国が、まさに戦争がない社会の中で戦争を前提とした取組が本当に今行われている。特に沖縄ではそれが顕著に見えてくる。ミサイル基地が造られたり、弾薬庫が造られたり、いろんなことがあります。 ですから、私はやはりこれは、さっき一番最初の問いとの関連なんですけれども、本当に過剰な取組ではないだろうかと今思っておりまして、国会の中で議論していく予定ですけれども、それが現実に行われているということですね。そして、ミサイルが、敵基地攻撃ミサイルを向けていくということが全基地で行われるようになると。それは逆にこっちが攻撃されるということでもあると。 日本の自衛隊基地というのは、九条の中で、決して住民から距離があるわけじゃないんですよ、本当に狭いところに基地があるので。そういう意味では、この民間附帯被害というのが多く発生し得る地域であるというふうに思います。沖縄なんかは特にそうですけれども。 だから、そういったことに対してやはり私たちがやはりそういう戦争を避ける作業をしなきゃいけないんだろうと思いますが、佐藤先生、参考人はどんなふうにやっぱり考えていますか、今の流れの状況というのを知っていると思うので。
○参考人(佐藤丙午君) 私はそんな、政府の微に入り細に入りの細かい情報を存じ上げているわけではございませんので、極めて一般論として申し上げたいと思いますけれども、外交においては相手に対してどういうメッセージを発するかというのが極めて重要でございます。 外交においては、これは戦争、外交と戦争を対置させる主張もありますけれども、私はそれは正しくないと思っておりまして、やはり国際社会の中における外交というのは極めて重要な手段だと思っております。第一義的に考えるべき手段だと思っております。 しかしながら、外交にはその中で交渉をするという局面がありまして、交渉する際には相手に対して何らかの、相手がそのこちらの交渉に乗ってくるための手段というのがございます。恐らく、軍事力をプレーンに評価するとすれば、その外交の手段として軍事力というのが存在するんだというふうに思っております。 その観点から考えていきますと、先ほどおっしゃったように、全国的に演習が行われ様々な日米協力が強化されるというのは、確かに軍事面から見たときにそれを脅威に思う方がおられるというのは十分理解できますけれども、同時に、そういう形で日本が、日米が準備態勢を取ることによって相手を抑制させるという効果もございます。 その軍事力が相手に対して脅威になるか、そして相手を抑制させるかというのは極めて重要なバランスが必要な作業だと思いますので、当然のことながらそこには、先生がおっしゃったとおり行き過ぎの場合もあれば、若しくはそれが不十分な場合もあると思います。現実に行われている南西諸島における、南西諸島を含めた、鹿児島も含めた、九州地区も含めた防衛力の強化というのが果たして行き過ぎであるのか、それともそれはまだ不十分であるのか、またこれが十分であるのか、そこについては、恐らくある一定の瞬間においてそれが正しい正しくないというのはないと思いますので、常に参議院の中においても、またここの調査会においても検討を加えていただければ有り難いなというふうに思っております。
○伊波洋一君 ありがとうございます。 こういうことがあるということをみんなが知っていく中で議論をして、戦争ではない道にやはり向かっていこうと私自身は思っておりまして、是非皆さんにもこういうことが今起きているよということだけは知っていただきたいと思いまして質問いたしました。 ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) 他に御発言はありませんか。──他に御発言もなければ、参考人に対する質疑はこの程度といたします。 参考人の皆様に一言御礼申し上げます。 参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後三時四十一分散会