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217回国会参議院2025/05/09

政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会 第5号

発言数
88
登壇者
12
会派数
8
開催日
2025/05/09

会議録

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) ただいまから政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、若松謙維君、竹内真二君、仁比聡平君、石垣のりこ君、山本順三君、川合孝典君、梶原大介君、三宅伸吾君及び松山政司君が委員を辞任され、その補欠として三浦信祐君、山本博司君、紙智子君、勝部賢志君、榛葉賀津也君、高橋はるみ君、永井学君、松川るい君及びこやり隆史君が選任されました。     ─────────────

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  政府開発援助等及び沖縄・北方問題対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に京都大学名誉教授・神戸大学名誉教授高橋基樹君、近畿大学名誉教授池上甲一君及びインパクト志向金融宣言事務局長代理小笠原由佳君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) 政府開発援助等及び沖縄・北方問題対策樹立に関する調査のうち、第九回アフリカ開発会議(TICAD9)に向けた我が国の開発協力の在り方に関する件を議題とし、参考人の皆様から御意見を伺います。  この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、高橋参考人、池上参考人、小笠原参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず高橋参考人からお願いいたします。高橋参考人。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) 高橋でございます。  アフリカの経済の研究を始めましてから三十六年になります。その経験に基づきまして、事務局から御連絡をいただいた御下問について、私なりにお答えをさせていただきたいと思います。  お配りしました資料の一枚目の下段にございますように、意見陳述の内容は、アフリカの開発課題の現状、それからTICADの今日的な意義と評価、そして三番目に日本に期待される役割等、そしてTICAD9に向けて私なりの御提案と申しましょうか、それを言わせていただきたいというふうに思います。  めくっていただきまして、まず、アフリカにおける開発課題ということですが、本当にアフリカには多くの多面的な開発課題がございまして、全てをお話しすることは到底不可能ですから、二つに絞って、最も重要なことというふうに私が考えることを御説明をしたいと思います。  第一に、経済成長の不安定さと構造転換の遅れということでございます。  依然としてアフリカは、植民地時代につくられたような鉱物資源あるいは農産物などの一次産品に依存をしておりまして、それが引き続いているために非常に不安定な経済が現状としてございます。その一方で、その依存が続いている理由は、やはりほかの国と比べて工業化が停滞をし、場合によっては深刻なことに相対的に縮小しているという事実がございます。余りこれまでの議論で振り返られてこなかったことですので、この点を詳しくお話をしたいと思います。  二番目は人口増加です。  これはポジティブなこととして触れられることが多いですが、先生方御案内のとおり、これは、子供を扶養する、教育し、医療保健を施す、負担にもなりますし、また、若者が失業のまま育てば社会政治的不安の拡大になります。これについては、後ほど日本の役割と連動させながら御説明をさせていただきたいというふうに思います。  それでは、アフリカにおける開発課題の現状ということで、四ページ目を御覧いただければと思います。  よく、アフリカは今成長しているよねということを一般の方から言われます。ですが、この図ですね、これは一人当たりのGDPの推移を見ておりますけれども、二〇一三年辺り、これはTICADⅤがあった年ですが、その頃から世界的な資源ブームが終えんするとともにアフリカは停滞をし、むしろ一人当たりのGDPは米ドルでいえば停滞をしております。  この図ではなかなかコロナ禍とウクライナ侵攻等のアフリカ経済に深刻な影響を与えている事態の影響が十分分かりませんが、全体としてはアフリカは必ずしも成長していない、ここにアフリカの問題がある、一端が表れているというふうにお考えいただければと思います。  次に、五ページ目に行っていただきまして、これは何を見ているかといいますと、アジアの二か国、タイとバングラデシュ、それとアフリカの代表的な製造業が発達しているというイメージのあるケニア、それの製造業の全体のGDPに占める比率を比較したものであります。  これは、皆様の御期待のとおりというか、御想像のとおり、タイの製造業の比率というのは大変高く、二〇一〇年辺りには三〇%ございました。むしろ富裕化のためにサービスの比率が上がっていって、やや低下をしている。先進国的な経済のサービス化が起こっているという事態がありますが、それに比べてまだバングラデシュやケニアの製造業の比率は低く示されております。ただ、バングラデシュは、御案内のとおり、世界のアパレル工場という異名を取るほど工業化が進んでいると言われていまして、製造業の比率はかなり順調に上がってきています。  大変ショッキングなのはケニアでありまして、製造業の比率はむしろバングラデシュと対照的に下がっているという事実があります。これは必ずしも絶対的にケニアの製造業が成長していないということは意味しませんが、ほかのサービス業や農業に比べて製造業が十分伸びないという状況があるわけです。こういうものはアフリカで広くほかの国々でも観察をされていまして、早過ぎる脱工業化ということで世界的に開発経済学者の注目を浴びている事態であります。  今までのイギリスから始まり日本を経て中国に至る世界の工業化の歴史に照らしてみれば、やはり、安定的な外貨を獲得し、雇用の創出を広範にできる製造業の発展をアフリカでも将来的に図っていくということが今後重要になるというふうに思います。  では、どこにアフリカの製造業の問題があるかということで、六ページ、ちょっと見にくいですが、ピラミッド型の図がございますので、これを見ていただければと思います。  アフリカの、特にケニアなどの統計に従って概念的に図を作成したものでありますが、企業は規模が大きくなればなるほど、日本でもそうですけれども、数が、企業の数は少なくなります。ただ、日本と違うのは、ここに働いている人々の数というのはかなり少ない、少数の労働者しかそこにはいないということです。  日本では、非常に強い中堅の企業、中小企業でも大きめの企業がたくさんあって、これが経済を支えていると言われていますが、アフリカでは、英語でミッシングミドルと言いますけれども、中間の企業が非常に弱い。この二つ、大企業と中企業はフォーマル、政府にきちんと登録をしている企業ですが、このような非常にいびつな、日本から見ればいびつな形をしています。  では、大多数の労働者はどこで働いているかというと、その規模が非常に小規模で零細で、インフォーマル、すなわち政府に登録をしていない、税金を払っていないことも多いインフォーマル部門というところで働いていますが、アフリカの現場をケニアを中心に歩いてみると、実はこの部門は非常に活発になっている。アフリカに行かれた先生方はよく目にされると思いますが、路肩とか空いている空き地とかで非常に盛んな小規模零細の方々の活動が若い人たちの受皿になっているという事実を目にされることだと思います。  ちょっとまためくっていただきまして、私の一つの研究課題として、都市インフォーマル部門に最近は出入りをして歩き回っております。写真で見えますのはソファーを売っている場所なんですが、準幹線道路のようなところに、路肩に、一見非常にきれいな立派なソファーが並んでおります。八ページの下の写真を見ていただくと、非常に立派で日本の家にも余りないようなソファーをこのインフォーマルな、野外で仕事をしている人たちが作っている、そういう事実がございます。九ページの写真などを見ていただくと分かるとおり、非常にデザインも凝っていて、かなりたるみとかそういうものがなく、カバーと中の枠組みがぴったり合っているような緻密な設計。しかも、多くのソファーというのは、野外でインフォーマルの人たちが作っていても極めて規格化されています。  これを何回も通って見ていますと、新しいデザインが年々歳々生まれている。あるいは、作り方に工夫が、また進化していく。さらに、彼らが、インフォーマルの野外の物づくりをしておられる方の中で自分たちで機械を発明するといった数々の創意工夫が見られます。  九ページの下、十ページですね、これは、本当に東京のちょっと良さげなバーとか、そういうところで見られるような立派なソファーを作っている場合もあります。学生にこれを買いたいかと言ったら、家が小さいので入らないと言っていましたけれども、アフリカの中間層では大きな家を持っておられる方がたくさんおられますので、こういう大きなソファーを買って帰られる。しかし、こういうソファーも半分野外で作っています。  めくっていただきます。キリンが見えますが、このキリンは、実物大ですが、金属でできています。非常に写実的にできていますし、ちょっと右の方にこれを作った職人さんたちがいるんですけれども、人間と比べて見ていただければ分かるように、大変大きなものです。あるいは、その右側に非常にすてきなこれバーベキューセットなんですけれども、こういうものを意匠として作れる技術を野外で働いている人たちが持っているということです。多くの場合、これは政府に登録をしていない。  さらに、十二ページ下を見ていただくと、これは、アフリカにとっては、特にケニアは土葬ですので、人を弔うということはとても大事なんですけれども、棺おけ、とても凝ったすばらしい棺おけを作ることができます。皆さん、半分野外で営業しておられるインフォーマル部門に属しています。  このインフォーマル部門の経済活動がなぜこれほど活発になっているかということを私なりに考えてみますと、十三ページに書いておきましたように、都市人口の増加、これによって、彼ら、所得の低い人も含めて、非常に消費が拡大、都市で拡大している。彼らのために物を作る人たちが当然必要とされるわけですね。  一方で、最初に申し上げたように、若年の方々がどんどん労働人口に入っていきますから、彼らの大量の流入が見られる。さらに、きちんとしたソファーを、先ほどお見せしたとおりのものを作るためには、非常に最低限の算数の教育などが必要になります。基礎教育の普及というのは、実は物づくりの盛り上がりに役立っている。よく職業訓練と基礎教育を分けて、職業訓練を優先するとかそういう議論をされることがあるんですが、これは一体だとお考えいただかなければならないと私は思います。  もう一つ、これは一部の方は問題に感じられるかもしれませんが、事実として、安価な器具あるいは中間財が新興国から、特に中国からたくさん輸入されるようになっている。中国の製品は、もう何十年も前に比べると質が上がっていますので、しかも安い。深刻なことは、これが国内の競合品を作る、ケニアの国内の競合品を作るものよりも安くて質がいいということです。ですから、この物づくりの、最底辺の物づくりの方々は、中国製品なり新興国の製品を選ぶ。十四ページ出ている巻尺もそうですし、のこぎりもそうです。さらに、めくっていただきまして、くぎですね、もう大量にくぎを木工細工をしますと使いますが、くぎも中国製です。そして、きれいなカバーでソファーを覆っているところも御覧いただいたと思いますけど、これも中国製品ですね。  どのように作られるかという、かいま見ていただければと思いますが、十七ページに、親方が、左側に親方がきちんとした巻尺でこのカバーの布を測っている、彼の指示で真ん中にいる職人さんたち、若い人たちがソファーをこしらえて、枠組みをこしらえて、それにカバーをきちんとたるみのないように付けているという場面です。さらに、クッションとしては中古になった布を使っている、こういったことが見られます。  TICADの履歴と今日的評価というところに移りますが、TICADは、アフリカが非常に孤立しているとき、一九九〇年代の前半に始まりました。アパルトヘイトに反対し、民主化が進み、平和構築が必要になっている、こういう時代に、日本は欧米が忘れようとしているアフリカに手を差し伸べて、TICADを始めました。その貴重さは今でも忘れてはならないと思います。  さらに、これは日本単独の開催ではなく、アフリカ、AUCと世界銀行、UN、そして国連開発計画等と一緒になってやってきた。この三十二年の歴史の中で、民間の人々がこのTICADのプロセスに参加をし、様々な次元で交流をしてきています。貧困削減の支援からビジネスの促進への領域が広がっている。そういったものがTICADのプロセスであり、これは日本の国家資産と呼んでいいと思います。  私、今後注目しなきゃいけないと思うのは教育研究であり、文化、芸術、スポーツの分野でも日本とアフリカの交流がTICADを中心に行われていくことが必要になるというふうに思います。  さらに、十九ページになりますが、ODAを通じてアフリカに対して日本がコミットメントをする、その基盤になってきたのはTICADでの議論だろうと思います。特に、アジアだけ日本が伝統的に支援をしていった場合には起こり得なかった様々な広がりを、アフリカへの支援をODAで行うことによってODAは獲得し、私は、いろいろ日本のODAにはアフリカ支援にも問題があったとしても、相対的に見れば世界に冠たる多面的かつ質の高い大規模のODAを日本の援助は供与していくことができると思っています。  さらに、例えばケニアの一般人の方と話しても、日本の支援を高く評価してくださる意見を聞きます。日本のパスポートはシンガポールと並んで世界最強と言われますが、日本人が犯罪を犯さないというような説明がありますが、明らかにアフリカにおいてJICAなり日本のODAというのは大変歓迎をされているし、それが日本のパスポートのアフリカにおいて通用する強みになっていると思います。  ちょっと時間がなくなりましたので、急いでまいりますが。  さて、今まで投資が非常に日本から停滞しているということが言われていますが、申し上げにくいんですけれども、これは元々産業構図が日本とアフリカでずれているので、これ自体はそんなに嘆くことでもないし、致し方のないことだと思いますが、ただし、一部の耐久消費財、自動車やエアコンや、あるいは資源採掘に用いられる制御機器等は大変アフリカでも歓迎されているところでありますし、こういったところから投資を進めていくことが重要であろうと思いますし、さらに、インドとか東南アジアにある日系の工場からの輸出というのはかなり多くございます。  スタートアップ志望の若者にケニアなどに行きますとたくさん会いますが、多くの場合失敗して帰ります。私の見たところ、十人のうち九人は失敗して帰る。ただ、彼らを鍛える必要があると思うんですね。日本とアフリカでは余りにも投資への環境が違いますので、彼らに訓練をしてもらう。  さらに、二十一ページ、二十二ページ……

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) 時間が超過しておりますので、おまとめください。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) はい。  二十一ページ、二十二ページには日系の企業が、例えばタイとかが輸出しているということを見せていますし、中古車の、あるいは中古のミシンがアフリカで使われているということが出ております。  最後に申し上げたいのは、実はアフリカにはたくさんの若者が、日本のことをよく知っている人が現れている。ちょっと飛ばしますけれども、アニメなどは大変な関心を集めています。私も、アフリカのソファー職人の若者から私が知らない日本のアニメのことを知りました。  二十七ページに行っていただくと、ナイジェリアという日本と縁遠そうに見える国でジャパンフェアをやっている。あるいは、ちょっと違いますが、二十八ページではケニアで日本の塾がチェーンを開いているというものも見られると思います。  まとめに入ります。  二一〇〇年には三分の一の人がアフリカ人になるという状況がございます。こういう中で、アフリカの人口はどんどん膨張してまいりますが、依然としてアフリカ人の一〇%しか大学に進学することができません。多くの才能がうずもれていく。三十一ページに示しましたようなノーベル賞を取られたような優れた方、そういう方になる素質を持ったアフリカ人はたくさん生まれますけれども、彼らに機会を与えるということができない。  三十二ページに示しておりますのは、二一〇〇年にはアフリカで生まれる子供は……

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) 高橋参考人、時間がかなり過ぎていますので、質疑の中でまたお述べいただければと思いますので。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) はい。済みません。分かりました。  ということで、是非、我々教育機関に機会をお与えいただいて、アフリカ人の子供たちを育てる、そういう役割を与えていただければというふうに思っている次第です。  長くなりまして、失礼をいたしました。

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) ありがとうございました。  次に、池上参考人にお願いいたします。池上参考人。挙手の上、御発言ください。

池上甲一近畿大学名誉教授

○参考人(池上甲一君) 近畿大学名誉教授の池上でございます。  本日は、TICAD9に向けて開発協力の在り方に関する意見を述べる機会をいただき、大変有り難く存じます。  私は、最初に、一九八〇年代後半に海外渡航を、初めて海外渡航をしましたが、それはタンザニアでした。以降、ジンバブエ、モザンビーク、南アフリカ等で主に農業に関する調査を行ってまいりました。JICAの補助事業にも多少関与いたしました。本日は、これらの経験を基に得た知見に基づいて、特に農業を中心に開発協力の望ましい在り方について意見を述べたいと思います。  本日の意見の流れは、お手元の資料のスライドの二に示しましたように、おりますけれども、五番目の地方中小都市圏の重要性というところにつきましては、時間の都合上、六の目指すべきTICAD9の方向性の中で説明いたします。  最初に、最も基本的な問題であります開発援助の基本理念について私の考え方をお示ししておきたいと思います。  二〇一〇年代後半に小農、家族農業を重視する世界的な潮流が生まれましたが、開発援助分野はこの動きにきちんと応答してこなかったのではないかというふうに考えております。小農、家族農業による伝統的農業は時代遅れで生産性が低いと、そうみなす旧来の考え方を踏襲し、それを近代農業に変えることを使命としてきました。該当地の農民は開発客体であり、新しい技術の受容を迫られる主体でした。彼らにとって開発援助というのは天から降ってくるものであり、援助期間終了後何年かたつと元のもくあみに戻ってしまうと、そういう例が圧倒的に多かったかと思います。つまり、自分たちのプロジェクトではなかったために社会に根付かなかったと言っていいと思います。開発援助の農民像を客体から主体へ、つまり、最初の段階から伴走するパートナーへと転換することが一番基本的な課題だというふうに考えています。  この点は、最近のフードセキュリティーをめぐる議論でも明確に意識されています。従来はFAOの四側面論でしたけれども、これにサステナビリティーとエージェンシーという二つの考え方を追加すべきと、そういう認識が広がっています。特にエージェンシーに私は注目しておりますけれども、これはちょっと理解しにくい概念ですが、主体あるいは主体的能力のことで、その要点は、食の確保には個人や集団、地域社会の意思表明と行動が重要であり、文化的受容性と地域の供給源を優先するという点にあります。つまり、この考え方は、自ら作るもの、食べるもの、加工の仕方、運搬などを自己決定すると、そういう食料主権の考え方と共通しています。その食と農業の分野における今後の開発援助には、この視点をしっかり踏まえる必要があるというふうに考えております。  そのためには、経済合理性を過度に強調する開発モデルに依拠するのではなく、ホモエコノミカスという人間像を転換しなければなりません。過去の負のレガシーを抜本的に転換し、地域の歴史と風土性と主体性を尊重する方向にかじを切ることが大事だというふうに考えております。  次に、スライドの六ページ以降になりますが、ODA大綱又は開発協力大綱の変化に移ります。詳細は省きます。  ここで指摘したいことは、その六ページのスライドに記しましたように、ODAの批判には、ごく大ざっぱに言うと、リベラル的なものとポピュリズム的なものの二つがあって、その大綱の改定はその影響力の強さと対応していたのではないかということでございます。前者は、一九八〇年代、九〇年代に盛んだったんですけれども、最近は、もちろん国際NGOなど市民社会組織が健闘しておりますが、全体的には鳴かず飛ばずになっているというように感じます。後者は、例えば日本人の税金を途上国に流しているとか、なぜ中国に援助をするのかといったような排外主義的な日本第一主義に特徴があります。SNSで影響力を増加させていますが、私の見る限り、公式の場で余り意見を表明したということはないように思います。  現行の大綱とそれに基づく政府の説明は、特に最近では、後者のポピュリズム的批判を強く意識しているように思われてなりません。例えば、首相官邸のホームページ、よくある誤解には、ODAは相手国や世界だけではなく、日本にとってもしっかりメリットがあるように政府が設計しているとか、日本企業がODAの事業を受注しているといった説明が並んでいます。開発援助の国益重視化と対応しているにしても、ちょっと過剰に迎合しているのではないかというふうに思われてなりません。もちろん、その短期の国益重視もありますが、地球益というやっぱりグローバルのインタレストにちゃんと応えるということが長期的な国益につながるということをきちんと併記していただきたい。是非、ヒュームの「貧しい人を助ける理由」のエッセンスを利用していただきたいなというふうに考えております。  ここで、スライドの九ページに移ります。  ここから、日本の開発援助の特徴を少し簡単に振り返っておきます。本日は、地域別の配分、アジアとアフリカの比較、手法別の内訳と贈与率、分野別配分を用意いたしました。詳細につきましては、このグラフと、その横あるいは下に付いている説明を御覧ください。  これらのグラフから分かりますように、アジア地域の重視とアフリカの地位がまた低下していること、円借款融資への極端な偏り、贈与率の低下と水準が低いこと、無償は技術協力が中心であること、経済インフラが中心で社会開発や人道支援が少ないということ、農林業開発の位置付けが産業面でも低下しているということなどを読み取れます。言うまでもありませんが、GNI比〇・七%目標には程遠い、そういう現状の下で、本当に援助資金の必要なLDC諸国、特にサブサハラ・アフリカに資金が届いているかというと、やややっぱり疑問があります。とりわけ、サブサハラ・アフリカのいわゆる脆弱層には余り恩恵が及ばない援助構造になっている、そういう点に大きな課題があるというふうに思います。  次に、本日の主要アジェンダであるアフリカに移りたいと思います。  スライド十三に示しましたように、私は、サブサハラ諸国にとっての最重要課題は、貧困と格差の是正、飢餓の克服だと思っています。これらはSDGsの第一ゴールと第二ゴールであり、両目標の改善にはサブサハラが決定的な役割を果たします。  伝統的な価値観である貧困の共有とか平等社会が崩れて格差が拡大中です。特に、その格差に拍車を掛けているのが天然資源に依存する経済ではないかと思います。もちろん、天然資源依存経済はGDPを短期的に成長させますけれども、一般的に裾野が狭いのでトリクルダウン効果は限定的で、大概はエスタブリッシュメント層の懐に収まってしまうと。一般の国民、特に農村住民にはほとんど縁がない。それどころか、ガーナのゴールドラッシュとカカオ農民の例に見られるように、希少資源の開発が農地の収奪と荒廃を引き起こし、農民の経済的地位の後退と食料不足を引き起こしています。GXを名目とした電気自動車関連の希少資源開発にも同じような観点からの注意が必要かというふうに考えております。  サブサハラの農業は、一般的に特定熱帯産品か原料農産物のモノカルチャーが支配的で、生産条件の良い農地はこういう作物に振り向けられてきました。一方で、食料生産は軽視され、食糧援助の積み重ねもあって、補助金で歪曲された安過ぎる国際穀物の輸入が常態化し、貿易赤字の原因ともなっています。輸入は個人の購買力と国の輸入用外貨準備高に左右されますが、少しの供給変動があっても価格が高騰する、あるいは失業や病気で購入できなくなってしまう、そういうリスクを抱えているので、輸入が食料確保の安定化につながるとは言えません。  サブサハラはもう頻繁に食料危機に見舞われています。  FAOの栄養不足人口のデータによりますと、最多の地域は南アジアですけれども、サブサハラはそれに次ぐとともに、絶対数でも相対的比率でも上昇しています。  それから、グローバルなフードガバナンスにとって、サブサハラは焦点の地域だと言うことができます。直近のハンガー・ホットスポッツ・レポートによりますと、二〇二四年に二十二か国がリストアップされました。そのうちの十六か国がサブサハラ・アフリカです。さらに、紛争国が挙がっておりますけれども、越境難民の存在ということも無視できない問題かと思いますし、気候変動に対して非常に脆弱な農業であるということに留意をする必要があります。  それでは、こういうホットスポットに該当しているような国は何を食べているのかということを見るためにスライド十五を用意いたしました。  スライド十五と、それからスライド十六を見ていただきますと、何を生産しているかというグラフでありますが、この二つの表とグラフから分かりますように、キャッサバなどの根茎作物が非常に重要で、米や小麦というのは伝統的な作物ではありません。ところが、栽培されていない大豆や小麦の輸入が急増するという現状になっています。こういうことが、例えばウクライナ・ロシア戦争の勃発後に指摘されたように、食料不安を引き起こす大きな原因となっているということをきちんと直視する必要があるかと思います。  こうしたアフリカの現状の下で、日本による開発援助はどのような意味を持ったのか、スライド十八と十九を御覧いただきたいと思います。  かなりはしょってまとめておりますけれども、大綱も強調している民間資金を含む海外農業投資については日本の場合にはかなり低調で、海外投資全体の一割弱を占めるにすぎません。投資は加工、製造に集中する傾向があって、農業生産はほとんどありません。アフリカはほとんど農業投資は行われていないということですね。政府がいろんな政策メニューを用意しましたが、その効果は今のところ余り現れていないのが実情かと思います。  ただ、二〇二五年、今年策定した新しい食料・農業・農村基本計画の中に、輸入の安定化、多様化ということを重要な領域に位置付けています。そこではグローバル・フードバリューチェーン戦略といったようなメニューの拡充を意図しておりますが、そこがそのグローバルサウスの批判する新植民地主義に陥らないようにする条件は何かということもちゃんと念頭に置きながら、期待半分、憂慮半分で注視したいところでございます。  それでは最後に、目指すべき方向性について述べて、私の意見をまとめることとしたいと思います。  第一に重視すべきは、アフリカ流の小農発展を目指すべき協力援助の模索です。  最初に申し上げましたように、農民を援助事業の客体ではなく、主体ないし主役として位置付けることです。まずは、オファーしたプロジェクトありきではなくて、共に調査し考えることを通じてそのプロジェクト自身を設定する、アジェンダを設定するところから始めるモデル事業を試みるということがあってもいいのではないかと思います。  その際のオファーの相手は、地方、その地に足を着けて暮らす地方の農民、農村住民で、政府や政財界、地方の官僚、有力者でもないということに注意をしていただきたいと思います。こういう社会的脆弱層の、いわゆるケーパビリティーアプローチによるファンクションの充実を目指すことで、広範な層が関与できる着実な経済成長、その定着、社会発展を実現させて、大綱の言う人間の安全保障に貢献し、質の高い成長を目指すことができるというふうに考えています。  二点目は、経済と社会と環境と文化の調和的発展を目指すことです。  詳細はちょっと省略いたしますけれども、サブサハラの責任ある農業投資原則を再評価すること、その際にインクルーシブでエクイタブルでソーシャリーな責任ということも組み込んでいくということが必要だと思います。言うまでもありませんが、ビジネスと人権に関する行動計画を踏まえて、それを政府や地方政府、ローカルビジネスとも共有していくことが重要だと思います。  経済的な発展については、地方中小都市の振興を重視することが大事だと。今、高橋参考人が説明されましたように、特に地方中小都市でもこのインフォーマルビジネスはかなり盛んになっていて、そこが地方農村の若者を吸収する場にもなっていますし、中間商人の収奪を回避するためにも、農産物加工や小さな商売、そういうのも盛んにできるような開発援助というものが実は大きな果実を生み出すというふうに考えています。  資料には書きませんでしたが、その小さな開発のための資金を、ODAの無償枠に制約があるとすれば、例えば円借款で生じた利息、これを利用するということも考慮に値するのではないかというふうに考えております。  アフリカにおける開発援助の要点は、内発性、永続性、多様性、着実性で、スワヒリ語で言うゆっくり、ポレポレの心構えと、関係性、人間関係を重視するラフィキ、友達ですね、の旗印を掲げることだと思います。脂ぎった国益重視はひんしゅくを買って、せっかくアフリカの人たちが抱いている……

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) 時間が超過しておりますので、おまとめください。

池上甲一近畿大学名誉教授

○参考人(池上甲一君) 日本の好イメージ、日本ブランドを損ないかねないと思います。  以上でございます。  少し時間超過いたしました。失礼いたしました。

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) ありがとうございました。  次に、小笠原参考人にお願いをいたします。小笠原参考人。

小笠原由佳インパクト志向金融宣言事務局長代理

○参考人(小笠原由佳君) 皆様、このような機会を賜りまして、心より感謝申し上げます。  本日は、インパクトファイナンスと開発援助の共創を目指してという題目で御説明を差し上げたいと思います。  まず、二ページ目を御覧ください。自己紹介です。  私は、インパクト志向、インパクトファイナンスを推進する金融機関のプラットフォームであるインパクト志向金融宣言の事務局を務めておりますほか、上場企業の取締役としてサステナビリティーも担当しております。また、地域活性化ソーシャルベンチャーの支援などにも携わっております。過去には、JICAやJBICにて開発援助、国際金融の経験もございます。  三ページ目を御覧ください。  私のこれらの経験に基づいて、インパクトファイナンスと開発援助の連携について具体的な事例を交えながらお話ししたいと思います。なお、これは全て個人の見解でございます。  最初に、インパクトファイナンスとは何かという概念の御説明、その推移等を御説明いたしまして、アフリカの市場についても簡単に触れたいと思います。最後に、日本の開発援助がアフリカ向けインパクトファイナンスと協業し、開発効果を拡大するために何が重要かという観点で、数点意見を申し上げたいと思います。  四ページ目を御覧ください。  まず、インパクトファイナンスとは何かという点でございますが、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的、環境的インパクトを生み出すことを意図する投資行動と定義されます。  重要な点としましては、一点目、意図性です。投資家はインパクトを生み出すことを意図して資金を流すという点でございます。単に結果として、投資の後に、あっ、何かいいことが起きたねというものでは駄目で、最初からインパクトを一つの目標に置いているというところがポイントになります。  二点目、経済的リターンというものも、インパクト、社会的、環境的リターンを共に目指すという点でございます。必ずしも市場リターン、たくさんのリターンを目指す必要はないんですけれども、寄附や慈善活動とは異なるという点が挙げられます。  三点目飛ばしまして、四点目、これはインパクトの測定、メジャーメントを行うという点です。目的としてインパクトの創出というのを掲げておりますため、財務的リターンは当然測りますが、投資によって生み出されたインパクトを測定するという必要がございます。その方法論等はいろいろ議論があるんですが、測定を行っていないものはインパクトファイナンスではないというところになります。なお、サステナブルファイナンス、ESG投資というものもあると思うんですけれども、ESG、環境、社会、ガバナンスを考慮した投融資というのは主にリスク低減を目的に行われる手法ですので、社会にインパクトを生むためにお金を流すという点がインパクトファイナンスとの違いとなります。  六ページ目を御覧ください。  次に、インパクトファイナンスが世界的に、そして国内にどのように推移しているのかを見たいと思います。  世界のインパクトファイナンスというのは近年非常に成長をしていると言えます。二〇一六年から二〇二二年、約十四倍に成長しておりまして、現在、一兆五千七百十億ドルに達しております。ただ、世界のいわゆるESG投資、ESGファイナンスの全体の中で見ると、まだインパクトファイナンスと言われるのは五%程度という、まだニッチであるということが言えます。  次、失礼しました、六ページを御覧ください。  日本においてもインパクトファイナンスは四年で三十三倍と急速に拡大をして、現在十七・三兆円という数字が出ております。ただ、こちらもサステナブルファイナンス全体に占める割合というのはまだ三%程度でございます。ODA、政府開発援助は二〇二四年で約二・五兆円ですから、インパクトファイナンスは非常に大きいなというふうに思われるかもしれませんけれども、後ほど御説明いたしますが、インパクトファイナンス、日本のインパクトファイナンス、約五三%国内向けというデータがございますので、なかなか、今お二人の先生からもありましたけれども、グローバルサウス向けの資金の流れというのは少ないというのが現状でございます。  では、七ページに行っていただきます。  次に、アフリカにおけますスタートアップ投資の現状でございます。いろいろなちょっとデータがありますので、大きなトレンドとして捉えていただければと思うんですが、アフリカのスタートアップ市場、非常に大きく成長した後、やはりパンデミック、その後のインフレ、通貨安などの影響を受けて一時低迷いたしました。ただ、最新のデータでは多少回復基調にあって、それからディールの数ですね、そういったものも復活しているというところでございます。ただ、先生方のお話にもあったんですが、非常に地理的に偏りが見られている、南アフリカ、ナイジェリア、エジプト、ケニア、この四か国に集中しているというところもございます。  ここから幾つか、アフリカにおけるインパクトファイナンスの具体的な事例を御紹介します。  八ページ目を御覧くださいませ。  最初に、日本のベンチャーファンド、インパクトファンドの事例でございます。つまり、日本のファンドが主に日本の投資家から資金を集めてアフリカの現地のベンチャーに投資を実施しているという事例でございます。こちらのファンド、アフリカで十一か国、百三社への投資を実施しております。二〇一八年に二十二億、二四年には九十億の資金を調達しております。出資者には豊田通商様、SBIホールディングス様、三井住友信託銀行様、JICA等々、非常に大きな機関が名を連ねているというところでございます。驚くべきはこの想定リターンなんですが、IRRベースで三〇から三五%ということで、インパクト投資が十分な収益性を持ち得るということを示しております。  九ページ目を御覧ください。  こちらは日本の起業家がアフリカで起業したケースでございます。アフリカでは、タクシードライバーさん銀行融資が受けられませんので、車が買えず、貧困から抜け出せないという課題がございます。この会社は独自の与信審査を行うことで融資を可能として、ドライバーさんが中古車を買って、ローンを払い、資産形成をすると、そして貧困から解放するというような御支援をされています。こちらももう三期連続で黒字を出されて、そして成長率が前年比で一〇〇〇%を超えるという、業績も好調でございます。これまで主に日本の金融機関さんを中心に四十九億円の資金調達をされているというところでございます。  十ページ目を御覧ください。  最後のケースは現地のベンチャーでございます。現地の、現地発のベンチャーですね。このリジェン・オーガニックスさんというところは、ケニアのスラム、本当に排せつ物がそこらじゅうにあるというところですけれども、この排せつ物や有機廃棄物を回収して昆虫飼料とか有機肥料として、廃棄物を資源として活用するという能力とノウハウを持って成長しておられるということで、これまで四十二億円も調達していると、JICAさんなんかも出資をしているというケースでございます。  十一ページ、参ります。  これらの事例は、このインパクトファイナンス、開発途上国の持続的な開発を促進するために有効な手段じゃないかというふうに思われるのではないかなと思います。ただ、私もその議論には賛成する立場ですが、よく議論が混乱いたしますので、十二ページで一旦議論を整理したいと思います。  お金の流れですけれども、左から、アセットオーナーさんですね、年金とか開発機関、CVC、それからアセットマネジメントさんが運用としてお金を受けて企業、ベンチャーに投資をするケース、若しくはアセットオーナーさんが直接投資をされるケース、両方ございます。一番右に、ベンチャーが成長し、それが開発効果につながっていくということでございます。  こちら、じゃ、アセットオーナーが日本であればいいのか、マネジャーが日本じゃなきゃいけないのか、ベンチャーが日本人じゃなきゃいけないのか、この辺りがちょっと議論が混乱するポイントかなというふうに思っております。  一番下に整理をいたしましたけれども、日本の公的資金を使って、何を目的とし、誰を支援するのかというところの議論を整理をしておくことが重要だと思っております。  一番、日本の資金、金融機関若しくは事業会社さんのお金がアフリカのベンチャーに流れるようにするのか。日本に限らず、アフリカに流入するファイナンスを増やすということを目的観とするのか。日本のスタートアップ、これを現地に連れていくのであるということを目指すのか。若しくは、アフリカ、とにかくアフリカのスタートアップがどんどん増えれば開発効果があるじゃないか、それを支援しようと思うのか。この辺りでやること、やるべきことは変わってくるかと思うんですけれども、公的資金ということでございますので、一と三、日本の企業にも利益がもたらせるようなことが優先かと思います。  こちらは、この中では、私、日本の企業の利益、リターンという言葉を使っておりますけれども、あくまでも両方、開発効果も出るけれどもリターンも出ると、非常にうまくバランスできればいい話かなというふうに思っております。  三番ですね、インパクトスタートアップというところは私ちょっと専門ではございませんので、一番、日本の金融機関若しくは事業会社さんがアフリカ向けインパクトファイナンスを増やすという観点で御提言をしたいと思います。  十三ページを御覧ください。  実は、日本からのアフリカ向けインパクトファイナンス、この統計では約一%と非常に少ないというのが実態でございます。私、海外のインパクトファンドが日本に来るたびにいろんなセミナーを企画したり、実はこの後もあるんですけれども、そういったときに、なかなか日本の金融機関さんに御関心を持っていただけない、そういった実態がございます。  十四ページ、御覧ください。  なぜなのか。課題いろいろございます。投資可能な案件、どれが本当に有望な案件なのか発掘が難しい、若しくはその発掘をしてくれるファンドマネジャーの見極めというのが容易でない、挙げ句の果てにちょっとだまされちゃったりするという、そんなこともあったりします。それから、よく聞くのが、やっぱり海外人材、途上国に喜んで行くような人材というのがなかなか日本の組織にはいない。三番目、途上国の社会関係データ等、指標、事例の情報などがないので難しい。それから、先ほども申し上げたインパクトの測定ですね、こういったことが難しい。国際的なルール、こういったものにもちょっと精通していないというような課題があるというふうに言われております。  それでは、これらの課題に対しまして、十五ページを御覧ください。三つほど御提言をさせていただきたいと思います。  一つ一つ御説明いたしますので、十六ページに進んでいただければと思います。  一番、リスクをより多く取るような資金を是非供給していきたい、これを増やしていただきたいということを考えております。これは、それから、民間の論理に合わせた運用というのも大変重要かなと思っております。リスクが高い途上国への投資、なかなか民間企業さん一歩踏み出せないというところがありますので、公的資金が入ることでその事業全体がリスクが下げられるというところがございます。それから、民間の論理ですね、JICAさんの方がちょっと法律も改正されたというふうにお伺いしておりますけれども、民間の論理に柔軟であったり迅速であったり、そういったことを重視した運用というのもとても重要かなというふうに思っております。  ただ、ここで気を付けなければいけないのはやはりモラルハザードで、公的資金が出るから行こうという形でなってしまうのも難しい、そこも問題ですので、いかにやっぱりいい案件、開発効果が出て、しかもリターンが出る、そういう案件を見極められるかというのがポイントになろうかと思います。  十七ページを御覧ください。  それから、先ほどの民間金融機関のお悩みポイント、こういったものを解決するような情報提供とか、こういったことを公的機関の方がしていただけるとよいのではないかと思います。JICAさん、ジェトロさん、非常に多くの拠点をアフリカに持っていらして、なかなか日本の企業がここまでフットプリント持たれているというのはないと思います。こういったところで質の高い案件を組成するための支援であったりネットワークの提供、途上国のデータ、インパクト測定に関するノウハウの提供、こういったことが考えられるのではないかというふうに思っております。  最後の御提言です。十八ページでございます。  ファイナンスを出す、ブレンデッドファイナンスを出す、それからノウハウも差し上げる、それだけではなくて、この民間金融機関との協業、いい案件をつくるためには非常に優良な率直な意思疎通が必要になりますので、そういったことができる、エコシステムというふうに書きましたけれども、そういった場、コミュニティーが必要かなというふうに考えております。  勝手ながら、私どものやっておりますインパクト志向金融宣言、そういったことを目指しておりまして、非常に金融機関さん同士、通常いろいろ競い合っておられる方々が、インパクトファイナンスに関しては、これ本当に難しいよね、どうやってやろうかみたいな情報交換がなされています。  まとめに入らせていただきます。十九ページですね。  日本においてもインパクトファイナンス非常に成長していますが、まだまだ発展途上でございます。開発援助とインパクトファイナンス、これを連携させることでより大きな開発効果を生み出すことというのは可能であるというふうに考えております。ただ、現時点ではなかなかそこまでには至っていないということも事実かなというふうに思っております。  そのためには、日本の金融機関、事業会社が海外、特にアフリカでインパクトファイナンスを取り組むということに当たりまして、その課題を一つ一つ解決するような手助けが政府の機関というところがしていただければ、ここは一歩一歩進むのではないかなというふうに考えております。  ちょうど時間だと思います。御清聴どうもありがとうございました。

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  質疑のある方は順次御発言願います。

臼井正一自由民主党

○臼井正一君 自由民主党、千葉県選出の臼井正一です。  三人の参考人の皆様には貴重なお話をいただき、ありがとうございました。  二〇五〇年には、アフリカは世界の人口四分の一を占めると言われております。TICADプロセスを通じて、これらアフリカの国々が経済成長し、健全に発展していくための協力を行うことは、平和で安定し、繁栄した国際社会の構築に資する大変重要な取組であるというふうに考えています。同時に、国益の観点から見ても、豊富な天然資源や十四億人を超える市場を持つアフリカとの関係強化は、日本企業のビジネスチャンスを広げるとともに、日本の経済安全保障にも資するという取組だというふうに思っています。  そうした前提を持って幾つか質問をさせていただきたいと思うんですが、多くの国民にとってTICADはやっぱりどこか遠い存在であるというふうに思っています。こうしたTICADの理解というものが進むということがこれからの政府の取組の後押しにもなるというふうに思っていますので、高橋参考人におかれましては、このTICADの取組を国民に知っていただくため今後政府はどのように取り組んでいくのか、どうすべきか、これ端的にお答えをいただければと思います。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) 先ほど申し上げましたとおり、私ども特に中高年以上の人間が想像しているよりも、アフリカの人々はアニメやコミックスあるいはゲームを通じて、まあこれは非常に、教育を受けて英語がしゃべれたり、英語で漫画が読めるとかそういう層に集中している部分はありますけれども、かなり日本というものは浸透しております。同時に、例えば中古車ですとかそういったもので、日本のものというのはやはり質が高い、日本の電気製品、新品を買いたいけれども、それはなぜかといえば非常に長もちをするし、丈夫だし、機能もいいと、そういうふうに言われますが、高過ぎて買えないという意見がございます。  もうちょっと我々は自信を持って日本のアフリカにおける役割、これをアフリカ人がちゃんと、アフリカの人々が区別しているかよく分かりませんが、そういうことに今までのTICADの役割はかなり大きな部分で貢献をしてきたと思います。アフリカと日本を近づける、これは日本にとって、そしてアフリカにとって、さらには世界にとってとても大事なことであり、中国や韓国、東南アジアの国々が日本の後を、言ってしまえばまねをして、同じようなものを開いてきている。この意義をまず強調していただきたいというふうに思います。  同時に、TICADを応援するときは、できればアフリカに浸透している日本というものを是非日本の国民の方々に紹介していただきたい。我々、特に私のようにもう六十を過ぎて定年を過ぎた人間は知らないようなコミックスを、アフリカの若者は本当によく知っています。こうしたことが浸透している、そういったことを是非いろんなルートを通じて紹介をしていただきたいというふうに思いますし、また、日本のODAがいろんな工夫をして進歩している、この跡を是非紹介をしていただきたいというふうに思います。

臼井正一自由民主党

○臼井正一君 ありがとうございました。  サブカルという着眼点で交流をしていくことが、日本国民にもすんなりTICADやODAに対する理解促進につながっていくのかなというふうに感じた次第です。ありがとうございました。  次に、日本では、棚田や中山間地、山間部など、一定の制約がある土地での農業というのが発展をしてきた。日本人は、土地を愛し、土地を大切にして、そうした土地を生かして農業をやってきたという前提があります。その中で、アフリカの先ほどお話をいただいた農業の難しさというものに対して、この日本の農業が果たせることが多いんじゃないかというふうに思いますが、ここら辺のお考えを少し伺いたいと思います。

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) どなたに。

臼井正一自由民主党

○臼井正一君 あっ、ごめんなさい。池上参考人、お願いします。

池上甲一近畿大学名誉教授

○参考人(池上甲一君) ありがとうございます。  一つ有効な手段としては、相互に学び合うということが大事だと思っていますので、日本の農民とアフリカの農民がやっぱりじかに交流できる場を設ける、そのお互いの経験を皆学び合うことで、日本は逆に何か失ってきたものを見直す、それから、アフリカにとってみたら、その日本の農民の勤勉さとか、そういうものをきちんと学んでいく、そのやっぱり経験を共有すること、ファーマー・トゥー・ファーマーの経験共有を図っていくということが非常に大事ではないかなというふうに思っています。  もちろん、農地についての制度的なガバナンスの問題とか登録の問題とかというのは非常にセンシティブな問題がありますので、それについては、相手国のやっぱり状況をきちんと見極めることが大事かというふうに考えております。  以上です。

臼井正一自由民主党

○臼井正一君 どうもありがとうございました。  農業の交流というのも、現地から来ていただくなりこっちから行くなり、いろんな交流を進めていくことが大事だなというふうに改めて感じた次第です。  最後に、小笠原参考人にお伺いをいたします。  前回のTICAD8で三百億円を超える、三百億ドルですね、を超える官民での投資というものをこれは約束をして、プレッジ表明というんですか、したということは非常に大きなことだというふうに思っています。  こうしたことで、アフリカを大きな市場として日本企業が進出していくということが進めばいいなというふうに思うわけでありますが、十二年前には、向こうのアルジェリアのプラントで日本人が人質になった事件もありますし、スエズ運河はいまだに政情不安により通航できないような状況も長く続いているという中で、民間人、民間の方をアフリカに押し出していく、応援していく、そうしたことに対する日本が政府としてやれるべき、もっともこういう安全保障もそうでしょうし、公平な取引に関しても、制度に関してもいろんなことがあると思いますが、これだけはまずやってほしいなというものが、日本政府に求めるものがあればお願いをしたいと思います。

小笠原由佳インパクト志向金融宣言事務局長代理

○参考人(小笠原由佳君) ありがとうございます。  危機管理のところは、ちょっと私、余り専門ではございませんので、本当に私見になりますけれども、先ほどちょっと私が御整理申し上げた金融機関、ファイナンスを流すのか、それから、実際、インパクト投資、スタートアップの人を現地に送るのかとか、いろいろ整理をした方がいいと思っておりまして、まず最初にファイナンスを出すというのは、そこまで現地にべったり人をたくさん出すような必要がないようなところでございますので、欧米とかのしっかりとしたファンドマネジャーを見付けて、そこで学びながらこういったファイナンスを促していく、若しくはCVCの形で事業会社さんがやはり学んでいく、その中でいろんな知恵を付けて、実際に本当に現地に出ていこうかどうかというようなことを考えていくというようなプロセスがいいのではないかなというふうには思っております。  やはり、そのときに、政府さんが本当に通常すべきな安全確保、私、JICAにおりましたのでいろいろそういう事件も知っておりますけれども、本当にそこはしっかりやっていただくということかなと思います。

臼井正一自由民主党

○臼井正一君 ありがとうございました。  官民、国益を懸けてアフリカで頑張ってくださっている方々を政府としてしっかり後押しをして、いざというときは必ず救い出すという強い覚悟を持って、これからも一政治家として頑張っていきたいと思います。  今日の意見を参考にさせていただきます。どうもありがとうございました。  終わります。     ─────────────

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、本田顕子君が委員を辞任され、その補欠として三浦靖君が選任されました。     ─────────────

羽田次郎立憲民主・社民・無所属

○羽田次郎君 立憲民主・社民・無所属の羽田次郎です。  今日はそれぞれ三人の先生方から違った視点で開発援助についてお話があったと思いますが、まず高橋先生に、最後のスライドの三十四から三十六ぐらいまでのところでちょっとお話し足りない部分があったんじゃないかと思いますので、少しそこをお聞きできればなというふうに思います。(発言する者あり)

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) 挙手の上。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) はい。失礼しました。  羽田先生、ありがとうございます。補う機会を与えていただきました。手短に。  まず、私は、知識共創ということがこれから日本とアフリカの間でとても重要なことになっていくと思います。アフリカで、先ほど申し上げたとおり、二十二世紀になるときにはアフリカの子供が、赤ん坊が世界の人類の赤ん坊の中の半分になるという時代で、日本もまたアフリカの知識の創造ということにコミットしていくことが重要だというふうに考えております。  何よりも我々は、皆さん歴史のことは忘れている部分が多いですけれども、非欧米圏で最初に工業化を遂げ人々が豊かになった国ですから、その経験を日本なりにシェアをしていく、アフリカに伝えていくということがとても重要です。ただし、そのときに、失敗の部分であるとか、教訓としてアフリカに伝えやすくする、アフリカ人自身がそれを学ぶということをしていくことが必要だというふうに考えています。  何よりも、今まで日本の大学は客体として、政府の支援を受けながら、お金をいただいてアフリカの大学なりと関わって研究や教育をしてまいりましたが、今後は日本の大学及びその他の教育機関が主体としてアフリカの開発プロセスに関わっていくことが必要だろうと思います。  何よりも、その中でアフリカ人の人材を日本の大学で育てて、彼らが持っているアフリカの在来知、アフリカはかなりの部分外来知に、侵されてきているというのは言い過ぎかもしれませんが、依存をし過ぎている。自分たちを卑下する人も、若い人の中にもまだ見られます。こういったことを我々は直していく。そういったことが我々できていくべきだろうと思います。  そして、TICADⅠを開催したときの先輩たちの気持ちというのをもう一度思い出して、今アフリカは、例えばUSAIDの解体に見られますとおり、大きな欧米の国々と対立を起こして孤立する運命にあります。欧米の、欧州の多くの国もODAを減らすという状況にあります。この中で、やはり日本がもう一度初心に返って、原点に返ってアフリカを支援するというのは大変に意義の高いことで、単に国際秩序の法の秩序ということではなく、法の支配というだけではなくて、国内の民主的ガバナンスに努めようとしている為政者と若い人たちがアフリカにはたくさんいます、そういう方々の力になるようなTICADを開いていただきたい。  さらに、TICAD8のときにこちらの委員会で決議を出していただきましたが、教育の、人づくりのことを項目挙げておられなかったので、是非強調していただきたいというふうに思う次第でございます。  不十分ではありますが、以上が時間内で言えることかと思います。ありがとうございました。

羽田次郎立憲民主・社民・無所属

○羽田次郎君 ありがとうございます。  今回、三十二年目、九回目のTICADが開催ということになりますが、その開催に向けた決議文を作成する際の皆様の、先生方の御意見を参考にさせていただきたいというふうに考えておるんですが、これまで八回のTICAD、若しくは前回のTICAD8で足りなかった部分とかいうのがもし三人の参考人の先生方の中であれば教えていただきたいのと、特に分野としては社会、平和と安定、そして経済のその三分野となりますので、お得意の分野の部分だけでも結構ですので、一言ずつお願いできればと思います。

池上甲一近畿大学名誉教授

○参考人(池上甲一君) ありがとうございます。  私はTICADの会議には大体農業関係しか出ていないので、ほかのところの動きはよく分かりません。  農業についてもお話しいたしますと、やはり経済分野にちょっと収れんし過ぎ、重点を置き過ぎたんじゃないかという気がしておりまして、それもちろん大事なんですけれども、そこで実際に農業をする農民たち、それから実際に農作業に携わっている女性ですね、女性農民たちの視点というのは非常に薄かった。つまり、言い換えれば、経済プロジェクトはあるけれど、そこで働く人たちが存在していなかった、見えていなかったんじゃないかというか、薄かったという気がしております。そこをやっぱり埋めていく取組が非常に大事だろうというふうに思います。  今JICAが進めているSHEPでも同じように経済的な利得を強調しておりますが、それだけではなくて、やっぱりそこで従事している、特に野菜なんかに従事するのはやっぱり女性労働者なので、女性農民なので、そこの人たちの考え方や視点を反映させる、そういう仕組みを入れていくことが大事かなというふうに思っています。  あと、それから先ほどの大学間の連携のことですね。これ、農業大学でもそうですけれど、今、恒常的にその大学間、日本の大学と先方の大学との連携ができているところは余りないんじゃないかと思うんですけれども、例えば南アフリカだと大学と日本の大学との連携が、ネットワークができていますよね。だから、そういうものをもう少し増やしていく。で、その若者を支援することが、若者の日本理解を高めていくことが日本のブランド力を一層高めていくということにつながるというふうに考えております。  以上でございます。

小笠原由佳インパクト志向金融宣言事務局長代理

○参考人(小笠原由佳君) ありがとうございます。  大きく分けて二つ申し上げたいと思います。  一点目、インパクトファイナンスとか日本の企業が進出するという観点から申し上げますと、どうしても、私もJICAにもおりましたので、支援をしてあげるみたいな、そういう感覚が出てくると思うんですけれども、民間企業さんが海外に出ていかれるときに、別に特に支援をしてあげようということではなくて、もちろん、日本での市場に限りがある中で、やはりビジネスチャンスをつかんでいこうということで行かれるわけですよね。それは別に、決して先方の経済を搾取するというよりかは、向こうももちろんちゃんと経済が発展するということですので、そういう、それを私はコクリエーション、共創というふうに呼びたいんですけれども、やはり両方、自分たちもこれで学び、ちゃんと経済的な利得も取っていくけれども、現地も受益者、受益をするんであるという対等な関係の目線というのは一つ重要かなというふうに思っております。  もう一つ、私、どちらかというとインパクトファイナンスとかもうけみたいな御説明いたしましたけれども、やっぱりどうしても取り残される分野というのはございまして、教育もそうでしょうし、福祉もそうでしょうし、雇用を守るというところもそうだと思いますので、そういったところをやはりしっかりと援助ということで支えていくのであるという、そのちゃんと二つ分けて考えるということが大事かなというふうに思っております。  以上でございます。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) 手短に。  TICAD8の決議に補っていただきたいということでございますが、今までは全ての、重厚長大産業も含めて全てアフリカにどんどん行ったらいいかというようなメッセージ、シグナルを送られてきたと思いますが、既に日本がグローバルサウスで活躍できている、工場を操業してうまく顧客を獲得していけている部分、さらに、アフリカにそういう産業がございます。これを重点的に支援していくというメッセージを政府には出していただいた方が私はいいと思います。その中には、今までかなり無視されていた、サブカルというお話がありましたけど、ソフトな産業も含めていくことが必要になる、これを是非考慮していただきたい。  次は、教育研究機関です。アフリカの人々を育てるというだけではなく、日本の若者の教育の機会もアフリカで与えられると、より違う非常に国際的に視野の広い人材を育てることができる。  最後に、インフォーマル部門。これは、前の委員会で若松委員の方からも、インドで九割の人が、労働者がインフォーマルセクターで働いているというお話がありましたが、アフリカも同じです。例えば、ケニアでは八五%の労働者はインフォーマルセクターで働いています。ここの力を生かすような政策を一緒につくっていく。日本や東アジアの歴史もまた、インフォーマルセクターがフォーマルセクターに勝ち上がり、零細企業がグローバル企業になっていく歴史です。これを我々は知識としてあちらに提供して、彼らなりにそれをそしゃくして政策をつくってもらう、そのように知識を共創していくということが重要だと思います。  ありがとうございました。

羽田次郎立憲民主・社民・無所属

○羽田次郎君 どうも皆さん、ありがとうございました。しっかり委員の皆さんとも議論を重ねて決議文を作りたいと思いますので、また何かのときはよろしくお願いいたします。  ありがとうございます。

下野六太公明党

○下野六太君 公明党の下野六太でございます。  まず、高橋参考人にお伺いしたいと思います。高い教育を受けた人材の地元への定着に向けた取組について。  二〇五〇年には世界の人口の四分の一を占めると予測されるアフリカ、平均年齢の若さも相まって、世界の成長の原動力として大きな潜在力を有しておると思います。アフリカの成長を堅実なものとする上で、国づくりの中心となる人を育てることは大変重要であると、こういうふうに考えます。  TICADプロセスにおいて日本は人に焦点を当てた協力を推進しており、前回のTICAD8では官民総額三百億ドル規模の取組を行うことを表明しております。他方、アフリカでは、高い教育を受けた人材が外国に流出し、現地の医療など社会基盤の改善になかなかつながらないといった課題もあると聞いております。  能力強化のための取組も重要であると思いますが、同時に、そうした人材が地元に定着し貢献していくことにつながるような取組も重要と考えますが、具体的な方策について参考人のお考えをお伺いしたいと思います。(発言する者あり)

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) 挙手の上、発言願います。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) 恐れ入ります。  ブレーンドレーン、頭脳流出という言葉がございます。我々の研究を進めていきますと、例えば日本やフランスで成功したアフリカ人がいる。その場合、それに連なってロールモデルができ上がって、彼らなり彼女たちの成功を目指すという若い人が続いていきますが、そのうちその方々は、日本やフランスに行っても仕方がないので、自分たちの国でビジネスをつくり、自分たちが養うという、これをブレーンゲインといいますが、こうした現象ができるまで人材を徹底的に増やしていくということが最終的には二〇五〇年あるいは二一〇〇年を目指してやっていくべきことで、今のアフリカは一〇%しか大学に行くことができません。そうであれば、有為な人材というのはたくさんいても、優秀な人材として世界的に認められるようになる人は一〇%の中のまたごく少ない部分になります。まあ語学力は我々より高い人がたくさんいますけれども、そうではなく、もっともっと高等教育を充実させていくということが必要になります。  もう一つ。これはアフリカの大学生たちに呼びかけていることですが、是非自分たちの足下を見てほしい。自分たちは例えばナイロビという都会で生まれているかもしれないけれども、父祖の地である農村に行ってほしい。あるいは、近くで自分たちが使っているものを作っている、例えばソファーを作っている職人のところへ行って、どういう工夫がやられているかを見ていってほしい。彼ら君らはできることがないのか、それを考えてほしい。  日本も、そういった零細企業を無視した歴史もあるかもしれませんが、一部の人、金融機関、自治体のお役人、あるいは政治家の方々がそういう零細企業をピックアップして育てたという歴史もあると思います。こういったことをやる、先導的にやる人になってほしい、そういう意識改革を日本の大学ができるようになればいい。今までは、我々は客体で、JICAさんや政府のためにいろいろなお金を使わせていただいてきましたが、もっと日本の大学が主体的になってアフリカの人材育成に関わっていくべきだというふうに私は思います。  そのためには、あちらの大学の研究室とこちらの大学の研究室がもっと信頼関係をつくり、お互いに人の行き来をする、将来のそれぞれ両方の研究室の指導者を育てていくといったことが必要になりますし、彼らがまた大学生を教育し、その大学生が高校生、中学生、小学生を教育して、自分たちの国をつくるためにはどうしたらいいか、その意識改革を進める、このことが、迂路のようですが、迂回をするようですけれども、急がば回れで一番早いやり方ではないかというふうに思います。  お答えになっていれば幸いです。

下野六太公明党

○下野六太君 非常に参考になります。ありがとうございます。  三人の参考人の方に、小笠原参考人から池上参考人、高橋参考人の順番でお伺いしたいと思いますが、私は元教育者、教師でありまして、子供たちに教える、分かっていない子供に、分かっている子供、できている子供が教えると、実は一番学んでいるのは教えている方で、教えられている方よりも教えている方の方が学んでいるというようなことを目にしてきました。  政府対政府の、国対国のこの開発援助においてもそれに近いことが言えるのではないかというふうに思っています。助けているつもりが実は助けられているとか、そういった側面もあるのではないかと思いますし、また、そういう意識をしっかり国レベルでも持っていくべきではないかと、そこに大きな学びがあり、そこに大きな発展、お互いの国のウィン・ウィンの関係もそこにあるのではないかというふうに思っておりますが、その辺りのお考えをお三方にお伺いしたいと思います。

小笠原由佳インパクト志向金融宣言事務局長代理

○参考人(小笠原由佳君) ありがとうございます。  本当に、おっしゃるとおり、自分と違う文化なり世界に触れていろんなことを見る、そこの違いを理解することでやはり学ぶことってすごいたくさんありますし、私も援助の現場におりましたけれども、本当にたくさんの学びがあったかというふうに思います。  多分、その援助という仕組みの中でそれを入れていくというのはもう少し組織的に何か工夫をする必要はもしかしたらあるかもしれないですけれども、今JICAさんでもかなりやっているいろいろな、地方で研修するとかそういったことで、恐らく現場の方々がすごくまた気付きがある。  これ、済みません、本当に私の個人的な経験で申し訳ないんですけれども、私の子供の保育園が実はJICAさんのアフリカの保育者の研修を受け入れているところで、子供たちが、今日何かJICAという国の人たちが来たというようなことを言っていて、本当にそこでいろんな人たち、国、肌の人たちがいるんだということを生で感じて、保護者もとても喜んでいたりしたんですね。  そういう形で、多分現場で起きているんだと思うんですけれども、それをきちんと吸い上げるようなことができたらいいのかなというふうに個人的には思います。  以上です。

池上甲一近畿大学名誉教授

○参考人(池上甲一君) ありがとうございます。  今おっしゃられたように、私たちも大学で教えていて逆に教えられるということ、多々あることでございますね。  農業の場合の教える、教えられるという関係は、どちらかというと、これまでやはり技術移転ということで考えてきていたので、やっぱり伝えるということを重視してきていたんですね。そうではなくて、強調してまいりましたが、その最初の段階から、アジェンダを作っていくところから一緒にやるということになっていくとすると、そうすると、教えるつもりだったところが、例えば地元の資源をどうやって使うかということを考えるときに、やっぱり知恵を使っていくということを日本の指導者が学ぶわけですよね。そういう同じようなことが、逆に日本に指導者が来て日本の農業を学べば、例えばどうやって近代化をしてきたかとか機械化を進めてきたかとかいうところを学ぶことができる。その場合に、村というか社会の中でどんなふうな環境をつくってきたかとかということが学び合うこともできるので、そういうやっぱり相互に学び合う仕組み、先ほど申し上げましたけど、そういう場をできるだけつくっていく、ネットワークを強化していくということが大事だろうというふうに思っています。  なかなか実現できていないんですが、日本の農協観光さんにそういうアフリカツアーを組んでみたらどうかということを言っているんですけれども、そうしたら、若者は無理ですけど、まあ中高、高年かな、やっぱり、まあ五十歳以上だと、かつてあった日本の村というのをアフリカで見付けることができるような気がしていて、そういう、ちゃんと学び合うということと同時に、観光というようなことを含めてもやっていってもいいんじゃないかというふうに思っています。  それから、農民の学校ということでいうと、今世界で広がっているアグロエコロジーという考え方を広げていくことが大事かなと思っておりまして、逆に、日本の農民はアグロエコロジー、日本の農業指導者もそうですが、アグロエコロジーというのをほとんど理解していません。そこを、今アフリカではかなり急速に広がりつつありますから、そういうことを学び合う場をつくっていくということも大事なのかなというふうに思っております。  以上です。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) 大変有り難い御質問いただきまして、ありがとうございました。  私も、アフリカ人の大学院生に指導をしていたりすると、私の方がたくさんのことを学んだりいたします。  東日本大震災のときに、多くのアフリカの国がお見舞いを送ってくれ、あるいは場合によっては支援をしてくれました。南アフリカのように強い力を持っている国は緊急援助隊を送ってくれたということがございます。日本の立場が変われば、我々はアフリカから支援を受ける国になるかもしれない。こういったことがあって、それは相身互いであるということを忘れてはいけないというふうに思います。  同時に、先生がおっしゃったように、教えていると自分のことを学ぶということがあるかと思いますが、先ほど申し上げましたとおり、我々は、例えば、トヨタ、パナソニック、ホンダといった企業が非常に大きくなって、しかし、最初は小学校も出ていない創業者によって始められてグローバルな大企業になっていくという過程を、始まりと終わりは知っていますが、過程がどうだったかということはアフリカの大学生に自信を持ってしゃべられるほど知りませんでした。ですから、勉強します。  このことは、我々の仲間、開発経済学者などは語らないことです。アフリカにインフォーマルセクターがあることは分かりますけれども、どうやってフォーマル化したらいいかという方法論は誰も持っていない。こういうことを我々は今勉強していかなきゃいけないというふうに思っています。  アフリカの現実で彼らと一緒に知識をつくって、アフリカの現実から学ぶことによって我々は自分を知る、そのことがまたアフリカの役に立つという、そういったプロセスがあると思いますし、逆もまたそうだと思います。  アフリカ人に日本のことを学んでもらって、彼らの視点で日本はどこがいいのか。例えば、日本は稲作については欧米から学ぶことはほとんど最初の頃はありませんでした。これだと思って、彼らは、自分の国で自分の在来地を大事にしよう、在来の資源を大事にしようといった……

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) 申合せの時間が超えておりますので、おまとめください。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) はい。  知恵が出てくると思います。何度も済みません。そのように思います。  お答えになっていれば幸いです。

下野六太公明党

○下野六太君 終わります。ありがとうございました。

猪瀬直樹日本維新の会

○猪瀬直樹君 猪瀬直樹です。  高橋参考人のこのプレゼン資料、大変面白かったです。路上でソファーを作っていて、それもニトリみたいなのじゃなくて豪華なやつ作っているわけですね。ニトリに悪いけど、こんな豪華なソファーを。  これ雨降ったときどうするんですか、これ。(発言する者あり)

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) 挙手の上、委員長の許可を得てから発言してください。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) 全部若い人たちがどおっと寄ってきて、協力して引き揚げます。あばら家のような店の建物の中に引き揚げます。(発言する者あり)

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) 挙手の上、許可を得て発言してください。

猪瀬直樹日本維新の会

○猪瀬直樹君 はい。済みません。  巻尺は中国で、かね尺も、まあこれ残念だけど、こういう小物がどんどん入ってくるということなんでしょうかね。  それで、僕がちょっと気になっているのは、こういうそのインフォーマルな零細的な産業が生まれてくると、これは裾野が広いですね。ただ、これ、こういうものというのは、ちょっと不思議に思ったのは、我々は、経済史の普通の常識でいえば、古代があって、中世があって、近世があって、封建社会があって、近代になるわけですけれども、それ一気に抜いて、ぽおんと部族社会から現代に行くわけですね。でも、そういうときに、ちゃんとそのプロセスはある意味なくてもこれやっちゃうというのが面白くて。我々は、近世で、お百姓さんというのは百の職業だというけれども、鍛冶屋さんから機織り屋さんから油屋さんから、いろんなものが、実は農村というのは商工業地帯だったわけですよね。それが町工場になってくるという流れがあるんだけれども、これ初めからもう町工場みたいにできちゃっているわけですよね。  この辺りは、どうしてこういうことができちゃうのかなというのはちょっと聞きたいなと思って、教えてください。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) お答えします。  例えばソファーの、私、ソファーを作っている業者が集積している場所にコロナの前から行っておりますが、一九八〇年代前半は五軒ぐらいしかそういう業者がいなかった。今はその十倍ぐらいに増えております。最初にそれを始めた方というのが、イギリスが植民地時代につくって残した職業訓練学校でソファーの作り方を教わった方なんです。彼が伝えた規格が周りの人にまねされてどんどん広がっていったという歴史がございます。ですから、外来の知識で彼らが摂取しやすいことはかなり早く伝わるということがございます。  元々はケニアで作ったくぎ、ケニアで作った布、そういったもの、巻尺もそうだったかもしれませんが、巻尺は日本製だったかもしれませんけれども、これを使っていたんですが、もっといいものが新興国から入って、逆にそれを作っているケニアのフォーマルな企業は潰れていっている。これがケニアで脱工業化というものが起こっている原因だというふうに思います。もう手段は一個しかなくて、インフォーマルなセクターをフォーマルセクターに伸ばしていくということで。  ただ、先生がおっしゃったことで一つだけほかの国と違うのは、ケニアの場合、あるいはアフリカの場合、国ができたのは一九〇〇年前後ですので、領域としてできたのは、独立したのは一九六〇年より後ですから、国の歴史というのがとても弱い。信頼関係が民間セクターと国との間に日本のようにはないということが大変重要な問題だと思います。  お答えになっていれば幸いです。

猪瀬直樹日本維新の会

○猪瀬直樹君 分かりました。  やっぱりそれ、やっぱりあれですね、イギリスのあれが、その情報が早く入った時期があったということですね。やっぱり種は近代から入っているということですよね。分かりました。  それで、更に続けてお尋ねしますが、三年前にウクライナ、ロシアが侵略したんですけど、それで対ロシアの非難決議ってあったわけで、そのときにアフリカ諸国が賛成しないで、経済制裁ですね、これは棄権に回ったんですけれども、この辺はどういうふうに。  我々は、九三年からTICADがあるわけですけれども、我々はずっとこれ情報を提供してきたわけですが、その辺りの、こういう経済的な浸透しているもので、ロシアは軍、ワグネルとかああいうのが入って、あの変な軍隊、民間の軍隊とか入ってはしていますけど、商品とか工業的にはそんなに浸透していないわけですよね、ロシアは。  だから、その辺で、どうしてアフリカが経済制裁決議を、何というかな、賛成しないというか、棄権に回ってしまったのか、その辺りの背景知りたいですね。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) これは世界的に合意があることではなく、かなり日本の研究者の中の合意だと思いますが、まず、第三世界として、植民地時代にまとまって民族主義が盛り上がった一九五〇年代以前、どちらかというと、植民地支配をしていた国は西側の国であり、民族解放闘争を助けてくれた国はソ連であり中国である、これはとても重要な事実だろうというふうに思います。  それから、ここはかなり私見ですけれども、多くの欧米の国は植民地支配についてまだ謝罪をしていません。村山談話の段階に行っていないというのが私の理解です。そうであれば、過去自分たちが犯したことを、ロシアがウクライナに対してやったのを、何でおまえらはそんなに怒るんだと。非常に大事なことは、アフリカの半分ぐらいの国は日本と同じようにロシアを非難する方に行っていますので、半分ぐらいが棄権であったと、反対した国は一個しかなかったというのが私の、決議によりますけれども、理解です。そういった形で、いわゆる昔の東側あるいはロシアに対する温度差というのは、東アジアと、あるいはアジアと、あるいは欧米とアフリカの間にはかなりあるということですね。  今でも、今後のAUのアジェンダ、アフリカ連合のアジェンダとして欧米に、特に欧州に対して植民地支配の謝罪と補償を求めるということは今でも彼らの中では重要な課題になっています。  お答えになっていれば幸いです。

猪瀬直樹日本維新の会

○猪瀬直樹君 分かりました。確かに、だから、その面では、歴史がないようであって近代があるから、そこの部分でやはりヨーロッパに対する反感というか、根底にあるということですね。非常によく分かりました。  質問これで終わります。どうもありがとうございました。

浜口誠国民民主党・新緑風会

○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。  今日は、三人の参考人の先生方、本当にありがとうございました。大変それぞれの専門分野に対しての理解を深めることができました。本当にありがとうございます。  まず最初に、小笠原参考人にお伺いしたいと思います。  インパクト投資、非常に興味深く聞かさせていただきました。このインパクト投資を成功させるために、やっぱり目利き力というんですかね、先ほどもお話ありましたけれども、このファンドが本当成功するのかしないのかといったところを見極めるのは非常に困難だという御指摘ありましたが、まさにそういうアフリカに対してノウハウ持っているのは、結構商社の皆さんがアフリカに対してのノウハウを持っているんじゃないかなというふうに思いますので、まさに商社を中心に、そこに銀行とかほかの企業なんかも加わっていただいて、先生の御提言でいうと、エコシステムというような御提言もありましたが、まさにそういう何かチームでやるというのが非常に有効ではないかなというふうに思いますけれども、その商社を中心に据えるということに対して何か御意見があったらお伺いしたいのと、あわせて、アフリカの方に日本に来ていただいて、日本で留学していただいて、実際日本の企業なんかに入ってアフリカのプロジェクトを担当してもらうと。そういう人材を育てていく、育成していく、そのことがこのインパクト投資を更に広げていく原動力になっていくんではないかなというふうに思いますけれども、そうしたアフリカの若者等に日本に留学していただいて、しっかり育ててインパクト投資のリーダーになってもらうということに対して御見解がありましたらお聞かせいただきたいと思います。

小笠原由佳インパクト志向金融宣言事務局長代理

○参考人(小笠原由佳君) 御質問ありがとうございます。  二つともそのとおりかなというふうに思いました。  一点目、商社さんですね、非常に御経験もネットワークもあられますし、それから同時に、やはり彼ら投資をいっぱいしていて、現地の優良な企業さんに投資をすることでいろいろノウハウを得ていらっしゃいますので、私が社外取を務めているようなところでも、海外人材いない、誰か商社から取ってこれないかみたいな議論がしょっちゅうあるんですけれども、そういった意味でとても有望なお話かなと思います。  一つだけ、多分、留意点としては、やはり彼らがやりたいと思うような座組にするというのが多分重要で、余りに政府さんが主導をしたり、いや、こういうことを一緒に、政府としてやるので付いてきてくださいみたいな形になってしまうと、実は本当はやりたくなかったのかもみたいな形になることもありますので、いかにやっぱり本音でやりたい人たちを集めて、本気の人たちが集まってくれるかというところが大事かなというふうに思います。  二点目も、おっしゃるとおり、そういったやっぱり現地の方が現地で育って言葉も分かって、でも、日本に来て日本語も多少なりとも勉強されて会社に入って、そういった方が活躍されると本当にいいと思います。  私がお付き合いしているベンチャーファンドなんかでも、最近、やはり中国系の方とか東南アジア系の方、結構担当として入っておられたり、その方がシンガポール拠点にいらして、東京とシンガポールでファンドを立ち上げられているなんという方もおられますので、本当はもっといろんな国の出自の方がそういったことをされるととてもよろしいんじゃないかなというふうに思います。  以上です。

浜口誠国民民主党・新緑風会

○浜口誠君 ありがとうございます。  是非、人材育成というのはすごく大事だと思いますし、まさにいろんなノウハウを結集することで、このインパクト投資、更にアフリカにおける投資が増えていくことを我々も後押しできるようにしっかり取り組んでいきたいと思います。  では、続きまして、池上参考人にお伺いしたいと思います。  ありがとうございました。このアフリカの食料に対するポテンシャルというのはどの程度あるのかなというのをちょっとお伺いしたいと思います。  非常にアフリカも広いですし、赤道直下の国もありますので、様々国によって事情は違うと思いますけれども、アフリカ全体で見たときに、いわゆる食料の安全保障、自給率、この辺は条件がそろえばかなりの部分アフリカの皆さんは自分たちで食料を自給できる、それぐらいのポテンシャルがあるのかどうか、その辺についての御見解がありましたらお聞かせいただきたいと思います。

池上甲一近畿大学名誉教授

○参考人(池上甲一君) ありがとうございます。  何を作るかによるんです、やっぱりね。食料を、今問題になっているのは、食料が軽視されて、歴史的な経緯があるんですけれど、その植民地支配から引き継いできた熱帯産品に重視した生産、それから一九八〇年代の構造調整のときに換金作物に変えようという動きがあって、一九九〇年代の貧困削減戦略のときには一応食料に回帰したんですけれど、やっぱり土地がなかなかそう簡単に転換できるわけではないので、やっぱりその構造をずっと引き継いできている。  そういう下で、今起こっている事態というのは、伝統的に作って十分自給できるはずの食料ではなくて、輸入された、あるいは食糧援助で与えられた米とか小麦とか、そういうものに消費が集中していっているというところにやっぱり問題があるわけですね。だから、この間のロシアがウクライナに侵攻したときに、小麦の輸出がストップしてたちまちアフリカが困った。日本にはウクライナの小麦余り来ていませんけど、余り影響ないんですが、そういうやや安めの穀物を提供されているところで価格がちょっと跳ね上がってしまうと、もうたちまち外貨が底をついてしまうというふうな構造になっているので、そこをどう変えるかですね。  だから、今日も十分説明できませんでしたが、一番よく生産されている、能力が高いのは、やっぱり根茎類、キャッサバとかの芋類ですよね。芋類とかを食べる伝統があって、それを都市なんかでもちゃんと食べれるように加工する、そういう技術をもっと普及させるとかいうようなことでかなりの部分対応できるところはあるかと思います。  あと、非常に例えばモザンビークなどはかなり潜在能力が高い国なので、そういうところでは、生産、周辺国への輸出ということを考えていってもいいかなという気がしております。  あと、また、トウモロコシが結構かんがいがないところで作っていますので、これもちょっと生産が不安定、これをどういうふうに変えていくかというところは、技術改良の余地もあるかもしれないし、ちょっと悩んでいるところではあります。  以上でございます。

浜口誠国民民主党・新緑風会

○浜口誠君 ありがとうございます。  キャッサバは日本人にはなじむんですかね。キャッサバは日本人でも食べれるような。(発言する者あり)

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) 挙手の上。

池上甲一近畿大学名誉教授

○参考人(池上甲一君) 人にもよりますけれど、キャッサバそのもので食べるというよりは、キャッサバの粉にして練って食べますので、フーフーとか練りがゆみたいなものにして食べますので、好きな人は好きです。  日本でも、キャッサバ生産、ブラジルの帰国、帰国じゃないや、永住者とか二世とかが来て結構キャッサバ作っていましたので、今日本でも生産がかなり増えています。

浜口誠国民民主党・新緑風会

○浜口誠君 最後、高橋参考人にお伺いしたいと思います。  私も製造業で民間企業で働いておりまして、まさに物づくりは人づくりということはよく言われます。アフリカの知り合いが、物づくり企業、アフリカに来てほしいと、製造業、アフリカに来てほしいということをよく言われるんですが、まだまだなかなか日本企業も製造業がアフリカに行くという今段階ではないと思うんですけれども、ただ、マーケットがどんどん広がってくれば、より現地で物づくりしようというマインドも高まってくるというふうに思いますけれども、アフリカにおける製造業を受け入れる土壌というか、それはしっかりあるというふうに受け止めておけばよいのかどうか、その辺りの製造業でのアフリカの可能性といったところをお伺いしたいと思います。

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) 簡潔にお願いいたします。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) 基本的にはあると思いますが、人の育て方が余りにも足りないというのが私の理解です。つまり、優秀な労働者なり優秀な技術者なり優秀な経営者になる人をもっともっと育てなければいけないというのが私の理解でございます。  もう一つ申し上げたいのは、日本から企業を連れていく場合、アフリカ人が日本の企業の本社の社員になることはいいことなんですけれども、日本の企業に申し上げたいのは、社内の公用語が日本語であると、アフリカ人、二年間ぐらい勉強しても日本の企業に就職できないわけですね。これを何とかしていただきたいと思います。つまり、日本語の留学を増やしていただきたい。  以上です。

浜口誠国民民主党・新緑風会

○浜口誠君 ありがとうございました。  以上で終わります。ありがとうございます。

紙智子日本共産党

○紙智子君 三人の参考人の皆さん、貴重な御意見ありがとうございます。  それで、私、日本共産党の紙智子です。  最初に、池上甲一参考人にお聞きしたいと思います。  二〇三〇年まで、国際目標でSDGsですね、これの一つ目の目標というのが貧困をなくすということを掲げていたと思うんですね。極度の貧困と飢餓の撲滅というふうになっているんですけれども、二〇一五年の世界銀行データで見ると、サブサハラ・アフリカ地域、ここでは貧困率が四一・一%ですか。改善傾向があったんだけれども、ところが、コロナパンデミックによって再び深刻になったと。それで、非常に深刻な状況だということなんですけれども、その一方で中東・北アフリカ地域が五・〇一%という貧困率で、アフリカ大陸というのは物すごく広くて、それで地域によって全然違うんだと思うんですよね。特にサブサハラ・アフリカ地域は深刻な貧困状態になっていて、教育や衛生状況や気候変動、不安定な政治情勢ということで、いろいろ要因はあると。  この飢餓と貧困をなくすための支援が求められているんだと思うんですけれども、そこでお聞きしたいんですけれども、従前の日本のODAの支援の特徴と、それから、日本の支援が海外の研究者からはどのように評価されているのかということについて見解を伺いたいと思います。

池上甲一近畿大学名誉教授

○参考人(池上甲一君) まず、後段の海外の研究者の評価ですが、十分その全体について見ているわけではありませんのでちょっと不十分ではありますけれども、一応、今日の資料の、どこだったかな、ODAの評価のところを少し説明、追加させていただいております。デレク・ホールさんとそれから岡田佳奈さんとかの研究を、ちょっと今見当たりませんけれども。要するに、日本のODAが一つは企業の開発、企業の進出の受皿になっているといいますか、ODAが主導して、で、企業進出をする、そういう前提をつくっているという見解ですね。十九ページですね。  日本の企業はなかなか、特に農業関係に進出、投資をしたがらない、アフリカは一番したがらないわけですけれど、その理由として、リスク回避とか、もちろんインフラ、JICAの行う事業を請け負うということをやるわけですけれど、自分で投資するということはなかなかしない。そういう中で、代わりの部分が決定的に欠けているので、そこをODAが先にやって、それが整えば企業が出てくるという、そういう見方をしておられます。そのODA主導型のやっぱり海外の農業投資になっているのではないかという見方でございますね。それでいいか悪いかということはまあ別ですけれども、現実の問題としてODAが行われていないとなかなか出ていきにくい。  それから、ODAがどうしても経済インフラに偏っているということの一つ裏打ちするというか、背景になっているということを考えると、その部分はやっぱり見直す必要があるかなと。やっぱり社会的な開発とか、それから、最近では増えているマルチセクターですね、への投資とかということを考えていくと、やっぱり経済インフラ重視というのは少し考え直す必要があるだろうというふうに思っております。  それから、最初の方のその飢餓の問題というのは、非常に複合的な要因があるので簡単にはお答えできないし、その処方箋がすぐ出るというものでもないということを前提にしていただきたいと思います。  一つは、やっぱり平和ですね、一番大事なことは。やっぱり紛争かあるいは準紛争のところは非常に多くて、それが民族間対立とか宗教間対立とかいうことを引き起こしている。で、いろんな国内難民、越境難民が増えていて、もう耕したくても耕せないということ、そういう状況になっていて、どうしても緊急援助に頼らなければいけないような状況が生み出されている。  それからもう一つが、やはり自分たちのところで干ばつに強いような作物をずっと作ってきたんだけれども、そこのところが食糧援助とかで米とか小麦とかに置き換わっていってしまったというところの問題が一つあると思いますね。  そこをどういうふうに打開していくかというときには、もう一度やはり食の在り方をきちんと地産地消的な形のものに見直していくことが重要なんですけれど、食生活というのは結構変わっているので、トウモロコシに移ったというのもそうですが、もう一度、キャッサバとか、干ばつに強い穀物、ソルガムとか、そういったものも調理の仕方とかを変えることによってもう一度戻ってくる可能性というのはあると思います。都市で調理しやすくするとか、そういう工夫をすることで国内で生産できる作物を充実するということは一つの方法かなというふうに思っています。

紙智子日本共産党

○紙智子君 今のお話にも関わるんですけれども、アフリカの地域でいうと、かつて植民地支配の時代は文化や生活の変容を強いられて、お茶とかカカオとか単一作物を大規模に生産すると、宗主国に輸出するプランテーションを強いられたということもあって、自国のための生産力を、今のお話のように切り捨てられたという経過があると思うんですけれども、それは、それではいけないということで反省をしながら、今言われたように、地産地消とか国内生産、国内消費を重視するという支援が、こちらの視点も必要なんじゃないかというふうに思うんですよね。  その点で、国連で二〇一九年から二八年まで家族農業の十年というのが決められているんですけれども、貧困や飢餓の撲滅に大きな役割を果たしている家族農業に関わって、その施策の推進を求めてもいると思うんですね。EUとか日本でも九五%以上が家族農業という、家族経営体ですよね。気象や土地の条件、技術などが異なるアフリカ地域で、この家族農業としてのなりわいを発展させるためのその支援が必要だというふうに思うんですけれども、この点での参考人、池上参考人の見解を一言お聞きしたいと思います。

池上甲一近畿大学名誉教授

○参考人(池上甲一君) まさにおっしゃられるとおりだと思っておりまして、今日ずっと強調してまいりました、開発主体としてやっぱりこの経営を、家族経営をきちんと重視していく、しかも、その中で、実際に農業をやっているのはやっぱり女性が中心なので、その経済的な地位とか社会的な地位をきちんと上げていく。もちろん大綱にもジェンダー重視とかいうことは掲げられておりますけれども、それをいかに現実に手段として、あるいは政策として出せていけるか、それから、相手政府や相手の社会とそこのところをきちんと議論して納得してもらえるか、そこのところが非常に大事だというふうに思っています。

紙智子日本共産党

○紙智子君 ありがとうございます。  続きまして、高橋参考人にお聞きしたいんですけれども、一九九二年の段階でODA大綱が、日本の大綱の中では要請主義というふうに表現していて、相手国が要請するニーズに基づいて行うとなっていたんですよね。これは、OECDだとか、資材の調達先を日本企業に限定するひも付きだとかなんとかという批判もあったりする中で、それが背景にあってということで変わったんですけれども、ところが、二〇二三年の大綱では国益とオファー型協力、つまり日本が実施したい援助を示すというふうになっているんですよね。  こうなると相手国のニーズを尊重するという支援にならないんじゃないのかなというふうに率直に思うんですけれども、それについての御見解を伺いたいと思います。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) お答えします。  私は、ODAについての考え方は先ほど池上委員がおっしゃったとおりで、国益にも様々な、精神的な、あるいは名誉、そういったものを重んじる国益から非常に物質的な国益まで様々なものがあると思いますけれども、まずODAで達成すべきは、日本国憲法に書いてあるとおり、国際社会における名誉なんだというふうに思います。  ですから、中には、日本に全く役に立たないといいますか、持ち出しの援助、実際にそれは技術協力であり無償資金協力として行われているわけで、基本的にそこがひも付きでやられていない部分はたくさんございます。むしろ、これは先生方のお怒りを買うかもしれませんが、協力隊員でさえ、場合によっては優秀なアフリカ人を協力隊員として別の国から例えばマラウイに送る、そういったことも、アフリカ人を別のアフリカの国に送るといったような形での非常に懐の深い援助をつくっていく。これ自体が、先ほど申し上げたとおり、実は巡り巡って日本の利益に返ってくるということが重要で、最強のパスポートというのは、私は、日本の名誉というものがある程度受け入れられている、戦争してこなかった国、アフリカについては害をもたらさなかった国、しかもODAでいいことをしてくれている国というパーセプションは非常にございます。通関をするとき、入管の手続をするときも、JICAの名前を出し日本というふうに言えばそれは通してくれる。単に日本人が犯罪をしないということだけではないと思います。こういったものこそ、まず大事にすべきことであります。  ただ、社会の現実として、やはり日本の企業と一緒にやっていかなきゃいけないとか、そういう要請は現実にはあり、私の教え子もたくさん企業さんに就職してODAの仕事に携わったりしますから、現実にはそれはなかなか難しい面があるかと思いますが、まずその本義、人間としての共感のために援助をするということは忘れてはならないというふうに思います。  お答えになっていれば幸いです。

紙智子日本共産党

○紙智子君 ありがとうございました。  ちょっと小笠原参考人に聞きたかったんですけど……

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) もう時間が来ておりますので、おまとめください。

紙智子日本共産党

○紙智子君 時間になりましたので、済みません。ありがとうございました。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 れいわ新選組、大島九州男でございます。  三人の参考人の皆さん、本日はありがとうございます。  ODAの関係が今議論されていましたけれども、私は、ODAが変質したというか、要は日本の企業の利益のために外国でいろんなインフラを造った部分というものがあるんじゃないかと。そういった視点でいくと、アフリカに今後どういうような形でやっていくのかと。  私自身は、先ほど池上先生がちょっとおっしゃった農業の関係でいうと、草の根でいろんな土壌改良であったりとか農業の支援をしていくようなところから向こうの人たちが自給を上げていき、そしてまたそれに感謝して日本に輸出をどんどんしてくれる、そうなると日本の企業がそこに入っていって、先ほど小笠原参考人がおっしゃっていたようにファンドで投資をする人も出てきて、広大な土地から日本がそういう食料を優先的に輸入してもらえるような、そういうようなものに持っていくというのは非常にウィン・ウィンな感じになるのかなと。でも、そこにはどうしてもそういった、まあ利権とまでは言わないけれども、やはりもうけようとして行くような企業がやっぱり行くわけだから、そこら辺のバランスが非常に大事かなというふうに思うという、まあこれは私の意見ですけど。  高橋参考人、それこそ言い足りないことが多分あったと思うので、よかったら、ちょっとどうぞ、言い足りなかったこと言ってください。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) 事実を申し上げます。  私、三十年ほど、国際協力の専門家になるということを目標に、究極の目標にする大学院で教えておりました。明らかに、前半の十五年ぐらいは、JICAに入りたい、国際機関に入って公共的な仕事をしたい、国際的な公職に就きたいという者が多くおりました。後の十五年はどういう若者かというと、志向はスタートアップ、それからフェアトレード。いずれにしても、お金をきちんとあちらの人たちも払う、そういったことも念頭に置いてやらなければいけないという意味では、なかなか彼らも、税金だけに頼っているとアフリカとのつながりがうまくつくれないという問題があって、そこのところについては若い人にも非常に鋭敏な意識があるんだろうと思います。  ただし、ほかの新興国の支援と言われているものを見たときに、やはり私はそこで日本の今までの経験が生きていると思いますけれども、やはり、労働者を雇うとき、それから環境を破壊する可能性もあるかもしれないとき、そして住民の権利を侵すかもしれないときに、日本は今までの経験をある程度は生かせているんだろうと思います。国内でもたくさんの犠牲者を出して公共事業が行われたり、工場の操業をやって公害を垂れ流ししたりしていたことを二度と途上国で起こしてはいけないという意識は日本の企業にはあり、政府にもありますし、是非マスコミの方々には、マスコミだけではなくてメディアの方には見ていただきたいんですけれども、日本の企業がそういうことを海外でやっていないかどうかということを監視することもとても重要だと思います。  反対に言えば、そういう経験を国内で経ていない新興国には非常に危うさを感じます。多くのグローバルサウスで多くの問題をつくり出している可能性がある。環境を破壊し、労働者の人権を尊重しない、こういうことをやらないで、日本がモデルを示していく。決してビジネスを敬遠するのではなく、そういう形で、ODAにも役割はあり、ビジネスにも役割があり、そういった形でやっていく。  そして、先ほど池上参考人がおっしゃったとおり、上から降ってくる援助ではなく、実際に途上国の小規模な農家の方々や小規模な物づくりの方々が自分たちの利益なりインセンティブを感じるような支援をしていかなければならない。そういう意味では、ビジネスの論理というのをやはり我々は参考にしていかなきゃいけないというふうに思います。  十分なお答えになっているかどうか分かりませんが。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 ありがとうございます。  池上参考人に。やはり、日本が食料をどこから調達するかと、アメリカとかそういうところじゃなくて。私は本当、アフリカからどんどん入れてもらえるような関係づくりというのは非常にいいかなと思っているんですけど、そのためにはどういうような形がよろしいでしょうか。

池上甲一近畿大学名誉教授

○参考人(池上甲一君) ありがとうございます。  なかなか難しい面があると思うんですが、一つはやはり、まずアフリカの国内での食料需要がきちんと賄われることというのが大前提になりますよね。で、日本に持ち込む食料、日本に出せるような食料があるかどうかということと、それを、日本が欲しいというものを作ってもらう形ができるかどうかですね。  後者の場合にしばしば起こるのが、モザンビークの場合にそうだったんですけれど、アフリカの農民たちが作ったことのないものを持ち込んで、それを全部日本に持っていきますよというふうな援助だと、これやはり反発を受けると思いますね。だから、ちゃんとやっぱりそこのところでどんなふうにその利益が配分されるのかということと、それから、それを作ることで農民たち自身が何かこう、食の向上であったり経済的な向上であったり、社会的な部分がちゃんと力が広がるとかというような利益が得られるものでないと無理だと思いますから、そういう植民地主義的なものではなくて、相互の利益になるような形のものをちゃんとつくるということですね。そういうことができれば日本に持ってくることも可能だと思います。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 ありがとうございます。  当然ウィン・ウィンになるような形で、草の根、日本がそういう協力をして、そしてそういう土壌があったときに初めてファンドが来るというような感じですかね。小笠原参考人、どんな感じですか。

小笠原由佳インパクト志向金融宣言事務局長代理

○参考人(小笠原由佳君) ありがとうございます。  おっしゃるとおりかなというふうに思います。先ほど高橋参考人がおっしゃっていたところだと思うんですけれども、やっぱり日本の企業のモラルの高さというのは、一つ国際的にはやはり褒められるべきところは、まあ最近のですけれども、あるのかなというふうに思いますし、そういったことをとても気にするようになったというのが、責任投資を始めとした投資家がそういうことを求めていくというような動きもありますので、企業は悪い、例えば農村とかコミュニティーは良いという対立軸ではなくなってきているのかなというのは強く感じます。  企業自体も、まあ企業自体若しくは投資家ですね、大きなお金を持っている年金基金のようなところも、じゃ、なぜその責任投資と言われるESGのようなものを考慮してお金を流すかというと、中長期で考えたときに、例えば環境ですとか、中間層が没落していくとか、そういったことがあると経済全体が落ち込んでしまう。それは自分たち投資家のリターンを毀損してしまうがゆえに、やはりそこもきちっと見なければならない、短期的ではなくて中長期的な安定性ということ自体が回り回って自分の利益になるがためにそういった配慮をしているというようなロジックもございますので、そういう意味では、日本の企業が出ていく、それに対して、先ほど監視をするというお話もありましたけれども、それはインパクト投資であるとかサステナブルファイナンスというファイナンス自体が監視の一つになるのかなというふうに考えております。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 日本の企業は、人権を守るとか、その労働者の人権、環境を守る、まさにCOP10で松本龍先生があれをまとめるときにアフリカの皆さんが賛成してくれてまとまったということもありますから、そういう人徳のある国として、やはりアフリカには貢献できるような国になるように我々も努力したいというふうに思いました。  ありがとうございました。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。  私、外交防衛委員会におりまして、あそこは国内のJICA施設、JICAセンターなどもいつも視察をさせていただいているんですけど、先ほどのお話聞いても、JICAはアフリカにも様々な形で拠点があると。そういう状況の中で、まずお聞きしたいのは、今日のJICAにとってどういう役割を果たすことができるか、それぞれの御三名の参考人の視点でですね。  もちろんJICAは日本の希望者を送ることもしているし、二年ぐらいの単位でずっと送り続けていますし、現地からも人を呼んで、そして個々の技術を身に付けて、そして広めていくと。先ほどの話がちょうどうまく合うような、そういう機構として動いているわけですが、皆さんの視点で見て、JICAにやってほしいこと、JICAでこういうことができるんじゃないかと、それぞれの立場でそういう希望があればお話をお伺いしたいなと思います。  小笠原さんの方からどうぞ。

小笠原由佳インパクト志向金融宣言事務局長代理

○参考人(小笠原由佳君) ありがとうございます。  出身組織でもありますので非常に難しいところもあるんですけれども、本当に、本当に様々多岐にわたる仕事をJICAはしているというふうに思いますし、本当に中で働いている特に若い人たちはとても優秀でやる気があるというところかなというふうに思っております。  セクターとかやり方という意味で一つ申し上げると、やはり私が御説明しました民間企業さんが海外に出ていくときにかゆいところに手が届くような御支援というのが恐らくできるだろうと。ただ、それは、例えばその無償資金協力を出しますとか、こういうお金を付けますということでは恐らくなくて、ネットワークを提供するとかマッチングをするとか、見えないノウハウのようなものなのかなと。そういったことをしっかり確立して、そうしたことが評価されるような体系になっていくということが、一つ、人材とかもちゃんと付けてやっていくのが重要なのかなというふうに思います。  以上でございます。

池上甲一近畿大学名誉教授

○参考人(池上甲一君) ありがとうございます。  なかなか言いにくいことがあるんですけれども、これまでの経験で一番重要ではないかなと思っているのは、JICA本部と、それから現地の事務所と、それから実際にプロジェクトに関わっている専門家の方たちとの間の、何というのかな、このスタンスの違いが結構目に付くんですね。  どうしても、事業そのものの評価ということが関わってくると、どうしても本部を見ざるを得ない、現地を見ることよりは本部の方を意識してしまう。逆に、本部にすると、目立つもの、目立つ成果のある事業が成功だというふうに評価してしまって、というか、そのやっぱり旗の付いている建物が欲しいとか、橋がある方がいいとかいうようなところにどうしても目が向いてしまいがちだという面がやっぱりあります。  そういうところをいかに埋めていけるのかという風通しの良さと、それからスタンスの共有が相互に、ポジションの理解をするというところが大事なのかなというふうには感じているところでございますね。  あとは、やっぱり、技術協力とかの分野ではかなりいろんな努力とか、それから専門家の方たちや、それから日本で研修する場合の受入先の方たちの努力に頭が下がる思いがしますけれども、そこのやっぱり方針の、少し長い目で見た方針が欲しい、技術も近代的な技術だけではなくて、もっと広い広範な視野から見た技術とか、それから組織の問題とかガバナンスの問題とかですね、そういうところにまで目を配られるような研修というのが大事かなというふうに思っています。  以上でございます。

高橋基樹京都大学名誉教授/神戸大学名誉教授

○参考人(高橋基樹君) ありがとうございます。  手短に三点申し上げたいと思いますが。  よく協力隊を皆さん褒めていただくということがあると思うんですが、二年送っておしまいということではなく、彼らこそ非常に苦労をして、あちらの国で、一部を除けばあちらの方と同じ生活をしている。そういう人こそスタートアップの主人公になれる可能性があるわけですが、多くの人は帰ってきてしまう。彼らを主な対象として、いかにアフリカでスタートアップの事業を成功させられるか、そういった人材育成を戦略的にもっともっとやっていただきたいというふうに思います。それが第一です。  それから、JICAは、日本自体がそうですけれども、やはり欧米とアジア、あるいは欧米と非欧米の間にある国であり、そういった国々をつなぐ役割を是非果たしてほしい。私の切なる願望としては、中国とヨーロッパの国々が例えばアフリカのある国をめぐって話すときにも日本が裏側でそれをつなぐ、裏でも表でもいいんですが、そういうことができないか。あるいは、韓国や東南アジアの国々もドナーになりつつありますから、そういった国々を日本がリーダーとしてまとめていくということがアフリカに対してできるのではないか。そういうことを特にJICAには期待したいと思います。  最後に、質の高いインフラという言葉がありますが、私、本当に質の高いインフラというのは、単に日本の技術レベルを徹底的に上げて安全で機能的なものを造っていくということに話がとどまっているように思うんですけれども、そうではなくて、やはり、例えばアセスメントの原則として住民参加があり、科学的な評価がある、そういったものをきちんと取り入れていって、インフラに関しても民主的な手続をやっていく、これが日本の原則ですから、それを基本的にアフリカだろうとどこだろうと適用していく、そのことによって新興国に反省をしてもらうということが恐らく必要だろうと思います。そういう模範にJICAにはなってほしい、そのように考えます。  お答えになったら幸いです。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 ありがとうございました。是非そのことは委員会等でお伝えしたいと思いますので。  それから、テレビで見ていますと、中国などからは、何か親戚からお金を集めて、アフリカで起業、スタートアップするといって何か来て、それなりに頑張っている人たちのニュースを、テレビ番組をNHKなどが作っているのを流されていたりするんですけど、アフリカは今そういう受皿にもなり得るような状況になっているんでしょうか。アフリカの各国々の中で、いろんな働き場というのか、あるいはそのスタートアップをするというようなことが起こり得るような状況に今なっているのかということだけ一言、どなたか、じゃ、小笠原さんにお願いしたいんですけど。

小笠原由佳インパクト志向金融宣言事務局長代理

○参考人(小笠原由佳君) すごく格差はあると思いますけれども、南アフリカですとかケニアといったようなところはいわゆる官民連携でスタートアップを強く推していくというような政策も打ち出されていて、そういったことが増えているというふうには言えると思います。ただ、本当に局地的というか、アフリカ五十四か国ございますので、全く全てではないというところかなと思います。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 今日はありがとうございました、どうも。終わりたいと思います。

石井浩郎自由民主党

○委員長(石井浩郎君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様には、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時八分散会

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