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217回国会参議院2025/03/13

予算委員会公聴会 第1号

発言数
230
登壇者
24
会派数
7
開催日
2025/03/13

会議録

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) ただいまから予算委員会公聴会を開会いたします。  本日は、令和七年度一般会計予算、令和七年度特別会計予算及び令和七年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見をお伺いいたしたいと思います。  この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用中のところ、誠にこの本委員会に出席をしていただきありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げたいと思います。  今後の、令和七年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にさせていただきたいというふうに思いますので、何とぞよろしくお願いをいたします。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと思います。  なお、御発言は着席のままで結構です。公述人の方には、ちょっと手を挙げていただけると有り難いと思います。  それでは、経済・財政・社会保障について、公述人立教大学経済学部経済政策学科教授首藤若菜君及び株式会社日本総合研究所調査部主任研究員成瀬道紀君から順次御意見を伺います。  まず、首藤公述人にお願いをいたします。首藤公述人。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) 立教大学の首藤若菜と申します。  本日、このような場でお話しさせていただく機会をいただき、大変光栄に感じております。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は、賃上げと年収の壁、選択的夫婦別姓の三点についてお話しさせていただきます。  最初に、賃上げについてです。  昨日は春闘の集中回答日でしたが、報道によりますと、今年は昨年と同様若しくは昨年を超えるような賃上げ水準となっておりまして、大変喜ばしいことだと思っておりますが、中小企業での春闘というのはこれからが本番ですので、そこへ波及できるかどうかというのが課題となっております。その見通し等について幾つかお話ししたいと思います。  まず、現時点で高い賃上げ率を達成した背景には、一つには労働組合による高い要求があったというふうに考えております。資料の四ページ、図一を御覧いただければと思います。  これは、連合が出しておるデータに基づきまして、企業規模別に要求と回答を過去五年間示したグラフになります。今年の要求水準高いということが示されていると思いますが、要求と回答は、その差を見ていただきますと、企業規模が小さくなるほど当然差が開いていくわけですが、それを考慮しても、今年の要求水準を踏まえますと中小企業でも高い賃上げが期待されるところです。図一が定昇込みの賃上げ率、図二が定昇を除く賃上げ率、いわゆるベースアップ分となっております。  さらに、六ページに図三がございますが、これは商工中金が取引先の中小企業を対象に行った調査結果になっております。これはベースアップの数値です。上が実績で下が計画となっておりまして、これによりますと、中小企業では、まず計画と実績を同じ年度で比較していただきますと、計画よりも実績が高くなる、つまり上振れをするという傾向が中小企業では見られるということが分かります。今年の計画が二・九〇ですので、これ十分な数値かどうかはちょっと別として、物価がもし昨年と同様でありますと、物価を超えるベースアップが期待されるというところでございます。  ただ、これらのデータと社会全体の賃金上昇には乖離も見られます。スライドの七ページ目の図四が賃金構造基本統計調査ですけれども、二〇二四年の所定内給与額の増加率になっております。百人未満を見ますと一・七%という水準で、二〇二四年の消費者物価の総合指数は二・七%増となっておりますので、賃金の上昇が物価の上昇に追い付いていないという状況です。昨年の実質賃金マイナスとなっていますので、こちらの方が実は現実には近い数値なのかもしれないと思っております。  つまり、中小企業の中でもかなり賃上げ状況に差が開いていると。組合のあるなしでかなり差が大きいというのは幾つかの研究で指摘されていますけれども、それ以外にも、上げられる企業と上げられない企業があるというふうに考えております。人手不足ですので、賃上げができない企業は淘汰されても仕方がないんだというような指摘もありますが、これがもしかすると産業ごとの違いと重なっている可能性があるというふうに見ております。  八ページの図五を御覧いただければと思いますが、これは産業別に見た二〇二三と二〇二四の賃上げ率になっています。金融・保険業や不動産業で高い一方で、医療、福祉では低く、教育業界ではマイナスというふうになっております。でも、低い、この賃上げ率が低い産業も社会インフラを担っているというような部分がありまして、ここに十分な人が集まらなければ社会が成り立たないという状況です。  では、どのようにして社会の隅々にまで賃上げを行き渡らせることができるのかという点ですが、まず、中小企業は労働分配率既に高い水準にありますので、生産性を高めつつ、やはり価格転嫁が重要だと思います。この間、政府は、価格転嫁を強力に呼びかけて下請法の改正も進めたり、公正取引委員会も監視を強化してきました。こうした動きが一定の効果を発揮していると私は高く評価をしております。  ただ、価格転嫁が十分かと言われると、そうではないというふうに考えております。例えば、中小企業庁の調査によりますと、二〇二二年の九月、今から二年前の九月の価格転嫁率四六・九%でしたけれども、その後、二年後の二〇二四年九月では四九・七%と、実は余り価格転嫁率は変わっていない状況です。かつ、全く転嫁できなかった、いや、むしろマイナスになったという割合も両時点共に約二割を占めています。結局、その中小企業の価格交渉力が弱いままでは、幾ら呼びかけをしてもなかなか転嫁が進まないという実態があると思っております。  例えばですけれども、その多層的な下請構造がある中では、その四次請け、五次請けの事業者に価格転嫁を呼びかけたところで、実際には価格交渉すらできていないような実態があります。下請法の改正も確かにすごく重要なんですけれども、そもそもその多層的な下請構造自体を見直すというような取組が必要なのではないかというふうに考えております。  もう一つは、施策としてのもう一つとしましては、その公的セクターの給与改定が重要だというふうに考えています。昨年の人事院勧告では月例給が大幅に引き上げられましたが、これが今年も継続できるかどうかが問われていると思っております。もちろん、人事院勧告は民間給与を反映しますので、民間の賃金が上がらなければいけないというのは当然なんですけれども、ただ、実態としましては公務員の給与が民間に影響を及ぼすという面があります。特に地方の中小企業においては、その地元の公務員給与に準じて賃金を決めているというようなところもございます。  最後に、医療、介護、物流など社会インフラを支える労働についてです。  これらの労働は、資格や熟練を必要としているのに、それに見合った賃金が支払われていないために人手が不足しているというような面がございます。これについては特定最低賃金などの形で賃金の底支えをする、このことがこれらの業界の賃上げには非常に効果的だというふうに私は思っております。  続いて、年収の壁についてです。  これまでの年収の壁の議論は、主に手取りを増やすためということと、働き控えを減らすためという二点からその引上げや廃止が論じられてきていると思っております。  まず、年収の壁というふうに呼ばれるものは複数ございますが、その勤労収入が増えると手取りが減ってしまうという意味での壁は、私は、税ではなく社会保険の壁だというふうに考えております。いわゆる百六万、百三十万円の壁であるというふうに思っています。  そして、この壁については、手取り、働き控え以外に、第三号被保険者制度に関する中立性、公平性の問題もあるというふうに思っています。この点は長年指摘されてきたことですので繰り返しませんが、今の時代にそぐわない制度なのではないかというふうに私は思っております。  働き控えについては、確かに大きな課題なんですけれども、これは扶養されて働くことを控えることができる人たちの話でありまして、自分の収入で生計を維持していたり、例えばシングルで子育てをしているような人にとっては、働くことを控える余裕すらないというのが実態だと思っております。そうした点からも、公平性の観点から壁の縮小が求められているというふうに考えています。  以下では働き控えについてお話ししていきたいと思いますが、十一ページの図六を御覧いただきたいと思います。  日本の就業者は、まだ縮小は、減少はしていないんですけれども、この間、女性、高齢者がたくさん増えた、女性と高齢者が増えたことから短時間労働者が増加をしていまして、就業者数と労働時間を掛け合わせた、いわゆる労働投入量というふうに呼ばれますが、赤い線で示しているところです、これが減少をずっとしてきているという状況です。  今後この傾向ますます強まるというふうに予測されますので、人手不足を緩和していくためには労働参加率を引き上げるとともに、短時間で働く人たちの労働時間をいかに延ばしていくのかという施策が重要だと思っております。  特に、時間の関係もありますので、女性の短時間労働者に焦点を当ててちょっと考えていきたいと思います。  十二ページの図七を見ていただきますと、日本は国際的に見ても女性雇用者に占める短時間労働者の割合は高い方であるということです。ですので、これを見直していくためにも、その年収の壁が、撤廃をしていくという議論が起きていると思いますが、これが就労抑制にどう働くのかということが、研究が幾つかありますので御紹介したいと思います。  十三ページの図八を御覧ください。  これは明治学院大学の児玉直美先生らの研究で、就業調整の理由別に示したグラフになっています。上の、一番上のオレンジの部分が就業調整をしていない割合で、真ん中の黄緑色が税、社会保険を理由に就業調整をしている割合、一番下のグレーの部分がそのほかの理由で就業調整をしている割合になります。男女別、既婚、未婚別の六つのグラフとなっています。  就業調整をしているのは圧倒的に既婚女性が多いですので、下の段の真ん中のグラフを見ていただきたいと思います。横軸が所得階層となっておりまして、百万から百三十万の辺りで黄緑の割合が増えて、税、社会保険を理由とした就業調整が多いということが分かります。  ただ、この所得階層でも、そのほかの動機で就業調整をしている人が実はかなりの割合を占めています。そして、大抵の人は就業調整を行う理由というのは複合的だというふうに思っております。年収の壁もありますが、家庭の事情もあるので就業を抑制するといった具合です。この図は、その税、社会保険の影響を最大限高く見積もった場合です。  次のページの図九は、その影響を最小に見積もった場合ということになります。この研究では、税、社会保険の影響が最も大きいと言われる既婚女性においても、労働時間を抑制するのは税、社会保険よりも、家庭の事情であったりとか個人の志向という部分が強くて、仮に年収の壁がなくなっても就労抑制の効果は限定的だという結果を導き出しています。  十五ページに整理してありますのが、短時間の女性労働者の賃金と労働時間の変化を過去二十年ぐらいのものを出しています。二〇〇〇年と二〇二三年の値です。  女性の短時間労働者の一時間当たりの所定内給与額、いわゆる時給ですけれども、二〇〇〇年時点、全国平均で八百九十一円でしたが、二〇二三年は千三百十二円と、およそ五割上昇しました。この増加率は、ほぼ最低賃金の上昇率と一致をしています。しかし、月当たりの実労働時間数は百五時間から七十九時間に二五%ほど減少し、その結果、年収の増加が一割増にとどまるというのが実態となっています。  仮に、女性の短時間労働者が現在の、二〇二三年の時給及び賞与の金額で二〇〇〇年段階の労働時間数を働く場合ですけれども、そうすると、平均年収百七十万円になります。年収の壁は一般的に年収百五十三万円を超えたら働き損にならないというふうに言われていますが、つまり、かつての時間を働けばそれを超える時給が達成しているという状況なんですけれども、そこまで働こうとしていない実態があるということです。  政府は年収の壁を議論するに当たって、私が政府にお願いしたいなというふうに思っていることは、今後の労働の在り方についてグランドデザインを示していただきたいというふうに思っております。  先ほどの、ちょっと戻ってしまうんですけれど、十二ページの図七の国際比較の図を見ていただきたいんですが、例えばオランダは短時間労働者が特に多い国です。オランダは、正規、非正規の均等待遇を徹底しまして、かなり戦略的に短時間雇用を拡大してきたことで知られています。逆にスウェーデンは、フルタイムの共働きを標準モデルとしておりまして、短時間労働者が少ないということが分かります。  日本がどのような方向を目指していくのか、税、社会保障の在り方とともに労働の在り方を一緒に議論をし、全体像を示していくことが重要だというふうに思っております。  年収の壁の見直しを、ちょっと元に戻りますけれども、その労働時間を延ばしていくという上で年収の壁を見直していくというのは、ある意味ディスインセンティブを取り除くという意味で重要性が高いというふうに思っております。ただ、働き控えを減らすには、それと同時に、より長く働くことのインセンティブを高めていくという施策が重要だと思っています。  日本は、正規、非正規の処遇格差がすごく大きい国として知られています。賃金格差も大きいですが、図十に示してあるのが退職金、賞与の適用率が正社員と非正社員でどれほどの差があるのかということが分かります。  十一も見ていただきますと、その非正社員の多くが退職金や賞与の適用を望んでいるという実態も分かります。つまり、非正規になると、ボーナスも退職金もなく、何年働いても時給がいつも最低賃金で、昇給も昇進も適用されていないと。なのに、人手不足だからもっと働こうというふうに言われても、そう思えない気持ちは十分に理解できます。正社員と非正社員の壁こそ取り除くということが重要だと思っております。  そもそも、あとフルタイムで働く割合を高めていくこともできると思っておりまして、十九ページの十二を御覧いただければと思います。  これ、三十五歳から三十九歳の女性の労働力率と、女性の雇用者の中に占める正規雇用の比率を都道府県別にプロットしたものになります。これを見ますと、三十歳代の就労の中断がなく働き続けている地域では正規雇用の比率も高いということが分かります。因果関係はこれは分かりませんので、正規だから働き続けられるということかもしれません。  就労を継続するには、要するにワーク・ライフ・バランスの支援というのが肝要なのですが、大切なことは、女性ではなく男性のワーク・ライフ・バランスを進めるということだと思っております。就労抑制の理由とも重なりますが、多くの女性が家庭責任との兼ね合いで非正規に転じたり、働く時間を短くしたりしていますので、男性の長時間労働の是正が求められているというふうに考えております。  以上のとおり、今後も女性の活躍がもっと求められているところですが、それの障壁となっているのが夫婦別姓を選択できない実態にあるというふうにも思っております。  二十ページにあるものが連合の調査の結果ですけれども、別姓を選択できる方がよいとの回答が四六・八%、夫婦は同氏がよいという回答を大きく上回る状況にございます。通称使用では不利益があるとの回答も全体の二五・八%で、五十代の女性では三六%に上っています。  次のページが経団連の調査になりますけれども、同じような質問を女性役員に尋ねますと、八八%の女性役員が、旧姓使用が可能であったとしても不便や不都合、不利益が生じるというふうに回答しております。この問題は、経団連が指摘しているとおりだと私は思っていますが、企業が女性活躍を進める障壁の一つになっています。働く場で多様性を推進できないということは、企業の競争力にも関わる問題だと思っております。  他方で、選択的夫婦別姓の導入が家族のきずなを弱めたり、子供に悪影響を及ぼすのではないかという懸念の声も上がっております。ただ、現在、海外で別姓を選択できる国の中には、かつては夫婦の同姓を強制していた国も多数あります。そうした国で選択的夫婦別姓が導入された後、その家族のきずなが弱まったり、子供の発達に悪影響が及んだりするというような研究を私は読んだことも見たこともございません。家族のつながりの強さは文化や宗教などによって強弱があるということは様々な研究で指摘をされていますが、家族構成員が同姓か別姓かでそれが変わるという実証研究も私は見たことがございません。  この問題は様々な意見があることは承知しております。ただ、少なくとも国会ではファクトに基づいて議論していただきたいと思っております。同一姓であれば家庭が安定し子供が健やかに育つというのであれば、その根拠を示しながら論じるということが重要だろうと思っております。  私からは以上となります。御清聴ありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) ありがとうございました。  次に、成瀬公述人にお願いをいたしたいと思います。成瀬公述人。

成瀬道紀株式会社日本総合研究所調査部主任研究員

○公述人(成瀬道紀君) 日本総合研究所の成瀬と申します。発言の機会をいただき、ありがとうございます。  本日は、OTC類似薬の問題について意見を述べさせていただきます。短い時間ですので、最も強調したい結論から入ります。  一ページ目を御覧ください。  既に通常国会に薬機法改正案が提出されていますが、以下の項目を削除すべきと考えております。処方箋なしでの医療用医薬品の販売の原則禁止という項目です。処方箋なしで薬局が医療用医薬品を販売することを零売と呼びますので、零売規制の法制化とも呼ばれている項目です。  医療用医薬品は、現在もほとんどが処方箋に基づき販売されていますが、法律、すなわち薬機法上は現時点では処方箋を必要とされておらず、実際、零売を行っている薬局もあります。他方、二〇〇五年から、厚生労働省はやむを得ない場合を除き処方箋が必要であるという趣旨の通知を発出しています。法律と通知で整合性を取るという趣旨は理解できますが、私は、改正されるべきは薬機法ではなく通知の方であると考えております。  次のページをおめくりください。二ページ目です。  このように考えるのは、以下のようなビジョンを持っており、その実現のために不可欠と考えるからです。一つが、プライマリーケアの中に薬剤師を位置付けることです。もう一つが、医療保険財政の持続可能性の確保です。  OTC類似薬をめぐる昨今の報道を見ますと、医療保険財政の方が注目されていますが、私はプライマリーケアの中に薬剤師を位置付けることこそ、より重視しなければならないと思っています。それを実現することによって、医療の質を高めつつ、医療保険財政を改善させることもできると考えています。なお、プライマリーケアとは何でも相談できる身近な医療を指し、診療所や薬局、海外ではナースプラクティショナーなどが担い手として期待されています。  我が国の薬剤師を取り巻く状況は極めて深刻であります。簡単に言えば、高度専門職を大量に養成しながら、本来の役割を担わせず単調な業務に長時間従事させ、その割高なコストを国民が負担するという構図となっています。  参考資料にもグラフを載せましたが、我が国の人口当たりの薬剤師数は国際的に突出しています。こんなに多くの薬剤師がいるのに、本来の役割を担えていないとはどういうことか、御説明いたします。  海外の薬局は、処方箋調剤にとどまらず、セルフメディケーションの支援やワクチン接種を始めとした予防に取り組み、患者が何か健康に気になるところがあったら最初に相談に行く地域の健康づくりの拠点となっています。これに対し我が国の薬局は、約六万件ある薬局の九割が門前薬局である、近接する医療機関の発行した処方箋の調剤に特化しています。  この処方箋調剤という業務の中で、処方箋に書かれた薬を取り出して袋に詰めるようないわゆる対物業務の部分は、海外では以前から調剤補助員あるいはテクニシャンと呼ばれる別の職種が担ってきた業務です。薬剤師の本来の業務ではありません。しかも、こうした業務は近年急速に機械化が進められています。  我が国では、こうした業務を薬剤師がやり続けているために、人数はたくさんいるのに、ほかの本来的な業務に時間を割けない上、多大なコストが生じています。我が国では、調剤に関する技術料が年間約二兆円と、これと薬価差益の数千億円が薬局の調剤に係るコストとなりますが、これをイギリスやドイツと比べると、対GDP比で見て約三倍の規模となっています。これを税や保険料を通じて国民が負担しているということになります。  こうした状況になったのは、背景を理解するには、我が国の医薬分業と薬学部教育の歴史を押さえておく必要があります。  欧米では何百年も医薬分業が根付いていたのに対し、我が国で医薬分業が本格的に進んだのは一九七〇年代以降で、五十年程度のことです。我が国で医薬分業が推進した狙いは、薬漬け医療の是正がありました。院内処方だと、薬を出せば出すほど医療機関の収益が大きくなるものですから、薬漬け医療といった状況が社会問題となり、そこで医療機関は処方箋を出し、薬局で調剤するようになれば薬漬け医療が是正されると考えられたわけです。この目的に照らすと、調剤を医療機関から切離しさえすればよいわけですから、極論すると調剤するのは誰でもよいということになります。  他方、我が国の薬学部教育は、伝統的に研究が重視され、医療者として薬剤師を育ててきませんでした。明治維新後は輸入薬の鑑定、第一次世界大戦でドイツからの医薬品の輸入が途絶えると、医薬品の国産化、さらに第二次世界大戦後は国内での医薬品開発が大きな課題であり、これを支える研究の人材の育成が重視されました。  私自身も、薬学部を卒業し薬剤師の免許も持っていますが、研究が中心で医療者としての教育は受けていません。しかし、薬学部教育で医療者として薬剤師を育てないのはおかしいということになり、二〇〇六年度入学生から薬学部教育は従来の四年制から六年制に変更され、臨床教育が大幅に強化されました。  このように、せっかく薬学部教育が変わり薬剤師を医療者として養成するようになったのに、卒業生が社会に出て薬剤師となったときに担う役割は従来と変わらず、本来の役割を担えないという状況は人的資源の甚大な損失と考えます。  それでは、肝腎のOTC類似薬の議論に入ります。  三ページ目を御覧ください。  我が国の処方箋の要否を決める基準はダブルスタンダードになっています。薬機法でリスクの高い医薬品を処方箋医薬品と定め、処方箋が必須とされています。諸外国では、処方箋医薬品以外はOTC医薬品であり、処方箋は不要です。ところが、我が国は、リスクの低い医薬品であっても、メーカーが医療用医薬品として申請して承認されれば医療用医薬品となり、先ほど御説明した厚生労働省の通知により、原則処方箋が必要とされています。  この赤字の部分、処方箋医薬品以外の医療用医薬品、約七千品目ありますが、本日はこれをOTC類似薬と定義してお話しします。漢方薬、胃腸薬、湿布、アレルギー用薬などをイメージしていただければと思います。金額では約一兆円となります。  この医療用医薬品という区分は、我が国独自の区分であり、医療の中で使われることを目的にした医薬品であるから、処方箋なしで薬剤師は販売するべきではないと言われています。要は、薬剤師は医療の担い手ではないという発想の下に創設された区分でございます。実際、医療用医薬品という区分が創設されたのは一九六七年ですが、当時はドラッグストアによる医薬品の乱売などもあり、医療の担い手と言えないような薬剤師が販売していた実態があったのも事実だと思います。  しかし、薬学部教育が六年制となって約二十年たとうとしており、状況は大きく変化しています。私は、もう諸外国と同様に、処方箋医薬品以外は処方箋なしで薬剤師が販売できるようにすべきタイミングにあると考えます。OTC医薬品が販売できれば、OTC類似薬を販売できなくてもよいのではないかと考える方もいらっしゃるかもしれません。  次のページを御覧ください。  しかし、以下に述べますように、OTC類似薬はOTC医薬品より優れている傾向がありますから、OTC類似薬を処方箋なしで販売できないことは、結果として薬剤師の職能を制限し、セルフメディケーションに取り組みたい患者に不利益を与えます。  一つ目は、OTC類似薬はOTC医薬品より価格が低い傾向があります。OTC類似薬は医療用医薬品であり、ジェネリック医薬品メーカーが大量生産して規模の利益を得られるほか、OTC医薬品は、一般的にテレビコマーシャルに多額の広告宣伝費を掛け、価格が高めになっております。  二つ目は、OTC医薬品は有効成分を含む、有効成分を複数含む配合剤が多いのに対し、医療用医薬品であるOTC類似薬は有効成分が一つの単味剤がほとんどです。プロである薬剤師としては、単味剤の方が患者の症状に合った成分を選べるという特徴があります。  三つ目は、OTC類似薬はOTC医薬品より有効成分の含有量が多い傾向があります。これは、OTC医薬品は独自の承認基準があり、有効成分の含有量を少なく設定しているためです。当然、有効成分の含有量が多い方が効果は高くなると考えられます。  四つ目は、OTC類似薬はOTC医薬品より有効成分のレパートリーが広いです。とりわけ我が国は、セルフメディケーションの普及が低調のため、リスクの低い有効成分であっても採算が見込めずOTC医薬品が開発されていないものや、一旦開発されても市場から撤退したためOTC医薬品が存在しない有効成分も多々あります。  では、次のページ、五ページ目を御覧ください。最後のスライドです。  OTC類似薬をめぐっては保険給付の是非と処方箋の要否が混同して議論されがちであるため、ここで整理しておきたいと思います。この二つは所管法も本来の基準も異なり、別々に考えることができます。  まず、保険給付の是非については、健康保険法の所管で、本来的判断基準は医療へのアクセスです。OTC類似薬は、一般に安価で、保険適用されなくても購入できないということは少なく、かつ、軽症患者が使うことが多いため、仮に服用しなくても健康に重大な影響を及ぼす影響は少ないと考えられます。このため、原則としてOTC類似薬に保険給付は不要と考えられます。ただし、重症な患者が使う場合や低所得者のことなどもありますので、医療へのアクセスの観点から保険給付が必要なケースを例外的に定めれば、必要があると思います。  次に、処方箋の要否については、所管法は薬機法で、本来的判断基準はリスクの高低です。OTC類似薬はリスクが低いとされている医薬品ですから、本来処方箋は不要です。OTC類似薬を処方箋不要としても患者に不利益はありません。医療機関で処方してもらってもよいし、直接薬局で購入してもよい状態となり、患者にとっては選択肢が増えることとなります。  現在、OTC類似薬の保険適用除外が国会の内外で議論されますが、これから本格的に保険適用除外を検討していくタイミングで処方箋要とする法改正を行うのは明らかに非合理であると考えられます。なぜなら、保険適用外で処方箋が必要という状態は、患者にとって最も負担の大きい状態であるためです。そうなると、薬が全額自己負担である上に、薬を入手するためには時間を掛けて医療機関を受診し、その費用も三割負担しなければならないということになります。よって、冒頭述べたように、薬機法改正案から零売規制の法制化の項目を削除すべきと考えます。  本日は薬機法改正案の一部の項目の削除という一見細かいお話をメインにしましたが、今、我が国の薬剤師が明治以降の歴史を乗り越え、本来の職能を発揮できるようになるか否かの岐路に立っていると考えます。委員の先生方には、本件事案の重要性を十分御認識いただき、国民の利益にかなう判断をお願いし、私の発言を終えます。  御清聴ありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) ありがとうございました。  以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

自見はなこ自由民主党

○自見はなこ君 参議院の自民党の自見はなこです。本日よろしくお願いいたします。  また、首藤公述人、成瀬公述人、誠にありがとうございました。専門的な見地からの御発言、大変勉強になっております。  まず、首藤委員にお尋ねをさせていただきたいと思っております。  委員のお示しをいたしました十九ページの図十二のグラフでございます。この御説明をしていただきました際に委員の方からは、男性のワーク・ライフ・バランスを整えることが非常に大切であるという御発言があったと思います。現在、石破政権の下では地方創生ということも進められている中で、また、女性版の骨太方針等におきましても、やはり地方に女性が、特に若い女性が戻らないその要因として、男女の賃金格差であるとか、あるいは地域におけるアンコンシャスバイアスが根強い地域には女性が戻りづらいんだというところから、政府の中では、特に賃金格差の大きい五つの業種に絞ってアクションプランというものを作成し着手をする。これは例えば地域の金融・保険業とか食品小売業、こういったところにも集中的に取組をしているところではあります。  ですが、今委員の御発言を聞いている中で、それだけではやっぱり十分じゃないんではないかと。賃金格差だけではなくて、男性のワーク・ライフ・バランスという御発言もございましたので、もう少しここについて踏み込んだ御発言をいただけたらと思います。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) 御質問ありがとうございます。  確かに、ちょっと今日時間もなくてほかのデータをお示しすることができなかったんですけれども、女性のいわゆるM字カーブ、労働力率が三十代ぐらいで下がってしまって、一旦就業を中断するというような傾向というのはかつてはかなり地域差が大きかったというふうに言われていまして、特に都市部においては女性は中断をし、地方においては、ここでもこう書いていますけれども、例えば山形の東北ですとか福井、富山の北陸の地方とかはかなり女性の労働力率はかつてから高いということは知られています。  その地域はなぜ高いのかというのも分析がありまして、三世代同居率が高かったりして女性がやっぱりその子育てと仕事を両立しやすいような環境が、その文化的、家族的な背景も含めてあるというようなことは言われています。  逆に、都市部においてなぜそれが低いのかということについては、やはり男性の長時間労働が非常に大きな影響を及ぼしているという指摘は研究上はされていまして、ただ、この二十年ぐらいを見ますと、その都市部でも相当女性の労働力率は上昇してきていまして、なので日本全体でいわゆるM字カーブから台形のカーブへ随分変わってきたことは確かなんですけれども、ただ、その都市部で労働力率は上昇したけれども、結局、都市部の女性たちはかなりパートで働く比率というのがやっぱりすごく高くて、そこで都市部と地方においては差がまだありますというのが、この図十二のですね、地方ではかなり正規で働く比率が今日は増えてきているということなんですね。  なので、もちろんどうやって働き続けるかというときに、じゃ、みんな三世代で同居しましょうみたいな話もあり得るのかもしれないですけれども、やはり男性も子育てですとか家事、育児と、男女が一緒になって携われるような環境整備というのは一つ重要な視点だと私は思っております。

自見はなこ自由民主党

○自見はなこ君 ありがとうございます。  ちょうど北陸、福井、富山ということがこのグラフにもございますけれども、ちょうど私、去年の十月一日まで地方創生の担当の国務大臣させていただいた中で、特に北陸三県が合同してこの問題に取り組む、すなわち男女の賃金格差や女性の働きやすさについてのわざわざシンポジウムを福井県の杉本知事が音頭を取って開催をしていただいたということがございます。  ですから、やはりなぜかというと、特にやはり福井は、ここにあるように、グラフの方では上、正規雇用率は上になっているんですが、そもそも戻ってくる人が少ないというところから、なぜだというところに踏み込んで、県挙げて、あるいは業界団体挙げての取組ということに発展し、またそれを北陸三県に広げていったということで、すばらしい取組をしていただいているというふうにも思っております。  なかなか一筋縄でこの話はいかないということも重々承知はしているものの、やはり今委員がおっしゃったような、男性の側から見た働きやすさの追求ということも合わせ技でやっていくことが非常に重要だ、女性だけがフォーカス当たるものではないということが確認をさせていただきました。ありがとうございます。  続きまして、委員がお示しいただきました十二ページの資料のこれは二ですかね、ちょっとお待ちください、いっぱいたくさん有益な図を示していただきまして、資料七ですね、七です。就業者に占める短時間労働者の国際比較をお示しいただきました。また、委員のお話の中で、これからの我が国においては特にその労働の在り方についてのグランドデザインを示してほしいとおっしゃっておられて、かつ、この図七の中でオランダとスウェーデンを比較して、お話の多分これ入口をしていただいたと思います。  是非、首藤委員が考えられる女性の、女性だけではないと思いますが、この短時間労働者の我が国における在り方の特徴、我が国の特徴を捉えた上での在り方ということで、もう少し具体的に御示唆いただけましたら有り難く存じます。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) ありがとうございます。  これも意見がいろいろあるとは思うんですけれども、まず私は、男性、女性限らず、働いてやはりその経済的に自立ができるということは極めて重要だと思っております。  ですので、まず短時間で働く割合、日本は高いんですけれども、高いとしても、その短時間労働者が短時間で働きながらも自分の生計を維持できたり子育てができる、そのためには例えば短時間労働者の最低賃金上げていくとか、さらには正規、非正規との間の格差をもっと縮めていくというような施策が当然求められているとは思います。  ただ、やはり短時間労働者が短時間で働くことを保障していくと、オランダもそうなんですけれども、やっぱり女性が短時間で働く割合はどうしても高くなります。なので、スウェーデンは、やはり結果としての男女の平等性みたいなものを重視した場合には、やはり短時間ではなかなか、労働時間が短い分その経済的な自立が難しくなる実態もありますので、やはりフルタイムである程度働けるような体制をつくっていくことが重要だということを、スウェーデンの例えば労働組合なんかはそういう主張をしています。  私は、結局これをちゃんと選択できるような、女性たちが選択できるような形に今なっていないというふうに思っておりますので、やはりこれをきちんと選択できるようにしていくということは重要ですし、原則はやはり、経済的な自立を望んでいる人はきちんとできるような体制をつくっていくという意味ではやはり、フルタイムとまでは行かないかもしれませんけれども、労働時間はある程度延ばしていくということは必要だろうというふうに私は思っています。  ただ、そうするとなかなか、何ですか、子育てとの両立が難しいというような実態があるのは、結局、フルタイムで日本は今働こうとすると、漏れなく残業が付いてきたり休日出勤が付いてきたりして、労働時間がすごい長時間労働か若しくは物すごく短い短時間労働かという選択肢になっていると思うんですよね。やはり定時で帰れて子育てと仕事なんかが両立ができるというような働き方こそを目指していくべきなのではないかというふうに、これは男性、女性に限らずですけれども、私はそのように考えています。

自見はなこ自由民主党

○自見はなこ君 大変勉強になりました。ありがとうございます。  是非、また今後の議論として、例えばオランダ、スウェーデンというその二つの違うある意味グランドデザインを示している国々における子育て支援の違いというものも合わせ技でまた御検討、また御教授いただけたら有り難いなと思いました。ありがとうございます。  続きまして、成瀬公述人にお伺いをしたいと思ってございます。  様々な御提案、誠にありがとうございます。私も、当選をさせていただいて、私、小児科医でございまして、また内科医としても病棟で働いていた経験がございまして、本当に日頃から病棟で一緒に働いてきた薬剤師さんはすばらしい方々ばかりでして、難しい血液疾患の患者さんの子供が例えば感染症になって真菌薬を使わなきゃいけないというときに、例えば抗がん剤とまた抗真菌薬の血中濃度を一緒に計算したりしながら投薬量を決めたり、様々な専門分野においても御一緒させていただいておりますので、委員のその薬剤師の方々の活躍のフィールドを広げたいということ、また是非ともということは本当に気持ちが理解をするところでもございます。  ただ一方で、やはり医療安全ですとか、あと患者様の安心、安全というところは大変重要だと思っております。  例えば、委員も薬学部御卒業ですのでお分かりかもしれませんが、心筋梗塞があるかなというふうに我々医師が思う症例の中でやはり要注意なのは、例えば心窩部痛です。これは、食道、逆流性食道炎との鑑別疾患になります。また、心筋梗塞は放散痛がございますので、歯が痛いと言って来られる方の心筋梗塞もありますし、肩が痛いもあります。また、腎盂腎炎ですね、腎臓の中にばい菌が入るお病気ですけれども、これ腰痛で来られてロキソニンで我慢している方がいる。そうすると、発熱が、マスクされる、その間、抗生剤飲みませんから、あるいは投与されませんので、敗血症になるリスクがある。また、子供たちも、胃腸炎かなと思っていたら、いや、実は急に腸重積になって処置が必要だとか、あるいはインフルエンザだと思って、もちろんインフルエンザなんですが、脳症になるお子さんもいる。  こういう様々な急変するリスク、あるいは初発の症状が実は結果として、一瞬軽症に見えても重症だったということが山のように日常的に経験をしているものですから、委員がおっしゃった世界観を実現するのは相当に国民の理解が要る話だなと思っております。  一問になってしまって恐縮なんですが、委員にお尋ねしたいのは、仮にですね、いわゆる委員がおっしゃる世界観が実現された場合に、診断が遅れたときの薬剤師の医療訴訟のリスク、また患者様の受ける、医療がもたらす安心、安全、命を守るということについての御見解を端的に教えていただければと思います。

成瀬道紀株式会社日本総合研究所調査部主任研究員

○公述人(成瀬道紀君) 軽症と思われても重症である場合もあるということなんですけれども、セルフメディケーションをするということは、今でも一般用医薬品は薬剤師の判断で買うということができるわけですので、そのOTC類似薬を薬剤師が売れなくしてもしなくても結局薬局に行ってしまう、しまうというか、薬局に行ってよいと私は思っているんですけれども、薬局に行かれる患者も多いし、それがまさにセルフメディケーションであるわけですから、それを理由にOTC類似薬を薬局で販売できないというのは少し違うのかなというふうに思っているところでございます。  気軽に行ける薬局で相談できるからこそ逆に受診勧奨をして、この症状であれば医師にちゃんと受診した方がいいよということも薬剤師がしっかりできる能力を身に付ければ、むしろ薬局に気軽に行けることで医療につなげることができると、そういうこともあるかと思います。  御質問の医療訴訟については、法的にどうなのかということ等私も詳しいところは存じ上げませんので、そこは申し訳ございません。

自見はなこ自由民主党

○自見はなこ君 終わります。ありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。  それでは、質疑を続けたいと思います。

杉尾秀哉立憲民主・社民・無所属

○杉尾秀哉君 立憲民主・社民・無所属の杉尾秀哉でございます。  首藤公述人、それから成瀬公述人、お忙しい中、当委員会にお越しいただきまして、本当に貴重な意見賜りまして、大変ありがとうございます。  まず、首藤公述人に伺います。  たしか去年も来ていただきまして、何か毎年のようで大変恐縮なんですけれども、ちょうどタイミングが、冒頭にお話をされた昨日、春闘の集中回答日ということで、お話しになられたように、大手の方は今年も順調で、企業によっては組合の要求を上回る回答が出ているところもあるということなんですけど、やはり問題は、これからその中小、さっきおっしゃったとおりだというふうに思うんですね。ちなみに、去年は大手が五・三八%で、中小が四・たしか〇一%ぐらいだったと思うんですが。  このいただいた資料の九ページに、継続的な賃上げのためにということで、この価格転嫁ですね、これは確かに極めて重要だというふうに思います。公的セクターのその給与の改定、それから、おっしゃった医療、介護等々のいわゆる社会インフラの分野ですね。これ以外にも、例えば賃上げ税制というふうな形で促進税制、様々なインセンティブを政府付けようとしておりますけれども、こういったその諸施策が果たしてどこまで有効なのか。  まず、首藤参考人に、この賃上げ税制を含む今の政府のその施策の足りない点、それから問題点、課題ありましたら聞かせていただけますか。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) ありがとうございます。御質問ありがとうございます。  賃上げ税制につきましては、全く影響がないというふうには思っておりませんが、中小企業は赤字経営のところもすごく多いというような実態もありますし、それほど効果的だというふうには私は見ていません。  ただ、政府がその価格転嫁の呼びかけをあれだけしたり、政労使会議をやったりとか、下請法の改正したりというところは非常に、取り組まれているところは方向性は私はよろしいのではないかと評価をしているところですけれども、ただ、実態として価格転嫁もそこまで進んでいないという状況があります。これどうしたらいいんだろうかということに、やっぱりもう一歩踏み込む必要があるというふうに思っています。  私は物流とかトラックドライバーの研究をフィールドでやっていまして、価格転嫁が最も遅れている業界でトラック運送業があります。トラック運送業ですと、例えば東京―大阪間で十万円の運賃で運べば賃上げができますと。でも、結局八万円でみんな運んでいると。で、十万にしたいというふうに思っても、結局転嫁をすると何が起きているかというと、十万で交渉したら、ああ、いいですよと、で、十万になるんですけれども、その後仕事が来なくなるわけですね。結局、八万で運ぶところがあり続ける限り、やっぱり八万円になってしまうと。  これ、大企業にそのパートナーシップ構築だとか価格転嫁は大事だというふうに言っても、企業側にとっても、八万円で運んでいるところがあるのに十万円を選ぶかといったら、それはやっぱり選ばないわけです。だから、やっぱりそこに対して何ができるかを考えないといけないというふうに思っています。  例えば、やはり過当競争が原因というのは一つありますので、やっぱり過当競争を是正していくとか、多層下請が原因というのがあれば、下請法で取り締まるだけではなくて、やっぱり多層な下請自体を直していくとかいうような、市場の競争環境の整備がなくして、意識が変われば価格が転嫁していくほど価格転嫁は甘くないというふうに私は思っています。

杉尾秀哉立憲民主・社民・無所属

○杉尾秀哉君 まあそういった多層的な取り組み方というんですかね、それが重要だというのはよく分かります。  それと、今度、百三万円、百三十万円、百六万円の壁。この国会でも百三万円の壁の問題、大きなテーマになりました。一定の結論はこれまでのところは出ているわけですけれども、その百六万円の壁の話なんですけれども、これ、年金改革の中で本当はその百六万円の壁の撤廃という話が入っていたというか、いるわけですけれども、いまだにその閣議決定がされていないと、出されるかどうかも分からないと、重要広範議案ということでちょっと異例の事態になっているんですが、この今の公的年金改革、ちょっとお話をされた中からは若干はみ出るかもしれませんけれども、これ極めて重要な問題だと思いますので、公述人はどういうふうに考えておられるか、聞かせていただけますか。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) ありがとうございます。  年金改革もそうですし、高額療養費の問題もこの間ありましたけれども、医療もそうですけれども、やはり百六万円、百三十万円の壁をどう取り払うかということはそれ自体で多分すごく重要なので、議論を私はした方がいいと思っていますけれども、やはり日本の社会保障全体が、かなりいろんなところで持続可能性が危うくなっているというふうに見ています。例えば、就職氷河期世代の年金問題なんかもあります。  ですので、全体を通じて、どこか部分的に議論するというよりは全体でやはり議論をしていくことが重要ですし、与党側も野党に対して理解を求めるような、何か国民会議のようなものを例えばつくって、社会保障全体を論じていくような場が重要になってくるんじゃないかなというふうに私は思っています。

杉尾秀哉立憲民主・社民・無所属

○杉尾秀哉君 この百三万円、百三十万円、百六万円、税の壁が段階になっていたり、社会保険もやっぱり段階になっていたり、百三十万円の場合はいきなり保険料が掛かって三十万円がくんと下がるみたいな、税と社会保障が今別々のシステムになっていますけれども、これをひとつ合算をして、しかも壁をつくらずに、なだらかなスムーズな曲線にしていくという、これ、こういった改革が本当に必要じゃないかとおっしゃる専門家の方いらっしゃいますが、それについて公述人はどういう御意見お持ちですか。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) 私も同意見です。もちろん、こうなだらかにしていって、就労に対して、何ですかね、その影響を及ぼさないような形にしていくということが重要だと思っております。  でも同時に、やはり年金の問題について言うと、同時にやっぱり例えば最低保障年金ですとかそういったものもつくっていくことが多分必要になってくるというふうに思いますので、きちんと納めて就労に影響を及ぼさないような体系づくりとともに、幅広く人々が老後も含めて安心して暮らせるような設計ということが求められているというふうに思っております。

杉尾秀哉立憲民主・社民・無所属

○杉尾秀哉君 首藤公述人はここまでに一応させていただきまして、ちょっと成瀬公述人に伺いたいんですけれども、私の余り得意な分野ではないんですが、セルフメディケーションの話を何回かされました。私、たまたま前職、テレビでニュースの仕事をしていたんですけど、そのときにちょっと知人に頼まれまして、セルフメディケーションを考えるシンポジウムで司会をしてくれと言われて、そのとき林現官房長官も出てきていただきまして何人かで議論をしたんですけれども、確かに考え方としては極めてもっともだというふうに思うんですが、そのシンポジウム自体はちょうど十年ちょっと前だと思うんですけれども、それから一向にセルフメディケーションがやっぱり進んでいかない。ここの最大の原因はどういうところにあるというふうに成瀬公述人は考えていらっしゃいますでしょうか。

成瀬道紀株式会社日本総合研究所調査部主任研究員

○公述人(成瀬道紀君) 御質問ありがとうございます。  最大二つ挙げさせていただくと、一つはやっぱり薬局が門前薬局が中心になっている。調剤業務が比較的高い報酬が付くようになっておりますから、門前薬局が中心になっている。そこで、医療機関の目の前でセルフメディケーションを余りやると医療機関に来る方が少なくなるというようなことで、なかなか今の構造というのはセルフメディケーションを進めにくいというところがあるのが一つと。  もう一つが、本日お話ししましたOTC類似薬、価格は安くて効果は高いもの、これを使えない。これは医療機関に行かないと今処方、手に入れることができないという状況に基本的にはなっておりますから、この二つが大きいのかなというふうに考えております。

杉尾秀哉立憲民主・社民・無所属

○杉尾秀哉君 それで、OTC類似薬のことなんですけれども、これ、自民、公明、維新の三党合意の中に、教育の無償化、高等教育、高校ですね、教育の無償化と同じ、社会保障の改革というのがあって、その中に四兆円削減の目標というこの数字も実際に示されているわけですが、念頭に置くというふうな表現だったらしいんですが。  先ほどのちょっと資料の三ページに、ちょうどOTC類似薬とOTC医薬品とそれから処方箋医薬品、三つ書いてあって、このOTC類似薬のところ、一兆円程度というふうにおっしゃいましたけれども、どれぐらい、OTC類似薬のこの非処方箋化、保険適用外、これでどれぐらいその、何というんですかね、コストが浮くというふうにお考えなのか、聞かせていただけますか。この四兆円という目標はこうしたことだけで達成できるものではないというふうに思うんですけど、いかがでしょう。

成瀬道紀株式会社日本総合研究所調査部主任研究員

○公述人(成瀬道紀君) おっしゃるとおり、これだけで四兆円というのは難しいと思います。  薬剤費については、この七千品目を完全に外すとすると一兆円ということになりますけれども、実際にはお子様であったり所得の少ない方、こういったものでも重症患者に使う場合もありますから、そういったケースで、これはまさに国会で、国会か厚生労働省か分かりませんけれども、例外的に給付するというものを決めていく。どこまで例外をつくっていくかということにかなり依存する部分があるかと思います。場合によっては、五千億円とか半分ぐらいになる可能性も十分考えられます。また、すぐにできることではなくて、特に何のルールもないままやってしまうと、医師の処方が処方箋医薬品の保険が利く方にシフトしてしまうという可能性があるんですね。ですので、そのルール作りなんかもやっていきながらやらないといけないので、数年時間を掛けながら、五千億とか七千億とかそういう数字に近づいていくものかと考えます。  もう一つ大事なのが、医療機関の受診、診察料と薬局の技術料、この部分はどれだけ人々の行動が変容して直接薬局に行くようになるかに左右される部分が大きいですが、過去の先行研究ですとOTC類似薬だけを処方された医療費で一兆円ぐらい掛かっているということもありますので、場合によってはプラスで一兆円ぐらい削減できるポテンシャルはあるのかなというふうに考えております。

杉尾秀哉立憲民主・社民・無所属

○杉尾秀哉君 ちょっと時間が微妙なんですが、若干時間がありますので、せっかく首藤参考人、選択的夫婦別姓の話、最後されましたので、ファクトに合ったその議論をという話でしたけれども、ちょっと時間になったからやめようかな、ちょっと、じゃ、済みません、ゼロになりましたのでやめます。残念ですけれども、じゃ、また委員会外で伺います。よろしくお願いいたします。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 御協力ありがとうございます。  それでは、質疑を続けたいと思います。

上田勇公明党

○上田勇君 公明党の上田勇でございます。  今日は、首藤参考人、そして成瀬参考人、御両名に大変お忙しいところ御出席をいただきまして、今大変貴重な御意見頂戴をいたしましたこと、改めて御礼を申し上げたいというふうに思います。  まず、首藤参考人にお伺いしたいというふうに思いますが、今御意見伺った中で、いわゆる三号被保険者のことについて、時代にそぐわなくなっているとお話がございました。確かに三号被保険者制度というのは片働き世帯をモデルとしている部分がこれあるんだというふうに思うんですけれども、これまでこの三号被保険者の問題についても含めて、これまで社会保険加入の対象をなるべく広げていこうという取組をしてきましたし、これについては一定のコンセンサスがあるのではないかというふうに思います。  ただ、具体的になるといろんな御意見があるのはもう承知のことなんですが、今先生の御意見の中で、この就労抑制の原因には、収入の壁という問題もあるけれども、それ以外の理由の方がむしろ大きいのではないかと、働き方の志向性の問題もあるし、それから家庭事情もあるということでございました。そういうことになる、特にとりわけ家庭事情ということもあると、やはりこの三号被保険者制度というようなことについてもまあ一定の役割もあるのかなというような感じがいたします。  そうすると、三号被保険者のこの在り方、これから段階的ではあるんだというふうに思うんですけれども、廃止をしていくという方向性が正しいのか、今後のあるべき姿について御意見を伺えればというふうに思います。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) ありがとうございます。  第三号被保険者については、私は廃止をしていくべきだと思っております。廃止の仕方とかそのスパンとかやり方というのはいろいろ議論があるところだと思いますけれども、もちろん短時間で働く人がこれだけ多い中で、その人たちにもきちんと年金が支給されるような形をつくっていくという意味では、第三号の被保険者制度の果たしてきた役割というのは当然あることはあるわけですけれども、ただ、シングルで働いている人もいますし、働いていない学生もいますし、様々な人たちとのやっぱり公平性、中立性に問題があるというふうに思っております。  そういう点から、やはりもしそうであるならば、シングルで働いていたって、例えば一定の収入減だったらもう全部その社会保険料、保険料を納めなくてもいいというような形にするとかいうような、やっぱり公平性を保っていくということは納める側からしてみると非常に重要な観点だと思っていますので、そういう意味でやっぱり公平中立な制度設計にしていくべきだというふうに考えています。

上田勇公明党

○上田勇君 ありがとうございます。  これから、多分もう今、家族構成とか世帯の働き方も大きく変わってきているので、そういう方向に行くことが私も自然なんではないかというふうには思っているんですが、ただ、やっぱりこの問題というのはどうしても、直近の問題として、負担が増える人、それから、変な話すると、得する人と損する人がいるという問題があります。  そうすると、これは段階的にある程度移行していかなければいけないんだろうというふうに思うんですけれども、その辺の、何というか、タイムフレームみたいなことについて何かお考えがあれば御教示いただければと思います。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) 社会保障制度は、私、社会保障自体は専門としていませんので、ちょっと詳しいところまで私が申し上げるのは難しいんですけれども、やはり当然、何ですかね、これまで納めてきてこなかった人たちにこれまでの分を全部納めなさいというような形は難しいと思っております。  ですので、段階的に、今後加入していく人たちに対して適用していくであるとか、あとは、もちろん共働きにするのか片働きにするのかというのは各御家庭で判断されたらいいわけですけれども、片働きにしたとしても、その働いている方が働いていない配偶者の分の保険料もきちんと納めるような形にするとかいうような形の設計をしていけば、段階的にやっていけば、解消していくことは私はできない話ではないだろうというふうには思っております。

上田勇公明党

○上田勇君 ありがとうございます。  ちょっと話は変わるんですけれども、首藤先生、これまで、今日もちょっとお話しいただいたんですけれども、いわゆる運輸業界についての分析や提言もたくさんされているんですけれども、トラック運送の業界で、非常に素朴な疑問として、これだけドライバーが足りない足りないと言われているのに何で賃金が上がらないのと、もう全く需給のメカニズムが働いていないんじゃないかと常に思っておりまして、その中で先ほど先生からも、やはりこれは過当競争、一面すごく不足している反面、過当競争にもなっているというようなお話だったんじゃないかというふうに思います。  現状を見ると確かにそうなんだろうなというふうに思うんですが、この状況というか、を変えていくというのはなかなか、これまではその業界の中での取組には限界があったというのも事実なんでしょうけれども、これから、基本はやっぱりこれは自由市場でありますから、業界あるいは取引先との間の関係で解消していかなければいけない問題なんだというふうに思っているんですけれども、やはりこの過当競争の状態を解消するためには政策的、あるいは行政としてのもうちょっと強い介入が必要なのかどうか、その辺、お考えがあれば伺えればと思います。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) 運送業界においてドライバーの人手不足、有効求人倍率で見ますと平均の倍以上の高さになっておりますので、人手が不足しているのは事実だと思っています。にもかかわらず、なぜ賃金が上がらないのかというのは、私はこの業界を見ていて思うのは、結局、事業者は、過当競争というのは事業者が多過ぎるという話でして、この多い事業者がみんな求人を出すので有効求人倍率は非常に高くなっているわけですけれども、結局、事業者が多いということを前提に考えますと、荷物、運ばなくちゃいけない荷物の量に対してドライバーが足りていないのかどうかというところは私は分からないと思っています。  もしこれが本当に足りなくなってきた場合には、本来運賃が上がっていくはずなんですね。なので、過当競争の中で、やっぱり運賃が上がらないから賃金を上げられないという状況があるということなので、その人手が不足しているかどうかって、有効求人倍率だけで見ると確かに不足をしていますけれども、実際の総需要量に対して総供給量がマッチしていないという状況にあるのかどうかというのはなかなか分からない。本当に足りていなかったら物流が混乱するはずですけど、今のところは混乱していないというような状況にあると思っています。なので、やっぱりその過当競争の方を是正していくということが私は重要だと思っています。  やり方としましては、例えば、一九九〇年と二〇〇三年に規制緩和が起きて、その後、事業者数が物すごく増えていくわけですけれども、その前の段階は参入において車両保有台数が十台から十五台というふうになっていました。規制緩和によって五台にこれが下がるわけですけれども、十台とか十五台ぐらいの参入規制になると、多分その過当競争の状況というのはかなり是正されるのではないかという声はあります。  ただ、これはやっぱり市場への介入になりますので、非常に慎重な議論が必要になるとは思いますけれども、頭の中で考えたときのやり方としてはそういうことがあり得るというふうには思っております。

上田勇公明党

○上田勇君 ありがとうございます。  それでは、成瀬参考人にお伺いしたいというふうに思います。  今日は、OTC類似薬を通じた、利用したセルフメディケーションをもっと活用していく、そのことによって今大きな問題点もあります総医療費の伸びを抑えていくというお話、それは私も大変参考になったというふうに思っておりますし、その必要性についてはよく理解をいたしました。  先ほど成瀬先生のお話の中でも、じゃ、どのぐらいの抑制効果があるかというのはちょっとなかなか分からないというようなこともございましたし、これはやりながら、やってみる中での結論が出てくるんだろうというふうに思ってはいます。  先ほどちょっと質問の中にもあったんですけれども、ただ、このOTC類似薬で、慢性的だし、比較的軽症の方が使っていることが多いんだというふうに思うんですけれども、ただ、この病状というのはやっぱり変化していくでしょうから、自分でも、例えば仮に自分の場合に考えたときに、ずっと大きな自覚症状の変化がなかったとしても、ずうっとそれで頼っていて果たして本当に病状が進行しちゃったりというようなことのリスクはないのか、一面心配な面もあります。  そうすると、やっぱり一定のところでは、処方箋をもっと効率化していく、簡素化していくことは重要だというふうに思うんですけれども、やっぱり一定のところでは何か受診をすることも必要なことなんじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺いかがお考えでしょうか。

成瀬道紀株式会社日本総合研究所調査部主任研究員

○公述人(成瀬道紀君) ありがとうございます。  OTC類似薬に処方箋を不要とすることは、受診してはいけないということでは決してなくて、薬局に直接行く選択肢も増えるということですので、適宜適切なときにこれまでどおり受診できるし、そこまで受診が必要ではない場合は直接薬局にも行けるということで、受診ができなくなるというものでは全くないというようなことで御理解いただければというふうに思います。

上田勇公明党

○上田勇君 ありがとうございました。  今日、時間となりましたので、お二人の公述人の先生方には大変貴重なお話を伺うことができまして、誠にありがとうございました。また引き続きいろいろと御意見も伺えればと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  ありがとうございます。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。  それでは、引き続き質疑を続けたいと思います。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 日本維新の会、嘉田由紀子でございます。  本日は、お二人の方、参考人、ありがとうございます。  まず、首藤公聴人にお伺いしたいんですが、今この日本の家族の問題、本当に大きな時代の転換点にあり、一方で家制度の意識が残っております。まさに、アンコンシャスバイアス。一方で、やはり女性、男性関係なく、一人の個人としての結婚やあるいは子育てというところで転換しつつあります。  私は、このバックには、世界中の家族を比較してきて、家族を団体として見るのか、ネットワークとして見るのかと、社会学的にはですね、その辺の根本の問題があると思っておりまして、首藤公聴人さん、どうでしょうか。団体として見るから、例えば三号年金の問題、あるいは夫婦別氏制度でも、別氏だと家族の一体感が失われると言っていくわけですけど、ただ、個人として、ネットワークの核として見る場合には、もうそもそも三号年金あるいは扶養手当というのはおかしいんじゃないのかという考え方もありますね。  その辺りのところ、今後日本が行くべき方向、二つ、オランダ型とスウェーデン型があると思うんですが、見事に短時間労働の率で出ておりますけれども、日本はどっちの方向を目指すべきなんだろうというようなところのちょっとざくっとした構造問題で御意見いただけるでしょうか。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) ありがとうございます。  難しい御質問で、基本的には私は、例えば社会保険の制度の在り方等は、ただ、扶養という概念、例えば子供についてはやっぱり扶養という概念が残るとは思いますので、扶養みたいなものが全部なくなるというふうには思っていませんけれども、保険料については、成人については基本的には個人単位化していくということが、何ですかね、望ましいのではないかというか、今現状としての家族の在り方ですとか国民の意識にもそれなりに沿うのではないかというふうには思っております。  ここまでやはり多様化をしてきている中で、もちろん結婚して子供を産む方もいらっしゃいますけれども、生涯独身の方もいらっしゃいますし、結婚してもその後離婚される方もいらっしゃいますし、非常に多様になっていく中で、その多様化している中でやっぱり公平性だとか中立性を担保しながら社会保障制度を持続していくということを考えると、そちらの方向にシフトしていかざるを得ない部分というのはあるのかなというふうには思っております。  ただ、どのような、何ですかね、家族の在り方が望ましいとか、こう家族はあるべきだというようなところは、やはり個人の価値観に関わるところですので、なかなかそれは言い難いところがあるかなというふうに思っております。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  選択できるかどうかが大事だと思うんですね。ですから、家制度的な家族の一体感を頭ごなしにこれを守るべきと言われると抵抗はある。でも一方で、やっぱり家族ってお互いに団体として守り合わなければいけないよねというような考え方に対して違うと思う。その選択できるかできないかで、立法府としてはその辺りがとっても悩ましいところだと思っております。  大いにここは、特に子供さんの意見ですね、これから日本で子供たちがどう生きていくのか。もう七十万人しか生まれない、私たちの世代のとき二百五十万人生まれていた、ですから四分の一、その子供さん一人一人がどういう未来を考えるのかななんというのも、その夫婦別氏制度のところでは是非意見も聞きたいなと思っております。またいろいろとアドバイスをお願いいたします。  成瀬参考人、私、この分野本当に、知事時代に実は、薬剤師さんが地域で活躍をしていろいろ健康相談をしていただきたいということで、コミュニティー薬剤師というようなことも支援をしてきた経過があるんですけれども、今私たち日本維新の会が問題にしているのは、やはり手取りを増やす、特に若い人たちの収入、所得を増やすために、具体的には社会保険が天引きが大きいんですよね。  例えば、今三十歳で独身で正規雇用で働いている人、税金は月二万円だけど、社会保険、それこそ厚生年金から、三十歳だったら介護保険はありませんけど、労働保険はありますし、それから健康保険、そうすると、税金二万円ですけど社会保険の天引きが七万円とか八万円、この重さが一つの若い人の所得の問題、あるいは結婚できない、しにくい、結婚しても子供が産みにくい、生まれにくいという構造になっていると思っておりまして、そして、日本維新の会としてはこの社会保険をもう少しどうにか節約できないかということで問題提起をし、三党合意でも、先ほど杉尾委員が言っていらっしゃいましたけど、四兆円ぐらい減らせないかという見通しを持って議論をしているわけです。  その中に、このOTC類似薬のことを問題提起させていただいているんですけれども、先ほど自見議員がまさにお医者さんとして現場で見ていらした経験豊かな質問をしてくださったんですが、私、三点質問がございます。  一つは、まさに自見議員が言われたように、はたから見て軽微な症状であっても、医師の診断を受けることで重篤な病気の早期発見につながる場合があるんじゃないのかと。このときに、受診控えにより、より健康被害が増えてしまうんじゃないのかというのが一点目。  それから二点目ですけれども、どこかでお金を節約するということは、どこかで負担が増えるわけですね。特に経済的負担が、例えば子育て中の親御さんとか、あるいは低所得者層に経済的負担が行かないか。  それから三点目は、薬の適正使用が困難になる。特に、日本は国際的に見て薬のリテラシーが低いということを専門家が言っていらっしゃいます。どっちかというと、もうお任せというか、お医者さんにお任せ、あるいは薬剤師さんにお任せということで、自分からリテラシーを高めようという意識が低いということも国際比較で出ているんですけれども、その中で副作用のリスクが高まったり、そういうリスクもないでしょうかということで、ちょっとこの三点、まとめてで結構ですけれども、お答えいただけますか。

成瀬道紀株式会社日本総合研究所調査部主任研究員

○公述人(成瀬道紀君) 御質問ありがとうございます。  まず一つ目が、受診控えによるリスクということだと思いますけれども、受診控えをどう捉えるかなんですが、仮に経済的負担から受診を控えるということですと、今回の提案というのは経済的負担が増えるものではありません。  と申しますのは、まず、処方箋を不要とするということは、処方箋がなくてもいいし、あってもいいということで、引き続き医療機関に行ってもこれまでどおり出してもらえるし、薬局で直接買うこともできるということで、何か受診控え、経済的な理由からの受診控えは生じないということです。  それから、自己負担にいたしましたら、それは薬をもらう部分は自己負担確かに増えるんですけれども、重症ではないかということを医師に診ていただく、その部分についてはこれまでどおり全く自己負担が増えるものではありません。それで、重症ではなかったから薬で症状を抑えるかどうかという、そこの部分だけ自己負担が増えることですので、重症化を見落とす、受診抑制が起こるというふうにも私としては考えていないところです。  ただ、受診しなくても薬がもらえるという選択肢が増えるので、患者の意思として受診しないということを仮に受診控えと呼ぶのであれば、それはそういうことはあると思いますけれども、それを否定してしまうと、もうセルフメディケーション一切駄目で、全部医師に診ていただくということになってしまうので、患者が自分の意思で薬局に行くというのは認められるべきだし、そこで薬剤師が重症化の兆候があったら受診、医師の受診を勧奨していくということをしていくのが重要であるというふうに思っております。  それから二つ目は、経済的負担についてですけれども、OTC類似薬は基本的に安価であって軽症に使われることが多いということで、そこまで全体としては心配はないのですが、例外的なケースは例外的に給付すればよいということで、線引きの難しさとかはありますけれども、しっかりと対応することは可能であるというふうに考えております。  それから、経済的負担という観点からは、まさにその保険給付から外すということだけ行ってしまうと、OTC医薬品って比較的高いものですから経済的負担が増えてしまうんですけれども、保険適用から外すのであれば、もうこれは処方箋なしで買えるようにして、そうすると、OTC類似薬比較的安いですから、その方が患者の経済的負担が小さくなるというふうに考えます。  三つ目の、薬の適正使用が困難になるおそれということですけれども、この点については、私がこれまで、先ほども申し上げましたように、これを薬剤師ができるかできないか、適正使用の指導をできるかできないか。できないって言ってしまうと、何のために六年制にしたんだということになってしまうので、ここはできるようにしていかなければならないと、そういうことだと思っております。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  実はこれ、皆、構造的につながっているんですよね。私、それこそ先ほど、コミュニティー薬剤師さんを育てましょうといったときに、医療費の、特に子供の医療費の無料化とかいうところで、ちょっと指先切っても夜中に病院に入ってくると。で、もう小児科医がどうにもならなくなるというようなことで、それは薬剤師さんに、あるいは電話で相談しようということで、やはりセルフメディケーションを含めて国民のリテラシーを高めるというところが原点にあり、そこのところに、せっかく薬剤師さん、六年制になって、まさに成瀬さんが言われるように専門的な力が高まっているわけですから、国民的運動にしていく必要があるかと改めて学ばせていただきました。  本日は、どうもお二人の皆様、ありがとうございます。以上です。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。  では、質疑を続けます。

田村まみ国民民主党・新緑風会

○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみと申します。  今日は、お二人の公述人、よろしくお願いいたします。  まず初めに、首藤公述人からお伺いしたいというふうに思います。  まさしく春闘、賃闘、昨日が一つの山場だったということで、私も実は昨日の夜、UAゼンセンという産別の建物に行って、そのホワイトボードを見ながら、続々と電話とかファクスが流れて回答来た、で、まだまだ終わらないというのを目の当たりにしてきました。  そういう中で、今日もポイントとして挙げていただきました中小の企業、ただ、私、中小というふうにくくるというよりかは、地方に拠点のある中小というのが特に厳しいというふうに思っています。  そういう意味でいきますと、今政府は政労使会議というのをやって、昨日も全体での、総理が出て政労使会議行われたんですけれども、今地方版政労使会議を開催されていますが、残念ながら、賃闘の手前に一回だけ一、二月にやって終わりという形で、実は今から地方の中小の賃上げの議論が始まっていくというときに、大企業とか中央の大きな大手のところの満額回答を見て心が折れて、そのままどうぞみたいな感じなので、ここでもう一回私は、この地方版政労使会議というところでこの賃上げの機運というところを高めていくというような使い方も必要じゃないかなというふうに思っています。  もちろん、地方の最低賃金は最低賃金を決める委員会ありますけれども、この地方版政労使会議をこの春闘、賃闘を地方に広げていくために何か活用していくというようなところでのアイデアがあれば教えてください。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) 御質問ありがとうございます。  私も、地方版政労使会議すごく重要だと思っていて、やはりそこで、何ですかね、やっぱり各地域に合った政策なども進めていきながら賃上げの機運高めていくことは重要だと思うんですけれども、ただ同時に、中小企業への波及をどうやったら進められるのかといったときに、これはどこまで、労使の問題なのかというところも正直思うところがあります。  要するに、大企業と中小企業や中小企業間のその使用者同士の間の価格転嫁の問題というところが多分すごく重要で、当然組合が賃上げを求めていくことはこれはすごく重要なのでやったらいいと思っていますけれども、結局中小企業における組合組織率というもの自体が低いというような実態もありますので、組合がないような職場においても賃金上昇をどうやって高められるのかということを考えると、やはりその中小においては、大企業、中小企業間、各地域の業界団体の中での取引関係をどうやって適正化していくのかというところにより重点を置きながら議論が進み、何か取組ができるといいなというふうには思っています。

田村まみ国民民主党・新緑風会

○田村まみ君 ありがとうございます。  実は、産業別労働組合の中での企業同士の価格転嫁の問題が実は内在されているところもあるので、そういう意味でも私、労側が入るのも一つかなというふうには思っていて、ちょっと地方版政労使会議のことも申し上げました。そういう意味でいくと、私は、産業別の特定最賃、ここの活用も次に重要になってくるというふうに思ってます。  今日の御提案の中では、公的セクターの給与改定重要というところで、もちろん、公定価格で決まる賃金のところでいきますと、その全体の価格を、価格ではないです、ごめんなさい、賃金をその中央で決めていくという意味で公的なものができるという話なんですけれども、要は今、成長産業への労働移動ということを声高に言っている中で、一方で、その賃金というところはやっぱり労働者、生活者としては一番気になるところなので、そこが成長産業としてきちっと上がっていけば皆さんそこに移っていくわけなんですよね。一部公的な部分も入るんですが、介護なんて最たるもので、そこなんかはちゃんと産業別の特定最賃を決めていって、中央で、それが広がっていくということが必然的に私は介護従事者が増えていくということを思います。  ただ、残念ながら、今この特定最賃、これを決めるということが相当ハードルが高いです。昔の決め方で、いわゆる労働協約をその地域ごとに結んでいるところの数、三分の二以上のこの署名があって、しかも今、持っていっても審議にものっけてもらえないという事例がどんどん出ています。残念ながら、使用者側が、そこの産業が上がると自分のところの産業から人が出ていくということで抵抗しているというふうに私は見ています。  やっぱりこの産業別の特定最賃、ここを戦略的に、賃金向上大臣が経済再生担当大臣なわけなので、私は、ここ中心に決めていきながら、それを地方版政労使会議できちっと下ろしていくということが結構ポイントになってくると思うんですが、いかがですかね。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) 全く同意します。産業別特定最賃がやはり人手不足産業においては極めて重要だと私も思っております。  というのは、日本はやっぱり地域別最賃は当然あるわけですけれども、地域別最賃で、例えば介護の労働者がそこに張り付いて働いているような状況ですとやはり、介護の資格を取った、労働もそれなりに過重であると、にもかかわらずその最賃の水準でいいのかというところが多分問われているんだと思っています。  なので、結果的に人手が全然集まらなくなってきていますので、特に人手がどうしても必要な分野がエッセンシャルワーカーのところであります。そういうところにおいてはやはり産業別最賃を、特定最賃を導入していくということが極めて重要で、ただ、おっしゃるとおり、その使用者側の反対が非常に強い中でなかなか議論が進まないということがありますので、これは是非、政権与党の皆様、先生方にもお願いしたいところではありますけれども、政治的な圧力と言うとちょっとよくないのかもしれませんけれども、プレッシャーを掛けていただいて、やはり日本がエッセンシャルワーカーの労働者が集まらないと日本社会のインフラが維持できないという実態がありますので、どのようにしてこの業界の賃金を上げていくのか、特定最賃じゃなくてもいいですけど、じゃ、上げられる手法はほかにありますかというところだと思っております。  かつ、最賃を、特定最賃を高めていくと、例えば下請も多層的な下請が是正されるということを指摘する研究もあります。公契約条例とかで建設業の労務費を高くすると、賃金が高くなると更に下に投げられなくなってくるわけですね。下請に行けば行くほど工賃って安くなっていくわけですけれども、ある程度の賃金を払わなくちゃいけなくなると二次請けぐらいで止まってしまうというようなこともありますので、多層下請の是正にも有効だというふうに私は考えています。

田村まみ国民民主党・新緑風会

○田村まみ君 ありがとうございます。  もっとこの話したいんですけれども、今日は成瀬公述人にもお越しいただいていますので、私からもこちらの方を質問させていただきます。  私、二〇一九年に初当選して、初めて年末の臨時国会での法改正が薬機法の改定で、そこの縁で実はもうこの五年半、この薬、医薬品関係の課題については取り組んできました。そういう中で、私自身もやはりこの医療の全体の適正化の中では薬剤師の皆さんの活躍ということは重要なポイントだというふうに思っております。一方で、素人だった私がこの世界でいろんな話を聞く中で、やはり医薬品の扱いというところには相当慎重な行動も必要だなというふうに思っています。  本日提案いただきました資料の中で、三ページですね、厚労省が作った資料の中での赤字になっている処方箋医薬品以外の医療用医薬品、このお話しいただいているそのOTC類似薬のところが七千品目、八百成分というふうに言われておりますけれども、実はOTC、今OTCとして使われている共通の成分はたった百三十成分で千九百しかないというような状況なんですね。  そう考えたときに、今自己判断で我々、OTCにはアクセスはしているんですけれども、それ以外の分野を、薬剤師の皆さんが六年制になったからというところの担保をおっしゃっていますけれども、その六年制になったところの教育というところも医師が処方箋を出すという前提でありましたし、やっぱりこの今の社会の中での個人のセルフメディケーションの問題というところは今もずっとお話があったところです。  そうなったときに、自己判断の結果で、自見理事は薬剤師の皆さんの責任のところをお話しいただきましたけど、自己判断の結果なので、実際に疾病と異なる服薬で副作用出たときに、薬害が無過失の責任となって何の補償もないというふうになるんですよね。そこの、このOTCを一気に、類似薬を全面に解禁したときの薬害の責任というところはどのようにお考えでしょうか。

成瀬道紀株式会社日本総合研究所調査部主任研究員

○公述人(成瀬道紀君) まず、OTC類似薬の中にはOTC医薬品にない成分もたくさんあるじゃないかということなんですけれども、ただ、考え方からすると、あくまでリスクが低い有効成分であるということが、処方箋医薬品かどうかということで処方箋医薬品でないということは相対的にリスクが低い医薬品と考えられているということはまず申し上げておきたいと思います。  それから、なぜOTC医薬品にない成分があるかというと、やはり我が国では余りセルフメディケーションが進んでいないものですから、OTC医薬品として開発してもなかなか製薬企業が採算が取れないという状況があって、OTC医薬品として出てこない成分もたくさんあるという状況がございます。ですので、必ずしもOTC類似薬はOTC医薬品よりもリスクが高いということではないというふうに思います。  そうしたことから考えますと、薬害の責任というと、法律的にどうなるのかという部分、私も十分勉強していない部分があるんですが、専門家として適正な常識的な判断を行ったのであればそれ以上の責任が問われるというものではないのだろうかと考えますが、ここはちょっと法律の専門家の方等と御議論いただく必要があるかと思います。

田村まみ国民民主党・新緑風会

○田村まみ君 あと、低廉だという主張もされているんですけれども、実際には、今これ保険適用だからそういう価格が付いているだけで、一気に保険適用がなくなれば好きな値段を付けていい、製薬メーカーが好きな値段を付けていいということなので、今のスイッチOTCにしている価格と同じ価格になる可能性は私ゼロじゃないというふうに思っていますし、実際に今回の法改正の中で、私、今条文まで読んでいるんですけれども、原則の中でされている方には大きな影響がない改正だというふうに見受けているんですけれども、具体的に、今原則でない、あっ、原則の中で零売薬局をされている方で、じゃ、本当に今回の改正で何が困るのか。今回も、正当な理由があったら販売できるというのはあるんですけど、どうしても入れておいた方がいいというところあれば一言お願いします。

成瀬道紀株式会社日本総合研究所調査部主任研究員

○公述人(成瀬道紀君) やむを得ない場合を除き処方箋が必要ということですので、これはもう医療機関が開いているのであれば受診してくださいということになって、もう医療機関が閉まっているときに必要最低限の量をやるということは今後も認められるというふうになると思うのですけれども、それでは結局患者としては必ず医療機関を受診、その後に受診するということになってしまいますから、薬剤師で対応できるところも必ず医療機関を受診するというような対応になってしまうということだと思います。

田村まみ国民民主党・新緑風会

○田村まみ君 病院がない過疎地なんかでは相当活躍できる分野だというふうに思いますので、慎重な議論していきます。  ありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。  質疑を続けます。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 大門です。本日はお忙しいところありがとうございます。  まず、成瀬公述人にお聞きしますが、熱意のこもった御意見、御提案ありがとうございます。ただ、医療問題全体というよりも、薬機法改正、OTC問題、一点、ワンテーマに絞った御意見かというふうに思います。この公聴会の在り方なんですけれど、こういう法改正への意見、OTCワンテーマということならば、やっぱり本来、賛否両論の御意見を聞くのが国会の公聴会とか参考人質疑のルールではないかと私は思っておりまして、例えばそこに医師会の方がおられるとかですね、それが本当のこの問題、ワンテーマでやるならですね、というふうに思っておりまして、これは成瀬さんの責任でも何でもないんですよ、この公聴会の在り方なんですけれども、そういう点でちょっと私としては、いろんな賛否両論ある中、成瀬さんとだけ深掘りするということはちょっと自分としては控えたいと思っておりますので、違う角度でほかのことをお聞きしたいと思います。  ウェッジの記事ですかね、を拝見いたしますと、受診回数抑制すべきだというふうに成瀬さんのオピニオン、意見が載っておりますけれども、その中でちょっと私、ううん、どうかなと思ったのは、お医者さんの訪問診療を大変問題視されておりまして、回数を減らすべきだというふうに言われています。  実は、私の義理の母は、新潟の田舎で寝たきりになって幾つか病気が発症して、ほんまに、本当にそのお医者さんの訪問診療で命をつないで寿命を全うさせてもらったんですね。そういう、特に地方では減らせばいいというものじゃなくて、訪問診療というのは、そういう実感を含めてこういうことをおっしゃっているのか。全体、医療にもし無駄があれば、それは国民の税金ですから省かなきゃいけないですよね、それはそうですよね。ただ、何か全てが無駄から始めるんじゃなくて、本当にその大事なことまで全部削られてはたまったものではないわけですよね、命に関わるわけですよね。  そういう点で、特にこの訪問診療削れというのはちょっと非常に違和感あるんですけれども、そういう実感を踏まえておっしゃっているんでしょうか。

成瀬道紀株式会社日本総合研究所調査部主任研究員

○公述人(成瀬道紀君) 訪問診療につきましては、在宅医療ということですけど、いろんなタイプの患者さんがいらっしゃって、末期がんで一か月ぐらい最後御自宅で過ごす方や難病の方、これはかなり医師が頻繁に訪問した方がよいと思われます。他方で、動けないけれども慢性疾患が一つ二つあって、処方箋を出すのが中心という方もいらっしゃいます。その患者さんの状況に合った形で訪問診療をすべきという考えで、一律に減らせと申し上げるつもりは毛頭ございません。  ただ、今の日本の制度というのは、そうした訪問の必要性がそれほど高くない患者であっても、月二回訪問診療をすると報酬が高くなる。三回、四回してもそんなに高くならないんですけど、二回訪問診療をすると高くなると。そういう決まりに、制度になっているものですから、必要以上に訪問してしまうケースも生じているということがございます。  ただ、これは海外では必要なときに行くということで、月とにかく二回行くとか、まあ月一回のケースもあるんですけど、月二回だと報酬が高くなる、そういう訪問診療というのは本当に我が国独自の制度だと。海外では往診で必要なときに行くというのが基本的な在宅医療の在り方であるというふうに考えており、必要なものはやって、必要ないものに、必要性が低いものに余り行かない方がいいということでございます。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 そういうことなら、そういう御意見を発表されたらどうかというふうに思います。  首藤公述人に伺います。  もう国会で大人気ですね、毎年いろんな委員会に呼ばれて、私もいろいろお聞きしたいと思っておりました。中小企業の賃上げ重要で、価格転嫁が問題になってきておりますね。日本政策公庫がいろいろ調べておりまして、結構進んではいるんですけれど、結局何が次必要かというところで、その交渉の場を設ける、ちゃんと下請中小企業が価格に転嫁させてもらいたいという場を設けるということが一番鍵になっていると。  その辺、まず御意見を伺いたいと思います。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) 私も、価格転嫁は政府等の呼びかけによってかなり醸成はできてきていると思っております。交渉するほどにやっぱり転嫁する割合というのは高いということも幾つか実態調査でも研究で言及されていますので、交渉の場を設けるということは極めて重要だと思っています。  ただ、限界としましては、転嫁は進んでいるんですけど、この間、エネルギー価格とかいろんなものが上がってきている中で、そういったものが転嫁はできているけれども、じゃ、労務費が転嫁できているのかというところにおいてはまだかなり限られているというふうに思っていますし、私が専門としていますトラック運送業などでは交渉しても転嫁ができないというような実態もかなり多数上がっています。さらに、先ほど申し上げたとおり、転嫁はできたんだけど、その後、仕事が切られるというような実態もありますので、まだ交渉の場さえあれば転嫁ができるというわけではないだろうというふうに思っております。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 ありがとうございます。本当に課題になっていると思います。  あと、三菱総研、私ちょっとこの問題ずっとこだわって調べていたんですけど、三菱総研の調査で海外との比較をしているんですよね。御存じかも分かりませんが、海外では価格転嫁が進んでいるけど、日本は進んでいないという。  例えば、消費者物価にどれだけ人件費と原材料費が転嫁されているかというその物差しでいいますと、日本が四八%で、EUが八七%で、アメリカが一三四%、これだと便乗値上げやっているんじゃないかと思うぐらいですけれども。いずれにせよ、あとサービスでいくと、日本は二九%で、EUが七〇%、アメリカが一〇〇%ということで、海外に比べて転嫁率が、転嫁できていないんですよね。  この原因は、首藤公述人、どういうふうにお考えですか。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) 私もそのデータ拝見していまして、確かに海外はかなり転嫁が進んでいて、日本が全然できていないという実態があることは存じています。  それがなぜなのかというところなんですよね。いろいろ見ると、本当海外はコストが上がったらそれをもうどんどん転嫁していっていると。でも、日本の場合には、すごく現場の力とか何かで頑張って、上がったコストをできるだけ吸収しようとするというような商慣行の文化もあるかもしれませんし、あとはやはり大企業と中小企業との間のやはり差の問題もあるかもしれないというふうに思っております。  大企業と中小企業が、日本の場合にはどの産業においても中小企業は大企業よりも利益率が低いですし、賃金水準も低くなっています。でも、本来は産業ごとに、労働生産性なんかもそうなんですけれども、高い産業においては大企業も中小企業も高いというのがもう海外では起きて、当たり前になっております。これが日本の場合にはやはりその企業規模による格差が、かつては二重構造論というふうに言われたりもしましたけれども、やはり大きいような商慣行、労働市場の構造があって、その結果なかなか中小から大企業、まあ中小同士もそうなんですけれども、そこの価格転嫁が進みにくいというふうに思っていますけれども、これが原因でということを、申し訳ございません、ちょっと明確に述べられる知見がございません。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 その三菱総研も、詳しくは分からないという前提なんですけど、首藤先生おっしゃったようなことを書いてございますね。下請という立場というか、そういうものが欧米にはないといいますかね、そういう概念がないと。つまり、取引関係が対等といいますか、そういう契約関係があるというので、もう当たり前に転嫁できるというふうなことが書かれております。  それを考えますと、日本の場合はやっぱり両面あると思うんですよね。下請という存在があるから、もう契約関係もいいかげんでも仕事をやらせるという、ありますよね。したがって、その対等の契約関係をつくるというのが、今日の先生の公述の中にもありましたけれど、課題になっていくかなというふうに思います。  もう一つは、これ私の私見なんですけれど、私、元々労働組合で組合にいたときに、ヨーロッパの調査、アメリカの調査行ったんですね、ドイツとか。そのときに、やっぱり労働組合の力が強いんですね。先ほど田村さんからありましたけれど、産業別のいろんな協約とか最低賃金とか、そういう力があるわけですね。つまり、産業別の労働協約でどこで働いても賃金はこれだけ払わなければならないということが決まっていれば、価格転嫁はせざるを得ないということがあるんですね。  つまり、その労働組合といいますか、そういう労働協約というか、そういう最低賃金といいますかね、そういう役割が一方ですね、この価格転嫁問題では、中小企業の問題だけではなくて、そういう労働問題があると思うんですが、いかがでしょうか。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) ありがとうございます。  おっしゃるとおりで、私もそこは強く同意します。  特に、アメリカはちょっと違うかもしれませんけれども、ヨーロッパにおいてはやはり最低賃金の在り方なんかも多段階になっているようなケースもあります。その地域別の最低賃金の上に産業ごとがありますし、その上にその企業内の最低賃金制度があったりして、この最低賃金がやはり多段階になることによって労働者の賃金水準というのはかなり底上げをされていきます。それを基にやはり価格を決めざるを得ないというような環境が、やはりその競争において価格をどこまででも下げられるというような、価格を引き下げる競争の歯止めになっているというふうに私は考えています。  なので、先ほど田村先生との質疑の中でも申し上げましたけれども、やはり特定最賃、日本にもそういう制度はあるわけですから、それを活用していくことが価格転嫁にも私は効果的なのではないかというところは、先生おっしゃるとおり、同意します。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 勉強になりました。ありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) それでは、引き続き質疑を続けます。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 れいわ新選組、大島九州男と申します。  まず最初に、首藤公述人に御質問させていただきますが、先生の資料の七ページ、図四、所定内給与額の対前年増加率というのが千人以上だと五・一%と、十から九十九人の中小零細は一・七%という。元々の給料も非常に差があって、で、こういう差があるということは、どんどん格差が広がっているという認識でよろしいですか。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) ここ数年についてはそういうことが言えるのではないかと思っております。  ただ、長期に見てみますと、実は、今日持ってきていませんけれども、日本は二〇〇〇年代半ばから、二〇〇〇年代ぐらいからずっと春闘の賃上げもなくて賃上げ率がずっと停滞をしてきましたけれども、この期間を見ると、実は中小企業の方が賃金は少しずつ上げてきていて、大企業の方が賃金を引き下げてきていたというような時代が結構長く続いていたというのが私は自分で分析の中で確認をしておりまして、この間においては、長らく賃金が停滞していたときは、大企業が賃上げしない中で中小、まあ最賃も上がっていきましたので少しずつ賃金が上がっていっていて、賃金格差だけを見ると少し縮小はしてきていたんですけれども、これが二〇二三から大幅な賃上げが進んでいく中で格差がまた再び拡大をしていくというような傾向があります。  今回、今年も大企業で大幅賃上げが進んでいく中で、中小がそれに追い付けないと格差は更に拡大していくというふうに見ています。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 大企業が賃金を抑えていたというのは、じゃ、その分、株主の配当にやっていたという、僕らはそういうふうに見るわけですが、それを安倍総理なんかが一生懸命大企業に上げろ上げろと言った、そういう効果もあったんだろうなということは理解するんですね。  現実には、中小零細、経費をやっぱり抑えようとすると、正社員を雇うよりは派遣社員だというふうな部分で、やはり社会保険料の負担なんかは非常に大きいじゃないですか。だから、そういった部分でその派遣社員が増えてきたという、そういう認識で間違いないですかね。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) 特に、過去の二十年ぐらいにわたって見てみますと、派遣社員というよりは多分パートかもしれませんけれども、パートの従業員等が、急速に非正規労働者が増えていった一つの要素としては、中小企業における経費削減のために増えていったという面はあると思っています。  ただ同時に、やはり女性や高齢者が増えていくことが短時間労働者を増やしていったという面もあるかなというふうには思いますけれども、非正規の方が経費が抑えられるというようなところは実態としてありますので、その結果増えていった面はあるというふうに私は考えています。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 当然、人材派遣会社等を通じてそういう人を雇っていく、パートにしろ人材を。要は、人材を仕入れて仕入れ控除をもらっていくというような、そういう消費税の仕組みというのはやはりこういったところに大きく影響をしているんだという認識ですけど、先生の見解は。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) 人材を仕入れていくという、派遣労働について言いますと、やはり間接的な雇用体系であって、自分のところで雇用契約を結ぶというよりは、派遣会社の方で結んでもらった者を派遣してもらうということで、人件費の問題もありますけれども、やはり雇用の終了は非常に簡単にできる。雇用していないので、業務の終了という形でやはり切りやすいというようなところも一つの魅力として企業側はそれを使ってきたという面があるかなというふうに思っております。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 当然それで、企業としては、雇用を継続して長く、終身雇用というよりは、もう非常に働き方が多様化していったという原因をつくってきたというふうに思うんですね。それぞれ働く人の考え方があるから選択できるという部分ではそれはいいかもしれないけれども、やはり安定した収入を得ていくという、先生の資料の中にもありましたけれども、やっぱり退職金もらいたいとか待遇良くしてもらいたいというふうになると、非常にそこが大きな問題になっている。  だから、この三十年、やはり消費税という、名前は消費税だけれども、現実的にはそういった企業に対するメリット、我々がよく言う輸出還付金であったり仕入れ控除であったりする部分に対して、人の雇用に対してもそういった消費税が不安定労働を生む原因になっているというような視点の見方をするわけですけれども、先生の見解はどうですか。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) そうですね、消費税が直接的に不安定雇用の増大に影響を及ぼしたというところについては、私はこれまでそういった研究は読んだことがありませんし、私自身はそういったものを実証できてはいないというところです。  ただ、様々な面でやはりコストを引き下げようとこれまではしてきた経済行動があって、その結果、非正規が増えてきたということは言えます。  ただ、今後においては、日本社会は人口も減っていく中で人手不足が非常に深刻になっていきますので、今回の賃上げもそうですけれども、単にコストを下げて安く便利に使おうというだけでは本当に人が集まらないというような状況の中で、体制が少し変わってきているというふうには思っております。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 先生の資料の中にありましたオランダとかスウェーデンは、こういう方針で明快にしていると。言うなれば、そういう働き方が多様にできるような部分とか終身雇用でやる部分と。  じゃ、日本はどういう方向を目指すと国民が幸せに暮らせるような豊かな国になるとお考えになられますか。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) これは私の見解なので、国民みんながそう思っているかどうかはまた別ですけれども、日本社会の今後を考えていきますと、当然人口減少が非常に大きな課題になっています。少子化もそれと併せてもちろん大きな課題なんですけれども、まず人口が相当な勢いで減っていきますので、それに対応してやはり働き手を増やしていかないといけない、働く時間もできるだけ延ばしていただかないといけないというような課題に私たちは迫られているという中では、やはり短時間で働くということの選択肢は残しておくべきだと思いますけれども、できるだけ長く働いていただけるような環境をつくっていき、労働者一人一人がそういった選択ができるような形にしていくということはすごく重要だと思っています。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 じゃ、先生には最後の御質問なんですが、その労働力不足を埋めるのに、外国からいろんな人を雇用していくという方向は広げるべきというふうなお考えになられます。

首藤若菜立教大学経済学部経済政策学科教授

○公述人(首藤若菜君) 外国人労働者についても、もう現在既にかなり多数の方が外国から来て働いていただいているような実態がありますので、外国人労働者を入れるべきじゃないとかいうような話にはなかなかならないと思っています。  ただ、外国人労働者を入れれば解決ができるというような状況ではないと思っています。外国人労働者に来ていただくためにもやっぱり労働条件上げていかないと、これだけ日本というのは相対的に労働条件今低くなっていますので、そのためにも賃上げですとか労働環境の整備というものが必要だと思っています。  なので、外国人で、今までの安い賃金でどうにか回していこうというような発想からは転じていく必要があるというふうに思っております。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 ありがとうございました。  じゃ、成瀬公述人、日本は薬剤師の数が非常に多いというその理由は何だと思われます。

成瀬道紀株式会社日本総合研究所調査部主任研究員

○公述人(成瀬道紀君) 一番の理由は、いわゆる対物業務と言われるところを薬剤師がやっているからだと思います。処方箋に書いてある薬を箱から出して数えて、それを袋に詰めてお渡しすると。海外では、そもそもそういうことをしないで箱出し調剤になっていて、それを箱のままお渡しする、しかも最近は機械になってきたというような状況ですが、結構そこの部分を日本は丁寧にやっている。  また、電子処方箋とかもまだ十分に日本では普及していませんので、処方箋から薬局のシステムに自分で入力されたり、そういう薬剤師がしなくてもよいことを薬剤師がやっているために人数が多いというふうに認識をしております。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 じゃ、先生の見解からすれば、調剤技師さんがやるようなことを薬剤師がやる必要はないと。本来、そういう医療の知識がたくさんあるんだから、そういった部分でお客さんが、お客さんというか患者さんか、患者さんがおいでになったときにいろんな話を聞いて処方していくというような形が望ましいなというふうにおっしゃっているという、そういうイメージですよね。  それで、私も詳しくないんですけど、先生の、公述人のお話の中で、OTC医薬品より当然類似品の方が優れていると。だから、類似品だから、優れているからちょっと位が高い、効果が高いので処方箋が必要だという、我々素人はそういうふうに認識するんですけど、それを今までいろいろちょっと私も議論を聞いていてもすっきりしないのは、メーカーが、その類似品なのかはメーカーが決めるんでしょう、勝手に、申請によってって書いてありましたから。それって、じゃ、メーカーからすると、利益を追求するとこっちがいいとかいう判断なのか、効能でこうなのかとか、そこら辺がちょっと私には分からないんですけど、そこら辺はどうなんでしょうか。

成瀬道紀株式会社日本総合研究所調査部主任研究員

○公述人(成瀬道紀君) メーカーが決めるというのは、リスクの高い処方箋医薬品はもう必ず医療用医薬品とせざるを得ません。他方で、リスクの低い医薬品、処方箋医薬品以外の成分の医薬品であれば、メーカーはOTC医薬品として開発して申請することもできるし、リスクは低いとしても医療用医薬品として開発して申請することもできる、メーカーに選択肢がある状況になっているということです。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 国民にとってどっちがいいのかという部分でいろいろ考えていかなくてはならないなというふうに思っているところでありますけれども、今日の議論をちょっと聞かせていただいて、これからしっかり勉強させていただこうかというふうに思いました。  お二人の公述人、ありがとうございました。以上で終わります。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。  以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げたいと思います。  本日は、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  速記を止めてください。    〔速記中止〕

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 速記を起こしてください。     ─────────────

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) それでは、引き続き公述人の方々から御意見をお伺いしたいと思います。  この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用中のところ、大変御出席いただきましてありがとうございました。委員会を代表して御礼を申し上げたいと思います。  御意見を賜ったことをこの今後の審議にしっかりと糧としたいと思いますので、どうぞよろしく御忌憚のない意見を御開陳いただきますようにお願いいたします。  次に、会議の進め方について申し上げますが、まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  なお、御発言は着席のままで結構です。  それでは、一次産業・地方・国民生活について、公述人気仙沼市長菅原茂君及び茨城大学准教授西川邦夫君から順次御意見を伺います。  まず、菅原公述人にお願いをいたします。菅原公述人。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) 宮城県の気仙沼の市長の菅原茂と申します。  このような機会をいただきまして、大変ありがとうございます。  一昨日、東日本大震災から十四回目の三月十一日を迎えました。これまで全国から、また国会議員の皆さん方から、各省庁から、大変な御支援をいただいてまいりました。心より御礼を申し上げたいと思います。市民は、復興のその先へということで一生懸命、今真摯に向かっているところでありますので、これからも御協力を賜れればというふうに思っております。  今日は、地方創生に絡んで、特に人口減少が著しい本市の方からお話をさせていただければと思っております。  お手元に青い表紙のペーパーをお配りさせていただいております。これは、東日本大震災の結果として随分早く通してもらいました三陸沿岸道の気仙沼湾横断橋の絵であります。大変大きな効果を生んでいる復興事業の一つだと思っております。  ページをめくっていただきまして、人口減少の現状と課題ということで最初お話をしたいと思います。  本市は、御多分に漏れず消滅可能性都市ということで、消滅可能性都市って実際どういうふうになっているんだというのを少しお話をさせていただければと思います。  二ページ目、右下に二と書いてある二ページ目ですが、本市の人口の見通しですが、いわゆる国立社会保障・人口問題研究所、社人研の統計でありますと、二〇二〇年の国調ベースで作られた二〇五〇年までの人口動態予想ということでこのようになっておりますが、現在が二〇二五年ということで五万五千九百十人、震災前の二〇一〇年が七万三千四百八十九という数字でございました。二〇五〇年には三万一千人になると。その中でも特筆すべきは、高齢化率が現在四一%ほどでございますけれども、二〇五〇年には五一%、そして何より高齢者の割合と比べて生産年齢人口が著しく小さくなるということが特徴だと思います。  ページをめくっていただきまして、三ページの自然動態。一九八〇年に生まれた子供は九百五十四人いたというのが左側なんですね。そのときに亡くなった人は四百四十七人だったんですが、昨年、衝撃的ですが、百七十九人しか本市で生まれておりません。一方、亡くなった方が千百二十六人いた。これが消滅可能性都市の実態ということではないかなと思っております。  これが自然動態ですが、次のページの四ページ、社会動態。いわゆる転入転出ということでありますが、ここでもどうしても四百人余りの転出が続いていると。仕事の人について言えば同じぐらいかも分かりませんけれども、入るも出るも。一方で、やっぱり学校に行く、大学がありませんので、大学に行く、勤めに若い人が出るというところの分がこの四百人ぐらいマイナスになってしまうと、そういう数字でございます。  更に衝撃的なのは、自分で言うのも大変どうかと思いますけど、五ページ目です。いわゆる出生数と合計特殊出生率。先ほど、昨年本市において生まれた子供の数が百七十九人と言いましたが、一番右です、棒グラフ、百七十九。そのときの合計特殊出生率は、実は一を切りました。非常に我々にとってもインパクトですね。なかなか市民にお伝えするのも気が引ける状態です。  この中でちょっと見ていただきたいのは、緑色の折れ線グラフの宮城県の推移に比べて本市の推移が、二〇一八年のところで本市が下回ってくるんですね。なぜこういうことが起きるか。これは皮肉なことに、復興したからなんです。復興することによって工場が再開してくる、だけど働き手がいない。そうすると、外国人技能実習生をお願いするしかない。外国人技能実習生は二十代、三十代の女性が圧倒的に多いんですね。この人たちには家族がいません。ですから、その人たちが分母に入ってくる。分母に入ってきて、日本人だけが出産していくとこういう数字になってくるということであります。  実は、そこを補正すると、本市も実は、赤の色の折れ線の本市も緑に、宮城県平均ぐらいには戻るということで、今後日本全体の水準を見ていくのに注意すべきポイントかなと思っております。  次の六ページです。  これは今回の主題の一つだと思うんですが、五年ごとに国勢調査をやりますので、五年ごとの国勢調査で五歳刻みのグループをつくりましたと。左の上、男性ですね、男性だけに限ると、一九九〇年に十から十四歳だった人が三千二百五十二人いました。五年たつと、彼らが十五歳から十九歳になります。そのときに、二千五百七十二人ということで二〇%減りました。町を出ていって、大学とか就職されたんですね。で、もう五年たちましたと。今度、千四百九十一人になおさら減りました、四二%減りました。もっと十八歳で変わるんじゃないかとお思いかも分かりませんが、十八歳では住所を移していないんですね。就職したからこそ初めて住所を移すというのがここに出てきます。その上で、次に二十五歳―二十九歳になります。二〇〇五年にはそういう段階に来るわけですが、男性の場合は一六%ほど戻っています。Uターンをしているんですね。  それに対して下の女性の方を見ていただくと、同じように階段を下りるように人数が減っていくんですが、女性の場合は、男性が一六パー戻るのに対して、四・四パーしか戻らない。つまり、女性が地方では戻ってこないことが最大の問題だということです。  結果、どういうことが起こるかというと、七ページ目ですが、これは、左の表が、左が二〇一〇年、ほんの十三年前、二〇一〇年、男性を百とすれば女性が、済みません、女性を百とすれば男性何人いますかという、太い青色の線のところが結婚の適齢期の人たちですが、大体百対百に近いんです、近かったんです。男女差が人数的には余りない。ところが、二〇二〇年、右側の表になりますと、特に二十五歳から三十四歳までは男性が二割多いんです。ですから、男性が結婚しづらい情勢になってきた。つまり、女性の数そのものが、さっき減ってきているという話しましたが、女性の数そのものが人口の将来を映す鏡になっております。  次のページの八ページですが、生涯未婚率という言葉がありまして、これは四十五歳から四十九歳と五十から五十四歳の未婚率の平均値を五十歳時点の未婚率といって、生涯未婚という言葉を我々じゃなくて国が使っておられます。  その数字が、驚くべきことに、昭和五十五年、私がちょうど社会人になった年ですけれども、男性一・九%、女性三・四%だったのが、現在はというか、令和二年で男性の三割、五十歳時点では未婚ですと。女性が一七%です。これ、もっと数字が上がっているというふうに思っております。このことは国全体として大きな問題だというふうに思います。  続けて九ページですが、これは余り見ている方は少ないと思いますが、実は有配偶出生率、結婚をされているのに子供が、されている人たちの中でどのぐらい子供が生まれますかという数字です。  このことについては本市は大変厳しい状態です。左の下の方に気仙沼市と書いてありますが、結婚しているのに子供の数が少ない、生まれない。なぜかというと、やはり収入に課題があるというところが浮き彫りになってきているし、ただ、二人目、三人目生むために環境が整っていない。それは男性育休の問題だとか家事の分担だとか、そういう問題だと思います。  ここが、よく都会に女性が動いていくと都会は今度女性が多くなってしまうので子供が生まれない原因になるんじゃないかということを言われていますが、そのことはあるかも分かりませんが、実は多分東京都は有配偶出生率は低くないんですよ。それなりに頑張っておられるということだと思っています。  それで、この人口減少の問題について本市としても手を打ちたいということで、十ページ目に書きましたが、市民会議を開きました。市民百人から成る会議を開きました。  十一ページにその概要についてありますけれども、本市は東日本大震災の復興に当たって特別力を入れてきたのは、ハードの復興もそうですが、人材育成です。人材の育成をいまだに、いろんな経営人材、そして町づくり人材をずっとお金を掛けながら育成をしてきています。ということで、本市は、地方創生については人から始まる地方創生、市民が主役の町づくりを標榜しております。  いろんな取組をしていますので、百人の市民を集めるのは意外と本市は簡単です。手を挙げてくれる人がいっぱいいます。また、我々が声掛ける人いっぱいいる。そういう意味で、百人の会議、今回は中学生、高校生も入れて百人をしました。  そこで、人口減少対策市民会議を開きますといって準備会をしますと、二十人ぐらい集めました。若い人も手を挙げて、結婚するとかしないとか、子供が何人欲しいと、もうけるとか、それは個人の意思なので人口減少対策市民会議という言葉は私たちは腑に落ちないということを最初に言われました。まあ、それもそのとおり。  その続けて言ってくれたのが大変有り難いこと。気仙沼に住んでいて、何々したいのに何々できないって、市長、いっぱいあるんじゃないですかと。何々したいのに何々できないということを気仙沼でできるようにすればいいんじゃないんですか、それが結論なんじゃないかと。で、我々が、ああ、それであれば、あなたの言っていることは市民の暮らしやすさ、ウエルビーイングの実現ですねと。人口はいずれにしても減っていくかもしれませんが、そこのところの時点の幸福度というものがやっぱり一番大事だろうというのが我々の人口減少対策の市民会議から出たアウトプットの根幹なんですね。ということで、そのことが私は非常に大事だなと思っています。  下の方の、アウトプットということで五つのテーマで話をしました。雇用創出、就労環境の改善、居住環境の改善、子育て環境の更なる充実、移住、定住の促進ということであります。  次のページに行っていただきまして十二ページですが、最終的にプランにまとめました。昨年の五月三十一日、名前を何と付けたかというと、「こどもと女性の瞳かがやく」。人口減少だから子供が大事だ、そのことは当たり前なんですが、やはり女性が大事だと、女性の瞳が輝かない限りその町は永続しないということだと思っています。「けせんぬまWell―beingプラン二〇二四」ということで、QRコードの方から入っていただきますと、六十何ページのものになっていますので、五つのテーマで七十五の施策を書かせていただきまして、随時実行しております。  その中で、先ほど五つのテーマとお話しした中で、今日は特に就労環境の改善ということで、十三ページ、これが就労環境の改善の施策一覧表なんですね。この中で、特に赤枠にしておりますジェンダーギャップの解消、このことについて先般の国の地方創生の有識者会議でも私の方から報告をさせていただきました。このことに力を入れていこうということです。  そのことを成し遂げるための様々すべはあるのですが、右側の赤枠のところにありますように、両立支援、子育てと仕事、介護と仕事、そのことを成し遂げるための企業の認定制度をつくるという今準備をしているところでございます。  最後になりますが、十四ページにありますように、対応策として、若者、女性にも選ばれる地方に向けてということで、本市においてはジェンダーギャップに特に注目をしたということでございます。男女の賃金格差という一つ一番象徴的なことなんですが、じゃ、どうやってそんなことが起こるのかと。  気仙沼市は、当たり前ですが、あと参議院という職場もそうだと思いますが、男女の差はありません。給与テーブルにじゃんと男と女と書いていない。しかし、結果は起こります。なぜかというと、気仙沼市においては市立病院がありますので、市長より給料の高いお医者さんがいっぱいいて、そのほとんどは男性なんですね。そうすると、女性と男性、二十二歳で同じくスタートするかもしれないけど、女性が一旦、結婚、出産で休んでいるうちに、その後、非正規に回ってしまうということで、結果的に男性の方が平均年齢が高い。あと、会計年度任用職員、いわゆる臨時職員は女性が多い。そんなことで、結果的に。だけど、テーブルが一緒だ、一緒なんだから公平なんじゃない、それでは駄目だというのが今回のポイントだと思うんですね。  そうじゃなくて、結果の公平をつくりましょうと。つまり、女医さんも増やしましょう、結婚しても子供を産んでも会社に、役所に勤め続けられるようにしましょう、会計年度任用職員もなるたけ正規職員に近い待遇をしましょうというのが今回のポイントだというふうに思っております。  そういうことで、気仙沼市のジェンダーギャップ解消プロジェクトというものをつくりまして、商工会議所の会頭、また女性会長がリーダーになって、今それに賛同する会社を増やしているところで、この一年間随分セミナーとかワークショップとかそういうものをやってきたところでございます。  それが十六ページに書かれておりますし、十七ページには、先ほどちょっと触れました企業の認定制度。実は、国には認定制度があります。くるみん、えるぼし、厚労省の認定です。しかし、これは気仙沼の会社にとっては非常にハードルが高い。だから、もう簡単に諦められてしまうので、本市では、その一つ下、何というんですかね、ワンステップ、ファーストステップとして、ウエルビーイングなので今仮称うぇるびんと言っていますが、うぇるびん認証をつくりましょうということで、ハードルが低いものを今つくっている途中です。  そのことによって、企業にとっては奨励金だとか、我々もPRしてあげるとか、あと建設工事の総合評価方式において加点をするとか、そういうようなインセンティブを与えるということでございます。具体的には、下の方に四つの項目、合計十九の施策が、チェックポイントが並べられております。  最後に、地方創生二・〇に向けて期待したいことということでございます。  最後のページになりますが、企業や大学の地方分散や政府機関の移転、これは是非本気でお願いしたいと思います。私どもは前回手を挙げました。ならぬと言われまして、協定を結んだらいいんじゃないですかと、ほとんど意味が違っているんじゃないですかという。今度は本当に移転をしていただきたいというふうに思っております。  もう一つは、給料の問題が一番大きいので、魅力ある産業形成の後押しをしていただきたい。  三つ目としましては、先ほど触れました両立支援の強化、ジェンダーギャップの解消、そして、地方は特に大きいのですが、無意識の偏見、アンコンシャスバイアス、男だから女だから、そういうものをなくすことの促進をしていただきたい。  あとは、二地域居住の推進もお願いをしたいと思っています。二地域居住、ちょっと時間が来ましたが、政府が言っている二地域居住と我々が思っているのは違います。政府の二地域居住というのは、首都圏に住んでいて山梨県だとか近くのところに行く話なんですよね。それだったら、気仙沼選ばれません。気仙沼にとって大事なのは、気仙沼の人が仙台に就職したけど、金曜の晩から日曜の晩までは気仙沼に、ちゃんと自分の家にいて、働くときだけ仙台に行く、あとテレワークするというようなことで住所を移さないという、これが別な意味での実は効果のある二地域居住だと思っております。  最後に、地方の暮らしの魅力の発信の強化ということで、かつての田園都市国家構想、田園の部分が少し色が薄くなっていると思っています。我々は田園であったり海が好きだから住んでいますので、数字だとか利便性だけではないというそこの強調も必要だと思っております。  大変長くなりました。ありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) ありがとうございました。  次に、西川公述人にお願いをいたしたいと思います。西川公述人。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) 茨城大学で教員をしております西川邦夫と申します。  本日は、公聴会で意見を述べさせていただく機会をいただきまして、誠にありがとうございます。  私、大学では農業経済学、それから農政学の研究、教育に当たっております。フィールドワークに基づきながら、主に米政策を中心に研究を進めております。  本日は、お手元にあります意見のアウトラインも御参照になりながらお聞きいただければというふうに考えております。  私は、本公聴会におきまして、一次産業に関する意見の公述を求められているというふうに認識しております。そこで、本日は、先日閣議決定をされまして、そして今国会に提出されております食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律及び卸売市場法の一部を改正する法律案について意見を述べさせていただきたいと思います。非常に長い法律案になっておりますので、以下では適正価格法案と呼称して意見を述べさせていただきたいと思います。  ちなみに、同法案に関係いたしまして、農林水産関係の二〇二五年度予算案に計上されている額は、農産物のコスト調査ですとか、それから消費者の理解の醸成に向けた広報として五千二百万円になっております。また、二〇二四年度補正予算では六億円というふうな形になっておりますが、予算額以上の影響を日本の経済ですとか社会に与える可能性があるというふうに認識をしているところであります。今国会における農政関係の提出法案の中でも最重要なものであるというふうに考えております。    〔委員長退席、理事進藤金日子君着席〕  まず、本日は、農産物の、これから私が話す内容でありますけれども、農産物の適正価格ですね、これがポイントになってくるわけなんですが、それをめぐる生産者と消費者の認識について、違いについてまず御説明をしたいと思います。その後、同法案の特徴を簡単に整理いたしまして、最後に、法案が抱える課題について四点ほどコメントをさせていただきたいと思います。私の専門の関係から、米を中心としたコメントになるというふうなことを御容赦いただければというふうに思います。  あらかじめ私の意見の結論を申し上げますと、同法案は農畜産物の公正取引の確保を目指すという点では大変評価できる内容になっているというふうに考えておりますが、生産コストですとか流通コストが転嫁される消費者の家計に対する配慮を欠いているという点でやや問題があるのかなというふうに考えているところであります。  先生方も御承知のとおり、いわゆる令和の米騒動と呼ばれます昨年からの米不足、米価の高騰が世上をにぎわせているところであります。  総務省の小売物価統計によりますと、東京都区部におけるコシヒカリの五キログラム当たりの価格は、二〇二四年一月には二千四百四十円でございましたが、本年の一月には四千百八十五円へと七一・五%上昇しております。また、日本銀行が本年一月に公表いたしました経済・物価情勢の展望によりますと、米価の上昇が物価全体の引上げ要因になるというふうな、そんな指摘もされているところであります。  以上の米価の高騰は、一食料品の問題だけではなくて、広く日本経済と国民生活に波及した問題となっているということであります。価格の高騰が見られるのは米だけじゃなくて、青果物についても及んでいるところであります。  そして、今回の米価の高騰におきましては、その受け止め方が生産者と消費者によって異なっているという点が際立った特徴になっているのかなというふうに考えております。  生産者にとりましては、肥料や農業機械等の農業生産資材が高騰する中で、やっと一息つけるようになった価格になったというふうな、そういった意見が多く聞かれるところでございます。  農林水産省の農産物生産費統計によりますと、こちらは三年前の二〇二二年産のデータにはなりますが、生産費は六十キログラム当たり一万五千二百七十三円なのに対して、粗収益、こちらはおおむね生産者の手取り米価に該当いたしますが、こちらが一万二千円ということで三千二百七十三円下回っているというふうな状況になります。つまり、米価によって生産コストが償えていない状況にあるというのが現在の稲作の状況であるというふうなことになります。  一方で、消費者にとっては、米価の急激な上昇に対して戸惑う声が多く聞かれるということであります。物価の上昇に賃金の上昇が追い付いていない現状の下では、米価の突出した上昇が家計のやりくりを苦しくしているということであります。  家計における食料支出を消費支出の合計で割った値をエンゲル係数というふうに呼んでおりますが、こちらは一般的に経済成長とともに低下をしていくというふうに言われております。総務省の家計調査を用いまして二〇二四年における二人以上世帯のエンゲル係数を計算いたしますと、こちら二八・三%に達したわけであります。ちなみに、二〇〇五年は二二・九%ということでありまして、理論上解釈すると、経済はだんだんと停滞しているというふうな、そんなことになってくるわけであります。食料支出が消費者の家計を圧迫しているということは明確なところであります。    〔理事進藤金日子君退席、委員長着席〕  以上のような状況の下で、令和の米騒動をめぐっては農産物の適正価格をめぐる生産者と消費者の捉え方の違いが浮き彫りになりつつあります。生産者にとっては、適正価格というのは自らの経営の再生産を確保することができる価格であります。一方で、消費者にとっては、家計の安定に資する価格でありまして、現在のように家計が苦しくなっている下ではなるべく安い方がいいというふうな、そんな状況になっているわけであります。  以上の状況の下で今国会に提出されましたのが、適正価格法案と呼ばれるものであります。  こちらの目的なんですけれども、生産・流通費の価格交渉における反映を通じまして合理的な価格が形成されること、それを目指しているのがこの法案というふうなことになっております。  ここで登場するのは、まず農林漁業者、こちらは生産者でありますけれども、それと食品等事業者というふうなことになります。食品等事業者とは、こちら法律の、法案の中身になりますと、食品等の製造、加工、流通又は販売の事業を行う者というふうに定義されております。  同法案は、これから述べます三つの柱から構成されております。  まず一つ目に、農畜産物の取引において、生産者と食品等事業者が持続的な供給に必要な費用への考慮や、商習慣の変更に関する申出があった場合に検討、協議をする努力義務が課されるというところであります。  二つ目に、農林水産大臣は、検討、協議が、その生産者と食品事業者の間でそういった検討、協議が適切に行われているかどうかの判断基準を示すというふうになっております。こちらの判断基準は行動規範というふうに呼ばれて、とも呼ばれておりますが、それに照らして不十分な場合は、指導ですとか助言又は勧告、公表等が行われるということになります。この判断基準は農林水産省令によって定められるというふうなことにもなっております。  そして第三に、農林水産大臣は、指定飲食料品等と呼ばれる品目につきまして、価格交渉の材料となる費用の指標を作成、公表すると、そうする団体を認定いたします。これらの詳細も農林水産省令によって定められるというふうなことになっております。  適正価格に関する議論が始まった当初は、こちらの農畜産物の生産・流通費が小売価格に転嫁される、いわゆる価格転嫁の面ばかりが注目されましたが、でき上がった法案は、不当な買いたたきですとか、それから廉売を防止するための公正取引の確保といった点にも目を配った内容になっておりまして、そちらの点は私は大変評価できるのではないかというふうに考えております。一方で、生産・流通費を取引を通じて結果的に小売価格に反映させることを求めているという点については変わりはないわけであります。  そこで、以下では今後の論点として四点ほど私が考えていることを指摘させていただければというふうに考えております。  まず第一に、同法案には消費者の家計に対する配慮を直接示す条項がないというところであります。  先ほど申しましたように、生産・流通費を反映した価格は最終的には小売価格へと転嫁されるわけであります。農林水産省において適正価格について議論してきました適正な価格形成に関する協議会というものがございますが、そちらの議事要旨等を見ますと、価格転嫁された食品を消費者は必ず購入するとは限らないと、また、消費者が購入するためには物価上昇を上回る賃上げが必要であるということが度々指摘されておりますが、提出された法案にはそういった消費者の家計に対して配慮する施策の方向性というものは示されていないということであります。  現状のままですと、その同法案の帰結といたしましては、小売価格の上昇を通じてエンゲル係数が更に上昇するか、若しくは、消費者が国産農産物を用いた食品の購入を控えて、外国産の原料を用いた食品の購入を増やすことにもなりかねないかなというふうなことは考えております。  第二に、いわゆる技術的なことでありますが、先ほど申しました行動規範とか指定飲食料品等の指定等、こちらが省令によって決められるということであります。  例えば、食品等事業者のどういった行為が努力義務の違反になるかとかそういった点は、そういった実際の法律の運用は省令によって決められるということに今なっております。この点は、実際の価格がどういうふうにして決まってくるのかという非常に重要な点ではありますが、あくまで省令によって決められますので、その内容が国会における議論の対象となるのかというのは定かではないということであります。  私の、研究者の問題意識からすると、例えば、じゃ、その小売価格に反映されるべき国産農畜産物の生産コストの水準、そういったものが果たして合理的なのかという、そんな関心もございます。  例えばでありますが、国産米と品質的に競合するアメリカ・カリフォルニア州の米の生産費は、私の計算ですと、二〇二二年で六十キロ当たり五千三十三円と、国産米の三分の一になっております。つまり、国際的に見ますと、国産米の生産費は相当高いというふうなことになります。  何が適正なのかとか何が合理的なのかというのは、同法案の根本に関わるものとなっております。ですので、国会におかれましても、それらの点を含めて具体的な議論をお願いしたいというふうに考えております。  第三に、米政策に引き付けて考えますと、適正価格に関するこれまでの議論はいわゆる生産調整政策の継続を前提としてきたということであります。  先ほど挙げた適正な価格形成に関する協議会では、生産・流通費を反映した価格は需要に応じた生産が前提になっている旨の指摘がされております。これは、要は、需要に対して供給が上回っている供給過剰の下では生産・流通費を反映させることは難しいという、そういったことが背景にはあるわけなんですが、この需要に応じた生産とは、米の場合は生産調整のことを端的には指しているということであります。  そういった需要に応じた生産の下、政府は毎年、需給の見通しを公表し、それに沿って各道府県が生産の目安を策定しているというのが現状でありますが、つまるところ、同法案は、生産調整によって米の供給量をある程度絞った上で、生産・流通費を小売価格に反映させる仕組みに結果的にはなっているというふうなことを指摘しておきたいと思います。  最後に、日本が取っている農産物の輸入政策を前提といたしますと、国産農産物の生産費を小売価格にそのまま転嫁することは必ずしも妥当とは言えないということを指摘したいと思います。  現在、外国産米の輸入は国家貿易によって管理されておりますが、七十八万トンがミニマムアクセス制度によって毎年一定量輸入されて、それを超える量については枠外関税を徴収して輸入することは可能になっております。現在、米価が高騰しておりますので、枠外関税を支払っても外国産米が安くなりますので、相当程度輸入が見込まれるというふうなことも新聞等で報じられているところであります。  今述べた米の輸入政策は、外国産米の輸入に対する制限措置を設けて国内の稲作を保護しているわけでありますが、これは、消費者の視点から立ちますと、安い外国産米へのアクセスが制限されているという、そういう状態にもなるわけであります。消費者にとっては、選択肢が最初から狭められている中で生産・流通費に基づく価格が転嫁されると、言わばそれら費用が押し付けられるというふうなことにもなりかねないということを指摘したいと思います。  繰り返しになりますが、同法案が消費者の家計に対する配慮を明確にしつつ、農畜産物の価格形成に寄与するものとなることを期待しております。  私からの意見は以上です。どうも御清聴いただきまして、ありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) ありがとうございました。  以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

永井学自由民主党

○永井学君 自由民主党の永井学です。  菅原公述人、西川公述人、本日はお忙しい中ありがとうございました。本当に貴重な御意見を伺って、今後の審議の参考に本当になりそうなことばかりであります。  まず最初に、菅原公述人から質問をさせていただきます。  人口減少において、お話があったとおり、女性が本当に、お子さんを産んでくださる女性の転出、また、戻ってこないというものは本当に切実な問題であるというふうに私も思っています。  政府は地方創生二・〇で、若者、女性に選ばれる地方づくりを掲げております。女性の働きやすさ、働きがいを向上させる上で、出産を経ても働き続けることができる環境の整備は最重要課題であります。そして、その実現のためには、私は男性が子育てをどれほど担えるかというのに懸かっているというふうに思っています。政府はこれまでも男性の育児休業取得を推進してきましたけれども、十年前には二%台だった取得率が大幅に向上して、令和五年度には三〇・一%と初めて三割を超え、今後も更なる向上が求められております。  公述人からいただいた資料の上の部分にポイントとして付いているこの部分の中にも、女性の自己実現ができる町、女性が更に活躍できる環境整備、ひいては男性が育児等に参画しやすい環境整備が必要という結論とおっしゃっております。私も、実は十一年間山梨県議会で地方議員をやっていたんですけれども、子供政策をライフワークに取り組んでおりまして、女性が働きやすく男性が子育てしやすい地域をつくるという信念の下、一生懸命活動しておりましたので、菅原公述人の思いと同じだというふうに思っております。  気仙沼市では、昨年、先ほどお話があった市民百人会議の意見を基に、「こどもと女性の瞳かがやく けせんぬまWell―beingプラン二〇二四」、先ほどお話のあったように公表されて、その中で、仕事と子育ての両立支援等の就労環境改善によって自分らしく働ける社会の創出を掲げておられます。  そこで、まず気仙沼市における男性育休取得促進の取組と市長のお考えを伺いたいと思います。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) 先ほど御紹介しましたくるみん、えるぼし認定に続くようにということで、うぇるびん認定というものを今つくっているところでございます。中身はもうできておりますけれども、これから市民の皆さん方にお示しすると。その中で、やはり男性の育児休業取得実績というものが一つの指標、チェックポイントになっておりますので、そのことをまずは市民、特に企業の皆さん方によく理解をしていただきたい。  その前に、やはり我々が今企てておりますジェンダーギャップ解消のプロジェクトに今商工会議所の中で二十件ぐらいの会社が入っています。従業員数でいうと千八百人ぐらい。また、市役所と市立病院で同じぐらいおりますので、合わせると三千六百人ぐらいがその傘の下に入ったわけですが、少なくともその登録している、参加している企業においてはこのことについて注力をしていただきたいというふうに思っております。  何せ、人口減少の中で就労する人は少ないわけですね。非常に人手不足で困っているという中で女性は大変な戦力でありますので、私たちとしては、その方たちが結婚をする、子育てをする、そのことが苦にならず、そしてもう一人産んでいいかなと、そういうような状況をつくっていきたいと思っています。  実は、私ども、子供の子育て環境については東京や大阪の近くの人口が増えている町と同じ以上にやっています。例えば、当たり前のことかもしれませんが、十八歳未満の医療費は無償になっていますし、小学校、中学校の給食は無償です。第二子以降の保育料も無償にしました。七年四月から、幼稚園、保育所、認定こども園も無償にします。さらには、ここは初めてだと思いますが、学童保育も無償にしていきたいと思っています。  このことをしたとしても、実は明石市さんや流山市さんのような結果はすぐには生まれないんですよ、ベッドタウンでもないから。我々はベッドタウンになろうとも思ってもいないし、人口の奪い合いもしたいわけではない。しかしながら、もうけたい子供の数はもうけていただきたいなとか、じわっとした結果になるんだと思うんですが、そのことをしっかりやっていきたい。ただ、我々も息切れしますので、是非、給食の無償化等につきましては国の方で是非お考えいただければと思っております。

永井学自由民主党

○永井学君 ありがとうございました。  学童の無償化というのは、これなかなかすごいなというふうに思いますし、先ほど流山のようにはなかなかならないとおっしゃいましたけれども、そういった、女性が本当に働きやすくて男性が子育てをしやすい町を本当に市長から積極的にやられているということで、子供を育てるなら、産むなら気仙沼というふうになってくるんじゃないかなというふうに思って、その政策効果、期待をいたしております。  そして、今お話の中にも出てきておりましたえるぼし、くるみんの独自の制度を市でつくられているということに関して少し伺いたいというふうに思います。  男性育休の更なる後押しには、経営者や上司の意識改革という観点も非常に重要であるというふうに思っております。仕事と子育ての両立ができる就労環境を整えることは、労働者のみならず、企業にとってもプラスであると経営者や上司に感じてもらえるよう、就労環境の改善に取り組む企業を行政として応援すべきだと考えていますし、今市長もそうされるというふうにおっしゃっていました。  この点で、先ほどお話しになられました気仙沼では、ウエルビーイング推進企業認定制度、愛称うぇるびんを創設予定であり、認定を受けた企業は懸賞金を受け取ったり、市によるPRを行ってもらえる制度だというふうに承知しています。そして、先ほども市長の御回答の中にもありましたが、この項目の中にも男性育休の取得の実績も入っていて、仕事と子育ての両立を始め市内企業の就労環境改善が期待されます。  このうぇるびんは、これもお話にありましたけれども、国の企業認定制度であるえるぼしが、くるみんでしたっけ、くるみんが、ステップアップ、ごめんなさい、中小企業にとってハードルが高いというお話がありました。  私も、山梨でもこれ取られているところがあって、中小企業の方に、やっぱり取りたいけれども、やっぱりそのハードルが高いという部分があるというふうに伺っていて、これはもう気仙沼が今そういう問題意識で市でやられているということで、私は、国もそういった部分の中でこの前段階になるようなものもやってもいいんじゃないかなというふうに考えているんですが、またこれも国に提案していきたいというふうに考えていますけれども、その部分の市長のお考えと。  また、育休の取得の大きな障害の一つに、先ほども言ったんですが、職場の上司の理解不足というのが私はあると、こういうふうに考えています。どんなに良い制度を市長が考えられてやられても、その上司の理解がなくて取得しづらい環境ではその制度も機能してこないというふうに思います。男性育休に対する上司の意識改革という観点での市長の御意見も併せて伺いたいと思います。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) うぇるびん認定のことですが、いわゆるくるみん、えるぼしは本当に非常にハードル高くて、実は本市には一社しかありません。一社は、やっぱり売上げも相当大きな会社であります、地元の企業ですが。その会社に比べれば、ほとんどの会社は従業員が五十人以下とか三十人以下とか多いのでなかなか難しいと思っておりますので、是非そこにつながるような、我々のうぇるびん認定が、同じように国の方でつくっていただくのであれば、またそのときに多分国では何かのインセンティブを出されると思いますので、本市のインセンティブと併せて、よりこのジェンダーギャップの解消のアクセルが掛かるのかなというふうに思っております。  このうぇるびん認定の仮のマークがありますけれども、是非会社の社長さんにおかれましては、ISO何番と同じように名刺に付ける、そういうような象徴的な意味合いを持つことが大事かなというふうに思っております。  また、職場の上司の理解ということは非常に大事だと思います。そのことを理解をする上司こそが評価される上司ということが我々の人事制度の中でも大事だというふうに思いますし、また、今様々御検討もされているのかなと思いますけれども、誰かが仕事を分担しなくてはいけないと、分担した人たちに何らかの見返りがあるような仕組みというものをやはりつくっていく必要がある。そうすると、それはお互いさまでしょうといっても、必ずしも誰もが結婚してお子さんを持つわけではありませんので、生き方は様々なので、その中であっても、分担というものに対して何らかの見返り的なものが仕組みとしてあることが望ましいと考えています。

永井学自由民主党

○永井学君 ありがとうございました。  ちょっと意見も言いたいんですけれども、西川公述人にちょっと伺わなければいけない。本当にありがとうございます。  それでは、西川公述人に伺いたいと思います。  今、令和の米騒動、非常に話題にもなっていますし、毎日ニュースでやられています。ちょっと冒頭、一点だけ短く聞きたいんですけれども、先ほど御説明の中の二番の中で、消費者と生産者の価格に対しての意識が違うというふうにおっしゃっていました。特にその生産者の部分で、要は、農業資材価格が高騰する中でやっと一息つける価格になったというふうにおっしゃっていましたけれども、一方で、そういう意見もある一方で、なかなか、消費者の価格は上がっているけれども、生産者に対する価格がなかなか上がってきていないんじゃないかという部分があると思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) 御質問ありがとうございました。  生産者の側から、確かにそのような、今年価格が上がってもなかなか所得が増えないんだよというふうな声は私も聞いておりますが、一方で、ほかの生産者に聞くと、いや、今年は結構、何か一息つきましたと言う方もいて、かなりまだらな状況にはなっているかなというふうには思っております。  ただ、やっぱり総じて見ますと、やはり今年の価格高騰というのは一定程度生産者に対してはやっぱり恩恵があったのかなというふうには認識してはおります。

永井学自由民主党

○永井学君 ありがとうございました。  いい農家さんと、なかなか実入りが入っていない農家さんもまだらになっているけれども、全体的にはいいということで分かりました。  本当はまだ伺いたい質問が二問ぐらいあったんですけれども、お時間になりましたので今日はこの辺にしたいと思います。  今日はありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。  質疑を続けたいと思います。

小沼巧立憲民主・社民・無所属

○小沼巧君 立憲民主党の小沼巧です。  前半は西川公述人にお伺いしたいと思います。  いわゆる令和の米騒動の話が先ほど来続いておりましたので、これに関連して、まずは、今回の事象の原因を先生はどのように分析なさっているかということをお伺いしたいと思っております。  いわゆる米がないであったり、あったとしても高くなってしまっている。どうしてこういうような現象が起きたのか、その分析について西川公述人の御意見をまずは聞かせてください。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) 御質問ありがとうございました。  私の見解ですと、今回米価が上がっているのは、基本的には需要に対して供給が足りていないということが非常に大きいかなというふうには思っております。昨年の端境期ですね、急にお米がなくなったということでありますが、いろいろデータ等、政府公表しているデータ等も見ますと、大体四十万トンぐらい需要と供給の間でギャップがあったのかなというふうに考えております。  基本的には、それを前提といたしまして価格が上がって、足りないお米を取り合うような集荷競争ですね、そういったものも起こって価格がどんどんと上がっていったと。基本的には、だからそういった需給ギャップがありまして、その結果として価格が業者間の競争によって上がっていったというふうに認識をしております。

小沼巧立憲民主・社民・無所属

○小沼巧君 ありがとうございます。  需給ギャップがあった、つまり供給が足りなかったということだと思います。他方で、農林水産省は、言葉は別にしても、いわゆる生産調整、先生の言葉で申し上げると生産調整ということをやっているということがあったと思います。そういう意味で、供給量というのは農林水産省の政策によるところが大きいと思っております。  どうして需給ギャップが発生するような農林水産行政の政策になってしまったのか。その原因と、どういうことが、例えば情報の取り方かもしれません、あるいは調べ方なのかもしれません、どういったところで需給ギャップが発生してしまった、その農林水産省のこれまでの政策の改善余地について、何か御意見があれば教えていただきたいと思います。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) 御質問ありがとうございます。  農林水産省の方で、毎年、前年に翌年の需要ですね、需要の見通しを立てております。それに基づいて供給量を計算して、それを各道府県で見ながら生産の目安というものを設定しておりますが、二〇二三年から二〇二四年にかけましては、まず一つ目に、その需要の見通しを上回る需要があったというのがまずあります。それが大体二十万トンぐらいであります。需要が上振れしたということであります。それに対して供給量は、その需要の目安に対して更に二十万トン下回ったということであります。  それで、何で二十万トン下回ったかというのは、これは非常に難しいところでして、そもそもの適正な生産量の設定が少し少なめであったということと、それにも増して更に生産量が減ったという二つ要因があるわけなんですけれども、ここが非常に難しいところではあります。その結果として、需要がプラス二十万トン、供給がマイナス二十万トンということで、四十万トンぐらい需給ギャップが発生したということであります。  やはりなかなかこの需要の見通しを立てるというのは非常に難しい作業でして、それを当てる、当てるというのはちょっと言い方があれですけれども、非常に難しいところではありますが、そういった不安定な指標を基に一年間の供給計画、需給計画を立てていくというのはやはりちょっとリスクがあるのかなというふうには感じております。

小沼巧立憲民主・社民・無所属

○小沼巧君 ありがとうございます。  その上で、先生は適正価格法案の評価に関して、特に今回は消費者の家計に対する配慮を直接示す条項がないということについて言及をいただきました。  消費者の立場をどう考えるのかということについては大事な論点でありますけれども、今先生の御指摘の中でここについてどういうものなのかということを聞きたいと思ったのは、いわゆる生産者にとっては、米価の状況だったら今までがある意味異常だった、作っても赤字になっていたというような状況で異常だったわけです。だから上げたいと言う、生産者は。他方で、消費者は安く買いたい。当然のことですよね。どうしても利害が対立せざるを得ないという中で、消費者の理解も求めなければいけないけれども、生産者の側に立って、立場に立ってみると、消費者にやむを得ない価格なんだからこのぐらいの価格上昇は理解してくれなければやっていけませんということの、お互いに合意を探っていくということの取組がこれから重要になってくると思います。  その点については共通認識だと思いますが、では、そのような共通認識を構築する上で、今後、省令の形ないしは国会審議の形になって議論が行われていくと承知しておりますけれども、その際に消費者側の理解を得られる、ああ、このくらいだったらやむを得ないんだなという負担感の理解を得られるような議論、合意形成をしていくためには、どのような方に議論に参加していただく、ないしはどのような方の御意見を国会の中で議論をして省令作成等に生かしていくというような取組が重要になるのかなということについて、先生の御意見を伺いたいと思います。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) 御質問ありがとうございます。  なかなかお答えするのが難しいところではありますが、まず一つ目に、やはり重要な点ですね、消費者が、じゃ、その価格をどういうふうに、その理解をするために重要かという点で、やはり一つは、その生産コストが妥当な水準なのかという点がやっぱり一つのポイントにはなってくるとは思います。  先ほど申しましたように、日本の稲作の生産コストは国際的に見たらやっぱり高いというのは、これはやはり事実であります。やはりそういった生産コストの状況を見たときに、じゃ、その生産コストをそのまま小売価格に転嫁しますよというふうになった場合に消費者の理解が得られるかというと、ちょっとなかなか難しいのかなというふうなことは考えております。  ですので、その生産コストの水準が妥当なのかという、もちろんそれは当然、流通の各段階におけるコストも妥当なのかというふうな評価も必要になってきますけれども、そうした場合には当然、研究者の評価ということも必要になってくるでしょうし、それから生産、流通ですね、の各段階における当事者の認識を合わせていくということも重要になってくるかなというふうに考えております。

小沼巧立憲民主・社民・無所属

○小沼巧君 ありがとうございます。  生産コストが重要、適正なのかということは、これは正直正解はないと思うんですね。生産コストといっても分からない、お互いに分からないがゆえの悩ましさだと思います。ゆえに、西川先生のような研究者の立場から議論を見ていただく、分析をしていただくということは重要だと思うのですが。  そこで、難しい質問になってしまって恐縮でございますけど、先生なりに適正な生産コストを出しましょうと、試算しましょうとなった場合に、どういうデータが必要で、どういう計算式で組み立てることを考えていくのかということを試算しようとした場合に、今の統計などの関係で、恐らくこのデータが欲しいんだけれども、ないから難しいんだというようなことってあり得るんじゃないかと思うんですね。  そういったことについて、先生の、今後の適正価格を作成するに当たっての必要な情報、だけれどもこの情報がないよねというようなことについて、分析の上でお悩みの点などがあればお聞かせいただきたいと思います。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) 御質問ありがとうございます。  まず、生産費ですね、生産費のコスト、統計については、これはかなりの程度充実しているというふうに考えております。農林水産省さんの方でも生産費統計出しておりますので、非常にそちらは私も有用に使わせていただいております。  一方、流通段階のコストというのはやはり非常に難しいということで、ちょっと私も、農林水産省さんの方で流通段階のコスト、この間、適正価格に関する協議会の資料で流通段階のコスト、計算されておりまして、それは非常に有意義なものでありましたが、では、全国的に一般的なその統計が取れているかというと必ずしもそうではありませんので、私のあくまで個人的な見解にはなりますが、そういった流通段階のコストというのが明らかになるとかなり議論も進むのではないかというふうに考えております。

小沼巧立憲民主・社民・無所属

○小沼巧君 ありがとうございます。  菅原公述人にお伺いしたいと思います。  私も茨城の鉾田というところの生まれ育ちでありまして、同じなので、消滅可能性都市という意味では、という意味で党派は超えて同じ認識なんだろうなと思いながら、地方創生二・〇のところについてお伺いしたいと思います。  先日のところ、NHKの放送で拝見しましたけれども、気仙沼市において、モノレールの話でありまして、一億八千七百万円ぐらいの負担が増えちゃったということについて報道がありました。元々は観光客の呼び込みだったりということでやっていたのだけれども、残念ながら、工期の遅れだったり国の交付金が減額されちゃったみたいなことも含めてあったということで伺っておりました。  悩ましいことに、復興というようなところで人口減少がしていますよと。しかし、復興だということで予算は来ているかもしれない。けれども、拡大してしまったインフラの整備であったり、その維持管理とかをどうするんだよということについて、あとは活用もどうするんだよということは結構悩ましい課題なのではないかなと思っております。  そんな中で、地方創生二・〇の文脈で交付金を倍増しましょうよみたいな話がありました。けれども、実際、交付金の倍増、聞こえはいいけれども、それだけで問題解決するのかといったら必ずしもそうじゃないかなと思いますし、その交付金の使いこなせるかということについても大事な論点になってくるのではないかなと思います。  そういう意味で、菅原参考人に今回の地方創生二・〇、交付金の倍増等々の話がありますけれども、国はもうちょっとこのように地方創生施策変えていった方がいいものがあるんじゃないのか、交付金の使い勝手についてこういう課題があるんだというような御意見があれば、現場の御意見があれば教えていただきたいと思います。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) ありがとうございます。  本市は、一・〇の今の最後のステージにおいても、実は地方創生交付金を随分使わせていただいている団体の一つだと思っています。その一つがモノレールだったのですが、モノレールにつきましては、本来復興事業で完成させるべきものが索道会計ということで復興事業に当たらないということで、私は八年間ぐらい復興庁とやり取りしましたが、できなかったので、地方創生交付金の拠点整備型というのに御厄介になりました。ただ、こちらの準備が国立公園でやっているので遅れてしまったとなって、時限で予算が一部切れてしまったというところがありました。それは、どちらかというと我々の問題だと思っております。  一方、今回、地方創生交付金を二倍にするんだということで大変期待をしております。期待をしておりますので、今度、一方、我々も随分使わせていただいたので、検証をしながら、真に地方創生に資するような使い道をしっかりとしていかなくてはならないと思いますし、また拠点整備型って非常に我々としては欲しいものなのですけれども、今までそれは非常に限定的だったんですね、いろんな縛りがありました。そのことを少し緩和してもらうと使い道が広がるのかなと思います。  もちろん、箱物をいっぱい造ればいいというものでもありませんし、人口減少の中においてはそのことは後で足かせになるかもしれない。ただ、一点だけ言っておきたいのは、復興事業で造ったものが足かせになっているんではないかという議論につきましては、私はそうは思っていません。我々がなかなか造れないものを復興事業の中で造って、やがてそれをどうするかというと、ほかのものをスクラップしていってその機能をここに入れていくということで解決できるというふうに思っています。

小沼巧立憲民主・社民・無所属

○小沼巧君 終わります。ありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。  質疑を続けます。

上田勇公明党

○上田勇君 公明党の上田勇でございます。  菅原公述人、そして西川公述人には、今日は大変貴重な御意見を頂戴をいたしまして、誠にありがとうございます。  初めに、菅原市長の方にお伺いをしたいというふうに思います。  まずは、三・一一東日本大震災から十四年となりました。本当に、犠牲となられました皆様に謹んで哀悼の意を表するものでございます。  私も、発災後、五月ぐらいでありましたけれども、現地訪問させていただいたときに拝見をしたその光景というのは本当に衝撃的でありました。市長におかれては、この間、復旧復興にもう懸命に努めてこられた。そのことに心から敬意を表したいというふうに思います。  今日は非常に多くの貴重なお話を伺うことができまして、市長の卓越したリーダーシップに改めて敬意を表するものでございます。市長のお話の中で、やっぱり成功するかどうかの成否は人材に懸かっているというような御意見を頂戴をいたしました。もうそのとおりなんだというふうに思います。どこの今市町でお話を聞いても、今日、菅原市長おっしゃったとおり、高校を卒業すると若者が流出してしまうというのが最大の課題、特にやっぱり今日お話があったとおり、女性だというお話がございました。  今日お話の中で、やっぱり大学などの高等教育機関が地元にないから流出しちゃうんだというお話もあったんですけれども、それを誘致する、あるいは設けるということになると、でも、ただ、やっぱり気仙沼市だけでそれをというのはなかなか難しいんだろうというふうに思います。そうなると、市内の自宅に居住をしながら通学できるような範囲というのは一つ考えていかなければならないんだと思うんですけれども、それぞれ学生もいろいろ進路は選択がありますからいろんな分野がもう必要になってきますし、そうすると余計そうなんでしょうけれども、そうなると、県あるいはその周辺の市町、市や町との、協力してそういうネットワークをつくりながら、なるべく自宅から通学できるような大学などを誘致するということがあるんだというふうに思うんですけれども、その辺、この県や広域、よりちょっと広域的な取組というのはどのようにお考えでしょうか。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) 本市は実は県際にあるんですね。宮城県の中で突出して岩手県に入り込んだような形で、実際のそのコミュニケーションとしては、三陸沿岸道路の要望などで岩手県の町、青森県の八戸も含めてですね、ネットワークをつくっているのですけれども、いろんなことをやろうとしたときにその県の境というのは非常に大きなものがございます。  一方で、そのことは別としまして、この頃言われているのは、例えば北海道において我々と同じような水産を中心とした沿岸部の釧路でありますとか根室でありますとか、そういうところはふるさと納税では潤っているんですけれども、人口としてはなかなか厳しい状態にあると。それに対して内陸の十勝等においては、広域でいろんなものを外国に輸出したりブランド化が進んでいたりという好例が聞こえておりますので、本市においてもそういう感覚というのが必要なのかな、例えば三陸という名前がフランスでいえばボルドーだというような物の捉え方というのが今後も必要になってくると思っております。  学校につきましては、本市においては仙台まで二時間掛かりますので非常に厳しい。一方で、三陸沿岸道路をこの復興事業で造っていただいた関係上、相当程度通えるように、仙台には通えるようになっている県内の町は多くなっているのかなというふうに思いますので、道路ネットワークなどがそこに随分寄与するのではないかなというふうに思っております。  ただ、学校については、人口減少の中で、子供が急速に減っていく中で、学校を新たにつくるということに対してはどこまで期待していいのかということは自治体としては慎重になっているところです。

上田勇公明党

○上田勇君 ありがとうございます。  もう一点ちょっとお伺いしたいんですけれども、どこのこれは市でも同じ、市町、市や町でも同じなんですが、やっぱり同じ市の中でも、限界集落というんですかね、があって、なかなかやっぱりそこを、アクセスであるとかサービスを提供するというのは非常に難しくて大きな課題に、これはもうどこの市でも同じなんだというふうに思っています。そういうお話を伺います。  今、いわゆるコンパクトシティーという、そういうアイデアが提示をされているんですけれども、なるべく中心部にいろんな機能を集めて、そこのアクセスをいかに改善していくかというようなことの構想でありますけれども、そうしたコンパクトシティーというこのデザインというんですかね、そういう概念についてはどういうふうにお考えでしょうか。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) 本市でも立地適正化計画などというものを作っております。国交省の方に認めてもらう計画になります。  居住をこのエリアに、また、にぎわいをこのエリアにというようなあれですが、大変重要だと思っていますし、我々、実は災害公営住宅を二千八十七戸造りました。その前にあった市の公営住宅は四百幾つなんですね。人口が、先ほど表で、グラフで示したような数字になってくると、四百何十戸あった公営住宅が多分二百戸ぐらいで済むんですね、やがて。空き家があるから、そんなにも要らないかもしれません。  それに対して二千八十七の公営住宅を新たに造りましたので、実はこの公営住宅に限界集落の人たちを呼び込むとか、あと、沢というんですかね、山合いのところは実は消防車も行きづらいし、救急車も行かないんですよ。そういうようなところの人たちを順次その公営住宅に呼び込んでいくということが非常に大事だと思っていますが、今、公営住宅法の縛りがあります。ここを緩和をしていただくことによって、せっかく復興事業で造った公営住宅、町の中になるたけ造りました、集合住宅の形で造りましたので、そういうような活用があるのではないかなと思います。  本市の場合はそういうことですが、一般的に言っても、公営住宅の利活用というのが、新しめのものであれば一つ規制緩和の中でできるものだというふうに思っております。

上田勇公明党

○上田勇君 ありがとうございました。  それでは、西川公述人にお伺いしたいというふうに思います。  西川先生の今日のお話、そしてちょっとこれまでのいろんな著作、著述なども拝見をさせていただいたんですが、この適正価格というのが本当に難しい概念だなというのはよく分かりました。  やっぱり生産者、生産費と適正な利潤はカバーできるものじゃなければならないし、他方では、需給関係が、その市場メカニズムはやっぱり働いたものでもなければならない。さらには、消費者の立場からいえば、やっぱり価格は抑えたものが適正なんだというようなこともあるんだというふうに思います。なかなかやっぱり、この適正価格といっても、適正という言葉を言うのは簡単だけれども、実際には何をどういうふうに持っていくかは難しいというのはよく理解したところであります。  先生のこれまでの論文などで拝見させていただくと、米の価格形成としてこの先物取引についてもお話を伺っているんですけれども、この先物取引というのは米の適正価格の形成に役立っているのか、また今後何かその辺期待できるものなのか、お考えを伺えればと思います。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) 御質問ありがとうございます。  先物価格でありますけれども、これはやはり多様な主体が参入して取引をする市場ですので、基本的にはそういった適正価格ですとか需給に応じた価格の形成には寄与するというふうには考えております。  先日、先物市場が日本でも設立されまして、徐々に参加者等も増えて価格形成をしておりますので、今後、その参加者が増えていけば、一定程度のやっぱり指標となる価格が形成されていくのではないかなというふうには考えております。

上田勇公明党

○上田勇君 ありがとうございます。  この米の今日お話を伺ったんですけれども、数年前、米の価格というのが輸入の小麦などに対して相対的には低くなったときには、僅かではありましたけれども、需要も伸びたという現象がありました。今回は、需給がややタイトになると価格がこんなに高騰するというような現象があって、やっぱり農産物、米のような穀物などにおいてもやっぱりそういう価格弾力性というのが相当大きいんだなというのが今回、今こうした現象の中から感じているところでございます。  そうすると、農産物価格が上がると、これやっぱり需要に影響する、あるいは、米などは国家貿易ではあるんですけれども、その他のものなどは輸入農産物に代替してしまうんじゃないかというようなちょっと懸念もあるんですが、そうなると国内のこの生産あるいは自給率というのに影響してくると思うんですけれども、その辺、輸入農産物を食料に代替されるというような懸念に対してはいかがお考えでしょうか。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) 御質問ありがとうございます。  私もその点は非常に懸念をしております。例えば米を例に取りますと、以前はやっぱり米は主食ですので、消費者は米が高くなっても安くなっても消費量は変わらないんだという、そういう議論もありましたけれども、やはり最近の研究結果等を見ておりますと、やはり消費者も米の価格の上下によって消費を減らしたり増やしたりしているというふうな研究結果も出ております。  ですので、現在のように、米を含めて農産物の価格が全般的に上昇して、それで消費者がやっぱり買えないというふうなことになりますと、やはりその安い外国産の農産物に代替される懸念というのはかなり大きくなってくるんじゃないかなというふうには私どもでは考えております。

上田勇公明党

○上田勇君 大変ありがとうございます。  以上で終わりますが、本当に適正価格というのは難しいというのを改めて実感したところでございます。大変ありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。  それでは質疑を続けます。

串田誠一日本維新の会

○串田誠一君 日本維新の会の串田誠一です。  まず、菅原公述人にお聞きをしたいと思うんですが、資料を見させていただいて、大変分かりやすいこのような資料を作っていただいて本当に参考にさせていただきたいと思うんですけれども、この中の六ページ、非常に手に取るように減少したりというのがあるんですが、この表を見ると、先ほどの説明でもあったんですが、十五歳からまた二十四歳ぐらいまでの間に進学や就職で出ていかれたということなんですけど、二十五歳からこれ戻ってこられているという、これは男女も同じなんですが、この戻ってこられる理由というのはどのように分析されているんでしょうか。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) もちろん、長男長女というのが一番の原因だと思いますし、また、家業があるということもあろうかなというふうに思っております。それと、必ずしも都会に合う人だけではないということもあろうかなと思っております。  そういう意味で、その都会のある意味の厳しさの中で、地方の、生まれてから暮らしたときのことを考えればその方がいいのではないかと。あと、家庭の状況によってどうしても自分が戻っていくというようなこともあろうかなと思っておりますが、そのことがより男性の方が縛りが大きいという結果だと思います。

串田誠一日本維新の会

○串田誠一君 昔の歌で「木綿のハンカチーフ」というのがありましたけれども、都会にずっと行ってしまう人もいれば戻ってくるという人もいると思うんですけど、一番市長としても期待しているのは、戻ってきてくれる人が多くなる、そして戻ってこられたらそのままいてもらえるというのが一番いいんじゃないかなと思うんですけど、そのためにはやはり、都会に行って、仕事があるんだろうという期待を持って行ったけれども、実は大変厳しい社会であった、そしてふるさとの気仙沼にもう一度戻ってきたいという思いで戻ってこられたと思うんですが、そのときに定着をしていくということを恐らく市長としてもお考えになっていると思うんですけど、それに対してはどのような対策をされていらっしゃるんでしょうか。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) 「木綿のハンカチーフ」、まさしく私が東京に学生で出てきたときの年だったと思いますけれども、今その逆なんですね。逆木綿のハンカチーフと言われていまして、男性が待っていて女性が都会に行ったままと、こういう今構図になっているというお話をさせていただいたところでございます。  やはり、都市部で得られた技術でありますとか資格でありますとか、そういうものを地元で使えないといけないと思うんですね。だから、そういう職場をつくっていくということが大事ですから、地方創生二・〇においても、先ほど私の方から、二番目かな、のことで指摘させていただきましたけど、そういう職場つくるための産業の部分にどのようにその交付金を使っていくかということが大事なのではないかと。それがもしかすると、より市外から外貨を稼ぐ、できれば国外から稼ぐ、そのためのスキルというのは田舎にいただけではなかなか培えないものでありますので、都会でそういうものを培った人が田舎の中心人物となってそういう起業をしていくということ。ですから、我々は少しやらせていただいているのが起業しやすくなる町づくり、そういう支援もさせていただいていますし、起業塾的なものもずっと人材育成のプログラムの一つとしてやらせていただいているところです。  もう一つは、必ずしも自分の町の人だけではなくて、Iターン、Uターン、Jターンですか、我々、東日本大震災の関係でボランティアで来た人がそのまま住んでいる人たちいます、もう十何年住んでいるんですよね。彼らはやっぱり我々の町づくりにとってはすごい戦力です。それなりのネットワークを持っている、またその意識が高いということです。  そういう人たちを交えながら町づくりをしていくことが大事だし、またもう一つは、どうしても人口が減っていくということであれば、いわゆる交流人口を、関係人口を持っていくということが大事だと思いますし、そのことが広い意味での、先ほど私、二か所居住の一つの気仙沼側からの意見を言いましたが、今政府が言っている二か所居住も含めて、そういう人が行ったり来たりする中で、人口は減っているんだけど何かにぎやかしいねと、こういう町づくりというものが必要になってきていると思いますし、本市は、先ほど言いましたように、いろんな方たちがやってきてくれたので、そんなことで市長も土日も忙しくさせていただいております。

串田誠一日本維新の会

○串田誠一君 今すごく参考になりましたのは、戻ってきたときに自分の希望する仕事があるとかないとかという問題があるんでしょうけど、むしろ若い人たちに自分のやりたい仕事をやってもらうという、起業というものを焦点を当てているというのはすばらしい考え方だなというふうに思いました。  次のその資料でちょっと私も驚いたのは、八ページの、未婚率というのが非常に高いというのが驚いたんですけど、これはやっぱり収入が少ないからなのか、仕事の関係なのか、相手がいないからなのか、そういうその機会がないのか、まあいろんな要因が考えられると思うんですけれども、市長としてその分析と今後の対策はどのようにお考えでしょうか。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) 一つは、その前の方のページでお示ししましたが、男女比が崩れてしまっているということで男性の未婚率が上がってしまうということがあります。  それともう一つは、昨今大変この賃上げの中で、今朝もニュースで話題になっておりましたけれども、いわゆる就職氷河期の方たちがその年齢に差しかかっていて、収入に少し物足りないところが、不安なところがあると、そういうことが関わっているのではないかなと思いますが、じゃ、これあと十年後にどうなりますかというと、これ下がらないと思うんですね、このままだと。そこをどうするかというのは、自治体というよりも国全体で考えていく必要があるのかなというふうに思っております。  本市としては、実はいろいろアンケートするんですよ、して、そういうその出会いの場をつくるというのをやると、自治体にそんなものをやってもらいたいという人は四%とかそういうことなんです。ですから、私たちは民間がやることに対して支援はするけど、自分たちでそういう座元になって企てをするというのは余り効果が生まれないというような結果の下に動いているところです。  いずれにしましても、さっき、にぎやかな町と言いましたが、そういうことというのがこの出会いの場を増やすということにはつながるのかなと思っています。

串田誠一日本維新の会

○串田誠一君 どうもありがとうございます。  次に、西川公述人にお聞きをしたいと思うんですが、先ほども適正価格の話がありましたが、資料にある合理的な価格形成と適正価格との関連というのはどのようになっているでしょうか。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) この適正価格とその合理的な価格ですね、こちらの違いというのは、私もこれも、何といいますか、農林水産省等の資料からの説明にはなりますけれども、合理的な価格というのは結局その各主体が納得する価格であるというふうに伺っております。適正価格というのは、これは私の考えになりますけれども、各それぞれの主体がこれが適正だというふうに思っている価格ですので、合意が取れているか取れていないかの違いかというところが結構大きいのかなというふうには思っております。

串田誠一日本維新の会

○串田誠一君 一方で、先ほど公述人の答弁にも主食というような言葉もありましたが、日本は自給率が三八%で、昨今よく言われているのは食料安全保障という観点があります。  そういう意味では、いろいろな物品がある中で、食料というのは国民の安全を守るという意味で非常に重要であり、なおかつ主食であるというお米というものは特に注意していかなければならないと思うんですが、この適正価格だとか合理的な価格形成という中に食料安全保障という観点が入っていかなければならないのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) 御質問ありがとうございます。  今御指摘いただいた点は非常に私も重要な点だというふうには思っております。先ほど申しましたように、生産者にとってみたら生産コストを償わなきゃいけないと、で、消費者にとってはできれば安い方がいいというふうな形で、両者の間にはその懸隔があるわけなんですけれども、やはりその懸隔を埋める一つの考え方というのはやはり食料安全保障なんだろうというふうに思います。  ですので、例えば、じゃ、その食料安全保障を担保するためには、それはお互いが話し合ってどれぐらいの価格がいいのかというふうな形で議論するというふうな方法もあると思いますし、それからもう一つは、例えば直接支払の形でその間を埋めてやるというふうな形もあると思いますので、今御指摘いただきましたその間に何か考えを入れるということは非常に重要な御指摘だというふうに考えております。

串田誠一日本維新の会

○串田誠一君 特に、今の令和の米騒動のところで、価格をある程度下げる方法として備蓄米の放出というのがありましたが、まさに備蓄米というのは食料安全保障の中での担保という部分があるわけです。それを放出をさせるということをするということは極めて問題ではないかと私は思うんですけれども、今の段階ではやむを得ないとは言いながら、このような手法に対して、公述人、どのようにお考えでしょうか。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) 御質問ありがとうございます。  御指摘のように、備蓄米の放出というのはもう本当に最終手段でありまして、非常に慎重な、その放出には慎重な判断が必要であるというふうには思っております。今回これだけやっぱり価格が過熱しておりますと、二月に放出の判断を示されましたけれども、それはやむを得なかったんではないかなというふうに思っております。  私の考えといたしましては、その備蓄米の放出の前に何かもうちょっと別の手法を設けておく必要があったんじゃないかなというふうに思っております。現在のやっぱりその米の需給の管理というのは、先ほど申しましたように、収穫の前に生産調整のような形でその需給を計画するというふうな形になっておりますが、収穫後に何かを調整するという仕組みがやはり今ないわけなんですよね。なので、そういった仕組み、備蓄米の放出の前に何かそういった仕組みができると非常に需給は安定するのではないかなというふうに考えております。

串田誠一日本維新の会

○串田誠一君 大変ありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。

伊藤孝恵国民民主党・新緑風会

○伊藤孝恵君 国民民主党・新緑風会の伊藤孝恵です。  冒頭、菅原公述人にお伺いしたいと思います。  事前にいただいた記事、「人材育成を基軸にした地方創生で、中規模都市のロールモデルを示す」のインタビュー記事、拝見いたしました。これ、IT起業で、ITで起業する方々の誘致や、多角化した産業政策を通じて関係人口を創出してUIJターンをつくる。本当に理想的だというふうに思いました。  実は先般、この予算委員会で福岡市のスタートアップ支援施設のGrowth Nextというところに行ってまいりました。福岡ですので、新産業が東京を目指すというよりも、アジアが近いのでアジアを見たりグローバルを見たりして大変活気があった、刺激を受けた。ですけれども、私、そこで七つ秘訣があるなというふうに福岡市のその話を聞いて思いました。  まず一つ目が、首長の強い意思。二つ目が、幹部のコミット。首長だけが言っているのではなくて、幹部がそこにコミットしている。それから、国家戦略特区等の活用による規制緩和等もあったと聞いています。さらには、やっぱりリーダーは外部から採用してきて、そういった外部の知見を採用するということ。五つ目が、行政にとってはタブーかもしれないけれども、時にはえこひいきもして、これ引き上げるというようなこともおっしゃっていました。六つ目が、既に成功した先輩方がいらっしゃるので、そういった起業家がメンターとなって、そしてネクスト・ミーをその人たちもつくるということで、そういったエコシステムができている。最後は、その人たちが集う、いけてる場所があるということですかね。  そういうような七つの秘訣があるなというふうに感じましたところ、我々いろんな地域の県から代表して行っているものですから、我々の地域にしたらというふうにいろいろみんな思うところがあって、うちの地域は何か補助金というのに頼って今までいたんじゃないかとか、私は愛知県の選出ですけれども、やっぱり自動車産業が豊かであったというところもあって、そういった新しい産業をつくるそのエンジンがなかなか育たなかった、危機感と言ってもいいかもしれません、そういうものがなかったのかなというような、こういった地域の特徴、それから県民性というところも新しい産業をつくっていく上では関係があるんじゃないかというふうに言いながら、皆で感じながら、いろいろ感じて帰ってきた次第です。  そういった中で、この宮城というか、気仙沼の県民性なりお土地柄というところでこの地域創生を進めていく、それから、新しい産業をつくっていく上で向いているところ、向いていないところ、足りないところなどなどあれば教えてください。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) 気仙沼の人は遠洋漁業を主体とする産業が基軸でこの町をつくってきていますので、進取の気性があるとか外に顔が向いているとかよく言われますが、それは私は判断ができません、そこに生まれて育っているので。  しかしながら、起こったことがあります。それは、東日本大震災でもう全国からNGOだNPOだ、いろんな人が来ました。最初はNGOの人っていろんなことをやってくれるんですけど、疑っていたんですよ、市民は。何でこの人、今まで、ふだん何して暮らしている人なの、何でこんなに仕事できるの、いつまでいてくれるの。しかしながら、実は彼らはちゃんとボードがある仕組みの中で、国際的にも活躍している立派な人たちだったんですよ。  その人たちと触れ合うことが何年間も続いた中で、外の人と交流をすることをすごく楽しく、我々は物すごいいろんなものを失いましたが、一方でそういう縁のようなものは大事なものとしていただいたと思っています。宝だったんですね。そういう人との交流、外からの人たちを受け入れて一緒に仕事をしていくということに東日本大震災の被災地はどこも気付いて、そのことを活用させていただいているというのが今の状況じゃないかなと思います。

伊藤孝恵国民民主党・新緑風会

○伊藤孝恵君 おっしゃるように、「よそ者」が来るとやっぱり怖いと思います。ただ、その怖いと思った人たちがその町に植えてくれた新しい考え方、新しい人脈、新しい産業というのはあるのかなというふうに思いましたし、そういったものを次の者に、それから子供たちの新しい刺激に、そういったようなものにしていく、そんな工夫をされている場合は教えてください。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) 多くのボランティアから移住者になった人たちがいますが、町づくりにおいて我々もいろんな仕事を委託して、彼らもNPOとかつくっていますので、そういう人たちに町づくりの、我々がなかなか、市役所ができないとか元々住んでいる人ができないような取組をしていただいていますし、その中に、今学校では探求型学習というのがすごく大きな部分を占めているわけですが、その更なる探求型学習の指導者として学校支援員的な形で中学校を回ってもらったり、あとは、そのほかに高校生を集めてもらったりということで、地方にいながら日本中の取組を聞いた上で、自分たちは何がやる、その中に地元をよく知るということも含めてもらってやっています。

伊藤孝恵国民民主党・新緑風会

○伊藤孝恵君 続いては、西川公述人にお伺いをいたします。  先ほどお伺いした令和の米騒動における生産者と消費者の適正価格をめぐる認識の違い、本当におっしゃるとおりだなというふうに思いました。  一方、我々もスーパーで買物をしていると、葉物も高いですし、お米も高いと。そして、この物価が、例えば今後三年間で二%上昇したら、一・〇二掛ける一・〇二掛ける一・〇二ですから、一・〇六になって、じゃ、三年間で六%の物価上昇があるといったときに、それらを乗り越えられる賃金上昇というのが本当に果たしてかなうのか。春闘の集中回答日ではすばらしい回答も出てきていますけど、果たしてそれが中小零細まで届くのかというと、本当に不安になるところがあります。  そして、政府の対応は、こういった米を含めた農業というのは市場競争をもちろん是としていて、そしてそれによって米価が例えば高騰し、家計に、家計が転嫁されて、よく私たちは、大盛り一杯の御飯が、じゃ、四十円、およそ四十円で、そして、じゃ、ドーナツやカップラーメンと比べたらそれが決して高いとは思わないと私も思うんですが、それを言うと、じゃ、家計を考えていないのかと言われたり、そして米離れが進んで、それを、じゃ、指をくわえて見ていろと言うのかと、いろいろな矛盾に陥っているわけです。  この状況って私は合成の誤謬状態に陥っているなと思うんですよね。ミクロでいったら正しい判断。もちろん、家計のこと考えなきゃいけない。しかしながら、それが合成された、ミクロを合成された上でのマクロというのが自分たちは思いも寄らなかったその状況をつくってしまう。つまり、米が作れなくなる、この国で水田が保てなくなるというような、そういったことがまことしやかに進んでいるんじゃないかというふうに思ったのが今年の年始です。国産の米不足で異例の民間輸入、目を疑いました。この高い関税、一キロ三百四十一円ですよね。これ、もう国境措置が崩壊しているのか、それとも需給調整による価格維持政策が限界に来ているのか、両方なのか。  我々の政党は、こういった農家と家計の両方の負担を減らして守らなきゃいけない、米を作り続けるこの我が国を守り続けなきゃいけないというので食料安全保障の基礎支払というのを主張しているんですが、どう思われますか。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) ありがとうございます。  直接支払自体は、私も非常に有効な手法ではあるというふうに考えております。御指摘のように、生産者が考えている適正価格とやはり消費者が考えている適正価格違いますので、その間を埋める手法の一つとして直接支払というのは非常に有効な手法であるというふうに考えております。  ただ、やはり直接支払を考える際に、私やっぱり一点注意しておかなければいけないなと思うのが、じゃ、その直接支払をそうやってぼんって生産者にあげたときに、それが生産コストの低下のインセンティブをそぐことはないのかという点を少し検討をする必要があるかと思います。これは、生産コストをそぐかどうかというのは、そのインセンティブですね、そぐかどうかというのは結構研究によってもまばらなんですけれども、やはり安定した所得がそこで得られると、なかなか、それだけもらってあとは生産しないとかというそういうパターンも結構ヨーロッパとかではやっぱり確認されていたりするわけなんですよね。  ですので、その直接支払を受給したときに、じゃ、その生産のインセンティブですとか生産コストを下げるインセンティブですとか、そういったものをどういうふうに確保していくのかというのが恐らく政策をつくっていく上では非常に重要な考え方になっていくのではないかなというふうに考えております。

伊藤孝恵国民民主党・新緑風会

○伊藤孝恵君 本当におっしゃるとおりである一方、食料安全保障とまでうたったのに今回その所得政策へのこの付言がございません。どうしようかな、大丈夫かなって言っている間に本当に米が作れなくなるんじゃないか、そういったような思いを得るところであります。  先ほど菅原市長が就職氷河期とおっしゃったので、ちょっと思い出してしまったんですが、私、一九九八年の就職活動のときのある会社の試験で、我が国の主食が米からパンに変わったら社会にはどんな変革が起こると思うかというのを学生五人でディスカッションして、そして私、落ちたんですよ。  米からパンに変わったらどう変わりますか、我が国は。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) 御質問ありがとうございます。  結構答えるのが難しい質問でありますけれども、米からパンに主食が変わりますと、結局、現在日本である農地の半分以上がやっぱり田んぼなわけですよね。その水田を使わなくていいということになりますと、やはり農村におけるコミュニティーの在り方ですとか、それから農家の方の経営の在り方とかもやっぱり大きく変わってきます。ですので、一概に米がいいとかパンが駄目とかそういうわけではありませんけれども、主食の変化は当然ながら日本の社会の在り方を大きく変えていくことになるというふうなことは念頭に置くべきではないかなというふうに考えております。

伊藤孝恵国民民主党・新緑風会

○伊藤孝恵君 難しいことを聞きました。  日本の気候は小麦の大量生産に向きませんので、これ以上輸入依存が高まるというのは我が国にとっていいことではありません。おっしゃるように、農業も農村も食文化も健康も、そして安全保障も経済も伝統も、地域の生態系やこの水資源にも管理にもその変化がもたらされると思います。どうしても守らなきゃいけない、そういったことで我々も精進してまいります。  今日はありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。  質疑を続けます。

岩渕友日本共産党

○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。  菅原公述人、西川公述人、本日はありがとうございます。  初めに、菅原公述人に伺います。  冒頭、公述人からも話がありましたけれども、東日本大震災から十四年がたちました。私は福島県の出身なんですけれども、最初にちょっと復興に関わって幾つかお伺いしたいなというふうに思っています。  それで、地震、津波の被災地に対応する復興事業が、第二期復興・創生期間が終了をする、二〇二五年度で原則終了だというふうになっています。けれども、東日本大震災で非常に大きな被害があって、その後、コロナ禍があり、物価高騰があり、そして漁業も不漁が続いているというような状況もあって、やっぱり何重にも困難な状況になってきていると思うんですね。また、時間が経過すれば時間の経過とともに新たな課題にも直面してこられたんだというふうに思うんです。  それで、三月七日付けの河北新報を見ていましたら、被災者の孤立対策についてということで、見守り需要は減っていないという記事が一面に掲載をされていたんです。その記事を見ますと、気仙沼市は災害公営住宅に常駐をしながら被災者を見守る生活援助員を来年度も十五人配置をするんだと。今年度、宮城県内の各市町村を見てみると、最も多い配置数になっていたんですね。こうした実態を踏まえると、財源を含めた国の支援の継続、必要かなというふうに思うんです。  今後の復興の在り方についてどういうふうに考えておられるかということ、そして国への要望について、公述人、御意見があれば伺いたいと思います。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) 東日本大震災に関わる御質問、本当にありがとうございます。  令和七年度で第二期復興・創生期間が終了します。その段階で、宮城、岩手の津波被災地につきましては基本的な支援は終了するということになっておりますが、今残っているソフト関係では、県が主体にやっております心のケアの問題、それと市町村が主体にやっております見守りとコミュニティー支援の問題、今御指摘いただいたのは見守りのところだと思います。  LSA、生活援助員を配置して公営住宅を中心に訪問していますけれども、件数が多くなってきているわけではありませんが、一方で、もう十四年、十四歳皆さん年を取りましたので、新たな課題が起きています。そのことについても対応は我々は必要でありますので、令和八年度からの対応につきましては、できれば何らかの形で国の支援が継続されることが望ましいというふうに考えておりますけれども、いつかは私たちがそのことを引き取っていかなくてはいけない。  そういう中で、例えば介護保険の制度の中に組み込むとか、もうそういうことに今かじを切りつつある市町村もありますので、それがいきなりできるかというのは被災者の数とかそういうことにも関わると思いますけれども、令和七年度がおしまいですということについては少し考えていただくと有り難いというふうに思っております。

岩渕友日本共産党

○岩渕友君 ありがとうございます。  続けて、菅原公述人に漁業に関わって伺いたいというふうに思うんですけれども、気仙沼にとってやっぱり漁業って重要な基幹産業だというふうに思うんですね。ところが、大震災津波の被害があって、今、海水温が上昇していることによって不漁があったり魚種が変化をしてきたりということで漁業に深刻な影響がある下で、その抜本的な対策が必要だと思うんですけれども、ちょっとどんな対策が必要だというふうにお考えかということと、あと、ALPS処理水の海洋放出から一年半がたっているわけですけれども、放出による影響について教えていただけますでしょうか。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) 海水温についてはいささか誤解があると私は思っています。要は、プールの中の水が温められたわけではないんですね、まず。そういう側面は一部あります、全世界的には。  しかし、三陸沖については、そのことだけではなくて、いわゆる黒潮の蛇行によって三陸沖を通る黒潮が東にそれるものが北まで上がってしまう、又は接岸してしまうということが課題でありますので、おかげさまでこの三週間ほどすごい西風が吹きましたので、黒潮が少し東に行って冷たい水が入ってくるというようなことがありましたので、そこの海水温の上昇だけに対して何かをするというのは、もしかすると当たるかもしれないし、当たらないかもしれないということがあります。  ただ、長いトレンドで見たときに、漁業従事する人たちの数が減っている、漁船に乗る人が少なくなっている、漁船の数が減っていると。これは、長い間で当然効いてきますので、ここの下支えをしっかりしていくこと。とりわけ、事業者はもちろんのことですけれども、海で働く人たちの環境というもの、例えば遠洋漁業においてWiFiが使えるとかそういうような、あと医療が確実に受けられるとか投票ができるとか、そういうようなことをしっかりやっていくことが私は国としては必要だと思っています。

岩渕友日本共産党

○岩渕友君 ALPS処理水の影響があれば教えてください。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) 今、元々あった輸入、輸出の解除というものが少しずつ進んできていますので大変有り難いなと思っていますし、具体的に何かが、大きな影響があったということではないなというふうに思っていますので、もしあった部分があるとすれば、それは国の方で積んだ基金の方で対応できているし、東電の方でも対応していますので、今後、私は粛々とこのことは進めていくべきだというふうに思っています。

岩渕友日本共産党

○岩渕友君 続けて、菅原公述人にお聞きをするんですけれども、人口減少は地方の自治体ではどこでも最重要課題になっていると思うんですね。とりわけ、東日本大震災の被災三県の人口減少は全国よりも進んでいるということで深刻だと思うんです。  こうした状況になっているのは、結婚しない若者が悪いとか、女性が子供を産まないからではないと。先ほど、市民会議に参加をされた方が腑に落ちないという意見を述べておられたというお話もありましたけれども、就職氷河期の話も出てきましたが、私もこの世代ですけれども、例えば非正規で働くだとか賃金が低いだとか、あとは子育てに非常に経済的な負担が掛かるだとか、あとジェンダー平等が遅れているとか、こうしたことが原因かなというふうにも考えるんですね。  改めて参考人のちょっと見解を伺いたいなということ、公述人の見解を伺いたいなということと、とりわけジェンダー平等の遅れというところで感じていることがあればお聞かせください。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) 先ほど来、ジェンダーギャップの解消につきましては、どちらかというと企業の働く場のところをお話しさせていただきましたけれども、もう一つ、アンコンシャスバイアス、地方においてはなおさらそういうことがあって、一旦都会に出ていった子供たちが帰ってこようとしたときに、地元に行くと、あなた、いつ結婚するんですか、今度、結婚すると、子供はいつ生まれるんですかと、そういうことを、まあ子供たちの言葉を使えばうざいわけですよね。そういうものというのは都会では比較的感じないということがあると思います。  実は私、娘が二人いまして、陳述人としてふさわしくありませんけど、東京に住んでいるんですよ。夫婦で帰ってくるといろいろ感じることがございます。我々の年代とは違って、夫婦間の話も極めて平等になっていますし、うちの妻も今影響を受けております。というような、社会の在り方というものをやっぱり大きく変えていく必要があるんだろうなというふうに思っています。

岩渕友日本共産党

○岩渕友君 ありがとうございます。  次に、西川公述人に伺います。  お米が高いという声が私のところにもたくさん寄せられるわけなんですよね。その価格が上がって、今、過去最高になっていると、一年前の二倍になっていると。だから、悲鳴が上がるのは当然だというふうに思うんです。  政府は、需要は減るというふうに見通していると。ただ、二〇二三年度から二四年の需要の実績は七百五万トンだと。これに対して収穫量は六百六十一万トンだと。で、二〇二四年から二五年にかけての需要見通しは六百七十四万トンということで、三十一万トン減るというふうにされているわけですよね。なんですけれども、例えば訪日外国人が増えているとかいろんな要因を考えると、消費や需要が増えるんじゃないのかなというふうに思うんですね。  先ほど、需要の見通し立てるのは難しいんだというお話があったわけですけれども、公述人はこの消費や需要についてはどんなふうに見ていらっしゃるでしょうか。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) 御質問ありがとうございます。  その三十万トンですね、その見込みとして減っているというのは、これまでの経験則に基づいて農林水産省の方で三十万トン減るというふうにしたわけでありますけれども、そうですね、これはやっぱり非常に難しいんですけれども、いろんな小売データ等を見ていますと、結構価格が上がっても需要が強いなというのはちょっとやっぱり印象としては持っています。これは、やっぱり理由は私もよく分からないところなんですけれども、こうやって価格の高騰が起きて騒ぎがなると、逆に買うような動きもあるのかなというふうな気はしております。もしかしたら、なくなったら困るんじゃないかとかいうふうなことで逆に需要が一時的に増えるというふうなことが起こっているのかなというふうに思っております。  ただ、やはり長期的に見ると、高い価格というのはやはり需要を減らす方向に行きますので、例えば、何といいますか、今回備蓄米を放出して、それである程度その消費者のマインドが冷めたら、またその消費が減っていくような方向に向かうというふうなことはあると思います。短期的には案外需要は、今回ですね、一年、この一年ぐらいは強いなというふうには見ております。  もう一点ちょっと付言させていただきますと、二〇二三年から二四年にかけて六百八十万トンから七百万トン、上振れしたわけなんですけれども、私の個人的な意見申し上げますと、これは本当に非常に歓迎すべきことだと思っております。これまでずっと米の需要が減ってきたわけなんですが、それが一年間でも二十万トン増えたというのは非常にポジティブに捉えておりまして、それが今回の米価高騰の原因の一つになっているというのは非常に残念なことではあるんですけれども、その需要が増えたこと自体については私は非常にポジティブに捉えているところではあります。

岩渕友日本共産党

○岩渕友君 以上で終わります。ありがとうございました。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 れいわ新選組、大島九州男でございます。  菅原公述人、私は発災当時、輿石さんから宮城県担当を言われて一番最初に入ったのが気仙沼。本当にあのときに、もうあの燃えた臭いと、魚の、いろいろなことを思い出しますよね。  本当に大変だったなと思うんですけど、ちょうど愛知県の不登校の子供たちが、町へ出て、そこで募金をしたやつを届けに行きたいというんで、気仙沼市役所にお届けに行ったことも思い出しますし、そしてまた、小野寺先生からいろいろ頼まれて、当時、冷蔵庫の中に入っていた魚がもう腐ってどうしようもなかったやつを何とか海洋投棄したいけれど、制度でいうと遠くまで行かなくちゃいけなかったんで、これを当時の防災担当大臣がうまく処理をしていただいて、私どもはそういったところで一緒にいろいろやらせてもらったり。  企業の関係でいうと、かわむらさんが、九月までに工場を再開しないとお客さんがいなくなって駄目なんだと言う。へえ、このときに、もう既に九月にそういうこともやらなきゃいけないのかと思って、隣の県の方に工場を造ってやった。その数年後に石巻にやっぱり工場ができたんです、立派な水産加工の。そのときに分かりました、かわむらさんが言っているのが。何でかといったら、本当にお客さんがいなくて、立派な工場も余り稼働しなかった。はあ、なるほどと、やっぱりそういう英断とスピードってすごい大事だなというふうな印象を気仙沼には持っておりまして、今日、公述人からいろいろお話を聞かせていただいて、あれからもう十四年という中でなかなか厳しい状況にあるんだなと。  当時、福島復興のために企業立地補助金というものを一気に積まなきゃいけなかったときがあったんですけど、これ全国版なんで、すごく問題があるということでどうしようかといったときに、警戒区域立地補助金にすりゃいいじゃないかというんで提案をしたら、津波地域も入れましょうといって警戒区域と津波地域の雇用促進の立地補助金というのを創設したんですね。あのとき、やっぱり気仙沼もそれは活用されましたか。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) 大変いいことを聞いていただきました。ありがとうございます。  復興特区だったわけですね。それは、地震があって、津波がなくても復興特区になったわけです。ですから、当初の段階で二百二十以上の自治体が復興特区になりました。となるとどうなるかというと、企業は津波が来ないところの特区に立地をすることになります。かえって津波や原子力災害の地域にとっては、マイナスと言ったら失礼ですけれども、逆効果になるということを政府の方に指摘をさせていただきました。その結果、先生がおっしゃった津波、原子力災害の地域における雇用を促進する補助金というのが出まして、もう既に最終締切りになっています。令和七年度末までに工場が完成しなくてはいけないということで、これは本市も随分活用させていただきました。  逆に私たちは、これが企業誘致における最大最強の武器だったんですよ、うち、被災地だけが使えますよと。しかしながら、これが終わってしまったという状況にありまして、そのことは経産省を含め何度も御要望差し上げましたけれども、既存の補助金を活用してくださいということでした。  今更ということがあるかも分かりませんけれども、例えば地方創生においても、地方にとってそれなりに有利な、また、被災地であれば被災地にとって有利なというような、少し味付けのある企業立地の補助制度というものがまだまだ必要ではないかなというふうに感じているところです。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 いや、だから、どう知恵出すかだったんですね。  あのときも、福島のここに出すということだった。今、全国のやつは何で福島だけなんだというふうになったんで、じゃ警戒区域だけに限定しようかといって、そうしたらもう全国の人は文句言わないから、その予算ここで使えるね。だから、今言った津波地域ということでの、なおかつ、またそこに雇用とくっつけてつくった。それが令和七年で終わりということであるならば、それの何か違うまた、味付けと今おっしゃった、だからそこはやっぱり知恵をどう出すかと。  だから、一律地方でいろんなことをやろうとすると、何かコンサルがつくったような、もうみんな同じようなメニューだと、はっきり言って面白みもなければ、余り効果もないと思うんですね。だから、気仙沼独自のそういった制度というか企画、これがやっぱり光れば、そこに人も来るし、光も当たるという部分だろうなと。だから、そこは、いろいろ何かやられているようでありますけれども、何かちょっとそういった部分で光るものが何か欲しいなと。  だから、一番最初に、子供たちか何かの百人の会のときに、気仙沼で何とかってありましたよね、したいことができるみたいな、何かそういう部分で特化したやつがあるといいなと思ったんですけど、そこら辺は、公述人、何か知恵はありますか。

菅原茂気仙沼市長

○公述人(菅原茂君) 地方創生推進交付金の今後のメニューのことに関わってくるのかなというふうに思っています。  そういう意味では、地方におけるやはり工夫が必要だと思っています。なかなか国からこれとこれということが、地方とかみ合うことだけではないと思いますので、これまで我々も十四年間、被災地なりの努力をさせていただいておりますので、そういうところから出てきた、こういうことにお金を使うと少なくても人口が減りづらくなって、交流人口、関係人口が増やせるんだというものについてテークアップしていただきたい。  それともう一つ、やっぱり、先ほどもちょっと申し上げましたが、外貨を稼ぐというところにやはり創生交付金が充てられることが持続可能な町づくりに役立つのかなというふうに思っています。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 是非、気仙沼独自の新たなものをやって発展することを願っておりますので、頑張ってください。  では、西川公述人。四十年近く前ぐらいなんですけどね、福岡県、私、直方市というところなんですけど、あるお米の卸屋さんが私のところ来て、食管法には罰則がないので、ここで米の無許可販売をやりたいと。そして、そこで米道楽といってやったら爆発的に売れて、そこから私は食管法が変わったんじゃないかと思うような歴史があったんですけど、そういった認識ございます。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) 食管法は多分罰則規定があったんじゃないのかなというような、ちょっと私も定かではないんですけれども、四十年前ですか、四十年前ですと大体一九八五年ぐらいということで、確かに食管制度は当時非常に大きな、お米の過剰ですとかそういったものを抱えて改正の岐路にあったということは、それは間違いないと思います。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 いや、私どもも素人なんで、うちのそういうテナントにそういうお店が来て一気にマスコミでも話題になりましたよ。それで、当時、だから米を交ぜて売っているところが多かったというんですね、その人いわく。だから、もうコシヒカリならコシヒカリ、もうそのまんまそれを、だから当時十キロで三、四千円とか、高いのでもそれぐらい、二千円ぐらいでも何かあって、それは本当に、もう車でみんな来てどんどん積んで爆発的に売れた、そういうのを目の当たりにしたわけですが。  今回、いろんなことが議論されていますけど、これ極端な話をすると、米を全部政府がだあんと買い取って、そしてそれを運営するというような、そんなことというのはどうなのかというのは、ちょっと私も分かんないですけど、もし、そういうことというのは西川公述人からしたらやるべきじゃないとか、こうだという意見があったらちょっと教えてください。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) やはり政府が全てのお米を買い上げるとなると、やはりかなりの予算が掛かってきますので、なかなかそれで、その後は結局売り渡しますので、それをどういうふうな価格で売り渡すかというふうなことにもなりますけれども、なかなか全部買い上げるというのはやっぱり国民の理解を得るというのがちょっと難しいのかなというふうには思っております。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 当時、その四十年ぐらい前、直接やっぱり新潟に買い入れて持ってきたりとかいうふうなことをされていましたんでね。だから、そういういろんな知恵、そういう行動でいろんな価格が決まっていったりするんで、非常に何かいろんな、これは難しい問題なんだなという認識なんですけど、今のこの米高騰で困っている国民に、どうすれば一番何か喜んでもらえるような政策になりそうですか。

西川邦夫茨城大学准教授

○公述人(西川邦夫君) 御質問ありがとうございます。  そうですね、やはり基本的には、現在の価格はやっぱり非常に高くなって、それを何とか抑えていくということがやはり国民生活にとっては重要なのかなというふうに思っておりますが、一方で、やはり急激に価格が下落等をいたしますと、例えば、じゃ、現在、昨年から今年にかけての高い価格で買った業者等は、じゃ、その在庫を抱えてどうなんだとかというふうな問題もありますので、なかなかそこら辺の、徐々に徐々にそうやって落ち着けていくというところがなかなか難しいところなのかなというふうには考えております。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 ありがとうございます。  お二人、お忙しい中で、今日は貴重な御意見をいただきましたことに感謝を申し上げて、終わります。  ありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げたいと思います。  本日は、有益な御意見をお述べいただきました。誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして御礼を申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)  午後二時に再開することとし、休憩いたします。    午後一時一分休憩      ─────・─────    午後二時開会

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) ただいまから予算委員会公聴会を再開いたします。  令和七年度総予算三案につきまして、休憩前に引き続き、公述人の方々から御意見を伺います。  この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げたいと思います。  本日は、御多用中のところ御出席をいただきまして、大変ありがとうございます。委員を代表いたしまして御礼を申し上げたいと思います。  御発言は令和七年度総予算三案の審議に糧としたいと思いますので、忌憚のない御意見を頂戴をいたしたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。  次に、会議の進め方について申し上げます。  まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと思います。  なお、御発言は着席のままで結構です。  それでは、外交・安全保障・環境・エネルギーについて、公述人筑波大学教授東野篤子君及び特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長飯田哲也君から順次御意見を伺います。  まず、東野公述人にお願いをいたします。東野公述人。

東野篤子筑波大学教授

○公述人(東野篤子君) 本日は、貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございました。ただいま御紹介にあずかりました筑波大学の東野でございます。  本日、私の方からは、ロシアによるウクライナ侵略の経緯と現状、そして日本の取るべき方針についてお話をさせていただきたいと思います。  先生方のお手元には事前にお渡しいたしました資料が配付されていることと思います。十五分しか時間がございませんので、資料に関してはごくごく参考程度ということでお話を進めさせていただきたいと思います。  まず、ロシアによる侵略なんですけれども、よく三年目というふうに言われます。実際には十一年目でございます。ウクライナ人の方々に話を聞くと、全面侵攻が始まったのが三年目にすぎなく、本当の侵攻は二〇一四年のロシアによるクリミアの占領と、それからドンバスの戦い、これ以降からずっと十一年間続いているという理解でございます。ですので、この十一年目を迎えた侵攻に関して我々一体何ができるのかということを考えるフェーズに入っているというふうに考えます。  なぜこのような侵略がそもそも起こっているのかということなんですけれども、私は、いろいろな複合的な理由を多角的に見る必要はありながらも、やはり非常に重要な理由としてプーチン大統領の歴史観に深く根差した侵略であるというふうに考えております。  二〇二一年の夏にプーチン大統領は、「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」という論文を発表し、それは今でもクレムリンのサイトに英語でもロシア語でも掲載されています。それによると、本来、ロシア人とウクライナ人は文化も言語も同一であり、ウクライナのものと言われているものは本来的にはロシアのものであると、なのでロシアとウクライナは一体であることが歴史の正しい姿なんだけれども、今はウクライナが血迷って歴史の正しい方向に向かっておらず、EUやNATOなどに接近している、これはよろしくないという趣旨のことでございました。  つまり、ウクライナというのはロシアに従属した、ロシアに必ずくっついた存在でなければならないというのがプーチン大統領の歴史観である以上、例えばどこの領土を取ったらもうここで満足とか、そういった話では恐らくないのだろうというふうに考えます。  ですので、日本でこの問題を議論するときに往々にして、領土ぐらい割譲すればいいのではないかとか、占領ぐらい受け入れたらいいのではないかというような議論がありますけれども、恐らく問題はそうではない。領土のここを渡せばプーチン大統領は満足とかそういうことではなくて、恐らく目指しているのは、ウクライナの属国化でありますとか、主権の弱体化でありますとか、それから西側に一切依存しないウクライナでありますとか、そういった姿を求めているのだとすると、停戦をしたところで、停戦というのは非常に大事でありまして、停戦自体は歓迎すべきことではありますけれども、その更に先を見据えて考えていかなければならないのではないかと思います。  その際に、やはり現在のウクライナとして、軍事力をもって全ての支配された、ロシアに支配された領土を奪還することは非常に難しいということは、ウクライナ政府並びにゼレンスキー大統領も認めているところでございます。ただ、このときに、じゃ、占領や支配を受け入れるのかというふうに外部の我々が果たしてどれほど言うことができるのかというと、やはりそこは占領というものの実態をしっかり見ておくべきではないかというふうに考えます。  この三年間で明らかになったことは、占領を通じてロシア化が進む。このロシア化というのは、例えばロシアのパスポートをその占領地域の人々に配る、で、パスポートをもらうだけにはとどまりませんで、就職とか教育とか各種の行政サービスが、ウクライナ人としてではなく、ロシア人として受ける。そうでなければ、そういったサービスが受けられないというような状況が起こっておりますし、また、しばしば指摘されるところとして、子供の連れ去りが占領地域で起こってしまうということであります。  この占領の固定化をするということが一体ウクライナの将来にいかなる帰結をもたらすのか、そして安易に占領を進めてしまうような、あるいは占領を黙認してしまうようなことが国際的な秩序にとってどのような帰結をもたらすのかということについては、私たちはしっかりと考えておかなければならないというふうに思っています。  先生方も御関心を持って日々注視されていることと存じますけれども、トランプ政権の成立後のロシアによるウクライナ侵略がどのような帰結を迎えようとしているのかというところ、こちらは大変に重要な問題でございます。トランプ大統領が就任してから急激に停戦のフェーズ、段階に入ってきているということであります。  これは、やはりトランプ大統領の様々な、その秩序観とか、それから戦争をめぐる考え方が強く反映されているものだというふうに考えられますけれども、重要な特徴としてスピード重視ということがございます。このスピード重視というのは、やはり今言われている四月二十日のイースター停戦に向けて、多少細部が詰められていなくても、とにかく停戦に向けた動きをしていくということで非常に大きな展開を迎えているところでございます。  同時に、トランプ大統領のウクライナをめぐる認識とか大国の意識、あるいは大国が小国に接するときの意識、あるいは平和観ですとかあるべき国際秩序、こういったものも非常に大きく影響を与えております。よく出てくる、力による平和とか大国による秩序ということが、恐らくロシアによるウクライナ侵略のアメリカの関与に関しては非常に色濃く反映された状況が生まれてくるかというふうに思います。  こうなってきますと、やはりやや注意して見ていかなければならないのは、ややもすると侵略されているウクライナの主権とか領土的な一体性に関して後回しの解決になりかねないということであります。日本は、G7の一員としてウクライナの主権や領土的な一体性の重要性を過去三年間訴えてまいりました。この方針とそごがないように、あるいは日本の外交の継続性とか透明性に関してやはり強く意識をする段階に入ってきているのではないかと思われます。  先日行われましたアメリカとウクライナの高官協議、そしてその結果出てきた共同声明に関しては、アメリカとウクライナの二か国でようやく停戦をめぐる議論のスタート地点ができたという認識で間違いないというふうに思います。これは、そのスタート地点ができると同時に、二月二十八日のトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談、非常に激しいものとなりましたけれども、あの状況から発生した冷戦状態が何とか一段落をしたというところでありまして、あらゆる意味でスタート地点であり、あの共同声明のまま事が進むわけでも全くございません。  これから何が大事になってくるのかというと、まずロシアはそれに合意するのか、合意した場合に守るのかということです。ですので、何かこう、何か一段落したかのような報道も多く見られますけれども、そうではなく、これからロシアがどのような条件で合意して、どのような条件できちんと履行するのか。これはもちろん停戦ということでありますので、ロシアとウクライナ双方の停戦の履行状況を見ていかなければなりませんけれども、しかし、まだまだ多くの段階があるということでございます。  また、日本でも多々報じられました鉱物資源合意をめぐる諸問題でございますけれども、こちらに関してはまだまだウクライナの認識とアメリカの認識が食い違っていると言わざるを得ません。つまり、ウクライナに関しては、将来的な安全の保証、つまりロシアが再度侵略をしてこないための様々な措置、これが欲しい。そのための一つのツールとして鉱物資源合意があるのに対し、アメリカは精算であります。過去のアメリカが支払ってきた支援を少しでも戻したいというような認識の下に鉱物資源合意に対して扱っておりますので、やはりまだまだ認識は埋まっていないと考えた方がよい。  ですので、先ほどから私がスタート地点と申し上げているのは、それでも将来的にアメリカとウクライナとの間で鉱物資源合意に関してまた話合いに戻ってくるということが言われて、これは歓迎すべきことではあると思いますけれども、それに関しても何かが決まったわけでもないということであります。  私は欧州の国際政治を専門といたしております。この欧州の国際政治ということを考えるならば、やはりトランプ後の欧州は非常に大きな衝撃を受けております。これまでは、ウクライナに対する支援と、それからヨーロッパが自分たちの身を守る、将来的にロシアが自分たちに攻撃を仕掛けてこないように自分たちの身は自分たちで守るということはある意味ちょっと別々の話だったわけですね。  ところが、トランプ大統領が出てきて、想像以上にトランプ大統領が、あるいはトランプ政権がヨーロッパを同盟国として守る意思が希薄なのではないかと、こういった意識がヨーロッパに衝撃を与えております。このために、今この段階では、ウクライナ支援とヨーロッパの自衛とかヨーロッパの戦略的自律性、こちらが合体したような、そういったフェーズが今生まれてきているということでございます。  つい先日合意されたばかりのEUの欧州再軍備計画というのはまさにそういうもので、ヨーロッパを軍事的に強くする、その枠組みの中でウクライナに対して支援を行うというようなことになっておりますので、ヨーロッパの危機感は非常に強い。これはまだまだ過渡期にありますけれども、今まで盤石な同盟関係であった米欧関係が今離れていきつつあり、むしろヨーロッパが脱アメリカ化している、そういったフェーズに今入りつつあるのではないかと考えております。  さて、このような中で日本はどのような道を取るべきなのかということなんですけれども、参考資料として出させていただきましたドイツのキール研究所の出しましたウクライナ・サポート・トラッカーというサイトがございます。こちらで、今年の二月の末までにどういった支援がなされ、そして日本はどのような立場にあるのかということがこちらから分かるわけでございますけれども、まず、日本の支援というのは世界第五位でございます。アメリカ、EU、そしてドイツ、イギリスに次いで日本は第五位の地位に出しております。  よく支援の話をすると、日本の支援は世界にどのように伝わっているのかとか意識されているのかとか、そういった質問を受けますけれども、この日本の支援に関しては非常にすばらしいということで、ウクライナにおいても大変に高く評価をされています。  一方で、これ日本の支援、GDP比ということになってみますと、このホチキス留めを開いていただき、ちょうどこのような形になっているような資料を御覧いただきますと、GDP比では日本は第三十二位でございます。上位を占めているのがエストニア、デンマーク、リトアニアのようなヨーロッパの比較的小さい国々でありまして、日本はハンガリー、マルタ、アイルランドの下、三十二位でございまして、日本のGDPの総額の〇・二三%を占めております。  よくウクライナ支援の話をしますと、そういった支援はウクライナに使うのではなくて日本の中で使うべきではないかというような議論もしばしばお伺いいたします。それはそれで一つの正論ではあろうかと思いますけれども、しかし、日本のGDPの〇・二三%を使用したところで日本というのは揺らいでしまうような国だろうかとか、地方への支援ができなくなる国だろうかとかいうことは、冷静にファクトを持って考えていくべきなのではないかと私の方は考えております。  最終的に、その支援も含めて問われるべきは何かということを考えていきたいわけですけれども、問われるべきはやはり日本がどのような国でありたいのかということも含めた日本の姿勢なのではないかというふうに思っています。  昨今のトランプ政権のアメリカでは、価値ですとか規範、秩序とか法の支配などといったものを排除しないまでも極めて軽視する可能性が高いということは多くの方がお気付きなのではないかと思います。しかし、日本が同じようなことをやった場合にそれができるのか、そしてそれをやったときに日本は生き残ることができるのかということはしっかりと考えておく必要があると思います。  私は、むしろそういった価値とか規範や秩序に日本は守られてきた側であり、それを捨てることによって生き残る側になるのかということは大きな疑問を持っております。むしろそれらは、日本ですとか、今後日本が連携をしていかなければならないグローバルサウスなどの国々を守っていくものではないかというふうに考えられるわけです。  ですので、そのトランプ政権の行方と、そして日本にとっては非常に大事な同盟国であるアメリカと協調体系を取っていくことというのは大変重要ではありますけれども、捨ててはならないものとそれから見切りを付けるべきものに関して日本は冷静に考えて、どの方針を、いかなる方針を取っていけばいいのかということは今後真剣に議論すべき段階に入ってきたのではないかというふうに考えております。  私の話は以上とさせていただきます。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) ありがとうございました。  次に、飯田公述人にお願いをいたします。飯田公述人。

飯田哲也特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長

○公述人(飯田哲也君) 環境エネルギー政策研究所、通称ISEP所長の飯田哲也と申します。  今日は、貴重な機会をいただいて、どうもありがとうございます。  私の方は環境・エネルギーというお題をいただきましたので、もう既に二月十八日にGX二〇四〇ビジョン、あるいはエネルギー基本計画、あるいは温暖化対策計画、いわゆるNDCも閣議決定された後ということですので、そこを振り返ってもある意味仕方がないので、今、世界の中で日本が今置かれている立ち位置を振り返りつつ、本当に今すごい変化が起きているんですが、若干そこから日本が取り残されているんではないかという感じがありますので、それを最終的にこの予算委員会で扱うべき論点に落とし込むという流れでお話をしたいと思います。  目次は書いてあるとおりで、まず世界全体、下、右下に三ページとあるところですが、大げさではなく、文明史的なエネルギー大転換が明らかに始まっています。その主役は、太陽光と蓄電池と電気自動車です。太陽光はこの十年間で十二・五倍、もう世界の電力の、十年前は〇・八%でしたが、去年は八・六%供給しています。蓄電池はもうほぼゼロでしたが、しかも十年前は日本が主役でしたが、今はほとんど中国で、二百四十ギガワットで百倍以上に増えて、ここに書かれているのは、蓄電池は電気自動車を除く定置型の電力用の蓄電池です。今年中に世界中の揚水発電の容量を追い越します。そして、電気自動車は、十年前は新車販売の僅か〇・三%でしたが、去年は二二%、まあ五台から四台に一台はもう電気自動車という時代に今なってきて、それがまだまだ増えていったと。  四ページ目ですが、太陽光と風力、風力の下には洋上風力、内数で入っていますが、そして原子力が参考までに。原子力はほぼ横ばいですが、風力がまず立ち上がった後、太陽光は天井を突き抜けるスピードで増えています。去年は何と六百ギガワット、いわゆる六億キロワットですね、増えていますが。  五ページ目を見ていただきますと、なぜこれが起きたかというと、もう太陽光と、風力も十年で七割コストが下がって十年前の三割のコスト、そして太陽光は十分の一のコスト、蓄電池も十年で十分の一というペースでコストが下がっていると。これは、普及するおかげでコストが下がり、コストが下がるので普及するというポジティブフィードバックですね。  その右の図、突き抜けているところですが、日本も参加をしているIEA、国際エネルギー機関が予測をしている毎年の例えば太陽光の設置量というのはほぼ横ばいなんですが、現実は天井を突き抜けるスピードでどんどん増えていっています。これは、従来のエネルギーモデルというのは経済モデルなので、テクノロジーディスラプション、破壊的技術変化というんですが、による予測というのはできないんですね、経済モデルでは。それでこういうことが起きています。  そして、六ページ目ですが、おととし、産油国のUAE・ドバイで気候サミット、COP28がありました。そのときに、二〇三〇年までですね、もう今年からするとあと五年しかないんですが、二〇三〇年までに世界の再エネの設備容量を三倍にしましょうということで、これは議長国提案で日本も賛同しています。  既に二〇二三年で世界の電力の三割が再エネになっているんですが、その設備を三倍にたった五年でしましょうというのが世界のコンセンサスです。日本も賛同しているんですが、その増える分の八割は太陽光、二割が風力です。いかに太陽光がこの十年間で全く役割が変わったかということが分かります。  七ページ目ですが、その先頭に立つのがデンマークと南オーストラリアです。今一番増える中心は太陽光と風力で、これはよくおてんとう任せ、風任せと言うんですが、この出力が変動します。これをよく知らない人か、あえて意図的に悪い人は不安定というふうに言うんですけれども、これは不安定ではないんですね。不安定ではなくて、自然変動というふうに言います。英語ではVRE、バリアブル・リニューアブル・エレクトリシティーというふうに言います。それをいかに、いわゆるおてんとう任せ、風任せの電力を系統の中に主役にしていくのかの世界の競争が始まっているわけですね。そのトップに立つのがデンマークと南オーストラリアです。  次の八ページ目ですが、去年、オーストラリアへと招かれて視察に行ったんですが、そのトップに立つ南オーストラリアですが、これ、日本も水素とかで非常に積極的な協力をしています。従来は、ウランであるとか鉄鉱石、石炭というのがオーストラリアの一番メインの取引でしたが、この南オーストラリアがあっという間に再エネ、まず、石炭が二〇一六年か、で廃止をしまして、天然ガスもあと二年先には再エネ一〇〇%になるということで、しかもこれは、二〇一七年十二月に世界で初めてできた大型系統蓄電池の先進国、これテスラのイーロン・マスクが六十三日で造ったというやつで、ここから世界の系統蓄電池のブームが始まりました。  右下のグラフを見ていただくと、再来年で再エネ一〇〇%、つまり太陽光と風力だけで一〇〇%になるんですが、その先もどんどん増やしていくんです。それは何にするかというと、水素にして、グリーン水素にして日本に輸出をするというような形ですごい積極的にやられています。  九ページ目ですが、もう世界的には、例えば中国、よく経産省さんの資料では、日本はそうはいっても頑張ったので、中国、アメリカに次いで累積では三番目なんだと。そこに去年の暮れまでのデータを乗っけると、実は日本は去年インドに抜かれました。恐らく今年か、遅くとも来年中にはドイツに抜かれます。というのは、ドイツは毎年千五百万キロワットの太陽光が、去年も増えて今後も増えていくんですが、日本は五百から三百ということで若干日本はかなりペースが落ちていっていると、この右下の図を見ていただくと分かりますが。  目標値も、実は中国は二〇三〇年の目標値を去年ほぼ到達をしました。もちろん更に増やしていくんですが、アメリカはちょっとこれからトランプ政権でどうなるか分かりませんが、基本的に市場原理で増えているので、恐らくトランプ政権になっても余り変わらないだろうと。ドイツは順調に、原発を止めたおととし、二〇二三年の春に再エネ四二%でしたが、去年は六二%。二〇三〇年、八〇%がドイツの目標ですが、恐らくこれは前倒しで達成できるんじゃないかと。日本は目標値がいかにも小さいと、しかも市場が縮小しつつあるということで、先進国の大国の中では若干厳しい位置にあると。  なぜそんなことになっているのかというと、若干深い話になると、やはり一つは政策設計。これは国会レベルの法律とは違って、もうちょっと細かい制度設計の失敗です。それは何かというと、固定価格買取り制度で福島原発事故後にできた法案で増えたのが最大の原因なんですが、その制度設計の中に、世界で今百か国導入した固定価格買取り制度の中で日本は最後に導入しました。最後に導入したんですが、その日本が唯一やってしまった失敗が、認定で経産大臣の判こをもらった瞬間の価格をそのまま維持できるという形です。その結果として、例えば二〇一二年度、三月三十一日までに認定をもらった四十円は、今、今日でもまだ四十円で生きています。例えば、長崎県の宇久島の島の大半を潰してしまう、今建設中ですけれども、これはもう日本最大の四百二十メガワットという超巨大な太陽光ですけど、四十円なんですよ、今年できるのに。  という形で、この右上の図を見ていただくと、四十円が生き残り、三十六円が生き残り、二〇一二年、三十二円が生き残っているので、賦課金が非常に高いとよく消費者のクレームがありますが、その三分の二が実はこの最初の三年間の認定の太陽光なんですね。それは、もうちょっと適切なタイミングの価格を当てるようにすれば、多分この負担は半分ぐらいになったんじゃないかというふうに思われます。  経産省さんはそれを後で何とか、まず、その結果として何が起きたかというと、権利が売買できるものですから、かなり太陽光バブルと地上げラッシュが続き、そして系統連系が電力会社に殺到したので電力会社は、九電ショックと言われるんですが、九電さんが、あっ、待ったという形で受付を止めて、その結果として出力抑制とか、とにかく再エネの系統連系はブレーキが掛かってしまったと。  そして、国民の余分な負担はやっぱり最初の価格が固定したということに起因するところがかなりの要因があり、そして今、これを何とかしようということで経産省頑張って、競争入札だとかフィードインプレミアムと頑張っておられるんですが、この古い未稼働の案件を止めるということで、若干行き過ぎた過剰規制が行われているんじゃないかと。  例えば、太陽光の飛び地規制というのがあって、これは多分皆さん御存じないと思うんですが、太陽光を一か所認定取っているところで飛ばしているところでというのがあって、確かに悪質のはあるんですが、悪質じゃないものまで全部潰してしまおうというような過剰規制。  それから、去年の四月に始まった住民説明会。住民説明会は本当必要なんですけれども、実は本当の正味の住民説明会ではなくて、説明資料のてにをはを全部バッテンを付ける形で全部落として、この一年間にまだ一件もクリアされているものがないという、運用が非常にちょっと違った方向に行っているんじゃないかというふうに思います。  十一ページ目に行くと、それから出力抑制ですね。これ、九州電力から二〇一八年に始まったんですが、せっかくの太陽光発電を止めてしまうと。  まず、いわゆるヨーロッパなんかと違うのは、原子力よりも太陽光、風力の方が先に入るべきだと。これはイデオロギーでも何でもなく、経済学ですね。燃料を一円も使わないので、原価費用というんですが、それを入れるのがまず経済的に一番安い。  それからもう一つは、環境的に再エネは放射能も出さないし、核のごみも出さない、CO2も出さない。  もう一つは、エネルギーが純国産なので、その間、原子力を抑制すればウラン節約できる、化石燃料止めれば燃料も節約できるので、エネルギーセキュリティー的にもその方がいいという極めて合理的な判断で、EUダイレクティブ、欧州の再エネの指令では再エネを最初に入れなさいということがルールで決まっています。  ですから、あの原子力大国のフランスでも、原子力よりも再エネ優先して、原子力を逆に凸凹して減らしています。今年の二月も、洋上風力がめちゃめちゃ発電したので、原子力四ギガ、四百万キロワットぐらい、があっと絞ったりとかしているのが実態なんですね。それは経済合理的な振る舞いですが、日本はそこが違うと。しかも、化石燃料が先に止まるんですけれども、化石燃料は五割は動かしてもいいよというような形になっていたり、もろもろこの出力抑制の問題がありますと。  ちょっと時間がないので飛ばします。  あとは十二ページ目ですが、日本は確かに狭い国ではあるんですが、これから住宅建築物とそれから農地、そしてデッドスペースというか、今、垂直型のフェンス型のソーラーとか、あとペロブスカイトとかで壁に付けれる太陽光とかですね、実は土地の面積で測れない形で設置できるポテンシャルも膨大にあるんですね。それをやっぱりとことん追求すべきではないかというのが十二ページ目の趣旨です。  それで、十三ページ目、この前のエネルギー基本計画も、再エネはやっぱり実は統合コストといういわゆる系統全体に統合するコストを入れると実は高いんだよという話があったんですが、例えば先ほどのオーストラリアとかでは、その統合コストを入れてもやっぱり太陽光、風力は安いと。経産省、エネ基で引用されたのも立派な研究なんですが、実はいろんな研究があって、それを一つの研究だけ取って高いというのは非常にミスリーディングだったんではないかというところがあります。  そして、十四ページ目は慣性力と。これも多分皆さん聞かれたことないと思うんですが、この慣性力によって再エネというのは五〇%超えちゃいけないんだというのが日本では言われているんですが、そのまさにオーストラリアは二〇二二年からいわゆるAIとテクノロジー、デジタルでこの慣性力をつくった最初の国なんですね。そして、これで再エネ一〇〇%を自由自在にやっていると。  それで、十五ページ目、AIデータセンターが、今もう実際に需要は増えると思います、私も。ただ、それは数%から多くて一〇%とかだと思いますが、問題は、それが原子力を進めるためのエクスキューズに使われているということが最大の問題で、原子力は、私は元々原子力やっていたんですが、原子力は高いし、遅いし、いつできるか分からないと。ということで、実は再エネ、太陽光はすぐできますので、太陽光と蓄電池というのが最も最大のソリューションだと。  十七ページ目と十八ページ目ですが、もうあと時間がないので、GX、十六ページの図を見ていただくと、GXと、GXはこれ官邸中心で、それからエネルギー基本計画は経産省主導で、地球温暖化対策、NDCは最終的には閣議決定なんですが、問題は、このGXが今後、カーボンプライシングとか全部GXで行われるんですけれども、これは賦課金方式なんですね。賦課金方式というのは、国会全く一切関係しないんです。しかも、金額が非常に大きいと。これは昔からよく本予算は、本予算を指して母屋、母屋でおかゆをすすって、特別会計、離れですき焼きと。  実は、このGXで賦課金方式のカーボンプライシングというのは軽井沢か箱根の別荘でフルコース食べているような状況になるんじゃないかと。やっぱりここに民主的な国会の統制を利かせる必要があるんじゃないかと。これは憲法に遡っても必要なことで、この憲法というか、国会の統制、民主的統制を逸脱している状況というのはやっぱり是非審議していただいた方がいいかなと思います。  もう時間がないので、十八ページ目以降は、電力市場もそうです、様々なスキャンダルがありますので、これは今の法人的な分割ではなくて、純粋に完全に所有権分離をしてフェアな電力市場をつくらないと、日本のこれから電力化は本当に必須なんですね、再エネ化というのはイコール電力化なので、電気自動車も含めて。そうすると、電力市場をいかにフェアにしていくかということが非常に重要かなと思います。  あとはもう時間がないので飛ばします。飛ばしますというか、もう省略して、後でもし質疑応答で答えるところがあれば答えたいと思います。  どうもありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) ありがとうございました。  以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。  それでは、これより公述人に対する質疑に入りたいと思います。  質疑のある方は順次御発言願います。

臼井正一自由民主党

○臼井正一君 両公述人におかれましては、大変示唆に富んだお話をどうもありがとうございました。これから行う質疑で更に理解を深めさせていただき、もって、これからの私、そして自由民主党の政策に反映をさせていければいいのかなというふうに思っています。  まず、飯田公述人に幾つかお伺いをいたします。  最初、この再エネと聞いたとき、私も地方議会議員を長くやっておりました。仲間の議員から聞く再エネというのは余りいいイメージを持っていません。やっぱり森を切り開いたり、先日まで耕していた田んぼや畑の上に太陽光パネルがどんどんできて困っているんだという話も聞いていました。  しかしながら、この脱炭素というのは国際約束でもあり、これは政府としても必ずやいい形で実用化をして達成をしていかなければならない、そのための一つのキーになるということで、今お話を聞いた中で非常にこれは夢のある取組だなというふうに思った次第です。  洋上風力を千葉県では国が進める事業の第一弾として行わせていただきました。銚子で、もう既に地元が先行してそのメンテナンスのための港湾の整備とか行っていながら、落札業者が先の見通しの甘さのせいでこれを途中で事業を放り投げかけているという事態に陥っています。非常に地元からは困惑と、ある種怒りに近いような声も上がっているわけであります。  国には是非、この事業を本当に是が非でも成功させてしっかり、この洋上風力が日本の電力需要をカバーする上でしっかりこれを緒に、途に就けなければならない強い覚悟で臨んでほしいと思いますし、事業者にも、もう世界を股に掛ける商社でありますから、これが見通し甘かったじゃ済みませんから、是非これを完遂をしていただきたいというふうに思います。  今蓄電技術が、VREのお話もありましたけれども、やっぱりこれから大事になってくるんだろうというふうに思います。蓄電池というのはやはり中国に、今のところコバルトやニッケルを含め依存している部分があるというふうに思います。純国産を目指すのであれば、こうした蓄電技術というのも国産を目指すべきだというふうに思うんですが、そこら辺の何かヒントとか示唆があれば少しお話をいただければと思います。簡単にで結構です。

飯田哲也特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長

○公述人(飯田哲也君) 最後にコメントいただきましたまず蓄電池について、もう本当に今、今日はその詳細入れていなかったんですが、世界のサプライチェーンというか、蓄電池のシェアでいうともう圧倒的にCATL、中国メーカーが十社のうち六社、七社、六社かな、韓国が三社、日本が、パナソニックさんが何とかおととしまで四位でしたが、去年が六位ぐらい。六位というのは、減ったんじゃなくて、余りにも成長が早いのでそれに付いていけないという形ですね。  ですから、きちんとやっぱりこの蓄電池は、サプライチェーンでいうと実は資源は豊富に世界中にあります。それこそリチウムはオーストラリアとかチリとかなんで、ここに力を入れるとすると、日本は製造大国だとすると、精製の部分ですね。精製が実はほとんど中国でされているので、そこから中国に流れていきますので、やはりその精製工場というのは物すごく収益性が高いし、新しい産業になりますので、そういったところを支えていくというのが非常に重要ですし、あとマーケットサイドをどうつくっていくかと。これは、実は蓄電池は、今後もそうだと思いますが、九割以上は実は電気自動車なんですね。電気自動車の普及に釣られてコストが安くなって、定置型蓄電池という形の流れになっていますので。  この電気自動車、実はつい最近トヨタさんも、中国だけですけれども、かなり競争力のあるEVを出されました。それを実は日本の中でもどんどん普及するような形を、もちろんハイブリッドは世界に誇る技術ですが、ディーゼルとかガソリンだけの車をできるだけ電気自動車若しくはプラグインハイブリッドにシフトしながら、蓄電池のマーケットもちゃんとつくっていくということを是非先生方にお願いしたいというふうに思います。

臼井正一自由民主党

○臼井正一君 どうもありがとうございます。  今言った蓄電池の技術革新に加えて揚水の話もございましたし、あとは日本は海に囲まれております。海なし県の方もいますが、湖もありますよね。そこかしこに飲めないけれども使える水いっぱいあるので、グリーン水素も余剰電力等を活用して作ることでこれも蓄電と置き換えることができるんだというふうに思うので、しっかりこれからも取り組んでまいりたいというふうに思います。どうもありがとうございました。  東野公述人は、ずっとこのヨーロッパを研究をされてきました。二〇一四年にクリミア半島はロシアにだまし取られたというか、不法に占拠をされています。日本も同じくロシアに北方領土を不法占拠されている身として、本当にウクライナに頑張ってほしいという気持ちであります。この永遠に続くと思われた戦争ももう十一年目ということであります。いよいよ、トランプの誕生で良くも悪くもターニングポイントを迎えているわけです。  トランプさんが言った衝撃的な言葉で、ゼレンスキーは独裁者だということを、日本語で言っているのをもちろん英語で言ったんですが、このようなことをおっしゃいました。その正当性を、ウクライナの憲法やウクライナの国内法規、あとはその正当性に対するウクライナの国会議員や国民がどのように捉えているか、本当に簡単で結構ですので、お話をいただければと思います。

東野篤子筑波大学教授

○公述人(東野篤子君) 臼井先生、貴重な質問をどうもありがとうございました。  ゼレンスキー大統領が独裁者であるという発言は、恐らくトランプ大統領だけではなくて、共和党の一部にあるいはアメリカ国民の一部に根強いものであろうかというふうに思います。  ただ、ウクライナに関してはロシアから侵攻を受けている状況です。ロシアから侵攻を受けている中で戒厳令が敷かれ、ウクライナの国内法では憲法と戒厳令法のこの双方で選挙が非常にやりにくい状況になっております。工夫すればできないことはないかもしれないですけれども、できたとしても技術的な問題が残るわけです。  例えば、戦線には多くの兵士が行っている、その兵士たちの投票をどうするのか。あるいは、数百万と言われる避難民がいる、その避難民の投票機会はきちんとあるのか。それから、投票を行ったとして、投票所に集まってきた人たちがロシアによる攻撃の対象になることはないのかなどなど、いろいろ考えますと大変に難しい状況であるかと思います。  このゼレンスキー大統領が独裁者であると、それは正当な大統領選挙を経ていない、あるいは大統領の任期が切れているにもかかわらず大統領の座にいるということですけれども、これはウクライナの国内法において、次の大統領が決まるまで今現職の大統領が大統領であるというはっきりとした規定がございます。これにのっとれば、ゼレンスキー大統領は正当な大統領であると言えると思います。  臼井先生の御質問の趣旨は、支持を得ているのかということでございました。独裁者発言があったそのすぐ後に、ウクライナの議会が全会一致でゼレンスキー大統領は正当な大統領であるということを再確認しております。やはりこの議会の意向というのは非常に重要であろうかというふうに思いますし、また、その翌日あるいは翌々日辺りに世論調査が行われたときに、ゼレンスキー大統領の支持率はむしろ上がっているというデータもございました。世論調査だけで大統領選挙に取って代わることはもちろんできませんけれども、しかし、戦時下という異常な状況、そしてロシアによる侵略を原因として大統領選挙ができない状況ということは、多くの、全てではないにしろ、多くのウクライナ国民が理解をしているという状況かと私は考えております。

臼井正一自由民主党

○臼井正一君 どうもありがとうございます。  ウクライナ国内ではゼレンスキーがしっかり正当性を認められている、選挙によってではないけれどもということでありました。  この今日のウクライナを明日の日本や東アジアにしてはならない、そういう強い思いがあります。ウクライナになかった強い日米同盟が日本にはあるわけで、強国が日本にもしかして占領できる、そういう思いを少しでも起こさせないことが肝要だというふうに思っています。  しかしながら、いざそうしたことが起きたときの備えというものはしっかりしなければならないので、日本としても、選挙が行えない状況というものは、これが絶対あってはならないけれども、あった場合の備えというのは私は必要だというふうに思っています。  参議院には衆議院不在時の緊急集会という制度が憲法に定められておりますけれども、今ちょうど五か月後に参議院選挙を控えます。もし四年ですね、選挙が行えない状況があれば参議院議員ゼロになってしまうという、そういう事態も起こり得るわけでありますから、しっかり我々としてはこの備えをしていかなければならないと思ったところです。  ロシアの経済情勢、これは継戦能力どれぐらいあるのかということでいえば、東野公述人は、比較的ロシア、これはまだまだ戦えるよといったようなことを昨年おっしゃられていましたが、今年に入ってシリアのアサド政権が飛ぶなど、あとは経済情勢必ずしも良くないんじゃないかというような話も仄聞しています。  実際、ロシアがウクライナと戦争をしていることによって、先ほど飯田公述人からもありましたけれども、ドイツのロシア依存、エネルギーのロシア依存が大分緩まったり、フランスとイギリスの核の話もございました。また、ポーランドやフィンランドのEU、NATOへの加盟、そうしたものもあったということで、ロシアにとって必ずしもこれは得るものが大きかった戦争ではないと。  そういう中で、経済情勢も良くないとなれば、むしろトランプ大統領のこの停戦というのがロシアにとって渡りの船になり得るんじゃないかというふうに思いますが、時間が余りないので、ちょっと簡単にそこら辺の経済情勢をお話をいただければと思います。

東野篤子筑波大学教授

○公述人(東野篤子君) 臼井先生、再び貴重な質問をどうもありがとうございます。  ロシアの継戦能力あるいは経済状況につきましてですが、やはりインフレが非常に高くなっているということ、そして国民生活にも多くのひずみが来ているということですね。  日本を始めとしてG7の国々やEUの国々が掛けている経済制裁は、必ずしもロシアの市民生活を対象としたものではございません。ただ、そうであっても、やはり戦争が三年間続くと様々なところで苦しくなっていることは事実であろうかと思いますけれども、まだ数年間は今のペースで戦えるというような報告もあります。ですので、必ずしも今ロシアにとって戦争をやめるその誘因が高いかどうかというと、そうではないように思います。  経済的にたとえ苦しくても、経済的な合理性で判断していない。先ほども申し上げましたように、ウクライナを属国化するとか、ウクライナを勢力圏に入れるとかということが仮にその戦争の目的であるとしましたならば、やはりそこは経済的な合理性を超えたその動機付けがあるということだと思います。  ただ、停戦をする、一旦休むというインセンティブ自体はあろうかと思いますけれども、そのときに気を付けなければならないのが、ロシアがもう一度体力を蓄え直して、軍事力を蓄え直して再侵攻するおそれがあるということでして、どうも今考えられている停戦の交渉の内容というのは、どうやって再侵攻を強力に防いでいくのかというところがまだまだ脆弱なように私は懸念しております。

臼井正一自由民主党

○臼井正一君 終わります。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 御苦労さまでした。  では、質疑を続けます。

徳永エリ立憲民主・社民・無所属

○徳永エリ君 立憲民主党の徳永エリでございます。  東野公述人、そして飯田公述人、今日は大変お忙しい中を当委員会にお越しいただきまして、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。  まず、東野公述人にお伺いしたいというふうに思うんですけれども、サウジアラビアで開かれた米国とウクライナの高官協議によりまして、ウクライナが三十日間の停戦を受け入れ、米国は一時停止していた軍事支援や機密情報の共有を再開するということでありますけれども、先ほどもお話にありました米国トランプ大統領、ヨーロッパを守る意識が希薄だということでございますけれども、EUとしては、この米国が仲介役、これを果たしているということに関してどう思っているのかということと、それと今後の米国とEUの関係がどうなっていくのかということをお伺いしたいというふうに思います。

東野篤子筑波大学教授

○公述人(東野篤子君) 徳永先生、貴重な質問をどうもありがとうございます。  今後のその米欧関係の大きなピクチャーということで御質問いただいたのではないかと思いますけれども、まず、EUとしては、あるいはEUに限らずNATO、ヨーロッパ諸国としては、やはりアメリカが仲介役を逆に果たさない停戦というのは実効性に乏しいだろうということは合意ができているのだろうと思います。ただ、そのときにトランプ政権が推進しようとする停戦案が果たして確実性が高いものなのか、あるいは一方的にウクライナに犠牲を強いるものではないのかということに関しては懸念があるということなのです。  なので、アメリカがリーダーシップを持つこと、そしてアメリカが主導して、アメリカとウクライナだけではなく、アメリカとロシアとの間で十分な対話が行われることについてはヨーロッパ諸国は極めて強く歓迎をしているのですが、その内容がどのようなものになるのかということについて若干の懸念がないわけではないということだと思います。ですので、仲介は必ず必要ということなんですね。  やはり日本では、トランプ大統領とゼレンスキー大統領だったりプーチン大統領、あるいはトランプ政権が推進する停戦案にその焦点が行きがちですが、実は今回の達成したという、何らかの形でアメリカとウクライナとの間で共同声明に達したわけですけれども、あの原案はフランスのマクロン大統領が、まずは空と海とエネルギーインフラの停戦を三十日間やって、その後それが実効的であればその次の段階に入るというものでございました。  なので、原案はフランスであり、それをアメリカが支える形で、また、ごめんなさい、イギリスが支える形で、そしてイギリスがアメリカの当局に渡って様々な調整をした結果、空と海ではなく、陸、地上の停戦も含めて、エネルギーインフラも含めて三十日間ということになっておりましたので、ヨーロッパの今最大の関心としては、ヨーロッパが思うあるべき停戦の姿をどのようにアメリカのトランプ政権にインプットして、どのようにそれを生かしてもらうのかということ、そしてどうやってヨーロッパを交渉の席に一緒に入れてもらえるのかということであります。  そして、将来像なんですけれども、今、未曽有の規模でアメリカとヨーロッパが離れていっている状況ではあるかと思います。なので、ヨーロッパが自分たちの身は自分たちで守らなければならないという意識がますます高まっているのですが、これは何もトランプ政権で始まったことではなく、共和党、民主党問わず、アメリカの各政権はヨーロッパに自分たちの身は自分たちで守れるようにということはずっと一貫して言い続けてきている、これはアメリカの一貫した立場であるということなんですね。  ただ、バイデン政権のときにはこれが若干強制力が弱かったのに対して、トランプ政権において、よりその圧力が強まっているという状況です。なので、ヨーロッパは今、トランプ政権になったことによって宿題をやっているというようなこの認識でよろしいのではないかと思います。

徳永エリ立憲民主・社民・無所属

○徳永エリ君 軍事侵攻、三年とも十一年ともいうお話ございましたけれども、この停戦の交渉のタイミングなんですけれども、これが今なのかと。今ではないというような御意見もあるようですけれども、このタイミングに関してはどのようにお考えになっておられますでしょうか。

東野篤子筑波大学教授

○公述人(東野篤子君) ありがとうございます。  タイミングと申しますと、大変難しい問題でございます。全てのウクライナ国民は一日も早く、一時間でも早く停戦したいと思っていると思います。これは、不当な侵略を取りあえず早く終わらせてほしい、そして一人でも多くの人の命が失われるのをこれでやめたいということで、ここには全く異論はないわけですね。ただ、繰り返し申しますように、その内容でございます。  例えば、先日のアメリカとウクライナとの間の合意文書、あれに何が欠けているのかというと、領土に関する記載が欠けているわけですね。これは、アメリカがどうも領土に関しては余り今回の共同声明の対象としたくないと。そして、ウクライナにとっても、今ロシアに占領されている領土は不法に占領されている領土なんだということをどうにかアメリカに認識してもらいたいけれども、その現実を受け入れるようにというプレッシャーも若干あるらしいということなんですね。  ただ、これを言っていてはいつまでも止まらないということも理解できますので、こういった戦争が起きたときに最善の停戦タイミングというのはなかなか難しいですし、どこも最善とは言えないかもしれないですけれども、しかし、イースター停戦ということで一定の期限を区切って、期限を設けて停戦のプロセスを始めてみるということは一定の意義があろうかとは思います。  ただ、ロシアの方でそれが守られるのか。ゼレンスキー大統領が先日、米ウの首脳会談で言ったことを復唱しますと、二十五回の停戦合意があって、それが全て破られてきたということがウクライナ側の最大の懸念でございます。ですので、やはり履行がどうなのかということを我々はタイミング以上に考えていかなければならないのではないかと、私はこのように考えております。  ありがとうございます。

徳永エリ立憲民主・社民・無所属

○徳永エリ君 ありがとうございます。  まだまだお聞きしたいことはあるんですが、時間がないので申し訳ありません。  それでは、飯田公述人にお伺いをしたいというふうに思います。  生成AIやデータセンター需要の増加によって電力需要が拡大すると電力が足りなくなるんじゃないかという話もありますけれども、でも、人口が減っていっている、それから省エネとか節電、さらには新しい技術もこれから出ていくかもしれない、できてくるかもしれない。そういう中で、本当に電力供給量が足りなくなるのかと。この点に関してはいかがでしょうか。

飯田哲也特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長

○公述人(飯田哲也君) 御質問ありがとうございます。  生成AIデータセンターそのものに、そこだけを見ると、そこは増える要素だと思います。  ただ、もちろんそれが、先ほどあったようなアイルランドとかデンマークとか、とりわけアメリカのように、もうそこのデータセンターの集中度合いがどこまで日本に来るのかに増え方が関わると思いますが、あと、まさにおっしゃったとおり、それは生成AIデータセンターだけの話であって、残りのそれ以外の電力に関しては、基本的には減っていく要素が日本、相対的には大きいと思います。ただ、先ほどの電気自動車、これ一朝一夕で変わらないんですが、全てこの瞬間に今電気自動車に変わったとすると、大体電力は一割ぐらい増えます。  もう一つは、ヒートポンプです。いわゆる家庭でエコキュートと言われるやつですね。エアコンもそうなんですが、エコキュートの方がよりいいかもしれませんけれども、これはガスとか灯油を熱に変え、効率的に熱に変えていくと。実は、一つは電力化というのが全体として進んでいるので、生成AIは需要側なんですが、システム全体の電力が電気自動車とヒートポンプで増える要素というのが一方であると。  でも、日本全体は少子化、それからエネルギーの効率化がまたどんどん進むと。LEDに替えるだけでも電力は、その照明は五割ぐらい、ここはどうなんだろうという感じですけれども、白熱球からは十分の一、蛍光灯でも半分に下がりますし、もう家電の効率はどんどんどんどん上がっているので、全体としてはせいぜい横ばいぐらいで、もう十分やっていけるんじゃないかなというのは個人的な感想としてはあります。

徳永エリ立憲民主・社民・無所属

○徳永エリ君 その電力需要が高まるんじゃないかという話と、もう一方ではGXの観点から脱炭素電源ということで、私の地元の北海道もラピダス、半導体工場が造られているわけでありますけれども、この半導体工場で相当電力需要が高まるんだと。その作られた半導体を買ってくれるのはアメリカのGAFAだったりするわけで、そのGAFAなどの企業は脱炭素電源で作られた製品しか買わないぞと言っていると。  その脱炭素電源という中でまた原発という話が出てきまして、第七次のエネ基でも結局原発回帰ということになっているわけでありますけれども、この点に関しては、もう決まったことは振り返らないとおっしゃっておりましたけれども、御意見があればお願いしたいと思います。

飯田哲也特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長

○公述人(飯田哲也君) 御質問ありがとうございます。  こちらの方は、つまり、電力需要に関しては政策と、まさにAIデータセンターの方は、工場よりは、データセンター、もう全てのデータセンターはAI化すると言われているので、それとヒートポンプ、電気自動車の方が増える要素、で、全体としては減る要素という前半の話ですが、ここは不確実性があるんですけれども、少なくともこれが脱炭素電源だから原子力というのはもう明らかにためにする議論であって、原子力はほとんど役に立たないと私は確信しています。  というのは、先ほど資料に書いたとおりですが、新設の原発は約束した期限に間に合ったためしがないと、五年で造るといったものが十数年、ほぼエンドレスです。コストは四倍とかに上がっていきますので、もうほとんどいわゆる一般のエネルギービジネスとして使い物にならないと。  それから、今ある原発、例えばアメリカでスリーマイル原発をデータセンター用に買ったところがありますが、原子力って十四か月に一回、一か月止まるんですね。じゃ、そのときどうするんですかと。もっと怖いのは、原子力は突然止まることもあるわけです。止めざるを得ないこと、止まること。そうすると、百万キロワット単位がいきなり失われたときのデータセンターの被害をあの人たち考えているんだろうかというふうに思います。  だから、小型、いわゆる分散のモジュラーというのが今言われていますが、これは全く絵に描いた餅であって、今世界で動いているSMRというのは中国とロシアの古い小型原発だけであって、炉型がもう何十種類もあって、先ほどのオーストラリアのコストがありましたが、いきなり造り始めるのも、原子力は安くするために大きくなってきた、安く安全にするために大きくなってきたのをもう一回小さくして、全くやっていることがナンセンスで、もうこれはほとんど非現実的な、もう妄想と言ってもいいと思います。  更に言うと、核融合はもっとあさっての話で、もう一〇〇%あり得ない。私、昔、核融合、大学院でやっていますが、もう実用化は可能性ゼロと断言してもいいと私は思います。

徳永エリ立憲民主・社民・無所属

○徳永エリ君 私は、やっぱりあくまでも原発は過渡的エネルギーだというふうに思っておりまして、やはり再生可能エネルギーを主力電源化していかなければいけないと思っております。そのためには、今再生可能エネルギーいろいろと、住民トラブルが起きたりとか、健康への被害だとか、動物への影響だとかいろんなことを言われてトラブルも起きておりますけれども、洋上風力発電にも大変に期待が高まっておりますけれども、やっぱり運転開始までのリードタイムが長過ぎて事業を撤退せざるを得ないというような状況にもなっております。  時間がないので残念ながら議論できませんでしたけれども、これからまた是非機会をつくっていただいて議論していきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 質疑を続けたいと思います。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 公述人の先生方には、大変貴重なお話をいただきましたことを心から感謝申し上げたいと思います。  早速質問させていただければ有り難いと思います。  東野公述人に伺います。  今回のウクライナの侵略ということによって世界経済は大きく動きました。そして、今の激動する、毎日のように変わっている状況ではありますけれども、今回のこのウクライナ侵略の前後でEUが、今後それ以前とこれ以降で大きく変わっていくだろうと。先ほどは軍事的な視点もお話をいただきました。  一方で、経済とエネルギーということを無視して軍事の話だけをするわけにはいかないと思いますけれども、先生がこのEUの今後に関してどのようなイメージをお持ちでしょうか。

東野篤子筑波大学教授

○公述人(東野篤子君) 三浦先生、貴重な質問をどうもありがとうございます。  経済、エネルギーでいいますと、やはりこの全面侵攻の前後で何が一番変わったのかという話と、飯田先生の話にも関連するかと思いますけれども、やはりロシア依存、エネルギーのロシア依存の低減、脱ロシア化と言われるですね、そういった現象かというふうに思います。  先生方も御存じでいらっしゃると思いますけれども、戦争が、全面侵略が始まる前のEUは非常にロシアに強いエネルギー上の依存を保っていた。これが、エネルギーの上で非常に厳しいですとか、あるいは、ロシアに単体で依存をするということはEUの経済安全保障上もエネルギー安全保障上も非常に危険だと言われていながらも、例えばその当時のドイツのメルケル首相の考えであれば、経済的な相互依存を強めることによって安全保障上のリスクも低減することができる、だからロシアとの経済的な関係はむしろ強化することによってヨーロッパの安全保障全体を守っていかなければいけないと、信念に近いこういった考え方がおありだったと思います。  ところが、経済的な関係をロシアと強化したところで、二〇一四年のロシアによるクリミアの占領はいずれにしろ起きていたわけですし、ノルドストリームの2の計画はその後に計画されていたものでありますから、経済的な相互依存を強めても、それが結果的には軍事的な抑止力にはならないということがヨーロッパの教訓として残されたのではないかと思います。  そして、現在、ロシアに対して制裁を行い、またロシアからのエネルギーを、まあ一〇〇%とは行かないまでも買わないようにする、あるいは石油にプライスキャップを付けるというような様々な措置を行っていますけれども、今、脱ロシア化、経済の脱ロシア化とかエネルギーの脱ロシア化は不可逆的な形で進んではいるものの、やはりこれをゼロにすることができないという苦しさは非常に大きいのではないかということなんですね。  例えば、それは国によっても違うわけで、よくハンガリーのような国が親ロシア的であるというようなことを言われますけれども、あれはオルバン首相がロシアが好きということ以上に、ハンガリーはロシアからのパイプラインで石油を得ていて、それがなければハンガリーの経済が立ち行かないというような現実もございます。  ハンガリーだけではなくて、例えばスロバキアのような国、あるいは、チェコは大変ロシアに対する厳しい立場を取り、そしてウクライナに対して非常に協力的なんですけれども、そのチェコですらやはりロシアへのエネルギー依存を断ち切ることができないという状況にあります。そのチェコの方々に聞き取りに参りますと、そういうふうにロシアからのエネルギー依存を完全に断ち切ることができないからこそ、その代償としてではないですけれども、その代わりにウクライナ支援をより手厚くやらなければならないというような、非常に苦しい立場もよく表明されている状況でございます。ですので、脱ロシア化は進んだ、しかしそれが一〇〇%ではないということに様々な問題も出ているということであります。  また、対中関係に関しても非常に大きなその含意があったと思います。つまり、その中国との関係に関しては、その戦争が始まる前までは、特に関係を深めたいドイツのような国とそれに対して批判的な国々があったという構図があったわけですけれども、これが、その対立状況がより深まったとも言えるわけですね。  つまり、ヨーロッパとしては、ロシアに対して全面的に今対峙している状況であり、脱ロシア化はどうしても進めなければならない。しかし、そこでロシアとヨーロッパが対峙しているときに中国と対峙することというのは本当にできるのかと。それは経済面であっても二方面が本当にできるのかということで、その中国との関係はむしろ強化していかなければならないという見解と、しかし、中国はロシアの継戦能力を様々な形で支えている、やはり中国も、脱中国しなければ、EUに関しても、中国に関して脱中国化を進めなければならないのではないかということで、大変意見が混乱しています。  なので、古い問題が根強くある一方で、その問題の性質が徐々に変わっていっているという認識を私は持っております。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 ありがとうございます。  まさに日本がこの状況をよく見ていかなければいけないということだと思いますけれども、公明党としては、常設の安全保障対話機構というのをアジア版でつくった方がいいということを訴えて、これを実現するということの取組を加速をさせていきたいというふうに思っておりますが、今回、OSCEがこのウクライナの侵略以前から果たしてきた役割、その効果と、また今後、一方でメリットはあったはずなので、今後それをどういうふうに取り扱って理解をしていけばいいかということをお伝えいただければと思います。

東野篤子筑波大学教授

○公述人(東野篤子君) ありがとうございます。  公明党さんはずっとOSCEの重要性について大変に強力に発信をしてくださっており、私も大変感謝しております。  というのは、日本では往々にして、OSCEは牙を持たない、つまり、軍事力を持つ機構ではないのだから余り実効性がないとか、そういったOSCEをちょっと軽視するかのようなそういった言説もしばしば聞かれるんですけれども、御指摘のとおり、OSCEの非常に大きな役割として選挙監視があり、そして、例えば全面侵攻が始まる前までは、OSCEがミッションを派遣して停戦の状況をきちんとモニターし、そのモニターの状況を日報、デイリーリポートに書き記しているということが非常に大きな役割であったと思います。  そのデイリーリポートに関しては、例えば、これはロシアが停戦違反をしたとか、ウクライナが停戦違反したとか、そのように断定をするものではないのですが、どちらの方向からどういう武器が使用されて、そしてそれによってどういう被害があったかということを克明に書き記すということなんです。全面侵攻があった後、やはりこの記録の重要性というのは非常に重要であったということだと思います。  今は戦争が非常に危険な状況になっているのでOSCEの監視は入ることはできませんけれども、かつてそういう状況があったということになったときに、一部であっても一時期であってもそういった記録を取られるような体制があったということは、やはりこれは広くヨーロッパを超えて示唆を与えるもの、参考にできることがたくさんあろうかというふうに思います。  やはりOSCEの肝というのは信頼醸成でございます。この信頼醸成ということが東アジアの将来の有事を防いでいくために極めて重要であることは論をまちません。ですので、アジア版のOSCE、これはそのままOSCEをアジア版に移植してきて本当に機能するのかという技術的な問題はありましょうが、そういったその問題意識を持って何らかの形での信頼醸成が東アジアでできないのかということを考えていくことは私は非常に意義のあることだと思っております。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 東野公述人にはたくさん示唆をいただきました。もっと議論したいんですけれども、またの機会にさせていただければと思います。  飯田公述人にお伺いしたいと思います。  エネルギーというのはまさに全ての国の安全保障であって、国民のまたいわゆる人間の将来をつないでいくものでありますので、これに対する技術の革新であったり、また新しいその能力を実装するということに対する挑戦というのは今後ずうっと続いていくんだろうなというふうに思います。  私もガスタービンをずっとやってきたものですから、燃料を使ってそれをいかに効率するかといったことを飛び越えていくのが自然エネルギーだというふうに思います。  COP29の中では当然、再エネ設備の三倍増というお話もありました。一方で、世界の中での余り評価をされていないところでありますけれども、三十一か国が署名をしている原子力の三倍計画、これについてはどのような御感想をお持ちでしょうか。

飯田哲也特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長

○公述人(飯田哲也君) 御質問ありがとうございます。  ちょうど先ほど時間切れで質問できなかった、二十二ページ目を御覧いただきますと、原子力三倍増は、いわゆる有志国連合ということで正式な会議で議決されたものではなかったんですけれども、今、大体原子力は四百ギガワットあります。これを、先ほどの再エネと違うのは、再エネはあとたった五年、二〇三〇年までに三倍と。再エネの場合は、三千四百ギガワットを一万一千ギガワットにしましょうという極めて野心的な、しかもそれは百十か国が調印をした、しかも公式な議決だと。原子力は三十一か国の有志連合で、四百ギガワットを二〇五〇年まで、あと二十五年か、二十五年で三倍増ということは千百ギガワットなんですけれども。  ところが、この二十二ページを見ていただくと、世界の原子力は老朽化が相当進んでいます。日本を始めとして、まずアメリカ、ヨーロッパ、日本は六〇年代から始まって七〇年代、八〇年代に大量建設したものがもうほとんど廃炉にどんどん向かって、日本もかなり廃炉をしました。新設は一方でほとんどできないんです。もう全然間に合わないと。  ですから、私の予測は、三倍増という志は掲げたものの、現実起きるのは三分の一に縮小していくんじゃないかというふうに私としては予測をしております。  ありがとうございます。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 私自身は、原子力をこの発電という観点だけで見るというのは間違いではあるなというところもあって、例えばこれで、がん対策に使っている原子炉がベルギーとか南アフリカから、日本ではがん対策で使っているものを取り入れているというのもあるので、むしろ原子力というその技術のことをどう考えるかというのは今後必要かなという視点で取り組んでいきたいと思います。  端的に是非、今回、水素エネルギーのことが余りアプローチされておりませんでした。我が国のように雪国で、例えば大雪が降ったときに道路がスタックをしたときに、バッテリー持ってそこに救援行けるんですかという現実的な課題もあります。ですので、内燃機関を使ってCO2を出さないような水素というのも標榜するということが重要かと思いますけれども、公述人の御意見を頂戴できればと思います。

飯田哲也特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長

○公述人(飯田哲也君) 水素に関しては、実は有名な水素階段と、つまり、階段って上る階段なんですけれども、水素を使えるところと使えないところというところで、水素を今使えるところは、実はこれは日本製鉄や神戸製鋼もやっていますが、いわゆる水素還元、直接還元製鉄と、もう一つはメタナイゼーションというんですが、CO2と水素を合わせていわゆる天然ガスを新たに作っちゃう、メタンを作ると。この二つが今現実、現実というか、経済的にできるかもしれないと。  ただ、その大前提はグリーン水素、つまり太陽光と風力で安い再エネの電気をつくるのが大前提なんですね。それをオーストラリアはやっているわけですけど、あるいはほかの中東もやっているんですが、日本は、いや、再エネがまだ安くない上に、それを例えば電気自動車にする、電気自動車でつくった方が、水素自動車だと一旦水素に変え、また電気に変えるので、電気自動車だと百の電気が動力のところで大体八十ぐらいで、ロスで二十ロスでいいんですけど、水素燃料電池は八十ロスするんですね、二十しか動力にならないと。  それであれば、貴重な水素は使えるところに使い、しかも世界はもう電気自動車に突っ走っていますので、是非トヨタを始め日本の自動車産業はその分野でしっかり世界に伍して頑張っていただきたいと私は期待しております。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 終わります。ありがとうございました。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 御苦労さまでございました。

金子道仁日本維新の会

○金子道仁君 日本維新の会、金子道仁です。  公述人の先生方、本当に貴重な御講演ありがとうございました。  たくさんお伺いしたいんですが、二点ずつまずお伺いさせてください。  まず、東野公述人にお伺いします。お話ししていただいた内容についての国際法的な評価、解釈についてまずお伺いしたいと思います。  そもそもなぜ侵略が起こったのか。ロシアの歴史観、ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性、これを国際法的な根拠にして侵略をされたら、もう世界秩序は狂ってしまうと私自身は思うんですけれども、このことについての国際法上の評価について詳細教えていただきたい、それが一つと。  もう一つ、国際法的な評価でお伺いしたいのは、今後、停戦は起こったとしても、平和条約が締結されるまでには相当時間が掛かるんではないかと思います。つまり、当面の間、実効的な支配ということが行われる、つまり北方領土と類似した地域が日本のロシア挟んだ反対側に起こると。そこの地域に対して今後復興等が行われていく際に、日本としてどのようにこの地域に関わっていくべきなのか。例えば北方領土であれば、当然のことながら、ビザなし渡航であるとか様々主権、管轄権の行使に浴するようなことというのは全く認められないというのが我々の立場です。  他方で、ウクライナ、ロシアのあの国境地帯に関して違うというロジックは多分通用しないと思う。でも、そのような地域に対して我々はどのように関わっていくべきなのか、その国際法的な解釈、教えていただければと思います。

東野篤子筑波大学教授

○公述人(東野篤子君) 金子先生、貴重な質問をどうもありがとうございます。  まず一点目の御質問でございますけれども、私が御説明した例えばその歴史観であるとか国家観のようなものというのは、国際法的には一切の裏付けはないということです。国際法的に説明することはできないということです。そして、シンプルに、武力による現状の変更は国連憲章違反、これでもう一言で終わってしまうという話でありますので、いかなることをしても、国連常任安保理理事国であるロシアがこのようなことに、行為に出るということの正当性はないということであります。  もっとその国連安保理ということで言うのならば、ロシアは国連安保理の常任理事国でありましたので、仮にロシアが主張するようなドンバスでの虐殺とかが行われていたのであれば、ロシアは国連安保理という場をフルに活用してその問題を国際的に提示すればよかったのですが、ロシアは全面侵略の前にはそれはほとんどせず、そして全面侵攻が行われた後に国連安保理の緊急会合を度々招集して自国の立場を説明しようとしていますけれども、これは国連の安保理の使い方としてもいかがなものであろうかというふうに考えます。  二点目なんですけれども、必ずしも国際法に則してというお答えにはならないかもしれませんけれども、日本の、復興が行われたときの日本の関わり方でございます。  まず、日本の支援との関わりからお話をさせていただきたいのですが、先生方に事前にお配りをさせていただきました、私が以前書かせていただいた日本の支援の実態ということ、これに絡めてお話をいたしますと、日本は今この戦争が行われている真っただ中においても大変に重要な支援をいたしており、それは例えば地雷除去支援というもの、これが大変重要であります。  ウクライナは現在、世界最大の地雷原になってしまいました。北海道と東北地区を合わせたよりも大きな面積に地雷が埋まっている状況で、これを取り除くためには十年とも二十年とも言われています。日本は、侵略が始まった以降から、始まって以降、この地雷の除去のための様々な機器を提供しており、そしてこれが非常にウクライナにおいては評価されていますけれども、何分その地雷原が余りにも大きいためにほとんど追い付かない状況であります。ですので、復興を考えるときにはやはりきれいな状態、安全な状態にしなければならないということを考えると、この地雷除去支援ということは日本の強みとしてどんどん行っていかなければならないというふうに、ならないのではないかというふうに考えます。  また、日本の場合、その軍事的な支援というのが非常に難しい。いろいろな議論が行われておりますけれども、なかなか軍事的な支援を直接的に行うことは大変難しいと思いますけれども、例えば司法外交というような、そういった手段もあろうかというふうに思います。  この司法外交は、例えばウクライナで様々に言われている汚職の問題に関して、その汚職の度合いをできるだけ少なくする、そしてG7の国だったりEUの国だったりの基準に近づけていくという必要があるわけですね。どんなに支援をしても、やはり汚職でそれが吸い取られてしまうようなことになると支援は有効性を持ちません。ですので、日本として、この司法外交の一環として、EUの加盟基準にできるだけウクライナが近づくような汚職撲滅を日本としても手伝っている。これは昔から、G7大使グループですとか、それから新たに始めて、戦争が始まってから新たに始まった司法外交の試みなどでこういったその汚職撲滅のための支援が行われているということなんですね。なので、こういったその日本の強み、日本外交の強みだったり日本の海外支援の強みだったりということを私はより生かしていく。  そして、それをどのように復興に結び付けていくのかということですけれども、やはりそういった社会的な立て直しと、元からある問題の立て直しと、戦争によって傷ついた社会の立て直しが今後はより連関してくるような状況になってくるかと思いますので、そういった形で日本が関わっていくのが私は非常に望ましいのではないかと考えております。

金子道仁日本維新の会

○金子道仁君 ありがとうございました。  もう一点お伺いしたいのは、EUの欧州再軍備計画に関してです。  EUという統合体、これが更に発展していく一つのきっかけに今回のことはなるんではないか、そのように考えておりますけれども、例えば今後、NATOとこのEUの軍事部門というんでしょうか、これどういうふうに関わっていくのか。そして、ウクライナとEUの関わり方、ウクライナはそのNATOに加盟するということを非常にロシア側からは警戒されていることですけれども、EUに加盟しつつ、徐々にこの軍事的なというか、集団的安全保障の傘の中に入っていく、そういったことも考えられるのかなと思うんですけれども、そのEUの今後の発展方向、そしてそれとウクライナの関係を、先生の知見を教えていただけますでしょうか。

東野篤子筑波大学教授

○公述人(東野篤子君) ありがとうございます。  EUの将来、それを軍事的な側面からということでございますけれども、今回のロシアによるウクライナ侵略は、やはりEUも自前で自分たちの身を守らなければならないという意識を非常に強くしました。この一環として、つい先日合意された八千億ユーロに至る欧州再軍備計画が生まれてきたということでございます。  先生のおっしゃるとおり、そのEUの方向性として、より軍事的にも自立した共同体、あるいは、同盟とまでは行かないまでも、そういったその協力体であるということを目指すことは論をまたないのではないかと思います。  今までも、EUとしてはNATOとの協力関係は進めておりました。例えば、EUの制度でベルリン・プラスということがございます。若干技術的にはなってしまいますけれども、有事が起きたときに必ずしもNATOが、つまりアメリカやカナダを含むNATOがヨーロッパの安全保障問題に関わりたくない事例がある、そのときにEUがNATOのアセットを使えるようなシステムがそのベルリン・プラスということになっております。  ただ、こういったものが決められていてもなかなか使いこなせなかったということが現状としてあります。また、EUも、共通外交・安全保障政策とか共通安全保障・防衛政策とか、そういったことがリスボン条約において認められているのですが、これが非軍事的な活動にほぼほぼ占められていたといった現状もございます。  ただ、これはなかなか、今のロシアによるウクライナ侵略というような現状を考える中で、もうずっと非軍事でNATOの後方支援をするようなEUで居続けていいのかという議論はフランスやベルギーなどを中心に行われているところでございますので、やはりこれをEUの中でどのように能力的に高めていくのかということは、方向性としては定められていると思いますけれども、なかなかそれがどのような方向になるのかということは、やはりNATOとの協力関係を進める方が効率なのか、あるいはEUで自前のものを持つ方がよいのかということで、やはり加盟国で見解が分かれている状況にはなります。  ウクライナの加盟問題なんですけれども、厳密にはEUの、ウクライナのEU加盟問題、ウクライナのNATO加盟問題というのは全くもって別トラックでございます。NATOの加盟問題を今ウクライナとしては求めている。それは、ロシアの再侵略がないように、あるいはあった場合にウクライナが自分の身を守れるように、北大西洋条約第五条に基づいてウクライナにも集団防衛を発動してもらいたいということなんですけれども、これがなかなかNATOのコンセンサスを得られていない。  NATOというのはコンセンサス方式を取っておりますので、一か国でも反対したら加盟が認められません。なので、今はそのNATOの加盟国においても反対する国が多いためになかなかこれが難しい。例えば、イタリアのメローニ首相は先日、NATOに入れなくても、ウクライナにNATOの第五条を発動することを考えてはどうかというような発言もありましたけれども、これもなかなか広い支持を得ているとは、得られないと思います。  一般論、あくまでも一般論でございますけれども、NATOの加盟の方が手続とか手順がよりEUよりも少ないわけですね。NATOの加盟が一旦招待されたならば一年、二年で済むということに対して、EUの場合は、例えば政治面、経済面、法律面、様々な基準を達成しなければならず、七年、八年、九年掛かったり、十年以上掛かったり、トルコに至っては何十年も加盟交渉している状態でございます。  ですので、やはりウクライナに関しても、ショートトラックという話もございますが、これもなかなかコンセンサスを得られない以上、NATOの加盟の方をむしろウクライナの意向としては優先し、EUの加盟をもう少し長期的にということでございます。  ただ、ウクライナ、今こういう状況にはありながらも、EU加盟基準を下げることは今EU側としては余り考えていないのも現状でございますので、やはりどうしても長期的なプロセスにはなろうかと私は見ております。

金子道仁日本維新の会

○金子道仁君 ありがとうございました。  まだまだお伺いしたいんですけれども、飯田公述人に聞く時間がなくなってしまうので、一点だけ教えていただければ。  資料の十二ページのところで、日本には太陽光を作る場所がないという空気づくり、これ、私もよく伺う、経産省の皆さんから伺う内容で、実際にもう日本には太陽光パネル置く場所がないということの中で、垂直ソーラー、これ、垂直ソーラーを高速道路の防護壁にこれを立てるなんて話も頓挫したなどと聞きますけれども、どのような方向性でこの議論ですね、日本には太陽光を作る場所がないという空気づくりを反論し立証していくのか、どこにこの太陽光パネルの今後の可能性があるのか、コスト面も考えて教えていただけますか。

飯田哲也特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長

○公述人(飯田哲也君) 御質問ありがとうございます。  実はこれ、今、右下は環境省のGISもつくったポテンシャル調査なんですが、この中に垂直ソーラーとか壁面ソーラーは入っていないんですね。農地もきちんと、まあざっくりとしか入っていないので、これは今環境省にも働きかけ、我々自身でも改めてGISを使ってどのくらいのポテンシャルがあるかというのを測ろうと思っています。  先ほど言われた垂直ソーラーは、別に高速道路だけではなくても、例えばドイツとかヨーロッパですね、家のフェンスに生け垣よりも安いということでDIYで皆さん付けたり、ベランダで付けたりとかされているわけです。その方が、安いだけじゃなくて、売電、売電じゃなくて自家消費で電気代が安くなるということで、もうDIYでみんなどんどん付け始めているんですね。  それがもう全部ポテンシャルになりますし、壁面となると、実はうちの顧問弁護士が新しく建てたビルは壁面にソーラーを付けたんですが、もう接着剤でぺたぺたと付けれるんですね。そういったものがこれからポテンシャルに入れると、土地の面積が狭いからできないというある種のドグマは大きく変わっていくんじゃないかというふうに私は思っております。

金子道仁日本維新の会

○金子道仁君 今日は貴重な御意見ありがとうございました。  以上で終わります。

伊藤孝恵国民民主党・新緑風会

○伊藤孝恵君 まず、東野公述人にお伺いしたいというふうに思います。  ロシアとウクライナ、二人の指導者は侵攻に際し国民に対照的な呼びかけをいたしました。  プーチン大統領は、侵攻を特別軍事作戦と呼んで、一般国民に影響はないというふうに当初印象付けようとしましたけれども、半年後に動員令に踏み切って、これは、あれは何だったんだ、あの発信は何だったんだと逆に反発を招きました。  片やゼレンスキー大統領は、侵攻直後自分で町に出て、自分のスマホで私はここにいますというふうに自撮りをした動画を投稿して、その後も大統領府前の公邸を背景にした映像や演説を配信し続け、そしてその様子は世界中に伝えられました。  昨今、ここにトランプ大統領というSNSを使うこの指導者が現れて、もう本当に親指一つ、投稿一つで世界中が混乱に陥る、そういったような状況がこれはなるのではないかというふうに危惧をしております。  この三人の指導者のSNSにおけるコミュニケーション、それらがもたらした又は今後もたらすであろう影響について、御所見があれば伺います。

東野篤子筑波大学教授

○公述人(東野篤子君) 伊藤先生、大変貴重な質問をどうもありがとうございました。  SNSということで申しますと、プーチン大統領はほとんど御自身でのSNSは使われません。非常に伝統的な形での記者会見ですとか声明ですとかというような演説ですね、イベント事のたびの演説というようなことで国民に訴えかけるということであります。なので、SNSの使用ということに関しては特段当てはまらないということでありますけれども。  ゼレンスキー大統領に関しては、もうツイッター、旧ツイッター、今のX、あるいはフェイスブックなども非常に広範な形でSNSを使い、そして自分の演説を必ずアップロードする。あるいは、毎日夜なんですけれども、今日はこういうことがあり、例えばどこどこの国のリーダーと話をした、それはこういう内容で、私たちはこういうことに関して理解を得たというような、日報的なそういった使い方をしているということですね。  また、これはゼレンスキー大統領のみならずウクライナ政府全体として、例えばどこかの国に行く、例えばアメリカに行ったりフランスに行ったりイギリスに行ったりすると、その紹介動画を作ると。で、この紹介動画が非常に有効な役割を果たしており、今ゼレンスキー大統領がどの国に行って、どういった人に会って、どういう話をしようとしているのかということが非常に効果的に発信をされているというふうに考えています。  ただ、恐らく、戦争のその一年目、二年目、三年目、経過するに従ってそのSNSの効果というものは様々に変化していたり、あるいは戦況の変化によってSNSで逆に発信することが痛々しかったり、その批判の対象になったりするということは確かにはございます。ただ、SNSの駆使ということに関してはやはり相当に気を遣って強化をしているということであったと思います。  トランプ大統領につきましては、今、Xではなくてトゥルースというような、そういったトランプ大統領の自前のSNSで様々な政策を発表している。あるいは、トランプ大統領だけではなく、そのトランプ大統領を取り巻くトランプ陣営の方々、それは大変にハイレベルな国務長官ですとか国防長官ですとか、などの皆さんもSNSを駆使しながらどのような発信をしていくのかということなんですけれども、非常に、一般の我々のSNSで使うような、何といいますか、非常にカジュアルな言葉なども使いながら、どういう考えであるのかということを訴えるということですよね。  なので、度々、これは一国のリーダーが出す言葉なのかということ、若干驚くような側面もよくございますけれども、やはりそこは分かりやすさとか、それから本当に短い言葉で人々に伝える、伝わる、そういった言葉を意識しながらのSNS発信となっているということで、それはそれなりにトランプ政権のその戦略であり工夫であるというふうにみなしております。  それがどのような国際的な見られ方をしているのか、どのようなイメージをつくっているのか、それがプラスなのかマイナスなのかということに関しては意見の分かれるところもありましょうが、しかし、あくまでもトランプ政権としてはそういった、もうこれは明確な方針に基づいてやっているのだというふうに理解をしております。

伊藤孝恵国民民主党・新緑風会

○伊藤孝恵君 今御質問したのは、やっぱり為政者、政治の側というのが国民に何かを発するときに、記者会見を通じてなりこういったメディアを通じてではなくて、ワンとワン、ワン・ワンでつながるというようなものは、戦時下のみならず、災害時の情報提供やそのメッセージというものについて日本が学ぶべきところがあるのだろうかという課題感に基づいて質問させていただきました。  ただ一方で、例えばゼレンスキー大統領がウクライナ国民に、皆さん、武器を置いて投降するようにというような呼びかけをしたディープフェイク、AIを使ったその偽物の動画等もこれは大変出回っておりました。不幸なことに、こういったソーシャルメディアというものが、物語としての魅力や物語としての真意が不確実であればあるほど、それらが真実を凌駕してこれは流通してしまうというような側面もあります。誰もがスマホで世界中に発信をできる時代になって初めて起こったこれは戦争であるからして、いろいろな衝撃的な映像が、そういったものが私たちの目にも届いてきた、そういったものだったというふうに思います。  これら世界を大きく分断する情報戦を、ワー・オン・フェイク、フェイクとの戦いですとか、武器化したSNSなどというふうに表現される識者もいらっしゃいます。日本とて、昨今のいろいろな選挙戦を通じた、真実はどこなんだ、マスメディアの中に真実はない、真実はSNSやユーチューブの中にあるというふうに本当に信じて、そこがコンフリクトになるようなその状況も見ていると、今回このウクライナにおいてこういったフェイク動画が出回ったときに、これらをファクトチェックする機能というのはあったのか、果たしてそれは、今後ファクトチェックというのはどういったところが担うべきなのかというところについて御所見伺います。

東野篤子筑波大学教授

○公述人(東野篤子君) 大変貴重な質問をありがとうございます。  まさに、このSNSがどのように使われるのかということと、SNSがどのように悪用されるのか、あるいは捏造されるのかということに関して、ロシアによるウクライナ侵略は多くの示唆を与えてくれるというふうに私は考えています。  例えば、プーチン大統領がこのようなことを言ったというようなフェイク画像も出てきたら、それに対抗するかのようにゼレンスキー大統領が、御指摘のとおり、言ってもいないことをさも言ったかのように口の動きもぴったりと合わせて、そういった画像が出てくるということもありますので、この戦争はもうしょっぱなから情報戦だったり認知戦だったりというような側面が非常に強いというふうに考えております。  こういったフェイクをどのように見破るのかということに関して、ウクライナの中で元々そこに対して、そのフェイクを見破るためのツールですとか、そのための強力な組織体があったということではなく、戦争のプロセスにおいて徐々に強化されていったという側面はあります。  ただ、これはやはり日進月歩でありますので、対策をすればそれに対して反対に対策をされてしまうというようなこともあり、なかなか完璧を期すことはできないのですが、私の専門としているヨーロッパでいうと、ディスインフォEUという、例えばこういった組織、欧州委員会の中で立ち上げました。例えばゼレンスキー大統領がどこどこに別荘を買ったですとか、ゼレンスキー大統領の夫人がどこで物すごいショッピングをしていたとかですね、そういった偽情報はいつも至る所に出てくるわけですけれども、そういったウクライナに関する、あるいはヨーロッパに関する偽情報が出てきたときに欧州委員会が主導する形で、これはこのような形で偽情報だということが分かっていますということをSNS上で発信しています。なので、ウクライナのみならず、ウクライナを支援するEUとしても、こういった偽情報の対策には乗り出しているということなんです。  ただ、私はいつもそのEUディスインフォというサイトも必ずチェックをして見ているんですけど、いま一つアクセス数が伸び悩んでいるのではないかということがあります。つまり、お上がやっているファクトチェックなどはなかなか人々の目に留まりにくいといいますか、そこを丁寧にチェックするのはもしかしたら一部の限られた人かもしれず、学者や研究者に限られるのかもしれず、あるいは当局者に限られるのかもしれません。  なので、これをどのように普及させていき、ファクトチェックをデイリーなものとして社会に受け入れさせるのかということは大きな課題だということで、まだウクライナ、EUはそこを乗り越えているわけではないというふうに考えています。今後の課題として、私も勉強させていただきたいと思います。ありがとうございます。

伊藤孝恵国民民主党・新緑風会

○伊藤孝恵君 続いて、飯田公述人にお伺いをいたします。  中国、欧州、米国はもとより、EV新興国と言われた国々でも昨今急激にEV化が進んでおります。企業による投資のみならず、そこには政策的な支援、政府の意思が反映しております。  顕著だったのは、二十五ページの資料にもございますけれども、コロナ禍、世界中でステイホームをしている中でも中国や欧州のEV車の販売は絶好調だったと。そして、それは政府による購入支援があったからだというふうにも読んだことがあります。  一九年のデロイトトーマツの調査だと、EV認知率は七〇%、理解、好意は二六%、しかし、アクションは一%。まあ言わずもがなですけれども、知っていて、認知があって、理解、好意があって、そしてアクションにつながるわけですから、これ、じゃ、認知の発射台を上げるか、それぞれの離脱、この率を最小化するかしか最終的なアクションを最大化する手がありません。  そういう部分では、日本においてはこの認知、EVについての認知や理解、好意よりも、ここのアクションまでの著しい離脱、ここが課題なんではないかと思う中で、一番簡単なのは、じゃ、購入支援なのかというふうに思いますけれども、諸外国はどういった事例でアクション最大化に向き合っているのか、教えてください。

飯田哲也特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長

○公述人(飯田哲也君) 御質問ありがとうございます。  ちょうど二十五ページと二十六ページをちょっと御説明できませんでしたので、大変参考になります。時間を使わせていただくことができて、ありがとうございます。  マクロというか、大きな視点でいうと、電気自動車がいかにこうやって普及してきたのかというのは、まず最初は環境ドリブン、中国もアメリカもヨーロッパも、そして日本もエネルギーと環境の観点から電気自動車を普及させましょうという規制を導入しました。  それがじわじわと、例えば日産、日本はまさにこの現代の電気自動車では一番パイオニアで日産、三菱が最初に出して、そのまま突っ走れればよかったんですが、ずうっとその間低い、日本だけじゃなく世界全体がまだ低い状況で、そこに出てきたのがテスラです。  二〇一七年辺りから、私はそれを技術ドリブンと言っているんですが、テスラは、この二〇一七年という年はテスラのモデル3、いわゆる普及型の、高級車ですけど普及型が出てきて、日産、日本が、日本だけじゃなくてドイツもそうですが、造ってきた電気自動車、いわゆるパワートレーンを電動化したものと、テスラはそれに加えてソフトウェア、いわゆるiPhoneのようなものを作り、非常に使いやすい電気自動車にした。  それがその次で、実は二〇二〇年から中国ドリブンです。実はテスラが上海工場を造って、中国の自動車メーカーがみんなテスラをまねし始めました。今、一部もうテスラを追い越し始めているという、この三つが重なって、もちろんアメリカも今補助金出している、日本も補助金出している。日本では、東京都は上乗せ補助金出しているので、日本全体ではEVの普及率三%ですが、東京だけは八%に今達していますので、東京は物すごく発射台が高いと。  ヨーロッパは、ドイツが補助金止めた瞬間にがくっと落ちました。おととしの十一月ですね。だから、去年一年間ずっと低迷しまして、今ようやく復活をし始めているというような感じで、補助金が大きいのと。やっぱり選好が、御指摘のとおりで選好が起きて、ボストンコンサルティングが最近、中国とアメリカとヨーロッパ、日本は入っていないんですが、中国人は新しいテスラと中国メーカーを買う人が六、七割で買いたい、アメリカとヨーロッパは既存のオーソドックスな、日本だったらトヨタ、フォルクスワーゲン、それを買いたいという人が多いという、そのやっぱり消費者の選好がすごく違っているというのがあって、今年我々も日本の消費者調査をしようかなと思っていて、今東京都とかと一緒に。  もう一つは、重大インフラを……

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 公述人、大変申し訳ないんですけど、時間、ちょっとまとめてもらえますか。

飯田哲也特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長

○公述人(飯田哲也君) はい。  重大インフラを整えていくという自治体の役割も大きいですし、何といってもやっぱり国のリーダーシップと、やっぱり日本の産業の要ですから、自動車産業、是非、これは超党派で是非支えていただけるといいかなと思っております。

伊藤孝恵国民民主党・新緑風会

○伊藤孝恵君 終わります。

山添拓日本共産党

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  本日は大変貴重なお話をありがとうございます。  東野公述人にまず伺います。  米国とウクライナの昨日の共同声明は、米国が提案した三十日間の停戦をウクライナが受け入れることと引換えに米国が軍事支援を再開するというものです。一方、ロシアの側は、西部クルスク州からウクライナ軍が撤退しない限り停戦協議には応じない、そういう条件を米側に示しているとも報じられました。これではロシアの侵略を容認することになってしまいます。仮に停戦が今後実現したとして、それと同時ではないとしても、国連総会が繰り返し決議をしてきた公正な和平を曖昧にするべきではないと思います。  公正な和平を実現する上で、今国際社会がどういう対応を取るべきだとお考えでしょうか。

東野篤子筑波大学教授

○公述人(東野篤子君) 山添先生、大変貴重な質問をどうもありがとうございます。  おっしゃるとおり、プーチン大統領は、クルスクからのウクライナ軍の撤退を要求するのと加えて、より大事なこととして、恐らくここはプーチン大統領としては変わっていないのではないかと思いますけど、今の段階では変わっていないのではないかと思いますが、東部、南部四州からウクライナ軍が軍を引く、これが交渉開始の条件であるということなんですね。なので、停戦の条件ではなくて開始の条件ですから、なかなかにウクライナとしては受け入れ難い。そういった条件というのを明示的には緩めていないということですね。  なので、ここにおいて停戦交渉が本当に始まり得るのかとか、先日の海、山、ごめんなさい、海と空とそれから地上とエネルギーインフラのその停戦ということに果たしてたどり着く状況になるのかということ、ここがまず一番に危ぶまれるわけであります。  国際社会にとって公正な平和をどのように実現していくのがよいのかという御質問ですけれども、まずはこの公正な平和とは何かということを考える、そこを十分に意識するということです。公正な平和という言葉自体が余り強調されず、ともすれば、ウクライナが妥協して例えばロシアによる占領を受け入れれば戦争が終わるのだからウクライナはそうすべきであるというような、そういった議論がありますけれども、仮にその軍事的な意味合いにおいてウクライナが全ての領土を奪還することが現状では難しいとしても、それはロシアによる不法な占領であるということを常に強調しておく必要がある。そして、それはウクライナが外交による奪還を始めたならば、それを全力で支援をするということにほかならないのではないかというふうに思います。  やはり先ほどの冒頭でもお話をさせていただいたように、やはりその占領を受け入れるとか、それから領土の割譲を受け入れるとかということが、やはり回り回って自分たちのよって立っている秩序を脅かす、平和な社会を脅かすということに関してやはり我々が敏感で居続けることが、この問題に対する公正さ、どの程度公正な平和を達成することができるのかということの解にも近づいてくると思います。  また、直近の問題として、ウクライナがずっと恐れていたこととして、ロシアによる再侵略は何度も行われてきたということをやはり肝に銘じる必要があるために、余り停戦のそのハードルを下げ過ぎない方がいいということも重要なのではないかというふうに思います。

山添拓日本共産党

○山添拓君 ありがとうございます。  国際秩序を傷つけてきたことについて正当に評価をし、その批判は続けなければならないと思います。  加えて、もう一問伺います。  先日、核兵器禁止条約の第三回締約国会議が行われました。ここでは、核廃絶が世界の安全保障と人類の生存に不可欠という政治宣言を採択しました。この核抑止論を、人道的アプローチにとどまらず、安全保障政策上も強く批判したのが特徴と言えるかと思います。  核保有国であるロシアが核を使うという脅しを背景に、ウクライナ侵略を続けてきました。そこで、核兵器による抑止力は、逆説的ですが、働いていないと、そういう指摘がされてきました。また、これトランプ氏の対応が直接の契機ではありますけれども、マクロン大統領がフランスの核の拡大抑止を主張しています。むしろ核軍拡につながりかねない、そういう現実があるかと思います。この点についてはどのようにお考えでしょうか。

東野篤子筑波大学教授

○公述人(東野篤子君) 再び核の問題、大変貴重な、重要な問題であろうかというふうに思います。  現在のマクロン大統領の核の傘をヨーロッパレベルに広げていくという考え方、これをフランスとイギリスとの間で協調しながらやっていくということに関しては、おっしゃるとおり、一見その核の拡大のように、あるいは核戦力の増大のように見えるかもしれませんけれども、現状で今何が一番大事なのかといいますと、とにかくロシアに核を使わせないことということでございます。ですので、こちらはもう、お聞きの猪口邦子先生が大変な専門でございますけれども、やはり今ロシアが使うという脅しを掛けているその状況をヨーロッパで協力して止めていく、使わせないことに注力するということが今一番大事なことでございます。  この使わせないということを守らない以上、核の廃絶ということもあり得ない。まずは、使わせないことを確実にしていく。その次の段階として、使わせないことが確証できたならば、あるいは確証というのはちょっと難しい言葉でして、いや、なかなか確証も得られないのですが、使わせないということがある程度観察できる段階に入ったら、その時点で初めて核廃絶ということを目指していけるのだと今思います。  なので、今回のそのマクロン大統領の発言に対して日本国内で、唯一の被爆国である日本国内において様々な反応、否定的な反応があることはよく承知をしておりますけれども、今の段階でとても大事なのは、とにかく使わせないために国際社会がどのように協力できるのかということでございます。

山添拓日本共産党

○山添拓君 ありがとうございます。  続いて、飯田公述人に伺いたいと思います。  トランプ大統領がパリ協定からの離脱を表明しました。石破総理に国会などで聞きますと、日米首脳会談では時間がなかったとおっしゃって議題にはしなかったということでしたが、先ほど、それによる再エネの普及促進についてはアメリカの国内の対応変わらないんではないかという意見陳述をいただきましたが、こうした米国の動きに対して国際社会あるいは国際政治に求められる対応について御意見を伺えればと思います。

飯田哲也特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長

○公述人(飯田哲也君) 気候危機は本当に人類に差し迫った危機で、日本も全力で立ち向かわないといけないんですけれども、これも先ほどの電気自動車にちょっと似ていて、二〇一〇年頃までの気候は政策ドリブンで、各国で枠を決めて何とかそれで、キャップ・アンド・トレードとかで炭素税を入れてとにかく減らしましょうということで、特に途上国とかは、いや、先進国は先に使って成長してひきょうじゃないかとか、あるいはアメリカ、日本とか、当時は要はそれに入らない国々がそれに離脱をするとか、そういう時代が十年ちょっと前までありました。  この十年、まさにこの自然エネルギー、再エネがその状況をがくっと変えて、再エネドリブンに変わったわけですね。つまり、再エネ、さらに蓄電池、電気自動車にどんどんシフトしていけば、これは途上国も含めて経済メリットがあり、エネルギーも、つまり、気候はある意味、極端な話おまけで、エネルギーが自立できて自給できて、しかも経済的に豊かになって、そしておまけにCO2も減るという、そちらのシフトにどんどんドリブンしていったということがあるので、もちろんきちんと、まさに今の公正な平和じゃないですけど、公正な削減で、平等だが差異ある責任というのを、しっかり責任、先進国と途上国でやっていく必要はあるという意味でCOPの枠組みは非常に重要なんですけれども。  同時に、例えばアメリカでいうと、もう州レベルでどんどん進んでいます。それこそ、トランプの本拠地のテキサスがアメリカでは再エネが一番進んでいるので、これ連邦の政策がどうなろうとテキサスは進んでいくわけです。あるいは、カリフォルニアとかですね。これはもう、だからブルーステートもレッドステートも関係なくどんどん進んでいく。それはある種の経済原理ですし、経済原理が機能するところに来たというところが非常に面白い。  しかも、電気自動車は、それこそ昨日、トランプがテスラのテスラカーを買って、IRAという一台当たり一万ぐらいの補助金出ているんですが、もしそれがなくなっても、電気自動車の価格が今急激に安くなっているのでもうほとんど関係なくなってくるというような形で、ちょうどタイミングがその政策ドリブンからテクノロジードリブン、特に再エネ、蓄電池、電気自動車に今変わりつつあるというところの中でいかにフェアに国際的にやっていくのかという、若干多分シフト、論点はシフトしていく時代に入ってきたのかなと思っています。

山添拓日本共産党

○山添拓君 ありがとうございます。  そうした経済原理に基づくエネルギーのモードチェンジという問題と言わば逆行して、真っ向から逆行しているのが日本の原子力政策の問題ではないかと思います。七次のエネルギー基本計画で最大限活用と鮮明にしました。  お配りいただいた資料の二十一ページには、「原子力という「病」と「沼」」というタイトルのスライドがありまして、ここは公述人が魂を込めて作られたんではないかと思いますので、是非御意見を伺いたいと思います。

飯田哲也特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長

○公述人(飯田哲也君) お時間いただいて、ありがとうございます。  中身に、私は、元々私、原子力をやっておりましたし、原子力の技術は大体分かっている自負もありますし、この原子力を外から見ている。ただ、今日は中身には余り入りません。  ただ、やっぱり福島第一原発事故という、もうあわやこの国の、少なくとも東日本が崩壊するかもしれないという経験をして、で、今、今日、まさに三日前が、二日前ですね、二日前がもう十四年目、あの事故の日からですね。  本来きちんと、賢者は歴史に学ぶというかですね、という観点からいうと、やはりそこをきちんと学ぶべきだったのですが、ここにもちょっと、どこかに書いたんですが、当時の、やはり政権交代があって、安倍政権とそこに入った経産省の方、そしてその後の岸田政権と経産省の方がかなり政策をある意味ショックドクトリン的にゆがめてしまった要素があって、例えばここに書いた論点というのは一個一個話すとこれだけでもう何日も掛かるわけですけれども、政府全体がもう極論の一方に完全に立っていて、フェアな公論が全くなされない、国会でもなされない、政府はましてやなされないと。そういう状況というのは非常に今不健全だと思います。  当時あった原子力の国会調査委員会的な場を改めて国会に設けてしっかりと、賛成があっても私はいいと思うし、でも批判的な議論、そして科学に基づいた議論を丹念に繰り返す。まずは公論の場をつくるということをしないと、これは本当に将来世代にもう取り返しが付かない。あの福島の事故って、四十年、あと残り三十年でできると思っている人がどれだけいるかと。私は、少なくとも専門家であればあるほど一人もいないと思いますよ。  そういうことがきちんと議論されないというのは非常におかしな状況で、戦後、敗戦の後、今年八十年ですが、それに照らすと、恐らく今は昭和、あれが、福島原発事故が昭和二十年だとすると、今は昭和三十年ぐらいです。そこからきちんとした当時は高度成長ができたわけです。でも、公害があったと。  それを振り返ると、やっぱり今からでも歴史を振り返ってきちんとボタンの掛け違いを正すときが、一日も早くやっていった方が、それは国会議員の先生方の責任でもあるし、我々一人一人の市民の責任でもあるというふうに考えております。

山添拓日本共産党

○山添拓君 ありがとうございます。参考になりました。  終わります。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 れいわ新選組、大島九州男でございます。  まず最初に、飯田公述人に、歴史に学ぶということで、日本は唯一の被爆国でありながら、もう非常にこの原発の関係について、平和利用そしてまた発電、これは事故がなければ本当に何てことはない、よかったのかもしれないけど、こういう結果が起こったと。で、また被曝したと。気付けよ気付けよと、もう本当にそういう歴史から学べよと言われているのに、まさにその学びがないんだと。  私は個人的には、原発は大企業の仕事であって、この再生可能エネルギー、特に小水力であったり地熱、そしてまた風力、これは中小企業の仕事になると。まさに、そういった産業の中小企業の応援のためにも原発はやるべきではないという、そういう考え方を持っていて、飯田公述人は、再生可能エネルギー、これをメインにしていくことがいいことだというふうに私は受け取らせていただいたんですけれども、まさにその企業の視点でいう大企業、中小企業というと、私は再生可能エネルギーは中小企業の応援になるという認識があるんですが、そこら辺の考えを。

飯田哲也特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長

○公述人(飯田哲也君) 貴重な御質問ありがとうございます。  私自身は、実は大企業と中小企業で、原子力は大企業で再エネが中小企業というふうな二つでは考えておりません。むしろ、再生可能エネルギーは、それこそ洋上風力に関しては、これまで風力ほとんど手を出して、ほとんどというか、まず全く手を出してこなかった旧大手電力会社と、日本が世界に代表するような大手商社がもうこぞって入ってきています。  でも、それが一旦例えば地域に、地域というか、建設が始まると、サプライチェーンがずらっとできて、まあ風力発電よく言われるんですが、自動車と同じぐらい二万点の部品がありますと。もちろん、日本ガイシさんのようなもう世界中で使われている最先端のベアリングもあれば、地域の本当に土木工事のようなところまで、隅々まで経済は行き渡るという意味でも中小企業ですし、一方で、再エネというのは、特に太陽光はスケーラブルというか、要は大きなもの、超巨大な太陽光から、もう自宅の屋根に付ける、あるいは日曜大工で、先ほどのベランダで付ける太陽光のようなもう個人でできるような工事まであるという意味では、これはもう地域の人たちが自分で仕事をつくっていけると。  だから、基本は再生可能エネルギーは地産地消で、よくエネルギーの地産地消で、結果としてお金の地産地消、さらに最近私は仕事の地産地消と、仕事も地域の中で自分の力でつくっていくと。それに最もふさわしいのは再エネだけど、一方で大企業もちゃんとその中であり、大企業は結局中小企業のサプライチェーンに依存しないといけないという意味では、再生可能エネルギーって非常に日本経済の毛細血管の隅々まで温かくしてくれる、非常にいい仕事がつくれる仕事じゃないかなと考えております。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 私のうちは小さい鉄工所をやっておりましたんで、直方には石橋製作所といってナセルの専門の会社があるんですね。まさに二万点ぐらい、鍛造から機械から組立てと、本当に中小企業がこぞって仕事ができる。  こういったものを今回また、それこそ洋上風力で大型化するやつも当然あるんですけれども、それこそ九大の大屋先生という先生が小さい風力やっていますよね。あれを組み合わせて海の上に載せて、魚礁であったりとか、要は漁業の関係の人たちとの兼ね合いがあるんで、だから私の発想としては、魚礁をつくると、そこにそういう風力の小さいやつを付けて、そして自家発電をやっていくと。  まあ環境省なんかがそういった部分をフォローするような仕組みもあるみたいなんですけれども、そうやってエネルギーの地産地消、そういうものをしっかりやっていくというものはすごく大事になると思うので、自動車の関係を一生懸命おっしゃっていましたけれども、是非公述人、これからはそういった中小のサプライチェーンで頑張れる、小さい鉄工所とかが元気になるような発信をどんどんしていただきたいと思うんですが、どうですか。

飯田哲也特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所所長

○公述人(飯田哲也君) どうも御質問ありがとうございます。  まさに、私どもはもう、うちの研究所ができて二十四年ですけれども、地域のエネルギーの地産地消を支える仕事をずうっとやってきておりますので、自分たちで仕事がつくれるようになると、そこから持続していくんですね。  一番最初につくったのは、長野県飯田市のおひさま進歩エネルギーです。最初はたった一人で、うちの研究所の人間が五、六人行ってずっと泊まりがけで、だんだん、もう今は二十数名なんですが、飯田信用金庫さんが全部融資をしますよと。で、発注するのも地元の工務店や電気工事屋さん、仕事もお金もまさに地域の中で循環している形で、今それを、長野県もそれを見本にして広げようというような、そういうモデルを日本全国にこれから広げていく、そういう仕組みが必要で、環境省さんも、じゃ、それを支えるのを中間支援組織、エネルギーの地産地消を支えていく中間支援組織を日本中に、プロフェッショナルをつくっていくとそれがまた日本中に広がっていくというようなことも私やらせていただいておりますので、是非いろんな形でまた今後ともいろいろアドバイスや御支援いただけると有り難いと思います。  ありがとうございました。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 そうですね、そうやってそこからどんどんどんどんそれが広がっていく。これが全国に広がって、また全世界に広がって、その結果CO2が減っていくというね、非常に共感するお話をいただきましてありがとうございました。  それでは、東野公述人、ヨーロッパでは脱アメリカが進んでいるというお話がありましたが、これはトランプ政権だからなのかとか、そういうことではなくて、もう流れはそうなのよというような状況なのか、そこら辺をちょっと教えていただけますか。

東野篤子筑波大学教授

○公述人(東野篤子君) 大島先生、大変貴重な質問どうもありがとうございます。  やはりトランプ政権の成立による現象だと見てよいのではないかと思っています。というのは、バイデン政権下においてはヨーロッパとアメリカとの関係というのはこれまでになく良かった、波乱が全くなかったということですね。それは、ウクライナへの支援の仕方ですとか、それ以外の様々な米欧関係そのものについての在り方などに関して、細部に関して意見が異なることは多々ございました。ただ、大きな方向性ですとか、どのようにウクライナを支えていき、どのようにロシアと立ち向かっていくのかということに関して大きな方針のぶれとか考え方のぶれはなかったわけですけれども。  トランプ政権においては、何かこう考え方がぶれているということよりかは、トランプ政権が一体何を考え、どのような行動をするのかがシンプルに分からないということと、それから、今までNATOを通じたその同盟関係があり、集団防衛システムがあって、それで盤石にヨーロッパが守られるというその前提に立っていたのですが、その前提がどうやら揺らいでいるというような状況の中で、そのヨーロッパがアメリカと必ずしも対立するわけではないですけれども、アメリカがもしいなくなっても、あるいは全くヨーロッパの方を向いてくれなくなっても自分たちの力で何とかサバイブできるようにその体制を整えるということで脱アメリカが進んでいる、脱アメリカ化といいましょうかね、が進んでいるということでございます。  ですので、非常に新しい現象であり、これはかつて共和党政権がアメリカに成立したときでもここまでの脱アメリカ化が進んだかというと、そうではないということですね。なので、非常に新しく、ヨーロッパとアメリカの歴史において特異な状況ではあるかと思います。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 ということは、ヨーロッパがそういうことであるというならば、日本もそれはちょっと考えないといけませんよねと。  公述人が、日本が取るべき対策というか、今後の何か示唆がありましたら教えてください。

東野篤子筑波大学教授

○公述人(東野篤子君) ありがとうございます。  常にやはり日本の問題に引き付けて考えていこうと思うんですけれども、トランプ大統領は先日も、日米安保条約というのは片務的であると、アメリカは日本を守る義務があるけれども、日本はアメリカを守る義務がないというようなことをおっしゃいました。非常に我々としては背筋の寒くなるような、アメリカとしてその日米安保条約をどのように考えているのかということを疑問視せざるを得ないような、懸念せざるを得ないような御発言だったと思いますけれども、これは必ずしもアメリカが絶対に日本を守らないということではないと思います。  なので、トランプ政権あるいはトランプ大統領御本人の発言に一喜一憂する必要は私はないとは思っていますけれども、しかしこういった発言があった以上は、プランB、プランC、プランDというのがやはり必要なのではないかというふうに考えています。  その場合に、やはりウクライナの件から示唆を得ることが何かできるとすると、ウクライナの場合はどうしてこの三年間にわたって今まで戦えたのかというと、やはりウクライナだけでは戦えなかった。アメリカから、先ほどの冒頭にも話したように、多額の軍事支援、非軍事支援があったのに加えて、ヨーロッパ諸国が非常に強くウクライナを支えたということなんですね。  なので、ウクライナにとってはアメリカとの関係が非常に重要だったので、しかし、アメリカだけにベットすることなく、ヨーロッパとの関係も大事にしていたために、アメリカが多少支援が揺らぐ、例えばバイデン政権期も支援が六か月にわたって停止するというような状況があったときに、ヨーロッパが次々といろんなアイデアを出しながら手を差し伸べていくということがありました。  ですので、日本の安全保障を考えるときに、単一ではない複数のパートナーと連携ができる、あるいは助ける助けられる関係を構築するということが非常に大事なんだということをウクライナのケースは示唆しているように思います。  そのことに関して言えば、やはりヨーロッパとの連携を日本は真剣に考えるべきではないか。例えば、日本とEUとの間では経済連携協定ですとか戦略パートナーシップ協定などがありますが、これが十分に生かされているかどうかということをやはり考えた方がよいかと思いますし、日本とNATOとの関係も、とかく日本にNATO事務局をつくるとなると中国の反対などによってそれが実現しなかったりなどといって、なかなかこの日本とヨーロッパの関係構築、簡単なようでいてなかなか進まない部分もあります。  ただ、ウクライナのケースに見るように、助け助けられる、助けて助けられる関係がどれだけあるかということはやはり国の命運を分ける話でもあろうかと思います。なので、情けは人のためならずと申しますか、日本がウクライナ支援をし、それを通じてヨーロッパとも連携をするということは、日本がヨーロッパの有事に対して協力をして、その安定化だったりその危機を脱するために大きな手助けをしているということなんですね。  必ずしも見返りを求めるという話ではございませんけれども、それを続けていくことによって、日本が東アジアの有事に立ち向かわなければならなくなったときに、もしかしたらアメリカが助けてくれるかも、くれないかもしれないという状況の中で、ぶれないパートナーはどこかと考えたときに、やはりヨーロッパというのは一つ有力な候補なのではないかと思います。  この戦争をきっかけに、あるいはトランプ政権の成立をきっかけに、日本はヨーロッパとの連携を強めていくべきではないだろうかと私は考えています。

大島九州男れいわ新選組

○大島九州男君 ありがとうございました。  しっかり勉強させていただきます。ありがとうございます。終わります。

鶴保庸介自由民主党

○委員長(鶴保庸介君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。  この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げたいと思います。  本日は、有意義な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。個人的にはちょっと時間が足りなかったですね。本当にありがとうございました。今後の我々の予算の審議の糧にさせていただきたいと思います。  本日はどうもありがとうございました。(拍手)  これをもって公聴会を散会いたします。    午後四時二分散会

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