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217回国会参議院2025/05/15

法務委員会 第9号

発言数
227
登壇者
18
会派数
8
開催日
2025/05/15

会議録

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省刑事局長森本宏君外六名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 おはようございます。古庄です。  今までもかなり質問が出ていまして、重複するところがあるかと思いますけれども、御容赦ください。また、今日も主に森本局長の方にお伺いしたいと思います。  今回の電磁的記録提供命令、これ、今までこういう提供命令という形での処分、これはなかったと思うんです。今までは差押えと、あと任意提出。任意提出というのは、相手方に任意で出してくださいよということ、それに対して差押えというのは、もういきなり有無を言わさず裁判所の令状をもって押さえてしまうというやり方なんですが、今回の提供命令というのは、裁判所の令状は持っていくんだけど、提供しなさいという形で持っていくわけで、ある意味その中間形態みたいな形になろうかと思うんです。  それで、今回、こういうふうな新しい形の処分、これを導入したその必要性、それと、今までの差押えとか捜査関係事項照会などによっては対処し切れない点があったのかどうか、その点について検察庁の考えを、法務省か、法務省の考えを教えてください。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) お答えいたします。  まず、捜査関係事項照会、先生今おっしゃられた捜査関係事項照会につきましては、裁判官の令状に基づく強制処分ではなく、報告を求められた公務所、団体は原則として報告すべき義務を負うこととなるものの、これを直接的に強制する方法はないということから、相手方の協力が得られない場合にはこれにより捜査目的を達成することが困難であるという事情がございました。現に、時代の変遷とともに、捜査関係事項照会には応じませんという業者が増えてきているのが実情でございます。  また、現行の差押えと、それから、先生が今言及なさらなかった範囲で今回廃止することとしております記録命令付差押えというものが電磁的記録提供命令に近い性質を有しておるんですが、この現行の差押えあるいは記録命令付差押え、いずれにつきましても、処分者が被処分者の下に赴いて記録媒体を差し押さえる必要があるため、処分者側、被処分者側その双方に相応の負担が生じている上、電磁的記録がクラウドサーバーに保存されている場合など、実務上、記録媒体の差押えが困難な場合もあるところでございます。これまでの差押え等については有体物を前提としていて、記録媒体の差押えが必要だったんですが、そういうものが困難だという事情もございます。  本法律案においては、こうした事情に対応するために、今言及いたしました記録命令付差押えを廃止する形で電磁的記録提供命令を創設することとしたものでございます。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 次の質問はもう省略いたします。  前回の続きなんですけれども、提出命令が出されたこと、あるいは提出したことについて、それを黙っておきなさいよと、いわゆる口止めを求める、そういう条項ができているんですけれども、これについては、これまでの押収など、あるいは差押えなどの場合に、こういう口止めをするという条項はあったんでしょうか、なかったんでしょうか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 現行の刑事訴訟法上、捜査機関が差押え等の強制処分により証拠物を押収した場合に、被処分者に対し、当該処分が実施された事実を第三者に漏らしてはならないことを命ずる旨の規定は設けられておりません。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 それで、この点について、五月八日の参考人の質問をしたときに、法制審議会のメンバーであった成瀬参考人がこういうふうに言っているんですね。  今回の電磁的記録提供命令というのは、むしろその現場に対する捜索差押えを行うよりも更に前の段階で、事前にある程度情報を把握しておきたいという場面でも用いられ得るものですから、そのような段階で情報主体に提供命令が発令されたことが伝わるという事態を避ける必要性がより高いというふうに考えられると、こういうふうに成瀬さんは言っているわけですわ。  これ、どういうことかというと、通常の捜索差押えよりも前の段階でやって、提供された情報に基づいて更に突っ込んだ捜索差押えをやっていくんだと、こういう趣旨だと思うんですが、そうすると、捜索差押えをやるには、罪証隠滅、逃亡のおそれという、こういう要件が必要ですよね。それについて裁判所が判断して令状発付すると、そういう仕組みになっておりますが、それよりも前の段階ということは、裁判所が令状発付する要件である証拠隠滅、逃亡のおそれというのは、捜索差押えを認める場合のその罪証隠滅、逃亡のおそれよりももっと緩い罪証隠滅、逃亡のおそれでも足りると、そういう理解でいいのかどうかということを検察庁はどういうふうに考えているのか、その辺りを教えてください。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) お答えいたします。  差押えとそれから電磁的記録提供命令を発付する際に、裁判官が疎明資料を見てその必要性が認められるかどうかということを判断して、命令を出すかどうかということを決めるということになるわけですが、そこの要件に違いは設けておりませんので、そういう意味では、法律上の要件としては差押えが行われるのと同様の基本的にはその疎明がなされることが必要であるというふうに思っております。  他方で、参考人がおっしゃったこと、済みません、参考人に確認していないので、実務的な感覚からどういうことが想定されるかと申しますと、捜索差押えを実施するというときにも、二通りあると思います。  一つ目は、被疑者の関係先そのものに行く場合ということと、それから被疑者ではないところに行くという場合があると思いますけれども、被疑者のところに赴くという一般的な捜索差押えの場合には、そのことによって被疑者自身が自分自身に強制捜査、俗な言い方をしますと、強制捜査の手が及んでいるということが分かるわけです。それでもなお、証拠保全の必要性から、被疑者に捜査が及んでいることを知られ、その上で、そのことによってほかのところに例えば点在しているような証拠が隠滅されるおそれがあったとしてもなお、この段階で被疑者の、例えば被疑者宅に捜索に入る必要があるかどうかというようなことを捜査機関としては検討することとなります。  それに対して、電磁的記録提供命令の場合には、幾つかの段階がございますので一概には言えないところはございますけれども、そういった意味では、電磁的記録提供命令を行ったこと自体、あるいは秘密保持命令を掛けるかどうかにもよりますけれども、そのこと自体で直接被疑者のところに赴くという捜査とは異なりますので、被疑者側に捜査がどこまで進んでいるかということが推知されない段階でも、先ほど言った令状が発付されるほどに嫌疑が高まっているときにはまずそちらを選択すると、で、証拠の収集をそういうところから優先していくということが可能だということが実務感覚的なところからは言えるのではないかというふうに思います。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 参考人に秘密保持命令に違反した場合の罰則についても聞いたんですが、ちょっと趣旨が違うから必ずしも私の質問は当たっていないんじゃないかというお答えだったんですが、民法百三十四条かな、百二十四条の二ですね、秘密漏示罪については、済みません、間違えました。百三十四条です、済みません、刑法百三十四条で、秘密漏示罪については六月以下の懲役又は十万円以下の罰金になっているのに、今回のその秘密を漏らした場合については一年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金、それと両罰規定もあるというふうになっていて、刑だけを比較すると今回の秘密漏示罪の方がかなり刑が重いように思うんですが、その辺り、法制審議会の方で刑罰の重さということについては議論されたんでしょうか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 法定刑について申し上げますと、今委員御紹介のとおり、電磁的記録提供命令についてその実効性を担保するための罰則というものが、一年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金としております。  これにつきましては、これまでの議論を通じまして、刑事事件に関する証拠の顕出、証拠を出すことを妨害する行為であるという点で類似するものといたしまして、証人出頭拒否の罪、これが刑事訴訟法の百五十一条でございます。あるいは証言拒絶の罪、これが刑事訴訟法の百六十一条でございます。これらが一年以下の罪となっていること等との均衡、あるいは、罰金についてはそれよりも重くなっておるわけですが、今回の場合には、相当程度の規模の事業者も対象となり得る電磁的記録提供命令について実効性を担保する必要があるというような点を考慮した上で、一年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金ということでいいのではないかという議論となったということでございます。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 それで、今回も事前の令状審査が必要であるということになりますが、改正法の二百十九条一項で、令状に記載すべき事項というものを書いております。被疑者、被告人の氏名、罪名、提供させるべき電磁的記録、提供させるべき者、提供の方法、有効期間、その他附属的なことを書いております。  それで、現在の記録命令付差押令状というのが一番似た令状かなと思うんですが、資料一を見ていただきますと、これが記録命令付差押許可状を請求する場合に検察庁が出す書類で、それに対して裁判所が差押許可を出す場合の許可状というのが資料二ですね。  まあ大分、今回は記録させ又は印刷させるべきものというのがないので、これとはちょっと違うと思うんですが、それでどういうふうな形の令状になるのか、あるいは令状請求書になるのかということを聞いたんですが、まだ余りできていないというふうな回答だったと思うので、できていますか。と思うので、ちょっと個別に聞いていきますけれども。  例えば、LINEとか携帯電話なんか、まあ特にLINEにしましょうかね。LINEの場合、そのやり取りの相手方というのは特定してこの令状に書くんですか。それから、そのやり取りした期間、いつからいつまでという期間、その期間と相手方は特定して出すのか。それから、そのLINEの具体的な中身、今日何食べた、アイスクリーム三つも食べたわよとかそんな中身ですね、そこまで提出を求めるのか。それとも、履歴だけ、何月何日にやり取りをしたという、そういう履歴だけなのか。その辺りについては、ちょっと私よう分からぬので教えてもらいたいんですが、この令状との関係でちょっと説明してください。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) まず、令状との関係で申しますと、先生が御紹介なさったうち、提供させるべき電磁的記録というところでその内容をどう特定するかというところのまず問題になろうかと思います。  それで、電磁的記録提供命令における提供させるべき電磁的記録の特定の在り方につきましては、もちろん個別の事案ごとに具体的な事実関係、証拠関係を踏まえて判断することとなるため一概にお答えすることは困難でありますけれども、例えば、今申しましたような通信事業者に対してメッセージアプリの通信履歴の提供を用いる場合につきましては、一般に提供させるべき電磁的記録は、通話の当事者のアカウント、携帯電話だったら電話番号とか、それからSNSだったらアカウントや期間によって特定することが想定されます。その際、その通話の当事者の範囲や期間の長さにつきましては、個別の事案ごとに具体的な事実関係、証拠関係を踏まえて、裁判所が、裁判官が被疑事件と関連性等があると認める範囲で定められて、それが令状に記載されることになります。  これまでの御審議の中でも、一般的に典型的なものとして、これまでの記録命令付差押えでも同じでございましたが、例えば携帯電話番号の通話履歴について御紹介しているところでありますと、何年何月何日から同じ年の何月何日までの間における電話番号○○○○番の携帯電話の通話履歴、例えば通話日時、通話先というような形で特定していたというのが実務の通例かと思います。  それから、じゃ、内容面についてどうなるのかということでございますが、これも一概に申すことはできませんし、それから、済みません、先生が御紹介なさった例が、どこまで取れるのか取れないのかとかいうこと自体は、この情報はここまで取れます、この情報はここまで取れませんというようなこととの対比になりますので、余り個別に特定できませんので、SNSという形でばくっとさせていただきますが、SNSの内容に含まれるメッセージの内容につきましても、検察官なり、警察官はもちろん、警察官が疎明資料とともに請求し、裁判官が被疑事実と関連性が認められるというふうに判断してそのメッセージの内容というものも令状に記載、記録したときには、その記載、記録された範囲内でメッセージの内容が記録された電磁的記録も電磁的記録提供命令の対象となり得るものと考えております。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 もう分かりやすく具体例でいうと、例えばある国会議員に贈収賄の疑いがあると。その国会議員が、あの業者とのやり取り、どんなやり取りをしているかをあらかじめ捜査機関が知りたいと。そういう場合に、この電磁的記録提供命令で業者に対して、この国会議員の何年何月から何年何月までのそのLINEの履歴を全部出してくれと、内容、中身の、やり取りの中身も全部出してくれと。そういったときに、その業者だけとのやり取りだけに限定するのか、それ以外の個人的なAちゃん、Bちゃん、Cちゃんというほかの人とのやり取りも全部ごっそり持っていって、それも何らかの犯罪になるかならぬか、あるいは今後の調べに有利に使おうというふうに考えるのかどうか、その辺についてはどういうふうに考えておるんですか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) まず、その時点の捜査状況によって、疎明できる範囲を、要はどこまでの証拠が必要ですということを捜査機関側が裁判官に対して令状請求し、それで裁判官が必要だというふうに認めるかどうかによって違いますので一概には言えないんですが、今の例がどうかは別として、一対一の人、この人とこの人の間のと、先ほど申しましたが、相手方の範囲についても特定される場合もあると思いますが、他方で、先ほどの通話明細であれば、いつからいつまでのという形で出る場合もございます。  それは、例えばですけれども、ある証拠がその時点で、例えば捜査機関側にとっての入手したい資料なのか、あるいは弁護側、被疑者側にとってこれはアリバイを証明するものだから有為なものなのかとかいうことがどこまで分かるか分からないかということもありますし、将来、証拠というものはどちらの方向にも働き得るという側面がございますから、その意味では、例えば、この人とこの人の間に電話を掛けていたけれども、その間にこういう電話もしているところからすると、この電話はこういう電話であって犯罪とは関係ありませんよという主張につながる場合もありますので、全部AさんとBさんの間だけの証拠を入手してそれだけを例えば裁判所で示せば足りるのかというと、そうではない場合というのもございますので、それは今先生がおっしゃったところでいえば、どちらもあり得るということかと思っております。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 そのやり取りが、特定の人間というふうに限定した上で情報収集すればいいけど、そうじゃなくて、何月何日から何月何日の間のその通話記録とかLINEのやり取りということになると、その賄賂を贈った疑いのある業者だけじゃなくて、プライベートな、さっき言ったように、Aちゃん、Bちゃん、Cちゃんという人たちのやり取りも全部捜査機関が把握できることになりますよね。  そうしたときに、例えばそれが、ちょっと例は悪いのかも分からぬけど、どうもこの何とか国会議員はどこどこのAちゃんと不倫をしている、そういうやり取りがその内容から読み取れるといったときに、それを取調べの材料に用いて、何とか先生、おたく、これ奥さんにばれていいんですかとか、そういう取調べの材料に用いて、そういう取調べの材料とか自白を求める材料とかに用いる危険性が極めて高いんじゃないかと思うので、そこの特定性をどのくらいやるかというのはかなり重要じゃないかと思うんですが、その点については、検察庁はどう考えていますか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) ケース・バイ・ケースと言っておりますけれども、では、別の例をちょっと出させていただきます。  例えば特殊詐欺、特にトクリュウ型で連続強盗とかが発生しているような事件において、例えば被疑者が被害者のところに電話を掛けましたということがあったときに、この被疑者の携帯電話番号を押さえるときに、じゃ、その相手の被害者との通話だけを押さえればいいかというと、その前後に指示役なりあるいは受渡しする出し子なり、様々な者から連絡が来ているというのは、これはある意味で一般国民にとっても分かる範囲内、当然そういうことがあり得るわけで、そのときに、いや、AさんとBさんの間の通話履歴しか取りませんというようなことでは実態が解明できないということがございます。  ですので、先生がおっしゃったような例について、判断する裁判官がそこまで必要だと認めるのかどうかというのは、やはり事案によって、そのような例と、それから特殊詐欺あるいは連続強盗が発生している中で、じゃ、私が被疑者だとして、私がこの一か月、二か月の間に掛けた履歴全部と請求してこれが不当だということになるかというと、それは事案によっては不当ではないという評価を受ける場合は多々あろうかと思います。  ですので、やはりこの御審議の中でも言われていますが、そのデータが膨大になるという中で、被疑事件と関係のないものが入らないように留意しながら、他方で、今申しましたような事例において、じゃ、被害者に架電したこと以外は一切取らないという実務になるのかというと、それでは事案の解明もできなければ、国民を守ることもできないという場合もあろうかと思いますので、そこについては、やはりそういうことを踏まえながら、ケース・バイ・ケースで請求し、そして、やっぱり裁判官がそこのちゃんと、これまでも繰り返し私ども、それから大臣からも御答弁いただいているところでございますが、どこまで特定されているか、それが本当に被疑事実等と関連性を有していて、令状を発付すべきだと認められる範囲内かどうかというものを裁判官において適切に判断していくということになろうかと考えます。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 森本さん、盛んに裁判官が適切に判断と言うけど、もうこれ、私何度も言っているけど、今の日本の、いや、日本の裁判所の令状担当裁判官ってもう、検察庁が出したらもうそのとおりですよ。  だから、例えばさっきの令状請求書ですか、許可請求書に誰々さんの、被疑者の何月何日から何月までの通話履歴一式と書けば、裁判所は、はいと言って令状出しますよ。それに基づいて、検察庁はごそっとその間の通話履歴、贈賄容疑の、贈賄の疑いのある業者だけではなくて、Aちゃん、Bちゃん、Cちゃんとのやり取りも全部把握すると。そういう危険性が極めて高いんじゃないかなというふうに思います。もう、これ私の意見です。  ということで、じゃ、検察庁に対する質問はこれで終わりにしていただきまして。引き続いて、いいですか。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) どうぞ、まだ時間ありますので。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 裁判で判決が出て、実刑になって、刑務所に入るということになりますと、次はその刑務所の中におけるその犯罪者の処遇をどうするかという問題になりますので、その点についてお伺いさせていただきたいと思います。  三年前の刑法改正によりまして拘禁刑ということが定められて、きめ細かに更生を後押しするなどの受刑者の立ち直りにも力点を置いて、懲役と禁錮を一本化して創設されました。  今年の六月一日から導入される拘禁刑に向けて、現在の準備状況などについて法務当局にお伺いしたいと思います。

小山定明法務省矯正局長

○政府参考人(小山定明君) 拘禁刑につきましては、今委員御指摘のとおり、令和四年六月に成立いたしました刑法等の一部を改正する法律により創設されまして、御指摘のとおり、今年の六月一日に導入されることとなっております。  これまでの懲役刑では作業の実施が前提とされておりましたが、拘禁刑の導入の後はそうした前提がなくなりまして、個々の受刑者の特性に応じて作業と指導を柔軟に組み合わせた処遇を実施いたしますことで、より効果的な改善更生を図ることが期待されております。  こうした拘禁刑の導入の趣旨を踏まえまして、受刑者の集団編成というものを見直しまして、特性に応じた基本的な処遇類型でございます矯正処遇課程というものを新設いたしました。この類型ごとに矯正処遇の在り方や処遇上配慮すべき事項などを定めて処遇を行っていくということといたしております。具体的には、例えば高齢や障害などといった特性に応じた類型を二十四種類設けることとしてございます。  あわせまして、拘禁刑の趣旨に沿いました受刑者の特性等に応じた作業と指導の内容の充実、それから矯正処遇等に当たる職員の意識改革なども鋭意推進をしておりますところです。  安全、安心な社会の実現のために、引き続き、受刑者の改善更生や社会復帰に向けまして、一層効果的な処遇を実現するための取組を進めてまいりたいと考えております。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 ありがとうございます。  それでは、この拘禁刑下において改善更生を図るため、作業、これはどのように変わるのか、法務当局にお伺いしたいと思います。

小山定明法務省矯正局長

○政府参考人(小山定明君) お答えいたします。  現在は、作業というものが懲役刑の内容でございまして、刑の本質的な要素であることを前提にどのように実施をさせる作業なのかということを、施設側の視点から、生産作業、自営作業といった分類を行っているところでございます。  拘禁刑におきましては、作業は受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰のために必要な場合に実施をさせるというものとなりますため、何が目的で、どのような処遇効果が期待できる作業なのかといった新たな視点から、基礎的な作業、機能別作業、職業訓練の三つに分類をいたしまして再構築しているところでございます。  具体的に申し上げますと、受刑者が出所後、一社会人として仕事を行っていく上で必要となる職業上の基礎的な能力を身に付けるための作業を基礎的作業といたしました。  二つ目でございます。個々の受刑者の足りない部分を補い、伸ばすべき部分を伸ばすために実施する作業を機能別作業といたしまして、就労、実際に就労する場面で必須となるコミュニケーション能力や課題解決能力を伸ばすコミュニケーション能力等向上作業や、高齢者を中心に、作業療法なども用いまして、認知機能、身体機能の維持向上を図ります機能向上作業などを行うこととしております。  三つ目、職業訓練は、従来からこの名称で行っているものでございますが、より社会の雇用ニーズに沿ったものとなるように整理をし直しているところでございます。  加えまして、改善更生や円滑な社会復帰に向けまして作業をより効果的なものといたしますために、受刑者自身にその作業の必要性を理解させ、作業へのモチベーションを維持するために自ら目標を考えさせるなど、段階に分けて作業の動機付けを行っていくことともしております。  拘禁刑下におきましては、個々の受刑者の特性に応じまして、今御指摘のありました作業と指導、それから社会復帰支援などを柔軟に組み合わせた処遇を行うことが求められておりますから、作業の部分につきましては、今後とも、重要な処遇の一つといたしまして、更に有用なものとなるよう検討を続けてまいりたいと考えております。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 ありがとうございます。  拘禁刑下において特性に応じた処遇を実施するためには、刑務官だけではなく様々な専門職の関与が不可欠だというふうに考えられますが、これについてはどのように取り組んでいくのか、法務当局にお伺いします。

小山定明法務省矯正局長

○政府参考人(小山定明君) 拘禁刑下におきましては、特性に応じた処遇を実施するということは今申し上げてまいりましたとおりでございまして、その点、委員がまさに御指摘のとおり、刑事施設の中の多職種が関与いたしまして複層的な処遇調査を実施して、それぞれの受刑者の特性等を組織的に把握する必要があるというふうに考えてございます。  その上で、受刑者の特性等に応じ、刑執行開始時から釈放後の生活を見据えて、多くの職員、多職種の職員が連携をいたしまして矯正処遇や社会復帰支援を実施することとしております。さらに、必要な者には、個々の支援ニーズを踏まえまして、刑事施設の長の直轄として設置いたします個別支援処遇推進チームによります多職種の職員でのチーム処遇を実施し、本人に寄り添った柔軟な処遇等を展開することとしております。  御指摘のとおり、多職種の職員の採用というものについて力を尽くしていく必要があろうと思いますし、また、それと同時に、刑務官のスキルというものを上げていく、向上させていく必要もございます。この点についても、しっかりと研修などを行いまして取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 済みません、また森本さんに戻らせてもらいますが、今度は電磁的記録による供述調書の作成というのが新たにつくられました。これによる調書を作ったときの事後的な改ざんを防止する対策を何か考えておるのか、この点についてはどのようにお考えなのかということを聞かせてください。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 電子化されるもののうち供述調書について申し上げますと、その非改ざん性を担保し、事後検証を可能とする技術上の措置をとることは必要であるというふうに考えておりまして、例えばではございますが、公開鍵暗号方式による電子署名など幾つかの方法がございますので、法務省では、現在、最高裁判所、検察庁等の関係機関や開発業者と検討を重ねているところでございまして、今申し上げたようなものも含めて、非改ざん性、事後検証が可能となるような仕組みを構築すべく、関係機関と緊密に連携して検討を進めてまいりたいと考えております。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 時間が来たので、これで終わらせてもらいます。ありがとうございました。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 立憲民主・社民・無所属の打越さく良です。  本改正法案の狙いですけれども、刑事手続等の円滑化、迅速化及びこれに関与する国民の負担軽減を図ることということですけれども、大前提として、刑事司法は公正でなくてはなりません。デジタル化はあくまで手段、それ自体が目的であってはならないはずです。このそもそものところが何か余りこの法案審議について表明されていないと思われるので、この点について大臣も共通認識でしょうかということを伺いたいです。  法案の提案理由に、先ほど申し上げたとおり、刑事手続等の円滑化、迅速化及びこれに関与する国民の負担軽減云々ということなんですが、そもそものところが省かれているように思われて引っかかるんですね。デジタル化によって図られるべきは、憲法上保障された権利を始めとする国民の権利利益の保護、実現であるということでよろしいですね。端的に、はいと力強く答弁していただきたいと思います。よろしくお願いします。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 端的にということでありますので、本法律案全体として、国民の皆様の権利利益の保護、実現、これに資するものとなっていると考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 ありがとうございます。  国民の負担軽減が図られても、権利が損なわれるということでは元も子もないと。デジタル化、情報化社会のアップデートが捜査機関の権限強化のみに偏るということはあってはならない。被疑者、被告人の立場に置かれた方々が防御を尽くせる制度の拡充、これがなされなくてはなりません。  ただ、今回、今日の質疑も含めて何か懸念が募るばかりのところがありまして、改めて、そうしたこのそもそものところが図られるのかということを念頭に質問をさせていただきます。  そして、電磁的記録命令に関してですけれども、私は、四月二十三日、参議院本会議において、個人情報保護委員会の権限を強化するなどして、独立性のある機関が監督することの必要を訴えましたけれども、大臣は、実際に捜査を行っていない外部機関が判断を適切に行うことは極めて困難という残念な答弁にとどまりました。  しかし、EUでは捜査情報も監督対象になっているのではないでしょうか。欧州基本権憲章では、個人データの保護が人権として位置付けられています。一般データ保護規則、GDPR、そして刑事司法指令、LED、これらは警察、刑事司法分野におけるデータ保護について規律しています。  五月十三日の朝日新聞の記事によれば、EUでは、自分に関して収集されたデータにアクセスして是正を求める権利が保障されていると。そして、そのGDPRに基づき、監督機関も個人の代理でチェックを行っているということです。EDPS、欧州データ保護監察機関は、二〇二二年、犯罪との関係が明確でない大量の個人データが継続的に保管されているとして、ユーロポール、欧州警察機構に削除を命じています。フランスの監督機関が内務省に対して無罪が確定した人の指紋データなどを削除するよう命じた例もあるということです。  ですから、この前の本会議の御答弁のように、困難だということで独立性のある機関のチェックを諦めるということなく、もう海外は困難だろうと何だろうとこれ実践しているわけです、既に。ですから、本会議での答弁を改めていただき、個人情報の保護を徹底すべく、海外の事例に学び、学んでいきますということで御答弁をお願いします。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 本会議での答弁のある意味で繰り返しに近いことになってしまいますけれども、この独立性ある監督機関、それが、機関が監督をする必要があるのではないかと、そういった御趣旨で、本会議でも御質問いただいたと思います。  当然のことながら、捜査機関においては、捜査の過程で取得をした書類、個人情報、これ刑事訴訟法あるいは刑事確定訴訟記録法等との法令の規定、この規定や趣旨に従って適正にこれは取扱いをしている、私どもとしてはそう考えておりますし、同時に、この取扱いの監督ということでありますけれども、やはり個々の電磁的記録あるいは個人情報と被疑事件等との関連性の有無、程度、あるいは被疑者等の防御権、防御上の必要性の有無、程度、これらがやはり捜査の進展あるいは争点等に応じてやはり変化をする、そうした可能性があるわけであります。  そうしたことから、適時的確な判断、対処ということが必要となりますので、やはり私どもとしては、実際に捜査を行っていない外部の機関、これが判断を適切に行うこと、やはり極めて困難だと認識をしております。そうした中にあって、こうした独立性のある機関を設けるということについては、やはり慎重な検討が必要、それが私どもの立場でございます。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 極めて困難といった思考、思考停止と言ってはいけないのかもしれませんけれども、なかなかほかの、今私がるる申し上げたとおり、もうEUでは、そこで思考停止はしていないわけですよ。監督するようにしていると。個人情報について余りにも配慮がない、それでいいのか。それはやっぱり日本の国益にも反する事態になりかねないわけですよね。  次の質問に行きますけれども、EUの個人情報保護法に詳しい宮下中央大学教授は、このままでは、EUから捜査に必要なデータの提供を拒まれるおそれもあると、先ほど紹介した朝日新聞の五月十四日の記事でおっしゃっているわけですね。  EUは個人情報の保護が不十分な第三国へのデータ移転を禁止している。データのやり取りには十分性認定を求めているということです。十分性認定って何だというと、十分性認定というのは、EU域外の国等におけるデータ取扱いの保護水準において、法制度や法令の遵守状況などを踏まえて十分なデータ保護の水準を確保をしていると欧州委員会が決定することをいうんですけれども、日本がこの十分性認定を受けているのは民間部門だけ、捜査機関と公的部門についてはまだ協議中なわけですよね。  欧州データ保護会議、EDPBは、二〇一八年、日本の捜査機関について、不要な個人情報を削除する仕組みが不十分だと懸念を示しました。宮下教授は、その先ほどの朝日新聞の記事の中で、日本の公的部門が十分性認定を得る上で、刑事デジタル法の在り方が障壁の一つとなるとしているんじゃないでしょうか。  やっぱりこの点も踏まえて再考が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 今御指摘の欧州データ保護会議、これが平成三十年の十二月に作成をした意見ということでありますけれども、その中で、我が国の刑事手続について、刑事手続において情報主体が裁判及び押収品に関連する文書に記録をされた個人情報に関する消去の権利を享受をしていないと理解をしているといった、そういった指摘があったということ、これについては承知をしております。  しかしながら、私どもといたしましては、現行法上、そうした消去の規定等が設けられていないということについては、捜査の機密保持あるいは適切な刑事裁判の確保等の観点から正当性を有すると私どもとしては考えております。  例えば、捜査の過程で収集をした証拠と被疑事件との関連性の有無や程度、これは捜査の進展や争点等に応じて変化をし得るものでありまして、捜査のある段階においてさほど重要ではないと思われていた証拠が、後に有罪方向あるいは無罪方向、これ双方向あるということでありますけれども、それを問わず事件、事案の解明に重要となることもあり得る等々のことから、収集した証拠については、弁護人等への開示も含めて刑事手続における利用に備えて適切に保管をすることとすることが相当であると考えられているところであります。  そうした中で、この法律案、今審議をいただいている法律案、これが改正法として成立をした場合には、捜査の過程で作成、取得をされた電磁的記録について適切に保管、管理をするとともに、不適正な利用、これを防止をする、そして、必要な期間保管した後には廃棄、消去する、そうしたことなどを内容とする適切な取扱いに関する規定等、これは通達等の形で整備をしようと私どもとしては考えております。  そういったことの中で、この法律案による改正のこの前後ということを問わず、我が国の刑事手続において、個人情報、私どもとしてはこれは適切に取り扱われているものと考えておりますので、しっかりその点は丁寧に説明をしていきたいと考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 それ、捜査当局自らが適切適切とつぶやいているのではなくて、第三者機関が適切だとお墨付きを与えるかどうかがやっぱり十分性認定にも関わってくるわけですよね。  次に、この四番についてですけど、これちょっと、今までの森本局長の答弁も踏まえて、ちょっと細かく分けて聞いていきたいと思いますけど、そもそも、憲法三十八条一項で禁止されているのが供述の強要に限定されるとしても、河津参考人からは抵触が生じる場合があると指摘されていました。  改めて、念のため大臣に伺いたいんですけれども、被疑者は、自己に不利益な電磁的記録が存在し、これを所持していることについて供述を強要されない権利を有しているかどうか。有している、それでよろしいですね、大臣。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) そこについては、まさに憲法三十八条第一項の何人も自己に不利益な供述を強要されないとの規定、まさにそれ、自己は、刑事上の責任を問われるおそれがある事項についての供述を意味するとされております。  御指摘の点、自己に不利益な、これ電磁的記録のことでもそうだと思いますけれども、電磁的記録が存在し、これを所持をしていることについての供述、そういった意味で、これが自己に不利益な供述ということに該当する場合については、当然これを強要されない権利、これを有していると考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 法制審議会の部会の部会長を務められた酒巻教授の「刑事訴訟法」、この教科書には、当人が作成し、既に存在する不利益な内容が記載された書面を提出するよう法的に義務付けられる場合には、(例、罰則付文書提出命令)、文書提出行為が義務付けられる結果、提出行為により、当人が当該不利益文書の存在を認識し、これを所持していたこと自体を外部に伝達する作用を有することがあり得るので、その場合は供述の強要になると思われると記載されています。  この酒巻教授の見解に立てば、電磁的記録の提出も文書提出行為と違わないのですから、電磁的記録の提供が供述の意味を持つ場合があると、それはそれでよろしいですよね。これ、何度も何かこう、森本局長がこれをあたかも否定するような答弁をされているので、この点、局長で結構なんですけれども、もうそれはそのとおりだということでよろしいですよね。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) お答えいたします。  私どもとしては、供述が強要される場合が自己負罪拒否特権との関係で問題になるということでございまして、事例によるのかもしれませんけれども、じゃ、供述していないものが供述の強要に当たるのかという聞かれ方をすれば、基本的にそれは供述の強要には当たらないという立場でこれまで一貫して答弁を申し上げているつもりでございます。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 端的に聞きますね。局長にですけれども、電磁的記録の提供が供述の意味を持つ場合もあり得ると、それでよろしいですね。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 電磁的記録提供命令につきましては、条文上、電磁的記録を提供することを命ずる命令と規定しているとおり、既に存在している電磁的記録の提供を命ずるものにとどまりますので、供述を求めるものではなくて、一般的に、供述を強制されているとの誤解を被処分者に生じさせるものでもないというふうに考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 今、私が長々と、先ほど酒巻教授の解説読み上げたじゃないですか。この文書提出命令ですね、文書の存在を認識し、これを所持していたこと自体を外部に伝達するということは、それは供述の強要だと法制審議会の部会長を務められた酒巻先生も解説されているわけですよ。それ自体は否定できないわけじゃないですか。  ここは無意味に長く時間を取りたくないんです。あり得ますということだけですよ。お願いします。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) この法案との関係で、電磁的記録提供命令について言いますと、仮に、対象となる電磁的記録を提供することにより、自己に不利益な電磁的記録が存在し、これを所持していることを認識していることが事実上外部に伝達される場合があり得るとしても、電磁的記録提供命令はあくまで供述を得ようとするものではない以上、私どもといたしましては、自己負罪拒否特権と抵触するものではないという立場でございます。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 それ、酒巻教授の解説とも違いますよ。そうした見解はおかしいじゃないですか。だから、そうすると私たちも、なかなか前提が崩れてしまうわけですけれども。  ちょっと、結局、こうした自分に不利益な文書が存在するかどうかということを外部に伝えると、外部に伝える、それは供述の強要になると。すごい、とってもシンプルな話ですよね。そこはもう、無意味に長く取りたくないんです、この質疑の時間を。だから、そういうことはあり得ると、あり得ますが、そういうことがないようにしっかりとしますとか、そういう答弁お願いします。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 法制審議会の中でも、それらの点について様々な御議論はございました。例えば、アメリカ法理との関係でその点について問われた方であれば、そのことは、御紹介なさっていたのは、フォーゴンコンクルージョンという言い方をされていましたが、自明の事柄であるので、そのこと自体が、例えば何かの持っていることが明らかになったとしても、そのこと自体は供述に該当するものではなくて、自己負罪拒否特権との抵触は生じないという御議論等もございました。  そういったもろもろのことを踏まえまして、私どもといたしましては、あくまで今回提出させていただいている電磁的記録提供命令につきましては、存在する電磁的記録を出すものでありますので、自己負罪拒否特権と抵触するものではないという立場でございます。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 なかなかそれは、国民の権利利益を防御するための、国民の権利利益の保護、実現がこの法案の大前提だということについて、私、改めて冒頭で確認しましたよね。それについて余りにもないがしろにして、非常にへ理屈というか、もう法制審議会の部会長でも、その理解とも全然食い違うような言い逃れをなさろうとしているわけですよ。それについてはもう、ちょっと非常に、念のためということで確認させていただいたにもかかわらず、真摯な御答弁がいただけないというのは本当に残念なことで。  もう一度、これについても納得できないところをもう一回確認させていただくと、これも局長で結構ですけれども、法務省の方は、パスワードを捜査機関に対して言わせたりすることは許されないということを、それは認める一方で、電磁的記録を提出するためにパスワードを入力させることは許されるような、そういうことを答弁されているんですが、これは撤回していただきたいんですね。  憲法三十八条は、観念の表出の強要を禁止しているわけですね。だからこそ既に存在する文書の提出を強制しても抵触しないんだと、これ一方でそういう説明を法務省は続けてきたわけですよ。それにもかかわらず、捜査機関に伝わらないんだったら強要してもいいような、そういうような説明は、一方で観念の表出の強要を禁止しているんだから、既に存在している文書の提出を強制しても抵触しないという自らの説明と矛盾するじゃないですか。パスワードは自己に不利益ではないという、もしかしたらそういう説明をするのかもしれないけれども、でも、パスワードを入力する結果、不利益な電磁的記録を捜査機関に取得されるのであれば、供述するのとしないのとで、供述する方が明らかに自分に、自己に不利益であることはもう当然なわけですよね。よろしいですかね。  それで、おととい、一昨日の質疑で森本局長は、正当な理由について、実質的違法性がない場合を含むと答弁される一方で、自己に不利益な電磁的記録であることは正当な理由にならないと答弁されていました。  でも、これは、明らかに供述の強要を拒むことができるその正当な理由が認められるべきなのに、それをもう正面から認めようとしないと。これはもう明らかにおかしいわけですね。いかに電磁的記録提供命令が供述を求めることではないといっても、供述、観念の表出を伴う場合があると、それを拒むことは憲法上の権利だということは否定できないわけですよ。よろしいですね、森本局長。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) そういう意味でいいますと、そもそも三十八条一項に対する考え方のところで、まず委員と私が申していることのスタートラインで異なっているところがあるのだろうとは思います。  私どもは、これも何度か答弁させていただいておりますけど、酒気帯び運転の疑いがある者に対する呼気検査に関して、最高裁判所が、憲法三十八条一項は刑事上責任を問われるおそれがある事項について供述を強要されないことを保障したものと解すべきところ、警察官の呼気検査はその供述を得ようとするものではないから、同検査を拒んだ者を処罰する道交法の規定は憲法三十八条一項に違反するものではない旨判示しているところでございまして、そこを、そういった判例の趣旨を踏まえて、これまで先ほどから述べたような答弁をしているところでございます。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 それ全然違う判例を持ち出しているじゃないですか。呼気がその記憶しているパスワードの入力と何で一緒なんですか。呼気と記憶しているパスワード等の入力、それはもう、後者の記憶しているパスワードの入力というのは観念の表出じゃないですか。呼気と全然違うわけですよ。その最高裁の判例をずっと持ち出される、この審議中も持ち出されるわけだけれども、全然違う。観念の表出を伴うものと呼気は全然違うわけですから、的外れなんじゃないんでしょうか。  だから、ここはもう、パスワードといったものを入力をするようなことも、それを拒むことというのは憲法上の権利だと、端的にそう認めてください。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 繰り返しになりますけれども、今の点について申しますと、被処分者がパスワードを入力して解除した状態で電磁的記録を提供することにより被処分者において当該パスワードを認識していることが意味され得るとしても、そのことをもって電磁的記録提供命令が供述を得ようとするものとは言えない、したがって、憲法三十八条一項との抵触の問題を生じるものではないというのが我々の立場でございます。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 その我々の立場が間違っていて、撤回しますという答弁してほしいと言っているわけですよ、ずっと。  だから、最高裁の判例の呼気検査をあたかもこれに当てはまるものかのようにずっとこの間答弁なさっているんだけれども、それ違うわけですよ。観念の表出を伴うものと伴わない呼気と、全然そのずれたものを言われても、それは違う。だから、憲法上の権利を余りにもないがしろにしていると言わざるを得ないですよ。だから、こういったことだと、本当にこういった答弁のままでどうやって実務をしっかりと規律するかと非常に不安になってしまいますよ。  だから、自己に不利益な供述を強要されない憲法上の権利が、電磁的記録の提供が命じられる場面でなし崩しに侵害されることがあってはならないという大前提の下に、だから、全然食い違う、呼気検査がどうのこうのとかそういう最高裁の判例を何となく、何か最高裁と言われるとみんな信じて、なるほど認められているんだと思ってしまうかもしれないけど、そうじゃない。ずれたものを持ち出されても、そんなことありませんということで、これは大臣、やっぱり今までの局長の答弁考え直すべきだということと、それとともに、電磁的記録の提供を命じるに当たって、この命令は供述を義務付けるものではない、それは明確にするということで現場にもしっかり教示するということでよろしいですね、大臣。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 大変恐縮ではありますが、私どもの立場としては局長が申し上げたとおりでございます。  我々といたしまして、捜査機関において電磁的記録提供命令によって被処分者に供述を求めるというようなこと、もとより想定をしていないというところでもあります。そうした中にあって、今様々申し上げた、そうした制度内容の正しい理解を前提としながら、当然それを必要に応じて、供述を強要するものではないということ、あるいは不服申立てができるということを相手方に教示をするなど、捜査機関においてその権利を不当に侵害することがないように適正な運用がなされる必要があると思いますが、その大前提としては、今局長が申し上げたような、そうした制度の内容の正しい理解、これを前提とするということであろうと思います。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 大臣、今の答弁、不十分だと思うんですね。  供述の強要はいけないけれども、だから、先ほどちょっと私と局長でやり取りが難しかったんですけれども、電磁的記録を提出するためのパスワードを入力させるということはまさに観念の表出の強要をさせているんですから、これはいけないんだということでよろしいですね、大臣。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) これまで申し上げたところにもなりますが、この電磁的記録提供命令、これは条文上、必要な電磁的記録を提供することを命ずる命令と規定しておりまして、まさにこの既に存在をしている電磁的記録の提供を命ずるものにとどまって、供述を求めるものではないということで、私どもとしては自己負罪拒否特権と抵触をするものではないということと考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 私、今、パスワードの入力を許されませんよね、はいって言ってくださいということを求めたわけですよ。  自己に不利益な供述を求めること、供述させることができない、そういう、そこが肝なわけですよね、自己負罪拒否特権というのは。だから、観念の表出の強要を禁止しているということからすると、パスワードの入力、まさに観念を表出させるわけじゃないですか。それは観念の表出だから駄目だと。それシンプルなことですよ。憲法三十八条の理解なんですよ。それはその前提にもちろんこの法律も立っていますよと、その上で慎重にこの法案をまとめたんですよと、大丈夫です、憲法三十八条に抵触しませんという、そこを明言していただきたいわけです。大臣、お願いします。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 私どもとしては、当然のことながら、憲法第三十八条第一項で保障されている自己負罪拒否特権、そこは当然極めて重要なものだと考えております。その上で、今回のこの法案についても、そこと抵触をするものではないと考えているところであります。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 抵触する危険を感じさせるような答弁が続いてきたので、ですから、それはないんだと、今までの答弁で何か懸念を生じさせたけれども、そのようなことはない、観念の表出などあり得ない、なぜならば憲法がそのように命じているのだから。はい、はいと御答弁お願いします。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 若干先ほど述べました呼気検査の判例との考え方等について補足させていただきますと、これまでも述べておりますが、電磁的記録提供命令の本質は物的又は非供述的証拠の電磁的記録の取得にあります。その上で、最高裁判例の、先ほど述べた最高裁判例の解説等におきましては、呼気検査の本質が運転者の口を強制的に開かせるものではなく、あくまで呼気という物的なあるいは非供述的な証拠を採取するものであるとの見方によるものであり、このことを合憲性の根本的な理由とするものであるというふうにされておりまして、同判決は、呼気検査の本質が供述を取得するものではなく、あくまで物的又は非供述的な証拠の採取をするものであることを理由とするものであるところ、両者はそういう点で同様であるというふうに考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 じゃ、パスワードを入力しなくても罪には問われないと、この法改正があっても。それで、その点はいいですね。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 電磁的記録提供命令といたしましては、電磁的記録を提供させる方法として、例えば電磁的記録を記録媒体に記録させて当該記録媒体を提出させる方法があるところ、ここに言う「記録させ」には、暗号化された電磁的記録を復号させた上でこれを記録媒体に記録させることをも含むというふうに考えておりまして、そういう意味では、捜査機関の疎明の仕方と裁判官がその令状を発するか否かによりますけれども、見えない状況にあるものを見える状況にして出してくださいという命令を発することは可能というふうに考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 だから、それに応じない場合でも罰則に処せられることはないということでよろしいですね。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 例えば、パスワードが掛けられている電磁的記録につきまして、電磁的記録提供命令により、パスワードを解除して内容を知ることができる状態で電磁的記録を提供させることを命ずることはできるというふうに申し上げましたので、そのようにして提供することを命じたにもかかわらず、命令を受けた者がパスワードを知っているにもかかわらず解除せずに当該電磁的記録を提供し、あるいは提供を受けた者にその内容を知ることができない場合には、命令を履行したこと、すなわち必要な電磁的記録を提供したことにはならないと考えますので、故意とか様々な要件がある、別のことを考えなきゃいけませんけれども、命令を履行したことにはならないので、命令違反になり得る場合もあり得ると考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 どんどん話が、私は、その罪に問われ得る方について言っているんですよね。事業者のこととかに話を拡散しないでいただきたくて。罪に問われ得る方がそのパスワードを入力しなくても、それは自己負罪拒否特権がカバーされるので、それは入力しないでいいということでいいですよね。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 繰り返しになりますけど、供述を強制しているわけではございませんので、まず自己負罪拒否特権に抵触しないことを前提といたしまして、仮にそれが事業者じゃなかったとして、被疑者的な立場である者だとしても、パスワードを解除して内容を知ることができる状態で電磁的記録提供命令を、電磁的記録を出しなさいという命令が出ている場合に、それを従わなかった場合には、命令を履行したことにはならず、命令違反が成立し得る場合はあるものと考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 それは、まさに自己負罪拒否特権を侵害することになるじゃないですか。それは驚くべき答弁ですよ。  だから、それはそんなことないですと、憲法三十八条のことについても入念に考えた上での制度設計をしています法案ですということを確認したくて今質問しているわけですよ。それを、もうこれ全然抵触しませんよ、そんな関係ありませんよ、罰則もしますよということだと、こちらとしては、こちらが念頭にしていた法律ではないということになりますよね。だから、これはそういう侵害することはあってはならないということ、もちろんその前提で制度設計しますよということだけをお答えいただきたいわけですよ。ただ、それを、もうこれをまた答弁を求めても今と同じような答弁をされるのであったらちょっと先に続けますが、違う答弁なさいます。(発言する者あり)本当ですか。最高裁とか言わないでくださいよ。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 挙手して発言願います。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) はい。済みません。  先ほど申しました呼気検査につきましても、それは、アルコールを飲んでいるという疑いのある方がアルコールの検知に応じなければ、じゃ、いけないのかどうかというところで、アルコールの検知に応じなかった場合に、それが仮に自己に不利益になったとしても処罰される場合はあり得ますということでございまして、そこの点も同一かと思います。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 だから、先ほどからその呼気検査と全然違うと言っているじゃないですか。それはもう局長もお分かりだと思うんですけれども、お分かりでないんでしょうか。それは、じゃ、質問はしませんけれども。  ちょっとこのまま、四番のまま質問をずっとやり取りするのも膠着状態なので、残念ながら、五番に移りますけれども、その特定の記録媒体に保管されている電磁的記録を包括的に提供するよう命じれば、提供を命じられている電磁的記録というのは明確になるけれども、それでは、できる限り被告事件又は被疑事件と関連性を有しない個人情報を取得することとならないよう、特に留意しなければならないという附則の要請には反することになります。  安易に包括的な電磁的記録の提供を命ずることとならないようにしなければならないわけですが、それについてはどのような方策を考えているのか、御答弁をお願いします。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) その点につきましては、これまでも答弁で述べておるところでございますが、憲法三十五条まず一項で包括的な押収を禁止しておりまして、それを受けて、改正後の刑事訴訟法におきましては、令状に具体的に特定、提供させるべき電磁的記録等を具体的に特定して記載、記録することとしておりまして、さらに、その提供を命じることができる電磁的記録は、制度上、裁判官が被疑事件等との関連性を認めて令状に記載したものに限られることとなっております。  不服申立てもすることも可能でございますので、まず事前事後の審査の仕組みを設けているところでございますが、それを踏まえまして、適正な運用を図るためには、捜査機関による令状の請求や裁判官による令状の発付の場面において対象となる電磁的記録ができる限り特定されることは委員御指摘のとおり重要でありますので、改正法が成立した場合には、今御指摘のありました附則四十条、衆議院における修正で追加された附則四十条の趣旨も含めまして、関係機関に対してその制度の内容は周知を、趣旨の周知を図ってまいりたいというふうに考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 四月一日の衆議院法務委員会において、松田政府参考人は、警察においては押収した証拠物件は適切な方法で保管している旨答弁なさいました。  例えば、関係者のスマートフォンから電磁的記録を抽出して取得した場合、警察においてはどのような方法で保管しているのでしょうか。検察庁に送致されていない電磁的記録は存在するのでしょうか。その内容はデータベース化しているんでしょうか。

松田哲也警察庁長官官房審議官

○政府参考人(松田哲也君) お答えいたします。  現行法の下では証拠物件は有体物に限られているところ、その有体物を警察が押収した時点で証拠物件となります。  具体的には、お尋ねのスマートフォンを差し押さえた場合では、差し押さえた時点で証拠物件となり、そのスマートフォンから抽出された電磁的記録は、捜査資料として、当該電磁的記録やそれらを保管している共有フォルダ等にアクセス制限を行うなどの措置をとることにより適切な管理に努めることとなります。  また、電磁的記録の内容が犯罪事実の有無や事案の解明に必要がないなどの理由で報告書等の書類を作成、送致しないこと等もあり得るところ、こうした電磁的記録は、捜査の終結、公判の維持等の観点から、保管の必要がなくなったと認める場合には確実に消去することとなっております。  一方、当該電磁的記録に含まれている情報のうち、暴力団等の犯罪組織に係る情報等、警察の所掌事務の遂行上必要があるものについては、個人情報保護法等の関係法令に従い、保管を継続することもあり得るものと承知しております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 衆議院の法務委員会において、池田参考人が電磁的記録に着目した保管、管理の仕組みを設けられてよいと発言していました。大臣も四月四日にデータの適正な取扱いに関する規定等の整備が必要だと答弁なさいました。  今後、具体的にどのように検討を進めるのでしょうか。具体的な道筋を御答弁ください。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) まず、刑事手続等における情報通信技術の活用につきましては、累次の閣議決定に基づきまして、二〇二六年度、令和八年度中にシステムの一部の運用を開始するという方針の下でシステムの設計開発等を進めているところでございますし、本法律案による改正後の刑事訴訟法の規定に基づきまして、証拠書類の電子記録化等に係るシステムの整備に係る条文のところにつきましては、令和九年三月三十一日までの間において政令で定める日から施行することとしているところでございます。  したがいまして、お尋ねの電磁的記録の適正な取扱いに関する規定等の在り方につきましては、大臣からも、そういったものが必要なので今後整備していくということを、規定や通達等で整備していくということを答弁させていただいておるところでございますが、担当部局におきまして、法案の審議状況を踏まえつつ、現在検討しているところでございまして、基本的にはただいま申し上げた施行期日までに整備できるように、引き続き迅速に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 次に八番なんですけれども、名古屋高裁の令和六年八月三十日の判決では、無罪判決を受けた方のDNAを警察が保管していた件について、無罪が確定した以上、原則としてデータの抹消が認められるべきで、男性のデータが本人の意思に反して捜査機関に保管されていることは憲法に違反すると、そのように判示しました。そして、その上で、DNA型などがデータベース化され、不当に利用されるなどして個人の私生活の平穏が害され、不利益が及ぶ危険性がある、そのようなことを防止するため、国民的理解の下に憲法の趣旨に沿った法整備が行われることが強く望まれると、こう法整備を求めているわけですね。  ドイツやスイスなどのヨーロッパ諸国や韓国、台湾でも、DNA型のデータは刑事裁判で無罪になった場合に破棄しなければならないと法律で定めているわけです。  判決を受けて速やかに法整備をすべきではないでしょうか。

松田哲也警察庁長官官房審議官

○政府参考人(松田哲也君) お答えいたします。  警察庁で保管する被疑者DNA型記録については、個人情報保護法、警察法及び警察法施行令の委任を受けたDNA型記録取扱規則等に基づき保管、管理しているところ、同規則において、当該被疑者が死亡したとき又は保管する必要がなくなったときに抹消しなければならないと規定されておりまして、これらに該当するときには抹消することとしております。  警察においては、これらの個人情報保護法等の規定に従い、その必要性を適切に判断しつつ、被疑者DNA型記録の保管を行っているところでございます。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 今の答弁は九番の、ちょっと入れ替わってしまったのかと思って。八番の先ほど質問は、局長、お願いします。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) その御指摘のDNA型などのデータというものが、刑事裁判で使われるものという意味で申しますと、DNA型鑑定書等の証拠書類ということになりますので、そのものを念頭に置いたものであるとなりますと、捜査や公判に必要なものとして作成、取得された証拠は、捜査中から刑事事件終結後に至るまでありのままの記録として保管、保存されるべきものであるというのがまず現行法の基本的な考え方で、しかも、そうしたDNA型鑑定書等につきましては、判決確定後に国家賠償訴訟等において利用されることも想定されることになりますので、無罪判決が確定して直ちに廃棄しなければならないとすることについては慎重な検討が必要であるというふうに考えておりまして、また、そのデータベースというものであるとすれば、それは先ほど、警察庁で運用しているものでございますので、警察庁から答弁したとおりかなというふうに考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 昨年の判決を踏まえて、判決の中で法整備が行われることが強く望まれるという判示されているにもかかわらず、その判決を受けて速やかに法整備をすべきということは念頭にないということなんですかね、今の御答弁だと。  その速やかに法整備について今検討していると、検討を始めるということでよろしいですか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 多分、御指摘のところは、データベースとして蓄積されて持っているものということであるとすると、それは所管、警察庁で持っているものでございまして、それについてはまず一義的に警察庁で判断すべき事柄というふうに思っております。  それで、証拠になったものという意味でいいますと、そもそもデータとして使うことはないんですが、刑事確定記録として、再審等に必要な限り、あるいは国家賠償に必要な限りにおいては保管していなきゃいけませんので、その期間、記録としては保管した上で、もちろんそれがなくなれば廃棄すると、こういう形を考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 高裁の判断が出たにもかかわらず、なかなかその法整備をするという決意が見られないというのは非常に残念なことで、引き続きこの点も質問をしていきたいと思います。  十番ですけれども、「刑事法ジャーナル」に久保有希子弁護士の論文が掲載されていたんですが、その中で、今ちょっと読み上げますけれども、あるケースが紹介されています。  裁判員非対象事件において、公判前整理手続に付す決定を経て、目撃証人二名の間のLINEにつき類型証拠開示請求をした。これに対し、検察官は不存在と回答した。ところが、その後、公判において、検察官が請求した証人である警察官は反対尋問において存在すると回答したことにより存在が発覚しました。その後、開示を経て、当初検察官は開示を拒否したわけですけれども、何とか開示。開示を経て改めて公判を再開し、別の裁判官に対して尋問した際のやり取りによれば、要するに、関係者のスマートフォンから抽出した電磁的記録がどこかに保存されているかを備忘録等により記録することもなく、抽出したパソコンにおいて、事件ごとのフォルダにも分けずに、様々な事件の電磁的記録が混在して保管され、どこに何があるかは抽出した捜査員の頭の中だけであると、そういうことになっていたんですね。これによると、警察においては、何の事件かも分からない個人情報が何の記録もされずにパソコンに保管されているということになっているわけです。  四月二十四日、松田参考人は、証拠物件等を基に作成された電磁的記録の捜査資料については、当該電磁的記録やそれらを保管している共有フォルダ等にアクセス制限を行うなどの措置をとることにより適切な管理を努めていると答弁しましたけれども、これは全然現実と違って、実務の現場ではそのような運用は行われていないのではないでしょうか。

松田哲也警察庁長官官房審議官

○政府参考人(松田哲也君) お答えいたします。  今委員からの御言及のあった個別の事案の証拠物件の管理状況については、現時点、詳細をちょっと把握しておりませんけれども、証拠物件等を基に作成された電磁的記録の捜査資料につきましては、通達等の規定により、当該電磁的記録やそれらを保管している共有フォルダ等にアクセス制限を行うなどの措置をとることにより適切な管理に努めているとなっているところでございます。  警察庁においては、そのような規定に基づいて、電磁的記録を含めた捜査資料を適切に保管、管理するよう、必要な業務指導を通じて都道府県警察を指導しているところであります。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 そう指導をしていても、そうなっていない現状にあるわけですね。  この事件においては、反対尋問でたまたまLINEデータの存在が明らかになったわけですけれども、証拠として取り扱われておらず、検察官にも送致されていなかったデータは知らぬ間に消去されていたおそれもありました。  適切に電磁的記録が保管され、警察から検察官に送致され、弁護人に開示されるようにするためには、やはり電磁的記録の性質に沿った規律を法律で設けることが必要なのではないでしょうか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) まず、全体としてどういう形で、ちょっとお待ちください。申し訳ありませんでした。済みません。  繰り返しになりますが、捜査書類におきましては、一般に、先ほど申しましたとおり、刑事訴訟法、刑事確定訴訟記録法といった法令等の規定や趣旨に従い適正に取り扱っているものと承知しておりまして、本法律案が改正法として成立した場合にも、捜査の過程で作成、取得したものにつきましては、ほかのものと同様に、電磁的記録についても同様に適正に取り扱うものとしております。したがって、電磁的記録のみについて法律上特別の規定を設ける必要があるとは考えておりません。  他方で、どういうふうに適切に管理するか、それから不適切な利用を防止するかということは大切なことでございますので、それらの点について、不適正な利用を防止することなどを内容とする適正な取扱いに関する規定等を整備することは重要であるというふうに考えておりまして、先ほど述べたようなスケジュール感に従って、規定については引き続き検討していきたいというふうに考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 先ほど私が十番の質問で述べたとおり、非常に不適切なデータの取り扱われ方などがされている現状、そうした現状はしっかり把握された上で進めていただきたいと思うんですが、それは当然の前提でよろしいでしょうか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) もちろん、現状を把握した上で、かつ電磁的記録提供命令という新しい形態のものできますので、データがデータだけで、今度は有体物じゃないもので、そして捜査機関の手元に来るということもありますので、そういったことに適切に対応できるものを、今委員御指摘のようなことも踏まえて検討した上で早急に規定等を整備したいというふうに考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 ちょっと十三番の方に行きますけれども、刑事訴訟法上、検察官請求証拠について同意するか否か等の意見を述べる主体は被告人です。今後、電磁的記録である証拠は格段に増えていくと。電磁的記録で開示されるようになるにもかかわらず、身体を拘束されている被告人は電磁的記録で証拠を授受し検討できないというのであれば、どう考えても不公正、これは被告人の防御権をますます失わせるものになると。  これ、何とかしなければならないということで、共通理解でよろしいでしょうか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 電磁的記録の授受や閲覧を身体拘束中の被告人等の権利として位置付けることについては法制審議会でも議論がなされたものの、授受や閲覧に用いる機器について被告人等が破壊するなどして自傷他害行為に用いる可能性があるほか、不適正な通信等の防止のための設備が必要となること、あるいは電磁的記録の検査のために刑事施設等の業務全般が圧迫されかねないなどの問題点が指摘されて答申に盛り込まれなかったものと承知しておりますので、こうした議論を踏まえて現在権利として位置付けているところとはしていないところでありまして、そのことが不公正であるとまでは考えておりませんが、弁護人等から身体拘束中の被告人等に対し電磁的記録である証拠書類を記録した記録媒体が送付され、それが刑事裁判の遂行上必要不可欠と認められる場合などにおいて、被告人等による自傷他害行為のおそれを含む施設の規律及び秩序の維持や管理運営上の支障について、個別具体的な事情を踏まえて慎重に検討の上、支障の程度が小さいと考えられるときには、裁量的にその閲覧を一時的に認める余地はあるものと考えているところでございます。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 何か抽象的なリスクの方が優先されて、被告人の防御権がそれに劣後するかのような、今までも繰り返し答弁をされていますけれども、本当にそれは非常にこの法案の前提についても疑義を抱かざるを得ないわけですね。  それであれば、なおさら身体拘束された被告人が電磁的記録を授受し検討できるような設備の整備を進めるべきじゃないですか。それができない、それはなかなかお金も掛かるし時間も掛かるから、だから防御権、権利として認めないというのは発想が逆転しているわけですよね。  直ちに一斉に対応ができないとしても、計画的に整備を進めていただきたいんですね。それすらしないという理由、何もないわけですよね。それでよろしいですね。

小山定明法務省矯正局長

○政府参考人(小山定明君) お答えいたします。  身体拘束されました被告人等が電磁的記録を授受し検討できるような設備の整備を進めるに当たりましては、例えば電磁的記録の授受や閲覧に用いる機器につきましては、市販されている一般的な機器を使用するといった場合に、仮に何らの措置もとらないままでございましたら、これが悪用されて不正な通信が行われたり、自傷他害行為が行われたりするなどの弊害が生じるおそれがございますことから、通信機能の制限や自傷他害行為を防止する観点の十分な対応等が必要になるというふうに考えております。  また、電子データの情報量が膨大でありましたり、映像データが含まれていたりする場合には、これらにつきまして、罪証隠滅の防止や規律、秩序の維持のために行う検査を適切に行うといった観点からも、別途特別な対応が必要になるというふうに考えております。  これらの課題につきましては、関係機関との協議が必要でございますため、直ちに設備を整備するといったようなことは困難であるというふうに考えておりますけれども、一方で、今答弁がございましたとおり、個別具体的な事情を踏まえて慎重に検討の上、支障の程度が小さいと考えられます場合には裁量的にその閲覧を一時的に認める余地はあるものと考えております。  このような個別具体的な事情を慎重に踏まえた裁量的な取扱いについて、可能な範囲で被告人の防御権にも配慮した対応がなされますよう、引き続き、設備整備の上の課題を含め運用上の検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 その発想が、だから逆転していると申し上げているわけですね。あくまでも裁量的取扱いで、認めてあげてもいいなと思ったら、あとはいろんな関係で可能な限り認めてあげてもいいよということではないわけですよ。だから、やっぱりこれは権利として認めないからこそ、そういった自分たちが認めてあげる範囲で進めていこうかなという程度で収まっちゃうわけですね。それはもう発想が逆転していると言わざるを得ないと思います。  憲法は三十四条で、何人も直ちに弁護人に依頼する権利を与えなければ勾留又は拘禁されないと規定しています。また、憲法三十七条三項は、刑事被告人は、いかなる場合にも資格を有する弁護人を依頼することができると規定しています。だから、この弁護人の援助を受ける権利は憲法上の権利であるにもかかわらず、弁護人が留置施設、刑事施設を訪問しない限り助言することができないという現状は、この権利が阻止されているということなわけですね。  それで、検討会の報告書でも、身体の拘束を受けている被疑者、被告人にとって、刑事施設、留置施設が弁護人等の法律事務所から遠く離れている場合も含め、弁護人の援助を受けることは重要な権利であると認めているわけです。  ですから、衆議院においては、オンライン接見については全国で設備が整っていく過程を見て今後法制化を目指すことが確認されましたと。そうすると、滞りなく進んでいるか、それを検証する機会を設定することが必要です。五年後に検証するということはいかがでしょうか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 現在、委員御指摘のとおり、オンライン接見に対しての権利化まではしなかったわけですが、実務上の措置としての外部交通について順次範囲を拡大しているところでございます。  また、御指摘のとおり、衆議院の修正後の附則におきまして、身体の拘束を受けている被告人等と弁護人等との間における映像と音声の送受信による通話を可能とするための運用上の措置について、地域の実情を踏まえ、被告人等と弁護人等との間の秘密の確保に配慮するとともに、不正行為等の防止に万全を期しつつ、必要な取組を推進するものと規定されたところでございまして、まず、今進めている取組を一層加速してまいりたいと考えておりますが、その上で、このアクセスポイント方式によるオンライン接見の法制化につきましては、今後、そのオンラインによる外部交通に係る取組の進捗状況も見ながら不断に検討を行っていきたいというふうに考えておりまして、附則第四十一条や御指摘の附帯決議の趣旨も踏まえて、着実に取組を進めてまいりたいと考えております。

打越さく良立憲民主・社民・無所属

○打越さく良君 ちょっと今の答弁も踏まえて、十七番に飛びますけれども、その地域の実情というこの度重なる答弁がちょっと理解ができないんですけれども、地域の実情も何もないと思うんですね。全国各地で被疑者、被告人にとっては必要だと思うんですよ。北海道で長時間移動が問題になっているとか、新潟は、私の地元新潟でも豪雪地帯であって本当に接見が大変だということはあるわけですけれども、こうした地域からということなのかということも質問させていただきたかったんですが。  質疑を通じて、様々な懸念があってもこの法案については安心だということを確認させていただいて、大丈夫だ、捜査機関にとって便利になるだけじゃない、被疑者、被告人の憲法上の権利をおろそかにするものではない、防御を尽くせる制度なんだということを確認させていただいて、質問を終わりますとしたかったのですが、ちょっと、ますます懸念がちょっと募るばかりというところで、残念なことで、ほかの委員の質疑にもっと充実した答弁をお願いしたいということを申し上げて、質問を終わります。

谷合正明公明党

○谷合正明君 公明党の谷合正明です。  最初にこの刑事デジタル法案の審議入りしたときに私も質問に立ちました。その際、電磁的記録提供命令について不服申立てが認められたならば効力を失うという答弁でありました。  一方、そのデータの返還には応じるけれども、一律に削除するという取扱いは想定されていないという答弁も別の審議のときに出ております。捜査機関が収集した電磁的記録が削除の義務付けがされていないということがこの委員会の審議でも論点になっております。前回の参議院の参考人質疑につきましては、その点大変勉強になったところでございます。  ということで、今日は、参考人質疑を通じた、確認的に質問をまず二点させていただきたいと思っております。  河津参考人の方からは、既に通信傍受法やいわゆる撮影新法には消去の規定が設けられている、また、複写物を含めた消去の仕組みの規定が設けられているという意見があったところでございます。  そこで、電磁的記録提供命令によって取得した電磁的記録の消去について同様の仕組みを設ける必要性について、法務当局から丁寧な説明を求めたいというふうに思っております。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 通信傍受にまずつきましては、一定の期間にわたって現に行われている他人間の通信内容を知るため、当該通信の当事者のいずれにも事前に告知しないで行うものであり、継続的、密行的に、憲法の保障する通信の秘密を制約する処分でございます。  こうした通信傍受の性質を踏まえ、通信傍受法におきましては、裁判所が傍受等の処分を取り消す場合において、当該傍受に係る通信が傍受すべき通信等に当たらない場合などには、検察官等に対しその保管する傍受記録の消去を命じることとしているものと考えられます。  これに対し、電磁的記録提供命令は、通信の秘密を制約するとしても、通信傍受とは異なり、処分の一時点において既に存在している電磁的記録の提供を命ずるものにとどまり、先ほど申し上げたような継続的、密行的に通信の秘密を制約する性質の処分ではないことから、電磁的記録提供命令と通信傍受の両制度を単純に比較することはできないと考えております。  その上で、現行刑事訴訟法の下では、捜査機関が証拠等を押収した場合においてその押収処分がその後取り消されたとしても、当該証拠の複製等を廃棄、消去することとはされておらず、直ちに裁判において証拠として利用することはできなくなるともされておりません。  最高裁判例におきましては、令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合に初めて証拠能力が否定されるという取扱いが確立しているところでございまして、したがって、通信傍受と同様の消去の仕組みを設けることは、我が国における刑事法の基本的な考え方と整合しないものであって、相当ではないと考えております。  また、いわゆる撮影新法におきましては、性的な姿態の撮影により生じたものなどが流通、拡散することによって撮影された被害者の権利利益が侵害される危険性を除去するため、特別の手続として検察官が性的な姿態が記録された一定の電磁的記録を消去するなどの措置を講ずることができることとされておりますけれども、今述べましたような趣旨は電磁的記録提供命令により収集される電磁的記録一般に妥当するものではないというふうに考えているところでございます。

谷合正明公明党

○谷合正明君 通信傍受法やいわゆる撮影新法、今回の刑事デジタル法案とは異なるという御説明でございました。  そこで、渕野参考人の方からは、電磁的記録提供命令によって取得され、消去されずに捜査機関に保管されている電磁的記録がほかの事件に流用して使われることが一番大きな問題を生じさせるということを述べられております。最高裁の判例によりまして、捜査機関が専ら別の罪、別罪の証拠に利用する目的で差押許可状に明示されたものを差し押さえることは禁止されております。  一方、成瀬参考人は、データが別の被疑事実とも関連性を有するという形で使われ得ることはあり得るということをおっしゃっていただいておりまして、この質疑の中でも、不同意わいせつ事件であるとかトクリュウなどの犯罪組織の事例を紹介されておりますけれども、そうした事案について犯人特定に至るケースなどもありますので、現にそのほかの事件の犯人検挙につながるということで、それが被害者であるとかその遺族を含む国民の安全、安心につながるということも、私もそうだというふうに思っております。  そうしますと、この参考人質疑を通じて、またこの最高裁の判例も含めて、法務当局の見解を改めて、事例も交えて分かりやすく説明をお願いしたいというふうに思います。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 現行法の下におきまして、一般に捜査機関がある被疑事件に関連するものとして収集した証拠が同時に別の被疑事件に関する証拠でもあることが判明した場合に、その証拠を当該別の被疑事件に関する証拠として用いることは実務的に認められているところでございます。  実務上も、先生からの若干御紹介ございましたが、例えば、捜査機関が不同意わいせつの被疑事実によって被疑者が所有する携帯電話、スマートフォンを差し押さえて、これに保存された電磁的記録を精査したところ、別の不同意性交等の被疑事実を示す電磁的記録が発見された場合や、組織犯罪による連続強盗事件において実行犯が所有していた携帯電話、スマートフォンを差し押さえ、これに保存されていた電磁的記録を精査したところ、当該犯罪組織が関与していた別の強盗や強盗殺人の被疑事実を示す電磁的記録が発見された場合などにおきまして、ある事件に、ある被疑事件に関連するものとして収集された証拠が別の被疑事件に関する証拠として用いられてその事案の解明に役立つということはあり得るところでございます。  本法律案が改正法として施行した場合には、電磁的記録提供命令によって取得されました電磁的記録についても同様に取り扱われることになるというふうに考えておりますけれども、こうした取扱いについては問題があるとは考えておらず、むしろ、今述べたような事案につきましては、未解決の事件の犯人検挙等につながって、被害者やその御遺族を含む国民の安心、安全の実現に資することになる場合もあると考えております。

谷合正明公明党

○谷合正明君 政府側の説明は理解をいたしております。その上で、最高裁の判例との関係で教えてほしいんですけれども、憲法三十五条一項及びこれを受けた刑事訴訟法二百十八条一項、二百十九条一項の趣旨からすると、捜査機関が専ら別罪の証拠に利用する目的で差押許可状に明示されたものを差し押さえることも禁止されるという判例を先ほど申し上げましたけれども、ちょっと改めて、この判例と今の話で関係性ってどういうことなんでしょうか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 今先生が御紹介なさった判例は、例えば本当はA罪という罪で被疑者なりを罪に捜査機関が問いたいと考えているときに、例えばですと、このA罪に関する証拠がないものだから、もっと例えば軽微な、何かB罪に関する証拠が見付かったということで、本当はB罪を処罰するつもりがなくて、専らA罪の証拠に利用する目的で捜索差押え等を行ったというような場合には、それは通常、別件捜索差押え等と言っておりますけれども、専らそういう目的でやった場合には、それは証拠として使うことが許されませんよということになりますが、実務上よくありますのは、A罪に関して被疑者の犯行かどうかを明らかにするために捜索差押えを行う、あるいは今後であれば電磁的記録提供命令を命ずるというようなことをした結果、そのA罪の証拠のほかに、その中にB罪とかC罪とかのものが含まれていたというような場合であれば、それは最初からB罪やC罪を目的として捜索差押え等を行ったわけではないから、B罪、C罪の証拠としてもその証拠を用いることができるというのが一般的な実務上の考え方でございます。

谷合正明公明党

○谷合正明君 刑事デジタル法案、新法においてそのような最高裁の判例に触れるような運用はあってはならないわけですけれども、そういうことはあり得ないということで理解してよろしいですか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) もちろん、最高裁判例にそのように明示されておりますし、そのような捜査手法というのはこれは禁止されているということでございますので、そういったことは捜査実務におけるものとしては当然しないということを前提に、もちろん電磁的記録提供命令についても適正になされるように周知徹底を図っていきたいというふうに考えております。

谷合正明公明党

○谷合正明君 それでは、ちょっと時間が限られていますので、別のテーマに行きたいと思います。  情報通信技術の進展等に伴って生じる新たな犯罪事象への適切な対処というところです。余りこれ質疑がなされていませんので、質問をさせていただきたいと思います。  一つ目に、まず電磁的記録をもって作成される文書の偽造等の罪の創設に関して、その趣旨、概要、また該当することが想定される事例について説明を求めます。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 近時、スマートフォンやタブレット端末等のモバイル端末が広く普及し、そうした端末の映像面に表示して人に見せることにより様々な電磁的記録が紙媒体の文書と同様に利用されるようになっております。  そのような中、近時、他人に成り済まして虚偽の内容の電磁的記録を作成し、インターネット上で悪用する行為が社会問題化している上、本法律案による改正後は、電磁的記録による令状の発付や執行が可能になることに伴いまして、電磁的記録による令状を偽造して悪用する事案の発生も懸念されます。  しかし、このような電磁的記録を偽造する行為等につきまして、現行刑法の下では、電磁的記録は文書偽造罪等に言う文書には該当しないことから、処罰できない場合がございます。  そこで、本法律案においては、文書と同様の機能を営む電磁的記録の社会的信頼を確保する観点から、文書として用いられる電磁的記録を偽造する行為等について現行の文書偽造罪等と同様の処罰をすることができるようにするために、電磁的記録をもって作成される文書を対象とする電磁的記録文書等偽造の罪を創設することとなっております。  個々の事案の成否は証拠関係を踏まえて判断されるものでございますけれども、一般論として申し上げれば、例えば、投資詐欺の手段として、SNS上で他人に示すために著名人の名義を無断で使用し、虚偽の投資実績を紹介する内容の電磁的記録を作成した場合でありますとか、他人に成り済まして消費者金融から借入れ目的で金銭を詐取する手段として、消費者金融の従業員に示すために自己の運転免許証をPDFの電磁的記録として取り込んだ上、同電磁的記録の氏名等を改変した場合などに成立し得るものと考えております。

谷合正明公明党

○谷合正明君 同様に、電子計算機損壊等による公務執行妨害の罪の創設、これに関しまして、その趣旨、概要、該当することが想定される事例について、説明を求めます。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 近時、情報通信技術等の進展等によりまして、警察官等の公務員がその職務の執行に電子計算機を用いる状況が生じており、本法律案による改正後の刑事訴訟法の下においても、例えば電磁的記録による令状を警察官がタブレット端末等の映像面に表示させて相手方に提示して執行するなどが予定されております。  しかし、現行の公務執行妨害罪は、公務員が職務を執行するに当たり、暴行又は脅迫を加える行為を対象としているため、公務員が職務に使用する電子計算機の動作を妨げる行為をしたとしても、当該公務員に対する暴行、脅迫に当たらない限り、同罪による処罰の対象とはなりません。  そこで、本法律案においては、公務を適切に保護する観点から、電子計算機損壊等公務執行妨害罪、公務執行妨害の罪を新設し、公務員が職務を執行するに当たり、その職務に使用する電子計算機を損壊したり、その電子計算機に虚偽の情報や不正な指令を与えることなどする方法により、その電子計算機に使用目的に沿った動作をさせない行為等について、現行の公務執行妨害罪と同様に処罰することとしております。  これもあくまで一般論でございますが、仮に今言いました警察官が令状をタブレット等の端末の映像面に表示させて相手に対して執行しようとする場面を想定いたしますと、そういった際に妨害電波を発するなどしまして令状を表示できないようにするといった行為については、この電子計算機損壊等公務執行妨害の罪が成立し得るというふうに考えております。

谷合正明公明党

○谷合正明君 理解いたしました。  それでは最後になりますけれども、この法案全体の話になりますが、全体の話と言いながら、まず、電磁的記録提供命令について、これが適正に運用されるためにはということ、これが大きな論点になっているわけですけれども、捜査機関が電磁的記録提供命令による令状を請求する際、裁判官がその請求を精査して、審査して令状を発付する際に提供させるべき電磁的記録をできる限り特定するということが重要であります。また、衆議院の修正でも留意事項が追加されたところでございます。  前回の質問で高村副大臣に御答弁いただく機会を失ってしまいましたので、今日は副大臣にこの点について答弁求めたいと思います。

高村正大自由民主党・無所属の会法務副大臣

○副大臣(高村正大君) 委員の御指摘のとおり、電磁的記録提供命令の適正な運用を図るためには、捜査機関による令状の請求や裁判官による令状の発付の場面においては対象となる電磁的記録ができる限り限定、特定されることが重要であると考えております。  法務省においても、本法律案が改正法として成立した場合には、電磁的記録提供命令の適正な運用に資するため、捜査機関に対し、制度の内容や趣旨等の周知を図ってまいりたいと考えております。  ありがとうございます。

谷合正明公明党

○谷合正明君 最後になりますが、大臣に伺います。  刑事デジタル法案、この全体ですね、改正する必要性ということについては大臣も最初の私の質問を通じて冒頭お答えいただいておりますけれども、改めて、この法制全体の円滑な施行に向けて意気込みを伺いたいというふうに思います。  また、今日の質疑でも打越先生からも何か不安を解消してほしいというような質問もありましたけれども、そうしたまだまだ不安を持っていらっしゃる方もいらっしゃるということで、そうしたことも含めて、大臣に最後答弁を求めたいというふうに思います。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) この法案でありますけれども、刑事手続等の円滑化、迅速化、さらにはこれに関与する国民の皆様方の負担軽減、これを図るとともに、情報通信技術の進展に伴って生じる犯罪事象に適切に対処する、先ほど質疑でもございましたけれども、そういったことで、安心、安全な社会を実現しようとするものと私どもとしては考えているところであります。まさにこの趣旨を実現をするためには、この適正な運用、これ極めて重要だと考えております。  この法律案、改正法として成立をした場合には、システムの整備、あるいは訓令、通達等の発出、さらには関係機関に対する制度の周知等々、この円滑な実施に向けて我々としても万全を尽くしてまいりたいと思っております。

谷合正明公明党

○谷合正明君 終わります。ありがとうございました。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。よろしくお願いします。  私からは、主に電磁的記録提供命令について、確認の意味を込めて最後御質問をしたいと思っております。  まず大臣に、改めての部分もあるんですが、伺いたいんですが、今回、電磁的記録提供命令創設、これによってどういった人権が制約され得るか、また、例えばこの電磁的記録提供命令、これは手続の簡便さを図ることで安全、安心な社会を実現する、全体の利益を実現するという趣旨だと思いますが、当然ですけど、過度な人権制約を行われないのは当然であり、この手続の円滑化という趣旨、目的と人権制約の比較考量から考えても命令の執行は謙抑的であるべきと考えますが、大臣の御意見をまず伺いたいと思います。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) この刑訴法全体といたしまして、当然、第一条の規定ということで、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現をすること、これが目的となります。そうした中にあって、電磁的記録提供命令、これは、提供される電磁的記録の内容に応じて、憲法第二十一条第二項の通信の秘密であったり、あるいはプライバシー権、これを制約し得る処分、これはそういうことでもあります。  そうした中で、先ほど申し上げましたこの刑訴法第一条、この趣旨、これを踏まえながら、やはり不当な権利侵害、これを生じないような適正な運用、これ極めて重要であろうと考えております。  この法案、改正法として成立をした場合には、捜査機関においてもこの電磁的記録提供命令、この適切な運用、これ極めて重要でありますので、その在り方、これを検討していく、捜査機関においてもそういう適切な運用の在り方を検討していくものと考えておりますけれども、私どもといたしましても、通達等々によりまして捜査機関に対して制度内容の十分な周知を行う等々をしながら、必要な方策をしっかりと講じてまいりたいと思っております。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 適正な運用ということを強調されて、極めて重要ということでありました。謙抑的ということを改めて強く申し上げたいと思います。  その上で、電磁的記録提供命令を受けた者、政府参考人に伺いますが、局長に伺いますが、電磁的記録提供命令を受けた者が負う義務は、これは特定された電磁的記録を提供することに尽きるのか、当該電磁的記録の復号化に協力することにまで及ぶのか、伺いたいと思います。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 電磁的記録提供命令により電磁的記録を提供させる方法としては、電磁的記録を記録媒体に記録させて当該記録媒体を提出させる方法等がありますところ、ここに言う「記録させ」には、暗号化された電磁的記録を復号させた上でこれを他の記録媒体に記録させることも含まれるものと考えております。  そのため、例えば捜査機関として、パスワードが掛けられている電磁的記録について、裁判官の発する令状に基づく電磁的記録提供命令によりパスワードを解除してその内容を知ることができる状態で提供することを命ずることもできまして、そのようにして提供をすることを命じたにもかかわらず、命令を受けた者がパスワードを解除せずに当該電磁的記録を提供し、提供を受けた者においてその内容を知ることができない場合には、命令を履行したこと、すなわち必要な電磁的記録を提供したことにはならないというふうに考えておりまして、このように、電磁的記録提供命令自体により、被処分者が暗号化された電磁的記録を復号した上でこれを提供することを義務付けられる場合はあり得るものと考えております。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 先ほど来もずっと同じような議論はありまして、供述の内容がどうかとか、そういう概念の部分はあります。  ここで改めて私も申し上げたいところは、その上で、憲法上の権利である自己負罪拒否特権、これも実質的に侵害することがないような適正な対処、先ほど大臣からも、謙抑的という私の質問に対して、適正な運用ということを繰り返しいただいたわけでありまして、そこはしっかりと確保するようにということは改めて強調をいたしたいと思います。  その上で、ちょっと次に、済みません、ちょっと一問飛ばしていただいて、これから、何度も話があるこの電磁的記録提供命令についてであります。  参考人質疑のときにも成瀬参考人にも同様の質問をしたんですが、これは今までも、捜索差押えとはまた前の段階でとか、様々な違うフェーズというか新しい取組、命令でもあるんですが、例えば運用として、これ今までもある特定性とか関連性がないものを取ってしまう可能性のあるリスクの在り方としては、捜査機関が令状に基づいてサービスプロバイダーからデータの提供を受けたり、ハードディスクドライブを押収してデータを取得した後に、更に被疑事件との関連性を精査して選別の上、関係ないと、関連ないと判断された場合は返還する、消去する、こういった仕組みということの運用も考えられるのではないかと思いますが、局長からの答弁求めたいと思います。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 本法律案における改正後の刑事訴訟法においては、裁判官が発する電磁的記録提供命令の令状に提供させるべき電磁的記録等を具体的に特定して記載、記録することとしており、捜査機関が提供を命ずることができる電磁的記録は、制度上、裁判官が被疑事件等との関連性を認めて令状に記載、記録したものに限定されます。  さらには、電磁的記録提供命令については、現行の差押えと異なり、被処分者に電磁的記録の提供を命ずる処分であり、そうした処分の性質上、被処分者において何を提供すればよいのかが判断できるようにする必要があることから、一般的には、令状における提供させるべき電磁的記録は、現行の差押えにおける差し押さえるべきものに比べて、より具体的に特定されることになるものと考えております。  その意味でも、電磁的記録提供命令については、制度上、被疑事件と関連性のない情報が収集されることにならないと考えておりますが、他方、現行の刑事訴訟法におきまして、捜査機関が捜査の過程で収集し、保有する証拠について、被疑事件との関連性が乏しいことなどを理由として廃棄や消去等をすることができるとする規律は設けられておりません。  実質的に見ましても、捜査の過程で収集した証拠と被疑事件との関連性の有無や程度では、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、捜査の進展や争点等に応じて変化し得るものでありまして、捜査のある段階でさほど重要でないと思われていた証拠が、後に有罪方向か無罪方向かを問わず事案の解明に重要となる場合もあり得ることなどからすると、収集した証拠につきましては、弁護人等への開示も含め、刑事手続における利用に備えて適切に保管することが相当であるというふうに考えております。  したがいまして、御指摘のような消去の規律を設けたり、そうした運用を行うことについては慎重な検討を要するものというふうに考えております。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 現行の構造との比較というか、そこの考えとはまた違う新しい環境下にこれからもう入るわけですので、そこはよく理解もした上で今後の運用を検討いただきたい。  また、ほかのものに使われるかもしれない、けど一方で全く関係のないものまで入り込む余地もある。だから、それについては明らかに関係ないものは別途消去をするとか、そういうものもまた今後の運用で是非、これは引き続き議論をしたいと思いますが、考えていただきたいことをまず申し上げたいと思います。  それで、今局長からも特定の話があったのですが、これ、成瀬参考人からも、今回の改正を受けて、今後、疎明資料を相当具体的に出す必要があるとの発言もありました。  今回の改正を受けて、この電磁的記録提供命令に係る令状はこれどのように請求していくのか、これをまず警察の方に求めて、裁判所としては抽象的にしか疎明できないのであれば令状請求却下すべきという指摘もあるわけでありますが、この点、改めて確認をしたいと思います。

松田哲也警察庁長官官房審議官

○政府参考人(松田哲也君) お答えいたします。  ただいまの法務省の答弁と重なる部分も一部ありますが、電磁的記録提供命令は被処分者に電磁的記録の提供を命ずる処分であるところ、その処分の性質上、提供させるべき電磁的記録については被処分者において何を提供すればよいのか判断できる程度に特定させる必要があるため、一般論として申し上げれば、現行の差押えにおける差し押さえるべきものに比べて、より具体的に特定されることとなると考えております。  令状の請求に当たっては、具体的な事実関係、証拠関係等を踏まえまして、裁判官に対し、被疑事実等の内容や捜査状況についての資料を提出し、提供させるべき電磁的記録やその命令の必要性等を適切に疎明できるようにする必要があると考えております。

平城文啓最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答えいたします。  裁判所といたしましても、一般論として申し上げれば、発付のための要件が具体的に疎明されていない場合においては、請求どおりに令状が発付されることはないというふうに認識しております。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 警察の方からも、要は、被処分者の方は事件の概要も御存じないわけでありますから、そういう方に対してもしっかりと、じゃ、何を出せばいいのかということを見えるようにするには、適切にというふうにおっしゃったので、この適切にというのはどういうふうにしていくのかということは、今後もまたしっかりと、内部の徹底も含めていただきたいと思いますし、党としても引き続き協議をしていきたいと思います。裁判所も今ありました。  ちょっとその後は、包括的な電磁的記録の提供を命じることにならないように周知徹底ということも伺いたいと思ったんですが、先ほど高村副大臣からも御答弁ありましたので次に行きたいと思いますが、国民のプライバシーの権利を保護するため、電磁的記録の事前規制だけではやっぱり不十分であり、事後規制を適正にすべきだと、それにおける裁判所の役割の重要性ということが河津参考人の方からも御意見があったわけであります。また、これについての見解、その役割を果たすために何が必要と考えているのか、裁判所の方の意見を求めたいと思います。

平城文啓最高裁判所事務総局刑事局長

○最高裁判所長官代理者(平城文啓君) お答えいたします。  電磁的記録提供命令に対する事後規制として裁判所が関わりを持ちますのは、不服申立ての場面ということになると考えております。そのような場面においても、当然のことながら、本法案に対する修正案附則四十条、かかる附則の趣旨等を踏まえた判断がされていくものと認識しております。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 是非、附則の、それぞれの個々の裁判官の判断の部分もあるということかもしれませんが、附則の趣旨ということはしっかり徹底するように裁判所としても是非お願いしたいと思います。  秘密保持命令の話に次に行きたいと思うんですが、秘密保持命令の必要性が認められるのはどのような場合なのか。捜査の密行性という言葉で安易に秘密保持命令というのが発することにならないように、例えばアメリカでは、生命又は身体への加害、逃亡、罪証隠滅、証人威迫その他著しい捜査の妨害又は裁判の遅延が生ずると信じる理由がある場合というように要件がされておりますが、日本ではまた同じような事情が必要性として考慮され得るのかを確認したいと思います。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 秘密保持命令は、電磁的記録提供命令の被処分者として捜査に協力的でない者等も想定される中で、そのような者が命令を受けたことや命令により電磁的記録を提供したことなどを犯人等に伝えることにより、犯人等が罪証隠滅行為や逃亡に及ぶおそれがあることに鑑み、捜査に重大な支障が生じることを防止するために創設するものでございます。  必要があるときということについてどのような場合がこれに当たるかは、個別の事案ごとに判断される事柄ではございますが、例えば、通信事業者等が顧客の通信に関する情報を第三者に提供したときに当該顧客にそのことを通知すべき契約上の義務を負っており、その義務の履行として、捜査機関から電磁的記録提供命令を受けたこと及び提供を命ぜられた電磁的記録を提供したことを顧客に通知することにより罪証隠滅行為等が行われるおそれが大きい場合などは、必要があるときに当たり得るものと考えております。  その上で、一般論として申し上げますと、先ほど委員が御指摘になったような諸事情も、いずれも裁判官による必要があるときに当たり得るか否かの判断に際して考慮され得るものであるというふうに考えております。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 では、一方で、秘密保持命令が必要なくなったと判断するには具体的にどのようなときなのか。これは当然ですけど、捜査機関の裁量ではないと思いますが、改めて確認したいと思います。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 本法律案による改正後の刑事訴訟法第二百十八条第七項における、その必要がなくなったときとは、電磁的記録提供命令を受けたこと等の漏えいを秘密保持命令により防止する必要がなくなった場合を意味するものと考えております。  具体的にどのような場合がこれに当たるかにつきましては、これも個別の事案ごとに具体的な事実関係、証拠関係を踏まえて判断されるべき事柄でありますけれども、捜査、公判が進展し、電磁的記録提供命令を受けたこと等を被処分者以外に知らせても罪証隠滅行為等が行われるおそれがなくなったときなどはその必要がなくなったときに当たり得ると考えておりまして、また同項は、捜査機関に対し、秘密保持命令をした場合において、その必要がなくなったときはこれを取り消さなければならないというふうに規定しておりますことから、捜査機関は必要がなくなったときには命令を取り消す義務を負っていることとなります。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 義務を、まさに義務を負っているということは、これは義務であり、必ず取り消さなければいけない。秘密保持命令、当然ある以上、そのまさに情報の関係する主体の方のプライバシーということ、場合によっては、先ほど裁判所の方でも事後規制の中で不服申立てというところがありましたが、場合によっては、通知が行かないことでその事後規制としての不服申立ての実効性も図れなくなる可能性もある。取り消すときにはしっかり取り消すということが義務であるということを改めて強調もさせていただいて、その責務があるということも是非捜査当局も御理解をいただきたいと思っております。そこもしっかり、また今後の運用も含めてよく見ていきたいと思います。  そして、もう一つ、電磁的記録提供命令を受けた者が電磁的記録にアクセスすることが不可能であり、その結果、当該電磁的記録を提供することができない場合、電磁的記録提供命令に問うことはできないという場合も理論的にはあり得ると。  では、電磁的記録提供命令を受けた者が電磁的記録にアクセスすることが不正アクセスに該当するような場合に、不正アクセスになることを理由に電磁的記録提供命令を、提供しないことは罰則の対象となるのか、これも確認したいと思います。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) まず、捜査機関による電磁的記録提供命令は、捜査に必要な電磁的記録を保管する者又はそれを利用する権限を有する者に対してすることができるものでございまして、一般に裁判官による令状審査においては、被処分者とされている者がこれらに該当するかということも含めて審査されることになりますことから、御指摘のような電磁的記録提供命令を受けた者が提供を命じられた電磁的記録を取得することが不正アクセスに該当するという事態はまず基本的には想定し難いとは考えておりますが、その上で、あくまで一般論として申し上げますと、改正後の刑事訴訟法二百二十二条の二第一項においては、正当な理由がなく、電磁的記録提供命令に違反した者に対する罰則を規定しておりますところ、この正当な理由がなくとは違法にという意味でございまして、正当な理由には、法律上明文の規定によって電磁的記録提供命令の拒絶権が認められる場合のほか、実質的に違法性を欠くと認められる場合も含まれると考えられます。  どのような場合がその成立するか否かについては、個別具体的な事案ごとに証拠によって判断されるべきことではございますが、一般的には、被処分者において不法な手段を用いなければ当該命令を履行することができないような場合には、正当な理由に該当し、同罪の成立が否定され得るものと考えております。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 ありがとうございます。  じゃ、最後に大臣に伺いたいんですが、この法案そのものと併せて、やはり一つ法案が議論になる背景には、捜査機関による証拠の捏造や情報の改ざんなどへの懸念、つまりその背景には、有罪立証が成果になっているような文化があるのではないかというような御意見もあります。そのような文化の有無にかかわらず、そういう文化が生まないようにするためには、大臣としては今後どういう方策を取るとお考えになっているのか、答弁を求めたいと思います。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 今、有罪立証というところの文化ということ、御指摘もありましたが、私どもとして、その有罪を得ることを成果とみなすような姿勢で職務を行う、そういった文化があるとは考えてはおりません。  例えば、「検察の理念」等々においてもそういったこと、それは具体的に、あたかも常に有罪そのものを目的とし、より重い処分の実現自体を成果とみなすかのごとき姿勢となってはならない等々のそうした記述もあるところでありまして、そういったことはないと考えております。  ただ、やはり検察の活動、これは適正に行われているのか、そういった厳しい御指摘、この国会の場も含めていただいている状況でもあります。やはり、検察の活動、これは当然のことながら、国民の皆様方の信頼の上に立っていなければいけない。検察権の行使の適正さ、ここに疑いが出るようなことがあれば、これは活動の基盤を揺るがしかねないということがありますので、ここは検察の捜査、公判活動、これ適正に行われていかなくてはならないと考えております。  当然のことながら、法と証拠に基づいて、さらには「検察の理念」に示された検察の精神及び基本姿勢を指針として適切に今後とも対応していかなくてはいけないと思いますし、また同時に、この法案成立した場合には、やはりそうした、この運用についても適正な運用が確保されるように、これは捜査機関も含めてでありますけれども、しっかりそうしたことは、通達等々様々な規定を含めて、しっかりとこれは私どもとしてもそうした取組をしていきたいと思っております。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 私、大川原化工機事件の、逮捕されて、その後勾留中に亡くなられた相嶋静夫さんの御遺族の方、亡くなられた後に起訴が取り消されたということで、本人は無罪だということが、罪に問うべきじゃないということを分からない状態のままお亡くなりになられた方の御遺族お会いしました。  今、内容に特に触れるべきではないとは思っておりますが、ただ、御遺族の方から言われたのは、この文化というものに対する怒りというものがありました。これがあるかどうかは、また今お話があったんですけど、私たちとしてはタイミングを見て、じゃ、どういう文化があるのかというのはまた検討はしたいと思います。ただ、一言、ないというふうに決めるよりは、そういうリスクがあり得るということを含めて、どういう制度がいいのかということを常に考えていく姿勢というのは私は大事だと思います。  今回の法律を踏まえて、また今後もそういう意識を共に共有し合いながら、より良い制度の運用の在り方を考えていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  以上で質問を終わります。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 午後一時二十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      ─────・─────    午後一時二十二分開会

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  あわせて、委員におかれましては、時間どおりの出席をお願いいたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、山東昭子君が委員を辞任され、その補欠として神谷政幸君が選任されました。     ─────────────

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 休憩前に引き続き、情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。日本維新の会、嘉田由紀子でございます。  情報技術デジタル刑事法の問題については皆さんがしっかりやっていただいていますので、私は、今日、また改めて日本の子供の問題を取り上げさせていただきたいと思います。  昨日、ユニセフが発表しましたけれども、五年前に、日本の子供の健康度は世界でも最も高いんですが、精神的幸せ度が三十八か国中三十七位でした、五年前。それが、今度新しくデータが出たんですけれども、まだまだ低くて三十二位です。というところで、私は一貫してこの子供の幸せに関わる家族法の問題を取り上げてまいりましたけれども、一昨日五月十三日には、東京地裁で出された、親権は職分であると、人間としての本分であるということに関わって、憲法十三条で認められる人格権、幸福追求権であるということが東京高裁の判示、判定されました。  そこに関わって、今日は質問一として、学校行事への参加者の範囲設定について、文部科学省さんにまずお伺いします。  一昨日の答弁で、文部科学省の日向学習基盤審議官より、保護者を含めた学校行事への参加者の範囲をどのように設定するか、また、これは当該学校の判断に委ねられていると、そして学校は両親の意思を調整する立場にはないという御答弁をいただきましたが、この御答弁を見ますと、地方自治法第一条の二に指定される地方自治体の自立性を尊重されているということかもしれませんが、学校側が両親の調整しないという御答弁は、そのとおりと理解させていただいてよろしいですか。お願いいたします。

日向信和文部科学省大臣官房学習基盤審議官

○政府参考人(日向信和君) お答えいたします。  一般論としてですが、保護者を含めた学校行事への参加者の範囲をどのように設定するかについては、当該学校の判断に委ねられるものと考えております。  その上で、学校行事への保護者の参加に関して親権者等の双方から矛盾した内容の意思が示されるような場合は、学校はそうした両者の意思を調整する立場にはないため、親権者等の双方で協議を行った上で、その結果を学校に伝えていただくことが望ましいと考えております。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 今日、二十五分の質問、質疑の中で、今の御回答がもう少し前向きになることを期待をいたしまして、次の質問に入らせていただきます。  二〇二四年二月二十二日の東京高裁の判決文では、親権は、非親権者が親として教育への関与を含めた子を養育監護する職分を否定するあるいは免除するものではないと。ですから、親権を持っていたとしても、専らこれは子の利益を図るためのものですから、子の利益に合致する非親権者の子に対する教育への関与を合理的な理由なく、例えば虐待であるとか、そういう合理的な理由なく制限する権限ではないとされました。そして、別居親が教育に関わることを同居親は妨げてはいけないということが明示されたんですけど、このことについてどうお考えでしょうか。

日向信和文部科学省大臣官房学習基盤審議官

○政府参考人(日向信和君) お答えいたします。  御質問は民法の解釈に関わる内容となりますので、文部科学省から答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。  なお、学校行事などへの参加に関しては、実際に別居親と同居親の合意の状況が確認できた場合に卒業式への参加を認めている事例もあるものと承知しており、文部科学省としては、こうした事例を含め、学校現場の対応に資する事項の周知などに努めてまいりたいと考えております。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。実態としてはかなり多様でばらばらということでございます。  それは理解した上で、東京高裁の判決では、同居親が別居親を学校行事から排除する行為をDVという判断をしております。つまり、同居親から別居親への支配的行為と捉えられ、配偶者暴力が成立するという判断です。また一方で、同居親により子供が別居親と自由に関わる人格権を得られない場合には、これは支配、被支配関係として児童虐待と捉えられるとも東京高裁の判決では言っております。  つまり、このことは、同居親が別居親を排除する行為は法律上問題があり、昨年改正されました民法八百十七条の十二、これはまだ施行されておりません、来年の四月か五月でしょうか、それは法務省で決めていただくことですけれども、来年施行された後の民法八百十七条十二の父母間の人格尊重義務、協力義務及び子の人格尊重義務違反として親権喪失要因となり得ると思われますが、民事局長の見解をお願いいたします。

竹内努法務省民事局長

○政府参考人(竹内努君) お答えいたします。  子の利益の観点から、父母の別居後や離婚後も父母が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが重要であると考えております。  そこで、令和六年民法等の一部を改正する法律では、親権の有無や婚姻関係の有無にかかわらず、父母は子の人格を尊重してその子を養育しなければならないこと、父母は子の利益のため互いに人格を尊重し協力しなければならないこと等を明確化することとしております。  文部科学省から答弁されたとおり、御指摘の学校行事への参加者の範囲をどのように設定するかにつきましては当該学校において判断されることでありますが、父母双方から矛盾した内容の意思が示されるような場合は、学校はそうした両者の意思を調整する場にはないため、父母が、民法第八百十七条の十二の趣旨を踏まえ、子の利益の観点から適切に協議を行った上で、その結果を学校に伝えていただくことが望ましいと考えられます。  その上で、父母の一方が何らの理由なくそのような協議を拒んだり、学校行事から殊更に排除しようとしたりするような場合には、個別具体的な事情によりましては、父母相互の人格尊重義務や協力義務に違反すると評価されることがあり得ると考えております。  そして、あくまで一般論としてお答えをいたしますと、父母の一方が父母相互の人格尊重義務や協力義務等に違反すると評価された場合には、親権者の指定、変更の審判等において、その違反の内容が考慮される可能性があると考えております。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。今の民事局長の答弁は大変重要です。  今回、民法改正された中で、八百十七条の十二にこの親の協力義務が入った、あるいは相互に人格尊重義務が入ったということが、たとえ父母別れても、父子、母子の関係をより言わば子供のために充実させるんだということを民法に書き込んでいただいた、ここは私ども大変評価しておりますので、来年施行された後、是非、大臣含めて、ここのところが肝であるということを是非社会的に広めていただきたいと思います。その広める一つのきっかけが、学校における親と子の関係性の改善だということでございます。  実は、実際に別居親を差別しないという取組が各地で起きております。現場は進んでいるんですということを紹介させていただきます。  例えば富山県のある事例ですが、子供が通う小学校のお便り、プリント、保護者向けの行事案内などは、父母双方に二通用意して、同居親に渡し、同居親側から別居親に渡すように促されています。もし同居親側から別居親に渡さない場合においては、学校から直接別居親に送付をされておりまして、発送などに掛かるコストは別居親が負担をしているということです。これ、ちょうど同じことが保育園でも運用されておりまして、役所の子育て課、保育園担当ですね、子育て課と教育委員会、小学校とが連携して意識の共有を図るようにしているということです。これは富山県のある市の事例です。  一方、愛知県のこれもある市の事例ですけれども、親権を離婚で失った別居親が、学校長、教頭に卒業式の参加交渉をしたところ、学校から、親なので当然子供の姿を見てほしいということで、卒業式に参加ができたと。参加ができた別居親も本当に喜び、お子さんも、お父さんが来てくれたと喜んでくれている。これ、双方にとっていいことですよね。排除することが必ずしも親子の幸せではないんだという、親の情として当たり前のことが今現場で、今まで排除されてきたということ、ここは是非、法務大臣、今回の民法改正の意味ということを、また副大臣含めて、うなずいていただいておりますので、理解をしていただき、これをできたら日本中に広めていただきたいと思います。  一方で、不幸な事例もあります。  埼玉県では、学校や園で別居親が差別扱いされたとして、三市において国家賠償請求事件が提訴され、戸田市では現在も係争が係属中です。その差別的扱いとは、例えば、夫婦間のいさかい等を理由に、学校が現場を確認したわけでもないのに、同居親の意見のみで学校行事から別居親が排除されてしまいました。  このような国家賠償請求事件は個別具体的に今後も発生する可能性があります。その責任は、学校長、つまり自治体にあると考えられますが、もう自然的親子権という判決文を鑑みますと、非親権者も教育権を有していると東京高等裁判所は見解を示したわけです。この片親を差別的に扱うと、あるいは教育権を阻害するということは、別居親あるいは非親権者が差別の責任を追及する場として、学校長、自治体にこの差別追及をしてくる可能性もあります。この辺り、文科省さん、どう考えるでしょうか。

日向信和文部科学省大臣官房学習基盤審議官

○政府参考人(日向信和君) お答えいたします。  御指摘の判例に関する解釈につきましては、文部科学省から答弁することは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、公立の学校の対応に何らかの課題があると考える場合には、まずは当該学校の設置者である教育委員会に御相談いただくことになるものと考えられます。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 またこれも最後の方で、クエスチョン・アンド・アンサーで充実していただきたいと思いますけれども。  少なくとも、東京高裁が示した判決文には、親権は、非親権者が親として教育への関与を含めた子を養育監護する職分を否定するものではない、あるいは免除するものでもないと。親権は専ら子の利益を図るためのものであるから、子の利益に合致する非親権者の子に対する教育への関与を合理的な理由なく制限する権限ではないとされております。別居親が教育に関わることを同居親が妨げてはいけないということが明示されました。  そして、この正当な理由なく妨害する同居親に権限を与えてしまう行為については、学校側が別居親を差別した行為として、高等裁判所までは違法行為であると示されております。そして、国家賠償請求事件の訴訟リスクまであると。埼玉の例ですね。  この訴訟リスクについても、文科省さん、どう思われますか。

日向信和文部科学省大臣官房学習基盤審議官

○政府参考人(日向信和君) お答えいたします。  憲法と子供の養育監護の関係性に関する解釈につきましては、文部科学省から答弁することについては差し控えさせていただきたいと考えております。  一般論として申し上げれば、当然に学校現場において訴訟のリスクを抱えることは避けるべきであり、当事者等から適切な情報を学校に提供いただいた上で対応していくことが大切であると考えております。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  私も、本当に学校現場の忙しさ、いじめも、そして引きこもりも大変増えているところで、先生方の御苦労はよくよく見ているんですけれども、だからこそ、正しく法律を施行しながら、子供と親がより幸せな関係性を維持できるよう、それをつくるのが今の、これからのクエスチョン・アンド・アンサーだろうと思いますので、そこはお願いしたいと思います。  公務員が平等的に行動すべきというのは、地方公務員法にも関わってまいります。地方公務員法十三条には、公務員は全国民を平等に扱わなければならないとあります。これに違反した場合には、六十条に規定される罰則規定に触れることさえ予想されます。具体的には、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金というリスクを教職員一人一人が負ってしまうと。こんな目には遭ってほしくないというのが私自身の現場を知る立場からでございます。  あわせて、三十二条には、地方公務員は法令や上司の職務上の命令に従う義務があるとも定められております。教職員の方々は、公立の学校ですね、法律にのっとって業務をして、さらに上司の命令に従うとありますが、こういった行為は教職員一人一人、個人個人に対しても罰則が適用されるリスクもあります。  ですから、別居親を排除するという教職員の差別行為については、例えば一年以下の懲役、五十万円以下の罰金というリスクも伴っておりまして、その行為は上司が命令したことによるとも判断されかねません。つまり、教育長や学校長、上に立つ皆様が別居親差別という行為を教職員にさせるということと捉えられ、懲役のリスクを伴う指示をしていることにもつながりかねません。  ここのところは、法務省さんではなく、ある意味で地方公務員法ですから総務省なんですが、総務省さんはこういうデータを持っていないと。つまり、罰金なりは裁判所が扱うからということで、内部の懲罰とかのデータはあるけれども、裁判についての記録はないということです。  そして、別居親差別を廃止している自治体の例、以下紹介させていただきます。私が確認している限りですが、神奈川県には厚木市、秦野市、綾瀬市、伊勢原市、寒川町、東京都では北区、練馬区、三鷹市、愛知県では東海市、愛西市、岐阜県大垣市、富山県氷見市、大阪府大東市など、多数子供の権利を守る施策を実行しております。  文部科学省としては、独自に、都道府県あるいは市区町村の教育委員会を経て、子供の家族状況や親の状況について、現場での学校の教育指導に使えるよう仕組みづくりを考えていただけないでしょうか。文部科学省さん、お願いします。

日向信和文部科学省大臣官房学習基盤審議官

○政府参考人(日向信和君) お答えいたします。  学校行事などへの参加に関しては、先ほども御答弁させていただきましたが、実際に別居親と同居親の合意の状況が確認できた場合に卒業式への参加を認めている事例もあるものと承知をしております。  文部科学省としては、今般の民法改正への対応の一環として、改正法の施行後に学校現場にできるだけ混乱が生じることのないよう、制度改正による影響や、こうした事例も含めた別居親の対応の具体例など、各学校現場の対応に資する事項等について関係者への周知に努めてまいります。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  家族法の改正は本当に広く関わっておりますので、それで、昨年の七月から民事局では、父母の離婚後の子の養育に関する民法等改正法の施行準備のための関係府省庁等連絡会議、大変長いので覚えられないんですが、まあ連絡会議と言っています、連絡会議が開催されています。一月二十一日までの議事録は公開されておりますが、その後、四月二十二日にも連絡会議が開催されたということですが、議事録はまだ公開されておりません。そして、この中に、文部科学省さんはQアンドAの準備をしているということですが、どのような項目を入れようとしておられるでしょうか。準備状況を教えていただけるでしょうか。

日向信和文部科学省大臣官房学習基盤審議官

○政府参考人(日向信和君) お答えいたします。  現在、今般の民法改正への対応の一環として、法務省を始めとした関係府省庁が連携して改正法に関する具体的なQアンドA形式の解説資料等の検討を進めているところですが、項目を含めその内容については、現在関係府省庁間において調整を行っているところであり、現在お答えできる状況にはないことを御理解いただければと存じます。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 一年たってお答えできる状況ではないと。あと一年というか、現場は、もう来年の四月から施行されるとしたら、それより数か月ほど前に、学校は先生方の配置は幹部ですともう一月に決めます。私自身も知事時代から人事については目配りをしてきましたので、一月には決める。そういうときに、四月以降何がどうなるのかということは、確実に一月までにこのQアンドA、詰めていただきたいと思います。  そして、この親子の交流を制限するような方向が出てしまいますと、教育委員会は教育長に対して優越権の濫用となる可能性がありますので、これを排除することとともに、教職員の人が一人ずつ安心して業務に打ち込むことができるよう、是非、文部科学省さん、QアンドAを作っていただきたいと思います。  私がガイドラインと言うと、文科省さんは、ガイドラインではありません、QアンドAですと繰り返し言われるんですが、何でガイドラインという言葉を嫌がるのかよく分かりません。審議官もどこまで御理解いただいているか分かりませんが、現場にとってはやっぱりガイドラインが欲しいんです。本当にここまで、親子関係あるいは子供の日々の行動は、親が突然離婚したりしたら大きく影響します。  これも以前から言っておりますが、保育園の先生方は意外と把握しています。というのは、お父さんが送ってこなくなった、どうしたのと言ったら、保育園の先生方は、もう子供さんの親の状況、かなり詳しく手に取るように知っているんですけど、小学校になると、途端、そこが切れてしまいますので、この辺り、やはり教育委員会として各都道府県また市区町村にガイドライン、QアンドAを確実に示していただきたいと思います。  これ、今のタイミングも含めて、いつぐらいまでにどういう内容でいけそうか、是非その覚悟を示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

日向信和文部科学省大臣官房学習基盤審議官

○政府参考人(日向信和君) お答えいたします。  先ほども御答弁させていただきましたが、現在、法務省を始めとした関係府省庁が連携をして改正法に関する具体的なQアンドA形式の解説資料等の検討を進めているところでございます。  文部科学省としましては、改正法の施行後に学校現場にできるだけ混乱が生じることのないよう、制度改正による影響や離婚後の別居親への対応の具体例を含む民法改正に関連した各現場の対応に資する事項等について、しっかりと関係者への周知に努めてまいりたいと考えております。  また、先生から具体的な公表時期についてもいろいろ御指摘もいただきましたが、現在、その公表時期、お示しすることは困難な状況ではございますが、先生の御意見は受け止めさせていただきたいと思います。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  タイミング的には、繰り返しになりますが、やはり三学期が入る一月にはもう教育委員会の人事も始まりますので、そこまでには是非お願いしたいと思います。  そして、先ほど言いました、訴訟リスクとかって言いたくないんです、先生方は本当に頑張っていらっしゃるから。だけど、そういう目に遭わせないように、やはりガイドラインをきっちり作っていただけたらと思います。  最後にまとめの質問ですけれども、法務大臣、今も聞いていただきましたように、本当に、小中学校の先生方、公務員ですと地方公務員法違反まで問われるおそれがあります。そして、今日はこども家庭庁さんお呼びしていないんですけれども、子供の幸せ度というのはまさにこども家庭庁の大きな仕事でございます。そして、まさに省庁横断的な包括的な方向が求められていて、それに対して、民法改正をした当事者として、法務省、法務大臣さんにいろいろな問合せもあると思いますので、ここ、法務大臣さんとして省庁横断的な包括的なガイドラインを準備していくという御覚悟を是非お願いしたいと思います。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 御指摘の民法の改正法でありますけれども、この円滑な施行、この観点から、学校教育の現場も含めて関係諸機関に対する周知、広報の重要性、これ極めて大事だと我々も認識をしております。  現在、先ほど質疑の中でも御指摘いただきましたが、関係府省庁等連絡会議におきまして関係の府省庁と意見交換を行っておりまして、今法案審議の過程で御質問いただいたそういった点を中心に具体的な場面を想定したQアンドA形式の解説資料の作成についての検討を行っているところであります。私どもとしても、ホームページの方に、QA形式の解説資料についても速やかに適切な方法で周知、広報を行っていく予定であります。  今委員御指摘のような形で、学校教育の現場においてもそうした様々な改正法の趣旨や内容、これがしっかりと御理解いただけるような内容となるように、私もしっかりと努めていきたいと考えております。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。実践で成果を示していただくことを期待をしております。  これで、私、時間来ましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 国民民主党の川合でございます。  法案審議もこれが最後ということでありますので、これまでの間、議論、質疑させていただいてきた内容の中で幾つか確認の答弁も含めて御質問させていただきたいと思いますが、通告した質問に入ります前に、刑事局長に確認をさせていただきたいことがあります。  先ほど自己負罪拒否特権に関する一連のやり取りをしていらっしゃる中で、ふと、私自身が改めて考えなければいけないなと思ったのが、釈迦に説法ですけど、百九十八条の二に被疑者の黙秘権、三百十一条の一に被告人の黙秘権、いずれも黙秘権が認められているという法律立てに刑事訴訟法はなっているわけですよね。  ほかの法律を確認すると、民事訴訟法にも議院証言法にも黙秘権は認められていないということであり、実は、黙秘権って刑訴法にしかない実は権利ということで記載されているんですが、なぜ刑訴法にだけ黙秘権が認められているのかということについて、済みません、通告していないんですけど、確認の意味でちょっと質問させてください。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) まず、これも何度もここで議論になっておりますけれども、憲法三十八条の一項に自己負罪特権、自己に不利益な供述を強要されないという規定がございます。  憲法上、三十一条以下だと記憶しておりますけれども、刑事手続に関する規定が置かれて、やっぱり憲法制定当時から、刑事手続というものが、まさにその被疑者、被告人の人権に対して制約するところはもちろんあるというその憲法の規定等を踏まえまして、それで、その中で、ここでも何度も議論になっております基本的人権の尊重を図りつつ、真相の解明をするというのが刑訴法の目的で、そういった立て付けで刑訴法ができ上がって、憲法を受ける形でありますので、その三十八条一項を受ける形で刑事訴訟法においては黙秘権とか黙秘権を含む様々な規定がされており、そういう意味では、黙秘権も含めて憲法上の要請から来るものであるというふうに理解しております。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 その上で、自己負罪拒否特権といわゆる黙秘権のこの違いというのはあるんでしょうか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 黙秘権といった場合には、一般的に、何も言わなくていいし、その黙秘したこと自体で何か不利益には扱われないという権利だという言い方をしているというふうに承知しております。  他方で、自己負罪拒否特権というのは、先ほど申し上げましたが、憲法三十八条一項のところで、自己に不利益となるような供述を強要されないという権利のところのことを自己負罪拒否特権という言い方をしているものと理解しております。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 ちょっと質問の仕方が分かりにくいかもしれませんけど、もう一点だけ確認させてください。  憲法三十八条一項の条文における自己負罪拒否特権と黙秘権は同じものですか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 法律上、いろいろ言い出すと多少の違いが多分あると思いますので、ただ、一般的には同様に、同じように理解されておりまして、ざっくり言いますと、両方とも言いたくないことは言わなくていいということ、あるいは自分に不利益なことは言わなくていいということを権利として規定しているという意味だというふうに、そういう答え方でよろしゅうございましょうか。それとも、厳密に答えろということなのか。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 通告していない質問なので、今の御答弁で、いいか悪いかは別にして、そういった答弁だということで受け止めさせていただきたいと思いますが。  大臣にも聞いておいていただきたいのは、結局、かみ合わない議論がこの間幾つか出てきている、その背景にあるのが、この憲法三十八条規定が一体何を指し示しているものなのかということについても、学説上でも割れているんですよね。  したがって、自己負罪拒否特権というものと、いわゆる黙秘権というものの関係性だとかということも含めてきちんと整理しないと、ある意味幾らでも拡大解釈の余地が生じてしまっているという、このことが今回の法改正に消極的なお立場の方々が懸念されているところということでありますので、是非その辺りのところも含めて、今日の質疑の中での法務省さんからの御答弁を聞いていても、なるほど、そうかというような話には全然なっていないということで、これはもう与野党問わず、委員の皆さん、皆さんが何か奥歯に物が挟まったような話だなと思って聞いていらっしゃるはずでありますので、ここは是非きちっと整理をしていただきたい、このことを指摘させていただきます。  その上で、済みません、ちゃんと質問の方に戻ります。  まず、大臣の方に、一点目、刑事施設内でのいわゆる電子データ化された証拠の閲覧環境を整備していくことについてということなんですが、やらなければいけないということについての御答弁は、これまでも類似の答弁幾つかしていらっしゃるのは承知した上で、どういったスケジュール感でこれから整備していくのかということについて、当然予算の措置等も生じることでありますし、財源の裏付けがなかったらこの話は全然前に進まないという意味でいけば、検討しますだと、私は多分永久に進まないんじゃないかという、そういう懸念を持っています。  したがって、スケジュール感も含めて、どういった形で進めるべきだと大臣が考えていらっしゃるのかということも含めて、その辺りのところの整備の方針についてお聞かせいただきたいと思います。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) この件については、法制審議会での議論の中でも、例えば刑事施設内で被告人等が電子データ化された証拠等の電磁的記録、これ閲覧をすることについては、その授受やあるいは閲覧に用いる機器、これを破壊をし、自傷他害行為に用いる可能性といったこと、あるいは不正な通信等の防止のための施設が必要となる等々、様々な問題点、これは指摘をされてきたところであります。  そうした中で、電子化された証拠書類を記録した記録媒体が弁護人等から身体拘束中の被告人等に対し送付をされ、それが刑事裁判上の、刑事裁判の遂行上必要不可欠と認められる場合などにおいて、被告人等による自傷他害行為のおそれを含む施設の規律及び秩序の維持、あるいは管理運営上の支障について、個別具体的な事情を踏まえて検討した上で支障の程度は小さいと、そう考えられた場合には裁量的にそれを認める余地があると、それが私どもとしてもこれまで申し上げてきたことであります。  こうした裁量的な取扱い、これは個別具体的な事情を踏まえて判断をするということでありますし、あるいは電子データ化された証拠の閲覧を一般的に可能とする環境、これを整備をしていくということ、これは当然必要になってくるわけでありますけれども、これについては、先ほど委員からも御指摘のように、様々これ関連、関係の機関とも協議をしていく必要があります。そういった上での検討ということになろうと思います。  私どもとしても、そういったことを検討していく中で、現段階でその具体的なスケジュール、これを示すことはなかなか困難ということでありますけれども、可能な範囲で被告人等の防御権も、これをしっかりと配慮した対応ができるように、引き続きこれは必要な検討をしっかりと進めていきたいと考えております。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 申し上げるまでもないことですけど、今回、電磁的記録のやり取りをするということで、弁護士と検察の間では電子データのやり取りができるということになるわけでありますけど、いわゆる拘束中の被疑者、被告人の方との間で弁護士がやり取りができないということになったら、結局同じことなんですよ。  要は、検察と弁護士のやり取りのところだけが電子データ化できているというだけのことで、実際、手続や裁判を進めていく上で被告人や拘束中の被疑者、被告人とやり取りをするという話になったときに、今のような感じでやっていると、多分迅速化にも円滑化にもつながらないと、ダブルでアナログとデジタルが走るということになってしまいますので、そういう意味では、そこまで進めないと、いわゆる電子データ化された証拠が刑事施設内でもきちっと必要に応じて閲覧できる必要十分な環境が整えられるかどうかということが本当の意味でのデジタル化ということにつながるという意味でいけば、是非これはもっと積極的に、できるところからやりますという話じゃなくて、やる以上はきっちりやりますというスタンスでないといけないということは申し上げておきたいと思います。  この質問はこれで最後にしたいと思いますけれども、今後、その施設の整備等や予算措置も含めたその御対応をされる責任者は刑事局長ということでよろしいですか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 施設整備でございますか。(発言する者あり)閲覧環境の。  もちろん法務省としてやっていきますが、閲覧環境の整備となったときに、これもまた刑事訴訟法上の取扱いをどうするかというのはあるんですけど、被告人の立場の方でも、実は留置施設、警察に入ったまま第一回公判を迎えるという方の数が実は多いという状況があります。他方で、移監されれば拘置所の方に参ります。  基本的には、そうした被告人が収容されている施設においてどういう形で環境整備できるかということについては警察とか矯正ということになるわけなんですが、全体としては、方向性としては、矯正とうちであれば法務大臣の下にありますので、一緒に相談しながら、どういった形の整備が進められていくのかというのは、うちとの関係でいいますと、矯正とは綿密に話し合いながら、大臣の御指示の下で進めていくという形になろうかと思います。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 今後、それを進めていく上で、もちろん法務省として大臣の指揮下でそういった取組を進めるというのは言うまでもないことでありますが、取組を進めていく上で、当然複数年でこの取組しなければいけないということを考えたときに、責任の所在は、やはり作業をする、一義的に作業の責任を負う部署が、人物がどなたなのかということはやはりきちっと整理しておかないと、無責任状態に何年かたったらなるということを懸念しておりますので、そのことだけ指摘をさせていただきます。  今の森本局長のお話の中でオンライン接見の話もちょっと出てまいりましたので、今日もオンライン接見についても何度か質問があったわけでありますが、アクセスポイント方式などをうまく活用しながら、要は地域の実情に応じて進められるところから進めていくといったような趣旨の御答弁を今日もなさっていたわけなんですが、オンライン接見がそもそも余り積極的でなかった理由というのは、オンライン接見を行うことで自傷事故が起こったりとか、そういったことが理由としてあるというようなこと、当初の質疑の頃に出てきたと思うんですけれども。  私、ふと考えておりまして、接見を行う場所というのは、例えば刑事施設にも当然あるわけでありますし、自傷を起こす起こさないということを考えたときに、接見室で、要は接見する、行って接見する代わりに、そこに要はウェブの、パソコンを置いて、そこの接見室でオンライン接見やれば、別に特に施設整備する必要も大してないんじゃないのかなとふと思ったんですけど、そういうことってできないんですか。

小山定明法務省矯正局長

○政府参考人(小山定明君) お答えいたします。  刑事施設といたしましては、今委員御指摘のように、接見室、あっ、面会室に準備をいたしまして、そちらで被収容者の方に面接に当たっていただくということになろうかと思いますが、他方で、そのアクセスポイント側の方にどういう方がその接見の相手方としていらっしゃるかどうかといったようなところがオンラインでの面会自体に内在する問題として出てまいりますので、その面では、アクセスポイントを今絞った形でやらせていただいているところでございます。  裁判の電子データを、裁判の証拠の電子データをそれぞれのお部屋で、例えばタブレットなんかで御覧になる場合とは違って、オンライン面会の場合は、今委員が御指摘になられたような自傷他害のおそれというのは相対的には低いものだと思っております。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 アクセスポイント方式取らないと、接見する場にその弁護士さん以外に誰がいらっしゃるのかも分からないといったような懸念があると。それはもちろんそのとおりだと思いますので、そういった、要は不適格な方が接見の場に紛れ込まないようにするための措置というのは当然とらなければいけない、そのためのアクセスポイントということですから、そのこと自体はいいと思うんですけど。  そのことと同時に、その受け手の側が設備がなくて施設がない、設備がなくて刑事施設内でのオンライン接見がなかなかできないといったようなことに関しては、今私言ったような感じで、パソコン一台あれば、そこにいわゆるウェブ会議用のアプリさえインストールされていればできるという意味でいけば、どうやったらできるのかということを考えれば、さほど予算を掛けることもなくこの取組はできるものと思います。  何が負担かというと、地方の刑事施設に東京や大阪の弁護士さんが直接足を運ぶのが大変なんですよね。同時に、閲覧の環境のことをうるさく言うのも、コピーするだけで、大きな訴訟だとコピー代だけで何百万も金が掛かるといったような裁判が珍しくないということを考えたときに、どうやって電子閲覧するのかということの議論になっているという意味でいけば、法律が改正された後、具体的な検証、検討を行われるとは思うんですけれど、できない理由というよりも、どうやったら要はできるのかという視点からこの問題についても是非御議論を進めていただきたいと思います。  時間の関係がありますので、次の質問に参りたいと思いますが、電磁的記録を要は取得された当事者、情報主体への通知の在り方についてということで、これも罪証隠滅のことも含めてこの間様々な議論がなされてまいりました。  罪証隠滅のおそれがなくなった時点で当事者への通知はきちんとなされるべきだということで、被処分者から情報主体に適切に通知を行うことの必要性についての認識を大臣にお伺いをするということで質問させていただいておったんですが、繰り返し同じような御答弁いただくことにもなりますので、ちょっと質問変えまして、これは政府参考人で結構ですのでお教えいただきたいのが、罪証隠滅のおそれという、このいわゆる電磁的情報を取得した、それの罪証隠滅のおそれがあるからいわゆる秘密保持命令を出すという、こういう立て付けになっている。この場合の罪証隠滅のおそれというのはどういった罪証隠滅のおそれをイメージしておっしゃっているのかということについてお教えください。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 一番簡単な形のちょっと例を示したいと思います。  これまでの質疑の中でも、捜査の比較的初期の段階でも使われるのではないかという話が出ておりました。それで、例えば、電磁的記録提供命令といいましても、初期の段階ですから、ある程度、その内容はどうかは別として、例えば誰々の通話明細というのを仮にAという事業者に請求したとします。Aという事業者が、契約上、例えば情報主体である甲さんに連絡するという形の契約になっているとします。そのときに、甲さんがその例えばオレオレ詐欺のグループの人だったとする場合に、捜査機関がAという事業者を通じて甲さんの情報を取りに行ったということが甲さんに伝わることによって、甲さんの方から、これはまずいぞと、我々の組織がターゲットになっているぞといってその組織が一遍に証拠を隠滅してしまうというようなケースというものが、この電磁的命令のそのものというよりは、そういうようなものが一番簡単に考え得るものだというふうに思っております。  例えば、特殊詐欺グループなんかですと、捜索に入った瞬間に、ちょっと前の事例にはなりますけれども、全ての紙を水につけてしまえば全部の証拠が水で溶けてしまうというようなものを全て用意しておいてやりますので、本当に一瞬で証拠が消されてしまう。特に今のようなデジタル社会ですとボタン一つで全部証拠が消えてしまうという状況のときに、今のでいうと、A事業者から甲さんに通知が行くことによって、甲さんが持っている証拠はもとより、甲さんの周りにいるその例えばグループ全体の証拠が一瞬にしてなくなってしまうというようなことが容易に想定されるというようなことが罪証隠滅の一例として考えているところでございます。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 なるほど。  そうした今の御説明を前提として、罪証隠滅のおそれがなくなったときと判断するのはどういうときなんでしょう。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 捜査、公判、様々な段階がございますので、いろんな時点が、事案によって違うと思いますけれども、例えばこれまで実務の中でよく言われてきましたのは、捜査しているうちはそれはそうかもしれないけど、起訴ということが行われた以上は、もう罪証隠滅のおそれはなくなったとは言えないけど薄くなったんだから、例えばもう保釈とかそういうものを含めていいよねとか、あるいは証拠開示がなされた段階であるとか、主要な証人の取調べが、証人尋問が終わった段階とか、実務上はいろんなことが言われて、いろんな段階でその事案ごとに、そういう節目節目ごとに、ここまで来れば罪証隠滅のおそれは低くなったというようなことを認めて、例えば保釈なりなんなりというものが次のステップに入っていくというようなことが実務上行われておりましたので、そういうある意味、捜査、公判の節目ごとに、もう罪証隠滅のおそれはなくていいよねということを判断していくということになろうかと思います。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 今の御答弁、実はこれまで何度か聞いて、なかなかそこまで具体的にお話しいただけてなかった部分を今答弁いただいたんですけど。  私がこのことを取り上げさせていただいた理由というのは、ボタン一つでデータを消すことができる、したがって、そうならないように、要はある程度証拠が確保できるまでの間は秘密保持命令をしっかり出して証拠の保全を行うという考え方自体はよく分かるんですけど、つまりは、SNSやITでつながっている情報というのは無限に広がっているという意味でいけば、どこかできちっと線引きをしておかないと、永久に罪証隠滅のおそれはなくならないんですよ、正直言って、どこまででも広がりますから。と考えたときに、結局その秘密保持命令を出して情報主体が何を取られたのかも分からない状況というものを、結局、捜査機関がまず納得して満足して、要は証拠集めが終わるまで絶対に手放さないという話になると、要はそれが長期化してしまう可能性というのが否定できないというか、恐らくそうなってしまうだろうということを危惧しております。  電子データというのは、一回取ったデータはそのデータ自体はもう改ざんできないわけですから、その周りの人たちがその取調べや証拠集めが行われているという事実を知って消しに行くというのは別の作業ですから、取った情報自体はいじれないという意味で考えたときに、その罪証隠滅というものをどこまで考えてやるのかというと、有体物じゃなくてデータで、しかもデータをデータの状態で持ってきているわけですから、それを今更改ざんすることはできないわけで、となったときに、具体的にどういった考え方をするのが最も適切なのかということは、ここもやっぱり整理する必要があるというふうに思います。  時間が来ておりますのでこれで最後にしたいと思いますが、今回、情報事業者に対していわゆる電磁的情報の提供命令を行うということで、情報事業者が様々な負担を強いられることになります。これまでは善意で要は情報を提供していただいていた事業者の方に、今度は罰則付きで無理やりでも出させるという形の立て付けになるわけでありますので、そうなったときに、要は、たくさんそういった事例を対応しなければいけなくなる大手のプロバイダーさんなどに掛かる負担ですよね。人も雇って専門の部署をつくって対応するといったようなことをやらなければいけないとなったときに、日本はそれに対して補償するルールがないです。欧米では実際に義務化して何かの取組を行わせるに当たっては費用弁償の概念というものがきちんと組み込まれておりますが、日本の場合にはそうなっておりません。  今回、罰則付きでこの制度、ルールを導入するに当たって、この費用弁償についてどう考えているのかということについてお聞かせいただきたいと思います。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) お答えいたします。  電磁的記録提供命令は、現行の差押え等と異なりまして、被処分者において、捜査機関への対面での対応が不要になる上、オンラインによる電磁的記録の提供も可能となることから、被処分者となる事業者側の負担の軽減にも資するものと考えております。また、捜査機関による電磁的記録提供命令は、裁判官が必要があると認めて許可した場合に限って発することとなります。  したがいまして、電磁的記録提供命令は現行の差押え等と比較して事業者に過度の負担を負わせることにはならないのではないかというふうに考えておりまして、そのために要する費用について公的に補償するような制度を設けることまでは特に考えておりませんが、もとより、捜査機関においては事業者に掛ける負担ができる限り小さくなるようにしていかなければなりませんので、そこは今後、これまでも述べておりますが、事業者側の方とは同じ、例えば命令を発してもらうとき、費用も負担もなるべく少なくなるような方法というのは相談しながらやっていくことになると思いますので、そういった話合いを続けていきたいと思います。  あと一点だけ、若干先ほどの質問で補足させていただきますと、自己負罪拒否特権と黙秘権のところで、先生の多分お考えは、違うという、そこは少し違いがありますよね、そういう意味では……

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 時間が過ぎておりますから、答弁簡潔にお願いいたします。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 黙秘権の方が広いよねということをちゃんと答弁させたかったということであれば、済みません、ざっくり答えた方がいいかと思ってざっくり答えたんですが、もちろん、どちらが広いかという意味では黙秘権の方が広いということになろうかと思います。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 分かりました。  終わります。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  まず、午前中の打越さく良委員が自己負罪拒否特権の保障とパスワードを始めとした議論を果敢になされたことに対して、心から敬意を申し上げたいと思います。この議論に対する法務省、法務大臣の答弁は極めてひどいものでした。私は抗議を申し上げたいと思うんです。  通告していませんから、刑事局長と、私、これ以上の議論をするつもりはなくて、私のコメントとして聞いていただけたらと思うんですが、刑事局長が、呼気検査に関する最高裁判例を援用して、この電磁的記録提供命令に際しての被疑者、被告人のパスワードの問題を同質の問題だというふうに言っていることには、大臣、これごまかしがあると思います。  呼気検査は、大臣もイメージ湧くと思いますが、酒酔い運転などで、呼気の中にアルコール分があるわけですよね。これを警察が調査をするという検査です。一方で、デジタル個人情報は、パソコンやあるいはオンラインの中にあるものですけれども、これはパスワードなどを入れなければ読めるようにはならないわけですよね。  呼気検査における検知管などのものと、それから読めるようにするという手続、手順というのを同質のものに見るというのが刑事局長の答弁の前提にあると思いますが、パスワードの入力は検知管とは全く異質のもの、つまり独立して被疑者の人権を侵害するものです。なぜなら、それは記憶しているパスワードを表出するという観念の表出だからです。  先ほどの議論を聞いていて、私は、むしろ呼気検査などではなくて、うそ発見器の議論を想起しました、ポリグラフ検査というものですけれども。ポリグラフ検査というのは、一定の質問に対して、検査を受けている被疑者の応答に伴って脈拍、呼吸、発汗という、こういう生理的変化が起こる、それを記録して、うそかどうかを発見しようとするという、こういう仕掛けなんですね。  こういう捜査手法に対して、脈拍だとか呼吸だとかを記録するんだから供述とは言えないという議論がありました。もしかしたら今もあるのかもしれない。それはとんでもないでしょうと。質問への応答というのは内心の表出なのであって、これは被疑者の供述の一種と見るべきであって、黙秘権保障、自己負罪拒否特権の保障が及ぶという議論であって、しかも包括的に黙秘権を放棄するなんということはあり得ないんだから、だからこんな検査は許されないし、ましてや裁判の証拠に扱うことは許されないと。それが私は議論だと思いますよ。  刑事局長のあるいは法制審以来の法案提案者のこの自己負罪拒否特権に関するまとめだとか答弁だとかというのは、一貫してそのごまかしに満ちている。とんでもないと。その上に、法案では、パスワードを入力させなくても通信電気事業者に読めるようにしてくださいねという令状を出せば全部読めるという、そういうことになっているわけですよね。それが私の法案に対する理解であり、コメントなんですが。  大臣にその点について一問だけ、大臣としてあるいは政治家として、人間としてどうなんですかとお聞きしたいのですが、思いも寄らない令状が突然示されて、御自身のパソコンの前に座らされて、パスワードを入力しろと周り中囲まれて言われる、あるいはスマートフォンを目の前にかざされて、ここで顔認証しろと、あるいはパスワード入力しろと、そう言われるということを想定したとき、想像したときに、屈辱的じゃありませんか。自分の存在、知られたくないこともたくさんあるかもしれない、知られていいことだって、そうやって強制されて丸裸にされるということは極めて屈辱的でしょう。  大臣、どう感じますか。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) あくまでここは法務大臣として立っておりますので、大臣としてという答弁ということになりますけれども、まさに、この電磁的記録提供命令、ここは、その範囲ということについては、しっかりそこは令状において審査をされるという中でそうしたものが提供を命じられるということだと思います。  そうしたものを命じるということにあって、そのパスワードが掛かっているものにしても何にしても、その物を提供するという、そういった命令についてということがこの法律の趣旨ということになりますので、そういった意味においては、先ほど打越委員との局長を中心とした答弁でありますけれども、その答弁のラインということにこれは尽きるのかなというふうに私としては考えているところであります。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 自分に不利なこと、あるいは自分がそうした行為を、供述を強制される、観念の表出を強制されるということは人間の尊厳そのものに関わるんですよ。尊厳を持った生存を根底から揺さぶられてしまうからこそ、黙秘権の保障があり、自己負罪拒否特権という権利が確立してきているわけですよね。  だからこそ、私は、もし今刑事局長がおっしゃるような趣旨の令状請求がされたとしたときには、裁判官は断固としてそのような憲法侵害の令状は出さないと判断すべきだと思います。  最高裁の様々な強制処分に関する決定というのは、検察がそのようなことを行い、国がそれは合憲だと主張してきたことによってそういう幾つかの判決が形成されているわけですよね。言わば検察の論理ですよ。検察の論理に立ってはならないと。我々が立つべきは、憲法三十八条であり憲法三十五条であり、刑事手続における人権保障である。そのことがこの法案には全くないがしろにされているということが、先ほど打越さんの議論の中で明らかになったのではないかと思います。  だからこそ、私は、今日で審議を終局する、採決に及ぶことは反対だと申し上げてきました。今の点についてもきちんと議論をしていけば、先ほど打越さんが求められていたような議論に到達するかもしれないけれど、そうなっていないというのが今の現実じゃないですか。  その点で、聞いておきたいことがあります。  オンライン取調べを現在も行われているのですが、この法案によってオンライン取調べを警察や検察が行う、特に検察のオンライン取調べを記録した供述録取書、そういう電磁的記録というのがこれからは伝聞法則の例外として裁判の証拠として使えるんだという趣旨の改正条文があります。  この伝聞法則というのは、反対尋問を経ていないそういう証拠というのは、裁判官の面前で反対尋問を経ていない証拠というのは誤ったものが山ほど入っているから、だから裁判の証拠にしちゃ駄目ですよと、ざっくりそんなようなことなんですが、その点について、五月八日、渕野参考人が、法案では、国外に所在する証人に対するビデオリンク方式による証人尋問は認められていないと。これは、国外で偽証されると偽証罪で起訴しても公判の出頭を確保できないし、偽証罪の犯罪事実を立証するための証拠も収集できないので、威嚇効果が働かず、事実認定を誤らせるおそれが強いという理由が示されている。一方で、国内に所在する対象者にはオンライン取調べは限定されない。つまり、国外の証人にビデオリンク方式の証人尋問は認めないという法案が、国外の証人をオンライン取調べをした調書については、国外ではできないからという理由で伝聞例外として採用を求め、それを裁判所が採用するということになるじゃないかと指摘をしているんですね。  これ、法務省刑事局長、そうなるんですか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) まず、三百二十一条一項二号と、それから国外の所在の証人の偽証の制裁の下で信用性が担保されるかどうかということと、先ほど言った三百二十一条一項二号の中での特信性をどう判断していくのかというものについて要件が違いますので、まず委員がおっしゃったように、どう違うのかということを、制度が違うので一概には言えないと思いますが、そもそもなんですけれども、今先生がおっしゃったのが、海外にいる人を検察官がビデオリンクで取り調べるということであるとすると、そもそも、その先生の御議論の前に、国内の我々捜査機関が外国に対して主権を行使するという問題が生じますので、まず、そこのところの障害を越えられるかどうかというところからちょっと問題があると思いますので、なかなかそれ以上先に議論が進まないんじゃないかというのが、済みません、ちょっとマニアックですけれども、思っております。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 つまり前提として、法文全体は、二段階のこの刑事訴訟法の改正によって、そういう、私が申し上げたような、渕野参考人が刑事訴訟法の研究者としてそのように読めるというふうにおっしゃっているような条文規定になっているんですよ。  今刑事局長が言われているのは、その法文はそうかもしれないがという括弧付きなのかもしれないですけど、そもそも検察は、国外の証人に対するオンライン取調べは、まあ基本できませんと、あるいはやりませんというふうにおっしゃっているんだと思うんですね。そうなんですか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 国際法の考え方がどう変わっていくのかにもよるのかもしれませんけど、基本的には、それは主権の行使の問題を生じ得るので抑制的になるのではないかということとともに、それから、裁判所の判断におきましても、仮にですけれども、仮に先生がおっしゃったような形で取調べを行って、それについて特信性が認められるかどうかというときには、裁判官、裁判所といたしましても、その供述調書がビデオリンクによる取調べにおいて作成されたものであるということをもちろん考慮した上でその証拠能力について判断するということになると思いますので、なかなかすぐに、じゃ、海外にいるから、どこにいるから、オンラインでやればいいというような形で、それですぐに伝聞例外が、逆に調べられないんだから要件が認められるというような形では実務は動いていかないというふうには考えております。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 警察官がオンライン取調べをやるということがあると思いますが、これも三百二十一条の三号書面として認められることがあり得るということなんですか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) 済みません。お待たせして申し訳ございません。  まず三号は、面前の要件がないということと、それから、さらに二号書面以上に特信性の要件が満たされるかどうかということになりますので、今の議論以上に難しい状況になるということですので、これも含めて、余り想定し難い感じかなというふうには思っております。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 そのような実務を想定しているというのが今の議論なんですね。  もう一点、ビデオリンクによる証人尋問について、共犯者的な立場の証人であることも少なくないと。だから、対面での十分な反対尋問の機会を保障する必要が高いということも渕野先生はおっしゃっていますが、この点はいかがですか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) お尋ねの、これは刑事施設等に収容されている証人のビデオリンク方式の証人尋問ということでよろしゅうございますでしょうか。  それにつきましては、法制審議会の部会におきまして、刑事施設等に収容中の証人については共犯という立場に置かれている者も多く、反対尋問においてその表情を含めた様子を観察する必要がとりわけ重要となることからそのような規定を置くことには反対であるといった、今委員が御紹介されたのと同趣旨の御意見が示された一方で、個々の証人の立場や対面による尋問の必要性はビデオリンク方式による証人尋問の実施の相当性の判断において考慮されるべきものであり、一律にビデオリンク方式の活用を認めないとする理由にはならず、刑事施設等に収容中の証人について、裁判所に出頭することが困難な事情があり、かつ相当である場合にビデオリンク方式による証人尋問を実施できるものとすることには十分な合理性があるといった御意見も示されたものと承知しております。  その上で、本法律案におきましては、裁判所が身体拘束を受けている証人について、その年齢、それから心身の状態、処遇の実施状況その他の事情によって、同一構内への出頭に伴う移動により証人が精神の平穏を著しく害され、その処遇の適切な実施に著しい支障を生ずるおそれがあるかなどを判断しまして、そうしたことが認められる場合で、かつ相当と認められるときに証人尋問が行うこととしており、さらにその上で、検察官だけではなくて被告人、弁護人の意見も聞いた上で判断するということになっておりますので、御指摘のような恣意的な運用のおそれはないというふうに考えております。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 極めて厳格に扱うんだとおっしゃりたいんだと思うんですよ。こうした答弁も踏まえて、私はやっぱり刑事事件における弁護士の役割というのは極めて重要だと思います。みんな、毅然として闘おうじゃないかと申し上げたいと思うんですよ。  検察は、こういう規定をルーズに使って何でもやれると思ったら大間違いだと。裁判所が憲法の立場に立ってこの公判あるいは刑事手続全体をしっかり指揮しなきゃいけないし、今日も捜索差押令状がいかにルーズにやられているかという議論がありましたけれども、一人一人の裁判官がこの法を一体どうするのか、自分の存在懸けて審査をしなきゃいけないというふうに思います。  ちょっと通告順変えますけれども、電磁的記録提供命令に際して秘密保持命令を付すということは、これ実質的に被疑者の不服申立て権を侵害します。弁護士会が求めてきた通知も行われない。一年たたないと分からないかもしれないと。それは、つまり全く知らない間にプライバシーが丸裸にされているという状態をこの法律でつくり出すということなんですよね。  大体、この不服申立て権、この命令に対しては準抗告ということになると思いますけれども、この準抗告というのは、そもそもが捜査段階での手続を本当に、手続保障を全うする、捜査段階で警察や検察が乱暴なことをした、そうしたらそれに対して断固として被疑者、被告人が人権を守るというために準抗告という手続が保障されているんじゃないですか。これによって不正をただす、不当をただす、それが刑事訴訟の構造じゃないですか。

森本宏法務省刑事局長

○政府参考人(森本宏君) まず、一般に準抗告とは、裁判官がした裁判に対する刑事訴訟法第四百二十九条に基づく不服申立てと、それから捜査機関がした処分に対する同法四百三十条に基づく不服申立てを合わせてそのように呼ばれるものというふうに承知しております。  どのような場合に準抗告ができるかということについては、個別の事案ごとに具体的な事実関係を踏まえて判断すべき事柄でございますけれども、まず、電磁的提供命令により提供された電磁的記録に記録された情報の主体は、まず準抗告の主体とはなり得るということでございます。  他方で、秘密保持命令というものが電磁的記録提供命令の被処分者として捜査に協力的でない者等も想定される中で、そういった者が命令を受けたことや命令により電磁的記録を提供したことなどを犯人等に伝えることによって、犯人等が罪証隠滅行為や逃亡に及ぶおそれがあることに鑑みて、捜査に重大な支障が生じることを防止するために創設するものでありまして、まさにその秘密保持命令というのは捜査の必要性とそれから関係者に及ぼす影響の双方を考慮して制度設計をしているところでございまして、その準抗告の権利を不当に制約するものとは考えておりません。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 この法案の審議通じて、与野党問わず弁護士出身の議員が、この弁護士の活動というのは一体何かという議論を随分されたと思います。例えば身柄を取られた逮捕、勾留で、あるいは捜索差押え、ガサが入った、何かを持っていかれた、それに対する不服申立てをどれだけ果敢に、機敏に闘って不当な捜査を抑止するか。それは本当にそのときそのときの厳しい闘いなんですよ。タクシー走らせながら手書きで準抗告の申立書を書くことだってある、それを裁判所に持ち込むことだってある。のんびりした話じゃないんですよ、本来。それを、一年とは言うけれども、秘密保持命令というのは一体どういうふうにしてしまうのか、検察のやりたい放題になるのではないのか、そんなふうにも思うわけですが。  その下で蓄積される情報について、大臣が私の本会議の質問に対して、取得された情報が捜査機関の元に蓄積され続けることとはならないというふうにおっしゃったので、私は、議論の上、統一見解を求めたわけですが、理事会協議の上、今日確認をされたものをお配りをしています。  議事録に残すために読みます。   令和七年四月二十四日の参議院法務委員会において、仁比聡平委員から、「電磁的記録提供命令により取得された情報が捜査機関の元に蓄積され続けることになるのではないかという点について、政府としての統一的な見解を明らかにされたい」旨の御指摘がありました。   警察においては、捜査の結果、作成され、又は得られた書類や証拠物は、刑事訴訟法等の関係規定に基づき、適切に検察官に送致しており、送致されなかった証拠物その他の資料については、捜査の終結、公訴の提起、公判の維持等の観点から、保管の必要性を組織的に判断し、保管の必要性がなくなったと認める場合には、確実に廃棄、消去又は還付することとしています。   また、捜査で取得した情報のうち、暴力団等の犯罪組織に係る情報等警察の所掌事務の遂行上必要があるものについては、個人情報保護法等の関係法令に従い、保管を継続することとしており、その保管の必要性は組織的に判断しているところ、例えば、当該犯罪組織との関連が認められなくなった場合等当該所掌事務を遂行する上で保管の必要がなくなったと認める場合には、確実に廃棄又は消去することとしています。   検察庁においては、警察から送致を受けた事件記録や証拠品については、刑事訴訟法、刑事確定訴訟記録法、法務大臣訓令である記録事務規程及び証拠品事務規程等に基づき、適切に保管・管理した上で、必要な期間保管した後は廃棄することとしています。   したがって、捜査機関において取得した電磁的記録が不適正に蓄積され続けることとはなりません。   その上で、本法律案により電磁的記録提供命令が創設された場合に、同命令により取得された電磁的記録について、適切に保管・管理するとともに不適正な利用を防止し、必要な期間保管した後は廃棄することなどを内容とする、適正な取扱いに関する規程等を整備することは重要であると考えており、具体的な規程等の在り方について、引き続き検討してまいります。  この見解について議論したいことはたくさんあったんですが、時間がなくなりましたので、一問だけ警察庁に尋ねます。  この審議で議論になってきたじゃないですか、警察は一体、集めた証拠どうしているんだと。証拠だとは言わないなんという概念があって、一体どうなっているんだと議論がありましたが、今の文書にあるように、検察に送致しない証拠物その他の資料というのがあるんですよね。この証拠物とその他の資料というのは一体どういうふうな意味なんですか。

松田哲也警察庁長官官房審議官

○政府参考人(松田哲也君) お答えいたします。  送致されなかった証拠物その他の資料については、送致する前に還付した証拠物や送致書類の写しなどを指すものであります。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 時間過ぎておりますので、おまとめお願いします。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 もう時間になりましたから終わりますけれども、膨大なその捜査資料、その中で、警察がこれというものだけを検察に送り、検察はそのテーブルの上で法に基づいてきちんとやっていますと言うけれども、莫大なデータを蓄積し、利用し続けている。その中で冤罪も起こしてきている。それが警察の実態なのであって、今の問いに対する答弁が今みたいな一言で終わる、だから意味が分からない。こういうごまかしに私たちは絶対に負けちゃならないと思います。  断固としてあるべき刑事司法の改革を求めて、質問を終わります。     ─────────────

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、福岡資麿君及び福島みずほ君が委員を辞任され、その補欠として藤井一博君及び三上えり君が選任されました。     ─────────────

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 質問の機会与えていただき、ありがとうございます。  冒頭に、委員長、私、一分ほど遅れました。この点おわびを申し上げます。  ただ、私は無所属で委員の差し替えもできません。各党の皆さん方は、誰か休めば差し替えできますね。同時に、委員長、この国会というのは、先例、慣例主義で行われております。委員長も御存じだと思います。定足数が足りないときは委員会は開かれませんね。特に政府側、大臣が遅れてくるときも、大臣が来るまで止まったりはしますね。委員が一人二人欠けても定足数があれば、時間が来たら淡々と進める。これが一つのまた慣例、先例なんです。  時間に一分遅れたことは私は申し訳ないけれども、その一分で皆さん方が迷惑するわけですから淡々とやっていく、これが私は委員長の公平な審査の、審議の、それこそこれまでの慣例であるということ。この点、是非とも各委員の皆さん方も、先例、理事会なんて本当はないんですから、国会法にも、ルールにも、山崎議長おられますけれども、全部慣例であるということ、先例であるということを拳々服膺してやっているということ。だから、質問の順番も変わったりするわけでありますから、都合に応じてですね。この点、是非とも与野党の委員の皆さん方に御理解をいただきたいなと、こう思っています。  法務大臣、これまで、今日入れると恐らく十四時間近くになるんですか、トータル、参考人入れるともうちょっとになりますか、やってきて、それぞれの懸念が言われました。その懸念の多くは、法案は作っても、この運用する側、捜査、検察側がやっぱり公平でなければいけない、あるいは慎重でなければいけないという意見が私は多かったと認識をしております。いわゆるこの権限の行使の濫用について、多くの人が心配されていた。これは当然のことだと思います。  そこで、大臣、俗に言うこの刑事デジタル法案ですね、これについても、これを運用する捜査、検察組織の適正が大事だと思うんです。その上で、「検察の理念」が私はしっかり問われなければいけないと思っています。権限の行使に際し、いかなる誘引や圧力にも左右されないよう、どのようなときにも、厳正公平、不偏不党を旨とすべきである、こう「検察の理念」に書かれておりますけれども、検察としてはこの理念に沿って、この理念ができた後ですよ、しっかり運用されているかどうか、あるいは行使されているかどうか、大臣の見解、認識を求めます。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) まず、前段のお話として、御指摘いただきましたように、この運用をどうしていくのか、これ極めて大事でありますので、そこはここでもるる御答弁申し上げさせていただいておりますけれども、そこの適正な運用ということのために、私どもといたしましても、訓令、通達の発出あるいは関係機関に対する周知、様々な形でそれは準備をしていきたいと思っております。  その上で、今御指摘をいただきました「検察の理念」の中にあること、これは、私としては、検察の現場において、しっかりとそうした趣旨を踏まえ、そして、当然のことながら、検察の活動、これは国民の信頼がなければ当然成り立たない話でありますから、そうした中できちんとそうした形での適正な運用が行われているものと私は確信をしております。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 大臣、さらに、自己の名誉や評価を目的として行動することを潔しとせず、時としてこれが傷つくことを恐れない胆力、この言葉も「検察の理念」に書かれておりますが。  今大臣答弁されましたけれども、じゃ、この理念ができてから、大臣、冤罪事件が何件起きています。これをしっかり踏まえなければ、私はこのデジタル法案も進まないと思うんです。運用について懸念があると思うんです。この理念は、大臣、いつできたと思います。それを踏まえて何件の今冤罪が起きたかということ。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 冤罪というその言葉の定義、それは私どもとして持っているところではありませんので、そこのところは御理解いただきたいと思いますが、少なくともこの「検察の理念」できたときには、大阪での様々なことがあり、そしてその上で作られた、そう承知をしております。  個々のそうした事件についてということは私は差し控えさせていただきたいと思いますけれども、しかし、やはり先ほど来申し上げておりますように、そうした国民からの信頼、そういったことを失墜させるような、そういったことはあってはならないということで、そうした趣旨については、私も様々な機会にそうしたことを検察の現場に伝えるような形で申し述べているところであります。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 今、大臣、冤罪という言葉は持ち得ないと言ったんですか、何と言ったんです。定義として、ないと言うんですか、冤罪という言葉は。(発言する者あり)  今大臣は、定義として持ち得ない。じゃ、なぜ広く一般に冤罪と言われているんですか、教えてください。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 我々の、要は政府の立場として、そして法律の立場としてということであります。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 言葉の遊びをしているんじゃない。冤罪という言葉、委員の皆さん方も広く伝わってくるんじゃないんですか。知らしめられているんじゃないんですか、これ、報道等でも。  委員長、しっかり私は正しい日本語を使っていると思いますよ。冤罪という言葉は広く一般に使われているんじゃないんですか。それを、我々の立場としては頭にないみたいな、人をばかにしたような話はないでしょう、大臣。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 答弁お願いします。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 冤罪というその言葉の定義ということで、我々として見解を持っているところでは、それはありません。ただ、その上で、当然のことながら、犯人でない人を処罰する、そういったことがあってはならないということと私どもとしては考えているところであります。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 ちょっと速記止めてください。速記というか、時間止めてくださいよ。  委員長にお尋ねしますが、あと委員の先生方、与野党の筆頭理事の人にもお尋ねしますけれども、冤罪という言葉、世の中にないですか。私は通常の日本語として冤罪という言葉あると思いますよ。どうです。  いやいや、ちょっと委員長、委員の先生方に確かめて、いや、そんなことないというのならば、私はまた別の質問をしますけど。冤罪というのは広く一般に使われている言葉ですよ。それをこの委員会の場で否定するということ、皆さん、どう思います。  いやいや、ちょっと与野党の理事の皆さん、どう思います、それ。全くこれ別世界の話ですよ、今の話は。いやいや、私の認識が間違っているなら、間違っていると委員長言ってくださいよ。委員長だって冤罪という言葉聞いているでしょう。今、広く一般に報道でもされているじゃありませんか。それを、いやいや、私は委員長に今聞いているんですよ。森本さんに聞いているんじゃない。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 鈴木委員におかれましては、政府に対して質問を継続をお願いいたします。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 いや、ですから、委員長、今の大臣の答弁に対して委員長に、冤罪という言葉は委員長は全く頭にないのかあるのかだけ聞いているんですよ。それだけ答えてください、じゃ。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 委員長としてこの場でそれについて説明することは適切でないと思いますので、理事会で引き続き協議したいと思います。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 じゃ、委員長、委員長も、じゃ、冤罪という言葉は頭にないということですね。あるいは、教わったこともないということでいいんですね。それだけ言ってもらえばいいんです。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) いや、同じ言葉でございます。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 これ、理事会にかかる話じゃないですよ。これはもう、理事会というのが慣例の組織なんですから、理事会にかかる話じゃなく、私は、委員長に、今の答弁の中で、冤罪という言葉がこれだけ世に広まっている、あるいは昔から使われている言葉ですよ。そのために、何十年というこの歴史の中で裁判されているわけですよ。それを、全く頭にないという認識が法務大臣の口から出るというのは驚きなんですけれども、改めて委員長、委員長の認識、見解で、委員長が自分はこう思っているというので結構です。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) ただいまの件につきましては、委員長としてお答えする立場にないと判断しておりますので、答弁は差し控えさせていただきます。  質疑を続けてください。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 委員長、これ、もう国会法に基づいて、委員長は委員から質問されたら答える義務があるんですよ。委員長、答える立場にないというのは、ちょっとそれまた問題なんです。委員長もそれなりの議員経験あるわけですから分かっていて言っているとは思いますけれども、委員長は委員長で質問されたら答える義務あるんです、これは。分かりますね、委員長、私が言っていること。私が委員長と何もぶつかることないわけですからこのぐらいでやめておくけれども、委員長も、ちょっとそれ、法務省なり政府側の立場に配慮する必要はないということを言っておきます。  こんなことで無駄な時間起きていますけれども、大臣、いま一度お尋ねしますが、大臣の頭には、冤罪という言葉は頭にないし、これまでも知らないし、冤罪というものが何であるかも分からないという認識でいいですね。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 冤罪という言葉、社会一般で使われている言葉、利用している言葉、そういったことについては、当然私は知っています。  ただ、その上で、法務大臣としてこの場に立っております。法案の審議をし、法律を施行する、そうした立場であります。そうした立場において、法務省として、冤罪という言葉について、法令上そうした定義、そういったものを持っているものではございませんし、そういった意味で、特定の見解を有しているというところではありません。  ただ、そうした中で、私から言えることとして言うと、これは犯人ではない人を処罰するようなことが当然それはあってはならない、そうした趣旨で、検察においてもきちんとした適正な活動が行われるように、私としても督励をしているところでございます。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 大臣、事件、捜査当局がいろいろ調べて、事件が起きました、検察が起訴しますね。結果、裁判やりました、最高裁まで行って結論が出ました、無罪と言われます。これは、広く冤罪ということで国民は認識したり受け止めしたり解釈したりしているんではないんでしょうか。法令用語を私は聞いているんじゃないんです。一般の標準語、日本語としてですよ、裁判やりました、それで最終判決で無罪になりました。これは冤罪であった。これが一般国民の認識でもあるし、広く国民に常識的に知れ渡っていることだと思いますけれども、この点を明快に答えてください。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 先ほど来申し上げておりますけれども、私は、個人としてではなくて、それは法務大臣としてこの場で答弁をする、そうした立場におります。  そうした中で、私どもとしていえば、それは私どもとして法令、これをきちんと執行していく、そういった立場からいった場合に、法令上の用語であるかどうか、その点においては、法令上の用語としては我々としてそこに特定の定義、そういったものを有しているわけではありませんということしか私からは申し上げないことは理解をいただきたいと思います。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 これ、委員の皆さん、法令上の言葉はない、国会のこのやり取りで通用しますか。ここは、大臣、法廷の場じゃないんですよ、国権の最高機関の国会の場なんですよ。国民の代表として皆さん参加して、今やり取りしているんですよ。法廷の場で法廷用語で言うというんなら分かるけれども、国権の最高機関、国民から選ばれた人たちの集まりの中で、そのやり取り、議論の中で、今の大臣の答弁、常識に合っていますか。これだけ冤罪という言葉が広く知られているときに、冤罪という言葉が、否定するということ自体、大臣、大丈夫ですかね。  人として、その気持ちで答弁しているとするならば、先ほど来の各委員の先生方に対する答弁も全くその場しのぎの答弁になってしまいますよ。大臣、袴田事件は、じゃ、冤罪じゃないんですか、結果として。明快に答えてください。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 先ほど来、ちょっとこれ御理解いただきたいところでありますけれども、まさにその冤罪というそういった定義、我々法令を執行する立場の法務省として、これが冤罪だと、これが冤罪ではないと、そういった定義を持っているものではありません。  ただ、当然のことながら、先ほど来申し上げておりますように、我々からして申し上げることとして言うと、やはりそれは、どうしてもその犯人ではない、そういった人を処罰するようなことがあってはこれ当然ならない、そこが大前提だと考えております。  その上で、この無罪判決、これが言い渡された、これは法と証拠に基づいてそうした判断を司法の場でされた、そういったことに尽きるんだろうと思っております。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 今、大臣、いみじくも法と証拠に基づいて法廷で無罪が言い渡された、それを一般的には冤罪と言われているんですよ。何で大臣、それ否定するんです。皆さん、どうですか。法廷で手続に基づいて、法と証拠に基づいて最終判決が出たんです。今、大臣の今の答弁聞いていますと、袴田さんに対して申し訳ないと思いませんか。五十八年間も人生を縛っておいてですよ、済まなかった、申し訳なかったという今感じは全く出てきませんよ。だから、今いろいろ指摘されているんじゃないんですか。  大臣、どうして、たまたま今大臣ですよ、未来永劫、法務大臣じゃないんです。たまたま今その任にあって、何で政治家としての心を持った答弁できないんです。同時に、私は何か答弁をねじ曲げろと言っているんじゃない、一般的に国民が受け止めている話をしているだけなんですよ。  もう一回尋ねます、大臣。本当に大臣、法務大臣として冤罪という言葉を使えないというのは何を基準にしているんですか。そういう官僚答弁はしない方がいいですよ。この今日の議論だって結構今ユーチューブでは上がっております、見ている人おりますから。どっちが正しいか、どっちが一般的に理解されるかというのは明らかですよ。私はその点自信ありますから。大臣だって選挙している身でしょう。選挙のとき何て言います、大臣。頭下げて何て訴えます。踏ん反り返って、あなた演説しますか。しないでしょう。どうしてそのけじめなり、人間としての矜持ができないんです。  袴田事件は、私は、冤罪だ、一般的に広くそう伝わっているし、結果として出た、こう考えますが、大臣の答弁を求めます。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 再三この場でも申し上げておりますけれども、袴田さんについては、その人生の非常に長い期間、極めて不安定なそういった状況に置いてしまったということ、このことについては非常に申し訳なく思っている、このことはこの場でも申し上げましたし、他の場でも申し上げているところであります。  その上で、私も個人として話せというなら幾らでもそれは話したいことありますけれども、私はここには法務大臣として、それは法務省を代表する立場としてこちらで答弁をさせていただいております。そういった立場から、その先ほどの冤罪という言葉、これは社会一般には当然それはある言葉です。しかしながら、この法律の中で、法令上の定義ということで私どもとして、そういった、これが冤罪でこれが冤罪ではない、何が冤罪だ、そういった定義を有しているところではありませんので、その思いで、私はこの法務省の立場としてそのことをこの場では申し上げざるを得ない、そのことは是非御理解をいただきたいと思います。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 じゃ、法務大臣、広く一般に袴田事件は冤罪だと言われている、これは理解していますね。広く社会一般で袴田事件は冤罪だと言われている、これは委員の皆様方もそういう認識だと思いますけれども、大臣、大臣もその認識でいいですね。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 正直、私も様々これまでも御議論させていただいておりますけれども、それぞれ、私として、ある意味での個別の事件についての様々な評価、そこにつながるようなそうしたことについて、私として申し上げるべきではないという立場に私はおります。  そういった中において、そうした一般的な評価がどうなっているのか、そういったこと、さらに、恐らくその所管ということにもなるかと思いますが、そういったことについては、この場では申し訳ありませんが、差し控えをさせていただきたいと思っています。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 大臣、私は評価なんて聞いていないんですよ。広く一般、これ委員の先生方にお尋ねしますけれども、広く一般に袴田事件は冤罪だということになっていますね。これには誰も文句ないでしょう。大臣、みんなうなずいていますよ。私は何も、当たり前のことを言っているんですから。それを評価する立場にないとか、私はそんなこと聞いているんじゃないんです。  国民一般は冤罪事件だ、私は、テレビでも新聞でも、メディアが冤罪だと報じています。法務省から一回もクレーム付いたということを聞いていませんよ。委員長、聞いたことありますか。委員長だって、袴田事件は冤罪だと思っているでしょう、結果として。それを何で大臣が、評価する立場にない、それどこから出てくる言葉なんです、大臣。  よく、大臣辞めた後、全く見解の違うことを言う政治家もたくさんいますよ。大臣のときだけはもう役所に言われたとおりの答弁している、終わったらまた自分はこうだったという話をしている人多々いますけど、大臣もそのやっぱりほか多数に私はならぬことを願っているから言うんです。  大臣、私も前回も質問に立って、前回は抑制的に私はやりました。今日も抑制的にやっているんです。女房からも、余り強く言わぬ方がいいと、娘からも、また始まったかと思われるように言わぬ方がいいとかと注意もされているものですからね。昨日、おとついですか、今日もちょっと抑制的ですけれども、時間もありませんから、またあさってもありますから、この国会中、びしっと私はやっていきますから。国民は、鈴木宗男の方が真っ当か、あるいは一般的な見解か。同じ鈴木でも鈴木法務大臣は官僚的で、しかも、たまたま大臣にもなったにもかかわらず、私に言わせればだ、官僚の言いなりだ。  この議論、私はこの参議院選挙でも冤罪というのは一つのテーマになると思っていますから、後で大臣、しまったと思わぬ方がいいですよ。大臣だって、去年の選挙を見ても、どうだったかというのは分かるでしょう。みんな、負けると思っていない人でも負けてしまうんですよ。国民はそんなに甘くないですから。私は、様々な経験した者として、今なお生き残っている者として、声なき声、国民の思いだけはしっかり受け止めて、私はしっかりと政治家として勝負していきますからね。大臣、ここは、官僚の作ったような答弁やアドバイスでここでは言わない方がいいです。  大臣、最後に聞きますが、法務省の認証官は何人ですか。この前も聞きましたけれども。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) 法務省における認証官という御質問でありますけれども、私あるいは副大臣も含めて十二人ということでございます。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 今大臣が十二人と言われましたが、前回の答弁では十人と答えていますから。  いいですか。大臣は、前回の答弁では大臣と副大臣は入っていなかったんです。秘書官がたまたま検察庁の認証官だけの数を大臣にささやいたものだから、大臣がそう言ってしまった。それが事実です。だから、今大臣が正確に十二人と言われましたから。前回は大臣と副大臣入っていないんですよ、残念ながら。否定されていたんです。今日、初めて今十二人と言われたけれども、これは議事録は、ここは是非とも訂正をしておいていただきたいなと思います。  終わります。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、刑事デジタルプライバシー侵害法案というべき刑事訴訟法等改定案に反対の討論を行います。  法案が新設する電磁的記録提供命令は、今日際限なく蓄積される巨大サーバーやクラウド上のデジタル個人情報自体を押収対象とするもので、被疑事実と全く関係のない個人情報、開発、営業など、事業に関する情報が根こそぎ収集される深刻な危険があります。  法務省は、何を提供すればよいか、通信事業者などが判断できる程度に令状で特定すると言いますが、形のないデジタル個人情報を犯罪関連情報とそうでない情報に明確に区別し、特定することは本来的に不可能です。  電気通信事業者は罰則で提供を強制されるとともに、法案が新設する秘密保持命令が発せられた場合、個人情報本来の、本来の持ち主は、自らの個人情報が捜査機関に丸裸にされたことを全く知らないまま、不服申立て権を事実上奪われることになります。  政府は、そうした強制処分を必要とする立法事実について十分な説明をしていません。法文は具体的要件を定めない広範なものです。個人情報主体への通知を求める日本弁護士連合会の修正要求にさえ背を向けた法案は、憲法三十五条が保障するプライバシー権の不当な侵害であり、包括的押収を許容することになりかねません。  個人情報を一たび押収すれば、捜査機関は、たとえ提供命令が後に取り消されても消去することなく、データベースを構築するなどして手元に蓄積し続け、令状のない他事件や不当な住民監視など、人権侵害を繰り返してきた公安警察活動にも利用することを当然視していますが、そこには大川原化工機冤罪事件、岐阜県警大垣署事件を始め、取り返しの付かない人権侵害を引き起こしてきたことへの何の反省もありません。  本法案は、デジタル技術の劇的発展の下で捜査機関に強力な武器を与える一方、もう一方の訴訟主体である被疑者、被告人には、オンライン接見も電子データの授受もその権利性も認めず、防御権へのデジタル技術の利用を極めて制約するものにほかなりません。  無罪証拠、被疑者、被告人に有利な証拠を、証拠ではなく資料などとして隠蔽し、捜査機関が描いた絵に沿うよう根こそぎ集めた、事件とは全く無関係の個人情報を取調べで持ち出して自白を強要してきたような自白偏重、人質司法こそ根本から改革すべきです。  再審法の抜本改正、証拠の全面開示、全事件全過程の取調べの可視化、盗聴法の廃止など、抜本的改革こそ必要であることを強調し、反対討論といたします。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、田島君から発言を求められておりますので、これを許します。田島麻衣子君。

田島麻衣子立憲民主・社民・無所属

○田島麻衣子君 私は、ただいま可決されました情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、立憲民主・社民・無所属、公明党、日本維新の会及び国民民主党・新緑風会の各派並びに各派に属しない議員鈴木宗男君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。  一 身体の拘束を受けている被疑者又は被告人にとって弁護人又は弁護人となろうとする者の援助を受ける権利が重要であることに鑑み、映像と音声の送受信によるいわゆるアクセスポイント方式によるオンライン接見について必要性の高い地域からできる限り速やかに環境整備を進め、被疑者又は被告人が弁護人又は弁護人となろうとする者から援助を受けられるよう配意するとともに、本法施行後三年を目途にその進捗状況に応じて法制化の必要性について検討を行うほか、電磁的記録である書類の電磁的方法による授受について検討を行うこと。併せて、現在実施されているテレビ電話を含む電話による外部交通制度・電話連絡制度に関しては、一層の秘密の保持や、手続の円滑化、対象地域の拡大、映像と音声の送受信による方法への切換等の検討を進めること。  二 検察官が行うビデオリンク方式による弁解録取は、被疑者が威圧され本人の意思に反する供述がされることのないように当該事件の捜査に従事する司法警察職員の影響を遮断して行われるよう配慮すること。また、ビデオリンク方式による勾留質問は、被疑者及び被告人が威圧により本人の意思に反する供述がされることのないように捜査機関の影響を遮断して行われるよう配慮すること。  三 ビデオリンク方式による証人尋問等については、証人等の負担軽減や手続の円滑化及び迅速化に資する一方で、法廷において対面で行われる尋問等に比して、証人の状況を詳しく観察できないなどの指摘があることを踏まえ、証人に対する反対尋問権が実質的に保障され、裁判所におけるビデオリンク方式の採用の判断が適切に行われるよう、本改正により追加される要件及びその趣旨について周知すること。  四 電磁的記録提供命令制度の運用に当たっては、対象となる電磁的記録について、犯罪事実との関連性の認められるものをできる限り具体的に特定して令状の請求が行われるとともに、犯罪事実と関連性のない個人情報ができる限り収集されることのないように厳格に令状審査が行われるよう、制度の内容及び趣旨について、関係者へ周知徹底すること。また、収集された情報が個人の重要なプライバシー情報や犯罪事実と関連性のない個人情報等を含み得ることに十分に留意し、定められた規定に基づく消去も含め、適正かつ厳重な管理を行うとともに、電磁的記録の特性に着目した個人情報保護を適切に行うための情報の保管及び管理の在り方を検討すること。  五 電磁的記録提供命令により電磁的記録を提供させるに当たっては、必要に応じ、自己の意思に反して供述することを命ずるものではないこと及び当該命令に対して不服申立てができることを教示すること。また、誤解を与えるなどして憲法上保障された自己負罪拒否特権を実質的に侵害することとならないよう、適切に対処するよう周知すること。  六 電磁的記録提供命令に係る秘密保持命令を発するに当たっては、必要な限度で期間を定めるとともに、その必要がなくなった場合には、捜査機関において、期間経過前であっても速やかにこれを取り消す運用とするよう関係者へ周知すること。  七 電磁的記録提供命令又は電磁的記録媒体の押収が取り消されたときは、捜査機関において当該電磁的記録に含まれる情報が不適正に利用されることのないよう、特に留意すること。  八 検察官が弁護人に対して証拠書類等の閲覧・謄写の機会を付与するに当たっては、関係者のプライバシー等を保護しつつ、弁護人の利便性の向上を図る観点から、弁護人の要望を踏まえつつ、できる限り、オンラインによる電磁的記録の閲覧・謄写の方法によることを可能とするとともに、電磁的記録については複写による謄写の方法を認めるよう、留意すること。  九 捜査機関が収集した証拠が改ざん・差替えや破棄等をされることなく適切に保管される措置を講じるよう努めること。  十 捜査機関が収集した証拠に犯罪事実と関連性のない個人情報等が含まれる場合においては、捜査機関において当該個人情報等が不適正に利用されることのないよう、特に留意すること。  十一 オンライン等の方法による裁判所に対する申立て等については、弁護人による迅速かつ適切な弁護活動を不当に阻害することのないよう、留意すること。  十二 電磁的記録文書等偽造罪の適用に当たっては、虚偽の名義又は内容の電子データによる他人の権利・利益の侵害に対して厳格に対処できるようにするとともに、SNSへの投稿等が過度に広汎に罰せられることにより表現の自由が不当に抑制されることのないよう、特に留意すること。  十三 改正法の施行に必要となるシステムを構築するに当たっては、サイバー攻撃等により捜査・公判で用いられる個人情報の流出が生じることがないよう、厳格なセキュリティ水準を確保すること。また、ビデオリンク方式の利用における成り済ましや第三者による不当な介入、デジタル証拠の漏洩や改ざん防止のために必要な措置について不断に検討し、継続的な対策を講じるとともに、システム障害時にも司法手続を継続できる体制の整備に努めること。併せて、システムの開発及び運用準備のスケジュールに無理が生じることのないよう検討を進めるとともに、制度の開始に先立って必要な検証・試験運用期間を設けること。また、司法関係者のデジタルリテラシーの向上のための研修等について検討を進めること。  十四 刑事手続のデジタル化を速やかに実現させるため、裁判所を始めとする関係機関に必要な人的・物的体制の整備及び予算の確保に引き続き努めること。  十五 今後における捜査・公判手続のデジタル化の更なる進展のため、デジタル化による刑事手続の一層の効率化について引き続き検討を行うとともに、刑事手続に関与する者の利便性を向上させる措置について検討を行い、必要があると認めるときはその結果に基づいて所要の措置を講じること。  十六 政府は、本法による改正後の刑事訴訟法その他の法律の規定の施行状況や施行後における情報通信技術の進展、捜査・公判の実情等を踏まえて、個人情報保護の必要性や被疑者及び被告人の防御権、犯罪被害者等の名誉・プライバシー等を重視しつつ、必要に応じて所要の措置を講ずるものとすること。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) ただいま田島君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 多数と認めます。よって、田島君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鈴木法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。鈴木法務大臣。

鈴木馨祐自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(鈴木馨祐君) ただいま可決されました情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。  また、最高裁判所に係る附帯決議につきましては、最高裁判所にその趣旨を伝えたいと存じます。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十九分散会

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