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217回国会参議院2025/05/08

法務委員会 第7号

発言数
100
登壇者
11
会派数
7
開催日
2025/05/08

会議録

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) ただいまから法務委員会を開会いたします。  情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、東京大学大学院法学政治学研究科教授成瀬剛君、日本弁護士連合会刑事調査室室長河津博史君及び立命館大学大学院法務研究科教授渕野貴生君でございます。  この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、成瀬参考人、河津参考人、渕野参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず成瀬参考人からお願いいたします。成瀬参考人。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) 東京大学の成瀬剛と申します。  本日は、参考人として意見を述べる機会を与えていただき、ありがとうございます。  私は、刑事訴訟法の研究、教育に従事しており、今回の法律案に関しては、法制審議会刑事法部会において幹事として審議に加わりました。本日は、同部会における議論を踏まえ、本法案に賛成の立場から意見を述べさせていただきます。  以下では、お配りした資料に沿ってお話をさせていただきます。  初めに、本法案に対する総論的意見を申し上げます。  一般に、刑事手続において情報通信技術を活用することは、刑事手続の円滑化、迅速化に資するとともに、刑事手続に関する国民の負担の軽減をもたらし得ると考えられます。もっとも、その活用方法によっては、刑事訴訟法に定められた各制度の趣旨や目的の実現が損なわれるおそれもあります。  そのため、法制審議会刑事法部会においては、刑事訴訟法で定められた各制度の趣旨や目的といった基本的な問題に立ち返り、各制度の趣旨や目的をできるだけ損なわない形で、できることならその趣旨や目的をより良く実現する形で情報通信技術を活用するという観点から議論が重ねられました。その結果、技術的には可能な措置であっても、制度によっては非常に限られた場面でしか利用しないという結論になったものもあります。  このような慎重な検討を経て策定された本法案は、刑事手続全般にわたり情報通信技術を適正な形で活用するものと評価することができ、全体として支持することができると考えています。  以上が本法案に対する総論的意見ですが、本日は時間も限られておりますので、本法案の中で中心的な検討課題とされてきた電磁的記録提供命令の創設について、より立ち入って意見を申し上げたいと思います。  以下では、委員の先生方の関心が高いと思われる捜査機関による電磁的記録提供命令を対象として検討してまいります。  現行刑事訴訟法には、捜査機関が必要な電磁的記録を強制的に取得する方法として、当該電磁的記録が記録された記録媒体を対象とする差押えや記録命令付差押えという方法が規定されています。  もっとも、これらの方法による場合には、捜査機関が被処分者の元に赴いて有体物である記録媒体を対面で差し押さえる必要があるため、捜査機関側、被処分者側の双方に相応の人的、物的負担が生じています。また、捜査に必要な電磁的記録がクラウドサーバーに保存されているなどの理由により、当該電磁的記録が記録されている記録媒体を特定することができず、記録媒体の差押えが困難となる事例や、記録命令付差押えを実施しようとしたところ、被処分者が記録命令に従わない意向を示すといった事例もあります。  本法案は、このような現行法上の課題を解決するため、記録命令付差押えに代えて新たに電磁的記録提供命令を創設することとしています。  電磁的記録提供命令とは、捜査機関が、裁判官の発する令状により、電磁的記録を保管する者等に対して、捜査に必要な電磁的記録を捜査機関の管理に係る記録媒体に記録又は移転させる方法により提供することを命じるものです。  現行法上の差押えや記録命令付差押えが電磁的記録が記録された記録媒体を対象としているのと異なり、電磁的記録提供命令は電磁的記録そのものを対象としています。また、電磁的記録の提供方法として、捜査機関の管理に係る記録媒体に記録又は移転させる方法を取ることができます。さらに、捜査機関による被処分者への令状提示もオンラインで行うことができます。その結果、捜査機関は裁判官の発した電子令状をオンラインで被処分者に提示し、被処分者も同令状で特定された電磁的記録をオンラインで捜査機関側の記録媒体に記録又は移転すれば足りることとなり、捜査機関側、被処分者側双方の人的、物的負担が軽減されます。  加えて、電磁的記録そのものを対象とする電磁的記録提供命令においては、当該電磁的記録が記録されている記録媒体を特定することは要求されない上、同命令に違反した場合には刑罰が科される可能性もあることから、捜査に協力的でない被処分者からも必要な電磁的記録を入手することができます。  このように、電磁的記録提供命令は現行法上の課題を解決するものと言えますが、同命令はあくまでも処分の時点で既に存在する電磁的記録の保全に向けられたものであり、その点では現行法上の差押えや記録命令付差押えと何ら異なるところはありません。他方、処分の実施と並行して、言わばリアルタイムに発生する通信内容を継続的に保全する通信傍受とは処分の性質を異にすると言えます。  なお、電磁的記録提供命令は捜査に必要な電磁的記録を保管する者に対して行うものですが、電磁的記録の移転の容易性に鑑みれば、捜査機関が我が国に所在する被処分者に対して電磁的記録の提供を命じた時点で当該電磁的記録が日本ではなく外国に所在する記録媒体に記録されているという事態も想定されます。その場合に、捜査機関が電磁的記録提供命令を執行することは当該外国の主権を侵害するのではないかという懸念もあり得るところですが、この場面で外国に所在する記録媒体から電磁的記録を入手するのは、捜査機関ではなく当該命令を受けた被処分者、すなわち我が国に所在する私人であるため、外国の主権を侵害するおそれはないと考えます。そもそもこの問題は現行法上の記録命令付差押えにも当てはまるものであり、従前からこのように理解されてきました。  では、以上のような電磁的記録提供命令を創設することは、日本国憲法の下で許容されるでしょうか。  同命令により提供を命じられる電磁的記録には様々なものがあり得ますが、それが通信内容や通信履歴に関するものである場合には、憲法二十一条二項が保障する通信の秘密との関係が問題となります。  同条項が保障する通信の秘密は、憲法二十一条一項が保障する表現の自由に関連する面もあるものの、その主たる意義は、私生活、プライバシーの保護を通信の場面に及ぼす点にあるとされています。それゆえ、捜査機関が一定の条件の下で私人のプライバシーを制約することが許容されるのと同様に、通信の秘密を制約することも許容され得ると考えます。  憲法三十五条一項は、その条件として、捜査機関が私人のプライバシーや通信の秘密といった重要な権利を実質的に制約する場合には、原則として裁判官による事前の令状審査を要求しています。  さきに申し上げたとおり、捜査機関が電磁的記録提供命令を行う場合には事前に裁判官の発する令状を取得する必要があり、その令状に記載される提供されるべき電磁的記録は、裁判官が疎明資料に基づいて被疑事実に関連性を有すると判断した電磁的記録のみに限定されます。この点に鑑みると、本法案が創設する電磁的記録提供命令は、憲法三十五条一項が規定する令状主義の要請を満たすと同時に、捜査機関には被疑事実と関連性を有する電磁的記録の取得のみを認めるという意味で、私人のプライバシーや通信の秘密を不当に制約するものではないと言うことができます。  もっとも、捜査機関が電磁的記録提供命令を被疑者に対して執行する場合には、被疑者にとって不利益な電磁的記録を自ら提供するよう罰則の担保の下で命じることになるため、憲法三十八条一項が保障する自己負罪拒否特権との関係についても整理しておく必要があります。  ここで、憲法三十八条一項が強要を禁じる供述とは、口頭によるか文書によるかは問わないものの、言語を用いた観念の表出を指すと理解されています。そのため、被疑者に対し新たに観念を表出するよう強制するのでなければ、憲法三十八条一項には違反しないと考えられます。最高裁判所の判例も、酒気帯び運転の疑いがある者に対し呼気検査を実施することはその供述を得ようとするものではないから、検査を拒んだ者を処罰しても憲法三十八条一項に違反するものではないとしており、同様の理解に立っています。  さきに申し上げたとおり、電磁的記録提供命令の対象は既に存在する電磁的記録ですから、その提供を罰則の担保の下で被疑者に命じたとしても、被疑者が観念した事柄を新たに表出すること、すなわち供述の強要には該当せず、自己負罪拒否特権を侵害することはないと言えます。  本法案の下では、捜査機関が被疑者に対して暗号化されている電磁的記録のパスワードを解除した上で提供するよう命じることも想定されますが、この場合も、被疑者がやるべきことは既に存在する電磁的記録をパスワードが解除された状態で捜査機関側に提供することであって、パスワード自体を捜査機関に伝えることが要求されているわけではありませんので、やはり憲法三十八条一項には違反しないと考えられます。  最後に、捜査機関が電磁的記録を取得した後の取扱いに関する二つの指摘について、現行法の基本的な考え方を踏まえつつ検討します。  第一に、電磁的記録提供命令は記録の保管者に命じられるものであり、それを保管させている者、以下、便宜的に情報主体と呼びますが、その情報主体の知らないうちに記録が捜査機関に提供されてしまうことから、情報主体による不服申立ての機会を確保するため、処分がなされたことを情報主体に通知する旨の規定が必要との指摘がなされています。  もっとも、現行法上の記録命令付差押えにおいてもそのような事態は生じ得るところ、情報主体に処分実施の事実を通知する旨の規定は置かれていません。つまり、現行刑事訴訟法は、被処分者のほかに当該処分に利害を有する者がいるとしても、その者に処分実施の事実を伝えることまではしないという考え方に立っており、本法案が情報主体に対して電磁的記録提供命令の実施を通知する旨の規定を設けていないこともこの考え方に沿うものと言えます。  では、捜査機関が、裁判官の許可を受けて、被処分者に対し、みだりに電磁的記録提供命令を受けたことなどを漏らしてはならない旨の秘密保持を命じることにより、情報主体が処分実施の事実を知ることが現行法以上に困難になる場合でも許容されるでしょうか。  電磁的記録提供命令は、捜査の初期段階でも用いられ得る処分であるところ、被処分者が命令を受けたことなどを被疑者等に伝えることにより、被疑者等が罪証隠滅行為に及ぶおそれがあることに鑑みれば、それを防止する観点から、被処分者に対し秘密保持を命じる必要がある事案も想定されます。  本法案は、被処分者の行動の自由に対する制約を最小限にとどめるとともに、情報主体が処分実施の事実を知る機会を不当に制約しないようにするため、裁判官が秘密保持命令の必要性を事前に審査することとし、捜査機関は必要がなくなったときには秘密保持命令を取り消さなければならないとしています。加えて、衆議院の修正案により、秘密保持命令の期間が一年以内に限定されたことも考慮すれば、同命令を創設しても情報主体の地位を不当に害することはないと考えます。  第二に、捜査機関が電磁的記録提供命令により取得した電磁的記録の保管や消去に関する規律を設けるべきとの指摘もあります。  もっとも、現行の刑事訴訟法や刑事確定訴訟記録法によれば、警察が捜査の過程で取得した証拠は、検察官に送致され、検察官は当該証拠を適切に保管しながら捜査、公判を遂行し、判決確定後、必要な期間が経過したら廃棄するものとされています。  このような現行法の基本的な考え方は、捜査機関が電磁的記録提供命令によって取得した電磁的記録にも応用可能ですので、同命令により取得した電磁的記録の保管、消去に特化した新たな規定を設けることが直ちに要請される状況にはありません。そもそも、保管、消去の在り方は、電磁的記録提供命令により取得した電磁的記録に限らず、捜査機関が取得した全ての証拠、電磁的記録について問題となるものですから、この問題を解決しようとするならば、刑事訴訟法の体系全体を踏まえた大掛かりな検討が必要になると考えています。  以上で私の話を終わらせていただきます。御清聴くださり、ありがとうございました。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) ありがとうございました。  次に、河津参考人にお願いいたします。河津参考人。

河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長

○参考人(河津博史君) 日本弁護士連合会刑事調査室室長の河津でございます。  本日は、意見陳述の機会をいただき、感謝申し上げます。  当連合会は、刑事手続のデジタル化には賛成しておりますが、本法律案は国民のプライバシーの権利や弁護人の援助を受ける権利を軽視し、バランスを欠いた内容であることから、修正を求めてまいりました。  衆議院における修正により、電磁的記録提供命令や記録媒体の押収に当たり、デジタル社会において個人情報の保護がより重要になっていることに鑑み、できる限り被告事件又は被疑事件と関連性を有しない個人情報を取得することとならないよう、特に留意しなければならないとする附則四十条の規定が追加されました。  事件と関連性を有しない情報を取得すべきでないことはもとより当然であり、あえてこのような明文規定が設けられた意義について、令状を審査する裁判官やこれを執行する捜査機関には重く受け止めていただく必要があると存じます。  個人情報の保護が重要となっている近年においても、捜査機関が犯罪事実と関連しないプライバシー情報を収集し、それを利用して供述を迫るような取調べが行われています。また、現在の実務で発付されている捜索差押許可状では、差し押さえるべき物について、本件と関係あると思料される機器並びにこれらに関連する文書及び物件など、抽象的、包括的な記載が行われており、このような令状に基づいて、大量の電磁的記録媒体等の物品がその内容の確認もされることもなく包括的に差押えが行われています。  そのような差押えの適法性が争われている国家賠償請求訴訟で、被告である国は、被疑事実そのものを解明するのみならず、その犯行に至る経緯、目的、動機、背景等を解明する必要があるから関連性を有すると主張し、さらに、関連性がないことが事後的に判明したとしても、当該差押えが刑訴法上違法になるものではないとも主張しています。あらゆる事件は国民の生活や企業の事業活動の中で起こりますから、関連性がこのようにルーズに解釈されるようでは、国民の生活や企業の事業に関するあらゆる電磁的記録が収集することができるものとなりかねません。  令和五年の司法統計年報によると、差押え、記録命令付差押え、捜索状、検証許可状の発付件数は年間二十四万七千四百九十三件であるのに対し、却下件数は百三十八件にすぎません。この数値から、これまで厳格な令状審査が行われてきたと想像することは困難です。  デジタル社会において国民のプライバシーの権利を守るためには、裁判所が特定の被疑事実と関連性の認められる電磁的記録を厳格に限定して令状を発付し、令状で許可された範囲を逸脱した執行を厳しくチェックする役割を果たすことが極めて重要です。このような裁判所の役割の重要性は、附則四十条の規定が設けられることを踏まえて再認識されるべきであると考えます。  国民のプライバシーの権利を保護するためには、電磁的記録の収集の事前規制だけでは不十分であり、事後規制を適正に機能させることが必要です。  クラウド事業者など他人から委託を受けて電磁的記録を保管する第三者から電磁的記録の提供を受けた場合、電磁的記録の保管を委託した本人の不服申立ての機会を保障するためには、本人への通知が行われることが必要です。  プライバシー情報は、違法に収集され、保有されること自体が本人の権利を侵害するものですから、有体物を押収したときに所有者に通知が行われないこととは事情が異なります。本人への通知により捜査が妨げられる場合があるのであれば例外的に通知を遅らせることができる旨の規定を設ければよく、また、本人の所在が明らかでない場合には通知を要しないものとする規定を設ければよいのであり、通知制度を設けない合理的な理由は見当たりません。今申し上げたような規定は、いずれも通信傍受法には設けられています。  不服申立てにより処分が取り消された場合に、電磁的記録を消去する仕組みも必要です。  プライバシー情報は、違法に収集され、保有されること自体が権利を侵害するものである以上、違法な処分が取り消されたときに電磁的記録が消去されなければ、救済としての意味は乏しいものとなります。それだけでなく、捜査機関が違法に電磁的記録を収集しても消去の義務を負わないことは、事後規制としての意味を失わせ、違法な電磁的記録の収集を助長するおそれがあります。  これまでの審議で、捜査や公判に必要なものとして作成、取得された書類は、捜査中から事件終結後に至るまで、刑事手続の適正かつ円滑な遂行のためにありのまま保管、保存されるべきものであるとの説明がなされてきたと承知しております。  しかし、現行制度においても、証拠は還付されることによって事件の途中で保管、保存されなくなることがあります。留置の必要がない押収物を還付することは正当ですが、還付が不適正に行われたときに無罪証拠が隠されることが起こり得ます。村木厚子さんの事件でも、改ざんされたフロッピーディスクは弁護人に開示される前に還付されることによって隠されていました。  証拠の不適正な管理により無罪証拠が隠されることは最近も繰り返されています。  先月、令和七年四月十一日に、東京地方裁判所立川支部で無罪判決が言い渡されました。この事件では、目撃者とされた二名の証人の間でLINEのやり取りがされていました。判決は、このLINEの内容について、被告人が公訴事実記載のとおり暴行に及んだことを警察等に認めてもらうのに都合の良い話を作り出して共有したことも強く疑われると指摘しています。判決によると、このLINEのトーク履歴は、公判前整理手続中に弁護人が証拠開示を求めていたにもかかわらず、不存在を理由に開示されていなかったところ、証人尋問が行われた後にその存在が明らかになっています。このLINEトーク履歴の電磁的記録は、警察が収集し、パソコンに保管していたにもかかわらず、証拠として取り扱っていなかったことにより不存在とされていたと弁護人からは報告を受けております。  このように、証拠がありのまま保管、保存されているとは限らないのが実務の現状です。刑事手続の適正が害されることのないようにするためには、捜査機関が収集した電磁的記録は全て証拠として適正に管理されるべきであり、恣意的に消去されることのないようにする必要があります。  その一方で、違法に収集された電磁的記録については、捜査機関が保有する正当性がないのですから、裁判所の決定に基づいて消去されるようにすべきです。そうすることが現行制度の考え方と整合しないという御説明は、先ほど申し上げたような実務の実態とは合致しないものですし、既に通信傍受法には消去の規定が設けられています。  捜査機関が大量の国民のプライバシー情報を含む電磁的記録を収集することは、現行刑事訴訟法が制定された当時には想定されていなかった事態です。有体物の押収を念頭に置いた現行法に消去の規定がないということは、刑事手続をデジタル化するに際して違法に収集された電磁的記録を消去する規定を設けない理由として合理的であるとは思われません。  本法律案で創設される電磁的記録提供命令については、憲法三十八条一項が保障する自己負罪拒否特権と抵触するとの指摘があります。  これに対し、法務省としては、電磁的記録提供命令は、既に存在している電磁的記録の提供を命ずるにとどまるものであって、供述を強要するものではないことから、自己負罪拒否特権と抵触するものではないとお考えであると承知しております。一旦この法務省の見解を前提とするとしても、電磁的記録の提供を強制することが供述の強要を伴う場合があり、その場合には自己負罪拒否特権への抵触が生じることについて注意を喚起させていただきたいと存じます。少し分かりにくい話になることを御容赦ください。  犯罪の嫌疑を受けた国民には自らを防御する権利があり、自己に不利益な行動を強制されるべきではありませんが、憲法三十八条一項は、その中でも、自己に不利益な供述、すなわち頭の中にある観念を表出することを強要されない権利を特に強く保護する趣旨であると理解することができます。  電磁的記録の提供は、観念の表出を伴うことなく行い得る場合もありますが、観念の表出を伴うこととなる場合もあります。例えば、命令に応じて電磁的記録の提出をすることが、自己に不利益な電磁的記録の存在を認識し、これを所持していたこと自体を外部に伝達することとなる場合です。被疑者は、自己に不利益な電磁的記録が存在し、これを所持していることについて供述を強要されない権利を有しています。そのような被疑者にその電磁的記録の提供を強制することは、電磁的記録の存在を認識し所持していることの供述を強要する意味を持ちます。このような理解は特段新しいものではなく、法制審議会の部会の部会長を務められた酒巻教授の「刑事訴訟法」の教科書にも、罰則付文書提出命令が供述の強要になり得ることが記述されています。  また、提出を命じられた電磁的記録にアクセスし、又は暗号化された電磁的記録を復号化するために、記憶しているパスワードの入力を強制することも供述の強要となり得ます。記憶しているパスワードの入力は観念の表出にほかならないからです。  法務省の見解は、既に存在する電磁的記録の提供を強制することは、それが供述証拠の性質を有するものであったとしても自己負罪拒否特権に抵触しないというものと理解しておりますが、これは、命令によって捜査機関が供述証拠を取得することに着目するのではなく、命令によって観念の表出を強制することとなるかどうかに着目するものです。そうであるならば、記憶しているパスワードという観念の表出を強制することは、そのパスワード自体を捜査機関が取得するかどうかにかかわらず、供述の強要に当たると理解しなければ一貫性を欠くように思われます。  このように、電磁的記録の提供を強制することが供述の強要を伴うことになる場合も具体的に想定されます。このような場合において、電磁的記録の提供を命じられた者が自己に不利益な供述を強要されない権利を行使し、その結果、電磁的記録が提供されないときは、罰則規定の「正当な理由がなく、」の要件を欠くものとして処罰されないことが確認されるべきです。  自己に不利益な供述を強要されない国民の権利が電磁的記録の提供が命じられる場面でなし崩し的に侵害されることはあってはなりません。当連合会は、電磁的記録の提供を命じるに当たり、この命令は供述を義務付けるものでない旨を教示しなければならないものとすることを求めております。  最後に、いわゆるオンライン接見と電子データの授受について意見を申し上げます。  国民は様々な立場で刑事手続に関与しますが、手続の公正さに最も深刻な利害関係を持つのは、被疑者、被告人の立場に置かれた場合です。そして、被疑者、被告人の立場に置かれた国民が自らを防御するためには、弁護人の援助を受ける権利が重要となります。  本法律案が、書類の電子データ化、発受のオンライン化やビデオリンク方式による捜査、公判手続等を掲げながら、身柄を拘束された被疑者、被告人が弁護人との間でビデオリンク方式による接見をすることも、電子データ化された書類を授受し閲覧することもできるものとしていないのは、不公正であると言わざるを得ません。被告人は刑事訴訟の主体であり、刑事訴訟法上、検察官請求証拠に同意する権限を有しているのも被告人本人です。その本人が電子データで作成された証拠を授受し閲覧することができないというのは正常ではありません。  接見及び書類の授受については、現行法上も、法令で逃亡や罪証の隠滅を防ぐため必要な措置を規定することができるとされていますから、これらの手続をデジタル化する場合においても必要な規定を設けることは可能です。仮に全国一律実施が困難であるとしても、施行日を相当程度先に設定し、それまでに段階的に設備の整備を進めることが考えられます。  国民の権利を保護し、捜査を適正化する法整備は、これまで将来の課題として先送りが繰り返されてきました。しかし、本日提起させていただいた課題は国民の憲法上の権利に関わるものですので、少なくとも解決に向けた具体的な道筋を示していただくことをお願いして、私の意見陳述を終わらせていただきます。  ありがとうございました。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) ありがとうございました。  次に、渕野参考人にお願いいたします。渕野参考人。

渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授

○参考人(渕野貴生君) 立命館大学で刑事訴訟法を担当しております渕野でございます。  本日は、貴重な機会をいただきまして、感謝をいたします。  時間に限りがございますので、配付をいたしました資料に基づきまして、電磁的記録提供命令及びビデオリンク方式による証人尋問の拡大の二点を中心に、被疑者、被告人の適正手続保障の観点から法案には大きな問題があるということについて意見を述べさせていただきます。  電磁的記録提供命令に関し、法案の第一の疑問点は、令状主義が要求する差押対象物の特定に当たる提供対象情報の特定が厳格に行われるのかという点です。有体物であれば一応物単位で特定することができるのに対して、情報は形あるものではないので、情報の切れ目をどこで区切るかが融通無碍になりやすく、その結果、令状が一般令状化し、包括的で無限定な差押えになりやすいという危険があります。  この点、法務省の説明では、例えばメールの場合、対象者を特定した上で期間を限定することで提供対象情報の特定を図ることが想定されているようです。  しかし、例えば、我々は現在、日常的に一日に数十件のメールのやり取りをしています。それぞれのメールは相手方も違えば用件も異なります。仮に被疑者がメールで犯罪に関する連絡をしていたとしても、該当期間の全てのメールが犯罪関連通信とは限りません。むしろ、犯罪とは全く無関係な私的なコミュニケーションと犯罪関連通信とが混在していると考えるのが自然です。  ところが、期間で区切るという方法では、犯罪関連通信と純粋に私的な通信との区別が付きませんので、結局、純粋に私的な通信も含めて地引き網的な押収にならざるを得ないように思われます。しかも、捜査機関が主体となって差し押さえる場合には、捜査機関は、それまでに収集した捜査情報に照らして被疑事実との関連性を判断し、被疑事実に関連しないデータは除外することができるというフィクションが辛うじて成り立つかもしれませんが、提供命令を受ける保管者などは、捜査機関とは異なり、被疑事実との関連性の有無を判断するための背景情報を持っておりませんので、犯罪関連通信と純粋に私的な通信とを区別することは原理的にも不可能と思われます。  したがって、提供命令では憲法三十五条が定める差押物の特定の要求を満たすことは本来的にできないのではないかとの疑問を拭えません。  法案審議の過程で、法務省からは、電磁的記録提供命令の場合には、有体物に対する差押えとは異なり、その他本件に関連する一切の物件といういわゆる概括的記載は行わない旨の説明がされているということで、提供対象情報を特定するために一定の配慮は考えられているようです。  しかし、概括的記載を行わないというだけでは、さきに指摘をしました情報の無限定性と私人が被疑事実関連情報を選別することの困難性という本命令の性質上の問題点は何ら解決されないように思われます。  電磁的記録提供命令の第二の問題点は、被疑者に対して自己に不利益な情報の提供を命じ、命令違反に対して罰則を科すことが自己負罪拒否特権の侵害にならないかという点です。  この点、自己負罪拒否特権の侵害には当たらない理由として、自己負罪拒否特権は不利益な内容の供述を新たに表出することを強要するのを禁ずるものであって、命令の前に既に存在している供述の提供を強要したとしても、それは不利益な内容が記載されている被疑者の日記を差し押さえるのと同じだと、したがって憲法三十八条一項の問題を生じさせるものではない旨の説明が行われています。  しかし、この説明は自己負罪拒否特権の本質を捉え損ねているのではないかとの疑問があります。  自己負罪拒否特権が憲法上の適正手続権として保障されなければならない根源的な理由は、それが自己防衛本能ともいうべき、人間のというよりも生物の本質に根差したものだからです。刑事手続において自己の犯罪を語るという行為は、自らの死や拘禁という自己に対する重大な不利益への直結を意味します。自分の自由や生命に重大な不利益が及ぶような行為を自らが行うことを生物が本能的に回避するのはごく自然なことです。  確かに、犯罪を行った者が処罰されたり、あるいは不利益な証拠を他人が確保したりすることは、これは仕方がないことです。しかし、問題にしているのはそのことではなくて、自ら進んで死ね、自ら進んで自分の自由を束縛しろと迫ることです。自己を破壊するような行動を迫ることは人間の尊厳を踏みにじることになると思われます。  以上のような自己負罪拒否特権に対する本質的な理解を踏まえるのであれば、特権侵害のポイントは自己に提出させるという点にこそあることが分かります。つまり、提供命令について日記を差し押さえる行為と同等であると説明することはミスリーディングであって、正しくは、日記を自ら提出させる行為と比較をしなければならないはずです。そして、罰則を付けることによって提出が法的に義務付けられ、強制させられるわけですから、法案は明らかに自己負罪拒否特権侵害に当たると考えます。  次に、ビデオリンク方式による証人尋問について、まず根源的な問題点として、ビデオリンク証言等は証人審問権を侵害するおそれが強いということを確認しておきたいと思います。  証人は被告人と物理的に対面せずに済むことによって真摯な証言を期待しにくくなりますし、被告人、弁護人も、裁判所も、証人の態度を観察して心証形成や反対尋問の手掛かりにすることができにくくなります。別空間で尋問を受けるということは、それだけで緊張感が薄れた状態で証言するということを許すことであり、証人にごまかしや言い逃れをする余裕を与えてしまいます。反対尋問の効果を著しくそぐおそれが強いビデオリンク証言は、証人審問権の侵害に直結しかねません。  この点、法制審議会の委員、幹事及び法務省からは、弁護人が証人を見ながら尋問できるから証人審問権の侵害に当たらない旨の説明が繰り返されています。  しかし、先ほど述べたとおり、証人審問権の本質はその点だけにあるのではありません。証人が被告人の目を見て証言をするという対面権保障の点がこれまでの議論ではすっぽりと抜け落ちているのではないかとの疑問が生じざるを得ないのです。  第二に、ビデオリンク証人尋問に関して、法案が掲げている要件にも極めて大きな問題があります。  まず、法案では、国外に所在する証人に対するビデオリンク方式による証人尋問は認められていません。これは、法制審議会等において、国外で偽証されると、偽証罪で起訴しても公判への出頭を確保できないし、偽証罪の犯罪事実を立証するための証拠も収集できないので、偽証罪による威嚇効果が働かず、事実認定を誤らせるおそれが強いとして導入に反対する意見が出されたためです。  ところが、法案は一方で、被告人以外の者の供述を録取した電磁的記録等の証拠能力について提案をしております。そこでは、刑事訴訟法三百二十一条一項二号の検察官の面前について、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話することのできる方法による場合を含むと規定されています。この提案は、要するに検察官がオンライン取調べで作成した二号書面にも伝聞例外を認めるという内容です。また、同三号でも電磁的記録が含まれることが提案されており、警察官がオンライン取調べで作成した三号書面にも伝聞例外を認める内容のように読めます。  そして、重要であるのは、このオンライン取調べは、国内に所在する対象者に限定されないということです。つまり、法案では、国外所在証人については幅広く捜査機関によるオンライン取調べを行って供述調書を作成する一方、ビデオリンク方式証言については国内にいないという理由で拒絶をした上で、オンラインで作成した供述調書を供述不能による伝聞例外として提出することが予定されているのです。  この点は、既に法制審議会において弁護士委員が、外国に所在するオンライン取調べをして作成した供述調書も偽証罪の威嚇効果は働かないし、信用性を評価する材料も収集できないから採用することに疑義が生じるはずだというふうに指摘をしていましたけれども、この指摘は完全に黙殺された格好になっています。  さらに、刑事施設や少年院に収容されている証人のビデオリンク方式による証言は認めるべきではないと言えます。いろいろな限定要件が掛けられておりますけれども、被疑者の場合に法案が定める限定要件が厳格に守られることは期待できないと言わざるを得ません。しかも、被収容者は共犯者的立場の証人であることも少なくなく、一層対面での十分な反対尋問の機会を保障する必要性が高いにもかかわらず、法案ではその点に対する配慮も行われていません。逆に言えば、本要件は、共犯者的立場の証人の証言を切り崩されることを妨害する目的で検察官が悪用する危険を否定することができず、極めて問題が大きいと言わざるを得ません。  最後に、今回の法案全体を通じた問題点を指摘したいと思います。  本日私が指摘した問題点は、確かに今回の法案で初めて出現した問題ではありません。ビデオリンク方式の証人尋問は現在でも一定の要件の下で認められていますし、差押情報の特定性が弛緩するという問題も、現行法の刑訴法九十九条の二による記録命令付差押えにも同様に存在していたと言えます。そして、電磁的記録提供命令については、法案審議の中で再三、令状を発付する裁判官が特定性について厳格に審査するので被疑事実に関連しない情報が無限定的に収集されることにはならないと説明されています。  しかし、私が最も問いたいのは、今回新たにビデオリンク方式での証人尋問の拡充や電磁的記録提供命令の新設を提案するに当たり、従来指摘されてきた理論的問題や令状実務の問題点についてきちんと検証した上で法案が提出されるに至ったのだろうかという点です。  この点に関して、今回の法案では通信傍受の対象犯罪の拡大も提案されています。しかしながら、毎年国会に報告されている通信傍受の実施状況から算出をしていただければ分かるとおり、二〇〇二年以来、傍受令状が発付された事件において傍受された通話のうち無関係通話の比率は約八五%に達し、回数でいえば十九万回以上に及んでいます。逆に言えば、傍受令状に基づいて傍受された通信のうち犯罪関連通信は一五%にすぎません。  これで果たして厳格な令状審査が行われていると言えるのか。少なくとも厳密な検証が必要なはずですけれども、今回の立法提案に際し、理論的問題点に際しても、令状実務の問題点についても、そのようなプロセスを経たとは言い難いように思います。  法案全体に対する姿勢についてこのような根本的な疑問があることを指摘して、私の意見とさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  質疑のある方は順次御発言願います。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 三人の参考人の先生方、本当にありがとうございました。  自民党の古庄玄知です。  この改正法案の二百十八条三項、電磁的記録を保管している人などに対して提出しなさいと、今度、提出したら提出したということを黙っておきなさいと、こういう条項があるんですが、この秘密保持義務というんですかね、何か聞いたことがあるなと思って思い出したら、刑法百三十四条ですかね、秘密漏せつ罪という、弁護士とか医者とか産婆さんとかが職務上知り得た秘密を外に漏らした場合、これは刑罰の対象になります。  そこで、この刑法百三十四条の秘密漏せつ罪の違法性と、今回の電磁的情報を取り扱っている人がその情報を提供したときにそれを漏らした場合、どちらの方が違法性が高いというふうにお考えになるでしょうか。これ、三人の参考人の先生方の感覚でよろしいので、順番に一分以内にお答えください。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) お答えいたします。  刑法の百三十四条の秘密漏示罪は、医師や弁護士等に対して、私人がプライバシーに関わる情報を提供せざるを得ないような関係にあることを前提に、そのような職務にある者がクライアントから得た秘密を漏示してはならないという趣旨で定められているものです。  これに対しまして、本法案に含まれている秘密保持命令というのは、当該電磁的記録提供命令に応じてデータを提供したという事実を情報主体に伝えることがその後の罪証隠滅等に及ばれるリスクがあると。すなわち、その命令を守らなかった場合に捜査妨害とかが発生するということを想定したものでありまして、そもそも守ろうとしている法益が異なるものだと理解しております。  ですので、どちらが重くあるべきかというのは一概にはお答えできないというのが回答になります。  以上です。

河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長

○参考人(河津博史君) 今、成瀬参考人御指摘になったとおり、保護法益が異なりますので一概に比較することはできないのではないかと私も思います。  ただ、弁護士としまして、やはりこの弁護士の守秘義務というのは非常に重いものがございますので、それよりも法定刑が、本法律案の秘密保持命令義務違反が重いということについては違和感もございます。

渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授

○参考人(渕野貴生君) お二人の参考人がお答えいただいたところと重なりますけれども、その弁護士やお医者さんの守秘義務については、プライバシー、患者さんのプライバシーや依頼人のプライバシーを守らなくてはいけないという職務に対する信頼感、その職業に対する信頼感というものが保護法益になっているのに対して、今回の秘密保持命令は、司法作用に対する妨害という観点からの保護が求められているということですので、これ一概に比べることはできないというふうに考えますが、そもそもその罰則が付けられているということによる威嚇効果というものが、先ほど意見の中でもありましたけれども、様々な副作用を及ぼさないかということには注意が必要かと存じます。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 これ、罰則の方を見てみると、秘密漏せつ罪ですか、漏示罪ですか、あれは六月以下の懲役で十万円以下の罰金、で、今回のその提供命令、秘密保持の罰則が一年以下の拘禁刑、それと三百万円以下の罰金、プラス両罰規定、法人も処罰しますよと、そういうふうな規定になっていて、かなり刑法百三十四条に比べて重いんじゃないかなというふうに刑罰の面から見ると思います。  先ほど、成瀬参考人と渕野参考人、法益が違うということを言われました。河津参考人も同じようなあれだと思いますが、私が考えたのは、医者とか弁護士のその職業倫理に照らしたときに、やっぱりその倫理に反して自分を信頼して委ねてくれた人のその秘密を漏らすという方が、やはり違法性の点では重いんじゃないかなというふうに考えまして、であるにもかかわらず、今回の、捜査機関から情報を出せと言われて出したらおまえ処罰するよと言われた、そっちの方が圧倒的に刑罰が重い。  どうしてそのように今回の方が刑罰を重くするようになったのかについて、法制審議会でその辺、刑法との比較において議論がされたのか、仮にされたとすれば、その点についてはどういうふうに克服したのか。その辺、法制審議会は成瀬参考人だけですかね。じゃ、成瀬参考人。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) お答え申し上げます。  私は刑事訴訟法を専攻しておりまして、刑法の分野については専門家ではないんですけれども、まず、法制審議会の刑事法部会におきましては、刑法を専攻する研究者の委員、幹事の方もいらっしゃって、この秘密保持命令に違反した場合の法定刑がどうあるべきかということについて慎重に議論が行われたということをまず報告させていただきます。  その上で、この秘密保持命令に違反した場合がなぜ刑法の百三十四条の秘密漏示罪よりも法定刑が重くなっているのかという点について、私の考えを申し上げたいと思います。  先ほどの意見表明の中でも申し上げたとおり、秘密保持命令というのは、情報主体に電磁的記録提供命令が発令されたことが伝わると、逃亡、罪証隠滅が生じるおそれが高いというふうにうかがわれる場合に、そのことを裁判官の事前の許可を得た上で発令するものでございます。  そのような状況、かなり限られた状況でございますので、そのような状況におきまして事業者が情報主体に対してその秘密保持命令に反して当該命令、電磁的記録提供命令が発令されたことを告げた場合には、その逃亡、罪証隠滅という重大な事態が発生することが強く想定されるわけです。しかも、これは捜査の初期段階で使われることもあり得るわけですから、当該事件の真相解明が不可能になってしまうこともあり得るということになります。そのようなことを考えた場合に、まあ法益自体は異なるわけですけれども、今回定められている拘禁刑で一年以下というような形で法定刑を設定することは、私は合理性があるというふうに考えております。  また、罰金額が三百万円以下になっているという点につきましても、今回対象になっているのは電磁的記録を保管している事業者等が念頭に置かれているものですので、刑法百三十四条の個人を対象とする刑罰と法人も念頭に置かれた上での罰金額というのは一概には比較はできないものというふうに考えておりまして、三百万円になっている点についても私は合理性があるというふうに考えております。  以上です。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 差押対象物件を第三者が所持していると、その物件を差押えに来ましたよといったときに、人からその物を預かっていて、いや、実はさっき警察が来て、あなたから預かっているものを持っていかれたんだよと。それによって、捜査の初期段階にそれによって捜査ができなくなるという場合もたくさんあるんじゃないかなと思うんですが、今までは差押えの場合はそういう口止めみたいなことはしていなかったのに、今回はそういう口止めみたいな条項を初めて作ったのはどういう意図なのか、その辺について、成瀬参考人、お願いします。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) 先生が御指摘のとおり、現在の刑事訴訟法におきましては、捜索差押えを行った場合に、その被処分者が当該差押えがあったという事実を第三者に告げるということを止めるような規定というものはございません。ですので、現行法においては、捜査機関が捜索差押えを実施する場合には、そのような事態が発生し得るということも念頭に置いた上で、いつのタイミングでその強制捜査に着手するかということを考えているものというふうに理解しております。  それに対しまして、今回の電磁的記録提供命令というのは、むしろその現場に対する捜索差押えを行うよりも更に前の段階で事前にある程度情報を把握しておきたいという場面でも用いられ得るものですから、そのような段階で情報主体に提供命令が発令されたことが伝わるという事態を避ける必要性がより高いというふうに考えられて、今回の電磁的記録提供命令に関しては秘密保持命令が設けられたというふうに私自身は理解しております。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 今の成瀬参考人の御意見を聞いて、河津参考人と渕野参考人、どのようにお考えなのか、お考えを聞かせてください。

河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長

○参考人(河津博史君) 電磁的記録提供命令によって電磁的記録の提供が行われた場合に、その事実を犯人に知らされることによって捜査の妨げになる場合があるという一般論の限度では理解できないわけではございません。  ただ、今、古庄委員御指摘になったとおり、それは従来の捜査手法においても同じことは起こり得たはずであり、その電磁的記録提供命令というのが従来の捜査手法よりもより初期の段階でのみ用いられる捜査手法でないことも考えると、この制度に限って秘密保持命令を罰則付きで設ける合理性というのは必ずしも十分ではないのではないかと個人的には考えます。

渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授

○参考人(渕野貴生君) 電磁的記録提供命令に対する罰則が罪証隠滅の防止のために必要だというのがその罰則を設ける根拠になっているわけですけれども、しかし、よく考えてみれば、通常の捜索差押えの場合も、それから今回の電磁的記録の提供命令の場合もそうですけれども、既にその提供をしたことによって、あるいは差押えをしたことによって、主たる証拠については捜査機関が確保しているはずなわけです。したがって、その残された部分について証拠隠滅、罪証隠滅の危険というものが具体的、現実的な危険として一体本当にどの程度あるのかということをやはり厳密に考えてみる必要があるように思われます。  そうすると、これまでの通常の捜索差押えにおいては、残された証拠があり得るとしても、それが、第三者から被疑者等にその情報が伝わったとしても実効的な罪証隠滅につながるリスクというのがそこまで大きくないというふうに考えられていたのではないかというふうに法律の立て付けとして考えることができると。そうだとすると、電磁的記録提供命令についても同じことが言えて、必ずしもこの場合にだけ罰則を付けないと罪証隠滅の現実的なリスクを阻止できないということにはならないのではないかというふうに考えます。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

田島麻衣子立憲民主・社民・無所属

○田島麻衣子君 ありがとうございます。立憲民主党の参議院議員の田島麻衣子と申します。  本日は、三人の先生方、本当に大事なお話をありがとうございました。特に、はるばる遠方から来られた参考人の方もいらっしゃって、心から敬意と感謝を表したいと思います。  私は、まず成瀬参考人に対して、通信の秘密について伺いたいんですが、先ほどお話の中で、憲法で保障される通信の秘密というのは令状主義による事前のチェックが入るので、これは不当に制約されるものではないというお話を伺ったと思うんですが、その後、河津参考人のお話にもありますとおり、令状が出た件数、二十五万件要請されたうちの却下された件数が百三十八件というふうにおっしゃっていて、私はこの分野の専門家ではないですけど、こんなにもほぼほぼ通ってしまうものなのかなと思いましたし、前回の参議院のこの委員会では、新人の裁判官の方が最初にやる仕事が令状を出すことなんだよとおっしゃっていた委員の方もいらして、実際に本当にこの令状主義が現場で実務として機能しているのかというのは私自身ももっと知りたいなと思う分野の一つではあるんですね。  と同時に、今この法案で議論しているのは、パソコンや手帳等の有体物とは違いまして、もうクレジットカードの履歴から、それからクラウド上の動画のデータからアプリの使用履歴からICカードの購入の履歴まで全て対象になるもので、これまでのものよりも更に配慮というのがこの通信の秘密の関係では必要になってくるのではないのかなというふうに思うんです。  こうした点に、本当に今、これ令状主義があるからこの通信の秘密というのは不当に制約されるものではないと本当に言い切れるのかどうか、再度参考人の方に伺いたいと思います。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) お答え申し上げます。  先ほど河津参考人の方から令状発付の件数あるいは令状却下件数について御紹介がありました。  ただ、私の認識するところでは、そもそも捜査機関側が裁判所に令状を請求するかという時点で、相当内部的なチェックが行われた上で初めて裁判所に請求が行くというふうに理解をしております。さらに、裁判官が令状を発付するとしても、捜査機関が請求してきた内容どおりに発付しているというふうには必ずしも言えませんで、請求してきた内容の中でも、被疑事実との関連性が薄いと思われる場合には差し押さえるべきものから排除するなどの判断をした上で、厳格な審査をした上で令状を発付しているというのが実情であるというふうに私自身は認識しております。  その上で、今回設けられる電磁的記録提供命令に関して、多様なデータが対象になり得るという御指摘がございました。その点はおっしゃるとおりなんですけれども、今回の電磁的記録提供命令についても、あくまでも問題となっている被疑事実について関連性が認められると判断されたデータのみが令状に記載されて発付されるということになりますので、多様なデータが同時に一回の令状で全て出されるというふうな運用にはならないだろうというふうに私自身は考えております。  ただ、先生が御指摘のとおり、この令状審査というものが通信の秘密の制約を認める上で最も大事な事前の審査でございますので、今後も、裁判所におかれましては厳格な審査がなされていくことを一研究者として期待しているところであります。  以上です。

田島麻衣子立憲民主・社民・無所属

○田島麻衣子君 ありがとうございました。  もう一回成瀬参考人に伺いたいんですが、私は前回の参議院の委員会質疑で例を出したんですね。国会議員が選挙期間中に演説をしていて、やじを飛ばしていた一般の市民の方が警官止めようと入ったときに警官を傷つけてしまったという事例を出して、この事例では具体的に誰と誰との間の何が差押えの対象になるのかということを法務省に聞いたんです。答えられないんですよね。ICカードなのか、それともインターネットの履歴なのか、何なのか、いつからいつまでなのかということを答えられないんですよ。そのときに私は非常に不安感を覚えたんですよね。本当に個別具体的な事件が起こった場合に、きちんと被疑事件とは無関係な電磁的記録というのを明示した上で差押えというのは技術的に可能なんでしょうか。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) 先生がさきの質疑においてそのような事例を出されて議論をされたというのは、議事録を事前に読んでまいりましたので、拝見しております。  ただ、私自身も、今先生が出していただいた事例につきまして、具体的にどうなりますかというふうに聞かれましても、当該事件の事案とかあるいは証拠関係によってどのような電磁的記録が必要となるかは変わってまいりますので、一概に申し上げることは困難であるというふうに考えております。その点は御容赦いただければと思います。  その上で、繰り返しになりますけれども、今回の電磁的記録提供命令というのは、裁判官が被疑事実に関連するものだけを提供させるべき電磁的記録として令状に書くものですから、様々なそのICカードの履歴だとかクレジットカードの履歴だとかが同時に被疑事実と関連するということが判断されるという事態は容易には想定しにくいのではないかなと。  やはり、当該被疑事実との関係で何らかの、その今の事例でいいますと、当該現場まで被疑者がどのように来たのかということを真相解明の上で把握する必要があれば、そのICカードの利用履歴を日数を限った上で提供してもらうということになるでしょうし、当該事件が起こる前に第三者と何か通謀していたのではないかという疑いが出てきた場合に初めて、当該被疑者がスマートフォンで誰に電話をしていたのかということを、また日数を限った上で通信事業者に対して電磁的記録提供命令で提供していただくと、そのような形で使われることが想定されているというふうに理解しております。

田島麻衣子立憲民主・社民・無所属

○田島麻衣子君 ありがとうございます。非常に勉強になりました。  もう一回、申し訳ない、成瀬参考人に伺いたいんですが、先生は法制審議会の刑事法部会で御議論されているということで、衆議院側でもこれは議論になったんですけれども、この刑事法部会の中にどれだけ通信の秘密の専門家がいらして、どこまで通信の秘密との関係は議論されているのか。実際にずっと出席されていたと思いますので、御所見を伺うことができたらと思います。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) 通信の秘密というのは憲法上の規定でございますので、一番の専門家は恐らく憲法研究者なんだろうと思います。  ただ、捜査機関が通信の秘密を制約して捜査を行うという自体は、今回の電磁的記録提供命令で初めて行われるものではありませんで、今日の議論でも出てまいりました通信傍受ですとか、あるいは記録命令付差押えでも通信の秘密を侵害することはあり得たわけです。ですので、刑事訴訟法、私を含めた刑事訴訟法の研究者というのは、この刑事捜査の場面でどのような要件の下に通信の秘密が制約され得るのかということについては日頃から研究を続けておりまして、その観点で申しますと、法制審に出ていた刑訴法の研究者は皆、この分野、刑事分野に限って言えば、通信の秘密についても十分な知見を持っており、かつ法制審でもその点を十分に意識した上で慎重に審議がされたというふうに認識しております。

田島麻衣子立憲民主・社民・無所属

○田島麻衣子君 ありがとうございます。  次に、河津参考人に伺いたいと思います。  河津参考人には、衆議院側の修正案に対する評価を伺いたいと思います。三つ出ていまして、秘密保持命令に一年を超えない期間の制限、それから附則に被疑事件とは関係のない個人情報は収集しないように留意する旨、それから身体的拘束を受けている被告人と弁護人の間における通話等を可能とするための運用上の措置等が衆議院側で修正案として提出されました。  参考人はこの衆議院側の修正案をどのように評価されるか、御所見伺いたいと思います。

河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長

○参考人(河津博史君) 秘密保持命令についても期間を明記したこと、それから電磁的記録の収集についてできる限り被疑事実、被告事件、被疑事件と関連性のないものを取得しないように特に留意すべきである点、これらについては、本日も資料として配付していただいておりますけれども、日本弁護士連合会が表明してきた意見書の内容を採用していただいたものであるというふうに理解をしております。  その一方で、先ほど意見陳述の中でも申し上げましたが、国民のプライバシーを守るためにはこの事前規制だけでは不十分でして、事後規制を有効に機能させなければなりません。そのためには、この秘密保持命令以前の問題として、その情報主体である本人に自らの情報が取得されたことを通知する制度が必要ですし、不服申立てをしてこの処分が取り消されたときにその電磁的記録が消去されるという仕組みが必要であると考えております。この点が採用されていないことについては不十分であると考えております。  オンライン接見についても、これも先ほど意見として申し上げましたが、本来、刑事訴訟法上の権利としてオンライン接見と電磁的記録の授受の権利が認められるべきです。それが認められていないという意味においてはこの修正案は不十分であると考えておりますけれども、何よりも、現に今身体を拘束されている被疑者、被告人が十分な弁護人の援助を受けることができるようにするために、このオンライン接見、事実上の外部交通の充実を図るという方向性を示した附則を設けていただいたことについては積極的に評価したいと思います。

田島麻衣子立憲民主・社民・無所属

○田島麻衣子君 ありがとうございます。非常に客観的な評価をいただきまして、引き続き、まだあと参議院側でも質疑続きますので、国会答弁、きちんと深めていきたいというふうに思います。  次に、渕野参考人について伺いたいと思います。  先ほどもるるお話が出ていますけれども、この電磁的記録提出命令によって差し押さえられた記録というのは消去されないということなんですよね。私もそれを問題として感じまして、さきの参議院の委員会でも随分取り上げたんですが、法務省は、これを消去しない理由として、国家賠償請求訴訟等が提起された場合を考えて消去しないんだということも言われていたんですが、この点について参考人はどのようにお考えになりますか。

渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授

○参考人(渕野貴生君) 国家賠償請求等で使われる場合というのが実際にどの程度あるのかということがはっきりしないわけですけれども、問題の本質はやはりそこではないというふうに思います。情報が消去されないことによって、最もメジャーな使われ方、最も想定される使われ方というのは、他事件にその情報を流用して使うということが一番大きな問題を生じさせると思いますので、その国家賠償に使うかもしれないからというのは、その消去しないことによるメリットの、幾つかあるメリットの最も、何というんですか、最後の方のメリットを持ち出して、一番大きな問題点である他事件への流用であるとか、あるいは違法収集証拠であるにもかかわらずその当該事件でも使用するという一番肝腎な問題点を見過ごしているのではないかというふうに思います。

田島麻衣子立憲民主・社民・無所属

○田島麻衣子君 ありがとうございます。  次に、最後に、成瀬参考人に最後お聞きしたいんですが、今、渕野参考人からも御指摘がありましたけれども、他事件への流用について伺いたいと思います。  さきの法務委員会でも私以外でも質問されていた委員の方がいらっしゃるので再度聞きたいんですけれど、この電磁的記録というのはもう未来永劫ずうっと積み重なって保存されていくリスク、危険性というのがあって、法務省は不同意性交罪を例に挙げていましたけれども、同じ類型の刑であれば使用することもあるんだということをおっしゃっていましたが、全く別件に使用する、これは許されないという理解でよろしいですか。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) 現在の刑事訴訟法の基本的な考え方をお伝えしたいと思います。  現在の刑事訴訟法においては、その物ないしはデータを取得する段階で、強制的に取得するのであれば、事前に令状を得た上で行うというのが原則的な仕組みでございます。当該データはもちろん被疑事実に関連するものとして取得されるわけですけれども、同じデータが別の被疑事実に関わりを持つということも当然ございます。その場合に、他事件に利用するということを禁止する規定は刑事訴訟法にはございません。  一例を挙げますと、例えば業務上横領罪の被疑事実で商業帳簿を差し押さえたといたします。その商業帳簿について、当然、業務上横領罪の捜査のために使うわけですけれども、その過程で、そのお金が例えば贈賄に使われただとか、あるいはそのお金の帳簿を隠すことによって脱税になっているんではないかというような形で別の被疑事実との関連性を有するという事態は当然発生するわけですが、そのようなことがあった場合に、今申し上げた贈賄やあるいは脱税の事件としてその帳簿を使うことというのは禁止されておりません。  そのような考え方からいたしますと、今回、電磁的記録提供命令によって取得されるデータについても、ある被疑事実との関連性があるという形でデータを入手するわけですが、そのデータが別の被疑事実とも関連性を有するという形で使われ得ることはあり得るというふうに考えております。

田島麻衣子立憲民主・社民・無所属

○田島麻衣子君 私の時間、これで終わりになりますので、質疑を終わらせていただきたいと思います。  本当に三人の参考人の方々、ありがとうございました。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。  三人の参考人の先生方、今日は本当に貴重な御意見またいただきまして、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。  私からは、まず成瀬参考人にお伺いしたいと思うんですが、先ほど御説明いただいた中で、電磁的記録提供命令、こちら、これまでの記録命令付差押えとかとの違い、今までは言わば記録媒体としての有体物、それと今回の無体物としての情報の違い、前者は記録媒体である以上、それ特定の必要があるというお話があったと思います。その上で、また令状主義との関係で、このデータについても、裁判所、裁判官が関連するものとして限定をしているということが、ある意味、許容性としてだと思いますが、述べられていたんですが、これをいかに制度としてその関連性が限られるかというところを担保できているかというところが法案にとっても重要だと思うんですけど、改めて、この法案でどういうふうに制度としてそれが担保されているとお考えなのか。  もう一つ、関連してですけど、例えば欧米など他国で、執行時に関連のない電磁的記録ができる限り収集しないようにするための制度としてこういうものがあるというところで、御存じのところがあれば教えていただきたいなと思います。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) お答え申し上げます。  まず、電磁的記録提供命令において取得するデータが関連するものに限られるようにどう制度上担保されているかという点でございますが、今回、まず裁判官の事前の令状審査をかませるという仕組みになってございますし、その際の要件というのは、これまで差押えや記録命令付差押えで要求されていた要件と全く同じものが要求されているわけです。  更に申し上げますと、今回の電磁的記録提供命令というのは、被処分者にデータを選別していただいて出していただくという形になりますので、捜査機関が捜索差押えの現場で選び出すという作用とは異なってまいります。すなわち、事件の概要を御存じない被処分者の方にデータを出していただかないといけませんので、通常の捜索差押えと比べても、更に特定性を高めた形で提供させるべき電磁的記録というものが限定されて令状が発付されるものと考えております。  さらに、事後審査として不服申立ても可能になっておりますので、万が一、その裁判官が出す令状が被疑事実と関連しないデータまで提供させるべきデータに含まれているというような事態であれば、それに対して事後審査として不服申立てでチェックもされるというふうな仕組みが取られているところでございます。  他国、外国におきまして、このような無関係のデータを取得しないような仕組みとしてどのようなものがあるかという御指摘だったかと思いますが、例えば私が専門にしておりますアメリカなどでは、日本と同様に、裁判官に事前の審査をさせた上で被疑事実に関連するデータに限って令状を発付し、その下で提供命令を執行するというふうな仕組みが取られておりますので、今回我が国が採用する制度というのは、例えばアメリカなどと比べても遜色ない内容になっているというふうに認識しております。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 ありがとうございます。  続いて、成瀬参考人に、また今のこの捜査機関が令状によって電子データ取得する手続の関係ですけど、今おっしゃったアメリカの方の連邦刑事訴訟規則九十一条で、それで書いている限りだと、アメリカの方では、捜査機関が令状に基づいてサービスプロバイダーからデータの提供を受けたり、ハードディスクドライブを押収してデータを取得した後、その中から令状の対象となるデータを期限付で選別する、で、この選別されたデータのみを取得するという手続があるというふうに聞いたことがあるんですが。  こういう実行困難な方法によることなく捜査機関の手元に保存されるような情報を限定するというこの手法、先ほど、秘密保持命令の関係でもこの今回の電磁的記録提供命令というのは捜索差押えよりも前の段階でというような御趣旨もおっしゃっていた、そういうことも踏まえると、今言ったような、提供した上で限定したものだけを取ってそれを返すというやり方も一つ参考になるところだと思うんですが、その辺りについての御意見をいただければなと思います。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) 今委員が御指摘のとおり、アメリカは五十州ございますし、連邦もあるということで、法域ごとにかなりルールが異なるわけでございますが、一部の法域においては、データを提供させるに当たっても、まず第一段階として事業者からデータを提出させて、その上で更にそのデータを選別する過程を二段階目として設ける法域というものもございます。  ただ、それはアメリカの全法域で一般的に行われているものではなくて、私自身が認識している限りでは、アメリカも多くの法域においては、日本と同様に、一度裁判官の令状審査をかませてデータを提供させて、その上で被疑事実に関連するデータを捜査機関側で精査し使っていくという一段階の仕組みになっているというふうに認識はしております。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 ありがとうございます。  ちょっと、じゃ、次にまた済みません、成瀬参考人、また引き続きで恐縮ですけど、先ほど、電磁的記録の保管、消去の部分で、これ刑事訴訟法体系全体を考える問題である、その趣旨をまた詳しく教えていただきたいのと、一方で、河津参考人からは、これに関連したところで、要は有体物を想定している今の下でこの消去の規定がないということが、じゃ、今回のような無体物、情報データを想定しているもの、同じようになくていいという話じゃないというような御意見があったと思うんですけど、それについての成瀬参考人の御意見をいただきたいなと。あわせて、それについて河津参考人からもその後ちょっと御意見いただくことができればなと思います。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) お答え申し上げます。  刑訴全体の趣旨に関わるというふうに申し上げた点について、敷衍して説明をさせていただきます。  まず、通常の有体物を差し押さえた場合というのを念頭に置いていただきたいんですけれども、例えば被疑者の自宅にあった日記帳を差し押さえたという場合には、多くの場合、警察官はその日記帳原本を触ると証拠を破壊してしまうリスクというものもありますので、それを直ちにコピーを取った上で、そのコピーの方を捜査で活用するというような形になっております。その日記帳の差押えが違法だという形で取り消された場合には、当然、日記帳は相手方に返すことになるわけですけれども、その日記帳のコピーを廃棄するのかと言われますと、それは、現行刑訴法上、廃棄すべきという規定は存在しません。  同じように、記録命令付差押えというものが現行法上ありますけれども、その際に電磁的記録媒体という形で提供された電子データがあるわけですが、その電子データについても、その物自体を捜査に活用するとまた破損するリスクがありますので、コピーを取った上で捜査に活用するというのが実情でございます。記録命令付差押えの場合、相手方の記録媒体である場合には、違法な処分であった場合には記録媒体は返しますけれども、そのコピーを取ったデータを廃棄するということにはなっていないわけです。  ですので、現行刑訴法におきましては、基本的な考え方としましては、違法な処分があったとしても、当該物は返還するとしても、その複写のものまで全て廃棄するという規律にはなっていないわけでございます。  先生が御指摘の電磁的記録提供命令の場合には、データが来るのであるから、データの処分が取り消された場合には、データを消去しろということになりますと、今申し上げた前提の部分、現行法上の規律との整合性が問題になってまいりますので、その部分も全て変えるのかということになりまして大掛かりな検討が必要になるというふうに意見を申し上げた次第でございます。  以上です。

河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長

○参考人(河津博史君) 附則四十条でまさに定めていただきましたように、デジタル社会において個人情報保護の重要性がより社会的に認知されるようになっているということを踏まえる必要があるだろうと思います。  今回のデジタル法案は、旧来の刑事訴訟法全般をデジタル化していこうというものですから、それにふさわしい国民のプライバシーを保護する仕組みをつくる必要があるだろうということです。  先ほども申し上げましたけれども、通信傍受法には既にその記録を消去する仕組みというものが設けられていますし、いわゆる撮影新法におきましても、電磁的記録の消去、さらにそれには複写物を含めた消去の仕組みというのが設けられています。  したがって、今後、国民のプライバシー情報というのを捜査機関が大量に収集するおそれがあるという状況の中で国民の権利を守っていくためには、そういったデジタルデータの消去の仕組み、そのコピーを含めた消去の仕組みというものをつくっていく必要があるでしょうし、そういった国民の権利保護というものをまず第一に考えたときは、捜査機関の中においてもこのデータの複写等をどのように取り扱って管理していくのかというところから考えていかなければいけないのだろうと思います。  仮に、そういったデータの捜査機関における、捜査機関内部でのデータの取扱いというものが捜査機関だけに委ねることは適切でないというのであれば、さらにはそれを監督する独立した機関の設置も検討すべきであろうと思います。  そういう意味において大掛かりな検討が必要になるという趣旨であれば私も同意いたしますけれども、先ほども申し上げましたが、これまで我が国においては、国民の権利を保護する法制度の整備というのは先送りにされがちであったということもございますので、是非この問題を解決するための具体的な道筋を付けていただきたいと考えております。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 大変参考になりました。お二人、誠にありがとうございます。  また、ちょっと、じゃ、河津参考人に。問いだけになってしまうかもしれません。  電磁的記録命令を受けた者が当該電磁的記録にアクセスすることが不正アクセスに該当するというような場合、不正アクセスを理由として当該電磁的記録を提供することが罰則の対象となるかどうかについて、何か御意見があれば伺いたいなと思うところですが。

河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長

○参考人(河津博史君) 電磁的記録提供命令を受けた者がその電磁的記録を提供することが不正アクセスに該当してしまう場合にその義務を履行する必要があるのか、あるいは履行することが許されるのかということについて、法務省の方でどのようにお考えになっているのかというのは私も聞いてみたいと思います。  ただ、実際、この命令を受けた時点でこの電磁的記録を利用する権限を有していない、ただし、事実上この電磁的記録を利用するために必要な情報を有しているという場合に、この電磁的記録にアクセスすることがいわゆる不正アクセスに該当してしまう場合というのはあり得るように思われます。  私は、この法は不法な行為を強いるものではないと思われますので、そのような場合には、当該電磁的記録を提供することはできず、しなかったとしても処罰されるべきではないと考えております。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 ありがとうございます。  また成瀬参考人に伺いたいと思うんですが、申し訳ありません、これ例えば、あと、またこの電磁的記録提供命令を受けた者が負う義務が、特定された電磁的記録を提供することに尽きる、それ以上に電磁的記録の復号化や解読に協力することにまで及ぶかどうかというところはちょっと教えていただきたい。  先ほど、自己負罪特権の関係からちょっと話が違うんですけど、この新たなものを提供するときに自己負罪特権というところとの関係があると。既に存在しているものを出すのは違うという話。それを考えると、復号化とか解読というのは新たなものを提供することにもなり得ると思うので、そうすると、電磁的記録提供命令を受けた者がそれに協力する義務まで及ぶのかどうかというところは、そこの判断も関わるのかなと思ってちょっと今お伺いしたところですが、ちょっと御意見いただくことができればなと思いました。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) 今委員御指摘いただきましたように、この電磁的記録提供命令というのはあくまでも既に存在する電磁的記録の提供を命じるものでございます。パスワードのロックが掛かっているとしても、そのデータ自体は既に存在するということになります。  捜査機関としては、ロックが掛かっていたら中身が見れませんから、ロックを解除した状態で提供してくださいということは命じることができるわけですけれども、それは捜査機関にそのパスワードを直接教えてくださいというわけではなくて、被疑者の側でロックを解除して、解除された状態のデータを出すだけですから、あくまでもこれは既に存在する電磁的記録を提供しているにとどまるものだというふうに考えており、自己負罪拒否特権の侵害にはならないというふうに理解しております。

矢倉克夫公明党

○矢倉克夫君 ありがとうございました。  済みません、渕野参考人には、ビデオリンクによる証人尋問の関係で、検察官が請求した証人に対して弁護人が反対尋問を行う場合の、ある意味どういう影響があるかということをお伺いしたかったところだったんですが、申し訳ありません、時間がちょっと来てしまいましたので、また引き続き御指導いただくことができればと思います。  今日は、改めて三人の参考人の先生方、大変貴重な御意見ありがとうございました。  以上で終わります。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  三人の皆様、専門の立場からの御意見ありがとうございました。    〔委員長退席、理事矢倉克夫君着席〕  日本維新の会、嘉田由紀子でございます。  私は、四月二十三日の本会議でもまず大きな前提として申し上げたんですけれども、新しい情報技術の誕生、そしてその活用というのは人間の社会的な活動の構造を大きく変えてくるだろうということで、特にその情報技術にアクセスできる人たちとできない人たちの間の構造の問題、これを立法府としては、何よりも国民の皆さんの人権と、それから刑事訴訟法の場合には冤罪を防ぐということが大事だと思っております。もちろん犯罪は処罰されなければいけないんですけど、私自身は、知事をしていたときから、本当に残念ながら、自分の地域である意味で自白、根拠のない自白で冤罪が生まれてしまったりしておりますから、このデジタル化の中でより冤罪を広めてしまう、そんなことになってはいけないだろうということを本会議で問題提起させていただきました。  それで、お三方に同じ質問させていただくんですけれども、まず、順番として渕野参考人からお願いできますか。  渕野参考人は、令状主義の根本が、今まで裁判所に行って案件を具体的にリアルに令状を取っていたのを、かなり簡単にオンラインで令状が取れると。渕野参考人が、アマゾンやウーバーの注文と大して変わらないような、そんな令状の注文ができるということは令状の自動発行機化が加速されるというところに懸念を示しておられるんですが、私は同じことを本会議で鈴木法務大臣に質問させていただいたら、そんなことはないと、やはり令状一つずつを厳密に人格問題も含めて丁寧に扱うんだと言っていらしたんですけど、この令状がオンライン化されることへの渕野参考人の懸念、そしてどうやったら阻止できるかということを御意見お願いできますか。

渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授

○参考人(渕野貴生君) 御質問ありがとうございます。  いわゆる電子令状を、令状請求についてIT化をするということによって、捜査機関が令状請求するに当たって、疎明資料を用意し、裁判所に持っていって対面で審査をしてもらうというコストが減るわけです。コストが減ること自体は元々IT化の目的なので一見良さそうに見えるんですけれども、コストが減るということは、捜査機関が今までよりもより簡単に令状請求をすることが可能になってきます。そうしますと、単純に考えて、例えばこれまで百件しか令状請求できなかったところが五百件令状請求できるようになるというような事態が発生しかねないわけです。このときに、裁判官、令状審査をする裁判官の人数が増えないとなりますと、裁判官一人当たりが処理すべき令状請求の数というのが増えてきますので、結局、令状を遅滞なく出そうとすると、一件当たりの審査の時間を短縮するしかなくなってしまうわけです。そのことによって、事実上、その令状審査が弛緩をするのではないか、甘くなるのではないかということを危惧しております。    〔理事矢倉克夫君退席、委員長着席〕  ですので、このような私の懸念を抜本的に解決をしていただくためには令状裁判官の数を抜本的に増加させていくということが必要ではないかというふうに考えます。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  あわせて、私も本会議のときに、今、日本中で、容疑者になった、被疑者になったときって弁護士さんが頼りですね。その弁護士さんとのやり取りがオンライン接見ができるかどうかということで、今回は権利として認められていないんですよね。  ちょうど今日の新聞ですけど、大変な、地方で弁護士、なり手がいなくなっていると。例えば、秋田県ですと一人の弁護士が対象とする人口が一万二千七十八人、東京は六百三十五人、二十倍差があるんですね、弁護士の数が。  こういうところで、やはり地方やあるいは島嶼部というようなところはオンライン接見ができるようにということが被疑者やあるいは容疑者の人権を守るために大事だと思うんですけれども、そこのところはどうでしょうか、渕野参考人。

渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授

○参考人(渕野貴生君) 委員が御指摘いただきましたとおり、私も、オンライン接見というのは、被疑者の弁護人を依頼する権利、この弁護人を依頼する権利は憲法三十四条で保障されておりますけれども、その内実は弁護人の有効な援助を受ける権利ですので、これが地方等で物理的に接見に行くことが難しいということによって有効な援助を受ける権利が保障されていないとすれば、それはオンラインでそこを補充するというか補うことによって初めて権利保障が実現したというふうに言えるというふうに考えますので、オンライン接見についても本来であればきちんと権利として保障すべきであるというふうに考えます。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  これも鈴木大臣は、権利として認めるには全て条件を整えなきゃいけないと、それができないからということで全部をできないようにしているんですけど、やはりモデル的に地域条件などを付けて先駆的にやるべきだろうと私どもも思っております。  同じ質問を河津参考人様、お願いしたいんですが、このオンラインで令状が取れるようになるときの令状主義が徹底できないんじゃないのかという懸念についてはどうでしょうか。

河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長

○参考人(河津博史君) まず前提として、現在の令状審査がどの程度厳格に行われているのかということについての評価は先ほどの成瀬参考人の意見と私の認識では食い違いがございます。これは、先ほど御紹介した統計数字だけからはどちらが正しいのかということを一概に申し上げることはできないのかもしれませんが、私は、やはり捜査機関の反対当事者として、非常に抽象的な差し押さえるべき物で令状が発付されてしまっている、それに基づいて相当包括的な差押えが行われてしまっているという実情を目にすることがございます。  例えば、ある一件の金融機関からの融資を受けたことが詐欺に当たるのではないかということで、詐欺被疑事件での捜索差押えで、会社にあった全ての電磁的記録媒体を含む段ボール箱三百箱もの物品が押収されたという事案がございました。  そのほか、私は弁護人として証拠開示を受ける中で差し押さえられた物というものを目にすることがあるわけですけれども、例えば、それもある会社から差押えが行われた物品を見に行ったときに、一つ一つの物が管理すらされていなくて、段ボール箱単位で目録が作られているんですけれども、段ボール箱の中には、明らかに事件と関係のない、従業員の例えばCDであるとかヘアスプレーのようなものまで押収されているということがございました。  そのような実情を目にしておりますので、これまでの令状審査、さらにはその令状の執行がどれだけ厳格に行われているのかということについては、厳しい目を向けざるを得ません。  それを前提にすると、この令状の請求が容易になることによって令状請求の数が増え、発付が増えることによって権利侵害の数が増えてしまうのではないかという懸念はございます。これを防止するためには、まさに、先ほど意見陳述で申し上げましたが、国民のプライバシーを守る裁判所、裁判官の役割が再認識される必要があるだろうと思います。裁判所がきちんと国民の期待に応えているのかどうか、客観的な検証も行われるべきではないでしょうか。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。今回の袴田事件についても、やはり静岡の裁判所が判断していただいたという、大変大きな役割を果たしていただきました。御指摘のとおりだと思います。  それから、後半のオンライン接見ですけど、これを権利としてより広めるためにはどうしたらいいでしょうか。

河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長

○参考人(河津博史君) 私、やはりこのオンライン接見、さらには電子的な書類の授受についても権利として認められるべきであると考えます。これは、刑事手続全体をデジタル化するという中で、最も権利が保護されるべき被疑者、被告人を取り残すべきではないからです。  これについては様々な支障が当局からは指摘されておりますが、結局のところ、それは予算の振り向けの問題であるというふうに思われます。このオンライン接見にしても電子データの授受にしても、相応の設備の整備が必要となることは理解できます。しかしながら、これを実現する上で、先ほども申し上げましたが、施行日を相当先に設定をして、そこに向けて段階的に整備を進めていくということは十分に可能なはずです。  私からは、少なくともこの権利として実現していく具体的な道筋を是非示していただきたいと希望いたします。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。それもまた、附帯決議のところできちんと参議院としても入れていく必要があると思います。  同じ質問を成瀬参考人にお願いをしたいんですが、この令状がより安易に出されてしまうんじゃないのかという懸念についてはどうでしょうか。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) 今回の法案におきましては、疎明資料として出す書類を紙媒体でなく電子データにすることができ、また、令状請求する際に裁判所までその紙媒体の資料を持っていく必要はなくて、オンラインで裁判所に疎明資料を提供することができるようになると。その限りにおいては捜査機関が令状請求をしやすくなるわけですけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、裁判官に令状を発付していただくためには、特定の事件に関する被疑事実というか、疑いがあるということを前提に、かつ、それに関連するデータであるということまでを疎明しなければなりませんので、その疎明資料自体を準備する作業というのはこれまでと大きくは変わらないのだろうと思います。ですので、本法案が成立した直後に直ちに令状請求が増大するとまでは容易には予想し難いところでございます。  さらに、裁判官の令状審査の内容というのはこれまでと全く変わらず、要件も全く同じでございますので、これまでどおり厳格な審査、先ほど来強調しております被疑事実と関連するデータであるかの部分については、とりわけ慎重に判断がなされるものと考えております。  さらには、令状発付後も不服申立ての機会が設けられておりまして、別の裁判官による審査も行われ得るということを考えますと、今回の法案が成立しても、この令状主義の仕組みというものは有効に機能し得るというふうに考えております。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  これからの問題ですので、是非、当事者の皆さんに留意をしていただきたいと思います。  後半の質問で、オンライン接見ですけど、地方で多分先生をやっていらしたら、卒業生がなかなか、まあ言うたら田舎に行ってくれないと、東京と大阪に集まってしまうという実態を見ておられると思うんですけれども、オンライン接見を権利化するにはどうしたらよろしいでしょうか。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) 御質問ありがとうございます。  今委員が御指摘になられたように、なかなか地方で弁護士をやってくれないというところは一教育者としても悩んでいるところでして、是非、私の大学を卒業した学生たちにも地方で活躍する弁護士さんになってほしいというふうに日々願っているところでございます。  その上で、オンライン接見について申し上げますと、その重要性自体は全く否定するものではございません。とりわけ、先生が御指摘になられた地方におきましては、その重要性というのはもう切実なものがあるというふうに認識をしております。  今回の法案におきましてはオンライン接見を権利として認めるという形にはなりませんでしたけれども、それは全国に一律にそのような権利を保障することが困難であるという苦渋の決断だったわけでございまして、必要性が高い部分から運用において迅速に設備が整えられ、オンライン接見が順次実現していくということが望ましいと思っておりますし、そのような運用が続いていく中で、いつかの段階ではオンライン接見というものも刑事訴訟法上の権利として定められる時期が来るものと願っております。

嘉田由紀子日本維新の会

○嘉田由紀子君 ありがとうございます。  行政の立場からしたら、それこそ何千億もお金掛かるわけではないので、それこそ地域別にモデル的に試行していただいて、そして少しでも遠隔地の皆さんの人権、人格が守られるような、そんな方向を私たちも是非願っております。  以上、質問を終わります。ありがとうございました。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 国民民主党の川合孝典と申します。  参考人のお三方には貴重な御意見頂戴しまして、ありがとうございました。  私からは、まず渕野参考人に御質問させていただきたいと思います。  電磁的記録提供命令の問題点ということで、提供対象情報の特定不可能性について御説明、冒頭いただきました。その中で、本当に厳格にいわゆる必要な情報を限定できるのかということの問題提起をいただいたわけですが、参考人は厳格に限定するために何が必要だとお考えになっているのかをお教えいただきたいと思います。

渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授

○参考人(渕野貴生君) これは非常に難しいと思います。厳格に特定をするということは非常に難しいというのが率直なお答えです。  とはいえ、もしこの制度ができたときには、やはり被疑事実に関連しない情報をなるべく収集しないということが運用の中では目指される必要があると思います。ですので、そのときには、やはり捜査機関に提出を要求する、令状請求に当たって捜査機関に提出を要求する疎明資料ですね、この疎明資料でどの電磁的記録がその提供の対象になるのかということをなるべく具体的に根拠を示して請求をさせると。そして、そこが抽象的にしか疎明できていないのであれば、それはきちんと令状請求を却下するということが最低限必要ではないかというふうに思います。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 ありがとうございます。  いわゆる電子データのやり取りということを考えたときに、何が必要で何が必要でないのかというものをそのデータの中から抽出してそれだけを証拠として提供するということが具体的に可能なのかどうなのかというところが、正直、私自身もイメージができていない。  他方、参考人が御指摘されたような懸念が多くの衆参の委員の皆さんからも意見として出されているということを考えたときに、可能な限り厳格にその限定、証拠を、提出資料を限定するということの努力は必要だとすれば、現行法の中で、そもそもの刑事訴訟法自体を抜本的に、先ほど成瀬参考人がおっしゃったように、見直すということでないのであれば、運用上の何らかのガイドラインだとか、一つの判断の指標になるようなものを明示的に示していく必要があるのかなと、私自身、この間議論していて感じたところであります。ありがとうございます。  次に、成瀬参考人に御質問させていただきたいんですけど、秘密保持命令の解除に関してということで、先ほど意見表明の中でこのことをお触れになられていましたけれども、秘密保持命令、一年未満ということで決まっておりますが、この秘密保持命令の解除のタイミングというものを先生はどうお考えになっているのか、お教えください。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) 今回、衆議院の修正案におきまして、委員御指摘のとおり、一年以内ということで定められましたので、裁判官が秘密保持命令を発する際に一年以内の期間を定めるということになるんだろうと思います。ですので、まずは、その期間を経過した場合には当然のことながら秘密保持命令の効力はなくなります。  それからもう一点、重要な点だと思うんですが、改正法におきましては、捜査機関は、秘密保持命令が必要なくなったという判断をした場合には、それを取り消さなければならないという規定も設けられております。ですので、捜査機関が捜査の進捗状況を踏まえて、もはや秘密保持を命じておく必要はないというふうに判断した場合には、直ちにそれは取り消さなければならないというのが今回の法案の規律でございます。  さらには、被処分者の側から、もうこれだけ長い期間秘密保持をしているのでいいかげん解除してほしいという場合には、この取消しを請求することもできることになっておりまして、かつ、その請求を受けたにもかかわらず捜査機関が取り消さないのであれば、その判断が正しいのかという点についても裁判所に不服申立てができるという仕組みになっております。  このように、何重にも仕組みを設けて秘密保持命令の解除が適切なタイミングで行われるように本法案はでき上がっているというふうに認識をしております。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 ありがとうございます。  今、準抗告の話が出ましたので、そのことについても確認をさせていただきたいんですけれども、秘密保持命令に対するいわゆる不服申立て規定については、これ電磁的記録提供者が事業者なんかである場合には、その事業者に対して不服申立て権を認めるといった内容になっていると理解しております。  そうすると、情報提供の名宛て人ではないですよね。要は、情報のいわゆる持ち主ではない、いわゆる事業者にこの不服の申立て権があるということになりますから、本来の情報主体には不服申立て権が実質的にないということになりますので、そもそも何を証拠として差し押さえられているのか分からない状況の中で、不服申立て自体ができないんじゃないのかということが素朴な疑問としてあるんですけれど、この辺りのところ、成瀬参考人はどのようにお考えでしょうか。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) 電磁的記録提供命令がそのデータを管理している事業者を名宛て人として発令された場合、事業者はまず被処分者になりますので、不服申立てが可能でございます。さらに、その事業者が管理しているデータが例えば顧客のデータであり、その情報主体が観念できるものである場合には、情報主体も当該処分に利害を有する者として不服申立ては可能でございます。まず、不服申立てはできます。  その上で、委員御指摘のとおり、その不服申立てをするためには当該電磁的記録提供命令が発令されたことを情報主体が知る必要があるわけでございますけれども、まず、秘密保持命令が発令されていない場合には、そのデータを管理する事業者は、もちろん事業者によりますけれども、一部の事業者は、もう契約上の義務として、捜査機関にその情報主体のデータを渡した場合、渡す前後どちらかですけれども、情報主体に対して通知をするというふうな義務を負っている事業者というのも複数ございます。そのような場合には事業者から情報主体に通知が行くことになりますので、それを受けて情報主体が不服申立てをするということが可能になってございます。  さらに、秘密保持命令が発令された場合には、その契約上の義務をオーバーライドする形で裁判所の命令が来ますので、事業者は一定期間はその電磁的記録提供命令が発令されたことを情報主体に伝えることはできないわけでございますけれども、先ほど申し上げた仕組みにより適切なタイミングに秘密保持命令というのは取り消される、ないしは失効することになっておりますので、それ以後はやはり契約上の義務に基づいて情報主体に通知が行くであろうと。そうだとすると、そのタイミングで情報主体が裁判所に対して不服申立てをすることは可能であるというふうに考えております。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 適切なタイミングで秘密保持命令が解除されるまでは不服申立てはできないということ、単純にそういう理解でよろしいわけですね。はい、分かりました。  では、その次ですが、河津参考人に素朴な質問をさせていただきたいんですけれど、証拠の保管に関して、ありのままにどうやって保管するのかということの重要性についてお話を頂戴しましたけれども、そのお話をされた折に、保管している情報の中から本来開示するべき情報が開示されなかったことで裁判所の判断が変わってしまっていたような事例があるということを事例として挙げていらっしゃいましたけど、そういう事態を生じさせないようにするための、証拠をありのまま保管するためには何が必要だとお考えなのか、お教えください。

河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長

○参考人(河津博史君) 証拠の中で電磁的記録ということに限定してお話をさせていただきたいと思いますけれども、電磁的記録提供命令を使った場合を含めて、捜査機関が電磁的記録を収集する場合というのはいろいろバリエーションはあり得るだろうと思います。任意捜査、任意に提出を受ける場合も含めると、捜査機関は現在でも多くの電磁的記録を取得しているのではないかと思います。  先ほど御紹介させていただいた事例では、警察がその電磁的記録を取得して警察署内のパソコンに保管していたにもかかわらず、それが証拠として取り扱われていなかった。その結果として、検察官も恐らくその証拠のその電磁的記録の存在を知らなかった。したがって、不存在と回答し、弁護人に開示されなかった。しかし、それは無罪を決定付けるような、目撃証人の信用性を否定する根拠となるような重要な電磁的記録であったということです。  このようなことが現在でも明らかにならないまま、そういった事態が起こっている可能性というのは否定することはできません。御紹介した事件では、たまたま、証人尋問の結果、電磁的記録を警察に提供しているということが明らかになって、それが開示されて、判決の中で用いられたということになるからです。こういったものが明らかにならないまま有罪判決が言い渡されてしまっている事例というのが実は多数存在するというおそれもございます。  そういったことがないようにするためには、警察、検察、捜査機関が電磁的記録を収集したときには、これを常に証拠として取り扱って、それを管理していく必要があるだろうと思います。弁護人から証拠開示があり、それが証拠開示の要件を満たすときには適正に開示されることが必要です。  そして、この電磁的記録の消去に関しては、捜査機関が恣意的に消去するのではなくて、まさに裁判所がその収集が違法であるとして処分を取り消した場合、これを義務的に取り消すようにするべきです。  少なくともこのような手続を定める必要があるのではないかと考えておりますが、そういった手続の履践を十分に担保するためには第三者による監督も必要なのではないかと思われますので、独立した監督機関の設置も検討が必要なのではないかと考えているところでございます。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 ありがとうございます。  同様の質問を成瀬参考人にもさせていただきたいと思うんですけれども、このありのままに証拠を保管するということと同時に、いわゆる必要な証拠の開示をきちんと行える環境をどう整えるのかという意味でいくと、私は、むしろ、今の警察の捜査に当たっての証拠の収集したものなんかが何のルールもなくいわゆる捜査担当者のパソコンの中にごちゃごちゃに入ってしまっていると、そういった状況で今物事が進んでいるということを考えたときに、むしろこういったルール化をされることで電磁的記録が要は体系立って保管をされるようになるという意味では、むしろ進むのかというふうに思っておったんですね。  したがって、そうしたことも踏まえて、適切に、要は収集した、押収した証拠、情報を必要に応じて、要求に応じて開示できるような環境を整えていくという上で、今後どういった取組をすることが必要だと成瀬参考人はお考えになられるのか、御意見をお聞かせください。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) まず、現行刑事訴訟法の基本的な考え方としましては、警察が捜査の過程で取得した証拠というものは全てまとめて検察官に送致し、起訴後、必要な証拠開示制度の下で弁護側に開示するという仕組みであるというふうに考えております。委員御懸念のその警察における証拠の管理が適正であるのかという点につきましては、詳細についてまでは存じ上げませんが、警察も内部規則等を種々設けて証拠の適正な管理に努めているというふうに私自身は認識しております。  今回、今までもデータを管理するということはあったわけですけれども、電磁的記録提供命令に応じて警察が管理すべきデータというものが増えてまいりますので、そのことを踏まえた上で、更に従前の内部規則を一部見直すなどしながら、より適正な管理を心掛けていくということがまずは求められるのではないかというふうに考えております。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 今内規できちんと情報管理をしていくということがありましたけれども、いわゆる第三者、これだけ個人情報の問題ですとか様々な問題点が指摘されている、その状況の中で、現行刑事訴訟法の枠組みの中でこのデジタル化をどう進めていくのかということを今一生懸命知恵を絞って皆さんで考えていらっしゃるわけで、そうしたことを考えたときに、その内規で本当にいいのかということは、実は私、これをいろいろ検証する中で感じておりまして、例えばその保管の方法ですとか期間の問題ですとか、きっちりやっている、皆さんきっちりやっていらっしゃると思うんです。きっちりやっていてもどこにあるのか分からなくなってしまったという先ほどのお話だったと思いますので、そういう事態を生じさせないようにするために、きちんとその保管の期間や方法、情報の管理規制の在り方、さらには終了後の消去等、データの取扱いのルールみたいなものをきちっと整理するべきなんじゃないのかと私は思うんですけれど、成瀬参考人はどうお考えになられますでしょうか。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) 先生のおっしゃる問題意識は非常によく分かるところでございまして、今後、証拠あるいはデータの管理の在り方というものについて、この現代の情報社会において今までどおりでよかったのかということを刑訴法全体を見直しながら抜本的に考えていくということは、中長期的な課題ではあろうかと思います。  私自身も是非それに取り組んでいきたいというふうに考えておりますけれども、まずは、今回の本法案との関係では、これまでやられてきた内部規則を従前以上に活用してきちんと管理を行うということをやっていただき、その間に、研究者やあるいは立法者の先生方と知恵を絞って、今後刑事訴訟法全体としてどうあるべきかということを考えていく、そのような道筋で考えるべきかなというふうに思っております。

川合孝典国民民主党・新緑風会

○川合孝典君 ありがとうございました。時間が参りましたので、これで終わります。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  参考人の皆さん、本当にありがとうございます。  まず、電磁的記録提供命令の令状における特定の問題について三人の参考人の皆さんにお尋ねしたいと思うんですけれども、これ本会議以来申し上げているように、有体物であれば特定の空間があって、そこの中に存在するものと。ですから、捜索場所と対象物で特定がされると。例えば、この法務委員会を開いている二十三委員会室という場所が捜索場所になれば、この議場にある紙だとかパソコンだとかというものがその対象物になるわけですね。事件との関連性というのは問題になるけれども、少なくともこの場所の中にあるという、そういう意味では特定される、限界があるということなんですが、電磁的記録はそうではないと。ネット上の空間あるいはサーバーに際限なくあるわけで、こういう強制処分に、憲法三十五条が言う捜索場所の特定ってこれできるのかと、これ、できっこないんじゃないかと。だから、際限がなくなるんじゃないかと私なんかは思うんですけれども。  そういう意味で、渕野参考人が特定は元々不可能ではないかとおっしゃる指摘に大変共感するところなんですけれども、この捜索場所の特定あるいは対象物の特定という憲法上の要請がこの改正案でどういうふうに考えるべきなのか、渕野参考人にまず御意見いただけますか。

渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授

○参考人(渕野貴生君) 私の意見を述べたところでも述べたことの繰り返しですけれども、私は、本来的に憲法三十五条の要求を満たす特定性を、この電磁的記録、いわゆるデータについて、その特定性の要求を満たすことは不可能だというふうに率直に考えます。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 成瀬参考人に、そこでお尋ねしたいのは、この指摘にどう答えるのかということと、それから、これまでの質疑の中で、田島理事からの質問の場面でしたけれども、つまり、被疑者がその犯行を犯したと言われる場所にどのようにして来たのかと、犯行に至る経緯などの関係でICカードの履歴を取得するというような場合が例えばあるという例でいうと、被疑事実との関連性がそのような形で、つまり、このICカードの履歴を取得する必要があるというところまで特定して令状請求がなされなきゃいけないと、そういう場合に限定されるという話なのか、あるいは、限定をされるかどうかはおいておいて、そういう場合を想定している規定だということなのか。  法務省は、より特定される、有体物の差押えに対比してより特定されなきゃいけないというふうに答弁しているんですけれども、そこは成瀬参考人はどうお考えですか。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) まず、先生、憲法三十五条の捜索する場所が特定できるのかという御指摘があったかと思いますけれども、電磁的記録提供命令の場合には、捜索を行うことは想定しておりませんで、むしろ押収するものが押収するデータとして特定できているのかという部分が問題になろうかと存じます。  その上で、どのような審査をするかというところなんですが、先ほども渕野参考人から御指摘があったように、警察の方で疎明資料を相当具体的に出していただき、その上で裁判官がその被疑事実と関連するデータを、データが作成された時期とか、あるいはファイルの形式等の限定を掛けることによって、この押収すべきもの、押収すべきデータの特定性を満たすことは可能であるというふうに考えております。  それから、先ほどの議論の中で、ICカードの履歴という一例を出しましたけれども、あれはあくまでも一例でございまして、様々な事案に応じてどのような電磁的記録が必要になるかということは当該事案の証拠を見てみないと分からないところがございますので、あの事例があるからあの事例と同じような場合しか許されないとは言えませんで、今回の電磁的記録提供命令というのは様々なデータが対象になり得るわけですけれども、それはあくまでも当該事件の被疑事実に関連するデータでないといけないという限定が掛かっていると、このように理解していただいて、あとは当該事案の証拠関係に応じて本当に必要なのかということを裁判官が審査すると、こう考えております。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 河津参考人、今のようなお話といいますか考え方では、これまでの捜査実務による人権侵害ということを考えたときに到底限定されるとは思えないと、条文そのものは限定は何らしていないわけで、これでは、これまでと同じような権利侵害が起こるのではないかということだと思うんですが、そういうことでしょうか。

河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長

○参考人(河津博史君) この電磁的記録提供命令によって犯罪事実とは関連しない国民のプライバシー情報が取得される、それによって人権侵害が生じるということについては重大な懸念を抱いております。  一方で、この電磁的記録の特定性ということに関して申し上げると、例えばピンポイントで特定のメールデータということに特定して提供を命じることも不可能ではないのだろうと思います。これが、その特定性が失われていってどんどん抽象的な記載になっていったときに、電磁的記録提供命令を受けた者としてはどこまで提供すれば義務を履行したのかが分からなくなってくる。そうなってくると、そのような状況で義務違反を理由として処罰することが適切なのかどうかということは大きな問題になるだろうと考えております。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 もう一点、秘密保持命令に関して渕野先生にお尋ねしたいと思うんですけれども、つまり、情報主体にとって知らない間に収集されて、にもかかわらず、そのサーバーを信頼して使い続けるということが当然起こりますよね。一年たってその保有命令が解けて、分かったときには、実はその間に丸裸にされていたと。  このネットとかオンラインに対する信頼なんかはもう大きく変わってしまうんじゃないかというような事態があるかなと思うんですけれども、渕野参考人にお尋ねしたいと思うのは、そういう意味で、情報主体が知るという機会あるいは不服申立てを行うという機会を奪うということは、デュープロセス保障に対する極めて重大な侵害なのではないかと思いますが、どうでしょうか。

渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授

○参考人(渕野貴生君) 委員御指摘のとおりかと思います。  私も、秘密保持命令が一年という、最長で一年という期限付であったとしても、その一年間の間については不服申立てをする機会が事実上奪われるわけです。法制審の中での議論等では偶然知る場合もあるだろうというようなお答えもされていたようですが、偶然知ることができた場合にだけ不服申立てができるというのは、これは権利とは到底呼べないと思います。  そして、その中で、先ほどのお答えとちょっと関連をしますけれども、必ずしも厳格に被疑事実に関連する情報だけではなくて、情報というのはいろんな内容を持っていますので、グレーゾーンの情報、それから真っ白の情報、それと被疑事実にもうそのものずばりの情報というものが混在している中で、それがきちんと仕分けられないままに、かなり大枠のところで情報収集されてしまうと。これは本来は侵害されるべきではなかったプライバシー侵害なわけですけれども、これについて即時に不服申立てができないというのは、その権利侵害状態を言わば放置しておくということになるので、私も重大な権利侵害に当たるというふうに考えます。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 その点で成瀬参考人にお尋ねですが、先ほど、さっきの質疑の中で、より初期の段階とか、あるいは密行性がより高い場合ということなのかなと私受け止めたんですけれども、つまり、今、渕野参考人がおっしゃったとおり、本来、帰属の情報の主体である被疑者などの知る、あるいは不服申立ての機会というのはこれ極めて重いもので、これを奪ってでも密行して捜査をする必要があると、そういう場合を裁判所が定めるんだと、そういう趣旨なんですか。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) 秘密保持命令というのは、被処分者が命令を受けたことなどを情報主体に伝えることを通じて、その情報主体が罪証隠滅行為に及ぶおそれがあるということを裁判官が事前に審査して、そのおそれがあるというふうに判断した場合に発令するものでございます。  ですので、その情報主体に伝えることが罪証隠滅行為に及ぶおそれにつながるんだというふうに判断される事例が秘密保持命令の対象になるというふうに考えております。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 よく分からないですね、やっぱり。  もう一点。河津参考人が冒頭の意見陳述の中で述べていただいた捜査資料の問題ですね。  つまり、証拠品ではないというふうに捜査機関が扱ったことによって、村木さんの事件で、改ざんフロッピーは隠す、還付だといって隠されたし、それからLINEの履歴が不存在だ、証拠として扱っていなかったからだといって隠されたというような、こうした捜査の実態があるじゃないか、実務の実態があるじゃないかというこの点について成瀬参考人にお尋ねしたいんですが、法制審で検証されたのかという点について、先ほどの議論で詳細については存じ上げないというお話もあったので、つまり、法制審で、そうした捜査実態、あるいは捜査機関の収集した資料の管理の在り方については法制審では検討されていないということでしょうか。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) お答え申し上げます。  法制審議会の刑事法部会におきましても、今委員が御指摘のような警察による証拠の管理の在り方、今回、電磁的記録提供命令によって新たに取得される電磁的記録の管理の在り方については議論がなされているところでございます。  その点に関しましては、新たな立法をすべきではないかというふうな意見もたしかあったような記憶がございますけれども、ただ、その場合には現行刑訴法全体を見直す大きな作業になるので、差し当たりは今ある警察内部の規則等を活用する形でやっていくというふうな形で議論はまとまっているというふうに認識しております。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 返すようで申し訳ないけど、まとまったのかというと、そうじゃないんじゃないのかと思うんですよね。  日弁連の委員が指摘をしているけれども、先ほど詳細については存じ上げないというふうにおっしゃったように、警察ないし、あるいは実情をきちんとテーブルにのせて是非を評価したり議論したりとかしたのかというと、そうではない。そういう意味でも検証はされていないのではないかと思いますし、渕野参考人が冒頭の意見陳述で指摘をされた、記録命令付差押えやあるいは令状裁判官の特定の審査というようなことについて検証した上で法案の提案に至ったのかというと、そういう指摘はあったけれども検証はしていないという形になっていると思うんですね。  まとまったというわけではなくて、それは検証しなかったということなんじゃないかと思うんですが、成瀬参考人、いかがですか。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) 委員御指摘のとおり、最終的にも部会においては、弁護士の委員の方が反対意見を述べられて、多数決で審議が終えられたということは事実でございます。  ただ、法制審部会というのは法制の在り方について議論する場でございますので、議員御指摘のような事例があることを念頭に置きつつも、その法制の在り方あるいは内部規範の在り方としてどのような議論、形があるべきかという形で議論を行い、最終的に多数決で結論が出されたというふうに認識をしているところです。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 最後に、河津参考人に一問だけ聞きたいので。  オンライン勾留質問ということを考えたときに、例えば、留置場から裁判所に体がちゃんと移動して外の空気を吸って、留置管理官だとか警察官だとか、まして検察官だとかとは違う、裁判所の職員と裁判官によって質問を受ける、これはとても大事だと思うんですけれども、このオンラインで留置場も勾留質問の場所であり得るみたいなことは、ちょっとこれは問題なのではないかと思いますが、いかがですか。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 時間になりましたので、簡潔にお願いいたします。

河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長

○参考人(河津博史君) はい。  私も同様の問題意識を有しております。国際人権法上も、被留置者が裁判官の面前に連れていかれることは権利として保障されているべきですので、その意味で、オンライン勾留質問は、仮に本法律案が成立するとしても、極めて例外的に運用されるべきだと私は考えております。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 ありがとうございました。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 参考人の皆さん、御苦労さまです。  鈴木宗男と申します。私が最後ですので、よろしくお願いします。  このいわゆる刑事デジタル法案、衆議院において修正や追加された部分がありますので、この点について、各委員の質問とも一部ダブりますけれども、お尋ねをしたいと思います。  検察官等が電磁的記録提供命令を受ける者に対して行う、みだりに電磁的記録提供命令を受けたこと等を漏らしてはならない旨の命令、いわゆる秘密保持命令について、一年を超えない期間を定めて行うこととするという修正が衆議院でされました。  メールやSNS等のユーザーによる不服申立ての機会の確保としてこの修正内容で十分と言えるのかどうか、また、懸念される事項があるか否かについて、各参考人のお考え、御意見をお尋ねいたします。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) お答え申し上げます。  秘密保持命令の期間につきましては、政府提出法案の段階では、期間を定めるということは元々の原案にはなかったものでございます。その代わりにどのような規律を想定していたかといいますと、その期間を定める代わりに、捜査機関が必要がなくなったときには直ちにその命令を取り消すという仕組み、さらには、その被処分者である事業者の側から請求をして捜査機関に取り消してもらう、その判断が万が一納得できないという場合には裁判所に不服申立ても認めると、そういう形で適切なタイミングに秘密保持命令が取り消されるという仕組みを想定していたわけです。  ただ、衆議院の先生方の御議論の中で、本当に捜査機関が適切なタイミングに必要性を判断して取り消せるのかという点に御懸念があったということから、今回、衆議院の修正案で一年を超えない期間という形で期間を事前に決めるという仕組みになりましたので、この修正案というのは、その秘密保持命令が持つ情報主体に対する影響ですね、先生がおっしゃるようなその情報主体による不服申立ての機会を奪うような効果があるものだということを十分踏まえて、真に必要な限りで電磁的記録提供命令が発令されたことの秘密を保持させると、そういう期間を制度的に限定するというものですので、原案を更により良くした内容だというふうに思っております。  このような仕組みが何重にも定められましたので、秘密保持命令というのは、本当に必要な限度の期間において発令され効力を持つものであり、適切なタイミングに取り消される、あるいは効力が失効するというふうに私自身は考えております。

河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長

○参考人(河津博史君) 秘密保持命令に期間が定められたことにつきましては、先ほども申し上げましたが、日本弁護士連合会の意見書の内容を採用していただいたものですので積極的な評価をしております。  ただ、今この秘密保持命令に注目が集まっておりますが、不服申立ての機会の保障という観点からは、秘密保持命令以前に、情報主体への通知制度こそが必要なのではないかと私は考えております。それはなぜかといいますと、多くの事業者は、この秘密保持命令を受けようが受けまいが、あるいは秘密保持命令の効力が失われようが、本人に通知しない可能性が高いからです。  本人の権利を守るという観点からは、やはりこの本人の情報が取得されたということについて本人に通知をし、その不服申立ての機会を保障するべきです。そうしなければ、捜査機関による違法な情報の取得ということを抑止することも不十分になってしまうのではないかと考えております。  もちろん、この通知制度を設けるに当たっても、それが捜査の妨げになるような具体的な事情がある場合にはその通知を遅らせるような仕組みを設けることも十分検討には値すると思いますが、原則としては、本人に不服申立ての機会を与えるということが重要なのではないかと考えております。

渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授

○参考人(渕野貴生君) 私も、本人への通知ということが非常に重要だと思います。  それは、今、河津参考人がお答えになった、その本来収集されるべきではないデータが収集されたことに対して不服申立てをする機会を保障するということだけではなくて、特にこの本人が被疑者である場合に、その被疑者として嫌疑を掛けられている事件に関して、その提供されたデータが何であるか、捜査機関がどういうデータを持っているのかということを知ることによって自らのその刑事事件の防御に使うと、つまり、証拠開示を受けてその捜査機関が収集したデータを被疑者側が自己のその刑事事件の弁護のために使うということができなくなってしまうおそれがあるからです。  これは河津参考人が別のところでよく指摘をされていますけれども、捜査機関が収集したデータですね、提供命令を受けたデータについて、必ずしも全てきちんと証拠として管理をしていない、できていないのではないかという疑いが払拭できないときには、これはいわゆる証拠のリストにも記載されないので、結局、弁護人、被告人はどういうデータを捜査機関が提供命令を受けたかということを知ることが制度上できないという問題が発生してしまいます。  ですので、この点からも、本人への通知というのは、被疑者が今その立件をされようとしている当該事件に関する弁護活動との関係でも非常に重要だというふうに考えます。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 ありがとうございました。  同じくこれ、衆議院の方で附則第四十条での修正があるんですけれども、この電磁的記録提供命令により電磁的記録を提供させ、又は電磁的記録に係る記録媒体を押収するに当たっては、デジタル社会において個人情報の保護がより重要となっていることに鑑み、できる限り被告事件又は被疑事件と関連性を有しない個人情報を取得することとならないよう、特に留意しなければならないというのが入っていますが、プライバシーの保護の観点や個人情報保護の観点からこれで十分なのかどうか、参考人の皆さんの見解をお知らせください。

成瀬剛東京大学大学院法学政治学研究科教授

○参考人(成瀬剛君) 電磁的記録提供命令を行うためには、裁判官の事前の令状審査を経る必要があります。そして、裁判官は、警察官から出された疎明資料に基づいて被疑事実に関連するというふうに判断したデータのみを提供させるべき電磁的記録として定めて令状を発付するというふうな仕組みが取られておりますので、元々今回の法案の中では、その被疑事実と関連性を有しない個人情報等を取得しないような仕組みが設けられていたと言うことができます。  その上で、今回、衆議院の修正案において新たに附則四十条というものが設けられたわけですけれども、この点は国会議員の先生方の問題意識を踏まえた修正であるというふうに認識しておりまして、このような附則が定められた以上は、その元々の法案以上に、捜査機関は本当に被疑事実に関連するデータであるのかということを事前によく考えた上で疎明資料を作成し、さらに裁判官も、その被疑事実に関連するデータにきちんと限定できているのかというところを、先ほど申し上げたように、データの作成された時期とかあるいはそのファイルの形式等で十分に限定した形で令状を発付すると。その意味で、本法案以上に、この附則を踏まえてより慎重な手続を経てデータが取得されることになると思いますので、この附則は非常にいい附則だというふうに考えております。

河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長

○参考人(河津博史君) 附則四十条につきましても、日本弁護士連合会の意見書での提案を採用していただいたものであり、積極的に評価をしております。先ほども申し上げましたが、実質的にこれを運用するのは裁判官ですので、裁判所がこの附則四十条が規定された趣旨を踏まえて厳格な令状審査を行うことが何よりも重要であると考えております。  一方で、プライバシーの保護という観点からは、事前規制だけでは十分ではないと考えられています。どれだけ事前規制を掛けようとしたとしても、無関係なプライバシー情報等々は混入し得る、さらには、令状の趣旨に反して、許可された範囲外の情報を取得してしまうということが起こり得るからです。  そういったことを防止するためには、事後規制として本人に不服申立ての機会が確実に保障されることが必要であり、かつ、不服申立てをした結果、違法な令状執行で明らかになったときはきちんと消去される仕組みが必要であると考えます。違法な執行をすれば消去されるという仕組みがあって初めて、成瀬参考人がおっしゃったように、捜査機関は慎重に関連性を吟味して疎明資料を用意し、令状請求をすることになるのではないでしょうか。

渕野貴生立命館大学大学院法務研究科教授

○参考人(渕野貴生君) 私も、この附則四十条によって裁判官が厳格な令状審査をすることが強く望まれるとは思いますが、私は、本質的にはそれは不可能であろう、ではないかというふうに考えます。  先ほど成瀬参考人が御説明されていましたけれども、令状請求するに当たって、例えば千点のデータが請求されました、そのうち五百点が犯罪に関連するデータで、残りの五百件が犯罪に関連しないデータですというときに、先ほどの成瀬参考人の御説明だと、例えばAさんからのメールについてこれは関連するかしないかを判定し、次にBさんからのメールについて関連するかしないかを判定し、クレジットカードについても、この店で使ったものについては関連する、この店で使ったものは関連しないというのを裁判官が一つ一つ仕分をしているというようなイメージではないかというふうに伺ったのですけれども、現実の令状審査でそのようなことをしているとは到底思えないわけです。しかも、データとして大量のものですので、もし本当にそのような一つ一つの仕分をしているとすると、令状審査に何日も掛かってしまうということになると思うので、これは現実的にはあり得ないことではないかと思います。  ですので、附則四十条がどれだけ実効性を持つのかということについては、大変申し訳ありません、私は正直に言って疑問に思っております。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 ありがとうございました。  ほかにも質問を考えてきましたけれども、あと二分しかないものですから、最後に河津参考人に一つお尋ねします。  先ほど嘉田委員から押収についてのお話がありました。私自身、経験者として、検察の押収あるいは家宅捜索、非常に矛盾感じています。段ボール持っていく映像がよく映りますけれども、あの段ボール、一人では抱えられません、書類入っていれば。現実、関係のない写真だとか全く無駄な資料まで持っていくんですね。私はこれ非常に問題だと、このプライバシーだとか人権の問題からも思っているんです。  と同時に、あの家宅捜索のとき、必ずテレビ来ています。これ、リークしない限り報道関係来れるわけないんですよ。これは検察が必ずリークしているからああいうことになるんです。特捜案件は大体そうなんですけれども。  この私はリークするやり方、世論をつくっていくやり方について河津参考人はどう考えているのか。今、日本弁護士会は、刑法の改正、再審法の改正について非常に熱心に動いてくれておりますので、この点に敬意を表しながらも、河津参考人の見解を伺いたいと思います。

河津博史日本弁護士連合会刑事調査室室長

○参考人(河津博史君) 報道機関へのリークという問題について、日本弁護士連合会の組織としての見解はございませんけれども、私自身は、事件を担当する中で、やはりこの情報のリークが行われているということを感じることは少なくございません。それが単に被疑者とされた人物の名誉を毀損するだけではなくて、有罪イメージのようなもの、世論に影響を与えていくことによって公正な裁判が害されているのではないかという問題意識は私も有しております。

鈴木宗男各派に属しない議員

○鈴木宗男君 終わります。

若松謙維公明党

○委員長(若松謙維君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様には一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十四分散会

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