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217回国会参議院2025/04/17

財政金融委員会 第9号

発言数
125
登壇者
19
会派数
8
開催日
2025/04/17

会議録

三宅伸吾自由民主党

○委員長(三宅伸吾君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、越智俊之君及び本田顕子君が委員を辞任され、その補欠として牧野たかお君及び三原じゅん子君が選任されました。     ─────────────

三宅伸吾自由民主党

○委員長(三宅伸吾君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、金融庁総合政策局政策立案総括審議官堀本善雄君外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三宅伸吾自由民主党

○委員長(三宅伸吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

三宅伸吾自由民主党

○委員長(三宅伸吾君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁植田和男君、同理事中島健至君、同理事神山一成君、同理事中村康治君及び同業務局長上口洋司君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三宅伸吾自由民主党

○委員長(三宅伸吾君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

三宅伸吾自由民主党

○委員長(三宅伸吾君) 財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件を議題といたします。  日本銀行から説明を聴取いたします。植田日本銀行総裁。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私ども日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、最近の経済金融情勢と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。  まず、最近の経済金融情勢について御説明いたします。  我が国の景気ですが、一部に弱めの動きも見られますが、緩やかに回復しています。輸出や鉱工業生産は横ばい圏内の動きとなっています。企業収益が改善傾向にある下で、設備投資は緩やかな増加傾向にあります。雇用・所得環境は緩やかに改善しています。個人消費は、物価上昇の影響などが見られるものの、緩やかな増加基調にあります。  物価面を見ますと、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰してきているものの、賃金上昇等を受けたサービス価格の緩やかな上昇が続く下で、政府によるエネルギー負担緩和策の縮小もあって、足下は三%程度となっています。コストプッシュの直接的な影響を除いてみた基調的な物価上昇率は、現時点では二%を下回っているものの、賃金の上昇が続く下で徐々に高まってきています。  このように、これまでのところ、経済、物価は展望レポートで示してきた見通しにおおむね沿って推移していますが、先行きのリスク、特に、ここに来て各国の通商政策等の今後の展開をめぐる不確実性が高まっている点には十分注意していく必要があります。この間、我が国の金融システムは、全体として安定性を維持しています。内外の実体経済や国際金融市場が調整する状況を想定しても、我が国の金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどを踏まえると、全体として相応の頑健性を有していると判断しています。  次に、金融政策運営について御説明申し上げます。  日本銀行は、三月の金融政策決定会合において、無担保コールレート・オーバーナイト物を〇・五%程度で推移するよう促すという金融市場調節方針を維持することを決定しました。先行きについては、経済、物価、金融情勢次第ですが、現在の実質金利が極めて低い水準にあることを踏まえますと、展望レポートでお示しした経済、物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになると考えています。  その上で、こうした見通しが実現していくかにつきましては、毎回の金融政策決定会合で予断を持たずに点検していく必要があると考えています。米国の関税政策の影響を含め、内外の経済・物価情勢や金融市場動向を丁寧に確認し、経済、物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度を点検しながら、適切に政策を判断していく方針です。  今後とも、日本銀行は、二%の物価安定の目標の下で、その持続的、安定的な実現という観点から、経済、物価、金融情勢に応じて適切に金融政策を運営してまいります。  ありがとうございました。

三宅伸吾自由民主党

○委員長(三宅伸吾君) 以上で説明の聴取は終わりました。     ─────────────

三宅伸吾自由民主党

○委員長(三宅伸吾君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、小池晃君が委員を辞任され、その補欠として大門実紀史君が選任されました。     ─────────────

三宅伸吾自由民主党

○委員長(三宅伸吾君) これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

西田昌司自由民主党

○西田昌司君 自民党の西田昌司でございます。  今、日銀の植田総裁から報告がありましたけれども、植田総裁も、今、物価上昇率は二%を下回っている程度だと、試算的には、おっしゃっているんですけれども、今年一月に政策金利を〇・二五%引き上げられました。  この是非なんですけれども、私は、今言ったように、食料、エネルギーを除く消費者物価が二%前後、下回っているぐらいです。民間企業の借入金も伸びて、過熱、経済がしているかという様子もないと、そういう様子の中で利上げが行われたわけですけれども、これは経済活動を抑制する可能性があり、時期早尚だったと私は思っています。  特に今年の一月の時点で、もうトランプ大統領が昨年就任して、こういうトランプ関税の話まではまだ出ていなかったかもしれないけれども、かなりそういうことも含め予想できたんじゃないのかなというふうに思っています。  それで、もしそのトランプ関税に関する対応をしようとすると、私は内需拡大というのが大事なことだと思いますが、そういう意味でも、あのときにトランプ関税が今のようにもう既に分かっていたら利上げ決定はなかったんではないかと思うんですが、総裁の御意見をお聞かせ願います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私ども、一月の会合では、先ほども申し上げました展望レポートの見通しについて議論をいたしまして、経済、物価がそれまで示してきた見通しにおおむね沿って推移している、先行きそうした見通し、来年度後半に向けて基調的物価が二%に徐々に高まっていくという見通しですが、これが実現する確度が高まっていると判断しました。  より具体的には、そのときの物価の動向、あるいは今年もしっかりとした賃金上昇、賃金引上げを行うという声が企業から多く聞かれたことなどを踏まえ、今申し上げました見通しが実現していく可能性が高まったというふうに考え、こうした状況を踏まえ、二%の物価安定の目標の持続的、安定的な実現という観点から、金融緩和度合いを調整するということが適切と判断いたしました。  もちろん米国情勢は気にしておりまして、ただ、一月時点では、米国経済についてまだ堅調な指標が続いていた、それから国際金融資本市場も全体として落ち着いていたという中で、今申し上げたような政策判断をしたところでございます。  ただ、もちろん、このところ、米国の政策運営、特に関税政策をめぐる不確実性が急速に高まっていることは御指摘のとおりでございます。こうした政策をめぐる今後の展開が我が国経済にどういう影響を与えていくか、この点に関して、今後の決定会合で予断を持たずに点検し、適切に政策を判断してまいりたいと考えております。

西田昌司自由民主党

○西田昌司君 予断を持たずにということなんですけれども、要するに経済は回復基調にあるというような形の見通しで、だから上げていかなきゃならないというそのべき論が先にあったような気がするんですよ。もっと言えば、よく市場との対話とかいろいろ言われるんですけれども、その市場というのは、要するに、国債を買う人は誰かというと銀行なんですよね、金融機関ね。そういうことも含め、市場との対話というのは何か分かりやすいようだけど、要するに、市場、銀行側は利上げをすると得なんですよ、絶対に。  まず、ちょっとお聞きしたいんですけど、〇・二五%を利上げをして、メガバンク全体でどれだけの収益が増えることになるのか、ちょっと事務的にこれ教えてください。

神山一成日本銀行理事

○参考人(神山一成君) お答え申し上げます。  メガバンク各行におかれては、一月の利上げの収益の影響について試算、公表を行っているところでございます。それらについては、各種金利の想定などを前提条件、各行の経営判断によるものであるため、私どもとしてはちょっとお答えは差し控えるということでありますけれども、各行の公表資料によりますと、一月の利上げはメガバンクの収益改善に作用すると試算されております。

西田昌司自由民主党

○西田昌司君 いや、何か新聞でたしか、メガバンクで三千億円ぐらい一年間で出るというふうに聞いているんですが、そうじゃないんですか。

神山一成日本銀行理事

○参考人(神山一成君) お答え申します。  各行の公表資料によりますと、二四年度通期決算への一月の利上げの影響、それから年当たりの増益見込額みたいなものが公表されているところでありますけれども、それぞれ数百億円から一千億円程度の増益が……(発言する者あり)失礼いたしました。  二四年度通期決算の一月利上げの影響につきましては、各行とも二百億円程度の増益、それから、それを年当たりにした場合に一千億円程度の増益見込みというのが試算されております。

西田昌司自由民主党

○西田昌司君 全体で一千億円と言ったの。そういうことですか。

神山一成日本銀行理事

○参考人(神山一成君) 各行それぞれということで、一千億円程度の増益と承知しております。

西田昌司自由民主党

○西田昌司君 だから、それぞれ一千億円ずつ出るということ。三つあると三千億円でしょう、だから。回りくどいんだよね、答弁が。  それで、そういったように、要するに、これで得をしているのはメガバンクなんですよ、はっきり言いまして。だから、今、経済が本当にしっかり下支えしなきゃならないんだけれども、とにかく結論としては、〇・二五%得したのはメガバンク。そして、そもそも銀行が得をするのは、一生懸命貸出しをして貸出額が増えて、それで利益が増えるのが原則じゃないですか。それが、貸出額が増えずに、日銀が上げてくれたから利益が出るというのはちょっとおかしいんじゃないかと思うんですけど、どうなんですか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私ども、政策金利の引上げは、申し上げるまでもなく、金融機関収益に配慮して行うものではなくて、二%の物価安定の目標を持続的、安定的に実現していくという観点から行っておるものでございます。

西田昌司自由民主党

○西田昌司君 結果的にそうなっているということを指摘をさせていただきます。  それで、トランプ関税ですけれども、現時点でこの日本経済に与える影響はどのように総裁考えておられますか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 米国が導入しつつある関税でございますが、様々な経路を介して日本経済に影響を与えると見ております。  一つには、関税の導入が直接貿易活動に影響を与え、例えば日本の輸出に影響を与えて、それを通じて日本の経済に影響を及ぼします。それから、関税をめぐって、関税自身あるいはその他の政策周りで不確実性が非常に高まっております。これが企業や家計のマインド、コンフィデンスに下向きの影響を及ぼす、あるいは国際金融資本市場にも悪影響を及ぼすという可能性もございます。  こうしたルートを通じまして、米国の関税政策等が我が国経済を下押しする方向に働く要因になるというふうには見ております。  その上で、どれくらいのものになるかということにつきましては、例えば関税政策につきましても今後の展開次第という面もかなりございますので、今後の動向について注意深く見ていきたいと思っております。

西田昌司自由民主党

○西田昌司君 慎重に答弁されていますけれども、私は、プラザ合意と今回のトランプ・ショック、関税は非常によく似ていると思うんですよね。プラザ合意、一九八五年ですが、円高誘導によってアメリカの輸出を抑えられると。為替レートが、ドル・円レートが円が切り上げられましたから、その対策として日本政府が取ったのが内需拡大策だということです。そして、日銀も金融緩和で内需拡大に協力をしていただいたということです。  現在も、こういうことを参考に考えると、内需拡大が求められると思います。しなければならないと思うんですが、その場合、日銀はどういう対応をしようという心積もりでおられるんでしょう。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 現状は、先ほど申し上げましたような関税政策の影響を含めまして、内外の情勢を丁寧に確認し、予断を持たずに、経済・物価見通しやリスク等にどういう影響があるかという点を点検する必要がある局面だと認識しております。こうした点検をしながら適切に政策を判断してまいりたいと考えております。

西田昌司自由民主党

○西田昌司君 慎重に答弁されているの、よく分かります。  それで、慎重なのはよく分かるんですけれども、その理由もよく分かるんです。あのプラザ合意のときは、金融緩和をされて景気は良くなりました。なりましたが、その後、バブルそしてバブルの崩壊という、この失われた三十年の出発点を引き起こしているんですよね。そういうこともあるので、多分、日銀さんの方は、このバブルになりやしないかということを考えられると思うんですよね。  だから、総裁は、あのときの日銀の対応、要するに、消費者物価は余り上がらなかったけど不動産とか株価は物すごく上がっていたのを政策決定に影響を与えなかったんですよね。その辺のことを含めて日銀の植田総裁はどのように考えておられるか、御所見をお聞かせいただきたい。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 八〇年代後半のバブル発生の背景でございますが、一つには金融機関の積極的な融資姿勢、あるいは人々の成長期待の過度な強気化等、様々な要因が複雑に作用した結果であると考えております。もちろん、日本銀行による金融緩和も一つの要因となったと認識しております。

西田昌司自由民主党

○西田昌司君 ですから、その辺のところを反省材料として、慎重であるけど適切にやっていただいて、バブルを引き起こさないことは大事だけれども、景気を、しっかり内需を支えるというのが大事なので、その辺のバランスをしっかりやっていただきたいと思います。  それで、今日は金融庁にも来てもらっているんですけれども、このバブル問題は、日銀の責任ももちろんありますよ、しかし一番大きなのは、不良債権処理と称して貸し剥がしがされてしまったんですよ。私は、その背景にあるのは、いわゆるBIS規制が昭和の終わりに改正されて、自己資本率が四%から八%に引き上げられましたよね。それも、いずれその自己資本率を上げなきゃならないということは分かっていたにもかかわらず、決まったときはまだ景気が良いときですよ。だからそのまま放置されていて、そして、実際にそれが運用されるという時期になって、景気が落ちていましたから、いわゆる市場から増資することもできず、おたおたしている間に、自己資本率が足りないから、結局、それじゃ、総資産、つまり貸出額を減らしていこうというので、不良債権じゃなくて正常債権がどんどんどんどん貸し剥がされたんですよ。これ、とんでもないことをやっているんですね。  だから、あのときの一番問題は、なぜ、その事前に政府が資本注入すればよかったわけですよ。ところが、これ金融国会なんかでも、そういう不良債権処理だと、それじゃ、いわゆる貸した方も借りた方も借り手責任、貸し手責任あるじゃないかと、じゃ、それは自己責任だというのに何で公金入れなきゃならないんだという議論になって、何も手付かずの状態でなってしまったと。あれが日本の経済を毀損させた一番のもとだと思うんですが、この全体像について、まず金融庁から反省も含めて事実関係を教えていただきたい。

伊藤豊金融庁監督局長

○政府参考人(伊藤豊君) お答え申し上げます。  不良債権問題の原因とその解決方法についてのお尋ねでございます。  不良債権問題、様々な要因で発生したというふうに考えておりますし、その解決、解消のプロセスにおいても様々な取組が行われたと、資産サイドの問題も当然たくさんございましたし、資本の問題も当然あったというふうに考えております。  銀行の自己資本を充実させるということは、今でもやっておりますけれども、金融監督のある意味基本でございまして、したがいまして、自己資本を充実させようという施策と、この不良債権問題の解決が遅れた、若しくは貸し剥がしの問題が起こったということは必ずしもこの一対一に対応するような問題ではないというふうに思っております。  当時を振り返りますと、この不良債権の全体像もよく分からない時期が長く続いて、それで、それにどう対応していくかという課題がまずあって、その後、資本の問題、確かにそのタイミングの問題もございますけれども、と相まって貸し剥がしのような状態になりましたけれども、その間に多数の金融機関が破綻をいたしまして、これが信用不安を招いて銀行の行動にも影響を及ぼしたというような面があったと思っておりまして、長くなり恐縮でございますけれども、必ずしも、そのBIS規制が不良債権処理問題のこの原因であった、若しくは貸し剥がしの一対一に関係するような原因であったということは申し上げられないかなというふうに考えております。

西田昌司自由民主党

○西田昌司君 それはちょっと状況を、現実を見誤っていますよ。  不良債権は、それは分かりますよ。しかし、正常債権、例えばこれ私の知り合いの建設会社でした。A級の、もちろん利益出ている会社ですよ。当時のお金の貸し方ってどうやっているかというと、手形貸付で、借入れでやっているんですよ。そういうのがたくさんあった。例えば一億円を一年間借りますと。で、一年たったらまたもう一年延長しますと、手形の入替えしてやるんですね、借換債のようなものですよ。それを毎年毎年やっていますから、要するに、一億円の短期借入金だけれども、事実は五年、十年と借りているわけですよ。それで別に何の問題もないわけですよ。  ところが、この今言ったように、要するに、総資産を減らさないとこのBIS規制の八%に届かないから、結局その貸出額を減らすんですよ。で、どうやったかというと、支店長をどんどん入れ替えるんですね。支店長を入れ替えたら、新しい支店長が来て、社長が、じゃ、今年もまたお願いしますと言ったら、もう支店長は会わない。会ってお願いしても、いやいや、もうこれ三月三十一日で期日来ていますから、払ってもらわなあきませんよと。いや、そんな殺生なと、毎年やってもらっているじゃないですかと言っても、いや、それは、そんなこと知りませんと、今ここにあるのは、契約は三月三十一日で返すんですからと言って貸し剥がししているんですよ。  法律違反じゃなくても、完全な、これはもうあれですよ、企業にとってはとんでもない行為ですよ。それをやったのは、別に企業が憎しじゃなくて、やらないと自分の会社が潰れるからですよ、銀行が。そういう事実知らないんですか。

伊藤豊金融庁監督局長

○政府参考人(伊藤豊君) 不良債権問題が深刻化していた当時、今委員御指摘のような貸し剥がしの問題が多数見られたということは私どもも承知をしておりまして、それをどうやって解消するかということで、その後、資本増強の制度も多数入れていただきましたし、私どものモニタリングの体制も充実してきたということでございますので、先生今御指摘のような貸し剥がしの問題を大いに反省いたしまして、今のような監督若しくは制度になっているものというふうに承知をしております。

西田昌司自由民主党

○西田昌司君 これは大蔵省、当時の大蔵省の問題であると同時に政治の問題なんですよ。政治側がこれを、しっかり公的資金を出すべきだったのに、あのときは公的資金を出すこと自身をはばかる、そういう空気があったわけですよ。結果的に、そこではばかったために大きな貸出額、これ、あの当時、百五十兆円か二百兆円近くぼんと減ったんじゃないですか、貸出額。

伊藤豊金融庁監督局長

○政府参考人(伊藤豊君) 済みません、今正確な数字、手元に持っておりませんけれども、貸出しが大きく減ったということは承知しております。

西田昌司自由民主党

○西田昌司君 その百兆円を超える、二百兆円前後の毀損があったんですね。六百兆円弱ぐらいの貸出総額で二百兆円近く落ちちゃうと、それは三分の一のお金が市場から消えているんですから、むちゃくちゃになるの決まっているんですよ。それは、ほんの僅かな資本増強しなかったからなんですよ。そういう、その結果が、今日も今、自民党の年金の会合やっていましたけれども、非正規を生み出し、人口減少社会、これを生み出しているんですよ。だから、宮沢会長にも是非このことを御理解いただいて、やっていただきたいと思っています。  ということで、要は資本の、しっかり、政府の方が出すときには出さなきゃいけない。そのことを皆さん方とこれは共有したいと思いますので、よろしくお願いします。  終わります。

熊谷裕人立憲民主・社民・無所属

○熊谷裕人君 立憲民主・社民・無所属の熊谷でございます。  今、西田先生の貸し剥がしの議論聞いていまして、私の父親が亡くなって、私がその会社を、小さい会社を継いだ後に貸し剥がしに遭ったことを思い出しました。つらい経験だったなというふうに思っております。そんなことが二度とないように政治の責任でしないといけないと私も思ったところでございます。  さて、質問に入ります。  まず最初に、市場の混乱に対する総裁の受け止めについてお尋ねをしたいと思います。  トランプ政権が打ち出した相互関税によって各国は関税の応酬、特に中国ですけれど、応酬が起きて、金融市場が大混乱であるというふうに私も認識をしております。世界経済が関税不況に追い込まれる警戒感から、この四月の九日には日本の株も大きく下げました。そして、相互関税を九十日一旦停止をするということで、逆に今度は反発をするというような乱高下を、本当に市場どうなっちゃうのかなというような乱高下がありました。そして、為替の世界の方でも、ドル売りが加速をして円高ドル安というような形になっておりますし、アメリカの債券も大変売られて、それに大統領がちょっと心配になって関税九十日停止ということにしたのかなという観測もありますけれど、いずれにしても、市場は大混乱になっております。  今、アメリカのトランプ大統領の発言で世界経済が本当に二転三転するような混乱に振り回されておりまして、この大統領の発言だったり政策が世界の金融市場をかき乱している中で、今後、我が国の政策はいかにあるべきなのかと。そして、国内、日本の国の経済、そして物価の認識、これアメリカの経済の認識ということにも通じてくることだと思うんですけれど、それを正しく市場に、こうなる見通しであるんじゃないか、大変難しい問題でありますけれど、正しく日銀だったり政府が発信できるかどうかというのが日本経済に与える影響を少なくすることでもあると思っているんですが、現時点で総裁の、この市場の混乱に対してどのような発言をしていくのか、その所見をお伺いしたいと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) まず、市場の混乱そのものについての認識でございますけれども、その背景としましては、やはりアメリカの関税政策、あるいは関税率が当初思われていたよりもかなり高めのものがアナウンス、発表され続けたこと、さらにその後、それをめぐっていろいろ、どこにどれくらい適用するか、いつというようなことが二転三転しつつあるというようなことで、内外の経済をめぐる不確実性が高まっているという点が一番大きいと見ております。  私どもとしましても、こうした市場動向や内外の経済・物価情勢を引き続き注視してまいりたいと思っております。

熊谷裕人立憲民主・社民・無所属

○熊谷裕人君 FRBのパウエル議長が、今回の関税政策はアメリカの経済に対して予想以上の影響があるんじゃないかというような発言を講演でされて、十六日、ダウは本当に急落をしておりました。また、日本の、今市場開いておりますけれど、影響があるのかなと思ったら、赤澤大臣と大統領の今日の会談というのか交渉の顔合わせのところで、大統領からうまくいったという発言が出たからなのか、それか、これからもしっかりと日米で双方が良くなるようなそういった交渉をしていきたいという大臣の発言があったからなのか、日経平均は割と堅調でございます。  良かったのか悪かったのか、これがうまくいかなかったときにどんと来るのか、ちょっと心配をしておりますが、いずれにしても、日銀総裁におかれましては、アメリカ、FRBのパウエル議長とも緊密に連携をしていただいて、アメリカの政策金利が今、上がるのか下がるのかというのもかなりアメリカの景気動向で予想が付かない中でございますので、是非緊密に連携をしていただいて、我が国の政策金利もどうするのかというところに冷静な判断をいただきたいなというふうに思っております。  次の質問は、トランプ大統領のこの言動の裏にあるもの、ちょっと私もいろんな会合に出て有識者の皆さんの話を聞いたりしております。植田総裁は、四月九日に開催された信託大会の挨拶の中で、先行きのリスク、特に、ここに来て各国の通商政策等の今後の展開をめぐる不確実性が高まっている点に十分注意していく必要がありますと、先ほどの概要説明の中でもそのような発言をされております。これは、アメリカのトランプ大統領が打ち出した関税政策、とりわけ四月二日に公表した相互関税の今後の世界経済、そして日本経済に及ぼす影響を懸念したものと私は受け止めております。相互関税の上乗せ部分については先ほど言ったように九十日の一旦停止になっているという状況の中で、まだまだ予断を許さない状況が続いています。  こうしたトランプ大統領の言動について、表現ぶりはかなり乱暴だというふうに私も思っておりますが、有識者の中には、例えば私が講演を聞いた第一次トランプ政権当時に日本の駐米大使であった杉山さんの講演を聞いた中にあった指摘なんですけれど、アメリカを立て直すにはこれくらいやらないと変わらないという国民の期待が大きいことや、トランプ氏自身にも、乱暴な物言いの中に意外に本質をついていることも多いというふうに、杉山さん、おっしゃられておりました。もしこうした見方が正しいとすれば、トランプ大統領は、戦後の世界経済を支える各種の秩序が抱える問題を理解した上で大変革をもたらそうとして、今回の関税政策もその序章にすぎない可能性もあるのではないかというような見方もあるというふうに言われております。また、マスコミの方でも、戦後経済秩序のリセットを狙っているのではないかなんというような書きぶりがあったりいたします。  こうした動きが日本の経済政策、そして日銀の金融政策運営にもたらす影響について、極めて不確実性が高いというふうに総裁もおっしゃられておりますが、現時点でそのトランプ大統領の言動というものについての植田総裁の見解をお聞かせいただければと思っております。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 委員御指摘のように、アメリカ政権が現在検討している政策は、関税政策以外にも、移民政策や財政政策、あるいは安全保障政策等、多岐に及ぶと考えています。こうした政策が内外の経済、物価に及ぼす影響について、現在の時点で確たることを予測、あるいは申し上げることはできませんが、私どもとしましては、予断を持たずに経済、物価、金融情勢を点検した上で、物価安定という自らの使命を果たしていきたいというふうに考えております。  その上で、特に足下、影響が大きい関税政策につきましては、先ほども少し申し上げましたが、世界経済及び我が国経済には複数の経路を通じて下押し圧力として働く、他方、物価への影響につきましては、上下様々な要因が考えられまして、現時点ではまだちょっと一概には評価できないと認識しております。  こうした点も踏まえまして、新政権の政策が私どもの経済、物価に及ぼす影響、その程度については、今後のもちろん関税政策等の行方にも影響されますので、こうした動向を十分に注視しながら適切な政策運営に努めていきたいと思っております。

熊谷裕人立憲民主・社民・無所属

○熊谷裕人君 ありがとうございます。  ちょっと通告はしてはいないのですが、総裁、各国の動向なんかを注視しなければいけないと今御答弁をいただきました。特に私は、FRBのパウエル議長とは十分に連携を取っていただきたいなというふうに思っているんですけれど、その点については、今、パウエル議長と総裁の間で何か連絡を取り合っていて、今後の先行きについて意見を述べ合うというようなことはあるんでしょうか。通告していないので、申し訳ありませんが、答えられる範囲でお答えいただければと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 余り具体的なことは申し上げにくいですが、例えば、国際会議等がかなりの頻度で開催され、私もなるべく全部に出るようにしておりますけれども、そういう際に、多数の政策担当者が出席する会議でもちろん話しますし、それを超えて、一対一のミーティングもかなり高い頻度で行いまして、互いに情報交換をしてきているというところでございます。

熊谷裕人立憲民主・社民・無所属

○熊谷裕人君 ありがとうございます。通告していないにもかかわらず御答弁いただきましてありがとうございます。  国際会議での意見交換だったり、その際バイで会談をしたりということでお答えをいただきました。  是非それに加えて、電話なり、いろんな今、ウェブなり、顔を合わせて、バイでやらなくてもいろんなことができる状況であるというふうに思っておりますので、そういった機会を捉まえて是非緊密に連携をしていただいて、これは多分、政策金利をどうするかということが、アメリカの金利と日本の金利をどうしていくのかということで、相当、金融政策だったり為替の相場だったり影響があろうと思っておりますので、そこは双方の経済に、自分のところだけ見ていると、多分、経済指標の中で金利をどうするかという判断になってしまうのかなというふうに思っていますので、そこは緊密に連携をしていただいて、是非、双方に損がないような形での政策決定につなげていただきたいなというふうに思っております。  次に、次の五月の利上げをどういうふうに分析をされるのかということについてちょっとお尋ねをしたいなというふうに思っております。  今月末にまた金融政策決定会合があろうかと思います。三月の金融政策決定会合における主な意見、見させていただきました。経済・物価見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくという意見だったり、不確実性は高まっているが、だからといって常に政策対応を慎重にすればいいというわけではなく、今後の状況によっては果断に対応すべき場面もあり得るとの意見があったというふうに承知をしております。利上げの可能性も十分に示唆されたのかなというふうに私はこの記述で思っております。  また、今、春闘、大手は終わって、中小企業の春闘がまだ行われているところであります。大手さんを見れば、二年連続で五%台ということになろうかというふうに思っております。物価も上振れをする状況が様々な要因で続いています。そして、その主な意見の中に、二%の物価安定の目標と整合的な名目賃金がしっかりと定着しつつあるとの分析もあったところであります。  他方、トランプ政権の高関税政策によって景気減速の懸念は強まっていて、利上げの難度は高まっているとも考えられているんではないかなというふうに思っております。先ほども私の考え言わせていただきましたけど、アメリカの政策金利が本当に上がるのか下がるのか、私も全然予想が付かない状況でありまして、それ自体がトランプ大統領の言動に左右されている状況なのかなというふうに思っています。  現状の経済・物価見通しについて、四月の三十日と五月の一日に次回の政策金融決定会合が予定されておりますが、そこに向けてどのような分析をしていくのか、そして、もし、先ほどの三月の会合の主な内容を見させていただいている中で、利上げの判断があるとしたら、トランプ関税の影響をどのように精査をして政策判断、上げるのか現状維持なのか、そういった判断をしていくのか、総裁の見解を伺いたいと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 今後の金融政策決定会合での政策判断に向けての姿勢、考え方ということでございますが、当面、委員御指摘されたとおり、大きく二つの観点、一つは海外、特にアメリカの新政権の政策の動向の情報収集及びその分析、それから、ずっとやってまいりましたけれども、国内の賃金、物価がどういう方向にどういう力で動いているかということの点検、この二つになるかと思います。  前者につきましては、直前の御質問で一つ御質問いただきましたけれども、例えば、私、来週開催が予定されていますG20ですか、この会合に参加できた場合には、パウエル議長だけでなくほかの様々な海外の政策担当者と意見、情報交換に努めたいと思います。また、関税政策の国内経済への影響につきましては、我が国の中でも、私どもの本支店が持っておりますネットワークを通じて様々なヒアリング等も活用していきたいと思っております。  他方で、国内では春季労使交渉の結果はまとまりつつありますが、大手のところについては、その他の賃金、物価情勢を引き続き点検し、この前半の情報、政策の今後の展開等の影響と併せまして、私どもの経済・物価見通し、あるいはそれをめぐるリスクについてきちんと点検し、取りあえず、次回の会合ですと展望レポートというものを発表する会合になっておりますので、そこでお示しすることになると思いますし、当然そこに示された姿に基づいて政策を判断していくということになるかと思います。

熊谷裕人立憲民主・社民・無所属

○熊谷裕人君 ありがとうございます。  来週、総裁、G20の財務大臣、それから金融政策担当の会議に出られて、今おっしゃっていただきましたが、是非各国の金融政策の担当者と十分に連携をしていただいて、各国がやっぱり困っているんだと思っていますので、是非、対米、アメリカだけを一方的にということではないんですけれど、世界経済やっぱり減速をさせてはいけないということ、これ世界経済や日本に、経済に与える影響というのは大きいと思っていますので、是非、各国と協調していただければ有り難いなというふうに思っております。  続いて、食品価格の上昇と、冒頭、概要説明をいただいたときにも、基調的な物価上昇について、その物価上昇率についてちょっと私の理解の足りないところもあるので、ちょっと質問させていただきたいなというふうに思っております。  基調的な物価上昇率についてなんですが、直近、今年の二月の消費者物価指数は、生活実感に近い生鮮食料品も含む総合指数で前年度比三・七%の上昇でした。これは、米などの身近な食品の価格が大幅に上昇したり、野菜等のものが上昇したというふうに私自身は実感として持っておりますが、日銀は基調的な物価上昇率が目標の二%に達していないという認識なのかなと、先ほどの概要説明でもそんな感じでありましたので、そこから三月は政策決定会合で現状の政策を維持していたのかなというふうに思っています。  その基調的な物価上昇率というのは、私の認識では、食品価格などの上昇が一時的な要因でいつもあるので、その一時的な要因を取り除いた部分がその基調的な物価上昇ということになるのかなというふうに思っておりまして、現在の食品価格の上昇について、米価格の高騰だったり、人件費が上がったり、また、ガソリン等の燃料が上がっているので輸送費などのコストが上がって、それを価格に転嫁をできているというところもあるのかと思いますが、これ、長期化しそうな感じでもあるんじゃないかなというふうに思っています。  三月の政策決定会合の後の総裁の記者会見では、米を含む食品価格の上昇について、それ自体は天候要因等を背景にするものだとしても、家計のマインドや予想物価上昇率の変化を介して基調的な物価上昇率に二次的な影響を及ぼし得ると述べています。そして、一方で、この点を踏まえても基調的な物価上昇率は徐々に高まっていくものの、現時点ではなお二%を下回っていると認識も示されているところでございます。  この市況の受け止めだったり、日銀の判断というところがちょっと離れちゃっているのかなという気もしますが、食品価格の上昇が基調的な物価上昇率に与える影響はそれほど大きくないというふうに日銀の方では捉えているのかなというふうに思っておりまして、その影響を過小に判断、評価してはいけないんではないかなというふうに私は思っているんですが、総裁はその点、食品の物価上昇と基調的物価上昇率のところの私は乖離があるんではないかというふうに思っていますが、総裁のお考えをお聞かせいただければというふうに思っております。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 食品価格が基調的な物価にどういう影響を与えるか与えないかという点の御質問でございますが、もちろん、割と通常は天候要因の動き等によって食品価格は動き、天候が回復するとその食品価格の動きも落ち着くという形で、一時的なものに終わるということが多いのだと認識しています。  ただ、今回、米価格の上昇等やや長引いていますので、基調的な物価に複数のメカニズムで影響を与える可能性についても注意して見ていかないといけないとは思っています。  例えば、消費者マインドが価格上昇によって低下して、これが消費を弱めてしまう、そうすると、物価に対しては下押し圧力の力が働く。他方で、食品価格が非常に幅広い範囲にわたって上がるということがもっと広い範囲の財・サービスについて価格上昇するんではないかという予想を引き起こして、それが現実の価格上昇につながってしまうというリスクもなきにしもあらずだと思っております。  そういう点について、今物すごい大きな動きになっているとは見ていませんが、今後なる可能性もあるかと思いますので、様々なデータあるいはヒアリング情報等も活用しつつ、丁寧に見ていきたいと思っております。

熊谷裕人立憲民主・社民・無所属

○熊谷裕人君 ありがとうございます。  済みません、これ、理事の方が答弁いただく予定になっていたのかもしれませんが、総裁に御答弁いただきまして、ありがとうございます。  私は、そこのところはちょっとなかなか、一時的なものというのは理解はさせていただくんですけれど、総裁自身も過去に、基本的な物価上昇率について、単一の指標の動きに基づき評価できるものではなく、各種の物価指標に加えて、物価変動の背後にあるマクロ的な需給ギャップや予想物価上昇率、賃金上昇率など、経済、物価に関する様々な情報を見た上で判断するものであり、その捕捉は必ずしも容易ではないというふうに述べられているので、なかなかそこを、食品と基調的物価上昇率をどう判断していくのかというのは難しい状況なのかなというふうに思っていますが、日銀は基本的物価上昇率は二%に達していないというふうにずっとおっしゃられております。しかしながら、実際の消費者物価指数は、前年同月比、総合指数で、昨年の十二月には三・六%、本年一月には四・〇%、二月には三・七%の上昇となっているのが事実でありまして、基本的な物価上昇率の考え方と物価を感じる国民の感覚が乖離しているおそれはないのかなというふうに、答弁をいただいてもそういうふうに今も思っております。  家計に占める食費の割合が今すごく高くなっています。家計心理の冷え込みというのは、先ほど総裁にも御答弁いただきましたけど、経済全体の消費マインドにかなり影響するんではないかなというふうに思っておりまして、そこら辺の乖離というものをしっかりと分析をしていかなければいけないんじゃないかなというふうに思っております。  この基調的な物価上昇率という定義が曖昧な中で、この日銀の利上げの時期をどう判断していくのかというのは、市場はかなり難しくなってくるんじゃないかなというふうに思っておりまして、もう少し様々なデータというものを日銀の方から情報発信をするべきだという指摘もあります。この基本的物価上昇率の考えについて、私自身もよくまだ理解をしてない部分があるんですけれど、その曖昧さを改善するためにどのような努力をされていくのか、御所見をお伺いしたいと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) まず、基本的な点といたしまして、国民にとって大事なのは消費者物価総合の動きであるということはもちろん認識してございます。  その上で、なぜ私どもが基調的物価の上昇率に特に着目するかという点でございますが、一つには、私どもの物価安定の目標が中長期的に二%のインフレ率が持続的、安定的に続くというところにあるということでございます。ですから、一時的に二%ということではなくて、中長期的に安定した姿でそれが達成できるかどうか、そういう観点からしますと、中長期的に続く物価の動きを見ていきたいということが一つございます。  それから、政策運営で金利を上げたり下げたり、その他いろいろ調整するわけですけれども、これが経済あるいは物価に影響を及ぼすには時間が掛かることがほとんどの場合でございます。そうしますと、今起こっていることに反応しても遅いわけでして、将来物価にどういう動きが起こるかということを予想して現在の政策を決めなくてはいけないということになります。その将来の動きを、物価の動きを見る際にも、基調的な物価上昇率のようなものを見ないといけないということになってまいります。  そうしますと、次に、じゃ、それをどうやって捉えるのかということになります。例えば、消費者物価総合から生鮮食品を除くということで基調的な物価がかなり正確に捉えられるということであれば、かなり分かりやすいわけですが、特に最近ではこの一時的な物価の動きということを決める要因が割と次々に変化しておりまして、一つの指標を取ってくればこれで今後五年、十年の消費者物価の動きがかなり予想できるというようなものが残念ながらなかなかないという状況でございます。  ですので、こうした一時的あるいは長期的に続く物価の動きがどこからくるのかという根っこの要因にまで遡りまして、いろいろ総合的に考えてという作業を繰り返しているところでございますが、委員御指摘のように、明らかに曖昧さとか分かりにくさが非常にあるということは認識しておりますので、少しずつ、不十分ながらも、どういう指標である程度捉えられるか、複数の可能性を発表したり、いろいろ努力しております。  今後とも、更に工夫の余地がないか検討してまいりたいと思っております。

熊谷裕人立憲民主・社民・無所属

○熊谷裕人君 ありがとうございます。努力をしていただければ有り難いなというふうに思っております。  消費者、生活者の実感は、もうずっと物価高が続いているんじゃないかなというのがマインド、消費者マインド、実感になるのかなというふうに思っておりまして、私は、それは過度な円安からずっときているというふうに本委員会でも指摘を続けさせていただいてきたところでございます。  最後に、日銀の大量国債保有による国債市場の機能度への影響についてお尋ねをしたいと思います。  日銀は昨年七月に長期国債の買入れ減額を公表しておりまして、その後、着実に減額をしているというところだというふうに私も理解をさせていただいております。  昨年十二月の金融政策の多角的レビューにおいて、異次元緩和の効果と副作用についていろいろ言及をされております。日銀の国債の保有率はしばらく高い状況が続くというふうにそのレビューの中でもおっしゃっておりまして、国債市場の機能度の回復には時間をしばらく要する可能性もあるというふうにその中で自ら指摘をされているところでございます。  日銀の長期国債の残高、先月は私の認識では約五百七十四兆円あるんじゃないかなというふうに思っておりまして、いずれにしても、日銀は大量に国債を保有する状況が続いているということでございます。  そういった中で、日銀がこの大量の国債保有を続けているということが国債市場の機能度へどのような影響があるのかというところについて、総裁の認識をお伺いしたいと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私ども、昨年七月に来年三月までの国債買入れ減額の方針を決定して、ここまでのところ、その計画に沿って買入れを進めている、あるいは買入れの減額を進めているところでございます。  市場機能度についてでございますが、私どもが実施しております債券市場でのサーベイ調査の結果を見ますと、依然として低いという回答が多くなっておりますが、このところ改善方向にもあります。もう少し詳しく見てみますと、日銀保有比率の高い銘柄では引き続き例えば流動性等が低いという状況にある一方で、新発債では流動性、機能度が改善しているという声も聞かれております。  今年、先行きですが、六月には買入れ減額計画の中間評価を行う予定でございます。そこでは、これまでの経験を踏まえつつ、市場動向や機能度についてもいま一度丁寧に点検したいと思っております。その際に来年四月以降の国債買入れ方針についても検討し、結果をお示しする予定でございます。

熊谷裕人立憲民主・社民・無所属

○熊谷裕人君 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

杉久武公明党

○杉久武君 公明党の杉久武でございます。  本日は、日銀報告に関連いたしまして、通告に従って順次質問をしてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。    〔委員長退席、理事船橋利実君着席〕  まず、日銀が掲げる二%の物価上昇率について確認をしたいと思います。  アメリカのトランプ大統領が発動した相互関税の上乗せ部分の一時停止と、それに伴う九十日間のモラトリアムの中で、昨日より赤澤大臣が訪米をされまして、アメリカとの直接交渉に臨まれました。  我が党でも、米国関税措置対策本部を設置をいたしまして、アメリカとの交渉や国内対応について様々検討を行っておりますけれども、いわゆるトランプ関税で最も懸念されることは、申し上げるまでもなく、貿易活動を始め、企業や消費者マインドの低下による我が国経済全体の下押しの圧力でございます。  そして、その圧力は、物価に対しても押し下げの影響を与えるとともに、サプライチェーンへの影響や為替なども相まって、物価への影響をめぐる不確実性は一段と高まってきているのではないかと考えております。  現在、我が国では、食料品を中心に大規模な値上げラッシュが続いておりますが、他方で、今年の春闘や賃上げに関する調査結果を見ますと、中小企業を含めた賃上げの動きが出てきている状況であります。  また、先日、二十六日の衆議院財務金融委員会でも、我が党の中川議員の質問に対しまして植田総裁からは、賃上げの動きが広がってきていることは、家計所得を支え、基調的な物価上昇率を緩やかに押し上げる方向に作用すると考えていますとの答弁もあったところでございますが、先ほど来申し上げた不確実性というものが一段と高まっている状況にありまして、今まで以上に賃金や物価動向、あるいは海外情勢などについてデータを更に確認をしながら、日銀が掲げる二%の物価上昇というものも丁寧に見据える必要があると考えております。  そこで、まず、植田総裁に質問させていただきますけれども、不確実性を踏まえた上での足下における基調的な物価上昇率は、引き続き二%の目標に向けて高まっているとお考えなのか、総裁の御見解をお伺いしたいと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 物価の基調でございますが、要因別に見ていきますと、まず、労働需給は非常に引き締まっていると見ています。それから、予想物価上昇率を見てみますと、特に中長期的な予想物価上昇率が物価の基調に重要な影響を与えると思いますが、これも緩やかに高まりつつあるというふうに見ております。こうした下で、本年の春季労使交渉では、昨年に続きしっかりとした賃上げが実現できているというふうに見られます。これらの点を踏まえまして、これまでのところ、基調的な物価上昇率は二%に向けて徐々に高まってきていると判断しております。  ただし、先ほど来議論がありましたように、米国の関税政策等を受けまして内外の経済、物価をめぐる不確実性は高まっております。こうしたアメリカの関税政策等は、これも既にお答えいたしましたが、様々な経路を通じて我が国経済へは下押しの圧力を働かせるというふうに考えられますし、物価については、上下両方向の影響があり、一概にどっちに行くというふうに現時点で決め打ちするのはちょっとまだリスクが高いかなというふうに見ております。    〔理事船橋利実君退席、委員長着席〕  こうした関税政策含めたアメリカの政策等が経済、物価に及ぼす影響、程度について私ども十分に注視してまいりたいというふうに思っているところでございます。

杉久武公明党

○杉久武君 今御答弁ありましたように、不確実性はあるものの、基調的な物価上昇率は二%の目標に近づいているというような御認識があったというふうに思いますが、何よりも大切なことは、物価の上昇を上回るやはり賃金上昇と家計支出の改善が必要でありますので、この点は政治の側からあらゆる施策を動員していかなければならないというふうに思っております。  そこで、次に、家計支出について確認したいと思いますけれども、内閣府が三月十一日に発表いたしましたGDP統計によりますと、直近二〇二四年十月から十二月期の家計最終消費支出は横ばいであったということでありまして、消費者態度指数など個人消費関連のマインド指標についても、いささか力強さを欠く状況にあると認識をしております。  先ほどの質問では物価の現状認識をお伺いいたしましたが、今後、基調的な物価上昇率が二%に向けてしっかりと歩みを進めていくためには、家計においても所得から支出への前向きな循環が一段と強まっていくことがポイントになるかと考えております。  他方で、国民負担率の上昇で可処分所得は増えないであるとか、年金世帯では物価スライドによって受給額が減るといった厳しい指摘もございますので、家計支出の改善を妨げるものがあれば、政策的な手当てについても更に検討が必要になろうかと思います。  そこで、日本銀行に質問いたしますが、賃金の上昇が見込まれる中で、家計支出についても緩やかな改善を続けていくと考えておられるのか、見解をお伺いしたいと思います。

中村康治日本銀行理事

○参考人(中村康治君) 最近の個人消費を見ますと、食料品価格の上昇などを受けまして非耐久消費財には弱めの動きが見られておりますが、全体としては緩やかな増加基調にあると認識をしております。先行きの個人消費につきましては、御指摘のように、しっかりとした賃上げが継続すると見込まれる下で、これまでの食料品価格の上昇の影響が減衰していけば、緩やかな増加を続けると見ております。  もっとも、米国の関税政策の影響など内外の経済、物価をめぐる不確実性が高い点には留意していく必要があるかと思っております。

杉久武公明党

○杉久武君 可処分所得の増加こそやはり消費抑制緩和の鍵でございますので、今年の更なる賃金上昇によって、物価上昇率を安定的に上回り、実質賃金増加による消費全体の拡大を図るためにも、家計支出の動向については今後も注視をしていきたいと思います。  次に、所得の増加に関連して、金融経済教育について伺いたいと思いますけれども、先般、NISAの累計買い付け額が、政府が二〇二七年までの目標として掲げていた五十六兆円を超えたとの報道がございました。我が国に広く投資というものが浸透したのはこのNISAによるところも大きかったのではないかと思いますが、冒頭にも申し上げましたいわゆるトランプ関税に伴う貿易戦争を懸念した金融市場の混乱によりまして、先週四月の七日には、日経平均株価は一日の下落額としては歴代三位となります前日比二千六百四十四円安の三万一千百三十六円を記録するなど、資産運用のリスクについても目の当たりにすることとなりました。  しかしながら、投資はやはり長期の運用が肝腎ですので、長期的な視点に立った資産形成というものが定着するためには、国民全体の金融リテラシー向上も重要になるんではないかというふうに考えております。  そうした中で、昨年八月から、金融経済教育推進機構、J―FLECですね、これが本格稼働をいたしました。本年二月に発表された同機構の金融経済教育の提供に関するKPIの達成状況を見ておりますと、年度目標の三割程度の充足にとどまっているということでございます。  そこで、金融庁にお伺いをしたいと思いますけれども、金融経済教育の提供に関するKPIの達成状況についてどのように分析をされているのか、また、政府として金融経済教育の浸透について今後どのように進めていくのか、御見解を伺いたいと思います。

堀本善雄金融庁総合政策局政策立案総括審議官

○政府参考人(堀本善雄君) お答え申し上げます。  昨年四月に設立されましたJ―FLECでございます。これの、委員御指摘のとおりKPIがございまして、講師派遣やセミナー、イベント、これについて、実施回数が年間で一万回、それから参加人数が七十五万人、これを年間の目標としております。  この目標ですけれども、これは、J―FLECが機能を集約いたしました関係五団体のJ―FLECの設立前の二〇二二年度の実績値、これは五千回でございまして、それの二倍、それから参加人数が三十万人、これを二・五倍にするという、かなり野心的な目標となっています。  委員御質問のことですけれども、二〇二四年度におけるこの目標値の達成状況については現在集計中でございますけれども、先ほど申し上げました関連五団体の二〇二二年の実績値、これとほぼ同じ、同水準になるというふうに見込まれております。このように、二〇二四年度におけるJ―FLECの実績と目標には差異がございます。ただ、J―FLECにおいては、あえて高い目標を継続いたしましてこれを可能な限り早期に達成する、このために全力を挙げるということで、一刻も早く全国に金融経済教育を行き届かせていきたいという方針でございます。  一方で、二〇二四年度に実際に講師派遣を受けた、あるいはセミナーに参加された方からの事後の評価は高くございまして、したがいまして、現在の一番の課題は、やはりJ―FLECにおけるこれらの活動の認知度、これが必ずしも高くないということだというふうに我々は分析しております。  こうした状況を踏まえまして、J―FLECとしては、二〇二五年度においては、講師派遣については、官公庁あるいは経済団体、教育機関に対して、例えば新入社員の研修や社内勉強会への具体的な派遣事例を御紹介させていただきまして、J―FLECの機能を周知あるいは広報、これを強化していきたいというふうに考えています。それから、イベント、セミナーについてですけれども、これは、金融機関あるいは企業、教育機関、地方公共団体も様々な形でセミナー等をやっていただいておりますので、これとの共催であったり、あるいは協力だったりということを働きかけていきたいというふうに思います。  いずれにしましても、先ほど委員の方で御質問がございましたとおり、NISAの普及等もありまして、金融経済教育についてはこれまで取り組んでこなかった依頼が来るなど、そのニーズに広がりが見られております。金融庁としては、J―FLECのこうした取組をしっかり後押ししていきたいと考えております。

杉久武公明党

○杉久武君 金融経済教育の取組は大変重要でございますので、金融リテラシーの向上や金融意識の行動の変容といった効果が着実に現れるように、引き続き御尽力をお願いしたいと思います。  次に、こうした経済好循環の足かせとなりかねない人手不足についてお伺いをしたいと思いますけれども、日銀が今月一日に発表した短観によりますと、雇用人員判断DIが示す人手不足感の強さはバブル期並みの水準が続いていると。また、いわゆる人手不足倒産が過去最多を更新したとの民間の調査結果も出ております。  企業の積極的な賃上げと家計の支出の改善、そして需要の拡大という経済好循環の構築は待ったなしでございますが、他方、人手不足に伴う労働制約によって生産やサービス供給が抑制される事態となれば、こうした事態を揺るがしかねません。  そこで、日銀に質問いたしますが、現下の人手不足が企業活動にどのような影響を及ぼしていると考えているのか、見解を伺いたいと思います。

中村康治日本銀行理事

○参考人(中村康治君) 最近の人手不足は企業行動に様々な面で影響を及ぼしていると認識をしております。先行きも人手不足感が強い状況が続きやすいとの見方が広がる下で、賃金を引き上げて人材を確保する動きが強まっていますほか、賃金の上昇を前提に経営戦略を策定する先も見られております。また、人材の育成やデジタル関連などの省力化投資に積極的に取り組む動きも見られております。  こうした企業の前向きの行動が広がり、経済全体として生産性を高めていくことができるか注視してまいりたいと思っております。

杉久武公明党

○杉久武君 人手不足はやはり好循環を阻む重要なリスク要因になりますので、こうしたリスク解消のためにも、例えば生産性の向上や労働環境の改善など、効果的な取組を更に進めていく必要がございますが、その中で、一つ鍵となるのはやはりデジタル化ではないかというふうに思います。  デジタル化は、あらゆる意味で人手不足対策に資すると同時に、生産性向上に向けた第一歩であると確信をしております。  そこで、こうした観点から、次に、日銀で対応されております国庫金事務のデジタル化について確認をしたいと思います。  先月の本委員会でも質問いたしましたが、例えば所得税の確定申告はe―Taxの利用が浸透し、拡大をしておりますし、年金の給付や各種届出手続もデジタル化が進められ、年々利便性が高くなっております。また、国への納付についてもクレジットカードやネットバンキングの支払が可能となるなど、金融機関の窓口を訪れることなくキャッシュレスで支払うことができるようになってまいりました。  そこで、日銀に質問いたしますが、国庫金事務のデジタル化について日銀はどのような取組を進めているのかを確認するとともに、デジタル化の普及に向けた今後の対応方針について、併せて確認をしたいと思います。

上口洋司日本銀行業務局長

○参考人(上口洋司君) お答え申し上げます。  国庫金事務のうち、年金や国税の還付金といった国から国民への資金の支払につきましては、一連の手続をシステム処理する対応を進めてきておりまして、デジタル化が大きく進展してきております。一方、税金や保険料等に係る国民から国への資金の受入れにつきましては、ペイジーを通じた電子収納や口座振替に加えまして、クレジットカードやスマホアプリ納付といったキャッシュレス納付手段が用意されてきておりますが、なお一層の普及の余地があると認識しております。  こうした下で、日本銀行では、キャッシュレス納付の更なる普及に向けまして、関係省庁や金融機関などとも連携し、国庫金のキャッシュレス納付に係る利用方法や利便性を国民や企業の皆様に周知、広報する取組などを行ってきております。  日本銀行としては、今後とも、関係省庁や金融機関などと連携を深めながら、国庫金事務のデジタル化の更なる普及に向けた取組を継続してまいります。

杉久武公明党

○杉久武君 生産性の向上に加えまして、利便性にも資するデジタル化の推進について、今後も精力的なお取組をお願いしたいと思います。  最後に、植田総裁にお伺いしたいと思いますけれども、植田総裁には、二〇二三年四月の九日の就任以来、今月で二年が経過したところでございますが、この二年を振り返ると、歴史に残る金融政策が様々打ち出された二年ではなかったかというように思っております。  例えば、昨年三月の大規模金融緩和の終了や二度の金利引上げを始め、国債買入れ減額計画、そして過去二十五年の金融政策について様々な角度から分析、評価する多角的レビューの公表がございましたし、ほかにも、二十年ぶりとなる新しいお札の発行や各種講演、記者会見などを通じた対外コミュニケーションの強化にも努めてこられるなど、目の回るような二年間であったのではないかと思います。  そこで、最後に植田総裁に質問いたしますけれども、総裁就任二年を迎えるに当たって、最大の使命とされた金融政策の判断についてどのように評価されているのかを伺うとともに、現下の難局、そして残りの任期の中で総裁が自らに課された使命を果たしゆく御決意を最後にお伺いをさせていただければと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 委員に御指摘いただきましたように、私、一昨年就任以降、大規模な金融緩和枠組みの見直し、あるいは政策金利の引上げ、国債買入れの減額計画などの決定に取り組んでまいりました。  先ほどもちょっと御議論ありましたが、コストプッシュを起点とした物価上昇が想定していたものよりも高まっている点には注意を要すると考えておりますが、これまでのところ、全体としては、経済・物価情勢の改善に応じて金融緩和度合いの調整を適切にできてきたのではないかというふうに考えております。  今後でございますが、これも先ほど来御議論ありましたが、アメリカの関税政策等を受けまして、内外の経済、物価をめぐる不確実性は高まっております。これらの点を含めまして、内外の経済・物価情勢や市場の動向を丁寧に確認し、二%物価安定の目標の持続的、安定的な実現という観点から適切に政策を判断してまいりたいと考えております。

杉久武公明党

○杉久武君 ありがとうございます。時間になりましたので、以上で質問を終わります。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 日本維新の会の藤巻健史です。よろしくお願いいたします。  黒田前日銀総裁も植田総裁も、一時的にではあるけれども、日銀の債務超過の可能性があるという発言をされたことがあると記憶しています。私、質問していましたよね。  そういうときに、特に今トランプ関税でマーケットは極めてボラタイルなので、その可能性、日銀の債務超過になる可能性というのもかなり出てきていると思うんですね。そのときに中央銀行たる日銀は大丈夫なのかということについて今日はお話を伺いたいなというふうに思います。  前置きとして申し上げておきますと、トランプ関税問題で景気が悪くなるとか心配する国はたくさんあると思うんですけれども、今日私がするような、中央銀行が危ないかとか、金融システムが大丈夫なのかなんということを気にしなくちゃいけない国は世界中で日本だけだと思うんで、極めて大きい問題かなというふうに思っています。  まずお聞きいたしますけれども、二〇二三年九月の日本金融学会で、植田総裁は、債務超過になっても大丈夫だ、中央銀行は大丈夫だという説もあるし、中央銀行でも債務超過になったら駄目だという学説もあるという話をされていらっしゃいますけれども、植田総裁自身はどうお考えでしょうか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 確かに、中央銀行の収益や資本の減少が政策運営に悪影響を及ぼすという見方と及ぼさないという両方の見方があると思います。  及ぼさないという見方は、一時的に収益あるいは資本の状態が悪化したとしても、中央銀行は、長い目で見ますと、通常、収益が確保できる仕組みを備えている、あるいは、自分自身で支払決済手段を提供できるということで、政策運営能力に支障を生じないということに着目した議論だと思います。  他方で、悪影響を及ぼすという考え方は、中央銀行の財務の悪化が注目されて政策をめぐる無用の混乱が生じる場合、信認の低下につながるリスクに着目する議論でございます。  これは必ずしも本質的に矛盾する考え方ではないと思います。つまり、中央銀行は、収益や資本の減少によって直ちにオペレーショナルな意味で政策運営能力が損なわれることはないわけでございます。  ただ、そうした財務の悪化が起点となりまして、中央銀行に対する信認の低下が発生するということも場合によってはあるということでありますので、財務の健全性の配慮もしておくということが大事であるというふうに理解しております。  こうした点に配慮しつつ、適切な政策運営に努めてまいりたいと思っております。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 まあ当時の金融学会でも、植田総裁は、各国の中央銀行は財務リスクへの備えとして自己資本を保有しています、自己資本の保有により財務の健全性を確保することに意義を認めるというふうにおっしゃっているわけで、まさに財務の健全性が侵されると大変なことになるという認識は総裁おありだと思います。  ましてや、日銀も、第五十三条、日銀法の第五十三条で剰余金を、ちゃんと内部留保をためておけよという規則も作っていますし、解散規定まで作ってあるわけですね、日銀法にね。ということは、財務状況が悪くなっても大丈夫ということではないということは、日銀自身がお認めになっているのではないかと思います。  次に質問いたしますけれども、私、邦銀にいたときには、G7の国とか中央銀行に対しては、全く関係なく、信用リスクを関係なく貸出しとかできたりしたわけなんですが、米銀に移って、驚いて一種のカルチャーショックだったのは、米銀は、G7といえども、若しくはその中央銀行といえども、クレジットラインというのを設けているんですよね。これ、どうしてクレジットラインを設けているというふうに思われますでしょうか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 一般論でありますが、銀行はほかの金融機関のニーズに応えて与信を行うことで収益を獲得するわけですが、当然、その際に、信用リスク管理や流動性リスク管理等の観点を踏まえまして、他の金融機関向けに与信枠を設定することがあるというふうに理解しております。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 クレジットラインを設けるということは、金融取引ですから即座に判断をしなくちゃいけない、貸出しみたいに一々個別案件で相手の信用リスクを計算してはいけないということでクレジットラインを事前に設けるわけですけれども、クレジットラインがあるということは、信用状況が悪くなれば、そのクレジットラインを縮小するし、若しくは撤退する、取引をやめさせるということなわけですよね。要するに、ですから、外銀が日銀に対してもクレジットラインを持っているということは日銀と取引をやめる可能性がある。一番重要なのは、きっと日銀の当座預金を廃止することだと思うんですね。  今、配付資料の三番目に、右側に日銀のバランスシート添付いたしましたけど、右側の日銀当座預金、これは一般の方々が銀行に預金するがごとく一般銀行が日銀に預金する口座なんですけれども、これを撤退する可能性がアメリカの銀行あるわけですけれども、アメリカの銀行が撤退しても問題ないとお考えでしょうか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 外国銀行の動向について、仮定の質問にお答えすることは避けさせていただければと思います。  ただ、日本銀行としましては、適切な政策運営によって物価の安定を図ること、それにより通貨の信認を確保することが重要であるというふうに考えております。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 もうこれ仮定の質問ではなくて、実務上の実態の問題なんですけれども、この日銀当座預金というのは、これ国民の皆さんはほとんど使えないんで関係ないかもしれないんですが、これ、銀行にとっては極めて重要な口座でして、例えば約束手形であっても、物の交換は手形交換所でやっても、その裏にある現金の動きというのはこの日銀当座預金を通じてやるわけですね。それは外銀であろうと邦銀でも同じなんですが。  これで、これ私が一番問題だと考えているのは為替なんですよね、為替。例えば、私が最初に入った三井住友信託銀行とその後に入ったJPモルガン・チェース銀行と為替の取引をした、ドル・円の取引をしたとなる。米銀であるJPモルガンがドル売りで、三井信託がドル買い円売りだったとします。その決済ってどうするかというと、ドルに関しては、アメリカの中央銀行にあるJPモルガンの口座から三井住友信託銀行にあるドル口座に資金を移すわけです、ドルに関しては。じゃ、その反対の円は、日銀にある三井住友信託銀行の口座からJPモルガンの日銀にある口座に資金を移す。こういうことによって為替は成立できるわけです。  じゃ、JPモルガンが撤退して日銀当座預金がなくなった場合、JPモルガンというのは円を受けることができなくなります。だとすると、ドルだって売りませんよということになるわけです。  何を申し上げたいかというと、外銀が日銀当座預金口座を閉鎖した場合、米銀がですね、特に、日本はドルに対するアクセスを失ってしまう、円がローカル通貨化するということだと思うんですね。これは一種の、ロシアがSWIFTから排除されてルーブルがドルとのリンクを外れた、これと同じ事態なわけですよ。ドルは、原油を買いたいならばルーブルを使えということは言えましたけれども、日本は原油に相当するものはないわけです。ドルとリンクを外れた通貨が世界的に通用すると私は思わないわけです。  日本がドルにアクセスできるかどうかというのは、外銀が、特にアメリカの銀行が日銀当座預金を持ち続けるか、持ち続けてくれるかどうかに懸かっていると思うんですが、いかがでしょう。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私どもが物価の安定を目指して政策運営を実行し、物価の安定が図られる。その下で通貨の信認も維持されるということになりますれば、安定的な円とドルの取引の需要は一定程度存在し続けるでしょうし、それに伴う金融取引に対する需要も存在すると。  それは、その相手、サービスを提供するのが邦銀になるか外銀になるかは分かりませんが、いずれにせよ、何らかの金融機関がそのサービスを提供するということになるかと思います。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 私は、米銀が、日銀当座預金、みんな、米銀全部が日銀当座預金から撤退すれば、閉鎖すれば、ドルをゲットする手段はなくなると思うんですが、まあいずれです、もしほかに新しい方法があれば教えていただきたいと思います。  そういう意味で、日銀の信用、米銀、それから格付機関の信用調査というのは極めて重要であると。そういう意味でも、これは、日銀が債務超過になったのでそういう撤退するというようなことは、米銀が日銀当座預金を閉鎖するというふうに、すぐにはあると思いませんが、一時的でないとか、それから日銀の債務超過が大きくなるというふうに判断すれば、米銀は日銀当座預金を閉鎖して、日本はドルとのアクセスをなくす、なくなってしまうという事実は十分考慮する必要があるのかなというふうに思います。先ほど来ちょっと回答が余りないんで、この問題は次に行きますけれども。  先ほどの日本金融学会で、総裁は、日銀が財務諸表を、財務内容を非常に気にする理由というのは、財務状況が悪化すると取るべき金融政策を取れなくなる、いろんな政府からの圧力とかですね、そういうことにあると学会で述べていらっしゃいます。  今、私、八五年からずっと金融界にいて、日銀をずっとモニターしていますけれども、こんなに行動の遅い総裁いらっしゃらない。本来であれば、もうぼんぼん金利上げていますよ、きっと。インフレを抑えるためにね。  なぜこんなに引上げをヘジテートするかというと、先ほど言った、日銀が債務超過になりということを怖がっているんじゃないか。要するに、総裁が金融学会でおっしゃった、財務状況が、日銀の財務状況が悪くなるとやるべき金融政策を取れなくなるから。今、現にその状況じゃないんでしょうか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私ども、私どもの財務への配慮から例えば利上げのペースを遅らせているということはございません。  私どもの利上げのペースは、先ほどちょっと御議論がありましたが、日本の基調的な物価上昇率の動向に合わせて行ってきているということでありまして、実際、昨年来三回金利を引き上げているところでございます。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 それ以上の回答は総裁の立場としておっしゃれるわけないと思っていますので、まあいいですけれども。  じゃ、実際これ、今、金利〇・五%、政策金利〇・五%ですけれども、これ以上上げるとどうなるかということなんですが、表三を見ていただくと分かりますけれども、日銀の収入というのは、中央銀行の収入というのは本来受取利息です。国債五百八十八兆円から受け取る利息、基本的には、去年ちょっと多くて二・四兆円ぐらいあったかと思いますけど、大体一・五兆円ぐらいでした。  今政策金利を上げると、どういう方法があるかというと、異次元の量的緩和を始めましたから、右側の日銀当座預金に利息を付けていく、その利息を上げていくという方法しかありませんし、ほかの中央銀行もみんなやっているわけです。  まあ五百三十一兆にしたって、それを、準備金等がありますんですが、例えば五百兆円に一%の金利を付けると年間五兆円ですよ。受取利息は平均一・五兆円、支払が五兆円となれば、これ損の垂れ流しですよね。今〇・二五ということは年間二・五兆円。去年だったら受取収入と何とかツーツーですけれども、ふだんのような程度の収入、金利収入若しくは国債を減らしていったり何かして落ちていくと、もう既に損の垂れ流しですよね。  いつも総裁がおっしゃる簿価会計だから大丈夫なんという話通用しませんよ、これ簿価会計の話ですから。実際に損の垂れ流しが始まりますけれども、総裁、それでも金利上げられますか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 確かに、量的緩和を大規模に行った後、バランスシートが縮小する、あるいは政策金利を引き上げていく局面では、超過準備に対する支払利息の増加から収益は下押しされます。  ただ、その後を考えてみますと、だんだん超過準備が縮小していくことに伴いまして支払利息が減っていきます。また、資産サイドでは、徐々に利回りの高い国債に私どもの保有国債が入れ替わってまいります。それから、負債サイドに銀行券のように利子を支払わなくていい負債がある、それに対応して資産サイドに利子を生む資産があるということからの収入も続いてまいります。こうしたことを総合しますと、通常徐々に収益は回復していくというふうに考えております。さらに、様々な事態に備えまして、引当金を積み、一定の財務上の備えを行っているところでございます。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 総裁、金融というものを少し長い目で見れば、シニョリッジ、受取利息が増えていって債務超過は解消されるとおっしゃっていますが、今もそういう答弁でしたけれども、じゃ、ちょっとお聞きいたしますけれども、二〇二五年に満期になる国債ってどのくらいあるんですか。

中村康治日本銀行理事

○参考人(中村康治君) お答えします。  日本銀行の保有国債のうち、二〇二五年中に満期になる国債は五十八兆六千百六十四億円でございます。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 私が銀行マンだった頃は、日銀の持っている債券ってほとんど短期国債ですから、金利が上がってくれば受取収入が増えるというのはよく分かります。おっしゃるとおりだと思います。今、五百八十八兆円のうち五百八十六兆円は長期国債なんですよ、今、異次元の量的緩和ってそういうもんですから。長期国債というのは十年満期がたたないと金利が新しくならないんです。受取収入増えないんですよ。  今、受取収入が増えるのは、今五十何兆って言っておりましたっけ、五十八兆円。五十八兆円分しか、もう一〇%分しか金利は、受取利息は上がらないわけですよ。だって固定金利債なんですから、十年が主体の固定金利債なんですから。  ですから、受取収入が増えるっていったって何年掛かるのかと。少し長い間、少し長い間って八年、九年ですから。そんなに債務超過があったら中央銀行ってもたないと私は思いますけど、いかがですか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 具体的には、現実的には様々なケースがあり得ると思いますが、例えば、私ども昨年十二月に試算結果を公表しております。そこでは、市場参加者に事前にヒアリングを行いまして、どういうケースを考えるべきかということもチェックした上で、先行きの日本銀行の収益と自己資本について計算した結果を示しておりまして、先ほどお話ししたようなメカニズムが働いて自己資本あるいは収益が健全な状態に復帰していくというところを示したところでございます。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 もう私も金融政策の多角的レビュー読みましたけど、まさに楽観的な予想もいいところで、まさに基礎的財政収支黒字化の経済予想と全く同じような前提に立っているというふうに思いました。  じゃ、お聞きしますけれども、FRB、フェデラル・リザーブ・バンクの、アメリカの中央銀行の年間受取利息というのはどのぐらいあるでしょうか。

中島健至日本銀行理事

○参考人(中島健至君) お答え申し上げます。  直近の二〇二四年ということで申し上げますと、FRBの受取利息は一千五百八十七億ドルというふうに承知しております。これを同年末の円・ドルレートで換算をいたしますと、約二十四兆円程度ということになってございます。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 それは受取利息が二十四兆円もあれば、多少債務超過になっても補填は簡単だと思いますよ。  ただ、先ほど来申し上げますとおり、日本銀行のシニョリッジ、平均で一・五兆円ですよ。去年はちょっと二という情報があったけど。  アメリカの中央銀行は債務超過になってもすぐ大丈夫だったから、日銀は債務超過になってもすぐリカバーできるというのは無理がありませんか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 例えばでございますが、先ほどお話ししました私どもの試算では、そうした現実の姿も考慮に入れた上での試算結果になっております。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 これは、じゃ、だったらどこが甘いか、今度いつかやらせていただきたいと思いますが。  今までのお話というのは簿価会計上の話なんですが、もっと問題は、時価評価したときに、極めて日銀の内部留保がもう食われてしまって、一生懸命財務健全のために内部留保を積んでいたのに、それが減ってきて、日銀の財務状況が極めて危ないんじゃないかという話をしたいんですが、いつも日銀総裁は、植田総裁は、日銀は簿価会計だから大丈夫とおっしゃいますけれども、信用を調査する、日銀の信用を判断するのは、日銀の会計基準でやるんですか、それとも、審査する方、格付機関とか米銀の審査部の会計基準でやるんでしょうか。格付機関とか米銀の審査機関の、相手を信用調査するときの会計は全部時価評価のはずですけれども、私の経験からしても。  だから、簿価会計で相手の信用を調査するなんてもう前世紀の遺物なんですが、それでも簿価会計だから大丈夫と総裁はおっしゃいますか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私ども、管理通貨制度の下では、通貨の信認は、中央銀行のバランスシートの姿ではなくて、中央銀行が適切な金融政策運営により物価の安定を図ることができるかどうかで確保される、あるいは決まってくるものというふうに考えております。  その上ででございますが、中央銀行の財務、政策運営に関する考え方について、人々の幅広い理解を得ていくことは重要であると考えております。様々な機会を通じて、今日もそうでございますが、丁寧に説明させていただければと思います。

三宅伸吾自由民主党

○委員長(三宅伸吾君) 時間が参っております。

藤巻健史日本維新の会

○藤巻健史君 そういう御回答ですと、今まで議論してきた財務の、内部留保をきちんとためておくとかという話は関係ないということになっちゃいますよね、金融政策をきちんとやっていれば日銀の信用は保たれるということであるならば。  私は、今日はフローの方だけで言いましたけれども、議論させていただきましたけれども、資本的なストックの方で日銀はもっと大変な状況じゃないかということは、次回また議論させていただければというふうに思います。  ありがとうございました。

上田清司国民民主党・新緑風会

○上田清司君 国民民主党・新緑風会の上田清司です。  日銀の前に、金融庁と国税庁にお尋ねしたいと思います。  資料一を御覧ください。  これは、グローバルIGという、英国に本社のあるIGグループの本社の部分の年次報告書から取り出した数字、右側の部分が日本法人のIG証券から取り出した、年次開示資料から取り出したものであります。  ここで、英国のIGグループの日本市場での収益が赤で書いてありますが、大体百二十八億、あるいは百八十四億、百八十六億、百四十七億と。日本の全体の比率は一〇%前後占めていると。  現実に、仕事をしたIG証券の日本のグループの年次開示報告書を拾っていくと、売上げが大体四分の一程度になっておりまして、とりわけ販売管理費、俗に言う販管費という言葉で使っておりますが、これが異常に高い。四十人のスタッフであれば、税理士の先生とも相談したんですが、五、六億円の販管費であろうと、異常に高いと。しかも、法人税を一億前後でこの四年分整理していると。これ、明らかに何らかの形で操作しているんではなかろうかと、このように私も思うところであります。  もとより、英国のIGグループの開示年次報告と、そして日本の法人との比較の中で、どのような形で利益を英国本社に持っていって、そしてどのような形で日本本社の分を出していくかということは、私も素人でありますので分かりません。  これ、しかし、少なくとも、日本法人のこの法人税の一億前後で収めてしまうこと、売上げにおける販管費のこの割合の大きさ等を考えると、これは変だなと思うのが普通でありますが、一つ一つ、国税庁も金融庁も追っかけているわけではありません。しかし、インボイス導入で二千二十億、言わば中小零細、個人企業者をいじめて、こういったところでは知らぬ顔というのでは許されないと、こういう話になってくるわけであります。  こういったところを百社でも見付けていけば、インボイス分ぐらいすぐ取っちゃうじゃないかと。税理士の先生に言わせれば、インボイスの作業をすることで、それぞれの中小零細企業者は生産性を落としてしまったと、逆に。そんなことも考えて物事を考えなければならないんですが、そうではなかったと。  いずれにしても、こうしたヒントを私は国税庁と金融庁に与えたいと思いますので、それぞれが所感を述べていただきたいと思います。

小宮敦史国税庁次長

○政府参考人(小宮敦史君) お答え申し上げます。  この外資系証券会社の関係の御質問でございますが、個別にわたる事柄につきましては守秘義務の関係がございますので、お答えを差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますと、外資系企業に限らず、国税当局におきましては、納税者の適正、公平な課税を実現するという観点から、各種の法定調書のほか、課税上有効な各種資料情報の収集に努めておるところでございまして、これらの資料情報と提出をされた申告書等を分析いたしまして、課税上問題があると認められる場合には税務調査を行うなどいたしまして、適正、公平な課税の実現に努めているところでございます。

伊藤豊金融庁監督局長

○政府参考人(伊藤豊君) 日本法人でありますIG証券の財務書類の営業収益については、親会社からの国際取引に関する日本法人等への収益分配金等が大宗を占めているということは承知をしておりますが、二〇二三年度の同社の財務書類には既に監査法人の適正監査意見が付されているところでありまして、金融庁として、当該書類について現時点で特段の問題を承知しているということではございません。

上田清司国民民主党・新緑風会

○上田清司君 ありがとうございます。  とりわけ国税庁、こうした数字を見ればある程度分かるわけですね。なぜ法人税が一億前後なのか、販管費がこんなに高いのか、普通の証券会社、まあ証券会社といってもちょっと性格が異なる証券会社でありますが、ある程度分かるわけですね。そういうのを常にピックアップしていただきたいということを改めてお願い申し上げて、終わりますので、どうぞ御了承を、退場、あっ、退場と言ったら大変失礼しました。委員長、お引取りをいただいても結構でございます。

三宅伸吾自由民主党

○委員長(三宅伸吾君) 国税庁小宮次長は退席されて結構でございます。

上田清司国民民主党・新緑風会

○上田清司君 植田総裁にお尋ねをいたします。何となく名前が、漢字は違いますが一緒ですので、若干調子が悪いところもありますが。  藤巻議員から非常に高いレベルでの議論がありました。私は、正直なところ、日銀は三つの異常な世界に入っていると、こんなふうに思っております。  黒田あるいは故安倍総理の俗に言うアベクロバズーカ砲と言われる異次元の金融緩和が、二年で終わればよかったんでしょうが、そうならずに続いてしまったというところに、低金利がずっと続いている、事実上金利のない世界になってしまった。  この件で言えば、国民が本来得るべき金利所得を得ることができなくなった。それだけでも消費を拡大することができない世界になっておりますし、あるいはまた、この頃では政府を挙げて預金から投資へという、そうしたことを言っておりますが、またこの動きになると詐欺師の連中がどんどん集まってきて、こうした、そう金融面について詳しくない人たちが被害に遭ってしまうと、それどころか、銀行そのものがそんなことをやってしまったというのがスルガ銀行の事件でありますし、なかなかこの金利が異常な状態の中では地方の金融機関、先ほど報告の中では非常に金融は安定しているということでありますが、私は地銀を始め信金等々組合も含めて安定しているとはとても思えません。  地方の人口が減っていきます。そして、いわゆるプロジェクト案件というのが減っていきます。そうすると、貸出しが小さくて、なおかつ預金金利はほとんどないわけですけれども、いずれにしても仕事にならない、ビジネスモデルが成り立たないという仕掛けになってきていますので、ますます人口減少の速度が早くなってくるという。この異常な低金利がそういう側面も持っているということも申し上げたいと思います。  また、この点に関して言えば、藤巻議員からもお話がありましたけど、私に言わせると、右足を泥沼から力強く抜くには左足に力入れなくちゃいけないと、そうすると左足がますます深みにはまってしまうという、そういう側面を持っていますので、この低金利の状態をどうしたら正常に持っていけるのか、そうした見通しについて、総裁の基本的な考え方をまずお伺いしたいと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私ども、先ほど来少し申し上げましたが、基調的な物価上昇率が徐々に上昇してきたということを受けまして、昨年三月に大規模金融緩和の枠組みを見直しましたし、その後、昨年の七月と本年の一月と政策金利を引き上げてきたところでございます。  今後も、展望レポートで示しました経済、物価の見通しが実現していくとすれば、それに合わせて金融緩和の度合いを調整していくという考えでございます。  ただし、足下、これも先ほど来議論がありましたけれども、米新政権の関税政策等の影響等を含めまして様々な不確実性が発生しておりますので、予断を持たずに点検しつつ、適切な政策を判断してまいりたいと考えております。

上田清司国民民主党・新緑風会

○上田清司君 続いて、国債の日銀引受けについて議論をさせていただきたいと思います。  ピークの五百八十五兆、これ二四年の三月の決算だと思いますが、それから五百七十四兆円に減ってきていると。  日本経済が順調に回復することを前提に、こうした日銀引受けの総額を少しずつ減らしていくという仕組みを一生懸命やっておられるというふうに私も認識しているところでございますが、トランプ関税で先行きが非常に不安になってきておりますが、こうした状況の中で国債の消化というのが可能なのかどうか、こうした見通しについて総裁から承りたいと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私ども、昨年の七月に、来年の三月までの国債買入れの減額計画を決定いたしました。  その際の考え方といたしまして、長期金利は市場において形成されることが基本である、ただ、日本銀行による国債買入れの今後を考えていく際に、国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、しかし、予見可能な形で減額していくことが適切というふうに考え、その骨子を示したところでございます。  現在、この計画に沿って減額を進めております。月間買入れ額で申し上げますと、昨年七月時点では月間五・七兆円程度でございましたが、段階的に減らしてきておりまして、来年の一から三月期には二・九兆円程度に低下するという予定でございます。  その上で、今年の六月には、国債買入れの減額、これまでの経験について中間評価を行うことを予定しております。市場動向や機能度についても、これまでの経験を踏まえつつ、丁寧に点検し、同時に、来年四月以降の買入れ方針についても検討し、その結果をお示ししていきたいと考えております。

上田清司国民民主党・新緑風会

○上田清司君 計画はよく分かりました。  今回のトランプ関税をどのように受け止めて、市場も含めて日本経済の方向とかそうしたものをどのように、どのように捉えるかといっても、なかなか世界中のこともありますので一概には言えないと思いますが、日銀の姿勢としてしっかりアピールすることも大事だと思うんです。  市場と、それから日本経済全体に、とりわけ経済活動を行う多くの企業の皆さんたちにも、しっかり日銀はやりますよという、そういう姿勢も極めて大事だと思いますが、その点も伺いたかったんです。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) これは、まず、関税政策の行方そのものにつきまして、先ほども少し申し上げましたが、もしも来週国際会議に出席するということがかないましたならば、そこも含めまして丁寧な情報収集ないし意見交換をしてまいりたいと思っております。  その上で、そうして得られました情報あるいは他の政策機関の分析の結果等も参考にしつつ、あと、日本国内の物価、賃金の動き、これとも併せまして、丁寧に私どもの経済、物価の見通しを作成してまいりたいと思います。  もちろん、市場動向の影響についても勘案するということでございます。その上で、適切に政策を判断してまいります。

上田清司国民民主党・新緑風会

○上田清司君 基本的には私は、今回のトランプ関税は、為替の問題、まあ要するに円安を何とかせいという話、あるいは関税、非関税障壁の打破、これも誤解が多いわけですけれども、この案件、そしていわゆる日米同盟の安全保障に絡んだ、いわゆる安保ただ乗り論、こうしたものが基本的な焦点のものだというふうに私は理解しておりますが、為替に関しては当然日銀も極めて大きな役割を果たしておりますので、是非ともそうした部分で市場に安心感を与えていただきたいことを要望いたします。  続いて、日銀の、一部上場企業からETFの購入という形で株価の、私に言わせればつり上げを図ってやっていると、やってきたと、そういうふうに理解しておりますけれども、ただ、資料二で見ていただくと分かりますように、長い時間掛けて中曽根内閣時代から三公社五現業の民営化をやってきたわけでありますが、日銀が筆頭株主になることで、また三公社五現業つくっているんかいと、こういったことがやゆされかねない、こんなふうに私は理解しております。  そういう意味で、日銀の資産が傷つかないような形で、何らかの形でこのETFの始末をしていかなくちゃいけない、こんなふうに思うところでありますが、基本的に日銀として、このETFの残高を含めて徐々に減らして、購入を減らしておられることはよく知っております。どのような形で整理をされていかれるのか。これも一気に手放すというわけにもいきませんし、市場が大混乱しますので、基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私どもの保有しておりますETFの処分をどうするかということについては、時間を掛けて検討している途中でございます。  その際、処分を行う場合に、こうした原則に見合うような形で処分するという考え方を申し上げますと、まず市場動向をよく勘案し、適正な対価によるものとするというのが大方針でございます。その場合、さらに日本銀行の損失発生を極力回避すること、また、市場等に攪乱的な影響を与えることも極力回避すること、こうしたことを考慮しつつ処分の方針を定めるという考え方でございます。

上田清司国民民主党・新緑風会

○上田清司君 非常に難しい形での始末であるかと思いますが、処分の原則について今伺ったところであります。  その原則に沿って丁寧にやっていただくしかない。これはもう植田総裁は後始末をされているわけであって、植田総裁の責任でも何でもありませんので、安心してやってください。誰からも文句言われませんので、始末をしているだけですから、後始末ですから、責任ではないんですから、是非しっかりとやっていただきたいと思います。  一つ総裁にも伺っておきたいんですが、この物価の展望だとか、日銀の政策委員会だとか、いろいろレポートもいただいたりはしておりますが、なぜか倒産についての言及がほぼない。これやっぱり重要なファクターだと私は思います、日本経済がどういう状況にあるかということに関して。  この倒産のファクターがない、これ総裁でなくても結構です、理事の方でも結構でございますが、なぜこの倒産について一切合財に近いぐらい言及がないんでしょうか、このことについて伺いたいと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私ども、倒産については、申し上げるまでもなく、非常に大事な経済動向に関する指標といいますか、情報として常に注視しております。毎月フォーマルな統計が出まして、それに関する分析も行い、少なくとも日本銀行内では皆共有して経済の状況の判断に資するような体制を組んでございます。  倒産件数は、コロナ後の回復過程で一旦低下しておりましたけれども、コロナ支援の措置がだんだん外されていく中で増加し、ただ、ここに来て対前年比というような意味では横ばい状態にあるというふうに認識しております。

上田清司国民民主党・新緑風会

○上田清司君 多分内部での議論の中で倒産件数だとかの動向を全くしていないということはないと思いますが、しかし、様々なペーパーの中には出てこないんです、どういう状況になっているかと。何か嫌な話には目をつぶるのかなと、こんなふうに私は思わざるを得ないようなふうに思っております。やっぱり事実として倒産件数が増えつつある、そして一万件超えた等々と、そういうことがやっぱり答えの中に出てこないと。何か物価は安定していますよ、あるいは若干賃金が上向きです、若干日本経済は緩やかにうまくいっていますと、何となく少しずつ良くなっています、良くなっていますという話だけで、一方では、中小零細企業においてはこういう倒産がありますので、こういったところに注視をしていきますという、そういうコメントがやっぱり必要だということを申し上げて、質疑を終わります。  ありがとうございました。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 日本共産党の大門でございます。  植田総裁に質問させていただくのは初めてでございます。よろしくお願いいたします。  私が国会に来て、この財政金融委員会に所属して、最初に質問したのは速水総裁でございました。速水さん、福井総裁、白川総裁、ずっと当時から、与党の皆さんあるいは野党の一部の皆さんが、とにかくもっともっと金融緩和やれと、量的緩和やれと、インフレターゲットやれという物すごい圧力が日銀に掛かって、日銀はぎりぎり抵抗しながらじわじわと押されているような状況が続いて、私は一貫して圧力に屈すべきじゃないということで日銀の応援の質問をずっとやっていたわけでございます。  そもそも、今も通じる話なんですけれども、デフレというのは金融政策の結果ではないと。賃金と物価が下落する賃金デフレが原因であるので、日銀がもうゼロの状況をやっていらっしゃいましたかね、それ以上何かという問題ではないということもあって、日銀擁護の質問をしてきたわけであります。  ところが、二〇一三年、安倍首相、安倍政権になって、黒田さんを総裁に据えて一気に異次元の金融緩和ということになったわけで、安倍さんの言葉によれば、日銀を子会社のように使って大量に国債を購入させるというふうな量的緩和が行われたわけでございます。  私は、これが始まったときに、一旦こういう制限なく国債を買い入れるとやめられなくなりますよと、やめることが大変難しくなりますよという指摘もしていたわけですけれども、とにかくバイ・マイ・アベノミクスということで、どかんとやって、株価はもちろん上昇して、円安で輸出の大企業は大変潤ったわけでありますが、国内経済は結局十年以上やって良くならなかったということでございます。  後半の方になれば、黒田総裁に早く出口に向かうべきだということと、その上で、正常化に踏み出す上で留意点ということも御提案してきたわけです。一つは金利の急上昇を起こさない、これは国民生活大変なことになりますので。二つ目には、国債を日銀が減額していく上で国内の金融機関の協力が不可欠だということで、対話を含めてですね、そういうことを念頭に置かれるべきだということと、三つ目に、海外の投機筋の規制、いわゆるマーケットアタックというのは大体海外勢がやってきたわけですよね、日銀に対しても、今までもですね。そういう点を考えて正常化に踏み出すべきだということを黒田総裁には言ってきたわけです。黒田さんは、その出口が近づいたら、そういうときになれば考えますよみたいなことをおっしゃっておりました。  その後、私が少しちょっと浪人をしている間に総裁が替わりまして、黒田さんから植田総裁に替わったわけで、そうしたら、マイナス金利政策やYCCなどから脱却して正常化に踏み出されたということで、私は大変歓迎といいますか、評価をさせてもらっているところでございます。  初めての質問ということもあるので、総裁になられて二年ですかね、これから次の段階というときにこういう、トランプ関税問題とか先行きがまた不透明になるとか、あるいはまた政治からの圧力もまた強まるかもしれないし、もう強まっているかも分かりませんけれども、もちろん経済動向というのは無視できないんですけど、やっぱり正常化に向かうスタンスだけきちっと堅持して頑張っていただきたいなというふうに思います。  何か一言ございましたら。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私ども、経済・物価情勢が徐々に改善することに対応しまして、ここ二年ほど金融緩和の度合いを調整してきたところでございます。  今後につきましても、基調的な物価上昇率が二%に向けて高まっていくという見通しが実現していくということであれば、それに応じて政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していきたいと思いますし、そうすることが、先に行って思わぬ形で急激に金利を上げないといけない、大幅に上げないといけないというようなことを避け、息の長い成長につなげるためにも必要だというふうに言っております。  ただし、足下、先ほど来議論がありましたように、米国の関税政策等を受けまして不確実性が高まっているということは十分に念頭に置いた上で、経済・物価情勢を丁寧に確認し、適切な政策判断につなげてまいりたいと思っております。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 頑張っていただきたいと思います。  お手元に資料をお配りいたしましたけど、四月の十三日にNHKスペシャル、「未完のバトン」というんですかね、国債発行チームというのが放映されまして、まあ長い番組なんですが、ストーリーは非常に簡単でございまして、いかに日本の財政が大変かと、これ以上の国債発行は抑制すべきだと、国債の信認を維持すべきだと、そのためには財政規律を取り戻せと。で、歳出削減もやむなし、社会保障について言及されているということで、何か財務省の意向をそのまま反映した大変よくできたやらせ番組じゃないかというふうに見て思っていました。  何だか国債の信認というよりもNHKの信認を落としたんじゃないかというぐらい、ちょっとNHKスペシャルにしてはと思うような番組でございましたが、ただ、中身は大変興味深いエピソードがたくさん盛り込まれておりました。植田総裁が東大の教授時代に大蔵省に委託を受けて、研究レポートも紹介されておりましたし、番組の中で、日銀が国債の買入れの減額方針を示していると、その分どうするかということに対して、ある国内の金融機関は、日銀が金利を上げていくと国債の価格は下がるので余りこれ以上は引き受けられないとか、あるいは、理財局の、優秀な方だというふうに思いましたけど、課長補佐の方が海外のヘッジファンドに国債を買ってほしいというセールスに回る姿とか、ちょっとふだん見られない情景がありました。  私、一番驚いたのは、財務省の理財局が海外のファンドに日本国債を買ってほしいとセールスして回る姿というのは非常にちょっと驚いたんですよね。先ほど申し上げたように、国内の金融機関と違って、海外のファンドというのは、結局、日本国のことなんかどうでもいいんですよね。もうかれば何だって買うわけですよね。いざとなれば一気に売り抜けるわけですよね。空売りだってやるわけですよね。  そういう人たち向けに日本国債をセールスしている姿、ちょっと私、驚いたんですけれども、これ大変リスキーなことをやっていらっしゃるんじゃないでしょうか、財務省。

窪田修財務省理財局長

○政府参考人(窪田修君) 海外投資家については、御指摘のように国債保有比率の上昇をリスクとする議論もあることは承知しておりますけれども、海外投資家の中には国債の安定的な保有が見込まれる投資家の方も存在しております。また、海外投資家を含め多様なニーズを持つ投資家が国債を取引することにより、市場の状況が一方向に流れることを防いで市場を安定させる効果も期待できるところであります。  私自身も今年、海外のIRに行ったことございますが、先方からいろいろ有益な情報を得たり、あるいは日本の経済財政状況を説明したりする機会にもなりますので、そういう意味での効果もあると考えております。  いずれにいたしましても、政府としては、引き続き、金利の動向や投資家のニーズを見極めつつ、適切な国債管理政策に努めてまいりたいと考えております。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 そういう一般論じゃないですよね。ファンド、中東含めて、アメリカ含めてファンドを回っていらっしゃるんですよね。ちょっと異様だなと。  本当に番組の中で、中東の投資ファンドに理財局の課長補佐さんが日本国債買ってほしいと言う、まさにその場面が映されているんですけど、その中東のファンドの担当者が、日本の債務残高は大きいと、日本国債大丈夫ですか、こう聞いているわけですね。それに対して理財局の課長補佐さん、何と言っているかというと、日本の国債は大部分国内で保有しているから安全ですと。変ですよね。国内で保有しているから安全だと言って海外に売ろうとしているわけですね。もう自己矛盾のような話になっているわけですよね。  要するに、これもう一つ怖いなと、怖いなといいますか、自ら日本国債の信認を落としていらっしゃると思うのは、つまり、これ以上はもう国内の、さっき言いました、金融機関が引き受けられないだろうと。ということは、もう行き詰まりですよね、国内的には。だから海外にと。そうしたら、普通の、日本の金融機関もそうですけど、もう危ないなと、これ以上買っていくのは危ないなと。まずそれを広げているようなもので、理財局そのものがですね。ちょっと一般論のポートフォリオとかそういう問題ではないというふうに思う。で、いかがなものかと思うわけでございますが。  私、やっぱり、海外セールスに励むどころかまず国内の金融機関ときちっと話をして、もっともっと協力関係をつくって、国内の金融機関に引き受けていただくということは一番リスクのないことで、そういうことに努力をされるべきではないかと思うんですよね。  その点でいいますと、正常化に向けて御尽力いただきたいんですけど、そもそも、私ずっと見てきて、この日銀が異次元の金融緩和というのを政治の圧力でやらされたというか、政治主導でやらされたわけですよね。だったら、正常化についても政治の責任で、政治の責任で正常化を日銀と一緒に進めるべきだと。何かもう正常化は日銀任せで、お手並み拝見、自分たちは傍観者みたいな。与党ですよね、政府の責任、きちっと一緒にやるべきだと思う。その点でいえば、政府主導で国内の金融機関とちゃんと連携する形をつくるとかやって、そういう形で国債の日銀の減額、受皿つくっていくべきだと思うわけでございます。  私は、番組の中で植田総裁が、当時、東大の先生だったわけですね。九六年三月に大蔵省の委託を受けて植田当時の東大教授が研究レポートを出されたんですね。それを紹介されておりまして、国債発行と利子率ということで、要するに、当時、大蔵省が、どこまで日本の財政が国債発行を支えられるのかというようなことを委託して研究してもらったわけですね。そのシミュレーションとかが紹介をされている映像が出ていました。  その中の、私は、当時の植田教授、植田さんの言葉が番組で紹介されているんですけど、大変、なるほどなと思ったんですが、こういう言葉が紹介されておりました。日本の今後を考えるに当たって、幸運を当てにするのは危険であると。日本の今後を考えるに当たって、幸運を当てにするのは危険であると。  私は、財務省のように、緊縮すべきだというふうな考えではありませんが、一方で、国債をこのままずっと発行しても大丈夫と思うのもまた危険だなと思っておりまして、三十年前のこの植田教授の、植田さんの言葉が今まさに私たち国会議員に突き付けられているんではないかということも思うわけでございますが、総裁、いかがですか、三十年前の御自分のお言葉。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 大変難しい御質問でございますが、財政運営は、日銀総裁としての立場で申し上げれば、やはり政府、国会の判断において行われるものだと認識しております。  具体的に私からコメントするのは差し控えさせていただきたいと思いますが、やはり、一般論になってしまいますが、政府が中長期的な財政健全化について市場の信認をしっかりと確保することは重要であると考えております。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 もっと言いたいこと言っていいですよ。もう政治の責任が大きいんですからね。  頑張っていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 参政党の神谷宗幣です。  日銀報告に関連しまして質問させていただきます。  昨年八月の委員会で、七月に決定された利上げというのは少し時期尚早ではなかったのかというふうに御意見申し上げたんですけれども、今年の一月にもまた金利が上げられたということであります。  端的に、今回どういった狙いで再び金利を上げられたのか、そしてまた、金利二回上げてどういったプラスの効果があったとお考えなのか、この二点についてお聞かせください。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私ども、一月には、基調的な物価上昇率が二%に向けて高まっていくという見通しが実現していく可能性が高まっているというふうに判断した上で、政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整いたしました。  そのプラスということでございますが、物価の安定は経済の持続的な成長の基礎となるものでございます。基調的な物価上昇率が高まる下でも低金利を継続いたしますと、金融緩和度合いが過大となり、後になって急速な金利の引上げを迫られるリスクがございます。  私どもが適切に金融政策を物価安定の目標の持続的、安定的実現を目指して調整していくことが、息の長い成長を実現し、国民経済全体にメリットをもたらすと考えております。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 ありがとうございます。  私も、もちろん金利は長いスパンで見れば上げていった方がいいんだろうなということなんですけれども、結局、これも前回と同じ話になるんですが、経済が本当に良くなってきて、本当にディマンドプル型の需要が伸びて上がっていくという感じで上がってきたら、もちろん上げて、少しずつ上げていけばいいと思うんですが、どう考えてもやっぱりコストプッシュ型なので、国民の生活はそんなに余裕がないと。そこで金利が上がると、先ほど上田議員もおっしゃったように、倒産とかも増えてきていまして、中小企業がやっぱり賃上げもしないといけないという中で、そこを金利で取られたりしてしまうので、実質賃金もやっぱり下がってきてしまっているということなんですね。  そこに来て、また今度アメリカの関税が今回実行されるということで、製造業始め日本経済が大きな影響を受けるんではないかということが予想されていて、とても今順調に景気が上がっていくというふうな状況ではないと思うんですけれども、今の状況でもやはり引き続き金利は上げていこうというふうにお考えなのか、様子を見ながら下げるということもお考えなのか、その辺のところをお聞かせください。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 先行きの政策運営でございますが、私どもの経済・物価見通し、つまり、景気の改善が続き、基調的な物価上昇率が二%に向けて高まっていくということが実現していくとしますと、それに応じて金融緩和度合いを調整ないし政策金利を引き上げていくということになるかと思います。  ただ、こうした見通しが実現していくかどうか、予断を持たずに点検していく方針でございます。先ほど来御議論ありましたように、関税政策の影響を含め、様々に丁寧に確認しなくてはいけないポイントが出てきております。経済、物価の見通しやリスクを予断を持たずに点検しながら適切に政策を判断してまいりたいというふうに考えております。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 ありがとうございます。  このトランプの関税がなければ、この五月なりにもまた金利が上がっていたんじゃないかなという話もありましたが、今回は少し様子を見るというふうな感じなのかなと私は感じておりますけれども、やはりちょっと金利上げていくのが早いのかなというふうな感じがしまして、見通しが立ったからということではなくて、やはり、ある程度もう実際に数値も上がって、企業の収益が上がってきた、特に中小企業ですね、中小企業とかも上がってきた、倒産も減ってきたのでというふうな形でいくと、もう少し国民の側も納得もできるかなと思いますし、不安も減るかなというふうに思いますので、是非ちょっとそこら辺のところを慎重に見ていっていただきたいと要望したいと思います。  次に、私も通告でNHKスペシャルの話を入れていたんですけれども、大門先生がほぼ言いたかったことは全て言われましたので。私も、やっぱり、今回の番組見て、すごく世論操作なんじゃないかなというふうな印象を受けました。やはり、国債を海外に売っていくとなると、やはりすごく、今まで中でやっていたので安心だというふうに私たちも言っていたんですけれども、それどんどんと売っていくとなると、不安定になります、リスクが高まりますと。だから、もう今それぐらいまで来ているんですよと、だから減税とか給付とか余りやらない方がいいですよというふうなふうに国民が思うだろうなというふうに私は見ていて印象を受けたわけですね。  だから、このタイミングで、私の質問考えたときにちょうどやっていたので、私も全部見れなかったので、思わずNHKのアプリケーションを入れて見逃し配信を見て確認したというふうなことでしたけれども。  こういったことがなされて、報道もある中で、改めて確認したいんですけれども、昨年の七月の決定で日銀が国債購入を減らしていくというふうに決断された理由を改めて確認させてください。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私ども、昨年七月の会合におきまして、長期金利は市場において形成されることが基本であるというふうにした上で、私どもの国債買入れについては、国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能な形で減額していくことが適切との考え方で買入れ減額計画を策定したところでございます。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 ありがとうございます。  そういったときから、また繰り返しになりますけれども、今回のアメリカとの関係の中で少し状況が変わってきて、国民は不安になっていると。それで、野党のみならず与党側からも給付金とか減税の声が出ている中で、やっぱり、引き続き国債の購入、買取りは減額なんだというふうになると、そこは結構政治的な意思をある程度制約してしまうことにもなりますので、もう少しこの状況の変化というものを踏まえて、この国債の、そうですね、買取りについて検討いただきたいというふうに思っております。  ある程度、もう日銀がこうですと言ってしまうとやっぱり長期金利とかが上がってしまうので、上がってしまうというふうに先ほどもおっしゃっていましたが、地方銀行等も考えてしまうので、そういったところで、もう一度長期国債の買取りについて方針は検討いただけないかなということを要望しておきたいと思います。  四つ目の質問ですけれども、トランプ大統領は、日本は通貨安誘導を行っているというふうな発言をされていて、日本の円安について問題視されているんだなということが受け取れます。また、植田総裁も、やはり円安ちょっと行き過ぎているんじゃないかなというふうにお感じなのではないかというふうに発言から私も見ているわけですけれども、そうなると、アメリカ側も日本側も円高ドル安の流れに持っていくということは双方にメリットがあるというふうに考えているんじゃないかなというふうに思うんですけれども、この点、総裁のお考え、可能でしたらお聞かせください。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 関税をめぐる交渉ですとか為替相場の水準等について具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。  為替相場については、いつも申し上げていますが、経済、金融のファンダメンタルズに沿って安定的に推移することが重要であると思います。その上で、私どもとしては、引き続き二%の物価安定の目標の持続的、安定的実現という観点から適切に金融政策を運営してまいりたいと思っております。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 そうなんですよね。日銀総裁からはお聞きできないなとは思いつつ、ただ、アメリカの思惑を考えると、向こうが円高に持っていきたいということを考えるとなると、また金利を上げた方がいいんじゃないのというふうな要望なり圧力があるかもしれませんけど、先ほど言った理由でちょっと今の金利を引き続き上げていくのは日本としてはしんどいということなので、やはり金利はもう少し据え置きつつ国債の引受けの方をやっていただけると有り難いなというふうに思いますので、この二点、要望をしておきます。  次に、同じような背景の中で、財務省の方にもお聞きしたいんですけれども、日本とアメリカの思惑がある程度一致しているという話をさっきしましたが、こういう状況の中で、プラザ合意のときのことや、それから一九九八年のアジア通貨危機のときのように、日本とアメリカが話合いをして協調介入のようなことをできないのかということをちょっとお聞きしたいんですけれども、どうでしょうか。

横山信一公明党財務副大臣

○副大臣(横山信一君) 御質問いただいたような日米交渉の内容についてお答えすることは、市場の臆測を招き、また為替市場に不測の影響を及ぼすおそれがありますので差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で申し上げれば、為替については、米国との間で、為替レートは市場において決定されること、為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与えること等について認識を共有しているところであります。  本年一月二十九日の加藤大臣と米国ベッセント財務長官とのビデオ会談においても、為替については専門性を有する両財務大臣の間で緊密に協議していくということが確認をされたところであります。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 ありがとうございます。答弁どおりだな、おっしゃるとおりだなとは思いながら、やはりそういった形でちょっと今の難局を乗り切っていただきたいなというふうに思うんですね。  帝国データバンクのアンケートなどでも、企業にアンケート取ると、やはり今ちょっと円安で、やっぱり一ドル百十円、百二十円ぐらいがいいという声が多いので、やっぱりその辺りに持っていくことが両国間のメリットになるのであれば、そういったところで、赤澤大臣も今アメリカ行かれていますけれども、アメリカとのその関税の問題等を前向きに進めていただきたいというふうに考えるわけですけれども。  こういった為替の調整というのはなかなか、市場に任せないといけない、難しいということでしたけれども、そのほか与党内でどういった形でアメリカとの交渉を進めていこうというふうに内部で意見が出ているのか。まあ詳しいことはもちろん言えないとは思いますけれども、私たちそういった話合いには呼ばれていないので、どういった考えがおありなのか、少しお聞かせいただければと思います。

横山信一公明党財務副大臣

○副大臣(横山信一君) 石破総理からは、一連の関税措置の内容を精査し、影響を十分に分析すること、また林官房長官及び赤澤大臣を中心に関係府省が緊密に協力し、米国政府に対して措置の見直しを強く求めること、また関税措置による国内産業への影響を勘案し、資金繰り支援など必要な支援に万全を期すことといった指示が出されているところであります。  まさに今、米国側との協議を実施するために赤澤大臣が米国を訪問しているところでありますが、引き続き、何が日本の国益に資するのか、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的なのかを考えながら、関係省庁と協力、連携の上、取り組んでまいりたいと考えています。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 ありがとうございます。  私、この委員会で三つほど提案してて、それだけ最後に言っておきますと、消費税の廃止ですね。これで輸出還付金がなくなるので、関税障壁がなくなると、このニーズにかなうんじゃないかということですね。食品だけ消費税を下げるという話もありますけど、そうすると、飲食店なんかは食材いっぱい買いますから、そこが消費税の控除されないと、飲食店がこれ非常にダメージを食らうので、食品だけみたいなところじゃなくて、やっぱり全ての消費税目に関して減額するなり、若しくは廃止を考えていくということも一つ。  それから、脱炭素の政策をアメリカは切り替えようと言っているわけですから、アメリカは化石燃料を掘る、そうしたら日本は技術をどんどん出していって、世界のエネルギー政策を転換させることで、アメリカと日本でしっかりと収益を得て、国際社会に影響を与えていくということもメリットになるかもしれませんし、あとは、国際援助の話をここでもしましたけれども、アメリカは国際援助を見直して適正な支援に変えようというふうに言っていますので、そういったところを足並みをそろえて協力するとか、そういった関税とか金利、為替だけではなくて、ほかのところで共通の利益を追いかけていくというところが非常にアメリカにとっても日本にとってもメリットがあるのではないかなというふうに思いますので、これは政府の皆さんに対しての要望ということで述べさせていただきます。  私からは以上です。

三宅伸吾自由民主党

○委員長(三宅伸吾君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────

三宅伸吾自由民主党

○委員長(三宅伸吾君) 株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。加藤財務大臣。

加藤勝信自由民主党・無所属の会財務大臣・内閣府特命担当大臣(金融)

○国務大臣(加藤勝信君) ただいま議題となりました株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、地域活性化や我が国の企業競争力の強化等に資する成長資金の供給を一層促進するため、日本政策投資銀行の特定投資業務について、投資決定期限等を延長することとし、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。  第一に、日本政策投資銀行の特定投資業務について、投資決定期限及び政府による出資期限を令和八年三月三十一日から令和十三年三月三十一日まで延長することとしております。  第二に、特定投資業務の完了期限を令和十三年三月三十一日から令和二十三年三月三十一日まで延長することとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

三宅伸吾自由民主党

○委員長(三宅伸吾君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十八分散会

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