憲法審査会 第1号
- 発言数
- 41 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2025/04/02
会議録
○会長(中曽根弘文君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。 幹事の補欠選任についてお諮りをいたします。 委員の異動に伴い現在幹事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 幹事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(中曽根弘文君) 御異議ないと認めます。 それでは、幹事に中西祐介君を指名いたします。 ─────────────
○会長(中曽根弘文君) 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。 本日は、憲法に対する考え方について意見交換を行います。 まず、各会派から意見表明を行った後、委員間の意見交換を行います。 全体の所要は一時間三十分を目途といたします。 発言時間につきましては、経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らしますので、あらかじめ御了承願います。 また、御発言は着席のままで結構でございます。 なお、委員間の意見交換において発言を希望される方は、各会派からの意見表明の間にあらかじめ氏名標をお立てください。 それでは、まず各会派一名ずつ、各七分以内で御意見を順次お述べいただきたいと存じます。 佐藤正久君。
○佐藤正久君 自民党の佐藤正久です。 我が会派が憲法改正の重要な論点として掲げている自衛隊明記、緊急事態対応、合区解消・地方公共団体、教育の充実の四つの項目のうち、緊急事態に対応し得る参議院の緊急集会について申し述べます。 まず、参議院の緊急集会の位置付けですが、日本国憲法において緊急事態に対応するための唯一の緊急事態条項であり、参議院の重要な権能であります。その上で、その活動期間については、憲法五十四条一項と二項から、文理上、最大七十日程度で、これを大きく超えることは憲法の想定外とする意見がありますが、我が会派ではこの七十日間は活動期間を厳格に限定するものではないと考えています。 本審査会でも活動期間について七十日を超えていつまでもということは想定していないと述べてきましたが、これは、憲法五十四条第一項の趣旨から、できる限り早期に総選挙を実施されることが求められており、それゆえ衆議院議員の不在期間がそれほど長期間に及ぶことはないという前提の上です。 同時に、我が会派は、基本的に、衆議院議員の不在時に参議院の緊急集会が国会機能を代行できなくなるようなことになってはならないと考えています。例えば、衆議院議員不在時における選挙困難事態に備えた措置が整えられたとしても、その過程で否決され、衆議院議員の不在が数か月間解消されないおそれもあります。活動期間を厳格に七十日間とすると、七十日を超えた途端に立法府は対応不能となります。ゆえに、緊急集会の活動期間を画一的に決めるのではなく、この七十日間は活動期間を厳格に限定するものではないというところに至ったところです。 なお、参議院の緊急集会の活動期間について、衆議院で七十日間が目安という趣旨の発言がありました。この目安が七十日間の辺りとか七十日間前後という意味ではなく、その期間は画一的に厳格に限定されるものではないという趣旨であったと理解していますが、この目安という言葉自体が誤解を生むことを懸念しております。 ただ、いずれにしましても、我が党の衆参の考え方は、昨年夏の取りまとめにおいて、緊急集会の活動期間として七十日間と厳格に限定するものではないということが互いに確認されていることを念のために申し上げておきます。 また、衆議院議員の任期の延長、前議員の職務権限行使、いわゆる身分復活を検討する際の要件となる衆議院議員の不在が長期に及ぶような選挙困難事態、あるいは両院が共に対応しなければならない国難、さらに、対象とすべき事態として考えられる具体的な類型や、その類型ごとに広範性、長期性の定め方といったことについて更に精緻に分析し、慎重に検討する必要がありますが、その際、参議院の緊急集会とは切り離して議論を進めるべきです。 選挙困難事態の長期性要件として七十日を示す向きもありますが、参議院の緊急集会の活動期間を理由とするのであれば、七十日間と厳格に限定しないという共通認識の前提と相入れないことになります。長期性の要件としては、発災の日から起算して六月あるいは三月といった考え方、あるいは相当長期にわたりといった定め方、広範性の要件についても、国民主権原理の重大な例外となることを十分に考慮して、相当の国難事態と捉え得るものなのか、精緻な検討が必要です。 さらに、現行の繰延べ投票制度や選挙期日延期、任期延長の特例法など、大規模災害等が発生した際の選挙制度の関係も具体的なケースに当てはめながら、これも精緻に分析し、検討する必要がありますから、有識者から意見を聴取し、議論を深めていくことが適当ではないかと考えます。 参議院の緊急集会の権限でございますが、我が会派としては、まず、緊急集会は国会の代行機関ですから、原則として国会の権能の全てに及ぶと考えています。その上で、権限行使の範囲については、緊急集会が国に緊急の必要があるときに集会が求められるものであり、この緊急性の要件を満たすかどうかで判断されるべきと考えます。 したがって、我が会派では、緊急性の必要があるのであれば、参議院の緊急集会の権限行使の範囲を限定的、制約的に整理する必要があるとは考えていません。 衆議院憲法審査会では、総理の指名、条約の締結の承認、本予算については、一般的には緊急性の要件を満たす場合は少ないとの発言があったと伺っていますが、これについても、国会の代行機関である緊急集会の権限は原則として国会の権能の全てに及ぶとした上で、緊急性の必要に応じて行わざるを得ない、権限行使の範囲が変わるという趣旨であるとは受け止めています。 なお、衆議院議員の任期満了による衆議院不在の場合でも参議院の緊急集会が対応し得ることについては解釈上可能ですが、憲法上明記する方が望ましいと考えます。 以上、参議院の緊急集会について意見を述べましたが、これは昨年、自民党の憲法改正実現本部の下に設置されたワーキンググループで、衆参の実務担当者が意見のすり合わせを行うべく、会合自体を六回ほど、さらに、その準備も含め、集中的かつ真摯に行われた議論の取りまとめを踏まえたものです。 その上で、本審査会でも、参議院の緊急集会の位置付けや権能、大規模災害等が発生した場合の選挙制度の在り方をテーマとして更に議論を深め、参議院としての考え方をまとめていくべきと考えております。 また、合区問題についてですが、時間が限られていることから詳細はこの後の我が会派からの発言に譲るとして、参議院改革協議会での合区解消に向けた議論の進展を期待するとともに、本審査会でも合区の抜本的な解消に向けて議論を深めるべきと訴えさせていただき、私の会派代表としての発言を終わります。 ありがとうございました。
○会長(中曽根弘文君) 辻元清美君。
○辻元清美君 立憲民主党の辻元清美です。 会派を代表して、憲法に対する考え方を申し述べます。 今年は戦後八十年に当たる年です。かつて日本は、全体主義と軍国主義という政府の過ちによる戦争で甚大な惨禍がもたらされました。沖縄では四人に一人が亡くなり、私の父方の祖父もブーゲンビルで戦死しております。皆様の周辺にも犠牲者がいらっしゃるんではないでしょうか。 その反省の下、今日まで八十年間の我が国の発展は、平和主義を掲げ、世界屈指の人権法典として優れた日本国憲法に基づくものと言えます。改めて、この節目の年に、憲法の意義について、石破総理は談話を閣議決定しないとおっしゃっていますので、本審査会で意義について議論してはいかがでしょうか。 さて、日本国憲法は、戦前戦後の内閣法制局長官を務められた金森徳次郎担当大臣や佐藤達夫先生などの法律家と先輩議員の懸命の努力によって制定されました。国会は二院制を採用していますが、元々、総司令部案では一院制でした。これに対して、日本側の強い意思により、現在の憲法の二院制になったという経緯があります。この経緯を見ても、押し付け憲法ではないと言えます。日本国憲法第五十四条に参議院の緊急集会が制定された経緯も戦争への反省に基づいたものと言えるでしょう。 憲法制定会議で、憲法担当の金森大臣は、戦前の緊急政令を認めないためにも参議院の緊急集会を設けた、さらには、非常の場合の暫定措置はやはり行政権ではなく国会が行うべきだと発言しています。また、大日本帝国憲法下、一九四一年二月に法律を改正して、一九四二年四月まで一年間選挙を延長し、その間に国民の信を問うことなく、一九四一年十二月八日に無謀な日米開戦に突っ込み、何百万人もの犠牲者を出した歴史があります。この歴史の教訓を踏まえるならば、安易に緊急事態条項の制定とか衆議院の任期延長とは言えないはずです。 参議院の緊急集会という制度は、災害時などだけではなく、後世の私たちが同じ過ちを繰り返さないために戦争への歯止めとして憲法に組み込まれた仕組みという側面があります。戦後八十年、憲法審査会の私たちがこれを肝にしっかり銘じなければなりません。 さて、参議院では、昨年六月の参議院改革協議会の選挙制度専門委員会報告書で、緊急集会の機能の充実強化が明記されております。本審査会でもこれまで緊急集会の運用について充実した議論を行ってまいりましたが、機能強化や制度整備、選挙制度との関係などの議論を更に深めることは有意義であると考えます。 また、昨年、公明党の幹事からは、選挙困難事態の全国一斉選挙の必要性に対して、繰延べ投票でなぜいけないのか、衆議院議員の任期延長には民主的正統性の問題がある旨述べられ、問われるべきは、大災害時においてもできる限り選挙を行うことができる災害に強い選挙制度をどう整えるかであるという旨発言をされました。 戦前の反省からも、安易に任期延長を論じるのではなく、まずは、いかなる事態でも民主主義の源である選挙ができる制度の具体化の議論を深めるべきです。これこそ立法府の私たちの役割ではないでしょうか。 また、国会法百二条六に定められている憲法審査会の法的な任務として、憲法違反問題などの調査審議があります。三月二十五日大阪高裁まで五つの高裁で違憲判決が出ている同性婚禁止、あるいは、二〇二三年十月二十五日に最高裁は性同一性障害の生殖能力に関する規定の違憲判決を出しました。さらに、選択的夫婦別姓、憲法五十三条の臨時国会の召集義務違反など、憲法問題として本審査会の任務としてしっかりと調査審議する必要があります。 さらには、国民投票について、テレビやネットのCM規制、ネット上のフェイク情報の対処など、さらには広報協議会の在り方について何ら解決されておらず、これら結論を得ない限り、国民投票の実施は困難と考えます。憲法二十一条の表現の自由との関係や、インターネット社会の民主主義の在り方についての検証と憲法論議も必要だと考えます。 最後に、緊急集会についての議論の在り方について一言申し上げます。 立憲民主党では、衆議院の憲法審査会においてこのような発言をいたしております。参議院の緊急集会でできないことを前提として議論を進めることは、要するに衆議院で進めることは、参議院の自律に対する干渉ではないかと問題提起をいたしました。 緊急集会の在り方は参議院全体に関わる事項であり、参議院改革協議会などで広範な議論が必要です。参議院の憲法審査会だけで結論を出すことはできないばかりではなく、参議院を差しおいて衆議院の憲法審査会でその機能などについて結論を出すような事項ではないということは、参議院憲法審査会の各党の合意がなされるものと存じます。 念のためこの点も申し添えて、発言を終わります。 御清聴ありがとうございました。
○会長(中曽根弘文君) 谷合正明君。
○谷合正明君 公明党として、まず憲法に対するスタンスを申し述べます。 日本国憲法は、戦後民主主義の基盤を築いた優れた憲法であります。特に、国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義の三原理は、普遍の原理として将来とも堅持すべきです。 一方、憲法施行時には想定されなかった新しい理念や憲法改正でしか解決できない課題が明らかになれば、必要な規定を付け加えること、すなわち加憲は検討されるべきです。その項目として、公明党は、自衛隊の位置付け、緊急事態における国会機能の維持の在り方、デジタル社会の進展を踏まえた人権保障の在り方、国及び国民の地球環境保全の責務の明記などについて具体的な議論を進めるべきではないかとの考え方を示してきたところであります。また、憲法改正国民投票における広告放送やインターネット広告の規制の在り方についても喫緊の課題として議論を進めていく必要があると考えています。 このような公明党としての憲法に対するスタンスを前提として、今国会においては、特に次の四点について参議院の憲法審査会で議論を深めることとしてはどうかと思います。 まず一点目、緊急事態における国会機能の維持であります。その中で二つ、参議院の緊急集会と緊急時の国会議員のオンライン出席について申し述べます。 参議院の緊急集会、これまで本審査会では参議院の緊急集会を議題として調査を重ねてまいりました。参考人からの意見聴取や事務局、法制局、政府からの説明も聴取し、議論を深めてまいりました。一方で、各会派の意見表明にとどまっているのが現状であります。参議院の基本的かつ重要な権能である参議院の緊急集会については、緊急時に緊急集会の当事者となる本院として、緊急集会をめぐる様々な論点について見解を整理していくことが必要です。本審査会として論点整理を行っていくべきだと考えます。 なお、昨年の常会では、憲法上、法律上の論点にとどまらず、参議院のBCPといった実務上の論点についても問題提起がされたところであります。実際の策定は必ずしも本審査会の任務ではありませんが、参議院BCPについてもあらかじめ論点、課題を整理しておくことは有意義であると考えます。緊急時の対応に遺漏なきよう期すのが権限を与えられた参議院としての責務であります。 次に、緊急時の国会議員のオンライン出席です。 コロナ禍の経験を経て、先日、参考人については本院においてもオンラインで委員会に出席が可能となりましたが、国会議員についてはまだオンライン出席が可能となってはいません。二百八国会においては本審査会で三回この問題を議題として調査を行っておりますが、その後は本審査会として明確に議題として取り上げていないところであります。緊急事態において参議院が万全の対応を可能とするためにも、改めてこの問題を取り上げ、議論を深めた上で本審査会として意見集約を求めたいと思います。 次に、大きな二つ目であります国民投票法であります。 昨年、憲法審査会において、憲法改正の発議や国民投票の実施に関する検討課題、特に合同審査会や広報協議会等に関する規程の整備、投票環境の整備や国民投票の公平公正を確保するための措置などについて議論が行われたところであり、これらの課題について引き続き本審査会で更に議論を深めるべきであります。 情報化社会の進展により様々な恩恵を受けているが、負の側面にも目を向けなければなりません。アメリカ大統領選挙を始めとして選挙イヤーと言われた昨年、フェイクニュース、偽情報により各国の選挙に影響があったと言われているところであります。我が国の選挙においても、SNS上の偽情報など様々な問題が指摘されているところであります。選挙は民主主義の基盤であり、表現の自由や選挙運動の自由に配慮しつつ、民意をゆがめかねないフェイクニュース、偽情報への対応は急務であります。 同じ課題は国民投票にも当てはまります。国民投票法を所管する本審査会として、フェイクニュース、偽情報にどう対応するか、表現の自由と国民投票の公平公正とのバランスを踏まえた議論を行うべきであります。 あわせて、国民投票の広報において広報協議会が果たすべき役割についても、規程の整備を念頭に議論を行うべきであります。 次に、三つ目でありますが、政党条項についてであります。 政治と金の問題をきっかけに、現在、深刻な政治不信を招いているところであります。政治と金の問題が繰り返される原因の一つは、政党のガバナンスの欠如にあるのではないかと考えます。現行法制上、政党は政治資金規正法や政党助成法によって定義されているものの、政党が担うべき公的役割や責任、ガバナンスの在り方についての言及はありません。 例えば、憲法に政党条項を設けたり、政党法を制定し、政党が担うべき役割や責任等を法律という誰の目にも明らかな形で定めることなどにより政党のガバナンスの向上を図ることも、政治不信払拭のための方策として検討に値するのではないかと考えます。国によっては政党を憲法で位置付ける国もあり、諸外国の状況等も踏まえつつ、我が国の憲法の下で政党をどのように位置付けるべきか、政党法の在り方について本審査会でのテーマとして取り上げてみてはどうかと思います。 最後に、大きな四つ目の話であります。 性的マイノリティーの人権をめぐっては、性同一性障害特例法や同性婚などについて、最高裁や高裁において違憲という厳しい司法判断が示されているところであります。性的マイノリティーや外国人、障害者等の人権課題については、まさに憲法十三条、十四条、二十四条を始めとする問題でありまして、本審査会でも取り上げ、議論をすべきではないかと考えております。 以上、憲法に対する公明党のスタンスと、また今後の議論の進め方について申し述べました。 ありがとうございます。
○会長(中曽根弘文君) 片山大介君。
○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。 参議院憲法審査会の討議の場は、今日が今通常国会で初めてとなります。去年の通常国会に比べると一か月以上早い開催になったものの、前回、最後に討議が行われたのは六月なので、実に九か月ぶりの開催となります。憲法審査会は国会の閉会中も行えること、また、衆議院の憲法審査会においては、去年十二月に一回、今国会でも既に二回の討議が行われていることを考えると、参議院の憲法審査会において九か月もの間討議が行われてこなかったことを大変残念に思います。 去年の通常国会の参議院憲法審査会では、都合四回討議が行われました。テーマは、憲法に対する考え方を始め、緊急集会や国民投票法などで、各党各会派からそれぞれの考えを示す形を取りました。九か月ぶりの今回のテーマは再び憲法に対する考え方。通常国会ごとに振出しに戻るようなテーマ設定をしていては、その先の議論へなかなか進めないと危惧しています。 そもそも、衆参両院に憲法審査会が設置されたのは平成十九年八月のことです。憲法審査会規程の制定などが遅れたため、平成二十三年十月から活動を開始することになりましたが、それからも十三年半がたちました。まずは党内で議論する、それを憲法審査会に持ち寄って各党各会派として提案し徹底的に議論する、そして最終的にそれが是なのか非なのかを採決して決める、これが憲法審査会の在り方だと思います。なのに、今もそうした状況にまで行き着いていません。国民に考えていただく材料すら提供できない状況にあることを改めて認識しなければいけないと思います。 開催頻度が少ない上、開催しても各党各会派がそれぞれの考えを述べるだけでなく、参議院の憲法審査会として意見を集約する、一つの考え方をまとめていくことを今通常国会において実現していきたいと思います。 我々日本維新の会は、教育の無償化と統治機構の改革、憲法裁判所の設置、自衛隊の明記、それに緊急事態条項の創設の五項目について既に条文案を示しています。このうち、緊急事態条項の創設では、衆議院の方で、維新のほか、自民、公明、国民民主、有志の会との五党派によって、緊急時で選挙の実施が困難な一定の場合、必要に応じて議員任期を延長できる条項を設ける必要性などで一致し、さらに、維新、国民、有志の会の三党派で独自に条文案をまとめています。 去年の能登半島地震や最近の全国で相次ぐ山火事など、いつどこで突然の災害が起きるか分からないことを改めて認識させられています。 能登半島地震では、国会の機能は維持され、被災地支援のための特例法案など必要な審議を行うことができました。しかし、首都圏において大規模な災害などが発生した場合、現行憲法の規定では今回のように国会機能が維持できるとは限りません。 また、我が国が直面する脅威は自然災害だけではありません。先日、三月二十日にはオウム真理教による地下鉄サリン事件から三十年になりました。将来、首都東京の国家中枢でこのような大規模テロが再び起きないとは限りません。 武力攻撃事態については、例えば台湾有事について台湾国防部は、中国による侵略の可能性がある年を二〇二七年であると言及したという報道もあります。 感染症の蔓延については、COVID―19よりも病原性及び感染性がはるかに高い感染症が蔓延し、社会機能が停止することもあり得ます。 このような状況に鑑み、維新がまとめた緊急事態条項の改正条文案では緊急事態として五類型を提示しています。武力攻撃、テロ・内乱、自然災害、感染症の蔓延、そしてこれらに匹敵する緊急事態の五つです。もちろん、我々が提言している緊急事態条項案、議員の任期延長論においても参議院の緊急集会の重要性が変わることはいささかもありません。しかし、そこには、長期にわたる場合を想定していないことなどの限界があります。 参議院の緊急集会については、先週、衆議院の憲法審査会で議論が行われました。しかし、参議院の緊急集会は、衆議院ではなく、参議院の憲法審査会でこそ率先して議論されるべきテーマで、意見の集約を目指して議論を進めていきたいと思います。 今後、参議院の憲法審査会を毎週定例日に開催したとしても、今国会の会期末まではあと十回ほどしかありません。熟議の府の参議院らしい議論を行うため、定例日以外の開催も提案したいと思います。その上で、国民の憲法問題への関心を大いに高め、議論に参加してもらうために、憲法審査会の模様をNHKでテレビ中継することも求めたいと思います。 国民主権を掲げる日本国憲法が一度も国民の審判を仰いでいないのは大きな矛盾です。国民の命と暮らしを守るための基本法たる憲法に不断に向き合い、時代に即したものに作り上げていくことは国会議員に課せられた重大な責務です。 日本維新の会は、引き続き、国会内外で憲法論議の先頭に立ち、一日も早く国民投票が実施されるよう全力を傾けることをお約束し、意見表明を終わります。
○会長(中曽根弘文君) 川合孝典君。
○川合孝典君 国民民主党・新緑風会の川合孝典です。 参議院憲法審査会の開催に当たり、国民民主党の問題意識と目指すべき方向性について、人権分野と統治機構分野に分けて簡潔に意見表明します。 現行の日本国憲法は、人権尊重、国民主権、平和主義といった理念の下、政治プロセスの合理性、正統性を確保するため、国家権力の構成、統制と個人の人権保障を定めているものであり、全体として高く評価すべきものであります。今後もこの理念や体系は維持すべきと考えております。 その前提に立ち、結党以来数次にわたって有識者との議論や市民との対話を行った結果、多くの課題が浮かび上がってまいりました。 まず、人権分野ですが、現行憲法制定時には想定していなかった時代の変化に対して、憲法の定める基本的人権の保障に十分対応し切れていない点が指摘されております。デジタル化の進展により、AIを使った心理的プロファイリングなどが個人の主体的な生き方にも影響を与えるなど、実体空間、サイバー空間を問わず、自立した個人の尊厳が脅かされるような状況が現れているほか、AIとネット社会の融合により登場したプラットフォーム提供者による情報が社会的、政治的な分断を生じさせ、豊かな対話と熟議の確保を前提とした民主主義社会の基礎を揺るがす大きな脅威となっています。 このような状況からは、人権保障のエアポケットが生まれつつあると言わざるを得ず、デジタル時代の到来や個人の生き方の変化、多様化に対応するためのアップデートが必要と考えます。 次に、統治機構分野ですが、国際的に見ても、比較的規定が豊富な人権規定に比べて、相対的に条文の抽象度が高く、条文の分量が少ないため、法規範として規律統制する力が弱く、憲法の規律統制機能が働きにくい条文となっていることが多くの識者から指摘されております。その結果として、時の政権の都合で基本的な政治基盤の変更が容易に行われる事例もしばしば見られております。 まず、規律密度が低い典型として挙げられる地方自治の分野では、僅か四か条しかなく、かつ、それぞれの条文も極めて抽象度の高い簡潔な条文にとどまっているため、地方自治の在り方自体が結局は国の法律によって左右されることとなっており、住民自治や団体自治といった地方自治の本旨は事実上形骸化しております。 また、国政分野においては、これまでも恣意的とも言える衆議院解散権の行使が続くなど、内閣が余りにも強大な権限を握るようになる一方、憲法上の要件を満たしても臨時会が召集されないなど、国会による民主的統制が十分に機能しておりません。本来、政治部門の行き過ぎをチェックし、個人の人権の最後のとりでとなるべき裁判部門においても、政治部門の行為の憲法適合性を問う一般的なシステムが憲法上ビルトインされておらず、統治行為論によって違憲判断を差し控える事例が多いと言えます。 日本国憲法の三大原理の一つとされる平和主義に関しても、本来なら憲法改正で対応すべき事項と真摯に向き合わず、一般国民にも国際社会にも容易に理解し難い政府解釈の積み重ねと変更を繰り返す形で現状を追認してきた結果、憲法九条は事実を規律し統制する力を失い、ひいては憲法の規範力自体に対する国民の信頼を失ってしまっているものと認識しております。 さらに、戦力不保持、交戦権否認をうたう九条二項の下で、集団的自衛権の一部容認にまで踏み込むに至っては、憲法九条の規範力はいよいよ限界を超えたというべきであり、改めて、日本国民の自律的な意思により自衛権をいかに統制するかが今まさに問われているものと考えております。 日本国憲法は、条文の抽象度が高く、また条文の分量が少ないため、解釈あるいは不文律で補わなければならない余地が相当に広いことが認識されていますが、その広い余地を解釈ないし不文律で埋める際に恣意性が働き過ぎると人の支配に陥る可能性があり、その積み重ねが三権分立のバランスをゆがめ、憲法の規範力とそれに対する国民の信頼を揺るがせ、結果的に法の支配の空洞化を招来せしめていると言わざるを得ません。 このような事象に鑑みると、現行憲法の体系性を維持しつつも、適切な範囲でこの規律密度を高めることにより三権分立のゆがみを是正し、憲法の規範力とそれに対する国民の信頼を再構築して法の支配を貫徹させることは喫緊の課題になっているものと考えております。 今後目指すべき方向性として、私たち国民民主党は、二十一世紀中葉に向けた新たな社会像、国家像を明確にするため、現行憲法の個人の尊重を核とした三つの基本原理である人権尊重、国民主権、平和主義については、これを確認の上、引き続き堅持することを宣言するとともに、個人の尊厳、地域の尊厳、そしてグローバリズムの時代にこそ国家の自立を確保するための国家の尊厳の具体化を通じて、目指すべきこの国の形を提示する国家目標を掲げて、その実現に向けて努力していく姿勢を明らかにするべきと考えます。 以上、国民民主党・新緑風会の意見表明とします。
○会長(中曽根弘文君) 山添拓君。
○山添拓君 日本共産党を代表し、憲法に対する考え方について意見を述べます。 昨年十二月に産経新聞が行った世論調査で、石破内閣に今後取り組んでほしい政策として憲法改正を挙げたのは三・三%にすぎませんでした。最も多かったのは物価高、賃上げ対策、次いで子ども・子育て支援、経済対策、景気対策と続きます。改憲は決して政治の優先課題として求められていません。 憲法審査会は、二〇〇七年、安倍元総理が、任期中の改憲を目指す、そのための手続法だ、時代にそぐわない条文の典型は九条などと述べる中、文字どおり改憲ありきで強行成立させた改憲手続法に基づき設置されました。改憲原案を審査、提出する権限を持つ機関であり、ここでの議論はいや応なく改憲案のすり合わせへと向かいかねず、現に今日も取りまとめを求める意見が出されています。国民が求めていない改憲のための憲法審査会は動かすべきでないことをまず指摘します。 今年は治安維持法の制定から百年です。天皇絶対の体制、国体の変革を求める主張や運動を極悪犯罪とし、君主制の廃止や侵略戦争反対を掲げた日本共産党を最大の弾圧対象に、さらには、労働組合や文化人、知識人、宗教者など、幅広く国民を監視し、自由と民主主義を奪い、反戦運動を取り締まり、国民を戦争に駆り立てました。最高刑を死刑に引き上げ、規制対象を大幅に広げたのは一九二八年の改正です。国会で審議未了となったにもかかわらず、当時の内閣が緊急勅令で強引に成立させました。弾圧は圧倒的に強まり、小林多喜二が特高警察の拷問で虐殺されたのは一九三三年のことです。 戦後、治安維持法は廃止されましたが、政府は今日に至るまで、当時適法に制定され、刑の執行も適法に行われたと開き直り、弾圧による犠牲者への謝罪も賠償も拒否しています。多喜二の死を心臓麻痺だとうそぶいた警察当局の所業を適法で適切だったとでも言うのでしょうか。 緊急勅令は、大日本帝国憲法に定められた緊急事態条項の一つです。日本国憲法にいわゆる緊急事態条項がないのは、こうした過去の濫用による人権の圧殺と侵略戦争の痛苦の歴史を踏まえ、議会制民主主義の徹底を図るためにほかなりません。 憲法担当だった金森徳次郎大臣が憲法制定議会で述べたように、民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するためには、政府が一存で行い得る措置は極力防止しなければならない、だからこそ参議院の緊急集会が設けられました。加えて、憲法五十四条三項は、緊急集会でとられた措置は臨時のものであって、次の国会開会の後十日以内に衆議院の同意がない場合にはその効力を失うとしており、その性格はあくまで一時的、暫定的です。これは、権力の集中とその濫用を排除する上で重要です。二〇二三年に当審査会で意見陳述した土井真一参考人が、緊急集会の制度には緊急事態から通常時へのレジリエンス、復元力が高い、復元した後のチェック体制という合理性があると指摘したことを想起すべきです。 新型コロナの感染拡大、ロシアによるウクライナ侵略などを奇貨として、緊急時に国会の機能を維持すべき、そのために衆院議員の任期延長が必要との議論が蔓延しています。国政選挙の適正な実施が選挙の一体性が害されるほどの広範な地域で、かつ長期にわたり困難であることが明らかな場合などと言います。選挙の一体性とはいかにも曖昧な概念です。それほど広域に及ぶ自然災害を想定するなら、原発事故の危険性こそ直視すべきです。深刻な感染症蔓延を想定するなら、医療費削減ありきの姿勢を改めるべきです。武力攻撃による広範な影響を想定するなら、沖縄先島諸島から九州、山口へ住民を避難させるなどという計画は机上の空論だと認めるべきです。 結局、選挙困難事態などという主張は、本当の危機的事態をどう防ぐのかではなく、危機をあおれば改憲の突破口となるとの打算の下に改憲案をすり合わせようという画策にほかなりません。 昨年十二月、韓国の尹錫悦大統領が突然宣言した非常戒厳は、一切の政治活動を禁止し、出版、集会、結社の自由を大幅に制限するなど、極めて強権的に基本的人権を奪うものでした。この事態を受け、日本でも憲法改正で緊急事態条項を整備すべきだという主張がされましたが、驚くべき倒錯です。 自民党が二〇一二年にまとめた改憲草案は、総理大臣が緊急事態と宣言すれば、内閣が法律と同じ効力を持つ政令を制定できるとしています。国会から立法権限を奪い、私権の制限を可能とする仕組みであり、自民党はこの案を今も撤回していません。国会議員の任期延長も、議会の多数派が緊急事態を口実に議員の地位にとどまり、総理大臣を指名し、内閣を延命させ、一方で国民の選挙権を奪うものであり、権力の集中とその濫用のおそれという点では戒厳令と同様の危険が高いというべきです。韓国の教訓は、緊急事態条項がないからこそ独裁体制の確立や権力の濫用を防止し得るという点に見出すべきです。 今必要なことは、危機を殊更強調し、緊急時に備えよとあおることではありません。健康で文化的な生活を保障した二十五条を生かし、大幅な賃上げと年金の拡充、生活保護基準の大幅な引上げや消費税減税を、個人の尊重を定めた十三条、法の下の平等を定めた十四条を踏まえ、選択的夫婦別姓を始め、ジェンダー平等の実現を、教育を受ける権利を保障した二十六条を生かし、給食費無償化や大学の学費値下げを、そして九条に基づき、対話と協調、包摂的な平和外交を、すなわち、憲法を変えるのではなく、憲法に基づく政治に変えることこそ求められていることを強調し、意見とします。
○会長(中曽根弘文君) 山本太郎君。
○山本太郎君 今ある憲法も守らない者が憲法改正をうたうなど笑止千万、寝言は寝てから言え。まずは今ある憲法を守れ、話はそれからだ、これがれいわ新選組のスタンスです。 衆議院憲法審査会は開催しているのだから参議院もなど論外。憲法改正に向けての回数稼ぎ、改憲の下地づくりにくみしない、これこそ良識の府参議院の独自性。 憲法審査会の役割を参議院ホームページで見ると二つある。第一の役割として、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制についての広範かつ総合的な調査とされている。どうしても参院で本審査会を開くなら、最優先は調査。現行の憲法と密接に関連する法制度が憲法の趣旨に沿って運用されているのか、憲法の趣旨に即してどのような法改正が必要になるのかを議論し、政府に突き付けることが本会の存在意義である。 なぜなら、憲法の趣旨とは百八十度違う棄民とも言える国家運営が行われ続けているのが日本国なのだから。先進国で唯一、三十年も経済不況が続くも、国を切り売り、民を切り捨て、今や国民の六人に一人が貧困。この物価高で、ミルクを薄めて子供に飲ませている、親の御飯を抜いて子供に食べさせているなど、いつの時代の話ですかという状況に国民を置いているのがこの国の政治。貧困家庭にとどまらず、国民全体でも六割が生活が苦しいという状態で、中間層も追い込まれている。備蓄米放出でも値段は下がらず、有識者いわく、五月には五キロ三千五百円くらいと予測されるが、それでは半年前の水準にも戻っていない。農水大臣は三千円ほどなら値頃感と、どこまで行っても間抜けな発言は止まらない。 さきに通った予算では、消費税の減税さえも行わず、新たな給付金もなし。一方、自分たちへの給付金、企業献金だけは四の五の言いながら死守。裏金の反省などはるかかなた、もう終わったことと、三十年の不況とコストプッシュインフレに苦しむ庶民を置き去りに、政治だけが次に進もうとしている。 国民の生存権にも興味もなく、全体の奉仕者である公務員としての役割も放棄。憲法二十五条、十五条にも違反する品位のない泥棒議員たちが国民をぶん殴り続け、国を没落させ続ける場所が国会というおしゃべり小屋。ここに良識の府を代表してしっかりと水を差せるのが参議院の憲法審査会という存在ではないだろうか。 例えば、経済的に追い詰められた国民にとって最後の命のとりでが生活保護。九八%以上が適正受給である生活保護を不正受給だらけだと事実に基づかない話を流布。自民党は、生きるか死ぬかぎりぎりの状態にある人でも、保護の利用をためらう恥の概念を埋め込んだ。何とか生活できる程度しか出されないお金を更に引き下げると公約。実際に二〇一三年から実行したのが自民と公明。その頃の当事者の声、入浴の回数を月一回にした、食事を削った、おかずを諦め御飯にしょうゆを掛けて食べている、真冬に灯油が買えず肺炎になった、交通費が捻出できず一切外出しないなどなど。この後も数度にわたり引下げは行われ続けた。 この非人道的引下げを憲法二十五条違反などで訴えるいのちのとりで裁判では、受給者側の訴えを認める高裁判決が続く。今年一月、福岡高裁は、生活保護費の減額決定を取り消し、厚労省の判断は生活保護法に反し違法と述べた。三月には、大阪高裁が京都市の受給者三十二人の減額決定を取り消し、札幌高裁では、国の判断の過程には憲法の趣旨や目的に反する誤りがあり違法と、引下げを取り消し。全国で二十九か所での裁判は、これまで地裁で十九勝十一敗、高裁では六勝四敗。 当時、生活保護引下げの際、理由として掲げられたのはデフレ調整だった。しかし、それらは生活保護利用世帯には影響を与えないテレビやパソコンなどの高額商品の価格の落ち込みを引下げの理由に反映したむちゃくちゃな話であった。本来、このような問題こそ本審査会で取り上げ、最高裁判決を待たず、会として決議を出し、憲法に則した生活保護費の支給を政府に求めるべき案件。 一方、この三十年で確かに国民の購買力は鈍化。それを加速させたのはいかなる経済政策だったか。 物を作っても国内で売れないのは需要が減っていったから。なぜ需要が減ったか。資本側の利益を増やすため、安くて首を切りやすい非正規労働者を増やした。結果、国民の購買力を減らした。そして、購買力のない国内市場に見切りを付け、多くの企業が海外に出ていくよう仕向けた。 そして、国内での需要を激減させ、失われた二十年、三十年の起点となったのが、九七年、消費税五%への引上げ。ここから消費税を上げるたび、個人消費の落ち込みがリーマン・ショックを上回るという社会実験を何度も繰り返し、その代償を国民の命と生活苦で支払わせる鬼畜ぶり。社会保障の大切な財源だから減税はしないと言い、過去最高益の大企業には負担を増やさないという徹底ぶり。 とっくに壊れた国を健全な国だと国民をだまし、必要な施策も打たず、物価高を上回る賃上げを実現すると新たなうそで国民をだます。そろそろいいかげんにしてもらっていいですか。この国でどうやって人間の尊厳を守れるというんですか。この国でどうやって個人として尊重されるというんですか。 参議院憲法審査会事務局に確認。衆参憲法審査会が二〇〇七年に設置されてから、憲法十三条や憲法二十五条に特化したテーマ設定で調査が行われた回数はゼロ回。やりましょうよ、調査を。国民生活を底上げして、失われた三十年を取り戻し、ジャパン・アズ・ナンバーワンを、日本を再興するための最後のとりでがこの憲法審査会だと私は考えています。やりましょう、こういった調査を徹底的に。 以上です。
○会長(中曽根弘文君) 高良鉄美君。
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。 沖縄戦が三月二十六日、八十年前、慶良間諸島上陸から始まりました。九月七日まで続いています。そういったことで、もう平和主義、戦争放棄というのをまず考えるということ。憲法の中の三原理、もう一つは主権在民です。民の方から憲法改正の声があるかどうかというのをしっかり見なきゃいけないということ。それから、基本的人権の尊重ですけれども、基本的人権は日本国憲法が世界で初めてこのファンダメンタルという、基本的という言葉を人権に付けました、憲法としてですね。そこをしっかり意識をして、今の政治状況を含めてこの三つの原理から見るということを沖縄の風の方では考えております。 今日は、法の支配と憲法審査会の在り方を少しお話ししたいと思います。 意見として、この法の支配、これは毎回私は聞いておりますけれども、この専断的な国家権力の支配、これを法で拘束するということですから、この専断的な国家権力は誰によってあるのかというと、人の支配、あるいは人の集団の支配ということでしょうから、これはもう歴史的に、国民の方の権利あるいは自由というものを擁護しなきゃならないと、この国家権力の横暴に対してですね。 これが法の支配ということですので、このルール・オブ・ローという言葉がありますけれども、これをマスコミによっては間違った訳をしています。法原理と言ったり、あるいは法の規則と言ったり、そういう言い方をしていますけれども、法の規則になったらこれは意味がないですね。それから、法律の支配というのは、ましてやこの中には基本的な意味ではないということです。 ところが、議論している場合にいろいろ法律の支配と考える方が非常に多いということで、法の支配と法律の支配は全く違うということですね。ですから、法というのはここではもうまず憲法です。憲法に当てはまるかどうかという問題です、適合しているかどうかという問題だと思います。 それから、憲法改正、この改正議論をする、国会議員の義務だと言ってますけれども、どこにそこが書かれているかということです、憲法の中に。それ勝手に創出したらいけないということです。人の支配をやらないための手段として憲法の支配があるのに、これを変えるのが義務だというふうに、あるいは変える議論をするのが義務だというふうになるというのは、どこに書いているのか。遵守する義務の方がむしろ九十九条にあるということですよね。 その辺もしっかり踏まえた上で、国会議員が何で国会議員たるものかというのは、これ、憲法で国会議員と書かれて、そこに地位があるから国会議員なんですよね。それが憲法よりもあたかも上にあるかのように、ここがおかしいから変えるというのは、基本的な視点でまず間違っているだろうと、構造的にですね。 ですから、これは、国民がこの憲法の規定によって自分たちの人権が侵害されている、あるいはこの憲法では生活がもたないとか、そういうようなことならまだしも、規定上、憲法が求めているのは、むしろ国民の人権の保障と暮らしの安定であるということが生存権の問題でもあろうと思います。ですから、そういったところを法の支配との関係でこの憲法審査会の在り方を考えると非常に問題があろうと思います。 というのは、問題が具体的に出てきて、これが国民的な議論になってお願いしますと、国民の方で問題になっているという場合に、憲法審査会というものが設置をされて、その議論をしていくということだと思います。ところが、これを重箱の隅をつつくような形であらを探して毎回考えていくというのは、これは憲法と国会議員の在り方あるいは法の支配の在り方としては非常に大きな問題があるだろうと思っています。 そして、この憲法の規定によって、先ほど言ったような国民の人権、自由を侵害しているなら、これは、国民は主権者として国会に依頼をする、あるいは立法によって解決をする、あるいは司法に憲法訴訟を起こして、それで足りないというような結論が出れば、それは、そういったものを変えていくなり、あるいは早い場合には行政によってということもあると思いますけれども、この国民主権、憲法制定権力を持っている国民の憲法との関係での主権者としての在り方だろうと思います。そして、そうであれば、憲法審査会はアドホック、つまり、問題に対処するためにそのままこの問題を直結して集中審議をするということだろうと思います。 しかし、議論をすべき問題として、この八十年、戦後八十年近くのこの憲法の歴史の中で、これだけ長い間やっていながら、特定の問題がある形になっているかどうか、この特定の問題をやってくださいというのを国民が言っていることがあったのかということ、それが今問題だろうと思います。 国民からの提起として、憲法によってこの人権をしっかりともっと充実させてくださいというようなことを考える場合には、これ憲法を変えなきゃいけないという状態まで行くのか行かないかですね。ですから、一番大きな問題としては、憲法事項と法律事項をしっかり区別しなきゃならない。学費の問題など、そういった問題も憲法に書くんではなくて、これは法律事項です。ですから、基本法としての法律を生かしていくということを考えなきゃならないだろうと思います。 憲法事項というのは、やっぱり大きな構造ですので、それは抽象的な部分もあると思います。あると思いますが、これは司法権との間、あるいは国会での議論の間、そういった中で法創造力をしっかり生かしていくということが重要だろうと思います。細かい点まで憲法で書いていると駄目だというふうにして、私の意見の表明をしたいと思います。
○会長(中曽根弘文君) 以上で各会派の意見表明は終了いたしました。 次に、委員間の意見交換を行います。 一回の発言時間は各三分以内でお述べいただきたいと存じます。 なお、発言が終わりましたら、氏名標を横にお戻しください。 若林洋平君。
○若林洋平君 発言の機会をありがとうございます。自由民主党の若林でございます。 佐藤筆頭からは緊急集会について主に発言がございましたので、私からは合区問題について述べさせていただきます。 参議院改革協議会の下に設けられました選挙制度専門委員会では、昨年六月に報告書を協議会座長に手交したところでございます。 その専門委員会では、合区導入選挙区での投票率の低下等、民主主義の根幹にも関わる弊害が明らかになっていることは共通認識であり、現行の合区の不合理は解消すべきとの意見がほとんどでございました。一方、選挙制度の枠組みにつきましては各会派の考え方に異同があり、大きく分けて、都道府県単位の選挙制度の維持徹底、ブロック制の導入の二つの方向性が示されております。 参議院改革協議会では、委員会等での参考人のオンライン出席をめぐる議論をまとめ、既に参議院規則も改正したことから、今後合区解消に向けて議論が進むものと期待をしておりますが、同時に本調査会でも合区の抜本的な解消に向けて議論を深めるべきと考えます。 一昨年の最高裁合憲判決は、参議院改革協議会とともに本憲法審査会における議論に触れたことにつきましては、較差の是正を含む選挙制度改革に向けた参議院の努力の一つとして注視されているものと考えられます。 また、全国知事会から憲法改正による合区解消と現行憲法の地方自治の規定の充実を求める声が寄せられております。本審査会におきましても、明治以来ほぼ変わらずに民主主義のユニットであり、我が国の民主主義にしっかりと根付いた制度である都道府県制度を我が国の憲法にどのように位置付けるかという議論も進めることも必要でございます。 国民の皆様も、合区について疑問を呈する向きが増えてきております。本年一月に公表されたある新聞社の世論調査では、合区解消すべきは五〇%を超えております。 いずれにしても、人口の指標だけで参議院議員を合区としてしか出せない県が存在することに弊害があることは明らかであり、合区解消についても本憲法審査会において議論を深めていくことが重要だと訴えまして、私の発言を終わりにしたいと存じます。 よろしくお願いいたします。以上です。
○会長(中曽根弘文君) 福島みずほ君。
○福島みずほ君 立憲・社民・無所属共同会派の福島みずほです。 第一に、参議院の緊急集会を極めて限定し、緊急事態条項の憲法改正が必要だとする言説は間違っています。 参議院の緊急集会を無視あるいは限定し、緊急事態条項、その中でも国会議員の在任期間の延長が語られる場合があることに強い危惧を感じています。参議院軽視です。 緊急集会は、憲法五十四条二項は一項を受けた規定であるといういわゆる連関構造を理由に、七十日に限るという発言をしている人がいますが、それは違います。五十四条一項の趣旨は現政権の居座り防止にあります。また、五十四条二項には緊急集会の活動期間を直接に限定する文言はありません。 戦前、緊急勅令や戒厳令などにより基本的人権が制限された反省に鑑み、緊急事態条項を置かず、国会中心の緊急集会を憲法に規定した意味は極めて大きいです。日本国憲法は、その制定時から緊急事態条項を拒否したと言わなければなりません。 国会議員の任期を自由に延長し居座りを許すことは、議院内閣制を取っている我が国において、政府を変えられないということを意味します。緊急事態条項、国会議員の任期延長の本質は民主主義の破壊であり、国会の停止です。 昨年十二月、韓国で大統領が戒厳令を宣告しました。この戒厳令を解除できるのは国会の決議だけでした。戒厳令の敵は国会であり、民主主義です。だからこそ、軍隊が国会を包囲し、かつ国会に突入を図り乱入したのです。 民主主義が機能しなくなるよう、民主主義の破壊を国会議員の在任期間の延長や緊急事態宣言、戒厳令で行ってはなりません。韓国の戒厳令の宣告を見て、だからこそ日本にも緊急事態条項が必要だという発言もありましたが、全く正反対の論理です。 緊急事態条項、国会議員の任期期間の延長に強く反対をします。 第二に、憲法審査会の目的の大きな一つである法律や制度が憲法適合性を持っているかどうかの点検と議論こそ必要です。 二〇二五年三月二十五日、大阪高等裁判所は、同性婚を認めないことは憲法十四条、憲法二十四条二項に反し、違憲であるとの判決を出しました。五つの高等裁判所で憲法違反であると断ぜられたのです。また、性別変更については、最高裁で違憲判決が出ています。国会がこれを受け止めて立法作業をすること、憲法を生かしていくことが必要です。 現行憲法を守らずに、憲法を踏みにじりながらその憲法を変えようとすることの暴挙について、強く抗議をしたいと思います。 憲法改正を言う前に、まず憲法を守れ、憲法を生かせということは、憲法尊重擁護義務を持つ国会議員に課せられています。 まず、違憲と言われたことを受け止め、同性婚や性別変更の法律についての憲法適合性について議論していこうではありませんか。
○会長(中曽根弘文君) 山本啓介君。
○山本啓介君 自由民主党の山本啓介です。 自衛隊の憲法における明記について意見を述べたいと思います。 今こそ我々は、長きにわたり目を背けてきた自国の安全保障という根源的な問題と真っ正面から向き合うべきときであると考えます。 占領下かつ短期間に起草された現行憲法は、これまで七十八年という月日を経て、幾度となく矛盾が見え隠れしている現実があります。その一つが曖昧な自衛隊の存在です。 自衛隊は建前上戦力ではないとされていますが、装備、訓練、そして能力、そのどれをとっても他国の軍隊と何ら遜色はなく、国際社会も我が国の自衛隊を事実上の軍隊として認識されている側面があります。にもかかわらず、国内においてのみ曖昧な存在として扱われ続けている。この欺瞞にいつまで我々は目をつむり続けるのでしょうか。 世界の安全保障情勢、とりわけ東アジアの安全保障環境は緊迫の度合いを増しています。我が国周辺国は、軍拡を続け、力による現状変更を試みようとしています。また、ヨーロッパに目を向けると、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化により、ドイツなどは防衛力強化の観点から憲法を改正しています。 そのような世界情勢の中において、自国の領土、領空、領海を、そして国民の生命と財産を守るための実力組織である自衛隊を憲法上明確に位置付けることすらできていない矛盾は、主権国家として余りにも異常な事態であり、我々はこれを直視し、解決しなければなりません。 自国の安全は自らの手で守り抜く、それは独立国家として当然の義務であり、権利です。国際社会の一員として平和を希求する姿勢は、これまでと同様、何ら変わることはありません。 憲法改正によって自衛隊をしっかりと明記し、自衛隊を民主政治の下に明確に位置付けることで、隊員たちは自らの使命に誇りを持ち、家族は隊員を送り出し無事の帰宅を願う、国民は自衛隊の活動に対する信頼、感謝を一層深めることができるのではないでしょうか。 以上のことから、議論を積み重ねた上で、憲法における自衛隊の明記の必要性を求めて、私の意見を終わります。
○会長(中曽根弘文君) 柴田巧君。
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。 憲法に対する考え方について、私からも発言をさせていただきます。 世界の多くの憲法は、社会の動きに応じてかなりの頻度で改正されています。しかし、日本国憲法は、施行されて七十八年になろうとしていますが、一言一句変わっておりません。四分の三世紀を超え、時代と国際情勢の変化に取り残されたままの現憲法の課題は明確になっています。 ロシアによるウクライナ侵略が続いている上、中国は軍備増強に突き進み、我が国有事に直結する台湾有事が現実味を帯びつつあります。さらに、北朝鮮は弾道ミサイル発射を繰り返しています。これら核を保有する専制国家に囲まれていながら、国の根幹を成す最高法規が安全保障上の危機を乗り切るだけの実効性を担保しているとは言い難い状況です。加えて、南海トラフや首都直下といった大震災やテロ、新型コロナウイルスに続く未知の感染症蔓延など、その他想定され得る有事にもこのままだと対応し切れません。にもかかわらず、立法府がカタツムリのような歩みを続けています。国民の生命、財産、我が国の平和と安定を守るために、憲法改正を遅滞なく実現すべきです。 我が党は、日本国憲法が国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という価値観を定着させた点を正当に評価しつつも、我が国が抱える具体的な課題を解決し、未来に向けた憲法論議を深めていく必要があるとかねてから強く訴えてきました。そして、先ほど我が党の片山大介議員が述べたとおり、教育無償化、統治機構の改革、憲法裁判所設置、自衛隊明記、緊急事態条項創設の五項目について既に条文案を示しています。このように、我が党は国会内で憲法改正に向けた議論をリードしてきました。 しかし、憲法改正に向けては、やはり肝腎要の第一党の熱意と覚悟が不可欠です。政治への信頼を大きく失墜させているのは、何もお金の問題ばかりではありません。政治家や政党が国民に公約したことを真剣に果たそうとしないこともしかりです。憲法改正が党是だというのならば、困難があっても実現に向けもっと努力すべきであります。 一方、国民投票阻止にいそしむ一部野党にも苦言を呈したいと存じます。 このままでは、国民はいつまでたっても国民投票を行うことができません。主権者でありながら直接主権を行使することを奪われ続けているのです。立憲主義、民主主義の根幹には国民主権があり、それを具現化するのが憲法改正の国民投票です。したがって、立法府はそれを妨げてはいけません。国民主権を掲げる憲法が一度も国民の審判を仰いでいないのは、まさにブラックジョークです。 憲法を国民の手に真に取り戻す、そのためにこそ国民投票の実施に向けて真摯に議論を進めていく必要がある、このことを改めて強調して、発言を終わります。
○会長(中曽根弘文君) 平木大作君。
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。 今通常国会において参議院憲法審査会の議論が始まることを歓迎したいと思います。 私自身、ここ数年の議論に参画する中で改めて感じるのは、日本国憲法が戦後民主主義の基盤を築いた優れた憲法であるということ、加えて、憲法施行時には想定されなかった新しい理念や、憲法改正を通じてしか解決できない課題について継続的に議論していくことは極めて重要であるということであります。 ただし、自戒の意味も込めて言うならば、議論のゴールを憲法改正だけに限定してしまうのは、立法府の使命に照らして間違いであろうとも感じております。 日本国憲法が改正しにくい、いわゆる硬性憲法であることの理由を長谷部恭男先生は、憲法がなぜ通常の法律よりも変えにくくなっているかといえば、通常の立法のプロセスで解決できる問題に政治のエネルギーを集中させるためである、より社会の利益に直結する問題の解決に政治家が時間とコストを掛けるように憲法はわざわざ改正が難しくなっていると説明をされております。 以前、当審査会で、子供の権利を保障する総合的な法律としてこども基本法の立法について問題提起をさせていただきましたが、憲法審査会における議論を端緒に、いまだ憲法的価値が立法を通じて具体化されていないテーマについて、議員立法の活性化につなげる工夫があってもよいように思います。 さて、立法府の職責を果たすという観点から本日問題提起をしたいのは、私たちは近年の違憲訴訟判決ときちんと向き合えているのかという問題であります。 先月七日、名古屋高裁は、同性婚を認めない民法などの規定について、個人の尊厳が損なわれているとして、憲法十四条と二十四条二項に違反するとの判断を示しました。高裁判決においては、四件全てで同性婚否定が違憲とされたことになります。 家族の考え方に関する国民の意識が変化し、自治体もパートナーシップ制度を通じて是正に動く中にあって、立法府が個人の尊厳が損なわれている現状を等閑視し、最高裁による判決をただ待つだけでよいはずがありません。現行の家族をめぐる法制度が、日本国憲法の中枢的価値の一つである法の下の平等を定めた憲法十四条と、そのことを家庭生活の局面で法律を通じて具体化することを定めた憲法二十四条二項に違反していると四件の高裁判決全てで判じられたことの意味は大きいと考えます。 立法府として直ちに是正に取り組むことを呼びかけて、私の発言を終わりたいと思います。
○会長(中曽根弘文君) 田島麻衣子君。
○田島麻衣子君 立憲民主・社民・無所属の田島麻衣子です。 本日は、フェイクニュースの影響が世界的に深刻化している現状を踏まえた国民投票法の議論の必要性について意見表明をいたします。 近年のインターネットやSNSの急速な進展は、数多くのメリットを国民にもたらしています。反面、アテンションエコノミー、フィルターバブル、エコーチェンバーといった情報化社会特有の問題も生じています。この分野の議論では表現の自由への配慮が必要でありますが、フェイクニュースなどの有害無益な情報の氾濫は、有権者が誤った判断を下すことにつながる危険があります。 私は長年海外で仕事をしてまいりましたが、例えば世界では、ケンブリッジ・アナリティカ事件や昨年のアメリカ大統領選挙、またルーマニア大統領選に関しても指摘されているように、外国勢力によるフェイクニュースや偽情報も民主主義の根幹に深刻な影響を及ぼしています。 特に強調したいのは、フェイクニュースによる民意のゆがみが憲法改正国民投票の結果に影響を与えた場合、取り返しの付かない事態になるということです。フェイクニュースがあふれる言論空間で国民投票を行っても、その結果の正統性がもし国民から疑われる場合、国政選挙のように数年内に候補者を選び直す機会があるわけではありません。 国内で今後大規模な問題が起きるとしたら、憲法改正の国民投票に絡んでのことだと指摘する有識者もおられます。 我が党は、既に四年前、二〇二一年の国民投票法改正において、これらフェイクニュースに関する問題意識を踏まえた検討条項を提案し、附則が規定されました。すなわち、国民投票の公平及び公正を確保するための検討課題の一つとして、インターネットの適正な利用の確保を掲げております。なお、この附則四条の趣旨について、当時の我が党の発議者からは、この課題の法改正なくして改憲発議はできない法規範である旨の答弁がありました。また、与党の発議者であった中谷衆議院議員からも、法改正が必要ではないかとの答弁があったことを申し上げます。 フェイクニュースの問題は四年前より格段に深刻化しており、しかも検討期限であった昨年九月から六か月以上もたってしまいました。国民投票法改正の議論を深めるならば、まずフェイクニュース対策に関する議論が必要です。この点を強く申し上げ、私の発言を終わります。
○会長(中曽根弘文君) 臼井正一君。
○臼井正一君 自由民主党、千葉県選出、臼井正一です。 昨年の衆議院議員選挙の結果、衆議院における改憲勢力は憲法改正発議に必要な三分の二を切ってしまいました。誠に残念なことであります。 しかしながら、憲法改正の必要性や国民からの要請はなくなったわけではありません。 自衛隊の憲法明記に賛成する国民世論は、近年の我が国を取り巻く安全保障環境の悪化もあり、昨年の日経新聞の調査では七三%と高い水準にあります。 また、予算委員会の中央公聴会における質疑で、非常事態により選挙が行えない状況でも、時の政権の正統性を憲法に明記しておく必要性、重要性が確認されました。トランプ大統領がゼレンスキー大統領を選挙なき独裁者呼ばわりしたことに関し、公述人から、ウクライナの国内法に次の大統領が決まるまで現職の大統領が大統領であるとの規定があると説明がありましたが、戒厳令下では大統領選挙もできず、任期が延長されると憲法に規定しておきさえすれば正統性を問題視されることもなかったのではないでしょうか。 また、参議院議員選挙における合区解消は地方自治体からの要請が高く、このままでは今後合区の対象県も増えていく可能性が高いことから、憲法改正でその抜本的な解消を図ることは待ったなしの課題です。 さらには、日本が活力ある社会であり続けるため、経済的理由にかかわらず、教育を受ける機会の確保を含めた教育の充実について憲法に規定を設けるべきです。 以上のことから、改正のための手続法である国民投票法の見直しを、憲法改正の発議が困難な今こそ静ひつな環境下で集中的に議論を行うべきです。 令和三年改正の際に示された検討事項のうち、公選法並びに投票環境整備は速やかに法改正すべきと考えております。昨今の状況に鑑み、インターネット利用の在り方についても検討が必要ですし、組織的多数人買収以外の買収を禁止する規定や外国勢力による国民投票運動を禁止する規定が現在ありませんが、こうしたものの検討も必要だと思っています。 令和三年改正の際の与野党答弁者の発言から共通理解が得られていることは、この検討条項の下でも憲法改正の発議が可能であることを申し上げ、私の意見表明といたします。
○会長(中曽根弘文君) 仁比聡平君。
○仁比聡平君 同性婚の法制化について述べます。 昨年五月八日の憲法審査会で、私は、同性婚を認めない民法、戸籍法を憲法違反とした同年三月十四日札幌高裁判決を踏まえ、これは国会が取り組むべき喫緊の憲法問題であり、政府・自民党が、極めて慎重な検討を要すると背を向け、特定の家族観を押し付けて当事者を苦しめ続けることは許されないと強調しました。 それから一年、四つの高裁全てが違憲判断を下し、もはや司法の流れは定まったと言って過言ではありません。 政府は、婚姻は子を産み育てる男女の結合、同性間には自然生殖の可能性がないと言い続けてきましたが、昨年十月三十日、東京高裁は、近代、婚姻制度は、家父長的な支配関係から離脱し、平等で自由な婚姻意思の合致とされてきた、子の生殖よりも当事者間の人的結合関係自体に意義を認め、法的保護を与えたものとして、国の主張を明確に退けました。 さらに、十二月十三日、福岡高裁判決は、婚姻をするかどうか、誰を婚姻の相手として選ぶかは両当事者の自由かつ平等な意思決定に委ねられ、婚姻の自由、婚姻の成立、維持について法制度の保護を受ける権利は憲法十三条が定める幸福追求権の内実の一つであると、初めて憲法十三条違反の判断を下したのです。同判決は、同性カップルに法的な婚姻制度の利用を認めないことによる不平等は、パートナーシップ制度などの拡充の導入によって解消されるものではなく、端的に、異性婚と同じ法的な婚姻制度の利用を認めるのでなければ、憲法十四条一項違反の状態は解消されない、国会の立法不作為は国家賠償法上の責任を生じさせ得るものであると強く法制化を促しています。 今年三月七日、名古屋高裁は、同性カップルの具体的不利益を詳細に認定した上で、民法の夫婦など、性別中立的な文言を、婚姻当事者などに変更すれば膨大な立法作業は必要ないと踏み込み、二十五日、大阪高裁は、同性婚法制化は国民一人一人にとっての婚姻の意義や主観的価値を損なうものではなく、国民感情が一様でないことは同性婚を法制化しない合理的理由にならないと厳しく指摘しました。もはやこれ以上の不作為を続けることは一切許されないと言うべきです。 個人の多様性、人権尊重社会のため、同性婚の法制化は、性同一性障害特例法の抜本改正、そして選択的夫婦別姓の実現とともに今国会の緊急課題であり、与野党を超えて取り組むべきことを呼びかけ、発言といたします。
○会長(中曽根弘文君) 梶原大介君。
○梶原大介君 自由民主党の梶原大介でございます。 本日は、我が会派が掲げる憲法改正項目のうち、合区解消と教育の充実について意見を申し上げさせていただきます。 まず、合区の解消についてでありますが、合区対象県である高知県の地元メディアが実施をした世論調査では、八割を超える県民が合区の解消を望んでいるという結果が示されました。また、対象県における投票率の低下は、合区は依然として深刻な状況が続いております。 本審査会において上智大学の上田健介教授からも指摘があったとおり、この投票率の低下は、合区対象県の住民が、自分たちの県だけ一つの選挙区として扱われず、ないがしろにされているという感情によるものだとの推察もされているところであります。 現在も東京への一極集中が続いており、先ほどの意見表明にもありましたが、このままでは、人口の偏在から合区対象県が増加をすることも見込まれております。 全国知事会を始め、多くの全国の方々から合区解消を求める声が寄せられていることも踏まえ、投票価値の平等という観点だけで明治以来の歴史や文化を有する都道府県という民主主義の単位を軽視をするような状況が続けば、ますます住民の政治参加意欲を減退させ、民主主義の衰退につながることに留意をした上で議論が重ねられることを期待をいたします。 次に、教育の充実について申し上げます。 教育は、個人が人格を形成し、社会において有意義な生活を送るための不可欠な前提を成しております。 教育を受ける権利を定めた憲法二十六条について、最高裁は、この規定の背後には、国民各自が一個の人間として、また一市民として、成長、発達し、自己の人格を完成、実現するために必要な学習をする固有の権利を有すること、特に、自ら学習をすることのできない子供は、その学習要求を充足するための教育を自己に施すことを大人一般に対して要求をする権利を有するとの観念が存在していると述べております。 こうした現行憲法の理念を更に発展をさせるためにも、憲法改正により、国民の教育を受ける権利を実質化し、国の教育環境整備の責務を憲法に規定して教育立国を宣言をする必要があるものと考えます。 今後、日本がいや応なく直面する人口減少社会では人づくりの重要性がますます高まってくることを申し述べ、私の意見といたします。
○会長(中曽根弘文君) 打越さく良君。
○打越さく良君 立憲民主・社民・無所属の打越さく良です。 憲法審査会は、日本国憲法及び密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行うべき機関です。したがって、日本国憲法に違反すると主張されながら、改正されず放置されている法律について調査を行うことも当審査会の責務です。 民法等において同性婚や選択的夫婦別姓が認められないことが憲法に違反しないかが争われ続けています。 本年三月二十五日、大阪高裁は、同性婚を法律婚の対象としない民法等の規定は、性的指向が同性に向く者の個人の尊厳を著しく損なうものであり、かつ、婚姻制度の利用の可否について性的指向による不合理な差別をするもので法の下の平等に反するとして、憲法十四条一項及び二十四条二項に違反すると判断しました。これまで五つの高等裁判所全てが違憲と判断しています。 また、昨年十二月十三日の福岡高裁判決は、同性婚を認めないことを憲法十三条にも違反すると断じました。 夫婦同氏規定については、今まで三回最高裁で判断されています。私が弁護団事務局長を務めた第一次夫婦別姓訴訟の最高裁判決では、十五人の裁判官のうち五人が違憲と判断しました。今まで合計三十五人の最高裁の裁判官のうち十人が夫婦同氏規定を違憲であると判断しています。 芦部信喜先生の「憲法 第八版」では、夫婦同氏強制を憲法違反だとする学説が多数であると記述されるに至っています。 もとより、司法判断があろうとなかろうと、違憲判断が確定しようとしていまいと、憲法上疑義のある法律を放置する立法府であってはなりません。同性婚や選択的夫婦別姓は、反対の人に同性婚や夫婦別姓を強いるものではありません。導入しても誰も不幸になりません。むしろ社会全体の幸福の総量は確実に増大します。 戦後、法令違憲の最高裁判断は十三件しかありませんが、うち六件がジェンダーや家族に関する規定であることは偶然でしょうか。今日挙げた同性婚や選択的夫婦別姓もジェンダー、家族に関わることです。このような状況では、立法府が、廃止された家制度に郷愁を感じている一部の方々に忖度していると疑われてしまいます。 憲法が個人の尊厳を尊重し、平等を実現すべきと指し示していることがいまだ実現できていません。家制度はとうにありません。憲法に沿わない疑義がある法律を改めていく、それが私たち立法府の責任であることを申し上げ、意見とします。
○会長(中曽根弘文君) 小西洋之君。
○小西洋之君 緊急集会について意見します。 我が会派は、これまで任期延長改憲の理由である緊急集会、平時の制度、七十日間限定、二院制の例外の主張について、戦後議会で確立し、二〇一四年六月の本審査会附帯決議に明記の法令解釈のルール、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、論理的に確定されるべきものを満たすのか、その論証の文書提出を求めてまいりました。いまだ提出はありません。 一方、衆議院では、この法令解釈のルールが関知されることもなく、去る三月二十七日の衆議院憲法審では、当方の指摘を受けて、衆議院法制局が、参議院憲法審では何度も議論されてきた緊急集会の立法事実の根幹、災害対処等に関するGHQとの交渉記録三ページ余りを初めて追加し、また、一見学説紹介のように見える、平時の制度にすぎないとの意見もありとの不可解な記述を削除するなどに至りました。 なお、この度、衆法、衆院では、五十四条一項の四十、三十日の規定が二項以下の緊急集会の開催期限を法的に制限するという連関構造説なるものが唱えられています。 しかし、これについては、五十四条一項の四十、三十は、比較法的にも解散時の内閣の居座り排除の規定、GHQとの議論でのナショナルエマージェンシーという深刻な国家緊急事態をも想定した立法事実、そして、条文技術的に現行の五十四条二項、三項に置かれたという立法経緯等に照らし、連関構造説なるものは法令解釈とは言えない暴論と考えます。このことは、長谷部、土井両教授も本審査会で明確に解釈論として無理があると答弁くださいました。 また、憲法制定議会の金森担当大臣の答弁においては、緊急集会は、全体の改選期がある衆議院を定めた我が国の二院制において、国会制度の趣旨を徹底して実行する、すなわち衆議院不在の不便を補う合理的な制度として創設されたことが明確に説明されています。要するに、緊急集会は、両院同時活動が論理必然的に不可能な場合のある我が国の二院制の機能を補う、つまり二院制を補完するための制度であり、二院制の例外制度ではありません。衆参改憲派の主張は本末転倒極まりないものと言うほかありません。 なお、二十七日の衆議院憲法審では、金森大臣のこの説明答弁の中での解散後の七十日は国会を開けない状況になるとの箇所を七十日間限定説の根拠としていますが、そうした解釈は金森大臣が丁寧に論じる二院制の補完機能という緊急集会の根本趣旨に反する典型的な言語道断の切取り解釈です。 法令解釈のルールに基づくあるべき解釈論としては、金森大臣の、どんなに精緻な憲法を定めても、口実を付け込まれ、破壊されるおそれが絶無とは断言し難いとの戦前の反省に基づく緊急集会採用の根本趣旨、さらには、国会と国民の表裏一体化を確保する観点からは不便が起きることはやむを得ないと明確に衆議院議員の任期延長を憲法の制度設計として否定していること、さらには、五十四条三項が有する地上最大の政治的パワーともいうべき一刻も早い総選挙を実施させる復元力、レジリエンスとその後の衆議院の厳格な同意制度からは、七十日限定説を法令解釈と認める余地は全くあり得ません。 緊急集会について、法の支配、立憲主義、憲法の基本原理に基づく議論を求めつつ、先ほどの佐藤筆頭幹事の良識の府の参議院の矜持あふれる緊急集会の意見表明に深い敬意を表しつつ、私の意見とさせていただきます。
○会長(中曽根弘文君) 他に御発言もないようですから、以上で意見交換を終了いたします。 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後二時二十六分散会