資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会 第1号
- 発言数
- 91 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2024/02/07
会議録
○会長(宮沢洋一君) ただいまから資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会を開会いたします。 議事に先立ち、一言申し上げます。 この度の令和六年能登半島地震により甚大な被害がもたらされ、多くの尊い人命が失われましたことは誠に痛ましい限りでございます。 犠牲者の御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。 ここに、犠牲となられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。 どうぞ御起立願います。黙祷。 〔総員起立、黙祷〕
○会長(宮沢洋一君) 黙祷を終わります。御着席ください。 ─────────────
○会長(宮沢洋一君) 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、上田清司君、里見隆治君、舩後靖彦君、宮崎雅夫君、小野田紀美君及び竹詰仁君が委員を辞任され、その補欠として佐々木さやか君、杉久武君、藤巻健史君、石田昌宏君、北村経夫君及び浜野喜史君が選任されました。 ─────────────
○会長(宮沢洋一君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(宮沢洋一君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に北村経夫君、藤井一博君及び浜野喜史君を指名いたします。 ─────────────
○会長(宮沢洋一君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 原子力等エネルギー・資源、持続可能社会に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(宮沢洋一君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(宮沢洋一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○会長(宮沢洋一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 原子力等エネルギー・資源、持続可能社会に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(宮沢洋一君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 ─────────────
○会長(宮沢洋一君) 原子力等エネルギー・資源、持続可能社会に関する調査を議題といたします。 本日は、「資源エネルギーの安定供給確保と持続可能社会の調和」のうち、「資源エネルギーの安定供給確保と持続可能社会の調和に向けた論点整理」に関し、「エネルギー安全保障の確立に向けた論点」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。 御出席いただいております参考人は、特定非営利活動法人国際環境経済研究所副理事長兼所長山本隆三君、一般財団法人日本エネルギー経済研究所研究理事久谷一朗君及び公益財団法人自然エネルギー財団常務理事大野輝之君でございます。 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、山本参考人、久谷参考人、大野参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず山本参考人からお願いをいたします。山本参考人。
○参考人(山本隆三君) それでは、私から御説明をさせていただきたいと思います。(資料映写) 私の説明は、まず、エネルギーの安全保障という問題は歴史的にどういうふうな扱われ方をしてきたのかというお話から進めたいというふうに思います。 これは、産業革命以来のエネルギー安全保障というのを簡単に表にしておりますけれども、図にしておりますけれども、産業革命までは、我々人類使っていたエネルギーというのは、バイオマスと言っていますけれども、まあいわゆる薪とかまきですね。それから水、水車ですよね。それから風、これは帆船とかそういうふうなものですね。で、一番使っていましたのは化学エネルギー、と言っても何のことかよく分かりませんけれども、食べ物です。人間とか牛とか馬が食べ物を食べて、その力でエネルギーにしていたというのがありますね。 ところが、産業革命が始まってから石炭の利用というのが本格的に始まります。我々はよく、十九世紀は石炭の世代、二十世紀は石油の世代というふうに言うんですけれども、実は石炭の時代というのは二十世紀の半ば以降まで続いていました。一九五〇年代まで石炭がエネルギーの主力だったんですね。 ところが、石油は軍事的にどうしても必要になるわけですね。それは、第一次世界大戦で石油を使った船艦が出てきて、石炭をたいていた船艦よりはるかにスピードが出るとか、あるいは航空機が登場した、戦車が登場した、こういうことで石油の調達というのは軍事的には大変な問題だったんですけれども、実は一九五〇年の、この一次エネルギーというのは電気ですとかガソリンとかに転換される前の素のエネルギーですけれども、それを見ますと、実は日本のエネルギー供給の八五%は石炭でした。一一%ぐらいは水力がありました。ということは、日本はほとんどエネルギーを自給していた国だったわけですね。 ヨーロッパを見ても、実は日本とほとんど同じでした。石油の消費量が日本よりちょっと多いんですけれども、ただ、一九五〇年の世界を見ると、石油と天然ガスの消費量が結構あるんですね。これはなぜかというと、一九五〇年、世界のエネルギーの半分近くはアメリカ一か国が使っていたんです。アメリカは戦前から石油とか天然ガスを民間で利用していたわけですね。戦前から天然ガスのパイプラインを国内に引いていた国なんですね。世界全体で見ると、アメリカの影響で石油とか天然ガスが多いんですけれども、まあアメリカ以外の国、アメリカも含め、石炭に依存しているということが続いていたわけです。 ところが、五〇年代、六〇年代から七〇年代にかけて経済が急激に成長します。これは、日本はその典型ですけれども、ヨーロッパも戦後復興で経済成長が著しくなるわけですね。そこで必要になるのはエネルギーで、石炭は相反して一九六〇年頃をピークに、日本ですと、一九六〇年から一九六一年にかけて、非常に有名な三井三池大争議という総資本対総労働の対決と言われる事件がありました。あの頃をピークに、日本の石炭生産は急坂を転げ落ちるように落ちていきます。その石炭生産を埋めるのが、非常に安価で中東から豊富に出てきた石油だったわけですね。 これは日本とヨーロッパとアメリカの石油の輸入量を示していますけど、日本は、一九五〇年、石油の輸入というのはほとんどありません。七三年になると、とんでもない量を輸入しています。一九七三年というのは、御存じのとおり、五十一年前ですけれども、第一次オイルショックというのが起こって、まあこれは第四次中東戦争を契機に起こるわけですけれども、石油の値段が四倍になる、それから、石油を売らないぞというふうな脅しも出てくるということですね。世界は、これは大変なことになったということになるわけです。 一九七三年、実は日本の一次エネルギー供給の七五%以上は石油でした。もう石油にどっぷりつかっている。ということは、一九七三年ぐらいまで、日本を含め世界のほとんどの国はエネルギー安全保障なんというのは考えていなかったと。それはなぜかというと、最初は国内に豊富にある石炭で自給率一〇〇%ぐらいで賄っていたのが、中東にある石油は安価でいつでも出てくると、みんなそういうふうに思っていたわけですね。ところが、七三年に石油が大変なことになって、それから世界は何を始めるかというと、エネルギーの分散を始めます。 分散の一つはですね、ごめんなさい、その前に自給率見た方がいいですね。一九七三年、日本は自給率もう一〇%切っています。一九五〇年には自給率九六%の国が、石油に依存するようになってから自給率はあっという間に落ちるわけですね。でも、不安は感じていなかったんですけれども、オイルショックが起こって、日本を始め主要国はみんな不安になるわけです。 エネルギー供給の分散を始めて、二〇二一年見ますと、非常にうまく分散が進んでいます。日本は石油、石炭、天然ガスですね。それから、世界全体もそういうふうに分散が進んでいるということなんですけれども、ここでちょっと見ていただきたいのは、世界は依然として化石燃料に依存しているんです。世界のエネルギー供給の八割は二酸化炭素を排出する化石燃料です。これをあと三十年ぐらいで本当になくすることができるのかということは大きな問題ですね。 こういうふうに分散ができて、しめしめとみんな思っていたところに出てきたのがロシアということなんですね。どういうことかというと、世界の化石燃料生産、それから輸出。世界で石炭も天然ガスも石油も全部自給できる国というのは、多分アメリカとロシアしかないんですね。このアメリカとロシアは二大エネルギー大国なんですけれども、後でお話しするように、実は中国もエネルギー大国になってきているんですけれども、それは後でお話しします。 このエネルギーの生産を見ると、確かに石炭も天然ガスも石油もアメリカとロシアが大変大きな生産を持っているんですけれども、輸出を見ると、アメリカは国内消費が多いものですから、ロシアが、特に天然ガスは世界の輸出量の二〇%を持つ、石炭ですと世界の輸出量の一八%ぐらい持つ。要は、化石燃料の輸出で世界一になった国はロシアなんですね。 日本はロシアから輸入していますけれども、それほど大きな、石油にせよ、石炭にせよ、輸入量ではありませんでした。ロシアにどっぷり輸入を依存してしまったのがヨーロッパです。これは、ウクライナの戦争が始まる前の二〇二〇年、二一年のシェアですけれども、ヨーロッパは天然ガスの生産も減って輸入依存率が九割ぐらいになっていたんですけれども、そのうちの半分近くはロシアから買っていたんですね。ということは、消費量の四割ぐらいをロシアに依存していたわけです。石炭は消費量の四分の一ぐらいをやっぱりロシアに依存している。原油は、輸入量、ほとんど輸入ですけれども、やはり四分の一ぐらいをロシアに依存している。こういう状態で、ロシア依存が非常に高まっていたところに戦争が起こったということですね。 戦争が二〇二二年二月の二十四日に起こります。それ以前から、ロシアは実はヨーロッパ向け天然ガス輸出量を減らします。これはなぜかというと、輸出量を減らすと値段が上がるからです。値段を上げるということは、ロシアの収入は増えたんですね。これは、ロシアの収入を増やす目的は、多分戦争を始めるために戦費をためようと思ったと。 そういうことをやっているうちに戦争を始めるわけですけれども、戦争が始まると、ヨーロッパはロシアから購入する化石燃料を減らそうとするわけです。一方、ロシアはヨーロッパを脅すためにもっと減らそうと。要は、エネルギーを切らしてヨーロッパが音を上げるのを待つという戦略に出るわけですね。それがこれに表れています。 こういうことをやると何が起こるか。化石燃料の値段が高騰します。その結果、ヨーロッパの主要国の電気代はとんでもないことになります。 これは消費者物価指数から取っているイタリア、ドイツ、フランスの電気料金ですけれども、イタリアの電気料金、これは政府補助を行った後ですけれども四倍になっています。月一万円の電気料金が四万になるわけですね。これは大変な問題ですね。じゃ、ドイツ、フランスは余り大したことなかったのかというと、大したことあるんですね。依然、ドイツ、フランスの電気料金はやっぱり五〇%ぐらい上がったままということで、非常に大きなエネルギー価格の高騰ということを、高騰がヨーロッパを襲うわけです。 なぜイタリアの電気料金がこんなに上がったのか。それはイタリアの電源構成です。実に電源の半分を天然ガスに依存していた。イギリスも天然ガス依存が高いんですけど、イギリスは、実は北海で国内需要の半分以上を掘っています。それほど輸入に依存していなかったということなんですね。で、イタリアは、天然ガス価格の高騰の影響をもろ受けると、こうなるわけです。 日本なんですけど、日本を見ると、天然ガスも石炭もヨーロッパの国以上に依存して、化石燃料依存が非常に高いわけです。じゃ、日本の電気代はなぜ三割上昇で済んだのか。それは化石燃料価格の上昇率が違うということなんです。 ヨーロッパの天然ガス価格、この黄色い線ですけど、見ていただくとお分かりのとおりですね、コロナ禍の頃から比べると、天然ガス価格は四十倍とか五十倍になっています。これは大変な問題ですね。それに対して、日本のLNG、日本の液化天然ガスの価格はそれほど上がっていません。これには理由があって、ヨーロッパは二〇〇〇年代の初めに、天然ガスを安く買おうと思って、それまで長期契約で買っていた天然ガスをその都度その都度値段を決めるスポット契約に変えていくんですね。日本はスポット契約が依然二、三割はありますけれども、長期契約で七割から八割を買っている。長期契約の値段というのは、一応原油価格を基に決まることになっています。そうすると、ヨーロッパはそれがなかったものですから、ロシアのおかげで天然ガスが価格が高騰したら、それを買わざるを得なかったということですね。 石炭の値段ももう天然ガスに釣られて上がってますけど、これはヨーロッパが天然ガスが余りに上がり始めたので、天然ガスをやめて石炭火力をたき増したんですね。で、石炭の値段が史上最高まで上がりました。これも十倍ぐらいまで上がっているということですね。この石炭の価格上昇の影響は日本の電気料金にもあったわけです。 もう一つ我々注目しなきゃいけないのは、実は脱炭素、脱石炭、あるいはコロナ禍、こういうふうなものも化石燃料価格、電気料金の上昇に大きな影響を与えたということです。 これは、世界の大手エネルギー企業と書いていますけれど、基本的には石油と天然ガス生産企業の資本支出額、投資額の推移ですね。脱炭素と言われて、こういう大手は投資額を絞り始めるんです。そこに、コロナ禍になって燃料消費量があっという間に落ちます。飛行機が飛ばなくなる、車乗らなくなるということで燃料消費は落ちるので、この大手は更に生産を絞ります。それがなかなか、やっぱり需要が回復しても回復しなかったんですね。 例えば、アメリカの原油生産量を見ますと、ようやく二〇一九年のレベルに回復したのが去年です。ということで、供給もこういう影響で減ったということも化石燃料価格の上昇に大きな影響を与えたと思います。 今、G7国は全て脱ロシア、脱化石燃料を図らなきゃいけないということです。その一つの方策は再生可能エネルギーを増やすと。これは去年のG7の首脳宣言ですけれども、洋上風力を七、八倍、太陽光を三倍ぐらいにするということですね。 もう一つあるのが原子力。これはヨーロッパで最近あった原子力の動きを書いておりますけれども、まあ多くの国が原子力発電をやりたいと。ヨーロッパでは、フランスが中心になって原子力同盟というのが去年発足しましたけれども、EU二十七か国のうち十四か国が参加しています。イタリアがオブザーバー参加ということになっています。イギリスもEU外でオブザーバー参加。なぜこういうふうに原子力が注目されるようになったかというと、その一つの理由は当然、脱炭素、脱ロシアということにあるんですけれども、もう一つ見逃せないのは大きな世論の変化だと思います。 プーチン大統領が戦争を始める前、EU二十七か国では原子力反対というのが四一%いたんですね。今それがどれぐらいになっているか。一五%です。EU内で一番原子力反対が多かったドイツは脱原発支持が六五%いました。これはヨーロッパではずば抜けた数字です。今、ドイツで脱原発支持は二〇%です。電気料金が上がる、暖房ができないかもしれないとなると、非常に皆さん心配しているということですね。 こういう中でインフレが起こります。日本も消費者物価が上がっていますけど、日本はヨーロッパに比べると大したことありません。インフレの影響というのを、我々これから安全保障上も考えなきゃいけない。どういうことかというと、これ発電設備に必要な鉱物量なんですね。再生可能エネルギーが必要とする鉱物量というのは大変大きいものがあります。それから、コンクリートとかセメント、コンクリート、それから鉄鋼、こういうふうなものも、再生可能エネルギーというのは大変大きな資材を必要とするんですね。資材を必要とするということは、インフレの影響を大変大きく受けるということになります。もう一つ大事なのが、こういうふうな資材の基になる鉱物を供給している国は中国ということなんですね。脱ロシアをやった結果、中国依存になるという大きな問題を我々抱えるかもしれません。 こういう中で、日本は二〇三〇年の脱炭素目標、二〇五〇年脱炭素に向けて、二〇三〇年の一次エネルギー構成、それから電源構成で化石燃料の使用を減らそうという目標を立てています。この再生可能エネルギーが増えるというのは悪いことではないんですけれども、例えばこういうふうに自給率が今、日本は増えていますけれども、これは再生可能エネルギーが三%から四%寄与しているわけですね。 ところが、電力供給は不安定化します。なぜか。これは、夏はいいんですね、電力需要と一致しています。冬は太陽光発電がなくなった後に電力需要のピークが夕方に来ています。これは発電設備がないと停電するんですね。毎年のように、冬、関東地区停電危機と言われるのは発電設備が減ってきたからです。これは、二〇一六年に電力市場完全自由化システム改革を行った結果、もうからない石油火力を電力会社は閉めざるを得ない、そのために石油火力が減ってきています。そうすると、太陽光がなくなった後、電力を供給する設備が不足すると、こういうことになるわけですね。 それと、もう一つの問題は再生可能エネルギー、コストがやっぱり高いと。さっき、二〇三〇年の資料で再生可能エネルギーが大変増えるとありましたけれども、二〇三〇年、例えば大型太陽光を作るときのコストは、第六次エネルギー基本計画の参考資料で十二・二円とされています。ところが、空間的に再生可能エネルギーを遠いところから運ばなきゃいけない。あるいは、時間的に、さっきありました、夕方電気がないときに何とかしなきゃいけない。そういう問題を考えると、統合費用という費用が必要になって、参考資料では大規模太陽光のコストは十九・九円になっています。これは統合費用がそれだけ掛かるということですね。 こういう設備を導入すると、また中国依存という問題が出てきます。これは、太陽光設備を導入している国、モジュールを作っている国は中国が圧倒的にシェアを持っています。世界の四分の三近く。洋上風力設備、これから日本政府は力を入れると言っています。今、世界一は中国、設備を造っているのは六割から七割、もはや中国です。ということで、我々、中国依存が増えてくるなという問題があります。 最後に原子力の話を少ししたいんですけど、日本で原子力発電、これだけ動いています。その結果、地域別の電気料金を見ると、原子力発電が動いている九州、関西がやはりずば抜けて安くなっている。原子力発電については、新設するとコストが高いとかいろんな問題が指摘されていますけれども、考えなきゃいけないことは、世界で原子力発電を安く、工期、工費を予定どおり造っている国があるんですね。中国、ロシア、韓国です。 なぜアメリカとかフランスが造れなくなったのか。それは、建設が二十年あるいは三十年中断しているんですね。で、人材がいなくなる、技術の継承ができなくなる。で、発電所を造ろうとするともうとんでもないことになって、工期も工費も間に合わない。それに対して、やっぱり中国であれば、既に原子力発電所五十五基あります。今日現在、中国で建設されている原子力発電所は二十六基あるんです。フランスが手間取ってフィンランドでやっと動き始めましたヨーロッパ型加圧原子炉というのは、ヨーロッパより先に中国がさっさと造って、中国というのはフランスとアメリカの技術で原子力発電所を造っていますのでもう運転開始しているんですね。 そういうふうなこともあって、我々、将来のこと考えると、多様な電源を依然維持する必要があります。これは、いざというときに一つの電源に頼っているととんでもないことになる。ただ、その多様な電源を維持する中で、コストの問題、脱炭素の問題を考えながら維持しなければいけないというふうなことなんだろうと思います。ここを最後よく考えてほしいなということで、私からの説明を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○会長(宮沢洋一君) ありがとうございました。 次に、久谷参考人にお願いいたします。久谷参考人。
○参考人(久谷一朗君) 日本エネルギー経済研究所の久谷と申します。 本日は、このような場でお話を差し上げる機会を頂戴しまして感謝しております。 本日御説明する内容は私個人の見解でありまして、場合によっては研究所の見解とは異なる場合があるということを御承知おきください。 資料は、まず一ページから参ります。 日本の立ち位置の確認でございます。先ほど山本様から御説明ありましたとおり、日本が特に第一次石油危機、第二次石油危機以降どういったことをやってきたかということであります。先ほどもありましたとおり、省エネルギー、それからエネルギーミックスの多様化、それから中東依存の削減、こういったことをやってきました。ただ、そういった結果が必ずしも芳しくないというのが現状の日本かと思います。 左側の五角形はそういった状況を示したものであります。中心にあるきれいな五角形、こちらが一九七三年の状態、赤いのが一番最近の状態というふうになります。 どういうふうに変わってきたかというふうに申しますと、ちょっと青くしていますエネルギー効率、それから一次エネルギーの分散度、こちらは非常に円が大きくなっています。これは、努力の結果として効率が改善し、かつ多様なエネルギーを使うようになったということの成功例でございます。 一方、そのほかはどうかといいますと、例えば自給率、一九七三年から二〇〇〇年代初頭にかけてどんどん改善しました。これは原子力それから再生可能エネルギーを使うことによって改善したんですけれども、東日本大震災の辺りに原発がほぼ止まってしまいましたので、その結果として悪化したということを示しています。それから、電源の分散化についても、原子力発電の復帰がままならないということで若干劣後しているという状況にございます。 一方、最後の中東依存、どうかといいますと、七三年時点よりも更に悪化しているというのが現状でございます。現在の方が悪い状態になっています。 これが現在の日本でございまして、非常に自給率がまだまだ低い、それから電源の分散化ではまだ若干の余地がある、それから中東依存についてはまだまだ改善しなければいけないということが立ち位置でございます。 続いて、資料の二ページ目でございます。 今あるリスクと将来のリスク、両方考えないといけないという視点でございます。 まず申し上げたいのは、この地球温暖化問題、二〇五〇年に向けて炭素中立化を目指すということと、それからエネルギー安全保障問題、基本的には非常に親和性の高い方向性、措置でございます。左側に図示していますけれども、地球温暖化対策、何をやるかといいますと、省エネルギーをすると、それからゼロエミッションのエネルギー、具体的には再エネ、原子力を使うというふうになります。すなわち、こういったことが自給率の向上、それからエネルギーコストの引下げ、下がっていくというふうになりますので、まさに両者が相反するんではなくて双方に利益がある政策であるというふうに考えております。 一方、その途中段階はどうなんだろうかということも十分に考える必要があるということかと思います。 このエネルギーシステムのつくり替え、非常に長い時間が掛かります。過去の経緯見ましても、五年、十年では全く足りなくて、十年、二十年という非常に長い時間が掛かります。そうしますと、これから、今二〇二四年ですけれども、二〇五〇年にかけて、当然まだまだ化石燃料が使われていくというふうになります。 ともすれば、二〇五〇年、炭素中立を目指して最大限に頑張っていこうということは威勢よく聞こえるんですけれども、じゃ、その途中はどうするんでしょうか。二〇三〇年、三五年、四〇年、この途中段階の化石燃料の安定供給をどうしましょうかというところがまだ十分に議論されていない、十分な道が見えないというふうに感じております。 それから、これから様々な環境変化が起こります。これは外部の環境変化。直近ですと、ロシアの動き、それから、気になるのは中国の動き、それから、今年は米国の大統領選挙も気になります。こういった外部環境の変化、それから、エネルギーシステムをつくり替えることによって様々な安全保障のリスクも変わっていきます。そのことを踏まえながら対策をしていくべきだというふうに考えております。 続いてが、スライドの三ページ目でございます。 これは、過渡期のリスクにちょっとフォーカスをして書いてございます。申し上げたいのは、その十分な代替供給手段、これがあるからもう大丈夫だよというものがない限りは、今あるシステムを壊してはいけないということであります。 右側に簡単なポンチ絵を描いているんですけれども、今現在から二〇五〇年に向けて、グレーのラインが化石燃料の需要を示しています。これはどんどん減っていきます。脱炭素をしますので化石燃料の需要は減っていくんですけれども、この減らすペースと合わせて化石燃料の供給能力を減らしていかないと危険になるということを示しています。この点線が、拙速な化石燃料供給能力の削減をやってしまった場合、ある時点から、能力が足りない、価格が上がる、あるいは供給すらできないという状況が起こり得ます。 これは日本だけの問題ではございませんで、化石燃料供給は世界に依存していますので、世界できちんと化石燃料供給のキャパシティーを維持していかないと、途中段階で危険な目に遭うかもしれないということであります。これはまさに現在世界が経験している事象でございまして、この化石燃料供給能力の維持確保をきちんと考えないといけないということかと思います。 左側に欧州の例を書いています。なぜ欧州が今般天然ガス供給危機に陥ったかということであります。 一つ目は、まず集中であります。ロシアからの供給が、この戦争前は三九%ということで非常に高いシェアでした。これがまさに根本的な原因であったというふうに考えています。 その次には、あの地域では、再生可能エネルギーをどんどん入れようということは強く強くやっていきました。その結果としまして、逆に、古い石炭火力、あるいは、国によっては原子力発電の能力を早急に減らしていくということを実際に行いました。その結果として、今回、天然ガス供給がなくなったにもかかわらず、代替のバックアップが十分にできなかったということもあったということであります。 こうした事態が欧州で起こりまして、実際に彼らは、脱炭素は当然目指すんですけれども、その目標の修正、あるいはそのバックアップの維持、それからガスの関連の投資を増やすということをやっています。きちんとその途中段階の供給力を確保し続けないと危険な目に遭うということを端的に示しているということかと思います。 続いて、スライドの四ページ目でございます。 化石燃料供給のリスクであります。これは引き続きあるということをお示ししなければなりません。 先ほど、冒頭、中東依存の話をしましたけれども、左側の棒グラフが、左から原油、LNG、一般炭についてどれぐらい輸入に依存しているかということを示しています。驚くべきことに、この原油が九五%が中東地域ということで、こういったことがあってはならないんですけれども、もし万が一ホルムズ海峡で何かあれば、この九五%の供給が止まってしまう可能性があるということを示しています。これは非常にリスキーな状態だと言わざるを得ないと思います。 LNGと一般炭につきましては、この赤い部分が非常に小さいということが分かると思います。このアジア太平洋地域あるいは米国から輸入ができるということがありまして、石油に比べると分散が進んでいるということかと思います。 それから、輸送経路のリスクも多くあります。現在ですと、公海で非常に活発な海賊行為が行われています。その結果として、日本の船も襲われるということが実際に起こっております。この地域がエネルギーの大動脈になっておりますので、このシーレーンの安全確保ということも引き続き極めて重要であるということであります。 それからもう一点、この先、化石燃料の供給を確保していく上で、上流の投資、新しい資源の開発というものが必要になってくるんですけれども、従来、例えば天然ガスであれば、日本は極めて大きなバイヤーでした。世界最大のバイヤーでした。そのため、日本が買うというコミットがあることによって資源が開発できるという状況があったんですけれども、今状況が様変わりしております。 特に、長期的に脱炭素を進める中で、より脱炭素目標が遠い中国あるいはインド、彼らは二〇六〇年、七〇年を設定していますけれども、こういった国はまだまだ長期契約で化石燃料を買っていくことができます。そのため、この先、新しい資源開発では、そういった中国、インド、あるいはほかの途上国、カーボンニュートラルのターゲットが遠い国のプレゼンスがどんどん高まっていくということかと思います。これがリスクになるのか、日本にとって阻害になるかまだ分かりませんけれども、この先、化石燃料開発におけるパワーバランスだんだん変わっていくんだというふうに考えております。 それから次が、五番、六番、スライドの五番、六番が、化石燃料供給について若干近いところの話もしております。 まずはLNGでございます。 今、日本のエネルギー供給で極めて重要であるというのは間違いないと思います。図は私どもの試算を掲載しておりまして、左側が、今ある液化能力と需要のバランスを見ています。実線が需要でございまして、シナリオに応じて、多いケースが青、少ないケースがオレンジというふうになります。これに対しまして、現在ある世界のLNG供給能力はグレーのバーで示しています。今現在、世界各地で新たな追加投資がされていますので、その積み上げが期待できます。それが二〇三〇年のオレンジ色の薄いところで示しています。御覧になっていただきますと、このLNG供給能力ですね、恐らく二〇三〇年頃にかけては十分期待できるということかと思います。一方、その後、今見えている投資だけであると将来の需要には追い付かない可能性があるという分析結果でございます。 この先、脱炭素を進める中で、世界中でこの天然ガス開発に対する逆風が吹くかもしれません。それを座視していいわけではなくて、いや、まだまだ化石燃料は使っているんだから投資が必要なんだというメッセージを発していかないと、日本のこの天然ガス供給も危うい可能性があるというふうに見ております。 先月も米国が、非FTA国、日本も入っていますけれども、それ向けの輸出審査を一旦凍結するという発表を行いました。この先、これがどういった影響が出るか注視するのはあると思いますけれども、この米国、非常に期待が大きいんですけれども、国も場合によっては将来の供給を危うくする可能性があるというリスクがあります。 続いて、石炭でございます。 スライドの六ページ目なんですけれども、現在、日本がオーストラリアにどれぐらい依存しているかといいますと、石炭供給ですと七〇%ぐらいです。石炭の七〇%が豪州からやってきます。その豪州が今どういう状況かといいますと、連邦政府は現在労働党政権でございまして、非常に環境寄りの政権でございます。その結果としまして、国内で脱炭素化を進めようということで、セーフガードメカニズム、脱炭素を進めようという政策を強化しております。この政策は当然、国内の石炭産業、それからLNG産業にも影響してきます。その結果としまして、将来、このオーストラリア、日本が極めて頼りにしているLNG輸出、石炭輸出について何らかの影響が出るのではないかという懸念がございます。 それから、インドネシアも日本にとって重要な相手国ですけれども、この国も国内の需要が非常に多くなっていますので、国内の石炭需要が多くなった場合には輸出はできないということが起こり得ます。実際に、二二年に一度、インドネシア政府は、これ以上は石炭は輸出できないということで一旦凍結をしました。 そういったことが実際に起こり得ますので、日本の石炭供給はこの豪州、インドネシアといえども必ずしも万全ではないということを踏まえておくべきかというふうに思います。 それから、続いてスライドの七番目でございます。国内供給網のリスクであります。 今現在もあの能登半島の地震で多くの方が苦しんでいらっしゃいますけれども、このエネルギー供給網の自然災害による破断が頻発しているということかと思います。今回の震災でも非常に大きな被害が出ていますけれども、これを回復するのはなかなか容易ではないということかと思います。この先も、気象の影響か地震か分かりませんけれども、こういったものは常に発生し得るということなので、それに備えていくということが非常に重要になってきます。 それからもう一点、国内供給網では、右側に示していますそのエネルギーインフラの経済性の低下という問題でございます。 残念ながら日本の人口は減少しております。それから、この先、省エネルギーがどんどん進みますので需要も減っていきます。そうすると、このエネルギーを供給するインフラの経済性がどんどん悪化していくということが起こると思います。 最も端的な例が石油供給でございまして、この折れ線グラフは日本のガソリンスタンドの数の変化を示しています。最盛期には全国で六万か所あったんですけれども、現在ではもう半分以下になっています。特に、生活の足として自動車が欠かせない地方部においてガソリンスタンドが極めて大きく減っていると。場所によっては、ガソリンを供給するだけのために隣町まで行かないといけないというところもございます。 こういったことが、恐らくほかの電力、ガスのインフラ、今もう既に水道インフラでは顕在化していますけれども、そういったことがどんどん起こっていくんだというふうに思います。この先、エネルギーの供給インフラ、国内のインフラをどうやって維持していくのか、これを真剣に考えないといけないというふうに考えております。 それから、スライドの八ページ目でございます。こちらは国内の危機対応能力の維持強化という観点です。 先ほど山本様からもお話ありましたとおり、国内で柔軟性のあるエネルギー供給力は電力であります。例えば、自動車でガソリンがなくなったときに、ほかにもう代替するものがございません。私も車を持っていますけれども、ガソリン自動車を突然電気に変えることはできないんですね。 ところが、発電であれば、石炭火力、ガス火力、原子力、再エネ、いろいろございますので、ガスが駄目であれば、じゃ、石炭と原子力頑張ろう、原子力で駄目であれば石炭とガスを頑張ろうということで、ほかでバックアップをしやすいシステムにあります。そのため、特にこの電力においてバックアップをきちんと維持しておく、代替可能性を残しておくということが非常に重要になるというふうに思っています。 それから、もう一点が石油でございます。 だんだん先しぼみになっていく需要はもう間違いないかもしれませんけれども、この石油の利便性、それから貯蔵のしやすさを考えますと、石油の備蓄というのは非常に重要です。石炭、天然ガスはなかなか貯蔵が難しいです。LNGの場合ですと、マイナス二百度近い低温にしなければなりません。それから、電気もバッテリーがありますけれども、じゃ、例えば東京都全部の電気を賄うために一体どれだけのバッテリーが必要かということを考えると、今すぐにはなかなか現実的でないということかと思います。 あとは、この石油の重要性。戦争に使うエネルギーということで、国防という観点からもこの石油極めて重要になってきます。この石油備蓄をきちんと維持しておくということも極めて重要だというふうに考えております。 続いて、スライドの九ページ目が出ます。電力とサイバーのセキュリティーです。 この先、脱炭素をする中で中軸となる戦略は、なるべく需要を電気に変えていき、電気をクリーンにしていくという戦略になります。そうしますと、様々な見通しあるんですけれども、これは二〇二一年時点で最終消費に占める電気が二九%だったんですけれども、それは恐らく、間違いなくどんどん増えていきます。 これはパーセンテージで示していますけれども、実数も実際に増えていきます。エネルギー全体が省エネルギーで減っていく中で、電力だけは少なくとも横ばい、あるいは増えていくというふうになります。そのため、この電力のセキュリティー、安定供給はどうするんだということが非常に重要になってくると。かつ、あらゆるものをインターネットでつないでコントロールしていくということが浸透しますので、サイバーのセキュリティー、これが非常に重要になってきます。 サイバーについてはまだ実績余りないんですけれども、右側にちょっと例を示しています。ウクライナそれからアメリカでは、実際にサイバー攻撃があってエネルギーインフラが止まってしまうということが起こりました。こういったことが日本でも起こり得ますので、このサイバー対策、きちんとエネルギーセクターについてもやっていくということが必要になります。 次が、十ページ目が技術のセキュリティーであります。 これ、先ほどもお話ありましたので簡単に行きますけれども、様々なテクノロジー、この先使っていきます。例示していますのは、太陽光、それから風力、蓄電池ですけども、こういった分野でやはり中国の優勢が非常に顕著になっているという事実がございます。 そうしますと、経済安全保障という観点から、供給国、テクノロジーの供給国の多様化を図っていくということも大事な視点かと考えております。 一方、この中国の巨大マーケット、非常に有益でもあります。我々に安い、良い製品をどんどん供給してくれる国でもありますので、そういった意味から、中国を完全に排除するというよりも、新たな別の供給源も用意しておくということかというふうに考えております。 それから、重要鉱物についても、先ほどの山本様の御説明と同じでございます。様々なプロセスが中国に集中するということが見られます。この点からは、研究開発、省資源、それから代替資源、あるいはリサイクル、こういった技術をきちんと開発していくということと、あとは世界全体で公正な貿易が行える環境を維持していくということが重要になってきます。 一番最後、スライドの十二でございます。エネルギー安全保障と市場と書いています。 日本のエネルギー供給を担っているのは民間企業であります。民間企業なので、基本的には経済原理、市場原理で活動しております。多くの場合は、その経済原理と日本のエネルギー安全保障、整合するんですけれども、場合によってはそうはならないという視点でございます。 整合するポイントは、左の下側に書いていますけれども、価格が変化することによって適切な投資が自動的にされていくというふうになります。値段が上がれば供給力が増え、値段が下がれば供給力が減るという自動的な調整機能が働きます。それから、より経済的な方法が選択されていくというところもメリットかと思います。 一方、エネルギー安全保障の観点からしますと、安いエネルギーあるいは安い手段ばっかりに集中してしまって分散化がなかなかできないということが起こり得ます。それから、コスト削減ということが民間の立場からすれば重要になってきますので、余剰を持つということがなかなかできません。バックアップを持つということが通常の経営の中ではなかなかやりづらいというふうになります。それから、当然、不採算な事業はどんどん切っていくというふうになります。これ、先ほど申しましたガソリンの例ですけれども、ガソリンスタンドはもうもうからない、じゃ、もう廃業しようということが起こってしまうわけです。これを回避するためには、何らかの政策の関与、政治の決断、こういったものが必要になってくるんだというふうに思います。 以上であります。
○会長(宮沢洋一君) ありがとうございました。 次に、大野参考人にお願いいたします。大野参考人。
○参考人(大野輝之君) 御紹介いただきました自然エネルギー財団の大野でございます。 本日は、こういう場をいただきまして大変ありがとうございます。(資料映写) 私からは、表題に記載していますが、脱炭素時代のエネルギー安全保障を考えるということで、これから脱炭素化が進んでいくわけですが、その中でエネルギー安全保障というのがどういうふうに変わっていくのか、あるいは変わらなければならないのかというようなお話を申し上げたいと思います。 昨年十二月、COP28が開催されました。その中でやっぱりいろんな議論があったわけですけれども、最終的には全員一致で合意が決定されまして、化石燃料からの脱却ということが決まりました。エネルギーシステムにおける化石燃料からの脱却を進めると。公正で秩序立った公平なやり方で進めていくと。このクリティカルな十年間に取組を加速していくんだということが決まったわけでございます。そのための一つの大きな方法として、二〇三〇年までに世界の自然エネルギーの設備容量を三倍にすると。同時に、エネルギー効率の改善率を二倍にすると決まったわけですが、自然エネルギーを大幅に増やしていくということが決まりました。 こういう時代背景の中で、これからそのエネルギー安全保障で考えなきゃならないのが、化石燃料からの脱却ということが世界の目標になった時代の中でエネルギー安全保障をどう実現するのかということだと思います。 その考えるヒントになるのが、IEA、国際エネルギー機関が出しているいろんなレポートだと思っています。御承知のように、IEAは、五十年前の一九七三年の石油危機のときに、石油の安定供給を保障するためにつくられた機関でございます。昨年発表されました世界経済見通し、ワールド・エナジー・アウトルック二〇二三年版の冒頭に、IEA事務局長のファティ・ビロルさんが、一九七三年のエネルギー危機と現在のエネルギー危機を比べると三つの違いがあるというお話をされています。 一つは、一九七三年のエネルギー危機というのは専ら石油危機であったということであります。これに対して、現在の危機は複合的な危機であると。一つは天然ガスの危機、これはもうロシアの話、お二人からもお話がありました。もう一つは、化石燃料が原因となる深刻な気候危機への対応が求められていると、こういう違いがあるんだということをおっしゃっています。 二つ目は、一九七三年には存在しなかった石油に代わる、化石燃料に代わる太陽光、風力の効率化、電気自動車と、こういう技術が確立し、直ちに利用が可能になっているという指摘をしています。 三点目は、一九七三年にはなかったIEAが存在していると、多少これは宣伝が入っていると思うんですけれども。IEAが、各国それぞれ、各国の特徴に合った対策を進めていくんだけれども道しるべが必要であると、その道しるべをIEAが提供しているんだというお話を書かれています。 じゃ、どういう道しるべかということですが、このワールド・エナジー・アウトルックの中では三つのシナリオが書かれています。それが、折れ線グラフで示しました、STEPS、APS、NZEと書かれています。このSTEPSというのは、現在の各国が取っている政策をそのまま実行していった場合にどんなふうなエネルギーの未来があるかというものでございます。APSというのは、アナウンスト・プレッジズ・シナリオですから、各国政府がこれから政策をこのように強化していくんだと、変えていくんだというアナウンスをしたものが本当に公約が守られた場合にどうなるかということでございます。最後のNZEというのは、これは一・五度目標を達成するためにどういうふうなエネルギーの変化が必要なのかということを示したものでございます。 日本も含めて、二〇五〇年には温室効果ガスの実質排出ゼロということを目指しているわけなんですけれども、この二〇五〇年の排出ゼロを達成するのは、この最後の緑色のNZEだけということになっております。 実際、じゃ、ほかの経路で行った場合に、その気温上昇はどうなるかという推測もIEAがしているわけなんですけれども、このSTEPS、今のシナリオのままで行った場合には、二一〇〇年時点で二度目標は達成できずに二・四度ぐらいになってしまうと。それから、APSの場合も、二度目標は達成するんだけれども今目指している一・五度には達しない、一・七度になってしまうと。唯一このNZEだけが、一旦一・六度近くになるんだけれども、二一〇〇年には約一・四度になって一・五度目標を達成すると。こういうふうな三つのシナリオ分析を示しています。 当然、我々は、一・五度目標を守り、気候変動を抑えるということを進めていくことが、各国がコミットしていることですから、以下では、主にこのNZEに示すロードマップについてお話をしたいと思います。 まず、全てのエネルギー供給、電力だけでなくて、燃料、熱も含めた全てのエネルギー供給がどういうふうに変わっていくのか、変わっていけるのか、変わっていく必要があるのかということを示したものでございます。 これを見ていただきますと、まず化石燃料の割合でございます。お話も今までありましたように、現在で見ますと、エネルギー供給の七八%、約八割は化石燃料でございます。これが二〇五〇年には二三%まで減っていくということになっています。同時に、この場合はこういうふうにしていく必要があるというものであるんですけれども、同じくこの二〇二三年版では、現在の政策のままでも二〇三〇年には化石燃料消費がピークを打つということも記載をされています。一方、増えていくのは自然エネルギーでございまして、二〇三〇年までにほぼ倍増し、二〇五〇年には六七%を占めるということでございます。 これは全エネルギーでございますけれども、より端的な変化が起きるのは電力であります。電力をやっぱり一番早く脱炭素化をしていく、エネルギー全体の脱炭素化の先導役になっていくということが期待されているわけです。 まず、全体に、エネルギー供給の中に占める電力の割合は増えていきます。電化をしてより効率化をしていくことになりますので、全体の電力の消費量、使用量は二〇二二年から二〇五〇年までで二・六倍になると見通しを立てています。 その中で、全体のボリュームが増えていく中でも、太陽光、風力を中心に自然エネルギー発電が増えていって、二〇三〇年には五九%、二〇五〇年には八九%、約九割になっていくというふうなシナリオを示しております。注目すべきは、これは一・五度シナリオなわけなんですけれども、既存の政策のままのこのSTEPSのシナリオでも二〇五〇年には七〇%、それから公約をしているシナリオ、既に各国政府が公約をしているシナリオ、これでも八〇%になるということで、いずれにしましても非常に高い伸びを自然エネルギー電力が示していくという見通しを立てています。 原子力発電については、確かに幾つかの国でこれをもう一回力を入れるんだというふうな取組が始まってはいるわけなんですけれども、発電量は増えますけれども、二〇五〇年の割合でいきますと八%までに減っていくと。現在も九%ですが、微減して八%になるということです。 ですから、脱炭素電源の中では、原子力発電も一定の役割は果たすだろうけれども、圧倒的に自然エネルギー電力の果たす役目は大きいというのがIEAの見立てということになります。 こうしたIEAの見通しは、既に実際に米国でもEUでも実際の政策に移っておりまして、米国もEUも、ロシアの侵略以降、自然エネルギーの拡大をすることによって安全保障と脱炭素化を両方を追求するという政策を実行に移しております。 米国の場合は、二〇二二年の八月にインフレ抑制法、IRAというふうに言われていますけれども、が可決されました。これが可決されたときにバイデン大統領が声明を出しているんですけれども、まさにそのエネルギー安全保障を強化して、アメリカ国内でアメリカの労働者が太陽光パネル、風力タービン、電気自動車を生産して雇用をつくり出すということで、脱炭素化だけでなくてエネルギー安全保障という観点からもやっていくという方針、見方を鮮明にしております。実際に、インフレ抑制法が成立して以降、アメリカにおける自然エネルギー投資、クリーンエネルギー投資は非常に勢いを増しているという状況でございます。 それからEUでございます。EUは、まさにそのお話があったように、ロシアの化石燃料に依存したことによって非常に大きなダメージを受けたわけでございますけれども、二〇二二年の五月にリパワーEUプランというのを作りました。化石燃料への依存を強化するということでなくて、化石燃料への依存を終了させると。で、気候危機に挑むという目標を立てて自然エネルギー目標を高める、クリーンエネルギー効率化の目標を高めるというふうな方向で転換を図っております。 ちなみに昨日ですね、ちょうど欧州委員会が二〇四〇年の新しい目標を発表して、九〇%削減というのを出しましたけれども、それを見ても、同じように自然エネルギー、化石燃料への依存を減らして自然エネルギーを増やしていくという方向が明確にうたい込まれております。 では、何でこんなふうに、IEAもまさにその石油危機から、石油の安定供給を、目指す行動と、機関も含めて、自然エネルギーを増やしていくという方向に変わっていくのかという理由はいろいろあるわけですけれども、一番大きいのはやっぱり発電コストの劇的な低下ということでございます。 これはブルームバーグが発表した数字でございますけれども、太陽光発電はこの黄色であります。これが、十四年前に比べると、まさに十分の一に低下をしているということです。現在では、新設電源の平均コストで一キロワットアワー当たり四セント台で太陽光発電も風力発電も供給されると。ですから、日本円にすると六円、七円ぐらいですかね、というふうなところまで下がっています。原子力発電は二十二・五セントということですから非常に高いというふうな状況になっております。 ちなみに、これは、これ自身は単体の発電コストですけれども、IEAのレポートを見ますと、統合コストと言われるものを含めてもやはり自然エネルギーが安いという分析も示されております。 こうした状況を踏まえると、これからのエネルギー安全保障というのは、少しやっぱり今までとは変わった考え方が必要ではないかと思います。 まず第一に、化石燃料は二〇三〇年代まで、あるいはそれ以降も含めてだと思いますけれども、エネルギー供給の多くを占めます。ですから、その確保は引き続き重要だと、これは、前のお二人がおっしゃったことはそのとおりだと思います。 同時に考えなきゃならないのは、化石燃料消費というのは二〇三〇年までにピークを迎えるというふうに予測をされています。また、COP28ではこの十年間に化石燃料からの脱却を進める行動を強化すると言っておりますので、これらを考慮すると、新規の化石燃料、発電への投資というのは、座礁資産となってしまわないようにやっぱり慎重な検討が必要であるということであると思います。 三点目は、やっぱり自然エネルギーの重要性であります。 ネットゼロシナリオでは、二〇五〇年には電力供給の九割、全エネルギーでも三分の二を占めるということになります。こうなってきますと、まさにエネルギー安全保障、エネルギーの安定供給を確保するためにこそこの自然エネルギーを自分の国でしっかりと確保すると、これ抜きにはエネルギー安全保障はもう実現しないと、こういう時代に入っていくということが非常に大きなパラダイムの転換ということではないかというふうに思います。 化石燃料にこれまで日本は依存をしてまいりました。これはもう、脆弱性があるということについては今までお話があったとおりであります。非常に自給率が低いということであります。これはあえて繰り返しません。 で、ここにお示ししたのは、国際再生可能エネルギー機関という、IRENAというIEAとは別の国際機関がございまして、ここは再生可能エネルギーの拡大を目的にした機関なんですけれども、ここが二〇一九年の一月に「新たな世界」というレポートを発表しています。これは非常に、今からもう五年前ですか、になるわけなんですけれども、この中で書かれていたのは、要するに再生可能エネルギーが中心になっていく時代の中で、エネルギー供給というのはもはや少数の国家が独占するものではなくなっていくと。大半の国々がエネルギーの自立性を実現できる能力を持つようになって、自国の発展と安全保障を高めることができると、そういう将来ビジョンを描いているわけでございます。 日本のエネルギー安全保障は、これまでは専ら化石燃料に依存してまいりましたので、化石燃料をどう確保するかという観点の中で働いてまいりました。引き続きその観点は重要なわけですけれども、今後を考えると、やはり国産が可能な自然エネルギーをいかに増やしていくかということがやはりエネルギー安全保障の観点からも非常に重要になるということだというふうに思います。 じゃ、日本では本当にそんな大きな大量の自然エネルギーが確保可能なのかということでございますけれども、ポテンシャルが非常に大きくあるということでございます。 洋上風力、政府も大変最近力を入れておられます。日本の領海とEEZ、これを合わせますと、これは海の深さとそれから風況でカウントしたものでございますけれども、千百二十八ギガワットのポテンシャルがあるということが分かっております。もちろん、これの全部が実現できるわけではございません。漁業権の方との調整等々あります。ただ、この十分の一が実現しただけでも相当に十分な洋上風力が実現できるということであります。 特に、その最近の入札、十二月に入札があったわけですけれども、三つの海域で入札があったわけですが、二つの海域では再エネ賦課金がゼロになる、要するに、これを実現しても公的な負担がなしに実現すると、そういうレベルの入札が行われております。 太陽光発電です。太陽光発電も、ここにお示ししたのは環境省の調査ですが、建物の屋根でありますとか低未利用地、これを使うことによって千四百六十五ギガワットの太陽光発電ポテンシャルがあるということであります。 こちらの方も、入札が昨年十一月にございましたけれども、最低落札額が七・九四円、八円を切るという状況になっておりまして、これは卸売電力の平均価格を下回っているということです。ですから、こういう傾向が続いていけば、太陽光発電についても国民負担をなしに、新たな公的な支援がなしに導入していけるという状況がなっていくと考えられると思います。 さらに、そのあるべき方向の三番ですけれども、もちろんその電化が進んでいきますけれども、当然電気では脱炭素化できないエネルギーもございます。鉄鋼、製鉄でございますとかセメント等々がございます。そういうところについてはやっぱり水素を使うと、グリーン水素を使っていくということが必要になるわけですけれども、これも大量の発電設備、大量の太陽光発電、風力発電を入れることによりまして需要を超えて発電するときがありますので、そういうときに余った電力でグリーン水素を作るということができます。そのグリーン水素で産業の脱炭素化等々を進めていくという方向が考えられるということであります。 グラフで示しておりますのは、私どもの財団が二〇五〇年の需給バランスをシミュレーションしたものでございまして、太陽光発電が通常の需要を上回って発電をしますので、その分で水素ができると、水素ができるという試算をしております。 今まで、自然エネルギーを増やすことによってこういう変化が起きるというお話を申し上げてきましたが、もちろん、自然エネルギーの時代になればエネルギー安全保障についての心配が全てなくなるということではございません。これもお話ありましたように、自然エネルギー発電でありますとかあるいはEVを造るために希少鉱物が必要でございます。これの生産国がコンゴとか豪州、チリ、それから中国、こういうところに偏っているということがございますので、その確保は引き続き重要な問題になると思います。 もう一つが、やっぱり太陽光発電、それから風力発電の生産能力が中国に非常に集中をしてしまっているということであります。これもお二人からも御指摘がございました。そのとおりでございます。太陽光発電モジュールの生産能力を見ますと、中国が八割を占めております。これがこのままですね、このままの状態で更に太陽光発電が何倍になっていくということになれば、これは余り極端に中国に依存し過ぎることになってしまいます。これは非常に大きな問題だと思います。 ですから、この点についてはようやく米国も欧州も問題点を把握をいたしまして、先ほどのIRAでありますとかEUの中で、自国の中で、あるいは域内の中で太陽光発電の生産能力を強化するという取組を始めております。 やっぱり日本の場合には、日本の国内でももちろん努力をする必要がございますけれども、日本だけではなくて、米国でありますとかあるいは東南アジアですね。この円グラフを見ていただきますと、圧倒的に大きいのは中国ですけれども、その次に九・三%を占めるのは東南アジアであります。ですから、東南アジアの国々、米国と、あるいは欧州とですね、同志国の中でこういう供給能力を高めていくということがエネルギー安全保障上も非常に大事だというふうに考えております。 こうした観点から見て、現在の国のエネルギー政策は大丈夫なんだろうかということでございますけれども、いろんな御努力をされているわけですけれども、少し懸念があるのは、やっぱり自然エネルギーを本当に増やしていくという点への転換が不十分ではなかろうかということです。 二〇五〇年エネルギーミックスというのを国は、経産省は発表されています。その中で御注目いただきたいのが電源の割合なんですけれども、下のボックスにございますが、二〇五〇年でも自然エネルギー電力の割合は五〇%から六〇%としております。IEAのネットゼロプランでは九〇%自然エネルギーということでありました。それから、公約シナリオでも八〇%、それから既存の政策でも七〇%ということでありました。ですから、これらと比べますと極めて低いということになります。自然エネルギーがこれぐらいの低さになってしまいますと、どうしても化石燃料を使い続けるということにならざるを得ません。 そうすると、やっぱりエネルギー安全保障という観点からは、私は四つの懸念があると思います。一つは、発電部門でも三割近くを化石燃料に依存し続けるということであります。それから、電力以外でも化石燃料への依存が続くということです。それからもう一つは、これから水素やアンモニア、グリーン水素やグリーンアンモニアの重要性が増していくわけなんですが、国内の自然エネルギー発電設備が足りませんと、それもまた輸入をする必要があります。ですから、そういう意味でも輸入依存がこの脱炭素の時代になっても続いてしまうという懸念があります。もう一つは、CCSという方法で、回収したCO2を貯留するという方法もあるわけですけれども、これも日本の国内には残念ながらCO2を貯留する場所がありません。ですから、政府はこれも輸出をするということに今力を入れておられるんですが、そうなってしまいますと、輸入だけでなくて出口の方も、CO2の処理も海外に依存するということになりますので、そういう意味での新たな海外依存が発生するということかと思います。 こうしたいろんな議論があるわけですけれども、最後でございますが、今年、第七次のエネルギー基本計画の改正が行われます。このエネルギー基本計画の改正の中で、エネルギー安全保障、脱炭素を実現するエネルギー政策はどうあるべきかということについて議論をしていくことが必要だろうと考えております。 以上でございます。
○会長(宮沢洋一君) ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。 まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。 また、質疑者には、参考人が答弁しやすいように質疑の冒頭に答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力お願いいたします。 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。 藤井一博君。
○藤井一博君 ありがとうございます。自民党の藤井一博です。 本日は、三人の参考人の先生方、大変高い御見識からしっかりとお話をいただきまして、誠にありがとうございました。大変勉強になりました。 質問をさせていただきます。 まず、山本先生にお聞きしたいんですけれども、世界的な脱炭素という視点でのちょっと質問なんですけれども、これからアジア太平洋地域で人口が増えていって経済活動も活発になっていくという中で、脱炭素をする上でこのアジア太平洋地域というものをやはり注力していかないといけないと思っております。 そういった中で、再エネのまだ開発も過渡期の中で、原子力というものの意味合いというのもあると思うんですけれども、そういったところに日本の原子力技術というものを生かしてこのアジア太平洋地域での脱炭素を進めていくという意味で、日本のできることというものはあるのかどうかということをお聞きしたいと思います。
○参考人(山本隆三君) どうも御質問ありがとうございます。 正直に言いますと、日本の原子力技術は非常に厳しい状況に来ているのではないかと。御説明の中でも申し上げましたように、今世界で原子力発電所を工期、工費どおり造れる国というのは、もうロシア、中国、韓国しかないのではないかと。最近、東欧で原子力発電所の入札が始まりましたけれども、指名されましたのは、やはり韓国が入っているんですね。まあロシア、中国をもう指名する国は多分ハンガリー以外は出てこないと思うんですけれども、アメリカ、フランス、韓国なんです。日本は残念ながら指名されないと。それは、先ほども申し上げましたように、原子力技術というのは、人材、それから技術の維持というのは、やはり継続して造ることなんだろうと思うんですね。 アメリカは三十年ぶりにボーグル原発を造り始めましたら、実にこれアメリカとしては恥ずかしいことだったんですけれども、エンジニアがいなかったんです。で、どうしたかと。実はアメリカのボーグル原発のエンジニアは中国から招聘しているんです。非常にこれはアメリカとしては不本意だったと思うんですけれども、もう三十年間なければそういうことが起こるわけですね。 それから、フランスも今、今年ようやく運開予定の原子力発電所を造っておりますけれども、これも非常に手間取っております。これは、やっぱり二十年間新設がないとそういうふうなことになるんだと思うんですね。 日本は、今再稼働の問題いろいろありますけれども、政府は建て替えをすると言ったわけです。じゃ、建て替えをするための制度があるのかというと、ございません。例えばイギリスとかアメリカは、原子力発電所の建設を支援する制度があります。なぜ制度が要るのか、昔はなかったじゃないかという御指摘あると思うんですけれども、昔は、電力は総括原価主義で、造れば電気料金で回収できたわけですね。今、電力市場、自由化されております。将来の電気料金が分かりません。そういう中で、数千億円規模の投資できる会社があるのかと。将来の収入が分からない中ではやはりできないわけですね。イギリスなんかは、やはり政府が保障しましょうと、こういう制度をつくったわけですけれども。 日本も、そういう制度がないと現実的にはなかなか建て替え、新設が進まない。ということは、技術の継承ですとか人材の維持ができなくなるということなんだろうと思うんです。 世界は、COPで宣言がありましたように、日本も宣言に入っておりますけれども、二〇五〇年までに原子力発電所の規模を三倍にすると言っているわけですね。これは、基数にすると世界で千基以上の新型の原子炉が造られなければいけない。今はやっています小型モジュール炉ですと、数千基の原子力設備が造られます。誰が担うのか、どの国ができるのか。今世界はアメリカとフランス、イギリスに注目しているんですけれども、現実の設備を造る国はやはり韓国とかになってくる可能性があるんじゃないかと。 日本は、ここでやはりこの大きな市場、これ下手をすると一千兆円とかの市場になるわけですけれども、一年間に三十兆円、四十兆円の市場を確保するために、人材と技術の維持ということを考えて、国内で再稼働以外に何か建て替え、新設ということを考えなければ、もう東南アジアを助けるどころではなくて、日本は韓国に助けてもらわなきゃいけない、あるいは中国に助けてもらわなきゃいけない、そういうふうなことになるのをちょっと心配しております。
○藤井一博君 ありがとうございました。 続きまして、久谷先生にお伺いをいたします。 先生のお話の中で、やはり外界の変化というものをしっかり捉えたエネルギー政策が重要だというお話に感銘を受けました。その中で、中国、原子力発電所も造設をしながら、また、これから化石燃料も使っていく、また、再エネに関してはその重要鉱石であったり製錬過程というものもかなりのシェアを持っている中国の動きというものがこれから非常に大事になってくるんだろうなと、日本のエネルギー政策を考える上で。 そういった意味で、中国のこれからの中長期的なエネルギー戦略というものをどのような考えがあるのかというのを、先生、ちょっと教えていただければと思います。
○参考人(久谷一朗君) ありがとうございます。 非常に難しい質問でございまして、明確なところはまだ分からないというのがお答えになってしまいます。 といいますのは、あの国は、今世界で最大の再エネ市場であると同時に世界最大の石炭火力建造国でもありというふうになっているんですね。なので、どちらも今世界最大の状態でどんどん進んでいるというふうになっています。先ほどあった原子力もそうです。あらゆるもので世界最大の状態になっているというのが中国だと思います。 この先中国がどういうふうに変わっていくんだろうかということを考えた場合に、一つは、ベースラインとして人口がもう減っていく国であるということは踏まえておく必要があって、日本が過去、ここ数十年間経験してきた難しい経済情勢、社会情勢というものを中国がこれから経験していくことになるというのは一つあります。足下では景気が余り良くないということが言われていますけれども、これから果たして中国が再び成長軌道に乗っていくのか、そして、新しい技術をどんどん展開していくような国になるのかというところを注視する必要があると思います。 あとは、その中国の国際戦略、対外的にどういうふうに振る舞うのかというところも大きなポイントだと思います。日本も、過去にはアメリカと貿易戦争がありまして、様々な確執がありましたけれども、そういったことが中国についても、今成長段階にありますので、アメリカとの間で続いていくんだろうというふうに思います。 一番懸念されるのは、彼らの領土の野心、これが先鋭化するというふうになった場合に、非常に日本にとっても大変なことが起こるかもしれないということは一つ気に留めておく必要があるかと思います。その場合に一体どうするのかと。そういった場合に、今多くを依存しているその中国の製造能力、供給能力とどう付き合っていくのか。これは非常に難しく、かつ重要な問題かなというふうに思っております。答えはないんですけれども、非常に重要なポイントだということだけは最後に申し上げておきます。 以上です。
○藤井一博君 ありがとうございました。 最後に、大野先生にお伺いしたいんですけれども、先生のおっしゃるように、まさに再エネ、脱炭素に向けて中核的なものだとは思っております。ただ、その安定供給という面でまだ開発途上のところがありまして、欧州等でいいますと、送電網の国際連系ができているという意味で安定供給の融通ができるというところがありますけれども、この島国日本において、先生、グリーン水素が解の一つかと思うんですけれども、その安定供給という壁をどう乗り越えていくかということを教えていただければと思います。
○参考人(大野輝之君) 御質問ありがとうございます。 確かにおっしゃるように、再エネはどうしても中心である太陽光発電、風力発電、変動性がございますので、この変動性のある電源をどう安定供給に結び付けるかと、非常に大きな問題だと思います。ただ、いろんな経験が、もう既に研究、経験が蓄積されてきておりまして、大体その八割ぐらいまでは送電網の運営と、それから水素の生産、バッテリーへの蓄電、それから需要のコントロール、これによって安定的に供給できるだろうということは見えてきているという状況だと思います。 ですので、これからの状況を考えますと、やはり、日本ではその蓄電池についても開発が遅れておりますので、いかにそうしたものを開発を急いで進めていけるかということが大事ですし、それからもう一つはやっぱり送電網ですよね。日本は確かに島国ではあるんですけれども、非常に大きな島国であります、電流規模としては。英国の、イギリスの三つ分ぐらいございます。ですから、この九つの、今電力会社管内に分かれていますけれども、この九つの電力会社管内を送電網で結んで、うまく需給を調整していけば十分にバランスを取っていけるということだと思います。 ちょうど今日ですかね、北海道から本州への海底送電線の建設が決まったという、ルートが出ておりましたけれども、ああしたものをもっと大規模に早く造っていくということが必要だと考えております。
○藤井一博君 ありがとうございました。 質問終わります。
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。 宮口治子君。
○宮口治子君 立憲民主党の宮口治子と申します。 本日は、山本参考人、そして久谷参考人、大野参考人におかれましては、大変貴重なお話をお伺いさせていただきましたこと、心より感謝を申し上げます。ありがとうございます。 それでは、まず山本参考人と大野参考人にお話をお伺いしたいと思います。 先般、能登半島の地震におきまして、北陸電力の志賀原子力発電所の安全性への懸念を報じるニュースというのが相次いで取り上げられているかと思います。昨年の三月に、原子力規制委員会は北陸電力の志賀原子力発電所二号機の直下を走る複数の断層が活断層ではないとする審査チームの結論を了承いたしました。もし志賀原発が再稼働していたらと考えますと、大変不安な思いでおります。地震など自然災害の多い日本で原子力発電を稼働させていくという考えは大変困難なことではないかなというふうに思います。 しかしながら、エネルギー自給率の低い我が国では原発は不可欠なものである、また、脱炭素電源として活用すべきとの御意見もございます。再生エネルギーを含む発電施設を造ればそれぞれ何らかの課題が生じるということは理解しておりますけれども、特に原発は、放射性廃棄物の処分問題であったり、使用済核燃料、既に二万六千本あると言われている核のごみの処分問題をまずはどうしていくべきだとお考えでしょうか。山本参考人にお尋ねをして、併せて大野参考人に原子力発電に対する御所見をお聞きしたいと思います。
○会長(宮沢洋一君) まず、山本参考人。
○参考人(山本隆三君) どうもありがとうございます。 まず、能登半島地震のときに我々考えなければいけないのは、大規模停電を引き起こすところだったわけですね。なぜかといいますと、七尾大田には七尾大田石炭火力発電所というのがあります。これは北陸電力で多分最も大きい発電所で、百二十万キロワットあるんですね。この発電所の揚炭設備、要は船から石炭を揚げる設備、それから給炭設備、ボイラーに石炭を送り込む設備、完全に崩壊しました。特に給炭設備は、もう補修するのに数か月単位では終わらないかもしれないぐらい壊れております。 普通であれば、百二十万キロワットの電源が失われるわけですので、大規模停電引き起こしてもおかしくないんですけれども、停電が起こらなかったのは、関西電力の福井にある七基の原子力発電所からの電気があったからなんです。志賀の話はこの後申し上げますけれども、我々、大事なことは、最後、先ほどの御説明の最後に申し上げました、多様な電源を持ってなければ地震国日本は対応できないんです。 志賀の原子力発電所で液が漏れたとか回線が切れたとか、こういう報道はありました。稼働していても問題はございませんでした。なぜかというと、電源は、五回線あるうちの二回線が切れた、ということは三回線は維持されているんですね。しかも、非常用電源、これは何か、稼働したら一機が動かなかったということですけれども、でも三機あります。それからさらに、現場に行かれれば分かりますとおり、非常用電源車があります。しかも、さらに、志賀の原子力発電所は小高い丘の上にため池があって、そこから水を最悪の場合は落とすようになっているんですね。そういうふうな二重三重の安全策が取られているということは余り報道されない話なんだろうと思うんですね。 これ、なぜこうなったかというと、やはり福島の事故で我々教訓を得たと。で、安全対策が非常に強化されたということなんですね。そういうふうなことを踏まえれば、最初申し上げましたけど、電源は多様でなければ、例えば石炭火力とか天然ガス火力が被災したときに原子力が供給できるということはあるわけですね。原子力発電所が止まったときに違う、例えば再エネ設備から供給できるということがあるかもしれません。そういうふうなことを我々考えるべきです。震災国日本だからこそ、電源は多様化しなければ対応できないんじゃないかという気がいたします。 原子力発電については、処分地がまだ決まっていないとか、そういう問題は確かにあります。ただ、これは今、政府が、経済産業省が力を入れてやっておりますので、私はやがて、今北海道で調査行われておりますけれども、決まるものだというふうに思っております。 私からは以上です。
○会長(宮沢洋一君) 次に、大野参考人。
○参考人(大野輝之君) 御質問ありがとうございます。 原子力発電に対する考え方ということでございますけれども、私がお話の中で申し上げましたように、今脱炭素化をしていくということが世界のミッションになっております。その中で、その原子力発電をどう位置付けるかというのは非常に意見が分かれる問題であります。 ただ、明確に言えることは、先ほどIEAのレポートのシナリオをお示ししましたけれども、やはり原子力発電が役割を果たすにしても、それはもう主役では全くないということは世界の一致する見解になっているんだと思います。やっぱり脇役という位置にとどまるということです。ですから、そういうものとして考えていく必要があるということです。 なぜ脇役なのかということなんですけれども、これは、一つはやっぱり発電コストが非常に高いということであります。新設発電コストについては、もう一キロワットアワー当たり二十数セントということですから、今円安ですからあれですけれども、三十円ぐらいということになります。かつ、一基当たりの建設コストも非常に高くなっておりますので、非常にまとまった金額をコミットメントしていかなければならないということで、なかなかこれは新規に開発ということが難しいということであります。 そういう弱点といいますか、ブレークするものとしてSMRというものが言われているわけなんですけれども、これ非常に喧伝をされておりますが、実際にはほとんど実用化が進んでおりません。今動いているのは中国とロシアにあるものだけなわけですけれども、これも実績で見ると設備利用率が二十数%というものにとどまっておりまして、八割近く動いていないという状況で、うまくいっていません。 米国のニュースケール社というところのSMRが一番実用化に近いということで非常にもてはやされたわけでございますが、これは、去年の秋にニュースケール社が開発を中断するという発表をしたわけでございます。これはもうコストが高くなってしまって十分な顧客が見込めないということですので、なかなか、経済面だけ考えても、原子力発電を大きなものにしていくことはなかなか難しいだろうというのが実態だと思います。 日本の場合には、やはりそういった問題に加えて安全性の問題があるというのは、どうしてもこの地震大国の日本としては避け難いことだと思います。 志賀原発についていろんな評価があると思いますけれども、私が志賀原発の問題と同時に考えるのは、あそこに、能登半島の突端の珠洲に原発の開発計画があったということですよね。あそこに百二十五万キロワットの原子力発電所を二基造る計画があったということでございます。その設置予定地だったところがまさに今回非常に大きな揺れに見舞われまして、断層も動いたところです。本当にあれが実現しなくてよかったなというふうに本当に私も思います。 ですから、日本の場合には、世界全体で直面しているその原子力発電所の高コストということに加えて、本当に安全性という点でどうなんだろうかという観点から原子力発電については検討していく必要があると考えております。
○宮口治子君 済みません。使用済核燃料についてもお話を。
○参考人(大野輝之君) 失礼いたしました。 これはもちろん、もう既に使用済核燃料があります。これを処分をするのは現在世代の責任ですから、これはいろんな方法で議論を起こして、何とかその処分をしていく方法を見付けなきゃならないと思います。ただ、やっぱりそれを、国民的な合意をつくる上でも、その使用済核燃料の処分サイトを見付けることが更に原発を推進するためのものではないということを明確にしないと、なかなか国民的な一致をつくるのは難しいんではなかろうかと。 原子力発電については、この先もうこういうふうにしてフェーズダウンをしていくんだけれども、今まであったものについてはこれまでの世代の責任としてやらなきゃならないということを前提にした上で合意をつくっていくということが必要ではなかろうかと思っております。
○宮口治子君 ありがとうございます。 時間がないんですが、大野参考人に最後、お話を伺いたいと思います。 ウクライナ危機によって、欧州を始めとする各国では、国内の電力需要を満たすために、石炭火力発電の回帰など脱炭素化の取組を後退させるような動きが見られます。また、途上国の経済発展に伴って世界全体での温室効果ガスの排出が増えていくのではないかとの見込みもあって、地球規模でのネットゼロ実現ってなかなか容易ではないのではないかと思います。 ネットゼロに向けて今すべきことは何かというのを端的にお聞かせください。
○参考人(大野輝之君) 失礼しました。 おっしゃるように、一・五度目標を達成するというパスは、まだ可能性は残っておりますけれども非常に難しくなっているということは間違いないと思います。残念ながら、これまでの世界の取組が、いろんな努力はしてまいりましたけれども、やっぱり遅れている、十分じゃないということだと思います。 ただ、これを難しいからといって諦めてしまうというわけにはいかないと思います。何をするかということですが、これはもう明確でありまして、やっぱりエネルギー効率化、日本でいえば省エネですね、エネルギー効率化を徹底するということと、やはり自然エネルギー電力を増やしていく、この二点に最大の政策努力を注入するということが、端的に言えば一番必要なことだと思っております。
○宮口治子君 ありがとうございました。質問を終わります。
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。 佐々木さやか君。
○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかと申します。 本日は、三人の参考人の先生方には、お忙しい中、このような機会をいただきまして、心から感謝を申し上げます。 私から、まず山本参考人にお聞きをしたいと思います。 改めて、今日は先生方のお話をお聞きをして、本当に今回の能登半島地震でも、水道はいまだに非常に困難な状況にありますし、やはり電気、ガス等々のこのエネルギーの、生活における、また経済活動における重要性というのをまた改めて感じたわけでございますけれども、エネルギーというのは国民生活そして経済活動の根幹でありますので、この安定供給を守るということは本当に国民の命と財産を守るための最重要事項であるというふうに思います。 ですので、このエネルギー安全保障という問題は非常に我が国にとって、世界にとっても重要なわけでございますけれども、日本におけるこのエネルギー安全保障の戦略というもの、今回のウクライナ危機も踏まえて日本政府としても力を入れていただいているとは思っておりますけれども、この日本のエネルギー安全保障の総合的な戦略はやはりいろんな課題がございます。非常に長期的な視点も含めて、もう本当にしっかりと行っていかなければならないと思いますけれども、ちょっと抽象的な質問になりますが、この安全保障の戦略においてこういったところが課題であるとか不十分であるというようなところがもしございましたら教えていただきたいというのが一点と、それから、このエネルギー安全保障という概念について、やはり一部の人だけじゃなくて、やはり国民に広く、やっぱり今は国民の理解も広くいただかないと、なかなか政策的にも物事をうまく進めていけないのではないかというふうに思っております。ですので、こういったエネルギー安全保障ということについて、よく国民に理解をしていただくということも重要ではないかと思っております。 先ほど先生のお話に、例えば、ドイツ、フランス、イタリアの電気料金のお話が出てきました。そういったところからだと思うんですけれども、ドイツは、例えば脱原発が六五%の世論だったのが、やっぱり電気が使えないということになって二〇%という形に世論が変化したというお話をいただきましたけれども、なかなか日本では多分ここまでの動きはないんじゃないかなというようなことも思いますし、この電源の多様性ということを考えると、原子力についてもやはり国民に広く正しく理解をしていただくということも私は重要かなと思っております。何といいますか、そうしたこの国民の理解というところについても、もし諸外国の状況等について御見識があれば、併せて教えていただきたいと思います。 あと、済みません、最後に一点だけ。今の電気料金のお話で、イタリアは非常に上がったと。で、ドイツとフランスも上がっているけれども、まあそれほどではないと。このドイツとフランスを見たときに、フランスは原子力の割合が高いわけなんですけれども、対してドイツはそれほどでもないんですが、イメージでいうと、フランスの方が原子力の割合が多いということもあって余り電気料金が上がらなさそうな気もするんですが、それがそういうわけでもないというのであれば、どういうことなのかということも、もしよろしければ教えていただければと思います。 以上です。
○参考人(山本隆三君) どうもありがとうございます。 最初の課題は、もう世界の主要国では全て自給率向上、もうこれに尽きるんですけれども、その自給率をどうやって上げるかというのが非常に大きな問題です。自給率、一番簡単なのは再生可能エネルギー、次は原子力なんですけれども、原子力というのは、一度装着しますと燃料が一年以上使えますので、しかも燃料が国内にありますので自給率に勘案されるわけですね。そこで問題になるのは、コストの問題というのが出てくるんですね。 今の二番目の御質問に通じるんですけれども、課題として、自給率を上げようとして再エネを入れていくとコストが上がる。まあ、大野参考人はちょっと違う御見解をお持ちだと思うんですけれども、現実にやはりコストが上がっているわけですね。で、国民理解が、ドイツでなぜ原子力支持が増えたのか。それは国民理解が進んだからなんですけれども、なぜ進んだのか。今、ドイツの家庭用電気料金は一キロワットアワー当たり日本の二倍です。七十円を超えています。電気料金をもう負担するのが大変になってきているわけですね。ドイツ政府は固定価格買取り制度の消費者からの徴収をやめました。もう全部、十円ぐらいあったんですけれども、全部税金で負担するというふうに制度を変えたんですね。それでも、ドイツでエネルギー貧困と言われる層、これは、冬場、エネルギーを買えば、要は暖房をすれば食品が買えなくなる、食品を買えば暖房ができなくなる、こういう層をエネルギー貧困とヨーロッパでは呼んでいるんですけれども、ウクライナが、戦争始まる前は、エネルギー貧困はヨーロッパ全体で一〇%いないと言われていたんですね。 ところが今、ドイツはエネルギー価格が非常に上昇しまして、エネルギー貧困層が四割を超えております。これは、収入の低い人ほどエネルギー支出の比率が増えていくということなんですけれども、エネルギー貧困の定義は、消費支出のうち一〇%以上をエネルギー価格に使う、要は電気代、ガス代、ガソリン代に使う、これなんですね。所得が低い人はそういうふうになっていくということで、エネルギー貧困は増える。そうすると国民理解が深まるわけです。電気代下げてよと、ガス代下げてよ、うち暖房できないからと、こうなってくるわけですね。 それがやはり国民理解が深まった理由ということ、原因ということなんだろうと思うんですけど、日本でそんなことやるわけいきませんし、意図的に電気料金上げるなんということとてもできませんし、なかなか国民理解、特にこのエネルギー安全保障の問題に関して深めるというのは簡単ではないなと、現実に、皆さん身近な問題になってきて、初めてそこでどうするんだ我々はというふうになっていくんだと思います。 それはドイツの電気料金にもつながるんですけど、ドイツの電気料金がフランスほど上がっていないというのは、これはドイツもフランスも、ヨーロッパの国は、EUの中ではもうほとんどの国が電気料金への補助は出したんですけど、今はやめていますけれども、イタリアは非常に大きかったんですね。ドイツもフランスも出しています。でも、ドイツはそんな上がっていないのは、実はドイツは国内の石炭で発電しているからです。 ドイツの電力構成、発電量を見ていただくと、三割近くは実は石炭なんですね。二酸化炭素出しまくっているんですよ。ドイツは、その二酸化炭素を出す、しかも、これ石炭というよりも、もっと出す褐炭なんですけれども、これを使っているんです。石炭火力、褐炭火力の発電量を増やしたんです、天然ガス価格が上がったから。もうほかに方法はなかったんですね。そうこうしているうちに石炭価格、輸入炭の価格も上がってしまったんですけれども、国内の褐炭を使えるということは、そのコストは上がらないわけですよね。ということで、ドイツはイタリアみたいな目には遭わなかった。これはある意味、ドイツのエネルギー安全保障だったのかと。国内に褐炭を維持していたと、こういうことなんだというふうに思います。 一言付け加えさせていただくと、ドイツは一九七〇年に、昔の西ドイツが当時のソ連との間で天然ガスの購入を決めてパイプラインを造りました。一九七三年、五十年前から輸入が始まったんですけれども、ドイツの目的は、冷戦時代、緊張関係を相互依存を深めることで緩和して、冷戦から戦争になるのを防ぐということだったんですね。ところが、ドイツはそのロシア産、ソ連産の安い天然ガスで大いに経済発展したわけです。 こういう事態になるまで、ロシアは五十年間にわたってロシア製、旧ソ連製の安い天然ガスを使って経済が発展してきたというのは一言申し上げます。済みません。
○佐々木さやか君 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。 藤巻健史君。
○藤巻健史君 日本維新の会と教育無償化を実現する会を代表して質問させていただきます。 最初に、久谷参考人にお聞きしたいんですが、今、インフレ対策として政府はガソリン補助金を出していますけれども、最後の方で、御講演の最後の方でエネルギー安全保障の点では市場原理をもっと利用するべきだというふうにおっしゃいました。その観点から今のガソリン補助金というのをどういうふうに思われるか、教えていただきたいと思います。
○参考人(久谷一朗君) ありがとうございます。 市場原理を機能させるという観点からは、補助金をやめた方がいいです。御指摘のとおり、価格が上がらないイコール消費者は従来どおり使い続けてしまうというふうになりますので、価格が上昇している局面では皆さんに消費を抑えていただきたいんですけれども、それが動かないというふうになります。 この意味から、補助金、一時的に非常に大きい負担を減らしていくという意味で意義のある政策かと思いますけれども、これが継続してしまいますと、せっかくある市場が機能しなくなるというふうになるので、早めになくす方がよいというふうに考えております。
○藤巻健史君 次に山本参考人にお聞きしたいんですが、先ほどの質疑の中で、自給率向上が最大の課題だというふうにおっしゃいました。久谷参考人の資料を見ていますと、日本はOECDの中で下から二番目に自給率が低いと。まあ、低いとは思っていましたけどこれほど低いとは思っていなかったんですが、一番低いのは韓国ですよね。 それで、先ほどの先生のお話によりますと、韓国は原子力技術を非常にキープしているというお話でしたけれども、ということは、韓国は原子力でこの安全保障、エネルギー安全保障を確保しようというふうに考えているのかどうか、お教えください。
○参考人(山本隆三君) どうも御質問ありがとうございます。 韓国政府は今原子力発電所を二十二基運転しておりまして、電力需要の三割ぐらい原子力で賄っている。要は、東日本大震災前、日本は三割の電気を原子力で賄っておりまして、それに近いわけですね。韓国が難しいところは、政権が替わると方針ががらっと変わると。前政権は原子力発電所をやめていくんだと、脱原発だというので、工事中の原発を停止したりしていました。現政権は原子力を活用するということで、二基、今建設も行っております。したがって、原子力発電を、まあ、原子力発電に依存度を余り高め過ぎると危ないわけです。これ、一つの電源に依存度を高めるのは危ないということなんですけれども、原子力発電をやっぱり三割四割使っていくというのが今の政権の考え方だと思います。 もう一つ、韓国政府の狙いは、それで輸出市場を取っていく。現実に、韓国はアラブ首長国連邦で四基原子力発電所を受注して、既に三基は稼働しました、一基は今年稼働予定だと思いますけれども。UAEは追加で更に三基を韓国に発注するとか、あるいはポーランドが大型原子炉を韓国に発注するとか、いろんな話が出てきています。それは、韓国は原子力技術を利用して輸出市場まで獲得していくんだと、こういうふうな意思なのかなというふうに思います。
○藤巻健史君 次は久谷参考人にもう一度お聞きしたいんですが、この久谷参考人の資料の五ページ目に、LNGに関してターム契約が減っていく、かなり減っていくような資料なんですけれども、これ、ある商社の買い付け担当の人に聞いたときに、ちょっと前なんですけど聞いたときに、スポットだと日本はかなり買い負けるんじゃないかと。同じ値段を出しても、他国は例えば武器を提供するよとか戦争に巻き込まれたら助けてやるよというお金以外の付随の契約をぶつけるので日本はとても勝てないということをその商社の担当者がおっしゃっていたんですけど、そうするとかなり、LNGが買えないとなると、ヨーロッパもロシアからパイプラインが遮断されてLNGに傾倒していくようになると、日本のこのLNGの取得能力というのはかなり押して、それが価格に反映されていくんじゃないかと思うんですが、その辺についてはいかがお考えでしょうか。
○参考人(久谷一朗君) ありがとうございます。 一つの答えは、原油のような成熟したマーケットに発展させていくということだと思います。原油の方がマーケットとしては成熟していまして、非常に多くの取引参加者がいると。その結果としまして、世界のどの国で買っても大して値段は変わらないと。誰でも買えるという状態になっています。理想的には、LNGについてもより多くの買主、それから売主が参加して、誰でもいつでも大体同じ値段で買えるという状況になってくれば、それほど日本も心配することはないということだと思います。 今、アジアの国々がこれからもっとLNGを使っていこうというふうに考えていますので、彼らをエンカレッジして日本が助け、もっと多くの方がLNGを使うというようなことにしていくのは一つの方向だと思います。 以上です。
○藤巻健史君 ちょっとお三方に聞きたいんですが、山本参考人がインフレになると大変だということをおっしゃっていた、山本参考人か久谷参考人か、ちょっとどちらか忘れましたけど、おっしゃっていたと思うんですが、そのときに資材価格が、コンクリートなどの資材価格が高騰することによって大変になるというふうにおっしゃっていたと思うんですが、実は私、まあこう言うとばかにされるかもしれないんですけど、かなりの円安がこれから進むと思うんですよね。二百円、三百円、四百円というとんでもない円安が今後進んでくるんじゃないかと思うんですが、そういうことを、もしそうだとするならば、さっきから太陽光等再生エネルギーが高い高いというお話を随分お聞きしていますけれども、それを今からでも投資を増やしていくというのも、まあこれ為替の予想いかんになるんですけれども、重要なことかなと思うんですが、いかがでしょうか。お三方、ちょっと。
○会長(宮沢洋一君) まず、山本参考人。
○参考人(山本隆三君) 投資を増やすというのは、設備に対する投資を増やすということでしょうか。 やはり、輸入依存度が非常に高い、今、日本で使われている太陽光パネルの九七%ぐらいは国産ではございません、輸入品だと思いますので。そうなるとやはり非常に大きな影響を受けると、円安が進むとなかなか難しくなってくるということはあると思います。 あと、工事費なんかもインフレの影響を受けるということで、発電コスト自体に影響があるだろうというふうに思います。
○参考人(久谷一朗君) 私も近い見方でございまして、おっしゃるとおり、今現在のその日本のエネルギー料金の高さの多くが為替に影響されていますので、この先、更に円安が進めば、外的要因によらず、どんどん日本だけエネルギーコストが高くなっていくということも十分起こり得ると思います。 一方、再エネも、これ製造の国産化率は意外と低くて、太陽光パネルは輸入品が多いですし、風力につきましてもやっぱり輸入機材が非常に多いというふうに認識しております。 いずれにしても、輸入に依存する限りは、化石燃料であろうと再生可能エネルギーであろうとコストは上がってしまうということかと思います。 以上です。
○参考人(大野輝之君) 御質問ありがとうございます。 おっしゃるように、日本の場合は化石燃料への依存が非常に高いわけでございまして、現在十六兆円ですかね、十数兆円が化石燃料購入費として毎年海外に流出をしているということでございますので、これが円安が進めば更に増えていくということは間違いないと思います。そういう意味では、やっぱり自給率を増やすという点では再生可能エネルギーを増やしていく必要があるわけでございますが、再生可能エネルギーも、皆さん御指摘のように、現在は太陽光モジュールについても中国依存が非常に高うございます。 ただ、注意しなきゃならないのは、太陽光発電につきましても風力発電につきましても、太陽光ではモジュール、それから風力発電でいえばタービンですね、これの投資額というのは、風力発電コスト全体、太陽光発電全体の二割から三割なんですね。あとの七割ぐらいは国内における、国内での建築費とかそういうものでございますので、これ、もちろんインフレの影響はございますけれども、化石燃料や海外から輸入するものと比べれば大きな影響はないということでございます。 いずれにしましても、太陽光発電、風力発電、特に太陽光発電については、国内の供給能力を増やしていくことは重要なことは間違いないと思います。御記憶と思いますが、二十年前には太陽光パネルは日本のメーカーがトップを独占をしておりました。それがなかなか、日本の中で自然エネルギーを増やすことがメインの政策にならない中でずるずると国際的なランキングを下げてしまったということですから、そういう過ちを繰り返さないということが非常に大事だと考えております。
○藤巻健史君 時間が来たので、これで終わります。ありがとうございました。
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。 浜野喜史君。
○浜野喜史君 国民民主党の浜野喜史でございます。 〔会長退席、理事藤井一博君着席〕 山本参考人にお伺いいたします。 次期エネルギー基本計画についてお伺いするんですけれども、地球温暖化対策に偏り過ぎた現計画をエネルギー安全保障を基本とした計画に軌道修正をしていくことが私は必要だと考えるんですけれども、見解を伺いたいと思います。 また、各論といたしまして、自給率を上げるためにも、ヒートポンプ技術について、省エネルギー技術ではなく再生可能エネルギー利用技術として位置付けを変えて強力に推進をしていくということが必要だと考えますけれども、御見解をお伺いいたします。
○参考人(山本隆三君) どうもありがとうございます。 エネルギー基本計画は、やはり二〇五〇年脱炭素を目標として作られているわけですけれども、正直言って相当実現が難しいんではないかというふうに思います。二〇三〇年、今の第六次でももう難しい目標になっているんだと思うんですね。難しいというのは、やろうと思えばできるんでしょうけど、私たちの払う電気代が一体幾らになるのかなという点では非常に大変なのかなという気がします。 じゃ、二〇五〇年脱炭素をどうするんだというふうになるんですけど、私はもっと物事を楽観的に考えた方がいいんじゃないかと。一・五度地球の気温が上がって、それ以上上がったら本当に地球は壊滅的になるのかというふうなことは我々よく考える必要がある。将来のことはよく分かりません。まあ、国連のグテーレス事務総長とかは地球は沸騰していると言うんですけれども、今、地球温暖化に関わっている国際機関は国連の機関です。その機関を率いている方は当然、自分の機関の存在価値がなければいけないんであろうというふうに思います。 そういう意味では、もう少し楽観的にエネルギーの分散、電源の分散というふうなこともよく考えながら、余り一つのものに頼らない、そういう形が大事なのかなと。エネルギー基本計画を今見直すさなかに、もうじきあるんだろうと思いますけれども、見直すんであればそういうふうな視点というのも大事かなと思います。 〔理事藤井一博君退席、会長着席〕 ヒートポンプについてはもうおっしゃるとおりです。ヨーロッパでは再生可能エネルギーと位置付けられております。したがって、日本もヒートポンプの位置付けというのをよく考えなければいけない。これは日本企業が非常に強い技術です。 ただ、非常に心配なのは、今世界のヒートポンプの供給を見ますと、中国メーカーが四割を超えて、データによってはもう五割というデータもあります。日本が得意とする技術までやはり中国に取られてしまうというのは非常に不安なところですので、何とかヒートポンプの位置付けをよく見直して、日本の自給率に換算して、政府としても後押しするような政策が必要かなというふうに思います。 以上です。
○浜野喜史君 もう一問、山本参考人にお伺いいたします。 電力システム改革をどのように評価をしておられるのか、お伺いをしたいと思うんです。私は、国民生活、経済の向上につながっているのか否か、甚だ私は疑問であります。一つ言えますのは、非常時に力を発揮すべき大手電力の体力をそぎ続けているということだけは間違いないというふうに私は思うんですね。 システム改革どのように評価されているか、お伺いしたいと思います。
○参考人(山本隆三君) ありがとうございます。 一言で言えというと失敗です。なぜなのかというと、電気料金が上がったか下がったかというのはいろんなファクターがあって難しいと思いますけれども、少なくとも下がる方向には動いていないんじゃないかと。競争を増やせば料金は下がるということは、本来小売で幾ら競争しても下がらないんですね。電気をつくる設備で競争しなければ下がらないんですけれども、電気をつくる設備が増えているわけでは必ずしもありません。 それと、今御質問にありました大手電力の体力が弱ったというのも一つの問題でして、なぜそれが問題なのかというと、投資ができなくなっている。先ほどの御説明でも申し上げましたけれども、例えば石油火力発電所を維持できなくなって閉めざるを得ないわけですね。それを閉めると停電が起こるかもしれない。でも、分かっていても、自由化された市場です。民間会社が余分な設備を保有していると株主から怒られます。何やっているんだということです。したがって、もうからない設備は閉めていく、そうすると電力供給が不安定化する、そういう点でもやはり余りうまくいかなかったということだと思います。 これ、諸外国でも余りうまくいっていなくて、もうイギリスでも継ぎはぎ継ぎはぎです。日本も同じように二〇一六年以降継ぎはぎをしてきていますけれども、それがなかなかやはりうまく一つのものにはまとまってきてないということなんだろうと思います。
○浜野喜史君 次に、久谷参考人にお伺いいたします。 エネルギー安全保障と地球温暖化対策を両立させつつ経済を成長させていくことが重要であると、この観点から見解をお伺いしたいと思います。 私の理解するところでは、経済成長につながる方策は、一つには原子力発電の積極活用によるエネルギーコストの低減による経済成長、二つは我が国が生み出した革新技術の海外展開による経済成長、これくらいしか私にはイメージができません。エネルギー安保と地球温暖化対策を両立させつつ経済成長を生み出す経路について、久谷参考人はどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
○参考人(久谷一朗君) ありがとうございます。 私の説明で冒頭お話ししましたけれども、気候変動対策と安全保障の整合性という観点からは、省エネルギー、再生可能エネルギー、それから原子力、こういったものが鍵になってくるというふうに思います。 おっしゃるとおり、こういった技術を使って日本のエネルギーコストを下げていく、そのことによって日本の産業を強くしていく、輸出競争力を高めていくということは、一つの重要な経路だと思います。もう一つも、おっしゃるとおり、こうしたエネルギー周りの技術革新によって日本の技術が世界よりも優れている、より使いやすいというふうに評価されるようになれば、それを輸出することによって経済成長も行うということなので、いずれにしましても、この三つの領域できちんと日本が頑張っていくということかと思います。 あとは、これが経済成長につながるかどうか分かりませんけど、ともすれば、この再エネ、原子力、省エネ、三本だけでいけると、頑張るというような話が多いんですけども、そうではなくて、様々な技術が必要になってくるんだと思います。カーボンニュートラルはそれほど簡単なことではなくて、非常に非常に難しい挑戦だと理解しています。この三本だけで完全にうまくいくかというと、よく分からない部分はあります。新たな技術のイノベーションも当然あると思います。そういったものをきちんと育んでいく、日本で育てていくということが非常に重要だというふうに思います。 以上です。
○浜野喜史君 最後に、大野参考人にお伺いいたします。 全てのエネルギーを再生可能エネルギーで賄う時代が来るかどうかということについて私はもう極めて疑問なんですけれども、大野参考人はどのようにお考えか、御見解をお伺いします。
○参考人(大野輝之君) 私自身はそういう時代が来ると思っております。ただ、もちろんその一直線ではなりませんし、いろんな工夫が必要だということも間違いございません。 ただ、その再生可能エネルギーで賄うというときに、そのイメージなんですけれども、電力供給を、お話をしましたように、太陽光、風力、大変変動がございますので、その変動する電源だけで電力供給の安定化ができるかというと、なかなか難しい点もあろうかと思います。 そうしますと、太陽光や風力でグリーン水素を作って水素の発電をしていくというふうなことも含めてやっていくということだと思います。それから、やっぱり化石燃料が全く必要でないかというと、そこは確かにいろんな議論がございまして、どうしても化石燃料がないと、特に高温の熱利用ですね、高温の熱利用の中で必要な場合には、そこについては化石燃料を使い、それについてはやっぱりCCSですね、回収をして貯留をしていくという方法も併用することはあり得ると思います。それから、原子力についても、一部はあると思います。 ただ、いずれにしましても、一〇〇%でないにしても、九割方は自然エネルギーによって電力もほかのエネルギーも供給されていく時代になっていくと思います。ですから、日本の場合にはそこが一番政策の中心に座っていないというところがやっぱり一番心配な点だと考えております。
○浜野喜史君 終わります。
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。 吉良よし子君。
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。 今日は、三人の参考人の皆様、貴重な御意見を本当にありがとうございます。 私からは大野参考人にお話を伺っていきたいと思うんですけれども、日本のエネルギー自給率は、この間指摘されていますとおり非常に低く、エネルギー源のほとんどを海外からの輸入に依存しているという点から見れば、そのエネルギーの安全保障といったときに、このエネルギーの自給率の向上は本当に急務でありますし、とりわけ、大野参考人御指摘あったように、脱炭素、気候危機打開が世界的な課題となる中で、自然エネルギー、再生可能エネルギーの普及拡大というのは本当に鍵になってくると考えております。 私は、昨年九月に、参議院の重要事項調査第三班の一員としてアイスランドとドイツに訪問してまいりました。このアイスランドでは、再生可能エネルギー、ほぼ一〇〇%実現している国でしたし、ドイツでは昨年四月に脱原発を実現して以降、再生可能エネルギーを約四割に増やしていると。再生可能エネルギーの普及拡大のためには、そうした政府の政治的決断というのが重要であるということを実感した次第です。 一方、日本でいいますと、いや、そうはいっても再生可能エネルギーの適地というのは少ないんであるとか、先ほどの議論の中では、逆に輸入依存になるんじゃないかという指摘などもあったわけですが、実際、私もドイツで風力発電を見てみたときに、本当に大規模な発電機が広大な土地にどんどんと乱立する状況とか見たり、若しくは、洋上風力であっても最大で水深五十五メートルが限度だよというお話なども聞いたわけで、そうすると、確かに広大な平野が少ない、若しくは遠浅の海も少ないような日本でこのような大規模な風力発電プラントというのを展開するというのは技術的な困難も伴うんじゃないのかなということも確かに感じるところはあった次第なんです。 ただ、だからこそ、私は、そういう海外の大型プラントに頼るのではない、先ほど参考人もあったような、国内で、自国での再生、生産能力の増強というか、日本の風土、気候などの条件に即した再エネ技術の開発をしながら再エネの普及拡大を進めていくということが必要なんじゃないかと。そういうことを進めていってこそ、地産地消になるのはもちろん、国内の新たな仕事や雇用の創出などにもつながっていく、そういう可能性にも広がるんじゃないかなということも考えた次第なんですけど、その点について、大野参考人、先ほど太陽光発電の生産能力増強が、自国での、が必要ですねというお話もありましたが、そうした日本の風土に合わせた再生可能エネルギーの普及拡大への可能性、ポテンシャルをどうお考えになるか。そうしたものを進めていく上で必要な政策的支援や現状の課題があるのかという点など、お考えをお聞かせいただければと思います。お願いいたします。
○参考人(大野輝之君) 御質問ありがとうございます。 電源を一つのものに頼るのは非常に危険であると、多様な電源が必要だということは間違いないと思います。ただ、ここで見逃しちゃいけないのは、自然エネルギーというのは一つではないということであります。自然エネルギーの中には、太陽光というのもありますし、風力もあります。それから同時に、地熱もございますし、バイオマスもあります。あと、水力もあります。日本は、幸いにこういう全ての自然エネルギー資源に恵まれているということなんですね。 太陽光、風力については先ほど申し上げました。それ以外に、地熱についても、世界第三位の地熱の保有量がございます。水力についても、既に三・一一の前から一〇%の電力供給を水力で行ってまいりまして、非常に日本は急峻な地形でございますので、かつ雨も多いわけでございますので恵まれています。これは、ドイツにはこういう条件はございません。それから、バイオマスについても、国土の相当な部分が山林ということですので、ですから、こういうものを生かして日本にふさわしい自然エネルギーの社会をつくっていくということが必要だと思っています。 ただ一方で、そういういろんなものを使っていくわけなんですが、やっぱり中心になるのは何かといえば、風力発電と太陽光発電であることは間違いないということだと思います。 洋上風力についても、御指摘のように日本は遠浅の海が少ないということでございますが、それでも、風力発電協会の調査によりますと、九十一ギガワット、九十ギガワットぐらいの着床式の風力発電の設置の可能性があるということを言っていますし、それから浮体式につきましても、これは技術開発が非常に進んできております。かつ、その日本の産業との関係でいえば、ここはまさに日本が先駆的に技術開発をして日本のビジネスチャンスにしていく、チャンスもございますので、ここは政府も浮体式の洋上風力開発、技術開発に非常に力を入れていらっしゃるわけですけれども、進めていく必要があるということだと思います。 それから、太陽光発電も、確かに広大な土地をこれから使っていくことは難しいし、いわんや山林を切り開いて自然破壊をするような太陽光発電はあってはいけません。だから、これはもう建物の屋上、インフラ施設の屋上等々ありますし、これも、日本の方が開発されたペロブスカイトですね、この技術開発もございますので、そういういろんな日本発の技術も含めて、多様な自然エネルギー発電を使っていくということがやっぱり必要だろうと思っております。
○吉良よし子君 日本発も含めて、多様な再生可能エネルギー、技術開発など進めながらやっていく、そういうポテンシャルあるんだというお話、非常に可能性を感じた次第でありますし、そうしたものこそ進めていくべきだということを改めて思いました。 もう一問、大野参考人に伺いたいんですが、今日のエネルギー安全保障の前提として、世界の平均気温上昇を一・五度に抑えると、こういう国際合意があるというお話だったと思うんです。 当然、そのためには、このエネルギーだけではなくて、そもそものCO2をどう削減するか、削減していくということも欠かせないわけですが、私、地元である東京都では、多くの市民も反対しております神宮外苑の再開発のように、大量の樹木を伐採するような再開発というのが次々と進められている問題があるわけです。 ちなみに、この神宮外苑再開発、進められた場合、このCO2排出量というのは年間約四万七千トンとなるんじゃないかと言われておりますし、また、日本共産党の東京都議団の調査では、そのほか都内で進められている大型開発事業でも、例えば、品川駅周辺の二つの事業で七万七千八百トン、大手町の東京トーチタワー一棟だけで四万五千三百トン、帝国ホテルの高層化などの日比谷周辺の開発では八万五千トンのCO2が年間に排出されることになるということで、環境への多大な影響が指摘されているわけです。 大野参考人は、かつて東京都の環境局部長も務められていた経験もあって、CO2削減に御尽力されたと思うんですけれども、一方でCO2削減のために政策を進める、一方でこうした再開発などを進めてCO2がどんどん出てしまうというのは非常に矛盾した政策だと思いますし、持続可能な町づくりとも言えないのではないかと思いますが、こうしたCO2排出削減の観点からの大規模な都心再開発についてどう見ていくべきか、お考えをお聞かせいただければと思います。
○参考人(大野輝之君) 今御質問いただいた件についていろんな議論が行われていることは承知をしておりますけれども、持続可能な都市づくりの在り方というのは、やっぱり総合的に考える必要があると考えております。 一方で、そういう意味で大規模なビルの開発などはすべきでないという議論もございますけれども、ビルの更新が進むことによってエネルギー効率化が進み、その中で再生可能エネルギーの利用が進むものもございますので、そういう観点から総合的に緑の保全とエネルギー転換を図っていくということが必要だと考えております。
○吉良よし子君 ありがとうございます。 最後に、原発についても伺いたいと思います。 先ほども、志賀原発、能登半島の地震で大きなトラブルもあったというような指摘などもあったわけですけれども、やはり志賀原発では、想定を超えた揺れが観測される中で、外部電源が一部使えなくなったり、冷却、絶縁のための油が漏れ出す、また、使用済核燃料プールのポンプが止まって一時的に冷却停止などの重大なトラブルが続いたわけで、また、道路が寸断されるなどの中で、一旦事故がもし起こった場合に避難計画が機能しないんじゃないかと、そういう破綻も明らかになったと。 やはり、原発を動かすことについては、コストが高いだけでなくリスクが高いことも明らかになったと私は考えているわけですが、あわせて、再生可能エネルギーを普及をするという観点から見ても、政府の原発優先の姿勢ということそのものが再生可能エネルギー普及を進める障害になっているとも考えるわけですが、その点も併せて、この原発と再生可能エネルギーとの関係について大野参考人のお考えをお聞かせいただければと思います。
○参考人(大野輝之君) 先ほど何回も御答弁申し上げておりますけれども、太陽光、風力という変動電源をいかに安定的に電力供給の安定化に結び付けていくかということを考えますと、自然エネルギー電源で賄えるもの以外の電源については、この追従性と申しますか、その柔軟性が非常に必要だということがございます。フランスなどでは原子力発電についても非常に変動性を持った柔軟な運用をやっているわけですが、なかなか日本ではそういうことを許すような状況になっておりません。 ですから、実際に、今九州のように太陽光発電が非常に増えている地域の需給状況を見ますと、言わば、その原発の安定的に、そういう意味では、もう一定程度のその電源を供給していますので、どうしてもその太陽光がたくさん発電するときには余ってしまって出力抑制をするということになっています。せっかく発電した太陽光発電が使われずに捨てられてしまうというふうな非常に残念な状況も起きていますので、そういう状況も踏まえて、いかに自然エネルギー発電をフルに活用するかという観点から、原発の運用についても検討していく必要があるんじゃなかろうかと、このように考えております。
○吉良よし子君 ありがとうございました。大変参考になりました。 質問を終わります。
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。 広瀬めぐみ君。
○広瀬めぐみ君 自民党の広瀬めぐみでございます。 今日は、三人の先生方から非常に有意義なお話をありがとうございました。大変勉強になりました。 私は、まず山本参考人と久谷参考人にお聞きしたいと思います。 今日のお三人のお話で、やはりエネルギー政策というものの難しさを非常に感じました。戦争であるとか、それから天候であるとか、そういった外的要因によって、価格、それから需要と供給のバランスなどがどんどん変化をしていく、そういった中で、やっぱり一つのエネルギーの政策をしっかりと取っていかなければいけない、そして、脱炭素及びエネルギー安全保障、つまり自給を目指していくことが絶対に必要であるということを再確認いたしました。 そして、そこで山本参考人と久谷参考人に御質問なんですが、非常に基本的な質問になります。 日本がこれから目指すべきエネルギー政策の形を若干具体的にお教え願えませんでしょうか。例えば、原発が何%、それから自然エネルギーが何%、石炭が何%などというふうに教えていただきたい。そして、それをどのような計画でもって進めていけばいいのかということと、仮に、じゃ、二〇五〇年になって自給ができませんでしたといったときには、やはり海外への依存度というものがますます高まっていくということになると思うんですが、そのような場合に備えて私たち国民一人一人が個人としてできる防衛策みたいなものがあれば教えていただきたいと思います。
○会長(宮沢洋一君) まず、山本参考人。
○参考人(山本隆三君) 御質問ありがとうございます。 大変大きなテーマで、どうお答えしようかなと今思ったんですけれども、具体的な数字を挙げるのは非常に難しいんですけれども、ただ、はっきりしていますことは、二〇五〇年の世界は二酸化炭素を余り出さない電気と水素の社会になっていくんだろうというふうに思います。 大野参考人の話にもありましたように、例えば化学工業ですとかあるいは高炉製鉄業、こういうところは電気には変えていくことはできません。例えば、高炉製鉄を電炉に替えると製品の質が落ちて使えないものが出てくるということに、使えないというのは、例えば自動車用の鋼板作ろうとすると高炉製鉄でないと駄目なんですね。そういうところでは水素になります。 問題は、水素を作る電源、これは大野参考人から再エネという話があったんですけれども、水素を再エネで作ると水の電気分解装置の利用率が非常に低下します。水の電気分解装置というのは非常に高額なんですね。これをやっぱり八割、九割使わなければ安い水素はできません。水素の自給率を高めようとすると、フランスとかアメリカがやろうとしていますように、原子力発電あるいはSMRを設置して、隣でSMRの熱と電気を使って水の熱分解、電気分解をする、こういうふうなことが必要になるんですね。 ですから、二〇五〇年の社会は水素と電気の世界になって、そこで使われるものは再エネと原子力が主体になるんだろうというふうに思います。 ただ、もう二十七年とか二十六年しかないんですね。その間に日本を含め世界が化石燃料をゼロにできるのか、そんなのできるわけないですよ。化石燃料の消費量というのは今日現在も増え続けているわけです。世界は依然として八割を化石燃料に依存しています。したがって、それを目標にしながら化石燃料をどうやって使っていくのか、どうやって残すのかというふうなことを考える必要があるというふうに思います。 そこで同時に重要になるのは同盟関係だというふうに思います。例えば、アメリカは水素を安く作れるんですね。これはアメリカの石油協会が発表していますけれども、アメリカは、天然ガスから水素を作って、出てくる二酸化炭素は全部油田に入れて、回収しちゃおうと、で、その水素は多分輸出するんだということなんだと思うんです。 そういう水素であれば、日本の自給率には貢献しないんですけれども、少なくとも同盟関係という中では安心して買えるということなんじゃないかと思うんですね。したがって、二〇五〇年、化石燃料は残ると思いますけれども、その化石燃料を調達する先を同盟国にしていく、こういうことが必要かなと思います。 家庭でできることというのは、私は、蓄電池が安くなったら設置しましょうかぐらいしか思い付かないんですけれども、あとは節電ですね。家電製品をエネルギー消費の低いものに替えていくとか、そういうふうなことしか残念ながら思い付かないんですけれども。 以上です。
○広瀬めぐみ君 ありがとうございます。
○会長(宮沢洋一君) では、次に久谷参考人。
○参考人(久谷一朗君) 私もちょっと数字を出すのは非常に難しいなと感じております。ただ、皆さんおっしゃるとおり、電気が主力になっていくというのは間違いなくて、例えば、これはもう本当に印象だけの話なので聞きおいていただきたいんですけど、電気七対熱が三とかですね、電気八対熱が二とか、そういったぐらいの、非常に電気に偏ったようなエネルギーシステムになっていくのかなというイメージでおります。 その電気がどう作られるかというふうになりますと、再生可能エネルギー、それから原子力、一部については水素、アンモニア、こういったものも作ってやっていくと。それから、CCS付きの火力もあるかもしれません。熱については、グリーン水素、そういったものを使っていくというふうになるんだと思います。 あとは、海外依存が増えていく可能性というのは日本にとっては残念ながらございます。私どもの評価では、水素、アンモニア、それから液体合成燃料、こういったものを日本に持ってくる場合、やはり輸入する方が現時点では安いという評価になります。残念ながら、国内で作るよりも輸入の方が安いという評価です。そうしますと、経済性の観点から輸入するというふうになりますと、できるだけ同盟関係にある国、安全な国、それから分散化していくということが基本になると思います。 各家庭の防衛という観点からは、実は私も数年前に自宅の屋根に太陽光パネルを載っけまして、何で載っけたかといいますと、投資回収年数が六年ぐらいなんですよね。六年間で回収できて、あとは寿命の二十年来るまで十年以上ただで使えるというのであればいいかなといって入れました。今は厨房でガスとか、給湯ガスを使っているんですけれども、次、リフォームのタイミングでは電気温水器とかそういったものに替えて、なるべく太陽光の電気を使い尽くすような形にすれば、震災とかがあっても自立してエネルギーを使っていくようなシステムができるかもしれないというふうに考えています。 以上です。
○広瀬めぐみ君 どうもありがとうございました。 世界的な観点からは、同盟関係を強化するということと、それからエネルギーのやっぱり分散化が必要だということが分かりました。また、個人としては、蓄電池の活用、それから太陽光を使い切るということと節電が一番大切だということもよく分かりました。ありがとうございました。 最後に、大野参考人にお聞きしたいと思います。 大野参考人のお話の中では、二〇三五年の電力供給の八〇%程度を自然エネルギーでということでした。 私は岩手県の出身でございますけれども、今、久慈市というところで洋上風力に取り組んでおります。しかし、やっぱり地元の漁師さんが強硬に反対をされていらっしゃる方々もいらして、なかなかこれを進めることができないという状況がございます。 一方で、そういう地元に暮らす方々のその生活、なりわいの問題もあるかと思うんですけれども、もう一方で、やっぱり全国的に国がしっかりと指針を示した上で自然エネルギーに取り組んでいかなければいけないのではないかという、そういう思いもございます。 そういったところで、先生のお考えをお聞きしたいと思います。
○参考人(大野輝之君) 私のお話の最後に、二〇三五年の一つの目標として八〇%程度ということを話しました。これは、私ども財団が今、一回四月にこういう提案をさせていただいて、今改めまして、本当にどういうふうにやったらそういうことができるんだろうかという検討をしていますが、確かに非常に難しいです。非常に難しいですけれども、やはり本当にこの一・五度目標に必要な、二〇三五年までの、CO2でいえば六五%削減が必要だというふうに今言われているんですね。これをやろうと思うと、この辺の域まで達しないとなかなか目標が達成できないというふうに分かってきています。 それから同時に、世界のほかの国では、こういうレベルがもう、まあ欧州については非常に高いレベルまで達していることはもう皆さん御承知のとおりだと思うんですが、中国も非常にこの再エネの電源比率を増やしておりまして、昨年十二月にIEAが出した今後四年間、五年間の予測というのを出しているんですが、それを見て私も驚いたんですけれども、二〇二八年には中国の電力の五割は再生可能エネになるという見通しをIEAが示しております。二〇二八年です。だから四年後ですから、日本の場合は、非常にその太陽光の導入も遅れてきておりますので、今二二%ぐらいのものがですね、このままでいくと、四年後にも、だから二六%ぐらいまでしか行かないんじゃなかろうかという可能性ございます。 そうすると、その時点で既に中国はもう倍以上、まあ半分ですね、五〇%を再生可能でやっているということになりますので、これ非常に、競争上も非常に不利な状況に日本の企業が立っていくということになります。 ですので、そういう状況を踏まえると、やはり政府が脱炭素ということだけではなくて、日本の経済成長を考えても、まあ経済成長というのは、ペロブスカイトや浮体式洋上風力に日本が参入していくということでございますから、もう一方で、日本に立地する企業が例えば製品を作るときにも、電気の炭素性能が、つまり、電気の中の、電気の排出係数が高いとそれはもう環境に良くない製品というふうにみなされてしまうわけですよね。非常に国際市場で競争上不利になりますので、そういう意味で、日本の経済にもマイナスを与えないためにも本当にこれを増やしていくことが必要だということだと思います。 ただ、それを目標を立てても、今お話のありましたように、地元での了解がなければ、地元の合意がなければ実現できません。やはり、太陽光発電、日本の場合は、三・一一の後、やっぱり急に二〇一二年に固定価格買取り制度をつくって余り準備がないままに始めてしまったということがあったと思います。そのためにいろんなトラブルが起きました。これをやっぱり総括をして、もっと地元と共生する形で自然エネルギーを増やしていくことに力を割いていくということが必要だというふうに考えております。
○広瀬めぐみ君 どうもありがとうございました。 時間が来ましたので、終わります。
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。 村田享子君。
○村田享子君 立憲民主・社民の村田享子です。 今日は、三名の参考人の先生方、どうもありがとうございます。 私、お話を聞く上で、エネルギーの安全保障といったところで、自給率も考えないといけないんだけれども、例えば再生可能エネルギーの太陽光パネルであったり、風力発電、じゃ、その発電設備をどこが造っているのという、そこまで見た上の安全保障なんだなということを勉強をさせていただきました。 そこで、まず、山本参考人にお聞きをしたいんですが、私、物づくり、製造業の労働組合の出身でして、原子力もそうです、火力発電もそうです、今でいうと再生可能エネルギーもやっていこうと。特に造船業がなかなか日本で難しい中で、例えば洋上風力発電、今日、大野参考人もお話しいただいていますけど、浮体式の洋上発電に力を入れていこうと。 今、国もそうしているよねということなんですけど、例えば洋上風力発電のコストをじゃ抑えようとすると、じゃ、今から日本国内の洋上風力発電のサプライチェーンを発展させていくというよりも前に、じゃ、まずコストだよねとなっちゃって、じゃ、中国ではもう既に市場ができていて安いものができているから、そこを輸入して日本の浮体式洋上風力発電をやっていこうよ、こうした流れになっていくんじゃないかという御心配を今製造業の皆様からはお聞きをしています。 山本参考人の論文の中でも、日本ではずっと、民主党政権のときにもグリーンイノベーションを使った成長戦略だと言ってきたけれども、結局中国の製造業を助けただけだよねといった記述もありましたが、何で日本でこうしたグリーンの産業が伸びてこなかったのか、また、中国でこうしたものが進んできたのかというような御見解を教えていただければと思います。
○参考人(山本隆三君) ありがとうございます。 これは、中国政府の非常に上手な政策にやられていると。 どういうことかというと、太陽光発電も風力発電、陸上も洋上も、世界最大の市場は中国です。で、今話題の電気自動車も、世界最大の市場は中国です。世界の電気自動車の六割近くは中国が持っているわけですね。 中国政府というのは、国内で非常に大きな将来の市場をつくる、将来の市場というのは、例えば再生可能エネルギーの太陽光パネル、あるいは風力発電設備を造る、そういう市場をつくるためにまず国内で物すごい量を導入するわけですね。それが中国が世界一の再エネ大国になっている理由なんですけれども、その目的は、やはり国内で製造業を育てるということなんです。それはほかの国はなかなかまねができない、そんな計画経済みたいなことをできるわけがありませんので、ということなんだと思うんですね。 再生可能エネルギーの問題というのは、雇用の点で申し上げますと、再生可能エネルギーって建設時の雇用はあるんです。建設が終わると地元の雇用はございません。例えば太陽光パネル、大規模太陽光パネルの場所とか行っても働いている人はいません。ということは、残念ながら地元の雇用には余り貢献しないということなんですね。 このサプライチェーンを完全につくり上げている中国企業に日本の企業が対抗していくのはかなり難しいというふうに思います。なかなかやっぱり、例えば洋上風力ですと、部品数が非常に多いのでサプライチェーンはがっちりできているわけですね。そこに日本企業が食い込んでいくというのは、まあこれは自動車の系列考えれば分かりますけれども、いきなり自動車部品作ってトヨタに行って買ってと言っても買ってくれませんよね。そういうふうなことも我々考える必要があるんだろうと思います。
○村田享子君 どうもありがとうございます。 なかなか、日本は中国と比べて国内の市場が小さいといった課題がある中で、冒頭、藤井議員の方からも、じゃ、アジアの脱炭素化の進める上で日本の原子力生かせないかといった話ございましたが、次、久谷参考人にお聞きしたいのが、そのアジアの脱炭素化を進めるということで、久谷参考人の論文の中でも、エネルギー危機を受けて、例えば地球温暖化対策の中で新たな南北問題が起きているのではないかと、脱炭素化に行きたいけれどもなかなか今エネルギー価格が高いと、やっぱりより安い石炭にまた回帰しようというような動きも見られていると。 例えば、日本で火力発電においては水素やアンモニアの混焼を使って火力発電を今後も使えないかというふうに研究されている企業の方がいらっしゃいます。実際その方にお話を聞くと、やっぱりアジアでは、これからエネルギーの需要も伸びる中で石炭を使いたいと、だけれども脱炭素化もしないといけないよねということで、日本のそうした混焼、もちろん今世界的にもいろんな御批判の声はありますけれども、そうしたアジアの国の脱炭素化を進める上ではそうした日本の技術が生かせるんじゃないかというようなお話もお聞きをしています。 そうした日本の物づくりの技術も生かしながら、そうしたアジア、また途上国の脱炭素化を進めるにはというような御見解をお聞かせいただければと思います。
○参考人(久谷一朗君) ありがとうございます。 御指摘のとおりでございまして、脱炭素をする中でよく受ける批判が、今更化石燃料に投資しても仕方がないよねという議論なんですよね。長期的にはその化石燃料に関わる技術の役割がだんだん減っていくというのはそのとおりなんですけれども、アジアでは今まさにエネルギー需要がどんどん増えていて、それを賄うためには適切な化石燃料の供給設備が必要だというふうになります。ここはもう将来必要なくなるんだから投資するなといっても、それは酷な話でして、それをしないことには彼らのエネルギー供給ができませんので、そこはもう絶対しないといけないと。 そうすると、今やる化石燃料投資を将来どうやって脱炭素化しましょうかということを考える方がいいと思うんですね。それを実現し得る技術が、例えば水素混焼であり、アンモニア混焼であり、あるいはCCSというふうになります。こういった技術についてはその化石燃料の延命だという御批判もあるんですけれども、いや、そうではなくて、今あるエネルギー需要に対して適切に応えつつ、将来の脱炭素にも備えていくということができる一挙両得の技術ではないかというふうに考えています。 この分野で特に頑張っているのは日本でございまして、あるいは、まあ唯一とは言いませんけれども数少ない国の一つだと思います。なので、こういった途上国が現実に抱えているニーズに応えられるのは、まさに日本のテクノロジーであり、それをどんどん発展させていくべきだというふうに考えています。
○村田享子君 ありがとうございます。 重ねて最後、久谷参考人にお聞きをしたいんですけれども、本日の資料の中で、重要鉱物のセキュリティーということで、その中で、例えば公正な貿易の維持に向けた働きかけといったものがありました。 この重要鉱物も、やっぱり詳しく見てみると、生産はいろんな国がしているのに、精製でいうと中国が主になっていると。日本もすごくこうした鉱物の製錬の技術、昔から持っているんですが、例えばその現場の安全の問題とかですね、例えば環境汚染が守られているのか、そうしたところで各国で差が出ているんじゃないかと。そこのコストがより少ない国で精製をされているんじゃないかというような懸念も聞かれますが、そうした問題を解決する上でも、やっぱりこの公正な貿易であったり精製の技術を守っていく、国際的に日本ができることを教えてください。
○参考人(久谷一朗君) 日本も昔はアルミニウムの製錬産業があり、やっていたんですけれども、エネルギーコストが高いために撤退してしまったという歴史的な経緯がございます。こういったエネルギーコストの問題、それから人件費の問題、あとは環境対策コストの問題があります。 おっしゃったとおり、日本も昔、足尾銅山の鉱毒問題ってありましたけれども、ああいったことが起こり得るのが鉱物の製錬でございまして、適切な環境保護の対策をしないことにはうまく使っていけないというふうになります。当然ながら、その環境規制が緩い方が低コストで製錬できるというふうになりますので、どうしてもそういったところの方が強くなるというふうになります。 公平性もそうなんですけれども、その働く人々、それから生活者を守るという観点から、製錬業においては、最低限こういったことは守るべきだというルールを決めることができれば、そういった産業に関わる人たちを守り、かつ世界の製錬産業の競争の土台を整えるということができるんだと思います。そういった公正な土台をつくり、その中でひとしく各国の企業が競争していくという環境をつくるのが健全ではないかというふうに考えています。
○村田享子君 終わります。ありがとうございます。
○会長(宮沢洋一君) 他に御発言はありませんか。──他に御発言もなければ、以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたします。 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。 皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○会長(宮沢洋一君) 速記を起こしてください。 ─────────────
○会長(宮沢洋一君) 先般、アイスランド及びドイツ連邦共和国における資源エネルギー・持続可能社会に関する実情調査並びに両国の政治経済事情等視察のため、本院から議員団の派遣が行われました。 調査結果につきましては、既に議院運営委員会に報告されておりますが、本調査会の調査に資するため、派遣議員である私から便宜報告を行います。 令和五年度重要事項調査議員団第三班は、アイスランド及びドイツ連邦共和国における資源エネルギー・持続可能社会に関する実情調査並びに両国の政治経済事情等視察のため、去る令和五年九月三日から九月十日までの八日間、両国を訪問しました。派遣議員は、佐藤啓議員、上田清司議員、吉良よし子議員、大島九州男議員及び団長を務めました私、宮沢洋一の五名でございます。 以下、順次御報告申し上げます。 最初に訪問しましたアイスランドにおきましては、水力発電や地熱発電によりまして電力の完全自給をほぼ達成しており、また脱炭素化の取組も進んでいること等を踏まえまして、まず首都レイキャビクにおいて、国家エネルギー庁のロガドッティル長官を訪問し、同国のエネルギー政策について伺いました。 次いで、ヘトリスヘイジ地熱発電所を訪問し、同発電所及び併設されたカーブフィックスと呼ばれる二酸化炭素の回収・貯留施設を視察しました。 その後、環境・エネルギー・気候省のグズムンドソン事務次官を訪問し、エネルギー政策、そして気候変動対策等について伺いました。 その後、スヴァルツエンギ地熱発電所を訪問し、同発電所及び地熱発電に伴い排出された熱水を再利用した世界最大の露天温浴施設を視察しました。 次に訪問しましたドイツにおきましては、カーボンニュートラル実現に向けた再生可能エネルギーの活用を進める一方で、ロシアのウクライナ侵略によってエネルギーを始め多大な影響を受けている現状を踏まえまして、首都ベルリンにおいて、まず経済・気候保護省を訪問し、同国のエネルギー政策を中心に説明を伺いました。 その後、放射性廃棄物機関を訪問し、同国の使用済核燃料の最終処分につきまして、処分地選定の取組状況、また処分地選定プロセスにおける住民参加の位置付け等について伺いました。 次いで、ハンブルク近郊に移動し、まずwpd社を訪問し、同社の洋上風力発電事業をめぐる現状、そして日本を含む国際的な事業展開等について伺いました。 次いで、Steelwind社を訪問し、同社で製造する洋上風力発電機器の脱炭素化の取組、同社の考える浮体式と着床式の相違等について伺いました。 その後、ドイツ北部のヴィルヘルムスハーフェンを訪れ、北海に面したヤーデ湾において運用中の浮体式LNGターミナルを訪問し、運用状況を視察するとともに、ウクライナ危機を受けての短期間でのLNG施設整備の経緯等を伺いました。 最後に、STORAG ETZEL社のガス貯蔵施設を訪問し、運用状況を視察するとともに、将来の水素貯蔵施設としての活用に向けた取組等を伺いました。 なお、この間、ハンブルクにおいて、現地に進出している日本企業の方々と懇談する機会を得て、現地での御苦労やウクライナ危機による影響等について話を伺うことができました。 以上が調査の概要でございます。 最後に、今回の調査に当たり、多大な御協力、御尽力をいただいた訪問先そして在外公館等の関係各位に対しまして心から厚く感謝の意を表し、報告を終えます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時三十八分散会