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213回国会参議院2024/05/15

外交・安全保障に関する調査会 第5号

発言数
111
登壇者
13
会派数
8
開催日
2024/05/15

会議録

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) ただいまから外交・安全保障に関する調査会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、古賀千景君が委員を辞任され、その補欠として高木真理君が選任されました。     ─────────────

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) 外交・安全保障に関する調査を議題といたします。  本日は、「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」のうち、「気候変動が海洋法秩序に及ぼす影響への対策と取組の在り方」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  御出席いただいております参考人は、東京大学大気海洋研究所教授原田尚美君、神戸大学大学院海事科学研究科准教授本田悠介君、公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所太平洋島嶼国チーム主任研究員塩澤英之君でございます。  この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を承りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、原田参考人、本田参考人、塩澤参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  また、発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、発言は着席のままで結構でございます。  それでは、原田参考人からお願いいたします。原田参考人。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) ありがとうございます。  今日は、気候変動が海洋法秩序に及ぼす影響への対策と取組の在り方ということで、私からは、サブタイトルとして、「北極・南極・日本周辺の視点から」ということで御紹介をさせていただきます。  前半、サイエンスのエビデンスに関するプレゼンテーション、これ研究者の立場で御紹介させていただき、後半に戦略について幾つか提案させていただきますけれども、そちらの方は、内閣府の総合海洋政策本部参与会議、現在参与を拝命しておりますので、その参与としての立場で発言をさせていただけたらと思っております。  では、お手元の資料、最初のページを見ていただきまして、下の方、「北極海・南大洋の海氷は減っている」というタイトルの図になります。  こちらは、一九七九年から、下、横軸ちょっと途切れていますが、二〇二〇年ぐらいまでの衛星観測の結果の、北極とそれから南極周辺、南大洋の海氷の分布をグラフ化したものであります。太い線が北極です。そして、青い線が南極ということになります。  皆さん御覧になってお分かりのように、北極はもう観測当初から右肩下がりでどんどん海氷が減っているという現実がございます。一方で、南極の方は、数年程度の周期性を持った変動はありますけれども、長期的に増えている減っている、こういった傾向がない。つまり、地球温暖化に対して南極は余り応答していないのではないかというのがこれまでの見解でありました。  ところが、こちらのグラフの右端、御覧になっていただきたいんですが、青い線ですね、二〇一五年、一六年ぐらい以降、急激に南大洋周辺の海氷も減っております。これ、回復していないというのが現状でして、いよいよ温暖化の波が南極周辺にも押し寄せているかということで、研究者たちは懸念を抱いております。  めくっていただきまして、上の図になります。こちら、左側の図が世界の海面水位上昇の将来予測、右側は南極氷床、南極大陸の地図、絵になっております。  左側のまずはグラフなんですけれども、こちら、二酸化炭素の排出シナリオベースに幾つかの線が描かれております。  これぐらい、例えばRCP八・五という赤い点線がございますけれども、これ、今現在と同じような化石燃料の使い方でいった場合に海水準これぐらい上がりますよということが示されていて、縦軸のゼロから五というのはメートル単位です。全球の海面水位がメートル単位でこれだけ上がりますよということを示したグラフになっています。  二一〇〇年のところを見ていただきたいんですけれども、どの排出シナリオベースでも大体数十センチから一メートルは上昇するというふうにされております。今現在、日本周辺、年間三・五ミリ程度ずつ海水準上がっているというのが現状です。これが、温暖化が加速していきますと、数十センチあるいはメートル単位といった形で大きく海水位が上がっていくということになります。  現在、熱膨張といいまして、海洋が温暖化することで膨張する形で海水位上がっているというのが大部分でありますけれども、いよいよこのフェーズが大陸氷床の融解のフェーズに移ってくるかということになります。そうすると、これ急激に上昇してくる可能性がありまして、この海面水位上昇の問題というのは、ツバルのような南の島の問題だけではなく、世界の大都市、東京、大阪、名古屋含めて、全て海抜ゼロメートルの沿岸に位置しておりますので、我々大都市圏の問題でもあるということになります。  右側の南極周辺、一体、じゃ、この大陸のどの辺で氷床が解け始めているかということを色で表しています。色が、赤茶色の色が強いほど南極の解けている部分を表しています。これ、真ん中にちょっと青い線が引いてありますけれども、この青い線の右側がいわゆる東南極と呼ばれているところで、左側が西南極というふうに呼んでいるところであります。  我が国の昭和基地、東南極に位置しておりまして、その下にトッテン氷河というところがあります。実は、東南極、余り温暖化の応答を受けていない、そんなエリアだったんですけれども、昨今の日本の南極観測隊の観測から、どうやらこのトッテン氷河周辺が特に集中的に東南極周辺では大陸氷床融解しそうだということが分かってきました。  先ほど前ページでお見せした海氷の分布、右肩下がりで下がり続けていると、ここ数年ですね、紹介いたしましたけれども、この海氷がなくなってしまいますと、ちょうど大陸氷床の栓をするような形で海氷って実は存在しているんですが、それがなくなると、ちょうどシャンパンのコルク栓を抜くように、後背部にあります大陸の氷床の氷がより海に流れやすくなってしまう、そんな状況があります。  このトッテン氷河(四メートル)と書かれていますが、この点線の範囲、トッテン氷河と呼ばれているところなんですけれども、たったこれだけの面積全部が海に流れ出してしまった場合、四メートルの全球の海水位を上げる、それほどのポテンシャルがあるということを表しています。  このトッテン氷河と同じだけのポテンシャル、西南極の氷床量全部を解かしても同じぐらいということで、いかにその東南極の氷床に存在している氷床の量が大きいか、そして危機的な状況がそろそろ東南極にも始まっているかということを表しております。  それから、その下ですね、視点を日本周辺に移動させます。  こちら日本周辺の海洋熱波の発生と、それからブリの漁獲のグラフを持ってまいりました。  このグラフ、黒い線と赤い線があります。黒い線はこの北海道沖の海水温を表しておりまして、横軸は八五年から二〇一五年までということになっております。  大変変動が激しいわけなんですけれども、二〇一〇年以降を御覧ください。ずっと海面水温十八・五から十九度を推移したまま。つまり、高い水温がずっと維持されているんですね、ここ数年。こういった水温の上昇が毎年発生するようになったタイミングでどうもブリの漁獲高が増えているということで、この両者には実は統計的な関連があるということで、海洋研究開発機構の研究者らが報告をしております。  一枚めくっていただきます。  ということで、以上、御紹介してまいりました気候変動、これが海洋法秩序に及ぼす影響とそれから対応について、プレゼンテーションを進めてまいります。  まず、最初に紹介した北極海の海氷が減少していくということで、実はこの北極海に埋蔵されているとされるエネルギー、天然ガス等ですね、それから鉱物資源、さらには生物資源、こういった資源へのアクセスが容易になります。これへの対応ですけれども、エネルギー等資源の安全保障の確保と、それからこういった資源を探査したり、あるいは取ってきたりするためのイノベーションへの注力、これを継続的に行っていく必要があろうかと思います。  そして、こういったイノベーションへの注力というのは、同時に、カーボンニュートラルを強く意識した再生可能エネルギー、それからレアアース、これを深海から入手する技術の開発、そういった技術革新にも結び付いてまいります。  それから、二つ目ですね、南極等の氷床、こちらが海洋へ流れ出しますと、海面水位の上昇、これまでとは桁違いに起こる可能性があります。これへの対応としましては、大都市それから国境離島、この水没に対する対応が大変重要になってまいります。  それから、三点目ですね、水産資源の分布、こちら、全体的に極域へ現在移動しているとされています。こういった移動ですとかあるいは分布の変化、例えば海洋熱波によるブリの漁獲の上昇、逆にサケは捕れなくなってきております。こういった魚種の入替えですとか、あるいはこういった水産資源を日本以外の国々が公の海で確保してしまうといったことの増加、それから現場海洋をしっかりと状況把握していくということ、これが重要になってきておりまして、こういったことへの対応というのは食料安全保障リスクへの対応ということで重要になってくるわけです。  ページ下へ行っていただきまして、こういった対応について、七つの重点戦略といったものを提案させていただきます。  まずは、エネルギー等資源の安全保障の確保と継続的なイノベーションへの注力に関して。  例えば、例を挙げておりますが、自律型無人探査機、こういったものを始めとする技術革新、そしてこれらの迅速な社会実装、これが大変重要になってくるかなと思っております。こういったことの促進によりまして、生産性の向上、海洋での活動の省人力化、それから洋上風力発電等の巨大構造物の保守管理にも対応していくものかと思います。  それから、二つ目ですね、洋上風力発電の排他的経済水域展開に向けた制度整備の推進。これに関して、先進国の責務として、二〇五〇年カーボンニュートラルの達成に結び付くということになります。  それから、三つ目の戦略ですけれども、南鳥島及び周辺海域の開発、これの推進です。こちらは、レアアース生産の社会実装支援のための調査を強化する、こういったことが必要になってまいります。  そして、四つ目、北極政策の更なる推進です。今現在建造中の最新鋭の観測設備を有する北極域研究船みらいⅡ、これを国際プラットフォームとして運用しながら海洋環境調査を確実に実施し、北極航路それから北極域の資源開発に貢献していくものというふうになります。  めくっていただいて、重点戦略五つ目、六つ目、七つ目です。  まず、大都市それから国境離島の水没への対応ということで、管轄海域の保全のための国境離島の状況把握、これが大変重要になってまいります。排他的経済水域のエリアを確保する重要な拠点として、それから地形照合システムの整備などを行い、こういった国境離島等での経済活動、投資を促進していくということが重要になってまいります。  また、食料安全保障リスクへの対応ですけれども、海洋状況把握、それから情報の利活用、これを是非推進する必要があります。こういった推進によって、船舶観測、衛星観測、人工知能などの活用によるデータ解析手法の高度化、それから多様な現場海洋の情報を集約、共有するということですね。そして、こういったデータベース、産業界を巻き込みながら利活用していくということが重要ですし、こういったデータベースは、さらに、シーレーン沿岸国、同志国、同盟国、こういった国々との連携、こういった国々への支援といったことにも結び付いてまいります。  それから、最後七つ目の戦略、これ一番重要なんですけれども、以上御紹介した六つの重点戦略全てに関わってくることですが、人材育成です。海洋に携わる人材育成、これ本当に重要なことになってまいります。  で、その下ですけれども、まとめになります。  ここで提案させていただきました七つの重点戦略、人材育成、AUV等の技術革新、洋上風力発電によるカーボンニュートラル達成、レアアース開発、北極政策、国境離島対策、海洋状況把握、この推進、こちら実は第四期、現在走っている第四期海洋基本計画、この基本計画の中で特に重点的に打ち出していくべき戦略と位置付けられているものであります。これを推進していくということが重要であります。こういった推進は、我が国の安全保障、経済安全保障、そして食料安全保障の強化、経済成長への貢献、温暖化など喫緊の世界的な社会課題の解決、社会実装、産業化、国際展開の観点から国益に資するものであるというふうに言えます。  また、現在走っている第四期海洋基本計画の二つの主柱、総合的な海洋の安全保障及び持続可能な海洋の構築、これらを通じた我が国の海洋立国の実現に結び付くものと思われます。  私からの発表は以上です。  御清聴ありがとうございました。

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。  次に、本田参考人にお願いいたします。本田参考人。

本田悠介神戸大学大学院海事科学研究科准教授

○参考人(本田悠介君) ありがとうございます。ただいま御紹介にあずかりました神戸大学の本田でございます。国際法を専門にしております。  二十分と時間が限られておりますので、早速配付いたしました報告資料に従って報告、意見陳述をさせていただきます。適宜、冊子になっております事前に配付させていただきました資料も御参照ください。  本日の報告内容ですが、海面上昇が日本の領海基線に与える法的影響ということで報告させていただきます。  中身については、まず、日本の基線をめぐる現状について簡単に説明をいたします。次いで、この問題に関連する国連海洋法条約の規定を概観し、その上で、海面上昇をめぐる現行の国際法規則、その解釈とかですね、また、これをめぐる国際的な議論状況について解説させていただきます。最後に、日本の取組の在り方について、現状どういったことを日本が取っているのか、こういったことについて私見を述べさせていただきます。  配付いたしましたスライドの二ページ目を御覧ください。  四方を海に囲まれた我が国は、有人、無人合わせて一万四千百二十五の島で構成され、約三万五千二百七十八キロメートルという長大な海岸線を有する海洋国家であります。これらの海岸線や島々は、そこから派生する権利や権原、これケンバラといいますが、権原を支える重要な役割を担っており、とりわけ四百七十三あると言われている日本の管轄海域の外縁、外側ですね、これを根拠付ける離島である国境離島の重要性は改めて指摘するまでもありません。しかしながら、その海洋権原を根拠付ける海岸線や離島は不変というわけではなく、今回のテーマになっております海面上昇その他の危険に常にさらされております。  近年の日本の領海基線の地理的変化について若干説明いたしますと、記憶に新しいものでありますと、二〇一九年九月には北海道の猿払村の沖合約五百メートルに位置している国境離島であるエサンベ鼻北小島の消失が確認されております。ただし、近傍に代替となる基線があったため、領海面積への影響はほぼないとされております。それでも、水没によって領海を持つことができる低潮高地でもなかったということから、日本は基線を引き直すということを判断いたしました。  エサンベ鼻北小島の消失の原因は現在特定されていないというか公表されておりませんが、これが海面上昇に直接起因するのか、それとも単純に流氷とか波浪の影響、あとこれも海面上昇の影響があるかもしれませんが、これは不明ですが、いずれにせよ、事実として日本は一つの島の消失を経験しております。  そして、日本においても海面上昇の影響は明白となっている以上、遠からず、又は既に、直接又は間接的な影響で島や海岸が消失する可能性があります。  それでは、海面上昇は国際法秩序にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。次のスライドを御覧ください。  海面上昇がもたらす法的な問題としては、本日のテーマからはこの二点を挙げさせていただきます。  一つ目は、海面上昇に伴い、島や沿岸域、海岸線ですね、これらが水没したとしても、従来の領海基線の地位を維持することができるのかということです。現行国際法上、基線を現時点の線として固定するということが認められているのか、それとも、海域の物理的な実態、現実に即して基線を引き直さなければいけないのか、こういうことです。  また、海洋法上の論点としては二つ目に挙げられる、水没した地形の法的地位、また基線を固定できるのかということですが、それとの関連で、海面上昇の影響から島や海岸を守るための措置、仮にこれが固定できないというふうになった場合には物理的な島や海岸守る必要がありますが、その場合、どのような措置がとることができるのかということであります。  法的観点から見た海面上昇ですが、法的な意味合いとしては、国連海洋法条約第五条等に言及されている低潮線、英語で言うとローウオーターライン又はローウオータータイドとなりますが、これが物理的な実態として現在の位置よりも高くなる、すなわち基線が陸側に後退するということを意味します。その場合、基線とその外縁の両方が同様に移動することから、理論的には領海等の範囲、つまり面積、これ自体が変化することはありません。単純に陸側に移動するというだけであります。その可視化、イメージについては、次のスライドに載せているとおりであります。  しかしながら、海域に地理的に固定されている漁場とか海底資源等ですね、その管轄水域の中に固定されているものに関しては、基線の移動に連動して移動するわけではないので、沖合の島がもし低潮線等が上昇することで干潮時にしか水面に出ない低潮高地になった場合、又は完全に水没してしまった場合には、それらの資源を失うということもあり得ます。  次に、めくっていただいて、五、六ページを御覧ください。  先ほど言及したエサンベ鼻北小島の状況でありますが、海面上昇又は実態として海洋地形が水没するということになれば、先ほども申し上げたとおり、海洋権原、そういった領海とかそこに賦存する資源等を所有しているというふうな、その根拠を失うことを意味します。ここに挙げているとおり、エサンベ鼻北小島は島でも低潮高地でもないということから、その権原を失ったということになります。  また、あくまでも例えでありますが、六ページ目、現在、海面上昇に、危機にさらされているというわけではありませんが、一つの例として、長崎県の男女群島、女島から約一海里、約二キロ先に位置する鮫瀬というところがありますが、これが海面上昇によって仮に水没してしまった場合、その場合は、日本は七十八平方キロメートルのEEZ、排他的経済水域を失うと、そのような政府試算が出ております。  鮫瀬を含め、日本は領海や排他的経済水域等の外縁を根拠付ける低潮線を保全するため、二〇一〇年に国内法である低潮線保全法を成立させ、その施行令において、緯度、経度によってこの低潮線保全区域というものを百八十五か所指定しており、その保全活動を行っております。しかしながら、この低潮線保全法の制度は、低潮線を後退させるような海底の掘削、土砂採取等の人為的な行為を規制するものであって、海面上昇に直接対応するものではございません。  次に、七ページ目、次のページを御覧ください。  先ほど説明いたしました二点の国際法上の論点でありますが、もう少し具体的に海洋法上の論点として説明したいと思います。  一つ目ですが、海面上昇に伴い島や沿岸域が水没したとしても従来の基線の地位を維持できるのかという問いに関してですが、つまり、島や海岸等が完全に水没してしまった場合、その海洋地形やそこに設定されていた基線は、ではどのように扱えばいいのかということであります。  国連海洋法条約上、この問題について直接に言及する条文というものはございません。しかしながら、国連海洋法条約が制定された経緯やそこにおける議論等の一般的な理解からすると、基線というものは海洋の実態に合わせて設定される、したがって海洋の実態に即して移動するということが想定されており、したがって完全に水没した場合は、その地形は基線の基点として使用ができないというのが通説でございます。これは、国際法上の基本的な原則である陸が海を支配すると、陸に海洋というものがくっついてくるという原則から導き出されるものであり、あくまでも原則であります。  また、通説と先ほど言いましたが、通説イコール現在最も支持されているというわけではございません。あくまでも伝統的な通説、解釈ということでございます。この場合、論点としては、基線を更新する必要があるのか、又は義務としてそういうことをする必要があるのかということでございます。この点をめぐっては、ある、ないというふうな対立が現在もあります。  今し方申し上げましたとおり、通説の解釈からは、海洋権原を守るためには陸域の水没を防がなければならないということが合理的な選択となります。しかしながら、問題は、そのような措置が国連海洋法条約において、基線等の海洋権原の取得の条件である自然に形成された陸地であること、これに抵触するかどうかという問題がございます。この点、国家は歴史的に海岸線の浸食を防ぐため埋立てや護岸工事といったことを実施してきているということからも、国際法上も基線の基点となる島や海岸線、これを人工的に保全するということは完全に認められているということが通説、この場合は多数説となっております。  他方で、それが大規模に及ぶ場合、人の手を加えないと維持できないほどまで悪化してしまったという場合であれば、自然として成立するということが満たせないということから、島の場合は人工島に変移するということを主張している有力な学説等もございます。  御存じのとおり、沖ノ鳥島の法的地位については、我が国が島であると主張しているにもかかわらず、特定の論者又は国から排他的経済水域や大陸棚を持てない岩であるというふうな主張がありますが、その理由としては、大規模な現在のような護岸工事のようなものをしなければ維持できないということであれば、もはや自然に形成されたという要件を満たせないということを説明するものもあります。  しかしながら、先ほど申し上げました多数説、肯定説に基づく有力な反論としては、そのような法措置は新しく海洋権原を創設する、つまり、ないものを新しくつくるというものではなく、現在あるものを維持すると、その保全するためのものであって、国際法上、ないものをつくるわけではないのだから、国際法上の地位を変更するものではないということで、問題がないんだというふうな主張があります。  これを裏付けるものとして、二〇一六年のフィリピンと中国との間の南シナ海仲裁判断においては、関連する裁判所の言及としては、海洋地形の法的地位の決定に関しては、たとえ大規模な改変が行われたとしても、その場合は大規模な人工の改変に先立つ自然の状況、つまり原初の状態ですね、これに基づき判断するということであって、たとえ工事をしたとしても、それが低潮高地が島になる又は人工島によって島をつくるということにはならないということが指摘されております。この点は、もう少し後ほど説明させていただきます。  下の八ページに移ります。  これまで説明してきたように、海面上昇は基線の法的地位、これに大きな影響を及ぼします。したがって、国家の海洋権原、権原に直接問題、直接関連します。では、その基線、ベースラインというものはどのように国際法上位置付けられているのでしょうか。  国際法上、一九三〇年のハーグ国際法典編さん会議というものがありますが、ここで初めて基線の法的地位というものが国際的に国際連盟の下で議論がされました。結局のところ、このハーグ法典化会議においては条約というものは作成されませんでしたが、その際の議論においては、基線というものは全ての海岸線において低潮線から設定されると、低潮線に基づいて設定される、その低潮線は沿岸国の公式海図に表示されたものとするという理解が形成されております。  その後、一九八二年の国連海洋法条約において、通常基線と直線基線というものが、という基線の設定方式が採用されております。このほかにも、我が国には適用されませんが、群島基線というものがあります。今日、各国はこの国連海洋法条約の方式に基づいた基線を設定しております。で、その国連海洋法条約第五条がどのように定めているかというと、通常基線に関しては、領海の幅を測定するための通常の基線は沿岸国が公認する大縮尺海図に記載されている海岸の低潮線と定められており、直線基線の場合は、海岸線が著しく屈曲しているか又は海岸に沿って至近の距離に一連の島がある場合において、例外的に適当な点を結ぶ、直線的な線を結ぶことが認められております。  今回は、通常基線に焦点を当てて意見陳述をさせていただきます。  もう少し説明をしたいと思いますので、九ページ、御覧ください。  その国連海洋法条約の規定ですが、先ほど申し上げました通常基線のこの条文、この解釈をめぐって、学説的にでありますが、二つの解釈が提唱されております。  一つが、沿岸国が公式に承認した海図に描かれた低潮線が基線の低潮線である、基線の基準となるという解釈であります。これは、海図、したがってチャート、チャートに記載された基線が低潮線となると、低潮線が基線となるということであります。これに対して、実際の海岸に沿わなければならないということで、潮汐基準に基づいた沿岸の低潮線が法的な通常基線の基点となるというふうな主張もあります。これがアクチュアルベースラインということで、実際の状況に合わせて基線というものは変化するという指摘がございます。  十ページですが、それでは、現実と海図との間に差がある場合はどのように解釈する必要があるのかということでございます。  これに関して、伝統的な解釈としては、海図に即して記載されているのでそのままでよいのかということがございますが、これも別な解釈でありましたが、現実の、物理的な現実に合わせて基線を引き直す必要があるという指摘があります。しかしながら、これは国際法上、国連海洋法条約上の義務であるかといった場合には、そうではないというふうな主張の方が多くあります。なぜなら、国連海洋法条約は、直線基線や大陸棚といった特定の場合を除いて、国連等においてそういった範囲を寄託する、固定しているということを届け出る又は更新する義務というものが課されていないからとされております。  それでは、現実と異なる低潮線が記載された海図をこのまま使用し続けてよいのかということでございますが、この場合、その差異、現実と海図との差異が微少である場合、要は法がこだわるほどまで変化がないのであれば問題がないというふうな主張が法的にはされております。  しかしながら、先ほど申し上げた一九三〇年のハーグ法典化会議における議論、これは国際法の専門家や海図等に関する専門家の議論がされておりますが、そこにおいては、現実と著しく乖離する場合は、それは正しい海図とは言えないということで、領海の幅が変化した場合はそこにおける管轄権の行使等の問題になりますので、場合によっては関係する国から国際裁判として訴えられる可能性があると。しかしながら、そこまで国はしないだろうということから、問題がないというふうに指摘されております。  では、その問題がないということですが、微少以上の差異がある場合はどうなるかということですが、これは、最近の国際法上の議論においては、実際の低潮線を代表しない、現実ではない海図の線ということで、それは、法的な擬制、フィクションですね、存在しないものをあるといって領土、領海の幅を保全、保護するということはできないということが国際法上の、国際法学上言われております。  それでは、解釈論上からそうなるということですが、それでは国家としては領海の消失、島の消失を受け入れるしかないのかということですが、これに対して、やはり問題であるということから、現在の、十一ページにあるように、基線の移動又は固定をめぐる議論が国際法上も、国際的な議論も活発にされているということでございます。  通説的には、先ほど申し上げたとおり、国連海洋法条約上は基線というものは現実に即して移動するということが基本的な立場となっております。他方で、現在の学説や国家実行からすると、多くの主張が、海面上昇への問題への対応としてはその移動説は好ましくないというふうに指摘されております。したがって、現在、急速に固定説というものが非常に支持を集めております。  では、この固定説ですが、法的な擬制、フィクションによって基線、低潮線を守るということですが、どのような例があるかといいますと、既に太平洋島嶼国においては実例があります。  一つが、マーシャル諸島又はキリバス等において、国内法によって、海図において基線の緯度、経度を指定し永久に固定するという措置がとられております。又は、太平洋島嶼フォーラムにおいて宣言されているように、多くの国、その代表が、基線及びその外縁の見直し、基線の更新を行わないという消極的な固定としての主張をしているものがあります。  その固定説をめぐる支持が現在集められているということでございますが、固定説はどのような根拠で主張されているのかといいますと、十二ページに移ります。  これに関しては、様々な説が提唱されております。そもそも、国家の裁量、国家は権利として基線を固定することができるんだという主張もあります。これは、国際法上、基線の設定というものは一方的行為として他国からの承認は必要ないということから、国際法上、そのような基線の固定ということが認められるというふうな主張もあります。  これに対して、やはり確固としたものが必要ということで、新しく、固定を認める国連海洋法条約上の解釈やそのような立法、新しい条約を作るとか、新たな措置を必要、新たな措置が必要であるというような主張もございます。  現在の国連における議論では、基本的に固定説を少なくとも否定するという主張はございません。ゼロです。また、欧米諸国においては、②の海面上昇に対応する解釈を広く認めるべきというふうな主張がされております。  下に書いておりますとおり、国連の国際法委員会における暫定的な結論ですが、そこでは、法的安定性、予測性、また第三国との権利義務との関係から、現在の海洋権原、海洋権原というものは維持することが望ましいという結論になっております。  次に移ってください。十三ページですが、しかしながら、固定説には様々な問題が指摘されております。  一つ一つ説明すると時間が掛かりますので幾つかピックアップしますが、理論的な問題点でありますが、国連海洋法条約と整合しない基線を恒久的に固定するということになることから、管轄権の行使に関する問題が生じるのではないかというふうな指摘がされておりますし、一番下の方にありますが、潮汐サイクルのある時点で基線が水面上にあるということが前提とされているのが国連海洋法条約上の基本ルールであります。したがって、現実にそぐわない海面を維持すると、基線を維持するということになると、既存の海図が航行に危険を及ぼす可能性も指摘されております。  時間が迫っておりますので、十五ページに移ってください。  それでは、法的に固定することが難しいということであれば物理的に保護しなければならないということになりますが、それがどこまで認められるのかということでございますが、これは、沖ノ鳥島に関して様々な指摘がされております。現在、様々な護岸工事等がされておりますが、これに対して、自然に形成されたという要件を満たさなくなるのではないかというふうな指摘がされておりますが、これは、先ほども申し上げましたとおり、十六ページの一番下にありますように、大規模な人工的な改変を行う際のそれに先立つ自然状況で判断すべきということが指摘されております。また、現在、沖ノ鳥島の護岸工事等に関しては、サンゴ礁や土砂等の自然素材を利用しているということから、人工的な保護措置というものは大規模ではされておりません。  十七ページ、十八ページに移ってください。最後に、海面上昇に対する日本の取組の在り方について若干まとめさせていただきます。  現在の日本の立場ですが、従来、日本は領海法に基づいて領海の基線等を定めておりましたが、そこには基線を固定する又は移動するということは書かれておりません。しかしながら、昨年、太平洋島嶼国フォーラムの代表団との林外務大臣との会談や、岸田総理のインド世界問題評議会におけるスピーチ、また五月の自民党領土に関する特別委員会の提言等にあるとおり、日本が、方針としては、沿岸国の裁量で基線を固定できると、これを広く認めるべきだというふうな主張をしております。しかしながら、先ほど申し上げたとおり、基線の固定説に関しては解釈論的な観点からすると様々な注意が必要になります。  そこで、十八ページ、まとめに移りますが、私見としては、現行の国連海洋法条約の解釈上は、一度設定した基線を維持するということは一応可能ではございます。これは、先ほども申し上げたとおり、基線を逐次更新する義務というものがないということから、消極的な意味において可能となります。しかしながら、それが実際の海岸の状況と物理的な実態が著しく乖離するということになった場合は、様々な問題、又は合法性、正当性等が他国から問われる可能性があります。したがって、④にありますとおり、最も現実かつ法的に整合的な選択肢としては、やはり何らかの合意形成をする必要があるということでございます。国連総会の決議等を通じた解釈合意等の採択等が一つの手段としてはあり得るのではないでしょうか。  いずれにいたしましても、既存の国連海洋法条約上では、の解釈では、海面上昇への問題に一〇〇%対応するということは不可能でございます。したがって、政策論的な立場としては、現在の解釈を超える、そのような提言をすることも重要であるというふうに考えます。  以上、意見陳述をさせていただきます。

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。  では次に、塩澤参考人にお願いいたします。塩澤参考人。

塩澤英之公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所太平洋島嶼国チーム主任研究員

○参考人(塩澤英之君) 笹川平和財団の塩澤と申します。よろしくお願いします。  今日は、私は国際法の専門ではないんですけれども、太平洋島嶼国にずっと関わっていまして、今回はこのテーマに合わせて、その切り口から意見陳述をさせていただきたいと思います。  まず、今回の内容ですけれども、そこに書いたように、ポイントから、最初に今回の話のポイント、そして太平洋島嶼国の多様性、地域枠組み、海面上昇が太平洋島嶼国に与える影響、あと国際法協会、国連国際法委員会、ILA及びILCによる基線維持に関する見解、あと基線確保の不確実性に対する太平洋島嶼国の対応、太平洋島嶼国の立ち位置、あと補足として地域機関の技術支援、データ化、あとは太平洋島嶼地域の海域に関する法執行協力、あと気候変動の無垢な被害者としての太平洋島嶼国側の意識、あと基線の不確実性がもたらす安全保障上の懸念、最後に我が国との連携協力の可能性、必要となる外交的取組について説明していきます。  まず、三ページ、四ページ目ですけれども、まずポイントとして、まあ結論みたいなものですけれども、まず最初に、海面上昇は太平洋島嶼国にとって存亡の危機であると、そういう部分があります。現実的に、領土が減少したり消失したり、海域が減少してしまうということがあり得ると。それは、住民の安全にも関わるものであり、食料確保に関しても問題がある、そして国家経済に対する脅威でもあるということです。もう一つは、国連海洋法条約、UNCLOSにおける基線確保の不確実性の問題。三つ目が、外国の行為者が海洋権益の曖昧さを悪用する可能性があるんじゃないかというところ。で、最後に、四つ目として、我が国、国際法に従った自国海域の確実な保全の実現への協力という部分になります。  その下の地図ですけれども、幾つか、太平洋島嶼国といっても一様に語ることができなくて、いろんな見方をしなければいけない部分があります。  その①の部分としては多様性ですね。旧宗主国という国がありまして、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスなど、あと一部フランスですけれども、そのため、現在独立した国であっても、そういう旧宗主国との関係が、法律上も、法律上じゃなくて、国内法などの基本の部分で関係してきたりします。  また、右側のその地図を合わせると、サブリージョナルというんですけれども、小地域というんですね、の分け方があり、ミクロネシア地域、メラネシア地域、ポリネシア地域という見方、分け方もあります。  めくっていただいて、次の部分ですけれども、太平洋島嶼国、十四か国ありますが、大きな違いがそれぞれあって、まず、人口が一万人前後のところもあれば、九十万人のようなフィジーのようなところもあり、あとパプアニューギニアのように九百万人を超えるような国もあります。人口規模が違うということで、国家予算ですね、国家予算の規模が全然違っていて、例えば一万人前後の国だと国家予算が年間百億円から二百億円とか、そういう規模だったりします。そうすると、そういう国にとってはインフラ整備などに関する大規模な資金というのは到底用意できず、造った後も維持管理の費用が調達できないという、そういう限界があります。あとは、地形としては、低環礁国と言われるマーシャル、ツバル、キリバスなど、標高が二メートル前後とか、そういう国があります。あと、経済的には、民間部門の強い国、フィジーやパプアニューギニアなどあり、一方で、政府支出にGDPが依存しているツバル、ナウル、キリバス、マーシャルなどがあります。  一方で、共通点としては漁業、漁業といってもEEZの中の入漁料を外国の漁業国に売ることによって得られる収入なんですけれども、その入漁料収入が主要収入源の一つとなっています。あと、近年は越境犯罪の問題がかなりクローズアップされています。麻薬や人身売買などです。あとは、全体として共通しているのは、気候変動が彼らにとっての安全保障上の最大の脅威であるというところです。  また、EEZを考えると、キリバス、ミクロネシア連邦、パプアニューギニアなど非常に大きな海域があり、十四か国で世界のEEZの約二〇%を占めると言われています。  次に、下のものですけれども、今度は地域秩序の枠組みになりますけれども、まず一番上にある、一番として書いているのが地域秩序基盤、戦後秩序ですね、というもので、北半球はアメリカ系、そのミクロネシア、パラオ、マーシャルという国々ですね、はアメリカ自由連合国としてアメリカ系の社会となっています。南半球は英連邦系という違いがあります。  伝統的安全保障で考えた場合、北半球のアメリカの自由連合国三国に関しては、コンパクトという協定、条約に基づいてアメリカが安全保障上の責務と権限を有していると。この地域全体で見て軍があるのは幾つあるかというと、パプアニューギニア、フィジー、トンガの三国だけで、しかも、これは防衛というよりも国内の治安維持、あとは国際貢献などのための軍と見ることができます。  あとは、EEZの中の取締りなんですけれども、これは法執行、警察権になるので各国が権限を持っています。各国の海上警察、国家警察の海事部門などが対応していて、一方で、その旧宗主国と言われるアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、フランスなどが地域協力を進めて、行っています。  次のページですけれども、あとは、先ほども少し出てきましたけれども、太平洋諸島フォーラムという地域枠組みがあります。それは、地域政策枠組みで、小さな国々が国際社会にどうやって統一、一致した声を届けるかという、それが大きな目的としてあるんですけれども、現在は十四か国プラス、オーストラリア、ニュージーランド、そしてフランス領の二地域が加盟しています。閣僚会議や首脳会議などで構成されています。ただ、ポイントとしては、その加盟国の主権だとか外交権を超えない組織であるので、例えばPIF事務局というところが国の意思を超えた発言や行動はしないというのが基本的な枠組みとなっています。  さらに、多くの地域機関がありまして、我々、CROP機関、我々じゃなくて、CROP機関と呼ばれているんですけれども、PIFを事務局として漁業、科学技術、環境、開発、観光、その他いろんなものがありますけれども、九機関があります。  その下の写真は、僕、二週間前にツバルに行ったんですけれども、ツバルの写真です。これは平常時の写真なので水面は低いんですけれども、キングタイドと言われる、二月とか三月に大潮ですかね、になると一メートル、二メートル水面が上がるので、水没する地域があるということです。  次めくると、次、海面上昇が太平洋島嶼国に与える影響なんですけれども、その気候変動に関する政府間パネル11のものでは、そういうふうに継続的な海面上昇が想定されるという話になっています。  これに対してどういう実際の動きが、影響があるかというと、現実的な変化として、住民の安全、食料確保、国の存亡に関する危機感につながる部分があります。  高潮とか、先ほど述べました大潮時の浸水被害が増加している。僕、二十年島嶼国に関わっていて、マーシャルという国に六年間住んだことがあるんですけれども、二十年前はそんなに大潮になっても浸水被害ってなかったんですね。それが今は毎年二月、三月が大潮があって、あと九月、十月頃に大潮があるんですけれども、毎回、道路が水没するとか、近隣の庭、家の庭が水没するということが起こるようになっています。  あと、そういうことが起こっていくと、今度は領土の減少も考えられるし、そうすると住民の安全、生活、食料の危機につながると。あとは、ひどい場合にはその領土消失、その低環礁国、ツバル、キリバス、マーシャルなどはそういう危機があると。そうすると、もう国の要件を失ってしまう可能性があります。  あとは、法的にその基線、海上境界が維持されない場合、どういうことが起こるかというと、群島要件が解除されて、群島基線というのがあるんですけれども、それが不適用になってEEZが減少していくと。また、領海も減少してしまうので、国としてのその安全保障の防衛エリアが変わっていく。あと、EEZが公海に変わってしまうということで、軍事ではないんです、安全保障ではないんですけれども、今はその違法漁船などを取り締まるということでEEZの中で各国、沿岸国の警察が監視をするんですけれども、そういうところに穴がどんどんできていくということになります。  次に、その下の部分なんですけれども、ILAとILC、国際法協会と国連国際法委員会の見解なんですけれども、一番下ですかね、法的安定性、安全性、確実性、予測可能性を維持するために、海面上昇による沿岸の変化にかかわらず、既存の境界画定を維持すべきであるという立場を支持しています。  次のページになりますけれども、これもそのままですね、とにかく基線は維持できるという立場の話をしています。あと、法的オプションとしてあるのが、条約の解釈やその規定の適用に関する締約国間の合意、又は条約の解釈に関する締約国の合意を確立する条約の適用におけるその後の実務のいずれかによって現在のUNCLOSを解釈すると、変更しないでそのまま使っていくという考え方です。  そういう基線確保の不確実性に対する太平洋島嶼国側の対応なんですけれども、地域としては、太平洋諸島フォーラムが、首脳の合意を得て、その気候変動による海面上昇に直面する海域の保全に関する宣言を出しました。これは、国連に寄託した基線の永続宣言であって、既に日本を含む百か国以上が支持しているものです。これは、先週、太平洋諸島フォーラムの法務部に行きまして、そういう話をちゃんと確認してきました。  あとは、地域全体としては二〇五〇年戦略というのがあり、去年の十一月に実施計画というものを合意、エンドースしました。これは、直接海面上昇の話には関わらないんですけれども、とにかく彼らが海洋の管理者として地域を維持していくんだという、そういう矜持を示したものです。  二つ目として、太平洋共同体という組織があり、そこではもう科学技術の支援をしているんですけれども、海上境界画定のための技術協力、データ化などを進めています。  国レベルに戻っていくとどうなるかというと、その宣言は宣言としてあるんですけれども、今度は各国が海上境界の画定だとか、国内の法制化だとか、あと国連への寄託を急ぐというところになっています。とにかく、寄託されれば変更はしないという立場なので、とにかく寄託していくというところですね。その過程として、隣国との境界交渉地域が、四十八件あったところ、現状で三十六件合意しているというところです。ただ、公海とのその境界部分に関しては五か所が未画定な状況です。  改めて、その二〇二一年宣言のポイントなんですが、そこに書いてあるとおりで、とにかく、ちゃんと宣言したことによってもうこれは固定される、我々はもう絶対変えないという、そういう立場です。補足としては、その下の図になりますね、太平洋共同体というところがオーストラリア、アメリカ、あとはEU、あっ、オーストラリア、ニュージーランド、EUなどの支援を受けてデータ化を進めています。これが各国の海上境界画定に、何というか、促進しているという立場、ことになります。  めくって、次、十五ページ目、なりますけれども、太平洋島嶼地域の海域に関する法執行協力というものです。  これは安全保障で、安全保障に入れていいのか難しいんですけれども、まず一番目がEEZ内のIUU漁業、違法、無報告、無規制漁業対策という部分で、中心になっているのはフォーラム漁業機関、漁業局って、漁業機関ですね、エージェンシーです、になります。そこでは漁船の位置情報などを集約していまして、それを基に合同監視活動を行っていると。アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの海軍、あとは空軍も入るときがあります。で、アメリカのコーストガードなどですね。あと、そのFFA、そのフォーラム漁業機関の加盟国である太平洋島嶼国の海軍、あとは海上警察が合同で地域監視をするというプログラムがあります。あとは、日本も海上保安庁のモバイルコーポレーションチームがまさに今マーシャルに、我々派遣をお願いして現地に行っていただいていて、今週現地で技術協力を行うことになっています。我々も、日本財団、あと笹川平和財団で協力をしています。  あと、二番目として、越境犯罪対策があります。これは、先ほどお伝えしたように、麻薬、人身売買などが対象になっていると。これ、日本もUNODCなどを通じて協力しています。全体的に、地域のこういう警察関係の部分に関しては、オーストラリア、ニュージーランドが伝統的に支援をしているところです。  三番目の公海の資源管理に関しては、WCPFC、中西部太平洋、これまぐろ類が入ります、まぐろ類委員会がありまして、これは日本も加盟していまして、EEZだけじゃなくて、もう全体の海域の資源管理について協力する、交渉する場になっています。  この中で、EEZの外側の公海に関する部分で、加盟国がWCPFCに巡視船を登録すれば、その巡視船が、その公海の中で漁船の立入検査が可能だという取決めがあります。つい先頃、中国の巡視船が何隻かこれに登録されました。そういうことがあります。  補足として、最後の部分としては、太平洋島嶼国の立場になる、根底的な、根本的な立場なんですけれども、気候変動の無垢な被害者、イノセントビクティムと彼らは言うんですけれども、としての意識があります。太平洋島嶼国は、とにかく太平洋島嶼国は何もしていないのにこういう気候変動の影響を受けていると。一方で、日本などそういう、日本のほか、産業国は経済発展をしてということですね。加害者という言い方をして、直接は言わないんですけれども、そういう言い方、視点があります。  一つは、ロス・アンド・ダメージという考え方があって、先ほど最初にお伝えしたように、国によっては財政規模が非常に少ない、低いので、沿岸部分を強化しようとしても予算が全然確保できないと。国際協力でやろうとすると、大規模なものは大体、円借款など、日本は円借款ですね、有償の支援になった場合、なることがあって、それはおかしいだろうと彼らは言っていまして、ローンではなくて無償で出してくれと。あと、プロセスが、例えば緑の気候基金などの場合でも提案してから三年、四年掛かることがあるので、もっと迅速に進めてほしいというのがあって、ロス・アンド・ダメージということをどんどん主張しています。  あと、二番目として、これはまだ実現していないんですけれども、入漁料収入の損失への賠償についても彼らは言及しています。温水域が移動することによって、EEZ内で捕れていた魚が公海に移ってしまうと。そうすると、彼らは入漁料収入を得ている部分があるんですけれども、その入漁料収入が減ると。その損失分を、温水域の移動に関わった先進国に賠償金というのを出してくれという、そういう視点で話を彼らはしています。  もう一つは、三番目、フィジーの例なんですけれども、沿岸域の村落の人々の半数以上が高台に移動する必要があるという話がありまして、ただ、聞いてみると、元々先住民の人たちは高台の方に住んでいたんですが、イギリスの植民地時代に彼らが統治しやすいように沿岸部に移住させたことがあるというんですね。なので、その人たちは、また元に戻すというわけではないんですけれども、もう一度高台に移動させなきゃいけないという話がありました。これは、今月、フィジーの首相府で話を聞いてきました。そういう話です。  最後の二枚になりますけれども、基線の不確実性がもたらす安全保障上の懸念についてですけれども、まず根本的に地域秩序が揺らぐと、その太平洋島嶼国と旧宗主国が守ってきたそのエリアに穴がどんどんできてしまうという形になります。単純に考えて、内水域の部分が領海に変わって、領海が接続水域やEEZに変わり、EEZが公海に変わっていくという形になってしまうので、そういうことです。あとは、そうですね、EEZ自体は安全保障上の、ちょっと難しいんです、防衛の対象ではないんですけれども、漁業権益とかそういう部分で監視できているものができなくなるという部分があるので、穴ができてしまうと。  あとは、こういう曖昧な状況を外国の行為者が地域秩序の変更を狙って利用する可能性があると。だから、UNCLOSによって基線の保全が認められないと主張して、実態に合わせた変更を主張すると。そして、あとは行動によって、なし崩し的に公海として行動して、実質的にEEZを縮小させるということがあるんじゃないかと考えられます。  これに対して、我が国としての太平洋島嶼国などとの連携協力の可能性はどういうものがあるかということなんですけれども、国際法に従った自国海域の確実な保全の実現への協力という点でいえば次のことが挙げられるんじゃないかと思っています。  一つは、これはフィジー側からも話はあったんですが、フィジーなど太平洋島嶼国と一緒に地域会議、国際会議を共同開催して機運を守るという、現在のものを守るという機運醸成を行うというところです。  三月にマーシャルのハイネ大統領が来られたときに岸田総理とも会っていまして、そのときに、日本に対してグローバルサウスと先進国の間の橋渡し役を期待しているということがありましたので、そういう話にも合致するんじゃないかと思います。  また、あと日本としては、その同じ危機感を有する、安全保障上の危機感ですね、を有するアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、その他の国と連携と協力を進めていけるんじゃないかと。ただ、進め方としては、PIFという枠組みから入るんじゃなくて、国と国とをつないでいって、その後にPIFという形がいいと思います。  あとは、科学データを扱う太平洋共同体などとの技術協力。あとは、法務人材が限られている国が多いので、そういう国に対する司法外交とか、そういう部分での技術協力、専門家派遣があるかと思います。  大事なのは、その海面上昇の影響が他者のものではなくて、日本も当事者であるというものを示しながらやることが重要じゃないかと思います。  以上になります。ありがとうございました。

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。  まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力をお願いいたします。  では、質疑のある方は順次御発言願います。  赤松健君。

赤松健自由民主党

○赤松健君 自由民主党の赤松健でございます。  本日は貴重なお話いただき、ありがとうございます。  原田参考人、十二月派遣予定の第六十六次南極観測隊の隊長ですよね。頑張ってください、女性初ということで。私、極地研のファンなので、原田参考人に質問いたします。  昨年、国立極地研究所に視察に行ってきたんですけれども、あそこで、南極は地面の上に氷が平均二百メートル、分厚い氷で覆われていて、それをくりぬいて七十二万年分のサンプル取れますよね。あれ、私、マイナス四十度の低温室で見てきたんですけど、これロマンですよね。  それで、質問は、そのときに質問したんですけど、氷が解けることによって海面上昇するんですか。北極は、海に氷が浮いているから、解けても海面上がらないですよね。なんですけど、南極は、地面の上に氷があって、それが流れ出すと海面上昇するということで、どうなっているのかと質問したんですけど、北極は明確に解けていると。これ、二ページ目の図もそうなっています。それで、南極に関しては、はっきり回答を得られなかったんですよ。  でも、これを見たら、もう明らかに解けているというふうに見えるんですけど、先ほどの御説明でも分からなかったんですけど、今は海の熱膨張で年三・五ミリという話もありましたけど、融解しそうというお話も聞いて、あと四メートル、ポテンシャルあるトッテン氷河も崩れそうとかいうお話ですけど、崩れてはいないのか。南極は氷が解け出していて、そして海、海面が上がっているのか。見解をはっきり教えていただきたいと思います。どうでしょうか。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) ありがとうございます、御質問。  もう一回、二ページ目、それからその次の三ページ目も同時に併せて、ただいまの御質問に回答したいと思います。  おっしゃるように、南極、南大洋の海氷の減少の応答、これ、現状でグラフでは急激に二〇一四年以降、二〇一五年以降、落ちています。これ、現実です。  ただ、本当にこのまま、右肩下がりのままに推移していくのかどうかというのは、研究者によっても見解まだ定まっていないんですね、たった数年の、十年ぐらいの出来事ということでですね。ですので、このままどんどん南極が解けていくフェーズになっていってしまうのかどうかというのは、もちろん私自身はその方向にあるというふうに思うところですけれども、いや、そうではないという研究者もおりますので、それが現実です。  三ページ目の南極の大陸のところの絵ですけれども、氷床量の変化というのが、西側の南極の氷床量、随分もう失われている。赤茶色の面積がかなり広がっていますね。ですので、海氷の面積、それから氷床で解けている部分というのは、今、西側の南極が中心なんですね。日本の観測隊がテリトリーとしている東側の南極、これ実は余りまだ明確に、例えば昭和基地周辺の海氷も減っているのかと言われると、実は昭和基地周辺で見てみると、余り大きな変化ないんです。それが現実です。  このグラフ、お見せしたグラフは極域全体を平均化して見ているので、極域全体平均化して見ると確かに減ってはいるようなんですけれども、ローカルでエリアごとに見ていくと、いや、余り減ってないところもあれば、極端に減っているところもあるという、非常にヘテロジーニアスです、分布が。ですので、全体で見るのか、それからローカルで見るのか、あるいは時間スケールによっても見解がまだ定まっていないというところが現実かと思います。  これで回答になっていますでしょうか。

赤松健自由民主党

○赤松健君 続けて原田参考人に御質問いたします。  参考人のインタビュー記事で、未来の気候変動についてスパコンとかで予測できるようになってきているけど、現実の地球温暖化の方がはるかに速いスピードで進行していると御発言されているかと思います。  現実とそのスパコンの予想とが食い違ってくるみたいなのというのは、これはスパコンの精度の問題なのか、それとも、実はもう想定外の地球温暖化時代に突入して、予想がもう全然できなくなっているのか、御見解をお願いします。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) 御質問ありがとうございます。  スパコンの性能ではなくて、まだまだモデルシミュレーション、現実をリアルに表現することができていないというのが現実です。これ、モデルの高度化も必要ですし、それから、モデルをちゃんと現実が再現できるように、実際に現場で観測したデータをインプットしながらチューンナップするんですけれども、そういった現場観測データがまだまだ足りないんですね。この二つが予測の確度を落としているということになります。

赤松健自由民主党

○赤松健君 ありがとうございます。  じゃ、簡単に三人の参考人の方々に共通質問で、端的でよいのでお願いします。  気候変動が、生態系の影響とか領海基線に及ぼす影響とか、近隣諸国との関係に影響を及ぼすのは分かりました。それで、その中で日本がどのように他国と協力と対話を行って、どういうふうにプレゼンスを発揮していくべきなのか、お三方のそれぞれの専門の立場から簡単にお答えください。

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) 原田参考人からでいいですか。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) ありがとうございます。  日本は、やはり伝統的に、その技術、イノベーションに強い国であると。それから、私たちサイエンスの立場からいいますと、日本が出していく観測データは非常に精度が高いという、そういう信頼性がとっても高い国です。  ですので、これまで実は、科学技術外交というんですかね、日本のそのイノベーションの高さと精度の高さというのは非常に信頼性、定評性があります。ですので、やはり今後もこれを生かした形で関係国と良い連携関係を取りながら進めていくのがよろしいのではないかと、それは東アジアの近隣国も含めてであります。そのように考えます。

本田悠介神戸大学大学院海事科学研究科准教授

○参考人(本田悠介君) 日本が他国とどのように協力すればよいかということですが、法的及び、私も実務の経験から外交的な観点から申し上げますと、やはりこの問題、現在国連等を含めて国際的な議論がされております。また、PIFといった、そういった地域的な枠組みにおいても、日本の岸田首相が申し上げたように、いろいろな場でおいて日本が主張することがあるのですが、そこでやはり先方に寄り添った主張をするということも重要なのですが、そこで法的な解釈等の形成に関して積極的に日本としての解釈論等を打ち出していくということが重要だと思います。  ただ、立場で基線を固定すると、基線の維持というのがやはり許容されるべきであるというような政策論的なものも重要なんですが、そこで、実務レベルでおいて、こういった解釈が、すれば現状の問題に対応できるのではないかというような具体的なやはり提案等をしていくべきだというふうに考えます。  以上です。

塩澤英之公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所太平洋島嶼国チーム主任研究員

○参考人(塩澤英之君) 今の本田さんの話に乗っかってしまうんですけれども、そういう話をしっかりした後に、我々、私の立場としては、同じ海洋国家としてニュアンスが共通、共有できる太平洋島嶼国の国々と協力するというのは大事だと思っています。  今度、七月に太平洋・島サミット、十回目のがありますけれども、もう三十年近くずっと続けているんですね。そういう信頼関係がベースにありますので、太平洋島嶼国の人たちとタッグを組んで、十九か国、更に幾つかの同志国などが関わって、ニューヨークなどで会議を開催したり、地域で開催をしたり、日本で開催をしたりとやっていって機運をつくるというのは大事だと思っています。  以上です。

赤松健自由民主党

○赤松健君 ありがとうございました。終わります。

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) それでは、高木真理君。

高木真理立憲民主・社民

○高木真理君 立憲・社民の高木真理と申します。  三人の参考人の方々、貴重なお話ありがとうございました。  まず、原田参考人に伺ってまいりたいというふうに思いますけれども、シンプルな質問として、最初にお話を伺って、南極はこの温暖化の中でこれまでは余り海氷が減るという現象が出ていなくて、反応していなかったのではないかというお話に、ちょっと私も知識が余りなかったので、そうだったのだというふうに思ったんですけど、これは、どうしてそういうことがこれまでは維持されてきたのかと。全体が暖まってしまうと南極でももっと何か普通に解けていっちゃうのかなというふうに思っていたんですけれども、これはどういう理由が考えられるんでしょうか。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) 御質問ありがとうございます。大変重要な視点だと思います。  実は、南極、思い浮かべていただきたいんですけど、地球儀を、孤立していますね、大陸が、ぽんと。で、周辺に大陸ほとんどなくて、海が周辺を覆っているということで、非常に大きな面積の大陸が孤立して存在しているということで、実は、地球上ではクーラーの役割を果たしています、全体を冷やす役割。  これ、もう一つ、海流を思い浮かべていただきたいんですが、北半球には南北を貫くような大きい海流、これ、例えば日本周辺だと黒潮、それから大西洋だとメキシコ湾流、こういうふうに熱を極域へ運ぶ大きな海流があるんですが、それが南半球にはないんですね。  ですので、そういう状況が南極大陸をクーラーの存在にさせ、全球的に暖まっていてもその応答が鈍いというのは、そういう大陸の配置と海流の関係ということから説明ができるかと思います。  以上です。

高木真理立憲民主・社民

○高木真理君 ありがとうございました。  もう一点伺いたいのが、原田参考人に、七ページのところに、これから七つの重点戦略で取り組んでいった方がいいということの六番目、食料安全保障リスクへの対応として、海洋状況把握及び情報利活用の推進ということで、こうしたデータを解析したりして、そのデータベースを活用して、近隣諸国、同盟国、いろんな国々と連携していくと。  ということなんですけれども、実際、いただいていた資料の中では、二十一世紀末までに漁獲可能量は一九九一年から二〇一〇年に比べると二四%減少すると見積もられているというようなことも書かれていたんですが、減っていく一方なのかなとか、新しくその温暖化したことでより捕れるようになる、まあさっきブリの話もありましたけれども、魚などもあるのではないかなとも思ったりしますが、こうしたデータを活用して、いなくなっちゃう魚はいなくなっちゃうんですけど、けんかなくお互い資源をうまく管理できるように調整をしていくことが大事という意味という理解でよろしいでしょうか。この六番で御提言されていることの意味をもう少し詳しく伺いたいんですが。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) 御質問ありがとうございます。  この文章だけでは、確かにおっしゃるように、なかなか分かりにくくなっているんですけれども、実は今、漁業とそれから私たちのような研究者と連携して、日本周辺ですね、私たちが提供するような海流ですとか海水温等のデータを利用しながら、漁場が次にどこにありそうかというような、効率よく漁業をしていくという動きが出始めています。  ですので、そういったサイエンスとそれから漁業との連携によって食料安全保障、今、沿岸周域はそういう動きがありつつ、出ているところなんですけれども、より広く外洋域まで含めてしっかりと海温の状況を把握して、例えばサンマですとかああいったものは外洋域にその大きな分布域を持ちますので、こういう条件が整えばサンマの分布はどういうふうに移動しそうかと、そういった状況をいち早くデータとして取ることができるのは、やっぱりアジア、東アジアの中では日本なんですよね。  情報を持っている国が強いということにはなろうかと思うんですが、日本はそれを独り占めすることなくしっかりと、まあオープン・アンド・クローズ戦略ということは重要ではありますが、オープンにできるところはオープンにして、東アジアのほかの国々にもそういった情報を提供していくということが重要ではないかなと。  そういった形で非常により良い関係を構築することが、例えば何かの形で国際世論を喚起するような場合に、ああ、日本が言うことならばそれはそうだよねというふうに言ってくださる国を増やすということにもなりますので、食料安全保障への対策というのは、ほかの部分の安全保障にもつながっていくというふうに思うところです。そのために海洋状況把握が重要であると。  以上です。

高木真理立憲民主・社民

○高木真理君 ありがとうございました。  次に、本田参考人に伺いたいというふうに思います。  この基線の考え方というのの法的な解釈のところ、いろいろ伺って、なるほどというふうに勉強させていただきましたけれども、日本の立場の変更というところの御説明がありました。十七ページのところでしょうか。現実には、固定の立場に完全に日本が立つというわけではないのかなというふうには思うんですけれども、これまでの移動基線の考え方から固定支持へ方針を転換をしたのではということの背景に、日本はどのように考えてこういう転換があったというふうに思われるか、その背景の深さみたいな部分で御見解あれば伺いたいと思います。

本田悠介神戸大学大学院海事科学研究科准教授

○参考人(本田悠介君) ありがとうございます。  今し方御質問ございました日本がどのような経緯というか背景で立場を転換したのかということですが、確実に、本当に転換したのかどうかというのはちょっと言いづらいというところがあるのですが、少なくともこれまで移動性を取っていた、実行的にはですね、エサンベ鼻北小島等の削減等もちゃんと反映していますので、そうしているにもかかわらず、今回このような外交の立場で基線の維持が許容されるというふうに発言しているということから、外見的には立場が転換されたというふうに見えるというふうに、そういったことからこのように書いたのですが。  そのような背景は、やはり日本は島嶼国として被害を多く受ける可能性があるし、実際多く受けているということから、国家の立場としては、領土というか、そういった海洋権原、領海やEEZ、大陸棚等の基点となるべき陸地が減るということがやはり問題であるということから、基線を固定するということが戦略的に望ましいということでこのように判断したんだと思われます。もちろん、国際的な議論でこの固定が望ましいというような主張がやはりあるから、やはりそれは日本もほかの国と同じような主張、立場であるというふうな、そういった総合的な判断でこのような主張がされているというふうに私は考えます。  ただ、本当に固定でいいのかどうかというところですが、固定説をずっと維持した場合、では、新しくできる島をどのように解釈すればいいのか。これ、実は日本とアイスランドのみが領域内において新しく島ができる可能性があるし、その事例があるというふうに言われております。福徳岡ノ場もそうですし、西之島は元から島がありましたが、海底火山の影響で新しく島ができた場合、固定説を取っていた場合、それを反映しないのかどうか。その場合は、維持するというふうになった場合、じゃ、どっちなのというふうに言われる可能性があるので、そこはやはり戦略的に考えるべきだと思われます。  ただ、いずれにせよ、質問に関しては、現在の状況からすると、日本としては固定説を取った方が国益にかなうからというふうな判断でこのような立場を取ったんだと、少なくとも私、あと法的、外見的にはそのように判断できます。  以上です。

高木真理立憲民主・社民

○高木真理君 ありがとうございました。  最後に、塩澤参考人に伺いたいと思います。  この太平洋島嶼国に対して、やはり伺ってみたいと思っていたのが、中国の影響が増しているということで、先ほども、登録した船に中国が入ってきて影響力を出しているんだなと。ただ、いただいていた資料の中では、中国はいろいろ影響力は増しているけれども、別に法的に問題になるようなことというか、そういった迷惑になるようなことでは起きていないので、外交的にも特に問題になるところまで来ていないというようなニュアンスの文書をちょっと読ませていただいたかと思いますが、今現実に中国は、国によってもそれぞれ違うかもしれませんが、どのような影響を及ぼしているのか、教えてください。

塩澤英之公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所太平洋島嶼国チーム主任研究員

○参考人(塩澤英之君) 元々その地域の太平洋島嶼国というのは、戦後、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスなどの下で統治されていって、独立が獲得していた歴史があって、二〇〇〇年代に入ってからより自立を高めようとしていたんですね。旧宗主国だけの話ではなくて、国の発展のことを考えてももっといろんなソースが必要だというときに、中国は九〇年代ぐらいから現地に協力を続けていたんですけれども、二〇〇〇年代半ばぐらいから旧宗主国と太平洋島嶼国の間でいろいろもめる場面が出てきて、そういうときに中国というのがカードとしてあることによって交渉をうまく進められるというのが実はあって、その流れで来ています。  一方、中国は中国で経済力を高めていって、先進国ではない、南南協力というんですけれども、その途上国間の協力の盟主というか、そういう形になってきていまして、そういう、太平洋島嶼国側がうまく利用しているというのが僕の見方になります。  以上です。

高木真理立憲民主・社民

○高木真理君 ありがとうございました。終わります。

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) 新妻秀規君。

新妻秀規公明党

○新妻秀規君 三人の参考人の先生方、大変にありがとうございました。  まず、原田参考人にお伺いします。  参考人の資料の六ページ、七ページに、七つの重点戦略が示されております。このうち、一番、四番、そして六番が科学技術に関することであります。  先生御自身も研究者であられますけれども、やっぱりこうした、先ほども赤松先生の御質問にもありましたけれども、やはりこうした研究が、非常に世界の、正確性とかで非常に大きな支持を得ているというお話でありました。  ただ一方で、この科学技術の研究、科学技術とかの研究というのは、やっぱり国家予算の割り付けにしても随分やっぱり影響を受けてきてしまって、順調に進むときもあれば、なかなか予算が確保できずに研究が滞るということもあったかというふうに思います。  こうしたところから、先生がこの研究者としてこれまで最前線で取り組まれる中で、この日本の科学技術政策、予算付け、取りあえず予算付けに関しての御意見があれば是非とも伺いたいと思います。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) 大変重要な御質問をありがとうございます。  実は、科学技術予算、全体で見ると、大変喜ばしいことに、多分減ってはいないと思いますね。多少なりとも増やしていただけている分野の一つかと思います。ですが、中身を実はよく見てみると、目的が結構限定されてしまっている、これに関する内容のプロポーザルを求めますといったような資金が増えてきているように思います。  一方で、研究者のボトムアップの、キュリオシティードリブンの何にでも使えるような、例えば科学研究費補助金というのがその最大の予算ですけれども、こちら相対的に割合減らしています。これが非常に、次の新しいサイエンスを生み出す芽をなかなか育てることができなくなっている現状というのがありまして、それを強く感じているところです。  それと併せて、セットでなんですけれども、大学やあるいは研究機関の運営費交付金の削減、これも非常にボディーブローのように実は大きく効いてきておりまして、この、デュアルサポート体制と我々呼んでいますけれども、運営費交付金と、それから何にでも使える競争的資金、これが少し崩壊し始めているというところが、日本のいろんな意味での競争力低下、そこにつながりつつあるのかなと。非常に深刻な、実は、論文の引用数ですとか、トップ一%、一〇%の論文が減っているですとか、そういったことに表れ始めているなというふうに感じております。  以上です。

新妻秀規公明党

○新妻秀規君 貴重な御所見ありがとうございます。  続きまして、本田参考人にお伺いします。  本田参考人の資料の十八ページ目にありますけれども、海面上昇に対する日本の取組の在り方ということで、この四番目のところに、基線に関しての解釈の合意の採択ということを御提案されていらっしゃいます。  このお話を伺って思ったのが、この基線に関して、解釈というところで攻めるよりも、いっそのこと国際海洋法条約そのものを改正するということも一つの在り方としてあるんじゃないかなと思うんですけれども、ここであえてそれをせずに、この解釈をめぐって今論戦が交わされているというのは何か理由があるのか、こうした多数派工作をやるということが、この仲間づくりとかが有利なのかどうなのか、そこら辺を教えていただければと思います。

本田悠介神戸大学大学院海事科学研究科准教授

○参考人(本田悠介君) ありがとうございます。  私の提案というか、一般的にとか言われている解釈合意の形成について、UNCLOSの改正、国連海洋法条約の改正がなぜ提唱されていないかというようなところですが、国連海洋法条約は、一つには非常に微妙なバランスで成り立っている、十七部もあって、安全保障に関連するところもありますし、やはりその漁業とかの資源のところにも関するところがあります。国連海洋法条約を改正を公式手続でやりますと非常にほかのところにも波及する可能性があるということで、したがって現在の海洋法秩序が崩壊する可能性があるということで、これ自体は外交的、政策的にはほぼほぼ不可能だろうと言われております。もう一つは、それのやはりプロセスに時間等が掛かるということから、これはやはり難しいのではないかと。  ではということで、公海漁業条約、公海漁業実施協定や深海底実施協定のように、新しくアドオン的に新たな議定書という形で追加の条約を作るということも提唱されているのですが、要は、海面上昇に、問題に対応するためだけの国連海洋法条約に関係する、そこだけを修正する条約というのも作るということは提案されているのですが、やはり、そうすると、そこに何を入れるのか。基線の問題は、やはりその領海、無害通航権を含めて様々な問題に波及するということから、これもやはり一つの提案としては支持は多いのですが、やはりちょっと及び腰なところが、国家としては及び腰なところがあります。  したがって、多くの国が提唱しているのは、ほとんどの国で基線を固定するということが支持されているのだから、これをもうデフォルトの解釈にしましょうということで、手続論的にも、あと時間やコストの観点からも、そういった解釈合意というものを国際会議の場において採択するのが一番、最も早いのじゃないかと。これを担保することが条約の、基本的なルールである条約法条約の中で、そういった手続というか、そういった解釈ができるということが認められているので、これにひも付けましょうということで提唱されているというのが実態状況であります。  以上です。

新妻秀規公明党

○新妻秀規君 じゃ、そうした合意を経ることによって、事実上、この国際海洋法条約を改正したのと同じ効果を発現させよう、そういうことでしょうか。

本田悠介神戸大学大学院海事科学研究科准教授

○参考人(本田悠介君) 限定的な形で、そういった改正という、改正というか実質的な改正というのを認めようというのを提唱されているというのが多くの国であるということであります。  以上です。

新妻秀規公明党

○新妻秀規君 ありがとうございました。  最後に、塩澤参考人にお伺いします。  先生の資料の十八ページ目に、我が国との連携協力の可能性、必要となる外交的取組の中で、②科学データを扱う太平洋共同体などとの技術協力、そして三番目、法務人材が限られている国に対する技術協力、専門家の派遣というふうにあります。  先ほど原田先生のお話にもありましたけれども、赤松さんからの御質問にもあります、赤松先生からの御質問にもありましたけれども、やはりこうした科学を通しての貢献は非常に大きなものだと思いますし、また、我が国が強みがあるところでの法務人材というところも、やはりその連携を深めるのに非常に重要だというふうに思います。  そこで、この科学データ、また法務人材、具体的なニーズと、こういうやり方で提案していったらいいんじゃないかみたいな御提案があれば、是非ともお伺いしたいと思います。

塩澤英之公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所太平洋島嶼国チーム主任研究員

○参考人(塩澤英之君) そうですね、手法はいろいろあるんですけれども、既に既存の派遣の仕組みはありまして、JICAなどでありますので、それで専門家を派遣する。  ニーズに関しては、本当に派遣の前提が、前提というか、調べる段階でしっかり詳細を調べる必要があると思います。SPCに関しては、もう既にオーストラリア、EU、ニュージーランドが支援しているので最新の部分はあるとは思うんですけど、そこに日本がちゃんと絡んで、隙間が見付かると思うんですね、不足部分の。そういうことが大事かなと思います。今そこにがっつりとは入っていないので、そこに関わることが大事かと思います。  あと、国別のその法的な部分に関しては、例えばパラオなどでインドネシアと海底境界の交渉などあるんですけれども、交渉で負けてしまうというんですね、法的人材が少ないので。ただ、日本がそこに直接関わってしまうと、インドネシアとかが関わってくるので難しいんですけれども、うまくバランスを取りながら調べる必要があると思います。  以上です。

新妻秀規公明党

○新妻秀規君 この科学データについては、やはりもうなかなか、食い込める余地というのはなかなかあれなんですか、もうなくなってきているという感じなんでしょうか。

塩澤英之公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所太平洋島嶼国チーム主任研究員

○参考人(塩澤英之君) ある種、細かな話はよく分からないんですけれども、技術者はどんどん発展していますので、例えばちょっとした機材の話であってもソフトウエアの話であっても、どんどん関われる部分があると思うんですね。だから、そういうところをちゃんと調べてやっていくということだと思います。

新妻秀規公明党

○新妻秀規君 じゃ、やはり、このニーズ調査が極めて重要なステップということになりましょうか。

塩澤英之公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所太平洋島嶼国チーム主任研究員

○参考人(塩澤英之君) はい、そのとおりだと思います。

新妻秀規公明党

○新妻秀規君 以上で終わります。

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) 金子道仁君。

金子道仁日本維新の会・教育無償化を実現する会

○金子道仁君 日本維新の会・教育無償化を実現する会、金子道仁です。  本日は、気候変動と海洋法秩序、非常に興味深い内容について、それぞれ違う知見を深くお持ちの参考人の皆さんから貴重な御講演いただいたこと、本当に感謝申し上げます。  最初に、原田参考人にお伺いさせていただきます。  資料の六、七に、対応への七つの重点戦略というところで、全てに関わるものが人材の育成なんだと最後おっしゃっておられました。  やはり、この海洋関係の研究を進めていく中で、その研究を進めて、それがいかに産業界にスピンアウトしていくのかとか、産学連携につながっていくのか、そういう経済活動とリンクすることで、より希望する学生も増えて、研究も増えて、それが裾野を広げていくようなことになるんではないかと思うんですが、この五つ目のところで、管轄海域の国境離島の状況把握の中で、地形照合システムの整備などを行い、経済活動、投資を促進すると。先生もその辺りを言及されておられますが、その辺りの現在の最も最新のというんでしょうか、投資の可能性であったりとか、産学連携の現状であるその辺りを教えていただけますでしょうか。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) 御質問ありがとうございます。大変重要な御指摘かと思います。  地形照合システムの整備に関しては、これは国でやっている部分であります、国土地理院ですとか。ですので、国土交通省の管轄の部分になってくるかと思うんですけれども、そういった、産業界も大変重要ですけれども、まず、国の中にもサイエンスの知識を持った専門家が公務員としてどんどん活躍していくといったことも重要になってくるかなというふうに思うんですね。  経済活動それから投資の促進に関しても、最近朝のニュースでも拝聴しましたが、大手企業で博士学位を取得した人材を獲得するようになってきているというニュースを聞きました。  やはり、産業界もそういう形で専門的な知識を習得した学生たちを多く雇用していくことによって、より、何というんでしょうね、戦略的に、あるいは、より国益に資する形のものは何だろうという、そういう判断を付けやすいような知識を持った人材を、官、ごめんなさい、学だけではなくて、産業界、それから官の方にも専門的知識を持った人材の輩出というのが非常に重要になってくるんじゃないかなというふうに思うんですね。  この地形照合システムの整備の今現状というのが、済みません、私、勉強不足で情報持ち合わせていないんですけれども、第四期海洋基本計画の資料の中に、これに関わる、国境離島の状況把握に関わる部分の記述がありますので、後ほどでよろしいようでしたら、私の方でまたその部分をまとめて先生に情報をお送りするということができますので、そのような形での回答でもよろしければ、そのようにさせていただきたいと思います。

金子道仁日本維新の会・教育無償化を実現する会

○金子道仁君 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。  貴重な御説明ありがとうございました。  続いて、原田参考人にお伺いいたします、ごめんなさい、本田参考人に、失礼いたしました、お伺いさせていただきます。  非常に、国際法の精緻にわたる説明をいただいて、かゆいところにも手が届くというんでしょうか、私も国際法の専門、専攻をしていたので、非常に分かりやすい説明でありがとうございました。  先ほど説明の中で、基線の固定化、固定説が広がっていると。これ、私も、確かにこれから海面上昇によって基線が全世界的に動く中にあって、それぞれの国が基線を動かしていくというのはかなり法的な安定性を損なうことになるので、一般的に考えれば、これからますます固定化が進んでいくのは避けられない、日本としても固定説を取るというのは非常によく分かる状況だと思うんですけれども、資料の十三ページ、先ほど少しだけ言及されました日本とアイスランドだけが新しい島が出現すると、とすると、日本とアイスランドだけ将来的に国際法の解釈で孤立する危険性があると。我々としては、当然、固定説を取りつつ、新しい島は基線に入れていきたいというわけですけれども、外国から否定的に見れば、何と厚かましい、いいとこ取りの国かと言われてしまう危険性もあるわけです。  そういったことをあらかじめ予見できるわけですから、どのような法解釈がこれについて可能なのか、御所見をお伺いできますでしょうか。

本田悠介神戸大学大学院海事科学研究科准教授

○参考人(本田悠介君) 非常にその点、私が言及したのが間違いだったかなと、非常に難しい質問だと思います。かつ、重要だと思います。  日本とアイスランドだけが出る、新しい島ができるという、今のところ日本とアイスランドしか確認されていないということですが、確かに、どちらを取るべきか、都合よい解釈が成立する可能性があるかということですが、これも法律は解釈論ですので、いかようにでもと言ったらあれなんですが、可能だとは思います。  一つは、海面上昇による影響ということで、既存のものを守るということは、海面上昇による被害への対応、対策であるということから、新たに島が出てきた場合にそれを領土に編入するかどうかとは全く別な問題であるということで、現在存在しているものが減少するということについて、基線を固定すると言ったらあれなんですけれども、領土保全の観点から維持するんだということを主張することは可能だと思われます。なので、新しい島が出てきた場合も、海面上昇によってそういったものが減るとか減少すると、消滅することがないようにしっかりと保全をするということは可能だとは思われます。  ただ、その場合、新しく島ができたところがどこかにもよると思うのですが、それによって過度な領海とか排他的経済水域等の主張になった場合は、他国からもちろんクレームというか、異議申立てがある可能性はあると思います。ただ、それは、海面上昇の問題と直結させるというよりも、そこはやはり切り分けて、新たな島が本当にできてある程度固定化されると、安定化してきた場合には、それを国家の領土の問題として保全をするというふうな主張は可能だとは思われます。  要は、海面上昇によって減る海洋権原、現在の既存の領土を減るということを防ぐための固定説であるというふうなことで、すみ分けというか、説明をするということは一つ可能なのではないかなと思われます。ただ、もちろん難しいところはあると思います。

金子道仁日本維新の会・教育無償化を実現する会

○金子道仁君 とてもよく分かりました。  領土という観点で新しく先占するという形であれば確かに切り分けも可能なのかなと、今聞いていて思いました。ありがとうございました。  最後に、塩澤参考人にも、限られた時間ですが、是非お伺いしたいことがあります。  非常に現地の状況もよく分かるような説明で、とても、もっともっとたくさんお話を聞きたいんですが、資料の十八ページ、我が国との連携協力の可能性で、一、二、三と出されている、それに対して、十五ページで、我が国が今、例えばEEZのIUU漁業に対しての監視として、海保がモバイルコーポレーションチームを送っていたりとか、私もこのEEZの管理を日本がするというのは日本の特技を生かすところで非常に有効かな、それで実際にそれをしているというのは非常によく分かるんですが、先生が言われる今後の可能性の中に、そのEEZにおける国の管理に関する協力というのが抜けているというのは、何かここに日本としては余りプレゼンスを発揮しづらい状況があるんでしょうか。

塩澤英之公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所太平洋島嶼国チーム主任研究員

○参考人(塩澤英之君) 今回は海面上昇によって基線が変わるとか、そういうことが今観点になっているので、その中の取締りに関してはあえて外しています。ただ、EEZ内のIUU漁業に対する対策への協力は常にあるもので、それはずっと続けるべき、更に強化するべきとは個人的には思っています。

金子道仁日本維新の会・教育無償化を実現する会

○金子道仁君 ありがとうございます。そうしますと、やはり、これは必要な協力分野であるということで理解いたしました。  最後に、十七ページのところで、外国の行為者が地域の秩序変更を狙い、海洋権益の曖昧さを悪用する、この可能性というのは非常によく分かるんですが、これは今、可能性の段階でしょうか。実際にこういったことが起こっているかどうか、教えていただけますでしょうか。

塩澤英之公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所太平洋島嶼国チーム主任研究員

○参考人(塩澤英之君) 例えば、パラオの安全保障担当者に話したときには、去年とかですけれども、あるどこかのその海洋科学調査船が海底ケーブルの上を行き来していて、何かやっているんじゃないかという話がありました。それは、でも、法的にぎりぎりのところで守られる、守られるというか、海洋、EEZの中に入っていなければ同意を得なくても動ける場所なので、そういう曖昧な、グレーゾーンと我々言っていますけど、そういうところをうまくついている動きは実際にはあります。

金子道仁日本維新の会・教育無償化を実現する会

○金子道仁君 以上で終わります。ありがとうございました。

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) では、浜口誠君。

浜口誠国民民主党・新緑風会

○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。  今日は、三人の参考人の先生方、大変ありがとうございました。大変貴重な御意見をいただきました。感謝申し上げたいと思います。  それでは、私、まず最初に、原田参考人にお伺いしたいと思います。  参考人の方から、海洋に携われば、人材を育てていくことは大変重要だという御指摘、そのとおりだと思います。学校とか大学とか民間企業においても人材を海洋という視点で育成していく、このこと大変重要だというふうに思っておりますが、今、大学教授というお立場で、国に対して、この海洋に携わる人材の育成に対して、国に求めること等で御意見がありましたら、是非この場でお聞かせいただきたいと思います。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) 大変重要な御指摘ありがとうございます。  おっしゃるように、ほかの国では、例えば小学校、中学校ぐらいの頃から海洋に関して戦略的に教育を施しているという国があります。東アジアの中でも、例えば韓国ですとか台湾、中国、こういった国々などが、そういったその教科書の中にしっかりと、例えば領海、内水、そういったところの部分も載せつつ、教育に海洋が入り込んでいるという状況です。  日本の場合は、ようやく去年かな、高校生までの学習指導要領の中に海という言葉が全て小中高入りました。ですので、日本としても海についての授業をこれからどんどん増やしていってくれるのではないかなというふうに大変大きな期待を寄せています。やはり、小さい頃から海のない県の子供たちにとっても、陸の影響って、全てやがて例えばごみとして海とつながっているといったような視点で、海に何らか関わりのある内容の授業等を学んでいると、もっと海に対する意識というのが高まってくるのではないかなというふうに思う次第です。  以上です。

浜口誠国民民主党・新緑風会

○浜口誠君 ありがとうございます。  海の日というのもありますので、こういう日も活用しながら、子供たちだけではなくて、日本の国民の皆さんに海の重要性というところをしっかり政治の側からも浸透、周知できるように、また努力もしていきたいと思います。ありがとうございます。  では、続きまして、本田参考人にお伺いしたいと思います。  参考人の資料の中にも、いわゆる干潮時だけ現れる地形、陸地に対して、人為的保全の措置が許容される範囲という十六ページの資料ございました。  この中にも、自然の力で干拓地を造成して、満潮時に水没する地形を常時海面上に出るように助ける、こういうことは認められるという資料になっていますけれども、具体的にどこまでこの干潮時に現れる地形に対して人為的な対応が可能なのか、もう少しここを詳しく御説明をいただきたいというふうに思います。

本田悠介神戸大学大学院海事科学研究科准教授

○参考人(本田悠介君) ありがとうございます。  この点、非常に物理的措置としてどこまで認められるのかというのは、非常に重要なところであると思います。  実際、解釈論、国際法の理論的な点としても議論がされております。この点に関しての一つの判断基準、水準となるのは、何度か言及しましたが、南シナ海における中国のパラセル等の岩礁と言われるところを埋立てをして、人工島というか要塞化をした際に、中国等はそれで島だと、領海やEEZ等も持てるというふうに主張したのですが、これはやはり認められなかったというふうな判決がありますので、そこで示された大規模な人工的な改変を行わないということが一つの条件であると。  で、この場合の大規模がどこまでかということはやはり程度論ではあるのですが、一つとしては、現在の状況から大きく領海とかEEZとかを広げるようなほど大規模に埋立てをしないと、もう完全に埋立てをしないともう維持できないようなというふうになると、自然に形成されたものが認められるかどうかということも含めて、環境への影響があると。環境影響に悪化、その海洋環境への影響がある程度までやるということになると、やはりそれは国際法上合法というか適法的な手法ではないということで、そうすると、自然に形成されたものはそうなんですけれども、程度としては認められないというふうになります。  ただ、その場合、サンゴ礁とか土砂とか自然のものを使って埋め立てる、まあ暴論ですけれども、沖ノ鳥島を完全にサンゴ礁等で埋め立ててしまった場合どうなのかと。もちろん、それが維持できるかにもよるのですが、それはやはり、その程度がどうなのかというのは、科学的な、いろんな基準もあるとは思いますが、やはり他国等も含めて、それがやはり島の維持として必要最小限、まずはですね、必要最小限であるというふうな合意形成ができるような程度であるというふうな必要が一つの基準になると思われます。  ですので、その大規模なという場合には、環境への影響が大きく出るような程度までやってしまうのはやはり駄目であると。その程度ぐらいしか、申し訳ありませんが、法的な観点からすると、今のところ私は答えられることはできません。  以上です。

浜口誠国民民主党・新緑風会

○浜口誠君 ありがとうございます。  あと、基線の固定説、移動説、双方あるということですが、今、その基線の移動説の側に立っている国としてはどのような国が代表的な国としてあるのか、その国の考え方とか立ち位置はどういう背景で移動説に立っているのか、その点についてお伺いしたいと思います。

本田悠介神戸大学大学院海事科学研究科准教授

○参考人(本田悠介君) 質問ありがとうございます。その点、短く答えたいと思いますが。  現在のところ、国際的な議論で移動説に立っているというふうなのは、明示している国はそれほど多くはないのですが、国連海洋法条約の基本的な解釈から移動説であるというふうに主張している国としてはアイルランドというものがありますし、あとはイギリスもそうですし、オランダ、あとアメリカも基本的には移動説の立場を取っております。というのも、オランダとかアメリカは定期的に海洋の状況を把握して、その上で、現在のその国の領海はここであるというふうなことをちゃんと発表しております。  ただ、そういった国々も、太平洋島嶼国等が基線を固定するということ、それ自体は否定しないというふうに言っているんですね。なので、固定説を支持しているというふうには読めるのですが、彼らはこれまで国内的には、基本的には移動説の説に立っていたというふうなことが示されております。今のところ、そういった国々が基本的には移動説に立っているというふうな立場を示しております。  以上です。

浜口誠国民民主党・新緑風会

○浜口誠君 ありがとうございます。  それでは、塩澤参考人にお伺いしたいと思います。  参考人、実際、太平洋島嶼国にも行かれて、今までは大潮で浸水すること余りなかったですけれども、最近は毎年、二月、三月、九月、十月、浸水があるというようなお話ございましたけれども、実際にその水深を受けてそれぞれの国がどのような対策を講じているのか、ちょっと現状、これまではそう頻繁にはなかったんですけれども、最近は頻繁にあるということですので、具体的な対策状況について、現地で経験されたことも含めてお話をお聞かせいただきたいと思います。

塩澤英之公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所太平洋島嶼国チーム主任研究員

○参考人(塩澤英之君) 具体的に現地が要望するのは護岸整備ですね、特に都市部の、になるんですけれども、それには非常に大きなコストが掛かるので、希望してもドナーに頼むしかない。で、ドナーが認めればありますけれども、実際は行われていない状況です。  ただ、ツバルに関しては、二〇一七年から、緑の気候基金、UNDPも絡んでいると思いますけれども、そういうところが五十億円規模、もう国家予算規模なんですけれども、その支援で、何というんですか、岩礁化したサンゴの部分を埋め立てて、何というか、人工島というか、土地をかさ上げしたというのはあります。もうサッカー場五面ぐらい造れるような規模のものを造られたりしました。ただ、一般市民のレベルになると、その周辺に石を積んで何とか被害を抑えるというような現場での対策になっています。  あとは、フィジーとかでは、ナチュラルベースド、護岸のやり方があって、れきを積んでいって、それ、JICAもその手法を導入していましたけれども、れきを積んで、その先にマングローブを植えて、その影響、水の影響をちょっと抑えるというやり方が進められています。  以上です。

浜口誠国民民主党・新緑風会

○浜口誠君 ありがとうございます。  じゃ、原田参考人にもう一度お伺いしたいと思います。  先生の資料の中で南極の絵がありました。先ほど南極に関しても質疑ありましたけれども、これで見ると、東と西で西南極の方が氷の解け具合が早いようにこの絵から見ると感じるんですけれども、同じ南極でもその西と東の何か違いというのがあるのかどうか、その辺り、西の方が氷の解け具合が大きい要因がもしあるのであればお教えいただきたいと思います。

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) 時間が来ておりますが、どうぞ。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) 御質問ありがとうございます。  三ページ目の地図なんですけれども、この西側の南極、ひゅるっと長く出ているあの半島が、ちょうど南アメリカのチリですとか、あそこに位置しているような、そういう部分ですね。ですので、これ、太平洋に面している部分が西側の南極ということになります。  これ、海底地形の影響もあるのかもしれないんですけれども、現実としてその西側の南極と東側の南極と海氷の分布も全然違っていまして、東側の方が非常に厳しいんですね。西側はもうゆるゆるなんです。南極半島の部分、せり出している緯度がより低緯度側であると。こういったその緯度の違いというのもあるかもしれないんですけれども、何が決定的に違いを生み出しているかということはまだよく分かっていないというのが現状です。  昭和基地があるところの東南極は、まあここに基地を造ることになってしまった経緯としては、日本がさきの大戦に負けてしまったということが理由ではあるんですけれども、この周辺に現在基地を持つ先進国ほとんどないことから、日本がしっかりとこの東側の南極で観測データを取って、それをしっかりとオープンにしていくという点で、大変重要な責務を負っているという現状がございます。  以上です。

浜口誠国民民主党・新緑風会

○浜口誠君 ありがとうございました。終わります。

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) では、岩渕友君。

岩渕友日本共産党

○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。  三人の参考人の皆様、本日はありがとうございました。  初めに、原田参考人に伺います。  地球沸騰化と言われるほど深刻な気候変動の下で、参考人がこれまで取り組んでこられた、また、今取り組んでいらっしゃる南極や北極の調査や研究が、気候変動の解明というんでしょうかね、にとっても非常に重要な役割を果たしているというふうに思います。海には豊かな生態系があるわけですけれども、その一方で、生物多様性が喪失をするということも危惧をされていますし、まあ実際喪失もされているということで、気候変動対策が、今後十年が勝負だと言われて、待ったなしの状況になっています。  そうした下で、参考人がその南極の調査や研究を通して感じているこの気候変動の深刻さや、どういった取組が重要だというふうにお考えかということを、改めての部分もあるかもしれないんですが、お聞かせください。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) 御質問ありがとうございます。  私、非常に有り難いことに南極と北極、両方携わらせていただいていまして、より気候変動に深刻な状況にあるなと思うのが、やっぱり北極なんですね。北極海、その海氷がどんどん失われているということが生態系をやはり大きく変えている現実があります。あと、北極の場合、その周辺に社会があるんですね。沿岸国といって、八か国。そこに暮らしがあります。ですので、そういったその人間社会が非常に近い部分で起きている気候変動の脆弱性というのを北極では感じます。  というのも、私も、数年に一回、北極海を航海するときに感じるのは、あれ、ここ、この前来たときにしっかりと海氷がまだあったのに、もう今回全然ないじゃないかと。そういった、もう数年単位でがらがらと状況が変わっているというのをすごく肌で感じるのがやっぱり北極なんですね。  で、生態系の変化というのは、その象徴的にはシロクマが海氷での生息ができなくなるといったようなことがニュース等でも上がってくるかと思いますけれども、生態系の大きな変化というのは、そこに暮らす人々の食料の入手の仕方の変化、社会の変化、それから文化の変化も大きく起こします。ですので、そういった点で非常にその負の波及効果がとても大きい。そして、こうカスケード的にどんどんどんどんこの連鎖というものが気候変動をスタートとして思いもよらない方向に進んでいってしまう現実をよく感じるのが北極ですね。  一方で、南極の方は、先ほど来お話しして、お話に出ていますように、まだ余り急激な温暖化の影響というのは、実際に観測に行っても相変わらず、日本周辺、非常に厳しい海氷に阻まれますし、余り肌では感じていないところです。  ただ、これも、じゃ、何もしないでもいいのかというところはそうではなくて、やはり温暖化の兆候というのを今からしっかりと観測を、監視、観測続けることで、それをいち早く世界に先駆けて捉えていくといったことが日本としての責務の一つかなというふうにも思っております。  以上です。

岩渕友日本共産党

○岩渕友君 ありがとうございます。  続けて原田参考人に伺うんですが、先ほどのやり取りの中で大学運営費交付金のお話があったと思うんです。先ほどのお話を聞いていても、交付金を確保すること、そして増やすこと、非常に重要だなというふうに思ったんですけれども、今日、参考人が強調をされていたその人材の育成という点から見ても、やっぱり交付金、非常に重要だと思うんですけれども、その点でお考えのことがあれば教えていただけますでしょうか。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) 重要な御指摘ありがとうございます。  実は、運営費交付金の削減が少しずつ始まって久しいのですけれども、その研究室の基本的な運営をするためにある運営費交付金なんですけれども、これがなくなってくるとみんなどういうアクションを起こしているかといいますと、科学研究費補助金の中の比較的金額の低い基盤のBとかCというのがあるんですが、そこ、採択率が比較的高めなんですね。そういったところにプロポーザルを書いて予算を獲得して、ようやく研究室を運営していると。つまり、本当だったらそのエネルギーでありエフォートなりをもっと革新的なサイエンスのプロポーザルを書くために使いたいところ、その研究室を運営するための費用の獲得に例えば取られてしまっているとか、そういったような現状があると思います。  私が所属している大学は恐らく比較的恵まれている方だと思うんですが、四十七都道府県にある地方の国立大学と、それから私立、公立の大学、非常に大きな苦労をされている先生方が多いかと思います。  ですので、そろそろ、この運営費交付金の削減にそろそろストップを掛けていただかないと立ち行かなくなってくる、人材の育成を本来するべき先生のそのエフォートがいろんな方面に割かれてしまっているので、そこの回復というんですかね、生態系の回復も重要なんですけど、大学教員のエフォートの回復という点も将来の人材育成にとっては大変重要になってくるかと感じております。  以上です。

岩渕友日本共産党

○岩渕友君 ありがとうございます。  次に、本田参考人に伺います。  気候変動による海面の上昇が加速をしているということで、非常に深刻な影響をあらゆる場面にもたらすということになります。事前資料の中で、緩和と適応が重要というようなことがありました。なんですけれども、それでは追い付かないぐらい深刻な実態になっているのではないかなというふうに思うんですが、参考人がどんなふうに見ていらっしゃるか、お考えがあれば教えてください。

本田悠介神戸大学大学院海事科学研究科准教授

○参考人(本田悠介君) ありがとうございます。  緩和と適応がどういった状況と考えているかということですが、少なくとも、私の専門である国際法、法的な観点からすると、緩和措置に関しては、いわゆる気候変動枠組条約系統において排出量を削減するというところである程度の制度的な枠組み、目標等が設定されておりますので、これに基づいて国家は義務を負っていますので、緩和に関しての措置等はされていると思います。  対して、適応策に関しては、国内で、日本も気候変動適応策というものを作っておりますが、これも気候変動枠組条約系統、パリ協定等で言及されておりますが、少なくとも海洋においては、こういったもの、どういったものができるか、どこまでできるか等、別な先生方の質問にもありましたが、これについて明確にございません。したがって、各国とも、どれほどできているかについては、やはり状況に応じてやっているというところだと思われます。  ただ、適応策、海面上昇に関してはやはり費用が相当掛かるということから、他国、多くの国、特に途上国等は、物理的な適応策として海面を保護するということについては、やや、ややというか、完全に及び腰です。したがって、基線の固定説ということで、法的にフィクションとして基線を固定しようというところに移っているという状況だと思います。したがって、法的な意味では、適応策は、現在急速に支持されている状況、その実行が起きてきている状況だと思いますが、それが果たして本当に気候変動に適応しているか、対応できるかについては個人的にはやや疑問があるというふうに考えております。  以上です。

岩渕友日本共産党

○岩渕友君 ありがとうございます。  最後に、塩澤参考人に伺います。  太平洋島嶼国が御専門ということで、現場にも足を運ばれているということなので、実態をよく知る立場から、気候変動が住民の方々に与えている影響や、住民の方々がどんな要望を持たれているのかということを教えていただけたらというふうに思います。

塩澤英之公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所太平洋島嶼国チーム主任研究員

○参考人(塩澤英之君) 住民レベルになると、実はそれほど気候変動というものを意識はしていません。  住民は日々の生活の部分で見ていて、例えば食料も輸入なんですよね、基本的に。なので、物価が高いとかエネルギー代が高いとかそういうところにあって、ただ、日々、まさにその大潮のときに水が来るようになったとか、そういうことになって上に話が上がっていくと、それは気候変動だということで国際社会に訴えて協力を求めるという形になっていきます。  以上です。

岩渕友日本共産党

○岩渕友君 ありがとうございました。以上で終わります。

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) では、伊波洋一君。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 ハイサイ、どうも、沖縄の風の伊波洋一です。  今日は、御三名の専門の皆さんのお話を聞いて、本当に知らなかったこともいっぱいあったなと思います。  特に、北極、南極の話で、委員の方からは、北極は解けても水面上昇には結び付かないという話とかですね。南極の方で原田参考人にお伺いするんですけど、西南極の方で、この西南極の氷床量というのが四メートルという、書いてありますが、あと一つ、トッテン氷河のところでイコール四メートルというのは、これが全部解けたら四メートル海面が上昇すると僕は聞いてしまったんですけど、間違いありませんか。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) はい、おっしゃるとおりです。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 それで、この青く四角いところに書いてあるのが、今、日本の周辺での年間の海面上昇というのが三・五ミリ、つまり十年で三センチ五ミリで、百年で三十五センチということですよね。日本においては、津波が一番海の海面上昇という意味ではとっても大きくて、五メートルとか、それに対して東日本大震災でもその対策が取られている。日常的には、要するに月の引力で満ち引きがありますから、その差はおよそ一メートルから二メートルぐらいの日的な変化であると。そういう中で、でも、やはりこの気候変動というときにかなりその海面上昇という問題がとても浮き彫りに出るんですけれども、実態的には百年で三十五センチと。でも、これ二三〇〇年まで書かれておりますから、そういう意味では四メートルまでなっているんですけど、そのイメージがなかなか十分つかめなくて、同時に、原因は何かといったら熱膨張だと、海の熱膨張だということで、何か今まで余り十分理解していなかったなというのはとても感じたんですね。  それで、いわゆるトッテン氷河が、もし四メートルが解けてしまえば一気に四メートル全世界で上がってくるわけですが、そこのところはまだ分からないということなんですが、でも北極海はもう解け始めていると。で、見通しとして、この南極の氷の解けるスピードと、それから先ほどの熱膨張で上がる今のスピードと、南極の氷が一番問題かなという感じがするんですけど、このグラフは見せてもらって、この、今落ちているけれども、必ずしもそれがそのまま落ちていく形ではないかもしれないというお話ですが、どんなふうに感じておりますか、この件に関しては。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) 御指摘ありがとうございます。  確かに、南極の大陸が今後氷床の融解の非常に大きなソースとなっていくというのは、これはもう間違いはないと思います。ただし、向こう百年、二百年程度の非常に短い期間で大陸の氷床が全て解けてしまうような、そういったことが起きるとはにわかには考え難い、それは、私はそのように思っています。  徐々にではありますけれども、海水準の上昇というのもそうなんですが、やはり気候変動によるいろいろな自然災害の激甚化、例えば雨がちょっと降るともう豪雨になったり、線状降水帯ができやすくなったり、あと台風も、数は減っていますけど、一つ一つの規模が大きくなったり、そういったことが日本の場合はより深刻になってくるかなと。その場合、沿岸域では、高波、高潮、この被害が非常に甚大になってくるというふうに予測されています。  ですので、海水準の上昇というのは確かに全球レベルで徐々に徐々に起きてくることではあるんですね。ですので、ローカルには、気候変動の影響となってきますと、やはりそういった海由来の自然災害の方が、非常に、短期的にも、それから規模的にも、対策として考える上では大きな脅威になってくるかなというふうに感じています。  こんなような回答でよろしいでしょうか。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 ありがとうございました。  沖縄も二〇〇〇年に入ってかなり台風の方向だとかあるいはその雨の降り方、随分変わったんですけどね、今も変わっているんですけど。そういう意味では、その海水面の問題というのはそういう流れであるということを今知って、分かりました。是非、いろんな方の研究で、どうするかということをやっぱり方向付けていただきたい。  あと一点です、この件に関して。  どうして氷があるんだろうか。南極とか北極は雨が降るんですか。なぜ積もっているんですか、その氷が。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) 北極の方は、雪、本来今まで雪だったのが雨に変わっているというところがあるようです。北極圏といって、北緯六十度以北を北極圏と呼んでいるんですけれども、やはり雨として淡水が供給されるという部分が雪から置き換わっているというのはよく聞きます。  一方で、南極の方は、雨として、降水としてですね、昭和基地周辺でそういう記録があるかどうか、私もちょっと分かってはいないんですけれども、まだ雪として降り積もっていますので、淡水としてそのまま大陸の上にとどまるという状況が現状かと思います。  北極の方ですね、雨は。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 ありがとうございました。  雪が降るという、雪が降るという、雨でも雪でも降るわけですね。それで積もっているということで、理解しました。ありがとうございます。  次に、本田参考人にお伺いしますが、基線の話なんですけれども、埋立てと基線というのはどういう関係になります。日本もあちこち埋立てしていますよね。

本田悠介神戸大学大学院海事科学研究科准教授

○参考人(本田悠介君) ありがとうございます。  基線と埋立ての関係ですが、基線は、国連海洋法条約、法律上は海岸線になっていますので、海岸、低潮、低潮線となっております。ただ、低潮線は一般的に言う海岸線とはちょっと異なる、一番干潮時のところとなっていますので、そこが基線の線、ラインというふうになっております。  埋立てとの関係ですが、埋め立てて海側に陸地、低潮線というか海岸線、いわゆる海岸線が延びた場合、そこが新しく基線になります。それが認められているというのが現状でございます。そういった例は、先ほど申し上げたオランダとか、ほかの国々でも実際やっております。埋立てで領海を増やすと。ただ、この場合、増やした領海線が他国の領海に何らかの影響を及ぼした場合は、その土地が本当に法的に有効なのかどうか、これが問われるということになります。  ただ、そうでなければ、程度、これもやはり程度にもよりますが、領海を何十キロも延ばすというふうなのは現実的ではないですが、基本的に海岸を養浜とか埋立てをするということは認められており、埋め立てたところが新しく海岸線になれば、低潮時ですね、低潮線になれば、そこが基線となります。  以上です。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 ありがとうございました。  なるほどね。僕も元の海岸、自然の海岸線だけが基線で残るのかと一瞬思ったんですが、そうじゃなくて、新しく埋め立てたところがまた基点になるということで理解していいわけですね。

本田悠介神戸大学大学院海事科学研究科准教授

○参考人(本田悠介君) はい、移動説に基づけば、そのようになります。  以上です。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 最後に、塩澤参考人にお伺いするんですけど、やっぱり島嶼国、この気候変動の話が、海面上昇と重ねて、島嶼国の大きな割とアピールするときの一つのポイントだと思うんですね。  同時に、当然、その大潮とかそういう、先ほども報告受けましたけれども、日常的な生活には影響を与えているという、その防護がない分、そういうことからあると思うんですが、本当に、先ほど何度も、何回か質問ありましたが、現実の問題として、その住民が抱えているこの水面上昇の問題がですね、よりもっと我々に伝えていただきたいなと思うんですけど、どんな具合に具体的に起きているのかということを。

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) 時間来ていますので、手短にお願いします。

塩澤英之公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所太平洋島嶼国チーム主任研究員

○参考人(塩澤英之君) はい。  高潮とか大潮のときに水がすぐ来るということが非常に怖く、あと農業にも影響するということで、そこに関心があるというところです。災害が、身近な災害が増えているということが言えると思います。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 ありがとうございました。  もう時間が来ているようですので、終わります。

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) では、齊藤健一郎君。

齊藤健一郎NHKから国民を守る党

○齊藤健一郎君 NHKから国民を守る党の齊藤健一郎です。よろしくお願いします。  原田参考人にお伺いしたい点が、まず、この三ページでグラフをお示しいただいたですけれども、一九〇〇年から二三〇〇年までの間のこの約四百年間のグラフ出していただいたんですが、これが千年規模とかというふうな形になったら、その海面水位のその上昇とかというのは、そのグラフ的には上がっていくグラフになるのか、それとも上がったり下がったりというところ、ちょっとどのようなグラフになるのかお教えいただいたら助かります。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) 御質問ありがとうございます。  非常にロングタイムスケールになった場合ですよね。これ、過去に遡るということもできるかと思うんですけれども、上がったり下がったりでした。  現実問題として、関東が、よく縄文海進と言われる時代ですね、縄文時代最も暖かかったと、三千年ぐらい前。もっと東京周辺は海あるいはその水域が広がっているという状況でした。ですので、おっしゃるように、上がったり下がったりということが今後も続くと思います。

齊藤健一郎NHKから国民を守る党

○齊藤健一郎君 最近、特にこの世界で環境問題、CO2言われていますけれども、これは海面のその上昇を含めた、氷床が増える減るも含めて、人間の手によって変わるものなんですかね。何か昔、昔も上がるときは上がっていた、まあ未来も上がるときは上がる、下がるというのがあると思うんですけど、人間にとって、手に取って変わりますか、シンプルなんですけど。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) これも昔からよく議論のあるところで、御質問ありがとうございます。  IPCCレポートというのがあるのは御存じかと思うんですけれども、第六次が今最新のもので回っているものです。この六回目の、これ七年に一回のレポートですけれども、この六回目でようやく、今起きている温暖化は人為起源であると断定したんですね。  今先生おっしゃるように、実は過去に遡ると、今と同じぐらいのCO2濃度の時代、よくありました。暖かい時代もありました。ところが、今、現代、唯一、地球四十六億年の歴史の中で一度も体験していないのがCO2のこの増加の速度。これは、幾ら過去に遡っても、これほどスピーディーに増えている時代はないんですね。  これをやっぱり引き起こしているというのは、その六次のIPCCでも断言したように、人間のなせるところでありまして、今後どうなっていくのかというのは、実は過去に遡ってその過去の知見から探るということはなかなか難しい、このスピードがもう今まで経験していないのでという課題が大きくあります。  以上です。

齊藤健一郎NHKから国民を守る党

○齊藤健一郎君 ありがとうございます。  ちょっとそのスピードというところにちょっと注目したいんですけれども、すごいシンプルな話でいくと、割とこの気候変動のこの温暖化についての問題というのが世界各国でされているのですが、寒冷化するよりいいんじゃないかなと、寒くなっていくというふうなことの方がネガティブ要素がちょっと多いんじゃないかなというふうにはちょっと思っているんですけれども、その温暖化によって、まあ気候変動ですよね、気候変動することによって様々な環境変化というのはあるの分かるんですが、逆に、この氷床が解けたりであったりとか、温暖化することによって多分ポジティブなことも多分あると思うので、何かそのポジティブなことを、こういったポジティブなことがあるよというのがあれば、ちょっとお教えいただきたいです。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) 大変重要な視点だと思います。ネガティブな方向ばかりではなく、やっぱり多面的に問題を捉えていくということ大変重要なんですね。  で、ポジティブな面の一つとしては、CO2が増えることで植物の育ちが良くなります。これ、農家さんよくやっていることですけれども、ハウスの中のエアーの中のCO2の量を増やしてその生産量を上げるということはやられていることですので、例えばポジティブだとすると、そういったバイオマスの生産量の増加という点ではいい例の一つかなと思います。

齊藤健一郎NHKから国民を守る党

○齊藤健一郎君 そうですね、ありがとうございます。非常にいい情報を聞けました。  結構やっぱり、政治家の方も皆さんやっぱりネガティブな話で悲観的な話するんですけど、できればやっぱり夢のある前向きな話もその裏にはあるんだよという両方の事実をやっぱり捉えておくことが大事かなと思った上で、ちょっと話がぐっと変わるんですけど、済みません、原田参考人ばっかりに聞いて大変申し訳ないんですが、南極、もちろん行ったことないんですが、隊長としてやっぱり行かれている。南極ってどういうところでどんな夢の話があって、未来、どんな調査をすることによって何が解明されるんですか。何かちょっと南極の、子供たちに夢のある話とすれば、何かわくわくする話をお聞かせいただきたいなと思います。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) すごくいい御質問ありがとうございます。  私もいろいろフィールド行きますけれども、やっぱり南極の特別感というのは、ほかのフィールドと大きく違っているところは、まあ日本から非常に遠いという部分もあるんですけれども、やっぱり自然の厳しさ、そこが非常に大きいところがあります。ほかの海域に比べて観測も非常に難しいです、厳しいです。低温ということですとか、すぐ凍り付いてしまうということですとか、これへの対策が非常に観測を厳しくしている。だからこそ、難しいからこそ、また行きたい、また挑戦したい、そういう思いをかき立ててくれるところなんですね。  今、実は、その海の話ばかりしておりますけれども、南極の大陸の真ん中に行って百万年の氷を掘ろうというプロジェクトがあります。今、七十二万年、先ほど、冒頭赤松議員から御質問いただきましたけれども、これより更に古い時代を遡って、これ直接大気のCO2の濃度を測ることのできるタイムカプセルのサンプルになるんですけれども、かつての気候変動をより詳細に、今現在、実は四十万年に一回のスーパー間氷期と呼ばれているんですが、そういったスーパー間氷期がまた、今現在、実際に、本当にこれからスーパー間氷期がやってくるのかどうかということも、百万年前まで遡ることで自然のメカニズムが分かってくると、そういったロマンのあふれる南極での観測ということになりますので、こういうのを是非しっかりと積極的に情報発信して、いろんな方々に魅力を伝えていきたいと思います。  以上です。

齊藤健一郎NHKから国民を守る党

○齊藤健一郎君 最後に、本田参考人にお伺いしたいんですけれども、また同じくちょっとポジティブな話、その法的概念から、観点から、様々なほかの国からもそのポジティブな話というのが聞かれることがあるのかというような、まあその基軸ですよね、ちょっと難しいんですけど、そのポジティブなちょっと話をしたくて、そのほかの国からも、もう日本だけじゃなくて、ほかの国から見たポジティブな話があるのかなと。海外でこういうことを、気候変動して、今回、その海の基軸を決めるとかというので、まあ先ほど聞きたかったことは、その土地が増えるよという話はすごいポジティブな話でいいなと思ったので、ほかにそのような話があるとするならば、ちょっとお聞かせいただきたいなと、最後に思います。

本田悠介神戸大学大学院海事科学研究科准教授

○参考人(本田悠介君) ありがとうございます。  現実を申し上げますと、ありません。基本的に、海面上昇によって国家はむしろ被害の方を受けております。もちろん、今し方、原田参考人等からありましたように、漁業の分布が変わるということで、場合によっては特定の地域で漁獲が変わる、増えるということはあるかもしれませんが、それよりも、被害を受ける、ネガティブな方が多いです。  したがって、国際社会は、法律、国際法を作ったり、国際社会における合意をもってしてその問題に立ち向かおうとしておりますので、基本的に、国際社会の法的というか政治、外交的な側面としてはネガティブな側面の方が九九%方あるというふうに言えると思います。  以上です。

齊藤健一郎NHKから国民を守る党

○齊藤健一郎君 ありがとうございます。  ポジティブな話で終わりたかったんですけれども、問題は問題として現実で受け止めてやっていきたいなと思います。  以上です。

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) 以上で各会派の一巡目の質疑は終了いたしました。  他に質疑のある方は挙手をお願いいたします。  大椿ゆうこ君。

大椿ゆうこ立憲民主・社民

○大椿ゆうこ君 こんにちは。立憲・社民会派、社民党の大椿ゆうこと申します。  今日は、三人の参考人の皆さん、長時間にわたって皆さんの知見をお話しいただき、本当にありがとうございます。  まず最初に、原田参考人にお話を聞きたいと思います。  先ほど、やっぱりこの分野の専門、まあ専門家というか人材を育成することの大切さをお話しになられておられました。大学の運営費の運営費交付金、これをやっぱりしっかり回復させてほしいという思いは、私、以前、大学、労働組合で働いていたときに、主に大学の先生たちの交渉に携わっていたことがあるんです。ここ数年、やはりよく言われていたのは、もう運営費交付金がどんどん減らされ、研究ができないと、十分な研究ができないという切実な思いをお話しされていたので、本当に増やすべきだというふうに、改めて今日お話を聞いて思いました。  それで、御質問をしたいのは、やっぱり海面上昇に伴って、これ、遠い、北極とか、そういうところだけの話じゃありませんよと、日本にも影響がありますよというお話を冒頭されたと思います。その大都市である、私は大阪に住まいがありますけれども、まさに大阪はこの海面上昇起きたときに十分に被害を受ける対象になるところだろうと思いますが、既にそういう場所に空港があり、そして大阪万博をつくったりとかしている状況です。  実際、日本の中で、この海面上昇の問題、それをできるだけ遠ざけるというか、その被害を防ぐために十分な議論がなされているのか、その辺り、どのように受け取られているかということをお話しいただければと思います。

原田尚美東京大学大気海洋研究所教授

○参考人(原田尚美君) 御質問ありがとうございます。  まだこういった観点で十分な議論はスタートしていないというのが現状かと思います。といいますのも、やはり日本は災害大国でして、大きな地震が非常に続くと、ここのところよく大きな地震が続いています。ですので、まず真っ先に対応しなければいけない課題がやっぱり非常に多いんですね。なかなか気候変動にまで思い至らないというのが現実だと思います。  ですけれども、ひたひたとやはりやってくる気候変動への対策というのは重要なことですので、都市づくり、町づくりをする際に、少し長期的なスパンで住民のエリアをどう設けていくかというようなことを、徐々に内陸側に移動させていくですとか、そういった都市計画、住民計画、住民が住まうところの計画というのが重要になってくるんじゃないかなと思うところです。  ですので、通常のその災害対策の中に長期的な視点も取り込んでもらって計画を立てていっていただけるといいなと思っています。  以上です。

大椿ゆうこ立憲民主・社民

○大椿ゆうこ君 ありがとうございます。  大阪市の状況もちょっと一度調べたことがあるんです、海面上昇について。でも、やっぱりまだまだ対策としては不十分で、それよりも南海トラフ大地震が起きたときに被害はどれほどに及ぶのかというようなところでやっぱり情報がとどまっているので、今アドバイスいただきましたように、やはりそこと絡めて、この海面上昇の話をやはり大都市含め日本の中でも議論を進めていかなければいけないんだなということを感じました。どうもありがとうございます。  それでは次に、本田参考人に御質問をさせていただきたいと思います。  今日、参考人が資料で御指摘のとおり、領海基線を有する国境離島は低潮線保全法等によって保全管理されているということを教えていただきました。  そこで、二〇二一年に重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律、まあ長い名前ですけれども、重要土地規制法というものが成立をしました。私たちの党としてはこの法案に反対の立場だったわけなんですが、この国境離島における土地の利用等に更に規制が掛かったというふうに受け止めている部分があるんですけれども、領域や管轄水域の拡大のため、低潮線保全法では不足する部分があったのか、その二つの法律との関係、違いというか、その部分少し教えていただければなというふうに思っています。私たちとしては、私たちという、土地の利用や漁業とか、それから市民の人たちの生活や経済活動に過分な監視とか規制とかが行われるというところを危惧して、先ほどの重要土地規制法に関しては非常に警戒をしていた立場なんですけれども、この二つの法律の関係性というか、その辺りを少しお話しいただければと思います。済みません。

本田悠介神戸大学大学院海事科学研究科准教授

○参考人(本田悠介君) ありがとうございます。  土地利用規制法と低潮線保全法との関係でございますが、専門外というふうに言うしかないのですが、実はこの点、私は学校の授業でこの点の解説等もしていたりもするのですが、少なくとも私が知る限りで低潮線保全法と直接関係しているというふうには見えないのですが、土地利用規制法の元々の目的は、そういった離島を、管理、監視が及ばない離島や日本にとっての安全保障の観点から重要な土地が改変される、低潮線保全法もそうですが、土地利用を、土砂を掘削するとかそういった形によって、国土という意味でですね、改変されることを防ぐため、それを強化するため、土地利用規制法ができたものと理解をしております。  したがって、主にその設定されているところは防衛省とかそういった安全保障に直結するところが多いのですが、それは、もちろんその目的でやはり基本的には作られたと思いますが、それ自体が海面上昇との関連でどれだけ重要性を持つのか、あと低潮線保全法との関係どれだけ重要かというところについては、補完的な役割としてそういったところが安全保障的に重要だということで、国内また外国の企業等における利用によって改変されることがないようにというのは、少なくとも海洋政策というか、国内の法律、政策的には非常に重要だと思います。  なぜなら、領海の範囲が変わると、単なる海域の問題だけではなくて、領海の上空には領空主権が及びます。これが変わってしまうと、領空に、領海よりも領空の規制というのは非常に厳しいということになります。したがって、それが陸側に移動するということは、それだけ航空領域における他国からの侵入という範囲が増えるという可能性が起き得るということです。  したがって、土地利用の規制という意味において領土を保全するというのは、基本的には安全保障の観点からは必須だと私は考えます。  以上です。

大椿ゆうこ立憲民主・社民

○大椿ゆうこ君 貴重な御意見ありがとうございます。  最後に、塩澤参考人にお話を聞きたいと思います。  資料を、事前に配られた資料の方を読まさせていただきました。現地の方にも度々行かれているということなんですが、その資料の中で、やはり太平洋の島々の方から福島第一原発のALPS処理水ですね、あの件について不安の声などが聞かれたということにも少し触れられていた箇所があったというふうに思います。そして、そのマーシャル諸島の大統領が日本に来られたときも、この福島第一原発海洋放出の件に伴って海を汚さないようにと、IAEAとともにモニタリングを徹底してほしいというような御意見があったということですので、その辺り、太平洋の島々の皆さん、日本の今回の決定をどのように受け止めていらっしゃるかということを聞かせていただきたいなと思っています。  というのも、私たち社民党は脱原発というのをもう一貫して掲げてきていることと、この海洋放出に関してもやはりすべきではないという立場ではあったんですが、近隣の中国、韓国とかの反応は割と情報が入ってくる部分ありましたけれども、太平洋の島々の皆さんはこのことをどう受け止めていらっしゃったのかということをちょっと聞かせていただけますでしょうか。

塩澤英之公益財団法人笹川平和財団海洋政策研究所太平洋島嶼国チーム主任研究員

○参考人(塩澤英之君) 去年、少なくとも去年の五月ぐらいまでは、多くの、まあ半数以上の太平洋島嶼国が、特に南側なんですけれども、処理水という言い方ではなくて廃棄物という言い方をしていたんですね。それは、現地のメディアも含めてそういう報道をしていたので、その影響があって。ただ、日本側もIAEAも、独立してですけれども、どんどん現地のPIFも含めて直接対話をしていくことによって誤解は少しずつ解けていっているという状況です。  ただ、やはりそのモニタリング、第三者によるモニタリング大事だというのは変わっていなくて、とにかく情報を日本はちゃんと出していくことが重要で、現地はまず、過去の核実験などの事例があって、科学でだまされたという認識がある人もいるんです、特にマーシャルとかでは。だから、信じられないというのが根本的にあるので、そういう人たちにちゃんと丁寧に丁寧に情報を伝えて、安全性を伝えていくというのが大事だと思っています。  以上です。

大椿ゆうこ立憲民主・社民

○大椿ゆうこ君 どうも、三人の参考人の皆さん、御意見をいただきありがとうございました。  これで私の質問を終わります。

猪口邦子自由民主党

○会長(猪口邦子君) 他に御発言はありませんか。──他に御発言もなければ、参考人に対する質疑はこの程度といたします。  参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十二分散会

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