予算委員会公聴会 第1号
- 発言数
- 233 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2024/03/12
会議録
○委員長(櫻井充君) ただいまから予算委員会公聴会を開会いたします。 本日は、令和六年度一般会計予算、令和六年度特別会計予算及び令和六年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見をお伺いしたいと存じます。 この際、公述人の方々に一言御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。 本日は、令和六年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 次に、会議の進め方について申し上げます。 まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、経済・財政/金融・雇用/労働について、公述人立教大学経済学部経済政策学科教授首藤若菜さん及び東京大学名誉教授大沢真理さんから順次御意見を伺います。 まず、首藤公述人にお願いいたします。それでは、首藤公述人、よろしくお願いします。
○公述人(首藤若菜君) 立教大学、首藤若菜と申します。 本日は、このような場でお話しする機会をいただき、大変光栄に感じております。どうぞよろしくお願いいたします。 私は、労使関係を専門に研究しておりまして、その観点から本日二点お話をさせていただきたいと思います。一つ目が物流の二〇二四年問題、もう一つが持続的な賃上げについてです。 では、まず物流の二〇二四年問題からお話しさせていただきます。 トラックドライバーの労働時間の短縮に向けては、ここ数年、国交省、経産省を中心にかつてないほど踏み込んだ対策が取られてきました。その結果、物流現場に変化の兆しが現れているというふうに感じております。大手の運送会社、荷主企業を中心に物流の負荷を軽減させる取組が始まっており、これが今後順調に進むかどうかということはまだ見極めが付かない部分もありますが、長い間ずっと改善してこなかった現場が変わり始めているという点は高く評価すべきだというふうに考えております。 ただ、こうした動きが中小の運送会社、荷主企業にまで広がっているのかというと、そうとは言い切れないと思っております。中小の運送会社のところで、今物流現場何が起きているのかといいますと、多くの運送会社の方々が二択を迫られているというふうに語っています。二択というのは、結局、四月から始まります労働基準の強化を遵守せずに荷物を運び続けるか、遵守するために荷物を諦めるかという二択です。どちらを選ぶにせよ、非常に苦しい思いを抱えながらこの四月を迎えようとしているというのが実態だと思っています。 トラックドライバーの労働時間と賃金は、手元にあります五ページの図表一に示しているとおりです。 いわゆる残業時間である超過労働時間数を見ていただきますと、男性平均の二・五倍から三倍の長さになっています。賃金水準は、決まって支給する現金給与額、これが残業込みの賃金額になっていますが、これは平均の、男性平均に近くなっておりますけれども、所定内給与額で見ますと、平均の八割ほどに下がります。つまり、長く働くことで平均並みの賃金を獲得しているということが分かります。現状のままですと、残業時間の規制強化によって収入が低下し、それにより離職者が増え、人手不足が深刻化するということが懸念されます。 賃金を上げるにはその原資である運賃の上昇が求められますが、次のページの図表二を御覧ください。 企業向けサービス価格指数を見ますと、赤い線で示してあるのが道路貨物運送業の指数になります。コロナ前までは上昇していましたが、コロナ以降ほぼ横ばいとなっているのが分かるかと思います。ドライバーの賃金は、実は二〇一〇年頃から若干上昇してきているんですけれども、近年は上昇幅が狭くなっておりまして、これは運賃の上昇幅の弱まりと整合的だというふうに考えております。 では、どのようにすればいいのかということについて、私の考えを五点述べさせていただきます。七ページから八ページにまとめてあります。 一つは、価格転嫁です。持続的な物流をつくっていくためには、政府が呼びかけているように、価格転嫁が必須だと思っております。 現在、公正取引委員会やトラックGメンが取組を強化しておりまして、それは非常に追い風になっていることは確かです。広島県等一部のGメンはかなり踏み込んだ取組もしておりまして、取引環境の改善に貢献していると見ています。しかし、中小企業庁の調査によりますと、トラック運送業の価格転嫁率は全業種の中でも最下位であり、平均四五・七%の転嫁率に対してトラック業界では二四・八%と、著しく低い状況です。 なぜ価格転嫁が進まないのかと。それは、従来の価格で若しくはもっと安い価格で荷物を運ぼうとする事業者が後を絶たないという実態があるためです。価格を上げようと交渉すれば転嫁しない事業者に仕事が奪われていくというふうに皆さんおっしゃいます。その安さが生産性の上昇によって実現されていればいいのですが、賃金を上げないことで若しくは賃金を引き下げることで安さを実現しているケースも多々あります。 価格転嫁を進めるには中小事業者は交渉力を持っていかなければなりませんが、しかし、構造的に交渉力が高めにくいというのが実態です。例えば、多層的な下請構造がトラック業界にはありますが、五次請け、六次請けといった下請業者は価格交渉をするすべすら持っていないというのが実態です。その中で幾ら適正価格をと呼びかけられても、その実現は困難だと思っております。 価格転嫁を進めるためには、それが可能となるような市場環境を整備するということこそが重要であり、例えば多層的な下請構造を是正するということが求められているというふうに考えております。これは海外でも行われておりまして、トラック運送業では例えば二次請け以下を禁止するといった制約を設けている国があるというふうに聞いております。取締りの強化、呼びかけの強化、これも重要ですけれども、価格が転嫁できる環境をつくっていただきたいというふうに考えております。 第二、第三は、運賃と賃金の底上げに法的拘束力を持たせるという点です。 国土交通省は、二〇一八年に標準的な運賃を導入し、運賃交渉の目安とするように呼びかけています。しかし、九ページの図表三を見ていただくと分かりますけれども、標準的な運賃額若しくはそれ以上の運賃額を獲得できているのは僅か一五%にすぎません。半数以上の荷物は標準運賃の七割以下の価格で運ばれていますし、二割の荷物は標準運賃の半額以下で運ばれているというのが実態です。 中小の運送事業者たちは、標準的な運賃のことを理想の運賃とか夢の運賃というふうに呼んでいます。実態的に標準運賃が標準にはなっていないというふうに考えています。標準的な運賃に実効性を持たせることが難しいのであれば、上限、下限の運賃額を定めたり、最低運賃額を定めるということも検討していただきたいというふうに思っております。 第三には、賃金の底上げについてです。 トラックドライバーの流出を防ぐには、ドライバーの賃金単価を上げていくということが不可欠だと思っております。それには、私は特定最賃を活用すべきだというふうに考えております。賃金の最低基準を設けることで、より安い運賃で仕事を獲得しようと、より安い賃金で仕事を獲得しようというような底辺への競争の歯止めにもなるというふうに考えております。 第四番目ですが、労働規制が強化されていく中で、現在、宅配の現場など一部の物流現場では、雇用労働者ではなくて個人事業主として働く、働かせる動きが広がっています。ギグワーカーに対する労働者保護を拡充していくことや、雇用されるかどうかで労働コストが大きく異なると、こういった状況を変えていくような労働法制や社会保障制度の見直しも急務だというふうに思っております。 最後に、人手不足の中で、外国人労働力の流入に期待が高まっています。しかし、より安い賃金で働いてもらうために外国人労働者に頼るという発想では再び労働力不足に陥る懸念があります。外国人労働力の受入れに当たっては、日本人であれ外国人であれ、賃金水準の上昇が必要だという強いメッセージを出していただきたいというふうに思っております。 続いて、持続的な賃上げについてお話をしたいと思います。 あしたは春闘の集中回答日でありまして、大手企業を中心に昨年を上回る大幅な賃上げが達成される見込みです。政府が繰り返し呼びかけ、政労使会議を開催するなど、賃上げを強く求めてきた効果は大きいというふうに考えております。問題は、これが中小企業にまで広がるかどうかという点だと思っています。 まず、昨年の賃上げの結果を簡単に振り返りたいと思います。 昨年の春闘では三・六%という三十年ぶりの大幅賃上げとなりました。しかし、十二ページの図表四を御覧いただきたいのですが、昨年の一般労働者の現金給与総額の伸び率はプラス一・二%で、上昇はしましたが、際立って伸び率が高かったかと言われると、そういうわけではありませんでした。 また、次のページの図表五のとおり、昨年の春闘は分散係数がかつてないほど高かったことも分かっています。大企業が大幅に賃上げをしているということが数多く報道されていますが、さほど賃金を上げられなかった企業が存在しているというふうに予想されます。 その中で、持続的な賃上げを実現させ経済を循環させていくための考えを四点お話しさせていただきたいと思います。 第一には、労働生産性と労働分配率の向上です。 持続的な賃上げには生産性の向上が不可欠だと思っております。生産性向上に向けた中小企業への支援は既に数多く行われていますが、より多くの事業者が取り組めるよう後押しをお願いしたく存じます。 他方で、急激な賃上げが生産性の向上を伴わない形で進むことへの懸念の声も聞かれます。しかし、日本の問題は、過去二十年以上にわたり労働生産性の上昇に賃金上昇が追い付いてこなかったことにあるというふうに私は考えております。その結果、日本の労働分配率も低下してきました。内需を拡大していくには幅広い人々の所得の向上が不可欠だと思っております。そのためには、労働分配率が上昇するような賃上げ、労働分配率にも着目した賃上げを目指すべきだと思っております。 第二には、価格転嫁の促進です。 価格転嫁率と賃上げ率には相関関係が確認されております。価格転嫁を進めるための方策は既に述べましたので割愛しますが、なかなか価格転嫁が進まない状況や多層的な下請構造はトラック業界だけの話ではありません。トラック業界で起きている実態は日本社会の縮図であるというふうに私は考えております。 第三に、持続的な賃上げには集団的な労使関係の再構築が必要だと考えています。 十六ページの図表七を御覧ください。これは連合が発表した昨年の春闘結果になります。これを見ますと、労組がある企業では中小企業でも賃上げが行われていることが分かります。昨年の労働経済白書では、企業規模が小さいほど労組の有無が賃金改定率に影響している可能性を指摘しています。 また、非正規労働者の賃上げについても、今年ではイオングループが昨年同様に非常に高い賃上げを非正規含めて行うということが発表されていますが、連合の発表によっても、労組に加入している非正規労働者については賃金が上がっているというふうな実態があります。 賃金が上がるかどうかというのは、中小や大企業かどちらかということや正規か非正規かというような違いのみならず、労働組合にカバーされている労働者か否かということにも左右されるというふうに私は見ています。中小企業で賃金を順調に上げていくために、やはり中小企業の組合組織率が極めて低いというような実態を改善していくということも必要だと思っています。 この間、組合の組織率が下がり、労働者の発言力や交渉力が低下してきたことにより、賃金が上がらず、内需が縮小し、経済が成長しないと、そんな社会がつくり出されてきたと思います。経済の再生のためにも集団的労使関係の再構築が必要だと考えています。 今、学校教育では学習指導要領で労働三権を学ぶ機会がありますが、労働者がワークルールを知らないまま法令が遵守されずに働くというふうな実態もありますので、労働法や労使関係を学べる機会をより拡充していただきたいというふうに思っております。同時に、中小の事業者への啓発活動、不当労働行為に対する厳正な処分もお願いしたいと思っています。 第四には、多層的な最低賃金の形成です。 中小企業や非正規労働者を含めて幅広く働く者の賃金の底上げを図るには、最低賃金というものが非常に効果的です。 岸田総理は、二〇三〇年半ばまでに地域別最賃を千五百円に引き上げるという目標を掲げていらっしゃいます。私は中央最低賃金審議会の委員も務めておりますので、総理の目標も念頭に置きながら審議に参加したいというふうに考えております。 ただ、留意すべきは、地域別最賃は不熟練労働者を含めた全ての労働者に最低限支払われる賃金額です。例えば、今エッセンシャルワーカーの人手不足が深刻化していますが、これらの労働者の多くは免許や資格を取得して働くことが求められておりまして、決して不熟練労働者ではありません。こうした労働者たちの賃金の上昇は、地域別最賃の上昇だけでは必ずしも底支えにならないというふうに思っております。特定の産業や職業の最低賃金を特定最賃で定めることができます。さらに、民間企業の労使の中には、産業別最賃、企業内最賃を締結しているケースもあります。こうした多層的な最低賃金の形成が中小企業、非正規労働者を含む幅広い労働者の賃金の底上げになるというふうに考えています。 現在、特定最低賃金の導入や改定は、労働側が再三要請しておりますが、使用者側が慎重な姿勢を示しており、協議が進まないという状況です。持続的な賃上げのために是非前向きに御検討いただけるように、政治の場からも呼びかけていただきたいというふうに考えております。 まだ少しだけ時間がありますので、最後に一言だけ、男女間格差の是正についても触れたいというふうに思います。 今後、人口が減少していく中で、女性労働力の更なる増大が求められています。年収の壁の解消はそれを促す重要な施策だと思いますが、女性たちが労働時間を制限している理由は、税制、社会保障制度だけに起因するわけではありません。男女が共に働く社会がつくられていく中で、誰がケア労働を担うのかということが問われています。 男性の労働時間を短縮し、男女が共にケア労働を担えるようにしていただきたいと。同時に、正規、非正規間の格差の是正は女性の就業拡大には不可欠だと考えております。さらに、女性の働きやすさを実現するには、選択的夫婦別姓の導入も前向きに御検討いただきたいというふうに思います。 私の専門は労使関係ですが、労使関係とは、学問上、三者構成というふうに定義されています。労使の二者ではなくて、政府を含めた三者になります。政府は、法政策によって働く者の労働条件を改善させることができます。加えて、政府は、最大の使用者でもあります。国、地方自治体で働く者の賃金、労働条件の改善は各地域の労働条件に大きな影響を及ぼします。国や行政が率先して賃上げをし、労働環境の改善に取り組むことも極めて有効だというふうに考えております。 私からは以上となります。 御清聴どうもありがとうございました。
○委員長(櫻井充君) ありがとうございました。 次に、大沢公述人にお願いいたします。大沢公述人。
○公述人(大沢真理君) 大沢でございます。 本日は、このような機会を頂戴し、関係の皆様に感謝申し上げる次第です。 私の資料を手に取っていただきますと、最初の二枚は備考となっておりまして、これからテクニカルターム、専門用語がたくさん出てまいりますので、最初にそこをまとめておいたというものでございます。 ただ、スライド二の一行目、OECD統計のURL書いてありますが、現在OECDはこのサイトの移動を進めておりまして、三月末にはここが使えなくなるということで、恐縮ではございますが、お知らせをいたします。 それから、スライドの二枚目ですね。日本の貧困の特徴として、所得再分配のビフォー、アフターの近似値を見ようとした場合に、日本ではアフターの方が貧困率が高いような人口区分が出てまいります。つまり、簡単に言うと、日本では政府の所得再分配が貧困をかえって深めていると。これは諸外国に例を見ない事態でございます。相対的貧困率という指標には限界の御指摘もございますけれども、一応、私の考え方はそこに書き留めておきました。 いよいよ本題に入らせていただきます。 今日のテーマは、ボトムアップこそが成長戦略でも要であるというポイントでございます。 これは、EUや国際機関での近年の問題意識でもございます。EUを見ますと、二〇一三年に社会的投資パッケージを発表しておりますが、そこでは成長戦略と福祉国家の現代化戦略は一体のものとして推進されようとしております。よく社会的投資といいますと、旧来のような既に貧困に陥った人に対して救済をする、補償と言ったりします、よりも投資、将来に向けて人々をリスクに備えさせる、その力を付けさせると、そういうシフトなんだというふうに言われがちですけれども、EUの欧州委員会文書等を見る限り、一体になっております。同時に、ジェンダー平等の次元が非常に重視をされております。当然ながら貧困者の多数は女性ですので、そこを見逃してはいないということです。 こうした取組は二〇一三年に始まったわけではもちろんなく、遡って九七年のアムステル条約以来、EUの主要目標の一つでございます。 象徴的なのは、パッケージのうち子供への投資、これは勧告になっておりますが、その付録には貧困や社会的排除と闘い不平等を縮減するための三十二もの指標を掲げております。同時に、就労貧困、働いているのに貧困から逃れられないと、これが現役層の貧困者の三分の一を占めると注意喚起しております。 これらのパッケージでは、子供、現役層が重視をされておりますが、それはヨーロッパの事情があるということを御理解いただきたいと思います。EU加盟諸国では、バルト三国を除きまして、高齢者の貧困はかなり低いレベルに抑えられております。その反面で、子供の貧困率は高い国が見られる、こういうところからこのパッケージが構成されております。 これらの戦略、パッケージからは、その背骨としてボトムアップの経済学が読み取れます。それをOECDやIMFも共有しております。この背骨がないと、成長戦略としても分配戦略としても成功を見込めない、そういう問題意識があるわけでございます。 次のスライドは、低所得層の置き去りが経済成長を損なうというOECDのパンフレットなんですけれども、そこにある印象的な図でございます。 所得分布のボトム四〇%の人々を底上げすれば人的資本投資が増進をする、それが成長に資するということで、逆に、この間のOECD諸国では、幾つかの国を例外としまして、オレンジ色の部分、下に突き出ております、これが、不平等が増大したあるいは固定化している結果として成長力がそがれている部分が下に突き出たオレンジの部分でございます。 格差といいましても、不平等といいましても、肝腎なのは低中所得層であると。それは、単に経済成長のためだけではなく、民主主義を擁護、発展させるためにも重要だと考えられております。 OECDは二〇一九年に、アンダープレッシャーと、中間層が圧縮されている、圧迫されているという報告書を出しております。ここで中間層と呼ばれているのは中位可処分所得の七五%から二〇〇%の層です。この層こそが包摂的な経済成長にとって重要であり、他者への信頼や、民主主義の制度、典型的には議会制度でありますが、司法やそういったものへの制度の信頼にとっても重要だということです。 この中間層が、所得シェアは低下し、それからトップ一〇%に置いていかれている。それから、中間層の生活費用というのは一般物価よりも早く上昇している。この公正を、これを是正し公正を進める主要な手段としては、税、公的給付、特に資産所得やキャピタルゲイン、相続に対する課税を強めることがこのレポートで推奨されております。 他方、IMFのワーキングペーパーやスタッフノートを見ますと、五分位の所得シェアは、トップ二〇%、一番豊かな二〇%で上昇しても成長率は下がる、利得はトリクルダウンしないという警告が書かれております。反面で、ボトム二〇%で所得シェアが上昇すると、成長率は上昇するという分析結果になっております。 そして、所得不平等の上昇、特にボトムが置いていかれる中では、他人への信頼が低下をすると。この他者への信頼のレベル、日本はOECD諸国の中でも低い方でございます。これが低下すると、取引費用が上昇してしまい、イノベーションが阻害されるため、信頼は経済成長にとっても重要な要素であると、IMFは指摘、OECDは指摘をしております。実は、この信頼というのは災害レジリエンスとも関連をしている、そういう研究がございます。 日本の状況でございますが、日本では、マクロでもミクロでも所得、賃金が伸びない。これは首藤公述人のお話にもるるございましたので、詳しくは説明をいたしません。左側が一人当たり実質GDP、右側が実質の平均年収の推移でございます。 次のグラフを見ていただきますと、これは、全人口の相対的貧困率の推移をG5プラススウェーデン、韓国で見たものでございます。 日本については二系列を取り上げておりますが、OECDに報告されているのは、日本1の方、国民生活基礎調査の方でございます。もう一つの系列、消費実態調査、これは国民生活基礎調査よりも低くなるわけでございますけれども、直近においてはこの二つの系列の指標ギャップが縮小してきております。 日本1では、最近微減はしておりますが、表示国で最悪になってしまった。見逃せないのは、年齢別で、日本の十八歳から二十五歳の若年層、この貧困率がOECD全体で七番目に高いということです。若者の貧困は未婚率の上昇につながり、これが少子化、人口減少の主要な要因であるということは政府のるる白書等でも指摘をされております。 次に、貧困率だけ見ていても、その貧困者とされる人々の生活の実質は分からないという御意見あろうかと思いますので、この図の四を作成してみました。G5と韓国について、等価可処分所得の中央値、この中央値を挟んで七五%から二〇〇%がOECDが注目をしている中間所得層でございます。これを名目値の購買力平価でドルに換算したのがこのグラフでございます。 日本では、中間所得、この半分が貧困基準ですので、ずり落ちている、表示国で最低になってございます。下がったのは日本だけですけれども、普通、貧困基準下がりますと貧困率は低下するんですけれども、日本での低下は僅かです。日本円で見ますと、九七年がピークでございまして、以降下がり続けてきたと。つまり、日本の貧困層の所得というのはこれらの諸国の中で最低であるということに御留意いただきたいと思います。 次のグラフは、所得階層、所得格差に関するグラフで、トップ一〇%とボトム一〇%の所得比の推移を見ております。一応貧富の格差を示す指数とお考えいただきたいと思います。G5とスウェーデンの中で、日本の所得格差はアメリカに次いで大きい。それから上昇ぎみであるところも懸念されます。 次は、これ最後に、どうしたらいいんだろうかと、この状況を。日本で貧困、格差をいかに削減するかという方法に関してでございます。 まず申し上げたいのは、年金額に最低保障が必要だという点でございます。 この円グラフは、都立大学、東京都立大学の阿部彩さんの研究成果からお借りをしておりますけれども、年齢階層、性別で分けて貧困者は誰かというのを見ますと、オレンジの二四・五%、これが女性六十五歳以上です。つまり、日本の貧困者の四分の一は高齢女性であると。高齢男性も一三・四%ですから、なかなかの比率を占めております。もし年金額に最低保障があれば、このオレンジと濃い緑の部分は消えてなくなると。一気に日本の貧困率というのは下がるわけでございます。 先ほど申し上げましたように、高齢者の貧困率が現役世代より低い国はOECDの多数を占めます。年取ると年金暮らしになるので貧困になるのは仕方がないというのは全くの俗説であって、日本ではそうなっているかもしれないけれども、OECDの多数の国ではそうではないということでございます。 次に、現役層と子供の貧困に対してどうすべきかと。 御承知の持続可能な開発目標、SDGの目標八のうちターゲット五番目、これはディーセントワークと同一価値労働同一賃金を加盟国に求めています。日本もこれに同意をしているわけでございます。それを、全ての老若男女、全ての労働者に対してディーセントワークと同一価値労働同一賃金を実現するようにということです。同一価値労働同一賃金というのは、正規、非正規を問わず、労働者全員の担当する仕事を構成する職務を分析いたします。職務の四つの面、知識・技能、責任、負担、労働環境でそれぞれ点を付けて合計し、仕事の価値を割り出します。そして、価値に見合う賃金を実現しようとする、これが同一価値労働同一賃金の原則でございます。 先ほど首藤公述人がおっしゃいました正規、非正規のあるいは雇用形態にある格差の解消について、この同一価値労働同一賃金こそが鍵と考えられているわけです。日本では、正社員は職能給で非正規は職務給なんだから、この格差の解消は非常に難しいと言われてきたんですけれども、最近の研究によれば、そうでもないということも分かっております。 三番目に、金融所得、相続への課税強化をする必要があります。これもOECDのレポートの中に入っている点でございます。日本では、所得税制の所得控除を税額控除に転換をする、できれば給付付きとする。給付付きでなくても、税額控除に転換するだけで税制全体としての累進度はかなり高めることができるという実証分析もございます。 最後に、住宅給付を導入し、児童手当や児童扶養手当を統合して拡充するといった施策が望まれます。 ヨーロッパのことばかり引き合いに出しましたけれども、韓国では非常に政策展開が急でございまして、ゼロから五歳児への無償保育は朴槿恵政権で、それから公的扶助を統合給付から個別給付に改正するという改革も行われました。そして、文在寅政権では失業扶助制度と。失業保険というのは、ある期間が来たら尽きてしまいます。それを超えて、その期間を超えて失業し続ける人に対して、一般の公的扶助ではなく失業扶助制度と。ヨーロッパではこの制度を持っている国が多いわけですが、そういうものが新設されておりまして、そういった改革が急ピッチでお隣の国では進んでいるということを申し上げまして、私からの報告といたします。 どうも御清聴ありがとうございました。
○委員長(櫻井充君) ありがとうございました。 以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○加藤明良君 自由民主党の加藤明良でございます。 御説明をいただきまして、ありがとうございました。 本日は、経済・財政、金融・雇用、労働をテーマに首藤公述人、大沢公述人から貴重なお話をいただきまして、誠にありがとうございました。 何点かお二方に御質問をさせていただきたいと思います。 まず、昨今の日本の経済状況、そしてまた財政状況から見たお二方の御意見をいただきたいと思っております。 近年、岸田内閣、政府によります様々なデフレ脱却からの取組、さらには物価高騰対策、様々な施策が講じられて、近年、その経済効果というのが現れてきていると思っております。物価高騰、そしてまた、さらには様々なそれに対する賃上げ、そのようなデフレマインドを脱却し、着実な、なだらかなインフレの中でこれからの経済を循環をさせ、そしてその経済循環に見合う賃上げ、そして様々な労働環境の改善、そのようなことを目的としております。近年、そのような効果が見られる中で、株価も史上最高額の平均を、日経平均で四万円を上げた、以上を超えたということも現れております。 そのような経済循環型の効果が現れてきている、そのような中で、株価も変動はしている中でございますけれども、このような取組の今のお二方の見方について是非とも御意見をいただきたいと思っております。
○委員長(櫻井充君) それでは、首藤公述人、よろしくお願いします。
○公述人(首藤若菜君) 政権が様々な政策を打たれていることはもちろん存じております。その中でも、私が専門としております労働の問題から見ますと、それが十分に効果を発揮しているのかどうかというところだと思っています。 賃上げについては、先ほど述べたとおり、大企業では確かに賃上げがかなり達成しているということはありますけれども、それが幅広く中小企業や例えば組合がないようなところにおいてもなされているのかといいますと、先ほどのデータでもお示ししたとおり、毎勤統計によると、昨年もそこまで賃上げが、賃金が一般労働者については上がっていないんですね。 ですので、どこまでその効果が発揮されているのか。確かに、株価は上がっていることは確かだと思っております。でも、株価が上がっていますけれども、豊かさが実感できないということがむしろ問題になっているのではないかというふうに私は見ています。
○公述人(大沢真理君) 大変鋭い御質問ありがとうございます。 私の基本的な考え方は、デフレは原因でなく結果というものでございます。ですので、デフレマインドと言われるものや、デフレを、そこに攻撃を集中する、対策を集中するということは対策としていかがなものかというふうに思っているわけでございます。 賃金に株価やその他の指標が反映をしていない、今、首藤公述人がおっしゃったとおりでございます。そのことをやや長期にわたって見たものが、私の資料でいいますと、図の二、平均実質年収の推移でございます。 なぜこんなことになるかというと、これ正規、非正規と分けると、正規の賃金は下がっているわけではない、少なくとも。それから、大手では少しずつ上がってきている。でも、全体取ってしまいますと、非正規も入れて平均を取るとこうなっているということは、非正規労働者が増えて、その待遇の改善が遅々として進まないところにある。ということであるとすれば、やはり賃上げのプッシュも重要ですけれども、同時に、正規、非正規の格差解消、そのための有効な手段というのは、私は同一価値労働同一賃金ではないかと考えて見解を申し上げた次第でございます。 以上です。
○加藤明良君 ありがとうございます。 明日は春闘回答日ということでございます。昨年は三十年ぶりの好回答ということでございましたので、明日の回答にも期待をしているところでございます。 今お二方から意見をいただきました、その株価高騰に対する実感が持てない、賃金に直結をしていないというような背景でありますが、これに対して様々なこれからのその取組というのもメニューが用意されております。 例えば、こども未来戦略の中で、加速化プランの中で、今後、二〇二八年までに様々な取組をさせていただく。その中でも、労働賃金の値上げ、さらには住環境の充実、そしてまた様々な男女間の格差の是正、特に男性が働きやすい、産休、育休などを取りやすい環境によって女性が更に働きやすい環境、このような環境の中で女性の働き方を更に社会の中にどんどんどんどん取り入れていく、そのようなことが力強く行われる、そのような期待を持っております。 そのような中で、これからのその女性活躍の在り方について、お二方の御意見をいただきたいと思っております。 特に、昨今のテーマで、様々な女性のフェムテックという、社会活動の中のハードルを科学的、技術的に上げていこうという経済効果が世界的にも注目をされております。今後、二〇二五年までには世界規模五兆円と言われているような市場も、マーケットがこれから示しているところでありますが、そのフェムテックの利活用によります女性活躍社会の更なる経済効果、ボトムアップ、このようなこともお二方の御意見をいただければ幸いでございます。
○公述人(首藤若菜君) 御質問ありがとうございます。 まず、女性の活躍を更に求めていくときにすごく重要なことは、私は男性の働き方の問題だとまず思っております。ですので、女性に更に働いてもらいたいというときに、男性にどのような働き方をしてもらうのかということがまず問われていて、そちらの改革なくしては、女性だけに更にもっと働いてもらおうとか活躍してもらおうということは非常に難しいのではないかということがまず第一点です。 もう一つは、私も、今日述べたとおりなんですけれども、女性たちは今現在も多くの仕事に就いて働いています。でも、女性たちが就いている職業のやはり賃金水準はかなり低くなっておりまして、特に非正規、非正規の七割は女性でありますし、女性たちが就いている職業の賃金というのは男性が就いている職業よりもかなり低くなっていて、やはりそこを正当に評価していただくと。 そのためには、先ほど大沢公述人もおっしゃっていましたけれども、例えば同一価値労働同一賃金によって女性が就いている職業の価値を見直していくとか、そういったことによっての格差の是正がない限りは、より多く働こう、より活躍して働こうというふうに考える女性も生まれてこないのではないかというふうに私は考えております。
○公述人(大沢真理君) 大変重要な質問をありがとうございます。 女性活躍の在り方についていろいろと見解は持っておりますが、まず日本企業の実態を踏まえることが重要かと思います。 二〇一五年という段階で、ちょっと古くなりますけれども、リクルートワークス研究所が五か国管理職調査というのを行いまして、これは日本、アメリカ、それから中国、タイ、インドの五か国調査です。全国の平均無差別抽出の調査ではございませんから限界はございますけれども、都会の大企業について管理職について調べたものですが、日本の管理職の何と九六%は男性でございました。対するアメリカは六〇%以上、管理職の六〇%以上は女性と。ほかの中国やタイやインド等でも管理職の女性比率というのは日本とは桁違いでございます。ですので、日本の企業の管理職の在り方というのは異次元の状態にあると、まさに異次元の状態にあるということを御理解いただきたいと思います。 年齢でも、日本の管理職というのはほとんど四十代の後半から五十代に集中しておりますが、ほかの国では何と二十代後半の管理職もおり三十代の管理職は例外ではないという中で、日本はこの状況。 そこから十年たった時点で同志社大学の川口章さんという経済学者がまた上場企業の調査をなさっておりますが、その十年間でほとんど女性の管理職は増えていないと。僅かに増えた企業では何が特徴だったかというと、男性社員の育休取得率が高かった。それ以外にダイバーシティーの取組とか均等待遇の取組とかやっていても、それは統計的な相関は見られないと、育休取得だけが相関があったということなんですね。 このような調査結果聞きますと、私は取るだけ育休という言葉を思い浮かべてしまうんですけれども、たとえ数日の育休であっても、育児やその他の家事を理由として男性が職場に不在になるということが組織風土を変えるということなのかなと理解いたし、逆に返せば、それほど日本の組織風土というのは変わりにくいものがある。ここに風穴を空けていくというのは非常に重要な取組でございますけれども、女性活躍推進法というのはその意味では大きな効果を発揮しております。つい先日にも企業内の男女の賃金格差の見える化の結果が出まして多くの人が驚いたと思いますけれども、そういう状況でございます。 政府の取組はそういう意味で効果を発揮しておりますので、一層進めていただければと思います。 ありがとうございました。
○加藤明良君 お二人の貴重な御意見ありがとうございました。 こども未来戦略におきましては、今後OECDトップクラスのサービスを供給するというような体制を目標にしております。さらには、同一賃金同一労働からの同一賃金の徹底ですとか、また男性育休の二〇三〇年までの八五%取得率、これを目標にしていると言われておりますけれども、お二方の御意見を参考にしまして、是非ともその二〇三〇年と言わず一年でも早いその実施をこれは政府の方にも促していかなくちゃいけないなと思っております。 いずれにしましても、これからのボトムアップの必要性というのをお二人から貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。十分今後も参考にさせていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○高木真理君 立憲民主・社民の高木真理と申します。 本日は、首藤先生、大沢先生、貴重なお話をどうもありがとうございました。 早速質問させていただきたいというふうに思いますけれども、まず、首藤先生の方から伺いたいと思います。 トラックドライバーの方のような待遇改善をしないと働き手が集まらない、こういった問題、ほかの職種にもあるということで、それぞれの職種を賃上げする方法あるいは全体を賃上げしていくための手法などもたくさんお知恵をいただきました。是非いろいろ御提案いただいたことを実行に移せていけたらいいなというふうに思って伺いましたけれども。 この近年の政策の中で、逆に、こういったことができていないからというのもあるんですけれども、少し長めにスパンを取ってお答えいただいてもいいんですが、こういった政策は逆に賃上げをしていかなきゃいけない中ではマイナスに働いているんじゃないか、善かれと思ってやっているかもしれないけど、これはマイナスだったんじゃないかなというふうに、ブレーキになっているんじゃないかといったような政策についてお話をいただければと思います。
○公述人(首藤若菜君) 賃上げにとってマイナスになったのではないかという政策、ちょっとにわかに、すぐ思い付かないんですけれども、近年、特に、例えば春闘で見ますと、二〇一四年から、安倍政権のときから春闘の賃上げが呼びかけられまして、あれ以降やはり少しずつ賃上げの機運というのは高まってきていまして、かつ政労使会議含めて開催されたりする中で、やはり、昨年もそうですけれども、賃上げが大手企業を中心に着実に実行されてきていると見ています。 そうですね、ちょっと御質問の回答にはなっていないんですけれども、特にこれがあったから賃金の足が引っ張られたというようなことは、ちょっとすぐには私の方では思い付かないです。済みません。
○高木真理君 個別の政策ではということかなというふうに思いますけれども、先ほどのお話を伺っていると、医療、介護、障害なんかトリプル改定になりましたけれども、業種ごとに最低賃金上げていくというような考え方でいくと、公定価格的な保育とかもそうですけれども、もっとがっとできるんじゃないかなと思ったりするところもあるんですが、その辺の御感想はいかがでしょうか。
○公述人(首藤若菜君) 特に今、非常に長期のスパンで見ますと、やはり経済のサービス化が進んでいく中でサービス産業で働く人がすごく増えていって、そのサービス産業の中でもやはり公的サービスで働く割合というのが社会の中で増えていくんですね。これ、多分、経済が成熟していく国、どこもそうなんですけれども、この公的サービスで、医療、介護、保育等の分野ですけれども、こういう社会サービスを担う人たちの賃金水準がどれほどであるのかということが国家全体の格差を縮小するか拡大するかを非常に大きく左右するという指摘はヨーロッパでもされています。 同じように、多くの国がその公的サービス部門の部分が大きくなってくるわけですけれども、ここの部分の賃金ですとか、あと、ここの部分の雇用形態ですとかいうふうなところをどこまで底支えできるのかということが社会的にはやっぱり格差の是正なんかには非常に大きいですし、それが女性の労働の底上げにもつながってくる問題だと私は思っています。 これはかなり公的にできる話ではありますので、その政府の政策によって変わってくる部分なんだろうというふうに考えています。
○高木真理君 ありがとうございました。 それでは次に、大沢先生に伺いたいと思います。 入口のところで御紹介をいただいた中に、日本では、所得再分配後の方が貧困率が高い、所得の再分配がかえって貧困を深めるというのがちょっと衝撃的な内容だったので、具体的にどのようなことが問題でそうなっているのか、御説明いただければと思います。
○公述人(大沢真理君) 御質問ありがとうございます。 OECDはこれを分析してキツネにつままれちゃったんですよ、ほかの国には見られないことなので、一体なぜなのかと。しかし、その先、立ち入った分析はしてくれなかったんですね。 ある程度立ち入った分析をしたのは、慶應大学の駒村康平さんたちのグループです。これは、政府統計を使わず、慶應義塾大学で独自に作っている日本家計パネルというデータを使った分析によりますと、税は幾らか貧困率を低下させる、しかし社会保険料が掛かったところで貧困率が跳ね上がってしまうという結果が出ております。 それで、日本の社会保険料負担というのは、ほかの国でもそうなんですけれども、一般に社会保険料負担は逆進的です。社会保険料が掛かる所得の上限、キャップがございますので、そこを超える人の総収入に対する社会保険料負担は低くなるわけですね、右肩下がりになる。しかし、所得分布の下の方を見ますと、下の方では、今度は所得に関わりなく定額の負担というのが出てまいります。 典型的なのが基礎年金、もう一つ、国民健康保険、この中にも定額の部分がございますので、総収入に対する保険料負担の割合を見ると、非常に所得の低い層、具体的には年収二百万ですね、名目で、そこのところで保険料負担率が上がってしまうという現象が日本ではございます。 このことが、そして、社会保険料負担というのは、税負担が上がらない中で、特に日本では、個人所得課税と法人所得課税というのが九〇年代の初めをピークとして基本下がってきておりますが、その中で社会保険料負担だけはうなぎ登りに上がってきていると。このことが財政の所得再分配機能を著しく損なっているというふうに私は考えております。 以上です。
○高木真理君 ありがとうございました。 私もお話を伺っていて、ボトムアップが成長戦略の要というのは本当にそうだと思って伺っていたんですけれども、まさにそこに社会保険料の負担の重さというのが重くのしかかっているんだということも大変参考になりました。ありがとうございます。 次に伺いたいのが、民主主義にとってもこのボトムアップの成長戦略も必要だということで、本当にそうだと思って伺ったんですが、この所得の中央値も下がって生活に苦しさを覚える人が増えている今の日本の経済の状況だと、自分は頑張っているから貧困にならないで済んでいるんだと思っている中低所得層の方々は、自分よりより下の貧困層の方が支援や給付を受けることに、私は頑張っているのに、俺は頑張っているのにということで嫌悪感を示す傾向というのは強くなっているように感じます。 こうした背景が民主主義の中でより格差をなくす政策を実行しにくくしているとも思うんですが、こういったことに対する打開策、妙案のようなものがあるか、伺いたいと思います。
○公述人(大沢真理君) 貴重な御質問ありがとうございます。 自分は頑張って貧困から脱却をしていると思っている方々も、実は、定義、統計から見れば貧困層に属している場合がございます。直近の貧困率は一五・四%でございますので、六人に一人は貧困者ということですから、自分は貧困ではないと思っている方は、数字の上では貧困者というケースは多々あろうかと思います。 同時に、日本では、政府による所得再分配の貧困削減効果が非常に低いと、マイナスの場合もあるという中で、現在貧困に陥っている人は、頑張っていないから貧困なのではなくて、政府の税や社会保障制度のせいで貧困に陥ってしまっているというこの事態を、もっと広く、マスメディアの方々も含めて検証しつつ、広げていただければいいのではないかと思います。 同時に、給付について所得の制限を付けるという、選別的給付というふうに申しますが、これはやはり低所得層と中間層との間の溝を深くする政策でございますので、なるべく普遍的な政策を取ると。かつて子ども手当は所得制限なしでばらまきというふうに言われましたけれども、この施策の貧困削減効果は大きかったというふうに私は考えております。 以上でございます。
○高木真理君 ありがとうございます。 次に伺いたいのは、高齢女性の貧困率の高さの御指摘もありましたけれども、男女賃金格差の問題、あるいは女性の出産後に非正規が多い問題、あるいはシングルマザー家庭の貧困など、全てつながっているというふうに思うんですが、本人の希望の働き方という表現をすると、第三号被保険者になって扶養の中で無理のない働き方をしたいという女性も多いわけですが、若い世代にも多いというふうに聞きます。しかし、今後、この国の人手不足など考えていく際に第三号被保険者制度をどうするのかという問題も出てくるかとも思います。 望む働き方と非正規と貧困に関わるこの第三号被保険者という制度をどのように考えていくのかということについて、大沢公述人の御意見を伺えればと思います。
○公述人(大沢真理君) これも大変貴重な御質問をありがとうございます。 第三号被保険者だけではなく、配偶者控除のような制度も女性に就業調整を誘導をする制度ではないかというふうに考えております。ですから、希望する働き方というふうに虚心坦懐に言ってみたときに、その希望ってゆがめられていませんか、制度によってというのをやはり政治の側ではきちんと検証し、打開策を探っていただきたいというふうに思います。 かつて私は、厚生労働省の社会保障審議会年金部会に所属をしたことがございます、二〇〇四年改革のときですけれども。そのときには、現実に第三号被保険者制度の廃止ということも選択肢に上りました。残念ながら、経営側ではなく労働側の委員もそこには反対なさいましたので、この選択肢は取られなかったという経緯はございました。 しかし、政治の側が、そして社会運動を行う人々が認識を深めれば、人間がつくった制度ですから、人間が改めることはできるというふうに考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○高木真理君 お二人から本当に貴重な御意見を伺うことができました。実行に移していけるように努力をしてまいりたいと思います。 本当にどうもありがとうございました。
○伊藤孝江君 首藤先生、大沢先生、今日は本当に貴重な御意見をありがとうございました。 早速質問の方に移らせていただきます。 まず、首藤先生に、少し具体的なところも含めてお伺いをできればと思っております。 先ほど、ドライバーの賃上げということで、二〇二四年問題に関しての言及もいただきました。長時間労働をして、残業代も含めて初めて平均というのか、人並みの賃金を得られることができるという現状をどう打開をしていくのかという、大変根本的なというのか、大きな課題だと思っております。 その中で、首藤先生の方からは、中小の事業者等を含めて、交渉力を、どんなふうにして賃金に関する交渉力を上げていくのか、連携をしていく必要があるんじゃないかとか、また労働組合に関しても言及をいただいたところでもあります。 この中で、中小の事業者が荷主と価格交渉をしていくに当たり、具体的にどのような、仕組みをつくっていくために国として政策面でどのような支えが必要なのかというところについて、改めて教えていただけますでしょうか。
○公述人(首藤若菜君) 貴重な御質問ありがとうございます。 これはトラック業界だけに限らない話だとも思いますけれども、結局、私は、価格交渉を何が妨げているのかといったときに、一つは多層的な下請構造というのがあると思っております。やはり、多層的な下請構造の中で末端で働いている人たちは、価格交渉は当然ほぼできていないというふうに思います。言われる価格で運ばざるを得ないというような実態があって、多層下請の構造というのは、トラックのみならず、製造業や建設業やいろんなところでありますので、やはりそこにメスを入れていくということは非常に重要だと思っています。 もう一つは、これはちょっと難しいところではあるんですけれども、結局、トラック運送業について言いますと、二〇二四年問題で荷物が運べないかもしれないという懸念があるんですが、ただ、やはり荷物に対してまだ事業者が多過ぎるという実態があるんだと思います。事業者が多過ぎるゆえに、やはりより安い運賃で荷物を運ぼうという事業者が後を絶たないんだと思います。ドライバーの人手不足は深刻で有効求人倍率は高いんですけれども、なので、ドライバーは不足していますが事業者が多いという、ちょっと矛盾したような実態が実は業界の中にはあるというふうに思っております。 これ、なぜ事業者が多過ぎるのかというと、やはり規制緩和が一九九〇年と二〇〇三年に行われていまして、参入規制がかなり緩和されたことによって非常に容易に入れるようになっていったということは一つあると思っています。事業者数が物すごく増えていきましたので、そこによって、その結果、やはり交渉力を持てなくなっていったというような実態があります。 ですので、もし政策的に何をというようなことになると、やはり事業者数を適正規模にしていくということはもちろん考えていただくといいかなというふうに思いますけれども、そのためにも、やはり余りにも小規模な零細のところにおいては労務管理とかがきちんとされていなかったりというような問題もありますので、例えば一定車両以上の事業者に限るとか、いろんなやり方はあり得るのではないかというふうに考えております。
○伊藤孝江君 ありがとうございます。 今物流関連の二法の改正という点についても検討をそれぞれしているところでもありますけれども、この法改正の中でも、例えば、元請のトラック事業者に下請企業名や運送内容などを明記した管理簿の作成を義務付けるということでありますとか、荷主にも、荷待ち時間の削減等を含めて働き方、賃金と併せて、働き方をしっかりと守っていこうというような観点も位置付けているわけですけれども、この法改正によって物流業界の商慣習というのはどの程度是正がされるというふうに見込まれているのかという点について、教えていただけますでしょうか。
○公述人(首藤若菜君) 御質問ありがとうございます。 この法改正は非常に画期的だとまず思っております。従来、やはり呼びかけて協力を求めるということだけにとどまっていた中では、本当にみんなそれはやらないといけないと分かっていたんですけれども、全然やらずに、問題意識だけは持ちながらも行動に移せなかったものを、やはり行動に移すための一歩を踏み出すような規制力を持っていて、実際現場でそういった動きも見られますので、非常に画期的だと思っています。ただ、どこまでこれが実効性を持たせることができるのかというところです。 結局、先ほど申し上げたとおり、事業者が多過ぎてひしめき合って競争している中で、例えば、パレットを使って荷物を運んでくださいと言っても、パレットも別にただで出回っているわけではありませんので、それにコストも当然掛かってきます。そういうコストを担わないで僕たちがやりますよという運送会社がたくさんある中では、やはりそれがなかなか変わるようなきっかけにならない可能性もあるかなというふうに思っていまして、大手企業ではかなり変わっていくかもしれませんけれども、中小の荷主、運送会社のところでどこまで変わるかということはちょっと不透明だなというふうな印象を私は持っているところではあります。
○伊藤孝江君 もう一点、地方自治体による整備を国がどう支えていくのかという点で御見解をお伺いできればと思っています。 この働き方改革等の中で、例えばその輸送区間の中に中継地点を設けてドライバーを交代させる中継輸送の整備の重要性というのも先生も文献等でも御主張をしていただいているところですけれども、これも、実証実験からはドライバーの労働時間を大幅に減らすという効果も出ている。この物流の中間拠点の整備というのは、地域経済の振興や将来の地域の物流を守るという点では、自治体においても進めるインセンティブがある施策ではないかと思っています。 また、実際にトラック事業者の方にお伺いをすると、休憩場所を本当に確保してもらわなければ、そもそも時間を守ることができないんだというところの中で、国交省側では、例えばサービスエリアだったりパーキングの整備というのもあるかと思うんですけれども、物流拠点を特に誘致をするような自治体に関しては、そういう点も含めて検討いただかなければいけないんじゃないかということも感じています。 これらに関して、地方自治体にもしっかりと頑張っていただきたいというところの中で、国がどう支えていくべきなのかという点について御見解をお伺いいたします。
○公述人(首藤若菜君) ありがとうございます。 この二〇二四年物流問題って、実は都市と地方の問題でもあるというふうに思っております。東京一極集中の中で、地方から荷物を運ぶ方が当然コストは高くなります。高速代金だってその分掛かります。 その上で、地方よりも、じゃ、もっと近いところでというふうになっていくと、どんどん地方の産業は衰退していくということになりますので、地方でどうやって物流を支えるかということをやはり行政は真剣に考えていかないといけない問題だというふうに私は思っています。 そのときに、やはり中継輸送の拠点づくりであるとか、ドライバーの休憩施設であるとか、さらにはシャワー施設であるとか、高速道路における駐車スペースの確保であるとか、そういったことを各地方自治体が整備をしていくことが物流の持続性を高めていくことは確実なんです。 それを誰も整備をしないと結局そこで運べなくなる、中継輸送ができなくなると長時間労働をせざるを得なくなるというようなことになっていきますので、やはり、そこの整備は国であるのかその各自治体であるのかというのはちょっと難しいところではありますけれども、全国にトラック協会もありますので、業界団体等含めて、各地域で業界団体や自治体と協議が進んでいる場もありますので、そういったまず協議を始めるところから始めて、何が必要なのかというところを明確にし、適切に国からも支援や補助をしていただきたいというふうに思っています。
○伊藤孝江君 ありがとうございました。 次に、大沢先生にお伺いをさせていただきたいと思います。 まず一点、具体的な政策の中で、先生の方からも先ほど住宅給付の導入という観点のお話がありました。貧困状態にある女性だったりシングルマザーであったり、また高齢者、特に単身の方を含めて、その支援を進めていく中で生活を安心をして送っていただくことができるという点で、この住宅の給付というのは大変大きな観点だと思っております。 例えば、その公営住宅の空き室が高まる一方で、なかなか需給のミスマッチが起きているというようなことであったり、入居はできても施設の老朽化や部屋数の少なさが課題になっているというところもあります。国や自治体による、国が自治体による施設改修費の半額を補助するなどの対策を進めているけれども、なかなかそれだけではもちろん難しいという点があります。 この住宅の、住宅給付の導入というところで先生が特に政策的にポイントを置かれる、必要だと思われる観点について御教示いただければと思います。
○公述人(大沢真理君) 住宅給付、一応現金給付を念頭に置いておりますが、OECD諸国見渡しますと、現金給付ではありながら、これは地方税負担と相殺をするというようなやり方を取っている国もございます。御承知のように地方税には累進性がほとんどないので、低所得層にとって重い税負担になっておりますから、そことの相殺を考えるというのは一つの方法かと思います。 今、議員、公営住宅のこと、住宅ストックのことをおっしゃいました。これもヨーロッパ諸国では社会住宅というような取組がありまして、それから公的な社会住宅と民間の賃貸住宅の在り方というのが連続をしております。これは建設や何かについて規制をした上で補助金を出すという取組があるからで、日本では戸建てと賃貸というのはいろいろクオリティーの面でも格差がございますが、そういう格差が起こらないようにしている国もあるということでございます。 いずれにしても、現金給付であっても、それから民間賃貸住宅に補助金を出して供給を促すということであっても、住宅の質の規制ということは絶対に欠かせませんので、現金給付考える場合には、住宅の質の規制、家賃の規制ということを是非考えていただきたいと思います。 以上でございます。
○伊藤孝江君 そうしたら、住宅給付という観点では、現物というのももちろん想定はするけれども、現金というものを中心に考えた方がいいというのが先生のお考えということでよろしいですか。
○公述人(大沢真理君) OECD諸国での趨勢としては、現物給付を行っていた国が徐々に現金給付の方にシフトをするという傾向は見られております。 以上です。
○伊藤孝江君 以上で終わります。大変ありがとうございました。
○清水貴之君 日本維新の会の清水と申します。 今日は、大変貴重なお話をいただきまして、ありがとうございました。 質問させていただきたいと思います。まずは、大沢先生、よろしくお願いをいたします。 このいただいた資料の四ページで、EUや国際機関の問題意識というテーマでお話をいただきまして、子供への投資というキーワードをいただいたというふうに思います。この子供への投資というのは、今、この日本でも、国を挙げて、また地方自治体挙げて一生懸命取り組んでいる課題かなというふうに思います。 子供への投資、非常に幅広いのでいろいろなやり方があると思うんですけれども、今、国もこれ力入れているのは教育の無償化というところですね。ここもどんどんどんどん年齢を広げていって、これは払うお金、負担をなるべく減らしていこうという政策だと思います。もう一方、児童手当の話もありまして、これは手当ですから、家庭に入る、子供たちのために使えるお金を給付するという、こういう施策だというふうに思います。そのほか、子供への投資といったら、いろいろ、生活環境であったりとか非常に厳しい子供たちもいると思いますので、そういった子供たちの住環境、生活環境、勉強の環境を整えてあげるという、こういった公の役割もあると思います。 いろいろな政策がある中で、もちろんミックスしながら様々手当てをしていくんだと思いますけれども、どういったやり方が大変効率的だったりとか、国際的に見てどういった手当てをしたから結果につながっているなと思われることがあるとか、そういった今までのケースなどを教えていただけたらというふうに思います。
○公述人(大沢真理君) 子供への投資の政策手段は多々御指摘のようにあるわけでございますが、ヨーロッパ連合、そしてOECDで非常に重視をしているのが就学前教育の普遍化ということでございます。 つまり、ゼロ歳というのは育児休業を親が取っているという場合もあるので、少なくとも一歳、二歳、三歳というところに、子供たちが望めば誰でも幼児教育、ケアに在籍することができるということが、これ資料にはございません、ということが非常に重視されておりまして、国別比較ができるような統計も取られております。 日本でも、子ども・子育て支援ということはもう何十年の政策課題でございまして、保育所やあるいは幼稚園に在籍する児童の割合というのは少しずつ高まってはおりまして、今の政府のそれをプッシュする政策というのも今までにはない力が入っていることを感じるところでございます。 この就学前教育が重視されるというのは、別にいわゆる英才教育ではなく、なるべく普遍的な、つまり地域の子供が所得階層や出身階層を問わずにエンロールする、在籍してくるような施設の方がむしろ重要だというふうになっていまして、それは、二歳や三歳から、世の中には多様な人がいると、多様なバックグラウンドの人がいるということを実感をしていくことが子供の非認知能力を高める。これは、将来、学校に行き、あるいは成人していく中でその人の人間力の幅を広げるということが重視をされており、なおかつ、出身階層によって学業達成であるとか職業達成に差が出る、そういう格差をなるべく早いうちに是正をしようという政策の下で行われております。 日本の問題と私が思いますのは、就学前教育の在籍率徐々に上がってまいりましたけれども、教育的要素が低いんですね。これは、ユネスコとOECD協力しまして、保育園や幼稚園について、教育的な施設、サービスであるかどうかというのを認定しておりますが、日本は、二歳児に関して言うと、認定されていない施設に在籍している児童の比率が一番高いんです。つまり、日本の就学前教育は、教育と言いつつ教育的要素が非常に低いというところに問題がございます。 もう一つが幼稚園や保育所の保育士、教諭の年齢分布です。これも、OECDがエデュケーション・アット・ア・グランスってすぐ誰でも見れる冊子ございますけれども、特筆しているんですね。日本の就学前教育、ケアのティーチングスタッフといいますか、スタッフの年齢が四九%が三十歳未満であると、五十歳以上はほとんど見ることができない。 つまり、幼稚園や保育園というのは、保育士さん、教諭が経験を積んで、そして、いずれはそれに伴って給料が上がるということを考えますと、給与が、待遇が高くなっていく前に辞めてしまわざるを得ないような処遇になっていないかどうかということを非常に考えさせられております。 以上でございます。
○清水貴之君 ありがとうございます。大変、地元の保育園とか幼稚園見ていても、おっしゃっていることを何か、ああ、そうだなと思いながら今聞かせていただきました。 もう一点、これ八ページなんですが、年齢別の、日本の十八歳から二十五歳の若年層の貧困率が相対的に高いというお話をいただきました。 この世代、十八から二十五というと、もちろん働いている人もいるでしょうけれども、そうじゃなくて学生でという、アルバイトしながらとか、そういった子供たちも、子供というんですかね、年齢も多いかなというふうに思うんですが、となりますと、やっぱり親から連動してきている部分も大きいのかな、親の例えば収入、生活スタイル、生活レベルがそのまま子に連動しているところも多いのかなというふうにも読み取れるかなと思ったんですが、その辺りについては、この数字というのはいかがでしょうか。
○公述人(大沢真理君) 大変鋭い御指摘ありがとうございます。 所得のデータ、所得、支出のデータというのは世帯単位で取られますので、それを一人当たりにならすとはいっても、同じ世帯であれば同じ所得というふうにみなされるわけですから、若者の貧困というのは、その若者の親世代の貧困でもあるというふうに考えた方がよろしいかと思います。 かつて、日本では、高齢者の貧困は非常に深刻でしたけれども、子供や若者の貧困率は抑えられておりました。それがこの三十年くらいで若者の貧困率というのが非常に高くなってしまった。その中には、働いて自立をしている人もいますけれども、御指摘のように、大学生であって親の世帯に住んでいる、あるいは、仕送りを受けていれば同じ世帯というふうにみなされますので、その親の所得というのが劣化をした結果として若者の貧困にも結び付いている。 この頃は自宅からの通学でないと大学には入れないというような大学生も珍しくはなく、大変長距離の通学を強いられている場面もあるようでございます。そういった事態でございます。 ありがとうございました。
○清水貴之君 ありがとうございました。 続いて、首藤先生、お願いいたします。 トラックの物流問題で、私、今兵庫県の尼崎というところで活動しておりまして、非常に工場地帯で大きな物流センターも数多くありまして、もうそれに伴って運送会社さんも非常に多いということで、お話をいろいろ聞かせていただいていまして、最初に言われましたが、どう対処していくかというところで、もう本当に荷物を諦めるか若しくはルールをもう無視しながらでもやっていくしかないかと、こういったことを言われる経営者の方、本当にたくさんいらっしゃいます。 じゃ、どうしたらいいのかというところで、先ほど伊藤先生からもあったんですが、まず、荷主さんと交渉する中で、聞いていますと、大手の、その荷主が大手の、例えば○○デンキさんとかもう大手の日本を代表するような企業だと比較的納得してくれてということなんですが、やっぱり相手が中小企業とかだとどこも苦しいわけですね。そうすると、やっぱりなかなかこういう賃上げ、ごめんなさい、運送料の値上げにつながっていかないという話もいただいています。 あと、もう一点、ドライバーさんの引き止め策について、まずちょっとお伺いしたいんですけれども、お話聞いていますと、ドライバーさんというのは、トラック業界はやっぱり比較的給料がいい、働いたら働いた分だけ返ってくると、だから若いときに一生懸命頑張ってみたいなドライバーもたくさんいるんだと。もちろんドライバーの健康状態というのは大変大事だからこういった今度対策が取られるわけですが、ただ一方で、現実的には、いや、もう時間いっぱい働いてでも稼ぎたいというドライバーさんもいて、そういった人は今後逃げていく可能性が多いと、そうしたら、うちと、会社としてはどうしていいか分からないというような声も聞くんですね。これがやっぱり現実的な声かなというふうに思います。 だから、賃金は保たれて若しくは上がって、労働時間が減っていけばいいんですが、なかなかすぐには難しいかなと思うんですが、この辺りを、まず、もう近い、もうすぐ先の、もう来月からの話ですから、どう対処していくかということで本当に皆さん困っていらっしゃるなというのを感じるんですが、その辺りについての御意見などありましたらお願いいたします。
○公述人(首藤若菜君) もう本当来月からの話なんですけれども、まず、労基法改正の適用はこの業界は五年間猶予されてきて、五年の猶予があったはずの話なんですね。それが単純に、来月から始まるので今どうしようと言われても、じゃ、五年間何やっていたんですかということは問うべきじゃないかなというふうに私は思っています。 もっと働きたいというドライバーがいることは確かです。アンケート調査等を見ても、そういうドライバーがいることも分かっています。ただ、じゃ、ほとんどのドライバーがそう考えているかというと、トラック協会がアンケート調査などをやっても、働きたい、もっと働きたいというドライバーと、やっぱりちゃんと家に帰りたいという声も同じぐらいいることも事実なんです。トラックドライバーの労災件数というのは脳・心臓疾患の労災の三分の一を占めていて、突出して多いというような実態があります。やはりこれは健康確保の面で、労働時間の短縮、私、やむを得ないというふうに思っています。 結局、ドライバーがすごく働き者で働きたいと言っているわけじゃなくて、稼ぎたいと言っているわけですから、やはり賃金を上げていくということが重要で、そのためにはやっぱり運賃上げていかないといけないと。 中小の荷主さんは、当然、価格上げてくれと言われても難しいというのはあるわけですけれども、中小の荷主さんにコストアップをのんでくれとお願いしているわけではなくて、中小の荷主さんも更にそれを価格転嫁をしていって、最終的には社会全体で、消費者みんなでその価格を負担していくというような社会をつくっていかないといけないと。そういったそのマクロな視点というのはやっぱり政治の力で是非進めていただきたいというふうに思っているところではあります。
○清水貴之君 時間ですが、今、最後おっしゃった、本当にそうだなと思っていまして、物流がこれ、この結果停滞してしまったら、今、本当に日本ってこれだけ物がやっぱりいろいろ動き、コロナも明けて動き始めていますので、経済全体が停滞してしまうと思うんですよ。だから、社会全体というの大事だと思うんですが、改めてその辺もし最後コメントいただけましたら。
○公述人(首藤若菜君) なので、社会全体で負担していく仕組みとして、例えば運賃の最低額を定めたらどうかというようなことも今日提案させていただきましたけれども、やはり、各個社レベルのやはり競争によっての交渉形態だけですとなかなか難しいという実態がありますので、何らかの規制ですとか制約等も掛けていきながら、社会で負担していくような仕組みをつくってほしいというふうに考えています。
○清水貴之君 以上です。ありがとうございました。
○伊藤孝恵君 公述人のお二方、今日は本当にありがとうございました。 まず、冒頭、首藤先生に価格転嫁の課題についてお伺いしたいというふうに思います。 今、昨年の九月になりますけれども、価格交渉や転嫁というのがちゃんとできているのかというフォローアップ調査を今手元に持っております。三・六万社に対して、しっかりと自分の、発注側の事業者との間の価格交渉、転嫁の状況を問うアンケートでございます。三・六万社中、しっかりとこの価格交渉とそして転嫁を行った会社、驚きました、たった五社でした。こういった五社、こういう、本田技研、SUBARU、ジェイテクト、日立建機、北海道電力。 ちゃんとやった会社をちゃんと公表したらいいと思うんですけれども、やっぱり三・六万社中たった五社しかしっかりと取り組んでいないという状況の中、なかなか本当に価格転嫁が難しいんだなと思う問題を、私この前地元で、卸売市場の皆さんが、今まで、買って、これ、じゃ、店に届けておいてとか言われて、自分で届けたり、そして今なかなか人不足ですから運送業の方々にお願いしたりするんですが、自分たちも厳しい、燃油価格も上がって電気代もガソリン代も全部上がって苦しいんだけれども、運送の皆さんももっと苦しいので、上げてくれと言われる。でも、それを包含することができないという中で、どこも苦しくなっちゃっているんです。 その卸売市場の皆さん、やっぱり運送費というのは商店負担なので、こういった根強い商慣習の中でなかなか運送費を転嫁できない、誰も転嫁できない、誰も幸せになっていない。じゃ、やっぱり発注者の大きな会社の皆さんがそれに一番取り組まなきゃいけないのに、三・六万社中五社という状況。こういうところのデフレスパイラルが起こっている。このどこからやっぱり直していけばいいのか、これを止めていけばいいのか、御所見お願いいたします。
○公述人(首藤若菜君) 価格転嫁をどう進めていったらいいのかということで、例えばトラックの業界について言いますと、今回、今の国会で法制化を進めていただいています商慣行の変更等について法的な規制が掛かっていくことが一応予定されていまして、こういった商慣行をなかなか、何ですかね、市場競争だけでやっていても本当になかなか変わらないというようなことがありますので、何らかのやっぱり私は規制的措置等が非常に短期的にはすごく有効だと思います。 それによるもちろん弊害もあるかもしれませんけれども、そのときまた、またそれを見直すということは必要になってくるかと思いますけれども、私はそういったものに取り組むということが重要なんだと思っているんですね。 というのは、結局、ミクロな、例えば荷主業者とその運送会社との取引だけで考えてみますと、もう価格転嫁しない方が有利だったりするわけですね。結局、しない方が自分の運送も使っていただけるというようなことで、転嫁しようとすると断られちゃうかもしれないというふうになります。その商慣行でも、パレットを使うにしてもそうですけれども、何でもお金が掛かってきますので、しない方が有利だと。でも、それをみんながしないと、結局、マクロ全体で見ると、物流が持続しないとかドライバーが流出しちゃうというようなことになって物流は持続しないとなりますので、これ経済学で合成の誤謬というふうに言いますけれども、ミクロで合理的でもマクロで不合理なことというのは往々にして起こると思うんですね。 そこをやっぱり規制掛けていくのは私は政治の役割なんだというふうに思っていまして、これも、なので、政治の力が必要な話なのではないかというふうに考えています。
○伊藤孝恵君 続いても規制的措置の話になるかもしれませんけど、今度、土地家屋調査士の方々と先週お話をしたら、驚いたんですけど、そういう方々って、何か価格がそもそも決まっているのかなと思ったら、標準報酬というのはないそうです。まさに自由競争の中でお仕事をされている。でも、なかなか今はおうち建てる方も少ないですし、それを登記するというのもなかなか少ない中で、国会の議論を聞いていると大企業とか中小企業の賃上げのことばっかり皆さんおっしゃっているけど、自分たちのような個人事業主の賃上げというのの具体策というのがなかなか国会の場で話し合われていないんじゃないかとおっしゃるんですね。 先ほど、首藤先生、労働法制に言及をされておりました。その具体について、どういうものが必要かについて御所見伺います。
○公述人(首藤若菜君) 今、ヨーロッパでもそうですけれども、やはり従来は雇用されて働いていたような職業ですとか産業において、個人事業主として働く割合って物すごく増えてきています。これは、やはりIT技術の発達によってマッチングがすごく簡単になっていったというような背景があるというふうに考えています。 その中で、やはり個人事業主として働く方が、それを使う側にしてみると、雇用するよりも安くて便利とか、リスクを回避できるとか、コストを負担しないで済むというようなことが優先されていきますと、もう雇用されて働くようなものがどんどん侵食されていくというような事態が起きていくんだと思っています。 今、厚生労働省の中でも、労基法の研究会、私も参加しているんですけれども、中でも個人事業主の労働者保護をどういうふうに拡充していくのかという話を今しているところではありますけれども、まずは、例えば労災の保険とか、働く者にとって、どんな労働者であってもやっぱり労災というのはすごく大きな問題ですので、労災保険も今雇用されて働く者だけに適用されていますけれども、これを、今フリーランスは任意加入が認められていますが、これをより幅広く認めていくことによって、労災保険のその保険料の支払なんかも個人事業主を使っているような事業者にも負担を求めていくというような形にしながら、やはり余りにも雇用と個人事業主でここの落差が大き過ぎるということが私は非常に大きな問題だと思っていますので、ここをできるだけ小さくしていくということが求められているのではないかなというふうに思っています。
○伊藤孝恵君 こういった専門性を持った方々が、社会の維持に必要な方々が働き続けられるという環境をつくっていきたいというふうに思います。 続きまして、大沢先生にお伺いしたいというふうに思います。 先生の話を伺っていて、本当にこの国に女性として生まれる、男とか女とか言う時代じゃないですけれども、生まれ性、女性として生まれるということは貧困と隣り合わせなんだなというふうにしみじみ感じましたし、これ、つまり政治がつくったわだちなんだというふうに思います。 大沢先生よくおっしゃっておりますけれども、やっぱりジェンダーに、ジェンダー化された自助ではこの社会が維持できないんだということをよくおっしゃいます。まさに、女性に家の中の家事も育児も介護も任せて家庭内福祉を完結させることで、この自助が最高に利いている状態なので、それが共助や公助に染み出ない、つまり国の福祉予算も使わなくて済むから、これが政治の側として便利だから、それが法制化され、制度として再生産され、固定化されていった。 そんな中で、今度は、女性に働けや、女性に産めや、そんなことを言ったって、少子化というのは我が国最大の病と皆さんおっしゃいますけれども、もっと大きなこの国には病があって、その病の副作用として、この合併症として少子化があるんだというふうに常々思います。 そんな中で、先生がおっしゃった高齢女性の貧困という問題、触れられた阿部彩先生の統計、私も拝見しました。六十五歳以上の独り暮らしの女性の相対的貧困率四四・一%に上ること、また、これらが四〇年には高齢単身女性はおよそ五百四十万人に達すると推計されること。 私、まさに就職氷河期、九八年に社会に出ましたので、この世代が六十五歳、七十歳になったとき、我々は、好んでではなくて非正規雇用という、そういう働き方を選んだ人も多かったし、そして育児や介護で一旦離れると戻る場所はなかったし、結婚はして離婚はしても、養育費や親権のことはみんな一生懸命語るんですけど、離婚分割のことまで知識としてなかったり、その様々な課題があってこの高齢女性の貧困というところはあります。 しかし、私も国会で質疑したんですけれども、この人たち、七十歳から急にワニの口のように貧困率上がるんですけれども、その人たちが、じゃ、一号だったのか二号だったのか三号だったのか、それすら国は把握もしていないし分析もしていません。そんな中で、不合理な状況、例えば、公営住宅の六十歳入居要件ですとか、身元保証人の問題ですとか、こういった単身、孤立女性の実態調査、それからリスキリング、リカレント等の四十五歳未満要件とか、いろいろあるわけですね。 年金の最低保障というのはもちろん必要だと思いますけど、そこに至るまでに、まずどんな調査をし、どんな課題を解決し、それらを制度化していく、そういうその優先順位というのがもしあれば教えてください。
○公述人(大沢真理君) まさに御指摘のように、就業履歴、もっと言えば生まれてからの様々な格差というのが積もり積もって高齢女性の貧困問題というふうになってまいります。 ただ、私は年金額に最低保障というのは非常に重要なことだと思っておりまして、それを入れている国はスウェーデンとイタリアだと思うんですけれども、特にスウェーデンですね。税財源によって、年金額が公的扶助水準に満たない場合には税財源から補填をすると。自分の納めた掛金が反映した年金額で別に貧困に陥っていない人に対してはそこまで税を投入する必要はないだろうということも考えられているわけですから。 今、日本では基礎年金の給付費の半額は国庫負担になっておりまして、かなり有利な就業人生を送って年金も豊かな人でも、半額は国庫負担ということになっている。これ自体がいいことかどうかも議論される必要があり、もし税財源を低所得層に集中するならば、逆に言うと、高齢者で生活保護を申請しなければならない人はいなくなるわけですから、そういった得失も考えて、是非シームレスな支援というのを考えていただきたいと思います。公的扶助、生活保護を受けるとなりますと、やっぱりいろいろな段差がございまして、申請をためらってしまう人も少なくないわけですので、その辺りお考えいただければというふうに思います。 そもそも日本の年金額がOECD基準に比べて十分なのかという問題はもう一つございます。それで、夫が七十過ぎても八十になっても働き続けているというようなことが、つまり勤労所得があることが前提での年金額の設計になってはしないかということも問われる必要はあろうかと思います。 以上二点でございます。 ありがとうございました。
○伊藤孝恵君 ありがとうございました。 まさに、スウェーデンというと、とかく子ども・子育てとか、家庭における、子ども・子育てにおけるこの国におけるGDP比みたいなところにずっとみんな集中してしまうんですけれども、こういった子供のみならず高齢者というところの支援にもこのスウェーデン並みというような、そういった支援をしていく必要がある、政策をつくっていく必要があることを学びをいただきました。 今日は本当にありがとうございました。
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。 首藤公述人、大沢公述人、本日はありがとうございます。 まずは、お二人にお伺いをしたいんですけれども、先ほども議論がありました日経平均株価が史上最高値を更新したわけですけれども、実質賃金が連続して前年同月を下回る下で、世論調査でも八割の方が景気が良くなった実感がないというふうに回答をしています。中小企業への支援をやっぱり強めて、物価高を上回る大幅な賃上げが必要だというふうに考えています。 日本が賃金が上がらない国になったその原因に、低賃金で不安定な非正規雇用で働く人を労働者の四割にまで広げてきたということがあると思うんですね。今や公務職場でも会計年度任用職員など非正規雇用が増えていますけれども、その非正規雇用に不当な雇い止めであるとか差別をなくすこと、先ほど大沢公述人から同一価値労働同一賃金の話もありましたけれども、こうしたことを実現していくことだったり、国や自治体が非正規公務員の時給引き上げるとか、非正規ワーカーの待遇を改善をしていくということが必要だと思うんですけれども、お二人の御意見伺えればと思います。
○公述人(首藤若菜君) 日本で賃金が下がってきた、上がらなくなった理由としましては、当然、非正規で働く人たちが増大しているということは非常に大きな要素としてあります。ただ、非正規で働く人の増大というのは日本のみならず世界的にも見られていて、その中でもやっぱり賃金上がっている国もあります。結局、その非正規で働いている人たちが増大していっても、例えば最賃が上がっていくとか、非正規の働いている人たちの格差の是正に取り組んでいるというようなことをやっていくことによってやっぱり賃金上げていくしかないんだと私は思っています。 物価を上回る賃上げが必要というのはまさに本当にそのとおりでして、そのためにはやはり、賃上げの中でも、今、賃上げ、大幅賃上げというふうにいろいろ報道されていますけれども、特に重要なのはやはりベアだと思っています。賃金の改定分がどれくらいあるのかと。定期昇給分で上がっていてもやっぱり実質賃金分というのはプラスにならない可能性がありますので、ベアでどこまで上がっているのかということに注視すべきだというふうに思っています。 私も、今日の最後に述べさせていただきましたけれども、国や地方行政における待遇改善というものは、特に地方においての賃金水準の向上には非常に効果的だと思っておりますので、是非進めていただきたいというふうに考えている次第です。
○公述人(大沢真理君) その成り行きからいうと、私は会計年度任用職員のことを言わなきゃいけないのかなという気はするんですけれども、官製ワーキングプアと、官と民の官ですね、ということで指摘をされて長くなっているわけですし、それがゆえに、物件費ではなくて人件費になったところが会計年度任用職員というのは僅かな改善点なのかなというふうに思いますけれども、雇い止め問題等、解決の兆しを見せておりません。 やはり、国はもちろんですし、自治体ももっと賃上げができると、みんなが豊かさを実感できる社会になろうよということを呼びかけるのであれば、まずお膝元の非正規の公務員、会計年度任用職員の待遇をいかにして上げていくかということを真剣に考えるべきだというふうに思います。 ついでに言うと、自治体の非正規の職員、どんどんどんどん比率増えておりますが、約七五%、四人に三人は女性なんですね。これは、男女賃金格差というか、男女格差の問題でもあります。そういう人たちはどういう職種に就いているかというと、人のケアをする仕事、相談の窓口であるとか、それから保育所でもそうですし、看護師さんなんかも非正規化されているという部分もあると。 こういうことが進んでいきますと何が起こるかというのは、みんな災害が起こったときにはっとするわけですよね。ケアが必要な避難者、被災者がたくさんいるときに、それをケアをする人手がないということにそのときはっと気が付くわけですが、もうこの問題も既に中越地震の辺りから指摘をされていますので、人は削ればいいという態度はもう真っ先に改めていただきたいというふうに思っております。 以上です。 〔委員長退席、理事中西祐介君着席〕
○岩渕友君 ありがとうございます。 今、大沢公述人がお話しされたことがまさに能登半島地震でも問題になっているなというふうにも思います。 今お話があった男女の賃金格差ということについてもお二人にちょっとお伺いをしたいんですけれども、非正規で働く七割は女性だと、そうしたことが男女の賃金格差にもつながっています。そして、総合職と一般職といったコース別人事ですよね、が賃金格差を固定化する間接差別にもなっています。その大本に、女性は家計補助的な働き方でいいであるとか、総合職は残業も単身赴任もこなすのが当たり前だから女性は難しいといった性別役割分担の考えがあるんだと思います。 国連が、国連の女性差別撤廃委員会が雇用における間接差別の認識不足が日本政府にあるんだということを繰り返し指摘をしている下で、この間接差別をなくしていくということを政治の課題にするべきだというふうに思うんですけれども、お二人のお考えをお聞かせください。
○公述人(首藤若菜君) 男女間の賃金格差、日本はすごく大きいわけですけれども、例えば人的資本の情報開示が始まって各企業が企業内の賃金格差を開示しています。そこの中で、説明を見てみますと、皆さんどこも、管理職に女性が少ないためとか、こういった職業に女性が少ないためこの賃金格差がありますということで、現状では格差にある程度合理的な理由があるというふうなことが示されているんだと思います。私は、問題なのは、この合理的な理由が含んでいる不合理性をやはり指摘していくことだし、明らかにしていき、そこの不合理性を縮小していくことなんだと思っています。 その話は多分間接差別の話と全く同じ話でして、その一見合理的に見える理由で、そこで管理職に例えば女性が少ないためこの賃金格差があるといったときに、なぜ管理職に女性が少ないのかというところをやっぱり考えていき、そこを是正させていくというような取組が求められているんだろうというふうに考えています。 〔理事中西祐介君退席、委員長着席〕
○公述人(大沢真理君) 間接差別を解消する方法としては、繰り返しになりますが、同一価値労働同一賃金、価値が入っているところが大事なのです。政府の方の御発言や政府の文書、往々にして価値が抜けておりまして、その価値はいかがなものかというふうに私はいつも思っているんですけれども。 同一労働同一賃金と同一価値労働同一賃金というのは、言葉は似ていますが、かなり日本では違った実態がございます。というのは、さっき四要素でもって採点をして、それを加点としてというふうに申しましたけれども、同一労働同一賃金の場合にはこの四要素がそろっていない場合もございますし、なぜか何とか係数というのを掛けて〇・八にしてしまうという、要するに同一賃金じゃないということを正当化するような仕組みになっていて、そのところが問題ですので、繰り返しになりますが、SDGの八・五が加盟国に要求しているのは同一価値労働同一賃金の原則ですので、是非これを実施をしていっていただきたいというふうに思っております。 管理職の女性割合の低さということについては先ほども答弁の中で申したとおりですけれども、何かこう、こういう図がぱっと浮かんだんですよね、私、リクルートワークス研究所の報告書とか、それ以外の研究論文なんか読んでいて。昇進のはしごというのがあるとすると、それはかなり日本では長いはしごになっているんだけど、そこには延々と相似形の男性たちが連なっていると。このはしごに足を掛けようとすると、女性は自分の働き方も生き方も男性に合わせるというようなことを往々にして強いられる、これが日本の企業における多様性のなさ、それは、ひいてはイノベーションが不活発であること、そして経済成長力がそがれていることにつながっているというのをもう一度認識し直していただければと思っているところでございます。 以上です。
○岩渕友君 ありがとうございます。 続けて、お二方にお伺いをするんですけれども、冒頭、首藤公述人からも選択的夫婦別姓のお話がありました。先日、三月八日は国際女性デーということで、国会内でも様々な催しあったんですけれども、経済団体が主催をするこの選択的夫婦別姓の制度の導入を求める集会が行われたり、総理への要請なんかも行われました。世論調査でも七割以上が導入に賛成をしていると。もう圧倒的多数の声になっているわけですね。 姓を変えているのはほぼ女性だと。契約書にサインできないといった仕事や社会生活での様々な不利益があって個人の尊厳を脅かすということで、制度を導入しないことがあらゆる分野での損失になっていると思います。 すぐにでも導入をする必要があるというふうに思うんですけれども、公述人の御意見をお聞かせください。
○公述人(首藤若菜君) 選択的夫婦別姓は、私自身も個人的な経験から非常に切実に願っていることです。私自身、今は通称使用で旧姓を使用しておりますけれども、様々なやっぱり不利益、不便を感じています。 特に、やはり最も困っているのは、やっぱり海外で例えば国際学会に参加をするときに、学会のエントリーは自分の名前でやりたいです、当然。自分の名前で発表します。でも、そうすると、今パッケージになっていまして、エントリーするとその学会会場のホテルをそのまま予約をするような形になります。それで予約をしてうっかりそれで行ってしまったら、ホテルのフロントでパスポート見せてくださいと、名前が違うじゃないかと、あなたは泊まれませんみたいな話になります。で、それをまた別で取ると高くなったりして、実質的なコストも払わなくちゃいけないと。 もう本当に不便を感じて日々生きて、いら立ちを持って過ごしているというのが実態で、私、今日、自民党の推薦でここに来ていて本当に申し訳ないんですけど、本当に強くお願いしたいと思っております。
○委員長(櫻井充君) 時間が来ております。簡潔にお願いします。
○公述人(大沢真理君) 私は結婚したことがないので首藤さんのような苦労は知らないできておりますけれども、日本の社会政策の流れを思い返しますと、例えば保育所の制度の改革あるいは介護保険制度の導入、こういうときに政府は何を言ってきたか。選択できるようにすると。選択できることはいいことであると、しかし、その選択の結果は選んだ人が引き受けるんですよと。選択と自己責任というのが、過去、少なくとも三十年くらいの政策の流れだったと思います。 選択的夫婦別姓で別姓を選択した方々は、それはそれで不都合や御苦労もあるかもしれないけれども、それは自分で引き受ける覚悟をなさって選ばれるのであろうから、なぜそれに反対する人がいるのかということは私には理解し難いと申し上げて、お答えにさせていただきます。
○岩渕友君 ありがとうございました。 以上で終わります。
○大島九州男君 首藤公述人、大沢公述人、本日はありがとうございます。 れいわ新選組、大島九州男でございます。 まず最初に、首藤公述人に二点お伺いをいたします。 二〇二四年問題を乗り切るための具体策として、れいわ新選組では、高速道路の無償化とともに、公共交通の拡充、鉄道、新幹線の効率的な利用での物流の多様化ということを物流の効率化を進める上で有効な政策というふうに言っておりますけれども、その御意見をひとつお伺いしたいというのと、あと、テレビなんかでも送料無料というふうにあるので、国民の皆さんは、何かただなんだと、輸送コストの意識が非常に低いんじゃないかというふうに思っておりまして、こういった部分、送料無料というような言い方じゃなくて、送料は当社が負担してというような言い方に変えてもらうと国民の意識も変わるんじゃないかと。 この二点、お願いします。
○公述人(首藤若菜君) ありがとうございます。 高速道路の無償化というのは運送会社の皆さんも非常に強く要望されていることであり、確かにそれによって是正される部分もあると思うんですけれども、本来、高速代金を支払うべきは荷主であって、その荷主が支払っていないというのが実態だというふうに私は認識をしています。ですので、高速代金を無償化することによって誰が喜ぶのかというようなところもやっぱり考えないといけなくて、きちんと本来は支払うべきものは支払っていただくことが筋だというふうには思っています。 新幹線の効果的な利用等もモーダルシフトの中ですごく重要なんですけれども、政府はモーダルシフトで鉄道等の輸送を二倍に増やすというふうにおっしゃっていますけれども、現実的にはかなり難しい、限界があるかなというふうには思っています。今、貨物なんかでも、ほとんどもう満載の状態で深夜便なんか走っていますので、もう空いていない中でどうやって増やしていくのかというようなところはちょっと見えないところであります。 送料無料につきましては、私は非常に問題が大きいと思っています。それは、そのドライバーの労働が軽視されるといったような問題のみならず、結局、送料が分かることによって、消費者が経済合理的な行動を取ることによって物流の負荷の軽減に貢献できるということがあります。例えば、今日、本を買って、あしたズボンを買ってというような形で、毎日こうやって買物をするのではなくて、送料が例えば一回に五百円掛かっているとするならば、まとめて買おうといって一回の配送で済ませようというような行動につながると思うんですね。そういう意味でも、送料が見えるようにしていくということはすごく重要な施策だと私は思っています。
○大島九州男君 まあそうですね。やはりアマゾンなんかで会員だと送料無料というふうになっていますけど、どれだけ買うと送料無料だと、まとめて買いますもんね。だから、そういった部分は是非やるべきだなというふうに思います。 次に、大沢公述人に、格差の問題。 私自身思っているのは、三十年前は一億総中流だというふうに言われていたのが、今は格差社会と言われている。この格差社会の大きな原因が消費税にあるんだというふうに自分自身は考えるんですね。 それは何でかというと、生活保護受給者、年金受給者、子供からも取って、それが、じゃ、どこに還元されるか。それが輸出戻し税だとか、そういう法人税の方に還元されているという。そういった部分で、株価は上がるけれども、賃金は上がらない、そして消費は増えないというような循環になる、消費税というのは貧困の格差を拡大する装置になっているという、そういう認識を持っているんですが、その件について御意見いただければと思います。
○公述人(大沢真理君) 鋭い問題意識からの御質問ありがとうございます。 私は、格差、貧困の消費税は少なくとも一つの要因ではあると思います。と申しますのは、御承知のように、低収入の人ほど収入に占める消費税負担というのは重いという逆進性があるわけでございますから、このことの対応をしないまま、軽減税率導入されておりますけれども、消費税率を上げてきたということは反省材料の一つかなというふうに思います。 さはさりながら、日本の歳入構造を見てみますと、やっぱり一番逆進的で一番負担が重いのは社会保険料なんですね。例えば、スウェーデンの話いたしました。スウェーデンは、疾病保険は事実上国民皆保険サービスですので、個人の負担はございません。年金については個人の年金保険料負担ありますけど、後から税額控除で戻ってくるので、実際働いている個人には社会保険料の負担はほとんどないというのがスウェーデンの在り方です。その代わりと言ってはなんですけれども、かなりの所得税を払っていると。この所得税の構造には余り累進性がないというようなのがスウェーデンの特徴になっております。 で、これらの国で、消費税率最低一五%がEU諸国の決まりでございまして、スウェーデンだと軽減税率ありますが二五%の付加価値税率になっております。しかしながら、貧困率というのは日本の半分か三分の一なんですよね。ですから、消費税率が高いからといって、貧困や格差が広がるわけではないと。そうは言いつつ、低所得層への保障は必要だ。 それは、税法の専門家がおっしゃるのが、やはり給付付き税額控除が一つです。社会保険料負担に関しても、今は所得控除でございますけれども、それを税額控除に移すだけで相当税制としての累進性は高めることができるという辺りにも留意いただきたいというふうに思っております。 以上です。
○大島九州男君 じゃ、大沢公述人、国が徴税して、それをどこに分配するかと。だから、これは消費税が社会保障とかそういう形に全部回っていくような仕組みだったら、極端な話が、年収二百万の人が二十万払って社会保障が全部受けられるというような形であると格差は狭まっていくんじゃないかと思うんですね。だから、私の思いは、消費税のその還元される先、ここが問題なんだと。だから、消費税というのはどうしてもイメージ的に、何か社会保障というよりは、私が思うのは大企業の輸出戻し税であったりとか、そういったところに行ってしまうイメージが非常に強いんですよね。 だから、これは一回廃止して、それこそ社会福祉税だとかいう形で、間違いなくそれが今おっしゃる社会保障に還元されるんだという仕組みであれば、これが一五%、二〇%になっていっても国民はウエルカムだと思うんですね。でも、今一五%にしろと言っているのは経団連なんですよね。それで、経団連が一五%にしろという、そのあなたの心は何なのかという話なんですよ。 これ、国民が一五%にしろよというように仮に発信するとするならば、それが自分たちに返ってくるから国民が言うと。ところが、経団連が一五%にしろということは、大企業に返ってくるんだなという、こういうことだというふうに私は認識している。だから、まさに政府が徴税した部分をどこに配分していくかということが大きな問題であるというふうな認識なんですが、ちょっと御意見伺います。
○公述人(大沢真理君) 非常に興味深い御指摘ありがとうございます。 一応、日本では、消費税収というのは、法律やその附則によって、社会保障、かつては三経費というふうにいいましたけれども、四経費プラス大学の無償の奨学金などに充てられるようになってきて、要するに福祉、医療、教育の一部に充てられるということははっきりしていると思うんですけれども、もちろん大企業が輸出戻し税などでかなり得をしているという事実はありつつも、社会保障に、幅広の社会保障に限定して使っているということについては国民の皆さんの理解をより求める努力をした方がいいのかなというふうに思います。 社会保障目的税に関して言いますと、これはフランスで一九九〇年くらいに導入されまして、税収はどんどん伸びてきています。実は個人所得税なんですけれども、それを社会保障目的税という形で取っていると。なぜそうしたかというと、所得税制本体にはなかなかフランスであっても手を付けにくいから、やはり新しい個人所得課税が必要だというふうに考えた。それは社会保険料負担が逆進的であるので、それを抑えるために導入しました。今やかなり基幹税に近い役割を果たしています。 面白いのは、勤労所得、事業所得に賦課するのは当然なんですけれども、宝くじが当たったお金とか、それからギャンブルでもうけたお金とか、そういうお金に対してはより高い税率で掛けるということになっていますし、金融所得等についても勤労所得や事業所得よりも高い税率で掛けるということをしている結果として、一つの税制としてかなり累進性を確保しているのかなというふうに思います。日本でもそういったことを検討する余地はあるかもしれない。 ともかく、個人所得課税の対GDP比率というのは一九八九年がピークでありまして、その後ずっと傾向的に下がっています。ちょっと上がった部分もありますが、大きな傾向としては下がっているので、日本では所得課税が足りない、それから法人税はまけ過ぎたというふうに、低くし過ぎたというのが私の印象でございます。 どうもありがとうございます。
○大島九州男君 ありがとうございます。 私自身、消費税が社会保障に全額充てられているというよく言い方を政府関係者とかやるんですけど、それは消費税を上げるときの増加分は全額そこに充てるというようなその認識で、実質、結果を見ると、株主資本主義じゃないけれども、株価のための企業、法人の純利益に消費税が回っている、特に輸出産業はというような認識でありますので、そこら辺、いろんな議論があると思うんですけど、是非、先生たちのそういう立場の中で、本当の消費税の使い道、これから先の徴税の仕方と政府の分配の仕方について格差がなくなるような、そういった部分を是非先生方には広めていただくような論文を書いていただいたりとか、そういうことをお願いして、最後、御意見お願いします。
○公述人(大沢真理君) 私どもの論文や著作では、なかなか読んでいただける範囲に限界ありますので、是非国会の中で奮闘していただければと思います。 以上でございます。
○大島九州男君 ありがとうございました。
○委員長(櫻井充君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。 この際、公述人の方々に一言御礼申し上げます。 本日は、有意義な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 本当にどうもありがとうございました。(拍手) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(櫻井充君) 速記を起こしてください。 ─────────────
○委員長(櫻井充君) それでは、引き続き公述人の方々から御意見をお伺いいたします。 この際、公述人の方々に一言御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 本日は、令和六年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 次に、会議の進め方について申し上げます。 まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、農業・地方・社会保障について、公述人学習院大学経済学部教授・社会保障審議会会長遠藤久夫君及び明治大学農学部専任教授作山巧君から順次御意見をお伺いいたします。 まず、遠藤公述人にお願いいたします。遠藤公述人、よろしくお願いします。
○公述人(遠藤久夫君) 学習院大学の遠藤と申します。 本日は、このような発言の機会をお与えいただきまして、感謝申し上げます。 私は、社会保障、とりわけ医療や介護の問題を研究しておりますが、本日は時間の制約もありますので、医療や介護とも深い関係があり、社会保障制度の持続可能性に重要な意味を持つ少子化対策についてお話をさせていただきたいと思います。 医療や介護について、必要に応じて質疑応答あるいは意見交換の中で議論をさせていただければと思います。 御案内のとおり、我が国は少子高齢化に加えて、人口減少時代に突入しております。まず、少子高齢化の状況を振り返ってみたいと思います。 資料の二ページを御覧いただければと思います。 一般に、大きな戦争の後、出生率が高まる傾向がありますが、我が国では、一九四七年から四九年に第一次ベビーブームが起きました。一九四九年の出生数は約二百七十万人でした。その後出生数は低下しましたが、団塊の世代が子供を産む年齢に達した七一年から七四年に出生数が再び増加しました。いわゆる第二次ベビーブームでございます。第一次ベビーブームの出生数の二百七十万人には及びませんでしたが、七三年の出生数は約二百九万人に達しました。しかし、その後は基本的には出生数は減少し続けて、団塊ジュニア世代が結婚、出産を迎える年齢になる二〇〇〇年前後に出生数が大きく増えるということはありませんでした。つまり、この間、出生率が低下していたため、母親になれる年齢の人口は多かったにもかかわらず、第三次ベビーブームは起きなかったわけであります。 一人の女性が一生に産む子供の数である合計特殊出生率の推移を見ると、第二次ベビーブームの一九七三年は二・一四でしたが、二〇〇〇年は一・三六に低下しておりました。さらに、二〇二二年は一・二六まで低下しております。最近で、直近である二〇二三年の出生数は、速報値ではありますけれども、七十五万八千六百三十一人と過去最低の水準であります。 このように、第二次ベビーブームである一九七三年以降、出生数はトレンドとして減少し続けているのですが、資料三ページから分かりますように、全人口は増加しております。それは言うまでもないことですが、平均寿命の延伸、すなわち長寿化による高齢者数の増加が少子化による出生数の減少を上回っていたからです。 しかし、その転換点が二〇〇八年に訪れます。この年の人口は一億二千八百八万人ですが、これをピークに、少子化による人口減少の影響の方が長寿化による人口増加の影響を上回り、全体としては人口減少に転じて現在に至っているわけであります。 このことから分かりますように、我が国では、六十五歳以上の全人口に占める割合、すなわち高齢化率、これは一貫して上昇しております。具体的には、一九七三年の七・一%から、二〇二二年は二九・一%に上昇しております。 この傾向は今後も続きまして、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、二〇七〇年には総人口は八千七百万人に減少し、高齢化率は三八・七%へ上昇する見込みであります。 付け加えますと、これからは七十五歳以上、すなわち後期高齢者ですね、後期高齢者の人口が増加しまして、六十五歳から七十四歳までの前期高齢者の人口は増えません。このことは、今以上に介護サービスの体制整備であるとか認知症対策が求められることを意味していると思います。 また、少子高齢化の影響は地域によっても異なります。団塊の世代が多く居住する大都市やその周辺部では、これからは八十五歳以上の高齢者が急速に増加します。一方、地方は急速な人口減少が進みます。ちなみに、二〇五〇年の人口が二〇二〇年の半数未満となる市区町村は全体の約二割、また、二〇五〇年に高齢者の割合が半数以上となってしまう市区町村は三割を超えるという見込みも出されております。 こうした急速な人口減少に歯止めを掛けなければならないわけでありますが、もうそうしないと、高齢化によるサービス需要が拡大する社会保障制度において、経済的あるいは身体的に支え手となる人たちの深刻な不足が懸念されるわけであります。もちろん、社会保障に限らず、これからも続く超高齢社会は、我が国の経済社会システムの維持に当たって様々な問題を生じさせております。 このため、少子化、人口減少の流れに歯止めを掛けることは必要ですが、この人口政策には悩ましい問題があるのも現実です。まず、対策が遅れれば遅れるほど対策の効果が出にくくなり、先延ばしができないということです。 子供の出生数は出生率と子供を産むことができる年齢の女性の人数で決まるわけです。これまでの少子化により子供を産むことができる年齢層の女性は毎年減少しているので、仮に出生率が一定に保たれたとしても、対策が遅れれば遅れるほど子供の出生数は減少することになります。 実際に、二十歳から三十九歳の女性の人口は、一九七〇年は千八百十九万人でしたが、五十年後の二〇二〇年では千三百十七万人と五百万人減少しております。さらに、資料五ページに見られますように二〇四五年は千五十万人と、二〇二〇年と比較しても二百六十万人減少することが予想されております。この予想ですけれども、二〇四五年の三十歳の女性というのは二〇二五年時点では十歳の少女ですから、既に生まれているわけであります。 したがって、この予測の精度というのは非常に高いわけであります。したがって、いろいろ課題があったとしましても、少子化対策を先延ばしにしないということが極めて重要なわけでございます。 少子化対策の難しさのもう一つは、特効薬がないということであります。 少子化の原因を挙げるとするならば、次の三つが考えられます。 第一に、未婚率の上昇です。これは少子化の最大要因で、一貫して上昇しています。 資料の六ページを御覧ください。 五十歳時の未婚率は、一九七〇年と二〇二〇年を比較しますと、この五十年間で男性は一・七%から二八・三%、女性が三・三%から一七・八%、それぞれ上昇しております。 第二は、夫婦間の子供の数の減少です。 資料七ページを御覧ください。 結婚持続期間が十五年から十九年の初婚同士の夫婦の子供の数のことを完結出生児数といいますが、この推移を見ますと、一九七〇年から一九九〇年代までの約三十年間は約二・二人で安定していたのですが、二〇〇〇年代に入ると減少に転じて、二〇二一年には一・九人と過去最低の水準になっております。 第三の要因は、先ほどお話ししました、少子化の影響で子供を産む年齢層の女性が減少しているということであります。 現在は、未婚率が上昇し、完結出生児数が減少しているので、出生率が低下している。さらに、それに子供を産む年齢層の女性が減少しているということが加わって、子供の出生数が非常に減っているという状況であります。 ただ、以上の要因は言わばその表面的な少子化の要因でありまして、なぜ未婚率が上昇したのか、なぜ完結出生児数が、児童数が減少したのかが分からなければ、出生率を引き上げる対策は打てません。これまでの研究で未婚率や完結出生児数には経済状況が大きく関与していることが分かっています。しかし、結婚や子供をつくるということは多様な要因が絡んでおり、経済的支援だけでは不十分です。少子化対策には、狭義の経済政策だけではなく、より幅の広い社会政策が求められると思います。 このような課題を持つ少子化対策ですが、私も参画しましたこども未来戦略会議で議論し、昨年末に閣議決定されたこども未来戦略においては、少子化への危機感が、社会全体で共有し、構造、意識を変えていく必要があるとしています。 この加速化プランには様々なメニューが盛り込まれております。それらはいずれも重要な取組ではありますが、強調させていただきたいのは、共働き、共育ての推進であります。これは、これまでの価値観を変えるという試みであり、社会を変える試みであります。 我が国はこれまで、男性は仕事、女性は家庭という性別役割分担意識の下で家庭が成り立ってきた部分があると思いますが、今では全世帯の約三分の二が共働き世帯となり、そうした中で子育てをするという状況にあります。 女性の社会進出が進んでいますが、性別役割分担意識はいまだ根強く、子育て家庭にあっても、男性が主に仕事をし、女性は、育児休業や時短勤務、あるいは出産を機に退職し、子育てが一段落して非正規やパートで仕事に戻るという状況が依然として存在いたします。 また、女性が希望する仕事や責任あるポストへ昇進するには男性と同じような働き方をする必要があり、女性の社会進出は、男性的な働き方を前提とした上で子育ては引き続き女性が行うという、仕事と育児、家事の二重の負担を強いられている状況になっているのではないかと考えられます。 加えて、民間の調査によりますと、大卒のフルタイムの女性が出産後に退職し、非正規やパートで再就職した場合には一億三千万円以上の生涯賃金の差が出るとの推計結果もあります。いわゆる子育て罰ということが指摘されております。 こうした状況を変えるためには、社会全体の意識の変革や働き方改革を正面に据えた対策を行うことが不可欠であります。このため、男性が育児や家事を担えるよう、男性を含めた働き方改革を徹底して進めるとともに、職場の文化、雰囲気を抜本的に変える必要があります。その上で、性別に関係なく育休や時短勤務を始めとした柔軟な働き方を選択できるような社会としていくことが非常に重要です。こうした視点から、共働き、共育てを推進することは大変意義のあることであり、政府として加速化プランに盛り込まれた取組をしっかりと進めていただきたいと考えます。 また、こうした加速化プランでは、これまでの財源規模では対応できなかったものも多く含まれております。例えば、子育て世帯に対する経済的支援を強化する視点から行う児童手当の抜本的拡充や、妊娠、出産時の十万円の給付の制度化、全ての子ども・子育て世代を切れ目なく支援する取組として、こども誰でも通園制度の創設などです。 これらの施策について、ゼロ歳から十八歳までの子供一人当たりの給付拡充の額は平均すると約百四十六万円であるとの説明がこども家庭庁からありました。これはあくまでも平均的な数字であり、全員に当てはまるものではありませんが、これは支援金制度の創設により初めて実現される子育て世代の確かな受益の姿であると考えております。 そして、このような施策を通じて子育て世帯を支援する支援金制度は、単なる拠出の枠組みとしてではなく、高齢者を含めた全世代、企業を含めた全経済主体が子育て世帯を支える新しい分かち合い、連帯の仕組みだと捉えることが重要だと思います。その際、子育て世帯でない人の受益は何なのかという論点がありますが、子育て世帯への施策の拡充により、危機的状態にある我が国の少子化のトレンドに歯止めを掛けることは、労働力の確保や国内外、国内市場の維持を通じた経済社会システムの維持、地域社会の存続、あるいは社会保障制度の持続可能性の確保といったことを通じて、我が国の社会の構成員であれば誰もが利益を受けるものであると考えます。 また、医療保険は、生まれてから亡くなるまで全てをカバーしているという点で他の社会保険にはない特徴を有しております。その意味で、広く多くの国民に拠出をいただく支援金について医療保険の枠組みを活用するということには、一定の合理性があると考えております。 このように、少子化、人口減少に歯止めを掛ける上でこの支援金制度の構築は重要な意味合いがあります。支援金は、支援金制度は、高齢者や子供のいない方を含めた全世代、企業を含めた全経済主体に拠出をお願いするものであり、政府においては、支援金制度の意義やその重要性、仕組みについて国民の皆様に分かりやすい説明を続けていただきたいと思います。 以上でございます。
○委員長(櫻井充君) ありがとうございました。 次に、作山公述人にお願いいたします。作山公述人、よろしくお願いいたします。
○公述人(作山巧君) ただいま御紹介をいただきました明治大学の作山でございます。 本日は公述の機会をいただき、光栄に存じます。 私の公述は、予算編成の在り方に関する意見と農業政策に関する意見から成りまして、特に私の専門であります農業政策を中心にお話しします。 お手元に資料を配付していますので、それに沿って公述をさせていただきます。なお、配付資料では一ページに二枚のスライドを配置しておりまして、各スライドの左下にページ番号を付しておりますので、そちらを御参照いただければと思います。 まず、予算編成の在り方についてです。 本日の議題は令和六年度総予算についてですが、私、最近の予算編成の在り方には若干の懸念を持っております。 配付資料をめくっていただきまして、三ページを御覧ください。 資料の左側に示していますように、補正予算に関しては、財政法では、予算作成後に生じた事由に基づき緊要となった経費の支出を行う場合などと規定しております。しかし、実際には、規模ありきのように見える補正予算の編成が常態化しておりまして、特に三ページの右側にあるように、新型コロナ禍で膨張したその規模は元には戻っていないという状況でございます。 こうした補正を前提とした予算編成は農業政策でも見られています。 配付資料の四ページを御覧ください。 資料の左側に示しましたように、農林水産物の輸出促進は農水省の重要施策となっております。二〇二〇年には農林水産物・食品輸出促進法が制定されました。二〇二一年には農水省に輸出・国際局が設置されました。といったように、恒久的な体制が整備されてきております。 他方で、四ページの右側に示しましたように、その裏付けとなる予算については、最近では八割以上が補正に計上されており、その傾向は令和六年度予算でも同じで、整合性が取れているとは言い難いというのが現状です。 これは、輸出促進対策予算が二〇一五年度からTPP関連政策大綱に基づいて計上されたという経緯に起因しています。しかし、農林水産物の輸出促進政策が恒久的な政策である以上は、その裏付けとなる予算についても令和六年度の当初予算に計上すべきだったというふうに考えております。 次に、令和六年度予算との関連で、農産物の価格形成について述べさせていただきます。 まず、配付資料の五ページを御覧ください。 コロナ禍後の海上運賃の高騰、それから主要生産国での高温乾燥、ウクライナ戦争、円安といった要因により輸入品の価格高騰を受けまして、国内の食料価格は大幅に上昇しております。具体的には、オレンジ色で示しました食料の消費者物価指数は二〇二〇年平均と比べまして一六%の上昇をしておりまして、それが青色で示した全体の消費者物価指数を大きく上回っております。つまり、消費者は、食料の価格が高過ぎて困っているという状況にあります。 次に、配付資料の六ページを御覧ください。 これは、農業の収益性の推移を示したものです。具体的には、灰色の線は二〇二五年、二〇一五年ですね、二〇一五年を一〇〇とした農産物価格指数の推移であり、生産者にとっての収入を表します。他方で、青色の線は肥料や家畜の飼料といった生産資材の価格指数の推移でありまして、生産者にとっての費用を表します。その上で、農産物価格指数を生産資材価格指数で割ったのが交易条件指数でありまして、二〇一五年を一〇〇とした生産者の相対的な収益性を表します。オレンジ色で示した交易条件指数の推移を見ますと、二〇二三年は九五で、これ小数点以下を考慮しますと六十年ぶりの低い水準となっています。 このように、費用が大幅に上昇する一方でそれが農産物の価格に転嫁されていないという意味において、生産者は農産物の価格が安過ぎて困っているという状況です。 こうした状況をまとめたのが配付資料の七ページです。 私は、農産物の価格形成はトリレンマに直面していると考えています。ここでトリレンマというのは、三つの要求が相対立し、相互に両立しないという意味です。 まず、消費者にとっては食料の価格は安いほど良く、それが高過ぎることが問題となっているということです。他方で、生産者にとっては農産物の価格は高いほど良く、それが低過ぎることが問題となっております。さらに、野菜のような多くの農産物は需給を反映して市場で価格が決まるため、価格は市場原理に委ねるべきだという考え方もあります。こうした三つの主張は、あちらを立てればこちらが立たないという関係にあり、だからトリレンマということです。 では、このトリレンマにどう対応すればよいのでしょうか。 配付資料の八ページを御覧ください。 今回のような農産物の生産費用の増加には、三つの対応策があります。 第一は、生産者による費用の削減で、その費用を負担するのは生産者ということになります。その具体例は第二次安倍政権下での農協改革でありまして、日本の生産資材が高い元凶として、農協組織が名指しをされました。この主張を踏襲すれば、今回も生産者やその団体による費用削減努力で乗り切るべきだということになります。 しかし、日本は、飼料や肥料のような生産資材の多くを輸入に依存しておりまして、国際市場で決まるそれらの価格に日本の生産者が関与する余地はありません。また、多くの農産物は一年一作であることから、短期的な費用の削減は現実的には困難です。 次に、第二の方策ですが、これは生産費用の上昇を農産物の価格に転嫁することで、その費用を負担するのは消費者ということになります。その具体例は、今国会において重要広範議案として審議が予定されている食料・農業・農村基本法の改正案でありまして、食料の持続的な供給に要する費用の考慮を求める条文の追加が提案されております。 しかし、卸売市場による競りで価格が決まる野菜が典型ですが、価格形成の成否は市場の構造や取引の形態などに依存しまして、それを強要することはできません。また、仮に価格転嫁が実現すれば、既に高騰している消費者価格が更に上昇して、特に所得の低い方々に打撃を与えるという問題もあります。 第三の方策は、生産者に対する直接支払です。その費用を負担するのは納税者ということになります。その具体例は、民主党政権下で実施された米に対する戸別所得補償制度です。 その効果については、配付資料の九ページを御覧ください。 二〇一〇年から二〇一二年にかけて実施されたその制度は、米の生産農家に対して十アール当たり一万五千円を支払うというものでした。十アール当たりのお米の収量を五百三十三キログラムとすると、米一キログラム当たりの支払単価は二十八円ということになります。その上で、経済学の分析道具を用いますと、戸別所得補償に伴う手取り価格の上昇による生産者のメリットは米一キログラム当たり十一円だったのに対して、市場価格の下落による消費者のメリットは米一キログラム当たり十七円だったことが分かります。 配付資料の十ページは、その算出根拠を簡単な経済学の分析道具で説明したものです。 技術的な内容になりますので詳しい説明は省略しますけれども、重要なのは、生産者に対する直接支払は、その全てが生産者の取り分になるのではなく、市場価格の低下を通じて消費者にもメリットが及ぶという点です。今回の計算に用いたデータでは、青色で示したお米の供給曲線は価格の変化に対する供給量の変化が相対的に大きいのに対して、赤色で示した米の需要曲線は価格の変化に対する消費量の変化がより小さいことから、消費者のメリットが生産者よりも大きいという結果になっております。 ただ、これはあくまで理論的な予想でありまして、実際の米の価格と照らし合わせた結果もお示ししたいと思います。 配付資料の十一ページを御覧ください。 左側の軸は水田作経営における十アール当たりの農業所得でして、青色の線がその推移を示しています。他方で、右側の軸は二〇二〇年を一〇〇とした米の消費者物価指数で、オレンジ色の線がその推移を表しています。 通常ですと、お米が豊作になると価格が下落するため、生産者の所得は低下します。それを受けて翌年の米の消費者価格も低下するので、オレンジ色の線は青色の線より一年遅れてほぼ同じ動きをします。しかし、戸別所得補償制度が開始された二〇一〇年や二〇一一年には、米生産者の農業所得は上昇する一方で米の消費者価格は低下しました。つまり、配付資料の九ページに示した経済学の分析道具による予想は、実際の米価の動きと符合していることが分かります。こうした食料価格の低下は、特に所得が低い世帯には朗報となります。 配付資料の十二ページを御覧ください。 これは、消費支出額に占める食料支出額の割合であるエンゲル係数について、二〇二二年の数値を十段階の年間収入階層別に示したものです。灰色で示した折れ線グラフを見ますと、エンゲル係数は、最も所得の低い階層では三二なのに対して最も所得の高い階層では二二と一〇ポイントもの差があります。逆に言えば、食料価格の上昇は特にエンゲル係数の高い低所得者に打撃を与えることを意味し、これを考慮すると、農産物の生産費用の増加を食料の価格に転嫁することが無条件で肯定されるわけではないということになります。 私が提案する解決策は先ほど申しました三番目の生産者への直接支払でございまして、その仕組みは次のとおりです。 配付資料の十三ページを御覧ください。 これは生産者に対する直接支払の財源と効果を示したものです。ここで右側の図を御覧いただきますと、例えば相続税、法人税、所得税のような累進構造を持つ税を引き上げると高所得者の消費支出額が減少する一方で、それを財源とした生産者への直接支払を実施しますと、さきに説明した仕組みによりまして、消費者の食料価格が低下し、消費支出額が減少します。つまり、図の白抜き部分の金額が高所得者から低所得者に移転し、それによって高所得者のエンゲル係数は上昇する一方で低所得者のエンゲル係数は低下するため、その意味で格差は縮小するということになります。 こうした政策によって、先ほど述べましたトリレンマは解消されるということになります。まず、消費者は、食料価格が低下して、特に低所得者が利益を受けます。また、生産者は、農業所得が上昇して農業の収益性が改善します。さらに、直接支払は、政府が価格を直接決定するわけではないので市場原理を損なうこともありません。市場で決定される価格が生産者にも消費者にも適当でない場合に、政府を介した納税者からの所得移転によって、市場原理を尊重しつつそれを補う政策ということになります。こうした生産者に対する直接支払は、欧米では一般的です。 配付資料の十四ページを御覧ください。 一九八七年と比較しますと、米国やEUの農業支援額は増加しているのに対して、日本の農業支援額は三八%減少しています。また、農業支援額に占める生産者の直接支払の割合は、米国が九一%、EUが八四%なのに対して、日本は二二%にすぎません。こうした比較、国際比較の観点からは、日本において農業支援の形態を直接支払に転換する余地は大きいと考えます。 最後に結論を述べたいと思います。 令和六年度の農林水産予算では食料の安定供給の確保が冒頭に掲げられておりまして、今国会に提出されている食料・農業・農村基本法改正案でも食料安全保障の強化が目玉とされています。しかし、私が述べたような生産者や消費者に対して即効性のある対策は盛り込まれておりません。 もちろん、今回の物価上昇を起点として、賃金の上昇と物価の上昇が連鎖する好循環が実現し、消費者の購買力の上昇によって生産費用の価格転嫁が進むのが理想であることは言うまでもありません。しかし、仮にそれが実現するとしても、既に大きなタイムラグが発生しており、今回の生産資材や食料の価格高騰で生産者や消費者は既に大きな打撃を受けております。また、低所得者や一部の生産者のように賃金上昇の恩恵が及びにくい方々、また、市場構造や取引形態によって価格転嫁が困難な方々への配慮も欠かせないと思います。 今回の反省を踏まえまして、生産者に対する直接支払のような仕組みを構築していくことが必要と考えます。 私の公述は以上です。 御清聴ありがとうございました。
○委員長(櫻井充君) ありがとうございました。 以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○小林一大君 自民党の小林一大でございます。 遠藤公述人並びに作山公述人、大変ありがとうございました。人口減少の問題、そして農業の現状について理解をさせていただきました。 まず、遠藤公述人に御質問させていただきたいと思いますが、全世代社会保障の必要性について御質問させていただきたいと思います。 人口の状況についてはよくよく今ほど理解をさせていただきましたけれども、この構造の変化に対応するためには、給付は高齢世帯、負担は現役世代中心であったこれまでの社会保障の現状を転換して、世代にかかわらず負担能力に応じた負担とすることが必要ですし、ここ十年間の社会保障改革についてはこの考えに基づいて行われてきたというふうに承知をしております。 現在の社会保障制度改革国民会議や全世代型社会保障検討会議などの場で議論を重ねて、また国立社会保障・人口問題研究所の所長を務められた遠藤公述人に、今後の人口構造の変化を踏まえた全世代型社会保障の構築の必要性について、改めて私たちに教えていただきたいと思います。
○公述人(遠藤久夫君) ありがとうございます。 全世代型社会保障の視点から見て社会保障制度をどう考えるべきかという御質問だというふうに思いますけれども、まさしく、先ほど人口構成の変化を申し上げましたように、これから若い人たちが急激に減ってくる、そして高齢者は増えてくるという、その中で、保険料であるならば、所得に依存して保険料を取るというような仕組みでやってまいりましたので、基本的には、今後は若い人たちの負担が増える、相対的に増えるということになります。このことは、一方で、この少子化の問題とも関係をしてくるわけでありますので、方向として見れば、この負担のアンバランスというものは修正されていかなければならないというふうには思います。 ただ一方で、しかし、それでは医療や介護のニーズがどうなるのかということになりますと、なかなか必要なニーズは高まってまいります。それから、したがって、そのバランスをどうするのか。私が社会保障審議会の医療保険部会の部会長だったときに、後期高齢者の自己負担を一定の所得水準の人は二割にするというような議論をしました。そのときに随分議論しましたけれども、それがどういう影響を与えるのかということをやはりある程度調べなければいけないねということで、慎重にやはりやるべきだというふうに思っております。 そういう意味で、高齢者の方々に負担を増やしていっていただくということは、これは方向性としては避けられないと思います。これは保険料でやるか自己負担でやるかという議論は医療の場合はありますけれども、しかし、その場合でも、きめ細かい、何といいますか、効果を見ながらやっていく必要があるだろう。ちょうど今二割負担の割合が増えたわけですけれども、そのことについてもきっちりと検証するというようなことをやりながら、その負担論というものは議論していく必要があるだろうと思います。 一方で、非常に高額な医薬品のようなものが技術進歩に伴って投入されてきておりますので、バランスとしてどう考えていくのかということ等も考えていかなければならないということです。 少し話があちこち行きましたけれども、基本的には、世代間の平等ということは進めていかなければならないけれども、医療や介護というのは重要な課題ですので、慎重な検討をしながら進めていく必要があるだろうと、こういうような、お答えになっているかどうか分かりませんけれども、お答えさせていただきます。
○小林一大君 ありがとうございました。 そうしたいろんな慎重な考え方というのは、自公政権、そしてまた時の民主党政権、さらにはまた自公政権でも受け継がれてきて議論をされてきたというふうに承知をしております。 ただ、こうした考え方ですね、政策に落とし込んでいくときには、どうしてもやっぱり、今も公述人もお話しいただいたとおり、給付と負担の見直しが場面場面で出てくるんだろうというふうに思います。 こうした場面場面のときに、それを実現可能な話にしていかなければならないというふうに思いますし、それは党派を超えて議論をする必要もあるんだと思いますが、社会的合意を得るためにどのような工夫が必要か、公述人という立場からお話しいただきたいと思います。
○公述人(遠藤久夫君) なかなか社会的合意を得るのは大変なわけでありますけれども、一つは、やはり年齢ではなくて所得、その経済力によって負担をするというような流れ、これは比較的社会で受け入れられやすいし、これまでもその視点で議論はされてきておりますので、そういうような方向で社会的合意が得られるような方向を探していくべきではないかというふうに思っております。 その経済力というのは、不労所得なのか、資産を含めるのかとか、いろいろ議論もあることは承知しておりますけれども、その中で議論を進めていくのが一番社会的合意を得やすいのではないかなというふうに思っております。 以上です。
○小林一大君 ありがとうございました。 ちょっと話変わるんですけれども、公述人が別のペーパーなんかで特にお話をされていただいていた医師の働き方改革についてちょっとお話をお聞かせいただきたいというふうに思いますが。 勤務医の長時間労働が、先ほどもトラックドライバー、この前の回でトラックドライバーの働き方改革の話が出ておりましたけれども、この二〇二四年度から上限規制が、撤廃をされることになりました。これによって医療供給体制の減少につながるというような意見もありまして、特に医師不足が激しい、私たち、私が地元新潟なんですけれども、こうしたところでは医療提供体制の再編や再構築が急ピッチで進んでいるというのが現状です。 こうした状況を国民や患者の皆様にもどこまで理解してもらえるのかが大変な重要な課題だというふうに思っていますけれども、今後の規制改革の大筋のみならず、細部の工夫も含めて、公述人の円滑な導入に向けた御意見をいただきたいと思います。
○公述人(遠藤久夫君) 重要な御指摘だと思います。 これまで、日本の勤務医は非常に長時間労働と、またその下にその医療のシステムが回っていたというところがあるわけでありますけれども、これは医師の健康の問題もありますし、あるいは医療のクオリティーを高めるという意味合いもあって長時間労働を規制したわけであります。しかし、一般的な労働者よりもはるかに長時間労働は認めているわけなんですけれども、しかし、それによって一部の地域によって医師不足、医療供給不足が起きるんではないかという懸念もあるということで、これまで何度も、これは厚生労働省が行っているわけですけれども、自治体などを通じて、医師不足が発生する病院はどこなのかとか、そういうことを聞いております。 そういう中で見ると、何とか今年四月までには調整が付くところが非常に多いということなんですが、しかし、実態はいろいろな課題も出てきているのも事実であります。まさに、それを勤務と認められるのか認められないかという微妙な問題があったりとか、様々な課題が出ておりますので、これは、四月以降、どういうことが起きているのかということ、医師不足の問題も含めて、きっちりと検証していくこと、これは物すごく大事だというふうに思っております。 ということで、それを進めながら、今後どうしていくかということをまた考えていくということが重要なんではないかというふうに思っております。 以上です。
○小林一大君 遠藤公述人、ありがとうございました。 残りの時間、作山公述人にお話をお伺いしたいというふうに思います。 作山公述人、いろいろなところで直接支払の重要性等々を御主張をされているというふうに承知をさせていただいております。 この度の食料・農業・農村基本法の見直しの答申についてもいろいろな御意見をいただいて、その矛盾を御指摘いただいているというふうに承知をしておりますけれども、私が拝見をしていると、農業生産基盤の強化策が欠けているであるとか、この資料の中にもありましたけれども、エンゲル係数の高い所得者、低所得者層に適正な価格形成は不利に生じるとか、いろんな御意見いただいておりますけど、改めて、この度の食料・農業・農村基本法について御意見をいただきたいと思います。
○公述人(作山巧君) 御質問いただき、ありがとうございます。 小林議員におかれては、私のいろいろ論文などお読みいただいているようで、まず感謝を申し上げたいと思います。 食料・農業・農村基本法については、実は私、農林水産省に勤務していた二十五年前にその策定をしたメンバーの一人だったということで非常に思い入れもございまして、それで厳しい意見になっているところもあるかもしれませんけれども、率直な評価としては、二十五年前はその新法の制定として基本法を作ったわけですけれども、そのときには私も担当しましたけど、中山間地域に対する新たな支援策とか、農業基盤を強化するような新たな仕組みというのをつくったという自負もございます。ただ、今回の場合は、残念ながら、やはりそういう生産基盤を強化するような新機軸がちょっとなかったなというのは残念なところだと思っております。 あと、二十五年前と比べまして、これは審議会の答申などにも書いていますけれども、二十五年前ですと、日本の経済状況も非常に良くて、余り低所得の消費者問題というのはなかったかもしれませんけれども、最近はそういうところが問題になっているということですので、やはり今日の私の公述とも関係しますけど、そういう一方に低所得者の方が増えているという問題がある一方で、農産物のコストが上がっているのでどんどん価格を転嫁しましょうという両方のことが書いてあるというところがやっぱり一番の矛盾を感じるところでして、もうちょっとそこの整合性が取れるような対策を考えてほしかったというのが私の二番目のコメントでございます。 以上です。
○小林一大君 公述人が、直接支払、いろんなところで御主張をされている中で、目新しいのは、財源として、相続税や法人税の引上げを行った上で、課税の強化を行った上で進めるべきだというお話を目にさせていただきました。その一つの原因が、今のそれが推進されない原因の一つとして財務当局の財政負担への懸念があるからだというお話ですけれども、この課税について御主張をされるその改めて意図と御主張の内容についてお聞かせをいただきたいと思います。
○公述人(作山巧君) 御質問ありがとうございます。 財源のことを申し上げている理由は二つありまして、一つは、今日も公述をさせていただきましたけれども、格差を是正するには、所得が高い方から所得の低い方に移転しないと格差の是正にはならないわけですよね、というのが一つあります。もう一つは、やはり元官僚としてということもありますけど、やはり財源の議論から逃げてはいけないんじゃないかというふうに思っているということです。直接支払というのは納税者が払う政策ですので、必ずどこかに財源を見付けなければいけないということがあります。 さっきの新しい基本法を作ったときの話もございましたけど、新たに中山間地域を支援する直接支払制度を私もメンバーの一人としてつくりましたけれども、財務省の方とも随分議論をして、最終的に納得していただいて、新たなその納税者負担の制度をお認めいただいたという経緯もありますので、そこはやっぱり、その必要性をしっかり詰めた上で政策の効果を十分にアピールして、財源の問題から逃げないで理解を求めるという姿勢が重要だと思いますので、財源の話もセットでしているということでございます。
○小林一大君 ありがとうございました。大変勉強になりました。しっかりと生かしてまいりたいと思います。
○小沼巧君 立憲民主党の小沼巧でございます。今日は誠にありがとうございます。 まず、作山公述人に伺いたいと思います。 先ほどの小林先生の質問で論文のことの質問かぶっておりましたので、それを除いて問うていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 まず、資料をおまとめいただいたことに冒頭感謝申し上げたいと思います。特に、輸出が大事なんだなと言っている割には、実は、当初予算の金額と補正の全額見たときに、今回、今、令和六年度当初予算案を議論しているわけですが、大幅に減ってしまっているということはそもそも問題なのではないかなということで、新たな気付きをいただきました。ありがとうございます。 その上で、実は衆議院の方でも農林水産業について様々な議論が行われてまいりました。今日はせっかくの公述の機会でございますので、衆議院での議論なんかも参考にしながら、政府が作山公述人のおっしゃっていただいたようなことに対してどういう答弁をしていたかということを御紹介し、それに対して作山公述人からの御意見を聞かせていただきたい、それによって参議院における予算の審議の充実に生かしていきたい、こういった趣旨で質問をさせていただきたいと思います。 公述人は、いわゆる直接支払とか、あるいは米の戸別所得補償制度についての分析をしていただきました。 衆議院においても、例えば今年の一月三十一日の本会議におきまして、米の所得補償制度について導入すべきではないかというような質問がなされました。それに対する総理からの答弁は、速記録でございますので若干修正が事後的にあるのかもしれませんが、米への支払を基本とすれば、需要のある作物への転換が進まないおそれがあります、主食用米の需要の減少が続く中、収入保険制度等により農業経営の安定を図りつつ、主食用米から野菜など需要のある作物への本格的な転換を一層進め、生産性の向上や輸出促進を支援すること等によって農業の所得向上を図っていくということが総理の姿勢です。 また、今年の二月九日、衆議院の予算委員会で、農林水産大臣の答弁は、今言ったようなことに加えまして、例えば、米であれば十分な国境措置があるということ、したがって、その国境措置がある米に助成をすることについて、ほかの農産物の生産者や他産業、納税者の理解を得難いと、こういうような答弁が総理大臣や農林水産大臣からございました。 三月二日の予算委員会における総理答弁におきましても、そういったことの繰り返しでありまして、収入保険制度等を適切に使っていく、こういうような話でありまして、戸別所得補償制度には否定的というのが現在の政府の見解です。 こういった見解に対して、作山公述人の御意見をまずはお聞かせいただきたいと思います。
○公述人(作山巧君) 御質問ありがとうございました。 今の小沼先生の御質問に関しては、日本だけじゃなくて世界的にも考え方が二つありまして、一つは、今まさに政府が、米政策を中心に今やっている政府の政策は、どちらかというと政府がかなり、減反面積を配分するというのはやめたんですけれども、ただ、転作に対する補助金の値段を決めたりして、かなり政府が米の供給量を厳格にコントロールしようとしているわけですね。米を作り過ぎないようにすることによって、数量を抑制して農家の手取りを増やそうという考え方ですね。代わりに、お米が余っているので、その代わりに麦や大豆を作ってください、野菜を作ってくれれば補助金あげますよという形なんですけれども。 やっぱりそれの問題点というのは、コントロールが難しいということですね、まずは。単価の設定や米価の水準によって、どうしても農家の方は、米を作るともうかるので、米の値段が上がると米を作り過ぎて値段が下がってしまうと。で、逆になると、米の値段が上がり過ぎるというような形で、この循環を、価格変動の循環を繰り返すというところが非常に大きな問題で、農家の方にも不信感が生まれてしまうわけですよね、特に米の値段が下がったときにですね。 それに対して、私が今日申し上げたようなやり方ですと、市場原理を生かした形で、農家の経営判断も生かした形で農家を支援することができると。例えば、政府もよく米は国境措置があるからというふうに申し上げますけど、実際には、今日私が公述したように、生産コストが非常に上がっていて、ほとんどの米農家の方は赤字になってしまっていますので、国境措置があるからイコールもうかるではないんですよね。 話を戻しますと、私のような直接支払のやり方ですと、例えば米について言えば、米、農家は、作りたい人は作ってもらうと。で、市場価格が下がれば、そこについては民主党の戸別所得補償も補填をするという形でしたけれども、それを生産調整とセットにすれば供給過剰は起きないんですね。実際、民主党の戸別所得補償をやったときにも、米の生産は引き締まって価格が上がったという面もあります。戸別所得補償によって農家の手取りも上がったという面があります。 ということで、農家の判断ですから、自分の土地の状況を踏まえてお米を作って直接支払をもらった方がいいと思えばそうすればいいし、農地の条件などを踏まえてそれが割に合わないと思えば野菜を作る、ほかの作物を作るということができます。 ということですので、まとめますと、最後に国際的な比較なども申し上げましたけれども、国際的には、この直接支払によって農家は支援しますと、ただ、何を作るかの決定は農家に委ねるというところが国際的な潮流でありますので、所得補償というのは、その国際的な潮流に合っているということと市場原理を生かすという経済原則に合っているという意味で、私はそれがいいんじゃないかというふうに申し上げているところです。 以上です。
○小沼巧君 ありがとうございます。 実は、直接支払についても衆議院の予算委員会で議論がありました。二月の二十七日の予算委員会第六分科会の方なんですが、財務省の副大臣が直接支払についてこのように答弁しています。質問の内容は、戸別所得補償制度を入れるべきだということ、そして、それを米だけじゃなくて野菜とか果物といったことにも拡大していくべきなんじゃないのと、こういう質問に対して財務省の答弁はこういうことでございます。 畑作物の直接支払交付金、主食用米から他作物への作付け転換を、作付け転換の取組を支援する水田活用の直接支払交付金、そして中山間地域等直接支払交付金などの日本型直接支払といったものをやっているということ、また、収入が減少した場合にはセーフティーネット対策としてナラシ対策や収入保険といった制度を設けているということでございまして、政府としても直接支払という単語自体は言っているというところでございます。 他方で、本日、作山公述人がおっしゃっていただいた、直接支払ということをおっしゃっているからこそ、恐らく、政府が言っているないしは定義する直接支払という考え方と作山公述人が御提案なさる直接支払の中ではどうやら何かしらの違い、差異があるのではないかなと思っております。 したがいまして、このような政府の直接支払に対する現行の政策と、それに対する作山公述人の考え方について御意見をお聞かせいただければと思います。
○公述人(作山巧君) 御質問ありがとうございました。 今の御質問は、まさに、今日私が公述させていただいたときの配付資料の十四ページにまさに関わるところでございます。 結論的に申し上げますと、多分、財務省の答弁で言っている直接支払の範囲と私が言っているところの範囲はほとんど不一致はないと思うんです。というのは、十四ページを御覧いただきますと、日本の直接支払額は二〇二〇年では〇・九兆円だから九千億円ですよね、という数字が出ていますので、今、小沼議員がおっしゃったものを全部足すと大体こういう金額になると思います。 ただ、次はその認識の不一致があるところですが、財務省は当然、直接支払というのは納税者が負担するもので、財源を見付けなきゃいけませんので、やっぱり本能的に否定的な態度になるわけですよね。誰かが財源を見付けてくれればいいわけですけど、なかなかそういうことにはならないわけで。 ということで、私がその中山間直接支払に従事したときもそうですけれども、やっぱり納税者負担の新たな直接支払政策は非常に財務省的な視点では抵抗があるわけですけれども、今日申し上げましたけど、国際的な視点から見ると日本はまだまだ少ないということが言えるわけですね。実際、日本の農業保護額は、ここで示しましたけど、二・五兆円ぐらい減っているわけですから、その分消費者も利益を得ているわけですね。 それに対して海外では、まあ国の規模、農地の規模が違いますけれども、で、ユーロ表示やドル表示ですからちょっと分かりにくいかもしれませんけど、EUでいうと直接支払だけで十兆円以上の支出があるんですね。これ、まあ国の規模が二十七か国もありますので直接は比べられないと思いますけど、アメリカ、EUではもうそういうのが主体だということですので、少しぐらいはそちらの方を参考に政策を変えていってもいいのではないかという主張でございます。
○小沼巧君 ありがとうございました。よく分かりました。 続いて、遠藤公述人にお伺いしたいと思います。 人口減少、少子高齢化の現状についてデータを用いて非常に危機的な状況であるということをお示しいただきまして、改めて非常に危機的な状況だなという危機感、私も共有いたしました。また、前回のこども未来戦略などにも携わっていただいているというところからの御提言もいただいたところでございます。ありがとうございます。 そこで、端的にお伺いしたいのは、現在は令和六年度の当初予算案の審議中でございまして、公述人の方から、定性的なところ、こういった要素が含まれているんだからということの肯定的な評価を受けたところでございます。いろんな制度ですね、子供支援制度とか人口減少対策とか。 そういった中で、その定性的な意味と定量的な意味それぞれに聞いてみたいと思うんですが、公述人の今までの議論をしてきたお立場から見たときに、今回の令和六年度当初予算案、例えば抜け漏れとかがあったりするものなのか、こういったところについての支援が弱い、このような課題認識が定性的な意味でおありなのかどうなのかということが一つ。 併せてでございますが、定性的なものは満たされていると仮にした場合に、定量的な意味で予算の支援額として十分と、必要十分と言えるものなのかどうなのか、この点についての公述人の御意見をお聞かせください。
○公述人(遠藤久夫君) ありがとうございます。 大変難しい御指摘だと思います。これは、一言で申し上げますと、明確なお答えができないというふうなのが回答かと思います。 それはなぜかといいますと、私、冒頭申し上げましたように、この効果というのがはっきりと分からないところが多いんです。まして、その結婚をするかとか子供を産むかということですから、経済と、いわゆる所得との関係などはある程度分かるのですけれども、それぞれの細かいところがどう影響しているのか、場合によってはネガティブに影響しているものもあるかもしれない。その辺のところが分からないので、恐らくは、今回はこれまでやってきた子育て支援を更に強化をするということをやっているわけですけれども、今後、この検証をしていきながら、どういうのが適切なのかというようなことをしていく。このために、多少この大盤振る舞いといいますか、多様な方向からアプローチをしているというふうに思いますけど、それが今後どうなっていくのか、十分な検討をすることによってそこら辺のお答えになるんではないかなというふうに思っております。 以上でございます。
○小沼巧君 終わります。ありがとうございました。
○河野義博君 公明党の河野義博です。 両先生、今日は、お忙しい中御足労いただきまして、本当にありがとうございます。急なお願いにもかかわらず、快く御対応いただきました。本当に感謝と御礼を申し上げたいと思います。 早速ですが、遠藤公述人から質問させていただきたいと思います。 今日は、子育て政策の重要性について御所見を賜りました。 私ども公明党は、子供の幸せを最優先にする社会をつくるんだということで、結党以来、教科書無償配付や児童手当の創設など、政策を実現する後押しを力強く進めてまいりました。二〇〇六年には少子社会トータルプランを策定をいたしました。幼児教育、保育の無償化や働き方改革の推進など、着実にこれを具現化してきたという自負を持っております。さらに、二〇二三年三月、昨年三月には、結婚、妊娠、出産、そして子供が大学で学び終えるまで切れ目なく支援していこうということで、子育て応援トータルプランを公明党として作成をいたしまして、岸田総理大臣にお届けしたところでございます。 この公明党のトータルプランをモデルとして、今回、政府のこども未来戦略の加速化、これを私ども後押しをできたんではないかなというふうに思ってございます。何をやればいいという答えは単純なものではありませんので、切れ目なく推進していくということで様々な施策を盛り込ませていただきましたが、これまでの取組を含めて、先生の公明党に対するこの子育て施策の評価をお聞かせいただけたらというふうに思います。
○公述人(遠藤久夫君) ありがとうございます。 申し訳ございません、公明党さんが出している子育てプランというものを直接評価させていただいたことはないものですから正確なコメントは出せないと思うんですけれども、恐らくここに書いてある内容と非常にオーバーラップをするというふうに理解をさせて、ここに書いてあるというのは、今回の加速化プラン等々にあるものと関連が高いものだというふうに理解しておりますが、これは、したがって、どうすれば子育てが進む、失礼、子供がたくさん生まれるのかということはなかなか難しいのですけれども、これまで重要だと思われていた事柄について、網羅的かつ、これまで予算の不足していたものに力を入れるという流れで進んでおるわけなので、それは非常に、今の状態であれば、とても子育て、子供を産むということに対する加速をさせる展開だったなというふうに私は理解しております。 申し訳ありません、公明党さんが出されているプランについて十分な知識がなくて恐縮でございますけれども、そのようなコメントさせていただきたいと思います。
○河野義博君 ありがとうございました。 その上で、今回、予算委員会でも議論になっておりますが、財源論であります。 二〇三〇年までにしっかり推進を進めていく中で、どうしても財源が必要になる。その中で、政府案としては、社会保障の増加を抑制する、そこで財源として使わせていただく、したがいまして負担増はありませんという説明を申し上げておるわけでありまして、私は極めて真っ当な方針だなと思いますし、増税や社会保険料の増加ということではなくて、既存で、既存の御負担を増やさないことで賄うという、歳出改革によって賄うということで、私は非常に評価できる内容だと思いますが、遠藤先生から見て、今回の財源論、どのようにお感じになられますでしょうか。
○公述人(遠藤久夫君) ありがとうございます。 もちろんこの歳出改革等々は不断にやらなければいけないことでありますので、それの効率化による原資を充てるということを明言をしているわけでありますので、その考え方というのは私は適切な考え方だというふうに理解しております。 ただ、そのときにいろいろと懸念をされる方々もおられるわけでありまして、まさに子育てのために必要な歳出が抑えられてしまうんではないか、例えば高齢者医療費とかですね、そういうようなことを懸念する方々もおられるということでありますので、いや、それはそういうことではないのだということをもう少し政府がきっちりと説明をする必要があると私は思います。 当然のことながら、それではどこから持ってくるんだというような話になったときにそこら辺が不明瞭であるということは余りよろしくないと思いますので、より適切な説明をするべきだというふうに思っています。 したがって、負担の在り方については今の考え方で、この考え方では私も同意をいたしたいというふうに思っております。 以上です。
○河野義博君 示唆に富むアドバイスを頂戴できたと思います。ありがとうございました。 次に、作山公述人に伺います。ありがとうございました。 私も四年前に農林水産省で大臣政務官させていただきまして、本当に現場の御苦労や、それから生産者さんの御苦労や、また官僚の方の悩み、そういったものを共有させていただくことができまして、どういう姿を求めるべきかと。答えはありませんけれども、この検討を不断にしていくということは大事なんだろうというふうに学ばせていただきました。その中で、戸別補償制度の重要性、これ分かりやすく解説をしていただきまして、本当に感謝を申し上げます。 ちょっと一部重複するかもしれませんが、改めてその財源論と対象のところをお伺いしたいと思いますが、この累進課税を財源としてということであります。 御案内のとおり、農林水産省の予算、補正予算を入れて大体三兆円であります。プロダクト、アウトプットでいうと農林水産品約十二兆円、十三兆円の間の農林水産品の産出額であります。一方で、生産農業所得はまあ大体三兆円という形で収まっているんですけれども、一方で食品産業や加工、物流まで含めますと、百八兆円の産業を担っている農林水産省の行政であります。私は、プロダクトとしての十二兆円と産業全体の百八兆円のこのギャップ、ここに私は一つの解を見出したいなというふうに思ってこれまで仕事させていただきました。 今日御案内いただいた直接支払によって効果を得ると。トリレンマを解消する策、大きな武器になることは間違いないと先生の御主張で確信をいたしましたけれども、財源論を改めて御説明いただくとともに、対象地域、どこまでやるのか。米、確かにその米だけ作っていても赤字だというのはまあ合ってはいるんですが、大規模にやっていれば、二十町やれていればそこそこの米農家でありまして、そこに裏作もできればまあ大丈夫だろうと。 一方で、条件不利地や中山間地域、また地域のコミュニティーを守っていかなければならないところには直接支払というのは非常に有効かつ効果的だと思うんですが、対象範囲をどのようなところまで考えておられるのか、併せて教えてください。
○公述人(作山巧君) 御質問ありがとうございました。 直接支払をもしやる場合の財源の対象範囲という御質問と認識をいたしました。私、今日、戸別所得補償を例示しましたけれども、まあこれは日本でやった、直接所得補償と名を打ってやった唯一の例なのでそれを挙げたわけですけれども、直接支払というのはそれに限られるわけではないということですね。農家に直接支援すればそういうことになるわけですので。それで、その財源については、先ほど申し上げましたように、格差是正と組み合わせるということになると、やはり累進課税のものを充てざるを得ないだろうということは先ほど申し上げたとおりです。 私が今までいろいろ研究成果や発表した論文などを引用させていただきますと、やはりどれぐらいのスケールか、どれだけの財源かというのがイメージが湧かないといけないと思いますので、例えば民主党政権が行ったのは対象が米だけだったわけですので、財源も人の評価にはよりますけどそれほど大きくはなかったんですけれども、例えば今この時点で全ての農地に対して十アール当たり一万円という支払にすると、必要な予算額は大体四千三百三十億円になりますね。単価を二万円にすると八千億円ぐらいということになります。ですから、財源の規模はそれぐらいで、消費税収入に直すと大体一兆円が消費税の〇・五%だそうですけど、別に消費税を上げろと言っているわけじゃないんですけれども、財源の規模はそれぐらいです。 その上で、大規模だったら大丈夫じゃないかというのは、まあおっしゃるとおりなんですけれども、ただ、今問題になっているのは、大規模な人は非常に少なくなっていまして、それでは農地は全然守り切れないと。今、食料安保ということが今回の基本法の見直しでも言われているわけですけれども、私の主眼というのは、大規模じゃない方の農地をいかに守っていくかということでその直接支払が有効なのではないかということを申し上げているということです。 ですので、条件不利な方を含めて守るということになると、やはり対象は全ての農地ということになりまして、予算の規模としては申し上げたような規模になるということかと思います。
○河野義博君 私、民間企業で十一年勤めてこの世界に入りました。農林水産省に入ったときに、やっぱりいろんな制度である意味守られているなという面も勉強させていただく中で、やっぱり条件がいいところでやっている方にはもっともっと頑張っていただいて、努力が報われるような農林水産業であるべきですし、そうでない条件不利地や小規模なところでやっているところには、先生、今まさに教えていただいたような個別の取組というのが必要なんだろうなというふうに今勉強をさせていただいているところであります。 今日は、両公述人の先生方、大変貴重なお時間を割いていただきまして、御所見お述べいただきました。本当にありがとうございました。
○東徹君 日本維新の会の東徹でございます。 今日は、公述人のお二人の方、お越しいただきまして、本当にありがとうございます。 早速質問させていただきたいと思います。 まず、遠藤公述人の方に御質問をさせていただきたいと思います。 私、この少子化問題、少子高齢化、人口減少、こういった問題は本当に政治の怠慢だというふうに思っておりまして、これは与党だけではなく野党も含めてですね、私はもう政治の怠慢だというふうに思っております。これはもう三十年以上前から分かっていたことに対して抜本的な対策を打ってこなかったということであります。 まずお聞きしたいと思いますが、遠藤公述人からいただいたこの資料の中の六ページに、五十歳時の未婚割合の上昇ということで、男性が特に二八・三、そして女性が一七・八ということで、男性の方が高い。これは本当に、できるだけ結婚してもらうような施策というものが非常に大事だと思うんですけれども、これについて何かお考えがあればお聞かせいただければと思います。
○公述人(遠藤久夫君) ありがとうございます。 もう非常に難しい課題だと思います。まさに特効薬がないというのはそこだと思うんですけれども、ただ、これまでの様々な調査等々で、婚姻率と経済状況との関係が高いということはある程度分かっておるわけですので、基本は、これを言ってしまうと政策でも何でもないかもしれませんが、経済がどんどん成長するということが一番の効果があるわけでありますけれども、それ以外に、やはりこれは、婚姻については、格差の是正であるとか、そういうことで正規、非正規労働の統一待遇というような問題とか、そういうようなところで経済政策である程度はできるかなという感じは持っております。 ただ、なかなかもっと実は複雑で、女性の社会進出をするということは、逆に言うと男性の経済力に頼らなくても生きていけるということでもあるわけでありますので、様々な複雑な要素が絡み合っている話ではあると思いますけれども、一般的には、様々な統計から、所得を引き上げると、若い人たちの所得を引き上げるということが有効なのではないかなということで、それ以外にもいろいろなことは考えられますけれども、一番重要なのはそこかなというふうに思います。 子供の数をどうする、増やしていくのかどうかというのはまたちょっと違う視点が必要なのかなというふうには思うわけですけれども、子育てのためのコストとか教育費とかいう問題もありましょうし、ですが、結婚についてはそういうことが第一義的に考えられるかなというふうに思っております。 以上です。
○東徹君 ありがとうございます。 今、若い人たちの所得を引き上げていく、これは非常に私も大事な観点だというふうに思います。思いますが、税とか社会保険料、こういったものを見たときに、特に若い人たちの占める割合というのはやっぱり高いというふうに思うわけですね。また、この社会保険料を見たときに、若い人たちのやっぱり社会保険料、この占める割合が、給与に占める割合がやっぱり高い。 ここをやっぱり変えていくべきではないのかというふうに考えるわけでありますが、ここをやっぱりできるだけ引き下げていくという、一方では、所得があり資産がある方には、特に高齢者の方なんかはある一定の負担をしていってもらう。こういった考え方が大事ではないかと思うんですが、その点についてはいかがですか。
○公述人(遠藤久夫君) 先ほど所得と申し上げましたのは可処分所得の意味でありますので、そういう意味では、そのような保険料等々の負担ということを軽減させるということは大変重要だと思います。 したがって、ただ、今のようにフローベースで保険料が決まっておりますから、どうしても働いている人たちからの負担が増えてしまうということになりますので、そこをどう調整していくのかということは大変重要な課題だというふうには思っております。 それから、結局、所得に応じてやるべきだと、をベースに置くべきだというようなことは大変重要なことだというふうに思っております。特に保険料の場合は逆進性という問題もございまして、上限が決まっておりますので。そういうことの調整などをしながら、若い人たちの負担が減るというようなことも検討していく必要はあるだろうなというふうには思っております。 以上です。
○東徹君 高齢者の方についてはいかがですか。高齢者の方についてはいかがですか。
○公述人(遠藤久夫君) 高齢者の負担も当然でありまして、ただし、これもやはり所得とか経済力に応じた負担というところが非常に重要になります。特に、高齢者は経済力や健康水準の格差は非常に大きいので、これ一律にやるということに対しては非常に課題を持っております。 と同時に、実は医療費を見たときに、確かに高齢者の医療費は若い人たちの医療費よりも国民医療費ベースで見れば増えているんですけれども、一人当たりで見ると高齢者の医療費は若い人たちの一人当たり医療費よりも伸び率はぐっと少ないんです。つまり、余り増えていないんです、一人当たりは。ただし、人数がどんどん増えますから、医療費ベースでは高齢者の医療費は増えているんですけれども、一人当たりの医療費というのは抑えられているんですね。 そういうようなことで、高齢者医療費ってもう野方図になっているわけではなくて、かなりいろいろなことが行われているという実態もあるわけでありますね、これは給付の段階の話になりますけれども。 そういうことも踏まえながら、しかも高齢者の場合は格差が大きい、健康格差と経済力の格差が大きいという中で、負担を増やすという場合でも非常にきめ細かくエビデンスベースで議論をしていく必要があるだろうなというふうには思っております。
○東徹君 ありがとうございます。 その医療費の問題で一点気になるところがありまして、生活保護の問題であります。 生活保護者は、今、これまたコロナもあってまた数が増えてきているということで、生活保護費のうちのやっぱり半分は医療費であるという問題が一つあります。また一方では、医療費はもう全くの無料でございますから、頻回受診という問題もあります。この生活保護の方に、たとえ五十円でも百円でも実費負担をしていただくという考え方についてはいかがでしょうか。
○公述人(遠藤久夫君) 具体的に自己負担を増やすかどうかということを厳密に研究したことはありませんけれども、当然あり得る話だというふうに思ってはおります。 かつて、生活保護の方の医療費についてはジェネリックを原則使うというようなことが議論されて、当初はいろいろ反対意見もあったようですけれども、今基本的にはその方向になっているということもありますので、そのように、医療、クオリティーは下げないような形で、ある種の医療に制約というのはおかしいですけれども、何らかの医療費の増嵩を抑えるということが、自己負担がない分だけ非常に頻回受診が起きますので、そういうようなことは入れる必要があると思います。頻回受診を抑えるという意味では、自己負担ということも十分考えられる話だというふうに私は思います。 以上です。
○東徹君 ジェネリック医薬品のお話が出ましたので、やっぱり、製薬会社についてなんですけれども、日本はまた、これ製薬会社の数が非常に多い。また、小さい製薬会社が多いという問題があります。 こういった製薬会社、再編統合していくことも必要ではないのかというふうに思いますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
○公述人(遠藤久夫君) まさしくそのとおりで、最近起きましたジェネリックメーカーの不祥事に端を発するところの薬剤の供給不足という問題が起きたわけでありますけれども、そういう中で、これだけが原因ではないかもしれませんけれども、やはり中小の、御指摘のとおり、中小の企業がいろいろなルール違反をしたということもあります。それから、諸外国ではかなり大きなジェネリックメーカーもあるということで、業界の再編成ということは当然必要だというふうに思っておりますし、今、そのような形の議論も検討会などが起きて進んでいるというふうに私は理解しております。なかなか、業界再編成というのは言うはやすしで、なかなか難しいわけでありまして、本人たちはそうそう統合したくないというときも多いわけなんですけれども、それは非常に必要だと思います。 国はジェネリックの使用ということを物すごく積極的にやって様々な方法で進ませたわけですけれども、それに対して適切にメーカーが付いてくると思ったらば、実は小さな企業などが十分それに、フォローの数はあったわけですけれども、適切に対応していないところが出てきてこういう問題が起きたわけでありますので、問題点明らかになったので、提供体制についても、つまりメーカーの産業についても様々な形の改革が今求められているし、進みつつあるというふうに理解しております。 以上です。
○東徹君 時間がなくなってきましたので、作山公述人にも一点御質問させていただきたいと思います。 野菜の生産とか、長引く肥料とか重油高、こういったものでコストが上がってきたと、こういったことにコスト転換できずに離農していく農家も多いというふうな問題があります。農業資材をできるだけ国産で賄うようにするということが大事だというふうに思いますが、どうやってその国産で賄えるようにしていくのかとか、例えばまた重油の問題、こういった問題をどういうふうに解消していったらいいのかとか、また、これ重油であれば脱炭素化社会においてもちょっとどうなのかということもあると思いますが、この点について何か御意見があればお聞かせいただければと思います。
○公述人(作山巧君) 御質問ありがとうございます。 時間が少ないようですから簡潔にお答えしたいと思いますけれども、おっしゃるとおり、生産資材を国産にするというのは非常に大事なことだと思います。ただ、実際は、その肥料の原料というのはリンの鉱石とか、あるところにしかないというものが多いものですから、なかなか難しい面が正直多いと思うんですね。 ですので、そういう意味で、今例えばやられている取組を一つ御紹介しますと、下水の汚泥からリンを回収するというような取組がありまして、今東京都がやっているようですけれども、実は今、今までは生産資材が安かったものですから海外から大量に輸入して、それを一回使ったら垂れ流してしまっているのが非常に多いんですね。ですので、そのリンを回収するとか、あと肥料であれば、化学肥料ではなくて堆肥を使うとか、それもコンパクトに集約して使いやすいような堆肥というのもありますので、ちょっと時間は掛かりますけど、そういうのを取り組んでいくというのが一案かと思います。
○東徹君 どうもありがとうございました。
○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみと申します。 今日は、お二人の公述人の皆様、いろいろと御説明、御示唆いただきまして、ありがとうございます。 まず、遠藤公述人の方からお伺いをしたいというふうに思います。 今日、いろいろ事前に私も、公述人が書かれた資料だったりとか、あと、審議会も様々出られているので、どの分野のお話をされるのかなというふうに思いながら来たんですけれども、最後、こども未来戦略のところから子育て支援金制度の話のところをお話しいただいたので、ちょっとその点について、私、かねがね疑問に思っていたことがあるので、それをお伺いしたいというふうに思っているんです。 制度自体というよりも、この国会、年末から、国会に始まっていろんな議論があったり世の中の報道がある中で、公述人からは、この今回の支援金制度、医療保険の仕組みを使って集めていくということに対しての一定の合理性ということを御説明いただきました。 会議の中ではそういう議論があったのも私も承知しているんですけれども、この三か月、四か月の間に、この合理性があるはずなのに、ここまで議論が紛糾してしまって、正直、世論的には理解がされづらいというような意見が多く出始めているというところ、また、一人当たりの金額だけに焦点が当たっているような議論が出てき始めているという、こういう今の状態に対して、じゃ、全世代で私たちのこの日本の未来を託していきたい、つないでいきたい、子供たちを育てていくためのこの議論を本筋に戻していこうと思ったときにどういうことが必要なのかということを今日是非聞きたいなって先ほどお話聞いて思ったのでお願いいたします。
○公述人(遠藤久夫君) ありがとうございます。 医療保険制度の枠組みを使って支援金の原資を調達していくという枠組みなわけでありますけれども、これは、このために全く新しい仕組みをつくるというのはそれなりにやはり社会的なコストも掛かるわけであります。 保険料ということを財源にするということでありますと、幾つか保険の仕組みはあるわけなのですけれども、医療保険というのはそういう意味では全ての国民がそれに入っているということで、介護保険の場合はやはりある年齢層以下の人は保険料を納めていないということもありますし、そういう問題もあるので、医療保険という仕組みが一番適切なのではないかということで選ばれたんだというふうに理解しております。 と同時に、先ほども議論もありましたけれども、医療保障というのは、やはり少子高齢化による影響というのは非常に受けるわけであります。今回、別に医療保険をそのまま使うという話ではありませんけれども、医療保険というものは、まさに少子化が進むと非常にその制度の維持が困難になりますから、そういう意味でも医療保険の枠組みを使うということにある種の親和性があるんだろうというふうなことになるということで、社会保険の枠組みの中で考えるのであれば、医療保険というのが、多くの人が支えて、なおかつ医療保険財政そのものにも長期的にはむしろプラスの影響を与えるということで使われたと、こういうふうな理解はしているわけですけれども、その辺のところが余り説明されているのかどうかというのは非常に、ちょっと疑問なところはあるというところは正直なところです。
○田村まみ君 そうですね、制度の仕組みだったり金額ばかりが前に出ていて、根底のところの制度、制度の考え方というところが政府から、説明をしているというふうにおっしゃっているんですけれども、国民からは説明を受けているというように受け止められない説明が続いているからじゃないかなというふうに今の話を聞きながら私自身感じましたので、今後の予算委員会でもそれぞれの委員会でも、このそもそもこれがなぜ行われるのかということとか、その合理性というところをもう少し政府に説明を求めていかなければいけないなというふうに思いました。 そして、もう一つなんですけれども、私自身、医療保険の制度に今触れていただいたので、そこに焦点絞りたいと思うんですけれども、正直、高齢化が進んでいく中で、医療費自体が縮小していくということはあり得ないというふうに考えています。そうなったときに、この医療保険の持続可能性を考えるときの幾つか方策はもう既に出てはいるんですけれども、私はやはり医療提供体制の整備、ここしかないというふうに思っています。 医療人材だって限られているというふうに思っています。費用は保険料上げるとか何とか削減するとかという適用範囲で決めれるんですけど、提供体制についての、一番これが改革が進まないネック、これは何なのかというところを教えていただきたいと思います。
○公述人(遠藤久夫君) ありがとうございます。 まさにその提供体制をどうするかということは非常に重要なわけであります。これは、医療保険制度、医療提供体制の存続の維持のためにも非常に重要なんですが、一番重要なことは、まあ一番というか幾つもあるのですけれども、一番大きいのは、先ほど申し上げましたように、各地域が高齢化と人口減少がミックスした形でそれぞれ大きな変化が起きております。 つまり、医療需要も大きく変わってくるということでありますので、それに合わせて提供体制も変えていかなければならないということで、病院のベッドの機能と病床については、これまでも随分と議論はされてきたのですけれども、なかなか実行がどこまで進んでいるか微妙なところですけれども、地域医療構想という枠組みでありますね。 もう一つは、今度は、マンパワーの方の地域的なアロケーションの問題で、これは医師の地域偏在というような枠組みの議論がされているわけですけれども、その辺のところを適切に需要とマッチするような形の調整を行っていくということが全体を効率化させていく上で非常に重要なところだと思います。ほかにもいろいろありましょうけど、まずそこがイの一番かなと、そのように考えます。
○田村まみ君 それを変えていこうという動きがあるはずなのに動かないという一番の理由を探していきたいと思いますし、ここは私、国会で議論していきたいなというふうに思っています。ありがとうございます。 続きまして、作山公述人にお伺いしたいというふうに思います。 今日、御説明ありがとうございます。今日この資料で御説明いただく中で、今回の国会に提出されている法案の中での話でお話しいただいたんですけれども、生産基盤の強化と、今国民の生活の状況が変わっているという中で、低所得者対策みたいなことが少し弱いんじゃないかというような御指摘もあったんですけど、ちょっと私、全然違う視点で、価格形成のところでお話ししたいと思います。 もちろん、ここが主題じゃないということは今日のお話聞いて分かってはいるんですけれども、とはいえ、議論が進んでいくという中であったりとか、この法案議論するときに、国内において食料の入手に困難に、困る人たちが増大しているというような課題提起があったり、一方で、その価格形成のところで、私、実はスーパーマーケットでずっと豆腐並べたり働いていたんですけれども、大手のスーパーが農家をいじめているんじゃないかというようなことを結構批判としていただいているんですが、現実的には、スーパーマーケットの経営指標の利益率なんかも本当に二%を切るとかそういうようなところの状態で、正直そんなに利益率も高くないというような実態も解明される中で、今回価格形成の話が議論され始めました。 もう一つ、この四月から、実は食品スーパーマーケットという業種が日本の標準産業分類で改定されて、きちっと個別で特出しされて数字も見えるようになったということで、私は、この食料安全保障の定義もされていくんですけれども、されていますけれども、この安定供給と適正な価格の形成において、この日本の市場であったり、卸売業であったり、小売業、食品スーパーマーケットなどの役割と課題と、この課題があるならば、改革の方向性がもしお示しいただけるのであれば教えていただきたいなというふうに思います。
○公述人(作山巧君) 御質問ありがとうございます。 非常に大きなお話で、私の能力で多分全部答えるのは難しいと思いますけれども、非常に大事なのは、おっしゃるとおりで、日本でスーパーが生産者をいじめてもうけているということは全くないと思います。これは、ヨーロッパなんかでは非常に大きな問題になっていまして、非常に寡占が進んでいまして、価格決定権がもう全て小売業に移ってしまっていて非常に困っているという話があるんですけれども、これは、今回のその食料・農業・農村基本法を検討した検証部会の答申にも書いてありますけど、日本の場合は、その全てが低価格均衡に陥ってしまっていて、生産者の方ももうかっていない、小売業の方ももうかっていない、スーパーの方ももうかっていない、まあデフレの要素が非常に大きいと思いますけど、そういうことが書いてあるので、そういう認識については私は特に異存はございません。 その上で、ということからすると、そういうデフレ均衡も含めた低価格均衡から抜け出なければいけないということがあるわけですよね。その方策として、今日私が申し上げた直接支払ということを申し上げたわけです。 というのは、繰り返しになるので細かいことは言いませんけれども、生産者の価格は上がって消費者の価格は下がるわけですから、当然スーパーの売上げも増えるわけですよねという、そのスーパーも含めてメリットがある方策なので、デフレ脱却ももちろん必要ですけれども、それに比べたら、より即効性がある、スーパーの業界も含めてメリットがある政策として御提案申し上げました。
○田村まみ君 ありがとうございます。なかなかこの所得の戸別補償の話だと、小売のところにどういう影響があるかというのが伝わりづらいというふうに思っていたので、御説明いただきましたので、ありがとうございます。 もう一点、この制度を入れていこうと思ったときに、もう一つ国民の世論として出てきそうな心配事が、クロヨンの問題であったりとかトーゴーサンピンの問題ではないでしょうか。 やはりその経費というところの考え方が、経営効率とかいうような視点で様々今改革はされていると思うんですけれども、価格上昇で輸入の資材が上がっているのは分かるんですけど、その経営効率を上げていくというところの指標の作り方とか、その辺りがやっぱり特に小さな農家の方たち、示すのが難しいと思っているんですけど、そこの解消について何らかのお考えがあれば教えていただきたいと思います。
○公述人(作山巧君) ありがとうございます。 今御指摘の点について言いますと、政府が進めようとしているのは価格転嫁を進めましょうということですから、そうなると、その自分のコストを把握していないと取引業者に対してコストはこれだけ上がりましたよと、だから上げてくださいというのは言えないので、そこをちゃんと作りましょうということですけれども、私はなかなか難しいと思っています。 というのは、細かくそのコストを把握できるかという問題もありますし、そのコストの中にはいろいろなその秘密の情報も入っていたりしますし、それを聞いたからといって相手が言うことを聞いてくれるわけではないので、そういう意味で、私の提案というのは、それがなかなか難しい小規模農家の方もその対象とできる政策として提案させていただいているということでございます。
○田村まみ君 終わります。ありがとうございました。
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。 本日は、遠藤久夫公述人、そして作山巧公述人、本当にありがとうございます。 地方の経済や暮らしのことを考えるときに、やはり今日テーマになっている農業、地方、社会保障、これ本当に大事な役割だと思っていまして、日頃はこの都会で仕事をして暮らしていても出身は地方だったりということがあると思いますし、私自身も北海道が出身なんですけど、日頃からやっぱり一次産業がいかに地域経済の土台として大事な役割かということを実感します。それから、安心して暮らせるということでいうと、医療や介護や年金などの社会保障がすごく大事な位置を占めているというふうに痛感しています。 それで、最初に作山公述人からお聞きしたいと思うんですけれども、最初にあった予算の取り方の問題で、当初予算じゃなくて補正の方がずっと占める割合が多くなっていて、しかも恒常化しているという問題は私も全く同感で、本来だったらちゃんと当初予算にもっと増やすべきだというのが考え方であります。 それで、今度の国会では、食料・農業・農村基本法の見直しについても議論されていくことになるんですけれども、一九九五年に、ウルグアイ・ラウンドで農業交渉、WTO農業協定が結ばれて三十年に間もなくなろうとしています。なかなか、途中、新たな交渉が進まないという中で、FTAであったりEPAであったり日米の二国間だったり、それから環太平洋経済連携協定なども進められてきたわけなんですけど、関税率を下げていって最後はなくしていくということで、WTO協定よりもむしろ高い水準でそういう自由化のことが進められてきたと思うんです。 それで、そういうのを、日本も国境措置を受け入れてきたということなんですけれども、これらが日本農業にどういう影響を与えてきているのかということで、公述人の御意見を伺いたいと思います。
○公述人(作山巧君) 御質問ありがとうございます。 今の御質問、つまり、WTOやそれから自由貿易協定など、貿易自由化の日本農業への影響ということだと思いますけれども、そこは今回の私の資料でもカバーしているところでして、例えば十四ページの資料を改めて御覧いただきますと、日本の農業の支援額というのが、一九八七年は六・五兆円、二〇二〇年は四兆円なので、二・五兆円減っているというデータを示してございます。 実は、まさにこれが関税などの削減の効果も入っておりまして、それはどういうことかと申しますと、十四ページのその下に内訳がありますけれども、価格支持と直接支払というのが書いてあって、直接支払は政府が直接お金を払うものですけれども、この価格支持というのが、まさに関税を掛けますと輸入品の値段が上がって内外価格差が生じます。それに生産量を掛けたものがまさにこの価格支持なんですね。ですから、この二・五兆円減っているののほとんどはこの価格支持が減ったもので、それは要するに関税を下げたものですから、内外価格差が少なくなってその間接的な農業の支援額が減ったという効果がここに表れているということです。 ということで、数字を、こういう細かい数字を離れましても、基本的には輸入品がどんどん安くなって入ってくるという状況になっていまして、それは今の価格転嫁にも関係するんですけれども、要するに輸入品が、まあ野菜なんか典型ですけど、無関税で入ってくるものですから、国内のコストが上がりますよね。すると、簡単に中国やアメリカからその代替になる野菜をすぐ輸入できるわけですから、価格転嫁が進まない一因というのは貿易自由化も一因になっているという構図だと思います。
○紙智子君 国内、国際相場の不安定化もこのところあるんですけれども、総じて低価格の農産物の輸入が増えて国内の農産物の価格を引き下げることになって、農家の経営に一定の打撃与えてきたというふうに思うんですよね。 先月、フランスの国民議会の野党の議員の方が来日した際にお話しする機会があったんですけれども、フランスでも新自由主義の振興の下でフランスの農家が苦境に陥って食べていけなくなっているという話を聞きました。それで、そういう中で、農業者と消費者の共通の利益というのはやっぱり安全な食料を生産することになると。そこの観点からやっぱり農業を守っていく政策が必要なんだという話をされて、私も、日本も共通するところがあるというふうに思ったわけです。 作山公述人は、今度出されてくる農業基本法について別の資料で言われていましたけれども、農業生産基盤の強化策がないんじゃないかと、それから、効率的かつ安定的な農業経営に固執して農業者や農地の減少を止められなかった反省がないんじゃないかというようなことを指摘されているんですけれども、そのことについてちょっと端的に、もうちょっとどういうことかということをお話しいただきたいと思います。
○公述人(作山巧君) 御質問ありがとうございます。 まず、今、紙議員、フランスの例を出されましたけれども、今日私が提案したような直接支払というのは、別に私の発明でも何でもなくて、むしろフランスを始めとしたヨーロッパ諸国が始めたもので、それが世界標準になっているという認識だと思います。 その上で、今おっしゃいました食料・農業・農村基本法の改正案についてですけれども、私の印象は、いろんな要請を受け入れようとして結局余り新しいことが言えなかったなということだろうと思います。例えば、大規模な農業を盛んにしていきましょうというのは、それはそれで正論ですし、価格も市場で決めて余り高くならないようにしましょうというのも正論なんですけれども、結局、それを全部一つのものに入れ込んでしまうと方向性がよく分からないというところが私の印象でございまして、その端的な問題が現れているのが、一方では、貧しい消費者が増えていますねと、もう一方では、生産コストが上がって農家が困っていますからどんどん価格転嫁をしましょうというところにその衝突、矛盾が端的に現れていると思っていまして、今回の答申には残念ながら出ていないんですけれども、それを解決する別な方策として、今日私が提言したようなことを申し上げているということでございます。
○紙智子君 もう一つお聞きしたいんですけれども、中山間地域直接支払をこの平地にもということで、この政策そのものは私は必要だったなというふうに思っているんですけれども、そこで、農村振興をどうするかということを考えると、現在の農業基本法は、農村について、農業者を含めた地域住民の生活の場で農業が営まれているということが、言ってみれば持続的な発展の基盤の役割を果たしているということなどを含めてずっと述べているんですけど。あと三十四条のところでも、地域の特性に応じた農業生産の基盤の整備と交通や情報通信や衛生、教育、文化などの環境の整備その他というようなことで、こういうことを推進するように必要な政策を講ずる必要があるんだというようなことも述べています。かなり網羅されて言っているんだなというように思うんですけれども。 それで、全国町村会が以前から言っているんですけど、農村価値創生交付金のような、これ仮称ですけれども、というようなものを提唱しているんですけれども、地域レベルで独自性を持ってそこを担う人に着目している新たな交付金的なものを考えたらどうかということなんですけど、これ、農村振興というところでいうとどう思われますかということ、一言お願いします。
○公述人(作山巧君) 御質問ありがとうございました。 今言及いただきました実は食料・農業・農村基本法の農村部分は、私が二十五年前に基本法の策定に関与したときに私は農村の担当でしたので、まさに私に責任の一端もあるかもしれませんけれども、正直余り書き込めていないというのがあると思います。というのは、なかなか、農水省は農業に関わることでないと政策ができないということがありますので、ちょっと狭く書いているというところがあると思いますので、そこをもうちょっと広げるところを期待したいと思います。 その上で、その全国町村会が提言されている交付金ですけれども、これは、私の同僚に小田切徳美先生という方がいらっしゃるんですけど、その方が元々提唱されているものでして、私は、やっぱり農村の多様性を考えるとそういう方向にしていくというのがいいだろうと思います。なかなか、要するに、国でやるとどうしても画一的になってしまいますので、今、実は交付金というのがもう既に少しはあるんですけれども、農水省の予算でも、そこを拡充していくというのが正しい方向だろうというふうに思っております。
○紙智子君 ありがとうございました。 最後に、遠藤公述人にお聞きします。 それで、いろいろ少子化の話を聞いて、人口減ということなども非常に深刻な状況が進んでいるということを改めて認識をしたところなんですけど、ちょっとそれも含めて、今、私、直面している問題として是非聞いておきたいと思ったんですけれども、北海道、私、出身ということを言いましたけれども、一つ一つの医療圏がすごく広いんですよね。すごく広いんですね。そこで医師、看護師不足というのは切実な問題で、つい最近も、ある町の話ですけど、病床数が百四十六床の病院の内科の医師が二〇二〇年に八名だったのが、二三年になると三名に減って、二五年四月になると二名になるんだと。それで、このまま行ったら通常の診療などできないということで、結局、残った医師に重圧が掛かって、長時間労働でいつまで続くのか不安を感じながら仕事をするという状況で、これ一つの町だけの話じゃなくて、管内全体を影響する病院なものですから、これなくなられたら大変だということで、今必死に医師確保に奔走しているということなんですよね。 四月から医師の働き方改革が始まるんですけれども、この地域医療を支えるために、医師の確保ということでいうとどうしたらいいのかというのは、これは本当に、ちょっと一言お願いしたいと思います。
○公述人(遠藤久夫君) ありがとうございます。 非常に直球の難しい課題なわけですけれども、医師偏在対策ということなわけですけれども、この医師偏在というのは、医療保険制度、医療提供体制、強制的に保険料を取っていながらそばに医療提供サービスがないということは、これは制度としておかしいわけなので、これは提供体制は公平にしなければいけない。 ただ、問題は、特に医師、医療者ですね。この人たちは、どこで働こうかというのは基本的人権ですから、それを強制配置するというようなことはこれまた憲法違反になってしまうということで、そのバランスをどうするかということで様々なことが言われてきて、やられてきているんですけれども、一番効果があるのは地域枠とかですね。要するに、卒業してから九年間はそこが指定するようなところで働くと、その代わり、試験は少し普通とは違う試験にする、入学試験ですね、大学の入学。それから、奨学金を与えるというようなことなわけですけれども、これについても様々な反論もあるんですけど、今のところはそれが一番有効ではあるということなわけです。 私は、さらに、例えばリタイアをしたドクターが少しトレーニングを受けて、そういうへき地みたいなところに行かれるというような仕組みをもっと制度的につくるとか、あるいは、今は、地方の大学を出て、すぐに卒業して国家資格を取れば、そのまま出身地である大都市に戻るというような流れがあるわけですけれども、それをやめるためには、一つは、そこの大学を出ればその地域でしか、初期研修というか臨床研修、二年間やらなきゃいけないんですけれども、その地、例えば北海道の学校、大学を出れば、北海道のどこかでやらなきゃいけないようなこと、事前にそういう仕組みをつくっておくのであるならば、承知で受けるわけですから、そんなような仕組みをつくるとか、そういうようなことを進めていくことが一つ一つ解決になるんだろうと。 もう一つは、特に北海道のように距離が遠いところは、それこそDXの利用であって、専門の医師がいなくても、テレメディスンですね、遠隔医療によって適切なアドバイスをしかるべく大学病院から得るとか、そういうようなことをやることによって医師不足をできるだけカバーしていく、そういうことの総動員をしていく必要があるんじゃないかな、そんなふうに考えます。 以上です。
○紙智子君 どうもありがとうございます。参考にしてまた取り組んでいきたいと思います。 ありがとうございました。
○大島九州男君 今日は、両公述人の皆さん、ありがとうございます。 早速質問に入らせていただきますが、まずは、れいわ新選組、党の考え方をお伺いしたいと思うんですが、れいわ新選組は、子ども手当を高校卒業まで所得制限なしの一律三万円支給することや、十八歳までの子供の医療費、学校給食費、保育料、学費、小学校の放課後対策事業の費用の全てを無償化すること、大学院までの教育費を無償化することなどにより、子育てが自己責任となっている現状からの転換を目指していますと。さらに、一人一人の育ちや学びの寄り添った保育、教育を実現するため、保育、教育現場の待遇と人員の大幅な増加も提案をしていますと。 こうした大胆で積極的な財政支援を行う支援策がなければ少子化の解決はできないというふうに考えているというところですが、遠藤公述人の御見解をお願いします。
○公述人(遠藤久夫君) ありがとうございます。 まさにそれだけパワーをそこに集中しなければなかなかこの問題は解決しないだろうと、まさしく私もそう思います。 ただし、そのための財源をどうするのかという問題をはっきりさせなければなかなか実行できないだろうということなので、そこをどうお考えになるかということだというふうに思いますね。
○大島九州男君 れいわ新選組は積極財政ということで、政府が金を出せという、そういう考え方なんですがね。 その財源ということで、先ほど介護保険の話がちらっと出ましたけど、介護保険を導入するときに、介護保険という名前で導入しますよね。そうすると、国民は、ああ、自分が何か年取ったときにそういう保険制度、火災保険、自動車保険というような感じで、そういういろんな手当てが受けられるということですんなり入ったと、こう私は思うんですよ。ところが、あれはちょっと、そういう医療費足りなくて徴税しなきゃいけないけど、税金上げるみたいなことを言うとちょっと反発があるから介護保険という名前を使ったんだろうというふうに個人的には認識しているんですけど、どうですか、遠藤公述人。
○公述人(遠藤久夫君) 西暦二〇〇〇年に導入された介護保険、介護保険といっても、実は介護サービスというよりも、医療費が増えていたので、それを削減するための手段ではなかったのかというようなことだと思います。 結論から言いますと、介護保険をつくったときの目的としては、要するに、病気でなくても長期入院するような、それで医療費を使っているような方たちをその介護保険にするという、そういうような社会的入院の是正ということも介護保険の設立の一つの目的ではありました。 ですから、そこはそういうことは目的として入れているわけなんですけれども、多くは基本的には介護の社会化であって、個々の家で介護をしていかなければいけなかった、要するに長男の嫁問題と言われていた介護地獄をできるだけ解消しようというところで入れられたと、それが目的の主たるところでありますので、医療費の削減という問題も、本来介護でいいようなところにもかかわらず、重装備の病院に長期入院していたという問題を是正しようという意味では、そういう側面はなかったとは言いませんけれども、それは従たる目的だったというふうに私は思っております。
○大島九州男君 社会保障はいろいろ時代とともに変化をしていかなければならないという部分があるというふうに認識をしておりますので。 次に、作山公述人、まさに、れいわ新選組では、世界の富裕層のための輸出拡大ではなく、国民を飢えさせないための国の安全保障としての農業政策を提案しており、食料自給率の当面の五〇%超えを目指しています。そのためには手厚い農業生産者支援が必要不可欠ですが、食料の確保や安全保障政策の核に位置付けられるアメリカやヨーロッパ各国に比べ、日本では生産者への支援が手薄となっており、特に価格保証、所得補償が不十分となっていると。 作山教授は全ての農地を対象とした直接支払の導入による所得補償を提唱されていますが、れいわ新選組でも、米国に行われている不足払い制度や収入補償制度を参考にしながら、農産物の目標価格を市場価格が下回った場合には差額を政府が補填する仕組みなど拡充すること、農産物の価格保証が国が行うことにより、農業従事者の所得引上げを行い、高齢化した農村に若い世代が就農していくことのできる食える農業にすることを提案していますが、こうした党の農業生産者支援政策について、作山公述人の御見解をお願いします。
○公述人(作山巧君) 御質問ありがとうございました。 端的に言うと、七割、八割ぐらいは共通しているんじゃないかなというのが私の印象でございます。まさにその直接支払というのは、今日、私の公述でも申し上げましたけど、ヨーロッパやアメリカではもう標準的な政策で、農業政策イコール直接支払と言っても過言ではないという形になっています。 それは、先ほど申し上げましたように、農家の所得も上がる、消費者の価格は下がると、市場の原理にも沿ったものという、経済的、経済学的な裏付けもあるという、いろんなメリットに沿っているからそういうものになっているというところはもう全く異存がないところだと思います。 ただ、社会保障とも関係するかもしれませんけど、やっぱり難しいのはその財源をどうするかという問題でございまして、やっぱり財源を確保しないとなかなか実施できないというところがありますので、私は、今日の公述では財源のところも含めてお話をさせていただきたいということです。 もう一つ、さっき七割、八割ぐらいは同意ですと申し上げたのは、食料自給率については私はちょっと違う考え方を持っていまして、要するに、農業の生産基盤を上げていくのは非常に重要なんですけれども、食料自給率というのは、今日議論になっています、二十五年前に食料・農業・農村基本法を作ったときにその目標設定をするというのが盛り込まれたわけですけれども、実際、その後、一ポイントも上がっていないんですね。四五%に上げるというのが政府の今の目標ですけれども、実際三八%ぐらいで、全く上がったことはありません。 その主な理由は、非常に簡単なことで、日本でお米の消費がどんどん減っているからということですね。米は国で、日本国内で一〇〇%自給できるわけですけれども、日本国民がそれを食べなくなって、輸入の飼料で育てているその食肉とか小麦とかパンとかそういうものを食べている以上、もう必然的に下がっていくわけなので、その農業の基盤の強化、直接支払、私は大賛成ですけれども、消費のことを考え、自給率というのはその消費分の国内生産ですから、消費のことも考えないと自給率が上がるということにはならない面があるということも同時に考える必要があると思います。
○大島九州男君 民主党時代の戸別所得補償、あるじゃないですか。農家の皆さんに聞くと、いや、それは非常に良かったという声ですよね。これがなかなか続いていかないという一つの理由に、私が考えるのは、やっぱり団体を通じてお金を配ると、そういう仕組みがずっとこの日本には根付いていると。当然、お金を配るところに力が集中するので、戸別所得補償をやると、そういうその団体の力がそがれるんだと。だから、そういった部分での抵抗が非常に大きかったんじゃないかというふうに思うんですが、そこら辺、作山さん、どう考えられますか。
○公述人(作山巧君) 今の御指摘は、非常に私は的を射た御指摘だと思います。 ただ、確かにいろんな農業補助金はJAなどの団体を通じたものが多くて、まさに米の集荷でいいますとJAは今でもかなりのシェアを持っているんですけれども、今の大島議員の御指摘というのは、どちらかというと団体を通じた政治的な意味合いというような色彩が強いように見受けられましたけれども、やっぱり直接支払のある意味人によってはデメリットというのは、市場の価格が下がるので、その市場価格に上乗せして仲介料を取っているような方については仲介料が下がってしまうと。だから、例えば生産側のその卸売業者、仲介者というのはJAですよね。消費者側というのもその米の卸売業者さんがいらっしゃるわけですよね。そういう方は市場価格プラス何%が自分の所得ですので、そこの人たちはやっぱり所得が減ってしまうということなので、まとめて言いますと、所得補償は非常に優れた仕組みなんですけれども、その仲介業者の方の手取りが減るという問題と財源を見付けなきゃいけないということがあるので、すぐに進むということにはなっていないというのはそういう背景があるのだろうと思います。
○大島九州男君 作山公述人、ありがとうございました。 じゃ、最後に遠藤公述人に、少子高齢化対策は、もう今、例えば子供に教育費だけを出すだけじゃ駄目なんだとか、それで結婚率を上げるためにいろんな町が婚活みたいないろいろやったじゃないですか、もうそういうのでも駄目なんだとかいう声を聞いたりするんですけど、今この時代に本当に一番有効なものは何だというふうに言われたら、どうお答えになりますか。
○公述人(遠藤久夫君) なかなか、先ほども類似のお話がありましたので、結婚については経済状況との関係ということが重要なので、雇用の仕組みであるとか全体の賃金とか、そういうようなものの改善というようなものは一定の効果はあるだろうというのが過去のデータから見ては言えるわけですが、それが特効薬かといえばそうとは言えないので、特効薬がないんです、この世界は。しかも、その関係がよく分からないというところがあるので、いろいろやってみながら検証していかざるを得ないというのがお答えかなというふうに思います。
○大島九州男君 ありがとうございます。 両公述人の御意見にもありました、財源をどうするかということが一番だということでありました。そういう意味では、れいわ新選組は積極財政ということで、それこそ総理が、国債は国民の借金じゃないんだと、その後、鈴木財務大臣が、いや、だけれども、その借金を返すためにみたいな答弁はおかしいじゃないかと。そのとおりで、他人の借金を我々が返すようなことじゃないわけですから、国民の借金じゃないと総理が言うんですから、国はそこら辺しっかり、国民に頼るんではなくて、しっかりとした経済政策の中で財源を生んで、少子高齢化対策やこういう農業政策をしっかりやっていただくことを期待して、終わります。
○委員長(櫻井充君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。 この際、公述人の方々に一言御礼申し上げます。 本日は、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。本当にどうもありがとうございました。(拍手) 午後二時に再開することとし、休憩いたします。 午後零時五十八分休憩 ─────・───── 午後二時開会
○委員長(櫻井充君) ただいまから予算委員会公聴会を再開いたします。 令和六年度総予算三案につきまして、休憩前に引き続き、公述人の方々から御意見をお伺いいたします。 この際、公述人の方々に一言御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 本日は、令和六年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 次に、会議の進め方について申し上げます。 まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、外交・安全保障について、公述人東京大学公共政策大学院客員教授高見澤將林君及び元陸上総隊司令官高田克樹君から順次御意見をお伺いいたします。 まず、高見澤公述人にお願いいたします。高見澤公述人、よろしくお願いいたします。
○公述人(高見澤將林君) ありがとうございます。高見澤です。本日は、貴重な機会をいただき、感謝申し上げます。 時間が限られておりますので、配付資料に従い、御説明させていただきます。 二ページを御覧ください。 本日は、安全保障環境の変化、戦略実施上の課題、総力安全保障に向けての取組について述べさせていただきます。 三ページ、資料一を御覧ください。 国際安全保障環境やその枠組みの変化についての私の捉え方をまとめてみました。 左側を御覧いただきますと、三つの変化が生じています。既存の国際システムの信認に対する疑念が生じ、さらには国際社会の相互依存関係が進んだ結果、それが逆利用された形でタブー破りが横行し、民主主義、人権よりも目の前の経済的利益と政権の安定が優先するという構図が強まりました。 これと並行して生じているのが、右に示すような三つの変化です。 まず、抑止をめぐる環境変化。軍事力というハード主体の米ロ二極構造から、情報社会化が進む中でソフト面を含む複雑な構造に変化しました。中国の核戦力の増強など多極化が進展する中で、グレーゾーン事態など対象の多様化に対するトータルな抑止構造の有効性が問われております。 第二は、力による現状変更です。抑止構造が変化する中で一旦破られてしまったルールを守らせるということは非常に難しい。国際システムの限界があらわになっております。 第三は、経済始めあらゆる分野におけるいわゆる安全保障化、セキュリタイゼーションの問題です。軍民融合であるとか総体的安全保障観、あるいは経済安全保障こそ国家安全保障のベースだというような認識が広がっていることが挙げられます。 こうした変化の中、多国間主義の危機が叫ばれ、様々なグローバルな課題が浮上しています。 中でも、資料中央に示すとおり、いわゆるグローバルサウスの関与、それから中国、ロシア、北朝鮮、イランの連携強化、こういった二つの要素にどういうふうに対応するかということが特に重要性を増しております。 では、どう対応するか。一言で申し上げれば、妙案はないということであります。あえて申し上げれば、資料の下に書いてございますような努力を積み重ねていくしかないと考えます。多層的、横断的、持続的な対話の実施、既存の枠組みや制度のアップデート、それから戦略でも言っておりますいわゆる新たな均衡の形成による力とバランスの維持ということではないかと思います。 四ページ、資料二を御覧いただきたいと思います。 これは、特に民主主義国に見られる五つの共通的現象や症状、さらには価値の動揺とその背景にある六つの要素をまとめたものです。 実は、これは、二〇一六年十一月にトランプ大統領が当選したときの日本記者クラブにおける私の講演資料を基に再整理したものであります。政治を取り巻く環境は一層困難になり、価値の動揺はますます広がっているように思われます。 五ページ、資料三を御覧ください。 多国間主義の危機という表現は、二〇一八年五月にジュネーブでグテーレス国連事務総長が述べた国連軍縮アジェンダの中にありました。 具体的には、長期にわたるコミットメント、すなわち約束が履行されていない、多国間軍縮交渉がデッドロックに陥っている、軍備競争が制約されずに国際的な規範と制度が遵守されずに形骸化している、技術の進展により様々なリスクが高まっているといった危機感が表明されました。この演説から五年以上たちましたけれども、その間に何が起こったか。ロシアのウクライナ侵攻を始め想像を超える事態が生起しております。 右の方にありますように、昨年九月、グテーレス事務総長は国連で演説し、次のように述べました。世界は混迷を極める移行期にある、多国間制度は問題の一部となる危険性を内包している、二十一世紀の経済的、政治的現実に基づいて多国間制度を更新するときが来ているというものです。最大の問題がその具体的対応策にあることはグテーレス事務総長自身も認めており、お互いの妥協、いわゆるコンプロマイズが必要だということを強調されています。 しかし、二十一世紀の経済的、政治的現実とは何でしょうか。これをどう理解するかについて著しい相違がございます。その上、その現実が急激に変転し、その行方が定まらないのが実態です。制度の更新の具体案が仮に案出されても、その実現は容易ではなく、新たな制度が無視される危険性は深刻化しているわけです。当面は、短期的行動と中長期的ビジョンの組合せが不可欠であり、現実的な施策の実施と抜本的な施策の検討の双方について、それぞれが不都合な真実を率直に認識する必要があると思います。 具体的には、抑止とリスク管理に最大限の努力を払いつつ、地道に対話を実現するための条件を構築できるよう、辛抱強く努力を積み重ねていくしかないと思います。日韓関係、日米関係の改善は、こうした努力の成果でもあります。妥協ではなく折り合いを付けることのできる共通の利益と課題、これを発見すること、それを実現するリーダーシップによるものだというふうに考えております。 以上、最初のテーマである国際安全保障環境や枠組みの変化について申し上げました。 六ページ、資料四を御覧ください。 次に、戦略実施上の課題について申し上げます。 今年度の予算を含めまして、戦略を効果的に実施するためには次の五つの柱が重要であります。一つは、官民協力体制の確立のためのソフトウエアの強化、第二に、変化に応じて柔軟に計画、事業を見直すメカニズムの確立、第三に、関係府省の各種事業の見える化、生きたデータベース化、さらには平素からの国際的な情報共有と調整システムの確立、最後に諸計画の戦略的、機動的実施のためのメカニズムの構築というものを挙げております。 このうち、第四の柱につきましては、平素から国際的な情報共有と調整システムの確立が大事だというふうに申し上げておるわけですけれども、政府においては、G7、G20、クアッド、日米韓、日ASEANなどを含め、体制強化のための努力が積極的に進められていると認識しております。 いずれにいたしましても、リアルタイム性があって横断的、統合的なシステムの構築がなされない限り、現状を、力による現状を許さない危機管理の国際化というものは図られないというふうに思っているところでございます。 七ページ、資料五を御覧ください。 残りの四つの柱を具体化したものです。この点については、昨年四月の衆議院財務金融委員会、それから安全保障委員会でも申し上げましたので、簡単に触れたいと思います。 まず、官民協力のための、確立のためのソフトウエアの強化については、戦略三文書に従い、様々な取組が進められております。中でも、政府による積極的な情報発信と関係者の安全保障意識の向上に資するものとして、いわゆるセキュリティークリアランス制度の拡大が挙げられます。これが具体化されることは重要だと考えております。 次に、変化に応じ柔軟に計画、事業を見直すメカニズムの確立については、特にリスクが高くても先端的な内容を目指す研究に対する支援の拡大が重要だと考えています。これは同時に、想定していた前提と大きく異なる状況に直面したときに機動的に予算を見直していくという体制が必要になると考えております。 さらには、各種事業の見える化及び生きたデータベース化に当たっては、計画の目標、内容、達成時期に関する具体的な明示と執行の重視、フィードバックの実施が前提となります。特に、部局間の壁を越える形での各種事業に関するガバナンスの向上、執行の透明性の向上が求められます。 いずれにいたしましても、巨額に上る諸計画は戦略的、機動的に実施することが重要であり、その検証メカニズムを構築することが不可欠です。事業の執行や決算の重要性はこれまでも叫ばれていますけれども、新たな計画の策定ばかりに目が行きがちです。スピードの時代に追い付いていくためには、複数研究機関や有識者による統合・履行・検証・提言メカニズムの構築が有用であると考えております。 八ページ、資料六を御覧ください。 戦略の実施に当たっては安全保障意識の向上が重要ですが、その内容は多様であり、三つの側面に分けて考えることができます。 一つは、安全保障問題そのものに対する関心がどの程度あるか。第二は、国際情勢、軍事力、領土、主権に関する客観的事実やデータなど、全般的な基礎知識をどうしたら高めることができるのか。第三に、実際に危機が生じた際の個々の決断と対応力はどうしたら身に付くのか。 このために考えられる施策の一例は資料の真ん中に掲げましたけれども、いずれにせよ、幼児から高齢者まで一体となって、老若男女を問わず対象とすることが大事であり、中身も、学習編、基礎編、応用編といった形で段階を追って、またニーズに合わせてプログラムを設定することが重要であります。 若者から総理、閣僚までを対象とし、それぞれの状況に応じて継続的に実施し、問題に取り組むリーダーシップの涵養、制度に関する理解の向上、具体的な問題解決のための意欲と経験を育むことにつながるように留意する必要があります。その際、教育現場や地域で進められている先進的な各種の取組や世界各国で活用されている優れた手法を学び、共有することが重要と考えています。 九ページ、資料七を御覧ください。 ここには、サイバー関連シナリオを基にしたシミュレーションの一例を示しております。シミュレーションは、余り知られていない過去の実例と想像力を組み合わせて制度を運用し、全方位で試して検証し、改善することが必要です。 複雑化するサイバー攻撃に対し、事態の原因究明が困難な状況の下で、どれほど多くの国や組織が関係しているのかも分からないまま、サイバー以外の局面でも、同時多正面で急激にエスカレートする場面に直面することも考えられます。事態認定もままならない情報不足下での判断や、突然起きた事象に対して瞬時の意思決定が必要となり、外交、情報、軍事、経済、技術などの面での同時対応が求められ、その優先度判断と権限委譲、柔軟対応を行う、並行して、同盟国間、多国間、異分野の調整を行う、こうした状況は容易に考えられるところです。 新たな国家安全保障戦略においては、我が国を全方位でシームレスに守るための取組の強化の最初の柱としてサイバー安全保障分野での対応能力の向上が掲げられ、その能力を欧米主要国と同等以上に向上させることや、サイバーセキュリティーに関する世界最先端の概念、技術等を常に積極的に活用することがうたわれています。その早期施策化が望まれるところです。 十ページ、資料八を御覧ください。 これは、二〇一二年に防衛研究所で行われた防衛力の戦略的マネージメント、変革の方向性と課題の報告書から取ったものです。基調講演は野中郁次郎先生にお願いしました。 そこでは、産官学、防衛の協働促進と政治的リーダーシップを含む六つのフロネティックリーダーシップの六能力の重要性が示されております。グローバルエコシステム、分野を超えた場の設定、ありのままの現実を直観する能力なども示されています。 以上が戦略実施に向けての提案ですが、間もなく三文書具体化の初年度である令和五年度の期末を迎えます。資料の中央の項目は、協働促進のための施策として昨年講演したときに書き込んだ一例です。既に令和六年度予算案に反映されている部分もあるかと思いますが、しっかりと検証と見直しを行い、計画達成に向けての機動的な取組をお願いするものです。 最後に、総力安全保障の取組について述べさせていただきます。 十一ページ、資料九を御覧ください。 これは、大平内閣で検討が始まった総合安全保障研究グループ報告書を私なりに整理したものです。当時は現在と背景が大きく異なりますが、キーワードは重なり合っているように思えます。 安全保障政策が総合的政策を有していることや、三つのレベル、すなわち脅威そのものをなくすための努力、あるいは国際環境を全体的に好ましいものにする努力、脅威に対処する自助努力、利益、理念を共有する国々と連帯して安全を守り、国際環境を部分的に好ましいものにする努力についての言及があります。まさに経済的安全保障政策に関しても三つのレベルの努力が必要であるというふうにされています。 また、この報告書の状況と課題として、最も基本的な国際情勢の変化が生じたとして、米国の明白な優位の終えん、特に通常戦力分野での自助努力の強化の必要性、新たな南の勢力との関係の安定した発展の重要性、新たな秩序形成への貢献、さらには責任分担による平和の時代に移行することなど、戦略三文書と重なるところがございます。 十二ページ、資料十を御覧ください。 これは、国会において安全保障がどのように論じられてきたかについて一面を切り取ったものです。 五百旗頭真先生が亡くなる直前に座長を務められた会合において、大平正芳賞と猪木正道賞を受賞された山口先生が講演されましたが、そこでは、総合安全保障の多様性と多層性ということが言われております。それに加えて、融合性ということも顕著に見られます。何でも安全保障を付けるというわけでもないですが、ありとあらゆる分野が融合し、重なり合い、変化している状況を示しているのではないかと思います。 十三ページ、資料十一を御覧ください。 戦略三文書では、総合的な防衛体制の整備が強調され、様々な施策が示され、その具体化が図られているように思います。元々、この言葉は、五一大綱策定時の坂田防衛庁長官が国会で言及されたものでもあります。新たな戦略三文書の前から戦略や大綱でも使われてきた経緯があります。総合安全保障の融合性の増大と抑止の多様化ということを考えますと、今後は我が国としてもこれ以上の対応が求められるのではないかと考えております。 十四ページ、資料十二に示したとおり、戦略に従い、有事も念頭に置いた我が国国内での対応能力の強化、あるいは総合的な防衛体制の整備を速やかに進めるとともに、総力安全保障への展開が必要と考えております。そのポイントは、総合だけでなく総力、つまり、あらゆる手段を動員し、防衛だけでなく安全保障、何かあったときだけではなく平素からということが重要だと考えております。国家戦略の検討、迅速な意思決定体制の整備、幅広い人材の育成、個々人の役割と能力の向上なども重要になります。 以上、時間が参りましたので、ここで終わらせていただきたいと思いますが、最後の十六ページにこれまでの、過去二十数年の総理の施政方針演説の発言がございます。まさにここでおっしゃっているような政治的リーダーシップあるいは決断、そして果断なる実行ということを期待するものでございます。 以上でございます。
○委員長(櫻井充君) ありがとうございました。 次に、高田公述人にお願いいたします。高田公述人、よろしくお願いいたします。
○公述人(高田克樹君) ありがとうございます。 それでは、意見を述べさせていただきます。 まず、一昨年末策定されたいわゆる戦略三文書において、防衛力の抜本的強化がうたわれ、現在、それが着実にその整備が進められていると思っております。特に、国家防衛戦略で選定された重視七項目の中の機動展開能力、国民保護についても、統合部隊としての海上輸送部隊の創設や南西地域へのプレゼンス強化、航空自衛隊のC1からC2への機種変更による航空輸送能力の向上、政府による三十八空港、港湾施設の機能拡充の検討並びにシェルターの整備、国民保護を専門に扱う部局の創設を検討する等、まさに目に見える形で着実に成果が出ており、高く評価できるものと考えております。 一方で、自衛隊、特に陸上自衛隊の機動展開等においては、いまだに多くの法制上の制約が存在するとともに、新たな戦い方に対応する法整備はいまだ途上であると考えられることから、その一例や解決の方向性について意見を述べたいと思います。 まず、陸上防衛力というのは、海上、航空の防衛力に比べ、明らかに鈍重で遅いと自分でも思っております。例えば、東京からF15で福岡へ行きますと、大体十五分から二十分ぐらいで行けます。我々陸上自衛隊の部隊がそれと同等のことをしようと思いますと、やっぱり四、五日の日にちを見る必要があります。さらには、自衛隊の行動、特に陸上自衛隊の行動は、駐屯地の正門を出ると、もうそこは日本の法律の場でありまして、もちろん駐屯地の中でもそうですが、あらゆる道路交通法とか道路法とかいろんな法律が絡まって部隊の行動を律しているということ。 遅いという弱点はあるにせよ、この陸上防衛力が動くということは、国家の意思そのものを相手国に見せることにつながりますし、相当な抑止態勢を腹決めをして、政治の判断によって陸上防衛力を動かすということの意義は、これは非常に大きなものになってくるというふうに思います。 その上で、自衛隊の機動展開等において、関係省庁所轄の多数の法律、これ、私、自分で数えたところ三十六個ぐらい法律があると思いますが、その適用除外が期待されているところですが、その適用除外されるタイミングは、事態対処法に示す武力攻撃予測事態認定あるいは武力攻撃事態認定以降に初めてその適用除外が適用されると。それまでは国内法に、まあ言葉は悪いですけど、がんじがらめになっているというところであります。 事態認定以前の機動展開においては、部隊から関係省庁の出先機関や自治体に対し、例えば火薬類の取締法であるとか道路交通法、道路法、電波法、土地収用法、都市計画法等々の法律に基づきその都度申請し、その承認を得る必要があります。 ここで注意していただきたいのは、機動展開というのは、陸上自衛隊の部隊がA地点からB地点に移動することを機動展開と言っているのではありません。機動展開というのは、移動した後に陣地を構築すると、そのいわゆる抑止の態勢を整えるというところまでを機動展開と申しております。 今回、ウクライナ・ザポリージャ州でウクライナが昨年の六月から大きな反転攻勢いたしましたが、ロシアがそれを僅か十七キロの突進で食い止めた、これはロシア側の六か月間にわたる防御準備のたまものということであります。 そういったことで、早期の作戦準備による抑止態勢の確立が、この予測事態認定の遅れが大きな支障を来すおそれがあるということであります。 さらに、武力攻撃予測事態認定を含める事態認定行為は、全て閣議決定を経て公示行為を伴うということで官報に記載されるということですので、その事態認定自体が、我が国が先に戦争準備を始めてエスカレーションラダーを上げたじゃないかということを、相手国にその口実を与えかねないという背反的な、準備を早くやらなきゃいけないんだけど、早くやればやるほどそれが国際的にも国内的にも自らがエスカレーションラダーを上げたのではないかという口実を相手側に与えるという背反的な性質を持っているということです。 ただ、私、ここで強く申し上げたいのは、事態認定には、早期かつ円滑な機動展開等による抑止態勢の確立とエスカレーションラダーを我が国が先に上げたという背反的な性質が、これは確かにあるんですが、優先されるべきは戦争の抑止であり、国民の生命と財産の保護であることは、これは間違いないというふうに思うんですね。したがって、是非、政治家の皆さんは、ちゅうちょせずに予測事態の認定というものを議論し、決断をしていただきたいということであります。 次に、国民保護について申し上げます。 国家安全保障戦略に、武力攻撃より十分に先立って避難を実現するという書きぶりがあります。ここは、私はもう非常に驚いたところです。この国家の意思というものが、戦場に国民を巻き込まないんだと、しっかりと武力攻撃に先立って避難を実現するんだということが書かれていることは本当に高く評価したいと思います。 したがって、これは事態対処法の仕組みですけれども、予測事態認定あるいは緊急対処事態認定でこの国民保護のスイッチが入ります。もう一つ、特定公共施設等利用法という法律のスイッチも入ります。さらには、自衛隊法の百六条を始めとした関係省庁の法律の適用除外のスイッチも入ります。 したがって、この予測事態認定を早めれば早めるほど抑止態勢というのは早くできるんだということを是非仕組みとして御理解いただきたいと思うんですが、国民保護の中には、緊急対処事態認定、いわゆるテロやゲリラで大きな損害が出た場合の事態認定もこの国民保護法の適用がなされる記述があります。 一方で、緊急対処事態認定を行った場合の国民保護法の適用の中で、武力攻撃予測事態認定ではできたんだけど、緊急対処事態認定ではできないことが二つだけあるんですね。それが、国民保護法の中の六十条、広域避難民の受入れのための是正措置と、七十三条、避難住民の輸送に関する是正措置は、緊急対処事態認定ではできないんです。 いわゆる県をまたいで広域に避難するときに、受入れの県知事が僕は受け入れたくありませんと言ったときに、内閣総理大臣が、何を言っているんだと、受け入れてやってくれと是正措置を出せるか出せないか。これは、緊急対処事態認定ではできず、武力攻撃予測事態認定ではできるという、この法律の立て付け、仕組みになっているわけであります。したがって、予測事態認定を早く出すということが、この国家安全保障戦略に明文化された武力攻撃より十分に先立って避難を実現することにつながっていくんだろうなというふうに思います。 もう一つ、これは、現役時代、非常に不思議に思っていた部分ですが、日米共同行動への不安です。 米軍の行動関連円滑化措置法のうちに、ほとんどの、自衛隊との作戦テンポを合わせるために、ほとんどの行動は武力攻撃予測事態認定とともに米軍の行動関連措置法も立ち上がることになっているんですが、唯一、一つだけ予測事態では米軍の行動がままならない部分があります。それが、土地の収用、陣地の構築であります。要は、自衛隊の、米軍の基地から一歩も出れない状態が続くということです。 我々は、予測事態認定を受けて、防御陣地の構築措置を命令で内閣総理大臣から受けますと、駐屯地の外に行って防御の準備ができます。一方で、米軍は、これが、武力攻撃事態認定が下令されないと外へ出れないという立て付けになっていると。この辺も、現役時代に向こうの将官とよく話していたんですが、どうやって作戦テンポを合わすかねなんて話もしていましたし、受入れ国側として日本が先に出るんだろうなというようなことをおっしゃる米軍の将官もいらっしゃいました。 まとめますと、戦争を抑止するための早期の機動展開、国民保護と、相手国に戦争準備との口実を与えかねないとの背反的な論理に迷うことなく、逡巡することなく、我が国の防衛の目的に鑑み、抑止態勢の早期確立を優先するよう、努めて早期に事態認定の政治判断を行っていただけるように提言をしてまいりたいと思います。 このためには、絶対に必要なのは訓練です。国会議員の皆様が一緒に、行政と一緒に一堂に会して訓練の場を設けること、そして、これほど事態認定というのが窮屈で難しくて、いろんなてんびんを考えないと政治の決断はできないんだということを、自ら政治家の皆さんが、お一人お一人が経験されることによって、これが解決していくんだろうなというふうに思います。 また、事態認定前の段階で可能となる適用除外の項目がもう少しあるんじゃないかなという気もいたします。その辺は、是非、立法府の場で議論していただきたいなというふうに思います。 新たな戦い方に着目した法改正ですが、三文書で強調された能動的サイバー防御、無人アセットの防衛能力、これはウクライナ戦争等の例を見るまでもなく早急に整備されるべき能力でありますし、整備が行われていると確信をしております。一方で、その法的根拠、特に能動的サイバー防御、アクティブサイバーディフェンスに必要な相手側の発信源の特定、アトリビューションでは、憲法第二十一条、通信の秘密の解釈や、その実務規則である電気通信事業法の改正が必要である。 また、相手側の攻撃プログラムを無効化するには不正アクセス禁止法の改正が必須であるものの、残念ながら、今通常国会にも提出する、された気配はありませんし、まだ検討の途上と伺っておりまして、非常にここは残念に感じております。 また、無人アセット防衛能力についても、自衛隊が運用するドローンの航空法、通信法上の位置付けは民間事業者レベルであり、いまだ有事を想定した法整備はなされていないというふうに思っております。また、平素、相手側のドローンが飛んできた場合に、それを電磁波等で、火力じゃなくてノンキネティックな電磁波等で落とすというようなことも考えて技術開発をやっておるわけですが、そのときの電磁波の法整備というものは、許容範囲というのはいまだに白紙のままであります。 こういったように、戦略三文書を実効ならしめるためにも、新たな戦い方に着目した法整備を早急に進める必要があるというふうに思います。 私からの意見は以上です。 ありがとうございました。
○委員長(櫻井充君) ありがとうございました。 以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○臼井正一君 自由民主党の千葉県選出、臼井正一でございます。 両公述人におかれましては、大変貴重なお話をいただきました。誠にありがとうございます。 また、後先になったんですが、この公聴会での質問の機会をいただきました櫻井委員長始め先輩、同僚の皆様方には感謝申し上げます。 今、お二人から共通して聞かれたのは、やはり今の日本の安全保障環境というのはかつてないほど複雑で多様化した中で、非常に危険というか、安全保障環境が苦しくなっているということだというふうに思っています。 特に、日本の周りを見てみれば、安全保障理事国、いわゆる世界の秩序を守るはずの安全保障理事国二国が、海洋進出であるとか、周りの国のいわゆる抑止を聞かずに力による現状変更の試みを企てる。さらには、北朝鮮においてはミサイル開発、これをどんどんどんどん進めて技術も向上してきているというふうに聞いています。 こうした日本の安全保障環境を、しっかり、後れを取ることなく、その力とバランスという話もありましたけれども、対等、戦争が起きないような状態にしていくことが必要であり、そうした意味でも戦略三文書の改定というのは意義深いものであるというふうに改めて認識をしたところであります。 まず、冒頭、非常に素人じみていて申し訳ないんですけれども、日本の安全保障を語る上で欠かせない日米同盟について一つ確認をさせていただきたいというふうに思います。 御両名とも米軍との関係があったというふうに思いますが、いざ、今有事が起こった際、アメリカは日本を守ってくれるのかどうか。簡単にはおっしゃられないかもしれませんが、いろんなケースを想定した中でお答えをいただければ有り難いというふうに思います。
○委員長(櫻井充君) まず、それでは高見澤公述人。
○公述人(高見澤將林君) 私は、日米同盟の有効性というのは平素からいろんな活動をすることによって確保されるものだというふうに考えておりますので、日本有事のときに守ってくれるのかというのが突然その白紙の質問としてあるわけではないというふうに思います。 まさにそれぞれの国の状況、あるいは状況の展開の中でそういった関与を同盟国として高めていくような形で日本自身も対応していくと。ただ、その場合に、アメリカの関与の度合いが非常に積極的になる場合もあれば、極めて消極的になる場合もあると。そのことを念頭に置きながら、日本自身としての考え方、あるいは日頃の準備というのを進めておくべきだろうというふうに思います。 何より大事なのは、ふだんからの協力関係を高めることだと思っています。 以上です。
○公述人(高田克樹君) ありがとうございます。 まさに今、高見澤先生がおっしゃったとおりで、平素のつながりというのは極めて大事です。 今、米軍人、私は陸上自衛隊でしたので、米陸軍、海兵隊ですが、パートナーに値する仲間だということは常々言ってくれておりますし、これは海上自衛隊、航空自衛隊でも同じだろうというふうに思います。 一方で、アメリカの戦略というものを翻って見てみますと、オバマ政権以降、もはや米国は世界の警察官ではないんだ、トランプ政権に至っては二正面戦略は放棄すると、今のバイデン政権は統合的抑止ということで同盟国の力というのを非常に頼りにしているということから、昔のような、アメリカがやってくれるんでしょうということでは、とてもじゃないけど、その信頼関係は保てないというふうに思います。 まさに我が国が主体的に能動的に行動することによって、アメリカを、守るべきに値する国だというふうに言わしめるということが大事だろうというふうに思います。
○臼井正一君 どうもありがとうございます。 まさに私が聞きたかった点はその点であって、日頃から日米間の緊密な連携、さらには同盟国として、日本が片務的に守ってもらうというよりは、しっかり我が国は我が国で守る、そういう強い意思を国の内外に示していくことこそ日米同盟を更に強固にしていくものだというふうに思っています。 昨日は三月十一日ということでございます。高田公述人の誕生日というわけではなくて、東日本大震災があった日であります。 あの原発事故の際、米軍は地震に対してトモダチ作戦を展開してくれたわけでありますが、原発事故がなかなか収束を見ない、また、どういう状況かもはっきり分からないという状況下にあって、米軍を撤退させる意思というものを一度表明したわけであります。その中で、米軍をとどまらせて更にトモダチ作戦を広域に展開した、その一つの要因は自衛隊の決死の散水であったというふうに聞いています。 そういう意味も含めて、やっぱり米軍は日本を守る、そういう義務を負っているということでありますけれども、日本はやっぱり日本人としてしっかり自分たちの国を守っていくという強い意識こそ大事だというふうに思います。くしくも両公述人からも政治家を含めた訓練が必要だという話もございました。やはりこれから人口が減っていく中で、日本人でどのようにして自衛官を確保していくのか、これは非常に重要なテーマだというふうに思います。 そこで、まず高田公述人に、陸上幕僚人事部長もお務めになられたということであります。いわゆる処遇、そして勤務体系なんかもございますよね。自衛隊は、公務員であり、国家公務員でありますから、日本全国の異動というものもある。さらには、海上自衛隊に至っては携帯電話を艦艇に持ち込めないというような、現代人ではおよそ、ああ、勤めてみたいと思えるような環境にないと。処遇の面でも警察、消防と比べて給与面で劣っているというような話もあります。 どういった点で人材を確保していく必要があるのか、我々に対しての提言があれば、簡単にお話をいただければ有り難いというふうに思います。
○公述人(高田克樹君) ありがとうございます。 非常に今募集の現場が苦しいというのは、後輩諸官からも聞いたことがありますし、実際にそうなんだろうなと思います。 私も東京地方協力本部長という役職に就いたときに、ちょうど震災の後上番しましたものですから、これは大量の、自衛隊人気が高まって大量に募集が来るだろうと思ったら、実は減ったんですね、あのとき。なぜかというと、お母様が、非常に自衛隊はすごいと思うんだけど、やっぱりうちの子は無理だわ、あれという、こういう理屈でなかなか、自衛隊の認知度が上がって信頼度が上がっても、本当に御家族のお母様が子供さんを自衛隊の現場に出してくれるかといったら、必ずしもそこはつながっていないんだなというのも実感しました。 これは、議員御指摘の処遇の面ですね、これはやっぱり二等陸士、海士、空士で入ってくるのがちょっとやっぱり今の世間一般の給与体系からすると低いんじゃないかなというのは、これは実際に思うところであります。 以上です。
○臼井正一君 ありがとうございました。 しっかり処遇の改善含め、あとは防衛意識のしっかりとした高揚、これは我々大人だけではなくて職業教育にも関連してくるかも分かりませんけれども、自衛隊のみならず、警察や消防、危険が伴う職種への働くことの意義というものをしっかり教えていかなければならないのかなと改めて感じたところであります。 高見澤公述人にお伺いします。 より経済的にという言い方良くないんですが、日本は専守防衛でありますから、先ほどおっしゃったサイバーや、あとは情報戦、さらには自衛隊という軍事力、軍事力と言っていいのかな、防衛力ですか、いわゆるハイブリッド戦争が今叫ばれている中で、公述人はサイバーセキュリティセンター長をお務めになられたということであります。これから、ある一定の、日本も新しい令和六年度予算ではスタンドオフ防衛能力というものを整備することに向けた準備の予算というのを確保しています。その中で、いわゆる情報、いわゆる守るだけから、今度、反撃能力を得たときの情報、これ質が違ってくるというふうに思いますけれども、この装備を整える以外に、サイバー空間、その情報、これからどういったものが必要になってくるか、簡単にはなかなか言えないと思いますが、お願いします。
○公述人(高見澤將林君) お答え申し上げます。 基本的に、日本の情報能力が弱いところというのは、まさに戦後の中で情報能力を基本的には軽視してきたということに本質的にあると思います。それから、サイバー空間の問題でいえば、各国の情報機関が非常にサイバー空間における情報収集を重視している中で、日本というのはそういうことをやってこなかったと。それから、情報通信関係の企業なり、あるいはプラットフォーマーとの関係でも、いわゆる協力関係というのは必ずしも十分ではなかったというところが非常に大きな背景があると思います。 ただ、そうした中で、実際に、仮に反撃ということを考えた場合には、要するにいわゆるターゲティング情報が必要不可欠になりますので、まさにそのターゲティング情報というのを自らどういうふうに得ていくのか。それは恐らく不可能であります。やはりこれは日米同盟というのが現状では前提にならざるを得ないと。しかし、では、アメリカが情報をくれないときは何もできないかということになってもいけませんので、だから、そういう意味でも非常に独自情報の向上というのは必要ではないかなというふうに思っております。 ですから、私は、情報とサイバーと、それからいわゆるファクトチェック的なことは部外に任せるにしても、情報をめぐる認知戦とかいろんなことを含めたトータルなセンターが必要ではないかと。単にサイバーセキュリティセンターを向上させればいいという問題ではなくて、そういうあらゆる面も考慮したような体制というのを構築するための検討というのが必要ではないかなというふうに考えております。
○臼井正一君 どうもありがとうございます。しっかり覚悟を持って取り組んでいかなければならないと思います。 ちょっと時間がなくなりましたので。 予算委員会で石垣島の新しい駐屯地に視察に行ってきました。そして、沖縄の人たちの、米軍の日米安全保障の負担が全てほとんど沖縄に行っているという現状も拝見しました。こうした沖縄の方々の思いに寄り添うためにも、万が一のことが起きないような準備というものをしっかり進めていきたいと、このように思っています。 また、今後ともの御支援、御指導ですね、いただきますようお願い申し上げ、私からの質疑を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○福島みずほ君 立憲・社民共同会派の福島みずほです。 今日は、両公述人、本当にありがとうございます。 二〇一六年から私は南西諸島を歩いてきました。石垣、本島、宮古、そして種子島、屋久島、馬毛島、奄美大島やいろんな島を歩いてきました。もう本当に激変をしています。 二〇二一年十二月二十四日、琉球新報、沖縄タイムズにスクープが載ります。米軍が島々をもう少人数で、三十人ぐらいですか、少人数でいて、そして転戦しながら戦闘行為を行うというもので、それを見た沖縄の人たちは、また再び沖縄が戦場になる、また沖縄、南西諸島が戦場になると、すさまじい危機感で、命どぅ宝の会や、いろいろ動いています。また沖縄が、南西諸島が戦場になるという、もう本当に叫びのようなひりひりした物すごい緊張感は本当に理解できますし、それから、もう本当にそういうことがあってはならないと思っています。 安保三文書で敵基地攻撃能力保有、集団的自衛権の行使で認めます。そうすると、そこで撃つことになれば、まさに反撃を食らうのではないか。 先日、沖縄県うるま市の陸上自衛隊勝連駐屯部に地対艦ミサイル部隊の連隊本部と新たな中隊を配備する計画をめぐり、ミサイル配備を許さないうるま市民の会なども反対をしたと。それはやっぱり、今度はうるま市ですから、沖縄のど真ん中、本当に都市部で、そういうミサイル、そして、それが実は敵基地攻撃を持つようなものになれば反撃をされる。とすると、逆に戦争を呼び込むことになっちゃうんじゃないか。 このひりひりした不安、戦場になる、これについて両公述人はどう思われるでしょうか。
○委員長(櫻井充君) 高見澤公述人からお願いいたします。
○公述人(高見澤將林君) 基本的にそういった住民の感情というのは私どもはよく聞いていかなければいけないと思いますけれども、まず、私が申し上げられることは三点ほどあろうかと思います。 一つは、現在の安全保障環境がこのように厳しくなっていること、そしてまた、そのような侵攻の意図なりをうかがわせるような客観的な行動というのを行っている国が我が国周辺にあるという事実は、それがまさに最大の原因ではないかというふうに思います。 それから二点目でございますけれども、自衛隊の配備というのは、基本的には抑止能力を高めるためのものであって、手を出させないようにするということが基本にあるわけでございますから、そこを十分に理解をしていただきたいというのがございます。 それから三点目でございますけれども、いわゆる反撃能力の有無とその自衛隊の運用ということを考えたときに、恐らく反撃能力というのは、抑止を向上する力にはなると思いますけれども、それを持つことによって、今までは安全だったけれども急に危険になるというような関係には必ずしもないんではないかなと思います。 ただ、いずれにいたしましても、軍事力だけではなくて、外交的な努力なり、いろんな総合的な手段、まさに総力を挙げて紛争を防止するような手だてというものを考えていかなければならないと思っております。
○委員長(櫻井充君) それでは次に、高田公述人、お願いいたします。
○公述人(高田克樹君) ありがとうございます。 付け加えますと、私が実際現役のときに肌感覚で持っておりましたのは、確かに議員御指摘の部分は十分承知しておりますが、実際に駐屯した隊員とその家族ですね。それは、その島で本当に溶け込んで地域の住民の方々と懇親を深め、例えば隊長が離任するときには、隊長は行っていいから奥さんは置いていけとか言うぐらい、言われるぐらい本当に深い関係をつくってくれたなという駐屯地も実際に私、見聞きしております。 そういった意味で、その沖縄がまた戦場になるのではないかということは、もうそうしないでと相手国に是非伝えていただきたいなということなんですね。我々は、その気配があるので、そこに準備をし、抑止の態勢を高めていくというのであって、彼らがそれを放棄して能力がなくなれば、我々もそれを捨てるわけであります。 今回の戦略三文書の一つ大きな肝としては、相手の能力と戦い方に着目して防衛力を抜本的に高めていくんだというふうにうたわれています。今までは、自らが地域の不安定要因にならないように独立国として必要最小限の防衛力を積み上げていくという基盤的防衛力構想だったんですけど、今回の安全保障戦略で、明らかにこれは脅威対抗の所要の防衛力を積み上げていくという考え方に変わったんだと思うんですね。すなわち、相手がいて自分がやるんだという考え方になっていると思います。 したがって、その議員御指摘のところは是非相手側に伝えていただければなというふうに思います。 以上です。
○福島みずほ君 日本全国に弾薬庫ができていっています。横須賀であったり大分であったり、その現場に行っています。大分だと、大分市もそうですし、湯布院、日出生台。湯布院からもし敵基地攻撃能力で撃つことができれば、やっぱり、例えば大分市は、まさに大分大学などすぐ、大分市の中心部というか学校が近いところにありますし、非常に問題ではないか。 自衛隊は、強靱化、あるいは自衛隊施設の、自衛隊の司令部は全国地下化していく。それは取りも直さず、やはりそういうところが攻撃対象になると自衛隊は考えているんじゃないでしょうか。高田公述人、いかがでしょうか。
○公述人(高田克樹君) 攻撃目標になる、ならないではなくて、指揮の継続性ですね、指揮を途絶えさせないということがまずもって大事なんだと思います。 今、行っていただければ分かりますが、本当にプレハブ小屋みたいなところが司令部のところもありますし、実際にしっかり地下に潜っている地下施設もあります。これは、一律にそういう攻撃を受けても指揮が継続できるようにしていこう、すなわち抗堪性を高めていこうという施策の一環と理解をしております。 以上です。
○福島みずほ君 二〇一六年、たまたま宮古島で離島奪還作戦という自衛隊のビデオを見ました。たまたまそれ島民が一人も出てこないというのにちょっと私は驚いたんですが、まさに島民保護は自治体あるいは内閣府というふうに分けているんでしょうかという質問が一点。 それと、この間、避難の図上作戦が発表されました。沖縄本島、百二十万、百四十万は屋内避難。だけれども、離島は十二万人が避難すると、船で、飛行機で。船だと、八日、六日ぐらい掛かるんですかね。船ですと、船ですと六日、六日間で九州へ避難すると。でも、これ飛行機で避難するとすると、飛行機では、島外避難に必要な飛行機は、航空機は三百八十一機になると。すごい数ですよね。 この避難を見て、本当にその船で避難する、安全な九州というけれど、九州、安全なんですかということも含めて、この避難計画、沖縄本島は屋内避難、でも、島々は十二万人は船か飛行機で。与那国なども荷物一個持って飛行機で避難しなくちゃいけない。島を捨てなくちゃいけない状態になるというのも本当にすごく心が張り裂けるような思いがするだろうと思いますが、この避難訓練についての御意見、高田公述人、教えてください。
○公述人(高田克樹君) 国民保護を専門に扱う部局の創設等々の表現にも表れていますように、これは国が実際に本格的に乗り出したんだなという印象を受けております。その飛行機の所要であるとか期間であるとかというのはさておき、非常にそこは真剣に取り組まれているんだなと思います。 その上で申し上げますと、例えばロシア・ウクライナ戦争を見てまいりますと、戦闘を実際にやっている市レベルでも、残留の住民というのは五%から二%いるわけなんですね。これは、そこの、ウクライナの市役所の人だったり公務員の方とかはやっぱり残っていらっしゃる。これが、武力攻撃より十分に先立って避難を実現するという、国民保護法というのは国民を保護するものですけど、大前提として、残っている人がいるんだということもちょっと光を当てて今後考えてみるべき点じゃないかなと思いますし、もう一つは、輸送も、これ大変申し上げにくいんですが、自衛隊の護衛艦なんかに住民を乗せて移動し、国民保護をやりますと、これは、国際法規上は軍艦ですから攻撃の対象になります。これは住民乗っけているから撃たないでくれと言っても、それは通りません。 そういった意味で、国民保護派遣、自衛隊法にあります国民保護派遣で、自衛隊のプラットフォームを使って移動することが本当の国民保護に当たるのかどうかというのはもう一度議論する必要があると思います。むしろ、海上保安庁等の白い船だとか商船だとか、そういうものを使って国民保護を考えた方が現実的ではないかなというのも私の考えであります。 以上です。
○福島みずほ君 沖縄辺野古の新基地建設なんですが、幾ら基地負担の軽減と言われても、沖縄の人たちが反対する理由はすごく分かるんです。やっぱりそれは、基地の負担増だ、新たな基地だ、そして、自然を壊す、軟弱地盤でできないはずだ、莫大な予算。なぜ沖縄が更に負担を受けなくちゃいけないかって思いはすごく理解できるんですね。 そして、辺野古の新基地建設に南部戦跡のまさに遺骨の入った土砂を使わないでくれと、リストの中から外してくれということなどですごく活動していらっしゃる人もいて、その気持ちはもう本当に痛いほど分かります。 こういう問題について、高田公述人、どうお考えでしょうか。
○公述人(高田克樹君) なかなか心情のことは、私、直接伺ったことがありませんので分かりません。ただし、やはり橋本内閣のときの約束というのがもう何十年もずれ込んでいることも事実であります。ここら辺はもう私レベルが申し述べる立場にはないと思いますが、私としては、是非移設の方を進めていっていただきたいというふうに思います。 以上です。
○福島みずほ君 今日、とても印象的だったのは、まさにエスカレーションラダーを設けないということをおっしゃってくださって、本当に、抑止力、抑止力と言っていると、まさに、逆にお互いにエスカレートしていくので、戦争を止めていく、戦争は最大の人権侵害ですから、とにかく戦争させないためにやっていきたいと思いますし、これからも御教授いただければというふうに思います。 何かちょっと、一分余ってちょっともったいないんですが、ちょっとこれ質問する時間がないでしょうから、これで終わります。 ありがとうございました。
○宮崎勝君 公明党の宮崎勝と申します。よろしくお願いします。 本日は、公述人の皆様、本当に貴重な御意見、大変にありがとうございました。 最初に、私は、両公述人の方に御質問させてもらいたいのは、先ほども高田公述人からもお話がございましたけれども、ウクライナ戦争から酌み取るべき我が国の防衛力整備を考える上での教訓ということについてお伺いしたいと思います。 先ほどもちょっと話がありましたけれども、ウクライナ戦争では、ドローンであるとか、あるいはロシアの黒海艦隊が自爆無人艇の攻撃を受けて撃沈したりとか、そういった事象があったというふうに報道などでされているところでございます。こうしたこの無人アセットがいろいろ活用されているという中で、我が国の防衛力整備を考える上での教訓をどう考えるかということについてお伺いしたいと思います。 そして、特に高田公述人は先ほどちょっとお話しになっていますので、もう少し踏み込んだお話をいただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。
○委員長(櫻井充君) それでは、まず最初に高見澤公述人からお願いいたします。
○公述人(高見澤將林君) 私、ウクライナ戦争の教訓は非常にたくさんあると思いますけれども、かつて書いたことがあるのは、七つのIだということを言っておりまして、一つはやはりインテリジェンス、インフォメーション、これは情報の力ということですね。それから、あとインフラストラクチャーということで、通信基盤なりあるいは民間防衛も含めましたそのインフラの力でございます。それから三点目はイニシアチブということで、まさに政治家のリーダーシップ、それとインタラクションということで、国際社会のその協力を得るという、この二つは非常に重要だというふうに思っているところでございます。それから、あとインプロビゼーションということで、戦争がどんどん大きく展開していきますので、その場で考える力、状況に応じて戦法をどんどん変えていくと。それも、有り合わせのものを組み合わせて新しいものをつくる力と、これはやはりウクライナ戦争では非常に大きかったのではないかなというようなことを考えております。最後に、一番大事だなと思っているのは、これまで、やればできたことを実際やっていないということがよくあるわけですけれども、まさに実践、インプリメンテーションを徹底、つまり実装化することを、構想だけではなくてですね、の重要性ということを今回のウクライナ戦争は示したのではないか。 以上のようなことを私としては教訓として考えております。
○委員長(櫻井充君) ありがとうございます。 それでは次に、高田公述人、よろしくお願いします。
○公述人(高田克樹君) ありがとうございます。 私の方は、ロシア・ウクライナ戦争を見まして、まず、大きな一つ目は防空であります。防空の能力、地上戦もちろんのことですが、ロシアからのそのミサイル攻撃、これに対して、ウクライナの防空体制が今のところ二年を過ぎても何とか持ちこたえているという、この量と質をしっかり評価をして、日本の防空に跳ね返らせていただきたいなというふうに思います。現状の自衛隊の防空体制が十分なのかという視点は、このロシア・ウクライナ戦争から読み取れるというふうに思います。 また、ドローンを主体とした新しい戦い方と相反するようですが、火力の重要性についても大きく私は教訓として取り上げたいと思います。 現在、ウクライナ軍が正面で小さなドローンを駆使して敵の戦車等を食い止めておりますが、本来であれば、あれは火力の役割であります。本来十分な火力があればその火力を指向して敵の突進を止めているところ、やむなくドローンを使ってやっているというところは、新しいもの、それから旧来あるもの、惑わされないで、しっかりとした伝統的な火力というものも軍事組織においては非常に大切なものだなということは教訓として私は読み取っております。 最後に、キルチェーンと申しまして、目標を発見して同一化し、ターゲティングをして戦力を発揮して火力の効果を評価するという、F2T2EA、ファインド、フィックス、トラック、ターゲティング、エンゲージ、アセスという一連の動作ですね、これをいかに速く回さなきゃならないんだと。そのF2T2EAのサイクルが速く回れば回るほど、地上戦、戦いには勝てるんだなということは、今回の二年間の戦争で見て取れました。それはウクライナ軍が採用したGISアルタという火力戦闘システムにも如実に現れておりまして、こういうのは我が自衛隊も大いに参考にすべきところじゃないかなと思います。 以上です。
○宮崎勝君 ありがとうございます。 次、今、LAWSと言われる自律型の致死兵器システム、これの議論が国際的にも行われているところでございます。CCWの枠組みの下で、その定義であるとか特徴とか、あるいは人間の関与の在り方とか規制の在り方ということが議論されております。日本は、こうした中で、いわゆる人間の関与の及ばない完全自律型兵器、完全自律型の致死兵器の開発を行う意図はないと、またその一方で、この自律性を有する兵器は、システムというのは、ヒューマンエラーの減少であるとか省人化、省力化という点で安全保障上の意義を有するという立場でこの議論に臨んでいると承知をしております。 今、AI技術が著しく進歩をする中で、この自律型の兵器システムの開発というのが急速に今進んでいると思いますけれども、こうしたLAWSをめぐる国際的な議論について見解を、あったらお伺いいたしたいと思います。じゃ、高見澤公述人からお願いします。
○公述人(高見澤將林君) 御質問ありがとうございます。 〔委員長退席、理事中西祐介君着席〕 LAWSにつきましては、政府専門家会合がたしか開かれて、先週開かれていたというふうに思います。それで、現在の議論の焦点は、私が聞いておりますところでは、どの技術を規制するかというよりは、まさにその目的に着目した議論というのが行われているというふうに思います。 一方で、日本の今置かれている状況というようなことを考えますと、人的パワーのなさというようなことを考えますと、これからの日本の安全保障、防衛を考えていったときには、いわゆるそういった無人のシステムでありますとか、あるいはAIを効果的に活用するというようなことも必要になってくるかと思います。 あくまでも大事なのはやはり人間の関与ではあるし、そのときのコンテクストが非常に重要だというふうに思っておりますので、今まさに世界ではAIの活用合戦が進んでいるわけで、かなり状況は変わってきているというふうに思いますけれども、日本としては、やはり外交的な場で、日本単独ではなくて、いろんな国との共同作業を深めて、またNGOの見解なども聞きながら、どういったアプローチが最も適切かということを堂々と主張していくと、それと同時に、技術の持っている効用というのは失わないようにするという、この二つが重要ではないかなというふうに考えております。
○公述人(高田克樹君) ありがとうございます。 いわゆる兵器一個一個のプラットフォームの能力はもはや現代のシステム兵器にはかなわなくなっておりまして、プラットフォーム全体をつなぐシステムこそが力というふうになっていると理解をしております。 その中で我々が経験してきたことを振り返ってまいりますと、一個一個の、例えば火力戦闘とか対空戦闘とか近接戦闘とかという、小さな機能ごとのシステムの部分最適から全体最適を成すようなシステムのグレードアップですね、部分最適、それから全体最適、それから自動化、自律化というふうにシステムは発展していくんでしょうけど、私は、個人的には自律化というところは非常にそこは危険な部分が内在しているなというふうに思います。まさに今、高見澤先生おっしゃったような、そういった背反的な部分を感じながら、必ず人の介在というものを最終的に残す。 今、米軍がJADC2という、ジョイント・オール・ドメイン・コマンド・アンド・コントロールという事業を進めておりますが、最終的にはやはりそこには人の判断を入れるというところが彼らの良心というふうに私も理解しております。 以上です。
○宮崎勝君 次に、高見澤公述人にお伺いしたいと思います。 いわゆる鼎談の「官邸官僚が本音で語る権力の使い方」という、読ませていただきまして、その中でも、今日御紹介いただきました総力安全保障ということが必要だということを公述人が提言をされておりましたので、大変興味深く読ませていただきました。実際にその中で公述人は、全部一遍に動かしたことがないので、いわゆる分からないことも結構あるということもおっしゃっていたんですけれども、今日、最後の資料、あっ、資料十三の中でいわゆる法体制の整備ということも御提言をされておりました。 時間の関係で余り触れられなかったかと思うんですけれども、いわゆる実際にこの総力安全保障というものを確保する上で、やはり、実際に訓練であるとか、実際に動かしてみないと分からないという部分も結構あるかと思うんですけれども、その上で、この法整備の在り方について説明をいただければと思いますが。
○公述人(高見澤將林君) ありがとうございます。 資料十三ですね、十五ページの資料で私が申し上げたかったのは、その平和安全法制のときには、どちらかというと我が国とか国民に関する事項と国際社会に関する事項というのが切り離されていたという部分がございます。それから、その烈度というのが比較的ステップを踏んで事態ごとに上がっていくというようなイメージがやはり強かったんではないかなと。この二つの前提が大きく変わってしまったということだと思います。 〔理事中西祐介君退席、委員長着席〕 ですから、安全保障ということですから、あらゆる力を結集すると、防衛というよりは抑止なり未然防止もやると、それからいろんな人の協力も得ると、さらには外交手段も尽くすという中で、それで実際に事が起きたときに、金融とか財政とかいろんな側面を全部頭の体操をしてみて、それでどういうことが起きるかというのを政府全体として考えなければいけないと。 有事だから防衛力を前面に出してやるというだけではなくて、平素から、どんどん緊張が高まっていったときに、一体何が政府を、力を尽くしてできるのか、そういうキープレーヤーはどこにいるのか、何が問題になるのかということをやはり把握する必要があると、そういうふうな思いでございます。
○宮崎勝君 大変にありがとうございました。 以上で終わらせていただきます。
○金子道仁君 日本維新の会・教育無償化を実現する会、金子です。 本日は、貴重な公述人の先生方からの御講演、本当にありがとうございました。 まず最初に、高見澤公述人にお伺いしたいと思います。 今日お伺いした内容、十五分ではちょっと短過ぎるぐらいの充実した内容で、私も参加させていただきながら是非深く教えていただきたい点がございまして、資料の五ページ目、グテーレス事務総長の演説のところで、二十世紀にできた多国間制度は問題を解決するどころか問題の一部になる危険性を包含しているというところ、問題を包含しているということはよく分かるんですけれども、その危険性を包含しているというところ、その辺り、どのような発言者の意図があったか、さらに、多国間制度の更新をするときが来ているというこの発言者の意図及びこの発言に対する先生の御意見を是非お伺いできればと思います。
○公述人(高見澤將林君) 多国間制度が問題の一部になる危険性を内包しているといいますか、包含しているということは、逆に、一度できている制度なものですから、それを変えるにはコンセンサスが必要であるとか、要するに、参加している国の全てが一致しないと変えられないということになりますから、一度できた制度が現実と合っていないという状況が生まれているときに、九九%の国が変えることに賛成していても、多国間制度によって少数意見を尊重するという形でそれが実現できないというような、そういう危険性があるということだろうと思います。それから、ある程度制度に欠陥がある場合に、その欠陥をある国が利用してきたときに、それに対応できないという部分があるかと思います。それから、それが基本的には、多分、グテーレス国連事務総長が言いたかったところではないかと。 一方で、更新する時期が近づいてきているというポイントは、現在の制度が余りにもいわゆる民主主義国中心といいますか、より厳密に言えばヨーロッパ、欧米中心でできた制度であると。これを改善する、しなければいけないんだけれども、当時その制度ができた時代と今では国力も経済構造も全てが変わってしまっていると、だとしたら、それを新しい現実に合わせるように制度を変えていかなければならないと、そういうことを言っていると。 つまり、ある種の先進国に対する批判、グローバルサウスに対するサポートというような側面もあるのではないかというふうに見ております。
○金子道仁君 ありがとうございます。 そのグテーレス発言を踏まえて、先生はこの多国間制度の更新という具体的な内容、何か御意見がございましたらお聞かせください。
○公述人(高見澤將林君) 一つ言えるのは、いわゆるその現状一致型でないとできないものについて、特に大国がそういった権利を持っているような枠組みというのをどういうふうに変えていくのかということがあるのではないかと思います。ですから、国連常任理事国の権利というのは変えられないにしても、今の安全保障理事会の構造を、従来から検討されていますような、メンバーを増やすであるとか、あるいは準常任理事国的なところを入れていくとか、そういった一つの方策というのはあるのではないかというふうに思います。 それから、あともう一つは、いわゆるNGO主体による制度づくりというのも現実には起きていることがございますので、それについては非常に批判も強いわけですけれども、私は、行き詰まりを解消する方策としてそういった、日本政府もNGOとも協力しながら新しい枠組みというのを枠組みの外でつくるということも恐らく必要になってくるのではないか、これには非常に議論があると思いますけれども、それも一つの方策ではないかと思います。
○金子道仁君 ありがとうございました。 先生は、続いて、安全保障意識の向上というところで、様々なレベルでの段階を追って研修をしていく、実践をしていくという話をしてくださいました。あわせて、高田公述人の方からも、国民保護についてもお話をいただきました。 私も、国民保護のこと、国民避難のこと非常に関心を持って見させていただいて、昨年の三月に沖縄でようやく図上の、何というんですか、訓練が行われたということは、国際安全保障環境が悪くなっているということは非常に残念なことですけれども、こういう訓練を行うこと自体は非常に意義があることだというふうに考えております。 先ほど高田公述人も少しおっしゃっておられましたけれども、実際のこの国民避難、特に島嶼部からの避難において、自衛隊は国民避難の主役になり得ないというような趣旨の御発言をいただいて、まさにそのとおりだと思っています。 ジュネーブ国際条約上、一たび標章を付けた艦船は、その紛争の期間中、軍事行動に一切参加してはいけない。ですから、自衛隊としては、このジュネーブ条約をしっかり守って国民保護に参加しないという選択をするか、参加して戦闘行為には一切参加しないという選択をするか、どちらかしかないということであれば、やはり国民保護の主体にはなり得ないというふうに私自身は考えています。 PFI船舶であったりとかそういう民間の船舶を使って何とか足を確保しようとしても、実際にそのような武力紛争予測事態というような事態にどれだけ、今二隻しかないPFIに対して更に多くの船を民間から集める、どれだけの船が集まり、どれだけの乗組員が集まるのか、非常にその辺りも実際を想像すると難しさを感じるんですけど、その辺り、国民保護に関して御意見お伺いさせてください。お願いします。
○公述人(高田克樹君) ありがとうございます。 本当に核心をつかれているところでありまして、予測事態認定と国民保護法の適用、それから特定公共施設等利用法、これがもう一連の鎖でつながっているわけで、予測事態のスイッチを入れると二つの法律が立ち上がるということになっております。 そうなりますと、武力攻撃が予測されている地域に普通の民間の船舶が出かけていって国民を保護する、それは危なくないですかという議論にもなるわけですね。一方で、そのスイッチを早く入れてもらわないと国民保護法の適用ができないというので、我々としたらなるべく早く適用してくれという。これはなかなか、だから、法律の立て付けに文句を言ってもしようがないんですけど、果たしてその予測事態認定とこの国民保護法、特定公共施設等利用法をリンクさせる必要があるのかないのかというのは、是非皆さんの中でも議論していただきたいなとかねてから思っているところなんです。 本来、武力攻撃事態になりますと、海上保安庁というのは、防衛庁長官、あっ、防衛大臣の作戦統制を受けるような形に法律上なっていますけれども、一緒に軍事行動をするのかといったら、これは海上保安庁法の中で軍事行動は一切しないんだということになっておりまして、そうなると、やはり海上保安庁の船で国民保護を受け持ってもらった方がより効率的ですし、あそこの、総務省が出しております国民保護のマーク、丸地に三角のマークがありますけれども、あれは万能かというと、実は護衛艦に付けるとこれまた国際法違反になるんですね。戦艦に国民保護のマークを付けること自体、これはジュネーブ条約違反になります。ちょっとしたことで錯誤があるように感じますので、そこら辺も一回整理してやっていただけたらなとかねてから思っておりました。 ありがとうございました。
○金子道仁君 ありがとうございます。 いずれにせよ、まだ詰まっていないということはよく分かりましたので、是非、図上訓練しながら、実際の状況も、最悪の事態も想定しながら訓練をするという立て付けになっていますので、その辺り、本当に実効性のある訓練というか、そのようなものを想定して進めていただければと思います。 時間が限られていますので、三つ目の質問としてサイバー防衛について、高見澤公述人、サイバーの専門家というふうにお伺いしておりますので、是非一つお伺いしたいことがございます。 サイバー防衛能力の抜本的な強化ということで、防衛省の方は、サイバー人材を令和四年度末の八百九十人から最終的には四千人、そしてサイバー関連の人たちを二万人に増やしていくと。これは非常に政策としては理解はできるんですけれども、実際にその人員が、そのサイバー防衛能力にしっかりと特化した人材がそれだけ、四千人集まるのかどうかというところに、私自身、非常に懸念を持っております。 今、どのようにしてその人たちを集めるのか。内部人材の流用ということで、通信で採用した人たちを内部で研修してサイバー人材に育てていく、それも一つの方法でしょうけれども、一、二年の研修でサイバー防衛の第一線のスペシャリストになれるかどうか、その辺りも疑問があります。また、外からの有為な人材の流入というか運用という点でも、僅か年間で一、二名ぐらいしかそういった方々が入ってこない。そんな中で四千人の人材を令和九年末までに登用していくというめど、目算、張り子の虎にならないようにするためにはどのような方策が考えられるか、御意見お聞かせください。お願いします。
○公述人(高見澤將林君) 大変難しい質問をいただきました。 私自身、その四千人の育成というのは非常にチャレンジングな課題であるというふうに思います。 翻って考えてみますと、一つはまず、いわゆる幼稚園からとは言いませんけれども、小学校も含めたやはり教育の重要性。そこでは、インテリジェンスに対してのリテラシーとそれからプログラミングみたいな、サイバーに関する全体的な底上げというのは物すごく必要ではないかなというふうに思います。 それから、二つ目は、やはり官民を通じたエコシステムといいますか、人材の移動なり統合といいますか、一緒の作業ができるような、そういった感覚をつくっていただくと。 さらには、サイバーセキュリティー人材というのは日本の中でも最も大事な人間だというような、いわゆるサイバー分野に対する高い評価を国民世論としてつくっていくと。そういったことをやりながら、大学生レベルでもそういう思いを持っていくというようなことをやっていくしかないのではないかなと。 ただ、いずれにしても、自衛隊なり日本政府全体のそのソースの中でどれだけサイバー人材を発掘できるかというような、そういうことも非常に含めて考えていかなければいけないのではないかと。自衛隊だけで四千人を確保するというのは非常に難しいと。ただし、政府全体として考えていって、そこをエコシステムで回していくというようなことではないかなと思っております。
○金子道仁君 時間が参りましたので質問を終わりにしたいと思いますが、先ほどの政府の中で人材を回していくというのは確かに非常に有益な方法、防衛省だけではなくて内閣全体でもこのサイバーセキュリティー考えていかないといけない話だと思いますので、参考にさせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○伊藤孝恵君 自国の利益をほごにして他国の利益を守る国はございません。私たちが自分の国を自分で守るには、まず何より戦争を始めさせない抑止力、そしてそれに連なる自衛のための反撃力の保持が肝要です。加えて、ミサイル等の狭義な安全保障ではなくて、サイバー、エネルギー、食料、文化、それから昨今は研究者の頭脳の海外流出、こういった広義の安全保障、総和としての日本の安全保障力について御示唆をいただきたいという意図で、まずは高見澤公述人に、外国人土地規制、取得規制についての御所見を伺いたいというふうに思います。 日本は、WTOにおける土地取引における内国民待遇を留保しておりません。一方で、アメリカや中国は留保しております。つまり、日本の土地を中国の方は買えるけれども、中国の土地は日本人は買えないというような非相互主義に陥っています。 RCEPでは日本は留保しましたが、例えば中国に対して、留保しませんのWTO、留保しますのRCEP、どちらが有効ですかというふうに問うと、政府は、どちらも有効だというふうに答えます。取得が例えば日本の法人の名前になっていれば、後ろに誰がいるか、バックヤードは見えないじゃないかというような声もありますけれども、少なくとも、日本は留保しますという立場を明確にするとともに、重要土地規制法においても、防衛施設のごく今狭い範囲しか規制されていないという現状を早急に解消すべきというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○公述人(高見澤將林君) 私は、この問題につきましては、ほかにも共通して言えることだと思いますけれども、日本政府として、こういった土地取引の実態といいますか、その背景について、ちゃんとしたそれをデータベースといいますか、リアルな形で把握しているという体制を構築しない限り、なかなか法、立法もできたとしてもその実装化ができないということだと思います。 ですから、今のDXなり、いろんなその行政、デジタル行革にもよると思いますけれども、そういったあらゆる土地取引をデジタル化して、それが目に見えるような形で進められていくと。さらに、それは国民の理解もお願いして、そのデジタル的な作業に伴う必要な情報というものを必ず登録するというようなことを高めていくということがまず大前提になるのではないかなと。そういう体制ができれば、いろんなレベルでの政策手段というのは展開できるのではないかというふうに思います。 それで、相互主義の関係については、恐らくいろんな外交的なところでのやり取りということもあるかと思いますので、私は、今まさにそういう前線に立っている政府の判断というのをもうちょっと詳しく国民には明らかにして議論ができるようにすべきだと思いますし、少なくともそういった選択を取った場合にどういうメリットとデメリットがあるかということを明らかにする責任があるのではないかと思います。 以上です。
○伊藤孝恵君 全くそのとおりで、私、地元の方が、山を、うちの山を、もう煮ても焼いても食えぬような山を市価の五倍で買うと言ってきている外国の方がいると、これは売ってもいいのかというふうに聞かれて、法律ではもちろん売ってもいいんだけれども、そこに何を建てるか、何かアンテナのようなものを建ておるぞと、それでいいのかと。国民もそういった安全保障の観点から課題感を感じている、そういうところに我々はまさに今おっしゃったような、まず事実を把握する、もちろんDX等を利用して、そして、我が国を、自分の国を自分で守るための体制を軍事のみならずつくっていくというのは大切だというふうに思いました。 続いても、高見澤公述人にお伺いしたいんですが、コロナウイルス感染症というのは、まさに日本の脆弱性というのを明らかにいたしました。デジタル化の遅れ、ワクチン開発能力の欠如のみならず、これ、サプライチェーンの過度な他国依存の現実というのも明らかにしました。 私、地元が愛知県でありまして、この物づくり愛知ですので、今回G7の広島サミットで経済安保、特にサプライチェーンの強靱化について話し合われたということに着目をしておりました。 安全保障上、日本は、今後、国内回帰だけじゃなくて、中国依存を一定度下げつつ、友好国にサプライチェーンを移管していく、フレンドショアリングというようなものが大切になってくると思いますし、G7がその枠組みを提供するのが好ましい、まさにグローバルサウスを含めた供給網の強靱化というのを進めていくことが必要だと考えます。 安全保障の観点で御所見お聞かせください。
○公述人(高見澤將林君) サプライチェーンの問題については非常に複雑な側面があるかと思います。 つまり、いわゆる戦略的不可欠性に関わるようなテクノロジーに関するものから、それから、いわゆるミドルテクノロジーといいますか、半導体でも、そんなナノ数がそんなに高くないものも含めたものもあれば、さらには一般的なコモディティーというような形であって、それぞれのサプライチェーンについて、やはり我々としてレベルに応じて考えていかざるを得ないと。 今も、いわゆるその供給財については、日本は中国に五〇%依存している供給財が圧倒的に多いという現実もございますので、そのサプライチェーン問題を一遍に解決しようということはできないというふうに思います。ですから、そういった日本の脆弱性がどこにあるのかということについては、一度包括的な評価というのを政府内で有識者も集めてやる必要があるのではないかと。食料もあればエネルギーもありますけれども、ふだんのいわゆる医療関係のものも含めて包括的な評価をしていただきたいというふうに思っております。 その関係で、例えば食料について言うと、ほとんど依存しているものが、いわゆる我が国の同盟国とか同志国なわけですね。じゃ、それはそれでいいのかということもあろうかと思いますので、いわゆるプラスワンなり、あるいは供給源の多様化ということも、それだけで問題の解決にはならないということも留意しなければいけないと思います。特に中国との関係でいうと、ほかの国にサプライチェーンを移したつもりでも、その国のサプライチェーンの中で中国が非常に大きなウエートを持っているというようなこともありますので、いろいろ工夫すべき要素があると。 長くなってしまいましたけれども、要するに中身に応じて考える、包括的なアセスメントをすると。その結果、日本の強みと弱みを把握して、それをどういう形の協力でやるかということを検討すると、これに尽きると思いますし、政府もそういうアプローチでやっているというふうに信じているところでございます。
○伊藤孝恵君 おっしゃるとおり、もはや、もう中国の部品を使っていないものが探せないぐらいになってくる、もうサプライチェーンの中に中国という国が深く組み込まれていて、中国の対日輸出の中間財の八割が例えば二か月間停止をしただけで日本の製造業には五十三兆円の経済損失があるという、そういった深刻な事態になっているからこそ、今この時点で、まさにこのサプライチェーンの課題について御所見をお伺いしたかったという背景でございます。 続きまして、高田公述人にお伺いしたいと思います。 台湾有事が一見防衛上の事態とは言い難いサイバー攻撃や偽情報等の状況から始まるというシナリオ、ハイブリッド戦から始まる政策シミュレーションに参加された旨、公述人の寄稿「戦略三文書に魂を吹き込め」で拝読をいたしました。私も、現代戦の難しさというのは、まさに平時と有事がシームレスであって、非軍事部門が極めて重要である点だというふうに思います。 それから、データを制する者が戦いを制すると、今やもう八割がサイバーだというふうに言い切る専門家もいらっしゃって、私も昨年、台湾に参りまして、例えば、平時から攻撃者の動向を調査をして対処するアクティブサイバーディフェンス、それから国民にワン・トゥー・ワンで正しい情報を届けるというストラテジックコミュニケーション、それからドローンの有用性についてもいろいろな方から教えていただきました。 公述人に伺いたいのは、台湾同様、日本もこれ海に囲まれた環境であります。それから、この場所をお引っ越しできないという難しい環境下の中にあって、台湾では、すごくびっくりしたのが、例えば滑走路のレジリエンスに取り組んでいますとおっしゃるんですね。滑走路の強靱化、それから壊されてもすぐに直せるように部材を調達したり、それからその素材を採用したり。こういうことを日本で、例えば国土交通省に聞いても、そんなことは考えてもいないというようなことをおっしゃる。 こういった滑走路のレジリエンスですとか、先ほどから話が出ていますけれども、弾薬のおよそ七割、北海道に備蓄をしている、そういった情報、状況で、線路を壊されてしまったら運べません、トンネルを壊されてしまったら通れません、じゃ、船と言うかもしれませんけど、この南西諸島の港湾に自衛隊の艦船は接岸できません。こういった海に囲まれている国ならではの課題、それからそれにどういうふうに対処していくか、御所見を伺います。
○公述人(高田克樹君) ありがとうございます。 御質問の中で非常に感じましたのは、今回、政府による三十八空港、港湾施設の機能拡充の検討、これは私も新聞見て、ああ、いよいよだなというところを感じております。 特に、航空自衛隊なんかは今、ウクライナでウクライナの空軍がやっておりますように、一回飛び立った空港には着陸しないでレジリエンスを高めている。使った空港には降りない、また飛び立ってまた別の空港に降りるという、そういった分散、自ら防護していくという戦い方というのは、ウクライナを見ても見て取れるわけであります。 そういった意味で、この三十八空港、港湾施設の機能拡充の検討というのは是非進めていっていただきたいんですが、私ちょっとあれっと思ったのは、空港、港湾で鉄道が入っていないんですよね。これは何でなんだろうなと思って。実はこの鉄道というのは、ロシア・ウクライナ戦争を見ても、ロシア側、ウクライナ側、鉄道輸送というのは非常に大きな輸送力なんですね。そういった部分にこの鉄道が抜けているのが、戦略三文書からそもそも抜けているんですけど、何で抜けちゃったのかなと思います。 あと、ハイブリッド戦を言われますと、我々が感じます以上にもう既に入ってきているかもしれません。最終的にはこの人間の脳に働きかける認知戦というところでいうと、二〇一四年のクリミアの奪取なんかは、ゲラシモフ・ドクトリンのとおりに、全く弾一発も撃たずクリミア半島を占領したわけでありまして、これはもう全くの認知戦で、いい例だと思うんですね。 そういった意味で、サイバー防御、それからアクティブディフェンスもそうなんですけど、例えば、クラウドでまとまったデータをいかに保護していくかという、サイバー攻撃に耐え得るものになっているのか。政府系クラウドが今後できるかもしれませんが、そこにあるデータが容易に盗まれるようではいけないわけですよね。そこらは今後注意していくべき点ではないかなと思います。
○伊藤孝恵君 ありがとうございました。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。 御意見拝聴いたしました。 まず、高見澤公述人に伺いたいと思います。殺傷兵器の輸出に関わってです。 従来、我が国の立場は武器輸出禁止であり、一九八一年には衆参本会議の全会一致の国会決議でも確認されています。その後、例外がつくられ、包括化されるなどしましたが、国際紛争の助長を回避するというその理念は維持されておりました。 これを大転換したのが、安倍政権下、二〇一四年四月の防衛装備移転三原則であり、ここでは国際紛争を助長しないという言わば革新的な理念も消してしまいました。我が党はこれを厳しく批判してきました。 ただし、当時の三原則とその運用指針を読みますと、殺傷能力のある武器の輸出は国際共同開発・生産の場合に限り、それ以外の輸出は救難、輸送、警戒、監視及び掃海、いわゆる五類型に制限し、殺傷武器の輸出はしないことを原則にしていたと言えるのではないかと思います。 伺いたいのですが、少なくとも二〇一四年のこの当時、国会答弁など政府の発信では、五類型に殺傷兵器の輸出が含まれるとはしていなかったと思うんですが、いかがでしょうか。
○公述人(高見澤將林君) まず、冒頭申し上げたいのは、日本政府というか日本は武器を輸出してきたということは事実でありますので、それは殺傷性も含めて、殺傷性のあるものもずっと輸出していたわけですね。それを転換したのが政府の見解なわけですので、まず大前提として、今まで一度も日本政府が、日本が殺傷性のある武器を輸出していなかったかということを前提としたかのような御質問については、それは事実と違うというふうに申し上げたいと思います。 それから、第二点目でございますけれども、二〇一四年のいわゆる防衛装備移転三原則の考え方というのは、二〇一三年十二月にできました国家安全保障戦略の考えに従って整理をしたものであると。つまり、当時の国家安全保障戦略の目標の達成に必要な範囲でいわゆる武器輸出三原則等を見直して、防衛装備移転三原則だったというものだと思います。 そのときの大きな考え方は、基本的には、まずその閣議決定した方針と、それから国家安全保障会議で決定する運用指針がございまして、そこで運用指針というのはある程度機動的に見直すということが前提になっていたように思います。そして、その五類型というのはその運用指針に含まれているということではないかと思います。
○山添拓君 五類型に殺傷兵器、殺傷能力のある兵器が当然に含まれるかのような、そういう発信は当時は政府としてはしてはいなかったんではないかと思うんですが、この点は重ねていかがでしょうか。
○公述人(高見澤將林君) 当時は自公の与党協議でも非常に慎重に議論したので、いわゆる殺傷性ということを含むということを殊更強調するような議論というのは、それはございませんでしたし、かなり具体的にどういったところまで認めるのかということについては慎重な議論が行われていたということは事実だと思います。
○山添拓君 ありがとうございます。 実は昨年四月二十一日の衆議院安保委員会では、防衛装備庁の土本長官が、直接人を殺傷することを目的とする防衛装備の移転がこれら五類型に該当することは基本的には想定されていないと、こう答弁していますので、したがって、二〇一四年の当時だけでなく、少なくとも昨年四月頃まで政府も殺傷兵器の輸出は原則としてできないと、こういう前提で臨んできたのだろうと思います。そのことを確認できたかと思います。 その上で、もう一点、高見澤公述人に伺いたいと思います。 以前、ジュネーブ軍縮会議の大使を務めておられました。そこで伺いたいのですが、今のイスラエルのガザ攻撃では、欧米、特に米国によるイスラエルへの軍事支援が事態を一層深刻にしているという側面があると思います。このときに日本の姿勢が改めて問われると思うんですね。 日本は、中東を植民地にしたことがなく、宗教的にも中立であり、欧米諸国やロシアや中国と違って武器輸出もしてこなかったと。中東で戦争が起きても軍需産業がもうかるという構図にないのも信頼につながる、こうある自民党の議員がかつて述べていたようなんですけれども、こうした日本の立場に基づく中東和平への関わり方、その意義について公述人の御意見を伺いたいと思います。
○公述人(高見澤將林君) 御質問ありがとうございます。 私自身は中東の専門家ではないので、今の議員の御質問にお答えするような識見は持ち合わせておりませんけれども、いずれにいたしましても、私が思ったのは、ハマスが十月七日にイスラエルの国内的な状況に付け込んであれだけの大規模な攻撃に出たときに、それの性格なり対応についての評価を政府全体として総合的に行っていただくことが非常に大事だったのではないかと。それを踏まえて、いろんな外交的な対応なりを政府全体としてできたのではないかなというふうに思っております。
○山添拓君 外交的な対応としては、現在、国連総会では即時停戦を求めるという決議が賛成多数となり、またICJはジェノサイドを防ぐための措置を講ずるように暫定措置命令を下すと、こういう状況があるかと思います。御意見も参考にしたいと思います。 高田公述人に伺いたいと思います。 武力攻撃などの事態認定を早めるべきだと、それは平時は火薬取締法や道交法や土地収用法、いろんな申請をして承認を受けなければならないと。公述人のお言葉では、言わばがんじがらめだということでした。そして、それに加えて、事態認定以前においても自衛隊に関して様々な法規の適用除外を拡大するよう求めると、こういう御意見であったかと思います。 私は、これは率直に言って驚いたんですね。我が国が平和憲法を定めて自衛隊についてシビリアンコントロールを厳格にしているのは、戦前の軍国主義による侵略戦争と植民地支配が国内外におびただしい犠牲をもたらした、その反省に立つものです。憲法の平和主義とは、我が国が攻められない、そして国民の命を守るというだけの意味ではないかと思うんですね。したがって、自衛隊の活動については、有事はもとよりですが、平時においても軍事的合理性が優先されるということではなく、制約を受けるのが大前提だと思うんです。 公述人のお考えは、これは自衛隊の幹部やOBの皆さんの間でかなり共有されている考えなのでしょうか。
○公述人(高田克樹君) お答えします。 例えば車両制限令というのがありまして、車幅とか高さ、重さで一定の制限を超える車両については事前に申請をしてくださいねというところがあるんですが、例えばこれを、自衛隊の車両は平素からこれ適用除外して自分たちで勝手に通れると、もっと言えば、赤信号でも自衛隊の車両は通れるという、こういうことを申し上げているわけではないわけであります。 私が申し上げているのは、三十六個、私が数えただけで三十六個あるんですけど、その法律の中で既に平素から適用除外を受けている法律は十二個あるんです。例えば、自衛官が鉄砲を持つ銃刀法の話だとか、危険物を取り扱うとか、通信事業者としての、まあ通信をするとかですね、そういうのは適用除外を受けて、自衛隊員であれば、その職にある者はやっていいよということになっているんですね。そういった部分をもうちょっと広げるようなところはないでしょうかという御提案でありまして、何も赤信号で渡らせろとかそういうことを言っているわけではありません。 以上です。
○山添拓君 それはもちろんだと思います。ですが、こうして適用除外を求める、その範囲を拡大することが事態認定前も含めて広範に必要だということは、それはやはり自衛隊の性質からして一定の制約を受けるのは当然だと思うんですね。そのことをお伝えしようと思いました。 もう一点、高田公述人に伺いたいと思います。 現在審議している来年度予算案には、陸海空自衛隊を一元的に指揮する常設の統合司令部として、統合作戦司令部の創設が盛り込まれています。その目的は、米インド太平洋軍司令部と調整する機能だと説明されております。 調整とは何を意味するのかという点も大変気になりますが、この統合司令部の創設は米国側にとってはどのような意味があるとお考えでしょうか。
○公述人(高田克樹君) 一般的に、統合幕僚監部というのは、大臣を制服の代表者の統合幕僚長が運用に関して一元的にお支えする組織ということで、性質的には大臣の補佐機能が主であります。 一方で、例えば三・一一のときなんかは折木統幕長でしたが、大臣が出された命令を一部指揮するということで、部隊を、まあ指揮しているわけじゃないんですけど、大臣の指揮機能を補佐するという形でなっておりました。したがって、その部隊指揮の部分はちょっとおろそかになって、大臣補佐、それから官邸報告というような部分が、統合幕僚長の仕事でいうと、当時は六対四、七対三だったなというようなことを折木統幕長も回顧録で書かれております。 そういった意味から、部隊を専門的に指揮する部署という観点で統合作戦司令部をつくるという趣旨だと思いますし、カウンターパートの関係でいいますと、統合幕僚長のカウンターパートはワシントンの統幕議長なんですね、本来、本来はですね。で、PACOM、インドPACOMというのは作戦司令部ですから、いわゆる国防大臣、国防長官を補佐する機能ではないわけです。そういった意味でちょっと制度上のねじれがあったので、それを、統合作戦司令部を国内につくればインドPACOMとの正式なカウンターパートになれるんじゃないですかという、そういう趣旨だろうというふうに思います。
○山添拓君 日米2プラス2で米国側は、常設の統合司令部の設置、日本の決定を歓迎するとしておりまして、より効果的な指揮統制関係を検討するとも表明しておりましたので、今後の議論の参考に御意見もしていきたいと思います。 ありがとうございました。
○大島九州男君 公述人の皆さん、ありがとうございます。 それでは、簡潔にいろいろ質問をさせていただきますが、素人なので国民目線で質問させてもらいますが、いろいろお話を聞いていると、高田公述人も、相手がいてと。相手がどういう国、どこをイメージするのかなというのがちょっと私には分からなくて、日本がある国と敵対をして戦争になるような事態というのはどういうことを想定されているのかというのを、ちょっと聞いていて分からなかったので、高見澤さん、高田さんと、ちょっとお答えいただければと思います。
○公述人(高見澤將林君) よく分からないということだろうと思うんですね。 そうすると、我々が注目するのは、能力とあるいはドクトリン、そして政治家なり軍人なりの発言でありまして、それからすれば、やはり日本に対する意図というのは非常に厳しいものがあるなと思います。 これまでも、楽観的に思ってまさかというようなことが、現実にリーダーが発言したときにまさかと思っていると、それがそのとおりになっていくということが多々あるものですから、私は、やはり安全保障をやるサイドからすれば、そういった個々の発言については注意深く、そして、最悪のケースあるいはその意図が本当であるという前提である程度議論せざるを得ないということではないかなと思います。
○公述人(高田克樹君) 私も一緒でありまして、相手側の能力と戦い方、ドクトリンに着目して抜本的な防衛力を強化するという、相手側というのはそういうことなんだろうなと思います。 現実に、ロシアという国が常任理事国として力による現状変更を試みているというこの現実、目の前にあるわけでありまして、そういうことが対岸の国にも適用されかねないと。それは、彼らの持っている能力が、十年前から、それから十年後を察したときに、とてつもなく大きなものになっていくという、これはもう十分に予想できるわけでありまして、そういうところだろうと思っています。
○大島九州男君 仮定の話ですけど、ロシアがウクライナというようなことで戦争状態というか入ると。じゃ、そのロシアが日本に対してそういう国土を侵略していくとか何かの形で戦いを挑んでくるというようなことは想定できるんですか。お二人に。
○公述人(高見澤將林君) ロシアのこれまでの言動、最近の言動ということを考えると、少なくとも中国、ロシア、北朝鮮、イランの連携ということは非常にありますから、そういったことを排除できる確信はございません。
○公述人(高田克樹君) 全く一緒であります。
○大島九州男君 とすると、防衛力を均衡に保っていくということでいくならば、日本も核武装が必要だというそういう御判断ですかね。お二人に。
○公述人(高見澤將林君) 私は、そのような考え方というのは現実には成り立たないというふうに思います。それは、日本はNPTのメンバーでもございますし、それから被爆した経験もあり、国民世論もございますし、かつ、それを準備するための作業ということを考えれば、その間、国際社会からのいろんな批判もございますし、なかなか生きていけないということになると思いますので、だから、それ以外の方策を考えていくということに尽きるのではないかと思います。
○公述人(高田克樹君) 私も一緒であります。 私、被爆地の広島の出身でありますから、特にその点はそのように思います。
○大島九州男君 私の父母も広島なんですよ。 そういうことでいうならば、核兵器のない世界の実現に向けて核兵器禁止条約に日本が署名、批准することについては必要だというふうにお考えですか。お二人。
○公述人(高見澤將林君) その問題については、私はいつもこうお答えしているんですが、一つは対人地雷禁止条約、これは日本はすぐに署名、批准しまして、それで直ちにお金を掛けて地雷を全て廃棄いたしました。それから、クラスター弾につきましても、陸上自衛隊のMLRSという多連装ロケットシステムがこれに該当するということになりましたので、日本は、軍縮議連のリードもあって、それについて署名、批准し、直ちに何百億円掛けてそれを廃棄いたしました。 なぜそれが可能だったかというと、代替手段があるかという問題で、当時、国会なりにも御理解をいただいて、対人地雷に代わるシステムを整備するお金であるとか、あるいは多連装ロケット砲がないといったらどうするんだというようなことをやっていたわけでございます。 ところが、核兵器については日本は保有をしておりません。それで、核抑止力に依存しているという実態がございます。一方で、今の核兵器禁止条約というのはそういった関係自体を禁止する条約になっておりますので、直ちに日本は代替手段のないまま放り出されるということになりますので、それは現時点では非常に難しいと。 ただ、同時に、アメリカの国家安全保障戦略でも言っておりますように、核兵器への依存を減らしていく可能性というのは、これは追求すべきであろうというふうに思っておりますので、そういう意味で、日本としてはそこに焦点を当てた取組というのを進めていくべきではないかというふうに考えているところでございます。
○公述人(高田克樹君) 同じ意見であります。
○大島九州男君 今おっしゃることは分かりますが、日本は唯一の被爆国であるということからして、この日本がそこに積極的に世界に発信をしていくという意味において批准していくという、そういう考え方は成り立ちませんかね。高見澤公述人。
○公述人(高見澤將林君) 署名、批准いたしますとそれだけでその条約に拘束されるわけでございますので、その瞬間に今の日米安保体制を見直さなければいけないということに条約上は恐らくなるのではないかと思います。
○大島九州男君 今おっしゃったように、日米安保も見直しやっぱりしていく必要があるんじゃないかという考え方あるんですが、特に地位協定とかいろいろ問題があると認識しているんですけれども、高見澤公述人、高田公述人、もし、ここはこういうふうに変えた方がいいんじゃないかというようなことがあれば教えていただければと思います。
○公述人(高見澤將林君) 先ほど舌足らずだったかもしれませんけれども、日米関係を見直さなきゃいけないということは、日本の安全がそれではもたないという意味でちょっと申し上げたんですけれども。 一方において、ただいまの質問について申し上げれば、いろんなその配慮があるかと思いますけれども、あらゆる選択肢というのは常に考えてそれを議論をしていくということは言うまでもないと思います。
○公述人(高田克樹君) 地位協定の部分については、詳しい知見も持ち合わせておりませんのでお答えは差し控えさせていただきますが、彼らがいる環境というのは、本当に日本の防衛のために駐屯してくれている連中ですし、我々はやっぱり仲間だと常々思っていますので、心情的な方向からいうとそういう話になります。済みません。
○大島九州男君 防衛省御出身のお二人でございますので、私自身は自衛隊の皆さんのいろんな活動についてはすごく敬意と感謝を持っています。特に、被災したところでの活躍、人命救助においてもすばらしい活躍をしていただいていると。 これはもう大きく考え方が違うので、私の意見を言うと、それこそ国際救助隊のように、何かが起これば自衛隊が世界にでもそうやって救助に出ていくような、そういう活動をしていくような活動をやってもらうといいなと思うんですけど、やはり自衛隊の人たちには、いやいや、俺は他国を守るんじゃなくて日本を守るんだというやっぱりそういう強い意思があるんでしょうか。特に現場の高田公述人、よろしくお願いします。
○公述人(高田克樹君) 三十五年陸上自衛隊におりまして、私の周りでいた隊員たちはそれがやっぱり根っこにありました。議員御指摘の、この国のためにという、国民のためにという。それが評価された瞬間に、彼らの汗と涙というのは一瞬に消えて達成感に変わっていきます。これ、災害派遣の現場でどんなに苦しい現場を体験しても、彼らが本当に達成感を持って部隊に帰ってきてくれる、そういうものを、隊員を迎えて、本当にそう思いました。 そこにはやっぱり国防を念頭に置いた厳しい教育訓練というものが根っこにあって、特段、災害派遣のための訓練というのは自衛隊は行っておりません。それは、国防のための訓練がベースにあって、それを応用することによっていかなる任務にも対応できる、そういう強靱な隊員が育成できているというふうに思っています。
○大島九州男君 日々厳しい訓練に耐えてやっているという認識を私も持っております。 先ほどおっしゃった、お母さんが自衛隊にうちの子供は無理だなみたいなお話がありましたけど、戦場へ向かうというふうになると余計に親は自衛隊に入れたくなくなるんじゃないかという懸念があるんですが、そこら辺、高田さん、どうですか。
○公述人(高田克樹君) それぞれの家庭のことは分かりませんが、私は子供三人おりまして、娘夫婦が自衛官です。二番目の娘の旦那が自衛官です。三人目の長男坊が自衛官です。 やっぱりそれぞれの家庭の事情がありますんでしょうから、一概にお答えすることはできません。 以上です。
○大島九州男君 自衛隊の皆さんがそういう戦場へ行かない外交、安全保障が行われることを期待して、質問を終わります。 ありがとうございました。
○委員長(櫻井充君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。 この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げます。 本日は、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。本当にどうもありがとうございました。(拍手) これをもって公聴会を散会いたします。 午後三時五十五分散会