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213回国会参議院2024/05/29

本会議 第22号

発言数
39
登壇者
15
会派数
7
開催日
2024/05/29

会議録

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。  この際、日程に追加して、  グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。上川陽子外務大臣。    〔国務大臣上川陽子君登壇、拍手〕

上川陽子自由民主党・無所属の会外務大臣

○国務大臣(上川陽子君) ただいま議題となりましたグローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  政府は、令和五年一月から英国及びイタリアとの間でこの条約の交渉を行い、その結果、令和五年十二月十四日に東京において、三か国の代表により、この条約の署名が行われました。  この条約は、GCAPの管理等を我が国、英国及びイタリア三か国のために行うことを目的とする国際機関として、GCAP政府間機関を設立するものです。  この条約の締結により、三か国の政府間の協業及び三か国の政府と民間企業との間の協業を一元的に管理し、及び運営する体制が構築されることとなり、GCAPの事業の円滑な実施に資することが期待されます。  また、こうした取組を通じ、新たな技術を利用することによる相互の防衛能力の向上、我が国の繁栄及び安全保障並びに国際的な影響力への寄与が期待されます。  以上が、この条約の締結について承認を求めるの件の趣旨でございます。(拍手)     ─────────────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。水野素子君。    〔水野素子君登壇、拍手〕

水野素子立憲民主・社民

○水野素子君 立憲民主・社民の水野素子です。  ただいま議題となりましたグローバル戦闘航空プログラム(GCAP)政府間機関の設立に関する条約について、会派を代表して質問します。  近年、深刻な国際紛争が頻発しています。宇宙から見たら、地球に国境はありません。侵略や力による現状変更から国民の命、財産、主権、国境を守るのは大事ですが、そのために多くの大切な命が失われていることに深い悲しみを感じます。戦争の苦難の歴史と平和憲法を持つ日本こそが、武力の行使や戦争によらない平和の維持、構築を、戦争を防ぐ抑止力としては武力よりも外交を、国連改革やICJなどの国際裁判制度の補強などにおいて国際社会でリーダーシップを果たすべきだ、これが私の、そして多くの国民の願いであります。  そのような基本認識の下、次期戦闘機、GCAPの開発や輸出を念頭に置いた国際組織GIGOの設立と参加に関する本条約について質問をいたします。  そもそもなぜ次期戦闘機の開発が今必要なのか、改めて問います。  残念ながら、国際紛争が多発している現状においては、日本でも自衛のために必要最低限度の装備が求められるのが現実です。しかし、約四十三兆円にも及ぶ防衛費の大幅な増加、トマホーク四百発など膨らみ続けるFMS調達など、国民の暮らしが厳しい状況においてほかの暮らしを守る予算とのバランスが悪く、具体的な用途にも疑問が多い。さらに、近年、安全保障の戦略領域は、無人機、ドローン、宇宙、サイバー、電磁波など、人員喪失リスクを極力低くすることを念頭に置いた装備品や抑止力技術に各国の主軸は移っています。十年も掛かると言われる次期戦闘機の開発に多額の国家予算、税金を投入し、これから取り組む必要性と合理性について、木原防衛大臣、改めて御説明ください。  コロナ禍におけるワクチンやマスク不足、食料、エネルギー自給率の低さ、産業の米と言われる半導体不足など、国民の安心、安全に必要なものは自給率を高めるのが安心かつ産業政策上も国のあるべき姿です。同様に、従来、次世代戦闘機は日本独自開発を目指していたのに国際共同開発に転じた理由は何ですか。最大の費用対効果を得るための協力と前文にうたっていますが、本共同開発により、具体的に一機当たりの調達においてどの程度の金額面のコストメリットがあるのか、防衛大臣、御説明ください。  万一、GCAPの開発が失敗し、GIGOが解散する場合、清算はどうなりますか。開発に失敗した実施機関や企業などによる共同事業体制などの原因者は、どのように責任を取りますか。我が国が拠出した資金について求償はできますか。防衛大臣にお聞きします。  GIGOと企業などによる共同事業体制との契約において、利益相反や水増し発注などの不適切な行為を防ぐためのチェック体制はどうなっていますか。GIGOの公文書は不可侵と規定されていますが、着服や水増し発注などの場合でも資料開示請求ができないとしたら問題ではないですか。調達について、本件に限らず、そもそも防衛省、防衛装備庁では、企業からの価格等の提案を厳格に審査、チェックするためにどのような万全の対策をしていますか。防衛大臣にお聞きします。  国際共同開発の協力先として、様々な選択肢の中から英国、イタリアが最善と考える理由について、安全保障、技術上のメリット、産業効果の観点から、防衛大臣、御説明ください。  二〇二二年十二月の日英伊のグローバル戦闘航空プログラムに関する共同首脳声明の発表と同日に、次期戦闘機に係る協力に関する防衛省と米国防省による共同発表が行われた背景は何か、防衛大臣、御説明ください。  追加的な締約国の参加が規定されていますが、どのような国が想定されますか。新規加入は全締約国の合意が必要とされています。機微技術の共有先であり、慎重な判断が必要なため、我が国においては新規加入の是非を事前に国会承認により判断しますか。防衛大臣にお聞きします。  国際共同開発において国際組織の設立は不可欠ですか。職員への広範な特権免除や労働条件など、組織の設立、維持のための調整事項、手続コストが大きいと感じます。既に各国で企業の選定も進んでいます。防衛省を始め人材不足の中、我が国からの派遣は百人にも上ると聞きます。多くの人員を雇用、派遣する国際組織の設立に時間と費用を掛けるよりも、共同開発自体の合意を行い、定期会合などで共同事業体制の業務の進捗を共同で確認し、管理する方が合理的かつ一般的ではないですか。防衛大臣にお聞きします。  本条約の実施詳細の大半、実施機関の業務の定義、非締約国への輸出の仕組み、秘密情報の保護のルールなど、十七項目にも上る重要事項について別途の取決めを関係当局間で定めるとされています。条文で基本的な考え方も示さず白紙委任するのは、国会軽視ではないですか。我が国において別途の取決めの内容を誰がどのようなプロセスで事前確認しますか。我が国における関係当局とは何ですか。条約上の権限を授権するのであれば、条文などで関係当局を指定してあらかじめ明らかにすべきではないですか。上川外務大臣にお聞きします。  GIGOの本部は英国、そして企業などによる共同事業体制の本部も英国。GIGO実施機関の長たる首席行政官の初代は日本人でも以後はローテーション、共同事業体制の初代の長はイタリア人で以後はローテーションと聞きます。GIGO本部を日本に誘致する、又は企業などによるジョイントベンチャーとなる共同事業体制の立ち上げを担当する方が雇用や産業などへの実質的なメリットが大きいと感じます。なぜ実施機関の長を担当する選択をしたのですか。防衛大臣にお聞きします。  円安の中で多くの職員が海外に駐在することや、下請も含めた雇用や将来ビジネスの喪失など、国内にGIGO本部を誘致したときと比べて、追加的に掛かるコストや逸失利益をどのように見積もっていますか。防衛大臣にお聞きします。  GIGO本部が設立される英国はEUから離脱しています。GCAPは世界中から先端の技術や知見を糾合する必要があり、また、非締約国への輸出も想定されています。日本やイタリアよりも英国にGIGO本部を置くことで、技術、情報、関係者などの国境を越える移動において現場のデメリットはありませんか。防衛大臣にお聞きします。  GIGOの雇用契約又は労働条件は、締約国の最良の慣行を反映するとされています。我が国の労働条件が他の締約国の労働条件より劣っており、他の締約国の条件に従うことになるのは具体的にどのような点ですか。例えば、防衛省が派遣する職員の給与はどの程度増減しますか。また、日本と英国などをGIGOの業務において往復する際のビジネスクラスの利用などの待遇の差は生じますか。我が国の公務員の労働環境の国際比較の観点からも防衛大臣にお聞きします。  条約には、締約国と産業界との間でデータ及び有形資産の移動を認め、並びにこれらを共有することが重要とありますが、知的財産権を含む無形資産の移動や共有はないのですか。GCAP共同開発により新たに発生する知財の所有者は、各国政府ですか、GIGOですか、企業などによる共同事業体制ですか、それとも開発に関わった企業ですか。国家予算を投じて生じた安全保障上重要な知財であり、我が国政府として単独又は共同での保有、あるいは利用権を明確に保持すべきです。開発に伴う知的財産権の取扱いについて、どのような文書により定めることが想定され、政府としてどのようにその内容の妥当性を確認するのですか。防衛大臣にお聞きします。  GCAPの製造拠点はどこになる見込みですか。パーツを分散して製造する形式であれば、全体をインテグレートする拠点工場はどこになりますか。また、開発成功後のGCAPの製造権は誰が持ち、各国はどのようなルートと手続で発注し支払を行いますか。防衛大臣にお聞きします。  秘密情報を共通の程度で保護すると規定されていますが、我が国で具体的に対応する法制度は何ですか。我が国において遵守すべき守秘の程度について、他の締約国や関係企業などの遵守をどのように確保できますか。GIGOの職員採用時のセキュリティークリアランスについて、我が国の関係法令と相違はありますか。防衛大臣にお聞きします。  条約ではGCAPのための装備や技術の非締約国への輸出を円滑にする共通の仕組みを設立するとしていますが、この仕組みとは具体的に何ですか。また、この仕組みに反映するとされる適用のある国際協定並びに武器管理制度に関する約束を含む締約国のその他の法的義務及び規則とは、我が国においては具体的に何ですか。防衛大臣にお聞きします。  GIGO本部を国内に誘致できなかった背景に防衛装備移転三原則及び運用指針は影響しましたか。我が国からの完成機の輸出を解禁するために、昨年十二月及び本年三月に防衛装備移転三原則及び運用指針を、自公政権内でも異論がある中、強引に改正したのはなぜですか。防衛大臣にお聞きします。  我が国で製造されても、他の締約国で製造されても、同じ性能の完成機です。改正された防衛装備移転三原則及び運用指針では、我が国は現に戦闘が行われている国に対してGCAP完成機の移転は行わないとしています。他の締約国が第三国に移転する際の我が国の事前確認においては、現に戦闘が行われている国への移転を我が国は認めず、したがって、現に戦闘が行われている国にはGCAPの移転は一切行われませんか。そもそも第三国移転への我が国の不同意を他の締約国が遵守する根拠は何ですか。防衛大臣にお聞きします。  改正された防衛装備移転三原則及び運用指針では、我が国からのGCAP完成機の第三国移転は、国連憲章に適合した使用を義務付ける国際約束の締約国に限定しています。しかし、国連にはほとんどの国が加盟しているので、国連憲章との適合による移転先の限定はないに等しく、実態としては、国際約束を締結さえすれば、どの国にも移転できるのではないですか。防衛大臣にお聞きします。  改正された防衛装備移転三原則及び運用指針は、完成機の輸出をGCAPのみに限定しています。このように、本来そもそもは輸出できる武器の範囲を狭めているのはなぜですか。憲法の平和主義の精神に基づくものですか。そして、このような制約を生じさせているのは防衛装備移転三原則及び運用指針ですか。そうであれば、防衛装備移転三原則及び運用指針は、日本国憲法の平和主義の解釈と適用に深く関わるものであり、政府・与党のみの閣議決定で改正するのは立憲主義、民主主義の観点で問題があり、事前に国会で丁寧に説明して国民的議論を行うべきではないですか。近藤内閣法制局長官にお聞きします。  結びに一言申し上げます。  昨年末の防衛装備移転及び運用指針の改正、さらには一昨年末の安保三文書の改正についても、私は国会で改正内容を事前に政府にただしましたが、全く回答はなく、国会閉会直後に閣議決定により改正されました。憲法の平和主義に関わる重要な法政策について国会で事前に説明せず、与党のみの閣議決定で密室的に改正し、骨抜きにしてきた政府の姿勢は、立憲主義、民主主義の観点で問題です。  この政府・自民党の国会、国民軽視の政治姿勢は裏金問題にも通じます。多くの自民党現職議員が絡み、違法性のおそれもある戦後最大級の不祥事を仲間内の不透明な調査や形だけで中身のない改善策でごまかし、トップも責任を取らない。このように国民を欺き続ける政治を変えなければ、日本の未来はありません。  真っ当な政治のために政権交代を。国民の皆様に決意と連帯を訴えて、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣上川陽子君登壇、拍手〕

上川陽子自由民主党・無所属の会外務大臣

○国務大臣(上川陽子君) 水野素子議員にお答えいたします。  GIGO設立条約に規定される関係当局間の別途の取決めについてお尋ねがありました。  別途の取決めとは、本条約の実施に当たって必要となる具体的な手続の詳細や技術的事項等について、各国の関係当局がその所掌の範囲の中で定める当局間文書を指します。  別途の取決めにおいて本条約に反する又は本条約で約束した範囲を超える内容を定めることはなく、あくまで条約の規定に基づき作成するものであり、白紙委任ではありません。  別途の取決めの関係当局は、GCAPを実施する主管省庁たる防衛省が中心となり、英伊の防衛当局とともに取決めを作成することが想定されますが、その内容については、条約の解釈及び実施を所掌する外務省としても確認していきます。  国際約束において関係当局を条文上指定するかはそれぞれの国際約束により異なっており、本条約については、取決めの対象となる事項により各国における関係当局も異なり得るため、条文上明記してはおりません。(拍手)    〔国務大臣木原稔君登壇、拍手〕

木原稔自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(木原稔君) 水野素子議員にお答えいたします。  まず、次期戦闘機開発の必要性についてお尋ねがありました。  宇宙、サイバー、電磁波の領域や無人アセットを用いた攻撃等を組み合わせた新しい戦い方に対応していく中においても、四方を海に囲まれた島国である我が国に対する侵略は必ず空又は海を経由して行われます。  このため、航空機や巡航ミサイルによる空からの攻撃や、艦艇による海からの攻撃をできる限り洋上、遠方で阻止することが重要であり、戦闘機は、引き続き我が国防衛にとって重要な航空優勢を維持、確保し、これらの防御的な任務を遂行するための中核的装備品として、今後も引き続き防衛力において不可欠な役割を担うものと考えています。  その上で、各国が新世代戦闘機の開発や配備を進めている中で将来にわたって我が国の平和と安定を確保するためには、我が国自身として、それらの戦闘機を超える最新鋭の次期戦闘機を整備し、我が国の抑止力、対処力を高めていく必要があります。  次に、次期戦闘機を共同開発することにした理由及びそのコストメリットについてお尋ねがありました。  次期戦闘機の開発を進めるに当たって、我が国の独自開発や米国との共同開発などの可能性について十分に検討を行いました。その結果、要求性能の実現可能性、スケジュール、コスト等の様々な観点から、我が国の独自開発ではなく、英伊との共同開発が最適な選択肢であると判断しました。  次期戦闘機の機体単価は、本条約も踏まえた国際協力の詳細な在り方により今後大きく変動し得ることからお答えできる段階にありませんが、一般に共同開発では量産機数の増加による機体単価の縮減効果があると見込んでおり、今般の共同開発から最大の効果が得られるように開発を進めてまいります。  次に、GCAPが失敗し、GIGOが解散する場合の対応についてお尋ねがありました。  GIGO設立条約では、GIGOを解散する場合に、「特に第三者及びGIGOの契約相手との関係において、並びに各締約国の財政上の貢献に考慮を払った上で、解散の結果を管理する方法について定める。」と規定されており、お尋ねのようなことも含め、GIGOが解散する個別具体的な状況に応じて解散の結果を管理する方法が適切に定められることとなっています。  その上で、昨年十二月の日英伊防衛大臣会合においても、二〇三五年の開発完了に向けて、引き続き三か国が結束して様々な課題を乗り越える確固たる意志を確認しているところであり、引き続き日英伊三か国で緊密に連携しながら、次期戦闘機の共同開発を着実に進めてまいります。  次に、GIGOによる企業との契約や調達、GIGOによる情報開示及び防衛省における価格等の審査体制についてお尋ねがありました。  GIGOによる契約や調達に係る具体的内容については英国及びイタリアと協議中ですが、御指摘のような不正防止のための仕組みを含め、日英伊各国における契約や調達制度を参考にしつつ、適切に検討してまいります。また、GIGOによる情報開示については、今後、英伊及びGIGOと検討を深めていきます。  防衛省における装備品の調達については、企業から提出された見積資料の査定や過去の調達実績との比較検討等により価格の妥当性の評価を行っております。  次に、英伊と共同開発する理由及びGIGOへの追加的な締約国についてお尋ねがありました。  まず、安全保障の観点からは、日英伊三か国の協力は、今後何世代にもわたり両国との幅広い協力の礎となるとともに、一層厳しさを増す安全保障環境の中で、インド太平洋地域及び欧州地域の平和と安定に大きく貢献するものです。  また、技術の観点からは、ユーロファイター・タイフーンの共同開発等を通じ技術を蓄積している英伊とともに、優れた技術を結集することで将来の航空優勢を担保する戦闘機を開発することができます。  さらに、産業の観点からは、次期戦闘機の開発において、様々な先進技術に投資するとともに、国際的に活躍する次世代エンジニアが育成されることで、我が国の防衛産業はもとより、産業界全般への幅広い波及効果が期待できます。  GIGOは、あくまでも日英伊の三か国により設立されるものであり、現時点でその他の国の加入は想定されていませんが、一般論として、本条約上、日英伊以外の国が本条約発効後にGIGOに加入することは排除されていません。  仮に本条約発効後に新たな国がGIGOに加入する場合は、本条約の規定に従って本条約を改正する必要があるため、我が国においては改めて国会での御審議をいただくことになります。  次に、二〇二二年十二月の防衛省と米国防省による共同発表のタイミングについてお尋ねがありました。  二〇二二年十二月の次期戦闘機に係る協力に関する防衛省と米国防省による共同発表は、同月の日英伊による次期戦闘機の共同開発の公表に合わせ、英国及びイタリアとの次期戦闘機の開発に関する協力を含め、日本が行う、志を同じくする同盟国やパートナー国との間の安全保障・防衛協力に関する米国の支持を明らかにしたものです。  次に、GIGO設立の必要性についてお尋ねがありました。  先端技術を含む最新鋭の戦闘機の開発に当たっては、企業側のみならず、政府側も一元的に事業管理を行い、性能、コスト、スケジュール等の様々な要素について日常的に企業側と緊密に調整を行う必要があります。  このため、GCAPでは、戦闘機の共同開発に係る機関として、ユーロファイターの事例を参考にしつつ、国際機関を設置し、効率的な開発体制を構築することとしたものです。  次に、GIGO初代トップを選択する理由及びGIGOを英国に設置する理由等についてお尋ねがありました。  GIGOの本部を英国に設置する場合と我が国に設置する場合とでそのコスト等を比較したものではありませんが、三か国間でのバランスの取れた協業体制を構築するため、GIGOの初代トップを日本が、本部の所在地を英国が、共同事業体制の初代トップをイタリアがそれぞれ分担することで三か国で合意したものです。  その上で、我が国主導の開発を確保する上では、GIGOの立ち上げと、GCAPの将来を左右する重要な立場を担うGIGOの初代首席行政官を日本人とすることは、極めて意義があると考えています。  また、共同開発を推進していくために必要な技術や情報の共有、人員の移動を確保することは三か国にとって必要不可欠であり、GIGO本部の所在地によって影響を受けるものではないと考えています。  次に、GIGOの雇用契約についてお尋ねがありました。  本条約において、「雇用契約は、締約国の最良の慣行を反映した労働者の権利の保護を確保するものとする。」と規定されているところ、給与面も含めたGIGOにおける具体的な雇用契約の内容については現在三か国で検討中です。  いずれにせよ、同じ職責の職員の間での不平等などを生じさせることなく、派遣される職員が安んじて派遣先機関の業務に従事できるよう努めてまいります。  次に、GCAPにおける知的財産権の取扱いについてお尋ねがありました。  優れた次期戦闘機を共同開発するため、GCAPにおいては、日英伊三か国間で必要な技術やノウハウを共有します。GCAPで新たに発生する知的財産権の取扱いについては、お尋ねのような事項も含め、今後、英国及びイタリアとの協議の上、企業側との契約等に適切に反映してまいります。  三か国が重視する改修の自由をそれぞれが確保していく上でも、技術等を共有し、各国が使用できることは不可欠であることから、防衛省において必要な検討を行い、我が国としての技術の使用を適切に担保してまいります。  次に、次期戦闘機の製造についてお尋ねがありました。  お尋ねのような製造拠点等も含め、次期戦闘機の生産の在り方については現在三か国で協議中です。その上で、我が国主導の開発のためには国内に生産・技術基盤を確保することが重要であり、これを踏まえ、次期戦闘機の生産にも取り組んでまいります。  次に、GIGOにおける秘密保全についてお尋ねがありました。  我が国は、特定秘密保護法に基づき、GCAPにおいて取り扱う秘密情報を特定秘密に指定し、管理しています。GIGOにおける秘密情報の保護の体制については、三か国及びGIGOにおいて同等の秘密には同等の保護措置が与えられるようにする予定です。  また、日英伊からGIGOに派遣される職員が秘密情報を取り扱うための情報保全に係る手続は当該職員の派遣国が実施することを考えています。  次に、輸出に関する仕組みについてお尋ねがありました。  お尋ねの仕組みは、次期戦闘機の輸出を効率的に、効率的かつ円滑に行うため、日英伊三か国が各国の輸出管理についての国内法規等を理解した上で構築する輸出のための共通の手続であり、具体的な内容については関係当局間の別途の取決めで定めることとなっています。  その上で、当該仕組みは、本条約、適用のある国際協定並びに武器輸出管理制度に関する約束を含む各国の法的義務及び規則を反映するものとなります。我が国においては、我が国が参加している国際輸出管理レジームにおける約束、当該レジームの内容を反映している外為法やその運用基準である防衛装備移転三原則等が含まれます。  次に、防衛装備移転三原則及び運用指針に関し、GIGOの設置国との関係及び改正の理由についてお尋ねがありました。  GIGOの本部については、三か国間でのバランスの取れた協業体制を構築するため、英国に置くことで合意したものであり、防衛装備移転三原則及び運用指針を理由に決定したものではありません。  また、本年三月に運用指針を改正し、次期戦闘機の完成品をパートナー国以外の第三国に我が国から直接移転し得ることとしたのは、我が国の安全保障環境にふさわしい戦闘機を実現し、我が国防衛に支障を来さないようにするために、直接移転を行い得る仕組みを持ち、英伊と同等に貢献し得る立場を確保するためです。  これは、政府としてその必要性について与党に丁寧に説明を行い、また、国民の皆様の理解を得る観点から国会の質疑に答える形で政府から説明した上で行ったものであり、強引に改正したとの御指摘には当たりません。  次に、次期戦闘機のパートナー国から第三国への移転についてお尋ねがありました。  次期戦闘機のパートナー国である英国及びイタリアとの間では防衛装備移転に関する協定を締結しており、当該協定により第三国移転について我が国の事前同意を相手国政府に義務付けております。  その上で、英国及びイタリアがGCAPの完成品を第三国に移転する際の我が国の事前同意については、事前同意を与える相手国にとっての安全保障上の意義等を考慮しつつ、第三国移転において武力紛争の一環として現に戦闘が行われているか否かを含めた国際的な平和及び安全への影響、第三国移転と我が国の安全保障上の関係等を考慮して慎重に検討を行い、事前同意の可否を厳格に審査することになります。  次に、次期戦闘機の移転先の限定についてお尋ねがありました。  我が国は、相手国と我が国との間の安全保障面での協力関係、協力候補案件・分野の存在等を検討した上で、防衛装備品・技術移転協定の締結の要否を決定しています。  その上で、次期戦闘機の我が国から第三国への直接移転について、移転先国は国連憲章の目的と原則に適合する方法で使用することを義務付ける国際約束の締結国に限定しておりますが、これは最先端の戦闘機という装備品の性質を踏まえて、他国への侵略等、国連憲章の目的と原則に適合しない形で使用されることがないことを法的拘束力のある形で確保するためのものであり、適切な限定を付していると考えています。  なお、実際の移転に際しては、武力紛争の一環として現に戦闘が行われていると判断される国へは移転しないこととし、さらに、移転先が国際的な平和及び安全等にどのような影響を与えているか等を踏まえ、厳格に審査することとしており、国際約束を締結さえすればどの国にも移転できるとの御指摘には当たりません。(拍手)    〔政府特別補佐人近藤正春君登壇〕

近藤正春内閣法制局長官

○政府特別補佐人(近藤正春君) 防衛装備移転三原則等と憲法の平和主義との関係及びその改正と国会との関係についてお尋ねがありました。  我が国が平和主義の立場に立つことを宣明した憲法前文は、それ自体が具体的な法規範性を有するものではありませんが、政府としては、防衛装備の移転については憲法の平和主義の精神にのっとったものでなければならないとしており、今般の防衛装備移転三原則及びその運用指針の見直しにおいても、憲法の平和主義の精神にそぐう内容となるよう、関係省庁において検討されたものと理解しています。  また、国会との関係についてのお尋ねにつきましては、防衛装備移転三原則及びその運用指針は、外国為替及び外国貿易法の運用基準等を定めるものであり、同法の運用は行政権の作用に含まれることから、その見直しについては、同法にのっとり政府がその主体となって行っているものと承知しております。(拍手)     ─────────────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 松沢成文君。    〔松沢成文君登壇、拍手〕

松沢成文日本維新の会・教育無償化を実現する会

○松沢成文君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の松沢成文です。  会派を代表して、グローバル戦闘航空プログラム、いわゆるGCAPの政府間機関、GIGOの設立に関する条約について、以下、防衛大臣に質問いたします。  まず、条約の前に、その前提となる防衛装備品の移転、いわゆる武器輸出の在り方について伺います。  日本を取り巻く安全保障環境が戦後最悪と言われる中で、平和を維持していくためには、我が国の防衛力を抜本的に強化すると同時に、同盟国、同志国との安全保障協力を深化させていくことが欠かせません。  一昨年閣議決定された国家安全保障戦略では、防衛装備品の第三国移転を日本にとって望ましい安全保障環境創出の重要な政策的手段と意義付けています。にもかかわらず、今回の国際共同開発による防衛装備の完成品については、一般的原則として第三国への直接移転を認めず、英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機に限り認め得るとしたのは、余りにも分かりにくく、腰の引けた消極的な対応ではないでしょうか。これで日本にとって望ましい安全保障環境が創出できるのでしょうか。見解を伺います。    〔議長退席、副議長着席〕  今後、防衛装備品については、次期戦闘機に限らず、高性能化、高価格化していくのは必然です。先端技術を駆使した新兵器の開発競争が加速し、そうした防衛装備品の開発は一国では難しく、国際共同開発の流れは止まらないと想定されます。  その中で、日本だけが複雑な手続を設け、その都度、移転可能な対象として例外的に承認をするような体制では、時間的にも手続の面でも共同開発国に敬遠され、支障を来す可能性が大きいのではないでしょうか。見解を求めます。  今後の防衛装備品の在り方については、運用指針に設けた制限を撤廃し、防衛装備移転三原則の原点に立ち返るべきです。  我が国では、昭和から平成にかけて、武器輸出に対して何と二十一件の個別の例外措置が重なったために、改めて防衛装備移転三原則を設けました。にもかかわらず、共同開発した防衛装備品の第三国への移転を運用指針でその都度判断して今回のような例外化措置を設けていくのは、極めて場当たり的な対応です。これでは国際的にも透明性に欠け、企業にとっても予見可能性に欠けます。  今回の防衛装備品の輸出は、平和国家としての三原則を堅持した上で、複雑で分かりにくい運用指針の制限は撤廃すべきです。その上で、第三国への移転に関しては、安全保障環境を勘案し、国際的な安全保障環境を勘案し、客観的、合理的にその妥当性を個別に判断していくべきと考えますが、見解を求めます。  そして、政府が今後、共同開発した次期戦闘機を第三国に輸出する場合、これまで同様、事前に与党と協議した上で閣議決定することになりました。しかし、防衛装備品の輸出という日本の安全保障上最も重要な問題に、なぜ国民の代表である国会が関与できないのでしょうか。与党だけではなく、国会の議論も経て判断すべきです。米国では連邦議会への事前通告と拒否権が与えられています。国会の関与の必要性について見解を求めます。  それでは、GIGOの設立条約に関連して伺います。  日英伊三国は今回の共同開発で第六世代の戦闘機を造ろうとしていますが、それはどのような機能と特徴を持ったものなんでしょうか。現在使われている第五世代の戦闘機に比べ、どのような進化が期待されるものなんですか。第六世代の戦闘機の導入によって日本の航空優勢はどのように実現できるのでしょうか。  国際共同開発は、協議、交渉が長引き、予定どおりに進まないことが多々あると聞いていますが、二〇三五年の初号機導入には本当に間に合うのでしょうか。GIGOでの三か国協議が少しでも遅れていけば、次期戦闘機の配備時期が遅れ、日本の防衛力が劣化してしまいます。もしそうなったら、どう対応するのですか。  その場合の保険として、二〇三五年に退役予定のF2戦闘機の延命措置が必要だと考えますが、それは技術的に可能なのでしょうか。見解を伺います。  条約の合意内容を見ると、英国の主導権が強いと思われます。GIGOの本部は英国に置かれ、企業側の共同事業体制の本部も英国に置かれます。もちろん使用言語も英語です。今後、GCAPに係る主要事項は英国主導で協議、決定されていくものと想定されます。英国は外交手腕にたけた国です。この英国主導体制の中で、日本はどのようなリーダーシップを発揮していくのでしょうか。見解を伺います。  英国とイタリアは、これまでに戦闘機の多国間での共同開発を複数回経験し、トーネードやユーロファイターという戦闘機を開発、生産、輸出してきました。そのノウハウを蓄積しています。これに対して、日本は初めての経験で、今後の協議、交渉で主導権を握るのはかなり難しいと思われます。政府はどのような戦略をもって対応していくのでしょうか。  また、日本側で開発の中核を担うとされる三菱重工は、国産初のジェット旅客機、スペースジェットの開発を断念しており、戦闘機を造るには経験が不足だと思われます。英国のBAEシステムズやイタリアのレオナルドのような経験豊富な企業を相手にどのような役割が期待できると考えているのか、見解を伺います。  開発された戦闘機をどのように同志国、友好国に売り込んでいくかも大きな問題です。英国とイタリアはこれまでの経験から輸出後のサポートのノウハウも持っていますが、日本にはその経験がありません。装備品のバーター取引、いわゆるオフセットへの対応も課題とされます。その上、日本の輸出対象は防衛装備品・技術移転協定の締約国に限定されます。そうした中でどのような輸出戦略を考えていくのか、見解を伺います。  本条約における機密の保持について伺います。  条約の加盟国内では、様々な品目や情報を可能な限り移転させなければならなくなります。そうであれば、日本としては、機密情報を守るために、日本と防衛装備品・技術移転協定と情報保護協定の二つを締結している国以外は新規の加入を認めるべきではないと考えますが、見解を伺います。  また、GIGOの実施機関には、専門的な技術を有する者であれば日英伊の国民でない者も入り込む余地があります。スパイが侵入するのを防ぐために適性検査を厳しく行う必要があると考えますが、専門人材の参加の可否判断はどのように行うのでしょうか。  GIGOの締約国と実施機関における機密情報の保持、漏えい防止はどのような措置がとられるのか、伺います。  最後に、改めて申し上げますが、世界全体の安全保障環境が極めて厳しい状況にある中で、日本の防衛と世界の平和を実現するには、もはや一国平和主義では不可能であり、無責任です。権威主義国の力による侵略を防ぐには、自由、人権、民主主義、法の支配という価値観を共有する同盟国、同志国と連携、協力して、抑止力、対処力を強化しなければなりません。  日本維新の会は、このような積極的平和主義に立って我が国の安全保障政策を確立してまいります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣木原稔君登壇、拍手〕

木原稔自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(木原稔君) 松沢成文議員にお答えいたします。  まず、次期戦闘機の第三国移転についてお尋ねがありました。  今般、閣議決定及び運用指針の一部改正を行い、GCAPの完成品について、より厳格な要件と決定プロセスを設けた上で、我が国からパートナー国以外の国への直接移転を認め得ることとしましたが、これは、我が国防衛に必要な性能を有する戦闘機を実現するために必要との認識に基づくものです。  これにより、我が国が英国及びイタリアと同等に貢献し得る立場を確保し、我が国の安全保障環境にふさわしい戦闘機を実現することが可能になると考えているところ、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出につながるものと考えています。  また、今後、第三国直接移転を要する国際共同開発・生産のプロジェクトが新たに生じた場合には、その必要性を十分に検討した上で、適時に防衛装備移転三原則の運用指針を改正し、追記することとなると考えているところです。  次に、国際共同開発・生産の我が国から第三国への輸出に係る手続についてお尋ねがありました。  本年三月の制度見直しにおいて、第三国直接移転を認めるのはGCAPで開発される完成品に係る防衛装備に限定したところですが、今後、第三国直接移転を要する国際共同開発・生産のプロジェクトが新たに生じた場合には、その必要性を十分に検討した上で、適時に防衛装備移転三原則の運用指針を改正し、追記することと考えています。したがって、御指摘のように、共同開発国に敬遠され、支障を来すとは考えておりません。  次に、運用指針の撤廃についてお尋ねがありました。  今般、閣議決定及び運用指針の一部改正を行い、GCAPの完成品について、より厳格な要件と決定プロセスを設けた上で、我が国からパートナー国以外の国への直接移転を認め得ることとしましたが、これは、我が国防衛に必要な性能を有する戦闘機を実現するために必要との認識に基づくものです。  また、繰り返しになりますが、今後、我が国から第三国への直接移転を要する国際共同開発・生産のプロジェクトが新たに生じた場合には、その必要性を十分に検討した上で、防衛装備移転三原則の運用指針を改正し、追記することと考えており、現時点で運用指針を撤廃する必要があるとは考えていません。  次に、防衛装備移転への国会の関与についてお尋ねがありました。  防衛装備移転三原則及び運用指針は、外国為替及び外国貿易法の運用基準及びその指針を定めるものであり、同法の運用は行政権の作用に含まれることから、防衛装備移転については、同法にのっとり、政府が主体となって行っていくことが適切であると考えています。  その上で、防衛装備移転を含め、我が国の政策について国民の皆様の御理解を得ることは重要であると考えており、政府の考えについては、国会における質疑などを通じて適切に説明してまいります。  次に、次期戦闘機の能力及び導入の効果についてお尋ねがありました。  いわゆる第五世代機に比べ、次期戦闘機はより優れた性能を備えることとしています。次期戦闘機は、技術の進展などによる戦闘機同士の戦い方の変化も踏まえ、無人機との連携も含めたネットワーク戦闘や、脅威の状況を把握するセンシング技術、ステルス性能といった面での高い能力を持たせることを予定しています。  防衛省としては、日英伊共同開発により三か国の技術を結集し、優れた次期戦闘機を開発することで将来にわたって航空優勢を確保してまいります。  次に、次期戦闘機の配備が遅れた場合の対応及びF2の運用を継続することの技術的可否についてお尋ねがありました。  次期戦闘機については、F2の順次退役の開始が見込まれる二〇三五年までの開発完了を目指しているところ、昨年十二月の日英伊防衛大臣会合においても、二〇三五年の開発完了に向けて引き続き三か国が結束して様々な課題を乗り越える確固たる意志を確認しています。  その上で、万が一配備が遅延した場合の対応として、F2の延命の可否について申し上げれば、技術的に相当な困難を伴うものと見込まれます。  いずれにせよ、スケジュール遅延のリスクを低減しつつ、しっかりと開発を進めていきたいと考えています。  次に、GCAPにおける我が国のリーダーシップについてお尋ねがありました。  日英伊三か国での協議の結果、バランスの取れた協業体制を実現するため、GIGO及び共同事業体制の本部は英国に設置することとなったものであり、これらの本部の所在地をもって英国主導になっているとは考えていません。  その上で、我が国主導の開発を確保する上では、GIGOの立ち上げとGCAPの将来を左右する重要な立場を担うGIGOの初代トップを日本人とすることは極めて意義があると考えています。  また、我が国は、F2の開発経験や各種研究の成果を踏まえ、次世代の戦闘機に求められる技術を蓄積し、共同開発を主導できる技術レベルにあると考えており、これまでの経験や技術を背景に官民一体となって英伊との交渉に当たり、我が国主導を確保してまいります。  次に、次期戦闘機の開発における主導権の確保と三菱重工に期待する役割についてお尋ねがありました。  まず、我が国は、次世代の戦闘機に求められる技術を蓄積し、こうした取組に対して、次期戦闘機の開発に着手するまでに二千億円以上を投じ、国内の技術基盤を確立しています。これまで蓄積してきた戦闘機開発に必要な経験や技術を背景に官民一体となって英伊との交渉に当たり、我が国主導を確保してまいります。  また、スペースジェットの開発は、人材育成も含め、我が国の航空機開発の技術、能力の向上に寄与したものと考えています。その上で、F2の開発経験や先進技術実証機による飛行実証を通じて蓄積した経験や技術を背景に、三菱重工が英伊の企業との間で共同開発を主導していくことを期待しています。  次に、次期戦闘機の輸出戦略についてお尋ねがありました。  次期戦闘機の将来的な第三国への輸出について現時点において決定したものはありませんが、英伊が将来的な第三国への輸出を重視していることも踏まえ、その可能性について様々なレベルで検討をしています。  次に、GIGOに関する秘密保全についてお尋ねがありました。  現時点で日英伊以外の国のGIGOへの加入は想定されていないため、具体的な加入の要件について決まったものはありませんが、仮に新たな国が加入する場合、先端技術を含む戦闘機の開発であることを踏まえれば、その保全体制は重要な考慮要素になると考えています。  また、条約上、GIGOは締約国の国民以外の人員を採用することが可能です。現時点で具体的な採用の予定はありませんが、仮に採用した場合に、秘密情報を取り扱うための情報保全に係る手続は現在三か国で検討中です。  これらも含め、GIGOの締約国や実施機関における秘密情報の保護の体制については、現在、既存の日英、日伊、英伊の二か国間の情報保護協定等を参考に、日英伊三か国で最終調整中です。(拍手)     ─────────────

長浜博行各派に属しない議員副議長

○副議長(長浜博行君) 榛葉賀津也君。    〔榛葉賀津也君登壇、拍手〕

榛葉賀津也国民民主党・新緑風会

○榛葉賀津也君 私は、国民民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりましたGIGO設立条約に対し、外務、防衛両大臣に質問いたします。  議論に先立ち、日本における防衛装備移転の変遷を振り返りたいと思います。  我が国は、戦後間もない一九五〇年代前半、貴重な外貨獲得の手段として、在日米軍向けに武器の生産を行い、五〇年代から六〇年代にかけては、りゅう弾やピストルなどの日本製武器をタイ、ビルマ、台湾といった東南アジア諸国に輸出をしていました。また、いわゆる朝鮮特需では、進駐軍との物資契約のうち兵器及び関連部品は、一九五〇年から五三年の四年間で一億一千二百万ドルにまで増加し、全体の一四・五%を占めるまでになりました。  そこで、防衛大臣にお伺いします。  その日本が、どのような背景で、一九六七年、佐藤内閣の武器輸出三原則の政府答弁、さらには一九七六年の三木総理の実質的な全面禁輸の政府統一見解に至ったのか、国民に分かりやすく説明をお願いします。また、三木内閣における、武器輸出禁止地域以外へも輸出を慎む、言わば実質的な全面禁輸政策とはいかなる内容であったのか、防衛大臣にお伺いします。  一九八三年に対米武器技術供与取極を締結し、以降、共同開発・生産など、十八回の個別の例外化で防衛装備品の移転を許可しましたが、その後、民主党政権下の二〇一一年には、官房長官談話として防衛装備品等の海外移転に関する基準が発出され、平和貢献・国際協力に関する案件と国際共同開発・生産に関する案件が、個別ではなく、初めて類型として例外化されました。  私は、この民主党政権下による包括的例外措置が現在に至るまでの防衛装備移転への歴史的な転換点であったと思いますが、防衛大臣の御所見をお伺いします。  激動する国際情勢の中において、我が国の防衛装備の移転の変遷は、平和国家としての基本理念を維持しつつ、いかに国益と国家の安全を確保するかという葛藤の歴史でもありました。戦争を防ぐ一番の方法は確かな抑止力です。  国民民主党は、抑止力を高めるための重要な要素である防衛装備移転についても、現実的で偏らない議論を続けてまいります。  GIGO設立条約についてお伺いします。  本条約を精査すると、現状、多くが英国、イタリアと協議中であり、詳細は未確定という状況です。政府にはGIGOに関する説明責任と透明性の確保を強く求めます。  まず、GIGOの職員が全体では三百名程度で、日本からの派遣職員が約百名、そして開発費の分担比率については日本と英国が四割、残り二割がイタリアとの報道がありますが、これは事実ですか。また、ワークシェアは出資比率に準ずる見込みですか。防衛大臣、お答えください。  国民民主党はGCAPによる次期戦闘機の共同開発を理解し支持しますが、政府は国民に対して、次期戦闘機の共同開発について、そのメリットだけではなくリスクについても正直に説明すべきです。  そもそもなぜ次期戦闘機が必要なのか、なぜ共同開発でなくてはならないのか、日本単独開発の試算は存在するのか、なぜアメリカではなく英国とイタリアとの開発なのか、英国、イタリアがGIGOから離脱する可能性はないのか、日本が次期戦闘機に求める能力は確保されるのかなど、国民が感じる素朴な疑問に、防衛大臣、お答えください。  次に、次期戦闘機の第三国移転についてお伺いします。  政府は、第三国移転の理由として、生産数を増やしてスケールメリットを生かしたコストダウンであり、また、日本だけが輸出を拒否すれば、開発に向けた三か国間の協議が不利になるとしています。政府のその説明は理解します。  現在、米国の第五世代機であるF35ステルス戦闘機は、総発注数が三千五百機に迫っています。F35はなぜ売れるのか。それは、F35が性能に優れ、各国が国防のために必要だと判断するからです。誤解を恐れずに言えば、共同開発される次期戦闘機が性能やコスト面でF35に勝るものでなければ意味がありません。国際市場からそっぽを向かれ、新たな戦闘機を導入するのが日英伊の三か国だけになれば、単価は大幅に高騰します。  新戦闘機の性能は具体的にどの点がF35に勝るのか、防衛大臣にお伺いします。  次に、次期戦闘機に搭載予定であった次期中距離空対空誘導弾、JNAAMについてお伺いします。  JNAAMは、日本の優れた小型高性能電波シーカーと英国主導の欧州六か国で共同開発したミーティアを組み合わせる日英共同プロジェクトでしたが、昨年度、プログラムが終了しました。関係者からは、日英の共同開発の枠組みがそもそも不十分であったと指摘されています。  なぜJNAAMの日英共同研究が頓挫し、日本が期待する形とならなかったのですか。JNAAMの総括なくしてGCAPの成功はあり得ないと多くの関係者が不安を感じています。防衛大臣の説明を求めます。  これは短い恋愛ではなく結婚だ、今後四十年のプログラムで後戻りはできない、英国のウォレス国防相が日英伊の共同開発についてこう語りました。共同開発から運用終了までのおよそ四十年、その間、戦闘機の中核技術を共有する三か国は、安全保障上、切っても切れない準同盟国の関係となります。  他方、GIGOの運営や、それぞれの国が優先する性能の搭載などをめぐって三か国の利害がぶつかり合う主導権争いも始まります。政府は日本主導の開発が確保できることを強調しますが、その根拠が不明瞭です。戦闘機の国際共同開発機関に初めて参画する日本に対し、英国とイタリアはユーロファイター・タイフーンなど豊富な共同開発の実績があり、両国相手の交渉は楽観視できるはずがありません。  日本主導の共同開発について防衛省は、一、日本が求める主要な要求性能全てを満たすこと、二、将来にわたって適時適切な改修の自由を確保できること、三、高い即応性を実現する国内生産・技術基盤の確保を実現することを掲げ、これまでの日英伊の協議を通じてこれら全てを実現できる確信が得られたとしていますが、その根拠は何ですか。防衛大臣の説得力ある説明を求めます。  GIGOの本部は英国に設置され、実施機関の初代トップが日本、民間の共同事業体の初代トップがイタリアとなることが決まっています。しかし、その後の説明で、実施機関と共同事業体の二代目以降のトップについては三か国で持ち回りになることが明らかになりました。初代のトップを日本とイタリアに譲りながらも、動かすことのできない本部を自国に置くことに成功した英国が既に共同開発の主導権を握ったとも言われていますが、外務大臣の説明を求めます。  最後に、秘密保全についてお伺いします。  次期戦闘機の共同開発において最も重要な点は秘密の保全です。GCAPやGIGOをめぐる協議において、英国、イタリアとは三か国におけるサイバーセキュリティーの基準についてどのような議論が行われたのか、防衛大臣にお伺いします。  英国のサイバーセキュリティーセンター長官や英国軍のサイバー防衛戦略の統括司令官は、日本のサイバー防衛強化に期待の意を表し、アメリカのデニス・ブレア元国家情報長官も、日本のサイバー対策は不十分で、情報の共有をためらうと忠告しています。  能動的サイバー防御を導入していない日本は共同開発の主導権を握ることが極めて難しくなるばかりか、開発に関する機密が漏れれば、我が国の信頼は地に落ちます。  政府は、能動的サイバー防御について、いつまでに導入し、それまでの間、サイバー上の機密保全をどのように担保していくお考えか、外務大臣にお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣上川陽子君登壇、拍手〕

上川陽子自由民主党・無所属の会外務大臣

○国務大臣(上川陽子君) 榛葉賀津也議員にお答えいたします。  GIGOの本部の所在地と共同開発の主導権との関係についてお尋ねがありました。  GCAPの実施に向けて三か国間での協業が不可欠であり、協業体制を構築するに当たっては、バランスの取れたものとなるよう三か国で協議を行ってきました。  その結果、実施機関の初代トップである首席行政官を我が国が、GIGOの本部の所在地を英国が、企業体の初代トップをイタリアがそれぞれ分担することで三か国で合意をしたものです。その上で申し上げれば、共同開発の主導権は必ずしもGIGOの本部の所在地によって決まるものではないと考えております。  我が国としては、国際機関の活動の立ち上げを主導するという重要な立場を担う初代首席行政官を日本が担うことや、我が国が蓄積してきた経験や技術を背景に次期戦闘機の開発に貢献していくこと等で我が国主導の開発を確保していきます。  能動的サイバー防御の導入時期と、導入までの間のサイバー上の機密保全をどのように担保していくかについてお尋ねがありました。  政府としては、サイバー安全保障分野での対応能力の向上は重要な課題と認識しています。この点、能動的サイバー防御の実現に向けた法案については、現行法令との関係等を含め、様々な角度から検討を要する事項が多岐にわたっているものと認識していますが、可能な限り早期に有識者会議の開催や法整備が果たせるよう、内閣官房を中心に政府全体で検討を加速しているところです。  また、現在、政府機関等のシステムについて、サイバーセキュリティー戦力に基づき、政府統一基準群を踏まえたセキュリティー対策の実施や監視を始めとする様々な措置を講じています。  政府としては、国家安全保障戦力に掲げたサイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させるという目標に向けて引き続き努めてまいります。(拍手)    〔国務大臣木原稔君登壇、拍手〕

木原稔自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(木原稔君) 榛葉賀津也議員にお答えいたします。  我が国の武器輸出に係る政策の経緯についてお尋ねがありました。  佐藤総理大臣が答弁した武器輸出三原則は、国会の質疑の中で、日本で開発や製造された武器を輸出することの是非を問われた際に、特に輸出を認めない三つの場合を答弁したものと認識しています。  また、三木総理大臣の武器輸出に関する政府統一見解につきましては、国会の質疑の中で、武器輸出三原則の対象地域以外の地域への武器輸出の扱いが不明確である点や武器の定義が不明確である点が指摘をされ、武器輸出の統一見解が求められたことから表明したものと認識しています。  次に、三木総理による政府統一見解の内容についてお尋ねがありました。  三木総理大臣による政府統一見解は、武器の輸出については、平和国家としての我が国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避するため、政府としては従来から慎重に対処しており、今後とも、武器輸出三原則対象地域については武器の輸出を認めず、それ以外の地域については武器の輸出を慎むなどの方針により処理するものとして、その輸出を促進することはしないことを表明したものと承知をしております。  次に、防衛装備品等の海外移転に係る基準についてお尋ねがありました。  平成二十三年の民主党政権下で、平和貢献・国際協力と国際共同開発・生産を武器輸出三原則等の例外とした防衛装備品等の海外移転に関する基準については、それまでは個別の必要性に応じて例外化措置を重ねてきた中で、具体的な移転先は特定せず、初めて包括的に例外化措置を講じたものであると認識しており、その後、平成二十六年に策定された防衛装備移転三原則及びその運用指針は、平成二十三年の例外化措置の経緯等を踏まえ、改めて包括的に整理したものであります。  次に、GIGOの職員の人数及び開発費の分担比率等についてお尋ねがありました。  各国がGIGOに派遣する具体的な人数は現在三か国で調整中ですが、GIGOは各国の政府から合わせて数百人規模の組織となることが想定されます。開発費の分担比率についても現在三か国で調整中であり、日本と英国が四割、イタリアが二割に決まったという事実はございません。  また、ワークシェアについては、三か国間で設計作業を行う中で今後決定していくこととなりますが、三か国各々の優れた技術を生かした戦闘機となるよう検討してまいります。  次に、次期戦闘機の必要性等についてお尋ねがございました。  我が国防衛にとって重要な航空優勢を維持、確保するために、最新鋭の次期戦闘機が必要です。  現在、防衛装備品の高度化、高額化が進み、戦闘機を含め優秀な装備品を取得するために国際共同開発・生産が主流化する中で、次期戦闘機の開発を進めるに当たっては、単独開発を仮定した場合の試算も含め、我が国独自開発や米国との共同開発等の可能性を十分に検討しました。その結果、要求性能の実現可能性、スケジュール、コスト等の様々な観点から、日英伊三か国の共同開発を選択したものであります。  次期戦闘機は、二〇三五年までの開発完了を目指し、日英伊三か国による共同開発を進めているものであり、現時点においていずれかの国が脱退することは想定されていません。  我が国の要求性能の実現に当たっては、我が国としてあらゆる面で英伊と対等に貢献するとともに、官民一体となって交渉に当たり、我が国の安全保障環境にふさわしい戦闘機をしっかりと実現してまいります。  次に、F35と比較した次期戦闘機の性能についてお尋ねがありました。  第五世代機のF35は現在の最新鋭戦闘機でありますが、数に勝る敵に対処し、将来にわたって我が国の平和と安定を確保するためには、我が国自身としてF35を超える次世代の戦闘機を開発することが不可欠であると考えています。  次期戦闘機は、技術の進展などによる戦闘機同士の戦い方の変化も踏まえ、無人機との連携も含めたネットワーク戦闘や、脅威の状況を把握するセンシング技術、ステルス性能といった面での高い能力を持たせることで、このような性能においてF35を超える優れた戦闘機として二〇三五年までに開発完了することを予定しています。  次に、JNAAMの日英共同研究についてお尋ねがありました。  本共同研究により高性能電波シーカーの小型化について成果を上げましたが、次期戦闘機へ搭載する将来の中距離空対空誘導弾に係る検討を深める中、要求性能やコストといった点を総合的に勘案した結果、これまでの成果をもって本共同研究を終了すると日英間で合意し、共同開発には移行しませんでした。  他方で、本共同研究は日英間の防衛装備・技術協力の深化につながったものと考えており、本共同研究で得られた経験も生かしながら、三か国による次期戦闘機の共同開発を着実に推進してまいります。  次に、日本主導の共同開発を実現できる確信の根拠についてお尋ねがありました。  我が国主導の開発を実現するべく、日英伊の協議において、F2の開発経験や各種研究の成果を踏まえた我が国が蓄積してきた戦闘機開発に必要な経験や技術を背景に、我が国の立場を粘り強く主張する中で、我が国主導が実現できるとの確信が得られたものです。  次に、次期戦闘機の開発におけるサイバーセキュリティーについてお尋ねがございました。  サイバーセキュリティーの確保を含め、情報の保全に関しては、日英伊三か国で協議の上、三か国及びGIGOにおいて同等の秘密には同等の保護措置をとる予定です。(拍手)     ─────────────

長浜博行各派に属しない議員副議長

○副議長(長浜博行君) 山添拓君。    〔山添拓君登壇、拍手〕

山添拓日本共産党

○山添拓君 日本共産党を代表し、次期戦闘機共同開発条約、GIGO設立条約について質問します。  ICJ、国際司法裁判所は、二十四日、イスラエルに対し、ガザ地区南部ラファでの攻撃を直ちに停止するよう暫定措置を命じました。法的拘束力のある命令です。  ところが、イスラエル政府は、ラファでの軍事行動はパレスチナ市民の殺害につながらないなどと述べ、命令後も攻撃を続けています。政府は、どう認識し、どう対応していますか。日本政府を含め、ガザ攻撃の国際法違反を正面から非難しない姿勢が国際法や国際裁判所の判断を無視するイスラエルを助長してきたのではありませんか。即時停戦のために日本政府はいかなる外交を行うのか、答弁を求めます。  米国バイデン政権は、十四日、イスラエルに対して砲弾や戦闘用車両など総額十億ドル、千五百五十億円以上の武器を売却する方針を議会に通知したとされます。こうした米国の姿勢がICJの命令をも意に介さないイスラエルの攻撃続行を可能にしているのではありませんか。  政府は、二十四日、ロシアによる北朝鮮からの武器調達に関し、ロシア関係者の資産凍結など制裁措置を強めることを決めました。その理由は何ですか。  イスラエルに対しても、ロシアに対しても、第三国による武器輸出が戦闘の継続を支え、犠牲を拡大している現実をどう認識していますか。  以上、外務大臣の答弁を求めます。    〔副議長退席、議長着席〕  本条約は、英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機の開発、生産、輸出を管理し推進するための政府間機関、GIGOを設立するものです。  モデルとされたNATOユーロファイター・トーネード管理機関、NETMAは、二つの戦闘機の共同開発や輸出を管理するNATOの一機関です。しかし、日本はNATOの一員ではありません。なぜNETMAと同様の組織をつくるのですか。米国以外のNATO加盟国と初めて戦闘機の共同開発を行う狙いは何ですか。  次期戦闘機に関する共同首脳声明は、抑止力の強化を強調しています。一方、パートナー国となる英国は、二〇〇三年、イラク戦争に参戦し、二〇一一年、リビアの内戦に介入、二〇一四年からイスラム国への空爆を始め、二〇一八年にはシリアの化学兵器施設への空爆に参加するなど、各地で戦闘行為を繰り返してきました。イラク戦争をめぐっては、二〇一五年、ブレア元首相が誤りだったとして謝罪し、翌年、独立調査委員会が根拠なき戦争だったと断罪するに至りました。  この四半世紀に限ってみても、英国が中東地域で平和と安定を壊してきた事実をどう認識していますか。その英国との戦闘機の共同開発がなぜ日本にとって抑止力向上と言えるのですか。  二〇二二年十二月、政府と与党が次期戦闘機の共同開発を決めた時点では、日本から第三国への輸出は行わない前提だったといい、翌二〇二三年一月から三月にかけて、英国やイタリアが輸出による貢献を求めていることを認識したとされます。事実なら、協議入りした直後に前提が崩れていたことになり、余りにも不自然です。英国やイタリアが輸出に関心を持っていることはNETMAの実績からも当然予想されます。むしろ当初から輸出を前提に協議に入っていたのではありませんか。ごまかしはやめるべきです。  輸出による価格低減努力とは、日本からの輸出解禁で販路を拡大し、量産で売上げを増やし、相対的に開発コストを抑える狙いにほかなりません。次期戦闘機の開発に関わってこれまで支出した国費は幾らですか。安保三文書の五年間で幾らと見込んでいますか。開発費の総額に上限は設けますか。青天井に開発費をつぎ込み、利益を確保するには売りさばくしかないとばかりに突き進むつもりですか。お答えください。  輸出の対象は次期戦闘機に限るといいます。しかし、与党協議の座長だった小野寺五典元防衛大臣は、戦闘機というハードルの高い装備が最初に認められた、第三国移転の道は開けた、新しい案件を追記していけばいいだけで何の制約もないなどと早々に述べました。最新鋭の戦闘機が輸出可能なら、艦船や弾薬など、あらゆる殺傷兵器も輸出できて当然と考えているのではありませんか。  現に戦闘が行われていると判断される国へは輸出しないといいます。現時点でそれは何か国あり、具体的にはどこですか。  衆議院で政府は、米国について、米国内において武力紛争の一環として現に戦闘が行われているとは認識していないと答弁しています。国外で侵略していたとしても、国内で戦闘が行われていなければ現に戦闘中ではないということですか。基準が全く定かでなく、幾らでも恣意的判断ができるのではありませんか。  輸出に当たり、二重の閣議決定で厳格なプロセスを経るといいます。閣議決定に至る政府・与党協議の資料や議事録は公開しますか。プロセスは全く不透明ではありませんか。  以上、防衛大臣の答弁を求めます。  外務大臣は武器輸出の制限について、原則について、国連憲章を遵守するとの平和国家としての理念を引き続き堅持していくと述べています。しかし、日本の平和主義は、国連憲章のみでなく、憲法九条に立脚するものです。憲法に基づく平和国家の立場をどう認識していますか。  国際紛争の助長を回避するため、武器の輸出は行わない。武器輸出禁止は、一九七六年に三木内閣が政府統一見解として表明し、一九八一年、衆参本会議の全会一致の決議は、日本国憲法の理念である平和国家としての立場を踏まえ、これを国会の総意と確認しています。  その後、政府は、武器輸出禁止を非核三原則と並ぶ国是であると国会で繰り返し答弁してきました。殺傷兵器の最たるものである戦闘機の輸出まで解禁するのは、国是としてきた武器禁輸をいよいよ骨抜きにするものです。到底許されないのではありませんか。  以上、外務大臣の答弁を求めます。  次期戦闘機は無人機との連携機能が特徴とされ、日米で共同技術研究に合意しています。人工知能、AIに有人機の戦闘パターンを学習させ、自律的に攻撃したり、おとりになったりするといい、その最大のメリットは撃ち落とされても人が死なないこととされます。AIが自律的に攻撃するなら、敵に照準を合わせ、発射ボタンを押す心理的抵抗もなくなります。戦闘行為のハードルを下げ、犠牲を一層拡大させかねません。防衛大臣はその認識をお持ちですか。  外務大臣、こうした兵器は、開発競争に加わるのではなく、禁止の国際規範作りでこそリードすべきなのではありませんか。  次期戦闘機を受注する三菱重工とIHIなど軍需産業は特需に沸いています。川崎重工を加えた大手三社の今年三月期の受注高は前年比二・二倍の三兆一千八百億円、来年三月期も同水準が見込まれるといいます。  今年二月に開かれた防衛力の抜本的強化に関する有識者会議で防衛省が議論を求めた論点には、防衛力の抜本的強化と経済成長の好循環を生み出すこととあります。軍事費倍増と輸出解禁を背景に、軍需産業を特別扱いで支え経済成長をと本気で考えているのですか。それは、産業も経済も軍事に従属させ、社会全体にゆがみをもたらしかねません。防衛大臣の認識を伺います。  軍事分野でこそ政治と金の闇が問われます。二〇一七年、防衛大臣だった稲田朋美氏が予定していた政治資金パーティーを中止し、購入者に返金。当時の収支報告書から、防衛省の受注企業二十三社が計百十四万円のパーティー券を購入していたことが明らかになりました。大臣規範との抵触も疑われます。  防衛大臣は、御自身の政治資金団体や所属する派閥の政治資金パーティーで軍需産業に幾らパーティー券を買ってもらっていますか。次期戦闘機を受注する三菱重工、IHI、三菱電機の三社について、過去十年の実績をお示しください。  戦闘機の輸出解禁は、憲法九条に基づく平和国家としての日本を大きく逸脱するものであり、断じて容認できません。武器を売り歩き利益を増やす、武器輸出大国へ突き進むことは許されないことを重ねて強調し、質問とします。(拍手)    〔国務大臣上川陽子君登壇、拍手〕

上川陽子自由民主党・無所属の会外務大臣

○国務大臣(上川陽子君) 山添拓議員にお答えいたします。  ICJの暫定措置への認識や対応についてお尋ねがありました。  日本政府は、国連の主要な司法機関であるICJの暫定措置命令は、当事国を法的に拘束するものであり、誠実に履行されるべきものであると考えています。  多数の避難民が集中するラファハにおける全面的な軍事作戦には我が国としても反対であり、人質の解放が実現するよう、そして人道支援活動が可能な環境が持続的に確保されるよう、即時の停戦を求めるとともに、それが持続可能な停戦につながることを強く期待しています。一昨日のカッツ・イスラエル外相との電話会談において、私からこうした日本の立場を伝えるとともに、ラファハ検問所の活用を含め、人道支援活動が阻害されることのないよう求めたところです。  我が国として、ガザにおける危機的な人道状況を深刻に懸念しています。五月二十六日もラファハの難民キャンプ等に対する空爆により多数の民間人が犠牲となったと報じられましたが、とりわけ女性や子供が戦闘の犠牲となって命を落とすことは、本当に耐え難いものであります。  人道状況の改善や事態の早期鎮静化に向け、引き続き外交努力を粘り強く積極的に行っていきます。  即時停戦のために日本が行うべき外交についてお尋ねがありました。  戦闘が長期化する中、現地の危機的な人道状況が更に深刻さを増していることを深く憂慮しています。我が国として、人道支援活動が可能な環境が持続的に確保され、また人質の解放が実現するよう、即時の停戦を求めるとともに、それが持続可能な停戦につながることを強く期待しています。  私自身、日本が築いてきたイスラエルやパレスチナを含むアラブ諸国との良好な関係を踏まえ、人質の解放と停戦が一刻も早く実現するよう、安保理やG7の一員として関係国とも緊密に連携しつつ、環境整備に取り組んでいます。一昨日には、イスラエルのカッツ外相に対して電話会談で即時停戦等について直接働きかけるなど、外交努力を行ってきているところです。  人道状況の改善、また事態の早期鎮静化に向け、引き続き外交努力を粘り強く積極的に行っていきます。  米国の姿勢とイスラエルの攻撃についてお尋ねがありました。  ガザにおける人道状況が一層深刻さを増す中、米国は、人々の安全を確保し、支援するための信頼できる実行可能な計画なしにラファハでの軍事作戦を進めるべきではないとの考えであり、その旨をイスラエル側に伝えてきていると承知しています。また、米国が人質の即時解放や人道状況改善等のために精力的な外交努力を行っていることを高く評価しています。  人質の解放と戦闘の休止をめぐって引き続き調整がなされているところであり、今後の見通しは予断できませんが、我が国としても、このような動きが早期に実現するよう、関係国と緊密に連携しつつ、環境整備に取り組んでいます。引き続き、外交努力を粘り強く積極的に行っていきます。  ロシアによる北朝鮮からの武器調達を受けた我が国の制裁措置についてお尋ねがありました。  ロシアによる北朝鮮からの武器調達については、関連の国連安保理決議に違反するものであり、ウクライナ情勢の更なる悪化につながり得るものであることから、これを強く非難してきています。  ロシアによるウクライナ侵略が長期化する中、引き続き国際社会と連携して対応していくことは極めて重要であり、こうした観点から、五月二十四日、我が国として追加制裁措置をとるべく閣議了解を行いました。具体的には、米国等の同志国と協調して、ロシアのウクライナ侵略を支えるためのロ朝軍事協力に関与した十一団体及び一個人に対する資産凍結措置の導入を決定しました。  今後も、我が国として、ウクライナに公正かつ永続的な平和を実現すべく、国際社会と連携して取り組んでいきます。  第三国による武器輸出が戦闘に与える影響についてお尋ねがありました。  ガザ地区におけるイスラエルの行動は、ハマス等によるイスラエル領内へのテロ攻撃を直接のきっかけとするものであり、ロシアが一方的にウクライナに侵攻している行動と同列に扱うことは適当ではないと考えます。  その上で、ガザ地区をめぐる情勢については、戦闘が長期化する中、現地の危機的な人道状況への対処が最優先課題です。我が国として、人質の解放と停戦が実現するよう、関係国とも緊密に連携しつつ、イスラエルへの働きかけ等を行っており、今後もこうした外交努力を粘り強く積極的に行っていきます。  ロシアによるウクライナ侵略は国際秩序全体の根幹を揺るがす暴挙であり、断じて認められません。これまでもG7の関連の声明において、第三者に対し、ロシアによる侵略への物的支援を直ちに停止するよう呼びかけているところです。  一日も早くウクライナに公正かつ永続的な平和を実現するべく、我が国として、G7を始めとする国際社会と連携し、厳しい対ロ制裁を講じるとともに、強力なウクライナ支援にしっかり取り組んでいきます。  防衛装備移転に関し、平和国家としての立場や次期戦闘機の移転についてお尋ねがありました。  防衛装備移転三原則においては、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念を堅持することとされており、国際の平和及び安全を維持することや国際紛争の平和的解決等を定めている国連憲章を遵守することは、憲法前文において宣明している平和主義の精神にのっとったものです。その上で、我が国自体の戦争放棄、戦力の不保持等について定めた憲法第九条は、防衛装備移転を規律するものではないと解しています。  また、次期戦闘機の完成品の移転については、いわゆる二重の閣議決定と三つの限定を盛り込んだ上で、我が国からパートナー国以外の国への直接移転を認め得ることとしたものです。  このように、通常の防衛装備移転よりもより厳格な要件とプロセスを設けることで、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念を堅持することをより明確に形で示すことができると考えています。  人工知能を使用し、自律的に攻撃する兵器に関する国際的な規範作りについてお尋ねがありました。  近年、急速な技術の発展を背景に、AIの軍事的な利用に関する議論が活発化しています。我が国は、国際人道法の原則は、AIなど新興技術を活用するものを含め、あらゆる兵器に適用されるべきとの立場です。  その上で、我が国は、特定通常兵器使用禁止制限条約の枠組みの下、自律型致死兵器システムに関する議論に参加しているほか、二〇二三年十一月には米国主導のAIと自律性の責任ある軍事利用に関する政治宣言への支持を表明しました。  我が国としては、責任あるAIの軍事利用について、人道と安全保障の視点を勘案したバランスの取れた議論を通じ、広く国際社会において共通の認識が得られるよう、国際的な議論に今後も積極的かつ建設的に参加していく考えです。(拍手)    〔国務大臣木原稔君登壇、拍手〕

木原稔自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(木原稔君) 山添拓議員にお答えいたします。  まず、NETMAと同様の組織をつくる理由及び米国以外の国と戦闘機を共同開発する狙いについてお尋ねがありました。  GCAPはNATOの下のプログラムではありませんが、本条約は、戦闘機の共同開発に係る機関として、ユーロファイターの事例を参考にしつつ、国際機関を設置し、効率的な開発体制を構築するものです。また、次期戦闘機の開発を進めるに当たって、要求性能の実現可能性、スケジュール、コスト等の様々な観点から、米国も含め国際協力の在り方を検討した結果、英伊との共同開発が最適な選択肢であると判断したものです。  基本的価値を共有し、共に米国の同盟国である日英伊三か国の協力は、今後何世代にもわたり両国との幅広い協力の礎となるものと考えています。  次に、英国の中東地域での活動に対する認識と次期戦闘機の共同開発と抑止力の関係についてお尋ねがありました。  他国のこれまでの動向の逐一についてコメントすることは差し控えます。  その上で、次期戦闘機の共同開発は、三か国の技術を結集し、コスト等を分担しつつ、優れた戦闘機を開発するものです。こうした優れた戦闘機は、我が国の防衛に必要不可欠な航空優勢を維持することで抑止を保ち、平和を守るものであると考えています。  次に、次期戦闘機の我が国から第三国への輸出の必要性に関する認識及び次期戦闘機の開発費についてお尋ねがありました。  次期戦闘機の共同開発を決定した二〇二二年十二月の段階で、我が国としては英伊が将来的な第三国への輸出を重視していることは既に認識していましたが、協議を進める中で、英伊は調達価格の低下等に向けて完成品の第三国移転を推進することを貢献の重要な要素と考え、我が国にも同様の対応を求めていることを我が国として徐々に認識するようになったものです。このように、政府として認識が変化してきたことは事実であり、我が国から、当初から輸出を前提に協議に入っていたという御指摘は当たりません。  また、次期戦闘機は、令和二年の開発着手以降、令和五年度予算までの開発経費として約二千五百六十八億円、関連研究経費として約四百九十八億円の計約三千六十六億円を計上しており、日英伊共同開発を前提に、防衛力整備計画の期間に相当する五年間に限って経費を試算した結果、開発経費として約〇・七七兆円と見積もっています。他方、開発総経費については、日英伊共同開発に当たっての具体的な作業分担等、本条約も踏まえた国際協力の詳細な在り方により今後大きく変動し得ることから、お答えできる段階にはありません。  その上で、次期戦闘機の開発費については、必要な経費をしっかりと精査した上で、年度ごとの予算案として国会で御審議いただき、国民への説明責任を果たした上で確保していくものであり、青天井に開発費をつぎ込み、利益を確保するために売りさばくしかないとの御指摘には当たりません。  次に、我が国から第三国への直接移転についてお尋ねがありました。  国際共同開発・生産した完成品の我が国からの第三国への移転について、GCAP以外に現時点で具体的に想定されている案件はなく、今後について予断を持ってお答えすることは困難です。  その上で、本年三月の制度見直しにおいて、第三国直接移転を認めるのはGCAPで開発される完成品に係る防衛装備に限定したところですが、今後、第三国直接移転を要する国際共同開発・生産のプロジェクトが新たに生じた場合には、その必要性を十分に検討することとなるため、あらゆる殺傷兵器も輸出できて当然と考えているものではございません。  次に、防衛装備移転三原則の運用指針の文言及び資料の公開についてお尋ねがありました。  武力紛争の一環として現に戦闘が行われていると判断される国に該当するか否かの判断は、具体的な移転案件が生じた際に防衛装備移転三原則に従って案件を審議する中で、仕向け国・地域における戦闘の規模や期間等を踏まえて個別具体的かつ総合的に行われるものであることから、一概にお答えすることは困難です。  その上で申し上げれば、ペトリオットミサイルの移転について、政府としては、仕向け国、すなわち米国内において武力紛争の一環として現に戦闘が行われているとは認識していません。  次期戦闘機の第三国への直接移転について、移転先国を、国連憲章の目的と原則に適合する方法で使用することを義務付ける国際約束の締結国に限定しております。さらに、防衛装備の移転に際しては、一般に、移転先の適切性について、国際の平和及び安全に与えている影響や、また最終需要者の適切性について、防衛装備の使用状況及び適正管理の確実性等を考慮することとされていることから、現に他国への侵略を行っている国に移転することは想定されず、基準が全く定かでなく幾らでも恣意的に判断ができるとの御指摘には当たりません。  また、本年三月の制度見直しにおいては、今般の閣議決定に加え、実際に移転する際には個別の案件ごとに改めて閣議決定することとしておりますが、閣議決定に係る資料を含めた行政文書の公開については、情報公開法を始めとする関係法令にのっとって適切に対応してまいります。  その上で、防衛装備移転を含め、我が国の政策について国民の皆様の理解を得ることは重要であると考えており、政府の考えについては国会における質疑などを通じて適切に説明してまいります。  次に、AIと自律型の兵器についてお尋ねがございました。  我が国としては、人間の関与が及ばない完全自律型の致死性を有する兵器の開発を行う意図は有していないとの立場を明確にしているところです。防衛省としても、装備品の取得や研究開発を行っていくに当たり、この方針に従って適切に対応してまいります。  次に、防衛力の抜本的強化と経済成長についてお尋ねがありました。  御指摘の防衛力の抜本的強化に関する有識者会議においては、防衛力の抜本的強化に加え、国力を総合した国全体の防衛体制を強化し、経済成長を実現できる安全保障の確保が必要との観点から委員の方々には御議論をいただいたところであります。したがって、産業も経済も軍事に従属させ、社会全体にゆがみをもたらしかねないとの御指摘には当たりません。  次に、政治資金パーティーについてお尋ねがありました。  個々の政治団体や個人の政治活動に関するお尋ねについて政府の立場としてお答えすることは差し控えますが、いずれにせよ、政治資金については、関係法令にのっとり適切に処理し、公表をしております。(拍手)

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 日程第一 令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)  日程第二 令和四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)  日程第三 令和四年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)  日程第四 令和四年度一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)  日程第五 令和四年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)  日程第六 令和四年度特別会計予算総則第二十条第一項の規定による経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書   (いずれも第二百十一回国会内閣提出、第二百十三回国会衆議院送付)  以上六件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。決算委員長佐藤信秋君。     ─────────────    〔審査報告書は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔佐藤信秋君登壇、拍手〕

佐藤信秋自由民主党

○佐藤信秋君 ただいま議題となりました令和四年度予備費関係六件につきまして、決算委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  令和四年度予備費関係六件は、憲法、財政法等の規定に基づき、予備費の使用等について国会の事後承諾を求めるため提出されたものであります。  これらの主な費目について申し上げますと、まず、一般会計新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費の使用は、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援に必要な経費などであります。  次いで、一般会計予備費の使用は、燃料油価格激変緩和強化対策事業に必要な経費などであります。  次いで、特別会計予備費の使用は、輸入食糧麦等の買入れに必要な経費であります。  次いで、特別会計予算総則の規定による経費の増額は、地方譲与税譲与金に必要な経費の増額であります。  委員会におきましては、これら六件を一括して議題とし、まず、財務大臣から説明を聴取した後、質疑は決算外二件と一括して行われました。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民を代表して徳永理事より、予備費五件については反対し、特別会計予算総則の規定による経費の増額については賛成する旨の意見が述べられました。次いで、日本維新の会・教育無償化を実現する会を代表して梅村理事より、予備費関係六件に反対する旨の意見が述べられました。次いで、国民民主党・新緑風会を代表して竹詰委員より、予備費関係六件に反対する旨の意見が述べられました。次いで、日本共産党を代表して吉良委員より、予備費五件については反対し、特別会計予算総則の規定による経費の増額については賛成する旨の意見が述べられました。  討論を終局し、採決の結果、令和四年度予備費関係六件はいずれも多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。  まず、日程第一、第二、第四及び第五の予備費使用総調書四件を一括して採決いたします。  四件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。  よって、四件は承諾することに決しました。(拍手)  次に、日程第三の予備費使用総調書について採決をいたします。  本件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。  よって、本件は承諾することに決しました。(拍手)  次に、日程第六の経費増額総調書について採決をいたします。  本件を承諾することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。  よって、本件は承諾することに決しました。(拍手)      ─────・─────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 日程第七 食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長滝波宏文君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔滝波宏文君登壇、拍手〕

滝波宏文自由民主党

○滝波宏文君 ただいま議題となりました法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、食料安全保障の確保等を図るため、基本理念を見直すとともに、関連する基本的施策等を定めようとするものです。  なお、衆議院において、多収化に資する新品種の導入等を施策として明記する修正が行われております。  委員会におきましては、栃木県において現地視察を、岩手県において地方公聴会及び現地視察をそれぞれ実施するとともに、参考人を招致してその意見を聴取したほか、岸田内閣総理大臣にも出席を求め、農業者の所得を確保する方策、食料の合理的な価格形成、農村振興の基本理念等について質疑が行われました。  続いて、本法律案に対して、立憲民主・社民及び国民民主党・新緑風会を代表して舟山理事より総則及び基本的施策を修正する修正案が提出され、原案及び修正案に対する質疑が行われました。  質疑を終局した後、討論に入りましたところ、立憲民主・社民を代表して横沢理事、国民民主党・新緑風会を代表して舟山理事より、それぞれ原案に反対、修正案に賛成、日本共産党を代表して紙委員より原案及び修正案に反対する旨の意見が述べられました。  採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。羽田次郎君。    〔羽田次郎君登壇、拍手〕

羽田次郎立憲民主・社民

○羽田次郎君 立憲民主・社民の羽田次郎です。  会派を代表し、食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論いたします。  国の最も大切な役割は国民の命や暮らしを守ること、その中にあって農業は国の基であると岸田総理はおっしゃっています。国の基である農業が今、危機的な状況に置かれています。  立憲民主党は、昨年七月から農林水産キャラバンを組織し、参議院では田名部議員と徳永議員が中心となり、全国各地の農業現場を訪問し、御意見を伺い、地域と一緒に新しい農林水産政策をつくる取組を行ってきました。キャラバンでは、息子に後を継いでくれと言えない、今いる農家が引退したら二、三年で村は崩壊してしまう、生産コストが上がってしまい、やっていけないといった悲痛な声をたくさん頂戴いたしました。  私たちは、この二十年間の農政は失敗だったとの思いがあります。安倍政権下で農業の成長産業化の美名の下で新自由主義的な政策が推し進められた結果、食料自給率目標は一度も達成されず、農業者が減り、農地も減少し、農業、農村の弱体化が一層進行してしまいました。近年は食料自給力までもが大きく低下し、芋を中心とした作付けに転換しても、早晩、必要なカロリーが得られなくなるところまで追い込まれています。  だからこそ、必要な施策の充実を図るためには与党も野党もなく、足らざるところを補い、より良いものとするため、真摯に議論を重ね、まず、衆議院では法案修正を提起いたしました。しかしながら、政府・与党は、全ての項目に対応済みや対応不可との回答を突き付けてきたのです。政府案は絶対というような対応ですが、だったらなぜ現場から悲痛な声ばかりが聞こえてくるのでしょうか。政府・与党にはそうした声が聞こえないのでしょうか。  しかし、参議院ではそうしたことは脇に置き、真摯な議論を進めてまいりました。そのさなか、坂本大臣から、生産基盤は弱体化したとは思っていないという耳を疑うようなとんでも発言が飛び出しました。これまでの政府文書や国会答弁と真逆の発言です。そもそも生産基盤の弱体化が進んでいることが法案提出の前提であることは共通認識であったはずです。  発言は後に撤回されましたが、本音であった疑念が拭えません。坂本大臣は、一年半を掛けて現場の声を私たちなりに聞いてきた、人口減少に伴い農業者及び農村人口が減少する中で、農業生産の維持発展をいかにして図るのか、農村地域のコミュニティーをどう守っていくのかということだと述べられています。問題は人口減少と結論付け、これまでの農政に対する反省がみじんも見られません。基本理念や基本的施策の書きぶりが曖昧で不十分だと感じるのは、こうした認識の違いがあるからかもしれません。  参議院では、食料安全保障の定義に食料の安全性と十分な量が明記されていない点、食料の価格形成について適正な価格ではなく合理的な価格としている点、フードバンク等への支援、人権に配慮した原材料の調達等、重要な政策課題について明記されていない点など、多岐にわたる問題点が指摘されました。  改正案にはほかにも多くの課題がありますが、参議院で重点的に議論された点に絞り、具体的に反対理由を述べます。  第一に、水田の畑地化を書き込もうとしているところです。  水田は、農地として優れた生産装置です。連作障害がなく何年でも収穫できて、多くの人口を養うことができます。アジア・モンスーン気候に適しており、日本では古来、水田が食料の確保と国土の保全を担ってきました。  しかし、改正案は、基本理念に食料安全保障の確保を掲げながら、現行の汎用化に加え、水田の畑地化を定めようとしています。基本法に畑地化を明記するということは、自給可能な米の生産を総合的かつ計画的に削減していくということです。食料安全保障に逆行することは言うまでもありません。  誤解を避けるために申し上げますが、私たちは畑地化そのものに反対している、問題視しているわけではありません。地域の合意により進められる畑地化を否定はしません。基本法に書き込むことで、将来に対して責任が持てなくなるのではないかと心配しているのです。  第二に、農福連携を農村振興施策として位置付けていることです。  現行基本法は、女性の参画の促進、高齢農業者の活動の促進を農業の持続的な発展に関する施策として定めています。つまり、女性や高齢者は農業者としての位置付けです。  言うまでもなく、障害者は、障害者でない者と等しく、社会の構成員としてあらゆる分野の活動に参加する機会が確保されなければなりません。農福連携を規定する以上、女性や高齢者と同様に、障害者も農業者としての位置付けがなされてしかるべきです。  この点、我が党の横沢理事が、農福連携は農村振興策の中に規定されて、なぜ女性や高齢者と異なる場所に規定されたのかと問うたところ、政府は、農村の振興を図るため新しい人材を呼び込むという観点から農福連携を規定しているという答弁でした。農村地域における農福連携であっても、農業者として参加することが大前提となります。このような当然な指摘に対し、新しいビジネス創設ということで地域政策としての取組として規定することが適当であるとか、障害者の福祉の増進を図っていくという地域政策としての側面が強いであるとか、政府答弁は理屈の通らないものばかりです。もはや人権感覚がずれているとしか言いようがありません。  第三に、農村の振興に関する基本理念に地域の資源を活用した産業の振興について明記していない点です。  農業人口の減少は農業では食べていけないことが主な要因である以上、所得確保のための何らかの手段が必要です。農業だけで再生産可能な所得を得られない場合、地域資源を活用した所得も合わせて持続可能な所得の確保も考慮すべきです。これこそ基本理念に書き込むべきです。  この点についての質疑に対しても、基本理念には農業を下支えする農村の役割として限定的に規定したとか、理念と施策を合わせて農村振興に関する考え方が規定されているといったように、所得確保策すら政府・与党は明記に反対いたしました。  これらの内容を含め、参議院では国民民主党・新緑風会と共同で修正案を提出しましたが、政府・与党から全て拒否されました。現場のためにより良い基本法に仕上げるという考えが皆無で、農政を政治利用したとしか思えない。そんな政府案には反対せざるを得ません。  目下、再生可能な所得を確保することが喫緊の課題となっています。しかし、あらゆる資材が高騰する中、立場の弱い生産者に負担が偏り、今の価格水準では再生産がかないません。仮にコストを転嫁ができたとしても、物価上昇に賃金上昇が追い付かない現状では、消費が減るか輸入品に代替されてしまうか、そのどちらかです。  政府は価格形成について法制化も視野に検討を進めているとしていますが、その結果、再生産可能な価格が実現するかは不明ですし、喫緊の課題に対する答えにもなっていません。だからこそ、農地を維持する面積に応じて交付金を交付する制度を創設すべきであると主張しているのです。この農地維持交付金に対しても大臣から否定的な御答弁がありました。  この国の食料、農業、農村を守るため、私たちは愚直に政策を訴えていく、今の政府に日本の農政を任せられない、このことを申し上げ、討論を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 松野明美君。    〔松野明美君登壇、拍手〕

松野明美日本維新の会・教育無償化を実現する会

○松野明美君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の松野明美です。  会派を代表し、食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案に対し、賛成の立場から討論をいたします。  二十五年ぶりの今回の改正は、これからの日本の農業の未来のために今何をすべきなのか、人と農地を残すためには何が必要か、しっかりと考えるビッグチャンスとなりました。それは現在、日本の農業が危機に直面しているからであります。  そんな中、委員会の中で坂本農水大臣より、生産基盤が弱体化しているとは思っておりませんとの発言に対し、多くの非難の声が上がりました。今回の改正は、大臣、弱体化しているからこその改正案です。後日、謝罪、撤回がされましたが、現実の農業の危機に目をそらしては決していけないという、そのことを警告するものでした。  生産基盤は確実に弱体化しています。本改正を契機として、一層の意欲と情熱を持って改革を推進していくべきことを改めて強調いたします。  生産基盤の弱体化に加え、地球温暖化、気候変動、人口の偏在、富める国と貧しい国との格差の拡大、世界の食料をめぐる需要と供給のバランスが崩れています。我が国においては、各国の食料争奪戦が激化する中で、今やお金を積んでも食料が買えない事態が現実のものになろうとしています。  以下、改正法四つの柱について申し上げます。  一つ目、食料安全保障については、現行法の食料の安定供給の確保から、食料安全保障の確保へと変更されました。特に不測の事態においても、本当に飢える事態になったとしても国民が決して飢えることのないよう、食料供給能力の確保、特に国内の生産基盤の確保が最重要課題です。その点につきましては、委員会の中で大臣より、不測の事態に対応する国内生産基盤の確保の中心は米であるとの答弁は評価いたします。  我が党は、水田の畑地化推進には反対し、不測時でも生産する品目や作付け農地をしっかりシミュレーションして、国民が飢えることのないように政策の推進を提言いたします。  衆議院におきましては、我が会派からの多収化に資する新品種の導入の促進を条文に盛り込まれたことを評価いたします。この修正は、国の責任の下で、品種の開発、普及、研究、人材育成を進めていく上で大きな保障となります。また、より多くの農作物を収穫できることは所得向上にも有効です。このように、多収化品種の導入は生産基盤の強化に大きく資するものと理解いたします。  二つ目、環境と調和です。  子供の頃、田んぼの近くではトンボがたくさん飛んでいて、よく「とんぼのめがね」を歌っていました。しかし、最近はめっきり見かけなくなりました。地球温暖化で季節も四季から夏と冬の二季になっていますし、大雨も発生回数が増加しています。干ばつ、極端な気温、病害虫、疫病の発生が増加しています。  そのように深刻な中、今後は先端技術や品種改良などを融合させ、進化しなければなりません。農業は本来、自然とともに進化し、豊かな日本をつくり出す産業です。温室効果ガスの削減等が課題である中、環境保全の取組をお願いいたします。  三つ目、農業の持続的発展です。  この点では、農業従事者の確保が課題です。我が会派は、若い世代にとって農業が魅力ある職業であるためにも、農業への企業参入の推進を以前から提案してまいりました。  今回の改正案は、食品事業者等という限定付きではありますが、企業による農地所有の要件が広がりました。本会議では、今後は食品産業以外の企業にも参入の道を広げるべきとの質問に、岸田総理は、イノベーションにつなげる観点や農業現場などの懸念を踏まえ検討するとのことでした。法改正を機に一層の企業参入が進むことを期待いたします。  四つ目、農村の総合的な振興は、生活基盤である農村を支えることが重要です。  改正案では、従来型の補助金支給でない、農地保全に資する共同活動に必要な施策を国の責任で講じることが明記されました。住民自治に依拠した農村振興を期待いたします。  他方で、今回の委員会では、農福連携の農村振興での位置付けに対し多くの議員が強い懸念を持ちました。改正案では、女性、高齢者は農業施策の人材育成に明記されたことに対し、障害者は農村振興に明記されました。なぜ農業の担い手である障害者が女性、高齢者と同じ人材育成に明記されていないのでしょうか。現在、農福連携は都市部で盛んに行われています。農村地域だけではありません。分ける必要は全くなく、女性、高齢者と並列して位置付けるべきです。  我が国は共生社会を目指しています。是非とも農林水産省が農福連携を通して先頭に立って進めていただくことを強く望みます。  基本法改正によって、日本農業の発展に必要な抜本改革が完成するものではありません。今回の改正をスタートに今後不断の改革を進めていかなければ、日本農業の未来はないと感じます。  今後、基幹的農業従事者が現在の百二十万人から二十年後には三十万人になると言われております。人と農地を守っていかなければなりません。パワーあふれる農業でなければ人は去っていってしまいます。  私たち日本維新の会・教育無償化を実現する会は、是非とも農業ファンを増やし、決して諦めることのない元気な農業を目指し、次の世代へ自信を持ってたすきをつなぐことができますように、与えられた距離を全力で走り続けてまいります。そのことをお約束を申し上げまして、私の賛成討論といたします。  ありがとうございました。(拍手)

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 舟山康江君。    〔舟山康江君登壇、拍手〕

舟山康江国民民主党・新緑風会

○舟山康江君 国民民主党・新緑風会の舟山康江です。  会派を代表し、ただいま議題となりました食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論いたします。  食料の安定供給の確保は、国家の最大の責務です。一九九九年制定の現行基本法では、食料の安定供給に向けて、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせて行うと、この時点で既に国内の農業生産増大を中心に据えていました。  一方で、基本法制定以降、この二十五年間、安価な海外農産物との競合、とりわけWTOやTPPなどの農産物自由化圧力による輸入増により、国内の農業生産は増大どころか停滞、長引くデフレ基調で農産物価格も低迷し、収益性が低下。農業従事者が減少。農地も、転用に加え、耕作放棄地の増加で減少の一途をたどっています。こうした農業生産基盤の弱体化の結果、食料自給率は現在カロリーベースで僅か三八%、先進国の中でも著しい低水準となっています。  経済大国日本を謳歌し、足りなければ輸入すればいい、割高な国産より安い外国産の方が消費者の利益にもなるとさえ言われていた時代は、今や遠い昔です。  地球規模での気候変動や国際情勢の不安定化、各国の人口動態や経済状況などに起因する食料需給の変動などで世界の食料事情は深刻化し、いつでもどこからでもお金さえ出せば食料は手に入る、そんな状況は一変し、今や食料需給自体の逼迫化で、お金を出しても食料が手に入らない時代となりました。ましてや、危機の際に自国を犠牲にし、他国に輸出してくれる国はありません。  食料を自給できない国は真の独立国ではない、かつてフランスのドゴール大統領が発した言葉ですが、独立国として国内生産を増大し、食料自給率を高める、まさに食料安全保障の確保の必要性が日増しに高まっています。  だからこそ、農政の憲法である食料・農業・農村基本法の役割は極めて重大ですが、生産基盤強化につながる理念と政策を再構築する改正への期待もむなしく、十分な措置が講じられたとは到底評価し難く、相変わらず自助努力と競争力強化で強い農業を目指すという方向性自体が世界の潮流と乖離し、政府の危機感が全く感じられません。  以下、具体的に申し述べます。  第一に、口では国内の農業生産の増大はこれまで以上に重要と言いながら、条文に反映されていません。だから私たちは、立憲民主党と共同提出した修正案で食料自給率向上や食料供給能力の維持向上の明記を提案しましたが、全く受け入れられませんでした。  第二に、農業従事者や農地の減少などの生産基盤の弱体化を問題視しているものの、背景にある原因を的確に捉えることなく、その解決策も欠いていることです。  最大の原因は、農業ではもうからないからであり、所得の確保が何より重要です。現行基本法では価格形成は市場に任せ、所得の確保は政策に委ねるとの明確な柱の下、一部、直接支払制度が実現しました。  しかし、私たちが幾ら所得確保の重要性を訴えても、農業所得を確保、向上することで重要なことは農業者が創意工夫を生かした農業経営を展開し、収益性を上げていくことと、まるで自助努力頼みの坂本大臣の答弁には驚きました。経営が厳しい、続けられないと訴える方は努力不足なんでしょうか、怠けているんでしょうか。  採算度外視で何とか荒らさず営農を続け、農地を守っている方々の役割の後押しが必要であり、農地の維持保全に着目した直接支払制度の導入を提案しています。  加えて、国内人口減少よりもずっと著しい農業者減少の理由を国内人口減少に矮小化している点も見逃せません。人口減少下でも就業人口が増えている産業分野もある中、高齢化の進行や新規就農者数の低迷は政策の誤りによるところが大きいことに目を背けては、本当の解決策は打ち出せません。  第三に、合理的な価格の実現があたかも農業生産の現場にとっての再生産可能な価格であるかの幻想を強調していることです。  食料生産のコストを全て価格に反映できることが理想かもしれませんが、価格はその時々の需給状況により決まるものです。生産から消費の各段階で生産に要するコストや適正な価格の在り方の理解を深めていただくのは重要ですが、委員会では、政府からも、合理的な価格については生産費を考慮するとしつつも、必ずしも再生産できるかどうかというところは保証するものではない、こんな答弁がありました。しかも、輸入品との競合品目はなおさらであり、コストをまるっと乗せて輸入品よりも高くなり、国内シェアが奪われるのは本末転倒、そんな答弁もありました。  与党委員からも再生産可能な農業の重要性が指摘される中、再生産に必要なのは価格ではなく所得である、このことを改めて明記いただく必要があります。  第四に、畑地化推進の姿勢が鮮明に打ち出されたことにも危惧を抱かざるを得ません。  水田が地域に不可欠な多面的機能を有しているのはもちろんのこと、大臣も委員会答弁でお述べになったとおり、主食である米の生産基盤を成す水田の維持は我が国の安全保障そのものです。水路や基盤整備など、多くの先人の努力で培ってきた水田を一度失えば、それを取り戻すことは容易ではなく、水田の維持にこれまで以上に注力すべきです。  第五に、効率的かつ安定的な農業経営を営む者とそれ以外の多様な農業者を分けて論じ、後者は経営所得安定対策の対象外にするなど、地域の分断を生む政策に執着している点です。  基本法検証部会でも、委員から、中小規模農家が持続可能な経営を続けられることも重要との指摘があり、また、私の地元でも、集約化で集落崩壊の危機が増大、集落の構成員たる小さな農家も地域には必要だとの声をたくさんいただいています。この声にどのように対応するんでしょうか。  農業者は、農業生産と併せて、消防団活動やPTA活動などの地域活動の担い手、伝統や文化の継承者、お金に換えられないたくさんの役割を果たしています。  昨年秋の臨時国会での所信表明演説で食料安全保障に関する発言を地方創生の項に入れていた趣旨について、総理は、農林水産業、これは地方経済の活性化につながるとともに、食料安全保障の強化に資するものだからと答弁されています。  まさに、担い手とそれ以外で二分するのではなく、全ての農業者を等しく支える農政こそが地域の活性化と食料安全保障の強化にもつながることを改めて訴えます。  第六に、本法案での農村の振興に関する基本認識には大きな誤りがあることです。  農村、特に中山間地域では、少子高齢化、人口減少が都市に先駆けて進行している一方で、田園回帰の動きが全国的に広がるなど、農村の持つ価値や魅力が国内外で再評価されています。  令和二年策定の現行食料・農業・農村基本計画では、農村の振興に関して、地域政策の総合化を図ることが重要、農林水産省が中心となって、関係府省が連携した上で施策を総動員とうたわれています。そして、その認識は改正後も変わらない、つまり、農業生産のみならず、多面的な役割を発揮する場、地域の資源を生かした産業を生み出す場であり、極めて幅が広い役割を農村が期待されている点を確認する大臣の答弁もいただきました。  しかし、条文からはそのことが全く読み取れないどころか、事務方からの答弁は、農村振興の基本理念をうたった六条は農業に関連するということを極めて限定的に書いているとのものであり、矛盾に満ちた大問題答弁です。  農村地域の魅力や可能性を発信し、農村に人を呼び込む、それによって農村全体を元気にし、地方創生につなげる。この観点からも、そこに住み、農業と農地を守ることを支援する施策の必要性が浮かび上がってきませんか、皆さん。  以上述べてきた各問題点を中心に修正案を提案したものの、一切応じていただけませんでした。極めて残念です。農政の憲法たる基本法を多くの野党の反対を押し切ってまでそのまま通してしまおうとする政府と与党の姿勢そのものにも大きな危惧を抱いています。  改めて、世界の食料事情が厳しさを増す中、政府が現状を正しく分析、反省し、正しい道に進むよう、いま一度立ち止まって、もっとしっかりと問題意識を書き込むよう、再考の府、参議院の一員として議員各位に御判断いただくことをお願い申し上げ、私の討論といたします。  御清聴ありがとうございました。(拍手)

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 紙智子君。    〔紙智子君登壇、拍手〕

紙智子日本共産党

○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の食料・農業・農村基本法改正案に反対の討論を行います。  冒頭、坂本農林水産大臣の生産基盤は弱体化していないとの答弁について述べます。  立憲民主党の徳永エリ議員が、なぜ生産基盤が弱体化したのかと質問しました。大臣は、生産基盤は弱体化していない、決め付けだという答弁をされました。私が、二〇一九年当時、安倍総理が弱体化を受け止めて改革を進めたいという答弁をしたことを紹介をしたら、弱体化しているから農業を自由化しなければいけない、競争にさらされなければいけないに続くなどと答弁をされました。  五月二十三日の委員会の冒頭で大臣は、撤回をし、おわびをすると発言をし、基本法の改正案は、農業の生産基盤が弱体化していることなどを背景に提出をしたと修正をされたわけです。大臣の発言は、法案の提出理由をも否定するものです。  これで大臣の責任を果たせるのでしょうか。資質が問われていることを指摘し、以下、反対理由を述べます。  反対する第一の理由は、改正案が「食料自給率の目標」を「食料安全保障の確保に関する事項」に書き換え、最重要課題の食料自給率の向上を投げ捨てたことであります。  現在の食料自給率は三八%、現行法ができてから食料自給率目標は一度も達成されておりません。そのまともな検証もないまま、「食料自給率の目標は、その向上を図ることを旨とし、国内の農業生産及び食料消費に関する指針」としていた文章を改善を図るに変えれば、これは目指すべき目標が見えなくなります。  改正案は、安定的な輸入を確保するために、輸入相手国の多様化、相手国への投資の促進を位置付けました。自民党政権の下で、TPP、日米貿易協定、日EU・EPAなど、歯止めなき自由化が進み、安い農産物の大量輸入が続きました。世界的な食料情勢が不安定化する中で、自由化路線を変えるどころか、安定的な輸入といって相手国への投資まで行えば、国内生産の土台を掘り崩すことになりかねません。  安全、安心な農産物を安定供給するためには、生産者が安心して営農できることが大切で、食料自給率の向上を国政の柱に据えるべきです。  第二の理由は、生産者の所得を増やす規定がないからです。  全国各地で、農業で生活できない、担い手がいないとの声が広がっています。二十一日の岩手県の公聴会で、私は、日本生活協同組合連合会が財政支出に基づく生産者への直接支払を求めていることを紹介しましたが、与野党から推薦された参考人全員がそれは賛成だと意見を表明されました。  岸田総理は、人件費等の恒常的なコストに配慮した合理的な価格形成の仕組みについて、法制化を視野に検討を進めると言いました。昨日の質問で、人件費等の配慮とは生産者の所得を上げるものかと聞きましたら、坂本大臣は、賃金や所得を補償するものではないと答えました。  生産者に対する直接支払をかたくなに拒否し、農業で生活できない現実を放置するなら、農業、農村の崩壊を招くことになりかねません。政治の責任で所得補償や価格保障で再生産を支える仕組みを創設することが必要です。  第三は、兼業農家など多様な家族経営への支援が弱いということです。  政府の担い手政策は、専業農家である効率的かつ安定的な経営体、農業で生計を立てる担い手を支援するものです。兼業農家や半農半Xなど多様な生産者は、専業農家の補助者と位置付けています。  新規就農者は十年前の六万五千人が二〇二二年には四万五千人に減っているのに、政府は、県ごとの新規就農者を把握していないことから、有効な対策を打ち出せずにいます。今、人口減少が続く中で、施策の対象を効率的かつ安定的な経営体、法人に絞る必要はありません。農業生産に携わる多様な生産者への支援が必要です。  第四は、生産基盤である農地を維持強化するものになっていないからです。  一九五〇年代、昭和三十年代の耕地利用率は一三〇%を超えていました。一九六一年の旧基本法の選択的拡大政策は、麦、大豆などの政策を切り捨て、アメリカの農産物を受け入れるとともに、輸入飼料に依存した畜産政策を打ち出しました。耕地利用率は今や九一%です。自由化、規模拡大が進められた結果、採算の取れない農地が耕作放棄地になり、開発優先によって優良農地の転用が進みました。  また、選択的拡大は麦などの品種改良を遅らせ、一九六一年当時、日本とフランス、ドイツの単収はほぼ同格だったのに、今や二から三倍もの開きが出ています。元農業試験場の技術者は、選択的拡大によって麦の研究室や研究員は半減したと語っています。  輸入依存からの脱却に向けて麦、大豆、飼料作物の国内供給力を強化するというのであれば、耕地利用を高めて品種改良を進めるべきです。  アジア・モンスーン地帯である日本の水田農業は、日本の風土に適した土地利用型農業です。自然災害が多発する中で、田んぼダムとしても水田の役割が強調されています。政府は畑地化を進めると言いますが、地域の特性に応じた土地利用型農業を進めて固定的に畑地化する必要はありません。  第五は、農業生産活動における環境への負荷軽減が入りましたけれども、温室効果ガス、CO2削減の文言も有機農業の文言もありません。  参考人質疑で意見陳述をされた農民運動全国連合会の長谷川敏郎会長は、化学肥料や農薬に依存し、商品を大量に作るやり方は環境に負荷を与える、生態系を大切にしながら化学肥料も農薬もやめたら、経営的にも合理的な循環が可能になったと言われました。  自然の生態系に依存した農業政策や温暖化防止対策は全く不十分と言わざるを得ません。また、環境への負荷軽減をいうのであれば、輸出国における水資源の枯渇、森林の破壊など、海外に依存する食料政策の見直しが必要です。  第六に、成長産業化には力を入れるけれども、農村の振興、地域間格差を是正するものになっていないからです。  国は、農業生産の基盤の整備と交通、情報通信、衛生、教育、文化等の生活環境の整備その他の福祉の向上とを総合的に進めると言っていますけれども、人口の減少に歯止めが掛からず、集落の存続の危機が深まるばかりです。  病院がなくなり、鉄道もバスも廃線になり、生活インフラの基盤が崩壊しつつあります。日本村落研究会は、平成の大合併によって過疎化の進展にブレーキが掛かった事例はない、旧村ごとに行っていた独自の農政を消滅させ、農政に特化した予算措置ができなくなったと指摘しています。  一極集中を是正し、小さくても輝く農村政策、住み続けられる農村政策に本腰を入れるべきです。  今必要なのは、新自由主義的な農政から、人と環境に優しい農政への転換です。農産物の自由化を進め、まともな所得対策がないまま、需要がある農産物を作れ、売れる農産物を作れと生産者に自己責任を迫る農政では、生産者も農地も減少し続けることになるではありませんか。  食料と農業の危機を抜本的に打開するには、食料自給率の向上を国政の柱に据え、際限のない輸入自由化路線に歯止めを掛けるとともに、危機打開にふさわしく、農林水産予算を思い切って増額することです。  以上を述べて、反対討論といたします。(拍手)

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十三分散会

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