内閣委員会 第21号
- 発言数
- 98 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2024/06/13
会議録
○委員長(阿達雅志君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、金子道仁君が委員を辞任され、その補欠として柴田巧君が選任されました。 ─────────────
○委員長(阿達雅志君) 学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案を議題といたします。 本日は、本案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。 御出席いただいております参考人は、東京大学名誉教授内田貴君、日本社会事業大学専門職大学院客員教授宮島清君、NPO法人性犯罪加害者の処遇制度を考える会性障害専門医療センター代表理事福井裕輝君及び立教大学名誉教授・一般社団法人“人間と性”教育研究協議会代表幹事浅井春夫君でございます。 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、内田参考人、宮島参考人、福井参考人、浅井参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず内田参考人からお願いいたします。内田参考人。
○参考人(内田貴君) 内田貴と申します。 私は、本法案が準備される過程で、こども家庭庁において設置されました有識者会議の座長を務めさせていただきました。本日は、参考人として意見を述べる機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。 私は法律を専門としておりますので、御審議いただいている法案の内容についての意見を、レジュメがなくて誠に恐縮なのですが、二点にまとめてお話をさせていただきたいと思います。 第一は、今回の法案の意義がどこにあるか、その法案全体の意義について私の意見を申し上げます。第二に、この法案に盛り込まれておりますいわゆる日本版DBS、すなわち前科の照会制度の意義について私の意見を申し上げます。 それでは、まず、第一の法案全体の意義についてでございます。ここでは、この度の法案には二つの点で大きな意義があるということを指摘させていただきたいと思います。 第一の意義は、教育、保育等に従事する事業者に児童対象性暴力を防止する責務、この責務があることを明文で定めたということでございます。具体的には法案三条です。 子供関連の事業を営む事業者がこのような責務を負うということは、道徳的には当然のことと言えます。しかし、それが法律で明示されたことの意義は極めて大きいと思います。この規定の存在により、行政が子供を保護するために非常に動きやすくなったと言えるからです。この法律は事業者に様々な措置をとることを義務付けていますけれども、これもこの原則を法律で定めることで可能になったと言えます。また、今後、こども家庭庁はこの法律の外でも子供に対する性暴力を防止するための総合的な取組をしていかれることと思いますが、その根拠規定ともなります。 次に、第二の意義は、事業者が子供に対する性暴力を防止するためにとるべき措置、防止措置が具体的に明文化されたことでございます。すなわち、法案五条の面談等の実施義務、六条の防止措置を講じる義務の明記、八条の研修の実施義務などです。 統計から判断しますと、日本の性犯罪の約九割は初犯であると言われます。これは、言い換えれば、子供に対する性暴力を防止する上で、前科を確認して前科のある者を職場から排除したとしても、効果が期待できるのは約一割の部分であり、性暴力の防止において持ち得る効果は限られているということです。やはり、初犯を防止するための措置を講ずることこそが子供の保護という観点からは実効的に意味があると言えます。 特に、第五条が、性暴力の端緒、すなわちそのおそれがないかどうかを早期に把握するための措置として面談等の措置を実施することを義務付けていることは重要であると思います。この面談は、実際に性暴力が行われた後で実施するのでは意味がありませんから、何かあったときの相談とは別に、事業者から積極的にコミュニケーションを取って性暴力等の端緒を発見するためのものだと思います。そして、そこで得られた情報に応じてしかるべき措置を講ずることが求められると思います。 他方で、そのような措置というのは、そのしかるべき措置の内容に応じて単に性暴力を防止するためだけに意味を持つわけではないと思います。 例えば、保育園に子供を預けている親御さんの中には、男性の保育士が女児と、女の子と接することだけでも懸念を抱く方がいます。これはこの法律が想定している児童対象性暴力等が行われるおそれというのとは違いますけれども、その懸念は親の気持ちとして全く理解できないというわけではありません。その一方で、誠心誠意保育のために能力を発揮したいと考えている男性保育士からしますと心外であると感じることもあるだろうと思います。 このような場合、例えば子供と二人きりにならないように職場の環境を整えるとかカメラを設置するといった措置は、単に性暴力を未然に防ぐという防止措置として意味があるだけではなく、それと同時に、そのような男性保育士からすると、過剰に親に懸念を持たれることを心配することなく、もっと伸び伸びと保育に専念できるという効果も期待できると思います。つまり、適切な予防措置を講ずることは、親にとっても教職員や保育士にとっても、双方にとって有益な方策となり得るのではないかと思います。 今回の法案には、以上のような防止措置のほか、何らかの性犯罪や犯罪まで行かなくとも不適切な行為が行われた場合に、子供の保護、そして支援の措置を講ずる義務がセットとして規定されており、言わば子供を性暴力等から守るための政策のパッケージが組み込まれています。これが本法案の大きなメリットですが、このメリットを生かすためにはそのような体制を取れる事業者を対象とする必要があり、そのような体制が取れない個人事業者は認定の対象から外されるということになります。 しかし、これは今回の法案の欠陥ではないと思います。今回の法案の目的は、子供に対する性暴力等を防止する上での様々な措置を事業者に義務付けるとともに、そのような措置を講じた事業者の見える化を図り、認定のマークによって保護者が安心して安全な事業者を選択できるようにすることにあると思います。 これに対して、認定を受けられるような規模ではない事業者、とりわけ個人事業者は、別途利用者の信頼を勝ち取るための努力をすることが期待されます。例えば、個人事業者たちが同業者たちの団体をつくって認定を受けられるような体制を整えれば、その団体を認定事業者とすることも考えられます。また、たとえ認定制度に乗ることが困難な場合も、個人事業者が利用者の信頼を勝ち得られるような実績や工夫について積極的に情報を公開して安心と信頼を勝ち取っていくということも考えられます。このような動きが個人事業者の中に出てくるとすれば、それはこの法律がもたらす良い効果と言っていいのではないかと思います。 次に、本法案に含まれておりますいわゆる日本版DBS、すなわち前科の照会制度の意義について私の意見を申し上げます。 ここでは二つの指摘をさせていただきたいと思います。 まず第一に、どのような前科をどのような期間について照会できるようにするかを判断する際には、対立する二つの原則のバランスを取る必要があるということです。一方の原則は、言うまでもなく子供を性暴力等から守るという原則であり、極めて重い価値を持っています。他方で、これと比較考量すべき原則があります。それは、前科のような個人情報をみだりに知られないという原則であり、プライバシー権に関わる価値と言えます。 日本ではこの後者の原則は最高裁判例によって確立されており、最高裁判所は、前科等のある者もこれをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益を有すると判決で述べております。ただ、難しいのは、前者の子供を性暴力等から守るという原則が、被害者が子供であり、しかも生涯にわたる精神的な傷を負わせる重大な被害をもたらすことから無条件に重い価値を持つのに対し、後者のプライバシー権は、過去に犯罪を犯した人のそれを知られないという利益であることから、どうしても子供を保護する方向に判断が傾くということです。前科のある人のプライバシーを保護するために子供を犠牲にしてよいのかと言われると、誰も反論はできません。 とりわけ、子供の保護に大きく傾いたDBS制度を持つイギリスがよく例として挙げられます。ただ、イギリスは、性犯罪に限らず、凶悪犯罪を含む広い犯罪について、子供と接する職種で欠格事由としている上に、そもそも全ての業種で前科の基本チェックができるということになっており、前科情報についての扱い方が我が国と全く異なります。つまり、二つの原則のうち、第二の原則の扱いが全く異なるわけです。 イギリスでは、プライバシー権というのは、包括的な法的権利としては保護されてこなかったと言われています。そのような前提の違いが、DBSの前科情報の扱いの違いを生んでいるものと思われます。したがって、イギリスのDBSをそのままモデルとすることは、日本法の原則との抵触を生じさせてしまうわけです。 とはいえ、たとえ日本ではプライバシーの保護があるにしても、子供の安全を脅かすような事態が生じてはならないことは言うまでもありません。そこで、およそ子供にリスクのある犯罪であれば、器物損壊であれ窃盗であれ、とにかく広く前科に取り込んで通知の対象に含めるべきだという議論が出てくることは、それなりに理解できます。しかし、法律家としては、前科というプライバシー情報をみだりに知られないという権利や、前科があっても更生して社会復帰することを支援するという要請は、現行法が明確に定めていることであり、やはりそれを無視することはできません。 そこで、まず、最低限守るべき人権として、本当は罪を犯していない可能性を否定できない場合、つまり、疑いを持たれただけで実際には犯罪行為をしていない可能性がある人に不当な不利益を課すことは、最低限避けなければなりません。このような判断から、司法の手続で犯罪行為が認定されていない場合、起訴猶予のような場合ですが、そのような人権侵害が起きるという可能性が否定できないために、これは外そうという判断がされています。 また、性的動機により異性の下着の窃盗をするというような人は、確かに子供関連の業務に就いてほしくないと私も思いますけれども、ただ、そのような独立の犯罪類型となっていない犯罪だけを抽出すると、窃盗の中から抽出するというのは極めて困難であり、他方で、だからといって、およそ過去に窃盗を犯した人を一くくりに排除するのも、やはり行き過ぎだと思われます。 また、仮に広範囲に前科のある人を排除するとしましても、結局、再犯の、それによって再犯の可能性のない完全に更生している人の職業選択の自由を制約してしまう反面で、子供に対する性暴力等を防ぐという点では所詮全体の一割程度の再犯を防ぐ効果しかないと言えます。 このことを考慮すると、この部分、その犯罪の類型を広げるよりも、むしろ現場での防止措置を充実することで、子供に対する性暴力等を直接防止する方が実効性があると思われます。そこで、前科を通知する犯罪は、犯罪の類型として、子供に対する性犯罪と直接的な関連のある犯罪類型に限定しているのだと思います。これが、この二つの原則のバランスを何とか取るためのぎりぎりの線ではないかと思います。 なお、前科を通知する期間が刑法三十四条の二の刑の消滅の規定より長くなっています。もしイギリスのように前科の存在が就業の際の欠格事由になりますと、この刑法の規定との整合性がより深刻な問題になり得たと思います。しかし、現在の法案は欠格事由とはしていません。それに、また、特定の業種についての就職の制約となるというだけですので、刑法の規定との抵触はないと私は考えております。 次に指摘させていただきたい第二の点は、どのように合理的な制度も、濫用を防止する必要があるということです。 前科の照会制度を設計しようとする際、前科情報がみだりに拡散しないようにするための方策として容易に考え付く制度は、就労しようとする本人が自分で前科情報を取得して就職先に提出するようにすればよいという制度です。これならば、前科の有無を知っているのは本人ですから、前科がない場合にのみ、ないこと証明を取って、それを就職先に出せば済むからです。 ところが、このような制度を採用しますと、子供関連の業種以外に就職する際にも、雇主から就業希望者に対して、子供関連の仕事に就くと言って、ないこと証明を取ってこいと要求するという、そういう濫用的な実務が生ずるということは容易に予想できます。もしこれが可能になりますと、あらゆる職種で前科がある者が排除されてしまい、罪を償って更生し、社会復帰をしようとする人たちの社会復帰を妨げてしまいます。 そこで、今回の法案では、前科情報の照会ができるのは事業者に限定されています。同様な考慮から、フリーランスなどの個人事業者が自分で自分の前科情報を照会できるということはやはり望ましくないと考えられますので、認定制度を利用できる事業者から個人事業者をこういった観点からも外していると、原則として外しているわけです。 以上、前科の照会制度について二つの指摘をさせていただきましたが、最初にも申し上げましたとおり、性犯罪の九割は初犯であると言われ、前科の照会制度はどのように仕組んだところで一割程度の再犯を防止するために機能するにすぎません。やはり、子供を性暴力から守るには、初犯を防ぐための措置がはるかに重要であると思います。そのような措置に法的根拠を与え、さらにはその法律に基づいたガイドライン等が整備されることで、子供の保護が十全のものになると期待されます。そのような本法案の成立を心から期待したいと思います。 御清聴ありがとうございました。
○委員長(阿達雅志君) ありがとうございました。 次に、宮島参考人にお願いいたします。宮島参考人。
○参考人(宮島清君) 宮島でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 今日、レジュメを用意させていただきました。少し枚数が多いものですけれども、最初の二枚を使いまして、この最初のお話をさせていただきます。 子供を性的被害から守る、この国になかった新たな仕組みをつくる、その法律の制定という極めて重要な審議の場に私のような者を加えていただいたことをとても恐れています。しかし、このような機会を与えられた者として、できるだけ誠実に一生懸命お話をさせていただきたい、また質問についてお答えしたいというふうに考えています。 自己紹介が長くなるのは意味がないかもしれませんが、どういう人間かということをお話し申し上げないと何が答えられるかということが明確になりませんので、またそこにも少し意味がありますので、自己紹介をさせていただきます。 私は、二十四年間、埼玉県の福祉職職員として、児童相談所の児童福祉司、あるいは一時保護所のケアワーカー、知的障害児の児童指導員も行いました。その後、十七年間、同じような職にある方々のスキルアップのための専門職大学院で十七年間教員をいたしました。学生は四十代、五十代が多くて、実務に就きながら学ぶというところです。 そこで、現場にそういう形で触れてまいりましたが、定年前に二年間、もう一度現場をやってみたいということで、市役所の会計年度任用職員で家庭児童相談員というのをこの三月まで務めました。現場に触れていたつもりでしたけれども、基礎自治体に初めて勤めてみて、そこで働いてみて、また新たに気付いたこと、たくさんあるというふうに思います。また、私は子育て支援課というところにおりましたけれども、隣の課は保育課ですし、左隣は教育委員会でしたので、そこの人々の動きというようなものも見て、いろいろと感じさせられることがありました。 今年度は、しかし、大事な仕事なんですが、辞めまして、教員であったときにも続けていた現場の事例検討会とか職員研修の仕事をさせていただいています。昨日も宮城県に出向きまして、午前午後四こまの研修を担当いたしました。講義は一時間だけ、その後、模擬事例による演習、そして午後は実事例を検討し、最後はみんなで懇談をすると。児童相談所と里親支援機関の職員の皆さんとのときでした。元々、今日は児童養護施設の事例検討会だったんですが、このような機会が与えられたということをお話ししたところ、行ってくれと、そして現場のことを伝えてくれというふうに言ってもらったものですから、これは逃げられないなということで今日来ております。来週も、教育委員会の教育センターの事例検討会や、あるいは、児童養護施設で今年度採用した職員の個別面談を六人の方に年間三回、一人一時間ずつやってくれという、第二回目に出向きます。 そこで、長々申し上げたのは、今回の法案の中でも予防措置として研修ということが位置付けられておりますけれども、極めて重要だと思います。しかし、研修は、講義を聞いただけでは全然使い物にならないというふうに考えています。まずは基礎学習、その資格とその仕事になる前のきちんとした学びをしてベースをつくると。そして、現場に出てきてから、主にこういった特別のニーズ、その必要に応答するための講義を受ける。でも、講義を聞いただけでは駄目なので、それを演習という形で自分で考えて適用できるようにする。しかも、自分で取り組んできた内容をもう一度俎上に出して、これでよかったのか、適切だったのか、そういうことを省察する。そういうことなしに実際の対応力というのは上がるものではないというふうに考えています。 ましてや、これから、この子供が性被害を受けている、あるいは受けている疑いがあるといったときには子供からの聞き取りが大事だということはもう法案の中にもあるわけですけれども、それですけれども、この聞き取りというのは実に難しいことだ、判断するということは実に難しいことだ、そのことを後ほど、もう一度少し述べさせていただきたいというふうに思います。 私の専門は今申し上げたようなところではありますが、特にその中心としては児童虐待に取り組んでまいりました。 御存じのように、児童虐待への対応は平成の二年頃からこの国の政策課題として表に出てきた、正式に取り組まれたと思います。そのために、平成二年から児童相談所の公式統計が取られるようになりました。 悲しい事件が続きまして、二〇〇〇年に、従来の児童福祉法だけでは対応し切れないということで、議員立法で児童虐待の防止をする法律ができました。これは画期的なことで、児童虐待の定義も明記されました。そのことによって現場でも対応がずっと前に進み、実際に保護者と会うときも、判断するときも、そこに指針といいますか、ちゃんとスケールができたということで、大変な前進でした。 しかしです。しかし、その後の歩みは必ずしも順調ではなかった。この法案が通ることは起点だと思います。スタートだと思います。ですから確実に進んでいかなければならないと思いますが、児童虐待対応で足踏みしてしまった可能性がある、そのことをちゃんと踏まえた上で、その後の、この法案が成立した後の仕組みを成長させていかなければならない、そのように考えております。そのために、どのような形で足踏みをしてしまったのかということを申し上げたいというふうに思います。 また、もう一つは、ここに行って現場の声を届けてほしいと言われておりますので、まさに現場がこういう状態だということの御報告もさせていただきたいと思います。 以上の論点でお話をさせていただきたいというふうに思います。 次のページをお開きください。 この一つ目のこと、この法律案の成立は入口に立つことだと考える、このことは、今、内田先生のお話の中でもありましたし、先生方の一昨日の議論でもありました。また、こども家庭庁の答弁にもありましたので繰り返しする必要はないと思いますが、子供たちが被害に受けないということはとても大事だけれども、しかし同時にもう一つの配慮すべきことがあると。 子供たちに未来を私たち約束しなければならない、子供たちは幸せな未来を生きなければならない。そのときに大事なのは、当然、今回のテーマである性被害を受けないということがございますけれども、同時に、疑いだけで罰しられるとか疑いだけで排除される、そのような社会ができてしまったら、それは子供にとって必ずしも幸せを実現するものではないと。 踏み込んだ対応と同時に慎重さも重要であり、慎重さと大胆さといいますか、踏み込みのちゃんとしたもの、これをどう両立するかということが大事だと。また、そのためには、今回の照会、回答ということに光が当たりやすいですけれども、防止するという総合的な取組が重要であるというふうに思います。 繰り返しになりますけれども、このことは私からも是非とも申し上げたいというふうに思いました。 下の段を御覧いただきたいというふうに思います。 先ほど、児童虐待防止法ができたけれども、その後足踏みをしてしまったのではないかということを申し上げました。私、十七年ぶりに教員から現場に出てみて感じたことですけれども、本当に職員の方、関係者の方は一生懸命やっています。非常に時間も足りないし、人も足りない。そのために何が起こっているかです。本当に頑張っているんですけれども、正直なところ、パターン化した対応がどうも起きてしまっていると。 通告が二十万件を超えます。たくさんの通告が来ます。これを確実に行わなければならない。そしてまた、様々な規定があり、それに沿った実務をしなければならない。本当は、目の前の子供にそれが、目の前の御家族にそれが適用できるかということを考え、ちゅうちょなくやる部分は当然必要なんですが、ちゅうちょもし、悩みもし、そして自分の頭で考えて、今何をすべきかということを考えずに対応すると、やはり本物にはなりません。急いで出かけていって、現場に行って、そして当事者に会って、保護者の方にこれは虐待ですよと言って注意喚起をして、それで解決するものではないと。実際にその子供と家族がどのような暮らしをし、どのような人生をたどってきたのか、その上で今何が起こっているのか。そのことなしに助言も注意も、それはむなしいものになりかねません。しかし、現場はそのような形になっているというふうに言わざるを得ません。 二〇〇〇年を過ぎて、児童相談所だけでは対応し切れないということで、市町村の対応が重要だということが言われるようになりました。そのために、そのときの改正では、市町村を通告の先とし、子供と家族に関する第一義的な相談窓口対応をするんだというふうになりました。しかし、その後どうなったかというと、逆戻りをして、もう一度児童相談所に一極集中するような形に対応がなっています。 そのために、どうしても悪い人に対して注意喚起をするという対応が前面に出て、そして、この子供と家族の暮らし、何が起こっているか、どういうふうな人生や経過をたどってきたかということを確かめて、そしてその子供と家族に必要なニーズに応じた総合的な対応がされていないということが起こっているということを考えざるを得ません。 コロナ対策でも、とにかくたくさんの人が発症の疑いがあって、病院と治療を受けたい、でも病院が崩壊するというようなことが恐れられました。やはり子供と家庭のところもそういう状態だというふうに言えると思います。そのために、なるべく短く、そして注意喚起をして終わる、そのようなことが起こっています。同じようなことがこの法案による現場の対応として進んでしまったら、それこそ本当に必要な対応が遅れてしまうのではないかということをやはり危惧をしております。 抽象的なことだけを申し上げてはいけませんので、あと少しですので、次のページのこと、二点申し上げたいと思います。 私が先生方にお伝えしたいことは、子供の性被害を、子供が性被害を開示するということはとても難しいことであるということを申し上げたいと思います。 この性被害とか性虐待についてだけの論文、私にはありませんので、それを提示することはできなかったんですが、たまたま昨年度末にまとめた、児童虐待への対応と課題について、教材を作り、その演習を書くというものがあって、この後に載せさせていただいたんですが、これは、教育とか保育の方の虐待ではありませんけれども、親御さんから受けた性虐ですけれども、その場ですぐに開示できるということはないですね。むしろ、あとは、子供が自分から語る、それを聞きやすいといっても、二歳、三歳の子、あるいは五歳の子、六歳の子、そういった子供たちが語れるかどうかといったらば、これはかなり難しいことだと思います。 現場で気付くということは、言語化されたメッセージを聞くことではなくて、非言語のメッセージを聞く、あるいはこの子の表情を聞く、今までと違う様子を聞く、そういったもの、あるいは性感染症が、家族の事例なんかですと、小さい子なのにもかかわらず、異常所見はないんだけれども性感染症にかかっている、そういったことの細々としたことも含めて、ふだんの子供の様子も含めてちゃんと観察した上で発見するということが大事だと思います。 また、その判断はやはり、疑いの段階で、実際は行っていないにもかかわらずこの人が加害者だということになって排除されたならば、それも本当に重大だということは、内田先生が言ってくださったとおりだと思います。聞き取り等によって判断するということですけれども、聞き取りで子供が言ったからということで子供に責任を負わせるかのような対応ではなくて、様々な知見を集めて判断をすると。そしてまた、専門家のアドバイスも聞ける、スーパービジョンを受けられる、そのような形で対処するというような仕組みが必要ではないかというふうに思います。 あと、では最後ですけれども、そのページの下のところを御覧いただきたいと思います。子供たちの支援、教育、保育、社会福祉の体制について申し上げたいと思います。 どうしてもこういう課題を抱えている方から退場してほしいということが話題の中心になりますけれども、私はここで逆の立場から、現場に適性のある優れた人材が集まるようにしてほしいというふうに訴えたいと思います。 教育、保育、社会福祉の実践現場に就職したい、そこで働きたいという方が本当に少なくなっています。教員の募集倍率に対する応募が少ないと、これは社会福祉でも保育でも同様です。ですから、その方に丁寧にお話を伺って、そして、ああ、この方は倫理観とか人間観とか、様々な関係の取り方も含めてとてもいい方であると、子供との関わる仕事としてふさわしい方だ、そういった方を選抜してやはり採用し、そして先ほど申し上げたように、座学だけではなくて様々な形で学んでトレーニングをして、そしていい仕事をすると、そして定着してその場で働けるようにする。そういったことをなしに、子供たちを性加害からこういう、このような現場でおいて守ることはできないというふうに考えます。 先生に是非その辺りを具体的に応援をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○委員長(阿達雅志君) ありがとうございました。 次に、福井参考人にお願いいたします。福井参考人。
○参考人(福井裕輝君) 福井と申します。精神科医の福井と申します。 精神科医でもいろいろあるんですけれども、司法精神医学といって、法律と医学との境界のような分野で長年医者としてやっております。 本日、そうですね、主として、医者側からの観点、それから治療を含めたですね、あとは社会復帰支援というようなことについてお話をさせていただきたいと思います。 ここに簡単に、何か分からないということもあるので経歴が載っていますけれども、これ長々と読んでも余り意味がないと思うので、御参考に目を通していただければと思います。 職歴ですけれども、法務省ないし厚生労働省の機関で、司法精神医学研究部というようなところで純粋な研究職というのをやっていました。その後、独立して現在に至っているという状況です。 ここに簡単に活動の流れというふうに書いてありますけれども、これ全部をどうこうしようというわけではなくて、司法精神医学の中にもいろいろあって、私が携わっているのは、性犯罪加害者、それからストーカーの加害者、あとクレプトマニアといって、窃盗症というふうにもいいますけれども、窃盗がやめられないというような人々ですね、そういった人々の研究あるいは治療というようなことを行って現在に至っています。 ここにホームページというのを掲載させていただきましたけれども、しばしば、加害者治療というようなことを言うと、その前にもっと被害者のカウンセリングとか、そういう被害者支援が大事じゃないかというような指摘を受けて、それはもっともな話でして、私も元々は被害者の治療を一生懸命やっていたという時期があるんですけれども、そういう誤解を生まないためにあえて挙げておきますけれども、理念は、被害者を生まないために加害者に対して治療等を行う、それによって犯罪を防ごうというような意図で現在まで行ってきています。 この後、医学的な概念とか、そういうことをごく簡単にお伝えしたいと思います。 子供に対する関心がある者は、小児性愛障害というきちっとした医学診断名が存在しています。 次お願いします。 小児性愛は何なのかということですけれども、狭い意味ですね、狭義の、ペドフィリアといいますけれども、については、十二歳未満を対象としたものというのが医学の定義上です。ただ、それだけでは臨床上も、様々な子供に対する防止とか、そういうことができないということで、エフェボフィリアという概念がありますけれども、思春期、十八歳未満の子供に対してのそういう性的嗜好がある者についても同様に、医学的には同様に扱い、同様に治療したらいいということが世界的なコンセンサスとなっています。 下に参りたいと思いますけれども、小児性愛障害でも大きく二つの種類があります。 純粋型というのは、先天的に子供に興味はあって、成人してもずっと子供にしか、変わらない、まあ端的に言うと死ぬまでずうっとその嗜好が変わらない者ですね。LGBTQという概念がありますけれども、それとおおむねというか、基本的に同じと考えていただいていいと思います。何か、それを治療とか更生によってそういった子供に対する関心を変えようと思っても、変わるということは望むことはできないというふうに思ってもらった方がいいと思います。 あとは、非純粋型といって、非純粋ということが意味しているのは、成人にも興味があるんだけれども、様々な二次的要因、ストレスであるとかパートナーとの問題であるとかというようなところから子供にも関心を持つようになるというようなケースですね。教職員その他のこういった職業の方について言うのであれば、元来子供に対しての関心はなくても、接触を繰り返しているうちにだんだんと子供に魅力を感じたりという、性的関心を持つようになるというようなこともこういった非純粋型の方に含まれるということになります。 次に参りたいと思います。 統計なんですけれども、様々な基準があって、統計の取り方によって値が上下するんですけれども、場合によっては二〇%とかという値も出ますけれども、おおむね五%、人口の五%小児性愛が存在するというのが、これも世界的なコンセンサスです。男性の加害者が非常に多いですね、八〇%、女性が二〇%ということです。被害者については同数程度。つまり、男性が男性に加害を加えるというような状況も多数あるために、被害としては同数程度になるということです。 下に書いてありますけれども、小児性愛の八割は子供に接近するというふうに言われています。 次に参ります。 それは様々、教職員、塾講師、あとは児童養護施設内での性的虐待、あとは、震災等が起きるとボランティア活動というふうに称してその震災の場に行って、例えばごろ寝のような状況で子供にわいせつ行為をするというようなこともよく起きているというのが私の臨床上の経験です。このような形で多くが子供に接近するということですね。 教職員の一割は小児性愛だというふうに書いてありますけれども、これまでの臨床の印象ですけれども、要は、人口の五%が子供に関心があるんだけれども、それがゆえにこういった仕事を選ぶわけですね。なので、我々のところに来ている患者でも、そのほとんどがいろんな子供に接する仕事を転々として、で、いよいよ事件化してとか、あと三度目とか、そのような形で来ます。なので、この一割というのは大げさでも何でもなくて、場合によっては二割とかいてもおかしくはないんではないかというのが私の印象です。 次に参ります。 これは、賛成、反対、いろいろ議論が出るところだと思いますけれども、海外でのアベルスクリーニングというものです。アメリカの州によっては用いている、全てではないですけれども、用いているもので、要は、教員を採用する前に小児性愛の嗜好があるのかないのかということを調べるテストですね。これは本人がうそついたら分からないんじゃないかということをよく指摘されるんですけれども、言ってみると、うそ発見器とかですね、あとは、こう、うそ発見器のようなものを付けつつ、体の生体情報といいますけれども、そういうものを測ったり、あるいは、整合性が合わない回答をした場合にはどんどんどんどん問題が増えていくというような形でその者が性的嗜好があるのかないのかということを調べて、そこで陽性というか、その小児性愛の傾向があるとなったら採用しないというようなことを行っているところもあるということで、一応御紹介しておきたいなと。 ただ、これについては、賛成、反対があるというふうに申し上げましたけれども、一番中心となるところは、性的嗜好と加害行動に至るところには一線引く必要があるんではないかということですね。つまり、子供に対する関心があっても、一生そういった具体的な加害行動はせずに老いていく小児性愛者という者が多数いて、そういう者を採用時点から排除するというか、そういうことは何か様々な問題があるんではないかというようなことは言われています。 ただ、私の臨床的な印象でいえば、日本においてもこういったことはやってもいいんではないかと。当然、テストを作る上では慎重に作る必要がありますけれども、子供を守るという意味においてはこういうものがあってもいいんではないかというのは思っています。ただ、これは、法律どうこうということは十分に検討した上ではない、あくまで私の印象のようなものですね。 次に参りたいと思います。 少し、地方自治体の教育委員会等から依頼を受けて、教職員に対してスクリーニングをしたいということでやったことがあるので、簡単に紹介しておきました。まあ中身は読んでいただければいいと思います。 シナリオ問題とか、認知のゆがみというものがあると言われていて、そういうものをチェックする、あるいは性加害ですね、そこに至るトリガーのようなものをチェックするというようなことですね、それらを全部やっていただいた上で、カットオフ値から、まあ二十五点以上であれば御相談くださいといって、我々の機関に治療につながってもらうというような試みを行っています。 これについては、先ほどのアベルスクリーニングとは違って、あくまで本人が自主的にこちらに治療に相談に来ると。で、その情報については、教育委員会ないし県とかそのほかのところには情報は流さない、あくまで守秘義務の範囲内をきっちり守った上で治療等を行うというようなことでやっています。それらによって、我々の機関で治療を受けているという者もそれなりの数おります。 次に参りたいと思います。 再犯防止のためにどういうふうにやっていったらいいのかということについて若干意見を申し上げたいですけれども、これ、昨年のイギリスの政府が出した統計ですね。 イギリス版DBS、ちなみに、先ほど内田先生もおっしゃっていましたが、これ、DBSというのは性犯罪に限らないので、いろんな様々な罪種が混じっているデータですけれども、成人の再犯率、二四・二から二四%、未成年で三四・一から三一・一%、全体で二四・七から二四・三というふうになっています。この統計の結論としては、効果が見られているというような記載がなされているんですけれども、そこまで少なくとも劇的に減っているとか、そういうことは期待できないんではないかというふうにこの数値などを見ると思っています。 次に参りたいと思います。 というようなことで、よく日本版DBSについてどう考えるかというようなことを質問等されることがあるんですけれども、ほとんどか、要はこれ、単独ではほとんどか全く効果がないんではないかというのが私の印象です。 イギリスにおいても、このDBSだけをやっているわけではなくて、様々な治療とか社会復帰支援をしているということですね。ここにつらつらつらと書いてありますけれども、イギリスの治療というと、刑務所内でもちろんやりますけれども、社会内での治療、あとは、インターネット関連の例えば児童ポルノの所持とかそういったものに関わる者を対象とした治療のプログラムとか、そういうことの実践。 それから、次に参りたいと思いますけれども、社会復帰支援策として、CoSAというふうに書いてありますけれども、地域のボランティアが主導となって支援をすると。あとはMAPPAというのがありますけれども、これ警察、保護観察、刑務所、その他、社会福祉というのは医療も含めてですね、そういったものが協力をしながらリスク評価とか管理計画を策定して進めていくという仕組みですとか、あとはIOMというのがありますけれども、加害者の生活の各側面、住宅を用意するとか職業訓練して就労を支援するとか、あと本人の健康を助けるとか、そういったような包括的なサポートをしていると。 つまり、イギリス、もちろんDBSというのは十年以上前からやっていますけれども、それより前からこういった加害者治療、それから社会復帰支援というものがあって、そこにDBSというものが乗っかってきたというようなふうに私は捉えています。なので、日本においてはまだまだこの辺が足りないというふうに思っています。 少し日本の状況をお伝えしたいと思います。 次に、治療とは何なのかということをお伝えしたいと思いますけれども、海外においては治療のアルゴリズムは基本的にでき上がっています。左から軽度、中度、重度というふうになっていますけれども、まず併存障害というと、例えば、何にしろ、統合失調症、うつ病、あるいは発達障害とかですね、知的障害とか、パーソナリティー障害と、何か別の診断が付くような病気があるんであればそれを治療しなさいということですね。 そのほかに性犯罪加害者に対する治療としては、認知行動療法というカウンセリングの一種と、あとは、下はSSRIとかあるいはMPA、CPAと書いてありますけれども、薬物療法ですね。その中でも、特にホルモン療法と呼ばれる治療ですね。簡単に言うと、男性ホルモンを抑制して性欲を下げる、ないし全くないところまで持っていくというようなことによって犯罪を防ごうということです。 次に参りたいと思います。余り時間がないので、早めにまとめたいと思いますけれども。 ところが、余りこれは世間に知られていないというところがあるんですけれども、日本においては性犯罪者の治療というのは医療として認められていません。厚生労働省が保険医療の対象としていないということですね。なので、仮に小児性愛者が、自分は子供に性的関心があって刑務所に何度も出たり入ったりしていると、治してほしいといってどこかクリニック、病院を受診しても、治療の対象ではないといって門前払いを食らうというのが日本の現状ということです。 なので、下の表のところにバツというふうに書いてありますけれども、この認知行動療法ないし薬物療法というのは日本では医療として行えないというような状況です。我々のところでは自費という形でやらせていただいています。 もうあと一、二分で終わらせます。済みません。 そのようなことで、世界に四十年遅れているというようなことをずっと言っているんですけれども、この包括的な支援策ということを少し言っておきたいと思います。 というのも、ほかの先生方もおっしゃっていますけれども、この本制度を起点にしてというようなことを言われているので、今後必要となるものはこういうものではないかというようなふうに思います。 まず、何かあったら、その者がどれだけリスクがあるのか、それは治療で何とかなるものか、あるいはそれで駄目ならば刑務所で何らかの更生をするのか、どういった支援が必要なのかというようなことを決めていくということですね。先ほども申し上げたような社会復帰支援、職業教育ですとか就職支援とか、あと住宅、健康などの生活のサポートと。必要であれば医学的治療を行い、その後、一旦終わったとしても定期的に治療の効果の評価を行い、あとは様々なボランティアというようなもののサポートを受けながら社会で生きやすくすることが再犯を防ぐというふうに思います。 次に参ります。 あとは一言だけ言っておきたいと思いますけれども、日本ではなかなか省庁間の連携ができていないというイメージがあって、我々民間も協力できるところはやっていきます。そのようなことで、MAPPAという話をしましたけれども、いろんな省庁が情報共有して連携するような体制、これも一つの法案が必要になってくると思いますけれども、そういうようなものが要るんではないかというふうに思います。 最後に、性犯罪者というと、何か変質者とか気持ちが悪いとかというようなことで、とにかく隔離しようということが国民全般の意識でもあると思うんですけれども、実際会うと、ごくごく普通の人たちであると。ただ、何かのきっかけで性加害行為をしてしまい、本人も悩みながらもやっぱり繰り返すというような状況がある。周りにたくさんいるんだというようなことを前提に社会の制度設計とかそういったことをしていくことが必要なんではないかというふうに思います。 済みません、時間超過しまして。 以上です。
○委員長(阿達雅志君) ありがとうございました。 次に、浅井参考人にお願いいたします。浅井参考人。
○参考人(浅井春夫君) 浅井です。立教大学の元教員ですし、それから一般社団法人“人間と性”教育研究協議会の代表幹事をしております。 皆さんにお手元にお配りをしていただいておりますけれども、私は二つの柱で、DBSをめぐる、日本版のですね、この課題、問題点を、一つは私なりに考えることを言いたいと。それからもう一つは、包括的にこの問題に取り組んでいくときに、予防的な機能も持っている包括的性教育ということに対してずっと後ろ向きな姿勢を取ってきた国の姿勢というものは、思い切って改善しないといけないんじゃないかというふうに思います。 三人の先生方がお話しされたように、日本版DBSを考える枠組みとしては、これは一つは、性暴力の前科がある人を子供たちに関わる仕事に就くことを制限すると、これDBSでやります。 二つ目は、子供に関わる職場で、子供の人権を尊重し、性暴力は許さないという意識変革と職場環境を整備すると。現場での性加害も少なくありません。学校もそうです、養護施設においてもそういう問題もあります。暴力の発見と対応策ということも、これ本当に研究的な要素も含めて考えなくてはいけない課題だと。 三つ目に、被害児童へのケアと支援の体制づくりと。 四つ目は、先ほど福井先生が話されたように、子供への性暴力、人権侵害を行った人への援助と支援体制の整備というのが四つ目です。 そして、五つ目に、性暴力の予防と、性暴力と暴力に対する子供の対応能力の形成をどうしていくかということが問われているんではないかというふうに思います。 このレジュメの方に目を向けていただきたいと思いますが、一番目の日本版DBSの仕組みに関する問題点についてと。これ、本当に大事なことだと思っていますけれども、しかし、それを推進する体制が、条件が整備されているかと。制度はつくって魂が入らないと、その魂、何なのかということも考えなくてはいけない。 例えば、イギリスは、DBSに関連する組織の職員が、専門職員が千二百六十五名という直近のところでの状況であります。これを私たちはイギリスから学ぶというけれども、どのぐらいの人たちがこのDBSの対象に上がってくるのかと。いわゆる犯罪歴についての申請を各現場からすると、そこで上がってくる人数どのぐらいなのかと考えたときに、このイギリスの人口の日本は倍です、それから、子供人口について言えば一・五倍、これ、十四歳まででイギリスは整理をしておりますけれども、こういうことを考えると、本当に機能させるということができるのかということが条件の問題として問われているというふうに思います。これ、是非とも検討していただきたいというふうに思います。 二つ目に、性犯罪歴を持つ特定性犯罪事実該当者というこのデータを集約、管理し、必要に応じて開示する仕組みを構築というときに、率直に言って、今、二段構えで、義務規定を持っているところと認定制度と。それから、認可外の保育施設なども、もうそういう認定を取るというような条件になかなか行き着かない、もう大変な労働環境の中で仕事をされていると。もうそういう意味でいうと、現場、この三重構造、三つのレベルにもう切り分けられるという状況になります。 そうすると、何が問題かというと、認定より義務を課せられているところには初めからそんな提出をしないわけですね。そうすると、そこではなくて、ほかの自分の前歴が分からない、そういうところに行こうと、これ当然そういう判断が働くというふうに思います。 そのときに、日本のように、この義務規定を持っているところと、認定をそれも取るという形で努力をするところと、なかなかそうでないところというふうになったときに、子供の人権という観点でいうと、いろんな条件の中で、もう初めから義務規定があるところに行ける子供とそうでないところ、これ、こども基本法から見ても、これ格差が生まれるじゃないですか、皆さん。 こういうことに対して、私たちは、この大きな、まあブラックボックスとは言いませんけれども、今、国会の方ではざるとかざる法というふうな言葉がいろいろはやっておりますけれども、その一方では、ざるは一定のものはすくえると、でも全てがすくえるわけではありません。それから、もう一方ですね、これほとんどざあざあで、ざるの機能さえ果たせないような状況が続く可能性だって持っている。この仕組みを考えないといけないんじゃないかと。 皆さん方はもう御承知のように、もうイギリスは、どの職場、どの職業においても、子供と接するということについては、それは全部が対象になるということにしているわけですね。したがって、それは事業体の、公立とか民間という規模の問題ではなくて、性格の問題ではなくて、そうやっているわけです。それはなぜかといったら、子供の人権は平等にみんなに保障しなけりゃならないからです。そういうことを、私たちは、イギリスの一つの手本として学ぼうというのであれば、是非ともその点を改善をしなくちゃいけないんじゃないかというふうに思っております。その点については、二ページの三、片括弧三のところで書いているところを読んでいただければというふうに思います。 それから、犯罪歴を性犯罪歴に限定することも本当に検討を要する課題、問題ではないかと。つまり、暴力とかあるいは心理的な虐待とか、そういうものとセットになって性暴力が行われるという現実も現場の状況ではあります。そうであるとすれば、その性犯罪だけに限定していいのかどうかということも私たちはもう一度考えて、次のステップをどう考えていくかということ、今すぐもう法律をここで変えてもらおうと言っているわけではなくて、そういう展望のない中でいたらいけないんではないかということをここでは言いたいと思います。 それから、三ページ目の片括弧五のところでありますけれども、児童対象性暴力等を把握するための措置というのが五条、六条、七条のところにありますが、私、大変気にしているのは、この中での児童対象性暴力等が行われるおそれがあると認められるという、例えば六条のところ、それから五条のところも、おそれという言葉がどうかを、想起する、想起、思い起こす、把握するために、措置として内閣府令でこれから検討されるということであると思いますけれども、七条についても、そうした暴力が行われる疑いがあるということを認めるときはと、これらの用語があります。これ、果たして、現場の方がそれを正確に区分できるんでしょうか、皆さん。 ここのところも、私は非常に気になっているのは、二〇〇三年の七生養護学校で、これ、ここにもおられますけれども、これ本当に、性暴力だけではなくて、過激な性教育という形で現場が攻撃されたわけですよ。そういう形で、この犯罪を持っているかどうかということを疑って、それをまたかなり強く押し出して、強引に疑いを認めると、おそれがあるんだというふうに認定することについては、非常に注意を要する問題ではないかというふうに思います。 そういう点なども含めて、もう一つの問題は、予防ということ抜きにこの問題できないと思います。先ほど福井先生が話されたような様々な課題があります。 その点について、少なくとも、学校のレベルで、あるいはそれぞれの児童福祉関係のところで、包括的性教育という、今、世界のスタンダード、標準となっているこのガイダンスを踏まえながら、どういうふうに、子供たちにも、そして、例えば学校であれば教員、教職員の皆さんに性暴力という問題は何なのかと。この性暴力の背景には、ジェンダー・ベースト・バイオレンスという、ジェンダーによる、ジェンダーの認識による暴力というものが、これは男だったらしようがないじゃないかという認識、こういうものが依然として払拭できていない、改善できていない、こういう問題についても考えなくてはいけないんではないかというふうに思います。 文科省で今やられている生命の安全教育ということですね、これも一歩前進している面があると思います。しかし、最大の問題は、体の学習しないまま生命の安全教育ということを今進められているけれども、一時期、今もそういうことを言う人がいますが、性器の名前を英語で言うから駄目なんだと、それは過激な性教育なんだと言う人たちが国会議員、地方議員の中にもおられたわけです。ここは本当に改善していただきたい。 その四ページのところの真ん中のところに、私たちが投げ付けられた言葉、過激な性教育とか子供をセックス漬けにする過激性教育とか、ここに出しただけでも三十三のものがあります。これだけのことを、マスコミにも、それから国会でも質問されたり議論をして、もう性教育を足止めをすると。先ほど精神医療の分野は四十年遅れたというふうに言われておりましたけれども、我々は少なくとも三十年以上遅れたというふうに思います。これ、もう政策的に遅れさせたと、政治の力で遅れさせたというふうに言わざるを得ないというふうに思っております。 イギリスは、既にDBSシステムを包括的性教育とセットで取り組んでおります。二〇二〇年九月に策定された新ガイドライン、人間関係・性教育及び保健教育という形でですね。まさにこれ包括的な性教育なんですよ。 そういうこととセットで、現場の中で取組ということをやりながら、同時に、それは教員も、この皆さん方の委員会の中でも議論がありましたけれども、これ、教員も性暴力の当事者である、これ内閣府の調査で出ているわけですね。教員自体も自らの行為が性暴力であるんだということを認識できるような研修、それも徹底しないと駄目です。本当にどれだけの子供たちが学校というところで犠牲になっているのかということも私は強調しておきたいと思います。 そして三つ目に、非暴力を貫いて生きる知識、態度、スキルというものをですね、これはまさに同意、それからバウンダリーという境界を越えるということをしてはいけないと、そしてリスペクトという人間関係というものを本当に子供たちが包括的に、コンプリヘンシブに学んでいくということを保障しないといけないんではないかというふうに思います。 私たちは、こういう本も訳して、多くの人たちが読んでいただいて、これにのっとって、参考にしながらやっていきましょうということを提起をしてきました。そして、それは少しずつ広がっております。 こういうものも、もう初めから、これまでのことはある程度水に流しても、私は、必要なことは、ちゃんと、どんな性教育が必要なのかと、DBSを機能させるためにはどういう学校教育が必要なのかということを本気になって議論してもらいたい。そして、いろんなことを、中傷するんじゃなくて、ちゃんと疑問があれば一緒に議論をしましょうと。各政党でもグループの方でも言っていただければ我々幾らでも協力します。ガイダンスの説明もいたします。 そういうことを皆さん方に是非ともお願いをしたいと思いますし、この性暴力の問題はジェンダーに基づく暴力というものの一つであると、重要な課題だ。したがって、このガイダンスという本の中でも、ジェンダー不平等やジェンダー役割のステレオタイプはジェンダーに基づく暴力を引き起こすということを認識すると、このことについてもちゃんと学校で学びましょうと、このことを日本の取組でも位置付けていただきたいなというふうに思います。 以上で終わります。ありがとうございました。
○委員長(阿達雅志君) ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。 質疑のある方は順次御発言願います。
○加藤明良君 自由民主党の加藤明良でございます。 今日は、四名の参考人の皆様方に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。 その中で、皆様方からお伺いしたお話の中で何点か質問をさせていただきたいと思っております。 今回の法案でございますが、学校設置者、そして民間教育そして保育の事業者の限った中での性暴力の防止による子供たちの安全を守るための法案ということでございます。その中で、参考人の先生方にもその協議にも携わっていただいて取りまとめをいただいたことにも改めて感謝を申し上げます。 今回は、子供の未熟さに乗じた性犯罪を防ぐためということでございまして、支配性、継続性、そして閉鎖性という環境の中での性暴力の防止ということに限定した法案でございます。その参考になった大本の法律というのはイギリスのDBSでございます。このイギリスのDBSの中では、性暴力に限らずに、暴力ということも同じ視点から子供たちの安心、安全を確保しようということでございました。 このイギリスの法律を参考にしながら、今回性犯罪に限定をしているその理由と、今回の学校設置の中の、様々な審議の中でもお決めいただいたこの設定の、その学校設置の審議の中でのどういったくくりでこの学校設置に限ったのかということにつきまして、改めて内田参考人と宮島参考人にお伺いさせていただきたいと思います。
○参考人(内田貴君) 御質問ありがとうございます。 まず、性犯罪に前科を限定したということの理由は何かということかと思います。 確かに、子供に対して危害を加え得るような性向を持った人ということでいうと、もっと前科を広く捉えた方が安全ではないかというお考えがあり得るというのは理解できます。しかし、他方で、前科を広く捉えるということは、子供に対する危害ということとは関わりのない罪を犯した方で、しかも更生をして社会復帰をしようとしているという方々の就職の、職業選択の自由を制約をし、就業を制約するという効果を持ちます。これは、マイナスの効果を持つわけです。それとのバランスということがやはり必要になり、また、前科の照会ということにそういう広い犯罪を含めますと、性犯罪と関わりのない前科についても広く知られてしまうということで、プライバシー権の問題も生じます。 そういった点を考慮して、私は陳述の中でぎりぎりの選択であるということを申し上げましたが、前科については子供への性暴力に直接関連のあるものに限定しようという判断をしたということです。これは、そういう異なった原則の間の調整ということで出てくるもので、理論上、ここに線を引かなければいけないというものではないと思いますけれども、日本においてはそのような選択をしたということだと思いますし、有識者会議でもそのような判断をいたしました。 それから、対象を、学校と、あと民間の教育、保育の事業者に限定をしているということ、一定の事業者に限定をしているということに関してでございますが、今回の法案は、これは陳述の中でも申し上げましたとおり、パッケージとしての、子供に対する性暴力等を防止する措置がとれる事業者を対象として、安全であることが見えるようにしようというところに主眼がありますので、やはりそのような措置がとれる事業者を選ぶということから線引きをせざるを得なかったということです、だと思います。 ただ、それは、それ以外の事業者を問題にしなくていいということではなくて、そこはまた別途、別の手段で子供に対する性暴力を防止していくという措置がとられていくべきであるというふうに思っております。 以上でございます。
○参考人(宮島清君) これは、この議論が始まった世論の高まりと影響が当然あったと思います。子供への性加害が一度起こった方も、またその仕事に戻って加害を繰り返すという、このことが許されるのかということの社会的な声があったためにこの議論がスタートし、進められてきたというふうに思います。でも、子供たちが被害を受けて悲しい思いをする、苦しむ、一生涯の傷を負うということはそのほかでもあるということは当然だというふうに思います。しかし、やはりここで対象を性虐待、性被害に限定したということは、私は今のこの日本においては必要だというふうに考えます。 元々、私、児童虐待のことを中心に仕事をしてまいりましたけれども、件数的に見れば、もう圧倒的に心理的虐待が件数多いわけですね。次に身体的な暴力と、そしてネグレクトがあり、一番少ないのが性虐待であると。でも、これは極めて深刻な結果をもたらすと。性虐待はどうしても分離も決断しなきゃならないことが多いんだと。ですから、一たび現場でそういう事案が発生すると、かなりの緊張感と、また集中力を持って対応します。これだけ深刻なものですけれども、これだけ少ないものしか表に出ていない。決して今通告されている性虐待の事案が全部だとは思いません。先ほどの意見陳述でも、子供は開示しにくいんだということも申し上げました。極めて外に出にくい、しかも深刻なものである。これに対して現状では極めて足りないんだ、ここに対応すべきだということがやはり考えられて、今必要なのではないかというふうに考えます。 あと、次に、対象職種とか対象ですけれども、児童虐待防止法は、先生方御存じのように、保護者がその監護する子供に対して行うものです。障害者虐待防止法等では、ケアをする人が行ったものも対象になります。でも、現状で、保護者に限ってでさえ、とてもではないけど現実的な対応ができない、注意喚起して終わり、調査も不十分であると。でも、一たび表にはっきり出たものはかなり極端な逆に動きさえする、強引な動きさえする、そうしないと守れないからという認識があります。 このように、深刻な問題が起こって対応しているけれども、既にオーバーフローで取りこぼしがあるようなものをどんどん対象にして、体制を充実はさせるけど飛躍的に上げないで、かえって問題が起きる。やはり、これは別建てでこのいろんな特徴に対応するものとして取り上げ、それにきちんと対処する。この対象が学校設置者等と民間教育保育等事業者と分けられておりますけれども、場合によってはこのほかにもまだ含まれていないものがあるかもしれないということ、それも考えなきゃいけないと思います。 民間教育保育事業者としても、私は、これは一つのくくりだけれども、かなり左に近いものと、かなりそうでないものとがあると。例えば公的資金が入っている様々な事業は、一番左の現状でしなければならないというところも、義務化されるところではなくても、かなり指導という形でやれば浸透し、広がっていくだろうと。そのものと、そういう方法では広がらないもの、この二つをやはり想定した上で対象を考えなければならないと思います。 とにかく漏れがあってはいけない、子供にとって漏れがあってはいけない、被害を受けることがないようにしなければならない、それは必要なことだと思いますけれども、確実にできるところから、また義務を負わせないけれども進められるところから、そういったものを射程にしないと現実的で実効的な対策にはならないのではないかと。そういう面では、この政府案の区分けが適切ではないかと考えております。
○加藤明良君 ありがとうございました。 様々な御意見もあったでしょうし、日本でのその憲法上の様々な制約もあったでしょうし、本当に、議論の多岐にわたる問題点の整理の中からこういった法律案を導いていただいたという、本当に御努力には感謝を申し上げます。 その中でも、やはり先ほど来の暴力であったり、またネグレクト、そしてまた学校内での教師による言葉の暴力も含めて、様々な環境というのは、当事者である子供たちが本当に、氷山の一角として今回出てくる問題よりも多くの問題が教育現場にはあるのかもしれません。その中でも、この今回の法律で突破口を見出していただいて、更にその先の進展に私も心から期待を申し上げるところでございます。 いろいろ本当に、この法律の中でもちょっとお伺いしたいことが何点かあったんですが、もしこれ分かれば教えていただきたいと思っておるんですけれども、犯罪事実確認義務の学校でのその取扱いでございまして、第四条第二項の中にございます。 教員の急な欠員を生じた場合、その他のやむを得ない事情として犯罪事実確認を行ういとまがない場合であって、直ちにその当該業務を行わなければ学校に著しい支障が生じるときということに限定はしてありますけれども、当該事業者に対して六月以内の政令で定める間にその任務を行うことが認められていると。その間を、犯罪事実確認を行うまでの間は特定性犯罪事実該当者とみなして必要な措置を講じなければならないという文言があるんですけれども、これは今回の法律の中にとても矛盾を感じる条文だなと思っております。 当然、その学校の中に支障が起こってしまう事案が発生するケース、急な事故ですとか病気ですとか、学校の職員のその欠員に対して緊急に対応しなくちゃいけないような状況はあるとはいえ、ただ、そういうその当該事業に対して、その確認ができていない方にその実務を任せることがどうなんだろうとちょっと疑問に思う点がありました。 これは審議の中でどのような議論があったか、もしお分かりになればで結構でございますので、内田参考人、宮島参考人、もしお分かりになれば。
○参考人(内田貴君) 特にこの点に重点を置いて審議をしたという記憶が余りないのですけれども、実際上、教育、保育の現場で急遽人が足りなくなると、産休を取る予定であったところが少し早く取らざるを得なくなったとかで急遽人が足りなくてどうしても回らないというときに急遽人を補充するということがあり得るのはまあ否定できないだろうと思います。そのときに補充する人について手続どおり犯罪事実の確認を行うといういとまがないということも、やはり現実としてはあり得るだろうと思います。 したがって、そういう場合に、取りあえずは従事させるけれども、もちろんその際、面接などして本人が確かに大丈夫だということは確認されると思いますけれども、犯罪事実確認の手続までは踏まずに採用して、ただ事後的にそれを確認するということを認めた規定であると思います。これ自体にはそれなりに理由はあるのではないかというふうに考えております。そのようなお答えでよろしいでしょうか。
○参考人(宮島清君) 考えを述べさせていただきます。 実際に、今回、この照会をして回答が得られる場合には、ほとんどはなしと、犯罪歴がなしということが結果として出てくるだろうと。これはいい面も悪い面もあると思いますが、実際、日本は、過去に問題を起こしても、そのことを犯罪として取り上げないで穏便に過ごすということをかなりしてきたわけですね。それは、隠して逃げたということだけではなくて、それが適切であったと。残念ながら、芸能プロダクションの問題も、これは疑いがあるというふうに言って、みんなが心配して、報道もされていたにもかかわらず、犯罪として扱われなかった、成人になるまでですね。 ということは、例えばそういった方がいた場合、この照会をしても、なしというふうに回答されるということが、少なくとも当面、しばらくの期間起こるわけですね。そうすると、ほとんどはゼロという中で、照会の回答がないから仕事をやらせないというわけにはこれはいかないと、そういう意味ではないかというふうに、ちょっと理解が十分でなかったらば訂正をいただかなければならないんですけれども。 ただ、信じることと疑うことを同時にするということが実際の子供との関わる現場においては必要だと。あるいは、児童虐待対応でもそうなんですけれども、俺を虐待していると疑うのかということは当事者の方から言われます。あなたの一生懸命子育てをしていることは信じていますと、しかし、子供を守るためには私たちは業務として確かめなければならないことについてはきちんと聞かなければなりませんということを申し上げて、ちゃんとその方の人権とか疑いにとどまっているということを申し上げた上で、仕事として、責務として疑う対応もしなければいけないのだということを申し上げて初めて話合いは、支援は、関わりは進みます。 ですから、照会はした、回答はない、でも、このことだけじゃなくて、当事者のその方、仕事をしている方の人柄やその方のお話等を全て聞いた上で、この方に仕事をしていただくことは今は必要である、そして、かつ問題はないであろうということで仕事に就いていただくということを考えた条文であるのではないかというふうに読みました。 以上でございます。
○加藤明良君 ありがとうございます。 浅井参考人からも手が挙がっていますので、浅井参考人からも御意見を伺わせていただきます。
○参考人(浅井春夫君) ありがとうございます。 私も、今委員が御質問されたところはちょっと議論をきちんとしないと、このみなす規定ということは誰がどのような手続でみなすのかという点で、これ、誰かの命令一下、それで事態をもうこういうふうに判断するんだというのも、かなり強引な間違いにもつながることがあるんではないかと。 そもそも、皆さん御承知だと思いますけれども、学校、年がら年中忙しいですよ。年がら年中人手不足なんですよ。そういう中で現実対応しているということを踏まえて、このみなす規定ということについて、疑うとか、こういう言葉がいろいろありますけども、やっぱりこれから内閣府令で検討されて何らかのガイドラインとか出されるかもしれませんけれども、是非とも慎重にやっていただきたいなというふうに思います。 先ほどの御質問のところにちょっと返って、ちょっと簡単に。 暴力、一般に、私も児童養護施設で仕事をしていたものですから、一般に、隠れた性暴力、性的虐待というのが現実には少なくないんです。初めから性的虐待というのは全体の中でも統計取れば二%から三%ぐらいで、でも、実際に養護施設でいろいろ聞いてみると、暴力を受けて、身体的暴力、ネグレクトを受けた子供たちが実際には性的な虐待を受けているという隠れた性的虐待の事実が少なくないということも念頭に置いていただきたいなというふうには思っております。
○加藤明良君 貴重な御意見ありがとうございます。 先ほど来お話を伺っておりますけども、性犯罪の再犯率が一三・九%という数字が出ておりますけども、そのほかにも、児童わいせつ型、小児わいせつ犯罪においてのその犯罪を犯した方のほかの前科があるかどうかというのを調べると、実際には二三・六%のほかのやっぱり暴力とか何か犯罪歴があるという結果も出ているというお話も伺っております。 そのような観点からも、やはりこの性犯罪に限ることのなく、これからのその暴力、ネグレクト、虐待、こういったことも含めた子供たちの安心、安全というのは、やはり国としてしっかり築いていかなければいけない法整備だと思っております。 今日、本当は福井先生にも質問を用意していたんですが、命の教育とか、本当に先生がやっていらっしゃる加害者臨床のお話も聞きたかったんですけれども、ちょっと時間が来てしまいましたので、今日はこちらで質問を終わらせていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○鬼木誠君 立憲民主・社民の鬼木誠と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。 今日は、本当に貴重なお話、御意見、お聞かせをいただきまして、ありがとうございました。 まずは、内田参考人にお尋ねをいたしたいというふうに思います。 今日も、有識者会議での議論状況でございますとか、議論の際にどのような点に留意をされたかということについて細かくお聞かせをいただきました。制度設計において、有識者会議の議事録を読むと、やっぱり職業選択の自由、事業者の営業の自由を制約をすることにつながる制度になる、そのことに留意をされた上で慎重な検討をしていく。その上で、今日もお話ありましたけれども、無制限に、いわゆる性犯罪の範囲や期間について無制限に広げること、拡大されること、拡大することについては許されないと、必要性や合理性が認められる範囲でないといけないんだというようなことが議論されたものというふうに理解をさせていただきました。 その点、この法案に、犯罪歴、期間の考え方について、二十年、十年でございますとか、先ほど来議論になっておりますように、どのような犯罪を含むのかということについて盛り込まれているわけでございますけれども、この有識者会議での議論状況あるいは問題意識が正確に法案の中、対象となる犯罪と期間ということについて反映をされているというふうに率直にお考えなのかどうか、あるいは、いや、この点はもう少し検討が必要だと、足らざる点が実はまだあるというふうな問題意識をお持ちなのかどうか、そのことをひとつお聞かせをいただきたいというふうに思います。
○参考人(内田貴君) どうもありがとうございます。 有識者会議での議論、そしてその取りまとめである報告書の考え方が正確に法案に反映しているかという御質問でございますが、私の理解では、有識者会議では基本的な方向、いろんな問題点を検討した上で基本的な方向をお示しをして、更に具体的な、例えば数字とかというところまでは踏み込んでいない場合が多いのですが、そういった点について、有識者会議の考え方を踏まえた上でそれを更に具体化をするという形で法案が作られていると思います。のみならず、有識者会議で示した方向を更に膨らませるような形で、つまりその有識者会議での趣旨をより生かす形で法案が作られている面もあるのではないかというふうに思います。 先ほど委員が御指摘の二十年、十年といった犯罪歴照会の期間につきましても、有識者会議の中では刑法三十四条の二の制約というのがやはりかなり重いのではないかという意見もありました。しかし、その後、法案作成の過程で、これは国民の声を反映した政治の主導の成果だと思いますけれども、長く延ばす形で二十年、十年という形に具体化されましたし、また、対象となる犯罪についても、条例違反については、これは技術的な問題があって難しいというのが有識者会議の判断でございました。 技術的問題というのは、条例の全部を把握して、それぞれが中身が、要件の定め方がばらばらで、しかも改正の過程が政府で必ずしもきちんと把握できないといった技術的な問題があるということであったのですが、しかし、一定の犯罪に限定してではありますけれども、条例違反についてもきちんと取り込むという方向で法案が作られたというのも、これはやはり、そういう、それを求める国民の声を反映した政治の主導の結果ではないかというふうに理解しております。 いずれも、本来はやはりそうあった方がいいというふうに有識者会議で思っていたところを膨らませる形で実現していただいたというふうに理解をしております。
○鬼木誠君 ありがとうございました。 実は、火曜日に対政府質疑させていただきまして、いろいろ懸念がある点について質問をさせていただいたところなんですね。 有識者会議の議論の状況を更に具体的なものとして昇華をしていただいたというふうにお答えをいただいたというふうに思いますけれども、その昇華の在り方について、やっぱりその心配や懸念があるというのが率直なところなんです。最後にお伝えいただいた条例を含むことにつきましても、やっぱりそれぞれの都道府県条例のありようについて正確に本当に把握できるだろうかというようなことの懸念というのはまだまだ持っておりまして、そこの点についてはまたこれからの審議の中でもしっかり追及をさせていただきたいし、明確にしていきたいなというふうに思います。 それからもう一点、これも実は火曜日、お話をさせていただいた点なんですけれども、その必要性と合理性、つまり犯罪の履歴、範囲でございますとか期間について、このことがやっぱり国民の皆さんにもしっかり納得性を持って伝わっていかなければならないというふうに思っているんです。とりわけ、今回は刑法との関係、先ほど御紹介いただきましたけれども、刑法を超えてといいますか、あるいは憲法の職業選択の自由というものの一定制約をするという形で制度設計をされると。このことは、火曜日にも言ったんですけれども、前科ある人は再犯をするリスクが高いというような、これ誤ったメッセージを国民に与えかねない。それは、この子供を守るということだけではなくて、全ての犯罪者に対して前科ある者は犯罪、再犯リスクが高いんだというふうなメッセージに国民に伝わっていくんではないかという懸念を僕はどうしても払拭できないんです。 そういう誤ったメッセージとして伝わらないかという懸念であるとか、あるいはそのことを、いや、そうじゃないんだというふうに国民の皆さんに、まさに必要性と合理性を理解をしていただける今後の取組ということについて、何か御示唆があれば、内田参考人からもう一度お聞きをしたいと思いますけれども。
○参考人(内田貴君) もう私の意見は委員がおっしゃってくださったことと全く同じでございまして、犯罪を犯した人が再犯のリスクが高いというのは、これ事実、全ての犯罪については必ずしも言えないことであると思います。 ただ、私もちょっと確認したのですけれども、犯罪を犯した人がどのくらいの確率で再犯に及ぶのかということについて正確に調査した数字がどうもないようでして、これは調査、かなり難しい調査になる、長期にわたる調査になるんですが、正確な数、数字がない。そこで、この程度なんですよということを具体的にお示しすることはなかなか難しいのですが、しかし実際には、犯罪を犯しても立派に更生をして社会復帰をしている人たちの方が圧倒的に多いはずですし、また、それを支援するというのが法制度の建前になっておりますので、それを阻害するような形の制度はつくることができないということで、それとの調整のぎりぎりのところで今回の法案というのができているのだと理解をしております。 ただ、そのことが正しく国民に伝わることが必要であるというのは委員おっしゃるとおりですので、これは是非、こども家庭庁、そして国会の先生方におかれましても、そのような国民への正しいメッセージの伝達と発信ということに是非お力を発揮していただきたいというふうに期待をしているところでございます。
○鬼木誠君 どうもありがとうございました。これからまた審議の中でしっかり確認させていただきたいというふうに思います。 続いて、宮島参考人にお話をお伺いをしたいというふうに思います。 今日の参考人質疑の手前の段階で、事務局の方から、宮島参考人お書きになった文章等についても拝見をさせていただきました。 実は私、福岡県庁で働いておったんですけれども、私自身は児童相談所での勤務経験ないんですけれども、同僚であるとか先輩であるとか、多くの仲間が児童相談所で勤務をしていた、本当に苦労していました。今日おっしゃったとおり、当時はまだまだ相談所の定員も少ない状況でしたので、やる気もあるし、働きがいも持っているし、問題意識も持って児相に行くんですけれども、摩耗していくんですよね。その働きがいややる気や目的意識というのがどんどんどんどんすり減らされていって疲弊をしていく。そういう友人の姿を見てきて、今日のお話を聞いて、まだまだ変わっていないなというふうに、ある意味残念な思いで、そしてある意味厳しい思いで受け止めさせていただいたところでございます。業務量、それからケース対応の難しさというのは年々ひょっとしたらまた複雑になっているのかもしれないなというふうに受け止め直しをさせていただきました。 そういう意味では、児童相談所だけではないんですけれども、現場実態、課題について改めてしっかり昇華をして、議員として、その改善に向けて必要なこと何だろうかということを問い直していく、そして具体の政策につなげていく、そこに向かってまた努力をしてまいりたいというふうに思ったところでございます。 一点、今日もお話の中であったんですけれども、その文章の中でも、おそれがあるというところのやっぱり判断の難しさということについて触れていただいておりました。判定が極めて難しい、そして、高い裁量権を持って広範囲に強大な権限を実行することについて、とっても困難なんだ、とっても悩ましいんだというようなことでの発信だったというふうに思いますし、今日もまた同様の難しさについて御発信をいただいたというふうに思っています。 特に、そのことを担保するための研修等については、やっぱり座学だけではいけないと、実務や実践に基づいた研修についてやっぱりしっかり構築をしていく必要があるというようなことでのお話でもあったかというふうに思いますが、実は、このおそれがある場合の判断をどう行っていくのかとか、どう対応していくのかと、今からなんですね、具体的にはガイドラインに書き込まれることになるので。 ですから、改めまして、このおそれありの判断について、現場の難しさや悩ましさという経験を踏まえられた上で、どうそのことを制度として、あるいは仕組みとしてつくっていくことが必要なのかということについて、御示唆ございましたら是非教えていただきたいと思います。
○参考人(宮島清君) ありがとうございます。 鬼木先生のおとといの審議は映像で見てまいりました。また、公務員の出身であるということで、親近感を覚えさせていただきました。 相反する両方の価値をどう折り合いを付けるかということがテーマであると。子供にとってみれば、全て黒かのように疑うということをしなければならない。でも、冤罪のような状況をつくり、その人が実際行っていないのにかかわらずレッテルが貼られて、あるいはそのことが伝わり、その人が御自分の人生を棒に振る、あるいは、その人には御家族があるかもしれませんので、その奥様や例えばお子さんも排除されてしまうと、こういう例は絶対に避けなければならないというふうに思います。先ほど申し上げましたように、そういう社会は子供にとって生きやすい社会ではないので、目の前の本当に危機だけを見て考えてはいけないというふうに思います。 ただ、疑いという場合は、でもですね、疑いを持っただけでは動かないということではあってはいけないですよね。疑いがあったら動くんだと。ただ、その動き方は違うということになるだろうと思います。 やはり、先ほども申し上げましたけど、業務として疑わなければならないと、だからお尋ねしますということが当然入ってこなければいけません。ですから、まず、この法案が成り立ったときに、照会の義務がある、それだけやっぱり子供の性被害とかそういったことは重大なことなので、そのことをあなたに採用に当たってもお聞きしますということもやっぱりしなければならないことだと思うんですね。 照会回答で幾つかの内容が開示されると、そこであるなしだけでいいんじゃないかというような論調も一年前ぐらいにはあったかに思います。しかし、あるなしだけでは、例えば管理者とその仕事をしようという希望する方との話合いはできないですよね。きちんとそういったことも聞いたり確かめたりするということが必要だと思います。 実際に委員会の、有識者会議の中でのヒアリングで、児童養護施設の団体の方等が、面接に当たってそういうことは聞きづらいということをおっしゃっていました。やはり、このことが通ったときにはそういったことを、あなた個人の問題ではなくて、ちゃんと子供を守り、その仕組みとして尋ねなければならないということが、実際的に行動でスタートするということの意義は非常に大きいというふうに思います。 そのほか、様々な面で疑いだけでもできることは実はたくさんあるということ、そのことを意識して進めなければならないのではないかというふうに考えます。 以上でございます。
○鬼木誠君 どうもありがとうございました。 ちょっと時間がなくなってきたので、福井参考人にお尋ねをさせていただきたいと思います。 まず一つは、今日御紹介いただいた小児性愛障害、純粋型と非純粋型がございますということでございますけど、これ割合的にはどれぐらいの割合で純粋型、非純粋型の方がいらっしゃるのかというのが一つと、それからもう一点は、今日も、やっぱり日本版DBSだけでは再犯を防ぐことにはつながりにくいのではないかという問題意識について御教示をいただきました。 衆議院では、早稲田の嶋田教授お見えになって、嶋田教授も認知行動療法に基づく治療的支援というのが性犯罪加害者の再犯防止に最も有効だというような御意見を述べてあって、本日のお話も含めて大変参考になったところでございます。 治療にどうつなげるのかということについては私も本当に重要だなというふうに改めて思っているところで、実は、この今回の法案の制度の中で、既に従事をしている従業員の方が仮に犯歴があった場合には、今の場所から配置転換しなければなりませんよと。いわゆる今の場所で働き続けるということについては駄目ですよというような規定になっている。で、配置転換をするということが可能なところと可能でない職場があると思うんですね。その可能なところ、可能じゃないところがあると思うんですけれども、その一つの、そこに、そこで働くことはかないませんよとなったときに、治療にそこからつなげていくというような制度設計ができないかなというふうに思っていました。 もちろん本人同意というものが前提になるというふうに思いますけれども、職場を休職をして治療を行うため、治療を行うというところにいざなっていくアプローチをしていく。それで、その治療期間の賃金支援等も含めて、事業者として当然の支援を行っていく。そのようなことがこの制度にビルドインされていけば、治療というアプローチに参画しやすくなるんではないかというようなことも考えておりまして、今回の制度の中にどういうふうに組み込むことができるかどうかということ、それから、その治療に対してどう窓口を、間口を広げていくかということ等でお考えがあれば是非お聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(福井裕輝君) ありがとうございます。 まず、純粋型、非純粋型の割合ということなんですけれども、まず先に申し上げておくと、日本においてはそもそも保険医療さえなっていないので、診断を付けるということがなされていないので、日本でどうかというのはまず全然分からないですね。 海外のデータについて言うと、純粋型については、本人の嗜好を確認すれば比較的その医学診断が付くかどうかというのは分かりやすいので、その率もかなり決めやすいんですけれども、例えば若干関心を持ったときがあるとか、あるいは酔って何かをしたとか、別の環境的要因なんかが加わったようなものも広く含めるとどんどん幾らでも数を増やすことができたり、あるいは厳密にやろうとすると狭まったりということで、大体何割ということもなかなか言いづらいというのが今の現状ですね、非純粋型については。 で、おっしゃっていただいた治療との連携ということですよね。まず、治療だけにまず限って言わせていただくと、保険医療でもないということもあり、まず、日本全体の中で性犯罪加害者を治療できる者、それに関わっている医者も指で数える数ぐらいというような現状なので、仮に治療につなげましょうというような法案ができても、受入先が今の現状ないというのが実際的なことだと思います。 せっかく御質問いただいたので付け加えておくと、単純にこれ治療、はいといって回ってきて、それだけで何か全部ができるわけではないんですね。きちっとやはり経済的な基盤があり、そのほかの生活がちゃんと安定しているという上での治療なので、その点においても、ほかの社会復帰支援とも一体化したような、そういう制度設計でないと役に立たないというふうに思います。
○鬼木誠君 ありがとうございました。 この治療という観点について、いわゆる加害者を治療プログラムにつなげる必要性であるとか、小児性犯罪を依存症と位置付ける視点も加えた長期的な対応とかいうことが衆議院の中ではやり取りされているんですね。今、厚労省が性嗜好障害に対する治療などの情報収集を行うための調査研究を行っていますというようなことで、回答、補足答弁がなされている。 今日のお話の中、今もそうですけれども、そこだけ取り上げるんではなくて、省庁連携、広い省庁連携の中で、しっかりした包括的な支援が必要なんだというふうなことが今後政府の中で議論されればいいんですけれども、なかなか今の段階では姿形が見えないということでございますけれども、改めてこの包括的な支援についてまたしっかり教えていただくことができればというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。 済みません、時間がなくなりましたが、最後、浅井参考人に一つだけお話をさせていただきます。 包括的性教育の必要性について今日もしっかりお話をお伺いすることができてよかったなというふうに思っています。 これ、ある文章をお読みしたときに、先生が、再び包括的性教育バッシングの兆しがあるという現状認識をお示しになっている。その、今一番、先生が、この包括的性教育バッシングに対して、バッシングというものが行われている、あるいは行われつつあるという兆しとして感じられていること、その危機意識や危機感ということについて是非教えていただければと思います。
○参考人(浅井春夫君) 兆しというよりも、もう既に行われている事実がもうそこらじゅうにあるというのが現状です。特に今の特徴は、トランスジェンダーの問題に関連して、トランスジェンダーの人たちが、勝手に、自分を男性だという主張をする人たちが男風呂に入ると、女性の性器を持った人が、そのまた反対であると、そういうことが勝手に行われるのではないかと。女性の人権あるいは男性の人権もそういう形で侵される可能性があるんだということを、それを物すごく今宣伝をして、そしてそれを、そういうトランスジェンダーの人たちの人権ということをこれ大切にしなくちゃいけないんだということをいう包括的性教育、そこが問題なんだという関わりの中で、私たちに対する、あるいは包括的性教育に対する攻撃を行っているというのが一つの現実です。 以上です。
○鬼木誠君 ありがとうございました。これで終わります。
○窪田哲也君 公明党の窪田哲也でございます。 今日は、四人の参考人の皆様には、お忙しい中、当委員会にお越しいただきまして、貴重な御意見を賜りました。大変にありがとうございました。 その中で、私、一番、今日四人の皆様のお話を伺っている中で一番ショッキングだったのが、教職員の一割が小児性愛者だという、そういう疑いですかね、あるという、そういうデータを今日伺いまして、これは大変なことだなということを私は実感をしました。 先日の火曜日の委員会では、教職課程でのしっかりそうした研修だとか意識付けということについても私は訴えさせていただきまして、文科省の取組についてもお伺いをしたところでございますけれども、とても、一割から、ひょっとしたら二割ということでした。とてもショッキングな数字ですけれども、このそうした傾向ですね、近年のその教職員のそうした小児性愛障害、これは今どういう傾向があるのか、傾向というのは具体例ではなくて、増えているとか減っているとか、増える傾向にあるとか、トレンドをお伺いしたいと思います。 そして、その先ほど挙げていただきました一割あるいは二割という数字ですけれども、それはどのようにしてデータを取っていらっしゃるのかということを伺いたいと思います。
○参考人(福井裕輝君) トレンドということで、あくまでこれも私の印象のようなものになりますけれども、恐らく小児性愛の、特に純粋型についてですね、率というのは長らく変わっていないんだろうというふうに言われています。いわゆる何百年単位でですね、一定数は必ずいると。 これまでよく教育委員会とか学校関係から相談を受けて対応することは過去からもずっとありましたけれども、これまでの形は、ほとんどそういうことがあっても、学校あるいは教育委員会が隠蔽してきたというのが私の印象ですね。近年になってそういうことがどうにも収まらなくなってきて、問題として取り上げて、何とかしないとというような形でわいせつ教員に対する法案とか今回のようなものがだんだんとできてきているというふうに思います。なので、繰り返しですけれども、前からずっといたけれども、最近になってやっと問題化してきたということだと思っています。 あともう一つについては何でしたっけ、あっ、データですね。これはあくまで印象でして、五%の嗜好がある者があったとして、そういう者が子供のいるところに接近をするんですよね。それは別に必ずしも性加害をしようという意図を持っているわけではなくて、例えば子供のために役に立つような仕事をしたいとか、子供に喜んでもらいたい、そんな仕事をやりたいということで選ぶわけですね。そうすると、一般人口比に対してより、そういった子供がたくさんいるところに比率が上がるだろうということで、あとは私の臨床のイメージからの、まあ一〇%、あるいは本当に二〇%ぐらいはいるんじゃないかと。教員はいっぱい来るんですね、患者として。 というようなところからのあくまで推測値です。何かデータが、具体的な、客観的なデータがあるというわけではないです。
○窪田哲也君 とても参考になると思います。 今回、我々は、子供の性暴力、教育現場を含めてそれを封じていくための法案について議論させていただいていますけれども、やっぱり入口できちんとそれを封じていくことがとても大事だというふうに感じましたし、百年単位で変わっていないということですので、これは時代状況というよりも何か生物学的なものもあるだろうし、国民性というところもあるのかなというのをお話を聞きながら感じておりましたので、しっかり今後の議論にも生かしていかなければならないなというふうに感じました。 それで、引き続き福井参考人にお伺いしたいんですけれども、こうした皆さんがですね、を治療をしていく、更生を目指していく、それはとても大事なことだと私も思っています。先生おっしゃるように、排除をしていくという理屈よりも更生を目指すということがとても大事なんだということですけれども、そのおっしゃるとおりだと思うんです。 それで、今回の法案では、一定期間、そういう職業の方、十年、二十年ですけれども、そういうところには触れさせないという、そういう趣旨の法案でございますけれども、そういう犯罪を、性犯罪を犯した方が再びそういう職場に就くということに対しての、トリガーにもなるんでしょうけれども、その辺の危機感をどう捉えたらいいのかということについて伺いたいと思います。
○参考人(福井裕輝君) この排除というやり方ということですね。とても難しい問題なので、少し、もう少し性犯罪全般のことからお話ししておきたいんですけれども。 まず、こういう排除するということの結構究極の形としてアメリカでミーガン法というのがあって、要は性犯罪者を、全部、住所から名前からホームページに全部出て、誰かを特定できるようにするというようなことが、九〇年代ぐらいに行われたことですけれども、これについては基本的に成功したとは言えないというのは現状の結論で、世界に四十年遅れというふうに言いましたけれども、そういう排除する、あるいは、差別とは言わないですけど、そういうやり方だけではどうにもならないということで、世界的には治療とかそういう方向にかじを切ったというのがこれまでの歴史ですね。 ただ、小児性愛については、私は比較的、その加害者治療を行っているので、どちらかというと加害者の側のコメントとかをすることが多いんですけれども、圧倒的な弱者ですよね、子供というのは。先ほどの御質問と関連しますけれども、実際上、小児性愛者の再犯率というのは非常に高いと思います。あとは、事件化するものは一件、二件かもしれないですけれども、その背景には百件、二百件被害者がいるということがあるので、そういう意味でいうと、少なくとも前科をやった者の次の再犯率は高いだろうというのはすぐ予想が付くことなので、そういう者の就職をある程度制限して、ただ、そこに何らかの対策、あるいは場合によっては、きちっと治療ができて問題がないんだということであれば復帰できるというようなこともあり得ると思いますけれども、そういうことも踏まえながら検討していくことかなというふうに思います。
○窪田哲也君 ありがとうございます。 まだたくさん福井先生に伺いたいことはあるんですけれども、またチャンスがあればと思います。 それで、内田参考人にお伺いしたいと思います。 有識者会議の座長として大変に御苦労をいただきまして、報告書の取りまとめにも御尽力をいただきました。心から敬意を表したいと思います。大変にお疲れさまでございました。 先ほど来議論になっております二十年、十年という照会期間の問題なんですけれども、我が党、公明党としては、やはり子供の立場、子供にとってはこれは生涯消せない、消えることのない痛手を負うわけで、二度とそういう方をそういう職場に近づけないことがとても大事だと考えておりまして、当時、法案準備段階では十年、最長十年ということでしたけれども、我が党もこだわりまして二十年になりました。 さらに、これからの議論では、その期間の、照会期間の延長ということもあってしかるべきだというふうに考えているところでございますが、これについては先ほども、政治的な、あるいは国民の声も反映した上での憲法、プライバシー権、職業選択の自由ということもあって、一定の線引き、限度が必要であるということでございましたけれども、今後見直すこともあれば、更なる延長ということは、更なるじゃないですね、延長ということは私はあり得るのかなと思っておりますが、その場合に、例えば先日の衆議院の特別委員会の中では、ある参考人の方の御意見として、刑事確定訴訟記録法というんですかね、判決の判決書の保存期間、これが拘禁刑五十年、罰金刑二十年、かなりまあ長いわけですが、そうしたことも一つ現段階では参考になるのではないかという御意見もございました。 かなり長い期間ですけれども、こうした御意見について、内田参考人はどのような印象を持たれますでしょうか。
○参考人(内田貴君) どうもありがとうございます。 この照会期間をどうするかというのは、先ほども申し上げましたとおり、理論的にこうあるべきだという線はないのですが、二十年を超えるということになりますと、二十年以上前に犯罪を犯し、その後二十年以上一切法に触れることをせず、更生して、社会復帰して、仕事をしているという人についても職業選択を制約しようということになってしまうわけですね。 それをどう考えるかということで、そこで性犯罪の再犯率を、一定の統計上出てきた数字から二十年のところで急激に数が下がると。ということは、つまり、もう真っ当に更生している人の数の方が圧倒的に多いということになりますので、そこで一応線を引こうということで今回の法案はできていると思います。 ただ、法律というのは、今回の法案についても三年の見直しの附則が入っておりますけれども、こういう種類の法律というのはやはり施行した後のデータに基づく運用の実証的な検証というものが非常に重要だと思います。ですから、その実証的な検証をしていく中で、本当にこの期間が十分かどうかということをきちんと検討するということは必要ではないかと思います。 今の段階で二十年が絶対に正しいかどうか、これはちょっと断定はできませんけれども、現時点での知見からは一応ここで線を引くことが合理的であると私は思いますが、それの合理性については更に検証をしていく必要があるというふうに思います。
○窪田哲也君 大変にありがとうございます。 続きまして、宮島参考人にお伺いしたいと思います。 有識者会議のメンバーとして大変にお力を頂戴いたしました。ありがとうございました。 先ほど来お話をされたのが、今回の法案に関連をして仕組みが必要だということをおっしゃいました。それから、ふさわしい人材に定着、人材を糾合して定着していく、もらうことだということをお話をされていましたけれども、仕組みについては今回の法案の中に含まれておりますけれども、この人材ということですね。お言葉をお借りすれば、非言語のメッセージを含めて聞き取ることができるような、そういう力も必要でしょうし、表情を読み取り対応していくこと、そういうことも必要になるだろうというお話をされておりましたけれども、この人材ですね、子供に携わる方の、この人材の育成ということについてのお考えを伺いたいと思います。
○参考人(宮島清君) ありがとうございます。 まず、いい人材を獲得するためには、その職場が魅力的な職場であるということが一番大事だというふうに思います。私も四十何年前、同じ福祉をやるならば子供の福祉をやりたいということで、まあ社会福祉の学科を出ているんですけれども、子供の福祉を選びまして、実際、希望がかなって県の職員になり、児童相談所や先ほど申し上げたような仕事に就きました。 今、残念ながら、社会福祉や保育、教育を学ぶこと自体も減っている、途中の養成課程でもそこから退場していく、こんな厳しい職場ではやれないというようなことで実際の応募に至らないというようなことも出ていると聞いています。やはり、価値はあるんだけれども、厳し過ぎると、自分の人生等を考えたときにこの仕事には就けないと。実際に仕事に就いたときに、本当に子供を大事にしているのか、子供を大事にするということは人を大事にしていることですから、職員を大事にするのか、そういったことが疑われるような職場ではやはりとどまれないし、そういう評判というのはいろんな形で伝わりますので、そこに応募がないということは出てきます。 実際、今、児童養護施設等でも必要なだけの人員が集まらない、児童相談所等でも倍率が出ないと。今、都の方では特別区が児相をつくれるということになってそれが進んでいますけれども、実際に必要な人員の確保が難しいということが起こっています。空席がある。これでは駄目ですね。 やはり、ただ、ただ悲観的なことばかり言うべきではないと思います。それでも、厳しい中でも、研修会なんかでも実際の事例を提出していただいて、それについて探求していくと、本当に、ああ、この方は何とか子供と御家族の幸せを考えて実現したいと思っているんだなと、また、そこに寄せられる質問や意見なんかも、まさにそういうものが得られます。ですから、私はそういうところが大好きなんでそういう研修に出かけていますけれども。 とにかく、この仕事の魅力をちゃんと発信すること。当然、トラブルや失敗は起こってきますけれども、そのことを無視することはできない、その問題点はちゃんと洗う必要がありますが、ただ、現場たたきのようなバッシングをしてしまうというようなことが続くと、いい人材もとどまれないし、なおさら入ってくることもできない、本当に必要なことがバランスよく大事にされないので偏った育成になってしまうと、その辺りを注視しなければいけないなというふうに思います。 人を集めたり育てるということは本当に大変なことなので、様々な観点から検討しなければいけないと思いますが、今、お聞きいただいてお伝えしたいなと思うのは、そのように感じました。 以上でございます。
○窪田哲也君 職場環境の改善というのが一番大事だというふうに受け止めました。しっかり取り組んでまいりたいと思います。 最後に、浅井参考人にお伺いしたいと思います。 包括的性教育の重要性ということについて今日はお話を伺いましたけれども、包括的性教育をしっかり進めていくことが子供に対する性暴力を防いでいく大きな手だてだという認識でいますが、そこ、なかなか一般的に結び付いていきにくいこともあると思うんです。性教育が進めば子供が被害を受けることが少なくなっていくという、根絶させていくことができるという、それを端的に分かりやすく教えていただければと思います。
○参考人(浅井春夫君) 端的に分かりやすくというのはなかなか難しいんですけれども。 一つは、この国際セクシュアリティ教育ガイダンスという、私どもで訳したものですけれども、その八つのキーコンセプト、非常に重要な柱ですね。その中の一つが暴力と安全確保なんですね。ここのところに、暴力とか同意とかプライバシーとか体の保全とか今のSNSの情報の問題とか、それにどう対応するかということを明記しているんです。 それを踏まえながら、大事なことは、日本の国にどう、日本の子供たちの、若者たちの現状に即してどんな性教育ができるかということについては、これは項目の柱といいますか、目指すべき、例えば学習者ができるようになることという形で明記はしているんですが、しかし、それは、どういうふうな伝え方をすればいいかということは必ずしも書いていないわけですね、ノウハウは。これは、それぞれの国の文化状況とか教育状況とか、様々な宗教的なバックボーンのある国とかによって違いますので、そういう点も含めて、日本の学校教育、例えば学校教育を例に取れば、学校教育の中の自由さということを保障しないと、これをやっちゃいけないとか、今のように学習指導要領で歯止め規定があるとか、そういうような状況をやっぱり少なくともなくして、本当に必要な議論をできると。 やっぱり、教育という、あるいはいろんなこの取組をするということは、特に比較的新しい教育の分野ですから、いろんな、右往左往することだってなくはないというふうに思います。そういうことを含めて議論を、自由を保障しながら、必要な方向についてはおおよそ議論すれば合意が得られるんではないかというふうに思っておりますし、今発言された委員のところも、もうこれは、結構前向きな先生たちがおられるので、すごくお願いをしたいなというふうに思っているところです。 是非とも、少なくとも、もうあんなバッシングのような品のない攻撃は、少なくとも国会議員はやめましょうということはお願いをしたいというふうに思います。
○窪田哲也君 大変に参考になりました。一から子供たちの尊厳を守っていけるように、私たち議員も頑張ってまいりたいと思います。 今日は大変にありがとうございました。
○片山大介君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の片山大介です。 四人の先生方、今日は本当にありがとうございました。様々な観点から、本当に貴重なお話をいただいたと思っております。 それで、じゃ、順を追って聞いていきたいんですが、まず、内田先生からちょっと聞いていきたいんですが、先生が言われたとおり、今回のこの法案で第三条に規定をしたこと、責務を規定したこと、これはとても大切なことだと思います。そういう意味では、この法案が子供の性被害に対する防止の一歩になるというふうに我々としても思っています。 ただ、その上で、これ責務で規定したのに、そこから先の、じゃ、具体的な措置については、学校設置者はもちろん義務化なんですけれども、やはり民間教育保育事業者、要は民間の方ですよね、は任意にしているというので、どちらかというと、民間のスポーツジムだとか塾だとか、そうしたところでもこうした性暴力というのはすごく起きているという現状からすると、やはりここはまだ、対象が一挙に拡大してしまうからなかなか、まずはできるところからという考えもあるんだと思うんですけれども、今後、これは三年後の見直しで、もし今回法案が可決したと、成立したとしても、これは早急にまた考えていかなければいけない点ではないかなと思いますが、この点にはどのように、ついてお考えでしょうか。
○参考人(内田貴君) 民間の教育、保育の事業者についても義務化していくべきではないかという、そういう御意見かと理解いたしました。 義務化をするとなりますと、先ほど申し上げましたとおり、これは政策がパッケージで、いろんな措置義務がパッケージとして入っておりますので、かなり負担があります。それだけの措置を講ずることができる体制が取れる事業者かどうかということがまず重要になるわけですが、民間の教育、保育の事業者って極めて多様でございまして、業態も多様ですし、いろんな組織の在り方も非常に多様です。 したがって、それがどのような組織なのかというのが分からないところでいきなり義務を掛けて、それについてこの義務を掛けても履行しないでおいて何のおとがめも受けないということになると、まさにざる法になってしまって意味がありませんので、きちんと監督をしていく必要がある。そういうことができる体制であるかどうかというのが事前に分からないものですから、そこで民間については任意に申し出ていただいたところについて審査をして認定をするという方式を取ったというふうに理解をしております。 ただ、この方式も、これからPR活動をして、認定を受けたところは本当に安全なんですよということで、利用者たち、保護者たちが認定を受けた機関を選択していくという行動がマーケットの中で起きてくれば、認定が非常に魅力のあるものになり、個人事業者たちも何とかしてこの認定を取ろうという方向に動いていくんじゃないか、そういうふうに全体が動いていくということが一番望ましい流れではないかと思いまして、いきなり義務化をするよりも、そういう市場の選択によってみんなが認定を受けていくということの方がいいのではないかというふうに私は考えております。 以上です。
○片山大介君 その塾の事業者とか、たしかこの前アンケートが出ていたかな、そうしたら何か六割か何かそれぐらいやっぱり参加の意向を示しているといっているし、だから、本当、義務にできなくてもそれがどんどん広がるように、やっぱりそういう意味では、今後政府がインセンティブをどのように与えていくのか。あと、やっぱり小さな事業者はできないところも確かにあると思います。そうしたところへも配慮しながら、ただこれがもっと広がるような形でやっていかなきゃいけないのかなというふうに私は思っています。 それで、次に聞きたいのが、疑いを持つ人には掛けられないというか、疑わしきは対象にできないというか、そこで、起訴猶予だとか示談のケースは今回の対象に入らないというふうにおっしゃったんですが、これ、ただ、そうはいっても、これ起訴猶予も、嫌疑不十分というのもあれば、その量刑、有罪なんだけれども、量刑が低いから今回は起訴猶予にしたというケースもあるし、示談の場合は、もちろんその本人がもう認めて示談になったというケースもあるので、やはりここもやっぱり漏れが出てしまうような感じがすると思っています。 これに対しては賛否も確かにあるところかと思いますけれども、これについてのお考えは、内田先生と、あとこれは宮島先生で、それぞれお伺いできたらと思いますが。
○参考人(内田貴君) 起訴猶予、まあ示談のケースですが、ちょっと性犯罪を離れて一般論として申しますと、逮捕されたけれども示談が成立して起訴猶予になるというような場合は、場合の中には、本当に自分は法に触れることはやっていないと、しかし、それを裁判で証明しようとすると物すごい時間とコストが掛かりますので、それを回避するというような場合もあると思います。ですから、一般的に、示談をしたから本人が認めているとは必ずしも言えない。本当に白黒付けようとすると、やはり司法で裁判官の下で証拠に基づいて判断をするという必要があるわけで、その手続を経ていない、そして本人は心の中ではやっていないと思っているような場合についても有罪であるのと同じに扱ってしまうことになる制度というのは、やっぱり憲法上問題があるんじゃないかというふうに思います。 ですから、疑わしい者も一応カバーして子供を保護すべきではないかという考え方はよく分かるのですが、やはりここはぎりぎりの選択というところで、人権が侵害されると、本当にやっていないにもかかわらず、やった人と同じに扱われるということを回避するという選択をしたというのが今回の法案ではないかと理解しております。
○参考人(宮島清君) ありがとうございます。 私、この照会と回答、それは義務であっても認定であっても、それが照会をして犯罪歴がなかったから安心というものではないという、そういう立場です。九割は初犯ですということもあるわけですし、必ずしも有罪にならない暗数もあると。だから、義務化したから保育所、学校、そこは全て安心になった、こういうふうには判断できない。また、こういう仕組みができて認定を受けたからそこの事業所では事故が起きない、これはあり得ないと思っています。 福井参考人がおっしゃったように、誰でもなり得ると、まあ書かれているものにもそうありますし、そういった性的嗜好を持っていらっしゃる方も多数いると。でも、そこで何らかの作用が働いたりしたときに実際の犯罪に至るということですから、まずこの制度は必要でどうしてもやるべきだ、一定の効果はあるとは思うんですけど、それがあればほかはやらなくていいよみたいな形で、安心なんだということが広がるとすれば、逆に発見や対応の状態が悪くなる、かねないと。 ヒアリングでも、有識者会議で、児童養護施設の団体が、今まで、何とか繰り返すような方がいないように、仕事を辞めてしまってまた別な施設で同じ仕事をするという人がいるので、そういったことを排除するような仕組みができないかと、業界団体でそういうことを取り組んだようですけど、やっぱりそしてこの制度ができたら安心だというふうになりたいというような感じのニュアンスもちょっと聞こえたんですけど、やはりこれは悩み続ける。 そして、これを契機に総合的なやっぱり対策を、しかも加害者の方の回復も、あるいは、回復してこの仕事に戻るということではなくて、その方の能力とか適性に合ったより魅力的な仕事の道が開かれて、そちらでやはり人生を築いていけるというような形で、必ずしもここに戻ってくることはあなたにとっても得策ではないし、子供たちにとってはやはりちょっと不安も大きいし、心配がやはり大きいと、そういう中であなたはどう考えますかというコミュニケーションも照会を受ける事業者等にはあり得るんだろうというふうに思います。よろしいでしょうか。
○片山大介君 大変勉強になります。そのとおりで、子供を守るのか、あとは加害者の人権もあるから、その中でのバランスをどう取っていくのか、これは本当に難しいので、実際にこれ走り出してからこれ見ていかなきゃいけないのかなというふうに思います。 それで、この今延長で一つでいえば、これ、下着の窃盗だとかストーカーについて、それでこれは先ほど内田先生の方から、独立の犯罪体系になるので、ですからこれも対象にはならないというような判断だったと思うんですが、これは、ちょっとここを、何というのか、そういう、何というか、法体系の違いという立て付けで分けちゃうのには、これ、一般の社会の人はなかなかやっぱりこれ受け入れ難いというか、分かりづらいなと思うんですが、これについては内田先生と、あと浅井先生にそれぞれお伺いしたいと思います。
○参考人(内田貴君) 下着の窃盗とかストーカーというのは、法体系の問題というのではなくて、独立の犯罪類型になっていない、下着の窃盗についてはですね、独立の犯罪類型になっていないということです。 窃盗の中に、いろんなものを盗んだ人がいる中で、下着を盗んだ人、しかも下着だけではやっぱり駄目なわけで、男性がちょっと自分の下着ぬれたのでどこか失敬して盗んできたというんじゃ多分対象にしておられないと思いますので、異性の下着を性的動機で盗んだというような場合を捉えようとしておられるんだと思います。 これを窃盗の判決文の中から認定を抽出してそういう事案を取り出すというのは、これは大変なことでして、これ一件一件するのはとてもできないと。もし、これを前科として、重要な前科として捉えようとするのであれば、これは刑法を改正して、窃盗罪の中に性的動機による異性の下着の窃盗という類型をつくれば、で、裁判所がそれを認定すれば、これは取り込むことができると思います。しかし、そうなると、それが本当に必要かという大議論になるだろうと思います。そういう形での、まあ犯罪としての独立性というのがなければ、ちょっと認定が難しいのではないかということです。 あと、ストーカーはちょっと性質が違って、ストーカーが生ずる原因って様々ありますので、これ、子供に対する性的危害とは無関係のストーカーというのもあると思いますので、やはりこれもやっぱり特定のストーカーを切り出すか、あるいはもうストーカー全部捉えるかという二つの選択になってしまって、いずれにも問題があるということで入っていないというふうに思います。 ということで、現状ではちょっと難しいのではないかという理解でございます。
○参考人(浅井春夫君) 窃盗の問題は、ちょっと議論がこれまた必要だというふうに思います。ストーカーについては、やっぱりこれは他者の性的人権を侵すという行為であるわけですから、あるいはその写真で撮るとかですね、というようなことも含めて、この辺の問題は詰めて議論をしないと私はいけないんじゃないかなというふうに思ってはいます。 大事な点は、加害者の人権という点も大事にしなけりゃいけないし、まあ就職先の問題も出てきますし、いろんなことがあると思うんですが、それは、一つの私は大事な、この問題を考える上でも大事にしなくてはいけない観点だと思っています。 それ以上に大事なことは、どの子供の人権も平等に保障されるという観点でやっぱりやらなくてはいけないと。そしてまた、ストーカーの問題というのは、やっぱり男性のこの様々な恐らく嗜好とかそういうものがあると思うんですけれども、しかし、それが実際には特定の人に対する、多くの場合、女性に対する恐怖を与えるそういう行為でもあるんだということの認識を、非常にそういう意味では乏しいと。あるいは、ジェンダー的な文化の中で、男の方は少々荒っぽいことをしてもいいという、そういう文化の中で影響を受けている面もなくはないんではないかと。 そういうことを考えると、ストーカーの問題も、独立に法律にあるというけれども、人権を侵される立場からすれば、その法律がどこで独立しているかというのは別に、やはりこの制度の中できちんと対応するということは私は可能なんではないかなと、むしろそうすべきではないかなというふうには思っています。
○片山大介君 ありがとうございます。 続いて、ホワイトペーパーの関係ちょっと聞きたいんですけれども、我々、最初、維新はそのホワイトペーパーでいいんじゃないかという話をちょっと言っていたんですが、だけど、今日、内田先生の言い方もあるし、これまでの言い方だと、やはりちょっとそれ以外にも要求されるケースが出てくるとかという、不必要に使われてしまうことを言われたんですけど、だったらそれを禁止すればいいんじゃないかなと。その不必要に使うこと、ほかの用途に使うことを禁止すればいいんじゃないかと思いますし、例えばイギリスとかほかの国では、段階に応じて複数のペーパーを用意する形にしていて、実際にそれで何か不都合が生じたというのは、余りそういうのは聞こえてこないし、そこはやり方があるのかなというふうに思います。 逆に、それで今回の対象者のこういうリストになるとこの情報漏えいの方が私はやっぱり怖くて、しかも、先ほどこれは浅井先生が言われていたのかな、イギリスに対して日本だと今回のこれを処理する対象者がすごく少ないですから、やっぱりどうしても情報漏えいの可能性、危険というようなおそれはどうしてもこれから増えてくるわけです。現職に対してもたしか今後三年で調べるんでしたっけ、たしかね。 ですから、そういうことも考えると、なかなか今後はそのホワイトペーパーも検討課題にはしていくことになるのかなと思うんですが、そこら辺はどのようにお考えなのか。これも、内田先生と浅井先生、双方にお伺いできたらと思います。
○参考人(内田貴君) ホワイトペーパーとかあるいはホワイトリストとかと言われる、ないこと証明ですね、自分は罪を犯していないという証明を自分で取ると。これをほかの業種に使うことを禁止すればいいではないかという御意見ですが、確かにまあそうなんですが、事実としては、やっぱり子供関連業務に従事しますといって取らせると、で、それをうちにも持ってこいということで、事実としてそれが使われてしまうということをなかなか禁止するのは難しいのではないかと。まあもちろんそういうことをしたら処罰をするという何か厳しい法律を作ればまた別ですけれども、なかなか一般的にほかで流用してはいけないというだけでは流用されてしまうことを防ぎ切れないのではないかなというふうに思います。 イギリスでは不都合がないではないかという御指摘ですけど、これは私、意見陳述の中でも申し上げましたように、日本では、子供の権利を守る、子供を性被害から守るという原則と、それからプライバシーの権利という二つの原則のバランスを取らなければいけないわけですが、イギリスは、このプライバシーの方がほとんどないというか、軽いんですね。ですから、前科の情報が外に出ることに対する法的な制約が極めて薄いと。そこで、不都合が生じないということなわけです。 しかし、日本の場合には、前科が必要のないところに出ていくということ自体をもう認めないということが現行法になっておりますので、それとの調整からすると、ちょっとイギリスと同じようには議論できないのではないかということで、なかなか、ホワイトリストというか、ないこと証明を自分で取らせるというのは難しいのではないかと私は考えておりますけれども、もちろん、今後の運用の中で、様々な検証をしていく中で、委員御指摘のような方式の妥当性というのも当然検討されるべきであろうと思います。
○参考人(浅井春夫君) ホワイトペーパーというのは、一つの考え方として私はなくはないのではないかと。 ただ、問題は、例えばイギリスの場合は一千二百何人の職員が、専任職員がこれ年間七百万件のチェックをしているわけですね。その中で子供への関わりを禁止されているのが八万八千人という状況ですので、これ丹念に本当に書類が見れるのかと、今の仕組みで、職員体制でということがむしろ問われているんではないかと。少なくとも、日本の人口の方が倍多い状況の中で、もしかしたらこの人数よりも多くなる可能性があるかもしれないけども、当面は、義務規定だけではなくて、認定受けるまでの期間もあるし、認定さえ受けないという人たちも、事業体もあるとすると、これだけの、何百万件とならないかもしれないけども、でも、膨大な数をチェックできる機能がない中で、どういう書類にしたとしても非常に不備が私は出てくるんじゃないかなというふうには危惧をしています。
○片山大介君 ありがとうございます。 あと、最後、福井先生にお伺いしたいと思うんですが、これ、治療行為としての認知行動療法、日本はあんまり、認知行動療法というのはあんまりきちんと評価されていないというか、保険の適用もなっていないんですけれども、私、これは結構大切で、海外で国際的にはかなり使われている治療法なんですけど、これが日本で何でうまくいかないのかというのと、これがどういうふうにこの性犯罪者の治療に対して使われるのかというのをちょっともう少し話を聞きたいなと思いますが。
○参考人(福井裕輝君) そうですね、認知行動療法については世界的にはもうかなり認められているもので、その有効性というのも確立していると思うんですけれども、恐らくですけど、日本で広まらない理由は、恐らくコストの問題で、結局、厚生労働省、それを全部保険医療適用化したら、物すごい心理士を雇い、かなり長時間のカウンセリング的なものが必要になってくるので、そこまでの多分予算がないということで動かないんだというのが一応予測ですね。ただ、それは何とも言えないですけどね。少なくとも、厚生労働省は、ずうっと性犯罪加害者についても認めたらどうかということを言っていても、ずっと拒んでいるのは、多分そんなことじゃないかというふうに思います。 認知行動療法についてですけれども、これ簡単に言うと、要は、子供に対する場合でいうと、そこにもいろんなステップを踏んでいくわけですね。例えば、前の日に児童ポルノを見て、学校の帰り際に物色して子供に声を掛けて、そこで付いてきたら何かお菓子あげるよとか言いながら公衆トイレに連れていって何かわいせつ行為をするとか、あるいは学校の中でも、何かしてあげるよと言って体育館に連れていって何かするとか、そういう大体手口というのは決まっていて、それを繰り返すんですね。本人もそれを分かっているけれども、やると。 そういうところに一個一個歯止めを付けるようなものを身に付けてもらっていくというのが基本的な認知行動療法のやり方で、その背景には、例えば学校内でのパワハラとか、そういうことを受けていることで自暴自棄になって子供に向かうとか、様々な要因、そういったストレスが強いとかですね、そういうことも含めて、そういう要素をなくしていく、歯止めを付けていくというような治療で、かなり実践的なもので、実際上、我々のところでずうっと何千人と診ていますけれども、有効性はあるというふうに思っています。
○片山大介君 大変貴重な意見ありがとうございました。 終わります。
○竹詰仁君 国民民主党の竹詰仁と申します。 今日は、参考人の皆様、ありがとうございました。 私は、まず最初に福井参考人にお尋ねします。 福井参考人に先ほど非純粋型、二次的要因という言葉を教えていただいたんですけれども、そうしますと、例えば教員でも保育士でも、自分が大学なり専門学校を卒業して、最初はそういう気持ちはなかったし、そんな思いではなかったんだけれども、いずれ、例えばここに書いてありますように、ストレスが生まれましたとか、結婚しましたと、で、成人のパートナーといろんなことがあったということで、その頃はなかったんですけれども、いずれそういう事象が生まれましたといったときに、今回のDBS法案ですと、現職の人には多分面談するとかアンケートするとか、あるいは五年に一度確認するとかということがあるんですが、これが有効なのかどうかと。そこで生み出せるのかどうかということと、もし、いや、もっとこういうふうにしたら分かりやすくそれが表面に出るんじゃないかと、そんなアドバイスもあれば教えていただきたいと思います。
○参考人(福井裕輝君) 就任の当時には、非純粋型で、その時点では子供に全く関心がないということも多々あると思います、実際患者を診ていても。普通に結婚もして子供もいる、ただ、学校で触れ合っているうちにだんだんとそこに性的関心を持って行為に及ぶというもの。なので、まあ言ってみると初犯とかを防げないということですよね。なので、これが、仮にこの法案がそれなりに運用がいったとしても、そういった事件は多分に起きると思います。 あとはどうするかというと、やはり定期的にアセスメントですよね。リスク評価をきっちりやっていくということです。それは、学校内で何らかのスクリーニングを掛けるようなシステムをつくってやっていくことによって、この者は非純粋型であってもリスクがこのぐらいあるというようなことを判定することは可能になると思います。
○竹詰仁君 続けて、今の続き、福井参考人と内田参考人に今の続きでお聞きしたいんですけれども。 そうすると、リスクが分かりましたと、例えば、大規模なところですと配置転換を、なるべく子供に接しないところに配置転換をするということが、それはやっぱり先生にとって、先生から見て有効な手段なのか。あるいは、やはりもう辞めていただいて、その仕事はもう一切関わらないようにすると、そういったことがやっぱり子供を守るという点では一番有効な手段とお考えなのか。その場合に、いわゆる解雇の濫用というのは、これはやっぱり社会的にもできない、あるいは許してはいけないわけで、でも、優先順位とすると、子供を優先するのであれば、仮に解雇の濫用だと言われたとしてももう解雇してしまえという、そういうべきなのか、その点をお二人にお伺いしたいと思います。
○参考人(福井裕輝君) そうですね、まず、配置転換ということについては、これは必要だと思いますね。言ってみると、これ依存の一種と考えていただいていいので、依存症、何でもいいんですけど、アルコール依存でも薬物依存でも、やっぱりそういうものが、一旦断つためにはそこに接触しない期間を置くというのは必要なので、子供と触れないところにいるということは大事ですよね。 あと、解雇については、これはこういう法案から解雇する、しないということにならないというふうに私は認識している、別の判断基準でされていると思うんですけれども、そうですね、それを踏まえて、医療、加害者治療をやっている者としては、先ほども言いましたようにリスクアセスメントをして、これは少なくとも現時点では安全であるというのであれば、元に戻る可能性も残しておく方が正しいというふうに感じています。
○参考人(内田貴君) 現職者について過去の犯罪歴を調べたところ前科があることが判明したというときの対応ですけれども、これは一法律家の感覚としてお聞きいただければと思うんですが、何の問題もなく仕事に従事をしていて、これまで問題になるようなことも懸念も何もなかったと、ただ、調べてみたら二十年近い昔に前科があったと。それで配置転換しなければいけないのかと、あるいはもちろん解雇になるともっと重大ですが、しなければいけないかとなると、ちょっと法律家としては抵抗感はあります。何の懸念もない人を古い過去に前科があっただけで不利益に扱わなければいけないか。 で、解雇ができるかというと、私はかなり難しいと思います。やっぱり、何らかの兆候があって、ちょっと怪しいなと思っていたらやっぱり前科があったんだということになると解雇の正当性というのが認められる場合はあると思いますけれども、何の問題もない人を解雇できるかというと、これはかなり難しい。配置転換ならオッケーかというと、まあ直近の過去に前科があったというとちょっとこれは危ないということになるかもしれませんが、何の問題もない就労の期間が長くあったという場合に、果たしてそれで配置転換を正当化できるか。現在の労働法制の下では、ややハードルは高いんじゃないかという感じはいたします。 ここはしかしいろんな考え方があると思いますので、運用の中で、あるいはこれから作られるガイドラインの中で具体的な指針が示されるのであろうと思いますけれども、一つの法律家的な感覚としてはそういう感覚はございます。
○竹詰仁君 ありがとうございました。 続いて、内田参考人に、今のちょっと話が続くんですけれども、先生がおっしゃったように二十年、例えば三十年何もなかったというのは分かるんですが、この法律が始まりますと、少なくともスタートのときは全員一斉に調べるので、まだ採用されて一年、二年という人も当然対象になるわけですけれども、そこで、そうやって十分な実績がないわけですね。でも、そこで何か過去にそういうことがあったって分かっていたら、それも同じ考えでいいのか。 それと、今回、新規に採用する場合に、いわゆるその事実確認書を取るので、そういう性犯罪歴があればそれは採用、まあするかしないかまでは強制はしないということだったんですけれども、恐らくそれは採用されないというふうに思うんですけれども、その場合の職業選択の自由ということには全然侵害しないんだよということで、それでよろしいのかと、お考えをお聞かせください。
○参考人(内田貴君) いずれも非常に難しい御質問で、明快なお答えをするのは難しいんですが、まず、まだ短期間しか雇用していない、もう一年ぐらいしか働いていない人で、近い過去に前科があることが分かったということになると、これはやっぱりリスクを感じるべき場面なんだろうと思います。 そうすると、配置転換をするとかということを考えるというのが合理的な判断であろうと。万一何か起きたときに、なぜあのときそうしなかったんだというふうに言われるということを考えると、それなりの対応が求められると思いますし、配置転換が難しいのであれば、これ、いきなり解雇ができるかというと、私はちょっとちゅうちょを感じますので、やはり予防のための様々な措置を講じていくと。エキスパートの、その性犯罪等に、子供に対する性犯罪等についての研修をきちんと受けて知識を持った職員を近くに配置するとか、あるいは子供と二人きりにならないようにするとか、カメラを設置するとか、いろんな予防措置を講じていくという義務は当然あると思いますけれども、いきなり解雇というのはどうかなという気はいたします。 新規採用の場合はどうかというと、これも私は、事実上就職は制約されるであろうと言われておりますが、欠格事由ではないので、欠格事由となってしまいますとやっぱり刑法との抵触というのはどうしても気になります。そうすると、新規採用のときはやはり人物をきちんと見ると、より慎重に見ると。そして、本人がもう絶対に大丈夫だという確信を抱かせるような人間であれば、やっぱり採用する余地というのはあるんじゃないかと思います。 ただ、その場合も予防措置というのは十分に講じていくという義務はあると思いますけれども、前科があるからといって、採用したらそれだけで責任、後の責任を問われるような過失があったということになるかというと、当然にはそうならないというのが現在の法案のスタンスではないかというふうに理解しております。
○竹詰仁君 ありがとうございました。 続いて、宮島参考人と、もう一度福井参考人にお尋ねしたいんですが、ちょっとコストのことでお尋ねしたいと思います。 この法律は、当然、少なくとも今、全くないよりはこの法律がある、あった方が更に予防できるというのは分かるんですけれども、例えば、じゃ、幾らでもコスト掛けていいのかと。 先ほど、内田参考人の発言の中にカメラという話もありましたが、例えばカメラを本当にもうあちこちに付けると、これも一つの予防措置だと思うんですけど、ただそれには莫大なコストが掛かりますし、例えば教育の現場でも、担任に加えてアシスタントみたいな人を三人も四人も置けば、当然一対一の関係になる確率が低くなりますから、それは防ぐことにはつながるんですけれども、本当にそういったコストを掛けられて、どこまで掛けていいのか、あるいはそういった人が要るのかということと、あとは、先ほど福井参考人にも、厚生労働省が、これはお金がないからということだったんですけど、逆にどれだけでもお金を掛けるべきなのかと、もう幾らでもお金掛けてもいいから子供の性犯罪を防ぐべきなのかとか。 必ず国がやることにはやっぱり、例えば社会保障でいうと給付と負担の関係とか、幾らでもお金を掛けていい、幾らでも人を使っていいというわけではないような気もするんですけれども、これは、どういうふうにお二人は、いや、幾らでも掛けるんだよということなのか、やっぱりどこかでバランスだよねということなのか、ちょっとそのお考えを教えていただきたいと思います。
○参考人(宮島清君) ありがとうございます。 このことは言いたいというふうに思っていたことも併せてお答えできるなと思って、感謝いたします。 まず、それは後の方に回しまして、先にコストのことですけれども、無限ではないですよね。やはり、国民の財産によって、税によってスキームがつくられるわけですから、できるだけ少ない経費でできるだけ有効な策が講じられればいいというふうには思います。 ただ、こどもまんなか社会を目標にしている今、本当に子供予算が、特に教育、福祉、保育、ここに十分な経費が掛けられているかといったら、全然違うと。ですから、ここでは思い切ったお金を掛けて財政措置をして、現場の体制を整えてほしいと。中途半端なものをつくっては効果がないし、それが長引けば長引くほど将来の日本は危うくなるのではないかと。思い切ってやはりここにはお金、また人を掛けてほしいというふうには要望します。ただ、無限だとは思いません。 で、何が必要かということの中で、監視カメラ、実は私はこれは気を付けなければいけないと思っています。 数年前ですが、被措置児虐待として、児童相談所や児童養護施設等での虐待、特に性的な事案があったときに、私はある現場に呼ばれて、お話をするようにということの要望がありまして務めたことがあります。その年には、九州の、これ先進的な働きをしている地区の児童相談所の児童福祉司が、年齢の高い子に対して恋愛感情を抱いて性的に接近してしまったというものです。もう一つは、これは、関西、それよりもう少し九州に近い方ですけれども、そこで児童相談所の一時保護所の夜間宿直専門員だったと思いますけれども、七十代の方が採用されていて、その方が実際に、ちょっと被害児童の年齢は忘れてしまいましたけど、小学生だったでしょうか、あるいは中学生だったでしょうか、その子供に対して加害をしていたと。ちょうどその年度に、東北の児童相談所の一時保護所だったと思いますけど、保育士の若い男性職員が幼児さんに対して加害行為をしたということがありました。 たしか三つ目の例については県議会等でも検討されて、監視カメラを置くという方向になったかと思いますけれども、幼児さんの寝る部屋とか、そのところに様子が分かるモニターを使ってこれらを見るというのは、気を付けなきゃいけない面はあるにしろ認められるのではないかと。様々な疾病が絡んだり、熱を出したり、そういうこともありますし、起き出してふらふらして危ないということもありますから、それは許されるだろうと思います。 ただ、一時保護所というところを考えたときに、例えば子供たちのリビングと、それこそ困難を抱えて虐待を受けて保護された先が一時保護所で、安らぎを持って時間を過ごせ、安心して時間を過ごせる、そういったところに監視カメラが置かれるということは果たしてどうなのか。年長の子供たちだったら、そういう環境だよということを告知した上で一時保護しなければいけない。果たして、そういう中でそういう場に一時保護することは子供が納得するのか。やっぱり子供の意思、ちゃんと説明をして、それを確認した上でやるべきものだと思いますので、私は許されないと思っています。 今、監視カメラがある例はありますけれども、それは外出、無断外出するとか、外から侵入者がないようにするという場所にカメラが置かれて、子供たちもそのモニターを見れるというような中で行われているところはありますけれども、子供たちが知らないところであらゆるところに監視カメラを置いて、そして死角をなくすということがいいとは思いません。それは、コスト的にはその方が安いとしても、それは許されないと思います。 やはり、犯罪を、加害を起こさせないためにも、子供たちを守るためにも、複数のきちんとした職員が常時、三人も四人もとは言いませんけれども、複数の職員が共に支援に当たれる、それぞれの職員が人権感覚や子供を見る目を持つ、またその子供が何らかの変化があった場合にはそれに気付ける、そういった職場環境をやはりつくらなければいけない。高いようでもその方がコスト安ですし、総合的に子供の福祉を実現できるのではないかと考えます。 以上でございます。
○参考人(福井裕輝君) そうですね、監視カメラ等については私の専門外なのでちょっとコメントはしません。まあ学校の設計とか、そういう話ですよね。 治療、それから社会復帰支援ということを申し上げていますけども、これについては今日の意見陳述の中でもお話ししましたけども、世界的には、一九八〇年代、どんどんどんどん厳罰化が進んで、でも、それでも実質上効果が出ないというような統計が出てきて、治療その他にかじを切ったというふうに話をしましたけれども。 実際上、例えば、やはり子供というのは、虐待を受けるとその後、PTSDは当然ですけれども、そのほか様々な神経症圏あるいは精神病と呼ばれるようなものも発症するというようなところから、それを守るためには、やっぱりきっちりと治療とかそういうものの、まず加害者を出さないような方向でする方がいいと。 その上に、かじを切った後に、こういう医療経済というものですけども、実質上、そのコストはどうなのかと。被害者が生まれることによる損失、一方でその治療することによるコストですよね。そういうことを考えた上で、やはり治療をした方が全体としてコストは少ないんだというようなところで今に流れていると思います。 なので、言うと、イギリスなどでは、性犯罪に限らないですけども、虐待とか放火とか、ストーカーの話も出ましたけども、こういう重大犯罪については基本的に国が十割医療費を持つというような制度で運用していますね。
○竹詰仁君 ありがとうございました。 それでは、浅井参考人にお尋ねします。 ちょっと私の経験で恐縮ですが、私もタイに三年住んでいたときに、いわゆるペドファイルの、国の名前を言うとちょっと問題があると思うんで、いわゆる欧米の人たちがタイの子供たちを買いに来るというのがあって、そういったシェルターを私もODAとして支援するということをやっていたんですけども。 先ほど四十年遅れているとか三十年遅れている、じゃ、どこから遅れているかというと、大体こういう場合は欧米を例に取るんですけども、でも逆に言うと、進んでいるだろうと言われたところも、国内ではそういうことをやっているかもしれませんが、わざわざタイに来て子供たちを買っているというのが実際にあって、じゃ、何をもって進んでいるとか遅れているのかなというふうにちょっと私も先ほどのお話聞いて思って、自分の経験もそうだったんですけれども。 今までの教育が悪かったから、性教育も含め悪かったから今になっているのか、あるいは、この教育を直せばこうなるのかというのがちょっとまだ私もすとんときていないんですが、過去のことは、時は遡れないとしても、少なくともこれからより少なくしていく、未然に防ぐということであれば、例えば、教員の、男は力で何かできるんだぞというのは、私なんか、自分の子供を見ても、大分年齢によっても感覚が違うというか、私の子供たちが、何か男だから俺は偉いんだとか力強いんだよなんというのは、子供たちの会話でも全然聞こえてこないんですけども。 もう今の若い人たちはちょっと違う感覚なんじゃないかなという思いもあるんですが、少し年配の人の感覚と若い人が、もう既に感覚が違うんじゃないかと思うんですけども、これをどうやって教育で防ぐというのが、ちょっともう一度先生の考えを改めて教えていただきたいと思います。
○参考人(浅井春夫君) 教育には手遅れはないという原則を大切にして、高齢者の人であっても、例えば中年の男性であっても、これはもう勉強することによってそれは変わっていく可能性はあるんだということは教育の信念として私は持ち続けたいなと。 欧米の人たちだけではなくて、むしろある時期は日本から東南アジアに対して買春に行ってきた集団ツアーがはびこったわけですね。そういう点についても、日本の中でどれだけの反省があったのかということも問わなくてはいけないなと。 ちなみに、スウェーデンというのは、世界で一番最初に性教育協会をつくった、戦前につくった国なんですが、そこも問題は今でもなくはないんですけれども、例えば性的虐待の問題とか、そういうことについては圧倒的に少ないです。これはあくまでも統計上の問題ですが。 世界の状況を見ると、統計的に性的虐待がすごく出る国、これは一つの段階。これは、本当に悪いのかというと、調査とかそういう取組をしていることによって出てくる国だと。第二段階の国は、それなりに努力をしながら数を少なくしている。私は、スウェーデンはその次の段階の入口にある、最も近い国だろうなと。それは、女性と子供の人権を大切にするという国のやっぱり基本的なテーゼですね、こういうものをやってきていると。そして、なかなか取組が少ないから性的虐待の数字が出ない国、こういう国に我々は入っているというふうに言ってもいい、二段階とか一段階のところのそのはざまにいるかもしれないというふうに私は思います。 そういう点では、取組の成果ということは、一つ性的虐待の数値だけ見ても、例えば北欧などの人権を大切にする国においてはかなりその効果は上がっているし、そういう意味では、包括的性教育の先進国であったことも間違いありません。 私もスウェーデンの性教育協会行きましたけれども、歯止め規定がこんなの日本にあるんですよと言ったら、ああ、日本の国は面白いですねと、数学とか英語とか先に進んだら先生から褒められるでしょうと、なぜ性教育だけ必要なことをやったらそれバッシングを受けるんですか、不思議な国ですねと言われるから、私も不思議な国ですねというふうに相づちを打つしかなかったのを覚えております。 済みません、長くなりました。
○竹詰仁君 ありがとうございました。以上で終わります。
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 今日は、参考人の皆さん、ありがとうございます。 まず、内田参考人にお聞きいたします。 先ほども若干議論になりましたけれども、この児童対象性暴力等が行われるおそれの判断の問題でありますけれども、私は、この間、本会議でこれ恣意的なことがないようにということで質問したんですが、答弁は、それぞれの具体的な内容や判断プロセス等などについて、恣意的、濫用的な運用がなされないよう、施行までに関係省庁、関係団体と協議しつつ、事業者向けのガイドライン等を作成し、しっかりと周知してまいりますと言うだけでありまして、もう中身は何もなかったんですね。 先生、やっぱりこういうおそれの恣意的運用がされないために、そのやはり具体的内容や判断プロセス、まあ今後協議されるわけですけど、これは押さえなくちゃいけないというようなこの柱、具体的な中身について、お考えがあったらお聞きしたいと思います。
○参考人(内田貴君) 今、委員が挙げられたおそれというのは、具体的には六条で規定されている防止措置の契機となるおそれということかと思います。 私は、最初の陳述の中で申し上げましたように、この法案の非常に大きな意義がこの児童に対する性暴力を防止するための措置を様々講じるということを義務付けた点にあると思います。つまり、生じた後の救済もさりながら、やはり発生させないということが何よりも大事で、そのためのおそれというのは私は非常に早い段階から察知していいんじゃないかと思います。 学校やこの認定を受けた事業者は、面談を通じて早い段階からコミュニケーションを取ることで、自発的にコミュニケーションを取ることで、兆候がないかどうかということを調べることが義務付けられています。その中で何らかの懸念が発生してくれば、やっぱりそれに対して対処していくべきだと。 おそれでもって何か刑罰を科すとか非常に厳しいサンクションを科すということになると、そんなおそれでサンクション科すのは恣意的であるという批判になると思いますけれども、これは予防のために様々な措置を講ずる、その措置には段階がいっぱいあると思いますので、初期的な段階からもっと重い段階まで様々なレベルの措置があって、早い段階の措置はもう軽微な懸念のところからやってもいいんだと思います。 そういう意味では、ある程度おそれをもう恣意的に判断してでも、早い段階の措置を講じていくということは私は認めてよいのではないかと思います。ただ、その措置は、従業員に何か人権侵害に及ぶような制約を加えるというのではなくて、もう少し軽微な、軽いものだとは思いますけれども、しかし、とにかく予防ができるための措置というものは早い方がいいというふうに考えております。
○井上哲士君 ありがとうございました。 次に、福井参考人にお聞きいたしますけれども、この行政と医療の連携の必要性ということを先ほど強調されました。先ほどの議論の中で、このストーカーと、そしてこの小児性暴力というのが重なる部分がかなりあるというお話がありました。 今年の四月号の「世界」にストーカー加害者治療は可能かという記事があって、その中で先生のインタビューが出されておりますが、これ見ますと、ストーカー規制法に基づく禁止命令を受けた加害者全員に対して、命令後も警察が定期的に連絡を取ったり精神的な治療に効果があることを伝えたりする対応を十都道府県警察において試行をするということが出ておりまして、そのことも先生お話しになっていますが。 これ、今後のやっぱり小児性被害にも関わってくることだと思うんですが、この試行的なものが、現状がどうなっていて、効果及び課題がどうなっているのか、特に子どもたちの性被害にも関わらせていく上でどういうことが必要か、お考え聞かせてください。
○参考人(福井裕輝君) そうですね、先ほどちょっとコメントをしようかなと思ったんですけど、先に言っておくと、医学上、ストーカーは性犯罪ではないんですね。病理も全く関係がない。性犯罪というのは基本的に性的欲求の充足を目的としているもので、ストーカーというのは相手に対する恨みの感情とかそういうものからの復讐とかというものが動機であるということで、扱いもまるで違うというのがありますね。 ただ、可能である。その子供を守るという意味で、もし子供に対するストーカー行為ということがあったとするんであれば、それはストーカー規制法なりなんなり、ほかのことで検挙されるということは当然あり得ると思うので、その場合は、先ほどおっしゃられたように、これは警察庁管轄で、警察庁はそのストーカー加害者が再犯に至らないように予防するというようなことをやっているので、そういうことを組み合わせて、例えばこういう法案の中に入れるということは意義があるのではないかなというように思います。
○井上哲士君 先ほどの中でも、そういう性的ないろんなことを持っていることに対応する医療従事者が非常に少ないというお話がありました。 先ほどのお話の中で、そもそもこの医療を、精神科を受診しても治療の対象ではありませんと門前払いをされるということで、そもそも受診者も少ないということもあると思うんですが、この「世界」の雑誌の中で、そもそもそういう人たちを扱う場合は、そういう加害者になり得る人が実際に加害をして被害者が出たという場合に、その言わば治療をしていた医者の責任も問われる場合があるということから、やはりもっと特殊なリスクを背負う部門としてのいろんな資格とか手当とか、そもそも医療の対象にするべきだとか、いろいろ課題があると思うんですけれども、やっぱり、実際のやっぱり医療の充実をしていく上でのその辺のお考えをお聞かせください。
○参考人(福井裕輝君) おっしゃるとおりで、今日もそういうようなジレンマみたいなことが出ていると思いますけれども、何か起きたときに、例えば通報の義務と患者の守秘義務のどっちを優先するのかというのは、決まった答えのようなものが用意されているわけではなくて、毎回毎回それ悩まなきゃいけないわけですね。 あと、実際上、事件化とかした場合には、言ってみると、警察、検察から過去のその診療録等を全部コピーして出せというような照会書のようなのが来て、それに対してもどうやって対応するのかと。我々の機関はそういうことが日常的にあるので、顧問弁護士がいて、その都度どういう対応をすればいいかということを相談しながらやっていますけれども、急に、今の一般の医療の者に全部それを対応しろと言われたら、到底できないと。その辺の、ちゃんと、おっしゃられたように、責任も来るというところの、医療従事者のそういうことを守れるような何か法的な裏付けとかそういうものも要るようになると思いますね。
○井上哲士君 ありがとうございます。 浅井参考人に性教育の問題でお聞きをしたいんですが、日本の性教育、そして生命の安全教育のお話もありました。私、本会議でこの生命の安全教育は性教育じゃないんですかとお聞きいたしますと、政府の答弁は、これは性犯罪の加害者や被害者、傍観者にならないことを目的とする安全教育であって、いわゆる性に関する指導とは目的を異にしておりますと、いわゆる性教育ではないんだという答弁でありました。 一方、先ほどありましたように、学習指導要領では性教育の歯止め規定があるわけですね。特に、先生が先ほどの陳述の中で、いわゆる体の権利教育、体の教育でしたかね、これが日本の場合にないということをおっしゃっていました。そのことがどういう問題なのかと、今のやっぱり性教育、日本の学校における性教育の問題、そして、この体、命の教育を発展させていく上でどういう課題があるかということをもう少し詳しくお願いしたいと思います。
○参考人(浅井春夫君) 生命の安全教育というのを、私は、文科省のところでも、内閣府の男女共同参画局にも行って、別件で、議論もしながら、お聞きをしました。命という定義はそもそも何ですかというふうに聞いたときに、もう両方の部署が、調べますけどと、こう慌てたんですけれども、答えられないんですよ。これは、立憲民主のところで文科省とのヒアリングで私も意見を述べなさいということで機会いただいて、そのときにもお聞きしたんですけれども、答えられないんですよ。命の定義もないのに、それ、生命の安全教育ってやるんですかということを聞いても答えられないと。これはもう大前提の問題、定義さえもないと。 やっぱり、大事なことは、やっぱり事実に即して何を学んでいくかということが今子供たちに必要な性教育、私は、やっぱり事実、現実、真実というこの三つの実を子供たちにちゃんと教えていくと、そのことをてこに伝えていくということを大事にしていくのが、今、性教育で問われている、包括的性教育で問われていることだと。 同時に、残念ながら日本の国は性教育という言葉さえ使うことを許さない、しなかった国なんだと。それをある人が考えて、生命の安全教育という形で、性教育の中身をやるんじゃない、今委員が言われたように、性教育の中身じゃないんですよ。率直に言うと、かなり命というキーワードを使うことによって道徳教育と重なる部分が、どうしても、全部だということじゃなくて、重なる部分もあると。 したがって、体というのはかなり事実に即した学び方が必要だと。例えば、体の名称自体も知らない子供たちが少なくないという現実があります。そして、自分の権利自体は体でやっぱり体得したり学んだりするということもありますし、自分の体の外だけじゃなくて、内臓も含めた内部の体ということを知ることによって自分の、自身のアイデンティティーの重要な部分を獲得していく。そういうものとして、私は、性教育は体の権利教育を一つ柱としてやっていく必要があるんではないかという問題提起をしております。
○井上哲士君 ありがとうございました。 学習指導要領でその歯止め規定を挙げている理由として、これも本会議では、児童生徒間で発達の段階の差異が大きいので、一律じゃなくて個々にやる必要があるんだというんですけど、実際に個々にもやられていないというのが実態だと思うんですね。 ですから、確かに児童生徒に発達の段階の差異があるのも事実だと思うんですが、そういうことを配慮した上でも、やる方法は幾らでも私はあると思うんですけれども、その辺、お考えがあったらお聞かせください。(発言する者あり)
○委員長(阿達雅志君) 浅井参考人、発言は指名の後でお願いをいたします。
○参考人(浅井春夫君) はい。 ありがとうございます。 例えば、算数だって英語だって、いろいろな理解はそれぞれ違うじゃないですか。じゃ、そのばらばらで個別指導なんてできないわけですよね。 そういう一つ取ってもそうなんですけれども、性教育というのはやっぱり、例えば一九五二年に文科省が中高生の性教育の在り方というような用語を使って方針を出しているんですよ。それはもう明らかに、もう私たちが言う性教育というよりも、寝た子を起こすなというその観点で、抑制的な、性のことを、いろんなことを科学的にちゃんと教えたらいろいろな問題起こすじゃないかと、そういうことなんですよ。そして、個別的に、必要な子については個別指導すればいいじゃないかと、こういう通知が出ているんですね。これ、一貫してそのままなんですよ、残念ながら。 個別指導をするといったって、誰を、例えば、言葉は悪いけど、例えばこの子をとかピックアップするのを、何かそれほど子供の性行動、性意識を教員が把握しているかというと、そうはならないと。そうであるとすれば、やっぱり全体の一斉的な共同の学習をすることによって、まだ不十分だなという、やり取りの中で、思われる子供について個別指導を必要であればすべきだというふうに思います。 そもそも最初から、性教育というのは個別指導でやるべきだというのは全く事実、現実と違う対応の仕方なんだということを言わざるを得ないと思います。
○井上哲士君 ありがとうございました。 イギリスのこの包括的性教育についても御紹介いただいていますけれども、具体的に、学校の中でどういう形で、どういう内容で行われているのか、御紹介いただきたいと思います。
○参考人(浅井春夫君) これは、二〇〇〇年の、数年前なんですけども、この方針が出まして、人間の教育、人間関係と性の教育及び健康教育というのが、これが出されました。これは法的拘束力を持つ方針だということでございます。 これ、大臣による、日本でいう文科省の大臣、教育省の大臣です、今名前が教育省に変わりました、その方がその方針の序文に書いていることは、こういうことを言っているんですよ。今日の子供と若者は複雑性が増す世界に生きていると、オンラインとオフラインの境界がなくなった世界だと、刺激的ではあるが課題や危険もあると、このような環境の中で安全で健康でいる方法、学業生活、個人生活、社会生活を前向きに生きる方法を彼らは知らなければならないと、それを公費で運営している学校できちんと教えるというのがこの方針ですと。これも、そういう意味でいうと、義務化、必修化をしているということを進めています。 その中には、このDBSとも関係あるんですけども、柱の一つは、教育における子供の安全確保と、安全保持ということが方針の中に出ています。そういう具体的な柱を通して、そのDBSに必要な、子供たちにも、被害を受けることに対してできるだけ防御できる、そういう力というものをどう付けていくかと。あるいは、ジェンダーというものが、いかに暴力を容認することに近づいていくそのてこになっているかということを学んでいく。そういうことを、小学校のレベル、中等教育のレベルでもこれを必修あるいは義務化という形にしているということを、これはセットになっていると。あくまでも、教育とそういう法的な措置をセットにしてイギリスは進めているということは私たちは学ぶ必要はあるのではないかと。 少なくとも、もう、性教育ということに対して歯止め規定などというのは本当もう撤廃してください。もうこんなことで現場が性教育をやりにくくなっていることに対して、やっぱり本当に私は問題だというふうに思っております。
○井上哲士君 ありがとうございました。 最後に宮島参考人にお聞きいたしますが、先ほどの意見陳述の中で、子どもにとってこの被害を開示することは極めて難しいことだというお話がありました。 実際、学校などでいいますと、結構、先生に授業中に体を触られるとかいろんなことがありますが、結局学校に言ってもなかなか取り合ってもらえないということがあって、かなりハードルが高いと思うんですが、具体的にその子どもにとってこの性被害を開示する上でどういう仕組みであるとかどういう配慮を強めることが必要か、お考えをお聞かせください。
○参考人(宮島清君) ありがとうございます。 まず、年齢に合わせた対応が必要だと申し上げたいと思います。 幼児さん、乳幼児、まず、乳児は自分では語れませんから、そういう泣き声か、あるいは、実際、これはどちらかというと家庭の虐待ですけれども、性器の異常よりは感染症とか、実際の事例でも、小学校の高学年の事例でしたけれども、被害を受けていて、性器の挿入まであったんですが、その子をその受診病院に連れていったところ、幼児のときにそういった受診歴があったと。そこと合わせてこれは虐待があったということを判断すべきだと。また、その子は陰毛が生えていなかった年齢なんですが、性器の中に大人の陰毛があったと。これは、その前の日に被害を受けたということを子供が開示した結果にそういう動きができたんですけれども、でも、その子がその被害を打ち明けられたのは、自分が受けている被害がこういうものかということが分かった後、二年たっていたと言っていました。担任の先生が男性、男性、女性になって、それで女性の担任の先生になって、あと保健の先生にも話せて、その連携の中でその子は被害を訴えることができたと。それで、これは刑事事件として児童相談所から告発しまして、そして実刑判決が出ました。そういうことができますね。まあ年齢、その子は、遭って、ずっと長い間遭っていたわけですけれども、発見とかは十年以上掛かっているということですね。 あと、小学校の低学年とやっぱり高学年は違うというふうに思いますし、今度、中高生になれば中高生で、LINE相談とか、例えば今度、七月から性被害のLINE相談始めますよと神奈川県の方で告知しているネット記事読みましたけど、やはり、あなたの連絡はこのように扱われますよというようなこと、基本的には絶対にほかに話さないけれども、あなたの命を守るためには、こういうときにはこういう行動を取りますとか、あるいは、本当に対策を進めていく上で、あなたからお聞きした内容をそのまま、あなたが特定されるようなことはないけれども、でも、対策を取る上で統計とかそういうものはちゃんと、あるいは事例についても特定されないように加工した上で使うことがありますというようなことをちゃんと書いて案内していますね。ああ、こういうふうにやっぱり考えながら、ネットの相談ということを促すのであればそうしなきゃいけないんだなというふうに、昨日かおととい見たんですけど、ありました。でも、それはやはり小学校低学年の子には無理であると。やっぱりそれぞれの年齢に沿った形で対応しなければならない。 また、そこの子供が所属している、そこで被害を受けるということであれば、そこの事業所に合ったやり方等をやっぱり考えなきゃならないと。 ガイドラインが必要だという議論がずっとされていますけれども、余り細かいものにしたらかえって私は難しいことも起こりかねないなというふうに、今のような多様性がある、非常に個別具体的に対応しなきゃならないものを、どうそのガイドラインを作っていくのか。児童虐待のことでいえば、法令、法律を見て、そして政令を見て、しかもその後の通知を見なきゃいけない。でも、ガイドラインが、これはガイドラインではなくてマニュアルのようになっていると。それに縛られて形式的な対応が広がると。 やはり、適切な対応というのは、法令を大事にすることは当然ですけど、理論に沿って対応するとか、職業倫理とか、その倫理要綱なんかをきちんと持った支援者を育てていく、支援団体をつくっていく、そういう総合的なものが必要だと思いますので、そういう中での知見を集めて対応すべきだというふうに考えます。
○井上哲士君 ありがとうございました、どうも。
○大島九州男君 れいわ新選組、大島九州男です。 今日はありがとうございます、参考人の皆さん。 まず、内田参考人にお伺いしますが、そもそもこの検討会でいろいろ議論されているときに、じゃ、そういう加害者をもう排除するんだという部分で議論されていたんではないのかと。だから、それは何でそう感じたかというと、フローで、事業者が申請して、こういう人はどうですかと照会したときに、この人はそういった犯歴がありますよと、その犯歴がありますよとその人にお伝えして、あなたねと、辞退しなければそれを事業者に言いますよというような、そういうフローになっていると。いや、それって半分何か脅しのようなあれを受けたわけですよ、脅迫のようにね。 だから、そういうフローで設計しているということは、もうそもそもそういう人は、もうあんたね、とんでもない、あんたみたいな人がね、そんな事業者のところに行こうとすることは駄目なんだぞというふうに言われているように受け取るんじゃないかと思ったんですけど、そこら辺はどうなんですか。
○参考人(内田貴君) まず、有識者会議で加害者を排除するような流れで議論をしていたかというと、これは全くそうではございませんで、加害者あるいは加害者と疑われる人の権利をきちんと守らなければいけないということはもうベースとしてしっかりとあったと思います。 その上で、情報提供のフローが、まず本人に通知をすると、前科がありますよと、それを通知しますよということを本人にまず知らせるというのは脅しではないかという御指摘で、確かにそういうふうに言われると、そういうふうに受け取られるかもしれないなと思いました。 ただ、これは欠格事由ではありませんので、欠格事由ですと、あなたは前科があるのでこれはもう申請しても駄目ですよと、就職無理ですよという通知に等しくなりますね。そうすると、まさに、その本人にも内定辞退しろと言っているような通知になると思いますが、私の理解では、これは欠格事由ではなくて、遠い過去に前科があったとしても、その後きちんと更生して社会復帰をして、何の罪も犯さずに立派に仕事をしているという人についてはやっぱりチャンスは与えられるということを前提とした制度だというふうに理解をしています。 そういう人について、あなた前科あるので通知しますよということを知らされたら、その人は、どうぞやってくださいと、面接できちんとそれは話をしますといって面接を受けて、自分はこういう人間であるということを話して、採用する側も納得をしていると、この人なら大丈夫だといって採用すると、それを認めようというのが今回の制度であると私は理解しています。
○大島九州男君 今のような御説明を私は文科省からは受けなかった。だから、あなたね、それってまさしく排除でしょうと。だから結局、受ける人間、説明する人間によって違うんですよ。 だから、私が言いたいのは、フローの中に、なぜ、じゃ、その加害者が事業者に、面接時に、いや、私は実はこういう犯歴があるんですと、だけど自分はそういう仕事に就きたいというようなフローがあってしかるべきだろうと。当然、事業者はそれを受けた中でそれを分かったよと、じゃ、あなたを監視しながら、そしてそれを見守りながら、更生する、そういった部分に自分も協力しようという、そういう事業者必ずいると思うんですね。だから、そういったフローが両方示されれば分かりますけど、今言うように内定辞退しなかったら通知するからねというような、それは余りにもちょっと配慮が欠けているなというふうな認識なんです。 福井参考人にちょっとお伺いしたいのは、そうやって自分の意識、罪を認めて、そこでひとつ事業者にその部分を言って面接しようとするという患者、患者というかそういった加害者は、ある意味、更生の可能性は非常に高いと思うんですが、どうでしょうか。
○参考人(福井裕輝君) 今の御質問に端的に答えるならば、更生の可能性は高いというふうには思いますね。本人のそういうこともきちっと認めつつやっていこうという考え方なので、恐らく通常以上に考えながら行動するだろうと思います。 ただ、実際上は、小児性愛の加害者というのは、メディアで報道されたり、なかなか就職もできないとかいろんな問題を抱えていて、そのように受け入れるような事業者がいるとは余り想像できないですね。なので、欠格事由ではないといっても実質上排除になる、そういうものじゃないかなというふうに思っています。
○大島九州男君 特に学習塾なんかは、小規模でやっていて、地域の保護司さんみたいな役割を持っているような先生方もいらっしゃるんですよ。多分、だからそういうところに出会えれば、本当に小規模なので目も行き届くので、まさに今回の法案では規模に関係なくということを言っていますから、特にそういったところに認定を受けてもらうような、先ほど内田参考人の方からもありました、小さいところが、そういう団体だとか、言うなれば協同組合だとかそういった部分のところに組織して、そういった体制を取ることによって、そういう加害者とかを救う道になる法案なんだみたいな、そういうふうに発信をすることが僕は非常に必要だというふうに思っていて、ここは先ほど、内田参考人、まだ何か言い足りなさそうだったので、そこも含めてちょっとどうぞ。
○参考人(内田貴君) 別に言い足りないということではございませんが、メッセージの伝え方、これはなかなか大事だと思います。前科のある人間を排除するための制度であるというメッセージは、やっぱり誤ったメッセージだと思います。 ただ、前科のある人の中にはやはりもう一度罪を犯してしまう人がいて、実際にそれが起きてしまうと、なぜ前科があると分かっていながら採用したんだというふうに後から批判されますので、どうしても防御的にといいますか、できるだけ採用しない方向で動いてしまうということはあると思います。 しかし、二十年という長い期間、過去遡って前科を調べますので、古い前科のある人の中には立派に更生している人もいて、そういう人たちを差別する趣旨ではないというメッセージもやはり出す必要はあるんだろうと思います。
○大島九州男君 宮島参考人、今の議論の中で、やはり受け取る側が、やっぱり排除されるんじゃないという、更生の道が開かれているという、あえてそういう受取をするような法案の、何というんですか、発信の仕方というのは、検討会では議論あったんですか。
○参考人(宮島清君) ありがとうございます。 今日のこの審議でもそうだと思いますが、子供を守るということと、あと、その加害を防ぐという名目の下に排除が進んだりその方の人権が踏みにじられるようなことがないようにすると、この異なった二つの留意点をどう両立させるかというそういう観点は、ずっと検討会を通じて一貫してあったというふうに思います。 あと、法体系もきちんと理解した上でやらなければならない非常に高度な議論だったので、その部分について私は付いていけない部分もありましたけれども、一生懸命聞きました。でも、やはりそこがいいかげんといいますか詰めが甘いと、おかしなことが起きると。 どちらかというと、その悪い人間をどんどん見付けて排除しろということは一切なかったという検討会だったというふうに思います。 ただ、もちろん、被害を受けた方が御自分の痛みとそして苦しみと怒りを正直に話す中で、それがむしろ排除とか罰ということの強化を求めるような雰囲気を帯びるというのはこれ当然のことであって、それを我慢しろというような、そういったことはあり得ない。その方も含めて自由に発言していただいて、ただ、その方のまた名誉とかいろんなことを影響した上で、一旦はクローズドの形での委員会でしたけど、終わってから議事録をちゃんと逐語で出していいかどうかということを内田先生の方で確認して終わると。 ですから、全ての議論が逐語になっておりますので、そういうものではなかったということははっきり申し上げられるかなというふうに思います。 ただ、もうちょっと……(発言する者あり)
○大島九州男君 いや、今、福井参考人がちょっと手を挙げられたので、後で質問しますが。 いや、おっしゃることは当然分かるんで、子供を守るというのは大前提ですよ、間違いなく。だから、それはもう今の形で努力され、しかし、私はいつも言うんですけど、例えば同じ事業者、事業の中で、総務部門に配置したからといって、配置転換をしてそれで済むかというと、私は余り効果ないと思う。 だから、ちょっとそこは福井参考人にお聞きします。今言うように、同じ事業者の中で、総務部門で子供に触れないから、じゃ、そこに転換したからといって、僕はそんな効果はほとんどないんじゃないかと思っているんですが、それも含めて何か発言されたいことをどうぞ。
○参考人(福井裕輝君) 配置変換については、先ほど二十年がどうとかというそういう話、そこまでやるとリスクもないのでということでしたけれども、私のイメージしている配置変換というのは、もう十分リスクのあるものですよね。一時的にそういうところから離れてもらって、依存という話をしましたけれども、やっぱりそういうターゲットと共にいると、簡単に言うと、その快楽中枢というのが脳でいうとあって、そこが収まらないんですね。なので、そういう欲求も止めることが自分でもできない。それは、治療的な意味という意味での配置転換で、それで収まったらきちっと戻してあげるというような将来の設計図を描いた上で進めていくということだと思っています。 社会復帰などのそういう別の要素を持ったらいいんではないかと。今のことも含めて、その治療の、教員としての復帰の可能性ももちろんですけれども、職業訓練というふうに言っているのは、子供と接触しないようなスキルを身に付けてもらうことで、そこに就職してもらうようなシステムというのは海外でもやっていて、そういうような、単に教員にならないようにといっても、例えば教員の勉強しかしてこなかったらスキルもないので、働く場所もないですよね。 だから、そういうことを国がきっちりサポートすればいいんじゃないかということが私の社会復帰支援なんですけれども、そういうようなことは実は条例上は過去にも行われていて、私も二つ委員で関わったんですけれども、大阪府と福岡県で行われたもので、届出制をさせると。届出、性犯罪の既往のあるような者を届出させて、そこに社会復帰を一緒にすると。 社会復帰支援のための届出制というような表向きすごい体のいいことを出しても、結果的に社会復帰支援は全然行われないで終わってしまうというようなことが、むしろ隠れみのになっているということが私のこれまでの経験で、なので、今回はもう完全に隔離というような政策だと思うんですけれども、それがどうなのかということを一度やってみて、本当にそれこそ再検討してほしいなというふうに思います。
○大島九州男君 こう言うとあれですけど、そういう犯罪を犯そうとするというか、そういった人間が本当に心を入れ替えるという部分でいうと、別に子供に関わる仕事じゃなくても、町で歩いている子供を今言うように公園に連れていったりとかいうようなことも往々にしてあるわけですよ。 だけど、今回のこの制度を利用して、自分が独自で心を入れ替えて頑張りたいんだと、だから、あえてこの制度を利用してそういうところに飛び込んでいく、そして自分も更生したい、そして周りの人にそれを監視してもらいながら守ってもらいたいという、そういう部分もあると思うんですよ。だから、僕は、せっかくこうやってつくるんだから、もうあえて自分は隠してそういったところで悪さをするような人間よりはよっぽど、そこに自ら申告して飛び込んでいく人は救える可能性が高いと、そういう認識なんですね。 だから、これは是非、今後いろんな見直しで議論があるでしょうから、そういったところは皆さんの意見、また、これ文科省が運用をつくるんでしょうから、そこら辺にしっかりとそういった部分の何かエキスを入れてもらいたいと。 浅井参考人にお伺いしたいんですけど、そういう認定したりするのに、先ほどお話がありましたけど、体制整わないんじゃないのと。で、私、これ、申し訳ないけど、結局どこかの外部に委託するようになったり、そして、それで認定料を取ったりとかして、一つの機関で金にしながらそこで仕事をしていくようなところに結び付けるようなやからが出てくるんですよ。だから、私はそこら辺をどういうふうに予防をしていったらいいのかなとか思うんですけど、何か御意見ありますか。
○参考人(浅井春夫君) 今委員が指摘された可能性というのは、私はこれまでの国の政策至上主義というような流れから見れば当然そういうことも可能性大きいんじゃないかというふうに危惧はしています。 で、言われたように、職場でのそういう、どこかに異動したとしても、外に行けばフリーになるわけで、それを本当に、委員が言われるように、心からこれはもう再発しないように努力しようとか、周りでそれを援助する人たちがいるとかという仕組みを地域の中でつくらないと恐らく難しい要素があるんではないかと。 その際に、一番、この分野だけではなくて、困っている人が一番困る状況は外から見ていて何かというと、困っているということを相談できる場所がないんです。信頼できる相談するところがないんです。そこを、専門家の人たち、先ほど言われたように専門家も本当に数えるほどしかいないという中で、やっぱり専門家の養成をするということも含めて取り組んで、総合的に取り組んでいかないと恐らくなかなか難しいと。 社会復帰というのは、一つの就労支援も含めた制度をつくることというのはある程度枠組みはできますけども、本気でこの中で仕事をやりながら、支援を受けながら自分を変えていこうと、自己変革しようという仕組みはどういうものが必要なのかということを日本版DBSの中で本当に検討しないといけないんではないかなというふうに思っております。
○大島九州男君 いや、今ふと思ったんですけど、そういうその認定する機構に窓口で雇うのは、そういう加害者で更生しようとする人を雇ってあげたら、非常に何か今相談しやすかったり、また、その社会復帰をさせるという一つのまた道にもなったりするのか。 だから、せっかくこういうその制度とか法案をつくっていって、今言うように形だけそういうことをやりましたというか、要は結果なんですよ、中身、本当に子供が救われるような、そういう悲惨な事件が起こらないようになる。そして、やはり人間ですから、どこかで過ちを犯した、でも、その過ちを犯した人がやはり更生できるような、そういう法案なんだというふうにしてもらうと、やっぱり救われる人が、子供も救われる、そういった加害者も救われる。やっぱりそういう議論をやはりしてもらいたいし、結局、どうしても枠組みとか制度の形だけ、だからもう仏作って魂はいいよと、もうだんだん薄れていくんですよ、その。 だから、まずは魂からやっぱり形をつくっていくべきだというのが私の考え方なので、是非、これからいろんな見直ししたりとか運用をするというときに、その子供の立場、そしてまた加害者の人権、そういったもの、そしてまた保護者の思い、いろんなものをやっぱりぐっと凝縮した、そこから派生する制度というふうな形で運用を今後もしていきたい、いただきたいということを要望して、終わります。
○委員長(阿達雅志君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の皆様に一言お礼を申し上げます。 参考人の皆様には、長時間わたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十五分散会