P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
213回国会参議院2024/06/11

総務委員会 第18号

発言数
103
登壇者
13
会派数
8
開催日
2024/06/11

会議録

新妻秀規公明党

○委員長(新妻秀規君) ただいまから総務委員会を開会いたします。  地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、東京大学先端科学技術研究センター教授牧原出さん、早稲田大学政治経済学術院教授小原隆治さん、一般社団法人コード・フォー・ジャパン・滋賀県日野町政策参与東健二郎さん及び龍谷大学法学部教授本多滝夫さんでございます。  この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、牧原参考人、小原参考人、東参考人、本多参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず牧原参考人からお願いをいたします。牧原参考人。

牧原出東京大学先端科学技術研究センター教授

○参考人(牧原出君) 牧原と申します。行政学を専攻しており、総務省の自治体戦略二〇四〇構想研究会の座長代理を務めた後、その報告書を受けた第三十二次、三十三次地方制度調査会の委員を務めました。  そうした経験から、本日は、とりわけ第三十三次地方制度調査会の一委員としての関わりの中で個人的な見解を申し述べることにさせていただきたいと思います。  また、この参議院では、二月二十六日の行政監視委員会で地方自治法改正について意見を申し上げました。法律案が国会に提出される前ではありましたが、大変有意義な質疑の時間であったと考えており、本日そこに出席された方もいらっしゃるとは思いますが、繰り返しを恐れずに私なりの見解を申し上げさせていただきます。  まず、最初に申し上げたいことがあります。非平時の問題を議論するに当たりまして、私にとっては、東日本大震災の被災地の大学でごく小さな部局の責任ある地位にいたときの経験が痛烈でした。三月に被災し、四月に新年度が始まるはずの中、私たちは卒業生を会うことなく送り出し、在校生の新年度の受講について手当てをし、さらには入学予定の新入生たちが安心して新年度を迎えられるようにしようとしましたが、それらはかなりの努力を要するものでした。  そして、津波に襲われた地区ほどは深刻ではないはずのその状況で目にしたのは、様々な場で平時では考えられないような驚くほど異様な言動や行動を取る人が多かったことでした。甚大な被災が間近にあり、目前には日常の業務に復帰するには数多くの課題がある中で、様々なやり取り、様々な場での振る舞いでも、平時にはあり得ない出来事に幾つも遭遇しました。それらの多くは合理的な話が通じない性質のものであり、それぞれなりに大変な重みを抱えているのだろうと推察はしましたが、残念ながら復旧復興を遅らせるものと言わざるを得ないものばかりだったと私は当時考えておりました。  長い時間を掛けてそれらを何とか乗り越え、最終的には平時の運営に戻っていきました。つまり、平時の普通が非平時では普通ではなくなるわけです。とりわけ問題発生時、どのように収束するかが全く見通せない中では、後から振り返ると忘れてしまうような多大な不安感が至る所に漂っています。これは新型コロナでも初期段階ではやはりそうだったのではないでしょうか。  つまり、非平時においては、多大な不安感に包まれた国も地方もどのような対応をするかは分からないと私は考えております。国が混乱をすることもあれば地方も混乱をすることがあるという認識を私は取っております。もちろん、私の周囲だけ特別に異様な事態が見られただけかもしれないとあえて申し添えます。  しかし、東日本大震災にせよ、新型コロナにせよ、あれほど多くの被害があったにもかかわらず、最悪の事態を免れる局面が至る所にあったと私は感じております。将来において、あの経験では済まない、より苛烈な状況が起こることは十分想定すべきです。そこでは、あのときに可能だったことが可能ではないことになります。しかも、私たちにとり、これらは全く想定外の巨大な災厄でしたが、それが十年の間に二度も繰り返されています。となれば、想定外の状況に対処するための手だては必要ではないでしょうか。新型コロナがかなりの落ち着きを見せた今こそそこに踏み込むことが重要であり、もう終わったのだから全く平時の発想でよいとするのは、結局はあの経験を生かしていないことになるのではないかと考えております。  今回の地方自治法改正案における補充的な指示権の立法は、やはり今対応しておかないと、将来、あのときに対応しておくべきだったと後悔するような、あるいは、なぜ対応しなかったか検証の対象になるようなものではないかと私は考えております。  さて、本来的に地方制度は、今日も明日も穏やかな平時の日常生活の中で安定的に運用される性質のものです。しかし、歴史を遡れば、太平洋戦争末期に導入された地方制度である地方総監府は、本土決戦に際して、国と連絡が取れなくなった場合に各地方ごとで意思決定を取る仕組みでした。極端な非平時では国との連絡すら途絶するわけですから、国の指示権は行使されることはありません。他方で、さほど深刻ではない災厄に際しては、指示権を行使するまでもなく対応は可能であると思われます。  したがいまして、今回想定されている非平時とは、ここで述べた二つの非平時の間のレベルのものであり、極端ではないがそれなりに深刻な非平時ということになるでしょう。そのような中間レベルの非平時においても冷静な対応が可能であれば、国と地方との間で連絡調整を行いつつ対応することは十分可能だと思われます。  しかし、混乱状況ともなり、合理的な判断をしにくくなるような事態であったとした場合が問題です。国も混乱しているでしょうが、現場が混乱している地方自治体において、それぞれ十二分の努力をしているのはもちろんでしょうが、極めて苦しい状況にあることは疑いがありません。その場合、国会や世論が何かもっと政府はすべきだという声を上げないとも限りません。であるとするならば、法律を超えた、法律に基づかない指示を国が地方に対して出そうとすることを私たちはあらかじめ想定すべきだと思われます。そうした雰囲気の中で指示を出したとすれば、その内容が過剰になることもあり得るでしょう。  今回のような立法がないからといって、国は指示をしないわけではないと私は考えております。であるならば、法律上の要件と手続を厳格に規定し、必要最小限の措置をとるという法規定を設けるべきではないかと私は考えております。合理性を欠いた雰囲気の下で、法律に根拠のない指示を出すことを実質上容認するよりは、法律に基づいて可能な範囲で限定的な指示権を行使した方が合理性を保てると考えるからです。日々の生活が安定した平時から見ますと、今回の地方自治法の規定の異様さが浮き出るように感じるかもしれませんが、先が全く見通せない非平時の異様さの中では、具体的な法規定こそが異様さを消し去り、冷静な判断を呼び込むように考えております。  今回の法規定を見ますと、国が都道府県、市町村に直接指示権を行使する場合だけではなく、都道府県に対して市町村への調整を指示する場合、都道府県から国に応援を要求する場合、また都道府県、市町村から国に職員派遣を要求する場合、それらと併せて国が都道府県、市町村に応援を指示する場合が規定されています。指示権の前段には、地方自治体からの意見表明を受けることが、努力義務ではありますが、規定されています。  これらの多様なメニューがあれば、実際に想定外の状況となった場合、国が指示を出すまでもなく、応援の要求が国に対して行われることが十分想定されます。国と地方がきめ細かくコミュニケーションを行おうとするプロセスの中に、国、地方のそれぞれが権限を新たに持つようになったとも考えられます。国の指示権は、地方自治体に対する強力な関与ですが、これに対して地方自治体の側が法律に基づいて国に強い申入れをする道も開かれているわけです。  地方からの要求と国の指示とが重畳しています。その意味で、指示権とは、地方自治体と国との密接なコミュニケーションとの間で、冗長性、リダンダンシーの関係に立つと理論的には考えられます。相互に足らざるところを補完するものと言えるわけです。この点は、先般、行政監視委員会で参考人として出席した際にも申し上げたところです。  国の関与は強化されたが、地方自治体から国への逆の関与も強められています。今後、想定外の事態が起こったとき、国、都道府県、市町村がそうした権限の編み目を適切にたどりながら、住民の生命と安全を守ることができるようになっていると言えるように考えられます。  なお、今国会で修正があり、国会への事後報告を義務付けることは大変良かったわけで、地方制度調査会でも事後報告は当然必要だと議論もしておりました。また、検証も不可欠だということも強調されており、事後報告に併せて国会ないしは第三者機関での検証を期待したいところです。さらに、法律に沿った措置が起こったということであればこそ、二度とそのような形での一般的な指示権を同じ状況で行使しないよう、事後に個別法に落とし込んだ立法が必要であることも地制調の答申で指摘されています。  法律に規定されていればこそ、国会では具体的な議論が可能となります。事前の国会の承認までは規定していませんが、適宜国会で政府に対して指示権行使をする用意があるかどうかを尋ねることもできるわけですから、規定がない場合に比べて政府の姿勢を具体的に国会でただすことができます。国会の役割は極めて重要になることを申し述べさせていただきます。  このように、指示権のみならず、多様な規定が整備されて、想定外の事態において国と地方自治体とが密接なコミュニケーションを取ることができるようになると思われます。実際に指示権を行使するとしても、地方自治体がその指示に従うためには、事前に指示の細目を国と共有する必要があります。  相当な混乱状況が想定される中で、地方制度調査会では、こうしたコミュニケーションのために何が可能なのかを様々に聞き取りました。特に重要なのは、新型コロナのある時期から、総務省で、都道府県と政令指定都市に出向経験があり地元を熟知した職員を担当者に一つずつ割り振り、一対一の連絡体制をつくったことが有効であったという経験です。担当者はこの仕組みについて、地方公共団体の意思決定過程や現場で生じる課題について、話を聞けば、3D画像的にイメージを描いて共有できる経験、能力があったことが、政府内で伝言ゲームになりがちな現場状況を適切に伝え、現場に対しても必要な情報を出しやすくなったと振り返っています。それは確かだと思われます。  では、今後、想定外の状況でこうした一対一の連絡体制、あるいは3D画像的にイメージを共有できる国と地方の関係をどう構築するかはまだ検討以前の段階であろうと思われます。その意味では、非平時における指示権の行使を含めた国と地方との間の体制づくりは今後の課題です。しかし、想定外の事態はいつ生じるか分からないとすれば、状況は待ったなしですので、法律が成立した暁には、早急にそうした準備を進めていただきたいと切に希望しております。  また、こうしたコミュニケーションの体制構築は、地方自治法における一般的な指示権のみならず、個別法で既に規定された指示権を行使する事態が万一生じた場合、円滑かつ適切な指示を出すことを可能にするとも思われます。今回の法改正を契機に、現状より災厄への対応力を強めるであろうことがここでも期待できます。  地方自治法改正案によって、将来起こる可能性のある想定外の事態に対して国の地方に対する関与は確かに強められていますが、地方自治体が最終的には住民と接する以上、地方の側の自治行政の強化が不可欠です。住民参加が進むこともますます必要になるでしょう。国の権限の強化に加えて地方自治体がより強い自治を担うことで、想定外の事態に対応できる強靱な社会が形成されるのではないでしょうか。分権型社会であり、レジリエントな社会が構築されることこそがあるべき地方自治法の描く国と地方の関係でしょう。  最後になりますが、国の関与の強まりについて、地方制度調査会では相当慎重に議論したとはいえ、これを手放しで賛成すればよいものでは決してないと私は考えております。特に、政府を監視する国会の役割は、一般的指示権の法定化によりますます重要になります。そのため、警戒は怠りなくすることが理にかないます。これまで国会で様々な議論が行われたことは大変重要であり、国会両院の先生方に一委員として深く感謝の意を表して、締めくくりとさせていただきます。

新妻秀規公明党

○委員長(新妻秀規君) ありがとうございました。  次に、小原参考人にお願いいたします。小原参考人。

小原隆治早稲田大学政治経済学術院教授

○参考人(小原隆治君) 早稲田大学の小原でございます。おはようございます。  本日はお招きいただきまして、ありがとうございます。国権の最高機関である国会でこのような意見陳述の機会を与えていただいたことを大変光栄に存じております。  お手元に資料をお配りしております。それに沿いましてお話をさせていただきます。  今回のアウトラインは、始めにから終わりにまでお示ししているとおりでございます。  最初に、問題の限定ということでございますが、地方自治法改正は三本柱があると言われておりますけれども、その中でも特例的な関与、新設の第十四章の中で規定されております、つづめて申し上げますが、その重大事態におけるいわゆる補充的な指示、あるいは指示権の新設に関してその問題点を申し上げたいと思います。  最初に、一番、地方自治の本旨と書いてございます。  しばしば、一九九九年公布、翌二〇〇〇年施行の地方分権一括法にいろいろな方々が言及されておりますけれども、私はもっと遡りまして、一九四七年に憲法と同時に施行されました憲法第九十二条の地方自治の本旨について触れておきたいと思います。  言うまでもなく、地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定めるということであります。それは、英文表記で言いますと、ザ・プリンシプル・オブ・ローカルオートノミーということでございますが、この第九十二条に関しましては、いわゆるマッカーサー草案には元々なかったもので、日本のイニシアチブで作られたということがこれははっきりしております。中でも、中心人物は、元々戦前の内務官僚で、その後、法制官僚として法制局長官までお務めになった佐藤達夫さんでございます。言わば総務省、自治省の大先輩に当たる方でございますが、その方がこれは私が入れましたということをおっしゃっております。  その地方自治の本旨に関して、しばしば教科書では団体自治と住民自治から構成されるという具合に説明されるわけでございますけれども、しかし、佐藤達夫さんが元々のローカルオートノミーについてかくかくしかじかと理解し、そしてその入れ込んだ原義を考えてみますと、それは、国は自治体に対して不要不急、不当な介入をすべきではないということでございます。俗に言いますと、余計なおせっかいをしてはいけないと、ハンズオフということ、手を出してはいけない、手を出していたらその余計な手は引っ込めなさいと、手を引けというのがローカルオートノミーの原義でございます。教科書の言葉に倣って言いますと、団体自治と住民自治の中の団体自治に専ら軸足を置いた表現がローカルオートノミー、地方自治の本旨ということでございます。そして、それを受けて、地方自治法第一条は、この法律は地方自治の本旨に基づくのだということを理念を高らかにうたっております。  私が見るところ、新設第十四章の補充的な指示権は、言わば国が自治体に対して余計なおせっかいをする、その道を開くものだという認識をしております。地方自治法第一条でうたいながら、新十四章で地方自治の本旨を否定する、つまり地方自治法自体が地方自治法を自己否定しているということに当たるのではないか、そのような懸念を強く持つものでございます。  続いて、二番、災害法制に欠けるところはあるかというところに移ります。  今、憲法第九十二条のいわゆる地方自治の本旨条項について触れましたけれども、憲法の中で九十二条だけがそびえ立って唯一無二の原理というわけではもちろんなくて、様々な原理、プリンシプルズが置かれております。その中でも最も重要と言ってよろしいものが憲法第十三条、全て国民は個人として尊重される、生命、自由、幸福追求権は最大の尊重を必要とするというところでございます。  その生命、自由、幸福追求の第一番目にうたわれた生命の危機ということがある場合に分権、分権とばかりは言っていられない。その意味で私は決して分権原理主義というわけではなくて、様々な原理のバランスの中で分権を考えることが重要だというふうに思っております。  そこで、生命を守るための災害法制が一体どういう立て付けになっているかということを考えてみたいと思います。  そこで、お配りした資料には災害対策基本法から検疫法までの法律のメニューが並べられております。中には、武力攻撃事態対処法ですとか国民保護法ですとか、そうしたものも入れた方がよかったのかもしれませんが、地方制度調査会の議論というのは基本的にはコロナ感染拡大がする中でのその対応にいかなる問題がありやなしやということで進められましたので、そこで比較的そのコロナ対策に関連深いものを中心に並べております。中で、原子力災害対策特別措置法だけが少し異例なはまり方をしているように見えるかと思いますけれども、なぜそれを入れてあるかということはすぐ後に申し上げます。  さて、それで、こうした並び方があって、災害対策基本法が市町村中心、そして自治事務中心、さらに、検疫法はその一方の端で国の直営事務のみということであります。その中で様々なグラデーションがあって、その数直線の中にいろいろはまっているわけでございますが、今回のコロナ感染拡大に対する対応策の最も中心になったものの一つは、新型インフルエンザ特措法でございます。  では、その新型インフルエンザ特措法が国の関与が利かない、グリップが利かない、そういう仕組みになっていたかどうかということで眺めてみますと、これははっきりしておりますけれども、新型インフル特措法は、政府対策本部の設置ほか、国の直営事務が書かれているほかに、自治体が行う事務はほとんど全く法定事務で、法定受託事務でございます。法定受託事務というのは、自治事務と異なって、是正の指示、さらに、必要があれば、辺野古の埋立てではありませんけれども、代執行までできるという、非常に国のグリップが利く、強い関与が利く、そういう仕組みでございます。  僅かに自治事務として残されているものも、同法の第七十四条を御覧いただければ分かりますけれども、警察所管の事務でございますので、警察所管の事務というのはほとんどが自治事務であって、しかし警察は集権的な体制の中で動くようになっておりますから、まとめて言いますと、新型インフル特措法は相当に集権的なグリップが利く法律であったということであります。やろうと思えばいろんなことができたということであります。  では、災害対策基本法などのように自治事務中心、市町村第一主義の場合には国のグリップが利かないかというと、そういうわけでもないということで、そこで挙げたいのが原子力災害対策特別措置法の例でございます。  今から十三年前になりますけれども、東日本大震災のときに福島第一原発が事故を起こして、そして周辺の立地市町村で避難をしたということがございました。そのときに、同法に基づいて、原子力災害対策本部長、これは内閣総理大臣、時の菅直人さんでございますけれども、が避難指示を出したという形でございました。さあ、逃げなさいということでありますけれども、でも、実際は周辺立地市町村の住民に対して内閣総理大臣が避難せよという指示を出したわけではございません。内閣総理大臣が出した指示は、地元の市町村長に権限があるのが避難指示でございます、地元の市町村長が避難せよと言うのでございます。その避難指示を出すべしだという、そういう指示を出したということでございます。しかも、その指示というのは、多分法律によってグラデーションがあると思うのですが、強制力を伴っておりません。基本的にお願いベースのものでございます。つづめて言うと、内閣総理大臣が避難指示を出したらどうかというお願いをし、市町村長がそれを受けて避難指示を出して一斉に逃げたということでございます。  つまり、お願いベースであっても、当時の状況の中で避難をするということが合理的であり、それに従うことが説得的で、説得力があるから逃げたということであって、自治事務であっても科学的、合理的な説得力があれば十分従うというものでございます。  そこで、小括でございますが、今既存の災害法制が分権的な立て付けになっていて、それだから機能不全を起こしてコロナ対策がうまくいかなかったのだということではなくて、既に十分集権的な要素があったにもかかわらず、それを上手に使いこなすことができなかったので、なのでうまくいかなかったということであるのに、あたかも法制の立て付けが悪いからそこに問題があるのだというふうに問題を落とし込んでいっているのが今回の自治法改正の最大の問題点ではなかろうかという具合に思います。  三番目、政治のリーダーシップというところに移ります。  いや、そうはいっても、そうはいっても様々なことは起こり得るから、だから、どういうことがあってもいいように、一般法のレベルで、いざというときに備えて補充的な指示ということを用意しておいた方がどうかと、こういう議論はあるわけでありますけれども、それに対しては私は、政治のリーダーシップで、政治のリーダーシップというのは、選挙で洗礼を受けて、国会で内閣首班指名という更に洗礼を受けて、正統性を持った内閣総理大臣に最終的には集約されますが、それがリーダーシップを取って、いざというときには対応し、しかしそこに私権制限の要素がある場合には、追いかけて法令をきちんと整備していくということでよろしいのではないかという具合に私は思っております。それは政治のフリーハンドの問題、ここまではあるということではなかろうかと思います。  そこで、英国ロックダウンの例ということで、当時のボリス・ジョンソン首相のBBCで行った放送のその写真も付けて委員の皆様にお配りをしております。  実は、ボリス・ジョンソン首相は、最初、厳しい規制を置くことに関してかなり抑制的、弱腰、逃げ腰の姿勢であったわけですが、イギリスの中でインペリアル・カレッジ・ロンドンという最も医療、感染症関係では権威があると言われている大学の専門家研究チームが報告書を出しまして、三月十六日にレポートの第九号というのを出します。そこで、様々なシミュレーションを置いて、このままロックダウンせずに放置した場合にはイギリス国内で五十万程度の死亡者が出ると、こうしたことを科学的、合理的な根拠に基づいて、もちろん全て分かっているわけではありませんので、後々それが正しかった、完全に正しかったというわけではございませんが、その報告書が大きな機縁になって、ジョンソン首相、ジョンソン政権が動き出して、そして、二〇二〇年の三月二十三日二十時三十分からBBC放送で、私はそのときイギリスにおりましたので実際これを膝をそろえてテレビの前で緊張しながら聞いておりましたけれども、ここに書いてありますとおり、コロナウイルスは最悪の、最大の脅威であるから、そこでボリス・ジョンソン首相はステイホームだということを一生懸命国民に訴えました。首相自らがテレビを通じて国民に訴えるということをいたしました。そして、そのすぐ後を追って省令を整備したり、コロナバイラスアクトを整備して、追いかけて法令整備をしていくということでございました。  その特徴ということでございますが、改めてまとめますと、科学的、合理的で説得力ある知見に依拠して首相自らが説得に当たったということ。それから、国会内でレーバー、ほかの野党に対して一生懸命説得する。スコットランド、ウェールズ、北アイルランドのファーストミニスターに対して、日本とは別の形で非常に分権体制が進んでいる国でございますけれども、そのファーストミニスター、首相又は第一大臣に対して一生懸命説得して、コブラ会議というようなものを通じて、それで合意を取り付けて実施していったと、こういうことでございます。  我が国でも首相がリーダーシップを発揮した例がございました。それは、二〇二〇年二月二十七日の全国一斉休校要請でございます。私は、そこに何が、どういう問題があったかということでいえば、そこに法的根拠が欠けていたかということが問題であったのかというと、そうではなくて、ボリス・ジョンソンがやったときに示したような科学的、合理的な知見に基づく説得、さらに、国会内での合意の取付け、分権体制での合意の取付け、そういうことをしていたかどうか、そこが欠けていたところが問題だったのではなかろうかと、法的根拠がなかったことが最大の問題とは思えないということでございます。マスク配布も同種の問題かということを付け足して書いております。  最後でございます。  牧原先生も盛んに、十分御指摘になりました国会関与、それによる歯止めということでございます。  事前事後の国会の承認あるいは国会への報告によって歯止めを掛ける、補充的な指示が濫用されないように歯止めを掛ける、こうした議論は地方制度調査会の中でも、それから国会に審議が移って、衆議院でも、それから参議院の先生方の御審議でも続けられております。  なぜ国会の関与をそれほど認めないかということに関して松本総務大臣が主として説明しているのは、地方制度調査会では、機動性に欠ける、そうしたことをしていると緊急事態に対して機動性に欠いた対応しかできないので、国会の関与は要らなくて閣議決定でいいのだと、こういうような議論がされたわけでございます。  私は、学者というのは人から聞いたことをうのみにしないというのがたちでございますので、それで実際、地方制度調査会でそうした議論があったかということを確かめました。  今回の法改正につながる地方制度調査会の議論というのは二〇二三年に入ってから始まっておりますので、その一年分の議事録を全て点検いたしましたけれども、機動性に欠けるという言葉そのものが出てきたのは、第二十回専門小委員会、十月二十三日の二か所。二か所といいますか、山本委員長と田中行政課長が、機動性に欠けるという議論だったよね、はい、そうでしたねという、こういうやり取りですので、事実上は一か所でございます。つまり、公式記録上は、機動性に欠けるから、だから国会の関与はそれほど要らないのだと、そういう議論はなかったということでございます。  今回の法改正は、国と自治体の関係だけにとどまらず、国会とそれから官邸との関係、政治と官邸との政官関係、国会主権をどう担保するかと、先ほど申し上げました、冒頭申し上げました、国権の最高機関である国会、ソブリンティー・オブ・パーラメント、国会主権をどう担保するのかということが鋭く問われている問題でございます。  私は、事後報告にとどめず、事前の承認まで含めて、もう少し深い、先生方、国会の関与が必要だということを申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。

新妻秀規公明党

○委員長(新妻秀規君) ありがとうございました。  次に、東参考人にお願いします。東参考人。

東健二郎一般社団法人コード・フォー・ジャパン/滋賀県日野町政策参与

○参考人(東健二郎君) 本日は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。一般社団法人コード・フォー・ジャパンの東と申します。  資料、お手元に配付いただきまして、ちょっと大部でございますが、順を追って御説明させていただきますけれども、コード・フォー・ジャパンは、東日本大震災の際の活動を契機としまして、二〇一三年に設立されました非営利型の一般社団法人であります。いわゆるシビックテック、市民を始め多様な主体が連携し、テクノロジーを活用して地域課題解決を行う活動をしております。その際、行政は重要なプレーヤーでありまして、その機能強化あるいは職員の能力向上としてのDXの推進や住民参加型のデジタルプラットフォームの活用を進めているものです。  また、もう一つ、滋賀県日野町で政策参与を務めさせていただいております。日野町は、人口二万人、職員の数は二百三十人ほどの小さな団体でありまして、古くは戦国武将蒲生氏郷の生まれた町ですとか、あるいは近江商人の一つであります近江日野商人の町としても知られておりますが、また、司馬遼太郎の「街道をゆく」においてもその町並みが記されているところであります。その日野町におきまして、二〇二一年度より地方公務員法における参与として、自治体DXへの対応と業務効率の改善を図ることを職務としております。  以上のような経歴から、本日お話しいたしますのは、大小様々な自治体の現場の実情や自治体DXと呼ばれる言葉が捉えるべき事柄にも言及しながら、今般の地方自治法の改正を契機として議論が更に進むことを期待いたしまして、課題や可能性について私個人の立場として意見を述べさせていただきます。  時間も限られておりますので、資料、お手数ですが、一番最後に意見のまとめを書いておりますので、一番最後、十七ページをお開きいただけますでしょうか。  一番最後に意見陳述のまとめとして二つありますけれども、一つ目は、自治体DXをどのようなものとして考えるという観点であります。  それは、私なりに考えますと、我が国が目指すデジタル社会の実現、発展を持続的に可能にするための仕組み、これはアーキテクチャーと言いますが、そういうふうに言えるかと思います。すなわち、それは地方分権改革で目指してきました自治体の自律性の確保、より言えば、そうした自律性を強めた領域における意思決定メカニズムに着目するというものであります。こうした意味から、今般の改正案は重要な意味を持つものであります。  まず、それは、第十一章を新設しまして、情報システムの有効利用、あるいは自治体間や国と協力した最適化、あるいはセキュリティーの確保が地方自治において重要な要素であるということを明示したことであります。  情報システムは、これまでから自治体において活用されてきており、行政サービスの大量処理や、あるいは高度化の要請に応じて順次整備されてきたものでありますが、したがいまして、役所の仕事の多くは様々な情報システムが規定しているものであります。その意味では、第二百四十四条の五第一項は、確認的な規定であることも確かでありますけれども、住民サービスの向上や行政組織の業務効率あるいは職員の負担軽減など、これらを含めた最適化といった、住民、行政組織双方の意味で重要な役割を持つ情報システムと、同条第二項に規定する、それを本来あるべき機能にあらしめるところのセキュリティーの確保が、実体としても自治体の根幹の一つであることを示していると言えると思います。  そして、その第二項のサイバーセキュリティーの確保、あるいは個人情報の保護といった必要な措置の義務付けがされております。  前項で政府部門がネットワーク上で相互接続され、今後もそれが進展することから、どこかに脆弱な状態をつくらないという意味で当然の措置でありますが、こうした措置は、自治体がそうした自ら主体的にセキュリティーのレベルを選び取ること、すなわち、自治体の根幹である要素は自ら決めるということが自律的な存在であります自治体に求められることであるということを明確にしたものであるということも理解できます。そして、情報システムの最適化、セキュリティーの確保といった取組に対する支援は、国の配慮責任として考えられるものであります。この配慮責任については後ほど少し触れたいと思います。  二つ目は、次に、国と地方の役割分担に関することであります。  この地方分権改革の取組は、いわゆる平成デモクラシーと呼ばれる統治機構改革と相まって整備されてきたものでありまして、そこに言葉として自治体DXが合流しているのが現在地であると理解しております。その中で、地方自治法でありますとか、その他個別法の在り方も含めた全体としての秩序がつくられてきているものだと思います。この点で、補充的な指示についても、国と地方の役割分担として、まず法によって地域における事務を自治体がつかさどり、国の関与と争訟の仕組み、言わば正反合で統合されてきたものの中で極めて例外的な事象での関与を認めるものとして理解しているものです。  その上で、今般出されております修正案については、国会での平時の議論を含めたこうした法の運用をこれまで以上に蓄積しなければならないという意味として、修正案により国会への報告の定めが入ったことも大きなことだと思っております。  もう一つの観点は、これまでの審議の中でも幾多に登場しておりますコミュニケーションに関することであります。なぜそれが重要なのかと考えた際に、地方自治法の具現化を成す主体として地域コミュニティーですとか、ここでは政府という言い方しますが、地方政府、中央政府、それぞれがどのようなコミュニケーションをするかという観点になろうかと思っております。  先ほどの情報システムについても、あるいは関与の局面についてもそうですが、多機関が連携する局面を整序するものでありまして、調整と同時に相互理解がその根幹にあると思います。また、住民の暮らしを支える地域コミュニティーの維持、地域課題の解決には多様な主体が連携することにも多機関連携が既に数多く見られているところであります。  ただし、これらを一挙に解決するような銀の弾丸はありません。調整と相互理解を粘り強く続けることそのものが重要であり、具体的には人や、あるいは機能としてのコーディネーターの振る舞いが重要であると考えます。今回の改正案、修正案においてそうしたコーディネーターを中心に考えてみたときに、これまでの諸制度との連携も含めて、これをうまく乗りこなす知恵といったようなものが各主体に求められるんではないかというふうに考えるものであります。  そうした観点で、とりわけ第二百六十条の四十九第二項に規定されております市町村長による指定をどう見るかというのは一つ問題になるかと思います。  指定地域共同活動団体が地域において重要な役割を果たすことを想定しているものでありますが、そもそも地域コミュニティーの活動や組織は多様であり、それを一律に捉え平準化につながるであるとか、指定をトリガーとして地域における各主体間の関係性が変化することへの懸念があると思います。これらについては、規定としては市町村長が指定するものになりますけれども、その指定には、そもそも地域コミュニティーへのリスペクトと言われるようなものが必要だと考えるものになります。  以上がまとめでありますが、資料を前にお手数ですが戻っていただきまして、四ページにお戻りください。  冒頭から申し上げましたデジタルトランスフォーメーションのポイントとして、よくデジタルツールを入れることに着目する議論がどうしても多いんですが、私が考えますのはそうではなく、いかに行政サービスを構築するかその手法をアップデートすること、資料右側ありますが、そして同時に重要なこととして、組織の在り方の変革、この両面から成るということを指摘したいと思います。  次のページになります。  そうしたときに、組織の在り方ということで考えた際に、これまでの地方分権改革とのつながりが見えてくるわけであります。これを、改革の方針が具体的な制度変革につながっていくプロセスという意味で、今後、土着化というふうに表現いたしますが、地方分権改革を始めとするいわゆる平成デモクラシーの文脈で、集権化と分権化のベクトルが相まっての土着化の過程で不整合が生じ、今般の役割分担の再調整が求められているというふうに理解しています。  また、右側ですが、自治体DXという言葉が生まれてきた文脈も、地方分権改革以降進められてきました自律性を強めた自治体における意思決定メカニズム、これが現在自治体DXで言われている標準化でありますとかデータ連携等、本来は地方分権改革が言われてきた従前から取り組むべき事柄であったというふうに理解をしております。  次のページになります。  そうしたときに、組織の在り方あるいはコミュニケーションの話として、自治体DXをめぐって国と自治体がどうコミュニケーションを取ってきたか、それは地方分権改革における提案募集方式の中に見て取ることができます。  左側でありますが、自治体DXという言葉が登場する前は、国は、自治事務だから地方の責任でやるべきという物言いをよくすることがありました。今もやや見れることでありますけれども、その際、とりわけ情報システムに関わる事柄で、国の配慮責任という考え方が示され、言わば地方分権の理念を具体化したり、あるいは硬直的な議論になることへの歯止めとして機能するようになっていきます。  近年の提案の回答ぶりを見ますと、どのような事務であるべきかを考える、あるいは情報システムであれば最適化という考え方になりますが、そうした考え方に基づいて、国、地方がかみ合った議論になりつつあることを注目しております。  ただし、解決策そのものが十分なのかはもちろんありますけれども、コミュニケーションが配慮責任という考え方が自治体DXの中に組み込まれているだろうということが重要であります。  続いて、七ページであります。  そうした今回の改正の中でも、自治体間で協力して情報システムの利用の最適を図るということが規定されておりますが、これまで自治体で取り組んできたことでありますと、例えばシステムの共同調達が挙げられます。  私は、大阪府の調達に係る審査会の会長を務めておりますし、また同時に、府が共同調達した外部人材のアドバイザーとして府内の市町村を支援しておりますが、これをなぜ大阪府という都道府県が行うかということでありますが、それは市町村の体制の問題ということにとどまらず、大阪府自身にも資する取組だからということであります。ここでも配慮責任という言い方をするとすれば、情けは人のためならずではありませんけれども、責任を示すことは、その相手方との関係ではあくまで対等、平等であること、情報システムであれば全体最適という言い方になろうかと思いますが、双方にメリットがあるという点は改めて指摘したいと思います。  続いて、八ページから十ページにかけてでありますが、組織の在り方としてお話を続けますと、日野町の取組として、新型コロナウイルスのワクチン集団接種の事務に関して調査研究を大学と共同で実施いたしました。これは対応の是非を検証するというよりも、今後も起こり得る不確実な状況に対して我々がいかに適応できるか、そのために、組織の在り方を考えるものとして十個の洞察と三つの提言をまとめたものであります。  ポイントだけお話ししますと、お互い手探りの状況にならざるを得ない局面では、お互いに抱く不確実性、これは報告書では恐怖と言っておりますが、それを引き受け、柔軟な意思決定を行ったり、そのための平常時からの組織としての受容度を広げることの重要性が指摘できると思います。  飛ばして、十一ページになりますけれども、そう考えたときに、現在進行します自治体DXの取組について、自治体職員がどのように受け止めているかということが注意深く見る必要があると思います。  研究メンバーを務めました日本都市センターによる自治体職員向けのアンケート結果からは、DXの方針など総論はおおむね賛同を得られているものの、職位別に細かく見ますと、デジタル化あるいはDXの受け止めが異なる結果となっております。  また、デジタル化を効率化の手段として用い、特に住民参加に対する意識が弱いということが気になります。これは、自治体DXの取組がスタートしまして数年になりますけれども、その土着化が想定しているところと異なる帰結になるのではないかということが現時点で推測されるところでありまして、対応が必要ではないかと考えているところであります。  十二ページ、同時に、異なる土着化の帰結を生む可能性も指摘したいと思います。  冒頭申し上げましたシビックテックは、圧倒的なスピード感と評価されました行政サービスの構築を自治体や国と連携するだけでなく、サービスの利用者であります市民自らが参加して改善する形を示しました。情報システムの規定の中にこうした運用を読み込み、変革していく自治体が現れてくることを期待するものであります。  また、十三ページでありますが、コロナ禍を経てデジタルを活用した住民参加も進んでまいりました。デジタルプラットフォームの活用も、情報システムの規定から、単独であるというわけではなく、むしろ広域的あるいはテーマ共通で参加の仕組みを構築する視点が示唆されるのではないでしょうか。自治体は、ともすれば我先に、あるいは新しいものを独自に設置したがるものでありますが、住民参加の点ではそもそもどのような参加の仕組みが適切なのか、それを考える必要があろうかと思います。  十四ページになります。  こうしたことは、いわゆるデジタル社会における地方自治の構想としては、まとめますと、サービスを市民とともにつくり、自治体間で公開、共有する関係をつくる。その際に、国あるいは広域自治体が配慮責任を持って取り組むということが新たな土着化として構想できないかというものになります。  最後、十五ページ、十六ページでありますが、日野町において取り組んでいるコミュニティーに関することであります。  多くの自治体同様、自治会、町内会の皆さんと地域の在り方を考える場を持ち、一緒になって地域づくりをしています。また、地域において農村RMOの取組を進める動きが出ているほか、今後は地域における様々な主体と連携した重層的支援体制の整備にも取り組むこととしています。  こうした動きを参与として拝見しているときに、よく日野町の堀江町長が話す言葉で印象的なものがあります。御紹介しますと、日野の町は、地域が先輩、役場が後輩です。これまで地域の先輩方の知恵として役場が生まれ、町民さんを守る取組を進めてきたという意識を持っている。地域における様々な課題が生じている中で、今後は地域において果たせる役場の出番が一層重要になる。そこにおいては地域へのリスペクトがなければならない。  地域を支援する制度は、各省も用意をし、この度、自治法においても市町村が果たすべき出番をつくっていると言えます。しかし、ここまでお話ししたことと同様に、それぞれの主体に対するリスペクトを持ってコミュニケーションを取ることの重要性が自治法において更に明確になる、あるいはそのような運用を蓄積していく必要があるのではないかと考えるものであります。  以上になります。御清聴ありがとうございました。

新妻秀規公明党

○委員長(新妻秀規君) ありがとうございました。  次に、本多参考人にお願いいたします。本多参考人。

本多滝夫龍谷大学法学部教授

○参考人(本多滝夫君) ただいま紹介にあずかりました龍谷大学の本多でございます。  大学におきましては、行政法と地方自治法を担当しております。また、これは偶然ですけれども、各自治体の情報公開・個人情報保護審査会又は審議会の委員、会長などを務めていますけれども、今参考人として意見陳述していただいた東さんが政策参与を務めておられます滋賀県の日野町におきまして、私、審査会の会長を務めているところでございます。これは全く偶然でございます。  そのようなことで、今日の意見陳述は、DXに関して、審査会の会長もしているということもありまして、その観点からも踏まえて知見を述べさせていただきたいと思います。  それでは、私の意見陳述は、私の陳述書冒頭にございますように、地方自治法の一部を改正する法律案第十四章において創設される特例及び法律案第十一章に新たに取られる情報システムの利用に係る基本原則、そのうち二百四十四条の五第一項について意見を陳述いたします。  陳述書が御覧のとおりかなり長いのでございますので、先に結論を申し上げることにします。  陳述書をめくって、七ページの最後を御覧ください。  日本国憲法が地方自治を保障しているにかかわらず、その施行後半世紀にわたり、地方公共団体の執行機関を国の下級の行政機関と位置付ける機関委任事務制度により、国と地方公共団体の関係は上下関係にあるかのように認識され、地方行政の実務はそのような運用の下に置かれました。  二〇〇〇年に施行された地方分権推進一括法に基づいて行われた地方分権改革は、国と地方公共団体は対等、協力の関係にあることを前提とし、機関委任事務制度を廃止し、国の地方公共団体に対する関与を制限しました。  具体的には、現行の法第十一章に、国の関与について法定主義を取ること、関与を必要最小限度にとどめ、できるだけ関与の基本類型によるべきこと、公正、透明の原則を適用し、行政手続法に範を取った手続によって関与を行うべきこと、関与に関する国と地方公共団体との間の係争は裁判所を含む第三者機関によって処理されることといった原則を定めました。特に関与法定主義と関与必要最小限度の原則は、個別の法律において設ける事前の関与を大幅に制限し、国が関与をする場合には一般ルールである地方自治法の事後的な関与、是正の要求や是正の指示といったものですが、これによることを明らかにしました。  法律案第十四章が国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における一般ルールとして新たに定める特例関与は、現行の消極的な関与から即応性を重視した積極的な関与へと関与の在り方を根本的に転換し、国の関与を抑える関与法定主義及び関与最小限度の原則を地方自治法の内側から壊すものと言え、現行の第十一章において取られている関与の仕組みの例外を定めるにとどまらず、日本国憲法に定める地方自治の保障を具体化した上記の地方分権改革の考え方を否定するものと言えます。  このことにつきましては、下の概念図のところで、現行の第十一章における通常の関与と、それから、現下、法律案として審議されております新しい十四章で定められている特例関与の関係を示しております。御参考いただければ幸いです。  続きます。  また、地方分権改革の根拠となった地方分権推進法第二条は、地方分権の推進の理念を、地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることを基本として行われるものとするとし、地方公共団体における個別最適の追求を掲げていました。  法律案第二百四十四条の五第一項は、全体的な最適化の下で情報システムにおける地方公共団体の自主性を損なうことを助長するものとなり得るだけでなく、地方公共団体の行政運営全体の自主性をも損なう契機になり得るもので、情報システムの利用に係る基本原則を地方自治法に組み込むことは望ましいとは言えません。  それでは、以下、かいつまんで所見を説明いたします。一ページにお戻りいただければと思います。  なお、時間の関係でかなりはしょった説明になりますので、一体今どこを読んでいるかというのはちょっとひょっとしたら追い付かない可能性がありますけど、その点はちょっと時間の都合で御容赦いただきたいと思います。  それでは、一ページの下の方から少し申し上げます、下から二段目からでございます。  これは、特例関与との関係で現行関与の法制の仕組みについて簡単に説明しているところでございます。  国の関与は法律で定めることになっています。もっとも、法二百四十五条の三第二項は、国会が法律に国の関与を定めようとするときは、三号関与ではなく原則として関与の基本類型の中から選ぶよう義務付けています。少し飛ばします。さらに、法二百四十五条の三は、第二項から第六項までの規定において、自治事務と法定受託事務の区分に応じて法律に定めることができる関与の基本類型を限定しています。  その結果として、自治事務において国が用いることができる関与の基本類型は、一般に、助言、勧告、資料の提出の要求及び是正の要求になります。これに対して、法定受託事務において国が用いることができる関与の基本類型は、助言、勧告、同意、許可、認可、承認、二ページに移ります、指示、代執行といったように、自治事務におけるそれより広く認められています。  少し飛びます。二段目下ぐらいです。  関与の規定を見て分かりますように、自治事務における是正の要求にしろ、法定受託事務における是正の指示及び代執行にしろ、その要件は普通地方公共団体の事務処理に法令違反又は著しく不適正なところがある場合に限定されています。すなわち、権力的な関与は、普通地方公共団体の事務処理の適正さを確保するために行われる事後的なものに限定されているわけです。  このような事後的な関与では普通地方公共団体の事務処理の適正さを確保できない場合やそれにとどまらない必要性がある場合にのみ、それぞれの行政分野において必要とされる立法事実に照らして、国会は、上記の法第二百四十五条の三に定める原則にのっとって個別の法律において関与を設けることができるとされているわけです。  それでは、特例関与と従前の関与法制の関係について説明します。  法律案では、第十四章という新しい章を設け、特例となる関与の類型を定めています。本章に定める関与のうち、資料の提出の求め及び各種の指示は関与の基本類型に当たりますが、意見の提出の求め、国による応援の要求は関与の基本類型に当たらず、いわゆる三号関与に当たります。三ページに移っております。  また、是正の指示以外の指示は、法第二百四十五条の三によれば個別の法律で定めることとされているにもかかわらず、事務処理の調整の指示、生命等の保護の措置に関する指示、国による応援の指示といった指示が地方自治法という一般ルールに定められています。それどころか、補充的指示と呼ばれるものがありますけれども、その指示のように、一般ルールが個別法を補うことを明確にしています。言わば主客が転倒した法制になっております。  指示については局限されていますが、自治事務において用いることができます。しかしながら、閣議決定によって指示権を創出する法案第二百五十二条の二十六の五第一項に定める指示は、当該行政分野における必要性に照らして個別の法律ごと、すなわち国会の議決に基づいて創出される、法二百四十五条の三第六項で限定的に許容されている自治事務の処理に関する指示とは異質なものです。  法律案第十四章に定める関与は、現行の第十一章に定める一般ルールに基づく関与についての特例となるものですが、一般ルールの存在意義、すなわち個別法律による権力的関与の創設の抑制を形骸化するもので、特例に収まるものではありません。  それでは、次の特例関与の補充性について説明申し上げます。  補充的指示の補充性について説明申し上げます。  法律案第二百五十二条の二十六の五の立法趣旨は、第三十三次地方制度調査会の答申に基づいているというふうに繰り返し説明されているところです。個別法の規定で想定されていない事態にのみ用いることが許されるという趣旨で、答申ではこの新しい指示の類型に国の補充的な指示という名称を与えています。  少し飛びます。四ページ目の冒頭に移ります。  ところで、第三十三次地方制度調査会の専門小委員会では、個別法の規定では想定されていない事態には三つのバリエーションがあり得ると指摘しております。  一つは、個別法が存在しないが、国の安全に重大な影響を及ぼす全国規模等の事態が発生し、国民の生命、身体、財産の保護のための措置が必要な場合、②個別法が存在するが、対象としている事態以外の想定外な国民の安全に重大な影響を及ぼす全国規模等の事態が発生し、国民の生命、身体、財産の保護のための措置が必要な場合、③個別法が存在し、対象としている国民の安全に重大な影響を及ぼす全国規模等の事態は発生しているが、用意された指示権の要件に該当しない想定外の事態であるため指示権が行使できず、国民の生命、身体、財産の保護のための措置が必要な場合、このようになっております。  少し飛びまして、四ページの一番下のところから話を始めます。  この間の国会審議で政府参考人は、事態対処法等で定められている武力攻撃事態等への対応については、これは法律で必要な規定が設けられておりまして、本改正案に基づく関与を行使することは想定されていないものと承知しているところでございますと答弁しています。その答弁を額面どおり受け取れば、武力攻撃事態等は本項に定める指示を必要とする国民の安全に重大な影響を及ぼす事態には該当しないことになります。にもかかわらず、同政府参考人は同じ答弁の中で、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態から特定の事態を除外したものではございませんとも説明しております。  この答弁を整合的に理解することは私にとって非常に難しいところですが、頑張って考えてみますと、本改正案に基づいて関与を行使することは想定されていないとは、現行法では先ほど説明した③の場合はないという趣旨ではないかと思います。すなわち、特定の事態を除外したものではございませんというのは、なおも武力攻撃事態等には②の場合の余地があることを認める趣旨ではないかと思っております。  武力攻撃事態や重要影響事態において②の場合があり得るかといえば、私見によればあり得るし、現時点においても想定が可能な事態もあるのではないかと思います。仮にそうだとすれば、個別の法律である武力攻撃事態法や重要影響事態法の改正に取り組むのが筋で、政治的な困難が伴うからそれを回避して新たに地方自治法に設ける補充的指示でもって対処することは、関与法定主義を形骸化するものと言えます。  いずれにしましても、②の場合も③の場合も、想定されていない事態への対応としては個別の法律において定める指示につきバスケット条項を設ければ足りるとも言え、そうすることで通例の関与法制との同質性、連続性は維持されるのではないかと思います。そうしないのは、前述のように、そのような条項を個別の法律において設けることについての政治的な事情からか、それとも真に想定され難い①のような場合を本条の射程にしているからではないかと思われます。  時間の関係で、資料及び意見の提出の要求に関する特例関与の補充性については割愛いたします。  それでは、DXへの対応について御説明申し上げます。六ページ、下から二段目のところから説明申し上げます。  第三十三次地制調答申との関係に照らしますと、法律案二百四十四条の五第一項は、地方自治法が元々地方公共団体の事務処理に求めていた能率性、効率性の原則及び組織運営の合理化、規模の適正化の原則を情報システム仕様に適合させたものと見ることができます。  しかし、ここで注意しなければならないのが、答申が求めているのは、単なる個々の地方公共団体の情報システムにおける最適化ではなく、全体的な最適化という点です。  めくって、七ページの方に移ります。七ページ、情報システムの全体最適化が目指すもののところに移ります。  地方自治制度において全体的な最適化ないしは全体最適の用語を持ち出したのは、総務省が第三十二次地方制度調査会の準備研究会として設けた自治体戦略二〇四〇構想研究会ではないかと思っております。  二〇四〇構想研究会は、第二次報告で、新たな自治体行政モデルの考え方の一つとしてスマート自治体への転換を打ち出し、行政内部の情報システムについて、自治体ごとに開発し部分最適を追求することで生じる重複投資をやめる枠組みが必要であるとし、国全体での情報システムの標準化、共通化を通じて情報システム経費の軽減を唱えていました。  そして、その前提となる同研究会の基本的な発想は、これまでの人口拡大期には、独立した自治体における個別最適の追求が全体最適をもたらしたが、人口減少期を迎え、行政サービスの質や水準に直結しない業務のカスタマイズはかえって全体最適の支障となっているというところにあります。  また、同研究会は、第一次報告では、比喩的ではありますが、本研究会において議論すべきは、新たな自治体と各府省の施策、アプリケーションの機能が最大発揮できるようにするための自治体OS、オペレーションシステムの書換えであると課題設定をしています。  こうして見ますと、全体的な最適化は、地方公共団体における個別最適の追求、すなわち地方公共団体の自主性を抑えるための道具概念としての性格をも有しています。したがって、法律案二百四十四条の五第一項に定める最適化は、法二条第十四項及び同条第十五項とは必ずしも親和的なものではなく、逆に、全体的な最適化の観点からこれらの条項を解釈する契機にもなり得るのではないかと懸念されます。  以上でございます。どうも御清聴ありがとうございました。

新妻秀規公明党

○委員長(新妻秀規君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  質疑のある方は順次御発言願います。

藤井一博自由民主党

○藤井一博君 自由民主党の藤井一博です。  本日は、四人の参考人の先生方、本当に貴重な御意見をいただきまして、誠にありがとうございました。  早速質問に入らせていただきます。  牧原参考人に伺います。  牧原参考人からは、非平時である東日本大震災を経験されたことを基に、非常にそういったときに表れる不安感が合理性の喪失につながって、復興であったり、また平時に戻るための道筋に必ずしも資するとは思えないような行動も起きる危険性があるというお話をいただいて、大変示唆に富むお話をいただいたものと思っております。  お話しされたもう一つの非平時ですね、新型コロナについて、牧原参考人、この課題についても研究をされてきたと思っております。そのことについてお聞きしたいと思います。  先生の尾身茂氏との対話について書かれた「きしむ政治と科学」の中で、尾身氏からも、国と地方自治体の役割、責任をあらかじめ明確にすべきだったと指摘されております。その上で、日本は二〇〇九年の新型インフルエンザの教訓を生かすことができなかった、また、新型コロナウイルスと向き合ってきて浮き彫りになったあらゆる課題を洗い出し、国と自治体の関係を検証すべきであり、二度と同じ過ちを犯してはならないと提言をされております。  今般の対応について、地方制度の観点からどのように受け止めていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

牧原出東京大学先端科学技術研究センター教授

○参考人(牧原出君) 新型コロナにおきましていろいろな問題があったということで、国としてまずその検証をするということで、一定の検証を政府はしましたけれども、やはりそれではまだ十分ではないという部分があるかと思います。  しかし、片や感染症対策の方で、今、新型インフルエンザ等の対策の行動計画が国で作られていて、その行動計画の案を見ますと、かなりこれまでのコロナの問題を受け止めて、実際、国と自治体がどう今後起こり得る感染症に対して対応すべきかということを詳細に検討しています。その意味で、一定の検討は私はなされているんだろうと思います。  しかし、今後この先に、自治体の方で更に行動計画を考えていくということになったときに、総合行政としての地方自治体において感染症対策をどのようにもう一度問い直すかということがやはり問われていると思います。それはまた個々の自治体の問題なんですけれども、では、その先に今度は国と自治体との間のコミュニケーションをどういうふうに取るかということがやはりまだまだちゃんと検証されていないんだと思います。  先ほど私も申し上げましたけれども、コミュニケーションの在り方は、第三十三次地方制度調査会でもいろいろな議論がなされましたので、今後、非平時でも様々な状態が想定されますけれども、あり得べきコミュニケーションの在り方というものを一つ一つ改善していくということが、今後の様々な問題、起こり得る問題に対して、それを受け止めてレジリエントに対応できることにつながっていくと思いますので、やはりそういった形で、国のこの感染症問題における検証と、それからそれに合わせて個々の自治体の今後の行動計画の見直しと、そしてその上で国と自治体とのコミュニケーションの在り方をもう一度問い直すという、そういう段階でこの問題を進めていくといいのではないかと考えております。

藤井一博自由民主党

○藤井一博君 ありがとうございます。  コミュニケーションの在り方というところで、国と自治体との関係の中で、今回、総務省の、そういった一対一の意思疎通の在り方であるとか、また、話したことがすぐに3D的な、構築できるような人間関係の構築があったことが非常にコミュニケーションを円滑に進める上で生きたというお話もいただきました。また、今後そういったところをよりどのように高めていくか、またデジタル化も入ってくると思いますけれども、そういったコミュニケーションの在り方というものが非常に大事だということがお話を聞いて思いました。  牧原参考人にまた伺わせていただきます。  牧原先生、地方制度調査会の議論の中で、補充的な指示が行使される場面について、国が一定の判断をできるのは全国でどういう状況があるかを国がある程度把握できたときではないか、まずはやはり市町村、都道府県でできることをやっていくのが最初で、国に情報が集まったという条件が整ったときに国が一定の判断をしていくのではないかという見解を示されております。  補充的な指示が考えられる場面というのはどのような場面なのか、自治体とのコミュニケーションの下で行使されることになるのか、そのお考えをお伺いさせていただければと思います。

牧原出東京大学先端科学技術研究センター教授

○参考人(牧原出君) 補充的な指示が考える場面がどういう場面かということを具体的な事例の下で説明することはなかなか難しいのですけれども、今までも御説明申し上げましたけれども、国と自治体との間での様々なコミュニケーションがあって、その中で自治体の側から国へのいろいろな応援の要求などもあるだろうと思います。そういった中で、本来ならば、地方自治の下で各自治体が十全に対応することはやはり望ましいと思います。  ただ、広域的に問題が起こった場合に、やはり、例えばそれは都道府県で一定の圏内の市町村の調整をするということもあり得ると思います。その場合、国が一定のそれを応援するということで指示を出すということは全くないわけではないだろうと思うんですね。国が直接個々の自治体に対して指示権を行使するというものも規定されていますけれども、それは、例えばそういったものがあった、そのまたその先に起こることではないかと思っています。  ですので、今回規定された様々な国と地方との間の権限関係の中で、私は、国が直接地方自治体に対して指示権を行使するのはかなり最後の段階であるべきであって、それ以前に、国と自治体との間で何が問題なのか、何をすべきなのか、どこで足りないのかということを議論することになると思います。  やはり一番困難なのは、全国的に自治体が非常に大きな問題を抱えている、その災厄なりなんなりで大きな問題を抱えていてなかなか身動きが取りにくい、その中で、幾つかの自治体で非常にその自治体のリーダーシップがなかなか発揮できないような事態が起こるということはやはりあり得ると思います。そういった自治体をどうやって応援するかということが、自治体間で様々な、プッシュ型の支援とかできればいいんですけれども、全ての自治体が、多くの自治体が自分の自治体の問題でかなり掛かり切りになったときに、じゃ、どうやってそれを応援するのかということが問題になることはあると思います。その場合に、もし国が情報共有をしてある程度の資源配分を効率的にできるということがあるのであれば、国が例えばその応援の指示を出すということも考えられると思うんですね。  ですので、やはり、直接まず国が補充的な指示権をいきなり個々の自治体に行使するということをやはりまずは想定すべきではないんだと思います。

藤井一博自由民主党

○藤井一博君 ありがとうございます。  今、災害時のお話ということで、一つ、牧原参考人にお伺いしたいんですけれども、災害時、非平時の中で、想定される災害時の中で補充的な指示というものが行われる際に、現在、災害時では都道府県、市町村間で相互応援協定等が結ばれておりますけれども、そういったところと国の補充的な指示の整合というか、混乱を来さないための考え方というものはどういったことがあるでしょうか。

牧原出東京大学先端科学技術研究センター教授

○参考人(牧原出君) ほとんどの場合が、これまで起こってきた場合が、補充的な指示を行使する必要のないような非平時だったと思います。特に、特定の地域で非常に大きな甚大な災害、今の能登半島地震もそうだと思いますけど、そういう場合では、その地震に被害を受けていない地域が圧倒的に多いわけですから、その自治体同士で非常にその応援ができるということだと思うんですね。  ですので、多重防御といいますか、いろいろなその応援の仕組みはあっていいと思うんですけれども、国が全体として応援を、応援の仕組みを考えて調整するというのは、先ほども申しましたけれども、特定ではなくてかなり広い地域でいろいろな問題が生じて、問題が生じているということだと思います。  ですので、まずは、自治体間のいろいろな連携の中で応援をする仕組みがあるので、まずそれを活用していく、国はあくまでもそれを後ろで見ているというのがまず第一の段階だと思いますけれども、国が出た方がいい場合があるということもないわけではないと思うんですね。ただ、そういう事態が余りに少ないので、どの場合に国が出ていけばいいのかということがまだ蓄積されていないと思うんですね。ですので、やはりそこは検証というものが大事であって、本来どこですべきだったのかとか、あるいはどういう場合にできるのかということを、今後、様々な分析の中でやはり一定の方向性を出していくことが望ましいとは思います。  しかし、繰り返しますけれども、まずは自治体同士の調整の枠組みということを私は使った方がいいと考えています。

藤井一博自由民主党

○藤井一博君 ありがとうございました。  次に、東参考人にお伺いしたいと思います。  これからいかに情報システム、デジタル化というものを進めていくかというお話の中で非常に感銘を受けましたのは、どうしてもそういうデジタルのハード面に目が行きがちなところを、やはりまず、それと同時に、DXを進めるポイントとしてのサービス構築の手法であったり組織の在り方というところも大事だとおっしゃっていただいたところが非常に感銘を受けたところでございます。  やはり、これからいろいろな自治体の在り方がある中で、様々な形、住民の皆様の多様な意見というのを聞いていくことがより重要になっていくと思っております。  そういった中で、自治体のフロントヤード改革でありましたり、この住民の皆様と行政の接点のところのいかに円滑化を図るか、また、多様な意見を聞くという意味で、やはり、住民参加型デジタルプラットフォームの話もありましたけれども、そういったところを進めていくことの重要性というのは非常によく分かりました。  住民参加型のプラットフォームの課題として、やはり参加率が低いというところが指摘されると思うんですけれども、先生がおっしゃった、より広域的なテーマを掲げて、広域化をしていけばいいんじゃないかというのは一つの解かなと思ったんですけれども、先生がお持ちの具体的なイメージというか、そういったところをちょっとお示しいただけたらなと思って、お願いいたします。

東健二郎一般社団法人コード・フォー・ジャパン/滋賀県日野町政策参与

○参考人(東健二郎君) 御質問ありがとうございます。  議員御指摘のとおり、委員御指摘のとおり、そのデジタルプラットフォームの活用に期待と課題と両方あると思っておりまして、その表れの一つが参加率なのは間違いありません。  先ほど御説明したのは、広域化というのが一つのキーであると申しましたけれども、もう幾つかありまして、一つは、いただく意見の深さをどう捉えるかということだと思います。そこにおいては数が問題ではなくて、その人が抱えている事情、あるいはそれにサポートする人の背景も含めて、どれだけの意見が深掘りされるかというところをいかに行政が酌み取るかということかと思います。  もう一つは、これからの期待ということになりますけれども、デジタルプラットフォームが活用されるに至ったのはコロナ禍がきっかけでありましたが、同じく我が国でコロナ禍でそうしたものが広く伝わったのがGIGAスクール構想であります。学校現場で子供たちが一人一台PC端末をインターネットを使って様々活動する中、こうしたデジタルプラットフォームの活用を進める自治体が幾つか現れております。それは、すなわちデジタルシチズンシップ教育ということで、デジタルを活用して様々な人と意見を合わせてこれからやりたいことを自分たちで実現する、そのためのデジタルとの付き合い方を学ぶ活動の場としてデジタルプラットフォームは活用されておりますので、そうした蓄積が進んでいくと、我々大人に対してそういった振る舞い方をもっとするべきだということが言わば当たり前になっていくと、そうしたことを期待しているものになります。  以上です。

藤井一博自由民主党

○藤井一博君 ありがとうございました。大変勉強になりました。  時間になりましたので、以上で終わります。

小沢雅仁立憲民主・社民

○小沢雅仁君 立憲民主・社民の小沢雅仁です。よろしくお願いいたします。  大変お忙しい中、四人の参考人の皆さん、本日はお越しをいただきまして、また貴重な御意見賜りましたことに心から感謝と御礼申し上げたいと思います。  まず、小原参考人にお伺いをしたいと思います。  先ほど御意見を拝聴しておりまして、全く先生おっしゃるとおりだなということを本当に強く思った次第でございます。十五分という限られた意見陳述の時間でございましたので、改めて先生御指摘の地方自治法による地方自治法の自己否定にならないかというところ、本当にそのとおりだというふうに思いますし、最後のところにございました政官の問題、国会主権の問題であるという御指摘は本当にごもっともだというふうに思います。  改めてこの点についてもう少し幅広く先生のお考えを聞かせていただければ有り難いと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

小原隆治早稲田大学政治経済学術院教授

○参考人(小原隆治君) 御質問ありがとうございます。  地方自治の本旨条項という昔々のお話から始めましたけれども、戦前は国が上であって自治体は下であるということでありましたので、地方自治法の基になっている戦前の法制というのは、市制町村制ですとか府県制、郡制ですとかございましたけれども、さらに、国が自治体に対して官の監督を加えなければならないということで、地方官官制という勅令もございました。  その中で、国が自治体に対して関与をしていく、その表現というのは監督という言葉でございました。監督というのは上下というのが大前提になっておりますのでそれを使ったわけでございますけれども、戦後、憲法が定まり、地方自治法が定まって地方自治の本旨がうたわれて、その中で監督という言葉を変えてまいります。よく皆さん御存じだと思いますけれども、地方自治法を私が作りましたという具合におっしゃっているのはこれまた自治官僚の大先輩と言っていい鈴木俊一さんでございますけれども、その鈴木俊一さん、あの優れた官僚であっても、取りこぼし、まさに取りこぼしでございますが、があったのか、戦前、地方自治法の中で何と監督という言葉が残っておりました。それで、慌ててこれはまずいということで関与という言葉に変えたという、そういう経緯がございます。  そして、現在に至るわけでございますけれども、その言葉を使って言うならば、戦前の監督の体制に戻すような、一般法によって授権して、関与ではなくて監督していくようなことになりはしまいかということでございます。  それで、そのことに関して私が聞き及んでいるところによりますと、総務省の担当者から、いや、これはなかなか使うものではございません、補充権、補充的な指示は使うものでございませんということでございますけれども、そもそも使わないんだったら何で立法するのかということがまずございますし、使わない使わないといってそれは脅しを掛けるのか、監督するぞという、そういう脅しを掛けるのかということが大変心配でございます。  自治体も、ずっと国から、自治事務であれば技術的助言、法定受託事務であれば事務処理の基準などなど、いろいろなもう少しソフトな関与の仕方がありますけれども、それで全体、合理的であれば従う、そうでなければ従わないということであって、今からもう二十年近い前になりますけれども、平成の大合併がございましたときに、では、全国三千二、三百あった市町村が全部従ったかというと必ずしもそういうわけではなくて、数週間前だったでしょうか、福島県の矢祭町の根本町長という方が名物町長で、彼は政治的には保守政治家でございましたけれども、その彼などは、国からしろしろと言われても、それは納得できないからしないと、こういうことでございました。  しかし、その平成の大合併があり、それに先んじて分権改革があり、それから今、今まで四半世紀ぐらいたっておりますけれども、その中で、自治体がともすると国の言うことだから聞くしかないのかなという、そういう雰囲気が次第に広がってきているようなそういう懸念も覚えます。分権改革から四半世紀で何か後退していることがありはしまいか。その中で監督類似の新十四章ができますと、ますます、確かに使わないかもしれないけれども使うかもしれないという前提で萎縮効果ができてしまうのではないかということを私は大変恐れております。  そのことも考えますと、国会が十分、国が自治体にこういう関与をしてはいいのかどうかということを国会が十分行政に対して、内閣に対して関与してコントロールしていく、そのことが大変重要であって、立法技術的にはそれは国会の関与を承認、報告などでどう担保していくか、既に一部改正が衆議院でなされているとは思いますけれども、それで十分かどうかということを是非参議院で御議論していただきたいという、こういう思いでございます。  長くなりました。

小沢雅仁立憲民主・社民

○小沢雅仁君 ありがとうございます。全くおっしゃるとおりだと思います。  そこで、今回のこの法案、政府が指示、指示権拡大が必要な理由として、大規模な災害、感染症の蔓延などが盛り込まれております。現行法で対応できない事例について、松本総務大臣はこの間の答弁で具体的に想定し得るものはないと明確な説明を避けております。  個別法で具体的な事態を想定できないにもかかわらず、この地方自治法の改正による国の権限拡大は法制定の前提である立法事実がないということだろうと思うのですが、この点について小原参考人の考え方、また本多参考人の考え方をお伺いしたいと思います。

新妻秀規公明党

○委員長(新妻秀規君) それでは、まず小原参考人。

小原隆治早稲田大学政治経済学術院教授

○参考人(小原隆治君) ありがとうございます。  立法事実に関連しまして地方制度調査会の議論などで幾つか例があって、その一つはダイヤモンド・プリンセス号事件ということでございます。それから、先ほど地制調の議論の中では立法事実関連では出ていなかったかと思いますけれども、一斉休校、安倍内閣総理大臣による一斉休校の例を先ほど出しました。  つまり、今回の法改正で補充的な指示をつくる、さらに、国と自治体間でかくかくしかじかの情報交換、情報流通をする、そういう制度をつくる、それができたとすると、ではダイヤモンド・プリンセス号事件はどのように打開できたのか、それから一斉休校は、あれに法的根拠があればうまくいったという話なのか、そういう立法事実関係の綿密な検証がない限りは今回の改正に進んでいいのだろうかということを私は切実に思っております。  以上でございます。

本多滝夫龍谷大学法学部教授

○参考人(本多滝夫君) 立法事実でございますけれども、地方制度調査会専門小委員会の議論はそれこそ牧原参考人の方から御紹介いただいたのかもしれませんけれども、私が地方制度調査会の資料等を拝見する限りにおきましては、過去の新たに指示権が設けられた立法を例として、それがさも立法事実であるかのようにこの今回の補充的指示権の背景として挙げられているように思いますけれども、しかし、そこは本当にそのような指示権がないとその事態を回避じゃありませんけれども対処できなかったのかというと、それは十分に検証がされていないのではないかというふうに考えております。  それから、先ほど私の意見陳述におきまして、専門小委員会で三つのバリエーションが一応挙げられたわけですけれども、この中で、先ほども陳述申し上げましたけれども、①は、はっきり言って想定しようがない、それこそ衆議院の総務委員会で白藤参考人が申し上げたように、宇宙人が攻めてきたとかですね、そういうようなことかなと思うと、それこそそれは誰も本当にどう対処していいか分からないわけなので、はっきり言って、それを設けたからといって何か対処が可能ではないんじゃないかと思います。  ②、③につきましては、これは各個別の法律について、その対処するためにつくられている指示の要件等を改めて精査することによって、この間の事態、あるいはこの間の災害、あるいは感染症、もうかなり経験積んでくるわけですから、そこからかなり専門家の意見を聞くなり、いろんなことが想定され得るのではないかと思います。  衆議院の方で、総務省の方から、個別法の指示の規定数は全部で三百六十二件あるというふうに出ているということですけれども、実際にその三百六十二件の指示について国会が逐一議論をすべきではないか、これは先ほど小原参考人が申し上げたように、国会がきちっと責任を持って、国と地方の関係がどうあるべきか、指示権が本当に必要なのかどうか、この指示が有効性を持つのかどうかといったことを本当に審議することが一番重要ではないかというふうに思います。そこを飛ばして、抽象的な要件を定めて、その要件を、各大臣あるいは閣議決定でもって要件があるということで法律に具体的な定めのない指示を行使することは、これはあってはならないというふうに思います。  以上でございます。

小沢雅仁立憲民主・社民

○小沢雅仁君 ありがとうございます。  そこで、国による地方公共団体への関与の原則の維持についてお伺いをしたいんですが、小原参考人にお伺いしたいんですが、現行法の関与の原則に基づいて、国の関与は必要最小限度とし、地方公共団体の自主性、自立性に配慮することが重要であるんじゃないかと思いますし、また、国から普通地方公共団体への指示を可能とする要件として、この事態に対応する緊急性ということをしっかりと法案の中に明記する必要があるのではないかと思いますが、その点についてお考えを聞かせていただけたら有り難いと思います。

小原隆治早稲田大学政治経済学術院教授

○参考人(小原隆治君) 今、小沢委員がおっしゃった後段の点はそのとおりだと思います。  さらにその上で、関与の一般類型関連のお話をいたしますと、補充的な指示、先ほどめったに使うものじゃないという、では何で設けるんだというお話をいたしましたけれども、そのめったに使うものではない補充的な指示が発動した場合、発令された場合どうなるかというと、幾ら緊急事態であっても、それは一般的な関与の類型の中で、自治事務であれば必要な手続を経た上で最後は違法確認訴訟をしていく、法定受託事務であれば違法確認訴訟もできますけれども、最後は裁判を通じて代執行をするということになってまいります。  そうすると、もう一刻を争う緊急事態のときに、従わないから、であれば違法確認訴訟をするのかと、代執行するのかと、そんな悠長なことをやっていられるのかと、こういうことになりますので、結局は、一体その指示というのは何のためにするんだろうか、最終的な担保がないということでございます。そうすると、戻りますけれども、これは脅しだけですかというような議論になってまいりますので、その点はよほど考えなければならないということでございます。  衆議院総務委員会の中での議論でも、ペナルティーはあるのかないのか、指示に従わなかった場合どうなるのか、それはありませんよということでございました。それはそのとおりで、一般的な関与で先ほど申し上げたところに行くのでありますが、それは緊急事態法制ということでしょうかという、そういった疑問もございます。  以上でございます。

新妻秀規公明党

○委員長(新妻秀規君) 挙手をお願いします。

小沢雅仁立憲民主・社民

○小沢雅仁君 ありがとうございます。  そこで、小原参考人、先ほどの意見陳述で最後に、事前承認まで検討してはどうかという御意見をいただきました。全くそのとおりだというふうに思います。事前にしっかりとその当該地方公共団体と事前に適切な協議、調整を行っていくということが極めて重要だと思いますが、この点についてもう一度御見解をお願いをしたいと思います。

小原隆治早稲田大学政治経済学術院教授

○参考人(小原隆治君) ありがとうございます。  先ほど、末尾で急いで申し上げましたけれども、地方制度調査会で、国会の関与ということに関して議論はありはしたけれども十分な議論というわけではなかった、機動性に欠けるから国会の関与はスルーしていいのだと、そういう議論があったわけではないということでございます。地方制度調査会の委員の中で、個々のメンバーで国会の関与について強い問題意識を持っておられる方は牧原先生始めとして何人もいらっしゃるということは分かっておりますけれども、調査会の中では十分な議論がなかったにもかかわらず、国会では、いや、そうではなく機動性に欠けるという議論があったのだということで、国会の関与を弱めていくというのは、そもそもでいえば、国会の最高機関としての権限を損ないかねない重大な問題であるという具合に認識をしております。  以上でございます。

小沢雅仁立憲民主・社民

○小沢雅仁君 ありがとうございました。  時間になりましたので終わりたいと思います。貴重な御意見を頂戴しまして、ありがとうございました。今後の審議にしっかりと生かしてまいりたいと思います。  以上です。ありがとうございました。

西田実仁公明党

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  今日は、四人の先生方、本当にお忙しい中、また貴重な御意見ありがとうございます。  順番にお聞きしたいと思います。まず、牧原先生にお伺いしたいと思います。  事態対処の基本方針の検討のため、国は地方公共団体に対して資料や意見の提出を求めることを可能とするという今回の改正案になっておりますが、これは一方的なものではなくて、双方向的なものになることが望ましいと考えられます。円滑かつ円満に対応していくため、国は自治体と日頃よりどのような取組体制を構築していくべきと考えるかという点をお聞きしたいと思います。  事前にいただきました先生の資料におきましては、また先ほども御発言ございましたが、総務省方式というんでしょうか、この一対一の連絡体制の重要性ということも指摘をされておられます。であるならば、こうした一対一の連絡体制等について何らかの法令上の位置付けも必要になるのかどうかも含めて、先生の御意見を賜りたいと思います。

牧原出東京大学先端科学技術研究センター教授

○参考人(牧原出君) 今御指摘いただきましたように、国と地方、双方向的にやはりコミュニケーションをしていかないといけないということでありまして、実際には、非平時になれば当然そういうやり取りはすると思います。ただ、そこから先どういう取組ができるかということになるわけですけれども、先ほど一つの例として一対一の連絡体制と言いましたが、これ、あくまでも都道府県と政令指定都市だけです。これがもし千八百のその自治体全てとなると、なかなかそれは難しいと思うんですね。  ですから、どういう形で、先ほど3D的にと言いましたけれども、その地域地域でどういう問題が起こっているか、それをどういうふうに国が把握するか、あるいは自治体がしっかり問題を伝えられるかということは、これまで非公式な形でもいろいろなやり取りはあるし、そういう会議はあるわけですけれども、こういう非平時に向けてどういうふうにそういう仕組みを構築できるかということは、まだ議論が及んでいないと思います。  取りあえず、都道府県と連絡を取ると、都道府県はできるだけ市町村の問題を把握するということが一つのやり方です。しかし、都道府県を超えたところで問題が起こった場合、各都道府県だけでいいのかという問題もまた出てくるわけで、ここはまだ今後検討していくと思うのですけれども、少なくとも、これまでの経験を参考にしながら、できる限り国は地方の声に耳を傾けるような、そういうことがごく普通にできるようになるようにしておくことが大事かと思います。

西田実仁公明党

○西田実仁君 ありがとうございます。  続いて、小原先生にお伺いをしたいと思います。  先生からは、非常時に法的根拠がなくても政治のリーダーシップで対応することは一定程度あり得るというお考えを述べられました。一方で、この危機的な状況で合理的な判断ができ得ない状況では、それで大丈夫なのかという心配を持ちます。これはバランスの問題かもしれませんが、そして先生は、指示権の濫用を防ぐ工夫として国会の役割ということも強調をされておられました。  国会の役割あるいは国会の機能を果たすために、国会はどのようなことを改めてすべきかをお聞きしたいと思います。

小原隆治早稲田大学政治経済学術院教授

○参考人(小原隆治君) これまでの知見ではなかなか想定しにくいそういう問題にどう対応していくかというときに、今回の、ある意味では、大きな犠牲者は出ましたけれども、重大な例が、一つの先例というものができましたので、それをこつこつ、これは日本に限らずということになりますけれども、例えばイギリスではロックダウンをしたけれども、そこにどこまでの効果があったのか。果たしてインペリアル・カレッジ・ロンドンの専門家チームのレポートはどこまで適正であったかということもございましょうし、日本の場合でいいますと、では、専門家がいらっしゃって、尾身先生ほかいらっしゃって、そのアドバイスがどのようなものであったかという検証が欠かせない。  政府の中に置かれました新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議というのがございましたけれども、そして、その議論というのは地方制度調査会の中でも踏まえた形で行われていたと思いますけれども、その有識者会議自体は、期間的に一か月とか二か月とか、ちょっと自信がございませんけれども、非常に短期間でまとめたということがございましたので、そうした、なかなかそれは、要するに政治家と専門家の関係をどうしていくか、デモクラシーとテクノクラシーの関係をどうしていくかということに関わってくるかと思いますけれども、そのテクノクラシー抜きで今の行政ができるわけではないので、その専門家の知見に関して十分な検証をして、先ほど申し上げたような立法事実と照らし合わせて、さて、今回の法制はどうかというようなことを国会を中心に、政府だけではなくて、国会を中心にきちんと検証していくと、そういった作業も必要ではないかと思っております。  それから、原則論になりますけれども、リーダーシップの問題に関して、先ほどちょぼっと申し上げましたけれども、少々申し上げましたけれども、基本的に選挙で洗礼を受けて、そして国会首班指名という次の洗礼も受けて、それでチェックをする。最終的には国民主権ということでございますけれども、直接には国会主権の中で十分行政をチェックしていく中でリーダーシップは認められる。その限りでしかむしろ認められないということでございますので、なので、緊急の場合には一定程度のフリーハンドは私はあり得べしだという具合に思っております。  イギリスの中でも、果たしてそれが良かったのかどうか、数日遅れになってロックダウンなどしますけれども、そのロックダウンも実はコロナバイラスアクトという国会制定法ではなくて、ミニステリアルレギュレーションズ、省令のレベルでしていったと、それが問題であったのではないかと、こういう議論もございます。  そこはまさにテクノクラシーとデモクラシーの緊張関係の中で難しいところですけれども、その点も含めて、私はイギリス万歳と言っているわけではございませんので、各国の例と日本の例を含めてきちんとした検証が必要かと思います。  以上でございます。ありがとうございました。

西田実仁公明党

○西田実仁君 小原先生に再度お聞きしますが、今言われているこの一定程度というのは、あらかじめ何か法令上定めておくべきだというお考えでしょうか。(発言する者あり)

新妻秀規公明党

○委員長(新妻秀規君) 挙手をお願いします。

小原隆治早稲田大学政治経済学術院教授

○参考人(小原隆治君) 失礼しました。  その根拠法を作ろうとすると、一般法の中に地方自治法で設けるというふうなことになりかねないので、この法律に基づいていればできますよということになるので、そこはどういうふうに必要なのかな、ちょっと私は、そこのところはどうかなという疑問を持っております。

西田実仁公明党

○西田実仁君 続いて、東先生にお聞きしたいと思います。  地域コミュニティー、地方政府、中央政府は自治法をどう具現化するかというところで大変大事な御指摘、実践者としての大事な御指摘であろうかというふうに思いました。まさに多機関連携がキーワード、調整と相互理解がその根幹であるというときに、このコーディネーター、人であり、またその機能、これが、その振る舞いが重要であると。まさに、私も地元においてそのようなことを強く感じています。  しかし、こうしたコーディネーターをどういうふうに育てていくのか。これはまだ地域によって十分な地域とそうでない地域とあると思いますが、こうしたことを日本全国津々浦々にそうした機能を充実させるためには、どうこうしたコーディネーターを育成していくかという点で御所見がありましたらお伺いしたいと思います。

東健二郎一般社団法人コード・フォー・ジャパン/滋賀県日野町政策参与

○参考人(東健二郎君) 御質問ありがとうございます。  委員御指摘の点は、私も試行錯誤というか、分からないところも多いわけですけれども、今日御説明をした共同研究の中でもそうした人材をいかに育成するかというところがありましたので、それで御回答を申し上げたいと思いますけれども、やはり様々な経験を積まないといけないということがまず述べられています。  現在活躍されているコーディネーターの方も、様々なうまくいった事例、うまくいかなかった事例を乗り越えて、周囲の信頼を獲得をして、その地位あるいはそういった活動をいろんな方々とともにやっているというふうに認識しておりますが、そうした立場を肩代わりして少し経験をしてみるとか、それを、日常の中でもそうなんですけれども、指摘されていましたのは、研修の中でロールプレイング的な形でやる。これ研修なので大丈夫なのかというようなこともあるんですが、そうした気軽な形で、そうしたシリアスな状況も含めてやっぱり経験していくことを、最初からシビアな状況に置くのではなくて、まずはそういった気軽な形で乗り越えていくステップをこれまで経験者も取ってきたわけですので、そうした形を、どういった形でも、いろいろあると思いますが、取るべきだということが提言されておりまして、日野町においてもそうした、とりわけ若手の育成という観点で取り入れていきたいと思っております。  以上です。

西田実仁公明党

○西田実仁君 そうした若手の方を中心に育成をしていく、その育成する機能みたいなものは、これはそうすると、何か国なり都道府県なりあるいは市町村なりがつくる必要があるんでしょうか。自然にそういう機能が地域に芽生えたりするものなのでしょうか。そこをお聞きしたいと思います。

東健二郎一般社団法人コード・フォー・ジャパン/滋賀県日野町政策参与

○参考人(東健二郎君) 御質問ありがとうございます。  そういった意味では、今日御紹介しましたそのまさに多機関連携の仕組みの中にそうした機能が表れていると思います。それぞれの立場で参加する方々がほかの方々の振る舞いを見るということを通じて経験を学ぶということが元々ビルトインされている制度であり、財政的な措置としてもそういったものに支援をするということをうたわれていますので、それをもっと活用しやすくするとか、こういった事例をよく、そういった意味合いがあるんだということを広く伝えていくことも重要だろうと思います。  以上です。

西田実仁公明党

○西田実仁君 ありがとうございます。  それでは、本多先生にお聞きしたいと思います。  生命等の保護の措置に関する指示を行うに当たりまして、地方公共団体が一方的な指示を受けるだけではなく、状況に応じた事前の関係地方公共団体等との調整は重要であるというふうに思います。  国に対しても十分に協議を求め、さらに意見を述べられるようにするために、どのようにこれを担保していくべきと考えますでしょうか。

本多滝夫龍谷大学法学部教授

○参考人(本多滝夫君) 私自身はその補充的指示権には賛成はしておりませんけれども、仮にこの条文を前提にした場合に、補充的指示を行使するまでには、もちろん一方的にやっても、そういう災害等は現場で起きているわけですから、現場の実情が分からないと何を言ってもこれは従うはずがありませんし、協力するはずもありません。  その意味で、この規定の方に、努力義務ではありますけれども、その資料の提出又は意見の提出を求めるということになっていまして、しかし、これはある意味では当たり前といえば当たり前のことではないかと思います。  地制調の答申の中では、このようなときに調整、協議といったものをたしか書いてあったかというふうに思いますけれども、それがなぜか条文化されたときに抜け落ちて、この資料の提出と意見の提出の努力義務になってしまっているという、これは非常に私にとっては違和感を感じているところでございます。  以上でございます。

西田実仁公明党

○西田実仁君 じゃ、終わります。

高木かおり日本維新の会・教育無償化を実現する会

○高木かおり君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の高木かおりと申します。    〔委員長退席、理事山本博司君着席〕  今日は、四名の参考人の皆様、本当に貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。  時間も短いですので、早速御質問させていただきたいと思いますけれども、まず牧原参考人に伺いたいと思います。  牧原参考人は、雑誌への寄稿等に、今般のこの地方自治法改正案の国の補充的指示権について、法律に基づく指示権行使であるからこそ浮き足立つことなく、その行使の妥当性を検討する、冷静な国会審議につながるものにするべきだというふうな内容をお書きになられているかと思います。  また、その上で、この事後検証の重要性を指摘されているわけですが、やはりこれ個別法を制定して、そこに指示権を規定するということが大変必要ということも触れられているわけですが、我が党におきましては、衆議院ではこの本改正案に対して、国が指示権を行使をした際にはその旨と内容を国会に報告するということの規定を盛り込ませていただいたわけなんですが、この受け止めについてと。それからあわせて、今回この政府が提出した改正案におきましては、事後検証、これも大変重要だと思うんですが、この事後検証のスキームが条文化されていないということもございます。この点も併せて受け止めをお聞かせいただきたいと思います。

牧原出東京大学先端科学技術研究センター教授

○参考人(牧原出君) 今、国会報告の修正が衆議院でなされたということについての私の意見ということでございますけれども、やはり私はそれは条文化されるべきだと思っておりましたので、先ほども申しましたけれども、非常に良かったことだというふうに思っております。  なお、実は、地方制度調査会の中での議論で、閣議決定が不要であるという意見もありました。実は私自身も、首相が、首相のみが指示権を行使するという場合であれば閣議決定は不要なのかもしれないというふうに考えていた時期もあります。ただ、最終的にそれは担当大臣ということになりましたので、担当大臣であるならそれは閣議決定必要だというところまで来て、多分今回は国会への報告まで修正という形で条文化されたんだと思います。  検証につきましては、様々な意味で検証ということが必要になってきているというこの状況の中では、私は何らかの意味で法律化することは望ましいんだと思います。  今、小原さんが御説明されたそのイギリスの場合ですと、検証法という法律があって、その検証法という法律に基づく検証というのは物すごく重いもので、ジョンソン首相のアプリ、SNSアプリの中も全て、検証委員会がそれを全部見て検証するというようなものを行うというような仕組みもあるわけです。つまり、一般的な検証法という法律を制定するという立法例もあります。  ですので、今回、この地方自治法にするのか、あるいはそういうものを考えるのか分かりませんけれども、私は、できる限り検証というものはやはり国会がしっかり法律化するということが本来は望ましいと考えています。

高木かおり日本維新の会・教育無償化を実現する会

○高木かおり君 ありがとうございます。  改めて、この国会による政府への監視がしっかりできるようにしていかなければいけないということは、御意見の方、重く受け止めさせていただきたいというふうに思います。ありがとうございます。  続きましてですけれども、東参考人に伺いたいと思います。  今年一月、都市の未来を語る市長の会で行われた御講演の資料も拝見をさせていただきました。その中で東参考人は、この組織の在り方、今日も意見陳述の中でこの組織の在り方について触れていただいたんですけれども、やはりこのコロナ禍のように不確実な状況に適応しなければならないことは様々な領域で今後も起こってくるであろうというふうに御指摘をされておられると思います。やっぱりこの国と地方を通じた国民の命を守る取組でも同じように、やはりこの不確実な状況に適切に対応することというのが今後も求められていると思います。  今回のこの改正は、そのような不確実で想定も難しいような事態について、しっかりとしたルールの下でこのコミュニケーションを充実させていって、そしてこの必要な職員の応援なども確保をしながら、国が決めるべきことは責任を持って決める、そういった内容だったと思いますけれども、改めてこの点について御意見をいただきたいと思います。    〔理事山本博司君退席、委員長着席〕

東健二郎一般社団法人コード・フォー・ジャパン/滋賀県日野町政策参与

○参考人(東健二郎君) 御質問ありがとうございます。  御紹介いただきました講演の中でも、今日述べさせていただきました共同研究を踏まえてのお話をさせていただいておりました。  確かに、想定できない事柄を、この場合は国のということだと思いますが、自らの責任でともかくもう対処しなければならないという事態は当然起こり得ると思っていまして、その際に必要なのは、恐らく先取り的なというかプロアクティブな対応が求められるというふうに言えるかと思います。  それが、お話ですと、コミュニケーションとリソースをきちんと確保する。それを具体的に、私どもの日野町の振る舞いを検証いただいた中では、元々その当該組織あるいはその決定する主体ができる許容量を、あるいはそれをもたらし得るリソースの特徴をきちんと把握する、量と質、内容を把握しておくということがあってこその責任の果たし方ではないかと思います。  そうしたことを様々な情報を入手してリソースとして対応して、結果として国が乗り出さないということも含めた責任の取り方、持ち方ということも含めたお話なのかなというふうに受け止めました。  以上です。

高木かおり日本維新の会・教育無償化を実現する会

○高木かおり君 続けて東参考人に伺いたいと思いますけれども、東参考人は京都府庁でも勤務された経験があるということでございますけれども、近年では、この各地の自治体にDXの具体的な進め方についてのアドバイスもされているというふうに伺っております。  今日も、この自治体DXについての御質問等も先ほどからもありましたけれども、やはり私は、こういった緊急を要するような事態に直面したときに、平時からやはりこういったこの自治体DXというものがより広く浸透しておくということは大変重要だというふうに思っている立場でございます。  その中で、今年一月の都市の未来を語る市長の会で行われた御講演の資料も拝見したんですけれども、今回のこの改正案は、自治体に対して他の自治体や国と協力してこの情報システムの利用の最適化に努めることを求める案になっているわけですが、こうした考え方がうまく自治体及び国に浸透して、全体最適を意識したDXが進められることとなっているわけですけれども、東参考人の現場感覚からして、これからこの自治体DXをより円滑に進めていこうとするためには、地方自治体、また国はどのように具体的に取り組んでいくべきなのか。今日は、相互理解が必要であるとか、国の配慮責任の話も先ほども出てきましたけれども、この点についてお聞かせいただきたいと思います。

東健二郎一般社団法人コード・フォー・ジャパン/滋賀県日野町政策参与

○参考人(東健二郎君) ありがとうございます。  御質問は、どのように円滑に進めていくかということでありますけれども、そうした考え方に対しては、円滑に進まないことを許容できるかということが一つポイントになろうかと思います。  現場、大変苦労しながら、ストラグリングしながら頑張っているわけですけれども、それは仮にうまくいかなかったとしても、どこがうまくいかないからけしからぬみたいな話じゃなくて、あらかじめプランBなり、プランAダッシュでもいいんですが、きちんと検討しておくということが求められると思います。  なお、標準化の話になってくるんだと思うんですけれども、まずもって業務が止まらないということが自治体にとっては必要不可欠であり、大前提であります。現時点では、設計もできて、スケジュールも何とかめどが立ったといっても、これを実際に実装していくときにまだ様々な問題が起こり得るということを現場としては想定しておりまして、それでもなお確実に実施するということをいかに担保するかということであろうと思います。  そうした際に、とりわけ国に対してではないですけれども、こうしたことは企業の情報システム、基幹系のシステムでも様々問題が生じていることを他山の石とすべきでありまして、そうした状況を国としても把握しているかどうかということは一つ論点になろうかと思います。  あと、御指摘いただいた市長との講演の中で、市長の、首長さんが不安と思っているのは、やはり我々の町でそうした産業が持続できるかというエコシステムの話もあろうかと思います。必ずしも政府部門がそれをどれだけ誘導できるかということもあると思うんですが、そうした取組もなお重要でありまして、ちょうどデジタル庁がデジタルサービスのカタログサイトでありますデジタルマーケットプレイス、これもイギリスを参考にして作られておりますけれども、そうした産業を巻き込んだDXということも志向するべきでありまして、そうした観点から動向を見守っていきたいと思っております。  以上です。

高木かおり日本維新の会・教育無償化を実現する会

○高木かおり君 ありがとうございます。  必ずしも、円滑に進めるようにというよりは、やはり地方でも、今本当に切磋琢磨していろいろ取組が進められているんだなというふうに今の御意見で思いました。  今日も意見陳述の中で、必ずしも、この今やっているデジタル化というのが効率的に進んでいるのかというと、なかなか難しい点も多々あるのだなというふうな印象も受けました。  そういう中で、続けて質問をさせていただきたいんですけれども、滋賀県の日野町の政策参与もされているというふうに自己紹介をされていたかと思うんですが、この日野町では、コロナ禍においてリアルタイムのワクチン接種状況を見える化するワクチンメーターというものを運用したというふうにお聞きをしております。  これ、EBPMの入口に当たる取組だと思いますけれども、こうした取組というのは、政策判断をより正確かつスピーディーにする効果を持ち得る一方、やはりこれセンシティブなデータを含んでいるということもあるかと思います。こういった集約や連携等をした場合に、この情報漏えいした場合ですとか、こういったリスクもあるわけでございます。  今回のこの改正案において、自治体に対してサイバーセキュリティーの確保の方針を定めて必要な措置を講ずることを義務付けている点、こういったことに対して東参考人のお考えを伺いたいと思います。

東健二郎一般社団法人コード・フォー・ジャパン/滋賀県日野町政策参与

○参考人(東健二郎君) 御質問ありがとうございます。  御紹介いただきましたワクチンメーターの取組もそうですし、そのセンシティブな情報も扱ってデータ活用をする、EBPMしていくということも、根幹は、それによって住民あるいは国民でもいいですけれども、と行政との間で信頼関係を持ってその政策を進めていくための手段であるということが根幹だろうと思います。  なお、そのデータの活用については消極的というか保守的になるということはもちろん必要だと思うんですけれども、解像度を高めて議論をしないと、本来そもそもできないことをできると言ったりとか、できることがそれによってできなくなるといったようなことになりがちなのも、やや懸念するところであります。  昨今であれば、著作権の話が大宗を占めている面もありますけれども、生成AIの活用がどこまで許されるかといったようなことが、言わば限界事例が日々生まれているような状況でもありますし、サービス提供側が非常に速い速度で進展していることにどう対応するかということもありますが、ここで注視すべきことは、その先進技術側が何かセキュリティーが問題あるというだけではなくて、例えば自治体が活用する場合は、そもそもそうしたものを使うかどうか以前に、従来備えるべきどういった情報を、機密性のレベルを持たせておくかとか、それを誰が管理をするか、監査をするかといったような行政機関としてそもそも確保すべきセキュリティーのガイドラインあるいは事柄があっての話であるということにまず注意が必要だと思います。かつ、そうしたことが初めてあって職員も安心してデータを活用できるという関係だと思いますし、そもそもそのデータを持っている元々の本人の安全性を高めるということだと思います。  こうしたことは、その御紹介いただいた大阪の中でも非常にセキュリティーポリシーのガイドラインをいかに最前線のものにしていくかということは各自治体もニーズが高く、外部デジタル人材が大変寄与しているということも見聞きしておりますので、国の取組もそうですし、自治体もそうやって相互的、参照的に先端的な取組を勉強しているところでありますので、国が今回方針を立てて、それに従って、それも参考にしながら義務付けをされていく中においては後追いにならないように、国も地方も、いずれもいわゆるプロアクティブに取り組んでいかないと自ら選んでいくセキュリティーの確保は目指せないんだというふうにこの規定は機能すべきだと思いました。  以上です。

高木かおり日本維新の会・教育無償化を実現する会

○高木かおり君 ありがとうございました。  ちょっと関連してなんですけれども、東参考人は、このデジタル社会において、行政サービスを受ける側の住民の立場だけではなくて、この主体としての住民の立場に関してこのデジタル技術を住民自治のためにも活用すべきだという御主張もされているかと思うんですね。  住民参加のデジタルプラットフォームとして、兵庫県の加古川市でも、オンラインで多様な市民の意見を集めて双方向で議論ができるこの市民参加型のデジタルプラットフォーム、デシディムというんでしょうか、こういったこの合意形成ツールというものを使って市民の意見を集めて、そこのプラットフォームの場でまたいろいろな議論を深めていけるというようなシステム、この取組の活用も含めて、東参考人はこの地域社会と自治体との関係性をより緊密にするためにこのデジタル技術の活用がどの程度有効だというふうにお考えになっているか、お聞かせください。

新妻秀規公明党

○委員長(新妻秀規君) お時間ですので、おまとめください。時間切れですので。

高木かおり日本維新の会・教育無償化を実現する会

○高木かおり君 はい。  時間が来てしまいましたので、その思いを持ちながら、次の、これを参考にさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。

芳賀道也国民民主党・新緑風会

○芳賀道也君 本日は、参考人の皆さん、お忙しい中、参議院総務委員会にいらしてくださり、御意見をいただきました。私からも感謝を申し上げます。ありがとうございます。  最初に、牧原教授に伺いますが、総務委員会調査室で事前に作ってくださった資料には、牧原教授の朝日新聞のインタビュー記事が載っておりました。その記事では、二〇二〇年二月、当時の安倍元総理による全国の小中学校などの一斉休校要請には法的根拠がないという牧原教授の指摘が取り上げられています。  私も、この全国一斉休校の法的根拠がないと先日も参議院本会議で指摘しましたら、松本総務大臣は、地方教育行政法に基づく要請だ、法的根拠があるのだという答弁でした。確かに、この地方教育行政法第四十八条では、文科大臣から自治体に対する指導、助言、援助が規定されていますが、総理大臣による指導、助言、援助は規定されていません。  二〇二〇年二月の安倍元総理による一斉休校の要請は私も違法だと考えますが、この一斉休校の法的な問題について、より詳しく御説明をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

牧原出東京大学先端科学技術研究センター教授

○参考人(牧原出君) 松本大臣のまとめは一つの方向だとは思います。  ただ、私はこの問題は、今回のような指示権というものがもし規定されていれば、特に本当にあのような形で一斉休校したのかということだと考えています。休校要請ぐらいは仮にできるとしても、全国一斉である必要はなかったのではないかとか、あるいは木曜日のあの夕方に翌週からというのが、そんなに早急にする必要があったのかと、こういったことがいろいろ問題になっていたのではないかと思いますが、どうもそのプロセスを見ていると、余りそういうことを考えずに要請が出されたようにも見えるということで、やはりその法律があれば、その要件を一つ一つクリアしながら、どこまでの要請がふさわしいかということを考えるということになるのだと思います。  そのような意味で、こういう形での指示というものを出すということは私は望ましくないということを申し上げたというわけでございます。

芳賀道也国民民主党・新緑風会

○芳賀道也君 ありがとうございます。  次に、東先生に伺います。東さんは自治体のデジタル化について詳しいと伺いましたので、デジタル化に関して伺います。  皆さん御存じのように、二〇二六年三月末を期限として、全国の自治体の情報システム標準化が進められています。  しかし、IT技術者の不足、児童手当の変更や住民税、所得税の定額減税によるシステム変更などの影響で、二〇二六年三月末という期限が守れない自治体が更に増える可能性があります。締切り厳守で強行すると、なんちゃって標準化はできたけれども、大手銀行の一つのようにシステムトラブル続きになって、かえって住民に問題を起こすことになるのではないか、こういう指摘が現場から聞かれます。  確かに、昨年九月の閣議決定により、理由を示せば二〇二六年三月の期限を過ぎてもよいということにはなりましたけれど、私はむしろ全国的に標準化の期限を数年延長する必要があると考えますが、東さんはいかがお考えでしょうか。

東健二郎一般社団法人コード・フォー・ジャパン/滋賀県日野町政策参与

○参考人(東健二郎君) 御質問ありがとうございます。  委員御指摘のとおり、間に合わない自治体が増えてくるおそれはあろうかと思います。現状でも調査はしているようでありますけれども、全体像が見えないということで、それがかえって各自治体の、疑心暗鬼とは言いませんけれども、悩みを増やしている側面は否定できないかと思います。  なお、その延長するべきかどうかはなかなか判断が難しいところであろうかと思いますが、まず一つに、こういった標準化スケジュールを待たずして移行を進めている自治体もあります。そう考えると、グラデーションは元々伴っているものでありますので、お尻の議論をすることもそうでありますけれども、移行した団体がどのような成果が出ているかということも併せて考えるべきことかなと思いました。  以上です。

芳賀道也国民民主党・新緑風会

○芳賀道也君 ありがとうございます。  次に、本多教授にお尋ねします。  二〇二一年に刊行された市橋克哉先生御退職記念の「転形期における行政と法の支配の省察」に掲載された教授の地方自治の保障から見た関与の法定主義の省察は大変興味深く、様々な学びを得られるすばらしい御論文でした。  泉佐野市のふるさと納税不指定事件のあらましをコンパクトに説明されていただけではなく、国地方係争処理委員会、大阪高裁、最高裁で争点になったふるさと納税制度に関する国による自治体への関与の法学上の問題点を非常に分かりやすく論じていらっしゃっていて、問題点を見事にえぐり出して読者に示してくださいました。  私も、地方自治法の質問に当たって大変に助かりました。この場をお借りして感謝を申し上げます。  本多教授は、この論文の二百三十五ページで、地方自治法第二百四十五条の二にある関与法定主義について、最高裁二〇二〇年六月三十日判決では、国が地方公共団体の事務処理に関与するに当たっては、どのような内容であっても法律に根拠があればよいという法律による行政の原理、形式的な理解には立っていないと見てよいであろうと論じていらっしゃいます。  このような見方に立つと、今回の法案の第二百五十二条の二十六の五、生命等の保護に関する指示について、国の各大臣が自治体に対して行う指示の内容、程度などを白紙委任している法案の問題が浮き彫りになるように思えるのですが、本多教授に、泉佐野市ふるさと納税制度不指定事件の最高裁判決も絡めて、今回の地方自治法改正案で新たに盛り込まれる関与の問題点について改めて御説明をお願いできませんでしょうか。

本多滝夫龍谷大学法学部教授

○参考人(本多滝夫君) 私の論文を丹念に読んでいただき、本当にありがとうございます。注目されていなかったかなと思ったところで、非常にうれしく思っております。  あの論文につきましては、元々の発想は、私、沖縄県の辺野古訴訟にも関わっていることがあり、それについては最高裁判所はかなり審査密度は非常に緩いのに対しまして、泉佐野市のふるさと納税の指定事件につきましてはかなり濃密な審査密度でもって総務省の告示を違法と判断をしたわけです。  関与法定主義という場合、もちろん法律に根拠がある、あるいは政令に根拠があるということであれば、どのようなものであればよいと。例えば、ふるさと納税訴訟において問題になったのは、総務省の告示が過去の自治体のふるさと納税に対する返礼品の在り方を考慮してふるさと納税を受ける団体として指定できるかどうかという、そういう要件を定めてしまったというところに問題点があるわけですけれども、そのような内容の要件を告示でもって、つまり、何といいましょうか、委任立法でもって定めることができるかというと、法定主義を形式的に考えれば、法律でそのような告示に委任をしているんだからオーケーということになるんですけれども。  しかしながら、最高裁判所は、地方自治法における関与手続の中における行政指導、助言、勧告に関する方式の中で定められている不利益取扱いの禁止に関する規定を援用しまして、要するに、泉佐野市が指定を受けないといったことは、それまで指導に従ってこなかった、総務省の指導に従ってこなかったことに対する一種の制裁として行われているに等しいと。そのような内容を表すような告示を定めることは、地方税法がこの告示に委ねた趣旨に反するということですね。しかも、その委任の趣旨は本来かなり税技術的な内容に関するものである。しかしながら、過去のふるさと納税に対する対応をそのような指定の要件に加えることは一種の政治的な事項であって、それは、当該省令、つまり告示の目的の中に入っていないという、委任の範囲を超えているという、そういう判断をされたわけですね。  でも、このようなところから考えますと、やはりこの関与最小限の原則、そして法定主義というのは両方相合わさっているわけでして、国会がこの関与に関する法律を定めるときについては、その要件をやはり厳格に定めること、そしてその関与の内容もできるだけ権力的なものを使わないようにする、仮に権力的なものを使う場合にしても、それはかなり限定的な場合にするといったことが求められているわけでして、先ほど議員がおっしゃったように、今回の補充的指示権に関する要件は非常に曖昧といいましょうか、そういう感じになっています。  あと、そういう、何といいましょうか、個別的な指示権の行使に当たって、要するに、このようなある程度、曖昧と言うと失礼かもしれませんけれども、要件が緩やかなものを定めるということは個別の法律でもひょっとしたらあるかもしれません。そのこと自体は問題があるかもしれませんけれども、今回は、いわゆる一定のこの重大影響事態におきまして、その事態の中で閣議決定によって担当大臣が指示をするんですけど、それは果たして個々の指示をしなきゃいけないというときに閣議決定をしようとするということなんだろうか、いや、逆に言えば、そのような事態において対処方針を、もうその方針の中で幾つかの指示権を創出をする可能性はないのかというふうに思います。  ですから、一定の要件で、この限りにおいてこの指示を、特定の自治体に対して指示をするといったことはひょっとしたらあり得るのかもしれませんけれども、それを超えて一定の事態に対して一般的に対処するためにその指示権を対処方針の下に創出をするといったことは、これは逆に言えば委任立法というふうな形にもなりかねませんので、これは果たしてそんなことまで予定するような条文であるかというと、それはそうではない、あるいはそうあってはならないというふうに思いますので、その点、こちらの委員会の方でより審議を深めていただければと思います。  ありがとうございます。

芳賀道也国民民主党・新緑風会

○芳賀道也君 関与が政治的にならないような歯止めというのはやはり必要だと思います。  最後に、小原教授に伺います。  雑誌「住民と自治」、二〇一九年二月の、見逃せない、解読、二〇四〇自治体危機論に教授が自治体戦略二〇四〇構想をめぐる論点という記事を書かれております。報告書で語られている圏域マネジメントを進めなければ乗り越えられない課題があるというのには十分な根拠に欠けているという教授の考えが述べられ、また、既存の一部事務組合などの仕組み、地方交付税や年金という自治と暮らしを支える制度を大切に維持していくことができれば十分対応できると論じていらっしゃいました。  この辺り大変興味深かったので、再度、時間も少なくなりましたけれども、御教授いただければ有り難いんですが。

小原隆治早稲田大学政治経済学術院教授

○参考人(小原隆治君) しばらく前の論文をお読みいただきまして、大変ありがとうございます。  今回の補充権、ごめんなさい、補充的な指示権の問題とリンクしませんけれども、直接にはリンクしませんけれども、現場の自治体が小さくて困っている、だからますます合併だというようなことではなくて、既存の事務組合、広域連合、その他の仕組みによって、定住自立圏や連携中枢都市圏がどうしても必要というふうには私は必ずしも思いませんけれども、ソフトな連携の仕方によっていろんな対応ができているし、実際できてきたし、それは不十分であったかもしれないけれども、震災対応でも、それからコロナ対応でも、自治体は随分やることはやってきたという具合に認識をしております。  以上でございます。

芳賀道也国民民主党・新緑風会

○芳賀道也君 ありがとうございます。  最後に、もう一度、一つ、時間ないですけれども、牧原教授に伺います。  先生は、政治資金の収支報告書の透明化について、外国人記者クラブやPHPのシンポジウムなどで積極的に発言されています。現在、与党、自民、公明、維新の間で合意している修正案について教授のお考えがあれば、ちょっと時間がない中で恐縮ですけれども、一言お願いできますでしょうか。

牧原出東京大学先端科学技術研究センター教授

○参考人(牧原出君) まあ何とかここまで来たのかとは思っております。まだいろいろな論点ありますけれども、少なくともまだ細目が詰められていないということで、特に私は第三者機関の在り方が重要だと思っていますので、これはなかなか詰めるのに時間が掛かると思いますけれども、しっかりと詰めて、再来年の一月一日から施行ということだと聞いておりますので、それに向けてしっかりと議論を進めていただきたいと思います。

新妻秀規公明党

○委員長(新妻秀規君) おまとめください。

芳賀道也国民民主党・新緑風会

○芳賀道也君 はい。  ありがとうございました。

伊藤岳日本共産党

○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。  参考人の皆さん、本日は貴重な御意見ありがとうございました。  まず、牧原参考人、本多参考人に伺います。  改正案は、第十四章を作り、一連の新しい関与の仕組みを設けています。第二百五十二条の二十六の五の補充的指示が注目をされていますが、その前、まず二十六の三、二十六の四についてお聞きしたい。  二十六の三、資料及び意見の提出の要求の主語は、各大臣又は都道府県知事その他の都道府県の執行機関となっていて、二十六の四、二十六の五が各大臣となっているのとは違います。二十六の三において、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態又は発生のおそれがある場合であることを認定する権限を持つのは一体誰になるのか。なぜ各大臣又は都道府県知事その他の都道府県の執行機関としたのか。また、生命等の保護の措置を講じるために必要と認めるときは資料の提出、これは元々現行法にも、類型にありましたが、意見の提出要求が関与として加わります。この意見の提出要求はどういう必要性から入れられているのか。本多参考人、牧原参考人の順でお聞きできればと思います。

本多滝夫龍谷大学法学部教授

○参考人(本多滝夫君) 質問ありがとうございます。  この二百五十二条の二十六の三は、確かに他の特例関与に比べますと若干異質なところがあるかと思います。  御質問は、この各大臣が資料の提出を求めることができる、そして都道府県知事その他の都道府県の執行機関が資料の提出を求めることができるという、主語が二つあるということにつきまして、それぞれがこの国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に関する認定権を有するんじゃないかということですけれども、この条文を素直に読む限りはそうだとしか言いようがありません。  ただ、こうしたときに、じゃ、後の例えば二十六の五になったときに、今度は各大臣のみが指示に関する補充的認定権を持つということですと、この指示は、普通、各大臣にしか認めない指示権ということなので、ここは各大臣ということになりますけれども、そうなりますと、いきなりこの二百五十二条の二十六の五の重大影響事態が生じ、あるいは生じるおそれがあって指示が来るというわけじゃなくて、その前提に、当然、そのまだ資料の提出であるとか意見の提出を求める、そういう段階があるのではないかというふうに考えますと、そうすると、都道府県知事の方は、いや、そういう事態ではないというふうに考えているにもかかわらず、大臣の方が、いや、もうそのような事態なんだと、次にこの措置を講ずる必要があるから資料の提出を市町村に対して求めたいというようなことを考え、またその旨を都道府県知事に対して指示をするというと、ここは相矛盾することになるのかなというふうに思います。  ただ、そのときの調整権として、都道府県知事に対する大臣の指示につきましては、これを法定受託事務というふうに、今、後の、地方自治法の今度の改定の二百九十八条のところでその条文が付け加わるということで調整が図られるということになるのではないかと考えております。  それから、もう一点の意見の提出を求めるについてはどうかという点ですけれども、これは地制調の答申の中で、こうした事態における自治体からの情報といったものは必要だという、そういうことから、あえてこのような新しい関与といったものを設けたものだというふうに思います。  この意見の提出の求めにつきましては、これは正直言って、意見を出せるか出せないかでは、まさにこれは非代替的な作為義務であります。作為、非代替的なものなので、これは強制しようにも強制しようがないという趣旨でこの限りにとどめられているということですけれども、もしこういうようなものが必要であるのならば、これは関与の基本類型といったものの方で改めてもう一度考え直す必要があるのではないかと思います。  以上でございます。

牧原出東京大学先端科学技術研究センター教授

○参考人(牧原出君) 私もこの条文については、まだ、この条文の準備した側ではございませんので、私の考えを述べれば、やはり、いわゆる国民の安全に重大な影響を及ぼす事態において、都道府県も市町村等にその意見を求めていることはできるということだと思います。  それはやはり、その後の事務処理の調整の指示を受けたときなど、都道府県の側から一定の、都道府県の側が一定の対応をする必要がある場合が出てくるということもあって、そういう情報共有を努めているということだと私は認識しております。  やはり、意見の提出、意見表明ということを通じて、国、都道府県、市町村で可能な限り情報を共有した方が、指示をするかどうかにかかわらず対処できるということではありますので、そういう意味で、この条文が有用であるということが望ましいのではないかと思います。

伊藤岳日本共産党

○伊藤岳君 牧原参考人、本多参考人にもう一問伺います。  同じく同条二十六の四、これ事務処理の調整の指示についてですが、各大臣は、その担任する事務について、生命等の保護の措置の的確かつ迅速な実施を確保するため、事態に係る都道府県について、市町村を超える広域の見地から、都道府県と市町村の調整を図るために必要な措置をとることができると規定されています。  この広域的な調整ですが、例えば、三日に政府は先島諸島の避難計画案を発表しましたが、こういうことも入ってくるのか。この規定がなぜ必要だと考えられるか。また、二十六の三、二十六の四でも関与の規定が動き出すということが想定できるわけですが、二十六の三又は二十六の四については、都道府県、市町村はこれ拒否できると読むことができるんでしょうか、それとも拒否できないと読むのでしょうか。牧原参考人、本多参考人、お願いします。

牧原出東京大学先端科学技術研究センター教授

○参考人(牧原出君) 広域の見地というのは、その都道府県、各都道府県内で、の中で市町村を超えた事態が生じた場合に、都道府県が調整をするように国が指示をするということであろうと考えています。ただ、これは、ここで想定されている事態が、今お話しになったような先島のような事態と関係するとは私は考えておりませんので、やはり、これは将来、先ほどもお話ししたような、かなり限られた非平時においてそういうことが必要になるかどうかということであろうと思います。  拒否できるかどうかということに関しては、事実上の拒否は私は幾らでも可能だろうと思っています。ただ、法律上、それを拒否した場合、どういうその次の局面が進むかということは問題になるわけです。例えば、先ほどの一斉休校のような、仮にそういう指示が出た場合ですが、翌週なので、翌週その休校するかどうかを決めるときに拒否すれば、これはもう裁判になったとしてもそれはもう間に合わないわけですよね。その裁判も、仮に裁判になったとしてもそれは間に合わないということになりますから、この場合は拒否は恐らくできてしまうということで、緊急性がある場合には私は事実上の拒否というのは十分あり得ると思います。  ですので、国はその拒否がないように指示権を行使する必要があるということになりますから、そうであるならば、多分にその拒否が受け入れられるような、失礼しました、指示が受け入れられるような形でのその指示権を行使する必要があるということです。

本多滝夫龍谷大学法学部教授

○参考人(本多滝夫君) 私自身、この二百五十二条の二十六の四は、いまだに何を考えているのかというのは非常に分かりかねているところでして、今議員がございました先島の事例というのはどうかなと。ちょっと私も考えていません。  ただ、私が今考えているのは、重大な影響事態が生じたときに廃棄物が生じるといったようなことがあって、これは、東日本大震災のときに特別措置法が出て、県域を超える処理につきましては特措法でもって対応しておりますけれども、一般的なごみ処理につきましてはそうした規定はないわけでして、そうしますと、一定の武力攻撃事態等とかそういったときに、災害廃棄物ですかね、広い意味では、そういうものが大量に発生をするときに、私が見る限りにおきましては、現行の廃棄物処理法では、国、自治体相互間の協力はせよという規定はあるんですけれども、調整に関する規定は、ちょっと、直ちにちょっと見付けることはできなかったんで、そういったことのときに使うことが可能かなというふうに考えております。そうすると想定できるので、また廃棄物処理法で考えていただければいいのかなというふうに思いますけど、それはおきまして。  その指示についてはどうなのかという、この調整をせよという、するために必要な措置を講ぜよということでして、これは、大臣が都道府県知事に指示をしたら、これは先ほど言いました法定受託事務になってしまいますので、当然、その調整事務をしない都道府県知事についてはその義務が発生しているということになりますので、しかし、だからといって代執行が可能なのかというのはちょっと分からないですけれども、そういう性格のものかどうか分かりませんが、いずれにしろ、そうなると思います。  ただ、調整を働きかけられている自治体、市町村にとりましては、これは義務というわけではありませんので、したがって、まさに調整ですから、双方向の意見の提出と協議に基づいて合意した範囲内で行われるということになります。  そうなりますと、これ実際に今でもやろうと思えばできたわけですし、コロナ禍におきましても、例の病院調整におきましても、その後、感染症法等で手当てが、指示ができると、手当てがされましたけれども、でも、当時におきましても相互に情報交換しながら調整を何とかしてきたわけでして、若干、初めてということであって、ぎくしゃくしたことはあったかというふうには思いますけれども、それはしかし、想定し難い事態においても同じようなことがやっぱり出てくるわけですから、そこについて調整を、例えばその指示として調整させるとかいったことはどこまで必要性があるかどうかは私は疑問に思うところです。  以上です。

伊藤岳日本共産党

○伊藤岳君 小原参考人と本多参考人に伺います。  総務省、これ大臣の答弁などでも、この間、自治法上の自治事務に関する指示について、こう答弁しているんです。国民の生命、身体又は財産の保護のため緊急に自治事務の的確な処理を確保する必要がある場合等特に必要と認められる場合を除き設けてはならないとあるが、そのうち緊急にとは、特に必要と認められる場合の例示として、例示として規定されていると説明をしているんです。  この改正法案において、緊急性を関与の要件にしなくてもいいというような姿勢を総務省の答弁で読めるんですが、この点について、小原参考人、本多参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

小原隆治早稲田大学政治経済学術院教授

○参考人(小原隆治君) ありがとうございます。  私は、もう端的に申して新設の第十四章は要らないと思っておりますので、そもそもどういう規定をするかという、その規定自体も要らないという、全体が要らないので、というふうに思っておりますけれども。  それで、その自治事務に対しての関与ということに関して、繰り返しになりますが、結局、それは新十四章で新しい特例的関与はできましたけれども、その後、指示に従う、従わなかった場合にどうなるのかということは、それは既存の、現在でいいますと、第十一章でしたっけ、関与の類型で定められているそのとおりということでございますので、違法確認訴訟があり、自治事務の場合は代執行すらできない、しかしそんなことしていれば緊急事態には間に合わないという、そういう話かと思います。  以上でございます。

本多滝夫龍谷大学法学部教授

○参考人(本多滝夫君) 地方自治法二百四十五条の三の第六項に緊急性の要件が加わっているということですから、これにつきましては、例示ではないかということですが、地方分権推進計画の段階におきまして、自治事務に対して指示を設けることについては二ないし三つのメルクマールを、ありまして、その中には、国民の生命、健康、安全に直接関係する事務の処理に関する場合であるとか、広域的な被害の蔓延防止の観点からの事務の処理に関する場合であるとか、あるいは、その他個別の法律における必要性から特別に国が指示することができる場合というふうになっていたわけです。  このメルクマールに従って個別の法律で指示権が一応つくられているということになっているわけですが、しかしながら、地方自治法の一般ルールとして定めるところについて、このような分権推進計画の後にできた条文においてあえて緊急性を設けているといったことは、各条文の指示におきましても緊急性といったものが当然求められているし、求められるべきだと思いますし、全てを先ほど挙げている指示について見ているわけではありませんけれども、中にはやはり、実質的にやっぱり緊急性を必要としているというようなものについて指示が設けられているというふうに私は見ております。  以上でございます。

新妻秀規公明党

○委員長(新妻秀規君) おまとめください。

伊藤岳日本共産党

○伊藤岳君 ありがとうございました。

浜田聡NHKから国民を守る党

○浜田聡君 NHKから国民を守る党の浜田聡でございます。  参考人の先生方、本日は、お忙しいところお越しいただき、そして貴重な御意見をお聞かせいただき、本当にありがとうございます。  まず、私の方から東参考人に自治体DXについてお伺いしたいと思います。  先ほど芳賀道也委員の質問ともかぶるかもしれませんが、各自治体の自治体DXへの対応レベルというのは様々あると思うんですよね。その中では、やはり小さな自治体で、公務員の数も少ないし、公務員の方も高齢化されているところもあるかと思います。そんな中で自治体DXを進めていくとなると、やはりちょっと困難なところも出てくると思いまして、それによって更なる問題も出てくると思うんですけれど、そういった際に何か対応、国の方、国や国会の方でできる対応などありましたら教えていただければと思います。

東健二郎一般社団法人コード・フォー・ジャパン/滋賀県日野町政策参与

○参考人(東健二郎君) 御質問ありがとうございます。  小規模自治体への対応、自治体DXを進める上での支障といったようなところだと思うんですが、委員御指摘のとおり、体制がこの数十年で非常に少なく、人が少なくなって、かつ高齢化の部分も進んでいるのは確かです。  でも、ただ一方で、高齢化も進んだ局面はやや終了を迎えつつあって、若い職員が増えてきているということがあります。それが先ほど私が意見の中で申し上げましたアンケートの中に表れておりまして、職位でいうところの係員とか係長レベルの若手の職員と、そこはボリューム的に増えている中で自治体DXに対する期待と不安が表れているということが見て取れていますので、全体としては議員の御認識の部分と重なるところがあろうと思います。  そうしたとりわけ小規模自治体への対応につきましては、国もそうでありますし、国会もこうして御議論いただくことそのものが、小規模自治体にどのような支援を行うべきかと、とりわけ都道府県の役割が重要だと思っておりまして、そのような機会だと思います。  事例で申し上げました大阪府に限らず、とりわけ近年、都道府県が、東京都でありますとか愛媛県でありますとか、総務省の事例集の中にも、都道府県がとりわけ、なかなか体制を築きにくい小規模の自治体に対して伴走支援を行うという取組がありますので、それに対して国が財政支援を行っておりますので、こうしたものを期間を延長するとか措置率を上げるとか、様々な重み付けを行うことは考えられるかなと思います。  以上です。

浜田聡NHKから国民を守る党

○浜田聡君 ありがとうございます。  何か希望を感じられることができる御答弁、ありがとうございました。  引き続き東参考人にお聞きしたいんですけれど、やはり、自治体で政策参与をされているということで、いろんな自治体DXの事例を御存じではないのかなと思います。自治体DXと関係なくてもいいんですけれど、御自身が進めた政策の中でこれは是非共有しておきたいというような好事例などありましたら教えていただけたらと思います。

東健二郎一般社団法人コード・フォー・ジャパン/滋賀県日野町政策参与

○参考人(東健二郎君) ありがとうございます。  前提としてお断りするんですが、私、参与でございまして、直接何か権限を持って何かをするという立場ではなく、あくまで地方公務員法に基づいて専門的な知見から助言をするということですので、申し上げる取組もあくまでその当該自治体の職員さんが成し遂げたということかと思います。  先ほど別の委員からの御案内の中にもありました日野町においてのワクチンメーターみたいなことは、デジタル庁がワクチンの接種状況を全国的に更新をしていたときに、私どもの小さい町でありますけれども、日々行う集団接種の状況をリアルタイムで更新をするということに多くの職員が取り組んでくれました。  これによって、先ほども少し申し上げました、町民さんがどうしても、ワクチンは本当に行き渡るんだろうかでありますとか、役場はきちんと接種しているんであろうかというような、根も葉もないことではないんですが、やっぱり不安を持っているとどうしても見えている事象が違うように見えてくるところをリアルタイムにその状況をお示しすることで、役場は歩みは遅いけれどもきちんとやっているんだということをデータで示すことができる、あるいはそうした業務の流れを役場の各部門の人たちと協力してつくることができたということがあろうかと思います。  それ以外のことも、私がではないんですが、そうしたワクチンメーターを通じて、ああいう非常時のときに多くの住民さんに情報提供し続けるという自治体が数多く現れておりまして、そういった取組は今後もまだ続いていくんじゃないかなと思います。

浜田聡NHKから国民を守る党

○浜田聡君 ありがとうございます。  次に、大学教授であられます牧原参考人、小原参考人、本多参考人にお聞きしたいと思うんですけれど、質問したいこととしては、今回の法改正における衆議院の修正案に関することなんですね。  今回の改正案において、今回の地方自治法改正案においては、感染症や災害などの重大な事態が発生した場合に個別の法律に規定がなくても国が自治体に必要な指示を行うことができる特例でございまして、この特例の部分に関して、衆議院の修正案においては、国会に報告を、国が指示を行った後に国会に報告を義務付ける修正案であったと認識をしております。  ここで、私の問題意識としては、地方自治法、修正案自体は非常に私としても賛同できるところでありますが、個別法においてはいかがなのかなというところでございまして、私としては、むしろ個別法においても、閣議決定や国会報告などをした後に国に国会に報告を義務付ける、そういう修正案のようなものが必要なのではないかなと思うんですけれど、こちらに関しては、それぞれの法律、たくさん法律ありますので網羅的にすることは難しいとは思いますけれど、各参考人の思い付く範囲でもいいのですけれど、それぞれ御意見をお伺いできればと思います。

牧原出東京大学先端科学技術研究センター教授

○参考人(牧原出君) 今回の衆議院の修正案は、その条文だけではなくて附帯決議も大変私も意味があったと思っておりますので、改めてそこは申し上げさせていただきます。  個別法につきましては、たしか、私の記憶がやや曖昧ではありますけれども、国会との関連もあった法律もあったと思いますし、しかし全てがそうであったかどうかは分からないということだと思います。  個別法はその個別法の趣旨に応じてその指示権が規定されていますので、私は、全て国会にそういう報告が必要かどうかということは、それは一概には言えないのではないかと思いますけれども、いずれにしても、そういった指示権が実際に行使された場合については、是非国会で事後的に、やはりそれについて、検証という言葉がいいかどうか分かりませんけれども、政府に対してその意図やその意味についてしっかりと問いただすという場面は必要だろうと考えています。

小原隆治早稲田大学政治経済学術院教授

○参考人(小原隆治君) ありがとうございます。  先ほど西田委員に対するお答えでちょっとフィットしていないお答えをしたかなと思いまして、そのお答えの補充と併せてお話ししたいと思いますけど、リーダーシップをどう考えるのかと、こういうお話ございました。  それで、政治のリーダーシップで特に法的な枠をはめずにということですけれども、それが暴走しないためには、やはり法というよりも政治の範囲で国会できちんとチェックを掛けていく。その場合には、牧原参考人おっしゃったように、事後の検証もきちんとやることも含めてそういうパッケージになるであろうし、仮に法的に一般法として指示権を設けるということになると、それは法的に国会がどう関与するのか、事前か事後か、報告か承認か、あるいは全てかということでパッケージで枠をはめていくという、その政治の世界と法の世界で切り分けて考えればよろしいのではないかという具合に思います。  それで、今の御質問で、浜田委員の御質問でございますけれども、今回の場合は、一般法たる地方自治法で、それで指示権を、補充的な指示権を設けるということでございますので、一般法において、で、衆議院で一部修正があったような事後報告だけで本当はいいのかどうか。原則的な考え、十四章が要るのか要らないかということは先ほど申し上げたとおりですが、仮に成立するとすると、一般法で設けたものに対して一般法たる地方自治法で事前事後に関してチェックをしていく。今回、衆議院では事後報告だけにとどまっておりますけれども、本当はそれでいいのかどうかということを是非参議院の先生方によくよくお考えいただいて、かっちり法の世界で枠をはめていくという、そういう御努力を是非していただきたいと私は思っております。  以上でございます。

本多滝夫龍谷大学法学部教授

○参考人(本多滝夫君) まず、私も小原参考人と同じように、この補充的指示権について設けることが必要かどうかについてはまず疑問であるといったこと、仮に設けるとしても、衆議院で修正ありましたように、国会に対して報告すること、これはまあ少なくとも最低限必要なことであるというふうに思っています。  それは先ほど私の方でも意見申し上げましたように、個別の指示としてされるといったことだけでなく、ひょっとしたら、対処方針に基づいて一般的にいろんな指示がそこに設けられる可能性があるとすると、これまさに立法していることになってしまいますので、国会に対しては報告をしなきゃいけないのは当たり前ですし、本当は報告だけで済むのかというと、地方公共団体における長の選挙規則に対する議会の承認、不承認と同じように、仮に承認制も入れる必要性があるのではないかというふうに思っています。  それで、個別の指示につきましては、これはいろいろ議論のあるところですけれども、一応個別的に行使される、まあ一応そういう指示権の行使なので、直ちに国会に対する報告は必要かどうかという、ちょっとこれは疑問に思えるところなんですが、ただ、指示の要件の中に、例えば建築基準法における指示の場合にはやはりこの法令違反とかそういった要件がかぶってきていまして、例えば、それに対して審査の申出をし、国地方係争処理委員会についてその審査の申出が棄却され、しかし、その次は裁判所へ行って、今度は裁判所で審査が可能だということになりますと、そのような、何といいましょうか、指示権に対する法的なコントロールが可能なものがあります。その場合にはあえて国会で報告するまでもない。  もちろん、いろんな行政的な監視を国会がする必要がありますので、質問等でそうした指示をしたかどうかについて報告を求めることはあっていいかと思いますけれども、個々のところで設けるまでもないかなと思いますけれども、全くそのようなものではないような、裁判所で審理が及びかねないような指示につきましては、これはやっぱり国会の責任においてその報告をさせるような規定を置いた方がいいのかというふうに思います。  以上でございます。ありがとうございます。

浜田聡NHKから国民を守る党

○浜田聡君 ありがとうございます。大変貴重な意見、大変貴重な意見で私にとっても勉強になりました。  法学部教授であります本多参考人に引き続きお伺いしたいんですけれど、今回の法改正においてポイントとなるものの一つに平時と非平時というものがあろうかと思います。特にこの非平時、いろんな想定があると思うんですけれど、ちょっとここで仮に私が想定したいのが閣議決定すらできない非平時でございます。  例えば、過去、歴史だと、関東大震災であったり、あとは二・二六事件ですね、これは閣僚が殺害されておりますので閣僚全会一致の閣議決定に大いに支障があるのではないかなと思います。  そういった非平時において今回の改正案であったり現行法制などで対応可能なのかどうか、憲法改正がもしかしたら必要なのかと私は思っているんですけど、その点に関して御意見いただければと思います。

新妻秀規公明党

○委員長(新妻秀規君) 挙手をお願いします。

本多滝夫龍谷大学法学部教授

○参考人(本多滝夫君) 非常に難しい問題をいただきまして、私自身も想定外の質問でしたのでちょっとお答えに窮するところはございますけれども、今議員が設定された想定事態、要するに、国家の中枢機能が逆に失われている状態でというときに、正直言って、もちろんこの規定は動きようがないわけですので、もちろん生き残ったそれこそ地方公共団体が頑張って住民の生命や安全を確保するためにやるということになることで対応するしかないというふうに思っています。  それを超えてどういうふうな国家システムが必要かについては、それはもうそのときのそれこそ政治的リーダーシップの問題として処理をするしかないのではないかと思います。そこにはやっぱりそれなりの専門性を持った部隊といったようなものがやっぱりあることが必要ですし、逆に、そういったものがやっぱり逆に地方公共団体において、それぞれの知事なりなんなりが、知見をためたところに、あるいはそうしたものに習熟することによって、国家自体が機能しない場合に地方公共団体がそれに代替して行いますし、あるいは地方公共団体の首長同士で連携を取ってその事態を乗り切るといったことが可能ではないかというふうに思います。  直ちに緊急事態法制という形で作る必要が果たしてあるかどうかについては、お答えは控えさせていただきたいと思います。

新妻秀規公明党

○委員長(新妻秀規君) おまとめください。

浜田聡NHKから国民を守る党

○浜田聡君 はい。  ありがとうございます。  緊急事態において、やはり地方自治、各自治体が重要であること、そして政治家のリーダーシップが必要であること、非常に貴重な御答弁ありがとうございました。  私の質問を終わります。

広田一各派に属しない議員

○広田一君 広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。  まず、参考人の皆さんには本当に貴重な御意見いただきまして、誠にありがとうございます。  まず、生命などの保護の措置に関する指示に関連して、小原参考人と本多参考人にお伺いをいたします。  私は、今の政府が繰り返し述べております事態対処法などで定められている武力攻撃事態などへの対応については、法律で必要な規定が設けられており、本改正案に基づく関与を行使することは想定されていない旨の答弁につきまして、私は必ずしもそう断定できないのではないかというふうな問題意識を持っているところでございます。つまり、事態対処法で想定されている事態、事例で、現行の事態対処法と国民保護法では対応できない場合があるのではないかなということであります。  その具体的な事態と事例が何かといいますと、事態対処法で規定されております存立危機事態であり、その具体的な事例の一つとして、かつて安倍政権が国会で何度も強調されておりましたホルムズ海峡の機雷掃海の事例であります。  このような事例が発生する蓋然性は私は極めて低いというふうに思っておりますけれども、ただ一方で、万一を想定をして考えていくのは危機管理の要諦でもあるわけでございまして、特にこれまで政府が述べられていた事態と事例についてしっかりと検証をしていくことが本改正案の立法事実を議論する上でも私は大変重要ではないかなというふうに思っております。  こういった事例が万一発生し、国民を保護するために生命などの保護の措置に関する指示を出す可能性は私は排除されていないのではないかなというふうに考えるわけでございますが、この点について何か御所見があればお伺いすると同様に、この事態対処法などで定められている武力攻撃事態などへの対応については、法律で必要な規定があるから本改正に基づく関与を行使することは想定されていないという今の政府の見解について、額面どおりに受け取っていいのか、どう評価されているのか、両参考人にお伺いします。

新妻秀規公明党

○委員長(新妻秀規君) それでは、じゃ、小原参考人から。

小原隆治早稲田大学政治経済学術院教授

○参考人(小原隆治君) ありがとうございます。  広田委員御指摘の武力攻撃事態対処法と国民保護法との間に恐らく何かループホールみたいな、隙間みたいなものがあるというそもそもの御認識かと思いますけれども、であるとすると、それは個別法であるその両法で対応するべきことであって、その何か付け回しみたいなものを地方自治法の方に回すべきではないというのがまず第一点でございます。  続いて、第二点で、では、その隙間のような事態が生じたときに補充的な指示権の対象になるかということでございますけれども、それは繰り返し総務大臣がそういうことはないのだということをおっしゃっておりますが、他方で、委員御指摘のとおり、個別に限定されるわけではなくて、対応する範囲は無限に広いのだみたいな言い方をなさっておりますので、可能性としては、その隙間の問題に関して補充的な指示権が使われるということも、それは可能性としては、理屈の上では、法理の上ではあり得るという話になろうかと思います。  最後に、第三点でございますけれども、その一方ででありますけれども、先ほど政府有識者会議というようなことを申し上げましたけれども、政府の中でコロナ対応がどうもうまくできなかったのだという認識があったことは、これは間違いないというふうに思います。  その脈の中で、今回、有識者会議があったり地方制度調査会の小委員会の審議があったりということでありますので、そのこれまでの経路といいましょうか、経路依存的なそういう脈を考えますと、何か防衛法制というようなこととは直結していなくて、基本的には、コロナ対応がどうもうまくいかなかったから、コロナ特措法はどうだったんだろうか、感染症法はどうだったんだろうか、それが主たる議論であったわけで、ということからすると、その一般的な法理としては、隙間は指示権の対象になり得るけれども、これまでの議論からすると、それはそうでもないのかなという具合に私は認識をしております。  以上でございます。

本多滝夫龍谷大学法学部教授

○参考人(本多滝夫君) この点につきましては、私も非常に悩んでいるといいましょうか、どういうことなんだろうかというふうに思っています。  先ほど議員も申しましたように、政府参考人の御意見を額面どおり受け止めれば、武力攻撃事態等におきましては現行法での指示権で十分に対応できるということだとするならば、それは漏れなくできるということでありましょうし、逆に言えば、変な言い方ですけれども、かなり要件を広く解釈して対応するつもりだというふうにも受け取られる可能性はあります。  その場合分けについて、先ほど私、陳述書四ページでありましたけれども、仮にその穴がないよという趣旨は、三番目のところできちんと穴がないようにしていますから大丈夫ですということだとすると、②のところで、要するに、法律、例えば武力攻撃事態法という法律は存在はするんだけど、武力攻撃事態法では想定していないような事態が発生をした場合にどうしたものかということですが、武力攻撃事態といったものについては、ある程度想定されていることがいっぱいあって、その想定を十分にし切れていない状態、あるいは想定をすることを控えたいので言わないでおくというようなことがあるのではないかというふうに私は疑念を持っております。そこを今は手のうちとして出してしまうと非常に政治的にまずい、危ないことになるかもしれないという思いがひょっとしたらあるかもしれないということで、それが十分に国会の審議の場に出されていないのではないかというふうに懸念があります。  ですから、本当にこの穴みたいなのがあったらどうするんですかというふうなことにつきましては、穴はもう穴として、その指示権以外のもので対応すればよいというふうに、それで十分に対応できるのではないかというふうに、私としては、今のところ、今の法律上はできるんじゃないかと考えております。  以上でございます。

広田一各派に属しない議員

○広田一君 次に、国と自治体のコミュニケーションに関連して、牧原参考人にお伺いをいたします。  国と自治体のコミュニケーションで、令和五年の第三十三次地制調の答申の問題の所在において、令和二年二月のダイヤモンド・プリンセス号の船内での多数の新型コロナ患者発生の際に、都道府県の区域を超えた対応が必要となって、国が調整の役割を果たしたことなどが明記をされているわけでございます。  その後、この事案を踏まえて、感染症法の改正として、第四十四条の五第一項において、厚生労働大臣、つまり国が都道府県などに対して、必要があると認めるときは、都道府県知事などが実施する当該感染症の蔓延を防止するために必要な措置に関する総合調整を行うというふうに、旨の規定が創設をされました。  また、災害対策基本法においても、第三条第二項において、国は、地方自治体などが処理する防災に関する事務又は業務の実施の推進とその総合調整を行うという規定が義務化をされているわけでございます。  このように、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態においては、官民を通じた効率的な効果的な対応が図られるよう、都道府県と連携しつつ、指示を発する前に国による総合調整、こういったことが求められているというふうに考えますけれども、その必要性についてお伺いをするとともに、今回の法改正では、この国の総合調整という制度は条文上明記されていないというふうに承知しているんですが、その点に関する評価について牧原参考人にお伺いします。

牧原出東京大学先端科学技術研究センター教授

○参考人(牧原出君) 個別法がある場合、総務大臣の御発言もそうだと思うんですが、できる限り個別法で対応するということだと思いますし、私もそうあるべきだと思うんですね。ですから、個別法で問題が生じるたびに規定を設けたりして対応してきていると。未来、これからもそれでいくべきであって、地方自治法の一般的なこの指示権を使うということを想定しないということが、まあ基本はその方向でいいんだと思います。ですので、今幾つかの法律を取り上げていただきましたけれども、それらでできる限り対応するということだと私も考えております。  今回の地方自治法の改正について、国の総合調整はむしろ前提にあるということではあるんだろうと思うんですね。その上で、何か指示というようなものを出す場合に、その総合調整が前提だけれども、総合調整は事実上なされているということで、意見表明というような手続を、努力義務ではあるにせよ、設けたということだと考えております。  何にしても、平時からどういうコミュニケーションを取れるのかと、非平時に取れるのかということをやはり見通しておく必要があると思います。それによって、実際起こる事態、想定外の事態は、やはりこの次に何が起こるか分からないという、そういう不安感が必ず生じると思いますけれども、その不安感をできるだけ解消するような情報共有ができるようになるのではないかと思います。

広田一各派に属しない議員

○広田一君 そうすると、国による総合調整というのが前提というふうなことなので、あえて今回、改正案に総合調整の機能というか、国の役割というものは設定する必要がないと、そういうふうなお考えなんでしょうか。

牧原出東京大学先端科学技術研究センター教授

○参考人(牧原出君) 今回の規定に関してはそういうことだと思います。ただ、これも、実際にそういう、それに近い事例が起こった場合にこれでよいかどうかということはまたそこで問題にし得るということだと思います。

広田一各派に属しない議員

○広田一君 それにちょっと若干関連すると思うんですけれども、第二百五十二条の二十六の四で事務処理の調整の指示の規定があるわけでございます。確かに、各大臣から都道府県に対してこういった指示をして、それぞれのエリア内の市町村等の調整を図るという一つの流れが必要だというふうには私も理解するんですけれども、一方で、福岡県とか神奈川県とか指定都市を抱えているところにおいて、通常の県とその指定都市との関係を考えると、むしろ県からその指定都市に対してそういった調整というふうな形の流れよりも、むしろ、国がその県と指定都市との間で総合調整を図るということが現実的なそれぞれの関係からいうと私は合理的で効果的だというふうに思うんですけれども、そういった規定というか役割についての御所見をお伺いできればと思います。

牧原出東京大学先端科学技術研究センター教授

○参考人(牧原出君) おっしゃるとおりだと思います。政令指定都市がある場合には、やはり国と政令指定都市とのその直接のコミュニケーションも非常に重要ですので、都道府県にまずは投げて、そこで調整ということだけではないコミュニケーションのそういう経路が必要だと思います。  今回の法律ではそこまで書き切れていないということだと思いますけれども、今後、政令指定都市の在り方が議論されるということがあるとすれば、そういう制度の検討、あるいはその制度改正に合わせてここも考えていくということであり、かつ、今回、地方制度調査会に対して、指定都市の方からも、いろんな意味でもっとコミュニケーションを密にしてほしいという、そういう要望を受けていると聞いておりますので、実際の運用ではそこの辺りは相当程度配慮されるのではないかと考えています。

広田一各派に属しない議員

○広田一君 以上で質問を終了します。どうもありがとうございました。

新妻秀規公明党

○委員長(新妻秀規君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後一時散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗