総務委員会 第11号
- 発言数
- 124 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2024/05/07
会議録
○委員長(新妻秀規君) ただいまから総務委員会を開会いたします。 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案の審査のため、二名の参考人から御意見を伺います。 御出席いただいております参考人は、株式会社日本総合研究所執行役員法務部長大谷和子さん及び弁護士清水陽平さんでございます。 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、大谷参考人、清水参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず大谷参考人からお願いいたします。大谷参考人。
○参考人(大谷和子君) ただいま御紹介にあずかりました大谷でございます。 本日は、貴重な機会を賜りまして、ありがとうございます。 資料の用意がございませんで、口頭での意見陳述とさせていただきます。 私は、総務省のプラットフォームサービスに関する研究会の構成員としまして、平成三十年からインターネット上の違法・有害情報への対応について議論に加わってまいりました。その過程で、今回の改正案の前提となる報告書の取りまとめに向けた検討にも参加してまいりました。また、平成十三年からは、プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会という協議会がございまして、名誉毀損・プライバシー関係ガイドラインの策定に長年関与してまいりました。 ちなみに、プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会といいますのは、プロバイダーなどがインターネット上の権利侵害に適切かつ迅速に対処できるようガイドラインを整備するなどの活動のために平成十四年に設立された民間団体でございまして、本日は、お話の中では単に協議会と説明させていただきます。 このような立場から、この改正案についての賛成の意見を述べたいと思います。 この改正案につきまして、特に私が重要だと考えているポイントを三点ほど御説明したいと思っております。 まず一点目でございます。この改正案というのは、違法情報の削除の迅速化を図ることのできる体制整備を大規模プラットフォームサービス事業者に求めるものだという点でございます。 この迅速化規律というのは、権利侵害情報、すなわち違法な情報に対するものでありまして、外延が不明瞭な有害情報に適用されるものではなく、このことからも表現の自由とのバランスが図られているという点がとても重要だと思っております。 四年前の総務省のインターネット上の誹謗中傷への対応に関する政策パッケージに基づくモニタリングでは、削除の申告の受付や審査のプロセスについて事業者から定期的な情報開示をお願いしてまいりました。ところが、事業者ごとの状況には差異があるものの、そして少しずつは改善していただいているものの、依然として不十分な点が残っていたと思っております。違法情報が放置され、拡散されますと、被害がより大きくなります。 現行法の下でも、事業者が権利侵害情報を知ったときには条理上の削除義務が生じることを前提といたしまして、この協議会の名誉毀損・プライバシー関係ガイドラインでは、侵害情報送信防止措置の依頼書のひな形を作成し、また、侵害情報の特定に資するURLなどの情報を事業者に伝え、事業者が迅速に送信防止措置を講じるためのプロセスを示したり、また、事業者が自主的に速やかに削除できる場合について裁判例などを示したりして事業者の迅速な対応を促してまいりました。 しかし、SNSなどの新たなサービスの利用者が爆発的に増えるに至りまして、民間事業者による自主的な規制だけではその効果が不十分になっていたと私も感じております。 改正法では、欧州のデジタルサービス法にも同等の規定がございますように、削除の申出の窓口や手続の整備、そして公表、そして削除の申出に対する判断、通知というのを大規模プラットフォーム事業者に義務付けております。このような点で日本版DSAとでも呼ぶにふさわしい規定が盛り込まれておりまして、この迅速な対応に向けての改善が大いに期待できると考えております。 二点目でございます。侵害情報に関する調査の義務に加えて、侵害情報調査専門員の選任義務が設けられた点は非常に重要なポイントだと考えております。 御承知のとおり、大規模プラットフォーム事業者の多くが海外の事業者でございます。プラットフォームサービス研究会ではモニタリングをしばしば繰り返しておりましたけれども、権利侵害への対応のために日本の文化的、社会的背景を踏まえた措置を行うための十分なリソースを投入していただいていないと思われる事業者が幾つかございました。また、我が国における違法有害情報の実態が十分に理解されていないために適切な対応が取られていないと思われる案件にも数多く遭遇してまいりました。 具体的な例を申し上げますと、インターネットの上で特定の地域を同和地区であると指摘する情報、識別情報の摘示ということですが、こちらを公表する行為が実質的にはプライバシー侵害に当たる行為であると評価した下級審裁判例などがございますが、これは海外では特に関心のある方以外には知られていないのではないかと思われます。 内外のプラットフォーム事業者が我が国の文化や社会的背景に明るい、特に法律に明るい専門家を選任することで、インターネットにおける不当な差別、そして人権の問題についても前進が図られるのではないかと期待しております。 海外の事業者に対しましては、ほかにも送達の関係の制度整備、そして大規模特定電気通信役務提供者に指定された外国法人における国内の代表者の氏名、住所の届出義務といった制度整備も講じられているところであります。 そして、三点目でございます。透明化規律の導入につきまして、これも重要なポイントだと思います。 事業者が自ら有害情報の削除基準を策定し、これを公表する義務が設けられたこと、今般のその侵害情報の削除の迅速化規律が導入されたことで、現状からはなかなか考えにくいものの、事業者に萎縮が生じ、オーバーブロッキングが生じないかを懸念する声があるとお聞きしております。迅速化規律も、もちろん拙速な判断にならないように、窓口の設置や調査の実施、申出者への通知などの体制整備にとどめたことでこの懸念には当たらないと思いますけれども、あわせて、その表現の自由を保護し、過剰な送信防止措置が講じられないようにするために透明化規律が設けられたことは極めて重要だと考えております。 透明化規律の肝となる削除基準につきましては、現在の通信関連四団体によります違法情報等対応連絡会がございまして、そこで作られている契約約款のモデル条項やその解説、それから協議会で取りまとめた判例要旨などを参考にしていただくことができると考えております。 削除基準につきましては事業者任せになってしまうことを懸念する声もございますが、事業者が自ら具体的に分かりやすく記載することの努力をすることがとても大事でありまして、判断を他人任せにするということは表現の自由とのバランスを失することにもなりかねないと考えております。 例えばですけれども、私としては、人権擁護機関などの公的機関からの削除要請につきましては事業者が真摯に対応してくださることを期待しているものですが、他方で、投稿内容を吟味せずに、公的機関からの要請だという理由だけで自動的に情報を削除するということが行われた場合には、表現の自由が実質的に損なわれてしまうことになります。表現の自由が十分に保障されていない制度の国家において、公権力への批判や論評が正当になされず、表現そのものが萎縮し、人権侵害が横行するというようなこともありますので、我が国を絶対そのようなものにしてはならないという思いを強めております。 透明化規律というのは、ただ大規模プラットフォームサービス事業者がこれを守れば情報空間がより安全、安心なものになるというものではないと考えておりまして、この規律が本当に十分な効果を発揮するためには、事業者が策定する削除基準、そして実際の送信防止措置のプラクティスに対して、利用者であるとか市民が十分にモニタリングをしていくということが不可欠だと考えております。そのためにも、この社会におけるマルチステークホルダープロセスといったものを機能させてサービス利用者をエンパワーするような政策というものも総合的な政策パッケージとして検討することが望まれると思っております。 長く三点ほど御説明させていただきましたが、最後に一言付け加えますと、今回のプラットフォームサービスに関する研究会の三次とりまとめというのが法制化に当たっての前提になっておりますけれども、そこのとりまとめの中で法制化に当たってより慎重な判断が必要であるとして法制化を見送った項目への御理解をいただくことが大変重要だと思っております。違法情報の流通の監視など、それからノーティス・アンド・テークダウンなど、法制化をしない選択をしたことへの御理解を是非いただきたいと思っております。 若干蛇足になりますけれども、東日本大震災以降に個人的にはスマホユーザーになり、SNSの利用者となりました。SNSの機能、インフラとしての機能についてはこれまでもよく言われているところですが、旧友と再会したり趣味の友人を増やすことができました。また、コロナ禍の下でも、SNSを通じて国際社会情勢にも生きた情報に触れて、多数の異なる意見にできるだけ接する機会を得てきております。 AIの濫用ですとか偽情報、成り済ましの課題など、幾つもの課題が山積しておりますけれども、プラットフォームサービスが今や世界、生活の一部として欠かせないインフラの一つであると、そして多くの異なる意見を持つ方との交流もできる良いものだということを前提に、その良い面を強化する制度としてこの政策が是非法律として公布されることを願っているものでございます。 どうも御清聴ありがとうございました。
○委員長(新妻秀規君) ありがとうございました。 次に、清水参考人にお願いいたします。清水参考人。
○参考人(清水陽平君) ただいま御紹介にあずかりました弁護士の清水と申します。 本日は、貴重な機会をいただき、大変ありがとうございます。 私は、インターネットの誹謗中傷被害遭った方から、中傷記事の削除とか発信者の特定といった依頼を多く受けている弁護士でございます。誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループの構成員も務めておりましたので、私としても今回の改正の方向性について違和感は特にございませんで、好意的に捉えてはおります。ただ、今回の改正の条文案に、内容自体に関与したわけではございませんので、改正案に関して思うところを幾つか述べさせていただければと思っております。 まず、これまでもプロバイダー責任制限法の三条によって送信防止措置についての言及自体はありましたけれども、立て付けとしては、あくまでプロバイダーが免責されるための手続として設けられていたものでした。ここから進んで、今回の改正では、プロバイダー等が自ら削除基準を明らかにして、その自ら立てた基準に基づいて対応するよう促しておりまして、積極的対応を促すものとして評価することができるのではないかと考えております。 ただ、私としては、更にここから進んで送信防止請求権というものについてまで考えていただきたいなというふうに思っております。この点はプラットフォームサービスに関する研究会でも検討が継続されていると認識しておりますけれども、送信防止請求権については次のようなデメリットが指摘されていると認識しております。 まず、抽象的規定にならざるを得ず、期待される効果が生じないのではないかという点が一点目。二点目が、安易な削除請求の乱発を招き、表現の自由に影響を与えるのではないか。三点目は、安易な削除請求の乱発の結果、裁判実務に混乱が生じるのではないか。四点目、著作権法上、著作権法百十二条、不正競争防止法三条の差止め請求権との整合性をどうするのかといったことが指摘されております。 ただ、これらの指摘というのは、デメリットらしいデメリットではないのではないかというふうに考えております。請求権の内容というのは多かれ少なかれ抽象的にならざるを得ず、発信者情報開示請求権についても抽象的規定であると言えるということですね。二点目に関しては、請求権ができたとしても、当然に削除義務が生じるわけではありませんので、デメリットとして指摘される乱発はないと思われる上、現状でも安易な削除請求というのは残念ながら多数ありまして、実際上変わらないのではないかと思われること。どういった権利が根拠となり得るかは、現在の判例を前提に考えるということでよいのではないかと思われること。抽象的規定なのであれば、知財法に関する差止め請求権と競合しても問題ないのではないかと思われることといった指摘ができるかなと考えております。 削除請求権、送信防止請求権を定めることによってどういうメリットが生じるかということなんですが、現状、プロバイダー責任制限法には削除請求についての定めがありませんので、開示命令と削除を一緒に行うことができないというデメリットが生じております。仮にプロバイダー責任制限法に送信防止措置請求権が創設されれば、開示請求に併せて削除請求も行うことができ、一回的解決を図るというメリットが生まれることになると考えております。したがって、送信防止請求権については引き続き検討いただければというふうに考えております。 次に、新設される各条項について少々思ったところを述べさせていただきます。 まず、二十条一項二号に関してなんですけれども、送信防止措置請求権について、防止に必要な限度という限定が付されているということですね。 表現の自由を守るという観点からこのような制限が入っていると理解しておりまして、これ自体は正当であると考えているんですけれども、国外事業者の場合、現状だと、日本のIPアドレスからの接続の場合には当該記事を表示しないというIP規制措置のようなことが行われていることが通常です。この方法ですと、国外にいる方とか航空機のWiFiを使用する場合とかVPNを使用する場合、そういう場合は閲覧ができてしまうという問題があります。 また、サファリというブラウザで提供されているプライベートリレーという機能があるんですけれども、これもIP規制があって、同様に閲覧が可能な状況になっているということがあります。 さらに、投稿自体は見れないとしても、検索結果には、検索エンジンのロボットというのは海外IPで動いているので、検索結果とかスニペットというものに表示されてしまうということがしばしば起きます。 なので、IPを規制するという形での非表示が海外事業者を中心に特に行われているわけなんですけれども、これだと被害が一定程度継続してしまうということになります。このようなケースを条文上手当てするということは難しいとは思っているんですけれども、そうであれば、条文解説などでこのような対応では防止に必要な限度というには不十分だということを明確にしていただきたいと考えております。 次に、二十一条に関してですが、大規模特定電気通信役務提供者の氏名、名称、住所、代表者の氏名等を届け出ることを求めておりますが、この届けられた情報を一覧として総務省などから公開してほしいというふうに考えております。 現状では、裁判手続を取っていく場合、運営が誰かということをフーイズその他の情報で立証するということが求められます。これは裁判所の問題でもあるとは思うんですけれども、誰が見ても一見して分かるというようなケースでも立証をしなさいというケースが出てくることがありますので、こういった情報を公開していただくことで被害者救済の一助になるのではないかと考えております。 次に、二十二条なんですけれども、二十二条では、侵害情報送信防止措置を講じるよう申出を行うための方法を定め、これを公表しなければならないとされています。 現時点でも、各SNS、サイト等は一定程度このような情報は掲載していると認識しているわけなんですけれども、問題は掲載されている場所がどこかということを探すことが難しいということです。同じ運営会社でもサービスによってルールが違ってくると、違っているということもよくあります。そのため、単に公表することを義務とするのではなく、ユーザーにとって分かりやすい位置に公表するということまで求めることが必要なのではないかと考えております。 また、申出を行うための方法を公表するページのリンクなどについても、国がまとめて公開していただくことも検討いただきたいなと考えております。その場合、二十一条一項に届出を求めるという規定があるわけなんですけれども、その中に公表ページの届出というのも追加してはどうかというふうに考えております。 次に、二十二条二項一号には、電子情報処理組織を使用する方法による申出を行うことができるものであることという要件が定められております。 電子情報組織というのはインターネットを通じて行うということかと思うんですけれども、ウェブフォームだけだと事実上手続が進められないというケースがしばしば起きております。これはフォームの作り方によるんだとは思うんですけれども、現状だとプラットフォーム事業者が定める理由にきれいに合致する請求理由がない場合は不適切な削除依頼であるとして処理が進められないというケースがしばしば生じています。結果として、ウェブフォーム上、削除等を依頼する仕組みがないということになってしまって、削除の依頼ができないということが起きています。そのため、申出の方法が適切なものであるかどうかについても検証される必要があるのではないかというふうに考えております。 次に、二十三条についてですけれども、侵害情報送信防止措置依頼をすることができるのは被侵害者であるとされております。 これ自体に問題があるというわけではないのですけれども、例えばヘイトスピーチ等は個別の人を特定せず属性に対して行われる中傷であるため、個人の権利侵害にすることが難しいという側面があります。しかし、ヘイトスピーチなどは、エコーチェンバーとかフィルターバブルといったSNSの特性もあって、一気に広がってしまうおそれがあります。そのため、早期にこういったものが削除されることは重要であると言えます。したがって、一定の場合にはヘイトスピーチのようなものについても送信防止措置依頼ができるような仕組みを考えるということも必要なのではないかと考えております。 次に、二十五条についてです。 同条は送信防止措置依頼をした申出者に対しての通知を定めるものですが、対応期間について、一項において十四日以内の総務省令で定める期間内とされております。実際の期間は総務省令で定めることとなっていますので今後定めることになるかと思うんですけれども、ワーキンググループで述べた七日程度というのが妥当ではないかと考えております。 更に言えば、プロ責法三条二項二号において発信者への免責のための照会期間が七日と定められておりまして、この七日という期間は条文解説によれば郵便の利用も考慮に入れた期間とされていることに鑑みると、もう少々短い五日などでも妥当性があるのではないかと考えております。 ところで、二十五条には申出者に対する通知を定めていますが、その二項は、送信防止措置を講じるかどうかの判断のため発信者への意見照会等を行う場合は、その旨を十四日以内に申出者へ通知することを定めるものというふうに理解いたしましたが、そう理解すると、条文上明確な間違いがあるような気がするので指摘させていただければというふうに思っております。 まず、同項各号に掲げる区分に応じとなっておりますが、これだと条文の読み方として直前に出てくる二十三条を指すことになると思うのですが、二十三条には各号がないので、これは明らかな誤りではないかなと思っております。 次に、当該各号に定める事項を申出者に通知すれば足りるとなっていますが、仮にこれが二十五条一項のことを指すとすれば、通知内容が当該各号に定める事項をとなっており、一項と同じ内容になることになるため、何が足りるのか不明ということになってしまいます。そのため、同項各号の点は二十五条二項各号のことを指すということだろうかなというふうに思いました。仮にこうだとすれば、この場合においてはという部分は前の文章と一部重複することになると思われます。 さらに、発信者への意見聴取等は送信防止措置を講じるかどうかの判断の一助にしたいために行うものと思われますが、現状の条文案だと、送信防止措置を講じるかどうかを判断し終わったことが前提になっているように読めます。そのため、この点は講じるかどうかを判断するに際し等にした方が適切ではないかと考えております。 したがって、整理すると、前項本文の規定にかかわらず、大規模特定電気通信役務提供者は、第二十三条の調査の結果に基づき侵害情報送信防止措置を講じるかどうかを判断するに際し、次の各号のいずれかに該当するときは、遅滞なく、前項の総務省令で定める期間内に、本項各号のいずれかに該当するか、括弧、第三号に該当する場合にあっては、その旨、やむを得ない理由の内容を申出者に通知すれば足りるというふうな形にするのではいかがかなというふうに思っております。 また、この結果としてどういう扱いにしたのかということについての通知が定められていないように思います。したがって、三項を追加して、この通知義務を定める必要があるのではないかと考えております。 次に、二十六条についてです。 これまで、各事業者は、定めたルールに基づいてきちんと対応していると主張をしてはいるのですが、多数事案を扱っている中で十分な対応を取られているとは正直感じておりません。 特に、国外会社においては著作権に関するもの以外はほぼ応じていないと感じておりまして、事業者の自由に任せた基準によったのでは必ずしも適切な基準にならず、二十四条において侵害情報調査専門員を置くとしても、必ずしも適切な判断がされないのではないかという危惧が拭えないところでございます。 そのため、送信防止措置の実施に関する基準作成は各事業者であり、その内容について法律上踏み込むことは難しいとは理解しておりますが、一定のモデル基準や備えるべき内容を列挙したものなど、各事業者が参考になるような指針、基準みたいなものを公表していただけるとよいかなと考える次第です。 三十六条から三十八条に関してですが、これは罰則が定められているところですけれども、大規模プラットフォーム事業者を対象にしている以上、罰則としてはちょっと軽過ぎるのではないかと思っております。この罰則を科したとしても表現の自由に対する直接の制約になるものではないので、より重い責任を課すのがその責任を果たしていただく上で必要ではないかと考えております。 最後に、開示請求についてですけれども、今回の改正の内容には入っていないわけなんですけれども、ログの保存期間が短いということで相手を特定できないというケースが非常に多くあります。ですので、ログの保存期間をより長い期間定めるということを考えていただきたいなと思っております。 また、ログの調査自体をきちんとしないというケースも散見されるところでして、現状では専ら相手の善意に頼った制度設計になっている、ログの調査に関して善意に頼った制度設計になっておりますので、これはもはや限界が来ていると思いますので、きちんとした調査義務を課すということを条文上検討いただく必要が出てきているのかなというふうに思っております。 私からは以上になります。時間超過しまして申し訳ございません。ありがとうございました。
○委員長(新妻秀規君) ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。 質疑のある方は順次御発言願います。
○岩本剛人君 ありがとうございます。 自由民主党の岩本剛人と申します。どうぞよろしくお願いを申し上げます。 また、連休明けで大変お忙しい中、二人の参考人の御出席に感謝を申し上げたいと思います。それぞれ今御説明をいただいて、本当に分かりやすく、感謝を申し上げたいと思います。 まず最初に、ちょっと基本的な部分で、大谷参考人からもお話があったんですけれども、被害者救済と表現の自由の、非常にいろんな資料等を読まさせていただくと課題があるというふうに認識しているんですけれども、この被害者救済、またその一方では表現の自由のこのバランスを考えた中で、今回の本法律の改正案についてまずどのように評価されるのか、お二人の参考人にお伺いしたいと思います。
○委員長(新妻秀規君) それでは、まず大谷参考人。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。御質問ありがとうございます。 被害者救済との、それから表現の自由のバランスの点では、今回はそのバランスが失われかけていたところをぎりぎりのタイミングで適切なバランスに戻すものになっていると思います。 私自身、その悪意であるとか独り善がりの正義感によって、そういった方々の言動に苦しむ方にお会いするたびに心を痛めて、本当に何とかしたいと思ってまいりました。協議会でプライバシーや名誉毀損についての裁判例を整理したり、あと、本日の参考人としていらっしゃっている清水先生のお話を聞いて学ばせていただきましたりと、あるいは、発信者情報開示請求についての制度改正の立案にも関与してきた中で感じていたところなんですが、そこでは被害者救済、非常に重要であるとともに、常に心掛けてきたのは、表現の自由というのは民主主義社会を支える不可欠の価値でありまして、匿名の表現を含めて表現そのものを制約し萎縮をもたらすような規律の導入は認められないというところでして、そのポイントを非常に押さえた法案になっていると感じております。
○参考人(清水陽平君) 私としても、バランスが取れた内容になっているのかなと考えております。 私が参加したワーキンググループにおいても、表現の自由の制約にならない形というのを答申というか取りまとめをさせていただいたと認識しておりまして、それを踏まえての改正案になっておりますので、今回の内容も表現の内容について踏み込むようなものではないと考えておりますので、バランスは取れているのではないかというふうに考えております。
○岩本剛人君 ありがとうございます。 大谷参考人におかれましては、平成十三、二〇〇一年、様々な問題があった頃から取り組まれていたということでありますし、清水参考人におかれましては、本当に実務に沿ったいろんな課題の対応、認識、提案ということで承りました。 先ほど日本版DSAのお話があったんですけれども、清水参考人の資料も最後、諸外国のお話があったんですけれども、今回の法改正におきまして、そのプラットフォーム事業者に対して、まあ諸外国、欧米、EU等々ではもう法律はあるわけでありますけれども、今回の法改正とそのEU、諸外国との法案に対しての比較に対してはどのような評価の認識をお持ちなのか、お二人の参考人にお伺いしたいと思います。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。 御指摘いただいた諸外国の制度というのは、必ずしもハーモナイズされたものではないんですけれども、プラットフォームサービス事業者にとって日本のマーケットというのが意味のあるマーケットであるために、ある程度のハーモニゼーションが必要だと思っております。 先ほども日本版DSAという言い方をしたんですけれども、導入された規律というのが欧州対比、特別厳しいものではなく、求められている規律というのがほぼEUと同等であるということが結論として申し上げられるのではないかなと思っております。 このEUのDSAの考え方や韓国の考え方もそうですけれども、やはり共同規制の枠組みということで、各事業者が自己責任において整備する仕組みというのを応援するような仕組みになっているという点で、非常に先ほども御指摘いただいた表現の自由とのバランスを確保した仕組みになっているというところが基本的な類似ポイントだと思っております。迅速化規律、透明化規律、どちらについても基本的に類似するものとなっていると思います。 他方、我が国独自のものとしては、申出者からの通知についての具体的なその十四日以内の通知義務というのは我が国独自のもので、実際に省令においてはそれが短縮されるものの、誹謗中傷などのそういった言論に対するものについての規律は、多少の独自性を持たせつつ、基本的に類似するものになっているかと思います。 あとは、第三者機関についての考え方が織り込まれていないというようなことはあるかもしれませんが、欧州のような複数の国の集合である場合と我が国の事情は多少違っているのではないかというふうにも考えているところでございます。 私からは以上でございます。
○委員長(新妻秀規君) じゃ、次は清水参考人。
○参考人(清水陽平君) 済みません、私は諸外国の制度がどうなっているかというところについては全然明るくなくて、ちょっとお答えができないかなと思っております。済みません。
○岩本剛人君 ありがとうございます。 先ほど清水参考人から罰則としては軽過ぎないかということがあったんですけれども、諸外国は売上げの約六%が罰則で、違反すると科せられるということがあるので、そこは私も国内の罰則についてはまだまだこれから検証の余地があるんではないかなというふうに思っていたところもちょっとありましてお伺いしたんですけれども。 それで、自分もこの系はほぼ素人で、一生懸命勉強してきたんですけれども、先ほど権利侵害情報の話があったんですけれども、この拡散、今はもう、先ほどからお話あったSNSもそうですし、様々な情報が発信できるので、この拡散された権利侵害情報に対してプラットフォーム事業者がどこまで対応すべきなのか、責務を負うべきなのか。また、ヘイトスピーチですとかAIで作られた偽画像の投稿等々があるんですけれども、こういった今偽情報、誤情報、もちろん能登半島の地震でも誤情報が出たんですけれども、このような情報に対して、今法改正案、本改正案について、どこまでその効果の程度があるというふうに認識されるのか、もし、分かる範囲で、よければ両参考人にお伺いしたいと思います。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。 御指摘のように、拡散されている情報による炎上などの被害の深刻さというのは私自身も理解しております。被害者にとっては非常に労力が掛かるということになります。 ただ、今回の改正法案にまとめられている考え方というのは、自ら設定しているプラットフォーム内での侵害情報への対応義務にとどまるものですし、違法な情報ではなく、いわゆる有害な情報だというふうに判断した場合にはやはり自ら立てた削除基準に基づくというものでありますので、ほかのサービスへの拡散というのは基本的には想定されていない、想定していないというか、そこへの対処義務は求めていないものだというふうに理解しております。 ほかのサービスへの拡散について配慮することを求めるというのは、言葉を換えれば、ネットワークについての全般的な監視義務を課すことにもつながっていると思っておりまして、監視義務というのは事後検閲にも近いものですので、やはり表現の自由を著しく損なうために一般的な義務として導入するのがちょっと適切ではないという観点から、なかなか、拡散への効果的な手当てを自ら事業者に求めるというのはなかなか厳しいのではないかと思っております。 他方、偽情報への対応ということでは、偽情報に伴って権利侵害が発生した場合、あるいは透明化規律に基づいて各事業者が打ち立てた削除基準に合致するような情報の場合には一定の効果が認められると思っておりまして、もちろん今回の導入された規律だけで対応できるものではなく、偽情報に対しては何の情報が正しいのかという正しい情報を供給するであるとか、偽の情報がなぜ、どこから発生しているのかという分析も含めて、別の対応も併せて講じる必要があると思いますが、一定の効果が期待できるものだと考えております。 以上でございます。
○参考人(清水陽平君) 拡散されたものについての対応というのは、実務上、非常にやはり難しくて、拡散されたら拡散された被害者が個別に削除の依頼をしていく必要がどうしても出てくるということになってくるかなと思います。 今回の改正によってもそこの基本的な考え方というのは多分変わってはいないというふうに思われまして、ただ、こういう、そういう拡散があったときに一体的に同様の情報は削除するというような仕組みを仮に大規模プラットフォーム事業者が設けるとすれば、それによって対応できるということになるかなと思います。ただ、それがどこまで実際盛り込まれるかというのは事業者次第ということになってくるので、現状、その法律で直接その点が改善されるというわけでは必ずしもないだろうというふうに思っております。 他方、偽情報等については、これも権利侵害がある場合には削除依頼、送信防止措置依頼等々していく余地がもちろんあるということになるとは思いますが、これについても、やはり権利侵害がないものについてどういう形で通報できるのかという仕組みの問題になってくるかと思いますので、事業者側の自主的な基準作成というものが待たれるのかなというふうに考えております。
○岩本剛人君 時間もそろそろで最後の質問になろうかと思うんですけれども、御承知のとおりインターネットも義務教育化されまして、子供たちがもうふだんから触れられるような状況に、先ほど大谷参考人からもお話があったんですけれども、例えばですけれども、今もう子供たちがインターネットでゲームをして課金をしてみたいな、いろんな社会問題にもなってくることがあるんですけれども、先ほど清水参考人からも送信防止措置請求権のお話があったんですけれども、やはり、そのインターネットをまず利用される方々のやっぱりモラルが一番大切なんだというふうに自分は考えておりまして、特にリテラシー教育とかいろいろ、様々な資料を見せていただいているとそういう言葉が出てくるんですけれども、やはりインターネットが若年層、若年化してきている状況の中で、やっぱり、こういう発信をしないということをやはり小さい頃から触れられている部分から教育をしていくということが大切なんだと思うんですけれども、どういうような取組をしていったらいいのか。 さらに、清水先生、法定代理人のお話、そういう被害を取り組まれてきたということで、地方においては、自分は北海道札幌なんですけれども、地方においてはやはりこのインターネットによるこういう被害は非常に技術的な問題も多く含まれているというふうに資料でも読みましたので、やはり相談させていただける側の方々もやっぱりある程度のそういう知識がないとなかなか対応できないのかなというふうに思いますので、その点についてどういう、どのように取り組んできたらいいか最後にお伺いして、終わりたいと思います。
○委員長(新妻秀規君) それでは、大谷参考人、清水参考人の順に御答弁願いますが、お時間の関係もございますので、簡潔にお願いします。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。 御指摘の青少年保護、非常に重要だと考えております。今回の法案に含まれているものではないんですけれども、ひな形としたDSAにつきましても、大規模プラットフォーム事業者の義務として未成年者保護の規定などがありますし、システミックリスクのリスク軽減などの規定も運用が始まっていますので、そういったものも参考にしながら、それがどのように効果を上げていくかというのを見据えた上で、やはり、例えば年齢の認証であるとかペアレンタルコントロールについての規定など、法制化についてのいろいろ参考になる情報もたくさんあるのではないかなと思っております。 そして、同じような共同規制の枠組みを持っている特定デジタルプラットフォーム透明化法という法律、こちらの運用も始まっておりますけれども、それらの複数の関係する法制度が有機的に青少年の保護に資するように見直していくということも併せて必要だと思いますし、先ほど御指摘いただいた相談窓口へのアクセスをより良くする、また、その対応に当たる方のトレーニングというのにも十分な投資をしていくということは大変重要な点だと思っております。 ありがとうございます。以上です。
○参考人(清水陽平君) そのモラルの教育、リテラシー教育が重要だというのはおっしゃるとおりだと思いますけれども、若年層にとってはこれが問題になると思っていなかったというケースがやはりよくあるんですね。どこまでが問題なのかとか、抽象的にこれをやってはいけないという話はよく聞いているんだと思うんですけれども、実感としてこれがいいのか悪いのかという線引きがよく分からないという形が多いので、個別の具体的な事例を増やして、そういうワーキンググループ、ワーキングとかですね、そういう形で、参加型の形で教育していくということが子供にとっては重要なのではないかなというふうに思っております。 相談窓口の技術的なところが分からないという問題は確かに地方は特にあるというふうに認識してはおります。ただ、インターネットに関することですので、別にその地域的なものが必ずしも必要というわけではないですので、情報発信をすることで、ここが窓口ですよということを分かりやすく発信していくことでアクセスのしやすさというのを確保していくこともできるのではないかなというふうに思っております。
○岩本剛人君 終わります。ありがとうございました。
○岸真紀子君 立憲民主・社民の岸真紀子です。 大谷参考人、清水参考人、貴重な御意見ありがとうございます。 本改正案は、お二人とも前向きに捉えていらっしゃいまして、私も、インターネット上における様々な情報が流通する中で、誹謗中傷等の他人の権利を侵害する情報の流通への対策として一歩前進であるというふうに捉えています。 しかし、この法案では、清水参考人がおっしゃったように、二十三条のところでおっしゃったように、現実としてネット上で渦巻いているヘイトスピーチ問題の対策にはならないというふうに私も考えています。例えば、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律、いわゆるヘイトスピーチ解消法になりますが、この第二条の定義に当たる不当な差別的言動であっても特定個人に向けられない限り違法ではないので、この改正案では残念ながら抑止ができないのではないかといった懸念が残ります。 ネット上のヘイトスピーチは、マイノリティー個人に多大な苦痛と恐怖をもたらしており、更に深刻なのは、ヘイトクライムへと発展をし、二〇二一年八月三十日に、実際に在日コリアンの方々が多く暮らす宇治ウトロ地区で放火のような恐ろしい事件も起こってしまっています。この放火事件は、ネット情報による事実に反する扇動的な宣伝を通じて、それを信じてしまって、一方的な恨みを募らせ、かつ、事件を起こせばネットで称賛されるはずといった、言わばネットに起因する事件と言っても過言ではありません。 清水参考人にお伺いをしますが、ヘイトスピーチ問題を含めた対策とするためには、何がこの法案に不足をしていて、具体的にどのような対策をすべきかという御意見がございましたらお願いしたいです。
○参考人(清水陽平君) ありがとうございます。 条文上、日本の法制度上なかなか権利侵害がないと削除依頼ができないという問題があるので、なかなか法律上どう定めるかというのは難しい問題であるというふうに認識しております。ですので、二十三条で送信防止措置請求、送信防止措置依頼等々できる主体が被侵害者というふうになっているんですけれども、ここを広げる形、被侵害者若しくは被侵害団体とするべきなのか、ちょっと表現は分からないんですけれども、そういう属性を持っている方についてもその請求のできる人を、申出をできる人を広げるというのが一つあり得る考え方かなというふうに思います。
○岸真紀子君 ありがとうございます。 やっぱり、個人が特定されて、その方が基本的には削除申出をしない限りはなかなか対策が難しいという課題がありまして、ここが、もう少しその幅を広げてきちんとそういった社会的課題にも対応できるようにすべきではないかという御意見を伺ったところです。 さらに、私、この連休中に地方の部落解放同盟の皆さんと対話をする機会をいただきました。その中で、やっぱり被差別部落に関する誹謗中傷というのが余りにもひどくて、先ほども、大谷参考人でしたかね、特定の地域がさらされるというようなことを言っていまして、先ほどのヘイトスピーチ問題とも共通しているんですが、個人が誹謗中傷されているわけではないので、なかなか、この地域の映像をコメント付きでユーチューブとかティックトックで動画配信されても、それが削除というふうにはなかなかなっていないんですが、実際には差別が助長されているというような問題が起きているということで、非常に困っているという課題をお伺いしています。 この日本社会における課題を海外プラットフォーマーには理解されないといった課題はお二人とも先ほどお話をされていますが、お二人とももう一度お聞きしたいんですが、海外事業者であっても、この日本の文化、社会的背景に明るい人材を配置するということに今回はなることにはなっているんですが、果たしてそれが有効に機能することになるのかどうか、懸念は残らないかなど、海外プラットフォーマーへの課題や対策に対して補充的な御意見があれば、それぞれお伺い、お願いいたします。
○委員長(新妻秀規君) それでは、じゃ、大谷参考人からお願いします。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。 非常に重要な社会的課題について御指摘いただいたと思っております。 私も、その地方の自治体の方々が差別に向き合って対策を取られている中で意見交換をする機会などをいただいておりまして、下級審の裁判例ですけれども、個人がそういった部落の出身であるというようなことを示さなくても、住んでいる地域の情報だけを示したものであっても、それはプライバシー侵害になるという裁判例などを、これは先ほど申し上げた協議会の裁判例の判例要旨集というのがありまして、そちらに掲載し、また、プロバイダーの皆様にも周知啓発のための勉強会を開催させていただいたことなどを御紹介して、応援をいただいているところでございます。 今回、外国事業者の方のやはり認識がとても心もとないところがあるという御指摘、当然だと思っておりまして、特に、日本で起きている社会問題の陰で個人の方が特に声を上げづらいという状況もあるかと思います。その趣旨を酌んで、今の司法が現に動いている裁判例、高裁の判決なども出ているところですけれども、それを適切に情報共有をし、特にヘイトクライムなどにつながるような情報については、権利侵害情報とはちょっと違うので、いわゆる透明化規律の方の送信防止措置の対象として取り組んでいただくことができないかということについて繰り返し意見交換をしながら、その削除基準の策定に当たって認識していただけるように意見交換をするとかということも必要になってくると思っておりまして、これは、国にお任せするというよりは、むしろ民間事業者などが協力し合って、表現の自由を損なわない工夫をしつつ周知啓発を進めていくことが望まれるのではないかと考えております。 お答えになっているかどうか分かりませんけれども、以上です。
○委員長(新妻秀規君) それでは、続きまして、清水参考人。
○参考人(清水陽平君) 専門員が実際機能するかどうかというお話かとは思うんですけれども、現時点でも、各事業者、海外事業者ですね、きちんとやっていますと、専門の者を備えて対応していますというふうに言っていると認識していますので、そうすると、現状と変わらないんではないかという懸念はもっともだと思っておりまして、私としてもそこが懸念点だと考えております。なので、知識、経験を有する者というふうに、そこの適正性をどうやって担保するのかということを考える必要があるのではないかなというふうに思っております。
○岸真紀子君 ありがとうございます。 その適正性をどうやって担保するかというのを、例えば国だけではなくて民間事業所もということで大谷参考人からも御意見いただきましたし、やっぱり今のままだとなかなか、現行でも本来であれば削除要請に従っていただけるはずなんですが、なかなかそうなっていないということで、これは国としてもまた引き続き積極的に事業者にも理解を深めていくような取組を後押ししていかなきゃいけないという認識に立ちました。ありがとうございます。 次に、SNSのユーザーを対象としたアンケート調査によると、他人を傷つけるような投稿を目撃した人というのはもう六五%もいるというような調査もあります。実際に五人に一人が被害に遭っているというような、しかも、被害に遭っている年代別でいうと、二十代が二三・九%、三十代が二二・三%と、若い世代の被害経験が多くなっているというような調査も出ています。 私も実際に国会議員でSNSとかをやっていると、なかなか、過剰な書き込みをされた、自分が投稿したやつじゃなくて、私のことを過剰に書いているとか、極端になればなるほど拡散をされていくというような現象に遭っていまして、しかも、事実ではないものがどんどんどんどん反映されている。ある意味、ちょっと不気味さというか、恐怖までも覚えるような経験をしています。多分、ここにいる国会議員の中では多くそういうことに、経験したことがあると思うんです。 今回の法律案では、大規模の特定電気通信役務提供者であれば削除等基準の策定と公表を行うことを義務付けるということになりますが、サイト側に対応を検討、欲しい事項として、いわゆる、清水参考人の資料を事前に見させていただくと、殺到型とか炎上型に対しては、個別に全ての投稿の削除、開示を求めるのは非現実的であるというふうにありました。しかも、Xとかのポストであれば、大本のポストを削除したとしても、スマホの画面でスクショしたものがどんどん拡散されるということもあります。 さらに、なので、被害者の救済と誹謗中傷を防ぐために本法律案にそういった観点で不足していること、又は実効性を求めるにはどうすべきかというのを清水参考人にお伺いします。
○参考人(清水陽平君) そうですね、条文としてはこれ以上なかなか踏み込むことが難しいのかなというふうには認識しております。やはり表現の自由の内容規制に入ってしまうのかなと思っておりますので、そこはなかなか難しいだろうということで、実際できることとしては、やはりモデルを示して、こういうものについてはこういうふうに対応するのが望ましいという形の規律案みたいなもの、そういうものを示していくしかないのかなというふうに思っております。
○岸真紀子君 ありがとうございます。 だから、そのモデルというのをできるだけ多く示しながら、削除なり、そもそも投稿しちゃいけないよというふうにできるように社会としてやっていかなきゃいけないのかなと思います。 次に、大谷参考人にお伺いをしますが、他人を傷つける表現の自由まで許されているものではないと私は思ってはいますが、でも、日本国憲法では表現の自由が保障されています。違法な誹謗中傷は断じて許されるものではありませんが、一方で、正当な批判は認められるべきものであり、例えばなんですが、政権とか政策に対する正当な批判が恣意的に削除されるような事態となってはならないと考えています。 誹謗中傷と正当な批判の違いについて何か御意見等がございましたらお伺いしたいです。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。 非常に難しい御質問だというふうに理解しておりますけれども、やはり、正当な批判とか政策への批判というのはやはり特定の政策というのを対象としているものですので、それについては、個人に対する攻撃ではないという点で、個別の表現を見たときには判断が付きやすい部分もあるのではないかと思います。 他方、その特定の政党の方が気に入らないとか、あるいはその政策全般が気に入らないので、その政策についてではなく政党に対して何か炎上するような攻撃を仕掛けるということも実際にはあり得るんだと思うんですけれども、そのようなものに対して、是非、政党の方でも屈することなく政策論を是非展開していただいて、そこで政策への御意見というものが萎縮しないように、この意見はもう炎上されるからやめていこうということではなく、積極的に言葉を尽くしていただくと、本当に、元々言論空間として日本国憲法が想定していたような思想の自由市場みたいなものがその機能を取り戻すきっかけになり得るのではないかと思いますので、削除する側のプラットフォームサービス事業者に全てを委ねるということではなく、是非政策を持って闘っていただければなというふうに期待しているところです。 あとは、法的な手段というのも是非御活用いただくのがいいかと思います。裁判例が蓄積されていくことによりまして、特に外国の事業者などはそれを参照して次の削除基準などに反映することができるかと思いますので、その点も期待したいところです。 以上です。
○岸真紀子君 ありがとうございました。 今日、お二人の参考人から、条文の、清水参考人は条文のこともお聞きしましたので、また次回以降の審議の中でも、なるべくこの誹謗中傷を社会からなくしていくということを更に審議を積み上げていければというふうに考えています。 私の質問は以上で終わります。
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。どうもありがとうございます。 大谷参考人、また清水参考人のお二人には、総務委員会にお越しいただきまして、大変ありがとうございます。貴重な御意見をいただきまして、本当に感謝申し上げたいと思います。 また、清水参考人は、ちょうど女子プロレスラーの木村さんが亡くなった、急死したときに、公明党のインターネット上の誹謗中傷のPTの設置の会合等に来ていただきまして、ネット中傷に関しての様々な実態を聞かさせていただきました。感謝申し上げたいと思います。 それでは、まずお二人に、基本的なことになるかと思いますけれども、前回の法改正と今回の法改正ということでお聞きしたいと思います。 ちょうど前回、二〇二一年の法改正によりまして、インターネット上の誹謗中傷に対するための侮辱罪の懲罰化とともに、発信者特定に必要な手続の簡素化、こういったことが制度化をされたわけですけれども、そのときの対策講じた評価、これをどう見ていらっしゃるかという点と、それと、今回、期間を置いて今回の法改正になったわけですけれども、今回は大規模プラットフォーム事業者に対しましての規制強化ということで、特に誹謗中傷の削除のための迅速化と運用状況の透明化、これを求める内容になっているわけでございます。 特に対応の迅速化では、削除申請の窓口の整備であるとか、申請の対応状況を一定期間、削除要請から原則一週間、通知することを義務付けたり、また、運用上の透明化を図るための削除基準の策定やまた公表や、削除した場合の発信者への通知、こういったことの義務付けが今回改正案では盛り込まれているわけですけれども、これが本当に実効性があるかどうかという点も含めて、お二人にお聞きをしたいと思います。
○委員長(新妻秀規君) それでは、まず、じゃ、大谷参考人からお願いします。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。 前回の発信者情報開示請求制度の法改正にも非常に強く関与しておりましたので、その制度が現在、その法改正以前の請求に比べて五倍から七倍の利用が増えているということで、最初は、導入されたときには、十分に活用してもらいにくいのではないかと、逆に清水先生のように発信者情報の特定などについて知識を持っている、ノウハウの持っている方でなければなかなか使いこなせない制度なのではないかと心配していたですけれども、それが裾野も広がっているということで、非常に高く評価できるのではないかと思っております。 非訟手続ということで、ちょっと分かりにくいところもあるかと思いますけれども、実際にはなかなか誹謗中傷が減っていないという実態も示しているものですので、今後、事業者側が新たな開示請求の制度に対して十分な体制を持って取り組めるようにするためにも、引き続き、運用ルールの強化、周知というのを図らなければいけないというふうには感じているところでございます。 そして、今回の制度につきましては、先ほど清水参考人からも御意見があったところでして、十分にまだ法、法律そのものには書いていないけれども、総務省令に委ねられている部分というのが幾つかあったかと思います。迅速化規律、透明化規律共に、具体的な運用を円滑にするための施策というのは多くが省令に委ねられているところですので、その省令の作り方によって非常に実効性が高まる可能性があるのではないかと思います。 そのためにも、今回、このような場面で、どういったところ、実効性においてどんな点に不安があるのかといった御意見を率直に述べていただくことによって、これからの省令の検討といったものがより具体的に進むときに大いに参考にさせていただくことができるのではないかと考えております。 私から以上でございます。
○委員長(新妻秀規君) じゃ、続いて、清水参考人。
○参考人(清水陽平君) まず、侮辱罪が厳罰化されたという点触れていらっしゃったかと思うんですけれども、これに関しては、厳罰化されたことによって公訴時効が長くなった関係で、侮辱罪、実務上告訴しやすくなったということがなっておりまして、私としては使いやすくなったなというふうに思っております。今までだと、侮辱罪が一年で公訴時効を迎えてしまうということで、特定したときには既に一年近くたっているということで受けてもらえないというケースがあったわけですけれども、その辺りが改善されたかなと思っております。 二点目、簡素化されたという点に関しては、確かに国内事業者との関係での開示請求は簡素化されたかなと思っておりまして、そこは非常にスピードも速くなったので良かったなというふうに思っております。 他方で、専ら国外事業者の対応が非常に遅くて、うまく使えていないというのが、うまく使えない場合があるというのが現実かなというふうに思っています。ログの調査がですね、ログをたどっていく手続なわけなんですけれども、発信者情報開示請求というのは、そのログの調査に三か月も四か月も掛かるというのが実態となっておりまして、その結果、国内のいわゆるプロバイダーがログの保存期間が三か月程度しかない関係で特定ができないということがしばしば起きてしまっています。 その結果、結果というかですね、そのため、早くログの調査をさせるためにも仮処分を使っていると、今までの改正前の方法を使っているということがしばしば起きています。仮処分を使うと何が良いかというと、決定が出るとすぐに強制執行することができるんですね。強制執行がすぐできるということで、国外事業者も早めに対応してくれるということで、改正法の裁判手続というのを使っていないというケースが比較的あるというのが実態となっておりまして、この辺りを先ほど最後のところにちょっと述べさせていただきましたけれども、ログの調査義務であるとかログの保存期間という辺りを、もっと集中的な議論が必要なのではないかというふうに思っております。 ただ、全体として手続は早くなったかなというふうには思っていますので、改正が悪かったというふうな趣旨ではないという点は述べさせていただければと思います。 あと、事件が東京地裁の保全部というところに集中しておりまして、集中している関係で処理が間に合っていないという実態があります。これは裁判所の問題だとは思うんですけれども、人員を拡充するとか、担当できる部署、部署若しくは裁判所を増やすということも検討が必要なのではないかなというふうに思います。 今回の改正の実効性はどうかというところですけれども、先ほど大谷先生が述べられたところもありますけれども、省令でどのように定めるかというところもかなり大きいとは思います。ただ、それも含めてですが、罰則も一応できたということで、それも踏まえて実効性というのは今後担保されていくのではないかなと期待しております。 以上です。
○山本博司君 ありがとうございます。 今回、大規模プラットフォーム事業者の対応の部分があったわけですけれども、それ以外の事業者、いわゆる中小の事業者に対しても、この権利侵害があった場合は、放置するということではなくて、何らかの対応、これが求められてくると思うんです。 こうした中小企業の、中小の事業者に対しての一定のルールみたいなものを具体的にどう進めるべきなのか、このことをちょっとお二人の参考人に確認をしたいと思います。
○委員長(新妻秀規君) それではまた、じゃ、大谷参考人からお願いしてよろしいでしょうか。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。 中小の事業者の場合ですけれども、中小の事業者の場合も、この法改正前の現行法に基づいてでも、意見照会の期間であるとか、それから具体的にその権利侵害情報を知った場合の条理上の削除義務というのは従前から適用されるわけですので、それに基づいて適切な対応を行うように、大規模プラットフォームサービス事業者の定める削除基準なども参考にしながら、自らの対応というのを見直していっていただく必要があると考えております。 特に国内の中小事業者の場合には、これは通信関連の四団体に加入されている事業者も多数ありますので、そういった事業者の場合には、これまで作ってきたガイドラインなど、それに基づく迅速な対応というのも働きかける余地があるかと思います。ただ、もちろんそこに加盟されていない事業者で非常に誹謗中傷の発言ばかりが載っているようなところもありまして、そういったところが自主的に動いていただけるかというのは、なかなか悲観的にも考えているところです。 現に、その欧州の規制も、昨年は一旦まず大規模な事業者に先行して適用した上で、一部その零細な事業者は対象外ですけれども、中小規模の事業者も含めて、全体的に今年の二月だったでしょうか、施行されているということもありますので、実際にこの特に喫緊の大規模プラットフォームサービス事業者への対策というのが運用開始をした後で、その後の情勢を見て中小の事業者にそれを適用拡大していくというのも選択肢の一つになってくるのではないかと思っております。 以上です。
○委員長(新妻秀規君) じゃ、続きまして、清水参考人。
○参考人(清水陽平君) 中小事業者に関しては、この法律では規制は及ばないということになるとは思うんですけれども、ただ、ただ、そうはいっても、何もしなくていいというわけでは必ずしもないだろうというふうには思っております。 現状でも、中小事業者は自主的な対応というのはある程度していることは、少なくとも国内の場合は多いかなと思っておりますので、何もしなくていいよというメッセージを与えるような形ではなくて、それに準じた形の対応を取っていくのが望ましいという発信をしていくことで、中小企業に対してもルールを作成を促していくということが必要かなというふうに思います。
○山本博司君 ありがとうございます。 それでは、偽・誤情報の対策に関してお聞きしたいと思いますけれども。 今回も能登半島地震等でSNSでの偽り情報とか拡散が問題になっているわけですけれども、今、総務省では、このインターネット上の偽・誤情報対策を議論する有識者会議、これも開催されているということを聞いております。その意味では、こうした大規模プラットフォーム事業者からの偽り情報への対応状況とか、またAIを使った対策、こうした検討がされているわけでございますけれども、この点、大谷参考人に、この点に関してどう認識されているか、お伺いをしたいと思います。
○参考人(大谷和子君) 御質問ありがとうございます。 偽情報、誤情報、能登地震でのアテンションエコノミーというか、その弊害が如実に出たということで、より強い問題として認識されているということで、総務省におかれましても、有識者会議等で様々な角度から検討を進めていただいているというふうに認識しております。 偽情報、誤情報への対策の取り方というのは、特にそのAIを濫用したものなどへの対応というのは、なかなか技術的な、何というんでしょうかね、これまでの延長線ではない新たな対策というのが必要になってくる場面もあるかと思いますので、それがうまく機能し得るのか、諸外国の例なども勘案しながら引き続き検討を深めていただき、諸外国で成功した例などがありましたら、それを取り入れて我が国でも実施していくことが望ましいというふうに考えております。 また、それを受け止める我々も、情報について、それが正確なのか、どのようなところから発信されているのかということについての十分な理解を進めるという、まあ疑うということが極めて重要だと思っておりまして、現在、フィルターバブルであるとかエコーチェンバーであるとか、そういうネット空間の独特の状態ということについての認識が一般の利用者に十分に浸透していないというふうにも伝わっていますので、それができるだけ浸透するような努力も含めて対策を検討していくことが必要だと認識しております。 以上です。
○委員長(新妻秀規君) おまとめください。
○山本博司君 はい。 以上、ありがとうございました。
○高木かおり君 日本維新の会・教育無償化を実現する会の高木かおりです。 本日は、参考人のお二方、本当に大変勉強になる御知見を御披露いただきまして、本当にありがとうございます。 早速御質問に入らせていただきたいと思います。 本法案の改正では、SNS等を運用する大規模プラットフォーム事業者に対して新たに義務を課すものでありまして、対応の迅速化、これは削除の申出窓口や手続の整備の公表、それから削除申出への対応体制の整備、申出、削除申出に対する判断、通知、また、運用上の透明化としては、削除基準の策定と公表、これは運用状況の公表も含みますが、また、削除した場合は発信者への通知と、こういったところでございまして、お二方からも一歩前進であるということでお話を先ほど伺いました。 これらの措置によって、例えば事業者がどのような形でこれらの措置を受け入れていくのか。例えば、日本国内の人員を新たに増やしていくですとかということが考えられるかと思いますけれども、こういったことを具体的にどのように受け入れていくのか、御知見を伺いたいと思います。 お二方に伺いたいと思います。
○委員長(新妻秀規君) それでは、じゃ、まず大谷参考人からお願いをいたします。
○参考人(大谷和子君) 御質問ありがとうございます。 特に国外の事業者がこの大規模プラットフォームサービス事業者ということで該当しているかと思いますので、そういった事業者のプラクティスについては十分に熟知していないところもありますので、幾分想像も含めてということがあるかと思います。 ただ、日本のその政策については彼らも十分に検討を進めておりますし、また、日本のこの利用者マーケットというのも非常に重視しているというのもこれまでのモニタリングでも理解しているところですので、今このような制度が実行、実施された場合に必要となるリソースなども含めて対策を練っていることだと思います。 それに際して、これまで協議会の取組なども御紹介してきておりますけれども、協議会で集めた裁判例を改めて御確認いただいたりすることも事業者にとっては有益だと思いますし、また、誹謗中傷の問題などにつきましては法務省でも問題点を整理していただいておりまして、商事法務という会社のホームページからもこれまでに発生してきた問題の整理などがなされていますので、そういったものも含めて確認し、その事業者なりのプラクティス、体制整備につなげていただくことを期待しております。 御回答になったかどうか自信ございませんが、以上でございます。
○委員長(新妻秀規君) それでは、続きまして、清水参考人。
○参考人(清水陽平君) 私も、その事業者側がどういうふうに対応していくのかということは必ずしもちょっと中にいるわけではないので分からないところですけれども、少なくとも公開をしていく、どういうルールを作っていくのかと、その内容はどうするのかということを公開していかなければならないとされていますので、そこを我々が批判的に見ていくということが必要なのかなと思っております。作られたものを、それだけでもう終わりなんだという形では恐らくないんだろうと思いますので、対応されていないということであれば、それに基づいて対応されていないということをきちんとこちらから発信していくと、国若しくは我々民間から発信していくということが必要で、それがなければ、やはりプラットフォーム事業者としてもまあそれでいいかという対応になってしまうんだと思いますので、批判的にずっと見ていくということが必要かなと思っております。
○高木かおり君 ありがとうございます。 続けて御質問をさせていただきたいんですが、プラットフォームサービスに関する研究会第三次とりまとめに対するパブコメを見させていただきますと、様々な意見が出されておりました。先ほどの御質問と関連するんですが、事業者が今後運用面で体制を整備していかなくてはいけないわけなんですが、それに対応するとりまとめの記述として、先ほどもありましたし、大谷参考人の方からも御発言があったかと思いますが、我が国の文化、社会的に明るい、法律に明るい人材を配置していくといった文言がございます。その人材配置は、事業者の自主性や負担に配慮して必要最低限のもののみを求めることが適当といった記述がございます。 そういう中で、先ほど議論をお聞きする中で、この専門員の方々がどういうふうに機能していって適正性どう担保していくのか、ここは大変重要な点だと思っておりますし、また懸念点でも私もあると思っております。民間の力を借りてということが御発言の中にあったかと思うんですけれども、そういった人材がこの民間の中に今現在いらっしゃるのかというようなことも疑問に思っている点でございまして、どのような人材を想定していけばいいのか、この点についても御質問をさせていただきたいと思います。
○委員長(新妻秀規君) お二人とも。
○高木かおり君 大谷参考人にお願いしたいと思います。
○委員長(新妻秀規君) はい、分かりました。 それでは、大谷参考人、お願いします。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。 一番期待しているのはこの専門員の制度でございますし、パブコメでも関心が寄せられた点であるのは御指摘のとおりだと思います。専門員を幾ら人数を増やしても、恐らくその事業者が取り扱っているその情報通信、投稿の分量からすると、専門員が一人で見切れるものでも、まあ十人いても百人いても見切れるような内容ではないと思いますので、専門員の知見といったものをその事業者の内部にどこまで共有していくかという体制整備が必要だと思っておりまして、専門員の方に対しては一定のスタッフを付けるであるとか、あるいは専門員の方から実際のそのコンテンツモデレーションをしている担当者のそれぞれの方に対してトレーニングの機会を与えるというような具体的な管理が必要だと思っております。 想定されている人材としては、やはり法律専門家が適切ではないかと思っておりまして、法律専門家の方は、このネット空間で起きている我が国特有の誹謗中傷であるとか差別発言等の実情に明るく、なおかつそれについての司法の判断についてもそのトレンドというのを十分に理解されていますので、そういった方々はふんだんにいらっしゃると思いますし、また、こういう制度の下でそういう方々の活躍の場というのが広がってくるということですと、例えば大学教育であるとか法曹の養成機関などでもこういう問題について理解できている方への教育に力を入れていただけるのではないかとひそかに期待しているところでございます。 以上です。
○高木かおり君 ありがとうございました。 次の質問に移りたいと思います。 今回の改正は、プロバイダー責任制限法の改正ということですが、我々維新の会として、昨年十二月にインターネット誹謗中傷対策法案を提出させていただきました。具体的な内容として御紹介をさせていただくと、プロバイダー責任制限法の改正に加えて、誹謗中傷の被害に関係する民事裁判手続の準備等に必要な費用負担を軽減する措置ですとか、その措置のためにプラットフォーム事業者からの寄附による寄附金を、基金を創設するであるとか、放送番組の出演者の誹謗中傷が行われた痛ましい事件もございました。そういう中から、出演者からの相談に応じる体制の整備、そういったことも努力義務を定める、こういったことも盛り込んでおります。 こういった法案を進めていくということに対する評価と、あわせて、今後早急に求められる法制度の面、こういった対応としてどのようなことが喫緊として改めて考えられるのか、この点についてお二方から御意見をいただきたいと思います。
○委員長(新妻秀規君) それでは、今度は清水参考人からお願いいたします。
○参考人(清水陽平君) 費用負担のための基金というのは、ちょっと今どういうものが出されているのかって余りちょっと私明るくないんですけれども、基金がもしできるのであれば、やはりそれは使えるのであれば使いたいなというふうに思っております。 どうしても開示請求、削除請求には弁護士を頼まなければいけないことが多いかなと思います。弁護士に頼むに当たっては、当然、弁護士費用掛かってしまうということになりまして、その費用もやはりそれなりに掛かってくるということになるので、ある意味泣き寝入りが、なってしまっている方というのも多いのかなと思いますので、そういう基金があれば、そういう泣き寝入りをしている被害者も救済できるのではないかというふうに思います。 相談体制の整備、テレビ出演をしている方々の、対する整備ということですね、こういうのも必要かなと思います。ただ、テレビ出演等々している人たちだけではなく、やはり一般の方、一般に誹謗中傷を受けた方がどういう形で相談できるのかということ自体が皆さん知りませんので、そこも含めてもっと広く相談体制が、こういう形で相談できますという形の相談体制ができるとより良いのかなというふうに思います。 加えて何がというのはなかなか難しいところなんですけれども、私は実務家ですので、ふだんから対応している限りで思うところでいうと、損害賠償の額というのがどうしても少ないという問題があるかなと思います。これは裁判所の問題でもあるとは思うんですけれども、賠償額が名誉毀損でも三十万円から六十万円、高くても百万円程度という形で、どうしても被害回復には程遠い、掛かった費用に、掛かった費用プラスアルファが出るかどうかぐらいになっていることが多いという認識ですので、この辺りの改善が必要かなというふうに思っております。 以上です。
○委員長(新妻秀規君) 続きまして、大谷参考人。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。 誹謗中傷対策法案について御紹介いただきまして、ありがとうございます。様々なアイデアが盛り込まれているものというふうに承知しております。それが、清水参考人からも御意見がありましたように、有効に機能する場面というのも想像できるところです。 ただ、少し懸念するところがあるとすれば、大規模プラットフォームサービス事業者は十分に日本のマーケットから利益を受けているところはあると思いますけれども、その対策のためのコストが大きくなり過ぎるということがありますと、逆に十分なリソースを注がないといった懸念も出てくると思いますので、そこのバランスはやはり慎重に考える必要があるのではないかなというふうに思っております。 ただ、その相談体制を十分に整備するであるとか、また、相談しても大丈夫だという心理的な安全性を確保するための方策であるとか、あるいはまた、教育の現場でこういった誹謗中傷の問題に対応するためのワークショップなどを開設するとか、そういったことにプラットフォームサービス事業者の自主的な努力であるとか貢献をしていただくということも今までなされていなかったわけではないので、更に拡充していただくことについて、何というか、称賛を送るというか、そういうプラクティスは望ましいですよというメッセージを送り続けるということは有益なことではないかなと思っておりまして、そういう議論の発端、契機になるような御提案をされたのは大変有益なことではないかなと感じております。 以上です。
○高木かおり君 ありがとうございました。 そういった様々な取組を進めていくということと、やはり今日お話を聞いていて、やはりリテラシーを高めていくと、教育というジャンルも、これもしっかりとやっていかなければならないなというふうに改めて思いました。 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○芳賀道也君 国民民主党・新緑風会の芳賀道也です。 参考人の大谷さん、清水さんには、私からも、お忙しい中参考人として質疑をいただき、ありがとうございます。 さて、プロバイダー責任法、責任制限法第三条にある、特定電気通信による情報の流通により他人の権利が侵害されたときには、名誉毀損、誹謗中傷のほかに、著作権法違反も対象になり得ます。私自身、前職、放送業界にいたこともありまして、プロバイダー責任制限法にも関連がある幾つかの裁判で著作権法違反が問われた例について、参考人のお二人に是非お伺いをしたいと思います。 昭和六十三年三月十五日最高裁判決、クラブ・キャッツアイ事件では、カラオケの機械を置いて客自ら歌わせていた福岡県のスナックで、あらかじめ著作権関連の取決めがなく、カラオケで店舗経営者、ホステスが歌う場合、そして経営者、ホステスとともに客が歌う場合、さらに客が単独で歌う場合にもスナック経営者が著作権法違反とされました。クラブ・キャッツアイ事件の判例で問題になったのは、当時の著作権法で違反とされていなかったお客さん自身がカラオケで歌う行為についても、スナックの経営者やホステスがカラオケで歌うのと同等であるとして、スナック経営者が著作権法違反とされたことです。 この裁判では、当時の最高裁裁判官伊藤正己氏の少数意見も注目されました。お客はクラブの経営者に雇用されているわけでもなく、請負契約にあるわけでもないし、何か義務があって歌うわけでもありません、歌うか歌わないかはお客さんの自由意思で歌っているのだから、お客がカラオケで歌う場合はスナック経営者は主体的に音楽著作物の利用に関わっているとは言えないという少数意見でした。しかしながら、クラブ・キャッツアイ事件での多数意見が、いわゆるカラオケ法理として、プロバイダー責任制限法にも関連するほかの裁判にも当てはめられました。 例えば、最高裁平成二十三年一月十八日判決、まねきTV事件も、最高裁平成二十三年一月二十日判決、ロクラクⅡ事件にも、テレビ番組など複製や送信を具体的に指示しているユーザー本人ではないのに、このサービスや機材などを提供している企業を複製の主体だとして、複製権の侵害を認定しています。 東京高裁平成十七年三月三十一日判決、ファイルローグ事件でも、個々の間でピア・ツー・ピアと呼ばれる電子ファイル交換サービスにおいてゲームソフトの違法なコピーがあった例について、そのファイル交換サービスを提供していた企業が侵害主体として著作権法違反とされました。 参考人のお二人に伺いたいのですが、特許法で第百一条で間接侵害について規定しているように、著作権法でも、間接侵害の場合にも侵害の主体者とみなすカラオケ法理を著作権法上にも明記すべきではないかということについて、参考人お二人のお考えを聞かせてください。
○委員長(新妻秀規君) それでは、大谷参考人からでよろしいですか。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。 御指摘のように、著作権侵害であっても、権利侵害ということでプロバイダー責任制限法の適用があるということで、これまでも多数の著作物の違法アップなどに対して対応を進めてまいりました。特に誰の著作物なのかといったことについて、権利者本人からの申請であるということが分かるために、信頼性確認団体であるJASRAC様のような、ああいった事業者の方の御協力もいただきながら、その著作権侵害の事案についての迅速な解決のための枠組みを整えてきたというのがこれまでのプロ責法の対応でございます。 今御紹介いただいたカラオケ法理であるとか主体論などについては、今御紹介いただいたとおり、非常に多数の見解があるというか、これは知的財産権法の学者の方々も、例えばそのカラオケ法理というのをあらゆる場面に適用させるというのは行き過ぎではないかという見解も出ているところですが、そういったことも踏まえて、こういった著作権法そのものにこの間接侵害のような考え方を持ち込むことの当否について意見を求められているのだと思いますが、非常に適用される場面というのがそれぞれに異なっていることから、一概にその間接侵害的な考え方をこのインターネットの環境に取り込むというのは理解を得るのが難しいのではないかと思います。 これまで御紹介いただいた幾つかの事件の場合には、サービスを提供している方がそのサービスによって利益を得たり、あるいはそのサービスの提供に伴って著作権侵害のリスクを看過するような事態があったりということで、それをこういったカラオケ法理などのような法理論にまとめて判決を出してきたというところがあると思いますので、そのサービスの特性であるとかそういったことに着目して個別にそういった法理が適切に機能する場面というのも今後ともあるかと思いますが、全般的に著作権法の中にその考え方を織り込むことのやはり副作用といったことも併せて考えていく必要があると理解しておりまして、慎重に検討しなければいけないテーマの一つではないかと考えております。 以上です。
○委員長(新妻秀規君) じゃ、続きまして、清水参考人。
○参考人(清水陽平君) 著作権に関して事案がどれぐらいあるかという話があったかと思うんですけれども、著作権、PツーPの事案などで開示請求というのは、かなり実際上は事業者が受けている開示請求のものでほとんどが、そのPツーPでの著作権侵害というものが九〇%以上を占めているというふうに聞いております。ですので、名誉毀損等々よりも実はこういうもの、著作権侵害の方が事案としては圧倒的に数が多いというのが実態と認識しています。 間接侵害のようなものを著作権法上定めるのが適切かどうかというのは、大谷先生が今おっしゃられたように、様々な見解があるところですし、カラオケ法理が、それが当否は別として広がってきているという実態もあるとは認識してはいるんですけれども、その当否をやはり、そこを著作権法上入れるとすれば検討しなければいけないですし、その立法事実があるのかというところも含めて検討しなければいけないところだと思いますので、慎重な検討がやはり必要なことではないかなというふうに思います。 現時点ですぐに入れた方がいいという回答はなかなか難しいかなというふうには思っております。
○芳賀道也君 ありがとうございます。 次に、参考人のお二人に伺います。今年一月の能登半島地震の際にも、デマ情報がSNSに流れて問題になりました。また、熊本地震の直後も、熊本の動物園からライオンが逃げたというデマ情報がツイッターに投稿され反響を呼び、動物園の業務を妨害したとして神奈川県の会社員の男がこの年の七月に逮捕されましたが、翌年三月に起訴猶予になっています。 こうしたことは許されない、災害時にデマを流すということは命も危険にする、混乱を呼ぶということで許されないと思いますが、このようなデマの背景に、情報が正しくても正しくなくても再生数や閲覧数に応じて報酬や広告料などが払われるプロバイダー側の仕組みが影響しています。 プロバイダー責任制限法の今後の法改正やガイドラインの改訂に向けて参考人のお二人に伺いたいのですが、例えば、正当な取材に基づいた報道やSNS発信には適切に報酬、広告料などがプロバイダー側から払われて、一方で、事実と異なるデマなどの発信には報酬、広告料が払われない、あるいはデマだと分かった時点で報酬、広告料を返金しなければならないというようなルールを設けて、プロバイダーにこれに従うことを義務とすることは今後考えられ得るのでしょうか。いかがでしょうか。
○委員長(新妻秀規君) それでは、大谷参考人からお願いします。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。 私も、その能登半島が起きた元旦に、多数のSNSでアップされている情報が、例えば報道などでもそのまま掲載されるというようなことがあって、これは偽情報への対策が十分なのだろうかというふうに不安を感じていたところ、やはり案の定、災害の混乱に乗じてそのアテンションエコノミーを助長するようなプロバイダーの仕組みを悪用しているケースが散見されたということで、非常に心を痛めているところです。 これを防ぐためにどのような対応が望まれるのかという点では、プロバイダー自身が、その不当な報酬について、やはり不当利得であるとして報酬を与えないようなロジックを組み込むとか、これを後で人的に対応しようと思ってもなかなか難しいものだと思いますので、それをシステムの中で何か対応できるような工夫をしていただくというようなことも必要だと思いますし、また、災害時にそれに乗じた情報の、偽情報の提供といったことに対して何らかの、私は、何というんでしょうね、アカウントの停止も含めた対処が恐らく必要になってくると思っておりまして、そういったプロバイダーとしての姿勢、削除の基準、それからアカウント停止についての考え方というのをちゃんと策定して公表するということがまず透明化規律の中で求められることなのではないかなと思っております。 透明化規律がどういうふうに機能しているのかというのを見据えた上で、十分に機能していないといった場合には、今御指摘いただいたような方策も含めて政策の選択肢として俎上にのせていくということは望ましいことだと思いますが、ただ、今申し上げたようなことが義務として直ちに導入されるということが適切かというと、やはり事業者にとっての負担の大きさというのも勘案しなければいけませんので、さすがに日本のマーケットを見捨てていくというようなことにつながりかねないような過重な負担を与えるものになってもいけないなというふうに思っております。 そこで、参考にすることができるのがやはり欧州のDSAでありまして、こういったリスク軽減のためのリスクアセスメントをするということを求めているようなルールもありまして、そういったことを参考にしながら、最初から義務として織り込むというよりは、それに向けての努力をするように働きかけるといったところから対応してはいかがかなと思っております。 以上でございます。
○委員長(新妻秀規君) じゃ、続きまして、清水参考人。
○参考人(清水陽平君) デマ情報を拡散した人にはその報酬を返還させるという法律を作れるかというお話かと思うんですけれども、その私人間の話に法律で介入していくというのはなかなか実際上難しいのではないかと思うので、法技術的になかなか難しいんではないかなというふうには思っております。 ただ、その自主的な基準としてそういう基準を設けて、それに従って返還を求める、若しくは報酬を払わないというルールを作ること自体は、もちろんできることですし、やるべきことであると思います。 今回の基準、公開する基準の中にもそういうものを入れていただけるのであれば、もし各事業者に入れていただけるのであれば、それは入れていただいた方がもちろん良いことですし、偽情報、誤情報を拡散しないということについては、各事業者もそこについて否定的な見解を出しているわけでは必ずしもないと認識しておりますので、そういう規制を入れていくのは、入れていくことを求めていくということで進めるのがいいのかなと思っております。 以上です。
○芳賀道也君 最後に、清水参考人に伺います。 東京には知財高裁があります。大阪地裁でも知的財産権部というのがありますが、専門的に扱うというような体制ができている。全国ではどうだろうということなんですが、今後、IT関連の裁判が全国で起きた場合に、東京、大阪以外、対応はどうなんだろうという少し心配があります。 清水弁護士に伺いますが、東京、大阪以外の地域で、IT関連の民事、刑事裁判の審理の充実のために今何をしたらよいか、御意見がありましたらお聞かせください。
○参考人(清水陽平君) 裁判官が対応できるかどうかという問題になってくるのかなと思います。ですので、基本的に、今、知財高裁が東京と大阪に集中しているということになって、知財案件は集中するんだと思うんですけれども、そういうところ、人材を他の高裁管内のところに配置して案件を吸い上げていくということが必要かなと思います。ただ、これは法律上どうこうという話では必ずしもないんだろうと思いますので、最高裁との協議をしていくことで対応していく必要があるのかなと思います。 逆に、その東京、先ほどちょっと私も言いましたけれども、東京に案件が集中し過ぎていて、案件がパンクしていて対応も遅くなっているという現状がありますので、地方に分散する必要というのもあるかなと思っています。ですので、そういうところも含めて議論をしていただきたいなと思っております。 以上です。
○委員長(新妻秀規君) おまとめください。
○芳賀道也君 ありがとうございました。
○伊藤岳君 日本共産党の伊藤岳です。 参考人の皆さん、本日は貴重な御意見いただき、ありがとうございました。 清水参考人に伺います。 参考人は現場で実務に当たられておりますが、実務上の課題について伺いたいと思います。 二〇二一年の法改正で、誹謗中傷等の投稿を行った発信者の特定について、SNS事業者などと通信事業者などに対する開示命令の申立ての一体的な審理に基づく開示が可能となりました。 前回のこの法改正後、弁護士の事務所などの現場ではどのような変化があったのか。例えば、開示手続件数は伸びているのか、プロバイダーは速やかに開示しているのか。速やかに開示されていないとすれば、今度提出された本法案がどのような意義を持ち、生かされるとお考えか。また、この法案では残される課題は何があるか。 先ほどログ保存期間の問題なども参考人からお話しになりましたが、前回の法改正後、X社などは、ログ保存期間との関係で、開示しないときに仮処分を利用しますが、そのときにX社は仮処分の担保金十万円を求めるようになったという話もお聞きしております。 参考人の様々なお考えをお聞かせください。
○参考人(清水陽平君) 御質問ありがとうございます。 開示命令というよりは、開示命令自体は非訟事件として早く進むようになったので、開示早くなった点は良かったというふうに思っております。決定までは早くなったと。ただ、国内事業者を相手にするときは特に早くなって良かったというふうに感じているんですけれども、国外事業者を相手にするときは、開示命令というよりは、その付随する手続である提供命令がうまく使えないという事案が非常に多いという認識です。 特に、今出てきたツイッター、まあXですね、Xに対する開示については、非常に、ログの調査自体が非常に遅い関係上、かつ提供命令については強制執行が事実上できないという問題がありますので、手続が遅くなってしまうという問題があります。ですので、これについては仮処分を使っておりまして、仮処分では、さらに、御指摘があったように、十万円の担保金を供託するようにという扱いに最近変わっております。 改正自体、全体としては良かったかなと思っているんですけれども、強制執行ができるまでの期間というのが一か月という形で、確定するまでが一か月という形になっておりまして、その確定してからじゃないと強制執行ができないということになっているので、それがなかなか、待っている時間がログ保存期間の関係で難しいという課題があります。 また、先ほどちょっと申し上げたように、提供命令という手続がつくられているわけですけれども、その提供命令について、一応条文上は強制執行ができる場合があるのですが、実際上は相手がログを持っているということを確定できている事情がないと強制執行ができないという問題がありまして、申し立てた時点でログを持っているかどうかということは分かりませんので、強制執行ができない、結果として、提供命令に相手がなかなか従わない場合には手続が進まないという問題が生じていますので、ここについての手当てが必要ではないかなと思っております。
○伊藤岳君 ありがとうございます。 大谷参考人、清水参考人に伺います。 本改正案の第二十五条で、一定期間内の調査と申出者への通知が規定されています。二十五条二項三号では、やむを得ない理由などがある場合には、やむを得ない理由などを通知すれば足りるとされております。 これらの規定をどのように評価されておりますでしょうか。このやむを得ない理由等が多用されて、結局投稿が削除されないということにはならないかとの懸念を私持っていますが、参考人はどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
○委員長(新妻秀規君) それでは、まず大谷参考人からお願いします。
○参考人(大谷和子君) 御質問ありがとうございます。 この二十五条の二項の三号のやむを得ない理由に該当するものとして想定されているのは、例えば大規模な災害などが発生してこれらの期間内に回答ができないような極めて限られた場合というのでございますので、これに該当する場合がそもそも少ないということの認識をちゃんと高めることができれば、この規定自体はさして問題となるものではないと思っております。 ただ、そのやむを得ない理由を伝えた上で、それが本当にやむを得ないものでなかった場合に、これは、利用者というか被害者の側としてどのような手続を次に取れば自分の被害救済が図られるのかといったことについてのプロセスが見えるようになっていないと、この規定というのが十分に機能しないというか、この二十五条も含めた迅速化規律というのが骨抜きになってしまう可能性も出てまいりますので、やむを得ない理由の、その理由をちゃんと通知するといったときに、その後にどんな手続が残されているのかといったことも含めて分かるように示していくということが望まれる点ではないかなと考えております。 以上でございます。
○委員長(新妻秀規君) では、続きまして、清水参考人。
○参考人(清水陽平君) やむを得ない理由の内容についても通知しなければいけないことに一応なっておりまして、その内容がどこまで詳細なものかということにもよってはくるんだとは思うんですけれども、おっしゃるように濫用の危険というのもないことはないのかなというふうには思っております。 ですので、このやむを得ない理由の内容を、具体的にはこういうことですよと、実際にはこういう場合に限定されますよということを、ガイドライン等々、まあ条文解説とかですね、そういうところで明らかにしていく必要があるのかなと思っております。
○伊藤岳君 大谷参考人と清水参考人に伺います。 グーグルなど米国のIT企業の人員削減が顕著で、特にX社、旧ツイッターの場合、同社が買収された二〇二二年十月から翌年の二〇二三年五月までの間で、不適切なコンテンツの監視や削除に関わっていたスタッフ中心に、全世界で四千六十二人から二千八百四十九人と、三〇%人員削減されたとの報道があります。 プラットフォーム事業者がこうした人員削減を進めれば有害情報に対応できないのではないかと危惧の念を持ちますが、参考人どう思われるか、お伺いしたいと思います。
○委員長(新妻秀規君) それでは、じゃ、大谷参考人からお願いします。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。 私もその報道に接したとき大変驚きまして、コンテンツモデレーションの実施について非常に後ろ向きな対応であるということを懸念いたしましたし、実際にそのとき報道されていたのが、その人員削減の対象となって、自分は価値のある仕事をしていると考えていた労働者の方が人員削減の対象になったということで、その企業におけるコンテンツモデレーションの実効性などについて懸念されている意見を表明されていたということにも接しまして、もちろん人、人間だけでやるわけではないとはいっても、十分な知識を持つ方を実行部隊として維持していただくことは非常に望まれることですので、もちろんそれぞれの企業の実情はあると思いますけれども、人員削減によってコンテンツモデレーションのその正確性であるとか、それから迅速さといったものが損なわれないということを説明する責任が彼ら事業者にはあり得るだろうなというふうに感じております。 もう感想となりまして恐縮ですが、そのように感じましたので率直に述べさせていただきました。
○委員長(新妻秀規君) じゃ、続きまして、清水参考人。
○参考人(清水陽平君) 削減されたということで、実際それ自体問題ですし、問題だと思っておりますし、実際実務上対応が非常に遅くなった若しくは対応がされなくなった、無視されるということは逆になくなったのですけれども、自動返信で少なくとも来るようになったという形にはなったんですが、実際対応してもらえるまでの期間というのが延びたりしているという実態があります。その傾向がやはり顕著なのがXかなというふうに思っておりまして、非常に、誹謗中傷が非常に多いのがXでもありますが、対応も非常に悪いのもXであるということで、そこは非常に問題かなと感じているところです。
○伊藤岳君 大谷参考人と清水参考人にお伺いします。 本法案で大規模プラットフォーム事業者に侵害情報調査専門員の選任が求められます。これは大規模プラット事業者に対してどのような効果があるとお考えか、また、専門員の選任に当たってどのような方が選任されればより効果が上がるとお考えか、参考人の御識見をお伺いしたいと思います。
○委員長(新妻秀規君) それじゃ、大谷参考人からお願いいたします。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。 専門員の選任に対する期待というのをこれまでも意見として述べさせていただいたところでございまして、特に法律、司法の制度に明るく、現状日本で起きている誹謗中傷の実務に詳しい方、それであって、また、インターネット空間における誹謗中傷が与える日本特有の課題について見識のある方を、法律専門家を選んでいただくことが必要だと思いますし、その法律専門家を支える組織というか、事務局のようなものをちゃんとリソースとして整えていただくことや、また、その方の知見というのをその組織全体に行き渡らせるための施策というのも、法律の条文には書いておりませんけれども、それをおのずと整えていただくことの期待も含めてこの調査の制度ができ上がっているということで、実際にその調査が実質的に行われているかどうかということの確認には恐らく多少時間は掛かると思いますけれども、専門員が選ばれているからそれで終わりということではなく、調査にそれがどれだけ生かされたかということを関係者がモニタリングしていくことが極めて重要な制度だと認識しております。 以上です。
○委員長(新妻秀規君) それじゃ、続きまして、清水参考人。
○参考人(清水陽平君) 専門員がきちんとした人が選任されて動いてくれれば対応がきちんとされるのかなと思うんですけれども、適切な人が誰かという話になると、どうしても実務に携わっている弁護士ぐらいしかないのかなというふうに思っております。 ただ、弁護士といってもいろんな仕事をやっていることが普通でして、ネット上の中傷等々について、また日本の文化とか歴史的背景みたいなものについてきちんと分かっているという話になってくると、より狭い人になってくる可能性は高いのかなということで、人材確保というのは実際上難しい可能性は高いのかなというふうにも思っております。 現状、大規模なプラットフォーム事業者の代理人としては四百人規模以上の弁護士を抱える事務所が付いておりまして、実際上はその事務所の人たちに専門員が任命されるのではないかと想定はするんですけれども、そうなった場合、グーグル側の、何というんですかね、利益追求という観点からは利益相反が生じ得るところでして、その利益相反を、利益相反生じ得る場合、生じる場合にどういうふうに対応を取っていくのかというところも見ていく必要があるのかなというふうには思っております。
○伊藤岳君 時間になりましたので、終わりたいと思います。 貴重な御意見ありがとうございました。法案の審議に生かさせていただきます。ありがとうございました。
○齊藤健一郎君 NHKから国民を守る党、齊藤健一郎です。よろしくお願いいたします。 もうほぼ質問が出終わってしまったので、ちょっと範囲を広げてお伺いさせていただきたいな、御意見いただきたいなと思うのですが。 まず、私事で申し訳ないんですけど、私が元々堀江貴文のマネジャーをしており、うちの党首が立花孝志で、さらに私はガーシーの後任でというところで、炎上のメッカの場所にいてるんですけれども、そこで誹謗中傷であったりとか名誉毀損であったり詐欺であったりとかということはよく目の前で見ていて、今現状としまして、堀江貴文が最近自民党の本部の勉強会にでも参考人として呼ばれて、ちょっと名誉毀損というところと詐欺のところでちょっとお話をさせていただきたいのですが。 そういった、この詐欺広告であるとかということによく使われている、今は、現状としましては広告として、詐欺広告として使われていることが多いんですけど、今後、肖像権ではなく、ちょっとアメリカの方でも今話題になっています肖声権、要するに声ですね、声によって、堀江貴文の声であったりとか著名人の声を使ってそういう詐欺に対応したりであったりとかということで、そういうふうな対応をやっぱりプラットフォーマー自身が今現状行っていないというところで声を上げていただいたんですが、そういったそのプラットフォーマーの対応がその声にまで至るところまで、肖声権と言われるようなところに至るところまで行くのかどうなのかという、その御意見的なものがあればちょっとお伺いをさせていただきたいなというふうに思っております。
○委員長(新妻秀規君) じゃ、それでは大谷参考人からお願いいたします。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。 そういう現場での御苦労、推察するばかりですけれども、その声のデータを使ってAIで全く違うことをしゃべらせたり、あとは顔も同時に使ってディープフェイクというか、そういうことに使われていくということに対して、権利者である各人、個人の方が、顔のデータであるとかあるいは声のデータについての人格権に基づいて何らかの差止め請求をしていただいたりということは、現実的な方策として一つのアプローチの仕方ではないかなというふうに思っております。 そういうことで、肖声権というような言い方をするかどうかは別として、その個人の特有な特徴といったものを濫用するような行為に対しては法的に対応するための手段は幾つか整っていると思いますので、このプロバイダー責任制限法の枠組みというか、情報プラットフォーム法ですかね、その枠組みを使いつつ、それ以外の知的財産権であるとか人格権といったものの権利侵害を訴えていかれるのが適切な方法になってくるのかなと思っております。 幸い、何というか、証拠が、証跡が残りますので、それはうまく活用していただき、また、ほかに濫用されているほかの多数の著名人もいらっしゃいますので、是非連携して投資詐欺などへの悪用を断ち切っていただければなと期待しております。 以上です。
○委員長(新妻秀規君) 続きまして、清水参考人。
○参考人(清水陽平君) 肖声権というものがつくれるかどうかというのは何とも言えないところではあるんですけれども、大谷先生がおっしゃったように、個人の人格的特徴を捉えてという御発言あったかと思うんですけど、まさにそこでして、最近では、最高裁、あっ、裁判所が認めている例、正確には認めているというかあり得るという判断を示しているものがあるんですけれども、アイデンティティー権という考え方が一応ありまして、これは肖像も含め個人を象徴するものを勝手に使われない権利というものとして、まあ肖声権も含む概念だとは思うんですけれども、そういう、何か一つの権利だけが問題になるというよりは、全体として人格を冒用されているというか、そういうところが問題なのかなと認識しておりますので、より広い観点から、アイデンティティー権のような、言い方はともかくなんですけれども、そういうものを考えていくのが適切ではないかなと考えるところです。
○齊藤健一郎君 ありがとうございます。引き続き、ちょっと炎上は多分今後も続いていくとは思うんですけれども、その辺、参考にさせていただきたいなと思います。 あと、ちょっとシンプルな質問を清水参考人にお伺いしたいのですが、今後このような形になってくるとその名誉毀損の裁判とかが増えてくる形になると思いますが、弁護士として、この、先ほどちょっと問題視された、その賠償額がやっぱり低いということもあって、実際、取り扱いたい弁護士の方々が実際に多くなるのかどうなのか。それとも、むしろ、ちょっとこの名誉毀損に関してなど扱いたくないなという方、そういった方々の声というのはどういった声が多いのかというのをちょっとお聞かせいただきたいです。
○参考人(清水陽平君) そうですね、ある意味、インターネットの誹謗中傷というのが一般化したということもありまして、かつ、その対応方法についての書籍というのも結構充実してきておりますので、多くの弁護士、特に若い弁護士がネット広告などを出して集客しているというのが実態かなというふうに思っております。ですので、そういう意味では、扱っている弁護士というのは増えてはいるかなと思います。 他方で、その賠償額が高くはならない、場合によっては赤字になるということから、トラブルになるという例もやはり見聞きするところです。ですので、なかなか事案につながらない、依頼につながらないということもあったりしますので、最終的にはその賠償額を上げていかないと被害者救済にならないということがありますので、そこの検討というのが必要かなと考えるところです。
○齊藤健一郎君 ありがとうございます。やっぱり、損害賠償額のちょっと引上げというのはやっぱり今後も考えていかないといけないのかなというふうに思います。 続きまして、大谷参考人の方にちょっとお伺いしたいのですが、ちょっとキーワードとして出てきたところがありましたので、そのキーワード、御意見いただきたいのですが。 まさに、エコーチェンバー、ここですね、自分も日々陥っていないかなというところが結構日々恐怖に思っているんですよね。自分自身がそのエコーチェンバーに陥って情報の偏りがあるんじゃないかなというのは常に危機感は持っているんですけれども。 やはり、このエコーチェンバーという言葉自体知らない、ましてや、そのわなに陥っていること自体分からない方というのが多分、結構今後も増えてくるんじゃないかなと思ったときに、どのような対策を取れば、自分自身がそのエコーチェンバーでない、多様多種な意見をしっかり取り入れた上でしっかり考えられているというような、その対策というものというのは何かありますでしょうか。御意見お伺いさせてください。
○参考人(大谷和子君) 御質問ありがとうございます。 確かに、エコーチェンバーのわなに捕まっているんではないかという、自省されているという、非常にその姿勢そのものが恐らくエコーチェンバー対策になっているのではないかと思いますが、やはりエコーチェンバーという言葉を知らなかったり、フィルターバブルという言葉も知らなかったりしますと、どうしても自分と同じ意見の方々とばかり情報を共有するということで満足してしまうことが起こりがちですので、まず、やはりそういう言葉を理解するという、言葉の周知策を図るということがまず取っかかりになるのではないかと思います。 かつてハラスメントという言葉がなかったりストーカーという言葉がなかったときには、それをどう表現していいのかという、事態の、事実関係のその認識とか把握ができなかったわけですけれども、改めて、そのエコーチェンバーという実態について、特にこれから有権者となっていくような若い人々に、例えばワークショップなどを通じて実態経験をしてもらう、例えばこういうアルゴリズムの下だとこういう集団の意見に触れることになるというようなことを身をもって体験していただく場などを設けることによって、自覚的にその問題に立ち向かうことができるのではないかと思っております。 一つ日本放送協会の試みとして、そのエコーチェンバーであるとかフィルターバブルについてほかの多様な意見を取り入れていっているかどうかを確認できるようなサイトがあるのは、多分政党柄からしても御承知のとおりだと思いますが、そういった有益な取組なども是非活用していただき、特に、別に日本放送協会だけではなく、ほかの例えばプラットフォームサービス事業者などもそういったことの危険性などを周知する場をつくるというように、多様な主体がその啓発に取り組んでいくということが望まれるのではないかと思います。 以上でございます。
○齊藤健一郎君 ありがとうございます。 NHKと協力体制を取りながら頑張っていきたいなと思いますので。 これで質問を終わります。ありがとうございました。
○広田一君 広田一でございます。どうかよろしくお願いを申し上げます。 最後のバッターでございまして、本日は、大谷参考人、清水参考人、お忙しい中、また長時間にわたり貴重な御意見いただきまして、誠にありがとうございます。 ちょっと質問に入る前に、委員長にお取り計らいをお願いしたいんですけれども、清水参考人の冒頭の説明の中で、二十五条二項についての指摘がございました。 この指摘、私も今日聞かさせていただいて、取り急ぎこの白版で確認したんですけれども、確かに、御指摘のとおり二十三条には各号がございません。そうなった場合に、是非、今日、馬場副大臣、また船橋政務官もいらっしゃるんですけれども、総務省として早急にこの件について精査をしていただき、もし条文上の訂正が必要であるとするならば、それが必要かどうかも含めて是非検討をしていただいて、速やかに対応をしていくべきではないかなというふうに思うところでございます。 もし訂正が必要であれば法案の審議にも少なからず影響が出るわけでございますので、お取り計らいの方、よろしくお願いいたします。
○委員長(新妻秀規君) ただいまの件におきましては、後刻理事会において協議いたします。
○広田一君 それでは、質問に入らさせていただきます。 まず、第二条六号の侵害情報の定義に関連してお伺いしたいと思います。 この侵害情報の定義は、自己の権利を侵害されたとする者が当該権利を侵害したとする情報というふうなことでございます。これ、清水参考人がおっしゃった二十三条とも関わり合いが出てくるのではないかなというふうに思うんですけれども、そして、段々のお話とか、あと衆議院の参考人質疑の中でも、昨今のネット上の被害実態というふうなことを踏まえれば、いわゆるヘイトスピーチ解消法との関係であるとか、また部落差別解消法との関係、つまり、反差別法を踏まえて、不当な差別的言動に伴う情報であるとか、これも段々御指摘あったように、能登半島地震において誤情報、偽情報が出回りました。これは、結果として個人の生命や財産を脅かす危険があり、よって自己の権利を侵害するというふうにも考えられるわけであります。 そこで、両参考人にお伺いをしたいのは、この侵害情報の定義については、やっぱり、このままでいいのか、それとも、今後この定義に何らか付け加えるとか広げることによって、今、昨今の様々な情報にも対応できるような体制を取るべきなのか、この点についての御所見をお伺いします。
○委員長(新妻秀規君) それでは、じゃ、大谷参考人からお願いします。
○参考人(大谷和子君) 御質問ありがとうございます。 私としては、この侵害情報の定義というのは、この白表紙のところの六号に書かれているとおりの定義をまず置く必要があると思っております。そして、その侵害情報等の定義というのが次に続いていまして、侵害情報にプラスしてその理由とかも含めた情報が侵害情報等と定義されていて、そして八号にその侵害情報の送信防止措置ということで、一つの類型としてこの他人の権利を侵害するという従来型の権利侵害の情報の送信を防止するための措置についての規定が置かれて、これがその迅速化規律にたくさん出てくる部分になっているというその構造自体は適切なものだと考えておりまして、侵害情報そのものの枠を広げるというよりは、透明化規律の中で、現在、送信防止措置と侵害情報の送信防止措置というのを区別して書かれておりますので、まず一旦は透明化規律の中で、そういった情報の削除、差別につながるものであって、ただ権利侵害とはなかなか評価しづらいものの取扱いについて、各事業者がどのように対応するかというのを、まずその削除基準などを見ていくということが第一歩として望まれるのではないかなと思っております。 その上で、その削除基準というのが日本のその文化であるとか社会のインターネット空間に照らして十分なものでないときには、また改めてその削除基準に対していろいろ意見を述べていく機会というのも出てくると思いますので、そういう意味では現在の書き方で当面は十分に機能し得るのではないかと思っているところでございます。 以上です。
○参考人(清水陽平君) 私も侵害情報という書き方、この定め方自体は、これはこれで適切なのかなと思っております。 発信者情報開示請求においても、この侵害情報という概念、非常に重要でして、権利の主体でなければ開示請求ができないということになっておりまして、それ自体は、やはり考え方としては、法律の考え方としては適切なものなのかなと思っております。なので、自己の権利に限るという、他人の権利を他人が主張できないというのは基本ではありますので、これはこれでしようがないというかですね、これはこれで、そういうものとして書く必要があるのかなと思います。 ただ、先ほど私も述べたように、ヘイトスピーチ等々にやはり対応が難しいという実態があること自体は否定できないところですので、そういうものについては、やはり開示請求が難しいにしても、各事業者が定める規律に基づいて自主的な削除を求める、自主的なその送信防止措置依頼等々ができるような仕組みを整えるという形で対応していくのが適切な形なのではないかなというふうに今のところ思っております。
○広田一君 どうもありがとうございます。 次に、現状の削除指針の妥当性や運用状況に対する評価について両参考人にお伺いをいたします。 今回の法改正で、大規模特定電気通信役務提供者に該当すると思われます大手プラットフォーム事業者が現在定めております削除指針と運用状況について、何か改善すべき点があれば教えていただければなというふうに思います。 特に運用面で、二〇二二年のプラットフォーム事業者における回答状況を見ますと、これ、誹謗中傷などに関する一般ユーザーからの申告や削除要請の件数と実際削除された件数を比較すると削除率がゼロ%のサービスがあるなど、全体的には高いというふうには思いませんが、この点も含めて本来どうすればいいのか、御所見をお伺いいたします。
○委員長(新妻秀規君) それでは、まず大谷参考人からお願いいたします。
○参考人(大谷和子君) ありがとうございます。 削除指針、現行のものですけれども、削除指針を見る限り、必要な事項は網羅されており、ある程度具体的に書かれているというふうに考えております。 ただ、その削除指針にのっとって削除を依頼すればそれが思いどおりに削除していただけるかという運用状況について考えてみますと、やはり十分に削除がなされていないのではないかという実態があるのではないかと思っております。 御指摘のその削除率が低いということを必ずしも量的に評価するということは難しいと考えておりますけれども、やはりそれにしても低過ぎるなというふうな考えを持っておりまして、削除指針をより具体的にすることによってもしかしてその削除がしやすくなるのであれば、現在ある程度ちょっと抽象的な書き方をされているところに、事例などを設けるということも意味が出てくるのではないかと思います。 その点、今回の改正法案では、努力義務でありますけれども、一定の対処がなされているというふうに理解しておりまして、ちょっと探せなくなってしまったんですけれども、二十六条の四項ですかね、一年に一回、送信防止措置を講じた情報の事例のうち発信者その他の関係者に参考となるべきものを情報の種類ごとに整理した資料を作成し、公表するように努めるという努力義務が課せられているところで、どのような削除指針、その原因とか、書かれているのにどの類型が当てはまっているのかについての事業者の考え方を知る手掛かりになりますので、これが、努力義務が適切に果たされていれば、それを手掛かりにして、削除の運用が十分に行き届いていないところについても、透明化というか、見える化、可視化することができるのではないかというふうに理解しているところです。 以上でございます。
○委員長(新妻秀規君) 続きまして、清水参考人。
○参考人(清水陽平君) 削除指針が現状妥当かどうかという話でいうと、ある程度のところは指針が書かれている部分はあるんですけれども、何が問題なのか、著作権に関しては比較的よく書かれていたりするわけなんですけれども、何をもって名誉毀損としているのかとか、まあ名誉毀損ということがそもそも書いていないという、ルール、規律を書いている、削除指針を書いているところもあったりしますので、誹謗中傷は駄目だと書いていながら、何をもって誹謗中傷と捉えているのかが書かれていないなど、不十分なところは多々あるのかなと認識しています。 その上で、運用状況というところでいうと、やはり私の実感としても、ほとんど対応してもらえない。国内の事業者であればある程度対応してもらえるわけなんですけれども、国外の事業者はほぼ対応してもらえないというのが実態かなと認識しておりまして、明らかな権利侵害があると考えられるような内容、虚偽の内容が書かれているというケースでも、これは権利侵害に当たらないので対応しませんという回答が来るというのが実態ではあるので、ここはちょっと問題があるのかなと考えております。今回の改正によってその点が改善されればいいなというふうに思うところでございます。 以上です。
○広田一君 どうもありがとうございます。 次に、権利侵害情報に関する送信防止措置請求権の明文化について両参考人にお伺いをいたします。 これは清水参考人の方からも問題提起があったところでございますけれども、第三次のとりまとめによりますと、人格権を侵害する投稿の削除を求める権利は判例法理によって認められているため、一定の要件の下で送信防止措置請求権を明文化することも考えられるとしつつ、明文化によるメリット、デメリット、これは先ほどの清水参考人の資料にもあったとおりでございますけれども、そしてまた、アンケート結果なども踏まえて、引き続き慎重に議論を行うことが適当というふうにされているわけでございます。 そこで、まず大谷参考人の方には、この明文化そのものについての御所見をお伺いすると同時に、清水参考人の方には、改めてこの請求権の必要性と、デメリットとして明記をされております、送信防止措置請求権の明文化が安易な削除要求の乱発を招くというふうにしておりますけれども、私は法律の素人なんでよく分からないんですが、単に請求をすることによって安易な削除要求が非常に増えてしまうということがどうしてもちょっと話としてなかなかつながりにくいんですが、こういったデメリットを公の文章として明記をするということであれば、恐らくその前提となる条件であるとか背景といったものがあろうかというふうに思いますけれども、この点のデメリットをどういうふうに理解すればいいのか、教えていただければと思います。
○委員長(新妻秀規君) まず、大谷参考人から。
○参考人(大谷和子君) 御質問ありがとうございます。 この送信防止措置請求権につきましては、賛成の意見を持っていらっしゃる方もこの関係者の中にはたくさんいらっしゃるということで、私自身もいろいろ考えてみたのですが、今回、清水参考人の方で出されているこのメリットとデメリットのメリ・デメ表を改めて確認したのですけれども、確かにデメリットというのはそれほど大きくないのではないかという御指摘はそのとおりではないかなと思っております。 ただ、メリットのところにつきましても、その請求権の認知ということについては、これから具体的に展開していく周知活動でそれは補える部分があるのではないか。あるいは、海外の事業者について請求に応じる義務というのが実感してもらえるという点はかなり大きいメリットだとは思うんですけれども、専門員を配置するということで、判例法理について理解をしている方が条理上の削除義務が発生するということを十分にその外国事業者の内部に伝えていただくことで対応ができるのではないかというふうに考えているところでして、そのメリットと言われている部分についてもほかの方法で対応できる面が多数あるのではないかなと思っております。 まだ引き続きこの議論は続けるべきだという点では清水先生の御意見にも賛同しているんですけれども、そのときに危惧しているのは、その判例法理が形成されていない分野で請求権が濫用されることのリスクなどについても評価した上で、これが役に立つ制度になるのかどうかということを引き続き検討すべきではないかというふうに考えております。 以上です。
○委員長(新妻秀規君) 引き続き、清水参考人。恐縮ですが、お時間が来ていますので、答弁簡潔にお願いいたします。
○参考人(清水陽平君) 安易な乱発を招くのではないかという指摘の背景には、恐らく事業者がパブコメでそういう回答をしていたかと思いますので、それが反映されたものと認識しております。ただ、削除の請求をしたからといって当然削除義務が生じるかというと、当然そんなことはなくて、乱発といっても、そういうことにはならないのではないかというのは私の考えであります。 ただ、人格権以外についての削除請求というのは判例上は基本的には認められていないというのが扱いでして、そこの扱いをどうするかというところは確かに残る課題ではありまして、そこを今後どういうふうな議論をするのかということで、議論を続ける必要はあるのかと思っております。 請求権自体は、私としては、必要ですし、あることによって開示請求と削除を一緒に審理できるという大きなメリットがありますので、これについては進めていただきたいなと、前向きに進めていただきたいなというふうに考えているところでございます。 以上です。
○委員長(新妻秀規君) おまとめください。
○広田一君 以上で質問を終了します。どうもありがとうございました。
○委員長(新妻秀規君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。 参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十九分散会