厚生労働委員会 第11号
- 発言数
- 83 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2024/05/07
会議録
○委員長(比嘉奈津美君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る二日までに、羽田次郎君及び田中昌史君が委員を辞任され、その補欠として石橋通宏君及び友納理緒君が選任されました。 ─────────────
○委員長(比嘉奈津美君) 雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案審査のため、四名の参考人から御意見をお伺いします。 御出席いただいております参考人は、大阪大学理事・副学長水島郁子君、日本労働組合総連合会副事務局長村上陽子君、一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部長新田秀司君及び日本弁護士連合会貧困問題対策本部事務局次長房安強君でございます。 この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、水島参考人、村上参考人、新田参考人、房安参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず水島参考人からお願いいたします。水島参考人。
○参考人(水島郁子君) 大阪大学の水島でございます。本日はこのような機会をいただき、ありがとうございます。 私は労働法及び社会保障法を専門としておりますので、法学者の立場から雇用保険法等の一部を改正する法律案について意見を述べさせていただきます。 改正案は、雇用保険の適用拡大、教育訓練やリスキリング支援の充実、育児休業給付の給付増を支えるための安定的な財政運営の確保等を行うことを内容とします。本日は、雇用保険の適用拡大の点を中心に意見を申し上げます。 雇用保険の被保険者は、雇用保険法四条一項に、雇用保険の適用事業に雇用される労働者で、適用除外に該当しない者と定められています。六条に適用除外の規定があり、一週間の所定労働時間が二十時間未満の者、同一の事業主に継続して三十一日以上雇用されることが見込まれない者、季節的に雇用される者で四月以内の期間を定めて雇用される者又は一週間の所定労働時間が二十時間以上三十時間未満である者、昼間学生、国や地方公共団体に雇用される者等が規定されています。失業のリスクや失業による生活困難のリスクが相対的に低い者が適用除外されていると解されます。 現在、適用除外される者のうち、短時間労働者に着目して、以下申し上げます。 雇用保険は、自らの労働により賃金を得て生計を立てている労働者が失業した場合の生活の安定を図る制度であるとの考えの下、雇用保険制度が発足した昭和五十年当時、雇用保険の被保険者となる者は、所定労働時間が通常の労働者のおおむね四分の三以上かつ週二十二時間以上、年収五十二万以上、雇用期間につき反復継続して就労する者でした。すなわち、雇用保険が適用される短時間労働者は、正社員と就業実態が比較的近い者に限定されました。 サービス経済化の進展とともに短時間労働者の労働力の重要性が増し、就業形態の多様化を踏まえ、平成期に入ると、短時間労働者への適用拡大が進みます。まず、所定労働時間を四分の三以上とする要件がなくなり、その後、年収要件が廃止され、雇用期間については、数次の改正により三十一日以上の雇用が見込まれる者になりました。 このように、短時間労働者への雇用保険適用は拡大傾向にあります。もっとも、一週間の所定労働時間の適用下限を週法定労働時間の二分の一とする取扱いは、雇用保険制度発足当初から維持されています。そこで、週法定労働時間の二分の一に達しない働き方をする者は、失業のリスクや失業による生活困難のリスクが低く、保障の対象とする必要がないのかが問題となります。 さて、雇用保険の適用に当たっては、保険とは、同種類の偶発的な事故にさらされている人々がこの危険の分散を図るために集団を構成するものとの立場を取り、雇用保険が自らの労働により賃金を得て生計を立てている労働者が失業した場合の生活の安定等を図る制度であることから、生計維持者を同種類の危険にさらされている人々とし、週の法定労働時間が四十時間であること等を考慮し、週所定労働時間二十時間を適用の下限とするとされています。この説明には一定の合理性と説得力がありますが、一週間の所定労働時間が二十時間未満の者を雇用保険の適用から排除する決定的な理由となるかは疑問です。 雇用保険は保険原理を活用していますから、同種類の危険にある者を対象とすべきことはそのとおりです。雇用保険が労働者を対象とし、非労働者、労働者でない者を対象としないことは、まさに同種類の危険にさらされている状況にないからです。 それでは、労働者の中で、失業について同種類の危険にある者とそうではない者を区別できるのでしょうか。 これまで、生計維持思想に基づく判断が行われてきました。生計維持者であるか否かを基準とし、その具体的な判断基準が週法定労働時間の二分の一、すなわち週所定労働時間二十時間でした。 確かに、雇用保険制度が発足した頃は、正社員たる男性が世帯の唯一の生計維持者である男性片働き世帯が労働者世帯の大多数でした。主婦パートという言葉に象徴されるように、世帯における妻、母である女性の就労は、主婦を本業としつつ家計補助的にパート就労するのが一般的だったと言えましょう。このような世帯の状況、働き方の実態を前提とすれば、雇用保険の適用対象者を生計維持者に限ることは妥当ですし、合理的でした。 しかし、共働き世帯は増加しています。また、ワーキングプアに象徴されるように、一人の収入では生計を維持できない世帯も見られます。世帯の生計維持者は必ずしも一人ではありません。働き方の選択や、病気や障害、高齢、育児や介護の責任といった諸事情により、生計維持者の立場にある方があえて週所定労働時間を短くして働くケースも考えられます。また、専門能力を活用して短時間で高収入を得る方もいらっしゃいますし、パートタイム・有期雇用労働法の改正等により短時間労働者の処遇が改善されていることも考えますと、短時間労働者が低所得者であり生計維持者に当たらないとは単純に言えないと考えます。 このように考えると、一週間の所定労働時間が二十時間未満であることをもって生計維持者に当たらないとして失業のリスクが低いとすることは、もはや適切でないと考えます。私は、労働者の週所定労働時間が二十時間未満であっても世帯の生計維持に貢献している者が多くいるはずであり、それゆえ、これらの労働者も失業という同種類の危険にさらされていると考えます。 さて、雇用保険は社会保険ですので、厳格な保険原理は必ずしも求められないと考えます。また、一例を挙げますと、雇用保険の主たる保険事故である失業は、その時々のマクロ経済情勢の影響を受け、好況時、不況時といった一定の時間経過の中でリスクを分散しているとも言えますが、このような不況時における失業リスクは、同時に多くの者にリスクが生じるという点で、保険原理で述べられる偶発的な事故とは少々意味合いが異なるように思われます。したがって、雇用保険が保険原理を活用していることを理由に同種類の危険にさらされている集団の同質性を強く求め、週法定労働時間の二分の一以上という基準に固執する必要性はそれほどないと考えます。 私は、一週間の所定労働時間が二十時間未満の者も世帯の生計維持に貢献する者であり、労働者として同種類の危険にさらされていると捉えるべきと考えます。一週間の所定労働時間が二十時間未満の者を雇用保険の被保険者から除外する決定的な理由はもはやないと考えます。私見の立場からは、週の所定労働時間が十時間以上二十時間未満の労働者に適用拡大する法改正は、短時間労働者の生計との関わりを適切に評価し、雇用のセーフティーネットを拡大する点で評価します。 現行制度の下では、複数の事業所で雇用される労働者は、生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける雇用関係についてのみ被保険者となります。週所定労働時間が二十時間以上の雇用関係がなければ、例えば一の事業所で十六時間、別の事業所で十二時間働く兼業労働者は、現在、雇用保険の被保険者とはなれません。法改正により、このような働き方をする兼業労働者も雇用保険の被保険者となります。法改正による適用拡大をこの観点からも私は評価し、支持いたします。 次に、教育訓練やリスキリング支援の充実に係る法改正について意見を述べます。 教育訓練給付は、労働者が離職することなく教育訓練を受講することに資するものです。もちろん、教育訓練に専念するために離職するケースもあります。労働者が自分の働き方やキャリアを見詰め直し、キャリアアップを自発的に行うことは、失業の回避や労働力の有効活用といった点で雇用保険制度にとってもメリットがあると考えます。 法学者の立場から申し上げますと、教育訓練給付は保険制度の中でやや異質です。というのは、教育訓練給付は、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合を保険事故とする、つまり、保険事故を自らつくり出した場合に給付を行うもので、これは社会保険の本来の考え方になじまないと言えます。 このような保険事故を設けた背景には、主体的に教育訓練を受講しようとする労働者を直接支援するには保険給付の形式が適切であるとの判断があり、その帰結として自ら職業に関する教育訓練を受けた場合を保険事故とせざるを得なかったと考えます。このことは理解しますし、政策的な観点からは適切であったと私も思いますが、教育訓練給付の保険事故が自ら積極的につくり出すものであることは、一般的な意味での保険事故としては異質であると言わざるを得ません。 また、社会保険は、被保険者全体で生活危険に備え、貧困に陥らないよう予防するものであり、セーフティーネットの機能がありますが、教育訓練給付の対象となる多様な訓練の中には、高収入を得るためのキャリアアップにつながるものもあるように思われます。それは、セーフティーネットの機能に直接関係するとは思われません。この意味でも異質と考えます。 さて、雇用保険法のコンメンタールによれば、教育訓練給付は、労働者の雇用の安定及び就職の促進を図る上で労働者自らが主体的に職業能力開発に取り組むことが重要となる中で、その際の費用負担が広く労働者共通の問題、リスクとなっていることを踏まえ、必要な給付を行うものとされます。 つまり、教育訓練給付のリスクは費用の負担にあり、そのように考えると、キャリアアップを目指すのか転職目的なのかにかかわらずリスクが生じるとも考えられます。キャリアアップにより失業の危険がほぼなくなり、高賃金が得られれば職業の安定が図られますが、これは雇用保険の目的に合致します。したがって、教育訓練給付を雇用保険で行うことは正当であり、保険事故としての異質ゆえに否定されるものでないと考えます。 前置きが長くなりましたが、今回の法改正では、自己都合で退職した者が教育訓練を自ら受ける場合は、自己都合による給付制限をせず基本手当を受給できるようにすること、インセンティブ強化のため、教育訓練給付金の給付率を受講費用の最大八〇%に引き上げること、そして、在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、訓練期間中の生活を支えるため新たな給付金を創設することです。 この給付金について意見を申し上げます。 労働者の主体的な能力開発をより一層推進するためには、労働者が生活費の不安なく教育訓練に専念できることが重要です。新たな給付金は、労働者が自発的に教育訓練に専念するために仕事から離れる場合で、離職せず教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に、訓練受講を支援するため、基本手当に相当する給付を教育訓練休暇給付金として支給しようというものです。 教育訓練休暇給付金は、離職することなく、すなわち労働者の身分を保持したまま教育訓練に専念でき、基本手当に相当するものですので、一定期間に限られるものでありますけれども、訓練期間中の生活支援も受けられるものであり、教育訓練に専念したい被保険者にとって理想的です。 なぜなら、教育訓練により現在の職場における処遇改善を期待することができますし、転職活動にも資するからです。仮に受講の成果が十分なものでなくても、現在の職場に残れる、すなわち仕事を失わないというメリットもあります。雇用保険制度としましても、被保険者が失業せずにキャリアアップして失業の心配がない状況をつくり出すことにはメリットがありますので、そのような被保険者に前倒して基本手当相当分を支給することは合理的、合目的的であると考えます。 最後に、育児休業給付を支える財政基盤の強化について一言申し上げます。 育児休業給付の国庫負担割合は、本則八分の一のところ、暫定措置として八十分の一とされていることにはかねてから疑問を持っておりました。法改正により国庫負担割合が本則に戻ることは大変喜ばしく思います。男性の育児休業取得者が増加するだけでなく、男性の育児休業期間が長くなることが大いに期待されるところでありまして、それに対応するために、育児休業給付を支える財政基盤を強化することが必要です。本則料率を引き上げ、本則に戻す改正を私は強く支持いたします。 以上をもちまして、私の発言を終了します。ありがとうございました。
○委員長(比嘉奈津美君) ありがとうございました。 次に、村上参考人にお願いいたします。村上参考人。
○参考人(村上陽子君) ありがとうございます。 連合で副事務局長を務めております村上です。本日は参考人としてお招きいただき、ありがとうございます。 今回の雇用保険法の見直しは、連合として求めてきた内容が全て実現したというわけではありませんが、労働政策審議会において、公益委員、使用者側委員、労働者側委員が議論し、合意点を見付けてきたものです。今後の課題はありますが、全体としては了としているものです。 このような前提の上で、雇用保険法等の一部を改正する法律案について、働く側の立場から、適用拡大、教育訓練給付、雇用保険の財源、育児休業給付に関する保険料率の四つの項目について意見を述べさせていただきます。 初めに、雇用保険の適用拡大についてです。 連合は、雇用形態にかかわらず全ての雇用労働者に雇用保険を適用しセーフティーネットを整備することが重要と考えています。適用対象を現在の週所定労働時間二十時間以上から十時間以上に拡大することは、雇用保険によるセーフティーネット機能の拡充に資する改正であると受け止めています。 働き方が多様化する中で、先ほどもございましたが、雇用保険の適用対象は徐々に拡大されてきました。その中でも、今回、週所定労働時間十時間以上まで拡大するということは、働く者にとっても、事業者にとっても、制度を運用する側にとっても、さらには雇用保険制度にとっても重要な改正であると考えます。 一方で、二〇二八年十月の施行に向けて検討いただきたい事項も残っていると考えており、三点申し上げます。 一点目は、複数就労の場合の雇用保険の加入や失業の定義の在り方についてです。 衆議院においても複数の事業所で働く場合の雇用保険の適用の在り方について議論いただきましたが、今回の改正で新たに適用対象となる労働者の中には、生計を維持するために副業、兼業をしている方もいることが想定されます。こうした中、雇用保険は、ほかの社会保険とは異なり、複数就労時は主たる賃金を受ける雇用関係のみが加入対象となり、兼業先は雇用保険に加入ができません。その結果、兼業先のみ失業した場合は、その部分の失業手当などを受けることができません。 一方で、二〇二二年一月から六十五歳以上に限定して試行中のマルチジョブホルダー制度という仕組みがあります。この制度は、二つの雇用の労働時間を合算して二十時間以上となる場合、雇用保険に加入することができるものです。労働政策審議会において、労働側委員は、この制度の検証と対象の拡大に向けた検討を行うべきことを述べてきました。しかし、その時点ではマルチジョブホルダー制度の利用者が累計二百十九人にとどまり、データが少ないため、引き続き施行後五年の二〇二七年をめどに検証することとなりました。この点、衆議院においては、早期に検証すべきという質疑に対して、施行後五年を目途に検証するとの御答弁でした。 政府におかれては、マルチジョブホルダー制度の利用者を増やすよう周知、広報に努めながら、施行後五年を待たずに早期にデータの収集や施行結果の検証を行っていただくことを要望します。その結果も踏まえ、兼業先を雇用保険の対象とすることを含めて、複数就労時の雇用保険の加入や失業の定義の在り方を労働政策審議会において議論いただくことが必要と考えます。 続いて、二点目です。 適用対象の拡大によって新たに被保険者となる週所定労働時間が十時間以上の短時間就労者について、労働政策研究・研修機構による調査では、雇用保険に加入したくないと回答している者も一定割合います。このような方も理解、納得して加入できることが重要です。 この点について、衆議院の審議では、加入のメリットを周知していくとのお答えがありました。実際にどの程度の負担増になるのか、モデルケースなどをお示しいただき、基本手当など失業時の給付だけでなく教育訓練給付や育児休業給付が受けられること、また、雇用調整助成金の対象となることで雇用維持につながることなど、加入のメリットを具体的に伝えることが労働者の納得感につながるのではないかと考えます。 このように適用拡大前の丁寧な周知を行った上で、適用拡大後に、実際に雇用保険加入を避けるための就労調整や就業形態の変更などの働き方の変化が生じていないか調査を行うことが重要と考えます。 三点目は、雇用保険の強制加入の対象から除外されている暫定任意適用事業についてです。 現在、農林水産業のうち、個人事業であり常時五人未満を雇用する事業については暫定任意適用事業とされ、雇用保険への加入は事業主の任意となっています。農林水産業は季節や天候などに左右されやすいからという理由もあると思いますが、近年、デジタル化や六次産業化が促進されており、農林水産業の働き方も変わってきています。また、農林水産業に興味を持ち、就職することを希望する若者に対して、雇用保険や労災保険の加入も含め、適切な就労環境を整備することは重要です。雇用者数で区別することの妥当性という観点からも、暫定任意適用事業を撤廃し、雇用保険適用に向けた検討が必要だと考えます。 以上、適用拡大に関連して申し上げました。 次に、教育訓練給付の拡充及び教育訓練休暇給付金の創設について述べます。 厚生労働省の能力開発基本調査などによると、自己啓発を行った者の割合は正規雇用の方に比べて非正規雇用で働く方の方が低いことや、企業によるオフJTの実施、教育訓練休暇制度の導入や利用が進んでいないという現状があります。 このような状況において、今回の雇用保険法改正などによる労働者個人への直接支援の拡充は、働く人自身による教育訓練やリスキリングの実施に一定の効果はあると考えます。しかし、雇用形態にかかわらず教育訓練のための時間を確保する意識を社会全体として醸成していくためには、まずは労働者を雇用している企業が非正規雇用の方を含む全ての労働者を対象に教育訓練の実施を推進していくことが重要であり、そのための支援が引き続き必要と考えます。 特に、中小企業などにおいては、リスキリングにより労働者の知識、技能が向上するとせっかく育成した人材が流出してしまうことを懸念しリスキリングに消極的になっているという声も聞きますが、むしろ人材育成に力を入れ、従業員一人一人に成長の機会を提供する姿勢を中小企業の魅力としてアピールすることも重要ではないかと考えます。 このような前提の下、雇用保険における教育訓練給付を効果的なものとするためには、法案で示された専門実践教育訓練の追加給付の要件である訓練受講後の賃金上昇がベースアップや定期昇給などによるものではなく訓練受講の結果であることを確認する方法の検討や、教育訓練の指定講座ごとの効果検証に基づく検討が引き続き必要と考えます。 また、教育訓練給付の指定講座は、地域や類型、科目により講座数の偏りがあります。例えば、専門実践教育訓練において、東京都では五百五十一講座あるのに対し、山梨県や鳥取県では六講座しかありません。同様に、専門実践教育訓練の類型や講座の科目においても偏りがあります。なぜこのような偏りが生じてしまうのかきちんと実態把握をした上で、講座ごとの効果検証と検証に基づく指定講座や基準の見直しの検討が必要だと考えます。 続いて、雇用保険の財源、国庫負担について述べます。 まず、基本的には、雇用保険の財源の在り方については、労使により保険料を拠出していることから、国庫負担と労使の保険料率との適切なバランスを当事者である労使が入る労働政策審議会で十分に議論し決定することが重要であると考えます。その際、雇用の維持、安定という雇用保険制度の趣旨を踏まえ、適正な収入と支出についても十分な検討が必要です。 こうした認識の下、三点申し上げます。 まず、今回の法案の介護休業給付に係る国庫負担を引き下げる暫定措置の二年間の延長についてです。 衆議院における審議では、令和九年度以降、安定財源を確保した上でできるだけ速やかに廃止するとのお答えがありました。国として仕事と介護の両立支援を推進しており、実際に受給者数や支給額が増加していることなど、介護休業給付の重要性が増していることを踏まえれば、介護休業制度全体の内容も含めた議論を行い、安定財源の確保や、二年後を待つことなく、暫定措置の廃止に向け労働政策審議会において検討を進めていただきたいと考えます。 二点目は、雇用保険の目的を超えるような施策の財源の在り方についてです。 雇用保険の主たる目的は、労働者の生活及び雇用の安定を図ることです。人への投資やリスキリング強化支援を目的とした教育訓練給付の拡充の施策については、本来の雇用保険の目的を超える国の政策としての側面も強く、雇用保険財源以外の一般財源や関係する省庁の予算での実施も引き続き検討する必要があると考えます。 三点目は、国庫からの機動的な繰入れ規定についてです。 既に雇用保険法六十七条の二で国庫からの繰入れ規定が設けられており、受給者の急激な増加など、また雇用保険財政の急激な悪化が認められる場合に繰入れが可能となります。しかし、その判断のためには決算を待つ必要があり、繰入れまでの迅速さに欠けてしまいます。 そのため、社会経済の急激な変化が雇用に悪影響を及ぼす局面において、国を挙げた支援として雇用保険を活用する際には、財政状況の把握などを待たずに、労働政策審議会による判断の下、迅速に国庫から繰入れができる仕組みの導入の検討が必要と考えます。 最後に、育児休業給付の保険料率の見直しについてです。 今回、労働政策審議会における法改正の議論の終盤に、育児休業給付の国庫負担を一年前倒しで本則に戻すことと併せて、保険料率の引上げと弾力的な引下げ措置の導入に関する案が示されました。 先ほど申し上げたとおり、国庫負担や保険料率については、本来、労働政策審議会において十分な議論が必要であり、そのことは二年前の失業等給付の国庫負担の見直しの議論の際にも労働側委員が主張してきたところです。 この点については、労働政策審議会の雇用保険部会の報告書においても、弾力的な調整を検討する際には保険料率が労使に影響を与えることも認識し、財政状況のみならず、育児休業給付の現状や見通しに基づいた丁寧な議論を行うべきであると記載がなされました。このことを厚生労働省としては重く受け止めていただき、今後の審議会の運営や議論において真摯に対応いただくことが極めて重要と考えます。 今後の育児休業給付の財政運営について、厚生労働省の試算によると、令和八年度に単年度赤字となり、それを受けて令和十年度から保険料率を引き上げる必要があると試算されています。実際に引上げが必要となるまでの間、育児休業給付の現状や見通しに加え、雇用保険制度における育児休業給付の在り方についても、労働政策審議会において丁寧な議論をいただくことが重要と考えます。 以上で私の意見陳述を終わります。御清聴いただき、ありがとうございました。
○委員長(比嘉奈津美君) ありがとうございました。 次に、新田参考人にお願いいたします。新田参考人。
○参考人(新田秀司君) 経団連労働政策本部の新田と申します。本日はこのような機会をいただきまして、誠にありがとうございます。 今回の改正法案につきましては、非常に多岐にわたる内容というふうに承知をしておりますので、私からは大きく四点に絞って、特にこの改正法案の審議に携わった使用者側の委員として賛成の立場で発言をさせていただければと思います。加えて、最後に、雇用保険財政の状況に関しましてもコメントさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 それでは、まず一点目として、教育訓練やあるいはリスキリング支援の充実について申し上げます。 御案内のとおり、政府では、三位一体の労働市場改革の柱の一つとしてリスキリングによる能力向上支援の推進を掲げ、その一環として在職者個人の学び直しに対する直接支援の拡充を打ち出しておられます。 そうした中、多くの企業では、イノベーション創出を担う人材の確保と育成、社員のエンゲージメント向上に資する人への投資を推進する観点から、リスキリングを含むリカレント教育などの学び及び学び直しに力を入れております。 今回の改正法案につきましては、こうした実態も踏まえながら、政府として制度面からしっかりと支えていく姿勢を明確に示されたものというふうに受け止めております。 具体的には、デジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーションのこういった推進に伴って我が国の産業構造が大きく変化している中で、高い賃金が獲得できる分野、あるいは雇用され得る能力であるエンプロイアビリティーの向上が期待される分野に対して、働き手個人の主体的なリスキリングを更に支援すべく、専門実践と特定一般の教育訓練給付の給付率を引き上げることにしたというふうに理解をしているところでございます。 教育訓練給付の充実は、在職者の主体的な能力開発やスキルアップ、これを直接的に支援する給付として、失業の予防や雇用保険被保険者の生活の安定だけではなくて、離職者の再就職支援にもつながる大事な施策というふうに考えております。更に申せば、経団連が主張しております労働移動推進型の雇用のセーフティーネットへの移行にも資するものというふうに受け止めております。 加えて、今回の改正法案に盛り込まれております長期にわたる教育訓練期間中の生活を支えるための新たな給付、教育訓練休暇給付と融資制度の創設、これはいずれも、経済的な理由によって教育訓練の受講をちゅうちょしている、あるいはためらっている働き手の背中を押し、後押しし、安心して教育訓練に取り組めるようにするための新たな仕組みであるというふうに承知をしております。 特に、教育訓練期間中の生活を支えるためのこの新たな教育訓練休暇給付に関しましては、雇用保険制度上の教育訓練給付の一つとして明確に位置付けた上で一般財源を投入することによって、政府として人への投資、これにしっかりと取り組んでいくという姿勢を明確に示されたものと高く評価をしているところでございます。 この新たな給付制度の創設は、来年、令和七年十月からの予定であるというふうに承知をしております。改正法案成立後は、この教育訓練に関する休暇制度の好事例の収集と周知をしっかり行うなど、この新しい制度が有効に活用されていくことが非常に重要と考えております。経団連といたしましても周知等にしっかりと努めてまいりたいと、さように考えているところでございます。 次に、二点目といたしまして、基本手当の給付制限期間の見直しについて申し上げます。 御承知のように、現状は、基本手当の受給に当たって、自己都合離職者に対しては二か月間の給付制限が設けられております。これは、安易な離職を防止する観点から有効と考えられる一方で、転職などの労働移動を阻害している可能性が指摘されているということも承知をしております。 そこで、今回の改正法案においては、給付制限期間を原則一か月に短縮した上で、離職期間中や離職日前一年以内に教育訓練給付の対象講座でありますとか公共職業訓練などを自ら受講した場合には給付制限が解除される仕組みが設けられているというふうに承知をしております。 これは、まさに円滑な労働移動の推進を通じた日本全体の生産性の向上、これに資する、寄与する面があるほか、先ほども申し上げた、経団連が主張しております労働移動推進型の雇用のセーフティーネットへの移行にも資するものというふうに考えているところでございます。 次に、三点目といたしまして、雇用保険の適用拡大について申し上げたいと思います。 働き手の就労ニーズの変化に伴いまして、働き方ですとか雇用形態も非常に多様化してきております。こうした中で、働き方に中立的な制度、これの構築を視野に置きながら雇用のセーフティーネットを拡充するという今回の改正法案の意義は非常に大きく、現時点で雇用保険が適用されていない短時間労働者の方々が安心して働くことのできる環境整備にも資するものというふうに評価をしているところでございます。 他方で、今回の適用拡大によって新たに約五百万人の雇用保険の適用対象者が増えるというふうな試算がなされている、その影響は極めて大きいというふうに考えているところでございます。したがいまして、今回の適用拡大に当たっては、その十分な周知と併せて、企業やハローワーク等における準備期間をしっかりと確保して、現場において混乱を招かないようにする必要性が非常に高いと、こうしたことから令和十年十月の施行になっているというふうに承知をしているところでございます。 政府、厚生労働省におきましては、施行までの間、適用拡大の意義ですとかメリット等について、全国のハローワーク等を通じてしっかりと周知活動を展開していただくとともに、申請手続の簡素化等も進めていただくようお願いしたいというふうに思っております。加えて、経団連としても、様々な機会を捉えて、会員企業を始め、広く周知を図っていく所存であります。 最後、四点目といたしましては、育児休業給付の財政基盤強化について申し上げたいと思います。 少子化対策の必要性ですとか、あるいは男性の育児休業取得促進という観点から、これまでも育児休業給付に対する数度にわたる拡充が行われて、労働者の育児休業の取得ですとか雇用継続に一定の役割を果たしてきたというふうに受け止めているところでございます。 他方で、育児休業の取得者数はここ十年間で男女共に増加しておりまして、とりわけ、政府あるいは企業の取組などによりまして男性の取得者が大幅に増えてきているというふうに承知をしております。今後、更なる増加が見込まれることから、財政基盤の強化に向けて、今回の改正によって、八十分の一に暫定的に引き下げられている国庫負担割合を、一年前倒しして、今年度から本則であります八分の一に復帰させることは適切な判断であるというふうに考えております。 以上、ここまで、今回の改正法案に関しまして大きく四点申し上げてきましたが、最後に、雇用保険全体の財政状況に関する考え方もお聞きいただければというふうに思います。 御案内のとおり、コロナ禍で大幅に活用された雇用調整助成金を含む雇用保険二事業は、事業主のみで全額負担している保険料と、それを単年度で剰余金を積み立てた雇用安定資金によって賄われております。こうした中、雇調金の二〇二〇年度の当初予算は三十五億円でありましたけれども、コロナ禍によって、それの特例措置等々によって、この三年間ほどで六兆円を超える支出が行われました。こうした結果、失業等給付の積立金からの借入額、要はすなわち借金というふうに申し上げますが、この借金額が二・九兆円にまで膨れ上がっておりまして、とりわけこの雇用保険二事業に関する財政は危機的な状況に置かれているというふうに考えているところでございます。 このように当初の想定を大きく上回った支出あるいは借入れをどのように取り扱うのか、誰が負担するのか。すなわち、多額の累積債務に関する返済の在り方につきましては、二年前の改正法の附則で、令和六年度、つまり今年度までを目途に検討を加えるというふうにされているところでございます。 コロナ禍における雇調金の大幅活用が感染症対策として国や地方自治体の要請によって休業を余儀なくされた結果生じたことに鑑みれば、雇用保険二事業とはいえ、その借入金の全額を事業主だけで負担することはやはり慎重に検討すべきというふうに考えております。雇調金の本来の役割であります急激な景気変動に対する一時的な雇用維持という範疇を大きく超えて今回長期間にわたって行われたこの特例措置とその活用の結果、あるいは、本来は失業給付を受給していたはずの部分までを雇調金でカバーをして、失業給付に係る負担を実質的に軽減したという見方も成り立ち得るのではないかというふうに考えているところでございます。 こうした見方に立ちますれば、雇調金の特例措置が、新型コロナウイルス感染症拡大というまさに未曽有の国難ともいうべき有事に際して失業予防に一定の機能を果たしたことを踏まえて、その費用の全額を事業主のみで負担している雇用保険二事業だけで賄うことが適切なのか、事業主に加え、その従業員も受益者として考えられるのではないかというふうに思っているところでございます。 こうした観点も踏まえながら、返済の在り方を議論し、雇用保険財政の早期健全化に向けた道筋を明確にしていく必要があるというふうに考えております。こうした点につきましても、先生方に御理解を賜れれば幸いに存じます。 私からは以上でございます。ありがとうございました。
○委員長(比嘉奈津美君) ありがとうございました。 次に、房安参考人にお願いいたします。房安参考人。
○参考人(房安強君) 日本弁護士連合会の房安と申します。本日はこのような機会をいただき、誠にありがとうございます。 日弁連は昨年二月に雇用保険の抜本的拡充を求める意見書を採択しました。本日は、この日弁連意見書の視点から意見を述べます。 まず、基本的な視座を述べます。 憲法二十七条一項の勤労の権利は、生存権を基本理念とし、労働によって生計を立てる権利です。具体的には、労働者は国に対して労働の機会の提供を要求し、それが不可能なときは相当の生活費を請求する権利であると解釈されています。 失業時の生活保障が不十分ですと、労働者は経済的な必要に迫られ、労働条件の悪い就労先に就職せざるを得なくなり、労働市場における労働条件全般の低下につながります。失業時の生活保障は、労働者が自身の能力、経験に見合ったやりがいのある仕事、ディーセントワークに就く機会を拡大させ、憲法二十二条一項の職業選択の自由を実効化するものです。 そして、これら勤労の権利や職業選択の自由の根本には、自らの生き方や人格を自らの価値観の下に形成していくという個人の尊重や幸福追求権、すなわち憲法の核心的価値が存在します。 失業は、社会経済政策、景気変動や労使のマッチング等によって必然的に生じます。つまり、失業は、社会全体の構造からすると、個人にとっては基本的に不可避です。これが、国の財政や労使負担に基づく社会保険制度、社会的連帯の必要性の根拠となります。 ここでいう労使のマッチングには、今の職場の労働条件や就業環境が悪い、自分の適性に合わないなどの理由で、より良い職場、ディーセントワークを求めて転職することも含むべきと考えます。安易な離職は望ましくないとしても、各人がより良い生活や生き方を求めて離職すること、労働条件や就業環境が悪い企業から逃げるように退職することは尊重されなければなりません。このような離職者への給付を著しく限定する現行制度は、職業選択の自由などの人権尊重や社会構造上の失業の必然性の見地から再検討されるべきと考えます。 さて、日弁連意見書の問題意識の出発点は、失業手当の受給者割合が極めて低いことです。失業手当の受給者割合は、一九八四年まで五〇%を超えていましたが、制度改正の積み重ねにより大きく低下し、二〇二二年度は二二・八%となっています。 改正法案の大きな目玉は、雇用保険の適用対象が週の所定労働時間十から二十時間の労働者に拡大されることです。従前、雇用保険の適用対象外のため失業手当を受給できなかった労働者が受給できるようになれば受給者割合は改善するはずです。パート・アルバイト労働者へのセーフティーネット拡大は、日弁連意見書の見地からも肯定的に評価できます。 しかし、改正法案においても昼間学生の適用除外はそのまま残されています。日弁連意見書では、アルバイト等で生活を維持している学生等が増加しているにもかかわらず学生が適用除外となっていると指摘しています。 学生は学業が本分であり、労働によって生計を立てる労働者たるべきではないというのは原則です。そうであるならば、本来、高等教育無償化や給付型奨学金の抜本的拡充により、学生が授業料や生活費に困らない体制を整えるべきではないでしょうか。労働によって生計を立てている学生が多数存在する実態を前提とすれば、昼間学生のみ雇用保険の適用を除外し続け、仕事先を失って生活に窮しても失業給付を受けられないのは不当な扱いではないでしょうか。この不当性は、労働時間週十時間以上の労働者に適用拡大された後こそ、より顕在化すると考えます。 それでは、この度の適用拡大により、受給者割合は本当に改善するのでしょうか。 ここで参考となるのが、過去の適用拡大の歴史です。一九七五年の雇用保険法の制定以来、非正規雇用の増加を背景に、いわゆる非正規労働者は漸進的に適用対象に包摂されてきました。具体的には、二〇〇九年三月、二〇一〇年四月の改正により、有期雇用労働者の多くは一般被保険者となりました。 被保険者が増えたならば、受給者も増えて受給者割合は改善するはずです。しかし、非正規労働者への適用が拡大しても受給者割合は低いままでした。被保険者となっても、失業時に受給できなければ保険料を取られるだけ損となり、労働者の福祉向上にはつながりません。 受給者割合が低い主な原因は、受給資格要件の厳格性、所定給付日数の短さ、正当な理由のない自己都合退職の場合の二か月間の給付制限の三つだと考えられます。いずれも、特定受給資格者、特定理由離職者は例外的に大きく優遇されています。これらの改善がない限り、適用拡大は労働者の福祉向上にはつながらないと思われます。 改正法案は、給付制限を一か月に短縮する運用改善を予定しており、これにより、受給者割合につき一定の改善効果が望めます。しかし、その他の点では現行制度を維持したままであり、受給者割合の上昇につながるか不安が残ります。 ここで、特定受給資格者、特定理由離職者の区別には以下の問題点があります。 まず、区別の限界の曖昧性です。退職勧奨や故意の排斥、著しい冷遇は、そもそも認定基準や限界が十分に明らかでなく、職場の人間関係が嫌になったという自己都合退職との限界は曖昧です。 次に、多く存在する不本意な退職が正当な理由のない自己都合退職に分類される点です。厚生労働省の調査からも、労働条件や就業環境が悪い、職場環境が悪いことからやむを得ず離職に踏み切る労働者はそれなりの割合を占めています。体調不良や出産、育児、介護等が正当な理由になるのに対し、劣悪な職場から離職するのが正当な理由にならないとの区別に正当性があるのか疑問です。 更に大きいのは、証明、証拠の問題です。退職勧奨や故意の排斥、著しい冷遇を事業者が認めることはまれで、特に労使の主張が対立した場合は、証拠資料がなければ特定受給資格者として認められません。録音等の証拠資料を離職前に用意できる労働者は少数です。 以上の問題点がありますので、特定受給資格者以外の労働者の失業時の生活保障について、モラルハザードの懸念があるといってそこまで著しく低水準とする合理性が十分にあるのか疑問です。 受給資格要件に少し焦点を当てます。 改正法案が適用拡大対象とする労働時間週十から二十時間の労働者は、離職までの雇用期間が短い労働者の割合が多いと見られ、失業時に受給資格を満たさない者が多くなると想定されます。受給に必要な被保険者期間十二か月は失業保険の適用条件である三十一日以上の雇用期間よりもかなり長いですので、離職しても失業手当が支給されない者は必然的に多くなります。日弁連意見書の意見の趣旨一、二〇〇七年改正前と同じく一律に離職日前一年間に被保険者期間が通算して六か月以上あれば受給資格を認めるべきは、改正法案が適用拡大対象とする労働者にこそ特に当てはまります。 所定給付日数に少し焦点を当てます。 データによりますと、失業者のうち失業期間が六か月以上の者は四割余りを占めます。他方で、失業者のうち失業手当の受給者割合は二割余りで、さらに、その三分の二の受給者実人員の所定給付日数は百五十日以下です。実際の失業期間と比較しても、失業手当の所定給付日数は短いと言えます。また、特定受給資格者の事実認定の問題、区別の不合理性、曖昧性の問題はさきに述べたとおりです。 改正法案は、所定給付日数につき現行制度の維持を前提としますが、適用拡大の対象となる労働時間週十から二十時間の労働者は所定給付日数が九十日となる者の割合が多くなると見込まれ、これは、適用拡大にもかかわらず受給者割合が上がらない要因となり得ます。よって、日弁連意見書、意見の趣旨二、基本手当の所定給付日数を大幅に引き上げ基本的に百八十日以上とすべきは、改正法案による適用拡大後にこそより強く当てはまります。 給付制限について述べます。 データによると、自己都合退職による二か月や三か月の給付制限を受けた者は、初回受給者の約三分の二を占めます。二か月の給付制限を課されると、待機の七日間や手続に要する時間を合わせて、離職から約三か月間無収入となります。すると、失業時に三か月間の生活費に相当する貯蓄がなければ、失業手当の受給以前に生活に窮し、労働条件が悪くても直ちに再就職する必要に迫られることになります。貯蓄がない世帯が全世帯の二割から三割を占める中で、失業手当の受給のためには受給開始までの貯蓄が必要という逆説的な状況は不合理です。 この度、自己都合退職による給付制限の一か月への短縮が行政通達の変更により予定されています。これは、給付制限の期間は一か月に短縮すべきとする日弁連意見書、意見の趣旨四が実現するものとして、とても高く評価できます。しかし、通達変更後も、離職から受給開始まで二か月間が必要となります。貯蓄のない世帯の問題、職業選択自由の実効化、特定受給資格者の区別の問題点などからすると、自己都合退職の給付制限期間の更なる縮小や撤廃も今後は検討対象とされるべきと考えます。 兼業・副業労働者について簡単に述べます。 現行の高年齢被保険者の特例では、いずれの就業先も労働時間が週二十時間未満で、二つの就業先を合計して二十時間以上となる場合に適用対象となります。しかし、改正法案では、ここの二十時間が単純に十時間と変更されますので、現行法では十五時間の就業先が二つある場合に特例により合算できたところ、改正後はこの合算ができなくなります。改正法案は合算制度を縮小するものであり、兼業・副業労働者への適用拡大の動きに反します。少なくとも、この点は、複数の就業先の全部ないし一部が労働時間週十時間以上であっても合算制度の対象とするなどの法改正が必要と考えます。 一般被保険者についても、単純に高年齢被保険者の特例と同様の制度を導入するのではなく、複数の就業先の全部ないし一部が労働時間が週十時間以上であっても合算制度の対象とする制度の導入を今後検討いただきたいと考えます。 最後に、国庫負担について簡単に述べます。 求職者給付の国庫負担割合は、以前は四分の一が本則でしたが、二〇二二年改正により、雇用保険財政の悪化時以外は四十分の一とされました。つまり、国庫負担は基本的に財政平常時の給付に充てられる財源ではなくなりました。雇用政策に係る国の責任は、雇用保険の財政平常時においても果たされなければなりません。国庫負担割合を四分の一に戻すべきです。 その視点でこの度の改正法案を見ますと、育児休業給付に係る国庫負担割合を本則の八分の一に戻すことは評価できます。しかし、介護休業給付については八十分の一とする暫定措置を令和八年度まで継続することとなっており、この点、大いに問題があります。厚生労働省は、これに関して、介護休業給付の規模が七十七億円余りにすぎないと述べておりますが、問われているのは、仕事と介護の両立支援に関する国の本気度です。規模が小さいならなおさら、本則の八分の一に戻し、国としての姿勢を示すべきです。 私の意見は以上です。
○委員長(比嘉奈津美君) ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○友納理緒君 自由民主党の友納理緒でございます。 この度は、参考人の皆様へ質問させていただく機会をいただきまして、ありがとうございます。 四人の参考人の皆様、水島先生、村上先生、新田先生、房安先生には、大変貴重な御意見をいただきました。誠にありがとうございます。雇用保険法の目的が労働者の生活及び雇用の安定を図ることになりますので、本改正が全ての労働者にとってこの目的に資するものになればよいというふうに考えております。 そこで、まず、水島郁子参考人にお伺いをいたします。 今回の法律案の改正点の大きな柱の一つが、参考人が最後に挙げていただきました育児休業給付に係る安定的な財政基盤の確保だと思います。 育児休業給付に係る最近の状況を見ますと、新田参考人が詳しくお話しくださいましたけれども、育休を取得する方々等の増加もあり、育児休業給付の支給額が増加をし続けています。男性育児休業率に係る政府目標も大幅に引き上げられておりますので、これから恐らく男性育休取られる方も増えていって、そういった面でも支給額というのが増えていくことが想定されます。そうしますと、育児休業を支える財政基盤の強化が必須になってくるというふうに言われております。 現在、この育児休業給付は労使折半の保険料と国庫負担により運営をされていますけれども、この雇用保険を財源としている点には批判も多々上げられているところでして、水島参考人も、以前様々なところで御発言をされている内容を拝聴いたしますと、再三この点については御指摘をいただいているかと思います。 確かに、雇用保険法一条の目的規定を見ますと、先ほど申し上げましたけど、労働者の生活及び雇用の安定を図るとありますので、現在の育児休業給付が従来の雇用を継続するためのものであったことから、休業中の所得保障ですね、ひいては、最近はもう少子化の対策というところまで視野が広がっているところを考えていきますと、雇用保険法の枠を超えて考える必要があるという御指摘はそのとおりなのかなと考えるところでございます。 今回の改正でも雇用保険の適用拡大が図られていて、雇用保険料の負担をしていただく有期雇用労働者、非正規労働者が増えてきているにもかかわらず、育児休業給付の受給が正規労働者に偏っているということもこの制度の限界かもしれませんし、あとは、いろんなところで指摘がされていますけれども、雇用保険非加入の非正規労働者やフリーランスの皆さんにとっても育児休業というのはしっかりと保障されていかなければいけないということがありますので、もう少し広い視野を持ってこの制度を考えていかなければいけないというふうに思っています。 そこで、改めてなんですけれども、先ほど御意見をいただいたところで、今回のその改正の範疇の中では、本則に戻ったことについては賛成の立場という御意見をいただきましたけれども、改めて、今回の改正についての先生の評価と御意見、そして今後の在り方についてもう少し御見解をいただけますと幸いでございます。よろしくお願いいたします。
○参考人(水島郁子君) 御質問、コメントいただきましてありがとうございました。 今回、雇用保険法等の一部を改正する法律案の方ということで意見を述べさせていただきまして、別の法律で雇用保険の改正というところもあるところでございます。 先ほど議員から御意見ございましたように、育児休業給付は元々雇用継続給付であって、雇用の継続が困難となる状態を失業に準じた職業生活上の事故と捉え、そして保険事故としていました。したがいまして、雇用保険の目的に合致するものであったものと私も考えております。 しかしながら、今では少子化対策の目的も含んだものになっていますし、また、女性に関しましては、育児をするのか雇用継続、働き続けるのかというのが選択肢なのに対しまして、男性労働者に関しては働くのか育児休業するのかという選択であって、これはもうまさに視点が異なるものと言えます。 今回、この法律のちょっと外になってしまいますけれども、出生後休業支援給付制度、また育児時短就業給付制度など設けられまして非常に有意義であるということはそのとおりなんですけれども、これらを雇用保険の保険給付として行うことについては、私自身はやや疑問を感じるところでございます。ただ、この点に関しましては、財源のところは、雇用保険の保険料を財源とするものではなく、子育て支援納付金を充てていただいているということで説明は付くように思っております。 ただ、それによりまして、雇用継続に係るものを雇用保険の枠内で、雇用保険の財源でというところがもう必ずしも貫徹しない結果となっているようにも思っております。といいますのは、私自身は、育児時短就業給付制度、これにつきましては雇用継続の役割が期待できると考えております。 といいますのは、現在、育児休業後に職場復帰をした労働者が、フルタイムの仕事と育児の両立に悩み、やっぱり離職の選択を迫られる。働きたいし、働けるんだけれども、フルタイムで残業もあるかもしれないというところは難しい。で、短時間労働を選びやすくするという点、これはまさに雇用継続の役割が期待できると思っておりまして、これは私自身は雇用保険の目的に合致すると思っているんですけれども、その辺りが、何を財源とするのかというところが政策判断でなされているというところにつきましては、法学的な見地からはやや整理が難しいところでございます。 最後に、将来像でございますけれども、育児休業が定着し、育児休業給付ができた頃、こうした経済的支援がなければ育児休業が取れないという状況には今やもうないというふうに考えております。個人的な見解となりますけれども、もう少子化対策としての共働き、共育てが推進される中、育児休業給付についての雇用保険の役割は終わりつつあるのではないかと考えております。すぐに改正できるものではないということは十分承知しておりますけれども、将来的にはそのような新たな給付、支援の在り方、育児支援の在り方というものが必要ではないかと考えております。 以上でございます。
○友納理緒君 ありがとうございます。 今後、幅広い視野でこの問題は捉えていく必要があると考えておりますので、御回答いただき、参考にさせていただきます。 次に、新田参考人にお伺いをいたします。 今回の改正案のもう一つ大きな柱の中に、教育訓練中の生活を支えるための給付の創設というものがあります。これ、すごく近視眼的な発想になっているということは理解はしているんですが、これは企業に特別休暇等をつくっていただくことを前提としているかと思います。そうしますと、やはり企業の皆様の理解というものが、参考人の皆様のお話からも出てきたかと思いますけど、必要になってくると思います。 在職中の能力開発やスキルアップはとてもすばらしいですけれども、先ほど村上参考人のお話にありましたかね、それにより転職してしまう不安というものが出たりとか、あるのではないかというところですね。総じて見れば労働移動を促しますので、日本経済にとってはプラスになりますから、そのリスクはみんなで負担し合うという考えもあるのかなとは思いますけれども、ただ、一企業の立場にとっては、転職のためにリスキリングをしているのではないかという、ある程度ジレンマもあったり、例えばもうメニューの中で、明らかにその企業ではまるで使わないようなものを、それをするかどうか現実的には分かりませんけれども、何かリスキリングをしているような状況があるということも、もしかしたらあるかもしれません。 その辺りの企業のジレンマについてどのようにお考えになるかということと、企業に特別休暇などをつくっていただくインセンティブですね、そして、この改正が適切に機能するためにはどういった方法があるかという辺りのお考えをお聞かせいただければと思います。
○参考人(新田秀司君) 御質問いただき、ありがとうございます。 まさに、今先生おっしゃったジレンマというのは、非常に企業側としても感じているところでありまして、特に今、経団連では、構造的な賃金引上げと併せて、リスキリングあるいはリカレント教育等を通じた人への投資ということも非常に重視して呼びかけているところでございます。 そうした中で、地方の中小企業の方々を中心に、そういったお話を一月、今年の一月から二月にかけて、全国約五十か所、呼びかけてまいりました。そうした中でも、やはり一部の企業の方からは、特にこの教育訓練あるいは人材育成をすることによって転職をかえって促してしまうんじゃないかというような懸念を示される方もいらっしゃいました。 ただ一方で、私ども経団連もそういうふうに申し上げておりますが、むしろそういう人への投資をしっかり行っていくということがその働き手あるいは社員のエンゲージメントを高めることにつながる、それは自社で働くことを選択してくれるこのまさにインセンティブになるというふうなことで、積極的に呼びかけていこう、やっていこうよというのを呼びかけておるところでございます。 そういったことで、引き続き、構造的賃金引上げと併せて、こういった人への投資という観点から人材育成策の支援策というこの拡充も引き続き呼びかけてまいりたいというふうに思っているところでございます。 こうした観点で、現在、大企業を中心に、特に今回のこの新たな教育訓練休暇制度のまさに前提となりますのが各企業における支援制度、特に休暇、休職制度が前提になりますので、これをしっかり呼びかけていくということも非常に大事だと思っています。 経団連が昨年行った調査からの引用になりますけれども、そのリカレント教育等の推進に向けた支援制度として、例えば企業版のサバティカル休暇、大学でサバティカル休暇というのはありますけれども、その企業版というのもだんだん最近導入が進んでおりまして、そういった休暇、休職制度の整備に取り組んでいる企業、複数回答でありますが、三割を超えている状況になってきています。 こうした好事例をしっかりと収集することと、それを周知して横展開をしっかりと図りながら今回の新しい給付、この創設ということもしっかりと周知していくことが非常に重要というふうに考えております。この点、経団連としても引き続きしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。 私からは以上です。
○委員長(比嘉奈津美君) 時間が過ぎておりますので。
○友納理緒君 ありがとうございます。質問を終わらせていただきます。
○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。 本日は、参考人の皆様、有益な御示唆をいただきまして、誠にありがとうございます。 時間も限られておりますので早速質問させていただきますが、今回、教育訓練が充実するということですけれども、私としては、なかなか従前、教育訓練の機会が得られなかった非正規の方あるいは女性などがしっかり手当てがされるべきだと思うんですが、実際、余りなかなかそうした恵まれない方々の方が活用できていないという状況にあるんじゃないかと思うんですね。こうした視点がないままに教育訓練の実施が進むということになると、むしろ様々格差を拡大してしまうんじゃないかということを私ちょっと懸念しておりまして、その観点を踏まえて、この教育訓練の実施というものがどのように進められたらよいかということについて、村上参考人、御示唆をお願いします。
○参考人(村上陽子君) 御質問いただき、ありがとうございます。 先ほども少し述べさせていただきましたけれども、やはり教育訓練につきましては、先ほど先生御指摘のとおり、非正規雇用の方の方がやはり訓練をされていない方が多いということは事実としてあると思います。また、現場の労働者の方からは、教育訓練の制度はあっても、職場の理解が得られないとか、なかなかそこに割く時間がないといったようなことも、声も聞こえてくるところです。 そういったことではなくて、社会全体でやはりそのリスキリング、教育訓練進めていくんだということであれば、労働者を雇用している企業の皆さんから、非正規雇用の方も含めて、そういう方こそ率先、優先的に、全ての人たち、労働者を対象に教育訓練を実施するということをしていくことが重要だと考えております。 そのために、企業だけでは難しいということもあろうかと思いますので、そういう企業に対する支援というものも充実させていくことが必要ではないかと考えております。
○打越さく良君 同じ質問で、水島参考人もどのようにお考えでしょうか。
○参考人(水島郁子君) ありがとうございます。 まず、今回の被保険者拡大によりまして機会が増えることを期待いたします。 それから、私、先ほど申し上げましたように、社会保険というのはセーフティーネットの機能がありまして、教育訓練給付につきましてもそのセーフティーネットの機能に資するような形で運用することが望ましいというふうに考えておりますので、先生おっしゃっていただきましたように、まさに非正規の方、安定した雇用が得られるようにするための教育訓練というものがますます重要であるというふうに考えております。 以上です。
○打越さく良君 ありがとうございます。そのようになるようにしっかり見守っていかなければいけないというふうに思います。 それで、今回、様々改善があるんですけれども、基本手当の給付水準とあと国庫負担については現状維持ということで、この点、村上参考人、御意見お願いします。
○参考人(村上陽子君) ありがとうございます。 基本手当の水準については、二〇〇〇年とまた二〇〇三年の改正によりまして賃金日額、給付率、所定給付日数がいずれも引き下げられているという経緯がございます。雇用保険の本来の趣旨であるセーフティーネットの充実という観点からすれば、法定賃金日額、給付率、所定給付日数を二〇〇〇年改正前の水準に回復していただきたいというのが私たちの基本的な考え方でございます。 また、その基本手当の話と同時に、雇用保険の改正の、前回の改正によりまして、基本手当の国庫負担割合の見直しとともに国庫繰入れ制度の導入も講じられておりますが、私どもとしては、やはりその雇用保険制度の国庫負担の水準というのはやっぱり四分の一に戻していただきたいということを基本的には考えているところでございます。 以上です。
○打越さく良君 房安参考人に伺いたいんですけれども、改正法案で雇用保険の適用が拡大されるわけなんですけれども、結局、事業主が加入手続を怠ってしまうと、放置してしまうという場合ですと、もう適用拡大しても結局意味がないということになってしまいますけれども、こうした問題について、房安参考人、御意見お願いします。
○参考人(房安強君) 日弁連意見書に触れられていない事項なので、私個人の意見を述べます。 現在も、雇用保険の被保険者たるべき労働者の一部、特にパート・アルバイト労働者の一部が事業主の懈怠により加入していない事例はそれなりにあると思います。これは、どの程度の規模なのかは不明です。ただ、事業主による加入手続懈怠が認定された裁判例は、判例検索によると八件程度は確認できます。 そして、事業主の加入手続懈怠に対する罰則が存在しますが、六月以上の懲役又は三十万円以下の罰金ですが、ハローワーク職員は司法警察職員ではないため、罰則についての捜査権はありません。別途、警察、検察の捜査が必要です。実際に検挙される事例はほとんどないのではないかと思います。適用拡大により事業主の加入手続の懈怠が増加する可能性は高いですので、罰則を積極的に適用していく方策も必要かと思います。 また、労働者が自ら請求する被保険者資格取得の確認請求の制度についてもっと周知するとともに、相談体制を拡充する必要があると思います。加入懈怠の多くは、労働者から相談を受けたハローワーク職員が事業主に加入手続を取るよう促せば解決すると思いますが、悪質な事例に対応するための体制というのは必要かと思っております。 以上です。
○打越さく良君 その事業主が加入手続を怠っているというときに、ハローワークが促して事業主に事後的に届出をさせるとか、あるいは労働者が確認請求をするとか、ハローワークが被保険者資格の取得を遡って確認するということになるんですけれども、この確認制度、これについて房安参考人の方で御意見をお願いします。
○参考人(房安強君) これも私個人の私見です。 被保険者資格が確認されても、資格が遡及できるのは原則として確認日前の二年間のみです。二年を超える遡及には、給与から雇用保険料が控除されていたことの証明が必要です。しかし、これは、事業主が法令上の統計義務を懈怠したことによる不利益を何ら義務違反のない労働者に帰着させると、それから、事業主の法令違反によって強制保険の例外を認めるということになりますので、強い批判があります。 資格取得の遡及を原則二年間に限ったのは、雇用保険料は徴収できる時効が二年間であり、保険料不納付の期間を算定基礎期間に含めた保険給付は不適当であるからだと説明されております。しかし、保険料不納付であっても労災保険では給付は実施されます。まあ給付後に事業主から一定の費用徴収はされるところですが、雇用保険でも同様に扱われるべきです。 改正法案による適用拡大後には、事業主が長期間にわたって加入手続を怠り、労働者側も制度を知らずにこれを放置する事例が増加すると想定されますので、被保険者資格取得の遡及を二年間に限定しないように法改正する必要性があると思います。 以上です。
○打越さく良君 認定に当たってもいろいろと課題があると思うんですね。 何かパワハラだったとか退職勧奨があったとか、そういうことが認定されるかどうかで特定受給資格者になるかどうか、その争いがあるわけですけれども、適切な認定がなされるためには、証拠がどう扱われるかとか、その証明どうなされるべきかとか、そういうこと以外にどのような問題点を房安参考人の方でお考えでしょうか。
○参考人(房安強君) これも私個人の意見です。 労使双方の言い分を聞き、場合によっては同じ職場の従業員から聞き取りや録音記録の確認をするなど、事実認定をするのは多大な労力が掛かります。ハローワークはこれに対応する人員体制やノウハウに乏しいように思います。 労働弁護団の報告事例では、パワハラの証拠として録音記録があるのに、加えて同じ職場の従業員少なくとも二名の証言がなければパワハラとして認定できないとして、ハローワークが特定受給資格者の認定をしなかった事例があります。結局、弁護士が関与して審査請求をして、従業員二名の証言なしでパワハラの認定がされたということです。 なお、ハローワークの調査では二名の証言が要求されるというのは複数の報告が上がっておりますが、在職中の労働者が退職した労働者の離職理由の証明に協力するというのは立場的に困難ですし、一律にこれを求める合理性もありません。 ハローワークの人員体制も、職員三万人のうち二万人が非正規公務員でして、職員の知識と経験を高めていくのに支障となると思います。まず、ハローワーク職員自体が安定した雇用に支えられる必要があります。 なお、弁護士側もこの分野に関する関心や知識、経験を高めて、積極的に審査請求や行政訴訟の提起をしていく体制を整える必要があります。日弁連が、インターネットで閲覧できる会員向けの研修ビデオを用意したところです。また、審査請求を法テラスの法律援助の対象として拡大するような必要もあるかと思っております。 以上です。
○打越さく良君 新田参考人もありがとうございました。質問できなくて申し訳ございません。 終わります。
○杉久武君 公明党の杉久武でございます。 本日は、水島参考人、村上参考人、また新田参考人、房安参考人、四名の参考人の皆様、大変貴重な御意見をいただきまして、大変にありがとうございます。 まず、私の方から、四名の参考人皆様にお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。 働き方が多様化し、そして世帯の家計の生計維持者が多様化する中で、今回の改正のやはり大きなところは被保険者の適用拡大だというふうに思っております。今回、週の所定労働時間が二十時間以上だったところが十時間以上になり、想定で五百万人の被保険者が増えると、そういう想定をされておりまして、これ、私はもう大変高く評価をしているところでございますけれども、ただ、今のこのやっぱり時代が変わっていく中で、今回の法改正は一つの大きなステップといたしまして、それ以上に、それを踏まえて更にやっぱり深掘りしていかなきゃいけない、対象とかでこれからちゃんと更に適用の網を広げていかなきゃいけなくなる、そういった部分について、一部冒頭の意見陳述の中でも様々御教示いただきましたが、改めて四名の参考人から、それぞれのお立場で、やはりこういった部分については更なる深掘りが必要ではないかという観点でお話をいただければというふうに思います。 じゃ、水島参考人から順番でお願いいたします。
○参考人(水島郁子君) ありがとうございます。 まず、私は、雇用保険はもう労働者であれば全員適用すべきではないかという考え方を持っておりまして、週十時間と言わず、更に下限を引き下げるということを考えておりまして、そのような発言もしたことがございます。 ただ、冷静に考えますと、確かに、週十時間未満の者と週十時間以上の者で失業というリスクは変わらないようにも思われるんですけれども、週一、二時間の労働に雇用保険により雇用のセーフティーネットを及ぼす必要性は余りに小さいですし、現在の失業認定の考え方によりますと、例えば週三十八時間と週二時間の兼業をしている者が前者の職を失っても後者の被保険者となって失業に当たらない、このようになっては全く妥当であるとは言えませんので、この十時間、週十時間という基準は合理的な下限であるのではないかと考えております。 もう一点、フリーランスに関する御質問と承知いたしましたが、フリーランスへの雇用保険の適用拡大という問題提起、働き方の変化に伴う新しい課題としていろいろ議論がなされているところでございます。 ただ、この課題というのは必ずしも私自身新しいものではないと思っておりまして、一九五〇年代の文献などでも、失業が雇用労働者のみならず未就業者や自営業者においても問題になっているというような、こうした指摘というのもございます。また、その後も、一九八〇年代の文献でも、従属的な自営業者は失業保険の強制的対象とすべきだといった提案等もございます。まず、決して新しい話ではないという整理が必要だというふうに思います。 そして、この当時の一九五〇年代、一九八〇年代の文献というのは、生活保護制度はあったものの、ただ実際、勤労者は生活保護を恐らく受給することができず、雇用保険と生活保護の間の何かセーフティーネットが必要だという、そういう理解だと私は考えております。 現在は、第二のセーフティーネットとして求職者支援制度、生活困窮者自立支援制度が整備されていますので、そうした制度の利用というのも考えることができると考えております。 以上でございます。
○参考人(村上陽子君) ありがとうございます。 先ほどまず一点述べたところですけれども、複数就労の際の適用の在り方については課題として残っているかと思います。また、これも先ほど述べましたけれども、暫定任意適用事業の五人未満の農林水産業の部分の適用のところが残っているかと思います。もう一点は、水島先生と近いところですけれども、フリーランスや曖昧な雇用といって、その労働者性がかなり高いにもかかわらず労働者として扱われていないという方がこういった保険制度の適用対象となっていないというところがありますので、その労働者性の判断基準自体を社会の実態に合わせて見直していくということも必要かと思っております。 以上です。
○参考人(新田秀司君) 御質問ありがとうございます。 これは雇用保険制度に限ったことではないと思いますが、私が考えるに、やはり働き方ですとか、あるいは職業選択にとって中立的な制度をつくっていく必要があるというふうに考えています。 そうした観点から、今回の雇用保険法の改正法案につきましては、まず、十時間以上のところまで適用拡大していくということは一つ前進化だというふうに思っているところでございます。 ただ一方で、やっぱり雇用保険、保険制度でありますので、やはり受益者と負担者という観点も当然必要になってくるということで、そもそも雇用保険制度としてどこまで取り扱っていくのかということも踏まえて、しっかりと今後考えていく必要があると思っています。 したがって、今回の改正後に、十時間に適用拡大したことの影響とかそういった検証をしっかりした上で、今後の課題を設定した上でしっかりと検討していくべきだというふうに思っております。 私からは以上です。
○参考人(房安強君) 先ほど意見陳述で述べた学生適用除外の問題とか、あと、マルチジョブホルダーの問題以外に、やはり一番大きな問題はフリーランスの加入の問題だと思います。 現時点で、フリーランスの加入については、労働者性のある者の基準の問題もありますし、あと、自分がこれ加入できてもいいんじゃないかというときに、確認請求をしたいと、ここの制度が周知が不十分じゃないかとか、その相談体制の整備の問題等はあるかと思います。 さらに、これは本当に難しい将来の検討課題とはなりますが、韓国の事例、韓国ですね、の事例では、特別加入の拡大とか、あと、強制加入の制度までフリーランスの一部につくっていたりします。これはもう雇用保険部会の資料になっているかと思いますが、これも技術的に可能ならば制度導入も検討を今後していくべきなのかなと考えております。 以上です。
○杉久武君 四名の参考人の皆様、ありがとうございました。 最後に、水島参考人にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。 先ほど述べていただいた中で、求職者支援制度、第二のセーフティーネットとしての求職者支援制度、今回の雇用保険法の改正の中では、雇用保険の適用拡大の中で、本来であれば雇用保険の被保険者は使えない制度ですけれども、暫定措置として活用できることになりました。この点についての御見解、また今後どうあるべきかも含めて御意見をいただければというふうに思います。
○参考人(水島郁子君) ありがとうございます。 御指摘のとおりで、まさにこの適用拡大によって抜け落ちることがないようにということでございます。 この求職者支援制度でございますけれども、少し御質問からずれてしまうのかもしれませんけれども、被保険者でない者、被保険者でなかった者でも受けられるものでありまして、フリーランスであったり自営業者であったりも利用できる、こうした形でそうした人々について保障ができる仕組みだというふうに考えております。 以上でございます。
○杉久武君 時間になりましたので、以上で終わります。 ありがとうございました。
○梅村聡君 日本維新の会の梅村聡です。 今日は、四人の参考人の皆様、本当にありがとうございました。 早速ですので、質問に入りたいと思いますが、今フリーランスの話題が出ましたので、まず、水島参考人に追加でお伺いをしたいと思うんですけれども、現状、この雇用保険をどんどん拡大していってカバーをしていくというのは、これは今の法律の体系上はもう限界があると思うんですね。これは、雇用保険法第四条に、適用事業に雇用される労働者、この方々が被保険者だともう決めておりますので、ここを変えるとなると相当性格が変わってくるかと思います。 そのフリーランスの方への対応としては、求職者支援制度等々の御紹介がありましたけれども、これ、海外、先進国、他の先進国ですね、雇用保険の制度というのは、これちょっと私も勉強したんですけれども、似たようなものは同じようにあるわけなんですけれども、いわゆる業務委託であるとかフリーランスであるとか、そういった方々は他の先進国ではどのようにフォローされていっておられるのか、これまた知見がもしおありでしたら教えていただきたいと思います。
○参考人(水島郁子君) 大変申し訳ありません。そこまでお話しできる内容はございませんので、申し訳ございません。
○梅村聡君 ありがとうございます。 そうなってくると、日本もどういう形で今既存の制度でカバーしていくのか、あるいは新しいものを考えていくのかということ、これを少し議論していく必要があるんじゃないかなというふうに思っております。 それでは次、新田参考人にお伺いをしたいと思います。 ゴールデンウイーク前もこちらの委員会で法案質疑がありまして、我が党の猪瀬委員からは、今回の適用拡大のいわゆる周知期間ですね、これが適用拡大がなされるのが令和十年の十月一日ということで、今から四年半だと、これはどういうことなのかという、こういう議論が実はこの委員会でありました。 厚労省からは、システム改修であるとかそういったものに今回は非常に時間が掛かるんだという答弁がございました。その中に、労働者、それから事業主にも一定の周知期間が要ると。先ほど新田参考人からもそういう説明がありましたけれども、しかし、何ぼ何でも四年半というのは、これ本当に周知期間として、事業主としてこれが本当に必要な期間なのかどうか、この辺り、少しお伺いをしたいと思います。
○参考人(新田秀司君) 御質問ありがとうございます。 確かに普通に考えると、今令和六年、それをまあ令和十年ということで、かなり間があるなという気もいたすところではありますが、ただ、今回新たに約五百万人が対象になる可能性がある。加えて、そういったことを、特に今回の影響は地方で多く見られる中小企業のところに影響が非常に大きいと思っております。こういった方々が情報を入手する手段、まあいろいろ、今はネットもありますので、以前よりはかなり広がっていると思いますが、こういった制度の中身をしっかりと周知させていくのはかなり時間が掛かるなというのが実感としてはございます。 実際、毎年一月に経団連ではその年のいわゆる春季労使交渉の基本スタンスを定めた報告書の周知を活動で回っていくんですが、そこの中でも法改正の内容も言及するようにしているんですね。ただ、それも何年か前に決まって、それも全部書類で発送しているにもかかわらず、実際、知らなかったとか、あるいはもうちょっと忘れていたというような声も聞かれるといったことで、やはりしっかりと周知期間を十分取っておく必要があるというふうに私も考えているところでございます。 加えて、今、特に政府もそうですし、経団連としても非常に力を入れて取り組んでいるのが、特に中小企業における構造的な賃金引上げという点なんですね。 そこに今回のこういった改正で適用拡大することによって、まあ言い方は悪いですが、人件費という観点からすれば増える可能性は当然あると思うんです。ただ、それは人への投資という観点で十分必要なことだということをしっかりと周知を我々はしていくつもりではありますが、そこの理解をしっかりと得ていくためには一定の時間が必要、加えて、しっかりとまずは賃金引上げ、これをまさにモメンタムを維持していただく、そういった観点での呼びかけを併せてしっかりしていく必要があるというふうに考えております。 したがいまして、十分過ぎるかもしれませんが、しっかりとハローワークあるいは企業の現場で混乱が生じないように十分な周知期間を取る、そのために今回のこの令和十年の十月ということは一定の期間として評価していいのではないかというふうに私は考えているところでございます。 私からは以上です。
○梅村聡君 ありがとうございます。 多分、今のお話の中には二つあって、一つは知るという伝達手段という話と、それから財政的に準備をしないといけないという話、ちょっと二つが多分混ざってお話があったのかなというふうに思いますので、この辺りはまた後日、厚労省の方への質問もまたさせていただきたいと思います。ありがとうございます。 それでは、房安参考人にお伺いをしたいと思います。 今日のお話の中では、そもそも失業給付の水準、それから日数、それから給付制限と、これ本当に十分なセーフティーネットなのかという、そういう問いかけといいますか発表があったかと思いますけれども、一方で、これ、じゃ、そういうものをなぜ求めているのかということについてよく言われるのは、モラルハザードという言葉がよく使われるわけなんですね。 でも、これは実際に本当にモラルハザードなのかどうかよく分からないところがありまして、例えば、失業給付を受けている最後の方で就職をみんなばっとするじゃないかと、だからやっぱりモラルハザードがあるんじゃないかという説明もされますし、逆に、もうここで失業給付が切れるから条件が悪くても求職して就職しないといけないんじゃないかというプレッシャーじゃないかという、そういう考え方もあるわけなんですけれども、房安参考人から見て、そういうモラルハザードというのではなくて、やっぱり給付が貧しいことによってそういう行動が起こっているんだと、そういうことを一つ示唆されるような例えばデータであるとか、そういったものがあれば披露をお願いしたいと思います。
○参考人(房安強君) この点については、今日の参考資料に、七十四ページですかね、日弁連のシンポジウムの模様を伝えている、いわゆる労働旬報ですね、こちらあるんですが、労働法律旬報があるんですが、ここには掲載されていないんですが、これと同じ号に掲載された非正規労働者の権利実現全国会議によるウェブアンケートの集計結果というのがあります。この結果も引用しながらこのシンポジウム、パネルディスカッション進めていったところなんですが、このウェブアンケートによりますと、回答総数はそれほど多くはないんですが、やはり、給付の水準が少ない、だからその間に、例えば家賃を滞納したりとかそういう事例もあるというふうに、家賃滞納したり、税金払えないとか光熱費を払えないとか、そういう事例があるというのは報告されております。 ですので、大規模なアンケート調査というのは実施できていないのでその全体の状況は分かりませんが、少なくとも一部にそういうものがあるということはこのアンケート結果で証明できているんじゃないかと思っておりますので、私、個人的には、この実態を、給付水準が十分かどうかという、この生活実態も含め、是非厚労省には調査していただきたいなと思っております。 以上です。
○梅村聡君 ありがとうございました。 少し、時間が来ましたので、村上参考人には今日質問ができませんでしたけれども、また今後ともよろしくお願いしたいと思います。 私からは以上です。ありがとうございました。
○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみでございます。 今日は、四名の参考人の皆様、ありがとうございます。 今回、適用拡大の内容について、特に週労働時間十時間以上の雇用労働者の加入というところについては皆様おおむね了というようなお話がありました。 今回、審議会も含めての議論の中で、適用拡大がこの労働時間のところだけに結構焦点が当たっていてそれ以外のところの適用拡大の議論がほとんどされていなかったというふうに認識をしております。 特に、水島参考人からお話があったとおり、労働者、いろんな働く人たちのセーフティーネットという意味でいけば、今回の改正、期間が短い間での改正の中では、全くこれが抜け落ちているということは私は少し疑問として感じておりましたので、この点について、特に暫定任意適用事業というふうにされているようなところについてお話を聞きたいなというふうに思っております。御質問したいのが、村上参考人、水島参考人にさせていただきたいと思います。 この雇用保険制度において、特に農林水産業について私今日聞きたいんですけれども、個人事業で常時五人未満を雇用する事業については、今ほど申し上げました暫定任意の適用事業というふうにされています。雇用保険の加入が任意とされていますけれども、この事業とか人数で区切っているところに対しての議論が足りないという中で、この問題についてどう考えたらいいかというところをお話しいただきたいというふうに思います。村上参考人、水島参考人の順でお願いいたします。
○参考人(村上陽子君) ありがとうございます。 先ほども申し上げましたが、連合としては、雇用形態にかかわらず、全ての雇用労働者に雇用保険を適用し、セーフティーネットを整備することが重要ということが基本的な考え方でございます。 そうした中でも、暫定任意適用事業である農林水産業で働く皆さん方のところには適用すべしと考えております。これも先ほど述べましたけれども、従前と働き方も変わってきておりまして、デジタル化であるとか六次産業化ということも促進されてきている中では、制度を創設した当初からは前提が変わってきているのではないかと考えます。そういった中では、まずそういった暫定任意適用事業を撤廃していくことが必要とも考えております。 雇用者数で適用を区別するということの合理性というものももうないのではないかと考えておりまして、そういったことからすると、やはりなるべく早くそういったものを撤廃していくことが必要と考えております。
○参考人(水島郁子君) ありがとうございます。 御指摘のように、確かにこの点議論が行われていないというか、議論が欠けているというふうに思いました。私、厚生労働省の雇用保険制度研究会にも参加させていただいたんですけれども、そちらでも議論することなく終わってしまったように思います。 私も村上参考人と同意見でございまして、労働者であればできるだけ適用するということが望ましく、今、暫定任意適用事業にあるところの事業の実態、こうしたものを踏まえて撤廃に向けての検討が必要ではないかと考えます。 以上です。
○田村まみ君 ありがとうございます。 今回の適用の中での施行期日の問題が先ほど触れられましたけれども、四年少しあるということで、相当な周知期間があるというのはある意味チャンスだったんじゃないかなというふうに思っていたので、この前段にあった雇用保険制度の研究会のところでも余り触れられなかった、審議会のところでもほとんど議論がされなかったということは、私の中では相当課題があるというふうに思っています。就農の実態、そして人数が減っている、また高齢化が進んでいて若者に早く就農してほしいというのは国会でも様々なところで議論があるんですけれども、なかなかこの労働者性とか労働者として守っていくというところの議論が足りないというふうに私は思っています。 そういう意味でいくと、村上参考人に労働者の皆様を代表されていらっしゃるということでお伺いしたいんですけれども、農業と水産業、まあ林業は除かれるんですけれども、労基法、労働基準法においても労働時間や休日などの項目がこの適用除外になっているというふうに考えています。このことについてもどういうふうに考えていらっしゃるか、教えてください。
○参考人(村上陽子君) ありがとうございます。 私どもとしては、こういった皆さん方についても、労基法についても、労働の実態の把握を行って、適用に向けた検討を行っていく必要があると考えております。 労働者にとって働きやすい環境の整備や処遇の向上などによって、現在働いている皆さんの環境整備というものはもちろんですけれども、これから働きたいと思う皆さん方をより増やしていき、そして安心した就職をしていただくということにおいても重要と考えております。また、その際には、労基法や雇用保険だけではなく、労災保険も含めて一体的な検討を行って、労働者や事業主に分かりやすい制度にしていくことも重要と考えております。 以上です。
○田村まみ君 ありがとうございます。 外国人労働者や障害をお持ちの方たちの就農ということについては議論が相当されているんですけれども、そもそもの労働法の適用というところの議論が抜けているというふうに私自身感じていますので、この点については今後も委員会で取り扱えればなというふうに今日のお話聞いて思いました。ありがとうございます。 それでは、房安参考人に一問お伺いしたいというふうに思います。 先ほど来ありました雇用保険の適用者のところの、適用拡大の中で、これも大事なんだけれどもというところでの、受給日数だったりとか、そもそも受給している人たちがなかなか増えていないというところについての課題意識伺いました。 そういう中で、私が一点感じているのが、やはり短時間で働いている方たち、いろんな事情があってすぐ就職をせざるを得ないというところの問題もおっしゃっていただいたんですけれども、例えばなんですが、保険料を納めている期間を通算するという考えですよね。要は、納めている期間が続かないというところにも課題が私はあるというふうに思っていて、給付日数が一年たつと全て失効してしまうというような今制度がある中で、積み上げ方式にしていく、通算、失業給付を受けていない場合であれば積み上がっていく、もらえる日数が積み上がっていくということについての考えというところについて、何か御意見があれば教えていただきたいと思います。
○参考人(房安強君) 現状の制度では、Aというところを退職してBというところに就職して、それをAのときに、退職のときに支給を受けていない、かつ、AとBの間の失業期間が一年離れていないというふうな条件があれば通算は可能だという制度かと思いますが、この一年というのが場合によってはこういう人たちの足かせになるかもしれないというふうには思います。 私もこの点について深く考えたことはないんですが、今質問ありまして、もう少しこの受給のしやすさというのを、特にこの労働者、パート労働者の生活実態に合わせて、実態も調査しながら検討していく必要があるんじゃないかというふうに思いました。 以上です。
○田村まみ君 ありがとうございます。 この保険制度の中でも珍しく納付の日数と給付の日数が関連するというような制度ですので、この辺りも是非、今後の検討の課題かなと思ってお伺いをしました。 最後に一問、新田参考人にお伺いします。 実は私も、四年半の施行期日の長さについて触れていただいて、気になっていて質問を準備していたんですよね。正直申し上げまして、地方、中小企業というところに関しては今も制度の、わざとではないんですけれども、理解というところが進んでいない中で、結果的に適用事業者なのにそこ適用できていないとかいうところもあるので、私は逆に早く施行した方がむしろ周知が早まるのではないかと。むしろ、見付かったときの何らかの補完としての免除だったりとかというところを設けて早く施行する方が周知に期するのではないかというふうに思っています。 特に労働法の問題については、見付からなければなかなか罰則が当たらないというような課題が私自身も認識していますので、その点について、少し答えにくいかもしれませんが、四年あれば周知できるという根拠ですよね、そこ、なかなか難しいと思うんです。その四年設ける方がいいのか、早く実は適用して何らか見付かったときの、何でしょう、罰則みたいなことに猶予を設ける方が周知に効果が上がるんじゃないかというところの考え、これについて何か御意見があればお願いいたします。
○参考人(新田秀司君) 御質問ありがとうございます。 非常に答えにくい御質問かと。四年あれば大丈夫かと言われると、じゃ、それが五年、六年になればいいのか。そこについて、適切な期間というのはやはり明確に申し上げることは非常に難しいかなと思っております。 ただ、これまでいろんな改正法案が成立した後、経団連の会員企業を中心に周知活動を、例えば全会員企業に周知文を送ったり、あるいは先ほど申し上げたように、地方の中小企業においては、その年の春季労使交渉の基本スタンスを周知する際に併せて広報活動もしておりますが、そういった中でもやはり知らないとかいうことはどうしても出てくる。これは経団連に限らず、中小企業団体であります例えば日商さんですとか、全国中小企業団体中央会さんとか、全国連さんとか、そういったところも様々取組をされている中でも、やはりそういったところに所属していない中小零細企業も多数、むしろそちらの方が多数あると思っておりまして、そういったところにどういう形で波及をさせていくことができるのかというのは、厚生労働省も含めて非常に大きな課題だなというふうに思っております。 したがって、冒頭のところで繰り返しになりますが、明確なコメントはちょっと難しいと思っていますが、いずれにしろ一定のやはり周知期間をしっかりと設けておくということが必要だというふうに私は考えております。 以上でございます。
○田村まみ君 ありがとうございました。終わります。
○倉林明子君 日本共産党の倉林明子です。 本日は、四人の参考人の皆さんの貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。 最初に、村上参考人、房安参考人に対して質問したいと思います。 非正規労働者が大変増加しているという状況あって、この非正規で働く労働者にとって雇用保険が本当にセーフティーネットとして機能するのかどうかというところ大きいと思っているんですが、今の実態として失業者に対する給付率というのは二割程度で推移しているという現状ありまして、今回、法案で短時間労働者の適用拡大ということを盛り込んでいるわけですけれども、これによって、今回の適用拡大によって、失業時の生活保障、いわゆるセーフティーネットともいうんだけれども、失業時の生活保障としてどういう効果が期待されるのかというか見込まれるのかという点での御意見いただければと思います。
○参考人(村上陽子君) ありがとうございます。 先ほども意見陳述の中で申し上げましたけれども、今回適用拡大で週所定労働時間十時間以上ということになったことから、非正規で働く皆さんの適用が大きく進むと思っております。その際には、失業されたときの給付ももちろんですけれども、それだけではなく、教育訓練給付ですとか育児休業給付なども対象になっていくということですとか、あるいは雇用調整助成金などの対象にもなっていくということがございます。 コロナ禍で雇用保険に非適用だったということで雇用調整助成金の対象にならないその短時間の皆さん方も対象になるということで、何か、まあ起こってほしくはないですけれども、何か急激な経済の不況であるとかあるいは災害などが起こった際のセーフティーネットとしての役割は大きく期待できるのではないかと思っております。
○参考人(房安強君) 非正規労働者にとってこの度の改正がセーフティーネットとして機能するかという御質問なんですが、今回適用拡大の対象とされているのは十から二十時間の労働者ですので、やはり大多数は賃金日額が低い。ですから、八割の給付、掛け合わせてやはり基本手当日額を算定しても低いという労働者は多くなると。基本手当日額の下限が千円余り、千九十八円になる見込みですので、これが一か月分で、三十日で計算しても三万円余りじゃないかという話になります。 この度の改正は、そういうちょっと小さな給付になるといっても、それがないと生活できないんじゃないかという方にとっては一応助けになるとは思うんですが、給付に至るまで二か月間、事実上、貯蓄がないとちょっとそこまで、給付まで行き着かないという問題がなお、特にこの小さな給付ですら待てないという方にとっては大きくなるんじゃないか。そういう意味で、この方にとってメリットがあるのか、何か保険料取られ損になるのかという問題、ここの分岐があるんじゃないかと思います。 なので、そういう意味で、受給者割合は今回の改正によって上がるのか、何かもう対象者となる方は、もうこんな保険入れられたってメリットないんじゃないかというのはもう既に何か見切られている部分は一部にはあるんじゃないかと、それが、五割切っている、希望者がという問題になるかと思うんですが、やはり制度のそこはやはり実態と、必要あれば改善というのがやはり今後も検討になるのかなと思っています。
○倉林明子君 水島参考人、村上参考人、房安参考人にお答えいただきたいと思います。 続きのようなお話なんですけども、非正規雇用の七割が女性が占めているという実態と、水島参考人の方から御紹介あったように、主たる生計者に女性がなっているという世帯ですね、そういうところでいうと、低賃金ということになって、ダブルワークやトリプルワークせざるを得ないという実態が決して珍しくないと思うんですね。 コロナ禍で、こういうそもそも雇用保険の対象とならない短時間労働者ということで、失業給付を受けることもないと、直ちに生活困窮という実態が浮き彫りになったと思っているんですが、こういう女性の労働参加が進む中で、雇用保険には失業時の生活保障の役割ということがとりわけ期待されると、その役割も明らかになっているんじゃないかというふうな問題意識持っているんですけれども、雇用保険の在り方、就労の、主たる生計者に女性が占める割合が増えた、働き方が変わっているという、こういうところでどうやって雇用保険の生活保障の役割を発揮させるのかというところで、改善方向への御意見伺えればと思います。
○参考人(水島郁子君) ありがとうございます。 今回の適用拡大によりまして、生計維持という考え方から生計への貢献という考え方に変わるものというふうに思っております。 女性労働者の方の問題、様々な問題がございますけれども、今回の適用拡大、被保険者になれるということによりまして、幾分か状況は改善されるということを強く期待する次第でございます。 以上です。
○参考人(村上陽子君) ありがとうございます。 先ほど来申し上げておりますけれども、その二か所、三か所働いて生計維持されている方の課題といたしましては、やはりその複数就労している際の雇用保険の適用をどうしていくのか、その際の失業認定、失業とは何ぞやというところをきちんと議論して、それをどうやってカバーしていくのかということを検討していくことが必要かと考えております。
○参考人(房安強君) 十時間以上の拡大によって、マルチジョブホルダーですね、掛け持ちして生活している、なのに一つしか加入できないということの問題性がより顕在化するのではないかと考えておりますので、是非この点は、令和九年一月以降に検討、五年の高齢者の試行期間を踏まえて検討するとされていますが、やはりより積極的に検討していただきたいなと思っております。
○倉林明子君 ありがとうございます。 最後の質問になると思います。村上参考人、房安参考人にお聞きします。 多様な働き方ということで政府推奨しているわけですけれども、一方で、労働者として雇用保険の給付対象にならないという働き方の拡大が、私、懸念しているんですね、様々な働き方で。低賃金や無権利の働かせ方ということに対して、これ一方での規制がこれ必要じゃないかというふうに考えるんですけれども、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(村上陽子君) ありがとうございます。 私どもとしては、働く皆さんが安心して安定して働き続けられる、健康に働き続けられるということが重要と考えておりまして、そうした観点からいくと、やはりその労働基準法などの適用される働き方というものがベースになってくるだろうと思っております。それ以外の働き方の皆さん方のセーフティーネットも拡充していくことも必要かと思っております。 低位の方に、つまりその負担、事業主などの皆さん方が負担が少なくなればなるほど良いというふうに考える方が、まあ多いとは思っておりませんけれども、そういう傾向になってしまっては働く人たちの環境は悪くなっていくと思っておりますので、全体として底上げしていくということが重要だと思っております。
○参考人(房安強君) 多様な働き方を推進していくという政府の姿勢と、今のその労働法制、特に労働者性をめぐる問題、昔からある基準の問題も含めて、これがちょっとそごがどんどん広がっているのではないかと。この度の十時間以上の労働者への適用拡大にしても、これが本当に受給者割合の拡大につながるかという問題もあって、その制度の元々のつくりが、もう正社員で長く働いたという方を想定していた制度が元々のつくりになっていますので、そこの点からちょっと視点を見定めて検討する必要もあるんじゃないかというふうには感じておるところです。 以上です。
○倉林明子君 時間ですので、終わります。ありがとうございました。
○天畠大輔君 代読いたします。 れいわ新選組の天畠大輔です。 参考人の皆様、本日は貴重なお話をありがとうございます。 まず、房安参考人に伺います。 今般の改正法案に盛り込まれている就業手当の廃止と就業促進手当の減額について、どう評価されていますか。
○参考人(房安強君) 私個人の意見となりますが、述べます。 就業手当は、再就職手当の対象、これが一年を超える雇用の確実性がある就職、自立可能と職安が認定した事業の開始、これには該当しない就職、事業開始が対象でありまして、厚労省の説明では、現在の政策目標として、不安定な就職等は促進対象とならないことから、就職促進給付の対象から就業手当を外すということです。 就業手当の現状の支給規模は小さいことから、廃止しても影響は少ないとされております。しかしながら、経歴等で就職が難しい方や障害者などの場合、いきなり一年を超える長期雇用が確約される就職は難しいことも多く、トライアル的な雇用をまずやってみる必要性があり得ます。また、当初は一年を超える雇用の確実性がない就職であっても、その他の労働条件は良い場合もあり得ますし、雇用期間の延長の可能性もあり得ます。そのような就職を希望する労働者には個別の事情があろうかと思います。政府は多様な働き方を効果的に支えることを政策目標としておりますので、就業手当の廃止との整合性が問題になると思います。 事業の開始については、自立可能とハローワークが認定できない事業を開始した場合でも、その後に事業が軌道に乗る場合もあり得ます。起業を奨励するという政府の政策目標からすると、このような事業も就職促進給付の対象としてよいように思います。むしろ、現行の就業手当制度は基本手当日額の十分の三相当額であるのに、就業手当の給付日数分基本手当が支給されたものとみなされており、再就職手当は基本手当日額の十分の六ないし十分の七相当額で、更に就業促進定着手当の加算があり得るのと比較すると十分に冷遇されているものと言えます。特に、就職困難者のトライアル的な就業を不安定就職だとしてこれだけ冷遇してよいものかはもう少し議論が必要ではないかと考えております。 以上から、就業手当の廃止については疑問が残ると考えております。 長くなりましたが、就業促進定着手当の減額について述べます。 就業促進定着手当は、手当の名称や雇用保険法の条文を一見しますと、再就職手当の受給に係る就職の後、六か月間雇用が継続したという条件のみで受給できるように見えます。しかし、省令により、再就職後の六か月間の賃金が前職の離職前の賃金を下回っているという条件をも要求し、賃金低下による再就職意欲の低下を緩和することを目的とした給付になっております。 本来、一年を超える雇用の確実性がある再就職をして、実際にも六か月間雇用が続いたというその時点で、安定雇用による再就職は達成できたものとして就業促進定着手当の支給対象としてもよいのではないでしょうか。モラルハザードを警戒する立場からしても、このような就業促進給付の拡充は必要だと思います。 再就職により給与が下がったことを就業促進定着手当の支給条件とする現行制度を前提とするのではなく、就業の定着自体についてインセンティブを与える制度を拡充していく、これを是非とも検討していただきたいです。 なお、再就職手当及び就業促進定着手当は、基本手当日額と支給残日数を掛け合わせた金額が両者を合わせた上限額であり、基本手当の所定給付日数分を超えた財政負担をもたらすものではありません。就業促進定着手当は、再就職手当と並んで雇用保険の再就職促進機能を高めていく重要な鍵になるものと思っております。 以上です。
○委員長(比嘉奈津美君) 天畠君が発言の準備をしておりますので、お待ちください。
○天畠大輔君 就業手当は不安定雇用に就く障害者のセーフティーネットでもあることがよく分かりました。 その点につきまして、房安参考人、もしよろしければ御意見伺えればと思います。
○参考人(房安強君) 就業手当は、そういう意味で、一年以上の雇用の確実性がない、そういう就職に対して給付されるものなんですが、先ほど申したとおり、障害者等の就職困難者がトライアル雇用をするのにこういう促進対象とされるべきではないかというふうな視点で申し上げたところです。 雇用安定事業においては、トライアル雇用に対する給付も存在しております。これについても就業手当の対象となり得るというふうに業務取扱要領には書いてあったかと思いますが、このように、就職困難者に対するものとして、やはり、の重要性というのはもう少し認識して議論をしないといけないかなと思っております。 以上です。
○天畠大輔君 代読いたします。 引き続き房安参考人に伺います。 厚労省は事前レクチャーにおいて、今回の就業手当廃止と就業促進手当減額に当たり、このように説明しました。より低い労働条件への転職に対する就労支援施策を廃止ないし減額するというディスインセンティブ、いわゆる不利益効果による誘導策の導入によってより高い労働条件への雇用移動を促す。このような考え方についてどう思われますか。
○参考人(房安強君) 就業手当の廃止や就職定着促進手当の減額がディスインセンティブの導入によってより高い労働条件への雇用移動を促すことになるというふうに言いますけど、そこまでディスインセンティブが導入されなくとも、必要もないのに不安定な就労を自ら望む労働者は多くないように思います。むしろ、前に述べたとおり、いきなり一年を超える長期雇用が確約される就職が難しい就職困難者について、ディスインセンティブがあっても一年以内の雇用期間しかない就労をせざるを得ないという場面はあり得ます。結局、この場合、不利益のみ残るということになります。 よって、このような場面においてディスインセンティブを持ち出す説明には疑問が残ります。 以上です。
○天畠大輔君 代読いたします。 次に、村上参考人に伺います。 参考人資料四十八ページにあります連合、要求と提言の十番、全ての働く人に対する職業能力開発施策と日本の成長と競争力を支える人材の育成を強化するの⑤の中には、障害者施策として、居住地近隣での職業訓練機会を拡充するとともに、地方自治体、地域の教育訓練機関、ハローワークなどが一体となり、就労に向けてきめ細かな支援を行うとあります。 このような障害者への職業能力開発施策について、具体的な内容をお聞かせください。
○参考人(村上陽子君) ありがとうございます。 障害をお持ちの方が自立して生活していくためには経済的基盤が必要でありまして、そのためには障害をお持ちの方が居住する地域において訓練機会が提供される必要があると考えます。 そのための具体策ということですけれども、地域の訓練校において障害者向けの職業訓練コースを拡充すること、また受入れ施設の導入、充実が求められると考えます。また、ハローワークを含めて関係機関との連携協力を密にして、訓練期間中のみならず就職とその後の職場の定着も含めて、皆さんで連携していただいてフォローしていくということが必要かと考えております。
○天畠大輔君 参考人の皆様、ありがとうございます。質疑を終わります。
○上田清司君 無所属の上田清司でございます。 四人の参考人の皆様には、本日はありがとうございます。 まず、房安参考人にお伺いしたいと思います。 参考人のレジュメの六ページのグラフでありますが、この委員会でも高木委員が取り上げていただきまして、私もこれに触発をされまして、改めてこの問題について取り組んだところでございます。 このグラフを見ても分かりますように、完全失業者数がどんどん増えていっても、受給実員が必ずしも増えないどころか減っていくと、受給者割合も二〇〇〇年ぐらいから、二〇一〇年ぐらいから大体二〇%程度に落ち着いていると、このような状態になっておりまして、先生も言われますように、より良い職場、ディーセントワークを求めて転職をしていくのが望ましい、そのことが労使のマッチングで基本になるべきだというふうに私も思っておりますが、ところが、このとおり、二〇一〇年ぐらいから完全失業者数が減少しても、あるいはちょっと増加しても受給実人員が二〇%にとどまっていると。 先生のレジュメでも、一九八四年までは五〇%超であったけれども、二〇二二年では二二・八%になっていると。先生のコメントの中でも、一九八四年以降、給付の抑制を図る制度改正が積み重ねられたと、給付の抑制を図るというような表現をされておられまして、このような表現は、むしろ改正、正しくなっているんじゃなくて改悪になったのかと、このように解釈したくなるわけでございますし、また、補足的にOECD三十五か国のそれぞれの受給者割合の紹介もしていただき、日本の受給者割合が三十一番目であると、三十五か国中。上位十二か国のところでは六割からがちゃんと受給者になっているという、こういう補足の資料もありまして、私も実はちょっと感じているところなんですが、せっかくセーフティーネットを拡大しているというような改正で前提になっているところですが、必ずしも受給の実人員が多くないと、このことがどのようなことを意味しているのか、かなり疑問になっておりまして、この委員会においても質疑の中身にしたところでございますが、参考人としての御意見を賜りたいと思っております。
○参考人(房安強君) 給付の抑制を図る制度改正が積み重ねられたということで、その中身については今まで紹介したことと関連しますので詳しくは申しませんけど、結局、現行制度におけるモラルハザード対策、モラルハザードを一つの理由として制度改正積み重ねられたんですが、そのモラルハザード対策が過剰ではないかというふうに思っております。結局、性悪説的に、幾重にもモラルハザード対策が張り巡らされていると。その結果、給付全体が萎縮しているというのが現状じゃないかと思います。 先ほど紹介したとおり、受給者の生の声を聞くと、結局、この失業給付が、もうもらうまでに貯金がないから、それまでにもう滞納しちゃうとか、もらっても水準がちょっと少ないなというところで、ちょっと苦しいというふうなものが結構出ていまして、そういう生の声をより今後拾っていって制度改善をしていかなければならないだろうというふうに思っております。 以上です。
○上田清司君 私、一つの考え方として、例えば、当然期間が短くても受給対象者になれるということもあり、反面、受給額がどうしてもそうした対象者は少ないわけでありますから、やはり受給額をいただくよりも、さっと改めて職探しをして、ある意味ではきちっとした給与をいただいた方が生活の安定につながると。つまり、御紹介もありました年収二百万円以下の方々の預貯金のパーセンテージがゼロの方が三一%というようなデータもございますので、そうした方々は、預金を崩しながら生活をする、あるいは、失業手当をいただいても満額出るわけではありませんから、どうしても補填をしなくちゃいけない、その補填をする費用がないために、あえてもう被保険者としての権利は放棄してすぐさま次の仕事に移っていくという、こういうことが起こっているのではなかろうかというようなことを推察しているところでございます。 これ、データ的に根拠がないもので、そういうデータもないでしょうかということも厚労省に聞いたんですが、今のところはないということでありますが、何か、豊富な経験の中で、房安参考人のデータ、何というんでしょうか、いろんなヒアリングなどでそういうお話はないのかどうか、確認させていただければと思っております。
○参考人(房安強君) 当然、預貯金がない世帯が二割、三割いて、失業して収入を失うわけですので、もう当然、従前ですと三か月間無収入というのはもたないわけですね。そういう声は、この非正規会議が行ったアンケートの中には一部出ているところではあります。ただ、全体がどうなのかというのは、データからいうと、恐らく、もう給付まで待てないと、だから、この失業給付意味ないんだというふうにその方たちはそう思っちゃうんでしょうけど、そういう方がそれなりの数現れてもおかしくないデータの状況ではないかと思っております。 以上です。
○上田清司君 ありがとうございます。 村上参考人にお伺いしたいところですが、被保険者の適用拡大が今回の法改正の基本的な方向でありますが、一般的に受給者の割合が増加するものだと考えられるところでございます。 ただ、前回の改正以降も必ずしも受給者の割合が増加しなかったと。非正規雇用の方々が多くなっているような今日的な状況を考えると、今回の法改正で被保険者の適用拡大が受給者の割合の増加につながるかどうかということについて、多少私も疑問に思っているところなんですが、ある意味では連合の中でこうした議論も幾つかあったのではなかろうかと思いますので、そうしたことも踏まえて村上参考人からお話を承れれば有り難いと思っております。
○参考人(村上陽子君) ありがとうございます。 十時間以上、週所定労働時間十時間以上の方を適用拡大していくということで、恐らくその受給者の割合も向上するのではないかというような話はございますけれども、確たる何かデータがあるというものではないということでございます。 ただ、受給者の割合を向上させることが目標ということでは必ずしもないと思っておりまして、つまり、失業状態というのは景気の動向などにもよりますので、以前の改正の際には、大変急激な雇用の悪化ということがあった中で積立金の財源が枯渇してきたというようなこともあって給付の抑制をしてきているというところもありますので、そういった様々な環境の中で受給者がどういうふうになっていくのかということはまた別の要因で考えていかなくてはいけないのではないかと思っております。 いずれにしても、今働いている非正規の皆さんもそうですし、今回新たに対象になる皆さんもそうなんですが、やっぱりこういう制度をきちんと知っていただくということがまず何よりも重要かと思っておりまして、そういった意味では、私どもも周知に努めてまいりますけれども、政府におかれてもきちんとそういった方々に、皆さんに行き届くような周知をお願いしたいと考えております。
○上田清司君 村上参考人、ありがとうございました。 終わります。
○委員長(比嘉奈津美君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。 参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時十八分散会