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212回国会参議院2023/12/07

財政金融委員会 第5号

発言数
119
登壇者
19
会派数
7
開催日
2023/12/07

会議録

宮本周司自由民主党

○委員長(宮本周司君) ただいまから財政金融委員会を開会をいたします。  まず、委員の異動について御報告をいたします。  昨日までに、永井学君、足立敏之君、西田昌司君及び宮沢洋一君が委員を辞任され、その補欠として武見敬三君、山本啓介君、山本佐知子君及び梶原大介君が選任をされました。     ─────────────

宮本周司自由民主党

○委員長(宮本周司君) 理事の補欠選任についてお諮りをいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮本周司自由民主党

○委員長(宮本周司君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に若松謙維君を指名いたします。     ─────────────

宮本周司自由民主党

○委員長(宮本周司君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、金融庁総合政策局長油布志行君外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮本周司自由民主党

○委員長(宮本周司君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────

宮本周司自由民主党

○委員長(宮本周司君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁植田和男君、同副総裁内田眞一君、同理事高口博英君、同理事加藤毅君、同企画局長正木一博君及び同決済機構局審議役鈴木公一郎君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮本周司自由民主党

○委員長(宮本周司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

宮本周司自由民主党

○委員長(宮本周司君) では、財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件を議題といたします。  日本銀行から説明を聴取いたします。植田日本銀行総裁。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、最近の経済金融情勢と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。  まず、最近の経済金融情勢について御説明いたします。  我が国経済は、緩やかに回復しています。輸出や鉱工業生産は、供給制約の影響の緩和に支えられて、横ばい圏内の動きとなっています。企業収益は全体として高水準で推移しており、業況感は緩やかに改善しています。こうした下で、設備投資は緩やかに増加しています。雇用・所得環境は緩やかに改善しています。個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも、緩やかなペースで着実に増加しています。先行きは、海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化に加え、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果などにも支えられて、緩やかな回復を続けると見ています。  物価面を見ると、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、政府の経済対策によるエネルギー価格の押し下げ効果などによって、ひところに比べればプラス幅を縮小しているものの、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から、足下は三%程度となっています。先行きについては、来年度にかけて二%を上回る水準で推移した後、二〇二五年度にはプラス幅が縮小すると予想しています。この間、消費者物価の基調的な上昇率は、二〇二五年度にかけて、二%の物価安定の目標に向けて徐々に高まっていくと見ています。  先行きのリスク要因を見ますと、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金、価格設定行動など、我が国経済、物価をめぐる不確実性は極めて高い状況です。その下で、金融・為替市場の動向やその我が国経済、物価への影響を十分注意する必要があると考えています。この間、我が国の金融システムは、全体として安定性を維持しています。先行き、グローバルな金融環境のタイト化の影響などには注意が必要ですが、内外の実体経済や国際金融市場が調整する状況を想定しても、我が国の金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどを踏まえると、全体として相応の頑健性を有しています。より長期的な金融面のリスクとしては、金融機関収益への下押しが長期化すると、金融仲介が停滞方向に向かうおそれがある一方、利回り追求行動などから金融システム面の脆弱性が高まる可能性もあります。現時点ではこれらのリスクは大きくないと判断していますが、先行きの動向を注意する必要があります。  次に、金融政策運営について御説明申し上げます。  日本銀行としては、現時点では物価安定の目標の持続的、安定的な実現を十分な確度を持って見通せる状況にはなお至っておらず、今後、賃金と物価の好循環が強まっていくか注意していくことが重要と考えています。こうした中、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で粘り強く金融緩和を継続することで、経済活動を支え、賃金が上昇しやすい環境を整えていく方針です。  また、日本銀行は、十月に、長短金利操作の運用において柔軟性を高めておくことが適当であるとの判断に基づき、長期金利の上限のめどを一・〇%とし、大規模な国債買入れと機動的なオペ運営を中心に金利操作を行うことを決定しました。  日本銀行としては、賃金の上昇を伴う形で、二%の物価安定の目標を持続的、安定的に実現することを目指して金融政策を運営してまいります。  ありがとうございました。

宮本周司自由民主党

○委員長(宮本周司君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

勝部賢志立憲民主・社民

○勝部賢志君 おはようございます。立憲民主・社民の勝部賢志でございます。  今日は、植田総裁並びに副総裁にもお越しをいただきました。ありがとうございます。早速質問をさせていただきます。  様々な意味合いで大変長かった、あるいは長過ぎた前任の黒田総裁を引き継いで植田新総裁が就任されましたが、既に早くも九か月が経過をしております。おおむね御覚悟を持って就任をされたというふうに思いますけれども、現状は非常に厳しい状況にあって、コロナが若干落ち着いて、コロナ下、これからというときに急激な物価高騰あるいはマイナス成長、そしてロシアからウクライナに対する侵略に加えて中東情勢が激化している。国際為替市場なども変動して、大変厳しい環境にあるというふうに思います。  植田総裁にとっては一瞬たりとも気を緩めることのできない情勢ではないかというふうに拝察をしますが、そういうさなかにこのようにお時間をいただきましたので、この間、私も日銀の状況などは報道で知るところが多く、具体的な中身まで十分に承知をしているわけではございませんけれども、数点にわたって問題意識持った点についてお聞きをしてまいりたいというふうに思います。  その前に、まず、昨今後を絶たない国内金融機関のシステム障害について若干お伺いをしたいと思います。  国内金融機関でのシステム障害が相次いでおりますけれども、十月には全銀ネットでのシステム障害がありました。十行を超える金融機関で不具合が生じたと、そして復旧まで二日間も要したと、利用者送金に二百五十五万件影響が出たということで、社会的に大変大きな事件となりました。  金融当局もすぐさま対応されて、徹底した調査を命じ、十一月三十日にその報告書が提出されたと承知をしておりますが、そこで金融庁にお伺いをいたしますけれども、今般の全銀ネット障害の影響と、それから十一月三十日に出された報告書の概要について御説明をいただきたいと思います。

伊藤豊金融庁監督局長

○政府参考人(伊藤豊君) お答え申し上げます。  先般の全銀システムの障害の発生に伴いまして影響を受けた金融機関での取引は、仕向けと被仕向け、両側を合わせますと五百六十六万件でございます。そのうち、約百二万件で当日中の処理が完了しなかったものと承知しております。  この障害に関しまして、全銀ネットとNTTデータからは、原因及び改善、再発防止策等について報告を受けてございます。内容でございますけれども、障害原因につきましては、金融機関を識別するデータファイルの作成過程で作業領域、メモリーでございますけれども、これの設定に誤りがあった結果、データファイルの一部に破損が生じたということによって障害が起きたということを報告を受けておりまして、この背景といたしましては、システムのこの誤りの検出体制の不足、復旧対応の遅延、システム人材不足などの課題を認識をしているという報告を受けております。全銀ネット及びNTTデータのそれぞれにおいて、この点につきまして改善、再発防止策を行うと、こういった内容でございます。  金融庁といたしましては、原因分析や再発防止策の策定、実行をしっかりと進めることにより、こうした事案が繰り返されないことが重要と考えておりまして、そうした観点から、この提出された報告内容を精査するとともに、改善対応をしっかりと進めるよう指示してまいりたいと考えております。

勝部賢志立憲民主・社民

○勝部賢志君 影響が出た件数は私が承知している以上に多いということが今分かりましたけれど、その原因が、メモリー不足が原因だったということで、これもにわかに信じ難いというか、驚きを隠せないなと思っています。家にあるパソコンなどで何かこうメモリー不足でフリーズをするというようなことは間々あるかなというふうには思いますけど、まさに国を代表する大企業のネットワークがこういうことで障害が起きるというのはちょっと信じ難いなと。  ですので、重ねてお伺いをしたいと思うんですけれども、この間、防衛力強化の議論などもここでも再三やってきたわけですけれど、そのときには、これからの主戦場はサイバーと宇宙だという話を岸田総理も、あるいは政府からも何度もそういう説明を受けてきました。そういうこともあってか、やはりこういう大規模なシステム障害などが起きると、これは何か海外からサイバー攻撃でもあるのではないかというようなことが、不安になるということであります。  そこで、重ねてお伺いをしたいと思いますけれども、当局はこの度の全銀ネット障害はサイバー攻撃の可能性は全くないという判断でよろしいのか、また、これまでに金融機関に対するサイバー攻撃というのは把握をされているのかどうか、お伺いをしたいと思います。

伊藤豊金融庁監督局長

○政府参考人(伊藤豊君) 先般の全銀システムの障害につきましては、全銀ネット及びNTTデータの報告を受けて、先ほど御説明したとおりでございますけれども、この障害原因、これも先ほど御説明を申し上げましたとおり、開発時の設定の誤りによるものであるというふうに報告を受けておりまして、サイバー攻撃によるものではないと私ども認識をしているところでございます。  また、金融庁は金融機関に対しまして、法令等に基づき、システム障害やサイバーセキュリティー事案の発生を認識次第、直ちにその事実を当局宛てに報告することを求めておりまして、この報告を通じて金融機関へのサイバー攻撃を把握しているところでございます。

勝部賢志立憲民主・社民

○勝部賢志君 サイバー攻撃を認識しているところでありますということですけれど、実際には、その実態というか、サイバー攻撃があったのかどうかということも併せて御説明をいただきたいと思いますが。

伊藤豊金融庁監督局長

○政府参考人(伊藤豊君) 二〇二二年度の金融機関へのサイバー攻撃件数でございますけれども、この障害の発生の中で外部からの不正アクセス、DoS攻撃などは全体千九百件の中の約五%というふうに把握しておりますので、詳細が不明なものも当然たくさんございまして、これがサイバー攻撃なのかどうかという判定は極めて難しゅうございますけれども、そうした数字を把握しているところでございます。

勝部賢志立憲民主・社民

○勝部賢志君 分かりました。  サイバー攻撃は五%程度あるのではないかという認識でありますから、それが本当に、例えば大きな、例えば日銀などにそういう攻撃があったりすると、これは大変大きな影響になるのではないかというふうに思います。そこで、金融システム障害は繰り返し発生してきておりますけれども、当局はこの現状をどのように分析をされているのか。今、サイバー攻撃は五%と言いましたけれども、そのほかのところで一体何が起きてこういうことになっているのか、どのような対策を講じられているのか、その対応策、そして今後の方針、伺いたいと思います。

油布志行金融庁総合政策局長

○政府参考人(油布志行君) お答えいたします。  金融庁では、法令等に基づきまして、システム障害が発生した場合には金融機関に報告を求めておりますが、これらの報告等に基づきまして一定の分析も行ってきております。そして、その分析結果やあるいは金融機関にとって参考となる事例などを取りまとめまして、二〇一九年以降毎年でございますけれども、金融機関のシステム障害に関する分析レポートとして公表を行ってきております。  直近六月に公表しました二〇二二年度版のレポートにおきましては、例えば、金融機関は、顧客への影響が大きい重要な業務につきまして、ベンダーなどの外部委託先の管理を適切に行うということを含めまして、まずはシステム障害の未然防止のために必要な対策をしっかり講じること、これが基本ではございますが、単にこればかりではなく、仮に障害が発生した場合にも、顧客、業務への被害を最小化し、可能な限り早期に業務復旧を行うことが重要であると、そういう体制あるいはBCPを行うことが大事であるといった指摘などを行っております。  金融庁といたしましては、引き続き、検査やモニタリングによりまして金融機関のシステムリスクの管理体制を検証していくことに加えまして、金融機関側の主体的な体制整備を促すべく、先ほど申し上げました分析レポートの公表などを行うこと、こうしたことを通じまして、金融業界全体の対応能力の向上を図ってまいりたいと考えております。

勝部賢志立憲民主・社民

○勝部賢志君 先ほどちょっと触れましたけれど、日銀のシステムメンテナンスの堅牢性や安定性というのはどのように評価をされているんでしょうか。維持管理業務の将来的な課題についても併せて日銀にお伺いをしたいと思います。

加藤毅日本銀行理事

○参考人(加藤毅君) お答えをいたします。  日本銀行は、今先生も御指摘いただきましたように、様々なシステムを運営しておりますけれども、その中でも、特に円の資金と、あと国債の決済を処理する日本の決済システム全体を支える重要な役割を持っている日本銀行金融ネットワークシステムというのを運営しております。いわゆる日銀ネットと呼んでいるものでございます。  これは、この日銀ネット、このように極めて重要な役割を担っているということから、重要な機器、例えばメインのコンピューターなどは二重化するという形でその安全性を確保するような措置をとっております。そういうこともありまして、一九八八年からこちらは稼働を行っているんですけれども、障害発生というのは極めて少なくて、安定的な稼働を維持しているところでございます。  特に将来的なことを考えると、やはりIT技術というのは急速に進歩しますので、こちらについて、その動きをしっかりとアンテナを張りながら、その新しい技術を、随時新しい技術を入れながらシステムのアップデートとか、今先生言っていただきました維持管理業務などについても、それを、技術を利用しながらしっかりとこの先も安定稼働に万全を期していくことが大事だなというふうに考えているところでございます。

勝部賢志立憲民主・社民

○勝部賢志君 非常に大事なところだと思いますけれども、ちなみに、日銀に対するサイバー攻撃というのは過去にあったんでしょうか。それから、今そのサイバー攻撃に対する対応というんでしょうか、対策というんでしょうか、どんなふうに取られているのか教えていただければと。

加藤毅日本銀行理事

○参考人(加藤毅君) 今申し上げました日銀ネットということについては、これまでサイバー攻撃によって被害を受けたということはございません。これは、この日銀ネットという仕組み自体がサイバー攻撃を受けにくいようなシステムの構成をしているということと、あとは、何か不正な通信が来た場合にはそれを遮断すると、そういったようなことを講じていることなど、要するにサイバー対策というのはしっかりと講じているということが効果を発揮していると思っております。  ただ、このサイバー攻撃というのは常に巧妙化していますし、特に世界経済が不安定化してきているときというのは、これはもう非常に発生しやすいというふうに認識しております。そういう意味で、最新の技術動向も入れながら、このサイバー攻撃対策というのは常に進化させていかなければいけないというふうには考えております。

勝部賢志立憲民主・社民

○勝部賢志君 詳しく御説明いただきまして、ありがとうございます。  それでは、植田日銀総裁にお伺いをしてまいりたいと思うんですけれども、植田総裁が二月に議運で行われた所信質疑、私、議運におりますものですから、そのトップバッターを務めさせていただきまして、そのとき以来非常に関心を持って注目をさせていただきました。  幾つか話題がありましたものですから、その中で一つお聞きしたいなと思っていますのは、六月の末に欧州中央銀行主催で行われた主要中央銀行トップによる国際フォーラム討論会というのがありまして、そこで植田総裁は、パウエル議長やラガルド総裁、それからイングランド銀行のベイリー総裁らと壇上に上がり、日銀の大規模緩和の正当性を真面目に説明をされたと、一方で、発言の要所で独特のジョークを連発して会場の爆笑を誘ったと、そういう報道がありました。  それを見て、私は非常に、まあ真面目という言い方はあれかもしれませんけど、やっぱり総裁の仕事柄、極めて発言には慎重、安全運転が旨とされているのかなと思っていましたら、そういうコミュニケーション力が非常にお高いのだなということを感じて、ある意味ちょっと意外でもあり、しかし、いいなというふうに実は思いました。  海外の報道も、今までの、こんな面白い日銀総裁は初めてという、そういう見出しが付いて報道されたということでありまして、円に対する信頼とか日銀に対する、まあ何というか信用性というのか、それはもちろん高めなきゃいけませんけど、日銀総裁の果たす役割というのも私は非常に大きいなと思って、世界からそういう意味では信頼を得る、あるいは一緒に何か取り組もうという気持ちにさせるという意味では非常に効果的な発言だったのではないかなというふうに思うんですけれども、そのときのことも含めて、この九か月間どのように取り組んできて、どういう今、感想といいましょうか思いを持っておられるのか。  あわせて、内外の関係者に対するコミュニケーションはもちろんですけれども、やっぱり国民、国会に対してもしっかりとしたコミュニケーションを取っていくということは極めて重要だと思っております。今日はお越しをいただきまして、じかにお話を聞けるので、是非その辺、コミュニケーションについて日頃心掛けておられるようなことがありましたら、御披瀝をいただきたいというふうに思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 二月の所信質疑においては委員から御質問いただきまして、その中で私は、非常に難しい状況の中で仕事を引き受けるということはそれ自体非常にチャレンジングなことであるというふうに申し上げ、ある意味ちょっと生意気な、この年で生意気というのも変ですが、ことを申し上げてしまったわけですけれども、その後、やはりグローバルに、例えば三月に金融機関経営問題が発生したりということに始まりまして、いろいろな不確実性が高い状況が続いてございます。思った以上にチャレンジングな状況かなと思いながら、日銀のほかのボードメンバーあるいは執行部と議論を重ねる中で、できる限り適切な金融政策運営に努めてきたところでございます。  コミュニケーションにつきましては、シントラでの会議のお話、触れていただいてありがとうございました。ただ、あれは、私としてはずっと真面目に話をしていたつもりだったんですが、あるところで会場が急に笑い出しまして、私もびっくりしたというところでございます。  それを含めまして、就任以降、決定会合後の記者会見、インタビュー、あるいはこうした国会での答弁など、様々な機会を通じまして、政策決定の内容や背景の考え方について、広く国民に丁寧で分かりやすい説明を心掛けてきたところでございます。  今後とも丁寧な情報発信に努めていきたいと思っております。

勝部賢志立憲民主・社民

○勝部賢志君 まさに自然発生的に笑いが起こるなんというのは大変すばらしいことで、何か笑いを取ろうとして滑ってしまうよりはよっぽどいいのかなというふうに思いますが。  今おっしゃっておられましたけど、国民の皆さんに対してもコミュニケーション力をしっかり発揮しなきゃいけないという趣旨の今御発言がありましたんですが、そこでちょっとお聞きしたいんですけれども、日銀には、国民の声ということで、そういう、何というんでしょうか、声を届けるシステムがありまして、それに対して急激にその声の数が増えたという報道もこれございました。黒田総裁が、前任のですね、前任の黒田総裁がお務めになっていた三月は二十三件だったんですが、植田総裁が就任された四月には六十件になり、五月は六十八件と。で、今は百件を超える国民の声が寄せられているということでございます。  その、まず中身と、それからどのような、その声が、今のところ、状況になっているのかということを日銀にお聞きしたいと思います。

高口博英日本銀行理事

○参考人(高口博英君) お答え申し上げます。  日本銀行の政策・業務運営につきましては、日々国民の皆様から電話やメール等で様々な御意見が寄せられております。  植田総裁が就任した四月以降について見ますと、金融政策の見直しや円安への対応を求める御意見を中心に毎月おおむね百件から二百件程度で推移をしております。

勝部賢志立憲民主・社民

○勝部賢志君 私が認識している以上に多分それ最近更に増えているんだというふうに思うんですね。今おっしゃられたように、国民の皆さんからの声は物価高、円安に対するある意味批判といいましょうか、悲鳴といいましょうか、お願いというような、そういう声ではないかというふうに思うんですけれど。  植田総裁御自身はこの国民から寄せられた意見をじかに御覧になっておられますかということと、あわせて、その数が増加していることについてどのような認識、そして要因だというふうにお考えなのか、あっ、どのような要因があるというふうにお考えなのか、お聞きしたいと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私ども、私どもの広報活動に対する国民の皆様の関心、あるいはより直接的な政策運営に対する今御指摘いただいたような国民の皆様の御意見、これを月ごとにまとめて内部のレポートにしたものがございます。これを毎月私は読むようにしております。その中で、これも御指摘いただきましたように、六月以降特に批判的な意見も増えてきているなということ、また、その幾つかの内容についても目を通しております。  これは、言うまでもなく、日本銀行の政策・業務運営が国民生活に密接に関わっているということの証左だと思っていますし、直接的には、先ほども出ましたように、インフレ率が上がってきた、思った以上に上がってきた、円安が続いているということを反映した意見の増加かなと思っております。  こうした点を踏まえまして、引き続き日本銀行の政策・業務運営について分かりやすく丁寧に説明してまいりたいと思っております。

勝部賢志立憲民主・社民

○勝部賢志君 今おっしゃられたように、国民の皆さんの生活が日銀の政策で大きく変わるということ、以前はそんなふうに感じることが余り多くはなかったんじゃないかというふうに思うんですね。しかしながら、今まさに、これからどういう判断をされていくのか、金利をどうしていくのか、出口はどうするのかといったことを本当に国民の皆さんが注目をしている、それだけ生活が厳しいという証左だというふうに思いますので、是非その辺を踏まえて、ここで、じゃ、いつ金利を上げるんですかみたいな話を聞いても恐らくお答えをいただくことは難しいと思いますので、そういう趣旨の質問はしませんけれども、しかしながら、やはり国民の皆さんには分かりやすい説明というのが非常に大事で、先ほど消費の方も少し緩やかに回復傾向にあるとおっしゃいましたけど、実際は必ずしもそうではないなと私は実感しています。  そして、マインドというのも大事なので、これからどうなっていくのかという不安が高ければ高いほどそのマインドは、まあ下がるというか、消費は控えめになっていくことにつながると思いますので、是非その辺の説明は日常的に気を付けてしっかりやっていただけたらということを申し上げたいと思います。  最後の質問になるんですけれども、日銀の政策決定会合をめぐる事前報道、リークについてちょっとお伺いをしたいと思います。  これに関連する記事が、私二つほど目にしたんですけど、一つは、十一月二日のブルームバーグオンライン紙に掲載された「日銀決定の直前報道、情報漏れ対策を」というコラムの記事がありました。それからもう一つは、十一月十四日に東洋経済オンラインに掲載された「なぜ日銀の政策変更は事前に報道されるのか」と。まあ似たような記事なんですけれども、こういう記事がありまして、そのブルームバーグの記事から少しお聞きをしたいと思っているんですけれども、この記事には、フォワードガイダンスの見直しやYCC修正、再修正と、植田総裁から何らかの発表があった際、情報が最初に示されたのは、いずれも公の場ではなく日経新聞の紙面であったというふうに記事になっていますね。それから、海外の主要中銀の場合でも、前触れ記事などは出るんだけれども、日経の報道ほど具体的ではなく、しかも会合の開催中に記事が出るなどということは全くないと、だから日銀と日経との関係は独特だという表現がされていました。もしこれが観測気球みたいなものではなくて意図的にされているんだとしたら、これは日銀の側にやっぱりセキュリティー上に大きな問題があるんじゃないかとまで書かれていたわけです。  思い返せば、二〇一六年の一月に、金融政策決定会合では、正式発表の僅か数分前まで、まあ当時の、当時の話で申し訳ない、当時の黒田総裁が直前まで否定をしていたマイナス金利の導入が迫って、していたマイナス金利の導入について、導入が迫っているという記事が日経に出て、この衝撃は余りにも大きかったと。で、日銀もこれは捜査、調査をしたというようなことが記憶にあるわけですけれども、非常に私は問題意識を持っておりまして、この記事の最後には、ひょっとしたら、この先の大きな金利を解除する公表のときに、公式発表ではなくてメディアから情報流れる形で出すことをひょっとしたら日銀は望んでいるのかみたいな、そういう批判的な記事なわけですね。  ですから、こういうような事実があり、そして、こういう報道に対して、日銀の皆さん、特にプロパーのトップとして長らく日銀業務総体に携わってこられた内田副総裁に、どのようにお考えなのかお聞きをしたいと思います。

内田眞一日本銀行副総裁

○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。  今日御議論いただいておりますとおり、日本銀行の政策というものは国民の皆様に大きな影響を及ぼすものというふうに思っております。また、効果の波及という意味で申しましても、金融政策は金融市場あるいは金融機関行動などに働きかけることを通じまして経済、物価に波及していくものでございますので、日本銀行の考え方を分かりやすく伝えていくということは極めて重要だというふうに思っております。  そういった観点から、総裁中心でございますが、総裁を始めとしまして副総裁その他のボードメンバーが全国各地にお邪魔しまして、丁寧な御説明に努めているところです。また、国民の皆様の多くは、当然、そういう直接の機会というよりも、報道を通じて情報を取得されるというものでございますので、平素から報道機関に対しては説明を行っております。これらを基にしつつ、各社がそれぞれの見方を報道しているものというふうに認識しております。  同時に、情報管理につきましては厳格なルールを定めております。例えば、報道関係者と接触する場合には必ず複数名で対応することといたしておりまして、一人で会うということはございません。また、金融政策決定会合の二営業日前から会合後総裁の記者会見が終わるまでの間ですが、国会で御議論いただく場合は別ですけれども、金融政策あるいは金融経済情勢について外部には発言しないというルールとしております。  引き続き、日本銀行の考え方が適切に金融市場、それからもちろん国民の皆様に伝わるよう努めてまいりたいというふうに思っております。

勝部賢志立憲民主・社民

○勝部賢志君 そういうことに是非心掛けていただいて、やはり間違った報道などが出ることが一番問題だというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  最後に、本当に、先ほど総裁もおっしゃっていましたけど、非常に厳しい状況の中で就任されたということで、火中のクリを拾う覚悟で総裁になられたというふうに受け止めております。厳しい状況ですけれども、是非、日本の経済、金融をやっぱりしっかり支えた上で上向いていけるように御努力をいただけたらと思いますので、最後に今後の取組について御所見がありましたら一言お伺いをして、もう時間が来ておりますので、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

宮本周司自由民主党

○委員長(宮本周司君) では、日本銀行植田総裁、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 最初に申し上げましたとおり、チャレンジングな状況が続いておりますが、年末から来年にかけて一段とチャレンジングになるというふうにも思っておりますので、委員御指摘の情報管理の問題もきちんと徹底しつつ、丁寧な説明、適切な政策運営に努めていきたいと思っております。

熊谷裕人立憲民主・社民

○熊谷裕人君 立憲民主・社民の熊谷でございます。  植田総裁、初めて質問しますので、どうぞよろしくお願いいたします。  十一月の二十八日の日に中間報告がありました。二三年度上半期の決算で、国債の時価評価の関係で、過去最大の十・五兆円評価損という報道がなされておりますし、発表されております。日銀の方はこの保有国債の評価を償却原価法で行っているので、時価による評価損が財務面に影響を及ぼすものではないというふうにされておりますし、先日、植田総裁も、本委員会の浅田委員の答弁や、それから衆議院の委員会での答弁で、一般論として、中央銀行には通貨発行益があり、長い時間を掛けて収益を回復していくことができることや、自ら支払決算手段を提供していることから、一時的に財務が悪化しても政策運営能力に支障が生じることはないというふうに答弁をされております。  私も何とかこれ理解をさせていただいているんですけど、国民の皆さん、これを聞いて、果たしてすとんと理解ができるものなのかどうかなというふうに思っておりまして、そのように総裁は答弁をされていますけれど、バランスシートに表れていないとはいえ、実質的には今五百八十兆円超のたしか国債、簿価であると思うんですけれど、その評価損がだんだんと大きくなるのではないかという漠然とした不安があったり、国民の間に、そして投資家の間に出ると、日銀に対する信頼の低下につながる可能性は僕は否定できないのではないかなというふうに思っておりまして、植田総裁の答弁の中にも、リスクは否定できないというような一言もございますけれど、今後の金融政策の運営に当たって、円安対策のためにこの金利上昇も考えなければいけないというような状況の中で、この金利がだんだんと上昇していく局面の中で、日銀の財務面への影響、ひいては日銀に対する国民や投資家の信頼、信認というところの維持をどのように植田総裁はお考えなのか、日銀の財務状況は心配ないですと胸がたたけるような状況なのかどうか、国民の皆さんが理解できる平易な言葉で御説明をいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 既に委員御指摘いただいたところですけれども、私どもの保有する国債の金利上昇による評価損のまず問題ですけれども、これは評価方法として会計的に償却原価法というやり方を採用していますので、直接決算上の期間損益には反映されません。  その上で、長期的には、これも委員御指摘いただいたとおりでございますが、通貨発行益がずっと発生していくということで、長い目で見て、それを回復するということが収益に反映されてなくても損が減っていく、あるいは、満期が来るところで簿価でなくなっていくということで大丈夫なようになっておりますが、一般論として、中央銀行、自分で支払決済手段を提供できるということで、何らかの理由で一時的に財務が悪化しても政策運営能力に支障を生じることはないというふうに考えてございます。  ただ、そうは申しましても、私どもの財務の問題に、財務リスクの問題に何らかの理由で着目、注目が集まりまして、金融政策をめぐる無用の混乱が生じるということは避けたいと思いますので、財務の健全性にも常日頃から配慮した運営を行っているところでございます。こうした点、引き続き留意して努めていきたいと思っております。

熊谷裕人立憲民主・社民

○熊谷裕人君 ありがとうございます。  前の答弁よりかは少し分かりやすくなったのかなというふうに思いますけれど、国民の漠然とした不安、先ほど勝部委員の方からもマインドという言葉がありましたけれど、そういったところにしっかりと説明をされて、本当に日銀信頼をしていただいて結構ですというような信頼感を得られるような説明を心掛けていただければ有り難いなというふうに思います。  質問時間が短いので、次の質問に行きたいと思います。  次は、円の実力が下がっているという報道もございました。今さっき円レート調べさせていただきましたら、一ドル百四十七円前後で今取引をされております。円の実力を示すとされている実質実効為替レートは長期的にずうっと低下が続いておりまして、今年の秋には、一ドル三百六十円時代の、固定相場時代の水準と比べると過去最低の価値ということを更新したという報道もございました。一九九五年の四月と比較すると、円の購買力はそのときに比べて今現在六割も下がったというふうに言われております。  植田総裁も、これも衆議院の議論の中で、実質実効為替レートについて、日本の物価上昇率が貿易相手国よりも長期にわたって低いことが影響して低下をしている、そして、それに比べて、この二年ぐらいは対ドルで名目為替レートの低下が影響しているというふうに答弁をされていると承知をしておりますが、このような長期の円の実力低下に対して、金融政策だけで果たして対抗ができるのだろうかというふうに思っておりますし、この日本の経済の低迷状況、円の実力低下というところから脱出していくには、政府も含めて経済政策の在り方全体が問われているのかなというふうに思っております。  これから過度な円安を是正していくには、為替レートや物価のインフレ率、格差などを是正をしていかなければいけないというふうに思っておりますけれど、この点、直接総裁が述べるのはなかなか難しいと思いますけれど、我々も国会におきまして、しっかりと賃上げをしていくことに努力をしながら、この円の実力回復のために物価の上昇率ももう少し、まあ二%目標ですけれど、海外に比べるとまだまだ低い状況だと思っています。  こういったところを是正をしながら、やっぱり円の価値というものをもう少し高めていって、日本経済の低迷を脱するというところに我々も寄与していきたいなというふうに思っておりますが、日本銀行として、植田総裁として、この経済の低迷状況を脱出していくためにどのようなことをお考えなのか、お知らせいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 為替相場の水準やその評価について私の立場で具体的にコメントはなかなかできませんけれども、委員おっしゃいましたように、例えば、実質為替レートの計算の際には、あるいはその長期低落傾向の理由の一つとして、内外の物価上昇率格差というものが計算上はございます。  私どもとしましては、現在、持続的な二%のインフレ率の目標を達成するということで、金融政策、粘り強く緩和を続けているところでありまして、この話とも対応しているのかなというふうに思っております。

熊谷裕人立憲民主・社民

○熊谷裕人君 時間が来てしまいました。矢倉副大臣、済みません、予定をしていた質問できませんでしたけれど、しっかりと通告した中で御対応いただければ幸いでございます。  質問を終わります。ありがとうございます。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。  私は今日、マイナス金利の解除についてお尋ねしようと思っていたんですけれども、先ほど日銀総裁、植田総裁の御発言の中で、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で粘り強く金融緩和を継続するという御発言がありました。  ちょっと不適切な質問になってしまうのかなとは思いますけれども、今、新聞等、ゼロ金利はいつ解除されるか、好機到来とか、今の日銀総裁の御発言にもかかわらず、メディアはそういう論調で取り扱っております。  それで、私自身も、マイナス金利ということに関してマスコミにも誤解があるんではないかという、思う節がありますので、この際、そのマイナス金利ということについて明らかにしておきたいと思いますので、そういう意味から植田総裁の御答弁をお願いしたいと思っております。  申し上げましたように、マイナスの金利、日銀の、そこに行く前に、先ほど金融システムは安定しているという御発言がありました。私、日銀が十月に出した日銀金融システムレポートですか、を読ませていただいて、何か違和感あったんですけれども、先ほどの総裁の御発言と符合しているので、一致しているので、日銀はこういう考え方なんだなということを改めて感じた次第でございますけれども、気になるところが何点かありまして、金利リスクというところにこれからのシミュレーションをされているわけですね。イールドカーブコントロールのところで、スティープ化した場合と、それからパラレルシフトした場合、端だけぴっと上がるのか、いわゆる業界用語で立っているという状態にするのか、寝たままの状態ということなのかということなんですけれども、その前提として、翌日物金利をマイナス〇・一%で固定されております。ここのところだけ翌日物金利をマイナス〇・一%で固定というところが気になりました。  政策金利をマイナス〇・一%でなく、翌日物、いわゆるオーバーナイト物ですよね、の金利をマイナス〇・一%で固定しておりますけれども、これが果たして現実的な仮定なのかどうかというところにちょっと疑問を持ちますので、総裁の明快な御答弁をお願いしたいと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 委員御指摘のあのレポートでは様々なシミュレーションを、シミュレーションの結果を報告しておりますけれども、その中で、やはり委員御指摘いただいたように、イールドカーブの形状変化について大まかに二つのケースを取り上げています。一つでは、短期金利はマイナス〇・一%で固定されて長期だけが上がるというケースと、もう一つでは、両方が一%上がるというケースを念頭に置いた計算をしております。  これは、それぞれが非常に現実的と思えるからそのケースを取り上げたというよりは、恐らく現実はその両方を何かの形で組み合わせたようなシナリオになるんだと思いますけれども、そのシナリオの下でどういうことが起こるかということを想像していただくに際して、この極端なケース二つを取り上げて結果を示しておくことが役に立つのではないかという趣旨の計算でございます。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 私がお尋ねしたかったのは、これ政策金利をマイナス〇・一%に固定するんではなしに、翌日物金利をマイナス〇・一%と固定していると、ここを問題にしているんです。何で政策金利をマイナス〇・一%に固定すると言わずに翌日物金利をマイナス〇・一%に固定するのかというところを問題視しているんです。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) そこは次の御質問とも関係するのかもしれませんけれども、私、分析を担当した者、直接担当した者ではないので、担当者の気持ちが必ずしもあれですけれども、そこは短期政策金利といっても翌日物金利というふうに置いても、恐らく計算結果に大差はないという気持ちで計算をされたんだというふうに想像しております。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 ところが、総裁はそういう御発言されていますけれども、オーバーナイト物の金利をこれは毎日確認できます。日銀のホームページの一番下のところを見れば、毎日どういうものであるかというのは報告されています。今朝、さっきも確認したんですけれども、十二月五日までしか載っていなかったんですけど、十二月五日のオーバーナイト物の金利というのは平均でマイナス〇・〇一一%で、最高が〇・〇〇一%、最低がマイナス〇・〇八七%です。だから、分析された方が余り大した違いないと思ってそういう前提を置かれたんだと思いますというふうな御発言だったと思うんですけれども、マイナス〇・一%とマイナス、もう一個ゼロが付くわけですよね、〇・〇一一%、これは物すごく大きな違いが私はあると思うんですね。マイナス〇・一%ですと、百万円で千円です。一億円で十万円です。それが、マイナス〇・〇一%になりますと、百万円で百円、一億円で一万円です。だから、物すごく開きがあると思うんですね。  そこで、今申し上げました短期政策金利のマイナス〇・一%というのと無担保コール・オーバーナイト物のレートの違いを御説明いただきたいと思います。どなたでも結構です。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) お答えします。  私ども、現在、短期政策金利にしておりますのはマイナス〇・一%でございますが、日本銀行の当座預金の一部、政策金利残高と呼んでおりますが、ここに預金していただいた部分について付利をしております。まあ、付利といいながらマイナス〇・一なのはちょっと変ではありますけれども、この金利を政策金利というふうに呼んでおります。  他方で、それとは別に、日々、銀行間の資金のやり取りをしますコール市場において実際に取引がなされております。これが例えば翌日物の取引であれば翌日物、それに関わる金利が翌日物、オーバーナイトレートということでございます。こちらの方は日々動いておりまして、下はマイナス〇・一から上はちょっとプラスの間で動いているということで、概念的にも違うものですし、片方はマイナス〇・一のままですが、片方は日々動いております。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 概念的には違うものであると、これも後で確認しようと思ったんですけれども、もう御発言をいただきました。  それで、マイナス金利解除ということがマスコミ等でいろいろ報道されています。具体的に、マイナス金利解除なら十七年ぶりの利上げという報道があるんですけれども、これは正しいですか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) マイナス金利でなくなるのが十七年ぶりという御質問でしょうか。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 だから、先ほどもお答えいただいているんですけれども、私の認識として、金利が上がるというのは、アメリカのFFレートを、今五・何%ですか、それが上がるという意味と、このマイナス金利を解除するというのは概念的に違うんですね。ところが、同じように扱っている報道機関が多数あるので、非常に混乱を生じてしまっているのではないかと私は思っております。  だから、マイナス金利が解除なら十七年ぶりの利上げという報道は、僕は間違っていると思うんですね。次元を変える話ですから、だから、マイナス金利という次元から正常な次元に、異次元から、何というんかな、正常次元に戻るというんか、そういう次元の違い、次元をたがえるという意味ですので、だから、利上げという意味では間違っていると思うんですけれども、いかがでしょうか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) マイナス金利そのものということで申し上げれば、二〇一六年に導入して以来でございます。  ただ、私どもが、今後、仮にそのマイナス金利を含め、の解除を含めまして利上げをしていくという場合に、どの金利を政策金利として外に対して公表していくかという問題、どの金利を政策金利にするかという問題がございます。  その際に、例えば、現在やっていますように、当座預金に付利しているところの金利を政策金利としてそれを変えていくのか、政策金利として変えていくのか、あるいは、翌日物、オーバーナイトコール市場の翌日物金利を昔のように政策金利としていた時期がございますが、そちらの方を政策金利として動かしていくのか、こうした様々なオプション、取りあえず二つですけれども、ございます。  この点について、現時点でまだ私どもどちらが適切かということの判断をしておりませんので、今後の金融経済情勢次第で決めて、また適宜発表してまいりたいというふうに思っております。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 今の御答弁から判断すると、ある新聞に記事になりました十七年ぶりの利上げというのはこれ間違いということですよね。何か誤解しているというふうに私は今理解させていただきました。  これも報道にあったんですけれども、マイナスの金利を解除するときは、その次の〇・二五%いつ上げるとか、その次の利上げとか、そういうものもシミュレーションというか視野に入ってきて、マイナス金利を解除するというふうな御発言をされている日銀の幹部があるという表現、日銀の幹部でそういう発言をされている方がいるという報道があったんですけれども、植田総裁の頭の中も同じでしょうか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私どもが今申し上げていますのは、物価目標の達成ですね、これの見通しが立つようになれば、マイナス金利の解除、イールドカーブコントロールフレームワークの見直しということが視野に入ってくるということでございます。  そのとき、仮にマイナス金利の解除をするとしまして、その後ゼロに行くのか、〇・一に行くのか、あるいはどれくらいのスピードで〇・二五、〇・五上がっていくのか、そういうことについては、当然のことでありますが、そのときの経済金融情勢次第ということに当然なると思いますので、現時点でこういう姿であるというふうに決め打ちしたものを心の中に持っているというわけでは全くございません。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 ありがとうございます。  度々その御発言の中にもあったんですけれども、マイナス金利政策の解除というのは具体的にどういうオペレーションをされるんですか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) これは仮にでございますけれども、日銀当座預金に付ける金利、現在マイナス〇・一でありますが、これを政策金利のまま引き続き使うという中でマイナス金利を解除するということになりますれば、そのマイナス〇・一を、例えばゼロとか〇・一に引き上げるということになります。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 今おっしゃるようなオペレーションをやってしまうと、どういうのかな、こっちの、リザーブのところですよね、資産のリザーブのところがすごく膨らんでしまうので、何ていうのか、負債のね、負債のリザーブのところが膨らんでしまうので、債務超過になるのではないかという懸念があるという指摘があるんです。いかがですか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 当座預金にプラスの金利を払い出しますと、それは日本銀行にとって費用になるということは正しいと思います。  ただし、もちろん、それは全体として収益を赤字に持っていくかどうかということは資産側でどういう金利を稼いでいるか次第でございますので、例えばマイナス〇・一がゼロ、〇・一というふうになるくらいでは微々たる影響しかないというふうに取りあえず思いますけれど。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 それでは、ちょっと前へ進ませていただきます。  今御発言あったんですけれども、補完当座預金制度という制度ですよね、今、総裁御発言になりましたゼロ%のやつと、プラスのやつと、マイナスのやつがあるというのは、補完当座預金制度、これ、ゼロ金利適用、今マイナス金利適用先分がゼロ以上になるという御発言があったんですけれど、ゼロ金利適用分あるいはプラス金利適用分に関しては上がるというふうに考えていいんでしょうか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私どもその当座預金制度を、何%の、当座預金に対して何%の金利を払うかという観点から、現在の当座預金制度を見ますと、非常に複雑な構造になっております。一応三層構造というふうに呼んだりしておりますが。  これは、仮に金利を引き上げていくときにどういうふうにしていくのかという点については、様々なやはりオプションがあると思います。これについて、また同じようなお答えで恐縮ですけれども、現時点で、これでいこうというふうにまだ決めている段階ではございません。今後の経済金融情勢次第かなとは思っておりますが、そこが一つの論点である、決めなくてはいけないポイントであるということは十分認識しております。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 そのとき、その負債側の、付利に関しては日銀の負債側ですよね。で、資産に関して、だから保有国債を減らしていくとかいうお考えとセットでしょうか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 取りあえず短期の金利を、通常の経済・物価情勢から考えて短期の金利がどれくらいが適切であって、それを実現するためにどういうオペレーションをしていくかという部分については、資産サイドで持っている長期国債を長期的にどういうふうにしていこうと考えるかということとは別に考えるつもりでおります。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 分かりました。別に考えるという。  もっと具体的に、長期金利に関わってきますので、一つ、一つだけ質問させていただきたいんですけれども、マイナス金利政策が解除されますと、変動型住宅ローンの金利というのはどうなるとお考えでしょうか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 変動型住宅ローン金利でございますが、その基準金利は、現状では、いわゆる短期プライムレートあるいはその他の短期の市場金利と連動しているというふうに理解しております。そのため、一般論として申し上げれば、こうした金利が仮にマイナス金利政策の解除によって上昇すれば、住宅ローンの変動金利型の金利についてもそれに応じて変化するというふうに考えられます。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 先ほどの総裁の御発言の中にあったんですけれども、政策金利をマイナス〇・一%にするのかあるいはオーバーナイト物にするのかという判断がまずあると。だから、マイナス金利、政策金利、今のままの〇・一%だとかなり大きいですけれど、先ほど申し上げました翌日物、オーバーナイトコールがそれより十分の一以下ですから、〇・一でなしに〇・〇〇幾らですから、余りその変化はないというふうに私は思っていたんですね。  だから、政策金利というものをどっちにするかというのが非常に重要になってくるわけであって、今申し上げました住宅ローンなんかは、変動型住宅ローンも、政策金利をオーバーナイト物に近いものにするならば余り影響ないけれど、政策金利の〇・一%にするならばかなり影響があるというふうに理解しました。ありがとうございます。  間違っていますか。間違っていたら御指摘ください。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 非常に技術的になって恐縮でございますが、政策金利を将来の時点でオーバーナイト金利にするのか日銀当座預金の金利にするのかという論点があるということは、今議論させていただいてきたとおりでございます。ただ、仮にオーバーナイト金利を政策金利として選ぶということを、いう道を選んだといたしましても、そっちを上げていくためには日銀当座預金の金利も上げていかないとそういうふうにはならないということですので、というふうに考えられますので、どちらを取るかによってそれほど大きな相違があるということではないと思います。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 はい、よく分かりました。ありがとうございます。  それじゃ、もう一個質問したいことがあって、もう時間がありませんので、一つだけ質問させていただきます。  先ほど申し上げました日銀が十月に発表した金融システムレポートですね。我が国の金融システムは非常に安定しているという評価がそこではなされております。  その金融、我が国の金融システムは非常に安定している、そのよって来るゆえんは、読んでいきますと、物すごく粘着性のある預金が多いからであると。かいつまんで申し上げますと、金融資産が二千兆円以上あって、現預金が千兆円以上であると。その現預金の預金している先ですよね、だから、そこから、この国に住んでおられる多くの方々はあるところに預金してしまうとそれを動かさないと、ほとんど動かさないと。だから、物すごく粘着性のあるお金がこれだけあるんで資金調達源は困らないと、だから日本の金融システムは安定している、そういう結論なんですね。  そこから考えますと、今金融庁が旗振って貯蓄から投資へということで、NISAの枠を拡大するとかいうことを進めております。確かに、利息の付かない預金よりはそっちへ動かそうという流れがあるのも確かであるというのは理解できます。つまり、金融庁は、そういう貯蓄から、預金から、貯蓄から投資へという旗を振ることによって粘着性のお金が減ってしまうと。だから、日本の金融システムは不安定になるんではないかという思いを持っておりますけれども、この点、どういうふうにお考えでしょうか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 委員御指摘の点は重要な点と認識しております。  おっしゃいますように、例えば、有価証券等に銀行預金から資金がシフトしていくという場合に、銀行にとっての小口の個人預金が減少するという可能性はあるわけでございます。  私どもは、金融機関のリスクを評価する際に、それがこれくらいであればこういう状態、これくらいであればこういう状態、幾つか前提を置いていろんなシミュレーションはしております。  ただ、その上で申し上げれば、こうしたシフトが今後どれくらい起こるかということについては、言うまでもないことですが、様々な不確実性があるかと思います。金融機関の外へ出ていく場合もありますし、金融機関の中で預金が、利子率が相対的に高い預金に移るという場合もあるかと思います。また、そういう動きをにらんで金融機関がどれくらいの金利を付けようとするかということについても様々な可能性があるかと思います。  こうした点は極めて重要ですので、きめ細かくモニターしてまいりたいと思っております。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 片や金融庁は貯蓄から投資へという旗振っていて、だから、家計にしても企業にしてもそのポートフォリオがかなり変わっていくと。  そこで、金融システムを安定なものたらしめるためにこれだけは必要なんだというところで、何か金融庁とそういうお話はされるんですか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 金融庁とは定期的に、こうした点を含めまして、金融システム安定について意見交換はしております。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 もう時間が来てしまいましたのでこれで終わらせていただきますけれども、勝部先生それから熊谷先生の御指摘にもかかわらず、日銀総裁は極めて真摯に数字まで挙げて答えていただきましたので、皆さん方も次回からそっちの方にも焦点当てて質問されたらいいですねと、余計なお世話ですけれども、コメントをさせていただいて、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。  今日は、お手元に一枚資料をお配りさせていただいておりますが、両面になっておりまして、マネタリーベースと金利の方をお手元に置いていただきながら、今、浅田委員がやり取りをしておられた内容、興味深いと同時に、ちょっと、マーケット関係のジャーナリストの皆さんも聞いていらっしゃるでしょうから、議論が混乱しないように、ちょっと整理をさせていただきたいんですが。  政策金利は何なのかという今議論が行われていたんですが、今、日銀が政策金利と定義しているものは何でしょうか、これ理事の方でも結構ですので。その昔、私が入行した頃は当然公定歩合だったわけですね。今は、政策金利とは何ですか。

正木一博日本銀行企画局長

○参考人(正木一博君) お答えいたします。  現在、日本銀行は、長短金利操作、イールドカーブコントロールというものを採用しておりますけれども、そこでは金融市場調節方針というのを示しております。そこでは、短期金利と長期金利についてそれぞれ金利を設定しておりまして、そういう意味では、広くはこれを政策金利と呼ぶことができると思います。  短期金利のうち、日本銀行当座預金に、その政策金利残高という部分にマイナス〇・一%の金利を適用しているという仕組みでございます。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 黒田総裁の十年間を中心に、ちょっとその政策金利と政策目標金利がかなり混然一体と議論されるようになってきていると感じていましたが、今日の浅田さんと総裁の質疑を聞いていて、もう一回やっぱり整理しておくべきだろうなと思ったので、今この質問をさせていただいているんですが。  その昔、政策金利というのは、まさしく日本銀行が主体的に決めることのできる公定歩合、これが政策金利だったわけですよね。でも、今のお話だと、時に長期金利とか短期金利とか、これを、これは日銀が決められるんじゃなくて、これはターゲットにできるということですから、昔風の言い方で言えば、政策目標金利と言うべきだと思うんですが、政策金利と政策目標金利は、今、日銀の中では分けておられないんですか、それは同じものとして議論しておられるんですか。

正木一博日本銀行企画局長

○参考人(正木一博君) お答え申し上げます。  委員御承知のとおり、日本銀行は、例えば貸付けの基準金利を設けたり、あるいはオーバーナイトレートの誘導目標を設けたり、その時々での政策を進めていく上での金利を示しております。それは必ずしも単一のものではなくて、複数の場合もございます。  何が政策金利という定義を何か明確にしているわけではありませんで、現在であれば、例えば、基準貸付金利は例えば〇・三%でございますし、長短金利操作の下での政策金利残高に付するものはマイナス〇・一%でございまして、ただ、委員御指摘のとおり、以前の、以前といいましてもかなり昔でございますけれども、貸付金利の公定歩合を政策金利と呼んでいたところもありますが、九〇年代後半以降は、無担保コール・オーバーナイトレートを誘導するレンジを政策金利と呼んでいた時期が長うございました。  その後、二〇〇八年からは補完当座預金制度を導入したことで、その適用金利という概念もできましたし、さらに、マイナス金利政策の導入以降は、その政策金利残高に付する金利というものも採用しているわけでございまして、なかなか、済みません、何がこの単一の政策金利かということが何か明確な定義があるわけではないというのが事務方としての認識でございます。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 なるほど。ちょうどマーケット自由化の局面で私はずっと営業局にいましたので、時にこれは手形金利であった時代もあるわけですよ。  だから、今の局長のお話聞いていて、今現在の事務方の皆さんの認識としてそうだというのは分かりますけれども、経済担当の記者さんたちも含めて、そこは日銀の皆さんの認識と報道をする記者さんたちと、それから議論をさせていただく我々と、これ認識を共有しておかないとずれちゃうんですね。それがさっき浅田さんと総裁のお話聞いていても、総裁は、今、超過準備預金の部分のマイナス〇・一付利している、これを政策金利というふうにおっしゃったんですけれども、非常に興味深いのは、その政策金利を何にするかということを今後変えていく可能性があるというふうにおっしゃって、あっ、これは出口戦略としてそういう工夫も考えておられるのかなと思って、非常に興味深く聞かせていただいたんですが、そうすると、政策金利、総裁のおっしゃるところの、今日のおっしゃったところの政策金利、その対象が変わっていくということを言っておられるわけなんですが、マイナス〇・一の付利は、さっき申し上げた昔の公定歩合と同じように、これは日銀が主体的、能動的に決められるものなんですよ。ところが、今、正木さんがおっしゃった部分は、もちろん指し値オペとかで一定の水準を、市場金利を強引に実現することは可能かもしれませんけれども、しかし、これは相手のある話なので、やっぱり主体的、能動的には決め切れない、一〇〇%は。  だから、やっぱり僕は、今日のお話と今の局長の答弁聞いておりまして、政策金利と政策目標金利というのを、これちょっと、ちゃんとよく定義をしていただいて、使い分けたメッセージとか使い分けた議論をしていただかないと、これからまさしく出口戦略を模索する過程で予想外の混乱を招きかねないんじゃないかと思います。  この点について、総裁、今、私は浅田さんの質疑を受けて質問させていただいているんですが、今の私の問題意識に対してはどのようにお考えですか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 先ほども出てきましたが、仮に金利を上げていく局面になったときに短期の政策金利として何を選ぶかということに選択のオプションがある。その場合に、現在と同じように当座預金に付利する金利を政策金利として使い続けることも可能ですし、オーバーナイトレートの方を政策金利にするということも可能かと思います。  後者の場合は、委員おっしゃいますように、委員の定義に引き付けて申し上げれば、政策目標金利に近いようなやり方になると思います。そういうふうに変える場合は、当然のことながら、きちんとした説明をしつつ変えていくということになるかと思います。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 今、政策金利という、金利という単語が付いていたので、政策目標金利って、こっちにも金利付けさせていただいたんですが。  まあ最近の最先端の金融学会の議論は聞いておりませんけれども、その昔は、中間目標、最終目標という言い方もしていましたよね。その中間目標、最終目標、これ、中間目標は金利じゃなくて物価水準であったり、そして最終目標は何なのかというと、これはやっぱり物価なのか、あるいは最終目標としてはGDPなのか分かりませんけれども、つまり、金利とか日銀が操作するものは目標ではなくて政策手段だという、こういう区分けをしていた時代もあるんですが、ずっとこの委員会に置いていただいて、特にやっぱり黒田さんの十年間で、良く言えば融通無碍な御答弁の中で、やっぱりその辺の定義が共有できないで議論がかみ合わない時期が随分長く続いたような気がします。  だから、金融政策運営における目的と手段は何なのかということ、それから、中間目標とか最終目標といったときにそれは何なのかということ、さらに、政策金利と政策目標金利というふうに言い換えたときにそれはどういうことなのかと、それから、政策目標金利という、金利を付けなくても、政策目標というのはさっき申し上げたように物価水準であったり、ほかの、今でいうと、今お手元のグラフのこのマネタリーベースなんかも、これは政策目標になり得るわけですよね。  だから、ちょっと、ここから先の日銀の皆さんの政策運営や国会における報告あるいは御答弁は、今るる申し上げたようなことをちょっと意識して御答弁いただけると出口に際しての混乱が少なくなるかなというふうに思いますので、若干付言をさせていただきました。  ということで今日の質問に入らせていただきますが、もうあんまり時間がなくて恐縮なんですが、総裁ももう御就任から大分たちましたけれども、就任前に想像していたよりも困難だと感じている点、就任前に想像していたよりは困難ではないと考える点、その今の日銀総裁としての置かれている状況で、それぞれどういうふうに感想をお持ちですか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 想像していたよりも易しいというふうに感じている点は、残念ながら余り思い付きません。難しいというふうに感じている点を一つ代表的に申し上げれば、やはり消費者物価の上昇率を目標にしているわけですけれども、それが総合では目標の二%を大幅に上回っている、しかし、私ども、ずっと基調的にはまだ二%を下回っていて、したがって金融緩和を続けていかないといけないという説明をしてまいっております。  この、全体では二を大幅に超えていて、こっちは当然下がっていかないと困るわけですが、しかし根っこはまだ二を下回っていて、これは上がっていかないといけない。この非常に、ギャップをどう説得的に説明するのかというのは非常に難しいことでありますし、できる限り努力してきたことではございます、まだ足りないと思いますが。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 非常に御心情がよく分かりましたけれども、まさしくブレーキとアクセルを同時に踏みつつ定常状態に持っていくということを今御苦労しておられるわけなんですが、ただ、多分、国民の皆さんの一般的な感覚では、基調的にはまだ二に達していないという、これはよく分からないと思います。  多分、国民の皆さんは、日々スーパーに行って買物したり日々生活しておられる中で、ガソリン代も高い、にもかかわらず、今総裁がブレーキとアクセルを両方踏んで御苦労しておられるのは理解できますけれども、基調的にはまだ二に達していないというのは一般的には多分なかなか理解が難しいと思うんですが、この基調的には二に達するというのはどういう状況だとお考えですか。改めて定義をお伺いします。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 基調的二が達成された状態というのは、経済に対して新たに何かマイナスのショックが起こるということがなければ二%のインフレ率のところでぐるぐると、まあ賃金の上昇率はそれより少し上で、ぐるぐると経済が回っていける状態ということだと思います。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 今日のところはそういう御定義でいいと思いますが、ただ、やっぱり非常に分かりにくいと思いますね。それが分かりにくいがゆえに、あるいは、やっぱり、全体としては今現に二%を超えているという表現を総裁されましたけれども、それでも金利を上げられないというのは、さっき浅田さんがおっしゃったような、日銀の財務に対する懸念とか、それから金利を上げることに伴うマーケットの予想外の混乱、これは私が申し上げた、融通無碍に答弁をしてこの十数年国会を乗り切ってきた日銀総裁なんですが、そのことが非常に議論がかみ合わない、言わば、ちょっと適切な表現が思い浮かばないんですが、議論が液状化しちゃっているような、こういう状況が今現在なんですよ。  だから、総裁の就任前より難しいと思われた点というのはよく分かりましたので、今後そこが、液状化を、少し土台をしっかり固めて議論がかみ合う状態にして、国民の皆さんが基調的には二を上回っていないということが理解をしていただけて、だから日銀はこんなに内外金利差があるのに金利はまだ上げられないんですっていう、そこまですとんと落ちればすばらしいことだと思います。  もう時間もありませんので発言だけして終わりにしますけれども、また次の機会には、今日、お手元のそのグラフ、裏面には株価とマネタリーベースを重ねてありますけれども、結局、過去のレビューをしないと、今後あと四年三か月のかじ取りも的確にやり切れないと思いますので、過去のどの局面の金融政策運営が失敗というか、その後にマイナスの影響を与えてこの失われた三十年につながる要因となったのか、この辺りはまた改めて議論をさせていただきたいと思いますが、是非、総裁におかれても整理をしていただけると有り難いと思っております。  終わります。

小池晃日本共産党

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。総裁、よろしくお願いいたします。  総裁、九月三十日に、大規模金融緩和の出口局面での中央銀行の財務、金融政策について講演を行われています。その講演の中で総裁は、出口で中央銀行の収益や資本の減少をきっかけに中央銀行への信認が低下すれば金融政策運営には悪影響が生じると、そして、幾ら赤字や債務超過になってもよいということではない、中央銀行の財務リスクが着目されて金融政策をめぐる無用の混乱が生じる場合、そのことが信認の低下につながるリスクがあると、日本銀行としては、こうした考え方の下で財務の健全性にも留意しつつ、適切な政策運営に努めていきたい、こう述べられました。  総裁おっしゃるとおりで、やっぱり日銀の信認の低下が起きるようなことになれば、これは日本経済にも重大な影響が生じるわけであります。  この講演の中で総裁は、対外的なコミュニケーションの重要性ということに言及されていらっしゃいます。出口局面で実際に日銀の財務は一体どうなるのか、やっぱり、日銀は国民に対してやっぱり今後の見通しを適切な形で説明する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) それは委員おっしゃるとおりかと思います。  ですので、今御指摘、言及いただきました講演では、一般的な話としてですが、出口局面で中央銀行のバランスシートあるいは収益にどういうことが起こるか、そこをどういう条件が規定していくのかということについて論点整理を行わせていただいたところでございます。

小池晃日本共産党

○小池晃君 これ、もちろんいろんな考慮をしなきゃいけない変動要因はあるとは思うんですね。ただ、やっぱりそういったことを前提を置いた上で、今後の見通し、私は率直にいいことだけじゃなくて悪いことも含めて国民には示していく必要があるんじゃないかと思うんですね。  その点で、総裁、いずれの中央銀行も、海外の例ですね、機会を捉えて丁寧な説明に努める姿勢がうかがわれるというふうにもおっしゃっています。  総裁が講演の中で指摘されているイングランド銀行、これホームページのことについても講演では触れられておりますが、このイングランド銀行のホームページ見ますと、四半期ごとに出口での財務状況のシナリオを詳細にこれ公表をしています。  十一月三日発表の最新の報告、今日は資料でお配りしておりますが、これでは、二〇二二年の十―十二月期から現在まで四四半期連続で損失が発生しているということを公表しております。さらに、報告では、三四年までの資産購入制度のキャッシュフローの予測をグラフで示しておりまして、これがそのグラフなんですね。これ見ますと、幾つかのシナリオを挙げて検討しているんですけど、累積キャッシュフローがマイナス五百億ポンド、マイナス九十兆円、それからマイナス千三百億ポンド、マイナス二百三十兆円になるというふうにしているんですね。  総裁はこれまでの国会の審議の中で、いろんなシミュレーションをやっていますと、金融政策を正常化していった場合に日銀の財務にどういう影響が及ぶのかというシミュレーションを内部でたくさんしていますというふうに御答弁されています。  私は、幾通りかのシナリオを含めて国民が納得できて市場も不安なく対応できるようにするためには、内部でシミュレーションをやっているだけではなくて、まあ、それそのままってならないかもしれませんが、適切な形でこれを開示していく、そしてやっぱりコミュニケーションを図っていくということが今後の重要課題ではないか。その点で、イングランド銀行がやっているようなことも参考にしながら、やっぱり日銀も適切なコミュニケーションということを行っていく必要があるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) ちょっと抽象的な言い方で恐縮ですけれども、私ども、先ほどの議論にも出ましたように、現在用いている政策手段のようなものが複数ございます。短期の金利、長期の金利、それから国債のオペ、ETFの購入、更にベースマネーについて一応ある種のコミットメントをしたりしております。  たくさんある中で、どれをどういうふうに仮に出口が来たときに動かしていくべきかというのは非常に難しい問題で、出口が近づいたときの、繰り返しで恐縮ですが、経済金融情勢次第という面がございますし、他方で、外の中央銀行のことをお話しして恐縮ですが、イングランド銀行含めまして、シミュレーションの姿を割と具体的に出している場合は、その出口の周りでどういう戦略でいくかということがある程度固まったところで数値的なものも出していくということであったかなというふうに理解しております。  ですので、今ちょっと、そういうことに進むにはちょっと時期尚早か、あるいは、生煮えのものを出してしまいますとかえって市場とのコミュニケーションに支障を来すというようなことを考えて、一歩控えた姿勢を取ってございますが、一昨日、三日前ですか、月曜日に開催いたしました、今実行しております政策のレビュー等では、私の講演よりもまた一歩進めた形で、こうした話について内外の有識者との意見交換をしたりもしております。

小池晃日本共産党

○小池晃君 おっしゃっていることの意味もよく分かるんですね。一定、ちょっともう少し見えてこないと今の時点ではなかなかやっぱり困難であると、むしろ混乱をということは理解はできるんですが、やっぱり私は、その出口ということになってきたときに、今後の課題としては、より具体的、積極的な情報開示ということを将来の課題としてはやはり考えておく必要があると思うんですが、その点はいかがでしょうか、

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) もちろん、出口出口と余り現時点で言う状況ではないかもしれませんが、そこに至ったときに、スムーズに行けるためにはその前、少し前から様々な情報を私どもから開示していって、皆様にもスムーズに対応していただけるように努力したいとは思っております。

小池晃日本共産党

○小池晃君 これは今後非常に大事な課題になってくるのではないかなと思います。  これまで世界多くの中央銀行が手じまいして金利の引上げ踏み出しておりますが、日本でも必ずそういう局面はやってくる。その際に発生する日銀の財務コスト、これはひいては政府、国民が負担しなければいけないコスト、これはやっぱりイギリスの例に倣って、今からでも正面から見据えて、その対応策を事前に確立すると。これはもう日銀だけの課題じゃないと思います。財務省、そして国会も含めて、やっぱりそういったことを考えておくというのが責任ある対応ではないかということを指摘しておきたいというふうに思います。ちょっとこの問題は、またいずれ改めて議論させていただきたいと思うんです。  ちょっと残った時間、インボイスのことをお伺いしたいんですが。  ストップインボイス、インボイス制度を考えるフリーランスの会が行った実態調査で、回答者の半数が制度について相談できる人がいないというふうに答えています。今本当に大混乱が現場では起こっておりまして、この調査でも三千件に及ぶ声が寄せられています。財務省にも実態調査、これ届いていると思いますが、どう受け止めていらっしゃいますか。

矢倉克夫公明党財務副大臣

○副大臣(矢倉克夫君) お答えいたします。  インボイス制度につきましては、中小・小規模事業者の方を始め、様々な不安や悩みを抱えていらっしゃるということをよく認識もしておりますし、御指摘の点、非常に重要な課題であるというふうに理解もしております。  今挙げていただきました十一月十三日に財務省に届けられた要請書、その中の緊急意識調査等におきましても、御指摘のとおり、相談先がない、相談窓口が不足している、取引先等が不当な扱いを受けているといった指摘がなされていることも私も拝見もいたしました、承知をいたしているところであります。このうち、相談窓口の不足に関しましては、引き続き関係省庁で連携をして各種相談窓口の周知に取り組むとともに、国税庁のインボイスコールセンターについて相談体制の拡充を進めているところであります。  また、取引先等からの不当な扱いについては、免税事業者からの仕入れに関する経過措置の周知、広報に加えまして、公正取引委員会等による監視といった取引環境の整備等についても引き続き取り組んでいくこととしております。  今後とも、御指摘も踏まえ、また制度の施行状況等をフォローアップしつつ、事業者の立場に立って一つ一つの課題にしっかりと対応してまいります。

小池晃日本共産党

○小池晃君 ちょっとその点で一点具体的なことをお伺いしたいんですが、インボイス実施から三年間は、消費税の計算上インボイスを必要としない少額特例、それから納税額を売上げに係る消費税の二割に抑える二割特例、これが創設されました。  令和四年中に免税事業者からインボイス発行事業者になった方で、インボイス登録申請書のほかに消費税課税事業者選択届出書、これを提出していた場合、これ、インボイス実施前に課税業者を選択していたということになってしまって、このままでは二割特例を受けられなくなると聞いています。こうした人たちが特例の対象になるために今年中に手続をしなければならないと聞いていますが、どういうことか、そのことをどうやって周知しているのか、お答えください。

星屋和彦国税庁次長

○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、インボイス発行事業者の登録申請書と消費税課税事業者選択届出書を令和四年中に提出しております免税事業者である個人事業者の方が、令和五年中、令和五年分の申告におきまして二割特例の適用を受けるためには、法令上、その課税期間の末日、すなわち令和五年十二月三十一日までに消費税課税事業者選択不適用届出書を提出する必要がございます。したがいまして、令和五年中に当該届出書を提出していない場合には、令和五年分の申告について二割特例は適用できないことになります。  国税庁におきましては、こうした状況になり得る全ての事業者の方に対しまして、二割特例の適用に係る必要な手続等について留意事項をお知らせする書面の送付や電話による個別接触を行っているところでございまして、このほか、税理士の方へは日本税理士会連合会を通じたお知らせを行うなど、様々な手段で周知あるいは注意喚起をしているところでございます。  引き続き、事業者の立場に立って丁寧な対応をしてまいりたいと考えております。

小池晃日本共産党

○小池晃君 これ、個人でいうと五千件程度あると聞いているんですね。そこに今一生懸命電話を掛けていらっしゃるということなんですけど、そういう事態になっている。  一方で、令和五年中に免税事業者からインボイス発行事業者になって課税事業者選択した場合、これは二割特例を適用するにはどうしたらいいんでしょうか。

星屋和彦国税庁次長

○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。  免税事業者である個人事業者がインボイス発行事業者の登録申請を行った上で令和五年中に消費税課税事業者選択届出書を提出した場合には、その効果は令和六年一月一日から生じるため、令和五年の申告につきましては他の要件を満たす限り二割特例を適用することができるということでございます。  また、二割特例の適用に当たりましては、事前に届出書等の提出は必要ございませんで、確定申告の際に申告書に二割特例を適用する旨の付記を行うことでその適用を受けることができるということでございます。

小池晃日本共産党

○小池晃君 二割特例欄にチェックして丸付ければそれで二割特例が受けられるわけですね。  私は、令和四年中にインボイス登録した人というのは、ある意味ではすごく真面目に、財務省が提起した問題をもう一刻も早くやらなきゃいけないとやった人たちだと思うんですよ。そういう人たちが逆にこういう事態になっているというのは、このままでいいんだろうかと思うんですね。  だから、やっぱり令和四年中に手続した人も同じくやっぱり二割特例欄にチェックすればいいというふうにすればいいと思うんですが、いかがですか。

星屋和彦国税庁次長

○政府参考人(星屋和彦君) お答え申し上げます。  繰り返しになりますが、インボイス登録申請書と消費税課税事業者選択届出書を令和四年中に提出している免税事業者である個人事業者が令和五年分の申告において二割特例の適用を受けるためには、法令上、その課税期間の末日までに消費税課税事業者選択不適用届出書を提出する必要があると定められております。  したがいまして、消費税課税事業者選択不適用届出書を提出しなかった事業者の方につきましては、申告書の二割特例欄にチェックをしたとしても、令和五年分の申告段階で二割特例の適用を認めるといった対応は現行法令上はできないということでございます。御理解をいただきたいと思います。  国税庁におきましては、こうした状況で意図せず二割特例の適用を受けることができなくなる事業者が可能な限り生じないよう、様々な手段で周知あるいは個別の注意喚起を行っているところでございまして、引き続き事業者の立場に立って丁寧な対応をしてまいりたいと思います。

小池晃日本共産党

○小池晃君 いや、可能な限り生じないといったって、生じちゃうわけですよ、これ。漏れる人が出てくるだろうと私は思いますよ。だから、法律そうなっているからしようがないと、これ以上ちょっと国税庁に言っても、それは法律そうなっているからしようがないという話だと思いますが、僕はやっぱりこれは何らかの救済策というのを政治の判断ででもやるべきではないかなというふうに思うんです。  結局、これは何でこんなことになっているかというと、インボイス反対の声がわあっと起こったから少額特例とか二割軽減やることにした。しかし、それを後からやったもんだからこういうことが起こっているわけですよね。制度は複雑になる。実際に、インボイスの問題では、一方的な値引き、単価の切下げ、仕事の打切り、様々起こっているわけですよね。  私は、今回の問題は一つの矛盾の大きな現れだと思いますが、こういうインボイスはきっぱり中止すべきであるということを改めて申し上げて、質問を終わります。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 参政党の神谷宗幣です。総裁に初めての質問になります。よろしくお願いします。  昨年の十一月にもこの委員会で黒田総裁に質問させていただきました。当時も急激な円安が進んでいて、今と同じ一ドル百四十五円程度の相場でした。当時の日銀は金融緩和継続を表明されていましたので、その理由を黒田総裁に尋ねますと、経済の回復が十分でない中で金融引締めをやると、実質金利が上がり、企業の資金繰りが苦しくなり、設備投資にマイナスの影響を与え、住宅ローンにも影響を与え、消費が冷え込むからだというふうな回答でした。  今日は植田総裁にも同じ質問をしようと思ったんですが、もう先ほどの文書の方で表明もされておりましたので、金融緩和継続するということは理解したんですけれども、十月にイールドカーブコントロールにおける長期金利の一%超えを容認したことですとか、あと、日銀が二〇一〇年に金融緩和政策の一環として開始した不動産投資信託、J―REITの購入が今年は一切行われていないこと、それから、同時に始めた上場投資信託、ETFの買入れも大きく減っていることから、金融緩和政策の終了が近いんじゃないかという市場の声もあります。  その金融緩和は継続ということなんですけれども、それはまだしばらく確実に継続なのか、それとも何か大きな経済的な変化、改善があれば、出口を求めて利上げを検討している状態での継続なのか、その辺りの総裁のお考え、感覚をお聞かせいただきたいと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私どもは、ちょっと繰り返しになるかもしれませんが、現時点では、二%の物価安定の目標の持続的、安定的な実現を十分な確度を持って見通せる状況にはなお至っていないというふうに考えており、その下で粘り強く金融緩和を継続しております。したがいまして、これが変化する場合という御質問ですと、その物価安定目標の実現が十分な確度を持って見通せる状況になったときということになります。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 ありがとうございます。  では、もう少ししっかりと状態を見ながら継続を続けていくと、金融緩和継続でいくというふうな御趣旨なのかなというふうに私は受け取りました。  続いて、少し副大臣にお聞かせいただきたいと思います。  このように植田総裁はおっしゃっているわけですけれども、これ、日銀が金融緩和をしているうちに日本経済の需要の喚起がしっかりできないと、昨年の黒田総裁がおっしゃっていたように、中小企業やローンを抱える国民の資金がショートしてしまって、極度な円安の中でまた外国資本にいろんなものが買われてしまうというふうな事態になることが想定されます。せっかく金融緩和をしているのに、先ほど小池委員からありましたインボイスを導入したりステルス増税をしたりしていると、国民はお金使いたくても使えないんですよね。金融緩和政策の出口を探らなければいけないというふうな声もあります。  そういう今だからこそ、国民に分かりやすく、お金を使おうと、国民がお金を使おうと思えるような減税政策が必要だと、もう口を酸っぱくしてずっと要望しています。今やらずにいつやるのかというタイミングだと思いますが、来年六月の所得税減税以外に、ほか減税等は何も検討されていないのか、お考えをお聞かせください。

矢倉克夫公明党財務副大臣

○副大臣(矢倉克夫君) 国民の需要を喚起し、そのために国民生活を守り安心を与えるという点は重要であるというふうに思います。  その点に関しまして、今御指摘の点、今現在、与党の税制調査会において所得税や個人住民税の定額減税のみならず、各種の税制措置について議論がなされているものと承知をしております。そのため、検討状況についてはコメントは差し控えたいと思いますが、政府といたしましては、引き続き与党と緊密に連携をしてまいりたいと考えております。  なお、いわゆるトリガー条項の取扱いにつきましては、与党と国民民主党との間で協議をされていることになったというふうに承知をいたしているところです。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 ありがとうございます。  これも繰り返しになりますけれども、やはり今のタイミング、すごく大事だと思いますので、是非検討をお願いしたいと思います。そういった減税と併せまして、政府の積極財政で確実な需要をつくることも再三要望しています。  先日、スタートアップの支援の話、鈴木大臣が一つ例として挙げていただきましたが、確実な需要をつくることがスタートアップを誘発するのであって、スタートアップを支援したから経済が活性化するというのは順番が違うんだろうというふうに思っています。五年間で四十三兆円の防衛費の拡充、十年間で百五十兆円のGX投資といった政策も挙げられていますが、どちらも国民の生活からは少し離れた予算の使い道ではないかなというふうにも感じます。  あくまで、今から言うのは例ですが、例えば、減少している食料自給率ですね、今の倍の七〇%に引き上げるという目標を立てて一次産業を支援するですとか、欧米がやっているような政策をモデルに、国内の生産物を政府が買い取って安価で国民に供給するとか、そういったものが検討できないのかなという考えを持っています。  ほかにも少子化対策、教育支援という点でいうと、もう面倒な所得制限などは掛けずに、五年間の限定などでいいので、ゼロ歳から十五歳までの子供に月十万円分、一年間の有効期限の付いた教育、子育てクーポン、若しくは電子ポイントなどを提供して、食費や医療、子供の習い事、不登校の子供たちの学費などに使ってもらうというふうな政策を打てないでしょうかと。子育てには必ずお金掛かりますし、こういったもの、有効期限付きですから貯蓄に回すこともできません。で、五年間試験的にやってみて、経済効果や出生率の変化がなければ、廃止する、停止する、変更するといったことも柔軟にやればいいと思います。  今現在、子供の数、ゼロ歳から十二歳で約千二百万人です。一人当たり年間百二十万円配るとして、年間予算は約十四兆円。五年やって七十兆円ですから、コロナの対策のときに三年間で百兆円使えたということを考えれば、出せない額ではないというふうに考えます。OECDの諸国に対して、日本の教育予算、かなり低いわけですから、財源は未来への投資というふうに捉えて教育国債というものを発行するということも検討できるかと思います。  二つほど言いました。あくまで例です。突拍子もない提案に聞こえるかと思いますが、このぐらいインパクトのある、えっ、そんなことをやるのかということを政府提示しないと、国民、なかなかお金使おうというふうに思わないんじゃないかなというふうに考えています。国民の消費行動を大きく変えるような財政出動について、副大臣のお考え、政府の考え聞きたいと思います。

矢倉克夫公明党財務副大臣

○副大臣(矢倉克夫君) ありがとうございます。  今委員からも様々あったところでありますが、個人消費の増加というところであるかというふうに理解もいたしました。こちらの個人消費の増加につながる消費行動の変化をもたらすためには、国民所得の伸びが物価上昇を上回る状態をつくることが必要であると考えております。  そのため、今般の経済対策におきましては、足下の物価高から国民生活と事業活動を守るとともに、長年続いていたコストカット型の経済、こちらからの脱却を図り、構造的な賃上げと攻めの投資によって、消費と投資の力強い循環につなげるため、必要と考えられる政策をお示ししているところであり、まずこちらを着実に実行してまいりたいと考えております。  そのために大事なことは、経済成長と財政健全化の両立、これをしっかりと取り組んでいくことであるというふうに考えておりまして、そのためにも今後の予算編成に当たりましては、例えば野方図な財政出動が市場からの財政の持続可能性に対する信認が低下することのリスク、また国民生活に悪影響を与える可能性などもしっかり考慮しながら、骨太二〇二三にありますとおり、歳出構造を平時に戻していくとともに、緊急時の財政出動を必要以上に長期化、恒常化させないように取り組みつつ、潜在成長率の引上げや社会課題の解決に重点を置いためり張りのある、めり張りの利いた予算編成、これをしっかりと行ってまいりたいと思います。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 ありがとうございます。  すごく理屈はよく分かるですし、まあそうなんだなというふうに思うんですが、それでやってきた結果が今ですので、少しやり方を変えていかないといけないんではないかというふうに思っています。  確かに所得上がらないといけないですし、それ大賛成なんですけど、所得がちょっと上がったからといって国民がすぐにマインド変わるかというとそういう状態でもないかなと思いまして、あっ、これは今使わなきゃいけないお金だと、ポイントだというふうなものですとみんなやっぱり使うので、そういった形で国内の需要を喚起するような、そういった仕組みを政府に提案していただきたいと改めて要望しておきます。  再び、植田総裁にお聞きしたいと思います。  金融緩和続けるということでした。もうこれも繰り返しになると思いますのでこの点は簡単でもいいんですけれども、どういう条件がそろえば金利を上げていこう、引き締めていこうというふうにお考えなのかということと、それからあと、こういった視点もあります。日銀が保有する国債は、満期まで保有することを前提にして償却原価法で処理していて、先ほどほかの委員からもありましたけれども、時価評価になっていないということです。時価評価をすると、今年の金利上昇に伴う国債価格の下落により、含み損ですね、日銀の含み損が二〇二三年の三月末の千五百七十一億円から直近では十兆五千億円というふうに変化してきていて、日銀の自己資本の十二・七兆円に近づいてきていることを問題視する声もあります。  今後の国内金利の上昇があると、将来的にムーディーズなどの海外の格付機関が日本の国債の格下げをするということも想定できるんですが、そういったことが起きた場合の影響なども総裁は考えておられるのかどうか、そういった辺りのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) お答えいたします。  まず、どういう条件がそろった場合に金利引上げかという部分については先ほどもお答えいたしましたが、やや繰り返しになりますが、私どもの物価安定目標の持続的、安定的な実現が見通せる状況になれば、マイナス金利の解除、イールドカーブコントロールの撤廃の可能性を検討していくということになります。  こういうふうに、金融政策は二%の物価安定の目標を実現し、これを安定的に持続するという観点から行っていきます。その上で、日本国債に対する信認について、一般論として申し上げれば、やはり政府が中長期的な財政健全化について市場の信認をしっかりと確保してくださるということが重要であると考えております。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 ありがとうございます。  二%という数字出ているんですけど、先ほど大塚委員の方からもありましたけれども、実質は二パーよりも落ちている、でも、そこが不明瞭なわけですよね。だから、その辺のところが、もう少し具体的にこういう条件がというふうなことを言っていただけると国民も市場関係者も準備ができるのかなというふうに思いますので、またもう少し次回のときは別の説明で分かりやすく説明していただければというふうに思います。  それから、こちらのムーディーズの方なんかは、我々の党からすると、そこを気にしてやってもしようがないんじゃないかというような考え方もあるんですけれども、ただ、こういったことにすごく気にしてやっていらっしゃる方もいらっしゃるので、その辺のところに対してもいろんな発信をしていただければというふうにこれも要望しておきます。  最後に、今後も為替相場の変動続くと予想していますが、日銀としては、今後の経済を分析したときに、いろいろ予想したときに、円高と円安、どちらの方がこれからの日本にとってメリットがあるのか、その辺の分析をお聞かせください。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 私どもいろいろ日々分析しておりますが、為替相場が経済に及ぼす影響、これは業種あるいは企業規模、経済主体によって様々であるということが出てまいります。  例えば、円安は、理屈上はインバウンド消費を含む輸出の増加要因になり、グローバル企業を中心に企業収益に好影響を及ぼす面がございます。一部の中小企業もインバウンドでプラスの影響を受けるということがあるかと思います。一方、円安は、輸入物価の当然上昇を通じまして家計の実質所得を下押ししたり、内需依存度の高い非製造業や中小企業の収益にマイナスに作用する面もあると思います。  日本銀行としては、政府と緊密に連携しつつ、引き続き為替市場の動向や経済、物価への影響を十分注視してまいりたいと考えております。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 今、日本のドル換算での名目GDPがドイツを下回って四位に転落する見通しであるとIMFが予想を出しています。じりじりと日本の経済が衰退していく中で、国民どうしていいか分からない状況だと私たちは捉えています。日銀は規制緩和するのでお金を使ってくれというふうにアクセルを踏む一方で、いつも言うんですが、政府は増税と緊縮でお金を使えないようにブレーキを踏んでいるように感じます。  アベノミクスでは円安政策だというふうに言っていたんですが、さすがに百五十円ぐらいまで来ると、外国頼みの食料やエネルギーが高くなり過ぎて国民の生活が苦しいと。今の総裁の答弁聞いていても、円安、円高、どっちにもメリット、デメリットあるのでよく分からないというふうなふうに捉えます。  政府と日銀の方針が本当に一致しているのか、アクセルとブレーキなのかというのが本当に分からないんですね。私、国会議員やらせていただいてこういうところにいてもよく分からないし、普通の国民はもう全然分からないと思います。分からないから、お金使ってと言っても使えないですね。企業も設備投資できませんし、これ政府が投資を国民に促すと言っていますけれども、どうなるか分からないからやっぱり現金で持っておきたいという人多いと思うんですよね。  ですから、これ、今のまま様子を見ながら様子を見ながらだと、結局分からないまま、みんな不安のまま今の現状が続き、また、外圧で金利上げろとか言われて急にぽんと上げると、国民干上がってしまって、またいろんなものがショートして外国にいろいろ買われるというふうな形が過去にもありましたので、やはりもう何らかの方針決めて、こっちの方向で一致団結で行きませんかというふうに決めるのがこれ日銀の皆さんとか財務省の皆さんのお仕事だと思っていて、様子見ながら考えますだと、国民どっちに行っていいか分からないですよね。  ので、やはりその辺のところをもうそろそろ、出口戦略でもいいですし、時に痛み伴うということも必要かもしれませんけれども、方針決めてもらわないと我々どうしようもない、それに対して意見も言えない。考えます、様子見ます、どっちもメリット、デメリットありますという答弁では、もう一向にここでやっている議論が国民の生活に直結していかないので、是非方針を決めていただいて、国民と企業がしっかりと国内でお金を使えて、資産を増やせる状況をつくっていただきたい、御提案をいただきたいということを強く要望して、質問を終わります。

堂込麻紀子各派に属しない議員

○堂込麻紀子君 茨城県選出の堂込麻紀子と申します。  本日は、日本銀行総裁、植田総裁に初めて質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず初めに、黒田前総裁の残した課題への対応ということで、前総裁の話で恐縮ではございますが、黒田前総裁はマネタリーベースを二年間で二倍というふうに、就任当初から、ある意味デフレ脱却には意欲的な、具体的な方針を示すなど、異次元緩和とも呼ばれる金融緩和に踏み切られました。その後も、様々政策修正を重ねながら、任期が二年、二期ですね、十年もの長きにわたって緩和を続けてこられたというところです。  こうした異次元の緩和について、植田総裁がそこでプレッシャーを様々受けながら総裁に就かれたわけですけれども、実質金利の引下げを通じて企業収益や雇用の改善などに貢献し、デフレではない状況をつくり上げたというふうに評価をされております。国債市場の機能低下、金融機関への影響など、長期にわたる緩和の副作用も多く指摘されているところであります。  植田総裁御自身も日銀が保有するETFの処分について大きな問題であるというふうに認識をされているということですが、黒田前総裁の下での金融政策が残した課題について、その様々なプレッシャーについてどう取り組まれるのか、お伺いしたいと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) これは、これまでにお答えしたこととちょっと重なりますが、現状ではもちろん、デフレでない状態はつくり出されたという黒田前総裁のおやりになったことを引き継ぎまして、それでも、先ほど来申し上げていますように、二%の目標を安定的、持続的に達成できる状況にはもうひとつ十分な確度を持って見通せる状況には至っていないということで、緩和を継続しております。それが見通せる状況になれば様々な意味での正常化を考えていくことになるということも、これまで申し上げてきたとおりでございます。  その上で申し上げれば、例えばでございますが、イールドカーブコントロールの具体的な運用というところについてですが、効果と副作用のバランスを勘案しまして、随時、今年、今年度見直しをしてまいりました。直近では十月にも、債券市場の機能等への副作用を勘案し、運用を柔軟化するというような措置を講じてきているところでございます。

堂込麻紀子各派に属しない議員

○堂込麻紀子君 ありがとうございます。  デフレからの脱却について前総裁の取組を評価されているということでありますが、これまでの取組がなかなか国民にまで行き届く、その異次元の金融緩和が国民にまで行き届く、その期待を高められるような取組になかなか行けなかったというところが本当に課題残るなというふうに思っております。  続いての質問ですけれども、ペントアップの需要をめぐる不確実性について伺えればと思います。  インバウンド需要が回復しまして、私の地元である茨城でも観光キャンペーンの茨城デスティネーションキャンペーン、これ全国のJRで取り組んでいただいて、様々好調なベースでいろいろ盛り上がっているところではございますけれども、日本銀行が二〇二三年の十月の展望レポートを出されておりますが、ここでも、今後の個人消費について、ペントアップ需要の顕在化などに支えられ、緩やかな増加を続けるというふうにしております。  一方で、現場、宿泊、宴席といった現場を見てみると、フロントや調理スタッフなど深刻な人手不足状態に陥っており、宿泊予約、また客室、また宴席、そういった稼働率は制限を掛けなきゃならないというような、需要を取りこぼしているというような可能性も今残っております。  物価高によるマイナスの影響などにより、ペントアップ需要をめぐる不確実性というのが極めて高いというふうに思っておりますが、日本銀行はペントアップ需要をめぐる不確実性についてどのように見られているのかというところをお伺いできればと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 委員御指摘のように、例えば宿泊施設等で人手不足の影響から稼働率がなかなか上がらないという事例も承知しておりますし、また、一般論として、コストプッシュによる物価上昇が個人消費の足を引っ張っているということも重々承知してございます。  ただ、こうした下でも、これまでのところ、感染症下で抑制された需要が顕在化するという意味でのペントアップ需要に引っ張られる形で飲食、宿泊など対面型サービスの消費は緩やかな増加傾向をたどっていると見ております。  先行きですが、これはやはり、賃上げの動きが今後も継続し、所得面から個人消費を支えていけるかどうか、あるいはそういう期待が人々の間に生まれるかどうかということが非常に重要なポイントとなるというふうに考えてございます。

堂込麻紀子各派に属しない議員

○堂込麻紀子君 ありがとうございます。  今、賃上げ、先行きを見て賃上げの動きというところの御指摘いただきましたけれども、それに伴った質問をさせていただきます。  植田総裁は、十一月十七日、衆議院の財務金融委員会の中での御答弁で、先行きの個人消費について、賃上げの動きが続き、所得面から個人消費を支えていけるかどうかがポイントと、今おっしゃられたことですけれども、述べております。  九月の実質賃金は前年比マイナス二・九%というふうになっておりまして、現状、賃金の上昇は物価の上昇に追い付いていないという状況です。  総裁は、金融政策が賃金上昇につながるそのメカニズムについて、金融緩和による労働需給の引き締まりが賃金の押し上げに寄与する可能性があるという旨を述べておられますが、この賃金の決定プロセス、単純な需給だけではなくて、労働者保護のための、労働者保護の規制あります。様々、そうした賃金に関する交渉、また、他の財・サービスとは異なる様々な要素がここには存在しております。そうした労働市場の特殊性を踏まえた緻密な分析というのを基に賃金の動向を把握して、金融政策運営に反映していく必要があるというふうに考えます。  この見解を伺いたいというのと、賃上げに向けて、例えば税制で直接的に企業に賃上げを促すなど、政府の役割も重要となってきます。この点について、日銀としての見解をお伺いできればと思います。

植田和男日本銀行総裁

○参考人(植田和男君) 賃金の決定でございますが、労働需給、物価、企業収益等のマクロ要因に加えまして、委員御指摘のような各種の規制、あるいは人口動態の変化、最近では転職市場の拡大といった様々な市場構造の変化、さらには正規、非正規労働者間の賃金決定メカニズムの違い、様々な点に留意する必要があると思っております。私ども、これらの点にも留意しつつ、賃金の動向についてできる限り精緻な分析を日々心掛けているところでございます。  そう申し上げた上で、労働需給は、やはり人口動態の変化もあって、供給サイドの増加余地が縮小する下で景気の改善が労働需要を押し上げていることから、引き締まっているというふうに見ております。こうした状況下、先行きの賃金は物価上昇も反映する形で上昇していくというふうに考えております。  その上で、一般論として申し上げますと、政府による税制等での対応も賃金に影響を及ぼし得る一つの要素として認識しております。

堂込麻紀子各派に属しない議員

○堂込麻紀子君 ありがとうございます。  日本銀行の政策運営においても、賃上げに向けて、その傍観者から押し上げの役割もあるということを期待して、済みません、次の質問にさせていただきます。  金利上昇による地域金融機関への影響について伺います。  海外の金融経済状況、また日本銀行の決定を受けた金利上昇により全国の地銀で保有する国債などの含み損が急激に膨らんでおりまして、融資を増やしにくくなっているというような報道があります。また、ゼロゼロ融資の返済局面にある企業の倒産増加、これも懸念されているところです。  地域金融機関の経営環境は厳しく、金利上昇により地域の経済を支える地域金融機関への影響を慎重に評価され、適切に対応していく必要があるというふうに考えます。日本銀行としての見解をお伺いできればと思います。

高口博英日本銀行理事

○参考人(高口博英君) お答え申し上げます。  議員御指摘のとおり、昨年以降、内外金利の上昇を受けて、地域銀行の保有有価証券の評価損は拡大をしてきております。もっとも、そうした下でも、我が国金融機関は十分な資本基盤を有しており、金融仲介活動は円滑に行われていると評価しております。実際、国内貸出しは足下も増加が続いております。  また、倒産件数は、過去からの業況不芳先を中心に感染症拡大前と同程度まで戻っておりますが、企業の多くは引き続き厚めの手元流動性を確保しておりますことから、全体として資金繰りは安定していると見ております。  日本銀行といたしましては、経済、物価をめぐる不確実性が高いことから、これらが地域金融機関の経営に与える影響につきましては引き続き丁寧にモニタリングしてまいりたいと考えております。

堂込麻紀子各派に属しない議員

○堂込麻紀子君 ありがとうございます。  続いて、金融経済教育推進機構創設の部分になりますけれども、昨年の私の質疑で、デジタル決済が進展する中、現金に触れる機会が減少する子供たちに対する金融経済教育の必要性というところを日銀にお伺いしております。その際、金融広報中央委員会と連携しながら金融経済教育の推進に努めるという旨の御答弁をいただいております。  しかしながら、金融商品取引法等の改正法が成立しました。これまで我が国の金融経済教育の中心的役割を担ってきていただいた金融広報中央委員会、この新たに創設される機構に移管されることになりました。  政府は、この新しく創設される機構の運営に当たり日銀の協力も得るというふうにしておりますが、日銀は具体的にどのようにこの金融経済教育の推進機構の運営に今後関わっていくのかというところを、その金融広報の中央委員会の移管により日銀の金融経済教育の関わりが後退してしまうのではないかというふうに懸念をしております。その点を、今後の方針についてお伺いできればと思います。

高口博英日本銀行理事

○参考人(高口博英君) お答え申し上げます。  金融経済教育推進機構の運営につきましては、今後関係者間で検討していくことになると承知をしておりますが、日本銀行といたしましては、これまでの金融広報中央委員会と同様に、中立性と公正性を確保すること、また、資産形成はもとより、生活設計や金融トラブルの予防なども含めて、金融経済教育全般をバランスよく推進していくことが重要と考えております。  日本銀行といたしましては、同機構に対する人員及び資金の拠出を通じまして、こうした金融経済教育の推進に貢献してまいりたいと考えております。

堂込麻紀子各派に属しない議員

○堂込麻紀子君 ありがとうございます。  バランスよくという方針でされるということなので、是非そのように関わっていただきたいと思います。  最後の質問になりますが、中央銀行デジタル通貨、いわゆるCBDCに係る取組について、政府との連携、役割分担について、ちょっと日本銀行とあと財務省の方にもお伺いしたいと思います。  日本銀行は、CBDCについて、民間企業も参加する実証実験を行っております。政府は、財務省の有識者会議においても、課題などの論点を年内に取りまとめるという方向性で議論が行われているということですが、CBDCに係る取組の進捗状況、また、及び今後の取組における政府と日銀の連携、役割分担について、日本銀行と財務省よりお伺いできればと思います。

鈴木公一郎日本銀行決済機構局審議役

○参考人(鈴木公一郎君) お答えいたします。  日本銀行では、CBDCに関する技術的な検証を順調に進めておりまして、CBDCシステムの基幹部分について、発行、還収などの基礎的な機能ですとか、ユーザーの利便性を考慮した周辺機能などについての検証を本年三月までに予定どおり完了したところでございまして、この四月から次のステップのパイロット実験に移行いたしました。  民間事業者の有用な技術や知見を検証に生かすためにCBDCフォーラムというものを設置しましたけれども、ここにおいても、外部のシステムとの接続方法ですとか、あるいはCBDCを活用した追加サービスの在り方など、様々なテーマについて議論を行っているところでございます。  政府との連携ということでございますけれども、密接な連携の下で検討を進めておりまして、委員御指摘の財務省さんが設置された有識者会議、こちらに日本銀行がオブザーバーとして参加しておりますし、日本銀行がパイロット実験に関する情報共有、意見交換のために開催しておりますCBDCに関する連絡協議会、こちらも民間関連団体のほかに政府からも御出席いただいているというところでございます。  それから、このほか、政府と日銀の間で日頃から様々なレベルで意見交換を行っているというところでございまして、今後も政府と連携しながら、CBDCに関する検討をしっかりと進めてまいりたいと考えているところです。

奥達雄財務省理財局長

○政府参考人(奥達雄君) お答え申し上げます。  CBDCにつきましては、世界各国でも調査検討が進められておりまして、我が国といたしましても、社会経済のデジタル化の流れの中で検討を進めていくべきものと考えてございます。  政府といたしましても、先ほど委員御指摘の財務省に設置したCBDCに関する有識者会議におきまして、日本銀行と金融庁のオブザーバー参加も得ながら、本年四月以降、主要論点に関する議論を進めてきたところでございまして、年内を目途に取りまとめを行う予定となってございます。  これまで、日本銀行は技術面を中心とした検討を、政府は制度面、法律面に関する検討を進めてきたところでございますが、引き続き、政府、日本銀行が連携をし、諸外国の動向を見つつ、主要論点に関する基本的な考え方や選択肢等を明らかにするなど、制度設計の大枠の整理等を進めてまいりたいと考えてございます。

堂込麻紀子各派に属しない議員

○堂込麻紀子君 ありがとうございます。  私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

宮本周司自由民主党

○委員長(宮本周司君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十九分散会

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