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212回国会参議院2023/11/15

憲法審査会 第1号

発言数
62
登壇者
19
会派数
7
開催日
2023/11/15

会議録

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。  幹事の辞任についてお諮りいたします。  熊谷裕人君から、文書をもって、都合により幹事を辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  幹事の補欠選任についてお諮りいたします。  幹事の辞任及び委員の異動に伴い現在幹事が五名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  幹事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 御異議ないと認めます。  それでは、幹事に佐藤正久君、松下新平君、小西洋之君、辻元清美君及び片山大介君を指名いたします。  本審査会幹事会の申合せにより、会長が野党第一会派の幹事の中から会長代理を指名することとなっております。  会長といたしましては、会長代理に辻元清美君を指名いたします。     ─────────────

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。  本日は、憲法に対する考え方について(特に、参議院議員の選挙区の合区問題を中心として)について法制局から説明を聴取した後、委員間の意見交換を行います。  全体の所要は二時間を目途といたします。  まず、法制局から令和四年通常選挙定数較差訴訟の最高裁判決を中心に参議院の選挙制度と最高裁判決について説明を聴取いたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  川崎法制局長。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) 参議院法制局長の川崎でございます。どうかよろしくお願いいたします。  私の方からは、お手元の資料に基づき、参議院の選挙制度と最高裁判決につきまして、今般の令和五年十月十八日判決に焦点を当てつつ、選挙制度と最高裁判決の変遷、最高裁の解釈、考え方などについて御説明させていただきます。  まず、参議院選挙制度に関する経緯と定数較差に係る主な最高裁判決の動向につきまして確認をしておきたいと思います。  表紙をめくり、一、二ページを見開きで御覧ください。左が選挙制度、右が最高裁判決の経緯となっております。  参議院の選挙制度については、定数二百五十人のうち、都道府県を単位とする地方区選挙が百五十人、全国を単位とする全国区選挙が百人という構成でスタートし、地方区選挙では、各選挙区の人口に比例する形で二人から八人の偶数の議員数が配分され、その最大較差は二・六二倍でした。  参議院の選挙の在り方として当初から議論となっていたのが事実上の職能代表的な色彩を期待した全国区選挙であり、昭和五十七年に拘束名簿式比例代表選挙に改正され、さらに、平成十二年には非拘束名簿式に改正されております。  他方、高度成長や産業構造の変化に伴う都市部への人口移動により、選挙区間の定数較差が次第に大きくなり、昭和三十年代後半以降、定数較差訴訟が裁判所に提起されるようになります。  最高裁が投票価値の平等が憲法上の要請であるとの判断を最初に示したのは衆議院選挙に関する昭和五十一年判決であり、参議院選挙については昭和五十八年判決が最初となりますが、同判決では、国会の広い裁量を認め、最大較差五・二六倍を合憲と判断しました。ただ、その後も較差の拡大が続き、平成四年選挙での最大較差六・五九倍につき平成八年判決が違憲状態との判断を示しましたが、較差はそれに先立ち平成六年改正で既に四・八一倍に縮小しており、その後は最高裁の合憲判決が続きました。  最高裁に変化が現れ始めましたのは平成十六年判決からであり、同判決は較差五・〇六倍を合憲としたものの、多数意見の中には厳しい見方も含まれていたことから、これを契機に、参議院では、超党派の協議機関を設けるなどして選挙制度改革の検討が継続的に行われるようになります。  その後、平成十八年の四増四減の改正により最大較差は四・八四倍となりますが、最高裁は、次第に投票価値の平等の観点から実質的に厳格な評価を行う姿勢を強め、平成二十四年判決では従来の考え方を実質的に変更し、最大較差五・〇〇倍を違憲状態とし、その直後の平成二十四年改正で較差は四・七五倍とされたものの、平成二十六年も違憲状態判決でした。  このような流れを受けて行われたのが平成二十七年改正であり、四県二合区を含む十増十減により最大較差は二・九七倍にまで縮小し、平成二十九年判決は、選挙時較差三・〇八倍とともに、これを合憲と判断しました。その後も、平成二十七年改正法の検討条項を踏まえ、選挙制度の見直しの検討が進められ、平成三十年改正では、定数が六増され、選挙区では定数二増により較差が二・九九倍にされるとともに、比例代表選挙では特定枠の制度が設けられ、これに対し、最高裁は令和二年判決で三・〇〇倍の較差を合憲と判断しております。  参議院では、その後も参議院改革協議会や憲法審査会などで議論が行われましたが、改正のないまま令和四年選挙が最大較差三・〇三倍で実施されました。これに対し、令和五年判決は合憲と判断をしております。  以上のように、投票価値の平等をめぐる国会と最高裁との間での相互作用とも言える状況は衆議院の小選挙区選挙でも生じてきており、最近では参議院については平成二十四年と二十六年の二回ほど、衆議院については平成二十三年、二十五年、二十七年の三回ほど違憲状態判決が示されたのを受け、最大較差がそれぞれ縮小されてきており、参議院については平成二十九年、令和二年、令和五年の三回、衆議院については平成三十年、令和五年の二回ほど合憲の判断が続いているところでございます。  次に、最高裁が重視する投票価値の平等の意義、根拠等を三、四ページで確認をしておきますと、投票価値の平等は、近代民主主義国家における選挙原則の一つとされ、憲法にも取り入れられている選挙権平等の原則の歴史的発展とともに導き出されるようになったもので、選挙権の内容の平等として、各投票が選挙の結果に及ぼす影響力においても平等であることを要求するものであり、その憲法上の根拠について、最高裁は憲法十四条一項を中心に十五条三項、四十四条ただし書などの規定を挙げております。  もっとも、最高裁は、選挙制度の仕組みの決定において、投票価値の平等は、唯一、絶対の基準となるものではなく、国会が正当に考慮できる他の政策目的ないし理由との関連で調和的に実現されるべきものであるとする一方、参議院選挙との関係では、投票価値の平等の要請の後退を認める理由は見出し難いとも述べており、これらの判示は令和五年判決でも維持されております。  いずれにいたしましても、五、六ページの図表を御覧いただきたいと存じますが、さきに述べたような経緯をたどりまして、選挙区の最大較差は最近では三倍程度で推移しております。他方、較差が三倍を超える選挙区は神奈川、宮城、東京の三つに増えてきております。  次に、七、八ページを御覧いただきたいと存じます。  合区対象県で投票率の低下傾向、無効投票率の上昇傾向が続き、対象県の投票率が全国最下位となる例なども生じており、これに対し、右のページでございますが、地方六団体では合区解消を求める決議が度々行われております。  それでは、参議院選挙と投票価値の平等をめぐり、最高裁の考え方はどのように変化してきているのでしょうか。  この点については、九ページ以降でポイントを簡単にまとめております。  参議院選挙にも投票価値の平等が要求されるとした昭和五十八年判決は、その一方で、都道府県単位とすることについても一定の理解を示し、投票価値の平等の要求は、人口比例主義を基本とする選挙制度の場合と比較して一定の譲歩や後退を免れない、較差の是正にもおのずから限度があるとしていました。  これに対し、実質的にこの考え方を変更した平成二十四年判決は、従来からの基本的な判断枠組みは維持しつつも、長年にわたる制度と社会の状況の変化を考慮して、参議院選挙であること自体から直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見出し難いとするとともに、都道府県を参議院の選挙区単位とする憲法上の要請はなく、投票価値の平等との関係からは都道府県単位といった仕組み自体を見直すことが必要としました。その判断の理由として、近年の衆参ねじれ現象の経験なども背景に、立法を始めとする多くの事柄について参議院にも衆議院とほぼ等しい権限が与えられており、国政における参議院の役割が大きくなっているとの認識が示されております。  この平成二十四年判決の考え方はその後も基本的に維持されており、平成二十九年判決では、政治的に一つのまとまりを有する単位である都道府県の意義や実体等を一つの要素として考慮することは投票価値の平等の要請との調和が保たれる限りにおいて否定されるものではないと言及しつつも、合区というこれまでにない手法の導入による較差是正を、平成二十四年、二十六年の判決の趣旨に沿ったものであり、また、平成二十七年改正法は更なる較差の是正を指向するものと評価しました。  続いて、令和二年判決は、較差の更なる是正などの取組が平成三十年改正では大きな進展は見せていないものの、平成二十七年改正法の方向性を維持するよう配慮したものであり、選挙制度の改革の実現は漸進的にならざるを得ない面があるとして、立法府の較差是正を指向する姿勢は失われていないとしました。  さて、今回の令和五年判決のポイントについては十一、十二ページにまとめております。  まず、立法府における取組とその状況については、令和二年判決を引用し、今後も不断に人口変動が見込まれる中で、較差の更なる是正を図るとともに、再び拡大させずに持続していくための必要な方策等について議論し、取組を進めることが引き続き求められているとした上で、本件選挙までの間、各会派の間で一定の議論がされたものの、その実現に向けた具体的な検討が進展しているとも言い難いとの評価を示しております。  ただ、その一方で、較差の状況については、平成二十七年改正から本件選挙までの約七年間、合区は維持され、選挙区間の最大較差は三倍程度で推移しており、有意な拡大傾向にあるとも言えないとしております。  また、選挙制度の仕組みを見直すに当たっての検討課題として、較差の更なる是正を図る観点から、都道府県より広域の選挙区を設けるなどの方策によって現行の選挙制度の仕組みを更に見直すことも考えられるとしつつ、合区対象となった四県で投票率の低下や無効投票率の上昇が続いていること等を勘案すると、有権者において、都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出するとの考え方がなお強く、これが選挙に対する関心や投票行動に影響を与えていることがうかがわれると指摘します。そして、このような状況は、選挙の仕組みの見直しに当たり、国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させる観点から慎重に検討すべき課題があることを示唆するものであり、加えて、議員定数の見直しなどの方策を取ることにも様々な制約が想定されるとし、そうすると、立法府が較差是正に向けた取組を進めていくには、種々の方策の実効性や課題等を慎重に見極めつつ、広く国民の理解も得ていく必要があり、合理的な成案に達するにはなお一定の時間を要することが見込まれると述べております。  そして、結論として、参議院の選挙制度の改革に向けた議論を継続する中で、較差の拡大の防止等にも配慮して四県二合区を含む本件定数配分規定を維持したという経緯に鑑みれば、較差の更なる是正とその持続のための具体的な方策を講じなかったことを考慮しても、本件選挙時の選挙区間の最大較差が示す投票価値の不均衡が憲法の投票価値の平等の要求に反するものであったとは言えないとしております。  最後に、最高裁は立法府への要請として、国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させる選挙制度が民主政治の基盤であり、投票価値の平等が憲法上の要請であること等を考慮すると、較差の更なる是正を図ること等は喫緊の課題であり、立法府においては、より適切な民意の反映が可能となるよう、社会情勢の変化や課題等も踏まえながら、現行の選挙制度の仕組みの抜本的な見直しも含め、較差の更なる是正等の方策について具体的に検討した上で、広く国民の理解も得られるような立法的措置を講じていくことが求められると述べています。  なお、これに対し少数意見として、理由を異にする合憲の意見が一、違憲状態の意見が二、違憲の反対意見が一、付されております。  十三と十四ページには、選挙制度に関する最高裁の判断枠組みと参議院の定数較差に関する最高裁の基本的な判断枠組みをまとめております。適宜御参照いただければ幸いでございます。  駆け足の説明となり恐縮でございますが、私からは以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 以上で説明の聴取は終了いたしました。  これより委員間の意見交換を行います。  発言を希望される方は、氏名標をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言願います。  発言が終わりましたら、氏名標を横にお戻しください。  一回の発言時間は各五分以内でお述べいただき、法制局に答弁を求める場合は、答弁を含め五分以内といたします。  発言時間につきましては、経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らしますので、あらかじめ御承知願います。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、発言を希望される方は氏名標をお立てください。  片山さつき君。

片山さつき自由民主党

○片山さつき君 自由民主党の片山さつきです。  ただいま御説明いただいた最高裁判決も踏まえ、合区問題について意見を述べさせていただきます。  本憲法審査会では、昨年の通常国会以降、参議院議員の選挙区の合区問題を大きなテーマの一つとして精力的に議論を進めてまいりました。特に本年の通常国会では、合区対象四県それぞれから知事、副知事を参考人として本審査会にお招きし、意見聴取を行いました。各参考人からは、合区は投票率の低下のみならず無投票の増加も招き、本来、国民が政治に関心を持つような制度であるべき選挙制度が真逆の状況を起こしてしまっており、民主主義の根幹を揺るがす重大な問題であるとの御指摘や、明治以来、都道府県はほぼ変わらずに民主主義のユニットであり、我が国の民主主義にしっかりと根付いた制度を大切にしてほしいなどの切実な思いが述べられたところです。  また、全国知事会からも、お手元配付の、十分な国民的議論の下での憲法改正等の抜本的な対応による合区の確実な解消を強く求めるとの決議が出され、先週九日には中曽根会長に対して申入れがありました。  合区制度の弊害や都道府県ごとに国会議員を選出する必要性は本審査会委員も繰り返し指摘しているところですが、今回の最高裁判決では、この合区制度の弊害について初めて言及がなされました。  法制局長にお伺いします。  今回、最高裁が合区制度の弊害について前回と比べて深く考慮して言及した背景としては、具体的にどのような事情や意図があったと考えられるのでしょうか。これまでの最高裁判決との違いも踏まえながら、どのような状況の変化があったと考えられるのか、改めて御説明をお願いします。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  最高裁は、令和二年判決では、合区対象県における投票率の低下及び無効投票率の上昇と合区との関連性を指摘し合区の解消を強く望む意見も存在したと言及しております。  他方、令和五年判決では、事実関係として、平成二十八年、令和元年、令和四年選挙における合区対象県の問題状況について具体的に述べた上で、選挙制度の仕組みを更に見直すことに関し、合区対象県で投票率の低下や無効投票率の上昇が続けて見られることを勘案すると、有権者において、都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出するとの考え方がなお強く、これが選挙に対する関心や投票行動に影響を与えているとの見方を示し、このような状況は、更なる見直しに当たり、国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映する観点から慎重に検討すべき課題があることを示唆するものとしております。  他方、令和五年判決では、較差の拡大防止の点から合区の維持を合憲判断の根拠ともしていることから、最高裁として合区対象県における問題状況や有権者の意識に触れざるを得なくなったものの、それは較差是正の取組を進めていく上での検討すべき課題や、広く国民の理解を得ていく必要を示すものとして、立法府にボールを投げ返したものと見ることができるのではないかと思われます。

片山さつき自由民主党

○片山さつき君 自民党では、合区問題の抜本的な解消のため、両議院の議員の選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとするとともに、参議院議員の全部又は一部の選挙について、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとすることができると憲法改正の条文イメージをお示ししております。  投票価値の平等は極めて大切だということはもちろんですが、合区問題も民主主義の根幹に関わる重要な問題であり、当審査会においても、引き続き合区解消に向けて議論を積み重ねていくべきと申し上げまして、発言を終わらせていただきます。  ありがとうございます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 辻元清美君。

辻元清美立憲民主・社民

○辻元清美君 この度、立憲民主党の筆頭幹事、そして本審査会の会長代理を務めさせていただくことになりました辻元清美です。どうぞよろしくお願いをいたします。  さて、一票の較差の最高裁判決について、まず法制局長にお伺いをいたします。  結論は令和二年判決と同じですが、内容の相違点はあるのか、また、判決を受けて、立法府への要請は何か、見解をお願いいたします。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  令和二年判決は、選挙区選挙において定数二増などを行った平成三十年改正の評価を行った上で、著しい不平等状態にあったとは言えず、合憲との判断を示しているのに対し、令和五年判決は、令和二年判決と同様の判断枠組みに立ちつつ、令和四年選挙が改正のないまま実施されたものであることから、較差の拡大防止等にも配慮して四県二合区を含む定数配分規定を維持したことをもって合憲と判断しているものと理解しております。  また、令和五年判決は、較差の更なる是正を図ること等は喫緊の課題とした上で、立法府への要請として、より適切な民意の反映が可能となるよう、現行の選挙制度の仕組みの抜本的な見直しを含め、較差の更なる是正等の方策について具体的に検討した上で、広く国民の理解も得られるような立法的措置を講じていくことを求めるとしております。

辻元清美立憲民主・社民

○辻元清美君 今の御説明のとおり、この最高裁判決が国会に投げかけたメッセージ、これを重く受け止めて、我が会派も、あるべき選挙制度の議論を真摯に行ってまいりたいと思います。  お手元の参議院法制局資料にも記載されている歴代の最高裁判決が示しているように、二院制の下、衆議院とは異なる参議院の独自機能や役割を位置付けて選挙制度に反映させることは、国会の合理的な裁量権の行使として許されるものであると解して、これを踏まえた根源的な議論が必要であるというように提起をしたいと思います。  また、現在、参議院議長の下の参議院改革協議会の選挙制度専門委員会で二院制における参議院の在り方などの議論が行われていますが、その内容も踏まえつつ、本審査会でも参議院の選挙制度の議論を深めてまいりたいと思います。  さらに、現行憲法は、国会は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織するとされてきました。よって、合区問題などを議論するに当たっては、参議院の在り方、当該地域を含む地方の声などだけではなく、都市部も含めて全国民的議論が必要であるとも考えます。  そして、最後に一言、憲法の在り方について申し上げます。  岸田総理は十月二十三日の所信表明演説で、改憲について、条文案の具体化など積極的な議論をと、条文案の具体化という言葉まで言及をされました。行政府の長たる総理大臣は現行憲法を遵守する立場にあり、総理大臣が衆参本会議で条文案の具体化を促すような発言をすることは、これは幾ら何でも越権行為と言わざるを得ないと指摘させていただきます。  また、総理の発言とまるで平仄を合わせたように、十一月九日の、衆議院憲法審査会会長が海外派遣の中で、議員任期延長を始めとした国会機能維持策について、速やかに議論を詰めていかなければならないと発言されました。この発言は、全体のコンセンサスもない中、公平公正な委員会運営とは言えないのではないかと私は元衆議院の審査会委員として危惧いたしました。  そんな中で、中曽根会長におかれましては、このような動きとは一線を画し、大会派、小会派に、少数会派にかかわらず、常に公平公正な運営に努めていただいていることに改めて敬意を表したいと思います。  最後に、この選挙制度の在り方も含めまして、参議院の本審査会では参議院の独自性を生かした落ち着いた議論がなされるように呼びかけさせていただきまして、発言を終えます。  ありがとうございました。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 西田実仁君。

西田実仁公明党

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  参議院選挙における合区の解消に関する知事会決議におきましては、合区は地方の実情が国政へ反映し難くなる、我が国の民主主義の根幹を揺るがす、都道府県間で一票の較差とは異なる不平等性が生じるとされ、合区の確実な解消を強く求めておられます。  もとより我が党では、特定の県のみが県単位の議員を選出できないことから、当該住民による不満が噴出していることは理解しており、是正は必要との立場であります。ただ、いかなる選挙制度を採用するにしても、投票価値の平等という憲法価値と相矛盾する制度改正は行うべきではないと考えます。憲法は、衆参でほぼ同等の機能、権能を与え、衆議院が不存在の場合には参議院の緊急集会によって国会を代行できるまでの役割を与えています。  今回の最高裁判決にもあるように、二院制に係る憲法の趣旨や、半数改選などの参議院の議員定数配分に当たり考慮を要する固有の要素を勘案しても、参議院議員選挙について直ちに投票価値の平等の要請が後退してもよいと解すべき理由は見出し難い、これは令和二年判決と軌を一にしております。今回の判決でも、多数意見においては七回ほどにわたって較差の更なる是正という記述が登場しております。  そこで、我が党は、一貫して投票価値の平等と地域代表的性格の調和を図るため、全国を十一のブロック単位とする個人名投票による大選挙区制を提唱しております。  ここで法制局長にお伺いしたいと思います。  合区は、本当に我が国の民主主義の根幹を揺るがすことになるのか。だとすれば、較差の拡大の防止等にも配慮して四県二合区を含む本件定数配分規定を維持したという経緯に鑑みれば、途中省略をして、本件選挙当時の選挙区間の最大較差が示す投票価値の不均衡が憲法の投票価値の平等の要求に反するものだったということはできないとして、合区の維持を前提とした合憲の判決を出しております。これをどう考えたらよいのか、お聞きします。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  令和五年判決は、都道府県を単位とする現行の選挙制度の仕組みを見直すに当たっての検討課題について述べる中で、合区の対象となった県の問題状況などについて言及しておりますが、他方、先生が御指摘のとおり、較差の拡大防止等にも配慮して四県二合区を含む本件定数配分規定を維持したことをもって合憲との判断を導き出しているところです。  ちなみに、最高裁判決において合区について我が国の民主主義の根幹を揺るがすといった言及がなされたことはなく、むしろ平成二十九年判決では、合区の導入による較差の縮小を平成二十四年判決及び平成二十六年判決の趣旨に沿って較差の是正を図ったものと評価しております。  以上です。

西田実仁公明党

○西田実仁君 今回の合憲判決には、都道府県より広域の選挙区を設けるなどの方策について触れられております。これまでの判決でもブロック選挙区の導入について触れているものはありますが、議論の紹介にとどまっておりましたところ、今回は、そうした選挙制度の仕組みを更に見直すことも考えられるとして、単なる議論の紹介を超えた記述となっているように見えますが、どうでしょうか。  もっとも、その後の記述には、こうした方策により、まあいろんな弊害があって、慎重に検討すべき課題があるとの認識を示しております。これは、都道府県より広域の選挙区を設ける方策について慎重に検討すべきとしているのか、それとも現行の仕組みを更に見直す際の一般論として指摘しているのか、お聞きします。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  最高裁がどのような趣旨で言及したのか、にわかに判断できませんが、立法府における議論の状況を踏まえつつ、都道府県より広域の選挙区を設けるなどの方策によって現行の選挙制度の仕組みを更に見直すことも考えられると述べており、これまでの判決にない判示となっております。  その一方で、更なる較差の是正に当たり、種々の方策の実効性、課題等を慎重に見極めつつ、国民の理解を得ていく必要があることを述べるためにこのような議論を展開したものと見ることもできるのではないかと思います。  その意味では、令和五年判決の御指摘の判示は、最高裁として特定の方策について一定の評価をしたものとは言い難いのではないかと思われます。  以上でございます。

西田実仁公明党

○西田実仁君 終わります。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 片山大介君。

片山大介日本維新の会

○片山大介君 日本維新の会の片山大介です。  最高裁の判決を受け、我が会派の考えを述べさせていただきます。  現行憲法を考えた場合、一票の較差を解決することは何より大切なことです。しかし、都市部に人口が集中する現代においては、参議院の都道府県単位の選挙区では一票の較差は広がるばかりです。現状で較差を是正しようとすれば、完璧な解決策ではないにせよ、合区はある程度効果を出しています。今回の判決で、憲法の問題が生ずる程度の著しい不均衡状態が、不平等状態があったとは言えないという判断が示されたことからも、それは分かります。  しかし、今のままでよいわけではないことを真剣に考えなくてはいけません。合区が導入されてから最大較差は三倍程度で推移してきたことから、有意な拡大傾向にあるとは言えないとされたものの、十分だという認識からは程遠いからです。また、合区となった選挙区では投票率の低下や無効投票率の上昇が見られ、有権者は都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出するという考え方がなお強いという課題も新たに示されました。こうした、ともすれば相反する課題に対して、判決では、更に議論を積み重ね、種々の方策の実効性や課題を見極めつつ、国民の理解も得ていく必要があり、それには一定の時間を要するとされています。  しかし、ここでいう一定の時間が余り猶予のあるものではないことは明らかです。今回の判決を下した裁判官の中には違憲であると明確に示した方もいて、三倍程度の較差ももはや看過される状態ではなくなっているからです。今の都道府県単位の選挙制度を続ける限り、合区は避けられないことを覚悟しなくてはいけません。  一部に、憲法で参議院議員を地域代表に位置付け、各都道府県から選ぶという考えもありますが、これには慎重を要すものと思います。その場合、そもそも衆議院に対する抑制、均衡、補完という参議院の在り方や、国民の多様な意見を代表する役割を併せて考える必要が出てくると思います。なので、衆議院と似通った地域代表を選出する都道府県の選挙区からブロック制の選挙区制度への移行する議論を進め、また、別の角度からは自治体の首長と参議院議員の兼職規定の廃止なども検討していくべきです。  我々は、行財政改革を訴える政党で、議員定数の削減を実行すべきとの思いもあり、ブロック制への移行は必要不可欠と考えています。平成三十年に我々が提出した公職選挙法改正案では、議員定数を二十四減らしたとしても、全国を十一ブロックにしたブロック制を導入した場合、較差は一・一八九倍まで縮小するとの試算を出しました。優位性は今の都道府県単位の選挙制度より際立っています。有権者の投票意識も、選挙区制度の形を大きく変えることで好影響を与えると考えます。  今回の判決で指摘された一定の期間の猶予とは再来年の二〇二五年、次回の参議院選挙までと見ています。各会派で結論を出す努力が必要だと思います。日本は、今後も人口減少が進みます。都道府県単位での行政が成り立つのか、様々な行政が非効率、非合理的になっていくのではないかとの懸念があります。こうした懸念を解消するためにも、我々は、選挙制度の前提となる国家の基本構造を変えるべく、憲法改正について条文化し、提言を出しています。  憲法審査会もさきの国会から議論が活発になってきているものの、今国会の会期も短く、時間の猶予は限られています。総理は来年九月までの憲法改正を目指すとしていますが、そのためには発議に向けた具体的な議論を進めていかなければ間に合いません。特に参議院では、衆議院に比べ議論が遅れているという指摘もされています。  議論を漫然と続けるのではなく、将来の道州制の導入など、統治機構改革を視野に入れた国家としての基本構造を考える観点で議論していく必要があると思います。そして、結論を出すべき時期を見据えたスケジュールを策定し、建設的な議論をしていく必要があることを提案し、私の意見とさせていただきます。  ありがとうございます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 大塚耕平君。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。  国民民主党としては、昨年六月十日の本会議を皮切りに、本憲法審査会でも繰り返し申し上げておりますが、合区はやめるべきという立場です。その論拠として、憲法に定める法の下の平等は、国民は自らが居住する都道府県代表を最低一人は参議院に選出できることだと考えるからです。法の下の平等が人口割りの単純平等であるとは憲法にも法律にも明記されていません。議論に際しての共通認識を醸成するため、法制局長に三点伺います。  第一に、選挙における法の下の平等が一票の較差であることの法的根拠。第二に、主要国における一票の較差の実情とそれに対する司法判断の傾向。第三に、現在の判決において示されている較差の許容範囲とその根拠。以上三点です。よろしくお願いします。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  まず、法の下の平等が一票の較差を問題とする法的根拠ということでございますけれども、最高裁は、選挙権は国民の国政への参加の機会を保障する基本的権利であり、憲法は、その重要性に鑑み、十四条一項の定める法の下の平等の原則の政治の領域における適用として、成年者による普通選挙を保障するとともに、選挙人の資格を差別してはならないものとしているとし、この選挙権の平等原則は、選挙における差別を禁止するにとどまらず、選挙権の内容の平等、すなわち議員の選出における各選挙人の投票の有する影響力の平等をも要求するものと解してきているところでございます。  次に、主要国における一票の較差の実情と司法判断の傾向ですが、主要国の下院では、選挙区の定数、選挙区の設定において投票価値の平等が考慮されるのが通例であり、時点は異なるものの、国立国会図書館作成の資料によれば、アメリカでは選挙区間の最大較差は一・八倍、イギリスでは四・七倍、ドイツは一・六倍、フランスでは二・六倍、イタリアでは二・三倍などとなっているようです。また、これらの国のうち、判例上、一票ができる限り等価であることを含む一人一票の原則が確立しているアメリカでは、較差について違憲判決が出されたことがあり、また、フランスでは、各県二人別枠方式につき、憲法院により違憲の判断が示されたことがあるようです。これに対し、イギリスでは司法審査の対象外とされております。  他方、上院については、連邦制、世襲貴族制など構成原理が異なるものが少なくなく、上院で人口比例を取り入れているのは、間接選挙であるフランスや小選挙区比例代表並立制であるイタリアですが、その較差はフランスでは五倍程度、イタリアでは十倍程度といった状況になっているようです。  最後に、最高裁判決が示す較差の許容範囲とその根拠ですが、最高裁は何倍未満といった較差基準は示しておらず、参議院選挙については、投票価値の著しい不平等状態が生じ、かつ、それが相当期間継続しているにもかかわらず、これを是正する措置を講じないことが国会の裁量権の限界を超えると判断される場合には定数配分規定が憲法に違反するとの判断枠組みを示しており、それにより、例えば平成二十六年判決では最大較差四・七七倍を違憲状態、これに対し、平成二十九年判決では三・〇八倍を合憲と判断しているところでございます。  以上でございます。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 ありがとうございました。  最高裁の平成二十九年以来の判決において、定数配分を都道府県単位で行うことは不合理ではないという趣旨の判断が示されています。憲法上の三権分立は、相互牽制にこそ意味があります。立法府、行政府の至らざる点は司法府の見識をもって臨むべきである一方、立法府の意思、行政府の責任に及ぶ問題を司法府が明文上の法的根拠がない判断基準をもって是非を示すことは、立法裁量権、行政裁量権の侵害という面もあります。  立法府は、国権の最高機関という憲法上の自らの位置付けを十分に認識し、法的根拠のない司法の判断基準を是とすることなく、自ら運営ルールを確立することが肝要です。  以上申し上げて、国民民主党としての意見とさせていただきます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 山添拓君。

山添拓日本共産党

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  十月十八日の最高裁判決は、昨年の参院選について、結論は合憲としましたが、現在の定数配分規定をそのままでよしとしたものではありません。  法制局に伺います。  判決が国会に対して求めているのは、投票価値の平等が憲法上の要請であることを前提に較差の更なる是正を図ることであり、合区を解消して都道府県ごとに代表を選べるようにという検討を求めているわけではないと認識していますが、いかがですか。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  令和五年判決は、参議院議員選挙について直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見出し難い、立法府においては、較差の更なる是正を図るとともに、これを再び拡大せずに持続していくために必要となる方策等について議論し、取組を進めることが引き続き求められていると述べ、この前提に立った上で議論を展開しているところでございます。  以上です。

山添拓日本共産党

○山添拓君 判決は、現行の選挙制度の仕組みの抜本的な見直しも含め、較差の更なる是正等を求めています。ですから、国会は、この観点で司法に応えるべきだと考えます。  ところが、その国会の姿勢はどうか。判決は立法府における較差是正の方向性やその姿勢についてどう評価しているでしょうか。三浦裁判官の意見も踏まえて御説明ください。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  令和五年判決は、較差の更なる是正の取組ということでは、本件選挙までの間、参議院改革協議会等において各会派の間での一定の議論がなされたものの、その実現に向けた具体的な検討が進展しているとも言い難いとしております。その一方で、令和二年判決の較差の是正を指向する姿勢については触れておりません。さらに、立法府が較差是正の取組を進めていくには、種々の方策の実効性や課題等を慎重に見極めつつ、国民の理解を得ていく必要があり、合理的な成案に達するにはなお一定の時間を要することが見込まれるとしております。  これに対し、御指摘の三浦裁判官の意見では、多数意見は較差の是正の方向性やこれを指向する姿勢についての評価を明示することなく、国会の広範な裁量に属する立法過程における見込みを考慮しており、これは平成二十九年判決や令和二年判決と異なるものであり、較差の是正を指向する状況のいかんにかかわらず、違憲状態にあることが否定される可能性を広げるものだと批判しております。

山添拓日本共産党

○山添拓君 三浦裁判官は、国会において較差の更なる是正の方策が講じられる客観的な見込みはないと厳しく評価しているんですね。判決は明示していませんが、国会の不作為が問われていると言えます。判決が述べるように、人口の都市部への集中が続き、今後も不断に人口変動が生ずると見込まれる中では、投票価値の平等という憲法上の要請を満たすことは困難になります。  そこで伺いますが、衆議院議員選挙の小選挙区間における最大較差、比例代表のブロック間における最大較差、それぞれ昨年十二月の改正公選法の施行の前後でどう変化したかを御紹介ください。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  衆議院の小選挙区間における較差については、令和二年国勢調査国民人口による場合、改正前の最大較差は二・〇九六倍であったところ、改正後は一・九九九倍となっております。また、比例代表の選挙区間の較差については、改正前は一・三〇六倍、改正後は一・一八七倍となっております。

山添拓日本共産党

○山添拓君 小選挙区は十増十減、無理を重ねた区割り変更を行っても二倍近くです。早晩また変更が必要になります。これに対して、比例代表は改正前でも一・三倍です。ブロック制を取る限り較差はありますが、相対的には小さく、定数の変更によって較差は是正できます。  我が党は、多様な民意の正確な反映という点で、参議院議員選挙について、比例代表を基本とする全国十ブロック、非拘束名簿方式の選挙制度を提案してきました。一票の較差の是正という点でもこの方向で踏み出すべきです。  そして最後に、そのための検討はこの憲法審査会の任務ではありません。参議院改革協議会の選挙制度専門委員会でこそ速やかに具体的に検討すべきだという点を述べて、発言といたします。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 山本太郎君。

山本太郎れいわ新選組

○山本太郎君 れいわ新選組、山本太郎です。  先日、最高裁は、昨年夏の参議院選での議員定数配分規定について合憲と判断。大きな論点は、選挙区間の最大較差が二〇一九年選挙の最大較差三・〇〇から昨年の選挙では最大較差が三・〇三にやや拡大したことと。最高裁は、合憲と判断した理由を、選挙区間の最大較差は三倍程度で推移しており、有意な拡大傾向にあるとも言えないとした。一票の較差という問題を憲法の視点から見たら許容範囲、合憲であるとの判断。公職選挙法上の合区を維持したことを評価して合憲としたと。  改めて言うまでもなく、最高裁は、ある法律について違憲審査権を行使する終審裁判所であると。その最高裁が違憲かどうか問題にしているのは、公職選挙法上の定数配分規定の平等原則違反であり、合区規定ではありません。しかも、合区規定があるがゆえに定数配分規定は合憲としている。このように、合区問題はそもそも憲法問題ではありません。したがって、合区制度の妥当性、改正、廃止などを検討するのであるならば、舞台は参議院の改革協議会です。  合区が検討されたのは、参議院の議員定数、総数を固定したままで一票の較差の縮減を図るためでした。二〇一五年、自民党も賛成して、参議院の選挙区について、鳥取・島根、徳島・高知を合区とする定数配分調整規定が成立。その後、二〇一九年選挙に向けた選挙制度改革の議論の場として各党参議院幹事長で構成される参議院改革協議会が二〇一七年に設置されて、更に議論が進められた。他方、自民党は、参議院在り方検討プロジェクトチームを設置、合区解消の検討を始めたと。マッチポンプなんですね。その結果、考案されたのが憲法に参議院議員は都道府県から一人以上と明記する案です。  自民党が法律の改正で対応すべき合区問題を憲法改正にこじつけている背景には、参議院の議員定数を増やさないまま投票価値の較差を是正しようとしていることがあります。そうであるなら、参議院の議員定数を増加することこそ検討すべきじゃないですか。日本の人口百万人当たりの国会議員の数は五・六人。OECD三十八か国中三十六位です。国会議員の数は先進国の中では非常に少ないわけですから、もっと増やしてしかるべきです。  自民党のウェブサイト、「憲法改正ってなぁに? 身近に感じる憲法のおはなし」によると、改憲四項目のうちの一つ、「参議院の合区解消、各都道府県から必ず一人以上選出へ」には、現状、人口減少が急速に進む地域で参議院の合区が発生していると書かれています。まるで他人事のような書きぶり。地方の衰退、人口減少の加速は、国のリソースの多く、人、金、物を三大都市圏、大都会に集中させた自民党の失敗から生み出された現象です。それに加えて、自民党が中心となって旗を振り実現した合区についても、発生したと、まるで災害にでも遭ったような表現。余りの面の皮の厚さにこちらが恥ずかしい思いをしなければならない状態です。  本来、憲法審査会で扱われる案件は合区についてではありません。長年政権与党にありながら、地方の人口減少が深刻になるような原因、都市部との人口格差を広げた経済政策の失敗の検証、そして反省、抜本的見直しが必要なはずです。  国を、この国に生きる人々を三十年もの間痛め付ける国会運営を行ってきたことへの、国家運営を行ってきたことへの違憲性のチェックこそが憲法審査会で行う最優先課題。それでもいち早く合区を解消したいというならば、すぐにでも参議院の改革協議会の議論を始めればいい。合区問題を憲法審査会を開催したという回数稼ぎに使うべきではありません。  終わります。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 松下新平君。

松下新平自由民主党

○松下新平君 自由民主党の松下新平です。  本日十一月十五日は、自民党結党から六十八年になります。一九五五年、昭和三十年十一月十五日、東京神田の中央大学講堂において結党大会を開き、戦後最大の単一自由民主主義政党として歴史的な発足を見ました。現行憲法の自主的改正は結党以来の党是であり、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三つの基本原理はしっかり堅持し、憲法改正への取組を更に強化していく所存です。  私は、多くの人口減少県の選挙区選出議員と同様の問題意識から、都道府県の果たす重要な役割、そして都道府県単位で国会議員を選出する必要性、重要性について意見を申し述べます。  先ほど法制局長から御説明いただきましたように、最高裁判決では、具体的な選挙制度の仕組みを決定するに当たり、一定の地域の住民の意思を集約的に反映させるという意義ないし機能を加味する観点から、政治的に一つのまとまりを有する単位である都道府県の意義や実体等を一つの要素として考慮すること自体が否定されるべきものであるとは言えないという昨今の最高裁判決が示してきた基本的認識が再認識されました。その上で、有権者において、都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出するとの考え方がなお強く、これが選挙に対する関心や投票行動に影響を与えていることがうかがわれるとの認識が示されました。  私は、さきの参議院徳島・高知選挙区の補欠選挙の期間中に徳島県に応援に入ったのですが、自分たちの県として代表者を選出できない合区対象県の有権者の関心は予想以上に低いと実感したところです。立法府として、最高裁が今般示した判断について重く受け止めて進めてまいります。  また、判決後の参議院予算委員会において、岸田総理から都道府県に関して重要な認識が示されました。都道府県は基礎的自治体を補完する広域自治体として行政サービスを安定的に提供する役割を果たしているとの観点から、今後ますますその果たすべき役割の重要性は増していくとの答弁です。  本憲法審査会でも、合区制度の弊害とともに、都道府県の意義や都道府県単位で国会議員を選出する必要性についても度々議論がなされてきました。  本年四月に本審査会に参考人としてお招きした合区対象四県の知事、副知事の皆様からは、明治二十三年の府県制以来、都道府県はほぼ変わらずに来ており、これが民主主義のユニットであること、地方創生や人口減少対策など、国政の重要課題の解決に当たり、地方の実情をくまなく届けることができる都道府県単位による代表の選出が不可欠であることなど、地方自治を担う当事者の切実な思いが述べられました。  先ほどほかの委員から紹介がありましたが、全国知事会でも毎年合区解消に関する決議が行われております。本年七月に出された決議においては、参議院は、創設時から一貫して都道府県単位の代表が選出されることで、地方の声を国政に届けるとともに、我が国における戦後の民主主義の発展に重要な役割を果たしてきたとの基本的認識を示した上で、令和七年の参議院選挙に向けて、国政に地方の意見をしっかりと反映させ、各地方の実情に合った施策の実現を図るため、十分な国民的議論の下で憲法改正等の抜本的な対応による合区の確実な解消を強く求める旨の結論を導いています。  憲法に都道府県を念頭に置いた広域自治体を明確に位置付ける、このことは合区解消の前提とも言えることです。自民党の改憲条文イメージにおいても、合区解消を求めるとともに、地方自治の章において基礎自治体と広域自治体を明確に位置付けることとしております。  都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出したいとの有権者の根強く切実な考えに正面から応えるのは、自民党の改憲条文イメージであると自負しております。抜本的な合区解消のための憲法改正を実現すべく、今後一層取組を活発にしていきたいと考えております。  以上です。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 小西洋之君。

小西洋之立憲民主・社民

○小西洋之君 私からは、合区と緊急集会の関係などについて意見をいたします。  我が会派は、合区の解決には最高裁判決が説くところの参議院の独自の機能、役割である緊急集会こそが不可欠な憲法上の根拠と考え、さきの常会ではその機能強化策の提言までいたしました。しかし、常会の後も、岸田総理や一部会派、政党から、緊急集会制度の曲解である憲法違反の解釈を論拠とする議員任期延長改憲が唱えられていることは、誠に遺憾と言わなければなりません。  我が参議院の憲法審には、法の支配、立憲主義に基づく憲法論議を確保するため、平成二十六年に附帯決議が成立しています。  お手元の資料一ページ、その第四項には、戦後の議会政治の下で確立している法令解釈のルールを引用して、憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨などに即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢などを考慮し、論理的に確定されるべきものと規定されています。  これに、任期延長改憲が論拠とする、緊急集会平時の制度・七十日限定説を当てはめてみたいと思います。  当該法令の規定の文言である憲法五十四条の二項の規定の文言は、国に緊急の必要があるときであり、緊急、すなわち有事であって、平時ではありません。国語の問題です。しかも、この緊急の文言は、憲法制定過程では大震災などの深刻な国家緊急事態、ナショナルエマージェンシーを基礎とされているものであります。  次に、五十四条の緊急集会規定の趣旨、その根幹は、金森徳次郎担当大臣が憲法制定議会で繰り返し述べた、民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するなどの戦前の反省に立った非常時の権力濫用の排除です。また、五十四条一項の四十日、三十日という規定の趣旨は、解散・総選挙の際の内閣の居座りの排除であり、緊急集会の開催期間を制限し得るものではありません。  そして、立案の意図や立案の背景については、緊急集会は大災害などの有事のためにGHQとの協議で日本側の提案で創設されたとの立法事実、そして二院制の枠外ではなく、あくまでも二院制の趣旨を全うするための制度であるという立案意図に基づく制度です。  以上、御確認いただきましたように、実は任期延長改憲の緊急集会平時の制度・七十日間限定説などは、実は法令解釈、憲法解釈ではないのです。端的に言えば、法令解釈のルールの全ての要件に完全に矛盾、違反するものとして、憲法論議の名にすら値しない、法の支配、立憲主義に反する暴論なのです。法治国家にあっては、国会議員であっても何でも好きに憲法の条文を解釈できるわけではありません。憲法を法規範として扱うための必須のルールを厳正に守った上で、初めて憲法論議と名のることができるのであります。  こうした法令解釈のルールを逸脱した緊急集会に関する暴論を、衆議院の憲法審では、我が会派の度重なる批判や警鐘にもかかわらず、この二年余りの間何度も繰り返し、二度にわたって議員任期延長改憲の論点整理までしています。しかも、この間、さきに述べた緊急集会の立法事実や金森大臣の濫用排除の制度趣旨が改憲論の議員から述べられたことは一度もありません。これは、およそ真摯な憲法論議などではなく、参議院の独立性をも否定し、我々参議院議員と主権者国民を愚弄する絶対に看過してはならない暴挙であると言わなければなりません。ゆえに、我が会派は、緊急集会の曲解を論拠とする国会議員の任期延長改憲には明確に反対をいたします。  なお、以上、るる御説明したように、議員任期の延長改憲は、法解釈ですらない虚偽説明によって国民をだまして行う改憲にならざるを得ません。これはお手元の資料一ページのかつての白眞勲先生の会派意見にある自衛隊明記改憲と軌を一にする問題です。  いずれにいたしましても、常会の六月七日の各会派意見では、自民、公明、民主の会派におかれては、衆議院憲法審の緊急集会の曲解を否定、あるいはそれとは異なる緊急集会に関する正しい見解を述べられていることに深く敬意を表します。  議員任期の延長改憲は、憲法論的にも政治的にもこれ以上の議論は国民からの理解が得られないことは明白であり、合区廃止の要件である、その優れた復元力を含め世界に誇る緊急事態条項である緊急集会制度の機能強化、そうした議論を更に深めることを提案して、私の意見とさせていただきます。  ありがとうございました。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 浅尾慶一郎君。

浅尾慶一郎自由民主党

○浅尾慶一郎君 自由民主党の浅尾慶一郎です。  本日は、合区の問題を中心に話をさせていただきたいというふうに思います。  この憲法審査会におきましても、先ほどもお話がございました、本年、合区対象県の知事、副知事の方を参考人としてお招きをさせて様々な御意見をいただきました。その際にも、合区対象県の知事、副知事の皆さんは、この憲法改正という形を取らなければ合区が解消できないということであれば、是非とも早くその合区というものを解消してほしいという、そういった御意見をいただいたところでございます。  そして、先ほどるる法制局長官、あっ、法制局長から御説明をいただきましたけれども、今回の最高裁の判決はまさにその点についても触れているということでございまして、そうだとすれば、私ども立法府においてしっかりとこの点についても議論を深めていくことが大変重要だというふうに考えております。  もちろん、最終的には、現在の憲法の中におきまして、基礎自治体あるいは広域自治体という形で都道府県というもの、そして市区町村というものを定義をした上で、その中において、各広域自治体になります都道府県はどういうものかという中で合区を解消していくということが一番望ましい形になっていくんではないかなというふうに思いますので、そのことを申し上げまして、私からの発言とさせていただきたいと思います。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 柴田巧君。

柴田巧日本維新の会

○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。  この国会で初めてこの参議院憲法審査会が開かれましたが、さきの常会に続いて今回また合区がテーマでございます。大変残念な思いでおります。  合区や一票の較差については、本来、参議院改革協議会選挙制度専門委員会で議論すべきものであり、この憲法審査会では、まず各党が改正条文案を提出し、それを基に改憲項目を絞り込む議論と作業こそ進めるべきと考えます。  また、参議院の選挙制度についてこの憲法審査会で議論をするのならば、選挙制度の前提となる国家の基本構造、すなわち国の形についてまず議論をするべきです。現行の都道府県制が現在の我が国にとって最適な形なのか、根本的に問い直す必要があります。近年の高速道路網の整備による移動範囲の拡大や、あるいはまた地方銀行の統合など、地域経済の広域化も考慮して議論を深めるべきです。それゆえ、私たちは、道州制の導入や、それに伴う憲法改正まで視野に入れた議論が必要と考えています。この問題を明確にすることなく、参議院の選挙制度の議論を行うことは望ましいことではありません。  いずれにせよ、この審査会で合区について議論をするのは今回をもって最後にし、本格的な憲法改正論議が行われることを強く希望します。  このことをまず冒頭申し上げ、本日のテーマに関して私の意見を申し上げます。  改めて言うまでもなく、参議院議員は全国民の代表です。にもかかわらず、参議院を地方の府として捉える人たちがいますが、理由が明確ではありません。参議院議員は地域代表であるべきだなどと理由を付けて、自分たちの議席が既得権のように考えていることこそ問題です。あらゆる既得権を守ろうとすることが、長年にわたる我が国の衰退に拍車を掛けています。参議院も例外ではありません。このことを強く認識すべきです。  我が党は、先ほども述べましたが、道州制を含む統治機構改革を憲法に反映させること、投票価値の平等を踏まえつつ各地域の民意を反映させることの二点をかねてから主張しています。  地方を中心に人口減少が進んでいる中、都道府県単位を続けていくと、一票の較差が更に拡大させることになりかねません。また、都道府県選挙区を残した上で一票の較差を解消しようとすれば、更に合区を進めるか、議員定数を増やすしかありません。しかし、人口減少が進み、財政状況が厳しい中、議員定数を増やすことには国民の理解を得ることは困難です。このため、維新には合区の解消という考え方はありません。合区を容認する立場です。現行に従えば、一票の較差問題を解決することは極めて重要であり、現状では合区はその解決策として合理的と考えます。  しかしながら、合区は抜本的な解決策になり得ません。これまでの最高裁判決で何度も指摘されているように、参議院選挙においても投票価値の平等はできる限り実現しなければなりません。そのためには、将来にわたって現在の都道府県選挙区を残していくことは事実上困難であり、例えば定数を削減した上で選挙区を全国十一ブロックにするなど、選挙制度の抜本的な見直しが必要です。  このように、合区の解消によって地域代表を選出するという方向性以外に、参議院の在り方を、在り方そのものを変え得るような解決策こそ模索すべきであります。  終わりに、もう一度申し上げます。  この審査会が優先すべきは、自分たちの議席をいかに守るかよりも、時代の要請に合わせたテーマでより活発に議論を行うことです。私どもは既に教育無償化、統治機構の改革、憲法裁判所の設置、自衛隊明記、そして緊急事態条項の創設等、憲法改正原案を明示しています。また、国民民主党、衆議院の会派、有志の会の皆さんと共同で緊急事態条項の条文化も行っています。したがって、この参議院憲法審査会で憲法改正に向けた実質的議論を進めることを強く求めたいと思います。  加えて、大事なことは、ただ漫然と議論を続けることではなく、いずれかの時期に結論を出して前に進むことです。しかし、今の参議院憲法審査会は、明確なゴールに向かう道筋がないまま、自己満足のやっている感を出すだけの放談になっています。  憲法を国民の手に本当に取り戻す、そのために、日本維新の会が参議院においても積極的に主張し、かつ行動していくことを申し上げて、私の意見とさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 伊藤孝江君。

伊藤孝江公明党

○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。  参議院議員の選挙区の合区問題について発言をさせていただきます。  最大較差三・〇三倍あった令和四年参議院通常選挙は、去る十月十八日の最高裁大法廷において合憲との判決がなされました。ただ、三・〇三倍という較差自体が問題なしと肯定されたものではなく、参議院議員の選挙制度の改革に向けた議論を継続することや合区を含む定数配分を維持したという経緯にも鑑みたものであり、国民の利害や意見を公正かつ効果的に国政に反映させる選挙制度が民主政治の基盤であり、投票価値の平等が憲法上の要請であること等を考慮すると、較差の更なる是正を図ること等は喫緊の課題であると述べられています。従前の司法の判断に基づいても、参議院選挙制度において一票の較差を是正する改革が何より求められていると考えます。  今、合区制により是正がなされておりますが、合区対象となった県の住民の方からは、人口の少ない地域の住民だけがなぜ県代表の選出が認められないのかという強い不満があることに向き合う必要があります。さきの最高裁判決でも、投票率の低下や無効投票率の上昇が続けて見られること等からすると、有権者において、都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出するとの考え方がなお強く、これが選挙に対する関心や投票行動に影響を与えているとうかがわれると指摘されています。合区制がいまだ地域住民の納得や理解を得られているとまで言えない面があることに加え、人口の増減が今後も見込まれることからすると、更なる合区の見直しを常に検討しなければならず、制度自体に安定性が欠けているとも考えられます。  他方で、参議院を都道府県代表とすることについては、参議院も全国民を代表する選挙された議員によって組織されていることに違反します。仮に参議院を地方の府とする場合には、参議院の機能、そして憲法上及び法律上の権限が大幅な見直しが必要となる可能性が高くなることも考えなければなりません。  そこで、投票価値の平等の重要性を踏まえ、較差の更なる解消と参議院選挙区の持つ地域代表的な性格を両立させ、各地域の民意を反映することができる新たな仕組みとして、現行の比例代表選挙及び選挙区選挙の制度に代えて全国の区域を分けて十一の選挙区とする選挙制度を導入すべきと考えます。第百九十六回国会において、公明党案として、定数維持、十一ブロック制を内容とする公職選挙法改正案を提出し、否決されましたが、同趣旨の十一ブロック制の導入を改めて訴えたいと思います。  大ブロック制は、一票の較差を劇的に是正することができ、一票の較差の解消という意味では最も分かりやすい解決策と言えます。  また、我が党が以前示した十一ブロック案では、配当議員数が最も少ない四国においても定数が表裏で八となり、事実上の都道府県代表としての活動も可能となることから、各県民の不公平感も解消できると考えます。  さらに、大ブロック制は多様な民意をそれぞれの地域から反映できる制度であり、個人名投票とすることで、政党ではなく人物本位で選出できることとなることも併せ、大きなメリットが認められるところです。  最高裁判決でも、より適切な民意の反映が可能となるよう、現行の選挙制度の仕組みの抜本的な見直しも含め、較差の更なる是正等の方策について具体的に検討することが求められています。参院選のたびに選挙制度に関して訴訟を提起される現状を変えていかなければなりません。  参議院として合意形成に向け議論を重ね、結論を導き出していかなければならないと申し上げ、私の意見とさせていただきます。  ありがとうございました。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 打越さく良君。

打越さく良立憲民主・社民

○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。  参議院の選挙制度は、一九四七年以来、選挙区と全国区の並立制で始まりました。都道府県を単位とした選挙区は、二〇一五年の改正で合同選挙区が導入され、初めて四十五の選挙区となりました。このときの改正公職選挙法の附則には、二〇一九年の参院選に向け、一票の較差の是正を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るとされています。  これを受けて、伊達議長の下で参議院改革協議会で議論が開始され、選挙制度に関する専門委員において十七回にわたって各会派による検討、協議が行われました。  この検討の過程において、自民党は、終始一貫して合区解消を目的とする憲法改正を主張してきましたが、突如として定数六増と比例区に特定枠を設ける選挙制度改革を提案しました。この案は、一年間の専門委員会で一度も提案されておらず、これまで積み上げてきた議論を全く無視するものでした。  ところが、伊達議長は、参議院各派代表者懇談会において、自民党案に賛同する会派がなかったにもかかわらず、野党の求める議長あっせんにも応じず、各会派に対案を出すよう求め、強引に協議を打ち切ったのであります。しかも、定数増を含む自民党案の提案は、我が国の人口が減少傾向にある中で、衆議院では二〇一六年改正で定数が十減となった後に、参議院だけ定数増を行ったものであり、国民から多くの批判の声が上がりました。  この法改正は二〇一九年の参議院選挙から導入されましたが、様々な矛盾があります。まず、比例代表の特定枠が設けられ、政党が決めた順位に従って当選者が決まる拘束名簿式を一部に導入できるようになりましたが、これは合区によって候補者を出せなくなった県代表を特定枠で救済しようとする自民党の意向を反映したものです。  自民党は、鳥取・島根、徳島・高知が合区され、県代表を出せない県が二県出ることになり、地方の声が届きにくくなるから設けられたのだと説明し、実際にそのような候補者調整を行ってきました。自民党は、合区された選挙区において候補者の氏名、候補者を出せなかった県においては政党名を書かなければならないという運用を行っています。例えば、高知・徳島選挙区においては、高知県では候補者の氏名、徳島県では政党名を書かなければならないという非常に分かりにくい制度運用になっています。  このことから言えることは、合区を容認した上で、それを補完する意図で特定枠を設けたのであれば、将来的な合区が視野に入っているということであります。それゆえ、特定枠を導入したままで合区解消を主張することに論理的整合性はありません。現在の自民党の運用であれば、合区が進んでも、県代表を出せなくなった県の候補者を特定枠で救済すればよいからです。この考え方を推し進めれば、全都道府県の代表を特定枠に登載すればよいとの解釈も可能になります。  このような経緯からは、合区を解消しようとするのであれば、まずは特定枠の廃止が先決であるということになります。  この問題は、特定枠という拘束名簿式の問題では全くなく、政党における運用の問題です。しかしながら、拘束名簿式比例代表制と非拘束名簿式比例代表制が混在している現在の比例代表制は問題であり、どちらかに収れんさせるべきであると考えます。  ところで、合区解消を含む自民党の改憲四項目案は二〇一八年三月二十五日に出されていますが、それまでの自民党は道州制の導入を主張していました。改憲四項目と整合性を取るためか、自民党道州制推進本部は二〇一八年十月に廃止されました。廃止を決めた当時の政調会長は岸田文雄氏です。それまで道州制構想を推進しておきながら、参議院選挙制度で合区が現実的になると都道府県代表の必要性を振りかざすのは、御都合主義が過ぎるのではないでしょうか。  なお、学界においては、合区問題を憲法改正で解消することは困難であるとの言説が通説化していることを申し添えて、発言を終わります。  以上です。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 青山繁晴君。

青山繁晴自由民主党

○青山繁晴君 自由民主党の青山繁晴です。  党利党略ではなく、主権者の代理人である一人の議員として、私の意見を申し上げます。  参議院の補欠選挙で、先日、徳島と高知の合区選挙区に入りました。徳島は記者時代の初任地、高知はきょうだいの嫁ぎ先で、それぞれの地域文化に今も身近に接しています。阿波の徳島と土佐の高知は全く違います。それが一緒くたの選挙区にされていることに、主権者の怒り、悲しみ、そして関心の喪失をじかに感じました。  私が、衆議院まで含めて国会全体で考えれば、東京ばかり議員を増やしてどうすると信ずるところを申し上げると、主権者はその支持党派を超えて共感される人も少なくありませんでした。  一方で、山本太郎委員の以前のこの審査会での御発言に、自由民主党は自ら合区を率先して導入しておきながら、それを理由に改憲を主張するのはおかしいという趣旨がありました。今日の御発言にも一部あったと思います。私は、その指摘に限っては正しいと考えます。その上で、主権者のために合区という不合理は根本から党派を超えて解消せねばならないと考えています。  アメリカのまねをするわけではなく、参考までに釈迦に説法を申せば、合衆国は一票の較差よりも各州の主権者の権利を尊重して、人口にかかわらず各州平等に日本の参議院議員に当たる上院議員を二人ずつ出しています。人口最大四千万近いカリフォルニア州でも、人口最小のおよそ五十八万人のワイオミング州でも、同じく二人ずつです。五十州掛ける二人の合計百人です。  私は、日本も、都道府県、四十七都道府県掛ける三人の百四十一人、プラス比例代表の百人、そうしますと合計二百四十一になりますから、ちょうど合区を導入する前の定数に戻るわけです。これを憲法十四条、法の下の平等の例外規定として書き込むことを主権者にお尋ねするよう、私の意見として望みます。  最後に、法制局長に短くお尋ねいたします。  国会法は、衆議院百人、参院は五十人の議員の賛成があれば憲法改正の原案を国会に出せると定めていますが、これは改憲規定を盛り込んでいる憲法九十六条とどのように響き合っているのでしょうか、お尋ねします。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  制度上は、先生が今おっしゃいました国会法六十八条の二に定める賛成者の要件を満たしていれば、憲法九十六条一項が規定する各議院の総議員の三分の二以上の賛成の見込みにもかかわらず、見込みにかかわらず、憲法改正原案を各議院に提出することは可能でございます。

青山繁晴自由民主党

○青山繁晴君 皆様御存じのとおり、自由民主党はその規定によらずに、最終的には総議員の三分の二以上の賛成がないと、さっき主権者にお尋ねすると言いましたけど、国民投票にかけられませんから、あくまでもこの憲法審査会を大切にして議論を進めています。私はそのことに反対する、現時点で反対するわけではありませんが、先ほど維新の方の提案にもありました、いつまでも議論を続けるというのも違うと思います。  全てのことの中で、この憲法改正だけが主権者に最終的な選択が預けられているわけですから、代理人である私たちだけでいつまでも話すのはまた違うと考えていますので、今後、この国会法の規定についてもできれば議論されることを望んで、終わります。  ありがとうございました。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 石川大我君。

石川大我立憲民主・社民

○石川大我君 立憲民主・社民の石川大我です。  まず、私からは、人口集中により区割りや定数が変わる問題と一票の較差問題について、都市部からの視点を交え申し上げます。  参議院、直近十年の東京選挙区の定数は平成二十七年に二増加し、十二となりました。これにより、東京選挙区と改定前後で人口が全国で最小の選挙区との較差は、四・四七倍から二・七二倍に縮小しました。令和二年国勢調査前後の東京選挙区と全国で最小の福井選挙区との較差は、現在までに三・〇〇二倍となっています。平成二十七年には、鳥取・島根、そして徳島・高知が合区となる一方、北海道、東京、愛知、兵庫、福岡で定数増となっています。  昨年の参議院選挙では、一票の較差が東京都と福井県で約三倍ありました。もし合区を廃止すれば、これら一票の較差は更に拡大することになります。仮に合区を廃止するために憲法改正をしても、憲法十四条はそのまま残っているわけですから、なぜ都市部の有権者の投票価値の平等をこれほどまでに犠牲にして県選挙区から一人を選出しなければならないのかという問題は永久に付きまとうことになります。つまり、投票価値の平等という人権を地方の声を国政に反映させるという主張で押し潰すことは、憲法の基本原理である基本的人権尊重との関係で深刻な憲法上の問題があると言わなければなりません。  次に、今回のテーマは合憲判決についてでしたが、本審査会は、違憲判決や違憲の決定、違憲の判断についても取り上げ、議論すべきと考えます。本審査会で議論することは、国会法百二条の六の日本国憲法及び憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行うとする憲法審査会の法的任務にも合致すると考えます。  先月十月二十五日には、性同一性障害特例法について最高裁の違憲の判断が出ました。性同一性障害の当事者が性別を変更するためには生殖能力をなくす手術を受けなくてはならない問題について、最高裁判所大法廷は憲法に反するとの判断をしました。十五人の裁判官一致の判断で法律を憲法違反と判断するのは、戦後十二例目ということで注目を集めました。  違憲の理由としては憲法十三条を挙げており、戦後十二例目の中でもこの十三条を違憲の根拠条文として挙げたものは初めてです。本最高裁判所判断では、憲法十三条について、自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由が、人格的生存に関わる重要な権利として、同条によって保障されていることは明らかとしつつ、この生殖能力をなくす手術を課していることについては、必要かつ合理的なものとは言えない、よって十三条違反と判断しています。  こうした違憲判決、判断についても、本審査会で議論することは、先ほども述べました国会法や憲法審査会の設立、設置趣旨である日本国憲法に密接に関連する基本法制についての広範かつ総合的な調査をするにも合致すると考えます。  会長におかれましては、裁判で違憲が確定した事案についても本調査会で積極的に取り上げてくださいますようお願いをいたします。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) ただいまの件につきましては、後刻幹事会において協議いたします。

石川大我立憲民主・社民

○石川大我君 どうぞよろしくお願いをいたします。  以上で終わります。ありがとうございました。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 加藤明良君。

加藤明良自由民主党

○加藤明良君 自由民主党の加藤明良でございます。  参議院選挙の合区の問題につきまして、意見を申し上げます。  本年四月に行われた憲法審査会で、参考人として、現在の合区の対象県である鳥取、島根、徳島、高知県の四名の知事からそれぞれ御意見を伺いました。全員が合区に否定的であり、改憲による合区解消が必要、合区の固定化や拡大は断じて容認できないなど、大変厳しい御意見をいただきました。  また、全国知事会など地方六団体からも参議院選挙における合区解消に関する決議が提出され、同様の意見が全国三十六県議会で採択をされております。合区制度の見直しは地方の声であります。  一票の較差の問題について、これは、全ての国民は法の下に平等とする憲法第十四条一項が、第十五条三項、四十四条と併せて、投票価値の平等、一票の較差の憲法上の根拠となっております。  しかし、最高裁では一票の較差ばかりが問題視されておりますが、私はむしろ地方の格差、地域格差や経済格差の視点から、十四条一項による国民が法の下に平等を重視し、主権者としての権利を主張すべき、注視すべきではないかと考えます。  都会と過疎地域を比較すると、人や企業が集中する都心部では都市の整備も進み、高い税収による質の良い行政サービスで生活の利便性は高くなります。一方で、人口が少ない県では税収が減り、税収が少なければインフラ整備や行政サービスが低下し、地域格差や経済格差が生じます。  今後、地方では過疎化が進み、高齢化や医師不足が更に深刻化する中で、生活する方や商いをする方、その環境で育つ子供たちが都会より質の良い行政サービスが受けられないなど、不平等と感じていることはないでしょうか。  さらに、教育、医療、福祉などを維持し、県民に不平等と感じさせない環境を守らなければならないときに、その県から選出される参議院議員がいない合区の有権者の多くは、議員が少ないから地方の意見は通らず、議員定数の多い都市部ばかりの声が優遇され、地域格差や経済格差が更に進むと現行制度の不平等を感じているのではないかと考えます。  川崎法制局長に伺います。  一票の較差是正は重要ではありますが、国民が法の下に平等とする憲法十四条一項に基づき、国民生活に直結する地域格差や経済格差の拡大が現行制度上での不平等とならないのか、お伺いいたします。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) 十分なお答えになっているかどうか分かりませんけれども、投票価値の平等の要請と、地域の民意であるとか利害をいかに反映し、それを調和させていくかということは、非常に重要な課題であるというふうに思っております。  選挙制度の問題として考えるとともに、まさに国会において先生方がそれぞれの地域の民意なり利害なりをいかに反映していくかということを御議論、お考えをいただく問題ではないかというふうに考えております。  以上でございます。

加藤明良自由民主党

○加藤明良君 ありがとうございます。  憲法十三条では、全ての国民は個人として尊重され、幸福の追求に対する国民の権利は立法、国政で最大の尊重を必要とするとしております。国民が法の下に平等とする憲法第十四条一項に基づき、国民生活に直結する地域格差や経済格差を是正するために、立法府は国政で最大限の努力をしていかなければならないことが憲法の定めであると考えます。  過疎地域や広い面積を持つ地域だからこそ、これらの問題をしっかりと意見を受け入れ、長い任期で議論が深められる参議院の存在が均衡の取れた日本の発展に必要であります。  早急に合区を解消し、参議院はその独自性を生かすため、各都道府県を選挙区として選出される選挙制度の確立のため、是非とも憲法審査会による憲法改正の議論の進展に期待をし、意見といたします。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 臼井正一君。

臼井正一自由民主党

○臼井正一君 自由民主党、千葉県選出の臼井正一でございます。  衆議院選挙の較差是正のための十増十減が示されてから約十一か月余りたちました。私もこの間、地元を回りながら、地域と密接に関係をつくった、きずなを紡いだ衆議院支部長が選挙区を離れる有権者に対するその腸のちぎれんばかりの思いというものに触れてきました。小選挙区制を維持する以上、こうした定数をいじらないで十増十減というのがこれから繰り返されるのかなというふうに思った次第です。  やっぱり衆議院選挙というのは政権選択の非常に意味合いが強くて、無所属の先生の数を調べてみても衆議院では今実際は六だそうです。うち二名は不祥事があって離党された方もいらっしゃるので、参議院のその十に比べて割合としては五十倍ぐらいの無所属の議員しかいないということで、やはり政党を選ぶ選挙の色合いが強い衆議院に対して、参議院というのはやっぱりこの地域性というものを大事にしていかなければならないのかなという思いをそのときにも感じた次第でございます。  今回の、今般の最高裁の判決では、従来から言われていました、一定の地域の住民の意思を集約的に反映させるという意義ないし機能を加味する観点から、政治的に一つのまとまりを有する単位である都道府県の意義や実体等を一つの要素として考慮すること自体が否定されるべきものであるとは言えないことに加え、有権者において、都道府県ごとに地域の実情に通じた国会議員を選出するとの考え方がなお強いとの見解が示されたわけであります。  このような最高裁の参議院に対する地域性、すなわち都道府県を重視する姿勢には、私も率直に安堵いたしました。今こそ、その要請に政治が答えを出さなければならない、こうした思いを新たにしたところでございます。  二院制の下、参議院が抑制、均衡、補完の役割を果たすために、参議院は衆議院のカーボンコピーであってはならない、これは皆さんと心を一にするところだと思います。参議院の役割を考えたときに、政権選択の色合いが濃い一票の較差是正を小まめに行わなければならない衆議院に対して、これ以上、参議院において合区が進むということを考えれば、今後合区をされる場合は吸収合併の色合いが大分濃くなる合区対象県があるというふうに聞いています。そうした地方の政治への諦めにこれ拍車が掛かることがあってはならないとも思っています。  去る十月二十二日に行われた徳島・高知の補欠選挙、これは投票率を見てみても、高知県では四〇・七五%、徳島県では二三・九二%、いずれも参議院選挙の最低記録を更新したとのことであります。特に注目すべきは、合区となった両県間の投票率の二倍近い開き、これが徳島県下では関心が薄く、更なる政治離れが進む、こうしたおそれがあるということは言うまでもないことだというふうに思っています。  しっかり、今後、皆様からも議論が出ているとおり、我々、私としてはこの合区を解消する、そして憲法をしっかり、に参議院、都道府県ごとの選出、これを明記をすべきだという思いから、更にこの憲法審査会における議論、これを一段前に進めていきたい、そういう強い思いでいることを改めて意思表明をいたしまして、終わります。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 他に御発言もないようですから、以上で委員間の意見交換を終了いたします。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時三十三分散会

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