外交・安全保障に関する調査会 第2号
- 発言数
- 118 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2023/02/15
会議録
○会長(猪口邦子君) ただいまから外交・安全保障に関する調査会を開会します。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、古庄玄知君が委員を辞任され、その補欠として山下雄平君が選任されました。 ─────────────
○会長(猪口邦子君) 外交・安全保障に関する調査を議題といたします。 本日は、「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」のうち、「軍縮・不拡散①(NPT・CTBT・FMCT・INF・新START)」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。 御出席いただいております参考人は、内閣府原子力委員会委員長代理・元軍縮会議日本政府代表部特命全権大使佐野利男君、公益財団法人日本国際問題研究所軍縮・科学技術センター所長戸崎洋史君及び長崎大学核兵器廃絶研究センター副センター長・教授鈴木達治郎君でございます。 この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。 本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、佐野参考人、戸崎参考人、鈴木参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。 また、発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。 なお、発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず佐野参考人からお願いいたします。佐野参考人。
○参考人(佐野利男君) 紹介していただきました佐野でございます。 今日いただきましたお題目は、NPT、CTBT、FMCT、INF、新STARTなど、二国間、多国間を始め、多様な枠組みで進められている核軍縮、核不拡散の現状、成果、課題、及び核軍縮、不拡散の推進に向けた意見、提言ということで、先生方には釈迦に説法になってしまうかも分かりませんけど、一応確認の意味を含めてお話しさせていただきたいと思います。 なお、本日の意見の陳述は、私の今の職である内閣府原子力委員あるいはいかなる組織を代表した、組織の意見を代表したものではございません。私の個人の見解でございます。御承知おきください。 まず、多様な枠組みの現状で、このレジュメを用意いたしましたけれども、これを丁寧に説明していただきますと四十分掛かるということが分かっていますので、若干省略しながら要点のみをお話ししたいと思います。 NPT、核不拡散条約でございますけれども、七〇年に発効して今年五十二年、三年ですか、百九十一か国が加盟している戦後の核秩序の根幹を成すものであって、国際安全保障の礎石であるという認識でございます。 五か国のみに核保有を認めている言わば不平等条約です。これは、一九六七年一月以前に核実験をした五か国ですね、これに核保有を認めて、当時、一九六〇年代の課題というのは核兵器をいかに拡散しないかということであったわけで、この拡散を望まない米ソにより主導された、まあ言わば主権平等を犠牲にした条約であって、当時の知恵であったというふうに私は考えております。そのうち、西独、そして日本が入ることによって、この当時の国際政治における敗戦国の主な国ですね、西独、日本が入ることによって一定の目的を達成した条約であると思います。 ただ、不平等なんですが、その条約の中にグランドバーゲン、大きな取引と書きましたけれども、つまり、将来にわたってこの不平等性を解消していこうと、つまり核兵器国が核を廃絶していく方向のベクトルを明記しておる。これは六条、有名な六条でございますけれども、同時に、非核兵器国の原子力の平和利用、この権利を認めていこうと、こういう条約でございます。 二十五年たった九五年、これが重要な年なんでございますけれども、無期限の延長に国際社会が合意しました。つまり、不平等性が糊塗されたわけですね。ただ、その見返りに非核兵器国が得たものがあると。それは、その下のちょっと太字で書いてありますが、CTBT、包括的核実験禁止条約、これの早期採択、これはもう交渉が内々続いていたわけですが、それから、二番目にFMCT、兵器用核分裂性物質の生産禁止条約、三番目に、一番最後の行ですが、中東の非大量破壊兵器地帯の実現、で、次のページの一番上ですが、消極的安全保証、大体この四つぐらいが非核兵器国が無期限延長の代わりに勝ち取ったといいますか、そういう項目でございます。 まず、CTBTからいきますと、これは端的に申し上げますと、地下核実験を禁止したものです。地下核実験を禁止することによって、以前からあった部分的核実験禁止条約、つまり海中、大気圏、宇宙も入れてですね、全てのところ、場所における核実験を禁止しております。ただ問題は、発効要件が敷居が高かったわけですね。そこに書いてあります八か国が現在も締結しておりません。米、中、インド、パキスタン、エジプト、イスラエル、イラン、北朝鮮、この八か国です。署名数は百八十五ともう非常に多いんですけれども、いずれにせよ発効していないと。 この現状がこういうことですが、問題としては、やっぱり国際政治の現実から見て、この八か国が批准していくのは非常に難しいと。つまり、米は御存じのように共和党と民主党、立場が違います。上院で三分の二以上を取らなければ批准できません。中国はアメリカを見ている、インドは中国を見ている、パキスタンはインドを見ている。それから、エジプト、イスラエルは相互に見合っているわけですね。イランもイスラエルを見ている。北朝鮮は御存じのような開発をしてしまっていると。この八か国が批准してCTBTが発効するというのは非常に難しいと思います。 ただ、二か国を除いて、今この国際社会の中に核実験できるか、国際的な世論に抗してできるか、私はできないと。二か国というのはロシアと北朝鮮のことを言っているんですが、この国以外に核実験はできないという規範が各国の指導者の中にあると思います。そういう意味では、CTBTの八割方のその条約の精神というものは尊敬、尊重されているというふうに言えると思います。 これを発効するために、例えばもう一度外交会議を招集するとか、あるいは条約の暫定適用という手はあるかも分かりませんけれども、しても同じですね、この八か国が入ってこないわけですから。つまり、国際政治の問題であって、条約を発効させる云々というのは二次的な問題じゃないかというふうに考えております。 FMCT、これは兵器用核分裂性物質生産禁止条約です。端的に申し上げますと、核兵器の原料となる高濃縮ウランとプルトニウム、これの生産を禁止していこうという、ある意味で画期的な条約ですね。これができましたら、ある意味では核軍縮、核廃絶の道が大きく開かれるという条約ですけれども、これが残念ながらジュネーブの軍縮会議において、二十数年にわたって交渉がなされてきませんでした。 その理由は、本音ベースで言うとこのFMCTを望まない国があるということだと思いますが、表面的には、ほかにプライオリティーがある、ほかのイシューにプライオリティーがあるということでですね、例えば宇宙の問題とか、ことをいうわけですが、たまたまこのジュネーブの軍縮会議はコンセンサスがルールですから、一か国でも反対すると交渉が始まりません。そういう状況がずるずると今日まで及んでおります。ですから、成果が出てないということです。課題は山積です。 ただ、条約の草案を作っている国もあるし、それから条約が始まった場合に即交渉が開始できるように様々な準備がなされてきている。日本政府も相当努力をしてきております。この軍縮会議のルールを、コンセンサスルールを変えるのはどうかというのがよく議論されますけれども、それも一つの方法かと思われます。 中東の非大量破壊兵器地帯、大量破壊兵器といっても、特に非核地帯をつくろうと。その心は、イスラエルの核を放棄させようということですね。当時、アラブ諸国が無期限延長に合意したのは、もしイスラエルの核が放棄されれば非常に望ましい状況ができるという、言わば冷戦後のユーフォリアの中にいたんだと思いますけれども、ただ、これも全く進展しておりません。いろんな会議を開いておりますけれども、まさに会議は踊るで、実際は全く進展しておりません。 現実世界に目をやりますと、かなり難しいですよね。今の中東和平の状況を見て、イスラエルが核を手放すか。つまり、イスラエルは、自分たちは中東における最初の核兵器国にはなりませんという形で曖昧政策を取っているわけですが、まあほとんどのアラブ諸国は持っていると思っているわけですから、この実現は見通しは困難であると。 四番目に、消極的安全保証ですけれども、これは実は、そのNPTが無期限延長される前に安保理の九八四によって五核兵器国が供与したもの、つまり、核兵器国は非核兵器国に対して核の使用及び核の威嚇をしないという約束をしたものですが、これは皆様既に御存じのように、クリミア併合あるいは今回のウクライナの侵略時におけるロシアの態度を見ても明らかに違反されている。したがって、これは宣言なんですね。条約でもなければ、公的拘束力がある文書じゃありません。ただ、これを条約にするかという動きはあります。ただ、核兵器国がどれだけ譲歩するかということだと思います。 この四項目を今から見ると、必ずしも現実的とは考えられないような約束の見返りとして無期限の延長をしたというのが現実であります。 それ以降のNPTの動きを見てみますと、注目されるのは、二〇〇〇年の会議という、運用検討会議ですが、これで全面的核廃絶の明確な約束というのを核兵器国がしております。そのための、実現するための十三の具体的な措置についても約束しております。これは二〇一〇年の最終文書でも引き継がれ、これが最後のNPTの合意になっているわけです。昨年行われました二〇二二年の最終文書は、ロシア一か国の反対によってほごにされました。 現在の状況ですが、やっぱりNPTの運用検討会議で合意文書ができないという状況で、NPTに対する求心力が弱まっているということが言えると思います。対立が表面化している。つまり、非核兵器国対核兵器国、ロシア対加盟国、米英仏対ロ中、それから核兵器禁止条約派と核兵器国あるいは同盟国、こういった対立が明確になってきております。特に、核兵器国間の対立、米中の対立ですね、が今後のNPTのマネジメントに深刻な影響を与えると思います。今までは、善しきにつけあしきにつけ、五か国が固まって合意形成に参加していたわけですが、今後実のある合意は困難だと言わざるを得ないと。 しかしながら、そのNPT運用検討会議の失敗、NPTの求心力が失われているということに過度に悲観的になる必要はないと私は考えております。なぜならば、実際の核兵器の削減というのは、米ソあるいは米ロですね、の二国間、そして英仏の一方的な宣言で行われてきていたわけで、NPTの合意によって削減されてきたわけじゃないんですね。したがって、今後何よりも重要なのは国際安全保障環境の改善ですけれども、大国間競争の中でも同時並行的に米ロのこのSTARTに加えて中国を交渉に参加させる、あるいは米中でもいいと思うんですけれども、そういった軍備管理交渉を始めることが重要だと思います。 次に、INFですけれども、これは皆様御存じのように、七九年の核戦争の危機の後、NATOが二重決定をした。つまり、ソ連、当時のソ連が中距離核戦力、SS20が主ですが、配備するのに対して、NATO側は同時にパーシングⅡという中距離を配備する決定をして、同時に交渉をしましょうと、つまり抑止と同時に交渉をしましょうと、そういう結果できた条約です。 発効が遅れるわけですけれども、これは英仏のミサイルを入れるかどうかということで遅れてきたんですが、結局発効して、米ロともこれを全廃します。それを二〇一九年にトランプ政権が破棄したわけですね。これは後で述べますけれども、この三十年の間に、米ロが手を縛られている間にそのほかの国、特に中国がミサイル開発に乗り出してきたというのに対して取った私は勇断だと思いますが、現在は破棄の状態にあります。 次に、新STARTですけれども、米ロ、先ほど申し上げましたように、米ソ、米ロはこのSTART条約を中心に核兵器を削減してきたわけですね。往時は七万発ありました。現在は大体一万二千から一万三千発、総数が、なっていますが、このSTARTで合意しているのは展開されている戦略核のみなんですね、千五百五十発。これは、おおむね両方とも約束を守っています。というのは、検証を、しっかりした検証機能を持っているわけです。衛星あるいは現地査察、それによって約束は守られていると。 他方、最近の動きとして、ウクライナ戦争の影響を受けてロシアが二国間査察を拒否しているとか、あるいはリャブコフの発言とかいろいろございますけれども、いずれにせよ条約は生きてはいます。これは二〇二六年までです。 問題は、この二〇二六年に期限が来るわけですが、これをどうするかという問題ですね。一番いいのは、新START条約に中国を加えて、かつ交渉対象を戦略核のみならず戦術核も含めた全ての核兵器国、核兵器、これはアメリカが提案していたんですが、そういう土俵ができればよろしいわけですけれども、ヨーロッパ正面において圧倒的に戦術核に優位に立っているロシアが戦術核を交渉のまないたにのせるというのはなかなか考えにくい。そうすると、少なくとも、私が思うに、単純延長でもいいから二〇二六年からもう一度五年間延長してほしいと、そのための交渉をアメリカが始めるべきだというふうに思っております。 その次の核兵器禁止条約と核セキュリティーについては、ここでは省略しておきます。後ほどの議論で出てくると思います。 次に、核軍縮、核不拡散の推進に向けた意見、提言ですけれども、国際情勢は、冷戦後の国際協調の時代ははるか遠くに遠のいてしまって、現在は大国間競争の時代、抑止の時代に入っている、軍拡の時代ですね、入っていると思います。しかし、少なくともこのSTART条約の単純延長でもいいからやってほしいというふうに考えております。合意できなかったNPTの最終文書に実はパラグラフ十七というのがあって、ここでは両国とも後継条約に実質的に合意しているわけですね。だから、そういう意思はあったと。 それから、何よりも重要なのは、中国をこの軍備管理交渉に参加させることが重要であると。当時、NATOが七九年に二重決定しましたけれども、それと同じように、抑止力を強化すると同時並行的に軍備管理交渉の、まあ準備交渉でもいいから始めていくと。で、交渉を始めて同じテーブルに着く限り、相互の脅威認識を把握せざるを得ないし、猜疑心の解消にもなるし、信頼醸成機能を持つわけですね。 じゃ、中国が果たして乗ってくるかという大きな疑問があるわけですが、私は、中国が関心を持つ分野、主にソフトな分野だと思いますが、NASAにある、アルテミス合意というのがありますけれども、宇宙の平和利用とか、宇宙の資源の利用とか、あるいはスペースデブリの対策、現在約十八か国ぐらいが参加して、ウクライナも実は入っているんですが、そういった宇宙の平和利用をこのソフトの面から始めていくことも一法じゃないかと。 中国が一番望むのはMDですね、ミサイルディフェンスの能力を制限したいと。圧倒的に優位に立つアメリカのMDの能力を制限したいということでしょうけれど、アメリカは恐らく乗ってこないと思いますね、自分の優位性を落とすわけないわけで。そういう力関係ある中で、ソフトの面から交渉を始めていくというのが一つの方法だろうと思います。それから、ですから、現在の東アジアの状況というのは、七九年のヨーロッパの正面の状況と極めて類似しているというふうに考えます。 最後に、今後の核不拡散ですけれども、一番重要なのは、新たな核保有国の出現を阻止すると。プーチンが今回示した核の恫喝というのは、不用意にも核兵器の閾値を下げてしまったわけですね。同時に、核拡散の危険性というものを広げてしまった。そういう効果を持ってしまったわけで、潜在的な核保有国への手当てがどうしても必要になってくる。 それから、NPTの求心力が弱まる中で、NPTにとどまるメリットというのを途上国メンバーに示していく必要があると。そのためには、例えばIAEAがやっている放射線を使ったがん治療、これアフリカ等々、途上国の首脳が非常に興味を持つわけですが、こういったものを示していく必要があると。 それから、核兵器禁止条約グループも含めて、対立状況を解消して、NPTを共に支えると、そういう姿勢を示していく必要があるかと思います。 また、新たな軍縮マシンを創設したり、あるいは既存の枠組みの改革に向けて国連がイニシアチブを取っていくというのも一法かと思われます。 若干走ってまいりましたけども、以上で私の御説明を終わりにしたいと思います。 ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。 では次に、戸崎参考人にお願いいたします。戸崎参考人。
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございます。 御紹介いただきました日本国際問題研究所軍縮・科学技術センターの戸崎でございます。 本日は、このような機会をいただきまして、本当にありがとうございます。 本日の私の報告それから発言ですけれども、全て個人の見解ということで、所属先などを代表するものではないということをあらかじめお断り申し上げたいと思います。 冒頭の報告でございますけれども、軍備管理といったものがどのように考えられて扱われてきたのか、それから更なる軍備管理、そして最終的な目標である核兵器のない世界に向けて進んでいくためにどういったことを考えなければならないか、考える必要があるのかといったようなところを中心にお話しさせていただきたいと思います。 まず、軍備管理ですけれども、最も基本的な定義は、軍事における敵対国間の協力でございます。 現在の国際システムの中では、自助、セルフヘルプ、それから自衛のために抑止力を持つということが必要になっておるわけですけれども、そうした抑止力の維持それから強化がもたらし得る安全保障ジレンマの緩和であったり、それから抑止バランスを安定化させたり、抑止関係にある中でも、敵対関係にある中でも、信頼醸成、それから透明性、そして将来の予見可能性、こうしたものを与えるというのが軍備管理の重要な役割だというふうに位置付けられてきました。核の秩序という言葉がありますけれども、それは抑止とこの軍備管理の二つの柱で成り立ってきたということが言われております。 その軍備管理でありますけれども、パワーであったり抑止力であったり、それをめぐる外交的手段によるせめぎ合いとしての側面というのも非常に強いというのがこれまでの歴史であったかと思います。 軍備管理は、最終的には、他方の抑止力に対する管理であったり制限であったり低減であったりと、そういったようなものを企図したもの、目標としたものであるということで、優位にある国、劣位にある国、それぞれがいかにこの自分の国に、自らに有利な合意をつくり上げていくか、そうしたゲームがその軍備管理交渉の中で行われてきたという側面も少なくなかったのではないかと思います。 最終的に合意が成立するためには様々な譲歩が必要になってきますけれども、譲歩ということは最終的には不完全なものあるいは不満足なもの、そうした合意が成立してしまう可能性もあるということで、あるいは合意したときには満足できたけれども、その先、将来、不満足な状況が生まれてしまうということもあるということで、そうした中で、敵対国が例えば欺瞞であったり違反であったり、そうしたことを行う可能性があり、それに対して効果的に対応できなければ自分たちの国が不利益を被ってしまうという、そうした側面も軍備管理には強かったということであります。 特に、マルチ、多国間の軍備管理について特有の難しさということも一言申し上げておきますと、当然その関係国が増加すればするだけ様々な中でのバランスを見出して維持していくということは難しくなってきますし、譲歩の幅も大きくならざるを得ないということで、そこに不満の種が出てくると。とりわけ、核兵器のように国家安全保障上重要な兵器だとみなされるものについては、そうした不満というものが蓄積してしまう可能性もあるということですね。 そして、核の問題ではコンセンサスで合意を図っていくということも少なからずあるわけですけれども、もちろんそのコンセンサスで合意することによって、全ての国が履行する、それを守るというようなことになる可能性はありますけれども、他方で、交渉の中では一つの国が拒否権を持ってしまうということもあってなかなか合意ができない、これは先ほど佐野大使の話にもあったことではございますけれども、そうした側面もあるということでございます。 続きまして、現在の核軍備管理の状況でありますけれども、二〇一二年から一三年、新START条約ができたのが二〇一〇年、発効が一一年でありますけれども、その後、既に核軍備管理の停滞、そして現在の逆行というものは始まっていたのだろうというふうに思います。 最も重要な要因は現在進行中の戦略的競争でありますけれども、その中で当然その競争には力というものが必要になってくると。その一つの要素として、核兵器というものが様々な国によって重視されている、核抑止力の重要性の高まりということが一つあると思います。 現在の戦略的競争は、既存の国際秩序を修正したいと考える国と維持したいと考える国、そのせめぎ合いという側面があるわけですけれども、修正したいと考えている国は、今現在自分たちは力を伸ばしているんだと、で、この伸ばしているところで止められたくない、軍備管理のような措置によって力の増大、抑止力の強化というものを抑制されたくないと、そういったインセンティブといいますか、抑制要因が働くということになるかと思います。 他方、現状維持勢力、西側、日本も含めてですけれども、当然その抑制要因としては、そうした修正主義の国々が抑止力を高める中で自分たちも抑止を高めなければならない、対処力を必要とするというようなところが軍備管理に少し後ろ向きになってしまうところもありますけれども、他方で、そうしたその現状を修正しようとする国々の力の台頭というものをこの軍備管理によって少しマイルドにしていくと、抑えていくということができるのであれば、それは軍備管理の非常に、彼らにとっての重要な役割になるということになるということで、そこにインセンティブが働いているのだろうというふうに思います。 そして、現在最も懸念すべきは、戦略的競争の最前線にある地域、北東アジアもそうですし、ヨーロッパ、中東などもそうですけれども、そうした地域問題ですね、ここでの非核、核のエスカレーションの可能性が強く懸念されていて、実際に勃発してしまったのがウクライナであったわけですけれども、そうした中でその抑止力の強化のインセンティブが非常に高まってしまっており、これも軍備管理が進むことを妨げている要因になっているのだろうというふうに思います。 もう一つの要因は、国際システムと戦略関係、抑止関係が変容しているということで、抑止が非常に複雑になっているということなのだろうというふうに思います。 既存の核軍備管理・不拡散体制はおおむね冷戦期の二極構造に起源を持つものでありますけれども、これがまあ多極、世界は多極に向かっているという中で、その中でどのようにバランスを取ったらいいのか、協力を図ったらいいのかということがなかなか考えにくくなっていると、難しくなっているということ。 それから、これも冷戦期には基本的にはその戦略核というものが中心になって考えられていたわけですけれども、それが戦略核だけではなくて、それ以外の戦術核も含めた非戦略核、それから、核兵器だけではなくて核兵器と通常戦力の問題、とりわけ戦略的インプリケーションを持つような兵器、こうしたものが重要になってきているということで、これらを軍備管理の文脈の中に落とし込むにはどうしたらいいのかということ、これまで我々が経験したことのなかったことをやらなければならないということ。 そして、様々な国がある中で、能力であったり、利益、決意、そうしたものへの非対称性が大きいという中で、この辺りのバランスをどうするのかということですね。 既存の核軍備管理・不拡散体制ではなかなかカバーし切れない多くの課題があると、で、カバーするために核軍備管理、軍備管理の在り方について現状では合意がないと、あるいはその合意を図っていくことが難しい、あるいはどういったアイデアでこれを進めていったらいいのかというのがまだ国際社会には合意がないということなのだろうというふうに思います。 続いて、既存の軍備管理の現状については少し手短にお話ししたいと思いますけれども、NPTの第十回運用検討会議については、先ほど佐野大使がお話しされたとおりで、私もおおむね同じ考えを持っておりますけれども、一点だけ。 こうしたその核をめぐる非常に厳しい状況にある中で、最終文書の採択に向けて、締約国、マイナス一ですね、ロシア、の取組というのは、やはりそのNPT体制というものが重要でこれを堅持すべきだという意識に支えられたものだったのではないかというふうに思います。結果として文書は採択できませんでしたけれども、それまでの過程で各国が採択に向けて一生懸命取り組んだという現実、事実と、一応文書の形でドラフトはできたというところは一つ留意すべきなのかなというふうに思います。 もちろん、その会議の中で核兵器国間の亀裂がこれまで以上により目立ったということ、それから中国が非常にアグレッシブに対応したというところは今回の会議の特徴であったかというふうに思います。 続きまして、ポスト新STARTですね、新START後の核軍備管理をどうするかというところで、なかなかそのアメリカとロシアのそもそも折り合いが付いていないと。アメリカは全ての核兵器を対象にすべきだと言っているのに対して、ロシアは攻撃、核兵器だけではなくてミサイル防衛も含めるべきだと、それからアメリカがヨーロッパに配備している戦術核、これも軍備管理に含めていくべきだというところで、二〇一二年、一三年ぐらいからもうずっとこの議論が続いて、折り合いが付いていないという中で現在まで来ているということであります。 で、二〇二六年の二月に新START条約が失効しますけれども、合意できなければ一九七二年以来続いてきた二国間の核軍備管理条約というのが全くなくなってしまうという状況になりますので、私もこれをどうにかして何らかの形で続けていくということは重要なのだろうというふうに思います。 ロシアのウクライナ侵略の話については、もう繰り返しになるかもしれませんけれども、もう様々な形で、核の恫喝であったり偽情報を乱発したりなどですね、そうしたそのロシアの行為というのが軍備管理・不拡散体制の根幹に関わる重大な挑戦なんだということは改めて強調しておきたいと思います。 そして、やはり今後鍵になっていくのが中国ということで、積極的な核戦力の近代化を図っていると、十年後までには少なくとも千発の核弾頭を保有するのではないかという見方がアメリカの核態勢見直しでも示されていますけれども、その中国はNPT上の五核兵器国の中で唯一核兵器をこれまで削減したことがない国ということで、実質的な核軍備管理には非常に消極的な態度を取ってきた国でもある。こうした国をいかにして軍備管理の枠組みの中に取り込んでいくかということが重要な課題になってくるのだろうというふうに思います。 核兵器禁止条約につきましては、様々議論があるところですけれども、二点だけ課題を挙げさせていただくとしますと、一つは、禁止規範の受容度というものがなかなか広がっていかないというところですね。ここはやはり、その秩序あるいは安全保障が維持される程度の中でのみ規範であったり禁止規範というものが国際社会に受容されていくという厳しい現実を示してしまっているのではないかというふうに思います。 もちろん、核兵器の廃絶が実現するためには、規範の要素というのはとても重要だというふうに私も思っておりますけれども、そのために、実現するために何をしなければならないかということを併せて考えなければならないのと、それとの関連では、ロシアの今回のウクライナ侵略と核恫喝に際して、この核兵器禁止条約の、まあ一部ではありますけれども、締約国が必ずしも十分に非難したわけではないということで、規範を主張している国、核についての規範を主張している国が、他方でその国益との関係で、そこにその相克というものが見られたというところも一つ留意しておく必要があるのかなというふうに思います。 そして、こうしたその核兵器をめぐる問題の、核兵器の使用可能性というのが高まる中で、核リスクの低減であったり、それから核兵器、役割の重要性が高まっているということは、繰り返しになるかもしれませんけれども、現在の国際安全保障環境、核をめぐる状況の厳しい状況を逆に反映しているのかなというふうに思います。 最後に、今後どのように核軍備管理を進めていくべきなのかというところ、なかなかその具体的な提案というのは難しい状況でありますけれども、考えなければならない課題ということで、時間軸に沿って少し挙げてみたいと思います。 まず、日本それから世界の最終的な目標が核兵器のない世界であるとすれば、これを実現するための安全保障環境であったり、ナラティブであったり、論理であったり、規範であったり、そうしたものを構築していく必要があると、現在はないということなので、それを構築していく必要があるということなのだろうと思います。現在の世界マイナス核兵器が核兵器のない世界、安全な核兵器のない世界ではないということですので、その点。 そして、これは前回の核軍縮の実質的な進展のための賢人会議の議長レポートでも示された困難な問題ですね、核兵器の大幅削減であったり、核なき世界のために解決しなければならない、そして、現状では答えが出せない、出せていない問題に取り組まなければならないということで幾つか挙がっておりますけれども、これらの問題に答えを出していかなければ最終的な目標には到達し得ないということで、この部分しっかり考えていく必要があるということであります。 次に、短期的といいますか、より中期的な目標としては、核軍備管理のその新たな枠組みというものを模索していかなければならないのではないかということで、既存の枠組みももちろん活用しつつではありますけれども、今後の世界が直面する多極化、多様化、そして非対称性といったようなものを適切に織り込んでいくと、そして、その中にやはり中国をいかに取り込んでいくかということが最も重要で難しい課題になってくるというふうに私も考えております。 中国を核軍備管理に取り込んでいくためには、当然その中国が参加したいと思うようなインセンティブというものも与えなければならないのかもしれませんけれども、他方で、それが中国に対する宥和、アピーズメントであってはならないというふうに思いますし、その中で、どこまでの、どのようなインセンティブを与えるのか、あるいは、逆に日本なりアメリカなりが抑止力をしっかり持つ中で、中国に対して、そのお互いの関係の中での安定性というものを日本あるいはアメリカなどとともに働きかけていくということが、なかなかこれも難しい問題ではありますけれども、進めていかなければならない課題なのだろうというふうに思います。 そして、最後に、短期的な目標でありますけれども、これ以上核軍縮、核軍備管理、核をめぐる状況が悪化するのを防ぐということが直近の目標になってくるのだろうというふうに思います。 核兵器不使用の歴史の継続というのは最も重要だと思いますし、それと並行して状況悪化の押さえ込みを行っていくと。大きなステップはなかなか取りづらいと思いますけれども、その小さなステップを一つずつ積み重ねていくことで、より先の目標へと近づいていくと。 それから、核兵器を、現在数の削減というのは難しい状況にありますけれども、その中では、まずその行動、核をめぐる行動というものに対する管理であったり制限であったりと、そうしたところを模索していく、あるいは各国が自制に基づいて行動するよう求めていくと、そういったことも考えられるのかなというふうに思いますし、核リスクの低減のところでは、やはり戦略対話ですね、話をする時間、機会がなかなか少なくなっているという中で、まずは対話を進めていく、そして、危機管理であったり危機コミュニケーション、信頼醸成、透明性というものを高めていってほしいというところであります。 最後に、この調査会の一つの柱といいますか、それがマルチラテラリズムということでありましたので、その問題を少しお話ししたいと思いますけれども、マルチというのは難しいところもあるということは先ほどお話ししたとおりでありますけれども、多極化なり多様化、それから非対称性という中で、やはり多層的な取組というものが必要で、その中にマルチラテラリズムの重要性というものもあるのだろうというふうに思います。 今後、新しい枠組みやあるいは核兵器のない世界を可能にするためには、国際社会、まさにマルチですね、そこでの合意というのが絶対的に必要でありますし、マルチで合意した、議論して合意したからこそ履行可能性というものは高まっていくわけですし、そうしたその議論、具体的な措置をマルチで着実に積み重ねていくということが将来的な確固とした国際規範の確立ということになってくるということで、もちろんマルチだけで全てがうまくいくわけではないと思いますけれども、単独、二国間、それから小規模の国家、そして地域、そしてマルチというような多層的な取組で軍備管理を進めていくということがますます重要になっているのではないかと思います。 最後に、マトリックス、この会合の事前にいただいたものがありましたので、それに、私が思い付く限りではありますけれども、少し当てはめてみたということで、完全ではございませんけれども、御参考までに付してみました。 ということで、私の御報告は以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。 次に、鈴木参考人にお願いいたします。鈴木参考人。
○参考人(鈴木達治郎君) ありがとうございます。 このような機会を与えていただきましてありがとうございます。 私の方は、パワーポイントの資料をお手元に用意させていただきました。そこにタイトルが書いてありまして、私の今日のお話はこのタイトルを中心にお話ししたいと思います。 核抑止に依存しない安全保障政策への転換。そのために七つの提言を最後に出したいと思います。長崎を最後の被爆地にというメッセージですが、今まさに核兵器が使われるリスクが高くなっているという状況で、今こそこのメッセージを伝えたいということで今日お話をさせていただきたいと思います。 一ページ目、開けていただきますと、御存じの、よく御存じの終末時計ですね、今年の一月に、アメリカのブレティン・オブ・アトミック・サイエンティスト、原子力科学者会報というところが毎年出している終末まであと何分かというのが、今年は九十秒になってしまいました。戦後最悪の状況でありまして、この最大の理由がロシアのウクライナ侵攻と核の威嚇、これも既にお二人からもありましたけども、今、最も核使用のリスクが高くなっているということを警告しております。 この下に、そのほかにも、核軍縮、核不拡散の問題で重要な項目が書いてありますが、一つちょっとお二人から話がなかったものとしては、アメリカとロシアの近代化、核兵器の近代化計画、それから新兵器の配備、それから中国の核軍拡に加えて、イギリスが最も熱心であったんですけども、去年上限を、百八十だったのを二百六十発に引き上げるという発表をいたしまして、まさに今お二人から話がありましたように、核軍拡の時代に戻ってしまったというのが現状ではないかと。北朝鮮問題、インド、パキスタン、いろいろ書いてありますけども、非常に今厳しい状況にあるというのが一ページ目です。 二ページ目は、私ども長崎大学核兵器廃絶研究センターが毎年発表している核弾頭のポスターなんですけども、一目で核弾頭の数が分かるようなポスターになっておりますが、右手のグラフがアメリカの全米科学者連盟が出しているデータの推移を写したものですけども、御存じのとおり、冷戦時代の七万発から確かに大きく減ってはいるんですが、今後は増加するかもしれない。先ほどのように、核軍拡の時代に入っていますので、また増加の時代に入っているかもしれないということであります。 三ページ目見ていただきますと、先ほどの終末時計の推移を見たものですが、いろんな過去の国際条約ができますと終末時計の時間が余裕が出てくると、核実験や国際関係が緊張すると悪くなっていくんですが、先ほどの核兵器、核弾頭の数のグラフがどんどん減っていっていますけど、冷戦時代から、しかし、必ずしもそれが終末時計の時計が増えているわけではなくて、逆にどんどん悪化しているというのが現状であります。最近、特にここ数年は戦後最悪の事態を更新していくと、悪い状況になっているということですね。 それから、危機、例えば五三年、米ソ水爆実験、これ一番、二分で一番厳しかったですけれども、その直後、キューバ危機があったときに、その後に部分的核実験禁止条約が結ばれて危機を回避したということで、非常に危ない、国際関係が緊張したときこそむしろ核軍縮の機会であるということもこのグラフは示しているんではないかと思います。 次のページ行っていただきますと、ウクライナ侵攻の話も今出ましたが、一番心配しているのは、ウクライナの侵攻によって、核兵器を持っていた方が自国の防衛に役立つんではないかということを示したというふうに考えられる国が出てきたということですね。最初の方は、核兵器をウクライナが放棄したことで、NPTに参加したことで逆に今回守られなかったんじゃないか、持っている国の方が安全ではないか、そういう言説が回ってしまったということではないかと思います。 次のページ行っていただきますと、同じように北朝鮮もどんどん核兵器を増やしているわけですが、私が一番心配しているのは、昨年の九月八日の新しい核兵器政策の法制化ですけれども、この中で、これまでの先制不使用の政策を変えて先制使用を示唆したと。ロシアと非常によく似た表現になっているんですけれども、核兵器だけではなくてほかの通常兵器でもほかの大量破壊兵器でも、相手からの攻撃や攻撃が差し迫ったと判断された場合には核兵器を使うという新しい法律を作ったということで、この北朝鮮の核の脅威も、いつ核兵器が使われるか分からない状況になったと。 次のページは、それに対して、まあ当然ながら、日韓米の同盟関係にある国が拡大抑止力を強化するということを明らかにしております。これは、今までお二人のお話からもありましたように、当然、核軍拡の時代にどうやって相手の核を止めるかというときに拡大核抑止力を強化するということになるわけですが、この声明の中には、実は前半には、朝鮮半島の完全な非核化に対するコミットメントを再確認する、それから対話をするということも一応入ってはいるんですけれども、ここもまあ重要なところですが、拡大核抑止の強化ということが基本的な方針として大々的に打ち出されているために、これがますますこの緊張を、この地域の緊張を増すおそれがあるということですね。問題は、拡大核抑止、核抑止そのものが効くか、本当に効くのかということですね。それを確保できるのかと。 次のページめくっていただきますと、核抑止が成立する条件として、まあこれ、私、四つ挙げてはいるんですけれども、例えば、核兵器システムが必ず確実に機能する、信頼性が確保されている、これがないと核抑止は効かないんですけれども、例えばサイバー攻撃で核兵器システムがやられてしまいますと、相手がサイバー攻撃してきて、されてしまいますと、撃つ方は、相手の方は、核兵器システムが相手はもう信頼、動かないと分かっていれば先制攻撃をしてくるかもしれない。それから、お互いに相手の意思をちゃんと確認できているかどうか、これができていないとやはり抑止は効かない。それから、限定核戦争でとどまるというふうに思っていれば先に核兵器を撃ってくるかもしれない、三番目はそうですね。それから四番目が、通常兵器と核兵器の区別が付かなくなってしまいますと、核攻撃されれば必ず認識できるという前提がないと、これも核抑止が効かなくなる可能性があって、今、これら四つの状況がどんどん現状に近づいていると、現状はこうなってきているということで、核抑止が効かない場合はどうするんだということについての、この核抑止の神話ですね、核抑止に頼っていれば大丈夫だということで本当に大丈夫なのかということを考えなければいけない。 ということで、長崎大学の我々、核兵器廃絶研究センター、RECNAでは、次のページめくっていただきますと、アジア太平洋核軍縮・不拡散リーダーズネットワーク、APLNとノーチラス研究所と三者で共同研究を始めまして、もし北東アジアで核兵器使用されたらどうなるか、それを止めるにはどうしたらいいかという三年プロジェクトを始めました。 昨年の一月に、二十五の考えられる、十分に起こり得るケースというのを出しました。このときに、軍事、安全保障、あるいは朝鮮半島や核軍縮、危機管理の専門家に集まっていただいて、十分に起こり得るケースというのを考えて、二十五のケースを、事例を出しました。それから得られた示唆が次のページになるんですが、二十五の事例のうち約半分が誤解による先制使用、それから、ほかの問題に気を取られている間に発生してしまう、それからコミュニケーション不足でよって核兵器が使われてしまう。約半数の事例が意図せざる核兵器使用であったということですね。 それから、一旦核兵器が使われてしまうと、その後の展開を測るのが非常に難しい、予見が難しいと。制御不能な核戦争へと激化する可能性が十分にある。 それから、難しいのは、核兵器の種類も質も量も非常に多様化しているので、単純な核抑止論だけでは止まらないかもしれない。したがって、この核兵器をいつ使うか、使わざるかという意思決定も非常に難しくなっている。これも先ほどお話がありましたけれども、非常に抑止論が複雑化しているという先ほど表現でしたが、複雑化しているということは実際に核兵器の使用を止めることが難しくなっているということであります。 次のページめくっていただきますと、ということで、その安全保障の改善を待って核軍縮を始めるというのを待ってられない、このままだといつ核兵器が使われるか分からないという状況であるという認識から、これは国連の中満泉さんが「世界」に寄せられた原稿なんですが、論文なんですが、三つのことをおっしゃっておりまして、まずは、絶対に核兵器は使わないという規範を全員で確認することであると。それから、核兵器使用のリスクを低減するための具体的な議論を始めるべきだ。最後に、核不拡散条約の規範、これをきちんと守ることだと。核兵器は、始まってしまう、核戦争が始まってしまいますと人類を破滅させかねないという、こういう問題であるということを共通認識として取り組む必要があるということであります。 ということで、その次のページからは私の後半の七つの提言に入ります。次のページめくっていただきますと、まず、先ほど戸崎さんの方からもありましたが、外務省が主催された核軍縮の実質的な進展のための賢人会議の提言が出ておりまして、すばらしい提言が出ておりまして、その中の文章をちょっと読ませていただきますと、これは核兵器国も非核兵器国もみんな専門家が入って議論をした結果なんですが、核抑止についてこのように書かれています。ある環境下においては安定を促進する場合もあるとはいえ、長期的かつグローバルな安全保障の基礎としては危険なものである、したがって、全ての国はより良い長期的な解決策を模索しなければならない、すなわち核抑止に依存しない安全保障政策を構築していくことであるということで、今日、その七つの下に書いてある提言を一つ一つ説明させていただきます。 最初の三つまでは、あっ、四つかな、四つまではリスク低減の提言、リスク低減のための提言ですね。それから、五、六、七は、核抑止脱却を図って、いずれ核兵器廃絶に向かうための提言ということであります。 では、次のページめくっていただきます。 提言一と二は、先ほどからも何回か言われておりますが、核兵器は絶対使ってはならない国際規範を徹底するということであります。これもさっき引用がありましたが、去年の一月三日に五大核兵器国の首脳が共同声明を出した中に、核戦争に勝者はなく、核戦争は決して戦ってはならないという原則が入っております、表現が入っております。これを是非今回の広島サミットでも国際規範として打ち出していただきたい。 二番目は、これももう既にお二人から提言がありましたが、実際に核兵器を持っている国々の間で核兵器が利用されないためのリスク低減のための対話を始めること。ホットラインの確保はもちろんですが、政策の透明性確保や対話による核戦略の相互理解、それから、サイバー攻撃を禁止する、核兵器に対する、など、核リスク削減のための合意を図っていく、このために日本も、核の傘の国もそういう対話を進めるよう提言をすべきだと思います。 次のページお願いいたします。 三番目は、ここから安全保障における核兵器の役割低減ということですが、今、これから始まる核兵器のない世界に向けた国際賢人会議には是非これをテーマにしていただきたいと思います。 実はここで引用されているのは、もう二年前になりますか、衆議院の予算委員会で斉藤鉄夫議員の質問に答えた茂木外務大臣の国会答弁で、現実の安全保障上の脅威にどういう形で対応していくかということですが、安定的な形で核に頼らずそういうことができるというのが望ましいというふうに日本政府も考えているということでありますので、是非この政策を実現するために皆さんで検討していただきたいということであります。 そのうちの具体例として、一つ、次のページめくっていただきたいんですが、既にこれもお二人から御意見があったと思うんですけれども、先行不使用、いわゆるノー・ファースト・ユースと言われている政策ですね、あるいはアメリカでは唯一の目的政策とも呼ばれていますが、これが残念ながらまだ採用されていない。アメリカでは、前のオバマ政権、今回のバイデン政権で、この先行不使用政策あるいは唯一の目的政策を採用しようという議論があったんですが、残念ながら、主に同盟国、日本や韓国やNATOの国々の反対によって実現していないと。 これは、アメリカの有識者の方々の提言なんですけれども、アメリカの通常戦力を考えれば、拡大核抑止というのは核兵器だけではなくて通常戦力も考えているわけですが、核以外の攻撃を抑止するのはもう十分に米国の通常戦力で通用すると。したがって、核兵器を先行する必要はない。それから、もしアメリカがこの核兵器先行不使用政策を導入していない今の状況だと、ほかの国がやはり、じゃアメリカよりも核兵器の数少ないわけですから、先に使うオプションを重要視してしまうと。ということは核兵器の使用リスクは高まるということで、是非、核兵器使用のリスクを下げるためにも、アメリカの核先行不使用政策を日本政府が支持すると、これが大事ではないかということをこのアメリカの有識者の方々が提言されております。特に日本が被爆国であること考えますと、先行不使用の政策を是非支持していただきたいというふうに思います。 次は、次のページめくっていただきますと、核兵器の材料である核物質、この量が相変わらず増えているということであります。 これは、これもRECNAで毎年発表している核物質の量を広島型原爆と長崎型原爆に換算したらどれぐらいになるかということを示したものでありますが、分離プルトニウムが五百四十四トン、高濃縮ウランが千二百五十四トンで、合計すると十一万発分も核物質が存在していると。で、今年、昨年発表した数字で初めてこれ全体としては減少したんですが、この減少はほぼ全部高濃縮ウランの減少分で、残念ながら分離プルトニウムは依然増加しています。 次のページちょっとめくっていただきますと、分離プルトニウムの増加を見てみますと、この下の一番下の青い部分が軍事用のプルトニウムで、これはもう冷戦時代からほぼ増えてはいません。増えているのはグレーの部分ですね、民生用の原子力から出てくる分離プルトニウム、それから赤いところが日本の分離プルトニウムでありまして、この民生用、原子力発電所から出てくるプルトニウムを再処理して出てくるものですが、これを止める必要があると。これは、核セキュリティーの面からももちろん大事ですし、将来の核兵器のリスクを下げると、これ以上の核兵器を造らせないという意味でも、この民生用プルトニウムの増加を止める必要があると思います。 では、次のページお願いいたします。 それから、核抑止を乗り越える代替案として、先ほどもお話が出ました消極的安全保証についてお話ししたいんですが、消極的安全保証を国際法で決めている、取決めしているのは、この非核兵器地帯というものであります。非核兵器地帯には当然ながらその地域中に核兵器は置かないということと、消極的安全保証を条約として保障する、核兵器国は非核兵器国を攻撃しないということですね。そのための遵守の検証をするという機関があります。この非核兵器地帯の現象をちょっと、現状を見ていただきますと、次のページ見ていただきますと、既に南半球はほぼ非核兵器地帯で覆われておりまして、世界で百十四か国を対象になっております。むしろ、核の傘の国は世界では少数派であるということであります。 次のページお願いいたします。 実際に北東アジアでこの非核兵器地帯を促進しようということで、これはパグウォッシュ会議が二〇二一年、バイデン政権が誕生するときに提言をいろいろ出しているわけです。そのときの提言の趣旨なんですけれども、北朝鮮の段階的非核化を進めて、朝鮮半島をまず非核兵器地帯条約を目指し、日本も参加して北東アジア非核兵器地帯を設立するというのが提言になっております。当然ながら、地域の安全保障の枠組みをつくってやっていこうという提言をされています。既に実はこの北東アジア非核兵器地帯条約を推進する国際議員連盟が昨年八月八日に発足しておりますので、是非御関心のある方は参加していただきたいと思います。 次のページを見ますと、核軍縮と持続可能性の連携ということで、実は広島県が最近提言を出しておりまして、昨年末にG7サミットに向けた提言も首相に提出しております。この持続可能性との連携によって核問題の議論の場が広がる、ステークホルダーも広がるということで、大変重要な提言だと私は思っております。 次のページお願いいたします。 この橋渡しの役割を果たすのは、もう既にお二人からもかなりありましたので簡単にさせていただきます。特に、核兵器禁止条約への支持、支援、これを是非お願いしたいと思います。趣旨に賛同し、署名に努力するということをまず明言して、実際に署名、批准できなくても、被爆者支援や検証措置への貢献というTPNWへの貢献は日本でもできる、それから、もちろんオブザーバー参加もできるということで、これを是非橋渡し役としては実現していただきたい。 それで、最後のページめくっていただきますと、岸田首相が昨年、NPT会議で演説をされたのは非常に良かったと思います。その中で、この二点をおっしゃったことは非常に私は重要だと。核兵器不使用の継続の重要性と長崎を最後の被爆地にしなければならないということをおっしゃったことで、これを是非今日の私の提言に最後にしたいと思います。 どうもありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。 まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。 また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますよう、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いいたします。 質疑のある方は順次御発言願います。 赤松健君。
○赤松健君 自民党、全国比例の赤松健でございます。 本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。私も二〇二〇年の著作権法改正の際にそちらの参考人の席に座ったことがございます。本日は忌憚のない意見をお聞かせください。 まず、お三方に質問いたします。 昨今、核をめぐる情勢が緊迫しています。その大きなきっかけはやはりロシアによるウクライナ侵攻でありまして、先ほど佐野参考人おっしゃっていましたけれども、昨年八月のNPT運用検討会議でロシアの反対により合意文書が採択されなかったと。あと、また、アメリカとロシアの二国間条約である新START、これにおいても、先ほどもお話ありましたけど、昨年、ロシアがアメリカの査察を拒否する、条約の実効性が不安視されています。で、ロシアのみならずアジアでも、中国が核武装を強化しており、さらに北朝鮮による核実験なども見過ごせません。 このような中、今年五月に広島で開催予定のG7サミット、ここで、核兵器のない世界、これが主要議題の一つになると思われます。ここで、日本政府として、G7サミットにおいて具体的にどのようなメッセージを発していくか。先ほど鈴木先生からお話少しありましたけれども、お三方にお聞きしたいと思います。お考えがありましたら教えてください。お願いします。
○会長(猪口邦子君) それでは、佐野参考人からでいいですか。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。 どのようなメッセージを発していくかというのは大変難しいと同時に、大体内容的には分かっていると思うんですよね。G7の首脳に被爆地、資料館を訪問していただくということもあるかと思いますし、それから今まで日本が培ってきた様々な努力をG7でシェアしていただくということがあろうかと思いますね。 と同時に、そういう一般的な話と同時に、やはり東アジアにおけるこの緊迫した状況というものをG7でシェアしていただいて、つまりウクライナの次は台湾だという話ですよね。そういう話をシェアしていただいて、現実的にどのような対応が取り得るのか。つまり、向こうはNATOがあるわけですが、太平洋にはNATOはないわけで、日米同盟、米韓同盟があるだけですね。その辺りの現実的な対応というものを日本を除くG7の首脳に十分認識してもらうというのが一番重要だと思います。
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございます。 G7の中でこの核軍縮に対する大きな意見の相違は恐らくないのだろうというふうに思いますけれども、やはり、そのG7という場で核兵器のない世界に向かっていくんだということを再確認すると、そのまず直近の一歩として、核兵器は決して使われてはならないということをここでも改めて確認していくと、広島の場で確認していくということは非常に重要なのだろうというふうに思います。 それからもう一つは、岸田総理がNPT運用検討会議でも御提案されましたヒロシマ・アクション・プラン、私、このヒロシマ・アクション・プランというのは非常にすばらしいものだったというふうに思いますけれども、これをそのG7の場で確認するといいますか、一緒に推進していくということを確認する、可能であれば、そのための具体的な措置ということで何かここに追加していくということ、そういったことがそのG7の場で合意できればとてもすばらしいのではないかなというふうに思います。 もちろん、その地域の問題、佐野大使もお話しされましたけれども、それぞれヨーロッパとアジアで非常に厳しい核の問題に直面しているわけですから、それをクロスリージョナルで確認し、そのための取組を一緒になって行っていくということも確認していただければなというふうに思っております。
○参考人(鈴木達治郎君) ありがとうございます。 先ほども少しお話しさせていただきましたが、やはり核兵器は絶対使ってはならないという規範を是非広島からアピールしていただきたいのが第一。 それから、もう既にお二人からお話ありましたが、東アジアのこの緊張関係に対して拡大抑止の話と同時に、やはり対話外交をどうやって進めていくか、緊張緩和のための政策をどう考えていくかということについて是非お話を進めていただきたいと思います。 それから三番目は、先ほどのパワーポイントの私の資料の最後の方にあります、広島県、長崎県から出されているG7サミットの提言というのがありますが、その中で、先ほど申しました核軍縮と持続可能性に関するフレンズ会合や国連の軍縮会合というのがありますが、これ、ひとつ是非検討していただきたい。核軍縮の問題と持続可能性は、実は深い関係にあるということですね。 それから、その中でもう一つ私が特に注目しているのは科学的助言の創設というのがあるんですが、実はTPNWには科学的助言グループをつくるということが今決まったんですけれども、この核軍縮の分野で実は科学的助言する機関が国際的にはないんですね、気候変動にはIPCCという重要な機関があるんですけど。これも是非、もし、こういうG7のようなサミットで議論していただければと思います。 以上でございます。
○赤松健君 ありがとうございました。 これもお三方にお聞きしたいんですけど、おととし核兵器禁止条約が発効されまして、日本は参加していませんが、日本がこれに今後どのように向き合っていくべきか、御見解をお持ちでしたら教えてください。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。 核兵器禁止条約について先ほど御説明する時間なかったんですが、この一番大きな問題点というのは、核兵器禁止条約に入った途端、日本が日米同盟と相入れない状況に陥るということですね。日米安保と両立しません。なぜならば、核兵器禁止条約は、核兵器の禁止のみならず核抑止の概念そのものを否定しているわけです。したがって、今非常に厳しい北東アジアの現実の中で、日本がこれに入ってしまうことは丸腰になるということを意味します。したがって、核兵器禁止条約に日本が入るという政策オプションはないと考えます。 この条約の会議があるわけですね、去年の六月にあって、来年もあるんですかね。これに出る出ないという話がありますが、私は出る効用はないと思っています。なぜならば、核兵器禁止条約、今六十八か国ですか、締結している全ての国はNPTのメンバーであって、NPTの場で十二分に議論できるわけですね。これ四週間、向こうは禁止条約の三日間でしたかね。したがって、議論の場はNPTで十二分に確保されていると。 それから、橋渡しということをよく言いますけれども、日本は橋渡しやってきたんですね、今まで、核兵器国と非核兵器国の間の。これは会長十分御存じのように、核廃絶決議というのを一九九四年からもうずっと続けて、この内容はまさに中道、中道といいますかね、真ん中を、核兵器国と非核兵器国のちょうど真ん中を狙った決議です、中道の決議です。そういう形で実質的に橋渡しの役割というのをやってきたんですが、この核兵器禁止条約については日本はもはや中間派ではありません。日本は核兵器国とほぼ同じ立場に立っていて、核兵器禁止条約派とはたもとを分かってきた経緯があります、考え方もそうです。したがって、核兵器禁止条約派と核兵器国及び西側同盟との橋渡しをするということは、日本にとっては極めて難しいことだというふうに考えます。
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございます。 私も、核兵器禁止条約に対する日本の対応、考え方というのは、ほぼ佐野大使と同じ意見でありますけれども、一点だけ付け加えるとしますと、核兵器の廃絶を目指していく中では、安全保障も規範も両方重要なんだというふうに思います。他方、規範だけを先行していったとしても、そこに安全保障が伴わなければ世界は混乱に陥ってしまう、より悪い世界になってしまうかもしれないというような危惧もあるという中で、それを両方、両輪として進めていかなければならないということは一点付け加えたいなと思います。 そして、オブザーバー参加ですけれども、私も、今の締約国会議に日本が参加すべきかというと、そうではないのではないかなというふうに思っています。この会議は締約国のためのまず会議であるということ、それにオブザーバーとして参加するというのは、基本的には中立であるべき、中立的なものであるべきなのに、そこに参加する国が良い国、参加しない国は悪い国というような色づけがなされるというのは少しおかしいかなというふうに思っていますし、それから、真剣な対話という意味であれば、この締約国会議などではなくて、別の場をつくって真剣に議論することというものもできる。 私も、賛成派、反対派の真剣な対話というのは大事だと思っていますけれども、それが締約国の会議の場であるべきかというと、そうでもないのではないかなというふうに思います。お互いが同じ立場で議論すると、別の場でというのが大事だと思っています。
○会長(猪口邦子君) 時間来ておりますが、鈴木参考人、お願いします。
○参考人(鈴木達治郎君) ありがとうございます。 TPNWについてのお二人の参考人の御意見、ちょっと私は違います。やはり、TPNWは日本が柱としている核兵器廃絶の究極の目標であり、岸田首相御自身も出口であるというふうに、重要な条約であるとおっしゃっていましたから、私は、重要な条約であるというふうに感じておられるのであれば、少なくともその趣旨に賛同を示し、協力をすると。もちろん、今お二人がお話しされたように、今すぐ署名、条約は難しいかもしれませんが、そのために努力をするという意思表示をすることが世界の核軍縮に向けてのリーダーシップを取るということだと私は考えていますので。 実際に、核の傘の国でも、ドイツ、オーストラリアを始めオブザーバーが参加されて、現場に行かれると分かりますが、いかにそれが緊張緩和に役立つかということですね。そのTPNWの今回の第一回締約国会議の場所でNPTとは大きく違ったのは、やはり市民社会の方々との対話の場が全然違うんですね。本会議の中で既に市民社会の方々が次々しゃべられるという、被爆者の方もしゃべられるということですね。 そういう意味で、そこに日本も含めた核の傘の国がちゃんと意見を述べると、なぜ我々は今参加できないのかということ。それは、やはり対話の場をつくるということは大事な意思表示になると思いますので、先ほど書かせていただきましたように、現実にさらに被爆者支援、被害者支援ですね、TPNWが今やろうとしている、これは日本のノウハウが非常に役に立ちますので、条約に参加していなくても協力ができる分野があると思いますので、そういうところは是非協力していったらいいんじゃないかと思います。
○赤松健君 これで終わります。
○会長(猪口邦子君) それでは、三上えり君。
○三上えり君 よろしくお願いします。 会派、立憲民主・社民、広島選挙区の三上えりです。 本日はお忙しい中、大変貴重なお話をありがとうございます。まずは参考人皆様、お三方にお伺いしたいと思います。 ロシアによるウクライナ侵攻で、核兵器の使用という核保有国ロシアによる核の恫喝が行われている中、核の抑止であるNPT、この体制が機能しているかどうか。これ、危機的状況になっておりますけれども、この見解をまずお三方、一言ずつお願いいたします。よろしくお願いします。
○会長(猪口邦子君) どなたから。
○三上えり君 佐野参考人からお願いいたします。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございます。 ちょっと聞き取れなかったんですが、何が機能しているかどうかとおっしゃったんですか。
○三上えり君 NPT体制についてです。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。 先ほどちょっと申し上げましたが、NPTでの合意というのは非常に重要な合意なんですけれども、これは法的拘束力を持った合意じゃないんですよね。これは政治的な合意です。これ、毎回毎回運用検討会議で合意する、できないがありますけれども、この中で、核の使用あるいは核使用の恫喝というのに対して、ロシア自身がこれをしないということを言っています。それから、国連安保理の決議九八四でも、ロシアは消極的安全保証、消極的安全保証分かりにくいですが、核使用をしない、核の恫喝をしないという約束をしております。 したがって、これはNPT体制が機能するかどうかという問題よりも、むしろロシアの問題であって、ロシアはNPTの寄託国なんですよ、NPTの世話人なんですね。その国、そういうロシアが今回のような異常な行動に出ているということで、極めてロシア問題じゃないかと。で、それを止められなかったNPTというのはあると思いますね。ただ、先ほど申し上げた、これ、法的拘束力があるわけじゃないので、破られてしまえばそれきりなんですね。そういう弱さは持っているかと思います。 したがって、この消極的安全保証を条約化しようという動きは確かにございます。私は、それはやった方がいいと思うんです、そういう議論はした方がいいと思います。他方、条約化しても条約も破っているわけですよね、ロシアは。法的拘束力のある国際約束も破っているわけで、これは極めてロシアにユニークな問題だった、ではないかというふうに考えます。
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございました。 おっしゃるように、ロシアの態度によってNPT体制が直接的にも間接的にも非常に厳しい状況に追い込まれたといいますか、直面したのだろうと思いますけれども、他方で八月の運用検討会議が示したのは、これも私の報告でも少しお話しさせていただきましたけれども、ロシア以外の国々は、一生懸命このNPT体制が大事だということ、重要で今後も引き続き守らなければならないということを何らかの形で一生懸命示そうとした。ロシアの行動に対しても、これも全ての国というわけではありませんけれども、非難を繰り返していたということ。 そして、最終的にはロシアの反対によって採択できませんでしたけれども、様々な譲歩を行いながら、そのマイナス一以外の国々が最終文書の採択に向けて一生懸命努力をして、文書も最終日に上がってきたということで、それは、まあロシア以外ということになるかもしれませんけれども、締約国が、そのNPT体制は厳しい状況にあるけれども、また逆に、あるからこそ、より一層この体制を重視していかなければならないという表れだったのではないかなというふうにも思います。
○参考人(鈴木達治郎君) 大体お二人の意見と同等ですね、同じです。NPT体制の問題は、もちろん、第六条をめぐってずっと対立が続いてきていますので、このロシアの問題以前からNPT体制が抱えている問題というのはあったと思います。でも、今回は特にロシアの一国の問題だというのは賛成です。 それから、今回の再検討会議、運用検討会議で、今、戸崎さんがおっしゃったように、残念ながら最終決議案、最終案は採択されなかったんですが、やはり、三週間、四週間、世界の外交官が集まって、核兵器国と非核保有国が一堂に会して議論する場はここしかないんですよね。それなりの努力をされたことはもう間違いない。かなりいろんな項目にわたっての最終決議案が出てまいったので、まあ全く無駄ではなかったかなと。やっぱりNPTは大事であるという、その重要な体制だ、重要な条約であるということの共通認識は確認できたということで、それはそれなりの価値があったかなと思います。
○三上えり君 その核兵器禁止条約が今、日本は参加していないという状況の中で、私の選挙区でもある広島では、被爆者団体そして広島市が中心になってこの条約早期締結に向けて署名活動を行っておりまして、今三百七十万人を超える人たちの署名が集まっています。 話にもよく繰り返されていますG7ですけれども、やはり各国の要人がこの被爆地広島にやってくるということはとても大きなニュースであって、大きなチャンス、世界に向けての平和、軍縮についての発信力、チャンスだと思っています。 この辺り、それぞれ、どういった形で国内外に平和、軍縮についてを伝えていくべきかの考えを鈴木参考人からお聞かせください。
○参考人(鈴木達治郎君) おっしゃるとおり、もう絶好のチャンスだというふうに私も考えておりまして、広島でサミットをやるというのはすばらしいことだと思います。もちろん、被爆の実相を伝える、それからG7の首脳が広島ドームの前で写真を撮るだけでも世界に非常に大きなメッセージになると思います。 先ほどちょっとお話ししましたが、その中で、核兵器をもし使われたらどうなるかということのメッセージを是非やはり世界に伝えることが大事かな、それが核兵器は絶対使ってはならないということにつながるんではないかと思います。 それから、ちょっと言葉があれかもしれませんが、今回のNPT再検討会議にも、被爆地を訪れることも含めた核軍縮教育という言葉が入っているんですけれども、これが大事なので、できれば、被爆の実相を学ぶための核軍縮教育についてG7で合意する、で、日本がそれのリーダーを果たすというのがいいんではないかと思います。
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございます。 私も鈴木先生と全く同じ意見であります。やっぱり広島に首脳が集まって核問題についてメッセージを発信するということは非常に大きな意味を持つと思いますし、そうしたそのG7のリーダーが広島のことを知る、広島の原爆の実相を知るということ、そしてほかの世界の指導者もちゃんと広島と長崎を訪れてほしい、あるいはその指導者だけではなくて多くの人が広島、長崎を訪れて被爆の実相について知ってほしいということのメッセージを発していくということは私は非常に大きな意味のあることだと思っています。 そういう意味で、その広島でのG7サミットではきちんと核問題について取り上げてもらいたいなというふうに思っています。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。 基本的にはお二人のおっしゃったこととほぼ同じラインなんですが、一つ、このG7というのはいずれも核兵器禁止条約に反対している国なんですね。交渉にも参加しませんでした。交渉の後の、ドイツ以外はオブザーバー参加もしていないと思います。 確かにそのようなメッセージを発することは重要なんですが、やっぱり重要なのは、やっぱりリアリズムを、同時に伝わるようなメッセージ、こうすべきだ、ああすべきだ、こうしたらいい、ああしたらいいというのはたくさんあると思います。今までもたくさん言ってきた。しかし、現実の、ヨーロッパもそうですしアジアもそうですけど、現実のリアリズムにのっとってこういうメッセージを出すんだというところをひとつ間違えないでほしいんですよね。 核兵器禁止条約についてですけれども、禁止と廃絶は全く別物です。禁止したからといって廃絶が実現するわけじゃございません。禁止条約に参加した国のみがその義務を負うわけで、合意は拘束するが原則ですから、合意しなければ拘束されません。したがって、禁止条約に入らない国は核兵器禁止条約の義務を負う必要はないわけで、その辺りが、やっぱりリアリズムにのっとった判断が必要だというふうに考えます。
○三上えり君 ありがとうございました。以上で質問を終わります。
○会長(猪口邦子君) それでは、平木大作君。
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。 本日は三人の参考人の皆様、大変に貴重な意見、ありがとうございました。 まず佐野参考人からお伺いをしていきたいと思うんですが、佐野参考人には、是非、核をめぐる宣言政策の意味ということについてちょっとお伺いをしてみたいと思っております。宣言政策ですね。 昨年、アメリカはNPRの改定を行いました。このときにも、いわゆる先制不使用ということを書く書かないということで大変話題になったわけでありますけれども、なかなかその一か国だけ宣言して何の意味があるのかみたいな話があったりもする。あるいは、ロシアとか中国とか、言っていたこととやっていることが違ったりみたいなことも含めると、ころころ変わるし余り担保されないんじゃないか、そういう軽視する向きもあるんですが、一方で、これだけ核をめぐるいわゆる核保有国と非保有国との間での分断がある中で、またP5がこのNPTの六条違反しているじゃないかと言われている中で、ひとつ、今後どこかのタイミングで核軍縮にもう一度向かっていくときに、ある意味、例えばP5でそろって共同宣言みたいなことをするですとか、昨年の一月も核戦争に勝者はないという宣言があったわけですけれども、ああいうところに立ち返って何か宣言を発していくというのは意味があるんじゃないかというふうに私自身は思っているんですが、この宣言政策の意味と追求ということについて少しお考えを聞かせていただけたらと思います。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございます。大変重要な論点だと思います。 宣言政策、先ほどの先制不使用あるいは先行不使用、核を先にやらない、あるいは唯一の目的ですね、つまり、核兵器の唯一の目的は核兵器のみであって生物兵器とか化学兵器とか通常兵器に対しては使わないという唯一の目的の議論があり、まあ根っこは同じですね。 私は、宣言政策について、歴代の民主党政権、アメリカの民主党政権、オバマ、それから今回の政権もそうですけれども、最終的に核態勢見直しというのがあるんですけれども、そこから落としましたですね。やはり現実的な立場に立った判断だと思います。 つまり、どういうことかというと、先制不使用にしても唯一の目的にしても、検証のしようがないんですね。つまり、あれは、その国のリーダーがAと言いました、翌日Bと言いましたということを許す、それはその国のリーダー次第なんですね。したがって、そういう非常に頼りない宣言政策に一か国、一国の安全保障、それも核の安全保障というのを頼ることというのはできないと思うんですね。 厳密に言えば、検証可能であればまだしも、検証、どのような形で検証していくかということを研究している研究者って余り実はいないんですよね。先生がおっしゃったように、例えば五か国共同で宣言するとかなんとかという、そういう方法は、信頼醸成には極めて重要で、いい雰囲気を五か国の中でつくっていく、信頼醸成をつくっていくという意味では有効でしょうけれども、その約束したことの実効性という観点から見ると、極めて信頼性のない、実効性のない政策だろうというのが原則です。 じゃ、それでは、合意した先制不使用、条約化したらどうだとか、そういう議論はあろうかと思います。あるいは、例えば、ミサイルの燃料を、今は大体固体燃料ですね、でも、ちょっと昔は液体燃料で、時間掛かるわけですよ。で、固体燃料をやめましょうとか。つまり、時間掛かるわけですから、その先制に時間掛かるわけですね。あるいは、弾頭を外しておきましょうと、弾頭だけは外しておきましょう。あるいは、ディアラートという、アラートを外しましょうとかですね。そういったものを組み合わせて、先制不使用を確実なものとするまではいかないまでも、それを何らかの形で一日でも二日でも三日でも余裕のある態勢を取っていきましょうと、その間に考える時間を持ちましょうというような研究というのは、私はもっとなされていいというふうに思います。
○平木大作君 ありがとうございます。 次に、戸崎参考人にお伺いしたいと思うんです。 今日、それほど言及なかったんですが、核の近代化ということについて少しお伺いしたいと思っています。 私、この近代化というニュートラルな表現がちょっとまやかしだなと思っていて余り好きじゃないんですが、部品交換なんかでやる長寿命化ということを除けば、基本的には核の低出力化という話と運搬手段の高度化という話のことなのかなと思っています。この運搬手段のところはちょっとさておいて、低出力化というのがなかなかやはりくせ者で、結局、これまで使いづらいと言われてきた核兵器を使いやすくしてしまうとか、あるいは使うことを前提に何か開発をするものという位置付けになっているかなと思っています。 この核抑止ということを考えるときに、戦略的安定性を実は一番脅かすのが私このある意味低出力化なのかなというように思っているんですが、この点について何か御見解と、あるいは、もっと低出力化ということについては規制の在り方なりなんなり議論があってしかるべきというように思っているんですが、もし御知見があれば教えていただきたいと思います。
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございます。 この問題は非常に難しくて、どちらの側から見るかによってかなり異なった議論になってくるんだと思います。 もちろん、その低出力化によって被害も極小化できる、だからこそ使いやすい、抑止を脅かすといいますか、安定性を脅かすというような議論も当然できますし、逆に、そうした使われるかもしれないという脅威を相手に与えると、抑止は相手の認識ですので、相手がそれが使われるかもしれないということでより慎重になるとすれば、逆に抑止が効いてしまうと。安定性というのはちょっと横に置いておいて、抑止が効くので核兵器がより使われにくくなるというような議論も成り立ち得るということなんだろうと思います。 ここをどのように見ていくのか。それは国によっても違ってくるかもしれませんし、戦力態勢、考え方、核に対するアプローチ、そうしたトータルなところでその低出力というところを考えていかなければならないんだろうというふうに思います。 それから、規制の在り方というのは、検証の話が出ましたけれども、じゃ、弾頭を一個一個検証していくのかというのは、今のところ、核兵器国の間では非常に機密の詰まったものですので検証が難しいというところがあるので、なかなかそこまでは踏み切れないのかなというふうには思いますけれども、当然、将来的に低出力か否かにかかわらず弾頭に対する検証というのが非常に重要になってくるとは思います。
○平木大作君 鈴木参考人にお伺いしたいと思います。 先ほど言及のあった二〇一九年十月の賢人会議の議長レポートであった指摘、核兵器、核抑止というものが世界にとって危険な基盤であるという指摘は、私もとても重要だと思っています。 改めて、この核抑止というもの、様々なものに支えられているわけですけれども、今日ちょっと是非お伺いしておきたいのが、いわゆる核兵器システムの信頼性という点でちょっとお伺いしたいと思っています。 実際にアメリカのいわゆる核兵器管理の歴史みたいなものをちょっと見てみても、事故の連続というか、よく核戦争にならなかったなというぐらい事故がたくさんあったわけであります。そこの上で、最近、それこそ、宇宙、サイバー、電磁波みたいな、核兵器の運用システム自体がそういったものと複雑に絡み合っている中で、ここのリスク自体が大分大きくなっているんじゃないかなというように思っております。 この核兵器システムの脆弱性というんでしょうか、そこってもっと私議論されてしかるべきかというふうに思っているんですが、この点について何か御知見があったら、お考えがあったら教えていただきたいと思います。
○参考人(鈴木達治郎君) まさにおっしゃるとおりだと思います。 一番私が心配しているのはサイバーですね。サイバー攻撃によって核兵器システムの信頼性が崩れてしまったときに戦略的安定性が崩れるという、これは既に核兵器国の間で議論されていることでして、恐らく一番手っ取り早いのは、先ほどちょっと申しましたけど、お互いに核兵器システムに対するサイバー攻撃はしないという約束をすることですね。これも、だけど、先ほど佐野大使がおっしゃったけど、検証がなかなか難しいですね、現実には。ただ、ないよりはあった方が、合意がないよりはあった方がいいので、そういう交渉をすることで信頼醸成につなげていくと。 近代化の話とちょっとつながっていくと思うんですが、核兵器の近代化は元々はオバマ政権のときに始まったんですけども、核軍縮で核弾頭を減らす目的で、減らしても核抑止力を維持するために、より正確でよりスマートな核兵器。で、小型は、低出力のものは昔から実はあるんですよね。だけど、小型でスマートでいろんな用途に使える核兵器というのが出てきているということで、これが使いやすい兵器だというのでトランプ政権のときに拡大してしまったということなんですが。 これはやはり核使用のリスクが高まるおそれがあるので、よほどお互いにこの小型核兵器についての、スマート核兵器についての話合いをしなきゃいけないのと、アバンガルドのような非常に新しい、ミサイル防衛をかいくぐっての兵器が開発されているのも大きな問題。 それから、長期的には、アメリカの場合は特にですけども、二〇八〇年まで目標にして近代化は進めている、二〇八〇年まで核抑止力を維持すると言っているんですね。これはもうとんでもない話なので、近代化というのは全てのインフラを更新するということなので、これをやられてしまうととても核軍縮、核廃絶へ向かえないので、そういう個別の核弾頭の話とは別に、インフラ全部を更新する近代化計画は是非とも止めなければいけないと思っています。
○平木大作君 時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) それでは、では金子道仁君。
○金子道仁君 ありがとうございます。 本日は貴重な御説明、ありがとうございました。 まず、お三方に少しずつお話をお伺いしたいんですが、佐野大使からは少しありました中国の軍備管理交渉への参加を促していくことが今後重要だということで、中長期的に目指していくところもあるかと思うんですが、まずは短期的にどのようなことから中国を巻き込んだ軍縮プロセスに踏み込んでいけるのか、お三方からそれぞれ御意見、御知見をお伺いできればと思います。よろしくお願いします。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。 短期的にはどうかという御質問でございますけれども、基本的には中国の特色は、今まで軍備管理交渉をやってきたことないんですね、参加してきたこともありません。特に、軍備管理交渉の一番重要な検証というのを見ると、特に現地査察を物すごく嫌がる国なんですね。現地査察、ほかの国が中国に入って査察するというのを非常に嫌がる体質を持っている。それから、軍備管理についての経験がない、経験が非常に浅いという特質があるわけで、その辺り、まあ肩もみから入っていくべきなんだろうと思うんですね。柔らかい部分から入っていくべきだと思う。 先ほど私が申し上げたように、アルテミス合意というのがあるんですけれども、これ、アメリカの平和利用、宇宙の、NASAが行っているプログラムですが、これにあるような宇宙の資源とか宇宙の透明性とか宇宙の信頼性とか、その辺りから中国に入ってもらって、それでその軍備管理をちょっと触っていただくという辺りが一番いいのかなと。つまり、中国にも利する、宇宙の資源とかですね、中国にも利する、そういった中国の関心のある論点をテーブルして、議題としてのせていってはどうかなと。 それから、米ソの初期の軍備管理のところで、例えば弾道弾ミサイルの事前通報制というのがあるんですけれども、これかなり初期の段階で相互に通報し合うという、相互にとってメリットですから、そういったものを中国との間で行っていく必要性があろうかと思います。で、中国はそれを受けると思いますね。 それから、もう既に行っていますが、戦略的安定対話。中国と、これはたしかオバマのときに設定したのが経済の面と安全保障の面で二つありますけれども、これをもう一度呼びかけていくと。戦略安定対話ですね、経済のも含めて。そういった、中国が受け入れやすい、中国の関心のある辺りから徐々に始めていくというのが考えられると思います。
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございました。 私も、まず第一歩は、その戦略対話、軍備管理、それから核問題、核抑止に関する戦略的な対話というものを米中あるいは日本も含めたような形、いろいろな組合せあると思いますけれども、そういうところからまずはやっていかなければならないのかなというふうに思っています。 それから、日本との安全保障の関係では、中国が持っている中距離ミサイルの問題ですね。中国の中距離ミサイルは、核弾頭も通常弾頭もいずれか載せられるということ、それから、現在同じ基地に核弾頭搭載のものと通常弾頭のものが配備されていたり、その弾頭を割と短時間に切り替えることができるというふうにも言われていますけれども、少なくとも日本をターゲットにし得るような中距離ミサイルについては、核弾頭を搭載しないと、少なくとも通常弾頭だけにするというようなこと、そういった核と通常弾頭の切り分けというものを働きかけることは、私はとても大事だというふうに思っています。
○参考人(鈴木達治郎君) もうお二人とほぼ同じ意見なんですが、あえて付け加えるとすれば、北朝鮮の非核化について、以前六か国協議というのは中国がイニシアチブを取ったわけですけれども、これをどうするのかという対話もしなきゃいけないと思いますので、これは日本にとっても大事な話なので、北朝鮮の非核化についてどういうふうに対話をしていくかというのをテーマに選ぶのもいいかなと。 核リスク減少、核のリスクの減少については、もうお二人のおっしゃったとおりなんですけれども、私は、先ほど申しましたサイバーとか、あるいはホットラインの設置とか、本当に今、今すぐその核兵器使用のリスクを減少するための政策について、まあ先行不使用も入れていいかもしれませんが、それについての議論を始めるというのが、核軍縮の前にですね、まず、核使用のリスクを下げるための交渉を始めるのがいいのではないかと思います。
○金子道仁君 ありがとうございました。 二つ目が、核兵器禁止条約について。 もう既に赤松委員の方から皆さん方、参考人の方々に、意義、課題、また我が国の取るべき立場について御意見賜ったので、それについて追加で御質問させていただきたいんですが。 まず、佐野参考人と鈴木参考人にお伺いしたいんですが、核抑止を認めている国がこのオブザーバー参加することには矛盾があるんじゃないかということを佐野大使の方からお伺いして、それに対して鈴木参考人の方からはドイツがオブザーバーで参加しているということもお伺いして、その辺りどのように考えたらよいのか、お二人からちょっとお伺いしたいのと、あと、戸崎参考人からはこの核兵器禁止条約の加盟国がウクライナの、あっ、ロシアがウクライナに対して核使用の威嚇をしたことに対して不十分な非難をしているというお話があったので、もう少しそこの点を詳しく教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○会長(猪口邦子君) それでは、佐野参考人から。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございます。 ドイツだけではなくて、オーストラリア、それからノルウェー等々参加しています、西側同盟の中でですね。 ドイツの場合ですと、今のSPD政権ができるときに、グリーンと政権公約、連立政権を組むときの公約として、ベアボック外務大臣がこの締約国会合出るんだというのを合意していったわけですね。ですから、これはもう最初から、連立政権を組むときから決まっていたと。それから、オーストラリアの場合は、労働党政権が、たまたま直前に政権交代があって、それでああいうリベラルな考え方の政党が派遣していったと。 どういうふうに考えたらいいかというのは、その国の国際的な立ち位置とそれから国内的な立ち位置ですね、両方に鑑みて、恐らく国内的なメッセージも出したかったんだろうと思いますね。政権としての特色を出すと。例えば、ノルウェーなんかも出たんですけれども、ノルウェーはNATOの一員なんですけれども、堂々と、我々はこれ出たからといって署名をするわけじゃないよということをわざわざ言いに行ったような、いうことで、私はその実効性があるとは思わないですね。 だから、オブザーバー参加することによって、参加した国の実効性、何を目的としているかによるんですが、何を得たいんだというのはその国その国が決めればいいんですが、日本の場合ですと、やっぱり先ほど申し上げましたように、日米安保と両立しませんので、誤解を受けやすいような、あるいは国民に期待感を、過剰な期待感を持たせる、持ってもらうような、そういう姿勢というのは取るべきではなくて、そこは明確に参加しないという姿勢を貫いていくべきだろうというふうに思います。
○会長(猪口邦子君) では、先に鈴木参考人。
○参考人(鈴木達治郎君) 今の佐野大使の御意見と私は違うんですが、現地に行った感触もそうなんですけど、今、NPTの中でTPNW派とそうでない派が対立しちゃっているという、分断が生まれているという、よく批判されるわけですが、その分断をどうやって溝を埋めていくかというときに、ドイツもオーストラリアも、今おっしゃったように、堂々と参加しませんって演説するわけですが、行けば必ず、NPTでもそうなんですけど、外交官同士話をします。それから、市民社会の方々とも話をします。そこにいるということ自体が核兵器の禁止条約についての、何というんですかね、全く対話をしないというのと対話はしますというのでどれだけ信頼度が上がるかということだと思うんですよね。やっぱり参加することによって緊張緩和につながりますので、それはかなりの実効力が私はあると思います。 ただし、今、佐野大使がおっしゃったみたいに、いろいろ国内政治とか国際政治、いろいろありますので、すんなりいけばいい、いかない方が悪いというわけではないとは思いますが、少なくとも日本の場合はその橋渡しをするって政府がおっしゃっているんですね。それから、リーダーシップを取るともおっしゃってらっしゃる。という国が核兵器禁止条約にこれだけ冷たくしていいのかというのは私は疑問だと思っていますので、はっきり署名できない、批准はできないということを分かってもらうためにも参加してはっきり述べればいいと思います。 それと、さっき申しましたように、批准や参加できなくても協力はできるんですね、条約に。あのCTBTについても、アメリカは批准していませんが、もうかなりお金も払っていますし、実際協力もいっぱいしていますので、批准はできなくても、参加できなくても、TPNWへの協力、特に被害者支援と検証措置については日本はノウハウを持っていますから、これについて協力をするということは、私は世界の核軍縮に大きく貢献することだと思っています。
○会長(猪口邦子君) ちょっと時間は来ていますが、戸崎参考人、どうぞ。
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございます。 締約国会議では、オーストリアのような国々、それからNGOの多くはロシアの行為を名指しで非難したと。他方で、一部の、そうですね、ロシアと近い関係にあるような国々は、そうした、核は使ってはならないといったような一般的な表現はしますけれども、ロシアの行っている行為について名指しで非難したわけではないと。そうした国々が最終的に作成した最終の文書でもロシアが名指しされたわけでは当然なかったということですね。 ここは、そのロシアに近い国々が名指しでの非難というのを行わせなかったということなのだろうというふうに思いますけれども、私が指摘したかったのは、特にその賛同した国、この核兵器禁止条約を主導した国々というのは禁止規範ということを非常に強調していたと、核兵器は悪いんだと、使ってはならない、威嚇してはならない、すべきではないということを強調したにもかかわらず、実際のその場面に直面したときに国益との関係というのを考える、それは国家としては仕方のないことなのかもしれませんけれども、同時に、その規範の難しさというんですかね、規範を基にした条約を推進することの難しさというものも改めて明らかにしてしまった、図らずもですかね、のではないかというふうにも思いました。
○金子道仁君 ありがとうございました。 以上です。
○会長(猪口邦子君) それでは、浜口誠君。
○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。 今日は三名の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。 まず最初に三名の参考人の皆さんにお伺いしたいと思いますが、ウクライナへのロシアの侵略に伴ってロシアが核の恫喝をしているという状況にあります。 今後、このロシアに、このウクライナの情勢の中で核を使用させないために国際社会としてどのような動きをしていく必要があるのか、この点に関して三名の参考人の皆さんのお考えをお伺いできればというように思います。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございます。非常に重要なイシューだと思いますね。 核の恫喝については、今の段階で見ますと、むしろNATOの方がプーチンの核抑止、核に抑止されていると。最近、レオパルト等々、戦車出しましたけれども、紛争当初は本格的な武器あるいは長距離のミサイルは出せませんでしたよね。それはエスカレーションを心配した、懸念したから出さなかったわけですけれども、ただ、プーチンは今後とも核の恫喝をカードとして使っていくと思いますね。 これをどのように避けるべきかという話は非常に難しいんですけれども、私は、プーチンの仲間たち、仲間たちって変ですけれども、例えばCIS諸国、カザフスタンとか、中央アジアのCIS諸国、あるいはBRICSですね、こういった首脳、BRICS、ブラジル含めて、インド、こういった国の首脳から厳しいメッセージを伝えてもらうというのは一つあろうかと思います。 現に、例えばインドのモディさんにしても、もう今戦争やる時期じゃないよというメッセージを伝えているし、カザフスタン、これも反核の国ですから、非常に厳しい核兵器に対する姿勢を持っていますから、トカエフさんですかね、メッセージを伝え得る立場にあるし、何よりも中国がそういうメッセージを伝えていくことは重要だと思います。現に、ショルツ首相、ドイツのショルツ首相が北京を訪問したときに、共同声明か何かの、共同記者会見ですかね、習近平主席はそのようなことを言っています。 だから、今回のプーチンの戦争に無理があったというのは、内々、CISの国とかBRICSの国とか等々は分かっているんで、核が使用された場合の自分たちへのデメリットといいますか、それも十分認識していると思いまして、そういうルートを使ってメッセージを伝えていくというのはあろうかと思います。
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございます。 私も全く同じ意見ですね。ロシアに対するプレッシャー、圧力というものを強めていくと。力によるその現状変更の中で核兵器を使う、あるいは使用を威嚇すると、そういうことは決して許されないんだということを国際社会、それもロシアに近い国々も含めてメッセージを、表、裏、両方あると思いますけれども、発していくということは非常に大事なんだと思います。 もう一つ、その核兵器を仮にロシアが使ったとしてもロシアの目的というのは達成されないんだということを、これは抑止の観点もあるかもしれませんし、政治の観点もあるかもしれませんけれども、その両面でロシアに対してメッセージを発していくということももう一つ重要なのかなというふうに思います。
○参考人(鈴木達治郎君) 大体お二人と全く同意見なんですが、あえて付け加えるとすれば、戦争が続いている限りリスクはなかなかゼロにはならないので、核兵器を使ってはならないということと同時に、どうやって停戦に向かう、実現するかということについて、やはり、これもやはりロシアに近い国々を交えて議論していくのが大事ではないかと思います。
○浜口誠君 ありがとうございました。 それでは、続きまして、鈴木参考人に北東アジアの非核化ということでお話しいただきました。まさに北朝鮮始め、しっかりとこの地域で対応していく必要性が高いというふうに思っております。 そうした中で、日本がどのような役割を果たせるのか。議員連盟のお話もございましたけれども、我々日本がこの北東アジアの非核化に向けて果たす役割という点に関して御意見がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(鈴木達治郎君) 先ほど申しましたように、まずは日本という、日本自体が核抑止の依存度を下げる。日本自体が核抑止がやっぱり重要だと言い続けている限りは、北朝鮮はなかなか核兵器やめろと言いにくいんだと思うんですね。だから、核抑止、核兵器の役割をどうやって減らしていくかということについて真剣に議論をすると。当然、北朝鮮はアメリカを対象に考えていますので、対話に、日本がなかなか話しかけてもすぐ実現するわけではないんですが、そういう意味では、日韓米の間で核兵器の役割をどうやって減少させていくかということについての具体的な提案を考えていくと。 それから、シンガポールのトランプと金正恩の宣言がありましたが、あれが一番今のところ、あのベースを忘れないで、朝鮮戦争の終結も含めたパッケージで地域の安全保障と核兵器、朝鮮半島の非核化を実現するというその前提を忘れないということですね。それが二番目ですね。 日本について言えば、やはり既にもう北朝鮮には対話をするとは言ってはいるんですけれども、これも、小泉さんのときに出た平壌宣言をベースに国交正常化ということも長期的に考えた交渉にしていかないと、非核化だけを要求している分には多分北朝鮮は応じてこないと思いますので、その三つぐらいかなというふうに考えています。
○浜口誠君 ありがとうございます。 では、続きまして、佐野参考人の方にお伺いしたいと思います。 先ほどの御説明の中にも、今後の核不拡散に向けては、新たな核保有国というのを防いでいかないといけないというお話ございました。そのためには潜在的な核保有国への手当てが必要ということも資料にも記載をしていただいておりますが、具体的なこの手当てというものについてどのようなアプローチがあるのか、現時点のお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。 今まで核兵器を開発してきた国というのは結構あるんですね。スウェーデン、スイス、それから南アフリカ、それからブラジルとアルゼンチンはライバルで核を持とうとした経緯がございますね。もちろん、北朝鮮、イランというのは、北朝鮮はもう既に持ってしまっていると言われていますけれども、そういった国々は、当時、自分たちの安全保障の観点から核開発をしたと。今、ウクライナでこういう形で核の有用性といいますかね、が再認識されて、自分たちも安全保障上核を持った方がいいんじゃないかというふうに考えている国は結構あろうかと思います。そういう国に対して説得していくということなんだろうと思うんですね。 それはいろんな方法があって、例えばかつて核開発したスウェーデン、これはもうNATOに入ろうとしています。今トルコがちょっと問題だというふうに言っていますけれども、NATOに入れるという形で、核開発はしませんね。独自核を持とうとはしないと思いますね。それから、南アフリカについては、これはもう既にペリンダバという非核地帯に入っておりますので、あえて核の脅威を感じるかというと、そういうことはないんだろうと思うんですね。ブラジル、アルゼンチンについても同様だと思います。トラテロルコという非核地帯の中に、南米の非核地帯の中に入っていますので、あえて持とうとは思わない。 要は、やっぱりイランとか、あるいは最近話題になっているビルマ、ミャンマーですね、こういった国、今ロシアが近づいていると言われていますが、こういった国に対して手当てしていくと。その手当てというのは難しいんですけれども、イランの場合ですと、ジョイント、P5プラス1で合意があって、制裁を解く解かないという議論がありますけれども、これを進めていくということが一つはあろうかと思います。いろんな問題があるにしても、あるにしても、次善の策として進めていくという手はあろうと思いますね。 北朝鮮については、これは今どうするかって話よりも、将来、米朝の二か国の議論をどの段階でどのような形で再開するかという問題なんだろうと思いますけど、まあこれについても中国の影響力というものを裏側で発揮してもらうとか、そういったことぐらいしかないのかなというふうには考えています。
○浜口誠君 以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) それでは、岩渕友君。
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。 三人の参考人の皆様、本日は本当にありがとうございました。 まず初めに、お三方にお伺いをしたいんですけれども、被爆の実相を世界に知らせるということで、広島、長崎で被爆をされた方々が非常に重要な役割を果たしてこられたというふうに思うんですね。その果たしてこられた役割についてどのように見ていらっしゃるかということを教えてください。
○会長(猪口邦子君) どなたに。
○岩渕友君 佐野先生から。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。大変重要な御質問だと思います。 被爆の実相について、広島、長崎の被爆者だけではなくてNGOも含めて大変な努力をしてこられましたですね。日本政府も、私もう離れていますけども、日本政府も、例えばジュネーブに来る高校生の平和大使といいましたですかね、そういう方々をなるべくジュネーブの外交官に会ってもらって、それで生の声を聞いてもらうとか、あるいは軍縮会議でスピーチをやってもらうとかという形で被爆の実相を伝える努力をしてきました。 それから、先ほど申し上げました日本の核廃絶決議の中にも、実際に広島、長崎、被爆地を訪問してくださいというパラグラフも入っています。私は、核兵器の持っている絶大な威力、これを世界の指導者だけじゃなくて世界の人々に知ってもらうということは極めて重要だ、長期的には極めて重要な努力だと。そのために果たしてこられた人々の努力というのは高く評価されるべきだと思います。それが一点。 他方、アイロニカルなんですが、被爆の実相を知らせる、知ってもらうということは核廃絶にとっても重要ですけども、核抑止論者にとっても使えてしまうんですね。使えてしまうというのは、これだけの威力を持っているんだと、それを持っているんだと、そういうものなんだよということを意図せずといいますかね、そういうことを知らせていることにもなるということを我々は注意する必要があろうと思います。 いずれにせよ、唯一の戦争被爆国としての使命があるわけですから、それは引き続き大いに盛り上げていってもらいたいというふうに考えております。
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございます。 研究者としてではありますけれども、私は国レベルで核の問題を見る癖といいますか、習慣といいますか、そうした時間が長いわけですけれども、まさにこの被爆の実相、資料館であったり被爆の方の証言であったりということをお聞きすると、それが国ではなくて人のレベルにその核の問題ということを改めて思い起こさせてくださるということ、それは非常に重要な、個人的にも非常に重要なことだというふうに思っていますし、広島、長崎に行くたびに、そういう機会を捉えて足を運んだりしているというところであります。 もちろん、その実相等々の中で若い方々が一生懸命今活動をされていて、その中で一生懸命やっているけどなかなか進まないということに対する、核軍縮が進まないことに対するフラストレーションもためておられるというところも話を聞いたりしていますけれども、そうしたその活動の中ですぐ目に見える成果というのがないかもしれないけれども、一人でも多くの人がこの核の問題ということを知ってもらうと、知ってくれるという機会をこういう若い方々も含めて行っていくということが、やはり国の世論、それから支持というものがなければ核軍縮というものを国として進めるということも難しくなってくるかもしれませんし、世界としてより重要な問題として取り上げていくことも難しくなってくると思いますので、そうした活動を通じてより一人でも多くの人にこの問題を知ってもらうと、重要性を知ってもらうということ、それも大事なことなんだろうというふうに思います。
○参考人(鈴木達治郎君) 大体お二人の意見と同じなんですが、私から二点、じゃ、ひとつ付け加えさせていただきます。 一つは、被爆者の年齢がもう八十五歳、平均年齢超していまして、被爆者のいない時代がもう近づいているということを考えますと、次世代の方々、被爆二世も含めて、あるいは今の若者も含めて、核兵器の問題は過去の問題ではなくて現代の問題、今ここにある危機だという、そういう我々の問題であるという方向に、今の被爆の実相を伝えるときに、過去起きたことを伝えるということだけではなくて、今核兵器が使われたらどうなるかということを考えてもらうための被爆の実相を伝えるということがまず第一、大事かなと。 二番目は、もちろん広島、長崎の被害者、被爆者の方々の貢献すごい大きいんですけども、被爆者の方々、実は世界中に、核実験のグローバルヒバクシャと呼ばれていますけども、核実験の被害者の方々もいらっしゃるので、これが実は先ほども申しましたTPNWの中にも入っておりまして、それの支援も考えると、日本政府の役割は非常に大きいんではないかと思います。 だから、被爆の実相を伝えるという意味では、その二つですね、現代のものとして考えることとグローバルな被爆者との協力関係と支援、これが大事かなと思っています。
○岩渕友君 ありがとうございます。 次に、鈴木参考人にお伺いするんですけれども、冒頭のお話の中で、プルトニウムのことについてもお話ありました。それで、原発との関係で、日本のプルトニウム保有ということについて諸外国から懸念が出ています。そうした下で、今、原発回帰の方針というのが示されているわけなんですけれども、この方針について参考人がどのように考えるのか、教えてください。
○参考人(鈴木達治郎君) まず、プルトニウムの問題なんですが、これはとにかく原発の是非にかかわらず減らしていかなきゃいけないと、これは国際的な合意がもう現実にはあると思うんですね。で、佐野大使が原子力委員会で既に日本も在庫量を減らしていくというコミット、基本的考え方を出されたということは非常に大きな政策だと思います。高く評価しております。 それを実現しなきゃいけないのが第一だと思うんですが、その実現するため日本がプルトニウムの在庫量を減らすときには、実はこれは原子力政策と関係してくるんですが、核燃料サイクルという、その再処理を前提にしている、使用済燃料の再処理を前提にしている政策を続けていきますとなかなか減らない。したがって、今、原子力そのもののもちろん是非もあるんですが、核燃料サイクルをどうするか、使用済燃料を本当に再処理するのがいいのかどうかという議論が必要ではないかと考えております。
○岩渕友君 もう一問、鈴木参考人にお伺いをするんですが、ロシアがその核兵器使用で威嚇を繰り返すという下で、核抑止に依存をしないということ、核なき世界に向けた提言していただきましたけれども、非常に大事だなというふうに思いました。 それで、先ほどもちょっとやり取りがあったんですけど、北東アジアの非核化ということも重要ですし、それだけにとどまらず、その前段のやり取りの中で、東アジアでの緊張緩和とかその対話の外交というお話もありました。これも非常に重要だというふうに思ったんですね。こうした下で日本が果たすべき役割ということでお考えのことがあれば教えてください。
○参考人(鈴木達治郎君) 日本が、日本政府が公にお話しされている、核兵器廃絶が究極の目標であり、それから、そのために日本はリーダーシップを取る、これを実現するためには、その核兵器の役割をやっぱり減らしていく方向でなきゃいけない、ただ単に核弾頭の数を減らすだけではなくてですね。そのための政策を日本政府も考える必要があるということ。それから、先ほどお話ししましたように、もう茂木外務大臣もおっしゃっているということなので、これをじゃどう実現していくかということについて具体的な政策議論をして、始めてほしい。拡大核抑止依存だけではそういう方向には行かない。 それから二番目に、これ、地域の緊張緩和をやらない限りは日本の拡大核抑止の役割減らしていくわけ、できませんので、そのための政策も同時に考えていただきたい。これが二番目ですね。今の政策を見ている限りは、抑止力の強化に偏り過ぎているのではないかというふうに感じております。 最後は、今度、賢人会議また新しくつくられましたが、そこでもお話しされてはいると思うんですが、やはり市民社会を使った、よく言われるトラック1・5、トラック2とかですね、政府、非政府機関も交えた対話の場をどんどんつくっていただいてそれに我々が貢献するという、そのような市民外交の役割も重視していただきたい、この三つですね。
○岩渕友君 ありがとうございました。 以上で終わります。
○会長(猪口邦子君) それでは、浜田聡君。
○浜田聡君 NHK党、全国比例選出の浜田聡でございます。 三人の参考人の先生方、本日は貴重な御意見、どうもありがとうございました。 私からは、まず戸崎参考人に、核兵器の使用と世界各国間での法的拘束力という観点からお聞きしたいと思います。 具体的には、何をもって核使用というポイントなんですね。例えば核ミサイルを撃って攻撃をすれば当然核使用なんですけれど、一方で、今回のロシアのように、核による恫喝というのはもう既にその時点で核使用と考えることができるのではないかというポイントでございます。 日本の法、刑法ですと脅迫罪というのは第二百二十二条に定められている犯罪であるわけなんですけれど、一方で、世界各国でそういうものが仮にあるのであればちょっとお聞かせいただきたいですし、ちょっと国内法の制定と世界各国での法的拘束力というのはかなり違う、ポイントが違うと思いますので、とにかく、今回、恫喝の罰則という点でお聞かせいただければと思います。
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございます。 まず、使用と恫喝を明確に禁止しているのは核兵器禁止条約。恫喝といいますか、使用の威嚇ですね。これにはロシアは入っていないということであります。ロシアを拘束するものが何かあるかというと、なかなか見当たらないというのが現状であります。 もちろん、国連憲章の下で武力の行使あるいはその威嚇を禁止するというのはありますので、それとの延長というような見方はできるかもしれませんけれども、それ以上に、では、ロシアの行為、核兵器の使用、核兵器の使用の威嚇ということを明確に禁止している条約は、非核兵器国に対する消極的安全保証という言葉が何回か出てきましたけれども、それ以上にはないのかなというふうに思います。 プラス、抑止もある意味では威嚇ではありますので、そのプロセスであれば、禁止はその部分はされていないということになってしまうかもしれないです。
○浜田聡君 ありがとうございました。 次に、鈴木参考人にお聞きしたいと思います。 核抑止に依存しない安全保障戦略への転換ということで、意義のある提言、本当にありがとうございました。 核なき世界を目指す上で、私は、核保有国の価値観、政治体制に注目するというのはすごく重要だと思うんですね。核保有国、最大の核保有国であるアメリカは、ある意味、自由、民主主義、法の支配というのがあります。もちろんアメリカが核保有国として安全とは言い難いものの、やはり日本における危険な隣国と私は呼んでいるんですけど、中国、ロシア、北朝鮮、こういった国が自由、民主主義、法の支配がしっかりと保たれているとは思えないわけで、そういう核保有国、先ほど申し上げた中国、ロシア、北朝鮮のような、価値観、政治体制をしっかり注目していく上で提言を出していくというのが重要なのではないかと思うんですけれど、この点に関して御意見をお聞かせいただければと思います。
○参考人(鈴木達治郎君) 政治体制はもちろん大事だと思うんですが、先ほどのお二人のお話にもありましたけど、アメリカとソ連が核軍縮に、八〇年代ですね、ゴルバチョフとレーガン大統領のときに大きな、それまでも核軍縮のいろいろ条約は結んでいますので、お互いの利益が合えば条約結ぶ、核軍縮の条約は結べることはできる。 問題は、今回のロシアについて言えば、その条約も無視してしまっているという。だから、お互いの共通の対話の場ができれば、共通の利益が見付かれば、私は、相手国が民主主義国家でなくても条約は十分に結べる。北朝鮮について言っても、二〇一七年は非常に危機的な状況にあったのが、二〇一八年には板門店宣言が採択され、南北朝鮮ですね、それからシンガポール共同声明が出されて、もう一歩手前まで、非核化の合意の一歩手前まで行ったわけですから。 外交努力というのは、政治体制が異なる国の間ででも当然続けなければいけないし、共通項が見付かれば合意できるというふうに考えております。
○浜田聡君 ありがとうございました。 最後に、佐野参考人にお聞きしたいと思います。 NPT体制を踏まえた日本の安全保障戦略について可能な範囲でお考えを聞かせていただければと思うんですけれど、本日お話しいただいたように、NPT体制というのは様々うまくいかなかったあるいは失敗というのは多少あったと思うんですけれど、戦後の核秩序であったり国際安全保障の礎石としては非常に重要なものであるのかなと思います。 参考人の方からリアリズムを考えたというのは非常に説得力があることだと思うわけですね。日本の安全保障戦略を踏まえた、考えた上で、最近聞かれる言葉として、日本の核シェアリング、あるいは、一歩踏み込んで更に核保有という意見も時折聞かれるわけでございます。実際に、日本の核シェアリングを実際に政策として提言している政党もあるとは承知しております。 これに関しては、NPT体制を考えると結構なハードルが高いんではないかと私は考えているわけなんですけれど、NPT体制の下で日本の核保有、核シェアリングが可能かというポイントについてお聞かせいただければと思います。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。 これまた非常に重要な御質問だと思いますけれども、私の意見は、核保有、核武装ですね、これは論外だと思います。それから、核共有は、議論をするのは有益ですけれども、実際国内の政治状況を考えた場合は難しいだろうと。したがって、第三の道を探る必要があると、こういう結論なんですけどね。 なぜ核武装が論外かというと、元々NPT、先ほど説明しましたように、当時JFKが、J・F・ケネディが、あと十年もすれば核保有国が十も十五も増えてしまうと、核の拡散を最も恐れたわけですね。それでソ連と組んでつくったのがこのNPT。だから、核を拡散しないという大本があるわけです。そうじゃなければ核のカオスに陥ると。どの国も核を持ってしまうと。それを曲がりなりにも防いできたのが、曲がりなりにもというのは、イランとかそういう、北朝鮮という国は抑止できませんでしたけど、曲がりなりにも核の拡散を防いできたのはNPTなんですね。 日本は、NPTに入るときに日本の外務省は非常にいいディスカッションをしています。発効が七〇年ですけど、日本が入ったのは七五年だと思いましたけれども、遅れて入るんですね。それは、やはり日本の安全保障を考えた場合、NPTに入るのがいいのかどうかという議論があったんです。批准するときに安全保障についての声明を出しています。NPTの十条、つまり脱退についての声明を出しているんです。それだけやっぱり当時はリアリズムがあったんですね、国際情勢に対する。 現在、それ以降、日本は、NPTの実は優等生として国際社会を引っ張ってきた経緯があります。その日本、NPTの優等生である日本が今核武装をするということは、核の秩序を根底から崩してしまう愚策だと思いますね。日本が核武装したら隣の国も核武装しますよ。もうあらゆる国が核武装し出します。そういった重みを日本政府、日本は持っていると。 核共有については、私は、日本の国民の皆さんの安全保障感覚をリアリスティックにするためには議論は有効だと思います。ただ、イージス・アショアの適地を見付けることができなかったとか、それから今、普天間の話が、沖縄の話がありますけど、国内の情勢を考えると、核共有する、今の政府はしないと言っているわけですけれども、つまり核共有するということは非核三原則の機構ですね、それを変えるということになるわけですが、今の政府はしないということになっていますが、核共有をするということがいかに国内政治的に難しいか。まさに政権一つ二つぶっ飛ぶような話ですね、これ、核共有というのは。私は難しいと思います。 じゃ、第三の道というのは何かというと、今の状況というのは、アメリカの戦略核によって抑止、核の傘があるわけですが戦術核がないという、こういう話ですよね。で、七九年のNATOの二重決定と同じような状況があるわけですけれども、やっぱりそこは、核はアメリカに任せるしかないというのが私の意見です。 つまり、どういうことかというと、艦船に核を搭載する、搭載していたんですね。アメリカもロシアも艦船に核を搭載していました、潜水艦以外ですよ。九一年にレーガン・ゴルバチョフ、レーガン・エリツィンがイニシアチブを取って大幅な核軍縮、核削減をやります。その際に、艦船から戦術核を外してそれを保管すると、双方ですね、ロシアもアメリカも。だから、もう一度艦船に戦術核を搭載するというオプションはあると思います。それでこう浮遊させると、浮遊してもらうと。それは、何も核共有するまでもなくて、戦術核レベルにおける核抑止を強化することになろうかと思います。 ただ、私の聞くところによると、今、戦略核というのも相当の精度が上がっていて、精度が昔の戦略核と違って、確度がかなり急激に高まっているわけですね。ですから、戦略核だけでも十分核抑止できるんだというかなり強い意見もありますので、その辺りは検討していく必要が、つまり、今の戦略核を、日米同盟を強めていくということが結局重要なんじゃないかなというふうに考えています。
○浜田聡君 ありがとうございました。質問を終わります。
○会長(猪口邦子君) それでは、伊波洋一君。
○伊波洋一君 ハイサイ、参議院沖縄の風の伊波洋一です。 三名の、御三名の参考人の皆さん、ありがとうございます。 私は、拡大核抑止という議論について少し御三名の御意見をお伺いしたいんですけども。まず一つには、私たちの日米同盟というのは、アメリカが日本の敵をやっつけてくれるという、そういう役割を持っているわけですが、矛の役割、そして、日米、日本の自衛隊は米軍基地も守っていると、日本を守るという、こういう関係ですけれども、もはやこれは壊れていると思います。 二〇〇五年の十月の日米再編合意の中で、日本は自らを守ることということで決まりまして、というのは、そのときに海兵隊がグアムへ移転することが合意されましたので、二〇一五年の新ガイドラインで明確にそのことは表現されました。だから、今、私たち日本の中で行われている演習は、そこに米軍が入ってきて米軍が部隊で戦うということは、これはもうアメリカの戦争だと思っております。つまり、日本を守るための戦争ではなくて、アメリカを守る、アメリカの戦争としての戦争。 で、そういう中でも、今、台湾有事の議論の中では、米国は、対中国本土やあるいは領海に弾が到達してはならないという原則で様々な作戦をしていまして、CSISの二十四パターンはそうなっています。そういう中で行われるのが今の状況。まさに、中国とはもはや戦争しない。つまり、核所有をしている大国とは戦争しないというのはソ連の時代からもロシアも含めて共通だと思うんですね。そういう中で、ましてや核兵器を、日本が攻撃されたから米国が核兵器を中国に対して撃つということはあり得ないだろうと。ヨーロッパの問題では、ロシアに対しては、選択肢としては同盟国に撃つということはやったよう、一応プランを立てたようですけども、近くのロシアの。 そういう中で、私たちがこういう拡大核抑止というものを基本に据えて日本の安全保障を考えるべきであろうかというふうに思っているんですね。そのことについて、御三名の御意見をまずお伺いしたいと思います。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。 御質問を正しく把握したかどうか若干心配なんですけれども、日本が中国から撃たれたらアメリカは中国を撃つことはないよとかと、そういう話されましたが。 というか、核抑止というのは、まず中国に撃たせないためにあるわけですよね。だから、核抑止が破れた場合を想定して議論をするというのは、私は逆なんだろうと思うんですよ。核、中国に撃たせないために抑止を強化するというのが本旨だと思います。 それから、アメリカの役割と日本の自衛隊の役割ですけれども、まあ分担がありますね、あった、現在もありますけれども、私はむしろ一体化していると思います。 去年の三月ですかね、アメリカが統合抑止という考え方を打ち出して、これは、それ以降、アメリカの国家戦略の中に統合抑止という言葉が出てきますけれども、これどういうことかというと、アメリカと同盟国が一体となって抑止をするんですと。それから、核兵器だけじゃなくて通常兵器、あるいはそのほかの抑止力を、外交とか経済援助とか、そういった総合的な、まさに統合して総合的な抑止をつくる、そういう考え方なんです。 ですから、日米は、私は、今や一体化しつつあって、それは望ましいと思いますね。それ、抑止力を高める上で極めて有益で、むしろそうすべき方向性を持っている政策だというふうに考えております。 お答えになったかどうか。
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございました。 まず、私の個人的な認識では、日本、まあアメリカもそうかもしれないですけれども、仕掛けられている方だという認識でまずおります。実際にその抑止力の強化のためにお金を払うということを今やろうとしているわけですけれども、何もなければそれをする必要がないという状況なわけですよね。でも、それを許されない状況だからこそしなければならないというところは、まず一点あるんだろうと思います。 核については、今、佐野大使お話しされたように、抑止というのは相手に使わせないこと、相手の認識を変えていくことなので、そこで核という要素が一つ入ってくるというのは、相手も核兵器を持って、その核兵器を後ろ盾にして現状変更を試みようとするのであれば、それはそのアメリカの核抑止あるいは日本に提供している拡大核抑止というものの位置付け、重要性というのはあるのだろうというふうに思います。 他方、地域の戦争では、今ウクライナでも行われているように、やはり通常戦力の役割というのが圧倒的に高まっていると。核を使う前に通常戦力で相手の目標、目的というものを、まあ拒否していくという言い方が適当なのか分かりませんけれども、撃退していく、相手に思うようにさせない、目標を達成させないということが大事ですので、核の部分ももちろんありますけれども、通常戦力の重要性というものが高まっていて、それが日米で、まあ一体という言葉が適切かは分かりませんけれども、同じ絵を見て作戦を行っていく、あるいは構想を描いていくということの重要性、そこでの議論の重要性というもの、戦略協議の重要性というものが高まっているというふうに思っています。
○参考人(鈴木達治郎君) 多分幾つかの例、層があると思うんですね、御質問の中に。 まず、佐野大使がおっしゃるように、抑止というのは相手に使わせないための考え方だと思うんですが、さっき私が説明しましたように、それが機能しない可能性があるんですね。それは、そうなったときはターゲットになるのは誰なんだという。そうすると、ヨーロッパで反核運動が起きたのは、まさにそれが、結局あそこが核戦争のまず第一の戦場になってしまうということですよね。それも北東アジアで考えますと、やはり日本、韓国がターゲットになる可能性があるということがまず第一だと思います。その核抑止が本当に効くという保証があればあれなんですけど、効かない可能性があるリスクというのも考えなきゃいけないので。 それと、ただ、日米関係、日米同盟の信頼性が崩れるのとはちょっと私は別だと思っていて、先ほど先行不使用の話もしましたが、十分にアメリカの通常戦力で北東アジアの抑止は効くとアメリカは言っているので、それを信用するかどうかですね。それを私は信用していいと。その中で、核兵器については使われてしまったらおしまいなので、そのリスクについては十分に考える必要があるので、核兵器の抑止力への依存度は下げていく必要があるというのが私の考えです。
○伊波洋一君 私は、まあ核兵器は使われないであろうと思っておりまして、少なくとも通常兵器でも、地上戦力、そのアメリカの通常戦力は中国に対しては使われないということが今日もう当然にされていると。 と申しますのも、十二月十六日に安保三文書改定で、日本が、その中国中枢に、軍の中枢に二千発近い長射程ミサイルを配備するとしたこと自体、私、大変驚いております。と申しますのも、なぜそれが起こったかというと、南西諸島に台湾有事に備えて二十近いその基地や部隊の配備を、もう今年度、三月までに終わるわけですけれども、これが、中国本土からミサイル攻撃されてもアメリカはそこをたたかないんですよ。だからこそ日本がたたかなきゃいけないということで配備されるわけです。 しかし、アメリカはもう中国本土や領海をたたきませんけど、日本がたたけば報復されます、当然。そのときに、私たちは、やはりそういう今、日米同盟になっているということをどう理解しているのかと。 つまり、核大国に対して通常戦力で、ミサイルで抑止が効くかというと、多分効かない。そういうことが米軍戦略の中でも盛り込まれていまして、結局、私たちの国がそういう間違った理解の中でやるより、しっかりと話合いをして、本来、戦争、もはや今の時代、戦争にしてはならないというところのブレーキを強くしなきゃいけないんじゃないかと思って今の質問をしておりまして、皆さん、今、お立場上、通常戦力が、アメリカの通常戦力が日本のために中国本土を攻撃すると思って今説明をされておりますが、そういうことは、もはや、それは実際はないということが今の日本の安全保障政策の中で入れられているミサイルの配備だということだと私は理解しているんですね。しかし、それが逆により多くの被害を与えていくであろうということを思っているんですが、そういったことの感覚はありませんか。
○会長(猪口邦子君) どなたに御質問ですか。
○伊波洋一君 時間がないか。
○会長(猪口邦子君) 時間も来ておりますが。
○伊波洋一君 じゃ、佐野参考人。
○会長(猪口邦子君) では、佐野参考人、お願いします。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。 冒頭のあれでも申し上げたんですが、今、このアジア、東アジアで圧倒的なミサイルギャップがあるわけですね。 これは、結局、INFで、中距離核戦力全廃条約でロシアとアメリカがINFを持つことを禁止されていた、INFというのは地上発射型のミサイル、あるいはクルーズミサイルですけれども、間に中国がどんどん開発していったと、で、配備していると。中国は接近拒否、A2ADという政策持っていますから、つまり第一列島線以内に入ってこれないようにミサイルで相手方を狙う。 今の段階で私が思うに、先ほど申し上げましたように、核の抑止についてはやっぱりアメリカに任せるしかないなと思っているんですよ、個人的には。ただ、先ほど言った統合抑止という考え方ですね、同盟国ですから、そこで足らないもの、つまりミサイルギャップを埋めるということについては、日本は最大限の努力をすべきだと。今、大体千八百ぐらい持っていると言われています。我が方は持っていません。それを日米が共同して埋めていくと、ミサイルギャップを埋めていくというのは必要だと思います。 それは、先ほどおっしゃったように、対話とおっしゃいますけれども、先ほどNATOの二重決定を申し上げましたように、抑止をして同時に軍備管理交渉を始めるという、対話を始めるという二重戦略ですね、それを、私は、それが適当なんだろうと思う。 つまり、脅威認識を分かち合うということは、誤解を避けますね。相手が何を思っているか、まずその脅威認識を共有して猜疑心を取り払うと、そういう信頼醸成措置というのを同時並行的に、抑止とです、抑止と同時並行的に進めていくと、そういう道が私は正しい道だろうというふうに考えています。お答えになったかどうか分かりませんけど。
○伊波洋一君 ありがとうございました。時間が終わりましたので。
○会長(猪口邦子君) 以上で各会派の一巡目の質疑は終了いたしました。 他に質疑のある方は挙手をお願いいたします。 それでは、水野素子君。
○水野素子君 ありがとうございます。 立憲民主・社民、水野素子です。 本日は大変参考になるお話をありがとうございました。 質問に入る前に一つ宇宙に関して、先ほど佐野参考人の方からお話があったアルテミス合意の活用などにつきまして、実際は残念ながらむしろ対立は深まっているように、JAXAで勤めておりましたので、感じる次第でございます。残念ながら、宇宙ステーション、冷戦の後ですね、ロシアが入って、科学技術外交としては成功したかに見えましたが、アルテミスにはロシアは入っておりません。また、ASAT、人工衛星破壊実験におきましても、コンセンサスも壁になり、ウィーンとジュネーブで別で、平和と軍事が別の会議体でもありますので、地球周回軌道におきましては、核兵器含む大量破壊兵器の、周回軌道へ乗せることだけしか禁止されておりませんので、今後なかなか難しくなっているかなというふうに思う次第であります。 私からは質問としては一問でございます。私は神奈川県選出でございますので、横須賀など、米軍基地たくさん、沖縄に次いで多い地域でもございます。そのため、核兵器不拡散条約の日本に対する不拡散の取組といわゆる非核三原則のことについてお尋ねしたいと思っております。 先ほども御質問ございましたが、核シェアリングということがいっとき話題に年内なったかと思います。核シェアリングには、NATOにおける様々な情報共有のような色合いのものから、あるいは横須賀、そういったところに、実際米軍基地への持込みなど、いろいろなタイプについて少し違う話がされているところでございますが、やるべきかどうかは別といたしまして、日本はNPTに批准をしておりまして、そして原子力基本法も持っております。また、閣議決定でありますが、非核三原則持っている中でできることがあるんでしょうか、核シェアリングにおきまして。あるいは、できるとしたら、今の現状のこの環境、非核三原則までも含む日本の法体系及び政策において、核シェアリングとしてできることがあるのであれば何なのか。あるいは、全くこれを、閣議決定など取り直さなければできないのか、法制度を変えなければできないのかについて、それぞれお尋ねしたいと思います。
○会長(猪口邦子君) それでは、佐野参考人からどうぞ。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。 非常に頭の痛い問題でございますけども、もちろんNPTの優等生ですね、日本は。それから、非核三原則を堅持して、国是として持っている国ですね。そういうときに、核共有というのをどういうふうに考えるかということなんだろうと思うんですが、私は、先ほど申し上げましたように、議論は大いにすべきだと思いますね。それは、日本の国民の皆さんの間にある安全保障感覚というものをもっとリアリスティックに、リアリズムを持って考えていただくために、核共有の議論というのは、議論はすべきだと思います。 他方、先ほど申し上げましたように、国内政治的には難しいと思いますね。ただ、これをどのようにしたら核共有できるかというのは、結局、非核三原則のうちの持ち込ませずというのを変えざるを得ませんね。つまり、艦船の場合は寄港地に寄るわけです。飛行機の場合は基地に寄るわけですね。核共有というのは、もし欧米型であるとすると、アメリカの核を日本に持ってくる、それを貯蔵しておくわけですね。で、有事には日本の爆撃機なりをもって攻撃に出ると。日本がやるわけですね。それがヨーロッパの核共有のパターンですが、恐らくそれ以外は、まあそれ以外があるかも分かりません、そういう形取るんだろうと思いますが、いずれにしても寄港、少なくとも寄港ですね、この問題を考えざるを得ない。 で、民主党政権のときに岡田外務大臣が、まさに国会答弁でこの議論をしているんですね。彼、どういうことを言ったかというと、この非核三原則を変えるかどうか、寄港問題ですね、特に二・五を、非核二・五にするかどうかというのは将来のその政権が考えることだというふうに答弁されて、私まさにそうだと思うんですよ。絶対これだというのは、国際情勢というのはどんどん変わって、まさに生き物ですから変わっていくわけですけども、いくわけですから、それに順応するような、政権が順応するような政策を取っていくべきだと思います。具体的には申し上げませんけれども、私は、非核二・五原則というのは将来の世代が前向きに考えてほしいなというふうに思います。
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございます。 まず一点目、その核シェアリングが果たして日本にとっての抑止として重要なのかどうかといいますか、相手がそれが必要なのか、まずそこを議論する必要があるのだろうというふうに思います。 繰り返しになりますけど、その現在置かれている状況の中では、通常戦力をいかに、通常抑止力をいかに高めていくかということが重要だということをウクライナの事例を見ても感じているところでありますというのが一点目。 二点目、核シェアリングというのは、なかなか実際には広い概念であることもあるということで、核弾頭の共有という能力面だけではなくて、運用の部分、例えば、アメリカが核兵器を使用する際に日本の通常戦力で支援するといったようなことも核シェアリングに含まれるかもしれませんし、そうした作戦に関する協議、それも核シェアリングに入ってくるかもしれませんし、核兵器がいざとなったら使用されるかもしれないということへの責任といいますか、責任、覚悟、決意ですね、そういったところを共有する、シェアするということも含まれてくるかもしれないということで、ヨーロッパの文脈ではなくて、この日本とアメリカの文脈でどのようなニュークリアシェアリングというもの、それはもう果たしてニュークリアシェアリングという言葉がいいのかどうかということも分かりませんけれども、拡大核抑止の日米での在り方というものを改めて考えていく必要というのは私はあるのだろうと思います。その議論もそうですし、実際の形として、それは、どのようなものになるかというのは別にして、考えていく必要はあるのだろうというふうに思います。 ただ、大前提は、まず通常戦力の抑止というのが、それを強化していくことが、今、直近で求められている課題なんだろうというふうに思います。
○参考人(鈴木達治郎君) 核共有、核シェアリングの議論が始まるということは、今のアメリカの核の傘に対する信頼感に対して疑問があるというふうな意思表示になると思うんですね。これが本当に日米関係にとっていいのか、それから、それが地域の緊張関係にどう影響を与えるかと考えますと、議論、まあ賛成ってもちろん議論することはいいと思うんですが、そういう意味を持つということではないかと私は考えていますので、慎重に議論していただきたいなと、やるにしてもですね。 だから、実は、韓国はもう既にそういう話をやり始めているので、それを我々が見てどう思うかということなんですが、やはり核抑止への依存度を高める方向に行っているわけですね。これは私はやっぱり緊張、安全保障のジレンマじゃないですけど、当然その相手国はそれを見てまた核抑止力を強化しますから、その悪循環が続くことになってしまいますので、今日の私のメッセージとしては、その逆方向に向かう議論をしていただきたいということですね。
○水野素子君 時間もありますので、最後に、広島サミットにおきまして、やはり広島ですから、日本のリーダーシップ、それは核禁条約オブザーバー参加で橋渡しをすることも含めた踏み込んだリーダーシップを期待しておりますということをお伝えいたしまして、私としてはおしまいといたします。
○会長(猪口邦子君) それでは、高橋光男君。
○高橋光男君 本日は、三人の参考人の皆様、大変貴重なお話をいただき、ありがとうございました。 時間限られていますので、本日は佐野参考人、また鈴木参考人に、今日、赤松先生の方から冒頭ございましたG7の成果について、もう少しちょっと踏み込んだお話をちょっとお伺いしたいというふうに思っております。 二点ございます。 一点は、実際そのG7の首脳間で何を合意するのかという、その文章上といいますか、声明上ですね、どのような文面をやはりイメージできるのかという点でございます。もう一つは、済みません、実際その対話の枠組みというものを、今後、その拡大抑止の議論とともに緊張緩和のために必要だという鈴木参考人御指摘ございましたけれども、これをどのように具体的に進めていくのか。この二点についてちょっとお伺いしたいと思います。 一点目につきましては、特に私は、被爆の実相に触れていただいて、例えば広島の平和記念資料館を訪れていただき実際そういった被爆者の話を伺っていただいて、その上でその首脳がどのような決意をそこで示すのかということですけれども、やはり、一つやはりキーとなるのは私は核兵器の先制不使用の、禁止、この点だというふうに思っております。 その中で、例えば、今P5の方では昨年一月にこの宣言がなされたわけですね、核兵器は絶対使ってはならないということでございますので、少なくとも、米仏英、ここの国についてはそこは合意がある。その中で、その後、ロシアがこれをほごにするような核の恫喝というのをやっているわけですけれども、一方で、中国、またさらにインドも、先制不使用というのは大体、もうしないということを宣言しているような国があって、やはりこのG7の場でこのことをより一歩踏み込んで宣言ができれば、私はロシアに対しても一つの牽制になるのではないかというふうに思っています。 場合によっては、先ほど佐野参考人がおっしゃられたように、CISとかBRICSの関係国ですね、を例えばG7のアウトリーチの会合みたいなふうにして呼んで、核兵器の議論だけじゃなくて、ウクライナ危機をどのように乗り越えていくのかということについて議論する場としても、そういうようなことを議論してもいいんじゃないかなというふうに思っておりますので、そのような考え方についてどのように思われるかについて御忌憚のない御意見をお伺いできればというふうに思います。 二点、それぞれよろしくお願いします。
○会長(猪口邦子君) それでは、佐野参考人からどうぞ。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございました。 G7ですから、核軍縮にとどまらず様々な議論をすると、やはりウクライナ、それから東アジアにおける情勢というのは議論されると思います。私、直接絡んでないから何が今どう動いているかということを申し上げられませんけれども、常識としてそういうことなんだろうと思うんですね。ですから、安全保障の問題と同時に核の話も出るでしょう。 そこで、先制不使用をG7でという御提案でございますけれども、私、先ほど申し上げましたように、先制不使用も含めた宣言政策には無理があると思います。なぜならば、検証できないから、そしてそのときのリーダーの意思によって幾らでも変わり得るからですね。かつてソ連が先制不使用というのを言ったことがありますけれども、それを撤回した経緯もございます。簡単に撤回できちゃうんですね、そういう言葉だけの約束というのは。そういう言葉だけの約束に国の安全保障を懸けることは、私は不適当だと。したがって、今回のG7の会合で先制不使用について議論するということはまずないんじゃないかと思いますね。そういう考え方、そういう希望を持たれているということは重要ですけれども、私は現実的じゃないと思います。 それから、あれですか、拡大抑止と同時、抑止と同時に対話を進めていくと、どういう形でやるかということは先ほど申し上げましたけれども、つまり中身についてじゃなくてどういうふうな形でアメリカにということだと思いますが、アメリカとの間では拡大抑止協議もありますし、2プラス2という形で外務大臣、防衛大臣間の協議もあります。それから、かなり頻繁に首脳会談も開いておりますので、そういう中でグローバルなイシューというのは当然議論されるわけですね、日米間だけではなくてグローバルなイシューというのはありますので。まあ、当然安全保障の問題が出てくると思いますので、そういうところで中国との対話の重要性というのを日本が強調できたらと、望ましいなというふうには考えます。
○会長(猪口邦子君) それでは、鈴木参考人、どうぞ。
○参考人(鈴木達治郎君) ありがとうございます。 核戦争は絶対戦ってはならないというのは是非文言に入れていただきたいと思います。でも、それだけでは私は不十分だと思うんですが、今回G7なので核保有国が三か国しかないので、先ほどちょっと申しましたが、気候変動とかパンデミックとか、今地球が直面している人類にとって重要な課題というのが、共通の課題がありますけれども、それと核軍縮を結び付けて、これ持続可能性というさっき言葉で表しましたけど、要するに、人類が直面している危機にG7が団結して闘うという、協力してやるという、そういう宣言の中に核リスクを入れていただいて、核兵器問題についての認識の広がりをしていただきたい。そのためには、広島で行うわけですから、広島に是非各国の首脳に来てもらうという宣言、それも是非中に入れていただきたいなと。 それから、ちょっと今日は議論になっていませんでしたけど、実は、私の専門の原子力施設への攻撃ですね、ウクライナの問題について言えば。これも、戦争になったときに原子力施設への攻撃を全面的に禁止するという、そういう合意も是非入れていただければと思います。 以上です。
○高橋光男君 ありがとうございました。 以上で終わります。
○会長(猪口邦子君) それでは、串田誠一君。
○串田誠一君 日本維新の会の串田誠一です。 私も一問だけお聞きをしたいと思うんですけれども、終末時計などを見ると本当に恐ろしいなと思いますし、そういう意味でこの核弾頭数というのも本当に驚きの数ではないかなと思うんですけれども、一方で、今のそのロシアとウクライナの件を見ると、核を持っていないから一方的に攻撃されているんだと、反撃されないのは核があるからなんだ、いや、核を持たないと守れないんじゃないかというふうな考えを持つ人たちや国も出てくるんではないかと思うんですけれども、それは間違いなんだというようなことをやはり発信していかなければならないと思うんですが、どういったようなものを盛り込みながらこれは間違いなんだというようなことを言ったらいいのかというのを三人の参考人に最後お聞きをしたいなと思います。
○参考人(佐野利男君) ありがとうございます。 おっしゃるとおり、やっぱり今回の核の恫喝、プーチンのやっていることは核兵器の価値というのを、政治的な価値を上げてしまいましたですよね。特にウクライナ、ソ連が崩壊した後、実はあそこに旧ソ連の核兵器が五千発残ったわけですよね。それを、ブダペスト覚書という、アメリカの当時はクリントン、それからメージャー、それからロシア、エリツィンでしたかね、三か国がウクライナの安全を保障するからといってこの五千発をロシアに戻したんですね、ロシアに移設した。それさえも破られた。このウクライナ・モデルが破られたというそのインパクトは大きいと思いますね。非核化と我々言いますけれども、非核化のウクライナ・モデルが破られたということは国際的に大きな悪影響を今後及ぼしていくと思いますね。 では、それをどういうふうに間違いなんだということを、かというのは非常に難しいんですけれども、やはり私はその地域における同志国との同盟ですかね、例えば、先ほど申し上げましたように、スウェーデン、フィンランドがNATOに入る、集団安全保障体制の中に入ってくるとか、その地域の持っている安全保障体制に自分たちも入っていくということが必要ですね。そういうことが一つ考えられると思います。 それから、私、核兵器禁止条約について余り今日いいことを言わなかったと思うんですけれども、核兵器禁止条約のたくさんいい面があるんですよね。それはどういうことかというと、私、実際のその準備過程に身を置いたんですけれども、核兵器をおとしめるということになっているんですよ。おとしめて、禁止する、廃絶する、スティグマタイズという言葉を使いましたが、おとしめる。 どういうことかというと、核兵器を持っているから国家に格がある、国家の格ですね、格があるんだと間違っている国があるんですね。P5もN5も、私、実はそういう面があって、核兵器持っているから一流国だというふうに思っている節があります。そういうものに対してまともに、いや、核兵器持っているというのは恥ずかしいことなんだと、おとしめているというのはこの禁止条約なんで、私はそこは評価しているんですけれども。 そういう、何ていいますかね、その核兵器に対するイメージを国際社会の人々がチェンジしていく。これは汚いものなんだと、必要悪なんだと、せいぜい、いうぐらいの、そういう運動が必要だと思いますね。それは、そのためにやはり広島、長崎の、それから鈴木先生のRECNAの運動等々に期待するところは非常に大きいものがあります。
○参考人(戸崎洋史君) ありがとうございました。非常に私も重要な問題だと思います。 まず、やはり一点目、ロシアのようなことをしたら国際社会は許さないんだということをまずはしっかり打ち出していくと。ロシアに対して今いろいろ厳しい制裁を掛けていますけれども、もう一国が将来なかなか立ち行かなくなるかもしれないと言われるような制裁を掛けているという中で、こうしたようなことを、ロシアの行為を容認も黙認もしないということがまず一点と。 それから、そうですね、ロシアの攻撃によってもウクライナが負けないということ。ですので、核を持った相手に攻撃をされたとしても、少なくともウクライナが負けない、その戦争に勝利していくということ、そのためにいろいろ、できる支援というのは様々かもしれませんけれども、できる国は積極的にウクライナを支援していくと。 もちろん、これはロシアに核兵器を使わせないようにしながらロシアに勝利していくという非常に、綱渡りといいますか、難しい取組なんだろうと思いますけれども、それでも、核を持っていないからこそ、核を持っている国にやられてしまった、だから核を持たなければならないというような考え方をさせないようにするために今、やはり今一生懸命、ロシアに対してウクライナが勝利するように、制裁なりウクライナに対する支援なりというものを積極的に行っていくということも一つなのかなというふうに思います。
○参考人(鈴木達治郎君) 佐野大使からはTPNWについて前向きな発言が得られて大変うれしいんですけれども、まさにおっしゃるとおり、核兵器を持っていることがもう悪であるという規範を作っていくことがそのTPNWの大きな役割であり、だからこそ日本もその趣旨については支持ができるんではないかというのが一つです。 それから、何回も申しますけれども、じゃ、核兵器を持ったら本当に安心なのかということについても検証する必要があるというのが二番目ですね。 それから最後に、実際に核兵器がない、持たないで安全保障を実現している国が世界にはむしろ過半数を超えているという事実も皆さんに知ってもらいたいというのが三番目。 以上です。
○串田誠一君 貴重なお話を本当にありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) それでは、よろしいですか。 それでは、予定の時刻も参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度といたします。 参考人の皆様には一言御礼を申し上げます。 参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。調査会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十七分散会