外交・安全保障に関する調査会 第1号
- 発言数
- 98 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2023/02/08
会議録
○会長(猪口邦子君) ただいまから外交・安全保障に関する調査会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、今井絵理子君が委員を辞任され、その補欠として古庄玄知君が選任されました。 ─────────────
○会長(猪口邦子君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 外交・安全保障に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(猪口邦子君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(猪口邦子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○会長(猪口邦子君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 外交・安全保障に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(猪口邦子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 ─────────────
○会長(猪口邦子君) 外交・安全保障に関する調査を議題といたします。 本日は、「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」のうち、「戦争防止のための要件」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。 御出席いただいております参考人は、同志社大学法学部教授浅田正彦君、香川大学法学部客員教授・上智大学大学院講師植田隆子君及び元海上自衛隊自衛艦隊司令官香田洋二君でございます。 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、浅田参考人、植田参考人、香田参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず浅田参考人からお願いいたします。浅田参考人。
○参考人(浅田正彦君) 浅田正彦と申します。 本日は、お招きいただきまして、どうもありがとうございました。時間の関係ありますので、早速冒頭発言をさせていただきます。 レジュメ一枚とそれから若干の資料を付けたものを配付させていただいております。 昨年の二月二十四日に始まりましたロシアによるウクライナ侵攻は、疑いもなく国際法上の武力行使禁止原則の違反であり、侵略行為であります。しかし、プーチン大統領は、侵攻当日に行った演説で、自らの行為を法的に正当化する論を展開しております。それは、第一に個別的自衛権、第二に集団的自衛権、第三に在外自国民の保護、第四に人道的干渉、第五に要請による武力行使。まあ可能な全ての正当化事由を網羅したかのようでありますけれども、事実に照らすと、そのいずれも正当化は不可能ないし困難であります。その理由については、レジュメの方の一、①から⑤まで掲げてありますので、御参照いただければと思います。 ロシアによるいずれの正当化も困難であるとしますと、問題は、国際法のルールにあるのではなくて、主としてロシア、プーチン大統領の遵法意思あるいは国際政治的な要素にあったというふうに言えます。 国際法の観点からは、国際法が違法な武力行使、侵略に対して何ができるかという、こういった点についてお話ししたいと思います。その観点から、国連と、それから国連外の対応を見ることにしたいと思います。 まず、国連について言いますと、武力侵攻に対応する第一義的な責任というのは安保理にあります。しかし、ロシアの拒否権のために安保理は機能しなかったわけであります。大体の概要は資料の一のところに年表の形で出してあります。 拒否権による安保理の機能不全の場合には、問題を国連総会の方に移して総会が集団的な措置を勧告できるというふうなメカニズムがあります。これは一九五〇年の平和のための結集決議という決議に示されております。今回も、その平和のための結集決議を用いて緊急特別総会というものが開かれまして、安保理で拒否権のために否決されたものとほぼ同内容の決議がそこで採択されております。その中で、ロシアによる侵略というものが認定されています。これは、資料の二の方の決議のES―11/1というのがありますけれども、この11というのは第十一回の緊急特別総会の決議一という意味ですけれども、この中で侵略という文字がパラグラフの二のところに書かれていますけれども、こういった形の認定がなされています。 総会はロシアに対して制裁を決議することも当然可能であったわけですけれども、制裁は含まれていません。したがって、今回のロシアの侵略について、拒否権を有する国による侵略なので国連集団安全保障が機能しなかったというよりも、むしろ国際社会が国連による制裁を希望しなかったということではないかと思います。やろうと思えばできたものをしていないということですから。というのも、ロシアに対する制裁というものが国連の外において独自制裁の形で行われているからであります。 そこで、こういった独自制裁というものが国際法上どのように考えるべきかということを次にお話ししたいと思います。 独自制裁、制裁というのは多義的な用語ですけれども、そもそも国際法上適法な措置であれば問題にする必要はありません。したがって、本来は違法であるけれども制裁として行うという場合ですね、これが問題となります。こういった、本来は違法な行為であるけれどもその違法性が阻却されるというふうなルールとして、国際法上、対抗措置というふうな概念があります。 国際社会というのは主権国家が併存していますので、相手国の違法な行為をやめさせるためには被害国の側が対抗措置として違法な行為をするのを認めると、そういった制度があるわけですね。そういった対抗措置、これが言わば制裁になるわけですけれども、そういった対抗措置、制裁を行うことができるのは、基本的には当初の違法行為の被害国だというふうにされています。 もっとも、侵略とかあるいはジェノサイドといった国際社会全体の利益に関わるような義務の違反の場合には、被害国に限らず国際社会の全ての国が対抗措置、制裁をとるということもできるという考え方があります。その場合には、直接の被害国以外の言わば第三国も違反国に対して対抗措置、制裁をとれるというふうなことになります。これが第三者対抗措置、まあちょっと難しいですけれども、第三者対抗措置というふうに言われるものであります。 で、直接の被害国でない国が行う独自制裁、今回でいいますとウクライナ以外の例えばG7とかですね、そういった国が行う制裁を法的に正当化する唯一の論理というのがこの第三者対抗措置であります。この第三者対抗措置というものが適法かどうかということについては争いがあります。国連国際法委員会が二〇〇一年と二〇一一年に作成した条文の中でも玉虫色のよく分からない規定になっているというのが現状であります。 しかし、国際社会で第三者対抗措置の実践がますます増加しておりまして、とりわけ今回のロシアによるウクライナ侵攻に対して行われた第三国、ウクライナ以外の国による独自制裁に対しては、これを国際法上違法だというふうな主張はほとんど聞かれません。ロシアによるあからさまな侵略行為に対する措置として批判しにくかったという点はあるかと思いますけれども、第三者対抗措置というものが合法であるという方向へ、一つの重要な先例になるというふうに思っております。 こういった傾向が続くと、有志国による協調的な独自制裁で侵略に対しては対抗するというふうなことが、今後、違法な武力行使への一つの在り方として期待されると、そうした体制づくりというのが重要ではないかというふうに思います。第二の安保理をつくるというわけじゃありませんけれども、そういった協調的な体制というものをつくるということは重要であるというふうに考えます。 それから、侵略に対するもう一つの措置は、戦後における賠償であります。戦争賠償は伝統的には平和条約において行われてきておりますけれども、平和条約以外にも、裁判の判決によって侵略に対する賠償というのが命ぜられる、これは昨年行われたICJの判決がありますけれども、そういったものがありますし、あるいは、安保理決議によって侵略への賠償のメカニズムというのがつくられることもあります。これは湾岸戦争の際のイラクに対するものでありまして、安保理決議で国連補償委員会というものを設置した例があります。 今回のウクライナ戦争についても、昨年の十一月に採択された緊急特別総会の決議五というのがありますけれども、これは資料の④に付けてありますが、ここで、侵略、人道法違反を含むあらゆる国際違法行為について賠償のための国際制度を構築するという必要が言及されております。 これが賠償実現への第一歩でありまして、今後、いかなる範囲でこういった賠償というのを認めるかという詰めの作業と、それから具体的なそういった賠償メカニズムをどうするかと、その創設の問題というものが出てきますけれども、六千億ユーロ、八十六兆円というふうに言われています損害、これはまだ数字としては古いものですからどんどん増えておりますけれども、そういったものについて賠償が行われるとなると、将来の侵略行為への一定の歯止めといいますか、抑制効果はあるかというふうに思います。 その際の問題は、賠償資金をいかに確保するかということであります。先ほど言いました湾岸戦争のときの国連補償委員会の場合には、イラクの石油輸出の代金を割り当てるというふうなメカニズムが創設されていましたけれども、ロシアの場合にどうするのかという点が問題であります。ロシア中央銀行の凍結資産というのが現在二千億ユーロありますけれども、これを充てるという提案もありますけれども、そういったことが国際法で許されるかという点が問題としてあります。 中央銀行の資産を凍結するということは、基本的に、国際法上は、国家の資産に与えられております免除ですね、に反するというふうに考えられますけれども、これも、先ほども申し上げました対抗措置という観点からしますと、違法であるけれども違法性が阻却されると。先行する違法行為があると、それをやめさせるために違法行為を行うという対抗措置の概念を用いますと違法性が阻却されるということが言えるわけですけれども、しかし、それで終わるわけではなくて若干問題が残りまして、対抗措置というのは、その目的は先行する違法行為をやめさせるということにありますので、相手国が違法行為をやめれば対抗措置もやめなければならないというふうな制度ですね。 したがって、一時的な措置であれば、つまり、凍結というふうな一時的な措置であれば問題ないんですけれども、没収というふうになりますと、これは一時的ではないですよね。没収してしまうと、相手国が違法行為をやめても、こちらとしては違法行為がもうやめれないと。ですから、没収というのは対抗措置として認められないというふうな考え方もあるわけで、こういった辺りは少し問題があるかと思います。 ただ、立法論的に言いますと、国際刑事裁判所、ICC、まあ最近少しよく知られていますけれども、ICCにおいては、単なる戦争犯罪者の処罰だけではなくて、戦争犯罪の被害者に対する賠償を命ずるというふうな制度もあります。そういうことを想起すれば、国家のレベルにおいても同様に賠償という制度を少し制度化するということが考えられるかと思いますけれども、ただ、国際社会の構造からしますと、こういった制度をつくるにしても、条約か、あるいは安保理決議か、あるいは国際司法裁判所の判決、こういったものが必要になってくるわけで、いずれもロシアとの関係でいいますとなかなか想定しづらいというふうに思っております。 侵略国への制裁の対極にある措置としまして、侵略の犠牲国への支援というのがあります。ウクライナ戦争でも、アメリカを始めとして、NATO諸国の軍事支援というのがその帰趨に大きな影響を与えておるところですけれども、こういった、たとえ侵略を行われても外からの支援で反転攻勢できるというふうな体制があれば、侵略の抑止にもなるというふうに思います。これが、本来であれば集団安全保障というのはそういう制度であったわけですけれども、そういった反転攻勢ができる体制というものが必要だろうと思います。 したがって、有志国が協調して支援を行うという事実上の体制というものをどのようにつくるかということが重要になるわけですけれども、こういった軍事支援についても国際法上問題がないかといいますと、ないわけではないということをお話ししたいと思います。 伝統的な国際法の下では、戦争が発生した場合には交戦国以外の国には二つの選択肢があります。一つは一方の側に立って共同交戦国になるということで、もう一つは中立の立場に立つということ、いずれかを選択することになります。 中立国になった場合には当然中立義務を負うことになりますけれども、中立義務の中に公平義務というのがあります。中立国は両交戦国を公平に扱うということが求められまして、一方の交戦国に対して武器弾薬等を提供するということは禁止されているというのがこの中立義務の一部であります。 ただ、この中立義務、伝統的な中立義務は、特に戦争が違法化されて以降は動揺することになります。侵略国と侵略の犠牲国を公平に扱うということは、基本的に戦争を違法化するということとは両立しないと。そして、もっと言えば、侵略国を利するということになる。したがって、侵略の犠牲国に対する支援は許されるというふうな考え方が出てきております。これが限定中立と言われる考え方であります。 こうした考え方を明示的に採用している国としまして、アメリカがあります。アメリカは、軍事マニュアルにおいて、限定中立というものを採用しているということを明記しております。 ただ、侵略の犠牲国に対する支援といっても、誰が侵略国かということが認定されないとそういったメカニズムは働かないわけでありまして、侵略の認定というのが必ず行われるとは限らないと、むしろ行われるのが例外的だというふうなのが現実であります。 こういった限定中立の立場の採用において、国連による侵略国の認定が必要なのかということについては、これもまた争いがあるのが現実でありまして、ただ、今回のウクライナとの関係でいいますと、少なくとも、冒頭言いましたように、緊急特別総会の決議においてロシアの侵略が明確に認定されていますから、この点に問題はなく、軍事支援というのは限定中立として正当化できるというふうに思います。 今後も、安保理の常任理事国による侵略において、安保理が拒否権によって機能しない場合には速やかに緊急特別総会を開催して侵略国の認定を行うということが犠牲国に対する支援としては極めて重要ではないかというふうに思います。 残りの時間で、核兵器に関連する問題と、それから、昨年の十二月に発表されました日本の国家安全保障戦略について一言ずつ申し上げたいと思います。 国連体制の下で常任理事国、安保理の常任理事国が武力行使を行ったということは、これまでもなかったわけではありません。が、ウクライナ戦争において注目すべきは、核保有国が核の使用をほのめかしつつ侵略を完遂しようとしている点であります。ロシアが核の使用を何度もちらつかせているということは周知のとおりですけれども、これが現在のNATO諸国によるウクライナ戦支援に対して大きな足かせとなっております。 これはある意味では、核抑止が実際に機能することを示しております。しかし、逆に、そのことは将来における核保有国による同様の核の脅しを助長するということもありますし、あるいは、核保有国が核兵器放棄の可能性、五大国といいますか、P5の、NPT上のものは別にしまして、それ以外の国ですね、そういった国が核兵器を放棄するという可能性が更に遠のくということもありますし、さらには、核拡散の危険というのも高まるというふうに思います。 ですから、今後は核不拡散の取組とそれから核兵器不使用の取組がますます重要になってくるのではないかというふうに思います。この不使用については、日本の安全保障上の核抑止に頼るというところとどう整合させるかということはかなり難しい問題だと思いますけれども、こういった問題も議論する必要があると思います。 それから、もう一つの国家安全保障戦略との関係ですけれども、日本は侵略の犠牲にならないために何をすべきかという観点からしますと、国家安全保障戦略において表明された反撃能力の保有というのが重要であるというふうに思います。 北朝鮮の弾道ミサイル能力の向上、昨年、物すごい数の実験、発射を行っていますけれども、それから、中国も千基を超える、千から二千の中距離、準中距離ミサイルを保有しております。これに対して日本の迎撃態勢というのは、イージス・アショアの頓挫を始めとしまして心もとない限りでありますし、今回のウクライナ戦争を見ますと、一〇〇%の迎撃の保証がない限り、いかに悲惨な結果が待ち受けているかということを如実に示しているというふうに思います。 そういった現実を前提にしますと、いかに弾道ミサイル攻撃そのものの発生を回避するかということを考えるべきだというふうに思います。もちろんそのためには外交も重要でありますけれども、究極的には、相手方に対して、もし対日攻撃を行えば大変なことになるというふうなことをあらかじめ知らしめるということが重要だと思います。その一つが反撃能力であります。 反撃能力の保有というのは、現に反撃を行うということも、まあ望ましくはないですけれども、そういう可能性を示すと。それから、それを示すことによって攻撃を抑止するというためにも必要でありますが、それだけではなくて、将来あり得べき東アジアにおけるミサイルの削減交渉というものを考えた場合に、そういったものとの関係でも重要であります。 一九七九年のNATOの二重決定に言及するまでもなく、削減交渉の対象となるべき兵器を持たない国が、私は持っていませんけれどもあなたの国のミサイルを廃棄してくれませんかと言って、分かりましたと言う国はないと思います。したがって、そういった将来の削減交渉を考えた場合にもこういった反撃能力の保有というのは重要であるかというふうに思っております。 最後に、ウクライナ戦争の推移に関連してもう一言だけ申し上げますと、侵略を受けた国が世界から支持と支援を得るには、その国が必死に抵抗しているということを示す、それに加えて、その国のトップの政治家がそういった気概を明確に示すということは極めて重要であるというふうに感じております。 この点を申し上げまして、私の冒頭の発言を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。 次に、植田参考人にお願いいたします。植田参考人。
○参考人(植田隆子君) 御紹介にあずかりました植田隆子でございます。 今日は、非常に大きなテーマをいただいておりますが、その中でリスクリダクション、危機低減というところに中心を置いてお話しできたらと考えております。 どうしてこういうテーマを選ぶのか、それから、既に事前にお配りしたものであるとか、今日の五枚の報告の、この順番でお話をするということの中身でございますが、地域的にヨーロッパのお話が出てくると。これは、自分の経歴の中で、八年ぐらい時期を置いてヨーロッパに、研究所にいたりとか、それから三年ずつですね、九〇年代の初めに日本のベルギー大使館でヨーロッパの安全保障、これは物すごい激動の時期で、ソ連がなくなったりとかですね、行ってすぐ湾岸戦争になったんですが、ソ連が崩壊したりとかいう激動の時期で、そこからしばらく置いて、今から十年ぐらい前ですね、今度は同じブラッセルのEU代表部で三年ぐらい勤務をしておりました。よくこれだけ大学を休めたということもあるんですけれども。 それで、EU代表部に行っておりましたときも、これは日本とEUとの今のEPAとかSPAをつくる前の時代で、そのためにEUを引っ張り出すと言ったらちょっと変な言い方ですが、日本の方が非常に熱心だったので一生懸命交流をしておりました時代でございます。ただ、やっぱりこのときも結構大きな国際的な出来事が起こっていて、着任してすぐ、ロシアの侵攻ですね、これはジョージアという小さい国に侵攻したと、それで非常に大きなインパクトがあった。 そういうところから始まった問題でございまして、ただ、別にその自分の研究対象がヨーロッパでも、大使館とかEU代表部に勤めているからには日本のことを、アジア情勢を説明すると。で、十年ぐらい前に起こっておりましたことというのは、EUの今の対中政策と違っておりまして、天安門のときにEUは制裁をしていると。対中制裁をしていると。それは対中武器輸出禁輸であったわけですね。中国に対する武器輸出をしないと。それを、今から十年ぐらい前というのは今のEUの中国政策と違うので、武器を輸出したい国というのがEU圏の中にもございまして、それを解除しようとする動きがあったと、それを解除されないようにするというのも私の仕事の一つだったわけで。 このアジア情勢、日本を取り巻く安全保障情勢などもそのときは御説明をしており、その後も、EUやNATOや、もう一つ今日出てくるのがOSCEという組織でございまして、組織は後ろの方に、アジアを取り巻く組織というのが最後に付いておりまして、その後ろから二番目のページに、欧州の主要な枠組みということで、NATOとかEUとか、ちょっともう日本よりも、あるいはアジアよりも更に複雑に、しかも非常に固い組織がたくさんつくられておりますので、そういうことをやっておりました。 それで、日本の安全保障政策はどんどんいろんな議論が出て動いていると思いますが、対抗抑止という、特定の国から自分の国を守るために行っている措置、これは必要でございますが、これだけが非常に前面的に出てくると、日本の国の位置が米国と違って中国とかロシアという大国に非常に近い、それから北朝鮮もあるということで、もう一つ何か対立を緩和するような措置がつくれないものかと。こういう措置の緩和を一生懸命考えていた地域がたまたま私が専門にしているヨーロッパ方面だったので、そういうことも踏まえてお話ができればということで、この報告を組んでおります。 それで、一のところでございますが、二度の世界大戦は欧州で発火をしたということで、戦争をとにかく防止したいという意欲はヨーロッパに強いと。戦争の防止に成功しているのは欧州連合であると、EUであると、ですからEUの加盟国間では戦争は起こらないと断言できると私は考えております。 それで、それは統合による平和ということで、日本と同じ民主主義の価値に基づくと。で、石炭と鉄鋼、このような資源をめぐって争っていたと、それはもうやめようねということで石炭鉄鋼共同体というのを設立したところから始まりまして、今では経済・通貨、外交安保、警察・刑事協力に協力分野を拡大していると。まあ経済統合のように、のレベルとは外交安保とか警察・刑事協力は違いますけれども、していると。で、入りたいという国もそこに書いてありますように結構多いというか、入っていない国から見れば経済的な繁栄の象徴のように映っているようでございます。 それで、次に欧州の紛争予防のための枠組みというところに参りたいと思いますけれども、これは、そのためにつくられた組織というのが、後ろの方のカラーの枠組みのところにある欧州安全保障協力機構という、OSCEと今名前がそうなっている組織でございます。 これは、七五年にヘルシンキ宣言、ヘルシンキの十原則というのを打ち立てて、これは冷戦のときのデタントの時代ですが、東西、それから中立国も集まって立ち上げた会議体でございました。それで、十原則についてはもうそこに書いてあるとおりで、これは国連憲章と並んで国が尊重すべき原則ということで、よく加盟国以外でも出てくる原則でございます。東西間あるいは中立国も入って合意したものでございますので、西側の原則ではないということでございます。 それで、この七五年に発足した会議の連続体だったCSCEは、ヨーロッパの大きな激変に直面して常設機構になりました。ちょうどこの頃、私はブラッセルのベルギー大使館に勤務をしておりまして、それで、ブラッセルからこういう状態を見たり、一九九二年の七月、ちょっと下、次のところにあるんですが、ヘルシンキで首脳会合をOSCEのレベルで開いたんですね。それも応援出張に行ったりとか、この時期はそういうことをやっておりました。ソ連が崩壊した後のヨーロッパというのは一体どうなるんだろうかと、それから民族紛争がユーゴスラビア辺りで出てきていると、そういう、かなり混乱して、次の国際秩序をつくらなければいけないという時期で、そのときにCSCEというのを強化するという発想が出てきていたということでございます。 それで、そこに書いてありますように、七五年から軍事情報の交換のような軍事的な信頼醸成措置というのは発足しておりましたんですが、それを更に精緻化していくと。基本的には大西洋からウラルまでの地区の、地区と言ったらいいのかどうか分かりませんが、非常に詳細な情報交換措置とか、相手の軍隊を視察したり査察したりできるというような、非常に精緻な、制度が更に精緻化されてきて、現行のはウィーン文書二〇一一という二〇一一年にできたものを、多少ちょっと手は加えられておりますが、使っております。 ただ、ここの軍事的なCSBMというのは陸上編成兵力です。それで、海軍力に対する規制というのは、これは香田様の御専門、米国が好むところではないというふうに理解をしておりますし、ヨーロッパの場合は陸上戦力との戦いに基本的には初めぶつかってなるんだろうということで、この軍事的信頼醸成措置は現在まで続いております。 それから、OSCEの決定はコンセンサスですから、まあコンセンサスビルディングなので、いきなり全会一致だ、議決するということではないんですけれど、コンセンサス方式でやってきていると。 それで、日本の場合は、先ほど少し申しましたけれども、大西洋からウラルまでの間のエリアで何らかの軍備管理措置ができてくると、九〇年代の初めに日本が心配しておりましたことは、ソ連ないしはロシアの兵器がウラル以東に移転されてくるのではないかと。ですから、そこのところは日本にとっては好ましい事態ではないので、ヨーロッパ方面の軍縮というのが日本にとって懸念事項になるということもあり、このCSCEに自分も何らかの形で関与したいという発想になりまして、九二年の七月からオブザーバー的で発言権があるというので出始めているということになって、今日に至っております。 それで、ほかにもパートナー国というのは、域外のパートナー国というのをOSCEは持っております。 それで、ウクライナでございますが、このウクライナについて、OSCEも当然、ロシアもウクライナも含む組織でございますから、取り上げております。二〇一四年の三月から二二年の三月末まで、ロシアを含むコンセンサス方式の決定やりますから、五十七全参加国の合意でウクライナの要請によって非武装の特別監視団を置いていたのですが、ロシア一国の反対で継続できなかったです。 このSMMという、スペシャル・モニタリング・ミッションと言っていたと思いますが、日本も要員を派遣したりとか資金も支援をしておりました。しかしながら、ロシアも入れてずっと、ウィーンに本部がありますから、参加国は代表部も置いており、ずっとOSCEは活動を続けております。 次に、日本を含むアジア地域の枠組みの意義というふうに書いております。多国間の安全保障協力体というのは、この地域は何があるのかと。これは、五ページに参加国を分かるように資料を入れさせていただいておりますが、ASEAN地域フォーラムであるとかASEAN拡大国防大臣会議という枠組みがございます。 それから、安全保障に特化しておりませんけれども、日中韓の三国協力という枠組みがございます。この三国協力事務局、私も何回か行ったことありますけど、二〇一一年の九月にソウルに発足をして、日本からも要員を派遣して活動をしております。 それから、直接的に結び付くかどうかということはありますけれども、過去に朴槿恵大統領が北東アジア平和協力構想というのを、二〇一四年からというふうにお配りしたものに書いてありますが、二〇一二年の十一月に大統領選の候補だった時期にウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿してあるという記録もありまして、これを打ち出しており、日本とかアメリカも結構好意的に受け止めていたように記憶をしております。これは、対象国は南北朝鮮と日、米、中、ロ、モンゴルということで、北東アジアの国を対象にした構想でしたけれども、その後引き継がれなかったということでございます。 三番目は、CUESと呼ばれている海上衝突回避規範、これも信頼醸成措置でございまして、これも香田様の方がずっと詳しいので、私はちょっとだけお話ししますが、二〇一四年の四月に合意して、米中ロを含む二十一か国が参加していて、海上衝突回避で、これは西太平洋ですよね、合意をしてずっと実施されてきているという枠組みで、重要な枠組みだと思います。 それから、四番目でございますけれども、日露海上事故防止協定、これは九三年に発効したものがございまして、年次会合が開かれております。二十五回目の年次会合、これは日本と、まあ基本的には東京とモスクワだと思うんですが、交代交代に開催をされており、一番最近なのは二〇一九年のモスクワでございます。二〇年に東京で開こうとしたんですが、ホームページに載っておりますような御説明だと、コロナで開催できず現在に至っているということのようでございます。 それから、次の五番目、日中防衛当局間の海空連絡メカニズム、これはもうまさに香田様がお詳しいんだと思いますが、一八年の六月に運用が開始されまして、これは防衛省が中心になって外務省はオブザーバーで出ているというふうに聞いておりますけれども、第一回が一八年の十二月、二回が二〇年の一月、三回が二一年の三月ということで開かれており、ホットラインを開設するという準備が、今、技術的細部の調整中というふうに聞いておりますが、一応その両者の間で決まっているというふうにお伺いをしております。 それで、ヨーロッパ方面でどういう戦争を防止するための努力がなされてきているのか、それからアジアの方ではどのような動きがあるのか、二国間とそれからマルチの枠組みでどのようなことがなされてきているのかというのを簡単に御紹介をしてまいりました。 それで、提言と申しましたらちょっとおこがましいかもしれませんが、やはり外交的に解決すると、外交的にリスクを下げたいというのは接触することが必要であると。で、コンタクトというふうに言う信頼醸成措置になるんですけれども、アポイントメントを取ろうとしても相手が応じないと、だから会えないということに、何というんでしょうかね、制度が常設化されていないとなりがちであると。ただ、国際機構のようなものがつくられていて、小さい事務局があって、それで、国連はもう物すごく大きいんですが、組織体になっていると。EUにしろNATOにしろ、そのような組織体であると。 ですから、組織体、国際機関になってしまえば、総会であるとか専門委員会とかそういうのをつくるので、開催日程が決まるのでアポイントメントを取る必要がなくなってくると。その日の何時にそこに行けば、皆さんが今日お集まりになっているみたいに、集まれると。それで、何というんですかね、議題がなくて無理やり集まるというふうにはしない方がいいんですけれど、隔週ぐらいで対面でこのようにお話しできるような意見交換ですね、何かルールをそこで作るところまでいかなくても、単に接触をして、自分の国の安全保障政策について説明すると。 日本だったら十二月に大きな文書が出たので、それを関係国に直接御説明して質疑応答するというような方式も一つのリスクリダクションになると思いますし、本当に何か、例えば今回の米中間で起こっているような問題が起こった場合に、危機状況が起こったときに緊急会合を招集すると。そういうことができれば、招集したからといってすぐに問題が解決しなくても、とにかくコンタクトができない、意思疎通ができないというよりははるかに危機低減がしやすいのではないかと。こういうことを、あらゆることが常設機構化されているヨーロッパを見ていて考えた次第でございます。 どうも御清聴ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。 次に、香田参考人にお願いいたします。香田参考人。
○参考人(香田洋二君) 香田です。 今、浅田参考人、それから植田参考人から、それぞれ御専門の分野から戦争防止についてのお考えが紹介があったわけですけれども、私も、主として現場にいたといいますか、その観点でこれをどう考えるのかということについて、少し違った観点から考え方を御紹介させていただきたいと思います。 まず、今回御案内がありましたときに、戦争防止って、これ何だろうと。恐らく皆さんも同じだと思うんですけれども、もう私は冷戦時代で二十年間やっていました。あのときって本当に戦争は怖かったです。アメリカとソ連が本当にやり出したら、大げさに言いますと、地球が消滅するなということですから。あのときの戦争防止と今の戦争防止とどう違うんだろうということですね、ということなんですが。 そこで、私なりに時代を区切ってみますと、冷戦時代というのはなったんですが、米ソを中心とした恐怖の、通常戦力、戦術核、戦略核の抑止、バランスが成立していたんですね。ということは、このバランスを崩したら駄目ぞという別の力学がありまして、怖いけど最後は何とか踏みとどまろうという、恐らく共通の相場観が我にも彼にもあった。そういう意味で、何とか回避できるだろうという見方が一つあったわけですね。 今度、一九九〇年。八九年、九〇年、九一年、ベルリンの壁崩壊。アメリカに言わせると、冷戦に勝利をしたと。西側諸国、NATOも我々もある意味そうは思ったわけですけれども、そのときに当時のブッシュ父が言った言葉、ニューワールドオーダーなんですね、新たな世界秩序、これはまさにパックス・アメリカーナといいますか。で、もうロシアは九〇年を境にしてがたがたと崩れていったと。中国はようやく経済が離陸をしたところということで、基本的に世界の秩序というのがアメリカのリードでできた。すなわち、アメリカにチャレンジする国がなかった。ということは、大国間の戦争が起こりようもなかったというのが一九九〇年代の十年なんですね。で、今度、二〇〇〇年代に入りますと、まさに九・一一がそうなんですが、テロという新たな脅威が具現してきたと。 その中で、じゃ、世界各国はどうかというと、イデオロギー、かつての共産主義、民主主義、自由主義との対立ではなくて、テロとの戦いにどう組むかということで、実は、ソ連から変わったロシア、中国共に、チェチェンとか、あれですね、ウイグル自治区、イスラムということで、それぞれ国内に、厳密にテロと言うのかどうかは別にして、異端分子を持っていましたので、非常に緩い格好でテロとの戦いということで一緒になれたんですね。 そして、更にロシアと中国にとって都合のいいことは、テロとの戦いという看板を上げれば、人道問題をある程度カバーできたんです。アメリカでも文句を言えない。テロで、自分たちの国民を守るんだから、相当激しいことやっているんだけれどもそこはちょっと片目つぶってくださいという論理まで成立したわけで、やっぱりこの二〇〇〇年代の十年というのにつきますと、米、ロ、それから中のルーズな、何となく仲間意識ができまして、やはりこのときというのは大国間の戦争というのはほとんど心配する必要はなかったということですね。 それが、まさに二〇〇八年、九年に中国がGDPで日本を追い越し、ロシアも二十年、冷戦後二十年で相当核戦力、通常戦力が復活してきた。その中で、さらに、例えばNATO、十八か国から三十か国に増えた。国益の調整というのは非常に難しい。同盟国内でやや不協和音が起きてくる。 そういう中で、それぞれの国益の調整が難しい中で、特に米、中とロの国益の対立というのが非常に先鋭になってきたということで、ざくっと言いますと、二〇一〇年以降というのは、新たに大国間の対立というのが極めて現実味を帯びてきた、更にその度合いが増している。で、恐らく、今、まさに今回提示された大きな勉強項目の中で平和をどうするかという問題が出てきたんだというふうに私は考えております。 といいますと、ここの第一項目のまとめとしましては、やはり二〇一〇年ぐらいを一つのスタートラインとして、現在から見通し得る将来について言いますと、ますます、特に米中に代表される大国間の武力衝突、あるいはロシアみたいに大国が核を使って非核保有国を力で押し潰していく、自分の意図を押し付けていくという構図がこの先ますます出るおそれが大きくなってきたということが、恐らく今回の命題のもの、バックグラウンドにあるんだろうというのがまず最初の私のまとめであります。 次、二つ目ですね。といいましても、やはり無視できないのは実際に起こっている戦争です。これ、ロシアは戦争と呼んでいませんけれども、ウクライナ戦争をどう見るかと。 ここで、軍事の専門家として申し上げますと、まず一番最初に申し上げたいのは、今教訓は導き出すことは非常に危険だということです。これ何かといいますと、戦争というのは非常にいろんな要素がありますので、ウクライナとロシアの戦いにおいて適用し得る教訓というのがあるわけですね。しかし、それは日本には関係ないかもしれない。同時に、普遍的に各国に共通するような教訓というのもあるわけです。これは我々しっかりと押さえなければならない。あるいは、その中で、インド、アジア、あるいはアジア、中国を中心とするアジア地域にある程度翻訳して適用すべき教訓というのもあるわけですね。 これは、今この時点で、まあマスコミでいろいろな方が、軍事専門家あるいは研究家の方が言われていますけれども、これは非常に私は時期早尚だと思います。やはりこれは、一番現場に近いEU、NATO、それと日本、こういう国が戦争が終わって一段落してからしっかりと事実関係を確認をして今の三つの観点から教訓というのを導かないと、例えばドローン、それは普遍的な話なんですけれども、やはり、例えば圧倒的な航空戦力を持っている、あるいはレーザーなんかももう既に実用化しているアメリカが入った戦いだと、全く違った様子になるかもしれませんね。 ただ、これはドローンがいいんだということで日本の政府が飛び付いてもらっちゃ、ひょっとしたら怖いかもしれないんですよ。そういうことはしっかりと、今、専門家のチームを、まあ、そのもう下準備は、私はEU、NATO、日本でやり始めてもいいのかなと、教訓導出チームをつくるということですね。というのが一つあると思いますので、まあ、余りマスコミに振られる必要はないのかなという感じがしています。 ということで、特に過早な教訓というのにつきましては非常に危険だということで、じっくり今何が起こっているのかということを、皆様の、一番重要なのが常識のフィルターで物を見ていただくということが重要だと思います。 そして、その前提で、ただし二つだけ、まあ、言っていいのかなというのが、今から申し上げる二点ですね。 それの二つ目の二の①ですけれども、要するに、ウクライナ、一つの特徴というのは、武力侵攻をクリミア二〇一四年に続いてやるともう腹を決めた核保有国のロシアのプーチン大統領という人を外交で翻意はできなかったということです。で、プーチン大統領にとっては、もう国際法はもう関係ありません、条約も関係ありません、過去のいろんなミュンヘン合意とか、そういうものも関係ありません、やるんだと。こういう大国が出てきたときに我々はどう備えるのか。 で、もっと言えば、お隣の習近平さんも、例えばですけれども、ある意味、国際法の自分に都合のいい解釈で、南シナ海の埋立てをしたり、オバマ大統領との非武装の、南シナ海非武装化を完全にほごにしたり、香港返還のイギリスとの約束というのももう一晩でほごにしてしまったと。こういう傾向にある中国というのをどう見るのか。私は決め付けることは危険だと思いますけれども、兆候はあります。 そういう中国も含めて、外交努力は重要です、当然。外交の失敗が戦争ですから、簡単に言いますと。戦争に持っていっちゃいけないわけですから。しかし、腹を決めた一国のリーダー、それも専制国、権威国のリーダーを外交で翻意をするというのについては限界があるというのが今回の一つの教訓であろうというふうに考えます。 二つ目は、専守防衛です。 専守防衛という言葉は適切かどうか。私は、軍事の専門家としてはこれ非常に不適切な言葉と思っていますけれども、専守防衛、ここは、日本の場合もウクライナも自発的に相手の侵略国を攻撃しない、していないんですね。で、ウクライナの場合は、日本国憲法の制約ありませんので、彼らはできたんです。しかし、物理的に一つは能力がなかった。それから、西側諸国のあれだけの大きな軍事援助を受け入れる一つの暗黙の了解として、ロシアの本国を攻めたら核を使われるぞ、おそれがあるぞと、そのリスクは取りあえず最小にしようじゃないかという、これはもうまさに国家交渉も要らないぐらいのコモンセンスですよね。 ということは、ウクライナは、自分たちが一方的に撃たれながらも、自発的にロシア、まあ一部空軍基地とか攻撃はしましたけれども、あれはまあある意味でジャブでしょうけども、組織的に自国に対する侵略戦争を止めるための侵略国の攻撃というのはやっていない。 日本の場合、今までこの七十年間、専守防衛という一つのイメージは会議室のイメージであって、自衛隊は侵略地域で戦う、そこには、事に臨んでは身の危険を顧みないという自衛隊の宣誓で自衛隊は頑張っている、頑張るんだろうというのは当たり前です。で、我々国民は、ひょっとしたら通常の生活ができるんじゃないかという、何の根拠もないイメージがあったのかもしれませんね。 ところが、実際こういう事態が起きてみると、前線で戦っている兵士以上に困苦欠乏に耐えなければならないのは国民である。ということは、専守防衛というものが本当に成り立つのかどうか。専守防衛を成り立たせるということは、国民にあれだけの困苦欠乏、困難、辛苦を耐えてくださいということを国、政治がお願いするということを、覚悟が要りますよということですよね。この論議が日本でできているかどうか。戦争防止の中では、この理解なくして、私は、戦争の防止ということについて言うと、やや舌足らずになるんじゃないかというふうに思います。 ということで、外交、専守防衛、私は無力だとは言いません。しかし、機能しない場合がある。危機管理とか防衛、安全保障というのは、機能しない場合に国民をどう守るかというのが危機管理なんですよ。機能しているときは、もう皆さんは枕を高くして寝ていていただいて結構なんです。機能しないときに皆さんが本当に汗をかいて動いてもらうというのが危機管理でしょうからということですね。 じゃ、次のページで、あとはそこで、もう申し上げたんですけれども、二人の参考人の方ももう言われましたけれども、去年の十二月十六日に安全保障の三文書が出ました。これは、私は出版物も出していますし、いろんなマスコミでも申し上げていますけれども、ある意味政府に同情的であり、極めて厳しく批判しています。両方持っています。何だ、あいつ、定まらないなとお思いかもしれませんが。 まず、二%という数字は別にして、防衛費を少なくとも一%というおもしを取ったということについて言うと、これは私は極めて、まあ私、徳島県出身で三木総理大臣の同郷なんですが、三木さんが定めた一%がやっとなくなったということですよね。尊敬していますよ。しかし、それでどれだけ自衛隊が苦しんだか。 豆腐ですよね、豆腐一丁の中で、ショーウインドーから見える側は全部きちんとした四角の豆腐なんですよね、自衛隊というのは。しかし、一%という、後方とか教育訓練というのを削っているものだから、ウインドーを横から見ると、豆腐がこんなもうがたがたになって、後ろないんですよ。詐欺です。で、戦うことを求められているわけですよね。これは、私は、国民として本当に考えていただきたい、国民の皆様に。政治に考えていただきたい。二%に上げるということは、それを前から見ても、縦から見ても、横から見てもきちっとした四角の豆腐になれる機会があるんじゃないかということですよね。 と同時に、新しい装備も必要です。当然、特に中国、すごいスピードで行っていますから。しかし、日本の技術力とか防衛産業基盤とかを考えたときに、本当に全て我が国でできるんですかということです。我が国でできるのはやらにゃいかぬのですけれども、それでそこに対して政府の非常に説明が不足であると。 一つだけ申し上げますと、防衛省が防衛秘に係ることだから言えないというのは、岡田さんの質問でトマホーク何発買うんだと。これは駄目ですよ。アメリカは、最終的にこれは米国の武器を輸出ですから、最終的にアメリカの議会と、国務省は議会に了解を取ります。そのときに何発というのは出るんですよ。それなのに、今は国民に防衛上の理由で言わない。これはだましですよね。F35、百四十機買うと言っているんですよ。これは防衛上の秘密じゃないんですか。 私が言いたいことは、国民にこれだけの、二%のお金をいただく、税金をいただくのに、本当に理解をしてもらう、その覚悟と決意が私は欠けていると思います、元自衛官として。自衛隊、自衛隊員が現場で戦うというのは、最後、ウクライナと一緒です。国民が本当に支援をしてくれている、そこで戦えるんですから。いい装備だけじゃないんです。そこを政治が考えていただきたいんです。ということが、広く言いますと、我が国の平和、世界の平和に、軍事力というのを使わない方がいいんだけれども、最悪のときにどう機能させるかということですよね。 ということで、あと最後に、米中関係で台湾ということの見方なんですが、よく言われています、いろいろもうごまんと、マスコミあるいは本。つい先々週ですね、一月の第二週、CSISがシミュレーションを出しました。 ただ、この手のシミュレーションというのを気を付けにゃいけないのは、条件を変えると結論が反転することがあるということですよね。私も、部隊指揮官でテストされるんですよ。一生懸命日本を守るために海上作戦をやるときに、シミュレーションというのはここで止められるんですよね。止めて、ちょっと待てと。あんた、ここまで来たねと。じゃ、相手がここでこうしたとき、どう来ると来たときに、実は私が今までやってきたことが反転し得る。うまく、うまくここいってなかったですよねと、こういう考えがあったんじゃないですかということで、実は、最初からあなたこっちのBというプランを取っておけば日本防衛がもっと効率的にできたんだろうというようなことの比較ができるわけですね。 ということで、ああいうシミュレーションというのは、何も一つ日本を巻き込むとか、被害が幾らとか、特に被害なんかはミサイルの命中率を〇・五%変えることによって戦闘機の落ちる数は五倍になります。あるいは五分の一になります。負傷人員も大きく変わります。そういうことじゃないんですよ。 例えばなんですけれども、あれを全て信用していただく必要はないんですが、あれは何を言いたかったかというと、CSISという一民間の研究機関がアメリカの政府に対して、将来、中国と本気で構えるときは、戦争をするしないは別ですよ、抑止も含めて、日本がいないと駄目だということを言いたかったんです。なんで、ちょっとその被害が大き過ぎるとか、日本が巻き込まれるとかいう、やや近視眼的な論議になり過ぎている。これはやはり、戦争というものをどう抑止するかと、あるいはとどめるかという意味では、こういう論議に偏ると、やや不健全というか目的を見失うということがあるんじゃないかということでニュースに接していただきたいということをお願い申し上げまして、私の発言を終わります。 以上です。ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。 まず、大会派順に各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと存じます。 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。 また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いいたします。 質疑のある方は順次御発言願います。 それでは、生稲晃子さん。
○生稲晃子君 ありがとうございます。 自由民主党の生稲晃子です。 本日はお忙しい中、貴重なお話をいただきまして、どうもありがとうございました。大変勉強になりました。 それでは質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。 まず、お三方にお伺いいたします。 先ほど先生方のお話の中にもウクライナ、ロシア・ウクライナ戦争についてのことが出てきましたけれども、そのウクライナ戦争に関して、最終的にどのような形で終結するかというのは、今後の世界情勢において、また我が国の防衛においてもとても重要だと思っています。 戦争に向かってしまった要因はいろいろあるかと思いますけれども、そこに至るまでの外交努力、あと条約や法の抑止等、様々な角度から各国が尽力した結果、抑えることができなかったという現状だというふうに思っています。 今、支援としてウクライナへ戦車が送られる、またゼレンスキー大統領が戦闘機を望んでいるという報道もあって、そういった支援の部分もまた戦争を長引かせる要因の一つのように感じているんですけれども、また、今もなおたくさんの方が犠牲になって、エネルギー問題等で各国の経済にも多大な影響を与えている点からも、早期に終結してほしいと願うばかりです。 ここで質問です。 この戦争をこれ以上長引かせないためにはどうすることがよいのか、どのような考え方があるのか、お聞かせ願えますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○会長(猪口邦子君) それでは、浅田参考人からでよろしいでしょうか。お願いします。
○参考人(浅田正彦君) 長引かせない、早く終結させるということは、それは、それ自体としては重要だと思うんですけれども、どのような形で終わらせるかというのは、それと比肩するぐらいに重要だと思います。 先ほど冒頭の発言でも申し上げましたけれども、これは明らかな侵略戦争で、そういった侵略戦争のバックに、核兵器を保有して、その威嚇を行いつつそういった侵略戦争を遂行しているという、その国がそれを成功した形で戦争を終わると、これは、これまで少なくとも国連が創設されて以来の八十年近くに及ぶ国際秩序を瓦解させるということになると思います。 それだけではなくて、いわゆる自由主義、民主主義と、それから専制主義、独裁主義的な国との間の価値観の闘いということでもあると思いますので、そういったものがロシアの戦勝といいますか、勝利によって終わるということであれば、これは本当に早く終わることがいいのかというのはかなり疑問に思っています。 そういう意味で、価値観の闘いであるということと、それから国際社会の戦後の秩序を破壊させるということを認めていいのかという問題ですね。それから、核兵器を持っている国がそれをバックにして侵略を自由に行っていいのかという、そういう様々な問題がありますので、単に犠牲があるからそれをもって早く終わる方がいいということではないと思うんですね。 その私が申し上げた問題というのは、恐らく今後の長期的なことを考えると、一日も早く終わらせるということよりも私自身はより重要ではないかと思っております。 以上です。
○参考人(植田隆子君) 終わらせるというのはどちらかが戦争に勝つのか負けるのかということになるのでしょうかということをどうしても考えてしまうのですが、やはり、ルールに基づく国際秩序が完全に破壊されることを認められないとすれば、ルールに基づく国際秩序を支援する側が少なくとも負けてはならないということになろうかと思うんですね。 そうすると、戦争が継続することになる。そして、ウクライナだけでは当然戦えないわけですから、もちろんほかの国が参戦するということではないにしろ、今のようなヨーロッパ方面だと、もちろんアメリカもそうですが、兵器の支援を含めた、あるいは兵器を支援しない国の場合は財政的な支援はやると。そうでないとウクライナは持ちこたえられないだろう。 ですから、時々日本の新聞にも支援疲れという、ヨーロッパ方面が支援疲れしているという報道が出るんですが、やはり現地の感覚からすれば、より地続きですので事態は深刻で、支援疲れで引くということにはならないのではないかと考える次第でございます。
○参考人(香田洋二君) お二方の御意見に尽きるわけですけれども、日本から見ますと、非常にたくさんの方が家を失い、命を失い、これ悲惨この上ないですよね。しかし、今支援疲れというのは、これはマスコミの報道ではあるんですが、例えば、NATO、EUの首脳は一言も言っていません。最後まで戦うと言っているんですね。これはなぜかというと、まさに法の秩序とか自由と民主主義というものが負けてはならない、あるいは核恫喝にひるむ国際社会をつくってはならないということなんですね。 ここで余りにも悲惨だからということに注目をし過ぎて軍事的にロシアと妥協するということになると、食い逃げ勝ちを許してしまって、ロシアも今疲れているんですが、十年後に、もう一回石油輸出で経済が立ち直ったときに、また同じことをします。それを見ていた中国は、日本に核恫喝をしてきます。今、北京が見ているのは、核恫喝に世界がどれだけひるむかということなんですよ。 しかも、重要なことは、一部、戦争が始まる前に日本の識者の方が、たかが喜劇俳優の大統領じゃないかと言われた方がいますよね。レーガンさんのときもそう言われたわけですけれども。彼は国民を完全にグリップしているわけです。ウクライナの人たちは、少なくとも今、西側諸国が支援している間は命を賭して戦いますと言っているのを、戦っていない我々が勝手にやめるということについて言うと、これは成り立たないんですよね。 彼らは、まさに大祖国戦争なんですよ。ごめんなさい、戦争賛美をしているつもりは全くないんですよ。ただし、ですけど、自由、彼らにとっての自由、独立、それから自由、民主主義、それから国民の安寧ということの中で、国民の安寧というのを犠牲にしてでも困苦欠乏に耐えてやろうということがありますんでですね。 一番やっちゃいけないのは、朝鮮戦争型の終戦です。朝鮮戦争というのは、私とほぼ同じ、私が朝鮮戦争の一年目に生まれているんですよ。相当じじいです。しかし、七十年たってまだ終わっていないでしょう。戦いは終わりました。しかし、まだ、これだけの世界中のエネルギーを入れても、ずうっと、大きな、何ていうんですかね、慢性病みたいな感じでむしばんでいるわけですよね。これはヨーロッパでつくっちゃいけないと思いますんで。 ただし、ロシアかウクライナがそのうちへたる可能性はあります、どっちか負けたという。私、ウクライナも最後危ないと思っていますよ。二千五百万で何年、人口です、物は西側が補給しますけど、兵隊さんが足りなくなる。ロシアは両方厳しいんですよね。日本とほぼ、ほぼ同じ人口で百五十万の軍隊を持とうとしているわけです。自衛隊の五倍。これはもう大変ですよ。国際的に孤立していると。どちらかがへたる可能性もあるんですが。それを願いつつ、しかし、理念をしっかりと評価をして、ウクライナの人たちを私はエンカレッジするというのが一番いいことじゃないかと思います。 少し違うような答えになったかもしれませんが、そういうように思っています。 以上です。
○生稲晃子君 台湾有事に関してもちょっと質問させていただきたかったんですけども、お時間が来ましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。 本当にどうもありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) それでは、続いて三上えりさん、どうぞ。
○三上えり君 ありがとうございます。 会派、立憲民主・社民の三上えりです。 本日は、お忙しい中、参考人としての御説明、本当にありがとうございます。 私自身、広島出身でして、さきの参議院選挙におきまして、広島選挙区より国政に送っていただきました。広島から、日本が唯一の戦争被爆国として、核兵器の非人道性、そして廃絶を訴え続けております。 まず、浅田参考人にお聞きします。 ロシアによるウクライナ侵攻では、お話にもありましたように、国際法、これがことごとく踏みにじられております。ロシアは国連安保理の常任理事国であります。不法行為はこれ深刻な問題であり、国際社会、そして国際秩序が重大な挑戦を受け続けている、この状況が続いています。さらには、東アジアにおきましても同様の事態の発生が強く懸念されています。 国際法、国際社会が無力であってはならない、この中でこの機能を維持するためにはどのような道があるか、具体的に所見を伺えればと思います。お願いします。
○参考人(浅田正彦君) 冒頭でも私申し上げましたが、国際法が無力といいますか、そもそもルールはあるわけですね。武力行使は禁止されていると。これはもう国連憲章の二条四項というところで、国連憲章、百条以上ありますけれども、最も重要な規定というのは二条四項の武力行使禁止ですね。このルールを疑問視する国はありません。しかしながら、ロシアの場合にはこれを完全に無視したと。 そうすると、じゃ、無力なのかといいますと、違反があれば無力ということではないと私は思っています。例えば、国内においても刑法があります。殺人は毎日のように、毎日と言ったら言い過ぎですね、非常に頻繁に起こっています。じゃ、刑法は無力かと。そういったことは聞きませんよね。 ですから、何が大事かといいますと、そういうルールがあるにもかかわらずそのルールを破る人や国がいる場合に、それに対してどういう対応ができるかということでありまして、国内の場合には裁判所とか警察を含めた執行機関というものがしっかりしていますので対応はできるわけですけれども、国際社会にはそういったものが基本的には存在しないと。そうであるべき国連の安全保障理事会というのがありますけれども、そこのP5というのは拒否権を持っているから自分のところには関わってこないというのが根本的な問題でありますけれども。 ただ、冒頭の発言でも申し上げましたように、拒否権によって機能しない場合であっても、問題を総会に移して、総会の、例えば最初の侵略の認定の場合には百四十一の国が賛成しているわけですね。反対したのは僅か五ですかね。そういった国際社会の大きな声というものはやはり重要だと思います。ですから、今後、そういったP5が拒否権によって動かないという場合、その場合には総会を中心に物事を判断していくというふうな、そういったメカニズムができれば、これはかなり大きなことになると思います。 今まで五つ国連総会の方でウクライナ問題の決議が採択されていますけれども、最後の五つ目というのは賠償を扱っています。これはウクライナが実はかなり水面下で動いて作った決議なんですけれども、そういったものを作るということによって、国内社会のような警察、裁判所は存在していないけれども、それに代わるようなメカニズムとして国連総会をもう少し重視していくということは重要かなと思っています。 それプラス、国連の外においても有志国によるメカニズムをつくるということで、第二次世界大戦後のP5のような存在というものの、かなり国力も落ちている国もありますけれども、そういったものの弊害、拒否権を中心とする弊害というものをどうやって変えていくかということを少し知恵を出して考えるべきかなというふうに思っております。
○三上えり君 次は、植田参考人に伺います。お願いします。 ロシアによる一方的な侵略、これ、国際社会においてどのような姿勢で向き合うべきか。お話の中に、外交力の必要性、そして接触することが必要である、そのとおりだと思います。 どこにあるか、この点、御指摘ください。お願いします。
○参考人(植田隆子君) もう少し詳しくお話をするということでございましょうか。(発言する者あり)はい。 外交的に物事を解決する場合に、何が使えるのだろうかということがあると思うんですね。もちろん、皆様方のようなトップの政治家の方がその問題国と交渉すると。あるいは、日本であれば日本の立場に非常に近い国が連合すると。これは、国際連合のような国際組織の場であっても、あるいは組織を使わなくても、外交活動を積極的に展開する必要があるだろうと。 それで、私が自分の実体験から地域的なレベルの枠組みとか組織のお話をしましたが、それは同盟とは少し異なっていると。もちろん、NATOのような同盟自体が組織になっていると、加盟国も多いですし、伝統的に、そういうこともありますけれども、まあ近隣国同士で問題が起こることは結構多いですね。国境線の引き方であるとか過去の歴史的な経緯であるとか。 ただ、対立の火種があるような国と接触をするということが非常に大事で、案件を限定してしまえばいいので、対立案件を物すごく掲げるということではなく、協力案件を一生懸命探して、それで、それに限定して協力をするような仕組みをつくると。制度化、あるいは、英語だとインスティチューショナライゼーションというふうに言うんですが、一々、先ほども申しましたようにアポイントメントを取っていると、相手が会いたくないとかって応じないと、最近も米中の国防大臣関係で何か新聞に報道が出ていますけれども、会おうと思っても会えないと。 それで、もちろん大臣レベルだったらもう皆さん日程がすごく埋まっているから大変だと思いますけれども、外交官とか官僚とか防衛省とかそういう関係の方々でも、とにかく定期的に、用事があってもなくてもと言ったらちょっと失礼でありますけれども、面会する枠組みをつくることは大事だと思います。 それで、ちょっと余談めいてまいりますけれども、その本会議自体が大事ということはもちろんありますが、これは国連でもほかの地域的な組織でも、あるいは目的別の組織でもあると思うんですが、コーヒーブレークというのは普通あると思うんですね。それで、コーヒーブレークのときに、ちょっとアポイントメントを取らなくても話しかけたりとか、あれどうなっているのというふうに聞くことができるんですね。だから、そういう接触で未然に誤解を防ぐと、まあ楽天的だと言われるかもしれませんが。ただ、そういう場があるのとないのとでは、リスクを下げるという意味で随分違ってくるのではないかと思うんですね。 ですから、私が常設機構化にこだわる原因というのはそのようなところにございます。
○三上えり君 では、次は香田参考人にお聞きします。 お話にもありましたが、GDP比二%、総額四十三兆円のこの急激な増額、防衛費の、この正当性、妥当性について、そして国民がどのように受け止めているかの辺りを、いま一度御所見をお願いします。
○参考人(香田洋二君) 四十三兆円どうだと聞かれたら、恐らく神様以外きちっと答えられる方はいないんですが、民主主義の社会の政府として、私は政府に元自衛官として、どちらかというと二%というか防衛費増を支持する人間として本当にお願いしたいのは、説明できるところはきちっと国民に説明をしていただきたいということなんです。 先ほども申し上げましたけれども、あの浜田さんの、浜田大臣の答弁を作った官僚が全く勉強していないでしょう。そして、ああいう答弁がまかり通るということ自体が、国民に対して責任を、安全保障、防衛、で、しかもこれだけ厳しい予算の中で一・六%とか一・八%、二%近くをそのうちいただいていくわけなんで、その中でこう決めたからこれをやりますというので仮にあるとすれば、私は、非常に厳しい言い方になると思いますが、今の政府のやり方はロシア、中国とどこが違うんですかということですよ。ロシア、中国は、国民に情報封鎖をして、俺がやることを聞けと言っているわけですよね。まあ、本当は次元が違うんですが。さほどに、かゆいところをかいた説明ができていない。 そうしたら、国民は本当に苦しい中で、恐らく増税か、まあ国債か分かりませんけれども、基本的には平時の防衛というのは私は税金と思っていますので、お願いする中で、本当に国民が納得して、で、これ最後もう一回申し上げますけれども、自衛隊が、百年に一回かもしれませんが、現場で踏ん張れるというのは、そのときの国民の理解だけなんですよ。 政府は単に物を買うとか自衛隊の制度をつくるということを一生懸命言っていますけれども、本当に目を向けにゃいかぬのは国民の理解をどういただくかという観点から、私はそこが欠けていると。非常にこれも自衛隊のOBとして言いにくいんですが、これをお願いしたいということで、野党の皆様にも少しそういう観点で、余り揚げ足取りじゃない論議をやっていただければいい意見交換ができるんじゃないかなというような気がしております。 以上です。
○三上えり君 ありがとうございました。 以上をもちまして質問とさせていただきます。ありがとうございます。
○会長(猪口邦子君) 続きまして、それでは高橋光男君。
○高橋光男君 公明党の高橋光男と申します。 本日は、三名の参考人の皆様には貴重な御講演いただきありがとうございます。 まず、浅田参考人にお伺いしたいと思います。 おっしゃるように、国際法の観点から、今回のロシアのウクライナ侵略は明確な違反だということはこれは間違いないと。その中で、いかにこの国際秩序また法の支配の観点から、この不処罰をやはり認めていかないようにするにはどうしたらいいのかという観点が非常に大事だと思います。 今日は賠償のお話もございましたけれども、特に刑事責任ですね、ロシアの戦争犯罪、人道犯罪、また、今ジェノサイドの話もございますけれども、こうしたものを将来的に追及又は処罰していくために、今ロシアがこの遵法意識というのはほとんどない中で、ウクライナ側は司法の場、証拠を残すというようなことを懸命にやっておりますけれども、このICCへの捜査協力等を行っている中ですけれども、ウクライナ当局がなすべき努力、また国際社会としてそうしたものをどのようにして支援していくかについて御見解をお願いいたします。
○参考人(浅田正彦君) ありがとうございます。 不処罰をいかに回避するかというのは極めて重要な問題でありまして、国内の刑法でも、いかに処罰することによって犯罪抑止するかという考え方はあると思いますけれども、同じようなことは国際社会においても当てはまるというふうに思います。 先ほどおっしゃったように、ICC、国際刑事裁判所が今世紀に入って活動を始めましたが、これまでになかったような制度でして、個人を処罰するということで、しかも、特に今回のロシア、ウクライナについては画期的なことになりそうなところがありまして、といいますのは、ロシアもウクライナもICC規程には入っていないんですね。入っていないけれども、ロシア人、ウクライナ人が処罰される可能性があるという、細かな制度の説明はしませんけれども、そういう画期的なものでありますけれども、問題は、少なくとも侵略については対象外になっていると。戦争犯罪よりも侵略の方が極めて明らかな、事実として明らかであって、その部分について処罰すべきだという声も聞くんですけれども、制度上は侵略は除外、少なくともロシア、ウクライナとの関係では除外されていると。 したがって、その問題については国連総会等で特別な法廷をつくるべきだというふうな議論もありますし、ゼレンスキー大統領はそんなことを言っていますし、それから、民間の国際法学者にもそういうふうな声を、ことを言う人もいますけれども、私自身はそれはちょっと法的には難しいと思いますね。 刑事裁判所、あるいは処罰する場合には、まず通常は条約で、ICCのような条約を使うか、あるいは旧ユーゴ、ルワンダのような形の安保理決議を使うかというぐらいしかなくて、それ以上に、国際法違反があったからそれに対して何らかの法執行を行うか、行うことができるかというと、それはできないと。特に、安保理の場合には、安全保障理事会の決定は法的拘束力を持つということが国連憲章に書いてあります。したがって、国連に入っている国というのは、既にそれを納得した上で入っていますから、安保理決議というのは法的な拘束力を持つと。しかし、総会はそうではないんですね。したがって、総会をベースにつくることはできないというので、侵略については少し問題が大きいというふうに思います。 これに対して、戦争犯罪ですね、もうかなりの数の戦争犯罪が行われていますので、戦争犯罪とかあるいはジェノサイド、そして人道に対する犯罪、こういったものについては、ウクライナ、ロシア間の戦争についてICCで審理、処罰することは可能だと思います。 ただ、それ、しかしながら、刑事裁判の場合には、いかに証拠を収集して、いわゆる疑わしきは罰せずというふうな刑法の理念からするとかなりの証拠が必要なんですけれども、それにロシアがどれだけ協力するかといいますと、これはかなり難しいところなんですね。 それから、簡単ではないけれども、メカニズムは一応あるので、そういったところをどのように利用するかということだと思いますけれども、既にICCが捜査を始めていますので、この辺りを期待したいというふうに思いますし、そのICCの今後のレーゾンデートルといいますか、ICC自体の問題としても頑張ってほしいなというふうに思っております。(発言する者あり)
○会長(猪口邦子君) 高橋光男君。
○高橋光男君 あっ、失礼いたします。 植田参考人にお伺いしたいと思います。 このアジア版のOSCEをこのアジアでも、あっ、済みません、アジア、この日本が主導して構築していくべきだということは、我々公明党としても今回のウクライナ侵略等を受けて主張しておるところでして、私も昨年三月に外交防衛委員会でも政府の方にただしました。政府は、一方で、ARFの仕組みがあるので、それをできるだけ守り立てて、積極的に貢献して実質的な成果を出したいというのが答弁だったんですけれども、おっしゃるように、東京の場で外交官同士がふだんからコンタクトを持ってそういう交流していくということは大事、今からでもできることだというふうには思っておるんですけれども、なかなかこの日本政府の今のこの見解というのはかたくなな部分があって、実際、ただ一方で、じゃ、まず何から現実的にできるのかと考えたときに、ここ東京でどのようなことが可能だというふうにお考えになられますか。
○参考人(植田隆子君) おっしゃられるように、ASEAN地域フォーラムという安全保障を対象としたフォーラムがありますが、開催頻度がそれほど多いわけではないと。で、それと、それを制度化するということは短期間では現実的ではないので、何かほかの方法がないだろうかということで、国の名前までお配りした資料には挙げてはおりませんが、北太平洋ですね。ですから、朴槿恵大統領のは北東アジアだったんですけれども、太平洋をぐるっと囲むような形で、アメリカ、カナダ、中国、日本、ロシア、それから南北朝鮮、ただ、北朝鮮をどうやって入れるのかという問題があるのですが、段階的にやっていく方法もあるのだろうと思っております。 日本政府というよりも、日本で通常こういうお話をして、必ずと言っていいのかもどうか分かりませんが、AかBかという発想が非常に強いと思うんですね。ですから、日米同盟が大事だと、これは私も全く反対しておりません。ただ、日米同盟かマルチの安全保障システムかというふうな二者択一的な発想があるのが結構、この地域的な取組の上で、かなり困難になってくると。ただ、自分がなじんでいる地域のヨーロッパを見ていると、OSCEで物事を決めるときに、当然NATOが、NATOの国が事前に集まって調整をすると。あるいは、純然たる安全保障じゃないようなこともOSCE扱っていますから、もう頻繁にEUの国は集まっていると。 ですから、同志国というよりも同じ組織に属している国ですね、そういう国が事前に集まって提案文を作っていくわけですから、北太平洋に何かできたとしても、それは日米同盟と対抗したりとか、日米同盟を減殺していくようなものではなく、それをどういうふうに運営していくかということで、日米は相談しないとできませんので、むしろ一つの側面としては、日米の安全保障協力が強化される、あるいは、韓国とも事前相談をするかもしれないということで、そういう外交の場が広がっていくと。 ただ、これを、もう民間ではいろんなアプローチで、いろんなレベルの、シンクタンクレベルの会合があります。ただ、やはり最終的には、必要なのは政府間レベルの安全保障ですから、協議体だと思うので、政治家の皆様方が御関心を持っていただければと思って御報告に参りました。
○高橋光男君 最後、もう時間がないので端的に、最後、香田参考人にお伺いしますけれども、四十三兆円のこの防衛費の予算ですね、これは必要以上の予算という意味ではなくて、備えの必要性について、国民を、理解を得るための政府の努力が、説明が不十分であって、その不断の努力が不可欠だという趣旨だというふうに思います。 その中で、その検討結果というか、実際、そのプロセスですね、シミュレーション、この中身というものはどこまでその開示が可能なのかについて、簡単に、端的に御見解をお伺いしたいと思います。
○参考人(香田洋二君) 悩ましいところだと思うんですが、当然、生の結果の数字というのは出せないんですが、例えば、オプションが三つあったときに、同じ条件で相対的にこれを一とした場合、第二案が〇・九八、第三案が一・二五ということで、費用対効果としてはこれがいいですよとか、防衛効果としてはというふうに。 例えばなんだけど、相対比較というふうなことでいいますと、一切能力とか配備数とか配備位置とか関係なくなるわけですね。こういう言い方を政治家の先生の前で申し上げていいかどうか分からないんですが、私もちょっと自分の本にも書いたんですが、例えば、三十年前、冷戦後期について言うと、まだ自衛隊が違憲で、と言われる、当時の社会党が中心に野党が三分の一おられたわけで、逆に言うと、その国会を止めないためにどう説明するかというのは本当に頭の中の九五%ぐらいそれを使ったと、国会中はですね。 今、本当に政府がそこまで、これは、要するに国民の代表が国会ですから、国会の理解を得るということは、荒っぽい言い方をすれば国民の理解を得るということなんで、そこの知恵というのが本当にないんですかということなんですよね。 我々ぐらいのは、まさにその時代に直面していたもんですから、だから、実際にその、もうこれでやめますけれども、F4戦闘機の空中給油機はそれで、まあ良しあし別にして、取りあえずだったんですよね、敵、外国まで飛んでいけるからということで。 やはり、そういう論議というのを経て国民が、ああ、これなら、外国製品は割高だけど、産業も維持をし、我が国の防衛体制の能力も上がるんであれば何%かでいいねという理解を得るところまで政府は知恵を使って是非やっていただきたい。そして、野党の方々もそういう論議ができるように仕掛けて、あっ、ごめんなさい、与党ですけれども、ほかの先生方もそういう論議を国会でやっていただければ、逆に言うと国民の国会に対する信頼度も極めて高くなるんじゃないかというふうに、まあこれも私見ですけれども、思います。 以上です。
○高橋光男君 時間参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) それでは、串田誠一君。
○串田誠一君 日本維新の会の串田誠一です。 今日は、本当に二十分という、短いんで本当にもったいないなと思いましたけれども、浅田参考人に最初にお聞きをしたいんですが、よくメディアとかでは、ウクライナ侵攻とか侵略とかという言い方と、ウクライナ、今日はペーパーにはウクライナ戦争というのが書いてあるんですけれども、これ、国連としてはどういうこと、この今の現象はどういうふうな定義付け、ウクライナ戦争という表現でいいのか。 それと、この対抗措置をいろんなするときに、まずは、その現象をまずは定義付けてから国連としてのいろいろな対抗措置を考えるのか。例えば、サイバー攻撃なんかは着手時期とかどちらがやったのかってすごく分かりづらいと思うんですけれども、そういうような場合に、国連としての対抗措置みたいなものはどういうようにして見極めていくのか、教えていただければと思います。
○参考人(浅田正彦君) ありがとうございます。 侵略、侵攻、戦争という異なる用語を使っていますけれども、戦争という用語を使ったのは分かりやすさだけを追求したものでありまして、厳密に国際法上の用語としては、戦争というのは宣戦布告を行って武力を行使するというのが戦争で、これは戦争を違法化されて以降はほとんど用語としては使われていません。国連憲章の中に戦争という用語は二、三回出てくるんですけれども、それは第二次世界大戦に言及する場面だけですね。 したがって、戦争宣言をしなければ戦争ではないということが言えますので、そうすると、例えば日本の満州事変とか、あるいは日華事変のように、事変と言えば戦争ではないから戦争禁止に違反してないというふうなことにもなりかねないということで、戦争というのは使わなくなっています。しかしながら、例えばイラク戦争とか実際に使っていますので、分かりやすさという点を追求して戦争という言葉を使いました。 侵攻と侵略ですけれども、侵攻というのはやや現象面を扱っているわけで、国連憲章の中に侵攻という言葉は使われていません。国連憲章の中では侵略という言葉が使われていまして、国連憲章の三十九条に侵略という言葉があります。ですから、侵略というのが最も正確と言えば正確な言葉ですね。 侵略というのは、以前、安倍前総理の国会答弁なんかでも出てきましたけど、侵略というのは定義がないとかいう話ありましたけれども、国連の侵略の定義という決議がありまして、そこでは侵略というのは定義がされておりまして、国際刑事裁判所の侵略犯罪の中でもそれが引用されています。ですから、侵略の定義がないというのは正しくなくて、侵略というのがやはり最も明確な法的な用語だと思います。 侵略に対しては、冒頭申し上げましたように、侵略というのは全ての国に対する法益侵害になるので、全ての国がそれらに対して対抗措置をとれるというふうな考え方ができるかと思います。 サイバーはちょっと、言及されたんですけど、サイバーは常に非常に難しくて、最近まで国連の、GGEというんですか、政府専門家グループですかね、が議論を行っていましたし、それとは別にワーキンググループというのをつくって、二つのグループが対立するような形で議論をして、しかも、いずれもそんなに明確な回答を出していないんですね。 で、おっしゃったように、一体誰がそういったことを行ったかというのを見付けるのも大変ですし、これまでの国際法が適用されるかということもなかなか難しくて、そういった問題を、少し自分に有利な形でルールを作ろうとする国は、これまでの国際法とは違うものを作ろうというふうな、これは例えば中国とかロシアがそうですけれども、それに対して西側、日本を始めとする国はこれまでのルールをベースにしておこうということで、しかしそれはうまく収束していないということで、極めて難しい問題だと思います。 どうもありがとうございました。
○串田誠一君 次に、植田参考人にお聞きをしたいんですが、ちょっと、もしかしたら正確な、聞き漏らしていたかもしれませんけれども、EUではこういうようなことは起きなかったんではなかろうかというようなお話だったのかなと思うんですけれども、ウクライナが仮にそのEUに入っていたのであるならばこういったような現象が起きないで済んだのかということで、今回の表題が「戦争防止のための要件」ということですので、EUに入るとこういうことが起きなくなるということになるのかというふうにちょっとお聞きして思ったんですが、いかがでしょうか。
○参考人(植田隆子君) ウクライナがEUの加盟国であったらロシアは侵攻したのかというふうに捉えてよろしゅうございますでしょうか。(発言する者あり)それは難しかっただろうと思います。 ただ、御案内のように、EUに入る加盟条件というのは、政治的な加盟したいという国の体制のみならず、経済パフォーマンス等、様々な要因が満たされることが必要でございますので、なかなか、よほどの政治決定がEUの加盟、今二十七か国だと思いますが、でなされない限り、早急には無理だろうと。特殊な経済統合体だということもあり、政治的な団体ではないという、まあある意味では技術的な側面もEUは持っています。 ただ、もし入っていたら、やはりEUという単位はヨーロッパでは非常に大きいので、経済的にもですね、そこで侵攻するということはまあなかなか困難ではなかったのかと。ですから、ウクライナはもちろんNATOにも入っていないしEUにも入っていないと。ですから、そういう組織体によって守られていない状態で、しかもロシアと隣接をしていて、国境線も長いというような状態にあったからではないかと。 ただ、NATOの加盟基準というか、NATOにどうやって入るのか、EUにどうやって入るのかという点から言えば、EUの方が経済的なパフォーマンスであるとかいうような要因が非常に大きいと。逆にそこを満たしていない国が入ってしまうとその国自体が潰れるというおそれもあるというようなですね、ちょっと誇張した言い方になるかもしれませんが。 ただ、EUも急いでウクライナを加盟候補国という位置付けには、戦争が始まった後してはおり、非常に大きな支援ですね、EUにしては非常に珍しいことですが、軍事的な支援も行い続けております。
○串田誠一君 香田参考人にお聞きをしたいんですけれども、先ほど専守防衛の話がありましたけれども、今、国会では敵基地反撃能力とか反撃能力のいろいろ議論もされているんですが、自衛隊の組織として、こういったようなことが国会で決定されたときに、自衛隊の訓練とか日頃の指導とかそういうコントロールの部分で、そのような決定がなされると、自衛隊としてはその決定に応じられるような、そういう状況に今なっているんでしょうか。
○参考人(香田洋二君) 防衛省が詳しいことを公表してくれていないんでまさに答えようがないんですが、私の四十年の経験からしますと、今言われている敵基地反撃能力というのは、従来ずっと防衛省が言っています、限定的ということですね。まさに今攻撃が始まるということで、米軍が本格的に入ったら加わらないとも言っていますので、ごく最初ですよね。ということは、これ奇襲に備えなければならないんですよ。 そうしたら、仮に、まあ分かりませんけれども、トマホークを千発、一二式ミサイル千発持っているという部隊が、奇襲に備えるということは二十四時間三百六十五日ですよ。これは航空自衛隊のレーダーサイトしかないんですよね。ということは、自衛隊の文化からいっても全く違うことを、まあ防衛省が考えているかどうかは知りませんが、私の経験からいったら、それがなければまさに今始まるというときの反撃能力にはならないんですよね。それは、しかも、今命令が来たら撃てる、もっと言えば、これもほかのところで指摘していますけれども、それに応じた防衛出動とか事態認定というのがどのスピードでできるのかということもあります。 結論から言いますと、これはもう風呂敷を広げるわけでも何でもありませんが、自衛隊は、政府が決めたことについて言うと、十年掛かっても必ずやります。しかし、今言ったような、政府が想定するような、恐らく、数十個、まあ十個大隊とかのものを三百六十五日二十四時間待機で反撃態勢つくるということについて言うと、物すごく大きな負荷を掛けるということなんですね。これは先ほど申しましたけれども、負荷を掛けるということは、最後は人間なんですよ。ただ買物計画とか組織とか制度だけじゃないんですよね。そこまでの論議をしていただいているのかどうか、逆に言うと、制服の声を聞いていただいているのかどうか、一にそこに懸かるんです。 外から見た感、外から見える範囲でいうと、自衛隊はやります。しかし、その中で、二十四時間三百六十五日、交代で任務に就く隊員の負荷というのは、恐らく自衛隊が創隊以来想像したことのないストレスの中で勤務をする、新しいPTSDみたいなのが出るかもしれないということまでお考えでしょうかということですよね、ということだと思います。
○串田誠一君 終わります。ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) それでは、浜口誠君。
○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。 今日は、三名の参考人の皆さん、大変示唆に富んだお話をいただきまして、大変ありがとうございます。 私は、まず、香田参考人の方にお伺いしたいと思います。二点お伺いします。 まず一点目は、台湾有事、非常に、米中の対立の中で、二〇二七年含めて、あるんではないかということが言われておりますが、この台湾有事が発生したときに日本が担うべき、まあ新たな責務という言葉も資料にも書いていただいておりますが、具体的にどのような役割を日本が担う必要があるのかという点が一点目。 あと二点目が、やはりミサイル防衛。非常に、各国、新たなミサイルの開発、取り組んできております。こうした中で、日本の空を守っていく、領土、国民の命を守っていくために新たなミサイル防衛の仕組みというのも求められているというふうに思っております。そうした中で、従来のイージス艦だけではやはり守れないというふうに思っておりまして、イージス・アショアをもう一度日本にも検討すべきではないかというふうに思っておりますが、その点に対しての御見解がありましたらお伺いしたいと思います。 以上、二点です。
○参考人(香田洋二君) 一番重要なことは、政治家の皆さんがしっかりと意見、論議を闘わせていただいて、台湾問題、米中対立の本質は何かということなんですね。 これは、例えばなんですが、よく聞かれるのが、アメリカは本当に台湾のために血を流して戦うのですかという質問があるわけです。私はないと思っています。これ、なぜかというと、台湾でアメリカが抱き合い心中しては、アメリカ、損だからです。国益にならない。ただし、中国との争いに勝って将来アメリカが世界のリードを取ることができれば、台湾は中国のものにならないんですね。何を言いたいかというと、台湾というのは劇場の舞台ではあるけれども、本質は米中対立だということなんですよ。 そのときに日本の役割は何かというと、もうおのずから、基本的には戦略的な米軍の支援ですよ。台湾の上空で航空自衛隊のF15戦闘機が戦うような話ではなくて、中国とアメリカは本当に、戦いの前の抑止の段階でにらみ合ったときに、サダム・フセインがクウェートに侵入したときぐらいの兵力は集めるだろうと。恐らくプランが五つぐらいあると思いますけれども、一番厳しいのが。ただ、そのときに、一九九〇年のときは、サウジアラビアという日本の六倍の国があったんです。人口六百万。ほとんど砂漠で何でもできた。今回は違うんですね。アメリカは、戦闘機千二百機、輸送機、空中給油機千五百機、空母機動部隊六つ、海兵隊二個遠征軍を集めたわけですけれども、一番厳しい、一番楽なものもあるんですが、厳しいのに備えるのが安全保障ですから。 ということでいうと、日本は、実は戦うというよりも、こういうふうに出張ってくる米軍を同盟国としてどう支援するかというのが、私は一番大きな役割だし、アメリカが本当に期待しているところだと思います。これは、ただし、日本にとって難しいのは、サウジアラビアと全然環境が違うということですよ。 で、それが一番難しいこと、一番難しいことができると、それより、プランA、B、C、D、Eぐらいは対応できて、Fが一番難しいとしますとですね、というふうなシナリオなのかどうかと。あるいは尖閣諸島で戦うとか、南西諸島で戦うというのもあるんですよ、恐らく、部分的な話としては。 ただし、台湾問題の本質というのを見間違うと、台湾の争奪戦ということで位置付けると、恐らくこれは私は理解が誤ると思いますので。それは私の意見ですけれども、そこを政治がしっかりと意見をぶつけ合って、本質がどうかということを見極めていただきたいということですね。 それで、まあイージス・アショア、まあ最高裁的に言うと、これは高度の政治的判断ですので、政府にお願いしたいと。個人的にはおっしゃるとおりです。しかし、もう政府がここまで走り出して、恐らく止められないんですよね。としたら、いかに完成度を高めて我が国の防衛に寄与するものを最低コストでやるかということが日本国政府の腕の見せどころであり、我々の目の付けどころだろうと思います。最高裁的な返答で申し訳ないんですが。 以上です。
○浜口誠君 ありがとうございます。 続きまして、植田参考人の方にお伺いしたいと思います。 リスクリダクションをやっていくというのはすごく重要だというふうに思います。アジアを、日本を含むアジアでこのリスクをどう低減していくか、そのためには、先生の方からも、コンタクト、接触ですね、日頃からお互いがちゃんとコミュニケーションを取る必要があるよということは大変重要な視点だと思いますが、先生のお考えとして、これからアジア地域において、新たな枠組みとしてどのような、このリスクを下げていくための枠組みをつくっていくのがいいのか。 何か先生のお考えで、まだ現実はできないかもしれないけどこういうのがあるといいんじゃないかというようなアイデアだったり御意見があったら是非お聞かせいただきたいなというふうに思います。
○参考人(植田隆子君) ありがとうございます。 既存のものとかぶらないということが重要だと思います。そのために、それから日本の安全にとってどのように寄与するかという視点で、どこか抽象的なことを考えているわけではございません。ですから、先ほども申し上げたように、日本の地理的に非常に近いところに北朝鮮、それから中国、ロシアという国があると。そういう国と軍事的な衝突に、偶発的な事故からでも発展しないような枠組みが必要であろうと。 こういうことをお考えの方はほかにもいらっしゃるわけではございますけれども、私自身の経験から、在外経験などからは、やっぱり組織体は必要だろうということは、ヨーロッパ方面というのはもう組織でがんじがらめになっているような、国の数が空間が狭い割に多いのでそういうことも調整上必要なんだと思うんですが、それがまた外交的な解決にもつながると。 ですから、同じような発言になりますけれども、EUのような統合体というのは簡単にはほかの地域でつくれないし、あれは特殊なケースだとは思いますが、EUの加盟国内では戦争は廃絶されていると私は断言をしていいと思うんですね。だけど、その手前の段階でも地域協力というのはプラスになることが多いだろうと。 それで、先ほど申しましたように、日本の至近距離に今申し上げたような国があると、で、リスクを下げないといけないと、一体どうするのかと。 もちろん、バイラテラル、バイでやると、二国間で接触してやるという方法があると。それにカバーを掛ける上で地域的に恒常的に機能するには組織体をつくるしかないと。ですから、組織体というのは基本的には事務局を置いて、そこで隔週にでも大使級で会議をして、それが何を取り上げるかというので、私としては、対立案件ばかり取り上げずに、どういう協力をすればいいのかというような建設的な議題だけでやるというような合意がその北太平洋地域の七か国間ででもできないだろうかと。初めから北朝鮮というのが難しければ、それから戦争中のロシアが難しければ、もう少し小さいので始められないんだろうかと。それは、やはりイニシアチブを取る国が必要で、通常はやっぱり言い出した国がその小さい事務局とか会議場を引き受けるというのが私の外交上の経験では普通なんだろうと。 ですから、本当はと言ったらちょっと変かもしれませんが、中立国があればいいのですが、私がちょっと、その中立国の適当な国がその地域にはないんですね。無理やりどこかの中立国を入れるといったってというのがありまして、そうした場合、もし日本の、日本が腹をくくってやるぞというふうに言った場合に、その会議をやる場所とか小さい事務局とか、そういうのはやっぱり日本に引き受けるしかないし、交通の便がいいのは東京だろうと。 で、東京がいいという理由はほかにもあって、既に関係国は大きな大使館を持っているので増員はしなくてもできるかもしれないと。ただ、米国は、在外での行動を見ていると、とにかく大使館が大きいんですよね。それで、物すごい人がつぎ込んであると。ですから、もう一つ東京に米国の代表部ができるかもしれないと。まあ、ちょっとこれかなり空想めいているかもしれませんが、デザインとしてはそういうことでございます。ただ、これはもう詰まるところ、研究者とか官僚レベルの話ではなくて政治決定だと思います。
○浜口誠君 ありがとうございます。 二周目でまた質問させていただきます。 ありがとうございます。
○会長(猪口邦子君) はい、分かりました。 それでは、岩渕友さん。
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。 三人の参考人の皆様、今日は本当にありがとうございました。 まず、香田参考人に伺うんですけれども、安保三文書の閣議決定を受けて、先ほど来話があるように、メディアでもいろいろ御発言をされていらっしゃるんですけれども、その中で、五年間で四十三兆円ということについて、身の丈を超えていると思えてならないというふうに述べられているんですけれども、この身の丈を超えているというふうにおっしゃっている理由について教えていただきたいんですが。
○参考人(香田洋二君) 非常にいろいろ臆測を呼ぶような言い方をしまして申し訳ありません。 端的に言いますと、誤解されやすいのは、四十三兆円が身の丈を超えているということではないんですね。これは、きちっと積み上げて国民の理解を得られれば、四十兆円でもいいし四十五兆円でも必要なときはこれは国としてやるべきだということなんですが、問題は、やろうとしていることが、いわゆる老齢化社会を迎える日本の中で、日本の経済力、技術力、それから社会構造を考えたときに、やはりちょっと度を超えているんじゃないかということなんですね。 例えばですけど、今防衛省がやろうとしている、これはまだ研究で開発まで行っていないんですが、あるミサイルは三千キロの射程と。三千キロって、ここでしゃべれば三千キロですよね。宗谷海峡、宗谷岬から与那国までなんですよ。私は、防衛上必要かもしれません。しかし同時に、弾道弾であれば飛ばせるんですが、普通のこの飛んでいくような、宗谷岬から与那国までというのを本当に日本で開発できますかということですよね。 それなら、別の手段があっていいんじゃないですか。そういう比較もされて、日本の社会に一番フィットする、そういう選択というのが実は個々のものに全部本当はなされなければ無責任なんですよ。 ところが、余りにもその事前の、まああの二%論議というのが去年出てきたわけで、普通だったら恐らく四、五年掛けて検討するものを一か月で、あっ、一年間で詰め込んだという同情はします。しかし、これは同情されて、はい、ようございましたの話じゃなくて、まさに国民の皆さんに税金をお願いするわけですから、可能な限りのそのベストですということについてのその説明が足りない。その中で、ある意味、羅列的に、まあ必要性は理解はできるけれども、最適性が説明されていない、あるいはその税金の最効率性が余り説明されていないものが並び過ぎているという意味で、身の丈、要するに、社会の体力を逆に、国を守ろうとして社会の体力を奪ってしまうんじゃないかということです。
○岩渕友君 ありがとうございます。 次に、浅田参考人に伺いたいんですけれども、そのロシアによるウクライナへの侵略というのは国際法から見ても明確に侵略だということだというお話あったんですけれども、参考人が紹介していただいた資料の中にも、国連総会の中で、そのロシアに対して即時無条件撤退を求める決議ということでそれが採択をされたという御紹介あったんですけれども、百四十か国を超える国々が賛成をしていると。こうした非難決議の中で最も多くの国が賛成したということなんですけれども、侵略許さないだとか、その平和を求める声というのが世界に本当に広がってきているなというふうに感じるんですね。 参考人がこうしたその変化についてどのように見ていらっしゃるか、教えてください。
○参考人(浅田正彦君) ありがとうございます。 変化といいますか、私からすると当然のことだと思うんですね。これだけ明らかな侵略行為が行われて、それに対して反対する国というのはどういう発想なのかと逆に思ってしまうんですけれども。 百四十一が賛成したということの意味は、例えば二〇一四年のクリミアの際の同様の決議と比較してもかなり大きいんですね。クリミアのときには賛成が百、ちょうど百なんですね。で、今回は百四十一ということで、いかに今回のロシアの行為というものがあからさまな侵略行為であるかということを国際社会の多くの国が認識したということでございますね。 これがなぜ重要かといいますと、ちょっと冒頭にも申し上げましたけれども、国際社会が侵略というふうに認識しているということになると、例えば冒頭申し上げました中立義務に反する行為も認められるし、限定中立という形で公平な扱いをしなくてもいいし、それからいろんなところでそれが根拠として援用できるわけですね。国際社会の百四十を超える国が侵略だと言っているじゃないかと、だからこれは許されるという形ですね。 だから、そういう意味で、総会というのは基本的に安保理と比べてやや劣った地位だというふうに見る人が多いわけですね。というのも、安全保障理事会の決定、決議というのは法的な拘束力があると、総会にはないということで、確かに現場に行ってみると総会と安保理とでは全く空気が違って、安保理ではもう本当に空気が張り詰めているんですけれども、総会に行くと演説を聞いていない人がほとんどだということで、そういう違いもあるんですけれども、こういうふうな事態になると、いかに多くの国がロシアの行為をどう見ているかというのは物すごく重要だと思いますので、そういう意味で、そういった決議の賛成国が多いというのは重要だと思いますけれども、問題は、その数がだんだん減ってきているんですね。 これは、支援疲れということだけではなくて、途上国が若干離れていっているという、そういう要素がありまして、それは何かといいますと、ウクライナ支援が物すごい額になっていますよね。お金は幾らでもあるわけではなくて、本来であれば途上国に行くべき援助がウクライナに行っているんですね。そうすると、途上国というのは、自分たちが本来もらっているはずのものがウクライナに行ってもらえなくなっているというので、余り支持したくないなという雰囲気が既に出てきているんですね。 だから、そういうのをいかにして抑えるかというのも重要だと思いますし、今私なんかも先ほど来申し上げていますように、この戦争というのは、民主主義、自由、そういったものの勝利か、それとも秩序を破壊かということの分かれ目だと思いますので、いかに支援を続けていくかというのは大事だと思っています。
○岩渕友君 ありがとうございます。 次に、植田参考人に伺うんですけれども、先ほどの冒頭のお話にもあった、外交とは接触することだというお話ありました。その戦争をさせないということで、対話であるとか交渉であるとか、外交非常に大事だというふうに思うんですけれども、その外交努力ということで、日本がどういう役割を果たすことが今求められているかということで、参考人のお考えあれば教えてください。
○参考人(植田隆子君) それは、特に何についてでございましょうかね。どういう案件についてというのはございますでしょうか。
○岩渕友君 まあやっぱりロシアのウクライナ侵略などがあって、今、日本もその安保三文書を閣議決定するようなこともあって、こういう状況の中で日本の果たすべき外交という点での役割ということで、何かお考えがあれば教えてください。
○参考人(植田隆子君) 御質問ありがとうございます。 今年はG7の議長国でありますから余計に、まあ日本が、余計にというかいつもよりもですね、従来よりも任務が重く、注目をほかの国々からされる年であると。そういうときにウクライナでの戦争が世界中の大きな国際平和の問題として関心事になっているという事態だと思うのですね。 ですから、本来ヨーロッパのロシアと地続きの、例えばバルト方面の国であるとか、あるいはノルウェーも上、真北のところにロシアとの共通国境があったと思いますけれども、そういう、すぐに軍隊が攻めてきてウクライナでの戦争が拡大してくるのかというような直接的な懸念は、場所が離れているので、近代の戦争では飛び道具が使われるとはいえ、そこのところは若干脅威度が違うと。ただ、今までの議論でたくさん出てまいりましたように、国際秩序のルールに基づく、国際秩序が破壊されるかどうなのかという、ここのところは瀬戸際になっているというような、日本から見れば立ち位置だと思うんですね。 ですから、ウクライナに対する直接的な支援という側面はありますが、もう一つは、やはりG7というような場との関係からも、ルールに基づく国際秩序をいかに維持していくのかと、それが日本の直面している非常に大きな切迫した課題であり、先ほどの議論でも出てきましたように、南の国ですね、グローバルサウスという言葉が使われているようですが、それらの国々に対してどのような議論が説得力を持つのか。これも、日本は元々西洋の国ではないので、ヨーロッパの国あるいはアメリカとは若干異なる立ち位置から説得力がある議論ができないものかと思っている次第でございます。
○岩渕友君 ありがとうございました。 時間なので終わるんですけれども、やっぱりあらゆる紛争を平和的に解決をさせる、話合いで解決をさせるということのために日本がもっと努力するべきだということを述べて、終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) それでは、浜田聡君。
○浜田聡君 NHK党、浜田聡でございます。 三人の先生方、本日は貴重な御意見、本当にどうもありがとうございました。 私の方から、まず香田参考人にお聞きしたいと思います。 元海上自衛隊ということで、現場で長年活動されてきた貴重な経験を今後も広めていっていただきたいなと考えるところでございます。 ロシアのウクライナ侵攻によって国防に関して国民が高い関心を持っている中、私は、今後の自衛隊の在り方について先生の考え方をお聞きしたいなと思います。踏み込んで言いますと、軍隊なのか警察なのかということですね。 警察というのはやっていいことが決まっている。一方で、軍隊というのはやってはならないことが決まっている。逆に言うと、それ以外のことは全てできるという私の理解なんですね。死に物狂いで最新鋭の武器を持ってきて、やってくる相手に対して、やっていいことが決まっている警察のような法体系だと、これはちょっと対峙できないだろう。やはり、それに対しては、やってはならないことが決まっている、自由にある程度動けるような、いわゆる軍隊、警察ではなく軍隊であるべきだとは思いますが、その観点から、先生の今後の自衛隊の在り方について御意見いただければと思います。
○参考人(香田洋二君) 一番恐れていた質問が来ました。 もう先生方には今更の話かと思いますが、当然、法執行機関と、いわゆるまあ軍事力といいます、を持って国を守るということで、ここは根本的に差があるんですが、これ別の言い方をしますと、警察とか法執行機関というのは、その国の法律で、例えば日本だと反社会勢力というのが相当悪いことをしますけど、もう既に法律で枠を掛けられているんですよね。そして、抑えられていて、違反があったときに相当強いところで抑え込めると。 ところが、軍事組織とか自衛隊というのは、外国ですから我が国の法律が及ばない。ここに、何でもありなんですよ。ところが、何でもありの人たちが我が国の法律とは関係なく自分たちの都合で攻めてくる。それで、もう一つは、相手も人間ですから、自分たちの損害を小さくやりたいものですから、こちらの準備のできていないところに徹底的に突いてくる。 例えば災害も似たところがあって、法律じゃコントロールできないんですが、自然災害も。しかし、これは平等に来ますよね、山崩れだったら。で、逃げ遅れた人は、もう非常に申し訳ないんですが、大けがをされるとかいうことなんですが。何を言いたいかというと、我が国の法律で規制できたりコントロールできない相手が自分たちの思惑で我々の考えを無視をして一方的に来るというのが。 で、私は恐らくこういう質問だというふうに今理解を自分でし、一方的にしているんですが、ところが自衛隊というのは元々警察予備隊から出ています。憲法九条の下で、いわゆる軍事という考えはありませんので、大きなところは警察なんですね。ということは、何でもありの外国に対して、主として警察をコントロールするやり方でいろんな仕組みができているんですね。そこに大きなブレーキが掛かるということで、これは非常に論議として難しいし、与野党の対立もありますし、突き詰めていけば憲法との絡みもあります、あるんですが、ただちょっと最後に申し上げますと、これがシビリアンコントロールの原点なんですよね。 シビリアンコントロールというのは、自衛隊をかちっとコントロールするというのが一つの側面です。しかし、同時に、一朝事あったときに自衛隊が一番国を守るために働きやすい環境をつくるというのもシビリアンコントロールです。こちらの論議が欠けてないですか。私は、四十年間、片っ方だけの論議で過ごしてきました。この先、是非、今までのが悪いとは言いませんが、こちらがあって初めて防衛というのは機能するんですよ。こちらというのは、一朝事あったときに自衛隊が一番働きやすい、能力を発揮しやすい環境をつくるというのも国民の責務だし、それもシビリアンコントロールだという観点からですね。 ということで、取りあえずの返事、返答とさせていただきます。
○浜田聡君 大変貴重な御意見、ありがとうございました。 次に、植田参考人にお聞きしたいと思います。 やはりロシアのウクライナ侵攻で、やはり非常に、国を守る上で、いろいろとやり方はあるんですけど、やはり多国間の安保協力というのが非常に重要だというのはもう間違いないとは思います。 で、日本の有識者の御意見の中に、その枠組みの一つとして日本のNATO加盟を提言される方がいるわけなんですね。NATOというと北大西洋条約機構ということで、北大西洋、日本が接していないという側面もありつつ、一方で、NATOが幅広い枠組みを目指しているような意見も聞いたりします。例えばインドを取り込んでいったりとかいうこともあるわけなんですが、そういった観点から、日本のNATO加盟に関して何か御意見をいただければと思います。
○参考人(植田隆子君) 最近、NATOのストルテンベルグ事務総長が日本を訪問をされ、講演もなさるという活動をされました。それで、私は、その日本での迎えられ方を見ていて、ここ十年ぐらいでNATOの位置付け自体が日本で非常に大きく変わってきたと思われます。私が九〇年代の初め頃にNATOに出入りしていた頃は、非常に日本とNATOは遠かったです。ですから、その頃と比べますと、随分、ここ三十年ぐらいでですかね、交流の度合いも増していったし、軍事同盟に対する何か不安感というんでしょうかね、それが日本の側にもなくなっていったということだろうと思います。 それから、別途、日本とEUの関係も、大変な経済摩擦から、EPAもでき、SPAも暫定発効するということで非常に関係が近くなっていって、大きくこれらの組織との関係は変わっていったと思います。 で、NATOとどのようにお付き合いをするのかということでございますが、基本的にNATO条約を、お配りした資料の中に、参考資料のこれは三ページ目ですかね、北大西洋条約機構の五条ですね、五条任務というので、これは集団防衛が発動すると。日米安保と異なっており、相互に援助義務が掛かるという同盟のシステムでございます。 日本のNATOとの協力というのは、具体的な、侵略された場合の援助義務の発動ということではなく、広い意味での防衛協力という形で交流が進んできていると思いますし、地理的な空間に関わらない、例えばサイバーとかですね、様々な分野で交流をする意義はあろうかと思います。 これからも交流は進んでいくと思いますし、日本の方も、現地でも、恐らく必要があってのことだと思うのですが、既にベルギー大使館の大使がNATO代表部の大使を兼任しており、独立した大使を置くようになると思いますので、交流は進んでくると思います。ただ、やはり集団防衛機構でありますから、その内側に入るということはちょっと想定をされていない交流になろうかと思います。
○浜田聡君 ありがとうございます。 時間が来たので終わります。
○会長(猪口邦子君) それでは、伊波洋一君。
○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。 御三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。 浅田参考人並びに植田参考人については、御意見陳述、そしてまた委員会の委員の質疑等で学ばせていただきました。短い時間ですので、こういう機会なかなかないので、香田参考人からお話を聞かせていただきたいと思います。 十二月に朝日新聞にインタビューで書かれておりますように、本来ならば、この自衛隊のこのような装備の大幅な変更あるいはその施設の変更は五年ほどの時間を掛けて丁寧に積み上げていくということなんですね。浜田防衛大臣も、私も外交防衛委員会にこの六年おりますので、その積み上げというお話をしておりましたが、そういう、どういう積み上げがあったのかというのは余り分からないまま今日に至っています。 外交防衛委員会で議論されておりますのは、やはり自衛隊の宿舎やあるいは装備品、あるいはもう支給されるもの含めてですね、装備不足ということがよく言われますが、沖縄にいて感じますのは、沖縄から選出されておりますので、米軍のために百億の建物をさっと造ってあげる、要望すれば何でも造ってあげる、そういうことがずっと続いていまして、F35にしても、完成品を購入することによって、組立て工場があるにもかかわらず、その工場自体がどうするかというようなところに追い込まれるとか、そういう意味では、おっしゃるように、自衛隊の現況というのは大変厳しい、で、代案がないということも含めてありますけれども。 今回の四十三兆円の取組については、それは安保三文書改定では、二五年までに地上発射型のミサイル、それで二六年までに艦艇発射型、二八年までに航空機発射型の開発を完了すると、こういうふうにプログラムになっているわけですよね。さらに、二七年度までには地上発射型、艦艇発射型の長距離射程ミサイルの運用能力を強化する、このような形で、その時点でできるようにするという意味合いなんでしょうか。 先ほど、参考人のお話があるように、果たしてこれが開発可能なのかどうかということがこのインタビューでも出ておりますが、こういう四十三兆円も付けて、じゃ、それを、プログラムを優先すれば、必然的にまたどこかからの国から購入していくとか、あるいはその代替を造るとか、もうトマホークは決まっているわけですから、こういうことがですね、先ほど、また運用体制の話もあります。 武居智久元海将が、最近出した本に書いてありますけど、運用構想が先に成り立たない技術開発はないという、つまり、現場で何が求められていて、どういう戦術でどういうふうにどこでそれを使うのかということが分からないような開発はしないのが普通だと言っているんですが、現場におられた感覚で、今回のこの岸田政権の安保三文書改定のやはり問題点というのがあるのではないかというふうに思うんですが、御意見を伺いたいと思います。
○参考人(香田洋二君) 御懸念は恐らく、基本的な理解としてはそのとおりだと言うことはできると思います。ただ、それを全く無策で政府がそうしている、というのは私自身が分かりませんから。で、申し上げているのは、可能な限り国民に説明をしてくださいと、そうしないと判断ができませんよということを申し上げているわけですね。 例えば、先ほど二六年に実用化すると。これ、まあ私はずっとそういう、実際にそれを使う方だったんですが、予算要求なんかで関わっていましたんで、直感的に言うと、これ相当厳しいよねというのは分かるわけですね。だから、そこのリスクはどうなのということについては一切言ってくれていないんで。 で、私は、今もう一に、全てその防衛省の説明不足に押し付けるつもりはありませんけども、やはり総じて言うと、その辺り、ここのリスクはありますけど、ここまでは来ていますとかいうことについてさえも言ってないということなので、そこは一日本国民としては非常に無力なところがありまして、そこを可能な限り書き込んだのがあの朝日のインタビューですし、最近出した本なんですが、私はそれが全て防衛省が同意してくれるとは全く思っていませんが。 実際にやった者としての不安、国民の理解、何回も申し上げていますけども、今回私が一番本当にウクライナで感じたのは、もうそれはやっぱり最後は国民の気持ちだなということなんですよね。それが本当の戦略三文書の一番の原点なんですよ。そこに政府が理解を得る、言えないことはあるんだけど、言えるように形を変えているところはあるんじゃないかということなんですよね。 ということなので、抽象的な返事になりますけれども、そこが今のところ、今日までのといいますか、今週までの国会論議だとやはりそこが擦れ違っている、防衛省も出していないということなので、ちょっと評価のしようがない。ただし、戦闘機乗りには戦闘機乗りに、ミサイル撃ちにはミサイル撃ちでプロがいますから、たとえ現在の情報が分からなくても、自分たちの経験でこれは相当リスクがあるなというのはもう感覚的に分かりますから、そういう質問をこの先ぶつけていく、あるいは発表していく、で、国会で論議をしていくことなんです、に尽きると思います。 ちょっと余り、消化不良な返答になって申し訳ないですが。
○伊波洋一君 ありがとうございます。 今回のこの三文書改定にやはりつながっているのが防衛研究所の将来の戦闘様相を踏まえた我が国の戦闘構想、統合海洋縦深防衛戦略なんだろうと思います。これは、今中国に届くミサイルを撃つということなんですね、空港も、軍事空港も含めて。そういうことを何のためにやっているかというと、アメリカが戦争に加わるための長期戦にすることを目指していると書いてありますよね。つまり、中国を攻撃することによって、あるいは何らかの形で日本を長期戦に耐えるようなものにしていくと。つまり、私たちが本当に目指していることと、国民が理解できることと合うかどうかと。つまり、日本を戦場にしていく、その流れを継続させていくというのが基本の考え、目標なんですよ、この日本のこの戦術は。 でも、それに合わせて、要請されているミサイル、二千発のミサイルがどんなふうに使われてどんなふうになって、あいくちを中国に突き付けているようなものでありますから、今までの平和主義の国家が、何の経験もない中で、つまり、ミサイル先進国の中国に対して、これだけのミサイルを五年間でそろえるぞと、十年後には超音速、まあ音速の五倍ぐらいのミサイルまで備えるぞと、こう言っているわけですね。私はね、何かちょっと違うんじゃないかと。 つまり、どうもその原因は我が国にはなくてアメリカの戦略にあるのじゃないかと思うんですね。つまり、CSISが分析したように空母二つが沈むと。で、私たちは、この委員会でいただいた日経ビジネスの参考人のインタビューの記事がありまして、空母が二つ沈めば米軍は日本に来ないと。台湾でも、もう今、日本は、米軍は台湾、中国本土を攻撃しないんですよ。そういうことが前提でCSISも書かれている。 そういうことで、私たちの国が日米安保に何を期待するべきなのかと。つまり、日本を防衛するというアメリカの仕組みとしては、何が期待されて、現場では期待されているのか。このことをちょっと教えていただけませんか。
○参考人(香田洋二君) まさに、そこに私は防衛省の説明不足があると思います。 あの文書は、今、伊波先生が言われたようには書いていないと思います。継戦能力を強くするというのは、裸でエプロンに置いてある戦闘機にコンクリートの屋根を付けますということであって、アメリカと一緒に長く戦うということではないんです。読みようによってはそういうふうに読まれるかもしれないんですが、ここはまさに防衛省の説明不足なんですよ。日本の国民の中でこういう擦れ違った論議があるということは、もしそこの大きな要因が防衛省のあの書き方と説明不足にあるとしたら、これは非常に不幸なことですよねと私は思います。そこは、ちょっと伊波先生とは、やや私は考え違います。 それと、もう一つは、自衛官あるいは防衛省にしても、日本のための組織であって、米軍、アメリカのために戦う組織ではありません。これは断じてありません。よく言われます。非常に残念です。隣の国はアメリカの犬と言うんです、我々を。隣のでかい国ですよ。そういう論議も耐えてきているんですが、同胞にそれに近いことを言われるというのが防衛省の説明不足であるとしたら、これは私は非常につらい。 何を申し上げたいかというと、我々が一番考えるのは、どうやったら日本の防衛をしっかりとできるか、その中で、確かにアメリカと一緒にやるということはあるんです。なぜかと。一番効率的だったし、日本の国益とアメリカの国益は一致するところが多いし、法と秩序とかいう社会の共通点も一緒にあるからアメリカとやろうという選択をしているということなんですね。その中で、見ようによってはそういうふうに見えるかもしれませんが、そこはもう繰り返し説明していくしかないんですが、そういう疑念があるがゆえに、防衛省は余計そこに資源投下をして、きちっと説明をしていくべきなんですね。 実は、本当に自衛隊員の一番心が痛むところはそこなんですよ。我々、本当に日本のために頑張ろうと思っているのを、そう思っていただけない節があるということについてですね。私は、伊波先生の理解が間違っているというんじゃなくて、説明不足で正確に伝わっていないということじゃないかというふうに思いますけれども、そこについては、今日、何か私、防衛省を責めてばっかしなんですが、それほど最近の説明は荒っぽいんです。 国民の目線に立ってないという、すぐ寄り添うと言うんですが、実は全く寄り添っていない。ということで、締めくくらせていただきたいと思います。
○伊波洋一君 ありがとうございました。 もう一回りあれば、あと一点だけ質問させてください。
○会長(猪口邦子君) 以上で各会派の一巡目の質疑は終了いたしました。 他に質疑のある方は挙手をお願いいたします。 塩村あやかさん。
○塩村あやか君 立憲民主・社民の塩村でございます。 先ほど質問をさせていただきました我が会派の三上委員と同じ、私も広島出身で、選挙区は東京なんですが、被爆二世でもあります。やっぱり、いろいろと説明をしていただく中で私も理解はできたところもありますし、あと今日印象的だったのが専守防衛、そして外交が機能しないときを考えていかなくてはいけないということで、これは本当に現実的に非常に必要だなというふうに思いました。 ちょっと質問の内容から時間がないので、今日は植田参考人と香田参考人にお伺いをすることになるかと思います。 まず、反撃能力なんですが、政府の説明する反撃能力、これ今の環境、周辺環境を考えたときに、やっぱりこれ、今日のテーマでもある戦争防止とか抑止のための要件としてやはり必要であると考えるか教えてくださいというのがまず一点。 そして、加えて、植田参考人にはもう一点お伺いしたいと思います。 先ほど、EU内ではやっぱり戦争は起こりにくいんだという枠組みがあるというお話がありました。私、先月台湾に行かせていただきまして、国策院の郭育仁理事長、あれっ、事務局長だったかな、などとお話をさせていただく中で似たような話をされておりまして、台湾有事のときにはどうやって防いでいくのかって考えたときに、やっぱりお互いが利益を共有するようなことで連携をしていくことが必要ではないかということでした。 例えば、台湾の東部ですね、宜蘭の辺りとか、そして日本の沖縄とか南西諸島の辺り、ここで例えばミニFTAみたいなものをつくって、中国も巻き込みながら世界から投資が集まるような環境をつくっていけば攻撃しにくくなるんじゃないかというようなお話もありまして、少し話合いの枠組みをつくっていくというところとはちょっと段階も異なるんですが、似たような考えなのかなというふうに思いました。 こうした考えについて、植田参考人の御意見、併せてお伺いできればと思います。 以上二点、お願いいたします。
○会長(猪口邦子君) では、香田参考人。いいですか。
○参考人(香田洋二君) では、順番で。 一応、日本の防衛力の機能としては否定すべきではないと思います。ただし、優先順位がどうかということについては非常に疑問がある。やっぱり、先ほど来申し上げましたように、三木内閣以来、我が郷土の三木内閣以来ですね、四十五年間一%で抑えてきて、本来四角い豆腐がもうぐちゃぐちゃになっているんです、後ろは。これを早くやらないと、中国と事を構えますといっても抑止力でも何にもならないんですよ。なので、ただし、最新のものもやる必要があるんですが、それはどこまでやるかというのはきちっと説明して論議する必要があるんですが、それをやっておおむね満ち足りたところで入れていく、アメリカとしっかりと調整をしてというぐらいのスピードだと思います。 あと、一つだけ申し上げますと、民主党の泉代表が言われているんですが、先制攻撃のおそれがあるということなど、あれ、文書を読むと先制攻撃とは一切書いてないんですよね。もう一つは、反撃が一分遅れると本来失われなくて済むべき国民の命が何百人単位、何千単位でなくなるということも、国民、国を守る、国民の命を守る論議の中で、先制攻撃だけの論議だと片手落ちになるんですよ。そこだけは是非やっていただきたいというふうに思います。
○会長(猪口邦子君) では、いいですか。じゃ、植田参考人。どうぞ。
○参考人(植田隆子君) 台湾との関係で欧州統合をどう見るかという御質問だと考えます。 それで、経済的な相互依存関係が非常に大きくなると、戦争をすると損をするというふうに単純に考える、そこのところが武力行使に至らない理由になるということは確かだと思います。 ただ、技術的にFTAが解決方法になるのかどうかということで、これは、どのような国が加わって、どのようなレベルのFTAをつくるのかと、それから米国がこの問題をどのように考えるのか、それらの要因が相当程度効いてくるのではないかと思います。 EUの方に戻りますと、同じヨーロッパの地域で、国境線がしょっちゅう引き変わってくるというようなところで長年戦乱を経験してきていると、そういう歴史的な背景とともに、文明圏としては非常に近いと、あるいは一つであるというふうなことが言えるかもしれない。ですから、欧州、EU統合のような非常に進んだ形の特殊な統合体をつくる基盤があの地域にはあるのだろうと思います。そこ、それと同じようなことをほかの地域でもやれるのかというと、結構レベルにおいて異なるとは思いますが、しかしながら、多少大上段から構えたような言い方で申し訳ありませんが、歴史的な、戦争の歴史、そういうものも克服できるという観点からヨーロッパの地域を見ることができるのではないかと考えております。
○塩村あやか君 ありがとうございます。
○会長(猪口邦子君) それでは、平木大作君。
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。 本日は大変貴重なお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。 まず最初に、浅田参考人にお伺いしたいと思います。 お話の冒頭で、今回のこのロシアによるウクライナ侵略に関しまして、国際社会は国連によるロシア制裁を望まなかったというようなお話をされていたかと思います。なかなか安保理が機能不全に陥りやすい今構造の中で、例えば国連総会というものの可能性ですとか、あるいはほかの角度から、制裁という観点ではICCのことですとか、いろいろ大変興味深いお話を聞かせていただいたと思うんですが、改めて、今、そもそものいわゆる国連を支えてきた戦後の国際秩序そのものが揺らいでいるのか、一旦壊れてしまったのかという整理も必要だと思うんですけれども、日本として、例えば国連改革みたいなものを提案していく上で何かお考えがあったら是非お聞かせいただきたいなと思います。
○参考人(浅田正彦君) 冒頭の発言の中で国連が制裁を望まなかったというふうに申し上げましたが、なぜかというのは若干考えたところがありまして、国連が制裁を決議の中に含めると、恐らく合意が遅くなると、それに加えて賛成票が減ると。さらに、国連の決議がなければ制裁ができないかといいますと、現にやっていますよね。ですから、必須ではないと。まあいろんな要素があって入らなかったんだと思いますけれども、その辺りから考えますと、国連というものの役割といいますか位置付けが徐々に変わってきているなという感じはします。 ただ、国連憲章の拒否権の規定とか、あるいは第七章の規定とか、そういったものは変わりようがないわけで、変えようとすると国連憲章を改正する必要があります。まあ改正されたことがないわけではなくて、二回ほど改正されていますけれども、改正には、国連加盟国の三分の二の賛成プラス国連常任理事国の全てを含む三分の二以上の批准がなければできないということで、ほぼ、拒否権を持っている国が賛成するはずないですから、改正できないというような状況なんですけれども、そうすると、もう事実上その法制度は変えられないというのを前提に何かメカニズムをつくっていくしかないと思いますね。 その中で何が可能かといいますと、例えば今回の制裁のような形で、国連を用いないで、同志国の間で事実上国連制裁に代わる制裁を行っていくというふうなメカニズムです。 これが、戦争が起こらない中で国際秩序を変えていくというのは非常に難しいわけで、国際連盟も第一次世界大戦で、国際連合は第二次世界大戦、大戦が起こった後は大きな変化が可能だと思うんですけれども、それがない中でどう変えていくかというのは非常に難しい問題なんですけれども、事実上何らかのメカニズムをつくっていくというのは大事だと思っていまして、これまでG7がかなりそれに近い役割を果たしてきていますけれども、まあG7ももうこれだけ、五十年近くたっているんですかね、そうなると、それもメンバーとしてどうなのかなというふうな感じもありますので、やや柔軟な形で、しかしながらきちっとした、矛盾した言い方ですけれども、何らかのメカニズムできないかなというふうなことは考えております。 その中で日本が何ができるかということなんですけれども、国連改革というふうにおっしゃいましたけれども、この国連改革も、日本が常任理事国に入りたいというところがかなり前面に出てきていまして、それでG4とかという形で運動していましたけれども、これもやはり国連の憲章の改正と同じように非常に難しいわけで、日本が入るとなると、じゃ、韓国はとかですね、あるいはドイツが入るとイタリアとかという形で、必ずそれを阻もうとする国が出てきますし、最近アメリカはかなり柔軟になってきていますけれども、なかなか難しいと思うんですね。 ですから、少なくとも改革という点では、安保理の秘密主義的な審議といいますか、ほとんどP5、その前のP3の辺りが決めた後で非常任理事国に示してこれでどうかと、変えようとするともう時間がないという、そういうふうな運営していますので、その辺りを何とか変えていくというのが国連改革の一番重要なことかなと思っています。
○平木大作君 ありがとうございます。 続いて、香田参考人にお伺いをしたいと思います。 本日のお話の中でも、この最後まで頑張れるかどうかというのは、本当に国民の皆さんの理解度、納得度が大きいんだと、政府の今の説明というのはもう本当、なっていないというお話、私も改めて、与党としてもっと厳しくいろいろ問いただしていかなきゃいけないなということを感じた次第でありますが。 こういう中にあって、防衛省・自衛隊、従来から、いわゆる脅威とは何かという議論のときに必ず能力と意思という二軸で分析をして、じゃ、これは脅威なのかどうかって考えると思っています。今回の国家防衛戦略の中にもそういう表現がありますね。脅威とは能力と意思の組合せで現れるというような形で書かれているわけでありますけれども、改めてここを、いわゆる日本にとって何が脅威なのかということも当然大事なんですけれども、一方で、防衛費を増やすということをもって日本が脅威になるんじゃないかみたいな話が必ず国内でも、これ海外でも出てきちゃうわけでありまして、ちょっとこれ不健全だなというふうに思っています。 これ、当然、外に向けても、国内に向けても、じゃ、能力の面で、意思の面でどうなのかということをきちっとやっぱり平和国家として説明していくということが極めて重要だと思っておりまして、特にこの能力という面において、現場にいらしたということもあって、日本の防衛力ってそもそもアセットが大分特徴的だとか、ゆがんでいるとか、いびつだとか、いろんな言い方されますけれども、この日本のいわゆる防衛力、能力について、例えば国内でも、あるいは国外に対しても、どんな形で説明していくと最も納得を得られるのか、もしちょっとその辺で御示唆をいただけたらと思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(香田洋二君) 確かに能力と意思というんですが、その前の前提として、なぜ昔さほどされなかったかというと、基盤的防衛力構想というのは脅威は関係なかったんですね。独立国として持つべき最低限のものを、脅威とは関係なく、この地域に力の空白をつくらないということで五十年間やってきて、その後、冷戦が終わった後ということなので、これ実は、余り国会でもその脅威と意思とを対抗させたということについて言うと、余りこの論議というのが、何というんですか、成熟していない。誠に申し訳ありません、こういう言い方をして。しかし、成熟をしていないというのは事実なので。 もう一つは、脅威と意思というのは、例えばお隣の国を見ても、我々が見た脅威と意思ですよね。習近平さんがいかにお考えかというのは実は誰も分からないわけで、プーチンさんもそうだったわけですよね。実は二月二十四日までは、マクロンさんみたいに、最後、米ロ首脳会談までやろうなんというヨーロッパの大国の大統領もおられたわけで、実は日頃の論議において、余り狭く見ると危ないということで、プーチンさんについても、あるいは例えばゴルバチョフさんみたいな人もおったわけで、いわゆるロシアとか、ある国の意図がこれぐらいの幅で、能力も、例えば今隣の国がすごくやっていますけれども、それに人的要因とか掛けたときにこれぐらいだという幅で見たときに我々がどう対応するかということなんですよね。 もう一つは、仮に、相当、四十三兆円をやるわけですけれども、これが脅威と見るかどうかというのは、非常に悲観的な言い方をすれば、どんな説明をしてもあの国は脅威と言います。そういう国なんです。 当然、ほかのASEAN諸国も含めて、日本のことは相当正確に理解しているんですよ。私は日本が世界に理解、誇れる外交というのは、こういう説明は一番丁寧にやっています。だから、ASEAN諸国の日本に対する信頼感というのは抜群ですよね。これは今までどおりやる。ただし、特に専制主義、独裁主義、強圧的社会を持っている大国を相手にしたときには、我々の善意の説明というのが我々が思うほど通じていない。逆に言うと、彼らの都合のいいようにしか言わない、何をやっても。これ、非常に悲観的な言い方になって申し訳ないんですが、しかし、そこは我が国がきっちりと計算をして整々とやっていく。そして、例えばですけれども、ASEAN諸国とか多くの国がここを理解してもらえれば、もうそれは勝負ありなんですよ。 もう一つ、大原則は、本当に対立している国というのは、やはり相手の気に入ることをやるよりも、安全保障の世界ではですよ、戦争じゃないですよ、相手が困ることのカードを切っていくというのは別の原則ですから、そういうしたたかさというんですか、そういうのも必要だというふうに思います。 以上です。
○平木大作君 時間が参りましたので終わります。 ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) それでは、金子道仁君。
○金子道仁君 ありがとうございます。日本維新の会、金子道仁でございます。 本日は、貴重な御説明ありがとうございました。 最初に、浅田参考人に御質問させていただきたいんですが、二ポツ、括弧の一、国連の対応のところで、緊急特別総会、決議一、これは侵略認定がなされ制裁なしということで、御説明の中で、制裁も可能であったが選択されないというような御趣旨で、これは拘束力のない制裁に関する言及をすることも可能であったという御趣旨だったか、ちょっと確認させていただきたいと思います。 関連して、先ほどの平木先生の質問にも関わるんですけれども、この安保理が制裁決議を出せない中で、安保理改革という方向ではなくて、国連総会の持つ権能を強めていく、そういう議論というのは過去にあったんでしょうか。例えば、先ほど先生の説明にあった侵略に対する処罰であったりとか、そういうものを国連総会の決議でなすことができるというか、そういう国連総会の権能の改革というような議論は過去にあったかどうか、教えていただけますでしょうか。
○参考人(浅田正彦君) ありがとうございます。 制裁についての言及がなかったという、その背景といいますか理由について先ほどちょっとお話ししたところですけれども、制度的にどうかという御質問だと思いますが、一九五〇年の平和のための結集決議というのは、基本的に朝鮮戦争の際の事態が背景になっておりまして、朝鮮戦争というのは国連軍が派遣されました。米軍を中心とする国連軍が派遣されましたけれども、ソ連の了解の下に北朝鮮が南に侵攻したわけですね。じゃ、なぜそのときにソ連は拒否権を行使しなかったのかと、国連軍の派遣ですね。それは、たまたまソ連がそのときに安保理を欠席していたという偶然の理由がありまして、ソ連が帰ってくると、もう拒否権で全然動かなくなったわけですね。 ですから、拒否権で動かなくなったときにどうするのかというのがその朝鮮戦争のときの状況によって懸念されて、そして平和のための結集決議というのは作られたわけですけれども、そのときの決議の内容というのは、安保理において拒否権によって機能がストップした場合には問題を総会に移して集団的措置を含む勧告ができるという内容で、しかも、平和に対する破壊がある場合、あるいは侵略行為がある場合には武器の使用も含むと、武力の行使も含むというふうに書いてありまして、ですから、制裁というのは本当に軍事制裁も含む形での制裁ができると。ただし、安保理とは違って勧告ができるにとどまるということでございます。ですから、制裁が可能でありますし、軍事制裁まで含めて可能ですけれども、勧告までだと。
○金子道仁君 つまり、拘束力がないけれども違法性は阻却されると。
○参考人(浅田正彦君) そうですね。その後者が重要でして、例えばWTO協定に違反するような、ガットに違反するような形で経済制裁を行うということも当然ありまして、ガットの十一条では数量制限が禁止されていますので、そうすると、当然、禁輸をするとそこに違反するわけですけれども、それを行っても、国連総会の決議に基づいているのであれば違法性がなくなるというふうなことで、制裁が決議されると総会であっても違法でない形で行使できると、そういうふうな形になっていますね。これが総会による平和のための結集決議に基づく制裁の発動ということになると思います。 ですから、拘束力のあるなしというのが違いますけれども、それ以外はほとんど変わらない。ですから、そういう意味でも総会を利用するということは重要だというふうに思います。
○金子道仁君 ありがとうございます。 たくさん聞きたいんですが、一つ一つ、植田参考人に御説明いただきたい、教えていただきたいんですが、面会をする枠組みをつくっていく、非常に大事な外交的な視点だと思うんですけれども、我々、我が国にとって最もそのパイプが少ない国が北朝鮮だと思います。先生は、北朝鮮と官民も含めてどのような枠組みづくりというか、パイプの作成が可能だと考えておられますか。
○参考人(植田隆子君) なかなかこれは難しい問題だと思いますが、二国間、日本と直接北朝鮮、そういうルートが必ずしも外交関係がないために厳しい場合に、第三国と一緒に交流することが可能であろうかと。その第三国というのは一体どの国が適切なんだろうかと。北朝鮮と非常に近い国の方がいいんだろうか。それは、なかなかこの問題は難しいと思います。 それからもう一つは、私がちょっと申し上げたようなマルチの枠組みをつくっていくと。多国間でつくっていって、それで、それに関係している国が北朝鮮も入れてはどうかというような方向になっていくと入れやすくなるだろうと。 ただ、いずれにせよ、対話と協力の中に入れていくということは、すぐには難しくても、やはり安全保障のために必要になってくるとは思います。
○金子道仁君 香田参考人に御質問させていただきたいと思います。 私も今回防衛省に予算の内容について御質問する際に、ある程度の話は聞けるんですが、最終的には防衛上の保秘ですと。それは、軍事上の手のうちをさらすことはできませんというような説明で、どうしても説明が止まってしまうんですね。 ただ、軍事上の手のうちをさらすことはできないと言われても、実際に別のルートから、周りの国がそんなこと知ってるよという内容についてまでブロックしている可能性、危険性はないのかなというのは常々、まあ私の場合、素人なのでよく分からないところがございまして、その武器の種類であったり武器の量であったり、その辺り、何か私たちが分かる、ここまでであれば軍事の世界であれば一般常識だから説明しても問題ないんだよというようなその線引きというか、基準のようなものというのはあるんでしょうか。済みません、曖昧な質問で申し訳ございません。
○参考人(香田洋二君) 先ほど来申し上げているとおりですが、ちょっと濫用です、防衛省が、防衛上の事態だから言えない、あるいは日米安保上のことだから言えないというのはですね。 先ほども申し上げました、例えば弾の数とかいうのは、もうアメリカのハイテク製品を日本に売る以上、アメリカの議会が了解を、国務省が申請をして議会が了解をしないと契約にならないわけですから、その時点で分かるんですよ。それを数日前の中で、そういう明らかに逃げと言われるような答弁をして、どうやって国民の理解を得ようと防衛省はお思いになっているのか。 私は、自衛隊、防衛省の一組織、自衛隊でやってきて、しかも十年間予算を東京でやった経験からいいますと、とてもじゃないけど国民の理解は得られないなということですよね。ほかの国から想像するというのは、これやっぱり防衛省が公式に言うのとは全然違いますので、例えばAという国が八十発と言ったって、防衛省が八十発と言ったのと重みが全然違いますから、そこの基準というのはないんでしょう、まあそのときそのときの政治判断なんですが。 一番申し上げたいことは、最後に国民の理解を得るということが本当の我が国の防衛なんだよという認識が浜田防衛大臣以下にあれば、相当のことを私はできると思います。ちょっとこっちの方に目が行っていますけれども、よろしくお願いします。
○金子道仁君 ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) いいですか。
○金子道仁君 はい、以上にします。ありがとうございました。
○会長(猪口邦子君) 予定の時刻も参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度といたします。 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。 参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十九分散会