政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会 第5号
- 発言数
- 109 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2023/04/28
会議録
○委員長(三原じゅん子君) ただいまから政府開発援助等及び沖縄・北方問題に関する特別委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る十日までに、森屋隆君、広瀬めぐみ君、塩田博昭君、田中昌史君及び上月良祐君が委員を辞任され、その補欠として勝部賢志君、大家敏志君、秋野公造君、今井絵理子君及び酒井庸行君が選任されました。 また、昨日、中西祐介君及び有村治子君が委員を辞任され、その補欠として山本佐知子君及び広瀬めぐみ君が選任されました。 また、本日、秋野公造君が委員を辞任され、その補欠として新妻秀規君が選任されました。 ─────────────
○委員長(三原じゅん子君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 政府開発援助等及び沖縄・北方問題対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に開発協力大綱の改定に関する有識者懇談会座長・京都大学大学院法学研究科教授中西寛君、東京大学東洋文化研究所教授佐藤仁君、特定非営利活動法人国際協力NGOセンター理事・THINK Lobby所長若林秀樹君及び国際連合世界食糧計画日本事務所代表焼家直絵君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(三原じゅん子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(三原じゅん子君) 政府開発援助等及び沖縄・北方問題対策樹立に関する調査のうち、我が国の開発協力をめぐる諸課題と開発協力大綱の在り方に関する件を議題とし、参考人の皆様から御意見を伺います。 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、中西参考人、佐藤参考人、若林参考人、焼家参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず中西参考人からお願いいたします。中西参考人。
○参考人(中西寛君) 本日お招きいただきまして、ありがとうございます。十五分間ということで時間限られておりますので、早速、報告、陳述に入らせていただきたいと思います。 お手元に骨子の二ページのものがあるかと思いますので、そちらを御覧いただきながら聞いていただければと存じます。 私、本日は、先ほど委員長からも御案内ありました開発協力大綱の改定に関する有識者懇談会の座長としてお招きいただいたものと思っておりますが、その内容につきましてはこちらの参考資料の私の部分の二ページの方に骨子があります。また、本文の方もその後続いておりますので、御覧いただければと思います。 これについては後ほど触れさせていただきまして、本日の陳述は、まず、私個人の観点で現在の国際情勢をどういうふうに見るか、そして日本外交、とりわけ開発協力に関する課題ということをまずお話しさせていただいた上で、先ほどの有識者懇談会、あるいは現在検討中の大綱について後半で触れさせていただくという形でお話をさせていただきたいと思います。 まず、現在の国際政治の現状についてどう見るかということでありますが、言うまでもなく、昨年二月に始まりましたロシアのウクライナ侵攻によって国際状況は大きく変わりまして、日本外交もそれに伴って大きな変化を経ているということは改めて申すまでもないかと思いますが、もう少し長期的に国際政治構造の変化というのを見ますと、大体、過去四十年ほどの変化の中で位置付けることができると私は考えております。 一九八〇年頃から二〇〇〇年頃、本格的に今我々が見ておりますようなグローバリゼーションが始まり、深化、拡大をしていったというふうに思いますが、そのときにはアメリカを中心とした西側主導のグローバリゼーションというふうに言うことができたと思います。その中で、アメリカは非常に強力な、政治、軍事、経済、文化、技術、あらゆる面で世界を圧倒する覇権国というふうにみなされていたわけであります。 しかし、二十一世紀に入りますと、そうした状況は次第に変わってきて、現在に至っているというふうに言えるかと思います。とりわけ、二〇〇一年に御記憶の九・一一事件がありまして、アメリカがテロとの戦いでアフガニスタン、イラクで戦争を行うという辺りから西側の主導性は徐々に後退をし始めまして、二〇〇八年に、いわゆるリーマン・ショックで、アメリカ発の世界経済危機の危険が大きくなる。そういう時代に、西側は自らの力でグローバリゼーションを維持することが次第に困難になりまして、いわゆる新興国、中国、ロシアを含めた新興国の力に頼るということからG20の首脳会議も発足させたという流れであったかと思います。 しかし、二〇一〇年代に入りますと、そうした新興国の中の一部は西側と価値観を共有しないというふうに認識が強まりまして、次第に大国間競争が強くなってくる。とりわけ、二〇一六年、イギリスがEUを離脱を決定するとか、あるいはアメリカでトランプ政権が、トランプ大統領が当選をして、西側主導の秩序そのものに批判的な姿勢を取るといったようなことが起きましたし、また、アメリカ、イギリス、その他の国々で激しい政治的亀裂が外交にも影響を及ぼすようになってきました。 他方で、地球規模課題と呼ばれるような、気候変動あるいは感染症対策といったような問題が深刻化をしていったわけであります。今回のウクライナ侵攻の前に世界の大きな関心を集めていました米中の対立ですとか、二〇二〇年の初頭から始まりましたコロナパンデミックはそうした現象の端的な例でありまして、昨年始まりましたウクライナ侵攻は、大きな変化の契機ではありますけれども、こうした一連の流れに位置付けて考えるべきだというふうに考えます。 実際、昨年二月から今年二月、ロシアのウクライナ侵攻一年を期して国連総会で何度かロシア非難決議がなされたわけですけれども、大体百四十か国ぐらいの国は賛成するけれども、反対はロシアを含めた五から六、棄権、欠席は五十というような数字は変わっておりません。そして、西側を中心にロシアに対しては厳しい経済制裁を掛けているわけですが、そうした制裁に参加しているのは世界の中で四十か国程度という状況も変わっておりません。また、昨年四月に国連の人権理事会でロシアの資格停止決議がなされたわけですが、ここでは、賛成は九十三、反対が二十四、棄権が五十八というような状況でありました。まあ最後の数字辺りが、恐らく現在のロシアに対する世界的な反応という平均値を表しているのではないかと思います。 すなわち、国際政治は、そのロシアの侵攻が法の支配に反する違法なものであるという点では大多数の国が認めているけれども、だからといって、この問題に全て集中してロシアを非難し、ロシアに対して圧力を掛けるというようにはなっていない。とりわけ制裁については、いわゆる制裁逃れといいますか、抜け穴があります、存在するわけです。 それは、対ロシアに圧力を掛けるという点からするとマイナスであるということなんですが、昨年の世界経済の状況を見ていましても、中国やインドにロシアからの石油、天然ガス、エネルギーが流れていたということが世界経済に与えたショックをソフトランディングさせたという面も否定できないのでありまして、そういう意味で、法の支配の正当性と同時にグローバルな交流が現在の世界にとっては必要であって、西側の自由民主主義国と権威主義、専制体制の国の分断というのは必ずしも世界全体の利益にはなっていないということが確認されたかと思います。 そういう中で、昨年十一月にG20のバリ首脳宣言がなされたわけですが、これは、議長国インドネシアと今年議長国になりましたインドを中心にしてロシアも参加する中で取りまとめた内容ということで、取りまとめられたこと自身が一定の成果であったというふうに言えるかと思います。 その内容については、五十二の段落の中で、ウクライナ戦争に関する言及、これはロシアに対する一定の非難を含んだものですけれども、それは二段落のみでありまして、それ以外は食料、エネルギー、気候変動、生物多様性、SDGs、金融、デジタル化、WTOといったような諸問題について触れられているということであります。 これは、G20の、とりわけいわゆるグローバルサウスを代表すると考える国々からすると、こうした問題の方が率直に言ってウクライナの戦争よりもより喫緊の深刻な課題であるということでありまして、インフレ、それから気候変動による干ばつによる食料難、そして生活苦難ということが政治にも大きな圧力を掛けていたわけですので、そうした問題をアドレスするという点では、G20は取りあえず一致したということを示しているというふうに言えるかと思います。 そういう観点からしますと、日本を取り巻く国際情勢についても、二重性といいますか、多層的に考える必要があるというふうに考えます。 政治、安保面では、日本は、言うまでもなくアメリカの同盟国であり西側の一員でありますから、対ロシアに対する圧力を掛ける、そういう立場にあるということは正当で、アメリカやヨーロッパ諸国と関係を強化する、そうしたことも当然であろうかと思います。 とりわけ日本は、御案内のように、大国間競争の第一正面として米中対立、北朝鮮の軍事的脅威、そしてロシアの脅威といったようなものに直面しておりますから、日本外交が、昨年十二月に政府が閣議決定した国家安全保障戦略その他の文書を中心として、防衛力、抑止力を強化していくということは必要であろうかと思います。 しかし、抑止力を強化するのは目的ではなく手段でありまして、その最も重要なことは、抑止と対話によって東アジアの安定を維持し、大国間の戦争を招かないということであります。 そのためにも考えるべきことは第二の側面でありまして、地球規模の経済社会において日本がどういう役割を果たすかということでありまして、この点では、二〇一〇年代からインド太平洋という枠組みを日本が主唱してきたということは世界的にも高く評価されていることであろうと思います。今日の国際情勢は、このインド太平洋という地域、あるいは地球の中の重点としての重要性が高まっているということでありまして、世界的な競争と協力の焦点にインド太平洋がなってきているということであります。 その点で、日本外交の役割と任務は、先ほど言いましたように、大国間の競争の戦争化を回避するとともに、自由で開かれたインド太平洋を維持するということでありまして、具体的には、来月広島で開催予定のG7のサミットのような枠組みと、それからグローバルサウス、G20のようなグローバルサウスの諸国の間の架橋をするということをどういうふうに実現していくかということであろうと思います。 その点で、日本の開発協力政策は非常に重要な役割を持っていると思います。日本の開発協力の特徴として、専門機関、JICAのような組織を持っているということが一つ挙げられると思います。とりわけ、アングロサクソン、アメリカやイギリスはODAについては民間の組織に委ねるという方針を取っているわけですが、日本やドイツは一定の組織を持っていると。そうした組織を持つことによって対象国の関係組織と密接かつ長期的な関係を築くということが一つあります。 さらに、日本の場合は、インフラ開発もやっているわけですが、社会福祉や教育、医療など非常に多様な側面の開発をやっております。 二ページの上の方の表に、こちら、政府の政府開発援助白書から引用しているものですけれども、見ていただければ分かりますように、日本の援助、二国間援助は、社会インフラ、経済インフラ、その他の部分についてかなり幅広くバランスよく行われているということで、とりわけ経済インフラについては、西側の中では突出しているという特徴があります。そうした援助は、時には日本の中では、日本の顔が見えていないのではないかというふうに言われることがありますが、少なくともミクロな現場レベルでは、受入れ国からはかなり感謝や評価をされているというふうに思います。 もちろん、たくさんやっていますので、個々のものについて問題があるものもないとは言えませんが、そうしたミクロのレベルでは一定の意義があると思いますが、問題は、全体として、日本がどういう開発協力をどういう理念の下で行っているのかということが日本人にも外国にも必ずしも明確でないということと、とりわけ日本の中では、ミクロなレベルでどういうことをやっているのかというのが必ずしも認知されていないということだと思います。そういう意味で、私は、今回の大綱改定に向けて、今申し上げたような点を特にアドレスする必要があるというふうに考えておりました。 冷戦が終わった後、日本は初めてODA大綱というものを出しまして、日本のODA供与の理念というのを示そうとしました。そのとき、日本は世界最大のODA供与国だったわけであります。しかし、その地位は二十一世紀になると失われまして、その中で日本の開発協力をどういうふうにするかということで見直したのが前回、二〇一五年の開発協力大綱でありまして、援助形態やパートナーの多様化といったような状況に対応するものだったというふうに考えております。 今回の大綱改定も基本的には前回大綱の大きな流れの上に沿っていると思いますが、有識者会議としては、とりわけ日本が打ち出すべき理念としては、人間の安全保障という言葉を改めて重視すべきではないかと。そして、それは日本の国益と国際的な公益、地球規模の課題というものが長期的に一致するという観点をより重視するべきではないか。そして、インド太平洋という地域を中核とする自由で開かれた秩序を推進する、いわゆるFOIPというような考え方を新たにこの大綱にも反映させるべきであると。 それから、開発援助というのは、かつて二十世紀のある時期までは豊かな国が貧しい国を助けるという垂直的な援助というイメージがありましたけれども、むしろ、今日ではグローバル課題に取り組む水平的な協力関係としての側面が強くなっている。そして、日本として長期的に二〇三〇年までのSDGsを超えた長期ビジョンを考える必要があるし、その中で、十年程度で国際目標であるGNI比〇・七%を実現すべきであるというようなことを含みました。 今回、新大綱案が出されまして、私の観点から申しますと、おおむね有識者会議の内容を反映していただいていると思いますが、幾つか問題があるというふうに思っております。 一つは、やや総花的で長文になってしまっているということで、私は、個々の政策についてはより下位の文書によってまとめるべきで、全てを入れるべきではないと思っているんですけれども、なかなかいろいろな都合で長文になってしまっているということで、一読してはっきりしたイメージを持ちにくいということ。 それから、新たに日本が始める安全保障協力とのすみ分け、とりわけ平和国家として日本が持ってきたイメージと新しい安全保障協力、これは、これ自身は私は一定の必要性はあると思っておりますが、その中でのバランスということが必要だろうと思います。 最後に、援助規模について、残念ながら大綱では有識者会議の〇・七%を明示的に何年までに達成するという目標は入れられなかったんですけれども、いろいろな財政事情が当然あることは承知しておりますが、ほぼ日本と同規模の経済規模になっているドイツやイギリスやフランスでは、〇・七%や〇・五%は達成しております。日本は〇・三四%です。それらの国との関係、それから、とりわけ中国を始めとする新興ドナー国との交渉力においても、やはり日本が一定の量を出す必要はあるというふうに考えておりますので、この点、具体的な予算において配慮をお願いしたいと思います。 済みません、私からは以上でございます。
○委員長(三原じゅん子君) ありがとうございました。 次に、佐藤参考人にお願いいたします。佐藤参考人。
○参考人(佐藤仁君) 東京大学東洋文化研究所の佐藤と申します。 今日は貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。また、国民の、一般国民の視点からすると、必ずしも人気があるというか、注目されないようなこのトピックについて、日頃、議員の先生方が議論してくださっていることに対して感謝申し上げたいと思います。 私の今日の発言は、ODA大綱の書きぶりとか中身そのものというよりも、長期的に見た日本の開発協力の足腰について、私なりにある種の切迫感を持っていますので、そのことについて少しお話をしたいと思っております。 三つ論点がございまして、お手元の資料を御覧ください。 まず一点目なんですけれども、これまでやってきたことの総括と資源化、これが余りできていないんじゃないかということですね。開発協力というのはどうしても前のめりになるというか、こういうドキュメントを作ると、こうします、ああしますという話がたくさん出てくるんですが、これまでしたことはどうなったのかという総括が非常にないがしろにされることが多いです。この大綱でいえば、前作った大綱で一体何ができたのか、何ができなかったのかというような振り返りというのがきちんとなされるべきだと思います。 私は、このことをすごく考えさせられたのが、たまたま二〇二一年に「開発協力のつくられ方」という本を出しましたけれども、その資料集めに東南アジア各国を回って、八〇年代から九〇年代にかけて物すごく批判された案件を見て回りました。 八〇年代から九〇年代というのは、私ちょうど学生の頃で、その頃出てくる開発協力、ODAの本というのは、ODAがいかにひどいかという本が多かったんですね。いかに公害をまき散らしているかとか、地域住民を追い出して、非常にトップダウンな、かえって害をもたらすものであるかという、いわゆるODA批判が吹き荒れていた時代です。それから二十年、三十年たって、そうやって批判された案件はどうなったのかということを見に行くということで、十六案件見に行きました。 例えば、訴訟にもなったコトパンジャン・ダムとか、あるいは血塗られたODAと言われたフィリピンのバタンガス港とか、あるいは地獄の木を植えるなといって怒られていた東北タイのユーカリ植林とかですね、そういったところを一個一個回ってみて分かったことは、八割以上は今も生きて案件として機能していて、かつ現地の人にかなり感謝されているということだったんですね。 もちろん、全てが全て問題案件が魔法のように優良化したわけではありません。その途中にはいろんな話があって、今日は時間がないので申し上げられませんけれども、しかし、これから分かるのは、開発協力というのはやっぱり時間がたたないと本当の効果が分からないということなんですね。十年とか二十年ぐらいで見ないと本当のことが分からない。それを踏まえて考える。 しかし、日本がやってきたことというのは、問題案件ですら長い期間の中で人々の信頼を勝ち得ているということであって、これをちゃんとアセットとして、資源としてこれからの開発協力に使うべきじゃないかというふうに思うんです。ただ、これが使えていないということなんですね。 私が、その問題案件が優良化したことはすごく驚きましたけれども、もっと驚いたのは、当時援助を批判していた人も、あるいは当時援助を思い切り批判されていたJICAも、この二、三十年後の問題案件のその推移を誰もフォローしていないということなんです。これはやっぱりフォローしなくてはいけないもので、ここの中に実は日本の足腰に関わる宝がたくさん眠っているというふうに私は思っております。 過去の案件を信頼醸成のためのアセットにしていただきたいというふうに思っています。また、それだけのアセットが日本の案件のその多様性とそれから量的蓄積の中に眠っているわけで、これを生かさない手はないと思いますし、信頼という観点では、やはり日本が先進ドナーの中で唯一武器輸出をしてこなかった国であるということもとても信頼の底辺にあると思っていますので、このことも付け加えたいと思います。 二番目の論点に参ります。 これは、援助に関するドキュメントは、その究極の目的をしばしば自助努力とか自立とかというふうに言っています。これ考えてみますと、援助というのは、当たり前なんですけど、他者あっての援助なんですね。しかし、このことがしばしば忘れられて、自立、自立という、それが呪文のように繰り返されると。しかし、自立というのは、よく考えてみますと、何か全部自分で何でもできるようになるということよりは、必要なときに頼れる先があるというのが本来の自立ではないかと私は思っています。 そのように考えますと、開発協力というのは、自分で何でもできるようにする手助けをするというよりは、より良い依存関係をつくっていく、必要なときにお互い助け合う世界の仲間をつくっていく触媒だというふうに考えるべきなんじゃないかというふうに思っています。 実は、日本自身がこれまでの発展の経験の中でいろんな国に助けてもらいながらここまで来たという国であります。明治時代のお雇い外国人とか近代化の歴史はもう先生方よく御承知だと思いますし、戦後のアメリカの対日援助、あるいはもっと直近でいえば、あの東日本大震災のときの世界からの日本に対する援助、こういった日本は援助をされる経験をたっぷり持っている国であるわけですから、そういったことを生かして、より良い依存関係ってどうやってつくっていけるのか。つまり、持ちつ持たれつの関係をつくるためにODAをどう生かせるのかという観点でこれからの政策をつくっていくべきではないかなと思います。 援助の受入れだけではございません。円借款事業、これは援助を出す側ですけれども、円借款事業にしても、これ細かく見ていきますと、円借款の事業の実施については、半分ぐらいが外国の企業が請け負っているんですね。つまり、日本が幾ら国益だ国益だと叫んでみたところで、それを受注して現場で工事をしているのは外国の企業である場合が非常に多いわけです。そうすると、これは持ちつ持たれつの中で日本の援助事業も行われているという認識をやはりしっかり持つべきなんじゃないかなと思います。 というわけで、その自助努力を強調するよりも、やはり良い依存関係をつくっていくという発想転換が私は必要だと思いますし、今回の大綱では、例えば個人の保護とか能力強化という文言が出てきますけれども、やはり一人で生きている人はどこにもいないわけであって、みんな何らかの集団の中で組織の中で生きているわけですから、そういった依存関係の中でこういった個人の保護とか能力強化というのを考えていくという視点が必要なんじゃないかなというふうに思っております。 三点目に移ります。 これが最も私が職業柄も含めて危機感を持っていて、一番今日のお話の中で大事だと思っている点なんですが、人材育成のことでございます。 自らアジェンダを設定できる人材がこの業界にもっといなくてはいけないと思います。ODA大綱にどれだけ立派なことが書かれても、それを担う人がいなければ絵に描いた餅なんですね。担う人はどこにいて、どこから集まってくるのか、これが一番重要なことだと思います。 私自身も自分の学生を何人かJICAに送り込んでいるというか、JICAに入った学生もいますし、受けて落ちた学生もたくさんおりますけれども、実際、JICAは実施機関としていまだにすごく人気のある、学生に人気のある就職先になっています。ただ、残念なことに、三十五歳から四十歳ぐらいにかけて、多くの職員が途中で辞めているという現実がございます。これは、私詳しくは分かりませんけど、周りに聞いている範囲です、もうかなりの数の人が途中で辞めている。これはいろんな理由が恐らくあるでしょうし、別にJICAに限らず、どこの企業だって最近は途中で辞める人多いじゃないかと、あると思います。 ただ、やっぱり国際協力の分野というのは、言わば特殊なというか、途上国のために、そして日本のためにもですけれども、やる仕事というのは、特別の情熱を持って、そして高い能力を持って入った人なわけですね。それが途中で辞めてしまうというのはいかにも残念なことではないかと思います。 その人たちを別に全員が全員を辞めさせないようにするというのは無理だと思いますけれども、やはりその現場の職員の待遇問題というのは是非我々考えるべきじゃないかなと思います。これは給料のことだけではなくて、例えば若い職員がプロジェクトを任せてもらえるとか、やりがいを感じられるとか、いろんな角度からこの現場の職員の待遇というのを考えていかないと、結局この大綱にどれだけ立派なことを書いても、足腰がもう細っていくわけですね。だから、開発協力の担い手をどうやって優秀な人たちを集め、その人たちを支えるかという、その発想が必要だと思います。 私、三十年ほど前にハーバード大学に留学したときに、入学式で、ある教授がこういうことを言っていました。君たち、ハーバードはなぜ成功しているか知っているかと。それは、ハーバードが学生たちをうまくいくように教育しているからではないと、元々成功しているやつを連れてきているから成功しているんだという、そういう話をしていました。これ、もちろん鼻につく言い方だと思います。ただ、一定の真理を僕はついていると思っていて、やはりこの開発協力の世界を盛り上げていってうまくいかせるためには、そこに良い人を集めてくる、良い人を集めてくるにはどうしたらいいかということをやっぱり考えるということが必要だと思います。 そこで、私自身の活動に引き付けて申し上げますと、やはり私が今危惧しているのは、日本国内に様々ある、いわゆる国際協力とか国際開発系の大学院に進学をしたいという日本人が減っているということですね。名古屋とか神戸に国際協力を専門にする大学院ございますが、まあ六割から七割ぐらいが留学生が占めています。別に留学生が国際協力のカリキュラムに入って問題あるわけではありません。結構だと思いますけれども、しかし、日本のODAの主力を担っていく日本人が、自分も開発のことを勉強したいというふうにやっぱり集まってくるような場であってほしいと僕は思っていますので、これをどうしたらいいかというのは非常に考えています。 私が一つ思っているのは、やはり大学院レベルではもう遅くて、日本の学部教育の中でこの開発協力の話題をもっと学生たちに振りまく、振りまくというのかな、そういう話をしてあげる先生をもっと増やさなくてはいけないと思っています。もちろん、先生の講義だけがきっかけではありませんけれども、そういった先生が増えるということによってこの分野に関心を持つ一般の人たちが増えていって、その中にはODA大綱の担い手として現場で活躍する人も増えていくという、そういう好循環が期待できるのではないかと思っています。なので、私自身も今までちょっと大学院のことばっかりやっていて学部の教育サボってきたんですけれども、この秋から東大の一、二年生を対象に開発協力の授業を自分自身やりたいというふうに思っているところです。 最後に書きました国際開発協力の科研、科学研究費の細目を入れると書きました。これ、一見、研究者の利害に引き付けた非常に小さい提案であるように思われるかもしれませんけれども、現在、大学という場所も非常に予算が逼迫していて、みんな外部資金を取ってこい、外部資金を取ってこいと言われます。 開発協力をやっている先生が外部資金を取ろうとした場合に、細目というのがございまして、これは、あなたは政治学ですか、あなたは経済学ですか、あなたは社会学ですかと言われてしまうんですね。私は国際開発協力をやりたいといったときに細目がないわけです。この細目を作っていただければ、開発協力を専門に、誇りを持ってそれを専門にし、そこから予算をもらい、そういう教員が励まされ、かつ励まされた結果を学生に伝えることもできるということであって、こういった大綱の実施に将来不可欠になってくる若手の育成ということも視野に入れて人材育成を図っていく必要があると思います。 この人材育成の問題、本当に逼迫しているというか、私は非常に危機感を持っていて、そういった危機感がこの現在の今の大綱の案を読んでいると全く感じられないので、もちろん人材のことだけではありませんけれども、是非この人材の問題は踏み込んで取り上げていただきたいというふうに思っております。 以上、私、三点申し上げました。一点目は、これからやろうとすることよりも、これまでやってきたことの総括をし、そこから未来を構想するというそういう発想が必要である。二番目は、自助努力とか自立とかということをかたくなに強調することよりも、その良い依存関係を援助を触媒にしてつくっていく、そういう発想転換が必要ではないか。三番目に、自らアジェンダを設定できるような人材の育成。 これ、ここ、済みません、ちょっとまだ一分ぐらいございますので補足いたしますけれども、最近SDGsがはやっています。これも私から見ると、かなり外から降ってきたようなところがありまして、自分で課題を設定するという能力をむしろそいでしまうような面があります。私は別にSDGsを一生懸命やる人に反対ではございませんけれども、世界の複雑な問題に取り組んで自分なりにアジェンダを設定できる人材というのはこれはこれでつくっていかなくちゃいけない。外からやってきたゴールを、じゃ、私はゴール幾つをやっています、私はゴール幾つをやっていますというのは非常に受け身で、自分でアジェンダを作っていくというそういう力につながってこないところがございますので、是非、その現場にたくさん行って、自分でアジェンダを作れる、そういうような人材をつくっていきたいと私自身も思っていますし、そういう環境をつくるための制度設計ということに先生方のお力をお借りしたいというふうに思っております。 私からは以上でございます。ありがとうございました。
○委員長(三原じゅん子君) ありがとうございました。 次に、若林参考人にお願いいたします。若林参考人。
○参考人(若林秀樹君) 御紹介いただきました若林と申します。 今の佐藤仁先生の最後の発言にエコーする形で申し上げたいんですけれど、やはり、特にNGO業界も若い人が入ってこない。それは魅力ある職場であるかどうかという問題もありますが、一方、やっぱり処遇が悪いんですよね。昔は三十歳問題というのがあって、三十になると大体辞めていったというところが、今入ってこないんです。それだけやっぱり処遇、特に賃金の格差が大きいということは非常に将来課題になる可能性はあって、せっかく大学院まで出た人が、夢も希望も破れてほかの業界に行ってしまう、企業に行ってしまうのが今の現実ですので、そういう意味では、政府開発援助についても、政府ができない協力をやっていくというのが市民社会組織の役割だと思いますので、そういう意味で非常に危機感を感じているので、最初、冒頭申し上げておきたいなというふうに思っております。 私自身は、二種類の資料で、横長のパワーポイントの資料を刷ったもので私の名前が書いてあるやつと、もう一つ、日本のODAに関するデータというのを御説明をさせていただきたいと思います。 一枚目めくっていただきますと、自己紹介がそこに出ているんですが、まあちょっと変わった経歴でですね、元々、一九九三年にワシントンで、日本大使館で、ODA担当官、一等書記官として三年間勤務をいたしました。元々民間企業出身でありますけれど、労働組合、そして国会議員として、参議院議員としてこの場に立って質問をした側が二〇〇六年です。そういう意味では、二〇一七年に参考人として一回出ていますが、それ以来の登壇ということになるかなと思いますし、その後、シンクタンクで少し国際協力を研究し、そして今、このJANICという国際協力をやっているネットワークNGOで事務局長を五年ほどして、今、シンクタンクを立ち上げてこの問題にも取り組んでくるところです。 そういう意味で、三十年ほどを振り返って、非常にいい機会だったなというふうには思うんですけれど、この間のやっぱり変化、あるいは、どういうふうに開発協力が変化しているのかということを踏まえて、ちょっと感想も含めてお話をしたいなというふうに思います。 まさに九〇年代は日本はトップドナーでした、断トツのですね。それが今は第三位でありますけれど、まず、この日本のODAに関するデータというのを見ていただきたいなと思っています。この縦長の表です。是非、皆さん方の御理解を確認しながら進めていきますので、是非見ていただければなというふうに思っております。 これは、四月の十六日にデータ出た、ほやほやの速報値であります。日本は、アメリカ、ドイツに次ぐ日本は第三位でありまして、百七十四億ドルですね、単位としては。一位のアメリカが五百五十二億ドル、ドイツが三百五十億ドルです。トップドナーだった最後は二〇〇〇年なんですね、日本が。それを一〇〇とすると、アメリカは五・五倍に増えています。ドイツは七倍です。日本は一・三倍です。 どこかで見たグラフのように、この三十年間の変遷を見ると、本当に日本のODAの実績は伸びていないです。これが実態なんですが、さらに、課題は、日本のODAは円借款が極めて多いんです。 日本の円借款は、DAC全体の六三%が日本の円借款で占めているんです。二国間贈与、無償資金協力とかそういうものと円借款含めると、五割を超えているのは日本だけなんです。本来は無償資金協力が国際協力をやるべきだという論争もあったんですが、結局、この実績で上乗せしているのは日本の円借款であると、そこも一つ大きな課題であるということもお知りおきいただければと思いますし、今民間資金があふれ出ているんですよね。むしろ、民間資金の方がODAのそれよりは多いんです。 そういう意味で、この円借款を増やすのもいいんですけれど、もっと大事なのは、一般会計予算におけるODA予算が減っているんです。これもう二分の一ですから、二十五年前の。結果的に防衛予算が増えてODA予算が下がっているということが、この中身の中でなかなか見えにくいんですけれど、そういう実態になっているということをまず御理解をいただきたいなと思っています。 二ページ目が、ODAの対GN比、比です。〇・七%目標というのは聞かれたと思うんですけれど、速報値で日本は〇・三九%であります。 ここ増えているんですが、ウクライナの問題もありますし、円借款が増えていて、結果的には〇・三九で高いんですけれど、まだまだ〇・七%には程遠いというのが今の現状になりますので。G7ではドイツのみが〇・八三%で、〇・七%を超えている。これをどうやって国際目標に近づけていけるかというのも是非お考えいただいて、皆さん方のリーダーシップでこの〇・七%目標を達していただければなというふうに思っております。 それから、更にページをめくっていただきますと、これもこれでショッキングな数字なんですけれど、NGOを通じた政府開発援助の数字が、日本、どこにあるか分かりますか。右から二番目の一・三%ですよ。単純平均で二〇%ぐらいなんですけれど、ODAをNGOを通じてやるというのが結構、国際的にはスタンダードになっているんですが、日本は極めて低いんですよね。これについては後でちょっともう一回触れたいなと思っています。 それから、その下の政府全体のODA予算が、一九九七年が一兆一千六百八十七億あったものが、今年は五千七百九億で、半減です。これが結果的に二国間援助、無償資金協力の減少につながっていて、表面的には上がっている感じもしますが、実は中身は大きく変わって、無償資金協力がめちゃくちゃ減っているというのが現実だということを御理解をいただきたいなというふうに思っております。 この横長の資料に戻りたいんですけれど、一枚めくっていただきますと、何のための開発協力大綱なのかということを二枚にまとめているところであります。 私から見ますと、非常にまとまったいい文書であるんですが、役所の論理が詰まった、調整して整合性が取れたいい文書であるんですが、これを見た人たちが本当に夢を持ってこの業界に入ってくるでしょうか。経済安全保障、国益だ云々という、そうではなくて、何のために開発協力があるかということがこの大綱からにじみ出て、それを読んだ若者が、若い人がこの業界に入ってこないといけないんですよ。そういう意味では、非常に役所の文書としてはいいんでしょうが、私はやっぱり開発協力大綱は何のためなのかということについては少し、一回どうなのかということを考えてもいいんじゃないかなというふうに思っております。 外務省によれば、開発協力というのは、政府だけではなく民間部門や地方自治体も含めたオールジャパンの協力なんですね。もうこれはそのとおりなんですけれど、一方、大綱を見てみますと、びっくりするんですが、中盤ですね、開発協力はいまだに開発途上地域の開発を主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動という定義があるということは、すごいこれ矛盾しているんですよね。これ、国際協力はもう政府だけのものではないし、資金的には民間部門の方が多いわけですよ。こういう捉え方自体が全体のこの文書の整合性を欠けていることになって、後ほど、いろんなところと連携しなきゃいけないということで、企業とか民間部門とか出てくるんですけれど、定義そのものがこういうことになっているというのがこのスタート段階であるんじゃないかなというふうに思いますので。 やはりこの三十年間、東西冷戦が終わり、九〇年ですかね、で、九二年に最初の大綱が出ているんですが、そのときは東西格差があったんです、南北格差があったんです。そういう格差の中、日本はトップドナーで頑張って開発援助をずうっとやってきたんですが、もうグローバルサウスと呼ばれる途上国の所得がどんどん上がってきています。最貧国が数が減っています。ほぼアフリカの一部の国で、日本も停滞していますが、その格差は減っているんですよね。 ですから、全体的なこの文書は、やはり援助、援助国、援助してあげる立場の国の文書であるという感覚がここから抜け出ていない。一方、被援助国、あなたは援助される国ですよというのがこれ全面的に出ているというのは私の感覚で、これ読むと、三十年間を振り返ってそう思うわけで、もはやそういう意味では時代遅れの文書ではないかなというのが私のちょっと全体的な印象であります。 とはいえ、日本は開発協力に関するやっぱり資金力もありますし、技術、ノウハウも含めてあるんですよ。だから、そういう意味では、一緒につくり上げていく、共創、共生、そういう分野で現地主導の、現地が中心の開発に一緒になって協力していくというのは本来はこのトレンドに合わせて出てこなきゃいけないんですけれど、そういう方には残念ながらなっていないんですね。相変わらずやっぱり国益中心、経済安全、あっ、経済安全保障はないんですけれど、安全保障が重要だとか国の戦略の一環だとか云々、そういう何か自分たちの主張だけを、これが出ているのがこの文書じゃないかなというふうに思っています。 四ページ目を開けていただきますと、さらに二番目なんですけれど、開発途上地域の人々の暮らしの向上が大綱の全体を流れる哲学であるんですが、現地の人の顔も見えない、あくまで日本の貢献なんだと。現地主導の開発とかそういうことがなくて、日本の安全保障上の危機、我が国の国益の実現に貢献、開発協力の戦略的な活用が前面に出ているという意味では、人々の暮らしの向上、人間の安全保障を第一義的な目的とするべきなんですけれど、残念ながらこれは、この立て方はそうじゃなくて、本来やっぱり国益というのは中長期的に日本の国益の増進が達成されるんであって、短期的な外交目的とか国益の達成のための手段として開発協力を扱うというのはやはり慎むべきではないかと。日本の顔としてのこの国際協力をやる以上、それが今、全面的に国益のためにやっているんだというのがもうあからさまに出ているというこの文書が途上国の人にどう映るでしょうか。是非そんなところもお考えいただければなというふうに思っております。 そしてまた、何のために改定するのかという五番目であります。 ですから、人間の安全保障、人々の暮らしの向上であれば、この改定に基づく日本の援助が途上国の開発途上地域の人々にどう貢献しているのか、被援助国の政府の声がどうなのかという、何が現状の大綱では問題なのかというギャップ分析がないんですよ。本来はそこからスタートするべきですよね、この問題、何かあるのかなと。あれば当然改定ということになるんですが、完全に、国際情勢の安全保障上の危機が来ている、国益をもっと出さなきゃいけないということを前提にこの文書がなっているという意味においては、立て方自体に、私は何のための改定なのかということを非常に感じるわけでありますので。 中西先生は座長で苦労されたと思うんですけど、僅か四回、数時間で大綱のその報告書をまとめられて提出し、それが今の大綱になっているんですが、本当に御苦労されたんじゃないかなというふうには思いますけれど、そういう総合的な国際協力の長年の歴史の上にこの改定がどういう意味があるのかということのギャップ分析がないまでに慌ててまとめて、四回やって出した、それが今回のこの大綱につながっているということでありますので、そういう意味では、開発の大綱ありきというところがあるかなというふうに思っております。 この私が用意した資料を全部説明するのは時間がないので、後ほどの質疑の中でお答えしたいなというふうに思っております。 全体の印象なんですが、これ、今回の大綱のまとめ方は、当初の案よりすごいマイルドになっています。客観的な分析も非常にいろんな意見を取り入れているんですね。これ、市民社会の声も非常に取り入れられています。 そういう意味では評価できるところはあるんですが、元々の文書の起点が、国家安全保障戦略の防衛三文書の中に出ているんです。そこにODAが、国際協力を戦略的に活用し、ODAとは別に、同志国の安全保障上の能力、抑止力向上のための新たな協力の枠組みを設ける、これが後の、今話題になっているOSA、政府安全保障能力強化支援につながっているという、起点がもうそこで閣議決定されているわけですから、なかなかやっぱり変えようがないんですよね。 ですから、これまで意見交換会ずっとやっていますけれど、これでいいという参加者の声ないんですが、全く変わらないし、恐らく変わる可能性は少ないんじゃないかなというところにおいて、そういう位置付けの文書になっていることを御理解をいただければなというふうに思いますが、そうはいっても皆さん方が声を上げていただければ変わり得る要素はありますので、後で、後ほど後悔しないように、しっかりこの文書を見て変えていただくということは必要じゃないかなと思っております。 市民社会の連携もすごい後退しています。 市民社会と連携してほしいというのは、もちろん我々の気持ちはありますけれど、何のために開発協力があるのか。それは、人々の、市民の生活向上、人間の安全保障なんですね。そういう意味ではその人たちのやっぱり連携とか声とかそういうものを大事にしなきゃいけないんですが、残念ながら非常に書き方が薄いし、僅かであるというところは、そこ見えるんじゃないかなと思っています。 後ほど、八ページ目を開けていただきたいんです。これショッキングなんですけれど、NGOを通じた日本のODAは極めて低いんです。一・三%です。これ、単純平均して一九・四%、二〇%あるんですが、日本は僅か一・三%なんですね。 何でこうなっているか。世界では、NGOが関わることによって効果的な意味のある開発協力になっているということが前提ですので、みんな安定しているわけです。そういう意味では、草の根レベルで政府では届けにくいきめ細かなニーズを拾って、専門性を生かし、現地コミュニティー、人づくりに貢献できるのがNGOを通じたやっぱり支援でありますので、是非この辺も今後増やしていただきたいなというふうに思っております。 それ以外にも、人間の安全保障等ありますけれど、非軍事原則についてちょっとやっぱり触れなきゃいけないので。 十ページ目ですね。一昨日のニュースでありましたように、ミャンマーに供与した船舶が兵器や船員の輸送に使われていたというのが分かって、外務省は抗議をしたと、先方にですね。こういうのは元々分かっていたことなんですよ。そういう一回渡したものがどう使われるかということをモニターするのは特に難しい。それも、やっぱり開発協力の中でのその非軍事原則の原則のぎりぎりのところで。それがあった上で、さらにOSAという新しいやり方も線を引くのは無理なんですね。受け手にとっては、ODAだろうとOSAだろうと、もらったものはどう使おうと関係ないというのが通常のやはり開発協力でありますので。 そういう意味で、そういうものが、戦後つくり上げてきた我が国の中立性や国際協調主義が後退し、平和主義理念に基づいてきたODAの財産を失いかねないというところにありますので、是非、最後のまとめも行かないでもう終われということでありますので、後ほどの質疑の中でまたポイントについてお答えしたいと思います。 ありがとうございました。
○委員長(三原じゅん子君) ありがとうございました。 次に、焼家参考人にお願いいたします。焼家参考人。
○参考人(焼家直絵君) WFP日本事務所代表の焼家です。 この度は、本委員会にお招きいただき、誠にありがとうございます。 本日は、世界の飢餓の現状やWFPの活動についても簡単に御紹介することで、国際機関から見た国際開発協力の現状と課題についてお話しし、開発協力大綱の在り方についての議論に貢献できますと幸いです。 まず、お手元の水色の表紙の資料の二ページ目を御覧ください。 現在、世界はかつてない規模の食料危機に直面しています。今年、世界では三億四千五百万人以上が深刻な飢餓に直面し、緊急の人道支援を必要としています。 なぜ飢餓がかつてないほど増えているのか。それは、紛争や気候危機、新型コロナウイルス感染症の影響や価格の高騰、経済の悪化など様々な要因が重なり引き起こされています。紛争は依然として飢餓の最大の要因で、世界の飢餓に苦しむ人々の約六割は戦争や暴力の影響を受けた地域に住んでいます。ウクライナでの戦争の勃発で、食料、燃料、肥料価格が世界中で高騰しました。加えて、気候危機は世界的な飢餓の急増の要因の一つで、世界人口の四〇%以上が異常気象に対し非常に脆弱な地域に居住していると推定されています。 次に、三ページ目を御覧ください。 このような状況の中、WFPは、昨年、百二十を超える国と地域で過去最多となる一億五千八百万人以上を支援しました。飢餓の深刻化に伴い、必要な支援金額も増加しています。 WFPは、人道支援と両輪で、地域のレジリエンス強化のために、小規模農家の支援、地産地消の学校給食支援、栄養支援のほか、災害や危機に強いインフラづくりなどを通じて、持続可能な食料システムの構築に貢献しています。 国連機関を通じた支援の強みですが、WFPを始めとした国連機関には現場での強固なプレゼンス、支援対象国政府への影響力があります。首都以外の地域にも活動拠点があり、治安上の理由などから日本による二国間協力ではアクセス困難な地域においても、最も脆弱な立場にいる人々に支援を届けることができます。また、平時より支援対象国政府との良好な関係構築に努めており、いざというときは国連の影響力を発揮して迅速な支援を行うことができます。 次に、四ページ目をお願いします。 さて、冒頭に申し上げましたとおり、飢餓状況は、近年、複数の要因が複雑に重なり悪化しており、複合的危機の時代と言えるでしょう。世界の食料安全保障を推進し、また、持続可能な開発を実現するために、緊急の人道支援と同時に中長期的な平和の構築、そして地域のレジリエンスを強化する支援が必要とされています。 近年、世界各地で多発している自然災害も、気候変動の影響によって同じ場所で繰り返される傾向が強まっています。一方で、現行の国際開発協力のスキームではこういった複合的な危機に十分には対応し切れていない現状があると考えます。 例えば、二国間支援とマルチセクターでのそれぞれの分業が目立ち、国際開発協力アクター全体で大局的な目標を目指した連携が少ないのが実情です。また、人道支援機関と開発支援機関での役割のすみ分けが固定しがちであり、人道支援の予算は人道支援機関に、また気候変動などの開発支援の予算は開発支援機関にといった形での支援が顕著です。しかし、現実には一つの機関で人道も開発も、支援、開発支援もカバーしているケースも見られ、両方の分野に効果的に拠出がなされなければ包括的なSDGs達成が促進されないと考えます。 次に、五ページ目をお願いします。 では、どうしたらいいのかということですけれども、人道と開発と平和の連携を軸に分野横断的な国際協力の形がより一層必要とされています。特に国際開発協力機関の間では連携強化が求められます。若者や雇用支援、農業、水、ジェンダー、教育、またインフラ構築などといった分野は互いに密接に影響し合っており、様々なアクターが集まり、包括的に活動していく必要があります。 現在は、機関ごとに主にターゲットとするSDGsや活動するセクターが分けられている状況ですが、その既存のセクターに活動範囲を制限するのではなく、互いに得意分野を生かし合いながら、包括的な支援の形をつくっていくことが求められます。 さて、日本の支援についてなんですけれども、災害への対応など緊急時に迅速な拠出をいただいており、現場からも高い評価が上がってきています。更に国際協力分野で日本のプレゼンスを上げるためにも、他国の支援の形と比較した上で幾つか提言させていただきます。 まず一点目として、複数年にわたる事業支援です。単年ごとの緊急支援だけではなく、中長期的なレジリエンスの強化などの支援の実施のためには複数年にわたる安定した資金の下で事業運営をしていくことが必要不可欠です。 また、紛争による難民の発生や気候変動など、国ごとでの支援ではカバーし切れない課題が多く、国境をまたぐ地域的な支援がより効果的なケースが多くなっています。ですので、地域的なアプローチで支援を行うことが容易になるよう期待しています。その際には、AU、例えばアフリカ連合などの地域規模機構や連合との連携促進も効果的だと考えます。 最後に、テーマ別の事業募集と選定による拠出の形が新たに組まれていくことを期待します。例えば、気候変動対策、学校給食とか、一つのテーマの下で事業を募集し、選ばれた事業に日本が拠出をするという形です。このことにより、機関ごとの人道や開発といった垣根を取り払い、真に大局的な目標達成を目指した支援を実現することができます。また、国際機関やNGO、民間企業やアカデミアなどのパートナーシップを促進し、そのテーマに対して日本ならではのイニシアチブを打ち出しながら支援していくことができるのではないでしょうか。 次に、六ページ目をお願いします。 このように、複合的危機に対して分野横断的な解決策が求められている昨今、今回の日本の開発協力大綱改定において、ODAの更なる活用を図る上で、特に、オファー型支援の推進、官民連携の強化と民間資金の動員、ノンイヤマーク拠出や現金給付支援などの検討、GNI比〇・七%目標達成に向けたODA予算の増加に注目しています。 まず、オファー型支援について、要請主義の原則に加えて、日本から積極的に提案を行うオファー型の支援も盛り込まれたことで、日本の得意分野で日本の外交目的に沿った支援を効果的に打ち出していくことができ、ODAの大きな転換点になるのではないのかと期待しております。日本政府が支援メニューを提案するに当たっては、WFPを始めとする国連機関も時機に応じた情報共有や政策協議をさせていただくことで、現代的な諸問題への対処に向けて共に協働していけるものと確信しております。 このような連携を進める上でも、国際機関における邦人職員、とりわけ幹部職員を増強することが重要となります。ただ、まだまだ国際機関における幹部職員は少ないので、政府による働きかけが必要と考えます。 次に、官民連携や民間資金について、気候変動を始めとした現代的な課題に対処していくには、従来の伝統的な開発協力にとどまらず、様々な手法を活用していくことが求められます。とりわけ民間企業が有する専門的知見や最新の技術を活用することで、デジタルトランスフォーメーションやグリーントランスフォーメーション、すなわち脱炭素社会の実現に向けた取組を通じた経済社会システムの変革を推進していくことができます。 このような幅広い開発課題の解決には、民間資金の活用がより一層重要性を増しており、民間企業が開発協力における大きなアクターとして認識されることを期待しています。 続いて、ノンイヤマーク拠出や現金給付などについて、国際開発協力機関では、近年、使途を限定しないノンイヤマーク拠出や緊急支援における現金給付が国際的な潮流となりつつあります。ヨーロッパの主要ドナー国の中には、ノンイヤマーク拠出が大半だというところもあります。アカウンタビリティーを確保しなければならないのはもちろんでありますものの、日本においても迅速で柔軟な拠出の在り方が議論され、積極的に取り組まれていくことを期待しています。 そのような拠出方法の議論に加えて、ODAとしての拠出額そのものについても開発協力大綱改定に際して議論が進むことを期待しています。ODAの対国民所得、GNI比は二〇二一年実績で〇・三四%にとどまり、GNI比〇・七%とする国際目標には程遠いのが現実です。 外交のツールとしてODAを活用していくことで、国際社会における日本のプレゼンスを維持強化でき、リーダーシップを取ることができます。開発協力大綱改定の機に、ODA予算増加につながるような具体的な目標設定がなされるか注目しております。 また、開発協力大綱改定において、食料安全保障が経済安全保障の枠組みで重要視されていることを歓迎します。食料安全保障は全てのSDGs達成につながるものであり、グローバルな食料安全保障を推進することは日本の経済安全保障にもつながります。WFPとしても、引き続き、人道支援とレジリエンス強化の両輪で世界の食料安全保障に貢献してまいります。 現代の複合化する危機に対応できるよう開発協力大綱を時代に沿ったものに改定することで、日本の外交政策や地球規模課題に対する日本の政策を明確化し、日本が確固たるコミットメントを世界に対して積極的に示していくことを期待します。 国際機関の立場からも、ODAの戦略性の一層の強化に着目し、日本らしい地球規模課題への取組を通じた国際的な指導力の強化が重要だと考えます。より一層、人道、開発、平和の連携を促進する国際開発協力の形、また、気候変動など複雑な課題に対する分野横断的な解決を模索していくスキームの立ち上げを期待いたします。 御清聴ありがとうございました。
○委員長(三原じゅん子君) ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。 質疑のある方は順次御発言願います。
○高橋はるみ君 ありがとうございます。自由民主党の高橋はるみでございます。 参考人の皆様方におかれましては、それぞれのお立場から、そしてそれぞれの御経験を踏まえて大変有意義な御意見をそれぞれ述べていただきましたことに、委員の一人として心から感謝を申し上げます。 言うまでもないことでありますが、開発協力は日本外交の最も重要なツールの一つであり、その戦略的な実施は大変重要な視点、このように考えるところであります。 そこで、まず、開発協力の目的についてお伺いをしてまいりたいと思います。 ODAが国民の税金を原資とすることなどを踏まえれば、私は、人類的課題の解決と日本の国益の双方の実現を調和を図りながら目指していくべきとする現在の開発協力大綱案を支持する立場でありますが、参考人それぞれの御意見があろうかと思います。中西参考人、そして若林両参考人から御意見をいただきたいと思います。
○参考人(中西寛君) 高橋委員、御質問ありがとうございます。 開発協力に、目的ということでお尋ねをいただきました。 開発という言葉がありますけれども、今日、開発というのは、ただ単に所得水準を上げるということではなくて、社会、文化全般において地球規模で課題を解決していくという側面が強くなっていると思います。 高橋参考人がおっしゃったように、現在の開発協力の考え方も、根本的には人類的課題の解決と、それから日本の国益の実現というものを両立させる、調和を図るということだと思いますけれども、今日の人類的課題というのは、まさに気候変動ですとか感染症あるいは生物多様性の維持といったような側面に、より比重が掛かってきておりまして、それはいわゆる途上国、開発途上国であっても先進国であっても、共通の課題になっているということは先般のコロナの流行においても明らかであります。 そういう意味で、人類公共益と国益の両立という観点を更に進めて、人類公共益を実現する過程で日本の国益、とりわけ日本の広い意味での安全保障を実現していくという過程が重要でありまして、先ほど佐藤参考人もおっしゃいましたように、開発協力は非常に効果が出るのに時間が掛かります。二〇三〇年、二〇五〇年の人類公共益を促進するという観点を持つことが日本の国益につながるというふうに私は思っております。 以上です。
○参考人(若林秀樹君) 私からもさっき少しお答えしたんですけれど、今、グローバル化が進んで相互依存主義になって、依存関係にありますので、やっぱり国際協力がすれば、それがやっぱり日本の国益になる、日本の利益になるというのは当然のことです。 しかし、政策としてそれを前面に出して、国益のためにこれはあるんだと言われたら、被援助国の人はどう思うでしょうか。あっ、これ、国益のためにやっているんだからもらって当然ですよねみたいなところになりかねないですよね。 ですから、国益というのは、中長期的にずれて、それが日本の利益になってくるということを控えめに言いながら相手国のためにやるというのが国際協力なんですよ。そこを前面に出して安全保障のような国益のためにと言ったら、ああ、じゃ、協力してあげるよということになりかねませんので、その出し方については慎重にした方がいいんじゃないかなというふうに私は思いますので。ただ、日本の税金を使っている以上、そういう考え方はもう当然でありますし、深刻なのは、国債なんですよね。税金じゃないです。もう赤字をつくって今この国際協力が成り立っているというところもお考えいただければなと思っております。 以上です。
○高橋はるみ君 大変参考になりました。ありがとうございます。 次でありますが、ODAの戦略性の向上、あるいはその効果的な実施に向けてのパートナーとの連携強化、このことについて参考人の多くの方々がお触れいただいたこと、興味深くお伺いをいたしました。 私自身は、議員になる前に地方自治体で仕事をした経験もあるところでありますが、国内の都道府県であったり市町村であったり、各地方自治体が有する知見やノウハウというものは開発途上国に応用できるものが多いのではないかなと、このように感じながら仕事をしておりました。 特に、ODAの中で技術やノウハウを各国の人々に伝える人づくりということを重視している観点から、留学生あるいは研修生の受入れなどの分野において特に地方自治体とのパートナーシップが重要と私は思うわけでありますが、これも四人のそれぞれの参考人にお伺いすると時間の関係もございますので、佐藤参考人、お願いできますでしょうか。
○参考人(佐藤仁君) ありがとうございます。 私、決して得意分野ではございませんけれども、自治体を通じ、現にもう今JICAが各地に持っている支所を通じて、その海外からの研修員の受入れとか日本の開発経験の共有とかというのはもう盛んに行われているので、是非、更にそれを活性化するのはとても良いことではないかなと思いますし、留学生の受入れについても、コロナ後、今後拡大していくといいなと思っています。 ただ、このパートナーシップについて私はちょっと違う考え方を持っていまして、何でもかんでもODAにぶら下げていくということでいいのかどうかということなんですね。 私の冒頭の発言のところで、昔はもっとODAに対してラジカルに批判する勢力がたくさんいたというお話をしましたけれども、最近はそういうラジカルな人、ほとんどいなくなっちゃったんですよね。 それは良い面もあると思います。つまり、政府がちゃんと批判を受け入れて、NGOとか反対勢力をうまく、と話し合う仕組みをつくった、良いことであるという見方もできますけれども、逆に言うと、何というんでしょうね、何でもかんでも開発協力にぶら下げるというようなところに、非常にいろんなことがそこに従属するかのように仕組みがつくられてしまったというような言い方もできると思うので、私自身は、むしろ開発協力でやるべきテリトリーというか領域を限定して、そうじゃないところについてはそうじゃない支援の仕方、例えば税金であるとか、例えば資金の流し方とか、そういうことをやることによって、何でもかんでもODAとパートナーを組んでそこにぶら下げていくというのはちょっと考え物だなというふうには思っております。 済みません、余り直接的なお答えになっておりませんが、ありがとうございました。
○高橋はるみ君 ありがとうございました。 それでは次に、実施原則について伺ってまいります。 ODAの効果的なものあるいは効率的なものという観点に加えまして、そのODAの適正性の確保という観点から、実施原則を定めることの意義、これも大きいと私は考えるところであります。 今日的、大変錯綜した国際社会の中でありますので、人権問題への配慮であるとか、あるいは非軍事原則などが掲げられているところでありますが、こういったことに加えて、今日的にはジェンダー主流化を始め、いわゆるインクルーシブな社会を促進するという原則の重要性が私自身は増しているのかなという思いを持っているところでありますが、この点については、焼家参考人、御意見いただけますでしょうか。
○参考人(焼家直絵君) ありがとうございます。 今先生がおっしゃったような原則、人権、非軍事、ジェンダー、インクルーシブな社会をつくるだとか、そういったことが国連としては活動するまさに根底にある原則です。誰も取り残さないということで、いろいろその開発的な戦略を練る上で、やはりそこの部分で特に開発協力に従事する者、政府、非政府、国連、全て合わせて、そこを特に声を上げていくということが非常に大事だと思います。 特に開発の現場にいると、そういう弱い立場にある人だとか、守られなければいけないような人が置き去りにされていくことがあるので、そういったところをこのODA大綱でもしっかり強調し、現場の人間がそれを特に現場の組織の理念として実際に反映して、しっかりそれをアドボカシーして実施していくということが今後特に求められているのではないかと考えます。 ありがとうございます。
○高橋はるみ君 ありがとうございました。 若干まだ時間がございますので、最後の私の質問は、四人の参考人、皆様方にお伺いできればと思っているテーマであります。ポストSDGsということであります。 今の国連の開発目標であるSDGs、これは期限的には二〇三〇年に期限を迎えるということは周知のとおりでありまして、今、ポストSDGsという議論を始めようというふうな動きも出てきていると、このように理解をするところであります。 SDGsの中身を改めて見ますと、十七項目、本当に包括的に誰一人取り残さないという観点から、今、世界が抱える、地球が抱える本当にほぼ全ての問題を網羅しているような感じもするわけでありますが、このポストSDGsということに向けて、それぞれの参考人の皆様方、まあ時間の関係もございますので、一言、二言ぐらいずつ御見識を開陳いただければと、このように思います。
○参考人(中西寛君) 一言で言うのは難しいですけれども、二〇〇〇年に始まって二〇一五年までミレニアム目標、そしてSDGsが十五年ということで、次、十五年だと二〇四五年、中途半端ですので、多分二〇五〇年が次の目標になるのかなと思いますが、今おっしゃられたように、包括的なことが二〇三〇年に残念ながら全て達成されるわけではないと思います。とりわけ気候変動については、御案内のとおり二〇五〇年がゼロ炭素という形で設定されることが多いですので、それなどをベンチマークとして新たな目標が設定されると思いますし、日本はその議論に主導的に貢献する必要があると思います。
○参考人(佐藤仁君) 私の冒頭での発言を踏まえれば、新しいゴールに浮き足立つなと。余り次のゴール何だ、じゃ、こう考えようではなくて、やっぱり足下をしっかりしていくということが重要であって、このポストSDGsについても、それを考える人間とそれから場をどうやってつくっていくのかということを見るべきであって、ポストSDGsの中身を、SDGsの中身もよく検討しないまんま、浮き足立ってそこに向かっていくというのはいかがなものかというふうに思っております。
○参考人(若林秀樹君) 私の意見は、SDGsの本質というのは人権保障なんですね。SDGsの十七の目標と百六十九のターゲットに人権という目標は入っていないんですよ。なぜならば、それをやることによって人権を達成するというのがSDGsの立て方なんです。 ですから、国連の目標にある人権保障というのは、残念ながら急に全てが解決するわけではないので、何のためにそれをやっているか。でも、時々のイシューについては議論した中で変えていくというのは必要ですから、そういう意味では、これから議論していくということは必要なプロセスではないかなと思います。 以上です。
○参考人(焼家直絵君) ここ数年、特に気候変動、紛争、ウクライナ危機により、あと新型コロナウイルスの影響で、状況が複合的になっており複雑化しているので、二〇三〇年までに達成ということが大分厳しくなっている中ではありますが、そんな中、政府だけではなく、さらに民間企業などの力も取り入れながら、官民連携でもっと、二〇三〇年以降にも、SDGsの後も更に開発目標に向けてしっかりと頑張っていく必要があるのではないのかなと考えます。
○高橋はるみ君 大変参考になる御意見、誠にありがとうございました。 これで終わらせていただきます。ありがとうございます。
○塩村あやか君 立憲民主・社民の塩村でございます。 本日は、四名の参考人の皆様、本当にありがとうございました。 今日は、私の方からは、焼家参考人と若林参考人のお二人に、続けて二問ずつお伺いをしたいというふうに思っております。 焼家参考人とは、昨年でしたか、ラオスの奥地の小学校の給食の視察を御一緒させていただきました。私、WFPの議連の方に入っておりまして、高野さんは前会長でありまして、清水さんも役員ということで、私は新参者なんですが、参加をさせていただきまして非常に勉強になりました。日本にいては全然分からないことに触れることができて、この価値というか、この価値観ですよね、こうしたことを皆共有していくことが非常に重要ではないのかなというふうに思いました。そのときは本当にありがとうございました。 今日お伺いしたいことなんですけれども、今回のODAの改定案では、非軍事原則を堅持しつつ、その上で、軍及び軍の関係者による人道支援とか災害支援などは排除されるべきではないというふうになっておりまして、懸念をしている方からは、非軍事原則の形骸化という指摘もあると思っております。 これまで、平和国家日本の信用があったからこそ、紛争地での活動に日本が強みがあったのではないかというふうにも思っております。実際に紛争がある地域で活動をしている職員の皆さんとか日本人の皆さんに、今回の改定により何かしら職員の安全確保に課題が出る場面があるのではないかという声もあるんですけれども、そうした課題が出るかどうか、これをまずお伺いしたいというふうに思っております。 もう一点なんですけれども、日本の顔の見える支援についてでございます。 WFPのように国際機関を通じたODAは、専門的な知見とか政治的な中立性、緊急時の迅速な初動体制、独自のネットワーク、国境をまたがる問題の対応など、様々な面で重要な意義と強みを持っておりまして、私も非常に有益、そして重要だというふうに思っております。 援助というものをしてあげたということではなくて、回り回って日本のためにもなると、これ、よくWFPの議連のメンバーも言っていることなんですけれども、ですので、今後も力強く頑張っていただきたいというふうに思っているんですが、そのためにも、今日何回も出てきておりますけれども、予算ですよね、予算の確保は非常に重要だというふうに思っています。 一方で、昨今は支援が本当に現地に届いているのかというような厳しい目を向ける人もいるため、国民の深い理解を得るためにも援助が確実に必要な人に届いているという体制の構築を確立させることが重要だというふうに思っておりますけれども、この点についてもお聞きしたいというふうに……(発言する者あり)ありがとうございます。思っております。 二点、焼家参考人、お願いいたします。
○参考人(焼家直絵君) 御質問ありがとうございます。 まず、第一点目なんですけれども、紛争地での安全確保などの課題などなんですけれども、まずWFPに関して申し上げますと、元々飢餓問題に苦しむ人の六割が紛争地ということですので、紛争地での活動がかなりこれまでも長らくやってきております。私どものようなWFPのような国際機関は紛争地でも一番最後まで残って支援をしているので、そういった面では元々厳しい活動をやる機関ではあるんですが、ただ、その中で特に重要視しているのが、やはり安全管理のシステムというのをちゃんと構築して、国連としての安全管理情報、安全管理システムに従っていますので、かなりリスク管理には厳格に取り組んでいます。そんな中、刻々と変わる治安状況だとかそういった紛争状況を収集して分析して、で、安全対策を講じています。 私も以前紛争地にはいましたけれども、そういった軍隊出身のエキスパートのような人がちゃんといるので、そういった人のアドバイスをもらいながら行動していましたし、あと、トレーニングはかなりしっかりとしています。要するに、ただ単に開発の勉強を受けただけで紛争地に行くわけにはいかないので、私自身も、例えば、もし誘拐されるとかカージャックに遭うとかそういう状況になったときにどういうふうに行動すべきかとか、そういう訓練も受けてはいるので、やはりそういったちゃんと万全の状態、トレーニング、キャパシティーがある人たち、そういった準備をした中で活動することは非常に重要だと考えています。ただ単に支援しなきゃいけない人がいるからというのでぽんと行くわけにはいかないんだと思うんですね。 ですから、いろんな今回のODAアクター、ODA大綱でもいろんなアクターを、いろんなステークホルダーをもっと活用していこうということが書かれてはいますが、やはりWFPのような国際機関も、いろんなNGO、JICA、日本、いろんな機関に対する情報共有だとかトレーニングだとか、現場でできる限りの協力はできるとは思っています。 やはり邦人の安全保障という観点からは、やはり現地大使館とか日本政府との非常に連携とかも重要になってくるのではないかと思います。私も安全状況が悪いシエラレオネにいたときは、国連の幹部として私は残っていたんですけれども、邦人職員は退避勧告が出て皆さんお帰りになっていたので、その辺で安全渡航管理などに関する指示とかも違うので、しっかりいろんな組織の安全対策をしっかりしてやっていくことが重要になるのではないかと考えます。 第二点の顔の見える支援で、日本のためにもなるけれども本当に支援が届いているかという点なんですけれども、やはりそれは非常に重要な点だと思います。 国連としてもそういったことは非常に力を入れていますけれども、私がWFPに所属しているのでWFPの観点から特にお話をさせていただきますと、やはりただ単に支援を届けるだけではなくて、その後のモニタリングはしっかりしています。WFPの場合、特に首都だけではなくその国全域の村にまでモニタリングができる職員が駐在しているので、それでしっかり実際に支援を届けるときもそこで現場にいるのと、その支援を届けた後、もう一回戻っていって、どういうふうに支援が使われているとか確認しに行ったり、フィードバックをもらったり、そういったいろんな多層にわたるシステムを構築しています。 また、最近は新たな技術なども取り入れていろいろなデータ管理をすることで、支援をどのくらい受け取ったかということを随時確認したりとか、重複して支援してしまうということを避けることができるようにはなっています。また、データセキュリティーの管理も非常に重要なので、またいろんな技術を取り込むことで支援のより一層の効率化を図ることをまた努力していこうとは考えています。 ただ、私たちが支援しようとしているところの人たちはちょっと本当にもう命が危ないというところの人たちなので、やはり食料を、実際に自分でもらった食料を食べないと死んでしまうというところにある人が多いので、余り不正とかは実際にWFPが現場で支援しているところではないんですけど、やはりモニタリングというのは、そのデータ、技術も取り込みながら、最終的には自分たちで行って何度も何度も確認、自分の目で確認するということは必要なので、そういったことも取り入れながら、引き続きしっかりと効率性を上げる支援に取り組んでいきたいと思っています。 ありがとうございます。
○塩村あやか君 ありがとうございます。 しっかりいろいろと、私たちはまだできる支援とかしてしっかり見える化、一緒に頑張っていきたいなというふうに思っております。ありがとうございました。 続きまして、若林参考人に二点お伺いいたします。 今回の大綱の改正案ですね、この問題点なんですけれども、防衛三文書の中で大綱が触れられて、そしてOSAも創設されて、これ表裏一体だと言う方も非常に多いというふうに思います。背景に中国の海洋進出などによる同志国の安全確保や同志国の獲得合戦もあるというふうに思うんですね。その中で、インド太平洋、とりわけ東アジアの脅威を減らすために大切なことや、今回の改定を踏まえて懸念点があれば教えてくださいというのが一点。 そして、予算のことですね、やっぱり。先ほど来何回も出ておりますけれども、十年でGNI比〇・七%の達成ということで目標年限が報告書では明示されておりましたけれども、大綱では〇・七%を念頭にということで、表現がかなり後退したというふうに思います。つまり、達成の年限を見送ったということになるんですよね。 お話にもありましたが、二国間のODAの五割を円借款で約二兆円、そして無償資金協力はこの二十五年で半減という状況です。今回の改定でやっぱりこの辺りどのように表現すべきだったか、御意見があれば頂戴したいと思います。 残りの時間全て使っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○参考人(若林秀樹君) 済みません。 ありがとうございます。 OSAの問題は、他国、ヨーロッパも含めてほかの国では普通に行っていることなんですよね。北欧の国でも普通に軍事援助というのをやっていますし、やっぱり軍事に関する役割というのはあるんです、これは。 ただ、一方で、我が国のこれまでの歴史的な経緯、平和主義、これまで築いてきたODAの信頼感に対して今そこに踏み切ることが日本にとってプラスなのかどうかということを、短期的な視野、政策ではなく中長期的に考えていただきたいということなんですよね。 それよりは、まあ日米関係もありますし、いろんな同志国との関係もありますけれど、我が国がやるべきことは、やはりこの東アジアの脅威を下げるために、あえて私は、やっぱり国際協力を推進すべきであり、人権あるいは民主主義、そういう外交を展開することによって更に脅威を下げていくというのがこの東アジアでも我々の役割ではないか、そのことを間接的には私は米国も望んでいるんではないか。変に刺激をしてOSAだ云々だというよりは、そこがこの問題の本質で、そこを皆さんがどう考えるかというのが非常に重要ではないかなというふうに思っています。 〇・七%目標については、やっぱりこれは国際約束ですから、世界第三位のやっぱり経済大国の日本がそれを置き去りにしてもう構わないということではないはずなんです。 一方、軍事費がこれで二五%ぐらい増えていますから、経済大国としての日本としてどういう国際貢献をすべきなのかという観点から、その予算の分配の在り方を皆さん方がリーダーシップを取って発揮していくことが必要ではないかなというふうに思いますので、軍事予算そのものを何か否定するということではなくて、我が国の役割は何なのかというところを真剣に考えていただきたいと思いますし、全体的には国家安全保障戦略が来ているのはあるんですけれど、そこは皆さん方が、どうあるべきかということを政治的なリーダーシップでこの大綱も捉えていただくことが重要かなと思っています。 一応、答えになっていますかね。まだお時間あったら……(発言する者あり)済みません。
○塩村あやか君 ありがとうございます。 三十一分までありますので、先ほどレジュメの中で飛ばされた部分もあろうかと思います。是非その辺りをお伺いしたいと思います。
○参考人(若林秀樹君) 言い忘れた大事なことなんですけれど、人間の安全保障という言葉が今回見ると八回使われているんですね。これ自体は非常に評価しますし、まさにそれが日本の国際協力の役割だと思うんですが、その中身がないんですよ。安全保障、人間の安全保障何なのか、どういう方向でそれを進めていくかというところが、言葉だけが躍っていて中身がないというのが残念ながら今の大綱の位置付けになっているのではないかなというふうに思っています。 その中で、人間の安全保障というのは、人間開発と人権保障なんです。この二つですね、大きく分けると。人権保障という面では、人権のデュープロセスというのを政府が打ち出しているんです。それは、ビジネスと人権で、開発途上国、サプライチェーン上含めた人権をどうやって守っていくかと、国が推奨しているんですね。それは、リスクを事前に把握をして、人権侵害が起きないような対応をし、その上で実施をする。万が一、人権侵害が起きたときには、一時的な中断を含めて一回止めて、対策を打ってやっていくと。その全部のプロセスで関係者と協議をしていくというのが、この人権DDなんです。 ですから、経産省も外務省もそれを推奨しておきながら、市民社会もそのことを指摘しながら、これは入れるべきだということを入れているんですけど、あえて入っていないんです。これ、避けているとしか思えないんですよね。それが回りめぐってODAに跳ね返ってくるとこれ大変だというふうに、うがった見方をするとそう思ってしまいますが、この人権DDをやらないということは人間の安全保障から反することになりかねませんので、是非、その人間の安全保障というところを含めて、人権DDを我が国のODAのプロセスの中で入れるということを明示していただくということがこれ非常に極めて重要なことでありますので、是非皆さん方のリーダーシップで、その辺も含めて人間の安全保障を本気でやるんだということであれば、そういうプロセスを入れていただければなと思っています。 以上です。
○塩村あやか君 ありがとうございました。参考になりました。 ありがとうございます。 ─────────────
○委員長(三原じゅん子君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、広瀬めぐみ君が委員を辞任され、その補欠として有村治子君が選任されました。 ─────────────
○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。 四人の参考人の先生方、大変貴重な御意見、誠にありがとうございました。 まず、中西参考人にお伺いしたいと思うんですが、今ほども話があった人間の安全保障、有識者懇談会の報告書でも、開発協力のあらゆる側面に通底する基本理念というふうにお書きになっておりました。その重要性を改めてお伺いするとともに、あわせて、私たち公明党も、三月十四日に外務大臣に大綱について申入れしたとき、この人間の安全保障を重視すべきだと訴えたんですが、今回の大綱案で私注目したのは、UNDPが報告書で書いていたこの新たな要素としての連帯という言葉を人間の安全保障の新たな要素として加えていたことがあるかと思います。有識者懇談会では連携という言葉はよく出ていたわけでありますが、そことはまた異なる言葉としてのこの連帯という言葉の先生のお考えになる意味合いを。 それに関連して、私は、この連帯というのは、その連帯を実現するためには、自国と他国の成長、幸福が一致する領域をどんどん広げていく、共通の利益になるような領域を広げていく能動的な活動だというふうに理解はしているところなんですが、先生も先ほど、まさに人類公益と国益を一致させていく過程が大事だというふうにおっしゃっておりました。先生のお考えで、レジュメの方でもこういった国益と国際公益の長期的一致という言葉もあるわけでありますが、このお考えと連帯という言葉で重なり合う部分があれば是非御教示をいただきたいと思います。
○参考人(中西寛君) 御質問ありがとうございます。 お話ありましたとおり、人間の安全保障というのが、私が座長を務めた有識者懇談会報告書の中心概念、日本の開発協力の基本理念として改めて掲げるべきだというふうに書き込みました。これは、有識者のメンバー、皆さんいろいろな立場から御参加をされていたんですけれども、初回に皆さんの総括的な御意見を伺ったときに、基本的に全ての委員からそういうような御発言があったというふうに記憶をしております。 人間の安全保障という言葉が何を意味するかということについては、いろいろな考え方があろうかと思います。先ほど若林委員からお考えがありましたけれども、若林委員のような捉え方も一つではあろうかと思いますが、私は、必ずしもそれに限られるものではない。あえて申しますと、まあいささか曖昧であるけれども、人間という言葉と、つまり個人であったり社会であったり、場、様々なつながりでありますけれども、国家ではなくてそうした人間そのものに焦点を当てるということ、そして、広い意味での安全を高めるということについてコンセンサスが得られやすいということが重要だと思います。 例えば、ミャンマーのような民主化が進んでいると思われた国で、その状況が残念ながら後退してしまうということは現在の国際政治では生じてしまうわけですが、そのときに援助を止めてしまうというのも確かに一つの考え方だろうと思います。しかし、現地でその民主化の支援やそうした政治変動で苦しむ人々がいることも確かですので、そうした人々を助け続けるということも日本の開発協力の在り方ではあると思います。 そういう場合に、その政府を支援するのではなくて、人々を助けるんだという理念そのものを維持しながらどのように対応すべきかということをある程度実践的な観点から検討するということが必要ではないかという、そういう御意見もあったかと思います。 今お話にありました連帯ということについて、UNDPがどのような意味で言っているか、私は詳細に残念ながら承知しないんですが、あるいは、従来の、とりわけ西側が言ってきました人権を重視するという考え方は、個人の人権というのを重視するという考え方が根底にあるわけで、それは確かに一つの理念として正しいものであると思いますけれども、世界的に見たときに、必ずしも個人単位で人々の安全というのを考えるわけではなくて、家族であるとかコミュニティーでありますとか様々なつながりの中で個人が安全を得るという考え方もあろうかと思います。 改めて、UNDPがそういう点を見直すことを言うためにこの連帯という言葉を重視するという話であるとすれば、日本が掲げようと我々が提案しました人間の安全保障という考え方と重なり得るものだと思います。
○矢倉克夫君 ありがとうございました。 次に、佐藤参考人にお伺いをしたいと思うんですが、今の連帯というところの続きにもなるんですが、あわせて、佐藤参考人の方でもお話として、例えば自助努力というところから良い依存関係をつくるというこの発想転換が大事、非常に重要なメッセージであると私も思っております。 この先生が込められたメッセージとこの大綱にある連帯という言葉の関係の考えみたいなのを、先生もほかの文献でも、例えば、日本のこれまでについて、人類益と国益の二項対立のはざまでたくましく行き来して折り合いを付けるというようなお言葉もあったわけでありますけど、そういった先生のこれまでの発信も踏まえつつ、この連帯と先生のこの依存、良い依存関係というものの関連性について御教示いただけるところがあれば是非お願いしたいと思います。
○参考人(佐藤仁君) ありがとうございます。 すごく難しい問いだと思うんですけど、まず、今直前に話題になっていた人間の安全保障の話についてちょっと一言だけ言わせてください。 人間の安全保障を本気でやるということは、相手国政府が嫌だと言ってもやりますかということなんですよね、まあちょっと乱暴に言えば。 日本の援助というのは、御承知のように基本的に要請主義なので、相手国政府から要請が来て、それを大使館やJICA等でもんで、そこに優先順位を付けて、東京で許可を出して、援助を送り出すと。そうすると、じゃ、政府と反対の、政府と対抗しているような勢力からは、基本的にはその政府ルートでは要請は来ないわけですよね。にもかかわらず、そこに物すごく深刻な人間の安全保障のリスクがあるときにそこに踏み込んでいくのかどうかという話だと思うんです。 これは、物すごく、その日本のODAの歴史の中で、もしこれを本当にやるんであればこれは大転換だと思うので、私は、この人間の安全保障というのは理念はもちろん理解しますし、誰もそのことに反対する人はいないと思いますけれども、ODAの仕組み上それをどうやってやるのかということはかなり慎重な検討が必要なんじゃないかなと思っています。 もちろん、日本政府がというよりも、例えば、その人間の安全保障を推進する現地の団体を、あるいは現地でどちらかというと政府と話ができる団体から申請、要請を出させるというような、そういう様々な裏技はあるかもしれませんが、そういうことも含めて考えないと、現在のそのガバメント・ツー・ガバメントの仕組みの中で人間の安全保障が一番深刻に表れている、つまり、その深刻というのは、政府が自国民に対して暴力を働いているときにどうするのかということなんですね。 これは決してレアなケースではなくて、東南アジアなんかでは、スハルトとかマルコスのお父さんとか、あるいは極端な例でポル・ポトとかですね、物すごい暴力を自国民に対して働いていたわけですから、こういうことに対してODA踏み込むのかというのは大問題だと思います。中西先生おっしゃったように、ミャンマーのことについても日本の態度が迫られるところだと思います。 そういった中で、連帯とか依存というのは、どちらかというと、将来困ったときに助け合えるような関係を今からつくっておくと。その今からつくるための触媒の一つとして、それは全てではないですけど、触媒の一つとしてODAを使っていくということであって、何かやっぱり、私の冒頭の発言で申し上げましたけど、自立というと、何か自分で全部、自分ができるようになる、それは推し進めていけば、ある種の孤立というか、ほかと関係がなくてもやっていけるような、そういうニュアンスがあると思うんです、そこまで考えている人は余りいないとは思うんですけれども。 なので、困ったときに助け合えるような関係を日常的につくっていくということで連帯という言葉が使われているのであれば、私はそれは賛成です。 以上です。
○矢倉克夫君 ちょっと続いてもう一つだけ、佐藤先生に。 事後検証というのは非常に重要だと私も思っておりまして、ODAの。先ほど申し上げた党の提言でも、モニタリングと事後評価のシステムを強化すること、ODAについてというようなことは申し上げ、結果を公開することというふうに申し上げたんですけど、今後、具体的に、では、今までのODA、これ事後評価をするに当たって、どういう、誰がどのような形で評価をし得るのか、ちょっと制度設計についてのアイデア、もしございましたらちょっと教えていただければと思います。
○参考人(佐藤仁君) ありがとうございます。 これは、本当にやろうとするとすごく難しいと思います。 というのは、現状ですと、例えば事後評価というのは三年とか五年でやるわけですよね。それの意味というのは、比較的そのプロジェクトが始まってからそんなに時間がたっていないので、何か変化があったときに、それはプロジェクトによって起こされた変化であるという同定が比較的しやすいというのはあると思いますし、その結果を今オンゴーイングのプロジェクトにフィードバックするということができるようになるということなんですね。 ただ、十年、二十年という時間がたつと、そのプロジェクトの結果何か変化が起きたのか、ほかの要素によって変化が起きたのかというのはだんだん分かりにくくなってくるわけです。そうなってくると、そこで学んだことというのの教訓は、プロジェクトに返すというよりも開発協力全体の在り方について返すしかなくなってくるわけですね。 こういったことについて、今、人が少ないJICAみたいなところが人を割いて、十年、二十年のレビューをやりましょうって一生懸命やってくれるかというと、多分やってくれないと思います。それ、今やっているプロジェクトとか来年の予算に役に立つんですかと言われて、いや、それはちょっと分かりませんといって、なくなっちゃうような話ではないかと思うので、こういったところは、まさに市民社会とか研究者とか、いわゆるODA実務の外にいる人たちがまさに連携をする形で長期的にもモニタリングをしていくということが大事だと思います。 日本では、幸いなことに、いろんな地域の地域研究者がいます。アフリカの例えばウガンダを三十年見ていますとか、ラオスの専門家ですとか、そういう地域研究者を、地域をずっと見ている人たちをうまく使いながら、長期的に開発が持つ意味というのを検討して、その検討結果を実務機関と共有するような仕組みというのがいいんじゃないかなと思います、JICAにやらせるというよりも。
○矢倉克夫君 大変ありがとうございます。 若林先生に、今、市民社会の言葉も出ておりましたが、人間の安全保障というものを実現していく上で、社会的に、市民社会の役割について先生の御所見をもしお伺いできればと思います。
○参考人(若林秀樹君) ありがとうございます。 今の御質問の流れの中で、連帯ということを市民社会としてどう捉えるかというところを含めてお答えしたいんですけれど、例えば、我々の団体は中国のNGOと連帯しています。国際的に二国間ではテンションが高くてまともな話もできないという中で、市民社会の役割というのは、国境を越えて人間の安全保障というところでつながるんですね。彼らも日本の経験を知りたい、日本に、取られている政府との関係、国際協力をどうやっているのかと。その前提は、彼らも人間なんですよ。彼らも大事にしているのは基本的な人権なんです。その重要性は彼らも分かっている。だから、我々は連帯をして、いろんな交換をしたりだったり、いろんなイベントをやったりして共有をしていると。最終的にどういう政治体制を選ぶかは彼らなんです。 ですから、その前に我々はできることは、国境を越えて政治観を超えて、市民社会としてつながって連帯して、国際平和、人権たる、何物か、どういう形が望ましいのかという経験を、それをベースに話す、で、最終的に向こうが選ぶというのが今の我々の役割ではないかなという意味では、連帯ということは非常に重要な言葉ですね。我々の役割はそこに発揮できるんじゃないかなと思っています。 よろしいでしょうか、以上です。
○矢倉克夫君 私もそのとおりだと思います。 最後、時間ですかね、失礼しました。 じゃ、済みません、焼家参考人、ちょっと食品ロスとかの関係の日本の課題とかもお伺いしたかったところはあったんですけど、時間ですので、申し訳ありません。 本当に様々な、特に、あともう一件だけ。あと、先ほどの紛争の地でのやっぱり安全を確保されるということは非常に重要だと私も思っていて、そこについての政府としての役回りなどもまた私たちもいろいろ検討しながら、しっかり安全も確保して、共に世界の安全に、確保に、食料飢餓を、困難回復に尽くしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。 済みません、以上でございます。ありがとうございます。
○清水貴之君 日本維新の会の清水と申します。 今日は大変貴重な御意見をありがとうございます。 まず、中西参考人、お願いをいたします。 今回、ODA大綱の改定に当たって、新聞記事などで大きく報じられている、まあ大きなポイントの一つが、要望型、要請型、被援助国からの要望から、今度は提案型、オファー型に積極的に変えていこうと、ここが一つ大きなポイントではないかと思いますが、ここに至った議論など、そういった経緯がもし、どういった経緯でこれが入ることになったのか、その辺りのお話をまず教えていただけますでしょうか。
○参考人(中西寛君) ありがとうございます。 メディアの方でオファー型というのが大きく取り上げられておりまして、確かにこの大綱案の方に入っているんですけれども、日本の対外政策の中でこの開発協力支援、とりわけODAを位置付けようということは懇談会の方でもありました。 そういう中で、日本が考えている理念を反映するような援助をより強く訴えていくということは必要かと思いますけれども、いささか、メディアで、従来要請型だったのをオファー型に変えますというのはちょっと単純過ぎる捉え方じゃないかなと思います。 とりわけ、その開発、経済インフラのような大規模な援助につきましては、従来も、相手側からこういうダム造ってください、こんな病院造ってくださいというのを待っているわけでは必ずしも現在はなくて、あちらのそうした関係機関と協議しながら、日本としてもできるようなことということについてかなり緻密にプランニングをした上で協力の契約を結んでいくという、そういう仕組みになっておりますので、必ずしも相手から要請を受けて応えるというのは今の日本のODAの主流の考え方ではないと思います。 ただ、そういう中で、相手国として優先順位は低いけれども、日本として過去に行った援助をフォローアップする必要性が大きいというような場合にオファーすることがあるでしょうし、それから、これまで他の参考人からもお話がありましたように、人間の安全保障ですとか、相手国の政府から必ずしも喜ばれないかもしれないけれども、日本として行うべきことということについて従来よりも踏み込んでやっていこうということではあろうと思いますが、従来の要請型をオファー型中心に切り替えるというような極端な話じゃないと思いますし、それは恐らく、まあ援助ですので、相手が嫌だというものを押し付けることは最終的にはできませんので、そういう範囲内の変化だと私は理解しております。
○清水貴之君 新聞ではもうかなり大きくそれが出ていたもので、非常に今のお話聞いて理解をいたしました。ありがとうございます。 続いて、佐藤参考人、お願いをいたします。 先ほど矢倉さんからあった部分、私もほとんど同じ内容になってしまって恐縮なんですが、十年、二十年のスパンで見ていって、最初はそんなに良くないと思われていたものが変わっていくという話は、非常に何か新鮮といいますか、あっ、そんなこともあるんだということで驚きがあった部分です。じゃ、その十年、二十年を誰がちゃんとウオッチしていくのかというところは私も気になったんですけれども、先ほどのお話から、やっぱり地域を研究している研究者の方がいいんじゃないかという話でした。 ただ、そうなると、じゃ、それを具体的にどうしていくかということになりますと、例えばJICAなり外務省なりがそれぞれ研究をされているだけで何もそれがつながっていかなかったら、若しくはフィードバックされなかったら結果には反映されてきませんので、それを、じゃ、どういう仕組みで反映させていくのがいいのかなというのは先ほどのお話を聞きながら思ったんですけれども、その辺りを、もし御意見ございましたらお願いいたします。
○参考人(佐藤仁君) ありがとうございます。 一つ補足ですけれども、十年、二十年たって変化が観察できるというのは、基本的にはインフラだからなんですよね。私は、特にインフラ、いわゆる箱物援助が八〇年代に物すごく批判されて、箱物というのは一回造るとそこにあり続けるので、観察しやすいから私はそれを研究対象にしたというわけですね。なので、例えばこれが教育とか医療、保健医療になると、十年、二十年の変化をどうやって見るのかと、これ、かなり難しいですね、人間も動き回りますから。だから、何でもかんでも十年、二十年で見ましょうということではなくて、やっぱりそういうふうにして見ることが適切であるものとそうでないものというのは区別しなくてはいけないとは思っています。 ただ、インフラが日本の得意技であるということは変わりないので、この十年、二十年の視点を入れたい、入れるべきだと思いますし、現状そういうことが入っていないということも事実だと思います。 また、ひどい、ひどいと言われた案件が良くなったというのは、ちょっと比較的注目されやすいので申し上げましたけど、すばらしいって始まった案件がポシャっちゃったとか、政権が替わって、何か橋が、途中の橋で何かつながらなくて終わっちゃったとか、そういうものももちろんございますので、一概に時間がたてば良くなるということではございません。 これを制度化していく仕組みというのは本当に難しいですね。私は、まず制度化というよりも、開発協力の成果あるいはその信頼というものが時間を掛けて熟成していって、それが非常に役に立つんだというまず理解が普及しないことには制度づくりの話には進めないんじゃないかと思います。つまり、昔の案件がどうなったかと調べて、それ何の役に立つのというような人が大部分を占めていたら制度づくりの話に乗ってくれるはずがないわけですよね。 なので、日本の過去の、それが、さっき私、冒頭で申し上げた、これまでやってきたことをアセット化するというのはまさにそういうことなんですけれども、やっぱり単に歴史ということよりも、過去にあったことが未来をつくっていく材料になるということを見せる側も努力しなくてはいけませんし、聞く側も、そういったことがもしかしたら何か将来の役に立つかもしれないということで聞いていただかなくてはいけないので、その雰囲気をまずつくっていくというところがスタート地点であって、もしそれが二、三年でできるんだったら、また次回のODA大綱のときに呼んでいただいて制度づくりの話をしたいと思いますけど、ちょっと気の長い話ですが、このぐらいのスパンでやっていかないと、そんな急にはできないんじゃないかなというふうに思っています。
○清水貴之君 ありがとうございます。 続いて、若林参考人、お願いをいたします。 OSAの話なんですけれども、欧米の国などではこれは比較的普通にやられているようなことだというお話もありました。今回、日本もそっちの方に進んでいくという話なんですが、私はやっぱりやり方かなというふうに思っておりまして、一応政府としては、その渡す国と契約を結んで目的外使用がないようにするとか、そういった話をしているわけなんですが、その一方で、ミャンマーの船の話などもありまして、なかなか、じゃ、実際それが現実的に可能かというと難しい部分も、行ってしまったら後はどう使われるか完全にウオッチするのが難しいところもあると思います。 この辺りの何か不安感とか不信感というのがすごく深く根底にあるのではないかと思うんですけれども、若林参考人、御意見、もしございましたらお願いいたします。
○参考人(若林秀樹君) そうですね、まあ結論から言うと、無理なんですよ。 一回渡したものをどう使うかはかなり向こうの裁量に任せなきゃいけないし、軍当局の中に入ってモニタリングするというのはかなり現実的には厳しいですよね。だから、その線引きは難しいということを前提で我が国としてそれをやるかということを覚悟して踏み切るかどうかだと思うんです。当然、市民社会は、これまでの経緯からいえば、それは反対の立場で現在あります。 やっぱり線は引けないですよ。非軍事原則で船舶やったって、その船舶自体がそこの軍に使われるわけですし、ましてや、軍事支援やったらもう一体化して運用されるわけですよね。向こうの政府としては、交換公文をやって援助を受けたらもうそれは混然一体としてなるので、そこまでしてやるべきなのかどうかということを冷静に、それよりももっとやることあるんじゃないかというのは私の意見ではありますので、だからこそ、日本の持ち味を生かした国際協力、あるいは人権、民主主義の外交を併せてやると。そこに変に踏み込まない方が私は中長期的に日本の国益になるんじゃないかなというふうには思っております。 答えになっていますでしょうか。
○清水貴之君 ありがとうございました。 焼家参考人、お願いをいたします。 私もWFPの議連に入っておりまして、以前、バングラデシュとミャンマーと、一緒に難民キャンプの視察に行かせていただきました。ロヒンギャの難民のキャンプ行かせていただきました。 そこで私も見て感じたのが、ODAのこの特に食料援助というのは、食料だけじゃないかな、様々な援助というのは本当に必要な人に届いているのかと。過去やっぱりいろいろ、部族の上の方の人たちが全部取ってしまって下まで行っていないとか、末端、末端というか、普通の皆さんのところまで行っていないとか、いろんなもう悪い話もありましたので、どうなのかなと思って現地行ったんですけれども、すごくここはWFPはいろいろ頑張っていらっしゃいまして、例えば、いいなと思ったのが、ただ単に例えばお米を渡す、しょうゆを渡すとかではなくて、これ十ドルのカードみたいな形で渡して、それぞれが考えさせる援助、考えてもらう援助、十ドルの中で、米が一ドルで油が一ドルでといった、何をどう組み合わせて、ジャガイモがどうだとかと組み合わせてもらうことができるとか、何かすごくいろいろ工夫をされているなと、ちゃんと届く工夫をされているなというのを感じたんですけれども、そういったところで、今取り組んでいらっしゃることとか工夫されている点がほかにもありましたら、いろいろ教えていただけたらと思います。
○参考人(焼家直絵君) ありがとうございます。 バングラデシュ、ミャンマーの視察も、お忙しい中御参加いただきまして、感謝いたします。 その際先生にも御覧いただいた、カードで引換えをして、それでマーケットで野菜だとかそういったものも買えるというシステムなんですけれども、その根底にあるのは、やはり人間の尊厳という考えがあります。そういったカードで、クーポンで野菜、卵などに引き換えるということができないところもまだ多々あるので、そういうところでは現物、米だとか植物油だとかを配っているんですけれども、生鮮食品は腐るので基本的に配らないんですが、そういった食料引換券だとそういった生鮮食品も引き換えることができるので、栄養価だとか、栄養価が上がるので、そういった人間の尊厳というのを守るためにそういった形での食料支援も行っています。 実際に届いているかというような工夫というので、やはりそういったデータ管理だとか技術を取り入れて登録というのもしっかりやることで、で、それはそれだけじゃなくて、それをもう一回確認に行って、またフィードバックをもらうと、何重にもやはりしながらやることで、やはり重複してもらうだとかそういったことが避けられるようになったりとか。で、そういったWFPが使っている、そのデジタル化で使っているプラットフォームの仕組みをほかの組織にも提供して、ほかの組織の人たちもそれで同じような仕組みに参加して、それで、同じ人がそのほかの組織が支援する物資もWFPのプラットフォームを通じて支援をもらうことができるだとか、そういったこともして効率化を高めて、同じ資金でもっと支援ができるように心掛けています。 ですから、何重にもいろんな人がチェックしながら、資金も限られていることは承知していますので、より多くの人に支援ができるように今後もしっかり効率化に努めていきたいと思っています。 ありがとうございます。
○清水貴之君 焼家参考人、あと、WFP、食料支援とそれにまつわる、連なる物流機能もすごく進んでいるなというのを感じたんですけれども、今非常に様々な物価が上がって本当に大変な状況だと思うんですけれども、その辺りの影響など、もし分かりましたら教えてください。
○参考人(焼家直絵君) やはりその物価高の影響は大変ありまして、やはり活動費が五〇%も上がっていますので、船だとか飛行機をチャーターすることは可能なんですけれども、やはり燃料費が高いだとか食料価格も高いだとか、そういったことで、やはり今、配布する受益者の数を削減しなければいけないようなところに追い詰められたりもしているので、非常に厳しい状況にもあります。
○清水貴之君 あと一分だけ、一分あるので、官民連携もこれWFPすごく、日本でもWFP協会というのがあって様々な企業が参加して、この仕組みがすごくいいなと思うんですけれども、この辺りの取組も教えてください。
○参考人(焼家直絵君) 民間企業の資金だけではなく、技術、知見も取り入れるように努力はしているんですが、それをもっと拡大していかないとやはり支援の幅が広がらないと思うので、そこは、協会、WFP協会とも協力しながら、日本事務所ももっとしっかりと力を入れていきたいと思っています。
○清水貴之君 以上です。ありがとうございました。 ─────────────
○委員長(三原じゅん子君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、山本佐知子君が委員を辞任され、その補欠として友納理緒君が選任されました。 ─────────────
○浜口誠君 国民民主党・新緑風会の浜口誠です。 今日は、四人の参考人の先生方、ありがとうございました。大変貴重な御意見をいただいて、今後の活動にしっかりと生かしていきたいと思います。 まず最初に、中西参考人にお伺いしたいと思います。 今日の御意見の中にも、日本の開発協力につきましては全体像の弱さと日本社会での認知度の低さという点が指摘をされておりますが、確かに、日本人、日本の皆さんは、このODAというのを余り御存じじゃないんじゃないかなというのが正直な実感です。我々が有権者の方、支援者の方のところに行っても、こういったことが話題になることはほとんどありませんので。 実際、非常に日本としていいことをやっている、世界に貢献している、こういった取組をもっとやっぱり日本の皆さんに知っていただくというのが大変重要だというふうに思うんですけれども、この認知度を上げていくために、この前の委員会でもいろんなやり取り、外務省等とはやりましたけれども、先生のお考えとして、こういうことをもっとやると日本社会の中での認知度が上がっていくんじゃないかというお考えがあれば、是非お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(中西寛君) 御質問ありがとうございます。 私も、今、浜口先生おっしゃったところ非常に感じておりまして、本当に、全体として、JICAであってもNGOであっても、日本の開発協力に関わっている人たちは、真剣に、かつ重要なお仕事をされていると思うんですけれども、なかなか日本の中でODAというと、どうも、先ほど佐藤参考人からもありましたけれども、三十年前ぐらいのすごく無駄で誰かの利益になるようなことしかやっていないというようなイメージだけが残ってしまいますし、まあメディアの悪口言っても仕方ないですけれども、常に問題が起こったときしか報じないので、イメージが余りよろしくないということがあると思います。 いろいろそういうふうに言っていても仕方がないので、やっぱり一つは現場の声をどういうふうに日本社会に伝えるかということで、若い人にそうした現場を見てもらって、いわゆるインターネットのSNSで発信してもらう、率直に感じたところを発信してもらうというようなことで、とりわけ、日本の若い人が信用があるメディアの報じられ方だというふうに感じるようなものを示すということが重要だと思いますし、我々、人間の安全保障という言葉を有識者会議のキーワードにしましたのも、やっぱり人間の安全保障という言葉は非常に抽象的で誰でも反対しないというのは確かなんですが、やっぱり日本人が世界に貢献したいというときに、どこかの国を助けるということよりも、むしろほかの国の人を助ける、あるいは困っている人を助けるというところに一番共感度が高いんだと思うんですね。 ですから、人間の安全保障という大きな枠組みの中で日本は国際協力、開発協力をしているんだということをもっと大きな声で言うことが、大きな顔として日本がやっていることのイメージを国民が共有するにはいいんじゃないかなというふうにも思っております。
○浜口誠君 ありがとうございます。 続いて、じゃ、佐藤参考人、よろしいでしょうか。 今日のお話の中で、結局担い手が重要だと、もうすごく共感できる部分であります。その担い手をやっぱり育てていく、あるいは担い手を確保していくために、佐藤参考人の方からは待遇の改善というような御指摘もありましたけれども、例えばですけど、ほかの国のこういったODAを担われている皆さんと日本の方とベンチマークしたときに、やはり処遇だけが課題なのか、先生も一、二年生に対していろいろ授業もやるよというようなお話ありましたけれども、より小さな段階でこの日本のODAですとか開発協力の重要性というのを子供たちにも伝えていく、そういうプロセスも非常に重要ではないかなというふうに思うんですけれども、この担い手確保に向けて、処遇改善以外にもっとこういう点が大事なんだというような御意見がありましたら、是非お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(佐藤仁君) ありがとうございます。 今の中西参考人とのやり取りを一部引き継ぎながらお答えしようと思いますけど、私は、やっぱり人が集まるために、ある種の憧れといいますか、ロールモデルが必要なんじゃないかと思います。実際、例えば緒方貞子さんとか、それから、残念なことにお亡くなりになりましたけど中村哲さんとか、ああいう方々がやっぱり現場で活躍されて、それで現場で感謝されている様子がメディアで流れて、ああいうふうになりたいな、ああいう仕事ってどうやったらなれるのかなというふうに思うということがまずすごく重要なことだと思いますね。そう思った人たちが歩めるキャリアパスを我々がつくっていかなくちゃいけないわけですね。 なので、憧れの対象になるということがまず重要ですし、また、もう一つ私が今日申し上げているのは、憧れて入ったんだけど幻滅しちゃうということがあるわけですね。非常に憧れて、現場の人々のためにできると思ったら、ずっと事務所にいてロジばっかりやらされているとか、何か会計の計算ばっかりやっているとか、まあちょっとやや極端に言っていますけれども、それで嫌になっちゃって違う職場に行くような人も中にはいる。 もちろん、こういった、どの組織に行ってもそんなみんなが憧れるような仕事だけをやるわけにいかなくて、泥臭い仕事もやらなくてはいけないのが世の中だとは思いますけれども、やっぱり何かそういったその現場で働いている人の、その元々持っていた憧れとか情熱というのをいかに定期的に更新してリバイブしながらその業界全体を元気にしていくのかというのをみんなで考えていかないといけないなと思っていまして、やっぱりおっしゃるように、いわゆる待遇の問題もそうですけれども、ロールモデルのプレーアップというのはとても重要なことなんじゃないかな。 いろんな、まだ有名じゃないけれどもロールモデルにふさわしい方々というのは今そこらじゅうにいるんじゃないかと思うので、そういう方々を発見して、励まして、プレーアップしていくというのが一つ有効な手だてではないかというふうに思います。
○浜口誠君 ありがとうございます。 本当に、そういう方が日本社会で認められて、多くの若い人たち、あるいは子供たちがその人を目指して頑張っていくというようなスキームができるといいなというふうに思います。ありがとうございます。 続きまして、若林参考人にお伺いしたいと思います。 ワシントンにおられる頃にODAの御担当もされていたということですが、今のこの開発協力、日本の実態を御覧になられて、若林参考人として、やっぱり日本はもっとこういうところを開発協力でやるべきだという日本が強化すべきようなポイントがあれば、若林参考人の視点からアドバイス、御意見いただければと思います。
○参考人(若林秀樹君) 日本は、コロンボ・プラン加盟からずっと長年築いてきたODAの歴史がありますし、NGOも一九七〇年代ぐらいから活躍しているんですね。それはやっぱり現地との信頼関係が生まれているから今日になっているので、そこを大事にしながら、今後更に活躍できる環境を我々がどうつくっていくかが一つの大きな課題ではないかなと。それが一つ、やっぱりその労働環境なり、NGOに入ってくる人、国際協力に入ってくる魅力あるところにならないと、業界全体がやっぱり活性化しないんですよね。 だから、そういう意味で、その部分をやるということと、もう一つ、私は、日本全体の人的専門性をいかに育てるかということですね。 私は、国際協力に関わっていて、ワシントンに二回ぐらい行って、もう露骨に言われたことあるんです。これ正直に申し上げますと、日本は専門性がないと、よくこれでやっていらっしゃいますねみたいなところを。でも、JICAに入った人もみんなその基礎能力はあるんですよ。その後に、やっぱり管理業務とかマネジメントをやる方によって、結果的にそういう業務に従事せざるを得ない。これはある程度組織としての性格であるんだけれど、それをできる限り取り除いて、管理でやるんじゃなくて、国際協力というのは人を相手にするんですから、そこに専門性が生まれる、よりそういうところに関われるような環境をやっぱりつくってあげるという意味では必要になる。 そういう意味では、人材もそうですし、モビリティー、ですから、さっきの御質問にあったんですけれど、格差があり過ぎるんですよ。だって、民間企業行ったら倍の給料もらえたら来ないですよね。そしたらもう最初から来ないんですよ。昔はまあ途中までというのもありましたが、今は最初から来ないということでは、やっぱりその国際協力業界の危機です、私ははっきり言って、JICAさんもNGOも含めて。それをどうやって社会全体の中で解決していくかということを、単なるそこだけの問題じゃなくて、その捉え方を捉え直すということが重要かなと思っているんですが、結構これは深刻な問題ですから、人材も含めて。 それと、やっぱり開発教育ですね。小学校ぐらいから教育が大事なんだということがあると、あっ、やっぱりODAっていう開発協力って大事なんだということを感覚的に身に付けてそれで育っていくわけですよ。 だから、総合的な部分がありますので、単にこれだけやればいいというわけじゃないんですけれど、日本はこの開発協力の中で発揮できる力はまだポテンシャルありますので、是非そんなところをサポートしていただければなと思っています。
○浜口誠君 ありがとうございます。 しっかり今日の御意見踏まえて今後に生かしていきたいと思います。ありがとうございます。 続きまして、焼家参考人にお伺いしたいと思います。 今日の御意見の中に、国際機関の幹部職員をしっかり増やしていく必要があると、政府の働きかけもお願いしたいというような御意見いただきましたけれども、この国際機関の幹部職員をしっかりと増やしていくという視点は非常に重要だと思いますが、政府の働きかけ以外にこの幹部職員を増やしていくに当たって必要なこと、こういう点が重要ではないかというような御意見がありましたら是非お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(焼家直絵君) 私が組織にいて思うんですけど、やはり幹部職員になればなるほどだんだん競争がピラミッドの上のような感じですごく激しくなるというところもありますので、日本政府の働きかけだけではなく、日本の資金がどれだけその国際機関に行っているかとか、その資金面とか質、量、その辺も大分関係してくるとは思います。 それだけではなく、やはり先輩後輩という関係があるわけでもないんですけれども、やはりそういう上のポストを例えば何とか自分で上がっていって取った人とかがもうちょっと若い世代に還元するように、メンターといいますか、サポート的な関係をするように、もうちょっとしっかりその辺を、制度化するまですると大げさなので、そこまですると参加しにくくなるかもしれないんですけれども。 そういったいろいろ知見をもうちょっと共有するだとか、そういった日本人同士の中でのサポートというのもそんなにあるわけではない気もするので、もうちょっと、若い子を面倒見るというわけでもないんですが、そういった形のサポートがあってもいいかと思いますし、また、国際機関で働く人向けの講座とか、今たくさんオファーされているんだと思うんですけれども、その中で、幹部職員として求められる素質だとか、そういったことの例えば言える講座というのも開催するとか、いろいろもう少し、求められるものが変わってきたりもするので、その辺もみんなでしっかりサポートできるといいのではないのかなとは思います。
○浜口誠君 ありがとうございます。 もう中国なんかはかなりこういった戦略的に国際機関のポジションを取りに行っているというようなことも言われていますので、日本としても、今いただいた御意見も踏まえながら今後また議論もしていきたいと思います。 もう一度、若林参考人に、今日のお話の中で、NGOを通じた支援が日本は一・三%ということで非常に小さいというお話がございました。ちょっとびっくりするような状況ですけれども、このNGOを通じた支援を、開発援助を日本として拡大していくために、やはりこういった点をしっかりやることが拡大につながるんだというような具体的なアドバイスがありましたら是非お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(若林秀樹君) ありがとうございます。 中長的な日本の社会を考えたときに、市民社会組織はどうあるべきかというのは、いずれこの財政赤字の中で、国内外にかかわらず、国際的な協力のNGOだけじゃなく国内も含めて、どういうやっぱり仕組みが一番効果があって効率的なのかという観点からNGOの役割というのもだんだん見えてくるんじゃないかなと。 現実的に、まだNGOの存在感というのは弱いと思います、残念ながら。ただ、NGOにこういう国際協力はやろうと思っている人が入ってくる、夢を持って入ってくる、そういう人たちが活躍できるという意味においては、私はやっぱり、一つは、これ、残念ながらではないんですけど、労働条件をしっかり、企業に行ってもNGOに行っても国際機関に行っても差がないような幅に収める、全部一緒になるのは無理なので、一割、二割、三割ぐらいに収める。そのことによってモビリティーを付けて、そこで経験を積んで、もしかしたら政府に入ってきます。それは生きるわけですよね。 そういう社会を築き上げていくためには、お互いに協力して、NGOだから安くていいという発想は絶対やめてほしいんですよ。NGOの人は、みんな専門力を持って帰ってきているんですよ。もうかなりマスターを取って、欧米のマスターを取っている人いっぱいいるんですよ。ペイしないですよね、ちょっと言い方が悪いですけど。 でも、それはやっぱり夢と投資をしたということが見返りがあるような社会をある、それは、日本の成熟した社会にとってこれからの市民社会の活躍する場をどうつくるかというのは社会のある設計なので、これこそがやっぱり政治家の役割じゃないかなというふうには思っていますし、そこはやっぱり官僚の限界なんですよね。官僚はこれを、ペーパーでちょっと批判しましたけれど、持てる権限の中で精いっぱいやった結果がこれなんですよ。非常に大変だったと思いますよ。でも、それを乗り越えて日本の将来を考え、どうあるべきかというのを考えるのがここにいらっしゃる皆さん方ですので、是非そういうリーダーシップを発揮して頑張っていただきたいなと思っています。 日本の将来が懸かっています。よろしくお願いします。
○浜口誠君 貴重な御意見ありがとうございました。 終わります。
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。 四人の参考人の皆さん、本当に貴重な、そして参考になる御意見をいただいていますこと、ありがとうございます。 私は、ちょっと順番を変えて質問したいと思うんですけれども。 焼家参考人におかれましては、去年、ロシアのウクライナへの攻撃が始まって、そのときに私たちも街頭で募金訴えてすごい勢いで集まって、それをいろんな団体の皆さんに届けて歩いたときに、WFPの方にうちの山下議員が行ったときにちょうど焼家さんが対応してくださったということで、そのときにどういう活動をされているのかと聞いたら、やっぱり本当にちょっと想像以上というか、実際には、この避難されて外国に出た方のところにいろんな物資を届けたり食料支援しているのかなというふうに思っていたら、そうじゃなくて、まさにもう最前線に出て、本当にそういう意味では命懸けで物を届けておられると。場合によってはロシア軍とも交渉して攻撃するなよということで、そういう交渉もしながら出かけていっているんだという話を戻ってきて聞かされて、私自身も本当に驚きましたし、本当に大変な努力をされているということを大変感銘を受けました。 それで、その上に立ってなんですけれども、最初、焼家参考人と若林参考人にお聞きしたいんですけれども、世界各地でそういう支援活動をされてきている中で、やっぱりODA大綱の原則となってきたこの非軍事ですね、この非軍事ということが貫かれていることで果たされてきた役割というのは大きいんじゃないかと思うんですけど、それについて、是非それぞれお答えいただきたいと思います。
○参考人(焼家直絵君) ありがとうございます。 まず、昨年はウクライナ支援、本当にありがとうございました。また、今年も、トルコ、シリア御支援をいただきましたことにも重ねて感謝申し上げます。 非軍事ということなんですけれども、まさにそれは非常に重要でして、私どもの経験ですと、紛争地にやはりいるので、間違われると撃たれたりとかやっぱりすることが本当にあるといいますか、非軍事でやってはいるんですけれども、戦闘地域では、やはり停戦交渉の合間に支援を届けたりするときには、両方、武装勢力と軍部と政府勢力と両方と交渉したりしながらやるところで、やはり間違われると自分たちの危険にさらされるので、そこは非常に重要だとは思います。 一方で、災害支援のときに例えば日本でも自衛隊の皆様が大活躍していたりすることもありますけれども、災害支援のときに御協力、ロジスティックスの面で御協力関係を築いたりとか、そういうことはあります。 ですから、必要に応じて、軍事化とかいうのではないんですけれども、必要に応じてそういう必要な緊急の場で御協力関係というのを、パートナーシップというのを構築する場合もあり、それが支援の効率化だけではなく、実際に支援を可能にするということもあるので、そこは、必要なときは非軍事というのの理念に基づいた上で必要な支援活動をしていければとは思っております。
○参考人(若林秀樹君) 非常に難しい、悩ましい問題ではあるんですよ、実際には。やはり日本が果たしてきた戦後の役割を考えれば、非軍事原則を徹底するというのは、私は今でもそう思っています。 例えば、昨年、民主主義に関する国際会議二回出たんですけれど、世界からもうその分野でやっている人たちが出てきたんですね。民主主義というのはいかに壊れやすいか、もろいか。結局、目の前の人の命を守るためにはやっぱり軍事力が必要なんですよ。これはどう見ても否定し難い、今のこういう状況の中でですね。 そういう意味で、みんな民主主義は重要だと言いながらも、その横では軍事が必要だということをみんな声高に市民社会の組織も言うわけですよ。だから、これはミックスだと思うので、だからこそ民主主義なり人権の重要性は日頃の中でやっぱり説得し、その活動をしていくということは逆に重要だ、でも、あわせて、軍事の役割はあるんだということを一方でどう捉えるかが今我々にとって求められているんじゃないかなというふうに思います。 そういう意味では、やっぱりODAというのは本来の人間開発、人権保障というところがベースになっているのであれば、それをやっぱり徹底的にやるというのは一つの法則としては私はあっていいのではないかなというふうに思います。そのことが日本の中立性を守っているのは間違いないです。 ただ、一方では、例えばピースキーピングのオペレーションにおいても、日本ができることはやっぱりロジスティックの部分なんです。これ、すごいたけているんですよ。評価できるんです。ロジスティックスがあって初めて軍事の先頭に行く部分が成り立つんですね。そこをやっぱりどう捉えるか。それでも我々は軍事で後ろの方でやっているんだからいいんだということをどういうふうに捉えるかというのもこれは非常に悩ましい問題だとは思いますので、そういう意味では、国民的な議論、国際協力とやっぱり軍事の関わりについて議論が進んでいないんですよ、ここは。市民社会もそうなんです。 だから、ここをどう捉えるかというのは政治的な判断も含めて極めて重要な部分に来ていますので、そういう意味では、慎重な判断という意味では、単視眼的な政策でOSAに一回踏み切るということはどうなのかというのを私は現時点で思っていますので、もう少ししっかりした議論を徹底してやっていただきたいなというふうに思っています。 ちゃんとした答えになっていないのは分かっているんですけど、その悩ましい心の中で今最大限のお答えをしているところであります。
○紙智子君 それで、続けてなんですけれども、焼家参考人と若林参考人にお聞きしたいんですけど、今回、ODAの大綱案と同日に、今お話ありましたけど、OSA、政府安全保障能力強化支援の枠組みが公表をされました。それで、この枠組みは同志国とする軍に対して軍備の供与ができるというものになると。 四月二十五日、衆議院でも安全保障委員会で参考人の質疑がやられたときに、OSAというのが分断ということを結果として招いてしまう可能性がある、そこに大きな問題があるというふうな意見というか、そういう分断を危惧する意見が出されました。 ODAでこの非軍事の原則というふうに保ちながら、これからも継続なんだと言いながら、その一方でOSAによる軍備支援を行うということができるということが、これODAに、何というか、影響を及ぼすというか、形骸化していくということにならないのかというふうに思うんですけど、この点はいかがでしょうか。お二人からまたお聞きしたいと思います。
○委員長(三原じゅん子君) どちら。若林参考人。
○参考人(若林秀樹君) そうですね、そこも非常に悩ましいところでありますけれど、結果的には、今分断が起きている状況の中で、さらに今この段階でOSAに踏み切って軍事支援にやっていくんだということを出すことが日本の国益にとっていいのかどうかという判断ではないかなというふうに思っています。 ただでさえ、非軍事原則と言いながらも、船舶をやったらそれはもう向こうに使われるということがあり得るわけですよね。さらに、軍事支援であれば、もうそこは表裏一体と言えない、全体的な我々の日本の政府の支援としてそういうことに加担をするということになりますので、そこがやはり分断を招くということと同時に、我が国のODAのこれまで積み重ねてきた財産が壊れかねないというのは、私はやっぱりそのとおりだと思いますので、それを我々がどう考えるかというところなんですね。 市民社会も、これまでは平和運動の中で、基地問題もあれば、軍備増強反対とかいろんなことをやってきましたので、やっぱり一定の役割は果たしているんですけど、今まさに時代の転換期だと思いますので、新しいタイプのシビリアンコントロールはどうあるべきかというところもしっかりやっぱり議論しながら、我々は、これまで積み重ねてきた平和というものに対する財産を短期的な視点で壊しかねないので、そこだけはやっぱり慎重に議論してほしいなというふうに思っています。 取りあえず以上です。
○参考人(焼家直絵君) ODAという観点でいいますと、特に国際機関は人道主義、中立性、独立性というのを特に重視して活動しています。この大綱でもやはり人権問題を重視したり、そういったことが書いて、掲げられていますけれども、やはりそういった人道、中立、独立性の原則というのをODAでしっかり守りながら活動していくというのが大事ですし、そういった中で、日本の見える化だとか、日本の支援を実際にいただいて活動する立場としてはそういったところをしっかりと打ち出しながら、日本のその支援が実際に人々にどのようにそういった人権保護だとかそういった観点から還元されているかという、そういう人道原則に基づきながらしっかりODAを進めていくということが重要だと考えています。
○紙智子君 ありがとうございます。 引き続いて、焼家参考人にお聞きしたいんですけれども、SDGsの目標は二〇三〇年までに飢餓人口ゼロということを掲げていますよね。それで、食料が手に入らずに困っている国や人々がいる一方で、日本の今というのは、例えば物が余っていると、脱脂粉乳が余っているとかですね、そういう過剰になっているということがあるわけで、それで、去年、そうなんですけど、脱脂粉乳を、そういう食料を支援できないかという議論もありました。それに対して政府の答弁は、ニーズがないとできないのだと、それから衛生面や輸送や宗教的理由などで課題があるんだという答弁があったんですね。 そこで伺いたいんですけれども、大綱案は、外交のツールとして積極的に提案していくオファー型の支援をやるということが明記されたんですけれども、外交ツールというとどうしてもこの日本の外交戦略に沿ったオファーというイメージが強くなるわけなんですけど、この飢餓ゼロを目指すという、FAOの考え方である食料にアクセスできない人を何とかなくしていくというために、政府として積極的に支援、食料支援の諸課題の解決を提案をして、国々の皆さんとですね、NGOの団体の皆さんと協力しながら、そういう日本から食料支援という道筋ができるんじゃないのかなと思うんですけれども、この辺のところはどうでしょうか。
○参考人(焼家直絵君) そうですね、やはり飢餓ゼロの達成が大分、私たちはその目標達成に向けてまだ何とかならないかという思いでやってはいるんですけれども、現実的に困難な状況が続いていることは確かであります。ですから、そんな中、いろんな民間の資金、サポートも取り入れながらやっていく必要があるという状況ではあります。 そんな中、その支援ということを考えると、その国の状況、ニーズ、効率性というのを考えながらどういった形でいろんな支援、御寄附を活用していけるかというのはいろいろ今後もっと議論を進めていくところではありますし、国連組織の実際のそのキャパシティーだとか内部の規定などでいろいろな支援の仕方が可能であったり不可能であったりはするんですけれども、そういったところで一番限られたリソースで一番多くの人を支援できるということを目標にしながら、そこはしっかりとまた効率化に努めながら考えてやっていきたいところでは、考えていってしっかりやっていこうとは思っています。
○紙智子君 ありがとうございました。 それじゃ、ちょっと時間も来ましたから、最後に中西参考人にお聞きしたいと思うんですけれども、ロシアによるウクライナ侵攻が世界に与える影響というのは様々あるんですけれども、燃料とか肥料とか、それから物価の高騰で更なる困難状況を招いている国々があると思うんです。 国連報告書の世界の食料安全保障と栄養の現状二二年版では、二一年の飢餓人口が八億二千八百万人ということで、二〇年よりも四千六百万人、それから一九年よりは一億五千万人増加しているというふうに報告されています。国連によると、人道支援機関では、二二年は二億人以上を支援するために四百八十七億ドルを必要としているけれども、この目標額の三分の一しか調達できていないということで、昨年九月に報道されました。 それで、やっぱりこのままでは格差と貧困は拡大し続けることになると、一刻も早く止めなきゃいけないということで、国連のグテーレス事務総長なんかも、私たちは平和の分断を解消しなきゃいけないんだと、国際社会の団結の欠如というのは助けにならないわけで、やっぱり……
○委員長(三原じゅん子君) 申合せの時間が来ておりますので、おまとめください。
○紙智子君 あっ、時間ですね。 その点で、大綱の中に地域限定するようなFOIPというのが入っていて、このことがちょっと気になるというか引っかかっているんですけれども、これについて一言、最後お聞きしたいと思います。
○委員長(三原じゅん子君) 時間ですので、簡潔にお願いいたします。
○参考人(中西寛君) はい。 おっしゃるように、FOIP、自由で開かれたインド太平洋という言葉はありますが、個人的には、私は、これ地域というよりも、今、インド太平洋が世界の中で重要な、いろいろな意味で重要な地域になっていて、そこを中心に世界の課題を考えないといけないということで、決してグローバルなものを排除して特定の地域や国だけのことを考えるという概念ではないというふうに思っております。
○紙智子君 じゃ、終わります。
○大島九州男君 今日は、四人の参考人の皆様、ありがとうございます。 まず最初に、中西参考人にお伺いをしたいんですが、昨年十二月十六日に閣議決定された新たな国家安全保障戦略において、ODAとは別に、同志国の安全保障上の能力、抑止力の向上を目的として同志国に対して装備品、物資の提供やインフラの整備等を行う、軍等が裨益者となる新たな協力の枠組み、政府安全保障能力強化支援、OSAが設けられましたと。このOSAは、ODAとは別の枠組みであることから、政府が公表している開発協力大綱の改定案においてはOSAに関する記述はありませんが、同改定案においては現大綱にはなかった同志国と知見や資源等の共有及び連携を強化させていくとの記述が新たに盛り込まれております。 安全保障と親和性の高い要素が新たに加えられたということは、開発協力、ODAとOSAとの関連性を非常に感じさせるものですが、中西参考人の意見はどうでしょうか。
○参考人(中西寛君) 御質問ありがとうございます。 OSAという枠組みは今回新たに設けられたものですけれども、従来、先ほど来ミャンマーへ船舶が供与されたような話がありましたが、ODAの枠組みで一定の範囲内では行われてきたものをよりきちっと分けてOSAという形にするという意図が一つはあると思います。 それと併せて、今御質問にありましたように、ウクライナに対するロシア侵攻後の状況を受けて、安全保障強化のための供与という枠組みにもなっておりますが、これまで質疑にもありましたように、実際にそれをどういうふうに運用していくかは日本としていろいろ考えるべき課題であるというふうに率直に思っております。 軍でありますとか、あるいは安全保障でありますとか、そういう概念は、このODAが始まりました一九六〇年代の冷戦下の状況とは大きく変わっておりまして、必ずしも、軍事とそれから非軍事、あるいは民生というのが截然と区別されるわけではないということは、日本における震災時の自衛隊活動においても明らかであろうと思います。 そういう中で、人間の安全保障ですとか平和国家としての日本の理念と矛盾しないような形でOSAをどういうふうに使っていくかということは重要であり、また日本がそういうキャパシティーを持つということは重要でありますが、個々の局面でどういうふうに使っていくかということは、これから慎重かつ丁寧に検討されるべきであろうと思いますし、御言及がありました同志国という観点もいろいろな意味合いを踏まえて使われている言葉であろうと思いますので、必ずしも御懸念にあるいはありますかのような、日本が軍事援助する、それとODAを緊密にドッキングさせるというようなことを今の段階で念頭に置いているわけではないというふうに思います。
○大島九州男君 今の発言を受けて、若林参考人に。 今の段階においては持ってないけれどと。これは流れ的には、政府は、ODAとは別の枠組みと説明しながらも将来的にはOSAの比重を高めていく、だからこのOSAをODAと一体的に運用していくことを見据えていると。だから、今回大綱を改定して、そこにその同志国を入れているというのが私の基本的な見方なんですよね。何か大綱における非軍事原則に関する記述は一切変えることなく、OSAを創設することによって実質的にODAの非軍事原則を空文化させると、そういう狙いがあるんだと。 参考人各位においてはいろんな思いがあると思うんですけど、OSAの創設がこれまで平和国家として日本が地道に積み重ねてきたODAにすごい影響があると思うし、私が今まで、財務省が、新たに、じゃ、OSAやりましたからそこにOSAの枠組みで予算を付けましょうなんということは余り考えにくい。ODAの予算を徐々に徐々にOSAに持っていくという、僕はそういう懸念があるんですけど、若林さんはどうでしょう。
○参考人(若林秀樹君) その懸念は共有します、結論的には。 今回、その開発協力大綱の改定も、元々国家安全保障戦略の中からスタートをしておりますし、やっぱり財政的に厳しい中で外務省予算としてどう拡大していくかというところは、やはり現実的にODA予算がどんどん削減されている中で、OSAというところから新しい協力の予算が付き、それをやっぱり拡大していくというのは、役人であれば普通に考えざるを得ないなというふうに思っていますので、それがやっぱり外務省の考え方の根底に、私聞いていないですけれど、あるんじゃないかという意味での懸念は、懸念はやっぱり共有しますね。 ただ、現実的に、非軍事原則のODAとOSAが線で引かれるわけではないので、その相手国から見れば、両方、日本政府からもらったやっぱり協力活動なんですよ、支援なんですよ。だから、そういう意味では、せっかく築き上げてきたこれまでの平和主義に基づくODAの財産というものが壊れかねないということは非常に懸念していますので、それも政治の選択だと思いますが、我々はそこはやっぱり反対という立場を貫きたいというふうには思っています。
○大島九州男君 佐藤参考人にお伺いしたいんですが、昔のODAは、日本の、まあこれ私が言っているわけじゃなくて、日本のゼネコンさんに仕事を回すためにと。先ほど中西参考人が、誰かの利益になるようなODAというのがぴんときたんですけど、非常に分かりやすいといったら分かりやすいんですよね。 ところが、今言うように、OSAとこのODAがごっちゃになっていったら、これ、はっきり言って、受ける方は誰が利益を被るのというふうな非常に複雑な関係になるし、佐藤参考人が今までいろんな検証をしてきたことの検証も非常にやりづらくなるんじゃないかと思うんですが、先ほど私が訴えた懸念をどのように捉えられているか、お願いします。
○参考人(佐藤仁君) ありがとうございます。 そういった、今日の私のお話もそういうつもりでお話ししたんですけれども、この原理原則をどうするかという話と、それが現場にどう翻訳されて、それを誰がその現場に翻訳するのかという話が、まあ二つ層があると思うんですね。 なので、そのODAとOSAの関係に対する懸念、私も共有する面があるんですけれども、ここは、いかにしてその実施機関であるJICAの自律性を担保するのかというところが重要なんじゃないかなと思います。つまり、具体的にODAの案件をつくるJICAなり実施機関が上からの圧力によって言いなりになるようであれば、御懸念がそのまま現実になってしまいますし、何らかの方法によって実施機関が一定の自律性を維持できるのであれば、仮にその上にOSAとODAという線が曖昧なものが乗っかっていたとしても、かなりそれをブロックできる体制というものはできると思うんですね。 やっぱり私は、実施機関というのはある自律性を持って運用されるべきだと思うので、もちろんこれは、国、ここは先ほど上がっていた全体像の欠如という話とも関係するんですけれども、各実施機関がそれぞれ自分のビジョンを持って走っていってしまったら、国としては何なのというのはあると思うんですね。 だから、そこはちょっと単純な議論できませんけれども、やはりここにおいては、私は、自律機関の自律性というものが、あっ、実施機関の自律性を維持するというのがその非軍事原則を守る一つのとりでになるというか、防波堤になるし、そうしていくのがいいんじゃないかというふうに思っています。
○大島九州男君 焼家参考人、今の佐藤さんの御意見、まさしくそのとおりなんだけれど、結局受け取る側というか、その当事国、まあ言うなれば、皆さんが紛争地帯に食料を届けに行きますといっても向こうは、今までは日本の旗が立っていれば安全だという神話がもう今崩れたわけじゃないですか。だから、そうなったときに自分たちの活動も大変厳しくなるし、危険を感じたらやっぱりそんなところ行けませんよね。 それに、予算的にも、さっき言った人道支援みたいな、食料支援というよりも、そういう軍事的なところにこのODA予算が流れていったら非常に予算取るのが厳しいんじゃないかと、そういう懸念はなかったですか、この大綱を見て。
○参考人(焼家直絵君) この大綱自体を見てそういう議論と併せて考えたわけではない、ないんですけれども、国連としてはやはり国連の原則というのがありますので、人道主義、中立性というので。日本も国連に加盟して、ほかの国際、ほかの様々な各国の、同じ原則で活動している我々をその原則の中で支援していただいているということですので、ですから、国際機関としましては、その人道主義に賛同していただいて支援をいただいているというふうに考えていますので、それが一点と。 ただ、いずれにしても、いろいろな経済状況でODAを一気に増やすというのが難しい状況であるというのは承知はしているんですが、その中で、GNI比に比べてやはり日本のODA予算は大分低いですし、九〇年代から比べて大分削減されてはいるので、少しでも全体額が増えることが一番望ましいとは思っています。 その中で、国連機関としても、私たちがしっかりと支援をいただいて、それがいかに役に立っているかということをもっと発信して、日本の皆様からの御支援を賜ることがしやすい環境を広報活動などを通じてしっかり、しっかりそこは貢献できるところだとは考えています。
○大島九州男君 今、焼家参考人がおっしゃったように、この大綱を見てそれを余り感じないというような見方ができる大綱を作るんですよ。 要は、何が言いたいかというと、先日というか、今日もフリーランス法案という法案が新たに作られました。それは、インボイスとかそういうものが入ることによってフリーランスの不安があるからこれを何とか解消しなくちゃいけないなと、そういう目的があって作るわけですよね。 そうすると、この大綱を改定するというところに対して、じゃ、何で改定するかと、改定する目的があるんですよ。じゃ、そこに新たに加えられたものにそこの肝があるはずなんですね。ということは、それが同志国という、OSAという流れの中から来ているわけだから、もう当然その狙いと、それをみんなが感じ取らなきゃいけない。特にそういう平和活動とかそんな支援活動をしていらっしゃる方がこの大綱を見て、それを、ああ、これじゃ駄目だと、これじゃ自分たちの予算が増えることもないだろうと、逆にそういったところの予算が来るなと。だから、そういう声が上がって初めて、先ほど若林参考人とかがおっしゃるように動いていく可能性が出てくるわけですよ。 だから、それを我々政治家がしっかりそれをリーダーシップを持ってと言ってくださっているのは、そういうことに気付いてそれを発信してくれとおっしゃっているというふうに私は受け取るわけです。 だから、それを同じように、支援していただいている、現場で活動していただいている人たちにそのことをしっかり感じてもらって、それを発信してもらいたいと、私の思いはそういうことで、今日お集まりいただいた参考人の皆さんに逆にそういったことをこの大綱から感じていただきたかったと、そしてまたそれを発信していただきたかったという、そういう願いを持って質問させていただきました。 ありがとうございます。以上で終わります。
○高良鉄美君 沖縄の風の高良鉄美です。 今日は何の日でしょうというと、四月二十八日というと、沖縄がちょうど分離をされた講和条約の日ですね、発効した日です。その後、実質米軍統治ですね。その間に人権問題というのが出てきたので、復帰したのは五十年ちょっと前ですね。 そういう間にやったのは、やっぱり沖縄の問題ってどうするんだろうといったとき、日本政府に言ったけれども余り聞かなかったんですね、復帰の問題というのを。そこで、国際機関に訴えたんです、国連の方に。やっぱり国際機関に何か持っていくということは、この国全体のいろんなものが変わっていく可能性があるということを初めて六〇年代に見出したわけですけれども。 沖縄はそういった意味で歴史的にもちょっと古い、いろいろあるんですけれども、この沖縄県事務所が海外に六つぐらいあるんですよ。四十七都道府県でこんなに、韓国とか中国とか、あるいはアメリカ、台湾、そしてシンガポールとか、タイもあったかな、こういうようなのがあって、やっぱりそこの現地の考え方とくっついていくということがとても重要だなというようなのがあってこういう仕組みになっていると思うんですけれども。 中西参考人にお伺いしたいんですけれども、今回、この大綱の中で、NGOとかあるいは市民団体とか、こういうアクターを結構活用するというのがありましたけれども、ODAの中でですね、地方自治体の活用についてもありましたけれども、その辺はどういう中で考えられてお話が来たのかなというのを少しお話しいただけると有り難いです。
○参考人(中西寛君) ありがとうございます。 地方自治体との連携というのも前大綱から重視している柱ですが、引き続き重視しているということで、いろいろな角度での関わりがあると思います。とりわけ、今ちょうどその国際機関のお話がありましたが、外国人研修生の制度についても国際機関からの指摘も受けて変更が検討されているというふうに承知しておりますが、従来、日本から援助、支援のために行くという形が比較的多かったんですけれども、外国から受け入れるということも次第に増えてきて、JICA研修生というような枠組みで増えております。 そういうような仕組みと、それから外国人の方の様々な分野での活動というようなものを結び付けていくということもこれから必要になってくることだろうと思いますし、そういう場合に自治体レベルでの受入れ体制の拡充ということも問題になって、課題になってくるというふうに思います。 やはりJICAがやってきた活動という、まあJICAに限らないですが、日本の開発協力でNGOも含めてやってきた活動というのが点から線、線から面になっていかないといけない。それは、一九八〇年代、七〇年代に日本がやってきたその箱物であるとか教育であるとかそういうものの協力から生み出されてきた若い人材が、今度は日本に日本語の教育なども受けてやってきてくれるという形で日本と当該国や海外をつなぐ人材として育っていくという、そういうサイクルが徐々に見えてきた段階だと思うんですね。 そういう中で、地方自治体についても、この国際協力というのが単に海外のことだけではなくて、自分たちのその自治体レベルでの社会にも意味があることだという形で関わっていっていただければというふうに思っております。
○高良鉄美君 ありがとうございました。 ちょうど中西参考人の書かれた国際政治構造の長期的変化ということで一番最初に言われて、やっぱり西側主導のグローバリゼーションの深化、拡大というのがまあ二〇〇〇年までぐらいかなということで、やっぱりこの過去を見るというと、今、日本の状況がまだこの二〇〇〇年に入る前の状況をやっているのかなと思うんですね。 だから、このODAの考え方も、今回、大綱であるなら、その後のことを考えて大綱作らなきゃいけないけれども、そこの中で示されようとしているのは、やっぱり二〇〇〇年より前の姿勢の中でやっているんじゃないかと。私は中西参考人のちょうどこれ非常に参考になりまして、やっぱりそこかなというので、その辺りはどうでしょうか、まあちょっと答えにくいかもしれませんが。
○参考人(中西寛君) 御指摘ありがとうございます。 おっしゃられるところ十分に理解しているかどうか分からないですが、私もある程度共有している観点で、先ほどの最初のお話でも申しましたけれども、どうしても日本では、ODAとか開発協力というと、日本が先進国になって途上国を助けるんだという観点が強くて、それはもちろん、その緊急援助とか支援ということはもちろん必要なところも当然あります。しかし、日本が東日本大震災のときに各国から支援を受けた、それもいわゆる先進国だけではなくて途上国からも支援を受けたということがありますように、現代世界では、様々な形の支援、協力というのは、むしろ水平的な、お互いさまという形に現実になってきているんですね。 そういうような観点は、むしろ現場で開発協力に関わっている方はもう実感として持たれていると思うんですが、特に日本社会の中で、まだその開発協力というのは日本の中で支援すべきお金を外に回してしまっていて無駄じゃないかというような考え方があって、もちろんその考え方は一定程度重要で、いろいろな形で評価をしていくべきだと思いますが、むしろ、お互いさまといいますか、この協力は明日の日本にプラスになるんだという観点を政策をつくられる先生方、行政にももっと持ってもらいたいというふうには思っております。
○高良鉄美君 佐藤参考人にお聞きしたいんですけれども、やっぱりこの過去を見てということですね、これ非常に衝撃を受けまして、やっぱりつくっていくときには過去を見ないことには、先にぽっとね、理念とかも、これから先やることをつくっていっちゃいけないなというのがあって、日本のこのODAの過去という形を見たとき、今回それが生かされていくというような形で、先ほどのお話の中ではちょっとまだ見ていないんじゃないかと、ちょっと薄いんじゃないかとか、その辺のことがありましたけど、これもう少しお話あればお願いしたいんですが。
○参考人(佐藤仁君) ありがとうございます。 先ほども申し上げましたけど、やはり、毎年予算を取って何ぼの組織というのは、昔のことを一生懸命やるというよりも、次、予算を取るためにどんなことをしなくちゃいけないんだろうかというふうに頭が行くんだと思うんですね。そういうところに対して、いや、昔の話は役に立ちますよというのは、なかなか、ああ、そうですかといって終わってしまうところだと思います。 だから、これはそういうふうにして、まあ昔の話の出し方ですよね。つまり、それは将来のその日本の開発協力を方向付ける非常に財産なんだという形で日本の系譜、というのも、私、一か月ぐらい前にカンボジアに行ってやっぱり衝撃を受けましたけれども、あらゆる政府機関の立派な建物が中国によって建てられているんですよね。もう中国の援助がばんばんばんばん入っていて、日本ももちろんカンボジアはJICA事務所があってそれなりに援助していますけれども、かつて援助されていた国がもう今や援助国になって、タイも援助国になっていますから。単にその援助する国、される国というよりも、新たに援助に加わる国と日本がどうやって組んでいくのかというような新しい次元の協力関係というのはやっぱり考えていかなくちゃいけないなと思いました。 一点だけ。ちょっと、今の話とちょっと関係するかどうか分からないんですけど、難民の受入れですね。これもODAカウントされるというふうに、ちょっと私、今正確なこと申し上げられないんですけど、ODAカウントされると聞いたので、今後とても重要な課題として取り上げなくてはいけないと思って、ちょっとキーワードだけ、済みません、放り込ませていただきました。済みません。
○高良鉄美君 今、人材の育成の問題も出てきましたけれども、若林参考人の方から、結構、これを見て、夢を持っている若者が行けるかというのは、やっぱりこれまた衝撃を受けまして、これとても大事なことじゃないかなと。やっぱり、ODAの性質として外に向けてということが中心だったんですけれども、やっぱりこの日本の国内の、要するにODAをこれから担っていく人たち、あるいは国際社会に出ていく人たちに対する支援というのは非常に重要だと、やっぱりお聞きしまして思いました。 それと同時に、やっぱりこれまでやってきた外の人材ですね、国外の人材でこういった国際的な支援活動とかを両方でやっていくための予算とか財源というのが非常に必要だということを感じたんですけれども、そこの辺りのこの予算の出し方というんですかね、そこに何か参考になるようなことがあれば、よろしくお願いします。
○参考人(若林秀樹君) ありがとうございます。 社会課題解決をしたいというのは、若い人に限らず年配の私でも根源的な欲求なんですよね。でも、それをどう使っていいかという場がないんですよ。だから、学生はどこへ行ったらいいんだろうかと。NGOの接点も、意外とあるようでないんですよね。で、結局普通に就職をしてそういうことに携わらない、入ったものの余りにも格差があってびっくりして出ていっちゃうというところはありますので、そういう意味では、さっき浜口先生からもありましたけれど、やっぱりNGOの基盤強化というのも大事じゃないかなというふうに思っています。やっぱりNGOもまだまだ未熟なところもありますから、その基盤整備で、ファンドレイジングとかガバナンスとか、いろんなところの能力支援も政府もしていただければ有り難いなというふうに思っています。 その上で、そこからNGOを通じての国際協力が拡大していくんじゃないかなという意味での戦略性を持って、五年、十年単位でやっぱり立てて支援していただくということが重要じゃないか。その中で、夢が持てる、ああ、これだけの給与がもらえる、それで社会課題解決に携われると。その夢が持てるようなやっぱり場をつくっていくという意味では、やっぱりお金も大事ですけど、やっぱり夢というものが大事じゃないかなというふうに思いますし、若い人は若い人でいいんですけれど、年配の方も大事なんですよね。 今、私は、ある大学で六十歳ぐらいの人を教えているんですけど、国際協力論みたいに。みんなやりたいんですよ。どう関わっていいか分からない。これだけの経験と能力がある人を使わないでもったいないなというのが率直なあれなので、やっぱり全体的なバランスを取って、せっかくすばらしい人材がいる日本が活躍できる、夢を持ってできるような環境づくりを是非つくっていただきたいなと思っています。よろしくお願いします。
○高良鉄美君 ありがとうございます。やっぱり夢を持つってすごく大事なことだと思います。 私も、沖縄が復帰して五十年ということですけれども、十八歳のときに日本国憲法が適用されました。基本的人権というのが十八歳からしか適用されなかったんですね。やっぱりもう復帰というのに物すごい夢を持っていました。それをやっぱり日本社会がいろいろやっているんだろうなと思ったら、ちょっと違う社会でした。何か憲法がちょっと邪魔だなという人たちもいるし、何かそこはやっぱりちょっと違うと思いますね。 やっぱり外から見た場合と中から見た場合というのがあって、やっぱり憲法がある意味、外で活動を、国際協力をやるときに、日本の憲法はこうだからと言って、何か協力しやすいというんですかね、そういうような側面があるかなということで、焼家参考人の方にお聞きしたいんですけど。
○参考人(焼家直絵君) ありがとうございます。 国際機関の場合は、どの国という、憲法なり、どの国の色が余りなくて活動していますので、基本的には国連憲章の下で活動をしているという状況です。 ただ、一方で、日本国憲法というのは基本的人権、人権主義というものを掲げていますので、そういったところで国連憲章と共通している部分もありますので、やはり現場に行くと、すごく日本から、日本人というのはやはりすごくいい、中立的で人に優しいというすごくいい意味で見ていただいて、自分が現場にいたときにすごくそういった面では活動しやすいので、そういった面では日本という国の良さというのは現場ではすごく感じています。
○高良鉄美君 この文書を見ると日本の強みとか信頼とかそういうのがよく出てきますけれども、日本の強みは、簡単に言ってどんな、どこ、何なんでしょうかねというのを四名の方に一言ずつ、簡単で。済みません、時間ないと思いますが、よろしくお願いします。
○参考人(中西寛君) ありがとうございます。 やっぱり日本の強みというのは、庶民という、何というか分からないですけど、割と一人一人が道徳的だし、ある種の能力を持っている、そういうところで、外国から評価されるのもそういう日本人の人間性だろうと思いますので、そういう人たちが活躍できる体制というのがこの開発協力でも重要だと思います。
○委員長(三原じゅん子君) 申合せの時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
○参考人(佐藤仁君) はい。 私は、日本の強みは日本の発展経験だと思います。戦後、僅か平均寿命五十歳満たないぐらいだった国がこうやって豊かになった、これは一体どういうふうにしてそうなったのかという、その紆余曲折それ自体が、ネガティブな公害とかも含めて、その経験自体が私は強みであるし、強みにしなくてはいけないと思っています。
○参考人(若林秀樹君) 私は、やっぱり日本の人間性というんですか、日本人の。やっぱり相手を見て、相手の信頼感をつくりながら国際協力を、プログラムを実施していくというところがベースになっていますので、それがやっぱり現地の信頼感になっているんじゃないか、それを更に生かしていくことが重要かなと思っています。 以上です。
○参考人(焼家直絵君) 私は、やはり日本の和の精神で人を傷つけない、そういった優しさ、ハーモニー、そういったことが非常に海外でも受け入れられるところだと思います。
○高良鉄美君 ありがとうございます。 終わります。
○委員長(三原じゅん子君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。 参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時一分散会