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211回国会参議院2023/06/09

本会議 第31号

発言数
62
登壇者
19
会派数
8
開催日
2023/06/09

会議録

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。  この際、日程に追加して、  刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。齋藤健法務大臣。    〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕

齋藤健自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(齋藤健君) 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  性犯罪は、被害者の尊厳を著しく侵害し、その心身に長年にわたり重大な苦痛を与え続ける悪質、重大な犯罪であり、厳正に対処することが必要です。  平成二十九年には、刑法の一部を改正する法律により、性犯罪の構成要件を見直すなどの改正が行われましたが、同法の附則において、性犯罪における被害の実情や改正後の規定の施行状況等を勘案し、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加えることとされており、性犯罪について、被害の実情や事案の実態に即した規定とすることが求められています。  そこで、この法律案は、近年における性犯罪をめぐる状況に鑑み、この種の犯罪に適切に対処できるようにするため、刑法及び刑事訴訟法を改正し、所要の法整備を行おうとするものであります。  この法律案の要点を申し上げます。  第一は、性犯罪の罰則規定が安定的に運用されることに資するため、強制わいせつ罪及び準強制わいせつ罪並びに強制性交等罪及び準強制性交等罪をそれぞれ統合した上で、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態でのわいせつな行為又は性交等であることを中核とする要件に整理し、不同意わいせつ罪及び不同意性交等罪とするものであります。  第二は、若年者の性被害の実態に鑑み、現行法上十三歳未満とされている、いわゆる性交同意年齢について、十六歳未満とした上で、その者が十三歳以上であるときは、行為者が五歳以上年長である場合に処罰することとし、これにより、十三歳未満の者に対してわいせつな行為又は性交等をした者に加えて、十三歳以上十六歳未満の者に対し、わいせつな行為又は性交等をしたその者より五歳以上年長の者についても、不同意わいせつ罪又は不同意性交等罪として処罰することとするものであります。  第三は、若年者の性被害を未然に防止するため、わいせつの目的で、十六歳未満の者に対し、威迫、偽計、利益供与等の手段を用いて面会を要求する行為等を処罰対象とする罪を新設するものであります。  第四は、性犯罪の被害申告の困難性等に鑑み、性犯罪についての公訴時効期間を五年延長するとともに、被害者が十八歳未満である場合には、その者が十八歳に達するまでの期間に相当する期間、更に公訴時効期間を延長するものであります。  第五は、被害状況等を繰り返し供述することによる心理的、精神的負担を軽減するため、いわゆる司法面接的手法を用いて被害者から聴取した結果等を記録した録音・録画記録媒体について、一定の要件の下、反対尋問の機会を保障した上で、主尋問に代えて証拠とすることができることとするものであります。  このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。  政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院において附則について一部修正が行われております。  その内容は、第一に、政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、速やかに性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加え、必要があると認めるときはその結果に基づいて所要の措置を講ずるものとし、また、この検討がより実証的なものとなるよう、性的な被害の実態について必要な調査を行うものとすること、第二に、政府は、この法律による改正後の規定等の趣旨及び内容について国民に周知を図るものとすることです。  以上が、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)     ─────────────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。福島みずほ君。    〔福島みずほ君登壇、拍手〕

福島みずほ立憲民主・社民

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  私は、立憲民主・社民会派を代表し、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  まず冒頭、昨日の法務委員会での入管法改悪法案の強行採決と、本会議において採決が行われ成立させようとしていることに強く抗議をいたします。  入管法改悪法案の立法事実は崩壊をしました。難民認定制度が全く機能していないことが明らかになりました。難民申請する人たちの中にほとんど難民はいないということの根拠がないことが明確になりました。にもかかわらず、二回難民申請をすれば、三回目申請中でも本国に送還するとなれば、難民の人をまさに本国に送る危険性があります。命の危険が発生します。国会議員の皆さん、死刑執行のボタンに、押す共犯者にどうかならないでください。入管法改悪法案に反対してくださるよう強く求めます。  性犯罪、性暴力は被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、心身に深刻な影響を与えるものです。魂の殺人です。  国連は、一九九三年、女性に対する暴力の撤廃に関する宣言を採択しました。女性に対する暴力は人権侵害であると考えますが、法務大臣、男女共同参画担当大臣、いかがでしょうか。  そして、そのためにどのような施策を行ってきたか、法務大臣、男女共同参画担当大臣、お聞かせください。  ヨーロッパ評議会は、二〇一一年に女性に対する暴力とドメスティック・バイオレンス防止条約、いわゆるイスタンブール条約を採択をしました。二〇二三年二月現在、四十四か国とEUが署名をしています。日本はヨーロッパ評議会のオブザーバーステータスを持っている国です。また、日本もこのイスタンブール条約を批准することができます。法務大臣、日本も批准するよう検討すべきではないですか。  そして、ILO百九十号条約、仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約を批准すべきではないでしょうか。検討状況について厚生労働大臣にお聞きをいたします。  イスタンブール条約は、女性及び女子がジェンダーに基づく暴力にさらされるおそれは男性より大きいと述べています。性差別のある社会では、女性は専ら性的存在として扱われ、同意のない性的行為が強制されます。性的行為の同意以前に、日常的にそもそも女性はどうしたいかと聞かれ、その意思が尊重されることが少ないように思います。対等な存在としてリスペクトされることがまだまだ少ないのです。  性暴力は、なかなか性暴力として認識されず、また被害者に落ち度があるという考え方がまだまだ根強いです。被害者は恥として自分の被害を言うことができず、話題にもできず、また理解をされません。  また、家の中での性暴力、職場や学校におけるセクシュアルハラスメント、電車や映画館や様々なところで遭う痴漢、就活ハラスメント、ドメスティック・バイオレンス、ごくごく小さいときから性的なからかい、性的な値踏み、性暴力にさらされ、レイプカルチャーの中で、そのようなものが空気のように充満しているところで生きていきます。  女性、女子に対する全ての暴力、性暴力を根絶する決意を、法務大臣、男女共同参画大臣にお聞きいたします。  イスタンブール条約は、レイプを含む性的暴力について、同意なしの性的行為と定義していることは重要です。ノー・ミーンズ・ノー、イエス・ミーンズ・イエスです。本人の同意のない性的行為は、本人の性的自由を侵害するという理解でよろしいですか。一緒に食事をしても、お酒を飲んでも、一緒に部屋に帰っても、ホテルに行っても、性的行為について同意があるのではないということでよいですね。これらの二点について法務大臣にお聞きをいたします。  性犯罪が成立するためには、判例は、その手段たる暴行、脅迫が、少なくとも相手方の反抗を著しく困難にさせる程度のものであることを要するとしていました。暴行、脅迫が相手方の反抗を著しく困難にする程度のものではないとして、性犯罪が無罪になったケースが幾つもあります。  二〇一九年三月、名古屋地方裁判所岡崎支部の判決は、実の父親による性交に娘が不同意であったことを認定しながら、抗拒不能ではなかったと父親を無罪にしました。この月に無罪判決が相次ぎ、四件続き、衝撃を与えました。性暴力の根絶を願うフラワーデモが全国に広がりました。  今回の刑法改正が、強制性交等罪を不同意性交等罪と名称を変更し、同意のない性的行為を問題としていることの意味について、法務大臣に説明を求めます。  何をもって同意とするのか。この法案で、同意のない性交等が適切に処罰をされるということでよいでしょうか。よいですね。これら二点について法務大臣にお聞きをいたします。  十三歳以上に対し、暴行や脅迫を用いてという要件から、十六歳以上に対し、次の類似した行為、事由やこれらに類する行為、事由により、性交等に同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態にさせ又はその状態に乗じてに改めて、八つの事例を列挙したことの趣旨を、法務大臣、御説明ください。  刑法は国家権力が人を処罰する基本法です。憲法三十一条の罪刑法定主義に基づき、構成要件の明確化が厳しく求められます。捜査機関や裁判所における恣意的な運用を許さず、国民に何が処罰されるのかあらかじめ明確に示しておくことが必要です。  次の類似した行為、事由やこれらに類する行為、事由によりという文言があります。他方、法案で不同意性交等罪について八つの事由を列挙したことで、分かりやすくなった面はあります。  例えば、地位利用ということでいえば、私は、職場のセクシュアルハラスメント、学校の中のセクシュアルハラスメントの裁判を弁護士としてやってきました。上司と部下、大人と子供、男性と女性、クラブの、例えば部活の顧問と部員など、力関係の差を背景に、地位利用で行われる性暴力は抵抗することができないという深刻さがあります。構成要件の明確性という面と例示によって分かりやすくなった面の両方の観点からの答弁を法務大臣に求めます。  また、犯罪をなくすためにも不同意性交等罪にしたことの意味を社会的に広く広報する必要があると考えますが、法務大臣、いかがですか。  配偶者間でも不同意性交等罪が成立するとしたことの趣旨について、法務大臣、御説明ください。  かつて配偶者間で強姦罪の成立を認めた判例はあります。別居している妻を連れ戻す過程で車中で他の男性と一緒に輪姦したという例です。このように極端なケースではなくても、一般的に配偶者間でも不同意性交罪が成立するということでよいですね。法務大臣、お答えください。  十六歳未満に対する性交等は、成立要件を満たさなくても処罰対象となります。その理由について、法務大臣、御説明ください。  また、十三歳から十五歳は、年齢の低い場合には免責し、処罰は五歳以上の年長者に限るとした理由について、法務大臣、御説明ください。  公訴時効の延期についてお聞きをいたします。  性被害は、大人であっても子供であっても、子供であればなおさら被害を犯罪と認識できなかったり、自分も悪かったのではないかと自分を責めたり、余りに傷ついて沈黙を強いられたり、加害者が身近な人であればあるほど被害を訴えられないという状況にあります。苦し過ぎてその苦しさを語れないという苦しみがあります。  公訴時効の延長の趣旨について、法務大臣、御説明ください。  同意のない性的な行為は性暴力であり、相手の同意は尊重しなければなりません。そのためには性差別を根絶する必要があります。また、自分の人権と相手の人権を尊重する人権教育としての性教育が必要です。  知的障害などを持つ障害者の人は性暴力に遭いやすいというアンケート結果があります。だからこそ、七生養護学校で性教育が行われていました。しかし、そのことがたたかれ、日本の性教育は冬の時代を迎えます。  性教育について、学習指導要領には、小学五年生の理科では、人の受精に至る過程は取り扱わないものとする、また、中学一年の保健体育科では、妊娠の経過は取り扱わないものとするとされています。つまり、学校教育の中で性交は扱わないものとなっています。しかし、これでは妊娠や性交を理解することにはなりません。改善の必要があると考えますが、男女共同参画担当大臣と文部科学大臣、いかがでしょうか。  ユネスコの包括的性教育ガイダンスに立脚した性教育がなされるべきではないでしょうか。男女共同参画担当大臣、文部科学大臣にお聞きをいたします。  男性の性被害についてお聞きをいたします。  フランスのカトリック教会の神父らが二十一万六千人の子供たちに性的虐待を加えたとする報告書が二〇二一年十月五日に公表されました。七十年間にわたり、二千人から三千二百人の聖職者が関与したということです。被害者の八割は少年で、大半が十歳から十三歳の頃に被害を受けています。フランスのカトリック教会から依頼を受けた独立調査委員長は、二〇〇〇年代初めまで、被害者は深く、完全に、残酷なまでに無視されていたと指摘をしています。  元ジャニーズ事務所に属していた人たちが、性被害を訴えました。私たちは、性被害の訴えや報道を無視することで性被害の共犯者になってきたのではないでしょうか。ジャニーズ事務所の創設者に対し、被害者たちの証言を前提とすれば、現行法でどのような法的処置が可能だったのか、改正法案が成立すればどのような条文が対象になるのか、法務大臣、お聞かせください。  内閣府は、二〇二一年に男女間における暴力に関する調査を発表しました。男女の被害に関する質問項目がありますが、男性が性暴力被害を認識、相談しなかった理由は、自分さえ我慢すれば何とかこのままやっていける、相談しても無駄だと思った、世間体が悪いなどがあります。  男性の性被害について、厚生労働省は二〇二二年度から実態調査に乗り出しました。調査の結果と取組について、こども政策担当大臣、男女共同参画担当大臣にお聞きをいたします。  LGBTQの人たちの性被害についてお聞きをいたします。  神奈川県は二〇一九年から性暴力被害に関するワンストップ支援センター内に性的少数者を対象にした男性及びLGBTs被害者のための専門相談ダイヤルを開設し、相談者が対応しています。担当者によると、過去の被害をやっと打ち明けられたと話す人もいるそうです。  政府の取組がどうなっているのか、男女共同参画担当大臣についてお聞きをいたします。  性犯罪、性暴力のためのワンストップ支援センターの支援についてお聞きをいたします。  とりわけ病院拠点型のワンストップ支援センターや提携病院を擁するワンストップ支援センターは、被害者に対する医療的支援のネットワークの核になっており、極めて重要な役割を果たしております。  政府の更なる支援が必要だと考えますが、男女共同参画担当大臣、いかがですか。  伝聞証拠の取扱いの例外についてお聞きをいたします。  刑事訴訟法における証拠は公判廷において反対尋問による検証を経るのが原則であり、原則として公判廷外供述は証拠能力を持ちません。  法案は、なぜ聴取対象を子供や障害者、性犯罪被害者に限定せず、文言上全ての犯罪類型のあらゆる関係者に適用することを可能とするのでしょうか。性犯罪の被害に乗じて伝聞証拠の例外の拡大を余りに進めるもので問題だと考えますが、いかがですか。法務大臣にお聞きをいたします。  もしこの社会から女性や子供に対する暴力がなくなったら、どれだけこの社会は変わるでしょうか。全ての子供が幸せだと思える子供時代を送ることができたら、この社会は根底から変わると確信をしています。  最後に、男女、LGBTQを問わず、子供たちの性暴力をなくすために何ができるか、男女共同参画担当大臣、こども政策担当大臣、文部科学大臣に決意をお聞きをいたします。  全ての暴力をなくすよう政治は全力を尽くすべきだと申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕

齋藤健自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(齋藤健君) 福島みずほ議員にお答え申し上げます。  まず、女性に対する暴力は人権侵害であるという考えについてお尋ねがありました。  女性に対する暴力は、その女性の人権を著しく侵害するものであって、我が国が男女共同参画社会を形成していく上でも政府一丸となって克服すべき重要な課題であると認識しています。  次に、女性に対する暴力を防止するための施策についてお尋ねがありました。  令和二年十二月に閣議決定された第五次男女共同参画基本計画には、女性に対するあらゆる暴力の根絶が掲げられており、法務省を含む関係府省庁においてこれに沿った取組が行われてきたものと承知しています。  特に、性犯罪、性暴力については、女性に対するものだけでなく、男性に対するものも含めてその対策を進めるため、性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議において、令和二年六月に性犯罪・性暴力対策の強化の方針が、令和五年三月に性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針が策定され、関係府省庁においてこれらの方針に沿った取組が行われてきたものと承知しています。  法務省においては、性犯罪に厳正かつ適切に対処できるよう所要の検討を進め、今般の二つの法律案を提出するなど、性犯罪・性暴力対策強化のための様々な取組を行ってきたところでございます。  次に、イスタンブール条約についてお尋ねがありました。  御指摘のイスタンブール条約は、女性に対するあらゆる暴力やドメスティック・バイオレンスの防止、被害者の保護、違反者の訴追等が規定されているものと承知しております。本条約の締結に関する所要の検討は、条約等の締結を所掌する外務省において関係省庁と連携しながら行われるものと承知しており、法務省としても必要な協力を行ってまいります。  次に、女性、女子に対する暴力、性暴力の根絶に向けた決意についてお尋ねがありました。  私としては、関係府省庁とも連携しつつ、先ほど申し上げた取組等を着実に実施し、女性に対する暴力や性暴力の根絶に向け、引き続き全力で取り組んでまいりたいと考えています。  次に、同意のない性的行為についてお尋ねがありました。  性犯罪の本質的な要素は、自由な意思決定が困難な状態で性行為を行うことであり、そのような行為は被害者の性的自由や性的自己決定権を侵害するものであると考えています。  次に、一緒に飲食するなどの行為が性的行為についての同意があることを意味するかについてお尋ねがありました。  不同意性交等罪などの犯罪の成否は、個別の事案ごとに、収集された証拠に基づいて判断されるべきものですが、御指摘のような行為をする際に、その行為をすることに同意していただけであれば、それをもって性的行為についての同意があることにはならず、同意しない意思の形成、表明、全うが困難な状態で性的行為が行われた場合には、不同意性交等罪などが成立し得ると考えられます。  次に、強制性交等罪から不同意性交等罪への改正の意味についてお尋ねがありました。  本法律案においては、現行の強制性交等罪及び準強制性交等罪について、より明確で判断のばらつきが生じない規定とするため、性犯罪の本質的な要素が自由な意思決定が困難な状態でなされる性的行為であるという点を、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態という文言を用いて統一的な要件として規定し、これに伴い、強制性交等罪と準強制性交等罪を一つの罪に統合することとしています。そして、このような文言を用いた要件とすることに鑑み、いわゆる罪名については不同意性交等とすることとしています。  次に、何をもって性的行為の同意とするのかとのお尋ねがありました。  お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではありませんが、本法律案におきましては、同意していないこと自体を要件とするのではなく、自由な意思決定が困難な状態で性的行為を行うことが性犯罪の本質的な要素であるとの考えの下、同意しない意思、すなわち、性的行為をしない、したくないという意思を形成、表明、全うすることが困難な状態であることを中核的な要件として定めることとしています。  次に、同意のない性的行為の処罰についてお尋ねがありました。  本法律案においては、先ほどお答えした性犯罪の本質的な要素を、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態という文言を用いて統一的な要件として規定した上で、その状態の原因となり得る行為や事由を具体的に列挙することとしています。これにより、現行法の下でも本来なら処罰されるべき同意していない性的行為がより的確に処罰されるようになると考えています。  次に、暴行又は脅迫を用いてとの要件を改めることとした趣旨についてお尋ねがありました。  現行の刑法第百七十七条の暴行又は脅迫を用いてとの要件につきましては、判例上の解釈として、抗拒を著しく困難にさせる程度であることを要するとされていることなどから、個別の事案において犯罪の成立範囲が限定的に解されてしまう余地がある、安定的な運用を確保する観点からは、処罰すべき行為を適切に捕捉しつつ、判断にばらつきが生じない規定とすることが重要であるといった指摘がされています。  そこで、本法律案においては、より明確で判断にばらつきが生じない規定とするため、この要件を改め、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態と規定した上で、その状態の原因となり得る行為や事由を具体的に列挙することとしています。  次に、不同意性交等罪の要件について、分かりやすさと明快性の観点からお尋ねがありました。  本法律案においては、不同意性交等罪について、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態であることを中核的な要件として規定した上で、その状態の原因となり得る行為や事由を具体的に例示列挙することとしており、これにより、個別具体的な事案ごとに、どのような場合に同罪が成立するかの判断が容易かつ安定的に行い得ると考えています。  そして、原因となり得る行為、事由において、その他これらに類する行為又は事由と規定していますが、同罪の成否は、中核的な要件である先ほど申し上げた状態にあるかどうかによって決せられるものである上、その他これらに類する行為又は事由とは、列挙された行為、事由ごとに見たときに、それぞれに類する行為、事由という意味であり、その範囲は不明確ではないことから、構成要件の明確性に問題はないと考えています。  次に、不同意性交等罪の趣旨等の広報についてお尋ねがありました。  本法律案については、衆議院における御審議の結果、附則について一部修正が行われ、政府は、改正後の規定等の趣旨及び内容について国民に周知を図るものとされています。  法務省としては、本法律案が成立した場合には、附則の趣旨を踏まえ、不同意性交等罪の趣旨や内容についても、関係府省庁、機関や団体と連携しつつ、適切に周知広報してまいりたいと考えています。  次に、配偶者間においても不同意性交等罪が成立するとしている趣旨についてお尋ねがありました。  現行の刑法の下においても、婚姻関係の有無は強制性交等罪の成立に影響しないとする見解が一般的であり、実務においてもそのように理解されています。もっとも、この点は条文上明示されておらず、学説の一部には、配偶者間における性犯罪の成立を限定的に解する見解もあります。  そこで、本法律案においては、不同意性交等罪が配偶者間においても成立することを条文上明確にするため、改正後の刑法第百七十七条第一項において、婚姻関係の有無にかかわらずこの罪が成立し得ることを確認的に規定することとしています。  次に、配偶者間において不同意性交等罪が成立する範囲についてお尋ねがありました。  先ほど申し上げましたとおり、改正後の刑法第百七十七条第一項において婚姻関係の有無にかかわらずとしているのは、婚姻関係の有無が不同意性交等罪の成立に影響しないことを条文上確認的に明確化するものであり、配偶者間であっても、同項の要件を満たすものであれば同罪が成立し得ることとなります。  次に、十六歳未満の者に対する性交等をそれ自体として処罰対象とする理由についてお尋ねがありました。  十六歳未満の者は、性的行為について有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠けると考えられ、そのような者に対する性的行為は、暴行等の意思決定に影響を及ぼすような状況がないとしても、性的自由、性的自己決定権という保護法益を侵害すると考えられます。そこで、改正後の刑法第百七十七条第一項、第二項の要件を満たさなくても、性的行為をしたこと自体で処罰対象とすることとしています。  次に、いわゆる性交同意年齢を引き上げる改正における年齢差の要件についてお尋ねがありました。  十三歳以上十六歳未満の者は、おおむね中学生の年齢層であり、性的行為に関する能力のうち、相手方との関係において、性的行為が自己に及ぼす影響を理解し、対処する能力が十分に備わっておらず、対等な関係の下でなければ、性的行為について有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠けると考えられます。  そして、一般に、相手方との年齢差が大きくなるほど、両者の社会経験等の差異により対等な関係でなくなると考えられるところ、いわゆる性交同意年齢の規定は、性的行為をしたこと自体で性犯罪が成立するものとする規定であることから、その年齢差要件については、刑罰の謙抑性の観点から、双方の年齢が要件を満たすだけでなく、例外なく対等な関係はおよそあり得ず、有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠けると言えるものであることが必要と考えられます。  そこで、本法律案におきましては、心理学的、精神医学的知見も踏まえ、五歳以上年長であることを要件としているものであります。  次に、性犯罪の公訴時効期間を延長する趣旨についてお尋ねがありました。  本法律案において、性犯罪について、一般に、その性質上、恥の感情や自責感により被害申告が困難であることなどから、他の犯罪と比較して類型的に犯罪が潜在化しやすいことを踏まえ、訴追可能性を適切に確保するため、公訴時効期間を延長することとしています。  次に、個別の事案を前提とした現行法及び本法律案による改正後の条文の適用についてお尋ねがありました。  個別の事案における犯罪の成否については、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄であり、法務大臣として言及することは差し控えたいと思います。  その上で、あくまで一般論として申し上げれば、現行の刑法においては、暴行又は脅迫を用いたり、抗拒不能に乗じるなどして性的行為をした場合のほか、十三歳未満の者に対して性的行為をした場合、強制わいせつ罪、強制性交等罪などが成立し得ることとされています。  また、本法律案による改正後の刑法においては、所定の原因行為、事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて性的行為をした場合のほか、十三歳未満の者に対して性的行為をした場合、十三歳以上十六歳未満の者に対して五歳以上年長の者が性的行為をした場合に不同意わいせつ罪、不同意性交等罪が成立し得ることとなります。  次に、改正後の刑事訴訟法第三百二十一条の三第一項の対象者の範囲についてお尋ねがありました。  同条は、聴取を受けた者が更に公判期日において供述する場合に生じる心理的、精神的負担の軽減を図るため、いわゆる司法面接的手法による聴取の結果を記録した録音・録画記録媒体を公判に顕出するための新たな伝聞例外を設けるものです。  そして、このような負担軽減の必要性があり、かつ司法面接的手法を用いることにより信用性が担保されるのは、お尋ねのような性犯罪の被害者等に限られるものではないと考えられます。  そこで、対象者の範囲については、性犯罪の被害者のほか、さらに、公判準備又は公判期日において供述するときは精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者も対象としているものであります。  次に、改正後の刑事訴訟法第三百二十一条の三第一項が伝聞例外を不当に拡大しないかとのお尋ねがありました。  いわゆる伝聞証拠には原則として証拠能力が認められず、その理由については、一般に、伝聞証拠が供述内容の真実性を吟味、確保するための要素を欠くことにあるとされていますが、現行の刑事訴訟法においても、証拠としての必要性と信用性の情況的保障の強弱の兼ね合いにより、伝聞例外として証拠能力を認める要件が定められています。  改正後の刑事訴訟法第三百二十一条の三においては、証拠としての必要性に関する要件として、性犯罪の被害者等の供述であることを定めるとともに、信用性の情況的保障に関する要件として、司法面接的手法の中核的な要素である所定の措置が特にとられたこと、聴取に至るまでの情況その他の事情を考慮し相当と認められること、聴取の全過程を録音、録画すること、訴訟関係人に証人尋問の機会を与えることを定めており、これらの要件の兼ね合いにより、証拠能力を認める要件として十分なものとなっており、伝聞例外の範囲を不当に拡大するとは考えていません。  最後に、改正後の刑事訴訟法第三百二十一条の三の運用における聴取主体についてお尋ねがありました。  同条における証拠能力の要件においては、聴取主体がどのような立場であるかではなく、司法面接的手法において求められる措置がとられたことこそが重要であり、かつそれで足りることから、聴取主体の限定はしていません。  現在の運用においては、検察、警察、児童相談所が連携し、代表者が聴取を行うなどの取組を実施しているものと承知しており、これらとは別の者が聴取主体となることについては、司法面接的手法による聴取を効果的に行うためには福祉と捜査の双方に習熟している立場の者が聴取することが適切であるとの指摘がある中で、これにふさわしい者が具体的に想定できるのかといった点などが課題になると考えられます。  そのため、御指摘の点については、今後の運用状況も踏まえて慎重に検討すべきものと考えています。(拍手)    〔国務大臣小倉將信君登壇、拍手〕

小倉將信自由民主党・無所属の会内閣府特命担当大臣(こども政策・少子化対策・若者活躍・男女共同参画)

○国務大臣(小倉將信君) 女性に対する暴力に関する認識と施策についてお尋ねがございました。  女性に対する暴力は、個人の尊厳を踏みにじる重大な人権侵害であり、決して許すことのできないものです。その根絶を図ることは、男女共同参画社会を形成していく上で克服すべき重要な課題であり、政府としては、これまで累次にわたる男女共同参画基本計画において重要分野と位置付け、取り組んできたところです。  令和二年に策定した現行の第五次男女共同参画基本計画においても、女性に対する暴力をなくす運動を始めとする広報啓発により暴力を容認しない社会規範の醸成を図るとともに、性犯罪、性暴力、配偶者等からの暴力、ストーカー事案などへの対策を総合的に推進しております。  女性、女子に対する全ての暴力、性暴力の根絶についてお尋ねがありました。  先ほど申し上げたとおり、女性に対する暴力は、個人の尊厳を踏みにじる重大な人権侵害であり、決して許すことのできないものです。そのため、男女共同参画基本計画等に基づき、引き続き女性に対するあらゆる暴力の根絶に向けて政府を挙げて取り組んでまいります。  その中でも、性犯罪、性暴力への対策については、本年三月、性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針を取りまとめ、今年度からの三年間を更なる集中強化期間と位置付けたところです。同方針に基づき、性犯罪、性暴力の根絶に向けた取組や被害者支援の充実を一層強化してまいります。  学校教育における性教育の改善の必要性及びユネスコの包括的性教育ガイダンスに立脚した性教育の必要性についてお尋ねがありました。  学校における教育は文部科学省の所管であり、私の立場からお答えをすることは差し控えます。  なお、学校における性に関する指導は、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切に行動を取れるようにすることを目的に実施されていると承知しており、その目的に照らして必要な教育が行われることが重要だと考えております。  男性の性被害の実態調査についてお尋ねがありました。  女性や女児だけではなく、男性や男児の性被害や親からの性虐待等についても、医療機関や行政機関はこれを早期に把握し、適切な支援につなげていく必要があります。  このような中、令和四年度から令和六年度の三年間の計画で、DV・性暴力被害者の医療と連携した支援体制の構築のための研究を実施しているところです。この研究では、小児科医、産婦人科医、泌尿器科医等に対し、男性を含む性暴力被害者の対応経験等に関するアンケート調査等を行い、医療機関や行政機関が連携して支援するための手引きの作成等を行う予定としています。  現在、研究は途中の段階ではありますが、こども家庭庁としては、研究者から研究の進捗状況を適宜ヒアリングしながら、その知見を施策に生かしてまいりたいと考えております。  性的マイノリティーの方々の性被害に対する取組についてお尋ねがありました。  性犯罪、性暴力は、誰に対するものであれ、被害者の人としての尊厳を傷つけ、心身に深刻な影響を与えるものであり、被害者に寄り添った支援を提供することが重要と認識しています。  内閣府においては、ワンストップ支援センターを設置する都道府県等に対する交付金において、男性、セクシュアルマイノリティーへの相談対応を先進的な取組の一つに位置付け、各センターの取組を促すとともに、センターの相談員等に対して実施している研修においても、多様な被害者への相談対応について取り上げているところです。  引き続き、性的マイノリティーの方々を含め、多様な被害者がためらうことなく被害を訴え、相談し、適切な支援を受けることができるよう、必要な取組を進めてまいります。  ワンストップ支援センターへの支援についてお尋ねがありました。  性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターは、被害直後からの医療的支援、法的支援、相談を通じた心理的支援などを可能な限り一か所で提供する機関であり、全ての都道府県に設置されています。  内閣府においては、ワンストップ支援センターを設置する都道府県等への交付金を通じて、センターの運営の安定化や被害者支援機能の強化等を支援をしており、中でも拠点となる病院を有するセンターについては、基準額を加算する措置を講じることにより、その運営を特に支援しているところです。  引き続き、本交付金の活用により、拠点となる病院を有するセンターを始め、ワンストップ支援センターの支援に取り組んでまいります。  最後に、子供たちの性暴力をなくすための決意についてお尋ねがありました。  性犯罪、性暴力は、子供の心身に有害な影響を及ぼし、かつその人権を著しく侵害する極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではないと認識しております。  政府としては、本年三月に取りまとめた性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針に基づき、刑事法の改正に係る対応、再犯防止施策の更なる強化、被害申告、相談しやすい環境の整備、切れ目ない手厚い被害者支援の確立などに取り組んでいます。  とりわけ、子供に対する性被害については、昨年取りまとめた子供の性被害防止プラン二〇二二に基づき、児童の性的搾取等の撲滅に向けた国民意識の向上、被害児童の迅速な保護及び適切な支援の推進、被害情勢に即した取締りの強化と被害者の更生、児童が性的搾取等の被害に遭わない社会の実現のための基盤の整備強化などに取り組んでいるところです。  今後とも、関係省庁と連携しながら、性犯罪、性暴力対策の強化にしっかりと取り組んでまいります。(拍手)    〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕

加藤勝信自由民主党・無所属の会厚生労働大臣

○国務大臣(加藤勝信君) 福島みずほ議員からハラスメント禁止に関する条約の批准についてお尋ねがございました。  ILOの仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約については、その趣旨はおおむね妥当と考えております。一方、批准との関係では、禁止規定を創設する場合のハラスメントの定義等について、国内法制との整合性の観点から、関係省庁とも連携しつつ、なお検討が必要であります。  まずは、昨年四月に完全施行された職場におけるハラスメント防止対策の強化に関する改正法の周知啓発や履行確保などに取り組んだ上で、改正法の附帯決議なども踏まえ、施行状況や諸外国の動向などを把握しつつ、必要な対応を検討してまいります。(拍手)    〔国務大臣永岡桂子君登壇、拍手〕

永岡桂子自由民主党・無所属の会文部科学大臣

○国務大臣(永岡桂子君) 福島議員にお答えいたします。  まず、学校教育における性教育の改善の必要性についてお尋ねがありました。  学校における性に関する指導に当たっては、児童生徒間で発達の段階の差異が大きいことなどから、全ての児童生徒に共通に指導する内容と個別に指導する内容とを区別して指導することとしています。  こうした中、全ての児童生徒に共通に指導する内容としては、妊娠の経過や人の受精に至る経過は取り扱わないこととしていますが、個々の児童生徒の状況等に応じ必要な個別指導が行われることが重要と考えており、各学校における指導、相談体制の充実を図ってまいります。  次に、ユネスコの包括的性教育ガイダンスについてお尋ねがありました。  我が国においては、中央教育審議会の議論を経て策定された学習指導要領に基づき、児童生徒の発達段階に応じて性に関する指導を行うこととしています。このため、文部科学省においては、ユネスコの国際セクシュアリティ教育ガイダンスに基づく指導を行うことは考えておりませんが、学習指導要領に基づき、例えば生殖機能の成熟など身体的側面のみならず、異性の尊重など人間関係に関する観点からも指導することとしております。  文部科学省としては、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切な行動が取れるよう、学習指導要領に基づく着実な指導に努めてまいります。  次に、子供たちの性暴力をなくすために何ができるかについてお尋ねがありました。  性犯罪、性暴力は被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であって、決して許されないものであり、これまで文部科学省においても、関係省庁と連携し、対策の強化に取り組んできました。  本年三月に政府全体で取りまとめた性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針においては、わいせつ行為を行った教員等の厳正な処分と再犯防止、学校等で相談を受ける体制の強化、命の安全教育や情報モラル教育等の推進、痴漢撲滅に向けた政策パッケージの確実な実行等を盛り込んでいるところです。  被害者は悪くないという認識を社会全体で共有し、性犯罪、性暴力を根絶するという目的に向けて、文部科学省としても引き続きしっかりと取り組んでまいります。(拍手)     ─────────────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 清水貴之君。    〔清水貴之君登壇、拍手〕

清水貴之日本維新の会

○清水貴之君 日本維新の会の清水貴之です。  会派を代表して、ただいま議題となりました刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  今回の改正では、刑法百七十七条の強制性交等罪と百七十八条二項の準強制性交等罪を統合し、不同意性交等罪に、百七十六条の強制わいせつ罪と百七十八条一項の準強制わいせつ罪を統合し、不同意わいせつ罪に改めるものとされています。  この強制という言葉を不同意という言葉に変更することが今回の法改正の大きなポイントであると思います。その意味や目的について、まず法務大臣に伺いたいと思います。  処罰対象となる具体的な行為や状況については、暴行、脅迫に加えて、地位に基づく影響力の利用など八項目を規定し、被害者の意思を重視したより厳格な処罰を行えるよう見直されています。性暴力被害者団体からは、明確な性犯罪規定にすべきという当事者などの声に応えたものであり、前進といった声が上がっています。  公訴時効も原則五年延ばし、十八歳未満で被害に遭った場合は被害時から十八歳に達するまでの年月を時効に加算するなど、より厳しい内容となっていますが、ただ、時効の延長期間が五年では足りないといった意見も上がっています。この意見について、法務大臣はどのように応えますか。  一方、本来は刑事罰として処罰することになじまない行為でも罪が成立するおそれがあり、加害者側の冤罪になりかねないケースもあるのではないかという指摘もあります。  被害者の内心で罪が成立するという要件により、処罰対象が広がり過ぎると不安視されていることについて、法務大臣の見解をお聞かせください。  次に、性交同意年齢について伺います。  日本の性交同意年齢は、刑法が制定された一九〇七年から変わっておらず、明治時代から十三歳という年齢設定のままです。今回の改正案では、いわゆる性交同意年齢を十六歳としつつも、十三歳以上十六歳未満の者に対しては、当該者より五歳以上年長の者がわいせつな行為又は性交等をしたとき処罰対象になるとされています。つまり、十三歳から十六歳未満に関しては、五歳以上の年齢差がある場合のみ規定が適用されます。  このように五歳差を要件とした趣旨は何でしょうか。また、性交同意年齢が引き上げられたことをどのように若年層に周知するのでしょうか。法務大臣に伺います。  日本維新の会は、国際的な基準も参考に、学習指導要領を適切に見直した上で、生きるための性教育を行い、自他の心身や人生を大切にできる子供を育むことを政策に掲げています。子供たちを性被害から守るため、また加害者にならないためにも、子供たち自身に正しい知識を身に付けてもらうことが必要です。  しかし、現在の学習指導要領では、十三歳以上十六歳未満に該当する中学生であっても、全ての中学生に共通に指導する内容としては妊娠の経過は取り扱わないこととされています。性交同意年齢の引上げに合わせ、国際的な基準に沿った性教育の在り方への見直しについて、先ほどの答弁では余り前向きな回答ではなかったように感じましたが、文部科学大臣はどのように考えますでしょうか。  刑法と同様に提出されている、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律案について質問します。  まずは、いわゆる撮影罪について伺います。現在、刑法に盗撮の規定はなく、捜査機関は条例や軽犯罪法、児童買春・ポルノ禁止法などで取り締まっていましたが、盗撮の疑いで逮捕、送検した件数は二〇二一年に五千件を突破するなど、スマートフォンの普及により、この十年で倍増しています。これまで盗撮は、自治体ごとの条例によって規制対象の範囲が異なるなど、ばらつきがあり、全国一律で適用できる撮影罪については評価の声も上がっています。    〔議長退席、副議長着席〕  そこで、今回新設される撮影罪について、正当な理由がなく画像を加工された場合、そもそも誰が加工したのか判別が難しくなった場合の対応について、法務大臣に伺います。  十八歳未満の子供に対する性犯罪に対して、大阪府では、子どもを性犯罪から守る条例が制定されています。平成二十四年に全国で初めて施行されたこの条例は、子供への性犯罪の前歴がある者に、刑期を終えた後の住所の届出を義務付けました。この条例では、元受刑者が罪に係る刑期の満了の日から五年を経過しない者で、府の区域内に住所を定めた者は、名前や住所、性別、生年月日、連絡先、届出に係る罪名、加えて刑期の満了した日を届け出なければならないと定められています。また、届出を行わなかったり、虚偽の届出をした場合は五万円以下の過料を科すこととされています。こうした地方公共団体の取組について、政府はどのように評価されているのでしょうか。法務大臣に伺います。  この大阪府の条例については、法務省が個人情報の取扱いに配慮しながら、性犯罪により受刑した者に係る情報を適切に提供することとしています。しかし、個人の犯罪経歴に関する情報については、特に慎重な取扱いが必要という理由により、府内を帰住先とした出所者の全体数などの帰住者情報が得られません。届出が自己申告制である中で、国と地方の情報共有に壁があることで、条例を活用し切れていないといった課題が生じています。実効的な政策にするために、条例の周知や、国と地方が情報共有できる法整備が必要と考えますが、法務大臣の見解をお聞かせください。  大阪府の条例に関し、これまでに住所の届出件数は百九十七件、社会復帰支援の実施人数は七十二人、社会復帰支援の延べ実施回数は千三百三十六回に上ります。全国で同様の条例は福岡県と茨城県にとどまります。  政府の性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針においては、地方公共団体による再犯防止施策の支援が盛り込まれています。その中で、必要な体制ができた地方公共団体に対しては、引き続き、出所者に関する情報を含め、必要な情報提供を行うとの記載があります。出所後の住所の届出義務を課す自治体が三つしかない状況で、必要な体制ができた地方公共団体に対してと言わず、国が地方公共団体に対し、積極的に働きかける必要性があるのではないでしょうか。法務大臣に伺います。  続いて、日本版DBS制度について質問します。  日本維新の会は、保育士や教員から子供へのわいせつ事件が後を絶たない事態を重く受け止め、免許を再交付しないことを可能とする立法に続き、過去の性犯罪経歴の照会や無罪証明書の発行ができる日本版DBSの創設を政策提言に掲げています。  政府は、昨年五月、犯罪対策閣僚会議において、子供の性被害防止プランを決定しました。この中で、教育・保育施設や、放課後児童クラブ、学習塾、スポーツクラブ、部活動などの子供が活動する場において働く際に、性犯罪歴についての証明を求める仕組み、いわゆる日本版DBSの導入に向けた検討を進めると明記しています。そして、本年四月に発足したこども家庭庁において、日本版DBS設置の法制化に向けた検討を開始していると承知しています。  まず、この制度の必要性と、スピード感を持った日本版DBS創設への決意について、こども政策担当大臣の見解をお聞かせください。  先進事例であるイギリスでは、内務省の関連団体のDBS事務局が犯罪歴をデータベースで管理し、子供や障害者らに関わる仕事の雇用主が、求職者の情報を照会し、求職者が受け取った証明書を雇用主に提出する仕組みになっています。雇用主による照会は、求職者本人が申請書に記入し、証明書は求職者本人が受け取ることとなっています。  政府は、職業選択の自由や、プライバシー権との関係等の懸念があるとして慎重な姿勢を見せてきましたが、イギリスの制度では、無罪証明書が必要となる職種は限定されており、また採用する側や他人が本人の許可なく勝手に犯罪歴を調査したり、他人の目に触れることはなく、やみくもに犯罪歴を公開するような制度にはなっていません。  子供と関わる職業は多岐にわたり、無罪証明書を発行する対象を広げれば規制効果は高まる一方、対象の範囲をどう絞るのかが課題であると考えますが、こども政策担当大臣、日本版DBSの対象の範囲をどのようにお考えでしょうか。  我々日本維新の会は、性犯罪の未然防止と被害の根絶、加害者を生み出さない社会の実現にしっかりと取り組んでいきます。  以上で質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕

齋藤健自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(齋藤健君) 清水貴之議員にお答え申し上げます。  まず、強制わいせつ罪等の要件を改め、罪名を変更する意味や目的についてお尋ねがありました。  本法律案においては、現行の強制わいせつ罪及び準強制わいせつ罪並びに強制性交等罪及び準強制性交等罪について、より明確で判断のばらつきが生じない規定とするため、性犯罪の本質的な要素が自由な意思決定が困難な状態でなされる性的行為であるという点を、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態という文言を用いて統一的な要件として規定し、これに伴い、強制わいせつ罪と準強制わいせつ罪を、また強制性交等罪と準強制性交等罪を、それぞれ一つの罪に統合することとしています。そして、このような文言を用いた要件とすることに鑑み、いわゆる罪名については不同意わいせつ、不同意性交等とすることとしています。  次に、性犯罪についての公訴時効期間を延長する期間についてお尋ねがありました。  本法律案においては、他の犯罪と比較して類型的に被害が潜在化しやすいという性犯罪の特性を踏まえ、その公訴時効期間を延長することとしています。そして、延長する期間については、実証的な根拠に基づいて定めるという観点から、内閣府の調査において、無理やりに性交等をされたことがあり被害を誰かに相談した方について、被害に遭ってから相談するまでに掛かった期間がどの程度であったかを踏まえて、五年としています。  もっとも、この点に関しましては、衆議院における御審議の中で、性犯罪についての被害申告の実態が十分に踏まえられていないとの御意見が示され、御審議の結果、附則が修正され、政府において施行後五年を経過した場合の検討や性的被害の申告の困難さ等についての必要な調査を行うことが定められるなどしたところです。  法務省としては、こうした御審議の結果を踏まえ、本法律案が成立した場合には、関係府省庁とも連携し、適切に対応してまいりたいと考えています。  次に、改正後の不同意わいせつ罪、不同意性交等罪の要件と処罰対象についてお尋ねがありました。  これらの罪の、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態との要件は、被害者の内心そのものではなく、性的行為がなされるときの状態を要件とするものであり、同意しない意思の有無自体ではなく、その意思の形成、表明、全うが困難な状態であったか否かで処罰を画するものです。そして、被害者がそのような状態にあるかどうかは、列挙事由、列挙行為と相まって、客観的、外形的に判断することが可能であると考えています。  したがって、処罰対象が不当に拡大するようなことはないと考えています。  次に、いわゆる性交同意年齢を引き上げる改正における年齢差の要件についてお尋ねがありました。  まず、十三歳以上十六歳未満の者は、おおむね中学生の年齢層であり、性的行為に関する能力のうち、相手方との関係において、性的行為が自己に及ぼす影響を理解し対処する能力が十分に備わっておらず、対等な関係の下でなければ、性的行為について有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠けると考えられることから、対象となる年齢を十六歳未満に引き上げることとしています。  そして、一般に、相手方との年齢差が大きくなるほど、両者の社会経験等の差異により対等な関係でなくなると考えられるところ、いわゆる性交同意年齢の規定は、性的行為をしたこと自体で性犯罪が成立するものとする規定であることから、その年齢差要件については、刑罰の謙抑性の観点から、双方の年齢が要件を満たすだけでなく、例外なく、対等な関係はおよそあり得ず、有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠けると言えるものであることが必要と考えられます。  そこで、本法律案においては、心理学的、精神医学的知見も踏まえ、五歳以上年長であることを要件としているものです。  次に、いわゆる性交同意年齢が引き上げられた場合の若年層への周知についてお尋ねがありました。  本法律案については、衆議院における御審議の結果、附則について一部修正が行われ、政府は、改正後の規定等の趣旨及び内容について国民に周知を図るものとされています。  その具体的な方法等について現段階で確たることをお答えすることは困難ですが、法務省としては、本法律案が成立した場合には、附則の趣旨を踏まえ、いわゆる性交同意年齢の引上げの趣旨や内容についても、関係府省庁、機関や団体と連携しつつ、適切に周知広報してまいりたいと考えています。  次に、性的姿態等撮影罪に関し、画像が加工された場合等の対応についてお尋ねがありました。  画像の加工に関するお尋ねの具体的状況が必ずしも明らかではありませんが、性的姿態撮影等処罰法においては、性的姿態等を撮影する行為や画像を提供する行為などを処罰することとしているものの、画像を加工する行為自体は処罰対象としていません。  もっとも、性的姿態等撮影罪に当たる行為により画像が生成された後、それが加工された場合であっても、同一性が失われていない限り、加工された画像を提供する行為や公然と陳列する行為は、性的撮影記録提供罪や性的影像、ああ、済みません、性的影像記録提供罪や性的影像記録公然陳列罪として処罰対象になり得ます。そして、誰が加工したのかの判別が困難な場合においても、その画像が性的姿態等撮影罪に当たる行為により生成されたものかどうかや、加工の前後における同一性については、捜査機関により収集された証拠に基づき判断されることになります。  次に、地方公共団体の性犯罪者に対する取組に関する評価についてお尋ねがありました。  お尋ねの大阪府子どもを性犯罪から守る条例は、大阪府がその自治権に基づき制定したものであるため、法務大臣として見解を述べることは差し控えたいと思います。  その上で、一般論として申し上げるならば、性犯罪者の再犯を防止するためには、刑事司法手続の終了後も地域社会において必要な支援が受けられるようにすることが重要であると考えております。その観点からしますと、大阪府は、性犯罪者の再犯を防止するため、大変意欲的な取組をされているものと認識をしています。  次に、大阪府の条例の周知及び地方との情報共有のための法整備についてお尋ねがありました。  大阪府子どもを性犯罪から守る条例の施行に当たり、大阪府の依頼を受け、法務省では、大阪府に対し、届出者の同意を前提として出所者の情報を提供しています。  また、受刑者及び保護観察対象者に条例の内容を周知するため、刑事施設及び保護観察所内にポスターを掲示したり、刑事施設での性犯罪再犯防止指導の実施の際に資料を閲覧させたりするなどの対応を行っております。  次に、地方公共団体への情報提供について、一般論として申し上げれば、個人の犯罪の経歴に関する情報は、人の名誉あるいは信用に直接関わるものであり、個人情報としてもその取扱いに特に配慮を要するものと承知をしています。  その上で、受刑者の帰住先に係る情報については、そもそも法務省として網羅的に把握しているものではないこともあり、情報提供には慎重を期するべきものと認識しています。  今後とも、条例による届出対象者に条例内容を周知するとともに、関係法令に基づき、地方公共団体に対する適切な情報提供を進めてまいりたいと考えております。  最後に、地方における再犯防止施策推進のための情報提供についてお尋ねがありました。  法務省としても、地方公共団体が再犯防止の取組を行うために必要となる情報の提供は重要であると考えています。一方で、出所者等に関する情報は、犯罪の経歴等が含まれる個人情報であって、その取扱いについては特に配慮を要するところであり、各地方公共団体においてそのための必要な体制を構築していただくことも重要であると考えています。  法務省においては、これまで、全ての都道府県及び指定都市に対し、地方公共団体における再犯防止等施策に必要な情報提供に係る執務参考資料を配付するなど、そのような体制の構築を含む地方における再犯防止施策推進のための働きかけを行ってまいりました。  今後とも、議員の御指摘を踏まえ、地方公共団体において必要な体制が構築され、情報提供がなされるよう、国としても積極的な働きかけに努めてまいります。(拍手)    〔国務大臣永岡桂子君登壇、拍手〕

永岡桂子自由民主党・無所属の会文部科学大臣

○国務大臣(永岡桂子君) 清水議員にお答えいたします。  国際的な基準に沿った性教育の在り方への見直しについてお尋ねがありました。  性に関する指導に対する価値観は国によって異なっており、我が国においては、中央教育審議会の議論を経て策定された学習指導要領に基づき、児童生徒の発達段階に応じて学校教育全体で必要な教育を行うこととしています。  性に関しては、生徒間で発達の段階の差異が大きいことなどから、全ての生徒に共通に指導する内容としては妊娠の経過は取り扱わないこととしていますが、個々の生徒の状況等に応じ、必要な個別指導が行われることが重要と考えております。  また、文部科学省では、子供たちを性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための命の安全教育の教材及び指導の手引を作成し、全国の学校での取組を推進しております。(拍手)    〔国務大臣小倉將信君登壇、拍手〕

小倉將信自由民主党・無所属の会内閣府特命担当大臣(こども政策・少子化対策・若者活躍・男女共同参画)

○国務大臣(小倉將信君) 性犯罪歴を確認する仕組みの必要性と創設への決意についてお尋ねがありました。  子供が性犯罪、性暴力の被害に遭うようなことは断じてあってはなりません。教育・保育施設等や子供が活動する場等において働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組みの必要性に関しては、子供の安全、安心を確保するための重要な施策であると考えています。  このような仕組みの導入に向けて、具体的には、職業選択の自由やプライバシー権との関係を含む法的論点の整理や、証明のための具体的な手続やシステムの在り方等について検討を進めているところであり、現時点で導入時期が定まっているものではありませんが、できるだけ速やかに導入できるよう、しっかり取り組んでまいります。  性犯罪歴を確認する仕組みの対象となる職業の範囲についてお尋ねがありました。  性犯罪歴を確認する仕組みは、憲法上の権利、具体的には職業選択の自由やプライバシー権と関わるため、対象となる職業の範囲については、過度な制約にならないように必要な範囲を考えていく必要があります。さらに、対象となる職業は他の職業と明確に区別する必要がありますが、個別の業法がない職業も考えられることから、そのことを踏まえた仕組みについても考えていく必要があります。  対象となる職業の範囲について、現時点で定まっているものはありませんが、これらの観点を含めて必要な検討を進めてまいります。(拍手)     ─────────────

長浜博行各派に属しない議員副議長

○副議長(長浜博行君) 嘉田由紀子君。    〔嘉田由紀子君登壇、拍手〕

嘉田由紀子国民民主党・新緑風会

○嘉田由紀子君 国民民主党・新緑風会の嘉田由紀子でございます。  ただいま議題となりました刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案につき、会派を代表いたしまして、齋藤法務大臣、加藤厚生労働大臣、小倉内閣府特命大臣の見解を求めます。  初めに、性犯罪や性暴力被害者の総合的な救済のための公的機関の在り方について、法務大臣及び厚生労働大臣にお聞きいたします。  性犯罪や性暴力被害に遭われた方たちの医学的、精神的支援は、公的機関が本気で対応するべき課題です。  個別的事例で恐縮ですが、滋賀県では、総合的なケアステーションを私自身が知事を務めていた二〇一四年の四月に開設いたしました。当時、滋賀県内での性犯罪被害者が二〇一三年には百七十件を超えてしまい、被害に遭っても相談ができない人たちが多いことが分かりました。そこで、性被害に遭って恐怖と混乱の中でどうしたらいいか分からない被害者に対して緊急支援を行い、二次的被害を防止するために、産婦人科医院と犯罪被害者支援センターと県警の三者に協力を求め、県としてワンストップの総合的なケアを行うSATOCOを二〇一四年四月に開設いたしました。具体的には、産婦人科での緊急受診や被害者の心理的相談など二十四時間対応の仕組みをつくり、基本的な診療費用などは公費負担としました。  おうみ犯罪被害者支援センターの理事で専門相談員の松村裕美さんは、性犯罪は人権を踏みにじる悪質な犯罪です、私の体は私のもの、私の心は私のものという信念の下、被害に遭われた方が前に向かって進む力を取り戻せるよう全力でサポートしていますと語っておられます。  そのとおりです。性犯罪は魂の殺人です。相談者の数は毎年増えており、滋賀県では十年間で三千件ほどの支援を行っておりますが、人的、財政的にも近年次第に難しくなっております。  日本全国四十七都道府県に性犯罪被害者支援組織が設置されていますが、被害者にとっては真夜中でも緊急に支援を受けられる体制が求められます。二十四時間三百六十五日、電話やメールを含めて緊急相談体制を有する都道府県はどれくらいあるでしょうか。また、運営のための国からの財政的支援はどうなっているでしょうか。お伺いします。  次に、司法と医療の連携について法務大臣にお尋ねいたします。  加害者が減らない限り被害者も少なくならないと、犯罪加害者の治療に力を入れる性障害専門医療センター代表理事の福井裕輝医師は述べています。福井医師は、再犯性の高い、あるいは精神障害のある犯罪者を医療につなげ、認知行動療法など必要な医学的、心理的な治療を行うことの重要性を強調されています。  被害者の立場から、可罰感情にもちろん十分配慮する必要はあります。同時に、再犯リスクを下げるという方向も考えられます。  そこで、犯罪防止の観点から、司法と医療の連携の在り方について、法務大臣の見解を求めます。  続いて、不同意性交罪について、不同意であったことの立証について、法務大臣にお聞きします。  今回の改正案によって、現行刑法の「強制わいせつ」、「強制性交等」等の犯罪が「不同意わいせつ」、「不同意性交等」等となりますが、犯罪の立証のために検察官が裁判所に提出する証拠の証拠能力や、証拠能力が認められた場合の証拠の証明力にはどのような違いがあるとお考えでしょうか。  プライベートな空間で行われる配偶者間においては、不同意性交等の罪の立証は特に困難があると指摘されています。捜査当局が証拠を集める際にも、検察官が犯罪を立証する際にも、公的機関が家庭内におけるどのような行為にどの程度まで立ち入るべきなのか、慎重な判断が求められます。  今回の改正案では、家庭内の問題に対する抑制的な対応を重視する考え方と、一方で、家庭内においても各配偶者の人格権を最大限に尊重する考え方とのバランスをどのように取るおつもりでしょうか。  さらに、配偶者間の不同意性交について、法務大臣にお伺いします。  配偶者間の不同意性交は、当事者の性的自己決定という法益を重視することは国際的な大きな流れでありますが、今回の法改正によって配偶者間における性犯罪の不可罰性を明示的に見直すことについて、どのような議論が行われるでしょうか。  最後に、以上のような性犯罪が子供に対して行われた場合について、異次元の少子化対策を求める小倉内閣府担当大臣の御認識をお伺いします。  先ほど紹介したおうみ犯罪被害者支援センターの松村裕美理事は、センターの相談者は三歳から八十三歳まで、まさかと思われますが、乳幼児期からの、父親や義理の父親など親族、同居者からの性犯罪が認められるということです。  また、名古屋市のワンストップセンター、日赤なごや・なごみのレポートですと、過去六年間の性犯罪面談相談者八百二十四名のうち二百三十二名が十八歳未満の被害者であり、幼い被害者は二歳ということです。十歳未満が四十一人ということです。加害者は、父親を含め親族が六十八人、母親の交際相手を含めて知人が百四人、コーチや教師など権威のある人が十七人ということです。  近年の性犯罪被害の加害者の中で、親族は年々増えているということです。子供時代に性被害を受けた人の人生は、その後、どれほど厳しいものとなるか、そのトラウマは何十年も続く場合もあります。家族形成にまで影響する方も少なくないと言われております。  本年の四月二十六日の参議院の予算委員会で岸田総理に訴えました。日本の子供の幸せ度は、ユニセフの調査で三十八か国中三十七位ということです。小倉大臣は、今、子供家庭政策の三本柱として、経済的支援、サービス支援、働き方改革を挙げておられます。これらはそれぞれ重要ですが、個々の子供の日々の生活構造を支える、日本の子供が置かれている家族の在り方、特に親の離婚後の子供の生活問題を改善する御意思はおありでしょうか。  例えば、現在、日本では、三組に一組が離婚をし、毎年八十万人弱しか生まれない子供のうち二十万人近くの子供が、片親ロスという父親か母親を失うことが法制化されている片親親権のまま、貧困や虐待のリスクが高い状態に置き去りにされています。子供は家族の形を選べません。日本の未来を担う子供にとってどのような家族制度をつくり出してあげるべきか、これから結婚して親になる若い人たちに、相互の信頼と愛情深い家族関係をつくるのにどのような支援が可能となるか、こども家庭庁を担い、日本国の未来に責任を持つ小倉大臣としての御見解をお伺いします。(発言する者あり)ありがとうございます。  今回の刑法及び刑事訴訟法の改正の質問からいささか深掘りし過ぎたかもしれませんが、社会的事実に根差した答弁をお願いいたします。  性暴力をめぐり、これまで闇に隠されていた子供への暴力、家庭内や身近な大人だけでなく、特に地位が上位の者による暴力の実態が明らかになりつつあります。ここには、性をめぐる具体的な知識、今までも議論になっていますけれども、例えば妊娠の経過、受精の過程など、人間として当然知るべき知識を学校教育現場から排除してきた教育的欠如問題が根深く隠れています。先進国では主流となっている、人権教育を含む命の安全教育、包括的性教育、スウェーデンなどは未就学児から常に伝えております。私たち大人は、その責務を負っています。自覚者は責任者です。国民民主党・新緑風会は、「つくろう、新しい答え」を求め、提案をし続けます。その覚悟を込めて、私からの質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕

齋藤健自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(齋藤健君) 嘉田由紀子議員にお答え申し上げます。  まず、性犯罪等の被害者のための都道府県における緊急相談体制についてお尋ねがありました。  当該相談体制の整備については、法務省の所管外の事項であるため、お答えをすることは困難です。  もっとも、性犯罪等の被害者に対し、被害直後から切れ目のない手厚い支援を提供することは重要であり、各都道府県に設置されている性犯罪、性暴力のためのワンストップ支援センターが被害直後から総合的な支援を提供しているものと承知しています。法務省が所管する法テラスにおいては、このワンストップ支援センターと連携しながら、法的支援が必要な被害者に対し、被害者支援の経験や理解のある弁護士の紹介等を行っています。  法務省としては、関係府省庁等と連携しつつ、適切な支援を届けられるよう努めてまいります。  次に、司法と医療の連携の在り方についてお尋ねがありました。  一般論として、法務省、検察当局においては、罪を犯した者について、刑事手続の各段階において、その再犯を防止する観点から必要に応じて医療機関と連携しつつ対応しています。特に、刑事施設や保護観察所においては、性犯罪を犯した者について、認知行動療法の手法を取り入れた性犯罪者処遇プログラムを受講させることなどを通じて再犯の防止に努めています。  今後も、法務省としては、関係各機関において、刑事手続の各段階に応じ、医療と適切な連携を図っていきたいと考えております。  次に、不同意わいせつ罪等に関する証拠の証拠能力や証明力についてお尋ねがありました。  本法律案は、現行刑法の強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪などの要件を改めることとしていますが、これにより刑事訴訟法上の証拠能力や証明力の考え方が変わるものではなく、検察当局においては、引き続き個々の事案に応じ適切に立証していくものと考えています。  次に、配偶者間における不同意性交等罪における捜査や立証の在り方に関してお尋ねがありました。  個別具体の事案における捜査や立証の在り方については、個々の事案の内容や証拠関係に基づいて判断されるべき事柄であり、一概にお答えすることは困難です。  いずれにしても、捜査当局や公判を担当する検察官においては、刑事訴訟法その他の法令に従って、個別の事件における捜査、立証上の必要性を踏まえ、関係者の権利を不当に侵害することがないよう適切に証拠収集や公判立証を行っているものと承知をしています。  次に、配偶者間における不同意性交等罪に関し、家庭内で行われることの考慮の在り方についてお尋ねがありました。  配偶者間における不同意性交等が家庭内で行われるものであることは事実ですが、現行の刑法の下においても、強制性交等罪の成立に婚姻関係の有無は影響しないとする見解が一般的であり、実務においてもそのように理解されています。本法律案においては、この点を条文上明確にするため、改正後の刑法第百七十七条第一項において、婚姻関係の有無にかかわらず不同意性交等罪が成立することを確認的に規定することとしています。  最後に、配偶者間における性犯罪の不可罰性に関してお尋ねがありました。  先ほどお答えしたとおり、改正後の刑法第百七十六条第一項、百七十七条第一項において婚姻関係の有無にかかわらずとしているのは、婚姻関係があっても強制性交等罪などが成立し得るという現行法の下での一般的な理解を条文上確認的に明確化するものであります。そして、このような確認規定を設ける必要性を示す議論としては、本法律案の立案に先立って行われた法制審議会の部会において、複数の委員から、配偶者からの性行為には応じるべきという社会通念は今なお存在する、被害者自身も配偶者間で強制性交等罪が成立するという認識を持っていない場合がある、そういった指摘がなされたところでございます。(拍手)    〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕

加藤勝信自由民主党・無所属の会厚生労働大臣

○国務大臣(加藤勝信君) 嘉田由紀子議員より、性犯罪被害者の相談体制についてお尋ねがありました。  婦人相談所においては、性犯罪被害者等からの相談に対応しており、令和三年度においては三十八都道府県の婦人相談所において休日、夜間の相談を行っておりますが、二十四時間三百六十五日に対応している婦人相談所はないものと承知しております。  厚生労働省としては、これまでも、性犯罪被害者を含む様々な困難な問題を抱える女性からの電話相談などに休日及び夜間を含めて対応する婦人相談所の体制を整えるための財政支援を行っており、引き続き相談体制の整備に努めてまいります。(拍手)    〔国務大臣小倉將信君登壇、拍手〕

小倉將信自由民主党・無所属の会内閣府特命担当大臣(こども政策・少子化対策・若者活躍・男女共同参画)

○国務大臣(小倉將信君) 緊急相談体制を有する都道府県及び財政的支援についてお尋ねがありました。  性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターは、被害直後からの医療的支援、法的支援、相談を通じた心理的支援などを可能な限り一か所で提供する機関であり、現在、全ての都道府県に設置をされています。内閣府の運営する性暴力被害者のための夜間休日コールセンターの利用を含め、全国のワンストップ支援センターにおいて、夜間、休日を含め、被害に遭われた方々が相談できる体制となっています。  また、ワンストップ支援センターへの支援については、センターを設置する都道府県等に対し交付金を交付することにより、センターの運営の安定化や被害者支援機能の強化等を支援しているところです。  引き続き、被害に遭った方が全国のどこでも夜間、休日を含めて相談ができ、適切な支援が受けられるよう、交付金による支援を含め、必要な取組を行ってまいります。  離婚後の子供の生活問題についてお尋ねがありました。  離婚した家庭の子供も含めて、誰一人取り残さず、子供の健やかな成長を社会全体で支えていくことが重要だと考えています。  こども家庭庁では、現在、一人親家庭については、子育て・生活支援、就業支援、養育費確保支援、経済的支援の四本柱に基づいた支援を行っており、現下の物価高、物価高騰対策においては、低所得世帯に対して子供一人につき五万円の給付も行っているところです。  さらに、先般お示しをしたこども未来戦略方針の素案では、一人親を雇い入れ、人材育成、賃上げに向けた取組を行う企業に対する支援の強化、資格取得を目指す一人親家庭に対する給付金制度の対象資格の拡大、養育費に関する相談支援や取決めの促進といった施策の充実に取り組むこととしています。  こども政策担当大臣として、様々な子供や子育て家庭に対し、切れ目のない包括的な支援ができるよう、しっかりと取り組んでまいります。  日本の家族制度及び若い世代の方への支援についてお尋ねがありました。  まず、家族制度、親権制度については法務省の所掌になります。父母の離婚後の親権制度の在り方については、現在、法制審議会家族法制部会における調査審議が進められているものと承知しており、法務省においてしっかりと検討が進められるものと認識しています。  次に、これから結婚をし、親になる若い方に対しては、希望どおり結婚をし、希望する誰もが子供を持ち、安心して子育てができる社会、そして、子供たちがいかなる環境、家庭状況にあっても、分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会の実現を図ることが重要だと考えています。  このため、先般お示しをしたこども未来戦略方針の素案では、ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組、全ての子供、子育て世帯を対象とする支援の拡充、共働き、共育ての推進、子供、子育てに優しい社会づくりのための意識改革の柱に沿ってこれまでにない思い切った施策のパッケージを盛り込んだところであり、こども政策担当大臣として、これらの施策をしっかりと推進してまいりたいと考えています。(拍手)     ─────────────

長浜博行各派に属しない議員副議長

○副議長(長浜博行君) 仁比聡平君。    〔仁比聡平君登壇、拍手〕

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平です。  会派を代表して、性刑法、刑事訴訟法改正案について関係大臣に質問いたします。  一九〇七年の明治刑法においては、家父長制の下、強姦罪を始めとした性犯罪の規定は、男、すなわち夫、父親の財産に対する犯罪として位置付けられ、命懸けで抵抗したが圧倒された抗拒不能の場合でなければ強姦罪は成立しないとされ、そうした抵抗をしなかったとされた女性は、逆に非難の対象とされました。  戦後、家制度は廃止され、女性も子供たちも憲法十三条のとおり個人として尊重されることになったにもかかわらず、これらの明治刑法の規定は特段の議論なく引き継がれました。  六年前の二〇一七年改正は、性被害者団体が、嫌よ嫌よは嫌なんです、ノー・ミーンズ・ノーと訴える深刻な声に後押しされ、実に百十年ぶりの抜本改正になりました。強姦罪を強制性交等罪と改め、性的自己決定権を脅かすものと捉え直す重要なものでしたが、抗拒不能要件はそのままとされるなど、重要課題が持ち越され、附則九条で定めたはずの三年後の見直しもなかなか進みませんでした。嫌よ嫌よも好きのうちなどという男性優位の身勝手な観念を取り払わなければなりません。  その間、幾つもの裁判所が、被害者の同意はないと事実認定しながら、被告人は無罪とする判決が相次ぎ、日本中にフラワーデモが広がりました。それは、性暴力、セクシュアルハラスメントの根絶を求める世界のミー・トゥー運動と響き合い、更なる法改正を進める力となってきました。本改正案はこうした運動の成果であり、日本学術会議が求めてきた方向にも沿うもので、基本的に歓迎するものです。  法務大臣、二〇一七年改正に対してなされた、世界から五十年遅れという強い批判をどう考えますか。  法案が罪名そのものを強制性交から不同意性交へと変え、同意の有無を中核とする構成要件としたことは前進です。法務大臣はその意義をどう考えますか。さらに、性的自由を脅かすジェンダー不平等を一切取り払い、イエス・ミーンズ・イエス、性的行為には相手の積極的同意を必要とし、広く個人の尊厳を保護するよう捉え直すべきではありませんか。  一方で、教師と生徒、上司と部下、施設職員と入所者、宗教指導者と信者など、二〇一七年改正で設けられた監護者等性交等罪では処罰できないとされる者同士、大人同士でも、対等でない関係は少なくありません。にもかかわらず、法務大臣、本改正でも、地位関係性を利用し、その優位に乗じて行う犯罪類型の創設を見送ったのはなぜですか。  法務省は、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させるとの規定で捉えていくと言いますが、それでは同意しない意思を全うすることが困難という要件と相まって、構成要件として不明確ではありませんか。    〔副議長退席、議長着席〕  個別事件に当たる裁判官、検察官、警察官の価値観に左右されかねず、処罰されるべき性暴力が処罰されない懸念があるとの指摘にどう答えますか。  力関係の差という現実を正面から直視する更なる改正を検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。  次に、性的同意年齢の引上げについて聞きます。  現行法上の十三歳という低過ぎる性的同意年齢を改め、十六歳への引上げを明記して、中学生まで原則保護することを宣言したことは極めて重要です。その意義を法務大臣はどう考えますか。  一方で、政府案が、保護すべき十六歳未満の者に対する性的行為について処罰する対象を被害者と五歳以上年が離れた者に限定する、いわゆる年齢差要件は疑問です。  十八歳成年以上の者と保護すべき十六歳未満の被害者には明らかな非対等性があり、それは中学生と十八歳の年長少年という関係でも変わりません。とりわけ深刻なのは、子供たちに対する性的搾取です。法務大臣、性的搾取から子供を守るという立場に立ち、十八歳以上の者からの性的行為を処罰するなど、更なる法改正を真剣に検討すべきではありませんか。  コロナ下、家にも学校にも居場所のない子供たち、若年女性の孤立と困難があらわになりました。親からの虐待、性的被害を含むいじめなどから逃れ、繁華街で性的搾取や性売買業者に絡め取られる被害、近年急増するSNSを通じての被害、また、わいせつ目的を隠して親切を装った卑劣なグルーミングなどから子供たち、若年女性を守るためにどうするか。法務大臣、厚生労働大臣、こども政策担当大臣、それぞれの認識を伺います。  次に、公訴時効の特例について、十八歳に達するまで公訴時効を停止する特例を設けることは極めて重要です。その意義を法務大臣に伺います。  この点、内閣府男女共同参画局の調査によれば、被害者の約一割が相談に五年以上掛かったと回答し、相談もできなかったと回答した方は、女性で約六割、男性で約七割に上っています。  さらに、性被害者、支援者でつくる一般社団法人Springによる二〇二〇年実態調査では、挿入を伴う本来重大な性被害を被害と認識するのに二十六年以上掛かったという方が三十五人、三十一年以上掛かった方も十九人ありました。被害の記憶そのものを長期にわたって喪失しておられた被害者もいらっしゃいます。  さらに、NHKが昨年三月から行ったアンケートでは、僅か一月半の間に三万八千三百八十三件の回答が寄せられ、うち十代のうちに被害に遭った方が五四・三%、十歳未満で被害に遭った方が二〇・三%、合わせて七四・六%が二十歳未満の被害であり、全体を平均しても被害年齢は十五・一歳という驚くべき深刻な実態が明らかとなっています。その多くの方々がここで初めて被害を伝えますとの言葉を寄せておられることに、幼少期、思春期に加えられる性被害がどれほど深く人を傷つけるかを私たちは学ぶべきです。  法務大臣、本法案によっても、被害をようやく認識し、捜査機関に相談した時点で公訴時効が成立しているという事態が起こるのではありませんか。  男女共同参画担当大臣、ドイツでは、被害実態調査を行い、三十歳に達するまで時効を停止するなどの法改正が行われてきました。我が国でも、政府として実態調査をすべきではありませんか。  最後に、刑事裁判を誤らせる危険から伝聞証拠を排除する大原則に対し、重大な例外となる被害者等の聴取を録音、録画した記録媒体について伺います。  こども政策担当大臣、今、児童相談所などで取り組まれている司法面接、代表者聴取はどのようなものですか。それは、本来、専門的な訓練を受けた面接者が、誘導、暗示に陥りやすい子供の特性に配慮し、児童虐待などの被害を受けた子供らに対し、その供述結果を司法手続で利用することを想定して実施する事実確認のための面接であり、専門性の高い技法に基づくべきものと考えますが、いかがですか。  厚生労働大臣、障害児者からの聞き取りにおいても同様の取組が必要ではありませんか。  ところが、法案では、伝聞例外を認めようとする被害者等からの聞き取り主体に限定はなく、面接技法についての定めもありません。また、その対象は性犯罪に限られず、あらゆる犯罪類型に適用されます。このままでは、検察官や警察官などの捜査機関が供述を誘導し、その録音、録画が事実上反対尋問をさせない有力証拠として裁判を誤らせてしまう重大な危険があります。

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 仁比君、時間が超過いたしております。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君(続) 法務大臣の認識をただし、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣齋藤健君登壇、拍手〕

齋藤健自由民主党・無所属の会法務大臣

○国務大臣(齋藤健君) 仁比聡平議員にお答え申し上げます。  まず、平成二十九年の刑法改正に対する批判についてお尋ねがありました。  性犯罪については、平成二十九年の改正法により罰則等の改正が行われましたが、国会審議の過程で御批判も含めた様々な御指摘があり、附則において、性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方について検討を加えることとされました。  法務省においては、この附則に基づき、平成二十九年改正の対象とならなかった事項も含め、改めて幅広い観点から検討を重ね、その結果として、今般、二つの法案を提出したものであります。  次に、強制性交等罪から不同意性交等罪に罪名を変更し、要件を改正することの意義についてお尋ねがありました。  本法律案においては、現行の強制性交等罪及び準強制性交等罪について、より明確で判断のばらつきが生じない規定とするため、同意していないこと自体を要件とするのではなく、性犯罪の本質的な要素は自由な意思決定が困難な状態でなされる性的行為であるという点を、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態という文言を用いて統一的な要件として規定し、これに伴い強制性交等罪と準強制性交等罪を一つの罪に統合することとしており、これにより、現行法の下でも本来なら処罰されるべき同意していない性的行為がより的確に処罰されるようになるものと考えています。  そして、このような文言を用いた要件とすることに鑑み、いわゆる罪名については不同意性交等とすることとしています。  次に、性犯罪に関し、ジェンダー平等の実現、性的行為についての積極的な同意の必要性などについてお尋ねがありました。  まず、現行刑法の性犯罪に関する規定においても、行為者及び被害者の性別は問わないこととされています。  性的行為について相手方の積極的な同意を必要とし、それがない限り性犯罪が成立するものとすることについては、法制審議会の部会等でも議論されましたが、現在の日本社会においては、性的行為を行うに当たってお互いの同意を明示的に確認することが一般的になっているとまでは言えないと思われ、そうであるにもかかわらず、同意が明示的でない場合を処罰する規定を設けることとすると、被害者が内心においては同意していた場合をも処罰対象に含んでしまうおそれがあるといった御指摘があったものと承知しています。  性犯罪の保護法益については、改正後も性的自由又は性的自己決定権であると考えており、これを個人の尊厳と捉えることについては、その内実が明らかではなく、また、それを侵害するのは性犯罪に限られないことから、慎重な検討が必要であると考えています。  次に、地位、関係性を利用して行う犯罪類型の創設についてお尋ねがありました。  本法律案においては、例えば、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させることにより、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせて性的行為をすることを処罰対象としています。他方、この状態に陥っていないのに、一定の地位、関係性にある者が性的行為をしただけで処罰対象とするような明確かつ限定的な要件を設けることは困難であると考えられます。  そのため、本法律案においては、ただいま申し上げた処罰規定とは別に御指摘のような犯罪類型を設けることとはしていません。  次に、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させることなどの要件についてお尋ねがありました。  本法律案においては、より明確で判断のばらつきが生じない規定とするため、性犯罪の本質的な要素である自由な意思決定が困難な状態で性的行為が行われたという点を、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態という文言を用いて統一的な要件として規定した上で、御指摘のものも含め、その状態の原因となり得る行為や事由を具体的に列挙することとしているものであり、刑法上の他の規定と比較しても明確性に問題はなく、これにより、現行法の下でも本来なら処罰されるべき同意していない性的行為がより的確に処罰されるようになると考えています。  その上で、安定的な運用と適正な処罰を実現するためには、こうした改正をするだけではなく、その趣旨及び内容を踏まえた適切な運用がなされることが重要であり、改正が実現した場合には、法改正の趣旨及び内容を適切に周知してまいりたいと考えています。  次に、力関係の差に着目した更なる法改正についてお尋ねがありました。  本法律案においては、例えば、経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させることにより、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせて性的行為をすることを処罰対象としています。他方、この状態に陥っていないのに力に差のある関係の者が性的行為をしただけで処罰対象とするような明確かつ限定的な要件を設けることは困難であると考えられ、本法律案においてはそのような処罰規定は設けていません。  いずれにいたしましても、本法律案については、衆議院において附則の一部修正が行われ、政府において施行後五年を経過した場合に検討を行うこととされているところであり、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えています。  次に、いわゆる性交同意年齢を引き上げる意義についてお尋ねがありました。  本法律案においては、おおむね中学生である十三歳以上十六歳未満の者について、性的行為に関する能力のうち、相手方との関係において、性的行為が自己に及ぼす影響を理解し、対処する能力が十分に備わっておらず、対等な関係の下でなければ性的行為について有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠けると考えられることから、いわゆる性交同意年齢を十六歳未満に引き受けた上で、十三歳以上十六歳未満の者に対する性的行為について、対等な関係がおよそあり得ず、有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠ける場合に限って処罰する観点から、五歳以上年長の者がした場合を処罰対象とすることとしています。これにより、十六歳未満の者に対する性的行為が的確に処罰されるようになると考えています。  次に、いわゆる性交同意年齢の引上げに関し、更なる法改正の検討についてお尋ねがありました。  本改正案においては、先ほど申し上げた理由から、十三歳以上十六歳未満の者に対する性的行為について、五歳以上年長の者が行った場合を処罰対象としているところであり、例えば、御指摘のように、十八歳以上の者が十六歳未満の者に対して性的行為を行った場合を一律に処罰対象とすることについては、性交同意年齢を引き上げる根拠と整合的か、処罰すべきでない者が処罰対象に含まれないかといった観点から、慎重な検討が必要であると考えています。  いずれにしても、本法律案については、衆議院において附則の一部修正が行われ、政府において施行後五年を経過した場合に検討を行うこととされているところであり、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えています。  次に、子供や若い女性を性的搾取等から守るための方策についてお尋ねがありました。  子供などに対する性的搾取は、その心身に有害な影響を及ぼし、人権を著しく侵害する行為であり、決して許されるものではありません。  こうした被害から子供などを守るべきという認識の下、本法律案においては、例えば、いわゆる性交同意年齢を十六歳未満に引き上げ、十三歳以上十六歳未満の者に対して五歳以上年長の者が性的行為をすることを処罰し得ることとしているほか、わいせつの目的で十六歳未満の者に対し不当な手段を用いて面会を要求する行為等を処罰し得ることとしているところです。  次に、性犯罪の被害者が十八歳未満である場合に公訴時効期間を延長する意義についてお尋ねがありました。  本法律案においては、性犯罪について、一般に、その性質上、被害申告が困難であることなどから、他の犯罪と比較して類型的に被害が潜在化しやすいという特性を踏まえ、その公訴時効期間を五年延長することとしています。  その上で、さらに、心身共に未熟である十八歳未満の若年者については、知識、経験が不十分であることなどから、性犯罪の被害に遭った場合、いわゆる大人の場合と比較して類型的に被害申告がより困難であると考えられることを踏まえ、被害者が十八歳未満の者である場合には、犯罪が終わったときから被害者が十八歳に達する日までに相当する期間を加えて、更に公訴時効期間を延長することとしています。  これにより、性犯罪についての訴追可能性がより適切に確保されるようになると考えています。  次に、性犯罪につき被害申告が可能となる前に公訴時効が完成する事態についてお尋ねがありました。  本法律案による改正が実現した場合に御指摘のような事態が生じないとは言えませんが、本法律案においては、性犯罪の公訴時効期間の延長について、可能な限り実証的な根拠に基づいて定めるという観点から、一律に延長する期間は五年としています。  もっとも、本法律案については、衆議院における御審議の結果、附則が修正され、政府において、施行後五年を経過した場合の検討や性的被害の申告の困難さ等についての必要な調査を行うことが定められるなどしたところです。  法務省としては、こうした御審議の結果を踏まえ、本法律案が成立した場合には、関係府省庁とも連携し、適切に対応してまいりたいと考えています。  最後に、改正後の刑事訴訟法第三百二十一条の三について、裁判を誤らせる重大な危険があるのではないかとのお尋ねがありました。  同条においては、信用性の情況的保障に関する要件として、誘導をできる限り避けることその他の供述の内容に不当な影響を与えないようにするための措置などが特にとられたこと、聴取の全過程を録音、録画すること、訴訟関係人に証人尋問の機会を与えることなどを定めています。そのため、聴取に当たって不当な誘導は防止されるとともに、そのような誘導があったかどうかは、録音・録画記録媒体の確認や証人尋問を通じて事後的に吟味し得ることとなります。  したがって、同条について、御指摘のような裁判を誤らせる重大な危険があるとは考えておりません。(拍手)    〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕

加藤勝信自由民主党・無所属の会厚生労働大臣

○国務大臣(加藤勝信君) 仁比聡平議員の御質問にお答えいたします。  性被害等から若年女性などを守るための支援についてお尋ねがありました。  性被害等に直面し、自ら支援を求めることが難しい状況にある若年女性については、アウトリーチにより早期にケースを把握し、個々の状況に応じたきめ細かな支援につなげることが重要であります。厚生労働省としては、官民協働によるアウトリーチ支援などを推進するとともに、支援の担い手となる民間団体の育成支援などを実施しております。引き続き、性被害等に直面する若年女性等に適切な支援が早期に行われるように取り組んでまいります。  障害児者に関する代表者聴取等の取組についてお尋ねがありました。  国は、障害者基本法等に基づき、障害の有無にかかわらず、全ての国民が相互に人格と個性を尊重した共生社会の実現を図ることが必要と考えております。  お尋ねは司法手続に関するものであり、法務省等の所管であることから、厚労大臣としてお答えすることは困難でありますが、厚生労働省としては、必要に応じて法務省を始めとした関係省庁と連携しつつ、今申し上げた考え方に立って取組を進めてまいります。(拍手)    〔国務大臣小倉將信君登壇、拍手〕

小倉將信自由民主党・無所属の会内閣府特命担当大臣(こども政策・少子化対策・若者活躍・男女共同参画)

○国務大臣(小倉將信君) 子供を性被害からいかに守るかについてお尋ねがありました。  性犯罪、性暴力は、子供の心身に有害な影響を及ぼし、かつその人権を著しく侵害する極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではないと認識しております。  政府としては、本年三月に取りまとめた性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針に基づき、刑事法の改正に係る対応、再犯防止施策の更なる強化、被害申告、相談しやすい環境の整備、切れ目ない手厚い被害者支援の確立などに取り組んでいます。  とりわけ、子供に対する性加害については、昨年取りまとめた子供の性被害防止プラン二〇二二に基づき、児童の性的搾取等の撲滅に向けた国民意識の向上、被害児童の迅速な保護及び適切な支援の推進、被害情勢に即した取締りの強化と加害者の更生、児童が性的搾取等の被害に遭わない社会の実現のための基盤の整備、強化などに取り組んでいるところです。  今後とも、関係省庁と連携しながら、性犯罪、性暴力対策の強化にしっかりと取り組んでまいります。  被害実態の調査についてお尋ねがありました。  内閣府では、統計法に基づく一般統計調査として、三年に一度、男女間における暴力に関する調査を実施しております。この調査では、無理やりに性交等をされた被害経験等を調査項目としており、令和二年度に実施した直近の調査においては、被害に遭ってから相談するまでの期間についても尋ねております。引き続き、性犯罪、性暴力の被害の防止や被害者支援等のための施策の検討に資するよう、必要な調査を実施してまいります。  最後に、児童相談所等における司法面接、代表者聴取についてお尋ねがありました。  御指摘の司法面接や代表者聴取は、児童虐待行為への刑事罰適用に係る司法手続のための事情聴取に際し、聞き取り回数を減らして児童の心理的負荷を可能な限り軽減できるよう、検察、児童相談所、警察の担当者が一堂に会し、聴取事項等を協議の上、三機関のうちの代表者が聞き取りを行うものです。  これに関しては、聞き取り結果が司法手続に用いられる重要なものであることや、被害を受けた子供が出来事を再体験することによる二次被害を回避するなど、子供の負担軽減を図る必要があることから、一定の経験や専門性が必要となるものと認識しています。  このため、法務省において、聞き取りを行う検察官に面接手法に関するプログラムの受講を求めるなど、代表者となる担当者の専門性の向上に努めており、こども家庭庁としても引き続き連携してまいります。(拍手)

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 日程第一 調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件  日程第二 二千二十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件  日程第三 世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件   (いずれも衆議院送付)  以上三件を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長阿達雅志君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔阿達雅志君登壇、拍手〕

阿達雅志自由民主党

○阿達雅志君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約は、商事紛争の解決方法としての利用を促進するため、調停による国際的な和解合意の執行等に関する枠組みについて定めるものであります。  次に、二千二十二年の国際コーヒー協定は、二千七年の協定に代わり、国際コーヒー機関の組織、情報の交換、持続可能なコーヒー産業の実現のための国際協力及び官民連携等について定めるものであります。  最後に、WTO協定改正議定書は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正し、同協定の附属書一Aに違法・無報告・無規制漁業に寄与する補助金の禁止等について定める協定を追加すること等について定めるものであります。  委員会におきましては、三件を一括して議題とし、国際調停の活性化に向けた国内外における政府の取組、調停に関するシンガポール条約と経済連携協定との関係及び対内直接投資への効果、コーヒーに関する国際商品協定を締結する意義、コーヒー産業の持続可能性を確保するための国際協力の在り方、漁業補助金協定の実効性を担保するための方法と今後の交渉における包括的な規律導入の見通し、開発途上加盟国への配慮規定の意義等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終局し、順次採決の結果、三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。  まず、調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件及び世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を一括して採決いたします。  両件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 総員起立と認めます。  よって、両件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)  次に、二千二十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件の採決をいたします。  本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。  よって、本件は承認することに決しました。(拍手)      ─────・─────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 日程第四 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長蓮舫君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔蓮舫君登壇、拍手〕

蓮舫立憲民主・社民

○蓮舫君 ただいま議題となりました承認案件につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告します。  我が国の平和及び安全を維持するため、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法に基づき、これまで、北朝鮮籍の全ての船舶、北朝鮮の港に寄港したことが確認された第三国籍船舶、国連安保理の決定等に基づき制裁措置の対象とされた船舶及び北朝鮮の港に寄港したことが確認された日本籍船舶の入港禁止措置が講じられてきました。  本件は、去る四月七日の閣議決定により、引き続き、令和七年四月十三日までの間、入港禁止措置が講じられたことについて、同法に基づき、国会の承認を求めようとするものであります。  委員会におきましては、国土交通副大臣より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。  本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 総員起立と認めます。  よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手)      ─────・─────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 日程第五 出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。法務委員長杉久武君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔杉久武君登壇、拍手〕

杉久武公明党

○杉久武君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  本法律案は、退去強制手続における送還、収容の現状に鑑み、退去強制手続を一層適切かつ実効的なものとするため、在留特別許可の申請手続の創設、収容に代わる監理措置の創設、難民認定手続中の送還停止に関する規定の見直し、本邦からの退去を命ずる命令制度の創設等の措置を講ずるほか、難民に準じて保護すべき者に関する規定の整備その他所要の措置を講じようとするものであります。  なお、衆議院において、難民の認定等の申請をした外国人に対する適切な配慮をするものとすること等の規定を追加する修正が行われております。  委員会におきましては、本法律案の審査に先立ち、名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に係る視察及び二回のビデオ映像の閲覧を行った上で、本法律案に加え、石橋通宏君外三名発議の難民等の保護に関する法律案及び出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行ったほか、東京出入国在留管理局を視察するとともに、二回にわたって計八名の参考人から意見を聴取するなど、慎重かつ熱心な審査を行いました。  委員会における主な質疑の内容は、難民認定申請中の送還停止効に例外を設けることの是非、難民認定手続の適切性及び透明性の確保策、難民審査参与員の業務の内容、入管収容施設における収容の在り方、仮放免中の逃亡事案の現状と監理措置制度を新設する意義等でありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。  質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲民主・社民を代表して石川委員、日本共産党を代表して仁比委員より、それぞれ本法律案に反対する旨の意見が述べられました。  討論を終局し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。石川大我君。    〔石川大我君登壇、拍手〕

石川大我立憲民主・社民

○石川大我君 立憲民主・社民の石川大我です。  私は、会派を代表して、ただいま議題となりました出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案について、強く反対の立場から討論をいたします。  昨日の法務委員会では、委員長職権による強行採決が行われました。隠蔽され続けてきた新事実が次々と明らかになる中、杉久武委員長の強権的な姿勢は極めて遺憾です。立法事実が完全に崩壊し、人の命を奪いかねない法案を強行採決したことに満身の怒りを持って抗議をしたいと思います。  この法案は、普通の法案とはその性質が異なります。人の命が、人権が懸かっている法案です。この法案が成立すれば、迫害を受けた母国に強制送還され、逮捕、投獄、拷問、虐殺、そうした迫害が待っている母国に強制的に送還される。このような恐怖におびえ、震えている人たちが、現に私たちの身近に、そして皆さんの身近にいることを知ってほしいのです。  政府・与党、そしてこの法案に賛成する他会派の皆さんと私たち立憲野党の違いは何か考えました。それは、この法案で失われてしまう命が見えているかいないかではないでしょうか。  私たちは、多くの難民申請者に会ってきました。全国の入管施設で苦しむ収容者と面会を重ねてきました。これまでの審議で政府・与党は、入管収容者やいわゆる送還忌避者を数字で扱うことはあっても、決して固有名詞で扱うことはありませんでした。もしその具体的な人間の生きる営みが見えていれば、人の命を奪う入管法改正案に賛成できるはずがありません。改めて、衆議院で参考人として意見陳述を行った一橋大学大学院の橋本直子准教授の言葉を引用し、死刑執行のボタン、これを押すなと強く訴えたいと思います。  二年前の三月六日、スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが名古屋入管で亡くなるという大変悲しい事件が起きました。本日も御遺族が傍聴にいらしていますが、改めて心よりお悔やみを申し上げます。  ウィシュマさんの死後二か月がたった五月の日曜日、私はウィシュマさんの葬儀に参列をさせていただきました。ひつぎの中のウィシュマさんは、遺影に写った笑顔がすてきなウィシュマさんではありませんでした。防げたはずの死亡事案を二度と起こしてはならないという強い思いから、私たちは、入管行政、難民行政の在り方を繰り返し検討してきました。そして、私たちの議員立法、難民等保護法案、入管法改正案の二本の法律案を参議院に提出するに至ったのです。  法務委員会では、閣法と併せ、この議員立法も一括審議が行われ、我が会派からは議員立法の採決を求めましたが、与党理事の反対から採決を認められませんでした。ますます我が国の入管行政は国際基準から遠のいたと断じざるを得ません。  政府案の収容施設内の医療体制については、廃案になった二年前の政府案とほぼ同じ規定であり、ウィシュマさんの死に対する反省がどこにも見られません。  先日、大阪入管では、常勤医が泥酔状態で診察していたことが明らかになりました。この医師への入管庁の対応は、調査中として明らかになっていません。ウィシュマさんの非業の死から入管庁は何も学んでいないのではないでしょうか。  そして、驚くことに、昨日、大阪入管が弁護士グループの質問状に答え、泥酔医師の後任について募集しないと回答したことが報道されました。大阪入管の常勤医は、結局このままこの泥酔医師に任せるというのでしょうか。  難民認定手続の一次審査は入管庁が行いますが、外国人の不法入国や不法滞在を防ぐ仕事をしている入国審査官が、難民の受入れを認めるという正反対のことを適切に行えるとは思いません。難民認定は必ず法務省、入管庁から独立をさせるべきです。  本法案は衆議院で可決されてしまいました。衆議院の参考人、橋本准教授の言葉を借りるならば、実に多くの衆議院議員が間接的に死刑執行のボタンを押すことに賛成をしたということになります。この後の採決で、ここ参議院の本会議場では、無辜の人にその死刑執行ボタンを押すことに賛成する議員がいないことを願ってやみません。  柳瀬房子難民審査参与員の、難民はほとんどいないという発言が政府案の重要な立法事実になっている点も極めて問題です。  弁護士の伊藤敬史難民審査参与員は、二〇二一年、二〇二二年の二年間、常設班として計四十九件の審査を担当し、九件の難民認定、八件の人道上配慮の在留特別許可を求める意見を出したとし、難民はそれなりにいると述べています。柳瀬氏の発言は、難民審査参与員制度の在り方や参与員の資質そのものに疑念を生じさせるものです。  入管庁の発表によると、いわゆる送還忌避者の中に十八歳未満の未成年の子供が二百九十五人います。こうした子供やその家族には速やかに在留特別許可が与えられるべきです。在留特別許可の考慮すべき事情として子供の利益を明確に規定すべきですけれども、政府案では、在留特別許可の考慮すべき事情として、家族関係と曖昧に規定するのみです。これでは、日本政府は子供の権利利益について関心がないと思われても仕方ありませんし、現に子供とその家族を救うことなどできるはずもありません。  難民の地位に関する条約、いわゆる難民条約では、その前文に、締約国は、国連憲章及び世界人権宣言が、人間は基本的な権利及び自由を差別を受けることなく享有するとの原則を確認していることを述べています。一九八一年に難民条約に加入した我が国にとっても、難民の保護は遵守すべき責務であることは言うまでもありません。  政府案の入管法改正案では、保護すべき者を確実に保護するということは絶対に不可能です。  八十三年前、日本には命のビザの杉原千畝がいました。今朝の東京新聞で北丸雄二さんは、杉原千畝に感動し、謝罪したはずの日本が今、死のビザの国になるのですかと問いかけています。  私たちは、難民の皆さんや日本が当然守るべき人権を守る当たり前の国になることを望み、私たちの野党案こそ実現してほしいと願ってくれている多くの国民の皆さん、つないだ手を決して離しません。この決意を申し上げ、私の反対討論といたします。  どうか皆さん、この法案は多くの人々の生死が懸かった命の問題です。一人一人の命に目を向け、私たちの隣人の命を自分事として考え、採決に臨んでいただきたくお願いを申し上げます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 音喜多駿君。    〔音喜多駿君登壇、拍手〕

音喜多駿日本維新の会

○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。  私は、会派を代表し、ただいま議題となりました内閣提出、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法案につきまして、賛成の立場から唯一の討論を行います。  今国会に提出されている入管法改正法案は、我が国の送還忌避、長期収容問題を解消するためのものであり、同時に、ウクライナから避難されてきた方々のような、人道上の危機に直面し、真に庇護を必要とする方を確実に保護するための改正案です。  保護すべき者を確実に保護しつつ、退去強制手続を一層適切に行うことは出入国在留管理上の課題であり、これを解決する法整備は、日本人と外国人が健全に共生する社会を実現するために必要不可欠です。  我々日本維新の会は、政府が旧法案の審議を断念した二年前にも、修正協議を呼びかけるなど、本法案の早期成立を求めてきました。法改正が先送りされたこの二年間の間、仮放免中に約千四百人もの逃亡者が発生し、逮捕された仮放免者の数は、令和三年は三百三十七人、令和四年は三百六十一人にも上るという事実に、社会の秩序維持という責務と国民の命、安心、安全を預かる我々は正面から向き合わなければなりません。  現行法には、難民認定申請の回数や理由を問わず、たとえテロリストなどの凶悪犯であったとしても、難民認定申請さえすれば送還できないとする送還停止効の規定が存在するため、送還忌避の手段として難民認定申請を濫用する者がおり、その中には、残念ながら重大前科を有する者が一定数存在します。  送還を忌避する者に対しては、入管庁において、長期収容を避けるため、諸般の事情を考慮して仮放免を行う運用としていますが、仮放免は逃亡防止手段が十分ではないため、近年、仮放免中に逃亡して所在不明になっている者が激増するとともに、仮放免中に重大犯罪に及ぶ者も発生しており、国民の安心、安全の観点から看過できない事態が生じていることは紛れもない事実であります。  実際に、強制わいせつ致傷で懲役四年の実刑判決を受け、刑務所を出所後、在留資格がないため入管収容施設に収容されるも、難民認定申請をして送還を忌避、長期収容者となって仮放免で収容を解かれると、今度は強姦致傷という重大犯罪に及んだ者が存在します。法案審議の中でもこのような事例が問題視されましたが、本法案に反対する方々は、こうした重大事案の被害者や関係者に対し、加害者を送還できない現状をどう説明されるのでしょうか。  本法案は、多くの先進国に倣って送還停止効の例外を設けるもので、三年以上の実刑前科者、外国人テロリスト等のほか、三回目以降の難民認定申請者を送還停止効の例外とし、難民認定申請の濫用による送還忌避を防ごうとしています。  その上で、三回目以降の申請者であっても、例えば出身国の情勢の変化など難民等と認めるべき相当の理由がある資料を提出した者は送還されないこととし、真に保護すべき者を保護できる制度としています。  また、収容についても、監理人の適切な監理の下、収容を解かれた者の逃亡等を防止しつつ、退去強制手続を進める監理措置制度を導入して、不必要な収容、長期収容を防止することとし、外国人の人権及び国民の安全について配慮する内容となっています。  他方で、我が国の難民認定制度の適正性に疑問を呈する声もあることを考えれば、現在の難民認定制度を改善するために不断の努力を重ね、国民や国際社会から一層の信頼を得ることも極めて重要です。  まず、本法案には、保護すべき者を保護する措置として補完的保護対象者の認定制度を設け、難民と同様の在留上の地位を与えてその地位を安定させ、また、在留特別許可の考慮事情等を明示し、申請手続を設け、判断の適正性、透明性を高めています。  さらに、日本維新の会は、難民認定制度の一層の適正化を図るため、衆議院において、難民認定等の申請をした外国人の心身の状況等に応じた適切な配慮をすることや、難民の認定等を適切に行うため、出身国情報を収集するとともに、難民調査官の育成に努め、難民調査官に必要な研修等を行うことなどを盛り込んだ修正案を提出し、可決されております。これにより、外国人の人権の尊重と難民認定の適正化が一層確実になることを確信をしております。  参議院の参考人質疑では、外国人は難民という手法以外にも在留資格を付与する手法で受け入れることもある以上、入管業務と難民認定業務との連携が大事であり、そのため、難民のための第三者機関を設けずとも、現行制度の質を向上させていくべきとの御意見がありました。  日本維新の会は、まさに、現行の制度を生かした上で、その質の向上をさせるための現実的な政策提案をした上で、実際に法案の修正を実現をしています。  その一方で、衆議院の審議の経過では、責任の果たす立場である野党第一党の立憲民主党は、建設的に行われていた修正協議から去り、参議院では法務委員長の解任決議案や法務大臣問責決議案を次々に提出するなど、いたずらに時間を稼ぐ、不合理な昭和の国会戦術を展開しました。このような態度で、そのような態度で外国人の人権や日本国民の安心、安全を守ることができるのでしょうか。  あまつさえ、その遅延戦略の中で行われた法務委員会においては、ルールにのっとって行われた採決に異を唱えた野党議員の肉体的接触を伴う野蛮な振る舞いにより負傷者が発生し、ほかにも、社会の公器たる新聞の記者を含む多くの法務委員以外の者たちを、ルールを無視した不規則発言を繰り返すなど、秩序を著しく乱す蛮行がありました。平和や人権を日頃から声高に主張する者たちの行動として、これほど信じ難く、矛盾をするものがあるのでしょうか。  国民の多くが、冷静に法改正の必要性を認識し、秩序を持った外国人との共生を望んでいることに鑑みれば、ごく一部の事実のみを切り出し、牽強付会な主張で法改正を先延ばし、混乱を引き起こす一部野党の非生産的な行動は甚だ無責任なものであると言わざるを得ません。  私たち日本維新の会は、マニフェストに外国籍住人との共生を掲げています。日本人と外国人が共に安心、安全に暮らせる共生社会を実現し、外国人への差別と偏見を根絶させ、その人権がより尊重されるよう力を尽くすとともに、国民の命と、安心、安全と社会秩序をしっかりと守ることをお誓い申し上げ、私の賛成討論といたします。  ありがとうございました。(拍手)

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 仁比聡平君。    〔仁比聡平君登壇、拍手〕

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平です。  私は、会派を代表して、入管難民法政府改悪案に断固反対の討論を行います。  日に日に入管法改悪ノーの声が広がり続けるのはなぜか。そこには、非正規滞在者の逃れてきた出身国の迫害や、人権侵害への恐怖、帰れないからこそ日本でぎりぎりつないできた生活を断ち切られ、家族までばらばらにされかねない強制送還への切迫した恐怖があります。  名古屋入管が二年前、ウィシュマ・サンダマリさんの仮放免申請を一度不許可にして立場を理解させ、強く帰国説得する必要ありなどとして却下し、点滴さえ行わず死に至らしめたような、人道に反する、むき出しの人権侵害への憤りがあります。  入管は、目の前にいる外国人を一人の人間として見ていない。審議すればするほど立法事実の根幹に関わる大問題が噴き出し続けてきたのは、政府案そのものが底深い人権侵害の構造にあるからにほかなりません。  立憲民主・社民、日本共産党、れいわ新選組、沖縄の風の四会派による野党対案は、難民支援団体、国際人権法研究者、国際人権機関、全国難民弁護団連絡会議など、難民条約と国際人権基準の実現を求めてきた市民社会の力が結集され、実ったものです。  五月十八日、木村英子発議者が、入管収容の人権侵害性について、私自身も経験していることですが、入管施設や障害者施設などでは、弱い立場の人たちは密室で虐待を受けるため、逃げ場はありません、外へは決してその声は届かず、ウィシュマさんの事件や、やまゆり園の障害者殺傷事件のように、悲惨な結果になってからでしか施設の実態が明るみになることはありませんと告発したのに対し、入管庁西山次長が気色ばみ、語気を荒げて、国家にとって好ましくない外国人の在留を禁止し、強制的に国外に退去させること、すなわち送還のことをお話ししている、すなわち、送還は、出入国在留管理という国家の主権に関わる問題として、本質的に行政権に分類される作用であるとして、収容は裁判所の許可なしに行政機関の判断のみで行うと強弁した姿は、政府案の本質が象徴的に示された場面でした。  高良鉄美発議者は、身体の自由は人権の基本であり、それがなければ自由権そのものが存在しない重要な権利、外国人の裁判を受ける権利に配慮しているのが野党案であることを明らかにし、山添拓参議院議員は、発議者は、職権行使に当たって独立して権限を行使できる合議制の機関である難民等保護委員会を設置して難民等の認定と不服審査を担当させ、出入国管理と難民保護を行う主体とを分離する、これが必須だと強調しました。石橋通宏発議者が、人権侵害との国際機関からの指摘を一貫して無視してきた状況を是正し、人権という普遍的な価値、デュープロセスを実現すると語り続けてきたとおり、野党対案こそ希望の道です。  政府・与党は、阿部浩己参考人が、国家の利益を中心に据えた二十世紀の国際法ではなく、人間の利益を中心に据えた二十一世紀の国際法の在り方をしっかり反映させた形で入管法が見直されることを念じていますと厳しく指摘したことをもう一度深く考え直すべきであります。  政府案に反対する理由の第一は、三回目以降の難民認定申請者から送還停止効を剥奪し強制送還することは、難民条約のノン・ルフールマン原則に反する国際法違反にほかならないことです。  政府案が土台とする我が国に難民はほとんどいないとの認識は、柳瀬房子氏や浅川参考人など一部の参与員の発言をめぐる審議、そして柳瀬氏自ら、たまたま難民と認めるべき案件が回ってきていないと発言を変えた音声データの公表によって崩れ去りました。  渡邉彰悟参考人が厳しく指摘したとおり、独立した認定機関を創設することのないままに、つまり適正な難民認定実務の確立のないままに送還停止効を外すという閣法は受け入れられません。  第二に、極めてずさんな難民認定の実態が明らかになったにもかかわらず、政府案にその抜本的改善策がないことです。  入管庁による一次審査の不認定処分をただすべき難民参与員の事件配分は、当の入管庁によって極端に偏って行われてきました。書面審査のみで大量の案件の迅速処理を特別に担う臨時班の存在が初めて明らかとなり、柳瀬参与員には総審査件数の二割以上を関与させる一方で、二年間ゼロ件の参与員や不認定判断を覆したら事件が大きく減らされた参与員の存在は、一部の参与員が出身国情報もまともに参照せず、予断を持って不認定を重ねる送還ありきのベルトコンベヤーに組み込まれてきたことを示しています。  難民法裁判官国際協会は、瑕疵ある手続により公正かつ合理的な機会が申請者に与えられなかった場合、信憑性評価は根本的に誤りのあるものとなるとして、代理人の立会いを確保することを基準としています。ところが、政府案は、一次審査に弁護士の立会いも録音、録画も認めていません。もはや、G7各国を始め世界で当たり前の透明性、公平性から懸け離れていると言うべきであります。  第三に、法案が立法事実として送還忌避者と一くくりにする人たちの中に、様々な事情で帰国できず、日本社会に根差して暮らす多くの人たちがいることが明らかになったことです。入管庁が送還ノルマまで設け、仮放免や収容を帰国せざるを得ない状況に追い込む道具としてきたことは断じて許すわけにはまいりません。  送還忌避者とされた人のうち、昨年一年間に、難民認定された人、人道配慮を受けた人、在留特別許可を受けた人は合わせて百二十人に上ります。  しかし、庇護されるべき人々はそれにとどまるものでは全くありません。裁判でも難民と認められなかったLGBT当事者について、石川大我議員の質問に、大臣は、私なら庇護したいと思う、そう答弁しました。重要です。ならば、民主主義の届かない闇の中で人権侵害の構造をつくり出してきたあらゆる通達を廃止し、ブラックボックスを根本から打破すべきではありませんか。  第四に、政府案が、参考人長澤正隆さんが厳しく指摘をしたとおり、日本で育ち学ぶ子供たちとその家族までも強制送還の対象とし、彼らを恐怖にさらしていることです。  ラマザン参考人は、日本ではまだ守られるべき人たちが保護されていません、彼らは今度の政府案が通ったら送還されるのではないかとおびえていることを知ってください、私も、家族が送還されてばらばらになるのではないかと不安で、とても怖いですと訴えました。大臣が真剣に前向きに検討する、急ぐと言うのなら、入管庁任せにしてはならないのです。  第五に、司法審査の導入を拒否し、入管庁だけの判断で無期限に収容する構造を変えないことです。収容に代わる措置という監理措置は、監理人を入管側の動静監視の協力者に組み込むもので、本来の当事者支援とは相入れず、既に破綻しています。  また、医療体制の改善に取り組む、効果は上がっているという大臣答弁の陰で、大阪入管の常勤医師が昨年九月以降、患者への暴言、不適切な投薬、一月には酒酔いで診療に従事していないことが明らかになりました。これではウィシュマ事件が繰り返されてしまいます。  こうした入管行政の源流には、戦前の植民地支配、戦後の在日朝鮮人の排斥の歴史があります。  一九八二年、ようやく難民条約を批准してもなお、入管職員研修の法務省の教材には次の記述がありました。  我が国は日本人だけで非常に高度の和と能率が維持される国に仕上がっているのだから、自ら好んで外国人を招き寄せてこの調和の取れた環境を破壊することは避けなければならない。  こうした差別と排斥の歴史を終わらせ、保護と共生へ。  日本共産党は、若い世代を先頭に口々に語られてきた非正規滞在者への思い、そして、つないだ手を絶対に離さないという強い決意を共にし、これからも頑張り抜きます。入管法改悪案は断固廃案とすべきであります。野党対案こそ実現すべきことを強く訴え、反対討論を終わります。(拍手)

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。(拍手)      ─────・─────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 日程第六 良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案  日程第七 戦没者の遺骨収集の推進に関する法律の一部を改正する法律案   (いずれも衆議院提出)  以上両案を一括して議題といたします。  まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長山田宏君。     ─────────────    〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔山田宏君登壇、拍手〕

山田宏自由民主党

○山田宏君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。  まず、良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案は、ゲノム医療が個人の身体的な特性及び病状に応じた最適な医療の提供を可能とすることにより国民の健康の保持に大きく寄与するものである一方で、その普及に当たって個人の権利利益の擁護のみならず人の尊厳の保持に関する課題に対応する必要があることに鑑み、良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策に関し、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本計画の策定その他当該施策の基本となる事項を定めようとするものであります。  委員会におきましては、提出者である衆議院厚生労働委員長三ッ林裕巳君より趣旨説明を聴取した後、れいわ新選組を代表して天畠大輔委員より、ゲノム情報を理由とする差別の禁止等に関する規定を追加すること等を内容とする修正案が提出されました。  次いで、討論に入りましたところ、れいわ新選組を代表して天畠大輔委員より修正案に賛成、原案に反対の旨の意見が述べられました。  討論を終局し、順次採決の結果、修正案は否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律の一部を改正する法律案は、戦没者の遺骨収集の推進に関する施策の実施の状況に鑑み、当該施策を集中的に実施する期間を五年間延長しようとするものであります。  委員会におきましては、提出者である衆議院厚生労働委員長三ッ林裕巳君より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) これより採決をいたします。  まず、良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 過半数と認めます。  よって、本案は可決されました。(拍手)  次に、戦没者の遺骨収集の推進に関する法律の一部を改正する法律案の採決をいたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 総員起立と認めます。  よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)      ─────・─────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) この際、外交・安全保障に関する調査会長から、外交・安全保障に関する調査の中間報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。外交・安全保障に関する調査会長猪口邦子君。     ─────────────    〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔猪口邦子君登壇、拍手〕

猪口邦子自由民主党

○猪口邦子君 外交・安全保障に関する調査会における中間報告について御報告申し上げます。  本調査会は、外交・安全保障に関し、長期的かつ総合的な調査を行うため、令和四年十月三日に設置され、その後、三年間の調査テーマを「21世紀の戦争と平和と解決力~新国際秩序構築~」と決定し、調査を進めることといたしました。  一年目の調査では、「戦争防止のための要件」、「軍縮・不拡散①(NPT・CTBT・FMCT・INF・新START)」、「軍縮・不拡散②(核以外の大量破壊兵器、対人地雷・クラスター爆弾等)」、「国連改革(安保理改革・専門機関の強靱化)」及び「持続的な防衛基盤整備の在り方」について計十五名の参考人から意見を聴取し、質疑を行ったほか、委員間の意見交換を行い、主要論点の整理を含む中間報告書を取りまとめ、去る七日、議長に提出したところであります。  以下、主要論点の主な内容を御報告いたします。  まず、戦争防止と国際法・外交に関し、ウクライナ戦争への対応やその終わらせ方、紛争リスクを低減するための外交手段、対途上国外交、平和のための人権外交などの論点について意見がありました。  次に、核軍縮・不拡散に関し、核兵器のない世界の実現に向けた取組、核兵器不拡散条約、NPT、包括的核実験禁止条約、CTBT、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約、FMCT、また核兵器禁止条約、TPNW等の核軍縮に関する各種枠組みの課題や、アジアにおける緊張緩和に向けた日本の役割などの論点について意見がありました。  さらに、大量破壊兵器以外の軍縮に関し、対人地雷禁止条約やクラスター弾禁止条約の普遍化に向けた取組、自律型致死兵器システムなど特定通常兵器への対応などの論点について意見がありました。  続いて、国連改革に関し、日本が目指すべき安保理改革とその実現に向けた取組、拒否権による安保理の機能不全への対応、国連関係機関における日本人職員を増やすための方策などの論点について意見がありました。  最後に、戦争防止と防衛力に関し、反撃能力を含めた日本の防衛の在り方、防衛費増額方針を含む日本の安全保障政策の転換に関する国民的議論の必要性、防衛装備品の移転の進め方と懸念、防衛産業における課題と防衛基盤の強化に向けた取組などの論点について意見がありました。  本調査会といたしましては、二年目以降も引き続き、本中間報告の論点整理も踏まえつつ、これからの世界で、戦争を防止し、平和を維持するための問題解決力や、国際秩序の在り方について、様々な角度から更に調査を進めてまいる所存であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)      ─────・─────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) この際、国民生活・経済及び地方に関する調査会長から、国民生活・経済及び地方に関する調査の中間報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。国民生活・経済及び地方に関する調査会長福山哲郎君。     ─────────────    〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔福山哲郎君登壇、拍手〕

福山哲郎立憲民主・社民

○福山哲郎君 国民生活・経済及び地方に関する調査会における中間報告について御報告申し上げます。  本調査会は、国民生活・経済及び地方に関し、長期的かつ総合的な調査を行うため、第二百十回国会の令和四年十月三日に設置され、三年間の調査テーマを「誰もが取り残されず希望が持てる社会の構築」と決定し、調査を開始いたしました。  一年目は、調査テーマのうち、「社会経済、地方の現状と国民生活における課題」について調査を行うこととし、「社会的な困難の現状」、「地域社会が抱える課題」及び「現下の経済情勢」について参考人から意見を聴取し、質疑を行いました。その後、委員間の意見交換を行い、今般、主要論点の整理を含む報告書を取りまとめ、去る六月七日、これを議長に提出いたしました。  以下、主要論点を中心に御報告申し上げます。  まず、社会的な困難の現状については、生活困窮者に必要な支援策、NPO等の支援者に対する支援、孤独、孤立への対応、子供への支援、一人親世帯への支援、障害者に対する施策の在り方、子供の自殺対策などについて意見がありました。  次に、地域社会が抱える課題については、地域経済を成長させるための方策、地域間の連携とデジタル技術の活用、地域公共交通と地域活性化などについて意見がありました。  次に、現下の経済情勢については、平成経済の教訓を踏まえた政策の立案、賃金構造の変化による家計、雇用への影響と少子化対策、雇用のセーフティーネットの強化などについて意見がありました。  調査会におきましては、我が国で生じている様々な困難について、党派を超えて認識を共有し、リアリティーのある議論をしてまいりました。このような難しい時代において、誰もが取り残されず希望が持てる社会の構築に向けて貢献できるよう、更に議論を深めてまいります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)      ─────・─────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) この際、資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会長から、原子力等エネルギー・資源、持続可能社会に関する調査の中間報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 御異議ないと認めます。資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会長宮沢洋一君。     ─────────────    〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕     ─────────────    〔宮沢洋一君登壇、拍手〕

宮沢洋一自由民主党

○宮沢洋一君 資源エネルギー・持続可能社会に関する調査会の中間報告につきまして、その概要を御報告申し上げます。  本調査会は、三年間の調査テーマを「資源エネルギーの安定供給確保と持続可能社会の調和」とし、一年目は「資源エネルギーと持続可能社会をめぐる情勢」について調査を行い、中間報告書として取りまとめ、去る六月七日、議長に提出いたしました。  その内容は、ロシアのウクライナ侵略による新たな局面と資源エネルギー情勢、資源エネルギーの新たな局面と日本への影響及びエネルギーや気候変動などSDGsをめぐる日本の情勢についての参考人からの意見聴取と質疑、政府からの説明聴取と質疑、委員間の意見交換、そしてこれらの議論の主要論点別の整理でございます。  主要論点の主な内容は、次のとおりです。  第一に、ロシアのウクライナ侵略と資源エネルギーについては、エネルギー安全保障、資源外交等を取り上げております。  第二に、資源エネルギー政策については、電力システム改革、資源リサイクル等を取り上げております。  第三に、再生可能エネルギー・省エネルギー等については、再エネの主力電源化、水素・バイオマス燃料等を取り上げております。  第四に、原子力政策については、原子力発電、国民理解等を取り上げております。  そして第五に、SDGs・持続可能社会・気候変動については、SDGsの達成、カーボンニュートラル等を取り上げております。  本調査会といたしましては、以上を踏まえ、更に調査を進めてまいりたいと考えております。  以上、御報告申し上げます。(拍手)

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会

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