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211回国会参議院2023/01/27

本会議 第4号

発言数
27
登壇者
13
会派数
8
開催日
2023/01/27

会議録

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)  昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。山口那津男君。    〔山口那津男君登壇、拍手〕

山口那津男公明党

○山口那津男君 公明党の山口那津男です。  私は、公明党を代表して、施政方針演説等政府四演説に対し、総理並びに関係大臣に質問いたします。  長引くコロナ禍や昨年来の物価高、いまだ終結の見通しが見えないウクライナ情勢など先行き不透明な状況が続く中、日本も世界も大きな転換期を迎えています。  今大切なことは、政治が、未曽有の危機を乗り越える処方箋を示し、安心と希望の未来を開くための改革を果敢に実行していくことです。  本格的な経済再生に向けては、持続的な賃上げを可能とする経済構造への転換が必要であり、人への投資やGX、DXなどの取組をあらゆる分野で加速させ、国内投資の拡大や企業の稼ぐ力の強化につなげることが重要です。  急速に進む少子化は、社会に深刻な影響を及ぼします。公明党はかねてより、結婚、妊娠、出産、幼児教育から高等教育まで切れ目のない支援を充実させ、子育てのトータルな安心を確保すべきと訴えてきました。最優先で取り組む必要があります。  国際社会の緊張が高まる中、本年は、G7議長国、安保理の非常任理事国として、日本が国際秩序の維持や世界の平和と安定に積極的な貢献を果たしていくことが求められます。  日本の行く末を左右する重要課題の対応が問われる本年、難局打開へ、今こそ、国民が何を求め何を望んでいるのか、政治は敏感でなければなりません。  公明党は本年も、国会議員と地方議員のネットワークの力を生かして、生活現場の声をいち早く政府に届け、国民生活の向上と活力あふれる新しい日本の構築へ全力を挙げてまいります。  以下、当面する重要課題について質問いたします。  昨年十二月の消費者物価指数は四%と、四十一年ぶりの高水準を記録しました。本年も、四月にかけて電気料金や七千品目を超える飲食料品の値上げが予定されています。加えて、日用品や電車、タクシーの運賃など、日々の生活に関わる幅広い商品やサービスの値上げも予想、想定されています。  この中で、電気・都市ガス料金については、本年一月から九月末まで、標準的な家庭の負担を四万五千円程度軽減する支援策が始まります。これを着実に実施するとともに、今後の動向を注視しながら、必要に応じて予備費を活用するなど、機動的な対策を実行していただきたいと思います。  その上で、物価上昇に負けない賃上げこそ真の物価高騰対策です。また、日本経済が低価格、低成長のサイクルから脱する鍵であり、断じて成し遂げなければなりません。  既に一部の大企業が高い賃上げを表明するなど、機運は高まっていますが、中小企業の賃上げが大きな課題です。中小企業庁の調査によれば、コスト上昇分に対する価格転嫁率は平均で四六・九%で、全く価格転嫁できていない企業は約二割に及ぶなど、原材料高が中小企業の利益を圧迫しています。取引の適正化に向けた一層の取組が必要です。  また、DXやGXを通じた生産性向上や成長力の強化も重要です。  先日、福岡県の商工会議所の皆様からお話を伺う中で、価格転嫁を進めるために、元請と下請企業の共存共栄を図るパートナーシップ構築宣言の実効性を高めることや、中小企業の生産性向上に役立つ各種補助金の継続、拡充などの御要望をいただきました。  既に補助金や税制等による様々な支援策を用意していますが、今後はこれらを活用して、経営人材への支援など企業自身の変革力を高める取組を後押ししていくことが重要です。  中小企業を含め、物価上昇に負けない賃上げの実現に向けた道筋について、総理の見解を求めます。  本格的な経済再生に向け、総理は、投資と改革の重要性を強調されました。その取組に当たっては、日本企業の九九%を占める中小企業の活力を引き出し、その流れを地方の隅々にまで波及させるという視点が重要です。  具体的には、コロナ禍などで傷んだ中小企業の経営状態を回復させる環境整備が必要です。事業承継による世代交代やMアンドAによる規模拡大で企業の成長を促すとともに、GXやDX分野への投資促進、イノベーションを創出するスタートアップの後押し、円安を好機として輸出を展開しようとする中小企業に対する初期計画から販路拡大までのきめ細かな伴走支援など、ピンチをチャンスに変えようとする中小企業を強力に支援すべきです。  また、厳しい経営環境の中で、経営者の交代が難しく、黒字廃業の比率が約六割を占める状況も続いています。こうした事業の世代交代やスタートアップの創業、思い切った新規事業展開といった前向きな挑戦が進まない要因の一つとして、中小企業の経営者や起業家が金融機関から融資を受ける際の経営者保証の問題も指摘されています。総理も施政方針演説で述べているように、制度の早急な見直しが必要です。  中小企業の前向きな挑戦を後押しするための一体的な支援策と経営者保証の見直しについて、総理の答弁を求めます。  政府は、昨年末、デジタルの力で地域の社会課題を解決し、地方創生を加速化するデジタル田園都市国家構想の総合戦略をまとめました。  これを踏まえ、地方が地域の実情に応じた施策を主体的に取り組み、具体的な成果を上げられるよう、きめ細やかな支援を行うことが重要です。  公明党は、地方議員が地域の最前線で住民のニーズを吸い上げ、国会議員や他の地域の議員とも連携して、様々な課題解決に取り組んでいます。最近では、オンライン診療の環境整備、コミュニティーバスやデマンド交通等の移動支援、地域資源を生かした脱炭素やエネルギーの地産地消などを推進してきました。大事なことは、その地域にしかない魅力や持ち味を引き出し、磨き上げ、住民サービスの向上や地域の活性化につなげていくことです。  総合戦略の実行に向け、地域の実情に応じた支援をどのように進め、地域活性化につなげていくのか、総理に伺います。  成長戦略の柱であり、地方の基幹産業として重要な役割を担う観光産業については、持続可能で地域活性化の好循環を創出できる環境整備が重要です。  その観点から、高齢者や障害者など、あらゆる人が観光を享受できるよう、施設等のバリアフリー化などのハード対策や、筆談対応などのソフト対策が求められています。  特にソフト対策では、バリアフリー対応やその情報発信に積極的に取り組む観光施設等に対し認定マークを交付する、心のバリアフリー認定制度があります。その認定を受けた観光施設は、高齢者や障害者が安心して旅行先を決めることができる目安となります。  政府は今年度末までに、新たな観光立国推進基本計画を策定することとしていますが、同認定制度の普及促進を始めあらゆる人が観光を楽しめるユニバーサルツーリズムの実現を目指し、ハード、ソフト両面の環境整備を盛り込んでいただきたいと思います。国土交通大臣の答弁を求めます。  地域の活性化に向けては、未来の農林水産業の構築に向けた大胆な投資が不可欠です。  昨年の農林水産物・食品の輸出額は、十一月までの累計で約一・二兆円となり、過去最高を更新しました。  各地域には、世界に誇れる魅力的な農産物が数多く眠っています。これらを旺盛な海外需要に向けて輸出し、生産者の所得拡大につなげられるよう、支援を強化すべきです。  また、環境や健康に優しい有機食品や有機農業の需要は高まっています。  そこで、公明党は、各自治体で有機農産物の生産から消費までを一貫して取り組むオーガニックビレッジの拡大が重要であると考えます。  現在、五十五市町村で有機農業の産地形成を予定していますが、こうした地域を更に拡大できるよう、生産者や自治体への支援を拡充するとともに、人材育成、技術開発等を強力に進めるべきです。  農林水産業の付加価値向上に向けた取組について、総理の答弁を求めます。  総理が最重要施策と位置付けた子育て支援について伺います。  公明党は、結婚、妊娠、出産から子供が社会に巣立つまで、ライフステージに応じた支援策を子育て応援トータルプランとして取りまとめ、昨年十一月に発表しました。今後、段階的な実現に取り組んでいきますが、それに先行する形で、これまで支援が手薄だった妊娠期からゼロ―二歳児に対して、身近で寄り添って相談に乗る伴走型相談支援と、妊娠時、出産時で合計十万円分の経済的支援のパッケージが実施されます。この事業が今後も恒久的に実施されることを担保するため、法律に位置付けるとともに、一歳、二歳の時点でもそれぞれ経済的支援を行うよう、財源を確保しつつ拡充すべきです。  ゼロ―二歳児をめぐっては、第二子以降からなど保育料無償化の段階的な対象拡大や、専業主婦家庭などの約六割を占める未就園児も保育サービスを定期的に利用できる環境整備、育児休業給付の対象となっていない離職者、自営業者、フリーランスに対する給付の創設など、誰もが安心して子育てできる支援の充実が求められています。  ゼロ―二歳児を中心とした子育て支援の充実について、総理の答弁を求めます。  本年四月にはこども家庭庁が発足します。子供の視点に立った司令塔機能を存分に発揮させ、子供政策を政治のど真ん中に据えた社会を実現すべきです。  愛知県新城市では、若者議会を設置し、そこで提案された政策が実現した事例や、滋賀県では、選ばれた子ども議員が子ども県議会で質問を行う事例など、子供や若者の声が政治に反映される取組が進められています。未来の担い手である子供たちにとって、こうした経験は大きな力になります。自ら意見を表明することが難しい子供たちを始め多様な意見を受け止め、政策に反映していくことは極めて重要です。  そのため、意見を言いやすい環境づくり、聞く側の姿勢の改革とともに、子供の声を関係機関などにつなげるファシリテーターやサポーターなどの存在も求められます。  子供や若者の声が政策に反映される仕組みづくりについて、総理に伺います。  昨年、園児に対する暴行により保育士が逮捕されるというあり得ない事件が発生しました。安全、安心であるべき保育施設で被害に遭われた子供たちがどれほど怖い思いをしたか、保護者の憤りは計り知れません。  今回、保育士が行った行為は到底許されるものではありませんが、一方で、事件の背景には、深刻な人手不足、コロナ禍の影響による業務量の増大など、様々な課題も指摘されています。  政府は、全国の保育現場の実態調査、検証を踏まえて、保育士の研修体制の強化やマニュアルの改善等の取組を進めるとともに、保育の質の向上や現場の負担軽減に向けて人員配置の拡充やデジタルを活用した業務改善など総合的な再発防止策を取りまとめ、早急に実行すべきです。また、実態を踏まえた保育士の配置基準の見直しも必要です。  不適切保育の根絶に向け、園児の安全、安心を守る体制の強化について、総理に伺います。  日本の未来をつくるのは子供たちであり、その子供たちの幸せのために教育はあります。これまでのような知識偏重でなく、課題に対して挑む力を付け、個々の可能性を開き、生涯にわたって学び続けることで人生を豊かにしていく、そのような教育に大きく転換するときが来ています。  不登校の児童生徒の増加は、その転換を急ぐべきことを教えてくれているのではないでしょうか。文科省の調査によれば、令和三年度の小中学校の不登校は約二十四・五万人。このうち、学校内外で相談、指導等を受けず長期化している児童生徒が約四・六万人おり、この子供たちがどこの支援にもつながれず、孤立状態に陥っていることが強く懸念されます。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の拡充、児童生徒や保護者が専門家に相談できるオンラインカウンセリングの開設を急ぐべきです。  また、生徒に合わせた学びができる不登校特例校を都道府県、政令市に一校以上設置するための財政支援とともに、分教室型の開設事例などを示し、自治体の早急な取組を後押ししていただきたい。  不登校は、様々な理由で誰にでも起こり得るものです。社会が偏見を持たず、温かく見守るとともに、国は多様な居場所、多様な支援、多様な学びを提供し、大切な子供たちのためにしっかりと予算を付けて取り組むべきです。  不登校の児童生徒への支援について、総理に伺います。  働き方が多様する中、雇用形態の違いによるセーフティーネットの格差を解消する取組が重要となります。その一方で、百三万円、百三十万円といった就労の壁が依然として課題となっています。税制上は既に百三万円の壁への対応がなされ、社会保険の適用拡大も順次進められていますが、実際はこうした壁を意識した就業調整が行われています。引き続き、社会保険に加入するメリットなど、経営者、労働者の双方に丁寧に周知することを含め、働きたい方が就業調整を意識せず働けるよう、もう一段の取組が必要です。  フリーランスで働く方については、契約や報酬をめぐるトラブルを防ぎ、安心して働けるよう、取引を適正化する法律を早期に制定すべきです。  また、がんになっても働き続けられる環境づくりも重要です。がん患者が治療と仕事を両立できるよう、当事者の実態を把握しながら、テレワークなど柔軟な勤務制度や休暇制度の導入など、支援体制の強化を進めていただきたい。  現在、三十代半ばまでの男女の八割強は結婚の意思があるにもかかわらず、実際結婚しているのは、男性のうち、正規雇用では約六割、非正規では約二割にとどまっています。結婚したくても雇用が不安定で家族が持てなくなっている状況を改善し、若者の経済的基盤を強化することが少子化対策の観点からも極めて重要です。  働き方の多様化や若者の経済的基盤の安定に向けた取組について、総理の答弁を求めます。  災害対応も先送りのできない重要課題の一つです。  昨年も多くの地域で、大雨により土砂災害や河川の氾濫、内水被害などの被害が発生しました。  こうした自然災害の頻発化、激甚化や過去に例のない災害の発生に対応し、国民の命と財産を守るため、予報、警報の高度化が必要です。  これまで、公明党の主張により、線状降水帯の予測精度の向上を進めるとともに、国土交通大臣が委嘱した気象防災アドバイザーの採用により、地域の実態に合ったきめ細かな気象予測などの情報提供が行われるようになりました。  さらに、政府は、今国会に、都道府県と連携した洪水予報の高度化や民間事業者による局地的な予報の提供などを可能とする改正法案を提出する予定と承知しています。これにより、河川の氾濫警報、警戒情報の発表を三時間早められることや局地的な予報の精度向上などの効果が期待されています。高度化された予報をしっかりと活用できる人材を養成し、予報の受け手の側へ配置することもますます重要となります。  予報の高度化に向けた実効性確保の取組について、国土交通大臣の答弁を求めます。  厳しく複雑な安全保障環境に対処するため、政府は、昨年末、今後の外交防衛政策の指針となる国家安全保障戦略など三つの文書を改定しました。  国民の命と平和な暮らしを守るためには、外交力の強化とともに、その裏付けとなる防衛力、抑止力の強化が必要です。  その財源確保に向けては、歳出改革等の努力を最大限に行った上で、それでも足りない部分を税制措置で賄う方針が総理から示されました。物価上昇を超える賃上げが必要とする中で、なぜ税制で対応するのか。国民の理解を得るための明確な説明が必要です。  もう一点、今回の三文書改定では、これまで迎撃に徹してきたミサイル防衛だけでなく、相手国の領域に届く反撃能力を抑止力として保有することが盛り込まれました。このことを含めて、総理は、日本の安全保障政策の大転換と述べる一方で、専守防衛の堅持、平和国家としての歩みをいささかも変えるものではないと説明されています。迎撃は先制攻撃にならないと専守防衛を理解してきた国民も多い中で、なぜそう言えるのか、国民に分かりやすく説明していただきたい。  防衛費の財源確保に向けた税制措置の必要性、また、反撃能力の保有と専守防衛との関係について、総理の答弁を求めます。  本年、総理の出身地である被爆地広島でG7サミットが開催されます。かつてなく核の脅威が高まっている今、我が国は唯一の戦争被爆国として核廃絶への運動に立つ権利と資格があると思います。  核廃絶の機運を高めるために、サミットに合わせ、バイデン米大統領始め各国首脳による原爆資料館などの訪問、また、次代を担う政治リーダー、若い世代の方々に被爆の実相に直接触れる機会が実現されることを強く望みます。  先週、包括的核実験禁止条約機関、いわゆるCTBTOのロバート・フロイド事務局長と会談しました。核実験を全面的に禁じるCTBTは未発効の条約ではありますが、核実験が行われていないか監視する国際監視制度の整備も進み、実際に世界における核実験の実施国や実施数が激減し、抑止効果も出ています。このように、核軍縮・不拡散体制の強化につながる実践的な取組が重要です。  公明党は、本年行われる核兵器禁止条約の第二回締約国会議へのオブザーバー参加も引き続き求めます。  昨年一月、米国、ロシア、イギリス、フランス、中国の首脳が、核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならないとの共同声明を発表しました。また、昨年、広島平和記念式典に参列した国連のグテーレス事務総長は、核兵器保有国は核兵器の先制不使用を約束しなければならないと訴えました。いま一度、これらの精神に戻ることが重要です。  G7サミットの機会を生かし、NPT、核禁条約に基づく取組を連携させて相乗効果を生み出しながら、更なる取組を進展させていくべきと考えます。  核兵器のない世界に向けた具体的な取組について、総理の御決意を伺います。  国連安保理が機能不全に陥っている中、本年は、日本がG7議長国、また安保理非常任理事国として国際社会をリードする大きな役割が求められています。  総理は先般、フランス、イタリア、英国、カナダ及び米国を訪問し、それぞれ首脳会談を行いました。積極的な対話外交に臨んだことを高く評価いたします。引き続き、胸襟を開いた対話と交流を一層進めていただきたい。  公明党としても、昨年末に韓国を訪問し、尹錫悦大統領らと会談を通じて、日韓関係改善への意欲と懸案解決への熱意を感じ取るとともに、安全保障面で連携を強化することの重要性を確認することができました。与党として、政府の取組をしっかりサポートしていきます。  昨年十一月の日中首脳会談では、建設的かつ安定的な日中関係を構築していくことが確認されました。中国への懸念事項は率直に主張するとともに、不測の事態が生じないよう、政府、防衛当局間の信頼醸成のための安全保障対話を始め外交的な取組に努めていくことが大切です。  韓国、中国との関係改善に向けた総理の御見解を伺います。  SDGs達成に向けた取組としてプラスチックごみの排出削減は喫緊の課題です。  中でも、海洋プラスチックごみによる経済損失額は、世界全体で年間約百三十億ドルに上ると推計されており、現在のペースでプラごみの海洋流出が続くと、二〇五〇年には魚の重量をプラスチックの重量が上回るという衝撃的な試算もあります。  同時に、プラスチックを始めとする資源循環を進めることは、温暖化防止や生物多様性の保全等にも貢献し、持続可能な地球環境を守ることにつながります。  昨年十一月、海洋プラスチック汚染対策の条約策定に向けた第一回政府間交渉委員会が開催されました。二〇二五年以降の新条約の採択に向けて、我が国が高い知見と豊富な経験を生かし、議論を積極的にリードしていくべきです。  海洋プラスチック汚染問題の解決に向けた総理の決意を伺います。  外国人技能実習制度は、制度開始から今年で三十年を迎えます。開発途上国等の方々が日本で働きながら知識、技術を習得し、帰国後、母国の経済発展に役立ててもらうことを目的とした制度ですが、実施機関によっては人手不足を補う安価な労働力として活用されるなど、目的と実態の乖離が指摘されています。  転籍や管理監督の在り方など、実習生の立場に立った見直しを進めるとともに、賃金未払や長時間労働などの問題に対しては、実習生が相談しやすい体制を整備すべきです。  他方、外国人材を確保することを目的とした特定技能制度は、二〇一九年の施行後、程なくしてコロナ禍により二年間の入国制限があったことから、運用状況の更なる把握と分析が必要です。  外国人の方々が日本に行きたいと思えるような制度を構築すべきと考えますが、技能実習制度及び特定技能制度をどのように見直すのか、総理の答弁を求めます。  以上申し述べたとおり、本年は、重要課題を克服し、新しい日本の未来を開く改革を大きく前に進める年にしなくてはなりません。その改革の推進力は、総理も言及されたように、政治の信頼にあります。政治家改革や国会改革を通じて国民に範を示し、政治の信頼回復に努めていかなければなりません。  公明党は、政治家自らが襟を正し、生活現場や地域の困り事に真摯に耳を傾け、国民が納得し実感できる成果を一つ一つ出していくことをお誓いし、私の質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

岸田文雄自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 山口那津男議員の御質問にお答えいたします。  物価上昇に負けない賃上げの実現と中小企業支援についてお尋ねがありました。  賃上げは、新しい資本主義の最重要課題であり、まずはこの春の賃金交渉に向け、物価上昇を超える賃上げ、さらにはその先の構造的賃上げに取り組んでいただくべく、民間だけに任せることなく、政府としても政策を総動員して環境整備に取り組んでいます。  具体的には、賃上げ税制や補助金等における賃上げ企業の優遇などの取組に加え、公的セクターや政府調達に参加する企業で働く方の賃金引上げなどに取り組んでいます。  また、中小企業においても賃上げを実現するため、公正取引委員会や、中小企業庁における下請Gメンの大幅な増員を行ったところであり、取引適正化に向けた調査や執行を強化していきます。  さらに、中小企業の前向きな挑戦を後押しし、生産性向上を実現するべく、事業再構築補助金、そしてものづくり補助金、IT導入補助金等によるGXやDX投資支援、研究開発ベンチャーへの資金供給の強化などを通じたスタートアップの後押し、事業承継やMアンドAの促進、新規輸出一万者支援プログラムなどの支援策を一体的に進めていきます。  また、創業や積極的な設備投資、再チャレンジなどを促すための環境整備として、昨年末に経営者保証改革プログラムを策定いたしました。経営者保証を徴求しない新しい創業信用保証制度の創設等の取組を通じて、経営者保証に依存しない融資慣行の確立を加速させていきます。  地域活性化についてお尋ねがありました。  地域の個性や魅力を生かした地域活性化を進めるためには、地域が目指す理想像として地域が自ら描く地域ビジョンに基づき、デジタルの力も活用しつつ、その実現に向けて取り組んでいただくことが重要です。  昨年十二月に閣議決定をしたデジタル田園都市国家構想総合戦略では、こうした地域ビジョンの実現に向け、関係省庁が連携して重点支援や伴走型支援を行うなど、施策間連携の取組を強化することとしております。  また、各地域の優良事例の横展開を加速化するため、令和五年度予算では、昨年創設したデジタル田園都市国家構想交付金を追加で一千億円計上しています。  こうした交付金等も活用いただきつつ、政府全体できめ細やかな支援を行うことで、地域の魅力や持ち味を最大限に生かした地域活性化の取組を進めてまいります。  農林水産業の付加価値向上の取組についてお尋ねがありました。  農林水産業を夢を持って働ける、稼げる産業にするためには、拡大する海外の食市場の獲得や有機農業の拡大など、農林水産業の付加価値向上が重要です。  農林水産品の輸出額は昨年まで十年連続で過去最高を更新しており、円安による競争環境の改善の機会を捉え、二〇二五年二兆円目標の前倒し達成を目指し、更なる輸出拡大支援を進め、我が国の農林水産業の稼ぐ力を強化してまいります。  また、御提案いただいた有機農業については、生産から消費まで一貫した取組を地域ぐるみで進めるオーガニックビレッジの創出によって面的拡大を図るとともに、有機農業に取り組む人材育成や除草ロボットの開発などを総合的に推進してまいります。  ゼロ歳から二歳児を中心とした子育て支援の充実についてお尋ねがありました。  御指摘の伴走型相談支援と経済的支援とをパッケージで行う事業については、今後も継続して実施していくことが重要であると考えており、安定財源を確保しつつ、その着実な実施に努めてまいります。  昨年十二月に取りまとめられた全世代型社会保障構築会議報告書では、ゼロから二歳児へのきめ細やかな支援が提言をされています。  子ども・子育て政策は、最も有効な未来への投資です。これを着実に実行していくため、御党からの提言も踏まえながら、今後、こども政策担当大臣の下、ゼロから二歳児へのきめ細やかな支援を含め、子ども・子育て政策として充実する内容を具体化していきます。そして、その内容に応じて、財源についても、各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方など、様々な工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくのか、これを考えてまいります。  子供、そして若者の声を政策に反映する仕組みづくりについてお尋ねがありました。  子ども・子育て政策は、最も有効な未来への投資であり、最優先の課題です。本年四月に発足するこども家庭庁の下で、子供の視点に立って、常に子供の最善の利益を第一に考えるこどもまんなか社会の実現に向け、全力を尽くしてまいります。  政策運営に当たっては、御提案のように、様々な立場に置かれた子供が意見を言いやすい環境づくりや、聞く側の姿勢の改革、ファシリテーターの養成など、子供や若者の声が政策に反映される仕組みづくりにしっかりと取り組んでまいります。  そして、園児の安全、安心を守る体制の強化等についてお尋ねがありました。  保育の質の向上や保育士の処遇改善のため、デジタル技術を活用した業務改善は重要であり、例えば登園管理システムの導入等のICT化の推進に対する支援の充実を行っています。また、保育士等の処遇改善、失礼、配置改善を図っていくことは重要な課題と考えており、平成二十七年度から三歳児に対する職員の配置改善に取り組んでいます。更なる配置改善についても引き続き努力を続けてまいります。  そして、令和五年度予算案においては、現場の保育士の負担軽減を図るために、大規模な保育所においてチーム保育推進加算の充実を行うほか、見落としなどによる園児の事故を防止するための支援員の配置を推進することとしております。  さらに、子供の安全、安心が最も配慮されるべき保育所等において、虐待、これはあってはならず、虐待につながりかねない不適切な保育を未然に防止していくことが必要です。現在行っている実態調査の結果を踏まえ、虐待等の不適切な保育を未然に防止できる環境、体制づくりにつなげるとともに、日々の保育における不安等にも寄り添えるような支援にも取り組んでまいります。  不登校の児童生徒への支援についてお尋ねがありました。  不登校の児童生徒が増加し、多くの子供たちが学校の学びから置き去りにされている状況は憂慮すべき事態であると考えます。このため、政府としては、来年度の予算案において、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の充実を行うとともに、新たにオンラインカウンセリング等の実施や不登校特例校の設置準備に要する経費を支援することとしています。  政府としては、子供たちが誰一人として取り残されることなく必要な支援を受けられるよう、しっかりと取り組んでまいります。  働き方の多様化や若者の経済的基盤の安定に向けた取組についてお尋ねがありました。  いわゆる百三十万円の壁については、これを意識せず働くことが可能となるよう、その解消に向けて丁寧な周知、説明を行いつつ、短時間労働者への被用者保険の適用拡大を進めているところであり、女性の就労の壁となっている制度の見直しに取り組んでまいります。  フリーランスについては、個人がフリーランスとして安定的に働ける環境を整備するため、取引適正化のための法整備にも取り組んでいきます。  また、がん患者の方の治療と仕事の両立については、企業における病気休暇制度やテレワークの導入、定着支援など、働く方の事情に応じた就業環境の整備に取り組んでいきます。  結婚を希望する若者が安心して結婚できるような環境整備については、若者の経済的基盤の安定に向けて、希望する若者の正社員化支援や同一労働同一賃金の遵守の徹底等に取り組んでまいります。  御指摘いただいているように、働き方が多様化する中、少子化対策の観点からも、若者の経済的基盤の強化等に向けてきめ細かく取り組んでまいります。  防衛力強化の財源、反撃能力及び専守防衛等についてお尋ねがありました。  抜本的に強化される防衛力は将来にわたって維持強化していかねばならず、これを安定的に支えるため、令和九年度以降、裏付けとなる毎年度約四兆円のしっかりとした財源が必要となります。  財源確保に当たっては、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、まずは政府において、あらゆる行財政改革の努力を最大限行った上で、それでも足りない約四分の一については、将来世代に先送りすることなく、令和九年度に向けて、今を生きる我々が将来世代への責任として対応すべきものと考えています。その際、現下の家計や一般の中小企業には負担増とならないよう十分な配慮をすることとしております。  そして、専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった我が国の防衛の基本的な方針であり、これを変更することは考えておりません。  その上で、最近、失礼、近年、我が国周辺ではミサイル関連技術と運用能力が飛躍的に向上し、質、量共にミサイル戦力が著しく増強される中、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することは難しくなりつつあるという現実があります。  これを踏まえ、今般保有を決定した反撃能力は、弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合に、ミサイル防衛網により飛来するミサイルを防ぎつつ、武力の行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限の自衛の措置として行使するものです。  このような反撃能力の運用は、ミサイル防衛による迎撃と同様に先制攻撃とはならず、専守防衛の範囲内で運用するものであり、平和国家としての歩み、これはいささかも変わるものではありません。  核兵器のない世界に向けた取組についてお尋ねがありました。  G7首脳等の各国要人を含め、世界に被爆の実相をしっかりと伝えていくことは核軍縮に向けたあらゆる取組の原点として重要であり、G7広島サミットについてもどのような日程を組むかについてしっかりと検討していく考えです。  核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約です。しかし、現実を変えるためには核兵器国の協力が必要ですが、同条約には核兵器国は一か国も参加をしておりません。我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力をしていかなければなりません。  核兵器のない世界に向けた道のりは一層厳しいものとなっておりますが、被爆地出身の総理大臣として、引き続き全力を尽くす決意です。  広島と長崎に原爆が投下されてから七十七年間、核兵器が使用されていない歴史をないがしろにすることは決して許されません。G7広島サミットを念頭に、核兵器の数を減少させるなどの取組を盛り込んだヒロシマ・アクション・プランを始め、これまでの取組の上に立って、国際賢人会議の英知も得ながら、現実的かつ実践的な取組を進めてまいります。  韓国、中国についてお尋ねがありました。  韓国は、国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国です。特に、現下の戦略環境を踏まえれば、日韓、日米韓で緊密に連携していくことの重要性は論をまちません。国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を健全な関係に戻し、更に発展させていくため、韓国政府と緊密に意思疎通をしてまいります。  中国については、昨年十一月の日中首脳会談で得られた前向きなモメンタムを維持しながら、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含め、首脳間を始めとする対話をしっかりと重ね、共通の課題については協力する、建設的かつ安定的な関係を日中双方の努力で構築をしていきます。  海洋プラスチック汚染対策についてお尋ねがありました。  海洋プラスチック汚染問題は、生態系への悪影響が懸念されている地球規模の課題です。この問題の解決に向け、我が国は、二〇一九年のG20大阪サミットにおいて、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を二〇五〇年までにゼロにすることを目指す大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを提唱し、共有するとともに、途上国での廃棄物管理に関する制度構築や人材育成の支援、海洋ごみの分布に関する科学的知見の充実等に取り組んでいます。  国内では、プラスチック資源循環促進法を昨年四月に施行し、製品の設計から廃棄物の処理までのプラスチックのライフサイクル全般で、あらゆる主体による資源循環の取組、これを促進しています。  昨年十一月からプラスチック汚染対策の条約策定に向けた政府間交渉が始まったところですが、多くの国が参画する実効的な国際枠組みとするべく、我が国が培ってきた経験と技術を生かし、積極的に議論をリードしてまいります。  技能実習生及び特定技能制度の見直しについてお尋ねがありました。  御指摘のとおり、技能実習生が相談しやすい体制の整備や、ポストコロナに向けた特定技能制度の運用状況の更なる把握、分析、これは重要であり、適切に対応してまいります。  また、御指摘の諸課題を踏まえ、両制度の在り方を抜本的に見直すため、昨年十一月、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の下に設置した有識者会議において、様々な立場や視点から、外国人材を適正に受け入れる方策について御議論をいただいているところです。  今般、失礼、今後、有識者会議の報告を受け、ポストコロナの労働市場や産業の状況に的確に対応し、外国人との共生社会づくりに資する制度となるよう見直しを進めてまいります。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)    〔国務大臣斉藤鉄夫君登壇、拍手〕

斉藤鉄夫公明党国土交通大臣

○国務大臣(斉藤鉄夫君) 山口那津男議員から、ユニバーサルツーリズムの実現についてお尋ねがございました。  観光は、我が国の成長戦略の柱、地域活性化の切り札であり、特に、今後も増加が見込まれる高齢者や障害者などの旅行需要を喚起するため、ユニバーサルツーリズムの普及、定着を図ることは重要であると考えております。  このため、国土交通省においては、ソフト面の対応として、観光施設における心のバリアフリー認定制度や認定施設に関する情報発信の強化等に取り組むとともに、ハード面の対応として、これまでの支援に加えて、令和四年度第二次補正予算を活用しながら、宿泊施設などのバリアフリー化の更なる推進に取り組んでまいります。  本年三月までに策定する新たな観光立国推進基本計画においても、こうした要素を盛り込みながら、ユニバーサルツーリズムの推進に着実に取り組んでまいります。  次に、予報の高度化の実効性の確保についてお尋ねがございました。  気象庁では、昨年六月から、線状降水帯によって大雨となる可能性の予測を開始するなど、情報の充実に取り組むとともに、最新技術を導入した次期気象衛星の整備を進めるなど、予報の高度化に努めております。  また、現在、国土交通省では、洪水予報の早期発表を図るための仕組みの構築や、民間による多様なニーズに応じたきめ細やかな予報の提供の推進等を内容とする法案の提出に向け、準備を進めているところでございます。  これらの予報を適切な防災行動につなげるためには、自治体の対応力を向上させることが不可欠であると認識しております。そのため、高度化された予報を基に避難指示の発令について助言等ができる気象防災アドバイザーを自治体で活用していただけるよう、気象防災アドバイザーの育成に努めてまいります。  国土交通省としましては、激甚化、頻発化する災害から国民の生命、財産を守るため、今後も予報の高度化とその実効性の確保により、災害に対する備えの充実が図られるよう、全力で取り組んでまいります。(拍手)     ─────────────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 浅田均君。    〔浅田均君登壇、拍手〕

浅田均日本維新の会

○浅田均君 日本維新の会の浅田均です。  私は、会派を代表して質問いたします。  総理は、施政方針演説の冒頭部で声高らかに宣言されました。これまでの時代の常識を捨て去り、強い覚悟と時代を見通すビジョンを持って、新しい時代にふさわしい、社会、経済、国際秩序をつくり上げていかなければなりませんと。  その言やよしです。まさに、私たちの日本維新の会の主張と重なり合います。しかし、その後がいけません。全くの竜頭蛇尾。新たな時代にふさわしい、社会、経済、国際秩序をつくり上げるため、つまり、理念と現実の溝を埋めるために、何をやるのか、なぜやるのか、どのようにやるのか、ほとんど言及がなく、残念な施政方針演説に終わってしまいました。  この落胆を埋め合わせるために、総理、せめて一言、ウイズコロナの時代を切り開く第一歩として、まずは、卒業式はマスクを外してやりましょうとおっしゃっていただけませんか。中学校も高校も三年間です。その間、同級生や先生の顔をほとんど見ずに終わってしまうかもしれない児童生徒たちのことをお考えいただきたいのです。総理大臣、いかがですか、お答えください。  マスクだけではありません。捨て去ると言われましたが、時代の常識の中で、従来の仕組みや制度を抜本的に見直すこともなしに、相変わらず既存の枠組みを微修正するだけのびほう策ばかりが並んでいます。  既に持続可能性がないと国民に烙印を押されている社会保障制度を抜本的に見直すこともなく、規制改革もいわゆる岩盤規制打破に真っ向から取り組まず、三十年賃金が上がらない構造問題に正面から向き合うこともなく、異次元の子ども・子育て政策についてはこれから取りまとめと、残念ながら強い覚悟と時代を見通すビジョンを感じることはできませんでした。  こうした問題意識をベースに質問を続けます。強い覚悟と時代を見通すビジョンを国民が感じることができるよう、是非、官僚作文ではない、総理御自身の言葉で答弁よろしくお願い申し上げます。  さて、昨年十二月の消費者物価指数は前年同月比四・〇%、生鮮食品及びエネルギーを除くコアコア指数は前年同月比三・〇%上昇し、二〇二二年の一年間の消費者物価指数は前年から二・三%上昇との発表が先日ありました。  原材料費や燃料費の上昇に伴うコストプッシュに加え、円安要素も大きな要因となっている今般の物価上昇ですが、現時点において、我が国はデフレを脱却したのか、いまだ脱却できていないのか、総理の認識をお伺いします。  総理は、さきの国会において、国債の発行余力について、需給ギャップに言及されましたが、まずは、再度、国債の発行余力を判断する際の基準について総理の見解をお伺いします。  その上で、さきの臨時国会における二次補正予算も踏まえた現在の需給ギャップ、足下の消費者物価指数を勘案した場合、現時点での国債の発行余力はどれくらいあると認識されているのか、総理の認識をお伺いします。  あわせて、臨時的な支出が発生する戦時を含む有事の場合と平時の場合とで国債発行額の上限についての考え方は同じなのか、異なるのか。防衛費増分の財源として国債発行を前提としないという政府方針との関連も含めて、総理にお伺いします。  ここ数年、コロナ禍やウクライナ戦争等に伴う物価上昇に対する緊急経済対策等で国債発行額は大きく増加しましたが、今後、財政規律をどのように維持していくのか、総理大臣にお伺いします。  財政健全化においては、経済成長等による収入増か、歳出改革による費用減をまず進めるべきであると考えます。  多額の借金を抱える中、維新の会が行政の責任を引き継いだ大阪では、想定される収入内に歳出を抑えることに徹し、聖域なき行政改革、議会改革などによる無駄の排除、経済活性化による税収増により、府市民への増税に頼ることなく財政健全化を実現してきました。私たち日本維新の会の原点であります。  一方、総理は、所得税、法人税、たばこ税の増税方針を採用しました。経済成長による増収は諦めたということでしょうか。あるいは、政府の進める成長戦略では経済成長せず、増収とならないと判断されたということでしょうか。違うとおっしゃるのであれば、では経済成長でどれぐらいの増収を見込まれているのでしょうか。総理、お答えください。  歳出改革、行財政改革を大胆に進める必要があるとの認識は総理と同じであると考えております。防衛費増分の約一兆円の財源が見付からないとのことですが、税金や社会保険料の徴収漏れ対応を強化すればよいのではないでしょうか。日本維新の会は歳入庁を創設すべきとずっと主張していますが、歳入庁を設置するところまでいかなくても、国税庁や年金機構各々で対応を強化すればすぐにでもできることと考えます。なぜそうしたメニューが出てこないのか、総理にお尋ねいたします。  さて、次に、金融政策及び日銀総裁、副総裁人事についてお尋ねします。  日銀は、昨年十二月の決定会合で、長期金利の変動幅をプラスマイナス〇・五%に拡大しました。黒田総裁は、利上げではないと発言されています。総理も同じお考えですか、お伺いいたします。  金融緩和と実質的な利上げを同時に行っている日銀を総理はどのように評価していますか、お答えください。  日銀が債務超過と評価され、外資系金融機関が日銀当座預金を閉鎖するといった事態を総理は想定されていませんか。理由と併せてお答えください。  日銀総裁の後任の人選は既に完了して、御本人には打診されているのでしょうか。人選に当たって総理が一番重視する点はどういった点でしょうか。金融緩和や雇用の最大化に関してどのような考え方の方を人選するのですか。黒田路線を継承する方を選ぶのですか。総理のお考えをお尋ねします。  我が党は、日銀法改正案を国会に提出しています。物価の安定、雇用の最大化等に係る目標、日本銀行の果たすべき機能、責務等について日銀と政府で協定を締結すること、内閣又は財務大臣は両議院の同意を得た上で日本銀行の役員を解任することができることを柱とする法案です。本案の必要性について、総理の認識をお伺いいたします。  協定の締結まで行かないとしても、円安や物価上昇、また雇用の最大化ということを考えると、極めて難しい現況下で総裁、副総裁が一気に替わるわけですから、新たに任命された総裁とは共同声明、アコードを新たに締結する必要があると考えます。総理の見解をお伺いいたします。  次に、成長戦略について質問します。  経済成長による歳入増を目指すのであれば、GX、グリーントランスフォーメーション、DX、デジタルトランスフォーメーション、イノベーション、スタートアップ等への支援も大事ですが、それ以上に、自由な市場開拓を阻止している岩盤規制の改革を進めることは極めて肝要と考えます。演説では何点か規制改革に触れられておりますが、肝腎の岩盤規制には全く言及がありません。  農地の株式会社所有、地上波テレビにおける電波オークション、NHK分割民営化、新聞の資本規制、ライドシェア解禁、学校での画一教育改革、大学学部の新設、オンライン診療の本格解禁、保育・介護施設の各種基準の地方分権、解雇する場合の金銭保証のルール化、外国人医師・看護師などの受入れ、政省令の条例による上書きなどなど、取り組まなければならないことが山積しています。  こうした状況にあるにもかかわらず、政府は昨年末の国家戦略特区諮問会議で、兵庫県養父市に限って認めていた企業による農地取得の特例を全国展開しない方針を決め、地方自治体が規制緩和を提案し、国が認定する構造改革特区に基づく事業に移行することを決定しました。  そもそも国家戦略特区は、自治体プラス官邸トップダウンという仕掛けを設けて、自治体からボトムアップ式の構造改革特区だけでは進まない規制改革を推進するというものですが、今回の政府決定は、要するに官邸は難題の岩盤規制改革からは手を引くと宣言したものと受け止めざるを得ません。いわゆる岩盤規制の改革について、総理は新しい資本主義の中のメニューの一つと考えているのか、あるいは総理が見直すとした新自由主義的な経済政策の一部と認識されているのか、どちらですか、お答えください。  総理は、能力向上支援、日本型職務給の確立、成長分野への円滑な労働移動の三位一体の労働市場改革を加速すると述べましたが、円滑な労働移動については、企業の新陳代謝の促進や解雇規制の緩和、年功型の退職金税制の見直しなどが総合的になされなければ進みません。総理の認識をお伺いします。  次に、エネルギー戦略についてお伺いします。  GX実現に向けた基本方針において、政府は従来の二〇三〇年度のエネルギー電源構成比の見直しは行いませんでした。基本方針に掲げるロードマップを各々実施していけば目標は達成可能と考えているのか、あるいは、相当無理はあるが、総力を挙げて達成に向け知恵を絞るという内容なのか、後者の場合、最大のネックは何か、越えなければならない山はどこにあるのか、総理の見解をお伺いします。  基本方針においては、原発の二〇三〇年度時点での電源構成比率は二〇から二二%となっています。二〇二一年度実績は約七%ですが、目標としている発電量を確保するためには、稼働原子力発電所は何基程度と想定しているのでしょうか。経産大臣、お答えください。  政府は、廃炉となる原発の次世代革新炉への建て替えや運転期間延長を進めるとしていますが、そのためには国の責任と覚悟が問われます。  施政方針演説では、国が前面に立ってという表現は最終処分事業を進める部分にしか使われていません。これまでのエネルギー政策を大きく転換する中、国の責任について、最終処分事業の促進は当然のこと、再稼働早期化や事故時の賠償責任についても、より国が責任を持つ体制にしていくべきと考えます。現在の中途半端かつ曖昧な責任体制について、見直しの必要はないとの認識でしょうか、総理の認識をお尋ねします。  足下の電力供給の安定を図るためには、短期で実施可能なことは全て実施していくべきです。まずは、原発においては新規制基準許可済みの七基、申請済みの十基の再稼働を極力前倒しすること、再生可能エネルギーについては、太陽光、水力についてまずは集中的な取組を行うことが最優先と考えますが、すぐに実施する各々に対する取組について、経産大臣、お答えください。  また、仮にこの十七基全部が再稼働した場合には、電気料金は具体的にどのくらい下がると試算していますか、併せてお答えください。  外交に関して総理にお尋ねします。  総理はウクライナを訪問する意思はありますか、お答えください。  その上で、更にお伺いします。  今週に入り、総理のウクライナ訪問が検討されている旨、複数の大手紙が報じていますが、まさに防衛分野においてセキュリティークリアランスのレベルが世界標準と比して低いと各国から指摘されている現状において、こうした情報漏れの可能性について総理はどのように認識されていますか。つい最近では、総理秘書官からのマスコミへの情報漏えいに関する記事も出ましたが、こうしたことに対する総理の認識と併せて答弁願います。  自由で開かれたインド太平洋ももちろん重要ですが、同時に、トルコを始めとする親日国、あるいはタリバン政権樹立により苦しんでいるアフガニスタンの知日派への対応も強化すべきと考えます。ロシア周辺の親日国あるいは知日派への日頃の関係の強化やODAの更なる活用等について、総理の見解をお尋ねします。  次いで、国会改革についてお尋ねいたします。  衆議院では、我が党が議席を大きく伸ばしたことにより、憲法審査会が毎週開催され、議論も活発に行われるようになりました。一方、残念ながら、参議院では開催頻度も少なく、内容についても、合区の件など、自分たち国会議員の身分に関わることばかり議論されていて、具体的なゴールを目指して動いているとは到底思えません。参議院における憲法議論の実情について、総理の認識をお伺いします。  現在、衆議院では緊急事態条項について活発な議論が進んでいますが、肝腎の自民党のスタンスが衆議院と参議院で一本化されていません。総理は自民党総裁でもありますが、こうした現状をどのように認識しているのですか。憲法改正を唱えるのであれば、自分のところの考えをまとめるのが筋ではありませんか。総理は国民に任期中での憲法改正を約束しましたが、これでは到底無理ではありませんか。総理の答弁を求めます。  定数削減を始めとする国会改革への意識そのものが衆議院と比べて大きく遅れていると考えますが、歳出改革、行財政改革のために国会議員自身が覚悟を示すこと、そのためには総理あるいは自民党総裁が国会改革をちゅうちょなく進めることを明言すべきと考えますが、総理の見解をお伺いします。  次に、旧統一教会問題に関連して質問いたします。  まず、総理が政教分離の原則をどのようにお考えか、お聞かせください。  総理は、統一教会問題に関し、施政方針演説で、新法等の着実な運用、実態把握と相談体制の充実にしか触れていませんが、新法では救済できないと与野党で共通の認識をしていた、いわゆる宗教二世への対応を強化するための法改正、例えば児童福祉法や児童虐待防止法などの改正は行わないのでしょうか。理由と併せて総理の認識を伺います。  新法では、新たに行政処分や刑事罰が導入されました。そうした処罰を受けた宗教法人にも、解散命令による解散がなされるまでの間、他の宗教法人と同様の優遇税制が適用されるのは適切とお考えでしょうか。宗教法人法の改正も必要なのではないでしょうか。総理の認識をお伺いいたします。  増税を検討する前に、まず徹底した歳出改革を行う。当然のことであり、総理も施政方針演説で歳出改革に触れられました。維新も大阪では、徹底的に無駄な行政の支出や偏った事業を見直し、税の使い道を正すことで、子供たちに投資する財源を生み出してきました。  しかるに、本年一月、東京都は住民から提起された監査請求において、厚生労働省の若年被害女性等支援事業の要綱等に基づいて実施され、事業経費の一部を国が公金から支出している東京都若年被害女性等支援事業の受託者の会計報告に不当な部分があるとして、七年ぶりに、理由あり(認容)との監査結果を公表しました。  極めて異例のことであり、まさに税の使い道を正す、行政改革として関連する事業を包括的に見直す必要性が強く示唆されるものであると考えますが、厚生労働省の国庫金支出の責任について、総理の認識をお伺いします。  当該委託事業者は、現在、困難女性支援法に関わる基本方針、政令等について検討を行っている厚労省主管の困難な問題を抱える女性への支援に係る基本方針等に関する有識者会議の構成員となっています。当該事業者は、法整備以前に設置されていた検討会でも構成員でした。議事録によれば、当該検討会の中で、若年女性への活動支援を展開するに当たり、具体的な金額を挙げて予算付けを要望し、また、しかるべき法制度を検討するよう求めました。構成員が所属する団体へ利益誘導しているとも考えられますが、利益相反の観点から、また外形的公正性の観点から、こうしたことは適切と言えるのか、総理の見解をお伺いします。  昨今の我が国を取り巻く環境の変化や、想定される首都圏直下型地震などを考えた場合、首都圏に大きく依存している我が国の統治機構、経済構造等には大きな課題があると認識しています。現在、首都・副首都法を制定し、大阪・関西を首都機能のバックアップを担う拠点とするといった二極型国家を早急に実現していく道筋を示すべき時期に来ていると考えますが、総理の認識をお尋ねします。  かつて安倍政権時、地域主権型道州制の議論がいっとき盛んに行われましたが、最近はほとんどそうした声を聞くことがありません。総理の施政方針演説においても、地方創生や災害対応の部分で地域主権の言葉が全く出てきませんが、グローバルな都市間競争を勝ち抜いて日本経済を牽引するエンジンを増やし、二極型国家から多極分散型国家を実現していくため、憲法改正国民投票を通じた道州制、あるいは地方自治特別法を通じた広域行政の一元化を推進することの必要性について、総理の認識をお伺いいたします。  総理は、施政方針演説の中で、冒頭、これまでの時代の常識を捨て去り、強い覚悟と時代を見通すビジョンを持って、新たな時代にふさわしい、社会、経済、国際秩序をつくり上げていかなければなりませんと演説されました。  総理もおっしゃっている歴史の転換点に立っているという認識は、私たち日本維新の会と考えを一にしております。  アベノミクスで放つべきであった成長戦略という三本目の矢を放つことなく、一本目と二本目の矢である財金一体となった経済政策の推進のみ続けてきた結果、諸問題の元凶である円の価値の低減があり、金融政策は今非常に難しいかじ取りが求められています。  かかる状況において、全ての人のセーフティーネットである最低所得保障制度の構築は急務です。長年、制度の微修正で急場をしのいできた自民党的手法では、もはや我が国は今後立ち行かなくなることは自明です。政府は、今こそ、私たち日本維新の会が主張する税、社会保障制度、働き方を三位一体として抜本的に改革する案に耳を傾けるべきです。  実質実効為替相場で一九七三年の記録を更に下回った円の価値を高めるためには、必要なのは利上げです。利上げを可能にするのは経済成長です。GDPギャップは、単なる需要不足だけではなく、需要構造と供給構造のミスマッチから生じていると思われます。これを実現するためには、企業淘汰を正面から受け止め、産業構造を調整する必要があります。特に、供給構造を変える必要がある。この根本にあるのが働き方の改革です。同時に重要なのが、民間参入を阻む規制を改革し民間投資を喚起するような成長戦略です。  こうした、次の時代に向けての改革である日本大改革プランの実現に向け、我が党は政府と真正面から向き合い、国会で実のある真摯な議論を行っていくことをお約束して、私の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

岸田文雄自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、浅田均議員の御質問にお答えいたします。  そして、最初に、卒業式におけるマスクの着用についてお尋ねがありました。卒業式にはマスクを外したらどうかという御提案でありました。  どのタイミングでマスクの取扱いを見直すかについては、今後、感染状況を見ながら、専門家とも相談し、できるだけ早くこれをお示しをしたいと考えています。政府として、学校教育活動を含め、社会のあらゆる場面で日常を取り戻すことができるよう、着実に歩みを進めてまいります。  そして、物価状況についてお尋ねがありました。  我が国の物価を取り巻く環境を見ると、消費者物価指数が継続的にプラスで推移していますが、足下の消費者物価指数の上昇は世界的な原材料価格の上昇や円安の影響を受けたものであり、また、二二年七―九月期のGDPギャップはマイナス二%となるなど、国内の需給等による物価上昇圧力は依然として強くはない状況であると考えられます。  デフレを脱却したのかというお尋ねでありますが、デフレ脱却とは、物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないことと解しており、現状を総合的に考慮すれば、現時点では逆戻りする見込みがないと判断できる段階ではなく、デフレではない状況が継続している、このように判断をしております。  政府としては、総合経済対策と補正予算に盛り込んだ事業を着実に実行し民間需要を喚起していくとともに、構造的な賃上げにより、安定的な物価上昇を伴う持続的な経済成長の実現に向けて取り組んでまいります。  そして、国債の発行余力等についてお尋ねがありました。  国債の発行余力はどのくらいあるのかという御質問に定量的にお答えすることは困難ですが、有事に十分耐えられる財政基盤を平時より備えることが不可欠であり、だからこそ、財政運営に対する市場の信認が将来にわたって失われないよう、経済再生と財政健全化の両立に取り組んでいく必要があります。  私の経済財政運営の基本は経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして財政健全化に取り組んでいくというものであります。この基本に立って、新型コロナや物価高騰等、足下の経済状況に機動的に対応するとともに、財政や社会保障制度の持続可能性への信認が失われることがないよう、歳出そして歳入両面の改革を続け、責任ある経済財政運営に努めてまいります。  その上で、抜本的に強化される防衛力は将来にわたって維持強化していかなければならず、これを安定的に支えるために、令和九年度以降、裏付けとなる毎年度約四兆円のしっかりとした財源が必要となります。その点まで国債でというのは、未来に対する責任として取り得ないということをこれまでも申し上げてきました。  この財政、失礼、財源確保に当たっては、国民の負担をできるだけ抑えるべく、必要となる財源について、まず、できるだけ歳出改革、決算剰余金の活用、そして税外収入の確保などあらゆる工夫を行うことにより賄うとしており、経済再生に取り組む中で、その結果として見込み以上に税収が伸びれば決算剰余金にも反映され、防衛力強化の財源として活用されることになります。  また、税金や社会保険料の徴収漏れへの対応については、国税庁において引き続き適正、公平な課税徴収の実現に努めるとともに、組織の垣根を越えて、厚生労働省、日本年金機構と国税庁との間で保険料徴取や厚生年金の適用対策における連携といった取組、これを促進してまいります。  金融政策と日銀総裁の人事についてお尋ねがありました。  金融政策について、具体的な手法は日銀に委ねられるべきではありますが、政府と日銀は密接に連携をしながら、経済・物価情勢に応じて機動的な政策運営を行い、構造的な賃上げを伴う経済成長と物価安定の目標の持続的、安定的な実現を図っていく、こうした点で認識を一致させています。  昨年十二月の金融政策決定会合の決定もこうした政策運営の一環であり、金融緩和の効果を円滑に波及させ、持続性を高めるための運用の見直しと承知をしています。  なお、日銀の財務に関する仮定の質問にお答えすることは控えます。  そして、御党が提出した日銀法改正法案については、政府としては、例えば、内閣や財務大臣が日銀役員を解任できるという規定の創設、この点については、日銀の自主性を担保する観点から慎重であるべきであると考えています。  また、日銀総裁の人事については、黒田総裁の任期は本年四月八日までとなっており、その時点で日銀総裁に最もふさわしいと判断する方を任命することが基本であると考えております。今後の経済動向も見ながら、的確な判断を行ってまいります。  なお、この新しい日銀総裁が決まっていない現時点で共同声明を見直すかということについて申し上げることは控えます。  岩盤規制改革についてお尋ねがありました。  新しい資本主義の実現には、社会課題を解決するためのイノベーション、そして、それを阻むいわゆる岩盤規制を含めた規制の改革が不可欠です。  このため、例えばリチウムイオン電池に関する消防法の規制見直しですとか、あるいは新型コロナと季節性インフルエンザの両方を同時に検査できる抗原検査キットの早期OTC化など、規制改革に全力で取り組んできた次第です。  御指摘の企業による農地取得の件についても、地方からの声を踏まえ、全国の希望する自治体が特区認定を申請できるよう、取組を前に進めるべく、構造改革特区法に基づく事業に移行するとしたものであります。  円滑な労働移動についてお尋ねがありました。  デジタルやグリーンといった成長分野は、非連続なイノベーションを、イノベーションが次々と起こる分野であり、こうした変化に対応して持続的な経済成長を実現するためには、構造的な賃上げ、これが必要となります。  構造的な賃上げを実現するために、意欲ある個人に対するリスキリングによる能力向上支援、そして職務に応じてスキルが適正に評価をされ賃上げに反映される日本型の職務給の確立、そして成長分野への円滑な労働移動を進める、こうしたこの三つを三位一体の労働市場改革として、官民連携で着実に取り組んでまいります。  具体的には、五年で一兆円のパッケージを着実に実施するとともに、本年六月までに労働移動円滑化に向けた指針、これを取りまとめます。  また、企業の新陳代謝の促進について、イノベーションの新たな担い手であるスタートアップの創出に加え、グリーンやデジタルといった成長分野への大胆な投資や中小企業の事業再構築、事業承継を促し、新しい取組を後押ししてまいります。  なお、解雇ルールの在り方については、金銭を払えば自由に解雇できるという制度を導入することは考えておりませんが、労使の意見を伺いながら、また、退職金の課税の在り方については、働き方によって有利不利が生じない公平な税制を構築する観点からも、それぞれ丁寧に検討を行ってまいります。  また、電源構成と原子力政策についてお尋ねがありました。  昨年末に取りまとめたGX実現に向けた基本方針は、第六次エネルギー基本計画において定めた電源構成を前提としております。この目標を達成することは容易ではありませんが、徹底した省エネに加え、再エネを最優先とし、全国規模での系統整備や海底直流送電の整備などにより再エネ導入を加速した上で、原子力を含めたあらゆるエネルギー源の活用を進めることで目標達成に全力で取り組んでいきます。  その際、御指摘のとおり、原子力については、最終処分事業に限らず、再稼働や運転期間の延長、また、次世代革新炉への建て替えも含め、国が前面に立って取組を進めることが重要であり、その方針を明確にした上で国を挙げて全力で取り組んでまいります。  また、万が一原子力発電所の事故が起きた場合には、被害者に対する賠償が迅速かつ適切になされるよう、原子力損害の賠償に関する法律や原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の枠組みに基づき、国が責任を持って対応してまいります。  そして、私のウクライナ訪問の可能性について、情報管理についてお尋ねがありました。  私のウクライナ訪問については、本年一月六日にゼレンスキー大統領との間で電話会談を行った際に先方より招待を受けたものですが、現時点では何ら決まってはおりません。諸般の状況も踏まえて検討していく考えです。なお、ゼレンスキー大統領との間では、これまでも累次の機会に緊密に意思疎通を行ってきているところです。  御指摘の情報管理の点については、重要な情報等の保護を図ることは極めて重要であると認識をしております。引き続き、必要な取組の充実強化に努めてまいります。  そして、ロシア周辺の親日国あるいは知日派への日頃の関係の強化についてお尋ねがありました。  ロシアによるウクライナ侵略は、世界のいかなる国、地域にとっても決して対岸の火事ではありません。  法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持するため、戦後日本があらゆる地域の国々との間で築き上げてきた信頼関係は日本外交の財産であり、その土台の上に、ODAの活用を含め、各国・地域との関係強化、知日派、親日派の育成を引き続き進めてまいります。  憲法改正や国会改革についてお尋ねがありました。  参議院の憲法審査会の運営について、そして衆議院と参議院の憲法審査会における議論の状況に差があることについて御質問をいただきましたが、この憲法改正についての議論の進め方あるいは内容について内閣総理大臣の立場から直接申し上げることは控えなければならないと考えています。  いずれにせよ、憲法改正は最終的には国民の皆様による御判断が必要であり、そのための発議に向け、今国会においても与野党の枠を超えて更に積極的な議論が行われることを心から期待したいと思っています。  そして、国会改革の取組についても、まさに国会の運営に関することでありますから、各党各派の間で御議論いただくべき事柄ではありますが、是非、国民の皆様から御理解のいただける合意に至るよう議論が進むことを期待をいたします。  そして、旧統一教会問題に関連し、政教分離の原則、宗教二世への対応、そして、宗教法人に対する税制優遇についてお尋ねがありました。  憲法の定める政教分離の原則は、信教の自由の保障を実質的なものにするため、国、その他の公の機関が国権行使の場面において宗教に介入し、又は関与することを排除する趣旨であると承知をしています。  宗教二世への対応として、児童虐待防止法二条に規定する行為を保護者が行った場合には、宗教の信仰等、保護者の意図にかかわらず、児童虐待に該当するものであり、昨年十二月には、被害に苦しまれた方のお話も伺いつつ、具体的事例や対応時の留意点等をまとめたQアンドAを公表いたしました。  宗教法人に対する税制優遇は、宗教法人が他の公益法人等と同様に公益的な活動を目的とする組織と位置付けられていることによるものであり、仮に宗教法人のみを別に取り扱うことは、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しながら、慎重に議論される必要があると考えております。  いずれにせよ、旧統一教会の問題については、不当寄附勧誘防止法の着実な運用や相談体制の充実、児童虐待防止の体制強化など、政府の現下の対応に万全を期してまいります。  そして、東京都の若年被害女性等支援事業に関するお尋ねがありました。  補助金の執行に当たっては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づき、政府として適切に対応しております。  東京都の若年被害女性等支援事業に関する監査の状況としては、東京都において、本年二月二十八日までに再調査等を行うこととされていると承知をしており、再調査結果等を踏まえ、必要な対応を行ってまいります。  また、御指摘の有識者会議等の構成員については、これらの会議が困難な問題を抱える女性への支援に関する大きな方向性の議論を行う場であることを踏まえ、支援に関する知識や経験などを総合的に判断して選定するとともに、議事運営を適切に行っているものであると承知をしております。  そして、首都機能のバックアップや道州制等についてお尋ねがありました。  首都機能について、大規模災害等への備えとしてバックアップ体制の整備等を推進すること、これは極めて重要です。  このため、政府としては、例えば、各府省の地方局が集積する各都市を中心に、首都直下地震における緊急災害対策本部の代替拠点の確保等に係る検討を行っているほか、引き続き、首都圏に過度に集中する人口の諸機能の分散、これを図ってまいります。  道州制については、地方経済の活性化や行政の効率化を実現するための手段の一つであり、国と地方の在り方を根底から見直す大きな改革であることから、国会における議論も踏まえつつ対応する必要があると考えております。  また、広域行政の一元化に関連して、平成二十四年、指定都市を廃止して特別区を設置するための手続について定めた大都市地域特別区設置法が成立をし、その後、大阪府市において議論が行われてきたところであり、このような議論を踏まえつつ対応する必要があると考えております。  残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)    〔国務大臣西村康稔君登壇、拍手〕

西村康稔自由民主党経済産業大臣・内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償・廃炉等支援機構)

○国務大臣(西村康稔君) 浅田議員の御質問にお答えをいたします。  電源構成比率と原子力発電所の稼働数についてお尋ねがありました。  第六次エネルギー基本計画では、二〇三〇年度時点における電源構成に占める原子力比率は二〇から二二%程度を見込んでおります。この原子力比率は、実際の設備利用率等が発電所ごとに異なるため、確定的にお示しすることはできませんが、機械的に計算すれば、二十五から二十八基程度で達成できる計算となります。  また、足下の電力供給の安定に向けた取組についてお尋ねがありました。  原子力発電所の再稼働に向けては、昨年八月のGX実行会議での岸田総理からの御指示を踏まえ、再稼働に向けた関係者の総力を結集するべく検討を行ってまいりました。昨年末には、地域の理解活動や避難計画の策定、充実に向けた国の支援体制の強化、消費地域を含めた国民との双方向コミュニケーションの深化、充実、安全マネジメントの改革や審査対応に向けた産業界全体での連携強化などを内容とする行動指針案を取りまとめたところであります。速やかに実行に移してまいります。  再エネは重要な国産エネルギー源であり、二〇三〇年度に再エネ比率三六から三八%という目標の実現に向け、適切な国民負担と地域との共生を図りながら最大限導入してまいります。  太陽光発電については、導入の適地が限られる中で、公共施設や住宅等への導入拡大等に取り組んでまいります。また、水力発電は安定した出力を長期的に維持することができる電源であり、大規模水力を含む既存発電設備の出力向上や中小水力の事業化に向けた支援等に取り組んでまいります。  また、御指摘の十七基の原子力発電所が再稼働した場合の電気料金については、不確定な要素も多いことから試算は困難ですが、再稼働が進み、火力発電の燃料費が抑えられれば、電力料金の抑制に寄与するものと承知しております。(拍手)

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) これにて午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十九分休憩      ─────・─────    午後一時一分開議

長浜博行各派に属しない議員副議長

○副議長(長浜博行君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  国務大臣の演説に対する質疑を続けます。大塚耕平君。    〔大塚耕平君登壇、拍手〕

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。  会派を代表して、総理の所信表明演説の項目順に沿って、総理に質問させていただきます。  所信冒頭は、歴史の転換点と銘打ち、明治維新からの変遷に言及されましたが、敗戦から今日までの中間地点である一九八九年頃をピークとして、日本経済は世界における相対的地位を徐々に低下させ、今日に至っています。  バブルの影響があったとはいえ、一九八九年の世界株式時価総額トップテンのうち七社、トップ五十社のうち三十二社を日本企業が占め、翌一九九〇年の半導体売上高トップテンのうち六社が日本メーカーであったことを鑑みると、現在の日本経済の状況を深刻に受け止めざるを得ません。  総理に伺います。  一九九〇年代以降、日本経済がただいま申し述べたような経緯をたどった原因について、どのように分析、認識し、それを踏まえて、これからどのようにかじ取りしようとしているのか、お聞かせください。  とりわけ二〇一〇年代以降、主要国では技術革新が加速していた中、日本は異次元の金融緩和に依存した運営であったことに関し、評価すべき点、振り返ってみれば失敗だった点について、総理の認識を伺います。  次の、防衛力の抜本的強化において、総理は、外交には裏付けとなる防衛力が必要と述べました。そのことには同意しつつ、国民民主党は、国家としての真の防衛力とは総合的な安全保障であると考えています。  昨年提出した総合的安全保障法案を今国会でも提出する予定ですが、安全保障を支えているのは、狭義の防衛力のみならず、経済力、技術力、資源や食料、言語を含めた文化力、人材力等々の総合的な国力です。この点に関する総理の認識を伺います。  所信では、相手に攻撃を思いとどまらせるための反撃能力の保有という表現を使っています。国民民主党は、一昨年、総選挙の公約で、打撃力という表現を選択しました。その心は、反撃しても効果がなくては目的を達成できないからです。  武力攻撃事態法第三条三項には、「武力攻撃が発生した場合には、これを排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない。」と政府の義務を明記しています。その観点を踏まえ、相手に攻撃を思いとどまらせるための反撃能力とは具体的にどのような防衛力を想定しているのか、あるいはどのような定義なのか、総理の認識を伺います。  一九九五年、日本の防衛予算は対GDP比が約一%であっても実額規模で世界二位であったのは、経済規模そのものが大きかったからです。  その後の経済低迷の中、日本の防衛予算は、一九九五年の四百九十九億ドルから二〇二一年の五百十九億ドルと微増ではあるものの、実額規模は世界九位に低下しています。  この事実を踏まえれば、経済成長をすることが、実額ベースの防衛予算を確保しつつ、国民に過大な負担を掛けないための要諦です。今国会では防衛財源の議論が行われますが、成長なくして財源なしと申し上げておきます。増税より成長政策を優先すべきです。  次の、新しい資本主義において、労働コストや生産コストの安さのみを求めるのではなく、重要物資や重要技術を守り、強靱なサプライチェーンを維持する経済モデルの必要性を述べている点は同意します。  その観点から振り返ると、バブル崩壊後の一九九〇年代以降、日本では、設備、債務、雇用の三つの過剰論がばっこし、設備、債務、雇用をスリム化できる経営者が良い経営者ともてはやされました。  そのさなか、一九八七年に台湾TSMCを創業したモーリス・チャンは、収益を計上するより、全て技術開発と人材育成に投入しろと大号令を掛けていました。今日、その差が決定的に表れています。  日本の経営者の思考や企業戦略をスリム化、コストダウン至上主義等の悪弊、呪縛から解放するために、総理はどのようなインセンティブ政策又はディスインセンティブ政策を考えているのか、伺います。  雇用過剰をスリム化するという大義名分の下、一九九〇年代以降、総合電機メーカーから多くのエンジニアが流出し、結果的に台湾、韓国、中国の半導体産業等の興隆を支えました。日本企業にこのような失敗を繰り返させないためにどのような政策や制度を講じていくのか、総理の方針を伺います。  さらに、一九九五年、日本が低コスト労働力を求めて中国進出を加速していた中、当時の台湾、李登輝総統は、戒急用忍、すなわち急がば回れというスローガンで、主要産業、とりわけ半導体産業の大陸移転を抑止する対中国貿易法を制定していました。昨年末、台湾新竹市のTSMC本社を訪問してきましたが、今日のTSMC興隆には、そうした政治指導力も大きく寄与しています。  一九九〇年代以降、日本の政治や通商産業政策において何が反省すべき点であったのか、総理の認識を伺います。  昨年のダボス会議では、リショアリング、フレンドショアリングという言葉が飛び交いました。サプライチェーンを自国内あるいは友好国内に構築することの重要性を指摘した言葉です。  リチウムイオン電池を例に申し述べます。二〇二一年実績を見ると、リチウム鉱石の五三%をオーストラリアが産出し、最終製品の電池は七七%を中国が生産しました。オーストラリアはコストの観点から製品製造に踏み込んでいませんでしたが、昨年来、採掘大手IGO等の企業が自国内に電池メーカーを設立し、製品製造に進出しています。自動化やAI活用とともに、政府の支援がこうした戦略を可能にしています。  慌てた中国はオーストラリアに出資して合弁企業をつくる動きに出ていますが、日本こそ出資や技術移転でオーストラリアと連携すべきではないでしょうか。まさしくフレンドショアリングです。  政府は、世界各国の動向をどのように情報収集し、国家戦略にどのように生かしているのか、その実情及び調査、分析、戦略立案等における課題について、総理の認識を伺います。  本件について、政府としてオーストラリアと何か交渉をしているのか否か、事実関係を総理に伺います。  新しい資本主義の中では物価高対策にちゅうちょなく取り組むと述べていますが、電気代が二、三割増加することが予想される中、国民民主党は、予備費を使って家計の電気代を一定金額減額する電気代インフレ手当を実施してはどうかと考えています。総理の判断を伺います。  構造的な賃上げに関して、リスキリングから転職まで一気通貫で支援する仕組みと述べていますが、具体的にどのような仕組みをイメージしており、それが構造的な賃上げにつながる理屈はどういうことなのか、総理の考えを伺います。  また、企業にはそうした個人を受け止める準備を進めていただきたいと述べているのはどういう意味でしょうか。併せて伺います。  さらに、本年六月までに日本企業に合った職務給の導入方法を類型化し、モデルを示すと述べています。日本企業の人事給与体系が世界標準の競争に付いていけない構造要因の一つになっている面がある中、あえて日本企業に合った職務給と述べているのは何を意味しているのでしょうか。かなり難解です。総理の説明を伺います。  GX推進のための成長志向型カーボンプライシングに関して、国が複数年の計画を示し、予見可能性を高め、期待収益率を見通せるようにして企業投資を誘引すると述べています。  ここでは期待収益率の水準が問題になります。日本の場合、超低金利状態があらゆる産業分野で低い期待収益率を許容することにつながり、結果的により金利の高い欧米諸国や中国における競合ビジネスの期待収益率にかなわないという構造をもたらしています。  次期日銀総裁に求める政策の内容とも絡め、この日本の構造問題をどのように改善するのか、総理の考えを伺います。  DXに関しては、マイナンバーカードの利用促進と関連付け、スマートフォン一つあれば、診療券も保険証も持たずに医療機関の受診や薬剤情報の確認ができるようになると述べていますが、今や、そのスマホの八五・七%が中国からの輸入に依存しています。先ほど総合的な安全保障のことを申し上げましたが、このような社会的インフラツールも総合的な安全保障に関わります。  スマホを中国からの輸入に依存する状態で、社会保障制度のプラットフォームや国民の個人情報管理を発言のような仕組みにすることのリスクをどのように考えているのか、総理の認識を伺います。  所信では、日本発、世界初のイノベーションを生み出すために、中長期的かつ国家戦略的な視点を持って、半導体等の戦略分野への研究開発投資を支援すると述べました。  半導体ICの生産工程における重要技術であるEUV、集積回路三次元化、積層化に関わるFinFET、シリコンに代わるカーボンナノチューブ等、いずれも日本人が早々と発明、発見した技術や素材です。しかし、日本企業はこれを活用できず、今や外国企業を追随する立場です。  日本の企業や産業がこうした失態を繰り返すことについて、民間側の原因、政府側の原因、アカデミアの原因、その他の原因について、総理の認識を伺います。  子ども・子育て政策について伺います。  総理が、日本の給料が上がっていないことを認めたことに続き、子ども・子育て政策に重点を置いたことは評価したいと思います。  問題は、実際に賃金が上がらない構造や子供を産み育てにくい社会を変革できるか否かです。異次元の政策ではなく、地に足の付いた現実的な政策で具体的成果を上げることを期待します。  子ども・子育て政策の第一の柱である経済的支援の中心になるのは児童手当拡充です。所得制限撤廃を先導してきた国民民主党は、子ども・子育て政策の受益者は子供自身であり、所得制限を設けるべきではないと考え、今国会でも所得制限撤廃法案を三たび提出します。  所得制限撤廃とともに、給与水準引上げ、高校生までの対象拡大、多子世帯への上乗せの四点について、これらを行う意思があるか否か、総理に伺います。  政府は昨年十月、一定以上の所得世帯への特例給付を打ち切りました。打切り見直しも含め、総理の考えを伺います。  第二の柱、サービス拡充については、保育士の配置基準見直しや処遇改善等の積年の課題解消、ゼロ歳児から二歳児に焦点を当てた支援拡充、幼児教育の体制整備等が急務です。それぞれについて、総理の方針を伺います。  第三の柱、働き方改革について、男性の育児休業取得促進、女性の産休、育休復帰後の処遇確保、男女を問わず長時間労働の是正、自営業やフリーランスなど企業内諸制度を利用できない勤労者向けの対応等について、具体的にどのような対策を想定しているのか、総理に伺います。  所信では、各種の社会保険との関係、若者世代の負担増抑制という表現を使った上で、勤労者皆保険など社会保障制度を支える人を増やし、能力に応じてみんなが支え合う、持続的な社会保障制度の構築に取り組むと述べています。  これは、財源として現在の社会保険制度の活用を想定しているのか、医療、介護、年金、雇用以外の五番目の社会保険創設を想定しているのか、方針を伺います。仮に前者の場合、それが現在の社会保険制度の持続可能性向上につながると考えているのか、それはどのような論理構造でそうなると考えているのか、総理の認識を伺います。  国民民主党は、子ども・子育て政策の恒常的な財源確保が重要だと考えています。党内の社会保障調査会及び新たに設置する財源構造調査会で検討を進めます。また、その内容は、既に示している日銀保有国債の一部永久国債化を含む財政金融政策全体の現実的かつ不可避の工夫と密接不可分の関係にありますので、限界に直面している財政政策と金融政策の在り方も視野に入れて検討を進めます。そうした手法も駆使しつつ、可能であれば、子ども・子育て政策のための基金創設が適当と考えますが、総理の認識を伺います。  所信の包摂的な経済社会づくりでは、地方創生の取組として、デジタル田園都市国家構想をうたい、光ファイバー、5G等の整備を進めつつ、全国津々浦々で本格的なデジタル実装を進めますと述べました。  昨年秋、KDDIがスペースX社のスターリンクと契約しました。携帯基地局とトランクラインの間の光ファイバーが設置されていない地域でのサービス拡充を進めるようです。  スターリンクのようなコンステレーション衛星は、日本も国家として保有すべきインフラです。イーロン・マスクは、既に約五千基の衛星を投入済みの上、二〇二五年までに四万二千基の配備を終えると発表しています。また、ウクライナがスターリンクを活用することでロシアの侵攻や通信網破壊に耐えていることは周知の事実です。  日本でも数社のスタートアップ企業がコンステレーション衛星構築に向けて奮闘しています。地方創生やデジタル田園都市国家構想のためにも、また国民民主党が主張する総合的な安全保障のためにも、日本は国自らコンステレーション衛星を構築、運用するか、あるいはそれを目指す日本企業を支援すべきと考えます。支援の現状と総理の考えを伺います。  災害対応、復興支援に関連し、国民民主党は、特定非常災害の損失に関わる雑損失及び純損失繰越期間の五年への延長とともに、甚大被害の場合には、更に弾力化が可能な税法上の措置を講ずることを目指しています。御賛同いただけるか否か、総理の認識を伺います。  新型コロナウイルス感染症の五類移行が本日決定されると報道されており、国民民主党はその方向に賛成します。同時に、当分の間、ワクチン接種については公費で行うべきと考えます。これまで国が購入したワクチンの種類と総数、及び使用量、在庫量、及び五類移行後の公費負担について、総理の考えを国民の皆さんに御説明願います。  外交・安全保障では、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意を述べられました。拉致被害者の帰国、軍事的威圧緩和のために、首脳間の直接交渉は重要と考えます。いつ、どのような形で首脳会談を行う計画であるのか、伺います。  また、この項の中でグローバルサウスという言葉を使うとともに、開発協力をうたっています。グローバルサウスは一般的に途上国と同様の意味で用いられていますが、国連は七十七の国と中国をグローバルサウスに分類しています。中国向けODAは、各般の議論や中国の国情を鑑み、二〇二二年三月にようやく終了しましたが、所信の文脈は中国との新たな開発協力を意味しているのでしょうか。  グローバルサウスの定義とともに、中国に対する開発協力の方針について、総理の考えを伺います。  憲法改正は先送りできない課題と述べましたが、総理が考える先送りできない課題の内容及び発議等について、総理の認識を伺います。  最後に、漸増する社会保障費を筆頭に、防衛費、子ども・子育て対策費など、財源をどのように確保するかが日本にとって死活的な課題であることは論をまちません。  しかし、今は増税で財源を確保する経済環境や産業の状況にないこと、成長なくして財源なしであることを申し上げ、国民民主党・新緑風会としての質問といたします。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

岸田文雄自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 大塚耕平議員の御質問にお答えいたします。  日本経済の停滞についてお尋ねがありました。  我が国は、一九九〇年代のバブル崩壊以降、長引くデフレ等を背景に、他国と比べて低い経済成長が続きました。この間、企業は投資や賃金を抑制し、消費者は所得の伸び悩みなどから消費を減らさざるを得ず、その結果、需要が低迷し、デフレが継続するという悪循環であったと承知をしています。  そして、二〇一〇年代、アベノミクスは、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を通じて、こうしたトレンドを転換し、デフレではない状況をつくり出し、GDPを高め、雇用を拡大いたしました。  岸田政権では、こうした成果の上に、新しい経済モデルである新しい資本主義の下、市場や競争に全て任せるのではなく、官民が連携をし、そして社会課題を成長のエンジンへと転換する中で、構造的賃上げなどを通した成長と分配の好循環を実現し、社会課題の解決と持続的な成長につなげていきたいと考えております。  そして、総合的な国力及び反撃能力についてお尋ねがありました。  昨年末、御党から安全保障政策に関する提言をいただいた際にも申し上げましたが、総合的な国力が重要であるとされている点について、私も同じ認識を持っております。国家安全保障戦略においても、外交力、防衛力、経済力、技術力、そして情報力を含む総合的な国力を最大限活用する、こうした旨記載をしています。  また、反撃能力は、弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合に、武力の行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として行使するものであり、スタンドオフ防衛能力等を活用することとしております。  こうした有効な反撃を加える能力を持つことにより、武力攻撃そのものを抑止いたします。その上で、万一相手からミサイルが発射される際にも、ミサイル防衛網により飛来するミサイルを防ぎつつ、反撃能力により相手からの更なる武力攻撃を防ぎ、国民の命と平和な暮らしを守り抜きます。これは、御指摘の武力攻撃事態法第三条第三項の趣旨にも沿ったものであると考えております。  そして、企業経営、通商産業政策の反省点と今後の取組についてお尋ねがありました。  我が国は、バブル崩壊以降、コストカットで生産性を高めた結果、足下では企業が過去最高水準の収益を上げている一方、設備投資や人への投資は諸外国に大きく後れを取りました。  この背景としては、急速な少子高齢化による国内市場の縮小、労働市場と企業組織の硬直化、また、シェア重視の経営体質など、日本経済の様々な構造問題が相互補完的に絡み合っていたことがあったと考えております。  こうした長年の構造問題を解決し、新たな成長軌道に乗せるため、新しい資本主義では、気候変動などの社会課題を成長のエンジンとし、民間だけに任せることなく、官が呼び水となる投資を積極的に行うなど、新たな官民連携を進めてまいります。これにより、設備投資や人への投資を促し、成長と分配の好循環を実現してまいります。  例えば、GXについては、今後十年間で百五十兆円を超える官民の投資の実現に向け、国による二十兆円規模の大胆な先行投資を進めるため、GX経済移行債の枠組みを新たに創設することとしております。これにより、企業などの投資の予見可能性を高め、同時に、将来的な日本の競争力を高めることを目指してまいります。  あわせて、構造的賃上げに向けた取組を進めることで、国内での産業基盤の強化と相まって、優秀な人材が国内に残り、活躍していく日本経済を実現してまいります。  蓄電池に関する豪州との連携や、各国動向の情報収集、分析、戦略立案等についてお尋ねがありました。  世界的に蓄電池に対する需要が急拡大する中、その製造に必要なリチウムあるいはニッケルなどの重要鉱物を豊富に有する豪州との連携は重要であると考えます。  私自身、昨年十月に豪州で、ニッケルの精錬などを行うBHP社を訪問いたしました。その際、プロジェクトへの共同資金、共同資金支援などの日豪間の重要鉱物分野における協力関係強化のため、重要鉱物に関するパートナーシップを締結したところです。  また、例えば、重要鉱物に関する有志国連携の取組として、日本、米国、EU、豪州、カナダによるクリティカルマテリアル・ミネラル会合を年二回開催し、重要鉱物に関する政策等の意見交換を行っています。  こうした戦略的に重要な物資のサプライチェーンをめぐる競争は加速しており、その動向は、在外公館やジェトロによる情報収集、民間企業との連携、各国政府との意見交換等を通じて、迅速かつ的確に把握、分析をしていきます。  こうした取組を生かして、引き続き、豪州を含めた有志国との戦略的な連携強化や政策立案を進めてまいります。  電気代増加への対応についてお尋ねがありました。  電気料金支援の水準については、春以降に相当される全国の御家庭における平均的な負担増が二割程度と見込まれることを踏まえ、その水準と同等程度の値下げとしています。これまで値上げ申請があった七社の申請値上げ幅は電力会社ごとに異なっておりますが、今回の電気料金支援を行うに当たっては、公平性や迅速性の観点から全国一律の値下げ幅とし、かつ一月に前倒しをして値下げを実施することといたしました。  政府としては、まずは本支援策を需要家に確実にお届けできるよう、予算執行に取り組んでまいります。その上で、今後も経済状況を注視し、必要な政策対応にちゅうちょなく取り組んでまいりたいと考えております。  そして、リスキリングや職務給についてお尋ねがありました。  構造的賃上げは、意欲ある個人の能力を最大限生かしながら、リスキリングによる能力向上や成長分野への円滑な労働移動を通じて企業の生産性を向上させ、更なる賃上げにつなげる好循環をつくり、持続的な賃上げを実現するというものであります。このため、キャリアアップを目指す個人に注目してリスキリング等の支援を行うことが効果的であり、こうした個人への支援として、民間専門家に相談をしてリスキリングから転職までを一気通貫で支援する制度、こうした制度を新設いたします。  また、職務に必要なスキルをはっきりさせる職務給の導入により、労働者が自らの希望に従ってリスキリングを行い、職務に就くことによって賃上げが行われる構造をつくる必要があります。このため、企業には、このような労働者の意向を受け止める人事、給与体系の整備を促していきます。  職務給の導入に当たっては、個々の業界、個々の企業特性に応じた導入の在り方があり、日本企業に合ったと申し上げたのは、日本の場合、企業によっては職務給を一度にではなく順次導入する、あるいは、その適用に当たって、職務スキルだけでなく個々の能力の高さを勘案するといった自由度があった方がより機能する、こういった趣旨で申し上げました。  このような人事、賃金体系の整備により、適材適所を図ることでグローバル競争に勝っていける日本企業をつくっていきたいと考えております。  そして、企業投資に対する政府の取組についてお尋ねがありました。  金融政策については、具体的な手法は日銀に委ねられるべきであると考えておりますが、政府と日銀は、密接に連携しながら、経済・物価情勢に応じて機動的な政策運営を行い、構造的な賃上げを伴う経済成長と物価安定目標の持続的、安定的な実現を図っていくという認識において一致をしております。日銀には、引き続き、政府との連携の下、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、適切な金融政策運営を行っていくことを期待しております。  そして、一般論として申し上げれば、低金利の下では低い収益率の事業に投資が行われる、こうした可能性がありますが、成長志向型カーボンプライシングについては、GXという将来の大きな成長が期待される分野において、足下での投資リスクの大きさなどから過小投資になることを防ぐべく、国が複数年の計画を示し、予算のコミットを行い、予見可能性を高めて期待収益率を見通せるようにして企業の投資を誘引していく、こうした取組であり、御指摘のような御懸念は当たらないと考えております。  そして、マイナンバーカードの機能のスマートフォン搭載についてお尋ねがありました。  マイナンバーカードは、ICチップに搭載した電子証明書を活用し、オンラインで最高位の本人確認ができるデジタル社会のパスポートです。本年五月より、マイナンバーカードと同様の電子証明書をスマートフォンに搭載するサービスを開始いたします。これにより、スマートフォンだけで本人確認を伴う各種のオンライン手続が可能となります。  電子証明書のスマートフォンへの搭載に当たっては、マイナンバーカードと同様、重層的なセキュリティー対策、これを講じてまいります。  具体的には、まず、国際基準を満たした安全なチップを内蔵するスマートフォンでのみ利用可能です。特に、このチップは、無理に情報を読み出そうとすると壊れ、情報を不正に読み出されません。さらに、そもそもチップに格納する情報は電子証明書に限り、受診情報や薬剤情報などの個人情報は保存されません。これにより、御指摘のようなリスクは回避されるものと考えております。  引き続き、安全、安心をしっかりと確保しつつ、デジタル社会の利便性の向上を図ってまいります。  そして、日本発の技術や素材を生かせず、日本企業が外国企業に追随することとなる原因についてお尋ねがありました。  日本が発明、発見した技術や素材が実用化段階で外国企業との競争に劣後した原因は、例えば、実用化に成功しても、量産に必要な大規模投資が求められるタイミングで大胆な投資決定ができなかったこと、高度なすり合わせを得意としていた物づくりが、国際的な製造工程のモジュール化の進展によりコスト競争力を失ったこと、また、大学発ベンチャーなどのスタートアップがユニコーンや大企業へと育たず、企業の新陳代謝が活性化しなかったことなど、技術で勝ってビジネスで負ける構造にあったと考えております。  こうした反省を踏まえ、新しい資本主義では、リスクを取って戦略的な対応をしていく経営者のリーダーシップが十分発揮されるよう、政府も一歩前に出て新たな官民連携を進めてまいります。GXなどの大規模投資やそれによるコスト競争力の獲得、スタートアップエコシステムの確立などの取組を進めるとともに、リスキリングと労働移動の円滑化を図り、技術で勝ってビジネスで負けた我が国の構造的問題、これを打破していきたいと考えております。  児童手当についてお尋ねがありました。  児童手当について、所得制限の撤廃を始め様々な御提案をいただきました。こうした国会での議論も踏まえつつ、経済的支援の強化を含む子ども・子育て政策の強化について、こども政策担当大臣に指示をした基本的方向性に沿って具体策の検討を進めてまいります。  子ども・子育て政策は、最も有効な未来への投資です。これを着実に実行していくため、まずは子ども・子育て政策として充実する内容を具体化してまいります。  そして、保育士の配置基準見直しや処遇改善等についてお尋ねがありました。  保育士等の配置改善を図っていくことは重要な課題であると考えており、平成二十七年度から三歳児に対する職員の配置改善に取り組んでいます。更なる配置改善についても引き続き努力をしてまいります。  そして、令和五年度予算においては、現場の保育士の負担軽減を図るために、大規模な保育所においてチーム保育推進加算の充実を行うほか、見落としなどによる園児の事故を防止するための支援員の配置を推進することとしております。  保育士等の処遇改善については、給与を恒久的に三%程度引き上げるための措置など、これまで累次の処遇改善講じてきたところです。  今後も公的価格評価検討委員会の中間整理を踏まえ、見える化を図りながら、現場で働く方々の処遇改善や業務の効率化、また負担軽減を進めていきたいと考えます。  そして、支援が手薄なゼロ歳から二歳の低年齢期に焦点を当てた支援については、妊娠から出産、子育てまでの身近な相談支援と経済的な支援を一体として実施する出産・子育て応援交付金事業を令和四年度第二次補正予算において創設をし、令和五年度以降も継続的に実施することとしております。  そして、全ての子供が質の高い幼児教育を受けることができるよう、幼児教育センターの設置やアドバイザーの配置など、地域における幼児教育推進体制の構築へ支援をするべく取組を進めていきたいと思います。  そして、子ども・子育て期の働き方改革についてお尋ねがありました。  子供を産み育てたいと希望する全ての人が、働き方にかかわらず安心して子育てができる環境の整備を進める必要があります。  働き方改革の推進とそれを支える制度の充実を図ることが重要であり、出産を契機に女性が非正規雇用化するいわゆるL字カーブの解消や、子育て期の長時間労働の是正や柔軟な働き方を可能とする仕組みづくりなどを含む育児休業制度の強化などの諸課題について、まずは、こども政策担当大臣の下で、子ども・子育て政策として充実する内容を具体化してまいります。  そして、子ども・子育て政策の財源等についてお尋ねがありました。  子ども・子育て政策は最も有効な未来への投資です。これを充実、失礼、これを確実に実行していくため、まずは、こども政策担当大臣の下、子ども・子育て政策として充実する内容を具体化します。  そして、財源等については、様々な御指摘もいただきましたが、こうしたこの国会の議論等もしっかり念頭に置きながら、この財源について、御指摘の各種の社会保険との関係、失礼、この御指摘をいただきましたが、まずは、先ほど言ったように、内容をしっかりと具体化した上で、内容に応じて、その財源について、御指摘の各種の社会保険の関係、国と地方の役割、そして高等教育の支援の在り方、こうしたことについて様々な工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくか、これを考えていきたいと思います。  そして、通信衛星コンステレーションの構築についてお尋ねがありました。  我が国の民間企業においても、通信衛星コンステレーションの構築の構想があるということは承知をしております。そして、その中で、政府としては、この我が国における通信衛星コンステレーション構築のための重要技術について、衛星間光通信などの衛星コンステレーション基盤技術の開発と実証、そして衛星コンステレーションと地上を結ぶ電波や光通信技術の研究開発、これを進めているところです。  そして、災害対応についてお尋ねがありました。  令和五年度税制改正において、大規模な災害の発生に備え、著しい被害に対する不安を解消する観点から、特定非常災害による損失に係る雑損失と純損失の繰越期間について、損失の程度や記帳水準に応じ、五年に延長する措置を講ずることとしております。  大規模な災害の発生に対しては様々な政策手段による総合的な対応を行うことが重要であり、今後適切な対応をしてまいります。  新型コロナワクチンについてお尋ねがありました。  新型コロナワクチンについては、これまでにファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社、武田社から供給を受けております。  従来株ワクチンについては、合計六億八千七百万回分契約をしており、在庫状況は日々変動するため確定はしておりませんが、これまでに約三億六千四百十万回分を配送し、昨日の集計時点で約三億二千六百六十万回分が接種されております。なお、これまでに約六千二百三十万回分をキャンセルし、約四千四百万回分を海外に供与しております。  オミクロン株対応型ワクチンについては、合計一億九千五百万回分を契約しており、在庫状況は日々変動するため確定はしておりませんが、これまでに約九千九百六十万回分を配送し、そして、昨日の集計時点で約五千百四十万回分が接種をされています。  また、新型コロナワクチンについては、感染症法上の類型の見直しによらず、予防接種法に基づいて実施することになります。今後の接種の在り方については、厚生労働省の審議会で検討を今進めており、こうした科学的知見なども踏まえて方針を決定し、その考え方を丁寧に御説明をしてまいります。  そして、北朝鮮、グローバルサウス、中国についてお尋ねがありました。  北朝鮮との関係について、お尋ねの日朝首脳会談の見通しについて明らかにすることは、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがあるため差し控えますが、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化の実現を目指すとの方針の下に、引き続きあらゆる働きかけを行ってまいります。  いわゆるグローバルサウスについては、固まった定義はなく、一方、国連等の場では、いわゆるG77諸国プラス中国がまとまって一つのグループとして活動する局面があることは承知しておりますが、私が最近施政方針演説等でグローバルサウスという用語を使用する際には、これに中国は含めて考えておりません。  中国に対する開発協力については、二〇二二年三月末をもって対中ODAの全ての事業が終了しております。  現在、中国は世界第二の経済大国であり、責任ある大国として、国際社会のルールにのっとり、その発展に貢献することが求められています。日本としては、引き続き、様々な機会を捉えて、中国側にそのような行動を求めていきます。  そして、最後に、憲法改正についてお尋ねがありました。  時代の転換点にあって、現行憲法が今の時代にふさわしいものであり続けているかどうか、憲法を通じて我が国の有様や世界の中での位置付けを考えることは大変重要であると考えております。このような思いから、憲法改正は先送りできない課題であると申し上げました。  内閣総理大臣の立場から憲法改正についての議論の進め方あるいは内容について直接申し上げることは控えなければならないと思いますが、憲法改正は最終的には国民の皆様による御判断が必要であり、そのための発議に向けて、今国会においても与野党の枠を超えて更に積極的な議論が行われることを心から期待をしております。(拍手)     ─────────────

長浜博行各派に属しない議員副議長

○副議長(長浜博行君) 小池晃君。    〔小池晃君登壇、拍手〕

小池晃日本共産党

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。会派を代表して、岸田文雄総理に質問します。  年頭所感で総理は、積み残してきた多くの問題、先送りできない問題に正面から立ち向かい、一つ一つ答えを出すと述べました。  積み残した問題というなら、自民党と統一協会との癒着を徹底的に解明し、統一協会に対する解散命令を速やかに請求すべきではありませんか。先送りできない問題に立ち向かうというなら、自民党議員に相次ぐ政治と金の問題の責任を認め、メスを入れるべきではありませんか。  ところが、総理は、こうした課題にはまともに向き合おうとせず、暮らしも平和も憲法も踏みにじる大暴走を始めています。  政府が年末に閣議決定した安全保障三文書は、歴代政府が建前としてきた専守防衛さえ投げ捨て、敵基地攻撃能力の保有に公然と踏み切るものです。  重大なことは、これが集団的自衛権の行使を可能にした安保法制の下で具体化されようとしていることです。三文書は、敵基地攻撃能力を、我が国に対する武力攻撃が発生した場合だけでなく、存立危機事態、すなわち集団的自衛権の行使として使用できるとしています。ならば、自分の国は自分で守るという政府の言い分は全く成り立たないのではありませんか。  日本が攻撃を受けていないにもかかわらず、アメリカとともに他国領土にミサイルを撃ち込むことがどうして反撃能力なのですか。相手国からすれば事実上の先制攻撃であり、憲法九条の下で絶対に許されない海外での武力行使そのものではありませんか。  先日の日米共同声明は、日本の反撃能力の開発と効果的な運用について協力を強化する方針を確認しました。日米2プラス2では、自衛隊が統合司令部を設置して、日米の司令部機能を更に一体化することも確認しています。  アメリカが同盟国と推進する攻撃と防御が一体となった統合防空ミサイル防衛、IAMDの下で日本の長射程ミサイルが使用されれば、米軍の指揮統制の下で自衛隊が米軍の相手国に先制攻撃することになります。その結果、報復攻撃で日本は焼け野原になってしまうのではありませんか。  総理は、施政方針演説で、南西地域の防衛体制の抜本強化を進めると述べました。沖縄に寄り添うとの言葉も消えてなくなってしまいました。  凄惨な地上戦を体験した沖縄で、陸上自衛隊の増強、長射程ミサイルの配備、そのための嘉手納弾薬庫の共同使用や新たな補給拠点の設置、民間空港、港湾の軍事利用の拡大などが計画されています。宮古、石垣、与那国島ではミサイル基地建設が進んでいます。米軍も海兵隊を改編し、無人の地対艦ミサイルを配備しようとしています。  これらはまさに、沖縄が再び戦場になることを想定した日米一体の戦争体制づくりではありませんか。本土決戦を遅らせるための捨て石にした沖縄戦の過ちを繰り返すのですか。敵基地攻撃兵器の配備に反対している玉城デニー沖縄県知事や石垣市議会の声に総理はどう応えるのですか。  危険が襲うのは沖縄だけではありません。来年度予算には、那覇駐屯地などとともに、熊本市内の健軍駐屯地や福岡の築城、宮崎の新田原基地などの司令部の地下化が盛り込まれています。今後、全ての自衛隊司令部の地下化を進めるのですか。市街地の中心部にある自衛隊基地も攻撃対象になると想定しているからですか。明確な答弁を求めます。  五年間で四十三兆円もの大軍拡を進めることにも大きな批判が寄せられています。来年度予算では、社会保障の自然増が一千五百億円も抑制され、中小企業対策費も農業予算もマイナスです。五年後には軍事費が文教予算の二倍以上となります。軍事費が文教予算の二倍という国が平和国家だと言えるんでしょうか。そのための大増税など、言語道断ではありませんか。お答えください。  昨年、総理も参加した東アジア・サミットの議長声明は、全ての関係当事国の平和的な対話の継続と平和的対話に資する空気の増進で問題を解決していくとしています。敵基地攻撃と大軍拡は、平和的対話に資する空気の増進に反するのではありませんか。  東南アジア諸国連合、ASEANは、東アジアの全ての国を包み込む平和の枠組みを強化し、東アジア規模での友好協力条約の締結を提唱しています。そして、先日の日米首脳会談も、ASEAN・インド太平洋構想を支持していくといたしました。  これこそ前進させるべき平和の道ではありませんか。憲法九条を持つ日本こそ、ASEANと力を合わせ、東アジア・サミットに集まった米中を含む全ての関係諸国を包摂した平和の枠組みづくりに力を尽くすべきです。答弁を求めます。  実質賃金は八か月連続マイナスとなりました。総理は、持続的に賃金が上がる構造をつくり上げるとしながら、その方法は財界にお願いすることなのですか。財界にお願いするだけで、働く人の七割がいる中小企業がどうして賃上げできるのでしょうか。  我が党の提案は、五百兆円を超えた大企業の内部留保から、賃上げ分や設備投資分を控除した上で時限的に課税し、大企業の労働者の賃上げを促すとともに、五年間で十兆円生まれる財源を中小企業の賃上げ支援に充て、最低賃金を全国どこでも時給千五百円に引き上げ、大企業も中小企業も賃上げを可能にするものです。  総理は二重課税だと拒否しますが、財務省は国会で、二重課税の定義はない、関係する経済団体からの指摘だと答弁しました。二重課税などという言い訳は金輪際やめるべきではありませんか。  総理、内部留保がどんどん積み上がるような社会をこのままにしていいのか。成長の果実を賃上げにというなら、言葉どおりに実行すべきではないか。そもそも、所得再分配の主体は、民間企業ではなく政府です。税制と社会保障制度により所得配分のゆがみを正すのが政府の責任ではありませんか。お答えください。  来年度の公的年金は実質〇・六%の目減りで、そのうち〇・三%は過去二年間の削り残し分です。物価高騰のただ中に、積み残しを含めた削減率を機械的に適用する、こんなことでは年金不信は更に高まり、持続不可能な制度になってしまいます。  民間企業に対して足下で物価上昇を超える賃上げが必要というなら、政府も年金を物価上昇を超えて引き上げるべきではありませんか。答弁を求めます。  十二月の消費者物価指数は、四十一年ぶりに前年同月比で四%の上昇でした。この深刻な物価高に対して施政方針演説で総理が示した方針は、二次補正予算の早期執行だけです。しかし、物価高騰は、政府が支援対象とする電気代やガス代だけにとどまらず、広範な品目に及び、一世帯当たり十四万円もの負担増です。  深刻な物価上昇から家計を守る最も有効な方法は消費税の減税です。コロナ禍で世界百か国と地域が実施している付加価値税、消費税の減税に踏み切るべきではありませんか。  十月に迫ったインボイス導入は、小規模な事業者やフリーランスなど、数百万人もの人々に多大な負担をもたらします。インボイスが導入されたら廃業せざるを得ないという悲鳴が上がり、地方議会で採択された意見書は昨年末で三百八十九自治体に広がっています。導入はきっぱり中止すべきではありませんか。  総理は、所得が一億円を超えると所得税の負担率が逆に下がってしまう一億円の壁の是正を掲げていたのに、今回提案されているのは所得三十億円以上の超富裕層だけで、申告納税者では二百人余り、税率の引上げも僅かです。一億円の壁を崩すどころか、三十億円の壁に小さな穴を空ける程度で不公平が是正されるとお考えか。なぜ金融所得への低い税率には手を着けなかったのか。住民税と合わせて二〇%の税率を、少なくとも高額所得者には欧米並みの三〇%以上を適用すべきではありませんか。答弁を求めます。  危機に直面する酪農について質問します。  酪農家は今、肥料も飼料も二年前より五割アップする一方、乳価はそれに見合わず、牛乳を搾れば搾るほど赤字が増えるという状態です。総理には、日本から酪農の灯が消えかねない、深刻な危機だという認識はありますか。  政府は一連の対策を取ったと言いますが、未曽有の危機に対応するものになっていません。政府は酪農家を見殺しにするのかという叫びはその表れです。従来の対策の延長でなく、酪農家が生き残れる抜本的な支援策を緊急に打ち出すべきです。飼料、肥料、燃油などの価格高騰前との差額を政府の責任で補填すべきではありませんか。答弁を求めます。  これまで牛を増やせと言ってきた政府が、生乳が過剰だとして、牛を減らしたら補助金を出すと言います。他方で、乳製品の輸入には一切手を着けない。これで農家の納得が得られると思いますか。牛は生きています。生きている限り、搾乳続けなければなりません。搾った生乳を泣く泣く捨てたり牛を処分せざるを得ない酪農家の苦悩が、総理、分かりますか。補助金は、牛を殺すためではなく、生かすためにこそ出すべきです。お答えください。  従来とは次元の異なる子育て支援を行うというなら、教育費負担の軽減こそ求められます。ならば、高過ぎる学費を半減させ、入学しないのに取られる入学金制度を廃止し、給付制奨学金制度を大幅に拡充し、小中学校の給食費は憲法どおりに国の責任で無償化すべきです。答弁を求めます。  安心、安全な保育体制の確保も待ったなしです。  この間、バス置き去りなど悲惨な事件も起きていますが、背景には諸外国と比べても大きく立ち遅れている保育士の配置基準があります。スウェーデンでは四、五歳児の子供十八人に保育士三人という基準ですが、我が国では子供三十人に対し保育士一人で、一九四八年の児童福祉法制定時から七十年以上変わっておりません。多くの保育所は独自に保育士を配置するなど努力していますが、求められているのは国基準の見直しです。  子供たちの命を守る保育士の配置基準を見直し、処遇改善を進めるべきではありませんか。お答えください。  日本を少子化社会にした根源の一つがジェンダー差別です。しかし、総理の少子化対策にはジェンダー平等を推進するための社会システムの改革、転換という視点が全くありません。  明治憲法下での家父長制、男尊女卑の家族制度を美しい国と美化する自民党政治の下で、女性たちの声が反映されない政治と慣習が引き継がれてまいりました。少子化の原因は晩婚化と、女性ばかり責任を押し付け、子育ては社会が担うのではなく家族が担うものだと、児童手当に所得制限を復活させ、家事、育児、介護などは専ら女性に担わせる一方で、低賃金と不安定な雇用によって男女の生涯賃金格差は一億円。こうした政治が子供を産み育てることを困難にしてきたという認識が総理にはありますか。  選択的夫婦別姓の実現や同性婚の法制化を始め日本社会をジェンダー平等社会につくり変えるべきではありませんか。答弁を求めます。  先日、自民党の麻生太郎副総裁が原発の死亡事故はゼロだと発言しましたが、全く事実に反します。関西電力美浜原発などで死亡事故は起きています。東京電力福島第一原発の事故では、関連死が二千名を超えています。  総理も、麻生氏のように原発事故による被害は大したことがないという認識なのですか。原発の再稼働だけではなく、新たな原発まで造り、六十年を超える老朽原発まで動かそうと原発回帰への大転換を打ち出したのは、そのような認識だからでしょうか。そうでなければ、いまだに多数の方が避難を続け、ふるさとを奪われ、なりわいも奪われた福島の人々の苦しみに対して、こんな方針転換などできるわけがないではありませんか。  原発回帰は、再生可能エネルギーも後景に追いやり、気候危機対策にもエネルギーの海外依存からの脱却にも逆行します。一体どこがグリーンか。  総理は、日本には再エネ適地が少ないと言いましたが、世界有数の地震・津波国で、実際に地震、津波で世界最悪の原発事故を起こした日本ほど原発に適さない国はありません。原発の再稼働と新増設方針を撤回し、原発ゼロと石炭火力からの撤退を決断し、純国産の再生可能エネルギー大量普及でエネルギー自給率の向上を図るべきです。答弁を求めます。  原発回帰の方針は、昨年参院選での自民党の、原発の新規建設は考えていないという公約に完全に反します。政府と与党で検討したから問題ないというのは、議会制民主主義を無視した暴論であります。総理が日本の安全保障政策の大転換とする安保三文書も、国会では答弁を避け続け、閉会後に閣議決定し、真っ先に米国に報告をしました。これが民主主義国家のやることですか。これでまともな主権国家と言えるのですか。  内閣府が十二月に公表した日本学術会議の改革方針について、学術会議は、独立性が侵害されるおそれがあるとして強く再考を求める声明を発表し、多くの学会が賛同する声明を上げています。総理は透明性の確保のためだと言いますが、ならば、まず政府がやるべきことは、会員六名の任命拒否の経過と理由を明らかにすることではありませんか。あのような、あのような暴挙に無反省のまま、問題をすり替え、学術会議の変質を強行する方針は撤回すべきではありませんか。答弁を求めます。  日本共産党は、広範な市民と力を合わせ、この国の民主主義、立憲主義を取り戻し、暮らしと平和を守り抜いていく決意です。そのことを表明して、質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

岸田文雄自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 小池晃議員の御質問にお答えをいたします。  自民党と旧統一教会との関係、旧統一教会の解散命令請求についてお尋ねがありました。  自民党においては、各議員それぞれが旧統一教会との過去の関係を八項目に分けて詳細に点検、報告をし、新たな接点が判明した場合にはその都度追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないということを徹底することを、これを方針としています。  大切なことは、未来に向かって関係を絶つことであります。自民党においては、旧統一教会及び関連団体と一切関係を持たない方針であることを踏まえ、ガバナンスコードを改訂し、この方針について、党所属全国会議員及び全国都道府県連に対して通知をしたところであり、これを徹底してまいります。  また、旧統一教会においては、宗教法人法に基づき、報告徴収・質問権を三回にわたり行使し、必要な資料の提出を求めているところです。  御指摘の解散命令の請求の適否を判断するためには、まずは報告徴収・質問権を効果的に行使するとともに、被害者の方々などから丁寧に情報収集すること等を通じて、具体的な証拠や資料などを伴う客観的な事実を明らかにし、法律にのっとり、必要な対応を行っていくものと承知をしております。  いずれにせよ、所轄庁たる文部科学省においてスピード感を持って適切に対応していく方針であります。  そして、政治と金の問題についてお尋ねがありました。  政治の信頼に関わる問題が立て続けに生じ、国民の皆様から厳しい声をいただいたことについては重く受け止めております。政治家は、自らの政治資金を関係法令にのっとって適切に取り扱い、国民から疑念を持たれないようにしなければならないこと、これは言うまでもありません。  自民党の取組についてあえて申し上げれば、党のガバナンスコードを定め、党所属の国会議員の政治資金の取扱い等に関するコンプライアンス上の疑義があった場合には、その議員が国民に対して丁寧な説明を行うほか、党も厳正に対処することとしております。党改革実行本部においても、今後も引き続き党改革について議論を続けてまいります。  いずれにせよ、信頼と共感の政治の実現のため、政治家はその責任を自覚をし、常に襟を正していかなければならないと考えております。  存立危機事態における反撃能力の行使についてお尋ねがありました。  まず、反撃能力を含む我が国の武力の行使は、いかなる事態であれ、武力行使の三要件に基づき、あくまで我が国の国民の命と平和な暮らしを守り抜くための必要最小限の自衛の措置として行使するものです。これらは憲法、国際法、国内法に従って行われ、専守防衛の考え方を変更するものではなく、先制攻撃は許されない、これは言うまでもないことであります。  なお、政府としては、従来から、一九五六年の政府見解でお示ししておりますように、憲法上、誘導弾等による攻撃を防御するのに他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは法的、法理的に自衛の範囲に含まれ、可能であるとしてきております。  そして、統合防空ミサイル防衛能力についてお尋ねがありました。  国家防衛戦略においては、統合防空ミサイル防衛能力を強化し、我が国に対するミサイル攻撃については、ミサイル防衛システムを用いて迎撃をし、迎撃しつつ、反撃能力を持つことにより、ミサイル防衛と相まってミサイル攻撃そのものを抑止していくこととしております。  その際に、日米の連携は重要であると考えます。しかし、自衛隊及び米軍は、各々独立した指揮系統に従って行動します。そして、自衛隊は、憲法、国際法、国内法に従って行動することから、米軍の指揮統制の下で、自衛隊が米軍の相手国に先制攻撃するなどということはありません。  南西地域の防衛体制の強化、そして米軍改編及び沖縄県における反対の声についてお尋ねがありました。  戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、自衛隊の部隊の増強等により、南西地域の防衛体制を強化いたします。これは、国民保護の観点からも重要な考え方です。  同時に、今回の米海兵隊の改編を含め、安全保障上極めて重要な位置にある沖縄に米軍が駐留することは、日米同盟の抑止力、対処力を構成する重要な要素です。  厳しい安全保障環境や沖縄の戦略的重要性、三文書の考え方について、丁寧に沖縄県にも説明をしていくことが重要であると考えております。  自衛隊司令部の地下化についてお尋ねがありました。  自衛隊があらゆる事態において各種活動を継続的に実施できるよう、自衛隊施設の抗堪性の向上といった取組は重要です。防衛力整備計画に記載されているように、主要司令部の地下化を進めてまいります。  こうした取組により、自衛隊の抑止力、対処力を向上させることで、武力攻撃そのものの可能性を低下させることができると考えております。  防衛費の増額についてお尋ねがありました。  防衛費の規模については、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるか、極めて現実的なシミュレーションを行い、必要となる防衛力の内容を積み上げ、導き出してきたものであります。  これらは、憲法及び国際法の範囲内で専守防衛の考え方を堅持した上で、あくまで国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要となるものです。そのため、我が国の平和国家としての歩みをいささかも変えるものではありません。  抜本的に強化される防衛力は将来にわたって維持強化していかなければならず、これを安定的に支えるため、令和九年度以降、裏付けとなる毎年度約四兆円のしっかりとした財源が必要となります。財源確保に当たっては、国民の御負担をできるだけ抑えるべく、政府としてあらゆる行財政改革の努力を最大限行った上で、それでも足りない分については、将来の世代に先送りすることなく、令和九年度に向けて、今を生きる我々が将来世代への責任として対応すべきものであると考えております。  その際、歳出改革については、骨太方針に基づき、社会保障関係費以外の経費を対象とし、これまでの歳出改革の取組を実質的に継続する中で防衛力強化のための財源を確保するものです。  御指摘の中小企業対策費、農林水産関係予算、文教予算を始めとする個々の予算については、経済、物価動向等も踏まえた上で必要な額を措置してまいります。また、税制措置については、国民の負担感をできるだけ抑える観点から、個人、中小企業への影響に最大限配慮する仕組みとすることとしております。  こうした内閣の方針について、国民の皆様に御理解を深めていただけるよう、国会での議論を含め、引き続き丁寧に説明を行ってまいります。  そして、ASEANとの協力を通じた平和への取組についてお尋ねがありました。  御指摘のアジア・サミットの議長声明はカンボジアが議長国の権限で発したものですが、その上で、我が国が新たに策定した国家安全保障戦略においても、外交を通じて地域の平和と繁栄を維持していくこと、これを基本としております。今回の防衛力強化はそうした外交の裏付けとなるものであり、これは平和的な対話の継続、増進と矛盾するものではありません。  また、我が国は、自由で開かれたインド太平洋、FOIPと本質的な原則を共有するインド太平洋に関するASEANアウトルック、AOIPを一貫して強く支持してきており、そのことは先般の日米共同声明でも確認をしています。  我が国としては、ASEANを含む関係国と緊密に連携しつつ、FOIPを推進していくとともに、AOIPに示されているような地域の平和と繁栄に積極的に貢献をしていく考えです。また、日米同盟の抑止力、対処力の強化も地域の平和と繁栄に貢献するためのものであると考えております。  賃上げについてお尋ねがありました。  賃上げは新しい資本主義の最重要課題であり、まずはこの春の賃金交渉に向け、物価上昇を超える賃上げに取り組んでいただくべく、民間だけに任せることなく、政府としても政策を総動員して環境整備に取り組んでいます。  具体的には、賃上げ税制や補助金等における賃上げ企業の優遇などの取組に加え、公的セクターや政府調達に参加する企業で働く方の賃金引上げなどにより取組を進めるとともに、中小企業における賃上げ実現に向けて、生産性向上などへの支援の一層の強化や、公正取引委員会や中小企業庁における下請Gメンの大幅な増員による下請取引の適正化、価格転嫁の促進、こうしたことに取り組んでまいります。また、最低賃金については、できる限り早期に全国加重平均千円以上となることを目指し、引き続き取り組んでまいります。  なお、御指摘の内部留保への課税については、御指摘のように、二重課税に当たるということから、慎重な検討が必要であると考えております。何よりも大切なのは、企業の抱える現預金を人への投資やあるいは設備投資などに活用いただくということであると考えています。そのために、あらゆる政策により、この未来の投資を促していきたいと考えています。  所得再分配と公的年金についてお尋ねがありました。  税制や社会保障制度には所得再分配の機能があり、今後とも必要な機能が果たせるよう取り組んでまいります。  年金については、マクロ経済スライド等により、長期的な給付と負担のバランスを確保することで将来にわたって持続可能な仕組みとしており、この仕組みの下で着実に支給をしてまいります。  一方、物価高への対応については、年金受給者を含め、住民税非課税世帯への五万円給付など、きめ細かく対策を重層的に講じてまいりたいと思います。  そして、消費税減税についてお尋ねがありました。  足下の物価高騰の要因は、基本的にはエネルギー、食料品を中心とした物価高であり、こうした分野に重点を置きながら、これまでスピード感を持ってきめ細やかな対応を行ってまいりました。  特に、家計への影響が大きい低所得者、低所得世帯に対しては、昨年六月から、低所得の子育て世帯に対して児童一人当たり五万円を給付し、昨年十月頃から、住民税非課税世帯への五万円給付が開始され、現時点で対象世帯の約九割に、失礼、約七割に給付金が支給されるなど、重層的な支援策を切れ目なく講じてきました。  こうした対策によって、物価高から国民生活を守り抜いてまいります。  その上で、消費税については、急速な高齢化等に伴い社会保障給付費が大きく増加する中で、全ての世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障の財源として位置付けられております。  このような消費税は、社会保障制度を支える重要な財源であるため、減税は考えておりません。  インボイス制度についてお尋ねがありました。  インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものです。御指摘のような小規模事業者の方々の御懸念について、様々な声に耳を傾け、政府一体で連携して丁寧に課題を把握しながら、きめ細かく対応してまいります。  具体的には、フリーランスの方々を含め、免税事業者を始めとした事業者の取引について、取引環境の整備に取り組むとともに、令和四年度補正予算においてインボイス対応のための支援策の充実を盛り込み、さらに、令和五年度税制改正において新たな負担軽減措置を講ずることとしております。  引き続き、制度の円滑な実施に向けて万全の体制を図ってまいります。  一億円の壁についてお尋ねがありました。  いわゆる一億円の壁と呼ばれる問題については、税負担の公平性を確保する観点から、市場への影響も踏まえ、総合的な検討を行うこととしてきました。  今回の措置は、一億円を超える所得の実態等も踏まえつつ、与党税制調査会において総合的な観点から御議論いただいた上で決定したものであり、これによって税負担の公平性の確保に向けて一定の対応が図られたものであると認識をしております。  酪農についてお尋ねがありました。  酪農については、肥料、飼料の高騰や新型コロナによる需要の減少により、大変厳しい経営環境にあると認識をしております。  政府は、これまで、累次にわたりきめ細かい肥料、飼料の生産コスト抑制策を講じてきたところであり、先般も、配合飼料コストを抑制するための追加策を講ずる指示をしたところであります。  その上で、総合経済対策で講じた生乳の生産抑制の取組支援に加え、前年比二割以上増加している牛乳、乳製品の輸出拡大の更なる支援、加工原料乳向け補給金単価の引上げ、こうしたことにより酪農経営の安定化を図ってまいります。  教育費の負担軽減についてお尋ねがありました。  教育費の負担軽減については、幼児教育、保育の無償化や高校等の授業料支援、高等教育の無償化などを行ってきました。さらに、令和六年度からは、給付型奨学金等について、多子世帯や理工農系の学生等の中間層への対象を拡大するとともに、出世払い型の奨学金制度の導入に取り組むこととしております。  その上で、今般、子ども・子育て政策を最重要政策と位置付け、まずは、今の社会において必要とされる子ども・子育て政策の内容、具体化してまいります。  保育士の配置基準の見直し、処遇改善についてお尋ねがありました。  保育士等の配置改善については重要な課題であると考えており、平成二十七年度から三歳児に対する職員の配置改善に取り組んでいます。更なる配置改善についても引き続き努力をしてまいります。  そして、令和五年度予算案においては、現場の保育士の負担軽減を図るために、大規模な保育所においてチーム保育推進加算の充実を行うほか、見落としなどによる園児の事故を防止するための支援員の配置、これを推進することとしております。  保育士等の処遇改善については、給与を恒久的に三%程度引き上げるための措置など、これまでも累次の処遇改善を講じてきたところですが、今後も、公的価格評価検討委員会の中間整理を踏まえ、見える化を図りながら、現場で働く方々の処遇改善や業務の効率化、負担軽減、これらを進めていきたいと思います。  そして、少子化の原因に関する認識についてお尋ねがありました。  少子化の背景には、個々人の結婚や出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っていると認識をしておりますが、御指摘のような仕事と子育ての両立の難しさも大きな課題の一つであると挙げることができます。そして、少子化対策に当たっても、働き方改革の推進とそれを支える制度の充実を図り、男女共に働きやすい環境を実現すること、これが重要です。  これまでの取組により女性の就労は大きく増え、いわゆるM字カーブの問題は解消に向かっていますが、いわゆるL字カーブの解消や男女間の賃金格差の是正、これは引き続き喫緊の課題です。  男女間の賃金格差に係る情報の開示や女性に多い非正規雇用労働者の待遇改善、正規化の促進等により男女間の賃金格差の是正に取り組むとともに、女性の就労の壁となっている制度の見直し、男女共にこれまで以上に育児休業を取得しやすい制度の導入、これらを進めてまいります。  ジェンダー平等社会についてお尋ねがありました。  女性活躍、男女共同参画は、全ての人が生きがいを感じられる、多様性が尊重される社会の実現に重要です。先ほど申し上げたいわゆるL字カーブの解消や男女間の賃金格差の是正に加え、配偶者による暴力防止の取組を強化するため、DV防止法の改正に取り組むなど、政府一体となって全力で取組を進めてまいります。  なお、選択的夫婦別氏制度の導入については、現在でも国民の間に様々な意見があることから、しっかりと議論をし、より幅広い国民の理解を得る必要があると感じております。また、同性婚制度の導入については、我が国の家族の在り方の根幹に関わる問題であり、極めて慎重な検討を要するものであると考えております。  エネルギー政策とその議論の進め方についてお尋ねがありました。  歴史上初の世界エネルギー危機に直面していると言われる中、エネルギー政策については、いわゆるSプラス3Eの原則の中で、近年は脱炭素に重きを置いて検討を進めてまいりましたが、これからはエネルギーの安定供給と脱炭素をいかに両立させるか、これが重要です。再エネ導入を最優先としつつ、原子力を含めたあらゆるエネルギー源の活用を進める必要があります。  原子力については、万一事故が起こってしまった場合の被害が大したことがないというようなことは決して考えてはおりません。安全神話に陥ってしまった東京電力福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえ、いかなる場合もゼロリスクはないという認識に立ち、安全性の確保を最優先として取り組んでまいります。  石炭火力については、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、安定供給を大前提に、いたずらに延命させず、できる限り電力、失礼、発電比率を引き下げていく方針であり、二〇三〇年に向けて非効率石炭火力のフェードアウトを着実に進めてまいります。  また、GXや国家安全保障戦略等の議論の進め方については、これまで政府・与党において活発な議論を積み重ね、その集大成として、政権与党としての方針を、年末にGXに向けた基本方針に取りまとめ、また三文書の閣議決定の形で、それぞれお示しをしたものであります。  議院内閣制の下では政権与党が国政を預かっており、まず政権与党において議論を掛けて、丁寧なプロセスを経て方針を決定をいたしました。この決定を踏まえて、今国会に関連予算案等を提出し、与野党との活発な国会論戦を行い、それによって更に国民の皆様への丁寧な説明も行うこととしており、議会制民主主義を無視しているという御指摘は当たらないと考えております。  日本学術会議についてお尋ねをいただきました。  令和二年十月の日本学術会議の会員任命については、日本学術会議法に沿って、任命権者である当時の内閣総理大臣が判断したものであると承知をしております。また、会員の任命は、一般の公務員と同様、その理由については、人事に関することであるから、お答えは差し控えます。  そして、日本学術会議が国民から理解され信頼される存在であり続けるためには、国費が投入される国の機関でありながら独立して職務を行う以上、徹底した透明性、そしてガバナンス機能の強化が必要とされます。対話機能の強化、科学的助言機能の強化、会員選考における透明性の向上などについて、政府の考え方を学術会議に丁寧に説明しながら、更なる改革を進めていきたいと考えております。(拍手)     ─────────────

長浜博行各派に属しない議員副議長

○副議長(長浜博行君) 小沼巧君。    〔小沼巧君登壇、拍手〕

小沼巧立憲民主・社民

○小沼巧君 立憲民主・社民の小沼巧です。会派を代表して質疑を行います。  自民、公明の連立政権が成立してから十年が過ぎまして、内外情勢はますます混乱を極め、国民は不安にさいなまれているのであります。この間、政府・与党は、アベノミクス、GX、新しい資本主義などなど、次々と美辞麗句を吹聴してきたのでありますが、私はその成果に疑いを持っているのであります。政治を諦め、失望し、絶望して投票所から遠ざかってしまった多くの国民も同様の疑いを持っているのに違いない。かつて民主党政権の子育て支援策に批判や反対ばっかりしていた自民党が反省も悪びれもせず、制限撤廃を言い出した盗人たけだけしい政治にも疑いを持っているに違いない。  本日は質疑であります。質疑とは、読んで字のごとく疑いを質すのであります。政権交代から十年という節目を迎えた今、これを総括することは決算を重視する参議院の矜持だと考えます。それゆえ、本日は、政府・与党の十年間の総決算という観点から総理大臣に物申してまいりたいと思うのであります。  政権交代後の二〇一三年に掲げたあまたの目標のうち、多くの国民の期待は一人当たり名目国民総所得を十年間で百五十万円増やすということにあったのであります。ちなみに、国民総所得は、賃金が増えずとも、利子や配当が増えたら水増しされてしまう指標であり、本当に適切なのかという疑問はさておき、十年たった今、本当に実現できたのか。駄目だったなら、何が原因であったのか。コロナ禍の影響云々という言い訳はせず、コロナ禍前までの進捗と最新の数字をそれぞれ総理から御披露いただきたいのであります。  また、同じく二〇一三年、十年平均で実質二%、名目三%成長させるという目標は達成できたか。二〇一五年には五年で名目GDP六百兆円と約束したが、どうであったか。年度途中でGDPの定義自体を変更し、実態は不変なるも計算上二十兆円も鉛筆をなめた事実を見逃すことはできないが、本当に実現したのか。定義の変更前と変更後、それぞれの基準でどうだったか。失敗したならば、何が原因であったのか。これも同様に、コロナ禍前までの進捗と最新の数字をそれぞれ総理から御披露ください。  二〇一三年、十年間で農業、農村全体の所得を倍増させると宣言していたが、実態はどうか。全体の二%にすぎない輸出拡大だけ見せびらかしても、木を見て森を見ずであり、生産農業所得にどれだけ裨益したかが分からない。農村地域の関連所得とおっしゃっても、実は東京も農村地域に含めた定義であり、地方や農業現場の期待とは大きく乖離しているのであります。生産農業所得、農村地域の関連所得それぞれの達成状況と成功失敗の要因分析について、総理からこれも御披露いただきたいのであります。  関連して、ゼロゼロ融資についても問うておきます。  総理はGDPがコロナ前の水準を回復したとおっしゃるが、ごまかしとの疑いを禁じ得ない。確かに、基準を十月から十二月期だけとした場合、二二年は一九年を上回ったが、この時期は消費増税の直後でGDPが急落した時期であります。もし基準を通年、一年間とした場合、直近二二年のGDPは一九年を下回る。つまり、コロナ前の基準次第で結論が真逆になる。よもや政府は臭い物には蓋をして好景気を装い、ゼロゼロ融資の返済困難や地域経済の混乱を招くことにならないか。何らかの支援策を講じるべきと考えますが、総理からGDP水準の見解と併せて御意見を伺います。  新しい資本主義について疑いをただします。  施政方針演説を拝聴していて気付いたことは、成長と分配の好循環という表現が、いつの間にか成長と資産所得の好循環に変化しつつある事実であります。総理は行き過ぎた所得格差のゆがみを正す分配戦略を諦めたのかと疑わざるを得ない。  我々は、支え合い、健康で文化的で尊厳ある生活を全ての人に保障する社会を目指す立憲民主党に結集した者であります。弱者を救済するのはもとより、弱者を生まない。お互いさまに助け合って不安を解消していく。多くの国民が医療、介護、教育など、お金の不安を抱える今だからこそ、分配、すなわちベーシックサービスの充実が先決だと考える私に言わせれば、幾ら総理が投資とおっしゃっても、笛吹けど踊らずであります。総理、ベーシックサービス充実に係る御意見と併せて、分配戦略の位置付けを御説明ください。  総理は構造的な賃上げが鍵だとおっしゃるが、何をもって構造的というかは分からない。構造的とおっしゃるからには、既存施策では足りないから量を増やそうなどという議論とは異なり、質の議論であるに違いない。しかし、演説ではついぞその勘どころが語られなかったのであります。構造的な賃上げとはいかなるものであるか、それはいかなる構造をいかに変えようとするものであるか、総理から詳細かつ具体的に御解説いただきたいのであります。  その上で、僣越ではありますが、私の観察を交えて議論を挑んでみたい。  賃金が上がらない構造とは、第一に企業の慎重過ぎる経営であり、第二に短期主義を礼賛し続けた歴代政府の経済政策そのものであると私は観察するのであります。  まずもって、なぜ内部留保が膨らんだかと考えると、不安だからであります。慎重にならねば生き残れないと経験させられたからであります。一九九〇年代半ば以降、貯蓄超過によって危機を乗り切った成功体験を持った世代が現在の経営トップに君臨しているからであります。バブル崩壊時、多くの会社で今でいうスタートアップを手掛けてほとんど失敗したので、新しい仕事は慎重に考えようと学んだ。毎日銀行からお金を返してほしいと要求され、新たにお金を借りることはやめようと学んだ。人の安定した職場を奪うリストラという残酷な業務が嫌で新しく人を雇うのは控えようと学んだ。それらの学びを経た世代は、賃上げや新しい挑戦には慎重にならざるを得ず、できるだけ多くの内部留保を持つことが正しい経営だと経験してきた世代であります。二〇〇〇年代に入ってリーマン・ショックのときも、内部留保のおかげで経営陣が替わることなく危機を乗り切ることができた世代であります。慎重な経営が正しいと体験してきた経営トップは、コロナ禍で更に慎重になるのではないか。  これをいかに解きほぐすかが論点であると考えますが、施政方針演説を拝聴しても、総理がこの論点から逃げているようにしか思えない。内部留保が膨らんだ原因と慎重過ぎる企業経営に係る私の観察について、総理の御意見を伺ってみたいのであります。  ところで、こうした慎重過ぎる経営が合理的だとみなされる決定打となったのが、短期主義を礼賛する歴代政府の経済政策であります。政府は一九九七年の日米通商協議から実に従順に新自由主義を推し進めたのであります。その後も政府は相変わらず、自ら改革と称して金融部門の肥大化を放任し、四半期決算の公表義務化、ストックオプション導入、自社株買いの機動性向上、ROE八%目標などなど、短期の利益や株価の上昇を至上命題とする企業経営にお墨付きを与えてきたのであります。  その結果どうなったか。中長期的な経営、利益を大切にしなくなった。労働者派遣法の原則自由化を筆頭に、従業員を非正規雇用や技能実習生に置き換えて変動費として扱ったり、企業内訓練を怠るなど、人を大切にしない経営を定着させていった。  要すれば、多数の従業員の力を弱め、少数の株主や経営トップの力を強める政策によって、目先の成果ばかり追求する企業経営を人工的かつ意図的につくり出してきた。この誤った経済政策そのものが賃金が上がらない構造の本質であると考えますが、いかがでしょうか。この観察についても総理に御意見を伺ってみたいのであります。  誤った政策を正さなかった日本経済は、いかなる現状であるか。一人当たり購買力GDPは三十八位、平均賃金は二十四位まで没落し、いずれも韓国に追い越されてしまった。かつて世界のGDP一七%を占めていた日本は、今や五%。平均賃金は先進諸国に一・五倍も差を付けられてしまった。潜在成長率はほぼゼロ%まで落ちぶれてしまった。この国は一体どうなっちゃったんだ。日本は経済大国だと教えられてきたはずなのに、何でこんなに苦しいんだ。科学技術で世界をリードしていたはずなのに、何でワクチンすら自国で開発できなくなっちゃったんだ。安心、安全な国だったはずなのに、何で医療崩壊が起こるんだ。何で自宅で待機しなきゃいけないんだ。何でこんな嫌なことがいっぱい起こるようになっちゃったんだといえば、全て政治に原因があります。    〔副議長退席、議長着席〕  歴代政府の経済政策の過ちを正さず、企業行動の背景を見誤り、見たくない現実から目をそらし続ける岸田内閣の場当たり的な小細工は、国民を諦めさせる愚策であります。若者が将来に明るい展望を持てないのも至極当然であります。  しかし、我々は国民を諦めさせるわけにはいかない。成長しなければ分配されずを何十年も実証してきた誤りを正していかなければならない。短期主義へと追い立ててきた経済政策を本質的に改めて、慎重過ぎる企業経営を解きほぐし、我が国に集う一人一人の持ち味や強みを草の根から引き出していく政治を行わなければならない。  総理大臣におかれましては、私が以上述べた論旨に対し、逐一説明を加えて、もって成長と分配の好循環に係る国民の諦めを一掃するとともに、経済すなわち経国済民の戦略と展望を詳細に御披露あらんことを望むのであります。  目下、電気代の負担軽減は国民の関心事でありますが、どうして負担感が増したかといえば、賃金も売上高も上がらなかった経済政策の失敗に根源があります。岸田内閣はこれに悪びれず、我が国の新しいエネルギー産業についても諦めさせる政治を行おうとしております。これは、自立分散型のエネルギー社会を目指す我々には受け入れ難い政治であります。  巨大な省エネ、新エネ市場が生まれると言われてから十一年。日本企業が優位性を誇っていたはずの再生可能エネルギー産業の凋落は深刻であります。太陽光はトップシェアを失った、風車メーカーはほぼ撤退、国産五〇%を目指した蓄電池も不発に終わった、火山国であるのに地熱発電の普及も極めて低調。  総理は、この十一年間の再エネ産業政策をいかに総括しておられるか。技術開発や雇用創出を怠った挙げ句、自立分散型のエネルギー社会を諦めたように見受けられるが、もしこの観察に誤解があれば正していただきたいのであります。  原発の再稼働について伺います。  まず、お断りいたしておきますが、短絡的な二元論に陥ることは厳に慎まなければならない。実効性ある避難計画、地元の合意、放射性廃棄物の最終処分、これらの具体策なき推進論が有害であると同時に、安定的な電力供給、立地地域の振興、雇用の公正な移行、これらの具体論なき廃止論もまた現実的ではないのであります。  政府は再稼働推進を表明しているが、振り返ってみれば、しっかりとした避難計画がない中で再稼働が実態として進むことはないという答弁を十年間継続しておられました。岸田内閣はこの答弁を変更するのか否か、また、万が一の事故の際、確実に機能する避難計画が策定できないと市町村が判断した場合は、安全の確保と地域の理解を大前提として、原発は再稼働できないとの認識に変わりはないか、総理、曖昧にせず御答弁ください。  立地地域の振興についても伺います。  本件重要事項を調査審議する政府の原子力立地会議は、十年間一度も開かれておらず、形骸化しております。廃炉技術の開発や人材育成もほとんど進展が見られない。将来が見通せない地域や現場は、政治によって翻弄されるばかりであります。その意味で、原子力発電事業者も、ある意味、国の不作為の被害者であります。立地地域や原発事業者に関する総理の御見解をお伺いいたします。  また、政府は原子力依存度を低下させるとおっしゃるが、実は本腰を入れて取り組まず、技術開発や人材育成も中途半端で、新しい、難しい課題を先送りし続けてきたのではないか。将来の選択肢を自ら狭めてきたと疑わざるを得ず、政府の不作為で急に原発再稼働しかないと開き直るのは、諦めさせる政治そのものであります。政府の無為無策を国民に押し付けていると疑うよりほかないが、総理の御見解を伺います。  国民生活や尊厳の防衛の基盤たる食料安全保障について伺います。  我がふるさと茨城県の基幹産業であります農林水産業、農村、漁村の多面的機能は社会的共通資本であり、安易な効率化や比較優位論によらず、国が責任を持って維持すべきであります。しかし、政府の取組は極めて心もとない。政策大綱の中身は、要すれば緊急的な生産資材対策が中心であり、やれスマート、やれ輸出促進など、食料安全保障とは言い難い施策で構成されております。  三八%とされる食料自給率について、施政方針演説で農林水産業をほとんど語らなかった理由と併せて総理の御見解を伺います。  あわせて、さきの政策大綱には、農業を支える人間に対しての視点が欠けていると見受けられます。事実、農業関係人口や農村での男女共同参画に係る記述が一切見当たらない。農業関係人口についても、二〇二三年までに四十代以下の農業従事者を四十万人に拡大、二〇二〇年までに全国で交流人口を千三百万人まで増加などとおっしゃっていた目標の成功失敗分析と併せて、農業の担い手や国民の農業参加に係る施策の総括と今後の方針について、総理の御見解を伺います。  営農型を始めとする太陽光発電設備についても伺います。  エネルギーの地産地消、すなわち富の流出を防ぎつつ営農継続に生かす太陽光発電は大切である一方、耕作放棄地や第一種農地を問わず無秩序に太陽光発電を導入することは、食料安全保障上、慎重にならなければならないのであります。既に不適切な事例が複数発生しており、不法投棄や計画倒産による税金負担など、現場の不安は無視できないのであります。  農地転用の許可申請に当たって、例えば発電事業の継続性や撤去費用の積立てを厳格にする、市町村の条例などで地域住民との調和も含めた太陽光発電の判断基準を設けるなど、自治体や農業委員会の形式的な審査を実質的なものとするよう強化し、不適切事案への速やかな対応手続を含めることも併せて、適切な規制の在り方について、総理の御見解を伺います。  稼げる農業とは聞こえがいいですが、農業生産者と消費者の関係も悩ましい論点であります。  生産資材コスト上昇分を価格転嫁したい農業生産者と、物価高で生活が苦しく、安く買いたい消費者との利害は、どうしても対立せざるを得ない。稼げる農業とするためには消費者に諦めてもらわなければならない一方、物価高対策を優先するなら農業生産者に諦めてもらわなければならない。この調和が取れた状況とはいかなるものであるか、総理の御意見を伺います。  立法府と行政府との緊張関係を破壊し、国会をまるで内閣の追認機関であるかのように勘違いしておられる象徴たる予備費についてただします。  今年度のコロナ・物価予備費は、昨年九月を最後に五兆円、すなわち補正予算で積み増した分が丸々残っております。ウクライナ予備費一兆円に至っては、昨年十二月の予算成立から一銭も使っていません。  他方、国会開会中の予備費使用は原則として行わないと、政府は平成十九年に閣議決定しております。さて、現在は国会開会中であります。災害等を除いて予備費は使えないはずであるが、六兆円もの見せ金を三月三十一日までにいかに始末するつもりでありますか。よもや、自らの不作為を棚上げして緊急性を人工的につくり出し、宣伝広報などで消化するなどの愚策を考えていやしないか。政府の独断専行に決したいからして立法府に白紙委任状を突き付け、いいかげんな決裁印を押してもらいたい。これよりほかに、岸田内閣の予備費編成を表現する言葉が見当たらないのでありますが、総理から反論があれば是非とも伺ってみたいのであります。  最後に、一言議事録に刻んでおきます。  本日の質疑で露呈するのは、私が予想するところ、さきの民主党政権に批判や反対ばっかりして誕生した自公連立政権は、自ら華々しく祭り上げた目標をことごとく達成できなかったという認めたくない現実であります。都合が悪くなると隠したり、定義をしれっと変える。何かやっていそうな雰囲気だけはいつもしているんだけど、よく振り返ってみると結果は付いてこない。耳触りがいい掛け声だけで、何となくやってもらっているような錯覚だけを与え続けてきたのが、今の、そしてこの十年間に及ぶ政府・与党の実態ではないかと考えますが、いかがでしょうか。  政府・与党は、自らの無為無策を放置した挙げ句に、一切悪びれず、ほかに選択肢がなく手遅れになるまで国民を追い込み、国民を諦めさせる政治を行っている。こんな政治は、うそやごまかしのない真っ当な政治を追求する我々とは決して相入れない。  いやしくも国家の行く末を憂い、将来に不安を覚える国民は、必ずや私と感を同じくしていると思う。それゆえ、総理大臣におかれましては、私の質問に、ただ官僚答弁を読み上げるばかりでなく、政治家の矜持に懸けて、国民の疑いを払拭するに値する答弁を行い、この議会を通じて全国民の理解を求められることを要求するのであります。  私の質問はこれをもって終わりといたします。  熱烈なるやじによる議論参加も含めまして、御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

岸田文雄自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 小沼巧議員の御質問にお答えをいたします。  GDPや国民総所得についてお尋ねがありました。  一人当たり国民総所得百五十万円増、十年平均でGDP実質二%、名目三%成長、GDP六百兆円という目標が達成できたのかという御質問については、二〇一九年度には名目の年額で過去最大となりましたが、その後、新型コロナの影響により、これらの実現は道半ばというのが現状であります。  ただし、岸田内閣では、我が国経済をコロナ前の水準に戻していけるよう取り組んだ結果、一人当たり名目国民所得は二〇二一年度の時点で四百六十二万円、名目GDPの速報値は二〇二二年第三・四半期に五百五十四兆円となり、既に新型コロナ直前の水準を回復しています。  なお、GDP統計の基準改定は、国連が定めた最新の国際基準に対応する必要から一九九四年に遡って実施したものであり、改定後は旧基準による推計は行っておりません。  農業そして農村の所得倍増目標についてお尋ねがありました。  農業、農村所得は、目標を設定した二〇一三年から統計のある直近の二〇一九年の六年間において、農業所得が二・九兆円から三・三兆円に、農村地域の関連所得が一・二兆円から二・二兆円にそれぞれ増加し、合計では一・三倍となっています。  これは、人口減少に伴う国内市場の縮小や農業者の減少などの社会課題が顕在化する中にあっても、これまでの農政改革によって、牛肉の高品質化など消費者ニーズに対応した生産の拡大や、農泊の推進などの結果であると承知をしています。  この目標については、二〇一五年の食料・農業・農村基本計画の策定時に改めて十年先の目標として再設定しており、二〇二五年の目標達成に向け、肥料、飼料、主要穀物の国産化推進など、食料安全保障の強化も図りつつ、スマート農業や輸出拡大支援などの改革、これを更に進めてまいります。  そして、コロナ前後のGDP水準とゼロゼロ融資についてお尋ねがありました。  御指摘のとおり、通期のGDPを比較すれば、二〇二一年は二〇一九年の水準には回復しておりませんが、四半期ごとのGDPの推移を見れば、二〇二二年以降も含め、回復基調にあると考えております。  今後は、新しい資本主義の下、官民が連携し、日本経済は本格的な経済回復、そして新たな経済成長の軌道に乗せてまいります。  なお、日本公庫等による実質無利子融資、いわゆるゼロゼロ融資については、申請件数が平時と同程度となるなどの足下の資金需要を踏まえ、終了をしつつも、低利融資を本年三月末まで継続をしているところです。  加えて、民間ゼロゼロ融資の返済本格化に向け、返済負担軽減のため、新たなコロナ借換え保証制度の運用を今月十日より開始をしており、引き続き資金繰り支援に万全を期してまいります。  分配戦略の位置付けについてお尋ねがありました。  施政方針演説においても、企業が収益を上げ、労働者にその果実をしっかりと分配し、消費が伸び、更なる経済成長が生まれるという好循環の鍵を握るのが賃上げであると、こういうことを表明させていただきました。  成長と分配の好循環の実現に向け、引き続き、賃上げ、そして人への投資などの分配を進めるべく政策を総動員していくこととしており、分配戦略を諦めたという御指摘は当たりません。  ベーシックサービスの充実についてですが、成長と分配の好循環を実現し、持続可能で包摂的な新たな経済社会をつくるために、引き続き、医療や介護、子育て支援、教育など、命と暮らしを守る上で欠かせないサービスを必要とする方に適切に提供してまいります。  構造的賃上げと経済成長の展望についてお尋ねがありました。  一九九〇年代のバブル崩壊以降、コーポレートガバナンス改革により攻めの経営を促すなどの取組を進めましたが、低い経済成長と長引くデフレによって企業は投資や賃金を抑制し、消費者は将来への不安などから消費を減らさざるを得ず、その結果、需要が低迷し、デフレが加速するという悪循環が生じていたと認識をしています。  その結果、我が国の人的投資や設備投資の対GDP比、また可処分所得の伸びなどが主要先進国に対して劣後してしまったというのが我が国の課題であると認識をしております。  こうした状況に対して、私が掲げる新しい資本主義においては、国が複数年の計画を示し、予算のコミットを行い、予見可能性を高めて期待収益率を見通せるようにすることで企業の投資を誘引してまいります。  科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX・DX、これらを重点分野として官の投資を呼び水として民間投資を大胆に喚起することで企業が収益を上げて、労働者にその果実をしっかりと分配をし、消費が伸び、更なる経済成長が生まれるという好循環を実現してまいります。  あわせて、意欲のある個人の能力を最大限生かしながらリスキリングによる能力向上や成長分野への円滑な労働移動を通じて企業の生産を向上させ、それが更なる賃金、賃上げにつながる、こうした好循環をつくる、これが構造的賃上げの考え方であります。こうした好循環を実現していきたいと考えております。  そして、再生可能エネルギー産業政策の総括についてお尋ねがありました。  再エネの比率は、二〇一〇年度の約一〇%から二〇二一年度には二〇%を超え、この十一年で倍増しており、自立分散型の社会に向けて着実に進んできていると考えております。  他方で、例えば太陽光パネルについては、二〇一〇年代に欧州や中国等での導入が加速化し、海外市場が猛烈なスピードで急拡大する中で、市場拡大を見通した設備投資の不足や厳しい価格競争によりシェアを落としたものであると認識をしています。  今後、より強靱なエネルギー供給構造を実現していくためには、多様な用途で使用できる次世代型の太陽光パネルなど、代替的な技術を含めた検討を行う必要があり、グリーンイノベーション基金などを活用し、技術開発、進めてまいります。そして、その際には、国産化や国内サプライチェーンの形成も見据え、早期の実用化に取り組むこととしております。  また、例えば蓄電池についても、研究開発のみならず、国内生産基盤の強化のための大規模な投資支援、上流資源の確保、蓄電池の開発、生産を支える人材育成等に総合的に取り組んでまいります。  こうした取組を通じて、地域に根差した国産の再生可能エネルギー導入を進めるのみならず、再エネ関連産業、これを活性化してまいりたいと考えます。  そして、原子力政策についてお尋ねがありました。  原子力発電所については、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針です。  その上で、政府として、これまでお答え申し上げているとおり、しっかりとした避難計画がない中で原子力発電所の再稼働が実態として進むことはないと考えており、関係自治体による避難計画の策定を支援していきます。  また、原子力利用は、原子力立地地域の安定供給に対する理解と御協力により支えられてきました。  そうした中で、東日本大震災以降、原子力発電所の長期間の稼働停止や建設停止、廃炉などの状況変化により、立地地域では経済的、社会的な影響が生じ、見通しが立てにくくなっており、原子力政策の具体化、明確化を求める声があります。  こうした声も踏まえて、年末にお示ししたGX実現に向けた基本方針では、原子力発電所の着実な再稼働や運転期間の追加的な延長、次世代革新炉の開発、建設、そして廃炉や最終処分などのバックエンドに対し政府を挙げて取り組むことを盛り込んだ次第です。  この基本方針を踏まえて、研究開発や人材育成、サプライチェーンの維持強化、地域振興、防災体制の充実など、政策の具体化を進めるとともに、現在立地地域が抱える様々な課題について、事業者とともに真摯に向き合い、関係省庁が連携して、地域の実情を踏まえ、しっかりと取り組んでまいります。  そして、食料安全保障等についてお尋ねがありました。  世界規模の食料危機の中、食料安全保障の強化は緊急の対応が必要な世界の重要課題となっており、令和十二年度にカロリーベース四五%、生産額ベース七五%の食料自給率目標達成に向け、取組強化が必要です。  この認識の下、施政方針演説では、肥料、飼料、主要穀物の国産化推進など、食料安全保障の強化を図りつつ、スマート農業や更なる輸出拡大支援などを強力に推進し、地域の基幹産業である農林水産業を、次世代に引き継がれるよう、夢を持って働ける、稼げる産業とすることを目指していくことを申し上げたところです。  そして、御指摘の農業の担い手や国民の農業参加に関する施策を含め、これまでの農政を検証の上、六月をめどに食料・農業・農村政策の新たな展開方向を取りまとめます。その際、価格転嫁の在り方についても、関係者の皆様の理解を得ながら議論を進めてまいります。  また、営農型太陽光発電については、営農と発電の両立による優良農地の確保が前提であり、農地の転用許可手続等における条例を含む関係法令の遵守、営農の適切な継続の確認の徹底や不適切事案への厳格な対応など、関係省庁が連携して対応をしてまいります。  そして、予備費についてお尋ねがありました。  令和四年度予算で計上した新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費並びにウクライナ情勢経済緊急対応予備費は、新型コロナや物価高騰の影響に加え、緊迫しているウクライナ情勢や現時点で見通し難い世界規模の経済下振れリスクに備え、万全の対応を図るため、十分な水準を確保したものです。  御指摘のあった閣議決定においては、国会開会中も緊急な経費に予備費を使用することはできるとされており、この使用に当たっては、必要性や緊急性等について適切に判断をしてきたところであります。こうした対応は、国民の命と暮らしを守る観点から、機動的に切れ目のない対策を講じるために必要であったと考えております。  今後も、財政民主主義の観点から、予備費の使用に当たっては、憲法、財政法の規定や国会開会中における予備費使用に関する閣議決定も踏まえ、適切に使用を判断していくとともに、予備費の使用について国会や国民に対して説明責任を果たしていくため、丁寧な説明に努めてまいります。(拍手)

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) ただいま理事が協議中でございます。しばらくお待ちください。     ─────────────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 大家敏志君。    〔大家敏志君登壇、拍手〕

大家敏志自由民主党

○大家敏志君 自由民主党の大家敏志です。  会派を代表して、岸田総理の施政方針演説等政府四演説について質問いたします。  世界は予想を上回るスピードで変化しており、歴史の転換点という言葉が毎日使われるように、国際秩序や経済は激動の中にあります。  我が国のかじ取りを国民から負託された国会は、今こそ確固たる信念とビジョンを持って、国民とともに歴史をつくらなければなりません。子孫に堂々と受け継げる歴史をつくり続ける覚悟が今求められています。  私は、ゼレンスキー大統領による昨年の国会演説を今でもはっきりと思い出します。人々は、子供時代を過ごしたふるさとに、住み慣れたふるさとに戻らなければならない。こうした決意の下、ウクライナはロシアによる不当な侵略と断固戦い続けています。祖国を守り抜き、子供たちにしっかりと引き継いでいく。自由や民主主義といった基本的価値を守るために、自らの力で自らの国を守り抜いていく。このことの尊さを教えてくれています。  ウクライナの確固たる決意と行動に敬意を表するとともに、私たち日本人も、歴史の転換点を迎える中で、日本を守り抜く断固たる覚悟を持たなければなりません。  日本はもっと良くなる、日本の底力を引き出す、これが、私自身が政治を志してからの一貫した思いであります。歴史の転換点に果敢に向き合う。そして、日本自身も変わり続けていく。悲観論からは何も生まれません。日本には、とてつもない力があります。  この代表質問では、まず経済の稼ぐ力を取り戻すため、地方における物づくり、サプライチェーン、GX、グリーントランスフォーメーション、農林水産品輸出などについてお伺いします。さらに、人を大事にする観点から、子ども・子育て政策や高齢者施策、感染症対策の根本的なアプローチ、ワンヘルスなどについてお伺いいたします。  かつてない難局であれば、それは同時にかつてない発展の基礎になる。この松下幸之助氏の言葉は国家運営にも当てはまります。  我が国は、これまで何度もピンチをチャンスに、危機を次なる発展の基礎に転換してきました。  例えば、私のふるさと北九州、八幡の製鉄所は、明治期、アジアへの侵略を謀る帝政ロシアの脅威が迫る中、国が経費を工面し、開業にこぎ着けました。最初は外国人技術士の手を借りましたが、操業が軌道に乗らず、日本人の知恵で乗り切り、急増する鉄鋼需要に対応しました。近代日本工業の背骨となる製鉄の歴史が始まり、我が国の物づくりの土台が築かれました。そして、ここ東京からはるか遠い我がふるさと八幡の鉄骨が、今いるこの国会議事堂に使われていることからいえば、我が国の政治の発展をも支えたと言ってもよいと思います。  当時、日本の発展に不可欠な力が地方に息づいていました。  私は、三期十一年間の福岡県議会議員としての経験から、日本の力の源泉は地方の底力にあると信じています。  岸田総理が推進するデジタル田園都市国家構想の基となった大平正芳元総理の田園都市国家構想では、都市に田園のゆとりを、田園に都市の活力をとうたい、当時から東京一極集中の是正が言われていました。しかし、昨年から続く物価高や原料高もあって、地方の生活は豊かなものとは言えません。  今こそ地方の底力を信じ、日本各地の皆さんが必ずや難局を克服し、明るい未来を築いていくことに違いない、こうした思いを胸に、地方活性化に向けた政策を果敢に決断、実行していくことが大切だと考えます。岸田総理の地方に懸ける思い、政策実行に対する決意をお聞かせください。  高まる安全保障の脅威に対応するサプライチェーンの再構築や物づくりの国内回帰においても、地方の底力を大いに引き出すことが重要であります。  今、デジタル社会を支える重要な基盤である半導体をめぐる世界の、世界的な競争が激化していますが、日本は元々この分野では強みを持っていました。特に九州は、ICを製造する過程で必要な純水の基となる地下水が豊富であったため、一九六〇年代から半導体製造が盛んだったこともあり、半導体関連の人材育成に強みがあります。世界最先端の半導体製造技術を持つ台湾TSMC熊本工場の建設決定も、この熊本の底力に着目したからであります。その設備投資は一兆、新たに千七百人の雇用を生み出し、今後十年間の経済波及効果は四・三兆円とも言われています。国内への製造拠点回帰の動きの広がりも受けて、日本の半導体関連企業の九州への投資が相次いでおり、私の地元福岡へも工場が増設されました。  また、博多名物のからしめんたいこを製造、販売する老舗企業も、およそ四十年アジアで行ってきた生産の一部の工程を国内に移管することを決めました。  安全保障上のリスクをきちんと分析し、今後の施策に反映していくことが、国家の経営のみならず、企業経営にも求められています。  外国企業にとっても、日本の自由で安全な資本主義環境は、再評価されると確信します。国内投資の流れを全国各地に引き入れて、我が国の稼ぐ力としてきちんと定着させる戦略と政策が必要となります。  新たな国際秩序におけるサプライチェーンリスクといったピンチも、地方にとっては国内投資を拡大するチャンスでもあります。生産拠点の国内回帰や外国企業による投資を促し、特に地方の底力を引き出して、やる気のある地方が奮起することで我が国全体の稼ぐ力を取り戻す政策に全力で取り組むべきだと考えます。総理の考えをお伺いします。  我が国は、GX、グリーントランスフォーメーションに関しては、可能性しかない国であります。  思い返せば、高度経済成長に伴う激しい公害を我が国は乗り越えてきました。当時、新たに環境庁を設立し、日本の環境技術は世界で先頭を走るまでになりました。  GXに向け、我が国は一切ちゅうちょする必要はありません。  二〇五〇年カーボンニュートラルは、世界平均気温を産業革命以前と比べ一・五度以内の上昇に抑えないと、異常気象の更なる増加、経済コストの激増などが確実視されていることから、世界が共に目指す一・五度目標を実現するための約束であります。もしこれが達成できなければ、そもそも私たちの経済活動、産業活動の基盤が崩れ、多大な経済コストを支払う事態となります。日本各地の取組を結集し、何としてもこれを達成しなければなりません。  事例を紹介します。北九州市では、響灘沖において、税金ではなく民間資金千七百五十億円による国内最大級九・六メガワットの洋上風車二十五基の設置工事が始まります。加えて、陸地側では、製造、組立て、取付け、メンテナンスなどの関連産業を立地、集積させることにより、新しい物づくり産業の発展を目指しています。  さらに、充実した港湾インフラ、大規模な水素需要、水素利活用の推進実績、再エネ導入の加速化などの長所を生かし、水素を製造、貯蔵する大規模供給拠点、これの整備に向けて産学官の準備も始まりました。この北九州市の取組は、多くの産業におけるカーボンニュートラルの実現にもつながるものであります。  かつて、公害を乗り越え、世界最先端の環境技術を持つに至った日本は、更なる技術革新により、世界のカーボンニュートラルをリードし、アジアのカーボンニュートラルを支援するべきであります。  日本各地におけるこのGXの取組を強力に支援し、エネルギー安全保障を確立するとともに、我が国の産業競争力を高め、世界で再び物づくり大国として羽ばたくことを目指すべきと考えますが、地方におけるGX支援について、総理の考えを伺います。  また、年末のGX実行会議で示された成長志向型カーボンプライシングにおける国による二十兆円規模の先行投資の枠組みにおいては、やる気があり、新しい取組に意欲的に挑戦する地方をどう評価し、投資を振り向けていくのか、考えをお聞かせください。  私は、参議院に当選した当時から、稼ぐ農業を大きな政策課題の一つと位置付けてまいりました。  日本の農林水産物・食品は海外から高い評価を受けています。  コロナ禍にかかわらず、令和四年の輸出額は、十一月の時点で一兆二千四百億円を超え、その時点で前年一年間の額を上回りました。十年連続の更新です。政府は、輸出額目標として二〇二五年に二兆円、二〇三〇年に五兆円を掲げていますが、このペースでいけば、その達成は十分可能であります。  新型コロナに伴う水際対策の緩和に伴い、日本を訪れた外国人による購入や外食につながることも期待できます。  農林水産物・食品の輸出は、地方経済にも直接効果を与えます。  質は良くて安全で、これだけ好調な日本の農林水産物や食品ですが、課題は価格が高いということでもありました。  ただ、国内において、大手居酒屋チェーンが業態転換した焼き肉店では、牛肉の調達を米国やオーストラリア産から和牛に切り替えたようであります。和牛は、うまいが高いものから、うまいし競争力もあるものに変わりつつあります。海外市場を見ても、円安によって、我が国の質の高い農林水産物や食品を、これまでよりも海外の方々が求めやすい価格となっています。  急速な円安は足下では収まりつつありますが、円安はピンチではなく、まさに国際的にも高く評価されている日本のおいしい農林水産物や食品を世界に高く売り込むまたとないチャンスとなります。この好機をしっかりと捉えて、我が国の稼ぐ力の中核として、集中的に育てるタイミングだと思います。総理の考えをお聞かせください。  マイナンバーカードの取得申請数がついに運転免許証を大きく超え、日本で最も普及する本人確認ツールとなったことは大きな前進であります。デジタル庁発足以降、様々な取組が進んでいることに敬意を表します。  ただ、生活において何かが変わったという確かな実感をお持ちの国民はまだまだ少ないというのが私の感覚です。  何かが変わったを実感してもらうためには、役所に足を運んでの手続が大きく変わるときだと思います。今でも自治体窓口に行けば、あふれんばかりの人がいる光景を目にします。デジタル庁職員が実際に自治体の窓口で計ったところ、転出届に二十一分、転入届には三十分、車庫証明には九十三分掛かったとの記事を目にしました。  行政手続がいつまでも煩雑で、そのために時間や労力が奪われるようでは、私たちの生産性はいつまでたっても上がりません。私は、全ての人の生活や仕事に関わる自治体DXが日本の稼ぐ力を上げることになると強く信じています。  そもそも、デジタル庁は、発足当時から、全ての行政手続を六十秒以内にスマホで完結するという目標を掲げ、自治体におけるDXを牽引することをうたってきました。しかし、今よく聞くのは、スマホで六十秒は絶対に無理という自治体職員の声と、自治体によってDXの進展に大きな格差が生まれているという現実であります。  六十秒が厳密な約束ではないとしても、最初から無理と考えてしまうのは、なかなか根深いものがあると感じます。また、どの自治体で生活するかによってDXによる恩恵に差が生まれることは、新たな格差を生み出しかねません。しかし一方で、これは地方の切実で正直な声であることも事実です。  政府として、自治体間のDX格差にどう対応するのか。また、単にデジタルを活用して国民サービスを改善するだけでなく、国民サービス自体を変革し飛躍的な向上をもたらすという従来とは一線を画したDXをどのように全国の自治体に広げ、我が国の稼ぐ力の向上や国民生活の活力につなげていくお考えでしょうか。総理にお伺いいたします。  以上、稼ぐ力の観点から総理に考えを伺ってまいりました。  次に、人を大事にするという観点で、誰一人取り残すことのない、安心、安全な社会を実現するための諸課題についてお伺いします。  いよいよ本年四月、こども家庭庁が発足します。  我が国は、これまでも時代の変化に合わせて新たな省庁をつくり、その時々に直面する重要な課題に対応してきました。  今、少子化や子供の命に関わる児童虐待、いじめ、自殺など、子供を取り巻く環境は極めて厳しい状況です。今こそ、国の存続を懸けて子育て政策に取り組まなければなりません。  このため、子供予算の倍増に向けて議論を深めていく必要があります。その際、財源論を避けて通ることはもちろんできませんが、まずは真に必要な政策は何かということをしっかり検討し、力強く示すことが重要であると考えます。  例えば、三から五歳の保育料は既に無料となっていますが、零から二歳の保育料は一部の家庭を除き無料ではありません。子育て世代の子供関係支出項目を細かく分析し、親の声も十分聞いた上で、真に求められる子育て世帯への支援メニューを検討することが不可欠であります。また、子供たちの命や生活、学習環境などを守るための支援の充実強化の検討も必要です。  参議院自由民主党では、世耕弘成幹事長の下、既に三年以上、不安に寄り添う政治のあり方勉強会で、望まない孤独、孤立状態にある方々や生活困窮に苦しむ方々の声に耳を傾け、政策への反映に努めてまいりました。  その中で、コロナ禍で仕事が減り、子供たちに一日三食の食事を用意することができない、進学、進級しても制服や体操服を買いそろえられず、子供の勉強環境を整えることもできないといった声が聞こえてきています。給食がない夏休みなどは、親が自分の食事を我慢し子供たちの分を用意したという事例に加えて、ヤングケアラーという問題もあります。  政府として、少子化という困難を克服するとともに困難な状況にある子供たちの状況を改善し、明るい未来へとつなげていくために、どう子供政策、特にこども家庭庁発足後の運営や子供予算倍増などに取り組んでいくお考えか、総理にお伺いいたします。  岸田総理は、施政方針演説において、構造的な賃上げ政策の一環として、新たな分野で活躍するための能力、スキルを身に付けること、いわゆるリスキリング支援を位置付けておられます。企業経由となっている支援を個人への直接支援に見直すことなどが極めて重要であります。  岸田総理、是非とも御検討いただきたい新しい案について、私からお示ししたいと思います。  子育てのための産休、育休がなぜ取りにくいのか、理由のその一つが、一定期間仕事を休むことで昇進、昇給で同期から後れを取ることだと言われてきました。  しかし、この間にリスキリングによって一定のスキルを身に付けたり学位を取ったりする方々を支援することができれば、子育てをしながらもキャリアの停滞を最小限にしたり、逆にキャリアアップが可能になることも考えられます。  大胆な子供政策を検討する中で、例えば、リスキリングと産休、育休を結び付けて支援を行う企業に対し国が支援を行うなど、親が元気と勇気をもらい、子育てにも仕事にも前向きになるという、二重、三重にボトルネックを突破できる政策が考えられるのではないでしょうか。この政策によって、結婚、育児期に女性の就業率が低下するM字カーブや、育児後非正規で働くようになるL字カーブの解消にも資するものだと考えます。  今ある仕事が近い将来AIに取って代わられることも予想され、私たちのキャリアにとってリスキリングが当たり前になる時代が来る中、このようなリスキリング支援メニューの拡充が必要になるのではないかと思いますが、総理のお考えをお伺いします。  これまでの取組により、働きたい女性がこれまでよりも働きやすい環境になってきているとしたら、それは一歩前進と言えると思います。しかし、総理も施政方針演説で言われていたとおり、いまだ存在する女性の就労の壁については、今すぐにでも取り除かなければなりません。税制の面では女性の就労の壁は解消されてきましたが、社会保険の面では依然として大きな壁が存在しています。  私の周りでお一人、こういう方がいらっしゃいました。週二日間のパート勤務で、仕事がよくでき、職場にもなじんでおられました。経営者は、その方に更に活躍していただくために、勤務を一日増やして週三日間の勤務に移行していただいたそうであります。  御本人は仕事を楽しみ、やりがいを持っておられましたが、数か月経て、このままだと百三十万円の壁を超えることが明らかになったため、勤務を週二日に戻したそうです。追加で働いた給料よりも多い額がそのまま保険料になる現実に驚き、ちゅうちょしたのであります。  百三十万円の壁の存在によって、御本人の意思に反して、勤務時間を減らしたいという気持ちになってしまう。こうした働き方に中立的でない制度は、御本人から仕事への意欲を奪い、女性活躍の趣旨にも反しているように思います。  このように、いまだに存在している女性就労の壁を一刻も早く取り除き、全ての女性が納得感を持って生き生きと活躍していただく環境をつくることが、包摂的な経済社会づくりのためにも重要であると考えます。総理の御所見を伺います。  日本の介護はすごい、これが、私の介護に対する基本的な認識です。介護が必要になれば、当たり前のように専門職によるケアが受けられる。日本では日常の風景でも、その価値は世界中のどこからも羨まれる日本の宝であると言えます。海外から日本の介護を学びに来た方々は、日本の介護の利用者本位、自立、尊厳といった考えに感銘を受けると聞きます。  要介護状態が進み、食事を取ることが困難になり胃瘻を造設していた高齢者に、複数の専門職が連携し、少しずつ口から食べるサポートを行ったところ、半年後には三食を口から取れるまでに回復させることができるようになったという事例がありました。この事例に触れた外国人の介護人材の方は、母国ではややもすれば家政婦的な、扱われる介護の概念が大きく覆り、感動を胸に母国へ帰っていったそうであります。  この世界に冠たる高品質な日本の介護。これを支え続けているのは、豊富な経験と高い介護技術を持つ介護従事者の皆様方の存在であります。  二〇四〇年には我が国の高齢者人口はピークになりますが、介護業界は慢性的な人手不足が続いております。介護人口が増えていく中、介護の担い手の確保は必須であります。人手不足を解消するには、二つの要素を改善し、働きたくなる介護現場に変えていかなければなりません。  一つは、月収です。人手不足なのに、全産業の平均月収よりも低い状態が続いています。昨年二月からも介護職員の処遇改善を目的とした賃上げが実施されましたが、人手不足の解消には至っておりません。しかも、石油や食材などの物価高で、介護業界の冷暖房や給食などに要する経費は大きく上昇し、施設の経営も苦しくなっています。  もう一つは、介護職員の負担を軽減することであります。デジタルにできることはデジタルに任せれば、介護現場の働き方は改善します。日本には、施設入居者の睡眠状況を遠隔確認し、定期的な巡回を減らすことができる睡眠センサーや、床板をゆっくり時間を掛けて動くことで体圧を分散させ床擦れを予防する自動体位交換器などの技術があります。  国の宝である日本の介護を更に磨き上げ、我が国の高齢化社会を支えていくためには、介護現場の処遇改善、現場の声を踏まえた介護DXの進展が急務であります。加藤厚生労働大臣の考えをお伺いいたします。  いつまた世界的な規模で広がり、襲ってくるか分からない新たな感染症に対応するためには、新型コロナの経験を生かした対策が必要です。  現在、政府においては、内閣感染症危機管理統括庁や厚生労働省感染症対策部を設置するとともに、国立の感染症研究所と国際医療研究センターを統合し、科学的知見の基盤となる専門組織を創設することで、これら三者で一体的に対応していく体制構築を図る方針であります。  しかしながら、専門家によれば、約六割の感染症とほぼ全ての新興感染症が動物にも人にも感染する人獣共通感染症だと言われており、新たな感染症に対応するためには、医学と獣医学の分野横断的な連携が必要となります。  感染症対策が必要な動物は、大きく三つに分かれます。一つは家畜、家禽。この感染症は農林水産省の所管であります。二つ目は愛玩動物。いわゆるペットです。三つ目は野生動物。しかし、ペットと野生動物の感染症については、関係法令や国の研究機関はなく、空白領域となっているのが現実であります。  そこで、福岡県は、国に先駆け、人と動物と環境の健康を一体的に考えて人獣共通感染症に対応するワンヘルス構想を先行的に進めてきています。具体的には、アジア獣医師連合、FAVA、藏内勇夫会長の就任を機に、福岡オフィスを設置し、国際的な連携を強めるほか、国の機関としてアジア新興・人獣共通感染症センターの九州への設置を目指すとともに、家畜保健衛生所の業務について、現行の家畜、家禽のほかに、ペットや野生動物にも拡大したワンヘルスセンターの設置を目指しています。  国も、新たな感染症に備えた危機管理として、動物感染症の空白領域を埋め、人獣共通感染症にしっかり対応できるよう、福岡のような先行的な活動への支援や関係する国の機関の連携強化などを具体的に進めていただきたいと考えますが、岸田総理のお考えをお伺いします。  加えて、昨年末のG7では共同声明を取りまとめていただきました。本年五月に開催される広島サミットにおいて、この人獣共通感染症を含む国際的な感染症対策の強化充実について、岸田総理のイニシアチブでワンヘルスへの取組を更に前へと押し出すべきと考えますが、岸田総理の御見解をお示しください。  結びに申し上げます。朝は希望を持って目覚め、昼は勤勉に働き、夜は感謝を持って眠る、麻生太郎元総理からの言葉であります。悲観論に陥らない前向きな楽天性と勤勉な労働意欲、そして奥ゆかしさ。まさに我々日本人の底力を示していると思います。  こうした日本の底力を最大限に引き出す政治の実現に精いっぱい力を尽くしてまいります。  御清聴ありがとうございました。(拍手)    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

岸田文雄自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 大家敏志議員の御質問にお答えいたします。  まず、地方に懸ける思いについてお尋ねがありました。  地方創生を進め、地方が元気になることが日本経済の再生の源です。  御指摘のとおり、田園都市国家構想当時からの課題である東京への過度な一極集中に加え、地域交通や子育て環境など、地方では様々な社会課題が存在しています。  一方で、当時からデジタル技術が劇的に進化し、今や地方にあっても都市と遜色ない暮らしができる時代になりつつあります。今こそ、デジタルの力を活用しつつ、地域社会の生産性や利便性を飛躍的に高め、産業や生活の質を大きく向上させ、地方の魅力を高めるチャンスです。  こうした認識の下、新しい資本主義の主役である地方から成長と分配の好循環を図り、我が国の経済社会を持続可能なものとしていくため、各地域でデジタル実装を加速化し、地方から全国にボトムアップの成長を目指すデジタル田園都市国家構想を加速させていきます。  昨年十二月に閣議決定したデジタル田園都市国家構想総合戦略に基づき、各府省庁の施策を総動員し、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を実現することで、地域活性化、図ってまいります。  そして、我が国の稼ぐ力を取り戻す政策についてお尋ねがありました。  国内外の経済社会環境の変化を成長のチャンスと捉え、官民挙げて、全国津々浦々で、積極果敢な設備投資や人材育成を行っていきます。  例えば、昨年度、半導体について法律や予算を措置し、熊本のTSMC誘致を始め複数の大規模国内投資を実現いたしました。これを契機として高専における半導体人材の育成の動きが活発化するなど、波及効果が生まれています。  昨年十二月には、各地域を代表する方々にお集まりいただき、地域固有の持ち味を生かして国内投資の拡大につなげるという決意を表明いただきました。また、バブル期を超える過去最高水準の年間百兆円規模の設備投資が見込まれることも示されました。  補正予算で措置した七兆円規模の国内投資支援策を呼び水として、地域の経済への波及効果が大きい先導的な投資を引き出していきます。  また、海外からの人材と資金の呼び込みも重要であり、この春には新たなアクションプランを策定し、魅力ある成長市場の拡大やビジネス環境の整備などに全力で取り組みます。  こうした取組を通じ、地方を含めた日本全体の稼ぐ力、取り戻していきます。  地方におけるGX支援についてお尋ねがありました。  GXは、脱炭素とエネルギーの安定供給、そして経済成長を同時に実現することを目指すものです。GXは、経済、社会、産業、全ての大変革であり、地方も含めて日本全体で取り組むことが必要です。  今般新たに取りまとめた成長志向型カーボンプライシング構想に基づき、日本全国において、今後十年間で百五十兆円超のGXに関する官民投資を実現するため、国が先行して二十兆円規模の投資を促進策、規模の投資促進策を行っていきますが、地方の中小企業への相談支援体制の充実等を進め、地方におけるGXの取組、後押ししてまいります。  農林水産品の輸出についてお尋ねがありました。  岸田内閣において、輸出促進法改正による輸出促進団体の組織化や、政府一丸の働きかけによる英国、インドネシア、台湾の輸入規制の撤廃、大幅緩和など、輸出力強化の取組を進めてきており、輸出額は昨年まで十年連続過去最高を更新いたしました。  私自身、昨年九月にニューヨークでの日本食イベントで日本食の奥深さと多様性をアピールした際にも、高品質の日本産食品を求める声が多く寄せられていました。こうした海外需要を取り込んでいくことは、経済構造の強靱化を図る上でも重要です。このため、円安による競争環境の改善の機会を捉え、二〇二五年二兆円目標の前倒し達成を目指し、更なる輸出拡大支援を進め、我が国の農林水産業の稼ぐ力を強化してまいります。  地方自治体間におけるDX格差への対応等についてお尋ねがありました。  地方自治体におけるDXの推進は、デジタル社会実現のため、喫緊の課題です。このため、デジタル田園都市国家構想交付金等により好事例の横展開を強力に進めており、例えば、地方自治体の窓口で住民が書かない、住民を待たせない取組の導入を支援しております。  一方、御指摘のとおり、地方自治体間で取組や職員の意識に差がある中にあって、デジタル実装を着実に進めるためには、地方自治体におけるデジタル人材の確保、育成、これが欠かせません。このため、来年度から新たに都道府県が市町村を支援する人材確保に要する経費に対する財政支援を設けるとともに、専門人材派遣を強化するなど、取組を大幅に拡充をいたします。  さらに、どの自治体で、どの地方自治体であっても、デジタルによる住民サービスを維持向上させるため、従来、地方自治体ごとに異なっていた住民記録、税、福祉等の基幹業務システムについて、国の支援により統一、標準化を行うこととしております。  デジタル田園都市国家構想の下、人材面、システム面、財政面から地方自治体をサポートし、全国津々浦々でデジタルの実装、これ推進してまいります。  こども家庭庁発足後の運営や子供予算倍増等についてお尋ねがありました。  本年四月に発足するこども家庭庁においては、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組、政策を我が国社会の真ん中に据えて、子供の視点で、子供の権利を保障し、誰一人取り残さず、健やかな成長を社会全体で後押しするこどもまんなか社会の実現に向け、強い司令塔機能を発揮してまいります。  子ども・子育て政策は、最も有効な未来への投資です。個々の政策の内容や規模面、これももちろん重要ですが、地域社会や企業の在り方も含めて、社会全体で子ども・子育てを応援するような社会全体の意識を高め、年齢性別を問わず皆が参加する次元の異なる少子化対策を実現したいと考えております。  まずは、こども政策担当大臣の下、子ども・子育て政策として充実する内容を具体化し、六月の骨太方針までに将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示いたします。  子育て世代に対するリスキリング支援と女性の就労の壁を取り除く取組についてお尋ねがありました。  政府としては、人への投資の支援パッケージを五年で一兆円に拡大し、リスキリングへの支援を抜本的に強化していく中で、育児中など様々な状況にあっても主体的に学び直しに取り組む方々をしっかりと後押ししてまいります。  また、いわゆる百三十万円の壁については、これを意識せず働くことが可能となるように、その解消に向けて、短時間労働者への被用者保険の適用拡大を進めているところです。  いずれにせよ、少子化対策を強化する上で、男女共に働きやすい環境の整備、これは重要であり、いわゆるL字カーブの解消、男女間の賃金格差の是正などの課題に対して、女性の就労の壁となっている制度の見直しに取り組んでまいります。  議員の方からも御提案をいただきました。こうした御提案も参考にさせていただきながら取組を進めてまいります。  人獣共通感染症についてお尋ねがありました。  感染症対策については、人と動物は相互に密接な関係があることから、ワンヘルスの考え方に基づき総合的に対応していくことは重要です。政府としては、人獣共通感染症への対応についても、内閣感染症危機管理統括庁やいわゆる日本版CDCの設置等により司令塔機能を強化する中で、関係省庁の一層の連携強化を図ってまいります。  G7広島サミットにおいては、国際保健を重要課題の一つと位置付ける考えです。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向け、将来の健康危機に対する予防、備え、対応の強化に資する国際的な枠組みの強化や、ワンヘルスの取組の推進を含めた国際保健上の諸課題へ対応を議論し、そしてリードをしていきたいと考えております。  残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)    〔国務大臣加藤勝信君登壇、拍手〕

加藤勝信自由民主党厚生労働大臣

○国務大臣(加藤勝信君) 大家敏志議員より、介護職員の処遇改善と介護DXについてお尋ねがございました。  介護職員については、給与を恒久的に三%程度引き上げるための措置など、これまで累次の処遇改善に取り組み、全産業平均との給与の格差は縮小してきているところであります。こうした処遇改善策をより多くの事業所で実際に活用いただけるよう、更に取組を進めてまいります。  また、介護DXについては、介護ロボット、ICT機器の導入支援や、行政手続のデジタル化など、介護現場の生産性向上や働きやすい職場環境づくりに取り組んでおります。  今後も、公的価格評価検討委員会の中間整理も踏まえ、費用の見える化などを行いながら、現場で働く方々の処遇改善や介護DXを通じた業務負担軽減を進めてまいります。(拍手)     ─────────────

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) 発言の準備が整うまでしばらくお待ちください。  舩後靖彦君。    〔舩後靖彦君登壇、拍手〕

舩後靖彦れいわ新選組

○舩後靖彦君 れいわ新選組、舩後靖彦でございます。  会派を代表して、政府四演説に対する質問をいたします。  質問の前に、一言申し上げたく存じます。  私は、難病、筋萎縮性側索硬化症、ALSの進行により、喉に人工呼吸器のチューブを差し込み呼吸をしています。ゆえに、声を出すことができません。したがいまして、パソコンを用いて、電子音声の読み上げによって質問を行います。代表質問がこのような形で行われるのは憲政史上初めてです。これは私だけでなく、ほかの人工呼吸器利用者、言語障害のある人が当たり前に本会議場で質問できる道が開けたこととなります。心よりうれしく思っております。重度障害者への合理的配慮の提供を認めてくださった皆様に改めてお礼を申し上げます。  それでは質問に移ります。  総理は、施政方針演説で、不安定で脆弱なサプライチェーン、世界規模でのエネルギー・食料危機、人への投資不足など、グローバリゼーションの変質、変容を指摘し、今こそ新たな方向に足を踏み出さなければならないと宣言されました。その上で、新たな時代にふさわしい国際秩序をつくり上げていくために五年間で四十三兆円の防衛予算を確保し、反撃能力も保有すると明言されました。  しかし、敵基地攻撃能力を幾ら抑止力、反撃能力に言い換えても、相手からすれば軍事的な脅威であり、威嚇です。専守防衛から逸脱する事実上の改憲です。これほどの転換にもかかわらず、安保三文書を昨年の臨時国会が閉会した後に改定してしまいました。  戦争ができる国に向かおうとする軍拡の前に、戦争がもたらしてきた現実に目を向けるべきです。ロシアのウクライナ侵攻を見ても明らかなように、戦争は社会で最も弱い人々にしわ寄せが向かいます。今、この瞬間も、国内に貧困や病などに苦しむ人々がいます。そうした一人一人を守れずに国を守ることはできません。  戦争を防ぐための行動が今こそ必要です。防衛予算を減額し、その分を国民生活の向上に直結する予算に組み替えるべきだと私は考えます。岸田総理の見解をお示しください。  この国を守るとは、あなたを守ることから始まる。れいわ新選組の基本理念です。その一丁目一番地は一人一人の所得向上であり、あらゆる分野における国内生産体制の回復です。れいわ新選組は、消費税廃止や一律給付金のように国民生活を底上げする経済政策を掲げています。また、介護・保育従事者への月給十万円アップや、十年間で官民合わせて二百兆円のグリーンニューディール政策を緊急政策として訴えてきました。  総理は、経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして、財政健全化に向けて取り組んでいくとおっしゃいました。さらに、一月二十四日の令和三年度決算に関する本会議では、我が会派の大島九州男議員の質問に対して、国債は国民の借金ではないと答弁されました。  足下の物価高に的確に対応するならば、まずは消費税を減税することが最も有効な物価高対策ではありませんか。総理の消費税減税に向けての決意をお聞かせください。さらに、一千万人以上の個人事業主、フリーランスなどが影響を受けると言われているインボイス制度も中止すべきではありませんか。総理の答弁を求めます。  総理は、持続的に賃金が上がる構造をつくり上げるため、労働市場改革を進め、足下での物価上昇を超える賃上げの必要性を説かれました。れいわ新選組は、介護・保育従事者への月給十万円アップをうたってきました。しかしながら、岸田政権が令和四年度に実施した福祉・介護職員の処遇改善に係る加算は、たった月額九千円程度です。  民間調査会社が介護職員に給料アップを実感していますかと聞いたところ、アップを実感していると回答した人が約三五%、アップを実感していないと回答した人が約六五%でした。この結果を見て、れいわ新選組の政策提言の方が現政権の施策よりも現場のニーズにマッチしていると自信を深めています。  総理にお尋ねします。  福祉・介護職を含め、物価上昇を超える賃上げを成し遂げるために、どのような具体的施策を打ち出していくのでしょうか。見解をお示しください。  岸田総理は、子ども・子育て政策を経済社会の持続性のための最重要政策と位置付け、児童手当など経済支援の拡大、子育てサービスの充実、働き方改革の三本柱で対応すると打ち出されました。  しかし、保育所、学童保育や病児保育などのインフラ整備と、そこで働く保育士、福祉職員の待遇改善は置き去りにされたままです。さらに、公立学校の教員不足も深刻化しており、ついに二〇二三年度採用試験では定員割れを起こす県も見られました。これは、人を育てるという最も重要かつ基本的な営みを個人や家庭に押し付け、長年にわたり教育・保育予算をけちってきたツケであり、このままでは子育ても教育も崩壊しかねません。  防衛費増額の前に、教育・保育予算を大胆に増やし、子供を安心して産み育てられる社会、家庭の条件にかかわらず、望む者が高等教育を受けられる社会への転換を図るべきと考えます。総理のお考えをお聞かせください。  岸田総理は、原発の建て替えや運転期間の一定期間の延長を進めると明言しました。全く容認できません。地震、津波など様々な災害リスクにさらされている日本で、今後も想定外の自然災害は起こり得ます。ロシアによるウクライナ侵攻を見ても明らかなように、安全保障上のリスクにも直面します。  今の政府、電気事業者がこうしたリスクに適切に対応できるとは思えず、原発の再稼働や運転期間延長は国民を生命の危機にさらします。目先の原発に頼るのではなく、長期的視野で再生可能エネルギーの開発、発展を進めることで、日本の存在感を示すべきです。総理の見解をお示しください。  最後に、改めて国民の皆さんに呼びかけます。  新たな時代にふさわしい国際秩序は、世界平和と核兵器の廃絶です。戦争のない世界をみんなが求めています。しかし、岸田総理は、国連の核兵器禁止条約の批准をしようとせず、安保三文書を改定し、戦争を誘い込もうとしている姿勢すら感じます。私は、政府の姿勢に強い危機感を抱いています。  国民を守らない防衛費増額。流動化し続ける雇用。先細りし続けるあなたの所得。崩壊しつつある介護サービス。政府の間違った経済政策で苦しむ国民を一日も早く救うべく、積極財政による緊急政策を今すぐ実行する必要があります。  この目的のために与野党問わず一致協力すべきだと訴え、質問を終わります。(拍手)    〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

岸田文雄自由民主党内閣総理大臣

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 舩後靖彦議員の御質問にお答えをいたします。  まず、防衛予算等にお尋ねがありました。  新たに策定された三文書に基づく取組は、憲法及び国際法の範囲内で行うものであり、専守防衛の考え方も変更するものではありません。  防衛力の抜本的強化は、国民の命や暮らしを守り抜くために必要です。その検討に際しては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、国民の命を守り抜けるか、極めて現実的なシミュレーションを行いました。一年以上にわたって議論を積み重ねており、その過程において、必要となる防衛力の内容を積み上げ、防衛力の規模を導き出した上で令和五年度予算に所要額を計上しており、必要な予算であると考えております。  同時に、本予算には一般歳出の約六割を社会保障や教育などが占め、国民生活の向上に直結する経費など、必要な施策を盛り込んでいるところです。  したがって、予算の組替えの御提案をいただきましたが、政府としては本予算に御賛同をお願いしたいと考えております。  そして、消費税減税とインボイス制度についてお尋ねがありました。  御提案については丁寧にお伺いさせていただきますが、消費税については、急速な高齢化等に伴い社会保障給付費が大きく増加する中で、全ての世代が広く公平に分かち合う観点から、社会保障の財源として位置付けられています。このような消費税は社会保障制度を支える重要な財源であり、減税は考えておりません。  そして、インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものです。個人事業主やフリーランスなど、様々な方の御懸念について丁寧に課題を把握しながら、取引環境の整備やインボイス対応のための支援策の充実、さらに、新たな税制上の負担軽減措置など、政府一体で連携して、制度の円滑な実施に向けて万全の対応を図ってまいりたいと考えております。  物価を超える賃金についてお尋ねがありました。失礼、物価を超える賃上げについてお尋ねがありました。  賃上げは新しい資本主義の最重要課題であり、物価上昇を超える賃金引上げを行っていただくべく、民間だけに任せるのではなく、政府としても、賃上げ税制や補助金等における賃上げ企業の優遇などの取組に加えて、公的セクターや政府調達に参加する企業で働く方の賃金の引上げ、そして中小企業における生産性向上などへの支援や価格転嫁の促進など、政策を総動員して環境整備に取り組んでいきます。  なお、福祉・介護職員の処遇改善については、給与を恒久的に三%程度引き上げるための措置など、これまで累次の処遇改善を講じてきたところです。  今後も、公的価格評価検討委員会の中間整理を踏まえて、見える化を図りながら、現場で働く方々の処遇改善や業務の効率化、また負担軽減、こうした取組を進めてまいります。  子供を安心して産み育てられる社会への転換等についてお尋ねがありました。  子ども・子育て政策は、最も有効な未来への投資であり、最優先の課題です。個々の政策の内容や規模面、もちろん重要ですが、地域社会や企業の在り方を含めて社会全体で子ども・子育てを応援するような、社会全体の意識を高め、年齢性別を問わず皆が参加する次元の異なる少子化対策、これを実現していきたいと考えております。  様々な御指摘をいただきましたが、今後、まずは、こども政策担当大臣の下で、子ども・子育て政策として充実する内容を具体化し、六月の骨太方針までに、将来的な子ども・子育て予算倍増に向けた大枠を提示いたします。あわせて、高等教育の負担軽減に向け、出世払い型の奨学金制度の導入、給付型奨学金の中間層への対象拡大等にも取り組んでまいります。  エネルギー政策についてお尋ねがありました。  昨年二月のロシアによるウクライナ侵略以降、エネルギーの安定供給の確保が世界的に大きな課題となっています。近年は脱炭素に重きを置いて検討を進めてきましたが、これからはエネルギーの安定供給と脱炭素をいかに両立させるか、これが重要です。  政府としては、引き続き、再エネ導入を最優先として、最大限の導入に取り組みます。具体的には、全国規模での系統整備や海底直流送電の整備などを加速した上で、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら、二〇三〇年度の再エネ比率三六%から三八%に向けて取り組んでまいります。  その上で、我が国の厳しいエネルギー供給の現状を踏まえれば、再エネのみならず、徹底した省エネの推進に加え、原子力を始めあらゆる選択肢を活用していくことが必要です。  原子力については、安全神話に陥ってしまった東京電力福島第一原子力発電所事故の反省を踏まえ、いかなる場合もゼロリスクはないとの認識に立ち、安全性の確保を最優先として取り組んでまいります。原子力規制委員会が、世界で最も厳しい水準の新規制基準の下、厳格な規制を行うとともに、原子力災害のリスクに備えて、各府省が連携をし、原子力防災体制の充実に取り組んでまいります。(拍手)

尾辻秀久各派に属しない議員議長

○議長(尾辻秀久君) これにて質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十一分散会

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