農林水産委員会 第1号
- 発言数
- 5 件
- 登壇者
- 2 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 2023/03/07
会議録
○委員長(山下雄平君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。 国政調査に関する件についてお諮りいたします。 本委員会は、今期国会におきましても、農林水産に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山下雄平君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(山下雄平君) 農林水産に関する調査を議題といたします。 令和五年度の農林水産行政の基本施策について、農林水産大臣から所信を聴取いたします。野村農林水産大臣。
○国務大臣(野村哲郎君) 農林水産委員会の開催に当たりまして、所管大臣としての考え方の一端を申し述べさせていただきます。 高病原性鳥インフルエンザが、今シーズンは過去に例のないほど猛威を振るっています。殺処分対象は既に一千五百万羽を超え、これまで過去最大の発生であった令和二年度シーズンを上回りました。大変厳しい状況の下、現場で御尽力されている方々には本当に頭の下がる思いでございます。鳥インフルエンザのシーズンはまだ続きます。農林水産省としても、引き続き、最大限の緊張感を持って発生予防と蔓延防止に全力で取り組むとともに、発生養鶏農家の経営継続の支援についてもしっかりと取り組んでまいります。 以下、農林水産行政に関して、私の基本的な考え方について申し述べます。 食料は人間の生活に不可欠であり、食料安全保障は、生産者だけの問題ではなく、消費者を含めた国民一人一人に関わる国全体の問題です。しかし、この食料安全保障について昨年を振り返ってみると、近年の世界的な人口増加等に伴う食料需要の拡大に加え、ロシアによるウクライナ侵略により、食料や生産資材の価格が高騰するなど、我が国の食をめぐる情勢は大きく変化しており、まさにターニングポイントであったと認識しています。 こうした食料安全保障のリスクの高まりの中で、将来にわたって国民に食料を安定的に供給していけるようにするためには、国内市場の縮小や生産者の減少、高齢化といった課題を乗り越え、国内の生産基盤を維持強化するとともに、安定的な輸入と適切な備蓄を組み合わせながら、国内で生産できるものはできる限り国産で、国内で生産していく必要があります。 こうした課題に対処するため、喫緊の対策として、肥料や配合飼料、燃油などの価格高騰対策等を実施しているほか、輸入食料や輸入生産資材への過度な依存を低減する構造転換対策などを内容とする令和四年度第二次補正予算を措置するとともに、令和五年度当初予算を国会に提出しているところです。また、昨年末には、これらの対策を政府一丸となって継続的に講じていくための食料安全保障強化政策大綱を策定しました。 食料安全保障の強化には、こうした構造転換のみならず、それを支える国内の生産力とその前提となる強固な生産基盤が不可欠です。そこで、拡大する世界の食市場を獲得するための農林水産物・食品の輸出促進、みどりの食料システム戦略を踏まえた環境負荷低減の取組推進、これらを進めるための土台となるスマート農林水産業の推進などの施策についても着実に実行してまいります。 また、こうした食料、農業、農村を取り巻く厳しい環境の下で食料安全保障を確立していくためには、食料・農業・農村政策を見直す必要があると考えています。 このため、食料・農業・農村基本法の見直しのための検証を進めることとし、昨年、食料・農業・農村政策審議会に設置した基本法検証部会において精力的に審議を行っていただいているところです。生産者の減少、高齢化や国内市場の縮小、世界的な食料需要の拡大や気候変動への対応など、現行基本法が制定された二十年前には想定されなかったレベルで変化している我が国の食料、農業、農村を取り巻く情勢の変化を踏まえ、次の時代を形作る食料・農業・農村政策について、各界各層から幅広く御意見を伺い、国民的コンセンサスの形成に努めながらしっかりと検証、見直しを進めていき、これらの御意見も踏まえて、本年六月をめどに食料・農業・農村政策の新たな展開方向を取りまとめます。 以下、具体的な施策を申し述べます。 食品・農林水産分野において、肥料や飼料、燃油といった生産に欠かせない資材や加工原材料等の価格が高騰しています。喫緊の対策として、農林漁業者の経営への影響緩和のため、肥料や配合飼料、燃油の価格高騰対策等を措置するとともに、食品産業における国産への食品原材料の切替えや生産性向上によるコスト削減等の取組を着実に実施してまいります。 一方、こうした生産に係るコストの上昇分については、最終的には適切な価格転嫁がなされなければ、食料の生産や加工の現場における事業継続に支障が生じ、国民への安定した食料供給に悪影響を及ぼしかねません。生産コストの増加分等を踏まえた適切な価格形成の重要性について情報発信等の取組を進めるとともに、今後、外国の事例も参考にしながら、我が国の生産から流通までの実態等を踏まえた価格形成の仕組みを検討してまいります。 昨年末に策定した食料安全保障強化政策大綱に基づき、輸入する食料や生産資材への過度な依存を低減していく構造転換に向けて、小麦や大豆、飼料作目などの海外依存の高い品目の生産拡大や米粉の利用拡大、加工・業務用野菜の生産拡大、畑地化の推進、堆肥、下水汚泥資源等の国内資源の利用拡大や肥料原料の備蓄等に取り組み、今、日本にあるものを使って、日本で生産していく、この構造転換が現場で着実に目に見えるような各種施策を進めてまいります。 農林水産物・食品の輸出促進については、二〇二二年度は、対前年比一四・三%増の一兆四千百四十八億円と過去最高額を記録しました。二〇二五年の輸出額二兆円目標の前倒し達成を目指し、品目団体認定制度の更なる推進、大ロット化に向けた輸出産地、事業者の育成、輸出支援プラットフォームによる現地発のサポートの強化、国内とのプレーヤーをつなぐハブ機能強化等により、国内の農林漁業、食品産業の発展に資するよう、輸出拡大を進めます。あわせて、海外への品種流出を防止するため、海外で育成者権者に代わって品種登録等を行う育成者権管理機関の業務を開始します。 また、本年は私が議長を務めるG7宮崎農業大臣会合が四月に開催されます。国際的に食料安全保障が課題となる中、農業の持続可能性と生産性向上について、G7各国と胸襟を開いて議論したいと考えております。 みどりの食料システム戦略の実現に向けては、みどりの食料システム法に基づく基本計画の全国展開を進め、化学肥料等の使用低減や有機農業の拡大、消費者の選択を容易にする環境負荷低減の取組の見える化等の施策を着実に実施し、二〇三〇年目標の達成を目指します。 スマート農林水産業の推進については、新たに作成されたデジタル田園都市国家構想総合戦略の下、生産性の向上等を図るため、スマートサポートチームによる人材育成とデータ活用の推進や、農業支援サービス事業体の育成、林業機械の自動化、漁獲情報等の収集・利用体制の構築等を推進します。 また、活力ある農村を次世代に継承していくため、日本型直接支払により地域を下支えしつつ、地域資源、ICTなどの活用により活性化を図る「デジ活」中山間地域の取組を推進するとともに、農泊、鳥獣被害の防止やジビエの利活用、農福連携などの取組を進めてまいります。 人材の確保、育成を進めるとともに、地域の農地が適切に利用されるよう、地域の話合いにより将来の農地利用の姿を示した地域計画を定め、農地バンクを活用した農地の集積、集約化等を進めつつ、地域の農地の計画的な保全も一体的に推進してまいります。 米政策については、自らの経営判断による需要に応じた生産、販売を着実に推進していくため、国産需要のある麦、大豆や飼料作物、米粉用米、新市場開拓用米などへの転換や畑地化、汎用化を進め、産地として定着させる取組への支援を行ってまいります。 畜産については、輸入飼料の過度な依存からの脱却に向け、耕畜連携への支援など国産飼料の供給・利用拡大を進めてまいります。また、厳しい状況にある酪農経営に関しては、需要の底上げや抑制的な生産の取組などに対する支援など需給ギャップの早期解消を推進することを含め、生産コストを適正に価格に反映できる環境を整え、酪農経営の改善を図ってまいります。 農業の競争力強化や農村地域の防災・減災、国土強靱化を実現するためには、農地は、農地や農業用水などの農業、農村の基盤整備が欠かせません。農地の大区画化や畑地化、汎用化、農業水利施設の長寿命化やため池等の豪雨・地震対策を推進してまいります。 豚熱、アフリカ豚熱、高病原性鳥インフルエンザなどの家畜伝染病に対しまして、関係者と危機感を共有し、飼養衛生管理の徹底を図るとともに、水際での侵入防止の徹底や、経口ワクチン散布などの野生イノシシ対策等に都道府県等と連携して取り組んでまいります。 食品産業、食品流通については、ドライバー不足等の問題に対応し、持続的なサプライチェーンを確保するため、パレットサイズ等の標準化やデジタル化による業務の効率化と輸送コストの低減を進めるとともに、鉄道や海運への輸送切替えを推進してまいります。また、食品アクセスが困難な方々への対応や食育の推進なども視野に入れて、関係省庁とも連携し、子供食堂等へ米、缶詰、菓子、牛乳などの提供を行うフードバンクや子供宅食等に対する支援を進めてまいります。 森林・林業政策については、国産材の安定的、持続的な供給体制の強化に向け、加工施設や路網の整備、再造林、担い手の育成等を進めるとともに、CLTの活用等による都市の木造化を推進します。あわせて、森林整備や治山対策等による森林の多面的機能の発揮や国土強靱化に取り組み、二〇五〇年カーボンニュートラルに寄与するグリーン成長の実現を図ってまいります。 また、違法伐採に係る木材等の流通の抑制に向けた取組などを内容とする法案を提出いたします。 水産政策については、海洋環境の変化も踏まえた水産資源管理を着実に実施するほか、増大するリスクも踏まえ、漁業経営安定対策を講じつつ、新たな操業形態への転換、マーケットイン型養殖の推進や輸出拡大等、水産業の成長産業化を実現してまいります。 また、水産加工施設の改良等に対する低利資金の貸付期限の延長や、漁港における地域資源を生かした海業の振興等による漁村の活性化の推進、遊漁船業の安全管理体制の強化などを内容とする複数の法案を提出いたします。御審議のほどよろしくお願いいたします。 東日本大震災から間もなく十二年が経過します。復旧事業により、津波被災農地や水産加工施設などのインフラ復旧は相当程度進展しましたが、原子力災害被災地域では、営農再開や水産業、林業の再生、風評払拭等、まだまだ取り組むべき課題があります。引き続き、被災された農林漁業者の方々が再び立ち直るための万全の支援を行ってまいります。 また、ALPS処理水への対応については、福島県及び近隣県で漁業を安心して持続できるよう、水産物のモニタリング検査の拡充や国内外に向けた結果の発信、担い手の育成、確保や水産物の販売促進など、生産、加工、流通、消費の各段階における支援により、風評対策を徹底するとともに、国際社会の理解の醸成を図るなど、政府全体で取り組んでまいります。 以上、農林水産行政の今後の展開方向について、私の基本的な考え方を申し述べました。 昨年末に成立した第二次補正予算や、来年度予算の適切な執行はもとより、制度改正等を通じて、施策の効果を農林漁業者や食品産業の皆様にしっかり実感していただけるよう、しっかりと取り組んでまいります。 山下委員長を始め理事、委員各位に、重ねて御指導、御鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。 よろしくお願いいたします。
○委員長(山下雄平君) 以上で所信の聴取は終わりました。 本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時九分散会