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第211回国会参議院2023/05/10

憲法審査会 第4号

発言数
50 件
登壇者
18 名
会派数
7
開催日
2023/05/10

会議録

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。  幹事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在幹事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  幹事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 御異議ないと認めます。  それでは、幹事に大塚耕平君を指名いたします。     ─────────────

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。  本日は、憲法に対する考え方についてのうち、参議院の緊急集会について委員間の意見交換を所要一時間三十分を目途に行います。  発言を希望される方は、氏名標をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言願います。  発言が終わりましたら、氏名標を横にお戻しください。  一回の発言時間は各五分以内でお述べいただき、法制局に答弁を求める場合は、答弁を含め五分以内といたします。  発言時間につきましては、経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らしますので、あらかじめ御承知願います。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、発言を希望される方は氏名標をお立てください。  堀井巌君。

堀井巌自由民主党

○堀井巌君 自由民主党の堀井巌です。  参議院の緊急集会について見解を申し上げます。  憲法五十四条二項の参議院の緊急集会の規定は、国会召集ができない場合に緊急事態が発生したときに、でき得る限り民主政治を徹底しながら暫定的な処理を可能とする制度と理解をいたしております。  その上で、まず、衆議院議員の不存在についてであります。  これまでも我が会派から発言がありましたが、五十四条二項に明示されている衆議院の解散による衆議院議員の不存在、そして、類推解釈から、衆議院の任期満了後で総選挙が行われる前が含まれると考えております。  緊急集会を開く期間についてであります。  衆議院の解散の場合、五十四条一項の規定により、最長でも七十日間と考えられます。任期満了の場合は、公職選挙法や国会法により、最長で六十日間となります。つまり、任期満了の場合を類推解釈で含めたとしても、解散時を超える期間にはならないというふうに考えます。  一方、解散あるいは任期満了により衆議院議員が不存在となった場合に大災害等が発生し、最長七十日間を超えて選挙ができないときに緊急集会を開く最長期間を例外的に柔軟に考えてよいのかという議論もございます。憲法学者の方々の見解も、必ずしも明確ではありません。ただ、緊急集会は両院同時活動の例外であり、七十日間を大きく超えることは憲法の想定外ではないかと考えます。  そこで、大災害等により国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、国民の生命、身体、財産を保護するため、内閣による緊急政令等で対処する考え方があります。民主政治の下で状況に応じた適切な対処ができるよう、緊急政令等についても憲法に規定を置くべきではないかと考えます。  この緊急政令等ですが、憲法制定時には、不測の災害の場合にはエマージェンシーパワーにより措置する考え方がありました。また、憲法学者の方々の中にもそのような考え方はあります。憲法において、非常事態に対する措置をとる緊急政令等を実定化しているという国が大半という研究もございます。同時に、衆議院議員の不存在時に非常事態に対応するための緊急政令等を民主政治の下に置くという視点は大切です。  そこで、行政監視に重きを置いてきた参議院の役割から、緊急集会による緊急政令等への一定の関与が考えられます。  以上、論点の中から、衆議院議員の不存在と緊急集会を開く期間、そして緊急政令と行政監視について考えるところを申し上げました。  その上で、改めて緊急集会の議論と併せて、衆議院、さらには国会議員の不存在や召集不可能時への対応、そして他国の憲法にあるような緊急政令等の制度、これらに係る憲法改正の議論を進めるべきと申し上げます。同時に、緊急政令等への民主政治の統制として緊急集会を活用することについても、参議院が率先して議論すべきです。  そこで最後に、川崎参議院法制局長に伺います。  参議院の緊急集会による行政監視機能の発揮、特に緊急政令等への行政監視について、法制的な観点から見解を伺いたいと存じます。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  参議院の緊急集会は、衆議院の解散中において緊急の必要が生じた場合に、国会の議決等を要する措置を行政に委ねることなく対処するためのものであり、その点では民主的な意義を持つものであると考えられます。  他方、非常事態における緊急政令等の制度を憲法で設ける際には、国会の召集が可能となった段階で速やかにその承認や措置を求めるべきことが規定されるのが一般的でございます。そして、その場合には、現行の制度を前提とすれば、衆議院が不存在時においては参議院の緊急集会を求めることを規定することが一つの案として考えられるのではないかと思われます。  ちなみに、法律によるものではありますが、災害対策基本法等による緊急政令の場合にも、その制定後、直ちに臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求めることが規定されております。  以上のように、参議院の緊急集会の制度は、衆議院の不存在時において緊急の必要が生じた場合に参議院が行政の統制や監視の役割を果たすものであると位置付けることができるのではないかと思われます。  以上でございます。

堀井巌自由民主党

○堀井巌君 ありがとうございました。  終わります。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 杉尾秀哉君。

杉尾秀哉立憲民主・社民

○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉です。  参議院の緊急集会についての過去二回の討論を踏まえまして、今回私からは改めて、緊急事態における議員の任期延長などのための憲法改正は不要であり、むしろ危険ですらあるということを申し述べます。  そもそも、参議院の緊急集会の制度導入の経緯たる立法事実とは、当時の日本政府が、自然災害大国である我が国の実情を踏まえて、GHQ草案にはなかった衆議院議員不在時の緊急の立法措置の仕組みが必要だという問題提起を行い、これにGHQ側が内閣の国家緊急権で対処すればよいと応答したところ、最終的にこれに対して日本側が、それでは憲法に緊急権の定めが置かれていた明治憲法以上の弊害の原因になると反論して制定に至ったという事情があります。  こうした経緯に鑑みれば、参議院の緊急集会は、明治憲法下での緊急勅令や緊急財産処分を認めず、国会中心主義の立場から、緊急時においても国会が対応しようとする制度であるということは明らかです。  これについて、橋本公亘元中央大学教授は、日本国憲法は、国会中心主義を確立するため、明治憲法にあった緊急勅令や緊急財産処分のような権限を行政府に一切認めないこととしたと解説し、また、小林直樹元東大教授も、参議院の緊急集会はあくまで国会中心主義を貫こうという趣旨であり、現行憲法下では緊急時においても議会的コントロールなしに立法や予算などの重要決定をなさしめないように考慮されていると、このように述べておられます。  こうした観点から、緊急政令などとセットで議論をされている緊急事態における議員の任期延長論を考えますと、数々の疑問点が浮かんできます。  まず、衆議院の任期延長は、議院内閣制の日本の場合、内閣総理大臣の任期延長、つまり延命を意味するということです。例えば、近年でもロシアや中国などで憲法改正によって最高権力者の任期が延長される例が起きています。これらの国々は民主的と言い難いとはいえ、日本のような民主国家においても同様のことは起こり得ます。こうした権力持続化の危険性を私たちは十分に認識する必要があります。  また、改憲五会派は、二院制の枠内で設けられた参議院の緊急集会について二院制の例外だとの根拠のない主張をしていますが、先ほども述べましたように、緊急集会は緊急事態に際しても国会中心主義や国民主権を貫くために設けられた制度であり、もし例外だから問題だというのであれば、議員の任期延長は国民主権の例外であることや、緊急政令を可能にする緊急事態条項が立憲主義など近代法の基本原理の例外であることこそ問題にすべきではないでしょうか。  さらに、選挙権の制約という観点の重要性も指摘せざるを得ません。  在外邦人選挙権制限違憲訴訟で最高裁大法廷は、議員を選挙で選定するという国民の権利は議会制民主主義の根幹を成すもので、国民の選挙権を制限することは原則として許されないと明確に述べた上で、国が国民の選挙権の行使を可能にするための所要の措置をとらないという不作為によって国民が選挙権を行使することができない場合も憲法違反である、このように断じています。  つまり、選挙困難事態という定義も要件もあやふやな事態を掲げておきながら、大災害等であっても一日も早く選挙を実施可能とするための投票環境の整備等の議論は行わず、任期延長の改憲議論ばかりを進めようとするのは、最高裁が指摘したのと同じであり、かかる状況で選挙権の制約の議論を先行させることは、自ら国会議員の存在自体の正統性の根拠を失わせることにもつながりかねません。  なお、憲法制定時に金森大臣も、国会議員の任期をその会期延長の形式をもって自ら延ばすということは甚だ不適当であろうと思います、ゆえに、憲法において正確に四年というふうに任期をつくりまして、それによって自発的に会期の伸長はできない、そのときには必ず選挙に訴えて、果たして国民が国家と表裏一体化しているかどうか現実に現さねばならぬ、このように答弁をされています。  ここまで述べてまいりましたように、緊急時における衆議院の任期延長は、憲法制定時の経緯や国民主権、基本的人権の尊重、そして国会中心主義のいずれの観点においても重大な問題をはらむものと言わざるを得ません。また、明治憲法下での緊急勅令を想起させる緊急事態下での緊急政令も、これと同様であることは論をまちません。  私からは以上です。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 西田実仁君。

西田実仁公明党

○西田実仁君 災害等の緊急事態は政府に権限が集中することから、その活動を国会で適切に監視するため、むしろできる限り選挙を通じて議員の民主的正統性を確保する必要性が高いと考えます。  なぜ憲法に議員の任期が定められているのか。それは、定期的な選挙によって国民代表性の付与を更新するためであります。にもかかわらず、選挙をせずに議員の任期延長をすることは、その間、解散は禁止され、総選挙が実施されないことから、国民から選挙の機会を奪うことになります。それゆえ、災害等でもできる限り総選挙を実施すべきであり、公職選挙法では繰延べ投票の規定が設けられています。  しかし、繰延べ投票では公平公正な選挙の実施が困難ゆえ、緊急事態が収束するまでの間、議員の任期延長等を行い、全国一律に投票を行うべきではないかとの指摘があります。しかし、一、現行制度において認められている繰延べ投票制度そのものを否定するわけにはいかない、また、二、議員の任期延長がなされている間は総選挙が実施されないとすれば国民から選挙の機会を奪うことにならないか、三、そもそも全国一律に投票を行うべきとの憲法学説は見当たりません。  衆議院解散後でも緊急事態においては前衆議院議員の身分復活を認めるという議論も衆議院で行われていますが、内閣不信任決議が可決されたこと等を受けて憲法第六十九条に定める衆議院の解散がなされた場合、内閣と衆議院が解消し難い対立関係にもあるにもかかわらず、元衆議院議員が身分復活することで果たして機能するのか。また、衆議院の解散は、内閣不信任決議の可決等におけるもののほか、内閣が国政に対する新たな民意を問うために行われるものであるところ、衆議院の解散により身分を失った元衆議院議員が復活して国政に関わる判断に関与することが適当と言えるのか、慎重な検討が必要であります。さらに、衆議院の解散は、衆議院議員としての身分を失わしめる重大な行為であることからこそ、天皇の国事行為として国民に広く知らしめる形で確定的に行われるものであるにもかかわらず、容易に身分復活を認めてよいのかどうかについても検討が必要です。  一方で、災害等で一部の地域で投票ができない場合に公選法に定める繰延べ投票を行うことは、比例区の当選者が確定せず、また、被災地等から選出された議員が不在になるという点において問題ではないかとの指摘があります。  しかしながら、一、全ての国会議員は全国民を代表する存在であり、また、参議院の選挙制度は選挙区選出と全国比例による選出から成り立っており、被災地等の事情を含めた判断をし得る立場にあると言える、二、我が国の国会では定足数制度が取られており、そもそも特定の選挙区選出議員等が一定期間不在であったとしても定足数を満たしていれば議会の構成そのものには瑕疵はないとするのが基本ではないか、三、現行の選挙制度の下でも議員に欠員が生じるたびに必ず補欠選挙を行うとはされていないことも踏まえる必要があります。  ただし、これまでの議論にもあったように、現行憲法が二院制を前提として、参議院の緊急集会が後に衆議院の同意がないときには失効するという意味で一時的、限定的、かつ暫定的であることは否めません。  そこで、いかなる緊急の事態でも参議院の緊急集会プラス繰延べ投票で対応し得るという考え方を基本としつつも、原則緊急集会で対応するとしても、衆議院議員選挙が相当数の選挙区において長期間実施できないという極めて例外的な場合に衆議院議員の任期延長又は前衆議院議員の身分復活を認めるという考えはどうか。ただし、その場合であっても、重要なことは民主的正統性をできる限り維持することである。  解散後、若しくは任期満了後の前衆議院議員の身分復活には、内閣の求めに応じて参議院の緊急集会を開催し、そこでの議決を伴うべきではないか。選挙で選ばれた参議院議員による議決により、その議決は民主的正統性を有することになります。  任期を延長した場合や前議員の身分復活をした場合におけるその権能の範囲は、十分な民主的正統性を認めることができない以上、暫定的、一時的なものとして位置付けるべきであり、憲法改正の発議や内閣不信任案の決議などは当然に不可能であります。  また、議員の任期延長や身分復活の期間の上限についても、民主的正統性の観点から一時的な期間に限定すべきであります。  以上です。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 音喜多駿君。

音喜多駿日本維新の会

○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。  先月の審査会において、私は、憲法第五十四条に規定された参議院の緊急集会の趣旨と必要性、またその限界についての認識をお示しした上で、憲法改正による緊急事態条項の新設について提言を行いました。  本日は、衆議院の方ではかなり議論が煮詰まっているこの緊急集会の限界性について、もう少し詳しく意見を述べてまいります。  我々が提言している緊急事態条項案、議員の任期延長案においても、参議院の緊急集会の重要性はいささかも変わることはありません。しかし、そこには明確に限界があります。  一点目の限界性は、長期にわたる場合を想定していないという点です。  参議院の緊急集会の要件として、一、衆議院の解散中であること、二、国に緊急の必要があること、三、内閣の求めによることという三つがありますが、このうちの一、衆議院の解散中であること、言い換えれば、解散中にしか緊急集会が開かれないという限定された要件が昨今想定されている緊急事態にそぐわないのではないかと考えます。  なお、この解散要件については衆議院の任期満了に類推適用ができるという意見もありますが、仮にそうだとしても、直後に衆議院の議決を求めていることからも、長期の緊急事態まで想定されているとは考えられません。  緊急集会が想定しているのは、国政選挙を通常どおりに行える程度の状況、近いうちに国会が開会されることを前提としています。大規模災害の発生、感染症や戦争の拡大など長期にわたる緊急事態が発生し、国政選挙の適正な実施ができない状態が生じた場合、参議院の緊急集会だけでは対処が困難になります。これが一点目の限界性です。  二点目の限界性は、緊急集会の権能における限界です。  国会法によりますと、第九十九条第一項で、「内閣が参議院の緊急集会を求めるには、内閣総理大臣から、集会の期日を定め、案件を示して、参議院議長にこれを請求しなければならない。」とあります。次に、第百一条には、「参議院の緊急集会においては、議員は、第九十九条第一項の規定により示された案件に関連のあるものに限り、議案を発議することができる。」とあります。  すなわち、緊急集会は内閣の請求の際に総理が示した案件に絞られています。その上で、集会を開く際に総理が示せる案件について幅広く設定することはできない、個別具体的に示さなければならないという考え方が主流となっています。国会法に例示やホワイトリストがない以上、行政の恣意的な暴走を防ぐためにも、個別具体的に示すことが必要であるという考え方は妥当であると考えます。  なお、緊急集会は国会の権限を代行するものであるので、法律案の議決、予算の議決、条約の承認など国会の権限に属する全てを議することができるというのが通説でありますが、誤解してはならないのは、緊急集会には一般的にそうした権限がある中で、総理が初めに提示した個別具体的案件しか国会で議論ができないということです。  しかしながら、一点目の限界性で述べたような長期にわたる緊急事態が生じた場合、当然、当初想定した案件のみを議論するだけでは足りなくなる、国会の権限全てを行使することが求められる可能性が出てくること、これは大いに予想されます。参議院の緊急集会の権能では対処できない課題、事態が出てくる、これが二点目の明白な限界性です。  こうした二点の限界を踏まえて、やはり緊急事態条項が必要であると考えます。  繰り返しになりますが、いかなる緊急事態にあっても、国会機能や二院制の原則を維持し、権力の統制を果たすことは極めて重要であり、選挙が実施できないことによって国会議員が不在となる事態を避けるためにこそ、憲法改正、緊急事態条項の制定が必要なのだということを強調しておきたいと思います。  これは何も現行憲法における参議院の緊急集会の存在意義や権能を軽視するものでは全くありません。しかしながら、安全保障環境の激変や大規模災害発生のリスク、そして百年ぶりに感染症の蔓延を経験した我が国にとって、参議院の緊急集会では補い切れない長期にわたる緊急事態は想定をしておくべきであり、そうなった際の行政の暴走、権力の暴走を止めるためにも、緊急事態条項、議員の任期延長の項目の創設につき早急に前に進めるべきである、この参議院の緊急集会の権能や議論についても早急に取りまとめを行うべきであると申し上げまして、私からの意見とさせていただきます。  ありがとうございました。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 舟山康江君。

舟山康江国民民主党・新緑風会

○舟山康江君 国民民主党・新緑風会の舟山康江です。  参議院の緊急集会の規定について意見を述べさせていただきます。  現憲法は、世界の中でも条文数も文字数も著しく少なく、余白の多い憲法と言えます。そのため、条文の変更を経ないままに、政府による恣意的な解釈の変更が何度も行われてきた歴史があるのは御承知のとおりです。  また、学説の解釈が大きく分かれるような条文も多いわけですけれども、今回のテーマである参議院の緊急集会に関する条文もその一つであり、例えば、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合にも緊急集会が開けるか否か、その期間はどのくらいかという単純な問いかけに対しても解釈が分かれるような状況にあります。  このままでは、いざ実際にそういう事態が発生した際に大混乱に陥るのは必至であり、行政府による権力の濫用を防ぐという憲法の重要な役割が失われる事態も招きかねません。にもかかわらず、いつまでも両論併記のままで放置し続けるというのは、立憲主義の危機であると同時に、立法府の怠慢ではないかと私は考えます。改めて、曖昧さを払拭するためにも憲法の議論は必要です。  私たち国民民主党は、昨年末、緊急事態条項の条文案をまとめました。憲法への緊急事態条項の追加を検討、というと、戦前の軍部の独走やドイツのナチス台頭のように、緊急事態に名を借りて政府が好き勝手に暴走するのではないか、国民の権利が奪われるのではないか、といった懸念の声がたくさん聞こえてきます。緊急事態では、平時よりも強度の措置が必要とされる場合もあります。そして、どうしても国全体が正気を失いがちになるというのが歴史の教訓です。  新型コロナ発生の初期を思い出してください。突然、何の法的根拠もなく、学校一斉休校や営業自粛要請が内閣から一方的に宣言され、国会の関与もないまま、国民の権利が侵害されました。  こうした反省を生かし、逆に、どんな緊急事態でも同じ歴史を繰り返さないよう、あらかじめ、権力濫用を防ぎ、民主的な統制を強めるための基準を整備すべきです。  折しも、日本を始め世界各国が自然災害、感染症の蔓延、武力攻撃、テロなど、想定外の緊急事態に幾度も直面しています。だからこそ、内閣の暴走を止めるための手段として、手続的統制、すなわち国会や最高裁による関与・統制、内容的統制、すなわち人権制限の限界、緊急時でも絶対に侵してはいけない権利の範囲などを規定する、緊急事態権力統制条項を設ける必要性を訴えています。  こうした緊急事態と現行憲法による参議院の緊急集会を切れ目なく組み合わせて、あらゆる緊急事態下においても国民の生命と財産、そして人権を守れるような法制度を構築することが立法府の責務であると私は考えています。  先般、国民民主党が日本維新の会、有志の会とまとめた緊急事態条項の条文案では、議員の任期延長の実体的要件として、武力攻撃、内乱・テロ、自然災害、感染症の蔓延、その他これらに匹敵する事態の発生と、選挙の一体性が害されるほどの広範な地域において国政選挙の適正な実施が七十日を超えて困難であることが明らかであることを挙げています。実体的要件に七十日を超えて困難、と入れることで、緊急集会と議員の任期延長のすみ分けを明確に図っているものです。  緊急集会の機能はやはり一時的、暫定的なものであって、その期間には限界があり、七十日を超える長期にわたってまで無制限に緊急集会開けるようにすることは規定の濫用にならないかと懸念しています。  まず、七十日を超えて緊急集会開くことの妥当性について、法制局長に御所見をお伺いします。  もう一点、緊急集会における予算の議決についてお聞きします。  憲法五十四条三項には、「前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。」とあります。この条文は、やはり緊急事態はあくまで臨時の措置だということだと思いますけれども、長期にわたる予算の議決が許容されるのか。  この二点についてお聞きします。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  まず一点目の、衆議院の解散後七十日を超えて緊急集会を開くことができるかどうかの問題でございますが、先生がおっしゃられたように、緊急集会は例外的、限定的なものであり、憲法はそのようなものを想定していないという消極的に解する見解が一方でございます。  その一方で、衆議院総選挙や特別会の召集ができない状況が続いている中で緊急の必要があるのであれば緊急集会で対応せざるを得ないと考える見解もあるものと承知しております。  これらを踏まえて、先生方で御議論いただく問題であると考えております。  もう一点、予算の方の関係でございますけれども、基本的には緊急集会の対象となるのは緊急の必要性のあるものに限られること、特別会が召集されるまでの間の暫定措置であることを考慮して判断されるべきであります。  しかしながら、実際に特別会の召集が困難な場合として様々なケースが想定されるところであり、その時々の状況に応じて必要な予算が内閣から緊急集会に提出されることになるものと考えております。  以上でございます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 時間を過ぎておりますので、おまとめください。

舟山康江国民民主党・新緑風会

○舟山康江君 はい。  ありがとうございました。  改めて、権力濫用を防いで民主的な統制を強めるためにこそ、緊急事態条項による任期延長と緊急集会の在り方、このすみ分け等も含めた議論をしっかりと行っていくべきだということ、そのために、やはり憲法にも書き込むべきということ、このことを申し上げ、質問を終わります。  ありがとうございました。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 山添拓君。

山添拓日本共産党

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  四月十二日の当審査会で、参議院の緊急集会が憲法に規定されるに至った経過について法制局に質問し、次のような答弁を受けました。  すなわち、日本政府側は、当初、緊急事態において法律又は予算に代わる閣令の制定を可能とする案を提案していましたが、これは明治憲法の緊急勅令あるいは緊急財政処分が念頭に置かれていました。総司令部との交渉を経て、緊急集会の規定が設けられることになった理由について、当時の政府は、民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するために行政権の自由判断の余地をできるだけ少なくするように考えたと説明しており、これは権力分立を維持し、それにより国民の権利保障を全うする、立憲主義を貫くことを考慮したものでした。  天皇主権の明治憲法と国民主権の日本国憲法とでは、いわゆる緊急事態への対応はおのずから異なります。憲法制定議会で金森大臣が述べたように、政府の一存で行うような処置は極力防止しなければならず、国会制度の趣旨を徹底して実行するため、緊急の必要が生じた際には臨時国会を召集して対応し、衆議院の解散後は参議院の緊急集会で対応することとされたものです。  加えて、日本国憲法は、戦争を放棄し、軍隊を持たないとする九条を掲げました。成文憲法を持つドイツ、フランス、イタリアなどでは、主として戦時の緊急対応のために緊急権を定めています。明治憲法の非常大権や戒厳令も戦時や国家事変を対象としていました。一方、二度と戦争をしないと宣言した日本国憲法の下では、戦時対応に名を借りた緊急事態条項は必要なくなったという点も想起されるべきです。  したがって、日本国憲法は、緊急事態条項をあえて定めず、権力分立による権利保障を貫く在り方を追求した結果、国際的にもユニークな緊急集会という規定に結実したことを重ねて強調するものです。  ところが、この間の当審査会では、フルセットの緊急事態条項を設けるべき、憲法に緊急政令の規定を設けるべきなど、日本国憲法の制定に至る議論をおよそ無視した意見が散見されます。看過できません。  自民党の二〇一二年日本国憲法改正草案や、二〇一八年改憲条文イメージ、たたき台素案、また今般、維新の会や国民民主党などが発表した条文案は、いずれも緊急事態に議員任期を延長する特例を盛り込んでいます。  法制局によれば、明治憲法下で唯一衆議院任期が延長された例は、一九四一年、対米開戦に向かう情勢下でのものでした。今日のような緊迫した内外情勢下に短期間でも国民を選挙に没頭させることは、国政について不必要にとかく議論を誘発し、不必要な摩擦、競争を生じせしめて、内政外交上甚だ面白くない結果を招くおそれがあるなどとされたものです。  一年後の一九四二年、戦時下に総選挙を行ったのは、議会の刷新を期し、政治力の結集を図ることがむしろ戦争遂行のため緊要であると考え、戦争の真っただ中であえて総選挙を断行したとされます。  議員任期の延長も、その後の選挙も、世論を封じ戦争を推し進めようという内閣と多数党の思惑に利用され、侵略戦争を一層深刻化し、内外でおびただしい犠牲を招いたという厳然たる事実があります。日本国憲法が議員任期の延長を定めず、衆議院の総選挙の間は参議院の緊急集会により対応することとしたのは、この痛苦の歴史を踏まえたものにほかなりません。  五月三日、憲法施行七十六周年の憲法記念日に東京有明で行われた憲法集会には、コロナ禍後最も多い二万五千人が集まりました。北海道から沖縄まで、各地で憲法を守り生かそうと声を上げる取組も行われました。  日経新聞とテレビ東京の世論調査では、憲法への緊急事態条項創設に賛成四一%に対し、反対が四八%と上回っています。共同通信の世論調査では、改憲の機運が高まっている、どちらかといえば高まっている計二八%に対し、どちらかといえば高まっていない、高まっていないが計七一%と多数を占めました。毎日新聞の世論調査では、岸田首相在任中の改憲について賛成は三五%、反対が四七%と上回りました。一年前と賛否が逆転しています。  コロナ危機やロシアのウクライナ侵略に乗じて、緊急時対応のために改憲が必要とあおる議論が重ねられてきました。しかし、こうした危機を経てなお改憲は政治の優先課題とはなっていません。今求められているのは憲法を徹底的に生かす政治であり、乱暴かつ前のめりに改憲論議を重ねることではないことを強調し、意見とします。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 山本太郎君。

山本太郎れいわ新選組

○山本太郎君 参議院緊急集会について、衆議院任期満了時には緊急集会を招集できるのか、七十日間以上開催することができるのかなど、運用面の限界を指摘する意見が結構出てきていますよね。  確かに、衆院任期満了時や緊急集会の期間について憲法には規定はないです。これらの課題は憲法に沿った解釈と運用ルールで解決できることだと私は思っています。つまりは、必要に応じて衆院任期満了時にも開催する、必要に応じて七十日以上開催もできると憲法解釈すればいいだけのことだと。それほど無理のある話ですか、これは。  例えば、憲法九条。九条をそのまま読めば自衛隊は違憲ですが、十三条と併せて考えることで合憲だとこれまで解釈してきたわけです。国民の生命、財産を守る上で必要であるということから、これほどまでの解釈も可能となったと。  参議院緊急集会について、今のままでは緊急集会を七十日以上開けない、任期満了時は無理だ、憲法改正が必要だという論立て自体、無理があるんじゃないですか。国民の生命、財産を守る上で必要があり、憲法に沿った解釈がなされるならば、当然七十日を超えても開催できると考えるのが筋ではないでしょうか。  これまで好き勝手に解釈しまくって立法までしてきた者たちが、緊急集会などに関しては憲法改正が必要だと悲壮感たっぷりに訴える意図は何なんでしょうか。欲しいのは、憲法改正を私たちの手で行ったという形でしょうか。それに加えて、事実上の白紙委任、緊急事態条項を手に入れたいということでしょうか。  他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は憲法上許されないと言わざるを得ない、このように、従来、政府は、集団的自衛権は憲法上認められないという見解を示してきました。集団的自衛権は本来、憲法改正をしなければ容認できないものです。それを憲法改正の手続は一切踏まずに、解釈変更の閣議決定で容認、強行採決で立法化しました。憲法改正が党是だと言いながら、本来は立法する以前に必要である憲法改正をやらずに、解釈だけで、数の暴力で強権的に立法化したのはなぜですか。  四月三十日、NHK「日曜討論」で、衆院憲法審査会の幹事、自民、新藤議員は、今の憲法は占領下で防衛力を放棄させられていたときの憲法だから自衛の範囲や実力組織についての規定がない、だから、憲法に規定のない武力行使や集団的自衛権を一般法で定めてきた、今度は安保法制に書き込んだことを憲法に後付けで盛り込むのだと、そういった趣旨の発言をされていました。  現行憲法九十八条、「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」とあります。憲法を飛び越えた立法は許されない。これさえ理解していない者が国会議員であり、憲法審査会の幹事を務めていることに、同じ国会議員としてではなく、一有権者として危惧します。憲法尊重擁護義務が公務員にはありながら、その感覚が全くない。あきれるのではなく、非常に危険な状態だと考えています。  話を解釈に戻します。  参議院の緊急集会の開催要件や期間を広く取る憲法解釈と集団的自衛権の合憲解釈、どちらにより憲法解釈上の無理があるでしょうか。言うまでもありません。  終わります。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 山田宏君。

山田宏自由民主党

○山田宏君 自由民主党の山田宏でございます。  今まで議論をお聞きしておりまして、一点だけ、まず最初に法制局長にお聞きをしておきたいんですが、五十四条の解釈として、四十日以内に、衆議院解散されて四十日以内に選挙、そして三十日以内に召集ということの中で、七十日の中で初めて緊急集会開かれると。さっきも質問ありましたけれども、それを超えた場合の緊急集会というものは基本、通説では考えられない、想定されていないので開けないと、こう解釈をしていいんでしょうか。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  憲法学者はその点についてはっきりと議論をしていないところがございまして、そういう意味で通説がどう考えているかというのはなかなか難しいところがございますけれども、七十日を超えて緊急集会をすることができないという議論においては、緊急集会のその例外性、限定性、一時的なものであるというその性格から、憲法は想定していないという議論がなされているところでございます。

山田宏自由民主党

○山田宏君 つまり、何も定まっていないと。その時々で考えるしかないと。  もし七十日を超えて、もうずっと百日、二百日続いた場合ですよ、緊急の危機の場合、そのときに、その緊急集会を内閣が招集した場合、国内ではそれは違憲じゃないかというような議論、合憲じゃないかという議論があって、開くことすらもう大変なやっぱり問題に直面するんじゃないかと、こういうふうに思います。  そのときに、開けなかった場合、今度は一体どうやって緊急の予算を上程するんだという問題が起きてきますから、やはり、これ、ほっといて解釈でやりゃいいんじゃないかというのは余りにも乱暴過ぎる、私はそう思っております。  やっぱり、危機は我々の想定したとおり来ないんですよ、それが危機なんだから。七十日で終わるなんてあり得ない。大体、もう最悪の事態を想定するのが政治家の仕事でしょう。最悪の事態、つまり、衆議院も参議院も直下型地震でもう全く開けない、又は戦争になってしまって全く開けない、こうなったとき、一体どうするんですかね。緊急集会もへったくれもないよね、これ。  だけれども、そうなったときに、やはり早めに人命を救わなきゃいけない。先日、二〇〇四年の私の杉並区長時代の中越地震の経験を申し上げましたけど、もういざ危機というときは早く行動していかないと人命は救えないんですよ。だから、迅速性が大事で正確性は後。  だから、そういった意味でいえば、迅速に行動していかなきゃいけないときに予算も立てられない、それから新たな法令も作れない、こんなような事態で本当に人命を救えるのと。直下型地震のときはどう、日本が戦争に巻き込まれてしまったときはどうと。そういうときに、人命を救っていく、これを最優先にする政治がやっぱり行われなきゃいけないときに、そのときを想定してちゃんとレールを引いておかないと、いざというとき対応ができないと私は思います。  そういった意味では、今まで何人かの委員さんがお話しになったように、当然、最悪の事態、つまり、衆議院、参議院がもうぶっ潰れて、誰もこれ立ち上がれなくて、行えないときに、政府は何らかの対応をしなきゃいけないときに予備費も作れないって、そうなってしまったら一体どうやって予算を執行するんですか。その場合は、やはり政府が国会に代わって当分、当分の間、必要な予算措置をとる、つまり緊急財産処分、そしてまた法令をきちっと政府が定める緊急政令、こういったことをするのは当たり前のことじゃありませんか。  やはり、そういった国民の生命をまず第一に救うのであって、憲法を守って国民の命が失われるなんというのはね、逆ですよ、それは。だから、そういった意味では……(発言する者あり)静かに聞きなさい。そういった意味では、このまま行くと超法規的措置の連続になりますよ。  一九七九年か、ああ七七年か、ダッカで赤軍が日本航空の飛行機を、あれですね、ハイジャックしたときに、彼らの要求ですね、賠償金を出せとか、ああ、身の代金を出せとか、又は刑務所に入っている自分らの仲間を外へ出せとか言ってきましたよ。そのときに、当時の首相は、人命は地球よりも重いとか言って全部要求のんじゃったわけですよ。  こんなような超法規的な措置を連続させるということになりますよ。そういったことが二度と起きないようにしていくためには、我々立法府があるんじゃないかと、こう考えております。  そういった意味では、是非前に議論を進めてほしいと。人命を救うことが先、憲法はそれに合わせる、これが私は原則だと考えております。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 辻元清美君。

辻元清美立憲民主・社民

○辻元清美君 立憲民主・社民の辻元清美です。  本日、何人かの委員から出された緊急時における内閣による緊急政令等について意見を述べます。  改憲を主張する自民党などが緊急事態の対象として挙げている事態、一、大規模自然災害事態、二、テロ・内乱事態、三、感染症蔓延事態、四、国家有事・安全保障事態については、既にある法律、災害対策基本法百九条、国民保護法百三十条及び九十三条、新型インフルエンザ特措法五十三条に、緊急事態の際には内閣は次の各号に挙げる事項について必要な措置をとるため政令を制定することができるとあらかじめ書かれており、更に政令対応が必要な事項があるのならば、平時のときにこそ既にあるこの枠組みに追加していくことが現実的であり、憲法改正の必要はないと考えます。  既に、物資の供給制限、物価統制まで入っています。金融債務のモラトリアム、支払猶予も入っています。更に必要な事項があれば、緊急時が発生してからばたばたと対応を考えるのではなく、あらかじめ平時から必要な対応を検討し、必要事項があれば追加し、法律改正しておくことこそが立法府の責務だと考えます。  例えば、感染症蔓延事態。五月八日に新型コロナ対応が変わりました。この機会を捉えて検証をしっかり行い、緊急時の政令対応が必要な事項があれば、新型インフルエンザ特措法の五十八条、緊急政令事項に追加しておく必要があります。  災害対策基本法では、阪神・淡路大震災のときにこの緊急政令の項目が議論され、追加され、さらに、東日本大震災後の発災の翌年の二〇一二年にも改正され、さらにその後、南海トラフ地震を想定し、政府審議会で検討を重ね、二〇一三年に南海トラフ地震型の対応も改正されております。  この改正を取りまとめたのは当時の山谷えり子災害担当大臣です。このとき、山谷大臣の下で、政府審議会からも、参議院の緊急集会すら開けない事態での緊急政令も加えるべき事項があるのか、一切ないと、一つも指摘されていないのが現状です。取りまとめをされた山谷元大臣は緊急事態について憲法改正が必要だと主張されているようですけれども、矛盾しているんじゃないですか。必要事項があるのならば、なぜ大臣のときに既に法律に規定されている緊急事態の政令制定に追加をされなかったのか、その議論をしなかったのか、私はその理由を教えていただきたいと思います。  四月の十二日の本委員会で中曽根会長に、改憲による緊急政令の対象分野や具体的事例、立法事実を自民党などに本審査会への提示を求めましたが、本日に至るまで一つも提示されておりません。この国会が閉会されるまでに、平時の今こそ考えて、どんなことが必要だから政令が必要なのか、一つでも御提示いただきたいと思います。引き続きの御検討をお願いします。  会長、いかがでしょうか。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) ただいまの件につきましては、後刻幹事会において協議いたします。

辻元清美立憲民主・社民

○辻元清美君 私は、東日本大震災のときに総理補佐官で被災地対応をしました。このときも、緊急事態の政令が必要だと改憲を言った人たちがいます。しかし、現場の自治体の長が反対の声を上げたんです。むしろ、災害のときは、福島でも宮城でも、それから岩手でも、対応が違うんですよ。ですから、むしろ、中央政府の権限を緊急事態だからといって強くするのではなく、知事の権限を強めてくれという意見でした。コロナでも同じですよ。地域によって全く違いました。  そういう現状をしっかり見た危機対応を今こそやっておくべきなんです。改憲、改憲とおっしゃいますけれども、今やりましょうよ、その中身を、ここで議論を。  そして、最後にもう一点申し上げます。  東日本大震災から三か月もたっていない緊急事態の真っ最中に、自民党などは内閣不信任案を提出しました。緊急時には選挙ができないので、衆議院の任期延長をし、また、その場合の内閣不信任案の議決や解散の禁止という改憲を主張しながら、危機の真っ最中に内閣不信任案を提出したのは自民党ですよ。おっしゃっていることとやっていることが全く矛盾しているんじゃないですか。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 時間を過ぎておりますので、おまとめください。

辻元清美立憲民主・社民

○辻元清美君 これでは衆議院議員の任期延長も改憲の単なる口実にすぎないのではないかと申し上げて、終わります。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 安江伸夫君。

安江伸夫公明党

○安江伸夫君 緊急集会の限界はどこにあるのか、議員の任期延長等の要否とその内容を決するためにもこの点を明らかにすべきと述べてまいりました。  これまでも繰り返し指摘をされておりますが、憲法の規定を通覧するだけでも、緊急集会に対して国会と完全に同等の権限を付与することが困難であることについては異論がないところかと思います。すなわち、緊急集会は二院制の例外として位置付けられ、緊急の必要があるときに内閣の求めによって初めて開かれ、開会期間も文理上は最長七十日を予定し、そして緊急集会においてとられた措置は臨時のものであって、次の国会開会の後十日以内に衆議院の同意がない場合にはその効力を失うものと規定をされております。以上の規定を踏まえましても、緊急集会の機能は限定的であり、かつ暫定的であると解すべきです。  特に、緊急集会は七十日を超えて長期間開会されることが明示的には予定されていないことは大きな憲法的課題と考えます。七十日を超えてから緊急集会での対応が全くできないということを憲法が想定していないと考えたとしても、少なくともこれを超えてからは緊急集会の憲法上の許容性は経時的に後退すると考えざるを得ません。その意味するところは、緊急集会の民主的正統性の後退と言えます。したがって、この点については、まさに現行憲法の想定していない限界事例と捉えて対応を検討する余地があると考えます。  もっとも、緊急集会の具体的な権能の範囲が必ずしも明らかとは言えない状況は整理されるべきものと考えます。参議院法制局作成に係る資料におきましても、この点については解釈上議論があると指摘されております。緊急集会の限界を補う一つの方途として議員の任期延長等を論じ進めるのであれば、この解釈上議論があるとされている点について参議院として一定の見解を示すことは不可欠と考えます。  また、前回も、以前も指摘させていただきましたが、緊急集会において議員が発議できる案件の範囲についても同様と考えます。今後、本審査会に有識者を招くなどして、この緊急集会の権能の範囲や議員が発議できる案件の範囲についても議論を深め、共通認識を得られればと考えております。  さて、議員の任期延長等について緊急集会の限界を画した上での本格的な論議を当然望むところでありますけれども、衆議院等が先行していることを踏まえ、確認ないし留意すべき点を指摘しておきたいというふうに思います。  まず、衆議院の優越の有無についてです。  衆議院の憲法審査会等では、議員の任期延長等の要件として国会の承認が挙げられております。しかし、特に衆議院議員の任期延長等を承認する場合に、衆議院の優越は認められるのでしょうか。一般的に、その根拠として、衆議院は参議院に比して任期が短く、解散もあり、選挙を通じて国民の民意を反映しやすいという点にその優越の根拠が認められているとすれば、任期を終えれば議員としての身分を失うべき状況にあるわけですから、本来的には民主的正統性が後退ないし喪失していると言えます。したがって、任期延長等の判断において衆議院の優越の根拠は失われていると言えないでしょうか。これは、任期の更新に当たっても同様です。そうであれば、任期延長等の国会の承認には衆議院の優越は認められないと考えます。自明の理かもしれませんけれども、この点は重要な点として指摘しておきたいと思います。また、衆議院議員の任期延長等の判断において、選挙を通じた民主的正統性がより保持されている参議院が先議すべき事柄であることは言うまでもありません。  次に、在任中の任期延長等と解散又は任期満了に伴って身分を失っている際の延長と、すなわち全議員が身分復活を同等の手続で論じることについては、その妥当性について検討の余地があると考えます。なぜなら、前者はその時点においては民主的正統性が担保されている状況での判断にはなりますが、後者はそれが喪失された状態での判断であり、両者は質的に異なる状況での判断と言えるからです。そこで、例えば後者の場合については、まずは民主的正統性が担保されている緊急集会において衆議院議員の身分の復活を決し、その上で任期延長等について国会の議決を行うとすることが国民主権の原理にかなうのではないかというふうに考えております。  最後に、任期延長等を経た議員で構成される院の措置の効力についてです。  その院の措置は、本来の選挙を経ていない者で構成された院の判断という点において、民主的正統性が少なくとも後退した状態での判断とも評価できます。そうであれば、それらの措置を補完するための作用として、緊急集会の措置が事後的に衆議院議員の、衆議院の同意を要するのと同じように、将来に向けその効力を有するためには、選挙を経た議員で構成をし直した院による同意が必要ではないでしょうか。問題提起とさせていただきます。  いずれにいたしましても、憲法が想定をする民主的正統性が保持された参議院の意義を明確にしていくことが重要と考えていることを指摘させていただきまして、私の意見表明とさせていただきます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 浅田均君。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。  私たちが日本維新の会を立ち上げた目的の一つが統治機構の改革、すなわち新しい時代にふさわしい分権型国家の設立であり、グローバルに展開する都市間競争に負けない都市の構築です。新しい国家を形成していくということは、その基本となる新しい憲法を作っていくことと同義です。法の支配、人権、民主主義等の価値は遵守しながら、新しい憲法の柱として統治機構改革、教育無償化、憲法裁判所の設置を立党初期の改憲項目に掲げたゆえんです。  繰り返し述べていますが、憲法改正を最終的に決定するのは国民投票なので、改憲項目について国民レベルでの議論が必要です。国民の皆さんが議論していただくのに必要な前提、すなわち現行憲法についての問題点、また改正提案の内容と理由を知っていただかなければ議論は前に進みません。  本日のテーマは、四月五日に続いて、参議院の緊急集会です。参議院の緊急集会については、緊急集会を超えて、立法府のあるべき論から緊急事態条項の必要性を音喜多議員が先刻発言しましたが、これは四月五日の本審査会での発言を敷衍したものであります。  審査会会長にお尋ねしたいのですが、合区解消と参議院の緊急集会について一体何度議論すればよいのでしょうか。期限を切って一定の結論を得ないことには次のテーマに移ることはできません。  また、これも繰り返し述べておりますが、現行憲法は、米軍の占領下、マッカーサー総司令官、ホイットニー民政局長、ケーディス民政局次長らGHQと日本政府側との交渉を経て制定されたものです。日本政府が再び戦争を起こすことがないようにすることを目的の一つとしたことは当然のことだと思いますが、今日に至る国際情勢、とりわけ東アジア情勢の変化を見るにつけ、我らの安全と生存を平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して保持しようと決意したとした宣言内容がもはや通用しなくなっていることを認識すべきです。日本が武器を持つことがなければ世界の平和は維持されるという大前提は、既に崩壊しています。  核兵器とミサイル開発に余念がない北朝鮮は、平和を愛する諸国民の中に入るのでしょうか。また、ウクライナに三千八百発以上のミサイルを発射したと言われるロシアは、平和を愛する諸国民の中に入るのでしょうか。さらに、二〇三〇年までに少なくとも一千発の核弾頭を保有することを企図しているとされる中国は、公正と信義を信頼できる諸国民の中に入るのでしょうか。中国の習近平国家主席は、中国民族の偉大な復興の実現が近代以降の中華民族の最も偉大な夢だと思うと、就任直後から台湾統一という自分の夢を語っています。  不幸なことに、我が国はこれら全ての国々と国境を接しています。しかも、いずれの国とも領土問題を抱えていますが、この中で日本にとって一番脅威となるのは中国による台湾侵攻だと考えます。アメリカが台湾の救援に向かうときは集団的自衛権を行使できない日本がどのような後方支援をするかという問題ですが、中国が中国にとっては台湾に属する尖閣諸島を奪取に来るとき、これが我が国にとって最大の危機だと思われます。したがって、中国にいかに台湾への武力侵攻を断念させるかが我が国の最大の課題です。そのために、いかに抑止力を強化するか。  同時に、最悪の事態に備えて、実力組織である自衛隊に関する議論のみが先行しているように見えますが、憲法九条の中身も議論対象にすべきではないでしょうか。例えば、九条にある「国の交戦権は、これを認めない。」にある国の交戦権、ザ・ライト・オブ・ベリジェレンシー・オブ・ザ・ステートという言葉は、いかなる国際法辞典にもない言葉です。我が国に認められないこの交戦権とはどういうことを意味するのか、明確にするための議論は不可欠です。  本日のテーマは参議院の緊急集会についてでした。しかし、緊急集会だけでは十分ではないので、緊急事態条項の創設が必要であるという提案をさせていただきましたが、これだけでも十分ではありません。全く説得力のない憲法前文はこれでよいのか、私たちの世界認識はこれでよいのか、現行憲法ができてから今日に至る現実の変化が現行憲法に問いかけるものはたくさんあります。  以上でございます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 運営については幹事会で協議していきたいと思います。  古庄玄知君。

古庄玄知自由民主党

○古庄玄知君 自民党の古庄玄知です。  私は、日本国民は非常に不幸だというふうに考えております。というのは、自分たちの手で憲法を作ったこともなければ、この七十六年間、憲法改正の機会に一度も恵まれていないということです。  今日は、衆議院任期満了後の参議院の緊急集会が認められるかどうかについて意見を述べさせていただきます。  憲法五十四条二項は、衆議院が解散された場合というふうに明確に解散というふうに書いております。解釈でこれを認めるということになれば、この解散の中に任期満了が入るかどうか、そういうふうにこの文理から読めるかということが言えなければなりません。しかしながら、任期満了は解散とは明らかに違います。したがって、解釈でこの任期満了の場合も含めるというのは私は根本的に間違っていると思います。しかも、この解釈、読めるかどうかというのは一般人を基準にして考えるべきですけれども、一般人を基準にしてもそのようには読めないと思います。  ただ、類推解釈をするという説があるというふうなことをお伺いしました。しかしながら、私は、憲法の条文を類推解釈することは妥当ではないというふうに考えております。その理由は次のような点です。  まず第一点、権力者により自己に有利に類推するおそれがあるからです。二番目に、この一定の国民の権利を制限する場面で類推解釈するということは妥当ではないと考えております。刑法において類推解釈は禁止というのがもう大前提になっております。それから、例外的、緊急的措置である以上、厳格にこれは限定して解釈すべきであろうというふうに考えております。さらに、憲法は国の根本規範ですので、これに類推という、類推解釈あるいは類推を適用することは間違っているというふうに思います。  したがって、原則どおり解散以外の事由でこういう緊急事態に対処するためには、憲法を改正しなければならないというふうに考えます。  憲法に違反するかどうか、これについてこの立法府の場で議論をしたとしても、最終的にそれが裁判所に認められなければ憲法違反ということになります。憲法八十一条は違憲立法審査権は裁判所にあるというふうに書いていますから、幾らここで国会でこういうふうに解釈する、こういうふうにすればいいんじゃないのと言ったとしても、それが裁判所で認められなければ最終的にはひっくり返されると、そういう運命になろうかと思います。  先ほど申しましたように、解散の中に任期満了は含まれないというふうに考えております。  合憲説、これは解釈の問題と必要性の問題を混同しているのではないかと思います。必要性があることは私も認めます。しかしながら、それは憲法をきちんと原則どおり改正して、その必要性を満たせばいいのではないかと思います。合憲か違憲かという不毛な議論にそれによって終止符を打つべきであろうと思いますので、是非憲法改正をしてこの問題に終止符を打つべきではないかというふうに考えております。  以上です。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 打越さく良君。

打越さく良立憲民主・社民

○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。  最近の衆参の憲法審査会で、選挙の実施が困難な場合には国会議員の任期を延長できるよう改憲すべきだとの主張が展開されていますが、立法事実も定かではなく、また、内閣の権限濫用のおそれと国民主権の原理への弊害を拭うことはできず、反対です。  任期延長を唱える主張において、肝腎の選挙の実施が困難な場合という要件は曖昧です。曖昧なままではどのような事態でも選挙の実施が困難な場合に該当すると認定でき、恣意的な濫用の歯止めにはならず、権力の抑制と均衡が崩れてしまうからです。  選挙の実施が困難な場合の前例があります。一九七四年七月七日、三重県の一部で、台風八号の影響で選挙が実施できない地域で繰延べ投票が実施されました。今でも国会議員の補欠選挙が数か月行われないこともありますが、特に問題とされていません。比例代表でも、投票できる地域は確定させ、投票できない地域は繰延べ投票で対応すればいいだけです。  この点、改憲を主張する五会派は、参議院の緊急集会は二院制の例外と主張します。参議院の緊急集会は、緊急事態に際しても国会中心主義を貫くための制度です。国会中心主義は、明治憲法時代の立法二元制の反省に立った原則です。明治憲法の下では緊急勅令や独立命令など議会を通さない立法の仕組みがあり、そのため民主主義的基盤のない立法がなされた反省に立って、日本国憲法は四十一条で国会が唯一の立法機関であると定め、国会中心主義を原則としたのです。  参議院の緊急集会は、緊急事態に際しても国民主権を貫徹させるための制度です。緊急集会が例外だから問題だというのであれば、議員任期延長は国民主権の例外の例外であり、明治憲法下における緊急勅令や緊急財政処分こそが立憲主義という近代法の基本原理の例外であることと同様に問題ではないでしょうか。  参議院の緊急集会は、明治憲法の反省を踏まえて設けられたものです。いたずらに議員任期延長論に傾き、例外に例外を設けようとすることは、選挙権の保障に関する国会の怠慢とのそしりを免れません。立憲主義や民主主義をわきまえない不見識は避けるべきです。  かつて我が国では、衆議院議員の任期延長が一度だけ行われました。一九四一年に衆議院議員任期延長法が特例法として立法されたのです。明治憲法には衆議院議員の任期の定めがなかったから可能だったわけですが、いま一度、当時の背景を振り返ってみましょう。  延長の理由とされたのは、今日のような緊迫した内外情勢下に短期間でも国民に選挙に没頭させることは、国政について不必要にとかく議論を誘発し、不必要な摩擦、競争を生じせしめて、内治外交上甚だ面白くない結果を招くおそれがあるのみならず、挙国一致、防衛国家体制の整備を邁進しようとする決意について疑いを起こさしめぬとも限らぬので、議会の議員の任期を延長して、今後ほぼ一年間は選挙を行わぬこととしたと、「第七十六帝国議会新法律の解説」の中で解説されています。  憲法学者の高見勝利先生は、任期延長は戦争遂行の国内体制を整備するためのものであったというのが、少なくとも我が国における衆院議員の任期延長の実例が示すものであると厳しく批判しています。私には、国会議員の任期延長は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言した日本国憲法前文からは最も遠いものに感じられます。  そういえば、十年前の二〇一三年、憲法九十六条、憲法改正の発議要件緩和が議題になっていました。今では全く聞きません。感染症対応の不手際を憲法のせいにしようとしてでしょうか、一昨年、昨年は、感染症対応が主たる話題となりましたが、法的手当てでできてしまうことが明らかになったからか、最近は下火です。改憲自体が自己目的化しているかのように、その都度その都度進められそうなテーマに飛び付いてはブームが去り、また次のブームに飛び移る、そんな改憲自体が自己目的化した議論は、私たち参議院は避けるべきです。  以上で私の意見表明といたします。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 小林一大君。

小林一大自由民主党

○小林一大君 自由民主党の小林一大です。  発言の機会をいただき、ありがとうございました。  当審査会では、今国会、これまで参議院の緊急集会について二回、委員会の意見交換を行いました。  以下、幾つかの論点に対する委員会の意見交換の状況について私なりの認識と所感を申し述べさせていただければと思いますけれども、その前に、先日も石川県能登地方で大きな地震がありましたが、改めて我が国の大規模自然災害、特に甚大な被害をもたらした震災について少しだけ触れたいと思います。  本年は、東日本大震災から十二年、阪神・淡路大震災から二十八年、そして関東大震災からちょうど百年の節目です。各震災の規模は、関東大震災がマグニチュード七・九、阪神・淡路大震災がマグニチュード七・三、そして東日本大震災の規模はマグニチュードで八・八とされています。  私の地元新潟県も、昭和三十九年の新潟地震以降、度々マグニチュード六台後半から七台半ば規模の震災に見舞われていますけれども、ここ東京でも首都直下地震への備えが国家規模の喫緊の課題となっておりますけれども、マグニチュードが一上がるたびに地震のエネルギー量は飛躍的に増大するため、どの程度の規模の地震が発生するかにより、国会周辺を始めとする首都東京の被害状況も大きく変わるものとされます。  現在、主に衆議院で緊急事態に関する議論は、パンデミックへの対応はもとより、北朝鮮の弾道ミサイルへの対応等、平時とは異なる次元の事態への対応が課題となっていると理解していますけれども、国民の生命と財産を守る責任を担う私たち国会議員が国会の、国家の重大な危機に対してどう向き合うかが問われているものであり、私たち参議院としても、緊急集会の議論とともに、現実的な課題として緊急事態の対応に取り組んでいくべきものと思います。  さて、本審査会で緊急集会の議論についてですが、まず、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合に緊急集会を開くことについて各委員から様々な意見がありました。これを容認する意見が多かったと思いますけれども、更に議論を重ねるべきとの意見もありました。  また、緊急集会を開く期間については、最長七十日間とする旨の御意見、また七十日を超えることも許容し得る旨の御意見がありました。この点、現行国会法の百二条の二に基づき、緊急の案件が全て議決されたときは緊急集会が終わったことを議長が宣告することとなっているように、その期間は緊急集会において扱う案件の範囲とも密接に関わるものと思います。  次に、緊急集会で議員が発議できる議案の範囲については、事実上広いものである旨の意見、内閣による広範、抽象的な案件の設定等は本当に許されないかとの意見、広範な措置を随時講ずる必要がある場合は包括的に案件を示すほかないとの意見、緊急集会中に国の緊急の必要性がある新たな案件が発生した場合に、総理大臣が新たな案件を示し、議員側もその新案件に関連する議案を発議できるようにする旨の提案など様々な意見がありましたが、緊急集会で議員が発議できる議案の範囲については柔軟性を持たせることを認めるべきと考えています。  また、緊急集会の権能の範囲については、解釈上の議論があるとの意見、国会の権能の全てに及ぶとの考えの下、特別会の召集を待てない程度の即時に対応すべきものに限り広く認められるとの意見、二院制の例外として国会と同等の権限を認めることは困難との意見、緊急の必要性のないものや案件の性質上参議院単独で扱えないもの以外は認められる旨等の意見がありましたが、これら総論的な方向性とともに、内閣総理大臣の指名、内閣不信任決議、条約締結の承認等、具体的な対象についても本院として更に議論を進めるべきと思います。  なお、国会議員の任期延長については、憲法改正により認めるべきの御意見、憲法改正により認めることに反対の旨の御意見がございましたけれども、私自身は、憲法に定められた参議院の緊急集会の意義を十分に踏まえた上での丁寧な検討が求められていると思いますし、本院におきましても緊急集会の在り方について具体的な議論が一層進むことがこの問題を考える上での大前提であると考えますので、更に議論が深まることを望んでいます。  加えて、先日の審査会でも申し述べさせていただきましたけれども、私たち参議院の緊急集会の制度が十分に活用されるか否かは内閣の求めがあった上でのことであり、本院が今後とも主権者である国民の皆様始め関係各所からの信頼を培っていけるような活動が求められていることを申し述べて、発言とさせていただきます。  ありがとうございました。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 古賀千景君。

古賀千景立憲民主・社民

○古賀千景君 私からは、緊急集会の歴史的な意義を中心に意見させていただきます。  衆議院の議員任期の延長の議論では、緊急集会が災害などの有事を想定していない平時の制度であると繰り返し述べられています。しかし、それがまさに憲法制定の立法事実に反することは、今まで二回の本審査会での議論で明らかになっています。  また、実はこのことは、東日本大震災と国家緊急権との議題で開催された平成二十四年五月十六日の本審査会において、当時、上智大学法科大学院教授であられた高見先生より、緊急集会と罰則の委任に当たるような規定はGHQ草案には全く存在しなかったということが起点であります、そこで、政府案の起草の際に、日本側から、我が国では毎年のように台風や地震などの大災害に遭っているが、こうした大災害が突発し、しかも衆議院の解散などで国会が開けないとき、緊急に立法措置等を講ずる必要が生じた場合にどうするかを争点化したわけであります、これに対してGHQ側は、当初、この場合には内閣が超憲法的な国家緊急権で対処すればよいと応答しています、そこで、日本側は、これから憲法を作ろうとするときに超憲法的な運用を予想するようでは、憲法に緊急権の定めが置かれていた明治憲法以上の弊害の原因になる、全てが憲法の定めるところによって処理されるようにすることがむしろ筋道なのではないかと反駁したのであります、この正論に対してGHQ側は反論に窮し、憲法五十四条の参議院の緊急集会と七十三条の政令への罰則の委任の規定が明記されることとなったのでありますと、緊急集会と災害対策基本法などの緊急政令制度の立法経緯が御説明されているところです。  したがって、緊急集会は平時の制度であり、それがゆえにこの開催期間は七十日間が限度などの主張は、憲法と我が参議院をないがしろにするものと言わねばなりません。  また、憲法制定議会の金森担当大臣による、民主政治を徹底させて国民の権利を十分に擁護するため、そして、前回も申し述べましたが、どんなに精緻なる憲法を定めましても、口実をそこに入れてまた破壊せられるおそれ絶無とは断言し難いとの緊急集会の根本趣旨は、どんなに強調しても足りないものです。  この一年以上、衆議院の憲法審査会の改憲派においてこの金森大臣の根本趣旨が語られることはなく、議員任期の延長と緊急政令の改憲議論が行われていることは、権力の濫用を防ぐために作られた緊急集会の根本趣旨も議論せずに濫用可能な憲法改正を議論するというものであり、まさに立憲主義への理解が問われる事態と言わねばなりません。  そして、緊急集会の立法事実である明治憲法の弊害たる戦前の権力濫用には、一九二八年の政府の緊急勅令による治安維持法の改悪や、日中戦争を理由とした一九四一年四月からの一年間の衆議院議員の任期延長があります。日本の歴史において最も国民の判断が問われるべきときに総選挙が実施されませんでした。このことが戦争の惨禍をもたらした一因と考えることもできます。  このように、改憲による緊急政令によって通常の衆参議会では立法できない法律が制定される危険、さらには、任期延長が時の総理や国会多数派に濫用される危険に真正面から向き合い、緊急集会の意義を確認し、むしろその機能強化の議論を行うのが日本国憲法下の私たち国会議員の使命であると考えます。  こうした歴史の教訓から考えると、今、憲法の臨時緊急制度は濫用されているとも言えるのではないでしょうか。  前回の私の意見で幹事会協議事項とさせていただいた、コロナ禍での政府・与党による臨時国会召集義務違反です。この協議事項についていまだ回答がないものと承知しておりますが、このほかにも、我が参院憲法審査会には憲法九条の違憲問題などの幹事会協議事項が積み上げられています。  平成二十六年の本審査会の附帯決議には、立憲主義及び憲法の基本原理に基づいて徹底的に審議を尽くすと明記してあります。  最後に、中曽根会長、いまだに宿題となっている平成二十八年から平成三十年まで並びに昨年の第二百八回及び第二百十回国会の協議事項について、改めて幹事会協議案件として本審査会でしっかりと議論することを求めさせていただきます。  また、今回、私は資料の配付を求めましたが、許可いただけませんでした。同じ内容を昨年は配付させていただいております。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 時刻を過ぎております。おまとめください。

古賀千景立憲民主・社民

○古賀千景君 今年はなぜ認めていただけなかったのか、その御説明もお願いいたします。  以上、私の意見とさせていただきます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) ただいまの件につきましては、後刻幹事会で協議をいたします。  熊谷裕人君。

熊谷裕人立憲民主・社民

○熊谷裕人君 立憲民主・社民の熊谷です。  憲法五十四条によって、衆議院解散と総選挙の間は四十日以内、総選挙と国会召集の間は三十日以内とそれぞれ限定されています。これは議会制の歴史を反映しているのです。解散は議会と行政府の対抗関係が端的に表れる場面であり、とりわけ解散をした後の選挙結果が行政府にとって望ましいものでないときに再度の解散をあえてすることすら歴史にあったからで、この四十日と三十日は行政による解散権の濫用を防ぐためであり、行政府による解散後に選挙は無制限に延期され、民意に基づかない長期政権が継続することを防ぐ目的もあると認識していますし、そのような可能性はこの憲法五十四条及び七十条によってはっきりと否定されたものになっています。  任期延長を主張する皆さんの案を見ると、延長中に解散禁止が必要とされています。だとすれば、解散権濫用の危険が少ない緊急の事態に際して七十日を超えて参議院の緊急集会を開催するのは、緊急の事態の際にはやむを得ない対応であると考えるのが自然ではないかと考えています。そして、緊急集会の開会期間を七十日間とするのは論理的な整合性はないし、法的な根拠はないと考えています。  参議院の緊急集会を要求するか、いかなる措置を求めるかは内閣の判断であり、そもそも緊急集会が要求されない可能性もあると思います。そして、衆議院が存在しない状況で参議院の緊急集会を認めないのであれば、緊急の事態の法理に依拠するなどして、内閣が単独で必要な措置を講じる事態を招きかねません。さらに、憲法が定める制度をできる限り用いて権力の抑制と均衡を確保することは憲法の趣旨にかなうことであり、だからこそ、緊急時にも国会が機能するには、両院同時活動の原則の例外としての参議院緊急集会制度は、国民主権の観点から衆議院の任期満了時にも認められるべきと考えるのが必然であると私は考えています。  また、仮に議員任期を延長しても、国会が召集されて議論が行われなければ意味がありません。私は、以前に、臨時国会開会要求に応じない歴代内閣の態度は憲法五十三条違反であると指摘しています。まずは、憲法五十三条違反に関しての立法措置を具体化するための論議が必要だと思っています。  参議院緊急集会の効力を七十日間とした上で、緊急の事態であるならば、内閣は自らに不利な状況であれば国会を召集しないことがあり得るということがないようにしなければならないと考えています。議員任期延長を唱える皆さんはそこをどう考えているんでしょうか。憲法五十三条の臨時国会召集に関する政府解釈は幹事会協議事項にもなっているので、次回の当審査会までに、特に与党の皆さんには明確にしていただきたいと思います。  緊急事態を口実に選挙もせずに議員任期を延長し、長期政権を可能にすることの方が、過去の歴史を踏まえると比較にならないほど危険であると考えています。  参議院憲法審査会で論議されている緊急事態を名目とする、失礼しました、衆議院憲法審査会で議論されている緊急事態を名目とする議員任期延長の憲法改正は、民意に基づかない長期政権維持の手段を権力者に与える危険性があり、こうした憲法改正は国民主権の観点からも危険だと思っています。  国民の代表者である議員を選挙によって制定する国民の権利は、国民の国政への参加の機会を保障する基本的権利として議会制民主主義の根幹を成すものであります。国民の選挙権、またその行使を制限することは原則として許されず、たとえ緊急の事態の下にあっても、できる限りの投票環境の整備を事前に行わないことは国会の不作為であり、その下で憲法改正による議員任期の延長ばかり論議を進めようとするのは、先ほどの杉尾幹事の発言でもあった最高裁の判断と同様ではないかと思っています。  このことを鑑みれば、選挙自体、選挙実施困難要件を定めるのではなく、緊急の事態の下であっても選挙を実施するための所要の措置をとることが必要であり、措置をとらないことは国会の不作為となりかねず、まずは選挙実施を可能とする郵便投票の拡充やオンライン投票の法整備などの所要の措置を考えなければいけないと思います。  最後にもう一つ、与党の皆さんが任期延長、議員任期の延長が必要だと唱えるのであれば、よもや衆参ダブル選挙などが行えないような法的措置を整備するべきと私は提案して、意見としたいと思います。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 山本太郎君。

山本太郎れいわ新選組

○山本太郎君 緊急事態条項を作りたいという議員たち、参議院緊急集会を七十日以上開けない国会の空白を生まないために衆議院任期延長が必要だと主張される方々、この国会の空白期間が生まれることはならぬと主張する方々の中には、これまで国会の空白期間をつくり出してきた常習犯であった、そんなようなお話をしたいと思います。  七十日を超える、しかも大幅に超える国会の空白を自公政権は意図的に繰り返し生み出してきました。それも、困窮する国民にとって待ったなしの非常時に空白期間をつくり出すんです。早急な補正予算編成、緊急対策が求められるといった状況で空白を長引かせるのが特徴です。  二〇二一年六月十六日、通常国会が終了。次の臨時国会までの空白期間は百九日間続きました。憲法五十三条に基づく野党からの国会召集要請は無視。コロナ禍に苦しむ中小企業も国会審議を求めていたのに無視。当時は第五波の真っただ中、医療機関はパンク、感染者は自宅で放置されていたのに無視。菅政権は国会を開かずに退陣です。自民党は国民の苦境に見向きもせず、総裁選に明け暮れて、ようやく成立した岸田政権で十月四日に臨時会召集。大した議論もなく、十日後に衆院解散。  二〇二〇年通常国会終了後、コロナ禍で医師会などは法整備のための早期国会審議を求めていました。しかし、アベノマスク批判から逃れるためにも、安倍政権は野党の国会召集要請に応じず、空白期間は九十日間にも及んだ。  ほかにもまだまだあります。共謀罪を強行に成立させた直後、二〇一七年六月十八日に安倍政権は国会を閉じた。次の臨時国会まで百一日間の空白。モリカケ疑惑の追及から逃げたと批判される件です。そして、安倍政権は九月二十八日、臨時国会を開くも、途端に衆院解散。このときの解散の理由が国難突破解散。国難とは何ですかと問うた場合に、これ、少子化が国難なんですというふうに総理もその後答えているんですね、何度も。少子化が原因で国難突破する必要があると。で、今になって何やっていますか、異次元の少子化対策。二〇一七年から具体的な対策取られていなかったということの証拠じゃないですか。  話を戻します。  国会の空白づくりの常習犯、自民党が、七十日以上国会が開けなかったらどうするのか、憲法改正だと、さも深刻げに心配する姿が非常に白々しく映ってしまいます。国会の空白期間を心配するなら、百日を超えて国会を放棄し、国民を放置してきた、党利党略、保身のために国会の空白期間を常習的につくり出してきたことへの反省を述べることから始めなければお話になりません。  当初、本日は参考人質疑を行う予定でしたよね。参考人の日程が調整できないから、このような形での開催となった。何も無理やり開く必要はないんですよ。参考人の調整が付かないなら、審査会の日程を延期すればいいだけなんですね。毎週開催することで回数を積み重ね、意見は出尽くした、議論は尽くした、そう言って憲法改正に誘導したいんじゃないかなって疑いたくなっちゃうんです。  本来議論すべき数々の違憲状態について何も審議せず、緊急事態条項絡み、改憲ありきと思わせるような毎週開催は不健全。これは国民から憲法審査会への信頼を失わせるものだと思っています。  国民の優先順位は改憲ではなく、目の前の生活。三十年に及ぶ不況の中で、コロナに物価高、憲法違反状態の中で苦しむ国民の現状をしっかりと議論することが優先順位の最上位ではないですか。政治的野心達成のためではなく、国内の安全保障を三十年間放置し、国民の多くを傷つけたことへの反省も踏まえた上で、本審査会のテーマ設定をもう一度やり直す必要があると考えます。  終わります。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 他に御発言もないようですから、以上で委員間の意見交換を終了いたします。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時四十分散会

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