憲法審査会 第2号
- 発言数
- 55 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2023/04/12
会議録
○会長(中曽根弘文君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。 本日は、憲法に対する考え方についてのうち、参議院の緊急集会について委員間の意見交換を所要一時間三十分を目途に行います。 発言を希望される方は、氏名標をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言願います。 発言が終わりましたら、氏名標を横にお戻しください。 一回の発言時間は各五分以内でお述べいただき、法制局に答弁を求める場合は、答弁を含め五分以内といたします。 発言時間につきましては、経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らしますので、あらかじめ御承知願います。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、発言を希望される方は氏名標をお立てください。 牧野たかお君。
○牧野たかお君 自民党の牧野たかおです。 参議院の緊急集会について、私の見解を申し上げます。 参議院の法制局からの説明や審査会での議論を通じまして、私は、国会召集ができない場合に緊急事態が発生したとき、できる限り民主政治を徹底するための暫定的な対応として参議院による緊急集会の規定を設けたというふうに、という趣旨があるというふうに受け止めました。参議院の緊急集会をめぐる四つの大きな論点についても、その趣旨を踏まえて考えるべきだと思います。 第一に、条文上明示されている衆議院が解散されたときというのは、それほど長くない期間の一時的な衆議院議員の不存在の例示でもあると考えます。したがって、任期満了後の衆議院議員の不存在も解釈により緊急集会に含まれると考えます。 第二に、緊急集会を開く期間については、解散が衆議院議員の不存在の例示ということであれば、特別国会が開催されるまでの最長七十日間であると考えます。 第三に、参議院の緊急集会を求めることができるのは内閣だけであり、参議院が自発的に集会を行うことができないと考えます。ただし、昭和三十年改正による国会法百一条の規定では、参議院議員は当該案件に関連のあるものに限り議案を発議することができるとされており、国の最高機関の一翼を占める参議院の位置付けを踏まえるならば、議員が発議できる議案の範囲については事実上広いものであると捉えることができると思います。 第四に、緊急集会の権能の範囲については、それほど長くない期間の衆議院議員の不存在を念頭に、民主政治を徹底させるという趣旨を踏まえれば、国会の権能の全てに及ぶとの考えの下、特別会の召集を待つことができない程度の即時に対応すべきものに限り、広く認められると考えます。 一方、参議院の緊急集会を超えた事態が発生したときに、憲法に条文がないエマージェンシーパワーに委ねることには民主政治の視点からの議論が必要だと考えます。 早急に結論を得るべき論点の一つは、解散後七十日間を超えて国会を召集できないほどの緊急事態が発生しているときでも参議院の緊急集会で対応するのか、あるいは議員任期の特例を設けるかということだと思います。 憲法学者の中には、七十日間に縛られず、衆議院総選挙及び国会の召集がこうした事態の収束まで延長できるという考えもありますが、その一方で、憲法五十四条の解釈については条文の文言どおりに解釈すべきという学者の意見もあります。 いざというときに議論をしているということはできませんので、国会議員がこの場に集まることができるかどうかも分かりません。世界で起きている今の厳しい現実を踏まえ、起こり得る最悪の事態に備えて、憲法に対する考えをはっきりさせることが今求められていると思います。今こそ、参議院としてしっかり議論を深め、憲法にこの緊急集会をどう位置付けるかという結論を得るべきと考えます。 以上です。
○会長(中曽根弘文君) 杉尾秀哉君。
○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉です。 前回の本審査会では、参議院法制局が提示する緊急集会の四つの論点について私たちの会派の見解を申し上げました。また、与党を始めとした各会派からも私たちと同じ問題意識や考え方が近い憲法解釈も示されていまして、大変有意義な意見交換だったと考えます。中でも特筆すべきは、緊急集会に関する論点整理、検討は急務という意見で、今後、参考人質疑も含めて議論を更に深めていく必要があると思います。 なお、前回私が触れました憲法制定時の金森大臣の答弁、戦前の反省から、民主政治を徹底させ国民の権利を十分に擁護するため、万年議会である参議院に国会代替機能を定めたという緊急集会の根本趣旨は衆議院ではほとんど議論されておりません。こうしたいわゆる七十日間限定説のような改憲ありきの意図的かつ便宜的な解釈論とは、私たち参議院は一線を画すべきことを申し添えさせていただきます。 その上で、先週の議論を踏まえて、私からは衆議院議員の任期満了後の緊急集会の可否について更に申し上げたいと思います。 先週、私たちの会派の打越委員から、高見上智大名誉教授のもちろん解釈、それから土井京大教授、只野一橋大教授の類推解釈、これらを紹介しながら、二院制の下での参議院の存在理由でもある緊急集会の重大な機能及び参議院の権威に懸けて、任期満了後も緊急集会は開催できる旨の説明がありました。 これについて、先週、自民党の山本筆頭幹事から、衆議院の解散というのは衆議院議員の不在の例であり、制定経緯の第三回交渉で衆議院の解散等の事情によりの等が日本政府側から示されていること、あるいはまた、貴族院での質疑で金森大臣が改選期云々という答弁をされたことからしますと、任期満了による衆議院の不在を含めていると解することも可能だという、こうした注目すべき発言もございました。 ここで山本筆頭が述べられたとおり、緊急集会制度の立法経緯に照らせば、当時、日本政府が衆議院の解散以外の国会を召集できない場合についても想定し、検討していたことは明白であります。としますと、任期満了後にも緊急集会が可能だというもちろん解釈や類推解釈の法的正当性が一層明らかであること、また、任期満了の場合であっても、五十四条三項の衆議院の事後同意が担保されていること、さらに、土井教授が指摘するように、議院が存在しない状況で緊急集会を認めなければ内閣が独断で必要な措置を講ずる事態を招きかねないこと、こうしたことを考えますと、憲法五十四条二項を衆議院の任期満了後の緊急集会も可能と解することは立憲主義とも符合するというふうに考えております。 これについて、公明党、佐々木さやか委員は、前回、現実問題として緊急集会で対応するほかないのではないか、緊急の場合、参議院の緊急集会は全国民の代表として行政権に対する民主的コントロールに及ぼす重要な役割を担うもので、国民の基本的人権を保障し、行政権の濫用を防ぐためにも緊急集会が果たすべき役割は極めて重い、こういう発言をされました。これらの見解には私たちも深く賛同するものであります。 そこで、最後に、法的問題について参議院法制局長に伺います。 仮に衆議院議員の任期満了後も緊急集会を開催できるという憲法解釈に立った場合、現行の国会法の条文改正は必要になるんでしょうか、どうでしょうか。
○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。 衆議院議員の任期満了後の総選挙の場合の参議院の緊急集会の可否につきましては、様々な議論のあるところであり、先生方において御議論の上、御判断される問題であると思っております。 その上で、仮に任期満了後の衆議院総選挙の場合の緊急集会について、憲法上可能であるとの見解を取るのであれば、現行の国会法では、文言上、緊急集会を開くことができる場合を衆議院解散時に限定するような規定は設けられていないことから、国会法を改正する必要はないとの理解が可能ではないかと考えているところでございます。
○杉尾秀哉君 今お聞きいただきましたように、国会法の解釈で対応可能ということであります。 私たちの会派は、憲法五十四条二項の解釈により衆議院の任期満了後も緊急集会が可能というふうに考えますけれども、その解釈と両立するものとして、国会法や公選法の改正により任期満了前に必ず総選挙を実施するという制度改革案があることをこれまでの本審査会でも何度も指摘させていただいております。どうか皆様も御検討をよろしくお願いいたします。 以上です。ありがとうございました。
○会長(中曽根弘文君) 安江伸夫君。
○安江伸夫君 公明党の安江伸夫です。 現在、衆議院の憲法審査会において、緊急事態に関する論点整理が進み、とりわけ議員の任期延長に関する議論が詰められている状況にあります。 我々参議院としては、こうした衆議院の議論を踏まえつつも、それに過度に引きずられることなく、一つ一つの議論を整理していくことが重要と考えます。すなわち、緊急事態における現行憲法下での課題は何か、問題への対応として議員の任期延長等の憲法改正まで要するのかといった事柄について丁寧な議論が必要なことは言うまでもありません。仮に我々が衆議院の論議を追随するようなことがあっては、それこそ参議院は不要との議論にもつながり得るのであり、まさにこの憲法審査会での審議を通じて良識の府としての矜持を示し、責任を果たすべきものと考えます。 さて、参議院法制局から緊急集会をめぐる論点が説明されているところです。まずは、これらの論点の一部についての意見を述べます。 第一に、任期満了による総選挙の場合の緊急集会の可否についてですが、肯定的に捉えることに理があるものと考えます。確かに文理上は衆議院が解散されたときと明記してあります。しかし、かといって、任期満了に伴って衆議院が不存在となり、かつ何らかの事情で選挙を行うことができない場合において、その必要性があるのに緊急集会を行わないとすれば、国会の機能が停止してしまいます。もし仮にそうだとすれば、長谷部恭男先生が指摘されるように、内閣が緊急事態の法理に依拠するなどして単独で必要な措置を講じる事態を招きかねないという懸念も生じ、それこそ憲法が想定しない事態ともいうべきではないでしょうか。 緊急集会は、まさに衆議院の不存在の状況において、緊急の必要があるときに国会の機能を維持して民主的な統制を維持するために設けられたものであり、任期満了の際も開会できると解するべきではないでしょうか。 第二に、緊急集会が開くことができる期間についても議論があります。文理上、衆議院解散・総選挙を経て特別会が召集されるまでの最長七十日間とも読めますが、第一の論点でも言及したように、緊急集会が衆議院の不存在という緊急事態において国会の機能を維持することに意義があると理解する立場からは、緊急の必要が継続する限り開催できると理解することが妥当ではないでしょうか。もっとも、緊急集会が二院制の例外中の例外であることから、あくまでもその機能は暫定的なものであり、可及的速やかに総選挙を実施し、原則の状態に復帰させることが憲法上の要請であることは言うまでもありません。 第三に、これは問題提起にとどまりますが、参議院の緊急集会の権限の範囲を憲法論としてどのように捉えるべきでしょうか。議員の任期延長の議論も、これをどう捉えるかによって結論が異なってくるものと考えております。すなわち、文理上は緊急集会の開会は内閣が求めることになっていることに加えて、臨時会と異なって、議員による招集の要求もできません。また、緊急集会があくまで二院制の例外として暫定的な機能であることにも鑑みれば、国会と同等の権限を認めることは困難ではないかとの議論があるところです。 この点、現行の国会法九十九条一項が緊急集会は総理が案件を示して請求することとし、同法百一条や百二条は緊急集会で議員が発議できる案件や請願は総理が示した案件に関連あるものに限るとしています。こうした規定が、こうした規律が憲法上の要請であって、法改正等によってもその範囲を拡大できないとすれば、どういった問題が考えられるでしょうか。とりわけこの点についての議論を本審査会において深めることができればと考えております。 このほか、本日のテーマではないため別の機会に譲りますが、仮に衆議院議員の任期延長を論ずるとしても、参議院議員の任期延長はどういうことになるかということも論点整理されるべきです。参議院の半数が任期満了を迎えつつ、何らかの事情で選挙ができない場合も理論上は想定され、例えば衆議院及び参議院の半数が存在する状態をどう考えるべきでしょうか。 また、緊急事態の対応の一つに緊急政令、緊急財産処分に類する規定の要否が論じられるところですが、我が党といたしましては、消極の立場を取ります。明治憲法から現在の憲法になった際、民主的統制を強化するために旧来の緊急勅令や緊急財産処分の規定はなくなり、言わばその代替として参議院の緊急集会の制度が創設された経緯などを踏まえますと、緊急政令等の規定の憲法としての許容性には疑義があるものと考えます。また、法に基づく政令委任や予備費などで措置可能であることから、必要性にも乏しいものと考えております。 以上で私の発言を終わります。
○会長(中曽根弘文君) 浅田均君。
○浅田均君 参議院の緊急集会について意見を述べます。 参議院の緊急集会は、衆議院が解散されたとき、国会の機能をどう維持するのかという議論です。これは、私たちが言う緊急事態のごく一部の話でしかありません。司法機能も行政機能も立法機能も喪失した事態さえ想定しておく必要があると思いますが、私たちは現実的な緊急事態条項を条文化しました。しかし同時に、関連する現行憲法の問題点も解決する必要があります。 以下、問題点を指摘します。 令和三年五月十九日の当審査会で、私は、現行憲法の成立の過程と憲法条文の関連について、特に九条の成立過程について発言しました。今回は、まず九条に関することで、条文以外で私が問題であると思う点を三点指摘したいと思います。 一点目は、主権、国家主権に関してです。 現行憲法は、前文で、ここに主権が国民に存することを宣言し、ソブリン・パワー・リザイズ・ウイズ・ザ・ピープルと、主権在民について述べていますが、国家主権、ソブリン・パワー・オア・ソブリンティーそのものについては何も書かれていません。これは、国連憲章二条一項にある加盟国の主権平等の原則、ザ・プリンシプル・オブ・ジ・イコーリティー・オブ・オール・イッツ・メンバーズと同じだと考えられますが、世界中の国が国家主権を持っているということを述べているだけで、肝腎の主権、国家主権が何であるかは何も記載がありません。 ウェストファリア条約によって初めて成立した主権国家体制、つまり、国家より上位の権力を認めず、ここでは国連等の国際機関は除外しておきます、国家間が対等な立場に置かれることを前提とした国家間関係は今も生きているということになります。この主権国家は、一、国境により他国と区別された領土を持つ、二、領土内統治については排他的権利を持つ、三、他国とは対等ということであり、だからロシアのウクライナ侵略は認められないということになります。 二点目は、独立という言葉です。 国家の独立があるから国家主権が成立します。主権があり、他国と対等だから自由があります。ところが、現行憲法にはこの独立という言葉がありません。他方、自衛隊法では、「自衛隊は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛することを主たる任務とし、」、自衛隊法三条、とあり、我が国の独立を守るという目的が明記されています。ここで、この独立と平和は言わば対立概念であり、どうバランスさせていくかは国家にとって重要問題です。 そこで、考えなければならないのが国際法と憲法の関係です。これが三点目ですが、前回議論の延長になります。 憲法九十八条二項は、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」とありますが、現行憲法の起草時に芦田小委員長と鈴木義男委員らの努力により成文化されたと言われていますが、このとき彼らが国連憲章等の国際法をどれだけ理解していたのか不明です。 一九五一年九月、日本はサンフランシスコ講和条約を結び、独立を回復しますが、同時に、吉田茂内閣総理大臣とディーン・アチソン米国務長官との間で交換された公文には、サンフランシスコ講和条約の効力発生と同時に、日本国は、国際連合が国際連合憲章に従って取るいかなる行動についても同憲章第二条に掲げる義務を引き受けることになると書かれてあります。 この交換公文が要求しているのは、日本が国連に加盟する五年前から国連に加盟したのと同様の義務を果たさなければならないということであり、現に、この公文を根拠に一九五四年二月に日本国における国連地位協定が日本と朝鮮国連軍参加九か国との間で締結され、現在に至っています。つまり、日本は、国連に加盟する前から国連の集団安全保障体制に組み込まれ、国連憲章に従って集団安全保障上の義務を果たしていたのです。 集団安全保障の話をしましたが、緊急事態が要求しているのは、カール・シュミットが言う例外状態において誰が何をどのように守るべきかの議論です。電磁パルス攻撃、サイバーテロから隕石の衝突まで、例外状態リスクはカール・シュミットの時代とは比較にならないほど大きくなっています。いかにして例外状態を法秩序につなぎ止めることができるのかという議論が不可欠です。 以上で終わります。
○会長(中曽根弘文君) 礒崎哲史君。
○礒崎哲史君 国民民主党・新緑風会の礒崎哲史です。 意見を述べさせていただきます。 前回に引き続き、緊急集会について議論を積み重ねていくことは大変意義のあることと考えます。そして、こうした議論を重ねていくに当たって、どのような緊急的な事態の発生においても、国会の機能、例えば立法機能や予算議決機能、行政統制機能を確保していくこと、緊急事態対処措置に対する国会統制を担保することが何よりも重要であるとの認識に立ち、党内、また私自身も様々な議論を積み重ねてきております。 その意味において、衆議院の解散等の事由により衆議院がおらず、国に緊急の事態が発生した際に、国会機能維持の一つとして五十四条の第二項に参議院の緊急集会の規定が置かれていることは非常に重要なことと考えます。一方で、緊急集会に関する規定は、二院制の例外であることから、その運用についてどこまで許容され得るのかについて丁寧に議論を重ねていく必要があると考えます。 加えて、現行の緊急集会は、国会法百二条の二において、緊急の案件が全て議決されたときは、議長は緊急集会が終わったことを宣言するとあることから、仮に国会の一般的な権能を代行させようとすると、国会法との関係において緊急集会の性格が変化してしまうことに注意が必要であると考えます。 その上で、前回の参議院法制局の説明や各委員の発言にもあるとおり、緊急集会の期間については議論の余地があると考えます。また、期間に関しては、それ単体のみならず、緊急集会に与えられる権能の範囲、議員が発議できる議案の範囲にも大きく関わってくるものと考えます。 集会の期間については、衆議院解散後、総選挙までの四十日間と特別集会、特別召集までの三十日間の計七十日間が限界との考え方もありますし、事態の収束までできるとの説があることは承知しているところです。 では、七十日以上を可能とした場合、その期限の上限とは一体どの程度になるのか。仮に緊急的な事態の収束までとした場合、それはどの程度を想定しておけばよいのか。半年か一年か、それ以上か。また、過去の事例においては暫定予算を審議したとのことでありましたが、仮に長期の対応が必要となった場合、その臨時予算の期間としてどの程度まで許容されるのか。 また、第五十四条第三項には、前項のただし書の緊急集会においてとられた措置は臨時のものであって、次の国会開会の後十日以内に衆議院の同意がない場合、その効力を失うとあります。この条文によれば、緊急集会はあくまで臨時の措置であり、長期間を想定していないと理解するのが自然であると考えていますが、仮に緊急事態が長期にわたり、次年度予算の議決が必要になった場合に、一年間に及ぶ予算の議決は許容されるのか、あくまで臨時の対応とする場合、短期間の臨時の予算を繰り返し議決することは可能なのか、また五十四条三項に規定される衆議院による国会同意が得られない状況の中で繰り返しの議決は成立するのかなど、緊急集会の権能、議員発議の範囲等、緊急集会を開くことができる期間において緊急に備えるために検討すべき点は多岐にわたります。 以上、申し上げた論点において、緊急集会があくまで臨時対応であり、長期間への対応が困難とした場合、更に国会機能を維持する策について議論を深めていく必要があると考え、今般、日本維新の会、有志の会、国民民主党の三党派にて合意書を結び、まず衆議院の議員任期延長について提案をさせていただいているところです。本内容に関しての説明は割愛をいたしますが、その根幹は、いかなる緊急事態においても国会機能を維持し、権力を統制、分立することが重要であるとの考えに基づいていることを申し加えておきます。 将来の緊急事態に備え、基本的人権を保障する観点で、私たちが何を想定し、どこまでを想定内として体制を整えていくのか、引き続きこの憲法調査会で丁寧に、憲法審査会で丁寧に議論を重ねていただけますことをお願い申し上げ、私の意見とさせていただきます。
○会長(中曽根弘文君) 山添拓君。
○山添拓君 日本共産党の山添拓です。 法制局に伺います。 日本国憲法五十四条二項の緊急集会は、その制定経緯の当初は予定されていなかったものです。日本政府は、緊急事態において法律又は予算に代わる閣令を制定できるとする案を考えていましたが、総司令部との交渉の結果、緊急集会の規定が設けられました。 ここで日本政府側が念頭に置いていた閣令とは、明治憲法八条の緊急勅令や七十条の緊急財政処分といった政府の専断で処理できる仕組みと理解してよいでしょうか。
○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。 先生御指摘のとおり、旧憲法の緊急勅令あるいは緊急財政処分が念頭にあったというふうに言われております。
○山添拓君 日本国憲法は、そうした仕組みを排除したことに大きな特徴があると思います。一七八九年のフランス人権宣言十六条、権利の保障が確保されず、権力の分立が定められていない全ての社会は憲法を有しないという規定は立憲主義を端的に表したものですが、日本国憲法は、いかなる緊急事態であっても国会の関与を求め、行政権の専断を許さないこととしています。 法制局に引き続き伺います。 権力分立を維持し、それにより国民の権利保障を全うしようとした、立憲主義を貫こうとするのがこの憲法だという理解でよいでしょうか。
○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。 日本国憲法の審議過程で、政府は、旧憲法にあるような緊急措置を設けなかった理由として、民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するために行政権の自由判断の余地をできるだけ少なくするように考えたというような説明をしておりますので、先生の御指摘の点も考慮されたというふうに考えられます。
○山添拓君 自民党の二〇一二年日本国憲法改正草案はこれとは異なり、内閣総理大臣が緊急事態を宣言すれば、内閣ないし内閣総理大臣が法律と同一の効力を有する政令を制定でき、衆議院の解散権を制限し、両議院議員の任期や選挙期日の特例まで設ける。国会を内閣に従属させる、つまり立憲主義を一時的に停止し、かつ、いつまで続けるかも内閣次第であり、歯止めがありません。 法制局に伺います。 戦前、帝国議会で衆議院議員の任期が延長された事例とその理由を御説明ください。
○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。 衆議院議員の任期につきましては、旧憲法では明文の規定は設けられておらず、衆議院議員選挙法により定められておりました。 その上で、お尋ねのありました旧憲法下における衆議院議員の任期延長の例としまして、昭和十六年二月に成立した衆議院議員ノ任期延長ニ関スル法律により、衆議院議員の任期が昭和十七年四月二十九日まで一年延長されたことがあります。その理由については、帝国議会において、今日の緊迫した時局の下において総選挙を行うことは適当ではないなどといった説明がなされているところでございます。
○山添拓君 日中戦争が長期化する中、昭和十二年、一九三七年四月の総選挙で選ばれた議員の任期満了が目前に迫り、一九四一年、第二次近衛内閣は、選挙を行うと、挙国一致、防衛国家体制の整備を邁進しようとする決意について疑いを起こさしめぬとも限らぬという理由で任期を延長しました。そして、その間に真珠湾攻撃を行い、反戦の声を封じ、対アメリカ連合軍との無謀な戦争に突入し、延長後になされた一九四二年の総選挙はいわゆる翼賛選挙であります。 この教訓からも明らかなとおり、緊急事態であればなおさら民主政治を徹底し、国民の審判の機会を保障することこそ必要です。総選挙の間は憲法の規定どおり参議院の緊急集会が対応すれば足ります。 緊急事態の危機をあおり、憲法で定めた参議院の機能を否定するかのように、議員任期の延長、さらに緊急事態条項の創設など改憲論へ突き進もうとするのは、歴史の教訓を踏まえない暴論であり、断じて認められないことを指摘し、発言といたします。
○会長(中曽根弘文君) 山本太郎君。
○山本太郎君 れいわ新選組、山本太郎です。 参議院緊急集会は衆院解散時にのみ可能で、衆院任期満了時には行うことができないとの意見に対して、確かに憲法五十四条二項には衆議院が解散されたときは緊急集会を求めることができるといった規定されていると。衆議院議員任期満了を迎えた場合についての規定は明文化されていない。一方で、多くの憲法学者が、任期満了の場合でも緊急集会開くことは解釈によって可能だと指摘しています。参議院の緊急集会を衆議院任期満了の場合にも実施することは、学説上も無理のない解釈だと。 そもそも、政府への全権委任や国家緊急権を避けるために作られた条文であり、その理念に沿う限りにおいては柔軟な解釈による運用を認めるべきだと思います。 これまで憲法に明文化されていないことを政府の解釈で容認している例が多いことは、皆さん御存じのとおりです。不信任案可決以外で首相の裁量で衆院を解散する。ほかにも、宗教活動を禁じられているはずの首相や大臣の靖国参拝は戦没者追悼として認めるような雰囲気。違憲疑いの強い集団的自衛権の容認などなどなど、挙げたら切りがない。このように、時の政府、権力者の権限を強めるための憲法解釈は数多くなされてきています。多数の学説が支持する衆院任期満了時の参議院緊急集会開催を認めることに解釈上の問題は全くないはずなんです。 ほかにも、参議院の緊急集会は七十日間の期間を超えては開催できないから、長期間続く緊急事態に対処できないという主張もある。しかし、この七十日という期間は、衆議院解散後四十日以内に総選挙を行う、その後、選挙日から三十日以内に国会召集という規定、憲法五十四条一項にひも付くものでありますが、非常時でこの期間中に衆議院選挙実施が本当に不可能であれば、この七十日という期間に縛られず、参議院緊急集会を行う運用も当然検討する余地があるでしょう。 参議院緊急集会ではフルスペックの国会機能が果たせないので、それと別に衆議院の任期延長が必要と主張する意見もあります。この提案は、国民にも選ばれていない議会に緊急時を理由にフルスペックの権限を与えようとする危険なアイデアです。確かに参議院の緊急集会では審議する議案が限定され、その決定は暫定的、次の国会で承認されなければ効力を失うもの。その意味で、フルサイズの権限を有する議会でないことはそのとおりです。むしろ、非常事態の例外的な議会運営である以上、フルサイズの権限を与えないことが憲法の趣旨です。緊急時に何らかの理由で衆議院議員選挙を行うことができない状態において、二院制の片方の議会のみでの緊急集会を行って決める以上、当然の限定です。 むしろ、権限に限定を設ける、設けつつも、任期中の正統性のあるメンバーで臨時の決定をするという仕組みこそが重要です。ここに代表制の保障、国民の参政権を尊重する工夫がある。緊急時に国民の参政権が制限された状態で国会にフルサイズの権限を与えることこそが大問題。選挙で選ばれた期間を超えて任期延長された議会にフルサイズの権限を与えようというのは、民主主義をないがしろにする提案です。 数年間にわたって国政選挙を行うことができず、国民の投票権を制限しなければいけない非常事態って一体何なんですか。 二〇一四年、クリミアがロシアに占拠され、東部で内戦と呼べるような状況が続く中でも、二〇一九年、ウクライナは議会選挙を実施しました。ロシアによる軍事侵攻が続く中でも、二〇二四年、大統領選は行われる見通し。東日本大震災以上の被害と言われる大地震を受けても、今年五月、トルコで議会選挙と大統領選挙が行われる予定。エルドアン政権には震災対応も含めて有権者からの評価が下されるでしょう。 非常事態だからこそ、制約はあっても国民に一票を投じる権利を保障することが重要。そのような非常事態への対応を含めて、政権は国民からの評価を受ける必要がある。 この先、選挙ができない事態をでっち上げ、権力温存を図るようなやからが政権を握る可能性を考えても、任期延長改憲は断じて認められない。 終わります。
○会長(中曽根弘文君) 片山さつき君。
○片山さつき君 自由民主党の片山さつきです。 四月六日、宮古島沖陸自ヘリ航空事故でいまだ行方不明の第八師団長外十名の方々の御家族や御関係者の方々に心よりお見舞いを申し上げます。 折しも、台湾周辺で中国軍が大規模軍事演習を行っており、既に終了したと報じられてはいますが、万が一の場合につき、不測の事態につき国民の間から不安の声が出たのは事実であります。 参議院の緊急集会につきまして法制局の御説明を伺いましたが、やはり日本の危機管理体制はあくまで平時モードであり、網羅的とは言い難いと痛感しました。 東アジアは世界的に見ても安全保障環境が複雑で厳しく、あらゆるケースを想定して国会制度の趣旨を守り、緊急事態においても可能な限り国会の機能を維持し、どうしてもできないような超非常事態においては、行政権限を一時的に強化し、迅速に対処できるような仕組みを設け、制度全体に穴のないようにしていくことが国会の責務ではないかと思料いたします。 現行憲法における国会制度の趣旨を徹底して実行するための方法が参議院の緊急集会という諸外国にほとんど類例を見ない制度であり、参議院が暫定措置として国会の機能を代替するというのが憲法の趣旨であるというのであれば、少なくとも以下の諸点については国会法の改正等の方法で明確化を行い、機能する緊急集会にしておくのが憲法上本来あるべき姿の実現ではないでしょうか。 まず、衆議院が解散ではなく任期満了の場合の緊急集会ですが、解釈は両論あるとの御説明。ただ、平成三十年の法制局長官答弁で、国会で御議論いただくことというふうに答えられたり、今もそういうお話がございましたので、緊急集会が必要なくらいの緊急な事態が、現在の複雑多様な国際情勢では事前予測してそこに入れておくことは困難になっておりますから、ここはきちっと任期満了でできるという法的手当てをすべきではないかと考えます。 また、内閣が提示できる議案の範囲につきましても、当然、憲法改正の発議等々は除かれるでしょうが、国際協定や財産関係で超緊急事態、武力攻撃、あるいは国家機能の重大な損傷事態に面して、回復に緊急な予備費を大きく上回る支出や歳出権が必要な場合はあり得ますし、自治体への指示が必要な場合も出てきますが、これらの重たい議案についてどこまでできるのかをきちっと検討して詰めておかないと、実際そうなった場合、先例がかなり昔のたった二例しかありませんから、内閣が判断できず、国民の身体、生命、財産の保護が遅れて取り返しが付かない事象になる、なりかねません。 また他方、衆参同時選挙の場合もあり得ますが、参議院議員は選挙中でも任期があるやり方を今しており、国会法九十九条の登院義務が生じれば、選挙中ではない半数に加え、選挙中の方や引退予定者も緊急集会で責務を果たすことになるとは想定しますが、その場合の出席要件、定数要件は現在の読替え読替え方式で適切なのか、これも精査してきちっと法的に明らかにする必要があると考えます。 また、緊急集会への登院が物理的に困難になるような超非常事態につきましては、自民党の参照条文として挙げております選挙の適正な実施も困難な場合になると想定されますので、四十日以内の実施は当然できないでしょうから、憲法の国会の章の末尾に、各議院の三分の二の多数で任期の特例を認める条文等、危機管理に穴が空かないように手当てをすることが必要だと思います。 また、国会に両院の議員としての身分があり、召集すれば開ける法的な状態であっても、出席困難なような状況に、危険がある場合には、内閣がその機能をして、個別法に基づく緊急政令の制定ができることを憲法上明確にしておくことは、災害対策法制、国民保護法制、過去の例を見ても実際に動くために非常に必要でございます。 映画「猿の惑星」というのがありました。人間が油断し、危機管理を怠っている間に、人間は制圧されております。笑われないように、我が憲法審査会ではきちっと機能をする緊急集会をつくっていくべきであると思います。 終わります。
○会長(中曽根弘文君) 辻元清美君。
○辻元清美君 立憲民主・社民の辻元清美です。 本審査会で国家緊急権の改憲の意見が何人かの委員から述べられました。これについて意見を申し述べます。 我が会派は、こうした意見は、まず第一に、政策的な必要性と合理性、立法事実の検証が欠けているのではないかと考えます。日本国憲法の緊急事態法制は参議院緊急集会を軸に組み立てられており、その緊急集会すら開けられない非常時に、国民の生命と暮らしを守るために、災害対策基本法、国民保護法、新型インフルエンザ等特措法において、あらゆるですね、あらかじめ法律の委任を受けた緊急政令の制定が設けられております。 これらの法律にどう書かれているかというと、内閣は、国会が閉会中又は衆議院が解散中であり、かつ、臨時会の召集を決定し、又は参議院の緊急集会を求めてその措置を待ついとまがないときは、必要な措置を講ずるため政令を制定することができると、あらかじめ法律の中に打ち込まれております。 特に、災害対策基本法の緊急政令については、関東大震災級の非常災害を念頭に昭和三十七年に大幅な改正がなされ、その後、阪神・淡路大震災での百九条二項が追加され、更に強化されました。そして、その後も災害対策基本法は東日本大震災の教訓を踏まえ平成二十四年に改正し、その後に南海トラフ地震を想定した政府審議会での検討を踏まえ平成二十五年に再改正し、さらに、首都直下型地震に備える改正が平成二十六年に行われていますが、これらの改正の際には、政府の審議会等での検討においては新たに加えるべき緊急政令の事項は指摘されておりません。 このように、日本国憲法の緊急事態法制とは、立法機能や予算承認機能は万年議会である参議院の緊急集会が担い、そして緊急集会すら直ちに開催困難な場合の災害緊急事態などには個別の緊急政令の仕組みが措置されており、その不断の検証と改正が積み重ねられてまいっております。 これに対して、自民党や日本維新の会は、いざというときに何でも措置できる緊急政令という事実上の内閣への白紙委任のような改憲を唱えていらっしゃるのではないかとお見受けします。しかし、このような姿勢は、立法事実に欠き、何よりも戦前の緊急勅令などの濫用の経験から、民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するとの根本趣旨に立つ参議院緊急集会を基軸とする日本国憲法の緊急事態法制の考え方と根本的に矛盾するものではないかと考えられます。 なお、公明党におかれましては、衆議院の憲法審査会において、現行の災害対策基本法などの緊急政令の仕組みを、過去の経験を基に想定され得る危機対応を網羅的、網羅しており、ほぼ完成した形、必要であれば法律改正で危機管理法制を更に整備充実をしていけばよいなど、改憲の立法事実の不在の観点から緊急政令の改憲に明確に反対されており、敬意を表するところです。 最後に、会長にお願いをいたしますけれども、本審査会では、今後、参議院の緊急集会の在り方について議論を深めていくというわけですけれども、憲法改正により緊急政令を求める会派の皆さんが、参議院緊急集会と現行の災害対策基本法などの緊急政令の仕組みで何が足りないと具体的に考えているのか、せめて、改憲によって可能としようとする緊急政令の対象分野や、その具体的な例を本審査会に示していただけるように、幹事会での御協議をお願いしたいと思います。 いかがでしょうか。
○会長(中曽根弘文君) ただいまの件につきましては、後刻幹事会において協議いたします。
○辻元清美君 大抵のこの緊急事態は今まで相当議論され、審議会でもどういう事態があるか、それによって法律改正を積み重ねてきていますので、必要であればまず法律改正で対応すべきだと考えます。 以上です。
○会長(中曽根弘文君) 矢倉克夫君。
○矢倉克夫君 公明党の矢倉克夫です。 本日のテーマである参議院の緊急集会について、衆議院では緊急時における議員任期延長の前提的な議論として議論が進んでおりますが、私たち参議院の院の自律権の問題も絡むものであり、参議院において、より真っ正面からしっかり議論すべきものであるとまず考えます。 本審査会で議論すべき課題を私なりにまとめると、六つあるかと思います。 まず、発動要件として四つ。第一に、適用場面です。明文で衆議院が解散されていることとされていることとの関係となります。第二に、衆議院解散から特別国会の召集まで最大でも七十日程度の期間を想定したものであるかという期間要件に関して。第三に、国に緊急の必要があるときといった要件はどこまでを示すのかという緊急性の要件。第四に、内閣の求めによって開かれるため、審議対象も内閣提出の案件とこれに関連する案件に限られるのかという案件の四つであります。 これら発動要件に関係する議題に加えまして、効果について二点議論すべき課題がございます。一つは、緊急集会には首班指名などを行使し得るのかということ。もう一つは、事後に衆議院の同意がない場合の効力をどうするかであります。 これら議論のポイントは、緊急集会は二院制の例外である以上、抑制的であるべきという要請と、緊急時対応という実際の必要性から全国民の代表たる参議院に託された世界でも類を見ない制度、権能であり、参議院の独自性という観点も踏まえ、過度に抑制すべきではないという要請をいかに調和するかという観点であると考えます。 これら諸点について、緊急集会はあくまで二院制の例外である以上、厳格に解すべきと考えた場合、明文に沿った厳格なものとなり得ます。 他方、前述の全国民の代表制に加え、阪神・淡路大震災や東日本大震災による地方選挙の実施困難による選挙任期、任期延長を経験してきた現下の状況などを併せ考えたとき、国政選挙においても同様の事態が起こり得るわけであり、解釈で広げる余地は十分にあります。現に、第一の適用場面に関して、衆議院解散時に限らず任期満了時にも類推適用できるという学説が唱えられており、もはやこのような解釈は多数説となっております。衆議院の不在という根本的な点において同じだからであります。 この点を敷衍すると、第二の点である期間についても、必ずしも七十日にこだわらない解釈の余地もあり得るかと思います。 さらに、第四の要件である案件について、国会法改正によってこれらを緩和し、幅広い案件を審議できるようにすることも検討に値すると思います。 もっとも、緊急集会は二院制の例外である以上、安易な緩和には慎重であるべきとの指摘もございます。その調整の一つのアイデアとして、衆議院の同意要件の強化というものも提唱されております。衆議院が同意しなかった場合の効果については、一般に、既に行われた行為には影響を及ぼさない、将来効と解されていますが、衆議院の例外要件の緩和を二院制の趣旨を踏まえた衆議院の同意要件の強化によってバランスを取るという発想からは、遡及効を持たせることもなお検討項目ではないかという見解もあります。ただ、緊急集会の意義からは慎重に議論すべきものと考えます。 なお、公明党は、二院制の趣旨から、全国民の代表である参議院に衆議院と異なるべき権能を付与すべきであり、具体的には参議院の行政監視機能を強化すべきと従来より主張をしております。この主張とも相まって、例えば緊急時を想定した緊急集会にこそ、権力の監視、統制といった観点から、より積極的な意義付けを与えるべきではないかといった議論もこの二院制の趣旨からも可能であるということを付言いたしたいと思います。 以上、解釈による緊急集会の拡大を軸に述べてまいりましたが、この緊急集会の意義付けは衆議院で進む憲法改正による議員任期延長にも影響し得るものであり、参議院の憲法審査会において、今日挙げさせていただいた六つの点も含め、憲法学者などの意見も拝聴しつつ議論を深めるべきであり、これが衆参それぞれの真摯で建設的な検討に資することを申し上げまして、私からの意見といたします。
○会長(中曽根弘文君) 東徹君。
○東徹君 日本維新の会の東徹です。 まず冒頭に、去る三月十五日、憲法論議の中心的役割を担っていただいておりました中山太郎先生が御逝去されました。心より哀悼の辞を述べさせていただきます。参議院憲法審査会でもしっかりと憲法改正に向けた議論が進めさせていただくことをお誓い申し上げます。 参議院では、平成三十年二月二十一日の意見交換から令和三年四月二十八日の意見交換まで、約三年二か月の間、参議院憲法審査会は残念ながら開かれておりませんでした。 そして、小西議員の発言でありますが、前回、会長からも説明がありましたが、これはもう会長だけではなくて、当事者からもこの参議院憲法審査会の場で謝罪、撤回などの対応がなされることを求めておきます。 我が党は、平成二十八年三月に教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所の三項目について憲法改正に向けた条文案を取りまとめ、公表をいたしております。また、我が国を取り巻く情勢の変化などを踏まえ、自衛隊の明記、それから緊急事態条項、こういったことについても昨年、条文案を取りまとめて公表をいたしております。さらには、先ほど礒崎委員からも話がありましたが、我が党のほか、国民民主党、有志の会の皆さんと三党派で緊急事態条項の創設に関する合意を取り交わし、更に議論を進めていこうといたしております。 一方で、政権与党である自民党におかれましては、衆議院の憲法審査会を積極的に開催いただいていることに敬意を表します。ただ、昨今の情勢の変化に応じて、自民党として憲法改正をどのように行うかという党としての最新の条文案というものが示されておりません。 昨日、自民党の憲法改正実現本部のホームページを拝見いたしました。そこには、自民党の考える条文イメージ、たたき台の素案として四項目が掲載されておりますが、その中の緊急事態対応に、項目を見ましても、大規模自然災害等が発生した場合というふうには書かれておりますが、テロや武力攻撃が行われた場合については触れられておらず、この点については是非党としての意思決定をしていただきたいというふうに思います。 衆議院においては新藤委員も様々な意見を述べられておりますが、自民党の公式な見解かどうかがはっきりといたしません。岸田総理は、総裁選において任期中に憲法改正を実現したいと述べられ、憲法改正は先送りできない問題と答弁されていますが、岸田総理の自民党総裁任期は来年九月でございます。憲法改正には手続的にも時間が掛かることから、もはや時間的猶予はありません。 もうすぐ五月三日の憲法記念日を迎えます。昨年の憲法記念日における自民党メッセージでも憲法改正の実現に向けて全力で取り組むと言われておりますが、自民党が本気で全力を出せばもっと議論は進んでいくというふうに思います。是非とも衆参で意見をまとめて、取りまとめ、自民党として具体的な条文案を憲法審査会にお示しいただき、議論をリードしていただきたいと思います。 また、現実に生じたロシアのウクライナ侵攻や、台湾有事の可能性を考えると、憲法九条に関する議論も行わなくてはなりません。衆議院の方でもこれから進んでいくというふうに聞いております。 緊急事態条項に関する議論がまとまれば、次には憲法九条に関する議論を進めていただくことを求め、意見表明といたします。 以上です。
○会長(中曽根弘文君) 青山繁晴君。
○青山繁晴君 自由民主党の青山繁晴です。 陸自ヘリの全ての搭乗員の無事をお祈り申し上げます。 私も、中山太郎元外相に哀悼の意をささげます。 今日も主権者の皆さんが傍聴に集まっていただき、深く感謝を申し上げます。ありがとうございます。 その主権者にも聞いていただきたいのですが、この憲法審査会は他の議員の意見を尊重し、議員同士の対話も可能です。日本の国会は、議員が質問し政府が答える議論がほとんどですから、この憲法審査会は珍しい貴重な場です。 そこで、前回の憲法審査会で印象に残った他の政党の議員の発言に触れたいと思います。それは、維新の猪瀬直樹議員です。猪瀬議員は、こうおっしゃった。議事録から正確に引用します。この参議院の緊急集会についての実例は、大体はGHQの頃から五五年体制までの話ですね、基本的に。私は、これに同意します。 今この場で議論になっているのは、憲法五十四条です。衆議院が開会不能であるときに、参議院が緊急集会を開くことができる定めです。五十四条の短い条文を主権者にも読んでいただくと、衆議院が解散、つまり衆議院議員が全員解職されて誰も衆議院にいないときに、急いで新しい法律を作ったり、既存の法を改正しなければならないときに、参議院が緊急集会を開けるということしか書いてありません。 しかし、この憲法五十四条を基本にして、例えば新しい致死性のパンデミックが起きたり、大災害や、そして例えば国会へのテロあるいは有事があって、もしも衆議院議員がいなくても、内閣任せにせず、解散のない参議院が立法機能を使ってチェックもするという法整備が行われている。そういう考えで、これは与野党の考えをかなり乗り越えて前回の憲法審査会である程度は一致できた点だと考えています。 ところが、一つ抜けていることがあります。それは、なぜ私たち参議院議員が無事に決まっているかということです。本当は、憲法五十四条がパンデミック、大災害、テロ、有事を想定したわけではないからです。衆議院と違って解散がないというだけです。参議院議員も不幸にもいなくなる別次元の事態を想定していません。なぜ想定していないか。 ここで、猪瀬議員の指摘が生きると考えます。私たちの大切な根幹法の日本国憲法は、日本が主権を喪失していた時代の昭和二十一年、西暦一九四六年に完成して公布され、主権者に新しい憲法を知っていただき、翌昭和二十二年、西暦一九四七年に施行、すなわち使い始めました。しかし、それは全て占領下の時代です。むしろ占領の始まりでありました。戦争に負けて外国軍に占領され、日本が主権を失い国家でなくなっていたのは、昭和二十七年、西暦一九五二年四月二十八日にサンフランシスコ講和条約が発効するまで続きました。客観的事実として、日本国憲法は、実質的には主権のない時代に制定され、施行されました。 安全保障というものは主権がないと存在しませんから、この間に作られた憲法に国民を守る規定が極めて薄い。占領軍にあたかもお任せするような特異な、つまり諸国の憲法とは大きく異なる特徴を持っているのはこのためです。講和条約の発効からも三年を経て、日本がようやく自主的な国家再建の歩みを始めようとしたのが、いわゆる五五年体制ができた西暦一九五五年からです。まさしく猪瀬議員の指摘されたとおりですね。 そして、私たちの憲法を守るには九十六条の改正条項を生かすことが必要です。九十六条は、恐らくいずれは占領が終わることも、まああくまで期待ですが、期待して、時が来れば憲法を改正できることが定められています。悲惨な敗戦に至った事実を踏まえて、ハードルは高く設定されています。国会議員はふだんにない壁を乗り越えなければいけません。一つは、過半数でなく、全ての議員の三分の二の賛成が必要。もう一つは、国会だけで決めてはいけません。決めるのは国民です。主権者の半数が国民投票で賛成なさることが最後に必要です。 私は、その一九五五年、昭和三十年に自主憲法の制定を掲げて創建された自由民主党、自民党ではなく自由民主党の原点に戻って、かつてない波乱が続く世界で、いかなる感染症、大災害、有事があっても、内閣の大部分と衆参両院議員の一定数は、内閣の首脳部分と、主要部分と衆参両院議員の一定数は生き残って国民を救う国になることを憲法の改正条項が求めるよう力を尽くしていきたいと思います。 辻元議員の意見も尊重し、理解します。しかし、その上で、私と自由民主党は、根幹法の憲法に国民をいつでも永遠に守る理念として書き込むべきだと考えます。 以上です。ありがとうございました。
○会長(中曽根弘文君) 石川大我君。
○石川大我君 立憲民主・社民の石川大我です。 私からは、緊急集会の権能の範囲について意見を述べます。 学界の通説的見解では、緊急集会は国会の権能を一時的に代行するものであり、その権能、すなわち内閣の提出する案件は法律、予算などの国会の権能に属するものに及ぶことができ、緊急集会はその案件について議決できる。しかし同時に、案件の性質から見て、参議院の単独の議決のみでは許されないものや緊急の必要性があると考えられないものは緊急集会の権能の外にあると解される、これが学界の通説的見解であると思われます。 そして、具体的には、参議院の法制局の資料によれば、憲法改正の発議、内閣総理大臣の指名、内閣不信任決議、条約の締結の承認、両議院同意案件などについて解釈上の議論があるとされています。 これらについて、まず、憲法改正の発議は、緊急の必要の要件を満たさないこと、憲法九十六条が両院での三分の二以上の発議要件を定めていることなどから、緊急集会の権限外であると考えます。 内閣総理大臣の指名については、内閣法九条の内閣総理大臣臨時代理制度や憲法七十一条の内閣の職務遂行義務などから、緊急の必要を欠くことから、権限外というのが通説と理解します。他方、京都大学の土井真一教授は、大規模な自然災害などにより総理ほか多数の国務大臣を欠き、かつ総選挙の実施も延期せざるを得ない非常事態においては、例外的に指名可能な場合があるとの見解を示されております。 さらに、内閣不信任決議については、これは憲法上、国会の権能ではなく衆議院の権能であることなどから、緊急集会の権限外であり、条約締結の承認については、憲法七十三条三号が時宜によっては事後に国会の承認を得ることと定めていることなどから、緊急の必要が認め難いというのが通説であると理解しています。 最後に、国会そのものの権能ではなく、いわゆる同意人事のように法律によって両議院に付与された権限である両議院同意案件については、緊急集会の権能として処理できるというのが通説と理解をしております。 ここで、参議院法制局長に質問をさせていただきます。 予算の審議、議決が緊急集会の権能として認められるのかどうかについては肯定説が通説と考えてよろしいでしょうか。また、本予算も含め、これを否定する学説はあるのでしょうか、教えてください。
○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。 学説上、一般的に、参議院の緊急集会の権能の対象として予算が含まれるものと、このように解されているところです。他方、予算について全面的に参議院の緊急集会の権能の対象外となるとする学説は、現時点で私どもが調べた限りでは承知しておりません。 ただ、緊急集会の対象となるのは緊急の必要性があるものに限られること、特別会の召集されるまでの間の暫定措置であることなどを考慮しますと、仮に本予算がその権能の対象外にはならないということに解したとしても、本予算が成立することなく衆議院が解散された場合には、通常は暫定予算などの必要な予算が緊急集会に提出されることになるものと思われます。 以上でございます。
○石川大我君 ありがとうございます。御答弁をいただきました。 以上、緊急集会の権能については、憲法五十四条について、憲法前文が定める国民主権原理及び代議制の原理、さらには二院制の趣旨なども踏まえて、その基本的な在り方及び個別の対象事項についての議論を深めていくべきであると申し上げて、私の意見とさせていただきます。 ありがとうございました。
○会長(中曽根弘文君) 進藤金日子君。
○進藤金日子君 自由民主党の進藤金日子です。 参議院の緊急集会につきましては、前回までの議論及び本日の議論で相当論点が明らかになってきたんではないかと感じております。 本件に関しましては、憲法における緊急事態への対応をどう位置付けるかということが重要でありまして、私なりに三つの視点、問題意識を持っているところであります。 第一に、緊急事態、特に予測が困難な大地震、とりわけ立法府や行政府の中枢に大きな被害が及ぶことが懸念される首都直下地震が発生したときに、被災状況に即応して、立法府や行政府がちゅうちょなく法令に基づき適切な判断が可能な法的整備がなされているのかどうかという視点。 第二に、参議院の緊急集会について、憲法制定時に想定していた前提条件等も踏まえ、現状において緊急時に的確に運用可能なのかどうかという視点。 第三に、緊急事態に係る憲法の検証、検討に当たっては、最も大切な国民の命や生活を守るという視点が最優先であって、高い緊張感とスピード感が不可欠ではないかという視点であります。 以上の三つの視点に即して、自分なりの考えを述べさせていただきます。 まず、一点目の視点、緊急時の法的整備の観点であります。 国会の開会や閉会に関係なく、また昼夜にかかわらず、突然首都直下地震は発生します。地震調査研究推進本部地震調査委員会の報告によりますと、マグニチュード七程度の地震の三十年以内の発生確率は七〇%であり、巨大地震の発生に警戒を発しているところであります。 現行憲法における参議院の緊急集会に関しては、前回、参議院法制局の川崎局長から制定の経緯や主な論点等について詳細に御説明いただきました。この中で、参議院の緊急集会は、憲法が採用する両院同時活動の原則等の例外であり、緊急事態に対する暫定の措置であることがこれ明確に示されているわけであります。 首都直下地震により国家権能、国家の機能が失われる可能性も排除できない大災害を想定した場合、暫定措置のみに緊急事態対応を委ねるのではなくて、国会議員の選挙の適正な実施が困難であると認められるときは任期の特例を定めることができることを憲法改正により明文化すべきではないかと考えております。 なお、緊急事態の認定や任期の特例の期間等を含めて法律に委任する部分については、別途テーマを設定して議論を深めるべきだというふうに考えます。 次に、緊急政令の制定についてであります。 緊急事態、災害緊急事態の布告は、二〇一三年の災害対策基本法改正によりまして、同法第百九条に縛られることなく布告が可能になったと理解しているところでございますが、同法百九条に基づく緊急政令につきましては、基本的に国会閉会中の規定でありまして、国会開会中にあっても被害等により物理的に国会が開会できない場合の対応が抜けているのではないかというふうに思います。 このような場合には、実態として災害対応が遅延する可能性も否定できず、また、災害事態の布告と憲法との関係を明確にする上でも、憲法において緊急政令の規定を設けるべきだというふうに考えます。 次に、第二点の視点、参議院の緊急集会の的確な運用確保の観点であります。 参議院の緊急集会につきましては、昭和三十四年十月八日の憲法制定の経過に関する小委員会第二十八回において、佐藤達夫参考人が、衆議院任期の任期満了に、衆議院の任期満了については軽く見ていたと、つまり解散時を念頭に置いた規定である旨の発言をしております。 本件に関する政府見解は、解散という予測しない事態の場合に限って特に明文の規定をもって認めたとする見解と、任期満了後、類推適用が許されるという見解の両論があって、結論を至るに至っていません。また、学説も二分されています。 さらに、緊急集会の期間や権能の範囲についても解釈上議論があるところであり、こうしたことも含めて、現状及び想定し得る将来を見据えて、解釈等で曖昧な部分は、本日も種々の議論がなされておりますけれども、本調査会で更に議論を重ねて結論を得るべきと考えます。 次に、第三点目の視点、スピード感であります。 これまでるる述べてまいりましたが、国会議員の任期の特例と緊急政令の制定については、私は速やかに憲法に譲り得るというふうに考えます。ただし、本調査会においても各委員から各種課題が提起されておりまして、この辺につきましては、テーマを整理して深掘りをした議論をしてこれ結論を得るということをしっかり行っていくということを希望し、私の発言を終えさせていただきたいと思います。 以上でございます。
○会長(中曽根弘文君) 古賀千景君。
○古賀千景君 私からは、緊急集会を開く期間について意見を述べます。 前回、我が会派の杉尾筆頭幹事は、緊急集会について、その立法事実として、地震等の大災害で緊急の立法措置を講じる必要が生じた場合に備えて措置されたものであること、またその根本趣旨として、金森担当大臣答弁にある、どんなに精緻なる憲法を定めましても、口実をそこに入れてまた破壊せられるおそれ絶無とは断言し難いという戦前の反省を踏まえ、全国民を代表する議員から成る国民代表機関であり、全体の改選期のない万年議会である参議院にその国会代替機能を求めることにより民主政治を徹底するという考えに立脚する制度であることを申し述べました。 そして、それがゆえに、こうした緊急集会の立法事実や根本趣旨と明確に矛盾する議員任期延長の改憲の根幹の考えである緊急集会七十日間限定説に対して、会派として明確に反対するとの見解を申し述べました。 また、緊急集会が憲法五十四条一項の七十日を超えることを本文のもちろん解釈からして当然であるとした高見上智大名誉教授のもちろん解釈を始め、土井京都大学教授、長谷部早稲田大学大学院教授も明確にそうした場合の緊急集会を実施可能と論じられております。 緊急集会七十日間限定説を唱える会派にあって、こうした我が会派の見解やそれと同趣旨の憲法学者の見解にどのようなお考えをお持ちなのか、是非論理的な憲法議論としての御意見を伺いたいと思います。 この点、先ほどの公明党の安江先生と矢倉先生の御見解に深く敬意を表させていただきます。 他方、第二次安倍政権以降、現行憲法のもう一つの臨時緊急措置である臨時国会の召集要求が政府や与党に拒否されているのは極めてゆゆしき事態であり、緊急時における国会機能の確保のためと称してなされている議員任期の延長の改憲議論の中で、この国民を裏切る国会機能の否定の問題が議論されていないことは極めて不可解であり、法の支配、立憲主義の観点から重大な課題と言わざるを得ません。 まず、参議院法制局長に伺います。 一般論として、憲法違反問題は国会法上の衆参憲法審査会の法的任務であることについて答弁ください。
○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。 あくまでも、憲法審査会の所管に関する一般論としてお答えをさせていただきます。 憲法審査会の所管との関係で、いわゆる憲法違反に関する問題を含む日本国憲法の施行、遵守の状況に関する調査がその所管に含まれるかどうかにつきましては、その所管事項を定める国会法百二条の六の「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査」ということにまさしく含まれ得るものと考えられる、このように承知しております。
○古賀千景君 明確な御答弁をありがとうございました。 これを踏まえて、中曽根会長に、本審査会での臨時国会召集義務違反の調査の実施をお願いしたいと思います。 憲法五十三条の政府解釈は、内閣は臨時会で審議すべき事項等をも勘案して、召集のために必要な合理的な期間を超えない期間内に臨時会の召集を行うことを決定しなければならないとされ、特に菅政権以降は、国会のことでもあるので与党とも相談しながら臨時会召集要求への対応を検討すると答弁しています。 これについて、二〇二二年、二〇二一年の夏は感染症が爆発的に猛威を振るい、医療崩壊や経営破綻などのコロナ禍で多くの国民が命や暮らしの危機に直面する中、子育て世代の国民が我が子を残しながら亡くなるという痛ましい悲劇が多数生じました。 通常国会後の衆参の野党会派による臨時会召集要求に対して、それに応えなかった政府・与党がその間に一体何を臨時会で審議すべき事項と勘案し、検討していたのか、なぜそれぞれの八十日後、四十六日後の召集が合理的な期限を超えない期間内と考えるのか。これらを含めて、当時、政府と与党で一体何を相談し、一体何を召集要求への対応として検討していたのかについて、本審査会に内閣総理大臣の輩出政党である自民党会派からの説明資料の提出を求めます。
○会長(中曽根弘文君) ただいまの件につきましては、後刻幹事会において協議をいたします。
○古賀千景君 ありがとうございました。 この問題については、議員任期の延長の改憲に賛成するほかの与野党会派におかれましても真摯なる御検討をいただきたいと思います。 私の意見を終わります。
○会長(中曽根弘文君) 臼井正一君。
○臼井正一君 自由民主党、千葉県選出の臼井正一です。本審査会における発言の機会をいただき、ありがとうございます。 前回の審査会における参議院法制局長からの御説明、また本日までの議論を聞く限り、衆議院が解散された場合に限らず、衆議院議員の任期満了の場合にも緊急集会を開き得るという有力な学説があることは理解しております。しかしながら、たとえ任期満了の場合に緊急集会を開くことができるとしても、それだけでは緊急事態への備えとして十分とは言い難いように感じます。 私がとりわけ懸念しているのは、衆参同時選挙の場合の緊急事態への対応です。例えば、参議院の通常選挙の直前に衆議院が解散され、その直後に大規模災害等が発生していずれの選挙も実施できない場合、任期中の国会議員は参議院議員二百四十八名の半数、僅か百二十四名になってしまいます。国会議員の総定数は衆参合わせて七百十三名ですから、そのうちの百二十四名というと約六分の一、通常時の二割にも満たない人数です。 会議の定足数は総議員の三分の一ですので、参議院議員の半数が存在していれば緊急集会の議事は成立しますが、選挙ができなくなるような緊急事態における重要な決定をこれほど僅かな議員に委ねてしまって本当によいのでしょうか。ごく限られた人数の国会議員によって意思決定が行われた場合、その決定は民意がきちんと反映されたものと言えるのか、疑問です。 そもそも、大規模災害発生時であれば、百二十四名の非改選議員の中には被災して参集できない議員も出て、会議の定足数すら満たせない事態になりかねません。そうなれば、被災地や被災者への緊急の支援に支障を来すことになり、国会の責任を果たすことができないこととなります。私は、いついかなるときでも国民を守ることができるよう、あらゆる事態に備えることが国会議員の責務であると考えます。 改めて申し上げるまでもなく、緊急集会は参議院の重要な役割であり、その具体的な在り方について検討すべきであることは当然です。その上で、緊急集会で対応し切れない場合に備え、憲法を改正し、国会議員の任期延長を含む緊急事態条項を設けることについて積極的に検討することも必要だと考えています。 国会議員の任期延長については、前回の審査会において一部の委員から消極的な意見がありました。しかし、東日本大震災の際には、直後に予定されていた統一地方選挙に関し、臨時特例法による地方議会の議員等の任期延長が行われています。このときの臨時特例法には、当時の民主党の議員も共産党の議員も賛成されており、当時の被災地の状況を考えれば致し方ない措置との評価であり、大きな批判の声は出なかったと記憶いたしております。 私は、地方議会出身の国会議員として、議員が選挙で選ばれることの重要性は、地方議会であろうが国会であろうが何ら変わるものではないと確信をいたしております。その上で、国会議員の任期延長に反対する委員の皆様は、なぜに地方議員の任期延長に賛成できて国会議員の任期延長に賛成できないのか、私には理解できません。 有識者に信を問う選挙は民主主義の根幹であり、それを安易に延期することはもちろん許されません。現実問題として、選挙の実施が困難な事態は東日本大震災や阪神・淡路大震災の実例があるのですから、それを超える事態にも対応できる規定を用意しておくことは、むしろ民主主義に資するものと考えます。 私の地元の浦安市でも液状化等の被害が起きて、地方選のときに選挙は執行されましたけれども、地元自治体が選挙事務ができないということで、選挙が再選挙になるという事態も起きました。十二年前の臨時特例法の例を見ても必要な措置であり、国民の理解も得られる、私は任期延長についてはそのように考えております。 現行憲法に定められた緊急集会は大変重要なものですが、いかなる緊急事態においても、国権の最高機関であり、唯一の立法機関である国会の機能を維持し、民主主義の営みを絶やさないため、国会議員の任期延長については前向きな検討が必要であると申し上げ、私の意見といたします。
○会長(中曽根弘文君) 熊谷裕人君。
○熊谷裕人君 立憲民主・社民の熊谷裕人です。 私は、前回に続いて、緊急集会における議員が発議できる案件の範囲について意見を述べさせていただきたいと思います。 先週の公明党の西田幹事の御意見に、国の緊急の必要のある場合には、内閣により広範、抽象的な案件の設定や随時の案件追加による対応は本当に許されないのかという、そもそも内閣の示す案件、国会法九十九条の範囲も含めた問題提起を隣で聞かせていただきました。 この件については、過去の二つの実例においては法律案などの個別の議案のみが案件として示されていますが、例えば大規模な自然災害が発生した場合などが該当すると考えますが、京都大学の土井真一教授が、緊急事態に対する広範な措置を随時講じる必要がある場合には案件を包括的に示すほかなく、それに応じて議員の議案提出権や、質疑、討論等の及ぶ範囲を広く認められることになるとの見解が述べられており、これは私は合理的な見解ではないかと考えているところです。 その上で、前回、私から参議院の緊急集会中に国に緊急の必要が、新たな案件が発生した場合に二つの制度を提案させていただきました。 一つ目は、改めて内閣が参議院の緊急集会を求めなくても該当案件に対応することができるよう、内閣総理大臣が緊急集会において審議すべき新たな案件を示すことができ、議員はこの新たな案件に関連のある議案を発議することができるものとするものであり、もう一つは、緊急集会の招集中も本会議や委員会の開催は可能であることから、参議院が内閣総理大臣に対し新たな案件を示すように促す制度でありました。 ここで参議院法制局長に伺いますが、仮にこの二つの制度を措置する場合に何か憲法上の問題があり得るのか、また実際の制度化に当たっては国会法の条文改正が必要になるのか、あるいは条文改正が望ましいといった観点も含めて御見解を答弁お願いします。
○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。 憲法五十四条二項ただし書は、「内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。」とするのみで、その場合の案件の示し方について規定しているわけではありません。 他方、国会法九十九条一項は、内閣が緊急集会を求める際に案件を示すこととしており、それを受けて、議員発議について定める国会法百一条では、九十九条一項の規定により示された案件に関連あるものに限る旨規定しているところでございます。 そのようなことからいたしますと、緊急集会の途中で内閣が案件を追加で示すことができるようにするために、その旨を国会法に明記するというのは一つの考え方ではないかと思います。 その一方で、参議院から内閣に新たに案件を示すよう促すことにつきましては、その判断はあくまでも内閣が主体的に行うことを前提とするものであれば、そのような行為は事実上の行為であり、それを可能とするために法律上の規定を設ける必要はないということになるものと思いますけれども、その具体的な仕組み、やり方については様々な議論があり得るところであり、それらも踏まえて検討がなされることになるのではないかと思われます。 以上でございます。
○熊谷裕人君 ありがとうございます。 前回私が問題提起させていただきました、内閣から新たな案件が示されない場合でも、内閣総理大臣に示し、内閣総理大臣が示した案件に関連のある議案以外の議案の議員による発議を認める余地があるかどうかについて、意見を最後に述べさせていただきたいと思います。 昭和三十四年の参議院事務局による、憲法第五十四条の緊急集会の要件たる緊急の要件の認定は挙げて緊急集会を求める内閣の側にあり、また臨時国会の場合と異なって議員の側には緊急集会の要求権はないということから、一般的に議員の発議権を認めることは困難であるとの見解については、緊急の必要の認定権限を内閣のみに独占させるのは憲法前文に明記されている国民主権、議会制民主主義の趣旨と必ずしも整合しないのではないか、そして、臨時国会の召集要件は専ら議会少数派のための権能ともされており、これがないことが緊急集会の議案発議権を制限することの直接的な根拠として合理性があるのかなどの問題意識を持つものであります。 他方、国民を代表する参議院から成る国会代替機関による緊急集会でも二院制の例外であることは間違いなく、そうであるならば、憲法五十四条三項の衆議院の事後同意があるとしても、権力抑制の立憲主義の観点からも議員による発議については一定の制約があると考えております。この点についても議論の余地があると思っております。 以上です。
○会長(中曽根弘文君) 加藤明良君。
○加藤明良君 自民党の加藤明良でございます。発言の機会をありがとうございます。 参議院の緊急集会は、憲法第五十四条第二項の規定により、衆議院の解散中に参議院が国会の権能を暫定的に代行する制度であり、内閣が参議院に対して緊急集会を求めることができますが、衆議院解散中、国会の決議を要する予測すべからざる緊急の問題が発生した事態に対し、参議院の緊急集会は国会制度の重要な補完機能であると考えます。 参議院のみの審議となることで、国会の機能の、国会の権能の限界や七十日上限とする開催日数の論点整理もありますが、武力攻撃、存立危機、大規模災害の規模など、緊急の必要がある場合の判断基準についてもこれから十分なシミュレーションが必要であると考えます。 また、内閣の提案に対して参議院は否決することが可能とのことでありましたが、ねじれ国会の際の議論は混乱することが想定されると思います。内閣からの提案に対し、参議院の緊急集会で否決された場合には国会機能がストップすると考えますが、その場合どうなるのか、これは大いに疑問に思います。 川崎参議院法制局長からの御説明にありましたように、また、参議院の緊急集会の開催の条件である緊急会議開催に要する予測すべからざる緊急の問題の定義についてでございますが、これは、予測できないような展開や思い掛けない出来事、突然のアクシデントや想定外のトラブルを指し、大規模な地震、津波、台風など大規模な自然災害、外部からの武力攻撃、感染症のパンデミック、テロなどの国家存亡の危機的な状況が発生した場合などを想定しますが、これらの深刻な事態というのは、東日本大震災、新型コロナウイルスのパンデミック、ロシアのウクライナ侵攻など、また北朝鮮による弾道ミサイルの発射など、現に日本に、若しくはすぐ日本の身近に発災していることばかりであります。これらが、これらの事態がいつ日本に起きても不思議ではない状況であり、果たしてこれらは不測の事態と言えるのかと疑問に思います。 例えば、弾道ミサイルが日本海域で船舶や航空機に被災した場合、さらには日本列島に着弾した場合、また台湾周辺での不測の事態において日本人が被害に遭うなどの事態は起こり得る可能性の範囲であると思います。これらの想定される最悪の事態と言えるものは、想定していませんでしたでは済まされないものと考えます。 いかなる緊急事態も包括したマルチハザード型の体制整備が必要不可欠と考え、そのために必要なのが緊急事態条項による対応ではないかと考えます。 特に有事のタイミングは、国内の政治情勢が不安定であり、災害の混乱に乗じて行われることも十分想定しておかなければなりません。また、弾道ミサイルが発射された場合、約十分程度で日本に着弾する、こうした国会承認に基づく防衛行動が困難なケースなど、考えられるあらゆる災害や有事に対して対応を想定し、国民の生命と財産を守るための備えをしておくのが国会の役目であり、そのための議論を行わないのは国会の怠慢以外の何物でもないと考えます。 参議院の緊急集会の起こり得る備えを議論するのがこの憲法審査会であり、不備があるならばどのように補うのか、早急に問題提起し議論を深めるべきであり、毎週のように開催しても時間が足りないくらいであります。頻繁に議論をすることが国民の憲法論議に広く関心を深めていただくことにもつながると考えますが、今後も審議を継続する中で様々な問題点を議論して深めていただきたいと考えます。 以上で意見とさせていただきます。ありがとうございます。
○会長(中曽根弘文君) 他に御発言もないようですから、以上で委員間の意見交換を終了いたします。 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後二時三十一分散会