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211回国会参議院2023/04/05

憲法審査会 第1号

発言数
51
登壇者
20
会派数
7
開催日
2023/04/05

会議録

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。  議事に先立ち、一言申し上げます。  さきの憲法審査会幹事会、幹事懇談会後、野党筆頭理事である小西洋之君が報道陣の取材を受けた際の発言に関しましては、真摯に議論を行っている衆議院憲法審査会の委員の皆様に対し極めて失礼であるとともに、各院の審議の独立性を侵しかねない重大な発言であると思っております。  このことは、衆議院のみならず、当審査会におきましても看過できない発言であると思っております。     ─────────────

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 幹事の辞任についてお諮りいたします。  小西洋之君から、文書をもって、都合により幹事を辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  幹事の補欠選任についてお諮りいたします。  幹事の辞任及び委員の異動に伴い現在幹事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  幹事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 御異議ないと認めます。  それでは、幹事に熊谷裕人君及び杉尾秀哉君を指名いたします。  本審査会幹事会の申合せにより、会長が野党第一会派の幹事の中から会長代理を指名することとなっております。  会長といたしましては、会長代理に杉尾秀哉君を指名いたします。     ─────────────

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。  本日は、憲法に対する考え方についてのうち、参議院の緊急集会について法制局から説明を聴取した後、委員間の意見交換を行います。  全体の所要は二時間を目途といたします。  まず、法制局から説明を聴取いたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  川崎法制局長。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) 参議院法制局長の川崎でございます。どうかよろしくお願いいたします。  御指示により、お手元の資料に基づき、参議院の緊急集会に関しまして、その趣旨、経緯、制度の概要、実例等とともに、主な論点につき御説明をさせていただきます。  まず、参議院の緊急集会制度の趣旨と制定経緯につきまして確認をさせていただきたいと思います。  表紙をめくり、一ページを御覧ください。緊急集会について定める憲法第五十四条第二項及び第三項の規定を挙げております。  衆議院が解散されますと、参議院は同時に閉会となり、衆議院の総選挙後の特別会の召集まで国会はその権能を停止することになりますが、その間に国会の権能に属する緊急の案件が生じた場合に、これに対処するため設けられたのが参議院の緊急集会の制度であります。参議院の緊急集会は、両院同時活動の原則等の例外となるものと解されております。  この点、下の方に条文を示しておりますけれども、旧憲法には、公共の安全の保持等のため、緊急に必要があり、帝国議会閉会の場合における行政府による緊急勅令や緊急財政処分などの制度が設けられておりましたが、現行憲法にはそのような規定はありません。  その経緯につきましては二ページで御説明いたしますが、この点について、政府は、制憲時の帝国議会の審議において、民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するために、政府の一存において行うような処置は極力防止しなければならない、国会制度の趣旨を徹底して実行するための方法として参議院の緊急集会の制度を考えた、特殊の必要が起これば臨時会を召集して処置し、また、衆議院の解散後で処置できないときは参議院の緊急集会で暫定の処置をするなどと説明をしております。  なお、一院による緊急集会の制度は、国会を尊重しつつ、実際の必要に応じるものではありますが、外国にもほとんど類例を見ないものであり、この場合、参議院は、暫定措置として国会の権能を代行するものと解されております。  そこで、二ページで参議院の緊急集会制度が導入された経緯について見ておきますと、日本政府側は、GHQに提示した三月二日案において、第七十六条として、衆議院の解散その他の事由により国会を召集できない場合において緊急の必要があるときは、内閣は、法律又は予算に代わる閣令を制定できる旨の規定があり、これは旧憲法における緊急勅令と緊急財政処分を念頭に置いたものでした。しかし、GHQは、あらかじめ法律で適当に委任しておけばよいなどとしてこれを拒否し、一旦はこのような規定は消えることになります。  ただ、日本政府はこれで諦めたわけではなく、その後の交渉の場で、衆議院の解散の場合に短期間とはいえ全然活動不能となるのは不合理として、順次、参議院が国会としての権限を行うとする案、国会に置かれる常置委員会が国会の権限を行うとする案、さらには、衆議院の解散等の事情により国会を召集できない場合に内閣が緊急措置をとることができるとする案などを提示します。しかし、GHQ側からは、不測の災害の場合にはエマージェンシーパワーにより措置できるなどとして、これらも拒否される一方、議会解散に備えこうした規定が絶対必要であるならば、参議院に緊急権能を、職能を代行させることがよいとして参議院の緊急集会制度の提案がなされ、これが憲法に取り入れられることになったものです。  その意義につきましては、二ページの下の方に書いてございますけれども、政府は、帝国議会の審議において、民主政治を徹底する見地から、衆議院が解散せられ、急に議会を開くことができない場合に、全体の改選がなく、国民代表である参議院をもって緊急集会という方法により、予測すべからざる緊急の事態に対し暫定の措置をとり得ることとしたものだと説明をしております。  次に、三ページと四ページで緊急集会の制度の概要について確認をしたいと存じます。  まず、参議院の緊急集会が開かれ得るのは衆議院が解散された場合とされていますが、解散以外の衆議院不存在の場合にも開くことができるかどうかが議論となっております。  また、その場合に、国に緊急の必要があるときとされており、これは、時期的に新衆議院が成立、特別会の召集を待つことができない程度の緊急の必要があり、参議院だけで国会の権能を代行しなければならない場合があることを要すると解されております。そして、このような場合としては、治安上の緊急事態や非常事態的な場合が考えられるものの、必ずしもこれらに限られず、憲法及び法律を施行する上で特別会の召集を待たずに措置しなければならない緊急の必要がある場合も含まれ得るとされているところです。  法律でも、武力攻撃事態等又は存立危機事態、あるいは災害緊急事態の緊急政令などの場合における国会の承認等について、衆議院が解散されている場合の緊急集会による措置が規定されておりますが、これらは、事柄の性質上、憲法が定める国に緊急の必要があるときに該当するものであると理解されております。  緊急集会を求めることができるのは内閣だけであり、内閣総理大臣から集会の期日を定め、案件を示して参議院議長に請求すべきものとされており、仮に一定数の議員により請求があったとしても、法的効果はないものとされています。その際、国に緊急の必要があるかどうかの認定権も内閣にありますが、参議院側はこれに拘束されず、緊急の必要はないとして内閣提出の議案を否決することも可能とされております。  このほか、衆議院が解散された場合には、四十日以内に総選挙が行われ、その選挙の日から三十日以内に特別会が召集されなければならないこととされておりますが、その関係で、参議院の緊急集会が可能な期間が議論となっております。  続いて、四ページの方に参りますけれども、権能や手続でございますが、緊急集会で審議される案件は、内閣からの緊急集会の請求の際に示されたものに限られ、参議院議員は当該案件に関連のあるものに限り議案を発議できるものとされております。  参議院の緊急集会の権能は国会の権能の全部に及びますが、案件の性質から見て参議院の単独の議決のみでは許されないものや緊急の必要性がないものは、その範囲につき議論はありますものの、緊急集会の権能外と解されているところです。  国会法及び参議院規則は、全体として、条理上参議院の緊急集会の本質と相いれないものを除き、全て参議院の緊急集会に適用があり、このことを前提として、特に参議院の緊急集会について規定を要する特則と必要な読替規定を置いております。  なお、緊急集会中には、議員の不逮捕特権と免責特権も認められております。  参議院の緊急集会については会期の観念はなく、内閣から求められた集会期日の当日十時に参議院に集会して審議を開始し、緊急の案件が全て議決されたときに緊急集会は終了することになりますが、その際、議長は緊急集会が終わったことを宣告するものとされています。  緊急集会において可決された案件につきましては、公布を要するものは内閣を経由して公布奏上され、それ以外のものは内閣に送付されます。  参議院の緊急集会においてとられた措置は、臨時のものであることから、次の国会開会後の十日以内に衆議院の同意がない場合にはその効力を失うものとされています。緊急集会においてとられた措置に対する衆議院の同意については、当該案件を内閣が提出するものとされております。衆議院の同意があったときは、緊急集会でとられた措置は国会で議決された場合と同様の効力を有するものであることが確定いたします。他方、衆議院の同意がない場合における緊急集会でとられた措置の失効は将来に対するもので、過去に遡及するものではないとの解釈が通説となっております。  次に、緊急集会をめぐる主な論点について簡単に御説明いたします。  緊急集会をめぐっては様々な議論がありますが、ここでは四点ほど御紹介をいたします。  第一は、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合に参議院の緊急集会を開くことの可否であります。五ページから六ページにその議論につきまして記載をしております。  すなわち、衆議院議員、衆議院の任期満了による総選挙は、公職選挙法により、任期満了前三十日以内に行われるものとされていますが、国会の会期の終了の時期により任期満了後に総選挙が行われることもあり、この場合には衆議院議員が存在しない期間が生じることになります。  この点について政府でも議論となったことがあり、昭和五十一年の内閣法制局での検討の際には、参議院の緊急集会の制度は極めて特殊な場合の変則的、異例の措置であって、解散という予期しない事態の場合に限って特に明文の規定をもって認めたものであり、それ自体としても抑制的に運用されるべきものであるため、消極的に解すべきであるという見解、また、解散による選挙と任期満了による選挙の間に根本的な差異があるとは考えられず、解散の場合の条件よりも厳格に考えるべきであるが、真に国政上の緊急の必要があるときは憲法第五十四条第二項の類推適用が許されるという見解の両論があり、結論を得るには至らなかったということであります。  学説におきましても肯定説と否定説に分かれており、かつては、衆議院の解散と明記する憲法の規定や緊急集会の例外的、一時的な性格を重視した否定説が多数説と言われるようなこともありましたが、衆議院が存在しないということでは任期満了後の総選挙の場合も解散の場合と変わりがないこと、緊急の必要や内閣に対する統制の必要などを重視する肯定説も増えてきているように見受けられます。  この点、任期満了の場合を規定をしなかったことについて、憲法制定時においては、これは六ページの一番下のところに記載をされておりますが、任期満了の時期は分かっているからあらかじめ選挙の手続をとれる、解散時ほどに深刻な問題はないといった認識であったと説明されているところです。  第二は、七ページですが、参議院の緊急集会を開くことができる期間の問題です。  この点については、基本的に衆議院総選挙を経て特別会の召集が可能となるまでの間で考えることになり、そこでは、特別会を召集し得ることに着目するか、総選挙が行われたことに着目するかで議論が分かれているようですが、衆議院議員の総選挙が行われるまでの最長四十日プラス特別会が召集されるまでの最長三十日の最長七十日などといった議論も見られます。  なお、この点をめぐっては、天災等に伴う繰延投票により衆議院総選挙が解散から四十日以内に終了しない場合、あるいは総選挙の期日を四十日以内に設定できない場合に、衆議院総選挙までの四十日又は特別会の召集までの七十日を超えて緊急集会は可能かといった問題なども出てくることになりますが、ここでも、緊急集会の例外的、限定的な性格に重きを置くか、それとも衆議院の不存在の場合の緊急の必要や権力の監視、統制の必要に重きを置くかによって議論が分かれております。  第三は、参議院の緊急集会において議員が発議できる議案についてです。  この点、国会法第百一条が、参議院の緊急集会においては議員は内閣総理大臣から参議院の緊急集会の請求の際に示された案件に関連のあるものに限り、議案を発議することができる旨、規定をしております。  これは、二回の緊急集会の実例や経験を踏まえ、昭和三十年の国会法改正により明文化され解決が図られたものですが、緊急集会については、緊急性や緊急の案件の認定は内閣がその責任において行うものであるという考え方に基づくものとされております。ただ、これに対しては、緊急集会の当時において、もう少し柔軟に解して、直接に関連がなくても議案の発議を認めるべきとする意見もあったところです。  第四は、緊急集会の権能の限界の問題であります。  この点については、案件の性質から参議院の単独の議決のみでは許されないものや緊急の必要性がないものは緊急集会の権能外と解されていることは先ほど御説明したとおりでございますが、その当てはめに関し、憲法改正の発議、内閣総理大臣の指名、内閣不信任決議、条約の締結の承認、両院同意案件等について、権能の対象となるか否か、対象外とした場合に例外が認められるか否かなどをめぐり議論があり、少なくとも、憲法改正の発議と内閣不信任決議が対象外となることにつきましてはほとんど異論がないように見受けられます。  最後に、これまでの緊急集会の実例について八ページで御説明をしておきたいと思います。  これまでに行われたのは、昭和二十年代の二例ということになります。このうち、昭和二十七年八月の第十四回国会閉会後の参議院の緊急集会は、衆議院総選挙と同時に行われる最高裁判所裁判官の国民審査を執行するための中央選挙管理会委員の指名がないまま衆議院が解散されたことから、中央選挙管理会委員及び同予備委員の指名を行うため行われたもので、一日で終了しております。  また、昭和二十八年三月の第十五回国会閉会後の参議院緊急集会は、衆議院の解散により昭和二十八年度予算の年度内不成立が確実になったことから、暫定予算や法案の処理を行うために行われたもので、三件の暫定予算と期限の延長など緊急を要する四件の法案が委員会での審査を経て議決されており、三日間で終了しております。  二例とも、衆議院において同意がなされております。  また、いずれも政治上の事情から予期せぬ衆議院の解散が行われたことによるもので、緊急事態時ではなく、憲法や法律を施行するための緊急の必要が生じた場合であったと言うことができます。  駆け足の説明となり恐縮でございますが、私からは以上でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 以上で説明の聴取は終了いたしました。  これより委員間の意見交換を行います。  発言を希望される方は、氏名標をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言願います。  発言が終わりましたら、氏名標を横にお戻しください。  一回の発言時間は各五分以内でお述べいただき、法制局に答弁を求める場合は、答弁を含め五分以内といたします。  発言時間につきましては、経過状況をメモで通知し、時間が超過した際はベルを鳴らしますので、あらかじめ御承知願います。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、発言を希望される方は氏名標をお立てください。  山本順三君。

山本順三自由民主党

○山本順三君 自由民主党、山本順三でございます。  本日、今国会最初の参議院憲法審査会が開催されまして、大変うれしく思っておるところであります。今国会におきましても活発な議論が展開されることを期待をいたしております。  本日、参議院法制局長から、憲法五十四条二項、三項の参議院の緊急集会について説明をいただきました。様々な論点がこの参議院の緊急集会をめぐってあるということが今説明あったところでございますので、これ時間の制限ございますので、まとめて何点か質問をさせていただきたいと思いますので、答弁方よろしくお願い申し上げたいと思います。  まず、衆議院議員の任期満了による総選挙時の緊急集会の開会でございます。  憲法五十四条第二項を厳格に解釈すれば、任期満了時には開会は難しいと解する見解がございます。一方で、衆議院の解散というのは、衆議院議員の不在の例であり、制定経緯の第三回交渉で衆議院の解散等の事情によりと、等が政府側、日本側政府から示されたこと、あるいはまた、貴族院で金森大臣が改選期云々という答弁をされたことからすれば、任期満了による衆議院議員の不在を含めていると解することも可能と考えられます。  そこで、参議院法制局長に、衆議院議員の任期満了と憲法五十四条第二項の解釈の整理、解釈ごとに考え得る課題と対応措置についてお伺いをしたいと思います。  それから、憲法第五十四条第二項の緊急の必要があるときにつきましては、武力事態対処法や災害対策基本法の条文からすれば、これらの法律が想定する事態が含まれると考えるのが自然でございます。  一方、緊急集会を開く期間については、最長で七十日間をめぐる論点がございます。こちらについては、最長七十日間を超えることが可能と考えたとしても、武力事態対処法やあるいは災害対策基本法が想定する緊急事態下で我が国に大きな影響をもたらしている状況であれば、憲法が定める期間で総選挙を実施することができるのか、できないとすれば備えについても考えておくべきだというふうに考えております。この点についてどのような議論が考えられるのか、法制局長の考えをお伺いします。  もう一点お伺いします。  緊急集会の権能の範囲について、国会の権能の全部に及ぶとされる一方で、案件の性質から参議院の単独の議決のみでは許されないものがあり、例えば、総理の指名や条約の締結の承認、両院同意案件等もそのようなものとして権能の対象外となるのかどうか、解釈上の議論があるところです。この点に関して、権能の対象外の範囲を狭く考える見解にはどのようなものがあり、その理由についても法制局長にお伺いしたいと思います。  以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  まず、第一点の衆議院議員の任期満了後の総選挙の場合の参議院の緊急集会の可否につきましてです。  この点につきましては、先ほども御説明をいたしましたように、参議院の緊急集会の制度は、例外的、一時的なものであり、衆議院の解散の場合に限って認められたものであるとの解釈、他方、解散による総選挙と任期満了による総選挙の間で衆議院の不存在ということでは変わらず、国政上の緊急の必要があるときは内閣に対する統制ということからも緊急集会が認められるとする解釈などがあるものと承知しております。  それぞれの課題ということでございますが、衆議院の解散時のみに限られるとする場合には、衆議院の任期満了後の総選挙となった場合に、その間に国会の議決を必要となる緊急の案件が生じたときにどのように対応すべきかといった問題があり、その場合、内閣が単独で必要な措置を講ずる事態を招きかねないといったような指摘などもございます。  他方、憲法五十四条二項の類推適用により任期満了後の衆議院の総選挙の場合にも緊急集会を開くことができるとする場合には、解釈によるものであるだけに、実際にそうなった場合に議論を生じる可能性がございます。  それらを踏まえまして、どのように判断するか、どのような対応措置を講じるかは、まさに先生方において御議論をいただく問題であるというふうに承知をしております。  二点目の緊急の必要があるときでございます。  先ほど先生も御指摘になられたように、武力攻撃事態等や災害緊急事態がこれに含まれるというような理解がされているところでございます。  そして、御指摘のような状況の下で、場合によっては、衆議院の解散の日から四十日以内あるいは七十日以内に衆議院の総選挙を実施することができないといった事態も想定されないわけでもありません。こうした場合にも緊急の必要があれば参議院の緊急集会で対応できるとする見解がある一方で、それでは対応できないとして、衆議院議員の任期延長等を憲法上認めるようにすべきであるとか、国会が開けない場合に備えて緊急政令や緊急財政処分の制度を憲法で認めるようにすべきであるといったことなどが議論されているものと承知をしております。  三つ目でございますが、緊急集会の権能の範囲外とされているものの、どういうものが考えられるか、あるいはそれについて狭く解釈する見解ということでございますが、例えば内閣総理大臣の指名の関係では、その指名はまさに緊急を要するものであるとか、大規模な自然災害などにより内閣総理大臣のほか多数の国務大臣を欠き、長期にわたり総選挙実施も延期せざるを得ないような非常事態においては例外を認めざるを得ないといった見解がございます。  また、条約の締結の承認につきましては、憲法制定時のGHQとのやり取りの中で、緊急の必要があり得るとの議論が日本政府側によってなされております。  両議院の同意案件につきましては、国会の議決との手続上の差異はこれに影響しないとか、国に緊急の必要があるとされる場合もあり得るなどといった考え方から、緊急集会の対象となるとの議論がなされているところでございます。  以上でございます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 杉尾秀哉君。

杉尾秀哉立憲民主・社民

○杉尾秀哉君 立憲民主・社民の杉尾秀哉です。  当審査会の重要性に鑑み、真摯に落ち着いて議論できるよう努めてまいりますので、よろしくお願いします。  私たちの会派は、緊急集会をめぐる主要な四点について順次見解を述べます。  まず、私から、参議院法制局資料、論点四の二の緊急集会を開く期間について伺います。  憲法五十四条一項の七十日を超え得ることを、高見上智大学名誉教授は本文のもちろん解釈からして当然であると説明されています。  そこで、高見教授の学説の紹介と、このもちろん解釈の意味の説明を局長よりお願いいたします。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  高見名誉教授は、大災害緊急事態が発生した場合について、国に緊急の必要があるときは、衆議院の総選挙及び国会の召集がこうした事態の収束まで延期できることは憲法五十四条のもちろん解釈からして当然である旨述べられております。  そこで、もちろん解釈でございますが、これは法の解釈の方法の一つであり、一般的には、ある事項について法が規定していることを他の同一属性を持つ事項に当てはめることが常識上自明ないし当然とされる場合をいうと理解されているところでございます。  以上でございます。

杉尾秀哉立憲民主・社民

○杉尾秀哉君 ありがとうございます。  今御説明いただきました学説は極めて傾聴に値するものでありまして、そもそも緊急集会を開く期間の考察に際しては制度の根本趣旨を踏まえて考える必要があります。  まず一つ目は、衆議院議員がおらず、国に緊急の必要があるときに、国会の代替機能を十全に確保するということです。  緊急集会は、その立法経緯におきまして、地震等の大災害で緊急の立法措置を講じる必要が生じた場合に備え、憲法七十三条の政令への罰則の委任規定とともに措置されたものです。であるならば、当然に七十日で事態が収束しない場合はその収束まで緊急集会を延期できるものと考えるべきです。土井京都大学教授、長谷部早稲田大学名誉教授も、こうした場合、緊急集会は実施可能と明確に述べておられます。  そして二つ目は、金森大臣の答弁にある、民主主義を徹底する見地と、民主主義を徹底させ国民の権利を十分擁護するため、行政権の自由判断の余地をできるだけ少なくするように考えたという、憲法五十四条二項の緊急集会のいわゆる根本趣旨であります。  これに照らせば、同条第一項の七十日の間しか緊急集会の開催を想定していないか、あるいは開催そのものができないといった解釈は、その代替として七十日以降の議員任期の延長の憲法改正を必要とすることとなり、こうした解釈そのものが先ほど述べました緊急集会の根本趣旨に照らして背理であり、全く相入れないものと言わざるを得ません。  つまり、衆議院の改憲議論にある緊急事態の類型、七十日を超えて選挙の一体性が害される広範な地域、任期の再延長などといった抽象的な要件には極めて広範な内閣の裁量の余地があり、これは、民主主義を徹底させ国民の権利を十分に擁護するため、行政権の自由判断の余地をできる限り少なくするという緊急集会制度の先ほど述べた根本趣旨に全く反しているというふうに言わざるを得ません。  なお、衆議院での改憲議論や、先日公表されました維新、国民民主、有志の会の二党一会派案が立憲主義を超えたものであるかどうかはさておき、金森大臣が言う、どんなに精緻な憲法を定めても、口実をそこに入れ、また破壊せられるおそれ絶無とは断言し難いという見解はまさに至言であります。  よって、この緊急集会の根本趣旨という参議院の在り方そのものに照らしても、私たちの会派は議員任期の延長のための改憲には明確に反対するものです。  最後に、衆議院の改憲議論では、三年間、総選挙又は参議院通常選挙が行わない事態をも想定されておりますけれども、そもそも民主主義において選挙は絶対の前提でありまして、日弁連が言うように、被災者の立場に応じた一日も早い選挙実施の措置を講ずるべきです。更に言いますと、議員任期を延長する改憲の致命的な問題として、仮に参議院の任期延長を三年行えば、参院の半数改選が成り立たなくなるという問題があります。これは参議院の在り方そのものでもある半数改選と論理的に相入れないものであり、こうした観点からも議員任期延長の改憲を認めるわけにはまいりません。  以上述べましたように、憲法が緊急事態対応を、全国民を代表する議員から成る国民代表機関であり、全体の改選期のない万年議会である参議院の緊急集会に委ねていることは、その民主的正統性と実効性並びに国家緊急権濫用の危険性の徹底排除という全ての観点からも世界に誇るべき制度と考えます。  よって、本審査会は、そうした認識の下に、その更なる十全な機能強化の議論を各会派の良識の下に進めていくべきだと申し上げまして、私からの意見といたします。  ありがとうございました。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 西田実仁君。

西田実仁公明党

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。  意見を述べさせていただきます。  国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である国会の権能を緊急事態においても維持するため、近時、衆議院議員の任期延長や元衆議院議員の職務復帰ができるようにするための憲法改正をすべきとの意見が見られます。しかしながら、緊急事態における対応に関しては、憲法五十四条第二項に参議院の緊急集会に関する規定が置かれていることから、この制度の意義及び特徴を振り返った上で、どのような対応策が考えられるかについて参議院において丁寧かつ慎重に議論することが必要ではないかと考えます。  まずは、参議院の緊急集会の意義について取り上げたいと思います。  参議院の緊急集会は、芦部信喜氏の「憲法」によれば、衆議院が解散されて総選挙が施行され、特別会が召集されるまでの間に、法律の制定、予算の改定、その他国会の開会を要する緊急の事態が生じたとき、それに応えて国会を代行する制度であり、参議院の基本的かつ重要な権能として位置付けられております。それは、座長に元内閣法制局長官の林修三氏を置く参議院制度研究会による参議院のあり方及び改革に関する意見、昭和六十三年十一月一日でも、緊急時において内閣を統制する機能として重要な位置付けがなされております。  次に、参議院の緊急集会の特徴として三つ挙げたいと思います。  第一に、迅速かつ臨機応変な対応が可能である。過去の例では、内閣の求めがあってから集会までの期間は三日ないし四日となっております。  第二に、緊急事態への対応に必要な権能は認められております。緊急の必要がないとされる憲法改正の発議や内閣不信任決議の行使は認め難いとされておりますが、緊急事態への対応に必要な内閣提出法律案の提出は当然に可能であり、その関連の議員立法の提出も可能とされております。  第三に、手続及び運営については、国会法及び参議院規則において所要の規定の整備がなされているほか、過去二回の先例を踏まえた先例録も整備されております。  ただし、憲法が想定する参議院の緊急集会の権限は、文理上からすればあくまでも限定的であります。すなわち、四つの要件があります。第一に衆議院の解散中であり、第二に国に緊急の必要があるときであり、第三に内閣の求めがあるとき、そして第四に事後に衆議院の同意が必要とされております。  しかし、本来の憲法の規定は本当にここにとどまるのか。衆議院の任期満了時の総選挙でも、衆議院不存在の趣旨からすれば参議院の緊急集会は開催し得るのではないか、それは近時の多数説になっております。また、解散から総選挙までの四十日プラス総選挙から特別召集までの三十日の計七十日とされる期間限定を超える事態でも、参議院の緊急集会は本当に開催できないのか。  また、第三の内閣の求めは、あくまでも案件は限定されると解されているものの、国に緊急の必要がある場合には、内閣による広範、抽象的な案件の設定や随時の案件追加による対応は本当に許されないのか。憲法五十四条二項は、内閣が参議院の緊急集会を求めることができる要件として、国に緊急の必要があるときと定めております。この解釈について、学説上は特別会の召集を待つことができない程度の緊急の必要があればよく、災害時における集会の対応も含まれるなど、一般に議員の任期延長等の前提条件としての緊急事態宣言の発出に係る要件として議論されているものよりも広く解釈されているが、どう考えるか。  一方で、緊急集会に余りに広範囲の権限を与えることは、事後に衆議院の同意が必要である以上、衆議院に遡及効を認める議論に発展していくのではないか。  検討すべき論点は多岐にわたります。憲法の規定を超える事態の場合、憲法の欠缺には議員の任期延長という憲法改正で対応すべきか、それとも解釈、法律で対応できるかについては大いに議論のあるところでありましょう。  参議院の緊急集会は、本来の憲法が想定する文理上の限定説を適用すべきか、それとも拡張説ともいうべき無限定説を取るべきか、又はその間のどこかに落ち着かせるべきなのか、この参議院憲法審査会で議論を深め、いずれかのタイミングで憲法学者の意見なども拝聴したいものである。  以上です。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 音喜多駿君。

音喜多駿日本維新の会

○音喜多駿君 日本維新の会の音喜多駿です。  冒頭、過日に憲法審査会の、参院憲法審査会メンバーから不適切な発言があった件について、御発言の内容についてはこの場では繰り返しませんが、審査会の開催頻度については一言意見を申し上げたいと思います。  憲法審査会は、憲法改正の議論や日本国憲法に密接に関連する基本法制について、広範かつ総合的に調査を行う機関です。昨今の流動的で不確実性の高い国内、国際社会に照らし合わせれば、戦後直後に作られた憲法で対処できない問題が多数出てくるのであり、迅速かつ効果的に情報を収集し、意見交換するためにも頻繁に開催することには十分な意義があります。  昨年から衆議院の憲法審査会は活性化し、一定の国民の評価を得てきました。参議院でも与野党が協力して国民が求める議論に応えていくことが必要であり、毎週あるいは頻繁な開催を求めるものです。  また、不適切な発言については、冒頭会長から説明がありましたが、会長だけではなく、当事者又はしかるべき立場の方からもこの参院憲法審査会の場で謝罪、撤回などの対応がなされることを強く期待をいたします。  さて、今回、私は、日本国憲法第五十四条に規定された参議院の緊急集会の趣旨と必要性を確認した上で、あわせて、緊急事態が七十日を超える場合には、憲法に緊急事態条項が必要であるとの立場から、緊急事態条項改正案の提言等を行います。  憲法第五十四条は、国家の緊急事態に対処するための仕組みを提供しています。その趣旨は、単に衆議院議員が不在の場合の国会の決まりという意味だけではなく、緊急事態という、緊急事態下においても行政府の一存で行うような措置を極力防止するべきであるという、民主政治に必要な権力分立、権力濫用防止の意味が込められていると考えます。ゆえに、二院制が存続する現時点において、民主政治を徹底させて国民の権利を十分に擁護するためにも、本条は必要不可欠であると考えます。  一方で、長期にわたる緊急事態が発生した場合、参議院の緊急集会だけでは対処が困難になります。憲法第五十四条から導かれる緊急集会を開くことができる期間は、最長でも一般的には七十日までです。しかしながら、緊急事態が七十日を超えるような長期にわたる場合、この規定だけでは十分な対処ができません。  例えば、感染症の拡大によって国政選挙の適正な実施が困難になる場合もあり得ます。我が国では今回の感染症では選挙の延期の事例はありませんでしたが、イギリスでは統一地方選が一年、ポーランドでは大統領選が二か月、米国では大統領選の予備選が三か月以上延期されるなど、新型コロナによっても主要国の選挙は影響を受けました。また、ウクライナ戦争を見るに、外交努力むなしく戦禍が我が国に及んだ場合、選挙ができないほどの事態が長期にわたることも大いに予想できます。このような場合には、国会議員の任期を延長する緊急事態条項を設けることが必要です。  そこで、我々日本維新の会は、先日、国民民主党、有志の会と、日本国憲法への緊急事態条項の創設に向けて三党派合意書を結び、緊急事態条項原案を発表いたしました。  具体的には、武力攻撃、内乱、テロ、自然災害、感染症の蔓延など、広範な地域において国政選挙の適正な実施が困難になった場合、内閣の発議と国会の三分の二以上の多数の議決によって国会議員の任期を延長する緊急事態条項を設けるというものです。もっとも、緊急事態条項を導入するに当たっては、憲法上の基本的人権や自由を制限することがあるため、透明性の確保が必要です。  例えば、緊急事態条項の導入に当たっては、監視の仕組みとして、憲法裁判所の関与を必要とするほか、議員任期延長以外の国会権能維持のための措置や、絶対に制限してはならない人権に係る規定等の条文などが適切に設計される必要があります。これらについても、我々は今国会中に成案を目指しています。  このようなフルセットの緊急事態条項を設けることにより、緊急事態が長期化した場合でも、国政選挙が適正に実施されるまでの間、国民の代表たる議員が存続し、国家の運営が継続でき、かつ行政の暴走を止めることが保障されます。私たちは、これまでの経験から学び、未来の緊急事態に備えるために憲法の改正を検討する必要があります。  緊急事態条項の導入はその語感から強権的でファシズム的な印象を与えますが、我々の案はむしろ、いかなる事態においても国会機能を維持することで権力の暴走を止めるために作動するものであり、国民の生命と財産を守るために重要な役割を果たすと考えます。  是非、我々の発表した案に基づいて、緊急事態条項の導入に向けた精緻な議論が本審査会でも行われることを求めて、意見とさせていただきます。  ありがとうございます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 大塚耕平君。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。  本日は、憲法第五十四条に定める参議院の緊急集会と、現在検討を進めている緊急事態条項の関係等について意見を申し述べます。  緊急集会の規定の制定経緯を鑑みると、当時の連合国軍総司令部が主張していたように、緊急時の暫定措置を法律による委任によって法的根拠を定めるという考え方には一定の合理性があるものと思います。しかし、憲法制定から既に七十七年が経過し、その間に公布された多くの法律がそうした委任を想定していない現状を踏まえれば、参議院の緊急集会という制度を有効活用することが合理的と考えます。  その上で、緊急集会を開催する緊要性が生じるタイミングの観点から整理して意見を申し述べます。  以下、緊急集会を開催する緊要性のある事態のことを緊急事態と定義します。  衆議院は解散の日から四十日以内に総選挙を行い、その選挙の日から三十日以内に国会を召集しなければならないと定めています。緊急事態の発生のタイミングは、第一に解散から選挙の告示までの間、第二に選挙告示から投開票日までの選挙期間中、第三に投開票日から国会召集までの間の三段階に分けられます。  仮に、第一の解散から選挙の告示までの間に緊急事態が生じた場合には、選挙の中止及びそれに伴う前議員の身分復活及び任期延長の可否が問われます。ここに現在検討している緊急事態条項の内容の意義があります。  次に、第二の選挙の告示から投開票日までの選挙期間中に緊急事態が発生した場合、第一の場合に比べれば、選挙途中での選挙中止、前議員の身分復活及び任期延長に対する納得感、合理性は低下するものと思われます。  第三に、投開票日から国会召集までの間に緊急事態が生じた場合には、選出された新議員で速やかに国会を開催すべきと考えます。  以上の整理において、第一の場合、第二の場合に、選挙中止、前議員の身分復活、任期延長がなし得ないケースには、参議院の緊急集会が意味を持つことになります。  次に、昭和二十七年と昭和二十八年における参議院緊急集会の実例については、それぞれ、最高裁裁判官国民審査執行のための中央選挙管理委員会の指名及び暫定予算等の議決のために開催されましたが、この開催理由が参議院緊急集会という異例中の異例の制度を運用するに足る事案であったか否かについては検討を要するものと思われます。  ただいま申し述べている意見における緊急事態の定義及び参議院緊急集会において決定対象とすべき事項については、可及的速やかに議論をして、国会における合意を形成する必要があると考えます。その際には、緊急事態条項の適用に伴う選挙中止及び前議員の復活、任期延長等についても合意を形成し、その内容が憲法事項に当たるのであれば、憲法改正の是非も含め有意な議論を行うべきものと認識しています。  国民民主党は、参議院における法の下の平等とは、単純な一票の平等ではなく、自身の居住する都道府県から少なくとも一人は代表を選出できる権利であることを立法府の意思として明確に主張すべきことを従前より申し上げています。参議院緊急集会の在り方についても、学説的に賛否両論があることは承知していますが、だからこそ、立法府としての参議院自らの意思を明確にすることこそが必要と考えます。  国権の最高機関という憲法上の位置付けを十分に認識し、法的根拠のない司法の判断基準を是としたり、行政府の独断を黙認することのない、自らの運営ルールを確立することが肝要だと思います。  以上で意見を終わります。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 山添拓君。

山添拓日本共産党

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  参議院の緊急集会は、憲法五十四条二項で、衆議院解散中、内閣が特に緊急の必要があるときに求めることができるとされ、同条三項で、緊急集会における措置は、次の国会で衆議院の同意がない場合は効力を失うとしています。規定は明瞭です。にもかかわらず、本日、あえて議論の対象とするのはなぜか。その先に自民党などが主張する緊急事態条項の創設という狙いがあることは明らかです。  しかし、東日本大震災でもコロナ禍でも、憲法に緊急事態条項がないために対応できなかったという事態は起きていません。また、ロシアのウクライナ侵略を契機に、有事に備えよとあおる議論が盛んになされますが、戦争をさせないことこそ政治の役割であり、憲法を生かす政治への転換が求められます。ましてや、国民の多くが改憲を政治の優先課題として求めていない中、憲法審査会を動かすべきではありません。  その上で、まず、緊急事態条項について述べます。  日本国憲法は、個人の尊重を中核として基本的人権を保障し、三権分立や地方自治の保障などにより国家権力を制限しています。一方、自民党改憲案条文草案の緊急事態条項は、大規模災害などの際、法律ではなく閣議決定による政令で国民の権利を制限できるとするもので、言わば憲法停止条項にほかなりません。  緊急事態条項は、日本でも世界でも濫用された歴史があります。戦前、最も民主的と言われたワイマール憲法の下で、大統領非常権限が乱発され、国会の立法権が奪われ機能不全となり、ナチス・ヒトラーの独裁政権に道を開きました。  明治憲法の緊急勅令は、緊急事態の名の下に、国民の運動を弾圧する道具として使われたほか、議会で否決された法律を通すためにも使われました。その最悪の例が、議会で審議未了のため廃案となった治安維持法の重罰化改正案を議会の閉会後に緊急勅令で強行したものです。こうした濫用の危険と隣り合わせであるからこそ、戦後の憲法はあえて緊急事態条項を規定しませんでした。  憲法制定議会で当時の金森大臣は、日本国憲法の草案に明治憲法の緊急勅令などを設けない理由について、民主政治を徹底させ国民の権利を十分擁護するには、緊急時に政府の一存で行う措置は極力防止しなければならない、どんな精緻な憲法を定めても、非常という言葉を口実に破壊される可能性がないとは言えないため、行政権の自由判断の余地をできるだけ少なくした、特別な必要があれば臨時国会を召集し、衆議院が解散中であれば参議院の緊急集会を招集すれば足りる、特殊な事態には平常時から法令等の制定により濫用されない形式で完備しておくことができると答弁しています。  このように、憲法は、いかなるときも人権保障を十分なものとするため、国会の関与を必須としています。緊急集会も、国民の代表である国会における審議と討論、採決を経ることを要求しています。したがって、国会の関与を否定し、憲法を停止する緊急事態条項とは全く性質が異なります。  また、議員任期の延長は、内閣あるいは多数党の専断を許し、国民の選挙権行使を通じた参政権を奪うもので、やはり憲法を停止するものです。緊急集会で対応できない場合があるので衆議院議員の任期延長をという議論がありますが、両者をリンクさせて議論すべきではありません。  緊急集会が衆議院解散の場合のみを規定していることから任期満了の場合に対応できないとの議論がありますが、任期満了による総選挙は過去に一例しかありません。その実施中に全国的に選挙ができなくなるようなケースを殊更想定し、憲法の基本原理を脅かすことがあってはなりません。  昨年、衆議院で意見を述べた高橋和之参考人は、極端な事例を出せば出すほど、権限をどこかに大幅に移譲する以外に解決の方法はなくなっていくと述べ、警鐘を鳴らしました。  結局、この議論は、緊急事態条項の創設に結び付くものと言わなければなりません。それでもなお、憲法上、国会の機能を維持できるようにすべきだという議論があります。しかし、国会の機能と言うなら、この間の国会軽視の政治こそただされなければなりません。安保三文書は、政府が従来憲法上保有できないとしてきた敵基地攻撃能力の保有を始め、専守防衛すら投げ捨てる大転換を閣議決定で決め、国会で問われても、憲法、国際法の範囲内、専守防衛に徹する等、中身のない答弁を繰り返しています。甚だしい立憲主義のじゅうりんです。  コロナ対策や物価高対策の予算は、巨額の予備費を積み上げ、国会審議を経ることなく執行する事態が常態化し、今年度予算案の採決当日に二兆円もの予備費支出を決めました。著しい財政民主主義の破壊です。  コロナ禍で野党が憲法五十三条に基づき臨時国会の召集を求めても応じようともしなかったことへの反省もなく、国会の機能維持を理由に改憲につながる議論を進めるなど言語道断であることを指摘し、発言とします。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 山本太郎君。

山本太郎れいわ新選組

○山本太郎君 ありがとうございます。れいわ新選組、山本太郎です。  毎週開催されている衆議院の憲法審査会について、小西議員の猿発言が批判を集め、小西議員はこれら発言を謝罪、撤回。問題となった発言は、毎週開催って猿のやることだ、憲法を真面目に議論しようと思ったら毎週開催なんかできないというもの。これ確かに問題発言なんですね。猿に対して失礼であり、猿に対して謝罪すべきだと。  猿は高度に社会性のある動物で、群れの明確なルールを守り、実力者が裏でこそこそルール変更したりしません。例えば、ニホンザルなどは、自然状態であるならば、力で群れを支配するボス猿も発生しないという研究もある。力に物を言わせた政治支配とも無縁と言えます。今、一部与野党の国会議員がやっているような、こそくな、火事場泥棒的なルール変更を猿は画策したりはしない。これらの国会議員たちと同列に置くのは、猿に対する冒涜です。  憲法審査会を毎週開くのが問題であるわけではないです、問題なのではない。今、日本にはびこる数々の違憲状態、憲法に定められた国民の権利を無視した政策をチェックし改善するための議論に集中するなら、週何回開催しても足りないぐらいです。そもそも憲法審査会は、憲法がその趣旨どおりに実施されているか、憲法違反が生じていないかを調査する役割を持っています。それにもかかわらず、この役割を果たすための議題設定や議論がほとんどなされていない。  自公政権は、生活保護基準引下げを進め、憲法二十五条が定める最低限の生活を壊してきました。この生活保護減額は、裁判所からも憲法違反として批判されています。旧優生保護法下で強制不妊手術を行ったことは明確に憲法違反と判決が出ていますが、全ての被害者に対して十分な補償をするための法整備はできていない。同じ群れの中で生殖の権利を奪い、飢え死にするところまで追いやるなど、猿ならば絶対にやらない。  最近の憲法審査会では、国民の権利を更に制限しようとする改憲提案ばかり議論し、回数を重ね、回数を重ねたことを口実に国民が望んでいない改憲案を発議しようとする意図が見え見え。本国会の衆議院憲法審査会では、内閣に国会の賛成が不要な緊急政令制定権、政府の裁量で予算執行する緊急財政処分権限を付与する提案が出されている。国民が経済的に疲弊してコロナから立ち直れないうちに戦前の法体系に戻そうとする動きです。こんなこそくなルール変更は猿はやらない。本当に猿に申し訳ない限りです。小西議員には、全ての猿に対する真摯な謝罪を求めたいと思います。  国民が求めてもいない緊急事態条項ばかりを毎週議論する勢いの、はしたない衆議院のような運営は、良識の府、参議院では行われてきませんでした。これは、中曽根会長の下に、筆頭幹事と、与党の筆頭幹事と小西議員が丁寧な話合いを重ね、良識の府にふさわしい格調高い本審査会の運営を目指して実践してきた結果と考えます。  ここから先は、違憲状態の中で苦しむ国民のために議論が尽くされる、本来の趣旨に更に立ち戻った参議院憲法審査会となる、参議院の憲法審査会となるよう、諸先輩方と議論を深められたらというふうに思っています。  ありがとうございます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 佐藤正久君。

佐藤正久自由民主党

○佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。発言の機会をありがとうございます。  参議院の緊急集会は、緊急事態に対応するための重要な規定です。緊急集会に対して、衆議院が解散された場合にしか対応できない、そもそも参議院だけで重要事項を決めていいのか等の指摘もありますが、緊急事態という国家の根本概念が現行憲法で規定されていない中、様々な対処法を考えておくべきであり、緊急集会もその一つの方法として活用していくべきと考えます。  他方、緊急集会があればそれで大丈夫とすることも問題だと思います。まさに緊急事態が起きているときに、衆議院議員の任期が満了になるから解散をして、あとは参議院の緊急集会でというのは緊急事態の対処としては間違っています。これについては、憲法を改正し、緊急事態における議員の任期の延長を認めるべきと考えます。  その際、延長期間に関する議論も必要です。例えば、東日本大震災では地方議員の任期が発災から最長八か月間延長されましたが、ロシアのウクライナ侵略のように、有事の際には今後の見通しが立たない可能性が十分あり得ます。一定の期間を設けておいた上で再延長を可能とし、選挙可能となれば速やかに任期を終了するという方法もあり得ると考えます。  ただし、根本的な話として、そもそも緊急集会はあくまでも二院制における例外的な制度です。参議院も機能不全に陥るといった国会の機能そのものが機能しない事態に陥った場合、対処するすべがありませんが、現憲法ではこのような事態の想定はなされていないため、全く規定がありません。宣言する緊急事態の規定そのものがないことは大きな問題であり、緊急事態条項の整備は喫緊の課題と考えます。  また、緊急事態における議論は多角的に行う必要があります。例えば、災害対策基本法百五条は、非常災害が発生し、かつ、当該災害が国の経済及び公共の福祉に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚なものである場合において、当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは、内閣総理大臣は災害緊急事態の布告を発することができると定めています。東日本大震災は、まさに災害緊急事態に該当する事態であったにもかかわらず、結局布告されませんでした。  東日本大震災の直後に開かれました予算委員会で私は、今まさに災害緊急事態に該当する事態ではないかと質問しましたが、時の民主党政権は、応急対策を推進するための特別の必要があると判断されるときに発動されるべきものであり、また、災害対策基本法百九条の規定にある国会が閉会中等の場合にあるといった状況にはないという説明でした。閉会中か否かに関係なく、緊急を要するのであれば、国に権限を与えて速やかに対応できるようにしておくべきところ、閉会中ではないことがこれを布告しませんという理由にしていました。  結果、当時の民主党政権の対応が遅い、足りない、優先順位が違う等の批判が出ました。そんな批判が出ても、当時の民主党政権は、国民の権利義務を大きく規制するという非常に強い措置であるといったことも踏まえて適切な判断が必要である、また現地への災害物資の補給については、原発から三十キロ以内の地域に関しても、民間業者の協力が得られなくても自衛隊の協力を得て避難所に燃料等の物資を送り込むことができると、全力を挙げて努力をしているといった説明がありましたが、これは被災者からすると説明にもなっていないという批判もありました。  自衛隊そのものも、災害時に協力をするといっても、全員が燃料等を取り扱う危険物取扱従事者の資格も持ってはおりません。また、防衛警備任務もあり、交代を考えながら防衛警備をやるというのも災害派遣にとってはかなり負担にもなります。実際に緊急事態に災害が起きる可能性すらあります。  憂いがあれば備えるのが政治の責任です。様々な緊急事態に対応できるように、必要な憲法改正、法改正を行うべきと考えます。東日本大震災のときのように国会が開会中だから宣言しなかったという理屈で縛られることがないよう、参議院の緊急集会条項も含め、あらゆる事態に備えるよう、憲法に緊急事態条項の整備をしっかり進めていく必要があると考えます。  以上です。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 打越さく良君。

打越さく良立憲民主・社民

○打越さく良君 立憲民主・社民の打越さく良です。  緊急集会制度により衆議院の総選挙中における緊急の事態に対処することができることは、本院の存在理由の一つとされているものであり、憲法学者の清宮四郎は、外国にもほとんど類例を見ない制度であると指摘しています。この外国にもほとんど類例を見ない制度こそ本院の存在を光り輝くものとしているのであり、緊急集会制を否定、あるいは毀損しようとする議論は、本院の権威をおとしめるものにほかなりません。その運用の細部について学説を検討することは大いに結構なことですが、その際には、本院の権威を一層高める方向で議論すべきであることは同僚議員の誰もが同意されるものでしょう。  こうした観点に立てば、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合に緊急集会を開くことは、内閣の判断により解散されたときだけではなく任期満了後の場合にも議院の緊急集会を求め得るものとの高見勝利先生の説を取るべきです。  また、権力の抑制と均衡を確保することが憲法の趣旨にかなうのですから、緊急集会に関する憲法第五十四条第二項を衆議院が存在しない例として解散の場合を定めたものと解し、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合にも本条を類推適用して、国に緊急の必要あるときは内閣は緊急集会を求めることができるとの土井真一教授の説を取るのが適当です。  さらに、例外的な場合には、第五十四条を類推適用することで、解散ではなく任期満了後であっても内閣が参議院の緊急集会を求めることができるといった只野雅人教授の解釈に立たなければなりません。それは、衆議院が存在しない状況で緊急集会を認めなければ、内閣が緊急事態の法理に依拠するなどして単独で必要な措置を講じる事態を招きかねないからです。その旨、土井真一教授も指摘しておられます。  これらに否定的な学説があるからといって、起こり得る事態に対応できないという選択肢を参議院が取るわけにはいきません。まして、この件をもって憲法を改正しようとするのは、トイレに鍵が付いていないから家を建て替えるというような誠に本末転倒な議論です。  昨年四月の本審査会において赤坂幸一参考人は、帝国憲法下の緊急勅令は、議会ではなく執行部の手段ですので、私の観点から、それを緊急時においてこそ統制、更に別の観点から統制する議会的組織を確保するということの視点がやはり更に重要なのではないかと考えますと述べています。こうしたことからも、本院の緊急集会制はその趣旨にかなったものです。  かつての帝国議会における新憲法審議の担当大臣となった金森徳次郎は、GHQとの交渉で、当時の松本烝治国務大臣があくまでも二院制を主張し、万一衆議院の解散の場合に国務遂行の支障が起こることに備えるため、憲法五十四条に参議院の緊急集会の制度を設けることに成功したと当時を回想しています。  こうした原点に立ち返るならば、緊急事態において本院が国会機能を十二分に代行するため、常に自己研さんを怠らず、国民の負託に応え得る議院とならなければならないことを強く訴えて、私の討論を終わります。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 赤池誠章君。

赤池誠章自由民主党

○赤池誠章君 自由民主党の赤池誠章でございます。  昨年、一昨年と発言の機会をいただいたときにも同様のことを申し上げたのですが、本来、憲法とは、国家の基本的な体制を定め、国民を守るためにあるのだと思います。しかしながら、戦後、現行憲法を現行のままに維持するために国民が憲法を守るようになり、国民を守るためにはそもそも現行憲法のままでよいのかという視点での議論が残念ながら十分進んでこなかったのがこれまでの国会の状況ではないかと今でも思っております。  我が国の安全保障は、まさに重大な岐路に立たされています。ロシア、北朝鮮、チャイナと、我が国は三正面の脅威にさらされています。そして、サイバー、宇宙、電磁波等の新領域での脅威が高まり、特にサイバー攻撃が常態化し、我が国の重要な社会基盤を停止させて、混乱に陥ることになるかもしれません。  また、自然災害が頻発化しており、風水害、大地震、火山噴火等、大規模な自然災害が切迫していると指摘されています。  さらに、ここ三年間の新型コロナウイルス感染症の脅威によって社会経済活動が危機にさらされ、その危機からようやく脱却しつつあるわけでありますが、気候変動や都市化、世界的な人や物の移動もあり、今後も新型感染症が大流行する可能性が指摘されております。  そして、何よりも、以上のような危機が複合的に発災するという最悪の事態を想定しておかなければなりません。いかなる緊急事態であろうとも、国民を守るためには国家体制が機能し続けなければなりません。  本日の議題である参議院の緊急集会について、現行憲法の制定過程の説明にあるとおり、緊急事態の場合、当初、政府は内閣に法律や予算に代わる閣令の制定を提案しましたが、連合国軍総司令部、占領軍によって否定され、民主主義の徹底という観点から、参議院の緊急集会の規定を設けるとされました。しかしながら、参議院の緊急集会という規定は、本当に緊急事態に際して機能するのか、運用面はどうなのかという議論が十分なされているのでしょうか。  まず、憲法の規定上から、先ほどから議論がありますとおり、衆議院の解散時だけ参議院の緊急集会を開催できるとするのか、任期満了時はできるのか、また、最長七十日間をどうするのかや権能の範囲など、緊急事態でそんな議論を国会でやるんでしょうか。そのこと自体が緊急事態に対処できないことにつながりかねないということを大変危惧するわけであります。  そして、衆議院の憲法審査会では議員の任期延長が議論されているわけでありますが、衆議院議員の任期中においても、緊急事態によって衆参両院の議員が定足数に集まらなかった場合、議会が開会できない場合はどうするということについて、我々はしっかり真摯に議論をしているのでしょうか。  また、首都圏直下型地震の影響や、弾道ミサイルの、残念ながらあってはならないとはいえ、直撃したり、テロリストの占拠等によって国会議事堂が使用できない事態が発生したら、どこで国会を開会するというのでしょうか。  国会の議場は、慣例によって、東京のここ国会議事堂で定められているわけであります。緊急事態の場合、どこでも開催しようと思えばできるということにはなるのかもしれませんが、そのとき、公開原則、今日もいらっしゃいます傍聴をどうするのか、会議録策定の事務方をどうするのか、国会の事務局体制をどう緊急事態に確保するのか、事前に取り決め、そして訓練をしておかなければ、とても国会を開会し、機能を維持することはできません。  つまり、参議院の緊急集会という現行の憲法規定のまま、議論だけではなく、実際に具体的に緊急事態でどう国会を開会し続けるかということを議論しなければなりません。緊急事態において、内閣に委任せず、あくまで国会を機能させるのであれば、しっかり国会においても危機管理時の国会の在り方を議論すべきです。  そのとき、国会議事堂の地下に例えば核攻撃に耐え得る議場を整備するのか、衆参二院のときどうするのか、衆参両院合同の常置委員会をつくるのか、定足数の考え方、公開原則をどうするのか、国会を支える事務局体制等々、事前に検討し、取り決め、訓練することが山積していると考えます。そうなると、緊急事態を対処する規定が現行の参議院の緊急集会のみで本当に大丈夫なのかということは大いに疑問と考えます。  冒頭述べましたとおり、憲法とは、国家の基本的な体制を定め、国民を守るためにあります。であるならば、緊急事態において我が国会をどう機能させるか、具体的な議論をここですべきと考えます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 熊谷裕人君。

熊谷裕人立憲民主・社民

○熊谷裕人君 立憲民主・社民の熊谷でございます。  幹事に就任をいたしました。中曽根会長の下、真摯にこの運営に取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  私の方からは、法制局の資料の七ページの四の三の発議できる議案の範囲について、幾つか御提案をさせていただきたいと思っております。  国会法の九十九条の一項では、内閣が参議院の緊急集会を求める際には案件を示して参議院議長に請求するとされ、また百一条において、緊急集会においては議員はこの案件に関連あるものに限り議案を発議することができるとされているところでございます。  これは、説明資料にもあったように、憲法五十四条の緊急集会の要件である緊急性の、緊急の必要の認定を行うのは内閣であり、また臨時国会の場合とは違って議員の側には緊急集会の要求権はないことから、一般的に議員の発議権を認めることは困難との考え方に基づくものとされていますが、これについては、立法府の最高機関性などから、当時においても、この八ページの記載にもあるように異論があったとされているところでございます。  この八ページにも書かれていたように、国会代替機関としての緊急集会の機能を十全に確保するため、緊急集会において新たな案件を適切に扱えるように、あらかじめ、以下、これから述べるようなことを検討をしておいた方がいいではないかと思いまして、御提案を幾つかさせていただきたいと思います。  一つ目は、参議院の緊急集会に、緊急集会中に国に緊急の必要性がある新たな案件が発生した場合に、改めて内閣が参議院の緊急集会を求めなくても当該案件に対応できるように、次のような考え方を国会法上明記してはどうかということでございます。  一つ目は、内閣総理大臣は、参議院の緊急集会中に国の緊急の必要性があるときは、当該緊急集会において審議すべき新たな案件を示すことができる、追加をするということです。そして、この新たな案件に関連する議案も議員の側が発議できるということにしてはどうかということが一つ目でございます。  そして二つ目が、緊急集会の招集中も、本会議や委員会、この参議院においては開会が可能でありますから、参議院が内閣総理大臣に対して、新たな案件を示すように参議院から促すことも制度として検討してはどうかということが二つ目でございます。  先ほどから議論がありますように、緊急集会が一定の長期に及ぶ場合は、国民経済などに関することも含めて、内閣だけでは捉え切れないことがかなり出てくるんではないかと思っておりまして、それに対する緊急の立法課題が生じることも想定され得ることでございますので、国権の最高機関の国会の一翼を担う参議院の本会議等に内閣と連携した形での主体的な役割を期待することには、私たち参議院であるものとして一定の合理性があるものと考えているからでございます。  そしてもう一つ、内閣から新たな案件が示されない場合には、参議院として、内閣総理大臣が示した案件に関連のある議案以外の議案の議員による発議を認める余地があるかどうかということは、これ、憲法との整合性も含めて、あらかじめ検討していくことが必要ではないかというふうに思っております。ここについては、参考資料の八ページにも言及がそのようにされておりますので、見ていただければというふうに思います。  そしてもう一つ、私たちの会派の方では参議院の合区に関していろいろと御提案をさせていただいておりますが、仮に合区を法律で廃止をする場合は、憲法十四条の投票価値の平等との関係で緊急集会は重大な意義を持つと考えているところは、これまで我が会派の議員の方から何回も言及がされておりますが、衆議院議員がいないという場合、解散であったり、任期満了であったりという状況の中で、合区で災害、大規模な災害があった場合には、その災害県、被災をされた県から誰も参議院議員がいないということになりますと、この緊急集会の意味というものが少し損なわれるという形も考えられますので、この緊急集会の機能制限をせずに、その機能の強化の方向性についてあらかじめ本審査会でしっかりと議論が行うことが必要ではないかというふうに思っております。  以上でございます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 山田宏君。

山田宏自由民主党

○山田宏君 自由民主党の山田宏でございます。  本日は、緊急事態に関する質疑であります。緊急事態となりますと、天災、パンデミック、戦争、様々なものが考えられる。緊急事態ですから、平時ではありません。いざとなったら、やはりやり方が変わるわけであります。スイッチが変わるわけであります。私は、その自分の経験を一つお話をしておきたいと思います。  一九九九年から二〇一〇年まで、私は杉並区の区長を務めておりました。杉並区と新潟県の小千谷市は災害援助協定を結んでおりました。それは二〇〇三年のことですね。そのときは東京直下型地震を想定して、いざというときは新潟県の小千谷市からおいしいお水とお米を運ぶというのが想定された構図でした。  ところが、二〇〇四年の十月二十三日土曜日、時間は十七時五十六分、土曜の夕方ですね、中越地震が発生をいたしました。震源地は小千谷市周辺でございました。大変なことになったと。我々が援助してもらおうと思っていたのに援助しなきゃいけないということで、土曜は区役所は開いておりませんでしたけれども、私も区長として区役所に出ました。  そして、ぱらぱらと幹部が集まってまいりました。そして、まずは援助をしていかなきゃいけないということで議論を始めたんですけれども、私は、区内にある、杉並区内にある緊急の地震用の倉庫に入っているものを全部持っていけと言ったんですよ。もうトラックかき集めて全部一遍に持っていけと、早いことが一番大事なんだということを話したら、役所の人たちみんな、助役から含めてみんな反対。現場の情勢が分からないのに、何で、持っていったってしようがないじゃないかと、まず現場の情勢を把握した上で必要なものを送るべきだと、こういう議論なんですね。  そうしたら、私は、現場の情勢っていつ分かるんだと。刻々と変わるんだから、正確なものなんか分かりゃしないんだと。ここは想像力を働かせて持っていくものを決めるべきだと。早いことが一番いいと。そうでなければ命を救えないと。そういうのが考え付かないのであれば、倉庫に入っているやつ全部持っていけと言ったんです。これは区長じゃなきゃ決断できなかったと思うんです。そして、トラックも、走っているトラック止めろと。そして、それに積んでとにかく早く行けということを指示したわけであります。もう全部超法規的措置であります。  そして、行くまで、関越自動車道は恐らく寸断されておりますから、警視庁に頼んで先導をお願いしたんです。警視庁はやってくれました。ところが、練馬のインターを越えた辺りで、埼玉県の県境に入ると、警視庁は東京都の警察ですから、どんどんと消えていくわけですね。撤退していくわけです。だから、埼玉県に入れば埼玉県の県警にお願いしなきゃいけないわけですね。こんなような事態で、いわゆる危機でありながら、やっていることが平時だと、こういうことになっちゃうんですね。  しかし、杉並区の援助物資は一番最初に到着しました。六時にこの地震があってから、着いたのが一時頃でしたけれども、一時に着いて、もうみんなから喜ばれました。元気も与えてくれたと言われました。  私は何を申し上げたいかというと、やはり緊急事態は緊急事態の考え方があるということを申し上げたいと思います。それは、やっぱり、昨日もうまくいったから今日もうまくいく、今日もうまくいくからあしたもうまくいくんだろうというのは、これは平和ぼけであります。  緊急事態というのは、ウクライナの情勢が日本で起きたらどうするの。又は大地震。今年は関東大震災から百年ですよ。これが起きたらどうなるのと。パンデミック、もっとひどいものが起きたらどうなるのと。こういうときに、一体予算やいろんな決定はどうやって行われるのと。そういうことを想定して、それへのあらゆる対策を取っていくことがここで議論すべきことであって、その割には五十四条は本当に狭い範囲しか決めていないと。衆議院が解散されたとき、七十日間に当たって緊急集会を開く。こんなんじゃ対応できるわけありませんよ。  やはりそういった意味では、やはりもうここでやることは、あらゆる事態、想定外を考えない、全部想定内で、どういう対策を取るかを考えて憲法を考えるべきだと申し上げて、私からの意見を終わります。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 福島みずほ君。

福島みずほ立憲民主・社民

○福島みずほ君 立憲・社民共同会派の福島みずほです。  まず冒頭、憲法審査会は憲法違反の問題を調査する、審議する委員会であるということを改めてこの委員会で確認をしたいと思います。  二〇一五年、強行成立した安保関連法、戦争法、そして先日十二月十六日に閣議決定された安保三文書など、戦争をしないと決めた日本国憲法の憲法制定権力すらが想定していたことを超えるような事態が起きております。これについてはしっかり、これは憲法制定権力が考えていたことを超える、まさに憲法違反であるとして、しっかり議論をすべきだというふうに考えております。  そして、本日、まさに、参議院法制局長川崎さんから示唆に富む話をしていただきました。まさに参議院が誇る緊急集会が戦前への反省から行われているということです。今日もありました、大日本帝国憲法下における緊急勅令、緊急財政処分の制度ではなく、これを否定し、まさに民主政治を徹底する見地から参議院の緊急集会の規定が設けられたという説明は極めて示唆に富むものだと思います。  緊急集会こそ、権力の暴走を許した戦前の反省と参議院の半数改選という特性を生かし、国家権力による濫用を排除し、優れた機能性を具備した世界に誇るべき条項であると考えます。  その参議院の一員として、またこの参議院の憲法審査会の皆さんにも、この緊急集会、まさに緊急事態条項を取り入れるための任期延長などという衆議院のこそくな手段ではなく、参議院の緊急集会でしっかり民主主義の名の下に国会の権能として議論すべきだということを強く申し上げます。  自民党の日本国憲法改正草案では、まさに政令によって、法律と同じ効力を持つ政令を作ることができるとしております。まさに国会ではなく内閣限りで基本的人権を制限できるというもので、これは日本国憲法の国民主権と基本的人権を明確に踏みにじるものであると思います。ですから、緊急事態条項そのものに反対です。  ですから、その緊急事態条項を導入せず、そして、今日は東日本大震災や様々な意見がありました。しかし、東日本大震災のとき、国会を開き、まさに内閣限りの独裁ではなく、地方自治に基づいた首長さん始め様々な人たちの頑張りや地域の人たちの頑張りも含めて克服をしていったというふうに思っております。  日本の戦前も国会がありました。だからこそ斎藤隆夫演説のような反軍演説もあり、戦前も日本は国会があり、そこで審議をし、やっていたということを国会人たる私たちはかみしめるべきであるというふうに考えております。  で、内閣、ごめんなさい、参議院法制局長にお伺いをいたします。  緊急集会のまず権能についてです。  学説を読みますと、緊急集会ではたくさんのものが審議できております。まさに、予算案の審議がまさにできるということで、一院のみではなく、まさに緊急の必要性がないものや、それから案件の性質上、参議院の単独のみではできないものではないものをしっかりできると。で、予算案などはできると考えますが、その点についていかがでしょうか。  それともう一つ、臨時会についてお聞きをいたします。  臨時会の召集については、私たち野党はずっと請求をしてきました。まさに国会機能の確保のために臨時国会の召集をやったわけですが、参議院法制局長に伺います。  臨時国会召集義務違反のような憲法違反問題は国会法上の衆参憲法審査会の法的任務であることについて、答弁をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  まず、緊急集会の権能の問題でございますが、緊急集会の二回の実例のうちの一つは暫定予算を審議をするということでございますので、予算の先議権は衆議院にありますけれども、予算を緊急集会で扱うことは可能ということになろうかと存じます。  それから、臨時会の召集義務の関係に関しましては、義務違反云々に関しましては、そこは私どもの方で何かコメントを差し上げるということはできません。そこはもういろんな評価の問題になると思いますので、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 時間が過ぎておりますので、おまとめください。

福島みずほ立憲民主・社民

○福島みずほ君 はい、分かりました。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 佐々木さやか君。

佐々木さやか公明党

○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。  私からは緊急集会について意見を述べさせていただくとともに、法制局長に幾つかお聞きしたいというふうに思います。  我が国の日本国憲法は、二院制を取り、衆議院とともに参議院についても全国民の代表と定めています。そして、解散のある衆議院に対して参議院には解散がなく、かつ半数改選制が取られており、参議院は常に存在し、国民の代表として活動することとなっております。これは、衆議院と異なる任期を定めることにより、多様な民意を反映する趣旨とともに、国政の運営の安定性、継続性を確保する趣旨のものと考えます。  例えば、衆議院が解散で存在しない場合でも、国民の代表たる参議院議員がいることから、我が国の憲法は緊急集会の制度を設け、参議院の緊急集会によって国会の権能を代行することとしております。  二院制をもって臨むことができない緊急の場合に、参議院の緊急集会は全国民の代表として行政権に対する民主的コントロールを及ぼす重要な役割を担うのであり、後に衆議院の同意を要する暫定措置とはいえ、緊急時に国民の基本的人権を保障し、行政権の濫用を防ぐためにも、参議院の緊急集会が果たすべき責務は極めて重く、我々はその認識を十分に持ち、議論を深める必要があるというふうに考えております。  そして、その緊急集会の重要性は現在更に増しているというふうに言えます。緊急集会が開かれたのは過去に二例のみであります。そのような臨時的措置をとる必要がないよう事前に準備できることが望ましいものの、今日、大規模災害や大規模な感染症流行など、予測できない緊急事態に備える必要性が高まっているとも言えます。そうした観点から、緊急集会の要件や制度の詳細について検討しておくことは緊急時への備えとして極めて重要であり、このテーマでの憲法審査会での議論を歓迎いたします。  緊急時への備えとして議員任期延長の議論もあると承知しておりますが、議員の任期の延長のためには憲法改正を要し、その議論には相当期間を要するのであって、次の衆議院の解散や任期満了時に大規模災害が発生し、仮に緊急に国会の関与が求められるような事態となったような場合には、現実問題として緊急集会で対応するほかないのではないでしょうか。したがって、緊急集会に関する論点の整理、検討は急務であり、特に任期満了時に開催が可能かという論点は深めなければならないというふうに思います。  そこで、長官にお聞きしたいと思いますけれども、任期満了時に緊急集会を開催できるかについて、学説は両説あるものの、現実問題として、緊急に国会が対応する必要が生じた場合には私は緊急集会で対応するほかないのではないかというふうに思うのですけれども、そのように対応した場合の憲法上の問題点、また法的効果について御意見を伺いたいと思います。

川崎政司参議院法制局長

○法制局長(川崎政司君) お答えいたします。  その点につきまして学説が分かれているところは先生御紹介されたとおりだと思いますが、やはり緊急集会できるという学説は、緊急の必要がある場合はやっぱり緊急集会で対応するしかないという、そういう視点を持っているんだろうと思います。  ただ、その一方で、憲法五十四条の文言を重視し、また緊急集会の制度というものは例外的、限定的なものだと解する議論もあるわけですので、それとの関係でどういうふうに考えていくべきかというのは、まさに先生方が国会の場で議論をされる問題であるというふうに理解をしているところでございます。

佐々木さやか公明党

○佐々木さやか君 学説において、仮にそういう現実に開催された場合の法的効果がどうなるとか手続がどうなるというようなことまで論じているものがあるのであれば、ちょっと今日は時間がもうありませんので、またの機会に教えていただければというふうに思っております。  緊急集会は二院制の例外であり、抑制的ではあるべきでありますけれども、他方で、緊急時の権力の監視、統制というのは非常に重要な要請であるというふうに思っております。この点も含めて今後も引き続き議論をさせていただければと思います。  以上です。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 猪瀬直樹君。

猪瀬直樹日本維新の会

○猪瀬直樹君 先ほど自民党の赤池委員の、国会に地下がなくてどうするんだという話は大変重要な指摘ですよね。これ、ミサイルが官邸に落ちたら国会しか残らない、あるいは国会が半分潰れたらというふうないろんな想定を考える必要はあるんだけれども、この参議院の緊急集会についての実例は、大体GHQの頃から五五年体制までの話ですね、基本的に。ただ、それは憲法として残っているので、このどういう意思決定を、だから、日本の中枢部が、国家の意思決定がいろんな形で阻害されたときに残った場所がどこかというときに、この参議院の緊急集会というのが、単に衆議院の選挙のときだとかそういう話じゃなくて、そういうことを考える必要が、ある意味では非常に大変な重要な課題だというふうに思いますね。  そこで、この間、一か月ぐらい前の「NHKスペシャル」で、ウクライナ戦争の最初の七十二時間というのをやっていましたね。七十二時間持ちこたえたらというふうな話ですけど、あのときに、やっぱり大統領府に地下道があって、五百メートルぐらい先まで抜けられるようになっているんですね。だから、ぎりぎりのところで意思決定をどうするかということが常に担保されているわけで。そこで、ただし、あのときに、二十四時間ぐらいたったところでNATO側からゼレンスキー大統領に亡命しろと、こういう指示が入っているんですね。だから、亡命しないで頑張ったから取りあえずは維持できたわけですけれども、そこはきちんとした体制というか、いわゆる物理的に建物自体がその地下道があったり、いろんな形で意思決定をとにかく担保できるような状況をつくっていたということですよね。これは非常に重要なことです。  それで、我々、やっぱりその当事者性をどういうふうに持ってこの問題を考えているかということが必要で、このウクライナ戦争始まってから日本が何をしたかということはこれ考えていかないと自分たちの問題になかなかなってこないんでね。  で、この十一月九日の日に僕はここで千羽鶴持っていくばかがいたというふうなことをちょっと言ったんですけどね、千羽鶴贈ってもしようがないよと。まあこれ、フェイクか、フェイクニュースかどうか分からないんですけれども。ただ、岸田首相のしゃもじというのもほとんどこれと同じ感覚ですよ。考えられないですよ。  だから、このとき何をすべきか、何を持っていくかということですけれども、十一月の九日のここの場で僕が申し上げたのは、湾岸戦争で百三十五億ドル、一兆数千億円を我々は提供して、しかし、感謝リストに載らなかったということがありました。  したがって、どういう当事者性を持つかという話をしているわけですけれども、日本維新の会として、ピックアップトラックを今回二十台、缶詰、コンテナに満杯して送るということでやりました。そのくらいのことをやらなきゃいけないんで、それはなぜやったかというと、維新の場合は身を切る改革で我々の給料が三割カットですから、そういうお金をつぎ込んだんですが、その維新がやったということを言おうとしているんじゃなくて、そういう口火を切って、本来は岸田総理や政権党が一千台ぐらいピックアップトラックを送るべきだと、そういう提案のために今回二十台を送ることにしたんですね。  で、実は、岡本行夫さんという外交官いますね、この間コロナで亡くなられて残念ですが。彼は、湾岸戦争のときに、トヨタのランクルと三菱のパジェロを合わせて八百台を送ったんですよ。ところが、日本のマスコミは、そういうことは武器輸出三原則に抵触するみたいなことで絶対報じないんですよ、全く。だから、日本は感謝されなかったんですね。それは資金協力だという形にされちゃって、物質的な協力、物資協力だということでやったんだけど、それがほとんど隠蔽されてしまったんですね。  そういうことを、いまだにまだ湾岸戦争の呪縛から抜け切れていなくて、これで装備品移転三原則というのをこれから検討すると与党は言っていますけれども、本気で検討してもらいたいです。もちろん我々もそこで絡んでやりますからね。具体的に自分たちが何を提供するか、逆にやられるときに何を提供してもらうか、こういう議論をきちんとしなければいけない。  そういうことで、今回は緊急集会ということだから、最後の意思決定の場所は参議院にあるのかもしれないというところまでぎりぎり我々考えながら、しかし、本当に有事はどうなるんだろうということを真剣に考えるきっかけにしていただきたいなと、こういうふうに思っております。  よろしくお願いします。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 松川るい君。

松川るい自由民主党

○松川るい君 自民党の松川るいです。  まず、憲法審査会を猿の集団と呼ぶような不適切な発言には断固抗議いたします。  その上で、参議院の緊急集会ですが、本来、憲法制定過程において、日本政府が緊急事態においては内閣に全権委任することを提案したのに対し、これを拒否した総司令部側が参議院の緊急集会を提案して現在の規定となった経緯があります。  では、それでは、現在の参議院の緊急集会規定は緊急事態に対応できるようになっているのでしょうか。憲法の条文上、緊急集会は、衆議院解散時に国会機能が空白になることを防ぐために設けられた制度です。そのため、解散から総選挙までの四十日間プラス総選挙から特別会までの三十日間という、最大でも七十日間の比較的短期を想定した制度と考えるのが自然だと思います。つまり、解散から四十日以内に総選挙が行われることが前提とされていること、すなわちその期間に選挙を執行することができるという、まさに平時の制度です。残念ながら、緊急事態を想定したものではないと私は思います。  他方において、ロシアによるウクライナ侵略を見ても明らかなとおり、武力攻撃事態、大規模災害など、有事は何年続くか分からないわけであり、その際において、元々衆参両院制を取る我が国のありようからして、参議院だけで国会機能を担うことでいいのか、私は疑問です。  世界の憲法を見てみると、上下両院存在する議院内閣制であって解散権がある場合でも、緊急事態においては解散権を封じたり、又は解散後も再召集するなど、上下両院とも開催してその機能を果たそうとする意思は明らかです。例えば、イタリアも上下両院ありますが、イタリア憲法第七十七条二項において、緊急事態においては解散されている場合でも特に召集されると規定されています。スペイン憲法も、緊急事態においては下院は解散できないと解散権が制限され、また、両院閉会中は自動的に召集されることとなっています。これは、緊急事態においてもできるだけ民主主義を貫徹すべきであるとの根底思想に基づくものでございます。  緊急事態は、憲法が想定していなければ生じないというものではありません。実際に、戦争も起き得るし、大規模災害やテロも起き得ます。そのような事態に備えてどのような体制を備えておくか、これは国家として考えておくべき責務だと思います。政府に権限を集中させるのではなく、どのような緊急事態においても衆参両院の国会機能の維持をぎりぎりまで追求をすることは立憲主義の観点からも重要です。  したがって、緊急事態においては、衆参両院とも国会が閉会中の場合には直ちに召集し、開会中の場合には閉会を禁止することとし、国会の開会状態を維持する規定を設けるべきだと考えます。さらに、緊急事態においては、内閣が衆議院を解散することも禁止するとともに、衆議院の内閣不信任決議案の議決を禁止することも必要と考えます。  と申し上げてですけれども、最後に、このようなその参議院や衆議院の国会開けるかどうかという在り方を考える以前に、そもそも緊急事態の対処が現行憲法で想定されていないということが最大の問題であります。国会さえ開会できないような緊急事態もあり得ます。そのときには内閣に委ねるしかないことは世界の憲法上極めて明白であります。根本的な課題として緊急事態条項を設けるべきであるということについて改めて申し上げた上、私の発言を終わります。  ありがとうございます。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 仁比聡平君。

仁比聡平日本共産党

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。  日本国憲法は、大日本帝国憲法の緊急事態条項を廃し、全国民を代表する選挙された議員で組織される国会こそが国権の最高機関であって唯一の立法機関であると定め、緊急の必要があるときには参議院の緊急集会で対応することとしました。それは、戦前、戒厳令や非常大権などの緊急事態条項によって国民の自由と権利が圧殺され、軍国主義に進んだ深い反省に立つからです。  今日の改憲議論における緊急事態条項案の典型は、自民党の二〇一二年日本国憲法改正草案です。すなわち外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要と認めるときは内閣総理大臣が緊急事態の宣言を発することができ、その場合、内閣ないし内閣総理大臣の法律と同一の効力を有する政令の制定権、財政上必要な支出その他の処分権、地方自治体の長に対する指示権、国民の国その他の公の機関が発する指示への服従義務、衆議院解散権の制限及び両議院議員の任期、選挙期日の特例を設けようとするものですが、それは、立憲主義に基づく憲法秩序を停止し、主権在民、基本的人権の尊重、恒久平和主義など、日本国憲法の基本原理を根底から脅かすことにほかなりません。  二〇二一年五月三日、改憲派の集会で菅政権の下村自民党政調会長が、緊急事態条項創設の実現を訴える中で、今回のコロナをピンチをチャンスとして捉えるべきだと述べ、国民的批判にさらされました。三年に及ぶコロナ危機は、大企業、富裕層ばかり優遇し、国民には何でも自己責任で、格差と貧困を広げ、保健、医療や介護、保育や福祉の予算を削ってきたこれまでの政治がどれほどむごく、もろいかをあらわにしたと言うべきです。  政府・与党は、生活と営業の速やかで十分な補償を行わないまま自粛のお願いや協力の要請を繰り返し、憲法五十三条に基づく臨時国会の召集義務にさえ背を向けて、財政民主主義をも脅かしてきました。パンデミックや大規模災害に臨む対策の根底に据えられるべきは、憲法十三条が「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と定める政治の根本的な責任です。  全く逆に、非常事態を好機とし、国会も開かず、国民の生活や権利を政府が勝手に制限できるようにする緊急事態条項を持ち込もうなど筋違いも甚だしいと言うべきであることを指摘し、発言といたします。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 小林一大君。

小林一大自由民主党

○小林一大君 自由民主党の小林一大でございます。  本日は、川崎法制局長から参議院の緊急集会について詳細な御説明いただき、ありがとうございました。  また、この場で発言をする貴重な機会をいただきましたこと、中曽根会長始め委員の皆様に御礼を申し上げます。  先ほどの御説明と配付資料によれば、参議院の緊急集会は、衆議院が解散され、急に議会が開けないという特殊な場合に、予測できない緊急の事態に対し暫定の措置をとり得る方途を憲法に規定したということで、民主政治を徹底する見地から設けられたものであるとの答弁がされているとのことでした。また、GHQとの第三回交渉時に日本政府側が、衆議院の解散等の事情により国会を召集できない場合に内閣が緊急措置をとることができるとする案を提示したという経緯があることを承知しました。  ただ、本日の審査会のテーマとなっております参議院の緊急集会が、衆議院が解散されたときに限られるのか、衆議院が存在しないという状況は同じであるということから、衆議院議員の任期満了による総選挙の場合にも開会できるという解釈をするかにつきましては、昭和三十四年十月八日に行われた憲法制定の経過に関する小委員会での佐藤達夫参考人の発言からは、制定当時必ずしも十分な検討がなされていなかったことがうかがわれます。  衆議院議員の任期満了による総選挙の場合における緊急集会の開催の可否については、いまだ政府見解は定まっておらず、国会での議論に委ねられているとのことですが、国会ではこれまで、理論的には許容し得る旨の参考人の発言や、南海トラフなど巨大地震や災害の場合に緊急集会で十分かとの指摘や、近年ではコロナ禍以降における緊急事態に関する議論の中で等、様々な角度からの議論がなされてきました。  この問題をどのように考えるかについては、私は、国民の生命と財産を守ることが私たち国会議員に託された重大な使命であるとの視点から考えることが肝要であると思います。  災害対策基本法や武力攻撃事態法には、内閣が緊急政令を定めた際や防衛出動を命じる際の国会承認につき、緊急集会で承認を求める旨の規定があるとのことですが、このような緊急の対応を要する事態は、衆議院の解散後であろうと衆議院議員の任期満了後であろうと、いつ何どきでも発生し得るものであります。そうである以上、どのような場合に緊急集会を開けるかにつき、委員各位と今後ともより議論を深めていくべきと思います。  緊急集会で開かれた過去の二つの事例の開会期間は、一つは一日、もう一つは三日とごく短期間でありましたが、ただいまの御説明によると、憲法五十四条一項によれば、衆議院解散の日から四十日以内に総選挙を行うこと、そしてその選挙の日から三十日以内に国会を召集しなければならないことを踏まえ、最長で七十日間との解釈があるとのことでした。七十日間といえば秋の臨時国会並みの期間です。それだけの期間が私たち参議院に単独で託され得るということになります。  また、緊急集会で扱える案件の範囲についても、国会法の規定、九十九条一項や百一条には、内閣総理大臣が示す案件には関連のあるものとあり、様々な議論があるにせよ、その時々の我が国の置かれた状況を踏まえて内閣が示す案件次第で変わり得るということだと理解をいたします。  であれば、たとえ緊急集会の性質が二院制の例外であり、暫定的なものであったとしても、個々具体的な状況によっては、緊急集会において私たち参議院の担うこととなる役割は決して小さいものではなく、様々な可能性を持つものと私は考えます。  となれば、緊急集会において私たち参議院の担い得る役割は、国民の皆様や政府、そして二院制の下で国民の皆様の負託を共に担っている衆議院の皆様からの信頼を基盤とするものであり、私たち参議院が真に熟慮の府として信頼と敬意を集める存在であるよう、参議院議員一人一人が日頃から矜持を持ち、行動していかなければならないと肝に銘じたいというふうに思います。  私自身は、私たち参議院に託された緊急集会の使命と可能性の大きさを常に心に置きながら、この制度がいついかなるときでも十二分に活用されることのできるよう、解釈面の議論や整理のみならず、より議論を深め、参議院が真に信頼を獲得できるよう切磋琢磨していかなければならないと改めて思い、意見表明に代えさせていただきます。  ありがとうございました。

中曽根弘文自由民主党

○会長(中曽根弘文君) 予定の時刻が参りましたので、委員間の意見交換はこの程度といたします。  本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後二時五十七分散会

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