議院運営委員会 第9号
- 発言数
- 195 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2023/02/28
会議録
○委員長(石井準一君) ただいまから議院運営委員会を開会いたします。 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 日本銀行副総裁の任命同意に関する件のため、本日の委員会に参考人として日本銀行副総裁候補者・日本銀行理事内田眞一君及び株式会社ニッセイ基礎研究所総合政策研究部エグゼクティブ・フェロー氷見野良三君の出席を求め、所信を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石井準一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(石井準一君) 次に、日本銀行副総裁の任命同意に関する件を議題といたします。 候補者から所信を聴取いたします。 まず、内田眞一君にお願いをいたします。内田眞一君。
○参考人(内田眞一君) 内田でございます。 本日は、所信を述べる機会を賜りまして、光栄に存じます。 私は、昭和六十一年に日本銀行に入行し、それ以来、主として金融政策の分野で働いてまいりました。最近では、企画局長あるいは金融政策担当の理事として、二%の物価安定の目標、量的・質的金融緩和、イールドカーブコントロールなど、現在の緩和枠組みの作成に実務面から携わりました。また、新潟、名古屋の支店長として地域経済に貢献すべく支店の運営を行ったほか、国際担当の理事としてG20日本開催などに取り組んでまいりました。 今般、副総裁としてお認めいただくことができましたならば、これまでの経験を生かして、もうお一方の副総裁とともに全力で総裁を支えるとともに、政策委員会の一員として議論に貢献してまいりたいと思います。 現在は、ウクライナ情勢、新型コロナ感染症の動向、世界的なインフレと金融引締めの影響など、内外経済をめぐる不確実性は極めて高い状況にあります。国内物価の面では、消費者物価は、除く生鮮食品ベースで四・二%と、二%の目標を大きく上回っております。もっとも、その主因は輸入物価上昇に伴う価格転嫁であり、来年度半ばにかけて二%を下回る水準に向けて低下していくと予想しております。 こうした状況に対しては、金融緩和を継続し、我が国経済をしっかりと支えていく必要があると考えております。 この十年間実施してまいりました大規模な金融緩和は大きな効果があったと考えております。政府の様々な施策と相まって、企業収益の好転や雇用の増加をもたらし、デフレではない状況を実現しました。一方で、どのような政策にも効果とコストがあり、フリーランチはありません。金融機関収益や市場機能などの面で悪影響が生じていることも事実です。 日本銀行は、こうした効果と副作用を比較考量した上で効果の方が上回っていると判断し、また、その中でもできる限り副作用を小さくする工夫を行いながら緩和を行ってまいりました。この先も金融緩和は必要です。日本銀行が直面している課題は、副作用があるから緩和を見直すということではなく、いかに工夫を凝らして効果的に金融緩和を継続していくかということだと考えております。 これまで様々な政策手法の設計に携わってきた経験から、これからも経済、物価や市場の状況変化に適応しながら、しっかりと金融緩和を続けていけるようアイデアを出していきたいと思っております。 金融緩和を効果的に継続していくためには、金融市場の安定が極めて重要であり、政策運営において十分考慮してまいります。また、市場との最前線に立つ金融市場局を担当してきた者として、実務面からも市場の安定を維持すべく、引き続き責任を持って取り組んでまいります。 日本銀行は、金融政策以外にも、金融システムの安定維持、銀行券の発行や各種業務など、多くの大切な任務を負っています。国内外の本支店事務所に約五千人の職員が働く組織として、災害時を含めて一日も欠かすことなく役割を全うできるよう運営していく責任がございます。 また、デジタル化など、経済社会の変化に柔軟に対応し、国民の皆様にとって利便性の高い中央銀行サービスを提供していくことも重要です。例えば、各国で検討が進んでいるCBDC、中央銀行デジタル通貨につきましては、もちろん導入するかどうかは国民的な議論の上で決定されるべきものでございますが、その前提となる実証実験や関係者との議論をしっかりと進めてまいります。 こうした業務・組織運営面で総裁を補佐して、より良い職場をつくり、職員の力を結集していくことは、日本銀行に長く勤めてきた私の重要な任務であると考えております。 最後になりますが、日本銀行法の規定にのっとり、政府と密接に連携しながら、経済・物価情勢に応じて機動的な政策運営を行い、構造的な賃上げを伴う形で二%の目標を持続的、安定的に実現すべく全力を尽くしてまいります。 ありがとうございました。
○委員長(石井準一君) 次に、氷見野良三君にお願いをいたします。氷見野良三君。
○参考人(氷見野良三君) 氷見野でございます。 本日は、所信を述べる機会をいただき、ありがとうございます。 私は、一昨年の夏までの三十八年間、経済政策、金融行政に携わってまいりました。そのうち半分ぐらいの期間は国際関係の仕事で、主要国の金融機関等関係当局の集まりで議長や事務局長を務めたこともあります。また、金融庁では、銀行、証券、保険、資本市場など、金融行政の様々な分野を経験してまいりました。この間、日本銀行、特に金融機構局の皆さんとは密接に連携しながら仕事を進めてまいりました。 今般、副総裁としてお認めいただきました場合には、国際的な仕事や金融行政の経験を生かし、もう一方の副総裁とともに全力で総裁を支え、また、政策委員会の議論に貢献してまいりたいと思います。 私は、経済政策の運営に当たっては、幅広く対話を行い、深く分析して、機動的に対応することが大切だと考えてまいりました。予断なくファクトを押さえ、受け止めていくことがあらゆる政策判断の出発点だと考えております。 また、足下の状況の分析とともに、大きな変化にも目を配っていかなければなりません。この数年間を見ても、コロナやロシアによるウクライナ侵略など、想定外の事態が続きました。こうした中、経済のグローバル化が巻き戻しに転じたのではないかとすら論じられております。 金融技術革新を通じ、マネーというものの形態や働き方も変化しつつあります。また、データの収集と活用をめぐるイノベーションは、経済活動の根本までを変えていくかもしれません。こうした変化は、日銀の仕事にもあらゆる面で影響を与えていくと思います。 日本銀行の仕事については、これまでも関心を持ってまいりましたが、大変深く幅広い仕事であり、虚心坦懐に学んでいきたいと思っております。ただ、せっかく機会をいただきましたので、現時点の私の考えを幾つか述べさせていただければと存じます。 まず、金融政策についてです。 日銀法第二条には、「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。」とあります。 私は、国民が期待しているのは、毎年少しずつでも生活が良くなっていくという展望と実感が得られる経済の実現だと思います。そのためには、賃上げを伴う形で物価安定の目標を持続的、安定的に実現していかなければなりません。経済、物価の状況に加え、金融仲介機能の状況、緩和の副作用などについても注意深く見ていく必要がありますが、現在の状況と見通しからすれば、現在の日本銀行の政策は適切であり、金融緩和により経済を支え続ける必要があると考えております。それが政府の施策や経済界の取組と相まって構造的に賃金が上がる状況を生んでいく、そうした姿を目指すべきと考えます。 物価の安定と並ぶ日本銀行の使命である金融システムの安定につきましては、現在、具体的に懸念のある状況とは受け止めておりませんが、海外では隠れていた脆弱性が表に出る事例も幾つか出ております。不均衡や脆弱性がどこかに潜んでいないか、注意深くモニタリングしていく必要があると思います。 また、金融システムの安定をめぐる国際ルールの交渉の在り方は、リーマン・ショック以降全く局面が変わっております。アジェンダの設定に貢献する、積極的に提案を行う、そして、場合によっては広く国際世論にも訴えかけていくといったことにも取り組んでいければと思っております。 私が勤めておりました金融庁は、日銀と異なり歴史の浅い組織ですが、それだけに、草創期のベンチャー企業的な雰囲気をどう守り発展させていくか、工夫を重ねてきた組織でもあります。私も長官時代、マネジメント改革、働き方改革、職員が自発性を発揮しやすい環境づくりに努めてまいりました。そのまま日銀に当てはまるわけではないと思いますが、参考になる点があれば、そうした面でも貢献できないだろうかと考えております。 大変重い仕事ですが、取り組む機会をいただければ全力を尽くす考えであります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○委員長(石井準一君) 以上で候補者からの所信の聴取は終了いたしました。 氷見野参考人は一旦御退席いただいて結構です。 まず、内田参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
○横沢高徳君 おはようございます。立憲民主・社民の横沢高徳でございます。本日はどうぞよろしくお願いを申し上げます。 早速質問に入ります。 まずは、人選に関わる考え方について伺います。 日本銀行副総裁については、経済金融政策についての知見、経験を有していることに加え、総裁を補佐することにより、執行部を一体として高い総合力を発揮できる体制とし得る者を選任とするとあります。 内田副総裁候補、植田総裁候補、そして本日いらっしゃっている氷見野副総裁候補が御就任されますと、共にチーム力を発揮し、我が国の金融政策をリードしていく重要なお立場に就かれます。 内田参考人は、このチームの中でどのように御自身の役割を発揮し、得意分野をどのように生かしていくお考えか、お伺いをしたいと思います。
○参考人(内田眞一君) ありがとうございます。 先ほどの所信でも申し上げましたけれども、日本銀行は金融政策も重要なもちろん仕事ですが、それ以外にも、金融システムの維持ですとか、銀行券の発行、あるいは国庫業務等いろんな業務を行っております。そのためには多くの職員が働いているということでございます。私は、三人の中では唯一日本銀行職員、理事からの御指名ということでございますので、業務・組織運営面をまとめていくというところは私に課せられた重要な任務であるというふうに考えております。 また、これまで私の経験の中では、金融政策分野が比較的長かったということ、それから現在の枠組みの設計段階から携わってきたということもございますので、こういう面では、この後緩和を続けていく上で、あるいは五年間という任期、まあいただきますればということでございますけれども、考えますと、その中では二%の目標を是非達成したいと思いますので、その結果として、少し先ですけれども、出口ということになってくれば、その辺りの設計に携わった経験というのも生きていくのではないか、そういう面で貢献してまいりたいと思います。
○横沢高徳君 ありがとうございます。 それでは、次の質問に移ります。 異次元の金融緩和と言われ約十年が続き、物価上昇二%目標はまだ達成されてはおりません。我が国は、今現在、賃金が上がらない中、円安の影響もあり、本日も百三十六円というところでございます。コストプッシュ型の物価上昇で、生活の現場はまさに待ったなしの状況だというふうに考えております。 アスリート出身の私からしてみれば、異次元の金融緩和はまさにドーピングのような状況ではないかと思います。これが約十年も続くと、なかなか抜け出せなくなり、先ほど出口という話もありましたが、やめたいけどやめれない状況になってしまっているのではないかとも考えます。 多額の国債買入れのほか、諸外国に例を見ないETFの買入れなど、現在の日銀のバランスシートとしては一般論として望ましいと言えるのか、内田参考人の御認識をお伺いしたいと思います。
○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。 日本銀行のバランスシート、もちろん重要な考慮要素ということではございますが、あくまで経済、物価のために、我が国の経済と物価のために存在するものでございます。 この間の大規模緩和、日本経済にとって必要であり、かつ、経済、物価を改善させデフレではない状況をつくり上げたという面で、必要な政策を適切に行ってきたというふうに考えております。
○横沢高徳君 それでは、一般論としてちょっとお伺いしたいんですが、量的・質的金融緩和を目的としたマイナス金利政策立案の経緯と、一般論として導入によって生じる副作用の認識をお伺いしたいと思います。
○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。 マイナス金利政策、二〇一六年の一月に導入したわけでございますけれども、狙いとしましては、イールドカーブの起点を引き下げることでイールドカーブ全体に金利低下圧力を加える、その結果として企業から見た調達コストを低い水準で維持する、そのことに伴って金融緩和効果を持ち、経済を支えていくという観点から行ったものです。 一方で、副作用としましては、まあ当然のことでございますが、金融機関収益への影響ということがあるというふうに思います。この点につきましては、まず、工夫として、適用される残高は日銀当座預金残高のうちのごく一部にとどまるように、三層構造というのをつくって運営するということで一つは対応いたしました。 それから、その後、イールドカーブコントロールがその九月に導入されるわけですが、そこでの考え方は、経済、物価のためには金利は低ければ低いほど支援効果は大きいんですが、同時に、今申し上げた金融機関収益、あるいはそのことを通じた金融仲介機能への影響ということも配慮して、バランスの良いところにイールドカーブを持っていくという考え方で運営しておりますので、その副作用、効果を含めて判断した上で政策を運営してまいったということでございます。
○横沢高徳君 ありがとうございます。 それでは次に、これまでの金融政策についての検証についてお伺いをいたします。 日銀は、消費者物価の前年比上昇率約二%を物価安定の目標として十年間にわたり実施してこられましたが、これまで目標の達成には至っておりません。これから新しい人事の下で金融政策を進めるに当たりまして、まずはこの十年間の検証が重要ではないかと考えます。 昨日も、植田総裁候補からも時間を掛けて点検というような発言もありましたが、内田参考人のこの点に関しての御見解をお伺いします。
○参考人(内田眞一君) この点、私どもも、まず、毎回の決定会合で経済、物価、金融情勢はきちんと点検しているということをまず申し上げたいと思います。 その上で、二〇一六年の九月に総括的な検証、それから二一年の三月にいわゆる点検という、まあ特別な形での点検を実施いたしました。毎回の点検とは別にしたそういう特別な形での点検を改めて実施するのかどうか、あるいはやる場合のそのタイミング、内容を含めて、これは政策委員会の他のメンバーの皆様とも議論していかなければならないというふうに思っております。 なお、私どもはその二回の点検とも一か月半ほどの期間でやったんですけれども、FRBとかECBは一年から一年半掛けてレビューを実施しております。こういうことも、仮に点検を行う場合には腰を据えてというか、一つの参考にはなるかなというふうに思っております。
○横沢高徳君 ありがとうございます。 次に、日銀の独立性についてお伺いをいたします。 昨日の植田総裁候補者の質疑の中でも、日銀の独立性についてのお話がありました。日銀法第三条では日銀の自主性が尊重されなければならないとあり、第四条では政府の経済政策の基本方針と整合的なものとあります。 この点、日銀の独立性について、内田参考人の御見解をお伺いいたします。
○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。 日銀法の三条と五条で自主性という言葉で独立性が、いわゆる独立性が尊重されるべきだということが書かれております。同時に四条で密接な意思疎通が必要であるということも書かれているわけです。 金融政策における独立性というのは、これまでの歴史的な経緯、各国における歴史的な経緯の中で固まってきた概念ですので、大切なものであるというふうに思っておりますし、その中で責任を持って政策を行っていきたいというふうに思います。 同時に、マクロ政策でございますので、政府との連携、マクロ政策としての整合性、これは重要でございますので、しっかりと連携を図っていくことも同時に重要でありまして、この二つは両立させていくことに意味があるというふうに思っております。
○横沢高徳君 それでは、次は、構造的な賃上げ、そして安定的な物価上昇についてお伺いをいたします。 昨日の植田総裁候補の質疑でも、構造的な賃上げの必要と安定的二%の物価上昇の必要性の取組の話がありました。 内田参考人は、これまで我が国において、構造的、安定的二%物価上昇、あと賃上げも伴う安定的二%の取組は進んできたと思われるのか否かですね、あと御認識を伺いたいのと、また、これから構造的物価上昇を進める上で具体的に何をしていかなければいけないとお考えか、お伺いをいたします。
○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。 賃金あるいは雇用の状況というのは、この十年間でそれ以前に比べて改善してきたことは事実だと思います。実際、大規模緩和の下で雇用者数が増え、賃金も上昇、ベアが復活したことに象徴されるように賃金の上昇というのも見られたわけです。ただ、思ったほど賃金が上がらなかったという御指摘があることは全くそのとおりだと思います。 この点は、もちろん今まで経済、長引くデフレの下で、物価、それから賃金、どちらも上がらないことを前提とする慣行が根付いていた、それがなかなか変わらなかったということが基本でございますし、また、これ自体はとてもいいことなのですが、この間、高齢者、女性の方々の労働参加が進みました。そのことによって雇用が回復したわけですから、これは良いことなのですが、労働市場という観点から見ますと、供給が増えたわけですので、賃金が思ったほど上がらない要因にはなったというふうに思います。 そういう意味では、私自身は、雇用者数が増えたこととも併せてこの点は評価すべきではないかというふうに思っております。 コロナ後の最近の動きを申し上げますと、この部分は、女性の就業率というのがもう欧米に引けを取らないところまで上がってきておりますし、高齢者の皆様からの追加的な労働供給もだんだん難しくなってきておりますので、賃金には上昇圧力が掛かりやすい状況がマクロ的には生じております。 その上に、今回、物価高ということもあるわけでございますので、今回の春闘も含めて、労使双方には是非とも積極的な賃上げをお願いしたいというふうに思いますし、日本銀行としては、金融緩和をしっかりと維持することでそういうことができる環境、企業に収益があり十分賃金を払える環境をつくってまいりたいというふうに思っております。
○横沢高徳君 それでは、内田参考人はこれまで日本銀行で長い間働いてこられたので、次は災害時や有事の日本銀行の業務継続に向けた取組についてお伺いをしたいと思います。 来月、三月十一日で東日本大震災から十二年がたちます。近年、我が国では、台風、豪雨災害など自然災害による大規模な被害がしばし発生しており、今後は南海トラフ地震や首都直下型地震などの発生が予想されております。 日銀もこれまでは、平時だけではなく災害時や有事、例えば東京の本店が被災した際には大阪支店で業務継続を図るなどの体制整備に注力してきたと承知をしておりますが、今後、金融機関、金融市場や日銀自身の業務の継続体制の強化、我が国の経済を守るために今後必要とされる対策についてお考えをお伺いしたいと思います。
○参考人(内田眞一君) 大変重要な御質問、ありがとうございます。 私ども中央銀行の重要な役割の一つは、銀行券あるいはほかの決済インフラをどのようなときにもきちんと提供する、そのことを通じて安心して経済活動ができるようにする、これは有事の際もそうであるというふうに思っております。 東日本大震災のとき、私は新潟支店長でおりました。新潟自体は翌朝の別な形の地震で被害を受けました。こうした業務継続の取組というのは、必ずしも何かが起きてからやるのではやっぱり駄目で、日頃からどう備えていくかということでございます。 御指摘いただいたバックアップの問題、それから、現在、有事の際には常に一定数の役職員が駆け付けられるように体制を整えていると。それから、様々なリスクシナリオに基づいて訓練を行っておりまして、これも御指摘のとおり、ストリートワイドといいまして、金融機関の皆様も含めた形でそういったことも行わせていただいております。 日々の備えということですので、何か一つ重要だというよりも、そういったことを常日頃から考えていきたいというふうに思っております。
○横沢高徳君 ありがとうございます。時間ですので終わります。
○清水貴之君 日本維新の会の清水と申します。よろしくお願いいたします。 まず初めに、我々日本維新の会なんですが、今年の二月二日、今月の二日に、衆議院に日本銀行法の一部を改正する法律案を提出いたしました。特徴としましては、第一条のこの日銀の目的のところに、物価の安定だけではなくて、雇用の最大化ですとか名目経済成長率の持続的な上昇というものを追加いたしました。また、その目的達成のため、日本銀行の果たすべき機能及び責務等を定める協定を政府との間で締結することで政府と日銀の連携を更に強化すべきではないかと、そうした方がいいんじゃないかというような法案になっておりますが、まずこういった内容についての見解をお聞かせいただけますでしょうか。
○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。 法案については、言うまでもありませんが、国会で御議論いただくべきものでございますので、私が意見を申し上げる立場にはないと思いますのでコメントを差し控えさせていただければと存じます。
○清水貴之君 その中身についてはいかがですか。法案そのものじゃなくて、目的として、日銀の目的として雇用の最大化、名目経済成長率の持続的な上昇、こういったものを日銀として考えていくということに関してはいかがでしょうか。
○参考人(内田眞一君) その点に関しましては、現行の日銀法第二条におきまして、金融政策運営の理念として、読み上げますが、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」というふうに規定されておりまして、この国民経済の健全な発展の中には、おっしゃいました雇用、それから成長ということが含んでいるというふうに思っております。 日本銀行は、金融緩和によりまして、企業収益あるいは雇用者所得、つまりは成長ということになりますが、これが実現し、賃金の上昇を伴う形で二%の目標を達成していきたいというふうに考えておりますので、その意味では、現行法におきましても、物価安定の、物価の安定を目指す中でおっしゃったようなことは実現していく姿を想定しているのではないかというふうに思っております。
○清水貴之君 続いてなんですが、これ、通告ちょっとしていないので、お答えできる範囲というか、お答えいただけたらという話なんですが、先ほど所信を聞いておりまして、デジタル通貨のお話をされていたので、ちょっと教えていただければなというところもありまして、お聞かせいただけたらと思うんですけれども。 デジタル通貨、今、例えば中国で人民元をデジタルでということをトライをしていたりとか、ビットコインというものがこの何年かで一気に広がって、私からしたらもうとても付いていけないような、実体があるのかないのかよく分からないようなものが世界中で広がっているような現状の中で、中央銀行が貨幣とか紙幣を発行して、今、その目的にもありました物価の安定とか経済成長とか図るというその仕組み自体がこれからの時代の中で変わっていく可能性も十分あるんじゃないかなというふうに思います。 そんな中で、例えば日銀がどういう役割を果たしていくのか、日本としてどう対応していくのか、これ非常にワールドワイドな話なので難しい課題なのかなとも思うんですけれども、今までこういった日銀の中でずっと仕事をされてきておられまして、もし、どのような見解、見識、お考えをお持ちでしたら教えていただけたらというふうに思います。
○参考人(内田眞一君) ありがとうございます。 CBDCは、私自身も立ち上げに関わった仕事ですので、大変、何といいますか、思い入れのあるプロジェクトです。CBDCに関する私ども今実証実験というのを進めておりまして、この四月からパイロット実験に入ります。その結果として、その中で民間の事業者の皆様にも参加していただきまして、その知見をいただきながら議論を進めていきたいというふうに思っています。 御指摘ありましたとおり、これはグローバルな動きになっておりまして、よく中国が話題になりますけれども、先進国の間ではECB、ヨーロッパ中央銀行が比較的順調に進めておりまして、この秋という言い方をしていますが、開発フェーズ、まあ実現フェーズというふうに彼らは呼んでいますが、実質的には開発フェーズなんですが、これに入るかどうか判断するというふうに言っていると認識しております。 そういう意味で、以前の講演で私は、CBDCを一つの要素とする決済システムが世界の標準になる、世界のスタンダードになる可能性は相応にあるのではないかと、二年ほど前の講演だったんですが、言ったことがあります。だんだんとそういう方向になってきているように思っておりまして、デジタル社会の中、あるいはデジタル社会を前提とする中央銀行業務が世界の標準となってくる中で、日本銀行としての立ち位置を考えなければならない。 重ねて申し上げますが、所信でも申しましたが、これを最終的に御決定いただくのはあくまで国民的な議論、国会でということでございますが、その大前提となるものとしまして、実験、それから関係者との議論、こういったものを進めてまいりたいと思っております。
○清水貴之君 ありがとうございます。済みません、通告していなかったんですが、ありがとうございました。 続いて、二番でお聞きしようと思っておりました効果検証は先ほど横沢委員の方からありましたので飛ばさせていただきまして、三番の金融緩和策の修正、これも昨日の植田総裁候補に対する質疑でも話題になっておりました。 日本商工会議所の小林会頭のこれコメントなんですけれども、やはり金融緩和は永遠に続くものではないと、どこかで見直さなくてはいけないと。こういった話、出口がどうだと、こういった話って必ず出てくると思いますけども、これについての今の考えをお聞かせいただけますでしょうか。
○参考人(内田眞一君) 出口の話をするときには、常に現状に踏まえる、現状を踏まえると時期尚早であるというのを付け加えさせていただいた上でお答えしたいと思います。こう付け加えましても、内田は出口を話したというふうに書く新聞ありますので、付け加えさせていただきたいと思います。 その上で申し上げますが、出口において考えるべきことは基本的には二つでございまして、一つは金利を調整する、もう一つはバランスシートを拡大しておりますのでこれを調整する、この二つです。この二つをどういう順番で、あるいはどういうタイミングでやるのかというのは、そのときの金融経済の状況に依存します。現状、まだ先ですので、そのときの状況が分からない状況で何かをしゃべるということは、私はむしろ無責任なのではないかとずっと思っております。 世の中で、何か出口戦略のような紙があって、それを日銀の金庫にしまっているみたいなイメージで語られることが多いんですが、そんなことではありません。あくまで、これまでその緩和を続けてきた経験、あるいは、その中で、何と申しますか、その市場と対峙してきた知見、そういったものを踏まえて、今後どういう状況になってもきちんと出口をできないといけない、まあ少し先の話ではございますが、そういう趣旨でこれまで申し上げてきているということでございます。
○清水貴之君 まあ確かに、急激に何かを変えるというのもあれですけど、現状では続けていくというのは現実的な対応かなと思うんですが。 先ほど、これも横沢委員の方から、ただ、金融緩和、異次元の金融緩和というのはドーピングだという話がありましたが、確かに景気悪化時のカンフル剤で、これについてはもう、十年前のあのもうずうっとデフレが続いている状態から、先ほども御説明あったとおり、デフレ脱却するようなメリット、プラスの面もあったと。その一方で、マイナスの面も、金融機関の収支の悪化とか市場機能の低下とか悪影響もあったというお話がありましたが、ただ、これも十年やってみて見えてきたのが、なかなかやっぱり金融政策だけで物価目標を達成する、景気を回復していく、一定のプラス面はあったと思います、ただ、これだけでやるというのも非常に難しいのかなと、限界があるのかなと。 これも、植田総裁候補も以前、これも新聞の取材に対して、景気回復には金融政策以外の理由が必要だということもコメントされております。先ほどもあったとおり、やっぱり一つじゃないと思うんですね、複合的な要素がいろいろ絡まっているとは思うんですが、じゃ、どうしたらいいのかという話になるんですけども、どのようにお考えでしょう。
○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。 金融政策以外ということなんですけれども、経済政策は、どのようなものであれ、中長期的な課題とも向き合う必要があるというふうに思っております。日本経済にとって最も、その根底といいますか、底にある課題は少子高齢化でありまして、その中でいかに成長を確保するかということであろうと思います。 この点、二〇一〇年代は、働き方改革などの諸施策もありまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、女性、高齢者の労働参加率が高まり、雇用を大幅に増加させることができたということでございます。ただ、これも先ほど申し上げましたように、追加的な労働供給がだんだん難しくなってきておりますので、ここからは、あるいは今はですね、これまで以上に一人当たりの生産性を上げていく、これが大事になってきていると思います。 政府も取り組んでおられるところですが、人への投資、あるいはDX、GX、これは喫緊の課題であると同時に中長期的な課題に対する対応ということでもありますので、どうせやらないといけないことですので、こういったものを促進していく方向性が大事だと思います。 日本銀行の金融緩和も、企業の皆様がこういう投資を行う際に良好な金融環境を提供するということで、是非サポートしていきたいと思いますし、最後に数字だけ申し上げますが、実際、今年度の設備投資計画は短観のベースで今一五%ぐらいでございまして、企業の皆さん、今申し上げたDX、GX等々の投資に積極化しつつあるというふうに思っております。
○清水貴之君 続いて、物価目標二%の位置付けです。 これも昨日のこの委員会で植田総裁候補とも議論になっていたところではあるんですけども、政府と日銀が一三年、二〇一三年にまとめた共同声明のこの見直しの是非ですね。二%の物価目標をできるだけ早期に達成するよう求めているものを、これ中長期の目標としたらどうかと、これ有識者らで構成する令和国民会議などが述べているものですが、これについてはどのようにお考えでしょう。
○参考人(内田眞一君) 二%の目標自体を見直すということは私は考えられないと思っておりますし、共同声明の下で政府及び日本銀行が行ってきた施策によって日本の経済、物価は改善をし、その中でデフレではない状況をつくり上げることができたというふうに考えております。 そういう意味で、日本銀行としては、これを、共同声明をですが、直ちに見直す必要があるとは考えていないと、これまでも黒田総裁その他から申し上げてきたところです。私自身も個人として同じ考えにございます。
○清水貴之君 ちょっと一問飛ばさせていただいて、最後のこれ七で通告していたものなんですが、岸田総理がこれ今月の衆議院の予算委員会で、日銀の正副総裁人事についてどういった基準で選んで、どういった基準で任命していくのかという中でこういったことを述べております。リーマン・ショック後の様々な金融をめぐる動きを考えますときに、やはり国際社会との対話力、これが求められるということ、それから内外の市場に対して適切な説明能力を持つということ、こういった点は日銀の幹部に求められるということは従来から申し上げてきましたと、こういったコメントをされています。 この中で、国際社会との対話力と、それから内外の市場に対して適切な説明能力と、こういったポイントが挙げられております。今日は氷見野候補もいらっしゃいますので、どちらがどちら、お二人とももちろんトータルでやられるんだと思うんですけども、何となくイメージとして、国際社会で長いこと活動してこられました氷見野候補に国際社会との対話力と、で、内田候補には、これまで日銀のプロパーでずっと仕事をされてきておりますので、内外の市場に対しての適切な説明能力、やっぱり市場とのコミュニケーションといいますか対話といいますか、そして日銀の考えなどを表にしっかり発信をしていくということも、これも大事になるかと思います。 そういった役割がきっと求められているんじゃないか、総理もそれを求めているんじゃないかと私はこれから読み取ったんですけども、それに関していかがでしょうか。
○参考人(内田眞一君) ありがとうございます。 私、これまでも講演などの形で、日本語あるいは英語で市場関係者にお話しする機会が多くありました。植田候補あるいは氷見野候補には及びませんけれども、英語でも含めていろいろな発信はしてきました。聴衆の皆様からは、比較的率直で分かりやすいという感想をいただいたと思っております。これからも機会を捉えまして積極的に行ってまいりたいと思います。 また、市場に伝えるという意味では、そういう講演等々も大事なんですが、メディアを経由する情報発信の方が圧倒的に影響力があります。この場合は、言わば間接的な情報発信になりますので、どの部分が引用されるかとか見出しがどうなるかとか、そういったことにも左右されます。 長くこの仕事をやってきておりまして、うまくいったこともうまくいかなかったこともたくさんあるわけですが、これまで私自身は意思決定者じゃなかったわけですが、その割には発言を取り上げられるケースも多くて、比較的発信力あったかなというふうに思っています。 もし副総裁としてお認めいただきましたならば、これからはボードメンバーとして、意思決定者ですので、これまでとは違う立場での発信となります。この点にも十分留意しながら積極的に発信、それから対話を行ってまいりたいというふうに思っております。
○清水貴之君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみです。 内田参考人、今日はよろしくお願いいたします。 景気は気からと言うので、ちょっと元気よくいきたいというふうに思います。終始、衆議院からの質疑聞いていても、やはり日銀の総裁、副総裁の人事の質疑ということで、少し、まあ厳かさとかやはり重厚感というのも大事かもしれませんが、どうしても今やはり日本全体の経済を上向きにという中では全体的にちょっと暗いかなというふうに思っていたので、ちょっとだけ元気でやっていきたいというふうに思います。 内田候補者は、一九八六年の日銀の入行以来、金融政策の立案を担う企画局を中心にキャリアを積み重ねてこられたというふうに伺っておりますし、その中で、二〇〇六年三月の量的緩和政策の解除や、それに続く利上げを経験するとともに、一方で、今朝、私たち国民民主党、同意人事の協議を第一回目をやったんですけども、そのときに結構論点に挙がっていたのが、経歴の中での、二〇一三年四月から開始された異次元金融緩和、ここの中では企画局長として、特に二〇一六年の一月のマイナス金利付き量的・質的金融緩和や同年の九月の長短金利操作付きの量的・質的金融緩和の立案を担うポジションにいらっしゃった、ここ大分論点になったんですよね。 ただ、私自身、もちろんこれまでの御経験がこれからの判断に、いろんな役に立ったりとか生かされたりということもあるとは思うんですけども、一方で、私自身の例えば経験でいきますと、これまでスーパーマーケットの店頭で働いていましたので、そのときの私の、経験もそうですけど、最後にアウトプットするものと、国会議員として今、じゃ、ここにいる私は全く同じものをアウトプットするかというと、本質は変わらないかもしれないけど、アウトプットしていくものは立場が変われば変わっていくというふうに思いますので、そういう視点でいろいろお伺いしたいというふうに思います。 そして、特に現在、いわゆる異次元の金融緩和政策からの転換という話とか、今日もずっと出口戦略の話とかというふうな形で、今日は金庫に何かしまってあるんじゃないかというような例え話をして、お話をいただきましたけれども、いろんな臆測、予測が市場ではされています。 これまで日銀で実際に政策立案に携わった立場から、異次元金融緩和政策によって乗り越えてきた課題とか成果、これは衆議院からの議論でもうたっぷりお話しいただいたというふうに思っていますので、改めて、特に副作用というもの、そういうふうに表現されているものと、あと、この今起きている課題、これが何なのか、そこを少し具体的にお話しいただければというふうに思います。
○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。 元気がないということで、元気よく話したいと思いますが、どうしても市場に影響してしまうものですから、慎重に言葉を選びながら話さなきゃいけない面がありまして、ちょっとゆっくりになることは御勘弁いただければというふうに思います。 その上で、量的・質的金融緩和は、実質金利効果を、実質金利の低下ですね、を通じまして経済、物価に押し上げ効果がはっきりとあったというふうに思っております。これは何度も説明しましたので追加いたしませんが、効果があったと思っております。 一方で、御質問の副作用でございますが、大きく言いますと二つで、一つは金融機関収益や金融仲介機能への影響、それから市場機能への影響、この二つです。 まず、金融機関収益あるいは仲介機能への影響という点ですけれども、現在、我が国の金融機関は充実した資本基盤を備えておりまして、貸出しは、この間ずっと大体二%程度なんですが、伸びています。これはグラフに書いていただければ明らかで、この間の金融仲介機能は円滑に発揮されてきたというふうに思います。ただ、もちろん、これから先ということであれば、これは当然、金融機関の状況というのはよく見ていかないといけないと思いますので、これは一つ大きな課題であるというふうに思います。 もう一つ、市場機能ですが、こちらは、これも前回、衆議院で申し上げましたが、これだけの強い緩和をやっている以上、一定の市場に対する、何といいますか、影響、市場機能への影響、これは不可避であるというふうに思っています。問題はバランスとして効果が上回るかどうかということだと思っています。 この点については、できるだけ副作用を小さくするような工夫といいますか、できることはやっておりまして、SLF、国債補完供給の要件を緩和するとか、ちょっと技術的になりますが、あるいは、昨年十二月にイールドカーブコントロールの運用を見直した、少し多めの国債を買うことと併せて十年の変動幅を拡大した、こういったこともやっておりまして、現在、その状況を見ているところということでございます。 そういう意味で、効果が副作用を上回っているというふうに思っておりますし、副作用に対してはできるだけの対応をしながら、課題という意味では、所信でも申しましたが、どうやってうまく緩和を続けていくのかというのが課題だと思っています。所信でも申したとおりですが、確かに副作用はありますが、だから見直すということであれば、これは簡単なようですけれども、緩和効果がなくなってしまい、日本経済にとってマイナスですので、当然必要な緩和をしていく上でどのような工夫をしながら続けていけるのかというのが今私どもに課された課題であるというふうに思っております。
○田村まみ君 ありがとうございます。 今の答弁の中で少し触れていただきましたんで、長短金利操作についての御質問を一応一問入れておいたんで、そこを先にお伺いしたいと思うんですけど、お話にあったとおり、十二月の金融政策決定会合で、長短金利操作における長期金利変動幅の拡大を決定されました。この決定後の記者会見で黒田総裁は、政策の修正について、市場機能を改善することで金融緩和の効果が企業金融等を通じて円滑に波及していくようにという、そういう趣旨だということで、利上げではないというふうにお述べになっておりました。 しかし、長期金利変動幅の拡大について、日銀としては、かねてから事実上の利上げとなり望ましくないというふうにお話しされていましたし、内田候補自身も、昨年の五月の参議院の財政金融委員会において同趣旨の御答弁をされていたという議事録、私も拝見しました。 従来からの説明と異なる政策修正になったように捉えられるというふうにも私思うと思うんですね。ここに対しての説明足りなかったと思うんですけれども、それについてどうお考えになっているか、お答えください。
○参考人(内田眞一君) ありがとうございます。 これは説明する機会があってよかったなと思っておりまして、私自身も、これマスコミ等々でも、もちろん主として総裁ではあるんですが、私の発言も含めて批判されたところでございます。 批判をされたこともありますので、もう一度その五月十日の参議院財政金融委員会での質疑の模様というのを起こしたものを見てみたんですが、私はそこは割と正確に言ったと思っておりまして、現在の金融環境、経済環境を前提といたしますと、ゼロ%プラスマイナス〇・二五%程度という変動幅が適切であるというふうに思いますというふうに申し上げました。 その後、この金融経済の状況は変化しています。もうちょっと細かく申し上げますと、昨年の春以降ですね、春先以降、海外の金利が上昇する中で我が国の債券市場の機能が低下してきたということです。昨年末にかけては、言ってみればこれが常態化していたわけです。こうした状況が続いた場合には、企業の起債その他金融環境に悪影響を及ぼすおそれもありました。昨年十二月の会合では、市場機能を改善することでイールドカーブコントロールを起点とする金融緩和の効果をより円滑に波及させる、この枠組みによる金融緩和の持続性を高めるというプラスの効果が期待できるというふうに判断しまして施策を決定したわけです。 他方で、批判されていますとおりですが、変動幅を拡大することは、それだけを取り出してみますと、金融緩和の効果を低下させる面がありますし、実際、十年物を中心に金利はここ最近では、短いところは上がっていないんですが、上昇したわけです。 ただ、このマイナス面を見ましても、例えば昨年の春に比べれば小さくなっているというふうに思います。つまり、昨年一年間でインフレ予想が上昇しておりますので、実質金利は低下しております。したがって、同じ名目金利でも、金融緩和の効果は以前より大きいはずだということでございます。 十二月の決定は、こうしたプラスマイナス両方を勘案した上でプラスの効果の方が大きい、つまり緩和的であるというふうに判断をして行ったものです。もし仮に、昨年の春、私がしゃべったときに同じことを行っていれば、これはマイナス面の方が大きいということでございまして、そのとき委員会でも申し上げましたとおり、我が国経済にとって好ましくなかったというふうに考えております。 ただ、こういうふうに書かれること自体も一つ重要な点だと思っておりますので、それから、現在、極めて不確実性の高い状況にありますので、より一層、より一層丁寧な説明に努めてまいりたいというふうに思っております。
○田村まみ君 ありがとうございます。 新型コロナウイルス感染拡大のときのワクチン接種も、同じようにやっぱり効果と副反応というのはいろんな報じられ方していました。やはり国民は、何が心配なのかという方がやっぱり知りたくなるので、報道がどうしてもそこが大きくなるというのは当然のことだと私思います。是非、効果のところを国民に分かりやすく説明するというところ、ここを心掛けていただきたいというふうに思います。 その上で、済みません、ちょっと通告していないんですけれども、今日ずっと議論聞いていてやっぱり聞きたいなというふうに思ったのが共同声明についてです。 日銀としては、やはり共同声明に沿って現在に至るまで金融緩和を強く推進していて、私はそこについては異論はないんです。ただ、二%の数字が未達というところだけが取り沙汰されて、日銀の対応についていろんな批判があると。ただ一方で、やはり金融政策だけではこれ達成困難だということもこの間の質疑でも明らかになってきたというふうに思っています。 あくまでこれ、私、共同声明ですので、では、政府側に対して何か足りなかったか、それを是非お答えいただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○参考人(内田眞一君) もちろん、共同声明ということですけれども、二%の物価安定目標自体は、私どもが日本銀行の政策委員会として決定し、共同声明に盛り込んだものです。したがって、これを達成することは日本銀行の責任であるというふうに考えております。 その上で、日本経済全体を考えたときに必要なことという意味では、もちろん、先ほど申し上げましたように、生産性を高めていきながら成長力を高めていくということが必要であろうと思います。そのことは、金融政策という観点から見ましても、まあ自然利子率という言い方をするんですが、言ってみれば、景気、物価に中立的な金利水準が成長率が高いと高いわけです。そういったことを高めていくことによって、同じ金融緩和をしていても効果が高まるという面があります。 そういう意味で、成長力の強化に向けた動きというのはとても大事であり、これは足りなかったという面で、意味で申し上げるわけではありませんけれども、引き続き、政府において取り組んでおられるとおり、生産性の上昇に向けた対応ということは極めて重要な要素であるというふうに思っております。 重ねて申しますが、その上で、二%の達成は日本銀行の責任でございます。
○田村まみ君 責任としてしっかりとお持ちになっていただくということは心強いです。 ただ一方で、やっぱり共同声明なわけですので、相手方に求めることもしっかりと求めていただきたいというのは、これまでと立場が変わっていくわけですので、是非、この目標達成に向けては、相手方の政府にしっかりと求めるべきこと、成長戦略の部分、求めていただきたい、それは是非お願いしておきたいというふうに思います。 最後一問、これも、済みません、昨日、お願いした後に、世耕幹事長の方が御質問をされて、それを見て私どうしてもお伺いしたいと思って、ちょっと通告にないんですけれども、昨日の質疑、まず御覧になられましたか、総裁人事。
○参考人(内田眞一君) 全部ではないんですが、インターネット中継で大部分は拝見しました。
○田村まみ君 じゃ、大分白熱したところだと思うので、見ていらっしゃったと信じて伺います。 内田候補者の国会同意人事について、先ほども国民民主党としてさっき議論をしてきたというふうに言いましたけれども、黒田日銀体制の十年間を支えてこられたという中で、そこの中での御経験がどういうふうに生きていくかというのが論点になりました。 ただ、これからは立場が変わるということと、植田新総裁の下で政策の方向性が示された中でお仕事されていくようになっていくわけです。内田候補者は、手段の独立性を確保、しっかりされて、その上で、まあ共同声明はあるにせよ、私が先ほど求めたとおり、共同なんですから、しっかりと日銀として目標達成するときに政府に求めるべきことを総裁とともに求めていくということ、それは御決意としていかがでしょうか。
○参考人(内田眞一君) 共同声明に限りませんが、政府との間では密接に連携すべきだと書いてありますし、しているわけです。その中ではいろいろなお話をお互いにしているわけでございまして、そうした対話の中で、私どもとして、日本経済全体として良くしていきたいということですので、必要なことは申し上げてきたつもりですし、これからもそうしていきたいというふうに思います。
○田村まみ君 時間ですので、終わります。ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 内田候補は、黒田総裁とずっと一緒に仕事をしてこられました。そこで、まず賃金についてお尋ねしたいと思うんですけれども、黒田総裁は、アベノミクスの当初、賃金が上昇せず物価だけが上昇するということは普通には起こらないと、商品やサービスの価格上昇により企業の売上げが伸び、収益が増加すれば、それに見合って労働者に支払われる賃金は増加すると、当然のように強調しておられました。ところが、十年たってもそうはなりませんでした。 黒田総裁、昨年秋になって、もう少し賃金のことをはっきり言うべきではなかったかというのはそのとおりだと国会で答弁をされたんですが、内田候補は、この十年にわたって実質賃金が上がらなかったということについて反省しておられますか。
○参考人(内田眞一君) 先ほどもちょっと議論になり御説明したところでございますけれども、この間、雇用者数が増える中で雇用者所得が増えている、私はここはもう少しきちんと議論されるべき、評価されるべきことだと思っております。 その上で申し上げますが、賃金が上がらなかったことの理由の中には、もちろん、私どもが思っていたよりも物価及び賃金を上げない、上げることをしないという慣行、いわゆるノルムが根付いていて、これが思ったよりも厳しかったということは事実でありまして、ここは私どもが早期に二%達成あるいは物価上昇を伴う二%の実現ができなかったことの理由だというふうに思っております。 ただ、重ねて申しますが、この間、雇用者所得は増えているわけでございまして、効果がなかったという意味で反省しているかということであれば、これは効果があったというふうに考えております。
○仁比聡平君 つまり、いや、反省はされないと。 低賃金、不安定の非正規雇用がどんどん拡大をされてきたと。ですから、雇用者数が増えた、あるいは雇用者総所得が増えたというふうにおっしゃるけれども、それは一つ一つの家計にとってみると、それは暮らし大変なんですよ。GDPの六割をその家計が占めているのに、そこに着目しないということで本当に日本経済立て直せるんですかと。 その上で、昨日も植田候補と、総裁候補と議論させていただいたんですが、総裁候補は、金融政策の効果が及ぶのに標準的な時間は二年としつつ、日本経済が過去十年、二十年置かれた状況では標準型が当てはまらない、何年後に目標が達成できるか、なかなか現状では確信を持って答えることができないという残念な状態にあると衆議院で答弁されて、これ、大きな話題になっていますよね。 この残念な状態にあるという下で、これからどこまで今の政策をお続けになるおつもりですか。
○参考人(内田眞一君) 植田総裁候補のお気持ちまで分かるわけではないんですが、私なりに説明させていただきますと、確かにこの間、二%の達成というのは十年間できていないわけです。その背景は二つあると思います。一つは、今申し上げたとおりですが、物価それから賃金が上がらないという慣行が根強かった。もう一つは、こういうものに対しても十分な金融緩和ができる状況であれば、これはデフレに陥ることもありませんし、二%というのは標準的には二年で達成できるということですが、金利が実効的な下限、まあエフェクティブ・ローワー・バウンドといいますが、これに直面していたことから、量の拡大の効果を含めた非伝統的な政策に頼る必要があった、その効果は、これは世界的にそうですが、不確実なものであったと。この二つが原因だというふうに思っております。 そういうことを、まあ残念という表現がどうかは分かりませんけれども、表現されたのではないかと私は理解しております。
○仁比聡平君 その時々の局面で様々な分析をされることは当然必要なんですけれども、そういって十年たったと。この二%目標に縛られていることによって身動きが取れないということになったら、金融政策そのものが一体何なんだということに私なるんじゃないかと思うんですよね。 もう一問、総裁候補にお尋ねしたのと同じ質問ですけれども、日銀は、今、十年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行うという方針を維持しておられます。となると、この物価二%を達成するまで国債買い続けるということですか。
○参考人(内田眞一君) これは、二%を達成するために必要なイールドカーブを実現していく、そのために必要な国債買入れを行っていくということです。 ただ、基本的に、国債買入れの効果は、いわゆるストック効果という言われ方をしますが、買っている残高に対応して効果が生じてくるというふうに考えられておりますので、このままずっと続けていって、買い続けていく、まあそれは買い切ってしまうというような意味での御質問であれば、それはそういうことではなくて、必要な額を買っていく中で効果は現れ、その先に二%を達成していくことができるというふうに私どもは考えております。
○仁比聡平君 しっかり注視していきたいと思います。 次に、日銀緩和マネーと物価の問題についてお尋ねをしたいと思います。 フィナンシャル・タイムズの著名なエコノミスト、ジリアン・テットさんが、今回の総裁、副総裁候補人事案が示された後の、つい先日、二月十七日、ブルームバーグの報道番組で、今後の日銀の金融政策に注視する必要があると、次のような趣旨の発言をされました。世界の中央銀行が引締め局面に入り、アメリカ中央銀行、FRBは、昨年後半から、資産規模の縮小、すなわち緩和マネーの回収を始めている。ところが、FRBが緩和マネーの回収をしても世界全体では減らない。それは、日銀の大規模金融緩和が続き、昨年には日銀の国債爆買いが復活したからだと。 要旨、そうした発言なんですが、候補の御認識、いかがですか。
○参考人(内田眞一君) 金融政策は各国それぞれの経済・物価情勢に応じて行われているものでありまして、もちろん、そのことはある意味のスピルオーバーという形で他国にも波及します。あるいはスピルバックという形で戻ってくることもございます。 ただ、それを全体として見たときに、今おっしゃったようなことが起きているというふうには考えておりません。
○仁比聡平君 ジリアン・テットさんが指摘をされたということについては起こっておらないという御認識なんですが、その根拠となるデータというのはあるんですか。
○参考人(内田眞一君) 恐らく、済みません、私それ読んでないのであれなんですが、正確に申し上げることは難しいんですけれども、恐らくバランスシートの大きさを各国比べて、それを足し上げるようなことをなさっているのではないかと思います。それであれば、もちろん、その間のそれぞれの政策スタンスによってバランスシートの大きさを足し上げることはできると思いますが、私自身、今申し上げたのは、そのことが世界の緩和ということの代表的な指標になっているとは私は考えておりません。 それよりも、金融政策というのはあくまで金利政策ですので、世界全体としての金利は上がっている、まあ日本は違うわけですけれども、その中で、世界の金融環境自体は引き締まっているわけであって、そのことが今十分な引締め効果を持ってグローバルなインフレを止められるのかどうかというのが議論になっているわけでございまして、単にバランスシート、もし間違っていたら申し訳ありませんが、バランスシートを足し上げるだけでそういうことをおっしゃっているんであれば、それは違うというふうに申し上げたわけです。
○仁比聡平君 この番組で示されているバランスシートを足し上げたもの、これ拝見すると、二二年の、今指摘をされているような状況というのはこれは明らかかなというふうに思いますし、これのみをもってジリアンさんたるものがそういった指摘をされることはないと思います。データあるいは理論的な根拠、これきちんと国民的に明らかにし、あるいは世界にも説明ができるようにするべきだと思うんですね。 といいますのは、ジリアン・テットさんはその指摘の上で、日銀緩和マネーのばらまきが他の中央銀行の引締め努力を打ち消して、資産価格、そこには原油や穀物などのコモディティー、国際商品が含まれるわけですが、その上昇が後押しされていると述べておられます。 昨年十一月に衆議院の財務金融委員会で我が党田村貴昭議員の質問に候補は、コロナで各国が行った大規模財政と金融政策が寄与しているというふうに御答弁されたんですけども、ジリアンさんが言うとおり、日銀マネーが各国中央銀行の物価引下げ努力に水を差しているのではないかと、この指摘にどう答えますか。
○参考人(内田眞一君) 別な委員会で田村先生からいただいた質問にお答えしたわけですが、コモディティー価格の上昇に関しては、需給両面の要因があると申し上げた上で、その需要が増えたところ、これは経済の持ち直しによるもの、世界経済の持ち直しによるものですので、そこには各国の財政金融政策が寄与しただろう、一方で供給面でウクライナ情勢を背景とした供給懸念もあったというふうに申し上げたと記憶しております。 その上で、日本の緩和マネーによってコモディティー価格が上がるということについては、もちろん緩和されていることを前提に投資家はいろいろなものを買うわけですから、全く効果がないということは、それは、そんなことはあり得ないわけで、当然あります。ただ、日本の経済規模、まあ金融資産の規模、いろいろなことを考えたときに、世界全体に影響を及ぼすほど大きいとは私には思えません。もちろん、アメリカのスピルオーバーというのは常に議論になりますが、それと比べたときに日本のスピルオーバーはずっと小さいはずであるというふうに思っております。
○仁比聡平君 巨額ですよ、日銀マネー。それが世界にさして影響は及ぼさないという、その認識は甘くないですか。ちょっとそれも私は承服できない思いなんですけども。 かつて、リーマン・ショック以降のコモディティーが高止まりをしていたという二〇一一年の一月の日銀の金融政策決定会合の議事録が公開をされて、そこで当時の白川総裁がこんな趣旨のことを発言されていたと。日銀の緩和マネーが原油、穀物などのコモディティー価格上昇に決して無縁ではないと。そうだと思うんですよね。そのときの政策決定会合では、例えば価格高騰の原因が需要の高まりなのか緩和の影響なのかと、あるいは原油や穀物の金融商品への組入れ、金融商品化がどれくらい進んでいたのかと。これは、リーマン・ショックから二〇一一年の時期のそのデータや理論に基づいて相当突っ込んだ議論がされたと思うんですね。 この物価高騰を、まあ今日もウクライナ危機あるいはコロナ対応と、いろんな要素が出されていますし、もちろん需要と緩和のいろんな関係があるという、それはそのとおりだと思うんですけれども、それをデータに基づいて徹底して議論をして、そしてこれをちゃんと国民的に説明すべきだと思うんですけれども、いかがですか。
○参考人(内田眞一君) その議論、つまびらかに覚えておりませんが、もし前総裁がおっしゃったとすると、その無縁ではないというのはまさにそのとおりだと思います。私も全く関係がないと先ほど申し上げたわけではなくて、当然のことながら日本もそれなりの大きさの金融市場を抱えているわけでございまして、そのことが世界の金融市場に影響しないということは、それはないわけです。 ただ、先生おっしゃったような形で、あるいはジリアン・テットさんがどうおっしゃっているのか知りません、分かりませんけれども、今のそのコモディティー価格の動きに日本銀行あるいは日本の金融緩和というものが影響している度合いはそこまで大きいだろうかという意味で申し上げました。あくまで日本の、量で語られることが多いですが、ゼロ近傍の金利であるということは、いろんな投資家にとって、ほかのものを買うのか日本の商品を買うのかというところの判断に変わってくるということですので、その限りにおいてもちろん影響がないわけではありませんが、決定的な影響があったということはまあ常識的には考えづらいというふうに思っております。
○仁比聡平君 時間が来たので終わりますけども、経済を活性化する、これをやれば経済が活性化できるといって始めた大規模金融緩和が、世界に今や迷惑を掛けたり、あるいは、そうした物価高騰の中で国民経済を痛め付けてしまうということになったらまさに逆立ちであって、そもそもの失敗を反省し転換すべきだということを発言をして、終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○中西祐介君 自由民主党の中西祐介でございます。 内田眞一候補におかれましては、衆議院、参議院と連日御答弁、大変お疲れさまでございます。また、誠実で真摯な御対応、御答弁をいただいておりますこと、心から敬意を表したいというふうに存じます。 まず、内田副総裁候補におかれましては、この日銀の企画局での御経験が長いというふうに伺っておりまして、当時、企画局長に最年少で抜てきをされたという経歴もあるというふうに存じております。また、黒田総裁の下で政策立案を担うなど、いわゆる異次元の金融緩和導入と強化に際して日銀内で中核的な役割を、お立場を果たしておられた、日本銀行の政策決定に深く精通した人物であるというふうに承知をしておるところであります。 そこで、まず伺いたいんですが、特にこの十年、政府、日銀が共同認識を持ってこの根深くあるデフレマインドというものに対して対峙をしてきたというふうに考えておりますが、共同声明やそれぞれの政策の役割を通じて、政府、日銀がしっかりと連携した形で対応してきた時期ではなかったかなと思うんですが、この歴代の日銀と政府の関係性の中においてこの十年はどのように位置付けられるか、まず総論を伺いたいと思います。
○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。 長くこの仕事をやっておりまして、政府の皆様とは様々な形、あるいは様々なレベルで議論させていただいております。この十年、政府の様々な部署の方々とお話をさせていただいて、もちろんいろんな議論をするわけですから様々なことが起こるわけですけれども、極めて連携はスムーズでありましたし、お互いに同じ方向性を持って仕事をしているなということを実感できた十年であったというふうに思っております。
○中西祐介君 ありがとうございます。 二〇一三年の黒田現総裁の最初の所信質疑の中で、このデフレ脱却、物価安定の責任は、責務は中央銀行にあると、日本では日本銀行にあるというふうに思いますということで黒田総裁が答弁をされておりますが、日銀の物価安定の基本的責務について認識を示されたものだというふうに認識しています。 今まさに、この国民生活における圧迫する喫緊の課題については、食料品を始めこの物価高、また電力を始めとするエネルギー高による生産コストの増加というふうなのが挙げられると思います。 海外、特にイギリス、ドイツでは足下一〇%台、またアメリカでも六・四%台の消費者物価指数、いわゆるCPIが示されておりますが、欧米諸国のインフレ基調は、資金供給のだぶつきがまさにこの需要の過熱を招いておりまして、このインフレ、物価高を抑えるための利上げで対応しているというふうに分析がされております。 一方、我が国は、このCPI、現状四・二%、生鮮食料品やエネルギーを除くコアコアで三・二%というふうな状況でありますが、慢性的なデフレとコロナ禍の需要不足から経済再生の途上にある中で、まさにロシアのウクライナ侵略がありました。国際的なエネルギー、資源価格の高騰や食料価格が上昇しているということで、また、円安による輸入価格が上がっているという現状もある、いわゆるコストプッシュ型と言われる状況を招いておりまして、経済界はまだ値上げが続くんじゃないかというふうな見通しをされているところであります。 つまり、根深いこのデフレマインドの克服いかに果たすかということと、ようやく芽吹き始めたこの賃上げの環境を軌道に乗せて安定的な物価目標を達成するために、今なお継続した金融政策、つまり、総裁、副総裁が替わるタイミングで不確実性を一掃するということが大事でありますし、持続的経済成長が実現する安定した環境をつくることが求められていると私は考えております。 しかし、共同声明の見直しであるとか、あるいは大胆な金融緩和の負の側面であるとか、最近メディアが先行してこのような論点を論じておりますけれども、私は、この物価高の根本的な実像というもの、正しい姿というものを国民の皆さんにしっかりと共有をしていただく必要があるんではなかろうかというふうに思っております。 先ほどメディアに向けた発信ということもお話がありましたが、国内外の現状の環境分析と、また具体的な課題認識、これから五年間の政策の方向性について伺いたいと思います。
○参考人(内田眞一君) ありがとうございます。 広範な多岐にわたる分野でございますが、まず御指摘いただきましたとおり、海外経済は今グローバルなインフレ圧力の高まり、それに伴う各国の急ピッチの利上げということで減速しています。その中で、我が国の経済は、ウイズコロナと申しますか、感染症の抑制と経済活動の両立が進む下で持ち直しているわけですが、内外経済をめぐる不確実性は極めて高い状況にあるというふうに思っております。 物価面では、御指摘のとおりですが、今四・二%という物価になっておりますが、これは主として輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁によるものでございまして、この影響が減衰していくことと、それから政府の経済対策、その効果から来年の半ばにかけてプラス幅を縮小していくというふうに予想しております。 こうした状況ですので、金融緩和を継続することでしっかりと経済を支え、賃金上昇を伴う形で物価安定の目標を実現したいというふうに思います。 また、お認めいただいた場合ですけれども、五年間の展望と、これは大変難しい御質問でございますが、内外の経済をめぐる不確実性が極めて高いということでございますので、所信でも申し上げましたとおり、経済・物価情勢に応じて機動的な政策運営を行うことで経済の持続的な成長を支える良好な金融環境を維持していきたいというふうに思っています。そのことが、御指摘あった物価、賃金が上がりにくいことを前提とした慣行、これを転換し、賃金が上がる形で二%を達成していくということにつながっていくというふうに思っております。
○中西祐介君 ありがとうございます。 今賃金の話がありましたが、引き続き雇用の話について伺いたいと思います。 日銀法の第二条にある国民経済の健全な発展のためには、実体経済、つまりは雇用の最大化を図るということ、そして賃金の上昇を含めた雇用改善が最も重要であるというふうに認識をしています。 物価上昇率と失業率の関係についてはいわゆるフィリップ曲線で表されるということでありますが、現在の失業率は、政府の雇用調整助成金の大きな効果がありまして実態よりも抑えられていると。抑えられて現状二・五%というか二%台後半を今維持をしているという状況でありますが、完全雇用を意味する二・五%程度までのギャップをどうやって埋めていくかと。そして、GDPデフレーター、足下一%台を二%に何とか引き上げていかなきゃいけないと。 この雇調金が、今年の、来月末ですから、三月末にこの期限を迎えるわけでございますが、雇用の面からも政府、日銀一体となった取組が今後も必要だと考えておりますけれども、中長期的に労働人口の減少が見込まれる中で、この雇調金終了後、どのような点に留意をして、また、雇用環境を後押しする日銀の取るべき施策どうあるべきか、伺いたいと思います。
○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。 金融政策は総需要に働きかけるマクロ経済政策ということでございます。金融緩和をすれば景気が改善して需給ギャップあるいは労働需給が改善する、そのことを通じて賃金が上がると、こういうメカニズムを想定しているわけです。 現在、これも先ほど来申し上げておりますが、過去十年の金融緩和の下でこの押し上げ効果がしっかりと発揮されたというふうに思っておりまして、賃金、あるいは雇用者所得と先ほど申し上げましたが、雇用者数との掛け算での所得は緩やかに上がってきたというふうに思います。ここへ来まして追加的な労働供給に限界が見え始めている、まあ限界という言葉は良くないかもしれません、これ以上の追加的な供給が難しくなってきているということでございますので、ここからはマクロ的には、あるいは労働需給だけを見れば賃金は上がりやすい環境になりつつあります。是非ここを後押ししていくような形で金融緩和を続けていく必要があるというふうに考えております。
○中西祐介君 ありがとうございます。 次いで、物価安定目標のために長期金利への働きかけについて伺いたいと思います。イールドカーブコントロールというのは度々これ質疑になりましたけれども、別の角度で、フォワードガイダンスについて伺いたいと思っています。 植田総裁候補が日銀審議委員を務めておられた一九九九年当時、低金利時代の政策効果の限界を指摘する声が世の中にありましたけれども、日本が世界に先駆けて、金融政策の先行き、時間軸を持った政策の表明、いわゆるこれがフォワードガイダンスと呼ばれるものでありますが、これを導入いたしました。政策金利が実質的にゼロ近辺に達した場合でも金融緩和の効果をより高めることが可能となったわけでありますが、その後、リーマン・ショックを契機として、FRBやECBなど世界各国の金融政策で導入をされている実績があります。 我が国は現在、フォワードガイダンスとイールドカーブコントロールを通じて長期金利に働きかける政策が取られておりますが、質疑でお答えのあった植田総裁候補の分かりやすさを重視する姿勢というものは、まさに中央銀行への信頼感と信認に欠かせないフォワードガイダンスでも親和性があるんじゃないかというふうに考えます。 日銀の使命は物価の安定を図ることでありますが、金融経済情勢に対して柔軟な対応が求められる中で、現行のフォワードガイダンスの有用性と課題について、候補に伺いたいと思います。
○参考人(内田眞一君) 重要な御指摘ありがとうございます。 フォワードガイダンスは、御指摘のとおり、植田総裁候補が中心となって考案した時間軸政策がその後世界標準となったものでありまして、もう非伝統的政策というよりも、金融政策をめぐるコミュニケーションあるいは効果波及を助けるツールとしてむしろ平常時から使われる手段になっているというふうに思います。 課題は、もちろん先行きの経済、物価のパスというのは常に不確実な中ですから、強いコミットメントをすれば政策の柔軟性が失われるというトレードオフがあるということが課題です。特に欧米におきましては、この間、コロナ禍において強いコミットメントが必要であった一方で、その回復過程で予想を上回るペースでインフレ率が上昇しましたので、極端な例としては、オーストラリア準備銀行のように枠組みを守れなくなるようなケースも生じたということでございます。 日本に、日本銀行の場合ですけれども、現在三つのフォワードガイダンスを持っています。一つは長短金利操作付き量的・質的金融緩和の継続に関するコミットメント、それからいわゆるオーバーシュート型コミットメント、さらには政策金利のフォワードガイダンスと、この三つでございますが、これらは、御指摘のとおりですが、YCCとともに有効に機能しているというふうに思っております。もちろんその先行きの経済、物価の不透明感あるとは思いますが、欧米のようなスケール、規模で上振れが生じる可能性はないというふうに思いますので、フォワードガイダンスが想定どおり働く状況にあるというふうに思っております。 なお、これは昨日質疑でもありましたが、フォワードガイダンスにおきましては、今申し上げたように二%の目標というのは鍵になるコンセプトです。その意味で、二%のという水準を見直すということは、これはコミットメントを弱めることになりますので、私はこの二%の目標水準は変えるべきではないというふうに考えております。
○中西祐介君 ありがとうございます。 最後、金融システムの安定確保に向けた認識について伺いたいと思っております。 日銀法に、規定にのっとって、日銀には、通貨及び金融の調節を行う金融政策と並んで信用の秩序の維持と、つまり金融システム全体の安定確保も重要な役割として明記をされております。 私も実は金融再編の時代に当事者行の一つで勤務をした経験がありますが、まさにバブル崩壊後に金融機関の不良債権問題が深刻化をして、金融機関の経営破綻に相次いだ時期がございました。 今まさに地銀ですね、地銀の課題、貸出しと預金というだけではなくて、スタートアップや伴走型支援、またマイクロファイナンスなど社会課題に応える新たなサービス体制を求められて、各行の経営基盤やアライアンス強化など課題も多様化しているところであります。 日銀は個々の金融機関を直接監督する立場にはございませんが、考査やオフサイトモニタリングを通じて経営状況全体を把握しているわけでございます。地銀も含めた金融システムの安定性と将来展望ある発展の確保に向けた日銀の取組について伺いたいと思います。
○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。 我が国の金融システムは、感染症拡大以降様々なストレス局面が続いておりましたが、その中でも全体として安定性を維持しているというふうに評価しております。もっとも、近年、金融機関をめぐるリスクプロファイルは複雑さを増しておりますし、新型コロナウイルス感染症の影響などもありまして、金融システムを取り巻く環境は大きく変化しているというふうに思います。 御指摘あったとおりですけれども、一つは、その人口減少あるいは企業数の減少が進む地域経済をどう活性化していく、その支援をどうやっていくのか、高齢化が進む経営者の皆さんの事業承継をどう支援していくのかなど、地域金融機関に求められる役割は従来以上に多岐にわたっているというふうに思います。 私、二回支店長をやっておりますが、地銀あるいは第二地銀、信金の頭取方とお話をしていて、地域において何々銀行さんはみんな知っていますと、そういう意味で皆さんから頼られる存在だし、そのことをベースにビジネスをやっていかれる責任もあるし、これは大きな財産ではないのでしょうかということを申し上げてまいりました。 そういう意味で、私どもはあくまで側面的な支援でございますが、考査、モニタリングだけではなく、様々なセミナーあるいはワークショップ、こういったものも開催しておりまして、是非いろんなチャネルを通じて、地域金融機関、地域の要でございますので、前向きな取組をサポートしてまいりたいというふうに思っております。
○中西祐介君 ありがとうございました。
○下野六太君 公明党の下野六太でございます。 本日は、質問の機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。また、内田候補におかれましては、長時間にわたり誠実な答弁をいただきまして、ありがとうございます。 早速ですが、最初に、内田候補者のこれまでの御経験を今後の金融政策運営にどう生かしていかれるのか、お考えをお伺いしたいと思います。 日銀の理事を務められていた内田候補者は、金融政策を企画立案する企画局での業務が長いとのことでありますが、これまでの御自身の経験を副総裁として今後の金融政策運営にどう生かしていくおつもりでしょうか。 また、今回、学者として初の総裁が誕生した場合、難題である金融の正常化に挑むことになります。どうやってこれを乗り越えていかれるのか、このことは市場も注目していると思われます。内田候補者御自身が新総裁をいかに支えていくのか、その決意と覚悟をお聞かせいただきたいと思います。 また、副総裁になると対外的に日本経済の状況や金融政策の考え方等を説明する機会が増えますが、情報発信の面では御自身の経験をどのように生かしていかれるのか、お考えをお伺いしたいと思います。
○参考人(内田眞一君) ありがとうございます。 私、三十七年間日本銀行に勤めておりますが、そのうち約半分は金融政策の分野に携わってまいりました。 金融政策は言うまでもなく政策委員会で決定するものですけれども、事務方としての役割は二つあるということでございまして、一つは、政策委員会で議論する上で必要な情報を提供する、もう一つは、政策委員会の考え方を実務に落とすということだと思っておりました。とりわけイールドカーブコントロールのような枠組みにありましては、金融市場調節等、実務の裏付けがなければ政策として実現できないということがございます。 その意味で、もしボードメンバーの一人である副総裁としてお認めいただきましたならば、ボードと事務方をつなぎ、実務的に実現可能な政策オプションを提供できるよう努めてまいりたいと思っております。 私自身は、今後の政策運営で一番難しいのは、イールドカーブコントロールの運用などの技術論というよりも、経済・物価情勢を踏まえてタイムリーに措置を打っていく情勢判断だというふうに思っております。技術論の方はこれまでも周到に考えてまいりましたし、経験の蓄積、現場の力、こういったもので対応できるというふうに私は思っています。情勢判断の面ではもちろん植田先生に負うところ大きいと思いますが、調査統計局、国際局、金融機構局、金融市場局、こういったところから必要な情報をタイムリーに委員会に報告できるようにしたいと思います。これも私の重要な任務だというふうに思っております。 対外発信につきましては、先ほど申し上げましたが、日英共に、拙い英語ではございますが、伝えていきたいと思います。グローバル化した社会ですので、これは両方をきちんと発信していける。そういう意味では、残りのお二方はもっと英語が、英語というよりも国際色豊かな方でいらっしゃいますので、この体制の下では、内外、特に外の発信というのはより高まっていくかなというふうに思っております。
○下野六太君 ありがとうございます。 次に、金利上昇が中小企業の経営に与える影響について伺いたいと思います。 昨年十二月の決定会合において、長期金利の変動幅を従来のプラスマイナス〇・二五%からプラスマイナス〇・五%に拡大しました。これを受け、国債市場では金利が上昇しました。一般的に金利の上昇は、資金調達コストの増大を通じて企業経営にマイナスの影響を与えます。特に中小企業は、コロナ禍に借り入れた無利子無担保融資の返済局面にあり、金利上昇に伴う負担感は大きいと思われます。結果的に、昨年十二月の日銀の決定は、こうした中小企業の経営の厳しさに追い打ちを掛けることになってしまったとも言えるのではないかと思います。 今後、仮に更なる金利の上昇が起きた場合、中小企業はどのような影響を受けるのかという御見解を伺いたいと思います。
○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。 昨年十二月の措置につきましては、市場機能の改善の観点から、十年長期金利の変動幅を広げる一方で、その他のゾーンを含めまして国債買入れを増額するなどの措置も行っておりまして、イールドカーブ全体を低位で維持できるようなオペレーションを行っています。 少し技術的になってしまいますが、例えば、一月の決定会合で拡充しました共通担保資金供給オペというのがありまして、これを五年の期間で打つことなどを今やっておりまして、企業貸出しに影響の大きい中期までの金利は十二月の決定前から余り変化しない状況でキープできております。 この点、よく分析していく必要があると思っておりますが、企業向け貸出しの構造について若干申し上げますと、その半分、約半分が変動金利型です。変動金利型は当然短期金利連動しますので、ここは貸出金利は上がっていないはずでございます。で、残り半分が固定金利型なんですが、その平均期間というのが、貸付期間が大体四年程度でございます。 この先、その長期ゾーン中心に新規の貸出金利は、もちろん新規ですが、上がっていくということは想定されますが、今申し上げましたとおり中期までの金利はほとんど動いていないわけですので、現時点では金利上昇の影響というのは限定的であろう、そのようになるようにオペレーションもやっているということでございます。 もちろん、これは個々の企業にとっては違うということもあり得ると思いますし、中小企業にとって銀行貸出しというのは、主要なといいますか、場合によっては唯一の資金調達手段になりますので、その動向については金融機構局を含めてよく見てまいりたいというふうに思っております。
○下野六太君 ありがとうございます。引き続きしっかり注視していただきたいと思います。 中小企業の賃上げに向けて日銀が取るべき政策について伺いたいと思います。 物価安定目標の二%を超える物価上昇が続く中、賃金の上昇を伴う物価上昇をいかに実現させるかが今後の課題となっております。特に、我が国の従業者の約七割は中小企業に勤めているため、中小企業の賃上げ動向を注視していく必要があるかと思います。 昨年十二月に保険会社が中小企業約九千社の経営者を対象に行ったアンケートでは、賃上げしない、できないと回答した企業は三二%となりました。賃上げしない理由としては、景気の先行きが不透明が六九%と最も多く挙げられました。資源価格の高騰や新型コロナウイルスの感染動向等、不確実性の高い事象を背景とした経済情勢の先行きに対する不安は根強いものがあります。 中小企業経営者の不安を払拭し、賃金の上昇を伴った形で二%の物価安定目標を安定的、持続的に達成するためにはどのような政策が有効であるとお考えか、御見解を伺いたいと思います。
○参考人(内田眞一君) ありがとうございます。 現在、コロナ禍からの回復ということで、サービス業を中心に人手不足感が強まっております。これ、私どもの支店長あるいは頭取方とお話をしてもよく伝わってくるところです。経営者の皆様も同じことをおっしゃっております。 その結果として、アルバイトの時給など非正規の賃金は既に上昇しています。中小企業の雇用者の賃金はどうしてもこういった非正規の賃金の影響を受けやすいということですので、既に上昇圧力が生じているというふうに認識しています。となりますと、問題はやはりその中小企業の側で賃上げをできるだけの収益を上げられるかということになってまいります。 この点、商工会議所さんとかがやっておられますパートナーシップ構築宣言などの取組が進みまして、これは大企業の方に伺っても、大企業を中心とした収益の増加の好影響を中小企業にどう広げていくのかということは、問題意識として中小企業、大企業双方で持たれているというふうに思います。是非実現していっていただきたいというふうに思います。 金融政策という面では、金融緩和を継続することでしっかりと経済を支える、そのことを通じて中小企業を含めた企業収益の改善、それから雇用情勢の改善、これを図ることで賃上げができる環境を整えてまいりたいというふうに思っております。
○下野六太君 それでは、日銀の短観についてお伺いしたいと思います。 日銀は四半期ごとに、全国企業短期経済観測調査、いわゆる短観を公表しています。この短観は統計法に基づいて日銀が行う統計調査であり、全国の企業動向を的確に把握し、金融政策の適切な運営に資することを目的としていると承知しています。 統計方法について短観の解説を見ておりますと、企業規模区分は資本金を基準に三つに区分しており、大企業は資本金十億円以上、中堅企業は資本金一億円以上十億円未満、中小企業は資本金二千万円以上一億円未満とのことであります。調査対象となり得る資本金二千万円以上の企業は企業全体のうちどの程度の割合だと認識していらっしゃるでしょうか。 続けて、質問五にも続けて行きます。 一部報道によりますと、調査対象として国内企業の約九〇%が含まれないことになっているとのことであります。このようなことだと、偏った声しか集められていないのではないかとの懸念が生じます。せっかく全国規模で調査するのであれば、満遍なく対象を広げた方がよいように思われます。 今後の中小零細企業を含めた国内企業の動向や実情を的確に把握することは金融政策の方針を決めていく上で重要であると思いますが、短観の調査方法は、調査方針はどのようにあるべきとお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(内田眞一君) ありがとうございます。 御指摘のとおりですが、短観の対象となります企業数、割合でいいますと我が国企業全体の約一二%でございます。売上げに占める割合で見ますと全体の約八割ということになります。 どの程度の範囲を対象にするのか、これ実はすごく難しい問題で、どのくらいの項目を聞くのか、これは負担もありますので、それにもよります。 今の短観は、四半期ごとに、業況、雇用の過不足、あるいは資金繰りに関する判断、収益、設備投資等の事業計画、さらには物価の見通し、かなり多岐にわたる調査をさせていただいています。これだけの項目を四半期ごとにアンケートにお答えいただくというのは相当の御負担だと思っておりまして、大変有り難いことなんですけれども、これを小さい企業にまで拡大していくということは少し難しいかなと思っておりまして、その部分は、例えば商工会議所さんのLOBO調査ですとか、それから政策金融公庫さんの情報その他で、ある種のすみ分けをしながらやっていきたいと思います。 短観の今の回答率というのは九九・四%でございまして、これ十二月なんですけれども、この手の調査では信じられない高さで御協力いただいています。私、同じような話で申し訳ない、新潟支店長のときに一〇〇%になりまして、ある巻頭言を頼まれたので、一〇〇%の回答率のアンケートという題で文章を書いてお礼を言ったことがあります。それだけ大変な思いをして書いていただいているわけですので、統計ってやはり連続性が大事なので、今回は五〇%、今回は四〇%、違う人が答えるんだとやっぱり役に立たないんです。 そういう意味で、今のやり方を踏襲していきたいと思います。足りない部分は、私どもの本支店の調査あるいは先ほどのLOBO調査を含めた他の機関の調査、こういうものをフォローしていきたいと思っております。
○下野六太君 御丁寧に答弁いただきまして、ありがとうございます。 最後に中央銀行の独立性について伺いたいというふうに考えていたんですけれども、時間が恐らく超過するかというふうに思っておりますので、後でまたいろんな機会を通して伺いたいと思います。 以上で終わります。ありがとうございました。
○勝部賢志君 立憲民主・社民の勝部賢志でございます。 内田参考人、大分時間も経過してまいりましたのでお疲れのことと思いますけれども、よろしくお願い申し上げます。 私の会派も二巡目を迎えまして、少し質問も相当重複するものがございまして、一応通告はさせていただいているんですが、多少違う観点から質問させていただくこともありますので、よろしくお願いをいたします。 まず初めに、内田候補は、先ほど来ありますけれども、日本銀行入行以来、企画畑を中心にキャリアを積み上げられてきました。まさに生え抜きということでございまして、政策委員会のメンバーで、他のどなたよりもやはり特殊、専門的な実務にたけた方だというふうに承っておりますし、また、どなたよりも日銀の来し方行く末について重い責任を負われている方だというふうにも拝察をいたします。 そのような意味で、大変な状況に置かれている日銀に対する思いも人一倍ではないかと思うんですけれども、この度副総裁にノミネートということで、受諾をされた御自身の決意のほども他の方々とは違う思いがおありなのではないかというふうに思います。 また、新たな総裁候補であります植田さんは日銀創設以来初めての学者ということでございまして、植田さんとのお仕事を共にされた経験もおありだというふうに思うんですけれども、そこでお伺いをしたいと思いますが、内田参考人が初の学者出身である植田新総裁候補に寄せる御期待、あるいは、ないかもしれませんけれども、あれば御不安、そして、人事がこのとおり決まった場合、チーム植田における御自身の役回り、そういったことをどのようにお考えになっているのか、答えられる範囲でお答えをいただければと思います。
○参考人(内田眞一君) 不安はございません。 植田先生とは、審議委員を務められて以来二十五年、執行部として説明をさせていただいたり議論をさせていただいたり、退任された後も顧問で、金融研究所の顧問でいらっしゃいましたので、コンファランス等でチェアをお願いするとすればまず最初にお名前が挙がる方ですので、何度も御一緒させていただいています。 また、実は日銀の食堂がありまして、そこで御一緒することが度々ありまして、そのたびにどちらかが寄っていってというのも変なんですけれども、様々なテーマで議論させて、お教えを請うてまいりました。そういう意味で、再び一緒に働くことができるのは大変光栄だというふうに思っています。 その意味で、その上で私の立場ということですが、もちろん副総裁としてお認めいただければということでございますが、所信にも申し上げましたとおり、これまでの金融緩和の枠組みに実務面から携わってきた経験などを踏まえまして、この面では貢献したいと思います。また、業務・組織運営面でも、支店長としての経験を含め、しっかりと総裁をお支えしていきたいというふうに思っています。 国際的な面では、これも先ほど申しましたが、植田先生とか氷見野さんには及ばないと思っておりますが、一応国際担当理事を二年やっていましたので、中央銀行の世界では、ファーストネーム、シンイチで通るぐらいの存在だと思っておりますので、この点でもお役に立ちたいと思います。 最後に、日本銀行職員からノミネートされたことについての思いというのを最初に言っていただいて、そういえばそういうことを言ってなかったなということで、ありがとうございます。 私自身、もちろん日本銀行という組織に非常に強い思い入れを持っています。この間、様々なことが日本銀行をめぐって起きたわけですけれども、それでも五千人の職員は日々きちんと議論、業務をやり、日本銀行としての役割をしっかりと果たしてきたというふうに思っています。この日本銀行職員のプロフェッショナリズムというのは私は誇っていいというふうに思っておりますし、それを是非生かして、現場が強いわけですから、その現場をきちんと生かしていけるだけの政策委員会、トップでありたいというふうに思っております。
○勝部賢志君 ありがとうございました。 内田候補も、この所信ですとか質疑の中で、異次元緩和政策については継続性を、継続するということを表明された上で、出口戦略には適切に対応しなければいけないと、ある意味自信ものぞかせておられました。 ただ、御自身からお話があるように、大変難しい課題であるということはどなたも承知をしているんですけれども、そんな中で、この十年間、異次元緩和の出口、つまり金融政策の正常化、あるいはソフトランディング、どのように進めていこうと考えておられるのか。加えて、任期は五年間ということでありますので、それなりの時間を要するものではないかとも思いますので、その時間軸の中でどのように対応しようと思われているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(内田眞一君) 出口の質問には必ず時期尚早と付け加えさせていただいた上でお答え申し上げます。 お認めいただきますれば、五年の任期ということですので、当然その中では是が非でも二%の目標は実現したいというふうに思っています。 で、実現すれば、当然出口を考えなければいけないということになります。出口については、何度も申し上げていますように、そのときの経済、物価、金融市場の状況に応じてやっていかなければいけないということですが、そのときに考えなければいけないこととしては、もちろん金融市場をしっかりと安定させていくということが重要だというふうに思っています。不連続な状況を起こしてしまえば、それは経済、当然良い状況でやっていると思いますけれども、経済がせっかく良い状況に向かっているものを水を差すことにもなりかねないというふうに思いますので、そうした不連続が生じないように金融市場の安定を図ってまいりたいというふうに思います。 これは所信でも申し上げましたとおり、金融政策を考えていく上で、金融市場の安定というものは非常に重要なファクターとして考慮していきたいというふうに思っております。
○勝部賢志君 出口についてはそういうお考え方で、それはそれで十分理解のできるところなんですけれども、昨日から副作用の話、まあ今日もたくさん出ましたんですけれども、私、昨日、植田総裁候補に副作用の質問をしましたところ、効果よりも副作用の方が上回っているという御認識、そのような御発言があったというふうに、先ほどこの質疑を聞きながら実は思い返していたところなんです。正確にちょっと確かめておりませんので、ひょっとしたら聞き違いだったかもしれませんが、私は副作用の方が多いという思いもありましたので、植田総裁候補は恐らくそのようにお答えになったのではないかというふうに思っています。もし間違っていたらあれなんですけど。 それで、そうなると少し認識に違いがあるのではないかというふうに思うんですけれども、その点について改めて、効果よりも、失礼しました、副作用よりも効果が上回っているという認識には変わりがないのかどうか、お伺いしたいと思います。
○参考人(内田眞一君) 所信でも申し上げましたとおり、もちろん副作用はあります、ありますが、効果がそれを上回っているのでこの政策を続けてきたということですし、できるだけその副作用を小さくする工夫を行いながら緩和を続けてきたということでございます。 植田候補がもしそういうふうにおっしゃったとすれば、それは言い間違いだろうというふうに私は思います。植田先生とは何度もお話ししていますけれども、当然今の金融緩和を支持されておりますし、よく分かった上で続けていく必要があるというふうに判断されているというふうに私は認識しております。
○勝部賢志君 ちょっとここで基本的なことを教えていただきたいなと思うんですが、この副作用の、まあ副作用的なもの、つまりマイナス要素と、言われる効果というものが同じように比べられるものなのかどうかというのがちょっと私の疑問になっていまして、おっしゃるとおり、効果というのは、企業に賃上げをできるぐらいのそういう利益をもたらしていくという効果なんでしょうけど、一方で、先ほど来あるように、金融機関に対する収益に影響があるとか市場機能に影響があると。 だから、これが同じ土俵で、同じレベルで比べられるものかどうかということもちょっと新たな疑問としてあるものですから、その辺をお答えいただけたらと思います。
○参考人(内田眞一君) 大変的確な御質問だと思いますが、全体として日本経済あるいは物価にとって良いかどうかというのが最終的なゴールですので、そこで判断するということになります。 ただ、御指摘のとおり、効果の方は分かりやすくて、収益が上がった、あるいは雇用が増えたということで見えてくるわけです。一方で、副作用と言われるものは、例えば金融機関収益にもちろん影響が出るわけですが、その先に金融政策の波及経路として重要な銀行部門、そのことを考えた上での、私どもの言葉では金融仲介機能、こういったものへの副作用、あるいは強い緩和政策であります今のYCCを実施することに伴う市場機能への影響、こういったものもある種もうちょっと長い時間軸で蓄積していくものであります。 そういう意味では、この政策を続けていく中で、今申し上げた金融仲介機能あるいは市場機能というものに対する悪影響はさらに翻って日本経済にどういう影響があるのかというところを見ていきながら政策は考えていかなければいけないということで、究極的にはつながっているんですが、時間軸とかその現れる効果の見え方というのは、おっしゃるように次元が異なるように見える部分があるかというふうに思います。
○勝部賢志君 ということであればなおさらのこと、例えばYCC政策については、やはりそれは注意深く見た上で必要に応じて政策の変更ということが当然考えられなければならないと。効果があるからここは少しマイナスがあってもいいんだというものでは次元的に違うんではないかなというふうに思うんですね。それはETFの買入れについても同様でありまして、その二点について改めてお考えをお聞きしたいと思います。
○参考人(内田眞一君) もちろん、常に効果、副作用というのは検証しながら政策を決めてきているわけでございまして、今、これも先ほどちょっと申し上げましたが、副作用と言われるものについてどういう状況なのかというのは、まず、金融仲介機能については、金融機関はしっかりと自己資本を確保していて、その中で貸出しは現に増えているということを申し上げたわけですし、金融市場機能については、様々な対応を取ってきて、もちろん当然のことながら影響はあるけれども、その中での状況を見ているところというふうに御説明しています。したがって、これらについて点検をするというのは毎回の決定会合のある意味最も重要なテーマの一つになっておりますので、常に点検をしてきているところです。 更にそれを、何といいますか、まとまった形でというか、特別な形で何らかの点検をするのかということについては、これは、するかどうか、あるいはするとして、内容、タイミングをどうするのかを含めて他のボードメンバーの方と話さなければいけませんが、昨日、あるいはその前の植田総裁候補の御発言聞いていましても、十年に限らず二十五年というスケールで見たときにも、金融緩和というものがどういう効果があったのか、その総仕上げをしたいということをおっしゃっていたと伺っていますので、ある程度長い時間軸で物事を考えていく方がよいかなという感じは若干持ちました。 そういう意味で、先ほどFRBとかECBの例も挙げましたけれども、もしやるのであればということで、これ自体が議論なんですが、やらないという選択もちろんあるわけですが、もしこういった点検をしていくのであれば、少し広い角度に立って、時間も掛けて幅広い点検をしていく方がむしろ新体制の下ではより合っているかなという感じを、個人の見解ですが、持ちました。
○勝部賢志君 時間になりましたので終わります。
○委員長(石井準一君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(石井準一君) 速記を起こしてください。 この際、お諮りをいたします。 委員外議員舩後靖彦君から日本銀行副総裁の任命同意に関する件についての内田参考人に対する質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石井準一君) 御異議ないと認めます。 それでは、舩後君に発言を許します。舩後靖彦君。
○委員以外の議員(舩後靖彦君) れいわ新選組、舩後靖彦でございます。 内田様、どうぞよろしくお願いいたします。 私は、ALSという難病により全身麻痺で、喉に穴を空けて人工呼吸器を付けており、声を出すことができません。このため、パソコンによる音声読み上げで質問をさせていただきます。 それでは、質問いたします。 昨日の植田先生への質問と同じことをお聞きします。 日銀の黒田総裁は、財務官時代に格付会社に対して、日本はハイパーインフレになる可能性はゼロに等しいとした意見書を提出しました。実際、二〇一六年九月以降、YCCとして十年物の金利をゼロ%辺りで固定していましたが、全くハイパーインフレの兆しは見られません。 積極的な金融緩和の継続でハイパーインフレになるというようなお考えをお持ちなのでしょうか。見解を端的にお聞かせください。
○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。 日本銀行が、イールドカーブコントロール、あるいはそれに伴う国債買入れ、金融緩和政策を続けておりますが、これはあくまで二%の物価安定の目標を持続的、安定的に実現する目的で行っているものです。したがって、政府による財政資金の調達支援を目的としたものではございません。 また、政府におかれましても、共同声明におきまして、中長期的に持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に進めているものと理解しております。 したがいまして、そのような状況になるというふうには考えておりません。
○委員以外の議員(舩後靖彦君) 引き続き、植田先生への質問と同じことをお聞きします。 黒田総裁は財務官時代に、日米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられないと意見書で述べています。 そこで、デフォルト、借換えについての御見解をお願いします。黒田氏報告書の意見と同じですか。結論のみお答えください。
○参考人(内田眞一君) デフォルトの定義というものが定かでありませんので一言でというのは難しいかと思いますが、日本の国債が購入されているということは財政運営に対する信認が前提となっているということだと思います。 財政政策は、もちろん政府、国会でお決めいただく権限と責任があるということで具体的に申し上げるということは差し控えますが、先ほども申し上げましたとおり、共同声明におきまして持続可能な財政構造を確立するための取組というのをコミットされておりまして、着実に推進されているものというふうに理解しております。
○委員以外の議員(舩後靖彦君) 質問を続けます。 いわゆる通貨の信認論についてお伺いします。候補の考える通貨の信認について述べてください。日本はその危機にあるとお考えですか。 また、為替レートについて質問させていただきます。円が強ければ強いほどよいのだというお考えですか。
○参考人(内田眞一君) 通貨の信認は、基本的には私どもがしっかりと金融政策を行い、適切に行い、物価の安定を実現することによって保たれるというふうに思っておりまして、そのように努力してまいりたいと思いますし、信認が失われるということはないというふうに思います。 為替につきましては、これは、水準評価について具体的にコメントすることは差し控えますが、もちろんプラス面、マイナス面、両方あるということでございますし、かつ、そのことが経済に及ぼす影響が業種あるいは規模等、経済主体によっても不均一である、こういうことも考えながら為替の影響というものは考えなければいけないというふうに思っておりまして、日本銀行としては、引き続き、政府とも連携しながら、しっかりと為替市場の動向、まあ金融・為替市場の動向及びその経済、物価への影響ということをしっかりとモニターしていきたいというふうに思っております。
○委員以外の議員(舩後靖彦君) 終わります。ありがとうございました。
○委員長(石井準一君) これにて内田参考人に対する質疑を終了いたします。 内田参考人に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙の中、御意見をお述べいただき誠にありがとうございました。委員会を代表して御礼を申し上げます。(拍手) 内田参考人は御退席いただいて結構です。 次に、氷見野参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○牧山ひろえ君 立憲民主・社民の牧山ひろえです。 日銀は、我が国の金融政策を主導する立場であり、そのトップである総裁を補佐する副総裁は極めて重要な立場であります。 氷見野参考人は、大蔵省から金融監督庁、金融庁の在職中、バーゼル銀行監督委員会や金融安定理事会など、国際的な金融規制に関する議論に関わることが多かったと承知いたしております。 〔委員長退席、理事馬場成志君着席〕 二〇〇八年のリーマン・ショック以降の世界金融危機の中で、金融機関の自己資本規制の強化やシステム上重要な金融機関の秩序ある処理の枠組みの整備など、国際的な金融規制改革が進展いたしました。こうした規制の議論ではこれまでも欧米主導になることが多く、二〇一八年五月に行われた氷見野参考人の講演でも、日本提案が規制改革の主要部品となった例も多いなどとしつつも、全体のアジェンダ設定や国際世論形成が米英主導だったことは否定し難いとされております。 日銀が関与する金融政策や金融システムの安定確保に関しても、国際会議等における意見交換、交渉が多く、そこでも欧米各国の主導で進みかねない局面が出てくるものと思われます。ですが、自らの経験を日銀の行動にどのように生かしていけるとお考えでしょうか。氷見野参考人の認識をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○参考人(氷見野良三君) ありがとうございます。 日銀が参加している国際会議でどう日本が主導権を発揮していけるかという御質問だというふうに考えました。 私の金融庁時代の経験からいたしますと、まず、日本の立場を主張するということは大事なんですけれども、その前に、世界全体の問題をどう捉えて解決するかという視点を持ってリーダーシップを発揮していこうということがないと結局受け身になってしまうと。しかも、その世界全体の問題については、今御言及がありましたけれども、アジェンダを作る段階、インナーサークルで議論が行われている段階から具体的な提案を行い、またさらに、リーマン・ショック後は当局の専門家同士の議論だけで結論が出る状態ではなくなっておりますので、国際世論にも訴えていくというようなことが必要だというふうに考えております。 また、更に言いますと、例えば金融庁であれば、今現時点でも国際会議の議長、副議長を二十以上取っておりますけれども、そうしたポストを積極的に取っていくとか、様々な工夫を金融庁時代進めてきたところでありまして、そうした経験を、もしお認めいただければ日銀でも役立てていきたいと思いますし、特にその日銀の若手の方が国際舞台で活躍されることを是非後押ししていきたいというふうに考えております。
○牧山ひろえ君 氷見野参考人は、金融危機を未然に防ぐための国際金融規制分野の第一人者とされております。国内外で築き上げた経験を生かし、金融機関経営に目配りする役回りを負うことになります。また、金融システムの安定をめぐる国際ルールの交渉の在り方が変わってきており、アジェンダの設定ですとか提案、国際世論への発信まで能動的にやっていくことが望まれると思います。 さて、二〇二〇年から始まりました新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、政府は実質無利子無担保融資など事業者の資金繰り支援に積極的に取り組んできました。また、金融庁も、金融機関に対して、新規融資の積極的な実施や既往債務の条件変更に迅速かつ柔軟に対応すること等を求めるなどとしてきました。 その一方で、日銀も、二〇二〇年三月以降、新型コロナウイルス感染症への対応として、金融緩和を更に強化するとともに、企業金融支援として、金融機関に対して金融の原資を有利な状況、条件で貸し出すコロナオペを導入するなどの取組を行ってきたと承知いたしております。 そこで、質問ですが、政府、日銀によるそれぞれのコロナ対応が企業の資金繰りにどのような効果を与えたと評価されておりますでしょうか。氷見野参考人の御認識をお伺いしたいと思います。
○参考人(氷見野良三君) ありがとうございます。 コロナが始まったときに、事業者の皆様というのは大変な不確実性に直面したということだと思います。そのコロナの影響自体がどの業種にどう響いてくるかも見通せないし、また、コロナが終わったところでどう需要が戻ってくるのか、あるいは別の需要になっていくのか、さらにコロナ自体がどれだけ続くのかと、そういった非常に先が見通せない状況で、耐え抜けばちゃんと復活できるはずの人までが諦めてしまうというようなことがあってはならないということを、皆、当局の側も金融機関の人も考えていたと思います。 今御指摘がありましたような実質無利子無担保融資、あるいはその資金繰りについての金融庁からの指導、またその日銀のコロナオペというのは、そうしたこの非常な不確実性の中を生き延びるという上で非常に大きな役割を果たしたと思っておりますし、また、私ども、金融機関の話を聞く、私というか金融庁時代はですね、金融機関の話を聞くだけではなくて、借り手の方あるいは地方の商工会議所の端から細かに話を聞いて、きめ細かく行き届かないような点についてはいろいろ金融機関への依頼なども繰り返し行ってまいりましたけれども、全体としては非常にスピーディーに、しかも幅広くその支援の効果が実現したんではないかというふうに考えております。
○牧山ひろえ君 今後、実質無利子無担保で融資する新型コロナウイルス対策のゼロゼロ融資の返済を迫られた中小企業などの倒産が増える場合も予想され、金融機関としては、いかに与信コストを抑制しつつ収益拡大を図るかが課題となるかと思います。日銀としても、そのような状況を踏まえて適切な対応を取る必要があると思うんですね。氷見野参考人は、前金融庁長官であり、国会の同意が得られれば同長官経験者が日銀執行部入りする初のケースだと思います。金融庁長官としての御経験を生かしていただくことが期待されます。 さて、日銀は、資金決済を日銀当座預金で処理するための日銀ネットの運営に携わるなど、日本の決済システムにおいて重要な位置を占めています。従来の資金決済の主体は銀行などの預金取扱金融機関が中心でしたが、二〇〇九年に制定された資金決済に関する法律により、銀行でなくとも少額の為替取引を営むことができる資金移動業が創設され、さらに、いわゆるフィンテックの台頭により、暗号資産やデジタルマネー類似型ステーブルコインなど、多様なサービスが認められるに至っております。 また、従来は現金や銀行振り込み等に限定されていた従業員の給与の支払につきましても、労働基準法施行規則の改正により、一定の資金移動業者を介したデジタル払いが解禁されるなど、決済手段の多様化は国民生活一般に影響を及ぼしております。 日銀は、二〇一九年の決済システムレポートで、小口決済サービスにおきましては、一利用者の決済不履行が別の利用者を巻き込んで決済不能が連鎖的に発生するといった形でシステムリスクが現実化することは考えにくいです、こうしたサービスの利便性や効率性、安全性は、消費者の行動様式や企業の経済活動に直接影響し、今後の状況によっては決済システム全体にも影響を及ぼし得ると考えられるため、日本銀行としてもその発展動向に注目しているとの認識を示しております。 こうした環境変化を踏まえて、決済システムの健全化を維持する観点での日銀の取組として何が必要と考えているのか、氷見野参考人の御意見、御見解をお願いしたいと思います。
○参考人(氷見野良三君) 決済システムは経済社会の根幹を成す重要な社会インフラの一つでありまして、その安全性と効率性を確保していくというのは非常に重要だと考えております。 日銀の役割としては、日銀自身が運営する日銀ネットの安全性、効率性を確保するほか、民間主体が運営する資金決済システム、証券決済システムなどについても的確なオーバーサイトを行っていく必要があります。 環境変化への対応という点につきましては、例えば資金決済業者の制度をつくる際には、その安全性あるいはその波及可能性みたいなものを抑える仕組みは盛り込みつつ柔軟化も図ってきたというのが金融庁としての取組でありましたけれども、フィンテックを活用した新しい決済動向にどう対応するか、あるいはサイバーセキュリティーの問題にどう対処していくか、さらには中央銀行デジタル通貨の検討とか、決済の面で日銀が取り組んでいくべきものは非常に大きいというふうに、外から見ておりましても感じております。 またさらに、日銀はBISの決済・市場インフラ委員会のメンバーでありまして、そこでの議論を通じて、決済、市場インフラをめぐる国際ルールの形成にも携わっておりますので、世界全体の決済システムの安全性、効率性に向けても貢献していくことが期待されると、こういうふうに考えております。
○牧山ひろえ君 二〇一六年一月から、日銀当座預金の一部に対するマイナス金利が導入されました。マイナス金利を始めとする金融政策の副作用として、低金利状態の長期化などにより金融機関の収益を圧迫しているとの指摘もあります。 金融庁は、地域金融機関の経営環境の厳しさと新たなビジネスモデル構築の必要性を継続的に取り上げてこられました。氷見野参考人は金融庁長官を務められ、金融機関の実情にお詳しいかと思いますけれども、このマイナス金利が地銀を始めとする金融機関にどのような影響を与えていると分析されているのでしょうか。氷見野参考人の認識を伺いたいと思います。 そしてまた、仮に今後の金融緩和の出口戦略との兼ね合いでマイナス金利が解除されると、されたとすると、金融機関や国民生活にどのような影響が生じるとお考えなのか、併せて御認識をお伺いしたいと思います。
○参考人(氷見野良三君) マイナス金利には金融機関収益に対するマイナスの影響があるということは事実だというふうに思います。 〔理事馬場成志君退席、委員長着席〕 これまでのところ、金融機関の側はある意味歯を食いしばってコストカットなどを進めて、金融仲介機能に具体的な悪影響が出ないようにということで耐えてきたということだと思いますし、また政府や日銀もその経営の選択肢を広げるための施策をいろいろ取ってきたところであります。 こうした副作用はあるわけですけれども、他方、足下の基調的な物価の動向を見ると、物価安定の目標に向かって進んでいく芽のようなものも見られるところでありまして、これを育てていきたいということも非常に重要な課題であります。 こうした現状を前提といたしますと、長年金融行政に携わってきた者としては銀行収益への影響についてはよく認識しているわけでありますけれども、金融緩和によって経済を支え続け、賃上げができる環境を整える方を選ぶことが適切なのではないかと思っております。 その次に御質問がありました、では仮に、今後、出口という状態になったときに金融機関や国民にどう影響があるかということなわけでありますけれども、私考えますに、国民にとっても金融機関にとっても一番望ましくないのは、出口を考えられないような環境、つまり賃上げを伴う安定的な……
○委員長(石井準一君) 氷見野参考人、時間が過ぎておりますので、おまとめください。
○参考人(氷見野良三君) はい。 というところに至れないというのが一番望ましくないことなわけでありまして、もちろん、その出口の段階における過渡的な影響のようなものには十分注意しなければなりませんけれども、出口を迎えられれば国民にも金融機関にも全体としてはプラスの事柄だというふうに思っております。 ただ、例えば、どういうふうにそれを円滑に進めていくかというのは十分考える必要があって、今後の展開次第ではありますけれども、様々なシナリオを考えて、それに応じた対応も準備していくということが大切ではないかと考えております。
○牧山ひろえ君 時間ですので、終わります。
○清水貴之君 日本維新の会の清水と申します。よろしくお願いをいたします。 まず初めに、日本維新の会が日銀法の改正案を提出しております。先ほど内田参考人にもお伺いをさせていただきました。最初の回答としては、その法案そのものに対してはやっぱり国会で決めることなのでという回答ではあったんですが、我々が出しているその内容の点について御意見をお聞かせいただけたらと思います。 その特徴としましては、日銀法の第一条、目的のところに物価の安定というのが今入っていますが、これに加えて、雇用の最大化と、あと名目経済成長率の持続的な上昇、これを追加して、しっかりともう目的として定めていくべきではないかというのがまず一点。で、その目的達成のためには、政府との間で協定をしっかり締結して、政府と日銀の連携を更に深めていくべきだと、こういった内容になっております。 この内容についての御意見をお聞かせいただけますでしょうか。
○参考人(氷見野良三君) お答えいたします。 内容につきましても、まさに提案されている法案の内容についてでありますので、国会においてこれから御判断になっていかれることだというふうに思いますが、その上で、仮に人事案をお認めいただいた場合には、現行法の理念に沿って努力することになりますけれども、具体的には、現在の環境では賃上げを伴う形で物価安定の目標を持続的、安定的に達成するように目指していくわけですが、そうしたことが達成されれば、雇用や名目成長率の面から見ても経済の健全な発展の状況に至っているということになるんではないかというふうに考えております。
○清水貴之君 そして、ちょっと順番を、重複するところもありますが、いろいろ変えさせていただきまして、まず初めに、これ最後に入れさせていただいております国際社会、国際金融社会における日銀の役割、若しくは氷見野候補の、何というんですかね、活躍のフィールドといいますか、こういったことをお聞かせいただきたいと思うんですけれども。 今月の衆議院の予算委員会で岸田総理が日銀正副総裁人事について、国際社会との対話力、それから内外の市場に対して適切な説明能力を持つこと、こういった方々が、こういった能力が必要だということを発言をされています。特に、国際社会との対話力という部分で、総裁候補も国際的な経済学者でいらっしゃいますが、特に氷見野候補は、BISのバーゼル銀行監督委員会の事務局長、FSBの常設委員会の議長なども、それこそ現場で様々な国際的な金融関係者とのやり取りをされてきて、その中心にいらっしゃったというふうに認識をしております。 そういった面からも、総理が求められている国際社会との対話力、日銀の国際社会における地位向上、アピール、こういったところに対して氷見野候補に求められるその役割というのが非常に大きいのではないかというように考えるんですけれども、御自身としてはどういった面でこれまでの御経験などを生かしていこうというふうに思われているでしょうか。
○参考人(氷見野良三君) 植田先生も、また内田さんも非常に強力な国際的なネットワークと経験を持っておられまして、では私は何をということになるわけですけれども、やはり金融規制監督当局との付き合いというのは非常に長いですので、そうした特色を生かしていくということではないかと思っております。 その上で、どういう国際社会との対話の仕方を模索していきたいかということなわけでありますけれども、やはり世界全体の課題に対する解決を提案していくということが一つと、あと、どうしても、日本の国際会議出席者、特にその部下の書いたものを読む場合には、正しいことだけを言うみたいになりがちなんです。特にその部下の人は上司に間違ったことを言わせたくないので絶対正しい発言要領を書くんですが、まあある意味その絶対正しいことしか言わない人の意見は聞く必要がないというのが国際会議でありまして、むしろ誰も正解がまだ分かっていない問題について問題提起をしていくとか、それはちょっとリスクもあるんですけれども、そうしたことにも踏み込んでいくというのが大事だと思っておりまして、あと、先ほどお答えしましたけれども、特に日銀の若い人が活躍されるのを応援していく役割が果たせればというふうに考えております。
○清水貴之君 いや、今の御発言はまさに国会の答弁なんかでもそうかなというふうに思いながら、我々も、そこをなるべく打ち破って、いろんなことにチャレンジをしながらというのは常に思っているところなので、そういうのを一緒につくっていきたいなという思いもありまして、特に、今のお話でしたら、今、本当に各国の中央銀行は、もう政策も金利ももう激しく議論をしながら、結構どんどんどんどん短期間で変えていくといいますか、非常にフレキシブルに対応しているのが現状だと思うんですよね。ですので、従来どおりのやり方ではなくて、そういった壁を是非打ち破っていただきたいなと聞いていて思いました。 またそのちょっと続きになってしまうんですけれども、今までいろいろそのBISとかFSBとかいらっしゃって、もちろんいろんな人脈がもうできていらっしゃるというふうに思うんですよね。こういったものというのは、もうこれも御経験として多分強く生きてくるんじゃないかと思うんですけど、この辺りはいかがですか。
○参考人(氷見野良三君) ありがとうございます。 まず、中央銀行の間でのいろんなその相場観というか通念みたいなものというのが自然にできてきて、しかもそれが強い力を持つわけでありますけれども、仮に人事案をお認めいただければ、ある意味、世界の非伝統的金融政策のパイオニアである植田先生を頂いてやっていくということになりますので、そうした面で非常にできることがいろいろあるんじゃないかというふうに想像いたしております。 で、人脈というお話でした。私自身は、人脈がある人と特別に付き合うというよりは、仕事で必要のある人とは初対面の人ともできるだけ信頼関係を築いて腹を割った関係をつくっていく必要があるし、そういうつもりで臨みたいというふうには思っておりますけれども、御指摘のとおり、実際にはやはり、知っているとか、これまでの経験で信頼してもらっているとか、あと重要なのは、この人と会うといい情報を持ってくると、その勘、センスが良くて、いい情報を持っていて、これからの道行きについていろいろ考えているということがあってこそ、長い付き合いだというだけではなくて、そういうのがあってこそいろいろ付き合いも深まっていくということだと思いますが、金融安定理事会の常設委員会の議長をしておりまして、コロナの時期だったので二十何回、電話、テレビ会議をやりましたけれども、そこは大体、中央銀行の副総裁とか監督当局の長官とか、あるいは財務省の局長さんとかが出ていたところでありまして、そこのメンバーなどとはある意味一対一でも会議の場でもお付き合いを深めておりますので、そうしたものは是非生かしていければというふうに考えております。
○清水貴之君 ありがとうございます。御期待申し上げます。 続いてなんですが、ちょっとこれも質問四番のところで入れております金融政策以外の景気刺激策というのをお聞かせいただきたいと思います。 金融庁に長い間いらっしゃって、様々な金融機関とのお付き合いがあったというふうに思います。これも先ほど内田候補にもお聞きをしたんですけれども、今の金融緩和策というのは異次元と言われていますので、あくまでこれは景気悪化時のカンフル剤で、いつかは正していくというか、戻していく必要があるんじゃないかと。 この金融緩和策、この十年にわたって異次元の対策を取ってきたけれども、物価目標二%にはなかなか届かないと。だから、金融政策だけでも、やはりなかなか経済成長をする、景気回復を目指していくというのは難しい。もちろんプラスの面もあったと思います。でも、マイナスの面ももちろんあって、なかなかその結果にまだ結び付いていない中で、金融政策以外の部分で、じゃ、どうしたらこの景気回復につながっていくのか、物価上昇につながっていくのか、この点に関する考えをお聞かせいただけますでしょうか。
○参考人(氷見野良三君) やはり金融緩和の効果というものは、経済の側でのイノベーションとか競争力、生産性についての取組と組み合わさってこそ力を発揮するというふうに考えております。 そういう意味では、現在政府が取り組んでいる人・技術・スタートアップへの投資の実現というのは極めて大切だと考えておりまして、賃上げの環境整備ですとか、リスキリングですとか、技術、イノベーションへの重点的な投資、スタートアップ育成、そうした取組が実効性を持って進められていくことを期待しているところであります。
○清水貴之君 続いて、物価安定のための方策、これ六番で入れているところなんですが、先ほどお話あったとおり、もう日銀法の一条に物価の安定とあるぐらいやっぱりこの物価の安定というのが大きなミッションだというふうに思うんですが、やっぱりなかなか今、特にこのウクライナの問題があったりとか急激な円安があったりとか、なかなかこの物価の安定につながっていかないと。 一月の全国消費者物価指数は前年同月比で四・二%、これはまあまあ一気にがっと上がって、これはコストプッシュインフレで上がっているわけですね。じゃ、このまま上がるかといったら、今度はちょっとまたしばらくしたら多分落ち着くだろうと、一%台になるだろうということで、非常に不安定な部分が大きいわけです。 昨日、植田総裁、この物価の安定に関して、やっぱり物価が安定するというのはこの経済のインフラが整備される、整うことだということで非常に重要だと、やっぱり整った上で様々な対策をしていかないと、最初の土台が波打っているようではなかなか難しいというお話をされていました。 まさにそのような状況だというふうに思うんですけれども、という中で、じゃ、どう物価の安定を図っていくかというところなんですが、これについてのお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
○参考人(氷見野良三君) 足下ではそのインフレ率が高過ぎるわけでありますけれども、これは輸入物価の上昇が主因ですので、これを抑え込もうとした場合に、その山の高さを抑えようとした結果、結果としてはむしろ谷を深くしてしまうという形で効果が出てしまうという心配があります。 その輸入物価の上昇が基調的な物価上昇率にどう影響を与えていくかというところはよく見ていかなければなりませんけれども、足下では、やはり緩和を続けて経済を支えて、賃上げが実現するような環境をつくって、その輸入物価の影響が消えた後に物価安定の目標に向かって安定的に向かっていくということを目指すべきと考えておりまして、今の状態を考えますと、そういうやり方が一番その波の振れ方を小さくできるやり方ではないかというふうに考えております。
○清水貴之君 ということは、金融緩和策の修正という、もうこれも大きなテーマになっているかと。まあいわゆる出口戦略です。それもそういったタイミングを見ながらというような、今のお考えでよろしいでしょうか。
○参考人(氷見野良三君) まさに賃上げを伴う物価安定の、賃上げを伴う形で物価安定の目標が安定的、持続的に達成できるということが見込める段階になって具体的な議論に入っていくということだと思います。もちろんあらかじめいろんなケースを想定して準備は考えていく必要があると思いますけれども、中身自体はシナリオ次第でいろんなことが考えられるんではないかというふうに考えております。
○清水貴之君 最後に、これは二番で入れているところなんですが、これもよく言われているんですが、この十年間に及ぶ金融緩和策の効果検証ですね、様々なメリットもあって、デメリット、悪影響も生じているという話ですが、これを、この総裁、副総裁が、人事が替わる大きなタイミングですので、まあ定期的にこの効果検証はされているとは思うんですが、十年間というそのスパンでしっかり一回やるべきじゃないかという意見もありますが、これについてはいかがでしょうか。
○参考人(氷見野良三君) これまでの十年間の評価につきましては、日銀でも継続的に分析、点検を行って、そういう蓄積があるんだろうと思います。 今後、何か特別な形の検証を改めて実施するか、あるいはそれどういう形でやるかという点につきましては、仮にお認めいただけましたら、これまでやってきた分析の中身について、まず日銀のエコノミストの方々から十分に話を聞かせていただきたいと思っておりますし、また、私の前に政策委員になっていろいろ議論されてきた方々からもお話を聞いて考えていきたいというふうに考えております。
○清水貴之君 以上で終わります。ありがとうございました。
○田村まみ君 国民民主党・新緑風会の田村まみと申します。この後も元気よくやっていきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。 まず、御自身の御経歴を私も拝見いろんなものでさせていただいたんですけれども、本当に私自身が一番関心を持ったところを質問させていただきたいと思います。 二〇二〇年の七月以降に、金融庁長官として、特に新型コロナウイルス感染症の感染拡大に揺れる金融システムの安定化、これを課題として取り組まれたというものを私自身も拝見しました。特に、長官時代には、自らが御希望されて地域銀行のトップの皆様と個別に、まあコロナウイルス感染拡大という状況もあったとは思うんですけれども、テレビ会議による面談を複数回実施をされて、地域金融の実情に対する理解を深めるようにお努めになられたというものを拝見しました。実際に金融庁にも確認させていただきました。 ふだんからもちろん、東京に地銀のトップの皆さん来られるときにコミュニケーションを取るというのはあるというふうに聞いたんですが、私としては、特にやっぱり新型コロナウイルス感染拡大の中ということだったので、回数多く細やかにされたのかなというふうに勝手に推察をしたんですけれども、その、何というんでしょうね、行動されたところの課題感だったり理由と、あと、副総裁として就任した場合に、今のような行動力みたいなところがどのように生かされるのか、どういうふうにその辺も取り組まれるのかというところをお伺いしたいなというふうに思います。
○参考人(氷見野良三君) 毎週火曜、金曜にお話をさせていただいて、大半一回できたんですが、一年で辞めてしまいましたので、全行達する前に退任して、そこが一番心残りのところなんですけれども。 なぜこういうことをやったかといいますと、いろんな雑誌とかメディアの報道ぶりを見ますと、もう地銀は地銀はということで、まあ立派だって出るのはいいんですけれども、駄目だみたいな話の記事ばかりが、全ての地銀を十把一からげにするような論調が余りに多いというふうに感じておりまして、一つ一つの地銀の個性とか固有の課題をよく理解したいというふうに考えてそういうことをいたしました。 実際お話を聞いてみますと、まず地域経済の実情について大変興味深いお話を伺いましたし、またコロナに苦しむお客様をどう支えて、また厳しい経営環境にどう立ち向かうのか、それぞれやはり工夫を凝らしておられる様子を伺うことができました。 ですので、仮にお認めいただけました場合には、どういう形が日銀にも地域金融機関の方にも負担が少ない格好になるかというのはちょっと考えてみないといけませんけれども、地域金融機関の方々のみならず、地域経済の様々なプレーヤーの方々のお話を聞く機会をいただければ有り難いなというふうに考えております。
○田村まみ君 勝手にその人柄がにじみ出ているんじゃないかというふうに書面からは推察していたんですが、今の御自身の言葉からも私はそれを感じ取れたなというふうに思っています。 もちろん書面でのやり取りだったりとか報告書というのも大事なんですけれども、今後の対応については、本当に何が正解かが分からない中で、それぞれの地域でも何が起きているかということを捉えていただいて判断していく局面が大変多くなっていくというふうに思いますので、もし候補の方が着任されましたら、是非この取組というのは何らかの形で続けていただきたいと思いますし、ややもすると成功事例ばっかりやっぱり報告しがちだと思います。さっき言った有用な情報がどれだけ出てくるかというのが重要だというふうに思いますので、是非この御経験を生かしてこれからの対応に臨んでいただきたいというふうに思いました。 そういう中で、今ちょっと地域の銀行の話も出たので質問を少し飛ばさせていただいて、二〇一六年に導入した、九月に導入した長短金利操作付き量的・質的緩和、ここについての話をさせていただきたいと思います。 短期金利の操作方針においてもマイナス金利の仕組みを維持して現在に至っているというふうに理解しておりますけれども、このマイナス金利政策の副作用として、かねてから金融機関への収益の影響というのはもうずっと指摘されていることです。金融行政に長く携わってこられた氷見野候補者は、このマイナス金利政策を含むこれまでの異次元の金融緩和、これが金融機関に与えてきた影響、それをどのように見ていらっしゃるか、それをお述べいただきたいと思います。
○参考人(氷見野良三君) ありがとうございます。 まず、銀行の利ざやというのは、預金ベースがあることによる預金スプレッドと、またその市場金利より貸出しが高くて得られる貸出しスプレッドの両方があるわけでありますけれども、ある意味その預金スプレッドが消えてしまったと。つまり、その預金獲得ベースを持っていることの経営へのプラスが消えてしまったということでもありますし、特にマイナス金利以降は貸出しの競争ということで利ざやが落ちていくということになってきていると。 ただ、足下少し、景気の持ち直しを受けて少し下げ止まっているというような話を聞くこともございます。これについては、金融仲介機能に悪影響が出ないように金融機関の側も当局日銀の側もいろいろ頑張ってきたということでありますけれども、他方、その緩和政策の効果というのもあったということだと思いますし、金融機関の経営が長い目で見てちゃんと見通せるためには、やはりその賃上げを伴う形で物価安定の目標が持続的に実現されるような状態になるというのが一番大切でありますので、足下の状況ではやはり現在の金融緩和を続けて経済を支えていくといったことが大切ではないかというふうに考えております。
○田村まみ君 突然の緩和をやめていくというのは私も無理だというふうに思います。ただ、金融機関への影響というのは最大限配慮をしていただかなければ、地方経済においても非常に大きな影響を与えると思いますので、その視点、よろしくお願いしたいと思います。 その中で、今やはり私、話を聞いていて、共同声明についてのことを伺わなければいけないというふうに思いました。 これまでも共同声明についての評価、様々議論ありまして、先ほども清水委員の方からも、金融緩和はしっかり行われていたんだけれども、じゃ、物価安定目標の二%に達していないという、そういう評価の中での足りないところというところ、御質問ありました。 私もそれ質問したかったんですけれども、先ほど幾つかお答えいただきましたので、そこも触れつつなんですが。済みません、質問通告しなかったんですけれども、直近では物価上昇率がまた生鮮品除くところでいくと四%超えだという話なんですが、日銀は、賃金の上昇を伴っていないというところで、そこを見なければいけないということなんですけれども、この賃金の上昇というのが一体どれぐらいなのか、物差しが何なのかというのが、名目なのか、雇用が増えたから総所得なのか、何かいろいろ出てきていて、結局、じゃ、どの物差しで、それがどれだけ上がったら上昇が伴った物価上昇になるのかというのが、全く私、ちょっとこれまでの議論で見えなかったので、是非、氷見野参考人の立場でどのようにお考えになっているか、お答えいただきたいと思います。
○参考人(氷見野良三君) 結局はその物価の基調が目標とする方向に沿っているかどうかという判断をしなければならないわけですが、それが、その持続性を持った物価上昇率の実力みたいなものがどの辺りにあるかということを評価するときに、御指摘のとおり、その物価上昇率、失礼しました、賃上げの率というのは非常に重要なわけでありますけれども、それ以外にも、例えば設備が余裕があるか、フル稼働なのかとか、様々な要素を見ていかないといけませんので、名目、実質の賃上げ率も見ますし、ほかのものも見た上でやはり総合的に判断していくと。非常に何かの指標で分かりやすいものがあればいいわけですけれども、まあ総合的に見ていくしかいいやり方が今のところないというふうに理解しております。
○田村まみ君 そうなんですよね。やっぱり結局、判断は総合的。新型コロナウイルス感染拡大の中での緊急事態宣言どうするかといったところも、全てこの数字がクリアできればとかいうだけではなくて、やっぱり社会の状況だったり国民の理解だったりとか、そして世界との関係性を見ながらというふうに非常に難しい判断になります。 ただ一方で、私、先ほどの参考人の質疑のときに、景気は気からというふうに言ったんですけど、やっぱり上がってきているというところの気持ちというのは、総合的じゃなくて、やっぱり分かりやすいものがあるというのも一つ屈折点になるというふうに思うんですよね。 是非その辺はコミュニケーション力を発揮していただいて、その分かりやすさを伝えるための何か指標みたいなものだったり、定性的な判断が多くの国民ができる形で示していただかないと、やはり、先ほど来議論になっている、この二%だけにこだわっていて変わっていかないんじゃないかという批判が、私は、かわしていけないし、前にドライブ掛かっていかないというふうに思いますので、是非、この賃金上昇を伴うというのが何なのかというところもまた御説明いただけるように政策委員会の方でも話していただければと思います。 そして、あと二つ聞きたいんですけれども、一問目。 国民民主党は、日銀の保有国債の一部を永久国債化することで財源確保をして、いろんな財政、しっかりと財政出動していけばいいんじゃないかということで、この永久国債化の提案をさせていただいております。 この永久国債化については様々な議論があるというふうに私自身も承知しているんですけれども、この日銀の保有国債の一部を、市場で政府が発行する、これを永久債に入れ替えて、政府の元本返済負債はその分相殺される、これを財源にしていく、このことについての、内容についての評価を是非お答えいただきたいと思います。
○参考人(氷見野良三君) 御提案については、「財政金融政策に関する考え方」というものを拝読させていただいておりますけれども、財政運営につきましては政府、国会の責任において議論されていくものですし、また、御提案も具体的にどうやっていくのかという詳細を承知しておりませんので、評価というふうにおっしゃっていただきましたが、ちょっと差し控えさせていただければと思います。
○田村まみ君 承知しました。ありがとうございます。 最後に一問、質問をします。 二月十日に植田総裁候補者の起用方針が世の中に伝わってしまいまして、人事のリークじゃないかとか情報漏えいというような問題も指摘ありましたけど、そこはさておき、何が起きたかというと、円相場が一時的に百三十一円台半ばから百三十円割れの円高に傾いたということでいろんな混乱があった中で、総裁候補が報道陣に向けて、現在の日銀の政策は適切である、当面は金融緩和を続ける必要があると思っているという発言があって、その相場の部分の混乱が少し落ち着いた、百三十一円台半ばの水準に戻ってきたという事実がありました。 就任前、また国会への正式な同意人事の提案前の段階という問題はあるにせよ、そのときの植田総裁候補の対応についてどのように評価されているか、どういうふうに受け止められたかというところを是非お答えいただきたいと思います。
○参考人(氷見野良三君) 現在、人事案について御審議いただいているところでありますので、ほかの候補者の個別の発言について評価のようなコメントをすることは差し控えたいというふうに思いますけれども、先日来の審議を拝聴しているところでは、メディアが多数自宅周辺に集まったためやむを得ず対応されて、人事については話せないと明確にお断りになった上で、学者としての見解として金融政策について見解を述べられたというふうに説明されていたというふうに承知いたしております。
○田村まみ君 今後いろんな判断が局面局面で求められるときに、私は、ある意味すごい、すばらしい対応だったというふうに思っています。 是非、総裁と副総裁になられたときにはしっかりと支えていただきたいということをお願いしておきたいと思います。 ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。どうぞよろしくお願いいたします。 氷見野候補は、つい先頃まで金融庁長官をお務めになられて、金融規制当局それから国際機関の役職も務めてこられました。 そこで、投機筋への対処についての御認識を今日は伺いたいと思います。 総裁候補にもお尋ねしたんですが、国債市場をめぐって日銀・バーサス・ヘッジファンドといった報道があるように、日銀の国債買取りも限界に近づきつつある中で、海外の投機筋が、異次元の金融緩和の軌道修正のときがもうけのチャンスだとばかりに虎視眈々と狙っているということだと思うんですよね。 候補は、こうした投機マネーへの対応の重要性、あるいはこの投機マネーの動きと金融システムの危機の問題について、どんな現状、御認識でしょうか。
○参考人(氷見野良三君) 世界の金融市場の規模が実体経済に比べて極めて大きくなり、しかも金融のグローバル化が進んで、そうした市場の動きが非常にある意味コントロールしにくくなっているというのは事実だというふうに思います。 例えば、リーマン・ショックを抑える際には、FEDは百兆円分ぐらいの資産をマーケットから買い取ったわけですけれども、二〇二〇年三月にコロナが本格化したときに市場のパニックを抑えるときには数週間で三百兆円の資産を市場から買い取ったということで、市場の投機的なものだけではなくて、ある意味、より心配なのは不安心理みたいなもので、パニック化したときでありますけれども、それをどう抑え込んでいくのかというのはどこの国の当局も非常に悩んでいる課題だと思います。 ただ、その上で、ではどういうやり方がいいのかというと、投機的な動きとそうでない動きを区別するということが非常に難しいですので、ある意味、いろんな金融機関あるいはノンバンクの健全性を日頃から維持して、どう過剰な振れ方をしないようにするかといったところを規制上担保していくといったところが重要な課題となって、私が常設委員会の議長をしていました金融安定理事会の規制監督常設委というのはそれを使命にしておったわけでありますけれども、なかなか国際的な合意というのは容易ではありませんし、あるいは中央銀行と銀行監督者と証券監督者の間でなかなか合意が取れないといったようなこともあるわけでありますけれども、そういった違いを超えて安定性を担保できる道を見出していくというのは非常に重要なことでありますし、日本銀行もその上では大きな役割を果たしていくべきで、仮にお認めいただければ、私もそういった面で貢献できればというふうに考えております。
○仁比聡平君 氷見野候補が今おっしゃった役割を果たしていきたいというところについて更に伺いたいと思いまして、候補が二〇二二年二月一日号の「金融財政事情」にお書きになられた「「三月事件」の後始末」という文章を大変興味深く読ませていただきました。 今御答弁でも触れられたコロナパンデミックの下でのパニックのような取付け騒ぎですよね、市場関係者が安全資産と思われてきた米国債や金や円すら争って米ドルの現金に換えようという、ダッシュ・フォー・キャッシュという、そうした事態が起こったと。私もあの当時、テレビを通じてですけど、本当に恐ろしい思いをいたしましたけども。それに対して、巨額の資金をFRBが投入して、衆議院の、ここに触れたときには、ある意味力ずくで抑え込んだというふうに候補者はおっしゃいましたけれども、その事件以降、世界の金融当局の間でずっと論争が続いているという、ここの認識をもう一度お尋ねしたいと思うんですけれども。 つまり、多くの中央銀行は、もう今や世界の金融資産の半分はファンドなどのノンバンクセンターにあるんだから、今後同様の問題を起こしたりしないように世界共通の規制を導入すべきだという主張がある。 一方で、多くの資本市場当局、規制当局もそうなのかなと思うんですけれども、極端な例外事象に対処するのは中央銀行本来の役割だと。あらゆる事態への備えをあらかじめ求めれば市場の機能は窒息してしまうという、この市場の自由を重視する、そうした主張が、議論が続いているという御趣旨かなと思うんですが、そうした国際的な機関の場にもいらっしゃって、今回、日銀の副総裁という候補として、この問題について日銀がどう関与していくべきか、お考えをお聞かせください。
○参考人(氷見野良三君) まず、日銀の立場で重要な点といたしましては、FEDが力ずくで抑え込んだというふうに書いておったかと思いますけれども、日銀も大変大きな役割を果たしまして、スワップの取決めをFEDとかと結んで、そのドル資金については、日本の金融機関、ドル調達しにくくなっていたわけですけれども、ある意味、日銀がFEDとのネットワークを使って日本の金融機関がドル調達で困ることは防いだというようなことを実現しておりまして、そうした、しかも、その市場がパニックになった、たしか土曜日にパニックになって、日曜日、あっ、金曜日にはパニックになって、日曜日にはもうFEDと日銀はスワップ協定を復活させていたということで、非常に迅速に対応したと。これは日頃からのスタッフの人の修練とか、あるいはFEDとのパイプとか、そうしたものが相当効いたんではないかと思いますけれども、そういうことができるようにしていくというのは極めて重要だと思います。 その上で、中央銀行と資本市場当局の間での意見の違いというようなことを書いておりまして、これ書いたときには、金融庁は資本市場当局でもありますので、資本市場当局OBとしてだけ書いていたのが、場合によっては日銀の側ということになると何かちょっと股裂きに見えるわけでありますけれども、まあ両方とも目指すことは同じはずでありまして、市場の安定も必要だし、あるいは、中央銀行が無制限に資金を出さないと安定が守れないような状態ではいけないというのも当然ですし、資本市場の機能が発揮されなければならないというのは中央銀行も分かっているはずでありますので、ある意味その両方の視点をよく分かった上でその合意への道を探っていくと。 仮にお認めいただいた場合に、また国際的な場でそういう機会があるかどうかというのはちょっとやってみないと分かりませんけれども、そういったことがもし可能になれば、それは大変、全力で取り組むべき課題かなというふうに考えております。
○仁比聡平君 日銀の金融政策という観点から見たときには、私は、今の金融政策を正常化していこうとする局面において最も警戒すべきが、この投機筋の売り浴びせだったりという、この投機の動きをどう牽制し、あるいは規制していくかということだと思うんですね。 そうした問題意識もあって、我が党は、この間ずっとこの投機マネーの規制、そして国債市場における投機の規制についてという質問をずっと続けてきました。 覚えておいでかもしれませんけれども、二〇一八年の五月に財政金融委員会で我が党大門実紀史議員が指摘をさせていただいた際に、金融庁は、ヨーロッパでは投資家の国債の空売りの持ち高について当局への報告制度があると、一方で日本にはそれは存在しないという御答弁をされたわけですね。 ちょうどこの空売りの問題について、ちょうど今朝の日経新聞に、昨日、空売りを抑制するために日銀が国債の貸出料を引き上げたという記事が出ておりました。 この国債市場における投機的取引の規制というのは、中心は規制当局である金融庁ということにこれまで考えられてきたんですけれども、先ほどの御答弁もあったように、日銀がしっかりやらなきゃいけないと、中央銀行も頑張らなきゃいけないという中で、日銀ができることがあるんじゃないかと。 例えば、専門家の中には、日銀が国債を貸し出すときに預かる現金担保の割合を調整するという方向もあるじゃないかと、そうした方もあるんですけれども、そうしたいろいろな手段をしっかり検討して具体化すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(氷見野良三君) 投機マネーへの対応というのは非常に難しい課題なわけですけれども、ある意味その対応策の効果と併せて、同時に、その市場機能、市場の流動性を損なう可能性と両方見ながら市場を工夫、対応を工夫していく必要があります。日本市場の市場としての魅力自体を損なうということであってはなりませんし、他方、その不測の動きのようなものには対応していかなければならないと思います。 まず、市場の状況についてよくモニターして、そうしたことについては、国債発行当局である財務省と市場に一番近い日銀と、さらに、仮に何らかの規制上の対応をもっとするんであれば担当することになる金融庁と、まず常に密接に情報交換をして、その上で、その何らかの対応の効果と市場の流動性への影響など、両方見ながら状況に応じて適切に対応を取っていくことが望ましいんではないかというふうに考えております。
○仁比聡平君 御答弁の言葉尻を捉えるつもりではないんですが、不測の動きという表現を今されました。 投機マネーの不測の動き、金融市場大混乱のそうした動きというのを不測という表現はあり得ると思うんですけど、いや、虎視眈々と狙っていませんか。その辺りの今のその日銀対ヘッジファンドなどと言われる状況について、改めてもう一度御認識を伺いたいと思うんですが。
○参考人(氷見野良三君) 雑誌に副総裁になるんじゃないかという記事が出た後、一番最初に面会の申入れが来たのは、海外のヘッジファンドから幾つも同時にわっと来たということで、ある意味大変すごい人たちだなというふうには思います。 それで、そのヘッジファンドが存在しているということは事実でありますので、どういうふうにして彼らの考え、買ってることを知りつつ余分なそのヒントを与えたりしないようにして、その上でその対応を考えていくかというのは相当技の要る話だと思います。何か言った話というのは彼らのサークルの中で共有されていろいろ材料にも使われますので、私自身、特にその中央銀行の立場でどういうふうに対応していったらいいのかというのは実はちょっと知見がないところでありますけれども、仮にお認めいただいた場合には、ちょっと適切なやり方というのはよく考えてまいりたいと思います。
○仁比聡平君 ありがとうございました。
○滝波宏文君 自民党、福井県選出の滝波宏文です。 氷見野日銀副総裁候補にお伺いいたします。 金融庁長官を辞められた後、ちょうど一年ほど前だったかと思いますけれども、お会いしたときに、もう表には余り出ないというふうなことをおっしゃっていたかと思いますが、今回、まさに表に出る日銀副総裁候補を引き受けられたのはどういう心境の変化があったのでしょうか。あるいは、当時、既に何か期するものがあって、あえてそういうふうにおっしゃったんでしょうか。
○参考人(氷見野良三君) 表に出たくないと言っていたのになぜここにいるのかという御趣旨の質問だったかと思います。 現在でも表に出ることは余り好きではないわけですが、お話をいただいて、内田さんと一緒に植田先生にお仕えするということの魅力にちょっと抗し切れなかったというところが事実でございます。
○滝波宏文君 ありがとうございます。 氷見野候補、大変多才でございまして、著作も孔子の中国古典のものであったりとか、またフランスの彫刻家についてですとか、幅広く書かれていらっしゃるわけでありますが、仕事に直結した日本の金融危機についても、日本語だけでなく英文の本も出されていらっしゃるところであります。 実は、私自身も、日本とアメリカの金融危機の比較研究、これが専門でありまして、昨年ようやく本を出版する、博士論文の本を出版することができたわけでありますが、その中でも氷見野候補の著作、参考文献として使わせていただいたところであります。 ついては、まさにこの間、平成の金融危機の間に金融当局で長年御経験もございますところ、日本の平成金融危機について、改めて、ここはこうすべきであったといったような振り返りの御見解と、そして今後の日銀を含む我が国の経済運営に対する教訓は何かについてお答えいただければと思います。
○参考人(氷見野良三君) 大変幅広い内容の御質問だったというふうに思いますが、委員が博士論文を基に出版された御著書では、日米の金融危機の経験を政治経済学の視点で分析されて、当局と政治と国民世論の相互関係について重要な問題提起をされているというふうに承知しております。 これはまさに問題の核心にある非常に難しい問題のわけですけれども、例えば、今日は日銀の関係での場でございますので、中央銀行のプルーデンス部門が政府や政治や国民世論との関係でどういう役割を果たしていくのがいいのかというようなことを考えましたときに、これも非常にいろんな議論があると思いますし、難しい問題だと思いますが、一つ、この歴史をずっとたどっておって思いましたのは、誰もその必要性を否定できないのはファクト、実態を正確に把握することで、しかも、いろんな力のある人がいろんな意見を言っているにしても、最後一番強いのはそのファクトの把握ではないかというふうに考えております。 日本の金融危機の際には、日銀のプルーデンス部門は大変立派な仕事をされたと思いますけれども、もし何かプラスアルファで歴史を変える道があったとすれば、難しかったとは思いますけれども、推計を超えてより踏み込んだ事実把握を試みると、そういう方向でやることによって別の道を日本がたどることに貢献する道は、可能性はゼロではなかったかなというふうに考えております。
○滝波宏文君 私の本も読んでいただいたということなので、ちょっと質問ではないんですけれども、私の本では七つの教訓というのを出させていただいたんですが、実はその中に入れなかったことに中央銀行の積極的な役割というのがあります。ベースとした星先生、東大の星先生と、シカゴ大のカシャップ先生の論文にそういうことが余り書いてなかったのであえて踏み込まなかったんですが。 やっぱりアメリカのリーマン・ショックのときに、ベアー・スターンズの救済ですとか、それからAIGの救済、非常に中央銀行、FEDがすごく、FRBがぼんと出ていったんですけど、それに比べて日本の平成金融危機のときには、住専から様々な局面でどちらかというと政府が前に出ていったものがあって、やはり民主主義というのはどうしても時間が掛かりますので、議会で通していくことよりも、中央銀行がそういうときに前に出ていくというふうな危機時の対応というのが一段重要じゃないか、そういったことも日米金融危機の一種の教訓ではないかと思いますので、先ほどコロナパンデミックの際する経済危機の対応においての話もありましたけれども、中央銀行、いざというときにはまさに機動的にやっていただく必要がある、ないのかなと思ってございます。 それでまた、氷見野候補は富山県御出身で、地域としては私と同じ北陸の出身ということで、地方への思いもおありかと思います。金融機関が低金利の中で、先ほど来話もございました、利ざやが潰れて体力が落ちている、とりわけ人口減少に苦しむ地方の金融機関が厳しいということでありまして、コロナ禍でも心配のため政府・与党が速やかに金融機能強化法の資金注入枠、これを増強したわけでありました。 そういった状況の中で、仮にイールドカーブコントロールを修正していくなど金利が上昇していく場合に、我が国の金融システムにどのような影響が及ぶのかということについての御見解を伺いたいと思います。
○参考人(氷見野良三君) 御指摘のとおり、地方の金融機関は非常に厳しい経営環境に直面しておるわけでありますけれども、それで、その上で、仮に今後イールドカーブコントロールの修正があった場合、どういう影響が出るかということでありました。 足下でそれを見通せる状況ではなくて、足下では緩和の継続が必要だと考えておりますし、また仮にそれが可能になった局面がどういうような状況かというのも様々なシナリオが考えられると思いますけれども、仮に今後経済が力強さを増してその基調的な物価の見通しが改善していって修正に至るということであれば、もちろん過渡的には例えば債券の含み損がどうかとかというような問題はありますけれども、中長期的には銀行経営にもプラスに働いていくのではないかというふうに考えております。
○滝波宏文君 やや裏からお聞きしたことに答えていただいたかと思います。 続けて、経済成長についてお伺いしたいと思います。 平成をあの失われた三十年というふうな表現される方いらっしゃいますが、終盤にはアベノミクスの盛り返しもあった、そしてまた、先ほどお話、ちょっと議論させていただいた平成の金融危機が終了したと思われる二〇〇三年のりそなへの資本注入からリーマン・ショックがアメリカで起きるまでの間、この辺りには比較的好調な時期もありましたし、必ずしも丸々三十年が失われたわけではないと思いますので、私は、あの失われた三十年というのは言い方は正しくないと思っております。 一方で、東日本大震災もありましたし、まあ民主党政権の時代もありましたし、平成の時代全体として、始めから、始期から終期まで取った場合に、同じ先進国の欧米に比べても必ずしも経済成長は十分ではなかった、見劣りするのは現実であったかと思います。 そういう中で、令和の時代の成長、これをどのようになし得るのかという、なし得ると思われるのかということについての御所見と、そして、それに向けて、経済政策として日銀の金融政策が果たすべき役割、政府の財政政策が果たすべき役割、あるいはそのほかの政策かもしれませんけれども、それを含めて令和の成長をつくっていくためにどのように政策を機能させていくべきと考えるか、御所見を伺います。
○参考人(氷見野良三君) 政府、日銀を通じたその経済政策のグランドデザインを語るだけの用意はちょっと私はないわけでありますけれども、以前自分が担当しておりました金融行政の観点から申し上げますと、今その成長という面で考えると何が足りないかというと、お金の量が足りないわけでもなく、金利が高過ぎるわけでもなくて、問題は、借り手に対するコミットメントを持って、リスクを取って資金を提供する主体が不十分だということではないかと思っております。この問題については、様々な側面から金融庁もその施策を講じてきましたけれども、必ずしも十分な成果が得られていないということだと思います。 ただ、私、一つ希望を持っておりますのは、現在、金融庁では事業成長担保権という制度を検討しておりまして、これが実現すれば、今の現状というのは、安全な借り手をめぐっては過当競争だし、リスク、少しリスクのある先には誰も貸そうとしないといったような状況のわけですけれども、これを変えていく上でこれがその一つ大きな役割を果たし得るんじゃないかというふうに考えているところであります。
○滝波宏文君 まさに金融論というのは、リスクとリターンというのがつながっていく、ハイリスクがハイリターンにつながり、ローリスクがローリターンにつながるというふうなことを教えているんですが、やはり我が国、どうしてもリスクイコールもう駄目だというふうなところがすごく強過ぎる気はいたします。やはりチャレンジをしてリスクを取ってリターンを取っていくという部分が恐らく自由資本主義の根幹なんだと思うんですけども、その部分というのが十分できていないのがある意味先ほど申し上げた平成の経済停滞というふうなこともあるんではないかと思っております。それを政策でどういうふうにしていくか、特に中央銀行どうかっていうのは難しい問題かと思いますけれども、しっかりそんな点も考えていっていただければというふうに思います。 そんな中で一つやっぱり私がすごく懸念しているのは、デモグラフィック要因、いわゆる人口要素のことを、すごく日本の中でこの平成の間、強く考え過ぎているんじゃないか。もうちょっと違うことを言えば、人口が減っていくのだから成長しないのは当然だ、あるいは人口が少ないから大都会じゃなくて地方は成長できないんだというふうな人口制約に基づく悲観論ですね、これが余りに蔓延し過ぎているんではないかという気がしております。 一方、世界を見渡せば、人口が伸びていなくても、人口が少なくても成長している事例が見受けられます。有名なシリコンバレーですね、これは決して大都会ではなく、大いなる田舎というふうに言っていいかと思いますけれども、世界に冠たる成長センターでありますし、ヨーロッパの例えばドイツなども、研究機関のフラウンホーファーなどと組んで地方の中小企業なんかが非常に元気であります。 こういう観点から、私は、経産大臣政務官のときに、同世代の経産省の職員とともにグローカル成長戦略、これ、たまたまですけれども令和初の経産省の報告書となったわけでありますが、これを発表いたしました。ローカルな地方産業をグローバルな世界市場と直結させて成長を図るというふうな内容でありますけれども、その眼目の一つはこの人口制約論からの脱却でありました。 ついては、この日本における人口制約による成長悲観論について御所見を伺いたいと思います。
○参考人(氷見野良三君) 私は富山市の出身でありますが、同じ北陸でありますけども、富山市の人口は四十万人であります。他方、私は長年スイスのバーゼルに通ったり住んだりしていたわけですけれども、このバーゼル州の人口というのは十七万人しかありません。しかし、世界史の中でも重要な役割を果たしてまいりましたし、現在でも大変魅力のある豊かな都市を形成しております。 また、役所を退職してから富山に帰る機会が増えたんですけれども、何か富山も年々すてきな町になってきておるように感じておりまして、簡単なことではないんだと思いますけれども、いたずらに悲観論に陥ることなく、ガッツを持って取り組んでいくべきだというお考えに私も賛成であります。
○滝波宏文君 非常にエコノミックな議論、経済学的な議論をする中で、今のような地方に対する温かい思いを述べていただいたこと、大変うれしゅうございます。 御案内のとおり、富山は既に新幹線が来ておりますけど、福井県はまだ来ておりませんで、来年春にはいよいよ福井県敦賀までやってまいりますので、富山の後を追って頑張っていきたいなというふうに思ってございます。 そして、今回、植田総裁候補は、チームを組まれる植田総裁候補はアカデミアの御出身、そして内田副総裁候補は日銀の出身、そして氷見野候補は大蔵省、金融庁勤務経験の長い政府出身でありまして、三者がチームとして一体的に機能する必要があると思います。この点、日銀法第四条は政府との連携を規定しており、特に氷見野候補には政府との連携への期待が掛かるところであります。 アベノミクスも政府との連携で雇用拡大など成果を上げてきたわけでありまして、今の日本、コロナ禍やウクライナ侵略にとどまらず、高い不確実性の中にあります。日本銀行においても、政府と緊密に連携を図りながら、この不確実性の高い経済成長に対応したフレキシブルかつ時宜に応じた機動的な政策運営を行うべきと考えますが、御見解を伺います。
○参考人(氷見野良三君) 私も、日銀は主体的に政策を考えつつ、十分に説明責任を果たして、政府と緊密に連携しながら不確実性の高い経済情勢に機動的に対応すべきだと考えておりまして、全くそのとおりだというふうに思います。 その上で、私の印象では、植田先生も内田さんも、政府との連携のような仕事にも卓越した能力を、手腕を発揮されるんではないかというのが今までお付き合いさせていただいてきた上での印象ですけれども、私自身も、政府に三十八年いたこともございますので、仮に人事案をお認めいただける場合には、できる限り貢献してまいりたいというふうに考えております。
○滝波宏文君 終わります。
○窪田哲也君 公明党の窪田哲也です。本日は大変によろしくお願いを申し上げます。 初めに、副総裁として氷見野候補に期待される役割について伺いたいと思います。 日銀総裁はこれまで、大蔵省、財務省、そして日銀が相互で占めてきたわけですけれども、初めて、戦後初の学者出身の総裁が候補として挙がっております。 植田総裁候補は、金融分野に高い知見をお持ちでありますし、国際的にも非常に知られた学者でございます。一方で、実務面でしっかりした支えが必要だと、こういう指摘する向きもあるわけですけれども、その点、前金融庁長官であります氷見野候補の実務面で期待をされている役割についてどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。是非お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(氷見野良三君) たった今、植田先生も内田さんもその政府との連携みたいな仕事もお得意じゃないかということを申しましたけれども、実は組織のマネジメントですとか国際的な連携とか、そうしたものもお得意ではないかという印象を持っておりまして、では、私がどのようにそのお二人を補完していけばいいかというのは容易ではないわけでありますし、また、分担については、お認めいただければ総裁からまた御指示があるんではないかというふうに思っておりますけれども、私のこれまでの経験からすれば、日銀の使命である物価の安定と金融システムの安定ということで考えますと、どちらかというと金融システムの安定の比重が大きくなるのではないかというふうに考えております。 また、物価の安定ということで金融政策を行うわけでありますけれども、それも金融システム、金融市場を通じて実体経済に伝わっていくわけでありますので、波及経路で実際に何が起きているのかという視点を大切にして取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○窪田哲也君 ありがとうございます。 次に、金融緩和の副作用について伺いたいと思います。 日銀の緩和策は、企業の資金繰りを支えた、あるいは円安を通して株価を押し上げた、さらに、コロナ禍においても我が国の金融システムは大きな混乱はなかったと。そういった一方で、緩和が一因となって、円安が歴史的な水準で進んでいく、あるいは物価高に拍車を掛ける、そうした副作用を生んでいるのもこれまた事実であります。日銀の新たな体制は、大規模な金融緩和のそうした功罪に向き合うことになるわけであります。 昨日の委員会における質疑に対して植田総裁は、これまでの金融緩和の功罪について、効果が副作用を上回っていると、このように言われたところであります。一方、氷見野候補が本日の所信で述べられたとおり、国民が期待しているのは、毎年少しずつでも生活が良くなっていくという展望と実感が得られる経済の実現だと、このように先ほども述べられたところでありますけれども、そうした中で伺いたいと思います。 金融緩和の副作用、これについて氷見野候補はどのように考えておられますでしょうか。その上で、暮らしへの配慮を最優先にした金融政策への御決意を伺いたいと思います。
○参考人(氷見野良三君) お答えいたします。 この十年間の金融緩和の副作用といたしましては、やはり金融仲介機能に対するものとか市場機能に対するものが挙げられるというふうに思います。 他方、この十年間、デフレではない状況が実現いたしましたわけですし、雇用も大きく増加いたしております。さらに、コロナ禍に苦しむ企業や家計の資金繰りを支えると、そういう意味合いもあったのではないかというふうに思っております。ただ、その現状で、先ほど申した毎年暮らしが良くなっていくという実感を国民の皆さんが抱いておられるかというと、必ずしもそうは言えないんだというふうに思っております。 では、それに向けてどうしていったらいいかということになるわけでありますけれども、先ほどお話があったように、その効果が副作用を上回っているということだと思いますので、副作用についてはなるべく抑えるような工夫を重ねつつ、現在の状況に鑑みれば、金融緩和によって経済を支え続けて、特に賃上げができるような環境、これは政府や経済界の取組と一緒になってでないと実現しないかもしれませんが、そうした環境を整えていくといったことが、やはり今できることとしてはそれが大事なのではないかというふうに考えております。
○窪田哲也君 ありがとうございます。是非、政府一体となって賃上げに向けての努力をよろしくお願いをしたいと思います。 次に、金融緩和の出口の問題について伺いたいと思います。 植田総裁候補が昨日の委員会で述べられておりましたけれども、現状の金融政策は適切であり、当面金融緩和を続けていくと述べられておりました。また、氷見野候補も午前中に、現在の日銀の政策は適切であり、金融緩和により経済を支え続けていくことが必要だと述べられているところであります。 一方、今回の人事案見させていただきますと、金融緩和の設計図を描いてこられた内田理事を副総裁候補に据えるといった、出口戦略を模索する局面に備えた体制と見る向きもございます。緩和の副作用を取り除くには一定の金利上昇を容認するなどの政策の修正が当然必要ですし、しかし、その過程で金融市場が混乱すれば景気に冷や水を浴びせかけるというおそれもあります。大変に難しいかじ取りを迫られることになるわけであります。 氷見野候補は、豊かな国際経験に加えて金融システムに詳しいと、そして、金融危機の予防や発生時の影響を最小化する役割が期待されているのではないかと、このように考えておりますけれども、そうした中で伺いたいと思います。出口に踏み込む、なかなか難しいとは思うんですけれども、目安、条件についてお伺いできればと思います。
○参考人(氷見野良三君) 以前、国会の御審議を聞いておりましたら、雨宮副総裁が、出口戦略で難しいのは技術論ではなくてタイミングの判断と市場とのコミュニケーションだというふうにおっしゃっていて、私もまさにそのとおりだなというふうに感じました。 タイミング、抽象的に言えば、物価安定の目標が持続的、安定的に達成できる見通しが立ったところで考えていくということだと思いますけれども、今後の経済、物価、市場の動向というのは様々な展開が考えられますので、それを見ながらタイミングについても考えていくということだと思いますし、また、その展開次第で具体論も変わっていくということだと思いますので、いろんな展開に応じた対応を考えて準備しておくことが必要だと思います。 また、御指摘のとおり、その出口の具体論によって、それぞれ金融市場あるいは金融機関に対する様々な影響が考えられるところでありますので、私は金融システムの安定のことはずっと何十年も考えてきた者でありますので、そうした視点から貢献していければというふうに考えております。
○窪田哲也君 出口については、タイミングの判断と市場との対話ということだと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 次に、国際交渉についての見解を伺いたいと思います。 氷見野候補は、金融庁時代、主要国の銀行を対象にした監督規制の交渉を担当されました。当時の我が国は、大手行が破綻するなど金融危機の真っ最中で、規制の厳格化が避けられないという中で、海外当局を粘り強く説得をされて我が国の邦銀が受入れ可能な条件に持ち込むという、そういう大きな実績があるわけですけれども、そうした経験から、国際交渉について述べていらっしゃいます。主張はワンフレーズに要約する、あるいは修羅場は一瞬、準備は三百六十五日と、こういったことをおっしゃっているようですけれども、国際交渉術の十戒ということについても提起をされているところでございます。 金融の世界に限らず、我が国の政府の担当者が国際交渉に臨むべき姿勢について所見をお伺いしたいと思いますが。
○参考人(氷見野良三君) 私の経験は金融規制のことだけで、しかも、多国間でルール作る交渉が中心ですので、どこまで他の分野の国際交渉に適用可能かはちょっと自信がないところでありますけれども、私の経験では、まず出発点は情報を取ることだというふうに考えております。 取った情報で先を読んで、平場で議論が始まる前にインナーサークルでの議論に滑り込むことが大事であります。その議論が始まったら、ほかの国の案を批判するだけではなくて、やはりその代案とか提案を出していくということが必要だと思います。その上で、いい案を出せばそれでいいということではなくて、味方をつくって、しかも敵からは手を離さないようにすると。だんだん具体的な交渉になっていきますので、そういうときには先に影響の数字を具体的にポケットに入れておいて、ある意味金勘定に厳しい交渉をして、ただ、大議論もありますので、平場の会議では、さっき御紹介いただきましたけれども、核心をワンフレーズ、ワンワードで表現することが望ましいと考えております。 そうやってずっと積み重なっていっても、最後、いい条件で妥結するチャンスというのは一瞬しかないのが通常でありまして、その瞬間に、この単語をこう変えてくれとか、その瞬間に言えるかどうかでそれまでの蓄積が無になってしまったりとか、逆に、それが言えるためには日頃の修練が必要だということで、修羅場は一瞬、準備は三百六十五日というふうに、これは金融庁の後輩に向かって説教をした話で、お聞きになっていると大変生意気に聞こえるかと思いますが、実はこれ、全部自分がしくじった経験でありまして、情報収集にしくじったのから最後の瞬間にしくじったのまで、まあ何通りもしくじった経験があって、それを伝えておるわけですけれども、若い世代の人にはこういったところも得意になって立派な交渉官になってもらいたいというふうに考えておるところであります。
○窪田哲也君 ありがとうございます。私のような素人にもよく分かりやすい御答弁をいただきまして、感謝申し上げます。 用意させていただいた質問は以上ですけれども、この日銀の新体制というのは、我が国の十年の異次元緩和の軟着陸に挑むというもう大変な、重大な使命を担われるわけです。 先日の全国紙の一面のコラムにも載っていましたけれども、火中のクリを拾うという、そういうことについて書かれておりました。これは、フランスの十七世紀の寓話だということで、火中のクリを拾っちゃいけないという、そういうことわざらしいんですけれども、我が国においてはちょっと違うと。我が国においては、あえて難事に挑んでいく、難しいことに挑戦をしていく、そのもの、その行為へのこれは敬意が含まれるというふうに書かれておりまして、私も全くそのとおりだというふうに感じております。大変だと思いますけれども、しっかり我が国の経済のかじ取りを信任されましたら是非担っていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。 本日はありがとうございました。
○森本真治君 立憲民主党の森本真治でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。 もう少し、大変お疲れだと思うんですけども、お付き合いをいただければというふうに思います。 もう多くの委員の皆さんから質問も出まして、通告、質問も準備しておるんですが、ちょっと今いろいろなお話を聞きながら、ちょっとこういうことも聞いてみたいなということもありましたので、ちょっと観点、できるだけ重複を避けるような形で質問もしたいと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。 それで、まず、氷見野候補者さんにおかれましては、冒頭の所信にもありましたが、お仕事の半数は国際関係の仕事をされてきたということで、まさに国際的な感覚ですね、是非そういう中でお伺いしたいなと思ったのが、世界の中の日本、世界の中の、世界における日本の経済ですね、これをどのように見ていらっしゃるのかということなんですが。 ちょっと事前にインターネットなどでも氷見野候補者さんのことをいろいろ調べておりましたら、ちょっと前になるんですけど、これは二〇一八年に日本金融学会で講演をされていらっしゃるものがちょっと目に入ってきたんですね。そこで氷見野さんが述べられているのが、日本経済は、米国並みの労働生産性の伸び率を維持しても、アジアの中でずるずる順位が落ちてしまうのではないかというふうに思いますと、経済の成長は、資源分配の効率性に、ひいては金融仲介機能の水準に左右されるはずだと思うというようなことがちょっと目に入ったんですけども。 今、我が国として、政府もそうです、日本銀行としても、これから堅調的なこの物価上昇などを目指しながら、当然経済の成長ということも目指していくんだと思うんですけども、そういう国際環境の中での今の日本の状況の中で、なかなかいろんな難しい状況でもあるんではないかなというふうに思っておるんですが、氷見野候補者さんの、今のこの世界の中の今の日本がどのような位置にあるのかというようなまずはお考え、御所見をお伺いしたいと思います。
○参考人(氷見野良三君) 一人一人の国民の暮らしをどう捉えるかというのは、いろんな側面がありますけれども、一番単純には、一人当たり実質GDPで、購買力平価で比べてみるということが、まあそれで本当に分かるのかというところはあるんですが、第一次接近としてはあり得ると思うんですけれども。 結局アメリカにはずっと追い付けなくて、距離が同じか広がっていって、それで、じゃ、距離が同じだからいいかというと、一人当たりGDPで見ると、香港とかシンガポールには随分昔に抜かれて、台湾にも抜かれて、今度は韓国とほぼ同じくらいになっているということで、もうある意味、この二十年、三十年というのはアジアの国に追い抜かれていく過程だったと、まあ国力とかというのは分かりませんけど、一人一人の豊かさという意味では追い付かれて抜かれていく過程だったというふうに考えております。 それは全く否定的に捉えるべきことかというと、少子高齢化が進む中でそれをそこまでで踏みとどまったと言うこともできると思いますし、あるいは、平均余命、平均寿命とかで見ると、男も女もずっと延び続けているのは日本で、もうアメリカとかは途中で下がり始めたりとか、ドイツとかもそんなに長くないとかで、なので、いろんな面で国民の暮らしというのは捉えていく必要があると思いますけれども、個人的には大変悔しいというふうに考えておりますし、他方、国力みたいな面で考えると、為替相場で換算したGDPの総額が一つ尺度になると思いますけれども。 日本も、あるときにはアメリカの七割の規模にまでなったわけであります。中国がすごいとか言いますけど、最近でも、ちょっと直近は分かりませんが、二〇一八とかですとアメリカの七割行っていないと。ですから、対米経済規模では日本はかつては今の中国よりでかかったのが、ある意味そのもう三分の一ぐらいになってしまったということで、やむを得ない面もいろいろあると思うんですけれども、仕方ないというふうに考えるのでは余りに悔しいというふうに考えております。
○森本真治君 毎年少しずつでも生活が良くなっていくという展望と実感が得られる経済の実現を目指したいというお話もあったわけでございます。 先ほどありましたけれども、韓国とももうほぼ何か同じようなレベルになっているという、ビッグマック指数とかもありますけれども、今ビッグマックは韓国の方が高くなっているはずです。 それで、やっぱり国際比較の指標がどんどんどんどん悪くなっている、悪くなっているというようなニュースばっかりが出る、今の、この十年間ですね、まさに、というようなこと。そして、最近では有為な若者がどんどん海外に出稼ぎに行くというような、そういうような報道までが出てしまっていて、何か日本人としての私たちの気持ちがどんどんとやっぱりネガティブになっているんではないかなと。やはりそれを、もう一度元気な日本を取り戻していくための役割の一端をやっぱり日本銀行に持っていただくんだというふうに思うわけです。 やっぱり、そういう国際感覚も豊かな氷見野候補者におかれましては、是非、副総裁に就任された際は、もちろん国内の中での国民一人一人の生活もだけれども、やっぱり世界の中の日本というような観点を是非意識していただきたいというふうに思っております。 それと、この間、総裁候補者そして内田副総裁候補者さんの中でも議論もあって、恐らく氷見野さんも同じだったと思うんですけれども、現下の状況がコストプッシュ型の物価高で、堅実、堅調的な物価上昇ではないからということで、引き続きこれまでの政策を当面は踏襲しなければならないという、同じお考えだというふうに思うんですが。 ちょっとこの間の議論もだったんですけれども、是非分かりやすく説明していただきたいのが、諸外国が引き締めている、金融を引き締めている、物価上昇にもかかわらず引き締めている。私は、この物価上昇の要因というのは、日本と諸外国の違い、どこにあるのかなと。多分、ウクライナの問題、コロナの問題、同じような要因でのコストプッシュにもかかわらず、日本だけが違う政策を取り続けるということがなかなかよく理解できないんで、何で日本だけなんですかということですね。 これは結局、この間の、まあアベノミクスというか、異次元の金融緩和が成功していないから、本来なら引き締めたいのにできないんではないかというふうにも捉えてしまうんですけれども、その辺りの御説明、ちょっとできればお願いしたいと思います。
○参考人(氷見野良三君) 日本、ヨーロッパ、アメリカの違いを比較いたしてみますと、アメリカが一番需要による物価上昇の面が強いというふうに思います。日本が一番コストプッシュの輸入物価の比率が高くて、ヨーロッパがその間ぐらいなんではないかというふうに理解いたしております。そこの違いが対応の違いにもなっていると。 また、もちろん日本でも国民の皆様が適正だと考える物価上昇の水準を超えてしまっているわけですけれども、その超えている度合いもアメリカ、ヨーロッパの方がはるかに、二桁みたいなインフレ率ということで違いますので、そうしたところが、結局、先ほどの話になって、その基調的なインフレ率というものの評価に違いをもたらしているということではないかというふうに考えます。
○森本真治君 細かく見ていくと、各国によってこの物価上昇の要因というのもやっぱり違う中でというお話だというふうに思います。 それと、もう一つ、この間もいろいろあった中で、消費者物価指数の四%という話が出てきて、これはコストプッシュによってですね、それで、私がちょっと疑問に思うのが、企業物価指数の話って出てこないじゃないですか。実際に今これどんどんと企業物価指数と消費者物価指数の乖離が広がっていく中で、結局は価格転嫁の話とかにもまたなってくるかもしれないけども、消費者物価指数だけを見ていて本当に堅調な物価上昇というような判断ができるのかなという、何かちょっとよく分からなかったもので、企業物価指数の方というところは余りこれまでの総裁や内田副総裁候補の話でも出てこなかったんですけども、この辺りについてはどのように考えていけばいいのかということも教えてください。
○参考人(氷見野良三君) まず消費者物価指数の分析をするわけですけれども、それが、じゃ、基調的なものはどれなの、どの程度かということを判断する上では、企業物価指数も非常に重要な考慮すべき事柄だと思います。 乖離が広がっているということですけれども、その乖離をどう理解するかという点については、一部はこれから転嫁するはずのものが転嫁し切れていない部分を示しているのかもしれませんし、一部は例えばサービスはその消費者物価指数に入っているが企業間物価指数には入っていないといったところで、そのサービスは結局賃上げで決まってくるわけですので、そこの違いがその格差が開く、二つの指標の格差が開く原因になっている可能性もありますし、あるいは後で、間で、企業努力でその転嫁をしないでのみ込んでいる部分を示しているのかもしれませんので。 格差、その二つの指標の差をまず見ていくというのは大事だと思いますが、では、その差の内訳が何かということをよく検討していくことで、ではこれは将来に向かってこの差というのが何を意味するのかということを分析していくということなのかなというふうに考えております。
○森本真治君 このことにもちょっと関連してくるんですけど、この間、来年度の半ばには二%ぐらいに戻るんじゃないかというお話もこの間ありました。今年の秋ぐらいですかね、秋以降になってくるんですか、半ばということはですね。 今は本当に物価がまだまだ上がってきたりとかウクライナの状況も終息が見えない中で、何でこのような見通しが立つのかが私はちょっとよく分からなかったんで、先ほどの企業物価の話もそうですが、価格転嫁がどんどん今、春闘などでもそうですし、今、三月、これから価格転嫁の交渉月間ですよね、交渉月間というのもなってくると、今回は本当にこの価格転嫁なんかもどんどん進んでいくんじゃないかという期待感もある中で、それが進んでいくと、そうすると、この物価というのはもっと、消費者物価なんかも上がっていくんじゃないかなというふうにも思うんですけども、何で二%ということで落ち着くのかということを専門家の皆さん言われるのかということですね、ちょっとその辺りも御説明いただけますか。
○参考人(氷見野良三君) 恐らく日銀の調査統計局のエコノミストが推計しているということだと思いますが、その推計の根拠について詳細に承知しているわけではありませんけれども、幾つか要因があって、輸入物価がどおんと上がるとそれから一年は前年比の上昇率が上がるんですけど、ちょうど一年たったところでベースが切り替わるので、上がった後、止まっていればその上昇率は理屈の上ではゼロみたいになってしまうとか、あとはその政府の様々な対策、特にエネルギー関係での対策の効果が出てくるとか、そういった様々な要素を織り込んだ上での見通しではないかというふうに想像いたしております。
○森本真治君 ちょっともう時間がないんですけど、最後に一点だけ。 やはりこれから日銀としては、氷見野さんも、グローバルというのがありますけど、やっぱりローカルの視点という中での地域経済ですね。副作用の話も、やっぱり弱い立場の人がどんどんと副作用があるんだというふうに思うんですよね。 私は、やっぱり日銀の支店の役割というものをもっともっとこれから地域に根差して頑張っていただきたいと思うんですけど、やっぱり最後にこのちょっと日銀の支店をこれからどう強化していくかというようなことも是非聞かせていただいて、終わりたいと思います。
○参考人(氷見野良三君) 私の日銀の友人と話すと感じますのは、彼らのいろんな考え方とか認識の中で支店で過ごした期間の持つ意味が極めて大きいということでありまして、そういった意味でも支店の意味というのが大きいんじゃないかなというふうに感じております。 具体的なところは、仮にお認めいただければよく見ていきたいと思いますけれども、やはり東京にいては分からないことが多いというのは、私も富山出身ですのでそう感じております。支店の機能を高めていくというのは非常に大切だというふうに考えております。
○森本真治君 終わります。ありがとうございました。
○委員長(石井準一君) 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(石井準一君) 速記を起こしてください。 この際、お諮りいたします。 委員外議員舩後靖彦君から日本銀行副総裁の任命同意に関する件についての氷見野参考人に対する質疑のため発言を求められておりますので、これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石井準一君) 御異議ないと認めます。 それでは、舩後君に発言を許します。舩後靖彦君。
○委員以外の議員(舩後靖彦君) れいわ新選組、舩後靖彦でございます。 氷見野様、どうぞよろしくお願いいたします。 私は、ALSという難病により全身麻痺で、喉に穴を空けて人工呼吸器を付けており、声を出すことができません。このため、パソコンによる音声読み上げで質問をさせていただきます。 それでは、質問いたします。 昨日の植田先生への質問と同じことをお聞きします。 日銀の黒田総裁は、財務官時代に格付会社に対して、日本はハイパーインフレになる可能性はゼロに等しいとした意見書を提出しました。実際、二〇一六年九月以降、YCCとして十年物の金利をゼロ%辺りで固定していましたが、全くハイパーインフレの兆しは見られません。 積極的な金融緩和の継続でハイパーインフレになるというようなお考えをお持ちなのでしょうか。見解を端的にお聞かせください。
○参考人(氷見野良三君) お答えいたします。 積極的な金融緩和を続けることでハイパーインフレが起こるとは考えておりません。 金融緩和は、二%のインフレを安定的、持続的に達成するために続けておるものでありますので、それをはっきりインフレ率が上回ってくれば当然その政策は終了するということで、私ども、絶対にハイパーインフレを起こさないというのが根本の使命でありますので、そういったことで的確に政策を運営してまいりたいというふうに考えております。
○委員以外の議員(舩後靖彦君) 引き続き、植田先生への質問と同じことをお聞きします。 黒田総裁は財務官時代に、日米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられないと意見書で述べています。 そこで、デフォルト、借換えについての御見解をお願いします。黒田氏報告書の意見と同じですか。結論のみお答えください。
○参考人(氷見野良三君) 先進国の自国通貨建て国債にデフォルトがあり得るかという点につきましては、国債のデフォルトの定義は学者によって範囲が異なるわけでありますが、また、学説もいろいろあるというふうに承知しております。 財政については、政府と国会で責任を持って議論される話なので、候補としてコメントすることは適当でないと考えますけれども、日本の国債が購入されているのは財政運営に対する信認が前提となっているものというふうに理解いたしております。
○委員以外の議員(舩後靖彦君) 質問を続けます。 いわゆる通貨の信認論についてお伺いします。候補の考える通貨の信認について述べてください。日本はその危機にあるとお考えですか。 また、為替レートについて質問させていただきます。円が強ければ強いほどよいのだというお考えですか。
○参考人(氷見野良三君) 通貨の信認ということでありますけれども、その通貨が発行されている国のインフレ率が大幅に目標を超えているとか、あるいはハイパーインフレーションになるとか、そういったことが起きないというのが条件になるというふうに考えております。それで、日本がその信認の危機にあるかということであれば、ないというふうに考えております。 また、為替レートについては、経済の基礎的諸条件に沿って安定的に推移するのが適切であり、何かどちらかの方向に、一方向に動いていくことが望ましいというふうには考えておりません。
○委員以外の議員(舩後靖彦君) 終わります。ありがとうございました。
○委員長(石井準一君) これにて氷見野参考人に対する質疑を終了いたします。 氷見野参考人に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙の中、御意見をお述べいただき誠にありがとうございました。委員会を代表して御礼を申し上げます。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後二時八分散会