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210回国会参議院2022/11/10

財政金融委員会 第3号

発言数
140
登壇者
17
会派数
7
開催日
2022/11/10

会議録

酒井庸行自由民主党

○委員長(酒井庸行君) ただいまから財政金融委員会を開会をいたします。  委員の異動について御報告をいたします。  昨日までに、越智俊之君及び山本佐知子君が委員を辞任をされ、その補欠として宮本周司君及び星北斗君が選任をされました。  また、本日、勝部賢志君が委員を辞任され、その補欠として古賀千景君が選任をされました。     ─────────────

酒井庸行自由民主党

○委員長(酒井庸行君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、金融庁監督局長伊藤豊君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

酒井庸行自由民主党

○委員長(酒井庸行君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────

酒井庸行自由民主党

○委員長(酒井庸行君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁黒田東彦君、同理事内田眞一君、同理事加藤毅君及び同理事清水誠一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

酒井庸行自由民主党

○委員長(酒井庸行君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。     ─────────────

酒井庸行自由民主党

○委員長(酒井庸行君) 財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件を議題といたします。  日本銀行から説明を聴取いたします。黒田日本銀行総裁。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、最近の経済金融情勢と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。  まず、最近の経済金融情勢について御説明いたします。  我が国経済は、資源高の影響などを受けつつも、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進む下で持ち直しています。海外経済は、総じて見れば緩やかに回復していますが、先進国を中心に減速の動きが見られます。輸出や鉱工業生産は、供給制約の影響が和らぐ下で、基調として増加しています。企業収益は全体として高水準で推移しており、業況感は横ばいとなっています。こうした下で、設備投資は、一部業種に弱さが見られるものの、持ち直しています。雇用・所得環境は、全体として緩やかに改善しています。個人消費は、感染症の影響を受けつつも、緩やかに増加しています。先行きの我が国経済は、資源高や海外経済減速による下押し圧力を受けるものの、感染症や供給制約の影響が和らぐ下で、緩和的な金融環境や政府の経済対策の効果にも支えられて、回復していくと見ています。  物価面を見ますと、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により、三%程度となっています。先行きは、本年末にかけてエネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により上昇率を高めた後、これらの押し上げ寄与の減衰に伴い、来年度半ばにかけてプラス幅を縮小していくと予想しています。その後は、マクロ的な需給ギャップが改善し、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていく下で、再びプラス幅を緩やかに拡大していくと考えています。  先行きのリスク要因を見ますと、海外の経済・物価動向、今後のウクライナ情勢の展開や資源価格の動向、内外の感染症の動向やその影響など、我が国経済をめぐる不確実性は極めて高い状況です。その下で、金融・為替市場の動向やその我が国経済、物価への影響を十分注視する必要があると考えています。この間、我が国の金融システムは、全体として安定性を維持しています。先行き、グローバルな金融環境のタイト化の影響などには注意が必要ですが、金融機関が充実した資本基盤を備えていることなどを踏まえると、全体として相応の頑健性を有しています。より長期的な金融面のリスクとしては、金融機関収益への下押しが長期化すると、金融仲介が停滞方向に向かうおそれがある一方、利回り追求行動などから、金融システム面の脆弱性が高まる可能性もあります。現時点では、これらのリスクは大きくないと判断していますが、先行きの動向を注視する必要があります。  次に、金融政策運営について御説明します。  我が国経済は、感染症による落ち込みからの回復途上にある上、我が国経済をめぐる不確実性は極めて高い状況です。また、物価面では、消費者物価の前年比は、来年度以降二%を下回る水準まで低下していくと見ています。  このような経済・物価情勢を踏まえ、日本銀行としては、金融緩和を継続することで、我が国経済をしっかりと支え、賃金の上昇を伴う形で二%の物価安定の目標を持続的、安定的に実現することを目指してまいります。  ありがとうございました。

酒井庸行自由民主党

○委員長(酒井庸行君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

古川俊治自由民主党

○古川俊治君 では、質問させていただきます。  私は、黒田総裁になって九年半ですけれども、その間、多分四年ここにいたと思います、途中で委員長もやらせていただきましたけれども。ちょっと今日はその総裁の任期を振り返って御質問をしたいと思います。  円安が続いていますけれども、日本銀行、十月二十八日、金融緩和続けるということを決定されました。その前日には、欧州中央銀行が二会合連続で〇・七五%の利上げを決めて、またFRBも十一月二日、四会合連続で〇・七五%引き上げたと。で、十一月三日にはイギリスの中央銀行も〇・七五%の利上げを決められたということですね。  やっぱり物価上昇がずっとしていますので、これ世界的なことですよね、で、中央銀行がそれぞれかなり急速に利上げを進めている中で、ずっと日本のこの二%物価水準、目標と言ってやってきた金融緩和、これがずっと変わらず九年半続いているんですよね。もう今や日本だけが変というか特別、あとは日本以外はみんな金融緩和、こうなっているという状況です。  総裁がなられてからいろいろやったって、これちょっと今日表にしてきたんですけど、資料を御覧ください。  たくさんいろいろ試してみた、壮大な実験だったというふうに思っております。伝統的には、私は、大学生、八〇年代の大学生ですけども、あの頃の経済の教科書には、金融政策というのは名目の短期金利に水準を定めると、そして金融市場でのオペレーションでこれを達成していくのが、これが伝統的な金融政策と、こう書かれていたわけですね。その後、ただ、もうゼロ金利制約が出てきますと、それができないということになって、いわゆる非伝統的な金融政策ということで日銀もいろいろやりましたよね。量的緩和やる、あるいは政策金利、これをフォワードガイダンスをやって、さらにイールドカーブコントロールもやられたと。それから、例えばJ―REITとかETFとか、そういう資産も買い入れて、かつその資産買入れもフォワードガイダンスをやってきたと。で、同時にマイナス金利もやってきたと。これは、これ様々試してみたんですけれども、さあそれがどうだったかというのがちょっと今日の質問なんですね。  ずうっと、異次元金融緩和は、消費者物価の前年比上昇率二%の物価安定目標を達成しなきゃいけないということでずっとやってきて、今、今日も総裁それをおっしゃられておりますね。その間に、何でこの二%なのかという問題と、それから大量に国債を買うと何で物価が上昇が実現できるのか、この点がちょっと論理的にもう一度整理をして御質問いただきたい、あの、答えていただきたいと思うんですね。  総裁は、何で二%かというと、一つが、まずCPIがGDPデフレーターと比較して一%ぐらい上振れするということなので、それを一%ぐらい、消費者物価ということを見るとそうなるということをおっしゃっている。それから、景気悪化への政策、金融政策の対応力、これは確かにちょっとあった方が対応しやすいのでという意味でしょう、のり代を確保するんだとおっしゃっています。それから、経験値に基づいてグローバルスタンダードは二%なんだと、こういう御発言を二〇一四年にされておりました。  二%がこれ望ましいレベルだということはよく分かるんですけども、ただ、GDPデフレーターを必ず一%にしなきゃいけないという理由はないと思うんですね。それから、のり代も二%じゃなきゃいけないという理由もない。これ別に一・五%だってできるはずですし、現に今ほとんどゼロ金利制約の中で日銀はやられていますよね。それからまた、その経験値というの、これ一番いけないんですよ。経験で知っていますというのはこれ説明になっていないんですよね。  何で二%なのかというのをもう一度分かりやすくお答えください。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 二%としている理由を改めて申し上げますと、ただいま委員が御指摘されたように、消費者物価指数に一定の上方バイアスがあるとか、あるいは景気が悪化した場合の金融政策の対応力を確保しておく必要があるといったことを考慮したものであるというふうに考えておりまして、海外の主要な中央銀行もほとんど全て、先進国の中央銀行はほとんど全て消費者物価上昇率を二%という目標として政策を運営しているということであります。  我が国の場合に、九〇年代後半以降、潜在成長率や自然利子率が趨勢的に低下する下で予想物価上昇率も低下してまいりました。その結果、委員御指摘のとおり、短期金利がゼロ金利制約に直面して、実質金利を十分引き下げ、景気あるいは物価を刺激するということが難しくなった下で、景気の低迷とデフレが長期にわたって続くことになったわけでございます。  これも御指摘されたように、ゼロ金利制約に直面した下でも様々な工夫を通じて金融緩和を進めてきたことは事実でありますが、我が国では自然利子率や予想物価上昇率が低いことを踏まえますと、やはり二度とデフレに戻らないようにするためには、短期の政策金利の引下げ余地も含めて、やはり金融政策の対応力は十分確保しておくことが望ましいというふうに考えております。  その上で、九年半にわたって金融緩和を続けてまいりましたけども、経済全体としてはかなり好転し、デフレでない状況になりましたけども、物価上昇率はずっと一%弱ぐらいで続いてきて、このところ二%を上回って三%になっているわけですが、ほとんど輸入物価の上昇を背景とした価格転嫁によるものであって、先ほど申し上げたように、来年度以降はまた二%以下の物価上昇率に戻っていくという状況の中で、やはり二%の物価目標、グローバルスタンダードだからというだけではなくて、やはりそこに一定の合理性があるということでやってきたわけですが、今後ともこの二%の物価安定目標というものは維持する必要があるのではないかというふうに考えております。

古川俊治自由民主党

○古川俊治君 それ、最初に申し上げましたように、これ結構壮大な実験なんですよね。それで、実際九年半やってみて結果が出なかったことをこれからも続けなきゃいけないかどうか、今そういう時期に来ているというふうに思っております。  今日おっしゃいましたけども、それはやっぱり二%あったらいいなというの、よく分かるんですよ。だけど、今日おっしゃいましたような、実際副作用もそろそろ出始めているんですね、これ金融緩和には。その中で、やはり二%をずうっと言い続けなきゃいけないのかどうかというのは、やっぱり再考する時期には来ていると私は理解しておりまして、それをずうっと従来と同じことをやってて結局九年半達成できなかったと、引き続きこれを続けるというのは、なかなか説明になっていないというのは考えております。  それからもう一つが、要は、今までやってきたのはマネタリーベースを拡大してきたんですね。何で物価がこれで上がるんですかね。マネタリーベースを拡大する、国債買ってやっているのというのは、結局、民間銀行が日銀に持っている、結局その当座預金が増えるだけですよね。それは何か別にみんなの実入りが増えるけど何でもないんですよ。何で、そうすると総裁は、どうして物価が上がっていくと、マネタリーベース拡大すると、そうお考えなのか。それは実際起こっていないわけですから、総裁が考えられているメカニズムと、起こっていない理由をどうお考えなのか、教えてください。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) このマネタリーベースの拡大につきましては、二〇一六年に行った総括的な検証でお示ししたとおり、物価安定の目標に対するコミットメント、あるいは国債買入れと併せて金融政策レジームの変化をもたらすことにより、人々の物価観に働きかけ、予想物価上昇率の押し上げに寄与してきたと考えております。これに加えて、イールドカーブコントロールの下で大規模な国債買入れを行って、長期金利を押し下げてきております。これらによって、名目金利から予想物価上昇率を差し引いた実質金利を引き下げて緩和的な金融環境を実現することで需給ギャップを改善し、物価に影響を及ぼすというメカニズムが働いてきたと考えております。  実際、昨年三月に実施した点検でも確認したとおり、大規模な金融緩和が行われなかった場合と比べますと、この間の実質GDPは平均プラス〇・九から一・三%程度、消費者物価の前年比は同じくプラス〇・六から〇・七%程度押し上げられていたという試算結果を得ております。そういう意味で、量的・質的金融緩和というのは、予想物価上昇率の押し上げとともに、何といっても長期金利、名目長期金利を押し下げて、それによって実質金利を引き下げて緩和的な金融環境を実現することで需給ギャップを改善して物価に影響を及ぼすというメカニズム、これが一定程度働いてきたということは確かですが、確かに御指摘のとおり、九年半たってもというか、むしろコロナを除いたその前の段階でも、物価上昇率は二%に達していなかったわけですね。  その意味では、二%の目標が達成されていなかったということは事実なんですけれども、その背景には、やはり一九九八年から二〇一二年まで続いた長期のデフレの中で、賃金も上がらない、物価も上がらない、成長もしないという形の、賃金、物価に対する非常に消極的なマインドセットというものが深く企業あるいは組合側にも根付いていたということが影響したのではないかというふうに思っておりますが、それもこのところ少し変化の兆しが見られまして、御承知のように、連合は来年の春闘で三%のベアを目指すということを明言しておられまして、少し変化の兆しがあるのかもしれませんが、まだ二%の物価安定目標を安定的、持続的に達成する状況になっていないというのは、大変残念ですが、そのとおりであります。

古川俊治自由民主党

○古川俊治君 一つ申し上げておくと、やっぱりフォワードルッキングな期待形成を起こしていくというのがやっぱり論理破綻していると思うんです、私、現時点の状況ではね。やはり、今おっしゃいましたように、ずうっとデフレに慣れちゃっていると。ここに来て、偶然、初めて物価が動くって、この九年半で分かったんですよ、みんな、やっぱり物価って上がるんですねという感じですね。だから、これが一つの契機になったことは私は事実だと思っています、現在の、外来性の問題ですけどね。  二〇一六年の検証でも、日本においては適合的な期待形成の影響が大きいんで、結局なかなか二%の予想物価上昇率が起きないということを言っているんですね。ですから、結論から言うと、日本人の今の国民性を考えた場合に、やっぱり二%というのはずうっと言い続けるというのは無理なんですよね、私から言わせれば。そのことは是非ちょっと考えていただきたいと思うんですね。  ちょっと申し訳ない、時間を随分と超過していますんで、問題、質問の順番を変えます。  黒田総裁は、前から、一般論としながら、持続可能な財政構造の確立は日本経済が持続的に成長してくる前提と言っていて、財政構造の、財政再建が、日本が国全体として取り組まなきゃいけないと、財政再建問題にもおっしゃっているんですね。確かに異次元緩和の下では、その規律が、やっぱり財政規律弱まりますから、自民党の中にも声の大きい人がいらっしゃいますよね、ちゃんと、もう要らぬとかね、そういう、言う人がいるのは、これって確かに一つは金融緩和の悪影響かもしれないと私も思っています。  もう一方で、やっぱり経済成長は需給面の要素が非常に大きいと御指摘をされ、規制緩和やその他の成長戦略など供給面の施策を充実することも重要と言ったんですね。私は、やっぱりその日本の成長率の問題というのは、総裁がなかなか二%達成できないということと非常に密接に関連していると思うんですね。  異次元緩和がずっと今日まで継続されている一番の理由というのは、まあ二%が達成できないからなんですけども、要はなかなか期待インフレが高まらないと、要するに国民が二%成長していくというのが信じていないんですね、基本的に。それは金融緩和だけの問題なのかという問題意識はもちろん、金融政策だけで解決すべき問題ではないだろうというように私はひそかに思っていますんで、そのことを申し上げたいと思っています。  で、近年ですと、やっぱり自然、済みません、自然利子率の議論がすごく高まってきています。これは、要は金融政策というのは、自然利子率よりもこれはまあ落としていけばいいということになるわけですね。ですから、実質金利を自然金利、自然金利以下にしていくということが本来の目的、これは伝統的、非伝統的にかかわらないと思うんですけども。  その中で、日銀の例えば二〇一六年の報告によりますと、大体の、総括的な検証で今の自然、日本の自然利子率は大体ゼロ%と、それは低迷しているともおっしゃっています。確かに今、今の状況ではゼロ%以下と思っています。だからすごい金融が緩和的なんですけども、だからずっとその状況をつくり上げているとおっしゃいましたけど、要は金融緩和って、必要なものを今買えという政策なんですよね。だから、今車を買ったら、来年買いませんよ。だから、要するに消費を先食いしているだけなんですよ。だから、結局、景気が回復、これから成長していくということがないと、次にもう需要がなくなっちゃうんですね。そういう性質を持っていると。  それから、もう一つ言うと、やっぱり緩和していると、要は、それだけの利率で稼いでいれば企業はやっぱり生き残れちゃうんですよ、まあいろんな民間自体がですね。それは、やはり成長力のないところを容認していくということにもなりかねないと、こういう面はすごくあると思っています、特に九年半やっているとですね。  一般に自然利子率というのは、短期的には貯蓄と投資のバランスで決まってきますんで、貯蓄性向が上がってきたり、あるいは投資意欲が減退してくると、これは自然利子率は上がらないということになりますね。それから同時に、長期的には潜在成長率に大体一致してくるというふうに知られています。  結局、潜在成長率を上げていくという、そういうことをやらないと、結局二%というのは達成できないんじゃないかと。その点では、残念ながら、我々が政権で取り組んできたイノベーションとか、そういう力がちょっと力不足だったというふうに私は考えるんですけども、総裁が、その二%の物価安定目標と成長戦略の関係について、一般論としてお考えを述べていただきたいと思います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、この物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資するということを使命としておりまして、これ現在の日銀法に明記されているわけですけども、その下で、自らの責務である物価安定の目標を持続的、安定的に実現するために今金融緩和を推進しておるわけでございます。  御指摘の政府による成長戦略の推進というものは、我が国経済の競争力と成長力を強化する上でもちろん重要であります。このことは、我が国の潜在成長率や自然利子率を引き上げることを通じて、金融緩和の効果を一層高め、物価安定の目標の実現を後押しするということにもつながるというふうに考えられます。  その点では、成長戦略と申しますか、潜在成長率の引上げというのが非常に重要であるということはそのとおりだと思いますが、だからといって、日本銀行の責務が、何というんでしょうか、責任が小さくなるということではないと考えておりまして、自らの責務を果たすべく努力を続けてまいりたいというふうに考えております。

古川俊治自由民主党

○古川俊治君 結局、このままずっと続けていて本当に二%の期待成長率が上がってくるかというのがよくお考えいただきたいと、ここでももちろん申し上げておきます。このままずっと続けていって、九年半起こらなかったものが、これから先同じことをやっていて二%以上になるというお考えになるそのやっぱり根拠は、やはり今日もお話の中では出てきていないと思うんですね。是非、将来どうしていくのか、非常に重要な局面なんで、お考えいただきたいと思っています。  それから、今総裁は、結局、その今の物価高ですね、これに円安がどの程度寄与していると考えられているのか、また、この日米の金利差と円安の関係、まあ日米だけじゃないですけど、諸外国との金利差に円安がどう関係しているのか、お考え述べてください。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 最近のこの円安の進行が急速かつ一方的なものであって望ましくないというふうに考えておりまして、日本銀行としては、政府とも緊密に連携しつつ、金融・為替市場の動向や、その我が国経済、物価への影響を十分注視していく方針でございます。  その上で、金融政策は、こうした為替相場の影響も含めた全体としての経済・物価情勢の評価に基づいて行っておりまして、先ほど来申し上げているとおり、実は我が国経済はコロナ禍からの回復途上にありまして、欧米は既にコロナ前のGDPを回復しているわけですけども、我が国経済はまだそれに近づいてきているという状況であります。さらに、海外の経済・物価動向、あるいはウクライナ情勢、内外の感染症の影響など、我が国経済をめぐる不確実性は極めて大きいわけであります。  その中で、物価、消費者物価の先行きについては、来年度以降は二%を下回る水準まで低下していくというふうに考えておりますので、こうした状況を踏まえると、先ほど来申し上げているように、経済をしっかりと支えて、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的、安定的に実現するために金融緩和を継続することが適当であるというふうに考えております。  なお、過去、量的・質的金融緩和を拡大してきた中で経済状況は相当改善したんですが、まあ賃金、物価は一%未満の上昇にとどまっていたわけですが、その間、雇用が四百万とも五百万とも言われるぐらい拡大しておりまして、それが成長を支える一方で、賃金、物価の上昇率を一%以下にとどめた一つの要因だと思いますが、現時点では女性の就業率は実はもうアメリカを上回っていまして、これ以上の女性の就業率の高騰、上昇というのはなかなか難しくなっております。  それから、高齢者の雇用というのも、ベビーブーマーが後期高齢者のときに近づきつつありまして、現在、GDPは先ほど申し上げたとおりコロナ前にちょうど近づいて、まだ上回っていないんですけども、労働市場は極めてタイトになっていまして、そういう意味では、賃金上昇を伴って物価上昇が安定的、持続的に達成される環境は整いつつあるということは言えると思いますが、ただ、先ほど来申し上げているように、いろいろな不確実性がありますので、それらをよく注視して、適切な金融政策を運営してまいりたいというふうに考えております。

古川俊治自由民主党

○古川俊治君 今ちょっと違う御答弁になっちゃったんでちょっとかみ合わなかったんですけども、ちょっと、じゃ、まあ確かに、総裁が就任されてから九年半、ちょうどあのときはデフレだったと思います。デフレ状況で、政権交代が起こって、それで来られて、確かにデフレの状況でなかなか厳しかった。それで、ゼロ金利制約の中でやれることがもう限られていたと。  そういう中で、確かに、株も株高になってきましたし、あるいは全体的に経済の状況は少なくともデフレじゃないという状況にはなってきたんですよね。まあ、そこは総裁の、ある意味で実験ですからまだ結論が出ていないんですけども、まあ今までうまくいったという評価はあると思うんですよ。  ただ、やっぱりここに来て円安が起こってきたということで、我々も円安に対して、物価対策として大きな補正予算を組んだり、そこへ介入したりやっていますよね、政府もね。これやっぱり、金融緩和しておきながらそんな逆のことをやっていて、政策の整合性がないんじゃないかというのは、これは別に野党の人だけじゃないんです、私もそう思いますよ、逆に言うと。  そういう問題があって、ひたすら、今の状況から、まだやはり二%目標をやらなきゃいけないとお考え、修正する可能性がないのか、これ、しばらくですね、その点は、今の状況ではないというお話なんですけど、今後どうなんでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 何度も申し上げますとおり、賃金の上昇を伴う形で二%の物価安定目標が持続的、安定的に達成されるという状況が見通せる段階になれば、当然出口の議論もし、適切な金融の正常化ということも始まるということになると思いますが、まだ現時点ではそういう形になっておらないわけです。三%の物価上昇の大半は輸入物価の上昇を消費者物価に転嫁する、これは、それが進んでいるということ自体は適切だと思いますが、そういうことを勘案しますと、来年に入りますと、物価上昇率は少しずつ低下していき、来年度全体としては二%を割るという見通しであります。  そういった下で、経済が今コロナ禍から回復している途上にあるところで金利を引き上げるといったようなことで経済活動にマイナスの影響を与えるのはやはり好ましくないというふうに考えておりまして、現在の金融緩和を継続することによって、日本経済がしっかりと回復し、賃金の上昇を伴う形で物価安定目標が達成されるということを目指しているということであります。  円安が輸入物価の引上げの一つの要因になり、それが家計にいろんな影響を及ぼしているということはよく認識しております。その意味で、政府がエネルギーや食品の異常な高騰に対して適切な対応を取っておられるということは評価しております。

古川俊治自由民主党

○古川俊治君 終わります。

横沢高徳立憲民主・社民

○横沢高徳君 皆さん、おはようございます。立憲民主・社民の横沢高徳でございます。  今国会から財政金融委員会の所属となり、初めての質問となります。皆様に御指導いただきながら、国民目線で分かりやすい質問をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  また、黒田総裁におかれましては、BISの国際決済銀行会議から、長旅から帰ってきてお疲れのところと思いますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  まず、基本的姿勢についてお伺いをいたします。  黒田総裁は、この約十年間、物価上昇、先ほど来話がありました、二%実現すれば景気は良くなり、その後、恩恵が社会の、ひずみ、隅々まで行き渡るという、そういう姿を目指して異次元緩和を続けてこられました。しかし、これまで物価や賃金はなかなか上がらず、何かおかしいな、おかしいなという感じで、当初は二年と言っていた目標達成時期は何度も後ろ倒しされ、本来短期で終わらせるべき政策を約十年も続けてこられました。  ここへ来てようやく総裁が目指しておられた目標の二%以上の物価上昇、一時的かどうか分かりませんが、実現し、足下では三%まで達しました。しかしながら、総裁自身も指摘されているように、コストプッシュ型の物価上昇に賃金の上昇が追い付かず、国民の実質賃金は上がらず、家計は厳しい状況になっているところであります。  スポーツの世界で生きてきた身としては、まさにこの異次元緩和はドーピングのようなものではないかというふうに私は考えております。まさに禁じ手を使って当初二年と言っていたものを十年間続けて、そのうち、禁じ手がなくては立ち行かなくなってしまったまま抜け出せなくなっているんではないかというふうに私自身捉えております。  まず、そこで総裁には、このドーピングのような異次元緩和を約十年間も続けてこられている、本当にこれ間違ってなかったのかどうなのか、総裁の認識をお伺いいたします。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 二%のこの物価安定の目標の持続的、安定的な実現に時間が掛かっていることは事実でありまして、その主な理由としては、我が国では長きにわたるデフレの経験によって定着した物価や賃金が上がりにくいことを前提とした考え方、慣行の転換に時間が掛かっているということが挙げられると思います。  もっとも、この間の大規模な金融緩和は経済、物価の押し上げ効果をしっかりと発揮してきておりまして、物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっております。実際、昨年の三月の点検でも確認したとおり、大規模な金融緩和が行われなかった場合と比べますと、実質GDPあるいは消費者物価の前年比は押し上げられていたという試算結果を得ております。したがって、現在の金融緩和は適切なものであったというふうに考えておりますが、これを持続していくことで、時間は掛かるかもしれませんが、物価安定の目標は達成できるというふうに考えております。  なお、この量的緩和というやや異例な金融緩和措置というのは、実は欧米の中央銀行もみんなやっていまして、あのリーマン・ショック後、そしてコロナの感染症拡大する中でずっとやっていたわけです。ただ、現在、欧米は、御承知のように八%から一一%のインフレになっておりまして、現時点でそういった異例の量的緩和、大幅な金融緩和というものは修正されつつあるということは事実ですが、欧米の場合はもうかなり長期にわたって異例の量的緩和を行ってきたという事態は存在しております。

横沢高徳立憲民主・社民

○横沢高徳君 分かりました。じゃ、欧米もドーピングのようなことをしていたという認識ですね。  それではまず、この異次元緩和の次に、副作用の点について総裁にお伺いをしたいというふうに思います。  まず、先ほど来話がありました、この異次元の緩和をこれまで進めてこられて確かに作用もあったと。最近皆さんも注目されておりますワクチンも、作用もあれば、逆に確かに副反応も出るものであります。黒田総裁御自身が、約十年間掛けて積み上げてこられた異次元緩和の副作用、リスクについてどのように認識をされておられるのか。その負の側面についても、やはり国会の場や国民の前でしっかりと説明する必要があるのではないかというふうに考えております。この点について認識をお伺いいたします。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 長期にわたる金融緩和の副作用としては、金融機関の収益を圧迫し、金融仲介機能に悪影響を及ぼす可能性、あるいは国債市場の機能度の低下というものが考えられます。  この点、現在、我が国では、金融機関は充実した資本基盤を備えておりまして、金融仲介機能は円滑に発揮されているというふうに判断しております。また、国債市場の機能度に配慮する観点からは、いわゆるチーペスト銘柄等に係る国債補完供給の要件を緩和するなど、様々な手段も講じてきております。  御指摘のとおり、政策運営に当たっては、常に効果のみならず副作用との比較考量をしながら、最も適切と考えられる政策を実施していく必要がありまして、現時点では、先ほど申し上げた政策の効果が副作用を上回っていると考えておりますが、この副作用の点については引き続き十分注意してまいりたいというふうに思っております。

横沢高徳立憲民主・社民

○横沢高徳君 分かりました。  先ほど古川委員からもありました、今のお答えを踏まえまして、この異次元緩和のやはり出口戦略、これをどうお考えになっているのか、黒田総裁のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますとおり、賃金の上昇を伴う形で消費者物価の上昇率が二%程度を安定的、持続的に維持するということが見通せる状況になりましたら、当然、出口戦略を具体的に議論して、さらにそれを、市場とのコミュニケーションもしていくということになると思います。  具体的なそのやり方について今申し上げるのは時期尚早ではありますけれども、基本的に二つの点、つまり政策金利が、政策金利残高に、今マイナス〇・一%の金利になっておりますけども、この政策金利をどのようなペースで引き上げていくかということは、一つの大きな出口戦略の重要な要素になると思います。  もう一つは、拡大したバランスシートをどのように調整していくかということになると思います。現在の欧米の中央銀行の状況を見ておりますと、まずはその政策金利、短期金利をどんどん引き上げていくということをやっておりまして、増加したバランスシートを減らすということまで具体的に検討しているのは、実際に行いつつあるのはイングランド銀行だけでして、FEDもECBも、拡大したバランスシートをまだ、いきなり減少させる、あるいは特に売却するとか、そういうことはしておりませんで、そちらの方はもう少し緩やかにやっていくと。  イングランド銀行は、御承知のようにインフレ率が既に一一%に達して、一三%程度になる可能性があるというふうに言われておりまして、欧米の中でインフレが一番激しいわけですので、短期金利をかなり前から急速に引き上げております。そうした下で、購入した国債の残高を減らすべく、売却を既に、先週ぐらいからだと思います、始めておりまして、そういう意味では出口の形としては最も先行した形でやっておりますが、欧米の中央銀行の状況を見ますと、やはり政策金利の調整と増大したバランスシートの調整というものが出口戦略で最も重要であり、それらをどのように組み合わせてどのようなテンポでやっていくかというのは、やはりそのときの日本の経済や物価、金融情勢を勘案して、最適な組合せ、テンポでやっていくということになると思います。  ただ、まだ、先ほど来申し上げておるように、来年度、それから再来年度も物価上昇率は二%以下にとどまる見込みですので、まだ直ちに出口戦略を具体的に議論してお示しするという段階にはないと。ただ、出口の場合に重要な点は、政策金利の引上げのテンポ、それと増大したバランスシートの調整ということになると思います。

横沢高徳立憲民主・社民

○横沢高徳君 ありがとうございます。  それでは、次の質問に移ります。物価高による家計への影響についてお伺いします。  我が国の物価は、円安、資源価格の上昇などを背景に上昇を続けています。消費者物価の生鮮食品を除く指数は、前年同月比、二〇二二年四月以降、六か月連続で日銀の掲げる、先ほど話がありました二%を上回っているという状況です。やはり物価の中でも食料ですね、生鮮食品を除く食料は四・六%上がっている、そして食パン一四・六%、食用油に至っては三七・六%の上昇ということです。  やはり日銀総裁にお伺いしたいんですが、この現在の物価高による家計への負担はどのように日銀総裁として認識をされているのか、お伺いをしたいというふうに思います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 物価上昇が家計に与える影響につきましては、日本銀行が全国約二千名の御協力を得て実施しております政策、生活意識アンケートも含めました各種の調査、それから全国の支店網を活用して得られるヒアリング情報など、様々なデータや情報を活用して的確な把握に努めておりまして、私自身も様々な形で報告を受けております。  最近の物価上昇は、マインドの悪化あるいは実質所得の下押しを通じて家計に影響を与えていると認識をしております。政策意識アンケートの九月調査の結果を見ますと、景況感や暮らし向きに関するDIが悪化しておりまして、これには御指摘のその食料品、日用品など、様々な身の回りの商品の値上げが影響しているというふうに考えられます。  したがいまして、今後とも、物価上昇の影響については丹念に点検してまいりたいというふうに考えております。

横沢高徳立憲民主・社民

○横沢高徳君 今お答えいただきました。やはり、物価高によって、私の周りの仲間も消費を抑制するなどのやはり行動を取らざるを得ない状況です。やはり限られている収入の中でやりくりをしていくということでございます。  やはり、家計の行動マインドに与える影響について、総裁としては、やはりこの消費の低迷につながるんじゃないか、そのような懸念もあると思いますが、どのように認識をされているか、お聞きしたいと思います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 名目賃金は経済活動全般の持ち直しを反映して緩やかに増加しておりますが、その伸び率から物価上昇率を差し引いた実質賃金の前年比はマイナスになっております。  このように、最近の物価上昇は、家計の実質所得を下押ししているほか、先ほど申し上げたようにマインドを悪化させておりまして、個人消費への下押し圧力となっているというふうに考えております。特に、相対的に所得の低い方々ほど食料品やエネルギーへの支出割合が高い傾向にありますために、最近の物価上昇による負担感は高まっているというふうに考えられます。  もっとも、個人消費全体は、物価上昇の影響を受けつつも、感染症の影響が和らぐ下で緩やかに増加しております。これには、感染症の下で積み上がってきた貯蓄にも支えられたペントアップ需要の影響が大きいと見られます。  物価上昇が個人消費に与える影響については引き続き丹念に点検してまいりたいと思いますが、やはり中長期的には賃金の上昇が物価の上昇を上回るような形にならないと、長期に消費が強く上昇する、増加するということは難しくなると思いますので、今の時点では、ペントアップ需要の影響が強いために、マインドが悪化しているんですけれども消費全体としては増加しているという状況ですので、やはりこの賃金がどのように上昇していくかということを今後十分注意して消費動向を見てまいりたいというふうに思っております。

横沢高徳立憲民主・社民

○横沢高徳君 ありがとうございます。  今お答えいただきました。やはりかなり消費は厳しい状況にあるということですが、黒田総裁、六月に家計の値上げは許容度は高まっていると発言をされましてちょっと炎上をして、その後発言を撤回されました。それから五か月たちます。  更にやはり進む値上げの影響を家計はどう捉えているのか、今のお答えを踏まえて、率直な感想でいいので、お伺いしたいと思います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 先ほど御指摘のありましたその値上げ許容度の話につきましては、家計が自主的に値上げを受け入れているという趣旨ではなくて、苦渋の選択としてやむを得ず受け入れているということは十分認識しておりまして、その意味で御指摘の表現は全く適切でなかったと考えておりまして、撤回をさせていただきました。  先ほど来申し上げているとおり、私を含めて日本銀行の政策担当者は、日頃から、様々な統計、サーベイ、アンケート調査、さらには全国の支店網を活用して得られるヒアリング情報など、幅広いデータあるいは情報をきめ細かく点検しておりまして、その意味では、最近の物価上昇が家計に与える影響についても認識を深めているところであります。  先ほど来申し上げたように、特にその相対的に所得の低い方々ほど最近の物価上昇による実質所得への下押し圧力が強くなっていると、大きくなっているという点も十分認識しております。  そういった意味で、先ほど来申し上げているとおり、賃金の上昇率、そして物価の上昇率、その中での消費の動向というものは常に注意して把握していく必要があるというふうに考えております。

横沢高徳立憲民主・社民

○横沢高徳君 今年の九月の日銀の生活意識に関するアンケートでも、やはり一年前に比べて物価の上昇の実感は上がったという人が九割台とかなり大きくなってますので、是非総裁には、マクロの件だとは思いますが、是非生活の現場に寄り添ったお気持ちでの対応をよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  それでは、先日の、次の質問に移ります、大臣所信において鈴木財務大臣は、この物価高騰など経済情勢の変化に切れ目なく対応するということをおっしゃっておりました。  黒田総裁に伺います。物価高騰に対する意味では円高がよろしいのか、円安がよろしいのか、どうお考えでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) もちろん円安、円高のその消費者物価に対する影響という意味では、最近の円安の進行が既往の資源高と相まって輸入物価の上昇をもたらして、その価格転嫁を通じて消費者物価の押し上げ要因になっているというふうに思います。  また、最近の円安の進行が急速かつ一方的なもので望ましくないというふうに考えておりまして、日本銀行としても、政府と緊密に連携しつつ、金融・為替市場の動向やその経済、物価への影響を十分注視してまいる所存であります。  そういう意味で、足下の円安は好ましくないというふうに考えておりますし、政府が投機による急速かつ一方的な円安の進行に対して適切に対処されたということは評価しておりますし、また、経済対策の中でエネルギー、食品価格の高騰を抑制するための財政措置を講ずることとしておられることも、大変好ましいことであるというふうに考えております。

横沢高徳立憲民主・社民

○横沢高徳君 先日の所信に対する質疑においても、大塚委員の質問に対して鈴木大臣も、やはり急激な円安が進行していくことはふさわしくないというふうに認識をされておりました。同じような認識でいるというふうに受け止めましたが、それではもう一つ、この物価高騰の背景として、また大臣は、春の頃は、先ほど古川委員からも話がありました、物価の高騰の背景としまして、三分の二が国際価格の高騰であって、円安の影響は三分の一であったと、ただ、今や半分は国際価格の高騰、そして半分が円安というふうにおっしゃっています。  そこで黒田総裁にお聞きしますが、物価高騰の背景はどのようなものがあるのか、認識をお伺いいたします。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 生鮮食品を除く消費者物価の前年比が直近九月の計数でプラス三・〇%となっておりまして、こうした上昇の背景としては、主として国際商品市況や為替円安の影響によって輸入品の価格が上昇しているということが影響しているということは事実でありまして、当初は三分の二ぐらいが国際商品市況の上昇、三分の一ぐらいが為替円安だったものが、現時点でそれぞれ半分ずつぐらいになっているというのは、そういう試算があるということは承知しております。  ちなみに、その主たる理由は、国際商品市況がウクライナへのロシアの侵攻の直後に急速に上がって、それが少し下がってきていると。特に、天然ガスは依然として非常に高いんですけども、石油や国際商品市況で最も重要な指標である銅、銅の価格とか、あるいは小麦の価格とかなんかが少し落ち着いて下がってきているということで、比率が二分の一ずつになっているということがあると思いますが。  いずれにせよ、こうしたコストアップ要因の押し上げ寄与は年明け以降だんだん減衰していき、物価上昇率のプラス幅が縮小していくために、来年度以降の年度ベースで見た消費者物価の上昇率は二%を下回る水準まで低下していくと考えておりますが、いずれにいたしましても、物価の動向については、最も注視をしている指標でありますので、引き続き様々なリスクを勘案しつつ、十分注意してまいりたいというふうに考えております。

横沢高徳立憲民主・社民

○横沢高徳君 ありがとうございます。  やはり国際情勢も今不透明な中で、他国の影響が非常に大きい我が国の産業構造においては、その影響を確実に見極めるのは難しい面もあるというふうに思います。私もずっとスポーツ界で生きてきて、やはり、状況をやっぱり見極めて、相手がこう攻めてきたらこういうふうに対応するとか、いろんな状況を判断してかじ取りをしていく立場にあると思います。  先ほど来話がある物価高騰の流れは、総裁としては現時点では一時的なものと考えているのか、これまだまだやはりこれは続くと考えておられるのか、そこをちょっと端的にお答えいただけますでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げていますとおり、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により九月にはプラス三・〇%となっておりまして、先行きも本年末にかけて上昇率を高めていくというふうに見ております。  ただ、こうした最近の物価上昇の基本的な要因としては、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が挙げられておりまして、先ほど来申し上げているとおり、国際商品市況は既に低下に転じておりまして、こうしたコストプッシュ要因による押し上げ寄与は徐々に減衰していくというふうに見られます。このため、年明け以降、来年度半ばにかけて物価上昇率のプラス幅は縮小していくというふうに考えておりますので、先日公表した展望レポートでも、年度ベースの消費者物価の前年比は、来年度以降二%を下回る水準まで低下していくとの見通しを示しております。  いずれにいたしましても、ウクライナ情勢、その他様々な不確実性がありますので、十分物価動向には注意していきたいと思いますし、特に、来年度以降の賃金の上昇率がどのようになっていくかということによって二%の物価安定目標が安定的、持続的に達成されるという時期が近づく可能性がありますので、その点も含めて十分注視していきたいというふうに思っております。

横沢高徳立憲民主・社民

○横沢高徳君 ありがとうございます。  前回の委員会でも大塚議員の方から、マーケットはやはり財務大臣そして日銀総裁の発言をずっと注視されているという話がありました。なので、大塚議員の方からは、根拠のないことを予言者のように言うことはいかがなものかという発言もありましたが。  あと、それと一点、総裁に伺いたいんですが、日銀総裁の任期は来年三月となっております。総裁は向こう二、三年は金融緩和を続けますということを堂々と言っているわけでありますが、常識的に考えると、やはり任期後のことまで言及するのはちょっとどうなのかというちょっと疑問を持つわけですね。この点について、総裁、どうお考えでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 御指摘の記者会見での発言は、その時点での二%の物価安定の目標を持続的、安定的に実現する見通しとなっていないことから、当面、金融緩和を継続することになるという日本銀行の金融政策運営の考え方を申し上げたわけでございます。これは、毎回の金融政策決定会合における公表文でも明らかにしているところでございます。  したがいまして、私の任期が来年の四月ですが、それを超えた期間の政策運営に対して何らかの影響を及ぼす意図で発言したものではありません。あくまでも、政策委員会で決めた金融政策の先行きについての考え方を申し上げたということでございます。  いずれにしましても、金融政策運営につきましては、毎回の決定会合でその時々に得られる様々なデータ、情報に基づいて先行きの経済・物価見通しとリスク要因を点検して、適切な政策判断を行っていくことになるということでございます。

横沢高徳立憲民主・社民

○横沢高徳君 ありがとうございました。  失礼しました。四月ということでした。訂正いたします。  じゃ、ちょっと話を変えまして、ちょっとこの円安のメリットとデメリットについて、ちょっとお話を伺いたいと思います。  円安、やはりデメリットもあればメリットも出てくることと思います。黒田総裁、この円安に対してのメリットとデメリットをどのようにお考えなさっているか、お聞かせをいただきたいと思います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 為替相場につきましては、常にこの経済、金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが極めて重要であるということを申し上げていますけども、その上で、円安の経済への影響というものは業種や企業規模、経済主体によっても不均一であります。  例えば、円安は、グローバル企業の収益などにプラスに作用するほか、インバウンド需要が増加すれば地方の中小サービス業などにもメリットを及ぼす面がございます。一方で、輸入物価の上昇などを通じて、家計や内需への依存度の高い中小企業などにはマイナスに作用いたします。  さらに、最近の円安の進行は急速かつ一方的なものであって、こうした状況は企業の事業計画策定を困難にするなど、先行きの不確実性を高めるという点で我が国経済にとってマイナスであって、望ましくないというふうに考えております。

横沢高徳立憲民主・社民

○横沢高徳君 今のお答えを踏まえますと、やはり中小・小規模事業者がある又は一次産業をやっておられる地方は、やはり非常にメリットというかデメリットの方が大きいというお答えになるかと思います。  そこで、実は、やはり若い世代とか今夢を追いかけて海外へチャレンジするアスリート、そして芸術家、そして留学生、やはり円安と海外インフレの影響で海外遠征費用や、やはり留学費用が一・五倍に膨れ上がって、やはり小さいときから抱いてきた夢を諦めざるを得ない状況になっている方たちもいらっしゃいます。アルバイトをしながら必死で稼いできたお金で今までは行けた海外が行けなくなってしまったと。やはり若い世代が夢を諦めることは、もう決してあってはいけないことだと私は考えております。  このような、日本から世界に向けてチャレンジしたいと思っている皆さんの気持ちを踏まえて、日銀総裁として今後どのように対応を、そしてかじ取りをしていくおつもりなのか、ちょっとお考えをお聞かせいただきたいと思います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますとおり、最近の円安の進行というのは急速かつ一方的なもので、好ましくないということを明確に申し上げている次第でございます。  ただ、為替レート、為替相場に対する政策当局は財務省でありまして、日本銀行が何か為替相場を目標に何らかの政策を発動するということはないわけでして、あくまでも日本銀行としてはそういったことも含めて経済、物価全体について判断して、そこに必要な金融政策を運営していくということに尽きるかと思います。  先ほど来申し上げたとおり、政府が為替介入をしたことによって、一時一ドル百五十円に達したこともあったわけですが、その後はそういうこともなく、急速なかつ一方的な円安の進行は一旦止まっているということだと思いますが。  今後の為替動向についていろいろ申し上げるのは僣越ではありますけども、現在のドル高は相当程度ドルの独歩高でありまして、欧州や新興国はみんな相当程度金利を引き上げていますけども、それらの通貨も二桁の対ドル減価になっておりまして、ややその金利、二国間の金利格差の影響というよりも、やはり米国経済が強いと、あるいは米国の資産市場が高止まりしているということが米国あるいはドルへの資金の流入を招いて、ドルのほとんど独歩高になっているということだと思いますので、そういった状況は、当然のことながら、非常に高いインフレに対して急速に金利を引き締めておりますので、米国自体が発言しているようにマイナス成長の可能性もあると、それから金融資本市場の調整もあり得るということですので、いつまでもこのドルの独歩高が続くとは皆さん考えておられないと思います。  ただ、為替市場の動向については、予想を言うと外れますので、単なる個人的な感想だと思っていただきたいというふうに思います。

横沢高徳立憲民主・社民

○横沢高徳君 以上で質問を終わります。  ありがとうございました。

横山信一公明党

○横山信一君 公明党の横山信一でございます。  それでは、ちょっと重なる部分もありますけれども、視点が違いますので、引き続き質問させていただきますが。  先ほどの報告にもありましたけれども、日銀が最近まとめた最新の展望レポート、その中では、物価の先行きについて、本年末にかけてエネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により上昇率を高めた後、これらの押し上げ寄与の減衰に伴い、来年度半ばにかけてプラス幅を縮小していくというふうに予想されるとしています。要するに、来年半ばには物価が下がるだろうという見通しであります。  今回の物価上昇は、言うまでもなく、エネルギー価格の上昇、急激な円安に伴う輸入品価格の上昇などによるコストプッシュであります。このコストプッシュインフレがいつまで続くのか、まずここから伺います。

内田眞一日本銀行理事

○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、今の物価上昇の背景というのは、主として国際商品市況、それから為替円安の影響によって輸入品価格が上昇している、それが国内に波及しているということが主因でございます。  そういう意味で、コストプッシュの要因の部分が大きいということでございまして、年明け以降その要因が徐々に減衰していくというふうに考えておりますので、これも御指摘のとおりですが、来年度半ばにかけてこうした状況が収まっていくというふうに考えております。

横山信一公明党

○横山信一君 今年に入ってから、主要国はインフレ抑制のために金利引締めに転じております。金融緩和を継続する日本との金利差は拡大をしているという状況です。  為替市場では、一ドル百十円台から、最近は一時百五十円台を付けるなど、大きな円安に振れている状況にあります。加えて、ロシアによるウクライナ侵攻により、エネルギー、資源価格が高騰し、円安と相まって物価上昇が拡大しています。特に、食品などの生活必需品の値上げの動きが激しい状況にあります。帝国データバンクの調査では、二〇二二年中に値上げするかあるいは値上げを予定する食品、これが累計二万品目を超えたというふうに報告をされております。  こうした円安の要因に金利差があるとして、日銀の金融政策の見直しを求める声もあります。しかし、金利を引き上げれば、コロナ融資等で中小企業への貸出しが増えている状況の下で、経営が厳しい企業の利払い負担が増加をし、更なる経営悪化や倒産を引き起こしかねません。  日銀は九月の金融政策決定会合で、景気を下支えするため、現状の大規模な金融緩和策を維持するということを決めました。この円安、物価高騰の現状で金融緩和策を継続する必要があるのかということをお聞きをいたします。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げておりますとおり、我が国経済はまだコロナ禍からの回復途上にあります上、海外の経済・物価動向やウクライナ情勢、内外の感染症の影響など、我が国経済をめぐる不確実性は極めて大きいわけであります。また、消費者物価の先行きについては、来年度以降は二%を下回る水準まで低下していくというふうに考えております。  こうした状況を踏まえますと、やはり現在は経済をしっかりと支えて、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的、安定的に実現するために金融緩和を持続することが適当であるというふうに考えております。  なお、御指摘のとおり、欧米の中央銀行は皆金利を引き上げておりますが、御承知のとおり、欧米ではインフレ率が八%から一一%ぐらいに達しておりまして、しかも、単にその輸入物価の、国際商品市況の影響で消費者物価が上がっているというだけではなくて、賃金がかなり上がっていまして、賃金、物価のスパイラルが言わば生じつつあるということで、急速な金利引上げを行っているわけでございます。  我が国の場合は、物価の上昇はほとんどこの輸入物価の上昇を消費者物価に転嫁していくという過程で起こっていることであり、しかも、来年度以降、その影響は減衰していくということであります。  賃金の動向を見ますと、現状、まあ一・一%ぐらいの上昇でありまして、来年度以降どのぐらいの上昇になるかまだ分かりませんけども、上昇していくテンポは少し加速するとは思いますけども、まだ依然として賃金の上昇を伴う形で物価二%が安定的に達成される状況にはまだなっていないということから、欧米諸国は、もう非常に高いインフレ率の下で、賃金、物価のスパイラルも起こっているという中で急速に金利を引き上げておりますけども、我が国の状況はそういった状況にないということで、やはりコロナ禍からの回復途上にある経済を支えて、賃金の上昇を伴う形で物価が安定的、持続的に上昇していくことを目指すということが適切であるというふうに判断しているわけでございます。

横山信一公明党

○横山信一君 欧米と我が国は違うんだということがよく分かるわけでありますが、更に国民に分かりやすく、前より日銀が志向している、その今の総裁の話にもありましたけれども、物価安定の目標ということについてお聞きをしていきたいんですけども、政府は、物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策を講じることを発表いたしました。エネルギーや食料品の価格高騰に対する生活者、事業者への支援のほか、事業再構築補助金などによる中堅・中小企業の賃上げを支援したり、公正取引委員会の体制強化などにより適切な価格転嫁に向けた環境整備を行ったりという、継続的な賃上げを促進する、そういう政策をこれからやっていきます。  しかし、この現状の物価高騰に対するこうした経済対策と消費者物価の前年比上昇率二%の物価安定の目標、これは矛盾するんじゃないかという見方もあるわけですけれども、この政府の経済対策と金融政策との関係はどうなっているのか、伺います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 政府におかれましては、エネルギー等の価格高騰に伴う家計、企業の負担増を軽減するとともに、言わば構造的な賃上げを実現するべく総合的な対策を決定されたものというふうに認識いたしております。  日本銀行は、金融緩和を継続することによって経済活動をしっかりと支えております。これによって企業が賃上げをできる環境を整え、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標の持続的、安定的な達成を目指しております。  このように、日本銀行と政府の政策は言わば相互補完的なものであるというふうに考えておりまして、矛盾するものではないというふうに考えております。

横山信一公明党

○横山信一君 よく分かります。相互補完的な関係であるということを確認をさせていただきました。  黒田総裁は記者会見で、賃金の上昇を伴う形で二%の物価安定の目標を持続的、安定的に達成することが望ましいというふうに発言をしております。  そこで、この賃金の上昇に伴う安定的な物価上昇を実現するための金融政策の在り方、これはどうなっているのか、伺います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、従来から、二%の物価安定の目標の持続的、安定的な実現を目指して金融政策を運営しておりまして、その実現に当たっては、物価だけが上昇するのではなく、賃金の上昇を伴う形で実現することが重要であるというふうに申し上げております。  この点、賃金は経済活動全体の持ち直しを反映して緩やかに増加をしております。先行きにつきましても、我が国経済が回復していく中で労働需給は更に引き締まることが予想されまして、サービス業に多い非正規労働者の賃金の上昇が既に見込まれておりますほか、その影響が中小企業などの正規労働者の賃金にも徐々に波及していくことが予想されます。さらに、先ほど申し上げたように、来年春の春闘の労使交渉では、労働需給の引き締まりに加えて、これまでの物価上昇も相応に賃金に反映されるというふうに考えております。  日本銀行としては、金融緩和を継続して我が国経済をしっかりと支えることで企業が賃上げできる環境を整えることが極めて重要であるというふうに考えております。

横山信一公明党

○横山信一君 今、我が国経済の最大の課題はこの賃上げだというふうに思っております。そういう意味では、日銀の果たす役割は極めて重要だということでありますので、しっかりこの金融政策面からも賃金引上げに向けた動きを加速していただきたいというふうに思います。  金融庁に伺います。  地方銀行あるいは信金、信組といった地域金融機関、これは、地域の中小企業に対して積極的に資金供給を行う、いわゆる地域経済を支える重要な役割を担っております。しかし、低金利環境が続いてきたことにより、貸出しで利ざやを稼ぐことが難しくなっております。また、収益力が低下をしているという、こういう状況にあります。  コロナ禍からの経済の立て直しに当たっては、既存融資の条件変更あるいは新規融資の拡大はもとより、取引先の企業の事業継続、事業再生に向けた経営支援など、資金供給面にとどまらない役割がこうした地域の金融機関には求められます。そのため、金融機関の経営基盤強化というのが非常に重要になってくるわけでありますが、政府はポストコロナの地域経済を支える金融機能を維持するために、預金保険機構から資金交付制度、こうした制度を使って、こうした制度を設けております。日銀においても地域金融強化のための特別当座預金制度と、こうした特別付利を実施をしているところであります。  そこで、地域金融機関の役割と今後の地域金融機関の経営基盤強化をどう進めていくのか、伺います。

藤丸敏自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(藤丸敏君) 地域金融機関においては、地域経済を支える要として、金融機能強化とともに、資金供給にとどまらずに地域企業の価値向上を図るという面と地域経済の回復、成長に一層貢献していくことが期待されています。そのためには、地域金融機関は、低金利環境や人口減少など厳しい経営環境が続く中でも将来を見据えた経営改革を着実に進め、経営基盤の強化に取り組むことが重要です。  その具体的な手段としては、それぞれの金融機関の経営環境や地域の実情を踏まえる必要があり、政府の立場から示すものではございませんけれども、政府としては、業務範囲規制の緩和や合併、経営統合を含む経営基盤の強化を支援する、先ほど言われたように、資金交付制度の創設など様々な環境整備を行ってきております。  地域金融機関については、これらの環境整備を活用しつつ経営基盤の強化に向けた取組を進めてもらいたいと考えており、金融庁としても後押しをしてまいります。

横山信一公明党

○横山信一君 予想しなかったコロナ禍という状況の下で、地域金融機関の経営基盤強化というのは非常に重要な今課題になってきておりますので、更にこの経営環境を強化する、あるいは経営環境を転換するというか、新たな分野にも今後は参入していくということが重要になってくると思うんですけれども、こうしたその低金利政策の長期化、それから高齢化等の環境変化などから利ざやの減少、貸出しの低迷など厳しい状況が続いているわけです。  加えて、米国の長期金利の上昇による外国有価証券の含み損というのも増加をしているという状況にあります。銀行や銀行持ち株会社の子会社の業務範囲、これは二〇一六年と二〇二一年の銀行法改正によりまして拡大をしております。具体的には、フィンテックへの対応とか、あるいはデジタル化や地方創生への対応など、こうしたものが追加をされてきております。その結果、銀行が、地方銀行が創意工夫によって幅広い業務を行うことができるようにもなってまいりました。こうした動きの中で、一部の地方銀行が世界的に注目をされる気候変動対策の一環として再生可能エネルギー関連事業に参入すると、こうした動きも出てきております。  そこで、金融庁として、この経営基盤強化に向けた銀行業務の拡大と気候変動対策、これはSDGsと言ってもいいかもしれませんが、気候変動だけにとどまらずに幅広い分野でこうした分野への参入をどう見ているのか、伺います。

伊藤豊金融庁監督局長

○政府参考人(伊藤豊君) お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、地域金融機関におきましては、デジタル化、それから地方創生に加えまして、お客様、顧客企業のですね、気候変動への対応を含めた持続可能な社会の構築に幅広く貢献していくということが重要であるというふうに私どもも考えているところでございます。  こうした地域金融機関の取組を支援する観点から、金融庁といたしましては、先生今御指摘のとおり、業務範囲規制、それから出資規制を緩和するとともに、顧客企業の気候変動への対応を支援する上で参考となり得る考え方や事例を公表するといったような取組を行っております。地域金融機関においても、再生可能エネルギー関連事業への参入など、様々な取組が行われていると承知をしているところでございます。  金融庁といたしましては、引き続き、地域金融機関がこうしたデジタル化、地方創生、さらには持続可能な社会の構築に向けて取組を進めていくよう促してまいりたいというふうに考えているところでございます。

横山信一公明党

○横山信一君 積極的にお願いしたいと思います。  それでは、また日銀にお聞きをしますけれども、災害救助法が適用された際に、地元の財務局などとともに被災地の金融機関に対して金融上の措置を講ずる要請を行うことになっています。具体的には、預金証書、通帳を紛失した場合の払戻し、融資審査の手続の簡便化や融資の迅速化、既存融資に係る貸付条件の変更などであります。  日本は自然災害が非常に頻発する国でありますので、災害発生直後から復旧復興に至るまでの資金需要というのは非常に重要であります。地域の、これを担う地域の金融機能の維持というのは極めて重要になります。これまでの大規模災害の経験を踏まえて、災害時の地域の金融機能の維持に向けて今後どうするのか、伺います。

清水誠一日本銀行理事

○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。  大規模災害時には、被災地の住民生活や経済活動を支えるために、金融機関や決済システムの機能が維持される必要がございます。  先生お尋ねの日本銀行の取組といたしましては、災害発生時に、金融庁、財務局とともに被災地金融機関に対しまして、預金証書、通帳を紛失した場合の払戻しなど、被災者等の被災状況等に応じてきめ細かく弾力的、迅速な対応に努めるよう、金融上の措置を要請しております。また、必要に応じまして、被災地への現金の供給や金融市場への大量の資金供給等を実施し、金融システム、決済システムの安定確保に万全を期してございます。  そのほか、平時からの取組としましては、金融庁や業界団体等とも連携しまして、災害時の連絡体制の整備や各種訓練に取り組んでいるほか、私どもの考査、モニタリング等を通じまして、金融機関や民間決済システムの業務継続体制の点検や取組を支援しているところでございます。  近年、御指摘のとおり、豪雨災害等が増加しており、金融面の災害対応の重要性が一段と増しております。日本銀行としましても、引き続き、政府や金融機関等と連携して、我が国金融システムや決済システムの頑健性向上に取り組んでいく考えでございます。

横山信一公明党

○横山信一君 ステーブルコインについても伺います。  先日、親しくしている大学教授と懇談する中で、郵便局もない、農協や漁協の支店もない離島で、離島の生活にステーブルコインというのが非常に重要な、活用できるんじゃないかと示唆をいただきました。ステーブルコインは銀行口座を持たずともウオレットにためることができるので、スマホを持つだけで利用ができるようになります。  こうした、これは離島だけでなく、金融機関や買物をする場所がないような過疎地も同様だと思うんですけれども、現状、暗号資産取引で用いられているステーブルコインでありますが、こうした地域振興という観点からも注目されつつあるという状況にありますけども、このステーブルコイン、先般の改正資金決済法でこれが使えるようになるんですが、今後、この制度が導入されることで、どういう、この法律の施行に向けてどう対応していくのか、藤丸副大臣、伺います。

藤丸敏自由民主党内閣府副大臣

○副大臣(藤丸敏君) いわゆるステーブルコインですかね、ステーブルコイン、とどまれるという価値がですね、付いて、委員御指摘の地域振興策としてのサービスを含め、幅広い分野において一般に利用される送金、決済手段となる潜在的な可能性が指摘されております。その一方で、様々な利用者保護上の問題が、課題が指摘されているのも承知しております。  こうした点を踏まえて、本年六月に成立した改正資金決済法において、ステーブルコインのうち、法定通貨の価値と連動した価格で発行されて、発行価格と同額で償還される契約のものなどを電子決済手段として規制対象としたところであり、現在、来年六月までに予定されている施行に向けて準備を進めているところであります。  適切な利用者保護の確保と健全な競争による金融イノベーションの促進を両立させていくことが重要と認識しております。民間事業者によるビジネスの実態を丁寧にフォローして、必要な対応を行ってまいります。

横山信一公明党

○横山信一君 ありがとうございます。  ステーブルコインとは異なりますけども、日銀でも現金をデジタル化するという取組が進んでおります。CBDCというふうに呼んでいますが、このCBDCの発行は、北京五輪で外国人に、外国訪問客に試験的な提供を行ったり、中国がですね、あるいはアメリカでもデジタル資産に関する大統領令というところでCBDCの研究を最優先課題に位置付けるというように海外でも注目を集めているところでありますが、日銀、こうしたこのCBDCに関して今検討を行っているところでありますけれども、今の検討状況どうなっているのか、お聞きします。

内田眞一日本銀行理事

○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。  日本銀行で昨年四月に実証実験を開始いたしまして、本年三月までにCBDCの基本的な機能に関する実験を終了いたしました。現在は、その第二段階といたしまして、より複雑な周辺機能を付加しまして、その実現可能性、さらには課題、こういったものを検証しているところでございます。  また、実際にそのCBDCをどうやって活用していくのかという活用方法、それから民間事業者と中央銀行の協調、役割分担の在り方、こうした点につきまして制度設計面の検討にも取り組んでおりまして、政府とも議論を重ねながら取り組んでいるところでございます。  もとより、導入するかどうかということにつきましては、これは内外の様々な状況を踏まえまして国民的な議論の中で決まっていくというふうに理解しております。日本銀行といたしましては、あくまでその前提となるものとしまして、CBDCに関する技術面、それから制度面の検討をしっかりと進めてまいりたいというふうに思っております。

横山信一公明党

○横山信一君 以上で終わります。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。  私も通告七問ぐらいさせていただいているんですが、それに先立ちまして、冒頭、黒田総裁から御報告いただきましたことに関しまして何点か、非常に同意できるところとそうでないところが結構あるんですけれども、こういう点に関してまずお尋ねしていきたいと思っております。    〔委員長退席、理事大家敏志君着席〕  経済の、我が国の経済金融情勢のところで、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進む下で我が国経済は持ち直しているという御発言がありました。この状況認識に至った根拠を教えていただきたいんですけれども、とりわけ、両立が進んでいるということと、それから経済が持ち直していると判断されている根拠を教えていただけませんか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) これは、日本銀行の各支店から入ってくる様々な情報もありますし、御案内のあの日銀短観というもので企業の売上げ、収益、金融、そして労働事情といったものも分かりますし、その他、もちろん政府の様々な統計がございます、消費、設備投資、輸出等々ですね。そういうものを総合的に判断して、特に重要なポイントとしてはやはり生産と設備投資、そして消費動向というものが、この言わば経済動向を見る上で最も重要であります。  その中で日銀短観などを見ますと、それから支店から上がってくる情報、そして政府の統計などを見ますと、企業活動は盛んになってきておりまして、そして企業の収益もこの三月期で史上最高というぐらいになっていますし、設備投資はその短観によりますと今年度は二桁の増になりそうだということであります。そういった意味で、企業活動、生産、設備投資等々はかなり順調に伸びていっていると。  他方で、消費は、先ほど来申し上げていますように、コロナ感染症からの、それとの経済活動の両立を図るという形で、政府におかれても適切な対応を取られて消費が回復してきていると。特にサービス消費が回復してきていることは事実なんですが、他方で、エネルギー、食料、耐久財の価格の上昇がありまして、消費者のマインドが少し悪化していると。足下では消費はそんなに落ちていなくて伸びを続けているわけですけども、それはまあペントアップ需要などがあることが大きいと思いますので、この消費の動向はよく注視していく必要があるというふうに思っております。  ただ、経済全体として回復軌道にあるということははっきりしておりまして、最近のたしかIMFの成長見通しでもG7の中で日本が一番成長するというような形になっておりまして、まあこれは半分ぐらい、日本のコロナ禍からの回復が欧米より遅れているので、今ちょうど回復するところにあるということによるのであんまり自慢ができないんですけども、足下で経済が回復しつつあるということは確かです。  ただ、先ほど来申し上げているとおり、ウクライナ戦争の先行きとか、あるいは感染症、また第八波とかその他いろんなことが世界中で起こっておりますので、そういったことの状況、そして欧米では非常に高いインフレに対応して急速に金利を引き上げていますので、それが経済成長を損なったり金融システムに影響が出ますと、それが間接的に我が国にも影響するということがありますので、そういうリスクには十分注意しなくてはならないと思いますが、足下で経済が回復しているということは確かだと思います。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 今の、だから、経済が回復してきているから、消費に多少の問題あるけれど経済は回復しつつあるから新型コロナ感染症に関しても抑制が利いてきているんだろうという判断をされているのかどうか、それを伺いたかったんですけど、お答えになかったので、もう一度お願いします。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) このコロナ感染症につきましては、御承知のように、夏までにあったオミクロン株の急速な拡大で感染者が物すごい増えたわけですね。ただ、その重症者の率が少なくて、その下で消費は緩やかな回復というか拡大を続けたということは事実でありまして、そういう意味では、コロナ感染症と経済拡大、経済活動との両立が進んでいるということは事実でありまして、それはそのサービス消費が堅調だということにかなりはっきり表れております。  ただ、他方で、先ほど来申し上げているように、エネルギー、食品、耐久財の価格がかなり上がっていまして、それが消費に対してマインドセット、マインドも少し悪化して、今後消費に影響が出てくるおそれがありますので、そこはよく注視していかなければならないと思いますが、感染症に関する限りは少なくとも経済活動との両立が進んできているというふうに思います。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 何かここだけで延々とやっているのもあかんようになりますんで、次の質問です。  半ばの方で、企業収益は全体として高水準で推移しており、業況感は横ばいとなっているという表現があります。私は、これ、自動車を中心とする輸出関連産業が円安のおかげですごく利益が上がっていると、しかし、それは一部の企業だけなので、全体通して見ると業況感は横ばいというふうな捉え方をしたんですけれども、総裁の捉え方を教えてください。    〔理事大家敏志君退席、委員長着席〕

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 自動車産業は、生産も輸出もまだ完全には回復しておりません。御承知のように、特に中国を中心とした部品の供給、半導体だけでなく、自動車特有の部品も含めて供給が完全に元に戻っていませんので、その意味で、自動車産業は製造についても生産についてもまだ完全に回復していないという状況であります。  他方で、機械とかその他の産業は、生産も回復していますし輸出も回復していまして、比較的順調に進んでいるというふうに思います。産業ごとに様々な影響の違いがありますので、その辺りは十分注意していく必要があるというふうに思っておりますが、全体として、企業部門の活動が活発になり、収益も増え、それから輸出も伸びているということは事実だと思います。  だから、そうであるからこそ全体として回復しているという評価になっているわけですが、この辺りはまだ、例えば自動車産業を取りますと、まだフル生産に戻っていないんですね。だから、そういう供給制約が今後だんだん緩和されていく中で、更にその生産、自動車産業なども生産が伸びていくという見通しは立てられるとは思いますけども、足下、自動車産業も含めて、輸入品のサプライチェーンが完全に回復していないところは依然として慎重な見方をしておられるようです。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 続きまして、これ、マクロ的な需給ギャップの改善というふうに、二ページ目の上の方ですけれども、マクロ的な需給ギャップが改善しというふうに書かれているんです。今、自動車産業、輸出産業、自動車産業に関してはまだ供給抑制があるというふうな御答弁をいただいたんですが、これ、先回の当委員会で財務大臣に需給ギャップのことを質問させていただいております。  私が、供給に対して需要が少ないから、その少ない需要を埋めるためにこの財政政策を打っているというふうに理解しているというふうに鈴木大臣に問うたところ、部分的にはそうであるというふうにお認めになっておられるんですけれども、日銀総裁の、このマクロ的な需給ギャップが改善という表現の裏にあるのは、需要が上がって供給との差が埋まってきていると、そういう理解でいいんでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) そこはそのとおりなんですけれども、政府の統計も、それから私どもの統計でもまだ需給ギャップはマイナスなんですね。ですから、コロナ前のときは需給ギャップはプラスになっていたんですけど、まだコロナからの回復が完全になっていないということで需給ギャップはまだマイナスが残っていまして、これが今後需給ギャップがプラスに転化していくと、そういう下で労働市場が更にタイトになっていくと、そこで賃金も上昇していくだろうというふうには見ているんですが、足下ではまだGDPギャップはマイナスであるというのは、政府もそう見ておられますし、私どもも同じ意見でございます。ただ、それが、需給ギャップのマイナスがかなりのスピードで解消しつつあるということは事実なんですけど、まだ解消していないということも事実であります。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 これ、非常に重要なところなんです、賃金のことで。  その後に、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていく下で、再びプラス幅を緩やかに拡大していると考えているというふうにお書きいただいております。この予想物価上昇率とか賃金上昇率も高まっていく下でと前提に書かれているんですね。ところが、この下の方を見ると、賃金の上昇を伴う形で二%の物価安定の目標を実現することを目指していくと。これから目指していきたいんですね。これから目指していって、実現するかどうか分からないということを実現したという前提でこれ書かれているわけですから、考えていますではなしに、願っていますではないんでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げているとおり、GDPギャップは縮小しておりまして、近くGDPギャップがプラスに転ずるだろうということは、政府のみならず民間のエコノミストもそういうふうに見ております。  そうした中で、労働市場も更にタイトになるということで、賃金の上昇を伴う形で物価安定目標が達成される時期に近づいていくということはそういうふうに考えておりまして、現にこの展望レポートにおける来年度、それから再来年度の物価上昇率の見通しは一・六%となっていますが、以前の展望レポートではたしか一・四とか、もう少し低かったんですが、経済の回復とともに、先ほど来申し上げているとおり、需給ギャップがプラスに転じ、労働需給が更に高まって賃金が上昇していくということが展望できると思いますが、ただ、それでも来年度の物価上昇率はまだ一・六%ということで、二%を安定的に達成される状況にはまだ達していないと。しかし、少しずつ状況が改善しているということは事実だと思います。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 私は黒田日銀総裁に対して、ちょっと、何といいますかね、攻めるというか、出口戦略がないやんかとか今までいろいろ言われていまして、このままその出口戦略に関する言及もなしに総裁の場を去られていくと、これは無責任ではないかというようなところで、実は攻めようと、どちらかというとね、いうつもりで質問考えていたんですね。ところが、黒田総裁に塩送るような事実を発見してしまって、これを質問しようかどうか悩んだんですけど。別に塩送っているわけでも、いや、敵に塩送るやから、敵ではないんですけどね、応援している、応援しているようなことになってしまうと困ったことになるなとは思うんですけれども、事実は事実ですんで。  このIMFのデータがあります。これを見ますと、これもう本当にびっくらぽんで、総裁のおっしゃっているとおりなんですね。なるほど、ウクライナの、ウクライナ危機の当事国であるロシアのインフレ率は一六・五ポイント引き下げられて二一・三%になっています。また、ロシアから食料供給に依存する中東、中央アフリカとかサブサハラ・アフリカと言われる地域の物価上昇率も高いと。  ところが、このIMFの見通しによりますと、我が方のインフレ率というのは二〇二二年が一・〇%、これ〇・九何ぼを切り上げて一・〇%になっているんだと思いますが、一%。二〇二三年度が〇・八%と、これ際立って低いんですね。世界のインフレ率を見ると、百九十八か国中百八十八位とかそれ以下で、もうほとんど最下位に近いと。  なぜ我が国のインフレ率がこんなに低いんかと、低いとお考えになっているんでしょうか、総裁は。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) その後、IMFは十月のWEOの経済見通しで日本の物価上昇率の見通しを少し引き上げまして、二〇二二年は二・〇%、二〇二三年は一・四%としておりまして、いずれも委員御指摘のとおり、IMFのメンバーの百九十三か国中ほとんど最下位ということになっています。  確かに我が国の物価上昇率が一番低い国になっているわけですが、現在、このウクライナ情勢を背景とした資源高の影響あるいは感染症の影響の落ち込みからの需要回復などでグローバルにインフレ圧力が高まっていることは事実でありまして、先ほど来申し上げているとおり、欧米では八%から一一%ぐらいのインフレで二%の物価目標を大幅に上回っておりますし、多くの新興国のインフレ率も高いところに上昇しているということであります。  この点、我が国は、一つにはコロナからの回復途上にあるということ、さらに、コロナ禍以降の労働市場の動向を見ますと、例えば米国では、労働供給が大幅に減少している中で需要が急速に回復したことから労働需給が極めてタイトになって、賃金も相当上昇していると。我が国の場合は、コロナ禍でも雇用維持が図られたこともあって、労働市場の急速なタイト化は見られていないと。こういったことも我が国のインフレ率が相対的に低い要因の一つとなっていると考えられますが、やはり、より根本的な要因としては、我が国において、長きにわたるデフレの経験から、物価や賃金が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が根強く残っていることが影響していると思っております。  そうした下で、先ほど来申し上げているとおり、まだコロナ禍からの回復途上ですので金融緩和を継続いたしますけれども、今後、賃金の上昇を伴う形で二%の物価安定目標に近づいていくということを期待しておりますし、また予想をしているわけですけれども、先ほど来申し上げているように、来年度の見通しはまだ二%以下であるということですので、金融緩和は続けていく、まだ出口戦略を具体的に議論して申し上げる段階にないということでございます。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 そういう答弁が返ってくるだろうと想定して質問をやめときゃよかったんですけど、まあ記録には残ると思いますので。  それで、この金融緩和を続けていくと。量的、ゼロまで下げてしまって、先ほど言及ありましたけど、短期証券に関してはマイナス〇・一%と、マイナスの金利まで導入されてここまで物価を上げようとされていると。理屈上はね、マイナス、量的緩和をしなくてもマイナスの金利というのは、理屈だけですよ、これは、我々、普通預金とかしている、皆持ってはるでしょうから、金融資産に関してマイナスの金利というのは金払うということになりますので、常識的に受け入れ難いことなんですけれども、金融政策上、金利の下限というのは、今マイナス〇・一ですけれども、どの辺りまで下げれると、理屈上ですよ、お考えでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 現在、日本銀行は、短期政策金利をマイナス〇・一%とするマイナス金利を採用しているわけですけれども、もちろん、必要あればマイナス幅の拡大というものも選択肢であることは明らかでありますし、海外の中央銀行の事例を見ますと、短期政策金利を我が国の場合よりももっと大幅なマイナスにした例が散見されるわけであります。  ただし、やはりそのマイナス金利政策の運営に当たっては、金融仲介活動への影響にも配慮しながら実施しておりまして、この点、御案内のとおり、日本銀行ではいわゆる三層構造という階層構造を持っておりまして、かつて当座預金残高が増加したときのプラス〇・一%の金利というのをそのまま付けていますし、それから、政策金利残高にはマイナス〇・一%を付けているわけですが、その間にゼロ%の金利の当座預金というのがかなり大幅に増加しております。  そういう意味で、マイナス〇・一%のマイナス金利が金融機関の収益や金融仲介活動に圧迫を与えることのないように工夫をした上で、短期金利が低位になり、そして十年物国債がゼロ%程度ということで適切なイールドカーブが描かれるようになっておりまして、そういった意味で、具体的にその政策金利の下限がどのくらいかということは申し上げられませんけども、日本銀行としては、常に政策のベネフィットとコストをしっかりと比較考量しながら適切な措置を実施していくという考えでございます。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 時間が来てしまいましたので終わらせていただきますが、黒田総裁に塩を送るための質問ではなくて、後で攻めるための前段としてやったところ、前段しかやれませんでしたので、後段、また次回、次の機会にやらせていただきたいと思います。  これで終わらせていただきます。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平です。  これまでの委員の皆さんとのやり取りの内容、私がお伺いしたかったこととも関連がありますので、それも踏まえて質問させていただきますが、総裁御自身も、御自身の任期は来年の春までだとさっきおっしゃっておられたんですが、いや、これは、この後の総裁はどなたがやっても大変難しい運営になると思いますので、私は、別に総裁が来年春までだというふうに言い切らずとも、もし次も続投してほしいというようなお話があれば、やっていただくということもあり得るんではないかと思うんですが、そういうお考えについて、あるのかないのかをもしお伺いできれば幸いであります。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 御承知のように、日銀総裁の任命は内閣が国会の同意を得てするということになっておりますので、私から何も申し上げることはできませんが、まあ個人的なこれは感想ですけれども、来年の四月でちょうど十年、二期十年になりますので、再任されたいとか希望するとか、そういう個人的な希望は全くありません。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 御自身の希望はなくても、これ、やはり政策を導入した経緯とか、その背景もろもろ考えると続投をしていただく方が出口戦略のためにもいいかもしれないという考え方もあろうかと思いますので、まあ同じことを繰り返しは聞きませんが。  ただ、もし希望されずにもう来年春で任期を終えるというお考えであるならば、先ほど横沢さんの質問とも関わりがありますが、先々の金融政策の在り方とか、物価上昇は一時的だというようなことを、そう受け取られるような報道をされるような御発言は、次の総裁の政策を縛ったり、あるいはそのときの経済状況について国民の皆さんやマーケットに予断を与えることになりますので、そういう御発言はこの後の残された任期でもそのディテールにわたって御留意をいただく方がいいと思います。これは、今日お伝えすると言って前回、鈴木大臣にお約束しましたので、お伝えをしておきます。  そういう観点で申し上げると、先ほど、二%の安定的な物価上昇も、時間が掛かっていることは事実だけれども、時間は掛かるかもしれないが達成できるというふうに言い切られるわけですよね。だから、総裁の任期があともう一期やっていただいて六年あって、その間には私は達成するというなら分かるんですけども、少なくとも来年の三月までにはそういう状況にはなり得ないということであれば、やはり私は、細かいことを言うようで恐縮ですが、時間は掛かるかもしれないが達成できることを願うと、先ほど浅田さんが考えると願っていますの違いをおっしゃいましたけれども、事ほどさように、やはり日銀総裁の御発言は重いというふうに受け止めて我々も聞かせていただいておりますので、是非御配意いただくのがよろしいかと思います。  そういう中で、今日は、出口戦略について、総裁がやり方としては二つあるといって整理をされたのは初めて私自身は聞いたような気がします。一つは政策金利をどういうペースで引き上げていくのか、もう一つは拡大したバランスシートをどのように調整していくのかと、こうおっしゃったんですね。これ、考えてみればまさしくそのとおりなんですけれども、そこまではっきりおっしゃったのは初めてのような気もします。  そこで、今日は、毎月日銀と財務省からお配りいただいている国債資料の中に添付されているマネタリーベースと日本銀行総資産の対名目GDP比率についてお配りをさせていただいております。  これ見ると、いずれも今年の七月ぐらいから急速にその縮小に入っているようにも見えるんですけれども、これはさっきおっしゃった二つのポイントのうちの後段、拡大したバランスシートを縮小させるというオペレーションに既に入っているという見方も数字上は見えるんですけども、これはどういうふうに理解したらよろしいでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) これは、コロナ感染症の時期に企業の資金繰りのニーズが非常に高まったために、いわゆるコロナオペという形で、日本銀行から市中銀行、金融機関に対してコロナオペという形で資金供給をしたわけですが、そのニーズがどんどん低下してきておりますので、コロナオペの残高が減ってきているということであります。  その意味で、これはそのコロナ感染症の期間に拡大した企業の資金繰りニーズに応えた部分がどんどん減ってきているというだけで、二%の物価安定目標を目指して行ってきている量的・質的金融緩和を、何ていうんですか、出口に向かって動いているということではございません。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 そこは日銀の意図とは別にマーケットがどう受け止めるかという問題ももちろんありますが、どういう御趣旨かということは今承りました。  ただ、今日そういうふうに二つに整理をしていただいたので、非常に議論がしやすいと思うんですが、次の総裁のオペレーションが非常に難しいと申し上げたのは、諸般の事情、所与の条件からオペレーションの仕方が制約を受けると思うんですね。  それはどういうことかというと、仮に、じゃ、二つに整理していただいたうちの政策金利を上げるという方を選択してできるかというと、政策金利を上げ始めると、今のアメリカやヨーロッパとの金利差も考えると、マーケットは国債売り始めるんですよ、普通はね、その金利が上がるかもしれないと思って。そうすると、急激に上昇しちゃいけないと思えば、日銀としてはこれは売られる国債に対して買い向かっていかなくちゃいけませんから、そうすると、出口戦略に向かって金利を上げているんだけども、片方では後々やらなければならないバランスシートの圧縮に反する買い向かい、更なる買い増しをしなくちゃいけなくて、結局片方では量的緩和をやらなくちゃいけなくなると、形式上はですよ。  だから、今こういう状況になっちゃったので、二つに整理していただいた手段のうち、多分、次の総裁がそうされるかどうか私は予想とか予断は抱きませんけれども、バランスシートを縮小する方から入らないと結局自己矛盾した状態に置かれるのではないかということを懸念しているんです。  だから、これ、せっかく理事おいでいただいているんで、理事はこの後も在任される方もいらっしゃると思います。内田さん、そういう自己矛盾した状況に置かれるというような懸念はないですか。

内田眞一日本銀行理事

○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。  総裁から申し上げたとおり、今それを具体的に議論するのは時期尚早だということを申し上げた上ででございますが、これまでも、総裁を含めまして私ども、出口におきましてはその二つ、つまり短期金利の引上げとバランスシートを縮小していくこと、この二つが問題になるということは申し上げてまいりました。  どういう順番でこれをやるかというのは、そのときのといいますか、実際にその二%に近づき、二%を達成できるという見通しが立った後にどのようにやっていくのかということになります。  おっしゃるように、金融市場の状況ですとか、もちろん経済、物価の状況に応じて、そのときのシークエンスといいますか、順番をどうするのかということをその時点で決めていくということになると思います。  実際、よく御存じのとおり、アメリカも当初言っていた順番と違うことをやったことありますので、これは今の段階で何か申し上げるよりも、そのときの状況に応じてその二つをバランスよくやっていく、順番もそのときに考えていくというふうに申し上げておいた方が、マーケットに対して不測の状況を及ぼさないというふうに思います。実際にそのとき、マーケット及び経済、物価状況を見て順番とやり方を決めていくということではないかというふうに思っております。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 今の御答弁、理解はできますので、そのときの最適な判断をするということでいいと思うんですが、が、がですね、そんなに弾力的に選べるような状況にならないんではないかということを懸念としてお伝えしておきたいと思います。  その上で、昨日、憲法調査会が、審査会がありまして、私も委員なので発言をさせていただいたんですが、今後の憲法の検討課題の一つに、中央銀行の独立性との関係も今後論点になるかもしれませんよということを申し上げました。  日銀法改正、九八年のときには、私は中央銀行の独立性を担保する方向で日銀職員として仕事をしていたわけでありますが、そこから二十四年たって、事実上の統合政府状態に今なっちゃっているわけです。そうすると、統合政府状態になっちゃっている中で果たして中央銀行の独立性というのは二十四年前と同じ判断基準で議論ができるのかというと非常に難しいことになってしまったなと思っているんですが、最後に総裁にその件について、何か感想めいた、まあ実際に十年オペレーションをやられて今こういう状況の中で、今後の中央銀行の独立性は、憲法との関係、あるいは金融政策を運営する上でどう今お感じになっているかお伺いして、終わりにしたいと思います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 日本銀行の独立性、自主性ということは一九九八年の日銀法改正で非常に明確にされたわけでありまして、これは日本銀行法の最も重要な趣旨でありまして、それは維持されるべきだというふうに考えております。それが何か特別に金融政策上の問題を引き起こすというふうには考えておりません。  ただ、ごく最近の英国のあの状況で、いろんな議論が国際的に出ていることは事実です。ただ、その英国でも、イングランド銀行の独立性を弱めようとか、そういう議論にはなっておりません。  したがいまして、出口の議論の中でいろんな議論が行われるとしても、日本銀行の独立性を弱めるとか修正するということになるとも思いませんし、それが適切だというふうにも思いません。自主性、独立性というのは新日銀法の最も重要なプリンシプルですので、これは当然維持していただきたいというふうに考えております。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 終わります。

小池晃日本共産党

○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  日銀の異次元の金融緩和について、今朝の朝日に元日銀理事の早川英男さんが述べておられるんですね。黒田総裁は当時、物価が上がれば賃金も上がると説明していました、ところが今は、物価は上がっているけど賃金は上がっていないので緩和を続けなければいけないと言っています、ちょっと待って、言っていることが違いますよねと、そもそも緩和を始めてから十年もたつのにまだ成果が出ないのなら、基本的にその政策は駄目だったということではないでしょうかと言われています。  総裁は、二%の安定的な物価上昇を実現するためには三%の賃金上昇が必要だというふうにおっしゃるわけですが、早川さんがおっしゃっているように、十年間、金融緩和続けてきて、はっきり言って、ただの一度も目標を達成したことはないと。これから金融緩和継続して、どうして賃金上がるんですか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げていますとおり、二%の物価安定の目標の持続的、安定的な実現を目指して金融政策を運営しておりまして、その実現に当たっては、物価だけが上昇するのではなく、賃金の上昇を伴う形で実現することが重要であります。  賃金は景気の持ち直しを反映して緩やかに増加しておりますし、先行きも、経済活動全体が回復していく下で、労使間の賃金交渉において、労働需給の引き締まりや物価上昇率の高まりを反映して賃金上昇率も高まっていくというふうに見ております。  日本銀行としては、現在の金融緩和を継続して我が国経済をしっかりと支えることで企業が賃上げをできる環境を整えることが極めて重要であるというふうに認識しております。その下で、時間は掛かるものの、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的、安定的に達成することは可能であるというふうに考えております。  その上で、先ほども申し上げたとおり、コロナ感染症が起こる前までの時期を取りますと、デフレは解消し、成長も回復し、雇用も、先ほども申し上げたように、四百万人とも五百万人とも言われるほどの拡大を見たわけでありまして、まあ一%程度の実質経済成長も達成されたわけですが、他方で、この五百万人とも言われる労働力が、失業者から出てきたというよりも、むしろ女性や高齢者の就業率が上がるという形で、言わば新たな労働供給として出てきたこともありまして、労働市場が欧米のようにタイトになって賃金が上がっていくということになっていなかったわけですが、今や、先ほど来申し上げているように、女性の就業率は米国を上回っておりますし、高齢者も言わば後期高齢者が増えていますので、これ以上女性や高齢者の労働供給が大きく増加するという可能性は薄くなっています。  そうした下で、需給ギャップがマイナスからプラスになり、労働市場がタイトになり、新たな労働力がもうもはや出てくる余地がなくなっているという下では恐らく賃金がかなり上がっていくということになると思いますが、それでも今の時点の見通しではまだ来年度の物価上昇率は二%に達しないということで、緩和を継続する必要があるというふうに見ているわけです。

小池晃日本共産党

○小池晃君 恐らくとおっしゃるんですけど、私は今の話聞くと恐らく上がらないだろうなと、十年やってやっぱりできなかったわけですから。  必要なのは、やっぱり本気で賃上げをやっていくことだというふうに思います。異常円安をもたらした金融政策を正常化するためにも、やはり賃上げを行い、日本経済を立て直すということが鍵だというふうに思うんですね。  そこで、ちょっとこの賃上げのことをちょっと今日は財務省に聞きたいんですけど、私どもは具体策を提案しております。大企業の内部留保は四百八十兆円になった。内部留保というのは、これ企業経営にとっては必要です。だから、ゼロにしろなんて私たちは思いません。しかし、内部留保だけが巨額に積み上がっていくというのは、これは日本経済のゆがみだと思うんですね。  前回、西田委員が消費税と法人税減税、所得税の最高税率引下げが内部留保を増やして所得格差を拡大させたと。私、西田さんとは世界観全く違いますけど、この御意見は全くそのとおりだと思います。  私たちは、二〇一二年以降、内部留保、アベノミクスで増えた分についてこれ毎年二%課税をすると。で、五年間で合計一〇%の時限的課税を行うと。そうすると、毎年二兆円程度、総額で十兆円程度の税収できる。で、その際、課税対象額からは賃上げ分は控除する。それから、国内設備投資、まあ石炭火力とかはこれは控除できませんが、そこは控除する。これによって、大企業での賃上げとグリーン投資、これを加速する。十兆円程度のこの税収というのは、これは最低賃金を時給千五百円にしようということで、中小企業支援に使う。具体的には、やっぱり赤字企業が負担している社会保険料、これを賃上げに応じて軽減するのが一番効果的だと思っているんですね。で、こういう提案をしているわけです。  これ、私、本会議でも岸田首相に問うて、岸田さんは、二重課税に当たるとの指摘があることから、慎重な検討が必要だと答弁されたんですね。  改めて財務省に聞きますが、二重課税の定義は何ですか。

住澤整財務省主税局長

○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。  いわゆるこの二重課税という言葉につきまして、講学上確定した定義があるわけではございませんが、一般には、同一の課税対象に対して同種の税が再度課税されることを意味する場合が多いものと承知をいたしております。

小池晃日本共産党

○小池晃君 いや、だから、その財務省の定義はないんですね。財務省の定義はないんですね。  じゃ、二重課税だというのはどこからの指摘なんですか。

住澤整財務省主税局長

○政府参考人(住澤整君) この法人の内部留保に関する議論に関しましては、関係している経済団体その他の関係者からこの二重課税という指摘がなされているものと承知をいたしております。

小池晃日本共産党

○小池晃君 だから、法律上の定義があるわけじゃなくて、経団連とかが反対しているということですよね、言ってしまえば。  私、これ二重課税というんだけど、例えば、消費者から見れば、所得税取られた上に物買うごとに取られる消費税は、これは消費者から見ればこれ二重課税じゃないですか。ここはいかがなんですか。

住澤整財務省主税局長

○政府参考人(住澤整君) お答え申し上げます。  所得税と消費税の間の二重課税という御指摘かと思いますが、先ほども申し上げましたように、いわゆる二重課税と言われる場合、同一の課税対象に対して同種の税が再度課されることをいう場合が多いものと承知をいたしております。  こういった観点から所得税と消費税の関係について見てまいりますと、所得税の方につきましては、毎年毎年の所得を課税対象といたしまして、この所得の大きさに応じて負担を求めるという性格の税でございます。他方、消費税は、その消費に充てられる原資はともかくとして、消費一般を広く課税対象として、消費の大きさ、すなわち消費額に応じて負担を求める税であるという性格のものでございます。  したがいまして、課税対象が両税においては異なっておりますし、課税の趣旨や性格も異なるため、二重課税には当たらないというふうに考えております。

小池晃日本共産党

○小池晃君 所得、同一のものに対して同種の課税をするのが二重課税であるというふうにおっしゃるわけですが、そういう論理でいくと、内部留保に課税するというのは、これは活用されていない、言わば積み上がって結局活用されていない資産になっていると、そこに課税するわけですよね。法人の利益を担税力とする法人税とこれは違うじゃないですか、性格が。これ、二重課税に当たらないと、今のロジックを当てはめてもね、そういうことになりませんか。

住澤整財務省主税局長

○政府参考人(住澤整君) 内部留保といいました場合に、法人税が課税された後のいわゆる利益剰余金をいう場合が多いものと考えられますけれども、このいわゆる内部留保課税というものにつきましては、税引き後の利益に対して再度同じ法人税を課税していくという意味において二重課税という指摘がなされているものと承知をいたしております。

小池晃日本共産党

○小池晃君 いやいや、法人税掛けると言っているわけじゃないんでね。我々の提案はストックに対する課税ですから、これ違うわけですよ、性格は。だから、今のロジックでいったら、これは二重課税に当たらないじゃないですかということを私は言っているんですが、いかがですか。

住澤整財務省主税局長

○政府参考人(住澤整君) これは、そういう議論があるということで申し上げておりますけれども、内部留保というものがあくまでその課税後の利益が積み上がってできていると、それに対して再度この法人税を掛けるのはどうかという御指摘があるということを申し上げているわけです。

小池晃日本共産党

○小池晃君 だから、御指摘がある、御指摘があるって、財務省はそう思っていないんだったら、私は取る議論をしているんで、珍しい話なんですよ、これ、はっきり言ってね。前向きに言っているわけだから。まあ言わば財務省を応援するような話をやっているわけですからね。これちょっと前向きに考えてもらわないといけないんじゃないですか。だから、まあいいや、では、ちょっと、それはそういうことで、違うとおっしゃるんで。  じゃ、これはどうですか。これは以前、中山恭子議員がこの委員会でも取り上げたことがあるんですが、特定同族会社の留保金課税制度ね。今日資料配っていますけど、これは同族会社のこの内部留保から一定の控除をした上で課税するわけですよね。これ、内部留保課税じゃないですか。これはまさに二重課税になるんじゃないですか。これ、どうなんですか。

住澤整財務省主税局長

○政府参考人(住澤整君) この特定同族会社の留保金課税の趣旨でございますが、確かに、この税引き後の利益に対して法人税の課税を再度行っているという点において二重課税のようなものではないかということは御指摘のとおりでございますが、ただし、この特定同族会社の留保金課税制度の趣旨は、少数の株主が支配をしている同族会社におきましては、配当の時期ですとか給与の支払の時期など、様々なものを自由に調整することが少数の株主の判断によって可能でございますので、そういった中で、配当の時期を例えば意図的に後ろにずらすということによりまして、配当すれば行われていたであろう累進税率による所得税の負担、これを回避することが可能であるということが背景にあるわけでございます。  こういった特定の同族会社における個人段階の所得課税の潜脱、こういったものを防止するという観点から、この内部留保に対して課税を行うという趣旨で行われているものでございまして、広範にこの内部留保に対して法人税の課税を行うという意味での内部留保課税とは性格が異なるものと考えております。

小池晃日本共産党

○小池晃君 ということは、要するに、二重課税とかいうことを原理的に否定しているわけではなくて、政策判断で場合によってはやるという理解でよろしいですか。

住澤整財務省主税局長

○政府参考人(住澤整君) こういった特定同族会社の留保金課税のように、所得税の負担との関係において、個人所得課税とこの、あっ、失礼しました、法人形態と個人形態の事業の間のこの税負担のバランスを取るといった意味での留保金課税は現に行われているということでございます。

小池晃日本共産党

○小池晃君 はっきり答えてくれないんですけど、これ政策的な判断なんですよ。これ、やる気があるかどうかなんですよ。  私が言っているのは、これは、法人税、行き過ぎた減税やったわけですね、前回、西田さん言ったみたいに。それを取り戻すと、そのために限定的にやろうじゃないかと言っているわけで、これは二重課税だからっていうことで否定する議論はもうやめていただきたい。きちんと前向きに考えていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

安達澄各派に属しない議員

○安達澄君 無所属の安達澄です。  黒田日銀総裁へは初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。  私、先週三日間、韓国のソウルに行っていました。日韓議連、韓日議連の創立五十周年がありまして、コロナ禍でもあったので、本当、実に三年ぶりの海外出張だったんですけども、ソウルでは町中にあるちょっとスターバックスにも行って、そこでカフェラテ、Sサイズを買ったんですね。値段は四千五百ウォン、日本円に換算すると約五百十円になります。ちなみに、日本で同じものを買うと、それが四百十五円なんですね。ですから、もう韓国の方が約百円も日本よりも高いというのをちょっと目の当たりにしたんですけど、OECDのデータとかにもよると、平均賃金も今、日本は韓国に抜かれています。そして、海外での買物は安いというのは、もう本当遠い昔の話なんだなというのを改めて実感したんですけど。  私が議員になる前、ですから約五、六年前なんですけど、地元の大分県別府市で私、海外、インバウンド向けの小さな小さな旅行会社を自分でやっていたんですけど、その際に、何度も日本に来てくれる中国からのお客さんがいました。何でそんなに日本に来てくれるんですかとこっちが尋ねると、一言、安いからですというふうにそのとき言われたんですね。安い日本と言われて本当久しいんですけども、日本経済のその実力の衰えというものを感じざるを得ませんし、今や、その円安ドル高が進む今であれば、もうアメリカに行ったらもっとそれを実感するんだろうなというふうに思います。  その安い日本の物価も、今、資源、原材料高、そして円安など様々な理由で上昇しています。もう今日もいろいろお話出ています。私がよく通うそこの衆議院の吉野家、牛丼も、今これもう卵付けちゃうと五百円を、もうワンコインを超えるという状況にもなっています。  ちょっと一部重なって恐縮ですけども、その物価上昇についてですけども、黒田総裁は、度々、物価上昇は一時的というふうに発言をされています。その一時的というのはいつ頃までを想定しているのか、また、その根拠は何なのか、まずはそれを教えていただけますか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇によりまして、直近の九月にはプラス三・〇%となっております。先行きも、本年末にかけて上昇率を高めるというふうに見ております。  ただ、こうした最近の物価上昇の基本的な要因としては、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が挙げられております。もっとも、国際商品市況は既に低下に転じておりまして、こうしたコストプッシュ要因による押し上げ寄与は徐々に減衰していくというふうに見られます。このため、年明け以降、来年度半ばにかけて物価上昇率のプラス幅が縮小していくというふうに考えております。  先日公表した展望レポートでも、来年度、年度ベースで来年度の消費者物価の前年比は二%を下回り、更に翌年度も二%を下回る水準まで低下していくというふうに見通しをお示ししておりまして、そういう意味で、今の三%、あるいは年末にかけてそれを更に上回る物価上昇率が来年度も続いていくということにはならないということであります。

安達澄各派に属しない議員

○安達澄君 済みません、ちょっと質問の順番、今の話で入れ替えますけど、その今の物価上昇の理由、そういったコストプッシュ、資源高とかいろいろありますけども、当然、その円安ドル高というのもあると思います。この円安傾向に歯止めが掛からないと、物価というのは当然上昇し続けると思います。昨日かおとといか、ミスター円のあの榊原さんとかは百七十円まで行くんじゃないかなんというのを毎日新聞で答えて、話していらっしゃいましたけども、黒田総裁はいずれこの円安というのは要は是正されるという認識なのか。具体的な数字はもちろんお答えできないと思うんですけども、黒田総裁の頭の中にここまでなら許されるというような、そういう円安ドル高の水準というのがあるのかどうか、それを教えていただければと思います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 為替相場につきましては、常に申し上げているとおり、経済、金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが極めて重要であるというふうに見ておりまして、最近の円安の進行は急速かつ一方的なものでありまして、こういった円安の進行が企業の事業計画の策定を困難にするなど、先行きの不確実性を高め、我が国経済にとってマイナスであり、望ましくないというふうに考えております。  その上で、この為替政策は財務大臣の所管でありまして、私の立場から為替相場の水準やその評価についてコメントすることは余り適当でないんですけども、御質問でありますので、二点申し上げたいと思います。  一つは、円の対ドルレートの状況を見ますと、ロシアのウクライナ侵攻が始まって国際的なエネルギー価格が急上昇したというときに、これ、御承知のように、このエネルギー等の価格はドル建てでされていまして、ドルで支払うわけです。そういったことから、日本のそのドル需要、実需が急速に増えて、それが円安ドル高、円についてのその動きが非常に大きく出たわけです。  もちろん、ほかの国もエネルギーを輸入している国はありますけども、かなり、例えば欧州などを見ますと、ノルウェーとかオランダとかは自国でいっぱい天然ガスが出るとか、英国やドイツは石炭を大量に生産しています。そういったことで、日本は石炭も石油も天然ガスもほとんど全て輸入していますので、その意味で、ウクライナ戦争が始まったときのエネルギー価格の高騰というものが円にかなり大きく影響して、ほかの通貨もドルに対して下落したんですけども、円の下落幅がやや大きかったと思います。  その後、今度はFEDが政策金利を急速に引き上げるということを始めまして、それが今度はドルの独歩高のようになって、それ以降は、実は日本円が特にドルに対して大きく下落したというんじゃなくて、ほとんどの通貨に対してドルが強くなって通貨が下落しているということであります。    〔委員長退席、理事大家敏志君着席〕  そういうことから考えますと、今後のその為替の動向というのは、そんなに、予測するのは難しいと思いますけども、一つには、政府の急速かつ一方的な円安の進行に対して適切な為替介入が行われて、一方的、急速な円安の進行というのは今止まっているわけですね。  ただ、将来、来年以降のドル・円のレートがどうなるかというのは非常に難しいと思うんですけども、やはりそのドルが非常に強くなったのは、一つにはもちろんFEDが金利をどんどん上げたということですけども、しかし、ヨーロッパのほかの国もみんな上げているわけですけど、やっぱり対ドル、下落していますので、まあそのマーケットが、二国間の為替レートの変化を二国間の名目金利で議論するというのは、日本ではすごく市場で受け入れられているんですけども、ヨーロッパその他ではそうでもなくて、むしろアメリカ経済が非常に強いと、それからアメリカの資産価格がなかなか下がらないという形で、全世界からアメリカの資本市場、金融市場に資金が流入していると。  それから、まあ余り、信じられるかどうかは別として、やっぱり地政学的リスクに対してアメリカが圧倒的に強いと、だからドルにみんな資金が流入しているという説明をする人もいます、分かりませんが。  だから、そういうものがずっと来年度に続くかと言われると、米国経済の成長率もだんだん低下し、マイナス成長に陥る可能性もあるってことはFEDも認めているわけですね。それから、金融・資本市場の調整の可能性というものも認めているわけですから、そういった中でドルの独歩高がずっと続くという予想は必ずしも正しくないというふうに思っています。  ただ、これは、為替の予想というのはやると必ず外れますので、全く個人的な感想だというふうにお考えいただきたいと思います。

安達澄各派に属しない議員

○安達澄君 御丁寧な答弁、ありがとうございます。  黒田総裁が、やっぱり物価上昇が一時的というのがやっぱし非常に引っかかってですね、まあ私も、先ほどエネルギーの話ありましたけど、サラリーマンの、新日鉄にいるときに石炭のやっぱり買い付けとかそういう仕事をしていたんですけど、やはりこういうウクライナのような情勢とかあると、資源ってもう本当全く予測が付かない。それが当然コストアップになってくるわけですけど。なので、そういう状況の中で一時的とおっしゃることが、どうもそこがやっぱりなかなか理解できない、しにくい。まあ多くの国民も同じだとは思うんですけども。いずれにしても、御丁寧な答弁ありがとうございました。  じゃ、次の質問に移りますけれども、黒田総裁は今年六月、発言は撤回されましたけど、あの共同通信きさらぎ会の講演で、家計の値上げ許容度は高まっているとの発言をされました。  コロナ禍で消費ができずに、結果的に増えた貯蓄、強制貯蓄という言葉ですね。これ、総裁もおっしゃっていますが、欧米でも使われて、日本のエコノミストも使用している言葉とのことですが、いずれにせよ、そのように結果的にたまってしまった貯蓄が約五十兆円あるという仮説を基に家計の値上げの許容度は高まっているという発言につながったものと認識しています。  ただ、そのような発言される前に、やはりマクロの視点だけではなく、ミクロの視点も忘れてはいけないと思います。  どういうことかというと、仮に強制貯蓄が約五十兆円あったとして、日銀のレポートによると、その半分近くは世帯所得が八百万円以上の世帯が占めています。ただ、その世帯所得八百万円以上の世帯というのは、もう日本全体で約二割しかいません。世帯所得の中央値は、厚生労働省の二〇一九年国民生活基礎調査では四百三十七万円です。そして、その日本全体の半分がその世帯所得四百三十七万円以下になっています。四百三十七万円というのは、これ全国の数字ですから、例えば地方は数十万円単位で更に低くなります。日本全体のその半分のその四百三十七万円以下の世帯が占める強制貯蓄、それはもう先ほどの五十兆円の全体の僅か一割程度しかないとなっています。つまり、中高所得の世帯にはしっかり強制貯蓄があったとしても、日本全体の半分を占める世帯所得四百三十七万円以下の世帯には強制貯蓄はほとんどないということになります。  加えて、別のデータ、日銀も参加する金融広報中央委員会の調査では、全世帯の三割は貯蓄はゼロです。  ですから、マクロだけではなく、やはり現場というミクロの視点を持たないと、世の中を分かってない、国民の生活の実態を分かってないと生活者からそっぽを向かれると思います。私も地元の大分でリベンジ消費なんてないと苦言を呈されることもありますが、それが普通の国民の感覚だと思います。  最後の質問になりますけども、撤回された発言ではありますが、やはりあの発言は国民一般の感覚からするとずれていると思います。

大家敏志自由民主党

○理事(大家敏志君) おまとめください。

安達澄各派に属しない議員

○安達澄君 はい。  総裁には、ちゃんと現場の声、地方の声が届いているのか、教えていただければ。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 先ほどお答えしたとおり、様々なデータ、さらには、生活意識アンケート、サーベイ調査、その他で情報は十分入っておりますし、また、全国の支店網を活用して得られるヒアリング情報、これも非常に重要でありまして、私自身も様々な形で報告を受けております。  その上で、特に相対的に所得の低い方々ほど食料品やエネルギーの支出割合が高い傾向にあるために、最近の物価上昇による実質所得への下押し圧力は大きくなっているというふうに理解しておりまして、今後とも、そういった点には十分配慮して、丁寧な情報発信に努めてまいりたいと思います。  なお、強制貯蓄云々の話は、米国でもいろんな議論が行われていまして、コロナ禍の下でたまった貯蓄、アメリカの今の状況を言いますと、ほとんどそれは使われたと言われているんですね。

大家敏志自由民主党

○理事(大家敏志君) 時間が来ております。簡潔にお願いいたします。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) ところが、我が国の場合は余り使われたという話、聞いておりませんので、そういう意味では、強制貯蓄とかそういう言い方が適切だったかどうかということは十分考慮する必要があると思います。これは英語の強制貯蓄というのをそのまま翻訳して使っていたものですから。

安達澄各派に属しない議員

○安達澄君 終わります。ありがとうございました。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 参政党の神谷宗幣です。  私も初めての質問になります。よろしくお願いします。  国際情勢の変動で過度に円安が進んだことで金融引締めを求める声が強くなっていますが、日本銀行は金融緩和を継続する旨を発表されています。このように判断されたのは、金融引締めへとかじを切った際の経済動向を予測し、比較検討した結果だと思いますが、引き締めるとこうなるといったような予測を国民に分かりやすく開示されるというお考えはないでしょうか。この点、総裁のお考えをお聞かせください。    〔理事大家敏志君退席、委員長着席〕

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎回の金融政策決定会合において、その時々に得られる様々なデータ、情報に基づいて先行きの経済・物価見通しとリスク要因を点検して、政策を決定しております。  そういった意味で、我が国経済がまだコロナ禍からの回復途上にある上に、我が国経済をめぐる不確実性は極めて大きいということで、消費者物価の先行きについて来年度以降は二%を下回る水準まで低下していくというふうに見ておりまして、こういった状況を踏まえて、現在は経済をしっかりと支え、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的、安定的に実現するために金融緩和を継続することが適当であるというふうに考えております。  そういった意味で、分かりやすく金融政策についての判断をお示しするということは重要だと思っております。  仮に、この今のようなまだ回復途上にある日本経済に対して金利を引き上げた場合には、当然、実質金利が上昇し、企業の資金繰りが更に困難になり、あるいは設備投資にマイナスの影響を与え、そして住宅ローンへの影響を与えて、消費にもマイナスの影響が出てしまうというおそれがありますので、やはり、あくまでも経済がしっかりと回復して、賃金の上昇を伴う形で物価が緩やかに上がっていくということを実現すべく金融政策を運営してまいりたいというふうに考えております。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 ありがとうございます。  こういったことをどうしても国民が分かっていないと、メディアとかが報じたときに世論がばあっと流れて政策が変わってしまうと非常に危ないなと思いますので、少し聞いてみました。  次に、欧米の中央銀行は現在のようなコストプッシュの供給インフレに対して金利引上げの引締め政策を強化して進めていますが、本来、金融政策は需要面に働きかけるものであって、供給インフレに対する手段ではないというふうに考えます。にもかかわらず現状で各国が引締め政策を取るということは、世界的に需要を過度に抑え、大幅な景気後退を招く危険性が大きいのではないかと考えています。特に、近年の金融市場における世界的な債券バブルとも言われてきた状況に加え、各国がコロナ対策で相当お金をばらまいてきたという状況を考えれば、かつて我が国がバブルの崩壊で起きたのと同様の現象が各国の利上げ政策によって世界的な規模で起こるという可能性はないでしょうか。総裁のお考えをお聞かせください。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げましたとおり、世界的なインフレ圧力を背景に、各国の中央銀行は速いペースで利上げを進めております。欧米のインフレ率は八%から一一%ということで、主として、もちろん輸入物価の上昇を反映しているとはいえ、賃金もかなり上がってきて、需要面でも、コロナ禍からの回復テンポが非常に速かったということもあって需要面もかなり増加しておりまして、需要と供給と両方の面でインフレ圧力が出てきているということで、各国の中央銀行としては、金融の引締めによって、もちろん需要を抑えるということですけども、そういうことを通じてインフレ圧力を軽減していこうということであります。  こういったことが各国の経済成長を減速させてマイナス成長あるいは不況に陥れるのではないかという懸念についてはIMFも指摘しておりますけど、一方で、今のところIMFの見通しでは、海外経済は全体として減速しつつも緩やかなプラス成長を続けるという見通しになっております。  また、BISの総裁会議などでは、その問題もさることながら、御指摘の国際金融資本市場でいろんな状況が起こるのではないかということはもちろん注視しておりまして、そういった意味で、リスクがないわけではないんですけども、今のところ、各国の利上げ政策で世界経済がマイナス成長に陥るとか、金融資本市場が非常に大きな影響を受けて、それが日本などにも影響を及ぼすというリスクは小さいというふうに見ております。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 世界の状況についての分析、理解しました。  我々参政党は、日本において、日本の現状においての金融緩和の日銀の政策には賛同をしたいと思います。しかし、過去十年の変遷を見ても分かるように、このまま金融緩和だけを続けても給与や賃金は一向に上がらないと思います。そして、ここに来てプッシュ、コストプッシュ型の悪いインフレですね、物価は上昇していて国民の生活が厳しくなっているという悪循環が起きているということですね。  国民が使えるお金が増えないと、結局、景気はもちろん国民の生活が改善されません。つまり、日銀が単独でお金の供給を増やす金融政策だけやっても何も解決できないということがもう分かってきたというふうに私も思っています。  今の状況を例えるなら、医者である政府が全く治療を施せず、血が流れ続けている患者に日銀がひたすら輸血を送り続けているような、そんな状況ではないかというふうにも思えます。そして、その日銀が輸血をしている相手が政権与党に票をくれるような企業なんかではないかというふうにも見えるわけですね、国民が直接もらってないわけですから。これは、日銀が超短期の国債以外に株の下支えをするETFや不動産投資信託、社債、コマーシャルペーパーを買い取ることで市中にお金を供給しているということでも分かってくると思います。  本来ならその企業を経由して国民の所得が上がらないといけないわけですけども、企業側はエネルギーの高騰や輸入コストの増大、円安といった将来の不安から、先ほどもお話ありました内部留保をどんどんと高めているというのが現状です。結局、日銀が異次元の金融緩和をしてアクセルを踏んでも、政府が緊縮財政というブレーキを掛けている状態なので日本の車が前に進まないという状況になっていると思います。  二〇一三年から現在の異次元緩和政策が取られた際には、総裁としては、金融緩和の政策だけで二%のインフレ目標が達成されるとお考えだったのか。市中マネーを増やせるのは、中央銀行ではなく民間銀行による信用創造ですが、特に現在のように金利水準が下限に張り付いている状態において、銀行の信用創造に依存する金融政策だけでは、中央銀行が思うように市中マネーを増やせるものではないというふうに考えられます。  そうであれば、日銀として二%のインフレ目標を掲げる以上、政府に対し国債発行増による財政支出の増及び減税といった積極財政でマネーの増大を求めるのが日銀の立場になるというふうに思うんですけれども、その辺の総裁のお考えをお聞かせください。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 現在の金融緩和は、その波及経路として、低い実質金利を起点に資金調達コストの低下や金融資本市場の改善といった緩和的な金融環境を実現することで経済、物価に好影響を及ぼすことを想定しております。この間、企業の資金調達コストは極めて低い水準で推移しておりまして、企業から見た金融機関の貸出態度は緩和した状態にあります。  こうした中で、直近十月の値を見ますと、銀行の貸出残高の前年比はプラス三%、マネーストック、M2の前年比はプラス三・一%となっております。したがいまして、引き続き金融緩和を実施することで、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的、安定的に実現していかなければならないというふうに考えております。  なお、この財政運営につきましては、政府、国会の判断で行われるというふうに認識しておりまして、私からコメントすることは差し控えたいというふうに思います。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 済みません、私の質問、意地悪な質問だったかもしれませんが、でも、恐らく総裁も、そうしたらいいのになと思っているんじゃないかなというふうな思いで聞きました。  そういった現状を踏まえた上で、現在の通貨制度そのものが、中央銀行が直接市中にお金を増やせない仕組みになっていますよね。この制約を克服するために日銀が直接家計に現金を給付するという考え方も出てきているんですけれども、こういった考えについて総裁のお考えをお聞かせください。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 家計に対して直接現金を給付するという政策は、中央銀行の行う政策ではなくて財政政策の領域であるというふうに考えております。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 先ほどもお話ありました将来的に発行が計画されている中央銀行発行デジタル通貨、CBDCですね、これを使って日銀による家計への現金の、まあデジタル通貨ですね、の給付を実行するという提案についてはどのようにお考えでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) このCBDC自体につきましては、今後の国民的な議論の中で導入するかどうか決まってくると考えておりますが、導入された場合に、個人間や個人と店舗間など幅広い決済に使用されることが見込まれるほか、国や地方公共団体による給付の手段として活用される選択肢というものももちろん考えられます。  いずれにいたしましても、CBDCについては、現在制度設計面の検討も含めて取り組んでおりまして、今後、我が国の決済システムが全体としてデジタル社会にふさわしい安定的、効率的なものになるように貢献してまいりたいと考えております。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 ありがとうございました。  今の政府の政策を見ていますと、財政規律を守ることに縛られていて、もう日本経済がかなりダメージを受けているというふうに考えています。日本においてマクロ経済のコントロールの主体は一体誰なんだというふうな、そんな声も上がっています。日銀なのか政府なのか、ちゃんと連携は取れているのかというようなことがやっぱり国民によく見えてこないという面があると思います。  今、こういった状況において、日本、経済的に厳しいですから、国民が一致団結しないといけない状況だというふうに思っていますが、日銀の権限とか行動には、発言にも制約がありますよね。それを補うために、日銀として、国会ですとか国民に対してこういったことをやってくれたらいいのになと、こういったことを提案してくれたらいいのになというふうなお考えあれば、個人的な見解で結構ですので、最後にお聞かせいただきたいと思います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 財政政策あるいは構造政策は、これは政府、国会の権限と責任に属しますので、それについて私からとやかく申し上げる立場にないということを御理解いただきたいと思います。  そういった、その上で、長期的に見た財政の健全性の確保ということは、金融政策あるいは金融システムの安定性を維持する上でも重要だというふうに考えております。  具体的なその財政政策あるいは構造政策については、日本銀行から何か具体的なことを申し上げるのは適切でないというふうに考えております。

神谷宗幣各派に属しない議員

○神谷宗幣君 ありがとうございました。  先ほども、繰り返しになりますけれども、やっぱり今、日本全体大変ですから、これは権限ではない、どうだと言っている場合ではなくて、みんなで一致団結しないといけない時期だと思いますので、引き続きまた政策の推進、よろしくお願いいたします。  ありがとうございました。

堂込麻紀子各派に属しない議員

○堂込麻紀子君 ありがとうございます。茨城県選挙区の堂込麻紀子です。どうぞよろしくお願いいたします。  質問に入ります。日本銀行が金融政策を運営するに当たって理念である物価の安定と、最近の金融政策運営のスタンスの在り方についてお伺いいたします。  日銀は、十月の展望レポートの中で、国内の景気は持ち直しているとした上で、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は三%程度となっているとされています。確かに経済の基調は持ち直していると言えるのかもしれませんが、コロナ禍からの回復の途上にあって必ずしも賃金の上昇が十分に実現していないその中では、この三%の物価の上昇というのは国民生活に大きな打撃を与えていると言えます。  茨城県内を回りますと、食料品、また電気、一部ではガスと、こうした生活必需品の価格が上昇したことで日々の生活における負担感が増しているという声が更に大きく聞かれております。  消費者物価の先行きについて、日銀は来年度以降二%を下回る可能性が高いと見ておられるとのことではありますが、物価の安定を確保することが日銀の重要な使命であり、日銀法にもそれが明記されております。  金融政策の決定に当たっては家計や企業などへの影響も十分に考慮していくことが求められている、こういう観点から、金融政策運営のスタンスを従来どおりに維持しているこの意図について、改めて御説明をお願いいたします。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 消費者物価の前年比につきましては、足下では輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から三%程度まで上昇しておりますが、年明け以降はこうしたコストプッシュ要因の押し上げ寄与が減衰することでプラス幅が徐々に縮小していくということで、来年度以降は二%を下回る水準まで低下していくというふうに考えております。  こうした状況を踏まえますと、現在は、金融緩和を継続することで経済をしっかりと支え、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標の持続的、安定的な実現を目指すことが適当であるというふうに考えておりまして、その旨を金融政策決定会合で決めて、公表したところでございます。

堂込麻紀子各派に属しない議員

○堂込麻紀子君 加えて、最近の円安と金融緩和についてお伺いします。  今年に入って、入ってからですね、為替相場、大きく円安に振れており、円安の進展は輸入品価格の上昇につながり、国内の物価を上昇させるその要因の一つとして考えられています。特に、国内で生産が見込めず輸入に頼らざるを得ない資源エネルギー価格については、生産国における価格上昇そのものに加え、円安の影響も受けることになります。  物価上昇という要因の一つである円安を抑制するため、日銀の金融緩和政策を修正すべきという意見も耳にするようになりました。もっとも、ここで金融緩和縮小し引締め方向に転じることは、貸出金利の上昇などを招き、中小企業、また住宅ローンの借り手など大きな影響を与えるのではないかと懸念する意見もございます。  物価の安定を理念とする金融政策の位置付けとも関連して、このような金融緩和政策の修正を求めることが正しいと思われるかどうか、御見解をお伺いします。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 円安の進行が既往の資源高と相まって輸入物価の上昇をもたらし、その価格転嫁を通じて消費者物価の押し上げ要因となっていることは事実であります。  最近の円安の進行につきましては、急速かつ一方的なものであり、望ましくないというふうに考えております。したがいまして、日本銀行としては、政府とも緊密に連携しつつ、金融・為替市場の動向、あるいはその我が国経済、物価への影響を十分注視していく方針であります。  金融政策としては、こうした為替相場の影響も含めた全体としての経済・物価情勢の評価に基づいて行うものでありまして、現在は、先ほど申し上げたように、経済をしっかりと支え、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的、安定的に実現するために金融緩和を継続することが適当であるというふうに考えております。

堂込麻紀子各派に属しない議員

○堂込麻紀子君 黒田総裁、御答弁ありがとうございます。  今のお話のとおり、日本経済の自律的回復のための金融政策を進める上で日銀としての役割に注力し、取り組んでおられるということは理解しております。ただ、日銀の金融政策だけでは、今国民にのしかかる負担感、また現在の様々な諸課題を解決するまでには至らないというふうに考えております。改めて、日銀、また政官民の連携、それぞれの取組の発揮、それによる相乗効果の期待を、この期待をせざるを得ません。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。  次の質問に行きたいと思います。続いて、デジタル決済へのシフトを踏まえた決済システムの在り方についてお伺いいたします。  日本国内では、現在、民間運営の様々な資金決済システム等が構築されています。従来は銀行などの金融機関が資金決済の主な担い手でしたが、近年は交通系、また流通系のICカード、またQRコード決済などのサービスが成長するとともに、インターネット上で決済業務を安価に提供するフィンテックベンチャーなども登場しております。こうした決済業務の担い手も多様化しているというところでございます。  一方で、日本経済新聞がまとめた二〇二一年度の小売業の調査によりますと、三五・三%の企業が二一年度に必要な人員を充足できなかったと回答しております。私もこれまで小売業で長く働いてまいりました。現場の深刻な人手不足を常に感じてきております。そのような中、デジタル決済の導入は、従業員の負担を減らし、金銭へ直接接触しない、このことにより衛生面での安全対策も可能となり、コスト削減や人手不足対策としても有効と考えます。  このような環境変化を踏まえ、今後のデジタル決済の進展、またデジタル社会の構築のためにふさわしい決済システムの在り方について、現行の決済システムと比較してのメリット、また構築のために留意すべき点も含めて、決済の一翼を担う日本銀行の認識をお伺いいたします。

内田眞一日本銀行理事

○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。  経済活動あるいは社会生活全般におけるデジタル化が進展する下で、イノベーション、あるいは御指摘のとおり業務の合理化に向けて様々な創意工夫が発揮できるようになってきているというふうに思っております。決済の分野におきましても、企業あるいは消費者の様々なニーズに応じて新しいサービスができるように、その可能性を広げてきているということかと思っております。  例えば、御指摘にもありましたが、今まで金融機関が中心に提供してまいりました金融あるいは決済のサービスにつきまして、例えば小売業など非金融機関ですね、そうした事業とシームレスに連携していく組み込み型金融サービスといったものも注目されておりまして、身近なところですと、家計簿サービスのような民間、消費者の方々に身近なサービスということも普及してまいっております。  一方で、デジタル化の問題といいますか、考えなければいけない留意点ということですけれども、やはりデータ利活用の際のプライバシー保護、これは非常に重要な点ですし、また、マネーロンダリング、あるいはテロ資金対策、こういったことも多くの国で重要な論点として認識されております。  日本銀行としましても、幅広い関係者の皆様と協力を行いながら、全体としての我が国決済システムがデジタル社会にふさわしい効率的なもの、かつ安定的なものにしていくように貢献してまいりたいというふうに思っております。

堂込麻紀子各派に属しない議員

○堂込麻紀子君 ありがとうございます。  また、この一方で、多くのデジタル決済サービスが乱立していることによって本来の利便性を損ねているという運用面での側面、課題もあります。相互運用性を目指すこと、ユーザー側、また事業者側もシンプルに利用できる、そこにつながることが重要であるというふうに考えております。  そこで、中央銀行デジタル通貨について、解決策の一つになるかもしれないということで、思いで質問をさせていただきます。  先ほど、横山先生、また神谷先生からも話がありました日本銀行における中央銀行デジタル通貨、CBDCですね、この取組についてお伺いをいたします。  アジアでは、カンボジアが先駆的に日本の企業と共同開発したデジタル通貨を二年前に既に導入し、金融インフラとして定着している。また、中国では、デジタル人民元のパイロット事業を複数回実施したほか、欧州の中央銀行、また米国連邦準備制度理事会においても実用化に向けた検討が進んでいるといった状況です。  日本では、日銀が二〇二二年、二〇二〇年十月に一般利用型CBDCを対象に取組方針を公表し、実証実験を始めたと承知しております。  現在の日銀における取組状況について、御説明をお願いいたします。

内田眞一日本銀行理事

○参考人(内田眞一君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、私ども、今実証実験の第二段階ということでやっておりまして、基礎的な機能については去年検討しましたので、より複雑な周辺機能を付加して、これができるかどうか、さらにはその課題は何かといったことを今検証しております。また同時に、民間事業者の皆様、それから政府の関係の皆様とも議論を重ねながら制度設計の検討にも取り組んでいるところでございます。  御指摘のとおり、世界はかなり進んでおりまして、ECB、欧州中央銀行は来年の秋にも、いわゆる、彼らは実現フェーズと呼んでおりますが、開発のフェーズに入るかどうかの決定をしていくという状況になっておりますし、中国もパイロット実験を進めているということですので、そのデジタル通貨、CBDCというものを一つのパーツとするような決済システムということが一種のグローバルスタンダードになっていく可能性は相応にあるというふうに思っております。そういうメリットという点で申しますと、CBDC、安全であるということと、おっしゃった相互運用性の基盤になるということでございます。  私ども日本銀行としましては、CBDCを発行するかどうかの議論はこれからでございますが、発行する場合には間接型の発行形態で行うということを既に表明しております。これは、ユーザーとの接点はあくまで民間業者の方に担っていただいてニーズを酌み取っていただく、その上で、私どものCBDCを言わば決済の共通の基盤として提供させていただくということで、これがある種の橋渡し役となって国民の皆様にとって民間マネーが使いやすくなるということになっていくというふうに思っております。  そういう意味で、出すか出さないかはこれからの議論、私どもだけではなくて、まさに国会を含めた御議論と思っておりますが、決済システム全体を効率化させていく、安全にさせていくという観点から貢献してまいりたいというふうに思っております。

堂込麻紀子各派に属しない議員

○堂込麻紀子君 最後の質問にさせてください。  この先、デジタル決済の進展によって、現金とは異なる形でのトラブルに巻き込まれる可能性もあるということで、国民一般に対する金融経済教育に組み込んで啓蒙を図るということも重要視されてくるかと思います。特に、現金に触れる機会が減少する子供に対して、お金の大切さを認識できる、こういった教育を充実させることも求められるのではないでしょうか。  金融経済教育について金融庁が中心となって進めておりますが、日本銀行も金融広報中央委員会の事務局として金融経済教育に関係しているものと理解しております。このデジタル決済に備えた金融経済教育の必要性についてお伺いをいたします。

清水誠一日本銀行理事

○参考人(清水誠一君) お答え申し上げます。  デジタル化が進展する中、子供たちが金融リテラシーの基礎となるお金の大切さを身に付けることが、これは委員御指摘のとおり、これまで以上に重要になっているというふうに認識してございます。  日本銀行は、金融広報中央委員会の事務局を担い、その活動を支援することを通じて、長年にわたって子供たちを含む国民各層に対して金融教育を推進してまいりました。この金融広報中央委員会は、四十七の都道府県の各地の金融広報委員会とともに、中立公正な立場から、お金の大切さを始めとして幅広く日本の金融リテラシーの向上に取り組んできてございます。  日本銀行としましては、引き続き、この金融広報中央委員会とも連携しながら金融教育の推進に努めてまいる考えでございます。

堂込麻紀子各派に属しない議員

○堂込麻紀子君 ありがとうございました。  質問を終わります。

酒井庸行自由民主党

○委員長(酒井庸行君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十一分散会

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