憲法審査会 第4号
- 発言数
- 15 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2022/04/27
会議録
○会長(中川雅治君) ただいまから憲法審査会を開会いたします。 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する調査を議題といたします。 本日は、憲法に対する考え方について(特に、憲法第五十六条第一項の「出席」に関する議論を中心として)について、各会派の総括的な意見表明を行います。 各会派一名ずつ、各八分以内で御意見をお述べいただきます。時間が超過した際はベルを鳴らしますので、あらかじめ御承知願います。 また、御発言は着席のままで結構でございます。 なお、本日は氏名標をお立ていただかなくて結構でございます。 それでは、御意見を順次お述べいただきたいと存じます。 西田昌司君。
○西田昌司君 自民党の西田昌司でございます。 まず、今国会において、憲法に対する各会派による意見表明、続いて、憲法第五十六条第一項の出席の概念とオンライン出席について、さらに、二名の参考人からの意見聴取と質疑応答、事務局側からの論点整理に関する説明など、参議院憲法審査会が円満に開催されてきたことを大変うれしく思っております。全ての与野党幹事の皆様の御尽力、御協力のたまものと深く感謝申し上げたいと思います。 さて、新型コロナウイルス感染症以上に感染力、病毒性の強いウイルスの感染拡大により、参議院議員が本会議場に集まることができず、また、最悪の場合には、定足数である三分の一を切ってしまい本会議が開催できないことも想定しなければなりません。 東日本大震災の際には国会を開催できました。しかし、南海トラフ地震や首都直下型地震が発生すれば、これまでの自然災害を上回る巨大災害の発生が高い確率で想定されます。これにより、交通の大動脈が分断され、多くの参議院議員が本会議場に集まることができないということも想定されます。 また、ロシアによるウクライナ侵略は、力による一方的な現状変更が現実に起こり得ることを我々に示しました。ウクライナ国会は、緊急事態の中、審議を続けており、戒厳令の承認や不動産の補償などの立法や議会承認を行っています。ウクライナは憲法により緊急事態時の国会議員の任期延長が規定されていますが、有事の際にも立法機能を維持することの重要性が改めて示されたものと考えています。 こうした状況を直視すれば、感染症の感染拡大や未曽有の自然災害、有事の際にどのように立法機能を維持確保していくかという観点は極めて重要であります。 そして、このことを踏まえれば、参議院憲法審査会において憲法五十六条一項の出席とオンライン出席、特に緊急事態時の、ついては議論を深めることができたということは非常に極めて画期的であったと認識をしております。 さらに、妊娠、出産や重い障害など個人の個別的事情による場合のオンライン出席についても議論が深められたことは、多様な声を国政に反映させるという参議院らしい意見交換であったと考えています。 そこで、ここまでの議論を踏まえれば、憲法五十六条一項の定足数の規定にある出席概念は、当然に議場に物理的に存在することを意味すると解されてきたものの、近年の情報通信技術等の著しい発達に伴い可能となってきたオンライン出席についても、確実な本人確認、成り済ましの防止などにおいて物理的出席同様になれば出席と解釈し得るし、また、緊急事態時の立法機能維持のためのオンライン出席、あるいは議員個人の個別的事情による場合のオンライン出席でも、憲法五十八条によって各議院に付与されている議院自律権に基づけば、必ずしも憲法を改正しなくともよいのではないかと考えています。 ただし、議院自律権の行使が基本となることから、現行憲法下で認め得る条件の範囲の制約があります。そして、何よりも国民の理解を得ることが極めて重要となります。 緊急事態が発生した場合の機能維持のためのオンライン出席については、具体的に、権限の行使、これは表決や指名、質疑、動議の全てに認めるのか、一部のみなのかということや、様態の範囲、これは場所や、この参議院規則には「議長は、衛視及び警察官を指揮して、議院内部の警察権を行う。」という規定がありますけれども、こうした警察権の権限の限定はあるのかということや、位置付け、これは例えば例外的か一時的なものなのかということや、限界、つまり全員がオンライン出席でも可能なのか、一部についてなのかなどについて、国民的議論を広げて理解を得なければなりません。 議員個人の個別的事情による場合についても、緊急事態時と同様、権限行使や様態の範囲、位置付けや限界に加えて、オンライン出席を認める個別的事情の範囲、これは例えば妊娠、出産、育児、障害、疾病等、さらにはスケジュール調整上の理由まで、どのようなものが認められるかということについても国民の理解が必要だと思います。 同時に、オンライン出席の実現に向けては、物理的出席同様、確実な本人確認、成り済ましの防止、さらに憲法五十七条の公開原則の確保の関係等から、技術的、実務的課題を解決することが求められます。 そこで、国民からの理解や、技術的、実務的な整備に関連する課題については、官民問わずオンライン方式がここまで世間に広がってきている中、前向きに対処すべきであります。ウクライナのゼレンスキー大統領の国会演説や参議院改革協議会での参考人からの意見聴取がオンラインで行われておりましたように、まずは調査会や委員会における参考人の意見聴取、さらに質疑での活用などに進めていき、そのための環境整備を行ってはどうかと考えます。 なお、緊急事態対応については、世界の多くの国は憲法に緊急事態条項が記されています。緊急事態時のオンラインでの出席や投票については、先ほど申し上げたとおり、議院運営規則の改正での対応は可能と考えますが、緊急事態対応はこれのみではありません。大災害や感染症のパンデミック、戦争状態、大規模テロ発生時などの緊急事態に直面した場合、どのように立法機能を維持して国民を守り、社会を維持していくかという視点を持って、統治機構の運用を憲法上に規定する緊急事態条項について議論することが是非とも必要であります。したがって、オンラインでの出席や投票についても、国民の理解を得るためには、本来憲法改正で明確にしていくことがより望ましいのではないかと考えます。 以上、我が会派の総括的な意見を述べさせていただきました。 引き続き、合区解消・地方公共団体や緊急事態対応などの議論すべき課題についてしっかりと議論を前に進めていき、国民の皆様の理解を深めていっていただくことこそ、国会、参議院憲法審査会の責務であるということを申し上げて、私の発言を終わります。
○会長(中川雅治君) 小西洋之君。
○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之です。会派を代表して、国会におけるオンライン出席と憲法第五十六条との関係について見解を述べます。 憲法五十六条の出席の考え方については、従来、現に議場に存在していることを当然の前提として国会法や議院規則の規定が定められてきたところです。 まず、国会の議会としての意義、すなわち、全国民を代表する議員が一定の場所に集合し、国政の重要事項などについて国民に見える形で討議を行い、熟議に基づき最終的には多数決により意思決定を行う合議制の機関であるということや、憲法五十六条一項が定足数の原則を定めている趣旨を踏まえると、同条の出席については現に議場に存在していることを基本とすべきと考えます。 しかし、憲法前文に「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」と定める国民主権原理及び間接民主制原理の下において国政の中心的地位を占めるのは国民の代表機関である国会であり、国会の定める法に基づいて国政が行われることによりその民主的正統性が確保されるものであること、そして、憲法四十一条において「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」と定め、憲法五十四条二項において参議院の緊急集会が定められていることを踏まえると、緊急事態においても、できる限り国民の代表機関である国会の機能が維持及び確保され、国政における民主的統制を図ることが求められていると考えます。 また、憲法四十三条の全国民の代表として位置付けられる国会議員は、議会に出席し、発言し、表決権を行使する義務と権利を有しており、これらを行使する機会が確保されるようにすることが必要とも考えるところです。 このように、国民主権原理及び間接民主制原理の下において、国政の民主的正統性を確保する観点及び国会議員が全国民の代表としての権能を行使する機会を確保する観点から、必要最小限度のやむを得ない事情があると認め得る場合には、物理的な出席と同等の議会への関与と評価し得る状況にあることを条件として、例外的に、憲法改正によることなくオンラインによる出席を憲法五十六条一項の出席として解することも許容され得ると考えます。 このやむを得ない事情としては、感染症の蔓延や大規模災害による交通途絶などにより、議会の機能の維持そのものが困難となっている場合に限られるものと考えます。 このような憲法五十六条の出席の解釈の範囲内において、すなわち、五十六条の規範の範囲内において対象とし得る具体的な要件や方法については、憲法の範囲内で各議院に認められている議院自律権に基づく議院運営に関する事項に関する判断として、各議院の議院規則によって、あるいは、両議院にまたがるものなどについては国会法において具体化し得るものと考えます。 また、委員会におけるオンライン出席についても、我が国の議会制が委員会中心主義を採用していることを踏まえると、本会議に準じて考えていくべきものと考えるところです。 もっとも、このような憲法解釈を取り得る前提としては、これまでの本審査会における議論においても指摘されたとおり、主権者である国民の立場、全国民を代表する国会議員としての立場、合議体である本会議又は委員会における他の国会議員の立場の各々の観点から物理的な出席と等価値と言えるものであることが必要であり、そのためには、一、物理的な出席と同程度の双方向性などが確保される仕組みやセキュリティーの確保、二、オンライン出席議員の本人性や権限行使の真正性の確保、三、憲法五十七条に定める会議の公開性原則を充足し得るオンラインによる出席や権限行使の状況の公開の在り方など、様々な課題をクリアすることが必要であると考えます。特に、本人性、真正性の確保については、AI技術などによる成り済ましなどの懸念が指摘されているところであり、十分な検討が必要であると考えます。 また、オンライン出席議員の権限行使の範囲や方法、特に表決権の行使を具体的にどのような方法で行い得るのか、現在場所の限定や範囲をどのように考えるのかなど、オンライン出席の実施に当たり検討すべき課題は数多く、具体的な制度設計に際しては慎重かつ丁寧な議論が必要と考えられます。 なお、妊娠、出産、病気、障害などの真にやむを得ない事情を抱える議員について、議員本人に過剰な負担を生じさせないことを前提としてオンライン出席を認めるべきであるかについては、上述の一から三などの条件を満たす場合であれば認められる余地があり得るものと考えられます。 以上、オンライン出席に関する現時点での会派としての見解を申し上げました。 最後に、これに付言して一言申し上げます。 我が会派は、衆議院憲法審のように見解の取りまとめを多数決で行うことに慎重な意見を表明しました。憲法解釈は論理によって定まるものであり、特に本件においては具体的な制度設計において更なる解釈の論究が求められるものであるからであります。 他方、衆議院憲法審においては、憲法五十六条出席の具体的解釈を何ら示すことなく、憲法五十八条の議院自律権のみを根拠にオンライン出席を容認する文書を多数決で議決し、議長、副議長に報告しています。 前回の私の発言で申し上げましたように、我が審査会の参考人の赤坂幸一先生は、議院自律権によるルール形成は、憲法典の定めるルールの枠内でしか認められませんとの見解を示され、衆院憲法審の高橋和之先生は、議院自律権は運用の柔軟性を認める根拠とはなるとしても、憲法条文の解釈の柔軟性を認める根拠とはなりませんとの見解を陳述され、結果として、衆参の憲法審査会に招かれた四名の憲法学者の全員が衆議院憲法審の報告文書の議院自律権の扱いは憲法上の問題があると述べられています。すなわち、議院自律権の濫用であるとの旨を述べているのであります。 まさに、最高法規憲法にこのような扱いを行うことは国を誤る行為であり、その元凶たる衆議院憲法審の改憲ありきの毎週開催は、憲法を軽んじる行為であると言わざるを得ません。 また、最高法規憲法の議論は、文字どおり政治家が政治生命を背負って行うべきであるにもかかわらず、我が憲法審からの当該文書の説明の出席要求を拒否するなどした衆議院憲法審の自民党は、立憲民主や一部野党会派による毎週開催への慎重、反対の見解を重く受け止めるべきであります。 また、衆院憲法審の緊急事態条項の議論も、二院制における参議院の存在意義の一つである参議院緊急集会の権能などの在り方を勝手に議論しているものであり、到底容認できません。 良識の府の立場から、衆院憲法審の在り方に警鐘を鳴らし、深い憂慮の念を表明して、今後とも立憲主義に基づく憲法論議を全うする決意を申し上げ、私の代表意見といたします。 一言、先ほど西田幹事の見解表明を伺いまして、衆議院の自民党とは違う議院自律権の考え方を表明されていることは、良識府の在り方として、もう本当に心から敬意を表する次第でございます。
○会長(中川雅治君) 平木大作君。
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。 会派を代表して、憲法第五十六条一項に定める出席を中心に意見を述べさせていただきます。 新型コロナ感染症のパンデミックは、国会機能の維持と審議、表決の在り方について再考を迫るものとなりました。 繰り返す変異のたびにまるで全く新しい新種の感染症であるかのように我々の前に立ち現れる新型コロナウイルスを前にして、国会においては、座席の配置から氏名点呼の速度に至るまで、検討を重ね、試行錯誤を続けてまいりました。幸いにもこれまでのところ、憲法第五十六条一項の定める総議員の三分の一以上の出席という本会議開催の要件成立が懸念される事態には至っていないものの、次なるパンデミックの脅威、首都直下地震、周辺国の紛争など、今後起こり得る危機によっては国会が機能不全に陥る状況も想定しなくてはならない現実を突き付けられております。 一方、社会に目を転じますれば、オンラインでつながることで、働く時間、場所を問わない働き方革命が静かに進行しております。毎日通勤電車に体を押し込み、顔を突き合わせて働くことをやめ、地方に移住する流れは、戦後初の東京からの転出超過として、既に数字にも表れてきております。オンラインの活用は市民権を得、新たなスタンダード、常識となりつつあるのであります。 本日の議題である憲法第五十六条一項に定める出席の概念について議論を尽くし、一定の結論を得ておくことは、危機に際して国会が取るべき迅速、適切な手段を準備しておくことにほかならず、まさに国の唯一の立法機関であり、全国民を代表する国権の最高機関である国会に課された責務であると考えます。 会派としての見解を述べさせていただきたいと思います。 私たちは、一定の要件の下で例外的にオンラインを活用して本会議を開催し、表決を行うことは憲法上も許容されると考えております。その最大の論拠は、前述したような国家の危機と言えるような事態にこそ国会は必要な予算と法律を速やかに成立させ、政府に対し適時適切な対応を求めなければならないということであります。 国会機能の維持という点に重きを置く中で、情報通信技術の進歩がそれを可能にし、同時に、その活用について社会における理解と受容が進んできたことが挙げられます。その上で、衆参両院における参考人質疑で御指摘のあった憲法第五十六条の準則としての性格、つまり、文言によって結論を明確に方向付けようとする性格については重く受け止めなくてはいけません。 具体的には、出席という概念は、憲法第四十三条に規定される全国民を代表するという国会議員の職責と切り離して議論することはできないとするものであります。すなわち、個々の議員が現に議場において会議に出席することによって初めて議会として全国民を代表することができるという近代議会政治の原則を踏まえれば、今後も議場への物理的な参加が原則であること、そして、例外的にオンラインでの審議が認められるのは、大規模災害やパンデミックの発生など、議場への参集自体が困難であることが誰の目にも明らかであり、オンラインでの出席を認めない限り国会としての最低限の機能も果たすことができない場合に限られるべきというものであります。 ここからは、オンライン国会実施に向けて詰めておくべき論点について、幾つか言及をさせていただきたいと思います。 まず初めに、議員の多くが議場への参集が著しく困難な状況であることの認定についてであります。 可能な限りの客観性を担保しようとすれば、両院の議院規則等でオンライン国会の実施の要件と手続を具体的に定めておくことが理想であります。しかしながら、非常事態の全てについてあらかじめ予見しておくことは難しく、要件や手続を具体的かつ厳格にすればするほど、いざというときに実施の妨げとなる懸念も残ります。参考人質疑の中でも示されたように、議院運営委員会のような各会派の代表者が集う場において開催の是非や運営の仕方を決めることができるとして、言わば余白をつくっておくことも検討に値すると考えます。 次に、当然の要請として、憲法第五十七条一項の公開原則に反することがないよう、会議の公開性、可視性が確保される方途が検討されなくてはなりません。加えれば、システムのセキュリティーや投票の真正性の確保についても同様であります。 ただし、ここで、オンラインで出席する議員が会議にアクセスするための場所をあらかじめ限定すべきとの見解については、慎重な検討を求めたいと思います。 例えば、議員会館や宿舎などにアクセスを限ることで議員の本人確認や議決権行使の際の一身専属性、さらにはシステムセキュリティーを担保する有力な手段となることは間違いありません。しかし一方で、これまでに示した懸念同様、非常事態発生時に指定された場所がどのような状況となるかを予見することは難しく、仮に指定場所の損壊が原因で国会機能の維持が妨げられることがあれば本末転倒であります。真正性やシステムセキュリティーの課題については、他の技術的なアプローチによって解決すべきと考えます。 なお、憲法第五十六条一項はあくまで本会議の定足数を定めたものであり、委員会での審議、表決にオンラインでの参加が認められるかどうかは国会法と議院規則に委ねられていると考えます。委員会審議のオンライン化を先行して進めることで、まずは公開性や本人確認、セキュリティー等、技術にひも付く課題をクリアしていくことも今後の憲法論議を深めるための一案ではないでしょうか。 併せて検討すべき論点として、例えば出産や妊娠、障害、疾病のような議員個人の心身の状態を理由とするオンラインでの出席を認めるべきか否かという問題があります。 大規模災害やパンデミックを想定したここまでの議論からいえば、個人的な事情に基づくオンラインでの出席は認められないことになります。実際に、議場に参集できない個人的で内面に係る理由まで認めてしまえば、一堂に会して闊達な議論を行うという原則がなし崩し的に損なわれ、歯止めが掛からなくなる懸念を拭い去ることができません。 一方で、個人的な事情であっても、妊娠、出産を理由とする場合についてはオンラインでの参加を認めるべきとの意見も党内では一定の支持を集めております。背景として、世界経済フォーラム、ジェンダーギャップ指数に表れるとおり、女性の活躍、なかんずく百五十六か国中百四十四位に沈む政治分野における女性の社会進出の障害を取り除くことが喫緊の課題であることも挙げられます。 まだ議論として詰め切れていない部分はありますが、我が国最大の課題とされる少子化関連問題は大規模災害やパンデミックと同等の危機と位置付け、例外的な対応を取ることについては世間の理解も得られるのではないかと期待をするところであります。 この点も含め、各会派と今後前向きな検討を進めていきたいということを申し上げて、会派としての意見表明を終わらせていただきます。
○会長(中川雅治君) 足立信也君。
○足立信也君 国民民主党・新緑風会の足立信也です。 憲法に対する考え方について、まず憲法審査会と参議院改革協議会との関連で述べたいと思います。 憲法審査会は、国会法第百二条の六、「日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査するため、」と記載されております。 広範かつ総合的な調査の参考として、平成十七年、二〇〇五年四月、参議院憲法調査会報告書があります。 そこに記載されている共通認識として、一、二院制の堅持、二、両院の違いの明確化のための、参議院改革の必要性及び選挙制度設計の重要性、三、参議院議員の直接選挙制の維持、四、参議院が自らの特性を生かして衆議院とは異なる役割を果たすべきこと、例として、長期的・基本的な政策課題への取組、決算審査及び行政監視・政策評価の充実など、五、現行憲法の衆議院の優越規定はおおむね妥当であり、両院不一致の場合の再議決要件の緩和には慎重であるべきこと等が挙げられております。 また、今後積極的に検討すべき問題として、一、参議院と政党との関係、例として、党議拘束の緩和、参議院から閣僚を出すことを含んでおります、二、参議院の構成・選挙制度、三、会期制、四、予算、特定の条約・法案等の参議院における審議の簡略化、五、参議院が独自性を発揮すべき具体的分野等に関わり、会計検査院の位置付け、同意人事案件、司法府との関係、国と地方の調整、憲法解釈機能・違憲審査的機能を挙げております。 広範かつ総合的な調査の一例として、報告書の概要は理解すべきであると考えます。と同時に、まさに参議院改革協議会では、参議院の在り方とその在り方に資する選挙制度という観点で議論されており、憲法に対する考え方としてこの取りまとめを憲法審査会は参考にすべきであると考えます。 本日の主題である憲法第五十六条第一項の出席に関して意見を申し上げます。 憲法には、出席という文言が六か所存在します。衆議院では、議員の本会議出席に限定した議論に近いと聞き及びますが、内閣総理大臣その他の国務大臣の出席も委員会その他の会議の出席も同様に解釈すべきと考えます。 出席は、基本的に物理的出席ですが、オンライン等の機能的出席も排除されるものではないと考えます。また、議員以外の出席については、記載されていないと考えております。 それでは、排除されない機能的出席とは何を意味するかと考えれば、まさに物理的に出席し得ない状況でのオンライン出席であると思います。それは、全議員に及ぶものと議員の個別的事情によるものに大別されます。全議員に及ぶ物理的に出席し得ない状況とは、まさに緊急事態です。緊急事態においても三権の機能を維持するため、そして権限が過剰にならないように、憲法への明文化が必要と考えます。 そして、緊急事態とは何かについても明文化すべきと考えます。法律で対応可能との意見もありますが、憲法による規定の例外を規定するには、やはり憲法で対処すべきであると考えます。 現行憲法には、法律で定めるという条文が二十五か所、単語数は僅か四千九百九十八文字しかありません。政府解釈の積み重ねと変更を繰り返してきました。このことは、三権分立とはいえ、内閣の権力強大を招いており、明文規定をする必要性が高いと考えます。 憲法第五十四条に、「内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。」、また、国会法第九十九条に、「議員は、前項の指定された集会の期日に参議院に集会しなければならない。」と書かれています。この緊急の必要があるときと緊急事態とはどう違うのか、出席と集会はどう違うのかについても議論が必要と考えます。 緊急事態での三権の機能維持としては、立法府においては解散権、議員任期、機能的出席等が挙げられます。行政府においては権限の限界、内閣総辞職等が挙げられると思います。司法においては緊急事態下における行政上、立法上の憲法適合性の審査が必要と考えます。 議員の個別的事情による場合は、憲法上、機能的出席が排除されないことを考えると、法律で定めるべきと考えます。その際、あらかじめ物理的出席がかなわない理由を届け出て、各会議で対策を講じるべきと考えています。 以上です。
○会長(中川雅治君) 柴田巧君。
○柴田巧君 日本維新の会の柴田巧です。 出席に関する議論を中心として、憲法に対する考え方、並びに今後の憲法審査会の進め方について意見を表明をいたします。 今国会で、この審査会はこれまで三回開かれてきました。前国会まで長らく開かずの扉で固く閉ざされてきた当審査会において、憲法第五十六条第一項を中心に条文についての具体的な議論が深まったことは一定の評価をいたします。そして、本日、このように具体的なテーマで総括的な意見表明が行われることは大きな意味があると考えます。 しかしながら、一つのテーマについて議論が終えようとしているのに、意見の取りまとめが行われないのは極めて遺憾です。議論を重ねた後、一つの結果を導き、それを新たな制度改正などにつなげていくべきです。ただ意見を述べ合っているだけでは意味がありません。意見集約をせず、言いっ放しで終わるなら、高い税金を掛けた大いなる井戸端会議だとやゆされても仕方ありません。 この審査会に参加している多くの会派の間に、参議院選挙を前に、できれば憲法を争点化したくないという思惑があるのなら、大変ゆゆしきことです。選挙前だからこそ、国民の前であるべき憲法を論じ合い、それに向けてどうすべきか真摯な議論を重ね、結論を見出していくことが重要です。 そのためにも、憲法上の論点について一定の考え方を示すという機能をこの審査会が積極的に果たしていくべきです。そして、何らかの形でこれまでの議論を重ねた結果を取りまとめ、この審査会としての考え方を明らかにすべきです。必要ならば、民主主義の原則である多数決によって結論を出すという作業をいとうべきではないと考えます。 今、コロナ禍にロシアによるウクライナ侵略も加わり、国民の生命、財産、我が国の平和と安定を脅かす重大な国家的課題は山積をしています。いずれも憲法論議と切り離すことはできません。予算成立までは審査会を開かないというあしき国会の前例に盲従した挙げ句、また開くにしても隔週というのはもはや許されないのではないでしょうか。このままでは、参議院は要らないと指摘されても胸を張って抗弁できないのではないかと思います。 このことをまず強く申し上げ、出席を中心に憲法に対する意見を以下申し上げます。 今般の新型コロナウイルス感染症の蔓延は、国会議員が議場に参集できず、そのため定数に達しなければ開会も議決もできないという深刻なリスクを包含しています。また、南海トラフ地震や首都直下型地震、そして富士山の大噴火など、これまでの自然災害をはるかに上回る巨大災害の発生が高い確率で想定されています。さらに、今般のウクライナの例を挙げるまでもなく、我が国もいつ何どき他国から軍事的な攻撃を受けるかもしれません。 しかし、現行憲法には、こうした国家有事となる緊急事態に対応するための規定が存在をしていません。特に、緊急時に国会をいかに機能させるか、立法府が平時から議論、検討し、必要な素地を準備をしておくことは当然です。そういう意味でも、定足数が不足することの課題を解決するためにオンライン審議を認めることは不可欠と考えます。 この審査会での参考人質疑でも、九州大学大学院の赤坂幸一教授は、本会議へのオンライン出席は緊急事態時などごく限定的にのみ認められると指摘をされました。また、早稲田大学大学院の長谷部恭男教授は、国会機能の維持ができない極めて例外的な事情がある限り、必要最小限の範囲内で認められるべきと主張されました。 多くの議員からも、憲法第五十六条一項の出席は、原則的に物理的な出席と解すべきではあるものの、緊急事態の発生時において本会議開催が必要にもかかわらず定足数に達していない場合は、国会機能を維持するため例外的にオンライン出席もあり得ると解釈し、オンライン審議を議院自律権によって可能にすることができるという意見が表明をされました。このような多くの意見も踏まえ、国会は本会議でのオンライン審議実現に向けて歩みを進めていく必要があります。 さらに、常任委員会のオンライン出席についても議論を深めていくべきと考えます。確かに、審議の公開の在り方、議員本人の確認方法、表決の公正性の確保、セキュリティー対策など乗り越えなければならない事項は尽きません。具体的な方策については議院運営委員会等での十分な検討が求められることは言うまでもないと思います。 また、個々の議員の事情、例えば女性議員の妊娠、出産時、また病気の場合なども、議員の表決権を確保する意味でオンライン審議を認めるべきという論点も今後の課題とすることが望ましいと考えます。 一方、国会のオンライン審議が実現すれば、地方議会の本会議のオンライン開催にもつながるものと考えます。地方において感染爆発や大規模自然災害などが発生した場合、議員定数の少ない地方議会が本会議の定足数、定数の半数以上を割り込む可能性が出てきます。そうなれば、予算や条例を議決する本会議が開会できず、行政の停滞が起きてしまいます。 地方議会では、委員会でのオンライン審議を導入した例はあるものの、本会議では実現していません。地方自治法が定める出席は、現に議員が議場にいることだと国が通知しているからです。国会がオンライン審議の実現に向けてかじを切れば、この通知が見直され、地方議会の動きを加速させるものと思います。 とにかく、いかなる事態においても国会の機能を止めてはなりません。緊急時にこそ議論すべき事柄は多くなります。ゆえに、この審査会での議論を踏まえ、有事の際にも国家機能を麻痺させない手だてを準備すべく、作業を本格化すべきであると強調しておきます。 さて、出席の概念、国会のオンライン審議といったテーマが終われば、直ちに緊急事態条項を集中的に協議すべきです。繰り返しになりますが、コロナ禍において様々な課題が浮き彫りになりました。さらに、ロシアのウクライナへの侵攻によって、国家の有事が起きた際に国民の生命、財産を守り社会を維持するための緊急事態条項を議論することは、まさに喫緊の課題となったと思います。 国会の機能維持の観点から、議員任期延長の問題をテーマに憲法改正の議論を進めていくことはもちろん重要ですが、特に優先すべきは公共の福祉の制限の仕方とか私権を制限した場合の補償の問題です。なぜならば、国民の暮らしに直結するからです。 ほかにも、緊急事態をめぐる課題は多岐にわたります。だからこそ、毎週定例日にはきちんとこの審査会を開催し、緊急事態条項について活発な議論を行い、意見を集約していくべきです。 我が党は、憲法改正の是非を問う国民投票を一日も早く実施すべきだと一貫して訴えてきました。現行憲法は国民投票を経ていません。真に憲法を国民の手に取り戻すため、憲法改正草案を取りまとめ、国民の判断を仰ぐべきです。国民投票は日本の民主主義を成長させる大きなエンジンになると確信をしています。 以上申し上げて、私の意見表明といたします。 ありがとうございました。
○会長(中川雅治君) 山下芳生君。
○山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。 会派を代表し、憲法五十六条一項の出席に関する議論について、総括的な意見を表明します。 意見表明の前提として、憲法審査会の運営の在り方について一言します。 そもそも憲法審査会は、改憲原案を発議し、審査する機関であり、ここでの議論を進めることは勢い改憲案のすり合わせに向かいます。必要もないのに改憲ありきで憲法審査会を軽々に動かすことは絶対にあってはなりません。 その立場から、我が党は本会議のオンライン出席の可否について憲法審査会で議論する必要はないと指摘してきましたが、衆議院、参議院の各審査会におけるオンライン出席の議論を通じて、この問題が緊急事態をあげつらって改憲に結び付けようとする動きにほかならないことが明白となりました。 衆議院憲法審査会において、多数決によって、憲法五十六条一項について、例外的にいわゆるオンラインによる出席も含まれると解釈することができるというのが大勢だと一方的に結論付けました。憲法の個々の条文の解釈を多数で確定させるなどという乱暴極まるやり方であり、断じて認められません。これは、憲法審査会の越権行為と言わなければなりません。にもかかわらず、こうした衆議院の乱暴なやり方を受けて、参議院でもオンライン出席を議題とすること自体が大問題と言わなければなりません。 自民党が主張する緊急事態的状況下におけるオンライン出席については、我が党の山添拓委員が述べたように、新型コロナの感染拡大が繰り返す下でも、定足数である三分の一の国会議員が参集できない事態は生じていません。一九九五年の阪神・淡路大震災、二〇一一年の東日本大震災のときも、同様に、そのような事態は生じませんでした。 衆議院で高橋和之参考人は、本会議へのオンラインでの出席、表決を必要とする具体的事実はないと明確に述べました。当審査会での赤坂幸一、長谷部恭男両参考人の意見も、オンライン出席を必要とする場面は極めて限られるという前提に立った慎重なものでした。 現在、国会のコロナ対策は、議院運営委員会において、マスク着用の徹底や委員会室の座席配置の変更など随時行われており、引き続き議運で対応すれば事足ります。また、オンラインを審議にどう活用するかは参議院改革協議会においても検討項目に挙がっており、憲法審査会で議論する必要性はありません。 日本国憲法第四章は、国会議員は全国民の代表であるとし、その地位の独立と国会における自由な発言と表決を保障し、本会議において、会議公開の原則の下、議員同士が相互に認識できる議場に出席し、議論を尽くして表決することを要請しています。これらは国民主権と議会制民主主義の大原則です。 衆議院で高橋参考人は、憲法五十六条一項はルールを定めた規定であり、厳格に解釈すべきだと述べ、それが立憲主義の約束事であるとの認識を示しました。また、この規定は、会議体を成立させる最低限の要件として、少数者を保護し、あるいは権力の濫用を防止するために置かれたものだと指摘しました。 国会も国家権力の一つであり、多数派による立法権の濫用、暴走を防ぐ上で条文解釈は厳格になされるべきです。我々国会議員が条文解釈を厳格に行うことこそ立憲主義を守る道であります。結局、今回の緊急事態をあげつらってのオンライン出席の問題は、危機に乗じて改憲に結び付けようとする議論にほかなりません。 高橋参考人は、極端な事例を出せば出すほど誰か一人に権限を全面的に集中するしかない、かえって危険の方が大きくなると指摘し、緊急事態を理由にした改憲を戒めました。この指摘を真摯に受け止めるべきです。 新型コロナ対応と憲法に関わっては、二〇二〇年七月と二〇二一年七月、野党が求めた臨時国会召集要求を安倍内閣、菅内閣が拒み続けたことに触れざるを得ません。 憲法五十三条は、「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」としています。二〇二〇年六月十日の那覇地裁の判決は、憲法五十三条後段の内閣の臨時会の召集は、憲法上明文をもって規定された法的責務であり、内閣に認められる裁量の余地は極めて乏しいと述べています。その控訴審である二〇二二年三月十七日の福岡高裁那覇支部の判決でも、内閣は召集のために必要な合理的期間内に国会の臨時会の召集をすべき憲法上の義務を負うと述べています。安倍内閣、菅内閣の召集義務違反は、憲法違反の権力濫用です。 コロナ禍という緊急事態の対応において、臨時国会召集拒否という権力濫用の事例がある中で、権力の濫用を防止するために置かれた五十六条一項の出席要件を緩めることは極めて危険です。そもそも、コロナ禍での臨時国会の召集義務違反に一片の反省もない政府・与党に緊急時の本会議のオンライン出席を論じる資格はあるのでしょうか。 なお、出産、疾病等により物理的な出席が困難である場合のオンライン出席を認めるべきだとの議論がありますが、この問題では高橋参考人が、権力の濫用につながる憲法五十六条一項の出席の原則を緩めることなく国会での議員活動を確保するため、様々な便宜を実質的に実現する制度設計は幾らでも可能であると述べ、当審査会で我が党の吉良よし子議員は、自身の妊娠、出産の経験を踏まえ、産前産後など国会への出席が困難なときに必要なのは、提出された法案などに対する自らの立場や意見を議事録等に残してもらうことだと述べました。これは、国会法や議院規則を変えることで実現可能です。 最後に、前回の審議で自民党の複数の委員が、本会議のオンライン出席の可否の議論を超えて、憲法を改定し緊急事態条項を加えることや、自衛隊を明記することの議論に踏み込みました。憲法審査会を動かせば、次々と自民党の改憲項目のすり合わせに向かうことが明らかとなりました。コロナ禍、ロシアによるウクライナ侵略という危機に乗じて改憲論議を加速しようとしているとしか思えません。 しかも、その内容は、岸田政権が検討する、相手国の領空に入っての爆撃も排除しない敵基地攻撃能力の保有、自民党安全保障調査会が提言した、基地に限らず相手国の中枢機能を攻撃する能力の保有にとって邪魔になる憲法九条を改定するものです。このような改憲は、国民多数の願いとも、国連憲章に基づく平和の国際秩序とも相入れません。 憲法審査会をこれ以上動かすべきではないことを申し上げ、意見表明とします。
○会長(中川雅治君) 渡辺喜美君。
○渡辺喜美君 みんなの党、渡辺喜美です。 コロナウイルスはたったの七個で感染するという実証実験がイギリスで行われたそうであります。コロナウイルスを入れて、点滴を垂らすんでしょうかね、すごい実験やったなと思うんですが、大体五〇%の人がそれで感染をしたという報告がございます。 また、飛沫感染と最初言っていたのが、これは、まあ飛沫は二メートルぐらいしか飛ばない、けれどもエアロゾル感染というのがやっぱり主流だということが分かってきました。そのエアロゾルも、小さくなればなるほど空中浮遊している時間が長いというわけであります。 このコロナの蔓延によって、ニューノーマルもできたし、ニューアブノーマルもできました。アブノーマルの方は、典型はこのマスクでしょうね。ニューノーマルの方はオンラインだと思います。オンラインというのは、もう今や民間ではごく普通に行われている、また天皇陛下が公的行為というジャンルの式典などに出席されるのもオンラインがごく普通になってきている。 また、歴史の転換点と明らかに分かってきたのが、ロシアのウクライナ侵略であります。政治は経済に優先する、戦争は政治の延長線にあるという定石が我々の実感として分かるようになったのがこのプーチン戦争であります。 ウクライナでは、確かに、三月の下旬ですかね、国会が開会され、元気でやっているよというアピールが行われました。一方、ウクライナが結構ロシアに対して戦っている、その背景にあるのがやっぱり通信なんですね。三十そこそこの情報大臣が、イーロン・マスクに頼んでスターライトというんでしょうか、衛星の通信網をウクライナでも使えるようにしてもらったというようなことから始まって、この心理戦とか情報戦とかSNS戦とか、もうありとあらゆる領域、オール・ドメイン・ウオーフェアというんだそうですが、これを極めて上手に戦っているということが明らかになりました。 こうした事実が示すのは、やはり時代の転換期に当たって国会も、有職故実はとても大事なことなんですけれども、時代に即した転換ができるかどうかというのが問われているんだろうと思いますね。 憲法学の先生方のお話を聞きますと、有職故実がどうしてできてきたのかということがよく分かるわけでありますが、その中で私がどうしても違和感を覚えますのは、全国民の代表原理を持ってきて、これをリプレゼント、だから、この前提がプレゼント、出席なんだと言うに及んでは、ちょっと本質を取り違えているんじゃありませんかと言いたくなるんですね。全国民の代表という概念は、これは前回も申し上げましたけれども、命令委任の禁止ですよ。誰からも拘束されない、代理人ではない、代表というのが国会議員の位置付けであります。 実は、この国民代表原理というのはとっくの昔に危機にさらされているんですね。どういうことかといいますと、政党国家デモクラシーと言われるものですよ。つまり、実際に全国民の代表、誰からも命令されない、拘束されない国会議員が実は政党の代理人に成り下がっていたと。全国民の代表と政党の代理人たる国会議員というのはどういう矛盾相克があるんですかという議論を日本では残念ながら全くやらずに、政党中心主義と言われる選挙制度や政党助成金の制度をつくってしまいました。 ドイツ人は、西ドイツの頃、ボン基本法の時代にこれを徹底して議論をやりました。そして、この議論に基づいて、憲法、ボン基本法に政党条項というのを政党の定義付けとともに置いたんですね。そして、闘う民主主義、政党法を作り、ナチスと共産党を排除するという政党法を作りました。 結局、日本ではこうした議論は、特に左派の学者の先生方から、絶対にやってはならない、政党法なんかもってのほかだ、結社の自由の侵害だということから、ほとんど議論が行われずに今日に来ております。会社に会社法があるのと同じように、政党に政党法があって何がおかしいんですかということでありますが、全国民の代表という原理は、非常に貴重な近代議会制の根本原理であります。この根本原理が取り違えられないようなやり方が大事でありまして、オンライン出席を認めるというのはこの根本原理と何ら反するものではないと私は確信をいたしております。 参議院の法制局長のブレーンストーミングのペーパーにのっとって申し上げますと、緊急事態状況下におけるオンライン出席、あるいは議員個人の事情がある場合のオンライン出席、両方認めるべきでありますし、憲法改正で対応するのが筋ではありますが、議院規則改正等による対応を今すぐ行うべきかと思います。 私の方からは以上です。
○会長(中川雅治君) 以上で各会派の総括的な意見表明を終了いたします。 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後一時五十七分散会