国民生活・経済に関する調査会 第5号
- 発言数
- 64 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2021/04/21
会議録
○会長(芝博一君) それでは、ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会をいたします。 委員の異動について御報告をいたします。 昨日までに、長峯誠君並びに舞立昇治君及びそのだ修光君が委員を辞任され、その補欠として羽生田俊君、山田俊男君及び島村大君が選任をされました。 ─────────────
○会長(芝博一君) それでは、国民生活・経済に関する調査を議題といたします。 本日は、「誰もが安心できる社会の実現」のうち、「困難を抱える人々への対応」に関し、「生活基盤の安定に向けた課題」について三名の参考人の皆様から御意見をお伺いした後、質疑を行わせていただきます。 御出席をいただいております参考人は、早稲田大学法学学術院教授棚村政行参考人、よろしくお願いいたします。続いて日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員大沢真知子参考人、よろしくお願いいたします。及び、特定非営利活動法人自殺対策支援センターライフリンク代表清水康之参考人、よろしくお願いいたします。以上の御三人でございます。 この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、大変御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。 皆様方から忌憚なき御意見を賜りまして、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、棚村参考人、そして大沢参考人、そして清水参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただき、その後、午後六時までをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願い申し上げます。 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。 なお、発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず棚村参考人からお願いをいたします。棚村参考人。
○参考人(棚村政行君) ありがとうございます。本日は、参議院の国民生活・経済に関する調査会にお呼びいただきまして、本当に光栄に存じます。 私、民法を専攻しておりまして、特に家族法を研究をしております。その立場から、今日は子供の養育費の不払の問題についてお話をさせていただきたいと思います。 時間限られていますので、資料としまして、一応簡単に用意をさせていただきました。一つが養育費をめぐる問題で、私自身が、やはりこの点は改めたり検討しなきゃいけないというところを、ポイントを絞って御提案させていただきたいと思います。ちょっと声がかれていますので、済みません、聞き取りにくいかもしれませんが、それがレジュメのような資料になっております。それで、別添ということで、私自身が、養育費の取決めを促進し、履行をどうやって確実にするかという法案のようなものを少し、何というんですか、作成してみました。先生方の御参考になればということで、若干後で御説明をさせていただきたいと思います。 じゃ、早速お話をさせていただきます。 まず、養育費の不払の問題については、厚労省の二〇一六年の全国ひとり親世帯調査というのがございます。それを見てもお分かりだと思いますけど、取決めをしている母子世帯が四割ちょっとというようなことになっています。それから、受け取っている、養育費を受け取っているところが二四・三%というので、五年前より少し良くはなったんですけれども、かなり厳しい水準になっています。 今、一人親で、例えばしんぐるまざあず・ふぉーらむなんかの調査の結果を見ましても、それからひとり親の支援協会というような形のところの調査結果を見ても、コロナ禍でもってかなり厳しい、収入が減少したり、入ってこなくなるとか、それから、せっかくもらったひとり親の特別給付金みたいなものも電気、ガス、水道とかいろんな生活費で消えちゃったというのが多くなっています。要するに、どうにもならない状況が、更に厳しい状況増しているというのは先生方も一致するところだというふうに思っています。 私、民法の立場から、こういうふうに、一のところでは、そもそも養育費とか扶養料とかというものが民法、法律の中できちっと明確にされていないのがやはり今の日本の現状です。ここに書いてあるように、生活保持義務とか扶助義務とかって、先生方も法律の概念で分かりにくいかもしれませんけど、要するに、自分が例えばビーフステーキ食べていたら、子供や妻もやっぱり同じものを食べなきゃいけないというぐらい重い、自分と同程度の生活を守りましょうという重い義務になっています。それから、余力があればそれを振り向ければいいと、自分がおなかがいっぱいになったら余ったものを分ければいいというのは扶助義務という言い方をしています。 ただ、親子というのは、離れて暮らそうが離婚した後であろうが、やっぱり子供たちは親の助けが必要です。経済的にも非常に支援が必要ですけれども、それについてきちっと明文でもって定めているところは、何せ、明治民法というのは、当時はすばらしかったんですけれども、百二十年以上の前の規定が根本的なやはり下地になっています。その辺りのところをやっぱりきちっと、未成熟の子供を誰がやっぱり、お金の面だけではなくて、面倒を見ていくんだということが必要です。 それからもう一つ、同居している親と別居する親というんですかね、あるいは親権を取った親とそうでない親とかっていろんな分け方があるんですけれども、これも請求をするときにいろいろと根拠規定があります。別れた夫婦、別れても離婚前の夫婦として、婚姻費用の分担という形で子供の教育費、養育費取るというときもありますし、それから監護費用というんで、これは二〇一一年の民法の改正でようやく入った規定なんですけれども、そこのところでやはり扶養の、八百七十七条という親族一般の面倒見の扶養のところの規定、どれも使えなくはないんですけれども、やはりきちっとそこでの基準とかルールとか方法とかっていうのが定められていません。この辺りも、子供の生きる権利とか健やかに成長、発達する権利、それから教育を受ける権利、学習する権利とかっていろんなやっぱり子供の権利を実現をして、子供たちが本当に笑顔で、年寄りのために何か未来を背負わされるという、そういう話じゃなくて、むしろ生き生きとできるということへの、民法上もきちっとルール、規律、置いてほしいと。 それから三番目のところですけど、これも時間が余りないかもしれませんけれども、養育費については大分紛争があって、これは別居したときの生活費の請求、婚姻費用の請求もそうなんですけれども、非常に争いが多くなってきましたので、算定表っていう一応目安を示しましょうというのが裁判所で行われました。 ただ、これも二〇〇三年ということで、大分時間がたって、生活実態とか物価とか経済状況、こういうものを反映していないんじゃないかということですので、是非、先生方も含めまして、ほかの国は、要するに、裁判所が紛争解決のためにルールを、あるいは基準を示すんではなくて、内閣府とか関係する厚労省、文科省、それから経産省とか、要するにいろんなところが知恵を絞り合って、厚労省もそうですけれども、ガイドラインとか、そういう算定表とか、それから、今回提案するのは、やっぱり自動計算ツールみたいな形で、目安としてこれくらいあれば生きていける、それから文化的な最低限のものはもちろんできる、そして、できれば本当にゆとりを持って生活できる金額って幾らなのかということを先生方も含めてきちっと考えていただいて、それをある意味では全国で困っている人たちに対して示していくと。そうすると、紛争が起こっても、変えなきゃいけない事情があるかとか、それをやっぱり上げた方がいいのか減らした方がいいのかという議論も、家庭裁判所もやっぱり国民みんなの総意でもって決められたものだから払ってくださいとか言いやすくなると思うんですね。この辺りもきちっとやってほしいと。 それから、養育費でもめるのは、やっぱり幾ら払ったら妥当かという問題もあるんですけど、決めた後にやっぱり事情が変わってくるということは結構多いわけですね。再婚したとか、養子縁組をされたとか、一番大きいのは、今、事件では、やっぱりリストラされちゃったとか、お金が、給料が減らされちゃったと、それで変更してほしいというんだけど、変えてくれと言われている方もきついわけですよね。だから、その辺りのところも、どういう事情があれば変えられるんだということをやっぱり明確にしていく必要があります。 それから、この債務名義というところで、二のところで書かせていただきましたけれども、これもやっぱり、調停の調書とか審判とか、あるいは判決とか和解調書とか、こういう、それから公正証書というのが債務名義ということで、これがあれば強制執行ができますというものです。ただ、これについても、やはり先ほど言ったように取決めしているのが六割と。それから、父子世帯は必要もないという人もいるのかもしれませんけれども、八割近く取決めもしていないと。協議離婚が九〇%弱ですので、どんなふうに取決めをして、どんなふうに離婚した後の責任を負っているのかというのは分かりませんでした。 今、法務省で全国のウエブ調査を幾つかさせてもらって、法律以外のいろんな分野の先生とも協力して、統計データが出てました。それで、今後、ちょっといろいろとそういうデータに応じて、必要な制度、やるべきこと、明らかにしていきたいんですけれども、やっぱり身近な自治体で、離婚届だとかそういうものを配付したり受け付けたりする段階ですね、せっかく来たときに、やっぱりそういうことについての相談支援の体制ができるようにしてはどうかと。 それから、これ取決めの義務化というのは一方では重いことになるので、DVだとかいろんなことを抱えてもう早く別れたいという方にとっては負担になる可能性もあります。ただ、これについてはやっぱり少し考えなきゃいけない。 それから、養育費について、先ほど言いましたけれども、何らかの形でこの債務名義にするのを、裁判所か公証人か使わなければ駄目だということになると、結構皆さん敷居が高いんですよね。ですから、この辺りのところも少し検討してはどうかと。 特に、身近な自治体での支援というところは、ここに書いてありましたけれども、簡単に済ませますけれども、やっぱり相談支援体制、それから情報提供、それから親ガイダンスとか、こういうようなことについても少し教育、啓発みたいなことを、意識を少し変えてもらうとか、そんなことがやっぱり必要になってくる。 それから、協議離婚制度については、先ほども言いましたけれども、養育計画とか、それから親ガイダンスとかいろんなものをやりながら、お子さんのことについての取決めをうまく促進する、あるいは話合いができない人たちは、例外的に話合いをしなくても要するに決められる、あるいは家裁の方に誘導して早く解決できるとか、少し工夫が必要だと思います。 いずれにしても、ここに、ちょっと三ページのところはもう駆け足で行きますけれども、一番やっぱり大事なのは、今の調査結果を見ても、裁判所も弁護士さんも幾ら掛かるか分からないとか、敷居が高いことはもう間違いないんですよね。そうすると、むしろ行政とかそういうところが、きちっと養育費についての取決めとか、あるいは決まったことをちゃんと守らせるということで、専門部署みたいなものをやっぱり置いていってはどうなのかなというようなことをちょっと考えます。後でちょっとお話しします。 それから、そのほかの民事法の立場からすると、やっぱり別居ということが起こって、大体相談を見ると、問題が起こって、別居中の紛争というのが七割ぐらいかなり深刻なんですね。離婚した後の紛争というのも三割ぐらい深刻になっていくんですが、五年とか時間が少したってくるとまあ落ち着いてくるという傾向があります。そうすると、やっぱり法定別居制度みたいなものを少し検討して、別居している間の紛争の解決、あるいは社会的な手当てとか、それから公的給付との、私的な養育費とか債権との相互の関係を少し整理をした方がいいのかなと。そういう意味では、法定別居制度みたいなものは検討してはどうか。 それから、できる範囲のところなんですけど、やはり住所が、養育費相談支援センターとかいろんなところへ行きますと、やっぱり住所が分からない、それから、強制執行だとかいろんな手だて、どんな書類を集めたらいいか分からないとか、そういうかなり入口のところとかやり方の問題でかなり悩まれています。ですから、その辺りも非常に、今ある制度をもう少し工夫してはというのがこの提案です。 それから、履行勧告、履行命令制度ももうちょっと実効性を高める必要があると。 四のところで書いたのは、一番最後の方なんですけど、養育費の不払に対してどういうふうに日本は取り組んでいったらいいだろうかというときに、北欧の国々は、ある意味では、立替払制度というんで、子供の問題は社会や国で責任を負おうと。教育だって無償ですしって、手厚いんですね。ただ、あそこは、やっぱり国の規模が小さいのと、高福祉高負担というんで国民のコンセンサスがかなりできているところなので、社会保障の一環としてこの問題を解決しちゃいましょうということは比較的やりやすいと思うんですね。 ところが、アメリカとかイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、英米の国々ですと、基本的には個人や家族、これが取れるものはやはり是非取って、その取る取り方とか決め方を応援しましょうと。これはかなり強力にやりますので、居どころを探して取決めをさせて、決まったことを払わなければ刑務所に入れると、犯罪としてですね。それぐらい徹底しているわけです。 お隣の韓国は、実は二〇一五年までは養育費の取立て、受領率は日本より悪い一七%しかなかった。ところが、この問題は非常に深刻であると、一人親だけではなくて子供の貧困の問題を解決しないといけないというので、養育費履行管理院というのと、かなり英米型の強制徴収強化型というのを導入して、それでもつなぎで足りないときには一時的な養育費緊急支援サービスと、こういうのを導入しました。額は、残念ながら月二万円ぐらいですごい安いんですね。だけれども、日本なんかは、是非、一生懸命取ろうと思って頑張っても取れない人たちのために、立替払型か緊急支援型か分かりませんけれども、是非そういうものをつくってもらいたいと、こういうことです。 私の私案のところを簡単に説明します、もう二分しかありませんので。 先生方に、法律家なので、法律の条文を作るとか構想するのは結構できるんですが、ただ、やっぱり子供の問題は実はもう本当に最優先課題であって、今日出ているテーマ、全て非常に重要なテーマだと思いますけれども、これをやっぱり国としてもしっかりと実現していかなければいけないと。こういうことで、国の責務、地方公共団体の責務、それから父母も責務を負っていただいて、国民全体も負ってというので、ガイドラインを作ったり、あるいは、僕は養育費相談支援機構とかという独立行政法人を考えたんですけど、今度こども庁ができますので、是非、こども庁というところを通して縦割りの行政の弊害を横串を刺す、それから、独立行政法人みたいなところで、せっかく国がお金を用意して予算を付けるんですから、その配分をきちっとできるようにする、そして、ある意味では、養育費の問題だけではなくて、場合によっては面会交流とかお子さんの問題について、虐待とかいじめとか、そういうところも総合的にワンストップサービスでいろいろ応援ができるというようなことをつくってはどうかなということで、提案をさせていただきました。 これは、いろいろまだまだ足りないところいっぱいあると思いますけれども、お隣の韓国がこれだけ頑張って、今養育費の受給率は三五%に上がっています。運転免許とかパスポートの停止の制度も法律で入れました。さっき言ったのでは、裁判所じゃなくて養育費履行管理院でADRをやって、そこで合意を形成させて債務名義にしようと。ただ、大法院というか最高裁が韓国でも大反対して、それは通らなかったと。 ただ、今喫緊の課題を抱えていますので、まさに政治家の先生たちが声を上げて動いてくださると、もしかすると子供たちに本当に養育費が届いていく、あるいは、払えない人には国の方で責任を負っていくというシステムができればということで、済みません、時間超過したかもしれませんが、私の意見を述べさせていただきました。 ありがとうございます。
○会長(芝博一君) 棚村参考人、大変ありがとうございました。 それでは次に、大沢参考人、お願いいたします。大沢参考人。
○参考人(大沢真知子君) ありがとうございます。 国民生活・経済に関する調査会にお呼びいただきまして、ありがとうございます。 私の方にいただいた質問ですけれど、四つ質問にお答えしたいと思います。 まず一つは、リカレント教育を通じた就業支援の現状について少しお話ししたいと思います。その次が、それに対してどういう解決すべき課題があるのかということについてお答えし、そして次に、新型コロナウイルス、ちょっと話題が変わりますが、感染拡大によって女性労働者、どのような問題に直面しているのかお話しし、最後に、女性に対する職業教育訓練の機会拡大のための方策についてお話しすると、この四つのアウトラインに従ってお話を進めていきたいと思います。 ちょっとスライドがまだ準備されていないのですが、私の方から、まず、配付資料もございますので、それを見ながらお話をしていきたいと思います。(資料映写) まず最初の点としては、もうリカレント教育課程の普及というのが日本にとって非常に重要であるという指摘が一つです。特に、社会人になってから学び直した人、そういう人がOECD諸国最低の水準になっていまして、日本で最近になって少しその割合が増えてきているというものの、非常に低い水準にとどまっている。他方、少子高齢化を考えると、やはり人生百年の中で学び直しをしながら自分のキャリアを形成していく時代になっていく中で、やはりリカレント教育が果たす役割というのは非常に重要になってきていると思っております。 次ですが、私たちの大学の研究所で、高学歴の女性たちのキャリアパターンというのがどういうふうになっているのかということを調べましたところ、かなり多様になっているということが分かりました。通常、女性は、まず新卒で、大卒の場合は正社員で働いて、結婚して辞めて、その後パートで戻ると、そういったライフサイクルでの女性の働き方を基に政策あるいは就労支援がされてきたわけですけれど、私たち、特に氷河期世代以降を見ますと、ここでいいます二番目、現在仕事に就いているがこれまでに一年未満の離職期間があった、つまり、かなり早いうちに正社員を辞めている女性がいるということなんですね。もちろん、仕事就いて一年以上離職している女性もいますが、そういった女性の多様性をもう少し見て支援をする必要があるというふうに思います。 これは、ちょっと図にしたものなんですけれど、ブルーが継続就業している女性、オレンジが転職型という、先ほど申しました一年未満の離職期間の後に再就職していると、これは多分雇用保険を使っていろいろな訓練を受けながら再就職をしている女性、この割合がかなり今高まっております。ですので、決して結婚した後に再就職をする女性だけではない、離職、転職を繰り返してキャリアを形成する女性たちが増えている。もう一つは、再就職の女性たち、やはり年齢が高くなると増えていく傾向があります。 こういった多様な女性たちと、プラス、元々一九九〇年代、大卒女性は正社員で働く割合高かったんですけれど、これがだんだん、氷河期世代以降、正社員ではなく非正社員で働く高学歴女性も増えてきています。その転換点がどこら辺だったのかというと、多分氷河期世代。それ以前のバブル崩壊以前の世代では、結婚、出産で辞める女性が非常に多い。これ、オレンジが結婚、出産で辞めた女性、そしてブルーが仕事関連で辞めた女性。そういった意味において、仕事に希望が持てない、自分の好きな仕事ではない仕事をしているという女性が辞めやすい傾向になっています。 また、そういった女性たちはキャリア志向も強いというようなことが分かっておりまして、ですので、リカレント教育課程のような、そういった教育を通じてスキル形成をしていく、あるいは非正規で入った女性がリカレント教育課程を通じて新しいキャリアを形成していく、そういう多様なニーズにリカレント教育課程が今応えようとしているところです。 私は、このリカレント教育課程、日本女子大学で二〇〇八年に導入されました。その当時にその導入過程でいろいろと一緒に仕事をしてきまして、そうはいっても、なかなか一旦離職した女性が就職するのは難しいだろう、そういう女性たちを採る企業は少ないんじゃないかというふうにおっしゃられる方が多かったんですが、しかし、少しずつ、何でしょう、そういったリカレント教育課程の修了生に期待する企業は増えています。ただ、課題があるということは後ほど申し上げたいと思います。 ちょっとここで、もう皆さんはよく御存じのことかもしれないのですけれど、高学歴の女性の離職理由の日米比較ということで、よく女性労働の話をすると、まあそうはいっても女性はやっぱり結婚、育児で辞めてしまうので使いにくいということをおっしゃる方が多いのですけれど、実際には、日本の女性の方が、育児を理由として辞めているわけではなくて、仕事関連で辞めているという。例えば、日本では六五%の高学歴女性が仕事への不満、あるいは四八%、行き詰まり感で辞めているのに対して、アメリカでは七四%が育児、三〇%が介護の理由で辞めているということで、今後、女性の継続就業を支えていくためにも、あるいはスキル形成を支えていくためにも、やはり女性にもっと期待するというか、仕事を与え、もっとチャレンジングな仕事を与え、キャリアが継続できるような仕事を与えていく、そういったことも非常に重要になっているということを申し上げたいと思います。 先ほど申しましたが、リカレント教育について申し上げますと、二〇〇七年に文科省の社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラムに選定され、そして初めてリカレント教育課程が日本女子大に誕生いたしました。その後、二〇一五年には、厚労省の専門実践教育訓練講座と連携して、雇用保険の給付金の対象講座などにもなりまして、費用負担の面でも少し楽になった。ここら辺から受講生が増えてくるという傾向が見られるようになっております。二〇一六年からは、履修証明プログラムの修了が百二十時間から六十時間に短縮され、また、二〇一九年には、最初は七大学によるリカレント教育推進協議会が発足しました。現在は十一大学で教育推進協議会になっております。 ということで、当初、私どもの大学でリカレント教育課程が誕生したときには、これはうまくいかないのではないかということが言われたんですけれど、私たちも大丈夫かと思いましたが、予想以上に就職は決まっています。 しかし、やはり問題はまだございまして、こういったリカレント教育課程への認知度が低い、それから、非常に優秀な女性が入学してくるのですけれど、やはり企業は出産退職で辞めた女性に対しての偏見もあると思います。やはり、子供を優先して仕事を従としてしまうのではないかと。他方、女性たちは両方を充実させたいということで、必ずしもどちらかを選んでいるわけではない。そういったことについても、社会全体での偏見をなくしていくような取組というのを是非国全体でやっていただきたいというふうに思います。 そしてもう一つは、受講料負担の問題ですけれど、最近、ドイツでインターンシップの導入をして、これは大学生のケースですけれど、大学生が授業を受けながら同時にインターンシップをして、その間は有償であるという、そういうプログラムも導入されております。 これはリカレント教育課程でも福岡でそれが実践されているというふうに聞いておりますが、アメリカでもこういったインターンシッププログラムの拡大が進んでおります。こういったところを進めていくことでリカレント教育生への偏見を正していく、そして履修の費用を下げていくような、こういったこともリカレント教育を進めていく上では重要ではないかと思います。 あとは、この後でお話があるかもしれませんけれども、長時間労働の解消、これは一旦辞めた女性ではないですけれど、やっぱりそういった、リカレント教育課程では今年の六月から、必ずしも仕事を辞めた女性だけではなくて、現在働いている女性に対しても夜の講座を開いております。そういった講座に行くことでスキルのキャリアアップを図るということもできますので、そういった意味で、労働時間の管理、あるいはオンライン授業などを広げていくことも重要になっていくのかなというふうに思います。 以上が、リカレント教育課程について御質問いただいたことに対する私のお答えになっております。 もう一つは、新型コロナウイルス感染に伴って女性たちがどういう問題に直面しているのかという御質問でございました。 もう既に皆様方御承知のように、女性というよりは、むしろ非正規女性に非常に深刻な影響が出ているということは御存じだと思います。ちょっとこれからデータを示したいと思います。そして、テレワークというのは女性が仕事と家庭を両立しやすい働き方として期待されたわけですけれど、実際にはそれが実現されていない、そういった実態についてお話ししたいと思います。 今日は、私の専門ではないですけれど、テレワークを通じて、一方で家庭の関係が良くなったという回答者が三割ぐらいいるのと同時に、非常に家族間の関係が悪くなったという人が一割程度いるということで、コロナを通じて日本社会が持つ問題というのが、社会問題というのが今新たに浮かび上がってきた、そういうことにどう対応していったらいいのかということも考える必要があると思います。 これ、ちょっと時間が五十二分までなので飛ばしていきますが、そうですね、ちょっとこれは、女性と男性で企業規模別に、テレワークを実施した企業に勤めている男女別の比率なんですけれど、やはり大手企業ほどテレワークの推進が進んだということと、そういった大手企業において男女差が大きいということが分かりました。 また同時に、この男女差というのがどういう要因によって生じるのかというのを正規、非正規別に、男女別に見たものなんですが、結論から申しますと、男女差が生じている主な理由というのは、雇用形態の違い、そして、それから企業の業種、女性が多い業種に今回影響が非常に大きかったということが関連しています。そして、従業員規模という、この三つによって関連が明らかになっております。 こういったことを通じて一体何が分かったのかということですが、日本はやはり、正規、非正規の労働市場の二重構造論という、二重構造になっていて、その核の労働市場ではテレワークが導入され、そこでは男性が多いわけですが、特に女性の場合には、キャリアの進展がない、人的資本の賃金の見返りの少ない労働市場に女性が多くいるという、この問題というのが更に女性の貧困の問題、そして子供の貧困の問題に関わってくるわけですけれど、この二重労働市場の中での女性の存在、これをどういうふうに解決したらいいのかというのが今回のコロナ禍で非常に重要な問題として浮かび上がってきたように思います。 最後の、職業訓練機会についてどのように考えたらいいのかという、非常に難しい問題を投げかけていただいたように思います。 今回、改めて国の職業訓練制度を見ると、充実して、特に二〇一五年以降非常に充実して、雇用保険制度に加入していれば基礎講座や専門講座のいろいろな制度が受けられる、そして、雇用保険に受給していなければ求職者支援制度みたいなもので訓練が受けられるというところは非常に進化したと思う反面、やはり女性のその働き方というところでいうと、やはり子供を持ってトレーニングを受けて、そして働く、多様な働き方が本当にできているのかというのもありますし、それから、そういう制度を知らない人が多い。 実際に、ですから、その制度をつくることが大切なのと同時に、それを周知していき、必要な人にその制度を周知し、実際に一緒になってその人を助け、生活を支援していく、そういった、社会全体が、受援力といいますか、援助して、一緒になって、助けてと言っている人の声を聞いて、一緒に助けてもらえるようにその方法を考えていく、そういった機能というのがまだまだ日本の中にない。 ですので、職業訓練機会の拡大だけではなくて、そういった機会にどうやって必要な人がアクセスして自立して生きるようになるのか、そういったNPOの存在も含めて、社会全体でやはり貧困の問題、失業の問題についてもっともっと私たちが手を携えて問題を解決する必要があるというふうに思います。 もう最後になってしまったのですが、そういったもので、もちろん長時間労働の是正ということを申しましたが、もう一つ、今回のテーマではないんですけれど、社会保障制度の見直しとセーフティーネットの拡充、これは非常に重要な問題になっていて、この問題が解決しないと女性の非正規の問題は解決しないのではないかというふうに思っております。 私が準備した内容は以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○会長(芝博一君) 大沢参考人、ありがとうございました。 それでは次に、清水参考人にお願い申し上げます。清水参考人。
○参考人(清水康之君) 本日は、本調査会で自殺の問題、自殺対策をテーマに取り上げていただきましてどうもありがとうございます。(資料映写) 特に、皆さんこれは報道等で御承知のとおり、昨年、十一年ぶりに全国の自殺者数が増加に転じました。それまでは十年連続して減少していたものが、コロナ禍において自殺が増加に転じた。特に児童生徒、高校生以下の自殺が過去最多ということになっています。 本日、時間が限られていますので、いろいろと資料は用意したんですけれども、特に子供の自殺対策、これをどうすればいいのか、その現状を踏まえて、皆さんに御提言というか、一緒に考えていただきたい、問題提起させていただこうというふうに思います。 私の自己紹介も少しさせていただければと思いますが、私は元々NHKで報道ディレクターをしておりました。「クローズアップ現代」という夜の情報番組をずっと担当していたんですけれども、二〇〇一年に親を自殺で亡くした子供の番組を作りまして、そのことがきっかけで日本の自殺の深刻さを知り、深刻であるにもかかわらず、当時は自殺は個人の問題だとされていて、社会的な対策が全くと言っていいほどないという状況でした。 これに対して、何とか番組作りを通して自殺対策進めていただくきっかけをつくれないかと思って番組を何本か作ったんですけれども、なかなか番組作りだけでは対策を進めることができないということを痛感したものですから、二〇〇四年にNHKを辞めまして、このNPO法人ライフリンクを立ち上げて、以来、自殺対策、これ基本法を国会で作っていただいたときにもいろいろと議員の皆さん、特に二〇〇七年に亡くなられた山本孝史さんと本当に二人三脚でずっと生前、対策取り組ませていただきましたし、あと、本調査室で室長をされていた小林仁さんにも大変お世話になって、自殺対策をずっと私も関わらせていただきました。今日は、山本さん、小林仁さんへの僅かながらの恩返しできればという思いで今日出席させていただいた次第です。 皆さんにお配りいただいている資料、大分ちょっと前半は、先ほど申し上げましたとおり、飛ばします。コロナ禍において児童生徒の自殺がどれだけ増えているのか、深刻になっているのか、スライド、ページ番号でいいますと二十四ページ、こちら、まず御覧いただければというふうに思います。 これは、コロナ禍で深刻化する児童生徒の自殺ということで、平成二十二年、つまり二〇一〇年から昨年、令和二年に至るまでの小中高校生の自殺の人数を表にしたものです。令和二年の小中高校生の自殺が四百九十九人ということで、これ、平成二十二年、つまり十年前と比べると四二%も増加しているという状況です。 どういう状況の中で子供たちが亡くなっているのか、実際に実態は分かっておりません。ただ、私たちライフリンクが行っているSNSの相談には、やはり日々、中学生、高校生、場合によっては小学生から、死にたい、消えたいという相談が寄せられているんですが、その一部御紹介したいと思います。二十五ページ目です。 これ、中学生の女の子、夏休み明けから学校に行けなくなってしまい、親や先生からも見放された感じがしてつらい。高校生男子、コロナで休校後、うつのような症状に。自分が何で悩んでいるのか分からない。だがもう限界だ。大学生女子、コロナで一人暮らしと大学通学がなくなり、ずっと家にいる。親のストレスのはけ口にされていて、つらい。どこにも居場所がない。死にたい。大学生男子、遠隔授業で友達ができない。勉強への劣等感も強く、この先どうすればいいか分からない。また、十代女性、就職できず家族全員から罵倒されたり身体的な暴力を受けている。居場所がなく、自傷行為をしてしまう。もう消えてしまいたい。 ただ、コロナ禍において確かに深刻化していますが、この子供、若者の自殺というのは元々日本では極めて深刻な状況にあるんですね。次のスライドです。 こちらは、平成三十年における死因順位別に見た年齢階級と死亡者数、死亡率、構成割合、つまり年齢階級別に見た死亡原因の順位です。これ、丸で囲っている部分、自殺となっていますが、日本では十五歳から十九歳、また二十代及び三十代における死亡原因の第一位が自殺という状況です。特に、この二十歳から二十四歳、二十五歳から二十九歳というふうになっているところの割合というのを見ていただければ、ここに五二・一、四七・八とありますが、これ何を意味しているかというと、今、日本社会で様々な、あらゆる理由で死亡している二十代のうちの実にこの約半数が自殺によって亡くなっているということを示しています。 また、次のスライドを見ていただければと思いますが、これは十五歳から三十四歳、つまり若年世代の死亡原因、これの国際比較です。日本は主要先進七か国の中で唯一、十五歳から三十四歳における死亡原因の一位が自殺となっています。一六・三という、これ人口十万人当たりの自殺者数を表すものですが、ドイツやフランスの倍、あるいはイタリアの四倍という高さです。また、参考に韓国のデータも加えられておりますが、韓国も自殺が非常に深刻だということは皆さんこれもう御存じかと思いますが、実は、韓国と日本、十五歳から三十四歳の死亡率は一六・三ということで同じです。非常に、ですから深刻なんだということです。 また、今日、本当にいろいろと数字持ってきたんですけれども、皆様には子供や若者の声を聞いていただくのが一番いいんではないかと思って、このスライド二十八のところに、NHKのハートネットTVというEテレの番組で死にたい気持ちを投稿できる掲示板を運営しているんですね、そこに投稿されたある一日の、ある一日の投稿の抜粋を皆さんに御紹介したいと思います。 特に恣意的に声を集めたということではありません。もうこの実は翌日にたまたま講演があったので、その前日の掲示板から特徴的なものをピックアップしてきたということです。読みます。 これは十代の男性の書き込みです。この世から消えたい。みんなができることができない。人と接するのになぜ恐怖してしまうのか分からない。過去からやり直せるとしたら、普通にみんなと笑って、遊びに行って、悩み事は相談して、普通の家庭で育って、ちゃんと生きたい。未来が見えない。 あるいは、十代の女性です。生きにくい。何でこんな性格なんだろう。周りが怖くて逃げて人生取り返しの付かないことをしてしまった。さらに人の目が気になるようになってしまった。やり直したい。こんな気質なんて要らなかった。こんな性格な自分が嫌い。戻れるなら戻りたい。早く死んで消えてしまいたい。もう生きていたくない。もし、生まれ変わりとかあるなら次は間違えたくない。 ちょっと飛ばして、これは二十代の女性です。次のページです。希望が見えない。みんなどうしてこのどうしようもない、怖くてひどい世界で生きていられるの。社会から負の烙印を押されて生きていてつらい。努力でどうにかなるものとならないものがあるでしょう。努力、努力ってうるさいよ。どうにもできない自分の無力さで毎日が苦しい。これは全てあなたの責任だって何も知らない人は言うだろうよ。死ぬなって、死んだら負けだって周りは言うけど、もう既に負けてるし疲れたし申し訳ない気持ちでいっぱい。果たして本当にこの世界は生きていく価値のあるものなのか。誰か教えて。 最後、これも二十代女性です。とにかく死にたいです。正確にはつらい気持ちから逃げたいのです。私に残っている逃げ道は死だけだと思っています。本当にこの世から逃げてしまおうと何度も考え、実行し失敗しました。どうしたら幸せになれるのか、ずっと考えてきましたが答えは出ません。答えがないなら探しに行けばいい、そんな気力はとっくにありません。毎日毎日、何もできずにその日が過ぎていきます。もうつらい思いに耐えるのも限界です。もう諦めて楽になれば幸せになるのでは、と思うようになりました。精神科に通院して四年がたちました。診察のたびに薬が増えていくのに、死にたい気持ちはなくなりません。この四年間、無駄にして過ごしました。いつか幸せになれると思って毎日生きてきました。これからも生きていかなければいけないと思うと、絶望しかありません。 自殺のリスクが高まるとき、なぜこれだけ自殺で亡くなる人が多いのか、そのことを考える上で、どういうときに自殺のリスクが高まるのか、これを把握することは非常に重要です。 今スライドに映していますが、これ、三十一ページ目にありますように、自殺のリスクが高まるときというのは、生きることの促進要因、これは生きることを支える、生きることを後押しするものですね、将来の夢であったり、信頼できる人間関係、あるいはやりがいのある仕事や趣味、ライフスキル、これ何か困難やストレスに直面したときの対処能力とか、あるいは信仰であったり、社会や地域に対する信頼感、楽しかった過去の思い出といったような、そうした生きることを後押しする、そうした要因の全体よりも、生きることの阻害要因、これは生きることを困難にさせるものです、将来への不安や絶望であったり、失業や不安定な雇用、過労、借金や貧困、虐待やいじめ、病気や介護疲れ、あるいは社会や地域に対する不信感や孤独といったような、そうしたものの方が、阻害要因の方が促進要因よりも相対的に見て上回ったときに自殺のリスクが高くなる。つまり、死んだ方が楽だ、死んだ方がましだと、そういう感覚になってしまいがちだということです。 日本の自殺の特徴の一つは、中高年の男性の自殺が多いということです。今二万人余りに、二〇〇三年が最も多かった、そのときは三万四千人だったものが今は二万人ぐらいまで減っています。この減った部分の多くは中高年の男性ということなんですが、これ三人に一人がですね、中高年の男性ということになっています。 この中高年の男性の抱える悩みや課題というのは割と明確で、生活が苦しいとか、あるいは借金を抱えてしまったとか、あるいは仕事の問題、経営の問題といったような、つまりこれ、生きることの阻害要因を取り除いてあげれば、促進要因はしっかりしているんで、その方たちの自殺のリスクは低下する。つまり、自殺ではなく生きる道を選べるようになっていくんですね。 ただ、子供や若者の場合は、これ阻害要因を取り除いても、促進要因が削られてしまっているとなかなか自殺のリスクというのは下げることができません。生きることが前提でなくなっているというぐらい、私は、子供、若者の置かれている現状を見るとこの日本社会の未来が脅かされている、それぐらい深刻に私は捉えるべきではないかというふうに思っています。 じゃ、一体どういう対策が必要なのか。ちょっとスライド戻りますが、この三十番目のスライド、ここで、必要な対策ということで四点挙げさせていただきました。 まず一点が、実態の分析です。 自殺が学校で起きますと、あるいは児童生徒が自殺で亡くなりますと、その自殺で亡くなったことに関する調査、いわゆる背景調査というものが行われます。私も中学校あるいは高校から依頼されて、その背景調査の中身を実際に見たことは何度もありますが、もう少なくともファイルで三冊から五冊ぐらいは、大体どの自殺においても、大体学校にそれだけ情報があるものなんですね。ところが、これが文科省に上がってきていません。文科省は子供の自殺の実態を単純に言うとよく把握できていないという、そういう現状があります。 去年亡くなった児童生徒四百九十九人ですから、私は、これ調べようと思えば、現場に行って、その背景調査の資料を読み込んで、亡くなった子たちにどういう特徴があるのか、学校での直前の何かサインみたいなのがあったのかどうか、家庭環境どうだったのか、何か精神疾患とか何か特性を抱えていた子がどれぐらいいたのか、もうその実態を徹底的に解明をして、それを踏まえて対策をやっていくということが必要だろうと思います。そうでないと、同じような状況の子が同じようにしてまた自殺に追い込まれるということが起きかねない。 当然ながら、問題解決の極めて重要な最初の一歩というのは実態の把握です。それが残念ながらこの児童生徒の自殺対策においては十分行われていない。ですから、これを徹底して行うべきだというのが一点目です。 また二点目は、SOSの出し方に関する教育の徹底ということです。 今の子供たち、助けを求めたらいけない、あるいは助けを求めるにしてもきちんと丁寧に説明をできなきゃいけない、弱いことは悪いことだといったり、人に頼ることは悪いことだといったような、そういう感覚を持っている子が少なくないというふうな実感を私は持っています。 ですから、全ての学校でもって、いざというときには助けを求めていいんだよ、で、具体的に誰にどうやって助けを求めればいいのかという、この人にあの人にという具体的な子供が助けを求められる地域の専門家、これ大体保健師が私は適当だと思いますが、保健師さんがいざとなったら私のところに相談に来てねというふうに学校でこのSOSの出し方に関する授業を行う、そういうことも徹底して進めていくべきだというふうに思います。 また、そうはいってもなかなか助けを求めてくれない、助けを求められない子供たちも少なくありません。ですので、自殺リスクを察知する、こうしたITのツールも今開発されてきていますので、子供たちになじみのあるタブレットで自分の気持ちを選択していくと、それで自殺のリスクが判定できる。もちろん結果は子供には見えません。ただ、養護の先生だったり学校側がそれを見て、その子の支援に当たることができるという、そういうツールが開発されていますので、せっかくそういうものがあるわけですから、これは子供の自殺を一人でも多く防ぐために、こうしたものも全国で導入すべきではないかと。今これ新潟県で既に展開されていますし、長野県でも今年度展開していこうということになっていますが、全国的な広がりまでは見せていませんので、こうしたものも導入すべきではないかと思います。 あと、四番目は、子供の自殺危機対応チーム、これも是非全国で設置すべきではないかと思います。これは長野県が既に昨年度設置していて、私もこの事務局として関わっています。 どういうチームかといいますと、自殺リスク抱えた児童生徒、これ学校側が把握しているケースも少なくないんですね。ただ、先生が、あるいは養護の先生、あるいはカウンセラー、スクールカウンセラーがちょっと様子がおかしいなと思っても、でも、じゃ、誰に相談すればいいのか、その自殺リスク抱えた子にどう接すればいいのかということをちゃんとアドバイスしてくれるような、そういう専門的なチームが全国的にはありません。長野では、未成年の自殺率が全国で一番高いという状況を踏まえて、とにかく子供の周りには必ず誰か大人がいるわけですから、その大人からSOSを出してもらって、その大人から寄せられた情報を基にして、精神科医や弁護士や、あるいはネットの専門家、PSW、心理司、あるいは我々のようなNPOも入って、じゃ、この子についてはどれぐらい自殺のリスクがあるのか、そのリスクを踏まえて、じゃ、どういう支援をすればいいのかというその支援方針まで打ち立てて、それをまた学校に戻していくというようなことをやっています。 ですから、これを長野県で今モデル的にやっていますが、こうしたものがあると、学校の先生もやはり安心して子供の接し方を聞ける、聞ければそれによって適切な接し方ができるようになって、子供の自殺を防ぐことができるというようなことにもつながっていくと思いますので、是非こうしたものの全国設置も進めていくべきではないかと思います。 最後、ただ、今お話ししたことは、既にある枠組みの中でもやろうと思えばできることなわけですが、ただ、枠組みを変えなければできないことについて、最後、この現行制度上の問題点ということで、これ御提言させていただきます。 何かといいますと、自殺念慮者あるいは自殺未遂者を支援するときに、当然ながら、これ関係者間で情報を共有することが重要になってくるわけですけれども、残念ながら今、個人情報保護法の壁というか、個人情報保護法があって、本人の了解を得られない限り、関係者間では情報共有図れないという状況になっています。 そのため、支援が明らかに必要であるにもかかわらず、自殺念慮を抱えた方の中には支援に拒否的な人もいます。そうした拒否的な人にはなかなか支援を提供できないとか、あるいは、自殺未遂をして搬送されて意識レベルが極めて低い、その人がどういう状況にあったのか、どういう支援を受けていたのかということの確認を取りたいんだけど、本人の意識レベルが低いから本人から了解を取れない、結果、関係者が情報を共有できずに支援が手遅れになるというようなことも起きてしまっています。 あるいは、未成年の場合ですね、先ほど長野の例を学校からSOSを出してもらってということでお話ししましたけれども、実はこれ、高校からはSOSを出してもらえるんですが、中学校から、小学校からはSOSを出してもらえていません。というのも、高校は県立なので、長野県が行っている個人情報保護運営審議会で審議をして手続をすることによって、高校からは情報を、この危機対応チーム、これ県の取組なので、上げてもらえる。でも、市町村になると、県で幾らその審議会で手続を取っても、市町村それぞれでも手続を取ってもらえないと、市町村から県には個人情報だということでこれ情報提供できないんですね。それが壁になって、今、中学校ではこの危機対応チームのバックアップが全くできていないという状況です。 ですので、既に要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協ですね、要対協であったり、あるいは生活困窮者自立支援制度における支援会議等ではこの個人情報は適用除外ということで、例外的に、決まった枠組みの中であれば関係者が情報を共有して問題ないという、そういう制度がありますので、是非この制度を倣う形で、この自殺念慮者、自殺未遂者、とりわけこの未成年のリスクのある子たちの情報を関係者が速やかに共有できるような、それで速やかに適切な支援ができるような、そうした法的な枠組みを是非御検討いただけないかと思います。これはもう国会でしかできないことです。現場で幾らやろうと思っても、それが壁になって支援が届かない、そういう状況が起きてしまっていますので、是非皆さんに御議論いただければというふうに思います。 御清聴いただいてありがとうございました。
○会長(芝博一君) 三名の先生方、大変ありがとうございました。 以上で参考人の意見陳述は終わりました。 これより参考人の皆様に対する質疑を執り行います。 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。 まず、各会派一名ずつ指名させていただき、一巡後は、会派にかかわらず御発言をいただけるよう整理してまいりたいと存じます。 発言は着席のままで結構でございます。 また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくようお願いをいたします。 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間が一巡目はお一人十五分以内となるように御協力をお願いいたします。 それでは、これより一巡目の質疑を行います。 質疑のある方は挙手を願います。 小川克巳委員。
○小川克巳君 ありがとうございます。 自民党の小川克巳でございます。 三人の先生方にはそれぞれ非常に熱心に御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。非常に参考になる事柄ばかりでございました。 ただ、三つが三つとも非常に重たいお話でして、この三つのジャンルの問題を一気にお話を伺うというのは、私たちもちょっと受け、支えられるかというような気持ちがちょっと正直にはしております。 少しこれから御質問をさせていただきたいと思うんですけれども、まず、棚村先生からお願いをしたいと思うんですが、養育費の不払問題について、これは非常に問題になっておりまして、参議院自民党でもこれに対する対応を、自民党の中でも議論をしているところでございます。おおむねその方向性としてそごはないかなという気はしているんですけれども、二、三ちょっと確認をさせていただいて、最後にちょっと大きな質問をさせていただきたいと思うんですが。 まず一点、三ページなんですが、離婚前後の親ガイダンスの受講促進ということが提案されているわけですけれども、これは、こういった話題だけではなくて、要するに日本の社会における家族の形態といいますか、家族のつながりであったり近隣とのつながりというのが非常に弱まっているということがここ数年指摘をされているわけですけれども、この中で、いわゆる初等教育の中で、人がいわゆる社会の中での果たす役割であったりつながりであったりといったところの価値に関する指導といいますか、教育というのが必要なんじゃないかなというふうに率直には感じております。 そういった点で、もう少し、いわゆる基礎教育の段階で、そうしたいわゆる社会を構成する一員としての責任であったり権利であったり、そういったものを教育する必要があるのではないかという点について少し御意見を頂戴したいということと、それから、今日お話しいただきましたのは、婚姻が成されているということが前提でのお話ばかりだったかなというふうに思うんですが、婚姻が成立していない場合の、言わばいわゆる未婚の子供たち、親の子供たち、そういう人たちに対するその救済の考え方というのはどう考えたらいいのかというのが二点目。 それから、ちょっと続けてですけれども、三点目に、少子高齢社会ということが言われていまして、そうした中で、女性に産んでくれよと、これは二番目に、大沢先生にも関係するかと思うんですけれども、産み育てやすい社会づくりということと、それから女性活躍、社会における女性活躍、この両立をさせてほしいという言わば欲張りのようなお願いを今、国としてはしているわけですけれども、これは、突き詰めて考えていくと、割と共通する環境づくりで片付くのかもしれないなというふうな気がしておりますが、その辺りで御所見等ありましたら、是非、棚村先生、よろしくお願いいたします。これにつきましては、大沢先生、この後お話しいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○会長(芝博一君) それでは、棚村参考人。
○参考人(棚村政行君) 小川委員から御質問いただきまして、どうもありがとうございました。 簡潔に答えていきたいというふうに思います。 親ガイダンスというのは、結局、協議離婚というのが日本は取っていまして、九割ぐらいで。要するに、今回、協議離婚のアンケートを取りましたら、六割ぐらいは話合いをやっぱりしたというふうに当事者は言っています。ただ、四割は全くしていないとか、むしろ怖くてできなかったという状況です。 それで、結局、十分な話合いができていない背景には、小川委員がやっぱりおっしゃるように、こういう事態に生じたり、不和が生じたり、その前にきちっと、平時というんですかね、そういうときに心構えというか、そういう準備教育みたいなものが日本全体、社会全体でやっぱりないと思います。 欧米の国々を見ますと、離婚が非常に一般化して、二組に一組、それ以上別れるというところは、子供たちが、おっしゃるように、初等教育の前から、パパ、ママが何かあったときにあなたのせいじゃないよという絵本が配られて、かつ、自分たちをどう守るかという教育がもう既にされています。 かつてその話をしたときに、そんな社会に日本はなってはおかしいぞとおっしゃる男性の人たちがいっぱいいたんですけれども、今は、小川委員御指摘のとおり、そうじゃなくて、現実、変化し、困難に立ち向かう前に一応聞いておくと、そのときにどうすればいいかということも真剣に考えるようになるわけですね。 ですから、おっしゃるように、これは親のために用意をしていますけれども、実は子供ガイダンスというのも構想しています。つまり、子供たちが自分たちを親の問題からどう守るかということで、自立して、問題解決能力、対処能力を付けるということもこれから必要だというふうに思っています。 つまり、災害時のいろんなリスクマニュアルじゃないですけど、そういうことと同じように、日常的に起こり得ることに対して、子供が自分たちで責任を感じたり、非常に、親の間に巻き込まれないようにどうするかと。とともに、親自身もこういうことがあり得るんだと。やっぱり好きな人と出会って、一緒になればいいということで、できちゃった結婚が四組に一組以上になっています。そうすると、別れるのはいいんですけれども、そういうことに対しての備えとか意識というのがなくて協議離婚というと、とにかく合意さえすれば、欧米の国々みたいに、裁判所に来てしっかり子供のことを決めたのか、財産の分け方決めたのか、それがなければ駄目だという社会ではなくて、日本はやっぱり家族が問題を解決しましょうと。 いい面もあったんですけど、逆に言うと、家族が自分たちで問題が解決できなくなっている社会がおっしゃるように到来していますので、そういう状況の中で、親の意識改革、それから、情報提供、教育、啓発、これをやっぱりした上で、どうしても裁判所とかいろんな専門家が関与しないとできない、三分の一ぐらいは自分たちである程度できる人たちがいます、それから、もうちょっといろいろ教えてもらったりすれば何とかできる、それから、どうにもならないというところは専門機関とか裁判所とか弁護士さん入ってもらってやると。 それが少し見えてきたので、是非、親ガイダンス、子供ガイダンス、そして、委員おっしゃったように、子供たちの法教育とかいろんな形でカリキュラムの中に日常生活や家族の問題も入れていくということが行われていますので、是非、そういう事前の予防的な策、あるいは、問題が起こってそれをどう解決するかよりも、その前のところに時間やプログラムをつくるという意味で、親ガイダンスは、私、今法務省の法制審の委員もやっていますので、今後それも議論して、法律をただ変えるというだけではなくて、支援もどういうふうにしていくかということをやっていきたいということで、ありがとうございました。 それから二番目ですけれども、結婚とか離婚とかという、そういう人だけではなくて、結婚外で子供を持って育てているというシングルのマザーというのも、シングルファーザーというのもいらっしゃることはいらっしゃいます。数が増えてきていますので、おっしゃるように、私も、離婚とか別居とかという、そういうことで、結婚をしている人たちがほとんどのような御説明をしましたが、法制審でも、結婚外で生まれて、要するにシングルマザーやシングルファーザーに育てられている人の養育費、それから面会交流、それから共同で子育てができるかどうかということを検討する予定にしています。 ですから、おっしゃるように、ただ、一人親の調査を見ますと、死別、それから離婚した家庭というと、やっぱり比率が物すごく多いんですよね。七%とか、そういうところが元々結婚もしていなくて子育てをしている一人親と、そういうことなので、今まで余り焦点が当てられなかったんですが、同じ一人親で子供を抱えているという点では支援の必要性は全く同じですので、結婚、結婚外かかわらず、子供を育てる親をどう支援するか、子供自身を支援するかという観点から、是非、弱くなった家族を、つながりを失っている家族をどう応援するかという観点から、民法の、あるいは関連する法規の改正を検討させていただいています。 それから、三番目になって、これはとっても大きな問題なんですね。つまり、少子高齢化が非常に進んでいます。人口減少社会も、もう目前というんですか、もう始まっています。その中で、委員がおっしゃるように、私たちは、これは選択的夫婦別姓の話になるんですけれども、海外の、BBCとか、それからロシアのイズベスチヤとか、AFPとか、それから中国の上海新聞とか、いろんなところから、えっ、日本は今こんなにこの議論が、もう終わっていなかったんだということで取材いただきました。なぜそれが実現しないんだろうかという御質問と、それから実現した場合に社会に与える、日本に与えるいい効果と、それからマイナスの効果について教えてくれというんで、これはなかなか難しい問題なんですけれども。 おっしゃるところですね、とおりで、少子高齢化を向かって厳しい社会になってきます。女性活躍とか多様性とかとまさに言っているのは、このコロナの問題も含めてですけれども、男だから、女だから、どっちが中心だとか、そんなことをもう言っていられるような時代じゃないと。ある意味では、みんなが力を合わせてどうやって乗り越えるかと。こういう時代に、外国人の方もそうですし、それからLGBTQという性的マイノリティーもそうですけど、人が人らしく、人間らしく生きれない、こういうことに対してどうしようかと。もちろん文化とか伝統はありますけど、文化とか伝統だって時代が変わればどんどん変わっていくわけですよね。 そうなると、守るべきものと、それから変えなきゃいけないものの区別について日本は今議論をしていますと。もしこれが実現した場合に、家族のきずなが弱くなったり、家族一人一人が生きづらくなったらこれは大変なことになるんですけど、ある意味では、やっぱりそういうような、今、これから私たちが目指す社会は、少子高齢化、それから女性活躍、それから男女共同参画とか多様性とかという、言葉ではいろいろおっしゃると思うんですけれども、それがなぜ本当に必要で、どこが具体的に困っていて、どういうことをやれば、何だ、日本の社会はもっと良くなって、一人一人が要するに働きやすいか、頑張れるかと。これは子供たちの問題もそうですね、自殺もそうですし、キャリアの問題も。 で、特に私は、家族、家庭の中で、やっぱり暴力とかそういう問題もある、他方、家族で本当に一生懸命きずなを培っていかないといけない、少し我慢をしてでも家族のためにという気持ちも必要。そのバランスをどう取っていくかということは非常に難しいというふうに思います。 ただ、先生方もお分かりだと思いますけど、今日も別姓の選択制をめぐって、海外で暮らしている、つまり法律上はニューヨークの方式で結婚されている人が日本の戸籍とか民法のために旧姓をやっぱり届けられないんですね。ただ、あっちでは別姓で活躍しています。その裁判が今起こっています。札幌地裁でもこの間、違憲判断みたいなのが出ましてね、これ、どう考えるかというのは、皆さんそれぞれ、個人としては物すごく家族、夫婦の価値観みたいなのありますから、そんなに簡単に結論出るとは思わないですね。 ただ、委員に申し上げたいのは、私もそうですけど、男が中心で男が頑張らなきゃ、男は台所入っちゃ駄目だというのが全く逆に、今、ごみ捨てもやれば、本当に家の中、妻の指示に従って頑張りますというぐらいやっています。で、いろんな形が僕はあっていいと思うので、それでうまくやれているところはいいわけだから、そういう意味では、この養育費の問題も、比較的これについては余り対立がありません。ですから、これは是非進めてほしいというのはですね。 でも、ただ、養育費も最終的には、申し訳ありません、つながっているんじゃないかというふうに思います。女性が頑張り、それから、少子高齢化で多様な人が力を合わせて頑張れる社会というのが、僕は、自殺もそうですし、働く場もそうですけれども、つながっているようにちょっと感じているので、どれが正しい答えかというのはなかなか難しいと思いますけど、家族のまとまりと一人一人が輝ける社会とのバランスをちゃんと取っていただければ希望は出てくるのかなと思っています。済みません。
○小川克巳君 ありがとうございます。 大沢先生、清水先生に、済みません、お伺いをしたかったんですけど、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○会長(芝博一君) 引き続き、質疑のある方は挙手をお願いいたします。 勝部賢志委員。
○勝部賢志君 立憲民主・社民の勝部賢志です。 今日は大変貴重な御提言をいただきまして、ありがとうございました。 時間に限りもありますので、大沢参考人からちょっとお伺いしたいと思うんですけど、先ほど、コロナの影響もあって、非正規で働いている方々の状況が非常に厳しいということで、非正規から正規に変わっていけるような働き方の、何というんですかね、改革というか、変わっていくために、リカレント教育だとか職業訓練などが非常に大事だというお話を承ったんですけれども、今先生がいらっしゃる大学を中心に協議会をつくって検討されているところなんですが、その協議会での取組というのに非常に期待を寄せるところなんですけれども、実際、その企業側が再就職をする人たちを求めるときに、ある程度のスキルが例えば必要だとなったときに、大学を卒業程度の例えば学力があるとか、あるいは英検の資格があるとか、それからその他分かりやすい、誰もが分かるような資格を取得しているというのは、採用する側は分かりやすいと思うんですけど、まあリカレント教育といってもきっと幅が物すごく広いので、どういう、例えば百二十時間から六十時間になったその履修証明というのが企業側にとってどの程度の意味を感じ取ってもらえているのか辺りのことをちょっとお聞きしたいと思うんですけど。
○参考人(大沢真知子君) 御質問ありがとうございます。 やはり、そこ、御質問にあるように、非常に難しいところがございまして、日本の企業では特にいろいろなことをしながら仕事をしていきますので、こういう専門的なジョブ型労働市場にはなっていない、そういう入った中でいろいろなことを学習しながらその組織に合った人材になっていくという、そういう特徴がある中で、リカレント教育生がどういうふうにそういう中にフィットしていくのかということが多分御質問の趣旨ではないかというふうに思います。 それについて、ですので、最初の段階でやはり実際に働いていく中でだんだんとなじんでいくというプロセスがあって、大学の中でも専門性だけを身に付けるというよりは、その中での柔軟性を身に付けて、労働市場でもう一度働くためのスキルを身に付けるというようなことを重視しております。 リカレント教育課程というのは、専門性を設けるということだけではなくて、やはり長い間労働市場から離れているとやはり不安になって孤立してしまう、そこで、その教育課程を通じて労働市場でもう一度働く勘を取り戻すといいますか、しかもそこに仲間がいて、様々な経験をした人たちからの知恵を得ながら、自分たちがもう一度次のキャリアを形成するための、何でしょう、考え方を、自分自身を振り返り、自分を見詰めながら次のキャリアを見付けていくということで、そういうふうに捉えているんですね。その中で、やはりおっしゃるように、最初は、受講生が専門性を身に付けたいと、企業の方はもっと自分たちの会社に合った仕事をしてほしいという、そのミスマッチはあるんですが、それは働きながら少しずつ解消していくということもあります。 それから、フルタイムでは働けないという、そういう、これはかなり受講生が心配しているところなんですけれど、それについても、実際に事業主と話しながら、どこまで柔軟に働くのかという、そういう話合いも大分出てきておりますので、ケース・バイ・ケースのところが多いです。ちょっとモデル化するのが難しい。いろいろな、あと受講生の中にも自分で資格を取って消費者何とかアドバイザーになる人もいますし、大学院に行く人もいますし、ですので、必ずしも職業の関係のものだけではない。ただ、ITと英語という非常に基礎的な、今仕事をしていくときに重要なスキルを提供できているので、それで就職率が高いのだと思います。 あと、テレワークがあるので、連携できることになりましたので、各大学でリカレント教育の特徴というのが違うのですが、遠隔授業で他のリカレント教育課程の授業を取ることができるようになると、そういうことでの発展性が出てきているように思います。 よろしいでしょうか。
○勝部賢志君 ありがとうございます。 時間がありましたら後ほどまた聞かせていただくかもしれませんけれども、ありがとうございました。 続いて、清水参考人にお伺いしたいと思うんですけれども。 自殺や自殺対策について、当事者の方々や御家族の方々に直接お会いをしたりした経験というのは大変貴重な御経験だったと思いますし、それを踏まえた提言でしたので、非常に、何というか、胸にしみるものがあったんですけれども、恐らくもっともっと伝えたいことがおありなんじゃないかなというふうに思って聞いておりました。 その中で、ちょっと一つ、二つお聞きしたいんですが、自殺を考えている、先ほど子供を中心にお話しになりましたけれども、特に若い人たちの今のツールとしてはSNSというのが非常によく使われていて、しかも、相談しづらい、人と対面でなかなかお話が苦手だというような人たちもSNSというのは有効なのかなと。参考人もそのSNSの活用について付言されているというふうに思っておりましたんですが、その場合の受け取る側の体制というんでしょうか、SNSが一般的に流れているのか、それともどなたか宛てに届くのか、誰に送信してきたのかというようなことなども含め、ちょっとその辺が今全体像どういうふうになっているのかな、そしてその相談体制というのは十分な体制にあるのかなということをちょっとお聞きしたいと思います。
○参考人(清水康之君) 御質問いただきましてありがとうございます。 お配りいただいている資料の十五ページ目になりますが、私たちが行っているSNS相談、生きづらびっとについて、左側が相談者のスマホの画面、多くの相談者はスマホから相談してきますので、スライドの十五ページ目になりますが、ウサギの生きづらびっとという、そういうキャラクターを立てて、相談の入口というか、を提示しているんですけれども、こういう少し、何というんですかね、かしこまった窓口ではなくて、気軽に相談してもらえるように、とりわけ子供、若者にとって親しみを持ってもらえるような窓口になれればという思いで、この生きづらびっとという名称で、このキャラクターで行っています。 右側が、実は先日、菅総理と田村大臣に視察に来ていただいたときの写真になるんですけれども、相談を受ける側はパソコンの画面で相談者から送られてくるメッセージに対して返答していくという、そういう仕組みになっています。 今の現状では、大体二十名ぐらいの体制で相談対応しています。土曜日を除く毎日で、水曜日だけが日中なんですが、ほかは夕方から夜にかけてということで、自殺リスクが高まる時間帯に合わせて相談体制も組んで相談対応しています。 ですので、御質問の直接的な回答という意味でいうと、この生きづらびっとに対して相談をしてくる、その受ける側はそこに相談に来た人たちを相談員二十名ぐらいの体制で相談を受けるという状況です。 とりわけ、今、リモートを進めていまして、相談員の多くは自宅で今相談を受けるような体制をつくっています。ただ、一人で相談員が自宅で相談を受けるというのは、これは、自殺のリスクが非常に高くて、例えば警察に通報して危機介入しなければならないとか、あるいは児相に動いてもらわなければならないとか、あるいは大人で生活支援の窓口につなげなければならないとかというふうになると、一人ではなかなか対応できませんので、相談員は自宅で相談を受けるんですが、基本的にはもう全員とネットワークでつながって、ズームとかそういう映像でもってしっかりとお互いに存在を確認し合える状況の中で相談対応を行うという体制を取っています。 ですので、相談員プラススーパーバイザーですね、しっかりとその自殺リスクを見極める、あるいは相談の支援方針を決める、そうしたスーパーバイザーと、あとコーディネーターといって、その具体的な社会資源につなぐための役割を担う、そうしたコーディネーターとスーパーバイザーと相談員とでチームを組んで対応しているという状況です。 スライドの二十二枚目のところにメリットとデメリットも書かせていただきました。このSNS相談のデメリットとしては、何しろ得られる情報が文字だけということです。これは、対人支援に詳しい方、御存じなわけですけど、相談対応する上では、表情とかあるいは声のトーンとか息遣いとか、いわゆる非言語情報が非常に対人支援においては重要な情報になってくるわけですけど、そうしたものが一切なくて文字だけという、この難しさがあります。 また、どういう状況でどうやってスマホで相談しているのかというのはこちらから見えませんので、いつ途切れるか分からないという不安の中で相談対応するということになります。言ってみれば、細い糸を、強く引っ張ると切れてしまうような細い糸を少しずつ手繰り寄せていくような、そういう繊細な取組が、対応が必要になってくるという、デメリットとしてはあります。 ただ、一方、メリットとしては、相談者の声が聞こえない代わりにこちらの声も聞かれないので、相談員同士が相談をしながら対応できるということが最大のメリットだと思います。ですので、オンラインで相談員、スーパーバイザー、コーディネーターがつながっているんですけど、こういう相談が来たんだけどどうすればいいかみたいなことを互いに相談しながら返答していきます。ですので、児童虐待のことに詳しい専門家、あるいは精神看護の専門家、あるいは若者支援に関わってきた、あるいは依存症の対策に関わってきた、あるいはDV被害者支援に関わってきた、いろんな分野の専門家がチームを組んで、それぞれの得意分野の情報を、あるいは支援の方針を意見しながら、それで意見を集約して支援に生かすことができるという、これ電話だったり面談だったりではできないことがSNS相談においてはできると、そういうメリットがあると思います。 また、そうした専門家は一緒にいる必要はありませんので、本当にオンラインでつながっていれば全国どこでも、場合によっては世界中とつながって、それでその相談者のリスクの見立てを、ですから、もうあらゆる知恵を結集、あるいは経験を結集して行って、さらに、支援方針もベストだと思われるものをみんなで相談して提供できるという、そうしたメリットがあるので、これも最大限生かして、デメリットをできるだけ最小化しつつ、このメリットを最大限生かすような形で相談支援を行っていく必要があるんだろうと思っています。 体制でいうと、これ有り難いことに昨年度の二次補正でも予算を付けていただいてはいるんですけど、これ、お金が付けばすぐ受皿拡大できるかというとそうではなくて、やはり、何しろ今までなかったようなスキルがこのSNSの相談対応には必要になってきますので、もうやっぱり人材をちゃんと育成しなければならない、それに時間が掛かったり、あるいはその育成のプログラムを開発しながら育成するというようなことを今やっていますので、その意味で時間が掛かってしまってはいるんですが。 ただ、今は子供や若者にとって身近なツールと言われているスマホですけど、彼らはいずれ大人になっていくわけですから、もうスマホがいずれもうみんなにとって一番身近なツールになっていくんだと思いますので、そうした意味で、SNSの相談のインフラ、これを社会にしっかりと根付かせるということをもうこの際しっかりしていかなければならないというふうに考えています。
○勝部賢志君 SNSが逆にいじめの温床になったり、その内容によって自ら死を選んだような事件もありましたので、そういう意味では功罪を持ち合わせたツールだなというふうには思っているんですけれど、でも、本当に何か相談したいときに使えるということであれば、それは有効に活用することが今後も必要だなというふうに思って聞いておりました。 時間がもうあと一分ほどしかありませんので、最初に提言をいただいた棚村参考人に、私案で出された法律案のようなものがありますが、他の国といろいろやり方を比較していったときに、日本の国は韓国モデルが合うのではないかとおっしゃっておられましたんですけれども、ここに書かれている内容はそういう中身だというふうに受け取っていいのか、端的にお答えをいただいて、今後参考にさせていただきたいと思いますので。
○会長(芝博一君) 棚村参考人、短くお願いします。
○参考人(棚村政行君) はい。ありがとうございます。 韓国の法案も参考にさせて起案させていただいています。
○勝部賢志君 分かりました。ありがとうございます。
○会長(芝博一君) 以上で勝部委員の質疑を終了いたします。 引き続き、質疑のある方は挙手をお願いいたします。 塩田博昭委員。
○塩田博昭君 公明党の塩田博昭でございます。 今日は、三人の参考人の方の貴重な御意見をいただきまして、大変にありがとうございました。 まず、私は大沢参考人の方にお伺いしたいと思うんですね。 リカレント教育の充実というのは本当に私も大事だというふうに思っていますし、先ほど大沢参考人もお話しされたように、この学び直しの中でも、例えば、先ほど数字を挙げられておりましたけれども、二十五歳以上の入学者の割合が、大学へのですね、OECDの場合は一六・六%ということで、日本の場合は極端に二・四と少ないという、こういう数字を先ほども御説明いただいたんですけれども、日本もリカレント教育についてはいろいろ頑張っているところもある、私はそういうところも見たことが、視察に行かせていただいたりですね、そういうケースもあるんですけれども、この数字がなぜやっぱり伸びていかないのかということ、また反対に、OECD諸国の場合はなぜこの数字を取れるような体制が取れているのか、この二点についてちょっとお教えいただきたいと思います。
○参考人(大沢真知子君) 先ほども申し上げましたように、労働市場の構造が少し違うのかと思います。 ヨーロッパでは、視察に私も行きましたが、専門性が中心の労働市場ですので、いつでも学び直しをして資格を取ってそれを、その資格を中心にまた再度労働市場に戻るということができますが、日本の場合には、就社して会社の中でいろいろなスキルを身に付けていきますので、どうしてもその会社特有のスキルが身に付くと。そういった中で、途中から入ってきた人たちというのの評価が非常に難しいんだと思います。ですが、そういう人たちは非常に優秀な人が多い。先ほども申しましたように、もっとチャレンジしたいというので辞めている人たちが非常に多いわけなので、そこでスキルのミスマッチが起きています。 今の労働市場を考えてみますと、やはり非常に専門性が問われるような仕事が増えておりますので、企業の偏見をなくしてそういうスキルを持った人を採用していく、スキルが必要なときにそういう人を採用し、働く中でその会社特有のスキルというのはいつでも身に付けられますので、そういう形で、もしかしたら偏見がまだあって、一旦辞めた人よりは、自分の、自社の会社で最初から育成したいという気持ちが強い会社が強いのかもしれませんが、実際には、今学び直しによってどんどんスキルをアップしていかないと新しい時代に適応できないので、時代の変わり目にあるのではないかなとも思います。 ですので、むしろ企業が積極的にそういう意欲が高い男女を採用していくことで、むしろ業績が上がるということが十分可能だと思います。ですので、この低いという数字が必ずしも合理的な結果であるとも言えず、むしろもっと高めていくことが日本の生産性を上げたり多様性を高めていくことにつながるというふうに思います。 特に私が懸念されるのは、女性が子育てをしているということで十分働けないだろうというふうに思っている事業主の方が結構多いんですけれど、実際には、子育てをしている女性の方が時間の価値が高いので、うまく時間内に仕事をする力があります。それは、実際に皆さんがお仕事している中でよく聞かれることだと思うのですけれど、女性が、例えば会議でも、私たちの、私の身近な例でも、学部長が女性になると会議が早く終わるとか、そういうような実例もございますし、そういう意味で、むしろ多様な人材を今企業が採用することが企業の今までの慣行を変えて生産性を上げることにつながるのではないかと思います。 ですから、低いのには理由はあったんだけれど、むしろこれからのことを考えると、少子高齢化の中で女性が活躍していく、そういう意味で、リカレントを通じて優秀な女性たちを企業が採用して、実際に働いてもらって優秀な人材をどんどん生かしていく、これは日本の将来にとっていいことであるというふうに思っております。
○塩田博昭君 貴重な御意見、大変ありがとうございます。 次に、清水参考人にちょっとお伺いしたいと思います。 清水参考人がNPOとしてやられているライフリンクについては、私も先頃お伺いもさせていただいて、いろいろSNSによる相談とか電話相談をされている姿も見て、大変本当にスキルも高くてすばらしい対応されているなというふうに思いました。 ただ、そのときに、やはり清水参考人からも伺ったのは、圧倒的にこういう相談をする体制がやっぱり足らないということで、やっぱりこういう非常に内容も良くてしっかり対応できていて自殺を思いとどまっているというようなことがある一方で、こういう体制をやっぱり拡大をしていく必要もあるんだろうと思いますけれども、そこにおいて、今日、清水参考人から御所見をいただけると有り難いなと。こうすることがやっぱり拡大につながるんじゃないか。いかがでしょうか。
○参考人(清水康之君) 御質問いただきましてありがとうございます。 絶対的に足りないというのはまさに御指摘のとおりで、これはSNSの相談で、平均でいうと、私たちの相談対応率、これは対人における対応率でいうと、大体二割ぐらいにとどまってしまっています。つまり、百人相談したい人が相談に来ても、そのうちの二十人しか対応し切れていないという現状があります。これは、先ほどもお話しさせていただいたとおり、なかなか人材を速やかには確保、育成できない。相談の受皿をただ広げるというんだったら、これはもういろんな人にうわっと来てもらってやればいいんですけど、ただ、もう、一つ対応間違えると、本当にそれで自殺で亡くなってしまうかもしれない。SNSで、もういいです、もう結構です、死にますと、それで途切れてしまうというようなことも最初、この相談始めたときはありました。 ですから、そういうことのないように、細い糸を手繰り寄せられるような、そういう人材を確保し育てていく、まあ時間が掛かるので体制がなかなかすぐには育たないという現状はあります。ただ、当然ながら、方向性としてはこれ拡大していかないと一向に対応率が上がらないという状況になってしまいますので、拡大していくためには大きくは二つあるかなと思っています。 一つは、私たち、厚生労働省の補助事業でさせていただいているんですけど、やはり単年度の、どうしてもその単年度の補助になりますので、毎年度毎年度、補助の申請をし直して、来年度取れる、いただけるかどうか分からない中で活動を続けていく。ですから、拡大すればするほど、言ってみれば、私は代表として、例えば事務所借りるときも連帯保証人になっています。保証金を入れるとしたら私のお金も入れなければならないこともあったりします。 つまり、拡大すればするほど、人も当然雇っていくとなると、組織としてリスクを背負っていかなければならない。しかも、それが、当然、団体なので、組織なので、リスクは背負っていくんですが、ただ、毎年度毎年度、同じ活動を続けていくためにも申請をして、それでどうなるか分からない。しかも、決まるのがもう三月下旬ぎりぎりぐらいでとなると、四月からどうなるか分からないのに、でも、四月の体制組まなければ、一回、何というんですかね、活動停止の期間ができてしまう、空白期間ができてしまいますので、空白期間を置かないためにはもう見切り発車でやっていかなければならないという、そういうような状況の中で現場で活動せざるを得ないという、これは財政的に、財政の考え方としてなかなか複数年というのは難しいのかもしれませんが、ただ、現状というとそういう現状になってしまっています。ですから、そこのところの改善が望めるのであれば、それは改善是非していただきたいと思います。 それが一つと、あともう一つは、やはり相談員も、私たち認定制度を是非つくっていこうというので、今、仲間たちといろんな団体にも声を掛けて動き出しています。つまり、SNSの相談といったときに、それがスキルアップにもつながっていく、あるいはキャリアアップにもつながっていくような、そうした形で関わっていただけるようにすることがいいんだろうと思っていまして、今はまだ始めたばかりというか、まだ、二〇一八年の三月の座間の事件を受けて全国的にSNS相談広がってきている、まだ日が浅い取組なので、そうした認定制度もありません。ですので、なかなか魅力を、相談員としてこの仕事をやるということに魅力もなかなか感じていただきづらい状況にあると思いますので、もっと魅力ある、そうした相談員の、ステータスってほどじゃないんですけど、ただ、そうした認定制度みたいなものをつくっていくということも一つやるべきことかなと思っています。
○塩田博昭君 ありがとうございます。 清水参考人のお話を伺っていると、やはり国としても更に支援の在り方も含めてきめ細かくやはりやっていかないといけないんだなということをよく分かりましたので、しっかり私も頑張っていきたいと思います。 そして、もう一点だけ、やはり去年もあった話ですけれども、芸能人とか著名人が残念ながら自殺をされてしまった場合に、どうしても女性が自殺をしてしまう方が多く出てしまったというようなケースがございました。このことをやはり防止する対策についてどのようにお考えなのか、長年やはりこの自殺対策を取り組まれてきた中で、またこういう報道の在り方も含めて御意見があればお伺いしたいと思います。
○参考人(清水康之君) これも御質問ありがとうございます。 まさに今御指摘いただきましたとおり、昨年、自殺が十一年ぶりに増加したといったときの大きな原因、要因の一つが芸能人の自殺及びその自殺報道だったというふうに分析をしています。 七月と九月下旬、もう本当に極めて有名な芸能人の方が亡くなられたということで、その報道が大きくなされた。まさにその報道が始まった日、著名人の方が自殺で亡くなった翌日から、日別で見ると自殺がもう見事に増えるというような状況がもうデータで明らかになっていますので、このウェルテル効果というふうにも世界的にも言われていますが、自殺報道による自殺の増加、これが昨年日本でも起きてしまった。とりわけ、コロナ禍でいろんな不安や悩みを抱えている人たちが、そうした自殺報道を浴びて、最後、背中を悪い意味で押されてしまったということだろうというふうに思っています。 この対策としましては、大分、大手のマスコミに関しては自殺報道の在り方が大きく変わってきていまして、WHOが自殺報道のガイドラインというものを定めているんですけれども、多くはそのガイドラインに沿った今報道になってきています。 具体的に言いますと、自殺の手段を報じない、報道しないとか、あるいは自殺の報道をするときにはどこに相談すればいいのかという窓口の情報を必ず伝えるようにするとか、そうしたやるべきこととやってはいけないことということを明確にそのガイドラインにおいては定められているんですけれども、それに沿った報道になってきていると思います。 ただ、これは、かつて情報源が大手マスコミ、ほぼ大手マスコミが独占していたというような状況においてはそれで改善されたんだと思うんですけど、今は決してそうではなくて、例えばマスコミが十社あったとして、そのうちの一社だけが自殺報道ガイドラインに反した、例えば具体的な情報、その手段を克明に書いた記事を例えば出しましたといったら、今度それがSNSで拡散されていくんですよね。ですので、結果として多くの人たちがSNSを通じてその自殺報道ガイドラインに反した情報に触れるようになる。しかも、触れた中で、それが今度まとめサイトみたいなことで同じような関連の記事が一気に合わせて表示されると、そっちも一緒に見てしまう。 結果として、読み手としては、自殺報道を、かなりセンセーショナルなものを一気に浴びたような、そういう結果になってしまうという現状がありますので、ですので、マスコミに対する働きかけ、これ継続してやっていくことはもちろんなんですけど、あわせて、SNSとかインターネット事業者を巻き込んでこの自殺報道の対応、対策を進めていく必要があると思っています。
○塩田博昭君 ありがとうございました。 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
○会長(芝博一君) 以上、塩田委員の質疑を終了いたします。 引き続き、質疑のある方は挙手をお願いいたします。 高木かおり委員。
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりと申します。 本日は、三人の参考人の皆様からは本当に貴重なお話をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございました。 今、コロナが以前にも増して猛威を振るっているという中で、社会の中で弱い立場と言われている方々が特にあおりを受けていると、そういうふうに実感をしておりまして、このような背景の中で、より本日課題を取り上げていただいている部分に関して大変深刻な状況だというふうに認識をしております。 それでは、まず大沢参考人にお聞きをしたいと思います。 私、以前、日本女子大の、まさにこのリカレント教育課程について坂本センター長からもお話を伺いました。私自身も、大変このリカレント教育、特に女性のリカレント教育に関しては大変重要だというふうに考えておりまして、特にやはりこの非正規の女性の方々、しかも、かなり高学歴の方々もそういったお立場で働かれているということで、これは日本にとっても大変、労働力という意味、また能力の面でも大変損しているなというふうに感じているところであります。 そういった中で、重々このリカレント教育の必要性は感じている中、女性が学び直しをした結果、どういうふうな変化があって就労に結び付いていっているのか、少し先ほど触れてはいただきましたけれども、その点をお聞きしたいということ。 それから、今、転職市場ではないと、日本はまだまだジョブ型ではなく、多様な働き方ができていないというような、こういった状況ですけれども、この日本では整備がされていない、これが女性の再就職を難しくしているんだというふうに感じておりますけれども、これをクリアするためにはどんなことが必要だと考えるのか、この点。 それからもう一つ、先生が先ほどおっしゃっておられたかと思います、徐々に、女性だけではもちろんないですが、就労支援、こういったことも徐々に充実はしてきておりますし、このリカレント教育も、やはり御尽力でリカレント教育推進協議会も、徐々に大学も増えてきたという中で、徐々にこの女性への支援というのは行き渡ってはいっていると思うんですけれども、まだまだやはり私の周囲でもリカレント教育って何ということで、まだまだ周知がされていないと。 ですので、今現在、やはり必要な方々にも、これ、リカレント教育というものが周知されていない現状は本当にそうだと思います。これ、どうやってアクセスしていくのか。また、この大学での、このリカレント教育を大学でやっている意義ですとか、そういった点、女性が自らキャリアを形成していくためにやはりアドバイスをしていくという存在、例えば厚労省なんかはキャリアコンサルタントというようなものを十万人計画でやっておりますけれども、そういった、どういうふうに周知をしていくのか。ちょっと三点ですけれども、お聞かせいただければと思います。
○参考人(大沢真知子君) まず最初に、リカレント教育課程を通じて何が変わるのかということですけれど、やはり、働くことに対する覚悟と、それから自信が身に付くということだと思います。 先ほどの繰り返しになりますが、やはり長い間働いていないと、昔どれだけ活躍していたとしてもやはりそのイメージがなかなか戻し難いというか、どうしても家庭に入ってしまうという、そういうところからもう一度自分自身を見詰め直して、学び直しながら自分が活躍できる姿を目に描くという、それが多分リカレントの一つの重要な目的だと思いますし、実際にインタビューをしましたリカレントの受講生も、そういった自分自身を見詰められたというのが一番大きかったと、そこに仲間ができた、それによってやっぱりセカンドチャンスを得たというふうに答えておりますので、そういう六か月あるいは一年間の中でやっぱりもう一度自分自身を見詰め直す機会、これはもしかしたら男性にも必要な機会かも、私たち自身がやっぱりそういうことをやっていかなければいけない。そういう中で、そういったリカレント生は自分自身を見詰める中で、これだけでは終われない、いつまで家事だけで、育児だけでは終われない、これから自分自身を本当に生かした社会に活躍したいという、そういう思いを非常に強く持つ、そういう変化を見てまいりました。そういう面では意義があると思います。 他方、非正規が非常に増えておりまして、女性活躍推進法ができたにもかかわらず実際に増えたのは非正規の女性だったという現実もございまして、活躍できる女性も増えておりますが、一方で、非正規労働問題をどういうふうに解決するのかというのは本当に国にとって一番重要な問題というふうに個人的には感じております。 私、その非正規の問題からやはり韓国にも行って調査をいたしまして、同じようなグローバル化の中で、柔軟な働き方というとどうしても非正規労働が増えてしまうという、そういう現状の中で、どう日本と韓国が違うのかという研究をいたしましたが、韓国ではパートタイムはそれほど増えていないんですね。日本は、日本のみ、欧米ももちろんパートタイムという働き方は女性が活躍すると増えていくのですが、それは基本、正社員のパートタイム労働であって、日本の場合にはパートタイムを選ぶともう本当に賃金が上がらない。先ほどデータで見ていただいたように、キャリアが形成できない、このコロナ禍では真っ先に仕事を失ってしまうという、そういう働き方というのは少ないです。やはり、そういう働き方をなるべく生み出さないように、社会保障制度あるいは労働市場の中で工夫をしている。 だけれど、日本の場合には、非正規労働を雇うと社会保険料の面でも事業主の負担が減るというようなことがございますし、長時間労働がやはり正社員の中で義務化されてしまっている中で、正社員の短時間勤務制度というのが日本の中に根付いていないんですね。これをどう根付かせていくのかということが今後の日本の経済発展というか女性活躍の要になっていくのかなというふうに考えています。 そこさえできれば、もうリカレント教育というのは非常に効果を持つと思いますし、企業においても、そういう中で活躍してくれる女性がどんどん増えていくし、今までの考え方を百八十度転換することができるんですね。例えばドイツでも、今回あのリーマン・ショックからいち早く回復できた、これコロナの前ですけれど、それはやっぱり労働時間調整がうまくいったということで、特に地位の高いレベルで短時間労働が根付いたということがあります。 ですので、なぜ長時間労働しないと正社員でないのかという、そういう根本的な問題が日本の中にあると思います。それはやっぱり誤解で、長時間労働しなくても十分残業しないでもいけるんだけれど、パートタイマーと正社員の定義付けをするときに、拘束的な働き方をすれば正社員で、そうじゃない働き方をする人は非正社員という、これ多分、パート労働法を改正したときに、パート労働者の定義をしなければいけない、で、日本のみが労働時間ではなくて職場で何と呼ばれているかによって非正規か正規かということが決められているんですね。この定義が世界的に見てやっぱりおかしいんだと思います。 それは、正社員はやっぱり世帯主で、非正社員は子育てしている女性だということがやっぱり根本にあると思うんですね。それをやっぱりもう一度、それはもう時代遅れで、今、棚村先生のお話にもあったように、家族がこれだけ多様化しているので、シングルマザーが子供を育てて、かつ子供の経済的な支援をしていると、だけど非正規でしか働けないので貧困になってしまうと。その貧困の、生活保護で結局もし維持するとすると、それは国民全体の負担になっていくわけですけれど、働き方がもっと選べるようになっていけば、シングルマザーのお母さんももっと所得が増えて子供も貧困から抜け出すことができるというふうに考えると、やはり、労働市場、私たちが働いている労働市場の根本的な考え方の中に、男性とか、男性は世帯主、世帯主は長時間労働、子育てしている人たちは、ケア労働している人たちは非正規、労働時間は自由に選べるけれど賃金が低い、この考え方を変えない限りこの問題は解決できないと思います。それを今日お伝えしたい。 で、時間がもうないかしら。そういうのを一番今日お伝えしたかったことです。 で、リカレント教育、三つ目、大丈夫ですか。
○高木かおり君 詳しく教えていただきましてありがとうございました。時間のお気遣いもありがとうございます。 あと二分程度になっているんですが、最後の、私、三つ目ということで、どうやってこのリカレント教育をアクセスしていくのか、周知をさせていくのか。 これ、リカレント教育って、先ほどお話の中にあったんですけど、すごく幅広くて、その女性の、もちろん男性にもこのリカレント、学び直しというのは必要で、男性とか女性とかというのはもう関係なく、年代も様々だと思いますし、昔でいうと生涯教育というのもリカレントというふうに言われていたかなというふうに私は認識をしているんですけれども、これ今大学の中でリカレント、しかもオンライン、このコロナの中でオンラインでつながっていくというふうに、少し前ではちょっと考えられなかったといいますか、私自身が、そういった状況になっていっていると思うんですね。 大学で学び直し、知の拠点で学び直しをしていくという意義と、どういうふうに周知をしていくかという点を最後にお聞かせいただければと思います。
○会長(芝博一君) 大沢参考人、時間が来ておりますので、簡潔によろしくお願いします。
○参考人(大沢真知子君) はい、分かりました。 重要なのは、企業が変わることだと思います。ですので、やっぱり企業がその重要性に気付き、その人材がいかに優秀であるかということを考える、それは社会全体でやっていけばできるのではないかと思います。
○高木かおり君 時間になりました。 お二方の参考人、本当に今日は申し訳ありませんでした。またの機会によろしくお願いいたします。
○会長(芝博一君) 以上で高木かおり委員の質疑を終了いたします。 引き続き、質疑のある方は挙手をお願いいたします。 大塚耕平委員。
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚と申します。 今日は、お三方、大変貴重なお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。 私の質問、できるだけ三分以内にまとめますので、それぞれ四分以内ぐらいでお答えいただければ幸いです。 まず、清水さんからお伺いしますが、山本孝史先生は私も親しくさせていただいておりまして、お名前を出していただいて、大変いろんなことを思い出しました。ありがとうございました。 子供が自殺に至るその前段階に、うつとか不眠症とかいろんなことが起きると思うんですが、ある精神科医の方にお伺いしたところ、その根本的な要素は二つあって、一つは喪失感と、もう一つは先行きに対する不安感と。で、日本の子供の自殺が多いということは、他国に比べて日本の子供は喪失感とか不安感を抱く確率が高いということだと思いますので、なぜそうなのかということについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。 それから、大沢先生はアメリカの御経験が長いので、日米の比較ということでちょっとお伺いしたいんですが、今の三十代、四十代はミレニアム世代であります。アメリカでも同様に就職氷河期的なものに遭遇した人たちなんですが、アメリカは、ニューヨークなどの大都市部は別にすると、意外にそれ以外の地域では、町に教会があって、親からは結婚して主婦になりなさいとか、そういう保守的なことを意外に言われている人たちが多いというふうに、私の限られた知り合いの中での話としてはそう聞かされているんですね。 そうすると、余り、その今のミレニアム世代同士を比較すると、親同士、親の世代の影響というのは似たような感じなのに、どうもアメリカの方のミレニアム世代は割と伸び伸び女性もやっておられるような気がするんですが、日本の場合は雇用形態とか職業分野で日本独特の構造問題がありますので、それは理由になっている、日本の女性の労働、職業環境が厳しい理由の一つだというのは理解しているんですが、それをちょっと脇に置いておいて、それ以外の要因として何かあるのかということをお伺いさせてください。 それから、棚村先生におかれては、この養育費の問題、もう国会に長くいる関係でいろんなこれまで議論と経過を聞いてきているんですが、離婚した夫婦に対して、養育義務のある人たちにちゃんと徴収をする、そして徴収できない場合にはペナルティーを科すという、この親に対する網の掛け方と、いやいや、その子供そのものの生活とか教育を守ってやるという意味において、子供にそれに相応する給付を行い、しかも子供に直接渡すのはなかなか大変なので、保護司のような方にちゃんと守っていただくような形で、子供が生活や教育に不安を抱かないでその先過ごせるようにしてやるという、大きくはこの、まあ二者択一ではないんですが、二つの方策があるうち、日本の特徴も考えて、あえてどちらにウエートを掛けた方がいいかということについて御所見があれば伺わさせてください。よろしくお願いいたします。
○会長(芝博一君) それでは、まず清水参考人からお願いします。
○参考人(清水康之君) 御質問いただいてありがとうございます。 先ほどどなたかの御質問に対して御説明させていただいた中で、スライドの三十一ページ目、自殺のリスクが高まるときはどういうときなのかということで、生きることの促進要因よりも生きることの阻害要因の方が相対的に上回ったときだというお話させていただきました。 それ、ちょっと別の角度でまずはお答えさせていただくと、日本ではない例えば東南アジアの国々の子供たちってどうか。当然ながら、住環境ということでいうと、日本社会とは比にならないぐらい大変な状況の中で生まれ、また育っている子供たちが当然多いわけですよね。ただ、じゃ、自殺率ってどうかというと、これ日本の子供たちの自殺率よりもぐっと低い、あるいは自己肯定感どうかというと、日本の子供たちよりも自己肯定感ぐっと高い。つまり、生きることの阻害要因はたくさんあるんだけれども、それ以上に促進要因がしっかりしているがゆえに、自殺で亡くならないということなんですよね。 この、じゃ、日本の子供たちがなぜそこまで促進要因が低くなってしまっているのか。もちろん、不安感あるいは喪失感ということもあるわけですが、私、一つ大きな要因となっているものとしては、やはり社会に対する感覚、もうもっと言うと世界観と言ってもいいかもしれないんですけれども、昨日よりも今日、今日よりも明日の方が社会が良くなっていく、世界が良くなっていくという感覚を今の子供たちはなかなか持ちづらい状況にあるんだろうと思います。 というのも、もう生まれたときから経済でいうと右肩下がりの状況で、当然、これマスコミはいろんな社会的な課題を積極的に取り上げますので、そうした課題に触れる、以前よりもSNS等を通じて子供たちが直接そうした報道に触れる機会、不安にさらされる機会って増えてきていると思います。ですので、そうした生きている環境、大きな社会の状況の変化に、子供たちもそういうふうに引きずられている部分があるだろうと思います。 あともう一つは、やはり宗教的なバックグラウンドもあるだろうと思います。周りが何と言おうと、自分はある信仰の下、神から守られているという一神教的なその信仰があれば、周囲の顔色をうかがわずにも自分の信念を貫くということが可能な部分もあろうかと思うんですけれども、当然ながら、日本ではそうした一神教的な信仰をお持ちの方は少ない、子供でも当然少ない。そうすると、やはり周りの顔色をうかがいながら常に行動するようになってしまう。とりわけ、SNSでいわゆる既読スルーとか、常に周りの目にさらされる状況の中に今子供たちが追いやられている。 ですから、もう本当に、これかあれかというよりは、もう促進要因がどんどん削られていってしまっている。これは、社会環境的にも子供がさらされている、テクノロジー的な環境においてもどんどん低下していってしまう。一方で、その阻害要因ということでいうと、今、コロナ禍においてはとりわけ虐待にさらされる、あるいは学校の中でも大人がなかなか介入できないところで子供がいじめに遭ったりというような阻害要因も増加してきている。 このバランスが、促進要因がどんどん下がる方向にあって、阻害要因も少しずつ増えるというような状況の中で、生きる環境が地盤沈下してしまっている、そうした中で日本の子供たちの自殺リスクが高まっているんじゃないかというふうに感じています。
○会長(芝博一君) それでは、引き続き、大沢参考人、お願いします。
○参考人(大沢真知子君) 日米の違いということですが、やはりアメリカにはセカンドチャンスがあるということが大きいかなと思います。 専業主婦というのは、やっぱり学歴によって大きく違って、やはり高学歴になるほど共働きが増えていきますし、そういう面で、トレンドとしてはやはり両国共に共働き社会の国になっていると思います。 ですので、専業主婦世帯というのは、ある一時点ではそうなっているかもしれないけれど、共働きが中心だというところは日米で共通していますが、やはりアメリカはセカンドチャンス、先ほどリカレント教育課程でも申し上げましたが、別に子供を育ててまた戻るというだけじゃなくて、何か最初にちょっと大学でつまずいたとしても、その後やっぱり自分はやり直そうと思ったときに、コミュニティーカレッジに行けばほとんど授業料なしで専門的なスキルが身に付き、それによって専門性を身に付ける、あるいは医師になりたいと思ってもできると。 何かエブリシング・イズ・ポッシブルというふうに思わせるような、もちろん、すごいいろんな障害があって、それは社会が取り除いていかなければいけないんですけれど、でも、その中で、何か、そういう可能性みたいなものを思い込まずに、何かやろうと思えばできるというような可能性をやっぱり社会がつくろうとしていると思います。 ですので、ちょっと昔の数字なんですけど、やっぱり日本、フェミナイゼーション・オブ・ポバティーというか、女性の貧困化が非常に増えた時期があって調査が行われたんですけれど、そこから抜け出す確率も結構高かったんですね。なので、やはりそういった、非正規から正規、あるいは貧困からちゃんとした仕事へと、そういうように移動していけるような社会のモビリティーを日本がつくれば、いろんな意味で活気ができてくるかなというふうに思いました。 以上です。
○会長(芝博一君) それでは、続いて棚村参考人、お願いします。
○参考人(棚村政行君) 大塚議員の方から端的な御質問をいただきましたので、端的に答えさせて。 養育費が払われないときに、おっしゃるように、ペナルティーとか制裁を科すという御意見もあります。ただ、制裁とかペナルティーだけではやっぱりかえって払ってもらえなくなるということなので、やっぱり支援とかインセンティブをどう付けるかという、こういうことが必要だと思います。 親に、じゃ、そういうことを期待して、親へ行くのか、子供の方にも、何というんですかね、行くように、要するに誰に支援とか何か手当を付けていくかといいますと、日本は圧倒的にやっぱり親に付けちゃうんですね。そうすると、親の中でも別の方に使っちゃうということも起こるし、夫婦で争うと、本当に子供のために使っているのかというので払いたくないというのも出てきちゃうんですね。 この辺りを解決するために、第三番目の御質問になると思うんですけれども、対立している親の間で、結局、子供の利益を守るために中立に誰かを立てなきゃいけない。 これはもちろん、欧米でも専門家を立てる、弁護士とかですね、ソーシャルワーカーとか心理とか。ただ、日本の場合はやっぱりおじいちゃん、おばあちゃんですね。こういうような人を、ハーグ条約の国際的な連れ去りも、親同士がいがみ合って、とにかく渡しなさいみたいな話になったときに、身近なやっぱり、執行官が行って取り上げるというプロセスの次には、むしろ、おじいちゃん、おばあちゃんがきちっと飛行機でもって連れていくというのはやっています。要するに、日本の場合は、やっぱりそういう意味で子供を中立に守って確実に何かやってあげられる人がまだあると思うんですね。 この間、おじいちゃん、おばあちゃん、面会交流とか監護者には駄目だという最高裁の決定が出て僕は怒っているんですけどね。むしろ、じいちゃん、ばあちゃんを使って、子供に届くようにお手伝いをしてもらう。だから、その辺りを是非、おっしゃるように、制度化していきたいというふうに思っています。
○大塚耕平君 ありがとうございます。 あと二、三分ありますので、ちょっと感想めいた更問いをさせていただきますが。 清水さんから宗教的なバックグラウンドという御指摘があって、ああ、なるほどなと思って聞かせていただいたんですが。 欧米人は、日本は仏教と神道と儒教的な影響をすごく受けていると、日本をよく知っている人はみんなそうおっしゃるんですね。明治維新から完全にキャッチアップし切るまでは儒教的な教えというのは意外に日本にとってプラスになっていったんですけれども、今のお話聞いていて、何かちょっとその儒教的なもののマイナスの面が出ちゃっているような気がするなというのをお話を聞いて感じたんですが。 一神教的なものがあれば迷わないというお話もあったんですが、もう一個、そういう側面についてはどういうふうにお感じになられますか。
○参考人(清水康之君) プラスに出る局面もあるし、マイナスに出る局面もある。そのマイナスに出る局面が多くなっているような気がしています。 というのは、当然、集団の中で、まあこれ今学校のクラスなんかがそうですけど、クラスの中でそれぞれがストレスを感じる、ストレス、この教室の中のストレス度が高まれば、それはやはりストレス発散のはけ口をその中で見付けようとする。まあこれはいじめにつながったりするわけですよね。 逆に、そのクラス単位でストレスがない、ストレスから解放されているようなクラスであれば、そこはお互いの協力が促進されるというようなことで、ですので、どういう環境なのかによってその考え方がプラスに行く場合もあるしマイナスに行く場合もあると。 今、残念ながら、私は、日本社会において、とりわけ子供たちの中ではストレスが極めて高まっている、そうした中で、周りの顔色をうかがわざるを得ないということが極めてマイナスの方向に働いてしまっているのではないかというふうに感じています。
○大塚耕平君 終わります。ありがとうございました。
○会長(芝博一君) 以上、大塚委員の質疑を終了いたします。 引き続き、質疑のある方は挙手をお願いいたします。 岩渕友委員。
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。 三人の参考人の皆様、今日は貴重な御意見をいただきました。本当にありがとうございます。 まず、棚村参考人にお伺いをするんですけれども、養育費の問題ということで、これまで家族の問題であるとか私的な問題というふうにされてきていたと思うんですね。その取決めの内容やその回収も親の責任だというふうにされてきていたわけなんですけれども、今日も御紹介あったんですけど、例えばスウェーデンとかフランスなんかでは国による養育費の立替払制度が設けられているということで、公的な制度になっているわけですよね。 この養育費の問題を、私的なものということではなくて公的なものだということを位置付けるということが子供たちにとってどういう意味を持つのかということをまずはお聞かせいただきたいということと、あと、先ほど参考人も触れておられたんですけれども、選択的夫婦別姓の問題で、今日のテーマにも関わるということでお話をされていました。今、実現を求める声高まっているわけなんですけれども、実現の必要性について、先ほども触れられていたんですけれども、改めて簡単に教えていただければと思います。
○参考人(棚村政行君) ありがとうございました。貴重な質問をいただきましてありがとうございます。 やはり今までは、特に戦前、家制度というのがあって、家族ががっちり固まっていれば日本の社会は、近代化もそうですし、発展すると、こういうような考え方がやっぱりかなり強かったと思います。ところが、家族非常に重要なんですけれども、大きな家族ではなくなって、核家族、小家族ということで弱くなっていきました。小川委員からもお話あったとおりですね。 そういう中で、あくまでも家族の問題って、やっぱり離婚もそうですし、私的な問題で、公が入るべきでないという考え方がやっぱりかなり強いと思います。今でもやっぱりそういう意識が強くて、子供も家族も何か問題あったら、何というんですかね、自分の家族を恨めばいいんじゃないか、しようがないと、そういう意識が強かったのが、だんだん、公的な介入というんですかね、家族ができないことについては、やはり弱者を守っていくとか子供たちを守るということで、国や社会がやらなければいけないという意識は大分強くなってきたと思います。だから、ある意味では私的な債権とか私的な関係ということで自己責任というふうにしていたのが、DVとかやっぱり暴力、いじめ、こういうのが深刻であると、自殺もそうですけど、命に関わると。 で、そういう人たちを救い出すために、公というか、そういうのが入っていかなければいけないということは国際的なやっぱり流れになっていますので、私が提案した法案でも、やはり私的な債権としてそれを譲り受けて国がやるとかというんじゃなくて、取れない場合は国が本当に、何というんですか、税金から出すぐらいな覚悟で、取れる人からは、逃げ回っている人からは取る、厳しく制裁も場合によっては考えるということで、おっしゃるとおり、やっぱり私的なものから公的なものへとやっぱり転換をする必要があって、そのためには、子どもの権利条約にあるように、大人とは違う別の人格として、子供たちは本当に未来を担う重要な宝なんだと皆さんおっしゃっていますから、その宝に対しては、親が、家族がやれないときは社会全体でやるんだという、そういうコンセンサスを得て、法的にもそういう位置付けにしていただいて、今まさに民法の改正の議論をさせていただいていますけど、そういうような応援があると議論もすごく進むかなと、そういうふうに思っております。 それから、もう一点はあれでしたよね、選択的夫婦別姓です。これはちょっと今日のテーマとは違うと思いますけれども、ただ、さっき言った共通だなというふうに思ったのは、たかが名前、されど名前ということで、私の本当に身近なところでも女性が活躍して社会でどんどん働いて、今、結婚しても仕事を皆さん辞めずに続けています。そういう、社会の中では、一々どっちかが名前を変えなきゃいけないということで、例えばサイボウズの青野社長みたいに、自分が変えるということを選択して裁判を起こしている男性もありますけど、私たちの調査でも、結局、選択的夫婦別姓ができなかったので、事実婚とか結婚を諦めた男性が結構いらっしゃいます。 そして、私たちの調査で、四十七都道府県調べましたけど、賛成が七〇%以上、それから反対は一四・四%になったんですけれども、これは世代も全部合わせて。ただ、地域差があります。これは、申し訳ないんですけど、沖縄県がトップで、それから青森とか和歌山が非常に、何というんですかね、反対が少ないんですね、賛成が多くて。ところが、愛媛とか、済みません、関わったら、山口とか新潟、済みませんですね、それを調べていったら、結局、四十代、五十代の働き盛りの中心の人たちが反対が物すごく多いんです。 ということは、女にやらせてもって、済みません、森発言みたいなことが、建前は男女共同参画とか女性活躍とか言いながら、本音はやっぱり、女性が出ると会議が長くなるとか、もちろん失礼な話ですけれども、何か男性が頑張らなきゃという気持ちが強過ぎじゃないかと思うぐらい、議員さんの割合とか、それから女性社長率も、沖縄県、日本一なんですね。 結局、女性が元気で、大きな声を上げて頑張っているところは、今言った選択的夫婦別姓とかいろんなことについて、子育て両立支援とかいろんなことも割合と進んでいるんですね。ところが、男がやっぱり中心だと、男じゃなきゃという何か思っておられるところは、残念ながら僕も昔そうだったんですけど、とっても無理し過ぎて、自殺したり、いろいろすることが起こるんだと思う。むしろ、もう自分もできないと、もう無理だと、助けてよと言えるような社会になる方がいいと思うと、多様性とか男女共同参画とか女性活躍って、もしかすると、女性の問題というよりは、私たち男にとっても、男性にとっても、そういう社会になると楽になってくるのかな、もっとざっくばらんに弱音を吐けるのかなと、そんなことを思って支持させていただいている次第です。済みません。
○岩渕友君 ありがとうございます。 次に、大沢参考人にお伺いをします。 女性が初期のキャリア形成の段階でその差別的な慣行が維持されてきたというふうに、実は事前にもらった資料の中にそういうふうに書かれていたんですね。ところが、この間、例えば医科大学の入試で女性の受験生の差別的な取扱いが行われていて、そのことによって医師国家試験の合格者数の女性の比率が低い水準になって、それがずうっと横ばいで推移しているということで、そういった実態が明らかになってきました。 働くその前の段階でこうした差別的なことが行われているという実態をどのように見ていらっしゃるかということと、こうしたことが起こる背景にどんなことがあるというふうにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。
○参考人(大沢真知子君) ありがとうございます。 びっくりしたわけではないですが、そういうことがあったということが報道されたことで、より透明性が高くなったということと同時に、やはりその背後に女性が出産後継続するのが難しいというような、そういったロジックが使われたように思います。 そういった、ある意味で、私たちのこれからを考えると、そういう誰でもが両立できる仕組みを整えて、誰でもが活躍できる社会がつくられるべきなのに、何か逆の方向に、差別をすることでより自分たちの首を絞めているというか、そういうことが起きていたというふうに思います。 それ多分氷山の一角で、いろいろなところで、今回のコロナ禍でも、育児休業制度を取った後に職場に戻ろうとしたら仕事がなかったというようなこと、それもやはりケアをしている、子供を育てている人たちに非常に、何でしょう、ペナルティーを科すというか、子供を育てるということが日本にとってのペナルティーになっているんですね。 少子化対策の基本は何かというと、そのペナルティーがないという、どちらかを選ばせなきゃいけない社会じゃない、そういう社会をつくることが国の責任であり、社会の責任であり、それができて少子化対策として出生率が上がるという、そういう議論というのがこの二〇〇〇年代になってエビデンスを伴って見えてきたと思うんですが、それを当てはめると、日本はやはり女性にどちらかを選ばせている、両方を選ぶというのが本当に難しい、そこが今見えてきたんじゃないかなと思います。 ですので、だからしようがないねじゃなくて、やっぱりそれが両立できなければもうこれ以上進めないので、やはりそういった差別をなくすということをすべきですし、例えば間接的な、エビデンスでそういうことが、差別がなければ平等に合格率が決まるはずなのに女性が例えば少ない例とか、そういうことに対して間接的な差別をもっと厳しく取り締まるような均等法を考えるべきだと思います。 ですので、別にこういう差別があるからいけないよという話じゃなくて、何らか見えない差別があるがゆえに結果的に女性が活躍できないような社会がある、そういった間接的な差別を取り締まる動きが世界的にできているにもかかわらず、日本はその間接的差別に対する法律が非常に狭く議論されて、全くないわけではないですけど、ほとんどの場合にはスルーされて、育児をしている女性たちが差別されやすい事情があると思います。ですので、均等法をもう一度強化して、そういう差別がないように徹底する必要があるというふうに考えております。 以上です。
○岩渕友君 ありがとうございます。 最後に清水参考人にお伺いをするんですけれども、コロナ禍も加わって、十代、若い世代の自殺が増えているということで、今日、参考人からも非常に深刻な声や実態について御紹介をいただいたということですけれども、こうした実態を受けて、現場の先生方から、やっぱり一人一人の子供たちの声に向き合うことができるように先生を増やしてほしいということや、養護教員の先生を一人じゃなくて複数人配置するようなことが必要だというような訴えをいただいているんですけれども、こうしたことについてどのようにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。
○参考人(清水康之君) 先生が子供としっかり向き合えるような体制をつくるというのはもう極めて重要なことだと思います。先生がやる気になればなるほどバーンアウトしてしまいかねないような状況の中で、クラスの中で一人自殺リスク抱えた子がいれば、もうその子への支援だけでも大変な中で、ほかの子たちについても、でも当然ながら育ちを支えていかなければならないと。これは、やはり学校の先生の負担をもっと減らす、その意味で、先生を増やす、あるいは養護教諭を増やすというようなことは、私は極めて子供が育つ環境づくりという意味で非常に重要だというふうに思います。 加えて、先ほど少し御紹介させていただきましたが、学校がいつでも助けを求めることができるような、アドバイスを求めることができるような、そういう専門家のチームを少なくとも都道府県に一つずつぐらいはつくって、そこと現場の先生方、子供たちと接する大人たちが連携をしながら子供を支えられるような状況をつくらなければならないんじゃないかというふうに思っています。
○岩渕友君 ありがとうございました。 三人の参考人の皆さんから本当に貴重な御意見をいただきました。 以上で終わります。ありがとうございます。
○会長(芝博一君) 以上で岩渕友委員の質疑を終了いたします。 引き続いて、質疑のある方は挙手を願います。 浜田聡委員。
○浜田聡君 浜田聡です。所属政党NHK党で、参議院の所属会派はみんなの党です。よろしくお願いいたします。 三人の先生方、本日、ありがとうございました。私の方からは、時間も限られていますけど、せっかくの機会ですので三人ともに質問させていただきたいと思います。 まず、大沢参考人にお聞きしたいんですね。男女の機会の不平等を解消することで、その波及効果として生じる社会の変化についてお聞きしたいと思います。 あらかじめいただいた資料に、拝見したところ、少子化対策についての記載が目に留まりました。柔軟に働ける社会を実現するということが少子化対策にとって重要ということで、このように男女の機会の不平等を解消することが、不平等の解消そのもののみならずほかの好影響も生じ得るという観点というのは非常に重要だと思うんですね。 そこで、お聞きしたいんですけれど、一つは、柔軟に働ける社会を推進することで少子化対策になるということについてその根拠と、もう一つは、ほかに波及効果が、少子化対策以外にも波及効果があるようでしたら、またお聞かせいただきたく思います。
○参考人(大沢真知子君) 分かりました。 柔軟な働き方が少子化対策になるというのは、例えばオランダですとか、それからデンマークですとか、あるいはドイツですとか、海外の事例で、特にグローバル化が進展した中で経済が発展して、かつ出生率も回復している国というところの鍵を見たときに、一つは、所定内労働時間が短いと。ですので、正社員の労働時間、例えば週三十七時間で残業がないので、お父さん、お母さんも帰ってきて、時差通勤すれば非常に子育ての時間が確保できるという、そういうデンマークの例とか、それからオランダは、お父さんもお母さんもパートタイムで働くとか、これ正社員のパートタイムですけれど、そういったところ。それからドイツは、管理職の人たちの短時間勤務が進んだという、それによって介護とか育児とか、それも、育児をする人たちは、生きるというのは仕事をするということと、それからケアをするとか、そういうことがありますから、そういうケアをするということは私たちの権利で、例えばお父さんでも親タイムというのを持つことが重要だという、そういうような考え方で、パートタイム、なるべくその働き方を柔軟にして、かつ働く側がそれを選べるような法律を作るというのが二〇〇一年ぐらいにドイツで起きましたが。 そういった効果が少子化にプラスに働いているというエビデンスを見まして、実際にその国を訪ねて、ああ、何かそういう、やっぱり私たちは今何のために働くのかということを考える転換点にあって、やっぱり幸せに生きるというか、ケアをしたり、子供を育てたり、やっぱりそういうそれぞれの人が幸せに生きるというために働いているので、そのためにいかに労働時間を短くして効果がある働き方をするのかという、そういうことを考える時期に来ている。そういうようなダイアログが、会話が社会の中でなされて、その結果、働き方を変えようというコンセンサスが社会でつくられて、結果的にみんなが働きやすくなったという、そういうことがありました。ですので、日本でも同じように、そういった何のために働くのかというところを問い直していき、その延長線上でやはり働き方を変えるということは重要な点ではないかというふうに思いました。ということです。 で、それ、どういう効果があるかというと、何かそれがやっぱり経済に資するというか、雇用を、もっといい雇用を生み出すことで社会が発展するんですね。それがやっぱり国際会議でみんなで話し合ったときに出てきた結論なんですね。ですので、それが一番大きいと思います。何のために働くか。やっぱり、それぞれが自分なりの幸せを求めて生きる社会をつくる、そのときに、労働時間というのがやっぱり短い、短い中で効果を上げることがいい、それが生産性を上げていく、イノベーションをつくっていくという、そういう面で、少子化対策として考えるよりは、やはり今の日本の機能不全で生産性が低い社会から、もうちょっと私たちが生きやすい社会をつくるときに働き方改革は非常に有効なのではないかというふうに考えております。 以上です。
○浜田聡君 ありがとうございます。今後の日本社会の目指すところを示唆いただきましたようで、大変ありがとうございます。 次に、清水参考人にお聞きしたいと思います。 自殺リスクのある人が他人に相談するという行為について、その男女差についてお聞きしたいんですね。 自殺対策として今後取るべきことを本日大変詳しく御説明いただきまして、ありがとうございました。自殺者数を減らす対策として、自殺リスクのある人が相談できる体制を整備するというのが重要であるというのは疑いのないところだと思います。自殺した人の、もう調べてみると、その三分の二が相談をしていなかったというデータを聞いたことがあります。そういった方々があらかじめ相談するという行動を取れていれば救えた命はあるんじゃないかなと思います。 で、自殺者数の男女の違いに目を向けますと、最近、コロナの関係もありまして女性の数が増えているものの、ただ、やっぱり男性の方が女性より二倍ほど多いという傾向があると承知しております。先生の方から今回提示された資料を見ますと、SNS相談に関するものがあって、それ見てみますと、男性の相談件数が女性に比べて少ないということがありまして、こういったことから、男性の自殺者数の方が多いということもつじつまが合うかなと思います。 そこでお聞きしたいのが、このように男性の相談が女性より少ないことの背景であったり、あるいは男性をより相談に向かわせる方策などありましたら、その御見解をお聞きしたいと思います。
○参考人(清水康之君) 御質問ありがとうございます。 まさに御指摘のとおり、自殺で亡くなる人の男女比は七対三の比率で男性が多い。コロナ禍において女性の自殺が増えたといっても、依然として男性が二倍を超える自殺で亡くなっている方が多いという状況です。 それで、男性がなぜ相談少ないのかということですけど、これ幾つかあると思いますが、やはり一つは、先ほど来の話とも通底する部分かなと思うんですけど、やはり男は強くなければならないとか弱音を吐いてはいけないというような中で、とりわけ中高年の男性がなかなか相談に来られないという現状があります。まさにこれも、中高年の男性が日本では自殺が最も多い属性の人たち、先ほどもお話ししましたけれども、三分の一が中高年の男性ということですので、そういう、相談する人間は弱い人間だ、で、弱い人間は駄目な人間だといったような価値観が根っこにあることが、なかなか相談の機会を奪っているというか相談しづらい状況にしてしまっているんだろうというふうに思います。 ですので、そうした状況に対して、短期的なことでいうと、窓口で、男性外来で男性向けにターゲットを絞ってやっているよということであれば男性が来やすいというようなこともありますので、これを相談窓口として掲げているところもあって、そこはやはり男性が比較的来るような状況になっているということなので、できるだけそういうふうに、短期的なことでいうと、あなたが来ていいんですよという、男性が相談に行くことに対して心理的なハードルを下げるような、そういう看板あるいはそういう啓発を通じて相談に誘導するということが短期的には考えられるんだと思います。 あと、長期的にいうと、これも先ほど触れさせていただいたんですが、相談していいんだよということを、もう小さい頃からそれは、具体的にこういうところに、ああいうところに相談窓口もあるし、こういうふうに相談していいんだよというようなことをもう本当に子供たちに教えてあげないといけないような、そういう状況になっているんだろうと思います。 これはすぐに効果が出るものではないかもしれませんが、ただ、今後、この社会の中でできるだけ相談してもらえるような、そういう状況をつくっていくためには、やはり教育の段階から、命、暮らしの危機に直面したら相談していいんだよと、これだけいろんな相談窓口があって、こういうふうに相談対応してくれて問題が解決に至る場合もあるんだよということをしっかりと小さい頃から伝えていくことも大事かなと思います。
○浜田聡君 ありがとうございました。大きなヒントをいただいたように思いますので、今後に生かしていきたいと思います。 最後に、棚村参考人にお聞きしたいと思います。 つい先日なんですけど、上川法務大臣が今後離婚届をちょっと変更するということについてお聞きしたいと思います。 先生からあらかじめいただいた資料見ますと、やっぱり養育費の問題というのは、子供の育成支援になる、未来の主権者の保護育成ということで、国として最優先、重要な政策課題と書いてありまして、私も大いに賛同するところでございます。 この問題に頭を悩ませているというのは、もちろん日本のみではありません。世界各国で様々な施策が講じられておりますが、どの国も完全に成功しているわけではないということでした。日本としては、各国の制度を参考にしつつ、着実に対策進めていくべきなのかなと思います。 冒頭の話に戻りますが、先日、上川法務大臣が、離婚届に子供の養育費の取決めで公正証書を使っているか尋ねるチェック欄を設けること、そういう方針を表明されました。この問題については、養育費の問題というのは容易に解決できるものではないですが、ただ私としては、離婚の手続時に一つ対策を追加するというのは大きな意義があるんじゃないかと思います。 そこでお聞きしたいのは、この施策に対する先生の見解、また次に取るべき対策などあればお聞かせいただきたく思います。
○参考人(棚村政行君) どうもありがとうございました。 養育費の問題についてはやはりいろんな段階で支援とか手当てが必要だということで、先ほども言いましたけれども、取決めが率がやっぱり少ないものですから、どうやって話合いや取決めを促進するかというのと、取り決めたり決まったことを守らない人がいるので、どうやって確実にそれを取り立てるかと、大きく分けるとその二つに分かれてきます。 民法が改正されたのが二〇一二年の四月で、面会交流と養育費が初めて明文で入りました。子供の最善の利益を最優先にするという規定も入って、その考え方はいいんですけれども、そこでやっぱり協議離婚のときに合意をきちっとさせてはどうかという提案はちょっと見送りになって、その代わり、離婚届の用紙の右の下の方に、養育費、面会交流はお子さんのために大事ですと。で、取決めをしましたかというので、面会交流、取決めした、しない、欄を作ったのが二〇一二年の四月で、六割、七割弱ぐらいは取決めをしたにしているんですけれども、どんな取決めをして、その後どうなったかというのは全く把握できない状態になっていました。 今回、上川大臣は、公正証書で決めたか決めないかということをチェックさせることで、強制執行、ハードルがあるんですけれども、それにつなげたいという御意向が多分あったと思います。僕、それ自体は否定しません。離婚届でも何でもやっぱり子供にとってちゃんと責任のある話合いをして、それなりのものがあるかどうか。あった場合には、そこで例えばQRコードを付けて、強制執行はどんなふうにできるというユーチューブとかDVDとか見れるという発想なんですけど、それもいいとは思うんですけれども、やはり今私が一番懸念しているのは、日本はそういう細かいいろんなことでの、何というんですか、支援とか手だてはいいんですけれども、本当に、何というか、払おうと思って払えない人たちが二割ぐらいいるんですね。そういう人にどういう基準や方法で子供にお金を届けるかということと、それからもう一つの問題は、やっぱり取決めをしても、やっぱりしたくないと、DVとかストーカー対策もこれ本当にやらないと、ほかの国は家庭裁判所がまさに養育費とか離婚の問題もやれるんですけど、DV、ストーカー、ハラスメントの手だてをやる場所でもあるんですね。そうすると、そういう主張が出ると必ず、何というか、対応できると。 だから、やっぱり取決め促進、お金を確実に回収するという、そのことのほかに、安全、安心、しかも手間が余り掛からないように応援するという総合的な支援が必要だと私は考えております。
○浜田聡君 ありがとうございました。質問を終わります。
○会長(芝博一君) それでは、以上で各会派の一巡目の質疑は終了をいたしました。 申合せ予定の時刻も参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度といたします。 参考人の棚村参考人、大沢参考人、清水参考人の皆様方に一言御挨拶を申し上げます。 皆様方には、長時間にわたり大変貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。調査会を代表いたしまして一言厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手) それでは、本日はこれにて散会といたします。 午後六時二分散会