環境委員会 第1号
- 発言数
- 12 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 2021/03/09
会議録
○委員長(長浜博行君) ただいまから環境委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、市田忠義君が委員を辞任され、その補欠として山下芳生君が選任されました。 ─────────────
○委員長(長浜博行君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。 本委員会は、今期国会におきましても、環境及び公害問題に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長浜博行君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(長浜博行君) 環境及び公害問題に関する調査を議題といたします。 まず、環境行政等の基本施策について、小泉国務大臣から所信を聴取いたします。小泉国務大臣。
○国務大臣(小泉進次郎君) 環境大臣、気候変動担当大臣及び原子力防災を担当する内閣府特命担当大臣の小泉進次郎です。 第二百四回国会における参議院環境委員会の御審議に先立ち、所信を申し述べます。 環境省は今年、環境庁創設から五十年、環境省設置から二十年の節目を迎えます。この間、水俣病を始めとする公害問題から気候危機へと課題が拡大する中で、環境省は、人の命と環境を守るという環境庁設置以来不変の使命を果たすべく、社会変革担当省として、各省との連携を強化し、様々な課題に全力で取り組んでまいりました。 現在、新型コロナウイルス感染症への対応と気候危機という二つの危機に直面する中で、世界ではグリーンリカバリーなど急速な経済社会変革が進められており、脱炭素の大競争時代に突入したことを認識することが重要です。世界最大の投資分野である脱炭素分野で技術や市場を獲得していくことは、日本の成長戦略としても不可欠であると考えています。 環境省としては、コロナ前の社会に戻るのではなく、脱炭素社会、循環経済、分散型社会への三つの移行を加速させ、持続可能で強靱な経済社会へのリデザイン、再設計を一層強力に進めてまいります。現下の経済状況で苦労をされている産業への移行支援を行いながら、移行をせずに元の社会に戻ることの方がリスクは大きく、世界の潮流から取り残されかねないという認識を国民の皆様、経済界、社会全体と共有できるよう全力を尽くしてまいります。 以下、昨年の進捗を振り返った上で、今後の重点政策として、四つの柱に加えて、国際連携、原子力防災及び原子力規制について述べさせていただきます。 昨年は、気候変動政策をめぐり、三つのCに風穴が空いた一年となりました。三つのCとは、石炭政策の見直し、二〇五〇年カーボンニュートラルの宣言、そして環境省が長年検討を進めてきたカーボンプライシングです。 石炭火力発電については、昨年七月に決定したインフラ海外展開に関する新戦略骨子において、相手国の脱炭素化に向けた方針が確認できない場合などは新規輸出プロジェクトへの公的支援をしないことを原則とするという転換をいたしました。 また、さきの臨時国会での菅総理の所信表明演説において、我が国として二〇五〇年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことが宣言されました。 さらに、年末には、菅総理から梶山経済産業大臣と私に対して、カーボンプライシングについて連携して検討を進めるよう指示がなされました。 こうした進展を踏まえ、今年は、環境政策を更に前進させるべく、四つの柱を立てました。一つ目が四本の法案、二つ目が国・地方脱炭素実現会議、三つ目がカーボンプライシング、四つ目が福島の復興です。 一つ目は、今国会に提出し、又は提出を予定している四本の法案です。 法案の一本目は、地球温暖化対策推進法の改正案です。二〇五〇年までのCO2排出量実質ゼロを目指す地方自治体であるゼロカーボンシティは既に三百自治体を超え、人口規模で一億人を超えました。また、民間企業や金融機関による脱炭素経営やESG金融の取組も加速しています。二〇五〇年カーボンニュートラルを法律に明記することにより、こうした取組の方向性を確固たるものとするとともに、国民の理解や協力なくしてカーボンニュートラルの実現なしとの考えから、関係者を規定する条文の先頭に国民を位置付ける前例のない基本理念規定を置くほか、地域の再生可能エネルギーの利用促進に向けた円滑な合意形成等を図るための制度を導入したいと考えています。 法案の二本目は、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案です。循環経済が世界の潮流となる中、我が国は、自動車の部品を再生して新たな自動車を生産するカー・ツー・カーの実現に向けた取組を始め、金属、紙、建設資材などの大半が循環する経済社会をつくり上げてきました。このような状況で、この法案は、初めてプラスチックという素材に着目した、言わばサーキュラーエコノミー新法というべきものです。プラスチック製品の環境配慮設計から使用後の処理までライフサイクル全体にわたり総合的な対策を進めることで、資源生産性の向上を通じて、我が国の競争力の源泉とし、世界のグリーン成長へ貢献したいと考えています。 これら二本の法案に加え、自然の保護と利用の好循環の取組を制度的に後押しするための自然公園法の改正案及び気候変動を踏まえた新たな理念の下、一律の水質規制から海域ごとの水質管理への水環境行政の転換の契機となる瀬戸内海環境保全特別措置法の改正案についても国会で御審議をお願いする予定です。 二点目は、環境省が事務局を担い、首相官邸で開催されている国・地方脱炭素実現会議です。 二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた社会変革を進めるためには、今後三十年間のうち、この五年間、十年間が重要です。二〇二五年までの五年間を集中期間として脱炭素のモデルケースを各地につくり出し、次々と先行地域を広げていく脱炭素ドミノを実現します。そのためのロードマップを策定し、環境省内、省庁間、国・地方の三つの縦割りを打破して全力で取り組んでまいります。 具体的には、地域における再エネ導入倍増に加えて、二〇三五年までに新車販売で電動車一〇〇%を実現する目標に向けたEVなどの普及加速や、脱炭素型ライフスタイルの普及を進めるための措置を盛り込むべく検討を進めてまいります。 二〇三〇年の排出削減目標については、並行して検討を進める地球温暖化対策計画の見直しにおいて、新たな長期目標との整合性、世界の脱炭素化を前進させる国際性、具体的なアクションを引き出す実効性という三つの視点を重視して検討を行います。 三点目は、カーボンプライシングです。 今後、五年、十年でカーボンニュートラルに向けた社会変革を進めるためには、技術のイノベーションのみでは間に合わず、ルールのイノベーションが不可欠です。炭素への価格付けを通じて脱炭素に向けた行動変容を促し、CO2削減への努力が報われるようにするための仕組みであるカーボンプライシングは、有力な政策手法の一つです。中央環境審議会での議論を進め、経済産業省と連携し、幅広いステークホルダーとも対話を重ねながら、成長戦略に資するカーボンプライシングの検討に取り組み、前進の年にする決意です。 四点目は、震災、原発事故から十年を迎える福島の復興です。 環境省の最重要課題である東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故からの復興に向け、この十年の節目に当たり、福島県内の除去土壌等について、二〇四五年までの県外最終処分の実現に向けた取組を前進させる決意を新たにし、再生利用、県外最終処分に関する全国での理解醸成活動を強化するなど、取組を進めてまいります。また、帰還困難区域を除く県内除去土壌等の中間貯蔵施設への輸送について来年度末までのおおむね完了を目指すとともに、仮置場の早期解消、特定復興再生拠点区域における家屋等の解体、除染、福島県内外の指定廃棄物等の処理などを安全第一で着実に実施します。 さらに、福島の本格的な復興、再生という次のステージに向け、三つの柱を中心に取組を進めます。一つ目が福島県産の再生可能エネルギーの利用促進等による脱炭素に向けた取組、二つ目が自然資源を生かした地域の魅力向上等の風評対策、三つ目が子供たちへの震災、原発事故や環境再生の記憶の継承等による風化防止です。環境省の総力を挙げて、福島県とともに未来志向の環境施策を推進します。 続いて、国際連携について申し上げます。 世界が脱炭素社会への移行と新型コロナウイルスからの回復という二つの課題に直面する中で、元の社会に戻るのではなく、持続可能で強靱な経済社会へのリデザインを世界に発信していきます。その上で、今年の狙いは三点あります。一点目が気候変動COPと生物多様性COPの二つのCOPの成功、二点目がパリ協定に復帰したアメリカとの連携、三点目がインド太平洋の脱炭素で持続可能な社会への移行支援です。 第一に、二つのCOPのうち、気候変動枠組条約のCOP26については、議長国のイギリスとも連携して、市場メカニズムに関するパリ協定六条のルールの合意に向けて国際的な議論を牽引していきます。また、COP26までに、二〇五〇年カーボンニュートラルと整合的で意欲的な二〇三〇年目標を国際社会に表明します。生物多様性条約のCOP15については、新たな世界目標であるポスト二〇二〇生物多様性枠組の議論がなされる重要な会議であり、その成果を我が国の新たな生物多様性国家戦略の検討に反映するとともに、我が国発のSATOYAMAイニシアティブの経験に基づき、各国の新たな国家戦略の策定に貢献するなど、国際連携を推進します。 第二に、アメリカとの連携です。バイデン大統領は、就任早々パリ協定への復帰手続を取り、気候危機を外交政策、国家安全保障の中核に据えることを表明しました。アメリカの政権に初めて設けられた二つのポストに就任したケリー気候変動特使とマッカーシー国家気候担当大統領補佐官とは就任直後から対話を重ねており、四月に開催される気候サミットに向け、日本の取組を発信する準備を進めるとともに、今後、具体的な日米間の協力を進めていきます。 第三に、インド太平洋については、先月、インドネシアにおいて我が国が支援する廃棄物発電の第一号案件の協力が合意に至りました。火力発電と比較してCO2の排出を抑制することができ、地域の課題解決にもつながる今回のような環境インフラの海外展開を通じて、脱炭素で持続可能な社会への移行支援を進めてまいります。 中国については、日中韓環境大臣会合の枠組み等を活用しつつ、世界全体でのピークアウトを早めるための実効的な取組を促すなど、我が国として各国と連携し、世界の気候変動対策を主導していきます。 加えて、本日付けで、菅総理から、新たに私を気候変動担当大臣とするとの御指示を受けたところです。一連の気候変動問題に関する国際会議に向け、関係大臣と協力して対応方針を準備するなど、政府一体となって対応を円滑に推進するため、行政各部の調整に尽力してまいります。 最後に、内閣府特命担当大臣として、原子力防災等について申し上げます。 東京電力福島第一原子力発電所事故の発生から十年を迎えます。万が一の原子力発電所の事故に対応するための備えに終わりや完璧はありません。先般、感染症の流行下での原子力災害時における防護措置の基本的な考え方や、避難等の際における感染症対策として、これを具体化したガイドラインを公表しました。福島第一原子力発電所事故の教訓をしっかりと胸に刻み、今後も安全神話にとらわれることなく、関係自治体等と一体となり、各地域での防災訓練等を通じて、地域防災計画、避難計画の継続的な充実強化等に取り組んでまいります。 加えて、原子力の安全確保に係る人的基盤の強化、放射線モニタリング体制の充実等を通じ、原子力規制委員会が独立性の高い三条委員会として、科学的、技術的見地から公正中立な立場で規制を進められるよう支援していきます。 以上御説明申し上げたとおり、環境省の役割が菅内閣の掲げるグリーン社会の実現という最重要政策を担うものとなった中、環境省の責任はかつてないほど大きくなっていることに身が引き締まる思いです。政務三役及び職員が一丸となり、全身全霊で職務に取り組んでまいります。 長浜委員長を始め、理事、委員各位におかれましては、今後とも、環境行政及び原子力防災の一層の推進のため、御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。 ありがとうございました。
○委員長(長浜博行君) 次に、令和三年度環境省予算及び環境保全経費の概要について説明を聴取いたします。笹川環境副大臣。
○副大臣(笹川博義君) 令和三年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明申し上げます。 まず、一般会計予算では総額三千二百三十二億円余を計上しております。 以下、その主要施策について御説明申し上げます。 第一に、地球環境保全対策については、パリ協定の下で国内及び世界全体の地球温暖化対策を進めるほか、気候変動適応策の推進、環境インフラの海外展開などに必要な経費として、一千三百二十九億円余を計上しております。 第二に、廃棄物・リサイクル対策については、プラスチックの資源循環の推進など循環経済の実現に向けた取組を進めるとともに、廃棄物処理施設や浄化槽の整備、災害廃棄物対策、循環産業の育成や国際展開の支援、不法投棄対策や適正処理対策の推進などに必要な経費として、四百四十九億円余を計上しております。 第三に、自然環境の保全対策については、生物多様性の保全及び持続可能な利用を図るため、国立公園や世界自然遺産などの優れた自然環境の保護と適正な利用の推進、希少種の保全や外来生物対策の推進、鳥獣保護管理の強化、動物愛護管理の推進、国民公園の魅力向上などに必要な経費として、百四十五億円余を計上しております。 第四に、総合的な環境政策の推進については、環境、経済、社会の諸課題の同時解決につなげるべく、自立分散型の社会を形成する地域循環共生圏の取組の支援、事業活動や金融のグリーン化、環境教育施策の推進、実効ある環境影響評価の推進などに必要な経費として、三十五億円余を計上しております。 第五に、公害健康被害対策等については、水俣病対策、公害健康被害補償制度や石綿健康被害救済制度の適正かつ円滑な実施、化学物質対策の着実な推進などに必要な経費として、二百三十六億円余を計上しております。 第六に、大気、水、土壌環境等の保全対策については、石綿飛散防止などの大気環境保全対策、海洋プラスチックなどの海洋ごみ対策、土壌汚染対策などの推進に必要な経費として、五十四億円余を計上しております。 第七に、環境保全に関する調査研究、技術開発については、地球環境の保全、化学物質対策等に関する調査研究、技術開発の推進などに必要な経費として、三十四億円余を計上しております。 第八に、国の環境政策の企画立案に必要な地域の情報の収集及び地域の実情に応じ機動的かつきめ細やかな環境政策の展開を図るための経費として、六十八億円余を計上しております。 第九に、原子力安全の確保については、原子力規制委員会が行う原子力安全規制対策の推進に必要な経費として、四百六十九億円余を計上しております。 次に、特別会計予算について御説明申し上げます。 まず、エネルギー対策特別会計予算では総額二千十二億円余を計上しております。 以下、その内訳について御説明申し上げます。 第一に、地球温暖化対策については、二〇五〇年までのカーボンニュートラルの実現に向けて、地域再エネの強化など、ゼロカーボンシティの実現の支援、移動や住宅の脱炭素化などライフスタイルの転換の推進、先導的技術の開発と社会実装、グリーンな経済社会システムへの転換、我が国の環境技術等による世界の脱炭素化への貢献などに必要な経費として、エネルギー需給勘定に一般会計から一千二百九十億円の繰入れを行い、総額として一千六百二億円余を計上しております。 第二に、原子力安全規制対策については、原子力安全規制の更なる高度化及び原子力規制委員会の専門能力強化等を図るために必要な経費として、電源開発促進勘定に一般会計から三百五十二億円余の繰入れを行い、総額として四百九億円余を計上しております。 次に、東日本大震災復興特別会計予算では、中間貯蔵施設の整備や除去土壌等の適正管理、搬出等の実施、指定廃棄物の処理等の推進、帰還困難区域内の特定復興再生拠点区域における除染及び家屋解体などに必要な経費として、復興庁所管予算に総額三千六百四十六億円余を計上しております。 以上が、令和三年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の概要であります。 最後に、各府省の令和三年度環境保全経費の概要について御説明申し上げます。 政府全体の環境政策の効果的な実施を目的として取りまとめております環境保全経費については、令和三年度におけるその総額として、一兆六千四十九億円余を計上しております。 これを事項別に見ますと、地球環境の保全のために五千四百七億円余、生物多様性の保全及び持続可能な利用のために一千五百四十六億円余、循環型社会の形成のために六百七十四億円余、水環境、土壌環境、地盤環境、海洋環境の保全のために一千百七十五億円余、大気環境の保全のために一千七百三十六億円余、包括的な化学物質対策のために五十七億円余、放射性物質による環境汚染の防止のために三千九百四十五億円余、各種施策の基盤となる施策等のために一千五百六億円余をそれぞれ計上しております。 以上、令和三年度の環境省所管の予算及び各府省の環境保全経費の概要について御説明申し上げました。
○委員長(長浜博行君) 次に、公害等調整委員会の業務等について説明を聴取いたします。荒井公害等調整委員会委員長。
○政府特別補佐人(荒井勉君) 公害等調整委員会は、公害に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図るとともに、鉱業等と一般公益又は他の産業との土地利用に関する調整などを行うことを任務とし、総務省の外局として置かれている委員会でございます。 当委員会におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、ウエブ会議の活用を積極的に進めるほか、期日における人数制限や間隔確保を行うなど、感染防止のための対策を講じつつ、迅速かつ適正な事件処理に努めているところでございます。 当委員会が令和二年中に行った公害紛争の処理に関する業務及び鉱業等に係る土地利用の調整に関する業務について御説明申し上げます。 まず、公害紛争の処理に関する業務について御説明申し上げます。 第一に、当委員会に係属した公害紛争事件についてでございます。 当委員会は、公害に係る紛争について、当事者からの申請に基づき、双方の互譲による合意を促して解決に導く調停、加害行為と被害との因果関係の存否や損害賠償責任の有無及び賠償額について法律判断を行う裁定等により事件の迅速かつ適正な解決に努めております。 令和二年に当委員会に係属した公害紛争事件は、調停が三件、裁定が四十七件、合計五十件でございます。 主な事件としましては、東京都など六都府県の申請人らが、自動車からの排出ガスによって気管支ぜんそく等に罹患し、生きる権利の侵害及び医療費負担による精神的な被害を受けたと主張して、国に対して新たな大気汚染公害医療費救済制度の創設を、自動車メーカーらに対して同救済制度の財源負担を求めるとともに、両者に対して損害賠償を求めた調停申請事件、東京都小平市の申請人らが、近接する食品製造会社の工場から排出されたエタノールによって増殖したカビにより、申請人らの事業所及び住居の外壁に黒ずみが発生したと主張して、食品製造会社に対して損害賠償を求めた責任裁定申請事件などがございます。 また、令和二年中に終結した事件は十五件でございます。 主な事件としましては、東京国際空港の近隣において事業を営む申請人らが、空港を離着陸する航空機を増便するために新しい飛行経路が開設、運用されると騒音被害等が生じると主張して、国に対して滑走路の供用制限等を求めた調停申請事件、熊本市の申請人が、ビニールハウスのボイラーからの騒音により健康被害等が生じたと主張して、ビニールハウスの所有者に対して損害賠償を求めるとともに、当該因果関係の存在の確認を求めた責任裁定及び原因裁定申請事件などがございます。例に挙げた二件は、いずれも調停が成立しております。 そのほか、水俣病損害賠償調停申請事件の調停成立後に症状が進行したとして慰謝料等の増額を求める申請が六件係属し、うち四件について手続が終了しております。 当委員会は、事件処理に当たり、多様化、複雑化する公害紛争への機動的かつ的確な対応を図るとともに、公害紛争処理制度の利用の促進に努めております。 具体的には、地方に在住する当事者の負担を軽減するため被害発生地などの現地で審問期日等を開催すること、事実関係を明らかにし、判断の精度を高めるため事件調査の充実と専門委員の知見の活用を図ること、広報活動として、国民や法曹関係者、関係する相談機関に本制度を積極的に周知することなどがございます。今後もこうした取組を一層推進してまいります。 第二に、都道府県公害審査会等に係属した公害紛争事件についてでございます。 都道府県公害審査会等では、当該都道府県内における公害に係る紛争についての調停等を行っております。令和二年には八十件の事件が係属し、公害の種類別では、騒音に係る事件が最も多くなっております。これらの事件のうち、同年中に終結した事件は三十八件でございます。 第三に、全国の地方公共団体の窓口に寄せられた公害苦情の実態を調査いたしました結果、令和元年度の公害苦情の受付件数は、前年度から約四千件増加して約七万件となっております。 これを苦情の種類別に見ますと、大気汚染、水質汚濁、騒音、悪臭などいわゆる典型七公害に関する苦情は約四万七千件、それ以外の苦情は約二万四千件となっております。 当委員会は、今後とも、全国で発生する様々な公害関連の事案を全体として適切に解決する観点から、住民に身近な場で公害紛争や公害苦情の処理を担う地方公共団体への情報提供、相談支援などにも努め、緊密な連携を図ってまいります。 続きまして、鉱業等に係る土地利用の調整に関する業務について御説明申し上げます。 第一に、鉱業等に係る行政処分に対する不服の裁定に関する業務についてでございます。 当委員会は、鉱業法に基づく特定の許認可などの処分に不服がある者からの申請について裁定を行い、一般公益や他の産業との調整を行っております。 令和二年に当委員会に係属した事件は、福島県において採石業者に対して処分庁が条件付で岩石採取計画を認可したところ、採石場に電柱等を所有する電力会社が、採石業者が当該条件に違反し、採石によって当該電柱等に支障を与えるおそれがあると主張して本件認可処分の取消しを求めた不服裁定申請事件など四件でございます。そのうち、例に挙げた一件は同年中に終結いたしました。 第二に、土地収用法に基づく意見の照会等に関する業務についてでございます。 土地収用法に基づく審査請求に対して国土交通大臣が裁決を行う場合などには、当委員会の意見を求めること等とされております。 令和二年に当委員会に係属した土地収用法に基づく意見の照会等は四件であり、そのうち、同年中に処理した事案は三件でございます。 以上が、令和二年中に行った公害紛争の処理に関する業務及び鉱業等に係る土地利用の調整に関する業務の概要でございます。 続きまして、公害等調整委員会における令和三年度歳出予算案について御説明申し上げます。 当委員会の歳出予算額は、五億六千百万円でございます。 厳しい財政状況の中、公害紛争の迅速かつ適正な解決に資するよう、第一に、事実関係を明らかにする事件調査の実施経費として二千五百万円、第二に、地方に在住する当事者の負担を軽減するため現地で審問期日等を開催する経費として一千万円をそれぞれ計上しております。 以上が、公害等調整委員会における令和三年度歳出予算案の概要でございます。 公害等調整委員会としましては、今後とも、新型コロナウイルス感染症の感染防止のための対策を講じつつ、これらの業務を迅速かつ適正に処理するため、鋭意努力してまいる所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
○委員長(長浜博行君) 次に、原子力規制委員会の業務について説明を聴取いたします。更田原子力規制委員会委員長。
○政府特別補佐人(更田豊志君) 原子力規制委員会委員長の更田豊志でございます。 参議院環境委員会における御審議に先立ち、原子力規制委員会の業務について御説明申し上げます。 原子力規制委員会は、原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守るという使命を果たすため、様々な課題に取り組んでおります。 まず第一に、原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な実施について申し上げます。 東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえ強化した規制基準への適合性審査については、これまで、発電用原子炉について十一の事業者から二十七基の原子炉に係る申請が、核燃料施設等について九つの事業者から二十一の施設に係る申請がなされております。 このうち、発電用原子炉については、令和二年二月二十六日の東北電力女川原子力発電所二号炉に対するものを含め、これまでに計十六基に対して設置変更許可を行いました。また、核燃料施設等については、核燃料物質の加工施設、使用済燃料の貯蔵施設と再処理施設、及び廃棄物管理施設に対して、これまでに十件の事業変更許可を行うとともに、試験研究炉に対して、これまでに二件の設置変更承認及び五件の設置変更許可を行いました。 発電用原子炉の運転期間延長については、これまでに関西電力高浜発電所一号炉及び二号炉、美浜発電所三号炉並びに日本原子力発電東海第二発電所の計四基に対して認可を行いました。 発電用原子炉の廃止措置計画については、これまで計十四基に対して認可を行いました。このほか、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」を始め計五件に対しても、廃止措置計画の認可を行いました。 また、平成二十九年に改正された原子炉等規制法に基づき、昨年四月から新たな検査制度の運用を開始し、事業者のあらゆる安全活動について監視を行っています。東京電力柏崎刈羽原子力発電所におけるIDカード不正使用の事案については、規制の関与の下で改善を図るべき案件であると評価し、再発防止策が確実に、かつ継続的に行われているかについて、今後追加の原子力規制検査を行うことにより事業者を監視、指導してまいります。また、これ以外にも原子力施設等で事故トラブルが発生した場合は、速やかな状況確認などを通じて、今後とも引き続き適切に対応してまいります。 以上のとおり、原子力施設等に関する審査、検査を順次進めております。 規制基準については、安全研究等により得られた最新の科学的、技術的知見、新規制基準に係る適合性審査の実績等を踏まえて、高エネルギーアーク損傷対策、降下火砕物対策、火災防護対策等に係る改正を行い、継続的に改善を図っております。 第二に、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組の監視等について申し上げます。 原子力規制委員会は、東京電力福島第一原子力発電所の安全な廃炉や汚染水対策の実施に向け、規制当局としての立場から積極的な監視を行っており、安全かつ着実に廃炉作業が進むよう、実施計画の審査などに当たっております。 引き続き、処理した水の処分や使用済燃料プールからの燃料の取り出しなどの対策が適切に行われるよう、監視、指導を行ってまいります。 二月十三日に発生した福島県沖地震による外部への影響は確認されませんでしたが、一号機及び三号機の原子炉格納容器の水位低下や処理済水などをためるタンクのずれなどが生じていることから引き続き状況を注視し、安全が確保されるよう対応してまいります。 また、同発電所の事故調査については、一昨年九月より、廃炉作業を進める東京電力や関係省庁等との調整、連携の下、現場の実情の確認作業や公開の会合で放射性物質等の放出又は漏えい経路、原子炉建屋における水素爆発の詳細分析等について検討を重ねてきました。その中間取りまとめの案につきましては、広く意見募集を行いました。いただきました御意見を踏まえて取りまとめを行うとともに、今後とも継続的な調査、分析を進めてまいります。 第三に、原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実並びに保障措置について申し上げます。 原子力規制委員会では、昨年十月に原子力災害対策指針を改定し、特定重大事故等対処施設の運用開始を見据えて緊急時活動レベルを見直したほか、基幹高度被ばく医療支援センターの機能強化により、原子力災害時における医療体制の着実な整備を進めるなど、原子力災害対策の充実を図っております。 放射線モニタリングについては、原子力規制事務所におけるモニタリング担当職員の配置及びモニタリング資機材の配備等により、緊急時モニタリング体制の充実を図っております。また、関係省庁及び関係機関と連携して、東京電力福島第一原子力発電所事故に係る状況に応じた環境放射線モニタリングを継続するとともに、モニタリング結果について、国内外への情報発信にも努めています。 また、国際約束に基づく国内の原子力施設に対する厳格な保障措置の適用により、国内全ての核物質が平和的活動にとどまっているとの評価を継続して国際原子力機関、IAEAより得ております。 以上、原子力規制委員会の業務について御説明いたしました。 本年三月十一日で、東京電力福島第一原子力発電所事故の発生から十年となります。原子力規制委員会は、あのような事故は二度と起こさないという決意の下、与えられた職責を踏まえ、原子力利用の安全が確実に担保されるよう、また、我が国の原子力規制に対する信頼が回復されるよう、今後とも努力してまいります。何とぞよろしくお願い申し上げます。
○委員長(長浜博行君) 以上で所信及び予算等の説明の聴取は終わりました。 本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時四十七分散会