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204回国会参議院2021/04/22

外交防衛委員会 第9号

発言数
159
登壇者
22
会派数
8
開催日
2021/04/22

会議録

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、片山大介君、松川るい君、北村経夫君及び福山哲郎君が委員を辞任され、その補欠として鈴木宗男君、滝波宏文君、高橋克法君及び石川大我君が選任されました。     ─────────────

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) この際、茂木外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。茂木外務大臣。

茂木敏充自由民主党・無所属の会外務大臣

○国務大臣(茂木敏充君) おはようございます。  地域的な包括的経済連携協定の日本語訳の一部について、編集、印刷時の改ページの処理の誤りにより、欠落及び重複がありました。このようなことが生じてしまったことは大変遺憾であり、再発防止の徹底を指示いたしました。  長峯委員長、理事、オブザーバー及び委員の先生方には、引き続き審議に御理解賜りたく、よろしくお願い申し上げます。     ─────────────

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地域的な包括的経済連携協定の締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、消防庁国民保護・防災部長荻澤滋君外十三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地域的な包括的経済連携協定の締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、慶應義塾大学経済学部教授木村福成君、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社調査部主席研究員菅原淳一君及びNPO法人アジア太平洋資料センター代表理事内田聖子君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) 地域的な包括的経済連携協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  政府から趣旨説明を聴取いたします。茂木外務大臣。

茂木敏充自由民主党・無所属の会外務大臣

○国務大臣(茂木敏充君) ただいま議題となりました地域的な包括的経済連携協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、平成二十四年十一月、東南アジア諸国連合の構成国十か国、オーストラリア、中国、インド、韓国及びニュージーランドとの間で、この協定の交渉を開始することについて一致し、平成二十五年五月から交渉を行いました。その結果、令和二年十一月十五日に、インドを除く十五か国代表により、各国において、この協定の署名が行われました。  この協定は、物品及びサービスの貿易の自由化及び円滑化を進め、投資の機会を拡大させるとともに、知的財産、電子商取引等の幅広い分野での新たなルールを構築すること等を内容とする経済上の連携のための法的枠組みを設けるものであります。  この協定の締結により、世界の成長センターであるこの地域と我が国とのつながりがこれまで以上に強固になり、我が国及び地域の経済成長に寄与することが期待されます。また、世界で保護主義や内向き志向が強まる中、自由貿易体制の維持強化を更に推進していくとのメッセージを世界に向けて発信することにもなると考えます。  よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 おはようございます。自民党の佐藤正久です。  RCEPについては、昨日も本会議の方で質疑が行われました。RCEPのやっぱりメリットというものは、日本の工業製品やあるいは農産品等がこの加盟国の方への輸出が加速される可能性が高いという一方で、外交的な観点としても、やはり日本が主導するインド太平洋、まさにFOIPの柱の一つが自由貿易の促進ですから、そういう意味で、このTPP11、CPTPPや、あるいは日EU・EPA、あるいはこのRCEPというものの意義も大きいというふうに思いますし、さらに、アメリカにこのインド太平洋に注目させるという意味からも、将来のCPTPPへのアメリカの復帰を見据えた上でも、このRCEPの意義というのはあろうかと思います。  今般、残念ながらインドがこれに加盟しなかったと。これに日本が加盟しなかったら、もう中国の独壇場になってしまうというやっぱりおそれはあります。そういう意味で、日本が入ることによって、いろんな形でこのRCEPをより良いものにするという意味でも意義は大きいというふうには思いますが、ただ、やはり多くの方が懸念するのは、中国、やっぱりチャイナリスクです。今回は発展途上国が入っているという関係もあって、CPTPPに比べるとやっぱりいろんな部分の通商の規制という部分、ルール作りというのは甘い部分があるのもやむを得ない部分はあろうかと思いますが、やはりこの紛争処理、これはどうしても懸念が拭えないという部分があります。  今回、電子商取引という部分が入って、例えば、サーバーというものをそのある国に置かないといけないとか、あるいは電子データを国外に持ち出してはいけないということを禁止するとか、そういうデータローカライゼーションというものの禁止というものも入っているんですけれども、ただ、これには例外規定というものもあり、安全保障の観点とかいう例外規定があります。  この電子商取引、例えばそのローカライゼーションの禁止というものについて、これを破った場合、仮に中国がそれを守らなかった場合、これは、このRCEPの紛争処理という規定にのっとってこれは対処されるんでしょうか。

四方敬之外務省経済局長

○政府参考人(四方敬之君) お答え申し上げます。  RCEP協定の電子商取引章には、委員御指摘の情報の越境移転の制限の禁止、コンピューター関連設備の設置要求の禁止といったEコマースを促進するための規定に加えまして、Eコマースを利用する消費者の保護や個人情報の保護といった電子商取引の信頼性を確保するための規定等が盛り込まれております。  一部の参加国にとりまして、こうした電子商取引章の規定が既存の協定で約束したことのない内容を含んでいたこともございまして、交渉の結果、協定の発効時点では紛争解決章の手続を適用しないこととなりました。  他方で、電子商取引章の規定の解釈及び適用に関する問題につきましては、関係国で協議を行い、協議によって解決できない場合にはRCEP合同委員会に付託することができる旨規定されておりまして、何らかの紛争が生じた場合には必要に応じましてこうした規定を活用してまいりたいと考えております。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 まさに、これからの部分がこの部分についてはやっぱり課題としてあります。  さらに、例えば、日本企業が中国の方に進出した後、中国の一方的な政策変更によって投資の利益、投資の減少というものが発生した場合、この損害というものはこの協定に基づいて中国側に要求できるんでしょうか。

四方敬之外務省経済局長

○政府参考人(四方敬之君) RCEP協定の投資章では、締約国がほかの締約国の投資家及びその投資財産につきまして、内国民待遇義務、最恵国待遇義務、公正かつ衡平な待遇を与える義務等が定められております。また、RCEP協定では、締約国は、一定の要件を満たさない限り、収用若しくは国有化、又はそれらと同等の措置を実施してはならない旨規定しております。  御指摘の点につきましては、個別具体の事案に応じて検討する必要ございますけれども、協定発効後に仮に中国を含む締約国がこれらの規定と相入れない措置をとる場合には、RCEP協定上に規定された紛争解決手続等に基づきまして適切に対応してまいりたいと考えております。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 日中間の投資協定においても、やはり国と国ならまだいいんですけれども、個人、個人の投資家が国と争うというのは結構ハードルが高くて、今まである日本企業がチャレンジしたことが一回あったようですけれども、途中で頓挫してしまったという事実もあります。これからという部分もこの部分も多いかと思います。  さらに、今回、知的財産、商標登録という部分が盛り込まれておりますけれども、例えば、今、やっぱり日本の商標、商品、宇治茶とか白老牛とか無印良品商品とか、いろいろもめているものがありますけれども、今回、このRCEPが中国が入ることによって、今まで、現在紛争中あるいは係争中のもの、これも遡及をしてこれは紛争処理ができるという理解でよろしいでしょうか。

四方敬之外務省経済局長

○政府参考人(四方敬之君) 中国等において日本の商標等類似した商標や日本の地名を含む商標が中国企業によって登録される問題など、中国における日本企業等の知的財産の保護につきましては政府として問題視しておりまして、これまでも個別の事案ごとに、当事者の意向も踏まえて必要な働きかけを行ってきたところでございます。  RCEP協定では、WTO協定にない規定といたしまして、悪意による商標の出願を拒絶し、又は登録を取り消す権限を当局に与えることなど、商標を含めた知財のための国内制度の整備を義務付ける規定を含んでおります。  政府としましては、こうした規定を通じまして、委員御指摘の宇治茶等、以前から問題となっている日本企業等が直面する商標の保護や模倣品、海賊版等の問題が改善されることを期待しております。仮に、締約国が協定の規定と相入れない措置をとる場合には、RCEP協定上に規定された協議メカニズムや紛争解決手続を活用して適切に対応してまいりたいと思います。  協定発効前に商標登録されたものの扱いにつきましては、本規定に従いまして各国が整備する国内制度の内容を踏まえ、我が方として日本の商標や知財をしかるべく保護するとの観点から、締約国の制度の整備、運用を引き続きしっかり注視し、適切な整備、運用がなされていない場合には改善を求めてまいりたいと考えております。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 これは非常に大きな案件だと思っておりまして、そのためにはそれなりにしっかりした体制を組まないとできないと。しかも、遡及ということも考えてやるということは、非常にこれは日本のそれぞれの地域あるいは企業にとっても大きな一つの光となるかもしれません。  ただ、そのためには、やっぱり外務大臣、しっかりこれ、体制を取らないとこれはできないと。確かに、外務省の方で経済紛争処理課というのが昨年夏にできたということは承知しておりますけれども、やはり外務省だけではなく、関係省庁やっぱりスクラムを組んでかなり本腰を入れてやらないと、しかも法的な専門家も入れてやらないとかなり難しいと思いますので、今いろいろ議論してきましたけれども、やっぱり紛争処理、いろんなことが起きる可能性があります。これについてどのような体制等で取り組む御決意か、外務大臣の所見をお伺いします。

茂木敏充自由民主党・無所属の会外務大臣

○国務大臣(茂木敏充君) 戦後の日本外交を考えてみますと、五一年のサンフランシスコ講和条約以降は二国間の関係をどうしていくかと、日韓、さらには七二年の日中国交回復化ということで、どちらかといいますと、バイでのいろんな条約の締結と、こういったことが中心になってまいりまして、まず、外務省の体制ですけれど、二〇〇三年に、それまでの条約局と、これを今後のマルチの様々な協議メカニズムであったりとか紛争処理にも適応させていくと、こういう観点から国際法局と、これに改組したわけであります。その上で、さらに、今委員の方からも御指摘ありましたが、昨年八月、この国際法局の中に経済紛争処理課と、これを新設いたしまして、経済紛争解決の体制強化及び知見の増強に取り組んでおります。  RCEP協定を含みます経済分野の国際協定に基づく紛争解決において、外務省として、国際法の一貫した解釈及び実施について責任を有する立場から、委員御指摘のように、これ外務省だけにとどまらないと、対象分野の所管省庁を含みます関係省庁と緊密な連携の下、しっかり関与をしていく考えであります。  こういう体制が強いかどうかということによって、これは紛争処理にしましても、なかなか、絶対に正しいというよりも、そこでどれだけしっかりした論拠に基づいて我が国の立場、主張できるかということになってまいりますので、しっかりこういう体制も含めて充実しながら対応していきたいと思っております。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 大臣、ありがとうございます。  これはやっぱり、結構各省庁またがります。そういう意味では、やっぱり外務省が先頭に立ってまとめる形で紛争処理、これを当たっていただきたいということを要望したいと思います。  次に、このRCEPは、やっぱり発展途上国が入っているという観点で、環境あるいは労働、あるいはジェンダー、人権というものが入っておりません。日英EPAにおいてはジェンダー部分が入りましたけれども、これは入っておりません。  そこで、ただ、最近、やっぱり人権問題、相当ビジネスの間でもクローズアップされて、国連の人権理事会の方で、ビジネスと人権に関する行動計画というものが採択をされて、日本も昨年、ビジネスと人権に関する行動計画二〇二〇というものをつくり、国がやること、あるいは企業が、企業活動における人権の尊重という部分も指針的なものが示されました。  今回のRCEPにおいてもこれは入っていないんですけれども、やはり企業活動において人権というものはこれは無視できないという観点が増えてきているというように思います。  例えば、中国の新疆ウイグルの人権状況という観点からよく問題になるのが、綿花あるいはトマトというものが、労働と、強制労働という観点から特にアメリカの方では結構問題視をされて、それに対する規制を掛けるという動きがあります。また、日本の場合は、例えばカゴメさんが自主的にそのウイグルの部分についてはやめる、あるいは綿花についても一部の企業はやめる、あるいは一部は続けると、かなり企業の主体的な判断という部分がありますけれども、やっぱりこの分野というのは、今後やっぱりどうしても大きくだんだんクローズアップされがちです。  また、今度、今日ですかね、世界気候変動サミット、総理も参加されますけれども、これから太陽光パネル、太陽光パネルのポリシリコンというんですかね、この太陽光のエネルギーを電気に変えるこのポリシリコンは、世界の半分を新疆ウイグルで作っているということもあります。そうなると、そういう人権問題含めて、この太陽光一つ取っても影響しますし、また電気自動車のネオジム、これもやっぱり中国に対する依存度って高いと、こういろいろ出てきます。これ、人権問題という部分とこの影響という部分はかなりこれ出てくると思います。  また、ミャンマーについても、ミャンマー、今クーデターということで、軍事政権が今できて政府をつくっておりますけれども、仮に、このミャンマーもRCEPに入っています。ミャンマーの軍事政権が、彼らでこれをRCEPを批准をしてこれを事務局の方に届けたという場合、この扱いというのは事務局の方で判断するんでしょうか、ASEANで判断するんでしょうか、それとも加盟国全体で判断するんでしょうか。

四方敬之外務省経済局長

○政府参考人(四方敬之君) お答え申し上げます。  ミャンマーにつきまして、今後批准書が寄託あった場合ということでございますけれども、そもそもミャンマーにつきましては、我が国は事案発生以来、ミャンマー国軍に対して暴力の即時停止、拘束された関係者の解放、民主的な政治体制の早期回復を強く求めてきております。我が国といたしまして、ミャンマーにおけるクーデターの正当性を認めることはございません。  RCEP協定上、署名国は批准書等を寄託者であるASEAN事務局長に寄託することとなっておりますけれども、寄託が承諾されるかどうかといったことについて特段の規定はございません。一般論として申し上げますと、RCEP協定の実施及び運用に関する問題につきましては、RCEP参加国間で意思疎通をしながら対応を検討していくことになります。  我が国といたしましては、ミャンマーにおいて民主的な政治体制が早期に回復されることが重要であるというのが基本的な立場でございまして、その上で、今後の対応につきましては、オーストラリア、ニュージーランド、ASEANを始め、ほかのRCEP参加国とも緊密に意思疎通をしながら検討してまいりたいと考えております。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 今、非常に重要なポイントなんですね、ここが。これはほかの国もいろいろ悩ましい部分があると思いますけれども、近々、ASEANの方でも首脳会談というものをミャンマーの国軍司令官を招いてやるという話もあります。じゃ、今後、こういう多国間の部分、日本の場合も日・メコン首脳会議というものを主催する可能性もありますけれども、やはり、こういう部分、どうするかという部分は今からやらないといけない。仮に、日本の意向というものと違ってある程度これが承認された場合、国軍傘下の、仮に承認された場合、加盟が承認された場合、国軍傘下の企業、MECとかMEHLから日本の方に物が入ってくるということを止める手段というのはあるんでしょうか。

四方敬之外務省経済局長

○政府参考人(四方敬之君) お答え申し上げます。  国軍関係企業からの輸入の停止といった措置がとれるのかどうかにつきましては、具体的な措置の内容に即して国際約束との整合性を検討する必要がございますため一概にお答えするのは難しい状況でございますけれども、いずれにしましても、RCEP協定の有無にかかわらず、WTO協定を含む関連の国際法上の規律と整合的な形で対応していく必要があると考えております。  我が国といたしまして、自由、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値を重視しており、こうした普遍的価値がRCEP参加国においても保障されることが重要であると考えております。RCEP協定の実施及び運用に関する問題につきましては、RCEP参加国間で意思疎通をしながら対応を検討してまいりたいと考えております。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 これ非常にこれから悩ましい問題になりますから、今からいろんな検討あるいは外交を展開していただきたいと思います。  今日、配付資料の資料一を御覧ください。  これは外務省を含めて関係省庁がまとめてもらったものなんですけれども、既存の制度で、人権というものを前面に出していませんけれども、人権という側面で仮にどういうことができるかという、それぞれの現行法、そして具体的な措置の例、具体的な要件、具体的な事例というものをまとめたものです。  私も外務副大臣、二年させていただきました。やはりこういう分野というのは、最終的には外交というものを含めた総合的な判断でやらないといけないというものは私も十分承知しております。  という中で、このまず外為法と入管法と外務省査証事務処理規則といういろんな法令がありますけれども、この具体的な要件①、これは国連決議に基づいてやる場合、これは北朝鮮関係があります。この②、赤字でありますけれども、国際平和、国際協調に基づく措置と、これは閣議了解がないとこれできませんけれども、例えばクリミア併合のときにとったような措置。そしてまた、我が国の平和、安全というものでやると、これも北朝鮮の、関する独自制裁というものがこの③に当たります。また、この輸出制限、輸出管理という部分については、国際的な平和、安全を妨げるという観点から、特定地域を仕向地とするものに特定の物質、あっ、特定の種類、貨物、技術をできると、これは南アフリカのアパルトヘイトということでやった事例があるというふうにあります。また、この入管法においては、今回コロナ関連でこれを適用したとあります。  そういう中で、今、超党派の方でマグニツキー法的なもの、日本版というものを作ろうという動きがあります。仄聞すると、かなり国会の方に強い権限を与えて政府の方に調査あるいは制裁を求めるという内容のような感じですけれども、やはり最初に申しましたように、やはり最終的には日本の国益に照らして外交を含む総合的な判断というものが必要というのは私も非常に重要なポイントだと思っておりまして、そういう観点から現行法でできる部分は現行法でやるというのも私は大事な側面だと思っております。  そこで、この二番の国際協調に基づく措置というもの、この要件、これもう少し具体的に説明してもらえますか。

風木淳経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長

○政府参考人(風木淳君) お答えいたします。  今、外為法関係の制裁関係で三つの要件、御紹介ありました。我が国が締結した条約その他の国際約束を誠実に履行するための必要があるとき、これは国連決議等、それから今二番目の要件、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるとき、それから三つ目が、我が国独自の平和及び安全の維持のため特に必要があるときなんですが、今二番目の要件についての趣旨の御質問がございました。  この国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するために特に必要があると認めるときとの要件につきましては、国際社会において平和に対する脅威又は平和の破壊あるいは侵略などが生じた場合において、国際社会として一致して平和の回復のために努力しているときは、我が国としてそうした努力に寄与するために特に必要であると判断するものについて措置をとることを可能とするものであります。  この規定は、国連安保理決議が採択されていない場合においても、我が国の国際社会の一員としての責務を的確に果たすために、国際情勢に対応して経済制裁等を機動的かつ効果的に実施するメカニズムを確保するために設けられたものと承知しております。  いずれにいたしましても、これらの要件を満たす必要がございまして、人権状況のみをもって、例えば私どもの関係で申しますと、輸出入に係る制裁措置をとることはできないと考えております。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 それでは、この国際的な平和及び安全という、を妨げることと認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物、技術の制限というものについて、アパルトヘイトとかやっているようですけれども、これは、下の方の赤字で書いてありますように、人権状況のみをもって法令の定める各要件が満たされるものではないが、人権侵害の烈度が非常に高いことを含めた様々な状況を踏まえて、各規程の要件該当性を検討することとなるところ、上記の各要件に合致するような場合において、当該規定に基づく措置をとることは可能ということになっていますけれども、これ、人権状況というものが、侵害が烈度だということであれば、この政令を変えれば法的には、政令を変えれば、この外為法によって人権侵害というものについて、政令を変えれば輸出制限を掛けるということは可能というふうに理解してよろしいですか。

風木淳経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長

○政府参考人(風木淳君) お答えいたします。  先ほど制裁についての三要件御説明させていただきましたが、そのほかに、外為法に基づきましては、制裁とは別に、安全保障貿易管理として、大量破壊兵器を含む武器及び関連汎用品について輸出管理を実施しているところであります。いずれも、国際的な平和及び安全の維持、これまでの三つの要件と異なる要件でございますが、これを目的として行っているものでありまして、人権侵害の防止そのものを目的として管理しているものではございません。  一方で、国際的には、米国に加えてEUも人権侵害の防止の観点からサイバー監視品などキャッチオール制度というものを設けているということで、これを導入する予定と承知しているところです。その関連で、欧米との制度の差異がある中で、我が国企業が輸出を継続することに対して国際的に批判される可能性があるといった指摘、あるいは企業が自主判断で取引をやめる場合に、輸入国の政府から対抗措置をとられると、そうした可能性があるといった指摘については我々も留意しているところでありまして、認識しております。  ただ、政令改正による対応について御指摘がございましたが、安全保障貿易管理は原則として特定国を念頭に置くものではないということではございますが、こうした輸出管理の影響を受ける輸入国側の受け止め、それは事実上の制裁と受け止める可能性も当然あるわけでございまして、いずれにせよ、慎重な議論が必要だというふうに考えております。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 慎重な議論は分かりますけれども、政令を変えれば、人権侵害ということで、日本政府の意思として変えれば、これは輸出制限を掛けることは法的には可能ということでよろしいですか。

風木淳経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長

○政府参考人(風木淳君) 先ほどお答え申し上げたとおりなんですが、この安全保障貿易管理の要件、国際的な平和及び安全の維持につきまして、過去に、例えばアパルトヘイトのケースにおきまして、国連安保理決議があったんですが、これを、範囲を超えて四輪駆動車について輸出制限を行った事例がございます。これは、やはり安保理決議というものが基にあって、それに加えて協調してやった事例がございます。  あるいは、武器については、武器貿易条約の対象となる武器の輸出に際して、国際的な平和及び安全の維持を妨げるか否かについて、審査の点でですね、審査で、観点から、そういう観点から見ているということでありまして、国際人道法や国際人権法の重大違反については考慮をしていると。  ただ、いずれにせよ、これ、国際的な平和及び安全の維持に当たるかどうかというところにございまして、ここはやはり慎重に考えていかなければいけないというふうに考えております。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 考慮をしているという答弁がありました。法的にはできるということなんでしょうけれども、ただ、やはり、最初に言いましたように、これ、日本の国益全体を見渡して外交的な、ここに書いてありますけど、外交面を含めた総合的な判断というものが大事だと思います。  やはり、マグニツキー法というものもこれは一つのやり方かもしれませんけれども、やはり外交というものは政府全体で国益を考えてやるという観点からすると、現行法において、この赤字でやったものと、この三種類というものはかなりできる部分がありますので、外務省あるいは経済産業省含めて、全体としてこういう取組をやっぱり今後検討すべきではないかと思いますけれども、外務大臣の御所見をお伺いします。

茂木敏充自由民主党・無所属の会外務大臣

○国務大臣(茂木敏充君) 人権侵害に対してどのような措置を講じるにしても、人権問題に関します国際社会の動向、さらには二国間の関係であったりとか我が国への様々な影響と、今政府参考人、経産省の方からの話にもありましたが、こういった影響も含めて、個別の状況に応じて、委員御指摘のように、日本の国益、そして外交面も含めた総合的な判断を適時適切に確保していくと、こういうことが不可欠だと考えておりまして、こういった点を前提に関係省庁と議論していきたいと思います。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 これは非常にこれから大事なポイントなので、このRCEP協定という中ではやっぱり人権という部分は入っておりませんので、引き続き議論を私もしていきたいと思います。  次に、南西諸島防衛について議論を進めたいと思います。  資料二、これを御覧ください。  ここの、黄色の線は引いていないんですけれども、右側の一番上の段落の方で、武田大臣と国民保護について議論したやり取りがこの資料二の右上の段落の方で書いています。これは、やはりこの南西諸島における国民保護についてやり取りしたものであります。  防衛大臣、この前、与那国島を視察されたということですけれども、やっぱり、実際向こうでいろいろな話を聞いて、やはり与那国島というのは日本防衛上重要な有人離島であるという認識は持たれたでしょうか。

岸信夫自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(岸信夫君) 先日、与那国島を訪問させていただいて、部隊の視察をさせていただいたわけです。  与那国島というのは我が国の最西端の島で、台湾まで百十キロ余りと、非常に外国と、外国といいますか、日本以外のところと近いといいますか、最果ての地であります。そういったところにおいても住民の方々もおられます。そうした中でしっかり我々が守りを固めていかなければいけない、これは事実であると思います。島嶼部に対する攻撃に際して住民の皆様の安全を確保するため、国や地方公共団体等が国民保護措置に万全を期すことは非常に重要であると、このように考えております。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 そのとおりで、この資料二の一番上にありますように、武田大臣も、武力攻撃事態に対する平時からの、平素からの備えに関しましては、事案発生時に迅速に避難というものを実施するため、あらかじめ事例を想定した避難実施要領のパターンを作成することが重要と考えていると、沖縄県の市町村のパターンの作成をしっかり推進してまいりたいと考えますというふうに答弁をされ、また、十一月、昨年十一月十九日の外交防衛委員会においても、今日御出席の宮路政務官からも、いろいろな作成の推進について全力で取り組んでまいりたいという話がありました。  進捗状況、これをお聞かせください。

宮路拓馬自由民主党・無所属の会総務大臣政務官

○大臣政務官(宮路拓馬君) お答え申し上げます。  沖縄県の市町村における避難実施要領のパターンの作成率は都道府県の中で残念ながら最も低く、先島諸島、委員の御関心の高い先島諸島では五団体のうち二団体となっており、現在、各市町村で積極的に作成に取り組んでいただく必要があるというふうに認識をしております。  そのような中、委員からの御指摘も受けまして、まずはしっかり現状を知ることが重要だということでいろいろとヒアリングを行いましたところ、沖縄県の離島については特に小規模な市町村が多く、作成のノウハウや体制が十分ではないという声も多くございました。  それを受けまして、消防庁では、この一月に、沖縄県内の市町村を対象とした研修会を昨年度に引き続き開催をいたしました。この研修会での市町村とのやり取りも踏まえまして、現在、先島諸島の団体を始めとした市町村の相談に個別に対応しているところでございます。その上で、作成の参考となる事例を提供しているほか、どのような支援が必要かの聞き取りも行っております。  今後、新型コロナウイルス感染症の状況も勘案しつつ、しかし、できるだけ早期に聞き取りの内容も踏まえた研修会を現地で開催するとともに、引き続き、市町村からの個別の相談に真摯に対応し、先島諸島を含む沖縄県の市町村のパターンの作成をしっかり推進してまいりたいというふうに考えております。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 政務官、今回、日米の首脳声明においても、やはり中国ということが相当議論になりました。海警法も話題になりました。やはり、鹿児島県の先輩で山中先生がおられるように、竹富町の名誉町民でもありますから。政務官も、やはり先島、竹富島、あるいはこの与那国の方に実際行って、これは本当に大事なんですよ。与那国から出ようと思っても冬は北風が強くて祖納港は使えませんから、南の港しか使えない。で、石垣島には百五十キロも離れていますから。どうやって国民を守るかと、これは非常に大事な問題ですので、備えあれば憂いなし、憂いあれども備えなしは無責任ですから、是非よろしくお願いしたいと思います。  資料二で、次は、空港とか港湾整備、これについて、この資料二の下の方で、予算委員会で国交大臣あるいは岸防衛大臣のやり取りさせてもらったものがあります。読み上げます。  岸防衛大臣の方から、今、下地島空港については使える状況にありません。赤羽大臣の方から、今後のその在り方について、必要があれば、その必要に応じ、関係者、意見を聞きながら適切に検討してまいりたいということになります。岸大臣の方から、下地島空港の使用については、国交大臣からお話があったとおり、関係省庁ともこれから連絡をしっかり取ってまいりたいと思いますというふうにあります。  小林政務官、お伺いしますけれども、じゃ、防衛省の方から、この下地島空港とか那覇空港等について協議というものはこの予算委員会以降ありましたか。

小林茂樹自由民主党・無所属の会国土交通大臣政務官

○大臣政務官(小林茂樹君) お答えをいたします。  現在、防衛省におかれて、南西諸島の空港、港湾における自衛隊の運用上の整備ニーズなどについて検討を進めていると伺っております。専ら、防衛政策上の見地からも、必要となる空港の整備について防衛省により検討されておられるものと考えておりますが、国土交通省として、今後も必要に応じて丁寧に対応してまいりたいと思います。  以上です。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 私の質問は、この予算委員会以降、防衛省から国交省の方に協議があったでしょうかという質問です。

鶴田浩久国土交通省航空局航空ネットワーク部長

○政府参考人(鶴田浩久君) お答え申し上げます。  予算委員会以降も含めまして、防衛省とは実務担当者での打合せを行っているところでございます。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 防衛大臣も、しっかり今後、省庁間で相談してまいりたい、まいりますと言っているので、大臣は赤羽大臣の方に、この予算委員会以降、本件についてお話をされたことはありますか。

岸信夫自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(岸信夫君) 自衛隊機による下地島空港の利用について、防災訓練等による利用実績はございますけれども、住民の皆様の意向や下地島の空港をめぐる経緯といった地域の個別事情を十分に踏まえる必要がございます。そういったこともいろいろ考慮いたしまして関係省庁とも相談をしている、実務的に相談をしているというところでございます。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 私の質問は、直接お話しされたかというポイントなんです。  要は、この予算委員会のときに、那覇空港を含めて、その重要性と防衛上の観点を初めて聞きましたと言われたんですよ。赤羽大臣、初めて聞きましたと、これ議事録に載っています。それで、赤羽大臣の方から、取りあえず所管の防衛省からそういう話があれば対応したいと思いますと。で、大臣も、今後、省庁間で相談してまいりたいというふうに言われていますから、これはやっぱり大臣間でも話さないと、非常にデリケートな問題ですから、やっぱり防衛大臣から赤羽大臣の方に直接話すということが私は大事だと思います。同じ省庁の、政府内ですから。お話しされるおつもりありますか。

岸信夫自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(岸信夫君) 今の委員からのお話も踏まえて、しっかり対応してまいりたいと思います。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 是非、どうしても目先の装備とか訓練の方に目が行きやすい、行きがちなんですけれども、こういう住民の保護とかあるいはこの基盤整備というのはその基礎になりますから、これはしっかり、防衛大臣も御案内のとおり、ここしっかりやらないと、結局、いいものがあって幾ら訓練しても地べたが使えなければ意味がありませんから、是非よろしくお願いしたいと思います。  ここで、小林政務官と宮路政務官には御退室いただいて結構でございます。

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) では、小林政務官、宮路政務官、御退室いただいて結構でございます。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 次に、ミサイル防衛の方に議論を移したいと思います。  資料三、これを御覧ください。これは、一つ一つやっぱり確認していきたい事項をここに色塗りをしました。  要は、今回、陸上のイージス・アショアの構成品を今度は洋上プラットフォームに載せる、載せない、いろんな議論がありました。ただ、ここに書いているように、今回、新たな洋上プラットフォームでミサイル防衛やるということで、ここに書いていますように、今まで契約している装備品を使い回すことを自己目的化してはいけない、その認識は共有できると思いますが、いかがでしょうかということに対して、大臣の方は、自己目的化という部分についてはもちろん共有するところでございますとなっていますけれども、これは、使い回すことを自己目的化するということではなくて、これは違いますよね。しっかり、あるべき防衛装備というものをしっかり考えていくと、その中で、使えるんだったら使うということでよろしいですか。

岸信夫自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(岸信夫君) 今委員のおっしゃるとおりでございます。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 次に、この資料三の一の左側の方ですけれども、防衛大臣の方から、まず一つは、イージス・アショアの代替案に関して、今のところ、洋上プラットフォームに載せるということについてですけれども、具体的に、つまり何にするかは決まっているものではございません、この前のやり取りでSPY6、SPY7等についていろいろやり取りした結果、まだ決まっていないと。いずれにしても、先ほどおっしゃられたように、しっかり公平、公正という考えで今後決めてまいりますと。SPY6は元々洋上と、そしてSPY7の前提としては陸上ということで比較をしたものでございますけれども、これもSPY7を洋上に持ってくるということを前提に比較して検討を、まいりますというふうになっていますけれども、いずれにせよ、公平、公正に、このSPY6、SPY7というものを公正に比較をするというこの考えはまだ、これは前回と変わっていないという理解でよろしいですか。

岸信夫自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(岸信夫君) 公正に比較をするということは、もちろん常に考えておるところでございます。  これまでも御説明させていただいていますように、二〇一八年七月に実施をいたしましたイージス・アショアのレーダー等の構成品の選定のときにSPY6とSPY7の比較を行った際に、基本性能に加えて後方支援や経費についてもSPY7の方が高い評価を得ており、総合的に評価した結果、防衛省としてSPY7を選定したところでございます。  また、昨年十一月の中間報告等において、SPY7はイージス・アショアで予定していた基本性能を維持したまま洋上プラットフォームに搭載できることを確認しております。これも踏まえて、防衛省として、イージスシステム搭載艦について、SPY7を含むイージス・アショアの構成品を利活用する方向で検討しています。  その上で、SPY6を洋上で運用したときと同じ条件で比較すべきということだと思いますけれども、その点についても米海軍の協力を得て情報収集をしているところでございます。現時点では詳細を説明できる段階にはございませんが、防衛省として、この点、説明責任を果たしていく所存であります。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 まさに、洋上プラットフォームには何を載せるか決まっていないと、公正、公平ということで、このイージス・アショアの代替案について防衛省が我々に説明したものというのは、プランAからプランD、防衛大臣御案内のとおり、この「まや」型ベースがプランA、民間船舶ベース、プランB、セミリグベースがプランC、セミリグベース、プランDという中で、結果的にこのBからDというもの、これについては採用しないということで、今後、洋上プラットフォームについてはいろんな観点からいろいろ考えていくということで議論が進んでいるということで、この資料三の二、これを見てください。  ここで防衛大臣も、しっかりこのトータルコスト、トータルコストについては現時点についてはお答えはできませんけれども、これ、代替案については精査をした上で適切な時期に国民の皆様に丁寧に説明をしてまいりたいというふうに述べられています。  これ非常に、トータルコストという部分が非常に大事で、これは我々国会の方でも、予算が関係しますから、トータルコストについて、まさに民間船ではない、リグではないというものにSPY7、SPY6、今大臣答弁されたとおり、これ載せたときのトータルコストというものを併せて説明してもらうと、説明すると、こういう観点、トータルとしてもやっぱりこの運用上もこのSPY7の方がいいですよと、であればいいということをしっかりこのプランAという中の範疇で、SPY6、SPY7という中を比較をして、トータルコストでしっかり公平、公正に説明するということでよろしいですよね。

岸信夫自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(岸信夫君) 今、トータルコストに関する御認識の質問がございました。  イージスシステム搭載艦については、SPY7を含むイージス・アショアの構成品を利活用する方向で検討を進めておりますが、総経費については、同艦の運用構想の詳細、搭載機能、艦の設計等について検討を進めていく中で精緻化をしてまいります。  したがって、現時点でその総経費はお示しすることは困難でございますけれども、精緻化の際には、厳しい財政事情等も踏まえて、しっかり精査した上で適切に御説明をしてまいりたいと考えております。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 何かこれ説明が、答弁がちょっと食い違っていますよ。先ほどは公平、公正にこのSPY6、SPY7を比較して説明すると言っておきながら、今、今度はSPY7、代替を前提にこれをトータルコストを示すということは、これ食い違っておりますから。  やはり、そのトータルコストというものを示すときに、SPY7、ベースライン9ならこういうぐらいになりますよと、SPY6、ベースライン10ならこうなりますというのをそれは比較しなければ、何を載せるか決まっていないと明確に答弁しているわけですから、だったら、そこは両方を並べてやっぱり示してもらわないと、これはあくまでも自己目的化になってしまいますから。自己目的ではないと言っているんであれば、両方を並べてやっぱり説明してもらわないと、これは誰も納得できませんよ。そこは当たり前のことですから、これ。  これは非常に大事な説明責任ですから、そこは両方並べてトータルコストを説明しないと公平、公正にはならないと思いますよ。いかがですか。

土本英樹防衛省整備計画局長

○政府参考人(土本英樹君) 少し補足させていただきます。  先ほど大臣の方からも御答弁ございましたが、現在、米海軍及びアメリカのミサイル防衛庁に対して、SPY、失礼しました、SPY6に関する情報についていろいろ情報収集をさせていただいている段階でございます。これにつきましては、先ほど大臣の方からもございましたように、ミサイル防衛庁及び海軍ですね、両方含めた形でいろいろ情報収集をさせていただいておるところでございます。  現在、ある意味、SPY7につきましては、今、本体取得経費につきましてははっきり分かっているところでございますが、SPY6につきましてどうなのかと、それがどうなるのかという点につきまして、今申しましたような形で、MDA及び米海軍の方に情報収集させていただいておるところでございますので、委員の御指摘の点も含めて、少し秘の部分とか説明できない部分がございますので、そういう点を工夫しながら、対外的に今どこまで説明できるかを米側と今まさに最終調整中の段階でございますので、その点しっかり説明をさせていただきたいと思っております。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 防衛大臣、これはやっぱり、これ政治家同士の話ですから。これは誰が考えても、大臣がしっかりこれは、イージス・アショアの代替品を使うことを自己目的化しないと明確に答弁をされて、そしてSPY6、SPY7、これは公平に──ちょっと今話を、話を聞いてください。いいですか。やはりそれ明確に、公平にしっかり評価をすると言われて、当然トータルコスト、これは大事な話ですから。  だから、このプランAというものをベースにその中でいろいろ考えるときに、じゃ、搭載物については、6の場合、7の場合と、どのぐらいのお金が掛かるかという部分をこれ説明しないと、これ誰も納得できないわけで、陸上にあるものを、陸上のものを無理やり洋上に持ってきて、そのために船を大きくするとか、あるいは、結果として、世界初のものを造るために試験費用が上がるとか、いろんなことが危惧されているわけですから、これはそういう疑念を払拭するためにも、プランAの中でこういうパターン、護衛艦タイプのパターン、あるいは違うパターンあるかもしれませんけれども、それを公平、公正に比較しないと、これは国民の納得は到底得ることができなくてこれ失敗すると、またイージス・アショアの最初の段階、F15の当初の見積りと全く同じことが起きてしまうと。  これは正確にやっぱり国民に説明しないと、トータルコスト、これ比較の上で、これ大事なポイントと思いますけれども、大臣、いかがですか。

岸信夫自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(岸信夫君) SPY6についても、現在、先ほど申しましたけれども、米海軍の協力を得て情報収集をしているところでございます。詳細は現在では説明できる段階にはございませんけれども、今後、防衛省としてできる限りの説明を行うことができるように、適切に判断をしてまいりたいと考えております。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 大臣、私が聞いているのは、トータルコストについてそれぞれ比較しないとこれ意味がないでしょう。トータルコストについてSPY6の場合とSPY7の場合、これを並べてトータルコストを説明しないといけないと思いますが、その点についていかがですかという質問です。

岸信夫自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(岸信夫君) SPY6については、先ほども、性能等の比較において米海軍との、米海軍に、情報収集に当たっておるところでございます。  いずれにいたしましても、我々として適切に判断をしてまいりたいと思います。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 米海軍から情報するのはいいんですよ。ただ、大臣が答弁されているように、やっぱり、これは高い買物ですから、国民にしっかり、並べてね、こういう観点でこっちがいいんだって、これは説明責任、安い買物じゃありませんから、しかも防衛上に物すごい影響が出るものですから、ここはやっぱり政治家として、大臣として国民に説明するということ、これはお約束してください。

岸信夫自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(岸信夫君) しっかり説明責任を果たしてまいりたいと思います。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 ありがとうございます。  資料四を見てください。資料四、これは防衛省からいただきましたイージス・システム搭載艦のライフサイクルコストの見積りに関して想定される項目、これは防衛省からいただいたものです。  これ、「まや」型の護衛艦の場合のライフサイクルコスト、これを四十年とした場合、一隻当たり四千百六十四億円になると。ただ、この場合、「まや」型の場合は元々あるものなので、この構想段階、構想検討経費がゼロ、研究開発段階、これは設計費だけで一億円で、ほか研究開発、実用試験も性能試験もこれも掛かっていないんです。この研究開発段階の設計費だけが一億円ということで、四千百六十四億円のうち、構想段階、研究開発段階はたった一億円なんです。これは元々あるものですから。  この世界初のSPY7というものを、弾道ミサイル用で、しかも、これも洋上で使うというのは日本だけですから、そうなると、実用試験も含めて自らその弾道ミサイルの試験というものをやらないといけない。これは相当なトータルコスト、この部分で。これがまさに大臣が今言われた説明責任を果たすということの項目ですから、これは是非この項目に沿って説明をしていただきたい。  SPY6、SPY7について、並べて説明をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

岸信夫自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(岸信夫君) 説明に関しては、しっかり説明責任を果たせるように工夫をして努めたいと思います。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 まさにこれは防衛省が提示しているトータルコストの項目ですから、これに沿ってしっかり我々に説明して、だから今回SPY7がいいんだと、プランAの「まや」型というものを前提としていろいろ議論している中で、こういうことでいいんだということをしっかり説明をお願いしたいと思います。  そういう中で、資料五、これを見ていただきたいんですけれども、これは、今年の四月九日に、海上自衛隊の補給本部の方から契約業者の募集というもので出たものです。  その中でちょっと気になったのは、このラインマーカー引いている、最新の多胴船の設計・製造等の経験を有することというのをわざわざ書いているんです。  多胴船、今回のそのプランAの中で多胴船というものを大臣、これ前提として考えているんですか。

土本英樹防衛省整備計画局長

○政府参考人(土本英樹君) 済みません、ちょっとまず私の方から答弁をさせていただきます。  イージスシステム搭載艦につきましては、より長く洋上で任務に就けることなどを念頭に、委員御案内のとおり、稼働率の向上を始め、運用性、耐洋性、居住性、拡張性、整備補給性等の要素から、艦の設計上の工夫ができないかといった様々な検討を行っているところでございます。  その中におきまして、耐洋性の観点を重視した艦の設計の工夫の検討を行うに当たっては、船舶建造に関する幅広い経験を基に多角的な観点から専門的、技術的な支援を得たいと考えておりまして、様々な経験のうちの一つとして多胴船の設計、製造の経験を挙げているというものでございます。  いずれにいたしましても、この役務に関する検討も含めまして、イージスシステム搭載艦の設計上の工夫につきましては、引き続き、米国や日米の民間事業者を交え、防衛省において幅広く様々な検討を進めていくこととしておりますが、現時点で双胴船や三胴船等の多胴船を採用する方向で検討を進めているというわけではございません。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 大臣も、大臣自らも調べた方がいいと思いますよ。  これ、多胴船を、現時点においては多胴船を前提にとは言っていないというだけで、否定はしていない。多胴船はほとんどアメリカも諦めていますから、もう既に。確かに燃費はいい、ところが設置面積が少ないですから。ただ、拡張性等で、中の方のスペースが非常に少ないので拡張性が少なくて、やっぱり非常に複雑な構造をしていますから維持整備には非常にお金が掛かりますし、なぜアメリカがこれをやめたか。実際、アメリカのこの多胴船もイエメンのフーシー派からもやられているというような状況ですから、やっぱり安物買いの金失いじゃありませんけれども、やっぱり装備というのは抑止力ですから。  しかも、この資料六に書いてありますように、これ、防衛省自ら、やっぱり、北朝鮮情勢だけではなくて、この中国ということをにらんで、この情勢により柔軟な配備が可能と矢印を引いているように、これは防衛大臣も前回の委員会で、やっぱり情勢を踏まえていろんな正面に転用する、運用の柔軟性は重要だと、もう議事録にも載っています。ということを考えたときに、本当に多胴船でいいのかと。  さらに、ちょっとまだ気になって、ここが、これが補本公示〇三―一の第六号と書いてあったので、じゃ、四号、五号は何かと調べてみたんですよ。調べてみたら、これは誰でも見れますけれども、この八番、このラインマーカーした八番だけが、辺りが書いているだけであって、この四号においては、これは、イージスシステム搭載艦の設計の経験を有すること、あるいはVLSというものを造ったことがあることとなると、これはどう考えても重工しかなくなってしまって、この第五号になると、この部分が最新のイージスシステムを搭載したものと書いてあって、これはどう考えても、最新だからこれはJMUしかないわけで、で、この多胴船になると三井造船になっちゃうんですよ。  何でこれ一遍に、技術支援のときにわざわざ四号、五号、六号って分けないといけないんですか。一つの文書で必要なものを並べて書いては何でいけなくて、わざわざそれぞれの企業が参加しやすいように分けないといけない。ちょっと理由が非常に何か気になったので、六号があるから四号、五号は何かと調べたら、こういうのが出てきたと。  これは大臣、御存じでしたか、大臣。大臣、御存じでしたか。

岸信夫自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(岸信夫君) 一応の説明は受けたところではございますけれども、詳細についてはそこまで理解をしてはおりません。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 やっぱりこれは非常に今大事な局面なので、今まで大臣の国会答弁と全然違うもの、我々がやっぱり本当に守れるというものじゃないと非常に不安になってしまいます。特にトータルコスト、実用試験を含めてここはしっかり説明しないと、これはまたF15の二の舞になってしまうと。  世界初の、日本だけのものをこれから開発するわけですから。アメリカはこれは採用していませんから。アメリカはSPY6で、「まや」型よりも小さなイージス艦ですから。今度は「まや」型よりも大きくなる可能性は、SPY7であれば陸上のでかいものを載っけるわけですから。バッテリーも必要になりますから。それ含めて、しっかり説明責任、みんなが納得するものを是非お願いしたいと思います。  それで、ちょっと時間がなくなりましたが、次に台湾関係について若干議論をしたいと思います。  外務省に確認しますけれども、今回、日米共同声明で台湾海峡という文字が入りました。この台湾海峡というのは、これは固有名詞なんでしょうか、それとも台湾周辺の海峡という意味なんでしょうか。例えば、日本と日本海では違いますよね。この台湾海峡の意味は、これは固有名詞の台湾海峡なのか、台湾の海峡を意味するのか、これはどちらなのでしょうか。参考人で結構です。

曽根健孝外務省大臣官房審議官

○政府参考人(曽根健孝君) お答えいたします。  今回、台湾海峡について言及しておりますけれども、元々、この首脳会談において意見交換する中で、台湾をめぐる情勢についての議論が及び、日米両国の共通認識として、両岸関係の軍事バランスの変化などを踏まえ、この一文、記載したということでございます。  台湾海峡、一般名詞かと。もう、いずれにしろ、台湾と、両岸がありまして、そこの間にあるのが海峡ですから、その付近全てを含んでその地域というふうに理解しております。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 ということは、その周辺を含むということは、バシー海峡もこれは台湾海峡、かなりバシー海峡の辺り、今、領空侵犯、いや、防空識別圏の侵犯ありますから、バシー海峡の辺りまで含むという意味でしょうか。

曽根健孝外務省大臣官房審議官

○政府参考人(曽根健孝君) 今の時点、どこまでどう含めるということを地域を限定して議論を固めているということはございませんけれども、この地域、今申し上げましたとおり、両岸の、両岸関係の軍事バランスの変化というのも踏まえてこの規定をしたということで理解していただければと思います。

佐藤正久自由民主党・国民の声

○佐藤正久君 これ一体、白先生じゃありませんけど、やっぱりこの言葉って非常に大事で、台湾海峡、つまり与那国海峡も台湾の海峡なんですよ。非常に大事で、であれば、もう極端に言えば、今の話からすると、両岸の安定というものの重要性を認識し、両岸関係の平和的解決を促すというふうな、これ、台湾海峡じゃなくて両岸という言葉を使ってもよくなってしまうんですよ。ところが、そうではなくて、あえてこちらで台湾海峡を使い、後半で両岸問題と、両岸と台湾が使い分けているわけですから、これ、意味があるに決まっているんですよ。これはアメリカもしっかり英語で使い分けていますから、これ非常に重要なポイントなので、あえて書かせてもらいました、聞かせてもらったんですけれども。  要は、これが日米安保六条の関係でもこの部分というのは非常に効いてくるわけで、じゃ、その場合の、重要性を認識したと、まさにこの部分について、もう今日は時間がない、次に残しますけれども、一九七二年の共同声明における中国の立場の理解、尊重という部分にも全部関わってくるんですよ。日本、我々がアメリカのように台湾関係法というものを作ることをこれは認められないのか認められるのかと、これは当然、声明ですから、条約じゃありませんからこれは当然できますけれども、全て今回の部分というのはこれ七二年の共同声明の解釈からずっと来ているものですから。  これは今日は時間の関係でこれ以上深掘りしませんけれども、この台湾海峡、今日の答弁だとちょっと心もとないので、大臣、これ、この辺りちょっと後で、今日は問いませんので、しっかり台湾海峡という部分、何で両岸と言わずに台湾海峡を含めたか、この辺りの整理、後で教えてください。お願いします。  以上で終わります。ありがとうございます。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 公明党の三浦信祐です。  二〇一二年から始まったRCEP協定について、粘り強く交渉し、合意に導かれ、署名を終えて各国の承認プロセスになっていること、まずは関係各位の御尽力に感謝と敬意を表したいと思います。  日本は、RCEP協定の締結が果たすことができれば、TPP11、日EU・EPA、日英EPAとともに、近年推進をしてまいりました大型経済連携協定、大型自由貿易協定が完結をいたします。RCEP協定を結ぶことの意義、そして協定の締結と発効により期待できる日本への経済効果、アドバンテージについて伺いたいと思います。  加えて、初めての日中FTA、日韓FTAを結ぶこととなります。これは画期的な前進だとも考えます。今回の締結に伴う効果をどう考えるべきか、茂木大臣に伺います。

茂木敏充自由民主党・無所属の会外務大臣

○国務大臣(茂木敏充君) RCEP、これまで日本が進めてまいりましたTPP11以来の自由貿易の推進、そしてまた共通ルールに基づく経済圏の確立、ゴールでありませんけれど、更に前進させる大きな一歩になっていると考えております。  RCEP協定、ASEAN十か国、日本、中国、韓国、豪州、ニュージーランド、十五か国が参加をしまして、物品、サービスの市場アクセス、これの改善を図ると同時に、知的財産、電子商取引等、恐らくASEANの一部の国で余りなじみのない、こういったものについても幅広い分野で新たなルールを構築をし、地域の貿易投資を促進することなどを目的とした経済連携協定でありまして、このRCEP参加十五か国のGDPの合計、これ残念ながらインドが今の段階で入れていないんですが、十五か国でも、GDPの合計であったり、参加国の貿易総額、さらには人口と、これは世界全体の約三割を占めるわけでありまして、RCEP参加国と我が国の貿易額、我が国の貿易総額の五割弱を占める。  特に、御指摘のように、中国、韓国とは初めての、マルチの場ではありますけれど、こういった協定になるということでありまして、このRCEP協定によりまして、中国、韓国については、我が国からの工業製品の輸出品目に占める無税品目の割合が最終的には、中国がこれまでの八%から八六%に、そして韓国は一九%から九二%に大幅上昇するほか、農林水産物・食品についても我が国の関心、輸出関心品目について関税撤廃を獲得したところであります。  さらに、先ほども若干申し上げましたが、知的財産、電子商取引、投資等の分野について、WTO規定には、WTOの規定にはないルールも設定をしたところでありまして、まさに、このインド太平洋と、大きな地域の中で成長センターであるこの十五か国と、ここにおきまして新しいルール、これを作りましたことは、我が国、またこの地域の全体的な発展にもつながっていくと思いますし、こういった自由で公正な経済圏の拡大と、これに向けて引き続き日本としてリーダーシップを発揮していきたいと、こんなふうに考えております。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 包括的にお話をいただきまして、ありがとうございます。  RCEP協定を日本が早期に承認することによって得られるメリット、効果はどのように捉えられているのでしょうか。先般、四月の九日、衆議院の外交委員会にて茂木大臣は、先に批准した国が一つの協定ではリーダーシップを取れると御答弁されていることを踏まえ、日本のリーダーシップとは何を指しておられるのでしょうか。  コロナ禍でもあることも相まって世界では保護的主義が強まっている中、日本は自由貿易の旗手として、米国も中国も参加をしていない、加盟をしていないメガFTAをつくり上げ、運用をしております。であればこそ、私は、日本こそが、RCEPの今後のルールのアップデートであったりレベルをTPPまで引き上げることを目指すなど、内容の充実、クオリティーを上げることができる責任を負っていると私は思っております。  経験を生かして役割を果たすということも含めまして、茂木大臣、御見解はいかがでしょうか。

茂木敏充自由民主党・無所属の会外務大臣

○国務大臣(茂木敏充君) 例えばTPPで申し上げますと、二〇一八年でしたか、十一月のあのダナン、相当もめた閣僚会合におきまして、恐らく、三日間相当な議論をして、若干途中で混乱もあったんですが、最終的には閣僚間で大筋合意と。まさに日本がベトナム、開催国と同時に共同議長を務めた中でこの大筋合意に至ったと。そして、翌年三月ですね、チリのサンティアゴで発効ということになったわけでありますけど。  その発効に至るというか合意に至るプロセスにおいても、どの国から見ても、日本がリーダーシップ、そしてまた調整の中心になってきた。同時に、このTPPでいいますと、国内での手続、メキシコが一番でありましたけど、その次に日本が行うということになりまして、そこからシンガポールやオーストラリア、ニュージーランドが続くと。ベトナムが来ると思ったら、そこにカナダが先に入って、カナダが六番目ということになったんですけれど、ベトナムも含めて七か国が連続でと。そういった中で、やはり先に国内手続を終えて、ほかの国に対してももう早くやってほしいと、こういったことを働きかけるというのは極めて重要だと思っておりまして、それがその後の様々な、TPP委員会においても日本が議長国、今年も務めることになっておりますけれど、そういう立場にもつながってくると考えております。  恐らく、RCEPについてもそうでありますけれど、日本が国内手続できていないのにほかの国に早くやれと、こういうわけには世の中っていかないわけでありますから、やっぱり先にこういったものを、自分のところは国内手続終わりましたよと、ほかの国にも働きかけをすると、また、何か困っていることがあったら、国内手続でですね、いろんなことで相談乗りますよと、こういったことをやることによって、じゃ、いざ発効したということになりますと、その運用上の問題でいろんな議論というのは必要だと思います。そのときもやっぱり中心的な役割を果たすと。  また、何かの形で紛争が起こってくると、この解決においてもまた中心的な役割を果たすと。こういった意味で、合意に至るプロセスにおいても、また国内の手続においても、そしてまたこの発効後においても、リーダーシップをその局面局面で取っていくということがこういったマルチの経済連携協定で極めて重要だと、こんなふうに考えております。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 RCEP協定の発効に取り組むということは、日本が持つあらゆるポテンシャルを生かす、更に引き上げること、国際競争力の向上と経済活動の機会増加に極めて効果があるというふうに思います。RCEPを通したASEAN諸国、中国、韓国との関係は、地政学的にも地域の平和と安定のためにも重要であります。また、ハイレベルな国際ルールをずっと維持し運用してきた日本にとっても、その効果というのはしっかり及んでいくものだと今の御答弁からも当然推察ができます。  一方で、中国、韓国、それぞれ日本との間に外交上、外交儀礼上、国際法上解決していかなければいけない、あるいは先方が対応すべき事案など、多くの課題が存在をしていると私は認識をしております。安全保障上の課題と経済連携との関係について政府としてどう整理をされているのか、また、いわゆる政冷経熱の関係がもたらす効果についてどう分析をされているのでしょうか。茂木大臣に伺います。

四方敬之外務省経済局長

○政府参考人(四方敬之君) お答え申し上げます。  世界で保護主義や内向き志向が強まる中、先ほど茂木大臣からも御説明あったとおり、日本はTPP11以来、日EU・EPA、日米貿易協定、日英EPA、RCEP協定など、自由貿易の旗振り役としてリーダーシップを発揮してまいりました。我が国としては、まずはRCEP協定の早期発効を実現させた上で、こうしたルールを含む協定の履行確保にもしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。  その上で、仮に締約国が協定の規定と相入れない措置をとる場合には、RCEP協定上に規定された協議メカニズムや紛争解決手続を活用して適切に対応していくと同時に、必要に応じて外交ルート等を通じて対処することも検討をしたいと考えております。  委員御指摘の中国及び韓国との関係でございますけれども、様々な懸案が存在していますけれども、我が国としては、安全保障のみならず経済の課題も含め、主張すべきはしっかりと主張して、具体的な行動を強く求めていくことで懸案を一つ一つ解決していくとの方針に全く変わりはございません。  その上で、懸案を抱えているからといって経済分野も含め相手との間で何もやらないということではなく、経済連携など必要な協力は進めつつ、一方で、譲れないものはしっかりと主張し、場合によっては対峙していくという姿勢が必要であると考えております。  いずれにしましても、我が国としましては、RCEP協定の下で、TPP11にも参加している豪州及びニュージーランドとも緊密に連携しながら、RCEP協定を通じて地域における経済秩序の形成に主導的役割を果たしてまいりたいと考えております。

茂木敏充自由民主党・無所属の会外務大臣

○国務大臣(茂木敏充君) 今、三浦委員の方から政冷経熱と、大きく言うとそういう部分もあるんですけど、例えば、今後、政治考えますと、今日も気候サミット予定をされているところでありまして、この国際的な課題についてはやはり各国の協調というのは必要になってくると思っております。特に、CO2一番出しているのは中国でありますから、この取組を進めていくということは必要でありまして、決して全ての分野について対峙をするわけではない。ただやはり、力による一方的な現状変更の試み、こういったものに対してはしっかりと声を上げていかなくちゃいけないと思っております。  一方で、経済の分野、これを見てみましても、確かに経済関係は深いにしましても、これからは経済安全保障と、こういう観点も取り入れていかなきゃならない。どう、このコロナ禍で浮き彫りになったように、サプライチェーンの脆弱性、これを強化して、強靱化し、多元化していくかと、こういう課題もあるわけでありまして、レアアースを含め、また半導体もそうでありますし、医薬品も、こういったものをしっかりと確保していく、こういう観点がやっぱり必要になってくると思っておりまして、特定の国に、幾ら経済的な交流があるにしても、依存をするということに対する危険性というのは排除していかなきゃならない。  さらに、例えば気候の問題とか様々な経済の問題でメリットがあると。それにしても、そこで協調が引き出せるから、法の支配であったりとか人権であったりとか民主主義、こういう基本的な価値観で譲ることがあってはいけない。経済で協力するから、いや、こういう価値観では少し譲っていいかな、こういう姿勢は取らないということが日米間、また多くの同盟国、同志間の間の共通の認識であると、こんなふうに考えております。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 今、米中対立等々もある中で、日本の立ち位置、極めて重要であります。そういうバランス感覚を持って外交をやるということは重要だと思いますし、大臣の認識もよく分かりましたので、しっかり支えていきたいと思います。  RCEP協定のルールについてこれ以降質問させていただきます。  協定のルールに、技術移転を要求することをルール上禁止していることは評価できます。近年、表立って技術移転を正面から要求する取引はなくなっているとは思います。しかし、現実の商取引の中では、契約内容の中に紛れ込ませる、あるいは解釈によって求めることができるような内容が盛り込まれるリスクは排除をされておりません。  技術移転要求の禁止ルール遵守をどう担保するのでしょうか。従前の商慣行、慣例上の取引においてルールの解釈が異なる、あるいは解釈の違いをどう整理されていくのか。また、万が一ルール違反が生じた場合の対処方法はきちんと整備をされているのでしょうか。多くの日本企業の商機を損なうことがないよう、政府は明確に答弁をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。

四方敬之外務省経済局長

○政府参考人(四方敬之君) RCEP協定では、委員御指摘のとおり、投資受入れ国がほかの締約国の投資家に対し投資の阻害要因となり得る措置の履行を要求、強制してはならないこと、いわゆる特定措置の履行要求の禁止を定めておりまして、特に、WTO協定には盛り込まれていないルールとして、技術移転要求の禁止、すなわち特定の技術、製造工程、そのほかの財産的価値を有する知識を移転することを要求、強制してはならないことを規定しております。締約国には協定上の義務を誠実に履行する義務が生ずることとなりまして、法令はもちろんのこと、明文化されていない例えば行政指導や商慣行等につきましても、協定上のルールに反するものは協定に整合的な形で改めることが求められます。  その上で、仮に締約国が協定の規定と相入れない措置をとる場合や協定解釈自体に争いがある場合には、RCEP協定上に規定された協議メカニズムや紛争解決手続を活用することや、必要に応じ外交ルートを通じて対処することも検討するなど、協定の履行確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 次に、ルール分野の知的財産の項目において、悪意による商標の出願拒絶、登録を取り消す権限を当局に付与する義務が規定をされております。その中で、当局に付与する義務への対応として、各国国内法の規定と相関関係は整理をされているのでしょうか。また、これらについての相談体制はどのようになっているのでしょうか。日本企業を始めデザイナーやクリエーターが不利益を被らない体制が整っているのか、伺います。

西垣淳子特許庁審査業務部長

○政府参考人(西垣淳子君) お答え申し上げます。  議員御指摘の規定を含めまして、条約の規定をどの法律のどの条文で担保するかは、一般論としまして各国の判断に委ねられているものと承知しております。  経済産業省、特許庁といたしましては、日本企業等の知的財産が適切に保護されるよう、RCEP協定発効後、締約国における関連制度の整備状況及びその運用等を注視してまいります。なお、仮に締約国の制度整備状況や運用が協定の規定と相入れない場合には、必要に応じて関係省庁と連携して対応してまいりたいと考えております。  また、RCEP参加国に進出しようとする中小企業の事業者等につきましては、事業を展開したいと考える国への早期の商標出願の重要性及びその具体的な方法を周知するためのセミナー等による普及啓発活動、また全国の都道府県に設置されております知財総合支援窓口や、各進出先国に設置されておりますジェトロの海外事務所による個別の相談対応、さらに各国での知的財産を保護するための方法などをまとめたマニュアルにつきましては特許庁のホームページを通じた提供といった取組を行っております。  また、議員御指摘の、デザイナーやクリエーターを始めとして、海外で活躍する日本企業のブランド名が無関係な第三者によって登録されているといった事態は、現地での日本企業等のビジネスに支障を来す重大な問題と認識しております。特許庁では、こうした問題に対しましても、相談対応等の取組に加え、既に第三者に登録されてしまった商標につきまして、その取消し、無効手続までの際の費用の補助も行っております。  こうした支援策についてしっかりと普及していくことを通じて、中小企業等を始めとする海外で活躍する日本企業に対する支援をしっかりとやってまいりたいと思っております。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 是非しっかりと対応していただきたいと思います。  防衛大臣にも来ていただいていますので、少し質問を飛ばさせていただきます。  茂木大臣に伺いたいと思います。  先般の日米首脳会談における共有項目とRCEPとの関係性について二点伺います。  日米首脳共同声明において、新たな時代における同盟の項目の中で、日米両国は、二国間、あるいはG7やWTOにおいて、知的財産権の侵害、強制技術移転、過剰生産能力問題、貿易歪曲的な産業補助金の利用を含む、非市場的及びその他の不公平な貿易慣行に対処するため引き続き協力をしていくとあります。ここは大変重要なコミットメントだというふうに私は思っております。  すなわち、これは、米国がバイによる交渉を重視し、時に制裁を掛けるとしてきたこれまでの方針から、マルチによる協議をすること、G7を基軸として国際機関の下で物事を進めると宣言したとも言っても過言ではないかなというふうに思いますけれども、これは通告していませんけれども、茂木大臣に解釈を求めたいというふうに思います。  また、日米両国は志を同じくするパートナーと連携しつつ、インド太平洋地域における繁栄を達成し、経済秩序を維持することに対するコミットメントを再確認することも記載をしております。  これらについて、今般のRCEPとの関係について、また、達成すべきレベルとの関係についてどのように整理をされているのか、二点伺いたいと思います。

茂木敏充自由民主党・無所属の会外務大臣

○国務大臣(茂木敏充君) 突然の質問でありますけど、バイデン政権誕生しまして、三浦委員御指摘のように、今までトランプ政権、様々な、通商、経済の問題についても、米国の利益と、こういったものに基づいてバイで物事を解決していくと、こういう立場から、バイデン政権になりまして、やはり考え方を共有する国々、これが結束をして様々な市場歪曲的な措置についても是正を求めていくという立場であります。  そこの中で、恐らくG7、この枠組みというのは極めて重要になってくると思っておりまして、今年のG7の一つのテーマ、これはG7の結束ということで、これは様々な国際課題、これは経済も含めて取り組んでいくということになります。  もちろん、こういった問題であったりとか、例えば途上国地位の問題もそうであります。さらには、データの流通の問題、そして上級委員会の機能の回復、こういったことはWTOの場でも当然議論していきますけれど、ある程度やっぱりG7で考え方を一致をさせて方向性を示しながら、また各国とも共有をしていくということが必要だと思っておりまして、その後者の部分といいますか、各国との共有を図っていくという中で、RCEPの参加国でありますオーストラリア、ニュージーランド、さらにはASEAN諸国との意識の共有と、こういったものも必要になってくると思っております。  もちろん、このRCEPの場合、後発開発途上国というのも含むわけでありまして、完全に、何というか、同じルールを全て最初の段階から実行できるかといいますと、そうでない部分というのはあると思いますけど、目標としてこういうことをすると、また最低限ここからスタートできると、こういったものもつくれていくのではないかなと、そんなふうに思っております。  立ったついでで、先ほどの悪意による商標の登録の関係でありますけれど、なかなか性格上これを網羅的にどれだけあるんだというのを把握するのは難しいんですけれど、恐らくこれは、このRCEPの中でも日本にとって、また日本企業にとって極めて重要な問題ではないかな、企業、それからまた日本の各地域にとっても、そのブランドというものを大切にしていく上からも。  少し今後のことになっていきますけど、どういう事例があるのかというのをしっかりと把握をした上で、何らかの形で、こういう、Aパターン、Bパターン、Cパターンといいますか、こういうケースに対する対応、これをどうしていくかということも今後検討課題として私は考えていったらいいんじゃないかなと、こんなふうに思っています。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 今、大臣、大事なことをおっしゃっていただきました。そこまでステップをちゃんと取っておかないと、手前で止まってしまう可能性があったり、そのまま受け身になる可能性があると思いますので、是非、リーダーシップを発揮していただいて、具体化していただきたいというふうに思います。  一つ飛ばさせていただきます。  防衛大臣に伺います。  昨年十二月の本委員会での質疑におきまして、地域防災マネージャーに退職自衛官の採用対象者の拡充、特に階級拡充をお願いをさせていただきました。御検討、御対応いただいたと思いますけど、結果について、岸大臣、いかがでしょうか。

岸信夫自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(岸信夫君) 退職自衛官が在職時に培いました専門的な知識、また実務経験を生かして地方の公共団体に再就職することは、自衛隊と地方公共団体との協力関係の構築や相互理解、連携の強化に寄与するものだと思います。また、地方公共団体側にとっても防災を始めとする危機管理能力の向上につながると考えております。  御指摘の地域防災マネージャー制度について、従来は、三佐以上又は原則として三佐をもって充てられるポストにおける経験を有する一尉と、このことが地域防災マネージャーとしての要件とされていたところでございます。  今般、その制度の一層の充実を図るために、地域防災マネージャーの要件の拡充について調整を、各省庁と調整を行ってまいりました。その結果、要件については、一尉以上又は原則として一尉をもって充てられるポストにおける経験を有する二尉に拡大することとなりました。本年の四月から適用されているところでございます。  今後とも、防衛省・自衛隊として、地方公共団体の防災関係部局における退職自衛官の活用に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 内閣府とよく協議をしていただいて拡充をしていただいたこと、これから本当に運用していただきたいと思いますので、是非、大臣、前回に御質問をさせていただいた際にお答えいただいたように、地方公共団体に大臣名として全部通知をしていると、これを今度実効性を高めるために、更により強力に議論していくということを是非お願いをしていただきたい、お願いしたいというふうに思います。  退職自衛官の活用について伺います。  特に、将若しくは将官で退職をされる方への対応が重要であると私は考えております。セキュリティーが高く、意識も高い中で培った経験を手放すのは、今後の安全保障政策や経済安全保障を考える上での損失だと私は思います。  米国は、退職後、退役後、DOD傘下での仕事に就いていただくなど、体制が整っております。日本も、多面的に検討を重ね、いい意味で、退官をした将官の方を取り込んでおく体制を検討していただきたいというふうに思います。  教育現場での活用、最前線ではなく、例えば北極研究であったり、航空機整備、艦艇整備、後方支援業務等に力を貸していただく場面も想定をできます。今後、経済安全保障体制強化の際にも力を発揮していただけるのではないかということが期待をされます。  一方で、一佐までは援護体制があるゆえに、将補以上になると支援がないゆえ、人事管理上の課題も生じるリスクが今現実にあります。岸大臣、是非御検討、御対応いただけないでしょうか。

岸信夫自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(岸信夫君) まさに防衛力の中核は人、自衛隊員であります。自衛隊員の人材確保と能力の士気向上は防衛力の強化に不可欠である、このような考え方に基づいて、現在、防衛省においては人的基盤の強化に資する様々な施策に取り組んでいるところでございます。その一環として、高度な知識、技能、経験等を踏まえた、備えた退職自衛官の活用といった人材活用についても一層の推進を図る必要があると考えております。  退職した将官についても、退職自衛官の中でも高度な経験を備えた人材であります。防衛省としては、これまでも、例えば省内に設置をいたしました有識者会議の委員などの形で退職した将官の活用を行ってきたところでございます。将官としての経験、勤務経験も含めた貴重な意見をその後の政策決定に反映させてきたところでございます。  今後、将官を含む退職自衛官の更なる活用の在り方については、他国の事例の研究も含めて必要な検討を行い、一層の人材活用に、また人材の基盤の強化を図ってまいりたいと考えております。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 この件については引き続き議論させていただきたいと思います。  最後に、防衛省における経済安全保障の捉え方について伺います。  我が国は、民間企業、大手、中小企業を問わず持ち得ている技術情報、中でも先端技術、エマージング技術となり得る内容、機微情報を掌握する機関が存在をしていないというのが実態であります。ようやくNSSに経済班が設置をされたばかりでありまして、一日でも早く体制構築を図る必要があると私は考えております。  先般の日米首脳会談においても、経済安全保障の視点で多くの議論と共同声明に取組が反映をされております。私は、産業分野においての情報掌握体制なくして防衛技術を守ること、国際連携を図ることは極めて困難となるとの認識であります。  防衛省として、現状をどう捉えているのでしょうか。政府が一丸となり、防衛省は経産省とも連携を強固にして技術掌握体制を強化すべきであると強く訴えたいと思いますけれども、岸大臣、いかがでしょうか。

岸信夫自由民主党・無所属の会防衛大臣

○国務大臣(岸信夫君) 防衛大綱にも示されているとおり、軍事技術の進展を背景に戦闘様相が大きく変化をする中で、我が国の優れた科学技術を生かして、政府全体として防衛装備につながる技術基盤を強化することがこれまで以上に重要であるところでございます。  新たな領域に関する技術、人工知能等のゲームチェンジャーとなり得る最先端技術を始めとする重要技術に対して選択と集中による重点的な投資を行うためには、委員御指摘のとおり、これまでの技術に関する情報を適切に調査分析することが必要であります。  防衛省では、このための取組をこれまでも実施をしてきておるところでございます。例えば、防衛装備庁の技術戦略部において、先端技術や機微な技術に関する情報を含めて国内外の技術動向を把握し、中長期技術見積り等に反映しているところでございます。さらに、この取組を進めるために、国内外の先端技術動向についての調査分析を行うシンクタンクの活用や創設等を行うということにしておるところでございます。  いずれにいたしましても、防衛省としては、革新的、萌芽的な技術の早期発見や、発掘や、委員御指摘の技術の掌握に向けて自らも体制を整えるとともに、関係省庁とも連携をしつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと考えます。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 以上、終わります。ありがとうございました。

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時三十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員の異動について御報告いたします。  本日、滝波宏文君、高橋克法君及び石川大我君が委員を辞任され、その補欠として舞立昇治君、加田裕之君及び小沢雅仁君が選任されました。     ─────────────

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) 休憩前に引き続き、地域的な包括的経済連携協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本日は、本件の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。  御出席いただいております参考人は、慶應義塾大学経済学部教授木村福成君、みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社調査部主席研究員菅原淳一君及びNPO法人アジア太平洋資料センター代表理事内田聖子君でございます。  この際、参考人の皆様方に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考とさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、木村参考人、菅原参考人、内田参考人の順にお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず木村参考人からお願いいたします。木村参考人。

木村福成慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(木村福成君) 御紹介ありがとうございます。木村でございます。本日は、お招きいただきましてどうもありがとうございます。  私、経済学の中でも専門が国際貿易論、開発経済学でございまして、特にずっとやっている研究課題が、東アジアの国際分業、それから経済統合、それから特にASEAN諸国の開発戦略の話をしております。  この慶應の大学で教育、研究やっております傍ら、二〇〇八年に日本のシードマネーでつくっていただきました国際機関の東アジア・ASEAN経済研究センターというのがあるんですが、ERIAと呼んでいますが、ジャカルタにございまして、そこのチーフエコノミストを設立以来ずっとやっております。  そういうことで、今新型コロナウイルスで全くジャカルタに行けなくなっちゃっていますけれども、それ以前は月に三回ぐらいアジアに飛んでいって、様々な政策研究をしてASEANと東アジアの経済統合を支えると、そういう仕事をしておりました。  ということで、RCEPに関しましては、交渉が始まる以前から、私は交渉には直接は全く関わっておりませんけれども、様々なサポート、特にASEANのサポートをやってきたということになると、そういった立場から今日お話をさせていただければと思います。  私、配付資料ありませんけれども、特にRCEPを考えるときに、どういう視点からこのRCEPというのを評価すべきなのかというのを、そこがやっぱりまだいろんな議論でぐらぐらしているなと思っておりまして、非常に過大な評価もあるし、逆に、非常に質が低いからこれはあってもなくても変わんないねという非常に低い評価もあるということで、それは、やっぱりどういう視点からこういうメガFTAというのはそもそも評価しなきゃいけないのかというところが揺らいでいるからだというふうに考えております。  以前から、このメガFTA、これCPTPPもRCEPも、それから恐らく日・EUもそこに含めていいと思うんですけど、以前からそのメガFTAに役割として負わされていたものというのは自由化とそれから国際ルール作りということになるわけですが、この二つはなぜ重要かというと、特に一九九〇年代以降、この東アジアを中心に工程間、タスク間の分業というのが始まってきたわけですね。  これ、特に機械産業で始まっているわけですけど、それ以前の産業単位の国際分業というのと、この生産工程単位の国際分業と非常に質的に違うものがありまして、貿易をするときに、産業間、産業対産業で国際分業をしているときに、ある程度、貿易されるものは原材料かあるいは完成品でありますので、どっちかというとゆっくり貿易すればいいわけですね。だから、それはだから、関税があればもちろん邪魔になるんだけれども、ちょっとぐらい港のいろんな荷物のハンドリングが悪くて三日とか一週間遅れてもそんなに大過ないという、そういうタイプの貿易というのが大宗を占めていたわけですね。  これが、一九九〇年代以降、特に東アジアにおいて工程間で分業するということになりますと、部品とか中間財が国境を越えて動くようになるわけです。そうすると、それは単に安く動くというだけじゃなくて、時間コストとかあるいはロジスティクスの信頼性とか、そういうものが極めて重要になってきて、港に三日間部品が滞ってしまうともう生産システム全体が止まってしまうという、そういうことが起きてくる。ですから、それに合わせてそういうオペレーションができるような通商政策の体系というのをつくっていかなきゃいけないと。  そういうことで、求められる自由化とか国際ルールというものも変わってきているわけですね。本来はそれはWTOでやれればいいんだと思うんですけど、WTO、一九九五年にでき上がってからもう二十五年以上たっているわけですが、なかなか、そういう新しいルール作りに踏み込むとか更なる自由化の交渉の場としてワークするということがなかったということがある。  そういうことで、やっぱりメガFTAというのは完全なWTOの代替にはならないんですけれども、ただ、もう世界全体を待っていては東アジアのそういう国際分業を支えていくということができないということで、メガFTAをまず評価しなきゃいけないということが出ている。それが自由化と国際ルール作りの部分ですね。  実際に、そういう国際分業をやることによって、特に東アジア、私、東アジアと言うときは北東アジアと東南アジア一緒にして東アジアと申し上げていますけど、国と国の間の所得格差というのは明らかに縮小してきます。つまり、所得水準が低い国ほど早く成長してきたということですね。それから、特に貧困層の縮小というのが非常に早く進みました。というのは、こういう国際分業というのは非常に人をたくさん雇えるんですね。特に比較的教育水準の低い人たちを大量に雇用できる、それからその周りのそれを支える産業も雇用をたくさん創出するということで、比較的貧しい層の仕事をつくって、そこがボトムアップされるという、そういうことが起きてきております。そういうところがやっぱり、ほかのラテンアメリカ地域ですとか中東ですとかアフリカとは全く違う経済成長が東アジアでは実現してきたということになると思います。  そういう意味で、まずRCEPがそういうものを前に進めるようなことになっているかどうかというのが一つの視点ということになります。  もう一つ、過去五年間、特にアメリカでトランプ政権ができ上がってから、ルールに基づく貿易秩序というのがどんどん弱体化していくということが起きてきました。アメリカが、そもそも自分が作ったルールで、みんなに守れ守れと言ってきたルールをアメリカ自身が守らなくなってくるということが起きてきて、それに対してまた報復措置をとるほかの国もWTOのルール等を無視して報復するということが起きてきて、双方で、今まであったルール、貿易ルールというものを弱体化させていくということが起きてきました。  さらに、大国は仕返しされることは恐れないわけですね、仕返しされても大したことないので。そういう意味で、いろんな政治的なアジェンダが出てくると貿易政策等を使って報復してくると、しかし、やられた方はほとんど何もできないという、そういうことが起きてくるようになってきます。  さらに、米中対立がもっと複雑なことになってきまして、単なる関税戦争からだんだん国と国同士の、大国同士の対立みたいなことになってきて、そこのところは、一つは、かなりハードなセキュリティーの問題、どこまでがセンシティブな技術なのかという問題ですけど、もう一つは、それとは全く関係なく、お互いに非常にアドホックな貿易政策は打ってくる、で、どこからどこまでが産業政策でどこからどこまでがセキュリティーの問題なのかというのが不明確になってくるという、こういうことが起きてきています。  それに加えて、新型コロナウイルスが来ましたので、これも通商政策という意味でいいますと、いろんな国が例えばマスクその他のこういう医療関係品の輸出を止めたり制限したり、あるいは国によっては食料の輸出を制限したりということが起きてきて、幸いにそういうことはほんの数か月でほぼ解消されて、市場のメカニズムでまた元に戻っているんで、いいといえばいいんですけれども、そういうルールに基づく貿易体制に対する不信感というのですね、こういうものがやっぱり強まっているということが出てきます。  そういう背景から、単に自由化とか国際ルール作りという面だけじゃなくて、政策リスクをどうやってなるべく減らせるか、軽減できるか。特に、大国が勝手にやってくる、アドホックなその貿易政策、報復、報復措置みたいなことをやってくる、それを完全に防ぐことはできないんですけど、何とかそういうものを軽減する手段としてメガFTAを使えないかということはもう一つあります。  それから、ルールに基づく貿易秩序が弱ってきているということで、自由貿易を志向するミドルパワーが一緒になって、そういうルールに基づく貿易体制が大事なんだということをみんなで一緒に言っていくと。ミドルパワーのコアリションの形成という言い方をしていますけど、そういうものとしてメガFTAが使えないかと。そういうことが新しいメガFTAの役割として期待されるようになってきたんだと思います。  それから、メガFTAと二国間FTAの違いということですけど、特にメガFTAの場合には、動態的な側面というかダイナミックな側面というのは大事だと思います。つまり、署名、批准、発効というのが最終目標じゃなくて、一回それをやってから、例えば、加盟国を拡大できないかとか、内容をもっと深めていけないかとか、あるいは対話チャンネルとしてそれが使えないかとか、そういう、メガFTAはどうやって使っていくか、それからそれをどういうふうに発展させていくかということが二国間FTA以上に大事だということですね。  そういうことを、そういう視点からRCEPというのを見る必要があって、CPTPPとRCEPの比較というようなことも我々は随分勉強はしていますけど、いろんな違う面があるわけで、例えば自由化と国際ルール作りのところだけを見れば、CPTPPというのは非常に高いレベルのものが基本的にできていると。それをすぐにアジアの発展途上国までが受け入れるというのは確かに難しいかもしれない。そういう意味で、東アジアの自由化と国際ルール作りというのは、ある意味で一つの標準というのがCPTPPによって確立されたと。それより低いものしかまず最初はRCEPができないのは当たり前なわけですけど、そこに、中をまた精査して、CPTPPの悪いところはまた直しながら、しかし、だんだんレベルを上げていくということをRCEPの場合はやらなきゃいけないと思いますし、それから、後者の方、政策リスクの軽減とかあるいは自由貿易志向のミドルパワーコアリションの形成、こういう意味でいうと、まず、このRCEPというのは、中国も入っているというのは非常に大きなことで、これ、RCEPでそもそも交渉段階からASEANが中心になってでき上がってきたということがとても大事なことで、ASEANがずっとそういう会議をやって交渉をリードしてくれた、それがゆえに、例えば日韓とか日中もその一つの交渉の、一つの協定の中に入ることができたわけですね。  日中韓のFTAも交渉されていますけれども、なかなか進まないのは、やっぱり日韓、日中のコミュニケーションってなかなかうまくいかないわけですね。それが、ASEANが間に入っているからそういうチャンネルができて今回署名に至るところまで行けたということがあるわけです。  そういうふうに考えると、中国の周りのいろんな貿易政策、通商政策の問題ってたくさん出てきていますけど、そういうところに、中国は中国の立場として、周りの国と仲よくしたいという、そういう意図を持ってRCEPに入ってきているわけですから、ほかの国も中国に対して何かいろんなことを言いたいときに、このRCEPの中で、閣僚会議、合同委員会、それからその合同委員会の下にまた分野ごとの委員会、四つできることになっていますけど、で、RCEPの事務局もできる。だから、そういうものを使って、少しでもコミュニケーションのチャンネルとしてうまく使っていくということがすごく大事だと思います。そういうことは多分CPTPPよりもRCEPの方が大事な使い道があるんじゃないか。  それから、RCEPの特徴は、新しい国際分業ですね。タスク、生産工程を単位とするそういう国際分業、こういうものの範囲、これ、言わば基本的に東アジア地域はそれに当たっているわけですけど、その範囲を全部覆っているわけですね。それはすごく重要なことで、ルールに基づく国際経済秩序というのがあって初めてそういうものが安心して展開できるわけですから、そこに入っている国が一緒になってそのルールをちゃんと守るような体制をつくっていこうじゃないかということを宣言することは極めて重要だというふうに思います。  ということで、だから、RCEPのメンバーの中でもいろんなメンバーがいますので、発展段階も違うし、政治体制も違うし、いろいろ難しい問題はありますけれども、しかし、この地域の、一つのその大きな国際分業の体系に入っている国が全部加わって良好ないろんなビジネス環境をつくっていって、それがひいてはそこに住んでいる人たちの生活を良くしていくと、そういうことをしっかり見ていくためにこのRCEPというのは極めて重要だというふうに思います。  だんだん時間がなくなってきましたので、これまた自由化、国際ルール作りのところは、またほかの参考人の方がもう少し詳しく言っていただけると思いますけど、そういう意味で、自由化、国際ルール作りのところはいろいろ足りないところはあるけれども、CPTPPでセットされた標準にちょっとずつ近づけていくと。そういう意味で、RCEPはダイナミズムを発揮していかなきゃいけないと思いますし、それから、政策リスクを軽減するためのコミュニケーションチャンネルとして積極的にRCEP使っていく、これは極めて重要ですし、それから、ミドルパワーコアリションとしてこの地域が少なくともルールに基づく国際貿易秩序を守っていこうじゃないかということを宣言すること、こういうことは極めて意義が深いんじゃないかというふうに思っております。  ということなので、RCEP、内容を見てすぐにパーフェクトだというふうには全く思いませんけれども、しかしこれをダイナミックなものだというふうに捉えて有効に使っていくということがこれからとても重要になるんじゃないかというふうに認識しております。  以上です。御清聴ありがとうございました。

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) ありがとうございました。  次に、菅原参考人にお願いいたします。菅原参考人。

菅原淳一みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社調査部主席研究員

○参考人(菅原淳一君) ありがとうございます。菅原淳一と申します。  みずほ総合研究所とみずほ情報総研が合併しまして、四月一日に発足いたしましたみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社という新しい会社でございまして、こちらの調査部におきまして通商問題の調査研究に従事しております。本日は、このような貴重な機会を頂戴いたしまして、大変光栄に存じます。  本日は、RCEPの意義につきまして、会社を代表してということではなくて、個人的な意見ということで述べさせていただければと思います。ただいま意見陳述された木村参考人の御意見と重なるところもありますが、御容赦いただければというふうに思います。  それでは、お手元の資料に沿ってお話をさせていただきたいと思います。  まず二ページ目をおめくりいただきまして、RCEP協定、全体像とその意義ということでございます。  こちらについては、皆さんよく御存じということではございますが、RCEPは経済規模、人口共に世界の約三割を占めるメガEPA、経済連携協定ということでございます。交渉の最終段階でインドが抜けたというのはやはり大きな痛手と言わざるを得ませんけれども、右下の表にお示ししたように、インドが抜けた十五か国でも経済規模、人口はCPTPPや日EU・EPAを上回るというものでございます。こうした巨大な経済圏がインド太平洋地域に構築される意義というのは極めて大きいというふうに評価しております。  現在、参加各国は国内手続進めているわけですけれども、御案内のように、中国とシンガポールが既に寄託を終えたというふうに報じられております。また、タイも議会承認を終えているということでございますので、早期の発効が期待されているというところでございます。  続きまして三ページ目でございますが、このRCEP、日本の貿易政策という観点から見ますと、やはり一番大きな意味は、日本にとって中国、韓国との初めてのEPAになるということかと思います。左下の図表でお示ししてございますけれども、ASEANを一というふうに数えた場合に、RCEP参加国間でEPAがなかったのは日中間と日韓間のみでありました。RCEPはこの貿易量も大きいインド太平洋地域のサプライチェーンにおける大きなミッシングリンク、欠落を埋めるものということでございます。そしてまた、RCEPによって自由化、ルールが共通化されて、域内サプライチェーンの構築、強靱化がより容易になるということでございますので、その経済的意義は大きいというふうに言っていいと思います。  さらに、米中対立というのが当面続いていくというふうに見られている中で、RCEPは日中経済関係の安定、日中間ビジネスの予見可能性を高めることにも資するというふうに期待されているところであります。  また、RCEPが全十五か国について発効いたしますと、日本の貿易のFTAカバー率は、輸出で六割、輸入で七割弱まで拡大するということでございます。  日本の貿易に占めるRCEP十四か国の割合というのは、輸出で四三・一%、輸入では四九・二%ということでございますので、そのシェアからいってもこの意味というのが計り知れるということかと思います。  この数字に、まだ現在のところでは部分的な自由貿易協定と言っていいかと思いますが、日米貿易協定というのも含めますと、輸出入ともカバー率は八割にまで達するということでございますので、日本が二〇一〇年代に進めてきたメガFTAが一つの到着、帰結を迎えるというふうにも言うことができるかと思います。  加えまして、現在、日本が進めている自由で開かれたインド太平洋、この実現に向けた土台になるものとして、このRCEPには戦略的意義もあるということも指摘されているところでございます。  続いて四ページ目でございますが、RCEPは、これも御案内のように、全二十章で構成されております包括的な協定ということになっております。ここについては、木村参考人からもございましたけれども、TPPに比べますと、やはり、例えば章で見ますと、国有企業とか環境とか労働、規制の整合性といったものが含まれていないということはやはり指摘されているところでございます。また、章や規定があっても、TPPほどの高い水準にはなっていないというものも少なからず見られます。  その上で各章を見てみますと、例えば政府調達の章でございますけど、これは章としてはあるんですけれども、中央政府機関の対象調達の透明性等のみが対象にされているという点で、地方政府機関だとか自由化も含んでいるTPP等に比べるとやはりやや劣ると言わざるを得ないと。その他、運用面でも締約国の裁量が大きい規定もありますので、かなりやはり注意が必要なところも大きい、多いということかと思います。  ただ他方で、知的財産とか電子商取引といった分野におきましては、WTOルールを上回る水準のルール、いわゆるWTOプラス、またWTOでは十分に規定されていないもの、WTOエクストラの規定というものも含まれているということでございまして、この点はやはり高く評価されてしかるべきというふうに考えております。  総じて、TPPとか日EU・EPA等に比べますとやはりRCEPのルールとか自由化の水準というのは低いと言わざるを得ませんけれども、やはり現行はWTOルールというのが基準になりますので、そうした意味では、WTOより高い水準の自由化、ルールが実現できるこのRCEPの意義というのはやはり大きいというふうに言っていいということかと思います。  注目すべきは、このRCEPには見直しや検討の規定が数多く含まれているということでございます。木村参考人からダイナミックというお話がありましたけれども、まさにこのRCEPというのは現在が最終形態とみなすべきものではないと。いわゆるリビングアグリーメントと言われますけれども、生きている協定として発効後も進化、成長を遂げていくものなんだと。むしろ日本が主導してこの進化、成長を促していかなければならない、その点については強調しておきたいというふうに思います。  続きまして五ページ目でございますが、ここからちょっと協定の具体的内容の評価につきまして、全ての章は取り上げられませんので、物品貿易のマーケットアクセス、関税に関することと、あと電子商取引について述べさせていただきたいと思います。  まず物品貿易でございますけれども、これは政府発表によりますと、十五か国全体での関税撤廃率は品目数ベースで九一%ということでございます。このRCEPは、第一・一条冒頭の規定で、ガット第二十四条及びGATS第五条に基づく自由貿易地域を設定するというふうに定められております。したがいまして、物品貿易、関税につきましてはガット二十四条に基づくということになりますが、御案内のように、同条におきましては、EPA、FTA等は実質上全ての貿易の自由化をしなければならないということが規定されているということでございます。  ただ、何をもって実質上全ての貿易というのかということについてはWTO加盟国間での合意はないわけですけれども、慣例上、締約国間の貿易の九〇%というのが目安というふうにされております。ただし、この九〇%という数字も、どのように計算すべきかについて議論があるということは委員の皆様よく御存じのとおりでございます。したがって、十年超の長期にわたるものではありますけれども、全体で関税撤廃率が九一%というのが、ガット二十四条、整合的であるとRCEP締約国は考えているということなのかと存じます。  こうした点を頭に置きながら参加各国の最終的な関税撤廃率というものを見てみますと、残念ながら決して高い水準とは言えないということでございます。ただ、繰り返しになりますけれども、現状よりは大きく改善が図られていると、その点はやはり高く評価すべきというふうに考えております。  具体的に今の点を見てみますと、日本の関税撤廃率は、ASEAN、オーストラリア、ニュージーランド向けが八八%、中国向けが八六%、韓国向けが八一%ということでございますし、その他の国の対日関税撤廃率は、ASEAN、オーストラリア、ニュージーランドが八六から一〇〇%、中国が八六%、韓国が八三%と日本政府より公表されているところでございます。  工業品の関税撤廃率も比較的高くなっておりますけれども、右下の表にあるような形で、幾つかの国についてどのような工業製品を日本に対してこのRCEPの除外、関税撤廃から外しているかというところを見てみますと、鉄鋼やその製品、それから自動車、同部品等、やはり日本の輸出関心品目が少なからず含まれているということでございますので、この点についてはやや残念とやはり言わざるを得ないところもあるということでございます。  次に、六ページ目、日本の関税譲許について見てみますと、全体は先ほど申し上げたとおりですけれども、農林水産物につきましては、ASEAN、オーストラリア、ニュージーランド向けが六一%、中国向けが五六%、韓国向けが四九%ということで、TPPや日EU・EPAが約八二%という水準にあったことに比べてもかなり低くなっていると、この点は指摘しておきたいというふうに存じます。  続いて、七ページ目でございます。ここから、今回、日本と初めてのEPAになる中国と韓国について見ておきたいと思います。  中国の対日関税撤廃率は品目数ベースで八六%ということでございますが、中段の表を御覧いただきたいんですけれども、RCEP協定上の基準税率が〇%の品目を現在無税というふうにみなしますと、これは品目数ベースで八・四%ということ、全体の八・四%ということでございます。これがRCEPが発効したと同時に、品目数ベースで二五%まで無税で輸出できるようになるということでございます。そして、これが段階的に拡大されていって協定発効二十一年目に八六%まで拡大していくということでございますので、これはやはり中国市場ということを考えた上で、かなり自由化が進むというふうに言っていいかとは思います。  ただ一方で、個別の品目を見てみますと、やはり工業製品においては機械類とか、特に自動車関係が除外されていたり、あとは関税撤廃なされる場合でもかなり長期、段階的な関税撤廃になっているということで、その点については、特に使う側である、ユーザーである企業の皆さんは要注意ということかと思います。  続きまして、八ページ目、韓国についてでございます。  韓国の対日関税撤廃率は八三%ということでございますので、お気付きかと思いますけど、日本と韓国の間では互いに八〇%台前半しか自由化していないという状況になっているということでございます。  これも除外品目について見てみますと、やはり工業製品で、乗用車、それから貨物自動車といった完成車、さらに、ギアボックス等を全て除外という形になっています。ただ、関税撤廃スケジュール、中段で見てみますと、無税が一六%現在あるわけですけれども、これが協定発効と同時に四割強まで拡大するということでございますし、あと、そこからはちょっと緩やかですけれども、二十年目に八三%ということですので、ここについても期待できる部分はあるということでございます。  そして、九ページ目、電子商取引についてでございますが、まずはインド太平洋の十五か国、特に中国やASEANを含む十五か国で共通の電子商取引ルールで合意したという意義は極めて大きいというふうに言っていいかと思います。WTOにおいても現在、電子商取引ルールについて議論されているところでございますが、これまでWTOでは十分な電子商取引に関するルールはなかったわけでございますので、これが中国、ASEANを含めたものでできたということはやはり重要であるというふうに言っていいかと思います。  このRCEPの電子商取引ルールというのは、TPPに準拠したルールとなってはいるものの、やはりTPPに比べるとやや劣っていると言わざるを得ないところもあるということでございます。よく言われておりますのが、いわゆるTPP三原則についてでございますが、このうちの情報の電子的手段による国境を越える移転の自由、それからコンピューター関連設備の設置要求の禁止というこの二点はRCEPにも盛り込まれたということでございます。  ただし、こちらの二点については、表の方に書いてございますけれども、公共政策上の例外と安全保障上の例外が明記されているということでございます。これらの例外が認められたということは、国内政策上又は経済安全保障上の観点からは日本にとっても重要なことだというふうに評価しております。  しかしながら、協定条文見ますと、公共政策例外については恣意的な措置は認められないとしている一方で、実施の必要性は締約国が決定するというふうに書かれております。安全保障例外の方も、他の締約国は当該措置につき争わないというふうに明記されているということでございます。加えて、この電子商取引章は紛争解決手続の対象外ということにもなっておりますので、やはり実効性の部分についてはやや難があると言わざるを得ないということかと思います。したがいまして、RCEP合同委員会等を通じて、しっかりと他の締約国が恣意的な運用をしないようにモニタリングしていくということが重要になるということかと思います。  最後に、まとめでございますけれども、RCEPは、日本を含む参加諸国にとって自由化、ルールの水準は、TPP等には達していないものの、WTOの水準を大きく上回り、経済的、戦略的意義が大きいということ、RCEP合同委員会等を通じてピアレビューなんかを行って、締約国による恣意的な運用を抑制してRCEPの効果の最大化を図るということが今後重要になること、そして、RCEPは現在の形が最終形ではなく、見直し規定等を用いて進化、成長を図っていくことが重要である、そのために日本がこれを主導していくということが極めて重要であるということを申し上げて、私の意見陳述を終わらせていただきます。  ありがとうございました。

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) ありがとうございました。  次に、内田参考人にお願いいたします。内田参考人。

内田聖子NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)代表理事

○参考人(内田聖子君) よろしくお願いいたします。  アジア太平洋資料センターの代表理事をしております内田聖子と申します。本日は、貴重な機会いただきまして、ありがとうございます。  私の団体は、市民社会組織、NGO、NPOとして、世界の農民団体や労働組合、NGO、その他の様々な組織と連携をして、貿易や投資の課題について調査研究や提言活動を行っています。NGOですから、我々は交渉の現場にも毎回のように赴きます。TPPのときもそうでしたが、RCEPに関しては、私自身、この六年ほどですが、各国で行われる交渉現場に行きまして、まあコロナの前ですけれども、いろんな組織とともに政府に意見を伝えたり、各国の交渉官とも意見を交換してきました。残念ながら、RCEPについては日本での関心は高いとは言えず、そして先週、衆議院でも非常に短時間で可決をしてしまったということは残念に思っておりますので、是非、参議院では熟議を皆さんに尽くしていただきたいと切に願っております。  今日は、こうした経験から、RCEPが持っている意味や影響について、特に今国際情勢が動いていく中で、どういう影響をアジアに、そして日本に果たすのかということを市民社会の立場からお話ししたいと思います。  資料は、パワーポイントのこれを配っていただいています。  まず、木村先生もおっしゃっていたことに私も同意なんですけれども、どういう視点からRCEPを評価するのかということによって随分違ってくると思うんですが、私は、この互恵的な協定、そしてASEANの中心性、かつ衡平な経済発展と、これはRCEPの基本指針及び目的に書かれた文言ですけれども、これがやはり非常に重要なコンセプトであろうと思っています。  RCEPは、カンボジア、ラオス、ミャンマーのような非常に貧しい後発開発途上国を含み、かつ多様性がある国を含んでいます。しかしながら、そういう小さな国々が何とかまとまってASEANというものを形成していて、そしてその経済的かつ社会的な発展をどうするかということがやはり重要なんだと思うんですね。つまり、単に経済利益を追求してグローバル化をしていくということだけではなくて、アジアの地域での平和、そして安定的な統合戦略というものがあらかじめ組み込まれていると思うんです。こうした観点からRCEPを検証したいと思います。  参加国の人口は二十二億人強ですけれども、そのうちの半数以上が農民、特に小規模零細農民ですね、あるいは漁民、先住民族、あるいは貧困層だったり、いわゆるインフォーマルセクターと言われる労働者、それから女性など、どうしてもグローバル化の中で恩恵が受けられず、逆にますます底辺への競争を強いられるような脆弱層が多く含まれています。こうした方々を全て包摂して、かつ経済的、社会的にも有益な協定なのかという視点が重要だと思っています。  まず、その際、前提として指摘しておきたいのは、このRCEP交渉というのは八年続いてきたんですけれども、協定の内容のほとんどは二〇一九年の時点で既にほぼ決まっていたと言われています。つまり、このコロナの前にほぼ決まっていたと。要するに、コロナ禍のダメージということが考慮されていないということです。  御存じのとおり、ASEAN含め世界全体ですけれども、コロナで経済というのは非常に打撃を受けています。ASEANも同じで、経済成長率はマイナス一・四、これは過去二十年で最大ということですし、失業率も増加しています。ワクチンや検査の体制というのは喫緊の課題です。貧困層も増えていくと言われています。いろんなデータを付けましたので、御覧いただければと思います。コロナによる貧困層の拡大というのは世界共通の現象なんですけれども、ASEAN地域でも同様に起こるということです。  済みません、ページ番号がこれに書いていないんですが、三枚目かな、めくっていただいて、そういう苦境に立つ中で、この一年、ASEAN経済というのは逆に中国への依存というものを本当に強めているというふうに私は見ています。  昨年で、ASEANは中国との貿易の最大の相手国になりました。これはEUと順序が変わって、ASEANがトップということになりました。特に、ベトナム、タイ、ブルネイ等で大きく増加しています。また、一帯一路という中で中国の対外投資全体は少なくなっているんですが、一帯一路に対しては逆に増加していて、非常に多くの直接投資がASEANになされている。かつ、中国が貸し付けている債務ですね、これもやはり増加傾向でして、ラオスなんかを見ると、債務総額の五〇%が中国から貸し付けられている。その返済が今非常に大きな課題になってきている。  更に言うと、欧米は中国企業に対する規制を強化している中で、ASEANは、逆に、5Gであるとか通信インフラに関しては逆にどんどん受け入れていっているというような状況が進んでいます。こうした流れがRCEPによって更に加速をするということは明らかであると思います。両者はASEANプラス1を締結しているんですが、RCEPではそれ以上の関税撤廃やルールというのが構築されております。  この中国とASEANの関係強化は、私は、単に中国けしからぬ、出ていけという、そういう中国脅威論をしたいわけでは全くなくて、逆にASEANにとっては苦境に立つ中で致し方ない選択でもあるわけです。開発途上国は開発資金がないわけですね。それから、技術やいろんなオプションがないということなんですね。しかし、結果的に、ASEANにとってこのことというのが、今起こっている米中対立における政治リスクを非常に高めてしまうということを私は非常に懸念しています。  言わば、日本も含めた自由で開かれたインド太平洋と一帯一路という中の競合の中心地にASEANは実際今なっていて、中国経済への依存が非常に高まる中でバランスを取っていく外交というのが難しくなっています。ASEANの分断ということも起こりかねないような状況です。そうしたことを通じたアジアの不安定化がRCEPによって加速されやしないかという点を非常に懸念しています。  それでも、ASEANにとってRCEPで経済的な便益があればまだ良いと言えるかもしれません。しかし、ちょっと幾つか試算を付けたんですけれども、そして、この試算というのはどこまで現実的にどうなのかというのはあるんですが、一定の傾向は分かると思います。いろんな試算を見てみても、やはり経済的には日中韓がメリットは大きいわけですが、ASEANに関してはゼロか、最悪の場合マイナスになってしまうというような結果も出ています。  その意味で、このRCEPがASEANにとってはある種非常に危険をはらむディールになりやしないか、そのことが日本も含むこのアジア地域の不安定化や、あるいは国による格差の増大ですね、こういうことを引き起こしかねない。これが冒頭申し上げた互恵的な関係という点から見て本当にそうなっているのかということは、是非皆さんにも検証いただきたいと思います。  さて、RCEPの内容は、今、菅原先生からも詳しくあったので私はポイントだけしか申し上げませんが、物品に関しては、今言ったように日中韓のFTAという意味が大きいわけですね。ASEANの中ではもう関税撤廃も投資やサービスの自由化も多くなされていますので、日中韓が利益が大きいということです。  ところが、日本のその全体のメリットということの、より詳細に見ると、確かに工業製品は輸出が拡大するのであろうと私も思います。しかし、この農産物についてはどうでしょうか。日本政府は主要五品目を除外しているので影響はないと言って、試算もしていないということをちょっと私は驚いておるわけですが、先週の衆議院の外務委員会での参考人質疑で出られた東京大学の鈴木宣弘先生の研究室の試算によれば、主要五品目は除外なんだけれども、野菜、それから果物ですね、それから加工品、こういうものはかなり広範に関税撤廃がされます。で、その結果の試算としては、農業生産の減少額としては五千六百億円だという結果が出て、これ非常に私も驚きました。ここまで本当に出るのかどうか、出るんだとしたら大変なことだと思いました。  これは、TPP11のトータルと比べれば半分程度ではあるんですが、相当に当たりますし、とりわけ野菜や果樹、加工品ということに関しては、TPPの何と三・五倍にも至るという数字です。ですので、この点は、影響がない、大丈夫だということで済ませずに、是非この参議院の委員会の中でもう一度きちんと検証して、影響が出るなら何らかの対策が必要でしょうという話なのではないかというふうに思いますし、ずっとメガ協定を結んでくる中で、やっぱり農業はどんどんどんどん自由化が進んで、もう農村は立ち行かないというような状況にもなってきたと思います。なので、是非見直しをしていただきたいと思っております。  そして、農産物に関しては、もう一点申し上げると、RCEPではこの結果なんですけれども、今後その見直しということが想定されているということに警戒する必要がありますし、もう一点は、日中韓のFTAですね、中国はRCEPの後、日中韓もやりたいんだというような意向を見せていると報じられています。ですから、もし日中韓がもう一回また別のフェーズで始まれば、もう一回また関税も含めて三か国で交渉していくということが始まれば更にその警戒をする必要があるというふうに思います。  ルールの部分なんですけれども、これについては様々な評価があって、先ほども菅原先生おっしゃったように、いろんなTPPと比べて緩いとかプラスになったということはあるんですが、私は一点強調したいのは、この間の自由貿易協定の中で常に問題となってきた条項というのが幾つかあります。例えば代表的な例は、投資章に入っているISDSというものであったり、医薬品の特許の保護、バイオ医薬品のデータの保護の問題だとか、それから、農民にとっての種子、種のですね、権利を守るという、それを阻害するような条項だったり、我々はそれを有害条項と言ったりするんですが、それが常に問題になってきました。  結果的に、RCEPには今申し上げたような条項というのは今回は入っていません。これをもって質が低いとか今後積み上げていけばいいという議論もあるんですが、皆さんに是非知っていただきたいのは、こういう、人々にとって問題だと言われているようなルールを、各国の市民社会が、いろんな農民の団体、漁民の団体、労働組合の人たち等々が、ずっとこの八年間、交渉会合の中で、やっぱり人々の健康や医薬品のアクセスや生業を守るというために働きかけをずっと行ってきたと、その結果である、成果であるということなんですね。  資料にたくさん写真を付けておきました。恐らく皆さん、こういうRCEPの交渉会合、それぞれで、これですけれども、どこで何がどう行われて、誰が言っていたかということを余り御存じではないのかなと思いまして付けました。  ですから、一つのRCEPのこの結果の大きな示唆は、私はこのように思っています。RCEPにこうした条項が入らなかったという意味は、これからのメガFTAなりWTOの中でいろんな議論をしていくんだと思うんですが、その際に、こうした知財やデジタルや投資や電子商取引等のいわゆる高い水準のルールと言われているものは、これは全ての国に共通で普遍的なルールにはなり得ないんだと、これがRCEPで一つ私は証明されたと思います。ですから、これは世界の貿易ルールにとって非常に大きな示唆を与える転換点ではないかと思っています。  そして懸念は、ところが今後、見直しとか再交渉が行われている中で、またこの有害だと言われているものが取り入れられていってしまうという懸念がある、ここに世界の市民というのは警戒をしているわけです。  最後に、RCEPを通して今後の世界の貿易交渉の枠組みをどう考えるかという点ですけれども、私はFTAがどんどんどんどんWTOの外で広がってきたことについては非常に否定的に見ています。  というのは、たくさんの協定が既に山のように生まれていて、交渉もそうですし、実施もとても複雑になっています。いわゆるスパゲッティボウルと言われますけれども。かつ、そのことが、WTOにいずれはこういうルールというのは移植していくんだということが当初言われたわけですが、それは実現をできていないわけですね。つまり、個別にいろんなルールがばらばらとできるだけで、共通のルールづくりというのはなされていない。むしろ多くの国が、この二十年ほど、大きな政治的、経済的コストを掛けてFTAをどんどんつくってきたんですが、そのことが停滞しているWTOを再生することの大きな障害になっているというふうにも言えると思います。  ですから、これで終わりますけれども、各国では今いろんな形で貿易の方針の修正とか変更とか停止などなどが起こっています。いろんな例を列挙いたしました。アメリカでも顕著に起こっています。ですから、是非、日本がRCEPの交渉を終えてメガFTAの二十年のフェーズを終えるというのは、菅原先生もおっしゃったとおり、私もそう思います。  ですから、是非この機に、一体日本はこの二十年の自由貿易、FTAを進めてきて、いいことが何があったのか、何が課題かということを振り返っていただきたいんですね。農業や製造業、サービス業、全ての産業でそれぞれがちゃんと発展が遂げられてきたのか、人々の雇用や賃金、生活は向上したのか、日本の産業競争力は本当に付いたのかということを改めて振り返っていただいた上で、このRCEPの審議を十分尽くしていただきたいと思います。  ありがとうございました。

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  質疑のある方は順次御発言願います。

山田宏自由民主党・国民の声

○山田宏君 どうもありがとうございました。  自由民主党の山田宏でございます。  今日は、三人の参考人の先生方、ありがとうございました。  最後に内田参考人の方からお話がありました、この何年もの間、FTA、またTPPも含めて、そういったものを拡大してきた結果、一体どういうふうな国になったのか、雇用はどうなのか、経済は本当に思ったとおりになっているのかと、まずそこから入りたいと思うんですけれども、その点につきまして、今、内田参考人の方からはお話ございましたので、木村参考人、そしてまた菅原参考人の方から、これまでのこの自由貿易協定の果たしてきた役割をどう御覧になっているかという点についてお話をいただければと思います。よろしくお願いします。

木村福成慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(木村福成君) 御質問ありがとうございます。  経済学の中で今一生懸命、その自由貿易協定等の経済効果分析みたいなことを一生懸命やっているわけですけれども、基本的には、自由化が進む、あるいは国際間の貿易のコストが下がってくる、そういうことはプラスの影響が出てくるということになるわけですけど、いろんな計測をしてみると、やっぱり国内改革とセットにならないとなかなかそういう効果が大きく出てこないということがございます。  例えば、政府が出していますCPTPPとかあるいはRCEPの効果推計がありますけど、あそこで一番大きな効果が出てくるのは雇用創出なんですね、国内の。で、普通のシミュレーションモデルですと、その雇用はもうフィックスされていて、動かないようになっているのがむしろデフォルトのシミュレーションモデルなんですけど、やっぱり国内改革があって、自由化が進むことによって、例えば新しい産業や新しい企業が生まれてくる、それによって、今まで労働市場に参加していなかった女性ですとかあるいは高齢者ですとか、そういう人たちが労働市場に参加してきてもっと働いてくれる。やっぱりそういうふうな国内改革とのセットになってくるというところが多分効果はしっかり出てくる部分になるんだと思うんです。  ですので、まず関税が下がってくる、そこの部分はシミュレーションモデルとしてかなりちゃんと分析できるわけですけど、それ以外と組み合わさっている部分、やっぱりそこが一番重要な部分だと思うんですね。それは、なかなか我々もうまく測れないという難しさがあるわけですけど、それにセットになるとすごく効果が出てくるということで。  例えば、今、ベトナムなんかは、明らかに自由貿易協定、CPTPPもそうですし、ASEANの中の協定、これも非常に深いものができているわけですけど、それと国内改革うまくマッチして、今たくさん投資を引き付けているというところがあります。やっぱりそういうことをうまくやっていくというのが大切なことじゃないかなというふうに思っております。  以上です。

菅原淳一みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社調査部主席研究員

○参考人(菅原淳一君) ありがとうございます。  基本的に、今、木村参考人がおっしゃったことに同意するものでございますけれども、我々も当然、このEPA等が過去に結ばれたもの、どんな効果があったかという検証をするという作業はするわけですけれども、大きく言いますと、例えばここ十年、二十年で見てみますと、グローバルな金融危機があったり、まさにこのコロナがあったり米中対立があったりということで、なかなか貿易に関しては逆風の要素も多くあって、EPAの効果としてどの部分を取り出すべきかというのはなかなか難しいところがあるということで、検証も難しくなっているということは事実としてあるということであります。  ただ、一方で、必ずしも雇用ということではないかもしれませんが、国民生活の向上という観点からすれば、やはりこれまでに結んできたEPAというのは役に立っているというふうに感じております。  それは、単に消費者に大きな選択肢を与えるとか、より安いものを、製品を供給するといったことだけではなくて、例えば、日本としてEPAを結ぶために個人情報保護を強化していったりとか、様々な国際標準に合わせるための国内改革を行ったと。今まさに木村先生の方から国内改革とセットが重要だということでありましたが、日本自身もこのEPAを締結するに当たって国内改革を進めてきたと、そのことがやはり国民生活を向上させてきたということは言っていいのではないかというふうに考えております。

山田宏自由民主党・国民の声

○山田宏君 ありがとうございます。  この広がったグローバリズムの中で、一方で雇用も増えたかもしれないけど、一方で貧富の格差もかなり広がってきたということも指摘をされているところです。そういった一つの自由化の側面というものについてどういうふうに評価されているか、内田参考人の方から簡単にお考えをお聞かせいただきたいと思います。

内田聖子NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)代表理事

○参考人(内田聖子君) ありがとうございます。  貧富の格差は、おっしゃるとおり、九〇年代以降、世界的に見ても、あるいは先進国の中だけで見ても、我々もよく実感するところですけれども、非常に広がっていると思います。この原因については、必ずしもグローバル化、あるいは自由貿易のみではないと私は思います。技術の革新などによって引き起こされている部分が多いと、そういう論争もいろいろあるわけですが、ただ、やっぱり大枠でいえばグローバル化という問題なんだろうと思います。  これに関しては様々な捉え直しがやはりあって、例えばヨーロッパなどでは、例えば公共サービスなどもどんどん民営化をされたと、そして外資系企業がやっていると。そういうことで、非常に住民にとってのサービスの質が落ちたり、おろそかになる、値段が上がるということを受けて、それをもう一回公共の方に取り戻していくという再公営化のような動きもあったり、それを何とか是正していこうという動きは世界各地で起こっているわけです。御存じのとおり、アメリカでは、じゃ、大企業、大富豪に税金を掛けようかとかですね、いろいろとあるわけですね。  私は、やっぱり日本の中でこの格差を是正していくということの大きな議論がなかなか起こっていないというように残念ながら見えているので、是非これは、世界でいろんなレベル、いろんな取組があるということを踏まえて、我々市民社会も含めてですけれども、是非先生、皆さん方にも御議論いただきたいと思っております。

山田宏自由民主党・国民の声

○山田宏君 もう余り時間がなくなってしまったんですけれども、木村参考人、そしてまた菅原参考人の方からは、今までのWTOよりはRCEPはかなり、まだ、更にましになったと、簡単に言えば、俗な言葉で言えばなったと、自由化の原則やルールが決まったということはよかったんだと。  そういったところを発射点にして、これから、一つは、憂慮されるような事態、考えられる事態はあるのか、そしてまた、今後このRCEPをどのような方向に持っていくということが必要なのかという課題等について、お考えがあれば両参考人からお聞かせいただきたいと思います。

木村福成慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(木村福成君) かなり長い間やっぱり良好な国際関係がずっと続いてきて、それで、やっぱりルールに基づく貿易秩序があれば、みんな、企業が自由にどういうふうに事業を展開するかができて、そして、それによって人々の生活も良くなっていくということが起きてきたんですけど、やっぱり過去五年ぐらい起きてきているのは、もっと、安全保障に対する懸念ですとか、それが貿易にリンクしてくる、それから、もっと大国間の対立という大きな枠組みの中でそれがやっぱり貿易に影響してくる、そういうプレッシャーがすごく強くなってきているというふうに感じています。やっぱりできる限り、特に東アジア地域というのは生産ネットワークという形で経済の方は非常に緊密に結び付いているわけですから、それが今後も生かされていくような体制というのをどこまでキープできるか、今そういうせめぎ合いをしているところじゃないかというふうに思っています。  したがって、いわゆるデカップリングの話というのもこれからもっと進んでいく部分もあると思うんですけど、全面的にデカップリングということは多分ないわけでありまして、そこのところをどういうふうに我々仕分しながら議論していくかというとても大事なタイミングになっているんじゃないかというふうに感じています。

菅原淳一みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社調査部主席研究員

○参考人(菅原淳一君) 今のお話のように、やはり経済安全保障といったようなところが新たに加わっているというのが最近の議論の特徴というふうに言っていいかと思うんですけれども、そういったことがあっても、例えば米中対立、トランプ政権下で激しくなったときでも、やはり曲がりなりにもWTOルールというのがよりどころになっていたというところがあったと思うんですね。  そういった意味では、このインド太平洋地域においてはRCEPが一つその歯止めになるというか議論の土台になるということでございますので、先ほど委員から発射台というお話ありましたけれども、そういった意味でいうと、WTOからRCEPへと発射台が高くなったということでございますので、これを利用して様々な今後難しい安全保障上の問題についても議論していくと、で、さらに、先ほど来申し上げたように、このRCEP自身を進化、成長させていく、それを日本が主導していくということが重要になっていくということかと思います。

山田宏自由民主党・国民の声

○山田宏君 三人の参考人の先生方、ありがとうございました。

小西洋之立憲民主・社民

○小西洋之君 私は立憲民主・社民の小西洋之でございます。  三人の参考人の先生方、本日は、お忙しい中に、貴重な御意見、本当にありがとうございました。  私の方からは、今、自民党の山田先生が最後に御質問された観点ですね。先日、日米首脳会談が行われました。そこで、半導体ですとか医薬品ですとか、そういう一種の戦略物質といったようなものについてサプライチェーンを日米間で非常に強化していくと。それに当たっては、木村先生が御示唆いただいたような大国間、アメリカと中国という新たな、大きな大国の一種の対立関係、またそれが安全保障の問題も引き起こして、この委員会は外交防衛委員会でございますので、そういう国防の観点からも議論を重ねているところでございますが。  それで御質問なんですけれども、まず木村先生と菅原先生に、先日の日米の首脳会談で、今申し上げた日本とアメリカが対中国で経済面においてより強力に連携をしていく、特にサプライチェーンの面で。そうした取組とこのRCEPがどのような関係になるのか。  私の問題意識は、当然中国と絶対に軍事的な緊張や衝突はあってはなりませんので、むしろそれを防ぐために最大の貿易相手国である中国と日本がより深い交易関係というものを結んでいったらいいのではないかということなんでございますけれども。  で、木村、あっ、内田先生には、失礼しました、内田先生には、さはさりながら内田先生の御指摘では、このRCEPの下で貧困ですとか、あるいはASEANに対して中国がむしろ利益を得るような形になっているんじゃないか。となると、今私が願ったようなRCEPの生き方といいますか活用の仕方というのは難しいように思うんですが、そういう米中対立を緩和していくというような観点でこのRCEPというものが果たして役に立つものかどうか、それについてそれぞれ御意見をお願いいたします。

木村福成慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(木村福成君) 御質問ありがとうございます。  アメリカの方から働きかけてくるデカップリングですけど、これも難しいんですが、一つは、非常にセキュリティーの問題に直接結び付くような機微技術の部分ですね。ここはやっぱりある程度アメリカと歩調を合わせて我々やらざるを得ないというふうに思っています。  ただ、それともう少し違う、アメリカとしての産業政策的な部分ですね。これはやっぱり区別が難しいんですけど、お付き合いする部分とそうじゃない部分をよくやっぱり判断していかないと、アメリカの企業そのものもたくさん中国と実は取引をしているわけで、彼らも全面対決しようと思っているわけじゃない。やっぱりそこのところを見極めるのがとても大切だと思います。  それから、同時に、やっぱりこれをやっているうちに、いろんなところからアドホックな貿易政策が飛んでくる可能性あると思うんですね。それをポリシーリスクと申し上げ、政策リスクと申し上げましたけど、そういうものも今年、来年と出てくる可能性はかなり高いんじゃないかなと思っています。  そういうふうに考えると、RCEPというのは、やっぱりルールに基づく国際貿易秩序をちゃんと守ろうよという建前でできてきて、そこにみんなが入ってきているわけですから、やっぱりその中で生じてきている問題を、少なくともコミュニケーションして解決できるところは解決していくという、そういう場としてやっぱりRCEPを積極的に使っていくということがとても大事だと思うんですね。  これはだから、多分日本だけの問題じゃなくて、韓国もオーストラリアも、あるいはASEANの国も、言いたいことはたくさんあるけれども言えないということはたくさんあるんだと思うんですね。そういうときのためのコミュニケーションチャンネルとしてどういうふうにRCEP使っていくかというのはとても大事なポイントじゃないかなというふうに思っています。

菅原淳一みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社調査部主席研究員

○参考人(菅原淳一君) 既に御指摘あったように、やはりこの米中対立というのは今後も続いていくだろうということでございますし、バイデン政権のこれまでの姿勢見てみますと、やはり中国に対しては、人権や民主主義といった価値の部分では対立というところが続いていくでしょうし、機微技術等に関する経済分野ではやはり競争が続いていくだろうと。一方で、気候変動等においては協調が進むという、この対立と競争と協調という三つの層で対中関係をマネージしていくというのがバイデン政権の対中政策の基本なんだろうというふうに見ております。  そうした中で、今回の日米首脳会談では、別添の二つの文書には中国という言葉は入っていませんでしたけれども、やはり明らかに中国を意識して、今、木村参考人からあったように、全面的な米中デカップリングというのは誰も考えていないということだと思いますけれども、やはり機微技術部分に関しては一定程度の部分的なデカップリングというのは生じるということは、これは前提として考えておかなきゃいけないだろうということかと思います。  さらに、やはり人権や民主主義というところについては、今後米中での対立が深まると、中国も核心的利益の部分については内政干渉といって突っぱねているわけですから、これについて米中対立が深まっていくというリスクも当然念頭に置いておかなきゃいけないということかと思います。  そうした中で、日本としてはやはり、中国との経済関係や国と国との関係をいたずらに悪化させる必要は全くないわけですけれども、やはり言うべきことは言わなければならないですし、その機微技術関連のところについては、やはり日本としてはアメリカと共同歩調を取るということが必要になってくるということかと思います。  そうしたときに、このRCEPというのは、私、最初の御報告でも申し上げたように、日中経済関係の安定性とか日中間ビジネスの予見可能性を高める上で、こうした法的基盤があるということが、今、木村参考人からあったようにチャネルとなるということに加えて、ここが土台となって議論ができるということで、先ほどもあったように、WTOのルールよりも高い、一段高いルールに基づいて中国と議論ができるということはこれは非常に重要だということで、まさにこの米中対立激しくなる中で一層RCEPの意義というのは増しているのではないかというふうに考えております。

内田聖子NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)代表理事

○参考人(内田聖子君) ありがとうございます。  日米の対立の中でRCEPがどういう役割を果たし得るかという御趣旨だったと思いますけれども、アメリカはこの今回のRCEPの妥結についてどう見ているかというと、私が知る限りにおいては、いわゆる貿易協定としてはさほど重視はしていないと、まあ要するにTPPよりも水準が低いということでですね。これによって、じゃ、すぐTPPに戻らなきゃいけないとか、非常に警戒しているというわけではないと思います。  ただし、アメリカにとって、やはりASEANという地域性を考えると、それは非常に重要な、戦略的に重要な地域になると思いますので、先ほども言ったように、その開かれたインド太平洋という構想を日米がやっていく中で、やっぱりASEANを何とかそっちに引っ張っていこうというような力学がアメリカの側としては働くんだろうと思うんですね。  その際に、ですから、私は、やっぱりこのRCEPということを中心に考えた場合は、やっぱりこのASEANの中心性とかこの地域の互恵性というものをやっぱり全体としてきちんと担保をしていくということが重要だと思います。そこに日本政府が果たし得る役割というのは非常に大きくあると思っているんですね。  これはRCEPの枠内でできることもあれば、枠外で、例えばさっき言った債務の問題は非常にASEAN諸国にとっては重大な問題なんですね。世銀から借りても、すぐそれを中国に返さなきゃいけないというような条件が付けられている中で非常に苦しんでいる。だったら日本が主導して、例えば中国以外の債務については、一回今延長、返済延長されましたけれども、延長ないしは一部帳消しにしていくとか、あるいは開発支援をしていくとか。  やっぱり日本は、米中の間で日本も苦しいと思いますけれども、やっぱり日本にとって重要な地域であるASEANとしっかりと手を取っていくと。その意味では、政府間だけではなくて、企業間の交流ももちろんありますし、それから議員の皆さんも是非ASEANの各国の国会議員ともっともっと密に関係を取っていくということで全体のバランスを取っていくと。強いて言えば、RCEPでできる、を場としてできる可能性としてはそういうことが考えられるかと思います。

小西洋之立憲民主・社民

○小西洋之君 ちょっと時間があと一分になってしまいまして、ちょっと菅原先生にお伺いさせていただきたいんですけど、この大国間の衝突があるときに、将来のこのビジョン、新しい世界のビジョンを出していくということが必要だと思うんですけれども、そういう観点でこのメガFTA、先生のこの論文を拝読いたしますと、バイデン政権の間にはアメリカがTPPに参加するというのは無理では、時間的に無理ではないかというようなことがあったわけですけれども、そのTPP11へのこの中国やアメリカの参加、あるいはこのRCEP、インドが加入できてないんですけれども、今度、日本としてどういう新しい自由貿易体制を主導していくべきか、そこを一言お願いいたします。

菅原淳一みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社調査部主席研究員

○参考人(菅原淳一君) 一番は、やはりまずWTOの立て直しということは忘れてはならないということはあると思います。  その上で、今まさにおっしゃったように、RCEPはインドが抜けたこと、離脱したことは痛手だと申し上げましたけれども、じゃ、インドを待っていたらどうだったかということを考えますと、やはり私は、RCEP先に発効させて、参加していないことのデメリットというのを顕在化することがインドをRCEPに引き戻すための重要な誘因になるだろうというふうに考えております。  そうした意味で、インドをRCEPに戻すとか、あとTPPに関して、例えば、今、中国が参加に関心示しておりますけれども、私は、中国がもしTPPの自由化とルールの水準を全て受け入れるというのであれば、これは大歓迎ということで、入れて、入ってもらっていいというふうに考えておりますけれども、逆に中国を入れるためにTPPの水準を下げるということはあってはならないということかと思います。  日本としてはやはり、先ほど木村参考人の方からミドルパワー連合という言葉もありましたけれども、米中対立の中でやはり日本がEUとかASEANとかそうした国々と連携しつつ、米中対立のエスカレーションを避けて、その中でルールに基づく自由で開かれた経済秩序というものを主導していくと、その中心にいるべきだというふうに考えております。

小西洋之立憲民主・社民

○小西洋之君 三人の先生方には深く御礼申し上げます。ありがとうございました。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 公明党の三浦信祐でございます。  三人の先生方には、大変貴重な御意見を賜りましたことを心から感謝を申し上げたいと思います。  時間がありませんので、早速質問させていただきます。  今回のRCEPの協定を通した中で、日中のFTA、また日韓のFTAが実現をするということに帰着をすると思います。これ極めて私も重要なことだというふうに思っておりますけれども、日本経済への具体的に想定される効果、日本においては九九・七%が中小・小規模事業者だと、雇用が七割だという観点から見たときに、RCEPが、国民の目から見てこれが利益がある、企業経営にとってメリットがあるということを説明をしていくというのも私たちの役割だと思いますので、その点について、木村参考人、そして菅原参考人から御意見をいただきたいと思います。

木村福成慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(木村福成君) 日中、日韓の間で特に関税撤廃がWTOレベルと比べるとかなり進むということで、関税撤廃率は実は世界的なレベルから見て余り自慢できるようなものになっていないわけですけど、ただ、そこからプラスの効果は明らかに出てくるだろうと思います。  それから、RCEPの中でやっぱり特に大事なのは、その原産地規則の部分ですとか、あるいは通関手続の話、貿易円滑化、こういうところは非常に細かく書き込まれていますよね。そういったものの効果も日中韓の間でもやっぱり出てくると思いますので、だから、そういう意味で、特に物の貿易のところでプラスの効果が明らかに出てくるだろうということは言えるだろうというふうに思っています。  以上です。

菅原淳一みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社調査部主席研究員

○参考人(菅原淳一君) ありがとうございます。  日中、日韓の状況については、先ほど冒頭御説明したとおりでございます。  今、木村参考人からあったように、元々中国、韓国というのは日本に対して高い関税を設定していたわけですから、それが大きく下がるということは、これは大きなメリットというふうに言っていいかと思います。  加えまして、これも申し上げましたけれども、そのインド太平洋地域の大きなミッシングリンクとなっていた日中、日韓ができるということで、域内全体を一つの面と捉えたサプライチェーンの構築がより容易になると。さらに、電子商取引等のルールもできたということでございますので、こうしたサプライチェーンに参加するということが、中小零細企業にとってもそのチャンスが広がるということなんだと思います。  やはり、ルールがその国ごとに対応しなければならないということになりますと、これは中小零細企業ではなかなか対応が難しい、またコストも掛かるということだと思うんですが、これが十五か国で統一されたということは、大企業だけじゃなくて中小零細企業にもそうしたサプライチェーンに参加していくというチャンスが広がるというふうに言っていいというふうに考えています。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 ありがとうございます。  まさに、経済を回していく上で細かいルールが別々にあるということ自体が、本当に経営者にとってみれば非常にそれ自体がリスクになるということもありますので、もう生産性を変えていくという観点から見たときに、RCEPによって様々整っていくことによって、日本がこれから外貨を取りにいく、また、その規格を作って外に出していくという効果が物すごく発現できるきっかけなんだろうなというふうに私は思っております。  その上で、今回、RCEPの中で中国も含めて大国がこのルールを、国際ルールの中で運用していくということに、ある意味キャップをはめるということは大事なことだというふうに思っております。  他方で、メガFTAを広げていくという中にあって、日本も遅れておりますデジタル社会を推進をしていくということと、これまでのFTAというのは、どちらかといったら経済の視点での、雇用を増加させていくということでありましたけど、そのデジタル化社会と雇用という関係、そしてこれが、FTAが果たす役割というのはどうクロスしていくんだろうかというのは大きな課題なのかなというふうに思います。  そういう面では、木村参考人、菅原参考人、今後示唆になるようなことを是非ここでお述べいただきたいというふうに思います。

木村福成慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(木村福成君) デジタルテクノロジーがどういうふうに、特に発展途上国、新興国に効果を及ぼしていくのかというのはいろんな議論がありますけど、一つは、例えば今、途上国にどんどん入っていっているのは、特にコミュニケーションテクノロジーの部分なわけですね。これは、インターネットだったりスマートフォンから始まって、いろんなデリバリーサービスとか配車サービスとか、そういったものは物すごいスピードで入っていっている。あわせて、eペイメントとか、あるいは国によってはeID、そういうものもできてきて、そこが実はかなりの雇用もつくってきているということがあります。  一方で、途上国側から見ると、ロボットとかAIとか、そういったインフォメーションテクノロジーの方が先進国でどんどん入ってくると、それによって途上国で使っていた労働力が代替されちゃうんじゃないかと、そういうおそれもずっと抱いているということなんですけど、でも、やっぱり途上国側としても、ITとCT、両方組み合わせて産業の競争力を変えていかなきゃいけないということになってくるんだと思います。  そういう中で、やっぱりデータが自由に流れるというところがすごく重要で、これはやっぱりそれが、それをちゃんとやってくれると信用できる国でないと、我々自由にデータは流せないわけですよね。やっぱり、そういうベーシックなルールというのは極めて重要だというふうに思っています。  まだRCEPですぐできるということには残念ながらなっていなくて、やっぱりこれ、特に中国、アメリカ、ヨーロッパで物すごく違う体系ができ上がってきちゃっているんで、これはやっぱりそんなに簡単にできる問題ではないんですけど、しかし、できるところからちょっとずつルール作っていくということはとても大事で、RCEPの中にも入っていますけど、デジタル財の関税不賦課とか電子署名とか、比較的簡単なところからでも一歩一歩やっぱり共通項を作っていくという、そういう努力はとても大事だと思って、そういう意味で、RCEPというのはルール作りの一歩、一歩だけですけれども、先に進んだという意義は大きいんじゃないかなというふうに思っています。

菅原淳一みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社調査部主席研究員

○参考人(菅原淳一君) 今、木村参考人から御指摘のあったやはりルール作りというところが非常に重要になってくると思います。  デジタル、また恐らくグリーン技術でも同じことが言えると思うんですけれども、これらをビジネスチャンスとして雇用に結び付けていくというときには、やはりどんなルールが望ましいかということを日本が主導してこのルール作りを行っていくということが非常に重要になってくるということなんだと思います。もちろん、標準化というのも含めてということかと思います。  そうした中で、日本としては、例えば今WTOの電子商取引のルール作り、共同議長国として主導しているわけですけれども、一緒に共同議長を務めているのはシンガポールとオーストラリアということで、両方ともRCEPに入っているということでございますので、当然のことながら、こうしたルール作りにはアメリカとの協調とかEUとの協調というのも重要になってきますけれども、そうしたRCEP諸国と協調しつつ、むしろRCEPに入っているような国々とも合意できるものがグローバルなルールにもなっていくということにも考えられると思いますので、そうしたルール作りの土台としてこのRCEPを使っていくということが重要なのではないかというふうに考えています。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 まさにRCEPを通したこのASEAN諸国そして日本を含めたメガリージョンとしてのルール化を世界のスタンダードにしていこうという位置付けのRCEPであるということを明確におっしゃっていただいたと思います。  そうなりますと、これからレベルを上げていくということが大事になってくると思います。もちろん、発効させて、そして見直し協定をしっかりやっていく中で、日本がルール化を先陣を切ってやっていくということ、そしてそれをワールドスタンダードにするという役割というのは極めて大きいことだというふうに思います。その中で、国有企業であったり環境、労働の項目がないということについては、これは責任持って取り組んでいくことだと思います。特にグリーンの部分、環境についてのアプローチというのは極めて重要だと思います。  そこで、日本が今後、これをもし締結をして発効して運用していくに当たっての、どういうところにしっかり取り組んでいくべきかということを木村参考人に是非伺いたいと思います。

木村福成慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(木村福成君) グリーンの話は、やっぱりアジア全体が遅れているということがあるわけですね。特に今ヨーロッパでは、COVIDの中でさえ更に今度はもっとグリーンにして立て直していくんだということをやっていますし、バイデン政権ももう前の政権とは全く違う政策に転換しつつあるということで、日本もまあ頑張ってはいるわけですけど、アジア全体としてはやっぱり化石燃料に対する依存度が非常に高いんですね。しかも、石炭を使っている国も相当たくさんあるということでありまして、これ、そんなに簡単にキャッチアップできないぐらいの遅れ方になっていると思います。  ですから、日本自身も今一生懸命このエネルギー政策、全面的な改定をやっているわけですけど、アジアの国もそれをやっていかなきゃいけない。それがまたシンガポール、マレーシア、タイぐらいですとかなり意識も高いんですけど、それ以外のASEANの国だと、まだまだすごく意識そのものが遅れているということがあると思います。  そういうことで、エネルギー、環境の問題もこのRCEPの国々の間で話をしながらやっていける部分というのは大いにたくさんあるんじゃないかというふうに思っています。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 内田参考人にも今と同じ設問に対してお答えいただければと思います。

内田聖子NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)代表理事

○参考人(内田聖子君) RCEPの中には、御指摘のとおり、TPPにあったような環境や労働という章はないと。これをもって駄目だという欧米の先進国市民社会の人たちももちろんいます。ただ、ちょっと注意しなければならないのは、やはりRCEPの各国でかなり経済の発展度合いや開発の度合いは違うので、例えば先進国同様の環境規制のルールを日本や韓国などが提案も一時はしたと、オーストラリアなどもしたと聞いておりますが、それ、途上国はやっぱりのめないわけですね。  ですから、そういう差異を考えた場合に、私は必ずしも貿易協定の中で環境や労働などを全部拘束力のあるルールを作れるとは実は思っていないんですね。むしろ、例えば環境であれば国連であるとか、京都議定書の枠組みだったり別の国際イニシアティブがあります。それから、労働であればILO、あるいはビジネスと人権という、あるいはSDGsのイニシアティブと言ってもいいんですが、そういうものもあるので、こことどうやって貿易のルールを整合させていくかというのが今の国際社会の大きな論点になっていると思うんですね。  ですから、いずれにしても日本は、環境の問題にしてもそれから労働の問題にしても、やっぱり先進国としてもっと頑張っていくべきだと思うので、むしろそういう面のルールを先導していくように是非努力をしていただきたいというふうには思っております。

三浦信祐公明党

○三浦信祐君 ありがとうございました。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 日本維新の会、浅田均と申します。  今日は、三人の参考人の先生方、貴重な意見を聞かせていただきまして、ありがとうございます。  まず、木村参考人からお尋ねしていきたいんですけれども、お書きになりました「ルールに基づく国際貿易秩序崩壊の危機」を読ませていただきました。だからこのメガFTAsへの期待ということになると思うんですけれども、ガットからWTOになって、その後、サービス貿易辺りまではうまくいっていたけれども、その後、国際間のマルチの交渉がうまくいかなくなったというところからこのFTAとかEPAとかが生まれてきたと理解しているんですけれども。  先ほど、菅原参考人の方からもWTOの立て直しが第一であるというふうな御発言もありましたので、このWTOというのは、いろいろEPAとかできてきたとしてもそのベースにWTOというのがあるのは事実で、WTOよりどれぐらい進んでいるかというのはある程度評価の基準になると思っています。  だから、そのWTOを立て直すというところで、何か紛争が起きて訴訟を起こしても、三人のうち一人がいないので裁判ができないとか、そういうことを聞いておりますけれども、立て直していくために、まずどういうところから、WTOのどういうところを立て直すべきかとお考えでしょうか。木村参考人と菅原参考人にお伺いいたします。

木村福成慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(木村福成君) 御質問ありがとうございます。  WTOの弱体化というときに二つの側面があると思うんですね。一つは紛争解決の問題、もう一つは交渉の場としてのWTOの弱体化ということだと思います。  前者に関しては、いわゆる上級委員会という紛争解決のところ、これ二審制になっているわけですけど、その二審目、そこのところの委員の改選というのをアメリカがブロックしていて、本来、七名いて、一件について三名がそれに携わることになっているんですけど、今委員がゼロになっているということになっております。ということで、二審制にせっかくしたんですけど、一審目だけしかワークしないという形になっていて、それがある意味でいろんなルールをかなりあからさまに破る国が出てきている一つの原因になっているというふうに思っています。  ここはなかなか、どういうふうにこれでアメリカを説得してその委員をまたアポイントしていくかというのはすごく難しい問題で、みんな悩んでいることですけど、EUその他はWTOの外に取りあえずほかの形の紛争解決のものをつくろうとかといろんな動きがありますけれども、まだかなり先が見えない状態になっているというのが、それが一点目です。  二点目、その交渉の場としては、もうこれ、ドーハ・ラウンドを立ち上げるまでも大変で、立ち上がってからも、結局新しいものでできてきたのは貿易円滑化協定とか非常に限られた部分になってしまっていて、ですから、農業、サービス、それから農業以外のマーケットアクセス、その三つはウルグアイ・ラウンドからもらってきた宿題になっていて、ドーハ・ラウンドでちゃんと交渉して自由化を進めなきゃいけなかったわけですけど、その部分のほとんどは前に進まなかったという状態になっています。  ですから、なかなかやっぱり全ての国が合意するようなものをいきなり作ろうというのはいろんな意味で難しいなというふうにだんだんみんな思わざるを得なくて、いろいろ、いわゆるプルリ協定とか言っていますけど、全部の加盟国が入っているんじゃなくて、一部の加盟国だけでまず始められるような協定にしたらいいんじゃないかとか、あるいはライク・マインデッド・カントリーズとか言っていますけど、有志国でまずある程度土台をつくって、またWTOへ戻したらいいんじゃないかとか、いろんなことをやろうとしていますけど、まだこれから随分そういう試行錯誤を続けていかなきゃいけないということだと思いますね。  一つ、やっぱり電子商取引について有志国会合、今やられていて、これは一つ面白い動きなんですけど、そういうところでちょっとずつでも新しいルール作りが前に進んでいくとだんだん希望が持てていくんじゃないかなと思っていますけど、日本の役目は、役割も極めて重要だというふうに思っております。  ということで、余りすぐうまくいくというストーリーがなかなかないというところは今悩みになっているということです。

菅原淳一みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社調査部主席研究員

○参考人(菅原淳一君) ありがとうございます。  今の木村参考人の御意見に付け加えることほぼないんですけれども、やはりWTOも発足から四半世紀以上たって、これまでなかなか大きな改革やルール作りというのができてこなかったというところはコンセンサスに根差すところで、今後、この状況は今後も残念ながら続いていくというふうに考えざるを得ないということかと思います。  そうした中では、やはりできることをやっていくということが非常に重要ということでございますので、そうした意味で、今、木村参考人から御指摘のあったプルリによる合意だとか、あと分野としては、やはり今あった電子商取引、デジタル、それからグリーンというようなところでWTOは機能しているんだ、役に立っているんだということを、できるところから示していくというところがまず改革の端緒というふうになっていくのではないかなというふうに考えております。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 ありがとうございます。  それで、先ほど内田参考人の方から、RCEPが立ち上がった中心、ASEANの中心性という御発言がありましたが、私どもも、ASEANが中心になってそういう貿易協定ができ上がるというのは非常に歓迎したいと思っているんです、いろいろ御指摘の問題点は承知しつつですね。  このRCEPというのが仮に動き始めるとすると、TPP11が動き始めると。TPPに関しては、イギリスも参加希望を表明しているし、中国も関心を示していると。で、TPP11に中国が入ってしまうと多分アメリカは入らないだろうと、まあ政治的にですね、と推測されるんですね。だから、私たち、私は個人的には台湾を、まず、台湾にまず入ってもらうというのが非常に重要ではないかなと思っているんですけれども、そういう点に関しまして、木村参考人、それから菅原参考人、どういうふうにお考えでしょうか。

木村福成慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(木村福成君) TPPの加盟国増やしていくというのはとても大事なことだと思っています。ですから、まずイギリスが最初のケースになるんだと思いますけれども、その基準を下げないで、しっかり約束をしてもらいながら入ってきてもらうという、それによっていわゆるミドルパワーのコアリションって強くなっていきますので、是非そういうことを進めていったらいいと思っています。  中国に関しては、中国が入るためには三つの大きなハードルがあると思うんですね。一つは自由化、もう一つは国有企業章、国有企業に関する規律、それから電子商取引に関する規律、この三つは文字どおり考えるとほとんど不可能に近いぐらい高いということだと思います。本当にそこまでやってくれるんであれば、中国経済大きく変わりますので、それならそれでもいいということかもしれませんけど、非常に難しいと思います。  ただ、CPTPPの方もやれることはあって、特に国有企業章というのは、例えばシンガポールとかマレーシアに関して、まあマレーシアは批准していませんけど、あるいはベトナムに関して、国有企業の例外って物すごくたくさんリストアップされているんですね。だから、どのぐらい実効性があるのかというようなことをちゃんと検証しないといけませんし、電子商取引も、三大原則、これとても大事な三大原則だと思いますが、それと各国の国内法が、あるいはその国内法の運用がどのくらい整合的に行われているのか、そういう検証をしっかりやって、中国がもし入っていきたいと言ってきたときにはどういうハードルを越えなきゃいけないのかということをもっと具体的にしっかり示しておくという、そういうことが必要だと思います。  そういう意味で、TPP11に関しても、そういうレビューという、既に入っている国のレビューという、そういうプロセスに、やっぱりそういうの大変なんですけれども、労力を掛けていくということがとても大事じゃないかというふうに思っております。

菅原淳一みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社調査部主席研究員

○参考人(菅原淳一君) ありがとうございます。  私自身は、現行のTPP11、CPTPPにアメリカが入るということはないというふうに考えています。  もしアメリカがTPPという枠組みに戻ってくるのであれば、やはり環境とか労働とか原産地規則、さらにマーケットアクセス、為替条項といったようなことも含むのかもしれませんけれども、様々な改革を求めてくるということだと思います。したがって、CPTPPがかなり形を変えたものにならない限りはアメリカは戻ってこないだろうというふうに考えております。  そうした前提に立つ場合には、やはり私は、今のCPTPPという、RCEPに比べても高い水準の自由化とルールを持つものを拡大していくということは非常に重要だと考えておりますので、中国であろうと台湾であろうと、TPPの、このCPTPPの高い水準のルールと自由化を受け入れるということであれば、どこの国でも歓迎という立場でございます。

浅田均日本維新の会

○浅田均君 ありがとうございました。  内田参考人には、ラオスを始めASEANに我が方がどういうことできるのかということをお伺いしたかったんですけど、残念ながら時間になってしまいましたので、大変申し訳ございません、またいずれかの機会にお聞かせいただければ有り難いと思っております。  ありがとうございました。終わります。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。今日は貴重なお話、ありがとうございました。  お三方にそれぞれ一問ずつお伺いしますので、できるだけ私は三分以内に終わりますので、あと、四分ぐらいずつでお答えいただければと思います。  まず、木村参考人には、東南アジアにもよく行っておられたということを踏まえてお伺いします。  昨日、本会議で外務大臣にも申し上げたんですが、何か日本を基点に物を考えていると日本がどう見られているかというのが見えなくなる傾向が我が国は強いと思っていまして、中国にとっては四番目、ASEANにとってはもう五番目の貿易相手国でしかないんですね。中国とASEANはお互い最大相手国ですから、ASEANではやっぱりこれ、日本のこのRCEPにおけるプレゼンスというのは低いんではないかという印象を持っているんですが、その点がどうかということと、ASEANと中国は既にEPAとか結んでいますので、じゃ、今回RCEPを結んだことはASEANにとって本当はどういう意義があるのかというものを、以上の二点をお願いします。  それから、菅原参考人におかれては、いただいた資料の九ページに、電子商取引の三原則のところを整理していただいているんですが、これも昨日、外務大臣にお伺いしたところ、なぜソースコードの開示要求禁止規定入れなかったのかとお伺いしたら、答弁は、RCEP協定が発展段階や制度が異なる多様な国による合意であるからという極めて曖昧な御答弁だったんですが。  整理していただいたところを見るともう明確なんですが、仮にソースコード開示要求禁止を入れても、どちらにしても、その直前に書いてあるように、安保上の重大な利益の保護のためには例外措置とかいっぱい設けているわけですから、ソースコード開示要求禁止を入れても、同じような制約を掛ければ何の問題もなかったと思うのであえて外務大臣に聞いたんですが、答弁は今申し上げたとおりだったので、菅原参考人はその点をどうお考えになっているかというのを聞かせてください。  それから、内田参考人におかれては、いただいた資料の後ろから五枚目なんですが、非常によく整理されていて、ルール分野という言葉から始まる紙ですね。つまり、TPPと比べると、TPPで盛り込まれた有害条項は全部含まれていないというので、つまり、TPPよりはましだという御評価なのか。その下に、その代わり安保上の例外とか定義が拡大されて、各国の主権が過剰に配慮される可能性があると書いておられるので、結局、TPPと比べるとましなのか更に懸念が広まったのか、どうお考えになっているのかと。  それぞれお聞かせいただければ幸いです。よろしくお願いします。

木村福成慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(木村福成君) 御質問ありがとうございます。  ASEAN、確かにASEANの方から見ると、多分一九九〇年代ぐらいまでは日本のプレゼンスが極めて大きくて、そもそも、ASEANのメンバーの拡大とかそういう九〇年代に起きたこと、それはかなり日本のイニシアティブで進んでいたというような、そういうふうなこともありました。ただ、今はそのバランス感覚かなり変わっていまして、日本と中国とどっちがプレゼンスが大きいかというと、国によって違うと。特に、大陸ASEANはむしろ中国の方が重くなっているということになっていると思います。  ただ、中国の政治体制ですとか人権の問題ですとか、あるいは経済的なインパクト、そういったものに対して、中国依存が非常に高まり過ぎちゃうということに対する恐怖心というのは、やっぱり非常に強く持っていると思います。そういう意味で、日本、あるいはできればアメリカ、その他EUとかですね、なるべくほかの人たちともうまく付き合いながらバランスを取りたいというふうにASEANの国は必ず考えているというふうに思っています。  RCEPのその交渉の中で、やっぱり交渉の場をちゃんと提供してくれたのは、これは明らかにASEANなんですけど、内容的にはASEANの経済統合から借りてきている部分というのもたくさんありますが、新しい部分は日本とかオーストラリアが外から入れて、電子商取引とかですね、そういうふうな形になったので、交渉の内容について中国がリードしたという事実は、恐らく交渉全部通じてもほとんどなかったんじゃないかと思います。  ただ、RCEP、最終的に署名する段階では、やっぱり中国も周りの国とある程度仲よくしていきたいという、そういう気持ちは非常に強く出て、RCEP、もう既に国内手続は終わったとかと言っていると思いますけど、そういう、RCEPに関してはどっちかというとグッドウイルを示しているというのが、今見ていることだと思います。  ASEANにとってのRCEPの意味というのは、関税撤廃だけを考えると、もう既にASEANプラス1で全部周りの国とつながっているので、その周りの国、スポークのところが今度つながると、関税撤廃だけを見ると、負の貿易転換効果が、つまりASEANの輸出が減ってしまうということが起きてくる可能性がある。これは、シミュレーションモデルでマイナスが出てくるのはそういう理由ですけど、にもかかわらず、ASEANがこのRCEPを推進したのは、やっぱりこのファクトリーエイジア全体の経済が活性化されれば、それは自分たちのためにもなるんだと、そのASEANが中心になってそういうものをつくったというのはASEANのためになるんだと、そういうもっと全体から出てくるプラスの貿易創出効果、そこをやっぱり大きく考えたということだと思うんですね。  だから、そこのところが、ASEANの考え方として、目先の関税だけのことを考えるんじゃなくて、やっぱり地域全体が仲よくやっていけるような経済環境というのが彼らにとっても非常に大きなプラスなんだと。だから、日中韓、なかなかコミュニケーション難しいんだけど、自分たちがもう場を提供して、こういう協定つくっていくんだと、やっぱりそういう意思ははっきり示したんだというふうに思っています。

菅原淳一みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社調査部主席研究員

○参考人(菅原淳一君) ソースコードについての御質問なんですけど、正直申し上げて、交渉過程もつまびらかにされていない中では、どういった背景があったのかというのは分からないと申し上げるほかはないんですけれども、やはりほかの二つに比べて、このソースコードの開示要求の禁止というのは、特に国民に対する統制とかそういったことを考える国からすると、一段ハードルが高いということが背景にあるのかなとは思います。  逆に言えば、公共政策上の例外、安全保障上の例外でなければ、越境データ移動とデータローカライゼーションの禁止は自分たちのビジネスにとっても必要だから認めるという判断はひょっとしたらあったのかもしれないですし、逆に、日本としては全部取りたかったんだけれども、何とか頑張ってこの二つが取れたということなのかもしれません。  そこら辺は、本当に交渉過程が何があったかというところは分からないとしか申し上げようがないということで、申し訳ございません。

内田聖子NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)代表理事

○参考人(内田聖子君) ありがとうございます。  ごめんなさい、私のペーパーの、番号が入っていなくて大変申し訳ないんですが、ルール分野と書かれたところですね。  それで、先ほど申し上げて、不十分で、なかったんですけれども、このTPPで問題になっている有害条項が入っていないと。これについては、我々市民社会という立場からいえば良かったという結果です、取りあえずは。これが入れば、各国の、特に途上国の公共政策あるいは医療アクセスとか農民のいろんな権利、こういうものが大きく制限されてしまうということで皆さん反対していたので、結果、今は入っていないということは良かったと言えます。  ただし、その少し下に書いたように、これが今後の交渉で、例えばISDに関しては二年以内に討議をし始めると、そして三年以内に結論を出すということまでが協定文の中に書き込まれていますので、発効したらすぐにISD入れましょうと、入れるかどうかという議論が始まるんだと思うんですね。そうすれば、その時点でどうなるかはよく分からないわけなので、そこについては非常に懸念をしているということです。  その真ん中の、済みません、代わりにという言葉がちょっと不適切かもしれませんが、安全保障上の例外という範囲が、RCEPではTPPよりは具体的に幅広く定義されているんですね。これは、ごめんなさい、代わりにと書いてしまったんですが、これも私たちが見る限り、良かったことなんだろうと思います。  つまり、各国のいろんな政策の幅が少なくともTPPと比較して多少はスペースが拡大をされているということが幾つか発見されますし、ほかにも、これはいろんな国に配慮したんだろうなというようなことが類推できるような形で、各国ができることの余地を少しずつ広げていっているという条項が見受けられますので、これは、少なくともTPPと比べれば良かったのであろうというふうに思います。  もう一言だけ申し上げると、今の電子商取引の安全保障上のということも絡むんですが、結局、安全保障上の例外とか、あるいは正当な公共の目的とか、そういう文言がたくさんこういう協定に入るんですが、これをめぐっては、非常に解釈が多様で、実施している国は正当性があると言っても、使われた国はいやそうじゃないと、非常に論争点になるわけですね。  ですから、さきの電子商取引でおっしゃったように、安全保障上の例外使えばいいじゃないかというふうにも見られるかもしれませんが、ただ、原則禁止にして安全保障上の例外はあるということと、原則規定せずにおくということはやっぱり重大な違いがあるというふうに思っています。  我々は割と交渉官と意見交わしてきているので、どこの国がこれに反対したとか、この条項はこの国が提案したとか、割といろいろお聞きしているんですが、私自身は、このソースコードについては、やはり中国やベトナム、インドネシアというような国が一定の抵抗をしたんだろうなと思います。  ただし、正式な政府による情報開示はありませんので、これはむしろ国会の中で、交渉プロセスどうだったんだということは、秘密交渉という問題が貿易協定には非常に大きくありますので、皆さんからも是非聞いていただきたいと思います。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 ありがとうございました。  終わります。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  今日は、三人の参考人、本当にありがとうございます。  まず、内田参考人に、コロナ禍を受けた貿易の意味、役割ということについてお聞きします。  今回のRCEPの主要な内容がコロナの前に決まったというお話もありました。いただいた資料の一番最後のところで、今コロナ禍で多くの国が貿易制限措置を含む自国の主権行使、公共政策、財政措置のスペースを必要としていると述べて、これ、保護主義とはくくれない貿易ルールの転換だというふうに言われております。今、何かというとすぐ保護主義、内向き主義というレッテルも貼られることがあるんですけど、この点をどう考えるか、さっき多少触れられましたけど、もう少し詳しくお願いしたいと思います。

内田聖子NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)代表理事

○参考人(内田聖子君) ありがとうございます。  本当に、コロナの中で、国家ができる、あるいはやるべき責任というのが改めて可視化されたんだろうと思います。  グローバルにサプライチェーンをこの間ずっとつくってきたわけですけれども、それが企業の利益を最大にする、迅速化するという目的だったわけですが、それはかえって停滞をもたらしたり、マスク一枚を奪い合うというような状況が生まれてきているわけですね。ですので、かつ、特に新興国、途上国にとっては、非常に財政上の厳しい状況というのもあって、非常に今コロナの中で、例えば食料の貿易を一時制限するとか、輸出を規制するとか、そういうことを実際に取った国は多いわけですけれども、そうすると、直ちに国際機関やG7とかG20から、いや、そんなことしたらサプライチェーンがより一層滞るということでやめるようにというふうに言われているわけですが。  私は、この全体として問いたいことというのは、先ほども申し上げたように、今起こっている様々なことというのは、短く取っても九五年のWTOが設立して以降のこの自由貿易の推進ということが、誰にとってメリットがあって、そして、ルール、ルールというふうに言われるんですが、このルールを作るところですね、誰がどのようなプロセスで、そして誰を利するルールなのかと、そのこと自体が根本的に問われていると思います。特に、公衆衛生であるとか知的財産の問題ですね、というルールの分野ですね。  ですから、これは単に保護主義化してみんな内向きになろうということではなくて、気候危機へ対応したりコロナに対応したりというところで、私はグローバルコモンというふうに書いたんですが、共通して取り組むべき課題に対応するためには今までとは別のルールが必要だろうと、そういう根本的な問いかけだと思っています。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 ありがとうございます。  アジアの互恵的な協定になり得るのかという問題で、木村参考人、内田参考人にお聞きしますが、この間の衆議院の質疑見ましても、今回のRCEPが後発開発途上国を含めて制度的、経済的に大きく違う国を含んでいるというお話がありました。世銀などの調査でも、これによって輸出が増えるのは日本が一番で、中国、韓国、ASEANの中でもタイなどは伸びますけれども、ほかは微増ないしは減というふうに言われております。  木村参考人、最初のときに、南米などと比べるとアジアの格差の拡大は余り大きくないと言われましたが、そうであってもやっぱりこういう事態が起きるということについてどうお考えかということが木村参考人。  で、内田参考人は、それでも貿易が、輸出は減ったとしても雇用が増えたりするんだから経済発展につながるよというような議論もありますけれども、特に後発途上国についてはどういうようなことがもたらされるとお考えか。それぞれお願いいたしたい。

木村福成慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(木村福成君) 御質問ありがとうございます。  特に、CLMVとか言っていますけど、後発四か国について申し上げます。  一つは、ベトナムはやっぱり米中対立及びそれに引き続いてコロナでもかなり感染を抑えたということで、むしろ中国からベトナムに投資を変えてくるという企業もたくさんアトラクトしているということで、過去四、五年の間で見るとベトナムがほとんど独り勝ちみたいな感じになってうまくやっていると。それはやっぱり、いろんな貿易協定をやりながら国内のインフラ整備だとかいろんな制度的な改革を進めてきたということによってそういうことが生まれているんだと思います。  カンボジア、ラオス、ミャンマーに関しましては、今度のRCEPによって、特に域外国ですね、日中韓のところに対する関税はそれ以前のものよりも結構下げています。それから、貿易円滑化とかあるいは通関手続、こういうところが実は彼らが生産ネットワークに入っていくときのボトルネックになっていましたので、そういうところの手当てが随分なされています。ですから、シミュレーションモデルですと関税の部分だけしか議論できない、なかなか計測できないわけですけど、そのサプライチェーンをもっとそのCLMのところにも広げていくような、それに役立つようなものがRCEPの中にはたくさん入っているというふうに考えます。ですから、これにまた彼らの中での国内改革とセットにならないとなかなかうまくいかないのかもしれませんけど、そういう意味で、RCEPが彼らにプラスにワークするという、そういう場面はたくさん出てくるんじゃないかなというふうに私は評価しています。

内田聖子NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)代表理事

○参考人(内田聖子君) ありがとうございます。  輸出が減っても雇用がもたらされるからいいんじゃないかということに関してだと理解していますが、確かに雇用の数としては増えるのかもしれませんが、途上国においてですね、あるいは新興国において。ただ、そのとき問題になるのは、やっぱり雇用の質だと思うんですね。やっぱり、この間見ていると、この自由貿易協定を結ぶとともに、まさに両先生方おっしゃったように、これ国内の法制度なども変わっていったりですね。割と悪い方に変わることが多いと私は思っているんですが、つまり規制緩和がなされると。日本でも派遣法とかいろんな歴史がありますけれども、企業の側にとってより使いやすい、雇用調整弁になるような形の規制緩和が同時に行われてしまえば、仮に雇用の数は増えるのかもしれませんが、一層不安定な雇用が増えていく、そしてその人たちはどんどん周辺化されていくというように思っています。  今、新興国、途上国でも、割と大きな外資系のプラットフォームビジネスみたいなものもどんどんどんどん参入していって、そこでは労働者性がない、いわゆる自営業的な形で契約して何の保護や補償の制度もないというような、日本でもそういう事例いっぱいありますけれども、そういう形の雇用が増えてきています。ですから、そういう雇用の質ということも同時に見ていかないと、単に数が増えたからいいだろうということにはならないかなと思います。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 ありがとうございます。  ISDS条項について内田参考人にお聞きしますが、今回RCEPに入らなかったわけですけど、この間、EUもアメリカもこれを削除、やらない方向ですよね。一方で、そういう先進国もそうですし、途上国でもこういう動きになっていると。それぞれ違う理由なのかと思うんですけど、その辺の事情、そして、一方で、日本がこれにずっと固執をしていることの評価、国際的評価も含めてどのようにお考えか、お願いします。

内田聖子NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)代表理事

○参考人(内田聖子君) ありがとうございます。  ISDに関しては、こちらのお配りした、四十ページぐらいある資料をお配りしちゃったんですが、そこの二十四ページにちょっとまとめておりますが、おっしゃるように、ISDSはいろんな問題がこの間ずっと各国の政府や市民社会から提起されていて、かなり変化をしています。  直近の例ですと、トランプ政権の中で再交渉されたUSMCAという、NAFTAの再交渉ですね、これの中にもいろんな抵抗があって、ほぼISDS条項というのは無効化されました。続くバイデン政権も、選挙の公約で、仮に新しい協定を結ぶ際にはISDSは含まないと、これを公約として発言をしています。それから、EUの件は、先ほど木村先生もおっしゃったような形で、ちょっと別な形のものを提案して、ただ、要するに、今のISDSは問題があると何がしか思っているわけですね。  そして、途上国の側は、やっぱりこの三十年、四十年で訴えられる、提訴される側の国にずっとなってきて、これ、先ほど言ったように、国の側は正当な公共の目的ということで環境規制強化をしたりいろんな措置をとるわけですが、これが投資家企業にとっては利益の逸失ということで、利害が全然違うわけですね。そうして訴えられて賠償金をかなり取られてきたということもあって、途上国側の否定感というのは非常にあって、南アフリカやインドネシアというのはもう完全にISDSの入った投資協定からは撤退したり破棄をしていますし、RCEPでいうと、公式にISDSに反対表明した国というのは、マレーシア、インドネシア、ニュージーランド、それから当時のインドですね、こういう国があるので。  これは、はっきり言って、国際的な潮流としては、どう変えるか、どうなくすかは別として、今のISDには、Sには問題があると、これはやっぱり共通認識になっていると思います。ですから、国連の中でも改革の議論は進んでいます。  ですから、私は、不思議なんですけど、日本が一向にそういう議論の中で態度を変えていただけていないのはやはり非常に残念です。投資家の保護に役立つとか投資の予見性高めるとか幾つかの理由があるわけですけれども、実際にISDSがあることによって対外直接投資の金額というのは実は増えていないというような研究もありまして、ですから、さっき言ったように、貿易の意味を改めて見直すというプロセスの中で、やっぱり、これは何のために置いているのか、これが途上国の公共政策のスペースをやっぱり著しく萎縮させているんじゃないかということも含めて議論をしていただきたいというふうに思っています。

井上哲士日本共産党

○井上哲士君 ありがとうございました。  菅原参考人、時間がなくて申し訳ありません。  ありがとうございました。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 沖縄の風の伊波洋一です。  本日、御三名の参考人のお話、大変ありがとうございます。  早速参考人にお尋ねしますが、木村参考人の方から。  東アジアにおける各国の工程分業による経済発展のお話を聞かせていただきました。いわゆるサプライチェーンとよく言われますけれども、今回のRCEPでこれが一層進展するというふうに思っていらっしゃるのでしょうか、あるいはまたそうではないのでしょうか。

木村福成慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(木村福成君) 御質問ありがとうございます。  すると思います。というのは、特に今コロナの中でそのサプライチェーンがどういうふうにもっと強靱化できるのかという議論が随分されていますけど、一番やっぱり大事なのは、いろんな選択肢を企業は持っているということですね。やっぱりバックアップをするコストが低くていろんな投資あるいはビジネスモデルの組み方の選択肢があるということが一番やっぱり強靱化を生む大事な要素だと思います。  そういう意味で、RCEPによって、特に後発国の部分の投資環境が良くなっていくということで、そういうところにサプライチェーンがもっと分厚い形で入っていくというのは、サプライチェーン全体を強靱化する一つの方法だというふうに思いますし、そういう意味でRCEPはプラスに働くと思います。  同時に、それはそういう後発国の経済発展、雇用創出、それから、そこから生み出されるその貧困撲滅というのも進めていく、そういう動きになる、なり得るんだというふうに思っております。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 ありがとうございます。  次に、菅原参考人にお伺いしますが、議会事務局の方で配られている週刊エコノミスト、二月九日に出されたエコノミストリポートというのを、菅原参考人が名前出ておりますけれども、今回のRCEPによって本当にEPAに初めてなるのは日本と中国、日本と韓国だという指摘がございます。このことによって日中の経済関係あるいは日韓の経済関係というものが一層発展するとお思いでしょうか。どうでしょうか。

菅原淳一みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社調査部主席研究員

○参考人(菅原淳一君) そのように考えております。  日中間、日韓間というのは様々な問題もあるわけですけれども、そうした問題がある中でも良好な関係を保って経済関係を発展させていくという上でこのRCEPが重要なプラットフォームになるというふうに考えております。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 ありがとうございます。  次に、内田参考人にお伺いしますけれども、ISDSなどの有害条項がほぼ取り入れられなかったのは市民社会の取組の一つの成果であるということで、それは重く受け止めたいと思います。  そこで、その上で、実は今日別の参考資料をいただきましたので、この中に中国からの輸入の中で、中国野菜というのが日本の国内輸入のほぼ半分を占めているというのがございます。これは、輸入の半分ですから実需要のどれだけか分からないんですけれども、いずれにせよ、結構この農産物の輸入というのは、先ほど五千億の件もございましたので、我が国における中国なりあるいはASEANを含めた総輸入量、これで見ると八〇%程度はRCEPの国からじゃないかということなんですけれども、特に中国からのこういう食料品等の輸入については今どういう状況になっているんでしょうかね。これでどう変わっていくのか、あるいはこの半分という意味が日本の需要のどのくらいに当たるかというのが私分からないんですけれども、大きな割合を占めているということは確かだと思いますが、どんな状況なんでしょうか。

内田聖子NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)代表理事

○参考人(内田聖子君) 済みません、ちょっと、こちらの七ページにも書かせていただいたんですが、全体で言えば、二〇一九年の国別の農産物輸入額としてはアメリカに次いで中国は二位になっています、ちょっと金額は、ごめんなさい、出ませんけれども。で、韓国は九番目と。ですから、やはり中国は日本の農産物輸入にとって米国に次いで二番目の大きな国だということになります。  それから、その後にちょっと数字をいろいろ書きましたが、冷凍野菜は中国からは九百三十四億円、生鮮野菜は三百七十四億円等々というような金額になっておりますから、非常に大きな量、金額を中国あるいは韓国から輸入しているということになっています。  ここで、今回も御指摘させていただいたのは、もちろん食料全体の中には主要農作物も入っていて、それは今回除外されているので、そこには影響はないと思っていますけれども、やっぱり農産物というのは主要農産物だけではなくて、今回指摘した野菜とか加工品とか果物とかですね、様々ほかにも日本ではたくさん作っているわけで、そこに何らか影響が出るんじゃないかというふうに試算も出されていますし、私もかなりリスト、日本政府の関税撤廃リストをいろいろ見ましたけれども、やっぱりかなり広範に、撤廃のパーセンテージは少ないとはいえ、割とたくさんの品目が撤廃されていくので、沖縄だったらパイナップルとか幾つかやっぱりちょっと心配だなというような品目も出てくるんじゃないかと思いますので、是非これは政府にちゃんと試算もしていただいて、先ほども言ったように、影響が出るのであれば何らかの対策というのが必要だということだろうと思います。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 ありがとうございます。  資料を見ていますと、果物などは二桁、七十倍から百倍ぐらいの生産量を中国はやっている。果物、ブドウとか柿とかリンゴとか、そういうのを見ることができますけれども、今日いただいた資料に、内田参考人、ASEANと日本の貿易の推移がございますが、日本、一九九九年一八%だったのが、今は、中国貿易の観点ですけれども、日本は八%にしかならなくて、ASEANが今一五%になっていると。米国も一一%ぐらいにしかなっていないですね。  それで、これも議会事務局からの資料ですけれども、現在の日本の対外貿易のトップは中国なんですね、およそ四分の一、二三・九一%。その次がASEANで一五・〇五%。米国は一四・七二%です。これから中国、ますます発展するでしょうから、その比率は一緒でも、ほかの比率は減ってくる可能性がありますね。  あるいは、そういう中で、先ほどもサプライチェーンが二、三日で止まるという話もありましたけれども、まず内田参考人に聞きたいと思いますが、こういう食料の問題で、もし中国と日本の貿易がストップしたらどうなると思いますか。

内田聖子NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)代表理事

○参考人(内田聖子君) ちょっとストップということの中身があれですが、要するに輸入を規制されて中国からの輸入品が入ってこなくなったらという意味だと理解します。  それは、何というんでしょう、日本は困りますね。つまり、中国だけではなく、多くの、日本の食料自給率はカロリーベースで三七ですから、多くの食料を輸入に頼って、そのうちのかなりの程度を中国に頼っていますから、それは本当に困ると思います。  その際に、じゃ、すぐに国内で作れるものは作るというふうにできないわけですよね、農業というのは、時間と手間が掛かるわけですので、だというふうに思います。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 今日、今朝のNHKニュースは、尖閣列島で米軍が投下訓練をしたというのがニュースになっていました。今、そのRCEP、この東アジアで中国に対して国境問題を持っているのは日本と南シナ海の周辺ですけど、でも、とりわけ先鋭化しているのは日本の尖閣なんですね。それに今、両国とも軍事力を集中している。多分あり得ると思うんですね。  要するに、RCEPが実現をして、いわゆる国際分業がスタートをして、実際やっている中で、もしそういう何らかの不測の事態において、その貿易、そういう工程などの貿易がストップしたらどうなるかということが、どんなふうなことを考えられますかと。菅原参考人と木村参考人に、そのことについてもし御所見があればお願いしたいと思います。菅原参考人から。

菅原淳一みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社調査部主席研究員

○参考人(菅原淳一君) 食料安全保障という観点での御質問だと思うんですけれども、これは国内生産と輸入と備蓄という三本柱というところが王道だというふうに思っております。  今のこの話というのは、私はRCEPそのものと大きく関わるというところに関しては余りどうなのかなというふうに考えております。それは、やはり私は日本の農業は守られるべきで、守られなければならないというふうに考えていますけれども、それと今回のRCEPというのは私は必ずしも結び付いてないというふうに考えております。(発言する者あり)

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) 伊波委員、時間が来ておりますので、おまとめください。  木村参考人。

木村福成慶應義塾大学経済学部教授

○参考人(木村福成君) RCEPでそういう問題全部解決できるわけではないと思いますけれども、しかし、いろいろアドホックな形で貿易政策を使ってくるということであれば、そういうときに何か物申す場所があるというのはとても大事だと思っています。  これは日本だけじゃなくて、多分オーストラリアとかほかの国もそう思っていると思うので、そういうふうにRCEPを有効に活用できたらいいなというふうに思っております。

伊波洋一沖縄の風

○伊波洋一君 ありがとうございました。

長峯誠自由民主党・国民の声

○委員長(長峯誠君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様方に一言申し上げます。  本日は、長時間にわたりまして大変貴重な御意見を賜りまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時七分散会

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