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201回国会参議院2020/06/03

地方創生及び消費者問題に関する特別委員会 第9号

発言数
73
登壇者
12
会派数
7
開催日
2020/06/03

会議録

佐藤信秋自由民主党・国民の声

○委員長(佐藤信秋君) ただいまから地方創生及び消費者問題に関する特別委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、宮崎雅夫君が委員を辞任され、その補欠として加田裕之君が選任されました。     ─────────────

佐藤信秋自由民主党・国民の声

○委員長(佐藤信秋君) 公益通報者保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。衛藤内閣府特命担当大臣。

衛藤晟一自由民主党・国民の声内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策・消費者及び食品安全・少子化対策・海洋政策)

○国務大臣(衛藤晟一君) ただいま議題となりました公益通報者保護法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  公益通報者保護法の制定後においても、消費者の安全、安心を損なう社会問題化する事業者の不祥事が明らかになっています。こうした国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令違反の発生状況等に鑑み、これらの法令の規定の遵守を図る必要があります。  こうした状況を踏まえ、事業者に対して公益通報に適切に対応するために必要な体制の整備を義務付けるとともに、公益通報者及び通報対象事象の範囲の拡大並びに公益通報者の保護の強化を行うなどの必要があるため、この法律案を提出した次第です。  次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、通報者に対する不利益な取扱いを未然に防止するとともに内部通報に適切に対応できるようにするため、事業者に対して必要な体制の整備等を義務付け、その違反に対して行政措置を導入することとしています。また、通報者を特定させる情報の守秘を義務付け、その違反に対して刑事罰を導入することとしています。  第二に、行政機関等への通報を行いやすくするため、権限を有する行政機関に対する通報の保護要件について、氏名等を記載した書面を提出する場合を追加するとともに、被害の拡大の防止等に必要と認められる者に対する通報の保護要件について、財産に対する損害のある場合等を追加することとしています。また、公益通報に適切に対応できるようにするため、権限を有する行政機関に対して必要な体制の整備等を義務付けることとしています。  第三に、退職者や役員を保護の対象とする者に追加するとともに、行政罰の対象となる不正を保護の対象となる通報に追加することとしています。また、公益通報をした通報者に対して損害賠償を請求することができないこととしています。  なお、一部の附則規定を除き、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしています。  以上が、この法律案の提案理由及び概要であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

佐藤信秋自由民主党・国民の声

○委員長(佐藤信秋君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員穴見陽一君から説明を聴取いたします。穴見陽一君。

穴見陽一自由民主党・無所属の会

○衆議院議員(穴見陽一君) 穴見陽一でございます。  公益通報者保護法の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  本修正は、政府がこの法律の施行後三年を目途として検討を加える対象として、公益通報をしたことを理由とする公益通報者に対する不利益な取扱いの裁判手続における請求の取扱いを明記するものであります。これは、立証責任の転換に関する規定の創設も視野に入れて検討することを政府に義務付ける趣旨であります。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

佐藤信秋自由民主党・国民の声

○委員長(佐藤信秋君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。     ─────────────

佐藤信秋自由民主党・国民の声

○委員長(佐藤信秋君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  公益通報者保護法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に東京大学社会科学研究所教授田中亘君、全国消費者行政ウォッチねっと事務局長・弁護士拝師徳彦君及びオリンパス株式会社人事部門スーパーバイザー・最高裁勝訴内部通報訴訟経験者濱田正晴君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤信秋自由民主党・国民の声

○委員長(佐藤信秋君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  速記を止めてください。    〔速記中止〕

佐藤信秋自由民主党・国民の声

○委員長(佐藤信秋君) 速記を起こしてください。     ─────────────

佐藤信秋自由民主党・国民の声

○委員長(佐藤信秋君) 公益通報者保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  本日は、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。  この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。  皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の進め方について申し上げます。  まず、田中参考人、拝師参考人、濱田参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おき願います。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず田中参考人からお願いいたします。田中参考人。

田中亘東京大学社会科学研究所教授

○参考人(田中亘君) 東京大学社会科学研究所の田中亘と申します。  私は、商法、会社法を専門とする法学者であり、また、今回の法改正に向けた検討のため、平成二十八年に消費者庁に設置された公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会ワーキング・グループの委員として審議に参加いたしました。  本日は、このような経験に基づいて、公益通報者保護法の一部を改正する法律案について意見を述べさせていただきます。  平成十六年の公益通報者保護法制定から十五年がたちました。この間に、大企業を中心として相当数の事業者が内部通報制度を導入するなど、制度への理解は国民の間に徐々に浸透しつつあります。しかし、上場会社における大規模な会計不正に見られるように、通報制度が十分機能していれば防げたと思われる企業不祥事は、なお後を絶ちません。  また、消費者庁が平成二十八年に実施した労働者における公益通報者保護制度に関する意識等のインターネット調査においても、回答者の半数近くは勤務先の不正を知った場合であっても通報、相談はしないと答えており、さらに、現実に通報、相談をした経験のある回答者のうち約四割が何らかの不利益な取扱いを受けたと回答しています。  公益通報者の保護によって適切な通報を促し、もって事業者による法令の遵守を図るという公益通報者保護制度の目的を実現するには、制度の更なる改善強化を図る必要性は高いと考えます。  本法案による改正は、公益通報者保護制度を強化し、より使いやすいものにするものであり、誠に意義深いもののように思われます。とりわけ次の三点の改正が重要であると考えます。  第一に、改正法案は、一定の事業者に対し、公益通報に応じ適切に対応するために必要な体制、いわゆる内部通報体制の整備を義務付けています。  現行法においても、会社法上の大会社は、会社の業務が適正に行われることを確保する体制、いわゆる内部統制システムの整備の決定をすべきものとされていますが、整備すべきシステムの内容の中に内部通報体制が含まれるかは解釈に委ねられており、必ずしも明確ではありませんでした。  今回の改正は、従業員数三百人超の事業者に内部通報体制の整備を義務付けた上、その実効性確保のための行政措置も導入します。また、従業員数三百人以下の事業者についても、努力義務として内部通報体制の整備を求めています。さらに、公益通報対応業務に従事する者の守秘義務をも明定しました。こうした改正により、労働者等が安心して内部通報を行うための環境整備が進むと期待されます。  第二に、改正法案は、公益通報が保護されるための要件を拡張し、公益通報を行いやすくしています。  特に、行政機関に対する通報、いわゆる行政通報について、現行法では、これが保護されるためには、通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信じるに足りる相当の理由があること、いわゆる真実相当性要件を必要としています。しかし、改正法案ではこれを改め、通報者が、氏名、住所のほか、通報対象事実の内容及び通報の理由に関して記載した書面を提出した場合には保護されるものとしています。  真実相当性要件は、現行法上、名誉毀損の違法性が阻却されるための要件としても用いられていますが、行政通報が事業者の名誉を直ちに毀損するとは言えません。むしろ、行政機関が法令違反の有無の調査も含めて適切な対応をするための端緒となるものであります。そのような通報が保護されるために真実相当性まで必要とするのはいささか厳格に過ぎ、公益通報をためらわせる要因になっていたように思われます。  改正法案が、行政通報について真実相当性を不要とし、氏名等を明示した書面による通報であれば足りるものとしたのは、公益通報者の保護を大幅に強化する画期的なものであると考えます。  第三に、改正法案は、保護対象となる公益通報者の範囲を拡大し、退職者や役員を保護対象に含めています。  労働者が在職中に法令違反の通報をすることはためらわれ、退職後に通報しようとする例は少なくないと言われます。また、会社の経営に従事する役員が重要な法令違反の事実を知る機会も多いことでしょう。これらの者をも保護の対象に含めることで公益通報がより促され、事業者による法令遵守が図られると期待されます。  以上のとおり、本法案は、公益通報者保護制度の強化のため、大きな前進であると考えます。本法案が成立し、早期に施行されることを望みたいと思います。  このように申し上げた上で、残りの時間では、法案の規定の中で、その解釈、適用に際し注意を要すると思われる点を指摘したいと思います。また、公益通報者保護制度の更なる強化のため、引き続き改正の検討をお願いしたい点を幾つか申し上げたいと思います。  まず、規定の解釈、適用に際し注意を要すると考えますのは役員の保護要件に関してです。  改正法案六条二号、三号は、行政通報又は行政通報以外の外部通報を行った役員が保護されるための要件として、調査是正措置をとるように努めたことを必要としています。これは、役員は法令遵守の義務を負い、また、会社の業務の適正を監視、監督する義務をも負っていますので、役員が善良な管理者の注意を尽くしてそれらの職務を行ったことを保護の要件にしようという趣旨と解され、それ自体は合理的なものと思われます。  ただ、裁判所が本規定を解釈、適用するに際しては、役員が調査是正措置をとるように努めたという要件を余り厳しく解した場合、不相当に役員の保護範囲を狭めてしまう懸念があります。この点に関して申し上げたいのは、役員が法令違反の調査、是正のために会社内部でできることは限られている場合も少なくないだろうということです。  取締役会を設置する株式会社の場合、取締役は、取締役会の構成員としてその意思決定に参加することができるだけであり、取締役会から権限を与えられない限り会社の業務を執行することはできず、また、法令違反の有無を調査したり証拠を収集する権限も持っておりません。したがって、ある取締役が法令違反が行われている疑いがあるとして取締役会で法令違反の調査あるいは是正を求めたとしても、それはないとして多数決で否決されれば、もはや会社内部でできることは残っていないことになります。  これに対し、監査役は、法律上は単独で業務の調査や是正の権限を持っていますが、これとても、経営者が監査役の求めに応じなければ、監査役が権限を行使するには裁判に訴える以外にはありません。裁判すれば事は公となり、会社内部で処理するということはもはやできません。  このように、役員といえども、他の役員の多数の支持を得られない状況では、会社内部で調査是正措置をとるといっても、できることは極めて限られています。そのような状況下では、外部への通報、殊に監督権限を持つ行政機関への通報が法令違反を最も迅速かつ実効的に是正する手段であると言える場合も少なくないものと思われます。  そのような場合に、裁判所が、役員が調査是正措置をとるように努めたかどうかを厳しく検討し、それがないという理由で行政通報は保護されないということになりますと、法令違反を是正する実効的な手段を役員から奪ってしまうことになりかねません。また、役員ぐるみで法令違反が行われているような事案で、一人声を上げた役員のみが不利益を被るといった不公平な事態の発生も懸念されます。  こうした事態を招かないためには、改正法案六条二号、三号に言う調査是正措置とは、具体的な状況下において、通常の役員であればとることが合理的に期待できるような措置に限られるというように解釈する必要があります。これは、裁判所が法規定を合理的に解釈することにより対応できると思いますが、例えば消費者庁が規定の解釈について見解を示す際にも、役員に無理を強いることのないよう御留意いただきたいと存じます。  次に、今回の法案では改正事項とされていない事項の中で、公益通報者保護制度の更なる改善強化を図るため、改正に向け積極的な御検討をいただきたい事項がありますので、それについて申し上げます。  一つは、通報対象事実の範囲についてです。  現行の公益通報者保護法は、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律の中で、特に同法が別表で列挙するものに規定する罪の犯罪行為の事実のみが通報対象事実とされています。改正法案では、通報対象事実を行政罰、過料の対象事実にも広げていますが、法令違反を限定列挙するという方式は変わっていません。  しかし、およそ法律によってある行為を罰すべきものとしているのは、国民の重要な利益の保護のためにそれが必要であるからこそそうしているはずです。限定列挙方式を改め、罰則の対象となる行為の事実は全て通報対象事実とすることが、事業者による法令の規定の遵守を図るという法の目的に最もかなうように思われます。  第二に、公益通報者に対し不利益な取扱いをした事業者に対して、行政措置等の適切なサンクション、制裁の措置を設けることを引き続き御検討いただきたいと存じます。  現行法では、不利益取扱いを受けた通報者は、自ら是正を求め、事業者が応じない場合には裁判を提起し、公益通報による不利益取扱いを受けたことを主張、立証して初めて救済を受けられるにすぎません。しかも、不利益取扱いが認められた場合も、事業者は通報者を不利益取扱いの前の状態に回復することが求められるだけであり、それ以上の制裁は科されません。これでは、不利益取扱いに対する十分な抑止効果が働かないという懸念があります。  公益通報を促し、事業者による法令遵守を図るため、不利益取扱いに対する適切なサンクションを設けることを御検討いただきたいと存じます。とりわけ、公益通報者保護専門調査会が提案している行政措置、特に不利益取扱いに対する勧告、公表の制度は検討に値すると存じます。  以上の二点は今回の法改正案にこそ盛り込まれていませんが、法案の附則五条では、法律の施行後三年をめどとして、公益通報者に対する不利益な取扱いの是正に関する措置の在り方を含め新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされています。  また、衆議院におかれましては、附則第五条の検討に当たっては、行政処分等を含む不利益取扱いに対する行政措置の導入、立証責任の緩和、退職者の期間制限の在り方、通報対象事実の範囲等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることを含めた適切な措置を講ずることを政府に求める附帯決議がされたと承知しています。  今後、政府そして国会において適切な検討が行われ、公益通報制度が一層使いやすいものとなり、ひいては事業者の法令遵守が図られることを通じ、国民の生命、身体、財産その他の利益がより良く保護されるようになることを願ってやみません。  以上で意見を終わります。

佐藤信秋自由民主党・国民の声

○委員長(佐藤信秋君) ありがとうございました。  次に、拝師参考人にお願いいたします。拝師参考人。

拝師徳彦全国消費者行政ウォッチねっと事務局長弁護士

○参考人(拝師徳彦君) 全国消費者行政ウォッチねっとという消費者団体の事務局長をしております弁護士の拝師と申します。  本日は、貴重な発言の機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。  私からは、消費者行政や消費者関連法について消費者の視点からウオッチするという活動を行ってきた立場から、また法律家である弁護士の立場から、本改正法案に対する評価、そして要望を申し上げます。  なお、衆議院の委員会審議におきまして、参考人としての発言に代えて意見書を提出させていただきました。一枚物で机上にあるかと思いますが、以下、衆議院意見書と呼ばせていただきますが、こちらと若干重複する点もあるかと思いますが、御容赦いただければと思います。  まず、本改正法案の全体評価について申し上げたいと思います。  現行法は、民事ルールのみによる通報者保護を中心とし、内部通報優先という立て付けだったために十分に機能せず、様々な企業不祥事を防ぐことができなかったのではないかと思います。  これに対し、本改正法案は、公益通報対応業務従事者に対する刑事罰付き守秘義務や、事業者に対する内部通報体制整備義務の導入によって、言わば当事者に任せきりだった通報者保護に国が積極的に関与するという大きな方向転換を図っており、通報者保護に向けた一歩を踏み出すものとして評価しております。  また、内部通報と行政通報の保護要件をかなりフラットな形にして、いわゆる制度間競争が機能するような仕組みを導入しております。これによって企業がこれまで以上に内部通報体制の信頼性を高める努力をすることが期待できるのであり、この点も大きな改善点ではないかと思っております。  さきに提出させていただいた衆議院意見書では、不祥事に関する情報を透明化することで不祥事を予防、是正するという視点が重要である旨記載させていただきました。本改正法案が適切に運用されることで情報の透明度が今まで以上に高まっていくのではないかと期待しているところです。  もちろん、不利益取扱いを行った事業者に対する行政措置、刑事罰の導入が見送られるなど、重要な課題が先送りにされたということは大変残念ですが、施行から十四年間、抜本的な改正が行われなかった本法が大きく変わっていく第一歩ですので、是非今国会で成立させていただきたいというふうに思います。  次に、本改正法案の施行、運用に当たっての課題について申し上げます。  本改正法案の一番の目玉は、やはり第十二条において公益通報対応業務従事者に守秘義務を課し、これに違反した場合には罰則を科すとした点ではないかと思います。これによって、通報者が最も心配する通報者の氏名等の漏えいが一定程度防止できることになります。  もっとも、懸念事項としては、守秘義務を解除する正当な理由の内容いかんでは守秘義務が骨抜きになりかねず、通報者が安心して通報することができなくなるのではないかということです。例えば、通報に係る法令違反等について調査の必要があるという理由で守秘義務が解除されるということになれば、通報者としては安心して通報することはできません。他方で、せっかく通報してもらった法令違反等の事実については、きちんと調査して是正、予防につなげていかなければならない。  このように、正当な理由の解釈は、通報者の安心確保の要請と、不祥事の調査、是正の要請という一見すると対立する二つの要請の兼ね合いがあるため、どこで線を引くのか悩ましいところだと思います。しかしながら、やはり通報者が怖がって通報できないということであればそもそも調査も始まらないわけですので、通報者の安心確保を第一に考えるべきだと思います。  したがって、改正法第十二条の正当な理由は、書面による真意に基づく本人の同意がある場合等極めて限定的な場合に限る必要があると思います。この同意についても、事業者側からの働きかけによる場合は、労働者と事業者とのパワーバランスから考えて、真意かどうか疑義を生じることになりますので、あくまで本人が自発的に申し出て同意に至った場合に限定すべきであろうというふうに思っております。  それでは調査ができなくなってしまうのではないかという御指摘もあるかもしれませんが、例えば、マスコミが調査報道のための取材を行う場合には、通報に関する部署とは違う部署から調査をする等の工夫をされていると聞いたことがあります。現行の民間事業者向けガイドラインにも様々な工夫が記載されています。こうした調査における工夫を調査手法事例集のようなものを作って集積し、担当者向けの研修で伝授する等の方策を講じることによって調査スキルをブラッシュアップしていく、これによって守秘義務の遵守と的確な調査とが両立できていくのではないかと考えております。  また、公益通報対応業務従事者の範囲をなるべく限定的にしてほしいとの意見もあるようですが、あらかじめ定められた担当者に守秘義務を課すことはもちろんですが、ケースによっては、あらかじめ定められていた担当者以外の従業員、役員等にも調査、是正をお願いしなくてはならないこともあると思います。その場合には、例えば、通報窓口の責任者が必要に応じて公益通報対応業務従事者の追加選任をできるような仕組みにしておくなど、漏れなく守秘義務が掛かるようにするべきだというふうに考えます。  次に、内部通報体制整備義務について申し上げます。  同義務は、これまで民民に任せきりだった公益通報者保護の分野に行政がしっかり関与していく足掛かりとして極めて重要な制度だというふうに思います。  問題はその内容でして、形だけヘルプラインがあればいいということではなくて、従業員から信頼され、ちゅうちょなく利用されるものにしなくてはならない。これを担保するような具体的内容を指針で定めていく必要があると思います。  特に強調したいのは、内部通報体制に関するデータや事案の内容を記録、保管すべきことをきちんと指針の中に規定して義務付けてほしいということです。民間事業者向けガイドラインにも評価・改善等という独立した項目がありますし、恐らく大企業のヘルプライン等では、既にある程度こうした情報を記録、保管しているのではないかと思いますので、そういった実態も踏まえて検討をしていただきたいというふうに思います。  その際大切なのは、我が国の企業全体の内部通報制度がどの程度機能しているのかといった、次の制度改正を見据えた立法事実の把握という観点、さらには、当該企業の情報の透明化度を含めたガバナンスリスクを客観的に把握するという投資家的な視点を踏まえながら、具体的な記録、保管の対象を定めていただきたいと思います。  以上は、本改正法案の施行、運用に関する意見ですが、以下、今回の改正法案で盛り込まれなかった課題について触れさせていただきます。  先ほど刑事罰付きの守秘義務の話をしましたが、刑事罰付きの守秘義務を入れたからといって、それだけで一〇〇%完璧に通報者の氏名等の漏えいが防げるわけではありません。例えば過失による漏えいもあり得ますし、担当者からの漏えいがなくても、事業者内で特定の情報を知っている人間が限られていれば、おのずと誰が通報したか推測できてしまうということもあろうかと思います。だからこそ、不利益取扱いを行った事業者に対する行政措置、刑事罰の導入が重要だということで、次回の改正の際の最大の課題になっているわけです。  今回不利益取扱いに対する行政措置の導入を見送った理由として、政府は行政側のマンパワーの不足を挙げています。消費者庁創設の消費者運動に関わった一人として残念でなりませんが、まずは、内部通報体制整備に関する行政チェックを十分担える人材の確保、育成を行った上で、次の改正までに人的体制を大幅に強化していくことが現実的なのではないかと思います。  また、衆議院意見書でも触れたように、外部の人材を活用して、調査チームを個別につくって調査を委嘱するような制度的工夫もされてはどうかと思います。  なお、衆議院の附帯決議第八項では、附則第五条について、行政処分等を含む不利益取扱いに対する行政措置の導入について検討を加える旨の文言を盛り込んでいただいております。できれば、直罰規定を含む刑事罰の導入も検討対象であることを明示していただけると有り難いというふうに思っております。  次に、立証責任の転換について簡単に触れさせていただきます。  衆議院の審議で提出された修正案において、附則第五条に基づく三年後見直しの対象に、裁判手続における請求の取扱いという形で、立証責任の転換に関する規定の創設についても見直しの対象に入れるんだということを追加していただきました。  この立証責任の転換は、実際に不利益取扱いが発生してしまった場合の通報者側の訴訟負担の軽減にもつながりますし、民事訴訟以外の紛争解決手続、例えば労働審判や弁護士会のADR等においても早期紛争解決等の好影響を与えることになると思いますので、是非導入に向けた積極的な議論をお願いしたいと思います。  次に、資料の収集行為の免責ルールの法定について申し上げます。  本改正法案によって行政通報のハードルが極めて低くなることは、内部通報優先の仕組みを改め、企業の自助努力を更に促進するという点で大変重要なポイントだと思っておりますが、結果的に行政への通報が不祥事の予防、是正につながらなければ意味がありませんし、この場合、むしろ行政負担のみが重くなるということにもなりかねないという問題があります。このため、重要なのは、通報に伴う裏付け資料がそれなりにそろっているということです。  ところが、こうした裏付け資料、証拠資料の持ち出しについては、それ自体が就業規則違反等に該当し、新たな不利益取扱いの根拠となりかねません。そうすると、通報者は裏付け資料の持ち出しをちゅうちょしてしまい、結果的に通報が不祥事の予防、是正に生かされないことになるおそれがあります。  こうした問題を解決するには、やはりこうした裏付け資料の持ち出し行為についての免責ルールを法律上明確に定めておくということが重要だと思います。この点、今回の法改正では見送りとなっていますが、是非この点も附則第五条に基づく三年後見直しの検討事項として、少なくとも附帯決議には明記をしていただきたいと思います。  ちなみに、持ち出した資料が不祥事の予防、是正の目的に限って利用される限り、企業側のダメージはそれほど大きくならないとは思っておりますので、一旦出た情報が無限定に出回るかのような前提での議論にならないよう配慮していただければと思います。  最後に、先ほど田中参考人も触れられておりましたが、取締役等の役員の保護要件について申し上げます。  改正法第六条一号は、取締役等の役員が外部への通報を行おうとする場合、原則として通報対象事実の調査、是正のために必要な措置をとるよう努めなければならないという調査是正義務の前置を定めています。もちろん、取締役等の役員は、通常の従業員に比べれば、社内の不祥事の予防、是正をなし得る可能性の高い立場にいるのでしょうが、社内の力関係によってはそうとは限りませんし、むしろそのような動きを取れば不利益取扱いを免れないような立場にある役員もいるのではないかと思います。にもかかわらず、原則として一律に調査是正措置、事前措置を義務付けることには疑問があり、将来的には緩和、撤廃することが望ましいのではないかと思います。  少なくとも、改正法の運用の中でこの事前措置の実施の有無を判断する際には、組織内部での是正可能性の有無、程度や、通報した役員に対する不利益取扱いの蓋然性等について外部から判断し難い面があることを十分踏まえて、例えば、取締役会の正式議題にのせなければ事前措置をしたことにならないといった画一的、硬直的な解釈ではなく、他の役員への事実上の打診や働きかけ等もこの事前措置に当たるんだといった柔軟な解釈を取っていただきたいというふうに考えております。  私からの意見は以上でございます。

佐藤信秋自由民主党・国民の声

○委員長(佐藤信秋君) ありがとうございました。  次に、濱田参考人にお願いいたします。濱田参考人。

濱田正晴オリンパス株式会社人事部門スーパーバイザー最高裁勝訴内部通報訴訟経験者

○参考人(濱田正晴君) オリンパス株式会社人事部門スーパーバイザーの、今オリンパスの現職正社員、また、裁判を丸八年、十年近く内部通報訴訟を闘いまして、それに非常に苦しみ、なおかつ勉強し、そういった意味で、内部通報訴訟経験者ということでお話をさせていただきます。  本日は、私自身、オリンパス株式会社、会社の方から、最初は年休で申請したんですけど、特別休暇で行ってくれということがありまして、今日は会社公認で、非常にやっぱり愛社精神貫いていてよかったなというふうに思っておりまして、今日は、そういった意味で、田中先生と拝師先生がかなり専門的なところはもう述べてくださったので、そこはもうごもっとも、もちろんそのとおりだと思った前提で、私がいわゆる実際の内部通報被害者という立場で、そういうことで、やっぱり世の中この法律によって苦しんでいる方々がたくさんいるということで、私もブログを立ち上げて、「公益通報者が守られる社会を!ネットワーク」ということでやっていますけれども、やっぱり相談が大変多いということで、それらの方々の個別対応はできないというのがじくじたる思いなんですが、そこの代表選手として今日は話をさせていただきたいと思っています。  まず冒頭に、この法改正、無断漏えいに対しての刑事罰が入るということで、衆議院の方でも衛藤大臣がおっしゃられたように、私が評価しているというふうにおっしゃられていましたけど、そのとおりでございまして、私は、この日本の文化とかいろんなしがらみとかいろんな人の意見とかある中で、やはりここに刑事罰が入ったということ自体は、この公益通報者保護法を引き締めるという意味において、本質的な法律のいわゆる性質を変えるという意味において私としては高く評価しております。  もちろん課題、すなわち、過失ではオーケーとか、そういった刑事罰が入る対象外とか、いろいろ課題はあるにせよ、とにかく、私が主張してきた無断漏えい、これがなければ、私は八年、丸裁判八年、さらに通報前後から通算すると十年で、サラリーマン人生のほぼ三分の一近くですね、裁判に費やしてきた。それも一番私が大好きなオリンパス株式会社、オリンパスとの闘い、それも、公益通報者保護法の定義である、いわゆる現職のまま裁判で訴えなければならないと、これが国民の中で一体何人できるかと、そういうことを考えていただきたいと。  そこを、やはりある意味、最高裁で勝訴し、その後やはり私が一番感じたのは、勝訴した後が怖かったです。なぜかというと、裁判中というのは、やはり訴訟ですから、非常に何かまだ変なことはできないというのはありましたけど、終わるとまた何かやられるんじゃないかということで、権利回復も含めてやっぱり第二回目の、最高裁勝訴後の裁判をせざるを得なかったということで、結局は、和解しなければもうまず話にならないと。  それと、あとは現職、私は営業でしたけど、営業に戻るという請求は、裁判長から、そういう請求は我が国ではないと、民事訴訟法ではないということですから、裁判前提としても権利回復はできない国であるということですので、やはり、これだけ話した内容は、やっぱり裁判、民事訴訟前提での法律ということには、これは重大な課題として残っているということがまず一点。これ、極めて重要なポイントです。  それで、あと二番目に、今回、かなり多くの事前配付資料で新聞記事とか私の裁判の時系列出していますけど、個別には説明いたしませんで、事前に読んでいただいていると思うので。これだけでもほんの一部の記事で、やっぱりマスコミの皆さんの力とか、内部通報の報復を受けていたときから、読売新聞の一面トップ、告発漏れということで、世の中で私の状況が世間に知れたときに初めて暗闇の小屋から出れたという気がいたしましたので、一つやっぱりマスコミの力というのは、やっぱり私はその力を得たというのは大変大きかったなと、勇気になったと。あと、家族の力。あとは、たくさんではないけど勇気を持った同僚の力、こういったのがあったので、私としては、やはり、今回の法改正ここまで来た、もう少しで成立というところには非常に感慨深い思いをしています。  そこにいらっしゃる加納さんともかなり議論を、激しい議論をもう交わしまして、もうけんかぐらいやるんだけど、だけど、彼の立場も理解しながら、私は彼、加納さんとも良き関係を築き上げてきたつもりで今日に至っているというふうに、まあ、笑っていますからね、そう思っていると思いますけど。  そういうことで、まず冒頭。こうやると、私、時間が大体一時間ぐらい要るんですけど、ちゃんと終わりますので大丈夫です。  それで、もう一つ。当日配付資料の中で、私、特別に配りました理由は、要するに、故意に漏えいしたか過失だったかというところがやはり、このお配りしている、まずEメールですね。まずこれ、当時私が通報したときのですから、七月三日のEメール。これは、承諾を取って通報の、私の名前とか内容を皆さんに開示したと、関係者に開示したということで正当化している。しかし、翌日、濱田様との機密保持の約束を守らず大変失礼いたしましたと、要するに御容赦くださいと謝っている。これは過失なのか故意だったのか、書いているのか、今でもいろんな問合せがありますけど、はっきり言って分かりません。だからこそ、さっき言った課題が残っていると。  それで、さらに裁判資料。ここに載っていますのは、これは、私の主張をここで取り上げてもしようがないので、当時の会社側の、一審で私が敗訴したときの会社側の主張。これはやはり、私は客観的に物事は見ますので、労働者側、経営者側、コンプライアンスの担当者側、全ての立場で考えたときに、やはり、今から思うと、ここに書いてある弁護士、会社側の弁護士の言っていることは法的には正しいんですよね。要は、ガイドラインなんて法的拘束力はないと。しかし、やっぱり志ある方々は一生懸命ガイドラインを整備して作っていると。  そういう中において、企業の裁量権、これがあるからということで、これ、内部通報したときの配転命令というのは、やはり解雇とかすると露骨ですから、配転命令というやっぱり企業の裁量権、ここのところでやっぱり裁判になると闘ってくる。  それで、個人情報保護法。これ、私もその当時、今は大分知識ありますけど、分かりませんでしたから、これも関係ないと。もう取り付く島がないということで、ここでお出ししたのは、裁判になるとこういう事態に配転命令の報復はなりますという意味で、当日配付資料として出させていただいております。  それで、全て私の主張は失当であると。そういうことで、これはやっぱり一審ではこれが認められましたけど、高裁でこれは違うと、無断漏えいであると。ということで、最高裁においても認められて私が勝訴したという経緯ではあります。  ということで、この部分において、やっぱり裁判、これを前提の法律、これもう一回言わなければいけないと思っています。これは駄目。そこから脱するためには、やはり企業に対しての罰則と、行政罰というところを、そこにやっぱり三年後、今直ちに全ては無理としても、三年後にはやっぱりやっていかなければいけないというふうに思っています。  次に、問題、公益通報者になれない。そもそもこの法律の入口ができないんですよね。要するに、さっき、ここにある会社側の弁護士書いていますように、犯罪行為の事実、これをいう。法律名じゃ駄目。  例えば、内部通報だと、こういったことが起ころうとしていますというところで、いや、私は予言者じゃないですよと。要するに、例えばここで、路上でいろいろと棒を振り回している人がいる。だけど、これは何か、何とかの法律には該当するんじゃないかと思っても、これはこの次にどういう行動、犯罪行為をするかを予言して言わないといけない、じゃないと公益通報者になれないということは、罰則を付けても何をしても、そもそも論として公益通報者になれないんですから。ここのことは、いわゆる内部通報とか、いわゆる思料すればいい、将来まさに起ころうとすること、ここはやっぱり弁護士の先生方でもこれは難しい、人類として不可能だ、これを要求しているということで、入口のところのいわゆる公益通報の定義、これ自体がやっぱり大きな課題で残っていると思います。  三番目、相変わらず不利益通報者の裁判、これに対してのやっぱりガイドラインということの非常に法的拘束力のなさ。これから発する企業の裁量権の判例ですね、東亜ペイント最高裁判例、ここのところが大きく立ちはだかる、要するに企業の裁量権ということで。  ですから、民事訴訟においての、私が言うのは、やっぱり配転というところが、いろんな例えば企業でも、いわゆる役所でも、いろんなところに勤めていると、自分が命を賭けてやってきた仕事を取られる。同僚といわゆる隔離状態に、組織的な隔離になり、例えば私の場合、部長付きということで、一人で新規事業創生探索活動、こういったようなところというのは、やっぱりこの東亜ペイント最高裁判例のところのベール、ここに立ち向かうというのは、業務上の必要性、あとは不当な動機、これをこちらが立証しなければいけない。それはどうやって立証、私ができたか。今でも、やはり弁護士の、私の二審の弁護士の皆様の力が大きかったと思うんですけど、そういった部分においては、やはりこの判例というのは十分頭に置いて法律の改正及び三年後の見直しに進んでいかなければいけないと思います。  それと、あと、やっぱり私が思うのは、さっき言ったように、私の立場、要するに、私は勤務して今は人事の方、部門にいますけど、やはりこの法律がしっかりしないと、通報する側も、さっきも申し上げたように、コンプライアンスで働く人たちも、いわゆる企業の経営者も、私の裁判でもういわゆる浮き彫りにしたように、みんな関係者が不幸になる。要するに、オリンパスという会社は、皆さん真面目でいい人がやっぱり大変多い会社なんですよ。ところが、この法律でこういう形の不備が浮き彫りになってくると、やはりみんなが苦しむ結果になるということで、いろんな企業、役所で、私のような目とか、今度は私の加害者になった人の立場とか、そういったことを一切なくするような法律にしてほしい。その辺は、私が今の立場では具体的に言えるのはなかなかこの時間では限界がありますので、そこら辺は課題として考えていただきたいと思います。  あと、やっぱり思うのは、学生さんたちですね、要するに大学生とかこれから企業人になる人たちでもやっぱり分かりやすい法律、そういうふうにしていただきたい。ですから、事前配付資料で、「機械設計」の四月号、ここで、「良い仕事」ということで、これは非常にいいことを書かれているなと思ったので今回の資料にさせていただきました。  要するに、我々ビジネスマン、今働いている方々だけじゃなくて、学生のときからこの法律はやっぱり勉強しなければ、特に技術者、私は機械工学科ですから、技術系に関わる人はやはりこういう法律を事前にしっかり勉強しておかないと、急に対峙しようと思っても無理だというようなことで出させていただいております。  そういう意味からしても、やっぱり、何といいますか、通報対象事実、通報対象事実の範囲、これが公益通報者保護法と、例えばオリンパスだけではありませんけど、いろんな企業の通報対象事実とのやっぱりギャップがでかいんですよね。やっぱり企業においては、通報対象事実は、これ何かおかしいぞと思うこと、そういったことも通報対象事実なんですよ。だけれども、そこでコンプライアンスという言葉だけが先行して、公益通報者保護法というところの意味合いの説明が、やっぱりコンプライアンスの担当者も含めて非常に難しいというのと、アンタッチャブルみたいでできていないというのがあるので、これからこの法律が成立したら、やっぱりガイドラインを無にするということでもなく、無にしてはいけない。さらに、やっぱり企業等のコンプライアンス、こういったところに、コンプライアンス室、ヘルプラインの窓口の方々にしっかりとPRする。  私も定年になって、この後、再雇用でもやりますけど、私は、各企業、オリンパス以外の企業に、この法律が成立したらやっぱりPRしていきたいというふうに思っていますので、そういうことで、私は今回の法改正は第一歩、大きな前進として評価します。  そういうことで、私からの陳述は以上です。ありがとうございました。

佐藤信秋自由民主党・国民の声

○委員長(佐藤信秋君) ありがとうございました。  以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。  質疑のある方は順次御発言願います。

徳茂雅之自由民主党・国民の声

○徳茂雅之君 自由民主党の徳茂雅之でございます。  まず、三名の参考人の方には、緊急事態宣言は解除されましたけれども、今なお新型コロナウイルスの対応ということで厳しい中、今回は国会にお越しいただき、また貴重な意見陳述を頂戴しました。改めまして御礼申し上げます。  また、それぞれ、今回の法案作成も含めていろんなところで公益通報者保護制度に関して関わってこられた田中参考人、拝師参考人、そしてまた、オリンパスの訴訟ということで長い間裁判経験された濱田参考人、大変ありがとうございました。  御存じのとおり、本法、現行法は、平成十八年に施行されてから十四年間、実質的な改正がなされてきていません。それまでの間、いろんな場面でその見直しについてのいろんな面の検討もされ、先ほど申し上げたとおり、田中参考人あるいは拝師参考人におかれましては、実効性向上検討会等、あるいはワーキングチームの中で本当にいろんな面での貴重な意見も頂戴しています。  一昨年の十二月に、消費者委員会から、の専門委員会の答申ということで、政府が今回の公益通報者保護法の見直しについての提言を受けたわけであります。  私、自民党でありますけれども、今日おいでの太田先生とともに、自民党の消費者問題調査会の下にワーキングチーム、プロジェクトチームをつくりまして、昨年十一月から、これ多くの利害関係者の方も含めて計八回、ヒアリングもやり、その中では、今日消費者庁も来ておりますけれども、厚労省も含めて、本当にかんかんがくがくといいますか、厳しい協議、意見の言い合いもしながら、この法律の作成についても私自身も関わらせていただきました。  そのような経験から、今日は、三名の参考人の本当に貴重な意見陳述について、まず厚く御礼申し上げたいというふうに思います。  それぞれの立場で御意見頂戴したわけでありますけれども、今回、一昨年の消費者委員会のその報告書をベースに党内でももちろん議論もさせていただきましたけれども、幾つかコメントございました。今回の法律については、十分評価をいただいているところもあれば、まだまだ過不足といいますか、不足している点もあるなということでございます。  まず、三名の参考人に、その意見陳述の中にもありましたけれども、改めまして、今回の改正内容に対する評価について、それぞれの立場で改めて御意見があればお聞かせいただきたい、このように思います。

佐藤信秋自由民主党・国民の声

○委員長(佐藤信秋君) それでは、田中参考人、お願いします。

田中亘東京大学社会科学研究所教授

○参考人(田中亘君) ありがとうございます。  今回の改正に関しましては、私は大きな前進であると受け止めております。特に、内部通報体制の整備、守秘義務の明定、行政通報についての保護要件の大幅な拡充、退職者、役員も保護範囲に含めるといった点で大きな前進が見られたと思います。  その上で、法案附則にも明記されていますように、今後三年間で必要な検討を行い、特に行政の体制の、人的体制の整備も含めて検討を行っていただいて、そして、とりわけ不利益取扱いを行った事業者に対する適切なサンクションということについて是非御検討をお願いしたいと思います。  以上です。

佐藤信秋自由民主党・国民の声

○委員長(佐藤信秋君) 次に、拝師参考人。

拝師徳彦全国消費者行政ウォッチねっと事務局長弁護士

○参考人(拝師徳彦君) 今回の改正内容に対する評価ということでございますけれども、この法案が公表されて、いろんな議員の方々、あるいは政党の方々ともお話をさせていただいて、端的にこの法案、合格点なのかどうか、どうでしょうというふうに聞かれました。私の方は、悩みましたが、ぎりぎり合格点というふうに申し上げました。  ぎりぎりと申し上げているのは、やはり先ほど申し上げた不利益取扱いがなされた場合に対する行政措置というのが抜け落ちてしまって、先ほど濱田さんがお話しされたような、やっぱりまだ裁判で解決しなくてはいけないという課題が大きく残っているという点では非常に残念なところなんですが、他方で、先ほど私が申し上げたように、今まで、裁判やらなきゃ被害回復できないということもそうですが、ほとんど行政、国がタッチしない、そういう法律だったものに対して、行政がかなり関与するような立て付けになっています。内部通報体制整備義務もそうですし、やはり大きいのは、守秘義務について刑事罰付きで課していくという立て付け、これは消費者委員会の答申を超える内容になっておりまして、自民党のPTの皆さん、先生方も頑張られたと思いますけれども、やはりここの部分は大きかったかなというふうに思っておりまして、そこで何とか合格というふうに考えております。

濱田正晴オリンパス株式会社人事部門スーパーバイザー最高裁勝訴内部通報訴訟経験者

○参考人(濱田正晴君) 濱田です。  私としては、いろんな日本の文化とか様々な点を考慮し、日本の会議の難しさとか調整の難しさを勘案すると九十八点。その九十八点というのは今のを勘案しての話ですから、それを勘案しなければ六十点と、まあ可と、こういうことでございますので、皆さんの努力分が三十八点を獲得しているというような形で私は考えています。  それで、やっぱりポイントとして、評価点のところとしては、話題になっている立証ですね。やっぱりここのところが、企業側か通報者側かというところ、ここ大変難しい部分だと思うんですけど、この点に関しての課題、これは残っていると。これ、企業側に立証させたらいいか、労働者側かと、これは、私は今の時点でやっぱり言明はできない。だから、ここはやはり引き続き課題として検討を継続して、三年目の見直しのところにはクリアな方針を示していただければなと思います。  もう一つは、やはり、私、裁判ずっとやってきましたけど、結局、民事裁判前提でも、裁判によって和解しても、事前の配付資料で配っているように、やはり当時、通報するとデマが流れるというところで、これ、私にだけないしょで流れていると。そういう事態で、勝って、それで同僚とまた一緒に協働して仕事をしようとしても、そこを解消しなければやっぱり難しいというのがあるので、やっぱり裁判で解決付けない。要するに、民事訴訟の限界というのを私が示したという意味で、やっぱりさっき申し上げたことに戻っていくと、問題点が戻っていくということでございます。  私からは以上の評価とさせていただきます。

徳茂雅之自由民主党・国民の声

○徳茂雅之君 率直な御評価ありがとうございました。  続いて、田中参考人にお伺いしたいと思います。  内部統制、ガバナンスの関係で、今回の公益通報者保護法についてお尋ねしたいと思います。  公益通報者保護法というのは、まさに公益を確保する目的でということでありますが、一方、企業、個別の企業にとってみれば、例えば虚偽だとか、あるいは過失による内部通報があって、企業が場合によっては倒産するケースもあり得ます。そのような場合には、例えば働く従業員も失業するということで、常に、公益全体の利益なのか、あるいは個別の企業の利益なのかというところのバランスの問題が出てくるかというふうに思っております。  東京証券取引所では、コーポレートガバナンス・コードを発表されておりまして、その中には、これ上場企業ということでありますけれども、内部統制システム、体制整備というのがうたわれており、さらに情報提供者の保護、あるいは不利益取扱いの禁止というふうな規定もございます。このようなバランスについてどのように考えたらいいのか、参考人の御所見をお尋ねしたいと思います。

田中亘東京大学社会科学研究所教授

○参考人(田中亘君) ありがとうございます。  御質問にもございましたように、会社法上、取締役は法令の遵守義務を負っており、そして特に大会社、会社法に言うような大会社においては、法令遵守その他会社の業務の適正を確保するための体制の整備の決定を行うことが義務付けられています。この体制の内容については法令でそれほど細かく規定されているわけではなく、会社の裁量が大きいわけでありますが、現実的には、上場企業を始めとして、少なくとも大企業については、法令遵守を確保するための体制として内部通報体制を整備してきていると思います。  バランスというのは非常に難しい問題ですけれども、一般的に言えば、法令の遵守ということは会社の利益に優先するものでありまして、企業は、法令を違反したということについて隠す正当な利益は持っていません。したがって、内部通報体制が法令違反を隠して内々に事を処理するような形で運営されることはあってはならないと思います。  企業の評判の低下とか、場合によっては倒産するということもあり得るわけですけれども、それは、やはり真実でない通報といいますか、実際には行っていないことについてまで虚偽、真実でない通報が行われるということによって企業に不利益が及ぶということは防がなければならないわけで、その点において、企業が通報について適切に調査するということが必要であります。  しかし一方で、真実が違法なものであったときに、それを隠すことはあってはならないということであります。この点は、企業のマンパワーとか財政的な体制によって、余り過剰な要求をすることはできないかもしれませんけれども、できるだけ外部者の目を利かせるということですね。弁護士その他外部の専門家の判断をどこかの時点で仰げるような体制をつくっておくことで、企業が自社の短期的な利益に偏った判断をするということをできるだけ防ぐことが重要だと考えております。  以上です。

徳茂雅之自由民主党・国民の声

○徳茂雅之君 ありがとうございました。  続いて、拝師参考人にお尋ねしたいと思います。  参考人、弁護士業務を実施されているということでありますので、恐らくこれまでも多くの相談を受けられたというふうに思っております。今回、弁護士実務面で、この改正が現行法で何か改善される見通しがあるのかどうか。弁護士実務として何か期待されることがあるのであれば、お教えいただきたいと思います。

拝師徳彦全国消費者行政ウォッチねっと事務局長弁護士

○参考人(拝師徳彦君) この公益通報者保護法関係ということに限って言うと、実際に本法に関係しそうな事件として受任したのは三件程度、そして、関係しそうな相談を受けたけれども受任に至らなかったものというのは十件以上あるだろうというふうに思っています。  問題は、やはりその後者の、相談されたけれども受任に至らなかった案件です。中には、非常に我々がみんな知っているような大企業についての不祥事についての情報を抱えていらっしゃる相談者の方もいらっしゃいました。何とかしようということで相談されるわけですけれども、現行法では、弁護士の立場ではとても、それでは勇気を持って頑張って通報しましょうというふうに後押しすることはできません。やはり、もし通報した場合にどうなるか、不利益取扱いを受ける可能性がありますよ、そして、仮にそういう不利益取扱いを受けた場合には、こちらから裁判を起こして、それが違法、無効であることについて主張を立証しなくてはいけませんよと。ですから、そういう訴訟のリスク、不利益取扱いを受けるリスク、もちろん、訴訟をやったからといって手持ちの証拠で完全に勝てるという保証はどこにもない、むしろ企業の方が多くの情報を持っていて有利である、そういうことを説明せざるを得ないわけですね。ですから、そういうこちらからの法的なアドバイスをすると通報を断念される、そういうケースが多々あったというふうに認識をしております。  今回の改正法でそれが、じゃ、がらっと変わって、じゃ、分かりました、頑張って一緒にやりましょうという状況になるかというと、決してそうではないだろうというふうに思っております。例えば、立証責任の転換規定が見送られる、それから証拠資料の持ち出しの免責ルールも明文化が見送られておりますので、がらっとは変わらない。ただ、先ほどから申し上げているような、例えば通報した場合に氏名等が漏えいするおそれというのは従来よりはかなり安心してできるんじゃないかと。  それから、内部通報体制整備義務の一環として、多くの企業が内部規程で不利益取扱いの禁止というものを入れてくるだろうというふうに思っております。その場合には、そういうものを引用しながら、かなり今までよりはリスクは低くはなっています、ただしリスクはゼロではありませんという形で、一歩は踏み込んだ相談はできますが、それがどうなっていくのか、またちょっとその内部通報体制整備義務の指針の中身等にもよるかと思いますが、そういう悩ましい状況は引き続き続くのかなとは思っております。

徳茂雅之自由民主党・国民の声

○徳茂雅之君 時間が参りましたので、終わります。

伊藤孝恵立憲・国民.新緑風会・社民

○伊藤孝恵君 三人の参考人の皆様、本日は本当にありがとうございました。  まず、田中参考人に伺います。  今回、通報対象事実の拡大に係る限定列挙、別表の削除に先ほど言及いただきました。まさに本質だと思います。公益通報者に当たるかどうか、普通に働く者が判断するのは不可能です。そういった部分で本質に切り込んでいただいたんですが、今回の改正案では、犯罪行為など刑罰で担保されるものに加え、過料により担保される法令違反行為を導入したこと、これは一歩前進だと思います。  しかし一方で、この刑罰、行政措置の規定のない法律、例えば公文書管理法というのは、今も別表及び別表八に係る政令で定める四百七十の法律の中には含まれておりませんし、改正後も対象外となると承知しています。  しかし、行政内で、もし文書改ざんとか隠蔽とか破棄、虚偽答弁などが行われているのであれば、その事実を明らかにして、その明らかにした者が正しく守られる、それは当たり前のことだと思います。こういった公文書管理法等を含む行政内におけるこの公益通報の充実というのに関してどう思われるかが一点。  それから、もう一点、今回刑罰で担保される犯罪行為、それから過料により担保される法令違反行為、いわゆる行政措置までですけれども、次回の改正でこれを処分にまで広げる、これについてどう思われるか。二点、教えてください。

田中亘東京大学社会科学研究所教授

○参考人(田中亘君) ありがとうございます。  通報対象事実につきまして、限定列挙方式を改めて、少なくとも罰則のある法令については、国民の利益保護の観点から重要性が高いわけですから、一般的に保護対象に含めることが適切ではないかと思います。  その上で、行政処分の対象になる行為とかや、行政機関における公文書管理等の、制度上罰則は用意されていなくても国民の利益の観点から重要性の高い規定についても範囲を広げる可能性がないか、検討する価値があると思います。  ただ、一点申し上げておきたいことは、公益通報者保護法は、この法律の要件に合致すれば、その通報した者を不利益に取り扱ってはならないことを明確にしたという意味があるにとどまるのであって、この法律の要件に合致しなければ不利益取扱いをしていいんだということではないわけであります。この点が非常に重要であると思います。  例えばハラスメントとかですね、ハラスメントは行き過ぎれば当然刑法に反する行為になるわけですけれども、しかし、別にハラスメント自体が刑法にまでは違反しないとしても、ハラスメント被害を訴えた人を不利益に扱っていいはずがないわけですね。この辺は労働法による適切な保護が図られなければならないわけです。  ついでに申し上げれば、会社法でもそうでして、会社法でも、役員は株主総会で解任できるわけですが、正当な理由がなければ、役員は損害賠償請求ができるわけであります。その際に、正当な、ハラスメントについて申し立てたからという理由で解任することが正当な理由になるはずがありませんので、そのような場合は役員は損害賠償請求ができます。  この法律の規定がなくても救済されるものがあるはずで、これは当然のこととして、裁判所も法律関係者も、それから企業、労働者も、皆が認識を共有しなければならないと考えております。

伊藤孝恵立憲・国民.新緑風会・社民

○伊藤孝恵君 先ほどのその処分にまで広げるというところについてもう一回お伺いしたいんですが。  今言及があった例えばセクハラ、マタハラというのも、この処分にまで広げれば、現行法の中で通報対象事実、通報対象者になるというふうに理解できると思うんですけれども、処分にまで広げるということについては、先生、どうお考えですか。

田中亘東京大学社会科学研究所教授

○参考人(田中亘君) そうですね、現行法は、率直に申しまして、不利益取扱いをしたからといって事業者にサンクションがあるわけでもなく、むしろ現行法でも、その公益通報者保護法がなくてもできることをできると言っているにすぎない部分が率直に申しましてあると思います。  したがって、現在の法体制の下では、ほとんどどんな行為であっても通報対象事実、あっ、済みません、どんな行為であってもというのは行き過ぎですけれども、不利益取扱いをしてはならないような行為を全て通報対象事実に含めてもおかしくないわけであります。この辺りはサンクションとの関係を考慮して是非考えていただきたくて、サンクションを次の改正で設けるとすれば、そのサンクションにふさわしいものであるかというところでおのずと通報対象事実の範囲が絞られていくのではないかと思います。  したがって、そのようなときには罰則がまずは問題になると思いますが、しかし、今おっしゃられたような、公文書管理とか国民の知る権利の観点から重要性のあるものについては、あえて入れるとか、様々な選択肢が考えられると思います。

伊藤孝恵立憲・国民.新緑風会・社民

○伊藤孝恵君 それについては特出しして、あえて入れるというようなヒントをいただきました。ありがとうございました。  続いて、拝師参考人に伺いたいと思います。  三号通報について伺いますが、組織内部で通報しても是正を期待できない場合、行政機関や報道機関への内部告発も保護されるべきだというのがこの法の趣旨なのであれば、三号通報の特定事由に、例えば事業者が公益通報対応業務従事者を定めていない場合、二号通報した日から二十日を経過しても権限ある行政機関から調査を行う旨の通知がない場合又は正当な理由なく調査を行わない場合等を追加すべきと考えますが、いかがでしょうか。

拝師徳彦全国消費者行政ウォッチねっと事務局長弁護士

○参考人(拝師徳彦君) いずれも御指摘のとおり追加すべきだろうというふうに考えております。  まず、事業者が公益通報対応業務従事者を定めていない場合についてですが、消費者委員会の専門調査会報告書においても、事業者が内部通報体制の整備義務を履行していない場合を追加することを三号通報の特定事由に追加することとされておりました。  この場合、公益通報対応業務従事者を定めていない場合というのは同整備義務の不履行の典型例ではないかというふうに思われますので、当然、特定事由の一つに加えるべきだろうというふうに思います。特に今回、三百人以下の小規模事業者については内部通報体制整備義務全体が努力義務とされ、行政措置の対象外となっておりますが、こうした小規模事業者の内部通報体制を促進するという意味でも、こうした特定事由を追加するという意味は大きいというふうに考えています。

伊藤孝恵立憲・国民.新緑風会・社民

○伊藤孝恵君 本当におっしゃるとおりで、例えば小さな会社の中で社長の不正を訴え出たい、その訴え出る先、窓口が総務兼経理の社長夫人だったなんというケースもよくあるケースだと思うんです。そういった組織の事情、能力に応じて、二号通報、三号通報というのの選択肢ももっと持てるようにすべきだというふうに認識いたしました。

拝師徳彦全国消費者行政ウォッチねっと事務局長弁護士

○参考人(拝師徳彦君) 済みません、一点回答漏れましたが、もう一点、行政通報しても対応してもらえないようなケースの場合についても御質問があったと思います。  これについても、やはり三号通報ができるようにしていただきたいというふうに考えておりまして、この点については、先ほどの消費者委員会の専門調査会の報告書では、事業者側に過失がないにもかかわらず、行政機関の過失によって当該事業者に負担を負わせるのは必ずしも適当ではないということを理由に、追加する必要なしという結論になっていたと思います。  しかし、通報者が行政通報を選択した段階で、通報者なりに、内部通報をしたのでは不利益取扱いのおそれがあるとか是正の可能性がない等の判断をして行政通報をしているという状況ですので、そもそも事業者に落ち度がないと言えるのかは疑問ですし、三号通報の場合には、前提として真実相当性というのが要件とされておりますので、事業者が法令違反等を行っている蓋然性が高いことが前提になっています。  ですので、法令違反等が真実であれば、直ちに法的、社会的制裁を受けてもやむを得ない状況にあるわけですので、直接三号通報に行かれても仕方がない立場であるというふうに元々思います。  行政がマンパワー不足で動けないということを自ら認めているという今回非常に残念な回答をいただいているわけですけれども、こうした事態を正面から受け止めて制度設計するとすると、先ほどおっしゃられたような、行政が動かない場合については三号通報に行けるというルートを残すということは非常に重要かなというふうに思います。

伊藤孝恵立憲・国民.新緑風会・社民

○伊藤孝恵君 続きまして、濱田参考人にお伺いしたいというふうに思います。  紛争決着までおよそ十年を要す闘い、本当に、一個人が巨大な株式会社を相手に闘うということは、御家族の御苦労も含めてどれほどのものだったのかというふうに思います。濱田参考人を守れなかったこの公益通報者保護法を良きものに、使えるためにですね、是非御知見を賜れればと思います。  濱田参考人は衆議院での議論も全て確認されているというふうに伺っておりますけれども、さらに、参議院で議論が必要だと思われる点、すなわち、次回の改正で期待される点というのを教えてください。

濱田正晴オリンパス株式会社人事部門スーパーバイザー最高裁勝訴内部通報訴訟経験者

○参考人(濱田正晴君) やっぱり不利益、これ不利益をした企業等への罰、行政罰というかですね、その部分なんですけど、衆議院以外、これまでのいろんな関連会議見ていても、やはりこれは司法のところでということで、なかなか政府がそれを、配転命令云々を、企業の部分を判断するのは難しいという、要するにできない理由を並べているので、じゃ、その前に、例えば不利益という定義を、例えば第三者委員会とかそういう、じゃ、それをやっぱり司法に行かなくてもやるためにはどうすればいいかと、どういう組織を新たに立ち上げるかということをやっぱりしっかり議論すべきで、そこが抜けているなと思いました。やっぱり、一言で言うと行政罰というところ、ここに関してです。  あとは、やはり、議論はして、抜けてはいないんですけど、やっぱり過失というところ。例えば過失で漏えいすると、そうすると、やっぱりそこからひも付いていくのがコンプライアンス体制、要するに、内部通報体制のやっぱり義務というところ、これをちゃんとやっていないということで、そこでこの行政的な措置がそっちに入っていくような、そういう立て付けだと思うんですけど。  やっぱり過失と、さっき申し上げた故意という部分、その辺のいわゆる考え方の深掘りがされていない。それの典型的な例で抜けていたのが、企業が要するに契約している外部通報窓口弁護士、この弁護士、外部通報窓口弁護士についての議論がなされていない。要するに、企業と関係ない。例えばオリンパスですと、オリンパスの内情を知らない弁護士に社員が内部通報、要するにコンプライアンス室は嫌だから、契約している弁護士へ通報した。じゃ、そのときにその弁護士はどうやって調査するかといったときに、いわゆる宛先、要するに問合せ先といったらコンプライアンス室か、やっぱり名前を、やっぱり我々従業員が知らないところでのコンタクトしかないわけであって、じゃ、その外部通報窓口の弁護士という方もやっぱり弁護士法とかいろんな守秘義務負っているわけで、別の法律でですね、そういうところでのやっぱり外部弁護士、外部弁護士、これをやっているから企業はちゃんとやっているというところにおいての一つの外部弁護士の考え方、これを、私から考えるところ、内部の調査を通報者情報を秘匿してできるということは常識ではちょっと考えられないので、そこは全部、何といいますか、認められるということになると、せっかく刑事罰付けても駄目ですから、そういう軸で外部通報弁護士、これは窓口担当者ですから、そこへの刑事罰の在り方、ここが抜けているので、ここはしっかりと附帯決議等で押さえておいていただければというふうに考えております。  以上です。

伊藤孝恵立憲・国民.新緑風会・社民

○伊藤孝恵君 今、外部弁護士の問題、それから権利回復のためには民事訴訟前提であるというその法律の瑕疵、御指摘いただきました。  最後に、拝師参考人にお伺いしたいんですが、今回の過失による通報者の特定情報の漏えいに対する刑事罰というのは規定されておりません。この点についての課題感、ちょっと時間がありませんので、端的にお願いいたします。

拝師徳彦全国消費者行政ウォッチねっと事務局長弁護士

○参考人(拝師徳彦君) 担当者個人の刑事罰にこの過失の場合を含めるかどうかについては、やはり今回の法律の運用状況を見ながらやらなければいけないと思っていますが、事業者本体に対しては、やはり積極的に過失の場合にもペナルティーの対象にするということで考えていただければというふうに思っております。

伊藤孝恵立憲・国民.新緑風会・社民

○伊藤孝恵君 終わります。

熊野正士公明党

○熊野正士君 公明党の熊野正士です。  本日は、三人の参考人の方から貴重な御意見を賜りまして、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。  まず、御三人の方々それぞれに質問させていただきたいと思いますが、内部通報ということに関してでございます。  今回の法改正では、内部通報の整備をきちっと義務付けておりまして、その実効性の確保のために行政処分を導入することとしております。さらに、通報者を特定させる情報の守秘をもう義務付けて、刑事罰の対象というふうにしております。先ほど来、皆さん、参考人の方々、評価すると、点数としては六十点と九十八点というふうにございましたけれども、評価していただいております。  そこで、御三人の参考人に伺いたいことは、評価をされた上で様々な課題についても御指摘をいただきました。拝師参考人からは、例えば内部通報体制の整備ということで、ヘルプラインの形式的な導入ではなくて、実際に通報者が安心して通報できる体制、運用になっているかどうか、それから情報の透明化を担保できるか、そういったことを御指摘いただきました。また、濱田参考人からは、いわゆる、先ほどもありましたけれども、守秘義務を、故意なのか過失なのかといった、そういった問題提起もしていただきました。  そこで、御三人に伺いたいのは、より広くこの内部通報をするために、この法案が成立した上で運用面で何かこういったことをしっかりとやるべきだというふうなのがございましたら、御所見を賜りたいと思います。

田中亘東京大学社会科学研究所教授

○参考人(田中亘君) 運用面については、先ほども申し上げましたけれども、企業にとって真実でない情報が漏れることによってその評判が低下して不利益を受けるということは避けなければなりませんけれども、通報が真実であり、企業が実際に法令違反を犯しているとすれば、もはやそれを秘匿することについて、法律上、保護に値する利益はないというこの原則を踏まえて様々な事務をする必要があると思います。その辺りがはっきりしていないと、とにかく隠すという方向に行ってしまうのではないかと思います。  その点に関しては、やはり外部者の目をできるだけ入れるということであって、内部だけで事を処理すると、どうしても自分の組織にとって都合のいい判断になってしまうと思います。この点は大企業と中小企業で少し状況は違うかもしれませんけれども、中小企業であっても、一旦事が起これば、それはもちろん弁護士に相談するということは当然ではないかという気がしておりますので、できる限り適正な体制が取られるように期待したいと思います。

拝師徳彦全国消費者行政ウォッチねっと事務局長弁護士

○参考人(拝師徳彦君) 運用面でどのような点に留意すればいいかという御質問だと思いますが、一点は、やはり運用全般にわたって通報者保護という視点で是非考えていただきたいということです。具体的な例が、先ほど申し上げた守秘義務の除外事由としての正当な理由を解釈する際には、いろんな幅があり得るんだと思いますが、やっぱりそこは通報者の立場に立ってかなり厳しく限定的に解釈するというのが一例です。  それから、法案の評価、先ほど御質問された方もいらっしゃったと思うんですが、実は内部通報体制整備義務、これについては、具体的な中身がきちんと決まっていかないと本当の評価というのはできないだろうというふうに思っていまして、まずはこの部分を実効的な形で定めていただくということになろうかと思います。  その際にお願いは、従来、企業の側の方々、経済団体の方々は、やっぱりどうしてもステレオタイプに、入れる入れないについての賛成反対、かなり懸念を示されて、反対ということで議論が膠着したような場面も多々あったかと思うんですけれども、やはり内部通報体制整備義務の指針を定めるに当たっては、よりリアルな形で、単純に漠然とした不安があるということではなくて、具体的な例えば事例を示しながら、このケースの場合にはこうなるから、やはりこういうふうに定めた方がいいのではないかというような具体的な議論をすると、より建設的な形での指針の中身が入っていくのかなというふうに思いますので、そういう議論を期待したいというふうに思っています。

濱田正晴オリンパス株式会社人事部門スーパーバイザー最高裁勝訴内部通報訴訟経験者

○参考人(濱田正晴君) まず、社内においての公益通報者保護法というその文字がなかなか出てこないんですよね。要するに、コンプライアンスという文字は出てくるんですけど。ですから、まず、このいわゆる重大な公益通報者保護法、要するに公益通報窓口ということのそういう窓口と、あとは、コンプライアンスというと企業倫理も入ってきますから、そこのところをしっかり分けるという、そういったことが企業にやっぱり求められると思うんですよね。今、全部、さっき私が申し上げたように幅が広い、要は公益通報者保護法とずれているどころか、もう概念が全く違うんですよね。ですから、まずそこが一点ですね。  もう一つは、さっきの外部窓口の弁護士、これを務める資格ですね。要するに、調査方法も何も構築できていないまま企業と契約して受けるとなると、それはそれで問題だと思うので、やっぱりちゃんと、こうやって私は弁護士、外部窓口弁護士として、例えばA社との契約をしてやるというこの調査方法、これを弁護士自体が構築して、それをしっかりと従業員に伝える、それを表明するというようなことを義務付けるというようなことが必要じゃないかというのが二点目。  三点目が、要するに、漏えいしたことを推測されるというのと、現実的に私のように漏えいされたというのとはこれ全く違うんですよね。ですから、推測された、要するに、推測されるけどいいかというところまではいいんですけど、やっぱりその部分の、推測されて分かる可能性があるけどそれでもいいということは、だから大前提になっているんですよね、今。ですから、そこについて、何というのかな、推測されるのがやっぱりそれでも嫌だったら、それはもう通報はできないという、そういうようなことを明確にしていって、やっぱり未然にそのトラブルを防ぐというような、この推測と刑事罰との関係ですね、この辺をしっかり定義付けして分けると。この三点であります。

熊野正士公明党

○熊野正士君 ありがとうございます。  田中参考人に伺いたいと思います。  内部通報に関しては、環境整備ができたということで評価されているということでしたが、今回、外部通報の保護要件についても、当初緩和すべきかどうかいろいろ議論があったというふうに承知しておりますけれども、今回、外部通報の要件、保護要件が緩和をされました。  そういった状況の中で、この内部通報と外部通報の在り方と申しますか役割といいますか、そういったことについて、田中参考人の御所見を賜ればと思います。

田中亘東京大学社会科学研究所教授

○参考人(田中亘君) 内部通報と外部通報に関しまして、現行法は、内部通報については保護を最も広く認めて、それから行政通報、外部通報の順に今は厳しくしていっています。  それは、もちろん、通報が全て真実であるわけではなく、一部は真実であってもほかの部分で誇張されているとか、そういったことがあり得るわけで、その場合は、内部通報をしてもらえば、適宜調査し訂正するということはできるかもしれませんが、外部に行くほど情報が生のまま外部に公表されてしまって企業が不当な被害を受けるという危険が高まります。そういう面で、その内部通報に最も保護を厚くするということは適切であると思います。  ただ、その上で、いささか従来内部通報に傾き過ぎていたのではないかと。根本的には、その虚偽とか誇張された通報と、真実違法であると、真実、企業において法令違反が起きているという情報の区別を曖昧にして、漠然と企業にとっての利益ということを強調しますと、行政通報や外部通報について保護の範囲を非常に狭めてしまうということがあります。  先ほど拝師参考人が制度間競争ということをおっしゃいましたけど、その点は非常に重要だと思っておりまして、外部通報がされるかもしれないということも、企業にとっては内部通報体制を整備しようというインセンティブを強める要因です。そういう意味でも、外部通報を必ずしも敵視するとか余りにも警戒するのではなく、外部通報の選択肢を残すことによって、逆に内部通報体制を整備する動機を企業に持ってもらうと、こういった視点も重要ではないかと考えております。

熊野正士公明党

○熊野正士君 ありがとうございます。  次に、拝師参考人と濱田参考人、お二人にお伺いしたいと思います。公益通報者への支援ということでございます。  先ほど濱田参考人の方から、十年に及ぶ裁判を支えてくれたのは家族であり同僚でありというふうなお話がございました。また、拝師参考人、事前にいただいた資料等読ませていただきますと、行政からの、いわゆる公益通報者の被害者の会の紹介とか、あるいはメンタル相談窓口の設置というふうなことも記載がされておりました。  そういった中で、お二人に、この公益通報者への支援と、支援の在り方と、どういった支援が必要なのかということについて御所見を賜ればと思います。

拝師徳彦全国消費者行政ウォッチねっと事務局長弁護士

○参考人(拝師徳彦君) ありがとうございます。  公益通報者の支援の在り方については様々なものが考えられると思いますが、正直申し上げて、現行法の状況ではほとんどないと。  先ほども申し上げたように、ほとんど民民任せで当事者任せになっているというところが問題で、いろいろと、今御指摘ありましたような被害者の会を紹介するとかメンタル窓口を設置するとか、いろんなサポートの仕方はあると思います。  それで、大きな支援方法として、金銭的な支援というものをやっぱり考えるべきかなというふうにも思うんですけれども、これがなかなか難しくて、報酬制度みたいな形がいいのか、あるいは、そうすると韓国のように、申告の、通報のプロみたいなのが出てきて逆に濫用されることにならないかとかという悩ましい問題があると思います。  ただし、現在の民事裁判で損害賠償請求をして、その範囲でだけ被害回復をするというのではやはり不十分で、例えば、本来認められる損害賠償の幅より広い幅で、行政の方が生活保障のような形で手当てをする、そのうち企業が本来払わなくてはいけない損害賠償については、行政が企業に請求していく等のいろんな工夫の仕方があり得るかなというふうに思いますので、ここについては、やはり次のステップに向けていろんな視点での検討をされるといいかなというふうに思っております。

濱田正晴オリンパス株式会社人事部門スーパーバイザー最高裁勝訴内部通報訴訟経験者

○参考人(濱田正晴君) 私の視点は、まず私、京都、大阪、千葉、そこの弁護士会でも弁護士の皆様に実体験を講演しているというのがございまして、やっぱりそこで目に付くのは、弁護士の先生方も、やっぱり相談を受けると、一言この言葉、薄氷を踏むような対応になると。これ、拝師先生いらっしゃる千葉弁護士会での講演で弁護士が言われていたんですけど。結局、そういう事態の中でやっぱり通報者に支援とか協力といっても、もし何かあったらその人の生活を駄目にするということが、やっぱり相談される専門家の立場の考えだと思うんですよね。  ですから、結論的に言うと、やっぱりそういう弁護士への支援金というか、要するに、例えば裁判になったら弁護士費用がやっぱり掛かるわけですよね。そのときにやっぱり弁護士の先生も、まあここいらっしゃる人たちも、弁護士もやっぱり商売ですから、ただでやるわけにはいかないじゃないですか、やっぱり。そのときに、国から公益通報者に対しては一定の支援を行うというような制度というのは、やっぱりこれは一つの大きな支援になると思います。  ということで、いわゆる薄氷を踏んでも、支援があれば、そういうことで裁判も受けて、安くやって受けてくれると、こんな感じじゃないですかね。

熊野正士公明党

○熊野正士君 ありがとうございました。

松沢成文日本維新の会

○松沢成文君 日本維新の会の松沢成文と申します。  今日は、三人の参考人の皆さん、どうもありがとうございます。  まず、ちょっと重複しますけれども、この私は通報対象事実の範囲の拡大について、法律家である二人の先生からまずお伺いしたいんですけれども。改正案では、過料の対象となる規則違反行為、つまり行政罰が、刑事罰だけじゃなくて加えられたわけですよね。まあこれ、一歩前進だとは思うんですけれども、私は、この法律の実効性を確保するためには、もっともっと拡大していかなきゃいけないというふうに思っているんです。  まずは、例えば地方自治体の条例。これ、だから、法律だけじゃなくて、自治体の条例なんかも含めた法令でもこの過料が付いているものたくさんありますから、こういうものに拡大をしていってもいいんじゃないかということと、あと法律も列挙されていますけれども、先ほども質問もありましたが、今物すごくこの通報対象になりやすいのが各種税法ですよね、まず。それから補助金適正化法みたいなやつね。それと、昨今の、我々も反省しなきゃいけないんですが、政治家と官僚の不祥事に関係する、こういう不祥事を早く通報によって発見していくには、公文書管理法、それから国家公務員法、そして政治資金規正法、こういう法律もちゃんと列挙してあったら、これは政治家も官僚もびびりますよ。抑止力働きますよね。だから、こういうふうにきちっと書くべき法律がまだほかにもあるんじゃないかと。  それと同時に、この法律を限定列挙するんじゃなくて、公益性の観点から、何というか、包括条項を置いてやるべきだという意見もありますが、こうした、まあとにかく私はもう少し対象範囲広げないと実効性上がらないと思うんですが、こうした意見に対しては、どんな感想というか御意見をお持ちでしょうか。まず、二人の先生に伺います。

田中亘東京大学社会科学研究所教授

○参考人(田中亘君) ありがとうございます。  私もこの法律を勉強していく中で、税法が入っていないとか、入っていない法律に明らかに重要なものがあるのを知って驚いた経験があります。  現在の体制ですと、なぜこれが入っていないのかということから法律の正当性についての疑義を生じさせるようなものになっているのではないかと、誰かの利益に反するから入れていないのではないかといったような疑いをどうも生じざるを得ないものになっているのではないかと思います。  そういった面でもすっきりと、つまり同等のペナルティーを科せられる法律は同等に扱うと、まずそれを基本にいたしまして、まさに行政罰まで含めて入っているものは、全てその重さにおいて重要性が同じなのだから全て同等に扱うと。この考え方ですと、条例であっても罰則のあるものについては入れるということがあると思います。  現在の限定列挙方式は、それによって通報対象事実を明確にする役割が余りなくて、罰則があっても、更にそこで限定列挙のリストに入っているかどうかを確認しなければならないので、むしろ明確性を害しているようなところもあると思っています。この点は是非御検討お願いしたいと思います。  その上で、国民の利益にとって重要性の高いものについては罰則がなくても入れるものがあるのではないかという、次の段階でそういう議論をすべきだと思います。その点に関しては、やはり公的な機関は民間企業に比べてより高い倫理が求められるという観点から、公的機関に対してより厳しい形での立法をするということは正当性があるのではないかと考えております。

拝師徳彦全国消費者行政ウォッチねっと事務局長弁護士

○参考人(拝師徳彦君) 今御指摘ありました通報対象事実の範囲については、やはり現行法でかなり限定されているということは私も同感でございまして、税法とか補助金適正化法等、重要な法案については広げていく必要があるだろうというふうに思っています。  先ほど田中参考人がおっしゃっていた視点で非常に重要だと思っているのは、一方で、現行法でいうと、例えば企業の内規についての通報であっても本来不利益取扱いはしてはならないし、それ自体いかぬということは現行法で広げればそれで済むということなんですけれども、あとは民事ルールで解決しなさいということなんですけど、行政罰であるとか、特に刑事罰を入れた場合が悩ましいなと思っていまして、例えば、条例一般を通報対象事実にしますと書いたときに、窓口担当者がそのときは気付いていなかったと、後になって実は条例に違反している内容が入っていたというような場合に、いきなり刑事罰の対象になってくるというようなことだと予測可能性という意味でどうなのかという問題が生じてくると思います。そうであれば、逆に言うと、全部包括条項で入れてしまえばいいという議論もあり得るかと思うんですけれども、そこは、保護法益といいますか、刑事罰を科してまで保護するものが何なのかという議論をもう少し詰めなくてはいけないかなと。  私は、消費者庁の検討会のときには、保護法益はそもそも、情報透明化というふうに言っていますけれども、公益通報者保護法、公益通報制度そのものが一つの社会的なインフラとして保護すべきものなので、それ自体の信頼性を揺るがすような行為については、それ自体が保護法益を侵害しているんだということで、個別の法律と通報者保護制度そのものを社会的に育てていくんだという観点とはちょっと別に考えなきゃいけないのかなというふうには思っていますが、その辺も議論としては踏まえた上で、是非広げる方向での今後議論をしていっていただきたいというふうに思っています。

松沢成文日本維新の会

○松沢成文君 ありがとうございます。  ちょっと質問の質をがらっと変えますけれども、今日、私、午前中の本会議で、この法案の本会議質疑で、実は麻生財務大臣に、森友問題で近畿財務局の元職員の赤木さんという方が自殺をされました、そのことについて聞いたんです。できたらこれ、三人の先生方にコメントをいただきたいんですけれども。  赤木さんが自殺をした最大の原因というのは、多くは、内部告発したかったんだけれども怖くてできない、だから死んで、まあ死んでというか自死して、そのときに遺書を残して、それを告発に代えたんだと思っているんです。本当に悲惨な事件だと思っているんですね。これ、公文書の改ざんを強要されたわけですよ。それも財務省の理財局長さん含めて。本当にすごいプレッシャーの中で彼は悩み抜いたんだけれども、内部告発する勇気がなかった、だから自死して遺書を残したということなんですね。  さあ、ここで、もし今回の法案がきちっと成立していたら、成立したら、守られると思って、彼は勇気を持って内部告発をするでしょうか、したでしょうか。その辺り、特に濱田さんはもう実体験で、内部告発の難しさとその後の訴訟まで体験されたわけですけれども。私は、もしこの法案がもっと早く、二、三年早くできていれば、赤木さんのような犠牲を出さなくて済んだ、赤木さんはきちっと秘密が守られた中で内部告発をして、そして財務省の不祥事が暴かれたんではないかというふうに思って残念でならないんですよ。三人の先生方はどうお考えになりますか。

田中亘東京大学社会科学研究所教授

○参考人(田中亘君) この法案は非常に大きな前進だと思いますが、あのように、どうしても告発ができない、死を選ぶような状況があるときに、この法案が通ったから一変するほどに前進かといえば、残念ながら疑問もあると思います。現実問題として、確かに守秘義務があることを明確にし、担当者レベルでの罰則を科したというのは大きな前進かもしれませんが、肝腎な不利益取扱いについてのペナルティーは必ずしも科されていない中で、この改正法案の施行によってそれほど状況が一変するかと言われれば、遺憾ながら疑問があると思います。  これはもちろん法律だけでできることではない、社会の意識を変えていかなければならないことで、告発者の利益は守らなければならないし、不正を隠すことは当然許されず、不利益取扱いをした者にこそ非があるということについて、誰もが当然であるというところに持っていかなければならないと思います。法律案それ自体も重要ですけれども、社会の意識を変えるという点においても重要であると思いますので、是非、これでゴールとなさらないで、さらにこの制度の改善のために御尽力いただきたいと願っております。

拝師徳彦全国消費者行政ウォッチねっと事務局長弁護士

○参考人(拝師徳彦君) 御指摘の案件について、私の方で詳細な事情、事実関係を把握しているわけではないので、あくまで感覚的な話ですけれども、一つは、本法は、一般の公務員、国家公務員等については不利益措置取扱いの禁止等の規定がそもそも適用除外にされているので、形式的には当たらない可能性があるのかなというふうに思いますが、それはおくとして、どうかということですと、やっぱり厳しいのかなと。  要するに、通報しようとする事実が重要、重要というのは、組織にとって暴かれたくない度合いというのが高ければ高いほどやはり制裁も厳しいという関係にあると思うんですね。ですので、その森友のような重要案件について、じゃ、組織的にどういう対応があるかということを考えたときに、じゃ、今度、内部通報体制整備義務を課しました、守秘義務を課しました、だから大丈夫ですと、こう判断されるかというと、ちょっとそうは思えないかな。やはりさらに、申し上げたように、不利益措置、不利益取扱いそのものに対する厳しい制裁というのを法律で定めておかないと、やはり事の重大性に鑑みるとちゅうちょしてしまうかなというふうな感覚を持っております。

濱田正晴オリンパス株式会社人事部門スーパーバイザー最高裁勝訴内部通報訴訟経験者

○参考人(濱田正晴君) 今の御質問ですけど、私の経験上も含めて、こういう感じで話しているキャラですから、やっぱり国民それぞれいろんな性格の方々がいらっしゃるので、一概にその方がどうという話ではなくて、まあ気の弱い方もいれば、面白い方もいれば、何だこれはというような人もいれば、そういう視点からすると、法律が変わったからといって、本人のやっぱり資質というところ、一般論ですけど、様々な方ということになると、じゃ、その方がこれ変わったからどうかというのは、ちょっと私、その方、実際、事実上知りませんので、そういうことからすると、一般論としては、その個々の性格とか資質によるのかなという気がいたします。  それと、やっぱり私の経験上、そこを乗り越えて、やはりこの公益通報者保護法というところは、社会正義の実現と国民の権利利益、これを守るという趣旨がありますから、そういう意味において、さっき、冒頭申し上げた、後ろに随行者としていらっしゃいます佐藤先生の書かれていることにあるように、やっぱりそういうことをやりたいとなったら、法律を勉強して、今回改正された、それで自分で闘う戦略を立てて、それで、いわゆるそういうことが、最低でもそういったことがやっぱり好きでないとできませんね、これ。  要は、戦略に対して、やっぱり企業の経営戦略とか、そこに従っていくと、ここで売上げ、利益をこれだけ達成すると、やっぱり戦略という言葉は一般企業でもどこでもあるんですよね。ですから、やっぱりそこに対しての考え方とか、その辺を冷静にやっていくというような、そういう方々を前提とすると、今の御質問には、比較的やりやすくなるんじゃないかなということでございます。

松沢成文日本維新の会

○松沢成文君 終わります。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 参考人の皆さん、お忙しいところ、ありがとうございます。  参考人の皆さん、全て一歩前進、大きな前進という評価で、一番喜んでいるのは消費者庁じゃないかと私は思いますけれども。確かに、環境整備、濱田参考人言われたように刑事罰という引締め効果、こういう効果はあると思うんですが、ただ、私、国会で、具体的に言えばもう二十件以上、内部告発に基づく質問とか問題取り上げてきて、いろいろ、偽装請負とか保険金不払とかジャパンライフとか企業年金、そうした問題いろいろあるんですけど、二十七人の方の告発によって取り上げさせてもらって、その方々の顔が浮かぶわけですよね。ですから、私の物差しは一つで、そういう方々が今回の法改正で守られるだろうか、あるいは守られたであろうかということが、もうそのひとえなんですね。  それでいくと、連絡取れる人何人かに聞くと、到底安心できる制度ではないというのが答えでありますので、もちろん消費者庁、ぎりぎり頑張ってきてくれたの分かるんですけれど、やっぱりその当事者の立場、当事者の気持ちに、濱田さんみたいに強い方ばかりじゃないんで、まあみんな強いんですよ、みんな気骨のあるすごい人なんだけど、闘い切れるかとかいろんなことあるわけですね。  その物差しでこの問題を考える必要があるというふうに思って質問したいと思いますが、まず、拝師参考人なんですけど、拝師さんとは、消費者庁つくる運動から長い間、長い付き合いなんですが、今日は初めてちょっと意見が違ったというふうに思うんですね。  十四年間何もしなかったかと思うと一歩前進と。私は、十四年も掛けて半歩前進じゃないかと。何より残念なのは、今日も本会議で言ったんですけれど、不利益扱いの行政措置が導入されなかったこと。あれが導入されていたら、私も、そうはいってもやっぱり大きな前進になるんじゃないかと思ったんですが、すっぽり抜け落ちて、あれが一番残念なことであります。  その点で具体的に拝師参考人にお聞きしたいのは、今日答弁があったんですけど、衆議院でもありましたが、なぜ今回見送られたかというと、一つは体制上の問題と。これ、ちょっといろいろ問題あるんですけどね。  二つ目なんですけど、要するに、その不利益扱いが報復によるものなのか、あるいは本人の責任、例えば本人の成績不良とか、それによって解雇とか降格がされたのか、報復でされたのかと、この区別が難しいというようなことがあったんですけれども。  私でいえば、秋田書店の問題というのを取り上げたんですけれど、あれは、あれだけじゃなくて幾つか同じことはあるんですけど、企業内の不正をまずおかしいと言うじゃないですか、まず会社の中でね。そうすると、会社の経営側が冷遇するわけですね、いじめたりするわけですね、シカトするわけです。みんなでやるわけですね。そうすると、精神的にちょっと追い詰められてきて、会社に行けなくなって、仕事休んで欠勤という、長期欠勤になると。そうすると、会社側は、長期欠勤で勤務態度不良だということで解雇すると。こういうパターンなんですよね。  だから、これは過労死裁判、いじめによる過労死自殺とか、ああいうのと同じように、経過さえ調べれば、既に労働部局もやっている話ですし、分かる話なんですね。だから難しくないと私は思っているし、当然労働部局がやるべき話だと思うんですけれど、そういう点で拝師参考人のまず御意見を聞きたいというふうに思います。

拝師徳彦全国消費者行政ウォッチねっと事務局長弁護士

○参考人(拝師徳彦君) まず申し上げたいのが、先ほど十四年掛かってようやく一歩踏み出したと申し上げましたけれども、決してゴールだというふうには申し上げておりませんで、あくまで進んだという意味での一歩でございます。  そして、不利益取扱いに対する行政措置が今回入らなかったことについては私も大変遺憾に思っております。その理由として、今、大門議員二点おっしゃられました。体制上の問題、それから事実認定が難しいということですかね、という二点なんですけれども、やはり私も、いずれもいかがなものかと、理由については思っています。  まず、体制上の問題については、これは本末転倒でして、やはり必要性があると、規制の必要性があるということであれば、それだけの人員体制を補充してやるというのが行政の責務、あるいは政治の責務ではないかというふうに思っておりますので、これを理由にしてしまうと、もう国として成り立たなくなってしまうのではないかなというふうに思っております。必要性があるというふうに判断している以上は、それに対応する体制を整えるべきだというのが本来の筋だと思います。  それから、その不利益取扱いが報復なのか本人によるものなのかの区別が難しいということですけれども、確かに、単純に、消費者被害でこういうことについて書面を交付しなかった、あるいは虚偽の説明をした等の案件に比べると難しい面はあるかもしれません。ただ、やはり民事裁判との違いは、行政側は立入調査等を通じて事業者側の情報をある程度入手することができます。  そういう意味での立証上の優位であるとか、あるいは、これはもう行政処分、行政権限全般に言えることですけれども、民事裁判で一審、二審、三審と、最高裁まである、そういう緻密なかなり丁寧な司法の構造と行政の構造は元々違うわけですから、やはり行政は、行政権限を行使する以上は、自分たちなりの調査手法を使って情報を仕入れて、そこで行政なりの判断をするしかないと思うんですね。これを放棄してしまうと、最後に裁判で負けるかもしれない、それは可能性としてはありますよ、手続が違うんだから、でも、そこをやっぱりちゅうちょして判断をしないという選択肢は、私はおかしいのではないかというふうに思っています。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 田中参考人にも同じことを伺いたいんですけど、今回の一番のポイントが、そこが抜けていることでいろんな質問集中しているんですけど、今、消費者庁側が言っているその二つの理由を挙げてしまうと、これ五年後に解決されるような話じゃないんじゃないかと思うんですよね。その点も含めて、同じ質問ですけど、御意見いただければと思います。

田中亘東京大学社会科学研究所教授

○参考人(田中亘君) ありがとうございます。  その点は、拝師参考人の御意見が誠にもっともだと思いまして、本来、必要性があれば行政は人員の整備を含めて必要な措置を講じるということが政府の責務であると思います。ちょっとそれ以上言いようがないといいますか、これはもうやっていただくしかないと思います。体制に関してはそれ以上申し上げられません。  事実認定につきましては、やはり行政は本来的に、今も拝師参考人がおっしゃったように優位な状況にありますので、これを本来的には生かすことが重要であると思います。  その上で、司法に行けばより緻密な裁判ということになりますから、判断が変わるということはあり得るわけですけれども、最終的に司法で負けたから行政がやるべきでないことをやったということには直ちにはならないわけでありまして、その点からしても、重要な事件である場合は果敢に行政が必要な措置をとっていくと、その点が重要であると思います。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 濱田参考人に伺います。  集会でお話を伺ったことがございまして、もう本当、心から敬意を、長い闘いですね、すごい方だなというのは、そういう印象でしたけど。  ただ、先ほどおっしゃった守秘義務、刑事罰、三十万円のところなんですけど、これもちょっと私の経験で申し訳ないんですけど、第一生命の保険金不払事件というのがございまして、そのときは、第一生命が初めて生命保険会社としては株の上場をしようということで、金融庁を挙げて大きな課題だったんですね。そのときに内部告発で、一方、保険金の不払を大量にやっているというのがあって国会で取り上げていったんですけど、そのときに、例えば、最初に、こんなことをやっていると第一生命はおかしくなるといって、善意で勇気を出して言った人がやっぱり漏らされて、誰がそういうことを言っているということになって報復的な扱いを受けたんですが、それでもめげずに頑張られたんですけれども。  あのときに刑事罰があったとして、三十万円の罰金があったとして、その第一生命の一社員ですよね、その担当者もですね、が、もうそういう、先ほどありましたけど、物すごい大きな、会社としての大きな使命を抱えたときに、この問題だけでその情報をそこだけで収めるということがあり得ない場合も、そういう場合もあるんじゃないかと思うんですね。  ですから、この守秘義務、刑事罰、おっしゃったように、もう非常に効果、引締め効果みたいなのがあると思うんですけど、現実的に言うと、オリンパスと東芝ともまた違いますよね、企業によっていろいろ違って、そのとき抱えている課題とかあると、もちろん刑事罰を入れたというその効果、いろんな効果は、波及効果はあるんですけれど、実際問題、先ほどあった、企業にとって外部に漏れるのを防がなければいけない情報であればあるほど、その担当者は、あるときにはその刑事罰を受けてでも、あるいは受けないように、いろんな手を使って経営トップにそういうことを漏らさない、大変なことになるというような意識で、本当はそういうことをやるとかえってマイナスなんですけれど、そういうこともあり得るんで、私は、この守秘義務、三十万、刑事罰というのは私も評価しているんですけど、万能ではないし、これによって全て歯止めが掛けられるわけではないと。やっぱり慎重に考えて、もっとほかのいろんな、先ほど言った行政措置の問題もやる必要があるというふうに捉えるべきことで、これだけ余り評価するのではないかというふうに私は見ているんですけど、率直な、濱田さんの闘ってきた歴史も含めて、ちょっとコメントいただければと思います。

濱田正晴オリンパス株式会社人事部門スーパーバイザー最高裁勝訴内部通報訴訟経験者

○参考人(濱田正晴君) 私、これまで内部通報に特化した話にかなり集中してきましたけど、なぜかというと、一号通報、今回かなり改正されるという部分と、強化されると、必要性が重視されると、こういう意味で言っていますけど、今この話に関連しては、やっぱり外部通報というところに関しては、オリンパスは過去に粉飾決算、これやっておりまして、社内でそれを、いわゆるこれ朝日新聞の取材によると、私は誰か知らないんですけど、私の闘いを参考にして、それで外に告発したということであの粉飾、これが分かって、損失隠しということで、今は一新されておりますけど、そういう意味からすると、やはり三十万円の罰金とか、そういったところでは不十分であるというのは、これは現実的には私、事実だと思います。  したがいまして、やはり、たまたまその方、誰か分かりませんけど、私がこういう、社内でこういう目に遭っているというのを知って、それで自分は内部は駄目だということですから、それがこの法改正になったからといって、それが直ちに内部で大丈夫というふうにはならないというふうに思います。  したがいまして、やはり、余りに一号通報を重視して、ステップを踏まなければ二号に行けないとか、そこのところの話をやっぱり余りし過ぎると、要するに、一号通報に力を入れてやるんだぞというところがかえって二号通報を阻止する、三号通報を阻止するという形になるので、その部分においては大変危惧はしています。  それで、結局、結論としては、確かに行政罰ぐらいは、不利益ということが認定されたら、少なくとも裁判上で確定したら、これは行政罰を入れるという条項。要は、政府として、行政の方とかですね、そちらとして、司法の仕事だから、こちらはそういうことを判定できないというんだったら、最低でも司法で、そういうことになると、行政罰が不利益をした企業等に入りますよという条項がびしっと要ると思います。それがない限りは、おっしゃるとおり、なかなか急激な変化と、いい方向の変化にはならない法律だと思います。  繰り返すと、その中でも一歩前進ということでは、私としては、まあよくやったから、今後の課題も多くなったなということで、関係の皆様には期待しているということです。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 終わります。

浜田聡みんなの党

○浜田聡君 浜田聡です。所属政党はNHKから国民を守る党、参議院会派はみんなの党です。よろしくお願いいたします。  参考人の皆様には、お忙しい中お越しいただき、本当にありがとうございました。そして、委員の皆様にも、少数会派にも御配慮いただき、参考人質疑の機会設けていただきましたことを感謝しております。  三名の参考人の方々に、いずれの方にも質問させていただこうと思います。順番としては、濱田参考人、拝師参考人、田中参考人の順番に質問させていただこうと思います。  質問に先立ちまして、本法案に関連することとして、我が党NHKから国民を守る党の党首である立花孝志の過去を少し紹介させていただこうと思います。  二〇〇四年にこの公益通報者保護法が成立しました。その翌年である二〇〇五年の春に、NHK職員であった立花孝志がNHKの裏金作りに関して週刊文春に内部告発をしたという過去があります。彼は、当時、NHKの編成局の経理職員でありまして、NHK職員の不正な行為を内部調査しているうちに、余りに腐り切ったNHK職員の実態を知るに至って、どうしても黙っていることができなくなったとのことです。  その後、労働組合と相談するなどNHK内部で改革を訴えながらもそれはかなわず、二〇〇五年の七月に退職に追い込まれました。彼は心の病を患いまして、一時は自殺も考えたとのことなんですが、しかし、腐り切ったNHKを外部から改革することを心に誓って行動を開始しました。政治団体を立ち上げ、地方選挙からこつこつ挑戦をしまして、その執念が実って、昨年、参議院議員選挙で議席を獲得したという経緯があります。正直者がばかを見ない世の中にしたいというのが彼の口癖でして、今回の法案は、その実現のため非常に重要なものと位置付けております。  前置き長くなり、失礼しました。  参考人の方に質問させていただきます。まずは、濱田参考人に質問です。  まず、内部通報訴訟経験者として本当に大変な思いをされたこと、敬意を表します。  質問内容としましては、産業医に関してなんですね。あらかじめいただいた資料を見ますと、濱田さんが産業医からも不利益取扱いを受けたというふうに承知しております。勝手に変な診断をされて、労働安全衛生法で休職に追い込んで、しかも許可がないと復職できないという措置を受けたとのことで、産業医が会社側に付いて不利益取扱いをするということに関して問題があると感じました。  こういったこの産業医に関する問題について、改善案など御意見いただければと思います。

濱田正晴オリンパス株式会社人事部門スーパーバイザー最高裁勝訴内部通報訴訟経験者

○参考人(濱田正晴君) まず、この産業医に関しましては、様々な、いわゆるインターネットを含めてですね、事実と異なる部分が流れているというのがあります。ということで、産業医そのものが無理やり私をちょっと問題があるというふうにした事実はございません。  ただ、産業医の診断を受けるようにというのが、あの当時の、人事の方からも含めて、余りにそこにフォーカスしたので、ちょっとその部分に関してやっぱり私なりに勉強したところ、就業規則も見直してですね、そうすると、従業員を退職させるということでは、やはり心の病といいますか、そのところで休職の命令、それで、戻ってくるときには産業医の許可が要るという、このいわゆる全体的な、内部通報とか公益通報の関係だけじゃなくて、いろんな案件の中で、やっぱり企業に雇われている産業医ということで、英語で言うと、これ別にドクターというのは付かないんですよね、英語ではね。別のネーミングがありまして、そういう意味で、やっぱり産業医そのものの在り方の問題と、あとは就業規則というところを問題にする。しかし、今おっしゃるように、何かあったときですね、あったときに、可能性として、産業医の診断が利用されるということは否定はできないというのがあります。  ですから、ここは私としては、やはり今後の、企業だけじゃなくて、いろいろな行政組織も含めてですね、そこら辺の課題であるというふうに思っています。ただ、いろいろなそれにまつわる問題が発生しているということは耳にしますけど、私のところで具体的に私が産業医から何か受けたという事実はありませんので、そういうことで、課題ということだと思います。  以上です。

浜田聡みんなの党

○浜田聡君 ありがとうございます。  それでは、拝師参考人にお聞きしたいと思います。  参考人の肩書を見せていただきますと、全国消費者行政ウォッチねっとの事務局長、あと弁護士をされているとあります。通報当事者の相談を数多く受けられてきたんじゃないかなと思うんですが、その中で最も印象に残っている事例、是非、この皆さんで共有したい事例というのがあればですね、守秘義務に反しない程度で教えていただければと思いますが、いかがでしょうか。

拝師徳彦全国消費者行政ウォッチねっと事務局長弁護士

○参考人(拝師徳彦君) 詳細にお話しすると、多分事業分野、事業者名とかなり特定されてきますので、あくまでぼかした形で申し上げさせていただきますけれども、メーカーの、何と申しますか、国の基幹産業を担っているような大手のメーカーの下請の方の御相談で、本来の規格、上から発注されてくる規格と違う規格で製品を作って、要するに手抜きをして、それをそのまま上げて、どうも上も気付いているようなんだけど何も言わないんだと。そういう、メーカーですから、いろんな製品にその部品が使われて、何かあったらどうしようという深刻な御相談です。  それで、その方、いろいろ悩まれて、周りの人たち、上司ではなくて周りの方々とか、あるいは御家族にも相談されて、どうしようかということで弁護士のところに相談に来られたということでした。それで、既にかなりいろいろと御夫婦でも御家族でも御相談をされて、やっぱり報復が怖いなという前提で来られていましたので、いろんな制度等についても調べられて来られていたと思います。  先ほど申し上げたように、私としては、非常に重要な問題だし、本来であればきちんと内部告発であったり行政の方に伝えるべきだろうということでお話はしましたが、ただ、恐らく、下請ですので、そんなに大きな企業ではないので、仮に行政通報した場合であっても、ひょっとすると誰が通報したかがばれるかもしれないというリスクはやっぱりありますよ、その場合に、仮に解雇されるとかその他の不利益措置を受けた場合には苦労される可能性もありますよというふうに申し上げました。  最悪は、知っている調査報道等得意な記者の方もいらっしゃるので、そちらの方も紹介しましょうかということでやりましたけれども、最終的には、ですから、その後、もし告発をするとか続けられるということであれば再度来てくださいねということでお話をしましたが、その後、その方は私の方には連絡は取られませんでした。という案件です。

浜田聡みんなの党

○浜田聡君 ありがとうございました。  答えにくいところを工夫しながらお答えいただき、どうもありがとうございます。  あと、田中参考人にお聞きします。  先ほども申したんですが、二〇〇四年にこの公益通報者保護法が成立しました。その翌年に立花が内部告発をしたわけなんですが、その立花が言うには、内部告発した当時、この法律が全く役に立たなかったと言っております。それから十六年たちまして、今回ようやく改正となりました。  参考人からは、今回、先ほどの話で、今回の法改正に対して評価をされる面であったり、今後の法案審議に期待することをお話お聞かせいただきました。  一方で、ここではほかの法律にも目を向けたいと思うんですね。今回の法案の趣旨である公益通報者の保護をするために、この法律以外の法律、例えば先生御専門の商法であったり会社法などの改正をする必要があるかどうかなどについて御意見いただければと思います。

田中亘東京大学社会科学研究所教授

○参考人(田中亘君) そうですね、まず基本的に、会社法では取締役その他の役員は法令を遵守して会社の経営をする義務を負っています。ですので、この法律で一定の会社に内部通報体制の整備が義務付けられた場合、それは、そのまま当てはまる会社の取締役は、内部通報体制の整備を義務付けられます。そして、そのような整備義務を怠ったことで会社に損害が生じた場合、それは多くの場合、取締役の義務違反に直結してくるということになります。ですので、そういう会社法の立て付けをみんな理解していることが重要です。役員の責任にかなりダイレクトにつながってくるものです。  もちろん、事業者に対して責任を負わせるということも重要ではありますけれども、会社というのは究極的には箱ですので、会社に責任を負わせれば、それは株主ですとか株主以外のステークホルダーの不利益になるわけですね。ですから、極端に言えば、それだけでは問題の解決になっていないということもあります。  やはり、直接、例えば不利益取扱いをした役員とか、そもそもの話、法令違反について責任を負っている役員がいるとすれば、その人たちの責任が追及されるようにしなければなりません。現在の会社法は、そういうような形で責任を追及できるような形になっています。この法律がもっと使われるようになるということも重要ではないかと思います。

浜田聡みんなの党

○浜田聡君 ありがとうございます。  以上で終わります。

佐藤信秋自由民主党・国民の声

○委員長(佐藤信秋君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。  参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十八分散会

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