国民生活・経済に関する調査会 第1号
- 発言数
- 90 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2020/02/12
会議録
○会長(白眞勲君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る一月二十日、藤木眞也君が委員を辞任され、その補欠として浜田聡君が選任されました。 ─────────────
○会長(白眞勲君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 国民生活・経済に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(白眞勲君) 御異議ないと認めます。 なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(白眞勲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○会長(白眞勲君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 国民生活・経済に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ政府参考人の出席を求めることとし、その手続につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○会長(白眞勲君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 ─────────────
○会長(白眞勲君) 国民生活・経済に関する調査を議題といたします。 本日は、「誰もが安心できる社会の実現」のうち、「困難を抱える人々の現状」に関し、「子どもをめぐる諸問題」について三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。 御出席いただいております参考人は、北海道大学大学院教育学研究院教授・附属子ども発達臨床研究センター長松本伊智朗参考人、独立行政法人労働政策研究・研修機構主任研究員周燕飛参考人及び特定非営利活動法人キッズドア理事長渡辺由美子参考人でございます。 この際、参考人の皆様に一言御挨拶申し上げます。 御多忙のところ本日は御出席いただき誠にありがとうございます。 皆様から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。 次に、議事の進め方について申し上げます。 まず、松本参考人、周参考人、渡辺参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただき、その後、午後四時頃までを目途に質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。 また、御発言の際は、挙手をしていただき、その都度会長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。 なお、御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、まず松本参考人からお願いいたします。松本参考人。
○参考人(松本伊智朗君) どうも、北海道大学の松本と申します。 本日は、このような貴重な機会を頂戴して、本当にありがとうございます。 私に与えられた題というのは、子どもをめぐる諸問題についてということで、特に子供の貧困の問題について話せという御下命でございます。子供及びその家族の貧困の現状についてということで、二十分の時間を頂戴をしてまずお話をしたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。(資料映写) スライドがございますので、お手元のものも見ていただきながらですけれども、これ、私のプロフィールでございます。特に付け加えることはございませんけれども、主に貧困の研究、あるいは子供、家族、福祉の研究をしております。 本日の報告の構成でございますけれども、まずは大きく四つですね、貧困率をめぐる動向ということと、続いて、子供、家族の貧困の現状、最後に子供虐待の問題と貧困の問題を重ねて考えるというふうな構成で進めたいと思っております。特に、二のところに時間を少し費やしたいと思います。一のところは全体の動向でございますので、皆さん御承知おきのことが多かろうと思いますので、余り時間を使わないというふうにしたいと思います。 まず、一の貧困率をめぐる動向でございますけれども、これは大きく三つの点を主に申し上げたいというふうに思います。一つは、貧困率、子供の貧困率の推移でございます。二点目は、世帯構成と子供の貧困の関係でございます、貧困率から見たということでございますけれども。三つ目は、税と社会保障による貧困率の削減効果ということでございます。 このときの貧困率と言われているものの定義でございますけれども、これ、国民生活基礎調査において相対的貧困率を推計をして厚生労働省で報告されております。その資料を使っております。等価可処分所得の中央値の二分の一というのを貧困線というふうに用います。貧困率そのものあるいは貧困線の引き方については幾つかのやり方がございますけれども、OECDあるいは日本政府はこれを採用しておりますので、一旦これに準ずるということにいたします。 これはもう既に何回も見られておられる資料だと思いますけれども、相対的貧困率の推移でございます。二〇〇九年から厚生労働省は報告しておりますので、一九八五年からの数字というのは後追いでの計算ということになります。 大きく言いますと、全体的には貧困率あるいは子供の貧困率そのものは上昇傾向であるということ。近年の動向でいいますと、直近のデータでは若干低下があるということ。これはもう少し、この三年後のデータについてはもうすぐ公表になると思いますけれども、経過の観察が必要かと思います。 続いて、世帯単位でございますけれども、詳しいことは申し上げませんが、やはり一人親世帯と未婚子のみというグループに貧困リスクが高いと。これは主に母子世帯でございますけれども、母子世帯の貧困リスクが高いということはまず確認をしておきたいと思います。 しかしながらでございますけれども、これは子供の側から見たときに、貧困線以下の世帯に暮らす子供の比率というのは、貧困の子供から見たときの世帯タイプとありますと、これは左側のブルーのところを見ていただきたいんですけれども、半分ぐらいが夫婦世帯でございます。夫婦と子供の世帯ということでございますので、世帯類型で見ると、一人親世帯に貧困リスクが高い、ただ、子供の側から見たときには一人親世帯ばかりではないと、むしろ半分は夫婦世帯だということになります。 したがって、政策的なインプリケーションとしては、一人親世帯に対するターゲットを絞った施策と同時に、全ての子供を対象にしていくような普遍的な施策の組合せということが重要になるということでございます。 三つ目でございますけれども、これは首都大学東京の阿部彩さんが、これまでの資料も阿部さんの資料をお借りしておりますけれども、が計算された再分配前後の貧困率でございます。これは、再分配後というのは、当初所得と税と社会保障による家計への介入後の所得です。つまり、税金を支払って、社会保障給付を受けた後の可処分所得の貧困率。一般的に貧困率というのはこの後者の方で出すことが多いですけれども、その前後でどういうふうに変動しているかということであります。 これを見ますと、どの年齢層でも、年齢層によって違いは若干あるんですけれども、そう大きく変動していないと。小さいところでは若干貧困率そのものは増えているということになります。これはどういうことかというと、日本の税制と社会保障というのは、子供の貧困率ということに関して言うと、その削減効果は薄いということでございます。これは、例えば高齢者のところですと、かなり貧困率が削減されるというふうになります、ここではデータございませんけれども。ですので、子育て世帯のところに対する所得の再分配機能が弱いということになります。 こちらは、ちょっとお手元に別紙で資料を配っております、細かいものですから。これはユニセフの資料で、各国ではそういうふうなものがどういうふうに再分配効果があるかということでございます。 見ていただきますと、これは薄いブルーのところが再分配前で、濃いブルーが再分配後であります。例えば、一番上はアイルランドですかね、次はハンガリー、UK、フィンランドとありますけれども、どこの国も最初のところから最後のところに貧困率が下がっているわけですけれども、幾つかの国が余り変わらないグループがございます、その再分配前後で。つまり、こうした国は家族に対する所得の再分配機能が弱い国でありまして、その中に日本も含まれているということになります。 これは大変悲観的な数字ではありますけれども、逆に言うと、取るべき政策を取れば貧困率は減らせるというふうなことも示唆されているかというふうに思います。ですので、今ここでお話ししたようなことは、確認されたことと政策上の示唆というふうにしてここでまとめておりますので、御確認いただければというふうに思います。 続いて進みます。 続いて、これは北海道における子どもの生活実態調査というものから、子供の家族の現状についてお話を申し上げたいと思います。約十分ぐらいの時間を使いたいと思います。 調査の概要はここにあるとおりでございます。かなり大規模な調査でございまして、二歳、五歳、小二、小五、中二、高二の子供とその保護者でございます。もちろん子供は小五以上ですけれども、合計約三万人に対する北海道内の調査でございます。大体北海道のこの該当する年齢層を、この年齢の子供を育てる世帯の十世帯に一世帯ぐらいが受け取っているような大規模なものだというふうにお考えいただければと思います。 北海道というのはある種の特殊な地域じゃないかと思われるかもしれませんけれども、むしろ、都市部と過疎地を両方含んでいるという点で、あるいは全国の人口の大体二十人に一人ぐらいは北海道民でございますので、そうした意味では、むしろ東京、大阪というふうなところの都市部集中型ということでなくて、全体の状況を一定示しているのではないかというふうには考えております。 これで見ますと、世帯年収でございますけれども、上が調査世帯で下が全国でございますけれども、見ると、一つは、これは年収二百万から三百万、四百万というふうにグループしておりますけれども、一人親世帯のところで、やっぱり三百万以下のところで半数を超える、六割を超えるということになります。全国のところでよりも低所得の方にやや偏っております。ただ、全体的には所得階層の格差の中で子育てが行われているということになります。 以後の分析でございますけれども、先ほど貧困率の方で申し上げた貧困線の、等価可処分所得の中央値の五〇%を基準にしまして、それの一・〇倍未満、あるいは一・四倍、一・八倍、二・五倍というふうにして区分をいたしました。それを基に、低所得層Ⅰから上位所得層までの五区分で分析を行います。 これは分析の区分の分布でございます。貧困線以下と推定されるところが一二・六%でございますので、大体全国の貧困率と近似をしているということと、母子世帯に高いということになります。 ここからですけれども、これは注意していただきたいんですけれども、これは働き方ということに関して、特にお母さんの働き、時間でございます。所得の問題から時間の問題に移りますけれども、これを見ていただくと、ブルーの方が母子世帯、祖父母は両方同居しておりません。オレンジの方が二人親世帯のお母さん、仕事がある人。母子世帯のお母さんは八割ぐらいが就労しておりますけれども、その中での働き方を見ると、どの年齢層でも母子世帯のお母さんの方が夜勤がある人が多いんですね。これはどういうことかということです。 そういうふうな、つまり労働市場への参入障壁が低いところに恐らく仕事を得られることが多いかと思いますけれども、ケア労働あるいはサービス労働の中で長時間勤務あるいは夜勤の勤務があると。そうすると、これは子供を世話するということとどんな関係にあるかということになります。 一つは、やっぱりそういうふうな仕事、夜勤の仕事をしなくてもよいような仕組みと、もう一つは、やはり夜の時間帯の子供のケアをどうするのかという問題がこれ両方含まれるということになります。つまり、貧困の問題と時間の問題を重ねて考えなきゃいけないということです。 もう一つは、ゆとりのなさということでいいますと、これ、赤のところが赤字で、家計の収支の状況でございますけれども、赤字で借金をしていると。右側の青の方が黒字でということになります。そうすると、明らかに所得が低い方が赤字ということになります。これは、貯蓄の方を見ても貯蓄がないということも多うございます。つまり、何か不意の出費あるいは病気というふうなことに関して大変対応がしにくい家計構造にあるということであります。つまり、硬直化していて、単に日々の収支が難しいだけじゃなくて、いろんな出来事があったときにそれに対応しにくいような構造にあるということであります。 そのことを別の側面から見ます。 これは未払、滞納についてということで、過去一年に以下のような公共的な支払について経済的理由で支払できなかったことがあるかということがあります。これで、あったとお答えいただいているものが幾つあるかという累計を見ております。 これを見ますと、上の方の低所得層Ⅰの方が、これは赤が三つ以上その累計があったということであります。一つ以上あったというところでも半分ぐらいなんですけど、低所得Ⅰを見ていただくと。ただ、幾つかのものが累積しているということがあります。つまり、あの支払をしながらこちらの支払をして、こちらに借金をしてあれをするというふうなハンドリング、ジャグリングが行われているということですので、大変気持ち的にも追い詰められてくるような、あるいは何か一つ病気だとか事故だとかあったときに大変もろいというふうな構造だということがここからも分かるかと思います。 ここでもありますけれども、特に滞納問題に対する対応というのは、単に取立てをするというよりも、こうした生活の困難に関する支援の入口というふうに捉えるということが大変大事かというふうに考えております。 これは、もう一つは、そうしたゆとりのない中で心身の健康でございます。 これを見ますと明らかなように、これはほかの調査でも大体同じような結果が出ますけれども、所得の低い階層の方が健康ではないと。つまり、疾病リスクを抱えておられる方が多いということが分かります。つまり、低所得あるいは貧困の暮らしというのは、余裕のなさというだけではなくて、健康問題を抱えやすいということであります。あるいは、それはどちらが原因でどちらが結果というふうな両方の方向があるかと思いますけれども。 これは、必要な受診を控えたことがあるかと、過去一年で病院に行こうと、行く必要があると思ったけれども、それを控えたことがあるかということであります。 上が保護者で下が子供であります。子供にしても保護者にしても、やはり所得が低い方が控えたことがあるという人が多うございます。ブルーとオレンジは、ブルーの方が健康である人であります。疾病状態にある人ほど受診を控えるということになりますので、これはアクセスの問題があります。もう一つは、時間の問題があります。もう一つは、見ていただきたいのは、全体的に保護者の方が子供よりも高いですね。つまり、子供は何とか行かせて自分が我慢しているというふうなことがこうした大きな数字からも確認できるということであります。そうすると、保護者の方にかなりの負担が掛かっているというふうな状況の中で子育てが行われているということになります。 続いて、これは、うつ状態の一種のスクリーニングするような尺度でございますけど、うつ尺度得点の分布ということであります。 これを見ると、やはり低所得層の方にうつ尺度得点の、まあ十以上というのは、ここでこれはK6という注意書きがありますけれども、心理的ストレスを測定するための指標で、国民生活基礎調査でも使われているものです。九点以上になると、これは気分障害や不安障害の危険度が高まるというふうな一種のカットオフのラインでございます。したがって、カットオフのラインをここでは十点としますと、その十点以上の割合が明らかに高い。全体的に数%の人がいるということと、特に低所得層のところでやっぱり五人に一人の人がそうした不安定な状態にあるというふうなことが推察されるということであります。 つまり、健康ということは心身の健康ということでございますので、やっぱりそれはいろんな物事に対応していくような一種の余裕とかゆとりというものを奪っているということになります。 こちらの方は、こういうデータは、これはなかなかないんですけれども、障害のある子供のいる家族であります。データでは、兄弟も含めて、例えば言葉の遅れだとか発達の遅れというふうなことも含んで障害のある、つまり一般的にケアニーズの高い子供がいる、含まれている世帯です。全体で八・一%ですので、これだけでも、まあクラスでいうと一人か二人、二人ぐらいはいるということですけれども、特に低所得層に高いですね。 これは恐らく、子供さんの面倒を見なきゃいけないので、家族の方の就労が制限されると。例えば、時間的に短くするだとか、あるいは仕事をしないという選択をするということも含めて、稼得の機会が制限されるということと大きな関係があるだろうと思います。所得の低いところに好んで障害児が生まれるというようなことではないかもしれません。ただ、健康を害するリスクはあるかもしれません。両方が原因かもしれません。 こちらは大人の方のケアであります。家族を必要とする大人のいる世帯。おじいちゃん、おばあちゃんの介護であるとか、あるいは家族の中に病気の人がいるというふうなことであります。 これも全体から見ると、低所得層の方にそうしたことが、人が含まれるということになります。そうすると、これも先ほどと同じように、例えばケアをする時間を割かなきゃいけないので、稼得の方が低くなるというふうなことがあるかもしれない。 このように考えますと、単に金銭的なゆとりがないということと家族のケアをしていく負担そのものが低所得層にはむしろ大きい。ただ、時間的な制約、時間資源の制約がある、あるいは経済的資源の制約があるというふうなことになりますので、例えば貧困の問題を考えるときは、所得を安定させることを通してケアのための時間的資源をきちっと確保する、あるいはケア負担そのものを減らすような代替的措置を別にとるということがセットで行われるということが重要であるということがここから分かります。 あとは、孤立的な度合いが大きいということはこのデータから知れます。 特にこれ見ていただきたいのは、これ二歳のところでありますけれども、二歳児を見ますと、これは、一番右側が二歳の低所得Ⅰですけれども、左側が二歳です。二歳のところに特に立ち話をする人がいないの回答割合が高い。これはどういうことかというと、例えば三歳ぐらいになると、保育所、幼稚園に行っている率が高いんですね。二歳のところが政策的には穴になって、孤立的になっていくということが示されます。逆に言うと、いろんな、通うような手だて、あるいは保育の手当てがあれば、こうした孤立は防げるということも示していると思います。 こちらの方は、その中で、制度の利用なり認知ということについて、やっぱり所得の低い層が排除されやすい傾向があるということと。詳しい数字は時間の関係で申し上げませんけれども。 過去一年で親子そろって旅行やキャンプに行ったというふうなところでいうと、やはり、そういうの行かなかったという、子供のアクティビティーの制限ということにつながっています。これは、例えば持ち物とかということですと余り差が出ないんですけれども、例えばこういうアクティビティーというのは、親の方が時間を確保しなきゃいけないということがありますので、余計にハードルが高いのでこういう階層差が鮮明になるということになります。 こちらの方は高校二年生の子供が答えております、進学希望でございますけれども、これを見ると分かりますが、一つは、全体的に右肩上がりでございますので、大学、大学院まで行きたいというふうに答えている子供は、やっぱり階層差があると。ただ、線が三本ございまして、一番上の線が札幌でございます。真ん中のオレンジが道内の大学、短大のある市町村です。下がない市町村です。そうすると、地元に大学がある、ないということが大変大きな進路希望の格差を生んでいます。やはり下宿をして遠くに行くというのはそれだけお金が掛かりますので、そうした意味では、進学機会の問題を考えるときは、所得階層格差と地域格差の両方の問題がとても重要だという、そこを緩和するというふうな観点が重要だということになります。 これは進学資金の準備状況ですけれども、所得の低いところの方がめどが立っていない、あるいは借金をすると、奨学金とかで借金をするということであります。 ちょっと二、三分オーバーしていますけれども、最後まで。 これは生活保護世帯の子供の進路希望でございますけれども、生活保護世帯も非世帯の子供も結構大学、まあ短大が多いんですけれども、希望があるということです。 こちらを見ていただきたいです。これは、上の方を見ると、大学等、専門学校も含むと、生活保護世帯の子供とそうでない子供でも余り進路志望に差がない。ところが、全体的には、実際は生活保護世帯のところでかなりの格差があるということは、これだけのところが諦めているということですので、やはり世帯分離、生活保護の世帯分離というふうなことを制度的にされていることが大変大きな障壁になっているんではないかというふうに考えます。 最後でございます。ここはまとめでございますので、見ていただければと思います。 児童虐待のところでございますけれども、そうした中で、ここに飛びます。 これは厚生労働省の方でまとめている死亡事例のものの所得分布であります。これは心中と心中以外がございまして、心中以外のところです。これは一般の所得分布に比べて、死亡事例のところを見ると明らかに低所得層の方に偏っている。所得が、一般的な所得のところも含みながら、明らかに偏っている。一方で、これ、左のところが、一八・九%とあるのが生活保護を受給している世帯です。ここから二点のことが言えます。 一つは、やっぱり貧困対策というのは、虐待の予防、特に死亡、あるいは死亡じゃなくても、虐待の予防という観点から見て大変重要な意味があると、有効であるということが一点。もう一つは、生活保護を受給している世帯が多いということは、逆に言うと、生活保護の中でのソーシャルワーク的な支援でできることがあるだろうということでございます。 以上、次の資料は時間の関係で飛ばしますけれども、結論的には似たようなことでございます。 以上でございます。
○会長(白眞勲君) ありがとうございました。 続きまして、周参考人にお願いいたします。周参考人。
○参考人(周燕飛君) 労働政策研究・研修機構の研究員をしております周燕飛と申します。 先ほど松本先生は子供をめぐる諸問題を幅広く御説明していただいたので、私は、ピンポイントでシングルマザーの就業と養育費問題についてお話をさせていただきます。(資料映写) 話の順番としては、まず背景、それから問題提起、次は、その就業問題と養育費問題についてそれぞれ詳しく御説明をします。で、最後に示唆をまとめたいと思います。 まず、背景としてですが、二〇〇三年以降の動きを御説明したいと思います。 ここで、なぜ二〇〇三年という話になるんですけど、実は日本の母子政策は、二〇〇二年の母子寡婦福祉法の改正は一つの転換点ですね。それまでは金銭給付が中心だった政策が就業支援へと重心を移るというような政策の大きな変化が見られまして、なので、その二〇〇三年以降の動きについてちょっと、それ以降どうなっているのかを先に説明したいと思います。 まず、総じて言えば、一部改善の動きが見られたと思います。一番大きな指標、重要な指標は貧困率なんですが、一人親世帯の貧困率はやや低下しています。二〇〇三年は五八・七%だったのが、直近の二〇一五年は五〇・八%になっております。 それから、シングルマザーの就業状況についても改善が見られています。ここに挙げているのは、就業率、平均就業年収と正社員比率なんですけど、就業率はほぼ余り変わらなくて依然として八割以上と、OECDの中でも非常に日本は高い就業率を見せているところはあります。 ただ、これは、素直にこれを拍手して喜ぶような状態かというと、ちょっとそうとも言えないんですね。なぜならば、やっぱりそこには幾つかのラッキーな要素が実は重なっています。 一つ目のラッキーな要素としては、二〇一二年以降に日本の景気拡大がずっと続いているんですね。景気拡大することによって労働市場が改善して、シングルマザーもやはりそれの恩恵を受けている部分があるんですね。もう一つのラッキーな要素は、一九九〇年代から二〇〇〇年前後までは母子世帯の数が非常に増えていたんですね。しかしながら、二〇〇二年をピークにして日本の離婚率は実は落ち着いてきたんですよ。それによって、二〇〇三年以降は、実はそれ以前のように見せたすごい勢いの母子世帯の人数の増加はなくなったんですね。なので、この二つの要素がちょっと重なったことによって、こういった改善の動きが見られたんではないかなというような部分もあるんですね。 そこにどういう課題が残っているかというと、一つ目の課題は、依然として母子世帯の貧困率は五〇%を超えています。これはほかの先進国に比べても高い水準であることは変わりないんですね。それから、働いているのに貧困という問題は解消されない。ほかの先進国では、働いていれば基本的に母子世帯でも余り貧困にならないんですけど、日本ではそうではない、むしろ逆転現象が起きているということもOECDの国際比較で報告されています。それから、元々二〇〇三年の福祉改革では福祉給付の削減が一つの目標だったんですけど、実際はその削減が余り進んでいないんですね。 なぜ働いても貧困なのかという問題提起なんですけど、ここに図表が、国民生活基礎調査で母子世帯の所得の種類別の割合を示しているんですけど、大きく三つのパーツに分かれています。稼働所得、社会保障とその他なんですね。一番大きなウエートを示しているのは稼働所得、およそ八割は稼働所得によって構成されています。それから、遺族年金とか児童手当、児童扶養手当といった社会保障給付も約二割、その他は僅か二%なんですね。なので、母子世帯のその貧困のもと、原因になるもとは、この三つのソースに全部理由があります。 一つ目は、やっぱりその八割も占めている稼働所得は余り高くないんですね。もう一つは、財産所得、養育費など補填的な収入が少ない。これは後でちょっと詳しく説明します。三つ目は、松本先生の御発表でも御指摘あったように、日本の所得再分配機能がそれほど働いていないということもあって、少子高齢化、低成長時代においては、社会保障の給付を本当だったらもっと貧困世帯に対して与えるべきなんですけど、思ったようにここは進んでいない。そういったことによって貧困の問題がなかなか解消されていないということがあります。 では、続きましては就業問題、ちょっと話に移りたいと思うんですけど、二〇〇三年以降は母子世帯に対する就業支援は非常に拡充されていたんですね。皆さん、もしいろいろ母子世帯に関する統計、政府のまとめた資料を御覧になる機会あれば、就業支援メニューが多岐にわたって非常に充実していることが分かるんですね。その就業支援メニューをちょっと大きく三種類に分けることができます。 一つ目は、就業機会の拡大。 それから、ジョブサーチ支援。ジョブサーチ支援というのは、やっぱりその人の持っている能力や職歴を生かしてベストマッチングの仕事につなげるような支援を指しています。その代表的なのは、例えば母子・父子自立支援プログラム策定事業という事業があって、就業支援部門と福祉部門が連携して、きめ細かな就職指導を行ったり職業紹介をしたりする、そういうようなサービスがあります。 それから、実は一番目玉になっているのは職業能力開発なんですね。職業能力開発でもいろいろチャンネルがありますが、大きく三つあります。 一つは、補助金を受けた民間企業によるOJTの訓練なんですね。日本では、これにぴったりするプログラム、今のところはないんです。一番近いのはこのキャリアアップ助成金なんですが。二番目は、国や自治体がじかにある特定の分野で職業訓練を行う。例えば、ハローワークにある公共職業訓練や、母子家庭等就業・自立支援センターでは無料パソコン講習会を行ったりとか、それはこれに当たります。ただ、国がじかに提供する職業訓練は、やっぱりメニューが少なかったりとか、余り母親のニーズにマッチできにくいという部分もあって、一番の重要なのは、やっぱり多いのがこの給付金付き民間訓練コースの使用なんですね。指定されているいろいろ訓練コースの中で、提供者は民間なんですが、国がいろいろ資金援助をして、多様のメニューから自分の好きな、あるいは一番自分にぴったりのものを受けるというのは一番多いんですね。 その代表的なのは、高等職業訓練促進給付金制度という制度なんですけど、この制度も二〇〇三年以降に一人親家庭に導入された制度なんですが、幾つか例えば指定している資格、専門資格を取得するために二年以上専門機関に在籍している母親に対して、その勉強している期間中の生活費をサポートするような制度なんですね。これは一番実は金額が高くて、金額は幾度か修正されてはいるんですけど、二〇一九年現在では、最大四年間受給できて、最大五百二十八万円が支給される非常においしい制度があるんですね。 ここにあるのは、いろいろ星印が付いているのは、二〇〇三年以降に導入された一人親に限定するものであります。 では、こういった職業能力開発策にどういうような効果が期待されていることなんですが、そこに、背後にいろいろ政策設定者の思惑があるんですね。おおむねこういうようなロジックです。職業能力開発すれば、その人の専門資格が保有できたり、それから今まで非正社員で働いていた人がこれのおかげで正社員で働けるようになったり、それによって世帯の収入がアップして、最終的には貧困率が引き下げるというような効果が期待されているんですね。 実際、正社員就業、もしその比率が上昇すればどのぐらい貧困削減効果があるかということなんですけど、厚生労働省の調査によりますと、正社員のシングルマザーの平均就業年収は非正社員の二・三倍に当たります。それから、仮に有業のシングルマザーの一六%が非正社員から正社員になった場合、今の正社員の割合は四四%なんですけど、それが六〇%になった場合は母子世帯全体の貧困率どのぐらい下がるかということなんですけど、簡単に計算すると約五ポイントが下がります。 では、国が行ったいろいろ母子世帯、シングルマザーへの就業支援制度に効果があったのかということなんですけど、これは私たち研究者が一番気になるものなんですね。 今、EBPMといって、やっぱりいろいろエビデンスに基づいた政策設定をしなければいけないんですが、そこについて、私の早期の研究によりますと、例えば先ほど申し上げた金額の高い高等職業訓練促進給付金制度なんですけど、この制度を利用するシングルマザーは非正社員から正社員への就業移動が確認されているんですね。 それから、母子家庭等就業・自立支援センターは無料のパソコン講習会とかを行っているんですけど、そういったパソコンスキルを習得しているシングルマザーの方は、再就職活動を活発に行っていたり、中長期的にそれによって良い職業キャリアに導く可能性あることも示されています。 直近で、去年、私は行った研究によりますと、高等職業訓練促進給付金制度を利用したシングルマザーは専門資格の取得確率が高いということが分かっているし、この制度を利用していた修了者に限ってみれば、訓練受給が正社員になる確率が高くなっていることは分かっています。 これはその一部の結果なんですけど、この給付金を受けた人と受けられなかった人の専門資格の取得割合なんですけど、目立っているのは、やっぱり大きな差が出ているのが医療・福祉関連資格なんですね。特に、看護師、准看護師の割合、その資格を持っている人の割合が高いということが分かりました。 ただ、例えば訓練を受けた人と受けなかった人の賃金を比較しますと、その肝腎の賃金への効果は実は統計から確認はできなかったんですね。いろんな推定手法をトライしてみたんですけど、どのモデルもやっぱりプラスの効果を捉えることができなかったんです。 何でそういうことになったかということなんですけど、三つの理由は考えられまして、一つは訓練コースにおける脱落者が発生しているんではないかなと。つまり、訓練は受給したんですけど、専門資格の取得に至らなかったケースも一定数起きている。それから、低収益の訓練コースを選択している人は少なからずいる。何が低収益の訓練コースかということなんですけど、例えば看護師とか保育士とか、取得はしやすいんですけど、取得しても余り賃金が上がらないというような資格は一部あるんですね。それから、キャリア漂流者の存在。キャリアの方向性がまだ定まらないうちにその訓練を受けて、せっかく資格を取得したんですけど、資格とは無関係の仕事に就いている人も一部いるということなんですね。 なので、その就業支援を講じる際の留意点をちょっとここでまとめているんですけど、例えば脱落者を減らすための仕組みの強化。いろいろインセンティブを付けてあげたりとかすることも考えられます。それから、高収益の訓練コースへの誘導。もうちょっと労働市場の需要と供給を研究して、より高収入につながるようなコースがもっとつくれるように工夫する余地があるかなと思います。それから、訓練前のキャリアカウンセリングの実施とかインターンシップの体験とか、そういうのも考えられるかなと思います。 次に、養育費の話に移りたいんですけど、就業収入を増やすほかに、養育費に実は大きな期待も掛かっています。なぜならば、一つ、日本は、諸外国に比べて養育費の受給割合はまだ低いんですね。それから、可処分所得に占める割合も高くないです。さらに、支払能力があるにもかかわらず、養育費を踏み倒している父親が多いと。それから、実は外国と違って、外国は未婚シングルマザーが多いのに対して、日本は離婚シングルマザーは約八割を占めているので、養育費の支払責任者というか、支払うべき相手を特定しやすいという利点もありますので、養育費の徴収に大きな余地が残っていると。 千葉大学の大石先生の試算によりますと、仮に日本はアメリカのウィスコンシン州の養育費ガイドラインに従って完全に一〇〇%徴収できれば、最大、養育費の徴収によって貧困率が一四・五ポイント下がるというような試算結果もあります。先ほどの正社員より、こっちの方がはるかに効果が大きいように見られます。 先ほどの申し上げたバックグラウンドのデータなんですけど、これは養育費の受給率と取決め率の推移なんですね。おおむね実は一九八三年以降は、ゆっくりではあるんですけど、養育費の受給率は改善傾向にあります。特に、二〇一一年以降は比較的大きな改善が見られます。一つ考えられるのは、二〇一一年に民法が改正されて、離婚届のところに養育費の取決めとかについてちょっと記入する欄を設けたというのが一つ大きいかなと考えられます。だけど、二〇一六年の現在の状況でも、諸外国に比べれば養育費の受給率は決して高くないんですね。 これは養育費が可処分所得に占める割合なんですけど、諸外国のデータは二〇〇四年、ちょっと古いんですけど、日本のデータを、私は、二〇一六年のその厚労省の調査と国民生活基礎調査のデータを総合して計算しますと、離婚母子世帯の可処分所得の七・七%は養育費によって占められています。これは、外国に比べればちょっと低い数字ではあります。 では、養育費の取決めにおける日米の比較なんですけど、日本とアメリカは、日本に比べてアメリカの方が取決め率は高いんですけど、それだけではなくて、取決めをしていない理由も大きな違いが見られます。 日本は、一位の理由は相手と関わりたくないということになっているんですね、二位は相手に支払う能力がないと思った。アメリカは、一位は相手はできるだけのことをしました、二位は相手に支払う能力がない、三位は必要がないというような順位になっていますので、まあ相手に関わりたくないというのは非常に難しい問題なんですけど、いろいろやれるところはあるかなと。 支払能力がないと思った人は、本当、これは約二割いるんですけど、実際はどうなんですかねということなんですけど、私の研究所が行った子育て世帯全国調査の二〇一八年のデータによりますと、離別父親の年収をちょっと分布を見てみますと、確かに二百万円未満と回答したのは一八%いますので、約二割ぐらいですね、二割ぐらいは本当に払う能力がない。しかしながら、五百万円以上の人も一七%いますので、逆に、比較的に所得があって支払う能力が非常に高い父親も少なからずいる、同じぐらいの割合でいるということなんですね。だから、支払能力が完全にない人は二割程度で、残りの八割は、ある程度の支払能力を持っているということなんですね。 問題は、支払能力があれば払っているかというと、そうでもないんですね。年収五百万円以上の離別父親でも払っている割合は三七%にすぎないので、まあ三人に二人は踏み倒しているということになっています。 養育費不払等への対応なんですけど、日本ではまだ導入されていないんですが、諸外国ではその養育費確保の施策は様々に行われていて、大きく二種類に分けることができます。一つは立替え型で、国は養育費の一部あるいは全部を立て替えるという制度の国、例えばスウェーデンとかドイツがあるんですね。それから、取立て型で、取立て機関は非同居親からその養育費を取り立てるというような制度を取っている国も多いんです。どっちかというと、立替え型よりも取立て型の国が多いのかなと。二〇〇七年のOECDの資料によりますと、OECD三十一か国中に十二か国、三八・七%の国はそういう二番目の取立て型を使っています。 日本は、一応、そこまでの制度がなくて、養育費の受取はやっぱり父親と母親の間の事情として取り扱われて、細かなその修正、制度改善はあるんですけど、根本的には大きな変化はないんですね。日本の養育費確保施策をここに二〇〇二年以降にまとめているんですけど、私は、大きな影響があるのは、二〇一一年の民法改正と今度の二〇一九年の養育費算定表の十六年ぶりの改定、それから二〇一九年の民法の改正で養育費の強制執行はよりしやすくなったという二つ、ここは大きく何か変わるのかなと期待はしています。 示唆なんですけど、総じて言えば、就業支援と養育費の確保策は母子世帯の貧困を減らす有効な手段だと考えてもいいと思います。特に、養育費の徴収にはまだまだ工夫の余地が大きいんではないかなと思います。 ただ、その就業支援と養育費だけでは救えないシングルマザーも相当数いることをやっぱりどこか念頭に置いていただきたいと思います。先ほど言ったように、国も財政難なので、どこまで財政出動できるかということはちょっと何とも言えないんですけど、やっぱり許容する範囲内でこれらの家庭への社会保障給付を増やすことも検討すべきではないかなと思います。 特に、二〇一八年に行った調査によりますと、特に貧困の層、私は、アメリカで使われている言葉、ディープ・プアというような言葉を使っているんですけど、つまり、その世帯の所得は貧困線の五〇%を満たない、およそ十万円以下で四人家族暮らしている、シングルマザーの世帯は一三・三%もいるので、こういった世帯に対する早急の手当てが必要だというふうに考えております。 以上をもちまして私のプレゼンを終わらせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。
○会長(白眞勲君) ありがとうございました。 次に、渡辺参考人にお願いいたします。渡辺参考人。
○参考人(渡辺由美子君) ありがとうございます。NPO法人キッズドアの渡辺です。 私は、松本先生、周先生と違って、現場で学習支援ということで、日々、子供たちとかお母様、お父様とも接しているので、そのような声を代弁できればというふうに思っております。(資料映写) 私の方からは、学習支援の現状とこれからということで、お話としては、学習支援の現状が一つ、また、子供の貧困の一因となっている教育格差がなぜ生じるのかとか、どうすればいいのかというふうなことの観点が二つ目、それから三つ目が、これから学習支援をどんどん進めていく中でどうすればいいのかと、そういうふうなことをお話しさせていただければと思っております。 まず、こちらの前提条件として、なぜ学習支援が必要なのかということでは、教育格差のグラフ、非常に有名なものですけれども、親の所得に日本の子供の学力がくっついているという非常に特徴的なものです。親を選んで子供は生まれるわけではないので、お金持ちの生まれに生まれるか貧困なおうちに生まれるかは子供は決められないんですけれども、本来的には、要は、どんなおうちに生まれても自分が努力をすれば頑張れるという社会がいいと思うんですけれども、今現状としては、このように親の所得が高い家に生まれると学力が高くなるということがあります。 なので、学習支援はなぜ行われるかといいますと、そのようなことが続くと、要は、親御さんの収入が低いおうちに生まれてしまうとなかなかいい学力が身に付かないので、やはり進学や就職に不利になってしまって結局お子さんたちも貧困になってしまうという、格差が固定してしまうので、これは貧困の連鎖につながるということで、これをなくすために教育支援ということで、十分な教育が受けられないというところを無料で担保をすることで子供たちがちゃんと高等教育、十分な教育を受けて自立をしていくと、自立をしてもらおうということが一番重要だと思っております。 これ、子供とか保護者にとっても非常にいいんですけれども、少し社会にとってもどうかという観点で見ると、非常に子供たち、学力が低い状況になってしまうので、高校に行けないとか、高校に行っても高校を中退してしまうというふうになると、その後、なかなか稼ぐとか自立をすることが難しいので、将来的に社会保障、受け手になる可能性が高いんですけれども、何らかの支援を子供のうちに受けることでしっかりと自立をしていくと。 例えば、学習会で大学生のボランティアに出会って、もちろん両親は大学出ていないですし、大学出ている人初めて会ったんだけれども、何か楽しそうだから行ってみようというふうなことで自分も大学に行って、正社員になったりとかすると、ちゃんと稼いでくれて税金も納めてくれるので、一人当たりにとってもプラスマイナスが非常に大きいのではないかと。 これ、私たちの手計算でも一億円ぐらいあるかねと言っているんですけれども、日本財団さんがちゃんとした試算をしても、十五歳の一学年だけを取っても、要は、経済的損失が二・九兆円ぐらいあって、さらに社会福祉の増加一・一兆円あるので、一学年だけでも四兆円分ぐらいの経済効果があるのでやった方がいいだろうと。なので、子供の貧困対策、内閣府さんの方でも、これは福祉ではなくて、将来への投資として捉えようというふうな考え方になっています。 子供の学習支援の現状でいきますと、生活困窮者自立支援法ですとか子どもの貧困対策法ができまして大分進んできました。生活困窮者自立支援法の学習支援の実施率でも五九%ということで、徐々に上がってきています。それ以外にも、一人親家庭の学習支援ですとか、文科省がやられている地域未来塾ですとか、民間による学習支援なども進んできています。 また、学習支援というと、勉強というと学力向上で、冒頭のテストの点みたいなことで考えられがちなんですけれども、実はそうではなくて、生活支援ですとか、非認知能力の向上ですとか、ソーシャルスキルの獲得とか、要は、貧困の状況の子供にはいろんなものが欠けているのでそういったものを補っていくと、そういう効果が非常に大きいというふうなことが分かってきました。また、食が実は不足しているんだとか家に安全な居場所がないんだというふうなところでは、食事の提供ですとか安全な居場所の機能というものもこの学習支援が兼ねているというふうなことになっています。 そういう中で、学習支援の形態自体も非常に多様化しています。集団授業型とか個別の指導塾型とか自習型とか家庭教師型とか居場所とか、様々な学習支援の形態が今は出てきていて、それが、地域特性、対象とか求める成果とか費用とかボランティアの有無だとか、そんなことで決まっているというふうな状況です。 また、もう一つ、学習支援事業では、今その成果をどう測っていくのかということで、テストの点ではないというふうなところでどうしていくのかですね。例えば、私どもではロジックモデルをつくって、最終的なアウトカムとしては子供が自立していくというところで、それに向かってどんな力が必要なのかということを測ってソーシャルインパクトマネジメントをやっているんですけれども、いわゆる学力向上や受験の合格率のみではなくて将来的にちゃんと自立につながっているかと、そういうふうなことをちゃんと見る仕組みが必要だなと思っております。 次が、子供の貧困の階層といいますか、私たち十年ぐらいやらせていただいているんですけれども、十年前は本当に日本で初めて子供の貧困というものがあるというふうなことが社会の認知が出てきたところで、実際どういう人がいてというふうなことも分からなかったんですけれども、十年間やっている中で、本当に一言で子供の貧困といってもいろんな状況の方々がいらっしゃるということが分かってきました。 やっぱり、一番大変な方々は、生活保護とか児童施設に入っていたりだとか、いろんな家庭の、まず経済的だけではなくて家庭機能がなかなか厳しいようなおうちというのがありまして、勉強以前に生活全般の立て直しが必要だと。だから、子供だけに勉強を教えようと思っても無理で、家庭の支援とか家族支援とか、そういったこと等も一緒にならないとなかなか難しいというふうなおうちがあります。 その先に、家庭では何とかやっているんだけれども、非常に収入が低いので、やっぱり勉強がどうしようもないというふうなところで学力が低くなるとかというふうなところがあります。貧困ラインでいくと多分これ以下ぐらいなところだと思うんですけれども。 じゃ、その上が楽かというと、実はそんなことは全くなくて、貧困ライン超えているおうちでも、例えば一人親家庭で子供が二、三人いるだとか、二人親だけど非正規みたいなおうちでは非常に苦しい生活をされていますし、中流というふうに自分たちが思っている方々でも、例えば大学に子供を行かせようと思ったら奨学金を借りないと子供を行かせられないというふうなところでは厳しい状況でございます。 続きまして、学習支援事業の類型というものも非常にたくさん出てきておりまして、一つがアウトリーチ型の学習支援とか家庭教師型ということです。これは、一つは地方ですね。非常に子供がいろんなところにいて、数も少なくて公共交通機関もないと、そもそもどこかに集まって勉強するということが難しかったりだとか、あとは不登校傾向、お金もなくて不登校みたいなお子さんたちで集団に入ることが難しいというふうな子供たちのためにおうちに出向いていって勉強を教えると、こういうふうな事業が一つあります。 それから、一般的に一番多いかなと思うのが塾型の学習支援ということで、週一回二時間、公共施設に集まってとか、そんなことで曜日や時間を決めて子供を集めて勉強を教えています。これも本当にいろいろあって、高校受験の対策というふうなことで受験勉強を一生懸命やるところもあれば、開いている時間に来ればそこに教えている人もいますよだとか、自習室として開けていますよだとか、勉強以前に居場所として利用してくれればいいですよと、そんなことも含めていろんな形が出てきています。 三つ目が居場所型の学習支援ということで、これは私たちがやっているものなんですけれども、非常に貧困率が高くて、貧困度が高くておうちも大変な子供たちは、週一回集めて勉強を教えてもなかなか良くはなっていかないので、毎日来させて勉強を教えると、いろんな面倒を見るというふうな学習会です。 そのほかに、クーポンとか塾代の補助をして民間の塾等を利用してもらうと、そういったものもございます。 いわゆる塾型の学習支援だとこんな感じですね。これはうちの様子なんですけれども、大学生とか社会人の方が勉強を教えるだとか、あとはもう本当に学力もいろいろなので、寄り添って分からないことを教えていくというふうな形です。 居場所の授業というのをちょっと御説明しますと、要は物件を借り上げて毎日子供たちが来られるような施設です。学習支援のほかに特徴的なのは食事の提供ですね。おうちで本当に御飯が用意されていないというふうな御家庭がかなりあるということが分かってきたので、毎日御飯を出してあげるということと、あと、松本先生のお話にもあったように、要は体験、キャンプに行くとかそういったものが一切おうちではできないようなこともあるので、様々な体験活動を実施するというふうなことです。あとは、家庭に安心して勉強できるスペースがないだとか、一人親家庭で親が仕事のために夜まで遅いから、家に一人でいるのでどうしても勉強に向かえないだとか、そういったことがあるとか、あとは本当に虐待等々のおうちもあるので、そういった子たちが安心していられる、本当に第二の家みたいなものなんですけれども、そういったものです。 なので、学習支援と食の支援と居場所の支援と体験活動が付いておりまして、例えば平日ですと、毎日放課後の三時から八時まで、私たちは中学生をやっているんですけれども、開けていて、夕食として簡単ですけれども毎日出して、六時から八時はちゃんと勉強しようねというふうなことをしていますし、夏休み、冬休みとか土日は、おうちでお昼も食べられないので、朝から開けて、昼夜出して、勉強も教えますし、夏休みも、本当にどこにも行かないので、そういった子たちを集めて、いろんな企業さんの職場体験に行ったりだとか、寄附を集めてキャンプに連れていったりだとか、そういったことをやっています。 様子としてはこんな感じで、おうちで料理を習うみたいなこともできないので、みんなで一緒に料理をしたり、ちょっとミニプランターで畑やってみたりとか、あとはいろんなところで体験活動をするだとか、そんな形です。 じゃ、これはどういう子たちが利用するのかというと、例えば、二つだけ例を持ってきたんですけれども、一人親家庭で生活保護も受給していらっしゃるので、なぜかというと、やっぱり、お母さんがうつ病で、足が悪くて長時間の歩行も困難なので働けないというふうなことですね。背景としては、もう本当に幼児期からDV環境にいて、離婚をされたんですけれども、異父の姉とか兄もいるけれども、御兄弟も状況良くないしというふうなことで、結局食事は弟が作っているとかですね。この子も部活も入っていないですし、中一から不登校みたいなことでおうちにいたんですけれども、私どもの居場所に来るようになって、学力も非常に低かったんですけれども、来て勉強を少しずつやっていく中で明るさが出て、一応定時制の高校に進学をしていくというふうなことです。 もう一人のおうちも、本当に、お母様が病気で、一人親家庭で生活保護で、この子が料理を作っていると。非常に家も不衛生でゴキブリがいたりだとか、そういう状況で、一応学校には行っていて、いじめられてはいないんだけれども無視はされているというふうな学校の居心地も良くない子で、この子もここに毎日来ることでちょっとずつ明るくなって、工業高校に進んでいくというふうなことですね。 今までは、要はこういうおうちの子は本当に支援がなかった、何もなかったんですけれども、こういった場所ができることで、ここにつながって自立をしていくというふうなことができています。 少し私どもの学習支援、どれぐらいやっているかといいますと、二〇一八年度、一昨年の事業でいって、居場所みたいなもののほかに週一回の学習会とか、そういうこともやっているので、一応拠点としては六十五か所ぐらいあって、千九百人の生徒さんが登録してくださって、非常に多くのボランティアさんが関わってくださっていると。これも、大学生だけではなくて、最近は本当に社会人の方ですね、現役の方もいらっしゃいますし、定年退職された方もいらっしゃいますし、いろんな方がいるんですけれども、ボランティアさんが非常に多く関わっているということが特徴です。 進学実績といいますか、そうはいっても学習支援で自立をしていくためにどうなのというところでは、やっぱりどんな子も高校は行った方がいいよねというふうに言っているので、進学実績としては九年間やっていて一〇〇%ですね。行く高校は本当にいろんな高校で、全日制の学校に入れたいと思っているんですけれども、なかなかそうはいかずに、定時制とか通信とかチャレンジに入る子もいますけれども、高校はちゃんと行っていますし、最近は本当にやっぱり大学進学する子が増えてきました。生活保護家庭の子でも、つながってくる中で、やっぱり大学行きたいんだといって進学したり、一人親家庭の子も進学しています。 いいのは、そうやって学習支援を受けて大学に進んだ子がボランティアとして戻ってくるというふうなところで、子供たちにとっては一番いいロールモデルで、ここで頑張って勉強して大学に行けばいいんだというふうなことがあるので、非常にいい事業になっているかなと思っています。 子供はどれぐらいやっているかというと、まずは最初の高校受験ということで中学生をメーンでやっていたんですけれども、それ出た後で、高校生というのは本当に大変だというふうなことで、最近は高校生の支援に非常に力を入れています。下は小学生から、あとは高校を中退しちゃった子だとか、そんなこともやっています。 では、続きまして、少し教育格差の背景といいますか、なぜ生じるのかということで、これは実は二〇一七年から二〇一八年にかけて、お茶の水女子大学、当時の、今、青山学院大学にいらっしゃる耳塚寛明先生と一緒に、私どもの学習支援に通っている親御さんとお子さんたち、なので、基本的には低所得の御家庭のお子さんたちの中で、どういった家庭の背景があるかとか状況があるかというふうなことを調べた調査を行いました。 本当に今日はお時間が短いので、すごく抜粋をしますけれども、一つ分かってきたのは、家庭状況としては非常に厳しいというふうなことが分かってきました。一人親世帯の比率というのはやはり非常に高くて、一般だったら七・六%のものが、うちの学習会だと六三・二%です。収入も非常に少なくて、年収の二百万円未満という方が三割いらっしゃって、三百万円未満までにすると約半分というふうなところですね。この文科省の調査と比べると、平均値でも半分以下ですし、非常に苦しいということです。 お母さんの就労状況を見ても、パート、アルバイトが四七%ということで、これ、収入が少ないということと、もう一つは非常に不安定であるということがあります。例えば、今の時期、風邪を引いたとかインフルエンザで一週間仕事を休まなければいけないとなると、来月の収入が要は四分の三になると。月十二万何とか稼いでいたのが要は九万になるとか、そういうふうなところで来月どうしようという不安が常にあると。先ほど病院に行かれないという話もありましたけれども、病院に行ってもし病気が見付かったらどうするんだみたいなところの不安をずっと抱えているので、非常に大変だと思います。 なので、現在の生活をどう感じているかということだと、苦しいと思っている方が四五%で、やや苦しいが三三%で、八割ぐらいの方が苦しいと。子供にとってみると、要は、もうずっと苦しい苦しいと思っているお母さんと狭いおうち、本当にアパートの狭いところで一緒にいるのでなかなか前向きになれないと、これが大変な状況なのかなというふうに思っております。 学習会の成果は、本当に簡単に申し上げますと、例えばキッズドアの学習会に通うようになったことで褒められる機会が増えると。逆に言うと、こういう環境の子たちは、親御さんも忙しいから子供のことを見れないので子供を褒めないですし、学校でもなかなか褒められる機会がないのでなかなか自己肯定感が上がらないんですけど、褒める機会が増えるだとか、あとは学校の授業で分かるようになると。これは感覚値なので、成績としてはこんなにできるようにはなっていないんですけれども、それまでは全く分からなかった、学校の授業で座っているだけで苦痛だったのが、学習支援でちょっとやったことがあると、あっ、これ聞いたことあるとか、これ分かるみたいなふうになって、ちょっと積極度が出るというか、学校で過ごすことが楽しくなると、こんなことが効果としてあるだろうと思われています。 もう一つ、すごく重要だなと思っているのが、この頑張れば報われるということで、これは非常に貧困バッシングともひも付いているかと思うんですけれども、要は、貧困層の方たち、基本的には努力をされないというか、非常にだらしないというふうなことを思われがちなんですけれども、なぜかというと、要は、この子たちは、頑張る機会というのがほとんど、頑張って何かしなさいとか、そういうことを言われたことがないので、本当に頑張らないんですね。テストもやってみて、最初、単語テスト十個やって零点だと、もうほら駄目じゃんと言って、もう無理無理、私ばかだからいいのいいのみたいになるんですけど、それを学習支援で横に付いて、いやいや、そんなことはないから、やっぱりこれやらなきゃ駄目だからと言って、嫌がるのを、でもちょっとやろうよと言って一生懸命やらせると。そうすると、やってみたら半分できるようになると、あっ、嫌だけどやらないと駄目なんだとか、本当に勉強するとテストの成績上がるんですねとか。だから、高校受験も本当はしないとか言っていたんだけれども、何とかやると受験受かるみたいな。やっぱりそうやって頑張ると、嫌なことでもやらないと駄目なんだなということが初めて学習支援に来て分かるみたいな子が結構いて、やっぱりそういうことがすごく重要だと思っています。 本当に、この調査のまとめとして耳塚先生がまとめてくださったのがまさしくこれで、要は、子供の貧困ということで、経済的に厳しいということなので、本当に、塾の代わりに学習支援だとか、おなかすいているんだったら御飯食べさせるみたいなことをやればいいのかと思っていたんですけれども、実はそうではなくて、欠けているものとして、一つは文化的資本。本当に、家に全く本がないだとか、やっぱりどこにも行ったことがないとかだと意欲、モチベーションが上がらないので、やっぱりそういったものを足していかなきゃいけないということと、あと重要なのが社会関係資本で、これは本当にボランティアさんたちなんですけれども、いい人的ネットワークにいかに触れさせるかですね。例えば、母子家庭のおうちだと大人の男性と話す機会とか触れる機会がほとんどないので、社会に触れることがないんですよね。それが、ボランティアに来てくださっているサラリーマンの人と話をすることで、会社ってこんな感じなのかとか、そういうことが初めて分かるというふうなことで、この三つをそろえていかないとなかなか難しいだろうというふうに思っております。 最後に、少し課題といいますか、お話しさせていただきますと、一つが、本当に今、高校生世代、高校生の支援というのがほとんどない状況です。なぜかというと、基礎自治体が中心にしてやっているので、どうしても自分たちが市立中学校であったり中学生までみたいなところで、高校生がぽっかりと空いてしまうんですけれども、ここが本当に苦しいところで、高校生になっても家庭の状況は全く変わらなくて、お金は余計に掛かるので非常に大変です。 私たちもやるまでは、高校中退しちゃうのは本人の努力でしようがないと思っていたんですけれども、決してそうではなくて、要は、その高校生活に掛かる費用というのをほぼ自分でやんないと、ぎりぎりの生活でやっているので、それこそ通学定期のお金も、バイトをするか、本当片道何十分も自転車こがないといけないとかですね。どうしてもバイトをしなきゃいけないんだけれども、要は、その子たちというのが、学力もないので非常に駄目なバイトをしてしまうということで、遅刻、欠席が増えるとか、そういうことです。なので、高校中退というのをどうにかしていかなきゃいけないなと思っております。 現状施策といたしましては、若者サポートステーションというのがあるんですけれども、これは基本的に就業なので、じゃ、その十五歳、十六歳でなかなか勉強もできない子たちが就業しましょうといっても難しいですし、本人の気持ちも付いていかないので、要は、ここで引きこもり状態というか、社会からすぽっと抜けてしまって、最初どうしようもないと八〇五〇問題みたいなところにつながっていくので、私たちとしては、なるべく早くつなげてもらって、高校のときに、高校中退しないようにとか、高校中退してもすぐオントラックに乗せるというふうな支援がすごい重要だと思っています。 これは私たちが自分たちでお金を集めてやっているんです、高校世代のユースセンターということで、学習支援も生活支援も相談支援もキャリア支援もやっているので、やっぱりこれは非常に成果が上がっていて、就職も進学もしますし、中退はしなくなります。 それから次に、事業評価ですね。これ本当に非常に重要なことだと思っておりまして、学力で測ってしまうと、とても一番大事な、本当に厳しい不登校の子とか、発達障害の子とか、勉強がとても苦手な子だとか、自立するのが一番難しい子が違うからといって抜かされちゃうという可能性があるんですね。なので、そうではなくて、要は、自立に向けてどうやっていくのかという評価軸、これ本当に今厚労省さんとかともいろいろやっていますが、そこをしっかり見ていかないと本当に間違った事業になってしまうので、これはすごく重要だなと思っております。 それから、福祉と教育の連携といいますか、やはり子供のことなので、学校現場とかといろんな情報交換ができればもっといいんだろうなと思っているんですけれども、非常にこれが難しいというのでずっとここが壁になっているんですけれども、これを何とかできればと思っております。 それからもう一つが、行政と受託事業者との関係といいますか、NPOが民間で頑張っているんですけれども、なかなかそこのところで受託、委託という関係の中でやりづらいと。例えば、プロポーザルがあって、一生懸命今までつながっていた子たちと事業側になって切れてしまうとか、そういうことがあるんですけれども、本当にやっぱり子供たちとつながっている、親御さんとつながるというのが一番の財産だと思うので、これをどう評価して、その事業者を選ぶかというふうな新しい軸が必要なのではないかなと思っております。 最後、第二ステージに向けてということで五つほどありますが、本当に学習支援も多様化している中で、より洗練されていかなければいけないですし、やっぱり学習支援というのが、子供の支援だけではなくて世帯の支援だとか、そういったことにもつながっているということで、つながり続けることが重要ということですね。あとは、やはりこれ重要だよということを、やっぱり世論形成をますますしていただかないといけないかなというふうには思っております。あとは、本当に切れ目のない支援をしていくとか、高校生の支援をしていくとか、そういったことをしていただければと思います。 済みません、長くなりましたが、以上です。どうもありがとうございました。
○会長(白眞勲君) ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行いますが、まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず御発言いただけるよう整理してまいりたいと思います。 なお、質疑及び答弁は着席のままで結構でございます。 また、質疑者には、その都度答弁者を明示していただくとともに、できるだけ多くの委員の皆さんにじゃんじゃん発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力お願いいたします。 それでは、質疑のある方、挙手をお願いいたします。 本田顕子君。
○本田顕子君 ありがとうございます。 自民党参議院の本田顕子でございます。 今日は、松本伊智朗先生、そして周燕飛先生、渡辺由美子先生、意見陳述どうもありがとうございました。 初めて知る事実もありましたし、また、本日のお話を聞いてやっと分かる内容もございました。先生方の御提言、有り難く勉強させていただきました。本当に、この貧困の問題は深刻な問題であるからこそ政治に持ち込まなければいけないと、解決しないとお考えになってこその意見陳述であったものと思います。 そこで、松本伊智朗先生に御質問させていただきたいんですが、松本先生の資料では、事前にいただきましたちょっとこちらの参考資料も私読ませていただいたんですが、貧困をなくすことは非常に長い道のりだが、貧困について関心を増やすことはできると、個別の施策で一人一人の人生の可能性を少し広げることができると先生お書きになられておりましたけれども、現在、国としても貧困対策を急ぐべく進めているところでございまして、令和元年六月十九日には、子どもの貧困対策の推進に関する法律が改正されました。子供の将来だけでなく、現在に向けた政策でございます。貧困の状況下で育った子供たちが大人になっても貧困の状況から抜け出せないほど、いわゆる貧困の連鎖によって子供たちの将来が閉ざされることのないようにするものでございます。 この改正に込められた思いを更に実現していくために必要と松本先生がお考えになられるところがございましたら、教えていただきたいと思います。
○参考人(松本伊智朗君) 分かりました。どうも御質問ありがとうございます。 今委員の御質問は、現在の子どもの貧困対策法ですね、いわゆる、の改正を踏まえて、その後、次に何が必要かという点でございましょうか。はい、分かりました。 まず、貧困という問題は個人の側から見ると大変複合的な要素が絡んでおりますので、必要なものが不足しているということを通して人生のいろんな可能性が制約されるというふうな問題かと思います。そうすると、不足というものをどうやって埋めるかということと、制約というものをどうやって解くかというこの二点が基本問題でございます。財布の中にお金を増やすという話と、お金がなくても困らないようにする、多分この二点なんですね。 そのときに、現在の子供の貧困対策を考えますと、一つ大きく前進したのは、教育の分野で貧困の問題を考えようということでございます。私、教育学部におりまして、四十年間、そこで学生として、あるいは研究者の卵として、あるいは教員として過ごしておりましたけど、教育の分野で貧困の問題を考えるということ自体、やはりこの十年ぐらいの動き、こいつをきちっとしなきゃいけない。そのときに問題なのは、やっぱり貧困対策として教育をするというよりも、教育政策そのものとして貧困を緩和するような観点を取ると。つまり、貧しい人を、ターゲットを選んできて何か特別な教育ということじゃなくて、教育そのものが貧困を生み出さないような形でいろいろな工夫ができることがないかということを考えると、この点はまず大きな前提として持っていなきゃいけないだろうということがあります。 つまり、貧困の連鎖を断つというときに、例えば渡辺先生がおっしゃったような学習支援ということと同時に、学校でできることもいっぱいあるはずなんですね。それをどうするかという点がやっぱり議論がもう少しきちっとされていくということがとても大事だ、これが一点でございます。 二点目は、それの裏返しでございますけれども、やはり所得保障の観点、あるいは三人の参考人がみんな別の言葉で言っておりましたけれども、所得の再分配政策に関する言及が、やはり現在の子供の貧困対策に弱いということに思います。この点が全ての前提になるだろうと思います。これはやっぱり国なり政府じゃないとできないことということになりますので、この点をどう考えるかと。 それを踏まえてですけれども、今の子供の貧困対策のところで弱点がございます。一つは乳幼児の時期でございます。もう一つは障害児だとか、子供のケアの問題であります。つまり、将来への投資というふうな観点は大変大事でございますけれども、そのときに、例えば障害を持った子供の問題は抜けがちなんですね。今日はそのケアの問題もお話ししましたけれども。つまり、教育の場面でエンパワーメントするだけじゃなくて、やっぱり家族にケアが集中していることをどう防ぐかということと、やはりいろんなバルネラブルな状態にある人に対する個別的な支援をどう進めるかと。前段の大綱のフレームワークも、乳幼児のところと障害児のところはやっぱり抜けがちでございますので、そこのところは、これまでもやられてきた施策をどういうふうに貧困対策の観点から組み直すかということが重要かと思います。 個別の施策にちょっと入れませんでしたけれども、大きな考え方として、今の時点で評価すべきこととより議論しなきゃいけないことという観点で申し上げました。 以上であります。
○本田顕子君 ありがとうございます。 今、松本先生がおっしゃっていただいたその障害児のところでございますけれども、私、特に発達障害の子供の教育のところに関しては、今年度の予算ではちょっと下げられた部分がございまして、ただ、今発達障害で支援が必要なお子様というのは非常に増えておりまして、そういうところに逆に一人親世帯のお子さんも多いというお話を聞いております。でも、小学校から中学校までそういう子たちが特別支援学級が必要かというと、しっかり小学校でケアをしておくと中学校では要らなくなる可能性もあるんですね。ただ、今回、予算も減らされているという状況もあるので、そういったところも本当に私も必要だなというふうにケアの面で思っているところでございます。 次に、渡辺由美子先生にお尋ねさせていただきたいと思います。 先生からは学習支援の現状であったわけでございますが、先生は教育格差が起きる原因の一つに日本の財政の中で教育予算が少な過ぎるということを御指摘いただいていると感じました。国内総生産に占める教育機関への他国と比べた公的支出の割合を見ますと、日本は三十四か国の中で最下位に近い現状ということも先生御指摘いただいて、参考資料の方でですね、あったと思うんですが、渡辺先生は、税金で補われる部分が少ないために足りない部分を私費で負担しなければならない、これが教育格差だということをおっしゃっているのかなというふうに感じているんですが。 給付型の奨学金のことなんですけれども、二〇二〇年四月からこの給付型奨学金の対象が広がって授業料とか入学金もサポートしてもらえるようになります。新しい給付型奨学金制度について、渡辺先生はどのようにお考えになられているかを教えていただきたいと存じます。
○参考人(渡辺由美子君) ありがとうございます。 給付型奨学金は非常に重要だと思っておりまして、私たちもやったときに、出会ったお子さんで、非常に優秀で、うちの学習会に来る子はみんな勉強がすごい苦手な子が多いんですけれども、学年でもトップを取るようなお子さんがいたんですけれども、やっぱりそのお子さんのおうちも一人親で、ほかの御兄弟の関係でお母さんが働けないので生活保護を受けざるを得ないというふうなことで、本当にその子は、それこそ先生になりたいという夢があったんですけれども、ちょっとそれが、どうやっても大学に進学することが難しいだろうと。その前に奨学金の仕組みがなかったので、行くんだったら世帯分離をして自分で貸与型奨学金を借りていかなきゃいけないというふうなところで、結局それは、そのお子さんは大学行くのはやめて、今公務員みたいなところで働いていらっしゃるのでいいんですけれども。 やっぱり、そういうことがあるときに給付型の奨学金の制度がないというのはどういうことかというと、要は、お金のない子は大学に行かなくていいんだよと、どうしても行きたいんだったら借りて行きなさいという国のメッセージだと思うんですよね。そうではなくて、やっぱり給付型の奨学金という制度があって、みんなどんな子でも行きたいんだったら行くべきなんだと。だから、そのためにちゃんと国としてはその奨学金の制度を整えていますよということがあって、ただ、なかなか足りないので、みんなには行かないけれども、これから広げていきますという話なのかなというふうに思っています。 なので、そういうことを言って、できたということはすごくいいですし、例えば、今年も頑張っていますけれども、うちの学習会に来ている子で、本当に、やはり生活保護を受けているお子さんが、これで行けると。実は、その子も去年まではどうしようかと、兄弟もいるので、やっぱり行かない方がいいんじゃないかと思っていたんだけれども、この制度ができたから多分あなたはもらえるというふうになったら、じゃ、行こうというので、今まさに頑張っているところです。 そういう意味では、本当に、まずは給付型の奨学金という仕組みがあって、どんな子でも行っていいんだよと、お金がないからって諦めることはないんだよというメッセージを出すことは、子供を明るくする上ですごく重要で、本当に今回、給付型の奨学金とか高等教育でいろんな仕組みが広がったということは、うちの学習会に来ているような子たちにはとても明るいニュースです。 ただ一方、まだまだ十分ではないし、それまで受けていた子がなかなか受けられなくなるだとか、いろんなことも聞いているので、そういう意味では、人材となる、次を担う人材のためにやっぱり教育予算を増やして、ちゃんと子供たちに必要な力を付けるとか、それは重要だと思います。
○本田顕子君 ありがとうございました。 以上で質問を終わらせていただきます。
○会長(白眞勲君) 須藤元気君。
○須藤元気君 立憲民主党の須藤元気です。 大変貴重なお話、ありがとうございました。子供の貧困と一言で言っても、根深い問題が隠されており、早急な対応が必要だということを改めて認識いたしました。 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、七人に一人、一人親家庭では半数以上が貧困との調査が出ております。平成十八年にOECDが出した経済審査報告書でも日本の子供の貧困率は高いと指摘をされていたにもかかわらず、なぜ対策を進めなかったのか、そのことが子供の貧困問題の解決に遅れを来したのではないかと私は思っております。 そこで、まず松本参考人にお伺いいたします。 私は、子供の貧困問題を解決するためには、財源を国債で賄い、積極的に財政出動するべきではないかと考えております。どこまで財源を確保できるのかという課題は残ろうかと思いますが、今あるような手当てを含め、優先順位が高い対応策というものはどのようなものとお考えでしょうか。
○参考人(松本伊智朗君) 施策の優先順位ということでございますか。 どの程度の予算を見ていただけるのかということで変わってまいりましょうけれども、一点目は、貧困率という観点からいいますと、やっぱり税と社会保障を通した所得の再分配機能ということをどう高めるかということですので、何かここを持ってくるというよりも、税の在り方も含めてきちっと考えるということがまず一点かというふうに思います。 その上ででございますけれども、あしたにでもというか、この国会でもというふうなことで考えますと、一つは、先ほど申し上げましたけれども、生活保護世帯の子供さんあるいは児童養護施設の子供さんというのは、ある意味政策的な枠組みで支えられている子供さんなんですね。政策的な枠組みで支えられている子供さんのところが進学率が低いとか苦労しているというのは、これはやっぱりおかしいわけです。おかしいわけです。 例えば、児童養護施設で、虐待の家庭から保護されたと。こっちに保護することでより幸せになれますよというふうなことがないとそれは本来おかしいわけですけれども、政策的な枠組みで支えられている子供さんがより不利を負っているというふうに結果的には見えるということをまずどう考えるかというのは、現在の制度、政策をどういうふうに充実させるかという観点でとても大事だと、何か新しいものをつくるというよりも。 そうした意味では、一つは、生活保護制度で大学進学等、行こうとした場合に、世帯分離という形で要するに保護費が減るわけですね。そうすると、先ほど渡辺参考人の方からメッセージという言葉がございましたけれども、大学行ったら金減らされるんだというメッセージになっちゃっているわけです。これはおかしい。メッセージとしてもおかしい。 例えば、児童養護施設のところも、例えば退所をすると、その後の、家族支えられるところがない中で若い人が生きていくことがどれほど大変かということに対して、何か支えますよと、国の方が、ある種の権限を使って、保護をしたあなたなんだから、ちゃんと面倒を見ますよというメッセージがないわけです。そうすると、やっぱり十八歳以降、これ児童福祉法の年齢の問題ございますけれども、十八歳を超えたところでも児童福祉の枠内あるいは若者支援の枠内できちっと支えるか、続く仕組みをどうつくるかということは、もう一点、すぐにでもしなきゃいけないことだろうと思います。 そうした中で、もう一つは、一人親世帯のところでいくと、やはり女性が不利と。特にケアと就労の両方をしなきゃいけないということが一人に重なるということをどういうふうに分散するのかという観点でいきますと、もう一つは、先ほど障害児の問題で申し上げましたけれども、お金のことにプラスして、やっぱりケア負担をどう減らすかと。それは例えば、夜の時間帯の保育であるとか、障害を持っている子供の保育であるとか、病院に行くときの一時的な子供の預かりであるとか、そういうような個別の手当てであるものをどうやって充実させていくかということがもう一つ大きな点だというふうに考えています。 あとは、教育保障の点については、渡辺委員がいっぱいおっしゃいましたけれども、例えば学校そのもので、やっぱり学校の費用徴収の在り方、あるいはそれこそ宿題の出し方一つ取っても、親に音読をしてもらいなさいなんて宿題は親がいなきゃできないわけです。親御さんが時間が取れなきゃできないわけです。ですので、それは学校で友達同士でやればいいじゃないかというような一種の発想の変え方で幾つか緩和できることがあると。その点が差し当たり優先度が高いと。ただ、それは所得の再分配機能とセットで行うんだ、パッケージで行うんだというふうな観点で議論していくことがとても大事だと思っております。 以上です。
○須藤元気君 ありがとうございます。 次に、周参考人にお伺いいたします。 公的職業能力開発事業のうち高等職業訓練促進給付金は、修業期間中、月額十万円が支給されるという、国家資格の取得をメーンにした手厚い訓練コースが設けられており、とても評価できるものだと私は思っております。 ただ、先生もおっしゃっていましたが、一人一人に何か向き不向きがあるため、もう少し幅広く、月額の支給が多少少なくなってもこの類似の給付制度をつくり、訓練コースを多様化し、取得できる専門資格の選択肢を増やすなどの対応は考えられないものでしょうか。見解をお伺いいたします。
○参考人(周燕飛君) 御質問どうもありがとうございます。 確かにこの訓練制度の一つの売りというのは手厚いことで、国家資格を、国家資格とは限らないんですけど、指定した、ちゃんと就職を見込める資格を取得することは一つの売りになっているんですね。それのおかげでやっぱり今までこれだけの成果を上げてきた部分があるんですが、ただ、ここに来てちょっと労働市場に少し変化が見えてきたんですね。二〇一二年以降、非常に労働市場が良くなっていて、就職、そういった専門資格を取得しなくても仕事を見付けるのがよりしやすくなったという背景もあって、だから、この高等職業訓練促進給付金というのが利用者数、実は減っているんですね、ここ数年は。 一つはその労働市場の変化にもあるんですけど、ただ、やっぱり利用している人の中では、どっちかというと一定の学力がある母親が今利用しているというような現状がありまして、一番本当に困っている層が必ずしもこの制度が利用できていないという部分もあるので。だけど、この制度の位置付けとしては、比較的に、例えば看護師専門学校とか保育士の専門学校に通えるほどの時間や学力ある人が使えるというのがある程度仕方がないという、何か性格上はそうなっているんですけど。 ただ、今までの割と範囲がすごい狭い中で、伝統的には就職しやすいというような医療・福祉関係資格に集中している中で、もうちょっと何か市場を開拓して、例えば今求人が非常に多い情報・サービス産業とか、あるいは建設業もそうなんですけど、もうちょっと業種を増やして、これから大幅なその人材需要が増えていくだろうという業界までそういうような資格がないか、そういうような就職に助けになるようなものがないかというようなことは今後検討する余地があるかなと思います。
○須藤元気君 ありがとうございます。 最後に、渡辺参考人に学習支援事業の評価指標についてお伺いいたします。 私自身、学校教育になじめず、通信簿は目も当てられないものでしたが、父親が自分の好きなことをやれといつも言ってくれたので、格闘家になったり、いろんな経験を積むことができ、まあ何とか社会に適応できました。しかしながら、現実は出身校や成績重視主義に偏りがちだと思います。学力はもちろん大切ですが、先生もおっしゃっていましたが、成績以外でも評価するべきものがあるのではないでしょうか。 渡辺参考人は、私のような勉強が苦手だった子供も含め、最も支援を必要とする子供たちが排除されないためには、学習支援事業の評価についてどのような点に留意すべきとお考えでしょうか。
○会長(白眞勲君) それでは、恐縮ですけど、時間の関係がありまして、答弁、若干簡潔にお願いしたいと思います。
○参考人(渡辺由美子君) ありがとうございます。 学力以外でやはり社会で自立していくために必要なのは、一つはコミュニケーション能力ですとか相談する力ですとか、そういったものですね。あと、自分で生活を管理する力ということで、本当に、学習会に遅刻、欠席が最初はすごい多いんですけれども、そういったことが改善していくというふうなことで、自分で生活を管理する力とかという、時間管理とかですね、そういったことも重要だろうと思いますし、一番重要なのはやっぱり自己肯定感といいますか自己効力感で、やっぱり自信がないと何もやらないですね。じゃ、こういうワークショップ行ってみればと言っても、いい、いい、行かないみたいなことがあるので、やっぱりいかに社会に出ていくということの自信を付けさせるかということがすごく重要だと思うので。 要は、評価としても、学習支援を一年間受けた後で、自己肯定感が上がったかとか生活管理ができるようになったかというのを、例えば遅刻や欠席が減りましたとか家で学習する時間が増えましたとか、そういうアンケートを取っているんですけれども、そういったことで測って、学習支援の質自体を評価していくということがすごく重要かなと思っています。
○須藤元気君 どうもありがとうございました。 頑張っているシングルマザー、シングルファーザー、そして未来を担う子供たちの元気を与えていけるように頑張っていきたいと思います。 ありがとうございました。
○会長(白眞勲君) 下野六太君。
○下野六太君 渡辺参考人にまず御質問をさせていただきたいと思います。 私は、一昨年六月まで三十年間、中学校で保健体育の教師をさせていただいておりまして、この資料と御説明の中で私も共感するところがたくさんあるんですが、やはり子供たちの中に、一番の今問題点は、ここに、資料にありますように、自己効力感、自尊感情、もう自分を肯定できない子供たちが今非常に多い現状があって、この三十年間、何と闘ってきたかというと、子供たちのその自尊感情の低さと闘ってきたのではないだろうかというふうに思っております。 そこで、この資料の中で、生活困窮家庭の子供たちの学習習慣と学力から教育格差の要因を探るというような、そういうようなテーマでも向き合ってこられたんじゃないかなと思うんですが、できない子供たちに達成感を味わわせることによって自信を付けさせる、これが社会に出ていく上での生きる力になるのではないかと考えて、そこで、私は、達成感を味わわせるためには一番苦手な運動から取り組ませようと考えて、それが夏の水泳でした。 特に、経済的に厳しい家庭のお子さんに泳げない子供たちが非常に多くいました。そこで、子供たちと取り組んでいったその結果、五年間は掛かったんですが、教えている学年の子供たち、中に知的障害、情緒障害や様々な障害を持っている子も含めて、全ての子供たちをクロールで千メートル泳がせることができるようになり、平泳ぎは八百メートル、子供たちが夢だと言っていたバタフライも泳げるようになって、最終的に三年間でバタフライを含む個人メドレーを全員が泳げるようになったときに子供たちがあり得ないほどの達成感を感じ、そして、自由記述の感想文に、次は英語を頑張りたい、次は数学を頑張りたい、次は苦手だと思っていたことも諦めずに挑戦したいということを言い始めて、次々と挑戦をし始めていった。 それが私は大事ではないかというふうに考えておりますが、本当ならば、全ての学校において、子供たちを一人も置き去りにすることなく、学校教育の時代にそれら達成感を味わわせ、自信を付けさせるということが何よりも大事ではないかと私は考えておりますが、この点について渡辺参考人はいかがでしょうか、どのようにお考えでしょうか。
○参考人(渡辺由美子君) ありがとうございます。 すばらしい取組だなと思います。本当に子供たちに自己肯定感を持たせるためには、自分で成し遂げたという達成感を持つことはすごく重要だと思っています。本当に私たちもよく言うのは、中学三年生で高校受験をさせるんですけれども、要は私たちがやっていることって、高校に受からせるというそれとは別に、嫌な高校受験の勉強に立ち向かわせて、嫌で不安だけど、とにかく試験会場へ行かないとかと言っている子を何とか行かせるということで、とにかく試験に行って、やっぱりその結果受かったということで達成感を持つという、そこがすごく伸びるところなので、これを、受験だと一年掛かって長いから、富士山登山みたいな、何か嫌だけど、やった後で達成感があるみたいなプログラムが何か作れるんじゃないかなというふうなことはすごくよく思っています。そういう中で、本当に、水泳みたいなものでもいいですし、何かがあると思います。 あと、下野先生がおっしゃっていた中ですごく私たちも大事にしているポイントがあると思うんですけれども、要はどんな子も取りこぼさないということがすごく重要で、私たちも学習会の中で、やっぱりいろんな子がいるので、本当に、発達障害のお子さんもいますし、暴力傾向のあるお子さんもいますし、やらねえよみたいな子もいますし、すごくたくさんの子がいるんですね。 最初の頃は、要は、悪いことをするとここも追い出されるんじゃないかと、学校の中でそういう子たちは排除されて結局行けていないだとかいろんなことがあるので、ここで悪いことをするとまたここも駄目ってなる、出入り禁止になるんじゃないかと思って最初すごい不安げなんですけれども、どんな子でも基本的には来たいというか来る意思があるんだったら受け入れようと。多少、何か勉強会、すぐけんかするから最初のうちは勉強にならないとかあるんですけれども、それでもいいから、でも来たいんだったら何とかやるというふうなことをすると、周りがすごく安心するんですよ、あっ、あの子でもいられるんだったらいいんだということで。そうなると、本当に場の学力の向かい方というのがどっと上がるんですね。 なので、そういう意味では、いかに学校現場でどんな子でも排除をしないかということはすごく重要だなと思っていて、今、発達障害とかいろんなことがあってきて、あの子はとかというのがあるんですけれども、もう少し、例えば学校現場に支援員さんが入ることで、いろんな子が多様な中でもいられるようになれば、子供たちももうちょっと安心して勉強に向かえるかもしれないなみたいなことはすごく思うので、そういう中で、本当にどんな子でもやると。 例えば、中学生でも、私たちの学習会に来るような子は九九がちゃんとできない子というのは必ずいるんですね。二十人ぐらいの学習会があれば一人二人はいて、もう七の段とか八の段になると難しいんですけれども、やっぱり昔はどんな子でも先生が残り勉をして九九は全部言えるようにしてくれていたんですけれども、今はやっぱり学校の中で、お忙しい中でそういうことがなくなってきてしまっているかと思うんですけれども、やっぱりそういう基礎的なものをもう一回どこで定着するのかと、基礎学力をどこで担保するのかということはすごく議論の必要があるなと思っています。
○下野六太君 ありがとうございます。 松本参考人にお伺いしたいんですが、渡辺参考人の資料からお伺いすることになって大変申し訳ないんですけれども、経済的資本と文化的資本、社会関係資本が高い学力につながるというようなこの中にあって、私はその文化的資本の中で最も重要視しているのが本です。読書です。子供がこれから先、貧困家庭から社会で勝負していく力を身に付けていくためには、社会に行くまでの間、そして社会に出てからも、良書をしっかり読んで、人生に希望を持って挑んでいくということが何よりも大事ではないかと。そして、本を読むのに、図書館がありますから、お金もそんなに掛からないで良い本に巡り合うことができる。そういう環境をつくることができるかどうかが勝負かなというふうに思っているんですけれども、この点について松本参考人のお考えをお聞かせください。
○参考人(松本伊智朗君) 御質問ありがとうございます。 まず、読書を通していろんなことを考えるというふうなことについての大切さということについては全く同意をいたします。 その上ででございますけれども、やっぱり本を読むということ自体は、何かあることを通していろんな自分の人生であるとか世の中そのもののことを考える経験ということでございますね。ですので、本が好きな子だけではなくて、やっぱり話が好きな子、いろんなことが好きな子がいますね。それを通して、やっぱり自分の人あるいは世の中ということに対する経験をどんなふうにつくるかという観点から、読書のことも含めて考えるということが大事だと思いますし、それは、そうすると、本が好き嫌いにかかわらず、その経験はつくることができるだろうというふうに考えています。それは大きな教育の役割だと考えております。 ありがとうございます。
○下野六太君 終わります。ありがとうございました。
○会長(白眞勲君) 梅村みずほ君。
○梅村みずほ君 日本維新の会の梅村みずほと申します。どうぞよろしくお願いいたします。 本日は、松本参考人、周参考人、そして渡辺参考人、それぞれの皆様、専門の分野から多角的な知見をシェアをしていただきまして、本当にありがとうございます。 まずは、松本参考人にお伺いしたいと思っております。 先ほどから松本参考人からは、税の在り方を含め所得の再分配について考えなくてはいけない、パッケージとして捉えていく必要性などもお聞かせいただいております。 そこで、私ども日本維新の会では、最近はそういった多角的に視野を広めてこの国が抱える諸問題にどういうふうに立ち向かっていくかということで、税と社会保障と労働市場の三位一体改革というものを試案で今検討している最中でございます。是非、この税と社会保障と労働市場の三位一体改革について、この母子の貧困という観点から御意見を伺いたいと思っております。 こちらは簡単に説明をさせていただきますと、時間が限られておりますので簡単にになるんですけれども、まずは基本的な考えといたしましては、ベーシックインカムと言われております構造をベースとして考えております。社会保障ですけれども、ゼロ歳児以上の全ての国民に対して無期限に毎月再分配を行うという議論なんですけれども、それに伴って、税の分野では現在のフロー課税中心の税制をストック課税を中心にシフトすることを検討をしておりまして、その中には、今検討段階ではありますが、資産課税というものも視野に入れております。また、それにプラスをして、今回も母子の貧困ではやはり労働市場という問題も切って切り離せない問題かと思いますけれども、労働市場に関しては、現在は一旦非正規で働き始めれば正規雇用にはなかなか入ることができないという雇用の硬直化が起こっておりますけれども、これを、雇用を流動化させることがこの貧困の連鎖を断ち切る一手になるのではないかということで、ルールを定めた上で金銭解雇を含めた労働市場改革にも着手することも検討をしております。 こういったベーシックインカムというものを基本とした政策について、母子の貧困に与える利点であるとか懸念される点についてお聞かせいただければ幸いでございます。
○参考人(松本伊智朗君) どうもありがとうございます。 まず、所得の問題を考えるときに、税と社会保障と労働と、それぞれの分野で考えると、セットで考えるということ自体大変大事なことだというふうに考えております。 その上で、まず個別のことでございますけれども、ベーシックインカムという発想については、研究者の中でもいろんな議論がございますけれども、やはり一定の最低限所得の保障をしていくという点では、ある意味条件がないということでございますので、ベーシックでございますので、それはとても大事なことだというふうに考えております。それは、具体的にどのような額なり内容でということになると思いますけれども、ベーシックですので、それで現在望まれるような、あるいは社会で許容できないような水準を下回らないというふうな形で、ここはかなりの議論が必要だと思いますけれども、ベーシックということが大事だということ自体はまず一定、私自身も大事だと。どうやってやるかという、どの水準でということでのかなりの議論が必要だというふうに思います。 その上ででございますけれども、税というのをフローとストックで、ストックの方を中心にということ自体も、これまでストックのところについて余り手が付いてこなかったので、これはとても、そこを含めてということは大事だと思いますけれども、やっぱりインカムのところもどう考えるかというのは、どちらか選ぶということではなくて、ストックのところも見ていこうということもとても大事な点だと思います。 その上ででございますけれども、労働市場の流動化ということについては、お考えは分かりますけれども、私はちょっと条件付でというか、担保でございます。基本的にはこれはベーシックインカムの点がどのように、どれぐらい機能しているかということに恐らく関わると思います。 つまり、ベーシックインカムの基本的な発想は、労働と所得の関係を弱めるあるいは切るということでございますので、一定期間失業があっても困らないというふうな条件をベーシックインカムで整えるという方で労働の流動化ということがあるということであれば、余り失業しても生活そのものに破壊的なダメージはないよと、一定、失業期間、無業の期間があってもというようなことで、ベーシックインカムで担保するというふうなこととセットになるかどうかということがまず一点でございます。 もう一つは、やはり職場の労使関係そのものがかなり対等な形で整備をされていかないと、これは自由な形での労働市場の移動ということになりませんので、そうしたベーシックインカムの中身、もう一つは職場の労使関係そのものの在り方ということをどう考えるかによってかなり意味が変わってくると思いますので、そういう観点からの慎重な議論が必要だというふうに考えております。 以上でございます。
○梅村みずほ君 ありがとうございます。 松本参考人のおっしゃるとおり、金額によっても状況は変わってまいりますし、労組ですとか様々な立場からの御意見を聞きながらもんでいく必要があると思っております。 そのほかに、ストックの課税を考えたときに、じゃ、よく言われるのは、皆さん金の延べ棒にして資産をおうちにため込んだらどうするんですかとか、計算したとおりに額が合わないということになったときにはどうしたらいいのかと。まあ様々な問題が山積しておりますけれども、皆様に御意見をいただきながら党内でもんでいきたいと思っております。ありがとうございます。 では、続きまして、周参考人にお伺いをしたいのですけれども、周参考人の資料、そして御説明にもありました養育費に関してのことでございます。 周参考人の先ほどの資料とお言葉では、支払能力があるにもかかわらず養育費を払っていない離別した父親がいるケースがたくさんあるということだったんですけれども、こちらは、世界の先進国ではスタンダードになりつつある共同親権についても議論を深めていく必要があるのではないかというふうに考えております。 もちろん、共同親権ということを申し上げますと、やはり日本で問題になっているのは、夫からのDVを受けてシングルマザーになったのだと、命からがら逃げてきて子供と一緒にやっと違う生活を手に入れたのに、夫と共同で子供を育てていくなんというのは無理だという意見もたくさん聞こえてまいります。 そして、私もそういった意見もっともだと思いますし、大変気を配っていかなければいけないところだとは思いますけれども、一方でやはり、周参考人のお話にありましたように、父親が踏み倒すというのは、自分の子供として育てていくのではなく、例えば性格の不一致で別れている夫婦もたくさんおりますが、自分の子供という認識が年々薄れていく中で、お金だけ払っているのが嫌になってしまうという父親の存在もあるのではないかと思っております。 なので、非常にデリケートな問題ではありますが、共同親権について周参考人はどのようにお考えか、お聞かせくださいませ。
○参考人(周燕飛君) 御質問どうもありがとうございます。 御指摘のとおり、共同親権に関する検討が様々な、学界でも結構進んでおります。子供の貧困解消という意味では、私は、その共同親権は進むべきだと、その検討は進めるべきだと思うんですね。 ただ、今御指摘のとおり、DVの被害者の母親にとっては共同親権は非常に大きな壁になっている中で、私はケース・バイ・ケースで考えるべきではないかなと思いますね。例えば、特殊なケースに関しては共同親権は例えば慎重に検討するとか、そうじゃない場合は共同親権の形も可能であるようにしていくというような検討も進めるべきではないかなと思うんですね。 現状では、離婚した場合は子供の親権は九割は母親の方に行くので、しかも日本は単独親権しか認めていないという状況で、制度上たくさんのシングルマザーをつくり出しているんですね。数字を見ても分かるように、一人親世帯の九割以上はシングル、母子世帯で、父子世帯の数は非常に少ない、むしろ近年もまだ減少している傾向がある中で、子供の貧困という視点では、今後、DVのことも考慮しながら検討していくべきではないかなと思うんですね。
○梅村みずほ君 ありがとうございます。 渡辺参考人にも聞きたいことがあったのですが、お時間が来てしまいましたので、これで質問を終了させていただきます。 ありがとうございます。
○会長(白眞勲君) 岩渕友君。
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。 今日は、参考人の皆さんに貴重な御意見をいただきました。ありがとうございました。 まず、松本参考人にお伺いをするんですけれども、以前、北海道にお住まいの方からこんな相談を受けたことがあって、高校生のお子さんをお持ちだったんですけれども、スキー学習が必修になっているんだけれども三万円近い費用が掛かると、とても負担できないという御相談だったんですね。 この御家庭は生活保護を受けて、利用していらっしゃる家庭、世帯で、これまでは学習支援費を活用していたんだけれども、この学習支援費が廃止をされて、今後は申請があった者に対して支給をするということで、そのスキーの学習研修費という名目で請求、申請をしたら、今度は、その学習支援費は対象をクラブ活動費に要する費用に限定をすることになったということで、スキー学習は該当しないというふうに言われたんだけれどもどうしたらいいかという御相談だったんですね。これ、いろいろやり取りしたんですけれども、なかなかうまくいかなかったということがありました。 そして、先日、私、福島県の出身なんですけれども、福島県内で学校給食費の無償化を求めて運動されている方々からお話をお聞きする機会があったんです。 以前は、学校給食というと、自分で食べるものは自分で負担するのが当たり前だと、こういうふうに言われてきたんだけれども、今や福島県内の過半数の自治体がこの学校給食費無料にしていたり、一部補助、何らかの補助をしているんです。給食が教育活動の一環であることや、貧困と格差が広がる中で子供たちの育ちを平等に保障するための切実な要求になっているんだなというふうに感じましたし、住んでいる場所によって負担が違う状況が広がっていると、こういうことを解消するために国がどういう責任を果たすのかということが問われているのではないかというふうに思いました。 その家庭の経済的な状況が子供たちへの不利益につながると、そういう状況がある中で、貧困を解決、改善をして、その貧困の連鎖を断ち切るためにも、教育の分野で、そしてそれ以外の分野でもなんですけれども、国の経済的支援、社会的支援強めることが必要だというふうに考えるんです。 そこで、参考人の考えをお聞かせいただければと思います。
○参考人(松本伊智朗君) 御質問どうもありがとうございます。 今委員御指摘の例は、二例とも学校での費用の徴収ということでございますね。委員おっしゃるように、学校あるいは学校教育制度の枠内でできること、あるいはしなきゃいけないことというのはいっぱいあるというふうに考えています。その一つが、委員おっしゃるような学校での費用徴収の問題だというふうに思っております。 結論から言うと、私、学校での費用徴収はもうなくすという方向でいいんじゃないかと。例えば、スキーは、これ、スキー学習ですので授業の一環ですよね、授業で掛かるものなので、それはみんなで。特に、私も北海道分かりますけど、スキーのうまい下手というのは階層差すごい出るんです、リフトを使って行くのだって一日何千円か掛かりますから。連れていくのに時間も掛かりますので、もちろんお金も。そうすると、スキーなんてみんなで学校でそろえておけばいいというふうに思いますし、それぐらいのお金は、何ぼ国にお金ないって、あるだろうとか。学校の給食もそうです。どうせ食べるものなので、これ無償化したらいいと。 そうすると、学校の先生のいろんな負担とかトラブルも減るはずなんですね。全部のコストで見たら、結構ただにする方が逆に安いと、学校の先生の時間的コストも含めて考えたときに安いような気がいたします。 やっぱり、一番大事な観点は、学校で子供が惨めな思いをするということを防ぐ学校でありたいと。うちでしんどい思いをしていても、学校に来たら楽しいという学校をつくるというのは学校に関わるみんなが考えることであります。現状は、うちに金がないと学校でも惨めだということにしていると。これは学校の問題であります。学校の問題であります。 ですので、費用徴収というのはとても大きな問題で、それは無償化することで、そんなに大きな財政的負担ではないだろうし、むしろ、先ほど申し上げたメッセージという点でとても大事なメッセージ、国からのメッセージだと考えております。 お答えになったかどうかはあれですけれども、この二つのことについて、学校の費用徴収という観点からお答え申し上げました。
○岩渕友君 非常に励まされる御答弁だったというふうに思います。ありがとうございます。 次に、お三方にお聞きをしたいんですけれども、事前に配付された資料を見せていただいて、それで、松本参考人が企業収益の伸びと賃金の伸びの関係について書いてあるものが資料に入っていたんですね。日本は、一九八〇年代、九〇年代は右肩上がりで、会社がもうかれば給料も上がると。だけど、二〇〇〇年代以降というのは右肩下がりで、会社がもうかっても給料は下がると。じゃ、もうけどこ行ったかというと、内部留保と株主配当に回って、収益が賃金に反映しない構造になっているということが大きな変化だというふうに書かれていて、お金がない人は何でもっと働かないのかと個人に矛先が向かう話ばかりしていてはどこか間違うことになるんじゃないでしょうかということが述べられていました。 そして、渡辺参考人の資料の中にも、お金がなくても頑張れば夢はかなうと言う人いるんだけれども、例えば奨学金一つ借りるにしても、経済的な余裕がなければどうしても不利な選択しなくちゃいけないと、利子付きの確実にもらえる奨学金を申し込むしかないという実態であるとか、これびっくりしたんですけど、少ししか勉強しない高所得の家庭のお子さんの方が毎日長時間勉強する低所得者の家庭の子供よりもはるかに点数が高いと。これは何でかというと、家庭が持つその文化資本であるとか生活環境の違いが埋め難い差になって現れていると。これは本人の努力で格差は埋まらないんだということが書かれていました。 そして、さらに、教育格差が起きる原因の一つとして、日本の財政で教育予算が少な過ぎるという指摘をされていました。OECDの調査で毎年日本が最下位争いをしているような状況で、文部科学省の予算を二倍にしても世界平均並みに届かないという、これに本当にちょっとびっくりしたんですよね。 貧困を自己責任にしないということが非常に重要だと思いました。そのために、どこをどう変えていけばいいか、国がやるべきことは何なのかということで、お三方の考えをそれぞれお聞かせください。
○会長(白眞勲君) お三方ということですが、それでは、渡辺参考人から順番にというふうに思うんですが、ちょっと時間の関係で、大変恐縮でございますが、一分ずつぐらいでしか時間がないもので、申し訳ございませんが、おまとめいただければと思います。
○参考人(渡辺由美子君) ありがとうございます。 本当に、教育予算を増やしてやるとか、松本先生がおっしゃっていたのと全く同じ意見で、本当に給食なんかは無料にして、絶対子供の口に入るんだから完全無料にした方が、この少子化の時代、もう子供が九十万人を切るみたいな中では、本当にどんどんどんどん子供、若者に行くお金を増やすというのが必要だと思います。そういう意味では、本当にやっぱり税の再分配をもう少し子供、若者に増やすということがすごく重要で、私たちがやっていても、本当にあと一万円、二万円増えれば大分違うんだろうなというふうに思います。 私がよく言っているのは、今児童手当というのが十五歳で終わるんですね。月一万円出るというのが十五歳で終わるんですけれども、ほぼ九九%が高校進学して、その子たちは扶養されているので、稼げないわけですから、ほかの国見てもそうなんですけれども、親が見ている間は児童手当のような手当は出されるものなんですよ。なので、一万円だけれども十八歳まで延ばすということで、子供がそんなにアルバイトに頑張らなくてもいいとかということがあるので、そうやってやっぱり現金給付をどうしていくのかという、まあ給食費の無償もすごく家庭には助かります。 本当に三千円、四千円助かることがどれだけ楽になるかという家庭がいっぱいいるかということを考えていただければ、少しでも現金給付とか家庭の経済的負担が少なくなるということをやっていただくというのは最優先かなと思います。
○参考人(周燕飛君) 御指摘どうもありがとうございます。 私も賛成ですね。やっぱり、企業の内部留保がどんどん増えている中、それから、労働者の世界では高収入と低収入の二極分化がどんどん進んで、今まであった分厚い中間層がどんどん消えていくという、少なくなっていくというような社会的背景の中で、貧困を自己責任にしないというのは非常に政策目標として重要だと思います。 では、どうやってそのワーキングプアを減らすかということなんですけど、私はやっぱり、困っている人を助けると同時に、その人の就業インセンティブを損なわないという施策が一番重要だと思うんですね。ただ単にお金配ればいいというわけではなくて、お金を配るにはそれだけの財源が必要ですし、サステーナブルではないですね。だから、それを持続可能な制度にするためには、やっぱり働ける人はどんどん働いてもらって、だけど働いても貧困だという人は政策で助けましょうよというような制度を設計しなければいけないので、そういった中では、やっぱり日本も、将来的にはアメリカとかイギリスが既に導入している給付付き勤労所得税額控除という制度を入れるべきですね。 これはどういう制度かというと、一定以上の時間働いていても国が定めた基準の収入を満たさない場合は、それを国がむしろ税を返してあげる、負の所得税の形でその人の所得をそこまで引き上げていくというような制度を今後もっとやっぱり設計して、日本でも実行可能なものにしていくというのが今後の課題ではないかなと思います。
○参考人(松本伊智朗君) 国のなすべきことを一分でまとめよという大変難しい御質問をいただきました。 所得保障のことについてはもうお二人が述べられましたので、なぜそれが必要かというときに是非考えていただきたい、政策のときに考えていただきたい観点は、やっぱり時間の確保なんですね、時間的資源の確保という観点から所得と就労の問題を考えると。 やはり、人間が生きていく上で、所得は増やせますけれども、時間というのは二十四時間の配分なので、どこかを増やせばどこかが減る。そうすると、所得を増やすために子供のケアの時間が減る、あるいは自分の時間を削るということになります。これはなかなか見えにくいですので、時間的資源を確保するという観点からいろんな政策を考えるということが子供のケアあるいは虐待問題の予防という観点からしてもとても大事であるということを一点申し上げます。これは健康の問題とも関わります。これが一点です。 もう一つは、やっぱりケアの問題と、あと、費用調達を家族に任せないということです。家族に対する依存度が高くなればなるほど家族の金のあるなしが子供に利いてくるというのは当たり前の話ですので。所得保障で不平等度を緩和するということは一方ありますけど、それはなかなかすぐにならない。ただ、不平等でも子供のところに跳ね返らないというのは、家族の方に依存しないようなケアの仕組みをつくると、そのための教育の無償化であったり保育であったりというふうな観点をしっかり持つということだと思います。 この時間的資源の確保ということと家族への依存を和らげるというふうな観点ということで全体の政策を取りまとめるということが大事だと思っております。
○岩渕友君 ありがとうございました。
○会長(白眞勲君) では、浜田聡君。
○浜田聡君 浜田聡と申します。所属政党はNHKから国民を守る党、参議院会派はみんなの党であります。よろしくお願いいたします。 今回の調査会のテーマであります子どもをめぐる諸問題に関して、本日は参考人の先生方に貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。そして、この度質問の機会をいただき、ありがとうございます。 まずは、松本先生にお聞きしたいと思います。 子供の再分配後の貧困率についてのお話がありました。いただいた資料にもあったんですけど、それに関して確認されたこととして、日本は税と社会保障による子供の貧困率の低減効果が低いということで、資料に書いてあったのが、それに対する政策上の示唆として所得再分配の強化ということが書いてあります。本日の発表にもありましたように、日本にはそういった貧困率改善する余地がありますので、政策次第だということを聞いたと思うんですが。 先月より通常国会召集されております。予算の方が審議されておりまして、その上で、漠然とした質問で大変恐縮なんですけれど、所得再分配の強化を図るために予算委員会を始めとする各種委員会でこういったことを質疑、話題にしてほしいということがあれば御意見いただきたいと思います。
○参考人(松本伊智朗君) ありがとうございます。 政策的な議論でということでまず何をという御質問だというふうに受け取りました。 それで、貧困率という点、特に貧困率下げるという点での所得ということになると、それはいろんな制度を考えられますけど、今ある制度をどうするかと考えると、やっぱり児童手当、児童扶養手当のところだと思います。 教育というのはやっぱり将来への投資でございますけれども、将来の問題と今の問題を考えるというときに、貧困率というのは今ですので、そうすると、先ほど渡辺参考人がおっしゃいましたけど、年齢をどう考えるかと。 貧困率そのものは子供の年齢が上がるほど上がりますので、高い年齢のところも含めてどう考えるかということは、制度の内容の充実ということで是非国会でも御議論いただければということと、やっぱり額でございますね、額ですね。それは、やはりシミュレーションをして、どれぐらいの額になったらどれぐらいの貧困率の低減の効果があるかということはシミュレーションはできるはずですので、私自身はそういうことをしておりませんけれども、そうしたものを是非国の調査として行っていただければと思います。そうすると、先ほどの就労の効果と養育費の効果と児童手当の効果というふうな観点から議論ができるかと思います。
○浜田聡君 ありがとうございます。是非そういった議論がなされることを祈っております。 次に、周燕飛先生にお聞きしたいと思います。 日本では、シングルマザーとなるということは、例外はあるものの、貧困になりやすいということが事実としてあるかと思います。それに関して、世界各国の状況を参考にした上で、少しずつでも何とかしていくべきだと考えております。 先生の発表の中であったんですが、養育費の徴収に関しては非常に大きな余地が残っているという御意見があって非常に参考になったんですが、先生の資料の中に、立替え型、取立て型、様々な方法がありまして、ほかにも罰則のある国もあるとのことなんですね。そういった制度がある国に比べて、日本でですね、日本の社会的状況であったり風土とか考え合わせた上で、日本において養育費徴収を向上させるような、これであれば効果的であるというような方法があれば教えていただきたく思います。
○参考人(周燕飛君) 御質問どうもありがとうございます。 確かに、養育費の徴収に大きな余地が残っている中で、日本はどんな施策があるかと考えると、施策はいろいろあるんですが、どこまで日本の風土に合うか、日本で実行可能かというのが最大の問題であるんですね。 一般的には、できれば取立て型の方がお金も比較的に掛からないで徴収率が上がるというような、外国の経験から見るとそうなんですけど、しかし、日本人の風土から見ると、養育費の問題は家族内で解決すべき問題であって、国がここまで、例えばアメリカのような、一部の州では払わないと父親の顔写真とか名前が公表されて、この人払っていないとか、あるいはその人を外国に行かせないとか、そういうような強制措置をとっている国、オーストラリアとかとっているんですけど、日本人はそういうような、そこまで極端にやられるとちょっとショックを受けるかもしれないですね。だから、今までの日本のこういう政策はどうしても小出しになってしまうんですね。家族内の解決を最優先にしてやっていこうというのは、日本のこの文化的な事情もあるとは思うんですね。 この中で、小出しの中でやれることがないかということなんですけど、一つ考えられるのが例えば面会交流ですね。私たちの子育て世帯全国調査でも、やっぱり父親とちゃんと面会交流しているシングルマザーの方が養育費を受け取っている割合が高いとか。そこは、一部やっぱりもう相手の顔も見たくないという母親もいる中で、やっぱりここは国がちょっと仲介に入って、ちゃんとお互いに面会交流、子供と父親が会えるようにすれば、ある程度、比較的マイルドな手続で養育費の徴収を増やすことも可能だと思うんですね。 それから、やっぱり、今まで養育費の取決めがあるにもかかわらず払っていない父親が結構いる中で、養育費の強制徴収が余り使われていないという中で、もし払わなければちゃんと徴収しますよと、そこの実行力。だから、初め、今、取決めの割合も低いんですけど、離婚する時点で必ず取決めをさせましょう。そこで公正証書を作って、取決めあれば、強制徴収というか裁判所に申し立てれば強制執行がしやすくなるので、そこはいろいろ、今の日本の文化的な、日本人のそういったマイルドでちょっと許される範囲内で、取りあえず小出しでも改革は進めるべきであって、可能であれば、将来的にはアメリカとかオーストラリアの制度も参考して、取立て機関をつくって、その養育費の強制徴収に乗り出すということも考えるべきだと思います。
○浜田聡君 ありがとうございます。 最後にもう一度松本参考人にお聞きしたいんですけれど、あらかじめいただいた資料の中に貧困率に関する記述がありまして、それについてお聞きしたいと思います。 貧困率という道具を使うことで政策評価などの検討ができる一方で、ただそれだけでは分からないこともあるということが書かれておりまして、そこに興味を持ったんですね。その上で、貧困率用いることでの注意点であったり、あるいは学術的な新たな知見がありましたら教えていただきたく思います。
○参考人(松本伊智朗君) 今おっしゃったのは、貧困率という道具を使って物を考えるときの注意点ということですか。はい、分かりました。 やっぱりこれは政策効果、あるいはどういう社会的な集団に貧困リスクが高いのか、あるいは個人ベースの比較をするということに大変有効なものだと思います。 ただ、委員おっしゃるように、これ幾つかの留意点があります、留意点があります。一つは、やっぱり個人の経験という観点、あるいは個人が受ける制約というものを表現しないということであります。 所得の再分配のところは貧困率で見れるんですけれども、もう少し、対人サービスというものはやっぱり個人が受けている制約あるいは屈辱の感覚というものをどういうふうに和らげるかという観点でいきますので、それは分からないという、分からないというか別の観点で見る必要があるというふうなことだと思いますので、一つは、貧困率とそれ以外の指標、あるいは質的なデータを組み合わせて見るということが大事な点だということと、もう一つは、これ日本では余り使われていませんけれども、貧困線そのものの引き方には幾つかあります。幾つかの貧困線を併せて使ってみるというのは、国際的には研究者の間でよくなされることです。例えば、同じような、これ、等価可処分所得の中央値の五〇%、これを六〇%にしてみるとか、別のスタンダードを使ってみるというようなことで、それぞれの結果でどういうことが違うのか、あるいはそれを変えてみても同じなのかというようなことを検討してみると。 この点についてはまだまだ日本は統計が進んでおりませんので、むしろそういうものが使える統計をきちっと出す。あるいは、例えば虐待のところも、今日は申し上げませんでしたけど、例えば保護された子供の家庭状況がどうなっているかという統計も実は日本にはないんですね。個別の研究者が何とか苦労してデータを出しておりますので。だから、そういう事後的な評価に堪え得るような統計をきちっと整えていくということは、早急にすべきことの一つだというふうに思っております。 御質問ありがとうございます。大変大事な点だというふうに考えております。
○浜田聡君 終わります。
○会長(白眞勲君) 以上で各会派の一巡目の質疑は終了いたしました。 これからは皆さんから自由に質疑するという時間にさせていただきたいと思いますが、時間の関係上、できる限り御質問あるいは参考人の皆様におかれましても答弁も簡潔にさせていただければ有り難いと思います。 では、質疑のある方、挙手を願います。 小川克巳君。
○小川克巳君 ありがとうございます。 三人の参考人の方々には、本日は非常に示唆に富んだ御意見頂戴しました。ありがとうございました。 自民党の小川でございます。よろしくお願いいたします。 まず、時間の関係でということもありますので、お二人の方に御質問を申し上げます。 まず、松本参考人にお尋ねいたします。 いただきました資料の中に、ゆとりのなさということについて、この下段にあるんですが、低所得世帯に赤字が多く、未払、滞納の累積というふうなところがありまして、赤字で子育て費用の社会化というふうな記載がございます。 私、子育てそのものを、介護が社会化されたと、介護保険制度の導入に際して介護の社会化という言葉がよく使われたんですけれども、子育ても社会化すべきだというふうに思っております。 そういう意味では、先ほどちょっと周参考人にお尋ねがありましたような、いわゆる扶養ですね、この扶養に関してもきちんと対応ができるのかなというふうに思っているんですけれども、ここで松本参考人が子育て費用の社会化と、費用ということに限定されたことについての意図とその内容、そして、今申し上げました子育てそのものの社会化についてどうお考えなのかということをお伺いしたいということ。 それから、続きまして周参考人に一点お尋ねですが、これもいただきました資料九ページ、三の五で、しかし、肝腎の賃金への効果を見るとというタイトルのところでございます。これ高等職業訓練促進給付金制度の中のお話ですが、訓練の受給が賃金上昇に結び付かないということの理由として、二番目に低収益の訓練コースの選択ということの記載がございます。正社員になっても給料が余り上がらない訓練コースを選ばざるを得ない事情が存在すると。これ、須藤委員の先ほどの質問に絡むのかなというふうにも思いますが、その内容、それから、その二つ後のスライドの三の六ですけれども、就業支援を講じる際の留意点の(2)に、高収益の訓練コースへの誘導ということが記載されております。 この二つが少し矛盾するかなということで、これが実際可能なのかどうかということ、そこら辺の意図についてもお話しいただければと思うんです。 以上でございます。
○参考人(松本伊智朗君) 御質問ありがとうございます。また、丁寧に資料を見ていただいて感謝をいたします。 委員の御質問は二点あるかと思います。一点は、このところでなぜ費用というところに限定をしたのかと。もう一つは、もう少し広げて、社会化というふうな観点でどのように考えるかということかと思います。後者の方からまず御説明を申し上げます。 基本的には、社会化ということの裏返しは家族にのみ依存をしないと。家族というファクターが子育てには抜きにできません。抜きにできませんので、逆にそこへの負担をどういうふうに和らげるかということが大事だと思います。 少子化が進むということは親世代の兄弟が少なくなるということですので、基本的に親族網が縮小するということでございます。ですので、子供が個別家族だけじゃなくて親族網も含めた中で育てられるということは、親族網は急速に縮小しているということが家族を取り巻く現実でございますので、個別家族に対する負担というのはより集中している度合いがあると。もう一つは、やっぱり子育てのところが市場化されますので、やっぱりお金を出すということがすごく大きくなると。これが認識でございます。 ですので、一般的な社会化というよりも、やっぱり集中している構図をどう和らげるかという問題だというふうに考えています。そうすると、一つは、そういう問題と社会化を考えたいということでございます。 費用ということに限定をいたしましたのは、ここで挙げられましたのは、やっぱり費用の滞納の問題と関わっていると思います。滞納があるということ自体は、大変余裕のない家族の家計状況だと思います。子育て費用というのは余り値切れないんですね。そうすると、そちらの方を優先的にするとほかのところが苦しくなると。そちらの方を、子育て費用の方を削減すると今度はほかに子供にダメージが来るというふうな、そういう関係にございます。 そうすると、優先的に出さなきゃいけないようなところで、それは将来の国の全体を支えるものということ自体は、まずはそこは社会化するということが国の施策として大変重要な点だというふうに考えたということでございます。 以上でございます。
○参考人(周燕飛君) 御質問どうもありがとうございます。 小川先生に痛いところを突っ込まれたと思いますが、実は私も、計量分析で賃金との結び付きがはっきりしていないということでその原因を探ったところを、低収益コースへの選択というのはやっぱり一つの可能性として提起したものなんですけど、じゃ、具体的にどうすればこの高収益のコースにもっと誘導するかという、非常に政策的インプリケーションの強いメッセージ発せるかというと、今のところ、私、まだ答えを見出せていないんですね。 一つ、私は方向性として、これからもっと職業の性能、いろいろ職業の属性を調べて、アメリカではO―NETみたいな、職業の属性を示す情報をインターネットで公表されていまして、シングルマザーの問題は、余り職歴がなくて低学歴でもちゃんとした安定した職に就くというのが最大の政策目標なんですね。元々すごい学力もあってすごい職歴がいい、立派な職歴持っている女性はそんなに支援が必要ないんですね。だから、そこを、一番すごく難易度の高い人たちをどうすれば安定した職に持っていくかというのが理論上は非常に難しい問題であって、そこでやっぱり、いろいろ職業、属性を調べて、比較的にそれほどの学力と職歴がなくてもちゃんとした安定職に就く、職業をもっと洗い出す必要がこれから必要だなと思って。今はちょっと、今までの習慣に従って、もうほぼ九割は介護士、看護師と准看護師に集中しているんですね、資格。指定されている資格も、ほぼ全部、健康、福祉に関係する資格に集中しているんですよ。だから、そこでもうちょっと洗い出す努力がこれからしていく必要があるかなと思うんですね。 もう一つの論点として、方向性として、今資格にこだわっているんですけど、資格が要らなくても、でも安定して比較的高収入の職ってあるかもしれないので、そこはやっぱり企業と連携して、例えば、元々情報サービス産業、非常に人が足りない、足りない中で外国人を入れなきゃいけないという議論の中で、シングルマザーが仕事がないから、そこで、そこまでの学力がなくても、高校卒業程度の学力で身に付けるような仕事がないか、企業と初めから連携してやるというのも一つの手だと思うんですね。 例えば、私は、論文の中にも触れさせていただいたのは、NPO法人と民間企業がやっている未来への扉という事業なんですけど、その民間企業は化粧品会社で、元から美容部員という需要があるし、あと、何か事務の仕事をするスタッフを募集している需要があるから、そこで訓練を受けた母親の中から、面接して合格者を採用すると。直接、正社員の雇用に持っていくというようなコースもあったりするので。 だから、もうちょっと何か発想を少し広めて、そこに限定するのではなくて、国民の税金を使う以上は、やっぱりその税金を最もコストパフォーマンスのいいところで使っていくというのは常に何か検討していく必要があるかなと思います。
○小川克巳君 全く同感です。ありがとうございました。 それと、渡辺参考人にちょっとお伺いする時間がないんですけれども、やはり高校、私も教育が一番大事だと思っていまして、ただ、中学までで義務教育が切れる、その後はもう勝手にやれよみたいな感じになっているので、ここを大学につなぐまでの中のステップとしての高校というのは非常に大事だと私も思っています。そこら辺、何か今後少し私の方も意識しながら、その課題に、解決に努めたいと思っております。 ありがとうございました。以上です。
○会長(白眞勲君) 伊藤孝恵君。
○伊藤孝恵君 三人の参考人にいただいた貴重な御示唆、本当にありがとうございました。 まず冒頭、松本参考人にお伺いしたいと思います。 プレシンママ、これからシングルマザーになる方々への支援の必要性について伺いたいと思います。 日本は、もちろん、離婚をしなければ児童扶養手当というのがいただけません。あらゆる公の支援というのは戸籍をベースに受けられたり受けられなかったりというのがあります。また、日本は住所コンシャスというか、住所がないとなかなか就職もままならなかったり、保育園が転園できなかったり、小学校に入れなかったり、でも、不動産屋に行くとしっかりした保証人を求められて、それから前年の年収を求められて、なかなか新しい住所を確保するというのが難しかったりします。そういった中で、今非常につらいけれども、本当に今すぐ逃げたいけれども、いろいろな公正証書を取り決めるのも諦めてどこかに身を寄せるというふうに苦しんでいる方々もいます。 このプレシングルマザー支援というのが、なかなか国会の場でも議論にならない、イシューにも上がってこないというのがあります。その必要性についてどうお考えになるか、まず教えてください。
○参考人(松本伊智朗君) 御質問ありがとうございます。 政策的に考えて大変穴になっているところで、かつ緊急度の高い点だということについて、まず同意をいたします。 私、大学の教員としてずっと職業的にキャリアを積んでおりますけれども、一方でNPO法人の運営をしておりまして、それは自立援助ホーム、特に女の子の、女性の自立援助ホームの運営にも十年ほど携わっておりました。そこでやっぱり見ている子供、子供というか十代後半から二十代の若い人、家族の支えがない若い女性のところで一番大きなことは、やっぱり妊娠、出産をどういうふうに乗り切るかということなんですね、乗り切るかと。そこでいろんなトラブルになる、あるいはそこで例えば男性関係がうまくいかないというときに、むしろ男性の方から搾取されるというふうなことを、事例をたくさん見聞きをしておりました。身近でもたくさん起こっておりました。そこについて、まずきちっと政策課題であるということは認識するということがまず第一点、一点。 もう一つは、委員もお言葉の中であったかと思いますけど、やっぱり住宅付きの屋根付きでケアを受けられるような場所、それは児童福祉法の分野でいうと児童でないのでなかなか受けられない。お母さんになると、子供であっても今度は子供という枠じゃなくて母親枠になるので、本来子供として受けられるべき支援から外れて、お母さんというふうに扱われてしまうんですね。これは、母であって、かつ子供であるというふうな両方のことが必要で、そうなってくると、やはり一つはまず屋根付きの産前産後母子ホームのようなものというものを、これは法的には今きちっとありませんけど、これをきちっとしていく、整備していくということが一つ。 もう一つは、母子生活支援施設のところにそういう機能を持たせるような、これは法的な問題だと思いますけれども、法律上の改正を積極的に行っていくということが二点目。 三点目は、児童福祉法の分野で保護されていた子供をむしろ延長してきちっと親になっていくような支援を行っていくこと。これは、その人の人生の可能性だけではなくて、やっぱり命の問題、虐待死予防という観点からして命の問題だというふうに思っております。 政策的な細かいオプションについてはまだ申し上げたいことがございますけれども、大変大事な点の御指摘だというふうに同意しております。 以上です。
○伊藤孝恵君 ありがとうございます。 それでは、周参考人にお伺いしたいと思います。 養育費途絶問題についてお伺いしたいと思います。 今、兵庫県明石市では、まさにスウェーデン、ドイツなどの立替え型と、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの取立て型のハイブリッドのような仕組みが信用保証会社のサービスを使って行われております。 ただの福祉的なものではなくて、行政にとっては、児童扶養手当の支出は減少するし、シンママの年収が上がれば税収になると、そういったような経済的な側面もあってというふうに言われておりますけれども、ここにはやはり審査という壁がありまして、信用保証会社の審査に通らない。例えば、相手が回収見込みがないとか、回収見込みはあると思っても審査が通らない。なぜ通らなかったかの理由は分からない。つまり、本当に困っている方全員が使えるサービスにはなっていないという課題があります。 先ほどから周参考人の御意見をお伺いしていると、やはりこれは国が取り組むべきものであるというふうに御認識をされているのか。今実際に法的なアプローチをしようと思うと、強制の取立てというような法の立て付けというのは非常にいろいろ難しい側面があります。ただ、公正証書一〇〇%をするというのはできるかもしれないというようないろいろな法的なアプローチをしている中で、これはやはり国が取り組むべきものなのか、どういうふうにお考えなのか教えてください。
○参考人(周燕飛君) 御質問どうもありがとうございます。 養育費の確保は、国が関わらないと本当に低いままで、これ以上上がることは難しいんだろうなと思って、例えば、非常に強力に取り組んでいる国であっても、養育費の受取割合は五割超えている国はなかなかいないんですよ。なんだけど、そこの中で、やっぱりどこまで国が関与することによってどこまで養育費の受取割合が伸びるかは決まるんですよね。 先ほど挙げられた明石市の例が非常に賢い例だと思うんですけど、市が保証料を払って、負担して、そこを民間の企業にその回収業務を委託するというような感じで。ただ、審査が通らないというようなことを、現状なかなか難しいねというような、何か壁になっているということはそのとおりだと思うんですね。 一つ、一番大きな問題は、実は母子世帯のシングルマザー自身は、その取り立てる、養育費回収できない一つの大きな理由は、別れた夫の収入が分からないんですね。場合によっては行方不明になってどこで働いているかも分からないというような状況がある中で、私は一つ期待できるのは、やっぱり税務データとか、あとマイナンバーカード、そういった個人の情報の一元化で、こういう養育費の徴収はどこまで、そういうマイナンバーカード制度とか税務データとか、それを統合させて、父親の所得情報がはっきりと把握できるようにするのがこの養育費の強制徴収がうまくいくかいかないかの一番の鍵だと思います。
○伊藤孝恵君 では、渡辺参考人にお伺いしたいと思います。 渡辺参考人の、経済的資本のみならず、たくさんの経験をして、たくさんの大人に出会って、そしたら子供たちが飛び立っていける筋肉が付くんだと、そういうような記事をいつも拝見して勇気付けられております。ありがとうございます。 参考人には、ヤングケアラー問題についてお伺いしたいというふうに思います。 おじいちゃん、おばあちゃんの介護ですとか、弟や妹のケアですとか、また忙しいお母さんに代わって夕飯を作るというような、そういうようなことをするために部活をやめたり進学をやめたりする、そういう若人がいることが、ようやく、国の初めて実態調査をして、ヤングケアラーと言われる方々がいるというのがようやく認定された状態であります。全国にキッズドアがあればいいんですけれども、なかなかそうでもない中で、今、子供食堂の中で、子供食堂をみんな食堂にして、そこで学習支援もやりたい、ここが本丸なんだというふうに活動していらっしゃる方いっぱいいます。 しかしながら、その方たちが今、例えば、必要な人に情報がちゃんと届いていないとか、毎日御飯を食べるのに毎日できないとか、それから、貧しいと自分で認定するようで行くのが恥ずかしいですとか、それから、人の善意で成り立っていてなかなか運営が立ち行かないとか、いろいろな課題が、ジレンマがございます。 こういうものについて、どういう対処をしていけば、どういう政策を打っていけば有効だというふうにお考えになるのか、教えてください。
○参考人(渡辺由美子君) 御質問ありがとうございます。 ヤングケアラー問題、非常に重要だと思っております。 まず、必要な人に情報が届かないという問題はすごくあります。これは本当に、私どもがやらせていただいているのは行政の委託の事業が多いんですけれども、やはり行政としっかりと組むということはすごく重要な、この事業の中でもあってですね、行政は割とその実態を把握していると。児童扶養手当はあそこのうちが受けているとか、あそこは生活保護を受けていると分かっているので、ピンポイントで持ってこれるというふうなところがあります。 なので、民間の方たちがやるときに、今は行政の受託と委託という関係の中で機密情報の保持の取決めだとかそういうことをしているので、逆に、それがないと個人情報も出せないというふうなことがあって民間の方々の力が生かせないということがあるので、これから、子供の貧困にかかわらず、地域共生型社会に移行して、地域の中でそういったものをやっていただくときに、どのようにその情報を地域の信頼できる方に渡していくのかとか、そこにどういうふうな取決めをするのか。やはり非常に、かといってオープンになればいいという情報でもないので、そこはすごく重要だと思います。 また、私たちもやっている中で、すごく、例えば学習支援とか、子供たちに接するとか、保護者に接するというのでも、気を付けなきゃいけないことはたくさんあるなと思っていて、そのリスクというものを余り考えずに取り組むことで逆に悪くなるということもあるので、どういうふうにしていけばいいのかというノウハウをいかにちゃんとお伝えするかということは私たちも考えなければいけないなと思っているんですけれども。そういったことの注意点をしっかりしていかないと、みんながやりたいからやればいいというものでもないなというのはすごく感じるところで、やはり少し検証をしっかりするだとか、そういったことをしていくことは必要だなというふうに思っています。 本当にヤングケアラー問題でいきますと、私たちの中でも、高校生を見ていて、子供自体は全く問題がないんだけれども、親御さんが、その子がいないと家事が回らないので、要は、その子が自立をして生保から抜けて独り暮らしをするだとか大学に進むだとか就職するということを良く思わないおうちがあるんですよね。でも、それは、そのままにしておくと、その子がずっとそのおうちを抱えていかなければいけないということなので、そういったことが起きないようにどうすればいいかというと、私たちは子供の支援をしているんですけれども、子供じゃなくて、おうちのお母さんの問題だよねといったときに、そこは、じゃ、誰とどうやるのかというところが分からない中で、やっぱり地域の中にいろんなリソースだとかそういう仕組みみたいなことをつくっていくことがこれからはすごく重要だなと思っています。 ありがとうございます。
○伊藤孝恵君 終わります。
○会長(白眞勲君) ほかに。 それでは、下野六太君。
○下野六太君 済みません、先ほど言い忘れました。公明党の下野と申します。よろしくお願い申し上げます。今頃申し訳ありません。 周参考人、先ほど時間なくてお尋ねできなかったので、お尋ねさせていただきたいと思います。 シングルマザーで育っているお子さん、高校二年生の女の子と先日話す機会がありまして、話をしておりまして、高校二年生ですから、来年三月に私とお母さんは両方とも卒業するんだという話だったんですね。おお、お母さんが卒業かと、どこの学校に行っているのかということを聞いたら、看護学校だということで、すぐにお母さんに、ちょっと気になりまして、高等職業訓練の促進の給付金を受給されていますかということをお母さんに確認しましたら、お母さんは受給されていました。そこをどうして知りましたかということをお尋ねしたら、ハローワークで紹介をしてもらいましたという答えでした。 しかし、これまでずっとシングルマザーでなかなか経済的に厳しい家庭環境にあったお母さん方が一体どういう仕事をしてきたかということをこれまでずっと思い起こしてみたら、やっぱりパートですね、非正規、レジ打ちであるとかレストランの方で働くとか、あるいはパチンコ屋の清掃であるとかコンビニの仕事であるとか、そういった非正規だったんですね。 今回、たまたまそういうことがあって、非常にほっと胸をなで下ろしたときに、よくよく考えてみたら、今回の制度は非常にいい制度が整ってはいるんですが、なかなかそれは、制度はあるものの、まだまだ利用率が低いんじゃないかと考えたときに、私はアウトリーチが不足しているんじゃないかというふうに考えているんですが、その点、周参考人はどのようにお考えでしょうか。
○参考人(周燕飛君) ありがとうございます。 アウトリーチって具体的に何を指していらっしゃるんですか。
○下野六太君 いろんな形で、この制度があるということを出かけていって紹介をするとかというようなことが社会全体が不足しているんではないか、要するに知らないと。この制度が、要するに多くの方の知るところにはないと。だから、たまたまそのハローワークで、職業、困って相談をして紹介をしてもらったからそのことが分かったということで、なかなか社会全体には浸透していないというようなことについてどのようにお考えでしょうか。
○参考人(周燕飛君) 確かに、シングルマザーへの様々な支援メニューはある中で周知されていないものも多いんですね。その中でも、この高等職業訓練促進給付金の方が割とよく知られている制度の一つではあります。 私、過去に統計的分析をやったことがありまして、どのようなシングルマザーは、こういうようなすばらしい制度があるにもかかわらず、知らないという人の特徴をちょっと調べたことがあるんですけど、やっぱり学歴とすごく関係しているんですね。あと、子育て負担の重い人がなかなかアクセスできない。つまり、シングルマザーの中で情報弱者は相当の割合で存在している。しかも、その中には低学歴者が非常に多いんですね。 だから、こういった低学歴者にどうやって情報を届けるのか非常に大きな政策課題であって、たまたまそのお母さん、ハローワークで情報を得たんですけど、例えば、児童扶養手当の現況届は毎年出さなきゃいけないので、そのときに窓口、一言そういう制度ありますよとか、あるいはそのときに分かりやすいパンフレットを本人に渡すとか、あるいは、お母さん方非常に忙しいのでなかなか、そんなよく読んでいる暇がないから、そこは何か、例えばメール配信あるいはSNSを通じて分かりやすい形、漫画でもいいし。ここではもっといろいろなすばらしい制度、支援メニューをかみ砕いた形で、情報弱者のお母さん方に届けるのが一つ重要な課題だと思います。
○下野六太君 ありがとうございました。非常に参考にさせていただけると思います。 では、渡辺参考人にお尋ねしたいと思います。 先ほどの習慣の話なんですが、経済的に困窮している家庭において、やはり学習の習慣がなかなか身に付いていないというようなお子さんが、渡辺参考人たちのキッズドアにおいて、私は習慣が変わったのではなかろうかというふうに思っているんですね。子供たちが、一人で放っておくとやはりしたいことしかせず、習慣が身に付かない。それをキッズドアに出会うことによって将来に希望を持て、そして習慣を変えていくことによって、やがて自立の方向に向かっていったのではないかなというふうに思っているんですね。 これまでに学年一の学力を誇る誰もが天才だと言っていたその子に話を聞いてみたところ、中学校三年生の男子でした、その子に家に帰って何をしているのかと聞いたら、御飯を食べる前に二時間勉強しています、御飯を食べた後にもう一時間勉強しています、計三時間勉強していますと。それを本人に更に重ねて聞いたら、それは習慣かということを聞いたら、習慣ですと。じゃ、どのくらいの習慣かということを聞くために、あなたは夜寝る前に歯を磨き、学校に来る前に歯を磨いてくるよねと、その歯を磨くという習慣とあなたが毎日三時間勉強するという習慣はどのくらいの違いがあるかと聞いたら、驚くべきことに、ほぼ同じですというふうに答えてくれたんですね。 ということは、子供たちにとって、才能や能力ではなく、やはりきちっとした習慣を身に付けていくということが何よりも、努力の人だったんですね。天才だと思っていた、才能だと、能力だと思っていたのは、実はそれは違う、努力だということが分かって、これからやはり子供たちを育てていくのに、きちっとした習慣を身に付けさせていかなければいけないと私は思っているんですけれども、その点についていかがお考えでしょうか。
○参考人(渡辺由美子君) ありがとうございます。 すばらしい生徒さんで、一日三時間勉強するというのはすごいと思うんですけれども。 私たちが見ている中でどうしても低学歴になるというふうなところで、なぜ教育格差が広がるかというと、一つは、例えば勉強スペースの問題があります。なので、習慣になるかどうかの前に、家に全く勉強する場所がないと。 うちの学習会に来ていた中でも、家ではお盆を敷いて、学習する机がないと。もちろん、家が狭いので勉強部屋もないですし、自分の専用の勉強机がないという子が結構多くて、家に勉強するものって、要は御飯を食べるようなテーブルなりちゃぶ台はあると思うんですけれども、それは狭い部屋なので、家なので、テレビが付いている、いわゆるリビングダイニングと聞こえはいいですけれども、2Kの部屋のどっちかで、ほかの家族がテレビ見ている中で受験勉強しましょうといっても無理なので、布団のスペースに行ってお盆を敷いて勉強しているだとか。 うちの学習会に本当に遠いところだと自転車四、五十分こいで通ってくるすごく成績の悪い男の子がいたんですけれども、そんなにだから勉強好きじゃないと思うんですよね、英語で初めて二桁取りましたみたいな子なので。何でわざわざここまで来るのと言ったら、よくよく聞いてみたら、家では教科書もノートも全く広げるスペースがなくて、勉強しようと思ったら膝の上でしかやりようがないので、そりゃ英単語とか覚えられないわけですよ。 要は、そういう家の中にちゃんと勉強できるスペースがあるかどうかというのは、やっぱりその学力、教育格差の背景としてありました。小学校の高学年で親御さんが自分の勉強スペースをつくってくれたかどうかということは、非常にその低学力になるかどうかの境目になるので、そこがありますね。 もう一つ、文化的な背景として、多分そのおうちは親御さんが、勉強することは大事で、ちゃんと勉強しなさいということを小さいときから言っていたと思うんですけれども、そうじゃないおうちも結構あると。いや、勉強なんかいいから家事をやりなさいと、弟、妹の面倒を見なさいと、そういうおうちがあったりとかですね。高校中退の問題も、私たちは高校は中退しない方がいいと思っているんですけれども、もう高校は辞めようかなという子がいて、えっ、駄目だよ、親だって駄目だって言っているでしょうと言ったら、いや、親は別に好きにすればいいと、どっちでもいいんじゃないのというふうに言っているというような。 要は、家庭の中で教育を重要だと思っているかどうかという、そういうことの違いもあるので、本当にその学習習慣を付けるというか、その教育というものはすごく重要で、それはちゃんとやらなきゃいけないということを誰が伝えるかということで、それがその貧困家庭では家庭の中で賄えないのでどこかが担わないと、結局、頑張って勉強して、一日二時間なり三時間やりなさいというのも難しいですし。 例えば、うちの学習会の中でも、一日三時間勉強している子が、社会が苦手だからといって毎朝五時に起きて勉強していると言うんですけど、成績が上がらないんですよね。何をやっているかといったら、社会の教科書を写しているんですよ。社会の教科書を写しても、それは書写でしかなくて、社会のテストはできるようにならない。何でそんなことをやっているのと言ったら、お兄ちゃんがそうやってやれと言ったから、それを聞いているということなんですけど。 要は、しっかりと、何をすれば効果が上がるみたいなことも家庭の中では伝わりづらいので、そういったことを学校でやるのか違うところでやるのかですけれども、それをしないと、おうちで勉強をしなさいと、じゃ、ちゃんと習慣化しなさいということを言い続けても難しいですね。 いわゆる文部科学省が早寝、早起き、朝御飯を言うんですけど、早寝、早起き、朝御飯をするから成績がいいのではなくて、早寝、早起き、朝御飯をさせられるおうちだから学力がいいのであって、あれができないおうちというのは確実にある中で、そこをどうフォローしていくのかという仕組みがないと貧困の教育格差の問題は解決しないかなと思います。 以上です。
○下野六太君 ありがとうございました。 終わります。
○会長(白眞勲君) じゃ、高木かおり君。
○高木かおり君 日本維新の会の高木かおりです。 今日は本当に、参考人の皆様、貴重なお話をありがとうございました。 先ほど、下野委員と少し重なる部分があるんですけれども、やはり頑張った人が報われる、そしてやはり働く人がきちんと収入を得られる、そういった親の姿を見てこそ子供たちは成長していくんだというふうに思うわけです。 そういった中で、就労支援、これがなかなかうまくいっていないということ、大変重要な問題だなというふうに思っておりまして、例えば、先ほどおっしゃっておられたような支援制度自体がなかなか認知度がまだまだだということで、情報弱者ということで、そういったところの格差が生まれる、これも大変問題だと思うんですね。 今、貧困層に関して、特にシングルマザー、非正規の社員の方々、こういった方々が大変問題だというところにスポットを当てているわけなんですけれども、中間層と言われているような世帯もやはり今この貧困層に転落しかかっているというような状況を、やはり現実として私たちは見なければいけないというふうに思います。 そういった中で、私は女性のリカレント教育というのを大変、学び直しでございますけれども、推進をしておりますが、やはりこの学び直し、リカレント教育、こういったことも実際に新しく新規事業として行われているんですけれども、これの効果検証というのもなかなかできていない。 何を言いたいかといいますと、やはり女性のシングルマザーや非正規の方々、様々な支援施策はあるけれども、しっかりとこれが効果検証が行われているのかということ、そして、これ、効果検証を行った上で税金を投入してしっかりと支援すべきところはしていかなければならない、私はそういうふうに思うんですけれども、この点について、周参考人、何か御見解あればお聞かせください。
○参考人(周燕飛君) 御指摘どうもありがとうございます。 今、リカレント教育の話をしていただいたんですけど、近年、非常に今それは注目されていまして、幾つかの大学でもそれを実際やっているんですね、私の知る限りは、例えば日本女子大学とか明治大学とか。そういったリカレント教育を行って、例えば十年、あるいはもっと長い職業ブランクのある女性は社会復帰するために、その手助けをしているというような制度、今非常に注目されていて、ただ、おっしゃるとおり、まだ効果検証は十分ではない。それぞれの大学は、プログラムに参加されている方に対して調査をして、追跡する動きもあるんですけど、まだそのまとまった報告書は出ていないんですね。 私が日本女子大から聞いた情報ですと、リカレント教育を受けた女性、主婦の方が実は直面している問題はシングルマザーと非常に似ているんですね。 つまり、日本は、非常に中途採用の少ない、新卒採用が基本となっている中で、正社員への道が学卒時点は一番なりやすいんですね。しかし、その学卒時点でなった正社員の機会を、もし仕事を辞めてしまって専業主婦になってしまうと、もう一回再起して正社員になろうと思ったらなかなか難しいし、なったとしても、同じ正社員であっても給料の差がすごく出るんですね。学卒で続いた正社員と途中で再就職でなった正社員の差が非常に大きくなっているので、その点ではシングルマザーでも二人親世帯のお母さんも全く同じ問題を直面しているんですね。 なんだけど、やっぱりリカレント教育は、そういった、自分がこれからの職業どうすればいいのかと分からない女性に対して、重要な一歩を踏み出すという、助けの方が大きいんですね。具体的にそれを参加することによってお給料上がったとか、そういうのは余り観察されていないらしくて、むしろそれを参加することによってネットワークができて情報弱者から脱却できると。職業マーケットでどういうようなリソースがあるのか、お互いに参加して、プログラムに参加している同士の間に情報交換が盛んに行われて、それはいい効果があるという話は伺ったことがあります。
○高木かおり君 ありがとうございます。 私も、日本女子大学のリカレント教育、視察に行ってまいりまして、いろいろとお話聞きました。日本全国で、大学でこのリカレント教育というのをやっていく場所として広がっていってはいますけれども、まだまだという感覚で、このリカレントという言葉自体も世間一般では余り知られていないという状況の中で、やはりこの情報をどういうふうに発信していくのか、そして、シングルマザーの方々にもこういったことがあるんだということをやはり発信していく。発信していくためには、やっぱり効果検証をして、効果があるんだということをしっかりと私たちも認識しなければいけないというふうに思っているところでございます。 こういった中で、やはり一番大事なのは職業としっかりとマッチングさせることだというふうに思っていまして、産業界と、そしてそのリカレント教育をやっている学び直し、これは、シングルマザーの方々だけではなくて、非正規雇用の方々、また社会からブランクを感じている方々、皆さんにとって同じ共通だと思うんですけれども、産業界と、そして知の集積地である大学と、そして行政と、ここが連携することによって労働という部分をしっかりと、労働力をしっかり確保していくことにもつながっていく、経済効果も上がっていくというふうに思うんですけれども。 そう考えると、この産業界と就業する場所とをもっともっと、民間も大学や行政もしっかりと連携していかなければいけないと思うんですけれども、その点について最後お聞かせいただけますか。周参考人にお願いします。
○参考人(周燕飛君) 私は全く賛成ですね。 先ほどのプレゼンテーションの中でも、民間のNPO団体と民間企業との間に連携して出口のある就業支援を行っているという事例を少し触れさせていただいたんですけど、リカレント教育に関してもそれは一つの方向性としては有効ではないかなと思うんですね。あらかじめ、ここでリカレント教育を受ければ、こういうA社、B社、C社とか、自分の好みに、自分が希望している業種の企業にちゃんと求人がある。つまり、出口はもう既に用意しながら教育を受けると、本人のモチベーションも上がるし、無駄な投資にならなくて済む。 先ほど言ったように、キャリアの漂流するシングルマザーが非常に多いんですね。多分、シングルマザーだけではなくて、ブランクのある母親、みんな直面していることは、自分が何に向いているのか、どんな職業に従事すべきなのか、実は全く見当付かないままスタートしているので、そこはやっぱり出口を用意してあげて、その中から自分の希望に近いところに、就職につながる訓練を行うというのは非常に重要だと思います。
○高木かおり君 ありがとうございました。参考にさせていただきたいと思います。 以上です。
○会長(白眞勲君) 残り五分ちょいぐらいしかないんですけれども、それでよろしゅうございますでしょうかね。ほかによろしゅうございますか。 じゃ、岩渕友君。
○岩渕友君 時間がないので一問だけちょっとお聞きしたいんですけど。 子供の貧困でとりわけ母子世帯が深刻だということで、働く方が無職よりも貧困率が高い逆転現象が起きているということも聞いています。その専門家の中で、今の日本社会では一人親はリスクだと、一人で子育てすることはまるで罰を受けているようなものだというふうに厳しく指摘している専門家の方もいらっしゃるんですよね。それで、男女による賃金の格差をどういうふうに解消するかとか、昇格の差をどういうふうに解消するかとか、出産や育休を取った女性が仕事を例えば失って、そこから非正規になって収入が更に低くなる、そういう実態からどうやって抜け出すのかということが大きな課題になっているんだと思います。 外国の事例なんかを見ると、賃金を男女が平等にとか、女性の貧困を撲滅するために国会の中に女性の地位委員会というのをつくるような国があったりだとか、全ての政府機関をジェンダー平等という視点で分析したりする国があるというふうに聞いていて、ジェンダー平等の実現に世界が力を尽くしていると。 こうした視点も子供の貧困を解決する上で重要だというふうに思っているので、できれば、松本参考人、周参考人、渡辺参考人に、お時間がないので申し訳ないのですが、一言ずつ、この点についてどんなふうにお考えかというのをお聞かせいただければと思います。
○参考人(松本伊智朗君) 分かりました。大変重要な点だと思います。 まず、貧困、子供の貧困だけではなくて、貧困対策そのものはやっぱりジェンダー平等の視点が必要だというふうに考えております。特に、子供というのは家族という単位が抜きにできませんので、労働市場だけではなくて、家族の中で見えにくい負担だとか制約というのがありますので、それはジェンダーの視点を入れて見ないと分からないということが一点。 それで、ジェンダー平等の視点を考えるときに、みんなが稼げるようになればいいというだけじゃなくて、男性も女性もみんながケアをして、それで生きていけると。つまり、人間が生きていくためには物が必要です。経済の物は必要です。もう一つは、誰かが誰かの世話になるというのは必ず必要なんですね。そうすると、世話をする立場になった人が不利を負わない、それは男性であろうが女性であろうが。そういう意味では、全員がケアテーカーであるとなっても世の中が回るというふうにしておかないとまずかろうというふうに思っております。 そういう意味では、全員がフルタイムでばりばり稼げるという構想だけではなくて、男性も女性もケアをしても不利を負わないという観点の施策がもう一方重要だというふうに考えております。 以上であります。
○参考人(周燕飛君) 私は、去年、新潮社より「貧困専業主婦」という本を出版させていただいているんですけど、その本の後書きで私もちょっと触れさせていただいたんですけど、シングルマザーの貧困はある意味で男女役割分業慣行の副産物と言っても過言ではありません。やっぱりそういう男性が中心で働く社会、女性はあくまでも、子育てや育児、家事を女性が担って、男性が外で働くというようなモデルの下では女性は非常に経済的リスクに弱い。一旦離婚してしまうと、一家の大黒柱がいなくなるので、子育てと同時に仕事もしなきゃいけないので、必然的に貧困になっていくというシナリオが日本にはあるんですね。 なので、実際国際比較しても共働きモデルが主流で、男女、ジェンダー格差の少ない社会、例えば北欧ではシングルマザーの貧困率はもう一桁台ぐらいなんですね。だから、そこをもし目指せるならば、日本は将来的に、何もしなくても、その支援をそんなにしなくても、自然と労働市場を変えていけば、シングルマザーの貧困問題は解消されていくものなんですね。 なので、一つ私は、日本社会はこれから、まあ昔のように、男性が働き、女性は家事、育児というような分業は、今の日本の人口構造や経済情勢、経済構造に関しては余りもうふさわしく、なっているんですね。そうした中で、やっぱり将来的には男性も女性もフル共働きモデルを目指して、この社会のいろいろ慣行を変えていかなきゃいけない。 その慣行はもう多岐にわたるんですけど、一番核心の部分はやっぱり働き方改革ですよね。女性でも男性と同じように仕事を継続できるように。今だと女性は男性よりも離職率が高い、二倍とか三倍とかの高さですと、もう企業はどうしても安心して女性に人的資本投資ができないんですね。その差は統計的差別となってなかなか男女の雇用格差は埋まっていかないんですよ。 そういった中で、やっぱり肝腎で、やっぱり働き方を改革して、女性も男性と同じように仕事を継続できるような社会をつくっていかなければいけないかなと思います。
○参考人(渡辺由美子君) 本当にジェンダーギャップをどう解消していくのか、すごく重要だと思っているんです。 もう先生方お二人が言ったように、就業の面でもそうですし、やっぱり意識の面で、例えばシングルマザーのおうちのお子さんが学校で何か問題があったときに、要は学校に何かを言いに行くんだけれども、明らかに不利益を受けているなと思うことがすごくあります。だから、お父さんと一緒に行けばまた対応が違ったのに、シングルマザーのおうちだから例えばうまくいかないだとかそんなことがあって、もう一緒に行こうかというふうに言うぐらいなんですけれども。やっぱり社会の中で女性というものが男性と伍したときに、なかなかちゃんと見ていただけないというふうなことがあります。 例えば、私たちが見ていても、例えば、一人親家庭でおうちが大変だと、女の子の方が優秀だけど女の子が進路を諦めて、男子、弟とかお兄ちゃんに大学行かせるとか、そういうふうなことがまだある中で、それは本当にその社会全体として見たときにどうなのかというのを見たときに、やっぱり、女子も男子もみんな同じ可能性があって同じ権利があるんだということをみんなで見ていかないとなかなかその最終的な解決はないと思うので、本当にその意欲の面でもやっぱりジェンダーギャップをどう縮めていくかですし、これだけ世界からすごく言われている中で、やっぱり国としての動きがないなというのはすごく感じるので、やっぱり国としてジェンダーの問題にしっかりと取り組むんだと。給付型奨学金の問題と同じで、やっぱりそこに動き出すということで気持ちが明るくなる女性とか女の子とかたくさんいると思うので、是非をそれをやっていただければと思います。 以上です。
○岩渕友君 ありがとうございました。
○会長(白眞勲君) 予定の時刻も参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度といたします。 参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。 皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手) 本日はこれにて散会します。 午後四時一分散会