本会議 第10号
- 発言数
- 37 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2019/12/04
会議録
○議長(山東昭子君) これより会議を開きます。 日程第一 日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定の締結について承認を求めるの件 日程第二 デジタル貿易に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件 (いずれも衆議院送付) 以上両件を一括して議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長北村経夫さん。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔北村経夫君登壇、拍手〕
○北村経夫君 ただいま議題となりました条約二件につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 まず、日米貿易協定は、我が国とアメリカ合衆国との間において、物品の貿易につき、関税の撤廃又は削減の方法等を定め、両国間の物品の貿易を促進するものであります。 次に、日米デジタル貿易協定は、我が国とアメリカ合衆国との間において、円滑で信頼性の高い自由なデジタル貿易を促進するための法的基盤を確立することにより、両国間のデジタル貿易を促進することを目的とするものであります。 委員会におきましては、両件を一括して議題とし、茂木外務大臣に対して質疑を行うとともに、農林水産委員会及び経済産業委員会との連合審査会を行ったほか、三名の参考人から意見を聴取いたしました。 委員会における質疑の主な内容は、両協定締結の意義及び背景、自動車及び自動車部品に対する追加関税等が回避されたとする根拠、自動車及び自動車部品の関税撤廃時期等を明記しなかったこととこれらを含む経済効果分析等の妥当性、牛肉の関税削減約束に伴うTPP11協定のセーフガード発動基準数量の修正の見通し、米国産農産品についての将来の再協議規定の解釈、農林水産物の生産額への影響試算の妥当性と国内対策の在り方、日米デジタル貿易協定と我が国のプロバイダー責任制限法との関係等でありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終え、討論に入りましたところ、立憲・国民.新緑風会・社民の小西委員、日本共産党の井上理事、沖縄の風の伊波委員より、それぞれ両件に反対する旨の意見が述べられました。 次いで、順次採決の結果、両件はいずれも多数をもって承認すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(山東昭子君) 両件に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。羽田雄一郎さん。 〔羽田雄一郎君登壇、拍手〕
○羽田雄一郎君 私は、立憲・国民.新緑風会・社民を代表して、日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定の締結について承認を求めるの件及びデジタル貿易に関する日本とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件に対し、反対の立場から討論を行います。 その前に、一言述べさせていただきます。 先日の決算本会議の中でも桜を見る会に対する質疑がありましたが、安倍総理は質問に真正面から答えず、逃げの答弁に終始され、数々の疑問は残されたままになっております。廃棄された名簿などは防衛省の日報隠しを思い出させるものであり、モリカケ問題から今日までの安倍総理や政府の姿勢は到底受け入れられず、一刻も早く、総理出席の下、予算委員会を開き、誠実に対応されることを強く望みます。 それでは、以下、反対の理由を順次申し述べます。 第一に、今回の交渉で自動車、自動車部品の関税撤廃を米国から勝ち取ることができなかったこと、そして、今後の交渉でも関税撤廃が確約されていない点です。 政府は、本年九月二十五日、本協定に関する日米交渉が最終合意した直後の発表資料には、米国の譲許表に更なる交渉による関税撤廃が明記されたと説明していました。しかし、実際には、米国附属書に関税撤廃に関して更に交渉すると記述されているのみで、自動車、同部品の関税撤廃について、米国も合意の上で更なる交渉を行っていくことができるのか、そもそも関税撤廃の交渉の対象になるのかさえ、附属書の文言からは分かりません。政府の説明は単なる希望でしかなく、決して受け入れられるものではありません。 第二に、米国通商拡大法二百三十二条に基づく自動車、同部品に対する追加関税です。 日本側が最も警戒していたとされる自動車の追加関税について、政府は、日米共同声明の、協定が誠実に履行されている間、両協定及び共同声明の精神に反する行動を取らないとの内容を踏まえ、追加関税が課されないことをトランプ大統領に直接確認したと言い、数量規制等の回避に関しても閣僚間で合意していると繰り返し説明されていますが、首脳間や閣僚間の交渉の経緯や具体的な合意内容について記述された文書は提示されていません。このような重要な合意事項に関しては、口約束ではなく文書で提示されなければ確認もできず、そもそも追加関税や数量規制等を本当に回避できるのか、判断すらできません。 第三に、WTO協定に違反している可能性がある点です。 政府は、日米貿易協定における関税撤廃率について、貿易額ベースで日本が八四%、米国が九二%となると発表しました。しかし、米国の九二%は自動車、同部品の関税撤廃を含めて算出された数値であり、今回の交渉では五九%を占める自動車、同部品の関税は撤廃されておりませんから、米国の関税撤廃率は実際には四一%でしかないとの指摘があります。ガット二十四条においては、先進国間の貿易協定において実質上全ての貿易について九割以上の関税を撤廃することを求めており、四一%などという関税撤廃率は自由化したとは到底言えず、明らかにWTO違反です。 第四に、事実上、TPPを超える農産品の市場開放を約束したことです。 関税撤廃、削減等を約束した全ての品目について、協定の発効時からTPP11と同等の利益を即座に認めたこと、すなわち発効二年度目の関税率まで米国に対しては一気に引き下げることを合意しました。さらに、牛肉のセーフガードについて、TPP11加盟国からの輸入量と米国からの輸入量を合算した数量がTPPの発動基準数量を上回った場合、TPPのセーフガードが発動するよう協議を行う方針としています。しかし、オーストラリアのマッケンジー農業大臣は日本農業新聞のインタビューで、我々から再協議を求めることはないと発信し、消極的な姿勢を示しています。TPP11加盟国は、協議にそもそも応じるのでしょうか。今後、輸入牛肉の増加に歯止めが掛からず、米国とTPP11加盟国から輸入量がTPPで合意した発動基準数量を上回る可能性を否定できません。 第五に、日本側の附属書に、米国は将来の交渉において農産品に関する特恵的な待遇を追求することが明記されたことです。 農家の皆さんは、米国との間で再協議が行われ、米を含む農産品について更なる開放を求められるのではないかと心配しています。政府は、農業は交渉対象として想定していないと説明していますが、この附属書Ⅰに書かれている意図は、農産品再交渉に向けた米国の非常に強い意志を感じます。 報道によると、米国議会下院貿易小委員会で開催された日米貿易協定に関する公聴会には、米やバター、乳製品などの市場開放を求める意見や、第二段階の交渉を追求するべきとする意見等が出されています。また、トランプ大統領が、来年の大統領選挙を見据え、貿易政策を切り札として日米貿易協定の再協議等に言及する可能性が指摘されています。このような状況の下、協定発効から四か月以内に始まる協議において、米国が農産品の更なる市場開放を求めてくる可能性が高いと思われます。 第六に、農林水産業への影響試算のやり直しが行われないまま国内対策、支援が検討されていることです。 政府は、日米貿易協定による日本の農業水産物の生産減少額について、最大約一千百億円との試算を公表しました。しかし、この試算は、国内対策を実施することにより国内の生産量が維持されるという架空の前提の下で行われています。しかも、まだ予算も付いておらず、中身の不明確な国内対策の実施が前提であるなど、非現実的な内容となっています。 さらには、TPP11や日EU・EPAを含む発効済み全てのEPAによる影響に加え、台風や地震等の自然災害により深刻な被害を受けた農家の事情等の想定されるべき影響が全く加味されていません。農林水産業をめぐる現実の脅威や被災地農家の不安に背を向ける政府に日本の農林水産業の未来を託すことはできません。 第七に、日米デジタル貿易協定に今後の国内的議論や規制を制約し得る米国型ルールが盛り込まれたことです。 日米デジタル貿易協定には、TPPの電子商取引章と同等の内容に加え、TPPの内容を強化拡充する米国型のルールが種々整備されました。デジタル分野は急速な進化、変化の著しい領域でありますが、日本においては社会的な合意形成や十分な議論、政策決定がなされているとは言い難い分野であります。そんな中、米国型ルールが先行して導入されたことによって今後の公共政策、規制の選択肢が制約される懸念が生じています。特に、第十八条のSNS等のサービス提供者に対する民事上の責任の制限に関する規定については、日米両国の国内法制に違いがある中導入されたルールであり、規定の実施に当たっては、今後日米間でそごが生じ得る可能性があり、政府の責任は極めて重いと考えます。 このように、参議院審議を通じ、日米貿易協定が日米双方にとってウイン・ウインの成果物ではなく、日本にとって完全敗北の内容であることは明らかです。そうした実態を必死に隠し続け、内容の検証に絶対不可欠な説明に加え、必要最低限の情報、資料提供さえも拒み続ける政府の姿勢は断じて許されません。 以上、私の反対討論とさせていただきます。(拍手)
○議長(山東昭子君) 山田宏さん。 〔山田宏君登壇、拍手〕
○山田宏君 自由民主党の山田宏です。 私は、自民、公明を代表し、ただいま議題となりました日米貿易協定、日米デジタル貿易協定について、賛成の立場から討論を行います。 人口減少に直面する我が国が力強い成長を続けていくためには、海外の活力を積極的に取り込んでいかなければなりません。この日米貿易協定は、TPP11、日EU・EPAに合わせれば、我が国を中心として世界経済の六割を占める自由貿易圏を生み出すものであり、非常に大きな意義を持っています。 今回の日米貿易協定では、幅広い工業品について、米国の関税削減、撤廃が実現します。懸念された追加関税についても課されないことが確認されています。更なる交渉による関税撤廃についても協定上明記されています。そして、日本自動車工業会からは、自動車分野における日米間の自由で公正な貿易環境が維持強化されるものであるとのコメントが出されました。 また、農業分野についても、米国産牛肉と豚肉の関税削減はTPPと同じ水準、米についてもTPPで設けられることになっていた米国産米の輸入枠は設けられていません。JA全中は、今次合意内容が昨年九月の日米共同声明の内容を踏まえた結論であり、特に、米については米国への関税割当て枠の設置が見送られることになり、生産現場は安心できるものと考えている旨の談話が発せられています。 その上で、牛肉輸出については複数国枠へのアクセス確保、日本の輸出関心の高いしょうゆや冷蔵ナガイモ、切り花等の四十二品目の関税撤廃、削減など、市場拡大に向けた新しいチャンスも生まれています。我が国の国益はしっかりと守られ、増進したと考えております。 国内対策についても、十月一日に政府で決定した総合的なTPP等関連政策大綱改訂に係る基本方針に基づき、本協定の成果を最大限に生かすため、必要な政策の検討を進めていくこととなっています。 基本方針では、新たな市場の開拓や生産基盤の強化など、総合的なTPP等関連政策大綱の改訂を通じて、攻めるべきは攻め、守るべきは守る、そして、農家の皆さんの不安にも向き合った対策を強力に推進していくという方向性が明確に示されています。中小企業の海外展開支援等を通じた日本企業、日本産品等の新たな市場の開拓、国内企業と外国企業からの投資のマッチング等を通じた国内産業の競争力の強化に向けた取組も含まれています。 このように、この協定の成果を最大限に生かすために必要な効果的、効率的な政策がしっかりと実行されることとなっています。 次に、日米デジタル貿易協定について申し上げます。 我が国は、本年六月のG20大阪サミットの機会に、DFFT、データ・フリー・フロー・ウイズ・トラストの考えに基づき、信頼性のあるデータ流通を促進するため、大阪トラックを立ち上げましたが、日米デジタル貿易協定の締結により、この取組と一体となって日米間、さらには多国間において経済的な結び付きが強まっていくことが期待できることからも、同協定は高く評価されるべきです。 本協定は、昨年九月の日米首脳会談において日米貿易交渉を開始することで一致してから僅か一年、米国側の要求事項が相当強いものだったにもかかわらず、我が国の国益に沿う形で妥結されました。安倍総理とトランプ大統領との間の強い信頼関係があったからこそと考えています。 加えて、茂木大臣は、交渉を直接担当する経済再生担当大臣、内閣改造後には外務大臣として、手ごわい交渉相手であるライトハイザー米国通商代表との交渉が本格化した本年四月以降、五か月間で八回、八月は三日連続計十一時間にわたって膝詰めで協議を行いました。 タフネゴシエーターと相手に言わしめた茂木外務大臣を始め交渉に当たられた皆様の御労苦に改めて感謝申し上げ、私の賛成討論といたします。(拍手)
○議長(山東昭子君) 井上哲士さん。 〔井上哲士君登壇、拍手〕
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。 会派を代表して、日米貿易協定とデジタル貿易協定の承認案に断固反対の討論を行います。 討論に先立ち、先日の決算審議について述べます。 総理は、桜を見る会をめぐる疑惑について、事実を突き付けての質問にこれまで同様の言葉を繰り返すだけでありました。真相解明には、一問一答による総理出席の予算委員会での審議が不可欠だと一層浮き彫りになりました。 総理も、与党も、逃げ回ることなく予算委集中審議に応じるよう強く求めるものであります。 討論に入ります。 まず、TPP以来の日米の貿易をめぐる経過が浮き彫りにしている問題を指摘しなければなりません。 安倍首相は、選挙公約に違反して、米国が主導するTPPに参加し、そのために米国の要求に応えて牛肉、自動車、保険の三つの入場料を支払いました。その米国にトランプ政権が登場し、TPPを離脱すると、あくまでTPPへの復帰を求め、FTAに応じる考えはないとしてきました。ところが、米国から一方的な自動車関税引上げの脅しでFTAの締結を迫られると、前言を覆して米国との二国間協定交渉に踏み出したのです。この言行不一致をごまかすために日本側だけTAGなる造語まで作りましたが、一体どこへ行ったのでしょうか。影も形もないではありませんか。 その結果はどうか。安倍首相は本協定についてウイン・ウインと言いますが、米国の自動車関税の撤廃は先送りにされる一方、牛肉などの畜産物で大幅な関税削減を認める、まさに日本の一方的譲歩です。さらに、日米共同声明で、あらゆる分野を対象に協議して第二ラウンドの交渉を行うことまで合意したことは、余りにも重大です。 米国の要求に応えるために、国民を欺き、交渉の内容や経過も国会と国民に秘匿したままで、国民経済に大きな影響を及ぼす通商交渉を勝手に進めて合意、署名した安倍内閣のやり方は、言語道断だと言わなければなりません。 それだけではありません。衆参の審議で、野党が要求し続けた自動車を除いた自由化率の試算の提出について、政府は一貫して拒否しました。本来、審議の前提として協定に関する事実を示すのは、政府の当然の責務です。 しかも、野党の要求は、協定において米国の自動車関税が更なる交渉次第となった下での現状の自由化率であり、極めて単純な事実の確認です。にもかかわらず、要求を拒否し、自由化率をあくまで自動車を含めた九二%だと言い張りました。都合の悪い事実を伏せて居直る態度は、国会の審議権の重大な侵害だと言わなければなりません。断固抗議するものであります。 日米貿易協定に反対する理由を具体的に述べます。 本協定は、TPP11、日欧EPAに続いて、重要品目を含め農産物の関税の大幅な引下げ、撤廃を行い、国内農業に深刻な打撃を及ぼすものです。安価な米国産農産物との競合により、牛肉、豚肉、乳製品などを中心に、国内生産額は最大一千百億円、TPP11と合わせれば最大二千億円も減少することが政府の試算でも示されています。 協定は、米国牛肉の関税率を協定発効時にTPP11参加国と同じ税率へ一気に引き下げることを認めています。その上で、米国向けに新たに設定するセーフガードの発動基準数量について、セーフガードが発動されたら速やかに基準数量を高くするための協議を始め、九十日以内に終えることまで合意しました。米国を特別扱いする優遇そのものです。国内の畜産農家を顧みないものと言わなければなりません。 さらに、協定附属書には、米国が将来の交渉において農産品に対する特恵的な待遇を追求すると、過去の協定に前例がないと政府も認める規定がわざわざ盛り込まれました。米国に農産物の一層の関税撤廃や引下げを迫る根拠を与えたことは重大です。 政府は、米国による日本の自動車への関税引上げを回避できたと主張し、その根拠に、日米共同声明の、協定及び本共同声明の精神に反する行動は取らないとの記述を挙げています。 しかし、それには、協定が誠実に履行されている間との限定が明記されています。日本が誠実に履行しているかを判断するのは米国です。米国が今後求めてくる特恵的な待遇を追求するための交渉を日本が拒めば、協定が誠実に履行されていないと米国が判断をして、自動車関税引上げで脅すという仕掛けが盛り込まれているのです。この下で、交渉を拒否できるのか。この間の米国言いなりの交渉実績を振り返るならば、多くの国民が危惧を抱くのは余りにも当然ではありませんか。日本の農産物を際限のない譲歩にさらす日米協議に断固反対するものであります。 政府は、国内対策で農家の所得は確保され、生産量も維持されるとしています。しかし、その内容は、生産コストの削減や大規模化の押し付けであり、農業経営の切捨てと食料自給率の一層の低下を招くことは必至です。 日米両政府が今後行う第二ラウンドの協議は、広範な分野で経済や国民の暮らしに影響を及ぼすものです。 米通商代表部は、昨年、日米交渉で金融、保険、為替など二十二項目に及ぶ分野を列挙して、非関税障壁の撤廃を迫る方針を公表しています。その中には、遺伝子組換えや残留農薬を規制する衛生植物検疫措置もあります。トランプ大統領は、六月、バイオ農産物規制の近代化を図る大統領令を発布し、米国のバイオ農産物を諸外国に受け入れさせるための戦略の策定を命じました。 日本は、既に、米国の要求を先取りするように、世界の規制の流れに反して、人に対する発がん性が指摘される農薬用グリホサートの残留基準値を大幅に緩和しました。さらに、ゲノム編集食品の一部について、表示義務を課さないというルールの運用を開始しました。 食の安全や消費者の選択する権利を損なうことを始め食料主権、経済主権の放棄につながる日米交渉に応じることは断じて認められません。 次に、日米デジタル貿易協定は、世界で事業を展開するいわゆるデジタルプラットフォーマーなどの米国のIT産業の要求に応えて、国境を越えた自由なデータ流通の障壁を取り払ってその利益を保護するためのルール作りの一環です。その内容は、米通商代表部が交渉前に設定、公表したデジタル貿易の獲得目標を全て実現するものとなっています。 例えば、越境データ移転制限やコンピューター関連設備の利用設置要求の禁止は、欧州、中国、インド、アジア諸国が個人情報保護や産業保護等を理由に採用している制度とは必ずしも調和しません。WTOでの多国間のルール作りの本格化を前に、米国IT産業が求める水準での米国主導のルール作りに協力するものにほかなりません。 今、世界では、デジタルプラットフォーマー規制の強化をどう進めるかが議論が高まっています。その中で、国内規制の議論を差しおいて、本協定によって米国IT産業の求めるルール作りを優先することは、世界の流れに逆行するものです。 さらに、日本国内において、個人情報や消費者の保護などのために、米国を含む外国企業の活動をも対象に何らかの新たな規制を採用しようとする場合には、とり得る措置の内容が制約を受けるおそれがあります。 以上、日本共産党は、両協定に反対し、経済主権、食料主権を尊重した互恵平等の対外経済関係の発展を目指すことを強調して、反対討論を終わります。(拍手)
○議長(山東昭子君) 浅田均さん。 〔浅田均君登壇、拍手〕
○浅田均君 日本維新の会、浅田均です。 私は、我が党を代表して、日米貿易協定及び日米デジタル貿易協定の締結について承認を求めるの件について、賛成の立場から討論いたします。 日本維新の会は、自由貿易圏の拡大が、人口減少に直面する我が国の経済を持続可能にし、成長させる大きな原動力となるのと同時に、圏内の安全保障にも資するものと考えます。十九世紀にリカードが唱えた比較優位の原理は、今なお妥当性を持ちます。我が党は、そういう意味から、この二つの協定は国益にかなうという観点から議論してきました。 世界のGDPの三割を占める日米両国が自由貿易推進の枠組みを築く意義は小さくありません。保護主義的な通商政策に傾きつつある米国を巨大な自由貿易圏に呼び戻す流れがつくられるとしたら、それは評価に値いたします。また、米中間の貿易摩擦が周辺国に影を落とす中、強固な同盟関係で結ばれる日米の通商関係の安定がもたらす効果も大きいと考えられます。 しかし、方向性、総論は了としても、各論となると問題があるのも事実です。 日米貿易協定について、日本が、米国の抜けたTPPの水準まで農産品の関税で譲歩したのに対し、米国は、TPPで約束していた自動車、自動車部品の関税撤廃を先送りしました。自動車産業保護を訴えるトランプ政権が日本の筋書どおりに関税撤廃に応じるか、なおも不透明であり、また、米国側が追加課税の措置に踏み切る懸念は拭えません。日本が自動車、自動車部品の関税撤廃に向けて温存すべきだった農産品カードを先に切ってしまったことが首を絞める要因になる可能性は否定できません。 また、政府は、本来目指している米国のTPP復帰の道は残されている旨強調していますが、今回の協定が発効すれば米国がTPPに戻るメリットが小さくなるのは自明の理であり、牽強付会と言わざるを得ません。 一方、日米デジタル貿易協定についても、宿題は多くあります。 二十一世紀の石油と呼ばれるデータの流通が国境をまたいで急速に拡大する中、将来を見据えると、物品やサービス貿易よりもデジタル貿易の方がはるかに重要となると考えられます。我が国においても、個人情報や知的財産などのデータを適切に保護しつつ、自由なデータ流通の実現により新たなビジネスモデル創出の土壌をつくることや生産性の向上に取り組むのは急務です。 また、デジタル世界の現実は、私たちの知る現実のはるか遠くにあり、デジタル世界の現実にルールが追い付いていません。そこで、日米が手を組み、高い水準のルール作りを主導できるなら、国内にデータを囲い込もうとする中国などに対抗していく意義は非常に大きいものと考えます。 問題は、世界各国の思惑が複雑に交錯する中で、今回の協定が名実共にデジタル貿易ルールのデファクトスタンダードになり得るかという点です。この点こそが、この協定を評価する基準になると考えます。 今回の協定には、米国のGAFAなど巨大プラットフォーマーやIT産業にとって有利な条項がTPPを強化する形で定められました。日本のプラットフォーマーの取引規模や技術、蓄積、人材などは、どれを取っても米国、そしてもう一つのデジタル大国、中国に大きく後れを取っています。 こうした中、今回の協定が定めるルールで我が国のデジタル経済の成長を軌道に乗せるためには、国内の規制緩和が不可欠であるということも強く主張しておきたいと思います。 さらに、AI化することにより、今や政治や社会を大きく誘導することも可能にする膨大な個人データの管理、規制の標準化が何よりも求められます。 以上、二つの協定について、課題を挙げれば切りがありませんが、我が国の国益にかなう自由貿易の維持発展に向けての土台となるものであります。必要なのは、これまでの通商交渉における反省や教訓を生かし、これからの実を取ることです。 日米貿易協定の次の交渉ステージは発効後四か月で始まり、双方の交渉により合意の上に分野が決まるとのことです。今回交渉した物品分野から知的財産やサービス、金融などへの分野へと交渉範囲が広がることが予想されます。米国は更に強気の姿勢で交渉に臨んでくるのは不可避です。積み残しとなっている自動車、自動車部品の関税撤廃時期を確定することも併せ、交渉は一筋縄ではいかないでしょう。政府に対しては、したたかで粘り強い交渉を切に希望いたします。 日米デジタル貿易協定におきましても、プラットフォーマーに対する中小規模事業者との取引の透明化など競争環境の整備や、データ利用と保護のバランスを十分に踏まえた個人情報取扱いの在り方の策定、経済のデジタル化に対応した国際課税ルールの見直しなどを遅滞なく着実に進め、我が国がデジタル貿易ルールの構築でデファクトスタンダードを確立し、世界を牽引していくことを強く求めて、賛成討論を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山東昭子君) これにて討論は終局いたしました。 ─────────────
○議長(山東昭子君) これより両件を一括して採決いたします。 両件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(山東昭子君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(山東昭子君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百四十 賛成 百六十一 反対 七十九 よって、両件は承認することに決しました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(山東昭子君) 日程第三 外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づき、北朝鮮を仕向地とする貨物の輸出及び北朝鮮を原産地又は船積地域とする貨物の輸入につき承認義務を課する等の措置を講じたことについて承認を求めるの件(第百九十八回国会内閣提出、第二百回国会衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長礒崎哲史さん。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔礒崎哲史君登壇、拍手〕
○礒崎哲史君 ただいま議題となりました承認案件につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本件は、北朝鮮への全ての貨物の輸出及び北朝鮮からの全ての貨物の輸入につき、二〇一九年四月十四日から二〇二一年四月十三日までの間、引き続き、経済産業大臣の承認を受ける義務を課する等の措置を講じたことについて、外国為替及び外国貿易法第十条第二項の規定に基づいて国会の承認を求めるものであります。 委員会におきましては、これまでの対北朝鮮措置の評価とその実効性強化の必要性、日朝・日韓関係に関する政府の認識等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終局し、採決の結果、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。 本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(山東昭子君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(山東昭子君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十八 賛成 二百三十八 反対 〇 よって、本件は全会一致をもって承認することに決しました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(山東昭子君) 日程第四 会社法の一部を改正する法律案 日程第五 会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案 (いずれも内閣提出、衆議院送付) 以上両案を一括して議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長竹谷とし子さん。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔竹谷とし子君登壇、拍手〕
○竹谷とし子君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 まず、会社法の一部を改正する法律案は、会社をめぐる社会経済情勢の変化に鑑み、株主総会の運営及び取締役の職務の執行の一層の適正化等を図るため、株主総会資料の電子提供制度の創設、株主提案権の濫用的な行使を制限するための規定の整備、取締役に対する報酬の付与や費用の補償等に関する規定の整備、監査役会設置会社における社外取締役の設置の義務付け等の措置を講じようとするものであります。 次に、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案は、会社法の一部を改正する法律の施行に伴い、商業登記法その他の関係法律の規定の整備等を行おうとするものであります。 なお、衆議院において、両法律案につき、株主提案権等の濫用的な行使を制限するための措置に関する改正規定中、不当な目的等による議案の提案を制限する規定の新設に係る部分を削ることを内容とする修正がそれぞれ行われております。 委員会におきましては、両法律案を一括して議題とし、参考人から意見を聴取するとともに、株式会社の社会における役割、株主提案権を制限することの妥当性、社外取締役に求められる資質と設置の義務化の意義、会社補償の必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して山添委員より両法律案に反対する旨の意見が述べられました。 討論を終局し、順次採決の結果、両法律案はいずれも多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(山東昭子君) これより両案を一括して採決いたします。 両案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(山東昭子君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(山東昭子君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百三十九 賛成 二百二十二 反対 十七 よって、両案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────・─────
○議長(山東昭子君) 日程第六 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。 まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長吉川ゆうみさん。 ───────────── 〔審査報告書及び議案は本号(その二)に掲載〕 ───────────── 〔吉川ゆうみ君登壇、拍手〕
○吉川ゆうみ君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本法律案は、公立の義務教育諸学校等における働き方改革を推進するため、教育職員について一年単位の変形労働時間制を条例により実施できるようにするとともに、文部科学大臣が教育職員の業務量の適切な管理等に関する指針を策定及び公表することとしようとするものであります。 委員会におきまして、参考人から意見を聴取するとともに、一年単位の変形労働時間制の導入が教育職員に与える効果と影響、指針の実効性を担保するための方策、給特法の抜本的見直しの必要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。 質疑を終局し、討論に入りましたところ、立憲・国民.新緑風会・社民の横沢委員より反対、日本維新の会の梅村委員より賛成、日本共産党の吉良委員より反対、れいわ新選組の舩後委員より反対の意見が述べられました。 討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。 以上、御報告申し上げます。(拍手) ─────────────
○議長(山東昭子君) 本案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。横沢高徳さん。 〔横沢高徳君登壇、拍手〕
○横沢高徳君 立憲・国民.新緑風会・社民の横沢高徳です。 私は、会派を代表して、公立の義務教育諸学校等の教職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論を行います。 冒頭、今の政治情勢について一言申し上げます。 安倍総理大臣は憲政史上最長の在任期間となり、おごり、緩み、慢心、問題点を挙げれば切りがありません。不祥事による経済産業大臣、法務大臣の相次ぐ辞任。教育格差を容認するような身の丈発言を行い、問題だらけの英語民間試験を直前に延期を決めた文部科学大臣。 何といっても大問題なのは、桜を見る会です。私の仲間のパラリンピアンも、メダル獲得の功績を認められ出席をしました。マルチ商法や反社会のどこにどういう功績があったのか。前夜祭も大問題です。 二日の本会議で、自民党の森屋議員からの質問の安倍総理答弁では、シュレッダーを予約したのが四月二十二日、使用日が五月九日、わざわざ障害者雇用の短時間勤務職員にシュレッダー業務をしてもらったと答弁しました。私は、この答弁に激しい違和感を覚えました。短時間勤務職員だけでも通じるところ、なぜ障害者雇用のと答弁したのか。もしこれが健常者なら、健常者雇用の短時間勤務職員と言ったのか。障害者が関わったから仕方ないと国民に思わせたかったのでしょうか。 G20の場で、大阪城にエレベーターを付けたのはミスだったと、国のトップがする発言ではありません。 総理の答弁は内閣府が書いたわけでありますが、国民の皆様が納得するには、予算委員会の開催、閉会中審議も含め、しっかりと総理自身の言葉で答弁すべきであります。 さて、給特法について申し上げます。 教員の皆様の現場の声を多く聞かせていただきました。月百時間を超える残業をしているにもかかわらず残業代が付かない、朝四時から持ち帰り仕事をしている、地方ではスクールサポートスタッフや部活動指導員の人材確保が難しい、勤務時間内で休憩する時間が取れる状況にない、また欠員が全然解消されていない。学校における働き方改革を推進することが重要です。 そういった中で、月の平均残業時間が八時間だった五十年前に残業代の代わりに四%の教職調整額を規定した給特法に、そもそも無理があると感じます。給特法の下、教職調整額以外は時間外勤務手当を一切支払わず、コスト度外視、まさに定額働かせ放題の状況になっています。 そして、この自主的、自発的勤務ということで、勤務時間外に行った部活動や授業準備などはボランティア扱いとされ、公務災害認定においても申請どおりに認められないなど、遺族の方々は大変苦しんでこられました。 しかし、本法律案は、給特法における自主的、自発的勤務という枠組みや教職調整額の見直しには一切手を付けず、在校等時間という新たな概念を設け、労働基準法上の労働時間ではないが管理対象とすると取り繕っているにすぎません。 本法律案は、公立学校の教員について、一点目、時間外勤務の上限の目安などを定める指針を策定、公表すること、二点目、一年単位の変形労働時間制を導入できるようにすること、この二点について改正を行うものです。 一つ目の上限ガイドラインについて申し上げます。 民間では、働き方改革により、月四十五時間、年三百六十時間の時間外労働の上限が設けられました。本法律案における上限ガイドラインでは、いわゆる超勤四項目以外の業務に従事した時間も含む在校等時間を対象に、タイムカードにより勤務時間管理を行うこととされております。まずは、勤務時間管理を客観的に記録方式で行うよう国の責任で進めるべきです。 また、時間外勤務の上限の目安を月四十五時間、年三百六十時間と定めていますが、恐らく現状においてこの上限を遵守できる学校は数えるほどしかないでしょう。その中で学校現場に上限の遵守を求めれば、勤務途中でタイムカードを押した後、仕事を続けたり、持ち帰り仕事が増えたりといった事態が想定されます。 在校等時間の把握だけでなく、持ち帰り仕事の状況や業務量そのものを把握し、業務量を削減することが必要です。参考人の意見でも、教員の授業準備、評価等の本来業務を増やす一方で時間外勤務を減らせと言っているわけで、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状況だという意見もありました。 次に、二つ目の一年間の変形労働時間制について申し上げます。 導入の趣旨は、夏休み中の休日のまとめ取りのように、集中して休日を確保することを可能にするとのことです。ところが、夏休みを含め、時間外勤務が常に発生している教員の勤務の実態です。 また、一年単位の変形労働時間制は、設定できる変形期間が一年と長期であるため、書面による労使協定が必須です。しかし、労使協定によらず、条例により導入できるとされていますので、そうなれば、首長や教育委員会の意向のみで導入することができ、教育現場の同意は必須とされておりません。地方公務員法第五十五条による職員団体との交渉や書面協定が可能であるとの答弁がありましたが、法的拘束力がなく、また条例制定の必須条件でもありません。現場の教員が望まないにもかかわらず、この制度が導入されてしまうのではないかという懸念は払拭されませんでした。 文部科学省は、この一年単位の変形労働時間制の導入の目的を休日のまとめ取りによる教職の魅力向上を図ることと説明していますが、当事者の現場職員や過労死遺族を中心に制度導入に反対する署名活動が展開されております。 参考人質疑においても、勤務時間を延長する学期中の疲れを休日のまとめ取りを行う八月に癒やせというのはおかしい、教員の体はロボットではない、日々の疲れは一日一日で取っていくべき、また、私生活の時間が十分に取れない多忙の状況の中、子供を持たない選択をしたとのショッキングな話も伺いました。ほかに、残業は管理職が命じた労働であると責任の所在をはっきりし、上限を超えた場合は管理職に罰則を付けてくださいとの指摘もございました。 このように、教員の厳しい労働環境が改善されていない現状において、真に教職の魅力向上となるのは教職調整額の水準を見直すなど処遇改善をするべきですし、そもそも定数改善が必要という現場の声が大多数を占めております。 文部科学大臣は、三年後に実施予定の教員勤務実態調査の結果を踏まえ、給特法の見直しを含む検討を行うと答弁していました。 しかし、未来のこの国を担う子供たちを育てる教員の方が希望を持って働き、その姿を子供たちに見せていくことこそが、そして生きる喜びを感じられる環境をつくることこそが大切ではないでしょうか。三年も待たずに、今すぐこの矛盾に満ちた給特法の抜本的な見直しに着手すべきです。 以上の理由により、共同会派として本法律案に反対することを申し上げ、討論を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(山東昭子君) 梅村みずほさん。 〔梅村みずほ君登壇、拍手〕
○梅村みずほ君 日本維新の会の梅村みずほです。 私は、我が党を代表して、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論いたします。 かつて憧れの職業だったはずの教職は、今、人材不足にあえいでいます。常態化した時間外勤務は、公立中学の教員において月平均八十一時間まで膨らみ、厚生労働省が定める過労死の労災認定基準を超えています。新時代の子供たちに求められる能力は年々多様化し、それに伴って教員への要求も増大しました。部活動や地域のボランティア、数多くの研修会や会議、教育実態を調査するためのアンケート、給食費の徴収やプール当番など、本来最優先すべき教育課程内の業務に加え、学校の先生に対する社会の要求が限界に達していることは、近年五千人前後で推移する精神疾患による休職教員数を見ても明らかです。 スクラップ・アンド・ビルドならぬビルド・アンド・ビルドによって閉塞した教育現場を見過ごしてきたことは国として大きな問題であり、いよいよ現状を打破しなければならないリミットが来ていることは明白です。 長期休暇中に休みのまとめ取りを促進することによって教員の労働時間を調整することなどを柱とした給特法改正案は、今後展開される一連の働き方改革の第一歩だとしても、多くの課題をはらんでいます。 特に、日本維新の会がこの給特法改正案における問題として重く捉えたのは、公立中学・高校教員の部活動指導です。教員の働き方改革を進めるに当たってまずアプローチすべきは、多忙の原因であるにもかかわらず、多くの教員にとって大きな負担となっている部活動に関して十分な対策が取られていないことに、政府として部活動改革を進める意思が希薄であると感じました。 部活動指導は、いわゆる超勤四項目に該当せず、教員の自発的行為とみなされますが、先日の文教科学委員会に出席された現役の高校教師である参考人の以下の言葉に、複数の委員からは驚きの声が漏れました。 自分もずっと演劇をやっていたので、演劇部の顧問をしていたときはとても楽しかった。家に帰ってもシナリオのことを考えたりしているうちに、本来の教師として費やすべき時間を部活に変えていってしまう。本当にやるべきことを見失ってしまう。自分は、一番やりたい演劇部の顧問だけはやってはいけないと思った。守らなければならないのは教育課程内だからだ。 部活顧問は、ある先生方にとってはやりがいもひとしおの仕事。かわいい教え子を大きな目標へ導いていくのはこの上ない喜びでしょう。その反面、際限なく部活動に自分の時間をささげてしまうことにもつながるだけではなく、本来の職務に支障を来すケースもあります。また、本人が望まないにもかかわらず部活動の顧問を任された先生にとっては、残業であると認められることもないまま多くの時間を投じなければならないため、苦痛と負担が重くのしかかります。 これまで育まれてきた日本の部活動はすばらしい文化とも言えますが、教員の過労がこのような社会問題となった今、先生方と部活動の間に適切な距離を設ける必要があります。 そこで、日本維新の会は、今回、衆参各委員会において、附帯決議に、外部指導者の増員と学校外のスポーツクラブチームの活用を促進する施策を検討するという内容を提案させていただきました。 大阪府を始め様々な地域では既に外部指導員の配置も行われています。国が後手に回っているとも思われる中で、この附帯決議を盛り込んでいただいたことが、今回、本法案に賛成する一つの理由です。 この附帯決議により、公立学校教員の皆様が少しでも自らの授業に専念し、生徒指導を充実させることにつながることを期待するとともに、外部指導員等を通じ、学校と地元の結び付きを強め、地域で一体になって生徒を指導する機会を増やすことで、社会全体が教育に関わる体制をつくることのきっかけになることを願っています。 また、日本維新の会では、先ほど申しました教職員の精神疾患についても憂慮しており、療養を余儀なくされる教員の数をこれ以上増やさぬよう、労働安全衛生法によるストレスチェックの完全実施を附帯決議として盛り込むことを提案いたしました。この内容を衆参各委員会にて附帯決議として盛り込んでいただきましたことも、本法案に賛成する理由の一つとなりました。 そのほか、本法案によって、教育現場に時間管理の意識が定着し、部活動指導に柔軟性が生まれ、地方公共団体によるユニークなアイデアが促進され、それが全国に波及することに教育現場の労働環境改善の可能性を見出しております。 最後に、萩生田光一文部科学大臣に教育改革へ向けた御覚悟をお願いして、賛成討論を終えたいと思います。 子供は、親や教育者の背中を見て育つもの。その行いのあしきところも善きところも鏡のようにまねをいたします。では、社会はどうでしょうか。その国のリーダーたる元首、政府、行政組織を模範とする側面を否むことはできないでしょう。 今回の給特法改正案に端を発する教育職員の働き方改革は、子供たちの教育の質にもつながる国難打開へ向けた大改革です。その壮大なプロジェクトにおいて陣頭指揮を執る文部科学大臣には、まず、御自身が身を置く内閣においても積極的に改革を推し進めていただきたく存じます。 国民が望んでいる説明に国民に向き合った形で応じてくださること、過ちがあれば謙虚にこうべを垂れること、そういった信頼に足る政府の姿が見えない限りは、国会においての無用な日程闘争や審議停滞も絶えず繰り返されます。結果、国民の不信を更に招き、今回目指している教育現場の大改革も砂上の楼閣となることでしょう。 日本の未来とも言える子供たち、その教育を任されている先生方の日々の生活や人生が大臣の肩に懸かっております。日本維新の会も、賛成した上は、より良い教育行政推進のため、本法案の進捗について注視するとともに、鋭意努力してまいります。 文部科学大臣におかれましては、昨日の委員会にてお聞かせいただきました決然たる御覚悟のとおり、改革の断行に臨まれますようお願い申し上げ、賛成討論を終了いたします。 ありがとうございました。(拍手)
○議長(山東昭子君) 吉良よし子さん。 〔吉良よし子君登壇、拍手〕
○吉良よし子君 日本共産党の吉良よし子です。 私は、会派を代表して、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。 冒頭、一言申し上げます。 桜を見る会の疑惑について、首相は全く説明責任を果たしていません。さらに、与党は、総理を守るためなのか、野党が要求する総理出席の予算委員会集中審議には背を向けています。一方で、国民に重大な影響を与える法案は次々と押し通す。このような政府・与党の姿勢は絶対に許されない、このことを申し上げ、討論に入ります。 教員の長時間労働は依然として深刻で、過労による休職や痛ましい過労死が後を絶ちません。教員の長時間労働の是正は、まさに日本の教育の現在と未来の懸かった国民的な課題です。 教員の長時間労働は、学習指導要領の改訂で教員の持ちこま数が増やされる一方で、それに応じた教員定数が増やされず、全国学力テストや多過ぎる行政研修など、多忙化の原因となっている業務を文部科学省が増加させてきたことに原因があります。 そして、給特法では、四%の教職調整額の支給と引換えに、労働基準法第三十七条の割増し賃金の規定を適用除外し、残業代を支給しないこととしています。それが時間外労働を規制する手段を奪い、際限のない長時間勤務の実態を引き起こしてきたのです。ここに手を付けずにどうして教員の長時間労働が是正できるというのでしょうか。 本法案は、教員に長時間労働を押し付けている給特法の枠組みには一切手を付けず、公立学校教員に一年単位の変形労働時間制を導入しようとするものです。 厚生労働省の通知によると、この制度は、恒常的な時間外労働がないことが前提だとあります。一方、文部科学省が行った二〇一六年の勤務実態調査によると、公立学校の教員の時間外勤務は、小学校で月五十九時間、中学校で月八十一時間にも及びます。このような恒常的な時間外労働が蔓延している公立学校に制度を導入できるわけがありません。 この間、文部科学大臣は、時間外労働の上限を月四十五時間、年間三百六十時間とする上限ガイドラインの遵守が制度導入の大前提だと答弁しています。しかし、勤務実態調査を行った二〇一六年の段階で、小学校では六割、中学校で七割以上の教員が月四十五時間以上の時間外勤務を行っている現状も質疑を通して明らかになりました。 勤務時間の把握もこれからです。タイムカードを導入した学校現場でも、虚偽の時間把握が蔓延しています。目標達成ができなくなるので五時半には打刻してくれと管理職に言われている、校長先生が、勤務時間を過ぎたらとにかく退勤と押してくれと指導している、また、どんなに朝早く学校に来てもタイムカードは勤務時間になってからとか、朝七時前に出勤しても打刻は八時半にしか付けられないなど、全国各地から同様の訴えが出ています。しかし、文部科学省は、こうした実態すら把握していません。 変形労働時間制導入に不可欠な正確な勤務時間把握すらできていない現状を見れば、制度導入の是非を議論できる段階などではないのは明らかです。 一年単位の変形労働時間制の導入は、長期にわたり八時間労働の原則をあってなきものとする重大な労働条件の不利益変更です。だからこそ、労働基準法は、その適用条件として、過半数労働者の同意を必須とする労使協定の締結などの厳しい条件を課しているのです。 本法案で、地方公務員である教員に労使協定さえ結ばずに条例で変形労働時間制の導入を可能とするのは、労使対等原則を踏みにじるものです。そもそも公立学校教員は、憲法二十八条に保障された団体交渉権、争議権が制約されています。勤務条件条例主義を盾に取り、労使協定さえ不要とすることは、教員の労働者性を否定するものにほかなりません。 変形労働時間制で定時を延ばせば、ますます長時間労働への歯止めが掛からなくなります。委員会での参考人質疑では、現職教員の方から、勤務時間が延びれば業務は確実に増えることが指摘され、その後の残業時間で授業準備となると、くたくたで授業の質も保証できません、精神的、時間的にゆとりのない中では、教師の質、授業の質、日常の生徒対応、公教育の質がもはや保証できませんとの陳述がありました。 学校現場は日々、子供や保護者など人を相手にする仕事です。予期し得ない予測不能な事態、事故も起こり得る場所です。あらかじめ労働日、労働時間を定め、その後は変更ができない変形労働時間制を導入することなど、どだい無理なのです。 また、問題は、教員一人一人の長時間労働だけではありません。制度導入で、校長、副校長、教頭といった管理職の負担も増えます。 実際に変形労働時間制を運用するとなると、校長らが一人一人の教員の個々の事情を聞き取り、対象となる教員を決め、年間スケジュールに合わせて月ごとの労働日、労働時間を定め、毎月三十日前までに次の一か月の勤務スケジュールを提示することになっています。各学校に対象になる教員、ならない教員がいて、対象になった教員については、学年ごとに年間スケジュールが違うので、一つの学校で何パターンもの勤務時間の配分を行い、管理をしなくてはならなくなる。参考人質疑でも、今まで全くやっていなかったものをするわけですから、業務は増えるに決まっているとの声もありました。 業務削減を進めると言いながら、変形労働時間制によって業務負担を増やすなんて本末転倒も甚だしいではありませんか。教員勤務実態調査においても、副校長、教頭の勤務時間がほかの教員より長いことが明らかになっており、その管理職の業務を増やす制度改正などあり得ません。 政府は、この制度は休日まとめ取りのための制度と説明していますが、年休や代休の活用など、変形労働時間制以外の手段で休日をまとめ取りすることは可能です。 むしろ、休日を取りたくても取れない、右肩上がりで業務が増え続けていることが問題です。道徳の教科化や、小学校での英語の教科化など、授業時間が増えています。プログラミング教育も導入されます。道徳は、担任が子供一人一人の評価を文章で毎学期の通知表にも年間の指導要録にも書かなければなりません。英語に至っては、英語の免許を持った教員が足りず、英語教育の専門性のない教員が英語を教えなければなりません。プログラミング教育も初めてのことです。 しかも、弊害しかない全国学力テストや教員免許更新制、様々な行政研修などを文部科学省がやめたり減らしたりしないことも質疑の中で明らかになりました。 業務は減らさず、増やし続ける一方で、教員は増やさない、そのまま長時間労働を助長する変形労働時間制を公立学校現場に導入することなどあってはなりません。 日本共産党は、全国学力テストや多過ぎる研修など、多忙化の原因となっている業務を文科省が削減すること、給特法の残業代不支給と労働基準法第三十七条の適用除外の規定を削除し、教員に働いた分の残業代を払う抜本改正を求めるとともに、教員を抜本的に増やすことで学校の異常な長時間労働をなくすため、全力を挙げる決意を申し上げ、反対討論といたします。(拍手)
○議長(山東昭子君) これにて討論は終局いたしました。 ─────────────
○議長(山東昭子君) これより採決をいたします。 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。 〔投票開始〕
○議長(山東昭子君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。 〔投票終了〕
○議長(山東昭子君) 投票の結果を報告いたします。 投票総数 二百四十 賛成 百五十九 反対 八十一 よって、本案は可決されました。(拍手) ───────────── 〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕 ─────────────
○議長(山東昭子君) 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時三十一分散会