法務委員会 第8号
- 発言数
- 220 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2019/11/15
会議録
○松島委員長 これより会議を開きます。 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官河野真さん、法務省大臣官房政策立案総括審議官西山卓爾さん、法務省大臣官房審議官山内由光さん、法務省民事局長小出邦夫さん、法務省刑事局長小山太士さん、法務省矯正局長名執雅子さん、法務省保護局長今福章二さん、法務省人権擁護局長菊池浩さん、出入国在留管理庁次長高嶋智光さん及び外務省大臣官房参事官赤堀毅さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ―――――――――――――
○松島委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局総務局長村田斉志さん及び民事局長門田友昌さんから出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ―――――――――――――
○松島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井野俊郎さん。
○井野委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の井野俊郎でございます。 本日は、質疑の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。 前回の国会に引き続き、まずは、先に管財事件についてお伺いをしたいと思っております。 前回の国会において、私は、管財人指名のあり方について最高裁と議論をさせていただきました。管財事件というと、せっかくなので少しだけお話しさせていただくと、破産の申立てをした例えば会社なり人が、財産を、財団を、余っている財産を管財人が集めて、そしてそれを債権者に平等に、債権額ごとに分配する。それによって結局払えなかったものは、そのまま免責するかどうかというまた手続をして、免責されれば、最後は借金がゼロになって破産手続は終わりというような流れの裁判事件、一つの裁判手続でございます。 これについて、私自身、弁護士の経験もある手前、やはり管財人の選任のあり方について、前国会において、この委員会で質疑をさせていただきました。 管財人というものは、やはり相当なある意味報酬もいただける事件でありますし、かつ、それを指名することについては何らの公明な手続といいましょうか、簡単に言うと、今、裁判所では、裁判官、裁判所によって、この人がいいやと弁護士の中から選んで選任をしているというような状況であります。それについて私は疑問を持っているところであります。 その上で、裁判所は、一つの案としてですよ、これは指名競争をやれと言うつもりはないですけれども、絶対やれと言うつもりはないけれども、一つの案として、現に、公共事業等といいましょうか、においては競争入札等によって、もちろん、難易度の高い公共事業については指名競争入札という、ある程度の条件を絞って指名競争入札をしていたりとか、ある程度の、そういう公明正大な形で指名手続をやっていますけれども、なぜそれができないのかということを議論させていただきました。 裁判所は、前回は、適正かつ迅速に処理するのに適した弁護士を選任できないというふうな話でできませんとおっしゃいましたけれども、じゃ、まず一つに、簡単に、その指名、いわゆる一本釣りですね、一本釣りがなぜ適正だと言えるのか、その担保されているものは何なのか、まずお聞かせください。
○門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 破産法上、破産管財人は、破産裁判所が選任することとされております。 具体的な事件における管財人の選任に当たって考慮される要素はケース・バイ・ケースということで、事案によりさまざまということになりますけれども、一般に考慮されている要素としましては、事件の規模、予想される破産管財業務の内容や難易度、これをもう少し具体的に申しますと、債務の内容ですとか負債額、債権者の数、破産原因、財産の換価・債権の回収など破産財団を形成するために行う業務の内容、その他破産管財業務を進める上での問題点等ということになりますが、そうしたものを考慮したり、あるいは、候補者の法曹あるいは破産管財人としての経験、当該破産管財業務に必要となる特殊分野での経験、これは渉外事件の御経験が必要な事件というのもありますし、あるいは、特許等の知的財産権が財団の大きな要素を占めるものについては、そのような経験の豊富な方を選ばなければなりませんし、あるいは、労働問題がいろいろ複雑に入り組んでおります場合ですとか、あるいは、民事介入暴力が絡んでいる事件というのもありますので、そのような御経験があるかどうかとか、それから、候補者御自身が破産管財人となっている手持ちの未済事件の件数及びその進捗状況ですとか、事件関係者との利害関係の有無、こういったものを総合考慮して選任するということになっております。 それぞれの破産裁判所におきましては、このような要素を総合的に考慮するわけですけれども、公平性とかあるいは客観性というものにも配慮しながら、適正に破産管財人を選任しているものと承知しております。 適正の担保というところでお尋ねがございましたけれども、万一破産管財人の適正等について疑問があるという場合には、債権者等の利害関係人は解任の申立てをすることができるという制度になっておりますので、そうした形で管財人の選任の適正が担保されているものと考えております。
○井野委員 まず一つに、朝っぱらから怒りたくないんだけれども、つらつらと、その考慮要素は聞いていませんから、聞いたことだけ答えてくださいね。私も朝っぱらから余りどなり声を出すのは嫌ですからね。 じゃ、解任の申立てができるというその手続が、仮に、弁護士会で、俺、この管財事件やりたいなという人が、あの人は適切じゃない、選ばれた理由もわからない、ついては解任申立てしたい、これは可能ですか。
○門田最高裁判所長官代理者 解任の申立ては利害関係人ができるということになっておりますので、破産管財人が適正でないということに利害関係があるという方であれば申立てができるということになります。
○井野委員 ということは、可能という理解でいいですか。僕の方がもっと適切に破産管財事件を処理できると考えている弁護士がいたということである、いいですか、もう一回言います、そういう弁護士がいたと。その弁護士も利害関係人という理解でいいですか。
○門田最高裁判所長官代理者 当該破産事件に関する利害関係ということになりますので、当該破産事件に関しての利害関係があれば可能ということになりますし、当該破産事件に関する利害関係がなければ難しいということになろうかと思います。
○井野委員 結局、できないということだよね、そうすれば。 はい、どうぞ。
○門田最高裁判所長官代理者 例えばですけれども、当該事件で債権者になっておられる方の代理人の弁護士ということであれば申立てができるのではないかというふうに思っております。
○井野委員 私が挙げた例はそうじゃないでしょう。私が挙げた例は、全く関係なくて、弁護士会で、破産を俺は一生懸命勉強してきたんだ、この破産管財事件を例えば新聞でも何でも知った、これは俺が一番うまくできるんだと思っている弁護士がいた場合に、その人ができるかと聞いているの。
○門田最高裁判所長官代理者 当該破産事件についての利害関係がないという前提のお尋ねであれば、それは難しいということになると思います。
○井野委員 ということは、結局、適正性の担保をされていることにならないんじゃないんですか。
○門田最高裁判所長官代理者 私どもとしましては、先ほどのような仕組みもございますので、適正性は担保されているというふうに考えております。
○井野委員 理由も示さずに、この人がなぜ適正か。じゃ、理由を示すんですか。示していないでしょう。先ほどいろいろな考慮要素を言った。その考慮要素はわかるよ、裁判所がそうやって考慮しているのは。だけれども、理由は、一般国民ないし破産申立人とか含めて、公告しないでしょう。何でそれで適正性が確保されているんですか。
○門田最高裁判所長官代理者 理由を示すのかというお尋ねですけれども、破産規則の二十三条一項におきまして、破産裁判所が破産管財人の選任を行うに当たっては、その職務を行うのに適した者を選任するものとされておりまして、したがいまして、ある者を破産管財人と選任した理由は、当該破産裁判所が当該事案における破産管財業務を行うのに適した者であると認めたということに尽きると思いますので、それを超えて詳細な理由は明らかにしておらないということでございます。
○井野委員 理由も示さずに、異議申立てもできない。何でこれが適正性を確保できるのかと聞いているんです。 だから、裁判所は、俺が決めたこと、俺が選んだ人は適切だ、その一つだけじゃないですか。それに対して理由も示さず、いわゆる申立て権もない。何でそれで適正性があると言えるのか。それはもう完全に、裁判所は間違いを起こさないと言っているようなものじゃないんですか。どうですか。
○松島委員長 局長、質問者に適切に答えてください。
○門田最高裁判所長官代理者 破産管財人の選任につきましては適正に行わなければならないというのは、これは、全国で破産事件を担当している裁判官は重々承知しているところと思われます。 先ほど、客観性、公平性を十分に考慮しながら選任に当たっているということを申し上げましたけれども、そういった形で適正な選任が行われているというふうに理解しております。
○井野委員 私も、個々の、この管財人はおかしいとか言っているんじゃないんですよ。手続上、公正性、客観性を担保できていないんじゃないですかと言っているんだよ、手続上。理由も示さない。異議申立て権もないんだよ。こんなのでどうやって。 裁判所の言っていることは正しい、まあ、それはほとんどは間違っていないだろうけれども、だけれども、人は間違いを起こすときもある。そのためにいろいろなそういう、異議申立て権だったり、いろいろな手続が裁判所の手続上あるでしょう。だけれども、この点については一本釣りだよ、理由も示さないよ、それで何で適正な手続が確保されて、信用しろと言えるんですか。
○門田最高裁判所長官代理者 繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げましたとおり、破産管財人の適正等について疑問があるときには、破産管財人の選任の適正について最も利害関係を有すると思われる債権者等におきまして解任の申立てができるということになっておりますので、こうした形で客観的な適正の確保ということは図られているのではないかというふうに思っております。
○井野委員 だから、手続上と言っているんだよね。さっきの手続は、結局、利害関係人しかできないんでしょう。 じゃ、もっと言えば、例えば、申立人が、申立て代理人、弁護士が、自分と仲よくしている弁護士にこの管財事件を割り振りたいといって、その人に当たるまで異議申立て権を乱発することは可能ですか。
○門田最高裁判所長官代理者 申しわけございません。 今、質問が正しく理解できているかというところなんですが、申立て代理人がこの人に管財人をお願いしたいということで異議をおっしゃれるかというところでしょうか。(井野委員「例えば」と呼ぶ) 裁判所側で管財人を選任する場合には、申立人の御意向というのは、これは実際、利害がかなり反する場面ということになりますので、それは伺わないということになります。 手続上、解任の申立てとか異議の申立てというのができるのかということであれば、それはできるということになるのかもしれませんけれども、ただ、それで濫用的ということになれば、何らかの措置をとるということになろうかと思います。
○井野委員 だから、結局、手続もないし、認められないということなんだから、とっととそのことを答えればいいんです。それに対して裁判所が、私はすごい疑問に思うのは、全く変えようと思わない。それに対して、いや、裁判所がやっていることは全部正しいんだ。 何らかの制度の担保、公正性、信頼してもらえるようなやり方をとろうという姿勢は一切ないですか。
○門田最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましては、法律と規則に基づいて適正に事件を処理していくということになります。 先ほど申しましたとおり、利害関係を有する方たちからのさまざまな広い意味での異議の申立ての手続等もございますので、そうした手続を設けていることで適正が担保されていくのではないかというふうに考えております。
○井野委員 だから、何度も言うように、適正な手続になっていないから問題じゃないのと私は言い続けているんだけれども、さっきから十五分ぐらい。そういうことに対しては一切聞く耳を持たない、もう俺らは俺らでやるということですか。あくまでも、自分たちのやっていることは全て正しくて、選び方については誰からも文句を言われたくないと。 例えば、だって、裁判所は管財人の名簿を持っているでしょうよ。こういう事件が来たら、例えば破産債権がもう何百億もいくような、何千億もいくような場合には管財人はこの法律事務所とか、持っているじゃない。弁護士の中で大体そういうのはもうあるでしょう、破産村みたいなことを言われているけれどもね。だから、それを、名簿を公開しなきゃだめじゃないのと私は思っているんです。そうすれば公明正大です。 第一、例えば指名競争入札にだって、Aランク企業になるためにいろいろな工事を一生懸命やって表彰されて、そして、ああ、ランクが上がったなとか、普通の一般の工事業者はやっているんですよ、あなたは知らないかもしれないけれども。私を応援してくれている建設業者とか。そうやって日々努力してランクを上げていって、それによっていい工事に入れるようになるとか元請になれるとか、そういうことをやっているんですよ。それを裁判所はブラックボックスのままずっとしているというのは、それは問題だろう。 いいよ、選び方は。だけれども、そこに何らかの客観性や公正性が担保されるような手続を、何かしら必要じゃないんですか。どうですか。
○門田最高裁判所長官代理者 繰り返しになりますが、裁判所による破産管財人の選任が……(井野委員「やる気ないならやる気ないでいいよ、答えれば」と呼ぶ)
○松島委員長 同じ原稿をもう一度読むのはやめてください。(井野委員「やる気ないというならやる気ないと、いいよ、答えてくれれば」と呼ぶ)
○門田最高裁判所長官代理者 いえ、適正な選任は現に行っておりますし、今後とも適正な選任を続けてまいりたいと思います。
○井野委員 だから、適正性に問題がある、申立て権も、理由も示さない。だから、何らかのそこに客観性や、皆さんが納得できるような、理解できるような形で国民なり弁護士に示すような手続なり、何でもいいよ、必要じゃないかと言っているんだけれども、まあ結局、さっきの答弁からいうと、いや、俺らは間違っていることはやっていない、変える必要ないということだね。 イエスかノーかだけでいいよ。
○門田最高裁判所長官代理者 制度的な手当てとしましては、解任の制度が法律に定められておりますので、それで適正を担保するということと理解しております。(井野委員「だから、はいかノーかを聞いているんです」と呼ぶ)
○松島委員長 指名してから発言してください。 井野さん。
○井野委員 だから、はいかノーかで答えてください。
○松島委員長 局長、そのような答え方をしてください。
○門田最高裁判所長官代理者 裁判所としては、現行の制度に従って適切に運用してまいるということでございます。
○井野委員 はいかノーかで答えてください。
○門田最高裁判所長官代理者 はいかいいえかというのが何に対するはいかいいえかというのを、もう一度御質問いただければと思います。
○井野委員 今後もこの手続は変える必要がないという姿勢でいいのかどうなのか。はいかノーかで答えてください。
○門田最高裁判所長官代理者 法律事項になりますので、裁判所の方からは意見は申し上げられないところでございます。
○井野委員 はいかノーかで答えていただければ結構です。
○門田最高裁判所長官代理者 大変申しわけありませんが、立法事項について裁判所の立場からお答えすることはできません。
○井野委員 立法事項じゃなくて、だから、名簿なりを公開するとか、何らか前向きに検討する必要がないかどうかということを聞いているんですよ。今の制度のままいくと。指名手続について、別に皆さんが、異議申立て権、裁判所規則でつくれとは言っていないよ、何かしらのみんなが納得するようなことをやるつもりはないか、それとも検討するつもりはないか。 検討すらないということで、それから、検討すらするつもりはないということでいいですか、じゃ。
○松島委員長 局長、これなら答えやすいと思います。
○門田最高裁判所長官代理者 裁判所として何か検討することがあるかというお尋ねであれば、特段検討するところはないということで申し上げます。
○井野委員 やはり裁判所というのはかなり硬直的で、要は、今まで自分たちがやっていることは全て正しいんだ、そういう姿勢でいるということ自体が私は大問題だと思うので、これは何かしらやらなきゃならぬ、法的手続を、じゃ、立法府として何らかやらなければならないということがよくわかりました。 では、続いて、判例の公開について、行きます。 まず、ちょっと通達について聞きたいと思います。 これは平成二十九年二月十七日通達なんですけれども、これによると、裁判所の、いわゆる一般国民に見せていいものと見せないものを出しているということになっているんだけれども。 まず、この通達について、判決書等については公開しない、民事はいろいろな条件をつけて公開するけれども刑事については公開しないとか、いろいろなことが書かれているけれども、この上で、ホームページ上では六万件ぐらい裁判所は判決文を公開していますよね。これはどういう扱いなんでしょうか。
○村田最高裁判所長官代理者 お尋ねで、最高裁のウエブサイトにおける公開のお話と、それから下級裁に向けて発した事務連絡のお話と、二つであったかと思います。 まず、最高裁のウエブサイトにおきましては、最高裁判例それから下級裁裁判例などのカテゴリーごとに、裁判所で言い渡される裁判例のうち、先例としての価値が高い、あるいは社会的関心が高いと考えられる裁判例情報につきまして、当事者及び被害者等のプライバシー等にも配慮しながら、一定の範囲のものを掲載をしているところでございまして、それが委員から御指摘のあった六万件余りの裁判例ということになります。 委員からの御指摘ありました事務連絡でございますけれども、これは、下級裁判所におきまして、裁判例情報のうち社会的に関心の高いものについて、速報性を持って裁判所ウエブサイトに掲載することができるようにという趣旨から、一つの選別基準を示したものでございます。
○井野委員 としますと、これはホームページ上の掲載基準ということであれば、基本的に、じゃ、例えば、判例、いろいろな情報サイトがあるけれども、そういう一般国民なり、閲覧若しくは謄写というかデータ請求があった場合には、これ以上のものも当然に出すよ、裁判所としてはそれを認めるよという理解でいいですか。
○村田最高裁判所長官代理者 ウエブサイトに載せているもの以外での裁判例の提供を求められた場合については、その判決書等を持っている各裁判所でそれぞれ対応をしておるところでございますけれども、一般的に申し上げますと、その裁判例情報を利用する目的がどういったところにあるか、あるいは、これを得たいという、その裁判例についての事件当事者のプライバシーの保護が大丈夫かといったところを総合的に考慮した上で、その依頼に対して便宜供与として提供するかどうかを判断しているということになろうと思います。
○井野委員 その便宜供与というのが、簡単に言うとサービスということだね、裁判所としては。別に義務でもないし、これは国民の権利に基づくものでもないと。これは、例えば国民の知る権利によるものでもないし、裁判の公開による制度の一部でもないと。 いわゆる憲法上の要請ではなく、一切の、裁判所のサービスであるということでいいんですか。
○村田最高裁判所長官代理者 国民のニーズを踏まえた裁判所の広報として、サービスか否かと言われれば、サービスということで、そういう趣旨でウエブサイトに掲載をさせていただいたり提供させていただいているというところでございます。
○井野委員 裁判所の理解としては、サービスだ、国民の知る権利には関係ないんだという姿勢で果たしていいのかなと、ちょっとそこは疑問に思うけれども。実際、最高裁がそんなことを言っているんだったら、裁判しても、いや、これはサービスだからおまえらの権利は関係ないんだと。少なくとも知る権利は多少入っているのかなという気はするんだけれども、これは権利じゃないんですか。 一切そういう、国民が、例えば耳目を集める判断、はたまた、場合によっては、よく、あるいは法律解釈において、すごい争点になる部分がありますよね。例えば、それこそ刑事事件でいえば、一番重要なのは、わいせつの意義について、判例を知る権利がないと。そうしたら、何がわいせつなのかというのは、国民の権利にとって萎縮効果があって、すごい権利侵害にもなるんじゃないんですかね。 こういった権利とは一切関係なく、裁判例というのは存在しているんですか。
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 国民に知る権利があるというのは当然のことでございまして、それを踏まえた上で、裁判所としてどう対応すべきかという問題かと思います。 ただ、裁判所に、知る権利に対応した上で明確な義務のような形があるかと言われますと、それは何か法制上明確に決まっているところでもございませんので、裁判所といたしましては、国民の知る権利があることを前提として、そのニーズになるべく応えたいということで、先ほど申し上げたような扱いをしているというところでございます。
○井野委員 法律上規定がないから権利はないんだという、何となくプログラム規定のように聞こえるんだけれども、知る権利はプログラム規定ではないんじゃないんですか。
○村田最高裁判所長官代理者 私が申し上げましたのは、知る権利についての明確な規定がないということを申し上げたのではなくて、国民による知る権利があることは当然として、ただ、裁判所側に、それに応じてこういう形で義務を果たしなさいという、義務について何か具体的な制度があるわけではないということを申し上げたつもりでございます。
○井野委員 まあ、義務はないと言われると、じゃ、例えば、知る権利に基づいてこういう判例を請求したいと国民が言っても、当然、法的な義務がないから開示義務もない、一切、要は、裁判所で争う余地すらないということですか。
○村田最高裁判所長官代理者 裁判例の提供のお求めに対して裁判所がそれに応じなかった場合に、どういった形でそれを争えるかということについては、その争う方の選ばれる方法といいますか御判断によるのかなというふうに思われます。
○井野委員 だけれども、裁判所は認めないということでしょう、義務がないんだから。義務がないイコール、だって、争いようがないですよね。権利と義務というのは裏っ返しのものでしょう。権利はあるけれども義務はない。それは、その知る権利を求めて誰も裁判なんて訴えないよね。ましてや、こんな国会の場所で最高裁の姿勢がわかった状況であればね。本当にそういう答弁で大丈夫ですか。
○村田最高裁判所長官代理者 国民の知る権利があることを前提として、問題がない形での提供ができるように、適切な対応ができるようにしてまいりたいというふうに考えております。
○井野委員 そういう答弁であれば、そこまでで、これ以上詰めませんので。 続いて、じゃ、先に進みますね。 この裁判例情報なんですけれども、今回の、裁判例の公開媒体と件数という形で出させていただきましたけれども、基本的に、いわゆる主要三社と言われているLEXやウエストロー、第一法規という会社があります。これは弁護士業界では超有名な三社でして、大概の弁護士がここと契約して、月一万円ぐらいの、今ちょっと幾らかわかりませんけれども、一万円ぐらい払って判例を検索して、自分の事件、相談に対して対応とかをしているわけですね。 まずもって一つ確認したいのは、大体二十八万件ぐらいなんですよ、なぜか。裁判所としては、閲覧権、こういうデータ提供というか、こういうことに対しては制限をかけているというか、大体一律にするようにしているのかどうなのかと、あと一つは、件数というものを、年間の件数だとかを制限とかしていたりするんですか。これ以上は出さないよとかいうことをしているんですか。
○村田最高裁判所長官代理者 裁判例の提供は個別の判断でございますので、お示しいただいたような数字は、結果としてそのようになっているものというふうに思います。 また、何件まで示すとかいったような、上限を設けているというようなことは一切ございません。
○井野委員 結果としてということであれば、じゃ、まず一つ確認なんだけれども、この三社以外で、裁判情報を収集したい、もちろん二十八万件どころじゃなくて三十万、四十万件集めたい、これ以外の会社がそういうことを言ってきている場合、そういうことをやるということは可能ですか。
○村田最高裁判所長官代理者 資料でお示しのところ以外からの申請であっても個別の判断でございまして、先ほど申し上げたとおり、その申請の、提供を受けたいという目的と、それからプライバシー保護等の観点から問題がないかどうかということを見させていただいて、そこに問題がなければ提供させていただくということになろうと思います。
○井野委員 じゃ、例えば、受けたいと思っている人、先ほどプライバシーと目的という、この二つ以外に具体的な要件というものはあるんでしょうか、受けるに当たって。新しい会社がどんどんどんどん判例を集めたいというような場合に、どういう要件を満たせば提供してくれるのかどうなのか、そういうことは公告されているんでしょうか。その二点、お聞かせください。
○村田最高裁判所長官代理者 どういった方からの提供のお申出かということが何か要件になっているということはございません。基本的に、どういう目的でお使いになりたいかということの一つの事情になる程度かというふうに思われます。
○井野委員 だから、もう一回言うよ。要件、じゃ、その目的だけでいいね、目的と、プライバシーをちゃんと保護するよという例えば誓約書とかだけでもいいんですか。例えば、私が、関係ない人の判決文、見たいし、データとしてとっておきたい、それを今後の自分の弁護士活動において活用していきたいんだ、そういう個人的な、もちろんプライバシーはちゃんと守ります、弁護士だから守りますという形で請求したとして、それは可能ですか。
○村田最高裁判所長官代理者 個別のお申出に対する判断ということにはなりますけれども、その目的と、それからプライバシー保護に関しましては、例えばその方が更に外部にそれを提供される予定があるというような場合には、マスキングが適切にされる体制があるかとか、そういった観点を見させていただいて、問題がなければ提供させていただくということになろうと思います。
○井野委員 ちなみに、その要件は公告しているんですか。何でこの三社だけなのか。ほかに、例えばベンチャー企業で、弁護士ドットコムとか、ああいういろいろな、リーガルテックみたいなことをやっている会社があるけれども、この三社以外、なぜ今まで集めていなかったのか。まあ、それは会社の事情にもよるかもしれないけれども。そういった、こういう人たちには提供しますよという、必要であれば言ってください、プライバシーの問題がなければ、目的が正当であれば出しますよということは公告しているんですか。また、していないんだったら、今後そういう予定はありますか。
○村田最高裁判所長官代理者 御指摘のような公告をしているということはございません、これまでそのような形のニーズがあるかどうかという形での検討をしておりませんでしたので。今のところは、それを新たにするというような予定は考えておりません。
○井野委員 少なくとも、今までやってこなかったからというか、要は、ただ、今、ビッグデータ化というのは、とても国民のニーズというのはすごい強いんですよ。あのGAFAがあれだけ大きくなった、それは個人情報をみんな持っているからなんですよ。それだけ、今国民は情報というものに対して、世の中の人は大きな価値を見出しているんです。それが利益にもなっているんです。 それこそ、例えば、例として、私が不倫事件の相談を受けた。先生、慰謝料を請求したいんです、相手の、まあ女でも何でもいいや、男でも。そういう場合に、今の裁判例、大体、不倫期間何年だとか、どういうきっかけで不倫関係に陥ったか、どういうふうにして交際してきたのか、そういうことをもとに、相談者に対しては、じゃ、あなたの場合には大体これぐらい損害賠償請求でもらえるんじゃないんですか、そういうニーズというのは、それは判例のデータの中から大体の予想というのはつくわけですね、紛争解決への最終目的地といいましょうか落としどころみたいなものは。これは本当にこれから先とても重要になってくるし、そういったものをやはり公開していかなきゃならないと思っているんです。 だから、例えばこの読売新聞の八月十日付の、データベース化を検討していこうという新聞記事がありますけれども、まさにそういう国民のニーズはあるんだということが、政府もようやくここへ来て重い腰を上げ始めたということなんだよね。 そういうことになっているわけですから、当然、もちろんこれは民事だけじゃないんですね、刑事事件もそうですよね。自分の弁護人、ついた弁護人が、先生、こういうことをやっちゃった、僕、どれくらい刑務所に行きますかねみたいな、大体、弁護士になるとそんな相談を受けるんだけれども。そういうことに対しても、執行猶予がつくかどうかとか、いろいろな過去の裁判例からそういうものは何となく見通しが立てるようにしないと、本当にこれは紛争解決若しくは早期の解決にとって資するわけですから、そういった国民のニーズが出てきているということをまず認識してもらいたいし、今後どういうふうに対応していくか、まずお聞かせください。
○村田最高裁判所長官代理者 委員の御指摘のような、裁判の予測可能性を高めるといったような観点から裁判所の裁判例情報をデータベース化したい、こういった取組がある場合につきましては、そういった裁判例情報の利用、活用、これを希望する政府あるいは行政機関、民間企業も同じでございますけれども、それらの主体におきまして、事件類型の性質も十分踏まえつつですけれども、事件当事者のプライバシー情報の保護など必要な配慮がされた上で枠組みを構築していただけるということであれば、それに対して裁判所の方で協力をして裁判例情報を提供するということは可能ではないかというふうに考えております。
○井野委員 ぜひそこら辺は、当然、仮名処理等が必要ですけれども、今後は、本当に大事な部分ですから、裁判所に対しては、前向きに取り組んでいただきたいと思っています。きょうの答弁は本当に前向きな答弁で、ありがたいなと私自身も思っておりますので、ぜひそのようにしてください。 ただ、ちょっと先ほどの話に戻って申しわけないけれども、裁判の公開について、結局、そういうことを公告していないし、どういう人ならいいよという受け取る側の公告もしていないし、何らかの、そういうことをしていないという理由も示さないというか、ある意味、プライバシーと利用目的が正当だったらいいということなんだけれども、やはりこれもある程度、裁判の公開基準を、こうやって出しているんだったら、全国の各裁判所の判断によると、結局、それは恣意的に、先ほどちょっと、前のやりとりじゃないけれども、恣意的になって理由も示されない、結局、オーケー、だめかだけを示すというんだと、余り適正な手続というか、国民の信頼性、何で俺がだめであいつはいいんだみたいなことになると思うんだけれども。 それに対して、そういった基準というもの、通達とか、こういう形で出すつもりはないですか。内部だけでもいいです、出すつもりはないですか。どうですか。
○村田最高裁判所長官代理者 先ほど御説明させていただきました事務連絡も、各裁判所の判断にばらつきが出たり、あるいは判断に迷って速報性にもとるということにならないようにという趣旨から発出をさせていただいたものでございまして、更に何かそういった目安なり基準なりということを示す必要があるかどうかについては、国民の皆様のニーズの状況、その変容等も見きわめさせていただきながら考えさせていただきたいというふうに考えております。
○井野委員 ぜひ前向きに検討していただきたいと思っております。 他方で、これも私ちょっと理解ができないなというところが、この養育費の増額という、つい最近の朝日新聞の朝刊なんですよね。これも、まあ、養育費の増額、これはいいことですよ、いいことなんだけれども、これを新基準へと、普通は、こういうのは裁判例の積み重ねでやるべきものでしょう。 裁判所が、じゃ、変な話ですけれども、基準をつくって出すのはいいんだけれども、そういう政策的な判断を裁判所が勝手にやるというのは、それはちょっとおかしな話で、今までの積み重ねによって、養育費は、やはり社会情勢がこれだけの養育費が必要になってきたんだ、教育費も高くなってくればこれだけ養育費も必要なんだという、その判例の積み重ねによって新しいものが出てくるんだったらわかるけれども、いきなり基準を変えて養育費は増額しますというのも、これはこれでどうかなという気がするんだけれども、なぜこんな政策的判断をするという、その根拠は何ですか。
○村田最高裁判所長官代理者 今回の御指摘の司法研究でございますけれども、これはあくまでも、裁判官である司法研究員による研究成果が取りまとめられたというものでございます。 これまで家庭裁判所で広く活用されてきた標準算定方式、算定表という考え方を踏襲しつつ、より社会実態を反映した合理的な額を算定できるようにという、必要なアップデートと申しますか更新をしたというものと考えておりまして、何か基準を明確にして政策的判断を示す、こういった類いのものというふうには考えておりません。 また、委員から、そういったことはそもそも裁判例の積み重ねによるべきものではないかという御指摘をいただきました。 実際、仮にこの研究成果が発表された後におきましても、実際の事案でそれを活用するか否か、あるいは活用するとして、どの事情をどういうふうに考慮して額を定めるか、これはまさに各家庭裁判所の裁判官の判断によるものでございまして、そういった、どういった活用の仕方、活用するのか否か、そして活用するとしてどういうふうに活用していくかというところは、これはまさに、委員御指摘のとおり、裁判例が積み重ねられていくべきものというふうに考えております。
○井野委員 だから、こういった裁判例の大事さというのを理解していらっしゃるんだったら、ぜひこういったことも公開して、こんな基準でやるんじゃなくて、やはり、裁判例とか審判例を公開していって、それによって国民の皆様に理解してもらうというのが本来の道だと思うので、わかっていらっしゃるかと思うので、その点はもう言いませんけれども。 最後に、養育費について、続いて、やはりこれは、最後にちょっと問題意識だけお話をさせていただきます。 やはり養育費の不払いというのは本当に深刻なんですね。この厚生労働省の調査結果、大体、養育費をもらっている人、一九から二四%なんですよ、離婚した人で、一人親家庭で。すなわち、七割はもう払わない、七割以上の人はもらっていないんですよ、養育費というのを。だから、もう明石市長もぶち切れて、養育費不払いのやつは氏名公表するかみたいな、こういう市も出てくるぐらい問題意識があるわけですね。 だから、これをぜひ早急に、今後、養育費不払いに対してどう対応していくかということを、これから本当に法務省と裁判所は絶対考えなきゃならないということだけちょっと申し上げて、次回の課題とさせていただきたいと思います。 終わります。
○松島委員長 次に、山尾志桜里さん。
○山尾委員 立国社会派の山尾志桜里です。 ちょっと二問、きょう大きなテーマを用意しましたけれども、前後を入れかえたいと思います。最初に香港のデモについて、その後に裁判記録のことをやりたいというふうに思います。 まず、皆さんのお手元の、きょうは資料が大部なんですけれども、右下、十四ページとあるところから見ていただければと思います。ここから四枚ほど、最近の新聞記事を用意しました。 この十四ページの記事は、十一月四日の未明に、香港のデモに、抗議活動に参加していた学生が立体駐車場で倒れているのが見つかり、死亡が確認されたという記事であります。「当時、現場周辺では警察が催涙弾を使ってデモ隊の強制排除を進めており、催涙ガスを避けようとして転落したとの見方がある。」と報じられています。 次のページ、めくっていただいて、これは、「香港 民主派議員七人訴追へ 中国指示で強硬措置か」というふうに書かれている記事です。既に撤回がされた逃亡犯条例改正案の審議を妨害したということで、民主派の議員が既に三人逮捕、訴追され、更に四人の手続が進んでいるという記事であります。 もう一ページめくっていただいて、これは十一月十一日、丸腰のデモの参加者に至近距離で警察が実弾を三発発砲したという記事であります。写真をよく見ていただきたいと思います。 もう一ページめくっていただくと、その翌日、「香港「大学まるで戦場」」と。武装した警官隊が大学に突入をして、学生たちが催涙弾の直撃を受け、あるいは警官に殴られ、数十人が負傷して、二百七十八人が逮捕されたという報告もあります。 大臣、まず、もう一枚めくり直していただいて、この「至近距離 迷わず発砲」という、これは動画でごらんになりましたか。
○森国務大臣 動画では見ておりません。
○山尾委員 ぜひ見ていただきたいと思います、たくさん拡散されておりますので。事務方の方に言えばすぐ出てくると思います。 私は見ました。やはりこれは見るべきだ、国会議員なら見るべきだというふうに、たくさんの方から動画をいただきましたので。本当に丸腰ですよ。手に何も持っていないということが動画からわかります。その手で殴りかかろうともしていないというふうに見えます。その相手に本当に至近距離で、私と大臣よりももっと近い距離かもしれません、実弾です、パンパンパンと三発、二人に対して。 ここで、大臣に伺います。 私は、どんな政治体制のもとであっても、武器を持たない市民に対し公権力が実弾を発砲するというのは許されないというふうに思うんですけれども、大臣の見解を伺います。
○森国務大臣 個別事案についてはなかなか答弁が難しいんですけれども、その上で、一般論として申し上げますと、委員の言うとおりであると思います。
○山尾委員 ぜひ、委員の言うとおりであるというところを、大臣の同じ言葉で結構ですので。 私は、一般論です、どのような政治体制のもとでも、武器を持たない市民に対し公権力が実弾で発砲するのは許されないと思いますが、大臣はいかがですか。一般論で結構です。
○森国務大臣 一般論として申し上げますと、武器を持たない丸腰の市民に対して公権力が実弾を発砲するということは大変憂慮すべき事態であると思います。
○山尾委員 私と大臣はやはり立場が違いますので、なかなか同じようにというのが難しいという事情はわかりますけれども、やはり我が国の法務大臣が、一般論としてであれ、この文脈の中でそういった答弁をしたということは、これは一つ私は大事なことだというふうに思います。 もう一つ、少し紹介すると、これは十四日だから、きのうのことですけれども、そういういわゆる若者というにとどまらず、十五歳の少年がやはりデモに参加をしていて、頭に警察の催涙弾が直撃したというふうな報道がされております。搬送先の病院で緊急手術を受けたという報道があります。あるいは、おなかの大きい妊婦さんにののしられた警官が、その女性の顔に催涙スプレーを浴びせて倒して、三人がかりで逮捕した、こういうことも報じられています。本当に、声を上げる弱い者たちが傷つき、拘束をされている、こういう事態であります。 法務大臣だからできることというのがあると思うんですね。 今、一般論としてということで、どのような政治体制のもとでも、武器を持たない丸腰の市民に公権力が実弾で発砲するのは大変憂慮すべき事態だという発信がありました。 もう一つ、これは、台湾の蔡英文総統は、台湾に渡った、恐らくこのデモに参加していた香港の学生について、こういうふうに発信しました、これはちょっと前の話ですが。関係機関が把握をしている、人道に基づいて適切に処理する、要するに、台湾に渡ってきた、保護を求めているそういった当事者に対して、人道に基づいて対応しますよというような発信をしたわけですね。これも支援の表明のやり方の一つかなというふうには思いますが。 それで、今度はちょっと、まずは事務方にお伺いをしますけれども、この前、外務副大臣をお呼びをしたときに、この話、本当にさわりだけしまして、じゃ、香港のそういった当事者が香港にある日本の領事館に駆け込んで保護を求めたら、外務省としてはどうされるのかという話をお聞きしたんですよ。そうしたらば、副大臣からは、事実関係を確認して、本人の希望を聞き取って、人道的な観点や関係各国との総合的な関係を考慮して具体的な対応を検討します、こういうことでありました。 法務省にお伺いをするんですけれども、それでは、何とか自力で日本までやってきて、空港あるいは港で保護を求めた場合、日本が何ができるのかということをお伺いしたいと思います。
○高嶋政府参考人 香港における話として御質問がございましたが、あくまでも、いかなる者が、いかなる事実に基づいて、どういう申立てをしてくるのかにもよりますので、この香港のデモ参加者に関するお尋ねとしてお答えすることはなかなか難しいんですけれども、あくまでも一般論として申し上げますと、船舶等で本邦に到着した外国人が我が国に庇護を求めてきた場合、出入国管理及び難民認定法に規定する一時庇護のための上陸の許可の可否を検討することになります。 すなわち、外国人からその一時庇護のための上陸の許可の申請がありましたときは、その者が許可の要件に適合するかどうかを個別に審査し、許可の可否を判断する、こういうことになります。
○山尾委員 まずは、私もこの制度を使うことになるんだと思います。 一時庇護で許可をされた上で、更に条約難民としての申請があった場合にはどうなるんでしょうか。
○高嶋政府参考人 御質問は、更に上陸後に申請があった場合でございますが、この場合も一般論としてお答え申し上げますと、我が国において難民認定申請がなされた場合は、申請者が国際的な取決めであります難民条約上の難民に当たるかどうか、これを個別に審査して判断することになります。 また、これも一般論ではありますけれども、仮に条約上の難民とは認定できない場合でありましても、本国情勢などを踏まえて、人道上の配慮が必要と認められます場合には、我が国への在留を認めているのが実情であります。
○山尾委員 まずは一時庇護、そして条約難民としての認定、そして、それがうまくはまらない場合でも人道配慮、そういう私たちのもとには受皿があるということだと思います。 これは、個別には今回ちょっと通告していないんですけれども、例えば、シリアからの難民や、あるいは人道配慮としての受入れや留学生としての受入れ、これも参考になると思いますが、今、平成二十三年から三十年までのシリアからの難民の受入れ状況で数字をもしお持ちで、これは私は聞きましたけれども、条約難民そのものには当たらなくても、おおよそ、人道配慮など、あるいは留学の資格などを使って、相当数というか、むしろほとんどの方を受け入れる体制をとっているやに聞きました。その点、もし御説明をいただければと思います。
○高嶋政府参考人 今、手元の資料では、平成二十四年から平成三十年までの数字がございますが、難民として認定した者の総数が十五名でございますが、不認定の上、人道的配慮をした者の合計数は五十八人となっております。
○山尾委員 大臣にお伺いをします。 そういった形で、もし、とにかく自力で日本に来ていただいた場合は、これは、外務省ではなくて、基本的に法務省の管轄になってまいります。そのときに、一時庇護、条約難民、人道配慮、そして、シリアの事例を聞きましたらば、あわせて、文科省あるいは外務省のJICAと連携して、それぞれが主体となってだと思いますけれども、例えば百五十名を留学生として受け入れる、一つは文科省の枠を使って、もう一つはJICAの技術協力制度ですか、そういったさまざまな手法があるんだと思います。 それは、大きくはやはり法務省が一定のリードをする立場にあると思いますし、外務省やあるいは文科省と連携をして、そういった器をきちっと検討しながら、法務大臣として可能なタイミングで発信をすることもでき得るんだと思います。 この点について、法務大臣のコメントを伺います。
○森国務大臣 昨今の香港情勢については、大変憂慮をしております。 これまでに、安倍総理また官房長官等、日本国政府として、自制と平和的な解決を関係者に求め、事態が早期に収拾されて、香港の安定が保たれることを強く期待していることを繰り返し表明したところで、私としても、それと同様の認識を持っております。 そして、委員の御質問である、今後の、庇護を必要とする皆様に対しては、引き続き、難民認定制度を適切に運用をするなどして、真に庇護を必要とする方を確実に保護できるように検討してまいりたいと思います。
○山尾委員 真に必要としている場合には確実に保護できるように検討したいということをいただきました。これもまた一つ重要な話だというふうに思って受けとめます。 あとは、やれることとして、私は、京都コングレスが気になっております。 京都コングレスは、まだ招待状を発出していない段階だということですけれども、そういった今準備段階にあって、四月の京都コングレス、あるいはその前の、これからも続く準備会合、こういったところでやはりこの問題を取り上げて、その事態について、それこそ、さっき言った台湾もそうですし、台湾は、台湾として参加することは恐らくないのかなというふうに思いますけれども、あるいは米国、アメリカでは、御案内のとおり、香港人権・民主主義法案というのが下院で可決をされました。そして、ペロシ下院議長はこういうふうに言っていますよね。商業的利権があるからといって米国が中国の人権について物を言わなくなれば、世界じゅうで人権について語る道徳的権限を失うことになると。 価値を同じくする国の担当者やリーダーたちと森大臣が、このコングレスや準備会合や、それにかかわるさまざまなコミュニケーションを通じて、やはり、さっき申し上げたように、どんな政治体制であれ、基本的人権は守られなければならない、法の支配は貫かれなければならない、たとえ他国のことであっても、それは同じ価値に立つ国々は発信をするというようなことを私はやっていくべきだと思います。いかがですか。
○森国務大臣 京都コングレスについては、前回のドーハを参考に、約百五十国が参加をしたという前回を参考にこれから招待状を発出していくことになるわけでございますが、このコングレスにおいては、従前から申し上げているとおり、法の支配、基本的人権などの基本的価値を重要視する我が国の立場を世界に示していきたいと思いますので、委員の御提案も受けとめながら、検討してまいりたいと思います。
○山尾委員 やはり、先ほど森大臣から、総理や菅長官も大変憂慮というコメントをしている、私も同じだというふうにおっしゃいましたが、私は、外務大臣とか官房長官とか総理大臣には発信できないことが発信できる、そういう立場だと思うんですよ、法務大臣というのは。外交とか経済とか、そういった政治的思惑で、なかなか総理みずから、なかなか官房長官みずからが言えなくても、私はその普遍的権利を保護する、人権を保護する大臣ですという立場でやれること、言えることがあると思いますので、ぜひきょうのやりとりをまた踏まえていただいて、いろいろな方がいろいろなことを大臣に言うと思います、言っていると思いますけれども、ぜひ法務大臣としてできることを探して、やっていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。 最後に、そういった準備をしていましたら、実は、十四日だから先ほどだと思うんですけれども、台湾の蔡総統がSNS上でこういった声明をまさに先ほど出したところです。全部を読みませんけれども、一部だけ読みます。 私は沈痛な気持ちで、ここに踏みとどまるよう香港政府に呼びかけます。人々の心の声に、暴力で応えるべきではありません。北京当局の機嫌をとるために、香港の若者たちを犠牲にするべきではありません。香港の自由と法治が、権威主義によってむしばまれています。権威主義の膨張に抵抗し、その最前線にいる台湾は、国際社会に呼びかけます。自由と民主主義を信じる皆さん、ともに立ち上がり、混乱する香港の情勢に関心を寄せましょうということを発信されています。 私は立憲民主党ですけれども、枝野代表は、先日、SNSで、「どのような政治体制の下でも、どのような主義主張を持っていても、武器を持たない市民に対し、公権力が実弾を発砲することは許されません。香港警察当局は著しく行き過ぎた権力行使を、直ちにやめるべきです。」ここまで発信をしております。 また、日本共産党ですかも、香港弾圧の即時中止をと党首が訴えているということも耳にしております。 政府、そして政党、そして政府に入っていない立法府がそれぞれの立場でやれることをやるべきときに来ていると思いますので、ぜひ、引き続きこのことを真剣に捉えて、みんなが役割を果たしていきたいということで、この件は、きょうは終わりにしたいと思います。 次に、裁判記録のことに移ります。 皆さんのお手元ですけれども、一ページから九ページまでのリストは、とても重要な憲法の判例というのが判例百選という本にまとまっているわけですけれども、その判例百選に出ている大事な憲法判例のうち、刑事事件の保管責任は法務省です、刑事事件以外の事件については裁判所です。なので、私も分けて質問します。 まず、刑事事件以外の事件について、裁判所に質問します。 前回、裁判所からはこういう答弁をいただきました。こういった判例百選に載っている刑事事件以外の事件は百三十四件と数え、そのうち百十七件を廃棄してしまったということでした。その後、裁判所からいただいたその廃棄と保管のリストが、皆さんのお手元に出したこの一ページから九ページのリストです。 これは、裁判所から出てきたリストということで間違いありませんね。
○村田最高裁判所長官代理者 間違いございません。
○山尾委員 それでは、例えば、皆さん、七ページまでめくっていただいて、左側の百六番というところを見ていただきたいんですけれども、百六番、これは長沼ナイキ事件と言われる事件です。初めて、自衛隊の存在が憲法九条二項に違反するというふうにされた裁判例であります。 最高裁の認識を聞きます。 この長沼ナイキ事件を廃棄したという判断は、正しかった、あるいは誤りだった、どちらの認識に立っていますか。
○村田最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 個々の記録の廃棄につきましては、先日も御答弁させていただいたとおりなのでございますけれども、記録を保存する各裁判所で行われておりまして、廃棄の判断に至った経緯も明らかでないというところから、その判断が適切だったかどうかについて、最高裁として見解を述べることは差し控えさせていただきたいと考えておりますけれども、ただ、当時の判断はともかく、この事件に限らずでございますけれども、重要な裁判に関する記録が多数廃棄されていたということに対しての御批判を受けているところでございまして、下級裁を支援、指導する立場にある最高裁として、その御指摘は真摯に受けとめているところでございます。 通達上は、重要な憲法判断が示された事件や、あるいは、重要な判例となった裁判がされた事件など法令の解釈運用上特に参考になる判断が示された事件等については特別保存に付するということで通達上されておりまして、この趣旨に沿った運用がされていたかどうかという観点では反省すべき点もあるかなというふうに考えておりまして、最高裁としてどのような形で下級裁を支援、指導できるかについて検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○山尾委員 運用に問題があったという認識はあるんですか。
○村田最高裁判所長官代理者 運用が適切でなかったという報道あるいは委員の御指摘、その他、御批判を受けているところでございますので、いろいろ反省をし、見直していくべきところがあろうかというふうに考えております。
○山尾委員 運用に問題があったという認識に立っているんですか。
○村田最高裁判所長官代理者 個々の判断についての見解は先ほど申し上げたとおりなのでございますけれども、総体として申し上げると、運用上、考え直さなければいけない点がある、問題があったというふうに考えております。
○山尾委員 一歩前進というか、一歩素直な見解だと思います。 ただ、本当は、個々の事件についても、経過が今となってはわからない、それはもう廃棄してしまったからわからないんですよね。調べればわかるところも出てくるでしょう。ただ、なかなか、これだけ膨大な記録である、廃棄されたのが。ただ、どんな判断経過をとったかわからなくても、今言っていただいたように、例えば長沼ナイキ事件が、皆さんのお手元に、運用指針も十一ページに出しましたけれども、この十一ページのずっと下に、「ア」から「カ」まで、こういったものは特別保存すると。これは、「ア」かつ「イ」かつ「ウ」とかではありませんよ。「ア」又は「イ」、どれかに当たったらこれは特別保存だという規定の中で、この長沼ナイキ事件が重要な憲法判断が示された事件に当たらないという判断は、これはあり得ないと思うんですよね、どんな判断経過であったとしても。その判断経過にかかわらず、判断結果に問題があったということは、これは間違いのないことだと思うんです。 やはりこれは沖縄のメディアの方も関心を寄せてくださっていますので、もう一つだけ個別の事件でいいますけれども、本当に大事な沖縄代理署名訴訟事件、これも廃棄をされています。これは、もう皆さん御案内のとおり、沖縄の米軍人が少女の拉致、暴行事件を起こして、それをきっかけに正義を求める県民の意思を大きく酌んで、沖縄の知事がですよ、米軍の土地強制使用の署名を拒否した、こういう事案が、当該地方における特殊な意義を有する事件で特に重要なものではないという判断結果はあり得ない。 しかも、当該地方だけじゃなくて、本当にこの日本の問題として重要な判断がされた、あるいはその判断の中に問題が浮かび上がる、そういう事案の裁判記録が捨てられたというだけのやはり重さを感じていただきたいなというふうに思います。 それで、ここから先は、じゃ、もう捨ててしまったけれども、これから先こういうことが起こらないためにどうしましょうという話なんですけれども、まずお伺いをします。 この問題が浮かび上がって、メディアも指摘をし、私もこの国会で指摘をし、国会が始まる、この臨時国会前から随分やりとりをさせていただきましたが、私は、まず、今、特別保存になっているものだけではなく、事実上保存されて何とか踏みとどまっている記録、これについて、まずはそれが廃棄されないようにしてくれ、少なくとも、今どんな形であれ保存されているものがこれまでみたいにベルトコンベヤーで廃棄されていくというようなことにはならないように、そういう指示を出してほしいというふうに言いましたが、どうなっていますか。
○村田最高裁判所長官代理者 保存期間を経過しているものの廃棄手続をとることなくそのまま事実上保存状態にある記録につきまして、委員からの御指摘もいただいたところでございまして、中には特別保存に付すべきものも一定程度含まれる可能性があると考えられるところでございますので、下級裁に対して、廃棄を留保するよう連絡をいたしました。
○山尾委員 その連絡が電話連絡で、文書がないということも聞いたんですけれども、今も文書は出していないんですか。
○村田最高裁判所長官代理者 早急に廃棄をとめるという観点から電話連絡で行いまして、その後も、指示の内容が特に複雑なものではございませんので、改めて文書で出すということはしておりません。
○山尾委員 私は、それはちょっと大変問題だということを事前にも随分指摘しましたし、この場でも改めて指摘をしたいと思います。 電話連絡はないでしょう、やはりこれだけ大事なものを廃棄をやめろということに対して。裁判所という一つの組織がですよ。 だって、電話連絡だったら、どういう責任主体が、どこに対して、何を対象に、いつの期間まで、何を求めたのかということが何にも残らないですよね。もしその指示の趣旨の受けとめが下級審で違って、あ、済みません、これは対象だと思っていなかったので判断しちゃいました、捨てちゃいましたといったって、それはもう電話連絡ですから検証のしようもないですよね。 だから、ずっと言っているんです。まず第一報を電話連絡していただいたのはいいですよ、だけれども、ちゃんと文書で出してくださいよ、これはと。文書で出してください。どうですか。
○村田最高裁判所長官代理者 現状をそのまま凍結せよという指示でしたので、疑義を生じるおそれがないと考えたところでございます。 この後、じゃ、その後どうするんだというところについての対応を決めて、それは明確に文書で発出をさせていただきたいというふうに考えております。
○山尾委員 それでは、お聞きしますけれども、事実上保存というふうになっていない、日々五年という保存期間が経過していくものについても、ちゃんと一切、廃棄という判断がとまっているとこの場ではっきりお答えになれますか。
○村田最高裁判所長官代理者 事実上、廃棄を留保している記録とは、その問題はやや異なるというふうに考えておりまして、昨年度、保存期間を経過して、本年度中に廃棄されるべき記録については、ある意味、これは特殊な経緯がないといいますか、通常の経過をたどっているだけでございますので、特別保存に付すべきものが含まれている可能性が高いというような事情が何かわかっているとか、そういうところでもございません。 また、大量の事件記録の保管場所を確保し続けなければならないというような問題がございまして、今年度中に通常どおり廃棄すべき予定のものの全ての事件記録の廃棄を留保するというところまではなかなか難しいかなというふうに思っているところでございます。 しかしながら、委員から御指摘をいただきまして、通達の趣旨に沿った運用が必ずしも行われていなかったのではないかという現状のもとで廃棄手続を進めていくことは問題だというふうに御指摘をいただきまして、この通常の手続に乗っているものについても廃棄を留保することができるか否か、できるとしても、どの範囲で、どういう形でできるかということについて、今、早急に具体的な検討を進めているところでございまして、できる限り早くまとめて対応をしてまいりたいというふうに考えております。
○山尾委員 いや、その通常のルートに乗っていたら、百三十四件中百十七件が捨てられちゃったという話なんですよ。 何が通常のルートかというと、本来は、せめて判例百選に載っているとか、いわゆる素人感覚でも、これはとっておくべきでしょうというものがどんどん捨てられていたわけだから、通常のルートが異常なルートになっていたということですよね。 だから、通常のルートに乗っているものなのでそれはとめられませんというのは、やはりちょっと問題の本質が十分わかっていただいていないなというふうに思うので、だからこそ文書が必要なんですよ。やはり最高裁というクレジットをつけて下級審に指示を出すときには、それをちゃんと検討しなきゃいけなくなりますからね、自分たちは何の範囲で、何をとめているんだろうと。そういう経過が持てるということがやはり文書の大事なことで、その文書を受け取った人も、自分に何が指示されているのか、はっきりわかる。 今の話だと、電話で、事実上保存されているものの廃棄をとめよと言われたけれども、毎日毎日、毎日毎日、大変重要なものから極めて軽微なものまで、毎日毎日、その五年という保存期間が過ぎていくものの判断については何ら指示がない。でも、後者にも含まれるでしょう。含まれてきたから、大事なものがスクリーニングにかからなかったわけですよね。 ぜひ、まず早急に対応すべき指示については文書でしっかり通達をしてもらい、とめた上で、ちゃんと最高裁の中でも、あるいは私たちとの対話でも、どういう仕組みをとれば、大事なものがちゃんと残り、その判断の適正が担保できるのかという、やはりそういう仕組みをきちっと構築をして、それがちゃんと下級審も含めて共有できたら、それはもう、やはり捨てるべきものは捨てる、でも、ちゃんととっておくべきものはとっておける、また解除をしたらいいですよね、その指示は。 もう一度答弁をお願いします。
○村田最高裁判所長官代理者 委員の御指摘は重く受けとめさせていただいておりまして、ですので、今、とめることがどういう形ならできるのか、その範囲、その保存場所の問題等について、どういう問題が生じるので、どういう対応ができるかといったところを詰めております。これを整理して、きっちり文書の形にさせていただいて、早急に発出したいというふうに考えております。
○山尾委員 例えば、最高裁において、戦後、違憲判決が出された民事の事件は十件というふうに最高裁に答えていただいて、そのうち七件がもう既に廃棄をされてしまったんだけれども、こういう問題をきちっとやりとりをするようになってから、一件がちゃんと特別保存に付されたり、その後も、恐らく気をつけようという思いはあるんだろうというふうに思いますけれども、気をつけようという意識だけでは、人がかわれば制度がまたもとに戻ってしまうから、やはりちゃんと文書でとめて、きちっと新しい体制をつくって、そして、誰になってもちゃんと適正な運用が図られるということをやっていただきたいというふうに思います。 それでは、今度は刑事事件について、これは法務大臣の所管ですので、お伺いをいたします。 戦後、今度は、最高裁において違憲判決が出された刑事の事件というのは何件あって、それは保存されているのか、廃棄されているのか、どうでしょうか。事務方でも結構ですよ、これは。
○小山政府参考人 最高裁において違憲判決が出された刑事事件につきまして、最高裁事務総局から御提示を受けました資料を我々も把握しております。九件と承知しております。 委員は御承知と思いますが、刑事裁判記録は刑事確定訴訟記録法に基づいて保管されまして、保管期間の経過後は、刑事参考記録に指定されたものについては保存されているものでございます。 それで、この刑事参考記録につきましては、累次御答弁申し上げておりますが、全体について現在リストを作成しておりまして、前大臣からの御指示もあり、委員の御指摘もあって、このリストを年内に開示する準備を進めております。 したがいまして、九件と最高裁から御提示を受けましたこの部分につきましても、氏名は特定できないといけないとかいう部分も事件によってはございますので、そういう作業も行いまして、保管状況も調査いたしまして、この刑事参考記録のリストの開示にあわせて、その保管状況については御報告申し上げたいと考えております。
○山尾委員 やはり、戦後、最高裁が、民事にしても刑事にしても、違憲判決というのは、統治行為論が支配して、すごく司法消極の中で極めて珍しい。その事件について、それが保存されているか、廃棄されているか、それを尋ねてもすぐには答えられないという自体が、まずやはり、結構というか相当ゆゆしき事態だというふうに思っています。 その上で、改めて法務大臣にお伺いしますけれども、この刑事参考記録、上川陽子大臣のときにリストをつくって開示をするということがあって、一年がたとうとしているわけですけれども、大臣の口から、この刑事参考記録をしっかりと公に開示することの意義、そして、それを年内に開示をするということの御自身の覚悟、そこのところをお伺いしたいと思います。
○森国務大臣 今、事務方から説明したとおり、刑事裁判記録のうち、保管記録が経過した後、刑事参考記録に指定されたものは保存をされておりますので、その刑事参考記録に保存したもののリストは年内に開示をしたいというふうに考えております。 委員の御指摘もございますので、この裁判記録、刑事参考記録の意義の重さについては重々承知をしております。例えば、通達によれば、刑事参考記録としての指定というのは、死刑に処する裁判により終結した被告事件であるとか、国政を揺るがせた犯罪に係る被告事件など、国民にとっても、歴史上も非常に参考になる重要な事件でございますので、このリストをしっかりと間違いのないように取りまとめて、年内に開示をしたいと思います。
○山尾委員 刑事事件は検察庁、刑事以外の事件は最高裁、ここが判断と保管の主体を担っているわけですけれども、ここから先、本当にそれでいいんですかという問題も浮かび上がってくると思います。ちゃんと外の目でその判断が適正かどうかをチェックする仕組みは要らないのかなどなど、やはり開示したリストをもとにまたさまざまな大切な議論が出てくると思いますので、またしっかりと意見交換をして、いい制度をつくっていきたいと思っております。 ありがとうございました。
○松島委員長 次に、松田功さん。
○松田委員 立国社、松田功でございます。 せんだって、一昨日、質問をさせていただきました。それに続いて質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 前回の法務委員会で、入管施設収容者の処遇と外国人受刑者の処遇について比較するために、被収容者と受刑者の生活についてお聞きをいたしました。また、入管法違反容疑の被疑者が入管に送られるか検察に送られるかの判断基準や、誰がいつ判断するのかといったことをお聞きしました。 なぜこのような質問をしたかというと、入管施設に収容されるより刑務所へ入った方がましではないかと疑問に思ったからです。 なぜそう思ったか、順に説明をいたしますが、まずは、在留特別許可の許否判断について御確認をさせてください。 レクのときに、入管法違反以外の罪を犯した外国人は、刑務所内で刑務作業を行い、少ないながらも収入を得ることができ、社会復帰のためのプログラムも受けることができるので、刑務所の方が処遇がよいように言えるように感じておりますとお聞きしたんですね。そうしたら、刑務所で服役した後、結局は入管に送られて退去強制になるのだから、刑務所の方がよいとは言えないと言われました。在留特別許可が出る可能性もあるのではとお聞きをしたときも、犯罪を犯した人間には在留特別許可は出ませんとお答えになられました。 これで間違いないでしょうか。
○高嶋政府参考人 お答えいたします。 在留特別許可についての御質問でございますが、在留特別許可をするかどうかという点につきましては、個々の事案ごとに、在留を希望する理由、家族状況、それから国内での素行、内外の諸情勢、人道的な配慮の必要性、我が国における不法滞在者に与える影響等、諸般の事情を総合的に勘案して判断しているところでございます。 ただいま、前科がある者、受刑していた者については在留特別許可はおりないというふうに説明したという趣旨の御質問がございましたが、前科がある者あるいは受刑歴がある者について在留特別許可がおりないということではございませんで、そういう前科がある、あるいは服役しているということは、在留特別許可を判断するに当たって消極的な判断要素になることは間違いございません。 ただ、常に許可が出ないかということでは、そうではありませんで、実際に在留特別許可をしている例もございます。
○松田委員 平成二十六年に法務総合研究所が発表した外国人犯罪に関する研究報告に、びっくりすることが書いてありました。読みます。 窃盗・強盗事犯者のうち、調査期間中に出所して、帰住先が判明した者百六人について、約四割が国内在住となっているが、そのうち在留特別許可を受けたのはすべて居住資格の者であった。上記百六人のうち、退去強制事由に該当して入国管理局に引渡しになった者と在留特別許可を受けて国内在住となった者を比較すると、在留特別許可を受けた者は平均刑期が短く、被害額が少ない。 これは、比較して、罪が軽い方に在留特別許可が出ているという報告ですが、窃盗、強盗事犯者に在留特別許可が出されていると書かれています。 そして、この後、報告は、更に驚きました。続きを読みます。 また、在留特別許可を受けた者については、前科前歴を有する者の比率が高く、必ずしも前科前歴が退去強制を決するものではないことが示唆された。 調査対象者の前科・再犯の状況を見ると、居住資格の者の窃盗に関しては、七割が同一罪名の前科を有し、薬物の使用・所持・譲渡等の者については約六割が同一罪名の前科であることから、外国人犯罪者であっても、特に居住資格の者は刑事処分を受けても、前記のとおり国内にとどまって我が国で生活することが見込まれ、 と報告をされています。 不法残留の罪しか犯していない外国人が母国に帰れば、借金取りに追われるとか、例えば、LGBTであることを理由に処刑をされるおそれがあるなどを理由に帰国を拒否している、このような外国人が長期収容され、窃盗、強盗、薬物犯罪の再犯受刑者は日本国内にとどまることができるんです。とても公平とは思えません。 在留特別許可を出す立場の法務大臣として、このことをどう考えられますか。 〔委員長退席、越智委員長代理着席〕
○高嶋政府参考人 御質問の資料の事実関係につきまして、若干事務当局の方から御説明させていただきたいと思います。 今読み上げられた資料については、あらかじめ我々は承知してはおりませんでしたが、中身は確認してはおりませんでしたが、中に記載されている事実関係について若干御説明させていただきますと、在留特別許可というのは、先ほども申し上げましたとおり、個々の事案ごとに、在留を希望する理由、家族の状況、素行、内外の諸情勢、人道的な配慮の必要性、これを総合的に判断いたします。 今御指摘のあった前科の関係は、この中で申し上げますと、素行に当たることでございまして、その場合、やはり重い罪を犯している者については、在留許可を与えるについては強い消極事由になりますし、軽い犯罪、特に被害者のない犯罪につきましては、どちらかというと、それに比べると若干弱い、つまり、在留特別許可を認めやすい方向の事情になります。 それから、既に何らかの在留資格を持って日本に住んでいる場合は、日本の中に家族がいたり、あるいは生活の基盤があったりする場合がございます。こういう場合は、先ほど申し上げた中で申し上げますと、家族の状況あるいは人道的な配慮の必要性というものが高まってくる場合というふうに言うことができます。在留特別許可を認めるに積極的な事情ということが言えます。 他方、委員御指摘の、国外に帰った場合に何らかの害悪を受ける事情があるということは、先ほどの幾つかの観点から申し上げますと、内外の諸情勢、特に外の諸情勢にかかわることでございます。そういう場合には、難民としての認定ができる場合、あるいは人道配慮としての認定ができる場合もありますが、そうでなくても、事実関係を調査して、そのとおりであるとすれば、それは在留特別許可を認めやすい方向の事情になります。 いずれにしましても、これらの諸情勢を、諸状況を、諸事情を全部考慮した上で総合的に判断するものでございますから、個々の事案を比べて、どちらが不公平であるとかいうのはなかなか判断が難しいところでございます。それを事前に説明させていただきたいと思います。 〔越智委員長代理退席、委員長着席〕
○松田委員 御説明ありがとうございます。 大臣というふうに僕は通告してあったんですが。まあ、いいや。 とりあえず、ちょっと今の話で、公平とかどういうことではないということも、いろいろな総合的勘案ということも、そのことはわかる部分もあるんです。 ただ、例えば不法残留してしまった、例えば、技能実習生でもそうですけれども、実習先で殴られたり、パワハラ、セクハラ、そういったことが行われて、また、借金して来ているから、そのことを盾にとられていろいろ強制的なことをされているという事情があることは御存じですよね。
○高嶋政府参考人 承知しております。そのような事案があることは十分承知しております。
○松田委員 では、そういったことは考慮はされているんですか。
○高嶋政府参考人 さまざまな場面において、入管当局が、そのような事情で例えば強制帰国させられているですとか、あるいはそういう訴えがありましたときには、関係機関とも協力しまして、技能実習先を変えるとかしておりますし、また、特に技能実習生につきましては、出国しますときに、あなたは自分の意思で出国するんですか、あるいは強制的に出国させられたのではないですかということを確認することにしております。 その場合、強制的に出国させられているんだ、帰されているんだという答えがありましたときには、出国を留保しまして、先ほど申し上げたような関係機関と、技能実習先を変えるような手続をとっているところでございます。
○松田委員 実際、現場で、そういった形に思われていない部分がたくさんあるわけなんですよ。だから質問しているわけですから。当局としての答弁的には、その文言は並ぶんですけれども、現場がなかなかそういった形になっていない部分があるので、あえて質問させていただいております。 大臣、そういった当局の方からの説明もありましたが、この許可を出す立場の大臣として、この件はどう考えられているか、お答えください。
○森国務大臣 ただいま事務方から説明をしていただきましたとおり、個々の事案ごとに、在留を希望する理由や家族状況などなど、また人道的な配慮の必要性など、諸般の事情を総合的に勘案して判断しているところでございます。 委員の御指摘もございますので、しっかり聞き取りをしているという事務方の答弁ではございますが、現場がどうなっているかということもしっかり確認をして、運用を適正に行わせていきたいと思います。
○松田委員 まだこれからいろいろと協議もしていく、運用面もこれから変わっていく部分もあると思いますので、しっかりしていただきたいと思います。 まだちょっと質問がありますので、先に進ませていただきます。 仮放免についてお伺いをいたしたいと思います。 人権侵害につながる長期収容に対し、国連からも勧告を受けているわけですから、収容代替措置として仮放免を積極的に行っていくべきと考えます。 配付をさせていただいた資料をごらんいただければというふうに思いますが、これは、全件収容主義と闘う弁護士の会、ハマースミスの誓いの代表の児玉弁護士がイギリスを視察した際の報告書にあったイギリスと日本の制度の比較表でございます。 イギリスに比べて、日本では、理由は明らかにされない、審査過程は不明、反論の機会なし、基準に関しては、一応今は基準らしきものを発表されているようですが、その仮放免取扱要綱は余りにも曖昧で、許否判断事項も所長のさじかげんでいかようにもなるというものです。 もっと具体的な例を入れた明確な基準をつくるべきではないでしょうか。また、不許可理由も明確にすべきではないでしょうか。これは入管現場の職員にとってもありがたいことだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○高嶋政府参考人 仮放免の審査基準についての御質問でございますが、この仮放免の対象となる者は、そもそも退去強制事由に既に該当して、退去が必要であるというふうに最終的な判断まで行ったものでございます。したがいまして、できればこれを早く送還するのが望ましい形なのでありますが、例外的に、何らかの事由で送還できない場合にこの仮放免という制度が使われる場合があるということであります。 仮放免を許可するか否かということですが、入管法五十四条第二項の規定に基づきまして、この仮放免は、入国者収容所長又は主任審査官が個別の事案ごとに諸般の事情を総合的に考慮して判断しているというのが実情でありまして、その具体的な基準を一律に定めることは困難であるとこれまで考えてきたところでございます。 もっとも、仮放免のあり方につきましては、御指摘のような点を含めまして、今後、第七次出入国管理政策懇談会のもとに設置されました収容・送還に関する専門部会におきましても御議論いただくこととしております。委員の皆様方の専門的知見に基づいて、さまざまな角度から自由闊達な御議論をしていただくことを期待しているところであります。
○松田委員 昨日、ハンスト飢餓死に終止符を、入管収容、送還問題の改善を求める院内集会が行われ、行ってまいりました。 その中で、二年六カ月間も収容されている方の御家族からのお話をお伺いしました。 その収容されている方は難民認定申請者であり、前科も前歴もないようです。日本人の奥様がおり、奥様の連れ子ながら、パパ君と慕っているお子さんもいらっしゃいます。食べるため、生活するために仕事をし、資格外就労で入管に収容されました。二年六カ月も収容されなければならない事案でしょうか。収容施設内でてんかんの発作が起き、解放を求め、ハンガーストライキをしたそうです。十五キロも体重が落ち、やっと仮放免をされましたが、二週間後に再収容。てんかん患者さんですね。 この一例だけでも、いかに人権が無視されているひどい状況かがわかると思います。にもかかわらず、入管庁は、仮放免が、仮釈放中に起こした犯罪で治安が悪くなっている、だから仮放免許可を厳しくしていると発表しております。 でも、今お話ししたように、凶悪犯罪者でもない人が長期収容されております。一方で、窃盗、強盗、薬物犯の再犯者に特別在留許可を出している。矛盾しておりませんでしょうか。イギリスのように、司法の手を入れて、公平、透明性を高めるべきではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○森国務大臣 入管収容施設における収容及び仮放免については、入管法等の法令に従い、その人権に配慮した適正な処遇に努めることとされておりまして、私もその点には重々留意するように指示をしているところでございます。 その上で、入管収容施設における収容や仮放免のあり方については、収容・送還に関する専門部会において御議論を行っていただいているところでございます。委員の御指摘も含めて、しっかりとさまざまな角度からの御議論がなされることを期待をしております。
○松田委員 資料にも出させていただきました。イギリスでもこういった取組がありますから、ぜひ御参考にして、重々留意をしていただいて、しっかりぜひ進めていただきたいというふうに思っております。 今、政府の多様性への取組に対して少し所感を申し上げさせていただきますと、一つは、矛盾の一言に尽きると思います。表では外国人の人権を尊重しているように見せかけておりますが、実際のところは、外国人の事情に対し全く配慮していないことがわかります。 難民申請中であるとか、いまだに問題が数多く、技能実習生が逃亡して資格外就労になってしまったとか、借金など経済的理由や、母国の法律により処罰を受ける可能性があるとか、決して凶悪犯罪を犯したわけではない外国人に対しても収容して退去強制ルートに乗せてしまう、裁判を受けることすらできない状況は、外国人の人権を認めていないのと同じことではないでしょうか。 また、先ほども申し上げたとおり、入管庁は、仮放免中の被収容者が治安を悪くするとして、仮放免数を減少させ、送還を強化しようとしております。しかし、日本人犯罪者の保釈率は高くなっています。そして、逃走事件が起きている。その方が治安を悪くしていると言えませんか。多文化共生社会の実現を掲げるならば、外国人に対し公正公平な取扱いがなされるよう、退去強制手続の透明化を求めたいと思います。 一昨日の法務委員会で専門部会に対する質問をいたしましたが、森大臣は、送還強化だけでない、さまざまな論点について議論していただくと前向きな発言をされました。期待をしております。ぜひ一緒にやっていきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○森国務大臣 委員からも御指摘をいただきましたとおり答弁をさせていただいたところでございますので、送還をさせるということだけの論点に縛ることなく、さまざまな御指摘、委員からいただいているような御指摘もございますので、多様な観点からの自由闊達な御議論をいただくということを期待しているところでございます。
○松田委員 ぜひ、送還ありきでなく、外国人の方の、現場での起きたこと、日本での起きたこともしっかり踏まえて取組を進めていただくことがより国際化に向けての日本だというふうに思っておりますので、ぜひ先頭に立ってやっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 質問を終わります。
○松島委員長 次に、山川百合子さん。
○山川委員 おはようございます。立憲民主党の山川百合子でございます。 法務委員としては二回目の質問でございまして、今国会から法務委員として立たせていただいておりますが、森まさこ大臣にはきょうが初めての質問となりますので、同じ女性として、ぜひ大臣の率直なところをいろいろな質問に対して伺えればなというふうに思っております。よろしくお願いします。 それでは、まず初めに、森まさこ法務大臣の法務行政にかける思い、意気込みといったことをお伺いをしたいと思います。 さきの大臣の御挨拶、私も拝聴させていただきましたけれども、やはり、前大臣と同じように、児童虐待防止対策が真っ先に掲げられて、続いて人権問題への対応が続くなど、森大臣のもとでも日本の法務行政が国民の安全と幸せの追求に進展してくれることを期待をしております。 ただ、率直なところを申し上げますと、大臣の御挨拶の内容が、前大臣の内容と大体、ほぼ同じように見受けられました。項目の順番が入れかわったりとか、表現が少し異なっているというところはあるように思うんですけれども、ちょっと見比べてはみたんですけれども、大体同じなのかなと。 もちろん、法務行政のトップであるというお立場から、法務行政の継続性ということもありますし、突然大臣に就任されたからといって、御自分の信念とか思いというものを綿密な省庁での調整なしに打ち出すことはなかなか難しいんだろうということもまた、私は慎重を期すんだろうということはお察しをいたします。 お察しはするんですけれども、しかし、やはり、先ほど最初に申し上げましたように、大臣は女性でありますし、また、弁護士として御活躍をされてきたわけでありますし、何よりも、私、大臣のことは直接存じ上げているわけではないんですけれども、大臣になられて、大臣の御経歴とか、なぜ弁護士になられたかとか、そういうことも含めていろいろ拝見をさせていただくと、例えば、弁護士になられて、人権弁護士育成のための留学制度ですか、アメリカへの留学制度、第一回生でしょうか、として参加されたり、また、御自身の経験から、消費者被害を受ける方々のために尽くしたい、戦いたいといった姿勢、また人権を守る、そういったことにすごくコミットされる、されてきた方なんだなということがよくわかります。 さらに、地元のインタビューでしょうか、メディアだと思うんですが、大臣就任に当たってのインタビューで、困っている人、そして弱い人を助けるために法はあるというふうに語られたというふうにも聞いています。 ですので、最初の御挨拶の中では、大臣のその熱い思いとか信念とか、私はこのために法に携わってきているんだ、そういう、森大臣だからこそというところが余り伝わってこなかったように思うわけであります。 それで、同じ女性ということもありまして、女性の大臣が大臣の期間中にどういったことをやられたかなというのをちょっと調べてみてもらったんですね。 千葉大臣のときは、一年ぐらいだったんでしょうか、その在任期間中に、選択的夫婦別氏制度及び再婚禁止期間の短縮の法制化の試み、また死刑の在り方についての勉強会の立ち上げ、またマスコミへの東京拘置所の公開などが挙げられるということのようであります。 松島大臣の際には、性犯罪の罰則に関する検討会を立ち上げられたということで、私、ほかの機会で、委員長とちょっとお話しする機会があったんですが、すごく性犯罪に関して思いを持って取り組まれているんだなということも感じさせていただいております。 そこで、森大臣にお伺いをしたいんですけれども、森まさこ大臣は、日本の法務行政のどのようなところに切り込みたい、あるいは改革したい、前進させたいと思っていらっしゃるのか、また、その前提として、日本の法務行政に課題は当然あろうかと思いますが、どういう課題認識をされているのか、まずそこをお伺いしておきたいというふうに思います。
○森国務大臣 同じ女性議員としての山川百合子委員からの初めての質問、大変光栄でございます。 また、所信的挨拶についての御指摘もいただきましたが、法務行政の継続性ということについても理解をいただき、本当にありがとうございます。 おっしゃるとおりでございまして、法務行政をしっかりと継続していくということが、また国民からの法務行政への信頼をいただく一つの方法かなと思っております。また、時間的な制限等もございますので、私の方で、できる限り継続性を保持しながらの私の考えというのを所信の中で述べさせていただいたわけでございます。 また、いろいろと私のことを見ていただいて、本当にうれしいです。 私は、十二歳のときに取立てを受けたという過去がございまして、そのときは、やはり、まだたった十二歳の少女であったわけで、この社会には正義というものがないのかな、お友達と同じように学校に行くこともできないのかという思いでいっぱいでございました。 そういう意味で、その後、多くの人の助けにより学校に再び行くことができたときに、正義を実現する、そのような生き方をしたいなと思って、助けてくれた人のうちの一人である弁護士さんを目標にして、私も弁護士になって、困っている人、弱い人を助けに行くようになりたいなと思って勉強して、高校から働きながら学校に行ったんですが、弁護士になりました。 弁護士になってからは、そのときの思いをもとに、同じような消費者被害を受けている皆さんを助けるための消費者専門弁護士になりまして、これは全国の弁護士の中でも非常に数が少ないんですけれども、人権弁護士の中の一類型でございますが、その活動を一生懸命やっているうちに、日弁連から、人権弁護士として消費者問題を調査するために留学をするようにということで、留学をして消費者庁について調べてきて、消費者庁の設置の活動をし、一年生、国会議員になったときに、消費者庁をつくるべきですということを福田総理に申し上げたりしてやってきた。そういう意味では、消費者保護活動を中心とした人権の保護、これを私のライフワークの中心に据えているところでございます。 このたび法務大臣になってからも、その思いは変わることなく、困っている人、弱い人を助けるために法はある、正義を実現するために法はある、この法治国家である日本において、その法の守り手として、法務大臣としての職務をしっかりと進めていきたいと思っているところです。 また、女性としての思いというのを聞いていただき、本当にありがとうございます。 これも、やはり働きながら子育てを両立してくるということは大変なことでございました。二人の子供を育てながら仕事をしてまいりましたけれども、そのような観点からも、児童虐待であり、又は女性や子供をめぐる人権問題であり、そういった子供をめぐる問題、女性をめぐる問題において、法務行政としてかかわれる分野についてはしっかりと取り組んでいきたい。その中に性犯罪についての問題も含まれます。 ですので、今現在、法務省の中に立ち上がっているさまざまなワーキンググループや、それから研究会、専門部会、そういったことをしっかりと、そういった立場からも目を向けていきたいなと思っています。 また、就任当日に指示したものは、法務省の中の、女性の職員の活躍、それから男性の職員の育児休業の取得を始めとした、男女問わず全ての職員が生き生きと活躍できる職場環境の整備というものを進めていきたいと思いましたので、現状を、データを出すようにと指示をしまして、そこをしっかりと見ていきたいと思っています。
○山川委員 ありがとうございます。御自分の思いと大臣の思いを語っていただけたというふうに感じます。 その中で、十二歳のときに、社会に正義はないのかという憤りを強く感じて、正義を実現したいという、その小さいころからの思いを実現させていくために積み重ねてきて今があるということが語られて、そういう大臣のもとでありますから、日本国民の、本当に光の当たらないいろいろなことがあると思うんですね、そこに光を当てて、人権保護、そして人々の尊厳が守られるような法務行政をぜひ実現していただきたいというふうに思います。 訓示のことも少し触れられたんですが、職員の皆さんに対しても、正義を実現したいという意思を強く持って職務に取り組んでいただきたいという言葉がありまして、本当に皆さん全体が、省庁全体が、全ての方に至るまで、その思いでぜひ取り組んでいただきたいと思います。 その上で、幾つかこの後質問させていただきたいんですが、時間のことも気になるので少し順番を変えて、通告している三番の方からさせていただきたいというふうに思うんです。 今の大臣のお話の中にも、性犯罪、性被害ですか、性犯罪被害者のことにもしっかりと取り組みたいということがあったと思うんですね。ですので、そちらから御質問していきたいというふうに思うんですけれども、まず、刑法の性犯罪規定の見直しと性犯罪者の再犯防止について伺っておきたいというふうに思います。 平成二十九年の法改正では、ちょっと全部述べると長くなっちゃうので、五つの規定の整備が行われたというふうに思いますけれども、その中で、被害者団体等から強く要望されていた、強姦罪における暴行、脅迫要件の見直しや、子供が被害を受けた場合の公訴時効の見直しなどが見送られています。引き続きこの改正が強く要望されていたことから、附則で、改正法の施行後三年をめどとする検討、見直しの条項も加えられています。 先ほども出ていたと思うんですが、それを受けてワーキンググループを設置されて、今定期的に会合されていると思います。きのう伺ったら、もう九回ですか、やられたということですね。 このワーキンググループでどういうことを今やっているかということ、それから、三年後の再検討、ぜひスケジュールを前倒ししてでもどんどんどんどんやっていっていただきたいなというふうに思うんですが、まず、どういうことをやっているかということとスケジュールの前倒しについてお聞きしたいというふうに思います。
○西山政府参考人 委員に御指摘いただきました施行後三年を目途とするという、ワーキンググループですけれども、性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループ、これを設置してございまして、このワーキンググループでは、省内の各部局が実施する性犯罪に関する各種調査研究の進捗管理、これを行うとともに、性犯罪被害者を含むさまざまな立場の方からのヒアリングを実施するなどして、性犯罪の実態把握を進めているところでございます。現在までのところ、十回、これまで会合を開いてございます。 今後のスケジュール等でございますが、このワーキンググループにおきましては、来年春ごろを目途に、これらの調査研究やヒアリングの結果について取りまとめを行いたいと考えております。その後についてでございますが、取りまとめの結果を踏まえて具体的施策の検討を行うこととなりますけれども、現時点においては、その具体的なスケジュールや見通しについては未定でございます。
○山川委員 ワーキンググループのテーマですね、九回でしょうか、テーマを毎回決めて、後でここに少し帰ってくるんですけれども、テーマを出して、それについていろいろヒアリングも行っていると思うんですが、少しそのテーマを、一覧というか、言っていただいていいでしょうか。
○西山政府参考人 これまでのヒアリングの経過について御説明をしたいと思いますけれども、まずは、性犯罪の暴力救援センター東京、SARC東京というところがございます、そこからの理事長からのヒアリングを行ったほか、性犯罪被害者の方二名からもヒアリングを行っております。それから、性犯罪加害者の処遇にかかわる専門家からのヒアリング、それから、性犯罪被害者支援にかかわる被害者心理学の専門家の方からもお話を伺ったり、あるいは、先般でいきますと、障害者への性暴力に関する啓発活動を行う団体などからもヒアリングを行っております。
○山川委員 では、ここのワーキンググループのことはちょっと後で戻ってきたいと思います。 大臣に伺いたいんですけれども、暴行、脅迫要件ですね、撤廃又は緩和について大臣はどのようにお考えかということと、また、フリーズ案件のように現状の構成要件では処罰されない場合もあり得る、これについては、これも含み得るような犯罪類型とするか新たな犯罪類型を別途設けるなどの対応が必要かと思うんですが、これについて検討の方向性というのはどうなっていくのでしょうか。大臣にお答えいただければと思います。
○森国務大臣 まず、暴行、脅迫要件の撤廃又は緩和についてのお尋ねがございました。 これについては、前回の平成二十九年の改正法では撤廃や緩和は行われなかったわけでございます。その理由についてはさまざまなことが指摘をされておりましたが、その上で、法務省は、この附則第九条に基づいて、先ほどから委員が御指摘をしているワーキンググループを設置してさまざまな検討をしているんですが、この暴行、脅迫要件に関する事柄についても、性犯罪被害者や被害者心理学に詳しい専門家等からのヒアリング、それから無罪判決等の収集、分析等を進めておりますので、その調査研究をしっかりと、その結果を見て、そして被害当事者団体等から寄せられたさまざまな御指摘も踏まえて、具体的に検討をしてまいりたいと思います。 現時点で方向性をお示しすることというのは非常に困難でございますけれども、ただいま申し上げましたとおり、幅広い皆様からのさまざまな御指摘をしっかり踏まえていく上で充実した検討になっていくように、しっかりと私の方で適切に対処してまいりたいと思います。
○山川委員 では、続いて、再犯防止のことについて伺っておきたいんですけれども、性犯罪者処遇プログラムの効果に対する評価、どういうふうな評価をされているかということについてお伺いをしておきたいと思います。 刑事施設及び保護観察所においては、平成十八年に策定された性犯罪者処遇プログラムを中心として性犯罪者の処遇が行われています。二十四年十二月に、刑事施設における性犯罪者処遇プログラム受講者の再犯等に関する分析及び保護観察所における性犯罪者処遇プログラム受講者の再犯等に関する分析の結果を公表されていますけれども、このプログラムの概要とその効果についての分析結果を簡単に、簡潔に御説明いただければと思います。
○名執政府参考人 まず、刑事施設の処遇プログラムについてお答えいたします。 刑事施設におきましては、強制わいせつ、強制性交などを行った者の中で、性犯罪の要因となる考え方に偏りのある者あるいは自己の感情や行動を管理する力に不足する者などに対しまして、再犯につながる問題性の大きさを判定し、その度合いに応じて性犯罪再犯防止プログラムを行っているところでございます。 具体的な内容としましては、受刑者にグループの中で性犯罪につながる要因を検討させるとともに、その要因に対処するための知識やスキルを身につけさせ、それらを出所後の生活で実践させるための計画を作成させております。 その効果につきましては、委員御指摘のとおり、平成二十四年に公表しております。性犯罪受刑者二千百四十七名を対象としまして、出所後三年間の推定再犯率を分析した結果、プログラムを受講しているグループ、千百九十八名については再犯率二一・九%、受講していないグループ、九百四十九名につきましては再犯率は二九・六%であり、統計学上、一定の再犯抑止効果があると認められているところでございます。
○今福政府参考人 続きまして、保護観察所におけるプログラムについての効果検証について申し上げます。 今御指摘のとおり、保護観察所においては、全五課程から成るコアプログラムなどの性犯罪者処遇プログラムを実施しておりますけれども、これにつきまして、平成二十四年に実施しました効果検証の結果を見ますと、プログラム受講群の方が、非受講群に比べまして、仮釈放者の場合は六・一ポイント、保護観察つき執行猶予者の場合は一五・四ポイント、それぞれ性犯罪の再犯率が低いことが示されております。 以上です。
○山川委員 ありがとうございます。 御答弁から、御説明から、プログラムを受講すれば再犯率は下がる、一定の効果があるということはお示しいただいたんですけれども、やはりプログラムを受講しても再犯があるということもまた同時に示されたとも言えると思うんですね。 それで、どうやって再犯を防止していくかということについてなんですが、GPSによる監視措置、薬物療法などを諸外国では導入しているところもあるわけでありますので、法務省としては、GPSによる監視とかあるいは薬物療法、これについてどういう研究を行っているか、また、導入するかどうかについてはどういう論点があるというふうに整理されているのか、そこも伺っておきたいと思います。
○西山政府参考人 海外におきましては、性犯罪者の再犯を防止するため、GPS方式による位置情報確認制度や薬物療法を導入している例があることは承知してございます。 この点、法務省におきましては、過去に法務総合研究所が諸外国における性犯罪対策や位置情報確認制度に関する研究を行ったことがあり、その後も、性犯罪者の再犯を防ぐために、諸外国で行われている位置情報確認制度や薬物療法等に関する情報収集に努めているところでございます。 その上で申し上げますが、GPS方式による位置情報確認制度については、対象者の日常生活上の行動が常に監視される状況下に置かれ、プライバシー権などとの関係において人権上の大きな制約が生じることになるといった課題が指摘されているものと認識しております。 また、薬物療法につきましては、そもそも人の生理的機能を損なうことを内容とするものであり、また副作用が生じるおそれもあることから、法執行機関における処遇として実施することの妥当性に疑義がある、あるいは、既に薬物療法を実施している諸外国における状況を見ますと、使用する薬剤にばらつきがあり、薬剤の効能、副作用に関する専門家の意見がまとまっていないなどといった課題が指摘されているものと認識しております。 いずれにいたしましても、平成二十九年十二月に閣議決定しました再犯防止推進計画においては、海外における取組などを参考にしつつ、性犯罪者等に対する指導等について一層の充実を図ること、それから、犯罪をした者等の再犯の防止等を図る上で効果的な処遇のあり方等に関する調査研究を推進することなどとされておりまして、性犯罪者の再犯を防止する上での効果的な処遇のあり方等について、諸外国の例なども参考にしつつ、引き続き幅広い観点から検討してまいりたい、このように考えております。
○山川委員 導入がいいかどうかというのは、いろいろとちゃんと調査して検討していかなければいけないと思うんですが、犯罪を犯した人の人権、もちろんです。しかし、被害者の人権というのがあるわけでありますから、やはり本当にこのことは、もう絶対再犯をさせないということは徹底していかなければいけないというふうに思っています。 それで、きょうはこの後、障害児者への性暴力ということについて質疑をしていきたいんですね。 というのは、私、率直に申しまして、法務委員になったということで、女性だからということもあるんでしょう、障害児者の性被害、性暴力について、何とかこれを取り上げてほしい、このことがいかに深刻な実態があるかということをお話を伺うことになったんですね。正直に申しますと、そのお話を伺って、私も、ここまでひどいのか、ここまでこんな実態なのかということに正直驚いたというのがございます。 ですので、この問題をぜひ森大臣にも、御存じなのかもしれませんけれども、ここでシェアをして、この問題に積極的に取り組んでいっていただきたいなという思いから、取り上げさせていただきます。 一つの事例として、これは報道されていましたので、取り上げさせていただきます。少し長くなりますが、その実態というか状況をお伝えするために御紹介いたします。 知的障害のある二十の女性の、性的虐待を受けたということであります。軽度の知的障害がある女性Aさん。外出するときはお母さんと手をつなぐような、幼いところがあるという方のようです。障害者の就労支援施設に通っていたと。そして、お母さんによると、明るくて朗らかで優しい子だった、しかし、あるときから、口数も少なくなって、笑顔もなくなって、そして死にたいと言うようになったそうであります。 お母さんはその原因がわからないでいたけれども、あるとき発覚したのが、通っていた施設の男性所長によるAさんに対する性暴力であったということのようです。二人きりでの調理実習中に後ろから抱きついて体をさわるとか、あるいは送迎の車の中やホテルで服を脱がせる。数カ月にわたってわいせつ行為を繰り返していたと。お母さんによると、口を押さえられたり、痛みを感じて大きな声を出していたみたいであって、抵抗していたと。本当にこんなことが起こるなんて、もう信じられないということであります。 お母さんによると、その加害者である方は、体をさわるということを、Aさんやお母さんに対しては、整体やマッサージというふうに説明をしていた。長時間拘束するときは、居場所がわからないように携帯の電源を切らせるなどの入念な、念の入れようだったと。そのAさんは、今でも悪夢を見て泣き叫ぶ、加害者に似た男性を見るとパニックを起こすなどのPTSDに苦しみ続けているということであります。 このことは、その被害を知った自治体が調査を行って、性的虐待があったことを認定し、そして本人も不適切な行為を認めたということであるけれども、しかし、その所長が勤める施設は閉鎖になったものの、罪を問われることはなかった、裁判にならなかったということですね。 これは、私、報道で見たんですけれども、まず、このケースというかこの報道は、森大臣は御存じでしたでしょうか。
○森国務大臣 存じ上げております。
○山川委員 それはよかったと思うんですけれども、では、森大臣は、これは一例ですけれども、障害があるということで障害児あるいは障害者の方が性暴力の被害者となっているのがどういう実態、どういう数ということで認識をされているでしょうか。
○森国務大臣 障害を持つ方が性被害に遭いやすい、あるいは被害が潜在化しやすいといった御指摘があることは十分認識しております。 件数については事務方から答弁させます。
○西山政府参考人 手元に内閣府男女共同参画局による報告書がございます。平成三十年九月のものでございますけれども、この調査で、若年層の性被害者を支援する団体を対象に調査をいたしたところ、三十歳未満のときに被害を受けた性暴力被害百二十七件のうちで何らかの障害ありと見受けられる事例、これが七十件、パーセントで五五%ということであったということでございます。
○山川委員 五五%なんですね。これは物すごい数字だというふうに思うわけであります。 ちょっと時間もないんですが、ほかの数字を挙げておくと、発達障害当事者のフリースペースというところが行った調査で、発達障害、そこにいらっしゃっている方に聞いた、三十二人に聞いたらしいんですが、そのうちやはり二十三人が何らかの性暴力、母数は発達障害のところに通ってきている方ですが、その三十二人に聞いたところ、二十三人が何らかの性暴力を経験していると。これは、その性暴力というのは、聞いた項目とすると、望まない人に性的な部分をさわられる、望まない人にキスをされる、望まない人にセックスをされる、望まない人に裸や性器を撮影されるといった、この四項目。これが、二十三人が何らかの性暴力を経験していたということ。 それから、ちょっと調べてみたんですけれども、WHOがリバプール・ジョン・ムーア大学と共同で、二〇一二年ですか、調査を行ったようですけれども、そこでは、何かメタ調査という形で行っているようでありますが、障害のある児童だと、そうでない児童に比べて、三・七倍暴力に遭う、身体的な虐待を受ける割合は三・六倍だ、そして性的虐待を受ける割合は二・九倍だ、さらに、特に精神障害及び知的障害のある児童が性的虐待を受ける割合は四・六倍だということのようなんですね。これは物すごい数字だと思うんですね。 今、子供の虐待、そして、子供、児童の性的虐待というのがすごく問題になっていますし、大臣もそれにしっかりと取り組んでいくという決意を示していただいたんですけれども、その中でも、本当に、障害のある子供たち、あるいは大人もそうなんですけれども、いかに被害に遭いやすいとか傷つけられやすいか、バルネラブルという言葉を英語では使っているようですけれども、ということが示されているなというふうに思うんですが、大臣は、この数字を聞いてどのように受けとめられるでしょうか。
○森国務大臣 法務省における実態調査ワーキンググループにおいても、障害者への性暴力に関する啓発活動を行う団体等からヒアリングを行っておりまして、外国の研究結果等も参照しつつ、障害者は被害を訴えることが困難である、そういうふうに加害者も認識をして標的にされやすい、それから、被害者本人が被害を認識できない場合もあるということが指摘をされております。 また、法務省においては、性犯罪の裁判例に基づいて、被害者が障害を有するかどうかという観点にも着目した分析を行っているところでございます。 今の委員の御指摘を聞いて、本当に、更に障害をお持ちの方の実態を重く受けとめましたので、今後とも、しっかりと実態を把握していき、着実な検討を進めてまいりたいと思います。
○山川委員 ありがとうございます。 実態を把握していきたいということで、先ほど伺ったワーキンググループの方でヒアリングなどを行っているということは聞いているんですね。ですけれども、ちょっと、まだ、議事録の調整があるということで、議事録はアップされていないですし、そこで話されたことも、本当に議事録として実態を文字に起こしていいのかということも含めて調整をされているようでありますので、それほどやはり大変なことだということでありまして、統計的にも、どれだけ障害のある方が被害に遭っているのかということをぜひ明らかにするように、先ほど分析も行っているという話もありましたけれども、新たな調査も含めて、そのやり方というのもいろいろあろうかと思うんですが、ぜひお願いしたいというふうに思います。 その上で、済みません、時間が本当になくて、幾つか伺っておきたいんですけれども、先ほどありましたけれども、なかなか被害が表にあらわれてこない、あるいは、被害を被害と、何か大変なことが自分の体に起こっているということはわかっても、それが、自分が性暴力の被害者だということを認識することも難しい方もいらっしゃる、しかし、何か大変なことが起こっているということはわかるとか。あるいは、被害に遭っているということをなかなか、知的に障害のある方の一つの特徴、特性として、言われたこと、あるいは教えられたことはしっかりと聞かなきゃとか、先生の言うことは守らなきゃとか、なので、自分が嫌なことをされていても、それは言っちゃいけないんだとか、従わなきゃとか、そういうこともある。本当に、これを顕在化していくのは大変なことだと思うんです。 そこで、まずは実態調査が必要なんですけれども、その上で、その実態を把握することはもちろん大事です、それが最も基本なんですが、刑法に障害に乗じた性犯罪という類型を創設するということ、そういったことをやっている国もあるようですけれども、それについて、ちょっと突然で、聞かれても困るということでも困るんですが、ただ、ヒアリングでも明らかになっているはずなんです、ワーキンググループの。 刑法に障害に乗じた性犯罪を創設するということについて、もしよければ大臣、あるいは事務方でもいいですけれども、お伺いしたいと思います。
○宮崎大臣政務官 大変重要な御指摘であると思います。 まず、障害に対する性犯罪について、現行法を見ましても、被害者が障害のために心神喪失又は抗拒不能の状態にあるという場合であれば、百七十八条で準強制性交罪等による処罰が可能であるという現行法上の規律もございます。 また、障害者に対する性犯罪について、今委員御指摘のような形で暴行、脅迫要件を撤廃するなどの新しい類型を定めるということについては、さまざまな検討を要する事情もあることも事実でございます。 障害者が被害者である場合に法定刑を重くするというようなことを考えた場合、例えば、その種類や程度がさまざまである障害についてどのような理由で特別な規定を設けるのかということとともに、例えば、処罰するべき範囲であるとか、法定刑を重くするべき範囲を明確かつ限定的に規定できるのか。刑法でありますので、罪刑法定主義に基づいて明確性の原則なども求められるところでございますので、こういった点も配慮をしなければいけないという事情もまた他方でございます。 そこで、御指摘いただいた点も含めて、障害にさまざまな種類や程度があることも留意をして、要件の明確性の点についても十分に検討しなければいけない。 先ほど、大臣、また事務方からも御説明させていただいておりますとおり、ワーキンググループを設置しておりまして、この中で、障害のある方の性犯罪について、その当事者や支援をされている皆様からもヒアリングをさせていただいておりますし、性犯罪の実態把握や無罪判決などについての収集、分析、また外国法制も十分に検討しているという状況でございますので、これから充実した検討を行うように、大臣の指揮のもと、しっかり検討してまいりたいと思っています。
○山川委員 ありがとうございます。 今、百七十八条で、現行でも適用されるということが最初の御説明にあったと思うんですが、じゃ、それが適用された障害児者のケースというのはありますでしょうか。
○小山政府参考人 申しわけございません。ちょっと手元に準備がございませんので、ちょっとお答え、あとは後ほどでも、可能な範囲で、何かあれば、後でお届けしたいと思います。
○山川委員 今、持ち合わせがないということで、きのうもこの話、問取りですか、レクでしょうか、でしたんですけれども、準備しておいてとは言わなかったんですが、特に例は、きのうの段階でも挙げていただくことはできなかったんですね。 先ほど最初にお話ししたケース、Aさんのケースですけれども、この方は二十であったために百七十六条の強制わいせつ、十三歳未満の壁ということで、警察がなぜこれを罪に問われなかったかというと、警察の方が立件できない、二十であったからということで。もしこれに百七十八条が適用されるということが警察側がちゃんとわかっていれば、それは立件できたんじゃないかというふうに思うわけですが、結局、適用されますといっても、実際、そのことをちゃんと法にかかわる方たちが理解をしているのかというのもありますし。やはり、こういうところからして、声を上げてもなお救われないというのは、今度はそれを見て声を上げることをやめるというか、恐れてしまうし、ますます闇の中というんですか、光が当たらないというふうに思うんですね。 ですから、このことは、本当に私も、御相談を受けて私自身も調べるようになって、こんなにひどいことが、全く本当に卑劣ですね。障害を持っているからこのことが明るみに出ないだろうと。すごいんですよね。相手、加害者は、この障害、この人だったら大丈夫だろうということ、言わないだろう、言えないだろう、自分がされていることを認識しないだろうということを見分けてターゲットにするというふうなことを、相談を受けている支援センターの方々が本当にいかにひどい実態があるかということをおっしゃっていますので、ワーキンググループでのヒアリングは事の始めとして、この問題をぜひ認識していただいて、まだ幾つか質問したい点があったんですが、これは継続してやっていきたいと思いますので、本当にぜひこのことに取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。 ありがとうございました。
○松島委員長 次に、藤野保史さん。
○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。 私からも、まず冒頭、香港の弾圧、デモに対する言語道断の野蛮な暴挙につきまして強く抗議をするとともに、即刻中止を求めたいと思います。 私ども、先ほど山尾委員も御紹介いただきましたけれども、党として対応しておりまして、十月十六日には、孔鉉佑中国大使に正式に委員長から抗議と中止を求めましたし、実弾発砲事件が起きました直後には、十四日に、今度は中国政府に対して弾圧の即時中止を求める声明も送付をしております。 といいますのも、やはりこの一連の弾圧というのが中国政府の承認と指導のもとに行われているというのは、これはもうさまざまな経過から明らかでありますので、やはり、おのおのの立場になるんですが、政府として、あるいは法務大臣として、あるいは各政党としても、これはもう絶対許されないんだということを、しっかりと言うべきことは言うという立場でお願いしたいというふうに思っております。 その上でありますけれども、きょうは、ことしの六月二十四日に起きました長崎県の大村市入国者収容所、いわゆる大村入管センターで四十代のナイジェリア人の男性がハンストの後、飢餓死に至ったという事件についてお伺いしたい、質問したいと思います。 謹んで哀悼の意を表させていただきたいと思います。 法務省にお聞きしますが、今回のハンスト飢餓死、どのような概要だったんでしょうか。
○高嶋政府参考人 御質問の大村入国管理センターでの死亡の事案でございますが、御指摘のとおり、六月二十四日、ナイジェリア国籍の男性、死亡当時四十歳でありましたが、死亡しました。死因は、司法解剖を実施しておりますが、その結果、飢餓死という結論でございます。 事実経過等について申し上げますと、本年五月三十日の段階で、看守職員が本人との面接によりまして、拒食をしているんだということを把握いたしました。翌日、五月三十一日に本人を所内の診察室及び外部病院で受診させるとともに、動静確認のため単独室に移室いたしました。同日から六月四日までの間、外部の病院において点滴を実施しております。しかしながら、六月五日以降は、食事をとることも、薬を飲むことも、また点滴を受けることも、いずれも拒否しまして、また、医師や看守職員からその後も連日そういう点滴治療等を勧められていたにもかかわらず、本人は水を摂取するのみで、それ以外、食事をとること等、全て拒否しておりましたことから、医師による点滴を実施することもできない状況でございました。 六月二十四日、午前中は意識があり、呼びかけにも応じていたものでありますが、午後一時十二分、本人に反応がなかったことから救急搬送をしたのでありますが、午後二時十一分、搬送先の病院で死亡が確認された、こういう事案でございます。
○藤野委員 自殺の場合は、確かに、いつどこでそういう事態に至るのかというのは、入管はこれはなかなか判断できない、把握できないこともあると思うんです。 しかし、ハンストの場合、その先に、ハンストの末に飢餓死に至るような場合というのは、今回の報告書も出ていますけれども、入管の管理下に事実上あるわけですね。入管が結果を左右できた可能性が極めて大きい。これはやはり自殺と決定的な違いだと思います。ですから、この際の職務上の義務等を入管が果たしたのかということも、格段に違うレベルで問われてくると思います。 私、十月十日に長崎県に行きまして、入管センターを見させていただいて、地元で長年にわたってこの被収容者の方の支援に取り組んでこられた方々からもお話を聞いてまいりました。 その際、今回亡くなった四十代のナイジェリア人男性の知人という方の声も聞いたわけですけれども、この方自身がもう四年にわたって長期収容で、声も震えて時々途切れるというような大変深刻な事態であります。 法務省に確認したいんですが、今回のこの事件の後もハンストは続いていると思うんですが、全国でどれぐらいいらっしゃって、大村入管では何人でしょう。
○高嶋政府参考人 お答えいたします。 ことし九月二十五日時点の数字でありますが、全国の入管収容施設におけるハンスト実施中の者は三十六人でありました。そのうち、大村入国管理センターにおけるハンスト実施者の人数は十四人でありました。
○藤野委員 三十六人全国でいらっしゃるうち、十四人が大村に集中している。 昨日、院内集会が行われまして、先ほど松田委員も触れられましたけれども、私も参加をさせていただきました。その中で、その大村で支援されている方の報告では、今十四人というお話がありましたけれども、十人以上がハンストをされていて、うち五人はもう死を覚悟しているという意思表示をされているという報告もあったんですね。 ですから、今回の事件だけではなく、第二、第三のハンスト飢餓死が起こりかねないというのが今の切迫した状況だと思います。これは絶対に避けなきゃいけないと思うんです。そのためには、やはり、なぜ今回こうした事件が起きてしまったのか、これは本当に徹底した検証が必要だと思います。 ハンストをした場合の対応については、法務省の通達が定められていると思います。配付資料の一でも配付をさせていただいておりますが、これは、二〇〇一年、平成十三年の十一月二日付で、「拒食中の被収容者への対応について」という通達であります。 法務省に確認したいんですが、この通達で、強制的治療を受けさせることになっている場合というのが幾つか挙げられていると思うんですが、どういう場合でしょうか。
○高嶋政府参考人 お答えします。 お尋ねの平成十三年の通達では、拒食のケースを念頭に置いて強制的治療を行う場合を規定しておりますが、そのガイドライン、要件としては、拒食開始から二十一日を経過した場合又は体重減少が一〇%を超えた場合のいずれかであること、また、医師が強制的治療を必要と判断していること、最終的には入国者収容所長又は地方入国在留管理局長の指示があること、この要件のもとで強制的治療を実施するということになっております。 もっとも……(藤野委員「とりあえずそこまででいいです、とりあえず」と呼ぶ) 以上です。
○藤野委員 あとについてはまた聞きますので。 確認したいのは、拒食を開始してから二十一日が経過していること、あるいは体重減少が一〇%を超えた場合というのが一つのメルクマールで、そして、医師が必要と認めた場合に速やかに強制的治療を行うというのが通達で定められております。配付資料の一に黄色く塗らせていただいた部分がそれに当たるということでありまして、加えまして、治療を行うかどうかの最終的な決定は所長等の指示によるものというのが今も御答弁がありました。 法務省にお聞きしますが、今回の事案では、この拒食開始から何日たっていた、拒食開始から体重が何%減っていた、それぞれどのようになっていたんでしょうか。
○高嶋政府参考人 お答えします。 死亡したナイジェリア人男性は、当庁が拒食を把握した五月三十日から起算しまして、亡くなった六月二十四日までにもう既に二十五日が経過しておりました。 また、体重でありますが、五月三十日段階から、最後に体重を測定したのが六月十七日ですが、その六月十七日の段階で約一六%減少しておりました。
○藤野委員 つまり、今回の場合はいずれも要件に当てはまっていた、二十五日たっていたということや一六%減少していたということでですね。これは、つまり、強制的治療を必要とするほどに命の危険が差し迫っていたということであります。 配付資料の二は、法務省が十月一日に発表したこの件に関する調査報告書でありまして、ここにも、例えば、三ページには、このままでは生命に危険が及ぶ旨を再三にわたり警告したとか、六ページには、司法解剖を実施した医師の見解というのもありまして、亡くなる数日前に入院させることができれば死亡という結果にはならなかったであろうと。つまり、逆に言うと、それぐらい差し迫っていたということであります。 法務省にお聞きしますが、六月十七日、この時点で既に体重減少一六%というお話がありましたが、この六月十七日から男性が亡くなる六月二十四日までの一週間、医師による診察や外部医療機関による診察というのは行われたんでしょうか。
○高嶋政府参考人 お答えいたします。 六月十七日が医師による最終診断でありました。それは御指摘のとおりです。その後も説得はずっと続けておりましたが、結局、それに応じず、診療はしておりません。
○藤野委員 結局、危機的状況にあるという、ある意味、要件を満たしていたにもかかわらず、医師等による診察や外部医療機関の診察も行われなかった。 調査報告書を読みますと大変驚く記述がありまして、非常勤医師がこの方の診療に当たったんですが、この非常勤医師にはこの二〇〇一年の通達のことが伝えられていなかったというんですね。通達はあるけれども、この医師には伝えていなかった。これ自身、私は許しがたいとは思うんですが、しかし、きょう問題にしたいのは、医師がこの通達の存在を知らなかったとすれば、逆に、この通達の存在を知っている大村入管の所長を始め入管の幹部の責任といいますか、極めて厳しく問われなければならないのではないか。 といいますのは、配付資料の二の四ページを見ていただきますと、こういう記述があるんです。 この日、この日というのは六月十七日なんですけれども、六月十七日の診療状況については、立ち会った看守職員が報告書を作成し、翌日ごろには所長以下の大村センター幹部にも供覧された、こうあるんです。それで、その後は、書いているように、体重が十キロ減ったとか、一七%減ったとか、いろいろ書いた後、今後、強制的治療の要否を検討することも必要となるため、今後の本人の動静等を特に注視することとしたい旨の記載があったとあるんです。 この報告書というのは、この今お配りした報告書とは別に看守職員の方が作成した報告書で、それが所長を始め幹部に上がっている。その中で、この二〇〇一年通達にある強制的治療の要否についても記載をしていたとあるわけですね。そして、それを所長は読んでいた。 法務省に聞くんですが、大村の入管所長などの幹部は、少なくとも、六月十七日の翌日ごろとありますから、十八日以降は、このナイジェリア人男性に強制的治療を必要とするほど差し迫った命の危険があるということを認識していた、これは間違いありませんね。 〔委員長退席、伊藤(忠)委員長代理着席〕
○高嶋政府参考人 この亡くなったナイジェリア人の容体がどういう状況であるかということについては、常に幹部職員も把握しておりました。体重減少、それから日数も相当たっているということは十分承知していたものでございます。 したがって、この強制治療の検討というのが課題になっていたことも十分承知していたものでございます。
○藤野委員 いや、十分承知をしていたにもかかわらず、先ほど言ったように、六月十七日以降は一週間にわたって医師の診察も受けさせないという状況だったわけですね。 先ほど言いましたように、二〇〇一年の通達というのは、治療をするかどうか、最終的にするかどうかは、これは入管所長の判断なんです。 といいますのは、医師が必要だと言っても、それを拒否する場合もある、この通達はそのまま書いているんですが、要するに、治療を医師が必要と判断した場合でも、拒食者が、ハンストをしている人が治療行為を拒否するときもある、だから、その場合は所長が判断するんだというふうに通達自身にも書いてある。 今回、なぜ所長の判断で医師への診察を行わせなかったか。法務省、なぜですか。
○高嶋政府参考人 実は、報告書にも記載させていただいておりますが、六月十七日に診察を行った段階で、医師も点滴をする必要性については認識していたものでありますが、本人がそれを拒否している以上、本人の意識が、要するに拒否できないような状況にならない限りはやらないということを明言していたため、医師の判断がそういうことでありましたから、所長としてもそれ以上やれない。これは治療行為でありますので、医師の行為がなくてはやれないものであります。所長が判断しても、先ほど申し上げましたとおり、医師が強制的治療を必要と判断する、しかも、やりますということでなければできない、こういう仕組みになっておりました。 〔伊藤(忠)委員長代理退席、委員長着席〕 もともと、この十三年の通達でございますが、これは、強制治療を念頭に置いたものであるのは御指摘のとおりですけれども、入国者収容所を対象としたものであります。当時、入国者収容所には……(藤野委員「細かい。これはもう関係ありません」と呼ぶ)
○松島委員長 簡潔にお願いします。当該質問に関する部分だけ。
○高嶋政府参考人 はい。 入国者収容所に常勤医師が配置されておりまして、その強制的治療の実施体制が備わっていた時代の通達でありますが、ここには常勤医師がいなかった、こういう体制の中で、その医師の、しかも非常勤の医師しかいない中で、これができなかったということでございます。
○藤野委員 今、医師が、医師がとおっしゃるんですが、私が聞いたのは、これは最終判断は入管所長なんです。今回は、そもそも、報告書の四ページにありますけれども、入管所長の方が医師にこの通達のことを言っていない事案なんですよ。医師が判断できるはずがないじゃないですか。だから、この事案こそ、まさに入管所長の責任が問われるんですよ。 だから、所長はなぜ医師に見せなかったのか、ここだけ答えてください。
○松島委員長 高嶋さん、この点について答えてください。
○高嶋政府参考人 大村入国管理センターでは、この死亡事案より前に発生した別の拒食事案に関しても、この診療室の非常勤医師に対しまして、治療を拒否する当該拒食者についての治療の実施の可否を相談しておりましたが、断られていたという事情があります。 医師としては、もう本人の意思が、意識がという意味の、意識の方の意思ですが、本人の意思が拒否できなくなる段階……(藤野委員「医師の認識は聞いていません、医師の認識は。所長の認識を聞いているんです」と呼ぶ)ええ。しかしながら、これは治療行為でありますので、医師がやりますと言ってくれない以上は、入国者収容所長が……(藤野委員「通達を知らされていない医師がそんな判断をできるはずないでしょう」と呼ぶ)実施する医師がやりますと言ってくれない以上はできない、指示はできないものでございます。 はっきりとそれを拒否する意思表示があったものですから、非常勤医師に通達を伝えて、治療を求める対応もとらなかったというふうに承知しております。
○藤野委員 いや、私が聞いているのは違うんですよ。非常勤医師がこの通達を知らされていない事案なんです、これは。 一方、看守職員から、皆さんは、四ページにあるように、看守職員が作成した報告書によって、もう一回読みますよ、この看守職員が作成した報告書は、今後、強制的治療の要否を検討することも必要となる、だから、動静を特に注視することとしたいと記載があったと書いてある。皆様方の報告にも書いてあるんです。 ですから、医師はそれは判断できないでしょう、そもそも、この強制的治療に至るルートそのものを知らないんだから。けれども、先ほど、該当している要件も皆さん方は認識しているし、その場合、所長が、最終的には、医師が必要だと認めていて、ハンストしている人が拒否していても、入管所長の判断でできる、やらないといけない場合がある、そういう仕組みなんですよ。 それなのに、入管所長は、そうした看守職員からの報告書を読んで認識していたにもかかわらず、一週間以上にわたって医師の診察さえ受けさせなかった。これはなぜなんですかということを聞いているんです。
○高嶋政府参考人 まず、前提となる事実としまして、この当該センターの医師は、強制的な治療をしないという方針を決めておりました。 説得すべきではなかったか、こういう趣旨の御質問かと思いますけれども、過去に一度、やはり同じように、依頼をしたけれども拒否されていたということでございます。 通達を医師に示した上で治療を実施できたかということを、この事案発生後にもお聞きしましたが、自分は治療は実施できなかったというふうに回答をされているところでございます。
○藤野委員 これも全くお答えにならないわけですね。 大臣にお聞きしたいんですが、いわゆる入管所長らは、強制的治療が必要な危険な段階にあることを知りながら、六月十七日以後、一週間にわたって医師にも見せない。その結果として飢餓死に至ったわけであります。この責任をどのようにお考えになりますか、大臣。
○森国務大臣 収容所内で被収容者が亡くなったことは大変重く受けとめております。 今回の事案について、報告書の記載のとおりの事情があったことでございますけれども、法務省として、このような死亡事案の再犯防止に最善を尽くす必要があることは言うまでもありませんので、そのためにもしっかりとした調査をすることが必要だと思います。 この件に関して、外部の有識者により構成される入国者収容所等視察委員会が設置されており、その視察委員会が調査に行ったということを伺っておりまして、まだその調査の報告は私の方には上がっておりませんけれども、しっかりとそのような報告も伺った上で、今後の体制の整備について検討してまいりたいと思います。
○藤野委員 調査が必要ということなんですけれども、私どもが、先ほど言いました看守職員が作成した報告書、この報告書のもとになっているもの、これを出してくれと言っても、出そうとしないわけです。あるいは、二ページには、監視カメラで動静を監視したというんですけれども、これも提出しないわけですね。 これはやはり再三にわたって我々が求めてもそういうものを出さないで、これだけ読んでくれと。これは、結論は何と書いてあるかといいますと、我々がやったことは不相当ではなかったという結論なんですね。 これはちょっと確認したいんですけれども、この報告書の作成に当たって調査を行ったのは法務省のどこの部署なのか。責任者は誰で、何部の何課を中心に行われたのか、お答えください。
○高嶋政府参考人 出入国在留管理庁内におきましては、六月二十四日、この死亡事案が発生した六月二十四日当日、本庁内に出入国管理部長を責任者とする調査チームを立ち上げました。担当部署の課長、警備課長でありますが、このほか、検察官出身の本庁職員等、総勢十数名の体制で調査に当たったものでございます。
○藤野委員 つまり、法務省出入国管理部長が責任者で、警備課という、まさに今回、当事者に当たるようなところの課長も参加して行われたのが今回の調査と。まさにハンスト飢餓死を引き起こした当事者が当事者を調べて、今回の報告書がつくられ、問題なかったという結論に出ているわけですね。 法務省にお聞きしますが、二〇〇七年以降、収容施設での死亡事件というのは何件あったんでしょうか。
○高嶋政府参考人 二〇〇七年、すなわち平成十九年以降の数字でございますが、入管収容施設における被収容者の死亡事案の発生件数は、全部で十五件でございます。
○藤野委員 重ねて伺いますが、この十五件の死亡事件で、法務省以外の第三者による調査が行われたことというのはあるんでしょうか。
○高嶋政府参考人 それぞれの死亡事案の内容を確認できる平成十九年以降の死亡事案につきまして申し上げますと、第三者による検証が行われた例は承知しておりません。 もっとも、入管収容施設の運営に関しましては、第三者から御意見をいただく枠組みとしまして、先ほど大臣からも説明のありました、外部の有識者により構成される入国者収容所等視察委員会というのが設置されておりまして、これら被収容者の死亡事案については同委員会に報告することとしております。これに対して、御意見、御指摘をいただいた場合も実際にございました。
○藤野委員 今まで、いわゆる自殺や病死がありまして、それについては本格的な第三者による調査というのは行われていないんですね。先ほど大臣などがおっしゃられた視察委員会というのは、あくまで事務方を法務省が担っていますし、予算も法務省からのものということで、独立性については極めて厳しい指摘がされているところなんですね。 少年院とか刑務所とかには、そういう視察委員会というのは施設ごとにあるんです、施設ごとに。それで、何か起きたらすぐ対応していくんですが、入管収容の場合は、東日本に一つ、西日本に一つ、それで全国十七の施設を、まあ、たまたま何か見ているというレベルの、物すごく頑張っていらっしゃるんですけれども、そういう体制ですから、どうしたって、刑務施設レベルあるいは少年院レベルの、施設ごとのというようなきめ細かい調査はできません。 先ほども言いましたけれども、やはり自殺事案が続いてきて、それに第三者の本格的な調査が入らなかった、死亡事件もそうですが。その結果、今回、まさにハンストの末に亡くなる、飢餓死するという、ちょっとこれは想像を絶する事態だと思うんです。 自殺の場合は、やはりいつどこで起きるかも入管がつかめない可能性だってありますし、そういう場合もあると思うんです。しかし、ハンストでもう息も絶え絶えになって亡くなるといった場合には、入管の責任というのは極めて重いわけですから。今回の事案というのは、私は全く次元が違うと思うんですね。 これまで十五件、残念ながら起きてしまった事故の際、本格的な第三者の調査がなかったことが、根本的な原因とか、あるいは今後の改善策について実効あるものが出なかった理由じゃないかと弁護士会等も指摘をしております。 ですから、大臣、今回の事案は本当に異質だと思います。異質、かつ、入管の責任は本当に重いと思います。ですから、今回こそ、本格的な第三者による調査が必要だと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○森国務大臣 先ほども私は申し上げましたけれども、本当に今回の死亡事案を重く受けとめておりまして、先ほどの視察委員会が視察に行ったということでありますから、その結果を詳しく聞きたいと思っているところなんです。 しっかりと調査をし、客観的資料に基づいて事実を解明した上で、今後の検討に生かしていきたいと思います。
○藤野委員 ですから、入管、その視察委員会は、折に触れて視察をされているのも私も認識しております。個々の委員の方は頑張っていらっしゃることも認識しております。 ただ、事務方が法務省に担われ、予算も握られ、そのもとで毎年毎年出されるんです、報告書。けれども、A4数枚ですよ、A4数枚の報告なんです。ですから、調査能力という点でも、実際に調査をしようと思ったら、法務省の事務方が出てきて、やるわけですよ。ですから、これでは調査にならない。 今回起きた事案というのは、極めて、私は、今までも深刻ですけれども、本当にこれはもう第二、第三のものも起きかねない事案ですので、改めて、今度こそ第三者委員会を本当に立ち上げていただいて、徹底した調査を行っていただきたいことを強く求めて、質問を終わります。
○松島委員長 次に、串田誠一さん。
○串田委員 日本維新の会の串田誠一です。 きょうは、性犯罪被害についてお伺いをしたいと思います。 先ほど、山川委員も大変憤りの中で質問をされていて、私も全く同じ思いで聞いていたわけでございます。 この性犯罪に関して、条文を見てみますと、百七十六条と百七十七条、まあ百七十八条もありますが、ここには同じ文言として、暴行、脅迫、「暴行又は脅迫を用いて」という同じ言葉が書かれているんですが、現実には、この暴行又は脅迫という言葉の定義というのが、現在、最高裁判例上は異なっているというふうに認識しております。 そこで、この条文ができたときに、国会はどのような審議、この暴行又は脅迫というのを、条文を置くときに、異なるものであるということで国会が審議されていたのかどうか、この成立過程について説明をいただきたいと思います。
○小山政府参考人 お答えをいたします。 刑法第百七十六条と同法第百七十七条の要件に暴行又は脅迫と定められた経緯につきましては、次のように認識しております。 明治十三年に制定された旧刑法では、これは明治十三年太政官布告でございますが、第三十六条でございまして、強制わいせつ罪については暴行、脅迫をもってと規定されておりましたが、強姦罪については、暴行又は脅迫という要件ではなく、婦女を強姦したとのみ規定されておりました。 現行刑法、これは明治四十年法律第四十五号でございますが、こちらでは、強姦罪についても暴行又は脅迫をもって、それで十三歳以上の婦女を姦淫したる者という規定になりまして、政府の提案理由書によりますと、この強姦罪の規定は、ただいま申し上げました明治十三年の旧刑法における強姦罪の規定を引き継いだものと説明されているものと承知しております。 もちろん、この百七十六条、百七十七条につきましては、言い方、文言でございますが、平成七年の改正で「暴行又は脅迫を用いて」と改正されております。 その上で、お尋ねの暴行又は脅迫の程度、あるいは百七十六条と百七十七条とでの違いの有無につきましては、現時点で、当時の国会において議論された記録が見当たりませんで、確たるところは申し上げられないことをお許しいただきたいと思います。
○串田委員 今聞いている限りでは、理由がわからないと。 ただ、条文の文言を見ると、暴行又は脅迫という同じ文言が書かれているわけです。一般に、条文はつながっていますし、暴行又は脅迫と書いてある以上は、普通、定義というのは同じように考えるというのが法律界の常識だと私は思うんですよ。特にこれが立法過程において国会で十分審議されて、百七十六条はこうであって百七十七条はこうであるというような十分な審議がなされているのであれば、異なることを解釈をするというのはわからなくはないですよ。同じ文言があったとしても、立法趣旨や立法事実を確認できれば。 しかし、今聞いた限りでは、立法過程も全くその点について明らかになっていない、そして、今の条文上も暴行又は脅迫という同じ文言が使われているのに、異なって解釈をしていくというのは非常に違和感を感じるし、三権分立の観点からも、国会がつくった法律を司法は執行していくということでありますので、何らかの十分な事情があれば解釈を変えるというのはわかるんですけれども、事情もないままに解釈を変えていくというのは、三権分立の国会がつくった法律を司法が勝手に曲解していくということも可能になってしまうんじゃないかというふうに私は思います。 そこで、百七十六条は、その力の大小、強弱を問わないというのは、大審院の時代でしたが、大正十三年十月二十二日に出され、そして、百七十七条は、昭和二十四年五月十日の最高裁判例で、被害者の抗拒を著しく困難たらしめる程度のもので足りるとなっているわけですけれども、大正時代からこの昭和二十四年までの間、かなり時間があるわけで、その間、この百七十七条の暴行又は脅迫というのはどの程度のものであるということで現場は起訴をされ、そして裁判はされていたのかの説明をいただきたいと思います。
○小山政府参考人 申しわけございません。その時点でのどういうふうな検察実務が行われていたか、その個別の検察の実務のあり方につきましても我々はお答えする立場にないわけでございますが、いずれにいたしましても、その当時のそれぞれの判例等を前提にして処理をされているとは思われます。 ただ、これも委員もよく御存じかとは思いますが、既に御存じのとおり、この刑法百七十七条と百七十六条の暴行、脅迫の解釈につきましては、先ほど大審院の判例も指摘をされましたけれども、両者いずれについても、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものであることを要するという見解もあります。 また、強制性交等罪につきましては、相手方の反抗を著しく困難にする程度のものであることを要するとしながらも、強制わいせつ罪につきましては、委員から御指摘があったように、そこまでのものを必要とせず、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うのに必要な程度に抗拒を抑制するもので足りるとする見解もございます。 また、それが合理的かどうかという理由につきまして、強制性交等罪と強制わいせつ罪では、目的とする行為が性交であるかわいせつ行為であるかという点で違いがある、あるいは、強制わいせつ罪については、すきを見て陰部に触れるなど暴行自体がわいせつ行為に当たる事例でもその成立を認めるべきであるなどと説明されているものがあると承知しております。
○串田委員 今の説明はもう全く根拠にならないような私は気がするんですが。 ところで、百七十七条の昭和二十四年の判決は、被害者の抗拒を著しく困難たらしめる程度のもので足りるとなっているんですね。足りるとなっている。そして、その前の百七十六条の判決は、大正時代のものでありましたけれども、これは、大小を問わない、強弱も問わないと言っているわけですよ。ということは、暴行又は脅迫の程度を問わないと言っている判例が事前にある、その後に出された判決の中で、抗拒を著しく困難たらしめる程度まで要求しておきながら、足りるというのは、日常用語として見るととても理解できないんですよ。 もっと強烈なものの判例がある中で、次の判例が出されたときに、いや、そこまでは要らないんですよ、足りるんですよ、これだけでいいんですよというならわかるんだけれども、程度を問わないという判決があった中で、その後の判決の中で、強力な暴行又は脅迫、今回の個別案件を聞いてもお答えにならないから質問しませんけれども、名古屋地裁の岡崎支部なんかでは、そこまでになっていないから無罪なんだと言っているわけですよ。 要するに、被害者から見たら、相当な暴行又は脅迫を要求しないとこれは犯罪にならないと言っていながら、何で昭和二十四年の判決は足りるという言い方をされたのか。その背景をちょっと説明していただきたいと思うんです。
○小山政府参考人 お答え申し上げます。 委員御指摘の最高裁判所の判決でございますが、昭和二十四年五月十日でございますが、ここにつきましては、記録を見ますと、資料を見ますと、弁護人が、上告趣意として、仮に被告人が被害者に暴行、脅迫を加えた事実があったとしても、それによって被害者が抗拒不能に陥った事実は認められない旨を主張いたしまして、刑法百七十七条の罪の成立を争った事案でございます。 そこで、同条の暴行又は脅迫の意義、程度について、抗拒不能に陥ることまでは不要との趣旨で、「刑法第百七十七条にいわゆる暴行又は脅迫は相手方の抗拒を著しく困難ならしめる程度のものであることを以て足りる。」と判示し、被告人に同条の罪の成立を求めたものと考えております。
○串田委員 今の回答というのは非常に大事なことだと思うんですよ。 要するに、被告人の弁護人が、これを抗拒不能には至っていないと言うことに対して、最高裁は、裁判所は、抗拒不能に至ることまでは必要ないと言っているわけですよ。その答えの中には、抗拒不能、困難たらしめる程度まで必要であるという答えは出てきていないんですよ。弁護人が言っているのは、抗拒不能ではないんだから無罪だという争いをしているときに、そこまで必要ないんだという裁判所の判決だけで、どうして抗拒不能、困難たらしめる程度まで求めるという答えが出てくるのか。 これ、普通の法律的な考え方だとおかしいと思うんですが、おかしいと思いませんか。
○小山政府参考人 法律的な考え方といいますか、いずれにしても、その判例の解釈といたしまして、抗拒を著しく困難たらしめる程度のもので足りるというものとして運用されているというところでございます。
○串田委員 だから、その事案自体は著しく困難な程度だったのかもしれない。ただ、弁護人は、困難になっていないじゃないかという争いをしたときに、事案自体を見たら、困難にはなっていない、非常に著しく困難な程度にはなっているけれども、困難にはなっていない。しかし、困難になっていないということは必要ないんだよという判断をしているだけのことであって、その事案に関して困難たらしめる程度のものであったんだと思いますが、その後の事件を全部、困難たらしめる程度のものに該当しないと、この事件は、この犯罪は成立しないという合理的な理由というのは何でしょう。
○小山政府参考人 その最高裁判所の判例、あるいはその後の実務の運用といいますか、個々に積み重ねられている判例の理屈について、今つまびらかに全て御説明することは非常に難しいものがございます。
○串田委員 いや、合理的な理由を説明していただければいいだけで、今、数学的な話ですよね。 被告人の弁護人は、困難たらしめている程度まで至っていないというふうに、百七十七条の条件をそのように勝手に、独自に解釈をして争ったんでしょう、刑事法上。そうしたら、裁判所は、いや、そういう程度まで必要ないんだよと、この百七十七条は。今の事案は、困難たらしめる程度にはなっているよ、困難になっているという要求まで、弁護人が言うような要求まで百七十七条は求めているわけじゃないんだよと言っているわけであって、百七十六条の暴行又は脅迫という、同じ文言で大正時代に出された判決と違うんだということを判例は言っているんですか。
○小山政府参考人 該当する昭和二十四年の判決でございますが、それは事例に応じた判示をしているものでございまして、そこまでの内容はなかったものと承知しております。 でも、いずれにいたしましても、ここの判断が判例理論として解されているところでございます。
○串田委員 判例理論じゃないですよ、それ。ただ単に結論を、ただ勝手にその後の条文にもその要件が必要であるということを言っているだけで。 もうずっとこの委員会においても、判例を消去してしまうとその後、検証ができないと言っているわけで、これによって性被害を受けている方々がどれほどのことを苦しんでいるのかということを今の時点で検証できないというのは、そういう資料をみんな消去しちゃっているからじゃないですか。そういったようなものを残していれば、今、この条文はどうして改正しなければいけないのかというようなことも十分に議論できるわけで。 もう本当に司法界は、この百七十七条の条文の暴行又は脅迫は困難たらしめる程度、百七十六条は強弱を問わない、司法試験なんかではずっとそうやって、ただ単に、論理も考えずに、教えられたものだけを暗記して、そして受験をしてきた、これは事実ですよ。昭和二十四年の判決が何でそう変わったのかということを刑法の学者あるいは刑法の授業で教わったのか。 そういったようなことがない中で、ずっとそういうふうにして判例理論。理論じゃないじゃないですか。それは被告人の弁護人が言ったことを排斥するときの理由として、そこまでは要求していないよと言っているだけであって、百七十七条の要求している条件がこういうことであるということを論理的に説明したところなんか何一つないわけです。 むしろ、百七十六条と百七十七条は同じ文言を使っているわけですよ、暴行又は脅迫と。同じ文言を使っているなら同じように解釈しなかったら、これは罪刑法定主義にもならないし、国民は、その法律を与えられて、これをやっちゃいけないよということで自由をある程度制限していく。憲法上の求められている人権を制限していくのは、法律を見て国民が普通の感覚で理解して、ここはやっちゃいけないんだ、ここはできるんだということを、自由を確保するために罪刑法定主義があるのに、百七十六条と百七十七条、同じことが書いてあるのに、百七十七条は暴行又は脅迫を限定的に解釈して、そこまでは無罪になってしまうというようなことを裁判所が勝手に判断をしているということ自体、大変問題だと思うし。まあ、そこの裁判所の判断は正しかったんだと思いますよ。ただ、それを判例理論というように、何かこうすごいことのように決め込んで全てそうやって当てはめていくというのは、私は非常におかしいなと思います。 ちょっと観点を変えますが、暴行又は脅迫という、この又はという言葉を使ったのはなぜでしょうか。
○小山政府参考人 お答えいたします。 この点につきましても、当時の国会において議論された記録等も見当たりませんが、確たることは申し上げられませんけれども、刑法百七十六条、刑法百七十七条は暴行又は脅迫と定めておりまして、及びとしていないのは、もとより暴行と脅迫の双方が必要ではなく、いずれかがあればよいという趣旨と考えられます。
○串田委員 いずれかというのは私も賛成なんですね。ただ、この前の岡崎支部の事案でも思っていただきたいんですが、その事件が起きたときの暴行、脅迫、これは本当は変えていかなきゃいけないし、そういう解釈自体、私はおかしいと思っているんですけれども、仮に困難たらしめる程度ということであったとしても、そこの犯行行為のときの程度自体を判断していくというのは私はおかしいんじゃないかと。 例えば、暴行をされたときの抵抗の度合いというのは、暴行をされていくことによって変わっていくわけですよ。例えば、殴られたときに抵抗していく、一発で殴られたときに抵抗していく。そうしたら、また二発目がやってくるから、二発目も抵抗する。三発目、殴られたら三発目も抵抗していく。こういうふうに普通はなると思うかもしれないけれども、一発目で殴られた人間は、二発目が来るだろうと思って、もう抵抗できないんですよ。それを困難たらしめるかどうかというときに、殴ったのは一回だけじゃないかと。例えば、殺すぞと言ってナイフを突きつけられれば、困難たらしめる程度あるいは困難なのかもしれない。しかし、黙れとか動くなと言われたときに、動いたらば次は殺されるかもしれないというふうな脅威というのも当然発生するわけで、それはもう困難たらしめる程度のものになるわけですね。 岡崎支部の場合には、もう中学のころからずっと、殴る、蹴るをされながら強制的に父親に性交行為をさせられてきたんですよ。そして、この事件が発生したときには十九歳だった。監護者の、百七十九条が適用されない年齢であった。 しかし、抵抗したらまた暴行、脅迫、殴る、蹴るをさんざんされるということがわかっている人間は、ちょっとしたことでももう抵抗できないわけですよ。そういう状況の中で、暴行、脅迫を、反抗を抑圧する程度のものでなければ足りない、だめなんだ、そこまでは至っていないといって無罪にしていくということ自体が、どこが判例理論なんだというふうに私は思うので。 これは、又はといっても、暴行を一発されただけでも、次は何をされるのかということの脅迫が入ってくるわけですよ。動くなという脅迫の中で、動いたらば今度は暴行というものが入ってくるわけですよ。ですから、暴行又は脅迫といったところで、脅迫が必ずしもナイフを突きつけながら、従わなかったら殺すぞということだけが脅迫としての程度と捉えるのではなくて、次にそれを逆らわなかったらどういうことが起きるのかということを考えれば、これはもうそのときそのときだけの暴行、脅迫だけで判断するなんてことはできないわけでね。 この前もちょっと聞いたときには、総合的な判断と言いましたけれども、総合的な判断という言葉自体がもう罪刑法定主義に反していますし、条文のところに暴行又は脅迫と書いてある以上は、素直に、暴行又は脅迫があれば犯罪が成立すると考えるのが、これは普通だと思うんです。 そこで、大臣、これは通告もあるんですが、今の解釈では、反抗を抑圧する程度の、著しく抑圧する程度の暴行、脅迫がないとこれは成立しないということなんですが、その程度に至らなかったら、性交等を行ったとしても、これはもう問題ないんだ、無罪なんだと、大臣もそのようにお考えでしょうか。
○森国務大臣 御質問にお答えする前提として、御指摘の暴行又は脅迫の程度の違いについては、さまざまな学説がございますので、まず事務局から説明をさせてからお答えしたいと思います。
○小山政府参考人 まず、委員の御指摘がございましたところについて、重ねてちょっと申し上げたいと思います。 その暴行、脅迫の要件の判断についてでございますね。これは、個別の事例というよりも、判例実務上、当該暴行、脅迫だけでなく、周囲の状況、従前からの人間関係、被害者の属性、年齢、能力、事件に至るまでの経緯など、さまざまな要素を考慮して判断されているものと承知しております。 それから、先ほどちょっと御指摘がございましたので、ちょっと済みません、先ほど答弁がちょっと不十分だったかもしれませんので、平成二十四年五月十日の最高裁判決について、その暴行、脅迫の意義について御指摘がございまして、これ以前に、学説上、この暴行、脅迫の意義につきまして、委員はよく御存じと思いますが、強盗罪と同様に、人の反抗を抑圧するに足りる程度のものをいうという立場もあったそうでございます。それと、判例としてなりました、少なくとも、その抗拒を著しく困難ならしめるものであることを要するという立場があった。こういうものの状況の中で、昭和二十四年五月十日の最高裁判決が出されたという経緯になったところでございます。
○森国務大臣 今、事務局から答弁があったとおりでございまして、委員御指摘の二つの罪の成立に必要な暴行又は脅迫の程度の違いの有無については、考え方が分かれているようでございますが、違いがあるということを前提、についてのその御質問に対してお答えすることがなかなか困難ではございますが、いずれにしても、法務省では、刑法の一部を改正する法律附則第九条に基づいて、性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査ワーキンググループを設置して、委員御指摘の暴行、脅迫の要件に関連する事柄を含め、性犯罪の実態把握や判決の収集、分析など各種調査研究を進めているところでございますので、充実した検討を行うことができるよう、引き続き、性犯罪被害の実情の把握等を着実に進めてまいりたいと思います。
○串田委員 大臣の前に追加した答えがありましたけれども、強盗罪の場合には程度を問わないと恐喝罪と区別ができないんですよ。だから当然、そういう議論が出てくるのは当たり前なのであって、それを百七十七条と同じように何か考えていくような説明をされると、とても私は理解ができないんですけれども。 今、端的に大臣にちょっとお考えをお聞きしたかったんですが、大臣の立場からすれば、今後の研究会の方向性を余り強く位置づけないというようなこともあるんでしょう。そういった配慮は私もわからなくはありません。 先ほど障害児者の質問も山川委員からありましたが、五五%という、割合が非常に高い中で、障害児者に対する性犯罪というのは大変今の現行刑法条を適用するのは難しいんですね。ですから、これは別途やはり設ける必要があるんですが、ただ、障害児者に関しても、恋愛の自由だとかプライバシーの権利というものはありまして、そういう意味では、告訴権者等も含めまして要件というのは大変、私は、検討というのは慎重にしていかなきゃいけないなと思いますので。 ただ、必ずこの部分は別途、刑法上改正が必要であるということを申し上げまして、またこの件も引き続き質疑をさせていただきたいと思います。 ありがとうございました。 ――――◇―――――
○松島委員長 それでは、次に、内閣提出、会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。森まさこ法務大臣。 ――――――――――――― 会社法の一部を改正する法律案 会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 ―――――――――――――
○森国務大臣 会社法の一部を改正する法律案及び会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 まず、会社法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、会社をめぐる社会経済情勢の変化に鑑み、株主総会の運営及び取締役の職務の執行の一層の適正化等を図るため、会社法の一部を改正しようとするものであります。 その要点は、次のとおりであります。 第一に、株主に対して早期に株主総会資料を提供し、株主による議案等の検討期間を十分に確保するため、定款の定めに基づき、株式会社の取締役が株主総会資料を自社のホームページ等のウエブサイトに掲載し、株主に対し当該ウエブサイトのアドレス等を書面で通知する方法により、株主に対して株主総会資料を提供することができる制度を創設することとしております。 第二に、株主提案権の濫用的な行使を制限するため、株主が同一の株主総会において提案することができる議案の数を制限するとともに、不当な目的等による議案の提案を制限する規定を新設することとしております。 第三に、取締役の報酬等を決定する手続等の透明性を向上させ、また、株式会社が業績等に連動した報酬等をより適切かつ円滑に取締役に付与することができるようにするため、上場会社等の取締役会は、取締役の個人別の報酬等に関する決定方針を定めなければならないこととするとともに、上場会社が取締役の報酬等として株式の発行等をする場合には、金銭の払込み等を要しないこととしております。 第四に、役員等にインセンティブを付与するとともに、役員等の職務の執行の適正さを確保するため、役員等がその職務の執行に関して責任追及を受けるなどして生じた費用等を株式会社が補償することを約する補償契約や、役員等のために締結される保険契約に関する規定を新設することとしております。 第五に、我が国の資本市場が全体として信頼される環境を整備するため、上場会社等に社外取締役を置くことを義務づけることとしております。 第六に、社債の管理をみずから行う社債権者の負担を軽減するため、会社から委託を受けた第三者が、社債権者による社債の管理の補助を行う制度を創設することとしております。 第七に、企業買収に関する手続の合理化を図るため、株式会社が他の株式会社を子会社化するに当たって、自社の株式を当該他の株式会社の株主に交付することができる制度を創設することとしております。 次に、会社の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、会社法の一部を改正する法律の施行に伴い、商業登記法ほか九十の関係法律に所要の整備等を加えるとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。 以上が、両法律案の趣旨でございます。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。 失礼いたしました。今、会社法の一部を改正する法律と言うところを会社の一部というふうに言ってしまいましたけれども、会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案でございますので、訂正いたします。
○松島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 ―――――――――――――
○松島委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十六分散会