法務委員会 第17号
- 発言数
- 217 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2019/06/04
会議録
○委員長(横山信一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る五月三十一日、山添拓君が委員を辞任され、その補欠として仁比聡平君が選任されました。 ─────────────
○委員長(横山信一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 民法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長小野瀬厚君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(横山信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(横山信一君) 民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○元榮太一郎君 おはようございます。自由民主党の元榮太一郎でございます。本日も、山下大臣、平口副大臣、そして門山政務官、そして政府参考人の皆様、よろしくお願い申し上げます。 早速ですが、本法律案は、児童養護施設に入所している児童等に家庭的な養育環境を提供するための選択肢になるということで、特別養子制度の利用を促進するための民法の改正ということでございます。約三十年ぶりということでございますが、この特別養子縁組の認容審判件数を見ますと、昭和六十三年に特別養子制度が開始された当初の平成元年には千二百五件と千件を超えていますが、平成二年になると七百四十三件、平成三年は五百七十八件、平成四年は四百六十九件と減少していき、近年は年間約五百件程度で推移しているということです。 このように、特別養子制度の利用がどちらかというと低調に推移していたということにもかかわらず三十年以上も見直しがなされてこなかったということですが、その一方で、昨年六月に法務大臣が臨時の法制審議会を開催して諮問を前倒しするなど、ここに来て特別養子制度の見直しが急ピッチで進んでいると思いますが、これらの理由、そして背景について教えていただきたいと思います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 御指摘のとおり、この特別養子制度につきましては、昭和六十二年の制度創設以来、約三十年にわたって見直しが行われてきておりませんでした。これは、法務省におきまして、この制度が実務において安定して運用されていて見直しの明確な必要性を認識するには至っていなかったためでございます。 他方で、今回の見直しでございますが、平成二十八年の児童福祉法改正法の附則第二条第一項におきまして、特別養子縁組制度の利用促進の在り方について速やかに検討を加えて必要な措置を講ずることとされまして、これを受けて設置されました厚生労働省の検討会から、実態調査に基づき、現に施設に入所中の子供の中に、特別養子縁組を検討すべきであるにもかかわらず法律上の要件を満たさないためにこれを利用することができない者がいる、こういった指摘を受けたことによりまして検討が開始されたものでございます。 このため、このような事態をできる限り早期に解消し、特別養子縁組による家庭的な環境で養育される機会を早期に提供することができるようにすることが望ましいと考えられましたこと、あるいは、養子となる者の年齢の上限を引き上げるといたしましても、改正法の施行までにその新しい上限年齢を超えてしまう者が生じてしまうこと等を考慮いたしまして、拙速な検討にならないよう心掛けながら、可及的速やかに検討を行った結果、この国会に法案を提出するに至ったものでございます。
○元榮太一郎君 ありがとうございます。 平成二十八年の改正児童福祉法では、虐待を受けた児童や何らかの事情により実親が育てられない児童を含めて全ての児童の育成保障の観点から、家庭養育優先の理念が掲げられました。そして、実親による養育が困難なのであれば、特別養子縁組によるパーマネンシー保障や里親による養育の推進というものが明記されています。 この平成二十八年改正児童福祉法の理念を具体化するために、厚労大臣の下に置かれた検討会では、平成二十九年の八月に、新しい社会的養育ビジョンということで、おおむね五年以内に現状の約二倍である年間千人以上の特別養子縁組を成立させると、これを目指すことを掲げています。今回の民法等改正案もこの数値目標を達成する一助になり得るものだと思っております。 しかしながら、児童養護施設などの社会的養護の下に置かれた児童というのは四万五千人いるというふうな現状を踏まえますと、家庭養育優先の理念、この実現のため、この年間千人という数値目標というのはまだ低いのではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。 家庭養育優先原則に基づく取組といたしまして特別養子縁組が有効な手段であり、親元で暮らせない子供たちに対して、子供の最善の利益の実現に向けて、できるだけ家庭的な養育環境を提供することが重要であると考えております。 有識者検討会がまとめました新しい社会的養育ビジョンでは、委員御指摘ございましたように、おおむね五年以内に年間千人以上を目指し、その後も増加を図るということとされたわけでございますが、これは、まずは現状の二倍とすることを目標として掲げたものでございます。 厚生労働省では、この社会的養育ビジョンを受けまして、各都道府県に都道府県社会的養育推進計画策定要領をお示しをいたしまして、都道府県における社会的養育の体制整備の基本的な考え方、里親等への委託の推進に向けた取組、それから特別養子縁組の推進のための支援体制の構築に向けた取組などを盛り込みました都道府県社会的養育推進計画について、今年度中に策定いただくように依頼をしているところでございます。 この策定要領の中では、特別養子縁組に関しまして、今回の民法改正にも留意しつつ検討対象となる子供の数を把握することとし、その上で、十分なアセスメントとマッチングを行いながら、パーマネンシー保障ということで特別養子縁組による検討を行っていただくということを都道府県に対して求めているところでございます。 国といたしましても、特別養子縁組のより一層の検討を促していく観点から、おおむね五年以内に年間千人以上の縁組成立を目指すということとしておりますので、制度の理解を進めるための広報の展開ですとか民間団体への支援などをしっかりと進めていきたいと考えております。
○元榮太一郎君 有識者検討会でも、年間千人以上の目標、縁組成立を目指すと、さらにその後は増加を図るということで、更なる推進ということを有識者検討会では掲げておりますので、政府においても是非とも更なる推進をお願いしたいなというふうに思います。 本法律案は、養子となる者の上限年齢を原則十五歳未満に引き上げるということとしております。これについては、現在の特別養子制度でも、一般に年齢が高いほど親子関係が形成し難くなると、こういうような場合も多いことから、他人の子を育てていく養親に対する国の十分な支援体制が整っていない現状下での上限年齢の大幅な引上げに懸念を示す意見もあると聞いております。 特別養子縁組成立後の養親子に対する支援については、衆議院の法務委員会における厚生労働省答弁によりますと、平成二十八年の児童福祉法改正により児童相談所の業務として明確に位置付けられたこと、また、民間あっせん機関については平成二十八年制定の養子縁組あっせん法においてその努力義務が規定されたことから、指針等に基づき、児童相談所と民間あっせん機関が連携して支援の充実に取り組んでいくということであります。 しかしながら、衆議院の法務委員会に出席した特定非営利活動法人特別養子縁組支援グミの会サポート理事長の安藤参考人からは、現状において特別養子縁組成立後の養親子支援は不十分だとして、本法律案成立に伴う養親子支援の充実を強く求める意見が出ています。 そこで伺いますが、厚生労働省は児童相談所における縁組成立後の養親子支援の実情をどのように把握しているのかという点と、場合によっては本法案の成立を踏まえた新たな支援体制も検討するべきかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。 特別養子縁組に関する厚生労働省の検討会が平成二十八年に行いました調査によりますと、児童相談所が行う養子縁組成立後の養親子に対する支援といたしましては、里親研修や里親会の活動、問題行動や発達の遅れなど養育に関する相談支援、定期的な家庭訪問、養子に対し養親が自らが養親であることなどについて告知をする、いわゆる真実告知でございますけれども、こういったことに関する助言などが挙げられているところでございます。 また、本法案が成立した場合に年齢要件の緩和が行われた際には、六歳を超える子供の特別養子縁組も可能になるわけでございますけれども、年齢が高いほど養親との関係形成に困難を生じるケースも考えられるということから、児童相談所におきましても、これまで以上に養子縁組成立後の支援までを含めた体制が構築されるように支援策を講じていきたいと考えております。 具体的には、新プラン、昨年の十二月に児童虐待防止対策体制総合強化プランを取りまとめまして、その中で、里親養育支援のための児童福祉司を各児童相談所に一名以上配置をしていくということとしておりますし、また、この法案の成立に伴いまして実際に年齢の高い児童で申立てがなされた事例について分析等を行いまして、児童相談所職員向け等の研修の中で共有をしていきたいというふうに考えております。 こうした取組を通じまして、親子に対する支援の質の向上を図ってまいります。
○元榮太一郎君 ありがとうございます。 一問飛ばさせていただきまして、次に、養子となる者の上限年齢の引上げによりまして、思春期に差しかかっているような子などは、特別養子縁組審判の第二段階の審判におきまして養親となる者とのマッチング等を十分調査しないと、縁組後にうまくいかないケースが増える可能性があります。また、現行法上でも特別養子縁組を経た家庭で不適切養育事案が発生しているとして、法改正後、そのような事案の増加を懸念する意見も出てきています。 そこで、現状において特別養子縁組後にどのような不適切養育事案が発生しているのか、厚生労働省は把握しているでしょうか。把握していれば、その具体例について教えてください。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。 特別養子縁組に関する厚生労働省の検討会が平成二十八年に行った調査によりますと、特別養子縁組又は普通養子縁組の成立後に養親等による虐待があって、平成二十六年度、二十七年度の二か年で児童相談所が対応した件数につきまして、これは六件ございました。 各事案の具体的な内容までは把握をしておりませんけれども、こうした問題が生じることがないように、先ほどお答えしたところでもありますが、里親養育支援のための児童福祉司の配置ですとか児童相談所の職員等向けの研修、こういった取組を通じまして、これまで以上にアセスメント、マッチングから養子縁組成立後の支援までを含めて体制が構築されるように支援に努めていきたいと考えております。
○元榮太一郎君 家庭養育優先の理念を実現するための特別養子縁組によってかえって不適切養育事案が起きてしまうと、このようなことがないようにしっかりと支援をいただきたいなと思います。 次に、民法八百十七条の十は、養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があり、かつ実親が相当の監護をすることができる場合において、養子の利益のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は、養子、実親又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができると規定しております。 そこで、特別養子縁組の離縁件数は年間どの程度あるのかという点を最高裁に伺いたいとともに、また、離縁後は、養子であった子と実親との親子関係が復活することになりますが、子の福祉の観点から問題はないのかという点について法務省に伺います。
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。 特別養子縁組の離縁が認められた件数につきましては、ここ五年間、平成二十六年から平成三十年になりますが、ゼロ件となってございます。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 特別養子縁組の離縁につきましては、委員御指摘のとおり、養親による虐待その他養子の利益を著しく害する事由があることに加えまして、実親が養子について相当の監護をすることができること等の要件を満たす必要がございます。 このように、特別養子縁組の離縁が認められるためには、特別養子縁組の成立の時点では適切に子供を監護することができなかった実親について、その後に状況の変化が見られて十分な監護能力を有するに至ったと認められることが必要でありまして、換言しますと、離縁に伴って養子と実親との親子関係が復活することとなったとしても、子供の福祉の観点から問題が生じない場合に限って離縁が認められているものでございます。 こうした要件の該当性につきましては、家庭裁判所調査官による調査等を踏まえて家庭裁判所が判断することになりますので、実際にも、特別養子縁組の離縁によって子供の利益に反するような事態は生じないものと考えられます。
○元榮太一郎君 専ら子供の利益を図るための特別養子縁組がなされたにもかかわらず、養親による不適切養育事案が発生し、最悪離縁となるという事態は、間違いなく必ず防止する必要があると考えております。 この点に関しまして、例えば、縁組前の試験養育期間内の養育状況等について専門機関の支援や観察等を確保する制度、特別養子縁組の成立後も専門機関が一定期間必要的に支援を行う制度等をセットで創設することにより、縁組後の不適切養育事案を防ぐべきとの意見があります。 このような制度の創設に対する山下法務大臣の御見解を伺います。
○国務大臣(山下貴司君) 委員御指摘のとおり、特別養子縁組は専ら子供の利益を図るために設けられた制度でございまして、特別養子縁組が成立した後に養親が養子を適切に養育することができないといった事態ということは、これはもう子供にとっても非常に、子の福祉にとって非常に大きなダメージということになりますので、避けなければならないと考えております。 そのためには、御指摘のように、試験養育期間における養親となるべき者の養育状況を慎重に見極める必要があり、この点におきまして、先ほど民事局長からも答弁させていただきましたように、家庭裁判所調査官による調査、これは重要であると考えております。 家庭裁判所調査官は心理学等の行動科学の専門的知見を有しておりまして、現行法の下でも、その知見を生かして試験養育期間中の養育状況等について観察を行っているところでございまして、養親の適格性について、法案改正後も適切に判断することができると考えてはおります。 また、養親に対する支援につきましては、特別養子縁組成立の前後を問わずこれを可能とする体制を構築することは、子の利益を確保する観点から重要であると考えております。 この観点から、委員が既に御指摘されたように、平成二十八年の児童福祉法改正により、児童相談所のあっせんにより成立した特別養子縁組については、縁組の前後を問わず、都道府県が養親及び養子の双方に対して必要な援助を行うべき旨が法律に制定されているところでございまして、また、民間団体のあっせんにより行われる縁組についても、昨年四月に施行されたいわゆる民間養子縁組あっせん法において、民間団体は、養子縁組成立後の養親子に対し、その求めに応じて必要な援助を行うよう努めるものとするとの規定が設けられております。 特別養子縁組における養親子については、今後もこれらの法律の趣旨に沿って必要な支援がされるものと考えております。先ほど厚労省もその一端を御紹介させていただいたと思いますが、法務省としても、養親子に対する支援の在り方については、委員の御指摘も踏まえ、厚生労働省等の関係省庁と連携して必要な協力をしていきたいと考えております。
○元榮太一郎君 ありがとうございます。 社会的養護下にある児童が四万五千人いるという話を冒頭でいたしました。その全てが実親における養育が期待できない、望ましくないということではないんですが、やはり家庭養育優先の理念の実現のために、この社会的養護下の中で特別養子縁組やそして里親委託、こういうようなことを期待される、求められる児童がやはりいるというこの現状を踏まえますと、やはり年間千人という目標は通過点にすぎず、そこをおおむね五年以内で達成した後は、もっともっと多くの児童がやはりあるべき理念の下、あるべき養育環境の下で育っていける、そんな制度づくりに向けて政府一丸となってお取り組みいただくことを心よりお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○小川敏夫君 立憲民主党の小川敏夫でございます。 まず、基本的なことをお尋ねしますが、普通の養子縁組という制度がありますから、別に子供の年齢にかかわらず養子にすることができるという仕組みになっておるわけです。それでは足らなくて、なお特別養子縁組制度というものをつくると、今回広げるということは、どういう意義あるいは必要性があるのでございましょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 御指摘のとおり、養子につきましては普通養子もございますが、特別養子制度は、家庭に恵まれない子供に温かい家庭を提供してその健全な養育を図るため、普通養子縁組によって創設される親子関係よりも強固で安定した法的地位を養親子に与える点に特徴があるわけでございます。 したがいまして、普通養子縁組ができるようなケースでありましても、今申し上げましたような強固で安定的な法的地位を与える必要があると、こういう場合には、やはり特別養子制度が活用がされるというふうに考えているところでございます。
○小川敏夫君 ちょっと、強固で安定的といったって、養子縁組すれば親子関係なんでね、養子縁組だって、子供を引き取って一緒に生活して実の子供のように養育監護するわけですから。そういう制度がある。 その強固に安定的という抽象的な言葉じゃ少し分かりにくいので、じゃ、普通の養子縁組に比べて特別養子縁組だと、どこがどういうことがあって強固で安定的なんですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 具体的には、普通養子縁組との比較ということになりますと、特別養子縁組の場合には、実の親、実親との間の法的な親子関係が終了するということが一つでございます。そういう意味では、新しい養親子との関係では、実の親子と同様の法的な関係が生まれるということが一つでございます。 それからもう一つは、この特別養子縁組といいますのは、これは離縁がかなり限定的にしか認められておらないという点でございまして、普通養子縁組が合意による離縁も可能ということと比べますと、そういう点でも安定した法的な地位というふうに言えようかと思います。
○小川敏夫君 実の親との親子関係を法的に完全に断ち切るということの説明ですけれども、例えば実の親が子供の養育監護に関して余計な口出しされると養親が子供の養育のためにやりにくいとか混乱するとかいうことがあれば、別に親子関係を断絶、断ち切らなくても、実の親にはもう一切口出しさせないというようなテクニックもあるんじゃないかと思うんですが、それでは足らないんですか。
○国務大臣(山下貴司君) 特別養子制度というのは専ら養子となる子供の利益を図るための制度ということで、そういった意味で、強固な関係を構築するということで特別な関係にあるわけでございますが、この養親子関係に実親子関係に匹敵し得るような強固で安定した法的基盤を与える必要があるということ、そうなると、実方の父母、その他の親族、あるいは第三者からの養親子関係への不当な介入を防止する必要があろうということでございます。 そういったことから、特別養子制度においては、実親子関係を含む実方親族との親族関係の終了という効果が与えられているということでございまして、そもそも特別養子制度が、子供の利益の観点から、今後安定的な親子関係の下で養育されることについての必要性が高い場合に限って利用されるものであることを考えると、こういった実親子関係について終了するという効果もやむを得ないものと考えております。
○小川敏夫君 何か私の質問に答えているようで答えていないんですよね。 実の親あるいは実の親族から不当な干渉をされる危険性がある、可能性があるから断ち切るんだと。だが、私が聞いているのは、親子関係断絶しなくても、不当な干渉ができないような仕組みを構築すればいいんじゃないか、不当な干渉をさせない仕組みをつくればいいんで、何も親子関係を完全に消し去るということまで必要がないんじゃないかと聞いているわけです。
○国務大臣(山下貴司君) 御指摘の不当な干渉を防止する仕組みということでございますが、他方で、やはり親族関係が法律上残っているということになりますと、そういった親族関係が永続することに基づいて様々な干渉が行われ得るわけでございます。それを法律的にも終了させるという意味でございまして、親族関係の終了という効果を法律上決めておるということでございます。
○小川敏夫君 何か質問と答弁がぴしっとかみ合っていないように思うんですがね。 親子を断絶する、それもやむを得ない、子供のためにはそれも必要だというケースもあると思いますよ。ただ、世の中はもう様々な人生があり、様々な状況があるわけですから、一律に全部がそうだというふうには言えないと思うんですね。 親子関係が全く断絶すると、そうすると、子供にとっていいことばかりじゃなくて、損することもあるんですよね。例えば、親の財産を相続することができないわけです、実親のですね。しかも、そういう判断をするのは、乳児期、乳幼児ですと自分に判断力がないから、言わば第三者機関なりが、そこが勝手に決めちゃうと。今度は十五歳なら多少は判断できるとしても、果たしてそこまで客観的な合理的な判断がそもそもできるのかどうか。 そうした、乳児期なら自分が意思決定していない、十五歳であればまだ十分な判断力が完全にあるとは言えないときに選んだ選択によって実の親子関係がなくなる、相続権がなくなる。そうした不利益もあるわけですから、断絶、親子関係を廃止することが子供のためにいいんだいいんだという説明だけでは、私、足らないと思うんですよね。そんな子供の養育に害があるような親は財産なんか持っていないはずだということはないんで、そういうこともあり得ると思います。 この親子関係完全に切っちゃって実親の相続分もなくなってしまうという不利益が生ずるケースがあり得るんですけれども、そういうことについては、大臣の所見、所感はいかがでしょう。
○国務大臣(山下貴司君) 御指摘のとおり、この特別養子縁組によって親族関係が終了する以上、実親の子供として相続することはできないということになります。これは一方で不利益という御指摘もあるんですが、他方でこれ、こういった親族関係終了させないと、例えばこの養子となった者が実親の扶養義務を負う、負い続けるということもございますし、また相続には、もちろん財産もあれば負債ということもあり得るわけでございます。そうしたことを総合考慮した上で、この特別養子縁組ということが子の福祉のために必要であるという本当に極めて限定的な場合において特別養子縁組を成立させるわけでございます。 そして、これを仮に相続することができるとした場合には、例えば実母が死亡した場合に、養子は実父と遺産分割の協議等をしなければならなくなるであるとか、実方の父母等との接触を余儀なくされ、養親子関係への不当な介入がされる懸念が生ずるということでございますので、お尋ねのような方策を取ることについては慎重な検討が必要ではないかと考えているところでございます。
○小川敏夫君 まあ世の中はいろいろ、人の考えはそれぞれですからね。ただ、相続分があれば必ず相続関係で協議を要するということはないんで、別に放棄してしまえばそれで一切関わらずに済むわけですから。必ずしも、世の中いろいろありますから、全て画一的にというところで、そこまで考慮しても親子関係を断絶した方がいいというケースももちろんあるでしょうけどね。 それから、お話聞いていると、この特別養子制度、その子供が、子供のために十分な養育監護を受けるという、子供のためだという御趣旨、それはよく分かるんですけれども、ただ、この特別養子関係というのは子供の幼少期のことだけじゃなくて、一度そういう関係に入れば、子供が成人になって、年取って、亡くなるまでずっとその関係が続くわけです。 だから、例えば子供の養育のためだ、子供の健全な成長のためだと言うけれども、その子供がきちんと成長してもう分別ある成人になった、成年になったというときに、そしてまた十分な判断をできるときに、ああ、やっぱり実親との関係、これはもう実親というのは生物的に実親で、切っても切れない関係なんで、法的に断ち切ったとしても実親との関係はある。そのときによくしっかり考えてみたら、実親との関係の考えが変わるかもしれない。 あるいは、別の言い方すれば、養育や監護を必要とする子供のためにはそうした実親との隔離が必要かもしれない。でも、その子供がもう成人になっちゃって、一人前の大人になってしまって自分で判断できる、不当な干渉なら拒絶できるし、しかし一方で、そういう親子関係もやっぱり必要なんじゃないかとか思いを致すときもあるんじゃないか。 子供の養育監護だけじゃない、もう養育監護も不要となった成人になった後も実親との関係が断ち切ったまま、不当な干渉のおそれもない、そういうところまでずっと完全に断ち切ってしまうというところで、私は、それでもいいんだというケースもあるでしょうけどね、いろんなところでやはり、相続分がないということもあるでしょうし、相続分というお金の話じゃなくて、やはり実の親という、その親子関係を自分自身の判断でしっかり責任を持って見直すこともできるときに戻る道がないというのは少し足らないんじゃないか。そこのところを、やはり、例えば相続分なら、相続なら求めれば相続請求ができるというような、これ法律の仕組みにすればいいわけですから。 それから、もう養育監護、養親の養育監護を必要としないと、もう完全に独り立ちした成人になったら、不当な干渉で成長の妨げということもないんだから、そういうときにきちんと判断して、やはり実親との関係も保ちたいということがあれば、そういうことを認める道を開いてあれば私はいいと思うんですがね。子供の養育監護のために必要だから、不当な干渉をさせてはいけないんだからといって、その段階で完全に実親との親子関係を断ち切ってしまって、それが復活しないままずっと行くという今の仕組みだと、それではその実情に合わないといいますか、あるいは養子となった子供の気持ちの変化に対応できないということもあるんじゃないかなと。 ですから、別にこの今回の法律の仕組みに反対はしないんだけれども、世の中様々なことがありますから、そうしたことに対するもう少し柔軟な対応があってもいいのではないかなと私は思ったのでありますが。質問の趣旨がちょっと曖昧ですけれども、大臣の答弁もいつも曖昧だから、大臣のお考えを、それで所感をお聞かせいただければと思いますが。
○国務大臣(山下貴司君) 今回、特別養子ということで、実親子関係の法律上の親子関係が切れるということで、この親子関係というのは、法律上当然に、あるいは権利を有し、義務を負うと。例えば扶養義務もしかりでございます。それが法律上当然に親子であるという法律関係から導かれるというところは終了すると。 他方で、成年後、実親と交流する道は残されているわけでございまして、例えば出自を知る手段というのは残しておるということでございます。また、その扶養を実親が困窮しているということで任意にするということは、これは例えば契約等で自らの意思で行うことまでは妨げられていないところでございます。 また、相続につきましても、法律上当然に相続権が発生するということではなくなるわけでございますけれども、例えば遺贈等、そういったことは、余地は認められているわけでございまして、今回の実親子関係、親子関係は終了するというのは、法律上当然に親子としての権利を有し、義務を負うというところが切れるというところでございます。
○小川敏夫君 法律上当然に切れちゃう。遺贈があるからいいといっても、遺贈を受けるためにはやはり何らかの事前の関わりを持つ、あるいは要望しなくてはいけないんで、むしろ遺贈を受けたいがために何らかの行動をしなくちゃいけないというようなこともあり得るんでね。むしろ当然、法律上親子関係切っちゃうといったって、実の親子関係なんだから、相続の分を請求できてもいいようにも思うんですけどね。また、相続の権利を奪わないで、与えることによって子供の養育監護の妨げになるということも全然ないと思いますので、是非考えていただければと思うんですが。 例えば、じゃ、一つの私が頭の中で考えた例なんだけれども、親がいて、父親がいて、子供は男と女の子がいると。ただ、父親がその女の子に対して性的な虐待を加えて、とてもこの関係では養育関係はできないということで、女の子だけ特別養子関係をつくって実親関係を完全に断ち切ってしまったと。その実親のところで結局親が亡くなれば、相続するのは男の兄弟だけ。被害を言わば受けたその女性の子供は、もう親子じゃないんだからといって相続を受けられないと。 何か、つまり、子供の養育のためだということの必要性も分かるけど、そうした本来当然平等に受けられるべきような相続分がなくなって不利益を受けるということも伴ってしまうと。そこまで絶対的に組み合わせなければいけないのかなという必要性は私ないと思うんですよね。だから、もう少し柔軟に対応していただきたいというふうに思っておるわけですけれども。 法案の修正ということでもなくて、そういう視点から、この法施行後も実際の運用例も見てしっかりと柔軟な検討を引き続いて行っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 今回のこの改正法でございますけれども、これは、現在の年齢要件等によりまして、特別養子縁組を検討している例えば施設にいるような子供に対して特別養子縁組をより利用が促進できるようにと、こういう観点からの改正でございます。 御指摘の問題は、これは特別養子縁組のそのものの制度論でございますので、そういった制度論につきましては、今回の改正はそういったような実際上のニーズといいますか、それを踏まえたものでございますので、そもそもの特別養子についてのそういったものにつきましては、今後引き続き必要に応じて検討してまいりたいというふうに考えております。
○小川敏夫君 終わります。
○櫻井充君 国民民主党・新緑風会の櫻井充です。 ここの法務委員会でずっと質問させていただいていて、随分いろいろ考えさせられることがありました。それは何かというと、やはり子供さんたちをどういうふうにしたら、幸せと言ったらいいのか、それとも健全育成と言ったらいいのか分かりませんが、どういうことを我々は政治家としてやっていかなければいけないのかということをこの場で随分議論させていただきました。 今回、特別養子縁組という制度があって、ここの趣旨説明の中に、特別養子縁組を成立させることにより、家庭において養育することが適切な子も少なくないと指摘されておりますと、養育することがですね、そこで、特別養子縁組の成立要件を緩和すること等により、この制度をより利用しやすいものとする必要があると、こういう趣旨説明でございました。 この制度を使った場合に、済みません、通告していないので、まず数字が分かれば教えていただきたいんですが、大半の子供さんたちはそこで幸せな生活を送っているんでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えをいたします。 厚生労働省の検討会によりますと、平成二十六年と二十七年度で、特別養子縁組を選択肢として考えたんだけれどもできなかった、断念したというのが三百件ぐらいあるというふうに言われております。 そういったものの中には、今回の改正によって特別養子縁組というものをすることができて、それによって家庭的な環境の下での養育ということで子供の福祉につながるようなケースというものも当然あるものと考えております。
○櫻井充君 済みません、通告していないんで、答弁、全然違うことなんですが、局長、これ、養子縁組が成立するところまでは、これは法務省の所管なんですか。そこをまずちょっと明確に。いや、今回いろいろあって、要するに、子供さんの立場によって所管省庁が違うんですよ、全部。そのために、逆に言うと、一貫してきちんと政策が打てていない、皆さんがきちんと面倒見切れていないという案件が見受けられ、散見されるので、改めてお伺いしたいんですが、済みません、これ、特別養子縁組を成立させるところまでは、これは法務省の所管なんですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) 特別養子縁組制度は私どもが所管しておりますが、実際にその養親候補者をあっせんするといったようなことは、これは児童相談所ですとかあるいは民間あっせん機関なんかがやっておられまして、そこは厚生労働省の方の所管でございます。
○櫻井充君 そうしますと、今申し上げたとおり、例えば、その後養子縁組した、特別養子縁組をした子供さんがうまくいっているかいっていないかのことについてのフォローアップは、これは厚生労働省が行うということでいいんですか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。 特別養子縁組の制度自体はもちろん法務省の所管ではございますけれども、養親の候補者を確保をするというところから、それからマッチング、アセスメントをしてマッチングをするというふうなところについては、児童相談所及び民間のあっせん機関で実施をしておりますし、児童福祉法上、その業務について都道府県の業務ということに位置付けられておりますので、養親の確保から成立後の支援まで、児童福祉法上、都道府県の業務というふうに位置付けられているところでございます。
○櫻井充君 そうすると、ちょっともう一度明確に、端的にお願いしたいんですけど、この後のフォローアップは、特別養子縁組が成立しました、その後うまくいっているかいっていないかについてのフォローアップは、まずされるんでしょうか。もしするとすれば、今の説明だと、これは都道府県ということになる、その理解でよろしいんですか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。 成立後のフォローアップにつきましては、都道府県、あるいは民間のあっせん機関が行う場合には民間のあっせん機関が成立後の支援についても努めるということになっております。
○櫻井充君 しかしこれ、民間のあっせん機関というのは、ただ単純に自分たちがあっせん機関になりますからといってあっせんできるような機関ではないんですよね。これは認可ですか、届出ですか、この機関は。
○政府参考人(藤原朋子君) 許可制となっております。
○櫻井充君 これを許可するのはどこの省庁になりますか、それとも都道府県ですか。
○政府参考人(藤原朋子君) 事務所が所在をする都道府県が許可をするということになっております。
○櫻井充君 そうすると、その後フォローアップするかしないかは、あとは都道府県によって全然違ってくるということでよろしいんですね。
○政府参考人(藤原朋子君) 現在児童相談所が行う特別養子縁組については児童福祉法上、それから民間のあっせん機関についてはあっせん法によりまして定めがございますが、いずれにしましても、この指針というものを厚生労働省が定めておりまして、縁組成立後のフォローについてもしっかり取り組んでいただくようにお願いをしているところでございます。
○櫻井充君 そうすると、今のことでいうと、最終的には、取りまとめを、例えば県ごとによっていろいろデータが出てきた場合に、取りまとめを厚生労働省が行っているという認識でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) データとしては厚生労働省で把握をしているところでございます。
○櫻井充君 これ、今日じゃなくて結構です、次回ありますので、通告の意味で聞いておいてください。 その場合に、どのぐらいの特別養子縁組でうまくいっていて、うまくいっていない場合というのはどういう問題が起こってきてうまくいっていないのかということについて教えていただきたいと。できればこれ、木曜日に質問したいので、今日か明日の午前中ぐらいまでにある程度のデータを持ってきていただきたいと思いますので、ちょっとよろしいでしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) どのような資料がお持ちできるか、きちんと精査をして対応させていただきます。
○櫻井充君 大臣、どうでしょうか、つまり、ここで制度をつくって、こういう制度がありますから、じゃ、この法案をこの委員会で認めてくださいという話になり、成立していくんでしょう。だけど、結果的には、もう法務省は制度をつくるだけであって、その後何もフォローアップをしないということになりますよね、今の話だと。こういう制度設計の在り方って本当にいいんでしょうか。 つまり、厚生労働省がこの後、いろんな問題点があるとか、これはすごく良かったとか、そういう総括をされるんでしょう。そういう総括をしたところが本来であれば制度設計を持っていった方が、本当は継続されてやっていくことになるのでうまくいくんじゃないのかと、そう思うんですよ。 今回のことでも、養育費の問題一つ取ってみても、大臣は、養育費の支払について、これが支払われる、まず契約するところですね、契約するところなどについては、これは法務省として何とか契約件数を上げていくように努力したいとか、そういうお話をされました。どうもフォローアップは最高裁判所のようなお話されましたが、この間最高裁と話をしてみると、ちょっと違っているようですからね。 いずれにしても、いずれにしても、どうも所管省庁が余りにばらばらになってきていて継続的にきちんと見れないという問題点があるような気がするんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(山下貴司君) 今回の法律につきましては、法律上の親子関係、これをどのように法律上規定するかということでございまして、親子関係、親子法を規定する、親族法を所管する法務省の提出しているところでございます。 他方で、委員御指摘の特別養子縁組が成った後の子供さんがどのような生活を送られるかについては、まずはこれ、子の福祉の観点から都道府県、あるいは児童福祉法等に基づいて厚生労働省が行うということではございますけれども、法務省としても、人権擁護の観点からそういったものについて関わることがございましょうし、また、この特別養子縁組の終了ということになりますと、これは法的な親子関係の終了でございます。手元にある数字では過去五年間はゼロであったということでございますけれども、そういったところも、我々が把握できる数字も注視しながら、特別養子縁組の制度の円滑な運用につきまして、関係省庁とも協力しながら努めてまいりたいと考えております。
○櫻井充君 きちんと連携するかどうかってすごく大事だと思うんです。 例えば、別な例で申し上げますと、子供さんの歯科健診というのは、三歳まではこれは母子保健法なんです。厚生労働省が所管していて、一歳半と三歳にこれ健診を受けられるんですよ。三歳以降はどうなるかというと、子供さんが所属している場所によって全然違ってきます。というのは、幼稚園に行かれると、これは学校保健法かな、学校保健法か、ちょっと済みません、法律忘れました。学校関係の保健で年に一回か半年に一回健診を受ける権利を有していますが、今度は保育園に行った場合、認可保育園の場合には、これは児童福祉法になってきて厚生労働省の所管なんですよ。だけど、無認可とか、それから今のような幼稚園や保育所に行っていない子は健診の対象から外れているんです。 つまり、こうやって穴が空くところって、みんな所管省庁があることによって実は出てくることになっているんですよ。そういう意味合いでいうと、そういう意味合いでいうと、本当にこういうようなやり方でいいのかどうか。 それから、もしこういうやり方を継続するのであれば、是非、大臣、ここはお願いですけれど、やはりちゃんと省庁間の連携を取っていただかないとなかなかうまくいかないんだと思っていて、その連携をきちんと取っていただきたいと、そう思いますけど、その点についていかがですか。
○国務大臣(山下貴司君) 御指摘のとおり、連携というのは非常に重要なことでございます。我々も、持てる所管の施策以外のことは関係省庁と連携せざるを得ないわけでございますが、情報共有とかそういったものをしっかりさせていただきたいと考えております。 今般、児童虐待防止のための児童福祉法等におきまして、関係省庁の連携ということもこれ法律上規定されておるところでございますが、その趣旨に照らしましても、我々法務省も、厚生労働省を始め関係省庁としっかりと連携をしてまいりたいと考えております。
○櫻井充君 ありがとうございます。 養護施設に入られる子供さんの数は減っているんですよね。十年前から比べると一割ぐらい減っているんです。ですけど、虐待を受けている子供さんの数は物すごく増えてきていて、多分、今そういうことを念頭に大臣答弁されたんだと思いますが。 そこで、もう一つ、この法律というのは一体誰のためのものなんですか。これは、今の例えば虐待を受けている子供さんや、それから、例えば生活がままならないような子供さんや、そういう子供さんのための制度ということなんでしょうか。
○国務大臣(山下貴司君) これは、本法案につきましては、子の福祉のための制度でございます。児童養護施設に入所中の児童等に家庭的な養育環境を提供するために、特別養子縁組の成立要件を緩和すること等により制度の利用を促進するというものでございます。
○櫻井充君 これは、そうすると、子供さんの福祉ということは、この子供さんのある種の権利だと思っていいんでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 子供さんの方が直接申立てをするということはなかなか制度的にはなっておりませんので、そういう意味では、子供に対する福祉の観点から、養親候補者ですとか児童相談所所長がこの手続を開始するということでございます。ただ、こういったことによって利益を受けるのは、まさにその子供ということになろうかと思います。
○櫻井充君 そうすると、子供さんの権利ではないと。いいんですか、それで。子供さんの権利という観点ではなくて福祉だということになると。福祉ということになってくると、子供さんの意思というのはどこかに反映されることになるんでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 今回の改正法ですと、お子さんが十五歳以上ということの場合にはそのお子さんの同意が必要ということになっておりますし、また、十五歳未満という場合でありましても、家庭裁判所は、この特別養子縁組が成立するに当たって、その子の意向を聴取して十分にそういったものを配慮しなければいけないという法律上の手続上の規定がございますので、そういったように、子供の意思に配慮して手続が進められることになります。
○櫻井充君 ですから、このフォローがすごく大事になると思うんですよ。子供さんの意思を酌んでそういう制度をつくって、そういうことで特別養子縁組になりました。その後きちんと見ておいていただかないと、この制度そのものが本当にいいかどうかというのは僕は分からないんじゃないかと、そう思っていて。もう時間になりました。あさってまだ続きがありますので、そういう観点で質問をさせていただきたいと。 それから、今日はちょっと文部科学省にも来ていただいたのに質問できなくて申し訳ないんですが、あさっても、この法案もそうですけど、子供さん相当苦労されているので、その子供さんの立場からまた質問させていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。 まず、今日は、養子制度、普通養子縁組、特別養子縁組の利用状況についてお教えいただきたいと思っております。 まず、近年の特別養子縁組の成立件数の推移と、養子となった子供の側の縁組時の年齢についての分布について教えていただけますでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 過去三年間の特別養子縁組の成立件数でございますが、平成二十八年が四百九十五件、平成二十九年は六百十六件、平成三十年は、速報値でございますが、六百二十四件でございまして、ここ数年はおおむね年間五百件から六百件前後で推移しております。また、平成二十八年の四月から平成二十九年三月までの間に成立した特別養子縁組につきまして、最高裁判所が調査した結果によりますと、養子となった者の縁組時の平均年齢は一・五歳でございまして、ゼロ歳又は一歳である事例が全体の半数以上を占めております。 もっとも、この調査期間中に成立した特別養子縁組の総数五百三十八件のうち、養子となる者が五歳の者が約三十件、六歳の者も約二十件ございまして、七歳や八歳の者も複数件ございますことからしますと、現行法上の年齢の上限に近い年齢の子供についても一定程度この制度が利用されているという状況にあると言えるものでございます。
○伊藤孝江君 特別養子縁組の成立件数、おおむね五百件から六百件程度。 今日の最初にも、制度ができた当時からすると減ってきている中でも、今は五百件から六百件ぐらいを大体維持しているというようなお話だったかと思うんですが、この需要と供給という言い方が適切かどうか分からないですけれども、必要とされる子供に対してどの程度きちんと提供することができているのかというような考えの中で、現状についての受け止めについてどのように法務省としては捉えておられるのかというところについてお教えいただけますでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 近時の報告によりますと、児童養護施設に入所するなど社会的な養護を必要としている児童は、平成三十年三月末の時点で約四万五千人に上っておりまして、その中には、特別養子縁組によって家庭と同様の養育環境において継続的に養育を受けられる可能性のある者もいるとの指摘がございますが、特別養子縁組の成立件数は、先ほど申し上げましたとおり、おおむね年間五百件程度から六百件前後でございます。 また、児童相談所あるいは民間あっせん団体を対象としました厚生労働省の調査結果によりますと、特別養子縁組を選択肢として検討すべき事案であるにもかかわらず、法律上の要件を満たさないこと等が原因でこの制度を利用することができなかった事案が、平成二十六年、二十七年の二年間で二百九十八件あったと報告されております。 法務省といたしましては、こういったような報告等を踏まえますと、特別養子縁組制度がより利用されることが望ましいと考えておりまして、そのためには、特別養子制度の利用を促進して、この家庭的な環境の下で養育することが適切な子供が、その必要に応じて制度を利用することができるようにすることが重要であると受け止めております。
○伊藤孝江君 今の点で少し確認をさせていただきたいんですけれども、平成二十六年から二十七年で、特別養子縁組制度を利用すべきじゃないかというところの中で、要件厳格などでできなかったのが二百九十八件という御答弁だったかと思うんですが、これは、特別養子縁組にできれば縁組をさせてあげたい子供全体の中の二百九十八件ということではなく、その全体の中で、養親となる候補の方も見付かったり、具体的なところを進めていったけれども最後できなかった子が二百九十八件ということでよろしいんですね。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 あくまでも、特別養子縁組を選択肢として検討すべきであるにもかかわらず、ですから、検討すべき事案ということでございますので、今委員御指摘のような具体的に養親候補者まで決まっているといったような限定、そういったところのものが付いているというわけではございません。
○伊藤孝江君 検討すべきである事案ということは、実父母の同意を得られないからとか年齢とか、かなり具体的な要件を満たさないということで否定されているんですけれども、これ、具体的な事案として対象になった子供たちを対象にした数ではないんですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 長いこと実の親との交流がないような児童ということでございまして、そういう点では、具体的な手続に着手しているという、そういう限定の下での数ではございません。
○伊藤孝江君 じゃ、ちょっと次に、普通養子縁組の方、お聞きできればと思うんですが、現状として、普通養子縁組の近年の養子縁組の成立件数と、そのうち未成年養子の件数、また連れ子養子の件数についてお教えいただけますでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 平成二十九年度に市区町村に届出がされました養子縁組の件数ですが、これは普通養子縁組と特別養子縁組とを分けて統計取っておりませんで、それを合わせて七万五千百十一件でございます。 なお、この養子となる者が未成年か成年か、連れ子養子か否かといった態様別の件数については、市区町村に対して報告を求めておりませんで、把握していないというものでございます。
○伊藤孝江君 まず、普通養子縁組の成立件数については、特別養子縁組の成立件数を先ほどお答えいただいたわけですから、全体の七万五千百十一件、平成二十九年ですかね、七万五千百十一件から平成二十九年に特別養子縁組が成立した数を引いたのが普通養子縁組の数というわけではないんですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 細かいことですが、私どもの方の統計は平成二十九年度でございまして会計年度でございますが、司法統計の方は暦年の年度だというふうに承知しております。
○伊藤孝江君 そうしましたら、普通養子縁組に関して、件数は全体も今はっきりしないと、おおむねという形で、年度のずれがあるので分かりにくいというのと、あと、普通養子縁組の中で未成年養子の件数も連れ子養子の件数も分からないというのが現状ということで確認させていただいてよろしいですね。
○政府参考人(小野瀬厚君) 御指摘のとおりでございます。
○伊藤孝江君 普通養子縁組の場合に、再婚などのきっかけで連れ子として養子縁組、連れ子と養子縁組をするということがほぼじゃないかというようなことも言われているところではありますけれども、この点についてはどのような現状かという点について、認識、お教えいただけますでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) そこも、私どもとしましては、統計を取っているわけではございませんので確たることを申し上げることはできないということでございます。申し訳ございません。
○伊藤孝江君 確たるところまで分からないというところ、数が分からなくても、おおむねの傾向性とか、そういうことも把握されていないんですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 いろいろ、家族法などの文献などによりますと、未成年養子の場合には連れ子養子が多いといったような記載があることは承知しておりますけれども、そこはちょっと統計的にその裏付けという点では、そういうものは私どもは承知していないというものでございます。
○伊藤孝江君 今回の法改正の中で、虐待からまず緊急的にというか、本当に早く子供を守るというような観点も含めて特別養子縁組の制度改正を検討するということだったかと思うんですけれども、当然、その子供の養育、社会的養育というのを考えたときに、特別養子制度の在り方もそうですけれども、普通養子縁組制度の在り方、そういうことをこれからも引き続き考えていかないといけないというのはもう確かな中で、現状として養子縁組制度がどのように利用されているのか。 今の、例えば普通養子縁組でいえば、未成年の子供の場合が多いのか成年が多いのか。今でいえば、六歳までであれば特別養子縁組と普通養子縁組と両方可能な中で普通養子縁組を選択している、特別養子縁組を選択している、どのような事情が多いのか。また、そういうような現状をまず踏まえなければ制度設計をしっかりと考えていくことができないと思うんですけれども、この点についての統計なり分析の前提となる現状把握、これからしっかりやっていただかないといけないと思うんですが、その点いかがでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 委員御指摘のとおり、普通養子縁組につきましても今後の検討課題ということは認識しております。この養子縁組の届出に関しまして、養子となる者の未成年か成年か、あるいは連れ子養子か否かといった態様別、こういった件数を把握することの要否につきましては、御指摘のような観点を踏まえつつ、その見直しの要否も含めて検討してまいりたいというふうに考えております。
○伊藤孝江君 そうしたら、今回の特別養子縁組に関係をして、少し、済みません、質問を飛ばさせていただいて、試験養育についてお伺いをしたいと思います。 特別養子縁組制度を利用するに当たって、新しい親子の方がマッチングできるのかどうか、どうなのかというところで六か月以上の試験養育がなされるという制度設計になっているんですけれども、今現在、この試験養育については、調査、評価などを具体的に誰がどのように行っているのかということについてお教えいただけますでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。 民法八百十七条の八によりまして、特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる子を六か月以上の期間監護した状況を考慮しなければならないと規定されております。 家庭裁判所では、この状況を把握するため、主として家庭裁判所調査官が、養子となる子や養親となる者との面接、家庭訪問、それから保育所や学校の職員などとの面接などの調査をしてございます。 その際に、家庭裁判所調査官といたしましては、養子となる子が適切に養育されているかどうかという観点から、子の心身の状況ですとか養育環境を調査いたしますとともに、養親となる者から監護養育の現状ですとか今後の意向なども聴取をしており、さらに、養親子間の関係性を把握するという目的で、家庭における養親となる者と養子となる子の親和性を含め、家庭の人間関係ですとか雰囲気などについても調査をしているものと承知しております。こうした調査に加えまして、児童相談所などの関与の下で試験的な養育が行われております場合などには、家庭裁判所におきまして、その際の監護状況を観察、記録した資料を取り寄せることが多いものと承知をしております。 こうした様々な調査の結果等を踏まえ、最終的に裁判官において、養子となる子に家庭的で安定した養育環境を提供することができるかどうかという観点から、養親となる者の適格性、それから養親となる者と養子となる子の適合性が判断されているものと承知しております。
○伊藤孝江君 物すごく多くの事項についてしっかりと調査をしていただくというような御答弁なのかと思うんですけれども、実際にこれ、調査官が、六か月以上ということで、期間についてはそれぞれあるかと思うんですけれども、おおむね六か月以上試験養育の中で、調査官がどの程度、じゃ、家庭訪問をしているのかという現状についてお教えいただけますでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。 これも事案に応じてというところがございまして、なかなか一概に申し上げるのが難しいところがございますけれども、先ほど申しましたように、家庭裁判所調査官としては、養親となる者や子供から事情を聴取するだけではなく、保育所等を訪問して子の様子を見たり、それから職員から事情聴取をしたり、児童相談所から記録を取り寄せたりということで、多角的な視点からの調査に努めているところでございます。 何回というところにつきましてはなかなか申し上げるのが難しいところがありますんですが、必要に応じて、必要な回数の面接、家庭訪問を行っているというふうなところでございます。 それから、今般の改正の法律が成立した場合につきましては、養子となる子の年齢が高くなりますので、なる可能性がございますので、適合性の判断についてはより慎重な判断が求められる事案も多くなるものというふうに考えております。 したがいまして、最高裁判所としましては、そのような場合も含めまして、的確な調査が今後とも行われるよう必要な支援をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○伊藤孝江君 済みません、なかなか直接に御答弁いただけないときは長い御説明になるんだなというのもよく分かりましたけれども、事前に説明をいただいたときには、最高裁の方からは、一回とか二回とかというようなことも聞いております。 実際に子供の年齢が、最初にもありました、ゼロ歳から一歳ぐらいで半数以上という。ゼロ歳の子をどうやって適切に関わって養育をしているのかと、そういうようなことを見に行くのに、六か月の間に一回行って何が分かるのかというのも正直思うところでもあります。 そういう意味では、この調査官の調査がどのように適切になされているのかというその担保について、今後しっかりと検討していただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。 以上で終わります。
○石井苗子君 日本維新の会・希望の党の石井苗子です。 まず最初に、私たちの政党はこの法案に関してかなりの疑問を持っておりまして、私は、厚生労働委員会にいたときに、この特別養子縁組のことについてかなり積極的な意見を持っておりました。なので、どうしてなのかなと思っていたんですけれども、これまでの質疑の内容を聞いておりますと、何となくそうかなという、この法律、まだちょっと早いんじゃないかなというふうに気持ちが変わってきておりまして、先ほど、三十年ぶりの見直し、これ三十年間考えなかったということなのかなという気もしております、考えなかったということは放っておいたのかなと。 じゃ、どうして今頃ということになりますと、二つ要因があって、施設の子供が四万五千人と、で、虐待が増えていると、これ何とかしなければならないと思って腰を上げたという。そうすると、もう少し限定して、施設に関してはこれは速やかに対処しなければならないが、そのほかのことに関してはもうちょっと丁寧に法律を作った方がいいんではないかと、このように今までの質疑を聞いていると思うんですね。 つまり、どういうことかというと、日本は単独親権ですよね、今。単独親権の中で、子供中心の制度づくりに今の改正が、民法の改正がなっているかどうかと。ここをもう少し、あさってもございますので議論させていただきたいんですが、細かいところになると、先ほど、データが全然そろっていない、整理されている状態じゃないというのもございましたし、単純な引き算をすればそれが数字になるかというとそうでもないということですので、整っていないなという感想を持っております。 そこで、まず法務大臣にお伺いいたしますけれども、この養護施設、児童養護施設というんですけれども、入所中の児童等に家庭的な養育環境を提供するということが今回の根本的な改正の目的だと理解しておりますが、虐待をされていた児童の養育を養親に委ねることということに関して不安はないでしょうか。御所見をお伺いします、法務大臣。
○国務大臣(山下貴司君) 今回の特別養子制度の対象となる子供には様々な子供がおるわけでございまして、その中には虐待を受けた経験を有する子供も含まれるであろうと考えております。こうした虐待を受けた経験を有するお子さんを養親が養育することには相当の困難が伴うものと我々も考えているところでございます。 そういったところを踏まえて養親となろうとする者が、そういった状況にある子供を適切に養育することができるかどうかについては、家庭裁判所において試験養育の結果等を踏まえ判断することになるものと考えております。 また、そのような子供の養親となろうとする者又は養親となった者に対しては、養子縁組成立の前後を通じて児童相談所等において必要な情報を提供し、これらの者からの相談等に応じて助言をするなど、これらの者に寄り添った支援をしていくということが重要であるものと認識しておりまして、法務省としても、関係省庁と連携して、この制度の円滑な運用に努めてまいりたいと考えております。
○石井苗子君 そうですね、連携しないとどうも、先ほどの小川先生の話ですと、連携しないと、どこの省庁、あっ、失礼しました、櫻井先生ですね、どこの省庁がどこまでフォローアップをしてくれるのかということになりますと、指針は厚労なんだけれども、都道府県であり、又は民間のあっせんが許可をもらってそこがフォローアップするというような感じであります。つまり、六か月間の試験養育期間を設けていくが、うまくいかなかったら却下するというような法律の立て付けになっていると、果たしてその子供を中心とした制度づくりになっているかなという疑問を感じております。 現在、児童相談所を通して養親になる場合ですけれども、これ、研修と調査を行うということになっております。どのような研修と調査でしょうか。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。 児童相談所を通じて養親となることを希望する方につきましては、基本的に養子縁組里親として都道府県の名簿に登録いただくことが必要でございます。この養子縁組里親につきましては、全国的な水準により養育の質を確保をするため、平成二十八年の児童福祉法改正によりまして、所定の研修の修了が義務付けられたところでございます。 この研修の具体的な内容は、里親の名簿への登録を行う都道府県において定めているところではございますけれども、厚生労働省といたしましては大臣告示で研修の内容を一定お示しをしているところでございまして、具体的には、児童福祉論や発達心理学などの講義の実施に加えまして、養育の演習、実習の実施、こういったことを盛り込んでいただくということを示しているところでございまして、研修内容の質の担保を図っているところでございます。 また、里親として適切でない者への里親委託を防ぐという観点から、児童福祉法におきまして里親の欠格事由が定められております。具体的には、児童福祉法ですとか児童買春、児童ポルノ禁止法などの規定により処罰、罰金の刑に処せられるなどした者ですとか、児童虐待など児童の福祉に関し著しく不適当な行為をした者、こういった者については里親となることができないというふうに規定をしてございます。 また、児童相談所では、里親希望者がこの欠格事由に該当しないことを確認をするとともに、児童福祉司等を里親希望者の家庭へ派遣をいたしまして、その適否について十分な調査を行うということにしておりまして、こうした取組を通じまして養親の養育の質の確保を図っているところでございます。
○石井苗子君 派遣して調査をしていただくわけですね。分かりました。 質問の内容をちょっと変えます。 法務大臣にお伺いしますが、どうも分からないのは、上限年齢が十五歳ということになったんですけれども、この合理性についてお伺いしたいのと、それから、上限年齢を十五歳とすることに対してどのような反対意見というのが出ていましたでしょうか。
○国務大臣(山下貴司君) 養子となる者の年齢の上限を原則として十五歳未満としたのは、これは、民法上、十五歳に達すると自らの意思で普通養子縁組をすることができるとされていることから、十五歳に達している者について、家庭裁判所の審判によって縁組を成立させることは原則として適当でないというふうに考えられたところでございます。 これに加えて、子供の利益の観点からは、できるだけ早期に特別養子縁組を成立させることが望ましいと考えられるということ、また、特別養子縁組が未成年者の養育のための制度であることからすれば、特別養子縁組の成立後に一定の養育期間が確保されるようにする必要があるといった事情も考慮しているところでございます。 どのような反対意見があったのかというところについては、ちょっと民事局長から答弁させたいと思います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 その反対意見の状況でございますが、法制審議会の特別養子制度部会におきましては、この上限年齢につきましては、原則として八歳未満とする案、十三歳未満とする案、そして十五歳未満とする案の三案を中心に検討がされました。 この十五歳未満とする案は最も上限年齢を引き上げる案でございますけれども、これに対しましては、子供の地位の早期安定という利益を害するのではないか、あるいは、上限年齢を大幅に引き上げると、実親子関係の終了という効果が生ずるかどうかが養子となる者の意思に大きく左右されることとなって、養子となる者に過酷な決断を迫ることになるおそれがあるのではないかといった指摘がされて、より低い上限年齢とする案を支持する意見があったものでございます。
○石井苗子君 私は、八歳、十三歳、十五歳の違いというのがちょっとよく分からないんですけれども、養子になる方ですが、児童ですが、十五歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されているということですよね。その場合に、十五歳に達するまでに養子縁組の成立の申立てがされなかったことについて、ここに、やむを得ない事由があるときは十五歳以上であっても養子となることができると書いてあるんですけれども、このやむを得ない事由というのを解説していただけますか。法務大臣でも結構です。
○国務大臣(山下貴司君) 御指摘の民法第八百十七条の五第二項に言うやむを得ない事由に当たるかどうかというのは、これは最終的には裁判所の判断に委ねられることになりますが、考えられる例としては、例えば養親となる者が養子となる者の養育を開始してからそれほど間がなくて、十分な熟慮期間がないうちに養子となる者が十五歳に達した場合などがこれに当たり得るものと考えております。
○石井苗子君 様々質問があるんですけれども、時間が来ましたので終了させていただきます。この十五歳に達しているときの子供の同意ということがとても大事だと思うんですけれども、次回に回させていただきます。 ありがとうございました。
○山口和之君 日本維新の会・希望の党の山口和之です。 本日は、初めに、特別養子制度の特色である実親子の関係解消について質問いたします。 まず、特別養子縁組において実親子関係を解消する必要性について御説明願います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 特別養子制度は、専ら養子となる子供の利益を図るための制度でございまして、家庭に恵まれない子供に温かい家庭を提供して、その健全な養育を図ることを目的とするものでございます。この目的を達成するためには、養親子関係に実親子関係に匹敵し得るような強固で安定した法的基盤を与えるとともに、実方の父母、その他の親族、第三者からの養親子関係への不当な介入を防止する必要がございます。そのために、特別養子制度におきましては、実親子関係を含む実方親族との親族関係の終了という効果が与えられているものでございます。 このように、特別養子制度でございますが、子供の利益の観点から、今後安定的な親子関係の下で養育されることについての必要性が高い場合に利用されるものでございます。
○山口和之君 次に、民法において特別養子制度以外に実親子関係を解消する制度が設けられていない理由について御説明願います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 民法におきまして、一般に親子関係にあることから生じます主な法的効果として挙げられますのは、親による未成年の子供の養育、それから相互の相続、それから相互の扶養の三点であろうと思われます。 民法におきましては、親による子供の養育に関しましては、親権喪失制度あるいは親権停止制度によって、適切に子供の監護養育をすることができない親の親権を喪失させ、又は一定期間これを停止することができることとされております。 また、相続に関しましては、推定相続人の廃除の制度によりまして、相続をさせることが不相当な推定相続人を相続人から廃除することができることとされております。 さらに、扶養に関しましても、当事者間に協議が調わないときなどは、具体的な扶養の程度及び方法については家庭裁判所が一切の事情を考慮して定めることとされておりまして、事案によって具体的な扶養の義務を免除されることはあり得るものでございます。 このように、民法におきましては、親子関係にあることから生ずる各種の法的効果に対して個別にその範囲を限定する規律を設けておりますために、それを離れて一般的に実親子関係を解消する制度は、この特別養子制度のほかには設けられていないものと考えられます。
○山口和之君 特別養子制度においては、それが子の利益になるからこそ実親子関係を解消することになっているはずですが、特別養子縁組の対象にならない年齢の者であっても、実親から虐待や悪意の遺棄などをされた子については、その子の利益を守るために実親子関係を解消する必要性が認められる場合もあると思われます。また、成人した子から虐待や悪意の遺棄などをされた親については、親の利益を守るために実親子関係を解消する必要性が認められる場合もあると思われます。 このように、特別養子制度以外にも実親子関係の解消を認めるべきではないかと思われるケースが存在するはずですが、山下大臣は、厳格な要件の下に端的に実親子関係を解消する制度を設けることについてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(山下貴司君) 先ほど民事局長から御説明させていただいたとおり、民法においては、親子関係にあることから生ずる様々な法律的効果に対して、必要に応じて個別にその範囲を限定する、制限する規律を設けているということでございます。それを離れて一般的に実親子関係を解消する制度は、特別養子制度のほかには存在をしていないわけでございます。 お尋ねのように、親子関係から生ずる法的効果を個別に限定するのではなくて、端的に実親子関係を解消する一般的な制度を特別養子制度以外に設けることについては、この効果というのは非常に広範囲であり重大でございますので、ほかに取り得る方策はないなどの高度の必要性の有無等について改めて慎重な検討を要するものと考えているところでございます。
○山口和之君 実親子関係の解消は非常に大きな効果を持つものであり、一般的な制度の創設は慎重に判断すべきだと思いますし、創設するにしても厳格な要件が必要だと思います。しかし、今回の法改正によって特別養子制度の対象が大幅に拡大し、それによって実親子関係の解消が認められる範囲も広がりますので、今後、端的に実親子関係を解消する制度を認めるべきといった話が出てくることも想定されます。 法務省におかれましては、特別養子制度以外に実親子関係の解消を認める必要性及び許容性が肯定できるケースとはどういった場合なのか、検討いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 次に、実親が不明である子の戸籍についてお伺いします。 遺棄されていたところを保護された乳児のように、実親が不明である子の氏及び名は、誰に決定する権利、義務があるのでしょうか。また、戸籍の届出はどのようにしてなされるのでしょうか、お教え願います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 実親が不明である子を戸籍に記載する手続、それぞれの事例によって異なりますが、一般に、その父母又は身元が不明であること、出生届がされているか否かが不明であること、出生の届出義務者が不明又は不存在であるといった要件を満たす乳幼児につきましては、戸籍法上、棄児と称して、戸籍の届出についての特例を設けております。 この手続でございますが、具体的には、棄児を発見した者又は棄児発見の申告を受けた警察官は、二十四時間以内にその旨を市町村長に申し出なければならないとされております。また、棄児発見の申出を受けた市町村長は、棄児に氏名を付け、本籍を定めた上、発見の場所、男女の別等を棄児発見調書に記載いたします。この調書が戸籍の届け書とみなされまして、これに基づいて戸籍の記載がされることになります。
○山口和之君 市町村長に名付けられた氏名について、実の親や育ての親に由来するものではなく、その氏名を付けられた子が将来自分の氏や名を変更したいと考えたとしても、ある程度やむを得ない事情が認められるのではないかと思います。 このような場合に、どのようにして氏や名を変更できるのでしょうか。また、その際、氏や名は自由に選ぶことができ、日本に存在しない全く新しい氏を名のることもできたりするのでしょうか、お教え願います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 一般的に、自らの氏又は名を変更するためには、戸籍法第百七条の規定に基づきまして、家庭裁判所の許可を得て市町村長に届け出ることによって自らの氏又は名を変更することができます。実親が不明であるため市町村長が氏名を定めた者についても同様でございます。 ただし、氏の変更についてはやむを得ない事由があることが必要でありまして、名の変更については正当な事由があることが必要でございます。家庭裁判所が氏又は名の変更を許可するに当たりまして、これらの事由の有無を判断することになります。 氏又は名の変更の許可の審判を家庭裁判所に求める際には、自分が希望する氏又は名への変更を求めることになります。現行法上、子の出生の際に付けられる子の名前につきましては、常用平易な文字を用いなければならないとされておりますが、家庭裁判所の許可による変更後の氏及び名についてはこの制限は適用されません。 したがいまして、お尋ねのような、これまでに我が国で使用されたことのない新たな氏や名とすることも含めまして、本人が求めるような氏又は名に変更することの可否については家庭裁判所が判断することになります。
○山口和之君 関連してお伺いしたいのですが、日本ではどのような場合に新しい氏が誕生するのでしょうか、お教え願います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 これまでに我が国で使用されたことのない氏が新たに使用される例といたしましては、例えば外国人が我が国に帰化した際に、外国人であった当時の名字を帰化後の氏として使用する場合が考えられます。この場合の帰化後の氏名でございますが、日本の文字、漢字、平仮名、片仮名を用いなければいけませんが、漢字を用いるかどうかは自由でございます。
○山口和之君 ありがとうございます。 氏名は、自己を他人から識別する機能を有すると同時に自己の人格を象徴するものであり、個人のアイデンティティーを確立する要であると言われたりしますが、基本的に、実名については自己決定ができません。例外的に実名の自己決定が認められるのはどのような場合なのか。特に、氏を自分で決定することができるのはどのような場合なのかについて、引き続き現行制度を確認させていただきたいと思います。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 まず大臣に、新しい社会的養育ビジョンとこの本改正との関係についてお尋ねをしたいと思うんですけれども、平成二十九年の八月二日に、厚生労働省の所管でこの養育ビジョンが策定をされました。この中で特別養子縁組がどう位置付けられているかということを説明資料をそのまま読みますと、「家庭養育優先の理念を規定し、実親による養育が困難であれば、特別養子縁組による永続的解決(パーマネンシー保障)や里親による養育を推進する」などとなっておりまして、この文章だけ見ると、何だか特別養子縁組の要件拡大が決め手であるかのようなふうにも読めるわけです。 ですけれども、実際、我が国におけるこの社会的養護、あるいは養育をどう取り組むのか、現状にどんな課題があるのか、どうすれば子の利益を実現していくことができるのか、この政策的な問題については相当大きな議論があるわけですね。実際、この新しい社会的養育ビジョンの下で、今日も議論ありましたが、数値目標が掲げられています。おおむね五年以内に現状の約二倍である年間千人以上の特別養子縁組成立を目指し、その後も増加を図っていくというのですけれども、その根拠というのがどこにあるのかということを厚生労働省と随分議論しましたけれども、結局よく分からない。言ってみれば、えいやっとスローガンを掲げたというようなところになっているわけですね。 実際、法と、それから特別養子縁組成立の審判という言わば個別の事案を考えましたら、この特別養子適格の問題でも、それから養親との関係で、本当に実親との関係を絶って、その養い親との親子関係ということを成立させることがふさわしいのかどうか、この判断というのはとっても重大な、かつ慎重に行わなければならないものだと思うんです。 この数値目標を掲げて特別養子縁組を永続的解決の決め手にするような、そういう考え方でこの法改正をしているのではないんだと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(山下貴司君) 御指摘の社会的養育ビジョン及びそれを受けて厚生労働省が策定した都道府県社会的養育推進計画策定要領では、平成二十八年改正後の児童福祉法において家庭養育優先原則が掲げられたことを受けて、特別養子縁組について、おおむね五年以内に年間千組以上の成立を目指すこととされたものと承知しております。これは、この数値目標というものは、家庭養育優先原則をより徹底するために、まずは特別養子縁組の成立件数を現状の二倍にすることを目指したものと私どもは認識しているところでございます。 法務省としては、社会的養護の状況下にある子供のうち、家庭における養育をすることが適切な者について、そのような機会を提供することは重要であると考えております。本法律案による養子となる者の上限年齢の引上げにより、特別養子がより広く適切に活用されるようになるものと期待しておるところでございます。 そうした意味においては、本法律案は、御指摘の新しい社会的養育ビジョンと目指す方向を同じくするものであると考えてはおります。 他方で、やはり委員御指摘のとおり、個々の特別養子縁組の成否につきましては、個別の十分な配慮と関係者の思いや覚悟等が必要なものでございます。そういったことからすると、切り札としてこの法律を作るというよりは、まさに私が改正の目的で申し上げたように、児童養護施設に入所中の児童等に家庭的な養育環境を提供するために特別養子縁組等の成立要件を緩和することによって制度の利用を促進するというもの、子の福祉のために家庭的な環境で養育する選択肢を広げるものというふうに認識しております。
○仁比聡平君 今大臣が最後におっしゃった選択肢を広げるという対象としても、これまで法案の策定過程で実情として示されているものとしては、今日も議論があっています二〇一六年の厚生労働省の調査が一つあるんですが、上限年齢の引上げに関わって言えば、現行法の原則六歳未満という年齢要件が差し障りになっているものというのが四十六件という数字ですし、パブリックコメントで、大阪府中央子どもセンターにおいての聞き取りなどで、年齢超過で断念という児童は六人という数字だと思うんです。 そうした子たちに、現行法の年齢要件が障害になって家庭的な養育の機会がつくることができないということは打開をしようと、私、選択肢を広げるというのはそういう意味ではないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(山下貴司君) 年齢要件の引上げということに関しましては、そういった機会を設けることによって選択肢を広げるというものであろうというふうに考えております。
○仁比聡平君 現実に子の福祉を考えてその子供をどうするかと目の前に問われたときに、例えば、児童相談所で児童養護施設がもうどこも空きがなくて定員がいっぱいと、だから、言わば押し込むような形でその子を託す、そのために、子供が育ってきた町あるいは通っている学校から遠く離れてその施設に送らざるを得ないと。本当だったらば、親とは離れていた方がいいんだけれども、だけれども、学校には通い続けられた方がいいんだけど、そういう条件が現実にはないというような状況が日本の施設における養護ということを期待する中では現にあるんだと思うんですよね。 家庭的な養育を大切にするという理念はそれはそれとして、実際に子のそれぞれの状況、あるいは親との関係、あるいはその子の福祉に沿って本当は役立てるべき社会的な資源がどんなものがあるかということを考えたときに、今の我が国の児童福祉の現状というのは全く不十分と。施設がいっぱいだから里親さんに託せばいいというような単純な話では全くないはずで、施設における、児童養護施設における養育ということがふさわしい子ももっといる可能性もあるし、そこの議論はちゃんとしなければいけないと、つまり、今回の法改正とはこれ別にちゃんと議論しなきゃいけないし、必要な政治の責任を果たさなければならないと思うんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(山下貴司君) もちろん、児童福祉の観点から、児童養護施設に入所している児童のほか、家庭的な環境が必要な子供に対してどのような環境を与えるかということは、これはやはり政府を挙げて考えなければならないであろうというふうに考えております。 そういった中で、今回の特別養子制度につきまして、上限年齢の引上げであるとかあるいは手続の二段階化などによってこの制度の選択肢を広げる、あるいはより適正化を図ろうというところでございます。
○仁比聡平君 その上で、今回の法改正なんですが、そもそも特別養子縁組とは何かと、どんな要件で特別養子縁組を成立させるかについて、民法八百十七条の七という条文があります。これは今回も改正はされません。 この八百十七条の七によれば、「父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。」となっておりまして、これ、裁判の手続との関係でいうと、審判の対象というのはこの民法の規定ということになるんだと思うんですが、民事局長、それでよろしいですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) 御指摘のとおり、この特別養子縁組の成立は変更するものではございません。
○仁比聡平君 今回の改正は、その審判を、これまでは成立の審判ということで一本で行っていたんですが、そこに、特別養子にふさわしいかどうか、その子が特別養子の適格を有するかどうかについての審判を導入すると、そのことによって審判が二段階になるということなのではないかなと思うんですが、先ほども議論のあったように、実の親との関係を絶って、法的な関係を絶って、その子に特別養子とすることが本当にふさわしいのかという、これを判断するのはとても大変なことだと思います。 児童養護施設に入所をしている、例えば、今度は十五歳までということになるわけですから、学齢期あるいは中学生ということも対象の子として考えられることになるわけですが、そうなると、幼い頃から児童相談所がずっとその子に関与していると、あるいは児童福祉の様々な施設が関与しているということも考えられる。そうした資料を重視することも当然大切だけれども、けれども一方で、その児童相談所や児童福祉に関わってきた人たちの判断が本当に的確なのか、正しいのかということも、これは分からないわけですよね。 これ、家庭裁判所はどんなふうにして判断していくことになるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。 今委員御指摘のような要件の判断につきましては、一般的なことをまず御説明をさせていただきたいと存じますが、主として家庭裁判所調査官が申立人から申立ての実情等を聴取いたします。また、養子となる子の監護の状況についても調査を行っております。また、家庭裁判所調査官が養子となる子の実父母から養子となる子を養育できない事情などを聴取すると。この事情としましては、例えば、子を手放した時期ですとか理由ですとか手放した際の状況ですとか、そういったことを聴取するとともに、特別養子縁組の効果について説明をした上で実父母の同意を確認しているというのがこれまでの一般的な実務かと承知しております。 これ、改正法が成立をいたしますと、養子となる子の年齢が高い事案について申立てがされることも出てくるというふうに思われますけれども、この際には、委員御指摘のとおり、児童相談所が関わっている場合などに関しましては、当該児童相談所から、実父母による養子となる子の監護の著しく困難又は不適当であることなどに関しての資料を取り寄せるなどいたしまして、こうしたものを総合して、特別養子縁組を成立させることが子の利益のために特に必要かどうかという観点から成立の可否を判断していくということになるかと存じます。
○仁比聡平君 まだ御答弁は一般的かなという感じがするんですけれども。 最高裁が、平成二十八年の四月から平成二十九年の三月までの特別養子縁組の成立の審判事件等の実情についてという調査をされたようで、その資料をいただきますと、これまで特別養子縁組の成立を認容した子の方の平均年齢というのは一・五歳なんですね。一方で、却下、取下げということになった子の平均年齢は四・三歳、四・二歳と、比較的認容例よりも高いという形になっている。一方で、養い親との関係でいうと、年齢差ということがこの実情調査の中でも着目をされているようなんですけれども、これまでの特別養子縁組の成立が図られてきたケースにおいて、どのような調査とそれに基づく判断が子の利益のためにという形で行われてきたのか。これが、上限年齢が引き上げられる、それから審判が二段階になるということの中でどのようにこれから行っていくのかということについて、先ほど来お話のある家裁調査官の調査のありようも含めて、ちょっともう少ししっかりした議論が必要ではないかと思います。次回にまた引き続き質問させていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。 民法改正案の質問に入る前に、一言申し上げます。 今年三月二十日に、無期刑受刑者の仮釈放について質問いたしました。近年、無期刑受刑者の仮釈放者数が減っており、刑務所内で死亡する人が増え、無期刑の事実上の終身刑化が進んでいることについて指摘をいたしました。ドイツやフランスなどの例を挙げ、欧州では終身刑や無期受刑者の服役期間が二十年を超えることはなく、我が国の無期刑の事実上終身刑化とも言える仮釈放状況は、憲法十三条、自由権規約七条、九条一項に違反すると申し上げたところであります。 先週、無期懲役が確定し、四十四年間投獄された受刑者が亡くなられました。この受刑者は、昨年の猛暑の中で倒れたそうですが、一日休ませただけで、家族や弁護団から要求があった検査すら行われなかったと聞いています。今年三月になって初めてエコー検査が行われたものの、検査結果は本人に告げられませんでした。そのため、御家族から健康状態に懸念があると連絡をいただいたので、緊急性があると判断して、地方更生保護委員会へ照会文書を送りました。しかし、それに対する返事も、返事ができないという連絡もありませんでした。翌月、この受刑者は、深刻な状態にもかかわらず、刑務所から十時間掛けて東京の医療センターに移送され、そこでがんだと告げられました。先週、摘出手術を受けられましたが、二日後に亡くなられたというものです。 最も権利が制約された方がどのように処遇されているのかを見れば、その国のありようが見えるというふうに言われます。私は、二〇一五年、イギリスのドンカスター刑務所の視察をするチャンスがありました。そこでは、ボランティアの方々が受刑者に対して二十四時間の支援をされておりました。日本におきまして、この受刑者に対する刑務所や医療センターの扱いが適切に行われていたのか甚だ疑問であり、今後しっかりと検証されなければならないと思います。そういうことを申し上げて、質問に入りたいと思います。 まず、特別養子縁組の立法の経緯と制度の趣旨について法務省に伺います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 我が国におきましては、古くから、他人の子供を戸籍上自分の実子として届け出て養育するという、いわゆるわらの上からの養子の例が少なくなかったと言われておりまして、昭和二十九年から開始されました法制審議会における調査審議におきましても特別養子制度の導入が検討されておりましたが、昭和三十九年に検討作業が中断されております。その後、昭和五十七年に調査審議が再開され、昭和六十二年の民法改正によって特別養子制度が創設されたものでございます。 この制度は、家庭に恵まれない子供に温かい家庭を提供して、その健全な育成を図ることを目的として創設されたものでございます。すなわち、子供の健やかな育成のためには、子供が現に養育されている家庭において心身共に安定した立場に置かれていることが重要でございます。特別養子制度は、養親子の法的地位を安定的なものとするために、実父母との法律上の親子関係の終了、離縁の原則的禁止等の法的効果を付与するものでありまして、これによって、養親子に心理的な安定を与えるとともに、実方の親族等の第三者からの不当な干渉を防止することが可能となって、ひいては子供の健やかな育成に資するものでございます。 このように、この制度は、専ら子供の利益を図ることを目的として創設されたものでございます。
○糸数慶子君 今回の特別養子制度の改正は、児童虐待の増加に対して、要保護児童に家庭的環境の下での養育を保障するため、特別養子縁組の利用をしやすくするという趣旨が含まれていたようですが、今回の改正による年齢要件の緩和によって虐待を受けた子供たちがどれくらい救われるのか、伺います。
○政府参考人(藤原朋子君) お答え申し上げます。 今回の法案が成立した場合の年齢要件の緩和によりまして特別養子縁組に至る子供の人数がどの程度増えるのかということを一概にお答えすることは難しいというふうに考えております。 ただ、厚生労働省の検討会におきまして実施をした調査がございまして、これによれば、障壁がなければ選択肢として特別養子縁組を検討すべきと考えられる事案、これが、平成二十六年度、二十七年度の二か年でございますけれども二百九十八件あったと、また、そのうち障壁となった理由が年齢要件であったというふうにされる事案が四十六件あったということが分かっているところでございます。 また一方で、社会的養護の子供の状況を見ますと、平成三十年三月一日現在の在籍児童で、三年以上児童養護施設に入所をしている子供の割合が約六割、三年以上里親に委託されている子供の割合が五割程度というふうに上っているほか、少し古い数字で恐縮ですが、平成二十五年の二月一日現在、家族との交流がない子供の割合が、児童養護施設では二割程度、里親では七割以上に上るというふうな結果もございます。 実際の縁組に当たりましては、十分なアセスメントとマッチングが必要でございますけれども、このような状況を踏まえれば、特別養子縁組を検討すべき事案も一定数あるというふうに考えられ、年齢要件の緩和によって特別養子縁組に結び付くということも十分あり得るものというふうに考えております。
○糸数慶子君 児童虐待の防止の対応を更に検討することが必要だというふうに思います。 三月十二日の所信質疑でも取り上げましたが、二〇一二年の虐待防止のための親権の一時停止の民法改正の際に懲戒権規定も削除されるべきでありました。この懲戒権規定も早急に削除されるべきではないでしょうか。児童虐待防止の更なる対応と併せてお答えください。
○国務大臣(山下貴司君) お答えいたします。 法務省においては、本年三月に児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議において取りまとめられた児童虐待防止対策の抜本的強化についてを踏まえ、様々な取組を行っております。 一つには、人権擁護機関における相談等を通じた児童虐待の早期発見、早期対応、次に、少年鑑別所における地域の子供やその保護者等への支援などについて更に充実強化を図るということ、そして、新たな取組として民法の懲戒権に関する規定の在り方に係る検討を行うこと、そして、特別養子制度の利用促進のために養子となる者の年齢の上限の引上げなどを内容とする本法律案の提出に至っているわけでございます。 児童虐待の防止は政府全体で取り組むべき課題であると認識しておりまして、今後も関係省庁と連携して必要な検討をしてまいりたいと考えております。 また、委員御指摘の民法の懲戒権に関する規定については、法改正に向けた具体的な検討を行うため、今月二十日に開催される法制審議会の臨時総会において私からその見直しに関する諮問をする予定とさせていただいております。改正の具体的内容については法制審議会において議論されるわけでございますが、充実した議論をされ、検討がされることになるものと考えております。
○糸数慶子君 どうぞよろしくお願いいたします。 次に、民法の改正としては八百十七条の五の対象年齢を六歳から十五歳に引き上げるという点のみですが、このような大幅な年齢引上げによって特別養子縁組の利用が促進される見通しはあるのでしょうか、伺います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 特別養子縁組の成立の申立ては養親となる者に重大な決断を迫るものでございますので、今回の改正後に制度の利用者がどの程度増加するかを予測することは困難でございますが、先ほど厚生労働省の方からの答弁にもありましたとおり、厚生労働省の検討会が実施しました調査の結果では、養子となる者の年齢要件のために特別養子縁組の利用を検討することができなかった事案として二年間で四十六件が報告されておりまして、その中には、今回の法改正により特別養子縁組を成立させることが可能となる者が相当数含まれているものと考えております。 こういった調査結果等からいたしますと、今回の改正によって現に施設に入所している子供の選択の幅が広がって、特別養子制度の利用も促進されることになるものと考えております。
○糸数慶子君 では、小中学生が対象となる特別養子縁組はどのようなケースを想定しているのか、伺います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 現行法の下におきましても、六歳未満の子供につきましては、特別養子縁組と普通養子縁組の両方を選択することができるわけでございます。普通養子縁組は、子供の養育を含め様々な目的のために活用されておりますけれども、特別養子縁組は、専ら実親子関係を終了させることによって形成されます安定的な養親子関係の下で養子となる者の健全な養育を図ることを目的とするものであります。 このように、現行法の下でも、子供の養育のために実親との関係を終了させた上で養親との安定的な関係を築くことが必要な者を養子とする場合には特別養子制度が利用され、それ以外の者を養子とする場合には普通養子制度が利用されることが想定されております。今後、普通養子制度と特別養子制度のこういった関係は、今後、養子となる者が六歳以上の者というものが出てきますけれども、こういった場合も同様に当てはまるものと考えております。 養子となる者が小学生、中学生である場合でありましても、例えば小学校の低学年であって、実親子関係と同様の関係で養育する方が精神的に安定するとき、あるいは養子となる者が実親から虐待を受けているなど、その者の養育のために実親との関係を終了させた上で養親との安定的な関係を築くことが必要であるとき、こういったようなケースにおきましては、普通養子縁組ではなくて特別養子縁組を利用することが相当であると考えられます。
○糸数慶子君 今回、特別養子縁組の手続的な改正が中心となっています。実親の同意の撤回についても家事事件手続法に規定されており、撤回制限は家事事件手続法百六十四条の二の五項に該当する場合に限られていますが、むしろ民法上で同意に関する規定を整備するべきだと思いますが、法務省の見解を伺います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 この法律案では、実親の同意の撤回制限につきましては、その効果の重大性等に鑑みまして、実親が同意の効果を十分に理解した上で同意をした場合にその対象を限定するというふうにしております。そのような趣旨から、家庭裁判所の手続の中で同意がされた場合に限ってそのような効果の発生を認めることとしておりまして、こういった点に着目いたしますと、家事事件手続法の中でこれを規律するのが相当であると考えられたものでございます。 また、この同意の撤回の制限することによりまして、実親の親権を停止させるなどの実体法上の効果が生ずるものではないということからいたしますと、この規定を民法に置くことは必ずしも必要ではないとも考えられるところでございます。 この同意の撤回制限に関する規定をどの法律に置くかにつきましては、これは基本的には法制上の整理の問題でありまして、その規定の意義を左右するものではないと考えられますけれども、いずれにしましても、特別養子制度につきましては、今後も、この法律案が施行された後の運用状況等も踏まえながら、必要に応じてその見直しを検討してまいりたいと考えております。
○糸数慶子君 本委員会でも度々、家庭裁判所の充実について伺いました。特別養子制度の対象年齢が拡大されれば事件件数も増え、家裁調査官等の増員の必要性があると思います。 家庭裁判所の役割に対する社会的ニーズにどのように応えていかれるのか、最高裁に改めて伺います。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 家庭裁判所につきましては、その特色である家裁調査官の職務に表れますような科学性であったり、あるいはその当事者の自主的な紛争解決意欲を高めるような後見的な役割も果たしているような、そういった役割も十分に発揮して的確な事件の解決を図るということが重要であり、そうした役割を果たしていく必要があるというふうに考えております。そうしたことが十分にできますように、これまでも事件動向や事件処理状況等を踏まえまして、必要な体制整備に努めてまいったところでございます。 家庭裁判所調査官の人的体制につきましても、家事事件及び少年事件の事件動向あるいは事件処理状況に照らして検討してきているところでございますが、この度の改正に係りますような特別養子縁組制度の事件におきまして家庭裁判所調査官が担う役割の重要性、こういった点も十分に踏まえまして、家裁調査官はもとより、またその他の職員につきましても必要な体制の整備にも努めまして、家庭裁判所に求められるそのニーズに十分に応えていくことができるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
○糸数慶子君 ありがとうございました。終わります。
○委員長(横山信一君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午後零時一分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(横山信一君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、岡田直樹君が委員を辞任され、その補欠として進藤金日子君が選任されました。 ─────────────
○委員長(横山信一君) 休憩前に引き続き、民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。 本日御出席いただいております参考人は、早稲田大学法学学術院教授棚村政行君、日本女子大学人間社会学部社会福祉学科教授林浩康君及び児童養護施設子供の家施設長早川悟司君でございます。 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。 参考人の皆様方から忌憚のない御意見を賜り、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。 議事の進め方について申し上げます。 まず、棚村参考人、林参考人、早川参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。 それでは、棚村参考人からお願いいたします。棚村参考人。
○参考人(棚村政行君) ただいま御紹介いただきました早稲田大学の棚村でございます。 本日は、参議院法務委員会に参考人として出席を求められまして、家族法、特に民法の専門家として意見を申し述べる機会を与えられまして、本当に大変光栄でございます。 私は、後で申します特別養子を中心にした養子縁組制度研究会というもののメンバーにも加わっていましたし、それから法制審の特別養子縁組制度部会の委員としても審議に加わってきました。 ここでは、メンバーとしてのもちろんいろんな御意見というだけではなくて、この分野で研究に取り組んできた研究者の一人ということで、その意見や評価を交えてお話をさせていただきたいと思います。ちょっと風邪を引きまして声が出にくいものですから、御容赦いただければというふうに思います。 さて、特別養子制度は、実親が子を育てることが困難なそういう子供たちのために両親のそろった温かい家庭を与えようと、一九八七年に、今から三十年前ですけれども、新たに導入された仕組みです。日本では古くから、わらの上からの養子という慣行が行われてきました。つまり、この養子慣行というのは、低年齢の未婚の母が子供を産んだり実親が経済的な事情等で子供を育てられないというときに、いきなり養父母が自分の実子、嫡出子として虚偽の出生届を出すというものです。 戦後は、出生証明書に医師や助産師などの証明が必要とされ、虚偽の出生届を発生を予防しようとしました。しかし、菊田医師事件に代表されるように、それでも一九七〇年代頃も、実母が子供を育てられない、届出もできないと、こういう事情があるときに、事情を知った上で虚偽の届出が出されるということもあったようです。 そこで、当時も問題になっていた子捨てとか子殺し、安易な妊娠中絶に対して疑問を感じる医師、あるいは里親、養子の支援団体の人々が中心になって、最初は実子特例法という提案がされて、その後、欧米諸国にも倣って、実親との縁を切り、関係を切り、養親との法的親子関係をつくる特別養子制度が誕生することになりました。当初は、赤ちゃん養子というものを想定したため、ほとんどゼロから三歳児、乳幼児が対象とされておりました。 一九八八年の制度開始当時、特別養子の創設を待ち望んでいた方々もあって、三千件もの申立てがなされました。その後は徐々に減少して、一時期は三百件というときもありましたが、最近は増えましたけれども、五百件から六百件程度でございます。未成年の許可養子というのも六百件から七百件にすぎません。未成年養子の大半は連れ子養子という形になっております。 厚生労働省の調べでは、四万五千人ぐらいの要保護児童というのがいて、乳児院に二千八百から三千、それから児童養護施設で暮らす子が二万七千から八千ということで、里親の下で暮らす子が五千人ぐらいですから、圧倒的多数の子供が家庭的な養護の下で暮らせていないという現状があります。 二〇一六年の児童福祉法の改正等で厚労省は、子供の幸せとか権利、こういうものを明確に打ち出して、家庭的な環境の下で子供は育てられるべきだという家庭養育優先の理念を明らかにし、特別養子とか里親さんでの養育を推進するということを打ち出しました。 また、二〇一七年の八月には、同じ厚労省は検討会で新しい養育ビジョンというのを取りまとめて、特別養子を五年以内に現状の二倍である年間千件程度にさせようという数値目標も定めて、利用促進を努めることを明らかにしました。 そのため、二〇一七年六月に法務省は、特別養子制度を中心とした養子縁組制度研究会、先ほど述べました研究会を設けて、研究者、実務家、有識者などで構成して、改正のための論点整理を行いました。既に述べましたけれども、私もメンバーの一人として参加しまして、その報告書を受けて、昨年の四月から法制審議会の特別養子制度部会が設置されて、養子の対象年齢の引上げ、それから父母の同意の撤回の制限、特別養子成立審判の手続の見直しと、三点に集約をして審議、検討を行われて、二〇一九年の一月に要綱の取りまとめが行われて、現在は国会にかかっている状況でございます。 主要な改正点は、まず第一に、養子となる者の年齢について、現行の民法ですと原則六歳未満としていたのを原則十五歳未満に引き上げました。現行民法が、先ほども言いましたように、赤ちゃん養子を念頭に置いていて、乳幼児、せいぜい就学前の子を想定していたのに対して、児童養護施設等にいて家庭復帰が非常に難しい児童にも永続的な家庭養育を保障しようと、実親との関係が切れる特別養子制度の利用を可能にしようということで、十五歳未満ということで大幅な年齢を引き上げました。 比較的高い年齢になった子でも、実親との関係を切った上で、安心、安全の場所となり得る大人が必要だと、特に特別養子というのは安定的な家庭環境を確保する必要があるという意見がありました。これに対して研究会や部会では、十五歳になっても、十五歳がまあ最大限のところで、やはりもうそれ以上の年齢引上げは認められないという意見もありました。しかし、性的虐待等受けた子供などで精神的にも非常に不安定な状態にあって、十五歳未満から引き続き養親となる者に育てられたり、十五歳になっても十分な熟慮ができないなど、申立てをすることがやむを得ないという事情があるときは十八歳未満まではできるということにしました。もちろん、十五歳に達した子についてはその同意を得なければなりません。これは児童の権利に関する条約の十二条にもありますように、子供の意見表明権というものを尊重した趣旨でもあります。 第二に、特別養子縁組の成立審判手続の見直しでは、二段階手続論を採用することにしました。 まず、第一段階の特別養子の適格の確認の審判で、実親の監護養育状態を見た上で、子育てが困難であるか、不適切である事情がないか、あるいは同意があるかとか同意は不要とする事情があるか、こういうようなことをきちっと確認をして、特別養子適格を事前に確認をするということになります。 第二段階では、養子となる者と養親となる者のマッチングというんですか、適合性というようなことをきちっと見た上で特別養子縁組を成立をさせると、こういう手続になります。 欧米諸国では、実親が子育てをできないとか不適切なときに、遺棄状態とか要保護状態を判断をして、次いでどのような人とどんな関係を受皿として選べるだろうかと、そういう手続、特に養子縁組についても二段階でもって判断をしていくということが一般的には行われております。 特に、第一段階の特別養子適格の確認審判という手続では、申立て権者として児童相談所長を申立てができるという形にしました。これは、やはり、第一段階の審判で養親となろうとする者が、実親の監護状態、養育状態、これをなかなか調査するとか立証するということは非常に難しい。しかも、実親との対立構造になりやすく、これを回避するという意味もあります。また、実親が養親となる者の氏名とかあるいは連絡先等の個人情報を知るとトラブルにもなる可能性もありますし、安心して養育を開始できなかったりするということで、申立てをためらう原因としても指摘されてきました。 二段階にすることによってこういうようなこと、そして特に児童相談所長が加わることによって、養親になろうとする者が自分たちの親子関係がしっかりとつくれるということに集中して申立てもできるということで、やっぱり安心できるという面もあります。 それから第三番目ですけれども、父母の同意の撤回ということについて、今回は家事事件手続法の改正ということで、二段階手続論を採用し、養親となる者あるいは児童相談所長が特別養子適格の確認審判を申し立てたときに、同意が、養子となる者の出生から二か月後、それから家裁の調査官とか裁判官がきちっと書面や審判期日に確認をした場合には二週間後には撤回ができないということにしました。 これは、やっぱり父母の同意が得られないことで特別養子縁組が成立しないというケースが一番多かったことですので、養親となる者も安心して養育を開始できるということで、一定期間経過後、家庭裁判所を経た同意については撤回できないということにしました。 研究会や部会では、公正証書による同意とか児童相談所とか児童福祉関係の機関で実親が同意した場合も撤回制限を設けてはどうかという意見もありました。ただ、家庭裁判所以外の同意では、公証人とか児童相談所が本当にこの同意をどんな形で取るのがふさわしいかというようなことで、結果的には家庭裁判所の手続内での同意のみ撤回制限をするということになりました。 時間がかなり押してまいりましたけれども、特別養子という受皿をできるだけ利用しやすくするということで、必要最小限の改正ということで三点、大きく言うと三点に絞って今回改正が実現しました。やはり、養子制度全体の大きな中で、未成年養子縁組や普通養子縁組、特に特別養子縁組をどう位置付けるかとか、いろいろなことについて盛りだくさんの論点が出されたんですけれども、短期間に、やはり待っている子供たちに特別養子の利用をできるだけ促進するために、絞って議論をしたというところが正直なところでございます。実に三十数年ぶりの改正ということですので、特別養子制度についてハードルになっている一部を改正ができたという点では一歩前進と評価できます。 ただ他方で、今後の課題として、やはり社会的養護との関係で、里親制度の充実ということが必要になってまいります。特に、海外では里親さんの半数ぐらいが特別養子に移行をするということで、段階的に家庭的な養育を進めているという実情もあります。日本はまだまだ赤ちゃん養子というような形で、対象者が年齢が低いということもあります。それから、実親、養親、養子の三者をつなぐ養子のあっせんも非常に重要です。特に、児童相談所と民間のあっせん団体との連携については、非常に、これをどう進めるかという課題があります。 先ほども言いましたけれども、未成年養子の中で、特に連れ子養子、これなんかについてもやはり虐待とかネグレクトの問題があったりして、もう少し司法的な関与や家裁のチェックというものがあっていいんではないかという意見もございます。親権、監護、未成年後見制度など、周辺制度の中でどういうふうに位置付けるか、実親さんをどうやって応援するか、養子となる者、養親さんの利益を、三者のバランスをどうやって取るかということが検討課題になっております。特に、民法、家事事件手続法、児童福祉法などの改正だけではなくて、やはり実親、養親、子供に対する相談支援体制をどう充実させるかというのも検討課題になっています。 さらに、生殖補助医療による実親子と養親子との関係についても抜本的な検討の必要があります。オープンアドプションということで実親の交流、接触を図る、そういう開かれた養子制度も増えておりまして、事実婚や同性婚と養子縁組とか戸籍制度との関係、匿名出産、出自を知る権利、そういうような中で、法整備というだけではなくて、やはり支援が本当に必要になっています。 児童の権利条約を加盟して二十五年が経過しました。子供の権利、子供の幸せを守るための法整備や社会的支援の充実を願わずにはいられません。国会議員の先生方におかれましても、是非そのような子供の権利を守るために立法や政策を積極的に打ち出していただきたいと思います。 本日は、御清聴どうもありがとうございました。
○委員長(横山信一君) ありがとうございました。 次に、林参考人にお願いいたします。林参考人。
○参考人(林浩康君) 日本女子大の林です。どうぞよろしくお願いいたします。 私は、資料をそこにお出ししました。全て読み上げることができませんので、飛び飛びで、かいつまんで御報告させていただきます。 まず、リーガルパーマネンシーという言葉を使っております。子供にとって法律的に安定した親子関係というのが里親と違ってどういう効果をもたらすか、そういう調査結果も過去出ておりました。やっぱり子供の帰属意識であるとかあるいは自己肯定感、自尊心といったものが長期里親に比べて高いんだという調査結果、あるいは一般家庭に比べて特養を、特別養子縁組を組まれたお子さんの精神的な発達がより促進されているんだという調査結果も出ております。 そういう意味で、あらゆる子供たちに法律的な親子関係に基づいた家庭というものが必要だけれども、先ほどもお話ありましたように、一ページ目の下から四行目辺りですね、低年齢児に限定され、そして現実に長期里親が養子縁組の代替的な役割を担っているという側面がございます。 次のページを御覧ください。特別養子縁組と普通養子縁組と長期里親委託というものの区別化、そして法律上のその理念の違いという辺りは法律に規定することは難しいでしょうけど、現場レベルできちっとした理念の共有というものが必要ではないかということが一点目です。 それから二点目として、年間約五百件か六百件ぐらいな、司法統計によると縁組が成立しているわけですけれども、そのうちの約三百件ぐらいが児相を通して縁組されているということです。全国に今児童相談所というのが約二百十か所ございます。単純に二百十で割った場合、一児相当たり年間一・四件の成立件数です。あるいは、ゼロ件であるという児相が四割弱という、二〇一四年の調査ですけれども、ございます。 そういうことから、次の矢印のところですね、各児童相談所が養子縁組に関して成功体験を蓄積していくということが困難な状況と、なおさらそのノウハウの蓄積というのは極めて困難であると。なおかつ、職員の異動であるとか専任職員を配置しているところが少ないという現状の中で、児童相談所が特別養子縁組に関わっていくということが極めて困難な状況もあるかと思います。 次飛ばしまして、次の、養子縁組というものは必ずしも法的安定に基づいた安定した家庭ばかりではない。そのところに、かぎ括弧のところですね、実親子関係を形成するとか本当の親子になるという、そういう考え方、言説が特別養子縁組では物すごく強いと思います。養親子として生きるという考え方をどれだけ養親さんが意識するか、その特殊性を踏まえて実親の存在をどれだけ意識した養育ができるか、養親による養育や養育意識の社会化を促すということが非常に重要だと思います。 ところが、現実には多くの養親さんたちは、その現段階では子供ができなかったという大きな喪失感を抱えて養子を迎えるケースが多いです。そうした喪失感を抱えている場合、そうしたことがもろ刃のやいばというか、子供に対する過度な所有意識や責任感を強化する側面もあるということです。子供が逃げ場をなくして養親子関係の悪化要因になることもある。 これまでも真実告知の必要性ということは伝えてはいるけれども、現実にやっぱり怒りに任せて真実告知をしてしまうということであったり、子供を、養子であるということを否定的に伝えたりという現状もございます。親の期待に応えることができない子供が、思春期以降、親子関係を悪化して何らかの課題を抱えるというケースもございます。 その例として、一番下に新聞記事を掲載しております。特別養子を組まれた当時二十歳の男性に対して記者がインタビューしております。実は、たまたま私はこの新聞記事にコメントをしたわけですね。ところが、先月、ある方を介してこの方にお会いするという機会がございました。この新聞記事の傍線部を御覧ください。この男性は西日本、九州の方なんですけれども、一人っ子として育てられ、両親が実の親でないという真実告知を十七歳のときに父が怒りに任せて行ったというケースです。 生育歴等はここに詳細に記述はされていないんですけれども、私自身がちょっと二時間ぐらい掛けてお話を聞かせていただきました。彼自身は明確に言いました。養父さんから虐待を受けていたということです。それは心理的な虐待ですね。教育的な虐待というか、一日八時間の勉強を強制された。彼はそれに応えるだけの知的能力はあった。彼自身は言うんですね、今。父親はアスペルガーだったと、感情の共有が一切できなかったと。一刻も早く合法的に家を離れるということを考えて生きていたということで、大学進学を、ある九州の県だったのが、ちょっと遠隔地にある大学に進学し、今東京に就職して東京で働いておられます。 もう一遍私のレジュメの方に返ってください。 彼に、じゃ、どういう関わりを養親さんたちに社会的にすべきだったか、その辺りはなかなか分からないけど、児相は一切縁組は関わっていなかった。せめて何か当事者会とつながるとか、何かすると親自身も多少変わる機会はあったんじゃないかということですね。それで、彼自身は今、そういう生きづらさを抱えながらも、養子の自助団体をつくるということで非常に今活動されております。 そういうことからいいますと、ちょっと私のレジュメのその次のところですね、実親子関係の法的な断絶というものと生物学的な関係性の継続ということを分けて考える。そして、先ほどもお話ありましたが、オープンアダプションのようなものがある意味そこで有効に作用するということも考えられるんではないかというのが一つの御提案です。 それから二つ目として、年齢要件の引上げに関しては、リスクはあるけれども、より多くの子にチャンスを与えるという点で非常に私は在り方として賛成しております。 ただ、やはりそのリスク要因というものをどういうふうに予防するかということを考えたときに懸念されることとして、三ページの①のところですね。まず、縁組の申立てというのが遅滞化するんではないか、特に児童相談所のケースはというふうにお書きしているんですけれども、私が全国調査させていただいたときに、先ほどもお話にありましたように、相談を持ちかけた生みの親の状況というのは、多くが妊娠中であるとかあるいは出産後一歳未満であるという状況で児童相談所につながっているということです。そして、縁組が成立したケースが二百六十九件ございました。ところが、縁組成立が六歳以降になっているケースというのが五十ケースございました。その五十ケースを、どうしてそういう成立の遅滞が起こっているのかということを調べるために、以下のような表を作成してみました。 例えば、一番上の事例というのは普通養子縁組になったケースなんですけど、ゼロ歳三か月の段階で児相が関わっているわけですね。乳児院に措置されたのがゼロ歳三か月、そして、里親さんに委託されたのが六歳九か月です。つまり、六年三か月の間、乳児院で生活していた。この施設の長期化ということが一つ成立を遅滞化させている要因です。 ただし、例えば上から四つ目のケースを御覧ください。普通養子のケースで里親委託がゼロ歳五か月のケースです。ゼロ歳五か月で里親さんに委託されているのに、どうして成立が九歳になって普通養子になったか、この背景に何があるのか。これが、ひょっとして駆け込みで、今後、十五歳申立てとか、その背景にはやはりその親子関係を見極めるとか、場合によっては経済的な支援が里親さんにはあるけれども特別養子にはない、そうしたもろもろの要因が遅滞化の背景にある、その辺りの綿密な分析というものも必要じゃないかというのが一つ目です。 それから、五ページを御覧ください。 五ページに関しては、年齢、いきなり十四歳や十三歳の子供が縁組家庭にというケースは少なくて、今想定されているのはそれ以前に養育が継続して何らかの形でというケースだと思うんですけど、でも、今後は、場合によったら十歳の子でも必要な場合もある。そうした場合に、より親子関係が困難化するということもあるんじゃないか。 先ほど、施設入所が長期化することによって里親委託が遅滞化するということをお話ししました。施設本来の役割というものをもうちょっと限定して、高度な機能を提供していく、家庭で暮らすための子供のレディネスをどれだけ施設の中で提供できるか。やはり、諸外国の施設の使い方というのはそういう使い方ですね。どんなに長く見積もっても一年半ぐらいな入所期間でもって家庭委託を進めていくという方針でもって、それだけの手厚いセラピストの配置とかがなされて、治療的なケアをして家庭になじむように子供を出していくという、そうした高機能を施設も提供していく、そういう体制を整えていくということの必要性です。 それから、次のところを御覧ください。 先ほど、手続的な、二段階の手続の話であるとか生みの親の同意の撤回制限の話がございましたけれども、やはりその撤回の制限というのは、養親子関係が断絶されるとか子供が不安定な状況に追い込まれてきた事例なんかもございます。そういう意味で、非常に有効ではあるとは思うんですけれども、しかし、六ページの下の方の下線を御覧ください。子供の最善の利益ということを考えたときに、やはり生みの親、実親に育てられるという可能性、そこを追い求めていくということも必要かと思います。ただし、やっぱり子供の時間感覚を配慮して、やっぱり一刻も早く一貫した養育者を提供する、そこのジレンマというものがやはり現場においてあると思うんですね。 そういうことを考えたときに、六ページの一番下、今後の体制の在り方という中で、次の七ページを御覧ください。 まず、実親子を、実親を支援する。具体的な支援もあるし、それからやっぱりある程度支援された意思決定というものを、そういうシステムを、場合によったらアドボケートのようなものを確保するとか、もっとそういう経験をした人をある程度の研修を積んで支援者として活用していくとか、そういう意思決定の支援であるとか、あるいは我が子を育てていくといった場合の状況の情報を提供するとか、結局、実親が自ら育てるかどうかというのは市町村の支援体制のいかんによって左右されるという側面も強いかと思います。そういうことから考えて、実親支援体制というものをそこに書いておりますので、また御覧ください。 それから、より多くの子供たちに養子縁組の機会をということを考えたときに、やはり今非常にもったいない状況があるかと思います。せめて養親候補者さんの情報というのをある程度一元的に管理できないか。今起こっているのは、児相が自分のところの管轄内で縁組が難しい。良心的な児相は自らの努力でもって他府県の児相に問い合わせるということはやられていますけれども、それは極めて少ない。自分のところの管轄内で縁組が無理ということでもって終わってしまっている。民間機関と連携する、他都道府県の児相と連携する、そういう一元的なシステムというものを確立することによって資源を有効的に使うことができるんじゃないか。 それから、一番最後に、やっぱり子供のニーズに応じた多様な養子縁組家庭。 今、やっぱり不妊、新生児というところに非常に焦点が当たっているわけですけれども、やっぱり法律的安定というのが必要な子供も、十四歳の子供であっても必要な場合も多々あるかと思います。実際、里親さんを、十八歳、二十歳まで暮らして、そして委託解除されて孤立化している問題というのは非常に深刻化しております。やっぱり里親さんというのは、経済的な支援までは頼れない、深い精神的な問題に対してはできない、里親さんは違うお子さんをまた受託されている。そういう中で、施設のお子さん以上に、委託解除された後、孤立化しているという現状もあるかと思います。 高年齢の子にも養子縁組を提供するということを考えたときに、多様な養親さんとの住まい方、場合によっては、施設であるとか自立援助ホームであるとか、あるいは近接しているアパートに暮らしながら養親さん家庭と行き来するとか、そういう形の多様な年齢に応じた養親家庭の在り方というのも考えるべきかというふうに思います。 私からは以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(横山信一君) ありがとうございました。 次に、早川参考人にお願いいたします。早川参考人。
○参考人(早川悟司君) 子供の家の早川と申します。よろしくお願いいたします。 今日は貴重な機会をいただき、ありがとうございます。 私、児童養護施設から唯一お招きいただいておりますけれども、初めにお断りしておきますけれども、私、業界団体の代表でも何でもありませんので、一施設長だということで。といいますのも、施設の中でも、今回、新しい社会的養育ビジョンが出て、それに対する反応は様々なんですけれども、そういったところでまとまった見解ではないというところは御了承ください。 スライドの資料がございますので、お手元の資料を基にお話をさせてください。 初めに、右上のⅠの①、今申し上げた新しい社会的養育ビジョンですね、この中でいろいろ里親委託の数値目標が示されておりますけれども、ここの下の方に赤字で書いている、午前の質疑の中でも触れられておりましたけれども、永続的解決という言葉ですね、これが繰り返し使われております。パーマネントソリューションという、アメリカの方では二〇〇九年に、この後の資料に出てきますけれども、児童の代替的養育に関する指針というものがあります。その中でも繰り返し出てきている言葉です。 ただ、これは日本でいうと里親委託を示すような、あるいはそれと地続きの養子縁組という形で強調されておりますけれども、そもそもはパーマネントソリューションというのは、実親ですね、実親の元を離れずに、いかに親を支援して、地域の中で子供がパーマネント、永続的に生活をできるかということを示しているわけで、あくまでも里親とか養子縁組というのはもう代替的な手段でありますから、永続的解決というふうに言い切ってしまって特別養子縁組を位置付けるというのは私は非常に危惧をしております。 次、Ⅰの②で増える児童虐待の相談というふうに書きました。 これも例年、大体八月ぐらいになると、前年の児童虐待の相談件数の速報値が流れます。これはあくまでも相談件数です。これが毎回報道で、もう大手新聞各社が一面トップででかでかと大きく、児童虐待過去最多とか過去最悪というような報じ方をするわけですね。これ、かつては私も一々新聞社に電話掛けてクレームを付けたりなんということをしたこともありますけれども、最近はちょっと諦めている節がありますが、これ非常にまずいなと思っております。虐待がとにかく増えた増えたというキャンペーンを張ることで、まあ少子化に歯止め掛かりませんよね。親になることを恐れる若者たちが非常に増えているなということを危惧します。言うまでもなく、増えているのは相談です。 じゃ、右に行って、Ⅰの③で、本当に虐待は増えているのかということを考えたときに、一つの視点、客観的な視点として、虐待の死亡事例の推移というものがあります。ここに、御覧になっていただいて分かるように、かつては百件以上で推移していた時期もありますけれども、近年でいうと七十件前後ですね。こういった形で増えたり減ったりということで、減っていると断じることは決してできないんですけれども、少なくとも増えていないということは御覧になって分かるかと思います。 めくっていただいて、参考までにということで、言うまでもありませんけれども、ハインリッヒの法則というのがありまして、一件の重篤な事故の背景には二十九件の軽微な事故、災害があって、その背景にはさらに三百件のインシデント、ヒヤリ・ハット、もう少しで事故になりそうだったというような事案があるという、こういう比例するものだというふうに言われていますけれども、これを虐待事案に置き換えて考えると、重篤な虐待である虐待死亡事例が増えているのであれば虐待も増えたということなんだと思いますけれども、虐待死亡事例がなくなっていないので、相変わらずこれだけの数のお子さんが命をなくしているということは非常にゆゆしきことではあるんですけれども、なので、決してそれを軽視するわけではありませんが、でも少なくとも増えていないということは認識しておく必要があると思いますね。 続いて、社会的養護の家庭の状況ということで④ですけれども、水色で抜いているところで、実際に社会的養護の下に子供が預けられているという場合に、元の家族の状況はどうなっているかということを示したのがこの表になります。 抜いたところが実母のみなんですけれども、これ、実際数字は、児童養護施設でいうと四五%ということで、正直、私たちの現場感覚からすると非常にちょっと圧迫、数字が少なくなっているなという気がします。と申しますのも、近年の、先ほど年間、直近値でいうと十三万三千七百七十八件という虐待通報件数がありますけれども、通報段階では大半を占めるのが、近年でいうと面前DVを含む心理的虐待ですね。そういったことで、面前DV等で、母子で家庭を離れて逃げて、シェルターとかに入って、その後子供が来るというような、そういった事案もありますので、こういった場合には、戸籍上は婚姻関係が継続しているので、実父母ありというところ、二七%の中に含まれているんだと思います。その辺はさておきとして、要はシングルマザーの家庭が大半だということをお伝えしたいと思います。 そして、左下ですね、入所児童等が受けた虐待ということで、じゃ、実際に児童が受けた虐待なんですけれども、先ほど申し上げたように、通告段階では心理的虐待が最も多い、二番目、身体で、三番目がネグレクトなんですけれども、入所児童が受けた虐待というふうになると、ネグレクトが突出して多いんですね。ここで一位と三位が大逆転しているわけなんです。その理由は何かというのがなかなか解明されていないとは思いますけれども、私の推測ですけれども、それがこの横にある女性の貧困です。 大半が、母子家庭から子供たちが来ているというふうに申し上げました。その母子家庭が、これもここで申し上げるまでもないかと思いますけれども、養育費の支払、これまでも審議されていると思います、支払を受けているのは二割なので、シングルの家庭の八割は就業している。平均年収は百八十一万円ということですけれども、これ四割弱の正規就労のシングルのお母さんが入っていて百八十一万円なので、六割を占める非正規就労のお母さんの平均年収でいうと、もう年収で百二十万を切るというようなデータも目にしたことがあります。そういった極めて貧困な状態でお母さんたちが子供を見ているということですね。 一方で、これは非常に大きな問題かなと思いますけれども、生活保護の受給率は母子家庭、父子家庭共に一割ですね。捕捉率、必要な家庭あるいは世帯に生活保護の届いている率が二割しかいない。十人貧困で生活保護を求めている家庭があったら、二割しか届かないということですね。この辺り、非常に大きな問題だと思いますけれども、マスコミ報道等でしきりに問題になるのは、この八割の不受給の問題ではなくて、この二割の中にある、さらに一・六%の中のさらに一・八%と言われている不正受給の問題ですね。一・六%と一・八%を掛けるとどうなるのかと、まあ二%で掛け算しても〇・〇〇〇三二%みたいな数字が出るんですけれども、ほぼゼロに等しいようなところを針小棒大に報じて、それでこの八割の不受給の世帯を置き去りにしているという実態があって、ここの中には相当数の母子家庭があるというふうに推測されます。 次めくっていただいて、そういった母子家庭とか女性の貧困をベースにしながら、この昨今取り沙汰されている子供の貧困があるというところは御承知おきいただければと思います。 なので、この⑧に書いたように、児童虐待という言葉をまず捉え直す必要があるかと思います。最近、目黒や野田の事件の報道で、あれ自体は本当に痛ましい事件なんですけれども、ただ、先ほどから申し上げているように、昨今急に虐待死の事件が起きているわけではないんです。毎年ずっと起きています、数十件と。そういったものに対して我々世間は余りにも無知だったんじゃないかなというふうに思います。 なので、でも一方で、先ほど言ったように、母子家庭の貧困からくるダブルワーク、トリプルワークで結果的に子供を適切に養育できない、結果的にネグレクトになっている、そういう事案と今回の報道のような虐待というのが一つの虐待、児童虐待という言葉でくくられてしまっている、これは非常に大きな問題だなと思っております。 一方で、ちょっと視点を移しますけれども、国連の児童の代替的養護に関する指針というものがあります。 そもそも、国連がとにかく家庭養護優先だということを言っているので、それに沿ってビジョンを出されたという言説もありますけれども、冒頭申し上げた二〇〇九年に出されている国連の代替的養護に関する指針、通称ガイドラインというふうに言っていますが、そこでは何を言っているかというと、パラグラフの三で、冒頭の方になりますけれども、国は、家族がその養護機能に対する様々な形態の支援を受けられるよう保障すべきであるというのが、まず冒頭、子供を引き離す前にまず家族を支援するべきであるということが書かれています。 十一番、原則として児童の通常の居住地のできるだけ近くで養護を行うのが望ましいと、簡単に見ず知らずの土地に子供を連れていかないようにということを言っているわけです。 次のページに行って、貧困のみによる家族からの離脱の禁止ということを書いているわけですけれども、ここでは、経済的な理由だけで、貧困ということを理由に子供を家族から引き離すべきではないということが書かれています。 次、非公式な養護の下の児童の福祉ですね。これ、非公式な養護というと、日本では親族の下である養護等を指しますね。先ほどの林先生のお示しになった新聞で、実親と離れて暮らす子供の九割が施設と書いてありますが、あれも誤報です。実親と離れて暮らしている子供のほとんどは親族が見ています。地縁、血縁で見ています。東日本大震災のときに震災孤児、二百四十一人いましたけれども、そのうちで施設で暮らした子供は三人です。残り二百三十八人は地縁、血縁の下で引き取られています。なので、九割が施設、親から離れると九割が施設というのは大きな間違いですね。 ⑤家庭復帰の妨げの禁止ということがありますが、ここには、あらゆる追跡の努力が失敗に終わるまでというふうに書いてあります。この追跡の努力というのは、家庭復帰のための努力です。これらが、あらゆる努力が失敗に終わるまで、養子縁組、氏名の変更又は考え得る家族の所在地から遠く離れた土地への移動を含めて、最終的な家族への復帰を妨げるような行為を行うべきではないということを書いてあるわけです。そういったことを考えれば、数値目標を掲げて特別養子縁組を倍に増やしましょうと言う前に先にするべきことがあるでしょうということだと思います。 あとは、ちょっと時間がないのでささっとですけれども、日本が施設が多いのはうそと書きましたが、これは数字を見ていただければ分かると思いますので、飛ばします。 ちなみに、これ、日本は社会的養護全般が少ないので、施設が多いんではなくて里親が少ない。里親が少ないのはなぜかというと、アメリカなんかだと大半がキンシップケアといって親族における養育とかを優先している、国連もそれを推奨しているわけですが、日本は、先ほど言ったように、親族における養育があっても、親族里親という制度はあるんですけれども、ほとんど使われていない。東京でいうと、一%ぐらいしか使われていないんですね。これ、ほとんどの市民が知らないですよね、親族里親って。だから、本当に里親を増やそうと思ったら、親族における養育をきちんと親族里親として追認していくといったことも検討すべきだと思います。 最後、③のところで、ちょっと飛びますけれども、Ⅲの③、最後のページで、特別養子縁組に関わる懸念ということで、経済状況を養育能力の要素として捉える不合理。 まず第一に、実親に関して養育能力を検討するということがありますけれども、そこに経済状況というふうに書かれているわけですね。そういったところで経済状況がこういった要素として捉えられるというのは、先ほど言ったことからも不合理だということですね。 あと、実親に強いられる同意。 同意撤回とかという話もありますけれども、社会的養護の下で子供を預けている親御さんは、かなり子供に対しても施設に対しても世間に対しても負い目を負っている親御さんが多いですね。そういったことで、児童相談所や周囲の方から養子縁組を勧められたら、渋々同意せざるを得ないという案件は容易に想定されます。 あと、子供自身の地域生活での連続性や主体性の剥奪、実親を失うことでのアイデンティティー形成のつまずき、アタッチメント形成に課題がある子を一般市民が家庭に迎えるリスク、養育里親以上に公の目や手が届かず密室化をしてしまうだろうということ。 最後に、そういったことを踏まえて、特別養子縁組を進めるのであれば、その前提として、一番、縁組検討以前に、生活保護を始めとする実親への支援を拡充すること。二番目、社会的養護の下で生活する全ての子供と保護者のためのアドボカシー制度を確立すること。三点目、養子、養親、実親三者に対する縁組後の継続的な相談援助体制の確立ということで挙げさせていただきました。 時間になりましたので、終わります。
○委員長(横山信一君) ありがとうございました。 以上で参考人の意見陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○元榮太一郎君 自由民主党の元榮太一郎でございます。 本日は、三人の参考人の皆様、貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。 まず、棚村参考人から伺っていきます。 今回、この特別養子縁組制度の改正という中で、普通養子と一体的に考えるべきだというような御意見もあったかと思いますが、その普通養子の今の課題というのをどのように考えられているかという点と、あともう一つ、参考人の先ほどのお話ですと、特別養子の今回の制度改正は必要最小限というふうにおっしゃっていましたが、ほかにこういうような点も改正のポイントではないかというようなことがございましたら、教えていただけたらと思います。
○参考人(棚村政行君) お答えをしたいと思います。 普通養子については、研究会でもそうですけれども、いろいろ、特別養子をどう位置付けるかということで、未成年の普通養子のいろんな問題点についても挙げられました。結局、実親との関係が残りますので、二重の関係で存在をするために、問題点として現場から特にあったのは、特に、生活保護法の改正によって、親族にたどって照会をするというようなことで、亡くなったり、あるいは扶養が必要な状態になっている場合に生活保護を受けたいときに、突然そういう連絡が来て、子供たちが、子供というか、ある程度の年齢になった成人に達した人たちが困惑するとか、そういうようなことでも問題点は指摘されました。 それから、先ほどもお話ししたように、普通養子縁組の中では、やっぱり連れ子養子の場合ですと家庭裁判所の許可が必要ないと。ところが、昨今の児童虐待の重大な事件を見ますと、やはりそういうような形で、連れ子養子みたいな形で虐待が起こっていますので、子供のためにやっぱり家裁が何らかの形でチェックをする必要はないかという問題もあります。 それから、オープンアドプションというお話をしたんですけれども、結局、子供がやはり養育環境を要するに確保すると、快適な養育環境を確保する、安定した養育環境を確保するというときに、やはり普通養子縁組では実現できない、実親との縁を切った特別養子ということについて、それが必要なケースというのは一体どうなんだろうかというような議論もございました。 ただ、今回は時間の関係もあって、特別養子の中で、しかも三点の改正ということに限られましたが、部会とか研究会の中では、やはり同意がなかなか得られないというときに、同意不要事由、免除事由みたいなものがもう少し明確にならないかとか、それから、特別養子も、離縁は原則として認められないんですけれども例外的に認めているんですが、その実態を踏まえて、離縁の可能性とか、あるべきなのかという議論も若干は触れました。 ただ、全体として、子供の出自を知る権利とか、あるいは戸籍の記載の在り方とか、いろいろなことについて、普通養子縁組や特別養子縁組についてやはりもっときちっとした議論をしようということで、研究会は一応中間報告ということで、今後この民法の一部改正が成立したら抜本的に養子制度全体を見直した方がいいだろうと、こういう結論に至りました。
○元榮太一郎君 ありがとうございます。 続きまして、林参考人と早川参考人に伺っていきますが、今回の新たな社会的養育ビジョンの中でおおむね五年以内に年間千組以上ということの目標が設定されたかと思います。 早川参考人は、先ほどその目標を設定する以前の話だということも言及されていましたが、そもそもこの目標設定というのは高いのか低いのか、又はそういう目標を設定するというものではないというふうなお考えなのか、この目標について伺いたいと思います。 なぜかといいますと、社会的養護下で養護されている児童が四万五、六千というような人数規模で比較しますと、年間千人というのはそんなに多くないんじゃないかなと思いましたので、参考人の率直な御意見を聞きたいというような趣旨です。
○参考人(林浩康君) 先ほど私の資料の二ページのところで、児童相談所の、成立件数、介した成立件数についてお話しさせていただきました。約三百件で、単純割りして一児相一・四件、ゼロ児相であるのが四割弱。この実態に鑑みて千件というのが現実的に無理かどうか、現実的な数字ではないかというふうに私自身は思っています。 二百十か所の児童相談所がせめて三件ぐらいやってくださいよ。それに約二十か所ぐらいな民間機関がございます。現実として、今の段階で二十ケースぐらいはやっています。それで、単純に足すと一千件というのは現実的にクリアできる数字というふうに思っております。
○参考人(早川悟司君) 私は、正直なところ全く違った視点で見ています。 社会的養護に関して、日本のサービスの種類、厳密に言うと社会的養護は六種類なんですけれども、母子生活支援施設とか自立援助ホームを含めても八種類ですね。それ、メニューがとにかく少ないというふうに思います。かなり、まあショートステイ等もありますけれども、グラデーションを掛けて、もう家庭を補完するという意味で必要なところだけを、家庭か社会的養護かじゃなくて、この間のところをどう地続きでグラデーションを掛けて必要なところだけを補完できるかといった仕組みをつくっていく必要があると思うんですね。 その結果、いろいろメニューを用意して、それで使いやすくして、それで結果としてどのくらい増えるか。まあ最適な数値はどこかというのは、はっきり言っていまだに誰も分からないと思うんですね。 なので、数値目標を、特別養子縁組というこのすごく先鋭的なところに数値目標を持ってくるというのは私はとても違和感があって、むしろ、近年、私の資料の中にもありますけれども、子供の貧困が二百八十万人とか、かつては三百二十五万人とかということもありましたけれども、この辺りを見ていっていただきたいし、あわせて、先ほど言った生活保護の捕捉率だったり、そういった相対的な貧困とか、そういったところを見て、結果的に子供の福祉が向上するということが一番望ましいのではないかというふうに考えています。
○元榮太一郎君 ありがとうございます。 続けて、林参考人と早川参考人に伺いたいんですが、今回は特別養子縁組ということで、その縁組の件数をもう少し増やそうじゃないかという中で、そこでやはり必要になってくるのは、養親候補者であったり、その前提としての機能も果たしている里親の候補者だと思うんですが、やはり上限年齢が引上げになりますとその対象者が増えてきますので、この養親候補者や里親候補者をどれだけ確保できるのかといったところも非常に重要になってくると私は思っているんですが、まずそれが重要かどうかということと、もし重要だとお考えいただけるのであれば、どうすればこの養親候補者、里親候補者をもっともっと増やせるのか。先ほどは親族里親というもので里親の一つの有効な候補者になり得るのではないかというお話もあったんですが、両参考人の御意見を伺いたいと思います。
○参考人(林浩康君) ちょっと私、早川参考人と違うかと。基本的には、私は養子縁組の目標値という言い方はしておりません。特別養子縁組が必要な子供に、現実、特別養子縁組を与える。少なくとも千人はいるでしょうという話です。 それから、今言われた養親候補者さんをどういうふうにして増やせばいいか、養子縁組里親を含めてどういうふうに増やすかということですけれども、一点目は、私自身が一つ提言させていただいた養親候補者さんの情報の一元化体制ですね。これは、だから既存の資源を有効に使う。今、使い切れてない現実がございます。だから、養親さん自身を増やすというよりも、いる養親さんを有効に活用するというシステムをまず第一に考えるということ。 それから二点目は、もう一つは社会的養育ビジョンの中でも提言されているんですけど、養育里親さんも含めて民間機関、日本はやっぱりともかく全部行政がするという現実があるかと思います。やっぱり諸外国、里親委託率や養子縁組の数が多い国々というのは、層の厚い民間機関がお互いに切磋琢磨して援助の質を上げていく。そして、公的な機関、行政機関がきちっとした財政的な支援をする。そういう体制づくりが、やっぱり子育てというのは極めて身近な中で行われるわけですから、そういうことを考えたときに、民間機関がどれだけ関わるかということが住民の距離の近さというところにつながっていく。そこが、児童相談所とかという極めて限定された機関が扱っている問題というのは、これはもう一目瞭然で、民間機関の層の薄さということに、養育里親を中心にですけれども、言えることではないかなというふうに思います。
○参考人(早川悟司君) 養親候補、里親候補を増やすには、逆に言うとなぜ増えないかということなんですけれども、単純な話、何でこんなに少子化が歯止めが掛からないのかといったことだと思うんです。産んだら産んだ親のもう責任ということで、産んだら育てて当たり前、産んだくせになぜ育てられないんだというような子育てに対するネガティブな風潮、これをどうやって変えていけるかということだと思うんです。 やっぱり、まず親が安心して子供を産める、育てていける、そして一人でしょい込まないでいい、うまくできなくても決して非難されない、うまくいかなくなる前に支えられる、褒められるというような風潮をどうやってつくっていくかと。それがないから、子供を産むことを選択しない方が増えている、産んでも育てられない方が増えている。で、人が育てられなかった子供を誰か見てくださいと。いや、増えないですよね。だから、このような風潮の中でそんな奇特な方はなかなか出ないですよね。 だから、安心して子育てをできるような関係、環境をどうやってつくっていくか。これは本当に大きなことを言うようで簡単ではないかもしれませんが、でも、その辺りを本気で考えていかないと、そういった小手先と言ってしまっては語弊があるかもしれませんけれども、そういった結果として子育てしにくい国になってしまっているという結果で社会的養護が発生しているところを、そういった対症療法的に手当てをしていくというのはもう限界かなと思っております。
○元榮太一郎君 では、時間の関係で最後一問、早川参考人に伺いたいんですが、里親制度で養育していた子供を特別養子縁組で実子にするということは大きな一つの流れだと思うんですが、一方で、里親の場合ですと養育費相当の支援が、金銭的な援助が得られると思うんですが、特別養子縁組が成立するとそれはなくなると理解しているんですが、そこが一つのハードルになったりする可能性はないのかどうかというのを現場の御意見として聞きたいと思います。
○参考人(早川悟司君) 私も里親委託に関して専門ではないので、あくまでも私見ですけれども、確かに、私も見ていてちょっとおかしな感じだなという違和感を感じているのは、里親さんだと、里親さんが喜んでいるかどうか分かりませんけれども、児相からの支援だったり、あとはチーム養育といって、児童養護施設の里親支援専門相談員も一緒になって支援をしましょう、一緒に見ていきましょうというのがあって、おっしゃるとおり、里親手当もありますよね。養子縁組になると、それらが、継続しましょうという動きもあるんでしょうけれども、基本的にはなくなりますよね。そうしたら、できるだけ先に延ばしたいと思わないのかなというのは、むしろ私の方もちょっとどなたかにお聞きしたいぐらいで、非常にちょっとその辺りが疑問ですね。 だから、それを上回るような特別養子縁組をすることでの安心感というものが得られないと、なかなかこれは進んでいかないんじゃないかなと思いますね。
○元榮太一郎君 終わります。ありがとうございました。
○有田芳生君 立憲民主党の有田芳生です。 子供受難の時代が続いている中で、一つの方向性であるだろうという理解はしますけれども、果たしてこれで実効性がどこまであるのかという危惧も抱いております。 といいますのは、私は、自分の仕事の中で苦い経験がありました。テレビの取材で、ある児童養護施設に、一泊だけですけれども、子供たちと暮らす中で、本当にいいお仕事が続いているなと思ったんですけど、それから数年後に、今でも忘れませんけれども、恵比寿のスーパーマーケットに行ったときに、ある男性の若者から声を掛けられました。あのときのテレビの取材で来ていましたねと、だけど、あのとき報道された内容というのは自分たちが経験した実態と全く違うものであったと。テレビの前では施設の責任者たちは本当にうまくいっているということを語っていたけれども、子供たちからすれば違うんだということを聞きまして、非常に衝撃、小さな衝撃を受けたことを思い出します。 そこで、棚村参考人、林参考人、早川参考人、順番にお聞きをしたいんですけれども、棚村参考人はさっきのお話の中で、マッチングという表現で養親と子供たちとの出会いのことを説明されました。 そして、先ほど午前中の一般質疑の中で、櫻井委員の方からも、そういう制度で特別養子縁組ができて以降、本当にその家庭がうまくいっているのかどうかというのはどこがフォローするんだということを指摘されましたけれども、まさしくその問題があるというふうに思います。 仕組みができて、そういう方向性で新しい親と子供が結び付くことによってうまくいくのかどうかというのは、その後の推移を見てみないと、人間というのはもう相性もあることを含めて、あるいは先ほどのお話にありましたけれども、親によっては酔った勢いで本当のことを言ってしまうということで子供が傷つくようなこともあり得ることだと思うんですよね。そうしたことをなるべく減らすような仕組みというものをどうすればいいのかというのをお三方に伺いたいと思います。マッチングの段階、そして縁組がうまくいった段階のその後のフォロー、その二点についてそれぞれお聞かせください。
○参考人(棚村政行君) 有田議員からの御質問ですけれども、やはり子供たち、四万五千人ぐらいの要保護児童がいらっしゃって、それがどういうような形で、その里親さん、あるいは特別養子とか、あるいは中にはやっぱり後見人ということで親族が後見人になったり、要するに、育てられている子供たちが実際にどういう経路でどんな形でもってそれぞれふさわしい受皿のところに行っているかどうかということについての実証的な研究がやっぱり不足をしているというのは、そのとおりだと思います。 それから、施設の中での生活とかいろいろなものについても、やはりどういう子供たちがどういう形でというような、一般的な統計はあるんですけれども、そういう意味で、それぞれの機関とか受皿がどういう役割分担とか限界を持っているか。そして、関係機関が、お子さんが小さいときから、かなり思春期とか難しい時期になったときにどういう課題を抱えて、どんな支援のニーズがあるのかということをやっぱりもう一回洗い出してやっていく必要があると思うんですね。 特に、あっせんというのは、実親さんとそれから養親になろうとする人との間でお子さんをつないでいくというトライアングルの関係になっています。そのときも、やはり民間のあっせん団体、それから児童相談所、これは先ほども連携が必要だということを言いましたけれども、林先生が調査をされて、私も少し関わったんですけれども、児童相談所、現在、専門部署、里親さんとかそれから養子縁組についての専門部署を持っているのは二百十一ある児童相談所の中でも一五、六%しかないと、こういうような体制の中で本当につないでいけるのかということについても、おっしゃるとおり危惧があるところであります。 ですから、やはり、今関係する機関が、情報の一元化も含めてですけれども、専門部署を例えば厚労省とかに養子縁組についてのをつくり、各児童相談所とかそういうところにも体制を強化をし、民間のあっせん機関に対しても、法律はできたんですけれども、インターネットで安易に、簡便にあっせんをするというようなNPO法人なんかの問題も出てきたりして、これからやっぱりかなり課題が山積をしているという状況だと思います。 ですから、特別養子縁組で、今回の改正ができたからというんで安心はしていられない。むしろ、それぞれの関わっている機関がサービスの質を上げて、本当に子供のためにどういう受皿をどんなふうに用意していくことが幸せにつながるかということを真剣に検討する必要があると思います。
○参考人(林浩康君) 児童相談所を介した場合と民間機関を介した場合、それぞれでまたちょっと異なるかなとは思うんですけれども、児相の場合は、ある程度養親家庭というのはその管轄内にいるわけですから、縁組後、通常だと養子縁組里親という登録をした後、多くのケースは、縁組した後、里親登録を抹消するというケースがほとんどです。ただ、一人目、二人目をまた、養親として、やっぱり気が変わって、二人目って言ったのにまた再度養子縁組里親を登録して、そして養子を受けた段階で登録を抹消してきたんですね、これまでは。そういうことで、縁組後の状況の把握というその根拠が記録的に残らないということです。だから、縁組後も登録を何らかの形で残していって、そして訪問を続ける。もし転居したならば、最寄りの児童相談所にそのケースを引き継いでいくというような継続性みたいなものも考えられると。 民間養子縁組のあっせん機関に関しては、全国に養親候補者さんがいるわけですよね。そうした場合、東京都の人がそない頻繁に北海道まで行くわけがいかない。そこが児相との連携というところですね。最寄りの児童相談所と縁組後連絡し合って、最寄りの児童相談所が縁組後も関わりを持っていくというのは一つの在り方かなと思います。 ただ、やはり、私的場で行う私的養育ですから、そこに公的な機関が関与する法的根拠はないわけですね、縁組成立後。そこに、場合によったら、やはり発達障害とか、やっぱり妊娠中のリスクとか、そういう多様な課題を抱えたお子さんが多いんですね。現実、四歳、五歳と育てる中で発達障害が発覚したとか、実はそういう段階でこそ必要だけれども、今言いましたようになかなか関わりがない。 そこで、何か経済的な手当て、本来的には扶養義務ということで経済的な支援は法律的にはなかなか難しいんでしょうけど、諸外国見た場合に、やっぱりそういう要保護児童を縁組したという特殊性に鑑みて、何らかの経済的支援を続けるというのも公的機関と関わり続ける一つの要素にもなるのかなということと、もう一つは、先ほどの、体制で一元化ということを申し上げましたが、養子縁組に関する国際条約があるんですね、日本は批准していないんですけれども。そこに、やはり監督機関を設けるとか情報の一元的管理とか記録の一元的な管理ということがきちっと規定されているんですけど、日本はその国際条約に批准していない。 そこをやっぱりそういうふうな、批准はしなくても、そういう体制づくりをつくることによって、例えば養子の立場から、ここに行けばほかの養子とつながり合えるとか、何かそういうふうな情報の集約を一元的にどこかがやっていれば、養親さんを支援するということと同時に養子を支援する、自らやはり飛び込んでいけれる場を養子さんにも提供していくという視点でもっての支援体制づくりというのも非常に必要なことかなということを考えたときに、先日ちょっとアメリカに行ってそういうことを見たときに、やはりユースパートナーとか、もっと、養子という形で自分が縁組された、縁組機関とつながって、当事者の立場からそういう子供たち、成人した人を含めて支えていくというような、その当事者を支援者として使っていくみたいなことをやられていたんで、先ほど、そのアドボケートのシステムの中でそういうことも考えられないかというふうなことも申し上げました。 以上です。
○参考人(早川悟司君) 初めに、有田議員から御指摘いただいた施設の運営に関してですけれども、御質問の中に入っていないかもしれませんが、ただ、やはりこういったお話、養子縁組のことも起きてくる一つの背景には、施設という生活のマイナスイメージというのはやっぱり軽視できないと思うんですね。この辺りに関しては、我々の、業界の人間としてもしっかり真摯に受け止めていかないといけないと思っています。 二十年前は、私たち、仕事を私も始めた頃は本当に今の三分の一ぐらいの人員で、かなり劣悪な労働環境の中で、施設によっては虐待事件なんというのも起きていましたし、そういったところのイメージはいまだに拭えない部分もあるかもしれませんが、ただ、おかげさまで人もかなり増えまして、運営は、問題がないとは言えません、昨今もいろいろ報道も騒がせていますのでね、ですが、不断に改善していけるように努めてまいります。もしよろしければ、我々の施設の方でも是非御視察いただければと思いますので、よろしくお願いします。 マッチングに関しては、これは非常に難しいなと思っていまして、私が関わったことのあるとあるお子さんで、最初にお母さんから乳児院に預けられて、乳児院から二歳で年齢超過で児童養護施設、そこの施設は特別養子縁組をとっても推奨する施設だったんで、マッチングで出しますよね、里親さんのところに。半年間のマッチング期間ということなので、ただ、半年なんか全然もたずに、それで不調になって元の施設に戻る、で、次の養親候補のところに行く、やっぱり不調で戻る、で、三回目チャレンジする、やっぱり不調で、元の施設には戻らず次の施設に行った。これで、四歳までの間に実に養育者の変更が八回なんですね。この子は、思春期以降大荒れに荒れますね、思春期以前から荒れていましたけれども。大人や社会や自分のことなんか何も信頼していない。ただ、自ら命を絶つわけにもいかないので、やんちゃしながら何か生きているというかなり大変なお子さんでしたけれども。 やっぱり、普通に考えていただいたら分かると思うんですけれども、赤ちゃん、まだ目が見えないうちはどういう反応かというのは、それでも母胎で十か月過ごしているわけなので、親から離れるというのは相当なストレスだと思いますけれども、二歳にもなれば、もう人見知りしますよね。それで、二歳になったところで、これも日本の社会的養護システムの問題ですけれども、乳児院から施設に措置変更、ここでも相当ダメージ食らっていると思うんです。そこからさらに、どこの誰だか分からないおじさんちに連れていかれて、まあ、どこの誰だかって、面会はしていると思うんですけど、でも、連れていかれるときには子供からしてみたら突然連れていかれるわけですよね。それで、泣きますよね。泣きまくって懐かないというんで、やっぱり無理だねといって戻されて、それを三回チャレンジするわけですよ。 これを一回失敗するだけでも相当な子供に対してのダメージを与えるということに対して我々は非常に慎重にならないといけないと思いますし、だから、交流の仕方、マッチングの仕方は、やっぱり知見をもっと積み上げて、例えば、養親候補さんが、施設の子であれば時々泊まり込んで先に関係性をつくって、ガイドラインでも言うように、見ず知らずの人のところへ行くんじゃなくて、見ず知らずの人じゃない人にまずなってもらってからお泊まりを経験するとか、そういった相当緻密なマッチングのやり方をしていかないといけないと思います。 あと、その後のフォローですけれども、これ一つ大きなハードルになっているなと思うのは、これ、林参考人の資料二ページにもありますけれども、里親さんでも一定数の里親さんがそうだと思うんですけれども、まして養子縁組さんだと、実の親子になろうとするという思考が働く場合があるんですよね。で、親と張り合ってしまうみたいな、実の親に成り代わってこの子を幸せにするという。 やっぱり、実の親子であっても親だけが子供を支えるというのは非常に先ほどから申し上げているように無理があるわけで、だから、里親さんも養子縁組の養親さんも、自分たちが親に成り代わって子供を育てるんだじゃなくて、一つの家族の形態なんだということを、是非、どういう形でそういうことを啓発できるのか、私はまだそこまで知恵が及びませんけれども、そういったこともセットで考えていかないと、縁組したから戸籍上は実親と変わらないんですよで終わらせてはいけないのかなというふうに思っています。
○有田芳生君 お聞きしたいことはこれから幾つか用意していたんですが、時間が来ましたので。 ありがとうございました。
○櫻井充君 国民民主党・新緑風会の櫻井充です。 今日は、三人の参考人の先生方、本当に貴重な御意見いただきましてありがとうございます。 私は、現在も心療内科の医者として不登校と引きこもりと摂食障害の患者さんを中心に診療させていただいていて、親子関係の難しさというのも現場でつくづく感じているんですが、済みません、ちょっと難しい質問かもしれませんが、養親という方々は実の親になれるんでしょうか。むしろ、養親という方は実の親になろうとしない方がいいんでしょうか。 三人の方にお伺いしたいと思います。
○委員長(横山信一君) それでは、早川参考人からお答え願います。
○参考人(早川悟司君) 私は、養親さんに限らず里親さんも、里親委託前の里親さんから相談されたときに、一番里親になる上で大事にしないといけないことは何ですかというふうに尋ねられたことがあって、これはあくまでも私見ですけれども、実の親と張り合わないことだと思いますというふうに答えました。だから、私は、もう本当に私見ですけれども、実の親を、私たち施設職員も含めて、実の親を尊重した上で、それで実の親ができない部分を補完していくという姿勢が最も大事かなというふうに考えています。
○参考人(林浩康君) 二ページ目の三つ目のポチのところで既に申し上げましたように、実親子になるんだとか本当の親子になるんだ、そういう思いが養親さんの喪失感から非常に強化される側面があると。一般家庭も含めて、我が子をきちっとしなければならないという過度な責任感であったり負担感というのは、我が子を自分の作品のように捉えるという我が子観というのは物すごく強化されています。養親さんの場合、それがなおさら強化されるんですね。そこに思春期の問題というのも現れてくると思います。 第一に大事なことは、やっぱり生みの親のあかしをできるだけ養親家庭の中に持ち込む。命名は少なくとも養親さんではなくて生みの親がすべきでしょう。そういう原則論をきちっと現場に根付かせ、養親さんがきちっとした生みの親の存在を子供に伝えて、一緒につながっていくんだということを伝える。 ただし、法的な親子関係は絶対に一組であるべきだと思います。だから、生物学的な関係と法的関係を分けて、生物学的な関係の尊重ということに対してどれだけ養親さんが敬意を払って子供の養育の中に具体化していくかということに尽きるんではないかなというふうに思います。
○参考人(棚村政行君) 今、なかなか、櫻井議員の御質問は非常に難しい問題だと思います。つまり、法的な親子というのは一体何なんだろうと。普通は血がつながって、愛情があって、生活を共にして長らく親子として暮らしていくということなんですけれども、そういうものがやっぱりずれてくるということになると、特に養子の場合なんかは法的親子関係を擬制するという関係ですので、モデルとしては実の親子というものを、年齢が低ければ低いほど同じような関係をつくろうというので特別養子はつくられました。 ただ、おっしゃるように、普通養子縁組との関係を考えると、子供にとって快適で安定した、継続的なやっぱり養育環境というものを確保するのは特別養子だけではありませんし、むしろ力んでしまって、連れ子養子でも、本当の親になろうとか実の親を消してしまおうとかそういうトラブルも結構起こってしまって、力が入り過ぎてしまって子供とのいい関係もつくれなくなってしまうと、こういうこともあります。 ですから、今後は私ども、その子供にとって、生みの親も、さっき林参考人も言ったんですけど、育ての親もいて、日本も、血は水より濃いという血縁を重視する傾向と、やっぱり生みの親より育ての親というので、本当に育ててくれる人に対する敬意というのもあるわけで、そういう意味では、もう少しゆったりした親子の在り方というものを少し念頭に置きながら、実親でなければいけない、低年齢でもって、そうでなければ養子縁組というのはできないとか、そういうステレオタイプみたいなものをやはり少し緩くして、本当に子供のために安心、安全な基地になりたいんだというようなことで、多様なやっぱり親子の在り方みたいなのも認めるということは、むしろ僕は重要なことだと思います。
○櫻井充君 ありがとうございます。 今、棚村参考人から力んでしまってというお話がありましたが、引きこもりの子供さんたちって九割が長男なんですよね。多分、子供を育てる際に最初の子供はみんな親は力んで育てるので、かなり厳しめに育てるわけです。そうすると、こうであるべきだとかこうしなきゃいけないとか、それから周囲の、何というんでしょうか、人の目を気にするような見え張りの子供が生まれてきて、否定されるから自信がなくてと。大体そういう要素がそろうと、引きこもりだけではありません、摂食障害になってみたりとか犯罪を犯したりとか、やはり力んで育てること自体は別に養親だけの問題ではなくて実の親にも起こっていて、今社会的な問題になってきているのは、そこにつながってきているんじゃないのかなと。 ですから、済みません、ちょっと外れますが、元事務次官の方が、下の方はすごく立派に育っていらっしゃるけど長男がという話は、恐らくやはり長男で力んで育てて、一生懸命、真面目に育てれば育てるだけそうなってくるので、親子関係ってすごく難しいんじゃないのかなと、これは日々実感しているところなんです。 さて、その上でもう一つ、今、私のところに診療に来ている方が、再婚で連れ子の方がいらっしゃって、父親が、子供が父親になじんでくれないと、それでもう俺は親になれないと言って嘆いているものですから、すごく仲のいい同居人になったらいいんじゃないのと、そういう話をさせてもらっているんです。奥さんは、本当はそうなってくれるといいんだけど、なかなか難しい話をされているんですが。これ、制度をやはり運用していく上で、今のようなお話で、どういうような親になっていくべきなのかとか、今後のそのフォローをしていくところってすごく大事なことなんだと、そう思います。 先ほど林参考人からも、後で学習障害で分かったりとか様々なことが起こった際にどうするかということでしたが、こういった養親の方、それからそこで育てられる子供さんたち、こういう方々のフォローというのは一体どこがどういう形で携わっていくべきだとお考えか、三人の参考人の先生方からコメントいただきたいと思います。
○参考人(棚村政行君) 先ほども言いましたけど、特別養子でもそれから普通養子でも親子に法的にはなるので、それから先は自分たちでやってくださいというのが制度の立て付けになってしまっています。 ただ、海外なんかは、むしろある程度年齢がいってから養子とか、断絶型の特別養子ですけれどもなる場合は、むしろ助成したり様々な支援が必要だと、こういう形になっています。日本でやっぱり欠落をしているのは、こういう、何というんですかね、困難な子供たちとかそれから再婚家庭とか、家族の関係が複雑になってきていますから、そういうものに対する相談支援体制、こういうものをやはり築いていく、充実させる必要があると思っています。
○参考人(林浩康君) だから、縁組後の家庭は一般家庭ということですね。だから、あくまでも養育者の主体性に委ねざるを得ないという現状があるかと思います。 だから、例えば養子縁組家庭であろうと一般家庭であろうと、障害が後で発覚するという状況は同じだと思うんですね。そのように、市町村には障害児へのきちっとしたサービス体制があるわけですから、そういう情報をきちっと市区町村、これは都道府県ではなくて市区町村がきちっと伝えていく。そして、養親さんがそういうところにきちっと相談を持ちかけれるという姿勢を持てるかということですね。それは、やはり隠そうとしたり、あるいは自分一人でどないかしようという思いを一般家庭以上に養親さんは抱えてしまうということもあるかと思うんですね。 といいますのが、マッチングして養親さんのところに託されたとき、例えば少なくとも一年はどちらかが家事に専業してくださいとか、子供はやはり愛着関係が必要だから、どちらかが専業主婦になって少なくとも一年は保育所に預けず育てましょうという養育観がやっぱり根強くあるんですよね。つまり、親がきちっとやらなければというのは一般家庭以上に物すごく強固です。 だから、まずその養育観というものを、委託当初から複数の養育者に育てられることが大切なんですよというメッセージをどれだけ伝えていけるか。やはり、まだそういった養育観というのは強い。それが、先ほど言いましたように我が子意識を強化している。それは、一般家庭も含めてですけど、養親家庭はなおさらそれが強いメッセージ性として伝えられると。 そして、きちっと一般家庭同様に、障害を抱えたということが発覚したらきちっとつなげていけれるような、児相が何回か訪問する中でちょっとそういうことを示唆しつつ、市区町村と連絡取り合って、連絡し合って養親さんを支えていくということかと思います。
○参考人(早川悟司君) フォローに関しては非常に難しいとは思うんですけれども、ただ、難しいとは言いつつも、かなり意識しないといけないなと思うのは、養子を迎えた家庭というのは、転居家庭と同じように、地域の中では地域の子育てのつながりはもうゼロベースからつくらないといけないということですね。一般的に、赤ちゃんのときから子供を育てていて、それで保育園預けてとか幼稚園行ってとか小学校行ってとかとなれば、その過程の中で地域のつながりというのは、親同士のつながりとかということは徐々に築き上げられていくわけですけれども、転居家庭と同じように、養子を迎えるということはもうそこから始めないといけない可能性がある、実子がいればまた別かもしれませんけれども。 そういったことで、地域の中で相応の支援を組んでいく必要があるなと。これは、あっせん団体にだけ任せていても、地域のそういう社会資源をきちんと把握している方が付き添ってあげないとなかなか難しいだろうなということですね。 あと、意識レベルで、私、シングルのお母さんからよく言われるのが、非常に、シングルのお母さんで、子育て厳しいお母さんをちょいちょいお見受けするんですね。聞かれるのが、やっぱり過度なしつけとかということになってしまうんですけれども、子供の素行が悪いと、これだからシングルはというふうに言われたくないということでやっぱり一生懸命になってしまうと。養子の家庭も、養親子の関係においてもそういったことが起きるんじゃないかという危惧があるんですね。これだからやっぱり血がつながっていないと駄目なんじゃないかみたいな。 だから、そういったところでいかにそういった養親子、親子の肩の荷を下ろしていくか、自分たちだけで背負わなくていいんだよということでフォローしていくかという、そこら辺が、具体的ではないですけれども、非常に大事かなと思っています。
○櫻井充君 ありがとうございます。 確かに、親子だけではなくて地域の人たちがどういうふうに関わってくるかというのはすごく大事なことなんだなと、今そう感じました。 最後に、棚村参考人に、参考人の最後のところで子供の権利のようなお話が出てまいりました。午前中の質疑でその子供の権利について問いただしたところ、法務省からは、そうではなくて、社会福祉政策のような観点からこういう制度ができ上がってきているという話をされてきていました。 先ほどお話があった子供の権利というのは一体どういうものを指しているのか、教えていただければと思います。
○参考人(棚村政行君) 子供の権利というのは、元々はやっぱり大人の保護の客体だという、そういう発想だったものを、子供自身が権利を持っていて、その権利の主体なんだと、子供中心に子供本位にやっぱり法制度でも政策でも社会的な支援の在り方でも組んでいかなきゃいけないという、こういう根本的な思想や考え方を背景に持っていると思うんですね。 どうしても、やっぱり今回の養子縁組の制度も、民法というのは百二十年以上前にできているわけですから、大人の権利とか、大人を中心の法制度になっています。それを一挙に変えるということは非常に難しいので、多分、法務省とか我々法律家は段階的に変えざるを得ないと。特に、日本はほかの国と比べると、子どもの権利基本法とか、子供について施策は打っているんですけれども、非常に包括的な大きなやっぱり実施法みたいなものを作っていないために、非常にそれぞれのところで継ぎはぎみたいな制度づくりになっています。
○櫻井充君 どうもありがとうございます。 まさしく、最後の継ぎはぎのところも今日午前中の質疑のところで指摘させていただいたところです。木曜日の質問にまた参考にさせていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。 今日は、三名の参考人の先生方、本当にありがとうございました。 まず、棚村参考人に、今回の法制審の中でいろんな形での御議論をされた中でのことを少しお聞きできればと思うんですけれども、先ほども話が出ていましたけれども、例えば特別養子縁組あるいは普通養子縁組にしても、その後どんなふうな状況になったのかというところの実態であったり追跡調査というところがどうなっているのかというところで、実態が、その後の実態がよくつかみ切れないと。 私、今日午前中に質問の中で聞かせていただいたときに、そもそも、その後の実態もそうなんですけれども、例えば普通養子縁組で未成年養子の数、これも分からない。その中で、例えば連れ子養子、先ほど来参考人もおっしゃっていたんですけれども、連れ子養子の数も分からないと、多いんじゃないかというぐらいしか分からないというようなことがありまして。 今回の特別養子縁組の改正というのは、あくまでもこれで全てではなく、今後いろんな養子制度についてしっかりと検討していくべきだという前提の中で、今回もいろんな、こういう情報がもっとないときっちり検討ができないじゃないかというようなことも含めて議論になったんじゃないかなということも推測するわけですけれども、そのような、こういう調査が必要なんじゃないのかというところで出たものがありましたら、是非お教えいただければと思います。
○参考人(棚村政行君) 日本の養子縁組の件数全体は大体八万件から十万件で、今八万件ぐらいになっています。そのうちの成年養子というのがむしろ三分の二ぐらい占めていまして、そして三分の一ぐらいが未成年養子なんですけれども、連れ子養子がやはりかなり多くを占めている。 実態調査は、特別養子をつくるときに、一九八二年ぐらいですけれども、法務省が調査をして、実態を少し調べたことがあります。ただ、今回は、実態とはいっても、養子縁組、普通養子縁組がどうなっているかというところまでちょっと手が回りませんでした。 議員がおっしゃるように、やっぱり、ほかの国々を見ますと、実態みたいなものを調べた上でそれぞれの課題とか問題点みたいなものをフォローアップして、そして、法制度としてどういう受皿が用意されることによって子供たちの安全で安心な養育環境をどう確保できるかということで、やっぱりかなり調査研究みたいなものが進んでいます。 林参考人が先ほど厚労省の関係で、少しそういうことに踏み込んだ、国内の養子、児童相談所、民間機関、そして国際養子も含めて実態を少し明らかにしたんですけれども、それも全体像を明らかにするというよりは、現状の課題とか問題点を把握できて、今後どういうふうに調査研究を含めて施策を展開するかという、基礎資料という形になりました。 ですから、ちょっと長くなりましたけれども、ほかの国と比べても、実態把握それから支援ニーズみたいなものの調査研究が不足しているので、是非、今後は、修繕みたいな法改正とか政策はよく行われるんですけれども、全面的な建て替えみたいな形のものをするためには、そういうきちっとした調査研究や実態を把握した上で作る必要があると思います。
○伊藤孝江君 今、棚村参考人からも名前を挙げていただいて、せっかくですのでというか、それぞれのお立場で、林参考人、早川参考人の方からも、こういうところの調査をもっときちんとしてもらいたいと、自分も知りたいという点でも構わないですし、その点ありましたら簡潔にお願いできますでしょうか。
○参考人(林浩康君) 厚労省の検討会があったんですけど、前段階に法務省の、そのときにやはり、離縁の事例について具体的に挙げてくださいという要求は出したんですけど、なかなかその情報は提示いただけなかったんですね。だから、私自身が個々の関係の中で、当時、一九八八年に施行されたこの法律で縁組されたお子さんが今三十を超えられる中で徐々に自分から声を上げるようになってこられて、私は、今、その声の蓄積を行っているところです。 マクロ的な量的な調査だけではなくて、やはりそういう質的なデータの積み重ねというものも必要で、やはりその縁組後の状況を含めて、養親さん、養子さん、それから生みの親、そういう人たちのある時点での声を集約していくということは非常に重要なことかなというふうに思います。
○参考人(早川悟司君) 私も、同じようなところなんですけれども、量的な調査というよりも、とりわけ、やっぱりこういった場に当事者の方がもっと来るべきだと思いますし、当事者の方々が、養親さんも養子さんも、あとは実親さんも、やっぱり一定組織化されて声を上げられる場所、あるいは、私の資料の方でもアドボカシーというようなことも書きましたけれども、これは、本当に子供だけじゃなくて残された親に関しても、同意したからといって、それでもろ手を挙げて賛同したわけではない親の方が多いんじゃないかということもありますし、その辺りは本当にデリケートな問題だと思うので、質的な分析を十分にしていく必要があるかなと思っています。 あと、数に関しては、実際、これちょっとそれるかもしれませんけれども、実親と離れて暮らしている子供がどのくらいいて、それで、経済状況とかも含めて、親族里親とか適用できる、すべき家庭がどのくらいあるのかとか、そういったところはつかみたいなとは思っていますけれども。
○伊藤孝江君 ありがとうございます。 先ほどの、少し、済みません、話は変わりますけれども、養親というか養子関係の在り方というのか、親になるのか、また養親としてやっていくのかというような話もありましたけれども、先ほど来お話のありました、養親の例えば存在を前提としてその生物学的なアイデンティティーも認めていくであるとか、また、養育観を変えていかないといけないんだというような言葉もいただいたかと思うんですけれども。 こういうような考え方というのが、一般的な社会通念というのはもちろん一つではないかと思うんですけれども、これまで一般的に思われている養子関係、もう養子というと、例えば、元のお父さんとは縁切れていて、これはできれば子供には隠しておきたいとか、いろんな形のものがあるかと思うんですけれども、そう思ったときに、これから養子縁組を推進していくということを考えたときに、いろんなそういう養育的なものに対しての、養子関係に対しての価値観を社会の中でもやっぱり変えていってもらわなければ進んでいかないのじゃないかなという気もするんですけれども、この一般的な価値観を変えていかないといけないんじゃないかというところについて、もし三名の参考人の先生方、それぞれお考えがありましたら教えていただけますでしょうか。
○参考人(棚村政行君) 伊藤議員がおっしゃるように、やはり子供たちのときから、これは離婚とか親の別居とかということもそうなんですけれども、自分が悪い子だったから親がそういうことになってしまったとか自分を責めたり、それから、さっきアイデンティティーというのがありましたけど、そういうことで悩んだり、そういう子供たちに対して早い段階から、法教育というような形になるのか分かりませんけれども、そういう働きかけや知識の提供、あるいは考える場を提供していくということも必要だと思うんですね。 特に養子に関しては、社会がやっぱりマイナスイメージを持っていたり、それから差別意識を持っていたり、血がつながっていないということに対する偏見みたいなものがあったりする場合があります。そういう辺りのところを、やはり差別とか偏見とか誤解みたいなものを解くような理解を増進していく。 それから、地域の一般の人たちも、生みの親がいるけれども育ての親もいて、親子としては同等な役割を果たしているんだと。つまり、実の親が育てられないということで罪悪感を持って、結局、特別養子にやるということも同意できないということで、非常に裁判所も迷ってしまう、ちゅうちょする場合があるんですね。 それは、子供を手放したからといって親として失格だという烙印を押されるんではないということをやっぱり変えていかないと、欧米の国々で里親さんとか特別養子というものがどんどん発達をしていった経緯は、やはり生みの親以外のいろいろな多様な親がいて子供を守るんだと、こういう意識が大分根付いてきていると思います。 そういう意味では、日本も、そういう誤解や偏見や差別意識みたいなものがなく、自分たちが堂々と生きられるような形で、親子関係とか、それから家族の在り方みたいなものを少し啓発をしていく必要があると思います。
○参考人(林浩康君) 先週、ニュージーランドであるお子さんを縁組された方、日本人なんですけれども、ニュージーランド人と結婚されて、子供ができなかったということもあって中国のお子さんを養子縁組された方が今、日本に来られていて、個人的に日本とニュージーランドの違いをお聞きする機会がありました。 もうニュージーランドは全部オープンアダプションです。彼女の場合は、最初オープンアダプションと言われたときに、やっぱり生みの親の存在を受け入れるということが当初できなかった。やはり、どんなにこちらが言っても、やっぱり考えとしては生みの親以上の親になるんだという、そういう思いをどうしても養親さんとして持つわけですね。やはり、そこはセミオープンを含めて、何らかの形でつながるという装置を間に入れることによって、そのニュージーランドの日本人の方は言われていました。私の場合は幸いにも生みの親自身が拒否したからオープンアダプションはなされていないけど、そういう考え方が根付いていることによって、ほかの養親家庭というのは大きく変わっている。やっぱり委託当初というのは独占欲が強いけれども、常に生みの親が連絡取ってきたり、そこにスーパービジョンなんかを付けながら会わせるということがやはり何よりも効果的だというようなお話をされていました。 一般家庭を含めて、やっぱり多様な価値観というか、多様な家族の在り方とか、そういうふうな土壌づくりというものも、まず一般家庭を含めて考える。そして、養育を母親だけに独占させない、そういう価値観、そして積極的に複数で育てるという体制づくり。それから、何よりもやっぱり家庭が居場所にならなければならないという価値観もちょっと強過ぎるから、もし思春期とかにやっぱり家庭が居場所というのも限界があるわけですね。家庭以外の居場所、やっぱり地域の問題でもあると思うんですね。そういうことを含めて考えていくということも必要かなと思います。
○参考人(早川悟司君) もう両参考人のおっしゃるとおりだと思うので、私から重ねてということはそんなにないんですけれども、ただ、そのオープンアダプションとかという考え方も含めて、やっぱりあっせん団体や児童相談所の中できちんと浸透しているかということがまず第一にあるのかなというふうに思います。 養親さんとか、里親さんもそうなんですけれども、やっぱり本当に縁組志向の強い里親さんも多い中で、普通の家庭を築きたいという意向はやっぱりすごく根強くあるんですね。それを真っ向から否定するわけではないんだけれども、でも恐らく、そういった抱え込んでしまうよりは、みんなの手を借りて、実親ができなかったところを手伝えばいいんだよというぐらいにした方が、やっぱりお互い楽だし、実親も遠ざけないで済むし、だからそこを、実親の存在を恐れてしまったり張り合ってしまったりというと非常にお互いにとって不幸な感じになっちゃうなと思いますね。 なので、そういった啓発をできるような児童相談所、あっせん団体をどう育てていくかというのが次の課題かなと思いますね。
○伊藤孝江君 早川参考人に最後にお伺いをしたいと思います。 家庭的養育の大切さということも踏まえて今回特別養子縁組も推進をしていくというような方向なのかなというところではあるんですけれども、その中で当然、児童養護施設の重要性というのは変わらないわけで、家庭的養護で与えられるであろうと言われている、今日もありました自尊心であるとか、いろんな愛着形成を誰としっかりしていくのかというようなところを施設の中でもまたされていくというお立場の中で、今の現状として、もっともっとこういうところを施設に対してしっかりと見てほしいというようなところがありましたら、是非教えていただければと思います。
○参考人(早川悟司君) ありがとうございます。 児童養護施設も今、さらに機能の高度化とか機能転換、地域分散化、地域化かつ分散化ということも言われていて、これも今国が示しているようにやみくもにそういった方向に進むと、今ある築き上げてきたものが瓦解してしまうようなおそれもあります。 というのは、今まで一定集合体の中で、いろんな専門職、心理士もいるし、場合によっては嘱託医師もいるしということで、社会福祉士もいると。そういった中でこれまで機能を高めてきていて、それらは、でも、地域分散化をやみくもにしてしまうと、もうケアワーカーがみんな孤立してしまって、厚労省が考えている割には労基法も守れないような基準になっているので、非常に職員は疲弊して早期に退職していって、子供たちは見捨てられ感の追体験みたいなことになりかねないので、そういったところはよく現場の実情を見ながら慎重に進めていただきたいということと。 あとは、やっぱり施設に限らず里親さんもそうなんですけれども、家庭、学校、地域が一遍に引っ剥がされた状態で我々のところに子供たちは来るんですね。家庭が機能しない、先ほどから私、家庭ができないところを補完すればというふうに考えていますけれども、家庭ができない、機能しないからといって、学校からも地域からも引き離してしまう、この仕組みを何とかしないとということで、施設に関しても、地域分散化をするのであれば、より地域に根差した養護の在り方を模索すべきだと思っています。
○伊藤孝江君 ありがとうございました。以上で終わります。
○石井苗子君 ありがとうございます。 参考人の皆様、本当に貴重な御意見をありがとうございます。現場で実質的なお仕事に携わっていらっしゃる方々の御意見というのが、私どもすごく有り難いと思うのは、午前中に法務委員会というのをやっているんですけれども、どうも制度の確認とデータの有無の確認という、これの連続でございまして、なかなか欲しいデータは出てこないというような、そんな感じなんですね。 午後のこの参考人の皆様の御意見聞いていますと、やはり日本と諸外国の違いというのをすごく感じております。やっぱり養子縁組というものに対する過去の日本の家族制度の歴史を振り返っても、まだ多様性を認める家族の在り方とか家族づくりというところから非常に距離があるのではないかと思うんですね。 午前中の法務委員会でも、私もそうでしたけど、櫻井先生も、どこが子供のその後について責任を持って見ているんですかというと、だんだんだんだん答えが、先ほど早川参考人の方がおっしゃったように、そんなところに全部フォローを任せるなんて無理でしょう、時間も人材的にもというところに答えが来るんですね。 さっき、インターネットでのマッチングなんというのも盛んになってしまう危険性があるとしたら、それはやっぱり人手もないし時間も足りないしということになるんですけれども、やはり人間はDNAと環境によってつくられていくのではないかという基本的な考え方に基づくと、これから変わっていくこのルール作りというのが今の日本の現状に沿っているかどうかということですよね。拙速なのか、それとも、さっき距離感があると言いましたけど、距離を縮めていくことに本当に現実的に役に立っているのかという観点から質問させていただくんですけれども。 やはり日本の場合は、連れ子さんがいらっしゃる例外を除いて、子供ができないので、いよいよ子育てというものをほかからお子さんをいただいてやってみるかと、これが基本的に養子をいただくということの根底にあって、特別養子縁組成立をするときの児童の年齢ですけど、ゼロ歳が四〇%で、一歳が二四%、二歳になると約一〇%、一割に満たない、だんだん減っていく。 どうしても、私は、そうなると、年齢がどんどん上がっていくことがいいことなのかどうか。こんなに上がるに従って減ってきているわけです。そうなりますと、実際に上限年齢を十五歳までにするということで、特別養子縁組制度を利用されるというか、利用する需要が増えていくのかどうかと、ルールを作っていく方からするととても気になることなんですが、忌憚ないところでお三方の参考人の方にお答えいただけますでしょうか。実際に上限年齢を十五歳までにして特別養子縁組制度を利用する需要というのはありますでしょうか。
○参考人(棚村政行君) おっしゃるとおり、年齢を引き上げるというときに、原則六歳未満というのを二歳上げて、原則は八歳未満でいこうという考え方もありました。それから、私は途中で、中間試案の段階では乙案ということで、十三歳未満で、少しやむを得ない事情があれば十五歳未満ということで、十五歳がマックスではないかという考えを持っていました。 ただ、やはり十五歳未満を原則年齢にして十八歳未満までニーズがあるんだと、こういうお考えの方も入れて、なかなか何歳で切っていくかというのは、特別養子を一九八七年につくった当時も、やはり低年齢の子供たちをターゲットにするんだという御意見と、それから、いや、もう少し年齢の高い人たちまで含めるべきだというので、たしか本当に、六歳未満というのと八歳と、それから十二歳とかそれから十五歳、十八歳、二十歳まで、非常に多様な意見が出ていました。 石井議員がおっしゃるように、やはり本当にどれだけのニーズがあるかというのは部会とか研究会でも議論が確かにあって、ただ、私どもがやはり考えなきゃいけないのは、海外もそうですけれども、赤ちゃん養子というのはどこの国でも、アメリカなんかでもやっぱり多いんですよね。二歳未満とかあるいは五歳未満というのが五、六割ぐらいを占めたりします。そういう中で、ただ、十五歳とか十六歳とか、まあ十八歳というのも数%ぐらいずついるわけですね。 そういうところにむしろ、何というんですかね、パーマネンシーというか、家庭的なやっぱり養育環境の下で育てるべきだと。特に、実親との関係を切る場合もあればオープンにする場合もあってかなり多様化しているところなんですけれども、日本はまだ海外と比べると、児童虐待対応とかそういうことへの養子の活用というのはそれほど大きくやっぱり進んでいない現状があります。ただ、現場の方たちの中では、虐待とかネグレクトでかなり傷ついた子で、かつ実親との関係を切りながら安定した養育環境を確保するケースというのは必要だと。 私も裁判所に意見書を出したことがあります。そういうときに、非常に、何といいますか、ひどいケースなんですけど、実親が自分で育てるというよりは任せておいて、特別養子をしたいということになったら、金品を要求したり、ローンだとかそういうものの支払を求めたりという非常に悪質なケースも出てきました。 そういう中で子育てを行い、実親からの不当な介入に一生懸命屈しないで頑張って、弁護士さんを立てて裁判をやったりいろんなことをやって守ってきた人たちがいるときに、やはりどれくらいのニーズがあるかということよりは、むしろそういうケースが報告されて、特別養子という受皿を使えないことによって非常に苦しい思いをしているというケースを現場で聞いたときに、選択肢としてどれくらい十八歳未満の人まであるかどうかよりも、やはり苦しんでいる養親やあるいは子供たちを救わなければいけないというようなことが、多分、部会とか委員会、委員の皆さんの声に届いたんだと思うんですね。 現実にそういうような話で、もう少し年齢が上がっていれば特別養子をしていましたという普通養子の親御さんになった人が出てきてくださってお話をして、そういうようなケースがやはりあるんだなということを知ってから年齢要件を少し引き上げましょうということなんで、数がどれくらいかというのはなかなか難しいところですけれども、数は少なくてもそういう子供たちに機会を与えようという、林参考人がおっしゃったようなことが賛成するきっかけになりました。
○参考人(林浩康君) 恐らく、現場も九歳や十歳の子を新規委託で養子縁組をという考えは、なかなかそこまではいかないと思います。 先ほどからお話ししていますように、何らかの理由でその八歳を超えてしまった、そういうお子さんが一人でも二人でもいるのなら、それで特別養子縁組を組むことが望ましいならば、そういう人たちにチャンスを与えましょうということで年齢の引上げがなされたと思います。 でも一方で、実際、十五歳までに引き上げられることによって、諸外国のように多様な養子縁組家庭の親子関係の在り方、先ほど私が一番最後に言いましたように、養親さん家庭で全部担うのではなくて、もうちょっと複数の養育場所で育つというような形での、思春期以降の養子縁組なんかも、やっぱり成人以降の子、孤立化、実家に頼れないお子さんもたくさんいるわけですから、そういうお子さんにも一つチャンスを与えるということにもなるのかなというふうにも思います。
○参考人(早川悟司君) 率直なところを申し上げると、この制度の年齢引上げを聞いたときに、私自身も、はいっという感じで全然ぴんとこなかったんですね。数日前もこの件について施設職員同士で学習会なんかもしたんですけれども、でも、みんな、ぴんときていないんです。十五歳まで引き上げて誰が行くんですかと、誰が引き取ってくれるんですかと。 要するに、希望する子もいないし、希望する養親候補も出てこないんじゃないかというのが正直なところの現場の感覚なんですね。我々の感覚としては、これは多分、民事局からの資料は児童養護施設に入所中の児童等にと書いてありますけれども、これ、多分、焦点は児童養護施設じゃなくて今既に里親委託されている子なんじゃないかなというふうに思ったというのが正直なところなんですね。 と申しますのも、我々の目の前にいるお子さんって、既に里親委託をして、家庭復帰もできない。乳児院から来たお子さんも、その時点で里親委託とかって検討しているわけですね。でも、何か障害があるとか、男の子はちょっととかということで、言い方は悪いんですけれども、一定ふるいに掛かっちゃっているようなところがあって。 施設に来た後も、長期にわたって家庭との、親との交流がない子に関しては、里子候補として自立支援計画書に載せて、それで出したりもしているわけです。だけれども、そういったことで、まず里子の候補として、必要な子にはそういうことで児相に候補として上げるわけですけれども、マッチングすら始まらないというのが実情ですね。やっぱりニーズとしては、里親さんも、小さい子だったり女の子だったりということで、学童期以降を希望される方はほとんどいないし、ましてや、そういう発達に課題のあるとか何かしら障害があるというふうになると、まず希望される方がいらっしゃらない。 なので、そこで里親さんにもなかなか結び付かないのに、特別養子縁組でというのがとても正直なところ違和感があって、だから里親さんのところにいる子で六歳を超えてしまってというところが対象なのかなと思って、逆にその辺りはちょっとお聞きしたかったところですけれども。
○石井苗子君 時間限られていますので、最後に早川参考人にちょっと確認をしたいんですけれども、先ほどの早川参考人からの御意見だと、虐待や遺棄ということに関しても日本の中では非常に少ないんだという御発言があったと思うんですが、この改正の唯一の、唯一のその目指しているところはとにかく虐待されている子供たちを救おうということであったんですけれども、やっぱりそれも早川参考人にしてみれば意味のないことでしょうか。 もう一つは、じゃ、どうしたら、特別養子縁組はもうなくてもいいという御意見なんでしょうか。 この二つを確認させてください。
○参考人(早川悟司君) 順番前後しますけれども、特別養子縁組という制度がなくてもいいとは思いません。選択肢が多様になっていて、なおかつ言えば、今のような実親か養親かみたいなことではなくて、先ほどから話に出ているように、両方でということでできるんであれば、多様な家族の形態ということを探っていけるんであれば、私はむしろ歓迎すべきだと思っています。 あとは、もう一つは、済みません……(発言する者あり)あっ、虐待。これに関しては、確かに我々のところでも、一割ぐらい常に、秘匿ケースといって、重篤な虐待を受けていて親から居場所を隠さないといけないというようなケースが、我々のところだけじゃなくて、どこにでもいると思います。 なので、そういったケースと、ただ、私が危惧しているのは、残る九割の親との良好な関係を探っていくべきケースとが非常に混同されていて、大半のケースが、虐待といえば、とにかく野田や目黒のケースのようなということで一からげにされてしまうというところを非常に危惧しているので、だから、言葉や定義も含めてそこは慎重に、繊細な問題だと思うので一からげにならないように。これも対象として、児童養護施設に入所中のというふうになると、これも児童養護施設に入所中の子供はもうみんなかわいそうな子で、だからやっぱり養子縁組の候補なんだというふうに捉えられかねないというところを危惧します。
○石井苗子君 ありがとうございました。終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 参考人の皆さん、本当にありがとうございます。 私からも、今回の改正、とりわけ上限年齢の引上げの下で特別養子縁組を成立させることが子の利益になるというケースというのは、これはどんな場合なのかという角度でお尋ねをしたいと思うんです。 先ほどのやり取りで早川参考人から、とりわけ学齢期を超えた児童について、里親を希望するという養親さんも基本いらっしゃらないというのが現実ではないかと。 今回の法案で原則六歳までというのを引き上げるというニーズは私はあると思うんです。この点は棚村参考人が先ほどおっしゃったとおりだと思うんです。必要なケースに選択肢をしっかりつくるという改正は私も大事だと思っているんですけれども、先ほどの早川参考人の御意見もお聞きになった上で、学齢期とかあるいは中学生とか、そうした年齢層でのどんな場合があり得るとお考えかという、棚村参考人、いかがですか。
○参考人(棚村政行君) 結局、先ほどの統計でもお分かりのように、赤ちゃんというか乳幼児が対象の特別養子というのは現行の制度の枠の中ではやっぱり多いわけですよね。もちろん、そういう赤ちゃん養子、実子型の養子というのがかなりニーズがあって、そういう意味では、生殖補助医療とかそういうことで不妊治療をやってお金を掛けて、なおかつそれがなかなか難しいということになると、里親さんとか、養子、特に養子を求めてやる方たちが年齢も上がってきています。 そういう中で、特に中学生とか思春期とかというのは、逆に言うと、非常に赤ちゃんとは違って実親の存在も知っていたり、あるいは実親のところでかなり傷ついたり、いろんなことを経験しています。そのためにはかなり支援が必要で、特に子供の意思とか子供の思いということを考えると、実親に対しても非常に気遣って、それからやっぱり子供って実の親を慕う傾向がすごくあります。他方で、里親さんのところで幸せにとはいっても、何か問題があると、実の親でもないくせにとかそういう反発をしたり、いろんな問題が実は起こってきます。 だから、中学生とか思春期というのは実は子供の気持ちも揺れ動いていて、どっちにしたらいいんだというのが、十五歳ぐらいになると遺言もできる、それから自分で普通養子縁組の当事者にもなれる、それから認知もできるというか、結婚外で生まれた子供、それぐらい民法では大人として十五歳を扱いましょうという方向も一方であるわけですね。 だけれども、今の子供たちを見て、置かれた状況においては、本当に、じゃ、その子供たちが自己決定というか、自分できちっとした判断ができるかというと、置かれた環境とかいろいろなものでやっぱり気遣いをし、しかも問題を抱えていれば、里親さんとして育てている人たちも、この子に本当に、何というか、どういう形で自分たちは接したらいいのかというのは迷ったりもされます。 そういう意味では、特別養子縁組というものが普通養子縁組とやっぱりどういうふうに違って、何が一番いいのかという議論が本当はできれば、一番、むしろ普通養子というのを緩やかにしたりチェックを少し厳しくしたり、いろんな受皿として柔軟性を持たせれば、特別養子よりもむしろ柔軟な選択肢として用意できるんですけれども、今回は残念ながら、特別養子をどういうふうに緩めたり修正をすればつながるかということで、まさに思春期の子供とか中学校ぐらいの子供たちに対しても少し広げていくべきではないかということで、十五歳の上限年齢ということが決まりました。 ただ、十八歳というのは、限りなく、なかなか想定しづらいというか、申立てをすることについてやむを得ない事由というのはなかなか限定をされていて、ほぼ認められないのかなというぐらい、やはり十八歳になれば、成人年齢も二〇二二年からなりますので。 だから、中学生、思春期というのは非常に難しいときなので、本人も揺れ動くし、それを扱っている里親さんやあるいは養親になろうとする人たちも、やっぱりなかなか申立てだとかその決断ができないというんですかね、そういう中で、やっぱり必要な支援みたいなものを与えながら、御本人の気持ち、それから養親になろうとする人たちのやっぱり選択肢を用意しようというのが今回の改正になりました。
○仁比聡平君 やっぱり、お話改めて伺って、とてもレアなケースになるかなというふうにも思うんですけれども、参考人もうなずいていらっしゃるんですが。 林参考人に同じ問い、どんなケースが、特に上限年齢を引き上げた上でというのはいかがですか。
○参考人(林浩康君) 先ほども早川参考人の方からもありましたように、私は、社会的養護で暮らして成人した人にインタビューしているんですね。彼らの中に、里親家庭で暮らしていたときに、やはり、入れ替わり立ち替わりいろんな里子が来たり出ていったり、そこに実子さんがいたり養子さんがいたりという、複雑な子供が多様に一家族で一緒に暮らしているというケースはあるんですね。その子は軽度の知的障害を持っている子なんですけど、五歳のときから養子縁組という言葉を知っていて、里親さんに対して僕は縁組してくれないのということを言っていたと。やはりそこにはお金の問題もあって、里親さんとして受託している子をなかなか縁組できないというふうな状況もあって、そして結局、成人になってから縁組されました。 子供というのは自分の置かれている状況をよく理解しています。そういうことを考えたときに、主に里親家庭で何らかの理由で申立てが遅れたというケースであるとか、あるいは施設の中でもやはり子供の意思というのはやっぱり環境に左右されるんですよね。ずうっと施設で暮らしていて、施設職員が、里親さんのところ行きたいか、縁組してほしいかと言うと、やっぱり現状維持を子供は望むんですね。 そこに、先ほどからあった支援された意思決定システムという一環の中で、やっぱり独立型のアドボケートのような、子供に寄り添う、施設の職員でもない、児相の職員でもない人が関わる中で思いは変わるかもしれない。あるいは、嫌やと言っていた子が、一回体験して意向を変える場合もある。だから、いっときの子供の意向だけでもってこの子は家庭に向かないんだということは、最低限我々は考えなければならないことではないかなというふうにも思います。 今現実に、養護施設なんかでも八年以上入所している子が二割を占めています。そういうお子さんというのも、家庭委託も難しいし家庭復帰もあり得ない、本来的には養子縁組を考えるべきだったけど、遅滞化する中でどんどんそういうチャンスが失われていく、そういうお子さんは少ないだろうけど、やはり数的にはいるというふうにも思います。
○仁比聡平君 今の棚村参考人、林参考人の御意見を伺った上で、早川参考人、いかがですか。
○参考人(早川悟司君) 私、冒頭から、家庭、学校、地域の三本柱というふうに申し上げましたけれども、ここはやはり重視すべきだと思っています。 私たちの施設にいる子供たちも、もうやっぱり学童期以降の子供にとって地域というのは本当に世界そのものですよね、学校を中心とした。電車に乗ることもめったになく、基本は本当に徒歩圏内の中で友達との関係を築きながら生活をしているわけですね。学校での友人関係というのはすごく本当に子供にとって大きくて、これを築き上げたものを、今、虐待の通告、保護なんかもそうなんだけれども、ある日突然児童相談所の職員がやってきて、今日から児童相談所へ行くよといって、ある日突然地域からも学校からも引き離されて、それで児童相談所に行って保護されて、それで施設に来る、里親に行くという状況なんですね。これが子供に与えているダメージというのは相当なものがあると思うんです。愛着形成期に親との関係がうまくいかなかった上に、なおかつこのアイデンティティーの形成も根っこを断ち切られるみたいなね。 ここの部分、家庭を家庭をと言うがゆえに、地域や学校といったその子供のアイデンティティーの基盤さえも奪ってしまうということに対して、私は非常に慎重になるべきだと思っています。 だから、子供たちのやっぱり先ほどからもありますけれどもアドボカシーというか、子供の意向を、十五歳未満で合意の必要はないということになっていますけれども、その辺り本当に慎重に、子供の意向を酌むといったことが大前提になるかなと思っています。
○仁比聡平君 今のお話の上で、冒頭、早川参考人が国連の児童の代替的養護に関する指針を引いて、言わば理念を示された上で、特別養子縁組に関わる懸念ということをお話しにもなったし、今ほどの御意見もそれを膨らますもの、敷衍するものだと思うんですけれども、この国連の指針については棚村参考人、林参考人はどんな御意見でしょうか。
○参考人(棚村政行君) これ、加盟国も今百九十を超えておりますし、いろんな地域、それから文化、宗教、そういうものがあるところで、十八歳未満のお子さんで代替養育とかあるいは養子縁組についても、児童の権利に関する条約は作られたり、あるいは国連の指針みたいなものも示されています。 もちろん、これグローバルスタンダードの面もありますけれども、ただ、それについては多様性とか文化とか伝統とか、そういうところの、何というんですか、との調和というんですか、そういうようなことも言われていますので、私自身は、子どもの権利条約もそうですし国連の指針もそうですけど、グローバルに普遍的に妥当だという共通の考え方と、それからやはり国の国情とか伝統とか、それから今の法体系の在り方とか、そういうことをバランスを取りながら実際の制度化とか在り方みたいなのを検討する必要があると。 だから、目安であり、ある意味ではそれに留意する必要はあるんですけれども、これで全部枠付けられて、日本の制度が全部決まってしまうということではないという理解をしております。
○参考人(林浩康君) 文化を超えて子供が育つ場のユニバーサルなデザインみたいなものも一方で必要かなと。その一つの指針になるのは、この国連の指針かなというふうにも思っています。 子供の喪失感をできるだけ緩和する上で、子供にとってどういう選択肢をどういう優先順位でもってまず考えていかなければならないかという優先順位を、ある意味、グローバルなスタンダードとして提示してくれているというふうに思います。 これを踏まえまして、私は、社会的養育ビジョンを作るときの検討会のメンバーにさせていただく中で、ここにある優先順位ですね、先ほどから出ていますように、まず親族で、あるいは生みの親に育てられる、それが無理ならば身近な、より身近なところで親族を、それが無理ならという一応の区別化、優先順位をビジョンの中で意見として取り入れられました。
○仁比聡平君 早川参考人、そうしたお話しいただいたような理念、あるいは懸念も持ちながらこれまでずっと児童福祉の分野で取り組んでこられて、その特別養子縁組を取り組まれたというか関わろうとしたケースというのは、先ほど、有田さんでしたっけ、二歳の子供が八回も不適合だったという大きなダメージを与えてしまったというケースのことをお話しになりましたけど、ほかに特別養子縁組はこういうようなときには有効だというような御経験がおありでしょうか。
○参考人(早川悟司君) 正直なところ、私は、やっぱり立場上、ある意味偏った立場にいるわけですよね、うまくいった子たちは私たちのところに来ないというようなところもあって。ただ、若干、縁組ではないですけれども、里親委託で今うまくいっているケースは見ています。そういったケースがもう学童期になっているので、それで縁組になるとかという可能性は、今回の法改正で可能性としては開けるのかなという気はしますね。 なので、やはり私の実感としては、施設にいる子を縁組というよりは、早期に里親委託になった子が一つの選択肢としてということで広がりがあるのかなと。 ただ、正直、一個、矛盾というか引っかかりというか、私の中で解消できていないんですけれども、里親さんの中にも縁組志向が強い里親さんがいて、それは私は非常に課題だなと思っているんです。社会的養護の担い手として、実親を尊重しながら里親として実親を補完するという制度だったと思うんですけれども、今回の法改正でなおのことそこが少し不明確になってしまわないかなという懸念があるので、その辺りはまたちょっと課題として検討していただければと思います。
○仁比聡平君 ありがとうございました。最後おっしゃった点が、逆に課題にならないように、ちゃんとしていかなきゃいけないなと思います。 ありがとうございました。
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。 私、最後の質問になるわけですが、本日、参考人の皆様から大変示唆に富むお話を伺うことができまして、感謝いたしております。 まず、棚村参考人、林参考人、早川参考人に、今回のこの特別養子制度の改正の評価と課題について、それぞれお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(棚村政行君) 先ほども少し述べさせていただいたんですけれども、やはり、限られた実態調査ですけれども、父母の同意がなかなか得られないとか、それから年齢がやはり六歳未満ということで低過ぎて、特別養子にちょっとつながらなかったというものが結構出てきていまして、そういうようなことを踏まえて、それからもう一つは、やっぱり特別養子縁組の審判手続の成立が、養親となろうとする者がかなりの負担を覚悟で、プライバシーも出さなければいけないし、実親との間の対立構造みたいなのも持ちながら、非常に高い負担を、負荷を掛けられているために、なかなか、何というんですか、踏み切れない、あるいはちゅうちょすると、こういうような実情とか現状も、当事者の声を聞いたりしながら踏まえて、やはり児童相談所長みたいな人が今の虐待とかそういう親権の停止とか喪失の申立てもできるように、養子縁組でも、実親さんが本当に育てられるのか育てられないのか、同意が得られるのか、得なくてもできるんだろうかという、そういう形で負担を軽くしてあげて使いやすくしてあげると、こういう三点の点についての一歩前進ということで評価はしています。 ただ、先ほども言いましたように、議員の皆さんからも出ましたけれども、普通養子縁組みたいなものと特別養子が具体的に本当に子供にとってどっちが幸せなんだろうかとか、それからあっせんとか、それから縁組終了後の支援とか、それから、実親さんが本当に子供を育てられないためのということであれば実親さんに対する支援もやっぱりきちっとしていかないと、本来だったら育てられるのにその支援がないためになかなか難しいと、こういうような事情もあれば、実親さんに対しても養子に対しても、あるいは養親さんに対しても、継続的なやっぱり支援とか相談支援の窓口みたいなものを用意していくとか、そういうことが、特に既存の制度が縦割りでいろいろあるんですけれども、そういうものの仕組みみたいなものをうまく活用できる情報みたいなものを持っておられなかったりします。 だから、そういう意味では、今後、やはり子供の出自を知る権利とか、それから、お子さん自身がそういう意味では自分の気持ちをきちっとアドボケートされて、ある意味では伝えてもらえるような、そういう代理人みたいなものも必要になってきますし、課題は非常にたくさんあるんですけれども、取りあえずは今回の改正で必要最小限のところでとどまったけれども、これからはやはりもっともっと大きな課題は山積しているというふうに考えています。
○参考人(林浩康君) 肯定的な評価としては今言われたことですし、私自身もこの三点の改正について申し上げてきましたので、繰り返しはしません。 今後の危惧される懸念点についても、私自身、三ページ辺りから年齢の引上げによって起こる二点の懸念事項ということで整理していますので、そこを御覧ください。 それ以外を含めての課題点として、六ページ以降で三点挙げているんですけれども、私自身、どうしても縁組後の支援というと養親さんをターゲットにしてしまう、家庭訪問しても養子さんには会わずにというケースは結構あるかなと思うんですね。やはり、養子縁組の支援は養子さんを支援するんだと、養親さんの話を聞きに行くんじゃないんだと、それは一面の情報であって、あなたの捉え方でしょうという。子供の声をまず聞いてください。そのプロセスの中で、やっぱり当事者的な支援者も同行して、子供と寄り添う形で、やっぱり継続して関係を築きながら子供の声を聞いていくということが一番の支援かなというふうにも思います。
○参考人(早川悟司君) まず、評価というところでいいますと、正直、今回の、先ほども言ったように、児童養護施設の現場からはぴんとこないような部分もありましたけれども、ただ、既に養子縁組の成立している養親さんからいろいろ御相談受けたこともあるし、あるいは、少なからず、特別養子縁組後に、養親との不調で施設に来るお子さんをもう本当に少なからず見ています。自立援助ホームに行った子もいます。 そういった子たちの話も聞いている中で、やっぱり子供たちは、実親のことも知らない子たちからすると、アイデンティティーの、本当に、何というんですかね、もう根っこのない感じというか、自分はどこから来たのかルーツが分からないという、そういう漠とした不安ということも耳にしたことがあるんですね。だから、そういった、あるいは養親さんからも、やっぱり血がつながっていないからなんでしょうかみたいなことで、思春期をなかなか乗り越えられないと。そんなの実親子だってそうそう簡単なものじゃないんですけれども。 だから、そういった本当に苦労されている養親子の方々が、今まで、まあ言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、ほったらかされていたような感が正直ありますね。そういった課題についても可視化されていって、これからそういう支援が必要なんだと再三おっしゃられていますけれども、そういったことがこれから構築されていくのであればそれは評価すべきなのかなというふうには思っています。 ただ一方、課題というところでは、本当に、先ほど養育里親の件も触れましたけれども、やっぱり私が懸念するのは、もう最後なので、本当に嫌な言い方になってしまったら恐縮ですけれども、でも、里親制度も養子縁組制度も子のない大人のための制度になってしまうのを避けていただきたいと。あくまでも、ずっと言われているのは子供の福祉のため、子供の権利のためですよね。福祉のためと権利のためって、午前中何か使い分けられていたのがよく意味が分からなかったんですけれども、子の福祉と子供の権利は私は一緒だと思っているので、だから本当に子供第一で考えたときにどう制度があるべきかということを本当に第一に考えていただきたいというのがもう願いです。
○糸数慶子君 ありがとうございました。 午前中の質疑にも、政府に対する質疑でも申し上げたのですが、今回の、特別養子縁組の手続的な改正が中心になっています。そこで、実親の同意の撤回についても家事事件手続法に規定されており、撤回制限は家事事件手続法百六十四条の二の五項に該当する場合に限られていますが、むしろ民法上でその同意に関する規定を整備するべきではないかと思いますが、棚村参考人の御見解を伺います。
○参考人(棚村政行君) おっしゃるとおりだと思います。民法はやっぱり基本法で、暮らしとか家族に関する一番重要な枠組みを定めています。実親さんの権利とか地位というのも尊重しなきゃいけないんですけれども、やはり養親になろうとする人たちの立場とか、そういうことも考える。そして、一番大事なのは、さっき早川参考人も言いましたけど、子供の利益とか子供の権利というのもトライアングルで関わってきますので、そういうときに実親さんの同意について、どういう場合にはきちっと同意をしていただくんだけれども、同意が要らなくても、そういう場合には免除という不要事由としてやっぱり明らかにして、その辺りのルールが明確でないところに解釈や運用でやろうとすると、どうしてもばらつきが生じて、結果的には特別養子、行くべき者に行き着かないというようなことが起こってしまいます。 日本のやっぱり家族法や民法全体がそうなんですけれども、割合と、白地条項というので一般的、抽象的に定めて運用であとはやろうというので、改正をなかなかしないで済んだんですけれども、さすがにやっぱり百二十年以上たって明治時代のものが残っているということになると、親権という言葉もそうなんですけど、ほかの国では親の責任とか親の配慮とかそういう言葉にもう変わってしまって、体罰とかいろんなものもそうですけれども、何か、しつけとかそういうことであれば多少、何というんですかね、せっかんみたいなものも認められるような誤解をちょっと生んでいたりします。 同意の問題もまさにそうで、同意がなくてもできる場合というのをもう少し明確にしようというのは研究会、部会でも議論が出たんですけれども、それを細かくやっていると時間がもう足りなくなってしまって、もっともっと先送りになってしまうということなので、糸数議員がおっしゃるように、まだまだ課題ありますので、それをきちっと整理した上で、早急に法改正なりにつなげられるといいと思っています。
○糸数慶子君 今回、三十年ぶりに特別養子制度が見直されるわけですけれど、特別養子制度だけでなく養子制度全体として見直す必要があるのではないかというふうに思っております。 棚村参考人が今お考えになっているこの見直しの方向性、あるいは理想とされる養子制度などございましたらお聞かせください。
○参考人(棚村政行君) 日本は、先ほども言いましたように、成年養子ということで、家を継ぐとかお墓を継がせるとか、あるいは親の面倒を見てもらうという、家のため、親のための養子という色彩が、戦後、民法は大きく変わったんですけれども、家制度や家督相続を廃止したんですけれども、やはりまだまだ意識の中には残ってしまっているところがあります。 これを一挙に廃止するというわけにはもちろんいかないと思いますけど、少なくとも未成年養子について、もう少し使いやすく、しかも、いろんな幅のある子供たちの置かれた状況にぴったりしたような普通養子の在り方というんですかね、つまり、全く規制がなくて、親が勝手に代諾をして結べてしまうとか、それから、親子の関係も扶養とか相続とか二重に起こってしまうというのがある面では非常に問題があって、そういうところも改めながら、さっき、連れ子養子についてもある程度家裁が何らかの形で関与をしたりという必要性もありますし、それから成年養子なんかも、やっぱり同性婚とかも今訴訟が起こされていますから、そういうものに転用されたり、代理出産とかそういうものを、おばあちゃんが子宮のない親に代わって代理出産をしたら特別養子縁組を認めているとかですね。 つまり、親子法そのものが非常に古くなって、今の実情にマッチしないものを無理やり制度を当てはめて使ったりということで、結局、何というんですか、ある意味では継ぎはぎみたいな形でやっていることを、もう一回子供のためにとか、あるいは当事者の幸せになるためのルール作りみたいなことを検討していただけると。 養子制度もまさにそうで、古い革袋というか受皿を何とか変えながらやっているところにはもう限界や無理があるので、社会的養護という、要するに、お子さんたちが一時的に預かってくれる人、養子縁組につながる人、あるいは親族でもってきちっと守ってくれる人、そういう制度全体を子供の視点からもう一回見直すという作業が必要になってくると思います。
○糸数慶子君 もう時間もなくなりましたので、林参考人、早川参考人、言い残したことがございましたら、一言ずつお願いをしたいと思います。
○参考人(林浩康君) 私はございません。
○参考人(早川悟司君) これを機に、養子縁組の、先ほどもありましたけれども、里親制度も含めて全般的に再確認、見直しをするという契機になればいいかなと思いました。 ありがとうございました。
○糸数慶子君 ありがとうございました。 本日の参考人のお話を伺いまして、また次の委員会に是非生かしていきたいと思います。 ありがとうございました。終わります。
○委員長(横山信一君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十九分散会