法務委員会 第10号
- 発言数
- 277 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2019/04/25
会議録
○委員長(横山信一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、徳茂雅之君、長峯誠君及び東徹君が委員を辞任され、その補欠として石井苗子君、小野田紀美君及び藤木眞也君が選任されました。 ─────────────
○委員長(横山信一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長小野瀬厚君外一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(横山信一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(横山信一君) 民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○小野田紀美君 おはようございます。自民党の小野田紀美です。 済みません、早速なんですけれども、今資料を配っていただきましたが、資料を入れるのを間違えました。ハーグ条約の子の引渡しの方を載せてしまったんですけれども、私、今日はメーンにいくのは、債務者財産の開示制度の実効性の向上のところをメーンで言わせていただきます。大変申し訳ございません。 まず、冒頭申し上げたいのは、今回の改正、私、大変感謝しております。今まで、養育費であるとか八割が払っていないというような状態、民事司法に対する信頼が揺らいでいる状態の中で、改正が必要だというところになかなかメスが入らなかった、ここをえいやとやってくださったことに本当に心から感謝を申し上げつつ、ちょっとまだ穴があるんじゃないかなというところに関して、部会でもいろいろ御指摘させていただいたところを改めてお話しさせていただきたいなと思います。 まず、この今回の債務者以外の第三者からの情報取得手続の新設、例えば給与債権であるとか預金債権であるとか、これを第三者から情報取得ができるというようなのがあるんですけれども、この制度を利用しようとしたときに、現行の財産開示手続、これ今回見直されるんですけれども、この財産開示手続を経てからじゃないとこの給与債権の照会に行けないという、このワンクッションが必要だというふうに聞いております。これ、例えば、もう明らかに財産がないでしょうって、貯金とかないでしょうって分かっている人にだから給与の差押えに行くと思うんですけれども、なぜこの財産開示制度を利用手続をしてからじゃないと給与債権とかの第三者の方が使えないのか、この理由をお示しください。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 この情報取得手続によりまして情報の提供を求められる第三者は、その情報につきまして債務者に対して守秘義務を負っているものと考えられまして、原則として、その本来の目的とは異なる目的で他者に情報を提供することが制約されております。もっとも、先行する財産開示手続におきまして債務者が自分の財産の開示義務を負うと、こういうふうに判断された場合には、債務者はその情報を債権者に対して秘匿する正当な利益を有しないものと考えられますから、第三者が守秘義務を負う実質的な理由が既に失われたと評価し得るわけでございます。 そこで、この法律案では、預貯金債権の場合には、これは財産開示を前置してしまいますと預貯金が引き下ろされてしまうということがありますので、その部分は前置は要求しておりませんけれども、原則として、その第三者に対して情報提供義務を課す前提として財産開示手続を前置するということを要求することとしているものでございます。
○小野田紀美君 何かアリバイというか、こういう事態だから給与の方行きますよという説得のためにというようにもざっくり言うと聞こえたんですけれども、ここに是非時間を掛けずにいてほしいんです。お話を聞いていた、事前のレクとかで、手続を申請した時点でもう給与債権の方に行ける、一回手続さえすればいい、その財産開示手続が最後まで終わらなくても次に行けるというふうには聞いているので、だったら即行けばいいじゃんとも思っているんですけれども、一応事情は分かりました。ただ、あくまでこれが余り有効的でないから次の段階に行くというような人たちのことを考えて、割とさくさくこの財産開示手続も進めていただけたらなと思います。 続きまして、この給与債権、公的機関からの照会先が自治体とか年金機構からというふうに書いてあるんですけれども、この照会先が分からない場合はどのように調べるのか。例えば、裁判をするときに、調停するときに、住所なんか教えねえよと言って住所を教えずに逃げる人が続出しているんです。こうなったときに、例えば民事裁判だと、公示送達によって周知して判決が出たというような場合は、結局最後まで住所も分からないまま裁判の結果が出ますよね。そうなったときの強制執行の照会先の市町村、これどういうふうに調べるのか、調べられるのか、お答えください。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 その給与債権に関する情報取得手続、例えばその養育費などの債権者が申し立てることができるわけでございますが、そういった場合にその債務者の住所が不明である場合には、例えばその債務者の住民票ですとか戸籍の付票の写しを取得するなどしてその住所を調査することになると考えられます。 また、あくまでもこれ一般論でございますけれども、債務者の現在の住所を特定しないままこの情報取得手続の申立てをして、その申立ての後に執行裁判所に対して調査嘱託によって債務者の住所を調査することを求めるといった対応を取ることも考えられるところでございます。
○小野田紀美君 住所が分からないことの前に、住民票の場所が分からないという人もいるんです。 例えば、結婚していたときに同じところに住んでいたと、S市に住んでいた。離婚したときに、さあこれを取得を求めようと思ったら、既にその人そこの住民票ないですよって言われて、住民票がどこにあるのかを調べられないという場合もあるんです。その場合はどうなんですか。それも、調査嘱託で分からない場合。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 住民基本台帳法によりますと、住民票ですとか戸籍の付票には個人の氏名とか住所が記載されることとなっております。ですから、ある一定の時点での住所が分かりますれば、その時点での住民票ですとか、あるいは、例えば離婚をされたような場合ですとその相手方の本籍が分かると、こういうような場合ですと、その戸籍の付票を取りますと、その住所の推移といいますか、そういったことで現在の住所にたどり着くということも可能ではないかなと思うところでございます。
○小野田紀美君 ありがとうございます。 ということは、その住所、住民票を一回でも置いてあった場所が分かるのであれば、本籍も調べてそこから住所を追うことができるということなんですね。私、事前にいろいろ話している状態だと、住民票があった場所に行きましたけど、今もういないですねと言われたら、そこの自治体が、じゃ、うちからここに転出しましたよという情報は得られるんですかと言ったら、それは得られないって聞いたので意味ないじゃんと思ったんですけど、そこは、じゃ、本籍の方まできちんと調べて現住所まで調べられるという御答弁でよろしいですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 住民票を、ちゃんとその転出先といいますか、そこで住民登録をしているということになりますれば、その住民票から転出先ということは分かろうかと思います。
○小野田紀美君 安心いたしました。 その住民票を、ここにあったんじゃないかというところから逃げたとしても、それを公的機関の方で追ってくれるというのであれば、これは少し機能していくのかなというふうに思います。 預金債権についてなんですけれども、どんな銀行を調べるのか。例えばネットバンキングも調べられるのか、海外のものはどうなの。そして、その手続に債権者が負担する費用と期間、お示しください。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 この預貯金債権の情報提供の手続の対象となる銀行でございますけれども、我が国において預貯金の受入れを含む銀行業を営む者であれば結構でございますので、このような銀行に当たるものであれば、ネット銀行のように、ネットバンキングのように実店舗を持たない銀行についても対象になるということでございます。 その費用でございますけれども、まずはその申立ての手数料として千円が掛かることになります。それからまた、いろいろ書類等を送るための郵便切手代、郵券として実費の相当額、これも掛かります。また、情報提供を命じられます銀行等に対しましては、最高裁判所の規則で定める額の費用等を支払う必要がございます。これらの総額につきましては、一概にお答えすることは困難でございますけれども、例えば一つの銀行における預貯金債権に関する情報取得をしようとする場面を想定しますと、大体数千円程度になるものと予想されます。 それで、その情報取得手続に要する期間でございますけれども、なかなかちょっと確たることを申し上げるのは困難でございますけれども、今、預金の差押えがされますと、銀行の方からその預貯金債権の存否について二週間以内に陳述すべきとなっておりますので、大体これと同じぐらいの期間になることが見込まれます。
○小野田紀美君 ありがとうございます。 ここで私が引っかかっているのは、最初の千円以外のその実費負担なんです。一つの銀行ごとに数千円掛かるだろうと言われたときに、どこの銀行を調べますかというのを指定しなきゃいけないのは債権者なんですよ。 なので、例えば三井住友を調べてくださいと言った、なかった。りそな調べてください、なかった。そのたびに数千円が掛かるんですね。日本に一体どれだけの銀行があるのかって考えたときに、それを意図的に隠そうと思えば幾らでも隠せるんじゃないのかというのが私は引っかかっているんです。 例えば、山下大臣だったら、中銀だって知っていますしトマト銀行だって知っていると思うんですけれども、岡山の、皆さん御存じですかといったら、多分知らないと思うんです。そういったところにじゃ意図的に移せば、そこを指定されないと隠せるということで、ここで私は早く銀行の口座とマイナンバー、ひも付けしてくれというふうにずっと訴えているんですけれども。維新さん、ありがとうございます。なので、そういうことも踏まえて、実効性を確保するために、この預貯金のやつもいいんですけれども、実際に逃げ道が用意されているんじゃないかと、これを埋めるようにこれから制度上努力してほしいんですが、マイナンバーとのひも付けや活用、お考えをお聞かせください。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 金融機関の方で預貯金債権に関する情報をマイナンバーにひも付けて管理するためには、その前提として、金融機関が預貯金者から確実にマイナンバーの提供を受けることができるようにする必要がございます。この問題につきましては、マイナンバーの施策全体に関わる問題でございまして、関係省庁において、国民の理解を得つつ、様々な観点から検討されるべきものであると考えております。
○小野田紀美君 なので、私はもう婚姻届にマイナンバー書くようにしてくれというふうにお願いをしているんです。それはほかならぬ子供たちのためにです。そうでもしないと追っかけられないんです。八割の子供たちがお金をもらえていないんですよ、養育費。 そのことを踏まえて、このマイナンバーは社会保障と税とあと災害対策にしか使えないという法律になっていますけれども、例えば自治体の条例で児童手当なんかは使えるようになっていますよね。そういったように、児童に対する福祉、厚生労働の部分だと私は思うんです、養育費ですから、教育費じゃないから。そう考えたときにこれは十分活用できるところだと思うので、今後是非検討いただきたい。 そして、ちょっと話が変わりまして、資料、今日お配りした三枚目、ハーグ条約に関して、子の引渡しに関する質問を私ではなくて徳茂先生が集中的にやってくださるということなんで今回言っていないんですけれども、ハーグ条約には、実は今回条約締結していないものがあったんです。それが国際的な養育費についてなんです。こっちは日本やらなかったんです。ハーグ条約の方を何でやらなかったんだと聞いたら、外国に対する強制執行はちょっと厳しいとかとおっしゃるんですけれども、子の引渡しはやるわけですよ、強制執行。 以前、上川大臣の答弁で、昔はやらなかったけれども、国際結婚や離婚が増える中でこの子の引渡しのハーグ条約を締結したという御答弁があったんです。ちなみに、国内の事案においての子の引渡し強制執行の完了率は五割です。養育費の執行の完了率は二割です。そう考えたら、これも国内法との相違があるとか言いますけれども、力を入れて、条約して、国内法もしっかり整備すべきだと思うので、なぜこれを条約結んでくれなかったというふうに私はちょっと憤りを感じております。 私事で恐縮なんですけれども、私の父親は二歳のときに蒸発しまして、アメリカ人だったんですけれども、当然追えません。私は一銭も父から養育費を受け取っていません。母は相当な苦労をして私を育ててくれました。きちんと子供に対する養育費が払える状況を確保できていれば、今涙を流さなくていい子供たちが多分たくさん出てくると思うんです。だって、八割もらえていないんです。 国際結婚が増える中で、このハーグ条約の養育に関わる部分、扶養料に関わる部分も是非私は検討すべき価値がある、意味があると思うんですが、いかがお考えでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 今委員御指摘のいわゆるハーグ国際扶養条約と呼ばれている条約でございますけれども、これは国境を越えた親族間の扶養料、特に親から子に対して支払われるべき扶養料の回収を容易にしてその実効性を確保することを目的とした条約でございます。 ただ、この条約では、先ほどちょっと委員からの御指摘もありましたが、例えば二十一歳未満の子に対する扶養に関しては、原則として、扶養権利者によってされる全ての申立てについて無償の法律扶助を提供しなければならないなどとされておりますが、扶助を行うかどうかについて一定の資力要件を設けております我が国の民事法律扶助制度とは異なる面がございます。また、この条約によりますと、ある締約国においてされました扶養料の支払を命ずる決定につきましては、裁判所による確定前の裁判ですとか、あるいは行政当局がした決定も承認、執行の対象となっておりまして、この点でも我が国の法制面とは異なる面がございます。 このようなことから、この条約に加盟することの当否につきましては、諸外国の締結状況も注視しながら、他国でされた決定に基づいて扶養料を回収すべき事案がどの程度見込まれるかといった点も含めまして、慎重に検討する必要があるものと考えております。
○小野田紀美君 今、大分できない理由も書いてあるんですけれども、他国でそういう例があるのも踏まえてと言ったんですけれども、子の引渡しの方はちゃんと調べて、どういう、どれぐらい事案があるのか調べて、で、やる意味があるねと、国内法がちょっと合わないから国内法を変えようねとしているのに、何で養育費の方の調査すらしてないんだというところに私はすごく怒っているんです。なので、子供たちのためというのはどっちも変わらないことです。親と会うこと、そして生きるためのお金をもらうこと、どちらも必要なので、今現在できない理由を言うのは、もちろん現状把握で必要ですけど、じゃ、それをどうすればこれに批准できるのかという前向きな考えを是非いただきたい。 大臣、済みません、お待たせいたしました。 判決が出ても実効性がないという状態が続いてきたわけです、この民事執行、民事裁判のその執行、強制執行するよといってもできない。これに対して、日本の民事司法への信頼が、やっぱり、もうどうせやったって、結論出たって、強制執行命令出たってもらえないじゃないか、裁判なんて意味がない、法律なんて意味がない、そういうふうな司法への信頼がなくなるというのは重大な危機だと思っています。 なので、信頼される司法のためにこれからも民事執行法制を改善していくんだという全体的な大臣の御決意をお願いします。
○国務大臣(山下貴司君) 御指摘のとおり、勝訴判決を得た者の権利が確実に実現されるよう民事執行制度を整備することは、国民に身近で頼りがいのある司法の実現にもつながるものであり、極めて重要なものであると考えております。 本法律案においても、このような観点から、債務者の財産状況の調査に関する規定を整備するなどの見直しをしており、これにより、例えば養育費の履行確保が容易になるなど、今般の改正の意義は大きいものと考えております。 今後も、社会経済情勢の変化や、今回の改正後の実務の運用状況等を踏まえ、関係機関等の協力を得ながら、適切に機能する民事執行法制の実現に向け必要な検討をしてまいりたいと考えております。
○小野田紀美君 力強い御答弁をありがとうございます。 スペシャリストである山下大臣だからこそできることが私はたくさんあると期待を申し上げておりますので、できればもう一期ちょっと大臣やっていただいて、変えるべきところは全て変えていっていただきたいなという個人的な願いも申し上げておきます。 いろいろ申し上げたんですけれども、やはり今の段階で穴があるということは事実なわけで、今回いろいろ穴を指摘したいと言ったら、それは抜け道を教えることにもなるんじゃないかという御意見もあったんです。しかしながら、探す人は抜け道を探すんです。なので、ここで私が言おうが言わまいが、逃げようと本気で思っている人は逃げるんですよ。だからこそ、私たちが必要なことは、法律がしっかり穴のないように埋めていく、この作業がどうしても必要になってくるわけです。 特に、今日は養育費のことばかり申し上げましたけれども、衆議院の方の附帯決議で、その六に、公的機関による養育費や犯罪被害者の損害賠償に係る請求権の履行の確保に関する諸外国における法制度や運用状況に関する調査研究を実施し、我が国におけるそれらの制度の導入に是非について検討を行うように努めることというふうな附帯決議もございます。 これ非常に重要な御指摘でございまして、海外だと、例えばアメリカだと、州をまたいで逃げても、それはもう公的機関が州をまたいで追っかけます。どこに住んでいるのか、どういう仕事に就いているのか、追っかけます。払わず逃げたらパスポート停止であるとか、運転免許の取上げであるとか、そういうふうに厳しい罰則もございますし、また、国が税金のように養育費をその人から徴収して、そして国から支給するというようなシステムを取っているところもあります。養育費庁みたいなところがあるところもあるんですね。 これは、これから、今、一人親家庭の貧困の問題、大変問題になっております。お母さんの母子家庭も父子家庭も同じ苦しみを味わっているんです。 この離婚のいざこざで、ハーグの子の引渡しの方もそうですけれども、困るのは、両親も困っているかもしれないけど、一番つらいの子供たちなんですよ。自分に何の責任もないのに食べるお金がない、暮らしていけない、会いたい人に会えない、これは何としても避けなければならない悲劇だと思っておりまして、私たちの日本で暮らす子供たちが、実効性のあるきちんとした養育費をもらって、健やかに育って、将来の夢を見ていけるような法律に変えていくのが私たちの仕事だと思っておりますので、ありとあらゆる今後の、何というんでしょうね、制度の改革も踏まえて、これはあくまでゴールではなくてスタート、第一歩を進んでいただいたことは心から感謝申し上げますけれども、じゃ、この制度で取りあえずは、きちんと子供たちにお金が行くようにして、でも、それでも養育費の支払率が二割から四割に上がったかなとか三割に上がったかなぐらいなのであれば、残り半分の子供たちを救えるという制度をつくるということに御尽力いただきたいとお願いを申し上げます。 急いだら一分余りまして、一点だけ、じゃ、追記で、質問じゃなくて、ちょっと御心配されていらっしゃる方がいたんです。この財産開示手続って、一回同じ人にやると三年もうできないんですよ。なので、財産開示手続をした、この給与債権とかの方に手続をしたその後に転職して、みんな簡単に転職なんかできないと言いますけど、簡単にできますから、トラックドライバーとかぽんぽん変わりますし。そうなったときに、転職した後にもう一回財産開示手続をするとなったら三年間できなくなるから逃げられるんじゃないのと御心配されていた方いたんですけれども、今回のことに関しては、三年間は、次の段階に行く、給与債権に行く手続のための前段階の財産開示手続は三年間有効ですので、そこは御心配なくということだけ申し上げて、質問を終わらせていただきます。大臣、よろしくお願いします。
○小川敏夫君 立憲民主党の小川敏夫です。 まず、財産開示制度あるいは情報取得制度についてお尋ねしますけれども、申立てできるのが債権者ということでありまして、債権者には、今お話があったような養育費の支払を受けられないというような債権者もいますし、あるいは犯罪被害者のように賠償金を受けられないという債権者もいると。しかし一方で、町金融の金貸しも債権者、あるいは債権の買取り・取立て会社も債権者。今度の法律は、本当に必要としているようなところ、あるいはお金を払わないことが正義に反するようなという要素が強い養育費とか犯罪被害者に限定していれば、私、何の異論もないんですけども、しかし何の限定もしていないと。ですから、この法律ができて一番喜ぶのは悪質金貸しであり、あるいは債権買取り・取立て会社、サービサーともいいますけどね、だというふうに思います。 どうでしょう、その中で特に、またこれまでは、判決といって裁判所の判断を得た債権者だけが財産開示制度を利用できるというものを、今度は裁判所の判断も経ていない公正証書だけでも申立てができるということになっている。どうでしょう、これはかなり債権者に、特に町金なんというのは、大体金貸すときに公正証書作成の委任状なんか取ったりして、ほぼ自由自在に取得することができるということで、こうした町金とか、あるいは二束三文で債権を買ってきて、それで取り立てて利益を上げているような債権買取り・取立て会社が相当な利益を得るんではないか。債務者を困らせる場面があるんではないかというふうに思うんですが、大臣、所感はいかがでしょうか。
○国務大臣(山下貴司君) まず、財産開示手続に関する規律を見直した理由につきまして、現行の財産開示手続は、これはその利用が低調でございまして、必ずしもその実効性が十分ではないと、債務者の財産状況を調査するという制度目的を十分果たしているとは言えないという現状がございます。 他方で、今回、財産開示手続の申立て権者の範囲を拡大いたしましたのは、現行制度が創設された平成十五年当時につきましては委員御指摘のような状況がかなり厳しくあったわけでございますが、最近においては執行証書等に基づく強制執行をめぐる社会情勢に変化が見られたと。具体的には当局から答弁もさせますが、強制執行と財産開示手続との間でその申立てに必要とされる債務名義に差を設ける合理性が乏しくなったこと等も考慮いたしました。 そこで、本法律案では財産開示手続の申立て権者の範囲を拡大し、債務者が手続に違反した場合の罰則を強化することにより、財産開示手続をより利用しやすく、実効性の高いものとしたわけでございます。
○小川敏夫君 また観点を変えて質問しますけど、憲法では黙秘権というのがあって、非常に公益性が強い犯罪の捜査という場面におきましても、被疑者には自己に不利益なことを供述する義務がないという形で黙秘権というものも保障されていると。 今度の法律の場合は、そのような犯罪捜査のような公益性がない、言わば私人と私人との貸し借りでしかないものについて、一方の当事者に対して刑罰まで科して自己に不利益なことを述べなくてはいけないということを課すのは、これは憲法の精神に反するんではないかというふうに思いますが、大臣の所感はいかがですか。
○国務大臣(山下貴司君) これは単なる民民の関係ではなくて、これは債務名義という実体、本案審理における裁判所の判断を得ているわけでございます。そして、その裁判、司法判断をどう実現するかという段階のものでございますので、それについて虚偽の陳述をした、あるいはそういったものに対して罰則を科するというものは、これは司法の実現という観点から、必要な場面においては必要なのではないかというふうに考えております。
○小川敏夫君 司法の判断を得たものについてということについて、まあ大臣の所感ということだから、それはそれでいいですけれどもね。 では、司法の判断を経ていない公正証書の執行文についてはどうですか。
○国務大臣(山下貴司君) これ、債務名義という制度、その権利実現のための民事訴訟の制度全体に関わる問題であろうかと思います。 そして、いわゆる執行証書に基づく強制執行を認めている現状にある、そして、そうした公正証書について債務名義として認めているというふうな日本の民事司法制度を前提にいたしますと、これについて、例えば今法案においてこの開示制度を認めるということで拡充するということについては、私は正当な理由があるのではないかと考えております。
○小川敏夫君 いや、公正証書というのは、ですから、じゃ、一つの例言いましょう。町金がお金貸すときに、じゃ、公正証書作るから、委任状もよこせ、印鑑証明もよこせといって、それを受け取っておけば、その委任状を使って自分の手下を代理人立てて公正証書なんてできる、作れるわけで、これが執行証書の一つなわけですよ。 そうすると、大臣は言われた、司法が判断したものを実現しないというのはおかしいから実現するんだと言うけれども、そこには司法の判断はないんですよ。まさに民民でしかないというときに、一方当事者について財産を洗いざらい話さなくてはいけないと、話さなければ懲役六月以下の刑罰だと。これまでは刑罰ではなかった、過ち料の過料であって刑罰ではなかったものを、今度は刑罰をもって科すというのは、私は、重ねて言いますけれども、刑事訴訟法で黙秘権を認めたというようなこうした観点、あるいは個人情報の保護というような観点から問題があるんではないかと指摘しておるわけです。 大臣は司法の判断を受けたものについては実現するというふうに言われたので、ですから、司法の判断を受けていない公正証書についてまで認めたことについてはどうなのかとお尋ねしたわけです。
○国務大臣(山下貴司君) 二つございまして、まず一つは、執行証書の対象となっている権利関係に争いがあれば、債務者が請求異議の訴えを提起するとともに、執行停止の裁判を申し立てて財産開示手続の執行を阻止することができるということになっております。したがって、異議があればそういった手続を取ることができるということが一点。 二つ目は、先ほど小川委員御指摘の貸金業による悪用事例に関しましては、平成十八年の貸金業法改正により、貸金業者が債務者から執行証書の作成に関する委任状を取得することが全面的に禁止され、貸金業者による執行証書の悪用事例が大きく減少しました。一方で、近年においては、離婚した夫婦間の養育費の支払を確保するために執行証書の活用が推奨されるなど、執行証書等をめぐる社会情勢にも変化が見られたというところでございます。 そうした趣旨から、今回、債務名義の拡大をさせていただいたというところでございます。
○小川敏夫君 この点については、また日を改めて細かく議論したいというふうに思います。 まず、今日は、子供の引渡しの強制執行についてお尋ねしますけれども、債務者が不在でも執行できるということでした。そうしますと、例えば学校帰りの、小学校一年生の学校帰りの児童を公道上で執行することが、これは法律上できるんでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 この法律案では、執行官が債務者の占有する場所以外の場所で強制執行するためには、執行官が子の心身に及ぼす影響、当該場所及びその周囲の状況その他の事情を考慮して相当と認めるべきでなければならないというふうになっております。 その公道や公園において強制執行することでございますけれども、一般論としては今申し上げましたとおり可能ではございますが、自動車の通行等に伴う危険の有無、程度のほか、近隣の者の目に触れる可能性や、あるいは子のプライバシーや心身への影響等の具体的な事情を考慮してもなお相当と認めることが必要となりますので、実務的には極めて慎重な運用がされるものと考えられます。
○小川敏夫君 法律上できるということですよ。そのことを確認したかったし、そのことを問題としたかったわけであります。慎重な運用をするだろうからといっても、果たしてそれがいいのかどうか、私はかなり疑問に思います。 これ、債権者がいないと執行できないという制度を利用して、子供を引き渡したくない人が、殊更、債権者自身がそこを不在にしてしまう、逃げてしまうというようなことで執行ができないというような状況を踏まえてのことだと思いますが、私は、そうして何としてでも子供を引き渡したくないという人は、別にほかに方法があればいろんな方法を使うので、余り実効性がないというふうに思うんですけれどもね。 今日、最高裁、来ていただきました。近年、子の引渡しの執行事件について、大体どのくらいの件数があって、そしてその執行ができなかった、不能はどのくらいの割合になるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。 平成二十九年及び平成三十年における実施状況についてお答えいたします。 平成二十九年に執行官に対して申し立てられた子の引渡しの強制執行の既済事件数は百七件でございました。このうち、三十五件が執行完了で終局しまして、四十六件が執行不能で終局しておるという状況です。 次に、平成三十年でございますが、既済件数は八十三件ございまして、このうち三十件が執行完了、三十五件が執行不能で終局しております。
○小川敏夫君 そのほかに執行が見込みがないから取り下げてしまうというのもあるんだと思いますけれども、三割ぐらいが大体執行が完了していると、平和に引渡しがなされたということでしょうけれどもね。それ以外は、かなり債務者が執行を、つまり子供を渡したくないから、いろいろ知恵を絞ったり何か行動に出たからできなかったということが考えられるわけであります。 それで、しかし、どうなんでしょうね、やはり債権者がいないとき、ああ、失礼しました、債務者がいないとき、その債務者不在のときを狙って執行するということを全く広範に認めてしまっていいのか。特に、住居でもない場所でも法律上できるということであると、そこまで広げる必要があるのか。 特に、こういうような改正しても、私はできない場合はできないと思うんですよ。例えば、債務者が子供は絶対渡さないと言って、もう子供を抱き締めてしがみついて放さなかったときに、これ執行できるんでしょうか。私は、執行官が実力を行使できるといっても、子供に対しては一切実力を行使できないわけでありまして、そうすると、子供にそうした影響が及ぶような実力行使はできないと。そうすると、債務者がもう抱きかかえて絶対放さないと言って放さなかった場合には執行不能になるようなことが多いんじゃないかと。 これまでは、債務者がいなければ執行できないから債務者はさっさと逃げていっちゃうと、渡したくないという知恵を考えた人は逃げていっちゃうということであったけれども、これからはそういう方法が通用しないならほかの方法を考えるということで、結局、どうしても渡したくない人が知恵を絞ればやはり執行はできない状況だと思うんでね。そういう中で、子供が住居でもないところで一人でいるときに執行できるということを認めるのは、私は逆に弊害も多いんじゃないかというふうに思います。 別の質問しますけれども、執行官は子供がいるかどうかを家の中を捜索できるというふうになっておりますが、執行補助者もそうすると執行官の指示に従ってできるわけですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 執行補助者の方も執行官とともに立ち入るということは可能でございます。
○小川敏夫君 ですから、執行補助者といっても、それは何の資格もない、ただ執行官が補助として使えばいいと。まあ、実際の実務は執行屋から連れてくる労務者なんですけれどもね。 じゃ、家捜しするために、執行官一人が家の中捜索するといってもなかなかできにくいでしょうから、今度は執行補助者を連れていって何人もで家捜しするようなことになるんじゃないかと思うんだけれども、そこまで認めるのが果たしていいのかどうか、認める必要があるのかどうか、それに伴う様々な弊害があるんではないかというふうにも思いますが、どうなんでしょうかね。私はそういうふうに、余り賛成できないように思っているんですけれども、でも、それは裁判所の決定に基づいた子供の引渡命令を実現するために必要だというんだったらそれでいい、そういう答弁でしょうから、まあいいです。 例えば、債務者がいないときに執行するといって、これ、債権者も立ち会うことになっているけれども、債権者は代理でもいいんですよね。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 裁判所の許可を得ればその代理ということでございます。子供に不安を与えないような、そういったようなことができるようなそういう知識ですとか経験を持っている、そういったような代理人であればいいということになります。
○小川敏夫君 債務者がいないときに、赤ん坊が二人いて取り違えたりしないんですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 そこは、先ほど、代理人につきましても一定の知識、経験があるということが要件でございますので、そこは個別具体的な場面の運用で適切にされるものと考えております。
○小川敏夫君 いや、知識、経験があるといったって、知識、経験じゃないんですよ、子供が判別できるかどうかでね。 たまたま、じゃ、双子がいたときの一人とか、あるいは、債務者はいないけど、あるいは隠れちゃって、だけど、たまたまそこにお姉さんの子供が、同じ年頃ぐらいのお姉さんの子供がいたりしたとか何かあったり。あるいは、学校から帰る途中の子供を、親がいなくたってできるというときに、別に特別な経験、知識は要らないですよ、その子に間違いないということが、債権者なら親なんだから多分かなりの程度間違えないで済むけれども、これを代理人に認めたら判別できないで間違えて連れていっちゃうようなこともあり得るんじゃないですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 実際にその執行官が強制執行する場合には事前にいろいろ債権者等と打合せをいたしますので、そういう点でその子に関する情報を得ることができますし、先ほど申し上げました知識、経験を有する者といいますのは、例えばやはり親族の方、例えば債権者の親とか、そういった方が典型的に想定されるところでございます。
○小川敏夫君 この点について、執行の実効を高めるためだから、そんなにいきり立って反対することはありませんけれども、だけど、やはり債務者がいないときに執行できると、法律上は住居じゃなくても公道上でもできるというようなことですと、実際の運用面においてやはり債務者に必要以上の不利益を与えるとかそういうことがないように、あるいは子供の心身に影響がないようにということの運用上の配慮がとりわけ必要だというふうに思うんですよね。 ですから、そうしたことについて、これ実際に行う裁判所の方はその点重々注意して、そうした弊害が生じないようしっかりと運用に努めるということをお約束していただけますか。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) 子の心身へ悪影響を及ぼしてはいけないというのは委員御指摘のとおりだと思いますので、その点についてはそのようなことがないように努めてまいりたいと思います。
○小川敏夫君 終わります。 ─────────────
○委員長(横山信一君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、小野田紀美君が委員を辞任され、その補欠として徳茂雅之君が選任されました。 ─────────────
○櫻井充君 国民民主党・新緑風会の櫻井充です。 まず最初に、不動産競売における暴力団員の買受け防止方策についてお伺いしたいと思いますが、何かこれ、極めて当たり前のことだったように思うんです。今更なのかという感じがするんですけど、どうしてこれは今まで制度化されていなかったんでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 この民事執行法ができた当時は、競売で問題になっておりましたのは、悪質な競売ブローカーが一般人の売却場への入場を妨害する、こういったようなことが問題視されておりまして、売却場の秩序維持をするなど自由かつ公正な競争環境を整えること、こういうことが主眼に置かれていたということで、暴力団員であること自体による買受け制限という、そういったことが問題視されていなかったということでございます。 ただ、近年、公共事業ですとか民間の暴力団排除の取組が行われていると、そういうことを踏まえて、今般、こういった見直しをしているものでございます。
○櫻井充君 競売物件というのは割安で買えるわけですよね。それ、そういう認識でよろしいんでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 なかなかこれもケース・バイ・ケースでございまして、最近は価格も上がっているというようなこともございますけれども、一般的にはそういったような傾向もあろうかと思います。
○櫻井充君 お願いですから、一般的にはその傾向があるようでございますだけにしてもらえますか。これ何回もお願いしているはずです。前振り要りませんから。聞いたことに端的に答えていただきたいと、そのことだけお願いしておきたいと思います。 そうすると、元々こういうところで利益を出しているとすると暴力団の資金源になるわけであって、そもそも問題視されなければいけなかったと思うんですが、改めて、なぜそういう点が問題視されなかったんでしょう。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 繰り返しになりますけれども、民事執行法ができた当時は、売却場の秩序を乱すということが問題視されていたということに、そこのためにその規定をしていたというところでございます。
○櫻井充君 要するに、そうすると、この点については問題視されていなかったということなんだろうと、そういう答弁なのかと思います。 そうしてくると、今度はトンネル会社、仮に、じゃ、暴力団が直接その買受けができなかったとしても、トンネル会社をつくって、更に暴力団に行くようなことになるということは、彼らもすごく賢くなっていますから、そういう方法というのもあり得るんじゃないかと思いますが、これはどうやって制限するんでしょう。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 この法律案では、暴力団員などの計算において、すなわち、例えばそういった者から資金の提供を受けて買受けの申出をした会社についても、同様に不動産の買受けを制限することとしております。
○櫻井充君 それは具体的にどういうふうにして制限するんでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) まず、執行裁判所において、自己の計算において最高価買受申出人に買受けの申出をさせた者があると、こういうふうに認める場合には、その者が暴力団員等であるかどうかについて都道府県警察に照会をして、暴力団員等だということが分かった場合には売却の許可をしないということになります。 また、買受けの申出の際に、暴力団員等の計算において買受けの申出をする者ではないといった旨の陳述をしていただくことになっておりまして、もしそれが虚偽だったということになりますと刑罰が科されますので、それによる抑止的な効果もあるということでございます。
○櫻井充君 なるほど。そうすると、そこのところに罰則があるから、それで担保されるということでこういう制度になったということでよろしいんですよね。はい。 それでは、あと、今度、子供の件についてまずお伺いしていきたいと思いますが、ちょっと質問の通告の順番逆になりますが、今、一人親世帯の貧困率というのは一体どのぐらいなんでしょうか。
○政府参考人(椿泰文君) 厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、平成二十七年のいわゆる一人親世帯の貧困率は五〇・八%となっております。
○櫻井充君 一般の貧困率、社会全体としての貧困率は何%ですか。
○政府参考人(椿泰文君) 同じ調査による相対的貧困率は一五・七%になっております。
○櫻井充君 この差は一体どこから出てくるんでしょうか。 父子家庭の場合と、それから母子家庭の場合での貧困率が分かれば教えてください。
○政府参考人(椿泰文君) 申し訳ありませんが、父子家庭と母子家庭別の貧困率は持ち合わせておりません。
○櫻井充君 持ち合わせていないということは、今ないんですか。データはあるけれど今ない、それともその調査をしていないということでしょうか。
○政府参考人(椿泰文君) 厚労省の国民生活基礎調査において、そのような調査をしておりません。
○櫻井充君 どうしてそういう調査をしないんですか。これってすごく大事なことであって、ちょっと聞いて、いい、大事なところなんだよ、悪いけど、ちゃんと聞いてもらいたいから。 いいですか。母子家庭の方が収入少ないんですよ。父子家庭の方が収入多いんですよ。ですから、例えば養育費の問題にしても、自分自身の収入で何とかなるから養育費の取決めしませんというのが父子家庭の方は高いんですよ。母子家庭の方は、自分の収入ではとてもやっていけませんという人たちが大半なんですよ。 であったとすれば、ちゃんとそこの問題点を解決するためにはそういう分析する必要性があると思いますが、その点についていかがですか。
○政府参考人(椿泰文君) 現状の国民生活基礎調査においては、母子家庭、父子家庭別のデータを取り分ける仕組みに今なっておりませんので、今後、必要なことについては検討してまいりたいと考えております。
○櫻井充君 いや、ちょっと待ってくださいよ。今までの制度は制度で、問題だから言っているんですよ。ここをやらないと、ちゃんとした分析できませんよ。ここの問題をどうやって解決していくのかということについては、きちんとした分析をしないとできませんよ。 調査してくださいよ。調査していただけませんか。
○政府参考人(椿泰文君) 先生の御指摘も踏まえまして、今後、必要な分析ができるように調査方法についても検討してまいりたいと考えております。
○櫻井充君 ちゃんと検討してほしいんです。 そして、一人親世帯の中で問題視、もう一つあるんですが、学歴は一体どういうふうになっていますか。
○政府参考人(椿泰文君) 国民生活基礎調査において、一人親世帯の学歴につきましてはデータは取っておりません。
○櫻井充君 済みませんが、それは厚生労働省のデータにはないんですよ。でも、私は、何の調査だったか忘れましたが、ほかの調査で見たことがあります。ちなみに、僕の記憶が正しければ、高校中退、正確に言うと多分高校中退だと思います、中卒ではなくて、できちゃった婚の人たちが結構多いので、三割から四割が実は中卒なんですよ。 そうだとすると、残念ながら、今は学歴要件を掛けていないとはいっても、一般の事務職には就けないんですよ。正規の職員になかなかなれないんですよ。こういう人たちがどこに行っているかというと、夜の世界に行くとか、あとはコンビニなどのパートで働くとか、エステ業界に行くとか、何らかの中卒だから資格が取れるようなところとか、そういう世界に行かざるを得なくなってきていて、収入が非常に低いわけですよ。 これ、御存じかどうかは分かりませんが、僕はずっと厚生労働省とこの問題について話をしていて、できれば、通信制とかそういうことでいいので、何とか高卒の学歴を取らせるようにしてくれないかというお願いをしているんです。そうしないと、いつまでたっても貧困から脱出できないんですよ、この人たちは。一方で、大卒の母子家庭の方とお会いした際に、大変ですねと言ったら、いや、私は大卒で定職があってそこそこの収入があるから何とかやっていますと、そういうお話されているんですよ。 私が調べている範囲でいうと、この学歴要件は非常に大きな問題であって、厚生労働省の取組は何かというと、ユーキャンみたいなような資格を取れるようなところの補助金を出すと。非常に不確実な方法なんです。そして、これで利益を出すのは、何というんでしょうか、勉強させるところだけであって、実際取れるかどうかは分からないんですよ、大検を取るための仕組みであって。 そういう意味合いでいうと、ずっと母子家庭だからといって補助金を出すようなやり方ではなくて、こういう状況のときにちゃんと学歴を付けさせるような根本的な解決策をやらないと私は良くならないと思っていますが、いかがですか。
○政府参考人(椿泰文君) 先生の御指摘も踏まえまして、どのような方法で調査ができるか、検討してまいりたいと考えております。
○櫻井充君 調査はあると思いますよ。私は、資料を見たこと、ちょっと済みません、今手元にないので、見たことがあるので、まずそれで見てほしいと思うんですよ。 ここの学歴などについて、一体誰がやってくれるんでしょうか。つまり、先ほどあったように、まず、これ、大臣、所管外かもしれません。でも、今ここに来ていて、養育費の支払とかいろんなことがあるので関係されると思うから、是非政府の一員として考えていただきたいことなんですが、父子家庭と母子家庭はやっぱり違うんですよ、収入が。母子家庭の方が圧倒的に少ないです。その母子家庭の中でも、収入の高い人と低い人たちがいます。その人たちがどういうことにあるのかというバックグラウンドを全然調べていないんです。調べていない中でやってきているから、うまくいかないんです。 そして、そこの人たちに対してちゃんと養育費の支払をしてくださいねということをきちんとやっていかないと、子供たちが犠牲者なんですよね。離婚してほしいなんて子供たち思っていませんから。親が勝手に結婚して、親が勝手にけんかして、親が勝手に離婚していって、そこに自分たちが望んでもいなくて生まれてきて、その子たちが犠牲になるんです。この人たちをどういうふうにして助けていくのかというのが今回のこの制度だと、そう思っています。 そういう意味で、大臣、これ、養育費の支払というのはどの程度まで引き上げていこうとお考えなんですか。
○国務大臣(山下貴司君) 養育費の支払につきましては、それは個々の家庭の状況、あるいは親ですね、養育費を負担する者の資力によって異なるということで、一概には言えないということで御了承いただきたいと考えております。
○櫻井充君 それは個々人のことなのかもしれないけれど、でも、子供の養育費の問題も全部含めてですよね、今回は。違いますか。
○国務大臣(山下貴司君) もとより子供の養育費のことではありますけれども、それが具体的にどれぐらいの金額が適切かというふうなことにつきましては、残念ながら具体的な御答弁ということはできないというところでございます。
○櫻井充君 額はしようがないんです。それは、年収一千万の人と年収三百万の人では別ですから、それはそれでしようがないことだと思うんです。 だけど、養育費の支払率を上げるというのは、これはどこの仕事になるんですか、じゃ。今、要するに、養育費の取決めすらしていない人たちがいっぱいいるわけでしょう。取決めをしても支払わない人たちもいるんでしょう。この養育費の取決めをするところの責任省庁は、じゃ、どこですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) 私ども法務省におきましても、養育費の取決めにつきましては周知活動を行っております。 離婚届出書に、様式改正を行いまして、養育費の分担に関する取決めをしているかどうかチェックする欄を設けておりますし、また、パンフレットを作成して、離婚届書と同時にこれを配付するなどして、取決めが行われるように法務省としても周知活動をしているところでございます。
○櫻井充君 私が聞いているのはそれではありません。周知活動をするところではありません。 要するに、だって、今回、これ問題になっているんじゃないんですか。社会全体で問題になっているんじゃないんですか、大臣。 改めてお伺いします。 養育費の取決めをしていないということは社会全体で問題になっているんじゃないんですか。養育費のことについて取決めを行ったとしても、それに対して支払っていないということは社会全体で問題になっていることではないんですか。大臣、違いますか。
○国務大臣(山下貴司君) まず、今回、養育費の取決め、養育費に関して債務名義を持っている、その執行を確保するために民事執行法の改正案を提出させていただいているところでございます。 そしてまた、取決めにおきましても、先ほど局長が御説明していましたように、離婚届のチェック欄に取決めをしているというところで、その合意書ひな形も同時に交付するということでございます。 現段階で、離婚届のチェック欄、取決めをしているというのが今六割というふうに聞いておりますけれども、これをしっかりと、周知活動によって取決めの割合を上げていくというのは我々の所管でございます。そして、一人親家庭や多子世帯等の自立支援、そういったものにつきましてもやはり政府を挙げて取り組んでおるところでございまして、法務省としても所管の内においてしっかりと取り組んでまいっているところでございます。
○櫻井充君 そうすると、取決めをきちんと行わせるということは、これ法務省の仕事ということで今大臣から御答弁がありました。でいいんですよね。
○国務大臣(山下貴司君) 取決めを周知するという、取決めをするかどうかというのは、これはやはり離婚当事者の中ではございます。ただ、その割合を上げていきたいというところで法務省は取り組んでいるところでございます。
○櫻井充君 ですよね。そうすると、そこのところを引き上げていきたいというのは、まず法務省の仕事だと。 そうすると、もう一つは、取決めを決めた後の執行について、きちんとやっているかどうかについて、そこのチェックをするのも、これは法務省の仕事ですか。
○国務大臣(山下貴司君) これ、執行の部分になりますと、これは裁判所の判断に基づくことでございますので、まず第一次的には裁判所ということでございます。 ただ、そういった取決めを行うということについての社会的周知、これは法務省としてもしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○櫻井充君 時間が来たのでこれで終わりますけれど、やはり子供の貧困率がこれだけ高いというのは養育費の支払をきちんとしていないからという点も大きいと思うので、また次回、この問題について質問させていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。よろしくお願いいたします。 今日は、まず、債務者財産の開示制度の実効性の向上についてお伺いをいたします。 この財産開示手続の利用実績なんですけれども、平成十六年にできた当初が七百十八件、そこから、年ごとに見ていったときに千件を超える年もありますけれども、近年は減ってきていて、平成三十年については五百七十七件というふうに、執行の事件数からするとかなり低調と言わざるを得ない状況だと思っております。 私も、この手続ができたときには、すごく期待もさせていただいてと言うのも変ですが、期待をして、使えるのかなというのを思っていたところですけれども、実際には利用したことはありませんし、周りでもなかなか利用していない。なぜかというと、実効性がないからというようなイメージがすごく定着をしてしまっている現状があると思っております。 この今現在の利用数が少ないという中で、例えば、平成三十年五百七十七件ですけれども、その中で、正当な理由なく出頭しなかったり、また陳述を拒んだりする事例というのはどの程度を占めるのでしょうかと。この財産開示手続の実効性についての現状の認識について、まずお伺いさせていただきたいと思います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 その平成三十年の数値につきましては速報値であると承知しておりますけれども、既済事件が五百六十八件でございまして、このうち債務者の不出頭等により財産情報が開示されなかった件数が二百五十九件、その割合が約四六%であると承知しております。 このような実情を踏まえますと、委員御指摘のとおり、現行の財産開示手続、必ずしも実効性が十分でないというふうに言えようかと思います。
○伊藤孝江君 これまでは、そういう正当な理由がない例えば不出頭あるいは虚偽の陳述がなされているというような場合に、従前は過料という形で制度があって、それで何とか債務者の対応を担保しようとしていたと。ただ、今回は、そこを少し強化をして刑事罰を設けるというような仕組みにするというふうに承知をしております。 ただ、仮に改正で刑事罰を設けるとしても、現実には適用されることがほとんどないというようなことになってしまうのであれば、債務者に対して現実的に心理的な影響も及ぼすことが少ないかもしれない。また、刑事罰による制裁を科すべきだという状況になった場合には、債権者なり裁判所が刑事告発をするという手続がまた別途必要になると。刑事罰にすることで、むしろこれまでの過料という制度よりも慎重になってしまって、刑事告発をすることがなくなる、刑罰を科すこともないというような状況になってしまわないかどうかというのも現実としては考えられる懸念だと思っております。 今回、刑事罰を設けることでどのような効果を見込んでいるのかということについて御説明いただけますでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 委員御指摘のとおり、現行の財産開示手続におきましては、不出頭等に対する罰則が三十万円以下の過料ということでございまして、これは債務者に対する十分な威嚇とはならないというふうに考えられるところでございます。 この法律案では、この手続の実効性をより高めるために罰則を強化しておりますけれども、この新たな罰則の法定刑には懲役刑も含まれておりまして、そういうことも踏まえますと、この改正には相応の効果があるものと考えております。 もとより、個々の事案におきますこの適用につきましては、個々の事案に応じて適切に運用されるということが期待されるところでございます。
○伊藤孝江君 前提として、現在の過料の適用実績についてはどのような状況になっているのか、お教えいただけますでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 東京地裁の本庁でございますけれども、平成二十九年の財産開示手続の既済件数が約百四十二件でございましたが、債務者に対して過料の裁判がされた件数は二十六件で、比率でいうと約一八%ということでございました。
○伊藤孝江君 ありがとうございます。 次に、申立て権者の拡大というところについてお伺いをしたいと思っております。先ほど小川先生の方からも少しその点についての質問もありましたけれども、私は、支払督促を今回申立て可能な債務名義に入れたということについてお聞きできればと思っております。 支払督促の方は裁判所の判断を経たというようなことになるのかも分からないですけれども、実際には債務者からの反論とかというのがないままでも出されるものでもありますし、これまでにも、貸金業者、特に悪質な貸金業者が悪用をしてというような形で、債務者への心理的な強制、また現実的な経済的な利益を得るための手段として使っているということも否めない事実だと思っております。 実際にも、例えばもう時効に掛かっているようなものであっても、まずは支払督促で裁判所の決定をもらって、それを基に請求をしてくるというようなのも現実にもたくさんあるというのも私自身も認識をしているところでもあります。 そういうような中で、この支払督促というのを申立て可能な債務名義としてしまうというのが、悪用のリスクというのがあるのではないのかと、その点のリスクを回避する担保であるとか、その点、バランスについてどのように考えて今回制度設計をされたのかということについてお教えいただければと思っております。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 この財産開示制度が導入されました平成十五年当時には、悪質な貸金業者が執行証書を悪用して債務者に対する不当な取立てを行っているというような指摘がございました。そういうような指摘も踏まえまして、執行証書あるいは委員御指摘の支払督促を含めまして、この債務名義については限定を掛けて、一定の者については財産開示手続の申立てができないというふうにしたところでございます。 ただ、その後、平成十八年の貸金業改正によりまして、貸金業者が債務者から執行証書の作成に関する委任状を取得することが全面的に禁止されまして、執行証書については悪用事例が大きく減少しております。また、御指摘の支払督促につきましても、近時は貸金業者による悪用事例が減少しているとの指摘がございます。 こういったような事情の変化に加えまして、そもそも財産開示手続は強制執行の準備として行われるものでございまして、いずれの債務名義でありましても、それによって行うことができる強制執行の内容に違いはないということに照らしますと、現時点では強制執行と財産開示手続とでその申立てに必要とされる債務名義の種類に差を設ける合理性が乏しくなっているものとも考えられます。 こういったことから、今回のこの法律案では、債務名義についての限定を外すというようにしているものでございます。
○伊藤孝江君 悪用事例が少なくなってきたということではありますけれども、完全にないということでもありませんし、しっかりとこれからの履行状況、利用状況等については注視しながら、本当にきちんと想定していたような形で円滑に制度が実行されていっているのかというところについては見ていっていただきたいなというふうに思います。 今回、第三者からの情報取得手続のうち金融機関等に対する預貯金等債権の情報取得手続に関しましては、金融機関等がその回答に要する費用などを請求できるものというふうにされております。 この点について、この請求できるという金額であるとか、また支払方法などについての制度設計についてお教えいただけますでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 この法律案では、情報提供をした銀行等が報酬及び必要な費用を請求することができる旨の規定を設けておりますけれども、その費用等の額につきましては最高裁判所が定めるものとしております。そのため、現段階でどの程度になるかというお答えをすることは困難でございますが、おおむね数千円程度になるのではないかというふうに思われます。 この費用でございますけれども、債権者が手続の申立てのときに執行裁判所に予納することになりまして、その後、銀行等からの請求がありますれば、執行裁判所がこの予納金の中から支払うことになろうかと思います。 なお、この法律案によりますと、これらの費用は執行費用として最終的には債務者の負担となりますので、債権者が債務者に対して請求することが可能となるものでございます。
○伊藤孝江君 ありがとうございます。 引き続きまして、子の引渡しの強制執行の点について少しお伺いをさせていただきます。 子の引渡しの強制執行について、現実のところを少しお伺いできればと思うんですが、執行裁判所から執行官に子の返還の実施を命ずる旨の決定がまずなされると。その後、執行官が実際に強制執行を行うまでに現状としてどのような手続や準備などをしているのかということについてお教えいただけますでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 この法律案におきます子の引渡しの直接的な強制執行の手続の基本的な流れでございますけれども、まず、債権者から執行裁判所に対して直接的な強制執行の申立てがされます。これを受けて、執行裁判所が執行官に、債務者による子の監護を解くために必要な行為をすべきことを命ずる旨の決定をすると。そして、執行官がこの決定に基づいて、債権者の申立てにより執行の場所に赴いて債務者による子の監護を解いて、その場所に出頭している債権者、あるいは国内の子の引渡しの場合ですとその代理人に子を引き渡すというものでございます。 この現行のハーグ条約の実施法に基づく子の返還の代替執行の実務では、執行官は、執行裁判所の決定がされてから実際に執行の現場に赴くまでに、債権者ですとかあるいは子の引渡しを命じた家庭裁判所との間で事前のミーティングを行うなどして情報収集をしていることが多いというものでございます。 したがいまして、国内の子の引渡しの直接的な強制執行におきましても同様の運用がされることが想定されるところでございます。
○伊藤孝江君 今の点で少し確認ですが、国内のことで結構です、取りあえずハーグ条約の方は外していただきまして、その家庭裁判所との事前ミーティングというのは必ず行われているものなのかどうか、それ以外に現実に執行するための準備ということでやっていることはないのかどうかということを教えてください。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 事前のミーティングの情報収集は、個々の具体的なケースに応じて、執行官の方で必要だというふうに考えられるケースにおいてケース・バイ・ケースで行っているものと承知しております。
○伊藤孝江君 そもそも、執行官の通常というかほとんどの業務というのは、この子供の引渡しの執行ではなくて、不動産の明渡しであるとか、そういう経済的な部分を担うというところが主だというのが現実だと思います。当然、子供の心理などについては専門家でもないという中で、子供に精神的に悪影響を与えないための執行をどんなふうにやっていくのかというところを執行官に委ねる、あるいは事前に家庭裁判所と相談をしますということだけで足りるのかどうかという点があると思います。 専門家の協力を得るという点で、現状においても臨床心理士とか社会福祉士などにも同行していただいたりするということも事前のレクではお話もお聞きしましたけれども、ただ、実際に夫婦間の紛争とかそれに巻き込まれている子供の心理とか葛藤などに日々直面をして、業務として責任を持って知見に基づいてされているのは家庭裁判所の調査官というのがやはりメーンだというふうに考えます。実際に、強制執行までしないといけないぐらいもめているような事案の場合には、調停であったり、審判であったり、訴訟であったり、いろんな場面で子供の権利を確保するための調査官の関与というのが家庭裁判所で事前になされているのではないかということも想定されると思います。 となると、引渡しをなるべく問題が少なく、問題が生じないように行うためには、その子供とも面識があり、またその夫婦間のことも含めて、いろんな背景事情も含めてよく知っている家庭裁判所の調査官に関与をしてもらうことができないのか。あるいは、担当した当該調査官でなくとも、家庭裁判所の調査官という立場の方に同席をしていただくなり、事前レクをしていただくなり、協力をしていただくなりというような形の制度設計ができないのかというところについて、お考えいただけないでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) 先ほどの御答弁にもございましたとおりで、国内の子の引渡しの強制執行におきましても、ハーグ条約実施法に基づく解放実施に関する規則を踏まえまして、執行官と家庭裁判所とで事前ミーティングを行っておりまして、その際には、家庭裁判所調査官も参加して、債務者や子の性格、あるいはその生活状況等、執行に当たって特に留意すべき事項を情報提供するなどしていることが多いものと承知しております。
○伊藤孝江君 多いとおっしゃられても、実際どの程度されているのかということも含めて把握はしていないというふうに伺っております。その今の現状について、まずしっかりと把握をしていただきたいというところを強くお願いしまして、今日は質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○石井苗子君 日本維新の会・希望の党の石井苗子です。 今回の改正は大変な専門用語が飛び交っているんでございますけれども、よく読むと自分たちに密接に関係しているという改正になりまして、大体、債権者、債務者というのは、債権者の方はほぼ一般的にお金を貸している方、債務者というのは借りている方、借金している方ですよね、そういうふうに考えると非常にすらすら読めるんですね。裁判になると、前者が原告で後者が被告かというように読んでいくとすらすら頭に入ってくるんですけれども、私が読まさせていただきましたこの分厚い調査室がお作りになりました内閣提出第二十八号の十九ページ、債務者以外の第三者からの債務者財産の情報取得手続、ここでございますけれども、まず、素人感から行きますと、債務者以外の第三者というのは誰のことでございますか、教えてください。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 この法律案でおきますこの第三者でございますが、典型的には、例えば銀行でございます。あるいは登記所ですとか、あるいは市町村といったものが今回の情報提供制度の対象になるものでございます。
○石井苗子君 ということは、債権者のことではなくて、銀行とか登記所とか市町村のことということでよろしいんですね。はい、いいです、そうでよろしいんでしたらいいです。ということは、ともあれ、新法案で債務者以外の第三者からの情報取得手続が新設されましたと書いてあると、今おっしゃったような銀行とか市町村とかということになります。 預貯金の債権に関して聞きたいんですけれども、債権者からの申立てに当たって、これまでは銀行名と店舗名まで特定する必要がありました、これ。強制執行する場合に、その債務者の預貯金を正確に把握していない債権者の負担を軽減する、これ大切なことだと思うんですが、銀行名だけ特定して申立てすることは現在できないのでしょうか。お願いします。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 自分が判決で得た、認められた債権を取り立てるということで、預貯金債権を差し押さえるということが強制執行として行われるわけでございますけれども、現在の執行実務では、この預貯金債権に対する差押命令の申立てをするためには、その差押命令の対象となる預貯金債権の取扱店舗を具体的に特定しなければならない、そういうふうにされております。
○石井苗子君 法務大臣にお伺いします。 新しい制度となる債務者以外の第三者からの情報の収集の手続においては、銀行名だけで申立てすることができるようになれば、今の御説明よく分かるんですけれども、債権者の負担というのを軽減できると思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(山下貴司君) まず、差押えの場面については、先ほど局長が申し上げたとおりでございます。そして、差押えの前提として、じゃ、どこの銀行のどの支店に預貯金債権があるのだということを知っていなければ、その差押えの申立てができない。ところが、これまではその債務者本人がここにありますという情報を開示しない限り、あるいは債権者自身が知らない限りはそれを調べる手段がなかなかなかったわけでございます。 今回の法律において、銀行に対して、銀行を特定するだけでその情報開示をしてもらうことができるという意味において、その情報開示を申し立てる段階では銀行だけ特定すれば銀行が調べてくれて、ここの支店にありますというふうに情報開示をしてくれます。そして、第二段階の差押えの場面においてはその情報を利用して差し押さえるというようなことをするということで、債権者の執行の効率が高まる、実効性が高まるというふうに考えております。
○石井苗子君 分かりました。ということは、銀行名だけでできることになるんですね。分かりました。ありがとうございます。書いていなかったものですから。 では、次の質問は、不動産競売における暴力団員の買受け防止方策というところで、ここも恐らく関係ないかなと思って読んでいたら、関係あるんですね。 改正案六十八条の四の一項、これは、執行裁判所は最高価買受申出人が暴力団かどうかと書いてありますけれども、二項は、この最高価買受申出人に買受けの申出をさせた者が暴力団であるか、ということは、これはつまり、裏で操っている人が暴力団かどうかというようなことだと思うんです。まず、その理解が正しいかどうか。 で、その必要な調査を都道府県警察に嘱託しなければならないというふうに書いてあります。しかしながら、ここがややこしいんですが、最高裁判所規則に定める場合はこの限りではない。大変ややこしくて分からなくなるんですが、全ての最高価買受申出人や買受けの届出をさせた者が暴力団員でないと確認するというのはかなり、これは私の考えです、かなり大変で、もう本当に時間はすごく掛かるし無理なんではないかと、もしそういうことに関わりあった場合ですね。そうすると、最高裁判所規則で定められる場合とはどのような場合を想定しておっしゃっているのかということを参考人の方、分かりやすく説明してください。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 まず、御指摘の六十八条の四の二項の「自己の計算において最高価買受申出人に買受けの申出をさせた者」というところでございますが、これは典型的には、自分が資金を出して、ある者にその自分の資金で言わば買受けを指示させたと、そういった場合がこの自己の計算において買受けの申出をさせた者に当たります。ですから、そういった資金を出している者が暴力団員等である場合もやはり同様に買受けの制限が掛かるということでございます。 そして、次に御指摘の「最高裁判所規則で定める場合」というものでございますけれども、これは例えば、最高価買受申出人が宅地建物取引業者である場合でございまして、これは宅地建物取引業者ということになりますと、法令上、暴力団員でないこと等が免許等の要件とされております。したがいまして、そういうものである場合には執行裁判所から都道府県警察への調査の嘱託をする必要がないとの指摘がされているものでございます。 こういったような議論を参考に最高裁判所規則において適切な規定が設けられるものと承知しております。
○石井苗子君 頭の中では分かりました。 あと、時間が二分ですよね。 では、ちょっと飛ばしまして、身近なところで、子供の引渡しについてなんですが、よく読んでいると、国内の子の強制執行に関する法律の明確化というところですけれども、父親と暮らしている場合で母親が引き渡せという審判があった場合、債務名義の場合は、夫は妻に引き渡せという審判を出すときに当然そこに子供の意思があるはずなんですね。家事審判法にもそう書いてあります。 実際の審判の場面で、これどういうふうに子供の気持ちというのを酌み取っているのか。国内の中の子の強制執行に関する手続での子供の意思は裁判所の判断に十分反映されている必要があると思われますけれども、家裁の手続ではどのようにして子供の意思を確認しているのか、ここだけ教えてください。
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。 家事事件手続法では、子の引渡しなど子をめぐる紛争においては、「子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。」と規定をしております。家庭裁判所におきましては、事案に応じまして、家庭裁判所調査官が心理学、教育学等の行動科学の専門的知見及び技法を用いて行う事実の調査を活用するなどいたしまして、子の意思を適切に把握し、十分に考慮をしているものというふうに承知しております。 具体的に申しますと、家庭裁判所調査官は、子の意思を把握するために、事案に応じて、子や父母と面接をしたり、子のふだんの様子を見ている保育所等の職員や親族等の陳述を聴取するなどいたしまして、子を取り巻く事情等を十分に把握をした上で子の意思を把握するように努めているところでございます。 家庭裁判所が子の引渡しについて判断するに当たりましては、このような調査の結果なども踏まえまして、子の意思を適切に考慮しているものと承知しております。
○石井苗子君 どんな専門家なのか、次のときに詳しく聞かせていただきます。 質問を終わります。ありがとうございました。
○山口和之君 日本維新の会・希望の党の山口和之です。 本日は、離婚後共同親権について質問いたします。 昨年十二月六日の法務委員会において、私が日本における離婚後共同親権制度の導入についてはどのようにお考えかと質問したところ、山下大臣からは、離婚後の共同親権制度を導入すると、これは父母の関係が良好でない場合に、親権の行使について父母の間でタイムリーに適切な合意を形成することができないという事態も多くあり得ると答弁されましたが、共同親権を採用している諸外国において、どのような事態がどれぐらいの割合で起きているのでしょうか。また、そのような事態に対してどう対処しているのか、お教え願います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 離婚後共同親権制度を導入しているとされる国におきまして、委員御指摘の事態がどの程度の割合で発生しているかについては把握はしておりません。ただ、そのような事態に対する諸外国の対処につきましては、これまでに外国法の調査等を行ってきたところでございまして、例えば、平成二十六年度に外国の離婚後の親権制度に関する調査研究業務を委託しております。 この調査研究の結果をまとめました報告書によりますと、例えばドイツやフランスでは、子供の日常生活に関する事項については同居している親が単独で決定することができることとされているが、重要な事項について合意ができないときは裁判所が決定したり、裁判所が一方の親の判断に委ねることができるようでございます。また、ドイツでは、父母が別居している場合には、父母の一方は家庭裁判所に対し親権の全部又は一部を自らに移譲することを申し立てることができることとされておりまして、父母の関係が良好でない事案では、結局離婚から数年後にこの申立てがされているとの指摘もされているところでございます。 このことからいたしますと、父母の関係が良好でないことによって子供の監護、教育に関する決定が適時適切に行えないという問題は、離婚後共同親権制度を採用している国においても生じているものと考えられるところでございます。
○山口和之君 離婚後共同親権に関しては、衆議院法務委員会においても、我が党の串田議員の質問に対して政府参考人から、父母が婚姻関係にない場合にも親権を共同して行使すべきものといたしますと、円滑に意思決定がされずに、子の利益に反するため、我が国において離婚後共同親権を採用していないという説明がありました。しかし、諸外国においては子の利益を資するとして離婚後共同親権が採用されており、こういった国々においては、円滑な意思決定に支障がない、若しくは円滑な意思決定に支障があっても、それを上回るメリットがあると考えられているものと思われます。 法務省としてはどのように認識しているのでしょうか、お教え願います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 先ほど申し上げましたとおり、離婚後共同親権制度を採用している国におきまして、離婚後の夫婦が子供の養育について意見が一致しない場合に裁判所が決定するなどの制度が採用されているということからいたしますと、そういった国におきましても、子供の養育監護について適時に適切な合意を形成することができない場合はあるものと考えられます。 もっとも、そのような場合に、先ほど申し上げましたような裁判所が決定するといったような制度によって現実に円滑な意思決定がされているかどうかにつきましては、そういった諸外国における運用を更に詳しく見る必要があると考えられます。 そこで法務省では、諸外国における離婚後の子供の養育監護についての考え方や運用について調査をするために、大臣からの指示に基づきまして、本年三月二十九日に外務省に対して調査依頼をしたところでございます。 離婚後の子供の養育の在り方につきましては、この調査によって得られる結果等も参考にして、引き続き検討してまいりたいと考えております。
○山口和之君 全ての離婚において共同親権とすることがよいとは言えませんが、同じように全ての離婚において単独親権とすることもよいとは言えないと思います。どちらかを原則として他方を例外とするしかないと思われますが、単独親権を原則として例外的に共同親権とするという制度は考えにくいと思います。そうであるとすれば、原則として共同親権としつつ例外的に単独親権とするような法制度を検討すべきではないかと思いますが、山下大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(山下貴司君) 先ほど民事局長からお答えしたとおり、諸外国における離婚後の親権制度や子の養育の在り方等について、外務省に対し調査依頼をしたところでございます。 もとより、こういった親権の制度については、制度自体も調査も必要ですが、その具体的運用ですね、これについてもやっぱりしっかりと検討する必要があろうかと思います。 そして、離婚後にもこの共同親権を可能とする制度を採用するのか、採用するとして単独親権と共同親権のどちらを原則とするのか、原則と例外の振り分けの基準をどのようなものとするのかなどについては、いずれも制度そのものに加え運用実態も踏まえて慎重に検討する必要があるものと考えておりまして、今回の調査によって得られる結果等も参考にしながら、引き続き検討してまいりたいと考えております。
○山口和之君 山下大臣及び法務省には、日本全体で子の利益を最大化するためにはどのような制度にすべきか、是非柔軟に御検討をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 次に、裁判所が親権者や監護権者を決定するに当たっては、実務上様々な基準が用いられています。その一つに、子と他方の親が頻繁にかつ継続的に面会交流することをより許容する親を親権者、監護権者とすることが望ましいという基準、いわゆるフレンドリーペアレントルールというものがありますが、この基準は子の利益を最大化するために非常に重要であると思われます。 フレンドリーペアレントルールを法定化し、重要な判断基準であることを明確化することも検討に値すると思いますが、山下大臣にはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(山下貴司君) 確かに、離婚した一方の親が他方の親と子との面会交流について積極的であるということは、一般論として申し上げれば、子の利益の観点から望ましい態度であるとは考えられます。 他方で、これが親権者や子の監護者の指定の裁判においてどれだけ考慮されるのかということにつきましては、様々な他の考慮要素も踏まえ、そういったところで今裁判所も考慮しているというふうに考えております。 ですので、一般論を直ちに法制化するということに関しましては、その必要性を含め、慎重な検討を要するものと認識しておるところでございます。
○山口和之君 日本においては、共同親権を認める制度にするかどうか、単独親権とする場合どのような判断基準で親権者を決定するのか、本格的に検討を進める必要があると思います。残念ながら、現在の制度運用では子の利益を最大化することは難しいと思いますので、山下大臣及び法務省にも是非御検討いただきたいと思います。 以上で質問を終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 今日も先ほど国民民主党の櫻井先生の質疑でも焦点になっていましたけれども、養育費の履行の確保というのは、これ、子の福祉のために必要不可欠、極めて重要なものだと。とりわけ、近年一人親世帯の生きづらさとか、その下で、貧困あるいは虐待というような問題がこれからの子供たちの福祉にとって本当に重要な社会問題にもなってくる中で、今回の改正において、これからの手続を担っていく担い手、特に家庭裁判所の果たすべき役割というのは私とても大きいと思いますので、今日、その点についてお尋ねしたいと思います。 最高裁家庭局から資料をいただいて、家庭裁判所の調停事件において養育費の債務名義が成立した場合、これ調停調書などが中心になると思いますが、子の養育費が実際には払われなくなったときに履行勧告という手続があります。今回の法案勉強している中で意外にこれ議員にも知られていないなというふうに思いましたので、まず家庭局長に。 この五年ほどを見ますと、大体四、五千件ほどの取組があっていると思うんですが、この動向と、それから養育費の履行確保をする上で、この家庭裁判所の履行勧告が果たしている役割について御認識をお尋ねしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) 御説明申し上げます。 養育費請求調停事件で調停が成立したものに係る履行勧告の終局件数は、委員御指摘のとおり、過去五年間で申しますと年間四千件から五千件で推移をしております。 このうち、勧告の結果、養育費の全部が支払われたもの、これ全部履行というふうにこの表では書いてございますが、は千五百件から千七百件の間で、また一部が支払われたものは六百件から九百件弱の間で推移をしておりまして、これらを合わせますと全体の約五二%の事案で何らかの支払に至っていることになるところでございます。
○仁比聡平君 この履行勧告というのは、夫婦関係調整とか離婚とかいうことで家庭裁判所の手続になって、そうしますと、その子供さんがどんな実情にあるのかとか、あるいは監護をしている側の親あるいは親権を求めているその両親の状況についてもよく調査をするとか、一定のやっぱりプロセスの中で子の意思も確認をしながら試行的に面会交流を実現をするとか、そのプロセスで家庭裁判所の調査官が家庭訪問に出かけるとか、いろんなプロセスとその報告も踏まえて債務名義ということになるわけですよね。 ですので、そこに関わった調査官を中心にした裁判所職員が、養育費を定めたのに払わないという親に対して、払うべきだ、この子のために頑張って払うと約束したんじゃないか、あるいは審判事件の場合は、そういう争いがあったけれどもそれを決めたんじゃないか、その子のためじゃないかと、あるいは何で払えないのというような状況も聞きながら履行を求めていくというのはとても大事なことだと思うんですよね。 この調査官とかあるいは書記官の役割についてはどんな御認識でしょう。
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。 この履行勧告の制度につきましては、今の子の養育費の履行の勧告という前提でお尋ねをいただいているところでございますが、履行が遅滞したり、それから支払われないという原因につきましてはいろいろなことが考えられるところでございます。ちょっとしたきっかけで履行が遅れているということもございますので、これについて簡易な申出で、これは手数料も必要ございませんし、口頭での申出、電話での申出も可能なところでございます。このような形で、その家庭裁判所が、若しくは家庭裁判所からの命令を受けました家庭裁判所調査官等が間に入って、なぜその履行が遅れているのか、そういったことを聞き取りをし、必要に応じて書面等で履行の勧告をすることによって、このような形で一定の履行の確保が図られているところというふうに承知をしております。
○仁比聡平君 そうした家庭裁判所の一件一件の事件についての取組というのをもっともっと私たちがつかんで光を当てて、解決を進めていってもらうという応援もするということがとても大事なんじゃないかなと思うんですけれども。 そうした履行勧告といいますか、家庭裁判所の役割って、調停、審判の事件に最初からなった事件だけではなくて、今日も協議離婚で養育費を始めとした協議事項が約束がされたというのがおよそ六割ではないかというようなお話もあっていますけれども、それが払われないとか、約束どおり払うのが難しくなったなどというような件が家庭裁判所に相談があったら、これ自体が調停事件になるというようなこともあり得ますよね。
○最高裁判所長官代理者(手嶋あさみ君) お答え申し上げます。 そのような申立てをしていただくということになりますが、そういうことはございます。
○仁比聡平君 そのようにしてしっかりと子の福祉のために取組を進めていくということがとても大切だと思います。 ですが、残念ながら、そのような履行勧告を行っても、およそ半分くらいがその他、履行状況不詳というところに類別されるように、この強制執行という残念な形、残念でしかも究極の場面になってしまうということが今回の法改正の場面なわけですけれども、その強制執行について、特に子の引渡しの強制執行というのは、今日もお話のあっているとおり、当該の子に極めて厳しい葛藤を強いることになる、その手続によって厳しい葛藤に言わばさらすことにもなるという極めてデリケートな場面だと思います。 その場面において、子の福祉や心理状態を重視すべきではないかという問いに対して、衆議院の段階でも、大臣、法案で見ますと百七十六条を改正法の考え方として示していらっしゃるわけです。「執行裁判所及び執行官は、」「子の年齢及び発達の程度その他の事情を踏まえ、できる限り、当該強制執行が子の心身に有害な影響を及ぼさないように配慮しなければならない。」という、ちょっと割愛して飛ばしましたけれども、その配慮という義務を執行裁判所及び執行官に持たせるということなんですが、これ、配慮しなければならないといいましても、執行裁判所や執行官というのは、執行の申立てがあって初めてその事件に接するわけですよね。債務名義がありますと、それだけで執行を申し立てられたときに、はい、そうですかと言って何の材料もなく強制執行に及ぶということは、これはあり得ないわけで、まず、どのような資料によってこの子に対する配慮というのを判断をするのでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 執行官が、今委員御指摘の配慮をするためには、子の発達状況などの事情を十分に把握することが重要であると考えられます。そのための資料の収集の方法は事案によって様々であると考えられますけれども、一般論としましては、例えば、申立人から家庭裁判所調査官の調査報告書を含め、本案の記録の写し等の提出を受けるですとか、あるいは事前の打合せの際に家庭裁判所調査官から情報の提供を受けることなどが想定され得ると考えられます。
○仁比聡平君 先ほど、公明党の伊藤議員の質問の中で、実際に実務としても、これまで年間百件ほどの事件においてそういう取組がされているんだというのが最高裁民事局からの御答弁だったと思うのです。 その事前のミーティングの取組の一つのポイントなんですけれども、例えば調停が成立して、あるいは審判が成立して一定の年数がたっているということもあり得ると思うんですよね。家裁でのその記録を取り寄せ、そのプロセスでの家裁調査官の調査というのはもちろん把握するし、当該家庭裁判所との情報交換、ミーティングは行うんだけれども、以来数年たっていると。だから、調査の時点では三歳だった子供が小学校の二年生になっているというようなことがありますよね。その間、監護している親と親権者との間でどんな紛争になってしまったのか、なぜ強制執行に至ったのか、その下で子供がどんな心理状態に置かれているのか、あるいは両親以外の、例えば祖父母などの関係者がどんなふうな状況になっているのか。 そうした、再調査と言うと語弊があるかもしれませんけれども、現在の子供がどう置かれているかということをしっかりつかんで準備をしたいと執行者は思うと思うんですよ、執行官や執行裁判所は。いかがでしょう。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) 具体的な事案としてそのようなものがあるというのを認識しているわけではございませんけれども、お尋ねの事例の一般論としては、やはりどういうふうになっているのかというのは非常に気になるところかと思います。 具体的には、債権者の方から事情をお聞きするなどして、まずはその思考する端緒を考えるのかなというふうに思います。
○仁比聡平君 私は、先ほど伊藤議員も提案をしておられましたけれども、その際に、当該事件を担当してきた調査官が執行事件についてもしっかりその専門性を発揮できるように考えていくべきではないかなと思うんですけれども、今の現状というのは決してそんなふうにはなっていないと思うんですよね。 現状での執行の補助者、これ家裁OBのFPICという団体がありますけれども、そこに補助を頼むということもあると思うんですが、実際の報酬というのは、これ、どんなふうになっていますか。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。 執行補助者に対する手当てですけれども、これは実費の額というふうにされておりまして、具体的な額につきましては執行官と執行補助者との間の個別の合意により定められているというところでございます。 個別の合意に係るものですので幅がございますけれども、旅費も含めまして、おおむね一万円から二万円の範囲が多いというふうに聞いております。
○仁比聡平君 実際の担当する事件の重さ、とりわけその子の心情や福祉ということを本当に専門性を生かして調査をした上で執行の補助に当たるということを考えますと、一日一、二万円くらいの報酬ということでは、事前のミーティングだったり、あるいは実際に現場に臨んで起こっていることをどう捉えてその次に生かしていくのかというようなことでは、これは専門性が蓄積されていかないのではないか。結局、ボランティア頼みのようになってしまうのではないか。それでは、今後のこの子供たちをめぐる問題においての、せっかくの家裁調査官たちの積み重ねというのが生かしていけないのではないかなと、もったいないんじゃないかなと思うんですね。 そこで、ちょっと山下大臣に最後、日本の家庭裁判所の取組というのは、これ世界に類例がない先進性を持っていると思います。戦後、この子供や家庭の問題について特別の裁判所を置いた、その中で調査官が専門性を積み重ねてきたと。これを今後生かしていくことができるように私はすべきじゃないかと思うんですが、制度の改革も含めて御感想を伺いたいと思います。
○国務大臣(山下貴司君) まず、仁比委員御指摘の百七十六条、この法律案による改正後は、執行補助者を適切に活用することを含め、この百七十六条の趣旨を十分に生かす運用がされることを期待しております。 現役の家庭裁判所調査官の知見の活用場面や子の引渡しの強制執行に関与する執行補助者の確保の在り方については、今後ともこの法律案施行後の実務の状況等を踏まえつつ、様々な観点から検討していく必要があると考えております。
○仁比聡平君 家裁調査官を先頭にした、これまで頑張ってきた人たちにしっかり頑張ってもらえるように、制度の前進と、それから何より、定員は増やさないと駄目ですから、裁判所自らが増やさないみたいなことをやっているようでは駄目ですよということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。 まず執行官の女性の採用について、この件についてお伺いしたいと思います。 現在、子の引渡しの執行現場に出向く執行官に女性がいらっしゃるのでしょうか、お伺いいたします。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。 現在、女性の執行官はおりません。
○糸数慶子君 女性の執行官はいらっしゃらないという答弁でございましたが、法制審議会民事執行法部会において、ハーグ案件を扱う実務家の委員から、諸外国のハーグ条約の実施に関わる専門職の方を見ますと、執行に携わるような場面、警察、ソーシャルワーク、いろんなところで女性が多く関与している、執行の場面でも女性執行官が何人かはいるというふうに紹介し、女性執行官の採用を求められています。 男の世界という認識は変えるべきで、女性の採用を検討すべきではないかと思いますが、最高裁にお伺いいたします。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。 執行官の採用選考は、各地方裁判所におきまして、筆記試験及び面接試験により行われております。女性の受験者もおりますし、合否の判定は男女の別なく行っておりますけれども、結果的にまだ女性の合格者はいないということでございます。裁判所としましては、男女を問わず、執行官としての適性が認められる有為な人材を確保したいと考えておりまして、引き続きそのように努めてまいりたいと考えております。 なお、現在の運用におきましても、子の心身に配慮するために女性の児童心理の専門家に執行補助者として関与していただくという例もございます。 今後とも、具体的な事案における必要性に鑑みまして、適切に対処できるよう努めてまいりたいと考えております。
○糸数慶子君 ありがとうございました。是非女性のこの活用、お願いしたいと思います。 子の引渡しを専門とする執行官を養成する必要性と全ての執行官に対する研修の必要性についてお伺いいたします。 民事執行法部会において、委員から、執行現場に出向く執行官の力量が、子供を取り巻く環境に非常に大きな影響を及ぼすとして、子の引渡しの強制執行について経験を積んだ方がどれくらいいらっしゃるのか、現状に疑問を呈していらっしゃいます。 そこで伺いますが、子の引渡しを専門とする執行官を養成する必要があると思いますが、改めまして最高裁の御見解を伺います。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。 現在、子の引渡しの強制執行は全国で年間百件前後しかございませんで、その一方で、執行官が国から給与を支給されない手数料制の公務員であるということからしますと、現実問題としましては、子の引渡し専門の執行官を置くことはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。 もっとも、子の引渡しの強制執行において子の心身に対する十分な配慮が必要であることは委員の御指摘のとおりでございますので、そのような観点から、裁判所職員総合研修所におきまして執行官に対する研修を実施するとともに、個別の事案におきましても、児童心理の専門家に執行補助者として関与していただき、お子さんとの対応ですとか手続全般について専門的知見に基づくアドバイスを受けるなどしておりまして、こうしたことを通じて子の引渡しの強制執行が適切に行われるよう努めております。
○糸数慶子君 職業としてその専門の執行官を養成するのが難しいということでありましたならば、せめて全ての執行官に研修を行う必要があるのではないでしょうか。 現在どのような研修を行い、また今後どのように充実をさせていかれるおつもりなのかを伺います。
○最高裁判所長官代理者(門田友昌君) お答えいたします。 裁判所職員総合研修所におきましては、毎年、執行官を対象として次のような研修を実施しております。 まず、その年に採用された全ての執行官を対象にしまして、裁判官及び家庭裁判所調査官等を講師としまして、子の引渡しの強制執行の概要や両親の紛争下における子の心理についての講義を内容とする研修を実施しております。 また、経験五年以上の執行官を対象に、ベテラン執行官や子の心理の専門家を講師としまして、子の引渡しの模擬強制執行等を内容とする研究会を実施しておりまして、この結果は各配属庁にも還元するよう指導しておるところでございます。 今後とも、本法案に子の心身に対する配慮の規定が設けられた趣旨も踏まえまして、これらの研修のより一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
○糸数慶子君 ありがとうございます。 次に参ります。 改正執行法の周知と家裁の充実についてでありますが、審判、判決が出ても任意に従わない人は、審判、判決自体に不服であるか、何があっても子を引き渡したくないと思い詰められている人とも言えます。 ただ、子の引渡しとして最後の手段が強制執行というのは、子の利益にとってどうなのかと懸念をいたしております。審判、判決において子の利益を踏まえた判断が出ていれば、強制執行のルールを定めること自体は必要だと思います。執行の前の段階である調停、審判、判決などの段階で丁寧に当事者の理解を得るような審理手続の必要があるということは言うまでもありません。 一旦裁判所が子の利益を踏まえて行った決定について、任意に履行することが子供の利益にもかなうと言えます。執行は裁判所が審理して決定したことに従わない場合になされることであって、そこに至らないよう、裁判所の決定には従うことが子の利益になる、従わなければならないということが社会の共通認識になるべきだと思います。 そのことを理解してもらう努力が必要ではないでしょうか。法務省に伺います。
○政府参考人(小野瀬厚君) 委員御指摘のとおり、一般論として、裁判所の判決等で定められた義務が実際に履行されることは法治国家として重要であり、またそのような認識が幅広く社会に浸透することが重要であると考えられます。 この法律案が成立した際には、そのような観点から、関係機関とも連携して、裁判で確定した義務の履行の重要性も含め、その改正の内容を適切に周知してまいりたいと考えております。
○糸数慶子君 本委員会で繰り返し家庭裁判所の充実をこれまでも訴えてまいりましたが、家庭裁判所の役割に対する社会的ニーズが拡大し、今後一層、困難、複雑な事件にも対応を迫られるというふうに思います。 子の引渡しや養育費の履行について、任意の履行がない場合についての強制執行に関して執行法の改正が今般提案されましたが、子の引渡しや養育費の履行は、子の利益の観点からはできるだけ任意に履行されることが望ましく、家裁の調停や審判においても、当事者への働きかけ、納得を得た解決を目指す丁寧な手続が必要であります。そのためにも、もう是非家裁の充実が必要だと思いますが、最高裁の御見解を伺います。
○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。 家庭裁判所の充実の必要性が高いことは委員の御指摘のとおりと考えておるところでございまして、そうした点も柱の一つとして本年も増員をお認めいただいたところでございますが、今後とも、対立が先鋭化する子供をめぐる事件を始めとする複雑困難な事件にも適切に対応できるよう、今後の事件動向等を踏まえまして、現有人員の有効活用を図るのはもちろんでございますけれども、必要な人的体制の整備に努め、当事者双方から丁寧に事情を尋ねるなどして、その後の履行のことも念頭に置いて、当事者の納得、この度合いが非常に高い事件の解決ができるように、最高裁としても必要な支援に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○糸数慶子君 しんがりの質問でございますので、重なるところは割愛をいたしまして、ちょっと時間はございますが、改めて次の参考人の質疑に時間を回したいと思います。 ありがとうございました。
○委員長(横山信一君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午後零時二分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(横山信一君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、藤木眞也君が委員を辞任され、その補欠として青山繁晴君が選任されました。 ─────────────
○委員長(横山信一君) 休憩前に引き続き、民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 これより、本案の審査のため、三名の参考人から御意見を伺います。 本日御出席いただいております参考人は、東京大学大学院法学政治学研究科教授松下淳一君、東北大学大学院法学研究科准教授今津綾子君及び元家庭裁判所調査官・特定非営利活動法人非行克服支援センター相談員伊藤由紀夫君でございます。 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。 本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。 参考人の皆様方から忌憚のない御意見を賜り、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 議事の進め方について申し上げます。 まず、松下参考人、今津参考人、伊藤参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっております。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。 それでは、松下参考人からお願いいたします。松下参考人。
○参考人(松下淳一君) 東京大学の松下と申します。 私の専攻は民事執行法を含む民事手続法です。改正法案の基になりました要綱案を作成した法制審議会民事執行法部会の委員として審議に参加をいたしました。本日は、そのような立場から改正法案について私の意見を述べさせていただきます。このような機会を与えてくださったことに感謝申し上げます。 私は、今回の改正法案は三つの大きな柱プラスアルファから構成されていると理解しております。いずれも実務上改正の必要の高い事項であり、理論的に整合性の取れた適切な提案がされているというふうに考えます。 三つの柱と申しますと、第一に債務者財産に関する情報の取得手段の拡充、第二に不動産競売における暴力団員の買受け防止対策、第三に子の引渡しの強制執行に関する規律の新設であり、これとセットで、いわゆるハーグ条約実施法における国際的な子の返還の手続の改正も提案されております。これら三つに加えて、債権執行に関する規律の若干の見直しも提案されております。 まず、第一の柱である債務者財産に関する情報の取得手段の拡充についてです。 金銭の支払を命ずる判決が確定して、しかし債務者が任意に履行をしなければ、満足を受けたい債権者は強制執行することになります。執行対象となる財産の探索や特定は第一次的には債権者自身がするという建前ですので、執行対象としてふさわしい財産を見付けられなければ、判決は絵に描いた餅に帰することになります。 そこで、平成十三年に取りまとめられた司法制度改革審議会の意見書では、債務者の財産を把握するための方策が必要であるという指摘がされました。現在の法律におきましては、判決で命じられた給付をしないこと自体は犯罪とはされておりません。端的に強制執行する方が実効的であるという考え方によっているものと思われます。しかし、債権者がその強制執行を申し立てるのが困難だという事情がある場合には、その困難を除去する方策を用意する必要があります。 情報を誰から取得するのかという観点から考えますと、債務者本人から取得する方法と債務者以外の第三者から取得する方法が考えられるところ、前者の債務者本人から情報を取得する方法が平成十五年の民事執行法改正で新設された財産開示の制度です。日本で強制執行に関してそのような制度を設けるのは初めてだということで、当時、濫用のおそれを懸念して、今にして思えばですけれども、かなり慎重な立法がされました。 その後の十数年の運用状況を見て、濫用のおそれはなく、むしろ実効性を高める改正が必要であるということで要件を一部緩和し、不出頭の場合の制裁を強化するというのがこの改正法案の提案です。部会における審議におきましては、私も含めまして、小さく産んだものを大きく育てる必要があるという指摘が繰り返しされたところであります。 改正法案において、金銭債権に係る強制執行制度の実効性を一層高めるために、債務者財産に関する情報を第三者から取得する仕組みが新たに提案されています。具体的には、不動産に関する情報を登記所から、給与債権や勤務先に関する情報を市町村等から、預貯金債権に関する情報を銀行等から取得するという仕組みです。 どのような第三者を情報の提供者とするのか、また、どのような手続を踏むのが適切かを決める際には様々な要素を考慮する必要があります。すなわち、その第三者から情報を取得する必要性、第三者が大きな負担なく情報提供できる体制を有しているかどうか、第三者が債務者財産に関する情報を提供する正当化根拠、そして、強制執行によってどのような債権の満足を図ろうとしているのか等の多様な考慮を踏まえる必要があり、論理的、一義的に第三者の範囲や手続の仕組み方が決まるというものではありません。 改正法案は、例えば、預貯金債権については、最高裁判例によって、差押えの申立ての際に支店の特定まで必要であるという解釈が確定していることを踏まえて、債務者が預貯金を有する支店等の情報を銀行に提供させるということにしていますし、不動産や勤務先に関する情報を登記所や市町村から提供させるためには債務者に対する守秘義務がなくなっている必要があるということから、債務者自身による財産開示を先行させる必要があるという規律を提案しています。 さらに、勤務先情報については、給与差押えが債務者の生活にも大きな影響を与える可能性があることを考慮して、扶養料等の請求権や生命、身体の侵害による損害賠償請求権という保護の必要性の類型的に高い権利に係る強制執行をする場合に限って市町村等からの提供を認めるという提案をしております。 以上が第一の柱である債務者財産に関する情報の取得手段の拡充についてであり、いずれの規律も金銭執行を一層実効化するために必須のものと考えております。 第二に、不動産競売における暴力団員の買受け防止対策です。 不動産競売と反社会勢力ということで申しますと、かつては占有屋などの執行妨害が問題となっていましたが、そのような執行妨害問題は現在では下火になったものと認識しております。他方で、不動産競売を通じて暴力団員が不動産を入手して、転売して利益を得て資金源にしたり、事務所として使用したりすることで近隣の住民に対して危険や不安を巻き起こしたりというような事態の存在が指摘されるようになり、しかし、そのような事態は社会的には到底容認できるものではありません。 現在、民事執行法では暴力団員による買受けそのものを制限することはできないことから、改正法案はその制限のために幾つかの規律を提案しています。 まず、買受けの申出をする際には、自分は暴力団員でない旨を陳述させて、虚偽の陳述をしたら刑罰を科すという仕組みが設けられています。また、売却の段階に進んで、最高価買受申出人が決まったら、警察に暴力団員かどうかの調査を嘱託することとされ、その結果、暴力団員であることが判明したら売却不許可とするとされています。 さらに、以上を通じて、暴力団員自身が買受けの申出等をする場合のみならず、暴力団員が資金を提供して、暴力団員でない者に言わば裏から買受けの申出等をさせる場合にも同様の規律がされるものとして、ダミーによる規律の潜脱を防いでいます。 ただし、不動産競売の全てにおいてこのような調査の嘱託の手続を経ていると執行の遅延が懸念されることから、例えば暴力団員であることが欠格事由とされている業者が買受けをするような場合には調査は不要であるとする規律を最高裁規則で設けてはどうかという議論が部会ではされたところです。 以上が第二の柱です。 第三に、子の引渡しの強制執行に関する規律の新設及びハーグ条約実施法における国際的な子の返還の手続の改正についてです。 まず、国内の子の引渡しの強制執行から話をさせていただきます。 現在の民事執行法には、子の引渡しの強制執行に関する規定が全く存在せず、動産の引渡しに関する規定を類推適用して実務を運用してきたと言われております。もっとも、類推適用といっても、子の福祉への配慮という単なる動産引渡しにはない極めて重要な要素がありますことから、実務的には例えば児童心理の専門家の助力を準備段階や実際の執行の現場で得るなど、子の福祉に十分に配慮をしつつ、執行がされてきたものと承知しています。 また、国際的な子の返還の手続を定めるハーグ条約実施法が成立して以降は、子の監護の移転という現象は共通していることから、国内の子の引渡しの強制執行の際にハーグ条約実施法の規律が意識されていたとも承知しています。 現行のハーグ条約実施法によれば、第一に、間接強制前置、すなわち、執行官による直接的な子の引渡しをする前に、間接強制、すなわち、債務者自身に任意に引渡しをするまで金銭を支払わせ続けるという手続を先行させる必要があります。また、第二に、同時存在の原則、すなわち直接的な子の引渡しの現場には子が債務者とともにいる必要があるとされています。これらはいずれも子の福祉に配慮したものと考えられていました。 部会における審議においては、国内の子の引渡しに関する規律をハーグ条約実施法の規律に合わせる方向での議論がまずはされました。しかし、既に子の引渡しを命ずる債務名義ができているのだから、迅速な執行こそが子の福祉にかなうのであって、その点からは間接強制前置を必須とするのは適切ではないのではないかという指摘がされてきたところです。 また、同時存在の原則があるために、債務者が執行現場にいないようにすることで執行を妨害できる、あるいは現場にいる債務者が激しい抵抗をするという事態があり、いずれも子の福祉に反するという指摘もされてきたところです。 以上のような指摘を踏まえ、またハーグ条約そのものは間接強制前置も同時存在原則も必要的とはしていないということも念頭に置いて、改正法案は、国内の子の引渡しについては、間接強制を必須の前提とはせずに、子の急迫の危険を防止するために直ちに執行する必要がある場合等には、間接強制をせずに執行官による子の引渡しを実施できるものとしました。また、同時存在の原則は取らないものとして、債務者は執行現場にいなくても執行できることとし、ただし、子が執行官の下に長時間とどまるということは子の福祉のためにはならないことを踏まえて、子の監護をすぐに引き継げるように債権者が執行現場に出頭することが必要とされました。 そして、以上のような国内の子の引渡しに関する規律と同様の規律をハーグ条約実施法にも設けるべく、同法の改正が提案されています。 私自身は、民事執行法に基づく国内の子の引渡しとハーグ条約実施法に基づく国際的な子の返還とは、理論的には性質の異なるものではありますが、子の監護の移転という現象においては類似するものであるため、両者の規律は異なるということは問題であると考えており、今回の改正法案が両者に同様の規律を設けていることは大変望ましいことであると考えております。 以上が第三です。 以上の三つに加えまして、改正法案は債権執行についても若干の提案をしております。時間の関係で、部会では議論がされながら改正法案には結実しなかった論点について一つ簡単に御紹介をしたいと思います。 平成二十九年の九月に部会が取りまとめた中間試案においては、債務者の最低限度の生活を保障するという観点から、一定の金額以下の、つまり少額の給与債権については全額差押えを禁止するという考え方が引き続き検討するものとするという形で取り上げられています。 この考え方については部会でも随分議論はしたのですが、少額の給与を複数の勤務先から得ている場合に、差押禁止という保護が複数発生し得て、結果として過剰な債務者保護となってしまい、このような事態を防ぐことが実際上困難であるという理由から、少額の給与債権の全額差押禁止という規律を設けるには至らず、他方で、事案に応じた差押禁止の範囲の変更の手続を債務者に利用しやすくするために、給与債権の差押えの場合の取立て権の発生時期を遅らす、それで債務者が差押禁止の範囲の変更の手続をしやすくするという手当てがされたところであります。 この改正法が成立して民事執行手続がより実効的で適正になるものであることを私自身、心から祈っております。同時に、法改正で事足れりとせず、改正法に魂を吹き込めるように、関係各所の理解の徹底や更なる連携の強化、さらに研修等が必要であるように思います。 私の意見陳述は以上です。御清聴ありがとうございました。
○委員長(横山信一君) ありがとうございました。 次に、今津参考人にお願いいたします。今津参考人。
○参考人(今津綾子君) 東北大学の今津でございます。大学では、民事訴訟、民事執行といった民事手続法の分野を専攻しております。 本日、このような場で意見を述べる機会を頂戴いたしましたことを心より感謝申し上げます。 さて、今般の民事執行法等の改正ですけれども、今、松下先生からもお話ありましたように、幾つかの異なる内容を含むものとなっております。全体的な内容については今御説明いただいたとおりということですので、私の方からは幾つか限定してお話をしたいと思います。 債務者の財産状況の調査に関する点と、それから子の引渡しの強制執行に関する規律、こちらは民事執行法とともにハーグ条約実施法の改正とも関連しておりますけれども、これを特にお話をしたいと思っております。 初めにお断りしておきたいんですけれども、私自身は今回の改正に関する法制審等の議論には関与しておりませんで、外からその改正作業を見ていたというだけの立場でございますけれども、そういった立場の一研究者としての意見として今回お話をさせていただければと思っております。 まず、債務者の財産状況の調査に関する規律ですけれども、制度の内容については今お話をいただいたとおりなんですけれども、一点、従来の実務での対応との関係ということでお話をしたいんですけれども。 従来、民事執行法の中に債務者以外の第三者から情報を取得する手段というのが用意されていないということがありましたので、一般には弁護士法の二十三条の二の第二項というところに定めております弁護士会照会という制度が活用されてきておりました。この弁護士会照会といいますのは、弁護士会がそこに所属する弁護士からの申出に基づいて公私の団体に対して必要な事項の報告を求めるというものであります。 金融機関の中には照会に応じて情報を出してくれるところも最近では増えつつあるということを聞いておりますし、また、各地の弁護士会において大手の金融機関との間で独自に協定を締結して照会に応じてもらえるような体制を整えるような動きも見られているということであります。 他方で、金融機関の中には、債務者、つまり金融機関にとっては顧客ということになりますけれども、顧客の、本人の承諾がないと照会には応じられないといって拒まれるというケースもまだ見られるという状況にあると。 これに対して、従来、弁護士会照会の実効性を確保するという方向に向けて、いろいろ学説でも、あるいは裁判例なんかでも争われてきていたところなんですけれども、最近になりまして最高裁の方で判例が続けて出されまして、弁護士会照会の拒絶に対して不法行為に基づく損害賠償をするということは基本的にできないということ、それから、弁護士会照会に応ずる義務が照会先にあるということの確認を求める訴えについてもやはり認められないということが明らかにされたということがありますので、これまで使われてきた手段というのがなかなか実効性という面では不安が残るという状況にあります。 そんな中で、今回、法改正の作業の中で、第三者から裁判所が介在して情報取得するという仕組みが採用されるということを伺いまして、非常に画期的なことだと非常に歓迎をするものであります。 現在の実務で使われている弁護士会照会の制度自体に意義とか役割があるということ自体否定するものではありませんけれども、強制執行の準備段階というものを、実質的にそういった機能を有しているものを今まで民事執行の手続の外でやっていたということがありますので、それをきちんと正面から執行法の中に入れるということについては非常に意味のある改正だというふうに感じております。 次に、子の引渡しの強制執行に関してですけれども、これも今回の改正の非常に重要な点かと思っております。 少し遡ってお話をしますと、かつて子供が親の間で言わば取り合いになるというケースに対しては、人身保護手続というのが盛んに利用されてきたことがあります。人身保護手続といいますのは英米法に由来するものですけれども、日本では昭和二十三年に法律ができまして、翌二十四年には既に子の養育をめぐる争いに用いられていたということであります。 人身保護手続の特徴としまして、これは保護請求が認められた場合の実効性が非常に高いというところに特徴があります。保護請求の審理の際に、現在の養育者である親、手続上の拘束者ということになりますけれども、その拘束者は必ず子供、被拘束者を裁判所に出頭させなければならないということになっておりますので、審理の結果請求が認められた場合、つまり現在は子と別居している親に子供の解放をさせるという判断が出ますと、事実上その裁判所に出頭している子供がそのまま請求者である親に引き渡されて一緒に帰ることができるという形の運用をしていたので、非常に好んで用いられていたという経緯があります。 ただ、平成五年になりまして、最高裁が人身保護手続の利用に歯止めを掛けるような判断を出したこともありまして、現在ではそちらの手続を取るということは例外的な場合になっているという状況にあると。 で、家事事件手続を基本的に利用するということになるんですけれども、家事事件手続の場合は、子を引き渡せという審判が出ましても、その場で子供を引き取って帰れるということではありませんで、別途その審判を実現するための手続というのが必要になると。 その手続というのが民事執行の手続なんですけれども、先ほどもお話ありましたように、現在の民事執行法の中には直接それを定めた手続がないということになっております。かつては、そういった直接の規定がないということもありまして、強制執行をそもそもできないという考え方もありましたし、あるいは、できるとしてもせいぜい間接強制というやり方しか認めないというのが実務でも一般的だったというふうに聞いております。 ただ、間接強制ということになりますと、実効性の面で非常に心もとないということがありますので、次第に直接強制というものを認めてくる動きが出てまいりまして、現在では動産の引渡執行に言わば借用するような形で、その手続の枠の中で、現場の執行官の方を中心にいろいろと工夫を重ねてこられたという状況にあるというふうに理解をしております。 こういった状況に対しては、既にもう実務家や研究者の間から直接の根拠規定を置くべきであるという主張は繰り返し述べられてきたところでありまして、今回の改正でそういった条文が設けられる、そういう見通しが立ったということについては非常に意義のあることだと思っております。 その上で、具体的な手続に関して幾つか申し上げますと、今回の改正の中で重要な点として私が考えておりますところは、一つには、直接的な執行方法として、執行裁判所が関与して、その上で執行官が現場に臨場するという、そういう仕組みが取られたということ。それから、間接強制なしに直接的な執行方法を取り得る余地が認められたということ。それから、執行に際して、債権者の出頭が必要的なものとなったと。この三点というふうに考えております。 第一の点、直接的な執行方法の仕組みが具体化されたということですけれども、執行裁判所の決定によって執行官が現場での行為を行うという仕組みが採用されたと。これは、現在のやり方、つまり動産の引渡しに準じて処理しているという現在のやり方の下では、執行の場面では裁判所というのが出てきませんで、執行官が執行機関として手続を主宰するという形になっております。これは、強制執行ができるかできないか、あるいはできるとして具体的にどういったことをするかという点について、当然法文上の手掛かりもありませんし、それから裁判所の命令というものもない中で、現場の執行官がその判断を全て担っているということで大変な負担であったというふうに思います。 その意味で、今回、執行裁判所の関与というのがきちんと定められたという点、それから執行官にどういった職務ができるかということが明確化された点については、非常に重要なものというふうに理解をしております。この制度を生かすためには、今後、執行裁判所と執行官の連携について、あるいは執行官の人材育成等の面についても配慮をしていただければと思っております。 それから、先ほど二つ目に挙げた点ですけれども、間接強制の前置という現在ハーグ条約実施法に規定されている方法を取らなかったという点、これも非常に重要な点かと思っております。ハーグ条約実施法の規律、これは国際的な子の返還の強制執行を定めたものですけれども、そこでは、強制執行の方法として代替執行と間接強制という二つの方法が用意されておりまして、その二つについて、まず間接強制をしてみると、それがうまくいかなければ代替執行をするというような形になっております。 民事執行の一般的なルールとしては、複数の方法が選択できる場合、債権者が自由に選択するというのが通常の考え方なんですけれども、子の引渡しということを考えますと、やはり債権者だけの判断で方法を選択するというのはまずいのかなと。つまり、子の利益ということを考えないといけませんから、全くの自由というのは少し問題があると。 他方で、必ず間接強制を前置するというのも、やはり事案の性質が様々であることを考えますと、やはり硬直的に過ぎるのかなと。その意味で、今回改正法案で提案されております、原則は間接強制を置くんだけれども、例外的にそれがなくても直接的な手段に出ることができる場合を認めたという規律の定め方というものについては、手続に柔軟性を持たせるという意味で、子の利益というものを配慮するために必要な仕組みであろうと思っております。 それから、三つ目に挙げた点ですけれども、これもハーグ条約実施法との関係で大きな変更点と言えるものと思いますけれども、債務者のいわゆる同時存在の原則というものが取られていない点が重要な点かと思います。ハーグ条約実施法では、債務者と子供が一緒にいる場合しか執行官が権限行使できないとなっておりましたので、いろんな弊害があるということが指摘されておりました。元々、その同時存在を要求する理由として挙げられていましたのが、債務者が執行官の説得を受けて自発的に履行する機会を確保するとか、あるいは債務者がいないところで執行すると子供が恐怖あるいは混乱を感じると、それを防止するために存在を要求するというような説明がされておりました。 ただ、後者の点、つまり子供が混乱するという点については、債務者が立ち会うという手段でなくてもそれを回避することは可能であろうと。つまり、債権者を立ち会わせるということによっても可能であろうと考えられますので、今回の改正法の定めるように、債務者の存在ではなくてむしろ債権者の出頭を必要的なものとしたという点、これも従来の考え方とは規律が変わっていますけれども、これ自体不合理なものではないというふうに理解をしております。 それから、子の引渡しの強制執行については、今回条文が設けられましたけれども、事案の性質上、画一的な手続規律にはなじまないという側面もやはりあるかと思います。その意味で、今回、百七十六条として、執行機関において強制執行が子の心身に有害な影響を及ぼさないように配慮すべきであるという規定を設けていると、この点も非常に重要なところであると考えております。 実務において、この条文の趣旨をよく酌んで、これに沿うような運用がなされることを期待しておりますとともに、研究者の側としても、引き続き、どういった手続であれば子の引渡しあるいは子の福祉というのを実現するために望ましいのかということについて引き続き検討してまいりたいと思っております。 最後にもう一点だけ、今回の改正とは直接関係のないところなんですけれども、子の引渡しの問題と並んで同じように重要な問題として、面会交流の問題があります。 この点、従来、子の引渡しというと、あたかも今生の別れのようなイメージを持つ債務者も少なくなくて、それが執行の場面での非常に強い抵抗を生んでいたというふうに思っております。ただ、本来ならば、子を相手方の親に引き渡したとしても、その後、子供とその関係が絶たれるわけではなくて、面会交流を通じて成長を見守るということはできるわけですので、その面会交流の確実な実施ということが保証されれば、翻ってその引渡しの円滑化ということにも資すると思いますので、そちらの面に関しましても引き続き御検討いただければ幸いに存じます。 私からの意見は以上になります。御清聴ありがとうございました。
○委員長(横山信一君) ありがとうございました。 次に、伊藤参考人にお願いいたします。伊藤参考人。
○参考人(伊藤由紀夫君) 非行克服支援センター相談員の伊藤です。このような機会をくださり、心から感謝申し上げます。 私は、昭和五十五年に家庭裁判所に奉職し、昨年、平成三十年三月に定年退職後の臨時的任用職員を退職するまで三十八年間、家庭裁判所の調査官として働いてきた者です。その後、非行少年やその家族の立ち直りを支援するNPOで活動をしております。また、被害者と司法を考える会の運営委員として、犯罪被害者の方への支援などにも関わらせていただいています。 家庭裁判所調査官、家裁調査官といいますが、としては、家庭裁判所における様々な少年事件や家事事件について、裁判官、時に裁判官を含む調停委員会の命令を受け、多くの少年審判や家事審判、家事調停の中で調査活動を行ってまいりました。 ただ、私は、地方裁判所における強制執行などの実務に直接関わった経験はありません。ただ、強制執行の前段階となる家庭裁判所の事件、すなわち離婚事件、あとは様々ありますけれど、特に子の監護に関する事件といったところ、又は虐待に関する児童福祉法二十八条や三十三条に関わる親権停止などの事件、そうしたものについての実務経験は積んでまいりました。ただ、学者、研究者というわけではなくて、一介の裁判所職員だったにすぎません。この民事執行法の改正に関するこのような国会の場にふさわしいのか、内心とても苦しい思いで現在います。ただ、そうした実務経験からの立場からの意見として御理解をいただければと思っております。 私の話を焦点化するために、家事事件における養育費の事件と子の引渡しの事件、この二つに絞って御報告したいと思います。 まず養育費の事件ですが、離婚事件、家庭裁判所では夫婦関係調整と呼ぶことが多いです、夫婦関係調整事件の中で決められることもありますが、この事件とは別に養育費事件として申し立てられることもあります。多くは、調停の中で当事者双方から経済的な資料を提出していただき、算定表、これは最高裁のホームページにも載っていると思いますが、それに基づいて大枠の養育費が算定され、それぞれの家庭事情において加算若しくは減算が話し合われて、調停の合意に至ります。 ただ、家裁調査官としては、そうした調停に立ち会っているわけですけれども、解決困難な事情、例えば財産分与や慰謝料等について対立、非難応酬が激しく、それに伴って養育費の合意も進展しないといった場合には、事件に応じて問題を切り分けつつ、婚姻関係の破綻の経過や離婚原因、子供の実情、経済事情の背景などを調査する活動を行います。時に家庭訪問なども必要となります。私が一番に考えるのは、問題が発生している中で、一番の弱者である子供の権利ができるだけ守られているかどうかにあります。調停での話合いでは合意できない場合、養育費については裁判官の審判によって決定されることになります。 こうして決められた養育費ですが、調停や審判の後、それが支払われないということが起こります。こうした場合に家庭裁判所でなされるのが、履行勧告という事件です。 履行勧告事件は、家庭裁判所の調停で決まった調停条項、審判で決まった決定条項について、その義務者、家裁では義務者と呼びますが、民事執行法は債務者ということになるんだと思いますが、に履行を求めるものです。具体的には、養育費の支払が決まっていたのに支払わない場合、権利者からの申出により、養育費の支払を確実に履行してもらうよう義務者に勧告をする手続で、これも家庭裁判所調査官の調査活動の一つです。紛争後の修復手当てといいましょうか、家庭裁判所のアフターケアというべき活動で、ただ、事件数としては少なくないものがあります。 具体的には、義務者に履行勧告書を送付し、その回答を待ち、支払わなくなった、支払えない事情等を確認し、なおできる限りの養育費の支払の履行を求めるといったことになります。電話で接触するということも多いと思います。離婚紛争に伴う感情的な遺恨や怨念といったようなもの、それを乗り越えて、子供の成長、発達のための養育費の支払ということを説得し、対応を助言することもしばしばあります。そして、義務者の回答内容を権利者に伝え、当面の理解を促すことになります。当面、少し減額した状態でしか支払えないというようなことに御理解をいただけるかどうかというようなことも確認していきます。それで御了解いただければ、じゃ、取りあえず今回の履行勧告は少し待って、またしばらく様子を見ましょうというような形になることが多いと思います。 ただ、実情としては、義務者も経済的に困窮していることも少なくありません。しかし、全く回答書にも反応がない、返信してこないといった場合も少なくありません。そうした後、強制執行は最終的な手段であり、そうならないように調査、調整活動を調査官としては行っているのですが、それでも支払わず、養育費の確保が必要となれば、権利者に強制執行手続について説明し、家庭裁判所としては事件を終了するということになります。 とはいえ、こういう説明をしながらでもありますけれども、権利者の方にとって離婚後の義務者の財産がどこにあるか特定することは相当に困難だなという、強制執行ができない、進まないといった事態も考えられたところで、とてもやっぱり心苦しいというところが実務家としてはありました。 そこで、実務の現場としては、当事者の双方の方に再度養育費調停、養育費の減額調停といったことになりますが、を行いませんかというふうなことを説明したり、促すようにしてもいました。しかし、離婚紛争を経た当事者双方にとって再度養育費調停を行うこともまたできる限り忌避したいということで、再調停が申し立てられることはありますけれども、多くはないというのが実情です。 こうした実情から考えて、今回の民事執行法の改正における債務者の財産の開示制度の実効性を上げる方策、特に第三者からの情報取得手続の創設は必須のものと考えます。子供の権利である養育費の履行確保の滞留、停滞といったものが解消、改善される方向に動くと考えられるからです。なお、義務者の様々な理由での経済的困窮もまた実情としてあることは事実であり、債務者の最低生活保障についての配慮も当然必要なのかなというふうに考えます。 次に、子の引渡事件ですが、多くの場合、その前提として離婚事件等の調停があり、それに伴う親権、監護権や養育費の調停、審判、面会交流に関わる調停、審判などがなされた後、なお、非親権者の親が子供を手放さないといった場合に起きる事件ということが多いと思います。子供の年齢、成長発達段階にもよりますが、離婚紛争中、若しくは離婚後に親権者でない親が子供をいきなり奪取し、他方の親に会わせない、若しくは親権者に指定された親に引き渡さないというような緊急事態に対する解決を求めての場合、そういう場合に強制執行がなされるということも考えられます。いきなり奪取といった場合、その紛争性の高さとはいえ、法的解決を尊重、遵守しないといった行動自体が子供への虐待とも言えるような場合もあると思っています。 付け加えるなら、夫婦間の子供の数が少なくなり、また、父親の育児参加が求められる中、この十年から十五年ほど、親権者、監護者の指定や面会交流など子の監護に関する事件の紛争性は高くなり、解決困難になっていると言わざるを得ません。 そして、通常の場合、離婚等の調停、審判での解決においては、家庭裁判所の調停、審判の段階で、家裁の調査官は、子供の実情調査、親権者、監護者の適格性に関する調査、試行的面会交流等を命じられ、当事者双方の主張を聞き、家庭訪問を行って直接子供に面談し、場合によっては子供の祖父母の意見を聴取し、当事者の実家の動向が実は鍵を握っているということも少なくありません、また、子供が在籍する学校等への照会や学校訪問なども行って、それぞれの家庭事情や親子関係、子供の成長発達状況を調査し、調停や審判での早期問題解決を図ることになります。 その調査は、関係諸科学の知見に基づく客観的、科学的調査が求められますが、その調査に伴って、調査というだけではなく、問題解決に向けた調整活動や説得活動も不可欠になります。具体的には、父母の紛争下にあって、子供が不登校や引きこもりになっていたり、学校不適応を起こしているといったことも少なくありません。そうした子供への心理的な手当て、立ち直りを配慮しながら調査することもございます。 そうした調査活動の中で、親権者、監護者の適格性を判断し、非親権者と子供の面会交流が円滑に実施されるように、試行的に家庭裁判所内にある児童室といったところを使って面会交流を実施したり、当事者間での面会交流の実施に助言、指導を行ったりして、子供の不安や葛藤を可能な限り減らし、当事者双方の理解や情報交換の改善を向上させていくことになります。具体的に言うと、面会交流をいつやるかというようなことについて当事者双方がうまく連絡を取れないというようなこともたくさんありますので、そういったことについて円滑にできるようにということで助言をしていくというようなことがございます。 父母の感情的葛藤や対立が鎮静化すること、父母の精神的安定性を増すことが、子供の不安や葛藤を少なくする最大の鍵だと思います。より具体的に言えば、親権者、監護者になりたいと主張しつつ、一方、他方の親への面会交流を激しく拒否したり一切の接触を遮断しているといった場合、さらに、子供を自分だけの支配下に置くように心理的に操作するといった、あえてですが、虐待に準ずるような問題行為を行っている場合、そうした親に対し、子供にとって面会交流が必要であり、大切であることを説明し、調整していくことが大きな課題となります。 問題となる子の引渡事件は、こうした家庭裁判所での経過、働きかけを経た上でなお子供を引き渡さない場合になされるものであり、さきに述べましたように、紛争性が極めて高く、それは紛争下にある子供にとっては極めて苛烈な葛藤状態が想定される事件だと思います。 そこで、今回の民事執行法の改正における子の引渡し及びハーグ国際条約に基づく子の返還の強制執行に関する規定についての明文化、見直しは必要なものと考えます。従来、子の引渡しの強制執行の規定がなかったことが大きな問題であり、特に子の引渡しに関して、執行補助者の必要性などが明示されたことは子供の権利保護に資すると考えられるからです。父母の激しい対立、葛藤が続く中、子の引渡しという最終的な現場に直接立ち会い、子供の不安定な心情に寄り添って助言できる法律的な素養と心理援助的な素養を兼備した専門家が必要であり、その人材確保が重要になってくるというふうに思っています。 家裁調査官の実務経験からいうと、虐待事案でない限り、家事事件、少年事件を問わず、子供たちは可能な限り、どちらの親も大切で、どちらの親も愛したい、そういうふうに思っていると思います。ですから、家庭、家族の機能がうまく働かず、家庭内に紛争や葛藤が満ちている中では子供たちはとても苦しいです。成長発達年齢に応じて、子供たちの言葉で意思表明は様々ですが、本当に苦しい。様々な懸念の海の中で思ったことを言えなかったり、時に逸脱行動や問題行動で内面を表現したりします。不幸なケースでは、それが少年非行に至ることもあります。 ですから、私は、個々の家庭機能がうまく働かない場合は、それに代わって国や社会が一定の後見的機能を果たす必要があり、それが子供の権利、子供の成長発達権を保障することになると思っています。少年法の理念で言ういわゆる国親思想、パレンス・パトリエであり、この国親思想は、家事事件の紛争下にある子供たちにも必要なものではないかと思います。 民事執行法の中では、養育費の問題も子の引渡しの問題も債権者と債務者の問題とならざるを得ないのですが、重ねて言うと、養育費は債権者の権利だけではなくて、子供の成長発達権を保障する子供の権利であり、子の引渡しについても、子供がより良い環境で成長発達できることを保障するための制度であるべきだと思っています。子供の成長発達権の保障ということを基本に置いて法律が検討され、運用が構築されることを願っています。 以上でございます。清聴ありがとうございました。
○委員長(横山信一君) ありがとうございました。 以上で参考人の意見陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○元榮太一郎君 自由民主党の元榮太一郎でございます。 今日は、三人の参考人の先生方、貴重な御意見をお聞かせいただきましてありがとうございます。 まず、松下参考人に伺っていきますが、今回の法律案で、債務者以外の第三者からの情報取得手続が新設をされたということで、金融機関からは預貯金や株式、そして登記所からは不動産、さらには市町村や日本年金機構などからは勤務先ということで情報を得ることができますが、その中で、この勤務先に関する情報については、養育費などの債権と、そして生命、身体の侵害による損害賠償請求権に限定されているということになっております。 この強制執行の実効性を担保するために、給与債権の差押えの実効性というのを向上させることが最も有効な手段だったと思うのですが、この執行債権の範囲を限定したことについては、松下参考人はどのようにお考えでしょうか。
○参考人(松下淳一君) 給与債権というのは働いている人であれば必ず持っている財産でありますので、執行対象としては非常に重要なものであります。他方で、働いている人間にとっては給料を確実に手にするというのはこれまた大事で、生活を支えるのに非常に重要なものでございます。そのバランスを取ることが必要であり、どのような執行債権に基づいても給与債権を差押えできるというのはやや広いのではないかというふうに考えます。 したがいまして、類型的に保護の必要性の高い扶養料等の請求権、あるいは生命、身体の侵害に基づく損害賠償請求権に限定したというのは、政策的には十分うなずけるところであると考えております。 以上です。
○元榮太一郎君 私の弁護士の知り合いからは、この民事執行法の改正というのは非常に期待されているところなんですが、やはり債権回収というような現場で、弁護士がやはり判決を取って債務名義は獲得したんですが、結局、大抵、その支払がない場合というのは、債務者はそういう不動産や預貯金などは持っておらず、回収が見込めるのはやはり給料からということが多いんですね。 そうしますと、それでいてその執行債権というのは、今回の限定された債権以外の債権の種類の場合が多いので、結果としてやはりまた依頼者を失望させ、そして弁護士に対する信頼や司法に対する信頼というものの向上も道半ばになってしまうというような声も聞きます。私も実際そのように思うんですが、先生がおっしゃった小さく産んで大きく育てるという意味で、この執行債権、ひとまずは限定しましたが、今後の動向も踏まえまして、これを広げていくということの可能性についてはいかがでしょうか。
○参考人(松下淳一君) 委員の御指摘のとおりでありまして、先ほど申し上げたとおり執行債権をどういうものに限定していくかというのは論理的、一義的に決まるというものではなく、政策的に様々なことを考慮して決めるものであると思います。 したがいまして、財産開示について要件を緩和したように、まさに御指摘のように、要保護性の高い執行債権というのが適切に限定できるということであれば、今後これを広げていくという可能性はあるものと考えております。
○元榮太一郎君 ありがとうございます。 次に、伊藤参考人に伺います。 子の引渡しの強制執行でありますが、先日、党の法務部会で、部会長の長谷川委員とともに東京家庭裁判所を視察させていただきました。そこで家裁の調査官や執行官から実情を聞いたところ、子の引渡しの強制執行の現場ですと、債務者である一方の親が子供を抱きかかえて引渡しを拒んだ場合には、強制的にそれを引き離したりすることはできないで、結果として執行が不能になるということでありました。 こういうことになりますと、執行官が来ても抱きかかえて抵抗すればいつまでも子の引渡しが実現できないということになってしまいまして、その執行の実効性の観点からも、最も大事な子の利益の観点からも、これは余り良くないと思うんですが、そういう児童心理学的な知見もお持ちの参考人から、その点について御意見を伺いたいなと思います。
○参考人(伊藤由紀夫君) 大変難しい問題だと思います、本当に。 ただ、私の実務の経験からいうと、そこに至る前にやはり債務者の方にどう理解していただくか、特にその債務者の方の実家の御両親といったような方にどう理解していただくか。それから、先ほど今津先生がおっしゃりましたけれども、その後、要するに子供がどちらに行って育てられたとしても面会交流というのは可能なんだ、それには様々なやり方があるんだというようなことについてやはり債務者の方に御理解をいただくという、そういう作業が私はやっぱりなされるべきだ、それが子供の権利について一番安心、安定したものになるんではないかと思っています。ですから、やはりその前段階における家事事件の中での働きかけということが非常に重要だと思っています。 ただ、現状として、強制執行をして、実際にそれがうまくいくという割合が三割程度だというふうに思っているんですが、やはりそれは改善されるべきだというふうに思っていますし、それは場合によっては債務者の方はやはりそこに立ち会わないというところで、どういうふうに引渡しを強制執行するかということを検討せざるを得ないということもあるかなというふうに思っています。もちろん、これも今津先生の話にありましたが、執行官の方の研修も必要でしょうし、どういう人を補助者として確保できるかということが課題だと思っています。 以上です。
○元榮太一郎君 ありがとうございます。 準備段階が大事だという御意見をいただきましたが、今津参考人に伺っていきたいんですが、そういうまさに事前準備が大事だというような努力は必要であるとともに、例えばなんですが、やはりこの子供を抱えて引渡しを拒絶して強制執行を妨害するような債務者に対しては、諸外国ではあると思うんですが、刑事罰を設けるということはどうなのかということでして、これは実際に刑事罰を発動したいということよりも、むしろその抑止効果というか、やはり先ほど財産開示制度が過料だったものが刑事罰化していくと同じように、そういうことが可能性としてあるならば、これは引渡しを争うよりも対話に向かおうと、こういうような状況を促すことも期待はできるような気がするのですが、今津参考人の御意見を伺いたいと思います。
○参考人(今津綾子君) 今おっしゃっていただきましたように、刑事罰の導入というのも一つの選択肢としてはあり得るかと思います。 ただ、子の引渡しが問題となる場面というのは、民事上の裁判の結果を執行するという手続の中に刑事罰を入れるというものですので、この場面に限らず、広く一般に民事上の債務の履行がされないときに刑事罰を入れていいかどうかというもっと大きな問題に発展する可能性がありますので、この局面だけ取り入れるということが果たして適切なのかどうかというのは、全体的なその法律の仕組みを見たときには少し疑問に思うところもあります。 また、今おっしゃっていただいたように、実際に刑事罰を発動するかどうかとは別に、そういった制裁が控えているということを基礎にして、じゃ、任意に履行しましょうという、そういう方向に持っていくというのは確かにあり得ますけれども、それも間接強制なんかでも同じような心理的な強制働くので、それにどうしても応じないという債務者にどれぐらい実効性のあるものとして機能するかは、ちょっと疑問符も付くところもあるのかなという気はしております。
○元榮太一郎君 もう一つ今津参考人に伺いたいんですが、面会交流の現場では、やはり間接強制というものも、子の引渡しもそうですが、あると思うんですが、面会交流については、やはり一方が間接強制を申し立てて、それが認められた場合に、それを本当に執行まで行うということというのはなかなかしにくいと思っておりまして、一応間接強制は認められるんだけれども、そのままにしてしまうというようなことが間々あるというふうな印象を受けているんですが、そういった意味では、間接強制というのがやはり実効性を担保する上での方法としては余り完全ではないという中で、こっちのこの面会交流についてもやはり本当にこのままでいいのだろうかということを私は思っていたりするんですが、立法的な観点も含めて、何かいい、より実効性を担保する方法があれば教えていただきたいと思います。
○参考人(今津綾子君) 今おっしゃっていただいたように、面会交流の問題、非常に難しくて、ハーグ条約実施法できたときも、元々ハーグ条約の中にその面会交流に関して手続を設けるという要請がなかったこともありまして、その具体的な手続設けられないまま今来てしまっていると。 子の引渡しというのは一回的な行為ですので、直接的な手段、使いやすいということありますけれども、面会交流って繰り返してやられるものですので、そこに毎回直接的な手段で、例えば子の引渡しのようなことを毎回やるというのは非常に現実的ではないかなという気がしておりますので、現状では今おっしゃっていただいた間接強制という形になると。ただ、間接強制の場合、じゃ、現実にそれを執行してしまうと、子供の生活の原資が減るということにもなりますので、なかなか実際に機能しているかと言われると難しいところではあります。 ただ、今おっしゃっていただいたように、効果的な方法を提案してくれということについては、私の方では今すぐにこれということは申し上げられないんですけれども、研究者の側としても、今後引き続き検討していきたいと思っております。 以上です。
○元榮太一郎君 それでは、同じ点について、松下参考人、何か良いアイデアはありますでしょうか。
○参考人(松下淳一君) 面会交流というのは、本人が自発的にやらないとなかなか実効的にできないという性質のものであろうと思いますので、間接強制以外の手段というのは、済みません、私も今思い付くものはございません。 ただ、今、今津参考人がおっしゃったように、間接強制金の額を運用で適切なレベルに設定し、子供の生活を脅かさないようにしながら、しかし債務者の心理を強制できるような運用をすると、そういう運用の中でより実効性を上げていくということぐらいじゃないかなと思います。 以上です。
○元榮太一郎君 ありがとうございます。以上で終わります。
○小川敏夫君 立憲民主党の小川敏夫でございます。 松下参考人にお尋ねいたしますけれども、今の我が国の法制上、債務を履行しないことは犯罪じゃないんで、幾ら債務を履行できる力があっても履行しない、意図的に履行しないといったって犯罪じゃないわけであります。 今回、財産開示制度で、財産を明らかにしろという手続に協力しないと懲役六月という犯罪に処せられる、あっ、刑罰に処せられると。債務を履行しないことが犯罪じゃないのに、債務の履行に向けたそうした準備行為といいますか、そういうことに応じないことが犯罪になるというのは、どうも私、腑に落ちないんですけれども、ここら辺のところはいかがでございましょうか。
○参考人(松下淳一君) 債務の履行自体は民事の問題ですので、それの不履行が直接に犯罪になるものではないという整理はされていると思います。 他方、今般の財産に関する情報の取得の場面で見ますと、もう債務名義ができていて強制執行できる状態にあるのにそれに協力しないと、裁判所から開示を命じられて、不出頭だったり虚偽の陳述をするというのは、これはある種の執行妨害でございますので、これは犯罪とするのになじむのではないかというふうに考えております。 以上です。
○小川敏夫君 債務の履行に協力しないと言うけど、債務を履行しないこと自体が犯罪じゃないのに、その協力しないことを犯罪とするというのがなかなか私は腑に落ちないんですけれども、まあ同じ議論してもしようがありませんから。 それで、一つお話として、執行文、裁判所の判断を受けた判決に従わないというところは中心として議論されておるんですけれども、ただ、裁判所の判断を得ない公正証書、それから仮執行、まだ判決が覆るかもしれない仮執行という段階でも執行文がありますので、こうした財産開示なり情報の協力ができるという仕組みになっています。 これですと、どうも、特に公正証書などの場合は全く裁判所が関与していないわけですから、司法の下した判断に従わないという論理だけでは足らないかと思うんですが、これはいかがでしょうか。 済みません、質問は全て松下先生にさせていただきますので。
○参考人(松下淳一君) 確かに、執行証書というのは債務名義の中で唯一裁判所を経ないものでございます。しかし、公証人の関与があるということで債務が確実に存在するという点では確定判決に資するものだということで、現行法では執行力が与えられているわけです。平成十五年の財産開示制度を創設するときには、執行証書に基づく強制執行を準備するためには財産開示が使えなかったのですが、これは、既判力がなくて後で覆滅されるおそれがあるということから、小さく産んだという表現を先ほど使いましたけど、財産開示の基礎には使えないということにしたわけですが、その後、貸金業法の改正等があり、執行証書の運用も適切になったということもあり、また、理論的に考えれば、執行証書であれ確定判決であれ、強制執行できることには余り変わりはございませんので、今回、その差を取り払ったということだと思います。 以上です。
○小川敏夫君 なかなか釈然としないところもあるんですけれども。 松下参考人は、これまでの制度が取りあえず入ってきて、しかし濫用ということが余りなかったので今回少し強化したというようなお話もいただきましたが、私なりに見ますと、そもそもこれまでの制度は実効性がないから濫用に至るまでの心配がなかったというふうにも思うんですが、今度は懲役六月という、出頭しないだけでも懲役六月に処せられるという大変に飛躍的に重い犯罪行為にするということですので、今までの仕組みで濫用がなかったというだけで説明が付くのかなというふうに私は思うわけであります。 この懲役六月というのは、もうこれまでは過ち料の過料だけでした。ですから、今度は刑事罰を創設するということになるわけで、私は重過ぎるんじゃないかと思うんですが、あるいは厳し過ぎるんじゃないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○参考人(松下淳一君) 不出頭なり虚偽陳述を何に似せて考えるかということかと思います。改正前というか、現行法は、例えば民事訴訟の当事者尋問における虚偽陳述なんかと並びで考えていたのかと思いますが、実効性がそれでは足りないという指摘があり、特に三十万円を払えばうそをつける、あるいは出ていかなくていいんだったら誰が出ていくかというような、それ自体が非常に真っ当な指摘があり、今般の自由刑を含む刑罰になったと思います。 刑罰の重さというのはほかの犯罪類型とのバランスで決まる問題でございますので、何と似ているからこうだ、こうしたんだということはちょっと今すぐには申し上げられないのですけれども、私自身は、財産開示制度の実効性を確保する上で適切な立法がされたというふうに考えております。 以上です。
○小川敏夫君 今回、第三者に対する情報提供という制度が新設されました。預金、不動産、有価証券、それから給料というものがその管理者なりに情報提供を求めれば得られるという制度ができたわけですから、もうそれで十分であって、刑罰をもって債務者に財産を説明しろとまで強制する必要があるのかなと、こういうふうにも思うんですが、これはいかがでしょうか。
○参考人(松下淳一君) 債務者からの情報取得とそれから第三者からの情報取得というのは、あれかこれかという問題ではないというふうに考えております。したがって、両方の制度を設けておき、債務者から情報を取得する方が簡便になると考えれば財産開示を使えばよろしいでしょうし、しかし、それとは別に第三者からの情報取得の道はつくっておくというのは執行制度の実効性を確保する上では適切な立て付けであると考えております。 以上です。
○小川敏夫君 この第三者からの情報提供では得られないで執行の目的となる財産と考えると、手持ちの現金だとか有価証券などの動産類とか、そういうものが浮かぶんですが、こういうものはすぐ移動できちゃうから、財産開示で持っているよとしゃべったって、どこに持っているんだと、自宅に持っているといっても、帰ったその日に場所をどこか移しちゃえばもう執行ができないわけですよね。 そういうふうなことをいろいろ考えると、第三者から情報をもらえる、もう画期的なこの強制執行ということを考えたときに、非常に画期的に有効な手段が新たに設けられたのだから、債務者に財産を全部公にしろと、刑罰をもって公にしろという制度まで要らなかったんではないのかなと私は思うわけでありますけれども、意見が違いますので、お考えは結構でございます。 それで、もう一つ。財産開示に債務者が協力しなかった場合、出頭しなかった場合、それからうそついた場合には懲役六月の刑罰が科せられると、こうなったわけですけれども、一方で、この債務者の方は完全にプライバシーに関する情報を債権者に知られてしまうと。その情報が債権者の段階でとどまっていればいいんだけれども、この債権者の目的以外にこれが流布されたり知られてしまっては困ると。 これは、この法律上それは漏らしてはいけないと、他の目的に利用してはならないし、提供してはならないという規定になっておるんですけども、しかし、それに従わないで情報を漏らしちゃった場合の罰が、こちらは過料のままなんですね。そうすると釣合いが取れないんじゃないかと。債権者の方にこういう債務者に刑罰を科すという強力な権限を与えて、そして債務者の個人情報を全部、財産に関する情報を全部取得すると。それについて、債務者の情報もしっかり守ってあげなければいけないと思うんだけれども、それを守らなかった債権者に対するその制裁が過料だけで済むというのは、私はバランスが悪いと思うんですが、ここはいかがでしょうか。
○参考人(松下淳一君) 確かに御指摘のような考え方も十分成り立つものと考えます。しかし、債務名義があって財産を開示せよと言われて、そもそも出てこない、あるいはうそをつくというのと、それから取った情報をどういう対応か知りませんが目的外で使うというのは、やはりこれ同じというか、軽重はおのずからあるのではないかと考えます。 したがって、三十万円の過料というのが適切な立法かと言われると、確かにそういう考え方あろうかと思いますが、それが不適切なほど均衡を失しているとまでは私は考えておりません。 以上です。
○小川敏夫君 個人情報、これどういう財産持っているかというのは守られるべき個人情報の非常に重要なものだと思うんですね。それを全部明らかにしなくてはいけない、刑罰をもって、明らかにしなければ刑罰に科せられるというまでの義務を課しておきながら、一方、それを守るという分野の配慮が足らないんではないかなと私は思いました。これはもう説明いただきましたので結構です。 じゃ、もう一つだけ。今度は別の点でありますけれども、競売からの暴力団員の排除。私の理解だと、これは効果ないんじゃないかと。つまり、暴力団員は買えないよ、人に頼んでも駄目だよ、それから暴力団員が役員の会社は駄目だよと。 で、私考えまして、じゃ、私、競売代金の五千万ぐらい用意して新しい会社をつくって、その会社には別にただの素人を社長にして、その会社に札を入れさせれば、その会社は暴力団員じゃないし、暴力団員が役員じゃないし、それから、会社自身のお金で買っているから出資した暴力団員の計算でもないと。ですから、どれにも当たらないんで排除できない。排除できないという道が残っていれば、みんなそれやるに決まっているんだから、結局、今回の規制は効果がないまま、言葉は悪いけど、ざる法で終わっちゃうんじゃないかというふうに心配しているんですが。 この支配株主というものを排除の中に取り込まなかったということによって、私は漏れがある、効果がないために裁判所に余計な事務を負担を課しているんじゃないかと私は思ったんですが、いかがでしょうか。
○参考人(松下淳一君) 今のようなケースというのは、自己の計算において最高価買受申出人に買受けの申出をさせた者が暴力団員等である場合に当たる場合があるというふうに考えております。 確かに、支配株主というような書き方は条文にはなっていないのですが、この自己の計算においてというのは既に民事効で使われている表現でありまして、既に解釈、運用が定着しているものでございますので、それを使って表現したというふうに私は理解しております。 以上です。
○小川敏夫君 そうかな。でも、自己の計算というのは、あくまでもその収支の計算が自己でしょうけれども、その人が出資して新たにできた法人は、これはまた別個の法人格がありますから、明らかにこの懐が違いますので、そういうふうには考えられないのではないかというふうにも思います。そういう抜け道があれば、結局ざる法になってしまうのではないのかなと。 ですから、そうした点も様子を、運用状況を、法の執行状況を、仮に成立した後いろんな面で様々な検討はする必要があるのかなと意見を述べさせていただいて、時間ですので、私は終わります。
○櫻井充君 国民民主党・新緑風会の櫻井充です。 三人の先生方から貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。 私は心療内科医でして、今でも不登校と引きこもりと拒食症の患者さんを診療しています。特に、こういうふうになる人たちって、大概家族の仲が悪くて、この間も離婚寸前だった方がいらっしゃいましたが、いろいろカウンセリングを行って離婚の危機を乗り越えることもできたりしていて、先ほど伊藤参考人からいろいろお話がありましたが、多分、事前でやるべきことというのはそういうことなんじゃないかなと、そう思いますし、それから、探偵会社の方で非常に面白いことをやられているのは、カウンセリングをやっているんですけど、探偵会社に来て依頼して、離婚したくないという人が八割なんだそうなんですよ。 ですから、離婚するために証拠の写真を撮るということ以上に、何というんでしょうか、別れないでほしいからそういうことを突き付けてという人たちが随分いるみたいであって、その前の段階でどういう努力をするのかということがすごく大事なことだと思っているんです。 やはり、先ほどから話になっていますが、気の毒なのは子供です。子供の権利が守られるべきだと思っていて、まず最初に、その離婚した場合の子供の権利というのは、普通、離婚する前の親に育てられている子供とどういう違う権利が発生するものなんでしょうか。松下参考人にお伺いさせていただきたいと思うんですが。
○参考人(松下淳一君) 扶養をする義務が親権者にあるのは、これはもうずっと一貫、離婚の前後を問わないと思うんですけれども、扶養料等の請求権が発生するというところが違ってくるかと思います。同じ家庭の中であれば権利を観念する必要がございませんのでということです。 以上です。
○櫻井充君 そうすると、この権利を本当に子供は行使できるんでしょうか。
○参考人(松下淳一君) もちろん、子供自身が権利行使するということは期待できないことですので、親権を持っている人間がその行使をするということになろうかと思います。
○櫻井充君 この権利がなかなか行使できないからこそ、今、養育費などを受け取ることができないという話になっています。 先ほどお話があったのは、養育費というのは子供の権利であると。その結果、何が起こっているかというと、子供の貧困率でいうと、一人親家庭は五〇%に達していると。ここを解決してあげない限り、やはり子供が不幸だと思うんですね。何らかの、こういうような政策をつくっていったらこの貧困率を解消できるという、そういう案があれば教えていただきたいと思います。
○参考人(松下淳一君) 今御指摘の問題は非常に大きい問題でございまして、何か一つ特効薬があるものではないというふうに考えております。 民事執行の世界に限定していいますと、扶養料等の請求権をほかの一般の金銭債権と比べて手厚く保護をすると、差押えしやすくするとかもろもろの改正がされておりまして、全体の対策の中では部分的なものかと思いますが、そういうことを含めまして検討を続けていくことが必要であると考えております。
○櫻井充君 今回の議論ではそういう議論というのはなされたんでしょうか。 それからもう一つは、先ほどの債権の取立てのところが変わってくることによって、養育費を受け取れるということが更に増えていく、可能になっていくものなんでしょうか。
○参考人(松下淳一君) もちろん、法制審の部会では、扶養料等の請求権の保護を更に拡充すべきであると。特に、第三者からの情報の取得の場面で、扶養料等の請求権というのは、給与を引き当てにするという、類型的に給与を引き当てにするという性質が強いものですから、債務者の給与債権に係る情報の取得に関して、生命、身体の侵害による損害賠償請求権と並んで、扶養料等の請求権を取り立てる場合にそのような情報取得手段が使えるようにすべきであるという議論は、部会の中ではほぼ一致した意見であったと承知しております。 以上です。
○櫻井充君 今後ですが、これからまた議論されて、更に制度が変わっていく可能性はあるんでしょうか。
○参考人(松下淳一君) 扶養料等の請求権の保護については、まだ立法論としては考える余地がいろいろあろうかと思いますので、それは諸外国の例を参考にしながら検討を続けていくことが必要であるというふうに考えております。
○櫻井充君 ありがとうございました。 じゃ、次に、今津参考人にお伺いしたいと思いますが、今と全く同様でして、子供の権利というのは、子供がその権利をちゃんと行使できるためにはどのような方法を取っていったらいいのでしょうか。
○参考人(今津綾子君) 子供の権利行使の在り方という点につきましては、先ほど松下参考人からもありましたように、子供自身で何かさせるというのは難しいので、通常は代理人を立てるなりしてやるわけですけれども、例えば家事事件手続の中では、最近の改正で子供の手続代理人というようなものが設けられるなどして一定の配慮は現状されているかとは思います。 ただ、養育費の点に先ほど来触れておられますけれども、養育費の場面で、じゃ、子供が直接例えば強制執行の当事者となって何かするというようなことは現状想定されておりませんで、その点について、子供がその利益を受ける主体ではあるんですけれども、手続の主体として現れるかというとなかなか難しいところでありますので、それは大人の側で子供のために動くということがやはり必要になるかと思います。
○櫻井充君 高校卒業者の生涯賃金と大学卒業者の生涯賃金って六千万違うんですよ。一・九億と二・五億です。十八になればもう成人ですから、そうすると、個人で請求することは可能ではないのかと思うんですよ。学費が掛かるのは大学ですから。 そういう意味合いでいうと、ある程度の年齢に達したら自分の権利を行使できるということになるんでしょうか。
○参考人(今津綾子君) そうですね、おっしゃるように、十八という区切りがあれか分かりませんけれども、一定の年齢になれば子供自身でということも可能かと思いますけれども、養育費の定めについては、元々夫婦が離婚するときに必ずしもきちんと定められていない、あるいは債務名義を作るところまで行っていないというようなことが現状割と多いと。 日本の場合は、裁判所を介さなくても離婚自体はできてしまうと。養育費の定めについても、定めるのが望ましいことは望ましいですけれども、なくてもできてしまうと。で、結局、そのまま放置されてしまうということがありますので、まず、その離婚の段階できちんと養育費に関する定めをするというところから始めるべきなのかなという気はしております。
○櫻井充君 そうすると、ある一定年齢に達した際に、子供の意見、子供がその養育費などの請求権を持つことができると、そういう一文を入れればこれは可能になるということでしょうか。
○参考人(今津綾子君) 現状でも、権利自体は恐らく子供のもの、子供の扶養請求権という観念自体はあるかと思います。その行使の仕方が問題になるわけでして、そのサポートといいますか、どういった形で実現させていくかというところの問題かと思います。
○櫻井充君 いや、先ほど今津参考人は、離婚したときに決まるものだと、後からではないというような趣旨の今発言がありました。であったとすれば、それを一文入れるかどうかというのはすごくその時点ででかいと思っているんです。 そうでなくて、後からでも請求できるものであれば、別に大人になってから、成人になってから、まだそれでも請求権はあると思っていますから、私は。ですから、そういう意味合いで、ちょっと改めてですが、それは先ほどの発言とは若干趣旨が違うと思いますが、どちらでしょうか。
○参考人(今津綾子君) 済みません、先ほど取決めの話をしたのは、子供が幼いときに離婚したような状況だと、子供自身がその交渉をするということはありませんので、親が取り決めると。 ただ、権利、扶養請求権自体は子供のものですので、その行使主体は当然子供だということになりますので、子供自身がそれを行使する、行使ができる、可能な状況にあれば、当然子供自身が行使することは可能であると思います。
○櫻井充君 これ、子供の請求権というか、子供って、その養育費などは、基本的に言うと幾つまで受け取る権利ってあるんですか。
○参考人(今津綾子君) 厳密に幾つというところで決まるのではなくて、扶養の必要があればということですけれども、通常、その家庭のそれぞれの状況にもよりますけれども、例えば親御さんが大学まで出ていれば大学の費用は払ってもらうように決めるとか、あるいは二十歳までという決め方もありますし、そこは事案によってということになるかと思いますけれども、具体的にその数字でということではないかと思います。
○櫻井充君 いや、こんなしつこく聞いているのは、実は今、大学生にしても専門学校にしても、半数の方が借金を背負っているわけですよ、奨学金という。社会に出てから本当に苦労しているので、そういったハンディキャップを背負って社会に出るようなことをいかに避けさせるかということがすごく大事なことなんじゃないかなと思ったので、済みません、しつこく聞かせていただきました。ありがとうございました。 あと、伊藤参考人、本当にすばらしいお話いただきました。ありがとうございました。現場のお話少し聞かせていただきたいと思います。 子供の意図というのは、誰がどのぐらい聞いた上でどう判断されるんでしょうか。つまり、親側の主張で子供はどちらが養育する、どちらに親権が移るみたいなことを決めているのか、子供さんの聞き取りが十分行われていて、子供さんの意向に沿ってその親権が決められているのか、その点について教えていただけますか。
○参考人(伊藤由紀夫君) お答えします。 家事事件手続法ができてから、従前は、要するに十五歳以上であれば意見表明というようなことについてもうできるんだという形で、かなり本人の意見でした。ただ、家事事件手続法ができてから、調査官の調査の中で子供の意見表明ということを本当丁寧に聞く必要があって、今恐らく実務的には十歳以上ぐらいのところからは子供の意見をかなり尊重しながら聞いていくということだと思うんです。 ただ、ですから、実務的に実は難しいのは、小学校の低学年の子たちなんですね。それは、両親に対する葛藤の中でどちらの親に忠誠尽くすかみたいな、そういうことが一つあります。そして、小学校のその低学年というぐらいの子たちは、ある意味でオール・オア・ナッシングなんですね。要するに、どっちも親がいて、自分もその中で適度に両方の親に付き合えばいいとかということじゃなくて、紛争状態が強くなると、片っ方の親がオール、反対側はナッシングというような形で、そういうふうに整理しないといろんな社会的な状況というのが分かりにくい。だから、まああえてです、でも実際多いと思いますが。すごく正義感が強いような主張をするというのは小学校の中学年ぐらいが多いと思うんですね。それより多くなってくると、いろいろ世の中こういう意見もあればああいう意見もあり、自分はこうだと、やっぱりその辺の発達に応じてどう主張するかという、主張を聞き取るかということは実は難しい。
○櫻井充君 分かりました。 済みません、ちょっと、何点か聞きたいのでちょっと簡潔にお願いしたいんですが、私が問題視しているのはそうじゃないんですよ。中学生とかで、本当にきちんと聞き取っていただけているかどうかだけです。 つまり、私のところにもこの間、二十四キロ、二十五キロまで痩せた女の子、拒食症の子が来ましたが、今まで、ちょっと自慢話になるかもしれませんが、ほかの医者には本音を言えなかったと。初めて本音言ってくれて、家族関係が変わっていって、今少しずつ良くなっています。 つまり、きちんとした聞き取りってできているものなんでしょうか。小学校の低学年の子じゃありません。中学生とかちゃんと意見を持っている子たちの聞き取りはきちんとできているんでしょうか。 それと、済みません、端的にもう一つ。それの人員が本当に足りているんでしょうか。今、離婚調停の期間などが相当延びてきていて、子供に対して本当大変だと思うんです。 この二点、ちょっとまとめてお願いできますか。
○参考人(伊藤由紀夫君) 不十分な面があるというふうに実務の経験からは言わざるを得ないと思います。 その一つは、全ての調停事件に調査官の調査が関わっていたりするわけじゃないということなんですね。例えば、調停といっても、申立人の母親の方が離婚訴訟早くしたいというような形だと、もう調停すぐに不成立になって人事訴訟という形になってしまう。その中でも、その法的な手続というか法的な争いが主になってしまうと、子供のそういう意向調査みたいなものが置き去りになって、そこにはもう調査官の調査入らないということがあると思います。ですから、そこをどう配慮していくかということは本当に実務の現場では苦しいです。 そういう手当てをしていくという意味では、やはり私は、裁判所全体の問題だと思いますけれども、やっぱり人的な手当てというようなことは十分に配慮していただきたいというふうに思います。
○櫻井充君 どうもありがとうございました。時間が来たので終わります。
○伊藤孝江君 公明党の伊藤孝江です。 今日は、三名の参考人の先生方、本当に貴重な御意見をいただいて、ありがとうございました。 まず、子供の引渡しの強制執行の論点についてというところからお伺いさせていただければと思っております。 まず、松下参考人に今回の法制審の中での議論等について少しお教えいただければと思うんですけれども、まず、この子供の引渡しの強制執行については、必ずしも件数自体がすごくたくさんあって、どの執行官でも経験がたくさんありますよというような事案ではないという中で、一件一件の負担であったり、また責任の重さというところは、当然本当に普通に物に対するものとはまた違う大きな面があると。 そういう中で、執行する立場の執行官にとって、現実の強制執行の中でどういう点が一番苦労をしている又は苦慮しているというような認識の下にこの改正の議論が進められたのかという点について御説明いただけますでしょうか。
○参考人(松下淳一君) 実力行使を伴う強制執行というのは幾つもあるわけですけれども、子の引渡しについては、子の福祉の尊重、配慮という、ほかの強制執行にはない極めて大きな特徴がございます。 その法制審の議論では、規律を組み立てていく上で意見の対立等はあったこともありましたけれども、しかし、対立する意見の中で両者に共通していたのは子の福祉をどう尊重するかということであって、議論の通奏低音というのは常に子の福祉の最大化をどう図るかということであったと、細かい議論は避けますけれども、法制審での議論の全体の潮流というのはそういうものだったというふうに認識しております。 以上です。
○伊藤孝江君 抽象的にはきっとそうなんだろうなと思うんですけれども、実際の現場の中で、こんなところが困るんだ、あるいはここが分からないという執行官の強制執行の現場での実際の苦労というところで御説明いただけると有り難いです。
○参考人(松下淳一君) 執行官というのは裁判所の職員ですので、裁判所の方から執行の現場での御苦労というようなお話を伺ったことももちろんありますし、それから、法制審議会のメンバーには弁護士も交じっていますので、債権者側、債務者、両方の代理人の経験をお持ちの方から経験が披露されたこともあり、また参考人からお話を伺うということもありましたので、確かにそれほど件数の多い事件ではありませんけれども、現場での御苦労がどういうところかということは常に意識しながら議論していたと承知しております。 以上です。
○伊藤孝江君 引き取っていかれる子供にとって、実際にこれまでの強制執行の現場で、どういう点が足りなかったかもしれないと、ここが課題じゃないかという子供の観点から、あと子供の目から見たときにどういうふうに思っているのかというのは、どういう認識で今回議論が始まったんでしょうか。
○参考人(松下淳一君) 先ほど申し上げましたとおり、特にハーグ条約実施法ができてからですけれども、同時存在の原則というのが国内の子の引渡しでも当てはまるというふうに考えられたこともあり、債務者と子が同席している場ではないと引渡しの執行ができないというふうに考えられていて、これは、一方では、先ほど来申し上げているとおり、子の福祉のためだという説明もされてきたんですけれども、先ほど申し上げたとおり、その場を外すことで債務者が、執行妨害に使われたり、そこにいる債務者が強力な抵抗を示して結局執行不能になったりということで、子の福祉にならないこともあるんではないかという指摘がされ、今般、同時存在の原則を外した、これはまさに子供の目線からの改正ということも言えようかと思います。 以上です。
○伊藤孝江君 今のお話は、子供の目の前で直接泣いたり叫んだり感情的になったりというようなもめ事が起きるのを避けたいというところが大きな主眼としてあったということでよろしいですか。
○参考人(松下淳一君) おっしゃるとおりです。 やはり、今、先ほど伊藤参考人からも御説明がありましたけど、子供がどちらの親を選ぶのかと子供に迫るというのは、子にとっては非常に大きなストレスのもとになると思います。そういう意味で、同時存在の原則を外したというのは、子供の目線から適切な改正の提案であると考えております。
○伊藤孝江君 次に、今津参考人にお伺いをさせていただければと思っております。 今津参考人の資料とかも読ませていただいて、また、先ほどのお話も含めて、実際の紛争が始まって、子供の関係の紛争が始まって、例えば引渡しであれば引渡しが完了するところまで、そこまで一連の流れの中で家庭裁判所が関わるという方がいいのではないかという趣旨も含めた御提言というか、いただいているところがあるかと思うんですけれども、実際にその紛争解決のところを担当していた家庭裁判所が、今の現状の中では制度としては執行に関しては地方裁判所が実際に例えば担当すると。 その中で、今津参考人が想定されている、家庭裁判所が関わってもらった方がいいんだけれどもそれが無理なのであればという前提の中で、どういうふうな代替手段というか、こういう形のフォローをしっかりと執行官あるいは執行裁判所にしてもらったらいいんじゃないかというところで御意見いただければと思います。
○参考人(今津綾子君) 従来の実務では物の引渡しと同じように扱っておりましたので、執行機関が執行官と。執行官というのは家庭裁判所とは切り離された地方裁判所に属するという扱いでしたので、審判は家庭裁判所でやる、執行は地方裁判所の下にある執行官がやるという形でしたので、そこに断絶があるのではないかという問題意識は持っていました。ただ、今回の改正で、執行裁判所の決定が入ると。その執行裁判所というのは家庭裁判所になるということかと思いますので、従来のやり方に比べますと連続性という意味では確保されているのかなという気はしております。 ただ、実際にその運用上、実際にその審判をした裁判体がそのままなるという保証はありませんので、その辺りでどこまでその審判の成果をそのまま引き継げるかというのは非常に重要な問題で、例えば時間的に接近したときに執行を掛けるような運用にしていくとか、あるいは、先ほど来出ていますけど、執行官の人材育成というかそういう問題、あるいは執行官以外の専門家に入っていただくというような形で、一連の流れとしてそういったスムーズにいくような形で運用していければ望ましいのかなと思っております。
○伊藤孝江君 今、一つの支援というかサポートという趣旨でということだと思うんですが、執行官以外の専門家の援助という言葉もあったかと思うんですけれども、具体的にはどういうようなサポートを、どういうような専門家を想定されているんでしょうか。
○参考人(今津綾子君) 実際、今どういう仕事を就いている人というのは難しいんですけれども、従来の議論だと、例えば家庭裁判所の調査官に、審判を担当した調査官から情報を得て、場合によっては立ち会ってもらってはどうかというような話も出たことはあったようなんですけれども、ただ、管轄の違いとかありまして、調査官がそこに臨場してというのはなかなか難しいと。 そうであれば、執行官自身の育成というのも一つ手ではあるかと思うんですけれども、ただ、先ほどおっしゃっていただいたように、件数が少ないと。仮に専門教育して人材育成しても、そのコストに見合うだけのものが提供できるかというとなかなか難しいと。しかも、執行官、手数料制取っていますので、自分が一生懸命勉強してその成果を披露したいと思ってもその件数がない、収入もないということになりますと、なかなか現実的ではないという側面もあるかな。 そうであれば、今私たちの大学なんかにも臨床心理士の方とか定期的にカウンセリングに来ていただいたりもしているんですけれども、そういった現在活躍されている児童心理とか社会福祉の専門家の助力を得て、手続の中には補助者というような立場として関与していただくというのが最も無理のないというか、差し当たりの現実的な手段かなと考えております。
○伊藤孝江君 今津参考人が研究者というお立場で今日来てくださっていて、その点でちょっともしあればお教えいただきたいんですけれども、例えばこの子供の引渡しの強制執行を行うと、そのときの年齢であったり状況であったりというような、強制執行の影響がその後の、例えば元々住んでいた、後には非監護親となる親になるんだと思うんですけれども、その同居していない親との関係であるとか、その子供の発達であったり心理であったり、その与える影響などについて、例えば追跡の研究がなされているのがあるとか、そういうようなものがもしありましたら教えていただけませんでしょうか。
○参考人(今津綾子君) 私自身はあくまでも手続のことだけを勉強しておりますので、実際に事件のその後の推移というのはなかなか追えていない状況なんですけれども、ただ、今後こういった法律が仮にできたとして、事件としてもどんどん顕在化していくようになった場合は、きちっと、その制度をつくって終わりではなくて、その後の調査に関してもきちんとやっていただければそれが一番望ましいと。先ほど少し触れましたけれども、引渡しの後の面会交流なんかも含めた一体的な子の福祉のためのサポートというのを考えていただければ非常に有り難いなと思っております。
○伊藤孝江君 ありがとうございます。 では、伊藤参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。 今、今津参考人の方からも少しお話がありましたけれども、実際には管轄の違いなどでできないけれども、子供の引渡しの強制執行に当たっては、その執行官に対してのサポートであったり、また情報提供であったり、家庭裁判所の調査官、それまでに担当していた、そういう人が関わるというのが一つの在り方として考えられるのではないかという示唆をいただいたかと思うんですけれども、こういう考え方について、伊藤参考人の方から、これまでの経験等を基に是非お話しいただければと思います。
○参考人(伊藤由紀夫君) 基本的には、私はやっぱりそれができるような形の検討というのは要るのではないかというふうに思っています。ただ、配属されている裁判所が違いますし、地裁には調査官はいないというわけですから、ただ、何かの形で援助とか協力の依頼みたいなものがあったときに、特に地方に行くといわゆる臨床心理士の方もそんなに多いというわけじゃないところもあったり、その専門家の方いらっしゃらないというようなところに、少しでもそこでやっぱり子供のためにという形で動けることができたらなということは思わないではありません。ただ、難しいところだと思います。
○伊藤孝江君 実際の事件の担当として付くという形ではなくても、例えば強制執行の事前の打合せなどの中で、執行官やまた債権者などと一緒に、それまで事件を担当していた家庭裁判所の調査官が一緒に打合せをして、どういうやり方が一番子供にとって負担が少ないのかというのを、協議というか話し合うというようなミーティングみたいなものをやっている裁判所もあるということも午前中に省庁の方からは説明も受けたんですけれども、そのような経験であったり聞いたことであったりというのは、伊藤参考人の方は何かありますでしょうか。
○参考人(伊藤由紀夫君) こんなことを言ったら、意外に地方庁の小さなところの方が、支部で地裁と家裁と同じ庁舎の中にあって、そういうことがしやすいというふうなことも私は聞いています。 やっぱりそれは必要なことで、ちょっとだけ時間をいただいて、面会交流についても、やっぱり監護親の意向が強いので、もう絶対お母さんに会わないとかお父さんに会わないとかという形があります。 それから、一緒に暮らしていない親が、一応、子の引渡しというか、監護者、親権者に決まったので迎えに行く、だけれども、そばで父親がやっぱり、ごめんなさい、言い方が悪いんですが、少し厳しい目つきで見ているだけで子供はお母さんの方に行くとは言えないということはあります。 ただ、そのときに、私のこれは実務の経験です、子供は知らないところに行くというのは、やっぱりいかにお母さんであっても怖いんですね、やっぱりそういう思いがある。特に、自分が育ったうちがとても整った環境だったりすると、なおのこと、お母さんがどんなところに住んでいるか分からなくて、今の子供部屋の方がいいとか。そのときに、あの少し大きなアンパンマンのぬいぐるみ、一緒に持ってお母さんに会いに行こうかというようなことを言う、それだけで子供は動くんです、動くときがあるんです。それを、お父さん、いいよね、子供のためだからと。そのアンパンマンの人形を抱えれば、父親のうちから少し離れてお母さんのところに会いに行く、そういうことできる。 やっぱり、そういうことというのは本当ケースごとなので、やはり私は、もしできれば事前に関わった家庭裁判所の調査官の情報が強制執行の場に反映されたらいいなというふうに思っています。 以上です。
○伊藤孝江君 最後に、伊藤参考人にもう一つお伺いしたいと思います。 実際には、強制執行、引渡しの強制執行になる前にというか、ならないようにできるのが一番望ましいところで、そのために現状の手続の中で更にこういう面工夫ができるんじゃないかというような御意見等ありましたら、簡潔にお教えいただければと思います。
○委員長(横山信一君) 時間を過ぎておりますので、お答えは簡潔にお願いいたします。
○参考人(伊藤由紀夫君) はい。 余り事前のいろんな手続を設けるとまた動かなくなってしまうということがあると思います。 ただ、強制執行といった場合も、私の経験では、一回限りそういうことがあって、できた、できないという形ではない、繰り返しそこを働きかける、その間に補助者の方が少し、監護しているというか、子供を囲い込んでいるところの家庭に働きかけられる、そういうようなものというのが運用上十分に検討されればなというふうに思います。
○伊藤孝江君 終わります。ありがとうございました。
○石井苗子君 ありがとうございます。 お三方には大変参考になる御所見をいただきまして、ありがとうございます。 今日は朝からずっと法務委員会をやっておりまして、私、後半に入ってきますと、質問しようかと思っていたことがだんだん変わってきてしまうという現象を招いておりますけれども。 大まかな感想から言いますと、この昼休みに、私、フランスの方とずっと会っていたんですけれども、彼らの考えなんかを聞いていますと、日本というのは非常に子供の人権に対して国家的な認識が低いという感じがします。先ほど午前中にも、法務大臣がいろいろな質問に御答弁されていたんですけれども、それは個々の、個々のという、家庭の、家庭のという、どうしても家庭任せになってきてしまいまして、子供の犠牲は親のせいだというように、まるでそんなことを言っているようにも聞こえてくるんですね。養育費を払う、払わないという質問をしても、だから離婚しない方がいいんじゃないかというような、そういうふうにも聞こえてくるんですね。 何というか、子供をとにかく、子供の人権や権利を、まあ親が離婚するのは親の勝手だから、先に持っていくことはできないのかというのがありまして、私は先ほどから、大人が子供のために動かなければならないのだということをおっしゃった参考人の方がいるので、そのとおりだと思うんです。 やっぱり、請求権もないしということになれば、子供は子供なりに考えることができるんだと。親がいつも指導しなくてもいい。あのお父さんには会いたくない、もうこのお母さんとは暮らしたくないと言うかもしれませんが、それは子供をちゃんと導いていないからそういうことになるんだと、これは個人的な意見なんですけれども。 そこで、面会交流ということですが、ここに持ってきて、私の個人的な経験なので参考になるかどうか分からないんですけど、ビジネスの契約だと契約をつくっていくのに順番があるんです。この件に関しては九十日以内に決めなさい、この件に関しては一年以内に決めなさいというのがあるんですが、離婚に関しても、全ての財産から何から全部決まってから子供のことを決めるんじゃなくて、一番最初にその面会交流ということを、質問する対象が違うのかもしれませんが、例えば九十日間面会交流を拒否している人は、もうこれは子供の人権を無視していることになるので、それこそ罰則だったり、とにかく会わせなきゃいけないのだと、両方平等にというルールメーキングをしていくことで何か変わるとお考えでしょうか。 お三方にお聞きしたいんですが、それぞれの見地からお願いします。
○参考人(松下淳一君) 確かに、面会交流というのは非常に重要な権利ですので、これを確保するために何をしたらいいのかというのは非常に重要な問題だというふうに考えております。 現状は、先ほど今津参考人からも御説明のあったとおり、間接強制という形で、面会交流をさせなければ一日幾ら当たり払えと、お金を払わせることで強制するという仕組みになっているわけですけれども、先ほど来、間接強制というのは余り実効性がないんじゃないかという御指摘もなかったわけではないような気がしますが、しかし、考えようによっては、強制力を行使しなくてもソフトに本人に意思決定をさせるという意味では実効性がそれなりにある制度だと考えておりますので、現状の間接強制の運用を見ながら、更に強力な政策が必要かどうかということを検討すべきだろうと思います。 済みません、抽象的ですが、現状、私の考えは以上です。
○参考人(今津綾子君) 今、間接強制という話出ましたけれども、子の引渡しの場合もそうですし、面会交流の場合もそうだと思うんですけれども、お金を払ってでもしたくないという強固な意思を持っている債務者に対してはなかなか機能しない、あるいは財産が豊富にある債務者とか全くない債務者に対してはなかなか機能しづらい面があるということは確かかと思います。 面会交流に関して申し上げますと、研究者の目線からいうと、面会交流ってそもそも誰のどういう権利かということ自体についてもまだなかなか議論が定まっておりませんで、本来ならば子供が持つ権利だと思うべきなんでしょうけれども、ただ、実際に事件として上がってくるのは親が請求するという形で上がってきますので、引渡しについてもそうですけれども、どうしても子供の目線から考えるということがなかなかしづらいような構造にはなっていると。 元々、引渡しについても面会交流についても、基礎となるのは親の親権とか監護権というものの存在かと思うんですけれども、その親権という言葉ですね、親の権利として子に何かするという考え方自体が何というか古いといいますか、日本では親権と呼んでいますけれども、そうではない立法例も外国ではあると聞いておりますし、そういった考え方の転換というのも必要なのかなと、抽象的な話で申し訳ないんですけれども、思っております。
○参考人(伊藤由紀夫君) 裁判官、調停委員会によっては、もう次回、調停期日に子供連れてきてくださいというふうな形で、かなり指示的に面会交流の実施をしようというふうに働きかけることもあります。ただ、現実的には、子供が嫌がっていますという、ここに来たがっていませんというような、会いたがっていませんというようなことがあって抵抗を示されますので、なかなか、期限を区切って実施しなさいということを強めたからうまくいくようになるかというと、そこは難しいところがあると思います。 これも、ちょっとだけ時間をください。 やっぱり、試行的な面会という形で、裁判所に子供に来てもらって一緒に暮らしていない親と会うといった場合、私は最低でも二度家庭訪問をします。場合によれば三度します。それはなぜ。子供に、要するに、お父さんの意見もよく聞いているよ、お母さんの意見もよく聞いている、どっちの、お父さんもお母さんも、私がここにあなたに会いに来ていいよということを認めてくださっているよという、それがまず大きな、どっちに勝ち負けを決める、どっちかの人間だとかというんじゃなくて、それで会いに来ました。そして、そこで、いわゆる上から目線で調査するとか何かやるということではなくて、やっぱり、このおじちゃんだったら、このおじちゃんが一緒にいたら裁判所の児童室に遊びに行ってもいいかなみたいな、それがやっぱり子供の中に出てこないと難しい。 と同時に、お父さん、お母さんはけんかしているけれど、世の中にはやっぱり法律とかいろんなことの決まりがあって、その中で自分が守られているんだという、自分のことを聞いてもらえるし、自分と一緒に考えてもらえるんだというようなことを子供に分かってもらっていく中で子供の試行的面会交流というようなものも実現していく、それが実情ではないかと思います。 やはり、ただ、そういうものについて民事執行法の中でどういうふうに表現するのか私は分からないので、済みません。ただ、そういうことについて、本当運用上に配慮されたり、やっぱりそれでうまくいく経験を大きくするということしかないんじゃないかというふうに思っています。 以上です。
○石井苗子君 ありがとうございます。大変参考になりました。 具体的な案がなくて抽象的だとおっしゃいましたけれども、具体的な法整備必要だと思います。お金があるから解決するという問題でもないし、誰の権利なんだというと子供の権利なわけですね。その親権の問題からいくと、今の伊藤参考人のお話のように、そんなボランティアのようなことで御苦労を重ねることに依存するということでは、これはやっぱり子供は国の財産だというふうに考えてないと私は思うので、法整備で、民事執行法の中の運用法とか、その辺で考えていけば一歩打開策があるんじゃないかと思うんですけれども。 まだちょっと時間がありますが、今度子供ちょっと外れまして、松下参考人にお伺いしますけれども、今回の民事執行法改正で債務者財産の開示の実効性を向上させることを目指しているんですけれども、先ほども質問があったと思うんですが、もう一回確認させてください。債権者が開示で得た情報をほかに流用する危険性があると思うんですけど、これ審議会でどのような意見が出たかというのを教えてください。
○参考人(松下淳一君) 債務者の持っている財産の情報というのはプライバシーに属することで、むやみに使ってはいけないものだというところはもちろん当然の前提で、この目的外に利用する、例えば金融機関が自分の更なる融資をするかどうかなんという判断にこれを使うのはもう不適切だというのは一致したところでした。 ですから、そういう意味では意見の対立はなくて、あとはどの程度の制裁を科すかということが議論になったと記憶しております。 以上です。
○石井苗子君 危険性については、具体的なこういう危険性があるというのはありますか。
○参考人(松下淳一君) 今挙げたような例が、それほど長い時間を取って議論したというわけではないのですけれども、例として挙げられたのではなかったかと記憶しております。
○石井苗子君 分かりました。ありがとうございます。 それでは、伊藤参考人にお伺いします。 先ほどから、家庭裁判所の調査官でいらしたということで、大変御活躍されていた御経験話、具体的にこういうことを聞くことが少ないものですから大変有り難かったと思うんですけれども、御自身から、午前中に、我々といいますか私どもの党からの質問なんですが、共同親権についてなんですけれども、共同親権が例えば認められるようになった場合、子供の最善の利益にとって好ましいことかどうかなんですね。これは、御自身はどのようにお考えですか。
○参考人(伊藤由紀夫君) 私のもう個人的な考えです。 私は、共同親権という考え方はやっぱり世界的な流れとしてもありますので、それはやっぱり日本でもそういうふうにしたらというふうに思うところがあります。それは、やはり一方の親だけが離婚後は全て何というか責任があり、子供に対して義務を負うみたいな、そういう考え方じゃいけないんじゃないかという、やっぱりそこを明示するためにはというふうに思います。 ただ、共同親権にしたからといって離婚時の紛争が鎮火するということは、私は思っていません。むしろ、そうだからこそ、じゃ、どこで育てるんだとかどこで面会交流するんだとかということについてむしろ紛争性が高まるということもないわけではないだろうというふうに思っています。 以上です。
○石井苗子君 ありがとうございました。 もうちょっと時間がありますので、今の件につきまして、同じことで、ちょっと意見が違うんじゃないかなと思われるのでお聞きしたいんですけれども、松下参考人は、この共同親権が認められるようになった場合、子供の最善の利益にとって好ましいと言えるかどうかという点について御意見ください。
○参考人(松下淳一君) 現状、日本ではそういう考え方は取られていないわけですけれども、それは恐らく、両親が不仲な中で、そういう中で子供が育てられるのは適切ではないというような御意見があって現状こうなっているんだろうと思います。 ただ、そこはやっぱり考え方の発想の転換が必要で、これは関係者の意見の、関係者の物の考え方の転換ということですのでなかなか一朝一夕にはいかないと思いますが、両親は仲が悪くても、子供との関係では手を携えて子供のために最善を尽くすという、そういう発想の切替えがあれば、共同親権というのは非常に、世界的な潮流だというお話もありましたけれども、よろしいのではないかと個人的には考えておるところでございます。
○石井苗子君 私も、やはり国として子供の人権というのを真っ先に、子供を先に考えられないのかというのをずっと思っているのですが、その点の発想の転換からいけば共同親権というのがいいと思うんですけれども、それでは最後に今津参考人にお伺いします。 論文を拝読させていただきまして、今津参考人が論文に書いていらっしゃいました家庭裁判所の後見的な役割についてなんですが、つまり積極的に家族に介入するという役割についてです。 当事者の考え方や主体性を尊重することと介入していくことというのは、抽象的な質問かもしれません、どっかで両立させなきゃいけないと思うんですけれども、その両立というのはどの辺に考えていらっしゃる、両立点というのはどこら辺に考えていらっしゃいますか。
○参考人(今津綾子君) 論文も読んでいただいたとのことで、ありがとうございます。 家庭裁判所の後見的な役割というのは、家庭裁判所のつくられた当初からそういった言い方はされてきたんですけれども、日本の伝統的なというか、実体法も含めてですね、家庭というものに対して国が何かするということに対して非常に、何というか、抵抗があるという印象を受けております。なので、家族の問題は家族の中でというのが基本的な伝統的な考え方だったかなと。 もちろん、審判という形で、裁判所に来ればそこで処理をするという、そういう助けはあるんですけれども、それ以外の場面で、私なんかが考えているのは、もっと、例えば紛争の過程でその紛争処理以外の親への教育とか、そういったことまで含めてやってもいいのではと。 司法機関というのは基本的に紛争を処理することに役割があるわけですけれども、実際に、私なんかは仙台にいるんですけれども、仙台の家庭裁判所では、夫婦関係調整事件が上がってくると、その場合、子供がいる場合には、夫婦に調査官なりがそれぞれ面接をして、子供の利益というのはこうだと、面会交流の重要性というのはこうだということを、紛争処理とはちょっと別枠でそういった教育をする機会を与えていると。ほかの家庭裁判所でもそういったプログラムはあるということですので、そういった方法での支援というのは考えられている。それは、当事者の自己決定を否定するのではなくて、自己決定がより良くできるようなサポートという意味かと思いますので、先ほどおっしゃっていただいた両立というのはその辺りにあるのかなと思います。
○石井苗子君 これからも子供ファーストで考えていきたいと思います。よろしくお願いします。 ありがとうございました。
○仁比聡平君 三人の参考人の皆さん、ありがとうございました。日本共産党の仁比聡平でございます。 冒頭の意見陳述で、伊藤参考人、とても謙虚にお話を始められたんですけれども、やっぱり今日おいでいただいて本当に良かったなと思っております。 そこで、まず伊藤参考人にお尋ねしたいと思うんですが、先ほど元榮議員もお聞きになっておられましたけれども、子の葛藤ですね、あるいは子への葛藤といいますか。御意見の陳述の中で、いきなり奪取といった場合のお話がありました。法的解決を尊重、遵守しないといった親の行動自体が子供への虐待と言えるような場合があると。あるいは、他方の親への面会交流を激しく拒否したり遮断している場合、さらには子供を自分だけの支配下に置くように心理的に操作するといった行動というのは、これは虐待に準ずる問題行為なんだという御指摘は、子供の福祉の立場に立った極めて率直な御意見なんだと思うんですけれども、少し敷衍して、どんな問題意識なのか、お話しいただけたらと思います。
○参考人(伊藤由紀夫君) ありがとうございます。 私は、パレンス・パトリエということを言いました。ただ、それも、基本的に時代によってその考え方は少し違うだろうと思っていて、やっぱり今は子供の、本当、意見表明権とか成長発達権ということ、それが大事だというところを中心に、要するに、介入するときも必要かもしれないけれど、その子供に寄り添った形でパレンス・パトリエの考え方が進んだらいいなというふうに思っているというところが一つです。 ただ、実務経験からいうと、やっぱり一生懸命なんです、監護している親は、抱え込んでいると。そのことも分かってあげながら、ただ、やっぱり社会的な公平感とか子供にとって双方の親が大事だと、やっぱりそのことが子供の心情とか成長のためになるというようなことについて全く排除してしまう、そういう可能性を見ないというか、そこを検討してくれない、そのことがやっぱり子供をかなり不自由にしていると思います。 やっぱり、そういうことについて、子供のためにこういうふうな形で考えましょう、相手の親との接触についても整理しましょうというようなことを本当に丁寧にやっていかなければいけないと思っていて、それがなかなかできないというところで苦しいところがあります。 ただ、現実的には、その思いが強過ぎて、もう本当に、いきなりもう住んでいたところから移されてしまう、若しくは通っていた学校にも行かなくなっちゃう、保育園にも行かなくなっちゃう、それは子供は意見としてつらいというようなことを明確に言うわけではありません。ただ、やはりそこが、不登校になっていくとか、別の園には行ったけどそこで顔つきが暗いとか、いろんなことがあります。やっぱり、そういうことを丁寧に調査していく中で、子供にとって何が一番いいのかというのを考えたいというふうに思っています。
○仁比聡平君 今お話があっているような専門家として家裁調査官の皆さんが本当に頑張っていけるように、あるいはこの法改正のテーマ、養育費の履行確保だったり、そして子の引渡しだったりという、その家庭の紛争における問題の解決というのが専門性が本当に生かされていくようにということを強く思うわけですけれども、伊藤参考人の御意見の中で、法律的素養と心理援助的素養を兼備した専門家が必要であり、その人材確保が重要になってくるというお話ありまして、私なりに端的に言うと、親やその実家も含めた法的紛争が子供の心理や発達を傷つける、これ愛の名の下に傷つけるということが現にあるんだ、そこの専門家が必要だと。謙虚に、家庭裁判所の調査官がとはおっしゃいませんでしたけれども、私は、それは家裁の調査官でしょうと思うんですね。 臨床心理士さんとか、それから児童相談所の児童福祉司あるいは社会福祉士など、様々な方が虐待だったり子供の事件に関わりますけれども、その中における家裁調査官の特質といいますか、家裁調査官だからこそやらなければならないと思っておられることというのがありますか。
○参考人(伊藤由紀夫君) ありがとうございます。 もう現場を離れましたので、現場の人たちが負担が増えたらということを思うので。ただ、今先生が御指摘になった、やっぱりその法律的な考え方、枠組みと臨床的な枠組みと、両方併置しながらいろいろ考えていけるという、それはやっぱり家裁調査官の果たすべき使命だというふうに思っています。 ただ、こんなことを言っては、臨床心理士の方の研修なんかに呼ばれることもありますし、その中で確かになかなか法律については余り考えていなくて、臨床心理療法みたいなことを、だけど、そういう、先生たちにも、例えばスクールカウンセラーで働くときにはというような形で法律的な枠組みのことをお伝えする、それが大事だ。やっぱりそれは児童心理の専門の方たちの全体の問題で、そこをやっぱり取り組んでいくというようなことが必要かなというふうにも思います。 以上です。
○仁比聡平君 ありがとうございます。 そうした家庭裁判所調査官の調査を中心にした家庭裁判所の役割がこの法改正のテーマにおいてもとても重要じゃないかという問題意識で、今津参考人、松下参考人の順でお尋ねしたいんですが、まず今津参考人から、先ほど執行裁判所が決定によって執行の方法を定めるという、ここが極めて重要という問題提起がありまして、私もそのとおりだと思うんですね。 その執行裁判所がどんなふうに定めるのか、何が判断の資料になるのかということで、午前中、最高裁と法務省から、それは家庭裁判所を中心にした本案の記録ですと、特に家裁調査官による調査ですという御答弁があっているわけですが、そのことが、お話しになった百七十四条と、それから百七十六条の執行裁判所及び執行官の配慮という義務、ここに関わるお話になるんだと思うんです。 そこで、その問題がはっきりする場面かなと思うんですが、間接強制前置の例外として、百七十四条の二項二号に「債務者が子の監護を解く見込みがあるとは認められないとき。」、これは直接強制執行だということになるわけですが、その判断というのは、これ家庭裁判所が役割を果たさないとそんな判断できっこないと思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(今津綾子君) この点については、私も法制審の議論、資料で拝見しまして、裁判所サイドからは、こういった例外を設けることはあり得るとして、これどういうふうに判断するんだと、何を基準に判断するのか。仮に、こういった条文できたとして、この判断が緩いかきついかによって、原則間接強制前置とされているものが結果的に全然間接強制なしでどんどん行ってしまうという可能性もなくはないので、非常にこれ難しい問題だと思います。 「監護を解く見込みがあるとは認められない」というこの条文だけを見ると、どの程度の、じゃ、見込みならいいのかというのははっきりしませんので、この辺りは、ただ、条文でこれ以上詳しく、じゃ、どういうふうな状況であればと書くのは難しいと思いますので、運用上やっていただくということを期待するというか、そこまでしか私の方ではちょっと申し上げられないんですけれども。
○仁比聡平君 ということだと思うんですね。 それで、松下参考人にお尋ねですけれども、そもそもこの百七十四条で執行裁判所が決定で定めるという方法というのは、これ今、今津参考人お話しのような個別のケースに対してどんな方法で、つまり同時存在は不要とするという法になったけれども、だけれども、それを現実にどうするのかというのはそれぞれの個々のケースごとなんだと思うんですよね、債務者の同時存在の問題にしても。どの場所で執行するのかとか、あるいはその立会い者や執行補助者をどういうふうに求めるとか求めないとか、執行官任せにするんじゃなくて執行裁判所が、今、今津参考人もお話のあったような、検討もして定めるという、そういう理解でいいんでしょうか。
○参考人(松下淳一君) おっしゃるとおりだというふうに思いますし、法制審での議論でもそういうことが前提になっていたと記憶しております。
○仁比聡平君 その方法を定めていく上で、審尋と法律用語で言うんですが、記録を読んで、裁判所、裁判官が一方的に自分の頭だけで決めるんじゃなくて、当事者を中心にきちんと話を聞いて決めると、それを審尋という手続でこの百七十四条の三項に定めているわけですが、子の引渡しの強制執行を行うには審尋を原則しなきゃいけないというふうにした趣旨は何でしょう。
○参考人(松下淳一君) 現在、いわゆる代替執行という手続でこれ審尋が原則必要的になっているんですけれども、発想はそれと並びかと思います。つまり、金銭執行などと違って人が関わることですので、裁判官が直接情報を取得するということが重要だということで原則は審尋が必要で、ただし、そんなことをしている時間もない、危ないような場合には例外的に審尋しなくていいと、そういう立て付けになっていると理解しております。 以上です。
○仁比聡平君 家庭裁判所の本案の記録だったり、あるいは調査官、その事件を担当している調査官なんかの意見も共有しながらそうした審尋が充実して決定がされていくということがどうしたって必要だと私は思うんですけれども、そこで、その審尋もない、なくて行っていい場合というのが法案に規定されているわけです。無審尋での強制執行と。それが、「子に急迫した危険があるときその他」という場面なんですね。この、子に急迫した危険があるときに直接の引渡しを、直接執行を急がなきゃいけないという状況がある、これが妨害されるようなことがあってはならないという一般的な趣旨は分かるんですね。 けれども、これ無審尋でやるということになれば、その判断を担保するものというのはとても大事だと思うんですけれども、それは私が申し上げているような債務名義を成立をしたプロセスでの家庭裁判所中心にした資料ということにしかならないと思うんですが、いかがでしょう。
○参考人(松下淳一君) 全くおっしゃるとおりだと思います。私の理解もそのとおりです。
○仁比聡平君 そうした中で、個々のケースを本当に適切に扱っていくということに加えて、今日も深掘りをされている子の福祉とか子の心理状態ということを考えたときに、今日、今津さんや松下参考人から現実的な方法としてというふうに言われている今回の法改正に日本の、我が国の制度がとどまっていていいのかと、そうではないんじゃないかと私は思うので、松下参考人、今津参考人の順にお答えいただければと思うんですが。 私は、養育費の問題についても、扶養義務の行使というのを超えて国あるいは行政による立替えという考え方を軸にした制度改革ということを考えてもいいと思うんですよ。あり得ると思うんですね。それから、執行の問題についても、今津さんから、手数料によって執行官は支えられていますからというお話のとおり、つまり執行費用は当事者負担という考え方の下で成り立っているわけですよね。けれども、子供の幸せというのはそうじゃないでしょうと。だったらば、家裁調査官を生かすというやり方も含めて抜本的に制度を考えるということもあっていいと思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(松下淳一君) 現在では、養育費というのは民事の問題と整理され、当事者間での紛争解決に委ねられていますし、執行費用についても基本的に受益者が負担するということで、最終的には債務者負担になるという立て付けになっているんだと思います。ただ、養育費に限って言っても、諸外国の立法例では国が取り立てるというような仕組みを取っているところもあるので、現在の日本の制度が論理必然的に唯一の制度であるとは私も全く思っておりません。 私、研究者なので自戒を込めて言えば、民事の問題だったから理論的にこうしかないという思考停止をするのではなくて、諸外国の立法例なども参考にしながら、まさに子の福祉、子供の福祉のためにどういう制度がよいかということを考える必要があり、今後も不断に制度の改正、改善というのを検討すべきであるというふうに考えております。 以上です。
○参考人(今津綾子君) まず、養育費の問題につきましては、今、松下参考人からもありましたように、日本の制度だけが唯一のものではないと。諸外国の例でいいますと、先ほどおっしゃっていただいた立替えの制度もありますし、あるいは給与を天引きして、債務者の給与を天引きしてそれを渡すというやり方を取っているところもありますので、そういった仕組みを取るということも一つの案ではあります。 ただ、例えば天引きの方法を取るということになりますと、今度は天引きされる側の、先ほどもお話出ましたけど、差押えの下限を設定する必要があるんじゃないかとかいう問題にも派生しますので、子と暮らす親と子と暮らしていない親とどちらの生活も守りつつ、最終的に子が一番幸せになるような形というのを考えていく必要あるかなと思います。 もう一点、執行官の費用の問題につきましては、現在その手数料収入でやっているということで、その最終的な費用負担、当事者になりますけれども、今現在、子の引渡しの強制執行、件数自体もそんなに多くないということですので、もし仮に可能であれば、当事者負担という制度を維持した上で、その費用について、例えば国なり公的な団体からの支援という形で当事者に最終的な負担が行かないようにするとか、そういった形を考えるということも一つの案かなと思っております。
○仁比聡平君 ありがとうございました。
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。よろしくお願いいたします。 参考人の皆様には大変貴重なお話を伺うことができまして、感謝申し上げます。 私がラストバッターでございますが、重なる質問も出てくるかと思いますけど、最後までよろしくお願いいたします。 まず、子の引渡しについて、これは明文を設ける点は原則賛成であります。恐らく、執行手続に子の利益の観点から家庭裁判所がどのように関わるのかという点が重要と思われますが、この点について、伊藤参考人、今津参考人、松下参考人の順にお伺いしたいと思います。
○参考人(伊藤由紀夫君) やはり裁判所としては、家裁と地裁という違いがあるというところで、家庭裁判所の調査官をそんなに、何というか、利用できるかとか、個人的には兼務みたいな形がもしできればと思いますけど、そういうのはやっぱり制度上すごく難しいところはある。それは、かなり裁判所の中の検討がきっと必要なんだろうと思っています。 ただ、一つだけ今まで議論にならなかったところでいうと、家事事件手続法には子供の手続代理人というものができています。ただ、それも今は当事者双方がお金を出してという形になってしまって、いわゆる弁護士さんをお願いできることもない、親としてお金がない、そうすると子供の手続代理人もない。ただ、やっぱり紛争性からいって、子供のためにというようなことを考えたときに、そういったものにそんなにたくさん出るわけじゃないんじゃないかと私は思うんですけれど、公的な形で何か子供のためにというような仕組みができて、そういう、先生が例えば家裁が終わり地裁の民事執行の段階になっても一緒に立ち会っていけるというような制度、仕組みというのも考えてもいいかなという、ちょっと余計なことを言いましたが、そんなふうに思っています。
○参考人(今津綾子君) 手続の中で子の利益をどういうふうに確保していくかという点ですけれども、もちろん、従来の実務、子の引渡しの強制執行の実務の中でも、現場の執行官の皆さんが子の利益、子供のためにどうしたらいいかというのを非常に苦労して考えていらっしゃったというふうには思っております。 ただ、今回の立法によって、特に百七十六条という条文を一条設けまして、その子供の利益というのが大事なんだよということを明文化したということに非常に意味があると思っております。それによって実務の今までのやり方というか、子供への配慮が全くないところからあるようになるということではないと思うんですけれども、明文化されたということに一定の意義があると思っております。 今、伊藤参考人から出ました子供の手続代理人の点で一つ申し上げておきますと、確かに代理人を付けると報酬が掛かるということですけれども、日弁連の方で、そういった報酬を付ける場合、弁護士を付ける場合の費用の手当てがされているというふうにも伺っておりますので、二十万円程度の報酬を日弁連の方で支弁してくれる制度もあるというふうに聞いていますので、そういった制度自体が余り周知されていないということももしかしたら問題としてあるかもしれませんので、引き続き、そういった点の周知も含めてお願いできればと思います。 以上です。
○参考人(松下淳一君) 今のお二人の参考人の発言でほぼ尽きていると思いますのでさほど付け加えることはないのですが、やはり家庭裁判所という裁判所が特別に設けられた趣旨に立ち返るんだろうと思うんです。特に、今般問題になっている子供の引渡しという事件については、通常の強制執行とは異なる非常に様々な考慮をしなければならないと。こういうことに専門的に対応できる体制を持っているという強みをますます生かしていただきたいと思うわけであります。 具体的には、裁判官の方に多様な家事事件に通暁してもらうべくトレーニングを積んでもらう、それから、もちろん調査官も同じですし、それから、今のは自前で人を育てる話ですけれども、子供の心理の専門家等々の外部の専門家との連携というのも一層の強化を図ってもらいたいなと思うところでございます。 以上です。
○糸数慶子君 ありがとうございました。 今お三方から具体的な提案もいただきました。これから、公的な立場からの支援、あるいは日弁連からの支援、これ、もう少し広めていきたい、告知をしていきたいというふうに思います。 それから、今津参考人にお伺いをいたします。 今津参考人の資料を拝読し、大変感激をいたしました。今津参考人は、家庭裁判所の役割に大変期待をされております。 私も、これまで、裁判所職員の定員法やあるいはその給与法の改正案の質疑において、度々家庭裁判所の充実を求めてまいりました。訴訟事件件数の中で家事事件のみが増加傾向にあり、その事件内容も複雑化し、当事者やその子供の中には精神的課題を抱えた人も増えており、紛争の自律的解決としての調停合意に向けて困難な状況もあることから、専門性を持つスタッフの果たす役割は大きい、あるいは、成年後見事件等の増加に伴い家庭裁判所の業務が増え、書記官の業務量も増大していることから、書記官の増員は不可欠であるということも申し上げてまいりました。裁判官以外の職員についても増員を求めてまいりましたが、残念ながら、現有人員の有効活用によって全体として適正迅速な処理を図ることが可能であるというふうな答弁をいただいてまいりましたが、その後も裁判官以外の職員は削減をされているのが現状です。 家事事件は金銭と感情の絡む紛争であり、紛争のポイントを見極めた上で丁寧な事案の進行を行う必要があり、当事者の納得を得た解決でなければ、事件終了後、履行が確保されない、迅速、合理的な事件処理が紛争解決として必ずしも妥当しないのではないかというふうに質問してまいりました。そういう中で、家庭裁判所が人員不足、それから予算不足ではやはり期待に応えられないのではないかというふうに質問してまいりました。 先ほどからありますように、子の引渡しや子の養育費の履行について、任意の履行がない場合についての強制執行に関して執行法の改正が今般提案されましたが、子の引渡しや養育費の履行は、子の利益の観点からはできるだけ任意に履行されることが望ましく、家裁の調停や審判においても、当事者への働きかけ、そして納得を得た解決を示す丁寧な手続進行が必要です。 今津参考人が法律時報の家事事件手続における諸問題の中で、「人的・物的資源が限られる家庭裁判所に多くを期待しすぎているという指摘もありえようが、むしろ期待に見合うだけの人員配置や予算措置を講じる方向に議論を進めるのが建設的であろう。」と締めくくられています。 私もここに尽きるのではないかというふうに思いますが、今津参考人が期待されている家庭裁判所のありよう、あるいは理想とされる家庭裁判所像について、改めて御見解を伺いたいと思います。
○参考人(今津綾子君) 論文も読んでいただいたようで、ありがとうございます。 そこで申し上げたとおりなんですけれども、私などは実務を知らない研究者ですので、家庭裁判所にいろんなことをやってもらいたいと、あるいは調査官をもっと活用してもらいたいとか、そういった要望を、机上のと言われればそうですけれども、一方的にお話をしているという状況であります。 実際にその人員の問題とか予算の都合もありますでしょうけれども、調査官にしましてもだんだん数が減っていると。事件は増えているけれども数が減っていて、非常に現場は苦しいというお話も先ほど伊藤参考人からもありましたけれども、やはり、まず人員を増やす努力、あるいはその中でのトレーニングの努力というのを必要になるかと思います。 それから、制度的な問題からいいますと、今回こうやって執行手続が整備される見通しが立ったということ自体非常に歓迎すべきことかと思いますけれども、それ以外にまだ運用の問題もありますし、まだ手付かずの部分、面会交流の問題もそうですし、そういったこともありますので、引き続き御検討をいただければと思っております。
○糸数慶子君 午前中の質疑で政府に伺ったんですが、女性の執行官が今いないということで、これは、法制審議会民事執行法部会においてハーグ案件を扱う実務家の方々から、やはり諸外国のハーグ条約の実施に関わる専門職の方を見ると、実際に執行に携わるような場面に女性がいらっしゃる、女性執行官がいらっしゃるということを聞いているんですが、今、日本にはいらっしゃらない。その点について、今津参考人、どのようにお感じになりますか。
○参考人(今津綾子君) 今おっしゃっていただいたように、女性が一人もいないという、ちょっとびっくりしたんですけれども、やはりその理由というか原因としましては、どうしても子供の引渡しの執行、数が少ない、それだけで食べていくというのはなかなか難しいと。事件全体からすると不動産とか動産に対する執行が主ですので、そちらに対応するということになると、やはり女性ではちょっと難しい部分もあるというふうに今まで考えられてきたんだろうと思います。 なので、将来的にといいますか、理想的な姿としてということですけれども、例えば家事事件だけを専門に扱うような家事執行官というようなものを新たに設けるとか、そういった形で何らかの積極的な手当てがないと、なかなか現状の制度のままで、じゃ、女性の皆さん来てくださいといってもちょっと難しい側面あるのかなと思いますので、そういったことも含めて、また今後検討していただければと思います。
○糸数慶子君 ありがとうございます。 確かに世界的に見れば女性もいらっしゃるということもありまして、今後の大きな課題として、是非女性の登用も進めていけたらというふうに希望したいと思います。 ちょっと時間がありますので、参考人の皆様に、もう最後ですので、言い残したことがありましたら、これだけは是非ということで一言ずつお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。
○委員長(横山信一君) それでは、松下参考人からお願いいたします。
○参考人(松下淳一君) 先ほど冒頭に申しましたけど、今回のこの改正法案というのは実務的に必要なところに対して適切な手当てをするものでございますので、是非よろしく御審議の上、一日も早い成立を祈念しております。総論的にはそれに尽きます。
○参考人(今津綾子君) 今回、子供の引渡しというところを割と議論をいろいろいただいていますけれども、こういった制度ができるということ自体がやはり画期的なことでありまして、制度ができた後も、どういった形で運用していくかと、あるいはもっといい制度はないかというような検討を引き続き、私たち研究者もそうですし、立法府の皆様にも御検討いただければと思います。
○参考人(伊藤由紀夫君) 裁判所ということなので、どうしてもウイン・ルーズの中にいるという方たちが多いと思うんです。ただ、調査官の調査は、実は、子供と一緒に暮らせない親に子供の実情はこうだよというようなことを伝える、それから、子供を抱え込んで苦労しているけれど相手の親からは非難しかされないというようなときに、こんなふうにお母さん頑張っていて、こんなふうに子供も育っていますよというようなことを認めてあげる。その意味では、私はウイン・ウインの形で当事者が問題解決に進めればなというふうに思っています。 ただ、その中で重要なのは、今日は私、こういう、緊張しているのでこんな顔つきですけど、本当にお父さんもお母さんもつらいし子供も暗い顔になる、そこで調査官も暗い顔になったらおしまいだというふうに思っていて、やっぱり実務やるときはいつでも笑顔で、本当に解決策がなくて困るけど、そのときに、やっぱりこういうアイデアでどうですかというようなことを御提案できる、調停でも審判でも、やっぱりそういう専門家でありたいというふうに思っていました。そういう人たちが増えるような形ができればいいなと思っています。 以上です。
○糸数慶子君 十分笑顔でお答えをしていただきました。 すばらしい御答弁いただきました参考人の皆様には、ありがとうございました。 これで終わりたいと思います。
○委員長(横山信一君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。 本日は、長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十五分散会