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第198回国会参議院2019/05/09

財政金融委員会 第8号

発言数
117 件
登壇者
15 名
会派数
8
開催日
2019/05/09

会議録

中西健治自由民主党・国民の声

○委員長(中西健治君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  昨日までに、渡辺美知太郎君が委員を辞任され、その補欠として山本順三君が選任されました。     ─────────────

中西健治自由民主党・国民の声

○委員長(中西健治君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中西健治自由民主党・国民の声

○委員長(中西健治君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に長峯誠君、羽生田俊君及び三木亨君を指名いたします。     ─────────────

中西健治自由民主党・国民の声

○委員長(中西健治君) この際、宮島財務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。宮島財務大臣政務官。

宮島喜文自由民主党・国民の声財務大臣政務官

○大臣政務官(宮島喜文君) この度、財務大臣政務官を拝命いたしました宮島喜文でございます。  伊佐大臣政務官とともに、大臣を補佐しつつ、職務に全力を尽くしてまいる所存でございます。  中西委員長を始め委員の皆様には、御指導、御鞭撻、よろしくお願いいたします。     ─────────────

中西健治自由民主党・国民の声

○委員長(中西健治君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁黒田東彦君、同理事前田栄治君、同理事衛藤公洋君、同理事吉岡伸泰君及び同理事池田唯一君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中西健治自由民主党・国民の声

○委員長(中西健治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

中西健治自由民主党・国民の声

○委員長(中西健治君) 財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件を議題といたします。  日本銀行から説明を聴取いたします。黒田日本銀行総裁。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、我が国経済の動向と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。  まず、我が国の経済金融情勢について御説明いたします。  我が国の景気は、輸出、生産面に海外経済の減速の影響が見られるものの、基調としては緩やかに拡大しています。やや詳しく見ますと、我が国の輸出や生産は、中国向けの資本財やIT関連財を中心に、足下弱めの動きとなっています。もっとも、国内需要は堅調な動きが続いています。企業収益は、一部に弱めの動きが見られるものの、総じて良好な水準を維持する下で、設備投資は増加傾向を続けています。また、個人消費も、雇用・所得環境の着実な改善を背景に、振れを伴いながらも、緩やかに増加しています。先行きの我が国経済も、当面、海外経済の減速の影響を受けるものの、基調としては緩やかな拡大を続けると見ています。なお、先行きのリスクについて見ると、保護主義的な動きの帰趨や中国経済の動向、IT関連財のグローバルな調整の進捗度合いなど、海外経済の動向を中心に下振れリスクの方が大きいと考えています。  物価面を見ると、消費者物価の前年比はプラスで推移していますが、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べると、弱めの動きが続いています。もっとも、最近では、企業において、原材料価格や人件費の上昇を価格に反映させる動きが増えています。今後とも、マクロ的な需給ギャップがプラスの状態を続ける下でこうした動きが広がっていけば、人々の予想物価上昇率も徐々に高まっていくと見ています。このように、物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されており、消費者物価の前年比は、先行き二%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えています。  次に、金融政策運営について御説明申し上げます。  日本銀行は、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの下で、強力な金融緩和を推進しています。このうち、長短金利操作については、物価安定の目標の実現のために最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促すよう、短期政策金利をマイナス〇・一%、十年物国債金利をゼロ%程度とする金融市場調節方針を掲げ、市場において国債の買入れを実施しています。  現状、我が国の経済は基調として緩やかな拡大を続け、物価も既に持続的に下落するという意味でのデフレではなくなっていますが、二%の物価安定の目標の実現にはなお時間が掛かることが見込まれます。また、海外経済の動向を始め、経済、物価の先行きをめぐる不確実性が大きい状況が続いています。こうした認識の下、日本銀行は、物価安定の目標の実現に向けて、強力な金融緩和を粘り強く続けていくという政策運営方針をより明確に示していくことが重要だと考えています。このため、先月には、昨年七月に導入した政策金利のフォワードガイダンスを明確化し、海外経済の動向や消費税率引上げの影響を含めた経済、物価の不確実性を踏まえ、当分の間、少なくとも二〇二〇年春頃まで、現在の極めて低い長短金利の水準を維持することとしました。また、円滑な資金供給や市場機能の確保に資するよう、日本銀行適格担保の拡充などの諸措置を講じることとしました。こうした対応は、強力な金融緩和の継続に対する信認を高め、物価安定の目標の実現をより確かなものにするとともに、金融市場の安定にもつながると考えています。  日本銀行としては、今後とも、金融政策運営の観点から重視すべきリスクの点検を行うとともに、経済、物価、金融情勢を踏まえながら、適切な政策運営に努めていく方針です。  ありがとうございました。

中西健治自由民主党・国民の声

○委員長(中西健治君) 以上で説明の聴取は終わりました。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

西田昌司自由民主党・国民の声

○西田昌司君 自民党の西田昌司でございます。  早速ですが、質問させていただきます。  まず、基本的な質問なんですけれども、政府の新規国債発行、この実際のプロセスを確認させていただきたいと思います。実際に政府が、国債を購入した民間銀行の日銀当座預金が減って、その分政府の日銀当座預金が増えると、こういうことで実際の新規国債発行は行われると認識しておりますが、いかがですか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 新規国債の発行時点においては、民間金融機関の日銀当座預金が減り、政府の日銀当座預金が増えることになります。

西田昌司自由民主党・国民の声

○西田昌司君 これが現実だと思うんですね。  ところが、財務省なんかが言っている説明は全く違う説明しているんですね。財務省のホームページには、日本の国債は潤沢な個人金融資産が国債の消化を支えている、しかし、これが今後国債に回す余地が少なくなる、そこで国債を発行、収束させていくことが重要であると言われておりまして、これはまさに金融資産で新規国債をファイナンスするという認識を示しているわけなんです。  ところが、先ほど黒田総裁がおっしゃったことは全くこれと違って、要するに民間銀行の当座預金、これが日銀の国債をファイナンスするものだということでありますから、家計の金融資産ではなくて民間銀行の日銀当座預金が新規国債をファイナンスするということでよろしいですね。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げましたように、政府が国債を発行した時点の資金の動きだけを捉えますと、民間金融機関は保有する日銀当座預金を減らすことで国債保有を増やしているように見えます。もっとも、民間の日銀当座預金は政府が調達した資金を支出する段階では再び増加するものでありまして、その意味では基本的にはニュートラルな要因であります。  そのため、こうしたプロセスを全体として見れば、民間金融機関の国債保有の増加は、家計や企業からの預金など、負債の増加に見合ったものになるというふうに考えられます。すなわち、一国経済を全体として見ますと、やはり財政赤字は最終的には民間部門の貯蓄か海外からの資金によってファイナンスされることになるというふうに理解しております。

西田昌司自由民主党・国民の声

○西田昌司君 ちょっとそこが認識が違うんですがね。  じゃ、ちょっともう一つお聞きしますが、そもそも、新規国債を発行、そしてそれによって資金を調達して政府が予算執行する、その場合、政府の方の負債残高は当然増えますよ。しかし、予算執行することによって民間の金融資産、これは家計も企業も含めてですけれども、増えることになるということになるんじゃないですか。これは間違いないと思いますが、いかがですか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 確かに、公共事業の拡大などによって経済活動がより活発化する場合には、それに伴って民間の金融資産も増えるという可能性はあると思います。ただ、経済金融情勢次第では公共投資の拡大が民間の経済活動を制約し得ることに加えまして、より長い目で見ますと、財政の中長期的な持続可能性に対する信認が低下すると民間の経済活動に大きな支障を来す可能性がある点にもやはり留意する必要があるというふうに思います。

西田昌司自由民主党・国民の声

○西田昌司君 ちょっとそれは私の質問に答えていないんですね。  私が言っているのは、今総裁がおっしゃったのは乗数効果的な話ちょっとおっしゃっているんですよ。私は乗数効果の話じゃなしに、そもそも国債を新規発行して予算執行したらその金額分は必ず民間の金融資産が増えているじゃないかと。これは事実でしょう。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) これは先ほど申し上げたように、その時点でそういうふうになっているということはそのとおりなんです。ただ、あくまでも、基本的に一国経済全体を捉えて見ますと、国債をファイナンスしているのはやはり最終的には民間の貯蓄か海外からの資金の取り入れによるものであるということであります。  他方で、新規国債を発行して公共事業などを拡大して経済が拡大する場合には、これは委員御指摘のように、乗数効果のような経済政策の効果が経済の拡大につながる場合には、それによって当然民間の金融資産も増えるということは事実だと思います。

西田昌司自由民主党・国民の声

○西田昌司君 ちょっと基本的認識が、そこはちょっと違うと思います。  四月四日の決算委員会で私、重要な質問をしました。それは、信用創造、民間銀行が信用を付与することによって預金創造ができるということで、そのことを総裁は認められたわけです。つまり、誰かが負債をすることが誰かの資産をつくっていると。これは金融のシステムの大原則であるわけですね。これは認められていたはずなんですよ。  同じことが国家と民間についても言えまして、国家の債務というのが結局は民間の資産を増やしている。要するに、民間銀行が貸し出すことによって民間のまた誰かの資産が増えるのと同じ理屈で、国家が債務を負担することによって民間に資産が増えるという、このことを聞いているわけです、国債の話は。そこについて異論はないはずなんですが、いかがですか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 今おっしゃった点は、国が国債という政府の債務証書を発行して、最終的に民間の貯蓄でファイナンスされるという形で民間の資産、金融資産となるということはそのとおりであります。ただ、そのことは、例えば民間同士で金融機関を通じて貸した、借りたという場合も全く同じでして、何かそこに特別な、それ自体として経済を刺激するとか拡大するとかいう意味はないわけでして、あくまでもそれが、政府が公共事業をするとか、あるいは減税に使うということを通じて経済が拡大すれば、新たな貯蓄、新たな金融資産保有という形で民間がそれをファイナンスする可能性はあるわけです。  ただ、それはあくまでも乗数効果の話でありまして、経済の動向、例えば経済がまさにフル操業で完全雇用というときに政府が公共事業を拡大するということは、すごくむしろ民間の設備投資を縮小させる、クラウディングアウトということですけれども、そういうことですので、あくまでも政府が国債を発行してそれがどういう形でファイナンスされ、あるいはそれが経済にどういう影響を与えるかということは、経済の実態というか、そのときの状況を踏まえて言わないといけないのではないかと。  ですから、恒等式で、こっちが借りるとこっちが貸したと、債務は資産だということはそれはそのとおりなんですけれども、それ自体として何か特殊に経済にプラスになる意味があるということはないと思います。

西田昌司自由民主党・国民の声

○西田昌司君 ちょっと日銀の総裁らしからぬ答弁だと思いますね。今の答弁は財務省の財務官の答弁なんですよ。  要するに、私が申し上げているのは、負債をする、負債によって資産が増える、これが今の現代の金融の大原則で、国債もしかり。そして、そのときにお金を借りて、借りた以上は誰かの支出に使うんですから、支出に使った以上、それは当然経済を、GDPを押し上げているのに決まっているじゃないですか。それを借りっ放しで置いておいたら、それは知りませんよ。支出するから、政府が借りてそれを予算で支出をするから、誰かの所得若しくは結果的には資産をつくっているわけですよ。だから、そのことが経済にプラスになるとかならないとかいう話ではないというのは違うじゃないですか。必ずプラスになるんですよ。  ただ、乗数効果の話はここで今言っていません。乗数効果もあるんだけれども、取りあえず政府が支出することによっても、それは経済が大きくなるんですよ。かつ、しかも、政府の債務は増えるけれども、片っ方で民間の資産が増えていますから、全国家的にはプラス・マイナス・ゼロで、いわゆる国家の破綻というもの、全体の、そういうことはあり得ないでしょう。そこを聞いているんですよ。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、国が国債を発行して、それによって減税をするあるいは公共投資をするということは、需要を拡大するというのはそのとおりなんです。ただ、それが実質GDPを増やすかどうかは、経済がフル操業で完全雇用で、これ以上実質GDPを増やせないときに需要だけ拡大すれば、その分だけ民間投資が減るなり、あるいはインフレによって消費が削減されるなりなるだけで、経済に必ずいい影響が出るかどうかはまさにそのときの財政政策が経済の実情とどのように合っているかによるので、需要を増やすということはそのとおりなんです。ただ、それが経済を実質的に拡大させ成長させるかどうかというのは、あくまでも経済の動向、状況との関係で決まってくると。これは経済学の常識だと思います。

中西健治自由民主党・国民の声

○委員長(中西健治君) 時間が参りましたので、おまとめください。

西田昌司自由民主党・国民の声

○西田昌司君 私もその経済学の常識言っているんです。  もう終わりますが、要するに私が言っているのは、需要が増える、そしてインフレになると言っているんですよ。今、日銀総裁の困っているのは、持続的に下落するという意味でのデフレではなくなったが、物価目標できていないんでしょう。だから、そちらの政策を、もちろんこれは財政出動ですから日銀政策じゃないですよ。しかし、それをしっかり可能にするのがこの金融の常識だから、それを聞いているんですけれども、余りにもちょっと元の財務官の答弁が多かったように思います。  終わります。

風間直樹立憲民主党・民友会・希望の会

○風間直樹君 よろしくお願いします。  西田議員の議論を大変興味深く、楽しく拝見をいたしました。恐らく西田さんがおっしゃる趣旨としては、日本政府はより現状よりも財政出動したとしても財政破綻にはつながらないという趣旨が根底にあるんだろうと思います。  それで、ちょっと最近、西田さんのおっしゃる考え方というのは、御案内のようにアメリカでもかなり言われるようになっていまして、ちょっとこの点を冒頭に確認をしたいと思うんですけれども、今日の委員会でもほかの委員からも御質疑があるようですが、MMTという理論が最近アメリカでは随分もてはやされるようになってきております。  この理論のエッセンスを簡単に言うと、独自の通貨を持つ国の政府は通貨を限度なく発行できると、だから財政赤字が大きくなっても問題ないという考え方のようであります。政府が財政を拡大し過ぎることは財政破綻を招きかねないと、こう考えられるわけですけれども、インフレ率が一定の水準に達成するまでは財政支出をしても構わないと、このMMTの主唱者たちは言っているということです。  私は、このMMTというのはもう全くとんでも理論だと思っていまして、いずれ歴史的に淘汰される考え方だというふうに思っているんです。そこはちょっと西田さんと違うんですが。  それで、今日、黒田総裁にまず基本的なことをちょっとお尋ねし、質疑をさせていただきますけれども、このMMTの、独自の通貨を持つ国の政府は通貨を限度なく発行できると。この背景には、限度なく通貨を発行したとしても財政の信認は揺るがず、通貨の信認も揺るがず、財政破綻にはなり得ないと、なぜなら独自の通貨で独自の例えば国債を発行しているからと、こういうことでありますけれども、それでは、根源的に、この通貨の信認を維持しているもの、その通貨の信用の裏付けとなっているものは何かというのが問われてくるんだろうと私は思うんですね。  それで、例えば我が国の円の場合ですが、これ、現在この円の信認の裏付けとなっているものというのは、総裁はこれどういうもの、何だとお考えでいらっしゃいますでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) これはなかなか難しい御質問だと思います。  御承知のように、為替市場がいろいろ変動いたしますと、セーフヘイブンだと称してスイス・フランと日本円が上昇するということが起こりますので、そういう点からいうと、日本円、特に海外からの日本の通貨、円に対する信認は極めて厚いというふうに見えるわけでございます。  ただ、為替に影響するファクターはたくさんございますので、経済状況の違いとか金融環境の違いとか様々なことが影響すると思いますし、それから、基礎的、基本的な要因として確かに、日本が経常収支が黒字であると、それから対外資産、ネットの対外資産は世界最大のネットの対外資産を持っていると、そういったことが一つのセーフヘイブンの、何というんでしょうか、感覚に効いている可能性はあると思うんですけれども、しかし、為替レートは様々な要因で変動しますので、これで通貨の信認を図るというのは難しいと思います。  そういう点からいいますと、結局のところは、やはり物価がハイパーインフレになったりそういうこともなく、物価が安定しているということを中央銀行がコミットして実現していくと、そういう中央銀行の政策に対する信認というか信頼というものが通貨に対する信頼の大きな要素であるというふうに思います。もちろん、財政赤字とか財政の債務の、GDPの大きいとかいうこと自体が財政に対する信認というものの問題を引き起こす可能性はもちろんありますけれども、通貨に対する信認にやはり一番大きい要因は、中央銀行が物価の安定を確保すると、そういうことに対する信頼というものが一番大きな基礎ではないかというふうに思います。

風間直樹立憲民主党・民友会・希望の会

○風間直樹君 日銀総裁のお立場としての認識としては至極ごもっともだろうと思います。  私も、この問題、ここ数年ずっと考えてみたんですけれども、私は、基本的には、一国の通貨の信認の源というのはその国が生み出す富の総体だろうと思っています。ですから、単純に言えば、その国が、例えば日本が生み出す富以上に我が国が国家債務を持てばいずれ財政破綻の危機を招くという、非常に単純なことだろうと思っております。  それで、我が国の場合、今、国家債務が、国と地方合わせて千百兆前後あるんでしょうか。一方、米国の方に目を転じますと、およそ二十二兆ドル、国家債務を米国は抱えていると言われております。それで、米国の場合、ドルが基軸通貨ということもあって、国の債務の発行上限が来るといつもアメリカの連邦議会で、その上限を撤廃してまた上限を上にするかどうかという議論がなされるわけですけれども、私、かねがね不思議なのは、このMMTの理論も出てくるように、アメリカが際限なく米国債を発行し、ドルを世界中に、よく垂れ流すと言われますが、世界中にドルがあまねく普及し、それでも現状のところはまだ財政破綻の兆しは出ていないと。じゃ、それはなぜだろうと。今述べたことを踏まえれば、アメリカが現在生み出している富、国富がドルの信認の裏付けとなっているからということなんですけれども。  ただ、私、ちょっとアメリカの歴史を勉強してきまして面白いことに一つ気付いたんですが、一九七〇年代、ニクソン政権のときに、御案内のとおり、米ドルの兌換を停止しております。この兌換を停止する前と兌換を停止した直後と、そして兌換停止後しばらくたつ現在、この三つのタイミングを比較したときに、米ドルの価値というのがどのように変化したのか、これをちょっと調べてみたんですけれども、実は兌換を停止した直後に米ドルの信認がかなり揺らいでいるんですね、数年間にわたって。  米国内ではかなりのインフレに悩まされた時期というのがあるようなんですけれども、黒田総裁は財務官もお務めでいらっしゃいますからその辺の事情ももしかしたら御記憶かもしれませんが、何かその辺の事情について御見識があればお尋ねしたいと思います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 確かに、一九七一年のニクソン・ショックで米国はドルの金兌換を停止したわけですね。戦後の国際通貨体制というのは、俗に金ドル本位制だと言われるように、ドルは金との兌換をする、各国通貨はドルとの間で固定相場を維持すると、こういう形で維持されてきたわけですが、ドル兌換が停止されて、七一年の年末にスミソニアン合意ができましたけど、そのときも米国は金兌換を受け入れなかったわけですね。  ですから、その後、金の価格は大きく上昇したわけですし、御指摘のようなドルの下落あるいはインフレというものが起こったことは事実なんですけれども、その後の状況を見ますと、特に一九九〇年代に入って物価は非常に安定して、これはグリーンスパン議長の下でということもありましょうし、また、御指摘の点でいいますと、九〇年代はアメリカ経済が、ITとかその他いろいろなIT関係の情報産業が非常に盛り返してアメリカ経済自体が非常に強くなったところでありまして、一方で金融政策でインフレを抑制するという形を取り、他方で米国の経済の潜在成長率もむしろ上昇したと言われているわけですから、そういう中でドルの対外価値も比較的安定していたということだと思いますので、御指摘の点もそのとおりだと思いますし、今や実は世界の外貨準備の大半がやはりドルでして、ドルが国際通貨として果たしている役割はむしろ大きくなっているわけであります。  それの背景には、やはり米国の物価が安定しているということと、一方で、米国の経済自身が製造業でなくて非製造業で非常に大きく成長して拡大したということがあるのではないかと思います。

風間直樹立憲民主党・民友会・希望の会

○風間直樹君 せっかくの機会ですので、今日は黒田総裁始め日銀の理事の皆様がほか四名お越しですのでちょっと一言ずつコメントをお願いしようと思うんですが、この一九七一年のニクソンによる米ドル兌換の停止後、今日、米ドルの価値がそうぶれることなく安定している根源的な理由について、もしこれが理由だという御見識があれば一言ずつちょっと御答弁いただきたいと思うんですが。今総裁には御答弁いただきましたから、理事、順次お願いいたします。

中西健治自由民主党・国民の声

○委員長(中西健治君) では、前田理事からお願いします。

前田栄治日本銀行理事

○参考人(前田栄治君) 十分な準備がしておりませんので何とお答えできるかあれですが、基本的には、総裁からも申し上げたとおり、やはりアメリカの国のいろんな面での強さということが影響しているんだと思います。一つはインフレが安定している、マクロ政策がうまくいっているということもあると思いますし、やはりポテンシャルといいますか、経済力が着実に高まってきたということがあると思います。  更に言えば、やはり他の国がいろんな金融資産を運用する際に、アメリカにおいて金融市場が効率的で高度に発展している、したがって、そこにドルで資産を預けておくということのインセンティブの一つになっているということも影響しているんじゃないかと、こんなように考えております。

衛藤公洋日本銀行理事

○参考人(衛藤公洋君) もう余り付け加えることも残されておりませんけれども、基本的な要因は、やはりアメリカの経済が活力を維持しているということが大きいと思います。その背景には、やはり基本的には市場を重視し、自由な貿易を始めとして自由な経済活動を維持してきていると、それが活力を生んでいるということが大きな背景としてあります。それを支えるための金融も、これは今、前田が申し上げたとおりですけれども、金融市場がこれまた非常に自由でオープンな形で維持されていると。この二つがやはりドルという通貨に対する需要を生んでいるんだろうというふうに考えております。

吉岡伸泰日本銀行理事

○参考人(吉岡伸泰君) ほとんど付け加えることもございませんけれども、まさに先ほど風間委員がおっしゃっていらっしゃったところであえて言えば、金融政策運営につきましても一九七〇年代の失敗に鑑みてしかるべく対応が図られてきたことと、そしてまた、経済の方でも新しい力をどんどんくみ取って、まさにもうける力がどんどん伸びていったと、そういったところがもろもろ影響してきたのかなと個人的には認識しております。

風間直樹立憲民主党・民友会・希望の会

○風間直樹君 どうもありがとうございました、突然の質問にもかかわらず。  それで、黒田総裁、ちょっと日銀の事務方に、別に急ぐ話ではないんですが、調べさせてもらえれば有り難いんですけれども、このニクソンの七一年の金・ドル兌換の停止後のニクソン政権の判断についてなんですが。  私は、ニクソンという大統領は、極めて毀誉褒貶の大きい人だったけれども、非常に政治家としては世界史上まれに見る優秀さを持った人だったと考えていまして、金・ドル兌換停止後に米国内で数年間、かなりのインフレが起きます。ニクソン政権もそれに相当悩んだ末、ある決断をするんですね。その決断、何だったかというと、アメリカの政府の様々な努力により、世界における石油の決済を事実上米ドルで行う体制をつくるという決断です。その決断をし、それを様々な努力を通して実行に移すわけですが、これによってその数年間の米ドルの通貨のぶれが収まったと言われています。  その後、今日に米ドルのその信認というのは続いているわけですけれども、現在では、米国内でのシェールガス、事実上の石油の生産増加に伴って、それまで米国が大幅に中東に依存していた石油の輸入も、米国は今や輸出の方が多いという状況になってきています。ですので、私は、この説が正しいとすれば、アメリカが国債を今後しばらく発行し続けたとしても、当分の間、米ドルの信認というのは揺らがないんだろうと、そういう認識を私は持っております。  で、MMTの理論に戻りますが、大事なことは、この米ドルにせよ日本円にせよ、その通貨の背景にどのような富が存在するのか、そのどのような富と自国の通貨が連動し、ペッグされているのか、これがまさに通貨の信認あるいは一国の財政の信認に直結するのではないかと私は考えておりまして、そういう観点から、我が国の金融政策もそうですし、財政政策もそうですし、産業政策の立案もしかるべく行っていくべきだろうと。つまり、いかに我が国が今後新たな富をこの国内で生み出せるかによって日本円の信認も定まってくるし、また日本の財政に対する信認も安定してくると、こういうことだろうと思っています。  単純に言えば、世界の中で自動車を生産する国が仮に我が国だけであれば、これは輸出財として極めて差別化が図れる日本の大きな富の源泉になるわけでして、自動車、これはちょっと極端な例出しましたけれども、こういった何らかの富を我が国が今後新たに開発し、世界に輸出をすることができれば、日本の財政や通貨の信認も上がっていくということだろうというふうに考えております。  日銀でこの七一年の米ドル兌換停止後のニクソン政権の様々な、ドル安定のためどんな努力をしたか、その調査は御検討いただければ有り難いと思っています。これは答弁必要ございませんので、一応その調査をしていただけるかどうかだけコメントいただけますか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) そういった調査はしてみたいと思います。

風間直樹立憲民主党・民友会・希望の会

○風間直樹君 ありがとうございます。  では、次の質問に移りたいと思います。  三月のこの委員会で麻生大臣とちょっと質疑をしたんですけれども、麻生さんが日銀の物価目標二%の達成について、ここ数年、いろんな場所でいろんなことをおっしゃっています。麻生さんのお人柄もあるんでしょうけれども、時々べらんめえ口調でいろんなことをおっしゃるものですから、どこまで言ったことが本当なのかということを聞く方もいぶかしみながら聞いているようなところもありまして、ちょっとこの場で麻生さんにそれを確認しました。  麻生さんがいろんな場所でおっしゃっていたことは、要は、政府と日銀の間ではこの物価目標二%の達成はまず二年間では無理だということを互いに認識していたということが一つ目。それから、二%に責任感を感じて不必要なことをやるのはやめたらいいというのは政府と日銀の両方で一致していたというのが二つ目。さらに、二%が当たり前だった目標がほとんどの国で変わってきている、日銀ともよくこの話をしているというのが三つ目であります。  この場で質疑をしましたときに私がこれを尋ねたら麻生さん相当怒りまして、かなり感情的に反発をされたんで、ちょっと痛いところ突いたのかなと、私は私なりに感じたんですけれども。  総裁、いかがでしょう、この政府と日銀の間では物価目標二%の達成が二年ではまず無理だということを互いに認識していたと、そういう話を、二%に責任感を感じて不必要な、やるのはやめたらいいというのは政府と日銀、つまりこれ麻生大臣と黒田総裁ということだと思うんですが、両方で一致していたと、こういう事実はあるんでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) まず第一の二年程度ということですが、これは二〇一三年四月に量的・質的金融緩和を導入した際に、それまでの金融緩和と言わば異次元の大幅な金融緩和をするということで、できるだけ早期に二%の物価安定の目標を達成するという政府との共同声明を踏まえつつも、二年程度を念頭に置いてできるだけ早期にということで始めたわけです。  ただ、その後、御案内のとおり消費者物価上昇率は一・五%程度まで、これは消費税の増税の影響を除いても一・五%程度まで上昇したわけですけれども、その後、特に原油価格の大幅な下落が始まり、日本だけでなくて世界中で物価上昇率がほとんどゼロになるという事態が発生しまして、そうした下で量的・質的金融緩和の拡大であるとか、その後にはマイナス金利の導入とかいろいろやったわけですけれども、その時点で、二〇一三年四月から二年程度を念頭に置いてできるだけ早期にという、二年程度を念頭に置くということは既に断念して、共同声明のできるだけ早期に二%の目標を達成すると、そのために引き続き大幅な金融緩和を続けるということになったわけで、その点は政府の方も理解しておられるというふうに思います。  ただ、そうした上で、二%の物価安定の目標を実現するということは、日本銀行として二〇一三年の一月の政策委員会で決めた、コミットしたことであり、かつ政府との共同声明でもうたわれていることでありまして、この二%の物価安定の目標というのが物価安定という具体的な目標として挙げられていますのは、一つは、消費者物価指数には統計上のバイアスがあるとか、あるいは政策対応力を確保する必要があると、そのためには小幅のプラスの上昇率を目指すことが重要だと。その上で、現在でも米国や欧州の中央銀行はほとんど二%の物価安定の目標というものを目指して金融政策を運営しておられまして、そうした下では長い目で見た為替レートの安定にも資することになると思いますので、二%の物価安定の目標は日本銀行政策委員会自体がこのような点を踏まえて決定したものでありまして、物価の安定という日本銀行の使命を果たすためにはこの目標を実現していくことが引き続き必要であるというふうに考えております。

風間直樹立憲民主党・民友会・希望の会

○風間直樹君 分かりました。麻生大臣の発言を否定された形になりますけれども、日銀の立場についてはよく分かりました。二%目標の達成に向けて引き続き政策を取っていくということで理解いたしました。  それで、前回日銀との質疑から今日に至るまでの間で一つ大きな変化が国際金融マーケットで起きたとすれば、アメリカ、FRBの資産圧縮停止の判断、そしてこの一月の利上げを目指していた方針を転換したという、この二つだろうと思います。  この二点は、当然、日銀の金融政策にも影響を与えていくんだろうと思いますが、総裁の御認識ではどのような影響を与えるというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) FEDの金融政策そのものについて私が具体的にコメントするのは差し控えたいと思いますけれども、従来から、そして現在も、FRBは米国経済の安定と雇用の極大化を目指して適切な政策運営をされていると思いますので、御指摘のように、昨年の十二月の利上げ以降、国際的な経済情勢、やや中国や欧州を中心に減速が非常に広がっていったということと、金融資本市場がやや不安定化したということがありまして、そういったことも踏まえて金融政策を若干調整したと思いますけれども、それ自体は米国経済が物価の安定の下で順調に経済を成長させていくという面ではプラスになると思いますので、何かそれが日本経済あるいは日本の金融にとって何かマイナスの状況をつくり出すということは想定しておりません。  ただ、いずれにいたしましても、米国の金融政策というのは世界の金融市場に大きな影響を与えますので、そういった点からは引き続き注視してまいりたいというふうに思います。

風間直樹立憲民主党・民友会・希望の会

○風間直樹君 次のお尋ねですけれども、先般、自民党の萩生田幹事長代行が消費税増税の延期に関する発言をしまして、随分ニュースになりました。  その中で、六月の日銀短観を一つの判断材料として挙げたわけですけれども、この日銀短観六月分が出るのが七月の一日と聞いておりますけれども、この短観の性質というものが果たして消費増税の延期を判断するものとして妥当なのかどうか、ちょっと私は疑問を持っておりまして、ここで改めてこの短観の性質についてお尋ねするのと、それから日銀がこの短観をどういう活用目的でやっていらっしゃるのか、その二点について答弁をお願いします。

前田栄治日本銀行理事

○参考人(前田栄治君) それでは、技術的な面もありますので私の方からお答えいたしますけれども、もう御案内かと思いますが、私ども、短観については企業活動を包括的に四半期に一度調査するというものでありまして、その際に、企業のマインドだけではなくて、企業の設備投資計画とかあるいは売上げ、収益といった業績の見方ということについて尋ねているものであります。  したがって、企業活動を包括的に調べるという上では私ども極めて重要な調査というふうに考えておりますけれども、同時に、日本経済全体ということからすれば、当然、短観だけではカバーできない消費なり物価なり政府の活動なりというのがございますので、あくまで経済あるいは物価全体を判断する際には一つの重要な調査の一つと、こういうふうに捉えております。

風間直樹立憲民主党・民友会・希望の会

○風間直樹君 私もちょっと萩生田さんの御発言は、まあ増税を延期したいという個人的な思いは強いのかもしれませんけれども、その方便として日銀短観を使うというのはちょっと無理筋なのかなという気がしたところです。  最後にちょっと基本的なことをお尋ねして終わりますが、日銀の資産買入れ方針の中で、ETFとJ―REIT、一定額目標を決めて購入するという話があるわけですけれども、その目的として、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点からというのが議事要旨にも出てくるんですが、この資産価格のプレミアムというのは何かというのをちょっと、基本的で恐縮ですが、教えてください。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) これはいわゆるリスクプレミアムでありまして、リスクプレミアムの測り方はいろいろな指標がありますので、それらで総合判断せざるを得ないとは思いますけれども、株式あるいは不動産といったですね、金融資産の投資は、預金とか国債のような確定利付きの金融商品と違った、リスクが大きいわけですね。したがって、当然のことながら、そのリターンは高くなければいけないわけですけれども、そういったものが経済の実勢よりも悲観的になってリスクプレミアムが大きくなってしまっていると、なかなか株式による資金調達とかあるいは不動産への投資というのが経済の実態ほどに進まない可能性があるわけですね。ですから、そのリスクプレミアムを縮小することによってそういった株式市場とか不動産市場が適切に機能するようにするということで、現在の金融緩和のシステム全体の中でこれを行っているわけです。  ただ、株式などを見ましても、ETFで買っているとは言っても、日銀が保有している残高は四%程度ですので、何かそれがすごく株価に大きくプラスになるとか、リスクプレミアムを一挙に大きく削減できるとか、そういうものではないんですけれども、弾力的なETFの買入れによって、リスクプレミアムが拡大したようなときに、日銀がETFを通じて株式を購入することによってそのリスクプレミアムを圧縮するという意味の効果はあるのではないかと。  なお、J―REITの方は、マーケットも小さいですし、日銀の買入れも極めて小幅になっておりまして、またその金額もずっと一定額を保っておりまして、増加させておりません。ETFは、御承知のように、何度か増加させたわけであります。

風間直樹立憲民主党・民友会・希望の会

○風間直樹君 このETFの買入れについてはいろんな議論がマーケットにありまして、そこをちょっと議論したかったんですが、時間が参りましたので、また次回させていただきます。  ありがとうございました。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。  今日、私もETFのことをお伺いしようと思っていたんですが、今の風間さんの質問を引き継いでそこから入りたいんですが、私も、総裁のなぜ日銀がETFを買うかということの説明に関して、ずっと過去の発言を聞いているとちょっと不思議な点が幾つかあって、まさしくそれが今のリスクプレミアムの話なんですよ。  リスクプレミアムを過度に拡大させない、そして縮減が必要だということを、これ議事録を委員部に精査していただいたら何度か発言しておられて、例えば今年の二月十九日の衆議院の財金でもそういう発言をしておられますね。  今、リスクプレミアムとは何ですかと風間さんが聞いておられて、やっぱりそこの定義が曖昧なまま何かこういう答弁をしておられるなとずっと思っていたんですが、そこでもう一回定義についてお伺いしますが、これ、マーケットでもリスクプレミアムの定義の表現の仕方は二通りあって、ちょっと事務方、余り邪魔しないでね、頼むから。これ、今本当に日銀の金融政策は物すごい歴史的に重要な局面迎えているので、総裁御自身によく考えてもらう必要があるんですよ。  もう一回話を元に戻しますよ。マーケットでは、要するに、無リスクの資産とリスクのある資産、これがもし利回りが一緒ならみんなリスクのない方を買うわけですから、無リスクのものに行っちゃう。だから、リスクがある方が収益率が高ければリスクがあってもリスク資産を買うので、その差の部分をリスクプレミアムという場合が一つ。ということは、この場合はリスクプレミアムが大きいほど、つまり買いたくなるわけですよ。そうですよね。  ところが、もう一つの表現の仕方は、ちょっと理事、ちょっと頼むね。いや、総裁、ここね、にこにこしていただくのは結構なことなんですが、これ、総裁、歴史的に大変なことを今やっておられるという認識はありますか、本当に。少し真面目に聞いていただけませんか。  今申し上げたように、一つの今の表現の仕方でいうと、リスクプレミアムが大きい方がいいというマーケットの表現の仕方があるんです。ところが、もう一つは、リスクがそれだけ高いということだから、リスクプレミアムが高いと投資しにくくなるというマーケットの表現の仕方もあるんです。これ、例えば証券会社のリスクプレミアムの定義なんかを、顧客向けの説明を読むと、まさしく両方書いてあるんですよ。  日銀はどっちの立場でこのリスクプレミアムを捉えておられますか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 御指摘のように、このリスクプレミアムの捉え方は言わば両方から捉えられるわけです。ある意味でいうと、確定利付きの安全資産に対して、リスクがある株式については一定のリスクプレミアムを要求する、それがないと株式に投資しないという意味で、そういう面が一方ではあると。他方で、御指摘のように、マーケット全体で見て株式のリターンが安全資産のリターンとどれだけ差があるかと、これはリスクプレミアム、それは言わば結果としてのリスクプレミアムで、それが御指摘のようにある程度あるということは、むしろ、まさに株式投資のリターンが高いということですので、リスクプレミアムがそういう意味で大きくなっているのは結構なことじゃないかということにもなるわけですね。  それは、その結果として出てきたマーケットのそういう物の一つの見方としてそういう見方があるということは事実ですけれども、私どもが基本的に考えていることは、経済の実態が改善しているにもかかわらず、将来の株式投資によるリターンの予想、つまり収益予想が悲観的、あるいは株式投資によるまさにそのリスクプレミアムが、要求するリスクプレミアムがある意味で過大というか、あるいは結果的に出てきている市場のリスクプレミアムのリターンと安全資産のリターンの差が余り大きくない、そこはある意味で両面見ているんですけれども、我々の意図としては、まさに投資家が安全資産と株式資産とを見たときに、過度に悲観的になって株式投資を控える、あるいは逆に言うと、企業の株式による投資のファイナンスが十分に進まないということは好ましくないので、何とかそのリスクプレミアムに働きかけて、株式市場が一層活性化して、株式による投資ファイナンスが進むということが経済の拡大にもプラスになるし、基本的に物価の安定の目標に向けての一つの金融緩和の策になるということでやっているわけです。  ですから、なかなか一つのこの指標だけでというふうに判断できないので、幾つかの指標を見ながらやはり総合的に判断してやっているということが事実であります。その点は、委員が思っておられる、要するに一体何を基準にしてどのようにしてやっているというのがやや分かりにくいということは認めますけれども、やっぱりあくまでも総合判断として、株式市場がより活性化して、よりよく機能するようにするために、かなり弾力的に毎月の買入れを行っているということであります。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 いや、総裁、今の苦しい答弁が全てを物語っているんですよ。二つのこのアプローチ、リスクプレミアムの定義の仕方のアプローチ申し上げました。両面あるというのは総裁のおっしゃるとおりなんですよ。だけど、総裁はずっとリスクプレミアムを圧縮させることを目的にということを答弁しておられるわけですから、後者の捉え方をしているに決まっているんですよ。それを両面あるかのような答弁をまたここでするところに、非常に総裁としての答弁の一貫性のなさも指摘をしておきますよ。  それで、圧縮をすることを目的にしている、過度に拡大することのないようにしたいと、これ繰り返し答弁しておられますので、ということは、リスクプレミアムがあるとリスク資産なので買いにくくなるというふうに捉えて日銀はETFを買っているということなんですよ。だけど、前者の立場、リスクプレミアムがあればあるほどリスク資産を買いたくなるというこの切り口からいくと、それは実はリスク資産の期待収益率が高いということなんですよ。つまり、日銀がやっていることは、リスク資産、株やETFの期待収益率を下げれば買手が付くという非常に矛盾したことを言っているんですよ。  矛盾したことを言っておられるということはもうずっと私は感じながら聞いていたんですが、それ、なぜそういうジャーゴンを駆使しながら、論理もすり替えながらいろんなことを言っておられるかというと、やっぱり真の目的が別なところにあってスタートしたこのETFの購入について、いろいろごまかさなきゃいけないことがあるからこういう説明になるんです。  株価を意図的に上げる意思があったかどうかは別にして、少なくとも最近は、もうETF、日経平均がある一定価格を下がると日銀が含み損を持ってしまうということはもう過去の他の理事の答弁で認められておりますので、その水準を下回らせるわけにはいかないとか、いろんな表向きの説明以外の雑念が入っているというふうに捉えざるを得ないと思います。  そこまで申し上げた上でちょっと数字を一個だけ確認させていただきますが、ETFのマーケット残高二十八兆ぐらいのうち、もう八割は日銀が持っているということでよろしいですよね。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 七、八割持っているということは事実だと思います。  ただ、先ほど申し上げたように、ETFは需要があればどんどん組成されますので、マーケットのそのリスクプレミアムに対する影響というところから見ると、やはり市場の現在高の四%程度を日本銀行が現在保有しているということであります。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 ETFを幾らでも組成できるというのはそれはそのとおりですけど、しかし、現時点で二十八兆の残高の八割をもう日銀が持っていて、さっきおっしゃったような観点で一体どこまでオペレーションするのか。日銀がオペレーションをするためにわざわざETFを組成するというような本末転倒な状況にならないことを祈っておりますが、そのぐらいの状況まで来ているということは一つ指摘をしておきます。  その上で次の質問ですが、今日冒頭の報告の概要説明拝聴しましたが、二ページ目の上から五、六、七行目、物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されており、消費者物価の前年比は、先行き二%に向けて徐々に上昇率を高めていくと考えていますと。これ、さらっとこう説明されますけど、この間の政策決定会合で、二〇二一年でも一・六%にとどまると言って予想を下げたわけですよね。その四月末の政策決定会合の決定事項と今日こうやって国会に説明していただくこの三行との整合性を説明してください。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) そこはまさに整合的でして、物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されており、消費者物価の前年比は先行き二%に向けて徐々に上昇率を高めていくということは、展望レポートで記されているとおりであります。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 まあ、それは整合的ではありませんとは言えませんので、今のような説明になると思うんですが。モメンタムは維持されており、これもこう言わなきゃいけないと思います。消費者物価の前年比は二〇二一年には一・六%にとどまるという現時点での予想であるものの、そこから先行き云々と言う方が何か真摯な御説明のような気がしますが、何かすごく木で鼻をくくったような説明で残念だなと思って聞いておりました。  それから、もう一つお伺いしたいんですが、三ページ目の下から五行目、金融市場の安定にもつながると考えていますというこの金融市場には、金融機関経営とか金融の仲介機能とか、そういうことも含めた金融市場という意味ですか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 金融市場ですから、銀行もありますし、証券会社その他もいろいろあるわけですけれども、今回、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和のフレームワークの持続力というか持久性をより高めるために、例えば日本銀行適格担保の拡充などを行っているわけであります。  これは、御承知のように、金融機関が国債を保有していますけれども、それはいろいろな担保に使っているわけですね。それが、例えばドル資金調達のための担保とかその他いろんなことで相当担保としてのニーズが高いと。他方で、一方で政府は新規国債の発行がだんだん減ってきていまして、その中で日本銀行が大量の国債を買い入れているということで、今後、金融機関がその担保ニーズというのを満たすためにもう少しいろいろなことができないかということがありまして、そして、日本銀行の適格担保の拡充などをすることによって、日本銀行の取引における担保について、国債でなくても違った金融商品を担保にできるということを通じて金融機関の担保繰りがよりスムーズになると。それは金融機関の経営にとってもプラスでしょうけど、何よりも様々な金融商品の取引されている金融市場の安定にもつながるのではないかということで四つほどの措置をとったわけですけれども。  担保の拡充のほかにも、SLF、国債の貸付けの条件ももう少し緩和して、ごく一部の国債についてリクイディティーが低下するということのないように国債の貸付制度を拡充するとか、これも国債市場の機能、それが金融市場の安定ということにもつながるだろうということで、基本的に現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の持続力というか持久性を高めるための様々な措置をとったということであります。  それは、その背景には、二%の物価安定の目標の達成が少し先送りされているということも踏まえて、二%の達成までにこれまで考えていたよりももう少し時間が掛かりそうだということで、現在の金融政策を粘り強く続けていくということのために必要だろうということでそういった措置をとったわけです。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 金融機関の担保繰りを円滑化するためという説明は今お伺いしました。もう一回聞きますよ。この金融市場の安定というこの金融市場には、金融機関の経営とか金融仲介機能の円滑化とか、そういうことも含めての説明ですかというふうにお伺いしたんです。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 現状では、金融機関の貸出しも年々二%程度順調に伸びていますし、金融機関が十分な資本と流動性を持っているということは事実なんですけれども、ただ、その中でもこういった特定の金融取引について市場機能が損なわれるようなことがないように、現在の大幅な金融緩和を粘り強く続けるという以上、その言わば副作用というか、そういうことができるだけないようにするということでやったわけであります。金融機関の収益を云々するという、そういったものではないと思います。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 これ委員長にお願いなんですが、もちろん、日銀は生真面目な組織だということは私も知っておりますので淡々と仕事はしてくれていると思うんですが、何かこの日銀報告も年中行事化していて、取りあえずさらっと所定の項目を説明すれば、二、三時間座っていれば何とかなる的な雰囲気が漂っては困るので、この局面ですね、金融機関経営、特に地域金融機関が大変なことになってきているというのがもう委員の皆さんも共通認識でありまして、いわんや、だからこそ、金融の地域独占に関しては独禁法の例外まで認めようというところまで今来ているわけでありますので、今後の日銀の半期報告においては、今日も項目立ては、我が国の経済金融情勢と、それから金融政策運営という、この二項目でさらっとやられているんですが、やはり当面の間、必ず金融機関経営について一項目立てていただいて、その認識についても、今の金融政策がどういう影響を与えていて、今後どうしようと思っているかということについては必ず報告をしていただく方向で御指導いただきたいと思いますが、委員長にお取り計らいをいただきたいと思います。

中西健治自由民主党・国民の声

○委員長(中西健治君) 後刻理事会で協議したいと思います。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 そのことをお願いした上で、次に、マネタリーベースの対GDP比についてお伺いします。  思い起こせば、今からはや七年近く前、マネタリーベースを二年間で二倍にすれば物価上昇率が二%になってデフレを脱却し、いろんなことがうまくいく、達成できなければ辞めますと豪語しておられた副総裁は、任期を務め上げてお辞めになったわけでありますが、現状は御承知のとおりです。  その上で、マネタリーベースの対名目GDP比は、毎月月末に日銀、財務省からいただいているこの国債関係資料の最新の表によると、また過去最大を更新しました。四月末で九四%。この点についても私も何度かこの場でお伺いしておりますが、これ、どこまで増やすおつもりですか、上限はありますかということをお伺いしたこともあるし、青天井ですかということもお伺いしたことがあります。  先ほどのリスクプレミアムの答弁もそうなんですけれども、何か、目の前で火事が起きているわけではないので、何となく火急性というか緊張感が伝わらないのがこの金融政策のいいところでもあり悪いところでもあるんですが、だからこそ何となく答弁しておられるんですが、例えば、去年の五月二十二日は私の質問に対して、日本銀行のマネタリーベースにつきましては特定の天井があるというふうには考えておりませんというふうに言っておられるんです。  ところが、去年の十二月に同じことをお伺いすると、こうおっしゃいました。青天井という意味ではなくて、上限はありませんと申し上げているので、ですから、何か一〇〇%になったらそれで終わり、あるいは一五〇%になったら終わりとか、そういう上限というものはないと、こう言っておられて、ということは青天井ということなんじゃないですか。  だから、ここで冒頭、青天井という意味ではなくてと片方で言っておられるんですが、でも、どこまででも上げると言っているということは青天井ということを言っておられるんじゃないですか。この答弁の整合性を説明してください。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 現在のこの強力な金融緩和は、あくまでも二%の物価安定の目標の実現に向けて必要であるという判断に基づいて実施しているわけであります。その結果として拡大するマネタリーベースの規模に関しては、事前に何らかの上限は設けておりません。また、マネタリーベースを拡大することについて、今限界が近づいているとも考えておりません。  ただ、その青天井という意味がどういう意味かよく分からないんですが、単に具体的な上限がないという意味ではまさに上限がないんですね。ですから、しかも今何か限界に近づいているというようなことがあるとも全く考えておりませんので、二%の物価安定の目標の実現に向けて、引き続きマネタリーベースの増加というものも続いていくというふうに思っております。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 いや、青天井がどういう意味か分かりませんって、私が言ったわけじゃなくて総裁の発言として青天井という意味ではなくてと言っておられるので、定義はそっちでしてくださいね。  それはともかく、冒頭も申し上げました、途中でも申し上げましたが、総裁、やっぱりこれはどなたがこの局面、日銀総裁をやっても大変なお仕事だということは十分理解をしております。しかし、この総裁の、もうすぐ丸七年で、残すところ任期もあと三年ぐらい。これ、歴史的に大変なことをおやりになっているという自覚は是非お持ちになっていただきたいなと、これはOBの一人としてもそのように申し上げたいというふうに思います。  何せ、今日この後大門さんがお配りになる資料を私も拝見して、ああ、なるほどなと思ったんですが、財政審の資料で、戦後のハイパーインフレーションについての資料、参考資料ですけどね、それから日銀の国債保有についてアマルガメーション・アプローチの説明をしている、統合政府の説明をしている。もちろん、それを肯定しているわけじゃないですよ、資料的には否定はしているんですが。それから、シムズ理論や、MMTまでは財政審の資料にまだ付いていませんけれども、シムズ理論だってちょっと前は財政審の資料に載せることがはばかられるような状況だったのが、一応説明資料として付いているところまで来ちゃっているんですね。  三年ぐらい前の予算委員会で申し上げたことをもう一回お伝えをしておきますけれども、岩田副総裁は、高橋是清元蔵相がおやりになった高橋財政というものが非常にデフレ脱却に有効だったという、そういう論陣を張られて、二〇〇四年にそういう本もお出しになって、そしてそれをやるんだということで、まあ明確な意思をお持ちになったのは結構なことだと思うんですが、登場されたわけなんですが。実は、高橋是清元蔵相は、これは首相をやられた後に、四度目の登板だったんですが、たしか蔵相としては、その岩田さんが言っているようなそういう日銀による国債引受けも含めて、短期間ならやると、三年間だけやるとおっしゃって、三年だけ本当におやりになって、三年目の十二月に、翌年度の予算編成でもうこれ以上はできないから圧縮するという方針を明確にしたところ、翌年の二月二十六日に暗殺をされたんです。そして、その後に、そういうことが起きてしまったので、もう言われるとおりにやりますと言って出てきたその後の日銀、当時の大蔵省関係者の皆さんがおやりになった戦時財政のときのマネタリーベースの伸び以上の伸びを今やっているんですよ。だから、高橋財政のコピーをやっているんじゃなくて、高橋財政の後の戦時財政のときと同じないしはそれ以上の伸びが数字上は表面化しているということを是非御理解ください。  だから、どうしたらいいかというのは、これはなかなか解が見出せない状況になっているので、別に総裁だけの責任とは申し上げませんけれども、しかし日銀総裁として職責を担っておられて、二年間でマネタリーベースを二倍にすれば物価上昇率が二%になって、そこまでやれば何とかなるから私がやってみせますと言って登場されたわけですから、そのことはよくよく改めて御認識いただいて、最後に一つお伺いをいたします。  この後、MMTについては他の委員の方も御質問になると思いますが、MMTについては中身は説明をいたしませんが、ケルトン教授が言っておられるようなこのMMTについて黒田総裁はどのようにお考えになっているかをお伺いして、終わりにさせていただきます。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) MMTについては、必ずしも体系化された理論でなくて、全貌の把握が容易でないためにこれを評価するというのは難しいと思いますが、その上で申し上げますと、MMTの基本的な考え方は、自国通貨建て政府債務はデフォルトすることがないということで、財政政策は財政赤字や債務残高などを考慮せずに景気安定化に専念すべきであるというようなことだと理解しております。  こうした財政赤字や債務残高を考慮しないという考え方は極端な主張だと思いますし、実際、米国の学界でも非常に少数の意見にとどまっており、広く受け入れられた考え方ではないというふうに認識しております。

大塚耕平国民民主党・新緑風会

○大塚耕平君 終わります。

熊野正士公明党

○熊野正士君 公明党の熊野正士です。よろしくお願いをいたします。  日本銀行による異次元の金融緩和を始めてから六年が経過をいたします。二%の物価安定の目標達成のため強力な金融緩和を続けてこられまして、先月、四月二十五日には、フォワードガイダンスの明確化ということで、少なくとも二〇二〇年の春頃までは継続するというふうに発表もあったところでございます。  四月の経済・物価情勢の展望によれば、低金利環境や金融機関間の厳しい競争環境が続く下で、金融機関収益の下押しが長期化すると、金融仲介が停滞方向に向かうリスクや金融システムが不安定化するリスクがあるというふうに述べられておりまして、その金融緩和の継続によるリスクということについても指摘をされておられます。  先日公表されました金融システムレポートを見てみますと、金融機関の経営の先行きというのは厳しい見通しというふうな分析であったと思います。その金融システムレポートの中で、金融仲介活動の点検としてヒートマップを用いた評価がございますけれども、このヒートマップにおいて、不動産業向けの貸付けの対GDP比率がバブル期以来の過熱を示しているということであります。これ以外の指標、例えば金融機関の貸出態度判断であるとか総与信・GDP比率などでも、過熱とまでは行かないけれども、過熱に近い水準を示すものも見られております。  そこでお伺いいたしますけれども、今後、かつてのバブル期のような状況が生じるリスクがないのかということについてお教えいただければと思います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 御指摘の四月に公表いたしました金融システムレポートにおいて、ヒートマップの不動産業向け貸出しの対GDP比率がトレンドから乖離しているわけで、その乖離幅が一九八〇年代後半のバブル期以来の水準となっていることはそのとおりであります。  もっとも、このヒートマップは十四の指標がありまして、現在、不動産業向け貸出しの対GDP比というこの一指標だけがバブル期並みにその乖離幅が拡大しているということでありまして、我が国の金融仲介活動は、全体として見ますと、バブル期のような過熱感はうかがわれないというふうに認識をいたしております。  ただ、日本銀行としても、先生御指摘の過熱に近づいている指標の動向も含めて、今後も、金融面で過度な不均衡が蓄積していないかなど、金融システムの状況については丹念に点検していく方針でございます。

熊野正士公明党

○熊野正士君 金融システムレポートの中で、中長期の収益シミュレーションも行われています。今回のレポートの問題意識として、地域の金融機関の収益力とそれから自己資本比率が低下が継続しているということを踏まえて、マクロストレステストということで、定期的にやっているものに加えて、五年後のストレス発生を想定したテストも実施したというふうにございます。その結果において、五年後にもしもリーマン・ショック並みのそういうストレスが発生した場合には、自己資本比率が四%を下回る国内基準行がそれなりに出てくるなど、厳しい分析結果が記載されています。  その背景としては、やはりその金融機関の収益力の低下、特に国内の預貸業務の収益力の低下というものが考えられますけれども、この点、日銀では収益力の低下の要因ということについてどのように捉えていらっしゃるのか、お示しいただければと思います。

衛藤公洋日本銀行理事

○参考人(衛藤公洋君) お答えをいたします。  金融機関の基礎的収益力でございますけれども、国内の預貸収益の減少等から、地域金融機関を中心に低下傾向にあるということでございます。これには、低金利環境の長期化ということに加えまして、人口減少に伴う成長期待の低下、それから借入需要の趨勢的な低下、こちらは構造要因でありますけれども、そういう構造要因による面が大きいのではないかというふうに私どもでは考えております。先行きにつきましても、この人口減少を起点とする構造的な要因、これは金融機関の基礎的収益力に下押し圧力として働き続けるということが見込まれております。  したがいまして、やはり金融機関においては基礎的収益力の向上に今の段階から取り組んでいただくことが必要というふうに私どもでは考えております。

熊野正士公明党

○熊野正士君 ありがとうございます。  今御答弁の中で、なぜ収益力が低下しているのかということで、低金利状況が続いているということに加えて構造的な問題もあるんじゃないかということだったかと思います。  当委員会でも中山先生の方から質疑があった項目ですけれども、この人口減少とか少子高齢化ということに関して、総裁も、昨年はパリ・ユーロプラス主催のファイナンシャルフォーラムで人口動態の変化と金融セクターの課題と題して御講演をされておられますし、また、本年一月にもG20のシンポジウムで基調講演をなさったというふうに伺っております。人口減少あるいは高齢化によって成長率が低下をすれば中立金利が引き下がるというふうな議論もございまして、日本のみならず、欧米諸国を始め世界的に関心の高いテーマであろうというふうに思います。  今年は日本が初めてG20の議長国を務めるということです。今回のG20ではこの人口減少、それから少子高齢化というものを議題にするというふうに承知をしておりますけれども、どういったメッセージを世界に向けて発信されるのか、その点、総裁に是非伺いたいと思います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、今年は日本がG20の初めての議長国を務めるということで、この高齢化の問題も議題の一つとしてG20としては初めて取り上げているわけであります。そこでは、当然のことながら、マクロ経済や金融セクターへの影響などについて十分議論が行われるというふうに思っております。  もちろん、現在G20各国の人口動態は異なっているわけですけれども、いずれにせよ、いつかの時点で多くの国が高齢化の問題に直面するということであります。もとより、健康に長生きできるようになること自体は大変好ましいというか喜ばしいことでありますけれども、そうした人口動態の変化に対応できるような各種の政策、社会制度を考えていく必要があるというふうに思います。  我が国は、高齢化のフロントランナーというか、主要国の中で一番高齢化が進んでいるわけですけれども、そういった経験を踏まえて、G20の議論をリードして、適切な対外メッセージを発信していきたいと考えております。  御質問いただきました金融セクターへの影響については、一般論として申し上げますと、確かに、人口減少や高齢化によって資金需要が伸び悩み経済成長率が低下することになれば、低金利環境が続くことになりやすいわけでして、このため、金融セクターの収益への影響について注視していく必要があるというふうに思います。  他方、人口動態の変化は、これに適応しようとする企業活動の前向きな変化やイノベーションを促して、それを支える貸出しとかあるいはMアンドAといった新しい金融サービスへのニーズも生み出すという面があります。更に申し上げますと、高齢者の増加ということは、家計の資産運用ニーズの高まりということを通じて、生命保険や年金、あるいは資産運用会社にとってはビジネスチャンスの拡大につながり得るということでありまして、金融セクターへの影響は非常に多面的になると思いますので、G20各国と十分議論して適切なメッセージを世界に発出したいと考えております。

熊野正士公明党

○熊野正士君 ありがとうございます。  ただいま総裁の方からお話ございましたけれども、この構造問題というか人口減少、少子高齢化というテーマは今回のG20で初めて取り上げるというふうなことでございますので、是非とも議長国として日本が大いに議論をリードしていただければなというふうに思います。  この人口減少、少子高齢化という日本が直面する大きな構造問題ですけれども、特に地方においてそれは顕著なわけでございまして、人口減少のペースも地方に行けば行くほど速い、そして高齢化も、高齢化率も高くなっているという状況でございます。  そうすると、地方において、地方の経済あるいは金融機関というものが、人口減少、少子高齢化というこういう問題により厳しい対応を迫られているということだというふうに思いますが、その点に関して、日銀としての地方の金融機関ということに焦点を当ててのこの構造問題ということで見解をお聞かせ願えればと思います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 先ほど御説明いたしましたように、金融機関の収益力低下というのは、低金利環境の長期化に加えて、人口減少に伴う成長期待の低下、あるいは借入需要の趨勢的な低下という構造要因による面が大きいわけですが、それはまさに地方において最も明瞭に表れているわけであります。  そうした下で、大手行は、一方で海外業務を拡大する、あるいは預貸業務以外の様々な金融サービスを総合的に提供する、供給するという形で収益力の低下を相応にカバーしております。一方、御指摘のように、地域に根差した地域金融機関は、どうしても国内預貸業務への依存度が高いということでありますので、人口の減少あるいは企業数の減少が収益に及ぼす影響がより大きくなっているというふうに思います。  そうした下で既に地域金融機関も様々な対応をしておられますけれども、今後とも日本銀行としても地域金融機関の対応については十分注視してまいりたいというふうに考えております。

熊野正士公明党

○熊野正士君 地方創生ということが叫ばれて、五か年計画で、まち・ひと・しごと創生総合戦略というものが実は今年で最終年となるわけです。でも、なかなかやっぱり東京一極集中というものに歯止めが掛からない現状です。  地方の活性化のためには、先ほど総裁も触れていただきましたけれども、何といっても地域の経済活動がしっかり機能していかなければならないというふうに思います。そうした地域経済を支えるためには、やっぱり地方の金融機関が金融仲介機能を果たす、果たしていくということが不可欠と考えます。  そういった意味でいうと、先ほど答弁もありましたけれども、特に地方に光を当てた場合の地方の金融機関の経営課題というものをどのように分析しているかについて御答弁をいただければと思います。

衛藤公洋日本銀行理事

○参考人(衛藤公洋君) 現状におきましては、地域金融機関は積極的な貸出姿勢を続けておりまして、地域経済を下支えしているというふうに私どもは見ております。今後もこういう金融仲介機能を果たしていってもらうためには、やはり将来にわたって十分な収益力、それから経営体力を確保していく必要があるというふうに考えております。  そのためにするべきことということでありますけれども、地域金融機関は、一つは金融サービスの提供力の強化、それからリスクに見合った金利を確保していくこと、それから役務、つまり手数料収益の増加、それから経営効率の抜本的な向上、こういった収益力を上げていくための対策というのが必要になりますし、また、リスクを取っていくということですので、リスク対応力の強化が必要になるということで、これらが経営課題というふうに私どもでは見ております。  また、これらの課題、取組を強力かつ効果的に推進していくために、金融機関間の統合あるいは提携、それから他業態とのアライアンス、こういったことも有力な選択肢になり得るだろうというふうに考えております。

熊野正士公明党

○熊野正士君 今御答弁ございました、課題として二つ挙げられたかなというふうに思いますけれども、一つは、収益力を向上させていこう、そういう取組を強化していこうということだったと思います。もう一つはいわゆるリスクの対応ということだと思いますが、この収益力を向上させていく、それからリスクの対応力を強化していくという課題を踏まえた上で、日銀としてこうした金融機関、特に地方の金融機関に対してどういった取組を今後されていくのかということについてもお尋ねしたいと思います。

衛藤公洋日本銀行理事

○参考人(衛藤公洋君) お答えいたします。  もう地域金融機関の課題は今委員がまとめていただいたとおりでございます。これに対して日本銀行としてどうしていくかということでございますけれども、一つは、私ども、考査、モニタリングということをやっておりまして、地域金融機関の経営の中身を見たり対話をしたりということをやっております。こういう中で、地域金融機関のリスク管理の状況、あるいは先行きの収益力、それから経営体力の見通しの把握ということを行っておりまして、これを踏まえて、どの程度収益強化をしていかなきゃいけないのかと、こういう経営の在り方について対話を深めていくというのが一つのアプローチとしてございます。  また、私どもでは金融機関向けのセミナー、要は情報提供活動というのもやっておりまして、これらを通じて、ガバナンスを良くしていくための方策、あるいは業務改革、デジタル技術をどう使っていくか、こういったことについて取組をセミナーという形で支援していくということもやっております。  このほか、やはり金融システムの取り巻く環境変化ということに対応して、金融制度の整備というのもやはり大事になってくると思います。こういう整備の議論にも日本銀行として貢献をしてまいりたいというふうに考えております。

熊野正士公明党

○熊野正士君 是非ともよろしくお願いしたいと思います。  最後の質問になろうかと思いますけれども、中央銀行デジタル通貨ということについてお尋ねしたいと思います。  デジタル通貨というのには暗号資産というのも含まれるということですけれども、デジタル通貨というのはホットな話題の一つのようでございます。世界でも様々に研究であるとか調査が行われているというふうに承知しておりますけれども、日銀からも各種論文等が公表されておりまして、この中央銀行デジタル通貨ということについて日銀内でも議論されているということだと思いますけれども、この中央銀行デジタル通貨におけるメリットであるとかデメリットということについてちょっと御説明をいただければと思います。

池田唯一日本銀行理事

○参考人(池田唯一君) お答え申し上げます。  御指摘のように、最近、急速に進みます情報技術革新などを背景に、学界や国際的なフォーラムなどにおきまして中央銀行デジタル通貨への関心が高まっているところでございます。  お尋ねの中央銀行デジタル通貨、中央銀行がデジタル通貨を発行することにつきましては、一方で、取引の効率化ですとか信用リスクのない安全な支払手段の提供といったようなメリットがあり得ると考えられます一方で、利用します技術が現時点において十分に成熟したものになっているのかといったようなことに加えまして、預金や貸出しその他の金融サービスにどのような影響があるのかといったようなことを慎重に考慮しなければならないといった課題も少なくないというのが現状であるというふうに認識をしているところでございます。  したがいまして、そうした中で、中央銀行デジタル通貨の発行について具体的に検討している国は現状では一部にとどまっているというふうに承知をしているところでございます。

熊野正士公明党

○熊野正士君 ありがとうございます。それなりのメリットもあるけれども、課題もあるのでということだと思います。  先ほど、一部の国で具体的に中央銀行として発行を考えている国もあるやにちょっと答弁ありましたけれども、日本銀行としてこのデジタル通貨を発行する予定というのはございますでしょうか。これ、最後の質問になります。

池田唯一日本銀行理事

○参考人(池田唯一君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたとおり、中央銀行デジタル通貨に関しましてはなお慎重に検討すべき点も多いと考えておりまして、日本銀行におきましても、他の多くの主要中央銀行と同様、現時点でそうしたデジタル通貨を発行する計画は持っていないところでございます。  一方で、新しい技術が支払決済など新しい金融サービスの効率化や利便性の向上に結び付いていくこと自体は望ましいことであると考えておりまして、日本銀行としては、引き続き、海外におけるデジタル通貨をめぐる検討の状況などを含めまして、そうした動向については注意深く見てまいりたいというふうに考えているところでございます。

熊野正士公明党

○熊野正士君 ありがとうございました。終わります。

藤巻健史日本維新の会・希望の党

○藤巻健史君 日本維新の会・希望の党の藤巻です。両会派を代表して質問させていただきたいと思います。  これ質問通告していないんですけれども、今ちょっと見ていたら、為替が百十円を割って百九円台に突っ込んでいて、それなので株も二百五十円安ぐらいになっている。昨日ニューヨーク・ダウが上がっているにも、上がっているというか、変わらなかったにもかかわらず、これきっと円高のせいだと思いますけれども、日本株が下がっているということで、ちょっとお聞きしたいんです。  これは質問通告はないので回答は結構ですけれども、回答がなくても一応サジェスチョンというか、ということでお聞きしたいんですけれども、これ、もしこのまま中国発の貿易戦争で円高が進んでいった場合、日銀として取る手はあるんでしょうか。答えられなかったら答えられないで結構ですけれども。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) まず第一に、米中の貿易交渉がどのようになるかというのは、まだ今のところ分かりません。中国の代表団がワシントンに行って交渉を続けるということになっておりますので、私どもとしてはそれを注視しているというのがまず第一であります。  次に、為替市場の動向は、当然経済や物価に影響を与えますので、その限りでは注視しているということは事実ですけれども、為替政策自体、つまり為替の安定であるとか為替介入であるとか、これは御承知のように財務省の所管でございますので、私どもとしてその為替の安定に向けて何か行うといったものではないというふうに思っております。

藤巻健史日本維新の会・希望の党

○藤巻健史君 今円高が急速に進んでしまうと、私思うに、今、日銀は手がないと思うんですね。だとするならば、唯一考えられる政策というのは、やっぱり米ドル債、アメリカ国債の購入しかないのかなと思うんですけどね。異次元量的緩和は、当然これ継続できます。要するに、別に日本国債を買わなければ異次元緩和できないわけじゃなくて、買うものは何でもいいわけですから、米国債を買ってお金を供給できる。そして、ドル円が進みます、あっ、ドル高が。円高が防止できます。かつ、FRBも今バランスシートの縮小に極めて苦慮しているわけですから、FRBから直接買ってあげればアメリカは反対しようがないんですね。だから、唯一の策は米国債の購入かなと私は思っています。これ以上、今日は質問通告ないので、これは今後で結構でございますので、一応コメントでございます。  次、お聞きしたいんですが、暗号資産についてお聞きします。  二〇一三年に、当時のバーナンキFRB議長は、米上院国土安全保障・政府問題委員会に宛てた書簡の中で、仮想通貨が一九九〇年から注目を浴びてきた点に言及し、効率性や安全性などが求められるとはいえ、ビットコイン・アンド・アザー・バーチャル・カレンシーズ・メイ・ホールド・ロングターム・プロミスという表現で、長期的な価値があることを認めていらっしゃいます。  これに関し、二〇一三年十一月十九日の日経新聞ですけれども、基軸通貨であるドルを発行するFRBにとってもビットコインは無視できない存在になりつつあると書いてあるわけですね。  要するに、ビットコインなり暗号資産が浸透すると、確かにドルは基軸通貨としての位置をちょっと侵害されるというところもあるので問題なのかなという点もあるんですけれども、それでもFRB議長は暗号資産についての意義を認めていらっしゃったと思うんですが、黒田日銀総裁はどういうふうに今お考えか、お聞きしたいと思います。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) この暗号資産というものは法定通貨ではありませんし、その値動きが極めて激しいということもあって支払決済には余り使われておりませんで、ほとんど投機の対象となっております。このため、中央銀行間の国際的な議論でも、通貨という呼び方は避けて暗号資産というふうに呼ばれることが多くなっております。  日本銀行は、暗号資産について、これが支払決済への人々の信認を損なうおそれがないかといった中央銀行としての観点から、引き続きその動向を注意して見ていきたいというふうに考えております。

藤巻健史日本維新の会・希望の党

○藤巻健史君 今お聞きしていると極めて後ろ向きな態度にお聞きしたんですけれども、でも、例えば日本国内での取引であればそれは円でもいいかと思うんですけれども、普通の通貨で、法定通貨でいいと思うんですけれども、外国貿易をする場合には、今世界では、銀行勘定、銀行での勘定を持っていない、十七億人いるわけですよ。彼らは、法定通貨ではだから世界の貿易の中に入れっこないわけですね。だって、銀行口座を持っていなかったら決済できませんからね。  その点は、暗号資産というのは、その十七億人を世界経済の中に取り込むという意味では極めて重要なツールだと思うし、そうすれば世界経済も物すごく広がっていくというふうに思うんですが、それでも通貨として余り認めないというふうにおっしゃるんでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたのは日本銀行としての考え方ですけれども、BISの会議その他で、ほとんどの先進国の中央銀行は全く同じ考えであります。

藤巻健史日本維新の会・希望の党

○藤巻健史君 法定通貨対暗号資産との戦いというのは確かにあるとは思います。  これちょっと次回に、これ以降たくさん今日は聞きたいことがあるので回しますけれども、先ほど熊野議員の方から日銀デジタルという話が出てきたわけですよね。  日銀デジタル、当然のことながら私も大賛成で、五千円札とか一万円札をなくすべきだと思っているんですね。その原因は、先ほどデメリット、メリットなんか質問がありましたけど、私は物すごいメリットがあると思っているんです、日銀デジタルは。  それはなぜかというと、今やっている異次元の量的緩和というのは私は最初から間違いだと言っているわけです。要するに、日銀の金融政策というのは伝統的金融政策に固着するべきだと。要するに、景気が悪かったら金利を下げる、景気が良かったら金利を上げるという伝統的金融政策に固着するべきであって、今みたいに異次元の量的緩和は私は最初から間違いだと思っています。  当時私は、今の日銀のマイナス金利政策じゃなくて藤巻流マイナス金利をずっと言っていたんですけれども、これは藤巻は頭がおかしくなったと言われていました、確かに。それは確かに、預金金利にも、それから貸出金利もマイナスにしちまえという説だったので、常識からは離れていたんですよね。  でも、だから、そういう意味ではかなり頭がおかしくなったと言われたんですが、唯一まともな反論が日銀の内部から来たんですよ。それは何かというと、マイナス金利にすると、たんす預金が増えてしまう、これが最大のネックであるという反論を、ああ、これは私、非常にロジカルな反論だと思ったんです。  だとするならば、たんす預金なくしちまえばいいじゃないかと。たんす預金をなくせれば、マイナス金利簡単にできますから、それこそ伝統的金融政策に戻れて、日銀というのは、今の政府の紙幣印刷所からきちんとした中央銀行としての役割を戻せるわけですよ。そういう意味では、日銀デジタルというのは極めて重要かなと私は思っています。  でも、今日、これもちょっと質問通告しているわけじゃないんで、次回以降にこれ議論させていただきたいと思います。  次の質問に、質問通告をした質問に入りますけれども、MMTについて。  これ、先ほどもう既にいろいろ話が出てきて、回答も聞きました、MMTについての回答を聞いた、どう思っていらっしゃるかということを聞いたんですけれども、先ほど総裁がおっしゃったように、MMTというのは、自国通貨建てで借金をしている限り、インフレが加速しなければいつでも借金を大きくしても大丈夫だという理論だったというふうに、総裁おっしゃったとおり、私もそう思います。  なぜ自国通貨なら大丈夫なのか、彼らが言っていることですけどね、他国通貨で発行したらどうして駄目なのか教えていただきたいんですが。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) それは非常に単純な話だと思います。先進国は余りしておりませんけど、途上国は外貨建ての国債、外貨建ての社債、外貨建ての銀行の借入れ等がありますので、それの返済のためには、経常収支黒字でお金が入ってくる、あるいは資本がたくさん流入してくる、あるいは外貨準備が十分あるということがないと、まさにアジア通貨危機であれメキシコ通貨危機であれ、様々な金融危機、通貨危機というのは外貨建ての債権の返済が滞ってなっているということでありますので、そういう意味では外貨建ての国債と自国通貨建ての国債とは性質が異なっているということは事実だと思います。

藤巻健史日本維新の会・希望の党

○藤巻健史君 そうですよね。日本が例えば百億ドルの国債を発行したとすると、一ドル百円のときは一兆円が調達できるわけですけど、満期が来て百億ドル返そうと思った、そのときに一ドル三百円だったら三兆円が必要ということで、資金繰り破綻しちゃう可能性がある、だから他国通貨建てでは財政危機のリスクがある。しかし、自国建て通貨を発行している限り、中央銀行は紙幣を刷れますから、だから破綻しないというのがMMTだと私は思うわけですね。要するに、紙幣をどんどん発行するためには中央銀行は何か資産を買わなくちゃいけないんで、そのときに発行された国債を買ってお金をばらまいていくということだと思うんです。私も、それは、だからそういう意味で言うと、自国通貨建てで発行していれば財政は破綻しないです。当たり前の話です。  しかし、日銀が刷りまくるということによってハイパーインフレが起こっちゃう、こういうリスクがある、これがMMTに対する一番の批判だと思いますし、これ、大門さんが後で、資料配っていらっしゃいましたけど、これ一ページしか付いていませんけれども、MMTについてはもうこれ三ページぐらい、たしかこの四月十七日の資料はたくさん出ていて、この大門さんの配られた資料ではクルーグマンとかパウエルとかシラーだけですけれども、これ、あとサマーズとかイエレンとか、もうそうそうたるメンバーが何十人と反対意見言っていますよね。基本的にはやっぱりMMTをやるとハイパーインフレになってしまうという批判だったと思うんですけど。  そういうことで、私もMMTというのは大反対であるんですが、じゃ、このアメリカの重鎮たちが大反対している、こんなことをやっていたらハイパーインフレになっちゃうよということを日本は異次元緩和でやっているんじゃないですか。まさにケルトン教授は日本は実験中であるとおっしゃっているんですから、MMTを実行しているのは日本であり、そしてアメリカの重鎮はみんな危ないぞというふうに言っているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) この点については全くそうでないというふうに考えております。  まず第一に、MMTの議論で言われているのは、言わば財政赤字とか債務残高を全然考慮しないで、言わば大量にというか無制限に国債発行して減税や公共事業に充てる、その国債を中央銀行に全部引き受けさせてやっていくという議論でして、そうなったら当然ハイパーインフレーションのおそれがあるということで、到底米国の学界でも受け入れていないわけであります。  私どもが現在やっていることは、財政当局は財政政策として機動的な財政運営をしつつ、中長期的な財政の持続性を確保するための財政再建の努力というものを引き続きやっておられて、それが十分な成果を上げることを期待しているわけですし、私ども自体は、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために大胆な金融緩和をしているわけですけれども、国債もあくまでも市場における、市場で流通している債券の一番大きな債券であり、重要な債券である国債を自主的に市場から購入しているということで、MMTの考えているようなことをやっているということは全くありません。

藤巻健史日本維新の会・希望の党

○藤巻健史君 全く分からなかったんですけどね。私は、全く同じことを日本が、MMT理論を全く実行しているというふうに取れるんですが。  今黒田総裁がおっしゃっていた、財政事情を考慮せずに国債を大量に発行した日本は世界最悪の赤字国ですよ、対GDPで二三六%の赤字発行しているんですから。もう一番最悪の状況なのに赤字国債を発行し、それを実質日本銀行が引き受けているのに、まさにMMTを実践しているというふうにしか思えません。  それで、ついでにそれに関連してですけれども、そうやって紙幣を刷るために日本銀行は大量に日本株を買い、そして大量に日本国債を買い、それから、程度はまだ大したことはないという、大したものですけれども、九百億円、年間九百億円でJ―REITを買っている。  日本株ですね、この前の日経新聞によりますと、四月十七日の日経新聞ですね、日銀は二〇二〇年末にも日本最大の株主になると推計し、機関投資家、外国人が主導して発展してきた日本の資本市場は、中央銀行が主導するこれまでにない段階に入ると書いてあるわけですよ。要するに、中央銀行で、世界の中央銀行で株を買っている中央銀行って、金融政策でですよ、ありますか。私の理解ではないんですよ。その唯一の中央銀行が日銀で、それが日本株の最大の株主になってしまう。  ましてや、国債はもっとひどいですよね。保有高、ストック面でいうともう四〇%を、発行高の四〇%を超す保有主である。そして、フローで見たって、平成二十九年だと、たしか百四十一兆円国債発行されておるうち九十一兆円だったかな、九十兆円ぐらいを買っているわけですよ。七割から八割の国債を買っているわけです、フローで見るとね。これこそ、昔のソ連である計画経済そのものじゃないんですか。市場を、市場原理の働かない政府とか日銀とか機関が圧巻する、ばっこするのを私は計画経済だというんです、と思うんですけれども、ここまで日本のせっかく資本主義の根幹である市場を壊して、そして計画経済まで持っていって、これ問題ないと思っていらっしゃるんでしょうかね。  基本的には、ソ連もそうですけれども、計画経済というのは、一生懸命これ何とか何とかやっていって、最後にうみがぼおんと出るわけですよ。私はそれがハイパーインフレだと思っていますけれども。同じように、財政危機があった、財政破綻、資金繰り倒産するのは嫌だったから日銀が引受けをして、紙幣を刷って何とか日本の財政破綻を防いでいた。それをどんどんどんどん、その結果、株式市場と債券市場と、そして不動産でもちょっとですけれども、まさに市場原理の働かない日銀なんというものがばっこしちゃったと。これは、私は非常にゆゆしき問題だと思うんですよね。  私が少なくても金融マンだったときは、日銀は株も買っていなかった、国債市場においてもほとんど存在感がなかった。非常に、まさに市場経済でしたよ。それが何でこんな計画経済を許すのか、消費者物価指数二%を達成するためにそんなに大きいコストを払っていいのかと。どうなんでしょうね。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 私は、日本経済が計画経済になっているというふうに全く考えておりません。日本銀行による国債あるいはETFの買入れが市場原理を失わせたといった指摘も当たらないというふうに思います。  例えば、ETFにつきましても、先ほども申し上げたように、日本銀行のETFを通じた株式の保有割合は市場全体の四%程度にとどまっておりまして、市場の機能度に大きな影響を与えていることはないというふうに考えております。  なお、国債については、確かに残高の四割程度を今保有していることは事実ですが、これはあくまでも長短金利操作付き量的・質的金融緩和ということで大幅な強力な金融緩和をするということの効果であります。  金融政策は、伝統的な金融政策でも公定歩合その他短期の金利はコントロールしていたわけですね。現在、短期金利はゼロ以下になっていますので、これ以上のマイナス金利というのはどこの国でもやっていませんので、それは実際上機能しないということで、十年国債の金利をゼロ%程度にするということで国債の買入れを行っているということでありまして、あくまでもそういったことを通じて市場金利を適切な水準に引き下げるということでありまして、国家が経済活動を統制するといった意味での計画経済になっているとは全く考えておりませんし、そういうふうに言う内外の学者の人も一人もいないと思います。

藤巻健史日本維新の会・希望の党

○藤巻健史君 学者は言わなくても私は言っていますけどね。  確かに、短期市場は日銀がコントロールする、これは昔からそうですよ。それをもって計画経済と言う人はいないと思いますけれども、少なくとも私が金融マンのときは、短期市場は日銀がコントロールしますけれども、長期金利はマーケットが決めると、これは金融界の常識だったわけですよ。それを日銀がこれだけコントロールしているというのは、まさに私は計画経済だと思うわけですよ。もし日銀が国債市場から撤退したと考えたときに、金利どのくらい跳ね上がると思います。もう私はめちゃくちゃ跳ね上がって、予算なんか組めないと思いますけどね。  それと関連して申し上げますと、よく財政規律が崩壊したと言います。例えば、イタリアなんかは財政がおかしくなると途端に長期金利が上昇して、国民が財政赤字がたまったりすると大変だと気が付くわけですよ。ところが、日本においては、日銀がこんなに圧倒的にゼロ金利で腕力で金利を抑えていますから、これは財政危機が、幾ら財政、借金がたまっても誰も警戒しないわけですよ。  そうやってまさに異次元の量的緩和で財政規律をなくしている。要するに、異次元の量的緩和をやることによって、まず計画経済になった、財政規律を崩壊させた、そして地銀が、これは今日は質問しませんけれども、地銀経営が苦しくなっている。そろそろ限界じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうかね。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 財政運営につきましては、政府、国会の責任において行われるものであるというふうに認識しておりまして、具体的にコメントするのは差し控えたいというふうに思います。  その上で、一般論として、従来から申し上げているように、我が国の政府債務残高が極めて高い水準にある中で、政府が中長期的な財政再建、財政健全化について市場の信認をしっかりと確保することは重要でありますし、二〇一三年の政府、日本銀行の公表しました共同声明におきましても、政府は持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進するということになっております。  日本銀行としては、物価の安定という自らの使命を果たすため、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの下で強力な金融緩和を粘り強く続けていくことが必要であるというふうに考えております。

藤巻健史日本維新の会・希望の党

○藤巻健史君 財政再建をしなくちゃいけないのに、日銀が異次元の量的緩和をやって長期国債の爆買いをしているから長期金利が全く上がらず、まさに財政規律を壊している、まさに日銀が財政再建の妨害していると、私にはこう思えてしようがないんですけどね。  それはともかく、ちょっと時間がないので、幾つか問題を質問して。  今ステルステーパリングをやっているというふうに聞いていますけれども、どこまで購入量、購入量じゃなくて購入量増ですよね、増やす方ですから、よくみんな間違えていると思いますけど、購入量じゃなくて購入増を減らすつもりなんでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げておりますとおり、物価の安定に向けたモメンタムを維持するために最も適切と考えられるイールドカーブを形成するということで長短金利操作を行っておりますので、具体的な国債買入れ額は金融市場の状況に応じて変動するということでありまして、最近の国債買入れのペースはひところよりも減少しております。これも、ゼロ%程度という長期金利の操作目標を実現するために必要な買入れを実施した結果であります。  テーパリングというのは、たしか米国のFRBが金融政策の正常化に向けた出口政策の一環として国債買入れ額を意図的、段階的に減額したものでありまして、日本銀行の国債買入れ額の変動はこういったテーパリングとは全く性格を異にするものであるというふうに考えております。  したがいまして、その購入額というのは変動するわけでして、どこまで減らすとかそれ以上減らさないとか、何かそういう目標があるわけではなくて、あくまでも長期金利の操作目標を実現するために必要な買入れを行っていくということでございます。

藤巻健史日本維新の会・希望の党

○藤巻健史君 私の質問は、もうちょっと言っちゃうと、購入量をこれ以上減らせるかという質問になるんですけどね。購入量じゃなくて購入増ですよね。いつもマーケットの人たちも、みんな間違えている人多いんですけど、あれ購入増。目標であるのは八十兆円増やすということですから、毎年ね。今ペースが落ちているといっても、それを増やす、どのくらい増やすかという問題があるということを注目してお話聞きたいんですけれども。  参議院の調査会で、ある大学の教授の方が、国債市場は崩れるわけはないと、なぜならば誰か売ると国債市場が崩れちゃうから、自分で自分の首を絞めたい人なんかいないから売る人はいない、だから国債市場は崩れないとおっしゃった。全くマーケットを知らない人だなと私は思って質問していたら答えられなかったんですけど、向こうは答えられなかったんですけど。  今、今年度予算でいうと三十二兆円の赤字があるわけですよ。満期が来ても、当然のことながら国は返すお金がないから、新発国債三十二兆円と借換え国債をもう一回発行して、だから百四十兆ぐらい発行しているわけですね。だから、百十兆円ぐらいの満期が来た国債を全員がまず借り換えてもらわなくちゃいけない。それプラス三十二兆円というのが毎年新しく、三十兆円かは知りませんけど、三十数兆円が毎年出てくるわけですよ。誰かが買い増さなくちゃいけないわけですよね。買い増さなかったら需給は崩れるんですから。それを誰が今買い増すかというと、今、日本で国債を買い増しているのは日銀と外国人しかいないですよ。外国人が買っている理由って、これ、私に言わせると裁定取引なんですけど。  もし日銀が、今年度でいうと三十二兆円以下になったらば、その買い増さなくちゃいけない国債というのは誰が買うのか。要するに、売れないだけじゃないですよ。今現状としては、日本の国債参加者、どんどん国債保有額減らしていますよね。ゆうちょだって八〇%以上持っていたものが三〇%ぐらいになっちゃってきているわけで、これ幸いとばかりにリスクは全部日銀に押し付けようということで、どんどん減らしているわけですよ。都銀もそう、地銀もそう。増やしているのは日銀と外国人。それで、三十二兆円、今年度でいえば三十二兆円分だけは誰かが買い増してくれなかったら、国は資金繰り倒産なわけです。日銀が最低限三十二兆円買わないと、若しくはそれ以上にどんどん外国人が買い増してくれるんだったらともかくとして、そういう裁定取引でやっている外国人にそんなことは期待できないわけですね。今年よくたって、来年は駄目かもしれない。  誰が日銀の代わりに、買い増してくれる人がいるのか。私は、少なくともこんなレベルで買い増してくれる人は誰もいないと思うんですよ。かなりむちゃくちゃに金利が上がれば別ですよ。そうしたら、政府、予算組めなくなりますからね。だから、そういう意味でいうと、日銀は未来永劫に国債を買い続けていかないと、資金繰り倒産なのか、国がというような状況になってしまうと思うんですが、どうなんでしょうか、大丈夫なんでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 国債も、金利、価格と量と、需要曲線があるわけでして、何か絶対量でこうなると誰かが絶対的にその分をどんな金利であれ買ってくれないと大変なことになるということではないので、現に、現時点では日本銀行が市場から大量に国債を買っていますので、その結果銀行で担保繰りが苦しくなってきているということで、むしろ、その担保繰りを容易にするような措置を、日本銀行で受け入れる担保の範囲を広げたぐらいでありまして、全ては量と金利というのは相関しているわけですので、何か一定の量があると絶対に購入されないということはないわけでして、量と金利、それから先ほど言ったいろいろな担保繰りの話とかその他も含めて、一定の均衡値が成り立つと。  そういう上で、日本銀行としては、あくまでも現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和という中で適切なイールドカーブ、具体的には十年物国債の操作目標としてはゼロ%程度というのを維持する、確保するために必要な買入れを行っているわけですけれども、御指摘のように買入れ量はどんどん減って、今三十兆円ぐらいになっていると思いますけれども、別にこれが更に減ったからといって、御指摘のような何か大変なことが起こるとか、そういうふうには考えておりません。あくまでも我々は長期国債の操作目標がゼロ%程度になるように必要な買入れを行う、それはあくまでも二%の物価安定の目標を達成するために行っているということでございます。

藤巻健史日本維新の会・希望の党

○藤巻健史君 私は三十年来マーケットにどっぷりつかってきた人間で、黒田総裁もマーケットに多少なりとも関わりがあった人間だと思うんですけれども、その事態のときにそんな程度の認識でいいのかなと私はつくづく思いますけれどもね。  それはもうあれなので、ちょっと最後になります。時間がないので一言で結構ですけれども、日本銀行、このまま行って、利上げのときに債務超過になる可能性があるかどうか教えてください。

中西健治自由民主党・国民の声

○委員長(中西健治君) 時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 御案内のとおり、仮に二%の物価安定の目標が達成できるという状況になって金利を引き上げていくということになりますと、付利金利を引き上げるということが一つの方策になると思います、米国等の例を見てもそうですけれども。  そうなりますと金利の支払が増えますけれども、他方で、そういうときには当然長期金利も上がっていっているということですので、保有している長期国債も金利の高いものに買い換えていくということになると思いますので、現在の大幅な金融緩和、強力な金融緩和を出口に向かっていく、あるいは、それが出口のプロセスの中で日銀の収益にどういう影響が出るかというのは、今申し上げたようなどういったペースで短期金利を上げていくかとか、どういったペースで長期金利が上昇していくか等によりますので、収益状況自体も一概には言えないわけであります。  したがいまして、債務超過になるとかならないとかいうことについて何か断定的なことを申し上げるのは差し控えたいと思います。

藤巻健史日本維新の会・希望の党

○藤巻健史君 突っ込みどころ満載の御答弁でしたけれども、時間が来ましたので次回に回したいと思います。  ありがとうございました。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 大門です。  既に今日も議論ございましたけれど、今話題のMMT、現代貨幣理論について、日銀の政策にも関係いたしますので質問したいというふうに思います。  今資料を配っていただいておりますが、既にいろんな方に使ってもらっていますけど、一枚目が朝日新聞の資料でございまして、MMTとは何かということが左上に書いてございますが、朝日は金融理論になっていますが、貨幣理論の方が的確ではないかなとちょっと若干思いますけれども、要するにどういう主張かと申し上げますと、政府は通貨発行権を持っているから通貨を限度なく発行できる、自国の通貨建ての国債が返済不能になることはない、したがって財政赤字が大きくなっても問題はないというんですね。で、インフレは起こらないとはおっしゃっていませんで、インフレが起こるだろうけれども、ある水準に達するまではさっき言った財政支出は幾らやっても構わないというんですね。仮に、ハイパーとは言いませんが、高インフレになっても簡単に抑えることができると、国債を売る売りオペとか増税すればいいというようなこと、もう一つは中央銀行による国債の直接引受け、財政ファイナンスもやっていいんだと。  これは、ニューヨーク州立大、ケルトン先生の記事でございます。この中にもありますけれども、過去の世界の歴史で起きたハイパーインフレ、日本の、先ほどありましたが、戦後直後のハイパーインフレも含めて、ハイパーインフレが起きたのは中央銀行による財政ファイナンスのせいではないんだと、戦争とかいろんな特別な危機の下で、つまり供給が需要に追い付かない、いろんな生産設備が破壊されますので、そういう物の供給不足からインフレになったので、中央銀行の債務や信用拡張とは関係ないということですね。ですから、財政ファイナンスをやっていいと、ハイパーや悪性インフレ、高インフレは起こらないと、起きても制御できるというふうな、そういう理論でございます。  MMTそのものはそもそも、ちょっと調べてみましたら、私も専門ではありませんけれど、通貨とは何かという純粋な貨幣学説であって、特に何か急に出てきた話ではないということで、ただ、今まで余り注目されてこなかったのが、今、日本とアメリカで大変話題になっていると。  そのきっかけは、昨年のアメリカの中間選挙で史上最年少の女性下院議員に当選したオカシオコルテスさん、民主党のサンダース派の、民主的社会主義者とおっしゃっているグループの方ですね、このオカシオコルテスさんが、女性議員ですけど、MMTを支持するということで一気に注目をされてきたということでございまして、これは今のところ、出どころからいえば左派の理論なんですね。日本では右派が注目しておりますけれども。  資料の二枚目に、先ほどございましたけれど、このMMTについて、アメリカのFRBの議長さん含めてそうそうたる、本当にそうなんです、これ何枚も続くんです、著名な学者がみんなMMTを批判をしております。これ財務省の資料で、後でこの問題点も言いますけれど、非常に過剰反応じゃないかと思うくらい、もうことごとくこれは駄目だというふうに批判しているわけですね。  余りに批判されますので、このケルトン教授というのは、今言いましたMMTの急先鋒の学者さんであって、先ほどのコルテスさんですね、サンダースさんのときもそうですが、コルテスさんのとき、民主党の左派のブレーンみたいな方ですけど、そういう批判が猛烈にされましたので、このケルトン教授は、資料一に戻りますけれども、そのいろんな批判された反論として、日本でやっているんだと、日本で成功しているんだと、実例があるじゃないかということでいろいろおっしゃっているわけですね。だから、もう理論的にも実証されているんだということで、そういう議論があったので、この議論がアメリカから日本に飛び火をして、日本の日銀も含めて今いろんなことになっていると。  それで、財務省が、要するにどんどん借金しても大丈夫だよというような理論なので、慌てて火消しに躍起になって、財政審で、この三枚目から六枚目の資料ですね、こうびっしり出して、これも過剰反応ではないかなと私思いますけれど、出してきているということですね。  資料の三枚目に西田さんの有名な決算委員会での質問の答弁が載っているわけですが、これ私、西田さんに大変失礼だと思うんですよね。西田さんの質問を載っけないで答弁だけ載っけているんですよね。面白い、何ですか、天地創造ですか、あっ、天動説か、地動説ね。ああいうのを載っけないで、この答弁だけ載っけて反論だけに使っているというのは、大変議員の質問に対して失礼じゃないかと思いますけれど、非常に過剰反応ですよね、過剰なんですね。  このMMTの理論の中身は後で触れたいんですけれど、まず、なぜこういう主張が欧米で力を増してきたのかということをやっぱり私たちは考えるべきじゃないのかなと思うんですよね。一言で言いますと、緊縮財政、緊縮政策に対する反発、もうたまりにたまった不満が爆発してきたのではないかと。これは日本でも言えると思います。  要するに、この二、三十年、日本では二十年ぐらいですかね、新自由主義的なグローバリゼーション、規制緩和、小さな政府、緊縮、財政規律、社会保障を抑制して、増税して、我慢しろ我慢しろと。こういうふうないわゆる緊縮政策に対して、もういいかげんにしろと、政府は国民のためにお金使えと、場合によっちゃ借金してでも国民の暮らしを守れということなんですね。今まで政府が言ってきたような、日本の政府もそうなんですけど、財政規律とか緊縮というのが一体誰のための緊縮だったのかと。  要するに、小さな政府論があって、富裕層とか大手資本が海外に逃げないとかいろんな、そのために緊縮財政を押し付けてきたんじゃないかというようなことがだんだん分かってきて、そういうことも含めてこういう反発が起きて、ですから、私はこれ、不満の歴史的な爆発というふうに捉えるべきではないかと思うんです、政治的に言えば、歴史的に言えばですね。  ですから、欧州の左派、イギリスの労働党のコービンさんとか、スペインのポデモスですか、新興左派ですね、で、アメリカのさっき言ったサンダース、オカシオコルテスさんというような人たちが一様にこの緊縮に対する反発、反緊縮という言い方されておりますけど、そういうものとして、対抗軸として出てきたのではないかと思うわけであります。  実際にこのMMTの理論をどういうふうに政策として採用するのかは、今言ったいろんな国のいろんなやり方がありますけれど、大きなバックボーンとしてこのMMTがあるということではないかと思います。  ただ、正確に言いますと、コービンさんなんかの政策を見ると、社会政策の方は税制改革でと。つまり、富裕層に増税を求めてとか、歳出の中でやるものは増税、税制改革。で、緩和マネーでやるのは公共インフラ、公共住宅の建設。そこで雇用を生めと、雇用も生めという意味ですけどね。そういうふうにありますけど、いずれにせよ、緊縮財政への反発が歴史的な背景にあるといいますか、あると。  そこで、日本について考えますと、この財務省の過剰反応も含めて思うんですけれども、日本の緊縮財政の本丸が財務省だというふうに思われているから、西田さんも財務省を主要の敵の本を書かれるわけですよね。そういうことが広がっているわけ、いろんな方からね。  そういうふうに考えますと、財務省はこれ、ただ過剰反応するんじゃなくて、自分たちがやってきたこと、やろうとしていることをもうちょっと謙虚に反省すべきじゃないかと、まず。このMMTは日本にずっと波及しますよ、財務省が今の姿勢のままですと。  要するに、財務省は一貫して財政再建至上主義、借金が大変だ大変だと危機感あおって、プロパガンダやって、もう社会保障は削るしかないと、増税しかないんだというようなことをずっとやってきたわけですね。四月の財政審なんかも、あれもう夢も希望もない、国民にとっては。もう気持ちが暗くなるだけの、そんなものばっかり出してきているから景気も悪くなって、マインドも冷え込んで良くならないということになっていると思うんですよね。  ですから、財務省に聞きたいのは、緊縮財政にこんな過剰反応するんじゃなくて、今の財務省の緊縮政策そのものがもう歴史的に日本では問われていると、そういう認識をまず持つべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

鈴木馨祐自由民主党財務副大臣

○副大臣(鈴木馨祐君) 今いろいろと御指摘をいただいたところでありますけれども、例えば、今、高齢化がこれから進んでいくような状況を考えれば、やはり医療の高度化も伴って社会保障全体の費用というのはこれからどうしても増えていく傾向があると、そういった状況があります。さらに、やはり今の景況感、景気の状況を考えたときに、どこまで公需でしっかりと支えていかなくてはいけない状況なのか、これは当然、その時々の景気状況によって我々の打つべき政策変わってくると思います。  そうした中で、どこに最適解があるのかということを考えて、今しっかりとそうした財政の必要なところ、必要なところをしっかりと対応していくということで今政策を進めているところであります。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 そんなことばっかり言っているから、財務省がもう主要な敵になっちゃうんですよね。副大臣、財務省出身だから仕方がないのかも分かりませんけれども。  私は、このMMTの理論の中身というよりも、欧米の場合は左派が多いわけですけれども、こういう政治家の方々の心情というのは、国民の気持ちを代弁していて大変理解できるところはあるわけでございますし、大変共感するところはもちろんあるわけです。当たり前ですよね、目の前で困っている人がいたら借金してでも助けろと、それは政治の役割ですよね。これは当たり前のことでありましてですね。  あと、財務省にちょっと一言言っておきますと、何でこんな過剰反応するのかなと。私、このMMTの理論は、一つの知的なシミュレーションとしてちゃんと参考にすべきところは参考にして、何も全面否定、こんな全面否定する必要ないんじゃないかと思うんですよね。西田さんが言われた信用創造の話も、先ほどもありましたけれども、当たり前の話をされているわけで、銀行が万年筆マネーで数字書けばそれでお金が生まれるわけですから、それは一つの当たり前の、実務的には当たり前の話をされているわけですね。それを延長するとちょっといろいろ言いたくなるというのは分かりますけれども。  ただ、いずれにせよ、物事というのはそういう面もあれば違う面も見ると、からも見るということであって、これは一つのシミュレーションとして、この信用創造論、別に新しい話と私思わないんですけれども、天動説、地動説ほどの話だとは思わないけれども、これは一つの考え方とこのMMTの人たちも言っているわけですね。そういうふうに捉えればいい話で、何もむきになって否定する必要ないと思うんですよね。  統合政府まで、これ、わざわざよくこんなもの資料作ったなと思いますけれども。これ何枚目ですかね、統合政府は資料五枚目ですかね。何でここまで一々やる必要があるのかなと思うんですけれども。要するに、政府と日銀が一体だと考えるとどうなるかということを一つのシミュレーションとしてMMTの人はかたがた言っているわけでありまして、これは要するに、財務省が借金大変だ大変だと言うから、違う考え方もありますよと、こうやって見ればちょっと違う絵柄が見えるでしょうということのシミュレーションであって、何も本当に統合しているわけでもありませんし、当座預金は負債で残りますからね。それをこんな、何か非常に過剰反応する必要は何もないんじゃないかと。財務省の脅しに乗るよりはよっぽど、この統合政府論をいつも描いておいた方がよっぽどいいなと私は思うんでありまして、何もこれもそんな否定するような話じゃないと。財務省が余りにも今まであおり過ぎるからこういう考え方が出てくるんではないかと思いますし。  先ほどもちょっとありましたけれども、六枚目のシムズ理論、FTPLですね、これも何で一々こんなこと書くのかなと思いますけれども。これも一つの知的シミュレーションで見ればいいんじゃないかと思うんですよね。要するに、これ言っていることは、政府が財政支出を行う、借金して行う、だけど将来増税しませんよ、歳出のカットもしませんよということをコミットしたら人々はお金を使うだろう、景気は良くなるだろう、物価は上がるだろうと。これ一つのシミュレーションで、私は本当にこのとおりいくと思いませんよ、人々の気持ちというのはいろいろありますからね。このとおり動くとは思いませんが、一つの学者さんの意見として、理論として参考にすればいいだけで、シミュレーションとしてですね、こんな一々反応する必要はないんじゃないかというふうに思います。  ですから、ちょっと過剰反応し過ぎじゃないかなと思うわけですけれども、一つだけ私が思うのは、なかなかMMTの主張に同意できないといいますか、思うのは、やはり中央銀行が財政ファイナンスをしても大丈夫、高インフレは起こらない、日銀はもう既に財政ファイナンスやっているからインフレにもならない、金利も低いんだと。やっているけれどもインフレにならない、金利も低いんだ、だからこれからも大丈夫と。これだけはちょっと違うのかなというふうに大変思っているところでありまして、ここからは西田さんと意見が分かれてくるわけでございます。  これはもう長いこと、私もう二十年近くそういう議論しているんですけれども、先ほども黒田総裁にMMTどう見るかという質問ございまして、要するに、ちょっと一般的な今までの答弁と同じで、みんなが批判しているし、少数の主張だし、オーソライズされていないということだけでしたけれども、このケルトン先生がおっしゃっているのはそういうことではなくて、実態として。目的じゃないんですね。日銀はそういう目的でやっていません、財政ファイナンスなんか考えておりませんと。それはそういう目的じゃなくて、事実この六年やってきたことは間接的なファイナンスで、しかも巨額の国債保有をしている、しかしインフレ起きていないじゃないか、金利もゼロに張り付いているじゃないかと、この部分がケルトンさんはMMTと、今までのところですよ、少なくとも、同じではないかということをおっしゃっているわけですね。それはもう藤巻さんと私は同じで、同じじゃないかと思うんです、そこはと思うんですね。  あえて違うと日銀がおっしゃるとしたら、日銀は、この先も絶対高インフレは起こらないとか、財政ファイナンスに発展しても大丈夫だとは思っていないということならば違いますよということになると思うんですけれど、その点はいかがですか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、MMTの理論自体が必ずしも体系化されておりませんので、なかなかこの評価が難しいということは申し上げたいと思いますが、その上で、この基本的な考え方の、自国通貨建て政府債務はデフォルトしない、したがって財政政策は財政赤字や債務残高なんか考慮しないで景気安定化に専念する、しかも、その際、国債の中央銀行引受けで幾らでもやってもハイパーインフレにならないということも言っている人がいるわけですけれども、御承知のように、戦後のインフレの多くが、確かに生産設備が破壊されて供給力が落ちたところに、戦後に、戦争中に抑制あるいは抑圧されていた消費需要がばっと出てきてインフレになったという面があることは事実なんですけど、他方で、やはりその際に巨額の国債をため、それをファイナンスしてきたと。  御承知のように、アメリカ自体もそういう下で中央銀行が長期国債の金利を上げないようにずっとしていたわけですけど、景気がもう良くなっているのにやったということが失敗だったというので、それは五〇年代にやめているわけですけれども。  いずれにせよ、ハイパーインフレは戦後のそういう時期だけでなくて、途上国ではそこらじゅうでハイパーインフレは起こっています。これは別に戦争があった結果ではなくて、ラテンアメリカとかアフリカとかでいっぱい起こっていますし、アジアでも起こっています。  ですから、MMTの理論が、財政政策はもう幾らやっても大丈夫で、しかもそれを中央銀行がファイナンスしたら大丈夫、ハイパーインフレなんてほとんどならないというのは実際間違っているわけでして、そこは学者の人がみんな批判する一番大きな理由だと思います。  それから二番目に、ケルトン教授ほかの人が、日本はMMT理論を実行しているじゃないかということを言われるんですが、私はそういうふうに思っておりません。  ケルトン教授の理論というのは、要するに、財政はもうどんどんむちゃくちゃ拡張して、それを全部中央銀行引受けで国債を買ってやれればいいんだと言うんですけど、それを日本がやっているかと言われると、むしろ委員が御指摘のように、景気対策ということはやってきましたけれども、やはり財政の健全化あるいは持続可能性を強化するということは歴代の内閣でも、今の内閣でもそうですけれども、重要なことであると考えていますし、それは私は間違っていないと思いますので、ケルトン教授が言っているように、日本はMMTを実行して財政を大拡張して、それを中央銀行が引き受けてうまくいっていると、ハイパーインフレになっていないという議論は、日本がそういうことをやっているわけではありませんので、そのMMTの理論の、何というんですか、正当化するための、実例があるというのは間違っていると思います。  なお、シムズ教授の理論、議論については私もよく存じておりまして、実際にシムズ教授が講演して話されたのはもう大分前ですけれども、五、六年前ですか、その場におりまして、シムズ教授と話したこともありますけれども、この理論自体はしっかりした理論で、別におかしくはないんですね。ただ、その前提がちょうど満たされるような状況かと言われると、そういう状況になっているところは余りないということでして、前提をきちっと受け入れるときちっとした結果が出てくるということは間違いないので。  シムズ教授はたしかノーベル経済学賞もらって、期待とかマーケットの話について非常に詳しい人ですけれども、全く理論として間違っていると思いませんし、それはそれで考慮すべきものであると思いますが、MMTについては理論もしっかりしていないし、それから、確かに今委員御指摘のような政治状況の中でアメリカでかなりもてはやされてはいますけれども、アメリカの学者自体がまずほとんど、デモクラットでもリパブリカンの学者でも受け入れていないというのは、やはり言っている、主張していることが理論的に正しくないということがあって言っているんだと思います。  一方で、委員御指摘のような財政政策に関するリベラルな人たちの不満とか、現に民主党の大統領候補の方々はグリーンニューディールということを唱えて、それを実際にちゃんとインフレとか財政破綻なくできるということを言うためにこのMMTというのを使っているんだと思いますけれども、そういう政治的な、あるいは社会的な背景があるということは委員御指摘のとおりだと思いますけれども、ただ、この理論が正しいとか、あるいは日本がそれをやっているとか、それはちょっと当たらないというふうに思っております。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 私、このケルトン先生好きなんですよね。何といいますか、心情的にね、人々を救わなきゃいけないというところからいくとですね。だからこそ、財政ファイナンスしても大丈夫だとおっしゃる根拠は何だろう、何だろうということでいろいろ見てみたんですけれど、はっきり大丈夫だと言える根拠が示されていないというのが今のところ、私の勉強不足かも分かりませんけれど。  まず思うのは、国債の直接引受けと間接引受けはまず大きく違うと思っているんですね、そもそもこの日銀の議論の最初からですけど。銀行から日銀が国債を買うときというのは、既に銀行が国から買っているわけですね。そのときは、銀行は民間の、自分の判断として国債のリスクなりあるいは償還の可能性とかいろんなものを検討した上で市場価値を測って、その値段で買うなら買う、買わないなら買わないと、こう裏付けがあるわけですね、一定、市場のですね。  ところが、直接引受けになりますと、それとは関係なく、もう政府が発行したら買わなきゃいけないと、こういう仕組みになりますから、市場の裏付けの価値のない国債、つまり通貨も発行することになりますからインフレになると。もうこれ当たり前のよく分かる話で、それがありますから、どうして財政ファイナンス、直接引受けしても大丈夫だと、事実やっているから直接引受けやっていいんだと、ちょっと違うと思うんですけど、その議論もなかなか、どこにも書いてないですね。  何よりも、ちょっと私分からなかったんで、この新聞記事にあることなんですけど、戦後の、今おっしゃいました戦争とかクーデターでハイパーインフレは起きたんじゃなくて、物不足で起きたんだというようなことなんですね。もちろん、それは物不足もあったと思うんですよ。ところが、それだけなのかということが逆にあって、今言った直接ファイナンスもあるんですけど。  それで、国会図書館に、このケルトンさんがおっしゃっている、何を根拠にこうおっしゃっているのか、世界各国ではというのを国会図書館に調べてもらったら、この根拠になっているのはアメリカのCATO研究所のワーキングペーパーで、五十六か国におけるハイパーインフレに関する調査というのがありまして、その文言の中に、戦争、政治的失敗等の極端な状況の下で発生したと、ハイパーインフレはですね。で、それしか書いてないんですよね。  もちろん、その戦争の意味ともう一つ政治的失敗の意味の中に当然直接引受け、ファイナンスがあったんではないかと、時の政府の圧力によって、軍部の圧力とかで国債買わされるわけですからね。ですから、ケルトンさんは別にその文言だけ持ってきて戦争とか何かだとおっしゃっているだけで、中央銀行の信用膨張が関係ないんだという実証は何もないということが分かったんですよね。  あと、もう一つ気になるのは、これ、民主的な政府ならば、民主的な政府では起きないと。実は、第一次世界大戦の後のドイツでハイパーインフレ起きましたよね。あのとき、ワイマール共和国ですよね。世界で最も民主的と言われた国でしたよね、当時ですね。だから、その意味は分かりませんけど、これは恐らく、理想的な政府、非常に賢い人たちが運営する理想的な政府で、しかも統制経済的な運用ができる、その世界ならばハイパーインフレを起こさず、あるいは起きても止めることができるというようなことの意味かなというふうに善意に解釈して思うところでございます。  あともう一つは、ちょっといろいろ疑問点あるんですが、いずれにせよ、こういう方々がおっしゃっている意味、最初申し上げましたけど、今の緊縮財政そのものがやっぱり根本的に問われていると。やっぱり税制改革含めてもっと人々のためにお金を使うような、税制改革含めてやらないと違う話になってきて、私がそれともう一つ思うのは、このMMTの理論がこれから、今までの日本を思うとどう影響するかというと、本当に人々のための財政支出、例えば社会保障とか生活予算とかに財政支出が回ることに使われるんだろうかと。ひょっとしたら、要するに、もっと借金していいですよと、あと百兆、二百兆大丈夫ですよと、ここだけが、都合のいいところだけが利用されて、結局新幹線造ろうとか公共事業もっとやっていいとか、そちらの方に使われてしまうんじゃないかと、MMTの理論は、善意としても。(発言する者あり)社会保障は、やっぱり私、社会政策だから、歳出の範囲で税制改革をやるべきだと思っておりますので。  で、公共事業を全部否定しているわけではありません。重要な公共事業もあります。必要な新幹線もあるでしょう。住民のための公共住宅の建設だって必要ですよね。あと、投資、収益、効率を見てですね。否定するわけじゃありませんが、この理論が、結局今の安倍内閣の下では、財務省だけの責任じゃありませんで、安倍内閣の下では結局はそちらに使われて、国民のための、だって社会保障ずっと削ろうとしているじゃないですか。(発言する者あり)と言う人もいるんですけど、全体はそうなっていないですよね。だから、そういうふうに危険に、何というのかな、危なく使われる可能性があると。だって、今までのリフレ理論も、いろんなこと言っていましたけど、結局株価上げるために使われたんじゃないかと私は思っておりますので。  政治の場というのは大変怖いものがありまして、学者さんたちの知的なシミュレーションとかいろんな研究のいいところだけ切り取って使うというのはこの国会の常でございますので、そういう点は非常に警戒をしているわけでありますが、こういうふうに日本もMMTをやっていると言われるぐらい、やっぱり日銀の政策というのは行き詰まっているし、逆に言うと、出口に向かうなと、向かわなくていいためにこういう話が出てきているというふうにも思うわけですよね。  ここはしっかりと、何度も提案しておりますけど、量的緩和、正常化の道にきちっと踏み出すべきときにやっぱりこういう面からも来ているんじゃないかと思いますが、黒田総裁、いかがでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 現時点で、展望レポート等にも示されておりますとおり、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されていますけれども、それまで、達成されるまで、従来考えていたよりも少し時間が掛かるということでありますので、現時点では、この長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの下で強力な金融緩和を引き続き続けていくということになるということであります。  ただ一方で、二%の物価安定目標が実現すると、そういうような事態に近づいてきた場合には、当然出口について政策委員会でも議論しますし、私どもからもその出口への具体的な考え方についてはコミュニケーションを取っていきたいというふうに考えております。

大門実紀史日本共産党

○大門実紀史君 終わります。

渡辺喜美各派に属しない議員

○渡辺喜美君 渡辺喜美であります。  五月十日に米中貿易交渉、決着が付くのか付かないのか、トランプ大統領お得意技の豹変があり得るのかないのか、瀬戸際に迫っております。  決裂した場合、つまり米中がお互いの全輸入品に二五%の追加関税を掛けるという場合に、IMFの試算では、米中貿易は長期的に三割から七割ダウンする、アメリカのGDPは〇・六%ダウン、中国は一・五%ダウン、また、アメリカの調査会社、トレード・パートナーシップという会社の試算では、アメリカ人四人家族の家計負担が約二十五万円、年間で増加をするという試算をしております。  日本銀行では、こうした交渉決裂の場合の影響、それにどう対応するか、お考えをお聞かせください。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 私、つい先日、フィジーでありましたアジア開銀の総会、そこでASEANプラス3、それから日中韓の財務大臣・中央銀行総裁会議がありまして、その他様々な会議があった中で、アジアの国々の人たちも一番リスクとして懸念しているのが、米中貿易摩擦が一体どういう形で収束されるのかと、あるいは収束されなければ非常に大きな影響が出るんじゃないかということを懸念しておられました。  そこは私どもも同様でありまして、この米中の貿易摩擦というものが委員御指摘のように非常に高まっていきますと、各国の貿易活動に直接的な下押し圧力につながるというだけでなくて、実は企業マインドや金融市場の不安定化といった経路を通じて、世界経済にかなり広範な影響を及ぼす可能性があるということであります。  日本銀行としては、四月に公表した展望レポートでも、この問題、保護主義的な動きの帰趨とその影響を世界経済の下振れリスクとして挙げておりまして、その動向を引き続き注意深く点検していく所存でありますし、様々な、これに限らずいろんな事情で物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれるということになれば、迅速に追加緩和を考えるということであります。

渡辺喜美各派に属しない議員

○渡辺喜美君 追加緩和はないんだという誤ったメッセージは絶対に出してはいけない、そう思います。  先ほども議論があったかとは思いますが、金融市場がリスクオフになりますと、どうしても安全資産、円への逃避ということが起きますので、これはもう円高になる。せっかく今までいろんな手を打って、デフレ脱却もあと一歩というところまで来ているのに、またデフレに舞い戻ってしまうということのないように、日銀の金融政策は柔軟対応していただきたいと思います。  トランプ大統領がFRB批判を繰り広げております。ここまで言っていいんかというぐらいに言っておられる。是非、安倍総理にも見習ってほしいものだなとつくづく思うのであります。こういうトランプ大統領のFRB批判、黒田総裁、どのように御感想をお持ちでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 米国の大統領のこの面での発言について私から具体的にコメントをすることは差し控えたいと思いますが、その上で、先ほども申し上げたように、FRBは物価の安定と雇用の最大化という法律に定められた二つの責務を達成するために適切な金融政策運営を行っているというふうに思っておりますし、そういう形で米国経済が物価の安定の下で着実に成長するということは世界経済にとっても日本経済にとってもプラスだと思いますので、引き続き、FRBは法律に定められた責務を達成するために、政府から独立の立場ではありますけれども、適切な金融政策運営を行っていかれるというふうに期待しております。

渡辺喜美各派に属しない議員

○渡辺喜美君 例えば、トランプ大統領、FRBは低インフレにもかかわらず絶え間なく利上げを行い、大掛かりな量的引締めをしてきた、もしFRBがワンポイントの利下げや量的緩和をすれば、米国経済はロケットのように浮揚する可能性を秘めている。つまり、仮に米中貿易摩擦が決裂したとしても、アメリカにはこういう政策手段があるんだぞということをおっしゃっておられるのかもしれませんね。ですから、これはある意味、私がアメリカ人のビジネスマンであったら、トランプ大統領に対して拍手喝采ですよ。しかし、それが日本の国益にかなうかどうかはまた別の話であります。  こういう非常にのっぴきならない状況の下で、やはり日本銀行総裁が発するメッセージというのが非常に大事になってまいります。連休中、先ほど来批判だらけの岩田副総裁の本を読みました。「日銀日記」というやつでございまして、ここに黒田総裁のどえらいリスクという発言が出てまいります。これは、御案内のように、二〇一三年八月、総裁就任まだ半年もたっていない頃ですね、消費増税の集中点検会合での発言だと言われておりますが、予定どおり増税しなかった場合、国債が暴落し、金利急騰の危険性に黒田総裁が触れられたと。そして、確率は低いかもしれないが、起こったらどえらいことになって対応できないというリスクを冒すのかと政府側に予定どおりの増税を迫った。これは日経新聞ですね。中央銀行として脅かすつもりは全くないが、リスクを考えておかないと大変だと御発言をされたという記述がこの本の中にございますが、今でもこの御発言は正しかったとお考えですか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) この発言は、御指摘のように二〇一三年の政府の会合で、民間のいろんな方の御意見を伺うというところで、そこに財務大臣とともに出席していたんですが、ある民間の意見を述べていた委員の方から私に、増税先送りして国債が更に増えたらどうなるのかという話を聞かれたものですから、それは、増税を先送りした場合の国債に対する信認あるいは国債市場への影響を見通すことは難しい、しかし、場合によっては大きな影響があるかもしれないと、他方で、消費税を増税した場合の影響というのは、特に消費に対する影響あるいは経済に対する影響というのはあり得るとは思うけれども、それに対する対応策というのは政府も日銀もそれなりにできるということを申し上げたわけでありまして、余りどえらいリスクとかいうことは言っていないんじゃないかと思いますが。  両者のリスク、前者の方は捉え難いところがありますから、増税先送りしても国債に全然影響ないと言うかもしれない、しかし、実際に影響があったらなかなか政府は対応難しいですし、日本銀行としても、せっかく低金利を実現して経済を浮揚させようというふうに努力している中で非常に対応が難しいと。後者の場合は、そういうこともあり得るかもしれないけれども、対応は可能であると。  ですから、前者の方は、一種のテールリスクかもしれませんけど、可能性は非常に薄い、低いかもしれないけど、起こったときになかなか対応できないと。後者の方は、起こるかもしれないけれども、そのときにはそれなりに対応が可能であると。だから、その両者のリスクをどのように見るかという問題ですねということだけ言ったので、別にどえらいことになるから絶対に消費税を増税しないといけないというようなことは申し上げておりません。

渡辺喜美各派に属しない議員

○渡辺喜美君 恐らく相当言葉を選んでお話しになられたのかとは思いますが、国会議員が国債暴落とか経済ホラー小説みたいなことを言うのはそれは構いませんけど、日本銀行総裁のお立場でそんなホラー小説みたいなことを言うと自己実現的予言になりかねませんので、セルフ・フルフィリング・プロフェシーというやつですから、これは十二分に気を付けていただきたいと思いますよ。  過去二回、消費増税延期されました。それはもう言うまでもありませんが、このお手元に配ってある紙の二枚目、これを見ればお分かりのとおり、二〇一四年四月、消費増税が実行されて、景気動向指数はその後こんな状況、もう底を、鍋底をはいつくばっているような状況なんですね。これがまさにリフレレジームを破壊してしまったと。せっかく白川総裁のデフレレジームから黒田総裁のリフレレジーム、白から黒へのオセロゲームが行われたにもかかわらず、ここで根本的にこれが破壊されちゃったんですね。もしこの増税なかりせば、とっくに二%を達成していましたよ。日本経済も本当に名目四%ぐらいの成長軌道に乗っていたはず。二回の増税延期は当然ということであります。  その後、イールドカーブコントロールというのが行われました。イールドカーブコントロールは苦肉の策だったと思いますが、長期金利、マイナス〇・二%をゼロ%にする、この一枚目の紙のように八十兆円の長期国債買取り、年額を、今では大体三十兆円台というわけでありますから、これが金融引締めでなくて何なんでしょうか。

黒田東彦日本銀行総裁

○参考人(黒田東彦君) 量的・質的金融緩和を導入した際にも申し上げましたし、またこの長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入した際にも申し上げましたが、金融政策の効果というのは、やはりあくまでも長短金利、特にその実質金利がどのくらい低下するかによって経済に対する刺激効果が出てくるわけでありまして、委員が御指摘のレジームチェンジというか、何かこの二%の物価安定目標を目指すためにしっかり金融緩和をしますよということのその表現としてマネタリーベースを倍増するとか国債を何十兆円買うとか、そういうことは金融調節のやり方として意味があるし、物価安定に向けたコミットメントを非常に強く示すという意味では意味があったと思いますけれども、あくまでも金融緩和の経済効果というのは金利を通じて、長短金利を通じて企業や家計の支出行動、特に企業の設備投資等に影響を与えて、それが経済を伸ばし、GDPギャップをマイナスからプラスに、今プラスになっていますけれども、そういう下で賃金や物価が徐々に上がっていくということが金融政策の効果が出るチャネルじゃないかと。  特に、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入する前にはいわゆる総括的検証というのをやりまして、量的・質的金融緩和とそれからマイナス金利の導入、それらを通じてどういうふうに効果があったかというのを見た場合に、超長期の金利が下がっても余り経済活動に影響は出てこない、むしろ生保や年金から見るとかなりリターンが減ってしまうということで、消費者マインドに影響が出るんじゃないかと。  他方で、短期から長期、短期から十年国債までの金利はやはり企業の設備投資や消費に影響がある、したがって、それを低位に維持し続けるということが非常に重要だということで、基本的な考え方は変わっていないんですけれども、金融調節のやり方が変わったということでありまして、引き続き今のフレームワークでも強力な金融緩和を続けているということは変わっておりません。

渡辺喜美各派に属しない議員

○渡辺喜美君 とにかく、金融政策に限界があるというイメージを払拭することが大事であることを申し上げて、質問を終わります。

中西健治自由民主党・国民の声

○委員長(中西健治君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四分散会

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