経済産業委員会 第7号
- 発言数
- 156 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2019/05/09
会議録
○委員長(浜野喜史君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、蓮舫君及び石上俊雄君が委員を辞任され、その補欠として斎藤嘉隆君及び柳田稔君が選任されました。 ─────────────
○委員長(浜野喜史君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(浜野喜史君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に佐藤啓君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(浜野喜史君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 特許法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務大臣官房司法法制部長小出邦夫君外七名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(浜野喜史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(浜野喜史君) 特許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐藤啓君 おはようございます。自由民主党の佐藤啓でございます。 十五分と非常に短い時間でございますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。 製品がコモディティー化をしておりまして、グローバルなコスト競争が激化する中で、今後優れた技術を持つ日本の企業が生き残っていくためには、その技術を最大限ビジネスで生かせるように知財権として適切に保護するとともに、その価値を高めていくことが重要であると感じているところであります。 一方で、日本の知財の価値は諸外国と比べまして適正に評価されていないのではないかと言われております。知財の価値が適正に評価されなければ、企業の事業提携であったり、MアンドAであったり、また出資や資金調達にも支障が生じ、日本企業が優れた技術力を生かして稼いでいくということにも影響が生じるのではないかなと感じているところであります。 日本企業の競争力を高める上で知財価値の評価を高めることが重要であると考えておりますけれども、今回の法改正はそうした考え方に基づいて法改正をしているのかどうかについてお伺いをいたします。
○政府参考人(宗像直子君) お答えいたします。 先生御指摘のとおり、製品がコモディティー化をして、そのグローバルコスト競争が厳しくなっております。技術があっという間に伝播をするそのスピードが高まっておりますので、新しい製品を出してもどんどん類似商品が出回るようになってくるという、そのスピードが上がっているということだと思います。 こういう中で、独自性のある優れた技術をまさに知的財産権で守る、そのことによってその価値を高めることが日本企業の稼ぐ力を高めまして、それを次の事業展開に投資をしていく、その力の基礎になると認識しております。 こうした中で、日本商工会議所を始めとしまして、中小・ベンチャー企業から、製法に関する特許などについて、これは分解をしてもどういう方法で作ったかは直ちに分からないということで、侵害を立証するための証拠を収集することが難しい、あるいは、今の損害賠償額の算定方法ではどうしても規模の小さい企業が取れる賠償額が小さくなってしまうので、せっかく裁判に勝っても訴訟の費用すら回収できないケースが多いといった声が寄せられておりまして、訴訟制度の早急な見直しをしてほしいという御要望がいただいております。 こういう声を受けまして、今回、権利の実効性を高めるために、専門家が現地で幅広い情報を収集することができる査証制度を新しい証拠収集制度としてつくりますとともに、損害賠償額の算定方法をより適切なものに見直すこととしております。 これらの改正によりまして、まさに経済の新陳代謝に大きな役割を果たしております中小・ベンチャー企業を始めとして、企業の優れた特許権が実効的に保護されて、知的財産の価値の評価の向上に資すると考えております。
○佐藤啓君 ありがとうございます。 知財の価値を高めるという観点でいろいろ御答弁をいただきました。 もう今の御答弁の中にもあったんですけれども、損害賠償額の適正化ということが知財の価値を高めていく観点で重要ではないかと考えておりまして、損害賠償の判決が出ますれば、その結果は公開されますので、判決における損害賠償額が高くなれば知財価値の向上につながる効果も大きいというふうに考えておりますけれども、一方で、日本の損害賠償額は世界的に見て余り高くないという状況ではないかと言われております。 特に、米国と比較をしますとその差は歴然としておりまして、もちろん、米国には陪審制であったり懲罰賠償制度ということでまた異なる制度があるわけでありますので、一概に比較できない面もあるんですけれども、日本でもこの損害賠償額を高めるような取組を進めることで知財の価値を高めていくということが重要ではないかと考えておりますけれども、お考えをお伺いをいたします。
○政府参考人(宗像直子君) お答えいたします。 特許法の第百二条一項におきまして、これは、現行法では幾つかの裁判例が出て流れが固まっているわけですけれども、侵害者が販売した侵害品のうち、権利者の製造販売能力を超える部分、侵害者が例えば大きな企業で一万ぐらい物を売って、それに対して権利者が百ぐらいしか売れないという場合に、その九千九百個分について、近時の裁判例は損害賠償を否定するという判断で固まっております。 他方、ビジネスの実態では、権利者のこの製造販売能力を超える部分につきましては、ほかの企業にライセンスをして利益を得るといったことが行われておりますので、今般の改正によりまして、権利者の能力を超えて侵害品が売られた場合に、侵害者にライセンスをしたとみなして損害賠償額に加えるということができるようにするということでございます。 ライセンス料のその水準につきましても、改正法案の百二条四項で、侵害者が確かに特許権を使用していると認めてライセンス料を合意したのであったならば特許権者が得られたであろうという対価を考慮することができることとしております。 これらによって、裁判所が損害賠償額を算定する場合において、より高い賠償額を認めることができるようになると考えておりまして、こういったことが知財価値の向上に資すると考えております。
○佐藤啓君 ありがとうございます。 企業がしっかりとした特許権を得た上で、今回の法改正により知財価値が向上する環境を整えていただくということであると思いますけれども、中小企業の中には、自らが有するその知財の価値ですとか強みをどのようにビジネスで生かしていけばいいのかということをなかなか金融機関始め関係機関にうまく説明できない、その結果、例えば資金調達が難しいというようなこともあるというふうに聞いておりますけれども、このため、外部の専門家などが中小企業の持つ知財の重要性ですとかビジネスの中での役割をきちんと評価をして資金調達等サポートをしていくような仕組みが重要であると考えておりますけれども。 特許庁では、中小企業の知財の重要性含めましてビジネスを正当に評価できるような支援を行ってきていると承知していますけれども、この取組の効果、またこれからの展望についてお伺いをいたします。
○政府参考人(米村猛君) お答え申し上げます。 中小企業には、知的財産を活用して事業が評価されるということで資金供給につなげたいというニーズが大変高くございます。一方で、金融機関には、知財を理解できるノウハウそれから人材が一般的には十分でありませんものですから、特許庁では、金融機関が取引先企業の事業を正当に評価できるよう、これまで弱かった金融機関側への支援を行っているところでございます。 具体的に申し上げますと、専門機関が取引先の収益源となっている技術の優位性などを、これを知財を中心として分析した知財ビジネス評価書、こういったものを金融機関に提供しているところでございます。さらに、知財を活用した取引先の事業を金融機関が自ら理解をして提案能力を持てますように、経営や知財の専門家を金融機関に派遣をいたしまして、本部はもとよりとして、第一線で活躍する営業店職員に対する研修なども進めてございます。これまで二百を超える金融機関に対しまして支援を行っておりまして、多くの金融機関からは取引先への融資につながったというふうに聞いてございます。 今後でございますが、更に多くの金融機関にこうした取組を広げてまいりますとともに、例えば新規事業の候補など成長につながる提案、こうした提案を含めた提案書の提供も行いまして、金融機関による知財コンサルティング機能の強化に向けまして引き続きしっかり支援してまいりたいと思っております。
○佐藤啓君 ありがとうございます。 中小企業の支援と併せて、またベンチャー企業の支援もやっていただきたいと思っているところなんですけれども、ベンチャー企業の中にはやはり技術以外にこれといった資産がないというようなベンチャーもあります。知財価値の適正な評価をしていく上では、やはりそのような技術をしっかり評価していくということが重要ではないかなと考えております。 例えば、米国では、ベンチャー企業が虎の子の技術をしっかり知財権として取得をして、投資家がそうしたベンチャー企業の知財をきっちり評価をして支援するような仕組みがうまく機能しているのではないかなと感じているところであります。 一方で、日本ではこのベンチャー企業の知財に対する意識が余り高くないという状況があると思います。日本でも、このベンチャー企業の知財意識を高めるとともに、知財を生かしたビジネス展開ができるように、これをしっかりと支援をすべきと考えますけれども、御見解をお伺いをいたします。
○政府参考人(米村猛君) ベンチャー企業は新しい技術やアイデアがビジネスのコアとなっておりまして、企業価値に占める知的財産の割合が大変大きいわけであります。その成長の鍵は知財の戦略的な活用にあるものと認識をしております。 特許庁では、国内外のベンチャー企業が知財活動で直面した課題とその対応策、これを取りまとめた事例集の作成ですとか、ベンチャー企業向けの知財ポータルサイトの立ち上げを通じまして、ベンチャー企業の、先生おっしゃった知財意識の向上をしっかり図っているところでございます。 さらに、ベンチャー企業への集中的な支援といたしまして、創業期のベンチャー企業にビジネスや法律の専門家を送りまして、ビジネスの出口を見据えた知財戦略の構築を支援をする知財アクセラレーションプログラム、これを二〇一八年度より開始をしてございます。 これらの取組を通じまして、イノベーションの重要な担い手でありますベンチャー企業を支えてまいりたいと思っております。
○佐藤啓君 ありがとうございます。 中小企業、そしてベンチャー企業の支援、しっかりお願いをしたいと思います。 最後に、近年、米国のみならず中国とか、また韓国でも導入が進んでいます懲罰賠償制度について触れたいと思います。 韓国では、昨年の十二月に三倍賠償制度が盛り込まれた特許法の改正が行われたと承知をしています。また、中国でも五倍賠償制度を盛り込んだ制度改正が進められていると承知をしておりますけれども、日本でもこうした諸外国の動きに遅れることなく懲罰賠償制度の導入を含めた検討をすべきではないかと思いますけれども、御見解をお伺いをいたします。
○政府参考人(宗像直子君) 先生御指摘のとおり、諸外国で悪質な事案に対して損害賠償額を引き上げるという目的で賠償額を実損の何倍かにするという制度が、三倍ということでアメリカや台湾、そして中国、韓国でもその動きが進んでおります。先生御指摘のとおり、中国では五倍という動きがあります。一方、ヨーロッパでは、EUの指令によって懲罰的賠償は否定されているという状況であります。 日本の特許制度の見直しに当たりましては、悪質な特許侵害を抑止をするという観点から懲罰的賠償制度の導入は必要という御意見があった一方で、産業界の一部からは濫用を懸念する声が非常に強かったという状況でございます。 このように、本件につきましては賛否両論あるわけでございますけれども、いずれにしましても、三倍賠償を導入いたしましても一倍の部分が小さいと抑止効果が働きません上に、日本企業に対する海外の高額な賠償判決を日本で執行しなければならなくなる可能性がありますので、まずは、この国会に提出させていただいた特許法等の改正法案におきましては、この一倍の部分を適切に算定できるようにすることに集中いたしたところでございます。 懲罰賠償制度につきましては、この法案をお認めいただいた後に速やかに議論を進めてまいりたいと考えております。
○佐藤啓君 ありがとうございました。 総合的にまた今後検討を進めていっていただければと思います。 時間になりましたので、以上とさせていただきます。ありがとうございます。
○斎藤嘉隆君 立憲民主党の斎藤嘉隆です。今日はよろしくお願いをいたします。 まず、本当に単純なちょっと御質問をさせていただきたいと思います。長官とはちょっと事前にもいろいろやり取りをさせていただいたんですけど、今回の査証制度の創設に当たって、なぜ査証なんですか、これは。審議会も、この法案の検討段階の小委員会などの資料を見ても査察ですよね、ずっと。そういう用語で来ていて、諸外国なんかも多分査察、ドイツなんかもそういう言葉を使っていると思うんですけど、法案の提出段階になって突然この査察が査証になっている。 査証って一般的に、皆さんそうだと思いますが、ビザというイメージが非常に強いんですが、これ、余り海外でもこういうものを査証とするのは例がないように思うんですけど、この名称にした理由をまず冒頭お伺いをしたいと思います。
○政府参考人(宗像直子君) 御指摘のとおり、査証というと一般的にはビザを思い浮かべるわけでありますけれども、広辞苑によりますと、査証には調査をして証明するという大本の意味があるわけでございます。 検討段階では、御指摘のとおり、ドイツの証拠収集制度の日本における呼称である査察が候補に挙がっておりました。ただ、査察という名称が刑事罰で担保されるような強力な証拠収集手続を思い起こさせるということで、今般の制度改正で導入しようとしているものは真実擬制、つまり、原告が言ったとおりですね、この手続を拒むのであれば原告の主張を認めますよということのみがペナルティーになっておりますものですから、刑事罰を想起させるような名称はふさわしくないのではないかという指摘がありました。 そこで、今回導入される手続の趣旨にふさわしいということで査証という名称が選ばれたところでございます。
○斎藤嘉隆君 これ、長官、ちなみに英語ではどのように英訳をするんですか。
○政府参考人(宗像直子君) まだ確定はしておりませんけれども、インスペクションという言葉を想定しております。
○斎藤嘉隆君 インスペクションは査察ですよね。
○政府参考人(宗像直子君) インスペクションという意味は、恐らく日本語の査察というよりも広い、調べるというような広がりを持っているものと考えられます。
○斎藤嘉隆君 別にこだわりがあるわけではないんですけれど、結構そういう声も聞くので、用語の決定の過程が一体どういう理由でこのようになってきているのかというのを後々もいろんな方に知っていただくと、そういう意味で御質問をさせていただきましたので、この点も御理解をいただきたいというふうに思います。 この査証制度において、私、やっぱり一番気になりますのは、この査証人ですね、査証人の確保あるいは中立性といった問題なんですけど、これ、査証人の人選は裁判所で行うということでありますけれども、どういった基準でどのような方々が専門家として選ばれていくということを想定していらっしゃるのか、お聞きをします。
○政府参考人(宗像直子君) 専門家としましては、事案に応じた専門性を有する者を選ぶことができるように、その職種は弁護士、弁理士、研究者などを含めて幅広く想定をしております。査証人については、これはきちんと民事訴訟費用等に関する法律によって旅費や日当等も手当てをすることとしております。 査証人につきましては、幅広い企業秘密に接する可能性があるものですから、裁判所が中立公正な専門家を指定することとしまして、指定された専門家について中立性や公平性を欠くのではないかと当事者が考えるときには忌避という制度によりましてこれを排除する、ほかの人にしてくださいということを裁判所に申し立てられることとしております。
○斎藤嘉隆君 これ、いわゆる今想定をされていらっしゃる専門家等、査証人として選定するに足りる方々で恐らくこの役割を担っていただけるだろうという方々は、キャパ的には今どれぐらい特許庁として想定をされていらっしゃるんでしょうか。
○政府参考人(宗像直子君) 今現在、この査証手続はもちろんこれで初めてできるわけですけれども、裁判所が専門的な事案について助言を求める相手として専門委員という制度がありまして、そこに二百人程度の専門家がプールされていると伺っております。また、その事案によって、その中に該当する方がいらっしゃらない場合には、また更に広く求めるということも含めて必要な方を確保していくと伺っております。
○斎藤嘉隆君 分かりました。 これは、お立場によっては守秘義務を有しない方もこの査証人に選定をされるということだろうと思いますが、当然ですけれども、秘密漏えいに対する対応というのがかなり重要になってくるというふうに思いますけれども、ここのところはどのような形で対応していくということなんでしょうか。
○政府参考人(宗像直子君) 秘密の漏えいにつきましては刑事罰で手当てをするということでございまして、一年以下の懲役、五十万円以下の罰金となっております。
○斎藤嘉隆君 ちょっと視点を変えますけれども、今回は訴訟を提起した後の証拠収集手続について新たな制度を創設をするということでありますけど、まあもちろん以前より充実をしたのは当然でありますけれども、ただ、中小やベンチャーの皆様にとっては訴訟そのものがやっぱりかなりハードルが高いと思います。 様々な理由がありますけれども、一つは、訴訟はしてみたものの本当に訴訟し得るような案件だったのかどうかという、全く見当違いの状況もあるのではないか、そういうことがあって訴訟そのものに踏み込めないと、こういうケースもあると思います。民事訴訟法のいわゆる訴前照会とか、こういった制度についても、いわゆる提起訴訟前に現地調査を行うということで、見込み違いのこういう訴訟を防ぐということについても、日商さんなんかはかなり強くこのことを言われていたというふうに聞いているんですけれど、現状は、このことに対する検討というか先行きの見通しというか、これは今どのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(宗像直子君) おっしゃるとおり、提訴前の必要性を主張される方々もいらっしゃるわけでありますけれども、まず、この専門家が強制力を持って現地に入って調査をするという制度自体が日本で初めて導入されるものでありますので、段階的にやるしかないと考えておりまして、まずは、産業界とも議論ができた提訴後の手続をきちっと定着をさせるということではないかと考えております。 裁判所自体も、裁判を受けて、提起されて、そしてその事案の中身を審理していく中でいろいろなことが理解されるわけで、そうすると、そのいろいろな手続の後の方で、論点が絞り込まれたところでピンポイントに、ここの部分を、じゃ、確認していただきましょうかということで査証を発令することが、それであればマネージしやすいということでありますけれども、裁判が始まる前に、事案の概要についてまだよく分からない段階で、しかも、どちらかというと幅広く探索するような、探し回るような形の調査になり得るものですから、そういう意味でも査察を受ける側のインパクトも大きいのではないかということなどもありまして、いずれにせよ、まずは提訴後の手続を定着させて、それで十分かどうかをきちっと把握をするということだと認識しております。
○斎藤嘉隆君 今長官おっしゃったような非常に難しい面もあろうかというふうに思いますけれども、外国の事例なんかを見ても訴訟提起前に証拠収集を行うような制度を導入している国もあるわけですから、一足飛びに今回ということではないんですけれど、導入後の状況を見ていただいた上で、今お話しいただいたように、引き続き、賛否両論はありますけれども、是非前向きに検討していただきたいなと思いますし、これは附帯決議等にも、出すのであれば是非お書きをいただいて対応を今後していっていただきたいなというふうに思っています。 次に、この査証制度の発令四要件、もう、ちょっと私、専門家じゃないんで難しくてなかなか理解が本当に難しかったんですけれど、本来であれば、この四要件のそれぞれの妥当性というか具体的な状況、どういう状況がそれに当たるのかということも明らかにする必要があるというふうに思いますが、今ちょっと時間がありませんので、このうちの一つですね、これ弁護士会なんかの意見書を見ても特に書かれているんですけれども、補充性。補充性に関して、他の手段では立証されるべき事実の有無を判断できる程度に収集できない場合ということが出ておりますが、これを過度に厳格にすべきではないのではないかという意見が弁護士会などからも出ています。 これは恐らく、余り厳格にし過ぎると利用がしづらいと、ハードルが上がってしまうと、こういうことだろうというふうに思いますが、特許庁としてはこういった指摘に関してどのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(宗像直子君) 補充性の要件につきましては、特に具体的に問題となり得るのが、ほかの証拠収集手続で用意されております書類提出命令であるとか検証物提示命令と、こういった手続があるわけですけれども、これを具体的に申し立てておかなければならないのかと、それを全部尽くしてなお駄目だった場合にのみ査証を申し立てられるのかといったことがあり得ると思うわけですけれども、これはあらかじめこういう申立てをしておくことを一律に求める趣旨ではありませんで、事案の中身によって、これは確かに現場に行かないと仕方がなさそうだなということが裁判官がこの上の四要件を判断をする中で考えられればそれでよいということで、そこは柔軟に判断されるべきだと考えております。
○斎藤嘉隆君 これは、この査証制度がいわゆる濫用されるということ、恐らく経済界を中心にこのことについてはかなりの抵抗というか危惧があって、であるからこそ、補充性も含めてこの四要件を厳格にして、何というかな、民事訴訟法よりもハードルをあえて上げていると、こういう認識でよろしいですか。
○政府参考人(宗像直子君) これは初めての制度でありますので慎重にと、濫用を防ぐということで厳重な手続にしておるわけでありますけれども、文書提出命令などに比べますと、現場に赴くということで、それを、手続を受ける側の負担が重いということでこのような形になっております。
○斎藤嘉隆君 分かりました。 今回のこの手続は、済みません、私の理解が正しければ国内での権利侵害に対してということで、海外は対象とされていないと。中小企業などが海外で特許を申請をすると、また特許を守っていくということが先ほどの答弁でもありましたけれども、これからますます増えてくるし重要になってくるというふうに思いますが、このことに対する支援体制というのは現状どうなっているのか。 そして、我が国のこの査証制度については、我が国の企業の特許を侵害した製品が海外で製造されて、日本へ逆に輸入、販売された場合には効力が及ばないということだと思いますが、こうした侵害に対しては今後どのように対処をしていくお考えなのかをお聞かせください。
○政府参考人(米村猛君) お答え申し上げます。 海外で特許を申請する、そうした支援体制についてまず申し上げます。 まずは、中小企業などが海外で特許を申請する際に出願に係る費用の半分の補助をする、そういう制度がまずございます。 それから次に、中小企業などが海外で知財紛争に巻き込まれた場合、幾つかの補助制度がございます。三つほど申し上げますが、模倣品の製造販売事業者に警告状を送るための調査の費用、それから悪意の第三者が先に出願した商標権を取り消すための審判請求などの費用、それから、海外知財訴訟に係る弁護士費用を賄う保険があるんですが、その保険の加入に要する費用、こうした費用の一部について補助をしているところでございます。 それから、更に広く、知財総合支援窓口などで中小企業などの海外での活動に関する個別の相談を受け付ける体制を全都道府県で整えているところでございます。 今後とも、中小企業などが海外で知財をしっかり活用できるよう、きめ細かく支援をしてまいりたいと思います。 また、海外からいろんな輸入品が入ってきたりするときなどにつきましても、税関なり関係当局とよく相談をしまして、しっかりそこのガードをするという、輸入に対して、知財権の違反ですとか商標、そういうものについてのガードをまずしっかりしていくということも併せて考えてまいりたいと思っております。
○斎藤嘉隆君 今、都道府県ごとの支援窓口についても言及をいただきましたけれども、これ、体制は今十分ですか、都道府県ごとの知財総合支援窓口の体制。 事前にレクをいただいて、そこでもやり取りをさせていただきましたけれども、全都道府県に設置がされているし、今もお答えになられたとおり、これは大丈夫だということですけれども、これ、全国のこの知財総合支援窓口のサイトを見ても、ほとんど同じ内容ですよね。それから、相談も基本的には電話で予約をして相談をする、こういうシステムですし、支援事例も、どういったものがあるかというのが掲載されているのが、例えば昨年でいうと、私、愛知県なんですけれども、地元が、全県で六例なんですね。 これで本当に十分にこの体制、都道府県ごとにある知財総合支援窓口として機能しているんでしょうか。もう少し体制の強化をしていく必要があるのではないですか。
○政府参考人(米村猛君) お答え申し上げます。 知財総合支援窓口でございますが、知財の重要性、大変増しておりますので、その知財の価値評価、適切に行って、知財を軸とした事業活動が円滑かつ活発に実施されることが求められている中で大変重要だと思っております。そうした中で、中小企業からの、支援に相談窓口ございますけれども、平成三十年ですけれども、十万件の相談へ応じたところでございます。十万件でございます。 このように多くの相談に迅速に応じるために、企業の知財部門などで勤務経験があり専門知識が豊富な相談員が各窓口に常駐をしてございます。加えまして、弁理士は週一回以上、弁護士は月一回以上常駐するとともに、この常駐日以外でも随時予約を取っていただくことで専門的な相談に対しまして無料でアドバイスをしているところでございます。 さらに、模倣品を発見した際の対策方法ですとか商標権を活用したブランド戦略の立て方など特別な相談がございますので、こうした特別な相談につきましても、事前に御予約いただくことで、弁理士、弁護士、中小企業診断士、デザイナー、ブランド専門家などの様々な専門家が派遣する訪問型の相談対応も実施をしてございます。 なかなか、十分であるかということについては、まだまだ実は知られていないというところがございまして、まだまだキャパはあろうかと思っております。もっとしっかりPRをしながら、実際にそうしたいろんな知見についてもバージョンアップをしながら、実際に役に立つように知財総合支援窓口を御指導申し上げていきたいと思ってございます。
○斎藤嘉隆君 これ、全国で一年間に十万件の相談があったということですけど、そんなに本当にあったんですか。そんなにあったのかと。どういう相談が。いや、普通に、先ほど申し上げたような、例えば愛知県だと二か所なんですね。十万件というと、もう一日当たり一体何件処理しているのかとか、一体その十万件の中身はどういう相談なのかというのは今お分かりになりますか。
○政府参考人(米村猛君) ちょっと個別にはございませんけれども、十万件のうち、中小企業から七万八千七百十件あったという御報告を受けております。多分、かなり軽い御質問、電話での御質問をカウントされておりますので、その中の重さについてはちょっと手元にございませんけれども、徐々に認識はされてございます。 ただ、もっと深い御指導ができるように、例えば経営に対する更なるアドバイスですとか、知財を通じたそういう内容についても質的に高めていくことについては我々も課題だと思っておりますので、しっかり一緒に頑張っていきたいと思ってございます。
○斎藤嘉隆君 ありがとうございます。是非御努力いただきたいと思います。 法改正によって多分相談も増えてくるだろうというふうに思いますし、ただ、相談員の募集なんかも各県で出ているんですけど、例えば、これも私、地元の愛知県でいうと、平成三十一年度のこの支援窓口の事業相談員の募集についてというところを見ると、勤務は週三日で、時給が三千八百四十円ということなんです。 一方で、この知財財産業務の求人というサイト、物すごく出ていまして、ざっと数えただけでも千や千五百や、もうそれぐらいの求人が出ている中で、先ほど私が申し上げたような条件でこういう人材が本当にまず集まってくるのかと。人がいなければ、それは十分な支援をすることもできないので、こういった点を都道府県とも十分いろんな形で連絡をしていただきながら、前向きな、もちろん予算も関わることだと思いますけれども、いろいろ御提案をいただいて、私どもにも、その辺りも是非進めていただきたいと、これ、要請をしておきたいというふうに思います。 もう時間がかなりなくなってきましたので、意匠法の一部改正についてもお伺いをしたいというふうに思います。 今回、建物の外観とか内装デザインとか、こういったものに対する保護というものが打ち出されています。私、地元の名古屋でコメダ珈琲というのが発祥であるんです。うちの死んだ父親が建設業をしていまして、実はこのコメダさんのあのデザインの建物、幾つか造ることに関わっていたんです。興味深く見ていましたけれど、あれ、コメダさんが、和歌山でしたかね、どこかで同じようなデザインで営業している会社に対して、これは問題だということで、使用差止めの訴訟を起こしたと。結果は、不正競争防止法に基づいて周知性が認められて使用差止めの仮処分が出た。その後、和解ということになったというふうに聞いています。 これは一つの事実としてある、これは認識をしていますが、ほかに建物の外観などに対する保護に関する、今回の立法事実につながるような事案というのはあるんでしょうか。
○政府参考人(澤井智毅君) お答えいたします。 まず、事例でございます。 例えば、昨年プロ野球で優勝いたしました広島の球場、Zoom―Zoomスタジアム、あちらのスタジアムを設計された仙田先生は非常にこうした制度の導入を求めておりました。また、カルチュア・コンビニエンス・クラブが経営されております図書館、武雄市にございます。こちらの図書館のデザインも内装として非常にユニークなものでございまして、デザインの保護の要請が高くございました。 このように、近年、優良な顧客体験が競争力の源泉として重要性を高める中、企業が建築物の外観や内装に特徴的な工夫を凝らしてブランド構築を行う事例が増えております。このような保護ニーズの高まりに対応するため、建築物の外観、そして内装デザインも意匠権の保護対象とすることといたしました。
○斎藤嘉隆君 アメリカなんかだと、私も行ってきましたけど、アップルの宇宙船みたいな本社ビル、あれ聞いたら、一周一・八キロあるんですよ、一・八キロ。あれが登録されて、あれと同じ建物を誰かが造ってアップルの権利を侵害しているという、そんな状況が果たして生まれるのかなと逆に思わないでもないですけれども。 ただ、今回は、今お話があったように、デザインも含めてその企業の価値を高めるために非常に重要なファクターであって、そこのところがこれまで日本の企業、例えば物づくり企業でいえば、非常に高品質だし、耐久性も高いし機能性も高い、こういったところを追求をしてきている、例えば物一個取ってもですね。でも、もうこれからはそれだけでは通用しないと。やはりそこにデザインというものが非常に大きな要素として入ってきているんだということを、まあそれ、建物に関する一部の改正であったとしても、そのところを政府として強く認識をするというか、そういうような法改正なのかなというふうに思います。 ちょっと大臣の声を一回も聞いていないので、ちょっと寂しいので、大臣、これ、デザイン経営、今私が申し上げたようなことについて、経済産業省として今後、これまでも様々な取組をしてきていると思いますが、どの程度重要視をされていて、どのような方策でこの重視を打ち出していかれるのか、ちょっと思いをお聞かせいただけますか。
○国務大臣(世耕弘成君) 我々もデザイン経営という経営のやり方については極めて注目をしております。幾ら性能が良くても、やはりこのデザイン的な感覚がないともう今なかなかマーケットを獲得できないという状況になっているというふうに思っております。 単に製品だけではなくて、店舗ですとか、あるいはそもそもその経営のスタイル自体のデザインといったこともこれからは重要になってくるのではないかというふうに考えておりまして、ただ、経産省も余りデザインはそんな得意なわけではありませんので、民間の取組をよく勉強しながら、専門家の御意見も伺いながらしっかり推進してまいりたいというふうに思っています。
○斎藤嘉隆君 時間が参りましたのでこれぐらいにさせていただきたいというふうに思いますが、デザイン経営、日本の場合だと、まず経営者の皆さんの意識をやっぱり変えていかなきゃいけないなと思いますし、このことについて今経産省もそれほど得意ではないというようなこともおっしゃいましたけれども、やっぱりそのことに非常に精通をした、そのことを専門とする人材の育成も、いろんな形で読ませていただくと、報告書など、いろんな形で取り組まれておられるようですけれども、更に是非強化をしていただいて、日本の経済というか在り方も少しずつ今の時代に合った形に変えていくと、こういったことに是非御助力をいただきたいというふうに思います。 ありがとうございました。
○浜口誠君 おはようございます。国民民主党・新緑風会の浜口誠です。 今日は、大臣始め、よろしくお願いしたいと思います。 まず最初に、今回の法律の枠組み、提出された法律の枠組みについて一点確認させていただきたいと思います。 いろいろ経産省さん、特許庁さんの方から事前の法案説明なんかをいただいたときによく出た意見として、今回の改正法案、特許法、意匠法、商標法、そして実用新案法ということで、いろんな法律が改正をされる、で、非常に重要な法改正の論点もたくさん織り込まれていると思います。本来あるべき姿は、それぞれの法律ごとにしっかりと審議していくべきだというふうに思っておるんですけれども、今回の法律は束ね法案という形で提出をされております。 過去もいろいろ、法案提出のときに束ね過ぎじゃないかというふうな議論もありましたけれども、今回そういった四つの法律が一つに束ねられて提出されている、その理由、背景をしっかり我々としても理解しておく必要があるというふうに思っておりますので、その辺の理由についてまずはお伺いしたいと思います。
○政府参考人(宗像直子君) お答えいたします。 法律を束ねて提出をするためには、政策的な一体性があること、条文上の牽連性があること、そして付託委員会が同一であることという三つの要素が必要とされております。 そこで、今回の産業財産権四法の改正につきましては、まず政策的一体性につきましては、いずれも知的財産に関する制度を見直すことを目的としているということであります。二番目の条文上の牽連性につきましては、一つの訴訟において、特許と意匠など組み合わせて、複数の権利を組み合わせて侵害が争われる事例もありまして、利用者の方にとってはこの四法で損害賠償額の算定方法が統一されることが望ましいということでありまして、算定方法の見直しについては、同じ改正を行っております。付託委員会につきましてはいずれも経済産業委員会にお願いしているところでございまして、こういったことで今回束ねさせていただいたということでございます。
○浜口誠君 今、いろんな観点を踏まえながら検討されたということですけれども、今回はこういう束ね法案という形で法案提出されておりますけれども、今後どういった法案が出てくるか分かりませんけれども、是非、政府の方として、本当に束ねていい法案なのかどうかというのは慎重な議論を経た上で国会の方に提出をしていただきたいというふうに思っております。 次に、特許の今の状況について確認したいと思います。 日本の特許の出願提出状況、これどういう今状況になっているのか。それから、諸外国と比べたときに、日本の特許の出願状況、これがどういう位置付けで、経産省として今の日本の特許の出願状況に対してどのような課題意識を持っておられるのか。 やっぱり日本は技術立国ですし、やっぱりイノベーション、よく世耕大臣もイノベーションは大事だということで言われておりますけれども、やはり日本のこれからの経済産業の発展においては、知的財産権非常に重要だし、日本のスタートアップ企業だとかベンチャー企業、そういった中小企業からいろんな新しいアイデアを出していただいて次の産業をつくっていくということも非常に重要だというふうに思っていますので、そういった観点も踏まえて、政府としての、今の現状をどう分析されているのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(世耕弘成君) まず、二〇一七年の日本の特許庁に対する特許出願件数は三十一・八万件になっています。ここ数年、三十二万件程度で、横ばいというか、ちょっと微減傾向という感じだというふうに思っています。一方で、各国に一括して出願をして、特許審査を受ける前にその可能性を国際調査で確認できる国際特許出願の件数は増加傾向にあるわけであります。 各国はどうなっているかといいますと、長期的な傾向として、二〇〇七年と二〇一七年で比較させていただきますと、日本はこの十年で特許出願件数が二〇%減少をしておりますけれども、アメリカでは三三%増加、ヨーロッパでは一八%増加、韓国では一九%増加、中国に至っては五・六倍ということで大幅に増えているわけであります。 日本での出願件数がなぜ減っているかという理由については、やはり人口減少と、このマーケットが縮小ぎみでやはりマーケットとしての魅力、日本でわざわざ特許を取らなくてもよそで取っておいた方がいいんじゃないかというような企業の判断、また、諸外国に比べて必ずしも十分に特許権が保護されていないといったふうに見られているという点があるのではないかというふうに思います。 そこで、今回の法改正ということになりまして、査証制度を創設するですとか損害賠償額の算定方法を見直すことによって、この特許権の実効性を高めて権利者にとって魅力ある環境を整備する、そのことによってまた日本での特許の出願を増やしていくということに努めてまいりたいというふうに思います。
○浜口誠君 今、日本の状況、日本だけが減っているというのは少し危機感をもう感じないといけないかなというふうに思っています。中国なんか五・六倍ですから、物すごい勢いで特許申請が出されているということだと思います。 そんな中で、日本に出願されている特許のうち海外の企業として日本の特許庁に特許を申請している状況というのはどのような今現状になっているのか、お伺いしたいと思います。
○政府参考人(米村猛君) お答え申し上げます。 海外企業の日本における特許取得件数、二〇一七年でございますけれども、四万二千七百三十三件でございまして、二〇一五年以降横ばいでございます。日本における特許取得件数のうち海外企業が取得したものの割合、これは二割程度で推移をしてございます。 国別の特許取得件数を申し上げますと、米国、欧州、韓国、中国の順に多いわけでありますが、二〇一五年以降、米国、欧州、韓国の企業の特許取得件数がほぼ横ばいの中で、中国の企業の特許取得件数は一・五倍に増加しているところでございます。
○浜口誠君 日本の特許庁への出願についても中国がすごく伸びているということですから、この辺も政府内でどういう分析をされるのかというのはしっかり考えていただきたいなというふうに思いますけれども、そういう現実もしっかり受け止めていただいた上で、この特許に限らず、ほかの政策にも是非経産省としてつなげていく必要があるのではないかなというふうに思っております。 それでもう一点聞きたいんですけれども、今、海外の企業が日本の企業の特許を侵害しているケース、これが現状どのような状況になっているのかどうか、それと併せて、海外の企業の特許侵害に対して日本の企業というのはしっかり守られる、そういう体制が整備されてきているのかどうか、その辺、政府としての見解があればお伺いしたいと思います。
○政府参考人(米村猛君) 例えばでございますけれども、二〇一八年に税関におきまして差し止められた知的財産権侵害物品、これは九十三万点ございます。内訳は、商標権の侵害物品が七十二万点、意匠権の侵害物品が約十二万点、特許権の侵害物品が二・八万件ということでございました。また、知的財産権侵害物品の約九割が中国、香港から輸入されたものでありまして、中国を始めとする外国企業による日本企業の知的財産権の侵害は大変深刻であると考えてございます。 このため、水際でしっかり食い止めるということでございますので、税関ですとか関係当局としっかり議論をしながら対応を充実させてまいりたいと思ってございます。 また、今回の法律改正との関係でございますけれども、日本の知的財産権を保護する制度について、諸外国と比べますと、損害賠償額の算定等の点で必ずしも十分に権利者が保護されているとは言い難い状況だと思ってございます。そこで、今般の改正で適切な損害賠償額を算定できるように措置を講じている次第でございます。
○浜口誠君 ありがとうございます。 やはり中国がこの特許侵害の面でも非常にたくさんの、水際対策をしっかり取っていただいているということではありましたけれども、全体の九割が中国、香港からということですから、この辺の対応も特許庁としてしっかりお願いをしたいなというふうに思っております。 今回の特許法の改正について、私の理解としては、特許権を持っている、あるいは特許を侵害されたという申立人の立場に立って、特許を侵害した人たちが得にならないように、そういう人たちがしっかりと特許侵害に対して対応できるように中身を強化していく、対応を強化していくと、そういう法改正になっているというふうに思っているんですけれども、改めてこれ大臣にお伺いしたいんですけれども、今回、特許法改正に至った背景、理由について、大臣のお言葉で御説明をお願いしたいと思います。
○国務大臣(世耕弘成君) 私は、これから本格化してくる第四次産業革命の中では、大企業というよりは中小企業とかベンチャー企業が新たな技術で飛躍をしていく、そういった形にしていかなければいけないというふうに思っております。 こういった中、日本商工会議所やベンチャー企業から出ている声が、まず一つは、外見だけではなかなか特定できない特許侵害、分解してもなかなか分からない、まさに物を作る製法の技術、こういったところで侵害を立証するための証拠収集が非常に難しいですとか、あるいは、せっかく裁判で勝っても、この損害賠償額の今の算定方法ではなかなか元が取れないというような声が寄せられてきたわけであります。 こういった状況を踏まえて、今回の法改正では、特許訴訟における証拠収集の実効性を欧米並みに高めるということと、損害賠償額の算定をより適切に行えるようにするという改正を行わせていただくわけであります。 近年、中国、韓国でも、この訴訟制度を急速に強化をして、権利保護によるイノベーション促進が図られているわけでありまして、日本としてもしっかりそれには追随をしていく必要があるというふうに思っています。
○浜口誠君 今回の特許法の改正の大きな柱は、いわゆる査証制度を導入するということだと思います。裁判所が専門家に対して、現地調査、証拠の収集、これを命ずることができるということになろうかと思います。 今までの制度と違って、この査証というのを入れることによって、じゃ、どんなメリットがあるのかというのを改めて御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(世耕弘成君) 中小企業、ベンチャー企業にとれば、せっかく特許を取っても、いざというときに使えなければ全く意味がないわけであります。特に、先ほどもちょっと申し上げましたけど、製品の外観からは分からない、分解をしても分からない、そういう製法に関する、特にこれからは製法というのが非常に重要になってくると思います。そういう製法を侵害された場合、侵害されたことを立証するというのがなかなか難しい。証拠の収集が、幾ら相手の商品を持ってきて分解をして、いろんなことをやってもこの証拠を出せないという問題点があるわけであります。 そこで、今回の法改正で我々可能にしたいと思っているのは、専門家がその相手の製造現場に入って、その現場で幅広い情報を収集をする、これが査証制度になるわけですけれども、これを創設することによって、今までの証拠収集手段だけでは十分に証拠の収集が行えなかった、困難だったものについて十分に収集できるようになって、特許権の保護の実効性が高まるんではないかというふうに思っております。
○浜口誠君 その実効性を高めていくことも非常に重要だと思いますが、一方で、その査証が濫用されないように、これはやっぱりしっかりとした厳格な要件を設定していくということは一定程度必要だというふうに思っています。 今回の法律の中にも、第百五条の二の中に、証拠収集に要する時間、あるいは査証を受けるべき当事者の負担が不相当、非常に負担が大きい場合は査証ができないよというような条文も書いてありますけれども、具体的に、じゃ、何をもって、どういう基準で、こういう場合は査証はできないんだということを、これ判断していかないといけないと思うんですけれども、その具体的な運用に当たっての判断基準について詳しく教えてください。
○政府参考人(宗像直子君) 相当性という要件になるわけですけれども、これの判断は、それぞれの事案に基づきまして裁判所が、この査証を受け入れる相手方の時間的、金銭的負担に加えまして、請求の内容であるとか、証拠が本当に必要か、ほかで代替できないかといった諸般の事情を総合的に考慮して行うこととしております。 相手方の負担が過度になる場合の具体例としましては、長期間の操業停止が強いられる場合であるとか、高額な試料、テストの材料ですね、の購入が必要な実験を行うことが求められる場合といったものが考えられると思います。
○浜口誠君 その運用面ではしっかりとした判断をしていただく必要がこれあると思います。極めて重要なポイントだというふうに思いますので、そこの判断は裁判所がその事案ごとに適切に判断していくということになろうかと思います。 一方で、この査証制度を入れたんだけれども、余りにもその要件が厳し過ぎて必要な査証が適切に実施できないということも一方で避けなきゃいけないなというふうに思っていまして、こういう事案にはやっぱりこの査証が必要だということをちゃんと運用面で確保していくためにどういった対応をこれからやろうとされているのか、そのバランスをどう取っていくのかというのが非常に重要かと思いますけれども、必要な査証をするための対応についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(世耕弘成君) まさにそこのバランスが非常に重要だというふうに思っています。 この査証制度を導入するに当たって関係者と大分議論も重ねてきたわけでありますが、その議論の中で、今おっしゃるように、要件が厳し過ぎると裁判所が実際に運用しにくくなるんじゃないかという声がありました。しかし一方で、これ、制度を濫用して、例えば、もうどんどん、なかなか普通見に行くことができない相手の工場の現場を、この査察制度をある意味悪用というか濫用をして、そこから、そのことから情報を取って営業秘密の漏えいにつながる可能性があるんじゃないかという、そういった懸念の声もあったわけであります。 このバランスという意味で、我々はまさに四要件を設定をさせていただきました。証拠が侵害行為の立証に必要であるという必要性、そして特許を侵害したことを疑うに足りる相当な理由があるという侵害の蓋然性、そして他の手段では証拠の収集を行うことが困難であるという補充性、そして相手方の負担が不相当なものにならないという相当性と、この四つの要件を設定をさせていただきました。 この四条件をしっかりと見ながら、制度がバランスを持って適切に運用されるよう、関係各所と協力していきたいというふうに思います。
○浜口誠君 その運用を四条件に基づいてしっかりと、個別の判断だと思いますけれども、しっかりとした対応を是非ともお願いをしたいなというふうに思っております。 その一方で、その合理的な理由がと、先ほど宗像長官の方からも、操業が長期間にわたって停止せざるを得ないとか、試験するのに高額な費用が掛かってしまう、そういう合理的な理由があって査証ができませんと。じゃ、それに代わって証拠収集、どのような手段を用いて、特許侵害があったのかなかったのか、証拠収集をして適切な判断していかないといけないと思うんですけれども、査証ができない場合の対応方法についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(宗像直子君) この査証という手続は、訴訟において、両方の当事者から証拠が提出をされて審理が行われて、ある程度争点が絞り込まれた段階で発令に至るということが想定されておりまして、したがいまして、探索的なものとは異なりまして、相手方に過度な負担が掛かるという理由で査証が実施できないというケースは比較的少ないだろうとは考えております。 まさに、先ほど相当性の要件上難しいだろうということで申し上げたような例につきましては、あらかじめ裁判所が両当事者から意見を聴取することとなっておりまして、その過程で、例えば、製造ラインを止めて観察をする代わりに、工場内の製造工程表あるいは製造ラインの設計図面、操作マニュアルなどの提示をしていただくといったことで、相手方に過度な負担が生じないようなやり方を模索するということが可能であると考えられます。 イギリスなどでは、逆に、書面でこういうものが完結するようなことが、重層的に、こういう物理的に相手のところに入って調べるという制度もある結果として、逆に文書で物事が済むような形に収れんをしてきておりまして、日本でもこの査証制度を導入することで、渋っていても、いずれ強制力を持って証拠を収集されてしまうのであれば、早い段階でむしろ真実の解明に協力をしようと自ら証拠を出すということが促されるという、この効果が期待されると考えております。
○浜口誠君 是非、査証ができない場合においても適切な判断ができるだけの材料をしっかりと裁判所に提出していただく体制、仕組みづくりを整えていただきたいなというふうに思っております。 そんな中で、今回の法律の第百五条二の二に、裁判所は執行官に対して、査証人が査証する際において必要な援助をすることを命ずることができると、そういう条文が入っているんですけれども、具体的に必要な援助というのはどういうものが想定されるのか、その中身を確認したいと思います。
○政府参考人(宗像直子君) この改正法案におきましては、裁判所は、円滑に査証をするために必要と認められるときは、裁判所の職員であります執行官に対して、査証人が査証をするに際して必要な援助をすることを命ずることができる旨を規定しております。 査証の主たる実施主体はあくまで査証人でありまして、手続の本質的、中核的な部分は査証人が自ら担うということでありますけれども、例えば、相手方の協力が十分に得られないなどで査証人だけではなかなか円滑に査証を実施し得ないような場合においては、執行官が査証人による質問であるとか書類等の提示を求めるといった作業の補助をするということが想定されております。
○浜口誠君 その執行官というのは何人でもいいんですか。基本的には一人ですか。査証人ともう一人の執行官、こういう体制を想定されているのか、執行官というのは複数人いてもいいのかどうか、確認します。
○政府参考人(宗像直子君) 事案の状況によりまして複数でも可能なようになっております。
○浜口誠君 次に、査証の実施に対して、申立人、原告がその査証に立ち会えないということになっていますけれども、この原告、申立人が査証に立ち会えない、その理由は何なんですかね。やっぱり原告側からすると、実際にその現場を見て、ここじゃないかというようなことを指摘したいという思いもあると思うんですけれども、そういったものをシャットアウトしている理由についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(宗像直子君) 御指摘のとおり、この査証を実施する際に原告側の立会いを認めるかどうか、これにつきましては、特許制度小委員会におきましても、証拠収集が適正に行われたかどうかを原告がきちんとこの場で確かめられるように、少なくとも原告の代理人の立会いを認めるべきだという御意見もありました。他方、立ち入られる側の産業界からは、やはり営業秘密漏えいのリスクがあるので、原告側の立会いは代理人といえども認めてほしくないという意見が強うございました。 そこで、今般の法改正におきましては、その査証に入る前に、その命令が出る前に、当事者の両方に、査証がどのように行われるべきかと、一体何を、何のために何を見ればよいのかということについて比較的きめ細かく意見を言い合う機会を与えるということを前提としまして、原告やその代理人の立会いは認めないことといたしました。
○浜口誠君 しっかり原告側も納得できるようなスキームを運用していただくことが非常に重要だというふうに思っていますので、今のような流れでこれからやっていくことになろうかと思いますけれども、しっかり原告側の意見もその都度集約して、改善すべき点があったら引き続き改善に向けて取り組んでいただきたいなというふうに思います。 査証が終わった後、報告書がこれまとめられると思うんですけれども、この報告書についても、法律の中身を見てみますと、全部開示しないということも可能性としてはあるという法律の中身になっているんですけれども、一部黒塗りになっているのは仕方ないかなというふうに思いますけれども、のり弁になっているのはどうかなというふうに思うんですけれども。 この全部開示しないというような法律の内容になっている理由は何なんですかね。そこをちょっと現時点で私としては理解できていないので、その理由について教えてください。
○政府参考人(宗像直子君) 改正法案におきましては、御指摘のとおり、この査証報告書について、正当な理由があると認められるときは、その全部又は一部を開示しないことができるとしております。この正当な理由というものがあるかどうかという判断でありますけれども、これは侵害を立証する必要性と、一方で秘密を保護する必要性という、この双方を比較考量して行われることとなります。 この査証報告書の全部又は一部を開示しない、すなわち全部開示しないこともあり得るということにしたのは、その幾つかの査証申立て事項の全てについて、この秘密保護の必要性が侵害立証の必要性を上回る状況もこれあらかじめ否定することはできないだろうということでこのような書きぶりにしまして、裁判官の判断に委ねているところでございます。
○浜口誠君 じゃ、最終的にその一部開示するのか全て開示しないのか、これは誰がどのような判断をしていくのか、最終決定者は誰なのかというのをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(宗像直子君) 今ちょっと申し上げたところなんですけれども、まさに裁判所が最終的に判断をするというのが短い答えなんですけれども、相手方が企業秘密等を開示しないように申し立てたときに裁判所がその正当な理由があるかどうかを判断をする。その判断に当たっては、先ほど申し上げたように、侵害立証の必要性と秘密保護の必要性をてんびんに掛けて、侵害立証の必要性が勝る事項について開示をするという決断になります。 当事者は、この裁判所の決定について異議があれば即時抗告ができます。したがいまして、上級審まで行って確定したところが最終的な判断になるというところでございます。
○浜口誠君 即時抗告は一回しかできないというふうに認識しているんですけれども、一回即時抗告して、それが却下されたらもう全面非開示ということになると、そういう理解でよろしいですか。
○政府参考人(宗像直子君) 即時抗告で上級審の判断も共通であれば、それで終わるということになると想定しております。
○浜口誠君 あわせて、査証に関連して、秘密事項、査証によって知り得た秘密についてこれは漏らしちゃいけないということになっていますけれども、じゃ、何が漏らしちゃいけない秘密なのかということを誰がどのような判断をして秘密事項というのを決めていくのか、その点を確認したいと思います。
○政府参考人(宗像直子君) この改正案で、査証人、そして査証に協力をした執行官に対して課される秘密保持義務になりますけれども、これ、その場に立ち入ったことによって知り得たあらゆる秘密を対象にしておりまして、例えば不正競争防止法に基づく営業秘密などに限定されるものではありません。そこに行ったことによって知り得たことを一切外に口外しないという義務が課されるということになります。
○浜口誠君 一切口外しないということなんですけれども、それはあれですか、査察人あるいはそこに立ち会った執行官、もうこれは生涯にわたって秘密漏えいをしてはいけないのか、ある一定の期間、例えば十年とか二十年は駄目だけれども、それを過ぎればそうではないのか、その辺はどうなんですか。生涯ということの縛りが掛かるのかどうか、確認したいと思います。
○政府参考人(宗像直子君) この査察、査証に立ち入っていただく方々は、まさにその手続のためだけに立ち入っていただくわけでありますので、この秘密保持義務には特段の期間の限定はありませんで、生涯にわたって義務が課されるということになります。
○浜口誠君 あと、秘密漏えいしたときの罰則も規定されています。先ほどの議論の中にもありましたけれども、懲役刑だと一年以下、罰金刑は五十万円以内ということですが、これは妥当性はあるというふうに考えてよろしいですか。
○政府参考人(宗像直子君) この罰則につきましては、特許法において特許庁職員に対して規定されているほか、国家公務員法、国立大学法人法においても同じように一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金となっておりまして、他の制度との同等性を確保するということでこの水準にしております。
○浜口誠君 損害賠償に関して聞きたいんですけれども、現行の制度だと、損害賠償に関しては特許を持っている方の生産能力あるいは販売能力を基準にした対応ということになっています。それが今回は改正で、ライセンス、それを超えた部分についても損害賠償として認めていくという改正になるんですけれども、現行の販売生産能力に対応した損害賠償のままだと具体的にどんな課題があるのか、事例も含めて、現状のままの課題についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(宗像直子君) 具体例で申し上げますと、例えば、権利者は百個しか作れないと、企業規模が小さい場合ですね、ある製品を百個しか作れないと、ところが、その権利者の権利を使って侵害した側は一万個売ったというような場合に、最近の判例では、この損害賠償額、特に、自らが売って得られたであろう利益ということで、百個しか元々作って売れなかったんだからその百個分についてしか認められないということで判例が固まっております。 残りの九千九百個についてライセンス料相当額が欲しいのであれば、自分が百個売れたであろうということを諦めて、別の条文でライセンス料一本に絞って請求をしなければならないと、こういうどちらかを選んでくださいということになっているわけでありますけれども、これについて、日本商工会議所を始めとしまして中小・ベンチャー企業から、これはビジネスの実態に合わないと。 実際は、自分の能力の範囲で作って売ったりして、それを超える部分についてはライセンスすることもあるわけで、それをする機会を奪われたことを全く救済されないのは理不尽だと。そして、規模が小さいと認められる損害賠償額も小さくなってしまって、結局訴訟の費用も賄えない可能性が高いと、泣き寝入りせざるを得ないという実害も起きているということでございまして、こういう状況を受けまして、まさにこの百個分の得べかりし利益に加えて九千九百個分の得べかりしライセンス料も合わせて請求できることとしたものでございます。
○浜口誠君 あわせて、損害賠償に関連してお聞きしますけれども、ライセンス相当額の増額に関しても今回できるようにしていくということになっておりますけれども、これまで、法文上はできなくないみたいな解釈はできるというふうに聞いておりますけれども、それがなかなか実効性が伴わなかったので、より明確に、今回の法改正でライセンス額の増額ができる、そういう対応をしていくということだと思いますけれども、これまでの条文のままだと、増額ができない状態だと具体的にどんな課題が生じていたのか、これは実例も含めてですけれども、教えていただきたいのと、実際、そのライセンス相当額の増額、これについてはもう裁判所が決めるということでいいのかどうか、その決定プロセスについても確認させていただきたいと思います。
○政府参考人(宗像直子君) 今の特許法第百二条第三項によって算定されるライセンス料相当額につきましては、平成十年の法改正によりまして、裁判所は諸般の事情を考慮して、通常の交渉で決まるようなライセンス料を上回る額を認定することができることと一応されたわけなんですけれども、実際問題としては、依然として通常の交渉で決まるライセンス料そのものの水準で認められることが多いとされております。 そこで、改正法案では、侵害者が有効な特許権、この特許権の有効性自体が争われるわけですけれども、この有効性が確定し、そしてそれを確かに侵害しているということ自体も確定するわけですので、有効な権利を確かに侵害した、使ったということを前提に、元々この有効性を争わない、そして自分は使うんだということを前提に、権利者と事前にライセンス交渉をして契約を結んだのであれば支払ったであろうそのライセンス料を考慮することができる。普通は、その有効性は必ずしもどうかなと、侵害も微妙なものなどもありますので、その辺が実際は割り引かれることもあるわけですけれども、そこがもう争わないとしたときに、じゃ、どの水準でまとめますかというようなことを考慮できるというようなことを条文に書き込んで、それが読めるような文言にしているということであります。 プロセスですけれども、訴訟になりますと、権利者と侵害者がそれぞれ有効な特許権の使用を前提とした適切なライセンス料相当額を主張するわけでありまして、例えば、権利者側からは、先ほど申し上げたこの有効性や侵害があったということに加えて、自分はそのライセンスを与えるかどうかということの判断機会を奪われたことであるとか、あるいは、侵害者は、普通であれば契約上いろんな制約も掛けられることがあり得るわけだけれども、そういう制約一切なく実施したことなどを主張することがあるかと思います。 他方、侵害者側からは、それは、実は自分はちゃんとその交渉をオファーしたんだとかいうような事情があればそういうことも主張するという中で、裁判所が当事者の主張や証拠に基づいてこれを認定するということになると考えております。
○浜口誠君 ありがとうございました。 続きまして、意匠法の改正についてお伺いしたいと思います。 日本の場合、画像のデザインだとか空間のデザイン、こういったものの保護に関しては欧米よりも正直これまで遅れてきているんじゃないかなというふうに思っております。政府として、なぜその辺のデザイン保護に関して欧米よりも遅れてきているのか、その理由をどう分析されているのかというのをまずお伺いしたいと思います。 その後ですけれども、これからこういった空間デザイン等の意匠権の保護に関して欧米よりも先行していくために政府としてどのような対応をしていく必要があるとお考えなのか。 これは、大臣、お待たせしました。ちょっとずっと長く質問していなかったのであれですけれども、是非、大臣の方から御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(世耕弘成君) 御指摘のように、欧米あるいはこれ中国と比べても少し遅くなった面があると、画像デザインや空間デザインの保護ということではちょっと後れを取った面があるというふうに思っています。 ただ、これ何もやってこなかったわけではなくて、かなり一歩一歩進んではきているわけであります。特に、画像デザインの保護拡充については、ユーザーの御理解をいただけるよう、産業界、中小企業など様々な関係者の声を丁寧に伺いながら、制度づくりを一歩一歩進めてきているわけであります。 例えば、二〇〇六年には、いわゆる操作画像と言われるような画像については保護の対象にしたわけですけれども、その後、逆に企業の側から、権利侵害を回避するための調査の負担が非常に重いという声がありました。それに応える形で、二〇一五年には画像意匠検索ツールというものを提供開始をいたしまして、そういった画像を検索して他の権利を侵害していないかどうかを確認できるようにさせていただくなど、我々もちゃんと取組を進めてきているわけであります。 そういった中で、ここへ来て、日本企業もやはりかなりデザインを重視してくることになった。また、画像の機能も、単にディスプレー上に出すだけではなくて、壁に映したり道路に映したり、いろんな商品が出てくる中で、やはりこの画像デザインというのが一つの競争力の源泉だという認識が日本企業で高まってきて、逆に保護をしてほしいという声が高まりましたので、今回、法改正で保護対象を拡大する制度改正を行うことになったわけであります。 欧米より遅れた面がありますけれども、今回の改正案には、一貫したコンセプトに基づくデザインを保護するために世界に先駆けて関連意匠制度の出願可能期間を延ばすといった、他の国よりも先んじた拡充も盛り込んでいるところであります。 今後も、国内外の制度の動向を注視しながら、関係者の御意見もしっかり聞きながら、時代の要請に適合した制度をスピード感を持って実現をしていきたいというふうに考えています。
○浜口誠君 そんな中で、意匠の保護対象はこれから更に広がっていくということになろうかと思います。 画像だとか建物の外観デザイン、さらには内装デザインといったようなことで、デザインに関して、新しいデザインがこれまでのデザインに、意匠権等を侵害していないかどうか、こういうことを確認するためのクリアランス負担というのも意匠の範囲が広がることによって増えるんではないかなというふうに懸念されているところでありますけれども、このクリアランス負担を軽減するために政府としてもいろいろなサポートをしていく必要があろうかと思いますけれども、先ほども、画像の検索システムというようなお話、大臣の答弁にもありましたけれども、クリアランス負担低減に向けた取組についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(世耕弘成君) クリアランス負担というのを私も実感することがありまして、例えば、万博誘致のロゴですとか地域未来牽引企業のロゴですとか、これ、後でどこかのを侵害していたらもう大変なことになるなといつもどきどき、うちの場合はまだ特許庁がしっかり調べてくれますからあれですけれども、ちょっとやっぱり不安な気持ちになるわけであります。本当に探し切れているんだろうかというのは大変心配になるわけですけれども、そういった意味でも、これ経産省の場合、独法のINPITがこのツールを提供をさせていただいています。ある意味、政府の関連機関が提供するツールということで、ある程度安心をして使っていただけるのではないかというふうに思っています。 また、今回、保護対象が拡大をされましたから、それによってクリアランス負担が重くなることがあってはいけないというふうに思っておりまして、この意匠分類というのを増やしまして、このINPITの検索ツールをより使いやすくさせていただきます。検索しやすくさせていただきます。 こういった取組を今後もユーザーの御意見なども聞きながら進めてまいりたいというふうに思っています。
○浜口誠君 是非しっかりと、まさにユーザーの皆さんの意見も聞きながら、より負担軽減に向けたサポートを政府としても行っていただきたいなというふうに思っております。 一方、特許庁の方の審査体制もこれから強化していく必要があるのではないかなと。この前も、質問の通告をしたときに事務方の方から聞いたのは、審査する方は、四十八人体制で年間三万件もの審査をやっておられると。それがどこまで増えるか分からないですけれども、今回、意匠権が拡充されることによって審査の提出件数も増えるのではないかなというふうに想定されますので、従来のような、今は平均六か月ぐらいで第一次の審査結果は出されているというふうには聞いておりますけれども、その審査期間を延ばさないように特許庁の体制を強化していく必要があるのではないかなというふうに思っておりますけれども、その点に対して、大臣、どうでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 今回の意匠権の拡大に伴って出願件数が増えることも十分想定されるわけであります。この出願件数の動向をよく見ながら、ただ一方で、人員の確保というのはなかなかこの行革の流れの中で難しいところもあるわけですけれども、まずは、業務の一部外注も含めて、審査の効率化をしっかりと行っていきたい、その上で必要な審査官数の確保に努めてまいりたいというふうに思います。 今回の制度は、やはり企業に利用していただいて初めて値打ちが出てくるというふうに思っています。法改正して終わりでは意味がありませんので、引き続きスピード感を持って、世界最速、最高品質の意匠審査の実現に向けて執行体制をしっかりと整備をしてまいりたいと思いますし、そのことによって、優れたデザインによる日本企業の競争力強化に努めてまいりたいと思っています。
○浜口誠君 ありがとうございます。 是非、現場の皆さんの意見もしっかり聞いていただいて、体制づくりは、是非、長官と大臣で連携取っていただいて、長官は審査の現場の皆さんの声ちゃんと聞いて、適切な御対応をお願いをしたいなというふうに思っております。 あと、最後になりますけれども、模倣品対策ですけれども、今回は、パーツについてもチェックできる、摘発できるような体制を整えるということで一歩前進かなというふうに思っておりますけれども、先ほどの答弁の中でも、水際で九十三万点のものが止められているというような答弁ございましたけれども、この模倣品対策というのは我が国としてもより一層強化していく必要があるのではないかなというふうに思っておりますけれども、今後の模倣品対策の更なる強化に向けてどのようなお考えを持たれているのか、最後に確認したいと思います。
○政府参考人(米村猛君) お答え申し上げます。 模倣品被害は日本企業の稼ぐ力をそぐ重大な問題だと認識をしております。効果的な模倣品対策には、実際に取締りを行う税関ですとか警察ですとか、こうした方々との連携が不可欠でございます。 今回の法改正では、構成部品の製造や輸入を意匠権侵害として取り締まれるようにすることで模倣品対策を強化したところでございます。また、模倣品を買う側の意識というのも大変大事でございまして、模倣品の流通、消費を抑制するため、コピー商品撲滅キャンペーンというのも実施をしてございます。 例えば、去年は、ターゲットとする二十代の前半、この行動を観察いたしまして、模倣品の購入者は友達の多くから内心ひそかに引かれてしまう、そういうある種の格好悪さを前面に出した動画を作成して流しました。その結果、動画視聴後の調査では、模倣品への否定的な意見の増加が見られたところでございます。もっともっといろんな工夫をしてまいろうと思っております。 引き続き、企業や取締り機関を始めとする関係者との意見交換を踏まえまして、模倣品対策にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。
○浜口誠君 以上で終わります。ありがとうございました。
○委員長(浜野喜史君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午前十一時三十分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(浜野喜史君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、特許法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○平木大作君 公明党の平木大作でございます。 私の方からも、特許法の一部改正について、まず御質問させていただきたいと思います。 この第四次産業革命、また経済のデジタル化と言われている状況の中にあって、まさに企業の知財戦略というものはますますその重要度を高めてきている。まして、中小企業、ベンチャーの皆様にとっても、この時代にあってこの知的財産権をどう扱うのかということが、まさに次のステップに進むためにも大きな武器になりますし、海外に打って出る、そういうツールにもなってくるんだろうというふうに思っております。 この中で、ただ、残念なことにというか、日本のイノベーション創出力自体は低下してきているということがよく言われるわけであります。引用されますのは、例えば特許の出願件数の話ですとか、あるいは通称SEPですね、標準必須特許、こういったものの件数を見て、アウトプットを見て、大分周回遅れになりつつあるんじゃないかみたいな、そういう心配も私はするところなんですが。 今日、まずちょっとお伺いしておきたいのは、この出てくる特許の前に、そもそもこういった新しいイノベーションを起こすその源である研究開発というのは実際どのくらい行われていて、政府としてもどのくらい支援していただいているのかということを、やっぱりこれ問うておかなければいけないのかなというふうに思っております。 私自身の肌感覚としては、この政府による企業の研究開発税制等を中心とした支援策というのは大分充実してきているんだろうというふうに思ってきておりました。近年も累次のこれ拡充を図っていただいているわけでありますけれども、ある識者の方に言わせると、日本の研究開発税制というのは実は遅れているんだと、海外の方がずっといろいろな面で控除も含めて進んでいますよという御指摘をいただいたことがありまして、例えば、税額控除の部分でいきますと、日本では当然上限があるわけですけれども、カナダ、フランス、韓国、オーストラリア、こういった国はそもそも上限がありませんと、控除のいわゆるキャップがありません、アメリカも七五%まで認めていますよ、こういう御指摘もいただいたわけなんですが。 改めて、これ、特にこの伸び行くベンチャー、中小企業の皆様に対しては、例えば税額控除の上限の引上げですとか、あるいは控除し切れなかった部分を繰延べしていく、こういったことも含めて積極的にこれ税制、検討を進めていくべきじゃないかと考えるんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(渡邊昇治君) 研究開発税制につきましてお答え申し上げます。 税制の国際比較というのは必ずしも容易ではございませんで、例えば損金算入でやっている国とか公式の掛け算の分母がちょっと違うような形の国もございまして、単純な比較というのは難しいんでございますけれども、研究開発の税制につきましては、諸外国におきましては、御指摘のとおり、その控除上限を設けていないケースですとか、あるいは繰越し控除を認めているケースというのはございまして、私ども、二〇一九年度の税制改正におきまして、トータルの控除上限を、それまでは法人税額の最大四〇%だったんですけれども、これを四五%に引き上げる、ベンチャー企業につきましては法人税額の最大六〇%まで控除できるようにしたということでございます。 また、これは二〇一七年度に実現したことでございますけれども、研究開発投資に積極的な中小企業につきましては、控除率と控除上限につきまして上乗せ措置というのがとられていまして、これを二〇一九年度の改正におきましても延長するということにしております。 このような改正を二〇一九年度税制改正において行っておりますけれども、今後の税制の在り方につきましては、諸外国の動向ですとか、あるいは二〇一九年度改正の効果等を見極めまして検討してまいりたいと思います。
○平木大作君 制度が違う、また、課税所得から控除するのか、税額からそもそも控除するのかですとか様々な違いがあって、なかなかアップル・ツー・アップルの比較は難しいということもあったわけでありますが、やはりこれ、今諸外国がまさにどんどんアクセルを踏んでいる中にあって、日本もこれ積極的にやはり検討していかなきゃいけないんだろうというふうに思っております。 先ほどは申し上げませんでしたけれども、例えば、カナダ、フランス、オーストラリア、イギリス、シンガポール、ここは課税所得のない企業についても研究開発したものについては還付するというようなこともされているようでありますから、ある意味いろんな形で実は支援の仕方がある。これは、私も含めて、しっかりと税制の議論の中でまた取り上げさせていただきたいと思います。 次に、これ衆議院の議論でも、また今日の午前中の議論でもありましたが、今回の改正の一つの焦点でもありますこの賠償額の算定方式の見直しということでありますが、従前から、日本というのはなかなか賠償額自体が低過ぎるんじゃないかという御指摘があったわけであります。そんなこともあって、今日もいわゆる懲罰的な賠償の話、損害を一としたときに、その一でいいのかとか、三倍なのか五倍なのかみたいなことが今日もあったわけでありますが、一方で、昨年三月に特許庁の方で出していただきました調査報告の中ではこう書かれています。 日本での裁判所が認定する損害の許容額の水準は、米国との比較では低いが、他の主要国との比較においては著しく少額とは言い難いと、こう書いてありまして、実際に、ドイツとか中国、韓国と比べると我が国の方が実は額は大きいんだと、こんなことも指摘をされているわけであります。 ある意味、こういう事実認識の中で、改めて今回この算定の方式を見直すことの意義について御説明いただければと思います。
○政府参考人(宗像直子君) 国際比較はなかなか、この損害賠償額についても単純にはなかなか難しいところがあるわけでありますけれども、御指摘の報告書の記述について申しますと、例えば、アメリカ以外のドイツは、差止めによる救済が多くて、かつ損害賠償額については当事者間の交渉に委ねるといったような訴訟、一部だけの争点で決着をさせて、あとは当事者間の交渉に委ねるために損害賠償額の判決が比較的少ないという事情とか、あるいは中国などでは足下でも損害賠償額を引き上げてきているというような事例もございます。 いずれにしましても、国際比較はなかなか単純には難しいので、一方で国内の利用者の声に目を向けますと、損害賠償額に関するアンケート調査でありますけれども、特許権者側で不満が納得を大きく上回っているという状況があります。それからもう一つは、特許を侵害された中小企業からは、仮に勝訴できたとしても訴訟の費用を回収できる見込みがない、したがって泣き寝入りせざるを得ないといったような声が寄せられております。 そこで、今回の見直しでは、特に製造販売能力に乏しい中小・ベンチャー企業がその能力を超える部分についても賠償が認められるように、損害賠償額の算定方法を改めるということで、より賠償額の適正化を図るというものでございます。
○平木大作君 今、端的に御答弁いただいたとおり、なかなか納得感が得られない、不満が大きいということがあったわけであります。 その原因っていろいろあるわけでありますけれども、やはり今長官から端的に御指摘いただいたように、どうしても侵害を受けた特許権者の能力、キャパシティーのところに重きを置いていろいろな額を決めてきたということが、ある意味納得感になかなかつながってこなかったということだろうというふうに思っています。そういう意味では、一なのか三なのか五なのかという議論で上の方に目が行くのは何となく気持ちは分かるんですけれども、この一の部分でしっかりとこれやっぱり議論を詰めていくということは今回非常に大きな意義があるというふうに思っておりますし、また、これ大きな改正だというふうに思っております。 ただ、なかなかこの一だけ言っていると、ちょっと具体的なイメージが湧きにくいなと、結構大きな転換のはずなんですけれども、そのインパクトの大きさというものがちょっと伝わりづらいなという気もしていまして、私自身もかつての判例の中から記憶に残っていたものをちょっと探してみたんですけれども、こんなものがありました。ちょっと具体例、触れてみたいんですけれども。 携帯音楽プレーヤーのアイポッドですね、アイフォンじゃなくて、もう昔の懐かしいやつですけれども。アイポッドで使用された技術で特許権を侵害されたとして、日本人の男性が米アップルの日本法人に百億円の損害賠償を求めた訴訟というのがありました。これはクリックホイールという、くりくりくりっとクリック音が鳴って操作が簡単にできるというあの操作盤のことですけれども。結局、最高裁として、実はこれアップルの特許権侵害を認めまして、日本法人におよそ三億三千六百万円の賠償を命じた判決がこれ四年前確定をしております。 ただ、私も何で記憶に残っていたのかなと思うんですけれども、これ当時よく言われたのは、もしこの特許を米国で取っていて米国で争っていたならば、これはきっと百億円だったんだろうみたいなことが言われたわけですね。日本でやると三億なのに米国でやると百億だ、何なんだというような、そういうことが実際に騒がれたわけでありまして、あれだけの誰もが知っている大ヒット商品にもかかわらず、損害額僅か三億円なのかという受け止めをされたわけであります。 改めて、この事例について、じゃ、あれは今回の改正に即すると幾らなんですかというのは、ちょっと難しいんだというのはよくよく分かっているんですけれども、ただし、同様の、どんな事例でも構わないんですけれども、今般、こういうライセンス料みたいなものをちゃんと取れるようになったときに、どのくらいのインパクトがあるのかというのを、もし何か具体例でお示しいただけたらやっていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(宗像直子君) 仮想的な事例になりますけれども、仮に権利者が百個、ある製品を製造、販売する能力があったとして、侵害者が、その権利を侵害して一万個売ってしまったというような場合を仮定いたします。そこで、侵害者が売っている、権利者もですね、じゃ、一個当たり例えば百円としましょうと、そして利益率が仮に二割としましょうと。これ、権利を侵害している側は開発費が掛からない分もう少し安く売れるんだろうとかあるいは利益率が高いとかいうこともあるとは思いますけれども、ここでは単純化のために両方とも一個百円、利益率二〇%ということで仮定したといたします。 そうすると、侵害者は一個当たり二十円の利益を、一万個売ったのであれば二十万円の利益を得たということになるわけでありますけれども、現行法で固まっている判例によれば、権利者の能力が百個分であれば、一個当たり二十円の百個分ということで二千円の賠償しか認められないということになります。 今般の法改正によって、権利者の能力を超えて侵害品が売られた場合に、その超えた部分についても侵害者にライセンスをしたというふうにみなして損害賠償額に加算することができるということなわけですけれども、それを先ほどの例で申し上げると、その権利者の能力に応じた逸失利益二千円に加えて、これを超える一万から百を引いた九千九百個分についても、仮にここでライセンス料率を五%としますと、追加で一個当たり五円のライセンス料、九千九百個分で四万九千五百円の実施料相当額の賠償が認められると。仮に一%としてもその五分の一が認められるということで、先ほどの二千円と比べると一万円ぐらい、最低でも、最低というか、一%でも一万円に近い九千九百円分の賠償額の増加が得られるということで、それなりのインパクトがあるのではないかと考えております。
○平木大作君 具体例で示していただきまして、多分二千円とか四万九千五百円だけだとやっぱりなかなか……(発言する者あり)そうですね、ゼロを三つ付けるとか六つ付けるとかということを考えながら実際にはビジネスを行われると思うんですが。でも、本当にそういう意味でいくと、非常に大きなインパクトがあることは間違いないんだろうというふうに思っております。ありがとうございました。 発明の対価ということについても少しお伺いをしておきたいと思います。 これは最近報道でもありましたけれども、ノーベル医学・生理学賞を受賞されました本庶佑先生が共同研究を行った小野薬品工業と今ちょっと争いが起きているということであります。 この本庶先生の、研究者をだましたり不正確な説明をするとは想定もしていなかったという御発言だけ受け止めると、何というか、心が痛むというか、何とかならないものかというふうにやっぱり思ってしまうわけでありますが、ただ、この発明の対価をどう評価するのかというところについては正解が基本的にはないんだろうと。しかも、基本的に契約を結ぶのは花が開く大分前にこれ結ぶわけでありますから、なかなか一律のやり方でできるものでもないんだろうなというふうに思っております。 ただ一方で、今、これは政府の方でもまさにオープンイノベーションをどう活発にしていくのかということに取り組んでいただいているわけでありまして、大企業と一緒になって共同研究を通じて取り組んで働いていかれる研究者の皆さん、あるいは中小企業、ベンチャー企業の皆さん、こういった方たちに存分に活躍していただく環境をやっぱりつくっていかなければいけないんだろうというふうに思っております。 一中小企業、一個人あるいは一研究者と大きな大企業とは、もうこれ当然特許に対する知識の深さも違えば交渉力も雲泥の差があるわけでありますから、なかなか同じ土俵でこれフェアな、将来から見てみてもいい条件を引き出すのは難しいんだろうというふうに思っています。 一部の有識者の皆様から、既に、例えば契約書の中に見直し条項をあらかじめ盛り込んでおけばどうかとか、そういった具体的な提案もあるわけでありますが、これなかなか、先ほども申し上げたように、花開く大分前に結ぶ契約でありますから、一律の何かひな形を作ってこれ使ってくださいというわけにはやっぱりいかないんだろうというふうに思っております。 そういう意味では、取り入れるべきところは取り入れるとしても、やはり具体的に契約を結ばなきゃいけなくなった段階で、一個人だろうがベンチャー企業だろうが、しっかりとこれ政府も相談に乗っていただいて、必要な知識もしっかりと共有していただいて、ここが大事なポイントですよということをやっぱりこれ整理して後押しをしていただくことは必要なんじゃないかなと思うんですが、こういった相談体制、支援体制の充実、努めていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(米村猛君) お答え申し上げます。 一般論ではありますけれど、法律的な専門知識を有する共同研究契約、これは中小・ベンチャー企業、大学にとって不利な条件となりがちであると言われております。 そこで、特許庁では、昨年度より、優れた技術やアイデアを有するベンチャーに対しまして法律の専門家やビジネスの専門家などを派遣をいたしまして、ベンチャー企業が直面している課題、例えば共同研究の契約といった法律的な問題について助言をする知財アクセラレーションプログラムというのを開始をいたしました。また、大学についてでありますけれども、大学の研究者のところにも専門家を派遣をいたしまして、企業との共同研究の成果が大学にとって不利とならないような知財戦略を構築する事業をまさに今年度から開始をしているところであります。 また、全都道府県に知財総合支援窓口を設置をいたしまして、契約等に関して、弁理士、弁護士などの専門家の具体的な助言を受けられる体制、これを取ってございます。ベンチャー企業や大学にもより利用してもらえるように、更に周知を図ってまいりたいと思います。 このように、オープンイノベーションの担い手となる中小・ベンチャー企業や大学が大企業等と円滑に共同研究契約ができるよう、寄り添った支援をしっかり行ってまいる所存でございます。
○平木大作君 是非よろしくお願いいたします。 今日、法務省にも来ていただいておりますので、一問お伺いしておきたいと思います。 現在、まさに日本のこの知財訴訟の国際的な信用力ですとか競争力を高めるための施策を今取り組んでいただいているわけであります。今日のまさに今審議している改正による査証制度の導入もその一環であるというように思っていますけれども、裁判所の方も知財訴訟での英語の使用を認める国際裁判部の新設などが検討されているということも、これは報道でありますけれども、出ているわけであります。 実際に、じゃ、知財訴訟を日本でやるのかどうかということを判断する上で、やっぱりちゃんとしたフェアな判断ができるのかどうかというところはとても大事なわけでありまして、そういう意味でいくと、この査証人の確保ということと並んで大事なのが知財とかあるいはビジネスに通じた裁判官の育成ということであろうというふうに思っております。 これ、どのように取り組むのかについて御紹介いただきたいと思います。
○政府参考人(小出邦夫君) お答えいたします。 知財関係事件を含みます専門的な事件について適正な裁判を実現するため、裁判官の育成、これ重要なことだというふうに考えております。 裁判官は、このような専門的事件の処理に当たりまして専門的知識や紛争の実態についての的確な理解と把握が必要になってまいりますが、裁判所におきましては、これらについては、まず個々の裁判官において当該専門的事件を担当する中で研さんを積んで獲得するのが基本であるとされているものと承知しております。 この点、特許権事件等につきましては、管轄権を集中して、また専門部で事件を取り扱うなど専門的な処理体制が整えられておりますし、技術が問題となる事件では、非常勤職員でございます専門委員等から技術に関する最先端の知見を取り入れることが可能な体制を取っておりまして、こういった体制の下で事件を処理して研さんを積んでいくということだろうと思います。 また、最高裁判所によりますと、この知財関係事件を担当する裁判官は、知財関係の協議会や研究会あるいは国際的なシンポジウムに参加するなどして最新の知識の獲得に努め、また先端的な議論を行うなどしているほか、裁判官の研修を担当しております司法研修所におきましても様々な専門的事件等に関する各種の研究会を毎年実施しておりまして、裁判官の研さんを支援しているとのことでございます。 このようにして、裁判所におきましては、裁判官が専門的事件について質の高い事件処理ができるようなサポート体制を整えて、また裁判官の育成を図っているものと承知しているところでございます。
○平木大作君 最近、AIとかロボットとか、どんどんどんどん新しいものが次々に変わってくる、ある意味研さんを続けなければなかなか追い付けないという状況もあるのかなというふうに思っております。 余談なんですけれども、私、実は銀行マン時代の最後の仕事が、東京地裁で四時間にわたって証言台に立つという仕事をさせていただきました。当時勤めていた銀行が巻き込まれた訴訟で、デリバティブ取引、通常、個々には何の問題もないオプションの売り買いですとかスワップといったものをどう組み合わせると損失のいわゆる先送りになるとか、そういったことを含めて四時間証言台に立たせていただきまして、法曹の関係者の中でも自身が証言台に立った方というのはなかなかいらっしゃらないので、貴重な経験をさせていただいたんですけれども、その中で、ただ、これやっぱり物すごく専門的な話を基本的にするわけです。弁護人の方からも聞かれますし、裁判長からも質問をされて四時間答え続けましたけれども、最後の最後まで、どの程度この話が通じているんだろうというのは私の中で分からないまま、もやもやしたまま証言をしたという記憶がございます。 そういう意味でいくと、専門的な争いに最後フェアな判断していただくという意味では、本当に、今のような様々な研修会ですとか、やっていただいているということも御紹介いただきました。民間でやっぱりそれぞれの最先端の分野で活躍している人の登用も含めて、様々なこと、これ取り組んでいただきたいなということだけお願いをしておきたいと思います。 特許法、もう一問お伺いしておきたいと思います。 今日、資料としてお配りをさせていただきました。昨年の五月四日付けの日経新聞の経済教室の記事でありまして、これなかなか着目のポイントが面白いなと思って、今日ちょっと御紹介をさせていただいております。 特許制度というのは検索が容易な技術情報のカタログなんだという御指摘であります。そして、カタログであるからには、例えば今、SDGsにどう取り組んでいくのか、どう貢献していくのかということが大変国際的にも関心が高まっているわけでありますけれども、この特許技術というのはSDGsに貢献できるようなものですよということをある意味見える化してあげる、ラベルを付けてあげるということによって、例えば日本の中小企業が申請した特許というものがある意味世界から見付けていただける、発見される、そういったきっかけになる可能性もありますし、また研究機関においては、大変、社会的な意義がより高くなるということで研究意欲の促進になるんじゃないか、あるいは、もっと言うと、こういう取組を国際社会の中で日本政府がリードすることによって、SDGsに対する日本政府の貢献も高まる、そういう御指摘がありました。 これどうやるのかなということもこの経済教室の中に書いてあるんですけれども、いわゆるカタログにおける型番ですね、国際特許分類、IPCに基づいて付与される記号のところに、これはSDGs関連特許というようなマークを付けていただくことによってできるんじゃないですか、こういうルール作りを日本政府として提案したらどうでしょうかというお話なんですけれども、これ、いかがでしょうか。
○政府参考人(米村猛君) お答え申し上げます。 SDGsでございますけれども、これは持続可能な世界を実現するために国連で採択された目標でございまして、例えば貧困をなくそうですとか、ジェンダー平等を実現しようなどのように実現される目標を示すものでございます。特許出願された技術の中には、そうした目標の解決に役立つものももちろんございます。 しかしながら、そうした技術はその後の実用化によりまして様々な用途に花開くものでありますものですから、技術が生み出された段階では一義的に定まるものではないのかなと思っております。したがいまして、個々の技術がいずれかのSDGsに関連するかどうかを確定するには大きな不確実性が伴ってしまいます。 日本の優れた技術をSDGsにひも付けて見える化するという発想は恐らく有意義だと思うのでありますけれども、公的な立場にある特許庁が行うこととしてはなじまないものではないかなと現時点で考えてございます。
○平木大作君 レクの段階でもいろいろやり取りをさせていただきました。きれいに分類してきれいに整理をしようとする発想なのかなというふうに思うんですけれども、ある意味、不確実で緩い中でもこのフラグを立てるということは私は十分できるんじゃないかなというように思っております、やり方によってはですね。 ちょっと残りの時間少なくなってきましたので、次の質問へ行かせていただきます。 意匠法についても幾つか確認をさせていただきたいと思います。 今般のこの法改正によりまして、意匠権の保護対象に建築物が加えられたわけであります。建物の外観ですとか内装デザインを活用したブランドの構築を後押しする、大変有意義な制度だと思うんですが、ただ、これ、ブランドを構築しようとしている事業者の側だけではなくて、建築物を設計して造る側のいわゆる建築設計業界の方には、これ十分にまだこの法改正の趣旨というのが理解が進んでいないんじゃないかなというちょっと懸念を持っております。最近の業界紙の中でもこんなコメントが載っていました。業界にとっては今回の法改正は少し唐突感があると、こういう御指摘があったわけであります。 どういうことかなというふうに思いますと、これ結局、量産を前提とした工業製品と違って、建物を造る側の視点からすると、建築物というのは基本的に一点物であると。建てる立地もそうでありますし、周りの環境も含めて一点物として造っているものについて、ある意味、模倣品対策としての意匠登録というのはなじまないんじゃないかということがコメントとしてあったわけでありますが、この点について見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(澤井智毅君) お答えいたします。 近年、建築物は一点物だけではなく、企業が多店舗展開をするような場合に、店の外観やあるいはインテリアを統一的なデザインをもって差別化する、そうしたブランド価値を高める動きがございます。こうした中、建築物の外観デザインにつきましても模倣を防ぎたいというニーズが高まっており、意匠権の保護対象とすることといたしました。
○平木大作君 ちょっとさっぱりとした答弁を今いただいたんですけれども、大事なことは、一つは、先ほど申し上げたような、建築設計業界の方ではそういう認識がなかなか整理が付いていないということでありますので、しっかりこれまず御説明していただきたいということと、もう一つ、ちょっとこれ関連してお伺いをしたいんですけれども、例えば従来、建築物って、じゃ、どうだったかというと、何の権利設定もされていなかったわけではありませんで、設計図面ですね、設計図書については、著作権の範囲内で基本的にはこれ設計者、建築家の権利保護というのは行われてきたわけであります。 ここのやっぱりちょっとちゃんとした整理をしてあげる必要があるというふうに思っておりまして、今般の法改正で、結局、この意匠権による保護の対象として建築物が加わったときに、意匠権者と設計者、建築家との間で権利調整ってちゃんと図られるのかどうか。特に、例えば意匠登録をした後に設計した建築家の方が国際的なコンペに出品しようというときに邪魔になったりしないのかどうか、こういった点についても御見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(澤井智毅君) お答えいたします。 意匠登録を受ける権利は意匠を創作した設計者に帰属いたします。このため、建築物の意匠権につきましても、当該建築物をデザインをした設計者が権利を持つことになります。したがいまして、意匠権によって自らのコンペ出品などが阻害されることにはならないものと存じます。 また、建築家の皆様の不安に応えるように、私どもといたしましては、今後、審査基準やあるいはいろいろな公表物、ウエブサイトなどを通じて普及に努める予定でおります。とりわけ、四十七都道府県に設置されております知財総合支援窓口の相談員、あるいは特許庁が各主要都市で開催する説明会などでもしっかりと説明をしてまいりたいと思っております。
○平木大作君 よろしくお願いいたします。 最後に一問、お伺いしておきたいと思います。 内装デザインについても、これ、審議会の議論等、ちょっと資料等を拝見させていただいたんですけれども、例えば、もう既にいわゆる建築物意匠の保護制度がある米国の事例等もいろいろ参考にしながら議論されたようなんですけれども、例えば米国の場合ですと、いわゆるオフィスのレイアウトについても意匠登録されていますと。 まず、今回の法改正において、この内装のデザインの対象として、例えば多数のお客様が来ることを想定していないようなオフィスの内装、レイアウト、いわゆる店舗じゃないものですね、こういったものも対象として含まれるのかどうか。そして、その際、私が図面見ると普通のオフィスの絵にしか見えないんですけれども、こういったもの、例えばデザインの一部として机とか椅子とか書棚みたいな什器類も含めてこれ対象になっているのかどうか、これ最後にお伺いして、終わりたいと思います。
○政府参考人(澤井智毅君) お答え申し上げます。 先生御指摘のオフィスレイアウト、こうしたもののような多数の顧客の来訪を想定しないものも内装デザインの対象に含まれることとしております。現在、働き方や社内のコミュニケーション、この在り方を見直す動きが進展しております。このため、オフィスデザインを保護してほしいとのニーズも多くございます。 先生御指摘のテーブルなどの什器、これにつきましては、元々、単独での意匠権の保護の対象となっておりましたが、今回創設する内装デザインは、壁、床、天井等、什器の組合せによって統一的な美感を生むものも改めて対象としたものでございます。 以上です。
○平木大作君 働き方改革等も含めて、これの今ニーズが高まっているということでありました。やはり何よりも関係者が多い分野なのかなということを改めて今回勉強して思った次第でありますので、しっかりと各方面の関係者にも御説明いただくことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○石井章君 日本維新の会、石井章、通告に従いまして御質問したいと思います。 まず、本法案では、これまでの意匠権、あるいは自動車や家電などに、主に製品に対するデザインを保護していたものが、デザインに関する知的財産権を保護する意匠権に対象を広げ、店舗の内外装などに加えるということであります。これによって、優れた店舗デザインなどについても海外企業からの模倣を防ぎ、日本のブランド力を向上させるという目的があると思います。 そこで、建築物の外観デザインあるいは内装デザインの意匠権に関する保護についてお伺いいたします。 これまで意匠登録できない画像や、あるいは建築物の外観デザイン、内装デザインといったものが、全く法的保護の対象にならなかったのではなく、著作権法あるいは不正競争防止法などのほかの知的財産法によりフリーライド事例のほとんどに有効な対処をすることも可能だったのではないか。 あるいは、例えば店舗内部の外観については、平成二十八年十二月十九日に東京地裁で、不正競争防止法の出所表示に該当するとして、類似する店舗内部の外観の使用を差し止める内容の仮処分がされております。特許庁が所管する意匠制度の下では登録できないものがあっても、他の知的財産の諸法をうまく使えば有効な対処をすることが可能なのではないかと思います。 さらには、そうであるならば、行政コストを増大させる意匠権の保護対象拡大という施策を選択する必要はないと私は思うんでありますけれども、国会改革あるいは行政改革を党の公約として標榜する日本維新の会の一員としても、その点については若干の疑念を抱いております。 今回、店舗の内外装の保護について、著作権法あるいは不正競争防止法によらず、意匠法を改正しなくてはならない理由について具体的に磯崎副大臣にお伺いしたいと思います。
○副大臣(磯崎仁彦君) お答えをさせていただきたいと思います。 まず、委員御指摘のとおり、現行の法制で対応できないのかという、そういう御質問でございましたが、まさに御指摘のとおり、現行の著作権法であるとか不正競争防止法、これによって店舗の内外装は保護されるところはございます。 ただ、著作権法で保護されます著作物というのは、その定義によりまして、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」という、こういう定義がございますので、例えば建築物でいえば、いわゆる建築芸術など高い美術性があることが求められるということがございますので、やはり全ての建築物がこの著作権法で守られるかといえば、そういったことではないということでございます。 また、不正競争防止法におきましても、これも定義によりまして、不正競争とはどういうことかということにつきましては、需要者の広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用しであるとか、他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用しという、こういう表現がございますので、やはり店舗等のデザインにつきましては、広く知られている、いわゆる著名性といいますか、こういったものが不正競争防止法によって保護を受けるための要件とされているということでございますので、この不正競争防止法によりましても全てのものをこの法律で保護することは難しいというのが現状でございます。 近年、先ほど来お話出ておりますように、優良な顧客の体験、これが競争力の源泉として重要性を増しているということでございますので、例えば物のデザインのみならず、事のデザインを重視した観点から、例えば企業が店舗の外装であるとか内装、こういったものに特徴的な工夫を凝らしてブランドの構築を行う、こういう事例が増えておりますので、こういったものを守っていく必要があるというふうに思っております。 ただ、現行の意匠法におきましては、今委員御指摘のとおり、意匠の定義によりますと、原則として物品に限定をされているということでございまして、不動産は保護の対象にはなっていないということでございます。 また、一つの意匠で一つの出願というのが原則的な考え方でございますので、今、例外として組物というものが登録として認められているわけでございますが、これには建築物が含まれていないということがございますので、今回のこの改正におきましては、この組物全体として統一性がある場合には一意匠として登録できる、この組物に不動産、建築物を加えるといったような変更であるとか、あるいは内装につきましては、やはり一つ一つの什器ということではなくて、全体として統一的な美感を起こさせるような場合にはこれを全体として意匠として登録することを認めると、こういった改正を行うということでございますので、こういった改正を行うことによって、建築物の外観であるとか内装デザインであるとか、こういったものを意匠法で保護をしていく、その必要性があるということでございます。
○石井章君 丁寧な答弁ありがとうございます。 現実として、店舗の外観や内装はデザインでありまして、意匠法の対象とすることに関しては異論はございません。また、昨今の市場では多様なサービスが求められておりまして、店舗型のビジネスでは店舗の内外のデザインあるいはそういった雰囲気は大変重要でありまして、今後、そういったデザインの価値や権利は更に重要なものとして位置付けられることが想定されます。 そこで、本法案成立後の課題としまして、店舗デザインなどの意匠登録に際しての特許庁での運用や司法の判断があると思います。例えば、立体商標では、平成八年に制度が設けられてからその登録が認められるようになるまで約十五年の歳月を要しております。その理由の一つが、他者の商品形態の選択の余地が不当に狭くなるということがあったわけでありまして、まさに仏作って魂入れずというようなのがずっと続いてきたわけであります。 他方、意匠法では、デザインを保護する法律でありまして、立体商標とは根本的に性質が違う上、内装デザインなどについては申請から登録までの期間についても約半年間という明記もされております。しかし、他者の店舗デザイン選択の余地として、その関係として登録の要件が非常に限定されてしまう可能性も指摘されておるわけですが、この点についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
○政府参考人(澤井智毅君) お答えいたします。 意匠制度におきましては、新しく簡単には創作できないデザインに限りまして意匠登録を認めております。新たな保護対象となる店舗等のデザインにつきましても、多くの店舗等のデザインが既に国内外で知られている中、こうした登録要件を満たす新しく特徴的なもののみが保護されることになります。 法案成立の際は、ユーザーの皆様の意見を聞きながら新たな保護対象の審査基準を作成する予定にしております。これにより、ありふれたデザインが登録されることのないように、そして、良い、特徴のある内装デザイン、建築物などが保護されるようにしっかりと審査をしていきたいと考えております。
○石井章君 ありがとうございます。 この外観、内装のデザインの意匠制度への登録の有無は、建築確認申請の段階などでは審査されないことになっております。そのため、外観や内装のデザインの決定前に特許庁のホームページなどで他者の権利に触れていないかどうかを確認するよう勧めておるわけでありますけれども、そして、意匠登録、いわゆる登録意匠を模倣した建築物では、権利者が排除を求めるかどうかの判断をした上で、侵害建築物の所有者などに警告状を送り、あるいは建築物の排除や差止め請求が可能とされております。 これらはこれまでの日本には存在しない概念でありながら、その保護権は強力であり、また、店舗の内装や外観とされる個人の小規模商店から大型店舗まで、その適用対象物と関係者は膨大となる、法律は知らなかったでは済まされないわけでありまして、しかし、本法では善意の第三者である所有者が重大な罰則を受ける可能性も想定されるわけであります。 そこで、本改正について周知徹底が非常に重要となりますけれども、どのようにその方法を考えているのか、お伺いいたします。
○政府参考人(澤井智毅君) お答えいたします。 まず、意匠の審査は、出願された意匠の新規性や創作非容易性等の観点から行うものでございます。したがいまして、建築確認の申請段階か否かにかかわらず、独立して審査を行うことができます。 ただいまいただきました、どのように周知をするかにつきましてでございますが、今後、法案が成立した際には、施行までの間にウエブサイトやパンフレットなどによって分かりやすい情報を発信するように努めます。また、全国の主要都市での説明会や、全国四十七都道府県に設置されております知財総合支援窓口の相談員を通じて情報提供などをすることによって、建築業界の皆様やあるいは弁理士を始めとした多くのユーザーの皆様に、制度やそして審査の基準、こうしたものの周知を図ろうと考えております。
○石井章君 ありがとうございます。 それでは、敬意を持って最後に大臣に質問したいと思います。 特許法の改正に関連しまして、知財の権利の故意な侵害に対する懲罰的賠償制度についてお伺いいたします。 アメリカでは損害金の三倍まで反則金として取った判例がありまして、韓国でも今年の一月に最大で損害額の三倍まで損害賠償責任を負わせる懲罰制度が制定されました。また、中国ではこれまでの上限の三倍を五倍まで引き上げるという案が検討されております。 いずれも、これまでの賠償算定では実際の損害金額を下回って、その結果、侵害した側が得をするという状況が続いてきたわけでありますけれども、そのため、今回の法律が大変重要になってくるわけでありますが、我が国には懲罰的賠償責任制度のようなものがなく、その制定を求める声が多いわけでありますが、その反面、一部の大手企業や日本知的財産協会は導入に強く反対しているところもあります。その主張、懲罰的損害賠償制度の導入よりも社会から特許保護者への価値の適正な還元が最優先すべきだという理屈には一定の理解はできます。しかし、国際社会から見れば、日本は知財の権利を正当に守ろうとしない国であるとの印象を少なからず受けていることは事実であります。 安倍総理が標榜します、我が国がアジア太平洋地域に自由かつルールに基づいた公正なマーケットづくりにリーダーシップを発揮していくと。ならば、国際社会にとっても懲罰的賠償金制度の導入を早期に実現すべきと考えますけれども、世耕大臣の考えをお伺いします。
○国務大臣(世耕弘成君) この特許制度における懲罰的賠償制度につきましては、御指摘のように、現在、アメリカ、台湾ではもう既に、悪質な事案に対して損害賠償額を引き上げるという目的で、損害賠償を実損の三倍にすることを認めるという制度がもう既に導入済みであります。また、中国、韓国でも同じような動きが進んでいるわけであります。ただ、逆に、ヨーロッパでは、EU指令で懲罰的賠償制度自体は否定をされているという。ですから、世界でもちょっと取り組み方にいろいろあるのかなというふうに思っております。 今回の見直しに当たっても、悪質な侵害を抑止する観点から懲罰損害賠償制度の導入についても検討が行われました。しかし、今お話あったように、経団連等、一部産業界からは、これが濫用されることにつながるんじゃないかという懸念の声もありまして、賛否両論の議論があったというわけであります。 いずれにしても、三倍計算をこれ将来導入するとしても、そもそも根っこの一倍の部分が日本はまだ低いという状況で、ここが低いと幾ら三倍で計算をしても抑止力にならないという面がありますので、そしてまた、この三倍を導入してしまいますと、日本企業に対する海外の高額な懲罰賠償判決を日本で執行しなければいけないということになってしまうわけであります。そういう意味でも、まずはこの一倍部分の根っこのところを充実をさせるということで、今回は損害賠償額の算定方法を見直すことにさせていただきました。 今後も、諸外国の動向や今回の見直しの運用状況、効果などもよく見ながら、懲罰賠償制度についても引き続き議論を深めてまいりたいというふうに思います。
○石井章君 御丁寧な御答弁ありがとうございました。 これで質問を終わりにします。
○岩渕友君 日本共産党の岩渕友です。 特許法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。 ここ十年、世界の特許出願件数は約一八〇%と高い伸び率を示している一方で、日本の出願件数はマイナス二〇%と減少傾向にあります。中でも中小企業の出願件数の割合は一五%にとどまっていて、米国の二六%、中国の七〇%と比べても大きく水を空けられています。 日本の物づくり技術は世界に誇る技術であり、中小企業の優れた技術に支えられています。けれども、労力やコストを掛けて特許を取得しても、侵害が容易で、立証が困難、侵害を抑止しにくいことに加えて、訴訟の費用が損害賠償額を上回る可能性が高いということで、中小企業団体からもそういった問題点が指摘をされてきました。 今回、特許法の改正で創設をされる査証制度によって証拠収集手続が強化されるということは、特許権者の権利の保護と悪質な特許侵害行為の抑止につながるものです。損害賠償額の算定について、これまで認定をされなかった権利者の生産販売能力を超える部分の損害についてライセンス料相当の損害賠償額が認められることになりましたけれども、これは中小企業やベンチャー企業の損害賠償額の引上げにつながるものです。 現在、米中貿易摩擦との関係でも、知的財産、技術貿易が重要なテーマになっています。 資料の一を見ていただきたいんですけれども、これ、主な国の技術貿易収支の推移のグラフです。これ見ていただければ分かるように、日本は、九〇年代以降右肩上がりに上がっていて、アメリカに迫る勢いになっています。 じゃ、この実態がどうなっているかということで、資料の二を見ていただきたいんですけれども、例えば二〇一五年度を見てみると、親子会社間での技術貿易の輸出額が全体の約七五%にも上っていると。これは、この間、主に海外に生産そして開発の拠点を移転をしている日系多国籍企業のグループ内での取引が大部分を占めているんだということを示しています。親子会社の定義が幅広く取られているアメリカでさえも、その割合がおよそ半分程度であることと比較をしても、この日本の大企業の特質だと言えます。 昨年、我が党の笠井亮衆議院議員、そして辰巳孝太郎参議院議員と物づくりの町である東京都大田区の蒲田に伺って話をお聞きしてきました。大田区の産業集積は、バブル崩壊後、リーマン・ショックを経て深刻な状態が続いていると。さらに、東日本大震災で下請企業の絞り込みと海外移転が進行をしている、メーカーが中国で生産をするようになって、大田の町工場から金型、図面、職人を持っていかれた、メーカーは現地のサムソンやLGの下請に仕事を教えろと言ってきたと、こういう話を聞いたんですね。この方は勇気を持ってそれはできないということで断ったそうなんですけれども、誰でも断れるというわけではありません。さらに、大田区の町工場では、納品書の前で首をつるだとか車中での自死が起きていると。大田区内の製造業は五〇%以上が貸し工場、大田区内で年間百八十件ぐらいが廃業をしていて、日本から中国に二万三千社が出ていって、雇用が一千万人分失われたと言われている、こういうお話をお聞きしたんですね。 それで、大臣にお聞きするんですけれども、企業が海外進出することによって町工場の技術が海外に持っていかれて、言わば産業技術の空洞化が起きている、それに伴って雇用が減って工場がどんどん廃業する、こういう在り方でいいのか、大臣の認識をお聞きします。
○国務大臣(世耕弘成君) やはり経済はグローバル化をしてグローバル競争が激化をしているという面が、これはもう避けて通れない。しかも、日本は人口減少で国内のマーケットが縮小しているわけでありますから、そういう環境の中で日本の製造業が生き残りを懸けて海外を含む最適地で生産を行って海外マーケットを獲得をしていくということは、これはある程度必要な経営判断ではないかというふうに思っています。 実際に、日本の製造業の海外生産比率は過去二十年弱で二倍以上となるなど増加傾向を続けていますけれども、多くの企業では、一方で技術の空洞化ということを生まないように、競争力の源泉である技術力、例えばマザー工場や基幹部品生産などは国内に残しながら海外展開を続けてきたというふうに認識をしています。 一方で、海外へ展開をする企業の大きな原因がやはり円高と高い法人税率、これがあったわけであります。こういう環境ではやはり海外に行かざるを得ないという面もあったと思います。これはまさにアベノミクスの効果もあって、円高、高い法人税率というのは今解消されつつあります。また、新興国における人件費の上昇ということもありまして、最近では、逆に生産を国内に戻している企業も一割程度出てきているところであります。 また、今お話のあったいわゆる中小企業の工場が廃業しているということについては、これは経営者が高齢化しているとか業績の悪化など様々な要因がありまして、必ずしも大手の製造業が海外展開したからそれが原因で廃業ということになるわけではないのではないかというふうに思っています。 いずれにしても、引き続き、日本の製造業の動向を注視しながら、必要であれば必要な施策を講じてまいりたいと思います。
○岩渕友君 物づくりの現場をしっかり守っていく、中小・小規模事業者を守っていくということは非常に重要なことだということなんです。 蒲田では、小型風力発電機の開発現場も見せていただいたんです。リーマン・ショックの後、仕事量が激減をしたということを受けて、経営を継続していくためには仕事おこしをしなくちゃいけないということで、町工場の仲間の皆さんが十数社集まって小型風力発電機の開発をずっと進めてきているんですね。この小型風力発電機は、出力が三十ワットから百ワット級の発電機ということで、小型の中でも超小型と言えるぐらいとりわけ小さいものなんです。一般家庭向けでベランダに置くとか屋上に設置する、こういうことが検討されていて、中小企業であるとか、あと公共施設の補助電源としても活用できるんじゃないかということで、災害時にも活躍するということが想定されています。 風力発電機ですけれども、約一万点から二万点という多岐にわたる部品から構成されているということがあって、その部品点数は自動車であるとか家電製品並みだと言われていますけれども、この部品点数が多いということが町工場の仕事おこしにつながりやすくなっています。そして、物づくりの技術的基盤を守って、さらに自然エネルギーの活用の新産業を生み出すことにもつながるものになっています。この取組の中で、廃業すると言っていた方も、もう少し頑張ろうじゃないかというふうに気持ちが変化してきているというお話も聞きました。 それで、また大臣にお聞きするんですけれども、大臣はこの大田の町工場というのは行かれたことはあるでしょうか。下請というだけじゃなくて、今紹介をしたように自力で開発まで行う、こういう取組を応援する必要があると思うんですけれども、どうでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 残念ながら大田の町工場は行ったことないですけど、墨田の町工場とか東大阪の町工場は行ったことがあります。和歌山の町工場も行ったことがあります。 ただ、今おっしゃるように、いわゆる下請に甘んじ続けるのではなくて、自ら創意工夫を生かして、新しい製品とか今後成長が望まれる分野に進出をして自ら直接販路開拓をしていくということ、この取組は極めて私は重要だと思いますし、日本の経済活力維持強化の観点からも重要だと思っています。 私も何人か、地域未来牽引企業などの中で、経営者で、そういうマインドで、もう大企業に納めなくて直接海外と自分たちが、自分の地域で作った製品を海外に展開していきたいんだというような志を持った経営者、多数知っておりますし、また、ものづくり補助金などを利用してこういった取組をしっかりと応援をしてきたところでもあります。今、例えば、ものづくり補助金を受けた十人規模の金属加工の会社が、単なる下請の金属加工だけではなくて、災害のときに運搬器具として使える看板を製造、販売してうまくいっているというような事例も出てきているわけであります。 こうした取組を引き続きしっかりと応援をしてまいりたいというふうに思っております。
○岩渕友君 大田にも是非足を運んでいただければなというふうに思います。 一方、大型の風力発電施設の建設が陸上でも洋上でも進められています。昨年、福島県沖で行われている浮体式の洋上風力の発電システムの実証研究事業の調査に行ってきました。海外では着床式の洋上風力発電施設が主流ですけれども、日本では遠浅の海域が少ないということで、浮体式の開発が進められています。福島県沖の風力発電施設は全て浮体式で、沿岸部から約二十キロ離れた沖合に出力二メガワット、五メガワット、七メガワットの三基の風力発電施設がありました。現場に行ったときはちょうど台風通過の直後だったので波が非常に高い状態だったんですけれども、発電施設がほとんど揺れていなくて、全く揺れていなくて非常に驚きました。 この福島沖の浮体式の洋上風力発電システムの特許の出願、取得状況がどうなっているか、特許の取得件数が何件か、そしてどのような特許があるのか、紹介をしてください。
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。 現在、将来的な浮体式洋上風力を日本に導入を進めていくための実証事業を福島沖で行っておりまして、今委員の方からございましたように、三種類の浮体、二メガ、五メガ、七メガの風車を建てまして現在実証事業を行っているところでございます。 御質問ございましたこの特許の関係でございますけれども、事業に参画する企業から、PCTに基づき複数か国の特許庁に一括して出願をする国際特許の出願が三件、我が国特許庁を含みます個別国への出願が二十三件ございます。そのうち既に、国内が十四件、国外で十四件、合計二十八件の特許を取得している状況になっていると承知してございます。 この特許の発明の内容でございますけれども、浮体式の風力発電の装置及びその組立て方式や管理システムに関するもの、また洋上風力用の浮体構造物及びその設置や係留、制御に関するもの、さらには、この洋上風力用の海中のケーブルですね、このケーブル及びその保護や接続に関するものといったものがその内容となっていると承知してございます。
○岩渕友君 今紹介いただいたように、新たな技術が生み出されているということなんですよね。 この七メガワットのふくしま新風は撤去されることになりました。これ、なぜ撤去されることになったのでしょうか。
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。 福島の事業について申し上げますと、三種類の浮体、従来行っておりました二メガワットの風車に加えまして、将来の大型化に向けて今までになかった技術、すなわちダウンウインドの五メガワット、そして油圧式の七メガワットという風車についての新しい技術の実証に取り組んできたところでございます。 特に、今御質問ございました七メガワットの風車について申し上げますと、洋上風力の風車がだんだん世界的に大型化を世界が競争して挑戦している中で、従来のギア、歯車の形での風車ではどうしても故障が増加していく可能性がある、また、洋上で部品交換がなかなか難しいものですから、油圧式という新しい技術に挑戦するという観点から、これを採用して実証研究を行ってきたところでございます。 これは世界で初めての技術、先駆けた実証研究であったわけでございますが、事業を実施していく中で、油圧式のコアな部品の構造的な課題、これはオリフィスという部品の部分なんでございますが、ここの課題が顕在化いたしまして、関係技術者の中で改善策を検討したわけでございますが、十分な効果を持つ対策が短期的に見付かることがなかなか難しいということで、昨年八月に専門家による第三者委員会の中で検討いただき、実用化に向けた開発の継続が困難であると、こうしたことで、高額な運転維持費の中で、撤去の準備を進めるのが妥当という提言をいただいたところでございまして、この評価を踏まえて、経産省として、七メガワット風車の発電を停止し、安全かつ低コストな撤去方法の検討を十分に行った上で可能な限り早期に撤去することを目指しているという、こういう状況でございます。
○岩渕友君 二〇一五年七月の長期エネルギー需給見通しでは、二〇三〇年度の再生可能エネルギーの電源構成比率は二二から二四%、その多くが太陽光と水力で、風力は僅か一・七%です。 昨年七月に閣議決定されたエネルギー基本計画では、再生可能エネルギーを主力電源としました。再生可能エネルギーの導入拡大を進める鍵の一つが洋上風力発電です。同時に、主力電源化というのであれば、あらゆる施策を総動員する必要があります。 このふくしま新風の建設費用、維持管理費、どのぐらい掛かったかというと、建設費用は百五十二・一億円、維持管理費が平成二十九年は二・五億円、三十年は〇・六六億円となっているんですね。さらに、銚子沖と北九州沖でもNEDOの事業として洋上風力発電があるんですが、このNEDOを通じて銚子沖には三十九・六億円、北九州沖には二十五・七億円ということで、大型の洋上風力発電にはこれだけの国費が投入をされているということになっているんですね。 一方、先ほど紹介をした蒲田の小型風力発電ですけれども、財源がなくて材料費を自己負担しながら試作の一号機を作製したと。二号機の作製には大田区の補助金を活用したんですけれども、三号機の開発費は却下をされたということでした。 そこで、大臣にお聞きするんですが、この大型の風力発電だけじゃなくて、蒲田のように超小型のものも含めた小型風力発電機の開発に補助金などの後押しが必要じゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) まず、大型風力は、やはりこの日本の地形その他を考えたときに、特に洋上風力はかなり有望な分野でありますので、ここにはしっかり注力をしていきたいと思っていますが、一方で、例えば中小企業やベンチャー企業がチャレンジをする小型風力も我々はしっかり応援はしていきたいというふうに思っております。 特に、中小企業やベンチャー企業が再エネの低コスト化に貢献できる技術シーズを持っているというケースはたくさんあるわけであります。これらを幅広く発掘をして、関連技術の開発、実用化が促進をされ、再エネの導入拡大、さらには新しい産業の創出にも資するんではないかというふうに思っています。 経産省では、これは、いわゆるものづくり補助金によって中小企業による製品開発のための設備投資支援などを行ってきているわけでありますし、それに加えて、戦略的基盤技術高度化支援事業、いわゆるサポイン事業によって中小企業による産学官連携の研究開発も支援をしています。さらに、再エネ関連の技術開発に特化したものとして、社会課題解決のための先進的な技術シーズを中小企業、ベンチャー企業が発掘、事業化することを支援するための事業も存在をしておりまして、実際に小型風力発電関連の採択事例も存在をしているわけであります。 引き続き、こういった取組で中小・ベンチャー企業による再エネ関連のチャレンジも支援してまいりたいと考えています。
○岩渕友君 蒲田では、小型風力発電設備の作製に当たって品質や安全性を証明するようなものが欲しいんだという話も聞いてきました。 特許庁が出している二〇一〇年度の風力発電特許出願技術動向調査報告書には、ラベリングのような簡易な認証制度などを設けつつあると書いてあるんですけれども、その後どうなっているでしょうか。
○政府参考人(松山泰浩君) お答え申し上げます。 今委員から御指摘ございました二〇一〇年度の報告書の中にございます小型風力発電の性能や安全性を担保するためのラベリングのような簡易認証制度でございますけれども、この報告書が公表された後に、その年の十一月に、業界団体、日本小形風力発電協会によりまして、国際規格を参考としつつ日本の事情に応じた日本独自の規格が策定されてございます。 これに併せまして、その年の十二月に、今度は一般社団法人日本海事協会によりましてこの規格に関する認証制度が導入されてございます。すなわち、この業界規格及びISO、JISの標準規格といったものを、あっ、済みません、先ほど申し上げました日本海事協会は財団法人でございました。失礼しました、訂正いたします。財団法人日本海事協会によりまして、業界規格及びISO等の標準規格を満たしているかどうかを証明する認証制度が導入されております。 これによりまして、小型風車の型式認証制度、これをクラスNK型式認証というようでございますけれども、が開始されまして、これにより、より分かりやすい形で簡易にその性能と安全性が確認できるような仕組みが導入されてございます。 また、現在、FIT制度を通じて導入の促進が図られているわけでございますが、この法律の制度の中でも、認定を行おうとする設備が安定かつ効率的に発電を行うために適切な構造であるかどうかを見ることになってございまして、この制度の当初から二十キロワット未満の小型風車に関しては当該型式認証の取得が求められているところでございまして、こういうことを通じまして、認証制度の活用により、性能、安全性の確保、これが確保できているかどうかということが分かりやすく見れるような仕組みが既に導入されているところでございます。
○岩渕友君 超小型のものも含めて品質を保証することが必要で、それが後押しになるということです。 この洋上風力発電をめぐっては、四月から海域利用法が施行をされて、海域での長期占用が可能となりました。全国には、沿岸から三キロも離れていないところへの設置計画もあって、住民の不安が高まっています。 今、基本方針案に対するパブコメが終わって、今後基本方針が出されると思います。方針案では、協議会での合意形成の方法について、地域、利害関係者などの意見は特に尊重することとして、連携、十分な意思の疎通、丁寧な協議などが重要だというふうにしています。地域、利害関係者などの中には地域住民も含まれるということでいいでしょうか。大臣に。
○国務大臣(世耕弘成君) 洋上風力発電を含めて、再エネを主力電源にしていくためには、日本のエネルギー供給の一翼を担う長期安定的な電源に育てていくことが重要でありまして、地元住民の御理解をいただきながら、息の長い発電事業を進めていくことが必要だというふうに思っています。 二〇一七年四月施行の改正FIT法では、再エネ事業者に対して地元住民と適切なコミュニケーションを図ることを努力義務として新たに求めています。このコミュニケーションを怠っていると認める場合は、事業者に対して住民理解が得られるよう話合いを進めるべきと指導を行ってきているところであります。 これに加えて、洋上風力については、二〇一九年四月施行の再エネ海域利用法において地元住民の意向が十分に反映される仕組みが用意をされています。 具体的には、洋上風力の促進区域指定に当たっては、当該区域を公開し、地元住民を含め広く意見書の提出を受け付けるとともに、区域指定や発電事業について議論するため、経産大臣、国交大臣と知事を主要構成員として、必要な地元関係者も参加できる協議会を設けることとしておりまして、こうしたプロセスを通じて地元住民の意向はしっかり反映されるものと考えております。
○岩渕友君 今、必要と認める者が入ることができるという話があったんですけれども、例えば自治会の区長さんであるとか、直接影響を受ける住民が認められれば入ることができるということでいいでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) それは案件ごとによって、地域事情いろいろあると思いますから、地域住民の声をどういう形で聞き取る、集約するのがいいかというのはケース・バイ・ケースではないかというふうに思います。
○岩渕友君 先ほど大臣も言ったように、住民の理解であるとか合意であるとか、そういったことが非常に重要だと思いますので、そこを大切に進めていくことが必要だということを述べておきたいと思います。 次に、意匠についてお聞きするんですけれども、今回の改正では、意匠制度がこれまで物品に限っていた保護対象をウエブ画面上のデザインや投影された画像、建築物の外観や内装デザインなどに拡大することになります。それに伴って出願登録件数が増えると思うんですけれども、どれぐらい増えることを見込んでいるんでしょうか。
○政府参考人(宗像直子君) 今般の改正案、ユーザーニーズに応えた内容でありまして、したがいまして、この対象を拡充した後は、出願を増やしたいというユーザーのお声もありますので、件数は一定増加していくということが見込まれるわけでありますけれども、一方で、出願は出願人の経営判断に基づくものでありまして、企業の中でも知財分の予算が固まっているとか、なかなか制度が変わったからこれだけを増やすというふうにもいかない部分もあるようでございまして、具体的にどのぐらい増えるかという水準を予測するのはなかなか難しいかなと思っているところでございます。
○岩渕友君 予測するのは難しいということですけれども、増えるということは明らかなのかなと思うんですね。 では、審査体制がどうなっているのかということで、資料の三を見ていただきたいんですけれども、日本の意匠登録出願件数は年間約三万件で今推移していると。それに対して、意匠の審査官が二〇一七年度で四十八人ですよね。一人の審査官の負担が大きいと思います。 資料の四も御覧ください。特許審査官は、じゃ、どうなっているかというと、これ日米欧中韓の特許審査官数の推移なんですけれども、日本は横ばいのまま推移をしているんですね。 次に、資料の五も見ていただきたいんですが、これ、日米欧の特許庁の審査官一人当たりの一次処理件数です。日本は任期付審査官を含めても一人当たりの処理件数が圧倒的に多くなっています。 政府は、特許審査期間の迅速化だと、世界最速、最高品質の特許審査の実現ということを目標に掲げているわけですけれども、ちょっと審査官の負担が余りにも重いのではないかと。現場の審査官の奮闘に支えられているのが実態だと思います。 特許審査官そして意匠審査官、増やすべきではないでしょうか、大臣。
○国務大臣(世耕弘成君) こうやって数字を見ると、改めて日本の特許審査官、またこれから意匠審査官も範囲が広がるわけでありますから、なかなか負担が重いというのは、これはもう現実だというふうに思います。 ただ一方で、すぐ人数が増やせればいいんですけれども、なかなかそういうわけにもいきませんので、例えばITのフル活用とか、あるいは一部業務を外注するということも含めた改革はしっかりやっていきたいというふうに思います。その上で、更に必要ということであれば、審査官の確保にもしっかり努力をしていきたいというふうに思います。
○岩渕友君 特許の専門性があると。審査官には高い知識と経験が求められていますので、現場の声をよく聞いて、早く審査官を増やしていただく、そして経験豊かな審査官を育てていくことが必要だということを述べておきたいと思います。 最後に、秘密特許に関わって質問をします。 日本の特許制度は公開を基本としています。けれども、日米防衛特許協定に基づく協定出願によって秘密特許が存在をしています。これ極めて重大なことです。協定出願の秘密解除が行われて公表されたものが何件あるかとお聞きをしたら、九十九件だというふうに聞きました。 秘密特許があるということは、例えば、多額の研究開発費を投入して開発した商品が、売り出そうと思ったら既に特許が出願されていて売り出すことができないということが起こり得るのではないかと思うんですね。実際、秘密解除で公表されたものを見てみると、マイクロ波装置、こういったものがあって、マイクロ波は電子レンジでも使われているものですよね。 特許制度は、公開することで投資が重複することを防止して、科学技術や産業の発展を促進する役割を果たしてきたと。秘密特許は、この産業の発展や事業の促進とは根本的に矛盾をするものだということです。日本の特許制度に穴を空けて日本の企業に莫大な損失をもたらすやり方をこのままにしておくということは、産業の発展を妨げるということになります。 ところが、防衛省の二〇一四年の防衛生産・技術基盤戦略では、新たに秘密特許制度を検討していくというふうにあります。 大臣にお聞きするんですが、防衛省から検討要請はあったのか。どのように対応しているんでしょうか。
○国務大臣(世耕弘成君) 検討要請はありませんということでございます。
○岩渕友君 秘密特許は、産業の発展や事業の促進とは根本的に矛盾をするものです。秘密特許制度の検討はやめるべきだということを述べて、質問を終わります。
○委員長(浜野喜史君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 特許法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(浜野喜史君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、浜口君から発言を求められておりますので、これを許します。浜口誠君。
○浜口誠君 私は、ただいま可決されました特許法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・国民の声、立憲民主党・民友会・希望の会、国民民主党・新緑風会、公明党及び日本維新の会・希望の党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 特許法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一 我が国産業の国際競争力強化やイノベーション創出等の重要性に鑑み、特許法等の知的財産制度が有効に機能し、その役割が十分に果たされるよう、諸外国における制度改革の進展に適切に対応しつつ、制度の不断の見直しを行うとともに、制度運用の実効性を注視していくこと。 二 新たに創設される査証制度については、営業秘密等の保護に留意しつつ、必要な査証が適切に実施され、実効的な権利保護が図られるよう、その運用について適宜検証し、必要な見直しの検討を行うこと。 三 いわゆる「懲罰的賠償制度」及び「二段階訴訟制度」の導入については、諸外国の動向も注視しつつ、引き続き検討すること。 四 意匠権の保護対象の拡充に当たっては、クリアランス負担の軽減や十分な審査体制の確保に努めること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(浜野喜史君) ただいま浜口君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(浜野喜史君) 全会一致と認めます。よって、浜口君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、世耕経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。世耕経済産業大臣。
○国務大臣(世耕弘成君) ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。
○委員長(浜野喜史君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(浜野喜史君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時十九分散会