法務委員会 第19号
- 発言数
- 211 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2019/05/24
会議録
○葉梨委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官田中勝也君、法務省民事局長小野瀬厚君、法務省刑事局長小山太士君、出入国在留管理庁長官佐々木聖子君、外務省大臣官房審議官岡野正敬君、文部科学省大臣官房審議官矢野和彦君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君及び厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○葉梨委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局刑事局長安東章君及び家庭局長手嶋あさみ君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○葉梨委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤野保史君。
○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。 先日、二十二日の参考人質疑というのは、大変、私自身、認識が深まりました。その際、複数の参考人から、児童養護施設等の処遇の改善も必要という意見をいただきました。法案に入る前に、この問題についてお聞きをしたいと思います。とりわけ、実態の把握という点で幾つかお聞きをしたいと思っております。 まず、外国人の子供の実態把握についてお聞きをしたいと思っております。 配付資料の一を見ていただきたいんですけれども、これは、東京都の児童相談所が調査をされている、調査といいますか報告されている実態概要というものの二〇一八年度版であります。 児童又は親の少なくとも一人が外国人である相談を外国人ケースとして集計をしているわけですけれども、それによりますと、これを見ていただきますと、養護相談というものが、この棒グラフなんですけれども、やはりこの間、二〇一三年から二〇一七年の間にほぼ倍になってきているということであります。二〇一三年は六百十四件だったんですけれども、二〇一七年度は千二百四十四件ということでありまして、こうした実態を東京都は把握をしているわけです。 厚労省にお聞きしたいんですが、やはり、全国的には、こうした社会的養護を必要とする外国人の子供の実態というのは把握されているんでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 児童養護施設に入所している外国にルーツを持つ子供の人数につきましては、全国的には、私ども把握はしてございません。 外国にルーツを持つ子供を含めて、子供の個別のニーズに対応するということは重要であると考えておりまして、厚生労働省といたしましては、個別の対応が必要な子供への対応を行う職員ですとか、あるいは心理的、医療的なケアが必要な子供に対する専門的ケアを実施する心理担当職員や看護師の配置の加算など、こういったことで配置を促進しておりまして、個別的な対応が必要な子供に対して適切な対応ができるように、必要な支援に取り組んでいるところでございます。
○藤野委員 後半の方は後でまた聞く予定なんですが、まずは、実態は把握されていないということであります。 配付資料の二、裏を見ていただきますと、これは全体の個別の中身がわかる資料なんですが、二十九年度、二〇一七年度でいいますと、全体は千七百四十四件なんですけれども、このうち施設入所というのは七十九名で、傾向としては大体八十数名とか七十数名ということで、施設入所自体は、こういう規模で一応推移しております。 ただ、右側の方に行くと、助言というものが、例えば、二十五年度は六百十一件だったのが、二十九年度、二〇一七年度は千三百八件ということで、やはり相談がふえているということが中身としてはわかると思うんです。 そのうち、やはり養護相談というのが非常に多いわけですけれども、これはちょっとこのページには載っていないんですが、この養護相談のうち、二〇一七年、千二百四十四件なんですが、このうち、被虐待、要するに虐待を受けているというものが千二十六件、東京の調査ではある。ですから、相談のうち、虐待にかかわるものが八二%なんですね。 これは東京の事例ではありますけれども、やはり外国人の子供にとっても、虐待の問題というのが深刻なんじゃないだろうかということをうかがわせる調査だというふうに思っております。 厚労省にお聞きしたいんですが、今後、今はされていないということなんですが、やはり虐待の問題についても、外国人の子供というのが深刻な可能性があるわけですから、個別の対応とおっしゃいましたけれども、前提として、国としてもこうした調査を行うべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 委員御指摘の点でございますが、厚生労働省といたしましては、児童養護施設等においても、できる限り家庭的な環境となるように、小規模かつ地域分散化を進めているということでございます。こうした取組を進める上で、施設に入所している子供の実態を把握することも重要であるというふうに考えております。 ですので、外国にルーツを持つ入所中の子供についても、把握の必要性ですとか、どのような方法があり得るのかなどにつきまして、検討はしていきたいというふうに考えております。
○藤野委員 ぜひこれはやっていただきたいというふうに思います。 中日新聞のことしの四月一日の報道では、中日新聞は調査をされたんですね。全国ではなくて、中部地方を中心とした九県、愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀、石川、富山の百四の児童養護施設についてアンケート調査をされていまして、このうち九十四施設から回答があった。その回答によりますと、外国籍かあるいは無国籍かという子供が八十七人入所していたことがわかったということなんですね。これは、九十四施設の入所者全体の二・四%だということであります。 ただ、これは報道だけでは、数はわかるんですけれども、国籍もわかるんですが、何で入所をされたのかということがよくわからない、うかがい知れないということで、あるいは相談のこととか、東京の調査などでわかっている中身まではなかなか伝わってこないという面もありまして、やはり、こうした実態をつかんでいく必要がある。 この調査によりますと、施設の側としては、通訳の力をかりたいという要求がかなりあるそうであります。当然だと思うんですね。子供ですから、そもそも言葉にできにくいということもありますし、さらに、話を聞こうと思ったらば通訳が必要だということでありますので、ぜひ、こうした要望も上がっておりますので、厚労省としては、実態把握、そしてそれに基づいた対策というのをやっていただきたいと思っております。 法務大臣にもちょっとお聞きしたいんですが、やはりこれは、現状でも急増している、東京の調査ではありますが、ふえております。今後、更に大臣のもとで外国人の受入れが拡大していくということでありますから、政府全体としても、こうした外国人の子供のやはり社会的養護の必要性の実態等を把握していく必要があるというふうに思います。どのようにお考えでしょうか。
○山下国務大臣 社会の国際化が進展する中で、我が国に居住する外国人が更に増加し、議員御指摘のとおり、社会的養護を必要とする外国人の子供が増加していくことも予想されているところでございます。 社会的養護を必要とする者を含め、誰一人取り残されることがない社会を実現することというのは、政府としても重要な課題であると認識しておりまして、御指摘のような調査の必要性も含め、厚生労働省を始め関係府省庁と連携して検討してまいりたいと考えています。
○藤野委員 その上で、厚労省に重ねてちょっとお聞きしたいんですが、参考人から、今厚労省が進めている小規模化との関係で、小規模化はそれ自体必要なんですけれども、しかし、例えばですが、影山参考人は、小規模化すれば当然のことながら職員の人数も少なくなる、大きな施設であれば何十人という職員で、場合によってはみんなでバックアップしてやっていけるのが、小規模化することによって少ない人数で対応しなきゃいけない、ましてや経験年数が非常に短いということで、より困難になってまた職員がやめていく、こういう悪循環に陥っている、そういうところもあるという指摘がございました。 厚労省としては、先ほどちょっとお触れになりましたけれども、この点について、職員の経験不足の問題も含めて、悪循環という指摘、これはどのように改善していこうとされているのか、御答弁ください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 児童養護施設等の施設の小規模化についてのお尋ねでございました。 施設の小規模化につきましては、個別の対応が必要な子供への対応を適切に行うという観点から重要な政策課題であるというふうに考えておりまして、そのため、施設の職員の配置等につきましても充実を図ってきているところでございます。 例えばでございますけれども、個別の対応が必要な子供への対応を行う職員の配置ですとか、それから、やはり、子供の障害がある場合、あるいは医療的なケアが必要な場合ということもふえておりますので、心理的、医療的なケアが必要な子供に対する専門的なケアを実施する心理療法担当職員や看護師を配置する場合の加算の措置、それから、小規模な施設につきましては、今年度、プラス一人、常勤で加配をするというような予算についても確保しているところでございます。 また、今年度中に、都道府県におきましては社会的養育の推進計画を策定をいただくということにしておりますので、各都道府県におきまして、そういった施設での取組ですとか県での支援体制、こういったことについても計画を定めていただくというふうにしておりますので、こういったことを、全体として取組が進むように厚労省でも支援を進めていきたいというふうに考えてございます。
○藤野委員 配置の問題がございました。ぜひ進めていただきたいんですが、同時に、影山参考人は、配置してもなかなか定着しないという話もありまして、二、三年でやめてしまう実態もあるという指摘もありましたので、やはり待遇改善という要望もありました。ですから、そういうことも含めて、あるいは研修等もあると思います、ぜひ検討いただきたいと思います。 あわせて、伊藤参考人からは、児童養護施設なんですけれども、やはり地方公共団体の施設になっているということで、別の県との関係で連携がなかなか難しいという指摘もされておりました。事案によっては親との距離をとらせたいということがあるんだけれども、なかなか神奈川から別の県へということが実務の上では難しいというふうに伊藤参考人はおっしゃっておりました。 そういう点で、こうした都道府県の間の児童相談所間の連携ということについては何か検討されているんでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 都道府県間の移動などに伴うお子さんの支援について、切れ目なく行っていくということが非常に重要であるというふうに考えております。 児童虐待の事例におきましても、例えば県間を移動するような転居のケース、その間に支援が切れないようにということは非常に重要な観点だと思っておりまして、児童相談所間での連携ということと、特に、事案についてきっちりと引継ぎを行っていくというふうなことを、現在、児童相談所等に対して周知、指導を行っているところでございます。 こういったことをしっかり取組を進めていくことによりまして、事案について、転居等で移動した場合にも支援が切れ目なく行われること、また、入所措置をする場合にも、やはり県の中だけで対応できるケースばかりではありませんので、この場合、例えば、ある県の児相から別の県の児相に対して協力依頼をするようなこともございます。こういったことも、切れ目がないようにしっかりと指導をしていきたいというふうに考えております。
○藤野委員 入所以前の一時保護の段階でそうしたことが必要ではないかというのが伊藤参考人の指摘でしたので、そこも踏まえて対応いただきたいと思います。 次に、法案についてお聞きしたいと思うんですが、法案では、十五歳に達している場合には、特別養子縁組の成立に当たってその者の同意が必要だということであります。一昨日の参考人質疑の中でも、じゃ、十五歳未満の場合はどうやってその意思を確認していくのか、尊重していくのかということがかなり議論になったと思っております。 大村参考人からは印象的な発言がありまして、十五歳未満については手続の方で従来も対応しているということで、そちらに委ねるという説明をいただいたんですね。グラデーションがあるんだろうという表現もありました。聞き方も年齢に応じてさまざまな工夫が必要だろうということを審議会の場では確認しているということであったんです。 しかし、十五歳未満というのは手続の方で従来も対応しているという話なんですが、従来はほとんどが乳幼児であって、今回のように大きく引き上げていくという場合には、やはりなかなか、従来の発想や方法というのがどこまで対応していくのか。しかも、グラデーションがあるというんですね。 これをどのように法務省として、あるいは厚労省として検討しているのか、ちょっとお聞きしたいと思っております。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 今委員御指摘のとおり、養子となる者が十五歳未満の者である場合でありましても、家事事件手続法の第六十五条の規定によりまして、家庭裁判所が特別養子縁組の成立の審判をするに当たっては、養子となる者の意思を把握するように努め、その者の意思を考慮しなければならないこととされております。 家庭裁判所におきましては、実際にも家庭裁判所調査官による調査等の適切な方法によって子供の意思を把握するように努めておりまして、審判をするに当たっては、子供の年齢や発達の程度に応じて、その意思を適切に考慮しているものと承知しております。 子供の意思の把握でございますが、年齢、発達の程度に応じて適切な方法で行うことになりますけれども、家庭裁判所調査官が養子となる者と面接したり、家庭を訪問して養子となる者の様子を観察し、養親となる者との適合状況を分析したりすることにより、子供の意思を把握していることが多いものと承知しております。 御指摘のとおり、今後、養子となるべき者の年齢の上限が引き上げられますけれども、これまでのこういった家庭裁判所調査官における意思の把握等々、そういった経験、知見を活用して、今後も適切に意思の把握がされていくものだというふうに承知しております。
○藤野委員 今お話がありましたように、やはり家庭裁判所の調査官というのが非常に大事な役割を担ってくると思っております。 とりわけ、現場の調査官、現役の調査官の方にもお話を聞いたんですが、非常にその方が心配されていたのは、告知、つまり、いろいろなケースがあると思うんですけれども、子供の意思を尊重しつつ、どの段階で告知をしていくのか、これを大変気にされていらっしゃいました。 子供にとっては、小さい場合は実の親だとずっと思っている場合もあるわけでありまして、そうしたケースもあれば、そうでないケースもあるということで、逆に、親にとっても、子供との間に血縁関係が知られたくないというケースもあって、この意向調査を拒むことも予想されるというお話もお聞きしました。 ですから、この告知について、とりわけ申立人の、親に理解してもらうということも含めてなんですが、とりわけ告知についてはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 特別養子縁組の養親が養子に対して縁組の事実を知らせる真実告知でございますが、養親からもし知らされないで、養子がみずからその事実を知った場合ですとか、あるいは第三者から真実を知らされた場合などに養子が受ける精神的衝撃を未然に防止して、養子の心理的安定を確保するために必要とされているものと承知しておりまして、養親がこれを行う場合にも、養子の精神面に与える影響等を考慮して慎重に行うべきものであると承知しております。養親はみずからそういったことを自覚された上でこれを実施すべきであって、その実施時期につきましても、基本的には養親自身が適切な時期を選んで行うのが相当であると考えられます。 そこで、養親には、事前に、その告知の重要性ですとか、あるいはこれを行う場合の注意点等について十分に理解をしていただく必要があると考えておりまして、厚生労働省の児童相談所運営指針ですとか民間あっせん機関が適切に養子縁組のあっせんに係る業務を行うための指針におきましても、児童相談所や民間あっせん団体は告知に関する支援をすべきこととされているものと承知しております。 法務省といたしましては、今回の改正案が成立した後は、その見直しの内容はもちろんのこと、特別養子制度自体についても、養親となられる方などに対して十分に周知する必要があると考えておりまして、関係諸機関とも協力しつつ、効果的な周知活動のあり方について検討してまいりたいと考えております。
○藤野委員 調査官の方も心配されていましたけれども、やはり事前のそういう周知しかないんですよね、事前の。やはり事後、皆さんも、参考人もおっしゃっていましたけれども、特別養子縁組だからもう支援はないよということではなくて、成立後も、この告知の問題というのは非常に大きなウエートを占めますし、それ以外にもあるんですが、やはり成立後もしっかりとサポートしていくということがどうしても必要になるというふうに思っております。その点についてもぜひ検討いただきたいと強く求めたいと思います。 その上で、これは伊藤参考人からありましたけれども、子供の手続代理人ということについてお聞きしたいんです。 ちょっと時間の関係で、これについて、この間、二〇一三年以降、大体九十七件ぐらいしか使われていないということなんです。弁護士会による助成制度もあるとは聞いているんですけれども、それがどれぐらい利用されているかという実態はよくわからないというふうに聞いております。 参考人の話では、要するに、夫婦が争って、親権を争っているような場合は、父親は弁護士を立てるし母親も弁護士を立てるんだけれども、肝心の子供が、その間で、激烈な間で声を代弁できる人がなかなかいないという指摘でありました。子供の手続代理人というのはそういうための制度なんですが、実際にはどういう場合につくかというと、対立しているお父さんとお母さんが合意しているとか、あるいは対立しているお父さんとお母さんが費用を出してくれる場合でなければなかなかつかないということであります。 これは、伊藤参考人も言っていましたけれども、国として、やはり子供のために弁護士さんをちゃんとつけるために何らかの改善をしてほしいという要望でありました。大臣、これはもっともだと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 子供の手続代理人についての問題でございますけれども、手続代理人が選任された場合には、裁判所の定める相当額の報酬を手続代理人に支払わなければならないとなっておりますけれども、子に支払う能力がない場合には、手続上の救助の制度によりまして、手続代理人に対する報酬の支払いの猶予を受けることができることとされておりまして、また、この費用につきましては、家庭裁判所の判断によって両親に対して負担させることも可能でございます。 御指摘のように、子供の手続代理人の費用負担について、さまざまな考え方があろうかと思います。例えば、公費で負担するという考え方につきましては、これは私人間の紛争の処理のために要する費用を公費で賄うことについて国民の理解、納得を得られるかなどの問題がありますことから、慎重に検討する必要があるものと考えておりますが、いずれにしましても、家事事件の手続において、みずから事件に関与することを希望する子の手続保障が図られることは重要でありまして、そのためには子供の手続代理人の制度のより一層の活用が望ましいと考えられますことから、引き続き、関係機関と連携しつつ、実務の運用状況を注視してまいりたいと考えております。
○山下国務大臣 今局長から御説明いたしましたけれども、私人間の紛争の処理のために要する費用を公費で賄うということでございますので、まず国民の理解、納得が得られるかという問題もございますけれども、関係機関と連携しつつ、実務の運用状況を注視した上で、更に検討していきたいと考えております。
○藤野委員 これはぜひ前向きに検討いただきたいというふうに思っております。 次に、いわゆる、先ほどもお話がありましたけれども、家裁の役割、とりわけ調査官の役割というのが大変重要になってきているというふうに思っております。 今回、今法案だけではなくて、この法案でいえば、それほど特別養子縁組が爆発的にふえるかどうかは、これはまだわかりません。ただ、これ以外にも、この間、家事事件手続法の改正や児童福祉法の改正、今まさに別委員会でやっておりますけれども、児童虐待防止法、これも改正される見込みですし、当委員会でも、つい先日も、子の引渡しに関する民事執行法改正も行われました。ですから、子供の最善の利益という観点での法改正というのは、この間、連続しているというふうに思うんですね。 ですから、それに伴って家裁やあるいは家裁調査官の果たすべき役割というのも非常に大きく広がっているというふうに思っております。逆に言いますと、家裁や家裁調査官の役割が発揮されなければ子供たちの利益が損なわれかねないという、そこにもはね返ってくる問題だと思うんですね。 最高裁にお聞きしたいんですが、そういう意味で、やはり家裁調査官を始めとした人的体制の整備というのは必要だと思うんですが、増員を検討していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 家裁調査官につきましては、その特色でもあります科学性や後見性を十分に発揮して的確な事件処理を図れるよう、事件動向や事件処理状況等も踏まえまして、必要な体制整備にこれまでも努めてきたところでございますが、具体的には、平成十二年度から平成二十一年度までの間に合計で七十三人の増員を行い、必要な体制整備を行ってきたところでございます。 このような状況のもとで、家裁調査官の人的体制につきましては、家事事件、少年事件の動向やそれから事件処理状況に照らして検討してきているところでございますが、委員御指摘のとおり、今回の特別養子制度の事件処理において家裁調査官が担う役割等、こうしたことの重要性等も踏まえまして、必要な人的体制の整備に引き続き努めてまいりたいというふうに考えております。
○藤野委員 いやいや、それはちょっとおかしいと思うんですね。今、平成十二年から二十一年までで七十三人ふえたと言いましたが、それから十年間、何といいますか、平成二十一年まではふやした、そこでふやして最後なんですね、そこからずっとふえていないわけですよ。その間、家事事件については非常にふえておりますし、虐待については急増しているという状況であります。 今申し上げたように、この間、国会自身が法改正で子供の利益ということに関する法律を何度もつくってきているもとで、家裁調査官の役割がふえているというふうに思うんですが、最高裁には家裁調査官の役割がふえているという認識はあるんですか。
○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 家裁の役割それから家裁調査官の調査の重要性、そうしたものがますます重要になってきているということは、委員御指摘のとおりかというふうに存じます。 そのような認識も踏まえまして、事件の動向、事件処理状況等に照らしまして、引き続き必要な体制整備を図ってまいりたいと思います。
○藤野委員 いや、もう動向は明らかじゃないですか。この間ずっとふえてきているから、我々は、国会としては法的に対応しているわけであります。だから、こうやって議論もされているわけですね。 もう動向ははっきり言って明らかであります。にもかかわらず、二〇〇九年、平成でいえば二十一年以降、家裁調査官は一人もふえていないわけですよ。増員がないわけです。これは余りにも実態とかけ離れているし、我々が法律をつくっても、それをしっかりと運用してもらう調査官がいなければ、結局は子供の利益が図れないわけですから、これはやはりかじを切っていただく必要がある、このことを強く求めたいと思います。 最後に、大臣にもお伺いしたいんですが、やはり、今回の法案というのは運用が非常に、新たな領域といいますか、難しい領域だというふうに思います。 大村参考人は、先日の陳述でこう述べられました。家族法の改正というのは意見が対立することが多く、立案はなかなか難しいのですけれども、今回はとりわけ立場の違いが大きく、取りまとめは難航したというふうに理解しております、さまざまな機会に表明されました懸念に対して十分な配慮を行い、制度が適切に運用されることを期待しておりますというふうに。私も期待はするんですが、しかし、やはり難しい問題ですから、不断の見直しも必要だと思います。 大臣にお聞きしたいんですが、やはり、仮にですけれども、これが成立しましたらば、その後の施行状況をしっかり見ながら、適切な時期に見直しも必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○山下国務大臣 先日の参考人質疑において大村敦志参考人も述べておられましたとおり、今回の改正は、特別養子制度に関する喫緊の課題について見直しを行うものでございます。 法制審議会の議論においても、養子制度に関しましては検討すべき課題が残されているとの指摘がされたということも承知しております。 委員御指摘のとおり、本法律案が成立し、施行された場合には、まずは改正後の特別養子制度の運用状況を注視してまいりたいと考えておりますが、養子制度のあり方については、特別養子制度も含め、必要に応じて引き続き検討してまいりたいと考えております。
○藤野委員 終わりますが、家裁調査官の増員については重ねて強く求めて、質問を終わります。
○葉梨委員長 以上で藤野保史君の質疑は終了いたしました。 次に、遠山清彦君。
○遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。 大臣、参議院に行かれなければいけないということですので、若干順番を変えて、大臣にお聞きしたい質問を二、三して、大臣の適切な時間に御退席をされていただければと思います。 まず一問目ですけれども、今回の改正案に盛り込まれております養子候補者の上限年齢の引上げについてお伺いをしたいと思います。 これまでは、原則として、特別養子縁組の成立の審判の申立て時に六歳未満であること、例外でも八歳未満とされてまいりました。改正案では、これが十五歳未満に引き上げられまして、例外でも十八歳未満までというふうにされております。 このことについて、まず、最も強い御批判として、この対象年齢を引き上げるということが、子供に安定した家庭養育環境を提供し、子供の成長に資するという特別養子縁組制度本来の趣旨から逸脱するものであり、今回のような年齢要件の引上げではなくて、未成年後見制度を利用しやすくするなど、別の対応もあったのではないかという指摘がありますが、これに対する大臣の御見解を伺いたいと思います。
○山下国務大臣 お答えいたします。 委員御指摘のとおり、特別養子制度は、養親と養子との間に実親子間と同様の実質的な親子関係を創設することによって、養子に家庭的で安定した養育環境を提供することを目的とするものでございます。 この点について、今日における発達心理学等の知見によれば、親子関係は子供の年齢によってさまざまに変化するものでありまして、ある程度年長の子供でも、養親との間で年齢に応じた実質的な親子関係を築くことはできるとされております。 このため、今回の改正によって養子となる者の年齢の上限を引き上げても、養親と養子との間に実親子間と同様の実質的な親子関係を創設することによって養子に家庭的で安定した養育環境を提供するという、特別養子制度の趣旨、目的は特に変わることにはならず、その上限を引き上げることが制度の趣旨を逸脱するものとは考えておりません。 また、他方で、確かに、社会的養護の状況下にいる子供さんの中には、養子縁組というよりは、実親の家庭への復帰を図るために、一時的にその子供に対する親権を停止して、未成年後見人による監護を受けさせることが適切である者もいるとは考えられます。 そのような子供との関係では、御指摘のとおり、未成年後見制度を利用することが重要であると考えておりますが、他方で、実親の家庭への復帰が望めない子供については、ある程度年長になっていても、特別養子縁組により家庭的な養育環境を提供することが相当である場合もあるものと考えております。 その意味では、社会的養護の状況下にある子供に対してはさまざまな選択肢を用意することが重要でありまして、本法律案による改正はその選択肢をふやすものであると理解しております。
○遠山委員 今回の改正では、これはあくまでも原則ではなくて例外だとは思いますけれども、やむを得ない事由があるときには十八歳未満まで特別養子縁組の成立が認められているということでございます。 私がお伺いしたいのは、このやむを得ない事由というのは具体的にどのような事由を想定されているのか。やむを得ないといった場合には、子供にとって、養子になる者にとってやむを得ないのか、それとも養親にとってやむを得ないのか、実親にとってやむを得ないのか、このやむを得ない事由といったときも誰にとってやむを得ない事由なのかということもございますし、また、具体的にどういうことを想定してこういう表現で改正をされようとしているのか、御見解を伺えればと思います。
○山下国務大臣 まず、やむを得ない事由の有無は、養子となる者が十五歳に達するまでに養親となる者が特別養子縁組の請求をすることができなかったことについて判断することになります。 例えば、該当例としてどのようなものが考えられるかということでございますが、養親となる者が養子となる者の養育を開始してから間がない、十分な熟慮期間がないうちに養子となる者が十五歳に達した、それまでに養親となる者が請求をすることができなかった場合があります。そうした場合でも、十五歳を超えて機械的に切るというのではなくて、やむを得ない事由ということに当たる場合にはこれに当たり得るものと考えております。
○遠山委員 よくわかりました。そうすると、養親にとってやむを得ない事情があって十五歳を超えてしまうということと理解をいたしました。 大臣への質問は最後になるかと思いますが、次に、特別養子縁組における養親というのは、民法八百十七条の四に基づきまして、一方が二十五歳以上で他方が二十歳以上の夫婦でなければならないとされているわけでございます。 今回の改正によりまして養子となる者の上限年齢を引き上げる、今議論しておりますとおり、十五歳未満、例外として、やむを得ない事由があるときは十八歳未満まで認められるわけでございますが、そうしますと、養子をとろうという親が法律上は二十五歳と二十の夫婦でもいいということになっているわけですので、これが十八歳まで養子にできるということになりますと、養親と養子との年齢が非常に近接する可能性があるということで、ここに問題性はないのか。この点について大臣の御見解を伺いたいと思います。
○山下国務大臣 御指摘のとおり、養親については、その一方が二十五歳以上、他方が二十歳以上の夫婦ということで、民法第百十七条の四では規定しております。したがって、御指摘のとおり、法律上は、養親と養子との間の年齢差が近接するということもあり得ないではないわけでございます。 しかしながら、特別養子縁組の成立は全て家庭裁判所の審判を経なければならず、また、家庭裁判所は、子供の利益のために特に必要があるときに限りこれを成立させることとされております。そうしたことから、家庭裁判所が養親となる者の適格性を審査する際に養子となる者との年齢差も当然考慮されるということも考えられまして、実際には養親と養子との間の年齢差というものが障害として問題となるという事態は生じないものと考えているところでございます。 なお、法制審議会の特別養子制度部会においては、養親となる者の年齢要件の見直し等についても確かに検討が行われましたが、個別具体的な事案に応じ、家庭裁判所が養親と養子との年齢差を考慮するのが適当であるという判断がされ、年齢差に関する要件は設けないこととされたものと承知しております。
○遠山委員 わかりました。法律上可能だけれども、実務というか、家庭裁判所の調査、審判等において社会常識等に照らして適切に個別のケースごとに判断をしていくから、大臣として、余り大きな問題は生じないだろうという御想定だというふうに理解はいたしましたが、これは本当に、これから、改正案が成立したら新しい法律に基づいて実務が行われているわけでございまして、そこで本当に適切にやっていかなければいけないというふうに思いますので、また大臣のしっかりとした指導監督、よろしくお願いをしたいと思います。 では、参議院の方に行かれても結構でございます。 それでは、政府参考人にちょっと伺いたいと思いますが、実親が未成年の場合に、特別養子縁組への同意の主体者にはなれないのかどうかということについてお伺いをしたいと思います。 これは、前回の私の質疑の最後の方で、今回の法改正案で、実親の同意に撤回の期限、二週間ですね、これを設けておりまして、その趣旨と背景、また理由等についても御答弁をいただいたわけですが、私の今の質問の趣旨は、特別養子縁組への同意を通常求められる実親自体が未成年の場合に、同意の主体者になれるのかということをちょっとお伺いしたいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 特別養子縁組の成立には原則として養子となる者の実親の同意がなければならないとされておりますけれども、この同意は身分法上の法律行為でありますため、養子となる者の実親でありますれば、意思能力がある限り、未成年者であっても同意の主体となることはできます。
○遠山委員 そうしますと、年齢だけ見れば未成年ですから成年ではないけれども、実際に子供を持っているという親というところの外形に着目をして、同意の主体者になれるという御判断だと思います。 ただ、当然のことですが、その実の親は未成年ですので、いろいろな意味で経験が足りない、あるいは感情的に不安定になる、そして、自分の子供を特別養子縁組に出すということについての判断がなかなかできにくいということも考えられ得るわけでありますし、そういう状況の中で、今回は二週間という撤回の制限をつける。二週間を超えてしまったら、その後に、やはりやめたということができない、自分が産んだ子供との縁を完全に切ってしまうということを未成年でありながら二週間で決めなきゃいけない、こういう状況になるわけでございます。 そこで、次の質問は、未成年であるがゆえに、その実親自体に親権者とか監護者がいるという可能性は高いと私は思っておりますが、もちろんケースで違うこともあろうかと思いますけれども、こういう同意の主体者になり得る未成年の実親以外の方々の支援というものについてはどういうふうに考えているのか、政府の見解を聞きたいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 この改正案におきましては、特別養子適格の確認の審判、すなわち第一段階の審判をする際には、家庭裁判所は、実親が未成年である場合には、その者の親権者や後見人等の陳述を聴取しなければならないこととされております。 したがいまして、こういった方々は、未成年の実親が同意をするか否かを判断するに当たりまして手続に関与することになりますので、事実上サポートをすることができるものと考えております。
○遠山委員 わかりました。 ぜひ、実親が未成年の場合は、今民事局長の御答弁にありましたように、やはり関係者のサポートがしっかり入った形で適切な判断が行われることを望みたいと思います。 続きまして、今度は法務省と厚労省、両方にお伺いをしたいと思いますが、養親希望者である夫婦の年齢が高い場合ですね。例えば、特別養子縁組で養子をとりたいという夫婦が、例えばですけれども、六十歳以上、お父さんになる人、お母さんになる人が超えているような場合に、私が今まで、養子縁組あっせん法などの策定中に現場の声を伺う機会があったんですが、なかなか、高齢の夫婦の場合は養子縁組あっせんそのものの対象にしてもらえないという声を聞いたことがございます。 私が具体的に聞いたケースは、当時、五十代後半の御夫婦が東京都内のある区役所に行って、特別養子縁組を望んでいるということを言ったら、そこの養子関係を担当している区役所の役人そのものから、いや、もうあなたたちは御高齢なので無理だと思いますよと、いわば事実上の門前払いを受けたということを私に直接訴えてきた方も実際におりました。 そこで、ちょっとここで確認をしておきたいのですが、養親希望者の夫婦について、上限年齢という制限は法律上あるのかないのか。また、法律上はないんだけれども、自治体とか児童相談所とか民間のあっせん機関とか、実務上そういう制限をかけている実態というのはあるのか。この点についてちょっとお伺いをしたいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 まず、法律上の制限についてでございますが、民法におきましては、特別養子縁組における養親となる者の上限年齢についての規定はございません。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 実務上どうかということでございますけれども、厚生労働省では、まず里親委託のガイドラインというものと、それから養子縁組のあっせん法に基づく指針、これは告示でございますけれども、この二つが根拠となるようなものとしてございますけれども、まず、養親希望者が一定の年齢に達していることだけをもって一律に排除をすることはないということを明確に規定しております。 また、その際、子供の成長の過程に応じて必要な気力や体力や経済力、こういったことが求められることになるということは事実でございますので、そういった養親希望者との間で将来の見通しについて具体的に話し合いながら適否を検討しなければいけないというふうに、里親委託ガイドライン及び民間あっせん法に基づく指針双方において規定をしているところでございますので、こういったことをしっかりと周知していきたいというふうに考えております。
○遠山委員 今、法務省、厚労省の御答弁をいただきましたが、くくって言えば、法律上も実務上も養親希望者の夫婦の年齢について特段の制限はないということなんですね。 ただ、もちろん、これは当然、家庭裁判所の審判における個々のケースの判断でいろいろ積み上がりがあると思うんですが、確かに、今までの法律だと六歳未満の小さなお子様が対象だった、そこに六十歳とか場合によっては七十歳の夫婦が養親になりたいと言ってきた場合は、なかなか現実、難しいというのは私は理解をできます。 ただ、今回の法改正で、まさに十五歳未満まで、例外ですけれども十八歳未満まで養子の対象になるということになりますし、それから、新聞等で報道されておりますように、今の六十歳の方というのは三十年前の六十歳の方よりは大分心身ともにお元気だということがデータ上も出ているわけでありまして、ですから、それも個人差がある話ですので、個別のケースで審判するしかないとは思いますけれども、ただ、私、何を申し上げたいかというと、どうも今までは実態上は何となく制限がかかっていて、もう五十五歳とかを超えてきたら特別養子縁組の養親の対象者には事実上ならないという思いを持っている方が実は多いんだと思うんですね。 ただ、今回の法改正の後は、私はそこはもうちょっと柔軟に考える必要があると思いますし、そのことが家庭環境で養育される子供をふやしていくことにつながるという意味においては法改正の趣旨に私は合致をしていると思いますので、ぜひ法務省、厚労省も、今の答弁にありましたように、養親希望者の夫婦に別に特段年齢の上限制限みたいなものはないということは事実として通知をしていただいた上で、適切な対応をしていただきたいというふうに思っております。 最後の質問、本当は大臣だったんですが、民事局長、答えていただけるかと思います。 現実的にはレアなケースだと思いますが、例外的に十八歳未満に近い者が特別養子になるとして、その養子になる者にも子供がいるということがあり得ます。今まではあり得なかったわけですが、これからはあり得るということなんですが、これについて政府はどのような見解を有しているのか、問題性のある混乱は起こらないのか。この点について御答弁いただければと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 今回の改正案によりますれば、特別養子縁組によりまして、例えばですけれども、十六歳、十七歳の子供も養子となることができるわけでございます。そして、そのために、そういった方に子供がいるということも想定されるところでございますが、子供がいる者を養子とする特別養子縁組の成立を一律に否定する、そういう否定すべき理由はないものと考えております。 したがいまして、子供がいる者も特別養子となることができるというふうに考えておりますが、これはやはり、個別のケースにおいて、その子供にとって何が利益になるのかということを踏まえて適切に特別養子縁組の成立が判断されるものと考えております。
○遠山委員 時間がないので御答弁はもう要りませんが、今のお話は、特別養子縁組で養子になった者にも子供がいるというケースがあり得るということにこれからなっていくわけですが、その場合、養子と養親は戸籍上つながるわけですが、養子の子供は、養子が養子になったからといって、その養親とその下の子供が自動的に戸籍上、孫になるわけではないと先日教えていただきました。 そうすると、これは法律上の話ですので、実態上、一緒に暮らすんだと思いますけれども、行く行くこの養親が更に高齢化していったときに、率直に言うと、相続の問題とか、親族関係、どこに置くかとかということがその養子のまた子供に起こってくるということでございますので、それも個々のケースで判断だと言われればそのとおりだとは思いますが、そういった、今回の改正で今まで想定していなかったことが起こるということも前提に、しっかりとした政府の対応を求めて、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で遠山清彦君の質疑は終了いたしました。 次に、鬼木誠君。
○鬼木委員 おはようございます。自由民主党の鬼木誠でございます。 本日は、民法等の一部を改正する法律案、特別養子制度の改正について質問をさせていただきます。 おとといの五月二十二日の参考人の意見陳述、すばらしいものだったと思います。さまざまな分野、お立場におかれてこの特別養子又は養子といった制度にかかわってこられた方が、本当に心を込めて、自分の経験や、社会を見た思いを率直に語っていただきました。 法律をつくるに当たって、学者の方や現場の方というのはこういった場にも来ていただくことがあるんですが、今回、特にサヘル・ローズさんのお言葉、みずから、孤児院で育ち、また養親に引き取っていただいて、そうした中で生きる希望を見出して、前向きに、そしてその思いを今世の中に発信しているという方の思い、言葉というのは本当に重たいものがあったと思います。 改めて、本日はおられませんが、五人の参考人の皆様方に感謝を申し上げたいと思います。 また、その中でたくさんの課題も出てきたと思いますので、そういった点について、きょうは質問をさせていただきます。 家族法は、やはりデリケートなものでございます。家族というのは本当にさまざまな形や背景がありまして、制度というもので一律にくくるというのが大変に難しい。だからこそ、制度をつくってもいろいろな矛盾が生じる、だけれども、制度というものをつくって守っていかなければならないものがある。どうすれば普遍的に、さまざまな家族の形に対応できるのかということを法でつくっていくという役割の重たさも改めて感じたところでございます。 感情に流され過ぎてはいけないということも自戒した上でも、やはり法に魂を込めるといった作業、それができるのが立法府の仕事だと思っております。 そうしたことを踏まえて、質問をさせていただきたいと思います。 まず、大村先生からの御発言で、家制度の廃止とともに民法が改正されたということをおっしゃいましたが、昭和二十二年以来の養子制度に対する考え方の変遷、歴史についてお答えいただきたいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 養子制度は多くの機能を持ち得るものでございますが、家長が強大な権力を持っていた戦前の家制度のもとでは、養子制度は家長の後継者を得るための制度としての役割も有しておりました。昭和二十二年の民法改正の前には、このような観点からの規定が置かれておりました。 昭和二十二年の民法改正の際に、家制度の廃止とともに養子制度につきましても改正がされまして、特に未成年者を養子とする制度は、先ほど述べた意味での家のための制度から、子供の利益を図る子供のための制度に生まれ変わったものと考えられます。 その後、家庭に恵まれていない子供に温かい家庭を提供してその健全な育成を図るために、現在改正案を出しております特別養子制度が創設されまして、未成年者を養子とする制度については、子供の利益を図ることがより重視されるようになったものと認識しております。
○鬼木委員 文化やその時々の人々の暮らしとともに制度がつくられ、変化していったということで、制度の趣旨や目的、そのありようも変わっていったのだと思います。 先般の戸籍法も、また今回の民法改正も、やはり、どういう趣旨でその制度が歴史的に生まれて、変遷していって、そして今の世の中でどう変えていくべきなのかということを考えると、大変興味深い取組にかかわらせていただいているなと思います。 家制度というものの中で戸主が強大な権力を持っていたということで、それ自体が悪いかのようなニュアンスがちょっと感じられたんですけれども、そんなことはなくて、私の家も武家の家でありまして、やはり戸主が一族郎党を食べさせるという責任を持って家を運営していた。そういう中で、後継ぎというものがその領地や俸禄を管理して一族郎党を養うという責任の中で、養子というもののあり方が重要なものであったというふうに認識をしております。それはその時代の家族のあり方ですね。 私の家も武家ですので、一族郎党、途絶えてしまうみたいなことが戦いなどの中であったわけですね。そういうときに、じゃ、その後、どうやって一族郎党を食べさせるかという中で、鬼木家というところから、楓家というところの一族から養子をいただいて、また鬼木家を存続させる。そういうふうに子供の家の間の移動などがあって、それぞれの家を支えてきたというような歴史があるというふうに感じております。 しかし、やはりおっしゃるように、そういった大人の事情、大人の都合が主にこの養子制度の今までの大きな柱だったんですが、そういう中で、子供のための養子制度というものがこれから、今の時代、必要になってきているという中で、この特別養子の制度ができ上がったものだと思っております。 ですが、やはりちょっとこれも、家族法というのは文化にも根差したものがありまして、やはり日本が、そういった、大人が我が家に後継ぎの子供が欲しいというふうな思いが強かっただけに、今回の伊藤先生の御指摘の中にも、特別養子縁組を希望する里親は、我が子が欲しい、我が子として育てたいという思いが強い、親側の都合、思いが強いのではないか、養子縁組できるかが目的ではなく、恵まれない子を助けるという養育里親の支持拡大が必要ということを伊藤先生は御指摘されております。 欧米に行きますと、そこには宗教的な素養、文化の背景がありまして、やはり恵まれない子供たちを我が家で育てようといった思いも強い、子供中心の養子のあり方というのも文化的にあるわけですね。 そういう中で、今回の特別養子縁組というものは、養親子関係を強固なものとして、養子が安定した家庭で養育されるようにという目的で、実親子関係を終了させる、また、離縁の要件を厳格にするということが行われております。 こういう目的でされているのですが、やはりそういった中で制度を一律にくくるというのは大変難しいものがありまして、影山先生によりますと、実親子関係の断絶というものについて、特別養子縁組がベストなのかという局面も多々見受けられるという御指摘がありました。また、サヘル・ローズさんの言葉には、私は生みの親も育ての親も愛していますという、やはり生みの親に対する愛情も語られました。そういった中で、実親子関係を断絶させるということについて、一考の余地があるのかなということを感じております。 実親と子供のつながりを何らかの形で保障する仕組みの検討が必要だという影山参考人のお考えに対して、法務省はいかがお考えになるでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 近時、欧米諸国におきましては、実親子間の法的な関係が終了する効果を有する養子縁組がされた場合であっても実親子間の交流を維持することが望ましいという、いわゆるオープンアダプションと言われる、こういう考え方があることは承知しております。また、我が国の養子縁組あっせん機関の中にも、こういった考え方に基づきまして、実際に特別養子縁組が成立した後も実親子間の交流を支援しているものが存在していると承知しております。 法務省といたしましても、特別養子縁組が成立した後も実親子が交流することが子供の利益の観点から望ましいと考えられる事例はあり得るものと考えております。 ただ、制度という面から申しますと、我が国は、縁組が成立した後も実親子間の法的な関係が終了しない普通養子制度がございまして、縁組が成立した後も実親子間の交流を続けるのであれば、通常は普通養子縁組が利用されるものと考えられますし、また、特に実親の虐待によって子供が深刻な心理的外傷を負っているような事案におきましては、特別養子縁組成立後に実親とその子供との面会交流を認めることは、子の利益の観点から望ましくない場合が多いと考えられます。 したがいまして、特別養子制度において実親子間の交流を法的に保障するような制度を設けることは相当ではないのではないか、個別の事案に応じて、先ほど申し上げましたような実務的な対応というものが望ましいのではないかというふうに考えているところでございます。
○鬼木委員 私自身が先ほど言ったように、やはりそういった法目的、養親子関係を強固なものとする、そして養子の立場を安定させて家庭で養育されるようにするという目的のもとでつくられた特別養子の制度ですので、制度としてはこういうものだという部分は理解もできました。そして、交流自体は妨げるものでもないということで、あとは、心のある運用といいますか、そういったもので、子供の心を時には実親と近づけることもできるのだということだと思います。 その実親との関係でいいますと、出自を知る権利ということも大事な論点として取り上げられました。 人は誰も、自分はどこから来た何者なのかというアイデンティティー、ルーツを知りたいという根源的欲求がありますし、特に多感な時代を養親のもとで育つ養子といった方々は、そういったことで悩み、さいなまれる場面もあるのではないかなと思います。 新たな社会的養育の在り方に関する検討会の新しい社会的養育ビジョンの中にはこういう記述がございます。「子どもの出自を知る権利 子どもの出自を知る権利の保障については、断片的な事実情報ではなく、子どもの年齢に応じた方法で幼少期からのストーリーとして伝える必要があり、これが子どものアイデンティティや自尊感情など、生きていく上での土台を形成することになる。実親との生物学的な親子関係は残るが、子どもはそのことを知り、場合によっては実親との交流を継続することが子どもの権利であるという考え方もある。」「思春期以降、養親との関係がこじれ、養親から養子であることを突然告げられ、戸籍情報などに養子がアクセスするケースもある。子どもが自らの出自を知ることによる利益と実親の知らされないことによる利益とをどのように調整すべきか、さらに検討が必要である。」という指摘がございます。 本当にここもデリケートなところでございますが、こういった養子からの、子供からの開示請求、自分のルーツといいますか、その開示請求に当たって、現在どういう開示をしているのか、また、子供から実親に会いたいといった望みがあった場合、この望みにどう応えられるのかということをお尋ねします。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 委員御指摘のとおり、養子となった者とその実親との関係において、養子となった者がみずからの出自を知る機会、これを与える必要があるというようなこと、これは重要なことであるというふうに考えております。 現行法のもとでございますけれども、特別養子縁組の成立の審判が確定しまして、その届出がされますと、養子は、実親の戸籍から除籍されまして、養親の戸籍に入籍されます。その際に、養子の続き柄でございますが、例えば長男又は長女のように実子と同様の記載がされることとなりますが、養子の身分事項欄には民法八百十七条の二による裁判確定日といったようなものが記載されますために、当該養子が特別養子であることを知る手がかりは残されております。 そして、養子は、実親の戸籍から除籍された後も、その実親の戸籍を閲覧することができることから、実親の氏名等を知ることができることとされております。 また、特別養子縁組については、全件が家庭裁判所の審判手続を経ることとされておりまして、家庭裁判所に記録がある限りは、その記録の閲覧、謄写等の申立てをすることができますことから、裁判官がこの申立てを相当と認めた場合には、これを通じて実親の氏名等を知ることができるということになっております。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 厚生労働省といたしましては、児童相談所に対しましては、児童相談所運営指針におきまして、児童相談所の援助を通じて養子縁組が成立した児童の記録を永年で保存すべき旨ですとか、養子の求めに応じて必要な情報の提供を行うべき旨を規定をしているところでございます。 また、民間あっせん機関に対しましても、養子縁組あっせん法に基づく指針におきまして、あっせんに係る帳簿を永年で保管すべき旨、そして、養子から相談があった場合には、丁寧に応じながら、年齢等の状況を踏まえて適切な助言を行いつつ対応すべき旨を定めているところでございます。
○鬼木委員 非常にデリケートなものでございまして、また、制度の上でも、直接すぐ親に会わせるみたいなわけにはいかないようになっているというのも理解いたします。 人が自分自身を見詰め直してそのルーツを探るといった、探していくといったものは、本当に普遍的なテーマといいますか、いろいろなさまざまな映画や物語などでも目にするものであります。それが、年を経てから、大人になってから、はたと気づきルーツを探すこともあれば、思春期のときにそれを感じるということもありますが、そうしたときに開示ができる、探していけるようなものもちゃんと確保してあげることも必要かなと思います。 そういう中で、特別養子縁組とよく似ているというか、似ているけれども違うものとして、里親というものが何人かの参考人から出てまいりました。 この里親制度というものと特別養子縁組というものはどういうところに違いがあるのか、里親における親と子というものは法的にどういう関係になるのか、お尋ねいたします。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 里親制度は、児童福祉法に基づきまして、児童相談所が、必要な研修を受けて里親名簿に登録された里親に対して、要保護児童の養育を委託をするものでございます。 里親と養育の委託に係る子供との間には、民法上の養子縁組と異なりまして、法律上の親子関係は生じないものでございます。
○鬼木委員 里親というものは法律上の親子関係が生じない、一方では、特別養子縁組は親と子としての関係が生じるということですね。 やはり、親としての責任を負うというのは大変重たいものだと私は感じております。当然のようですが、考えれば考えるほど、真剣に考えるほど、これは重たいものだなと思います。 実は、私には子供がおりませんで、不妊治療も随分長くやってまいりました。そういう中で、さっきの冒頭の話に戻りますが、やはり自分の子供が欲しい、育てたい、そういう思いもありまして、その中で、里親だとか特別養子縁組だといった制度も考えることもあるわけなんですね。そういう中で、実親との縁を切って、そして、養子を受け入れて我が子として育てるということ、その責任の重さというものが痛切に感じられるんですね。 サヘル・ローズさんもおっしゃいました、親になる方も勇気が要ると。引き取る親の負担、大変悩む、親になる方にも勇気が要る、親のケアが必要であるということをサヘル・ローズさんがおっしゃいました。 経済的な負担もそうですね。私のような立場の者は一般的には裕福な人だと思われておりますが、しかしながら、この政治という仕事も、いつ解散・総選挙が起きるかわからない、そして、いつ落選するかもわからない、事務所も秘書も家族郎党、誰の面倒どころか、自分も借金を背負ってどうなるかわからない。そういう極めて不安定な身で、実親との縁を切った子供を我が子として育てる覚悟がありますかということを迫られる。大変に重たい。 だけれども、親が子を育てるというのは、どんなことが起ころうと育てるものだ、当然のことだと考えれば、それは当然のことなんですね。ただ、小さな子を受け入れて我が子として育てる、育てる中には、どの親子にもさまざまな障害、トラブルが起こってくるわけですね。自分が産んだ子であっても、何で我が子にはこんなことばかり起こるんだろうと、親が非常に悔やむこともあるわけですね。 自分が産んだ子でもそうやって悔やむこともある、そういう中で、養子として受け入れた子を愛して、生涯育てていくということ、もう考えれば考えるほど、その責任というものは重たいということに行き当たるわけですね。 そういう中で、里親の方が、実の親子関係も生じないし、また、経済的にも支援の制度があるという御指摘がありました。 これは安藤参考人がおっしゃったんですが、里親の間は制度として行政の支援がある、しかし、特別養子縁組をすると、実子とみなされて、行政支援がなくなってしまうという御指摘があったんですね。同じ境遇の子供じゃないか、なぜ子として受け入れた途端にそれが打ち切られるのかという御指摘。であれば、特別養子縁組をしない方のインセンティブになってしまうんじゃないかな、そこまではおっしゃっていないんですけれども、そういうことも考えられるわけですね。 そこで、特別養子縁組家庭への支援について法務省がどうお考えになるか、お聞かせください。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 特別養子は、実親子と同様の親子関係を形成する、そういう制度でございます。したがいまして、そういった制度、そういう趣旨に沿って必要な支援というものがされるものが必要じゃないかと思っております。 そういった観点から、縁組成立後のフォローにつきましても、児童福祉法の改正ですとか、あるいは、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律等によりまして、必要なフォローがされるものと理解しております。
○鬼木委員 実親子であるから親が我が子を育てるのは当然だ、即支援とはならないというのは私もよくわかります。やはりそれだけの覚悟と責任が親というのはあってしかるべきだと僕も思います。 だけれども、先ほど言いましたけれども、特別養子縁組でなく里親の方を選択するインセンティブになってしまっては、それもまたよくないのかなということは思います。 そういう中で、年齢の引上げ、今回の改正法案では、特別養子縁組の年齢要件の緩和が盛り込まれております。これにより、これまでは特別養子縁組の申立てができなかった六歳以上の子供たちにも選択肢が用意されることになり、歓迎すべき改正であると思います。 その一方で、今までは原則として子供が六歳になるまでに申立てをしなければならなかったものが、必ずしもそうではなく、法律上は、原則として十五歳になるまでに申し立てればよいことになります。そうなると、養親希望者の方々の中には、養子となる子供の養育を担い始めたときに、相性がわかるまでできるだけ時間をかけて様子見をすることにして、申立ては先送りしよう。つまり、里親、養親としての時間を延ばして、本当にこの子供を我が子として特別養子に受け入れていいのかという、先送りをすることのできる期間が延びてしまう、そういうことを考える方が出てくるかもしれないということになります。しかし、子供のためを思えば、早期に養子縁組の審判を得て、養親との関係を安定させるべきものと考えます。 そこで、児童福祉を所管する厚生労働省にお伺いいたします。 今回の制度改正によって、このような様子見をするような養親希望者もあり得るのではないか、また、そのような場合にはどのような対応をお考えなのか、お答えください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 家庭復帰が困難な子供たちの福祉のためには、可能な限り早期に法律上の親子関係を安定をさせるということが重要であると考えております。 したがいまして、特別養子縁組が適切であると判断される子供については、養親候補者の特定や、児童相談所、養親候補者による養子縁組の審判申立てが速やかに行われるようにすべきであるというふうに考えております。 このため、本法案が成立した場合には、そうした旨を児童相談所運営指針や養子縁組あっせん法に基づく指針などにおいて明確化し、周知徹底を図りたいというふうに考えております。 また、本法案が成立をし、年齢要件の緩和が施行された際には、実際に年齢の高い児童で申立てがなされた事例について出てくるということになるわけでございますけれども、なぜその年齢になるまで養子縁組の申立てに至らなかったのか、理由を分析し、課題を整理するなど、適切な時期に特別養子縁組が行われるように、法務省などとも連携をさせていただきながら取組を進めていきたいというふうに考えております。
○鬼木委員 先ほどの、先ほどというのは特別養子縁組家庭への支援の質問もそうなんですけれども、制度は法務省がつくる、ただ、その支援やサポート、運用の部分を厚労省が行うといったところが多分にあるのかなと思います。 ぜひ、先ほど答弁もありましたが、法務省、厚労省、緊密に連携をして、制度の趣旨を守りながら、その運用において、あるべき、すばらしい、子供たちのためになる制度運用というものをお願いしたいと思います。 もう一問、年齢要件の緩和についてお伺いしたいと思います。 先ほど申し上げましたとおり、より多くの子供たちに特別養子縁組の選択肢が用意されることは歓迎すべきであると思いますが、一方で、年齢が高くなればなるほど、新しい親子関係の形成には困難を生じるのではないでしょうか。 現行法の対象である六歳未満の子供たちは、実親とのかかわりについての記憶も少なく、新しい親子関係をすんなりとつくることができるかもしれませんが、小学生世代になると記憶はしっかりしてきますし、また、中学生ともなれば、思春期という別の問題も生じてきます。養親が初めての子育てであったとしたら、なおさらであります。 虐待などの事情によって親元に戻ることの難しい子供たちがせっかく新しい家庭を手に入れるチャンスを得たとしても、そのチャンスが失敗に終わってしまっては、こうした子供たちに取り返しのつかない失望を与えてしまうおそれがあります。 そうしたことのないようにしていただきたいと思いますが、年齢要件の緩和後、比較的年齢の高い子供たちと、その子供たちを受け入れる養親たちに対して、どのようにケアをしていくつもりなのか、厚生労働省に伺います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 本法案が成立をして年齢要件の緩和が行われた際には、六歳を超える子供の特別養子縁組も可能となるということでございますけれども、御指摘のとおり、年齢が高ければ高いほど、やはり、実親との関係が特別養子縁組によって切断をされるものでありますので、子供の精神的な負担が大きくなるということも想定をされますし、特に、思春期に入ったお子さんですと、養親との関係形成に困難を生じるということも考えられるかと思います。 このため、児童相談所や民間あっせん機関におきまして、マッチングはもとより、養子縁組成立後の支援までを含めた包括的な体制が構築をされるということが重要でございますので、そうした観点から支援策を講じていきたいと考えております。 具体的には、昨年十二月に、新プランと申しておりますけれども、児童虐待防止対策体制総合強化プランということで、里親の養育支援のための児童福祉司を各児童相談所に一名以上配置をするということにしたほか、養子縁組民間あっせん機関助成事業の中で、養親希望者に対する支援体制構築に関するモデル事業を実施し、これに対する補助金の予算の計上もしているところでございます。 また、加えまして、先ほどの御答弁でも触れさせていただきましたけれども、今後、実際に年齢の高い児童で申立てがなされた事例について、分析をしっかり行いまして、児童相談所職員向けの研修ですとか、民間あっせん機関の責任者向けの研修などにおいて共有をするなどしまして、養親子に対する支援の質の向上について図っていきたいというふうに考えております。
○鬼木委員 時間が参りましたので終了とさせていただきますが、本当に、充実した質疑に参加させていただきまして、ありがとうございました。 受け入れたい親、そして家庭の中で育ちを必要とする子供たち、本当に社会のためになる制度となるように、これからも皆様と努めていきたいと思います。 ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で鬼木誠君の質疑は終了いたしました。 次に、松平浩一君。
○松平委員 立憲民主党の松平浩一です。よろしくお願いいたします。 質問通告とはちょっと順序を変えて質問させていただきたいと思います。 今まで特別養子縁組、年齢制限が六歳未満ということを、今回、十五歳未満に引き上げたということで、今までちょっと余り現実問題として起こらなかったことだと思うんですけれども、特別養子になった子について、何らかの理由があって、更にもう一度、特別養子縁組をしたいということが起きた場合ですね。今まで六歳だったので、十五歳まで延びたということで、そういう可能性も出てきたんじゃないかなというふうに思います。 その場合、再度の特別養子縁組というものができるのかどうか、まずお聞きさせていただいてもよろしいですか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 特別養子縁組によって養子となった者が、別の者との間で更に特別養子縁組をしてその者の養子となることについては、民法上、特段の制限はございません。 したがいまして、一般には、特別養子縁組によって養子となった者についても、法律上の要件を満たせば、別の者との間で特別養子縁組をすることはできるものと解されております。
○松平委員 制限はないので、もう一度、特別養子縁組できるということでした。 その場合、前に行われた特別養子縁組、それはどうなるんでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 特別養子縁組がされた子供につきまして、別の養親との間で特別養子縁組が更にされた場合には、さきの特別養子縁組の養親と養子との間の親子関係は終了することになります。
○松平委員 さきの養親との親子関係は終了するということで、これは条文を見ます。資料一としてお配りさせていただきました民法の八百十七条の九ですね。これをちょっと読みますと、「養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。」ということで書いてあります。 今の御答弁、この条文の「実方の父母」、これは、前の特別養子縁組の養親も指すという理解でよろしいですか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 委員御指摘のとおりでございまして、ここで言う実方という言葉は、養方に対する相対的な概念でございまして、当該縁組によって生ずる養方の父母と対比して、縁組前の父母を指し示すものでございますので、先ほど申し上げましたような、さきの特別養子縁組の養親も、ここの「実方の父母」に当たるということになるわけでございます。
○松平委員 条文の解釈として、養方に対する相対的な概念というふうにおっしゃいました。 これは「実方の父母」と書いているので、条文上本当にそう読み込めるのか、ちょっと疑問であったので、お聞きしたんです。 関連して、離縁についてお聞きします。 民法に、特別養子縁組を離縁したら実父母と回復すると実は書いてあります。条文があります。民法八百十七条の十一です。これは資料の一番下のところですね。読みますと、「養子と実父母及びその血族との間においては、離縁の日から、特別養子縁組によって終了した親族関係と同一の親族関係を生ずる。」というふうにあります。 つまり、離縁したら実父母との間にまた親族関係が戻るということなので、この「実父母」は、じゃ、相対的な概念ということは、前の特別養子縁組の養親は、これは指さないんですかね。二回目の特別養子縁組の際のこの条文の取扱いというのはどうなるんですか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 今御指摘の民法八百十七条の十一の規定でございますが、ここで言うこの条文の「実父母」という言葉は、先ほど申し上げました「実方の父母」とは異なりまして、特別養子縁組によって法律上の親子関係が終了した血縁上の父母を意味するものと解されております。 したがいまして、特別養子縁組が成立する前に養子に養父母がいたといたしましても、その養父母は、ここで言う「実父母」には含まれないというものでございますので、その養父母関係がまた復活するということはないということでございます。
○松平委員 結論としては私もそれでいいと思うんですけれども、こちらの実父母は血縁上の父母を指して、こちらというのは八百十七の十一の方は血縁上の父母を指して、八百十七条の九の方はそうじゃないんだよというのは、結構、読み方としてこれは非常にわかりにくいというか、ちゃんとこちらも訂正するべきだったんじゃないかなというふうに思いました。 この点、実は、衆議院の法務委員会、昭和六十二年、ちょっと古いんですけれども、そちらで答弁がございまして、ちょっと裏返してもらって、資料二として用意しました。四角で囲っているんですけれども、やはり特別養子縁組を再度した場合の話なんですね。 それで、当時の民事局長ですね、千種政府委員、千種民事局長がこう答えられています。これは真ん中ぐらいの方ですけれども、「結局は、要件を満たせばできるということでございますから、」、この「できる」というのは、再度の特別養子縁組ですね。「できるということでございますから、できるというお答えを申し上げるのが筋ではございますが、運用の面ではいろいろと要件の判断に難しい問題が生ずると思います。」というふうにおっしゃっているんですね。 私、この答弁を見て、できるんですけれども運用の問題が生じているということで、これはもしかしたら、八百十七条の九をそのまま血縁の父母と読んででもできるんだけれども、運用上難しいというようなことを言っていらっしゃるのかなというふうにも思ったんです。 ただ、そうなると、離縁する必要がなくなるんですよね。できるとなると、離縁する必要がなくなるとなると、八百十七条十の適用が不要となるので、八百十七条の十の第一項の二号の「実父母」という要件が、やはり、これもまたここの解釈が難しくなってくるのかなという、何かよくわからない状況になって、だからここで、この昭和六十二年の民事局長が、要件の判断に難しい問題が生ずると言っていらっしゃるのかなというふうに思ったんです。 ですので、このときの民事局長の要件の判断に難しい問題が生ずるというのは、これはどういう意味だったのかなというのは、わからないですよね。済みません、質問通告はしていないんですけれども。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 この離縁の八百十七条の十でございますけれども、一項一号の養親、これは特別養子による養親も入るわけでございますけれども、この二号の「実父母」は、これはやはり血縁上の実父母ということになります。養子縁組が離縁されますと血縁上の実父母との関係がまた回復しますので、そういったその実父母が相当の監護をすることができる、ここは血縁上のものでございます。 恐らく、委員御指摘のときの民事局長の回答でございますけれども、今言いましたような概念上の整理というものは、これは余り紛れがない、ですから、要件の概念の関係で難しいということではないんだろうと思っております。 ただ、特別養子は、養親とのマッチングというものを見きわめた上で成立させるものでございますので、そういったものをまた離縁するといったようなことがあるというのは、これは本来的にはその養子にとっては望ましいことではございませんので、そういったものにつきましては、離縁につきましても、その養子の利益の観点から慎重に判断されるのが相当ではないか、こういったような趣旨の御答弁ではないかというふうに考えているところでございます。
○松平委員 いずれにしましても、この八百十七条の九の「実方の父母」が血縁上の最初の父母を指す場合と指さない場合があるということでいて、その次の条文と、その次の次が、「実父母」が実方の父母のみを指すというのは、やはりちょっと混乱を来すと思いますので、今後の検討課題にしていった方がいいのかなというふうに御意見させていただきたいと思います。 それでは、ちょっと次の話題に行きまして、一昨日の参考人のお話で、海外のお話も出ましたので、ちょっとそれに関連してお聞きしたいと思うんですけれども、外国人の子供を普通養子縁組又は特別養子縁組にするということはできるんでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 我が国におきまして、外国人である子を養子とする普通養子縁組や特別養子縁組をすることは可能でございます。
○松平委員 可能ということで、ちょっとここでひとつ、立ち戻って、未成年者の養子縁組の制度趣旨、それから特別養子縁組の制度趣旨を教えていただいてもいいですか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 普通養子制度は、養親となる者と養子となる者の合意によって縁組が成立するものでございまして、縁組成立後も養子と実親との親子関係が存続するものでございます。 その制度目的につきましては、多様なものがあると言われておりますけれども、未成年者を養子とする場合には、その目的は子供の利益を図ることにあるというふうに言われております。 これに対しまして、特別養子制度でございますが、家庭裁判所の審判によって成立するものでございまして、養子と実親及びその血族との間の親族関係が終了するものでございます。 この制度目的は、専ら子供の利益を図ることにございまして、家庭に恵まれない子供に温かい家庭を提供してその健全な育成を図るため、普通養子縁組により創設される親子関係よりも強固で安定した法的地位を与える点にこの制度の特徴がございます。
○松平委員 未成年者の養子縁組は、今、子供の利益を図るもので、もう一つの特別養子縁組の方も、専ら子供の利益を図るものということでおっしゃられたんですけれども、そういうことでいうと、今おっしゃられた子供というものは、外国人の子供も含まれるということでよろしいですか。確認させてください。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 今申し上げましたような制度趣旨は、我が国において外国人である子を養子とする場合にも、そのまま当てはまるものと認識しております。
○松平委員 わかりました。そういうことで確認させていただきました。 ちなみに、外国人の子供と日本人の親が特別養子縁組をした場合に、外国人の子供の国籍というものはどうなるんでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 我が国の国籍法におきましては、子供は、出生によるか、あるいは帰化等によって日本国籍を取得することとされております。 したがいまして、日本人夫婦と外国人の子が特別養子縁組をして、その間に親子関係が生じたといたしましても、その子は、特別養子となったことのみをもって日本国籍を取得するものではございません。
○松平委員 そういう場合は、親の国籍と子供の国籍が違うということになりますので、どうすればいい、帰化すればいいということになりますか。
○小野瀬政府参考人 御指摘のとおり、それが一つの方法でございます。
○松平委員 私、事前に、帰化についても、帰化がこの特別養子縁組の場合は配慮されていて、やはり帰化の要件が緩和されるということもお聞きしましたので、ちょっとここでつけ加えさせていただきたいと思います。 やはり、施設、児童養護施設などに入っている子供たちの中には、外国籍の子供や無国籍の子供もいるわけですので、やはりこれからの特別養子縁組というものを考えるに当たっては、外国人の子供との養子縁組、実際上これを考えていかなければいけない話なのかなというふうに思っています。 そういう意味でいうと、今回の特別養子縁組の改正、外国人の子供というものも念頭に置いた制度設計としていらっしゃるのかどうかという点、ちょっとお聞かせください。
○小野瀬政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、特別養子制度の趣旨は、我が国において外国人である子を養子とする場合についてもひとしく当てはまるものでございまして、今回の改正案におきましても、養子となる者が日本人であるか外国人であるかを区別して検討しているということはございません。 その意味では、この法律案は、外国人の子供を養子とする場合も、当然それも含んで、そういうことも念頭に置いた上で立案しているものだというふうに言えるものでございます。
○松平委員 当然含んでいるのであえて考慮していないというような御答弁なのかなというふうに理解しました。 私は、むしろこれからの国際化の時代、外国人の子供との特別養子縁組、これはより積極的に考えていった方がいいのかなというふうに思っています。 先ほど申しましたように、児童養護施設には外国人の子供も入っているという事情もありますし、あと、外務省によると、二〇一七年の調査ですと、外国在留邦人は百三十五万人もいると。五年間で七・四%増加して、どんどんふえていっている。ビジネスが国境を越えて行われるという動きは本当に進んでいるので、やはり在留日本人もふえているわけなんです。そうなると、やはり海外の子供とも出会う機会というのはふえていくと思います。 日本人の合計特殊出生率が一・四三として、どんどん減っておりますので、そういうところでもあり、そして、海外に住まわれる方というのは、やはり家族に対する考え方というのもオープンマインドになっていらっしゃる方も多いと思います。つまり、日本よりも養子という考えに違和感のない方というのが多いのかなというふうに思いますし、そういうことを考えると、やはり国際的な養子縁組というのはふえていくのかなというふうに思います。 それから、もう一つの観点として、先般、出入国管理法が改正されまして、外国人労働者がふえていくということで、やはり外国人労働者、人手不足なのでふえていかざるを得ないということで、この改正に当たって、出入国管理庁をつくって外国人が日本で生活することをサポートしていくというふうにおっしゃられていらっしゃいます。大臣も、法務委員会でもこうおっしゃっていらっしゃいます。新たな任務である外国人との共生社会の実現に向けた受入れ環境整備について総合調整機能を発揮するというふうにおっしゃっています。 これは本当に、外国人との共生社会の実現、それに向けてということなので、やはり外国人がこれから地域社会に本当に溶け込んで日本人と同じように生活をしていく、そういった社会になっていく、そういった社会に進んでいくと思います。だから、本当に、隣を見たら外国人、そういう社会で、地域によってはもう既にそういう地域もあると思うんですね。 だから、そこの辺を考えるとやはり、前に戻りますけれども、外国人の養子縁組というのはふえていくことが予想されるのかなというふうに思います。 そこでいうと、やはり同時に懸念というものもあると思うんですね。その懸念という点について、ちょっと確認させていただきたいんです。 まず一つが、人身売買的な外国人の子供のあっせんという点、こちらはやはり上がってくるのかなというふうに思います。 今、あっせん業として、子供と親の、ホームページとかを見ると、マッチングサービスと呼ばれていたりするものもあります。 こちら、民間の養子縁組のあっせんに関して、平成二十八年に民間養子縁組あっせん法というのが制定されました、施行は去年の四月ですけれども。これは、あっせん業を許可制にして、無許可の業者に罰則を科すというものだと思います。 この民間の養子縁組あっせん、もう皆さん御存じだと思うんですが、新聞記事にもありました。ことしの三月の記事なんですけれども、ちょっとだけ読みますと、インターネット赤ちゃんポストの名称で特別養子縁組を仲介する大阪市のNPO法人について、市は、二〇一九年三月の十九日、縁組のあっせん事業を許可しないと決定した、営利を目的にし、子供の実親の生活費を養親希望者に負担させる点などが法に反し、事業を適正に行う能力がないと判断した、そういった記事です。 日本のあっせん業者で、日本人を対象にして日本で完結する養子縁組についてまでもこういった形で問題になることがあるわけなんですね。それが、海外、それから外国人も絡んできたら、やはり、どうなるのかという心配もあるわけです。 もう一つ、ユニセフですね、国連の児童基金のホームページ。これは、ちょっと抜粋して、今読んで紹介させていただきます。 「二〇一二年から二〇一四年の間に、世界百六カ国で六万三千二百五十一人の人身売買被害者が確認された。」「人身売買の被害者の多くは、女性(成人女性および女の子)であり、二〇一四年に世界八十五カ国確認された一万七千七百五十二人の被害者のうち、およそ七一%を女性が占めていた。」ということです。 それで、ちょっと解説もありまして、戦争、紛争や迫害から逃げてきた人々は、特に、人身売買の被害に遭いやすい。例えば、シリアで紛争が開始されて以来、人身売買の被害に遭うシリア人が急増したというケースが報告されている。後発発展途上国では、確認された人身売買被害者の大多数を占めるのは子供たち。各国の発展状況と、人身売買被害者の子供たちの年齢とに、何らかの関係性があるように思われるというふうに書かれておりました。 人身売買に加担するというようなことは、本当にあってはならないことだと思います。 そこで、ちょっとこの民間養子縁組あっせん法に関してお聞きしたいんですけれども、この法律、許可制度の対象となる民間あっせん機関というのは、外国の企業というものも含まれるのか。そしてまた、外国の子供ももちろん含まれるとは思うんですけれども、一応その点も、含まれるのかどうか確認させてください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 平成二十八年に制定をされました養子縁組あっせん法でございますけれども、養子縁組のあっせんを業として行おうとするときは、事業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないというふうに規定をされてございます。 したがいまして、海外の法人であったといたしましても、養子縁組のあっせんを業として行うならば、日本の国内に事業所を設けていただいて、事業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けることが必要というふうになります。
○松平委員 外国人の子供に関してはちょっと御答弁いただけなかったんですけれども、事前に聞いた話では、やはり制限はないということでした。 今、都道府県知事の許可が必要ということでおっしゃっていただいたんですけれども、恐らく、普通に考えれば、こちらの都道府県の許可というここの部分で、営利目的の人身売買的なものはコントロールできるのかというふうに思います。ただ、やはり、ここで許可制にしてやったとはいえ、無許可の業者による違法なあっせんというところ、こちらはどうしてもアンダーグラウンドなところで残ってしまうかもしれないという、やはりこの問題は依然として残るとは思うんです。 そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、今回改正される日本の特別養子縁組の制度、本当に言葉は悪くて恐縮なんですけれども、人身売買のツールとして利用されてしまうということがないという理解でよろしいですか。ちょっと確認だけさせてください。
○山下国務大臣 お答えします。 まず、特別養子縁組につきましては、家庭裁判所の審判によって成立するものでございまして、家庭裁判所において、実親による養子となる者の養育状況だけではなくて、養親となる者の生活歴、家庭環境、養子縁組をする動機や、養親となる者と養子となる者との適合可能性を慎重に調査し、判断がなされるということでございます。 また、普通養子縁組につきましても、未成年を養子とする場合には、原則として家庭裁判所の許可が必要であります。そして、その判断に当たっては、当該縁組が養子となる者の福祉に合致するものであるか否かという観点から、養子縁組をする動機、養親となる者の家庭環境、養親となる者が監護者として適格であるか否かなどが調査されるものであるということでございます。 こうした家庭裁判所の許可が要件あるいは審判が要件となっているものでございますので、未成年者を養子とする普通養子縁組や特別養子縁組が人身売買のために悪用されるということは想定しておりませんで、そのような例があったということも承知していないところでございます。 なお、議員御指摘のとおり、平成二十八年に民間のあっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律が成立し、民間あっせん事業者について許可制が導入されたということでございまして、この家庭裁判所に審判の申立てがなされる前におけるあっせんも、より一層適正に行われるようになっているものと考えております。
○松平委員 ありがとうございます。 今、特別養子縁組の方については家庭裁判所の審判、それで、普通養子縁組については許可ということでおっしゃっていただきました。 ただ、ちょっと、もちろんそういうことなんですけれども、私、一方で、本当に個別的にその子供自身にフォーカスしてみると、人身売買の被害者となった子供が日本で実は特別養子縁組して、日本で温かい家庭で健全に幸せに育成されるということは、その子供にとってみるとプラスになるというところもあるかもしれないということも一方で思ったりするところもあるわけです。 そういう意味でいうと、もちろん、本当に人身売買というのはあってはならないんですけれども、個別的に子供の、本当に子供にとって何が幸せかと考えたところというのは、今ちょっと大臣、家庭裁判所が審判でということをおっしゃられたんで、恐らく家庭裁判所の方で本当に個別的な事情を加味して判断されることになるのかなというふうに思ったんですけれども、念のためですけれども、そういう視点もあるということで、ちょっと私の思いも述べさせていただきました。 次のトピックに行きます。 次のトピックというか、今の外国人の特別養子縁組の点で、今、人身売買の一つの懸念ということをお話しさせていただいたんですけれども、もう一つの懸念として、この特別養子の制度が就労目的で利用されてしまうんじゃないかという懸念もあるかなと思うんです。 それで、確認したいんですけれども、この特別養子縁組の場合、どのような在留資格が得られるんですか。これは子供の方ですね、子供に与えられる在留資格という意味です。お願いします。
○佐々木政府参考人 在留資格、日本人の配偶者等に該当いたします。
○松平委員 特別養子縁組の場合は日本人の配偶者等という在留資格がもらえるということですね。 この場合は働けるんですか。働けるというか、就労も自由ということでいいんでしょうか。
○佐々木政府参考人 今申し上げました在留資格、日本人の配偶者等という資格は、我が国での活動に制限がない在留資格でありますので、就労することも可能です。
○松平委員 活動制限がないので可能ということです。 今回、上限年齢が引き上げられます。ということで、十五歳未満、例外的に十八歳未満まで上げられます。今まで六歳未満ということだったので、就労目的での特別養子縁組というのが余り想定されなかった。しかし、やはり十五歳となるともう働くことができる年齢ですし、外国によってはもう働いている、今十五歳なんて働くことは当たり前だよねというふうな外国もあると思います。 ですので、もしかしたら、この特別養子の制度を利用して日本に来て働く、働くことを目的にこの制度を利用して日本に来る、そして実際に働いて本国に送金するというような事例も出てくるかなという懸念もあると思いました。 この特別養子縁組、実親との関係、これは終了します。ただ、これもやはり日本法上の話でしかないので、その人にとっては、本人ですね、あと外国にいる実親にとっては、別にこれは気にしないというふうになるかもしれない。もしかしたら、養親になる方に、変な話、見返りを与えるような動きも出てくるかもしれない、これはあくまで懸念なんですけれども。 そこで、お聞きしたいです。今ちょっとお話しさせていただいた問題、こちらについてどう考えるか。具体的には、就労を主たる目的とするような特別養子縁組というものは認めていいのか、認められるのかというところ、ちょっと大臣、お聞かせいただいていいですか。
○山下国務大臣 お答えいたします。 特別養子縁組は、専ら家庭に恵まれない子供に温かい家庭を提供してその健全な養育を図ることを目的とするものでございまして、この点は今回の改正の前後を通じて変わらないわけでございます。 したがって、御指摘のように、一定の年齢に達した未成年の外国人が我が国で就労することを主たる目的として縁組をすることは特別養子制度の趣旨に反するものでありまして、認められないと考えております。 特別養子縁組は家庭裁判所の審判によって成立するものでございまして、家庭裁判所において、実親による養子となる者の養育状況だけではなくて、養親となる者の生活歴、家庭環境、養子縁組をする動機や、養親となる者と養子となる者との適合可能性を慎重に調査し、判断がされるものであるということは先ほど申し上げたとおりでございまして、こういったことから、外国籍の養子となる者の就労を主目的とする特別養子縁組をしようとしても、家庭裁判所の調査等の過程でそのことが明らかとなり、そのような縁組の成立が認められることはないと考えております。
○松平委員 今、家庭裁判所の審判を経るから大丈夫だよというようなお話だったんですけれども、本当に大丈夫かなというところもちょっとあります。 今回、裁判所の審判は二段階になります。一段階目は、実親の養育状況、実親の同意の有無、つまり特別養子適格の確認をする。もう一段階が養親子のマッチングの判断だということです。 それで、慎重に判断するということなんですけれども、実親の養育状況とか同意の有無、これは、現地の状況を、本当のことを家庭裁判所が調べるというのは現実的にできるのかな、結構制約があるように思うんです。 それから、もう一つの段階で、養親とのマッチングの判断、これは、養親とのマッチングの判断なので、就労が主目的だからだめというようなところは別にないわけなんですよね。そうなると、これは裁判所が関与するから就労目的での特別養子縁組を防げると直ちに言えるかというと、私は心配です。 これはちょっとまた私に意見を言わせていただきたいんですけれども、先ほど就労目的の特別養子縁組は趣旨に反するので認められないとはっきりおっしゃられたんですけれども、その発想も、実はちょっと違うんじゃないかなと思うんですね。むしろ、就労目的での特別養子縁組も制度趣旨に沿うこともある、子供の幸せに沿うこともある、だから、そういった場合は問題ないよと正面から認めてもいいんじゃないかと思うんです。 なぜなら、働くことというのは、人生にとって、働きがい、これは生きがいの一つであると思うんです。その生きがいというものを何にするか、これは子供によってさまざまだと思うんです。だから、子供が働くことを生きがいとするのであれば、それを認めてあげるのが子供の福祉にかない、それこそ特別養子縁組の趣旨にかなってくるんじゃないのかなというふうに思うんですね。 したがって、就労目的だからといって一律に排除するのではなくて、やはりそれも含めた上で、何が子供の福祉に、幸せに合うのかということを判断してもらいたいなというふうに思っています。 今の話にまた関連して、次の質問に移らせていただきます。もう、ちょっと余り時間がないので。 国際的な養子縁組に関して、ハーグ国際養子縁組条約というものがあると聞きました。これはどういったものか、本当にちょっと時間がないので簡単に、そして、今後どうされるおつもりかというのをお聞かせください。
○岡野政府参考人 国家間にまたがる養子縁組に関する子の保護及び協力に関する条約、ハーグ国際養子縁組条約、これは、一九九三年、ハーグ私法会議において作成されまして、一九九五年に発効しているものでございます。 この条約は、国家間にまたがる養子縁組に関する国際的な協力体制を確立することを目的としております。異なる国に常居所を有する養親と養子との縁組であって、子が出身国から受入れ国へ移動するものについて、出身国及び受入れ国の権限当局による一定の措置を定めることを内容としているものでございます。 この条約は、三月現在で百一カ国締結しております。この条約を締結するかどうか、我が国は未締結でございますけれども、日本にとっての必要な事情が何かどうか、事案の有無といったニーズのほか、国家間協力への参加体制の整備等、この点について十分な検討を行う必要があるかと考えております。 この条約が、当事者である子の基本的権利を尊重し、その最善の利益を確保するという意義を有している、こういう点にも留意しつつ、締約の必要性については引き続き検討してまいりたいと思います。
○松平委員 どうもありがとうございます。 先ほどから申しているように、これから外国人が、特別養子、ふえてくる可能性もあると思いますので、これはやはり国際的に枠組みというものは統一した方がいいんじゃないかなと。 そうなると、同じ制度に基づくということになるので、日本での認められた親子関係というものは海外でもやはり認められるということになってくる。逆に、そうならないと身分関係というのは安定しないので、ぜひとも、今まだ批准されていないということでございましたので、条約批准に前向きな検討をお願いしたいなというふうに思っております。 時間も参りましたので、これにて私の質問を終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で松平浩一君の質疑は終了いたしました。 次に、松田功君。
○松田委員 立憲民主党の松田功でございます。 質問の方に入らせていただきたいと思いますが、また元気よくいきたいと思います。よろしくお願いをいたします。 特別養子縁組の制度についてでございます。 欧米諸国などでは同性婚を次々と容認している現状から考えても、日本でも同性婚の違憲性を問う訴訟が起こるのは当然のことと思われます。外国人との共生を掲げる政府の方針は、国籍だけでなく、性的指向についても多様性を尊重し、同性カップルについても法的な保障をされるべきと思います。 以上のことから、同性婚のパートナーが特別養子制度の養親となり得るかについて御質問をいたしたいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 民法上、特別養子縁組の養親となる者につきましては、配偶者のある者でなければならないこととされております。この配偶者は法律婚の配偶者を意味するものでございますので、同性婚のカップルは特別養子縁組の養親になることはできないというものでございます。 御指摘のとおり、諸外国におきましては、同性婚あるいは同性間の登録制のパートナーシップ制度を導入している国があることは承知しておりますが、我が国におきまして、これらの制度を導入するかどうかは、家族のあり方にかかわる重要な問題でございますので、国民の意識を踏まえた幅広い検討が必要になるものと考えております。
○松田委員 御存じのように、大阪市に続いて、東京都でも里親認定基準を改正し、同性カップルにも里親を認めました。 児童福祉法においては、保護すべき子供を里親委託又は施設入所の措置をとっているわけですが、里親制度も特別養子制度も同じように、要保護児童のためにある制度なので、単身だから、同性だからという理由のみで排除してしまうのは、温かい家庭で育つことができる権利を子供から奪っているように思います。その辺についても、しっかりと検討をしていくふうで、子供たちの未来のためにも、ぜひいい制度に進めていただきたいと思いますので、ぜひまた御検討いただければというふうに思っております。 次の質問に移らせていただきたいと思います。 先ほどから藤野議員、松平議員からも御質問があります国際養子について質問をしたいと思います。 現在、日本には、技能実習生始め多くの外国人労働者が在住しております。ことしの四月から始まった特定技能により、更に多くの外国人の方が日本に住むこととなります。私の地元の愛知県も多くの企業がありまして、外国人の労働者の方が多い地域とも言えまして、そのためにと言えるかどうかわかりませんけれども、愛知県内の児童養護施設には外国籍や無国籍の児童がふえているそうです。もちろん、これは全国的にも言えることと思います。 このような外国籍若しくは無国籍の子供に特別養子という保護措置が可能であるということであれば、日本人の子供の場合と手続の違いというものが多くあるのかどうか、御質問したいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 外国人の子供あるいは無国籍の子供でありましても、日本におきまして養子縁組をするということは可能でございます。 この場合の規律でございますけれども、いわゆる国際私法というものが問題となります。法の適用に関する通則法によりまして、我が国におきまして養子縁組をする場合の準拠法でございますが、原則として、養子縁組の時点における養親となるべき者の本国法とされております。しかしながら、養子となるべき者の本国法によりますれば養子となるべき者の同意等が養子縁組の成立要件となっている場合には、その要件、これはいわゆる保護要件と申しておりますが、保護要件も満たさなければならないこととされております。 したがいまして、例えば日本人の親が外国人の子供を特別養子縁組するという場合には、基本的には養親となるべき者の本国法であります日本法が適用されますけれども、養子となるべき者の本国法である当該外国法に保護要件を定めた規定がある場合には、その要件も満たさなければならないということになります。 日本人の親が無国籍の子供と特別養子縁組をする場合も同様でございまして、まずは、養親となるべき者の本国法であります日本法の要件を満たす必要がございます。次に、養子となるべき者の保護要件でございますが、無国籍、国籍を有しない場合にはその常居所地法が適用されることとされておりますので、例えば、養子となるべき者が日本に居住しておって、その常居所地が日本であると認められる場合には、日本法の要件さえ満たせばよいということになるものでございます。
○松田委員 保護を進めていくことを念頭に置いて、ぜひ、地方の自治体や関係者含めて、そういったことで子供たちの未来のために、保護できる体制づくりをしっかりと進めていっていただきたいというふうに思っております。 また、新聞報道等で、先ほどからもありましたが、外国人と思われる親が出生届を出さずに子供が無国籍状態になっているということもあります。そういったことも含めた中、この制度も含めた中で、本当に子供たちの未来のために、しっかりと取組をぜひ進めていただきたいと思います。 次の質問に移らせていただきたいと思います。 養親候補の数について御質問させていただきたいと思います。 現在、養親になりたいと児童相談所や民間のあっせん団体に登録している人の数、また何組あるか、お答えいただきたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 養親候補者の全体像、潜在的に養親となることを希望している方も考慮いたしますと、その全体像を把握するということは困難ではございますけれども、厚生労働省で把握をしている数字といたしましては、児童相談所に養子縁組を前提として登録をされている養子縁組里親の登録数、これは把握をさせていただいております。直近の数字で申し上げますと、平成三十年三月末時点で三千七百八十一世帯となってございます。 なお、このうち実際に委託をされている委託里親数でございますけれども、こちらにつきましては二百九十九世帯、子供の数にしましても、同じく二百九十九人というふうになってございます。
○松田委員 厚生労働省が出してきました「特別養子縁組制度の利用促進の在り方について」という報告書によりますと、児童養護施設などに三年以上措置されている子供が平成二十七年三月現在で約二万人、家族と交流のない子供は平成二十五年二月現在で約一万人に及んでいるとの報告がございます。そうすると、全く養親の数が足りていないことになります。 もちろん、誰でもいいというわけにはなりませんが、養親となる者の素質は重要でありますが、単身者や同性カップルということだけで素質がないとされるのはおかしいと思います。 先日の法務委員会で、黒岩議員が単身者について質問をされました。答弁の中で、二人で監護、教育に当たれば、仮に一人の者に何かあった場合でも安心と答えてみえました。そこがポイントであるならば、同性カップルは十分にクリアすると思います。 昨年、児童福祉法が改正されて、家庭養育の原則が明記されたわけですから、一層特別養子縁組制度を促進させなければなりません。もっと柔軟に対応すべきと考えます。 また、全国各地の児童相談所や民間のあっせん団体が連携することによって、より早く的確なマッチングが可能になると思いますし、きちんと統計をとることが特別養子制度の促進につながるように思いますので、ぜひ、そういったことも含めて、いろいろなデータやいろいろなものを集約して、できるだけマッチングがうまくいく、利用促進になるように進めていくように、ぜひ御努力をいただきたいというふうに思っております。 次の質問に移ります。 養育里親と養子縁組希望里親の違いについてお伺いをいたします。 以前は、養育里親と養子縁組希望里親は峻別され、養子縁組希望里親には里親手当が支払われず、里親研修も義務づけられていなかったと聞いております。 養子縁組にも公的支援を積極的に行わない限り養子縁組はふえないと思いますが、現在はどのようになっているか、お答えいただきたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 養育里親は、虐待などの事情により親元で暮らせない子供のうち、将来的には家庭復帰をする、又はその可能性があるケースを対象に、養子縁組を前提とせずに、家庭的な養育環境を提供するために養育の委託を行うというものでございます。 一方、養子縁組里親は、そうした子供のうち、家庭復帰が見込めず、永続的に安定した養育環境を必要とするケースを対象に、養子縁組を前提として養育の委託を行うというものでございます。 里親手当でございますけれども、養育里親には支給されるものでございますけれども、養子縁組里親については支給されないということになっております。これは、養子縁組里親は、縁組成立後、子供を養子として迎え、法律上の親子関係を有し、一般の家庭と同様となるということを考慮したものでございます。 なお、縁組成立までの間、里親委託を行っている間でございますけれども、その間は、子供の養育に必要な一般生活費等については、養育里親と同様に支給をされるということになっております。 また、御指摘ございました研修でございますけれども、養育里親、養子縁組里親ともに同様の研修を修了することを義務づけておりまして、研修については、養子縁組里親についても対象として実施をしているところでございます。
○松田委員 児童福祉施策として、日本の養子縁組、養子制度は、欧米諸国やお隣韓国と比較しても、うまく活用されているとは言いがたい状況であるということがあります。歴史的な背景や文化的な要因もあるためと言われますが、比較的似た文化を持つ韓国などと比べても、少し低い水準であります。 養子縁組という制度への偏見を取り除くことが必要ということだと思います。社会規範は、きっかけがあれば大きく変化するものと思います。養子に対する見方、養親に対する見方を変えることこそが促進への近道になるようにも思いますし、また、アメリカのように、養子縁組希望者が行列をつくるとまではいきませんが、日本の偏見をなくす方策を考えるべきだと思います。 ぜひ、そういった形で、社会全体が子供たちのためにいい方向性になる一つのまたきっかけとなっていくことを望んでおりますので、法務省や厚生労働省も含めて、しっかりと取組を進めていただきたいというふうに思っております。 次の質問にかわらせていただきます。 成年後見人制度について御質問をさせていただきたいと思います。こちらの制度も、利用促進に関して内閣委員会の方で審議をされていたようですので、法務委員会の方でも幾つか確認をさせていただきたいと思います。 成年後見人制度の利用促進法が施行されて三年がたちました。利用促進基本計画が閣議決定されて二年がたちました。二〇一八年の成年後見制度の利用状況は、最高裁事務総局家庭局の成年後見関係事件の概況に記載されていますが、この概況によりますと、申立て件数の推移は、前年比約二・三%増にすぎません。申立て件数がほとんど増加しないのは昨年だけではございません。二〇一二年以降の六年間はほとんど増加しないことがわかります。 後見制度の利用促進にとって、申立て件数の増加は絶対条件であります。したがって、申立て件数が伸びない理由を徹底的に考察する必要があると思います。法務省は、この申立て件数が伸びない理由をどう分析されておりますでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 委員御指摘のとおり、社会の高齢化に伴って認知症高齢者の数も増加しておりまして、今後もさらなる増加が見込まれる中で、この成年後見制度、今後ますますの利用の必要性が高まっていくものと考えられますけれども、委員御指摘のとおり、いまだ十分に利用されているとは言いがたい状況にあるものと認識しております。 この成年後見制度の申立て件数が伸びない理由といたしましては、成年後見制度の周知が必ずしも十分でないこと、あるいは、その利用について身近な地域で相談することができる体制が十分には整っておらず、利用をちゅうちょされる方がおられること、財産管理に重点を置いた運用がされることも多く、利用者がそのメリットを十分に実感することができていない場合があることなどが指摘されているものと承知しております。
○松田委員 周知や身近なところからという、もっとしていただいて、利用しやすいような雰囲気をつくっていくことが非常に重要だということは、認識は多分されているというふうに思います。 次に移りますが、広報活動に使われている冊子について質問させていただきたいと思います。 成年後見人などの選任の部分でございますが、平成二十六年発行の冊子で明記されていた、候補者以外の方を選任する場合があるという文言と欠格事由の記載が、平成三十年発行の冊子から消えております。これはどういうわけでしょうか。
○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 御指摘のパンフレットでございますが、成年後見制度の内容について利用者等によく理解していただくための資料として作成しているものでございまして、内容につきましては、法改正の内容を反映することのほか、何を優先的に伝えるべきかという観点ですとか読みやすさを考慮しながら、適宜見直しを行っております。 現在使用しております冊子には、御指摘のとおり、確かに、候補者以外の方を選任する場合があるという明示的な記載はしておりませんけれども、より具体的に、本人に法律上又は生活面での課題がある、本人の財産管理が複雑困難であるなどの事情が判明している場合には、専門職を成年後見人等に選任することがあること等を記載しておりまして、同一の趣旨を、具体的な場合を例示しつつ異なる表現で説明をしているということでございます。 また、欠格事由についてもお尋ねがございましたが、さきに述べました、何を優先的に伝えるべきかという観点などから内容を見直した結果、今回の冊子では記載を見送ったものでございます。 いずれにしましても、成年後見人の選任に関する考え方や解釈につき変更があったということではございませんで、候補者以外の者が選任されることがあることや、候補者に欠格事由がある場合には選任されないことなどについては、必要に応じまして、申立て時に各家庭裁判所におきましても説明をしているところと承知しております。
○松田委員 この候補者という言葉が外されることによって、成年後見人は弁護士や司法書士さんなどのいわゆる専門職の後見人のみしか選ばれないように思えてしまう、一般の方から見てということがあります。 しかし、申立て書には候補者の記載欄があり、本人や親族は当然、意中の成年後見人を考え記載するわけですから、後見人の選任部分には必要な説明かというふうに思われますので、また御検討いただければというふうに思います。 次に移りたいと思います。 その候補者が記載された件数と、候補者が実際に選任されたパーセントがどのぐらいあるか、お答えいただきたいと思います。 〔委員長退席、石原(宏)委員長代理着席〕
○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 成年後見開始の申立て書で、成年後見人の候補者が記載されたものの件数ですとか、その候補者が選任された割合につきましては、統計をとってございません。候補者の記載は、ここに言う候補者の記載でございますが、事案に応じた適切な後見人を選任する際にその判断の参考とするという観点から記載していただいておりますもので、従前、この統計をとることまではしてございませんでした。 基本計画におきましては、本人の自己決定権を尊重し、身上保護も重視した制度運用とすることが指摘されていることも踏まえますと、課題の専門性や不正防止の必要性なども考慮した上で、後見人にふさわしい身近な支援者がおられる場合には、できる限りその方を後見人に選任していくことが望ましいと考えられるところでございます。 最高裁判所としましては、委員からの御指摘や基本計画における御指摘等も踏まえまして、利用促進の観点から、引き続き的確な実情の把握に努めてまいりたいというふうに考えております。
○松田委員 実際のところ、計算をすれば多分出ると思いますが、いかがでしょうか。
○手嶋最高裁判所長官代理者 これは、申立て件数が相当多数に上っておりまして、その申立て書を一枚一枚チェックしていくという作業が必要になっていくこともございます。 御指摘等も踏まえながら、どのような方法で必要な情報がとれるかということも考えながら、引き続き検討を行っていきたいと思っております。
○松田委員 申立て件数が伸びないという状況もあるものだから、この辺についてはできるだけ詳しく統計をとった方が利用者がふえるというふうに感じ取れることがありますので、ぜひ、また一度検討をしていただければというふうに思います。 次の質問に移らせていただきたいと思います。 ちょっと順番を変更して、成年後見制度を利用する本人の意思について、先に質問をさせていただきたいと思います。 現在、補助人候補者については、本人の望んだ人であるかどうか、家裁職員が意思確認をしております。しかし、保佐人の候補者や成年後見人の候補者については、本人に同意の意思確認をしていません。それどころか、家裁が成年後見人などを選任した後に初めて本人は成年後見人と会うということになるわけでございます。 初めて会う見ず知らずの人、多くは法律家の方でございますが、その方が巨大な権限を持ち、本人の財産や生活を管理していくわけですから、家族にしたら少し不安が募るということもございます。 後見制度利用促進のためには、本人と家族の理解が不可欠でございます。そのためには、まず本人の同意、次に申立人の同意のもとで成年後見人などは選任されるべきと考えますが、この本人の意思について家庭裁判所はどのくらい重きを置いているのか、お答えください。
○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 家事事件手続法におきましては、本人の意思を尊重する観点から、家庭裁判所が成年後見人の選任の審判をする場合には、原則として、本人の陳述を聞かなければならないというふうにされてございます。 家庭裁判所は、その聴取した本人の陳述の内容や、また心身の障害によりまして本人の陳述を聞くことができないという場合には、本人と後見人候補者との関係なども含めまして、申立人から聴取した事情なども考慮した上で、本人の利益保護のために最も適切な後見人を選任しているものと理解しております。
○松田委員 本人の申立てによって、本人が候補者を決めて記載した、その候補者が選任されなかった事例は数多くあります。また、選任しなかった理由について、家裁は本人に説明を一切されません。 本人の意思決定の尊重の観点から、本人が決めた候補者は選ばれるべきであり、少なくとも、選任されなかった場合は、本人にその理由を説明すべきだと思います。その辺についていかがでしょうか。
○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 先ほども御説明をさせていただいたところでございますが、後見人の選任に関しましては、御本人がどのような課題を抱えておられるか、そういったことも踏まえながら、最もその事案においてふさわしい後見人を選任することが非常に重要であるというふうに考えてございます。 その中に御本人の希望ということももちろん入ってございますけれども、総合的に考慮をした上で、裁判所の方で裁判官が各事案に応じて最もふさわしい方を選任しているというふうに理解をしてございます。
○松田委員 次に、成年後見人の選任について、また質問させていただきます。 家庭裁判所が決定した成年後見人への不服申立てを認めていないのはなぜでしょうか。ドイツでは、日本の成年後見人制度と似た制度がございます。選任された成年後見人などに対し、いつでも本人が異議申立てをすることができます。本人のための制度であるならば、これは本人の当然の権利と考えます。また、不服申立てをすることができないとは余りにもちょっと高圧的で、後見制度を利用しようとする人たちからしたら不安を持つ制度となっております。 制度の利用を促進させようと思うことであれば、この部分を見直すべきではないかと思いますが、不服申立てを認めない理由をお答えをいただきたいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 委員御指摘のとおり、家庭裁判所による成年後見人の選任の審判に対しては即時抗告の申立てすることを認められておりませんが、これは、誰を成年後見人として選任するのが相当かという点につきましては、個別の事案に応じて、家庭裁判所が公権的見地からさまざまな事情を考慮して判断すべきものでありまして、この点の判断については家庭裁判所の合理的裁量に委ねるのが相当であると考えられたためでございます。
○松田委員 次に、被後見人の定義についてお伺いをいたします。 家庭裁判所発行の二つの冊子には、法定後見制度三種類の説明として、後見の対象になる方に「判断能力が全くない方」という表現が使われております。この「判断能力が全くない方」という表現は、もはやあなたは人間ではないと言われているような印象を与えてしまいます。被後見人の人権を尊重すべきとした成年後見人制度の利用の促進に関する法律で、まさにこの制度にそぐわない表現と思います。 その意味において、成年後見の冊子には、自分のお金の管理が全くできない方を後見類型として、また、そういう人はいるねということを多くの市民は納得されていると思います。冊子の表現をできる限り皆さんにわかりやすく変えていくことというのは非常に重要だと思いますが、いかがでしょうか。
○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 御指摘の記載につきましては、民法七条に規定されております「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある」という要件が日本語としてやや難解であるということで、これをわかりやすく平易な表現に言いかえる趣旨で記載したものではございましたが、委員の御指摘も踏まえまして、先ほど申し上げましたように、適時パンフレットを改訂していっておりますので、今後どのような表現が適切であるかについても検討してまいりたいというふうに考えております。
○松田委員 人権的観点や、また、本当に利用される市民の皆さんに理解しやすいような法務にぜひしていっていただきたいというふうに思っております。 次の質問に行きます。 申立ての際に必要な医師の診断書について御質問をさせていただきます。 多くの主治医の方は、本人と会う、診察するのは月一回程度であり、その時間も五分、十分程度の場合がほとんどであります。本人の生活のことをほとんどわからない、知らない医師が判断できるのでしょうか。 また、医師の判断を本人情報シートで補足するということでございますが、こちらは任意提出なので、忙しいケアマネジャーさんに依頼できるかどうかも疑問であります。そうなると、付添いの方からの話を真に受け、あとは、想像力を働かせて書くことになります。 こうした記載された情報が本人の精神の状態を判断する医師の書面と認定されていいのかどうか、この辺についてお答えください。
○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 基本計画におきましても、医師が十分な情報に基づいて適切に診断を行うことができるよう、診断書等を作成するに当たり、福祉関係者等が有している本人の生活状況等に関する情報を医師に的確に伝える方策について検討を進めることというふうにされております。これを受けまして、最高裁判所におきまして、福祉関係者が本人に関する情報を記載して医師に提供するためのものとして、本人情報シートの書式を作成したところでございます。 医師が診断をされる場合には、本人情報シートに記載された情報のほかにも、本人や親族への問診、認知機能テストや知能検査、CTやMRI等の画像検査などの結果も踏まえた上で、適切に医学的な判断がされるものというふうに承知をしております。 できる限り日常の生活状況についての的確な情報を医師のもとに効率よくお伝えをするという趣旨で先ほどの本人情報シートの検討をしたところでございますけれども、委員御指摘のとおり、それを作成される福祉担当者の御負担ということも確かにございます。 ただ、これを作成する際におきましては、最高裁判所といたしましても、各方面からいろいろ御意見を伺った上で作成をしているところでございまして、医師や福祉関係者の団体等からも意見聴取を行っております。 その際に、診断を行う医師の負担に配慮すべきであるという御意見ですとか、医師に提供される情報について様式の統一を図るべきであるといった御意見もあったところでございまして、これも踏まえて書式を作成し、関係団体等からも改めて御意見をお伺いした上で書式を完成させているところでございます。 いずれにしましても、この運用は本年四月から始まったばかりですので、今後、実務における活用状況ですとか、医療関係者、福祉関係者からの御意見等も踏まえまして、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。 〔石原(宏)委員長代理退席、委員長着席〕
○松田委員 次に、診断書の記載について御質問したいと思います。 新しい診断書には、判断能力についての意見の欄に、以前の診断書にはあった、後見相当、保佐相当、補助相当の文言がなくなりました。このことは、うがった見方をすれば、医師の判断よりも家裁の判断により本人の類型を自由に決めることができるよう、裁量を大きくしたようにも思われます。 診断書からこの文言を削除した理由をお答えください。
○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 御指摘のとおり、新しい診断書の書式では、後見相当、保佐相当、補助相当との表現を用いておりませんが、これは、後見、保佐、補助のどの類型に該当するかを家庭裁判所が的確に判断すべき事項であるという趣旨で、医師に対して意見を求めているのはあくまでも本人の精神の状況に関する医学的な診断についてであるということを明確にする趣旨で行ったものでございます。
○松田委員 次に、医師の診断の補助となる本人情報シートについてお伺いします。 現在の制度だと、この本人情報シートが医師にも家裁にも判断に重要な情報となってきますが、先ほど言ったとおり、任意提出となっております。 この場合、誰がどのタイミングで本人情報シートの作成を依頼するんでしょうか。判断しにくいと思った医師や家裁が提出を求めるのでしょうか。
○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 本人情報シートは、一般的には、後見開始の審判の申立てを検討している御本人ですとかその親族の方がケアマネジャーなどの福祉担当者に作成を依頼されてこれを準備され、医師に診断書の作成を依頼する際に提供することを想定しているものでございます。 御指摘のとおり、本人情報シートの医師への提供というのは任意ということになっておりますが、医師が必要に応じて御本人やその親族に本人情報シートの提供を求めるということもあり得るところと考えられます。
○松田委員 ぜひ、本人の日常の情報を知りたい場合は、現実に合った本人情報シートを作成して、ヘルパーさんに直接書いてもらうようにするなど、頼む方も頼みやすくする工夫や、頼まれる方も負担にならない工夫をぜひ考えていっていただきたいというふうに思います。 次に、後見監督人についての権限についてお伺いします。 成年後見人と後見監督人の意見が違った場合、どういう判断がされるんでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 後見人は、原則としまして、後見監督人の意向等を確認することなく、みずからの意思で契約等をすることができるわけでございますが、例外的に、金銭の借入れなど、民法十三条第一項各号に掲げる行為をする場合には、後見監督人の同意を得る必要があることとされております。これは、こういった行為は重要性が高く、被後見人に与える影響が大きいことから、被後見人の保護をより十全にするためのものでございます。 そのため、したがいまして、後見人が被後見人を代理して借金をしようとする場合には、後見監督人の同意を得なければならず、意見が違って、その後見監督人の同意が得られない場合には、これをすることができないこととなります。 後見人から見ますと、後見監督人の同意を要する点で一定の負担が生ずることとなりますが、後見人の不正行為により被後見人の利益が害されてしまうこと、こういったこともございますので、被後見人の保護のため合理的な規律であると考えております。
○松田委員 監督人が後見人の上にいるというふうな位置づけのようにも思われます。家裁がこの人を後見人に選任したということでありますから、少しその辺の位置関係というのは疑問に思われる部分がございます。 その意味において、本人に寄り添って最適な人だということで家裁が判断した成年後見人より上位に監督人を置くということが少し疑問に思われることもありますので、またこの辺についても見直しも必要となる部分があるかと思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、今後の方向性についてお伺いをいたします。 今まで質問をしてきたように、身上監護の観点からは親族後見人をふやすべきと思いますが、そのための方策などはどのようにお考えになられておりますでしょうか。
○手嶋最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 基本計画におきまして、後見人については、財産管理のみでなく身上監護や本人の意思決定支援の側面も重視し、本人の利益保護のために最も適切な方を選任することができるようにするための方策を検討するというふうにされてございます。 最高裁判所といたしましても、これを踏まえまして、後見制度の重要な担い手であります弁護士、司法書士それから社会福祉士が所属される各専門職団体と、後見人の選任のあり方などについて議論を行ってまいりました。 その結果、課題の専門性や不正防止の必要性なども考慮しました上で、後見人となるにふさわしい親族などの身近な支援者がおられる場合には、これらの方々を後見人に選任することが望ましいことなどの基本的な考え方につきまして、認識を共有したところでございます。 このことにつきましては、各家庭裁判所に対し、今後の運用の参考とするため、情報提供を行っておりまして、今後、各家庭裁判所におきまして、基本計画における指摘ですとか、専門職団体と共有されたこうした考え方を踏まえ、更に検討が進められ、その上で、各裁判官が個別具体的な事案に応じて本人の利益保護のために最も適切な後見人を選任していくことになるものというふうに承知しております。
○松田委員 最高裁事務総局は、後見制度利用促進のために、弁護士会、司法書士会、リーガルサポート、社会福祉士会との間で協議を重ね、方針を検討されてきたということであります。 何よりも重要なのは、本人の個性、特性を知るということであります。ドイツを例に見れば、成年後見人などの過半数が家族であり、他人である市民が三五%を占め、弁護士は五・五%にすぎません。本人を知ろうとして情愛を持って本人と接しなければ、本人を幸せにすることはできない。 最高裁事務総局と厚生労働省には、専門職団体の意見だけでなく、親族で成年後見人などをされている方や法人後見をしている団体の意見を、いろいろなたくさんの意見を聞いて、ぜひ有効にこの制度の利用促進に向けての努力をしていただきたいと思います。 以上で私の質問は終わらせてもらいます。ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で松田功君の質疑は終了いたしました。 次に、井出庸生君。
○井出委員 済みません、始めさせていただきます。 きょうは資料を二種類用意しておりまして、一枚紙の資料は前回と今回とパネル掲示をさせていただくものなのですが、質問時間が限られておりますので、皆さんの視覚にお訴えをしたいと思って、きょうは掲示をさせていただきます。 繰り返しになりますが、内閣府の調査、二〇一八年発表で、無理やり性交されたことがあるという女性が七・八%いる、それから警察に相談された方が二・八%だった、そのことに基づく数字でございます。 質問に入ってまいりますが、きょうも警察庁の田中さんにまず伺います。 前回の最後に、被害届を出す人、出さない人、ちょっとその実態把握をやってほしいというようなことを申し上げて、最後に、東京の性暴力救援センターのSARCですとか大阪のSACHICO、両機関は大変多くの相談者、要支援者がこれまで来ておりますので、そうしたところと少し一緒に調査をしていただけないかと。 そのことについて明確な御答弁をいただけなかったので、もう一度ちょっと調査をするようお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田中政府参考人 性犯罪の捜査におきましては、相談の段階から被害者の心情に配意した対応を徹底することが重要であり、警察庁及び都道府県警察においては、被害者支援団体の方々の御意見も参考として各種施策を推進してきたところであります。 具体的には、警視庁と大阪府警察におきましては、定期的に、それぞれ、SARC東京、大阪SACHICOを含む関係団体と実務担当者の会議を開催するなど、これらの団体における相談の対応状況等について意見交換を行っているものと承知をいたしています。 被害者支援団体におかれましては、警察に対して相談がなされなかったケースについても把握している場合があることから、性犯罪の潜在化防止を考える上で、こうした団体の方々の御意見を伺うことは有益であると認識をいたしております。 引き続き、被害者支援団体の方々から被害届の受理に係る御意見等についても伺いつつ、各種施策を更に推進するとともに、性犯罪に関する相談に適切に対応するよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
○井出委員 両団体の御意見を伺うということは少し前向きに言っていただいたんですが、なかなか実態把握に、私がお願いしたいのはやはり実態把握でありますので、もう少し伺います。 先日、個々の事案に関して、相談の時点において性犯罪の被害申告の意思があるか否かということは必ずしも明確に判断できないから、被害を届ける意思があっても届出をするに至らなかったケース、被害届を出したくても出さない、門前払いになってしまった、そうした件数や割合を把握するのは極めて困難であるというお話がありました。 ただ、その前段、ずっと議論しておりますと、例えば、電話やメールで匿名で相談が来るんですよとか、事実関係とか構成要件が該当するかどうかすぐには判断できないものがあるんですよとか、それから、家族、第三者の相談ですとか、羞恥心から捜査を求めない、又は、一定の年月が経過した後に被害の届出が出される、結構具体的に、お話しをいただいていると、後で速記録を見ていて、割合具体的にケースを把握されているなというのがございます。 私が端的にお願いしたいのは、把握することが困難であるというさきの答弁は私もそのとおりだなと聞いておったんですが、実際にその件数とか適宜の記録を把握してみて、把握にトライをしてみてなおも困難であるというのであれば、私もちょっとその後の質問を考えようかなと思うのですが、把握をする前から困難であると言われてしまうと、やはり把握にトライをしていただきたいなと、改めて田中さんにそのことを切にお願いするものでありますが、答弁をお願いいたします。
○田中政府参考人 先日、五月十七日の委員会におきまして、相談を受けるなどした事案で、被害届の受理に至らなかったものの態様といたしまして、第三者からの相談、羞恥心等から被害申告をためらうもの、当初、被害申告の意思が明確でなかったが、一定の年月が経過した後に改めて被害の届出がなされるものなどがあることを申し上げたところでございます。 これらにつきましては、相談の時点において性犯罪の被害申告の意思があるか否かが必ずしも明確に判断できないような相談の例として御説明したものでありまして、被害申告の意思があるにもかかわらず被害届が不受理になるケースについて類型化したというものではないということを御理解いただきたいと思います。 先日も申し上げましたとおり、被害届の不受理の件数を把握するためには、結局、性犯罪に関する全ての相談を精査することになってまいるわけでありますが、性犯罪に関する相談はさまざまな態様や経過をたどるものでございまして、個々の事案に関し、相談の時点において性犯罪の被害申告の意思があるか否かは必ずしも明確に判断できるものではなく、時の経過とともに変化することもございまして、被害を届け出る意思があるにもかかわらず受理に至らなかったケースの件数や割合を把握することは極めて複雑な作業となりまして、たとえ期間を区切り、一つの都道府県警察に限定したとしても、極めて困難であると承知をしております。 このような困難な調査を、都道府県警察で捜査活動に当たっている職員の手をとめて実施することにつきましては、私どもといたしまして、消極とならざるを得ないところであります。 なお、警察におきましては、被害の届出に対しては、その内容が明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものである場合を除き受理することといたしておりますが、これにより、被害申告の意思があるにもかかわらず被害届の受理に至らないものといたしましては、例えば、実在しない人物が加害者であるもの、あり得ない日時や場所で犯罪行為が行われたとするものといった例外的なケースであると考えられまして、そのような数でありますとか割合を集計することにつきましては、性犯罪に係る施策の推進に資するとは考えにくいと考えております。
○井出委員 最初の方はふむふむと思って聞いておったんですが、最後のところ、被害届を受理しないのは本当にあり得ないケースなんだというお話であるんですが、ただ、実際、被害に遭われて被害届を受理していただけなかったという方は私はいらっしゃると思うんですね。私のところにも実際相談に来た方がおります。それから、SARCやSACHICOに行けば、そのことは明らかであろうと思いますので。 私も、現場の都道府県警察の方の仕事を邪魔するつもりはございません。例えば、法務省は今、検事歴二十年ぐらいの方がお一人、実態把握のために、専従でちょっと研究所か何かに出ているんですかね、調査に当たられている、半年か一年ぐらいの期間でですね。警察庁にも、現場に出ていない方はいらっしゃると思いますし、今後指導的な立場になる警察の方もいらっしゃると思いますので、そういう方に少し、半年やってみろ、一年やってみろでも構わないんですよ、何とか少しやっていただきたいなというのが現状でございます。 そこで、きょうの、もう一つの束になった資料を御紹介したいんですが、これは、昨日、衆議院の第二会館におきまして行われた研究発表、性暴力被害経験に関する質的研究であると。 研究の目的は、司法で犯罪として扱われる性犯罪が被害当事者の認識する性暴力と異なっている、本研究では、当事者の認識する性暴力を深く理解するために、インタビュー調査を実施して、望まない性交の被害状況等の、少しはしょりますが、形成過程を整理し、刑法改正議論や被害者支援に役立てると。 研究をされたのは、もうこの分野ではおなじみの目白大学の斎藤梓専任講師、最高裁でも研修をやっておりますし、法務省の検討会等にもいらしている方。もう一人、大竹裕子さんという方は、オックスフォード大学で今、仕事をしながらの研究をされている方で、三十一名の方から、複数の被害を受けている方もいますので、四十一件の被害について実際にインタビューをされた調査でございます。 一枚めくっていただきますと、その左半分ですね、被害の類型を奇襲型からエントラップメント型までと五つに類型し、その下、被害の認識までかかった時間というものが十年以上だとおっしゃっている方が九件、ほぼ四分の一なんです。 それから、一枚めくっていただいて、今少しお話をしたエントラップメント型、これは今回の調査の少し中心的な発見であるんですけれども、そのことについて右端に少し解説の図説が書いてありまして、これは、要は、性犯罪その場の行為だけでなく、ふだんの日常生活において、端的に言ってしまえば、少しずつ外堀が埋まっている、そういう類型であります。 一枚めくっていただくと、具体的に、地位、関係性を利用した性被害の発生プロセスというものを、一、二、三、四、もう一枚あるんですけれども、五段階、フェーズの五つ、分けていて、加害者はふだんは周囲や被害者から信頼、尊敬をされている人である、それがだんだんセクハラをしたり飲酒をさせたり、加害行為が行われたときのやりとり、加害行為が終わった後にはその性被害を正当化してくると。一枚めくっていただきますと、正当化することが後にうそだということが露見をして、被害者側の相談や告発が始まると。 串田委員と刑事局長との答弁でも、暴行、脅迫や抗拒不能、著しく抗拒困難というものは、必ずしも加害行為と時間的に密接でなくてもいいというような答弁もあったかと思うんですが、そのことを極めてよく分析していただいたものだと思います。 一枚めくっていただくのは、もう参考にしていただいて、これは家庭の性暴力の、少し図式でその要因や経過をあらわしたものなんですが。 最後のページなんですが、私、この調査結果の大変すぐれているなと思うところは、調査結果から、そのことを支援政策、啓発、研修等に役立てるべきもの、それが左上ですね、それからその隣、右上なんですが、刑法改正の議論として喚起すべきものと。これは、必ずしも全てを刑法で解決するべきものではないと、そこは冷静な調査結果を出していらっしゃるなと思うんですが、その中で、左上の必要な支援というところ、被害認識の形成を助ける啓発、不同意性交を性暴力として啓発し、警察、支援機関への相談につなげていくと。 今お話ししたように、性犯罪に至る経過も本当にさまざまなものがある、突発的、瞬間的なものから、時間をかけて外堀が埋まっていくようなものまでですね。すぐに相談に来る人はほとんどいない、十年以上かかる人が四分の一だと。 ですから、前回、田中さんの答弁にあったように、事実関係が明らかでないですとか構成要件に当たらないというものを、その場で警察も即断してしまってはいけないんじゃないかと思うんですね。 ぱっと聞いて、事実関係が全然明らかでないよ、うそだよ、構成要件を全く満たしていないよとその場でお断りされたら、やはり、じっくり時間をかけて話を聞く、その日聞けなくてももう一回来ていただく、もう一回来ていただくに当たっては、しっかりと前回の記録をとっておく、そういう丁寧な対応をしなければ、なかなか被害に遭われた方の本当の本音というものは引き出せないと思います。 そのためにも、何度も何度もお願いするんですが、やはり少しその実態把握というものに前向きになっていただいて、そのことによって現場の警察官に、性犯罪の相談に来る人には、慎重で、長い目で丁寧にその話を聞いていくことが大事であるということを周知していただけると、非常にいい方向に行くかなと思うんですが、田中さん、いかがでしょうか。
○田中政府参考人 まず、冒頭のお尋ねに対しまして、実態把握をやらないというふうな趣旨で受けとめられたかもしれませんが、私どもといたしましては、被害者団体の方からその実態も含めてお話を伺って、その上で施策を進めていきたいというふうに考えておりますので、実態把握をやらないという意味ではございません。 その上で、専門家の知見を踏まえて対応すべきであるという趣旨のお尋ねかと思いましたけれども、警察におきましては、性犯罪被害者が最初に相談する公的機関となることも多く、被害者の心理を理解して対応することが重要であるため、これまでも警察学校等で職員に対する必要な研修を行ってきたところであります。 警察では、平成二十九年の刑法改正も踏まえ、警察大学校での研修や、全国の都道府県警察の性犯罪捜査担当者を集めた会議において、臨床心理士や精神科医等を講師として招き、講義を実施しているほか、各都道府県警察においては、警察学校や警察署等において、性犯罪被害者の心理に関する研修を実施するなど、性犯罪に直面した被害者の心理等について職員の理解を深めるための研修を実施しているものと承知をいたしております。 今後とも引き続き、被害者の心情に配意した適切な対応が徹底されるよう指導してまいりたいと考えております。
○井出委員 実態把握をやらないとは言っていないと力強く言っていただいて、大変感謝を申し上げたいと思います。 最高裁にきょう来ていただいているので伺いますが、裁判官の研修というものも非常に大事だなと思いまして、それが、講演資料をつくったから各裁判所に届けておきますよですとか、話を聞いていると、やはり性犯罪に関しては応募制の座学的なものが多いのかなというのが今まで聞いてきた話なんですが、私なんぞも、当初は非常にこの問題に関する認識が薄かったです。正直、ぴんとこなかったです。 ですが、被害者の話を聞いたり、それから加害者の治療をしているお医者さんの話を聞いたりすることによって、少し問題が深掘りをされてきた。性犯罪というものは態様もさまざまで、そういう時間的なもの、それから内面のもの、目に見える暴行、脅迫があるかないか、そういったものは非常にさまざまなものであるということはだんだんだんだん理解をしてきて。 昨年、実は、イギリスに行ったときに、向こうの元裁判官に、裁判官は三日間ぐらい缶詰になってこの分野の研修をやる、そんなようなお話を伺って、一同びっくりしたんですが、そういうことはなかなか日本の裁判官には行われていないのかなとも思いますし、性犯罪だけというわけにいかないのかもしれないんですが、少しやはりこの研修というものに力を入れていただきたいと思いますが、ちょっと現状と今後の展望を教えてください。
○安東最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 一般的な研修もちょっと含めてお答えいたしますが、司法研修所におきましては、判事補への任命直後、任命三年目、判事への任命直後という節目の年次、それから、支部長、部総括、所長などのポストについた際、そういったときに、該当する全裁判官を対象とした研修を行っております。そういったポスト制のものに加えまして、民事、刑事、家事、少年の裁判分野ごと、あるいは、被害者配慮、裁判員裁判といった特定のテーマごとの研修も実施しております。 これらの研修ということで申しますと、二日から五日程度の日程で実施されておりまして、遠方の裁判所から来られる裁判官は司法研修所の寮に泊まり込んで研修を受けるということになります。 実情としましては、こういった研修が年間約五十本以上実施されておりまして、参加人数は年間で延べ約二千二百人ということでございます。裁判官の現在員数は約三千五百人でございますので、全部の研修ということになりますと、裁判官は、平均しますとおおむね一年半に一回程度こういった研修に参加しているということでございます。 性犯罪の研修につきましては、平成二十九年から現在までで申しますと、今言ったような分野ごとの研修で四回の研修で扱っている、そういった実情にございます。
○井出委員 時間なので終わりますが、この研究は法務省にも何かアポをとって報告に行くそうなので、大臣と刑事局長、よろしくお願いいたしたいと思います。 では、終わります。どうもありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で井出庸生君の質疑は終了いたしました。 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時五分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○葉梨委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。森田俊和君。
○森田委員 国民民主党の森田俊和と申します。 きょうは、山下大臣のほかにも中村文科の政務官にもお越しいただいております。よろしくお願いいたします。 今回、いろいろ会派の中で異動がありまして、今回の法案から私も法務の方に携わらせていただくようになったんですけれども、よく、御質問の機会をいただきましてありがとうございますということを形式上申し上げることがあるんですけれども、私、この問題を調べ始めて、本当にこれは非常に政治的な使命を感じる問題に携わらせていただいたなという思いを強く持ちました。 というのは、私、住まいは埼玉の熊谷というところなんですけれども、そこに、さめじまボンディングクリニックさんという、「さめじま」は鮫島先生なんですけれども、ボンディング、きずなを結んでいく、のクリニックということで、この先生が、私は人気のある産婦人科の先生だというところしか理解をしていなくて、選挙があれば御挨拶に行ったりはしていたんですけれども、ただ、今回、いろいろな資料を見ているところで、養子縁組のあっせんをされていらっしゃる医療機関だということがわかりました。 それで、その先生自体は独立してから十数年というところなんですけれども、独立する前から、勤務医のときから、そのあっせんのところに個人的な立場として携わってこられた。たまたま奥様が、開業されてから、もともと児相での勤務の期間もあったということで、御自身の使命感というものもあわせて感じながら、夫婦おそろいで、そこにもちろん職員さんも入ってということになりますけれども、この養子縁組の問題に取り組んでこられたということでございます。 一つのクリニックだけではなくて、あっせん機関の連合体のようなものをつくっておりまして、あんしん母と子の産婦人科連絡協議会、略してあんさん協というふうに呼んでいらっしゃるらしいですけれども、ここにはあっせんする機関としての産婦人科のお医者さんが六院含まれておりまして、そのほかに十六の産婦人科の先生たちが加わっているということで、全体のあっせん機関の数から見ても、今十七ぐらいなんでしょうかね、あっせん事業者というのは、その数から見ても非常に大きな位置を占めていらっしゃる協議会なのではないかなというふうに思っております。 この組織ができてからの五年間の報告というものを拝見をいたしまして、聞かせていただきましたところ、百四十七件、養子につながるような相談を実績として持ってきたということがございました。その中で、養子縁組に至ったケースというのが百四十七件中の六十六件ということで四五%。それから、いろいろ悩みに悩んで、みずから育てようという決断に至ったケースというのは四十四件あったということで、およそ三〇%の方がみずから養育をされる、相談はしたけれども、結局みずから養育されるという判断をしたという方がそのくらいいらっしゃったと。 やはり、産んでから、あるいは実際に赤ちゃんの顔を見てから判断を変えるという方が結構いらっしゃるということで、そこは決して焦らせないと。だから、こうしようね、縁組でしょうとかと言うとやはり誘導になってしまいますので、やはりいろいろな補助だとか援助を、病院であったりあるいは児相であったり、いろいろな関係者から受けているので、何か言われると強要されているんじゃないかなという非常に心理的な圧迫を受けるということで、できるだけフラットな状態で、一生懸命考えようね、いろいろな思いがあるだろうけれども考えようねということで温かく支えて見守っている、そんなことをおっしゃっておりました。 順次質問をさせていただきたいなと思うんですけれども、まず、私が驚いたのは年齢構成です、相談者の。未成年が四〇%、それで、中高生に相当する年齢層が三〇%ということでございまして、最年少、一番若い女性は十三歳であったということなんですね。私も三人娘がおりまして、一番上が高二、中三、中二なんですけれども、まさにそこの年齢層の女の子たちがいろいろな苦難を抱えながらこういうところに直面しているということで、とても人ごととは思えない中で今回のいろいろな調査をさせていただいたということがございました。 まず、こういう年齢層の女の子が多いということですから、学校における支援というのがどうなっているのかなということを質問でお伺いをさせていただきたいと思います。
○矢野政府参考人 お答え申し上げます。 高等学校の生徒が妊娠した場合は、関係者間で十分に話し合い、母体の保護を最優先としつつ、教育上必要な配慮を行うべきものと考えております。 具体的には、在籍する高等学校で学業を継続する場合には、当該生徒の状況やニーズも踏まえながら、学校として養護教諭やスクールカウンセラー等も含めた十分な支援を行うということが必要である、体育実技等、身体活動を伴う教育活動については、当該生徒の安全の確保の観点から工夫を図った教育活動を行ったり、課題レポート等の提出や見学で代替するなど母体に影響を与えないような対応を行う必要があることなどを、平成三十年三月に文部科学省から発出した通知において示したところでございます。 文部科学省といたしましては、各学校において妊娠した生徒が学業を継続できる環境が整備されるよう、引き続き通知内容の周知徹底に努めてまいります。
○森田委員 ありがとうございました。 学校のほかに、地域というか、学校以外の行政で支えられる部分もあるんじゃないかなと思いますけれども、学校以外の部分で、若い妊婦さん、望まない妊娠をされた方の支援というのはどうなっているんでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 若年の妊娠や経済的に困窮する妊婦など、妊娠に悩む妊婦を早期に発見をし、相談や必要な支援につなげることは、虐待を防止する観点からも非常に重要なものだというふうに考えております。 このため、厚生労働省では、妊娠に悩む妊婦を支援するため、都道府県等が設置をしております女性健康支援センター、こちらにおいて相談支援を行っておりまして、特に今年度からは、若年世代がアクセスしやすいインターネットやSNSを活用しまして同センターへの相談について周知、広報を行うことを促しているほか、また同じく今年度予算でございますけれども、妊婦の早期の産科への受診を促して関係機関に確実につなぐために、新たに、産科の医療機関に同行支援を行うというふうな際の人件費の補助ですとか、妊娠判定料も含む産科の受診にかかる費用の補助についても行っているところでございます。 女性健康支援センターを設置する都道府県におきましてこうした事業の意義が理解をされ、積極的に実施いただけるように、取組を促進してまいりたいと考えております。
○森田委員 ありがとうございました。 女性健康支援センターの事業ということでございまして、私も埼玉県はどうなっているのかなと思って調べてみたら、各県が置いている保健所がその相談窓口になっているのに加えて、にんしんSOS埼玉というところで、これは委託をして相談等に当たっているということだそうです。平成三十年の七月からの開設で、年度末までの九カ月間で、電話だとかメールを合わせて一千九十七件、このにんしんSOS埼玉というところで相談を受けている、そういうお話でございました。一月にならすと百二十件ぐらいの相談があるということだと思います。 ただ、やはりこういうところにアクセスができる子というのはまだまだ恵まれているケースでございまして、いろいろお話を聞いていますと、かなりの方は、そこから閉ざされた中で、どこにも相談できずに、中には、実際、妊娠した子の親から虐待を受けたりとかしているケースもあるということで、非常に外の世界とアクセスを持っていくということが難しいんじゃないかなと思っておりますので、事業はもちろんやっていただくにしても、そのほかの、例えば病院をその窓口にしていったりとか、あるいは学校との連携を深めていったりということで、ぜひ、特に若い方の支援に努めていただければありがたいなと思っております。 それから、また学校の問題に戻らせていただきますけれども、妊娠をすると、鮫島先生のところでも出ていたんですけれども、やはりどうしても、おなかが大きくなるだとかいうことで、ぱっと見でわかる変化が出てくるということで、中には、校則にのっとってということもあると思うんですけれども、学校を退学するようなケースというのが出てくると思うんですが、妊娠による退学とか、あるいは誘導するとかということについてはどうなっておりますでしょうか。
○中村大臣政務官 お答え申し上げます。 高校生が妊娠をしたということを学校で把握したケースというのを調査しております。文部科学省で、平成二十七年、二十八年の二カ年度に妊娠を学校で把握したケースというのは全国で二千九十八件、これは全日制と定時制がほぼ半々なんですけれども、二千九十八件のうち、懲戒として退学処分をしたというケースはありませんが、学校が退学を勧めたというケースが三十二件、調査では確認をされております。それ以外に、自主的に退学したというのが六百四十二件というふうに、全日制と定時制でそういうふうに数字が調査上出てきています。 そのことから、平成三十年三月に文部科学省では、妊娠した生徒の学業の継続に向けた考え方という通知を発出しておりまして、先ほどの答弁でもありましたけれども、生徒が妊娠した場合には、関係者間で十分に話し合い、母体の保護を最優先としつつ、教育上必要な配慮を行うべきものであることであるとか、その際、生徒に学業継続の意思がある場合には、教育的な指導を行いつつ、安易に退学処分や事実上の退学勧告等の対処を行わないという対応も十分考えられますよということを学校の方に示しているところであります。 文部科学省としては、各学校において妊娠した生徒に対し適切な対応がされるように、引き続き通知内容の周知徹底を図ってまいりたいというふうに思います。 以上です。
○森田委員 ありがとうございました。 今のお話ですと六百四十二件が自主退学ということで、みずからの意思でというんですけれども、これは多分、職場でもあるように、いや、懲戒じゃないんだよ、あの人が自分で退職届を書いてきたんだという、こういうことがやはり職場でもあるわけですから、当然、目に見えないところで、いろいろな圧力によって、中には、例えば学校じゃなくて親が言っているケースももしかしたらあるんじゃないかなと思いますけれども、いろいろなケースが考えられると思います。 まずは、中学生、高校生にとってはやはり学校が社会との接続点になっていると思いますので、学校で、この鮫島先生も言っていたんですけれども、とにかく相談に来なくなる一番は、説教されると。例えば、産婦人科に本当は継続的に受診してやるのがいいんだけれども、産婦人科でさえも先生が説教したり助産師さんが説教したりするので、もう来なくなっちゃう。そうすると、母体も赤ちゃんも両方、二人分の命を危険にさらすということになるということで、これはぜひ、学校の現場も、例えば保健室の先生始めいろいろな関係者の方がいると思いますけれども、まだこういう認識を持っていらっしゃる方はそんなに多くないんじゃないかなと思っております。 あとは私学の問題ですよね。私立の学校なんかは、校則ですからといって簡単に退学になってしまうということも想像されます。 ぜひ、ちゃんと学校に行ってもらって、いろいろな支援をしながら、まずは卒業してもらうということが、その後の就職、進学にとっても非常に大事な窓口になって、一つのステップになっていくと思いますので、ぜひ学校側の対応を、丁寧に見ていただければなと思います。 それから、まだ学校にいるうちはいい、じゃ、学校を出ちゃったらどうなるんですかということなんですけれども、これについてはどうでしょうか。
○中村大臣政務官 妊娠を理由として退学をせざるを得ないような場合であっても、生徒が学業の継続ができるよう具体的な支援を行うことが重要だというふうに考えております。 このため、平成三十年三月に発出した通知においては、再び高等学校で学ぶことを希望する場合には、高等学校等就学支援金等による支援の対象となり得ること、また、高等学校卒業程度認定試験があること、加えて、退学以外に休学、また全日制から定時制、通信制への転籍及び転学等学業を継続するためのさまざまな方策があり得ることなどについて、必要な情報提供を行うように高等学校に求めているところであります。 また、中途退学者に対する支援としても、学びを通じたステップアップ支援促進事業の実施により、地方公共団体等における学習相談及び学習支援のモデル構築も行っているところでありまして、引き続き、退学をせざるを得なかった生徒の学業継続に向けた支援に取り組んでまいる所存でございます。
○森田委員 ありがとうございます。 退学をしてしまった子がどことの接点を持つかというのを考えると、なかなか、もう学校に二度足を踏み入れるというのは多分ないんじゃないかなと思っておりまして、そういった意味では、先ほど来出ております産婦人科の先生の現場ですとか、支援センター、あるいは児相、こういったところとの連携を密にしていただいて、レールから外れても、またもとに戻れるんだよということを、ぜひ文科省としてもサポートしていただきたいなというふうに思っております。 それから、さめじまクリニックのお話を聞いておりましたら、非常にまれなケースではあると思うんですけれども、十四歳の妊婦さんが一時保護という形で委託をされてクリニックに入ってきたと。 これはもう出産間近なので産婦人科の先生のところで見てもらった方がいいだろうということに加えて、精神的なプレッシャーを非常に受けていた状態なので、負荷がかかっている。どういうことかというと、妊婦さんは十四歳ですから、その妊婦さんの母親のパートナーから性的虐待を受けて妊娠に至ってしまったと。母親とそのパートナーがいるので、家庭と切り離さなければこの子はもう安全が保てないということで、児相の判断で、普通の施設ではなくて、ちゃんとクリニックで見てもらおうということで保護したんだよということがありました。 ところが、普通の施設で見る費用負担のところしか見てもらっていないということで、要するに、個室を確保して、クリニックですから個室を確保して、助産師さんがつき、その方は性的虐待を受けていたので、ケアができる専門の研修を受けた看護師さんがつき、あるいは、スカイプで、テレビ電話で、ちゃんと性的虐待のケアができる精神科のお医者さん、女医さんに日ごろからケアをしていただきながら出産まで持っていった。 その間については、病気で入院しているとは言い切れないのでまず保険も適用にならないということもあって、まあ、親御さんとの連絡がついて問題なくやれれば親御さんから払ってもらえばよかったらしいんですけれども、結局は、だから一カ月分とかが丸々取れないという状況になってしまったということで、ぜひ、一時保護の費用負担のところに加算を設けたりなんなりして、専門的なところをこういったところで見られるような形ができないものか、こういうお話があったんですけれども、これについて御答弁いただきたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 一時保護に当たりまして入院治療が必要な子供につきましては、一般の一時保護所や児童養護施設ではなく、委員御指摘がありましたように、病院に一時保護委託をするということができる仕組みになっております。 病院に児童の一時保護を委託をする場合には、まず一つ目ですけれども、例えば三十日間一時保護された場合の一般生活費としてはおおよそ五万円強でございますけれども、一般生活費が支給がされる。これに加えまして、入院中にかかる医療費の自己負担分、あるいは、その方が医療保険に加入していないような場合については医療費の全額分、こちらも支払われます。 それから、出産の費用でございますが、出産は医療保険の適用外なんですけれども、出産費用についても負担の対象になるというような状況になってございます。 このように、国と自治体において全体としては必要な費用負担を行っているものというふうには考えておりますが、今後とも、この一時保護委託、特に医療機関に委託をする場合のこうした制度の仕組みについては丁寧に説明をしていきたいというふうに考えております。
○森田委員 ありがとうございます。 いわば特別室対応みたいな形だったと思います。しかも、病気とは言い切れないということで、そういった、グレーゾーン的なケースではないかなと思いますけれども、いずれにしても、同じようなケースを持ち込まれたら、うちはちょっと面倒を見られないよという話が出ておりました。 ですから、加算がきちんとなされて、専門的な医療機関で専門的なケアがなされるという状況があればちゃんと費用負担が出ますよということをぜひ御検討いただければなというふうに思っております。 時間の関係がありまして、記録の保存、大臣への御質問のところに入っていきたいと思っておりますが、参考人の方からもこの前お話がありましたけれども、年がいってから、退職後にふらっと児相に戻ってこられて、私の出自はどういうことなのかというお尋ねがあったなんということもありました。 やはり人間は自分がどこから来たのかなというのを知りたいというのは、これは当然の要求だと思っておりまして、そういった意味では、韓国の事例なんかを調べてみたら、朝鮮戦争のときに年間四千人から九千人ぐらいの海外との養子縁組をされていたなんということもあって、その記録がしっかりしていなかったので、養子で海外に渡っていった韓国に出自を持つ方々がかなり政府を批判をした、こんないいかげんなことだったのかということで。 記録が永久に保存されると、あっせん機関のことは出ておりましたけれども、ぜひ、そういった出自を知りたいということについて、戸籍の取扱いですとか、あるいは裁判所での記録の取扱い、これをどのように政府としてお考えか、大臣から御答弁をお願いします。
○山下国務大臣 まず、戸籍でございますが、現行法のもとでは、特別養子縁組の成立の審判が確定し、その届出がなされると、養子は、実親の戸籍から除籍され、養親の戸籍に入籍されるわけですが、その際、養子の身分事項欄には民法八百十七条の二による裁判確定日等の記載がされるため、当該養子が特別養子であることを知る手がかりが残されているわけであります。 そして、養子は、実親の戸籍から除籍された後も、その実親の戸籍を閲覧することができることから、実親の氏名等を知ることができることとされております。実親の戸籍から戸籍内の全員が除籍された後も、その戸籍は除籍簿として、その年度の翌年から百五十年間保存されることになっております。 次に、特別養子縁組の裁判記録でございますが、特別養子縁組については、全件が家庭裁判所の審判手続を経ることとされております。家庭裁判所に記録がある限りは、その記録の閲覧、謄写等の申立てをすることができるので、裁判官がこの申立てを相当と認めた場合には、これを通じて実親の氏名等を知ることができます。 なお、裁判所の内部規定については、特別養子縁組の審判記録自体の保存期間は五年と定められているところですが、特別養子縁組を認める審判書の原本については、記録から分離して、審判確定の日から三十年間保存することとされているものと承知しております。
○森田委員 ありがとうございました。 三十年、裁判所では記録が保存されるということでございますけれども、先ほどのお話のように、定年後、自分はどこから来たんだろうということをたどると、十五歳だとしても、四十五歳より多分上になってから記録を見たいと思うこともあると思います。人生百年時代でございますので、百年ぐらいは少なくともたどりたいという要望に応えられるような仕組み、まあ、紙でとっておかなくても、データでもいいと思いますので、そんなこともぜひ考慮していただければありがたいと思っております。 いずれにしても、養子にかかわるいろいろな人間が絡んでおります。送り出す方だって、何も好きで養子に送り出すわけではないし、子供で送られた側も、いろいろな思いを持ちながら人生を送っていくことと思います。ぜひそれぞれの関係者が幸せな人生を送ってもらうということを考慮した中で、政府としてこの問題にどう向き合っていくかということで、最後、御所見を伺えればと思います。
○葉梨委員長 山下法務大臣、簡潔にお願いします。
○山下国務大臣 はい。 本当に、先ほど来、委員からも御指摘もありました。また、そういった厳しい立場に置かれた子供や母親を救済し支援していくことというのは非常に重要であると考えており、文科省あるいは厚労省など政府挙げて取り組むべき課題であると認識しております。 この法律案ということであれば、特別養子縁組の要件を緩和して、その利用を促進することで、厳しい立場に置かれた子供に温かい家庭的な環境を提供する機会を拡大することを意図したものでありますが、引き続き、関係府省庁とも連携して、誰一人取り残されることがない社会の実現に向けて尽力してまいりたいと考えております。
○森田委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で森田俊和君の質疑は終了いたしました。 次に、源馬謙太郎君。
○源馬委員 国民民主党の源馬謙太郎です。 先日の参考人質疑がありまして、ほかの委員の先生方もおっしゃっておりましたけれども、非常に参考になりました。それぞれのお立場ですとか御経験からのお話は本当に胸を打つものがありましたし、本当に、この法案に対する審議にも大変参考になったなと思います。 皆さんおおむね、特別養子縁組をするに当たっての要件を緩和する今回のこの法案については評価をされていたように思います。一方で、その運用面ですとか、この法改正以外のところでのサポートもやはり必要だった、そういう御意見をお持ちの参考人の方が多かったというふうに思います。 きょうは、そういう視点で、少し細かなところもお伺いをしていきたいというふうに思っています。 我が党からは、今回の参考人質疑では、特別養子縁組支援グミの会サポートの理事長である安藤代表に参考人でお越しをいただきました。 この安藤参考人が一番強調されていたことというのは、特別養子縁組が行われたときの支援の体制をしっかりとってほしいということだったと思います。御自身も里親としての御経験もあり、また、養親としての御経験もある。そういった中で、やはりいかに公的サポートを厚くしていくかということが、養親へも、そして養子にも大切になっていく、こういったことをおっしゃっておりました。 その中で、金銭のサポートももちろん必要なんだけれども、金銭以外のところでも、里親や里子に対する支援と同じような支援を養子縁組に対しても行ってほしい、こういう御意見も述べていらっしゃいました。 私も、やはりこうした養子縁組を更に活用を広めていくためにはこうした支援も必要だというふうに思っておりますが、例えば、里親制度だと、自治体による研修ですとか里親同士の交流会、安藤参考人は、里子の研修も必要ではないか、こういったこともおっしゃっておりましたが、それでも、里親制度にはこうした支援がある。一方で、特別養子縁組にはなかなかそのようなきめ細かいフォローがないということでありました。 これは安藤参考人がおっしゃっておりましたが、一つの例として、これは支援という文脈ではおっしゃっていませんでしたけれども、里子の場合は、例えば、夜に徘回をしてしまって何回も補導されると、里親との関係を終わらせるよ、措置を終わらせるよ、こういうようなことが言われるけれども、養子だと実の親子になるので、幾ら徘回しようが、自分の、養親の責任になる。こういった違いもある。こういうこともおっしゃっておりました。 さらに、上限年齢というのが今度引き上げられるわけなので、ますます自我が芽生えて、養子として迎え入れるときに難しさというのもあるんだと思います。 そこで、まず厚労省に伺いたいんですけれども、こうした参考人の御意見もあり、これまでもいろいろ議論がありましたけれども、こうした特別養子縁組が成立した後の養親や養子に対する支援の必要性についてどのようにお考えになっているか。また、支援が必要であるとすれば、どういう形の支援が最も効果的であるというふうに思われるか。御意見を伺いたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 まず、養子縁組の民間あっせん機関につきましては、児童相談所とともに養子縁組制度の利用促進に重要な役割を果たしているというふうに考えておりまして、縁組成立後のフォロー体制も含めまして質の確保が重要であるというふうに考えているところでございます。 従来、民間あっせん機関のあり方が多様でございましたので、一定の質を担保するという観点から、議員立法で平成二十八年に養子縁組のあっせん法が立法されたというふうに承知をしておりまして、この制度に基づきまして、許可制度の導入ですとか養子縁組成立後の支援についての努力義務といったことも規定をし、また、第三者評価の受審、結果の公表ということもお願いをするということ、そして、事業所ごとに、養子縁組あっせん責任者の配置義務、研修の受講義務、こういったことを定めておりまして、適切に業務を行っていく体制を引き続き推進をしたいというふうに考えております。 特に、養子縁組の成立後の支援というお話もございましたけれども、児童福祉法上、都道府県の業務といたしまして、養子縁組の支援というものが業務として明確に位置づけられておりますけれども、こういった中でも養子縁組後の支援についても位置づけられておりますので、指針等に基づきまして、こういった養子縁組成立後の支援についても、児童相談所それから民間のあっせん機関が連携して、引き続き取り組んでいきたいというふうに考えております。
○源馬委員 ありがとうございます。 安藤参考人は、こうした民間のあっせん業者に対しての支援にも言及されていましたし、また、民間のあっせん業者がそれぞれ許可を受けて、それぞれのサポート体制で、養子になる方や養親になる方へのサポートをやっている、こういうこともおっしゃっていて、非常にばらつきもあるということも指摘をされておりました。 なので、こうした民間のあっせん業者が、幾ら民間とはいっても、ある程度の標準的な支援の体制、テンプレートみたいなものをつくった方がいいのではないかという御指摘がありましたが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 非常に質にばらつきがあるということを、どうやって底上げをしていくかというふうな観点からの御指摘だったと思います。 まず、先ほどの答弁でも触れましたけれども、民間あっせん機関による養子縁組のあっせん法に基づいた枠組みの中でしっかりと支援をしていくということで、まずはそれが第一だと思っております。 具体的には、例えば、事業所ごとに、養子縁組あっせん責任者の配置義務を課したり、それから研修の受講義務を課したり、そして第三者評価を受審をいただくということによりまして、全体的な質を底上げをしていくということが第一点かと思います。 もう一つは、厚生労働省として、今年度から予算事業として取り組んでおりますけれども、民間のあっせん機関が児童相談所等の関係機関と連携をいたしまして、子供との事前のマッチングですとか、養子縁組後の相談や援助などを行うための事業の補助というものも行っております。 さらに、今年度予算では、養子縁組前後の養親子への心理的な負担を軽減するための心理療法の担当職員の配置費用についても補助を創設をしているところでございます。 こうした取組を総合的に進めまして、民間あっせん機関の全体的な質の底上げについても図っていきたいというふうに考えております。
○源馬委員 ありがとうございます。 そうした民間あっせん業者によるサポートと同様に、養子になる方や養親になる方だけではなくて、養子に出す実親への支援、これも何か考えられないかという御指摘も、参考人からありました。 例えば、実親と子供のつながりを何らかの形で保障するような仕組みができないかとか、そのほかの精神的なケアも含めて、実親に対する支援、こういったものが何かできないか、お考えがないか、厚労省に伺いたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 特別養子縁組に出した実親に対する支援、あるいは実親とその特別養子縁組の対象となったお子さんとのつながりを何らかの形で支援できないかというふうな御指摘だったかと思います。 欧米諸国ですとか国内の事業者の中には、特別養子縁組の成立後も実親子の交流を支援するような、そういった取組を行われているというふうなところが一部あるというふうに、我々も承知をしております。 ただ、一般的に言えば、特別養子縁組が成立したお子さんというのは、普通養子縁組も選択肢としては可能な中で特別養子縁組が選択をされていて、かつ実親子の関係を終了することが適当であるというふうに判断をされたものであるということでございますので、実親とのつながりを維持していくことが難しいというケースが多いということは想定をされるかと思います。 ただ一方で、実親に対する支援というのも非常に重要だというふうに思っておりまして、まず第一点は、養子縁組にただ向かっていくのではなく、養子縁組に関する意思決定の過程で、実親の親御さんが、自分でみずから養育することが本当にできないのか、あるいはできるとすればどのような公的支援があり得るのか、そういったことをあっせん機関あるいは児童相談所の担当者と話合いをするというのがまず第一点。そういったことをしっかりやることが大事であるということ。 それから、養子縁組成立後につきましては、恐らく、この実親の方というのは、さまざまな困難に直面されている方なので、経済面ですとかあるいは孤立ですとか家族で頼れる人がいないとか、さまざまな困難に直面されているという可能性もございますので、福祉事務所等の関係機関と連携しながら支援を行うということが重要になってまいります。 こういった観点から、児童相談所の運営指針ですとかあっせん機関による指針におきまして、こうした丁寧な対応につきましてお願いをしているところでございます。 実親子だけではなく、特別養子縁組を選択せざるを得ない事情を抱える実親に対しても必要な支援が届くように取り組んでいきたいと思っております。
○源馬委員 ありがとうございます。 今御答弁いただいたように、養子に出さざるを得なかったいろいろな背景があって、そうしたところへのサポートというのはもちろん大事だと思うんですが、やはり一方で、養子に出さざるを得なかった、実子と離れざるを得ない、そのことによる精神的な苦痛とか後悔ということもやはりあると思いますし、これはもう本当にさまざまなケースがあるんだと思います。 今御答弁いただいたように、多くは、実親のもとで育てることが困難と判断された場合であることは事実だと思いますが、その中にも、例えば、先日も例が出ましたが、後から一生懸命頑張って、経済的にも自立をして、育てられるようになるというケースもなくはないわけで、さまざまなケースがあるので、そうしたところにもきめ細やかにサポートができるような、柔軟な支援体制をぜひつくっていただきたいなと思います。 また、この実親との関係について、少し違った面でお伺いします。 今回のこの特別養子縁組の成立の審判では、実親が関与できないようにしている。養親になる者への配慮からこうしていると理解しておりますが、しかしながら、住所ですとか居住地がわかっている父母に対しては、審判をした日及び審判の主文を通知しなければならないというふうにしておりますが、この審判の結果を実親に知らせることによって、養親の現在の状況ですとか情報なんかが知られるということはないという理解でよろしいのか、法務省に伺います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 御指摘のとおり、この法律案におきましては、住所又は居所が知れている実親に対しては、審判をした日、審判の主文を通知しなければならないこととしておりますが、これは、特別養子縁組が成立しますと、実親と養子となるべき者との間の法的な親子関係が終了するなどの重大な効果が生ずることを踏まえたものでございます。 この場合の審判の主文でございますが、現在の実務におきましては、事件本人、これは養子のことでございますけれども、事件本人を申立人両名の特別養子とするといったように、養親の個人情報が記載されないようになっているというように承知しておりまして、今回の改正によってもこの点が変更されることはないものと考えられます。 したがいまして、先ほど申し上げました通知をすることといたしましても、養親の情報が実親に知られることはないものと考えております。
○源馬委員 ありがとうございます。 続いて、その養親になる人たちについて伺っていきたいと思います。 共働き世帯が特別養子縁組をしたいというふうになった場合、特に若い世代ですとか、最近は共働き世帯というのは非常にふえているわけで、平成九年を境にして共働き世帯数が専業主婦世帯数を上回り、また、平成二十九年の共働き世帯数は一千百八十八万世帯となっている。一方で、専業主婦世帯数は六百四十一万世帯。倍近くの世帯数になっているわけですね。 こういう状況の中でありながら、特別養子縁組制度においては、共働き世帯に若干ハードルが高くなっているという指摘があると思います。例えば、民間のあっせん業者の中には、共働き世帯は応募ができないように設定をしているケースもあるというふうに聞いております。 そんな中で、二〇一七年の一月から改正育児・介護休業法が施行されて、特別養子縁組の試験養育期間中も育児休業が取得できるようになった。これは大きな前進だと思いますが、この制度が導入されてから、現在、特別養子縁組の試験養育期間中に育児休暇を取得している、この運用状況というのがもしわかれば教えていただきたいと思います。
○本多政府参考人 お答えいたします。 育児休業の取得状況自体は、全体的には毎年、雇用均等基本調査という調査で把握をしておりますが、委員から御指摘のありました特別養子縁組の監護期間中の育児休業の取得の状況については把握をしていないところでございまして、この調査におきましては、対象となるお子さんが実子又は養子、また監護期間、こういったことは把握はしていないところでございます。
○源馬委員 なかなか、数を把握するというのは確かに難しいことだと思いますが、一方で、この制度があって、育児休暇を取得することができるようになったよということがきちんと周知がされているのか、十分行き渡っているというふうにお考えなのか、厚労省の御見解を伺いたいと思います。
○本多政府参考人 お答えいたします。 平成二十九年度に改正法が施行されました際に、この改正内容をまとめた周知用のリーフレットを作成をいたしまして、都道府県労働局を通じた周知はもちろんでございますけれども、それ以外にも、地方公共団体、また関係団体等に送付を行いまして、周知の協力の依頼をお願いしたところでございます。 また、それ以降は、都道府県の労働局におきまして、労働者の方、また企業などから問合せがあった場合に丁寧に対応しているところでございます。 また、さらに、今年度、里親や特別養子縁組に関する広報啓発を行います中でも、この育児休業制度が利用できることについてお知らせするといったように、養子縁組を希望する方の御負担を軽減するような情報提供に取り組むこととしております。 引き続き、制度の利用が進むように周知を行ってまいりたいと考えております。
○源馬委員 ありがとうございます。 今回の法案、改正されることによって、児童相談所長が第一段階の申立てをできるようになる。非常に大きな役割を担うようになるわけですが、児童虐待を含めて、この児童相談所の役割というのが、負担とともに、だんだんと大きくなってきているというふうに思います。 ちょうどきょうの新聞、朝日新聞ですが、ここにも児童相談所のことがありまして、例えば、この記事にある首都圏の児相に勤める児童福祉司の男性は、本当に最近ふえている虐待案件に対応してきて非常に多忙である、そして、児童福祉司一人当たり年間六十から七十件の虐待事案に対応している、一件ずつ満足いくまで向き合うには数が多過ぎるし、あるいは、保護者がいろいろ過度な情報公開請求をしてくるケースもある、面接の記録一式であったりとか、保護した子供に関する記録一式を求めるケースで、そうすると、数百ページの範囲があったり、そうしたものを繰り返し請求してくる親もいる、こういう状況で非常に多忙をきわめているという報道もちょうどありました。 そんな中で、こうした児童相談所のまた役割がふえていくというところ、この法案だけではありませんが、こうした現状を踏まえて、この児童相談所の役割の増大、任務の増大、多忙化に対する対応策というのを厚労省はどのようにお考えになっているか、伺いたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 従来から、児童相談所では、児童の一時保護ですとか入所の措置、あるいは親権停止等の申立て、さまざまな重要な役割を担っているわけでございますけれども、今回の法案が成立すれば、特別養子縁組に関しましても、児童相談所長による申立て権限が新設をされること、年齢要件の緩和により件数の増があり得ること、そしてまた、年齢の高い養子とその養親に関する丁寧なカウンセリングといいますか、丁寧な対応のニーズの増大、こういったことも考えられるわけでございますので、児童相談所の業務がふえていくということが考えられるわけでございます。 こうしたことへの対応を含めた児童相談所における養子縁組の推進や支援の体制構築につきましては、現在、都道府県に対しまして、今年度中に社会的養育推進計画として策定をいただくということをお願いしているわけでございますけれども、国といたしましても、この計画策定をしっかり進めていくために、さまざまな形で支援をしていきたいというふうに考えております。 まずは、昨年十二月に児童虐待防止対策体制総合強化プランを策定いたしました。二〇二二年度を目途として児童福祉司を二千人程度増員をする。また、その中で、里親養育や養子縁組の担当者を新たに設置をしていくということ、それから、児童相談所職員向けの研修において養子縁組に関する内容についても充実をしていくこと、そして、非常に重要な役割を担っていただく民間のあっせん機関との連携を進めるための補助事業、こういったものを通じて促進をしていきたいというふうに考えております。 社会的養育推進計画にせよ、非常に重要なものでございますので、国としても、都道府県の進捗状況をしっかり把握をして必要な支援策を検討するということとしておりますので、この枠組みの中で、児童相談所が適切な役割を果たしていけるように支援を図っていきたいと思っております。
○源馬委員 ありがとうございます。 ちょっとこれは繰り返しの御質問になってしまうと思いますが、今回の法案で、特別養子縁組をするときに、養親になる者の下限年齢は引き上げずに養子となる者の上限年齢が引き上げられたということで、計算上は非常に年が近くなるケースがあり得るというようなことがあるわけであります。 ただ、大村参考人からも話がありましたが、実際は年が上な夫婦が養子をとることが多い、というケースがほとんどだということでしたが、一方で、審議会の中では、果たして上限はいいのかという話も出たというお話がありました。 ここら辺について、下限の年齢を上げなかったということはわかりましたが、養親の年齢制限、上限もつけなかったということも含めて、どのように法務省では判断をして今回のように年齢差の制限をつけなかったのか、改めて伺いたいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 特別養子縁組の成立は全て家庭裁判所の審判を経なければなりませんで、また、家庭裁判所は、子供の利益のため特に必要があるときに限りこれを成立させることとされておりますので、家庭裁判所が養親となる者の適格性を審査する際に、その養親となる者の年齢ですとか、あるいは年齢差というものは考慮して判断することになろうかと思います。 こういったことで、個別具体的な事案に応じて、家庭裁判所が年齢について考慮するのが適当であるというふうに考えられましたものですから、年齢差ですとかあるいは上限年齢に関する要件は設けないこととされたものでございます。
○源馬委員 最後に一つだけ伺いたいと思いますが、これも安藤参考人からのお話でありました。 実親が同意を撤回する有効期限が二週間になったわけですが、同意を一度した後、同意の撤回の期限が切れた後にも、里子にしておけば金銭的な補助が出るので、ずっと里子の期間を延ばすというケースもある。その間に、さっきもちょっと例に出しましたが、実親の方が経済的余力もついて、やはり引き取りたいとなった場合もできないということで、同意書自体の有効期限を決めることはできないんだろうかというお話がありましたが、この点についての御見解を最後に伺いたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 家庭復帰が困難な子供たちの福祉のためには、可能な限り早期に法律上の親子関係を安定させることが必要でございますが、養親希望者と子供の適合性の判断や、養親希望者が意思を固めるまでの期間の長さについては、一概にはなかなか言えないということだと思います。このため、養子縁組里親への委託に関する実親の同意についても、一律の有効期限を設けるということは適当ではないというふうに考えております。 ただ、一方で、特別養子縁組が適切と判断される子供について、養親候補者の特定ですとか、養子縁組の審判の申立てが速やかに行われるようにするというふうにすべきでありますので、児童相談所や民間あっせん機関の業務に係る指針におきまして、今その旨を示しているところでございます。 本法案が成立した場合には、児童相談所や民間あっせん機関に対しまして、御指摘の年齢要件の緩和による影響や懸念も考慮しつつ、こうした指針の内容について、しっかりと周知を図っていきたいと考えております。
○源馬委員 ありがとうございました。終わります。
○葉梨委員長 以上で源馬謙太郎君の質疑は終了いたしました。 次に、串田誠一君。
○串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。 五月の二十二日、おとといですけれども、参考人質疑が行われまして、大変有意義な意見を聞かせていただきました。 その中で、子供の意思を尊重する機会というのは必要であるという意見が私としては多数に聞こえたんですね。そのときの年齢も聞きましたが、十歳以上になったら子供の意見を聞くべきじゃないかという意見も具体的にありました。 そこで、まず、正確なところを確認しておきたいんですが、今回の家事手続法の百六十四条の二第六項第一号に、養子となるべき者の陳述を聞かなければならないというふうに書いてあるんですが、括弧として、(十五歳以上のものに限る。)と。十五歳以上でない限りは、子供が陳述あるいは自分の意向というものを表現する機会というのは法文上は与えられていないという理解でよろしいでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 委員御指摘の家事事件手続法の百六十四条の二の第六項でございますけれども、十五歳以上の者の場合には、これは意見聴取を必要的なものにする、こういう趣旨の規定でございます。 他方で、現行の家事事件手続法第六十五条でございますけれども、未成年者である子がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、その子の意思を把握するように努め、その年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならないこととされておりますので、十五歳未満の子供につきましても、この規定が適用されますので、今の規定に従って意思が考慮されるものになろうかと思っております。
○串田委員 その意思が考慮されるということなんですけれども、今回、特別養子制度の年齢が引き上げられた一つの理由としては、参考人のお話によりますと、諸外国が年齢が高いというようなこともありましたが、法務省は、諸外国の養子制度というものを独自に調査して、ドイツ、フランス、ベルギー、イタリア、イギリス、アメリカ、韓国と調べていらっしゃいますが、子供の意向というものがどうなっているのかというのもちゃんと調べられていて、年齢が、十五歳よりも下で、十二歳だとか十三歳だとか、そして、イギリスを除けば、全て本人の同意、例えば、アメリカの場合には本人の書面による同意、ほかの国も同意と書いてあるんですね。 今回の家事手続法の六項一号によると、「陳述を聴かなければならない。」ということで、陳述さえ聞けば、同意をしていようとしていまいと構わないというふうにも読めるんですけれども、年齢に関しては、諸外国のように、引き上げるということだけは同じようにしながら、子供の意向に関してこの同意というのを、法務省が調べたのは圧倒的に子供の同意を必要としているようにも思うんですが、何でこの部分だけは諸外国の例を参考にしなかったんでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 今回、十五歳以上の者につきましては、同意が必要ということにしております。 これはやはり、我が国のほかの制度といいますか、そういうものとの関連がございまして、十五歳以上の者ということになりますと、これは普通養子縁組を、みずからの意思によって縁組をすることができる。そういうことから、家庭裁判所による審判によって親子関係が創設される、そういう特別養子縁組の成立を認めるためには、やはり本人の意思を尊重するということで同意が必要だということで、普通養子縁組との関係においてそのようにしたというものでございます。
○串田委員 ですから、ほかの国は、十五歳以下の、十二歳とか十三歳でも同意が必要であるとしているんですけれども、日本の場合には、考慮するというだけで、同意とは言い切っていないんですよ。 そして、この特別養子制度というのは、実の親との関係も切り、祖父、祖母の関係も切り、兄弟姉妹との法律関係も切るわけですから、子供がどういう思いであるのかというのを、諸外国はだから、同意として求めているわけですよね。なぜ子供の意向というものを日本は尊重しないんですか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 特別養子縁組は、裁判所において、縁組をすることがその子供の利益になるということを判断した上で成立させるわけでございます。 そういった際に、十五歳未満の者について、その同意を必要ということになりますと、その者の意思のみによって特別養子の成否が決まってくるということになります。そういった場合に、じゃ、十五歳より下の小さい子供でも一体そういったことを認めていいのかどうかというところが、子供の利益のための制度という観点からしますと問題になってこようかと思いますので、そういう点では、普通養子縁組との関係の、いわば選択権といいますか、自分で決定できるものとして十五歳といったような一つの仕切りをつくったものでございまして、十五歳未満につきましては、年齢ですとか発達の程度に応じて、先ほど申し上げました家事事件手続法の規定によって、考慮するというのが相当だというふうに考えられたものでございます。
○串田委員 十五歳未満であればまだ判断できないとかとおっしゃいますけれども、将棋の世界でも中学生でもプロが出ているわけですし、中学を卒業して外国に行ってサッカーのプロになる人もたくさんいるわけで、社会人にもなっているわけですよ。 そういうような、十五歳に近いような人たちが、自分の兄弟の縁までも切られるというようなことを自分の同意なくしてやっていいだろうかというのが、諸外国は同意を求めている趣旨なんじゃないかなと。 何で日本だけが子供の同意を必要としないのかというのが非常にわからないのと、仮に十五歳未満は判断ができないとした場合でも、だったら、ある一定の年齢になったときに普通養子か特別養子かの選択ができるようなことにしていないのか、これをちょっと確認したいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 委員御指摘のように、例えば、一定の年齢に達した場合には選択ができるということになりますと、縁組をした後で、事後的に養子本人による解消を認める、こういったようなことになろうかと思います。 このように、養子本人による事後的な縁組解消の制度を設けるかどうかということにつきましては、家庭に恵まれなかった子供に対して養親との間で実質的な親子関係を形成することによって温かい家庭を提供しようとした特別養子制度の趣旨ともかかわる非常に難しい問題があったというふうに認識をしております。 したがいまして、そういったような解消制度を設ける必要性の有無、いかなる年齢でその判断をさせるか、特別養子の実務に与える影響、普通養子制度にもそういった制度を設けるかどうかなど、慎重に検討すべき課題が多いものと考えております。
○串田委員 特別養子を行うに当たっては、民法八百十七条の八で、六カ月以上の期間監護が必要であるというふうになっています。 この間に、子供にとっては極めて耐えがたい、言葉の虐待だとか、あるいは、非常に冷たくされている、実の親との間での関係というのが非常に懐かしい、自分の親の方に戻りたいなと思っている子供も私はいると思うんですが、こういうような子供の意見を聞く機会というのを設けない。 要するに、同意も不同意もない中で特別養子制度になった場合に、離縁という手続の中には養子が含まれているんですね。これに年齢制限がない。しかし、非常にこれは立証するのが大変な上に、立証すると今度は実の親のところに戻るという規定になっているわけですよ。 だったらば、虐待が行われている可能性がある、言葉の暴力なり、とてもこの養親との間ではつらくていられないというような養子の子供たちが、特別養子制度になるときに意見を聞くというような、例えば諸外国のように十二歳になったら意見を聞くというような、あえて普通養子と同じようにリンクさせる必要というのは、私、ないと思うんです。 普通養子というのは、結局、離縁をすることもできれば、実の親との法律関係もあるわけですから、そういうような意味ではかなり緩やかな要件でもいいと思うんですが、特別養子制度というのは、親の縁も切れ、兄弟の縁も切れるわけですよ。その中で、成立をするときに、子供の虐待だとかというものを探知する機会というのがないんじゃないか。これから養子になろうとするような、ベルトコンベヤーに乗せられている子供にとっては、実はあのお父さん怖いんだよ、お母さん怖いんです、行きたくありませんと言えるのかどうか、本当に。 そういうようなことを法文上明確に、明らかにするというのが諸外国のこの同意なんだと思うんですが、虐待とかというのを見逃さないで済むという保証というのはどういうふうに法文上認められているんでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 先ほど来申し上げておりますとおり、十五歳未満でございましても、家事事件手続法の規定によって、意見を聴取するということは行われることであろうと思いますが、あと、試験養育ということになりますと、これは、家庭裁判所が試験養育状況を把握するために、家庭裁判所調査官が、養親となる者ですとか養子となる者との面接をしたり、あるいは家庭訪問をしたりして調査をしております。 この調査は、試験養育期間の初期だけではなくて、試験養育期間を通じて行われるものでございますので、虐待のようなことがある場合には、その調査の場面で養子の方から家庭裁判所調査官に対してそういうことを述べることもできますし、そういった陳述がない場合でも、家庭裁判所調査官は、そういった調査の過程で虐待が疑われるときは、その有無について慎重に調査をすることになるものと考えられます。
○串田委員 そして、本当にそれが子供の虐待というものを見逃さないで済めばいいんですけれども、いろいろな意味での虐待があるから、今、このような社会問題として体罰は禁止するとかというようなことがあるわけですから、子供が本当に虐待されたり非常に嫌な思いをさせられたりというようなことのシグナルというもの、あるいは、それは虐待だけじゃなくて、反りが合わないということもあるわけですよね、十五歳未満になれば、いろいろ思春期でもあるわけですから。虐待だけじゃなくて、もうとてもいられないというようなときになったら、子供は追い詰められていくわけですよね。 そういったようなことをしっかりと確認することが本当にできるのかというんだったら、諸外国のように同意。もしそれで特別養子制度がだめだったら普通養子にすればいいと思うんですよ。何で、そういう年齢を上げていったときに、子供に対して普通養子と特別養子の選択権まで奪っているのかというのが私には理解できないんです。 本当にちゃんと、親の縁も切れるんだよ、兄弟の縁も切れるんだよと、子供に対して、しっかりと理解して、説明をして、行われていくのかどうか。もっと、普通養子という制度もあるんだよ、実の親との間も残ったままなんだよ、残ったままでもできるんだよというような選択肢も私は与えていいと思うんですが、家裁の調査官というのはそこら辺の説明もちゃんとされるんですか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 家庭裁判所におきまして、例えば十五歳の者の同意を確認する場合ですとか、あるいは十五歳未満の者についても、その意思を把握するに当たりましては、やはりそれは、養子となる者が特別養子制度についてどのように理解しているかを確認して、そういった法的効果というものを的確に理解しているかどうか、こういうものはきちんと把握するということになろうかと思います。 ただ、普通養子縁組という選択肢があるということを明らかにして聞くかどうかということでございますが、そういった選択肢があるということにつきましては、例えば養親となるべき者の意向等も含めまして、当該事案における個別の事情も踏まえて、そのような説明をすることの当否を判断するものと思われます。
○串田委員 そういう説明を聞きますと、やはり諸外国と比べると、子供の意向というものを考慮する程度というのは日本は非常に低いのかなと言わざるを得ないんですね。 ところで、民法八百十七条の十には特別養子制度の離縁の手続の規定があって、その請求者の中には養子のほかに実父母というふうになっているんですけれども、この実父母がここの中の請求の中に入っているということは、子の虐待やその他養子の利益を著しく害するということを実父母が知っていかなければこの請求はできないと思うんです。養子なんて書いてあったって、養子がこの手続をするとはとても思えないんですよ。 とするならば、自分の子供が本当に苦しい思いをしている、そういったようなことで、この社会的ないろいろな悲劇みたいなものも起きないで済んだ事件というのはいっぱいあるわけですから、実父母が今の子供の状態を知らなければこの規定の請求者になり得ないと思うんですが、その知る機会というのはどんなふうにして設けられているんでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 御指摘のとおり、離縁の請求権者の中に実父母が規定されておりますけれども、どういうきっかけで実父母がこういう虐待等の事実を知るかにつきましては、これはもうケース・バイ・ケース、具体的な事情によるものと思われます。
○串田委員 ケース・バイ・ケースとしていつも毎回聞くんですが、しかし、離縁になると、法律は、実父母との法律関係を回復するとなっているんですよ。回復するということは、来るわけですよ、自分のところに。自分のところに戻るというようなことの中で、ケース・バイ・ケースと言っている場合じゃないんじゃないですか。法律的には戻ると書かれているんですから。 そして、そうだとするなら、実父母は、ちゃんとその子供の状態をしっかりと知っておかなければならないし、子供だって、いきなり急に、また実父母に戻るんだよと言われたってこれは困ると思うので、それまでの間というものの関係というもの自体がこの条文上からは非常に矛盾すると思うんですが、その点どうでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 虐待の探知といいますか、そこはいろいろかと思いますけれども、例えば、こういう虐待ということを児童相談所というものが把握したということになった場合に、これはやはりどうしても特別養子縁組を離縁する必要があるというような場合には、例えばそういった児童相談所の方から実親の方にそういった情報がもたらされるということもあり得るのではないかというふうに考えられます。
○串田委員 あり得るのではないかではなくて、あり得るということでいいですね。そういうことがあった場合には実父母に対してもしっかりと連絡が行われる。逆に言えば、実父母が、そういう疑いがあるということはちゃんと調査をしてくれるということの裏返しという理解で私はお聞きをしたいと思います。 大臣に、時間が限られていますので、お聞きをしたいんですが、この制度は諸外国のいろいろな制度を利用されたということで、児童養護施設にいる子供たちが、法律的にはもう実の子供というようにして引き取られていく、温かい家庭に入るということ自体は私は大いに賛成なんですよ。 しかし、この制度が、それにとどまらずに、連れ子に対しても適用されていくというようなことであったとした場合、諸外国の例を参考にされるといいながら、諸外国は共同養育の制度なんですよ、恐らく。もう周りを見たって、単独親権は日本だけとも言えなくもないわけですから、非常に今珍しい状況で。 共同養育の中で、子供が双方の親と関係を密にとっている国は、その子供にとって特別養子であるかどうかというのは子供がしっかりと判断することができるわけですが、日本は今、単独親権、前から言っているように、一人を選ぶ制度ですから、片方が片方を悪くずっと言い続けるということも現実に行われているわけですよ。 そういう中で、子供の意向というのはかなり作為的につくられ続けていくわけです。お父さん、まあ別居親はお父さんが多いんですけれども、お父さんは怖いよ、戻りたくないと言うんだよというようなことがずっと言われている中で、特別養子というものを、じゃ、行くかいと言われたときに、子供が、特別養子、じゃ、行きますよというのは、つくられた情報で、更につくられた意向になってしまうんじゃないかと私は思うんですよ。 だから、諸外国の例を参考にするなら、共同養育を実現してからこの制度を導入するという、なぜ待てなかったんですか。児童相談所だけに限ればいいんじゃないかと私はずっと前から言っているんですけれども、それを、単独親権下のもとに子供の意向が十分に把握できない中でこの制度を取り入れる趣旨というものを大臣にお聞きしたいと思います。
○山下国務大臣 まず、この特別養子縁組の制度については、これは、子が実親による養育というのが困難な状況にあるときに、家庭的な養育環境を与えるということでございます。 そうした中において、必ずしも、共同親権か単独親権かということが、そういった環境におる子供に対して家庭的な環境を与えるということとは直接には関係しないだろうということでございます。 したがって、今回は、単独で養育する制度か共同で養育する制度のいずれを採用しているかとは直接関係は持たないということで、今回の制度設計をしているというところでございます。
○串田委員 時間になりましたが、子供を連れ去られた親は、子にも面会もできない中で法律関係も終了させられてしまうというような制度であるということを、私は反対させていただいて、この質疑は終わりにします。 ありがとうございました。
○葉梨委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○葉梨委員長 これより討論に入ります。 討論の申出がありますので、これを許します。串田誠一君。
○串田委員 日本維新の会の串田誠一です。 私は、民法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論いたします。 本法案は、親子の法律関係を永久に完全に切断するだけではなく、祖父、祖母や兄弟姉妹との関係をも切断するものです。 これまでの特別養子制度は、六歳未満、特にゼロ歳から一歳が多く養子となっていました。これらの子供たちは実の親としか思っていないでしょうし、親もまた、自分の実の子供として法律上も関係を続けたいと思うことでしょう。 一方、今回の改正は十五歳未満ということであり、既にしっかり親子関係を認識できる年ごろです。ところが、親子や兄弟姉妹の縁を切るという極めて人生の中で重要なことに対して、子供の気持ちを確認する手続が定められていません。特別養子を成立させるかどうか、六カ月の経過観察期間中に子供にとっては耐えがたいことがあったとしてもです。特に、思春期であれば、溶け込めないこともあるでしょうし、それに対する養親からの対応も適切なものとは限りません。ところが、子供の意思を確認する場面が一切規定されていないのです。 ところが、離縁は養子が請求できるとなっています。しかし、その要件は極めて困難な立証になります。であるなら、特別養子を成立させる段階で子供の意思ができるだけ吸い上げられるような手続を定めておくべきではないでしょうか。せめて養子には、親子の縁を切らないで済む普通養子にするか、それとも縁を切る特別養子にするか、子供の気持ちを聞く機会を設けられるべきです。 法務省が調査した多くの国が、子の同意を要件としています。本法案は、全く子供のことを考えていない、大人だけの制度と言わなければなりません。 また、年齢の引上げについても諸外国を参考にしたといいますが、その諸外国は共同養育を実践していると思われます。 日本は、一方の親から子供を無理やり引き離し、子供の人権を侵害しています。本法案は、人権侵害の上に、引き離された親との関係まで絶つ制度です。 児童養護施設等の子供たちが家族として温かく受け入れられることには賛成です。しかし、世界にも極めてまれな単独親権制度のもとで、連れ去られた親との関係にも適用されるものであれば、子供の人権を余りにも踏みにじるものであり、賛成できません。 以上の理由により、反対討論といたします。
○葉梨委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○葉梨委員長 これより採決に入ります。 内閣提出、民法等の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○葉梨委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○葉梨委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時十六分散会