法務委員会 第16号
- 発言数
- 224 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2019/05/15
会議録
○葉梨委員長 これより会議を開きます。 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。 それでは、理事に源馬謙太郎君を指名いたします。 ————◇—————
○葉梨委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官田中勝也君、警察庁長官官房審議官高田陽介君、個人情報保護委員会事務局長其田真理君、法務省大臣官房司法法制部長小出邦夫君、法務省民事局長小野瀬厚君、法務省刑事局長小山太士君、法務省矯正局長名執雅子君、法務省保護局長今福章二君、出入国在留管理庁長官佐々木聖子君、外務省大臣官房審議官志野光子君、財務省主計局次長神田眞人君、スポーツ庁審議官藤江陽子君、厚生労働省大臣官房審議官八神敦雄君、厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君及び国土交通省自動車局次長島雅之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○葉梨委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所事務総局民事局長門田友昌君及び刑事局長安東章君から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○葉梨委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○葉梨委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。井野俊郎君。
○井野委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の井野俊郎でございます。 本日は、二十五分という時間をいただきまして、主に管財事件について、裁判所に対して中心に質疑を行いたいと思っております。 管財事件というと、ちょっとなかなか皆さんにはわかりにくいかもしれませんけれども、簡単に言うと、会社などが債務超過に陥って、会社が運営ができなくなったという場合に、裁判所に破産申請なり民事再生等を申し立てて、裁判所の監督のもとで、いわば、会社財産が、借金が、倒産したとなると債権者とかがどんどん押しかけて勝手に換価されるのは困る。そういう中で、会社財産等を裁判所の管轄の中で監督していきながら換価手続を行い、債権者に公平に会社財産を分配して清算を終える、会社を終えるというようなことが管財事件というものでございまして、これについて、ちょっと裁判所に対して中心に質疑をしていきたい、私も、弁護士の経験上、その点について一つ疑問に思っている点があったものですから、質疑をしていきたいと思っております。 まず一つは、裁判所が、こういった管財事件だったり、例えば国選弁護等だったり、いわゆる外の、外部の弁護士といいましょうか、そういった者に事件を委託する場合、こういったものは、そもそも、よく普通にこういう公共的機関が外に出して仕事を委託なりしたりとか、はたまた建物を建てるとか、いわゆる公共事業と言われるものですけれども、そういったものとどういう関係、いわゆる公共調達という言葉が正しいのかどうかわかりませんけれども、こういった裁判所が税金なり手数料を使って、外に、民間に委託する場合の、そういった場合の法的規制といいましょうか、公共調達というか、そういったものの法的規制はどうなっているのか、まずお伺いしたいと思います。
○神田政府参考人 お答え申し上げます。 予算の適正な使用を図るための手続につきましては会計法で定められてございます。ここでは、公正性及び経済性の原則に基づきまして、透明な手続のもとでの一般競争契約を国の契約方式の原則としてございます。 この一般競争契約は、不特定多数の者に競争を行わせて、国にとって最も有利な条件で申込みをした者と契約を締結する方式でございますが、この方式を原則として採用した趣旨は、第一に公正性、すなわち、国が発注する契約は、その財源が税金であることから、納税者である国民についての機会均等という思想、また、第二に経済性、すなわち、なるべく広い範囲で競争することにより、最も公正な処理を図り、かつ、国にとって最も有利な価格を見出そうとする考えに基づくものでございます。 なお、行政事務の遂行上、一般競争に付する必要がない場合、あるいは競争に付することが望ましくない場合、こういったときには、一定の場合において、指名競争契約と随意契約の契約方式がそれぞれ、一般競争契約の例外として認められてございます。
○井野委員 基本的には、公共機関がそういった、当然、お金を使うというか、税金を使うわけですから、なるべく安く、かつ、なるべく、税金を使う以上は公正にやるということがメーンの趣旨だというふうに理解をしました。 一応念のため確認しますけれども、裁判所が発注する、委託するという言い方なのかもしれませんけれども、これについても当然に、もっと具体的には管財事件だとか、例えばまあ刑事弁護というのが適切なのかどうかわかりませんけれども、そういった場合にも該当する、当然、裁判所にも当てはまるということで、もう一度確認ですけれども、よろしいですか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 裁判所が行います破産管財人の選任でございますけれども、一般にいわゆる公共調達と申しますのは、国等が私人から役務の提供等を受けることを内容とする、会計法令の適用を受ける契約を指すものと解されていると承知しておりまして、この契約といいますのは、国の締結する私法上の契約のうち、国の金銭その他、財産価値の移動増減を伴うものと解されているものと承知しております。 破産管財人の選任でございますが、この選任は、裁判所の、裁判によって行われるものでございまして、私法上の契約に基づくものではございません。また、この費用と報酬は破産財団から弁済されるものでございまして、その原資は税収等によるものではございませんので、国の財産価値が移動増減するものでもございません。したがいまして、裁判所が行います破産管財人の選任につきましては、いわゆる公共調達には該当しないものと考えております。
○井野委員 大分話が進んでしまったように思いますけれども。いいです、了解しました、その点は。 その上で、管財事件等について入っていきますけれども、そうしますと、小野瀬さんのお話によりますと、国家の財源上の移動がないというお話をおっしゃられるんであれば、ちょっとその点について、では、反論をさせていただきたいなと思うんですけれども。 基本的に、まず、管財の申立ての段階では、申立て手数料が定められるかと思います。この申立て手数料についてなんですけれども、国家機関に当然、裁判所という国家機関に納付されるわけです。 これは管財から離れて、ちょっとまず先に手数料についてなんですけれども、手数料は、普通、国家機関に納付された、例えば市役所とかでも、戸籍とか住民票をとった段階で、三、四百円、支払われますね、手数料として。こういった手数料は、国家機関に入った場合というのは、どういうような法的規制になるんでしょうか。
○神田政府参考人 お答え申し上げます。 国の徴収する手数料につきましては、国が特定の者のために役務を提供するのに際し、その反対給付として徴収するものでございます。 この徴収された手数料は、会計法第二条の規定に基づいて、当該手数料の納付を必要とする事務事業を所掌する各府省庁を通じて、国の収入として国庫に一旦納められて、そして支出経費の財源に充当されることになってございます。 したがって、徴収された手数料を直ちに使用することはできないということになってございます。
○井野委員 そうすると、国庫に収納されるということですから、それを、手数料として入ったものを、お金を使おうとなったら、当然、それはまた、会計法の趣旨に該当し、要は、簡単に言うと、手数料でもらったんだから勝手に使ってもいいとか、税金とは違うんだから勝手に、国として幾らでも好き勝手に使っていいということではなくて、あくまで、やはりそこの部分も、手数料収入についても会計法の趣旨を、適用を受けるというか、そういう理解でいいですか。
○神田政府参考人 お答え申し上げます。 さようでございます。
○井野委員 そうすると、管財事件についても手数料なんですよね、たしか。当然、安くはない金額。私の経験でも、そんな会社の破産申請をするに当たって、最低ラインが約百万円ぐらいだと私は理解をしています、申立ての際に裁判所に納める手数料としてですね。これぐらいの金額をまず納めなさい、もちろん事件によっては大分低くなる場合もありますけれども、少なくとも一般的な会社の場合には大体それぐらいの手数料を納めなさいという、じゃないと事件が始まらない、管財の申立て事件を受理できません、破産申立て事件を受理できませんということになっているかと思うんです。 その上で、これはどういうお金かというと、大体、申立ての手数料というのは簡単に言うと管財人報酬に充てられるというのが、一般的な、我々弁護士というか法曹業界の中での何となくのイメージというか常識というか、その管財人報酬、最低限を担保するために申立て手数料を納付しなさいというのが裁判所の趣旨だと思うんだけれども、じゃ、そもそもとして、管財人の報酬の決め方、これについて裁判所はどのような客観的な基準で決めているんですか。
○門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 まず前提といたしましてですけれども、破産申立てに当たりまして当事者の方に納めていただく手数料につきましては、債務者が申し立てられます破産手続の申立てにつきましては、手数料自体は千円ということになっております。今委員御指摘のような金額のものは予納金ということで納めていただくということになりますので、その前提でお答えさせていただきます。 破産管財人の報酬ですけれども、これにつきましては、破産裁判所の裁判官が個別の事案ごとに事案の性質等の具体的事情に応じて適切な報酬を定めているというふうに承知をしております。 少し実情を申し上げますと、これは事件ごとにまさにケース・バイ・ケースということで、事案によってさまざまということになりますけれども、一般的に考慮されております要素としましては、形成された破産財団の規模ですとか、あるいは破産管財業務の難しさ、あるいは手間ですとか、あるいは破産管財人の職務遂行の適切さ、あるいは破産財団の財団増殖や、あるいは破産事件の早期処理の面における破産管財人の功績の度合いですとか、配当額や配当率との均衡といった諸般の事情を総合的に考慮しているものと認識しております。
○井野委員 結局、客観的な基準というのは何にもないということ、いわゆる総合的にいろいろ考えると。裁判所がよく総合考慮とか判決のときは言うけれども、結局それと変わらない。何ら客観的な基準はないというのが私に言わせると問題じゃないかという意識を持っています。 もう一つ聞くけれども、じゃ、管財人を選任って、管財人報酬も正直、何百万から何千万単位ありますよね。大型事件になると、ある程度、新聞とかに報道される場合には、管財人報酬だけで何百万、何千万と。それだけの、ある意味、公共事業といいましょうか、仕事といいましょうか、そういうものを出すに当たって、弁護士を、私の理解では一本釣りをしていると思うんだけれども、この人にやらせると。 競争入札とかそういったことは一切なくて、なぜそうやって指名して、裁判所が勝手に、勝手にという言い方は悪いか、多分裁判所の言い分としては名簿に基づいて適切な人を指名しているというんだろうけれども、なぜそうやって、ある意味、一般的に競争入札とか周知させた上でじゃなくて、指名するやり方をするんですか。
○門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 破産管財人の選任につきましては、破産裁判所の裁判官が、事案の性質ですとかあるいは各庁の実情等に応じて、適切な破産管財人を選任するということでやっております。 これにつきましても実情を御紹介しますと、これもケース・バイ・ケースということにはなりますけれども、一般的に考慮されている要素といたしましては、事件の規模、あるいは予想される破産管財業務の内容や難しさ、それから候補者の法曹あるいは破産管財人としての経験、それから当該破産管財業務に必要となる特殊分野での経験、候補者が破産管財人となっている手持ちの未済事件の件数及びその進捗状況、事件関係者との利害関係の有無といった要素を総合的に考慮しておるものと認識しております。
○井野委員 全く私には、総合的に考慮、結局、裁判所はそれだけで逃げ切れると思っているのは、私は大問題だと思っていますよ。選ぶのも、総合的にいろいろなことを考えてこの人がいいと思っている、管財人の報酬も、これぐらいの事件のあり方を考えて、いいと思っている。 ちょっと問題だと思うのは、先ほど予納金と言ったよね。これ、予納金だったら、悪いけれども、会計法の趣旨、一切適用されないんですか。多分そういうことで予納金と言ったんだと思うけれどもね。 だって、予納金といったって、裁判所にそういった金を納めない限り、管財事件を受任しないでしょう、予納金を納めないと。それはある意味、税金と一緒ですよね、手数料と一緒ですよね。それで、予納金だから裁判所が好き勝手に自由に処分できるんだ、そういう考え方ですか。
○門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 管財事件におきまして破産管財人に支払われる費用あるいは報酬の原資になりますものは、国の予算ではございませんで、破産財団から弁済されるものということになります。先ほど申し上げました予納金も、その破産財団に組み入れまして、その破産財団から弁済されるということになります。会計法による規制の趣旨がそのまま当たるものではないというふうに認識しております。 ただ、もっとも、一般論として申し上げますと、事案の性質等に応じて適切な破産管財人を選任すべきであるというのは先ほど申し上げたところですけれども、その一方で、裁判所の選任が不当に偏っているとの誤解を受けぬように、適正な選任をすべきものであるとは認識しております。
○井野委員 私の経験上、それこそ公正性が担保されているか、管財事件で、全くもって、広く機会均等に行われているとはとても思えないですよ。何でそれで公正性が担保されていると言えるんですか。まあ、今まで弁護士が余り文句を言わなかったかもしれないけれども。 だって、結局、どういう管財事件があって、よっぽど社会に、耳目を集める、新聞報道されない限りは、どういう管財事件が申し立てられているかなんかわからないし、私がその事件をやりたいとか、そう言う機会すら与えられなくて、この人と決めているわけでしょう。 これはどう考えたって、最初の財務省が言った公正性はたまた経済性、こういったものは該当しないんじゃないんですか。どこでこういったものが担保されていると言えるんですか。
○門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 破産管財人の選任ですとか報酬につきましては裁判事項ということになりますので、破産事件を担当する裁判官が個別の事案に応じて決定することになりますので、その具体的な選任方法あるいは報酬の決定方法について、司法行政の立場からコメントすることは差し控えさせていただきます。
○井野委員 私は個別の事件なんて一つも言っていないぞ。そうやってすぐ逃げるなというんだよ、裁判所は、いつも。管財事件一般について議論しているんだよ、こっちは。どうやったら公正性、経済性、担保されているのかと聞いているんだよ。 もう一回。
○門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 一般論としましては、先ほども申し上げましたとおり、裁判所による破産管財人の選任が不当に偏っているとの誤解を受けぬように、客観性と公平性に配慮した適正な選任をすべきであるとは存じております。 ただ、先ほど、入札等によってはどうかというようなお話もございましたけれども、例えば、入札によって破産管財人を選任するという方法では、その事案を適正かつ迅速に処理するのに適した弁護士を選任することができず、その結果、破産管財事件の処理に支障を来し、債権者や債務者の権利利益を害する結果となることが懸念されるところでございます。 また、手続の問題としましても、破産管財人は破産開始決定と同時に定めなければならないというふうにされておりますので、破産管財事件は一般的に密行性や迅速性が要求される事件類型であるということも考慮しますと、破産の申立ての後、開始決定前に事案の概要等を踏まえた入札手続等を実施するということは実際上困難であると思われます。
○井野委員 全くもって、なぜそれができないか。私、まだ入札の話はしていないけれども、これからやろうと思ったけれども、先に言ったからね。じゃ、入札の話をさせていただきますよ。 正直言って、入札した方が私ははるかに債権者にとって有利だと思うし、なぜそれができないのかというのが全く理解できないんです。先ほど言ったけれども、だって、ある意味、公共事業だって、レクのときにも言ったけれども、ちゃんとランクを分けてやっているじゃない。ゼネコンはAランク企業、そして難しい事件はAランク企業の指名競争入札だ、普通のBランク、Cランク企業は入れませんとやっているじゃないか。何でそこで一本釣りしなきゃ適正性が確保できない。 ある程度、例えば経験を積んだ、管財事件はこの先生とこの先生とこの先生、名簿を持っているんでしょう。その名簿の中から、この中で、できる先生で、一番安くやってくれる先生はどれですかって入札できるでしょう、何でそういったことができないんですか。もっと、その理由を述べてください。
○門田最高裁判所長官代理者 先ほど申し上げたところの繰り返しになりますけれども、入札等の……(井野委員「繰り返しになるんならいいです」と呼ぶ)よろしいですか、繰り返しになります。
○井野委員 結局、答えられないということでしょう。裁判所は、そういう扱いをして今まで文句出なかったからそれでいいやということなんでしょう。だけれども、せっかくだから、これを機会に考え直してくださいよ。 だって、債権者にとっては本当にスズメの涙ぐらいの配当しかないでしょう、経済事件。そのときに少しでも、いきなり全く関係ない弁護士が管財事件を担当して、何百万、何千万も報酬を持っていって、配当率はスズメの涙ほど、数%ですよ。そうでしょう、皆さん。管財事件をやっていて、何千万の債権があったのに、ほんの十何万円しか配当ありませんとか、そんなのざらでしょう。だけれども、管財人報酬になったら、何百万、何千万持っていく弁護士が出てくるんですよ。 もちろん、それが全て悪いとは言いませんよ、適切な報酬だ。だけれども、そこに、入札とか、もっと広く公正性を出したりとか、経済性、何で求めないんですか。その方が国民的理解を得られると思いますよ。小野瀬さんは、税金使ってないからいいんだと言うけれども、だけれども、債権者一般からしてみたら、税金じゃないからいいやという理解を得られますか。そうじゃないと思いますよ。これはちょっと検討してくれませんか。
○門田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 先ほど申し上げたところですけれども、破産管財人の選任等は裁判事項とされております。破産裁判所の裁判官が、事案の性質や各庁の実情に応じて適切な破産管財人候補者を選任しておりますし、先ほど申し上げた破産管財業務の執行の状況等々を踏まえて、あとは破産財団の規模、配当率等も踏まえまして、適切に報酬を定めているものと承知しております。 そのような状況でございますので、実務の適切な運用を見守ってまいりたいというふうに考えております。
○井野委員 実務は、私は不正にやっているとは言っていないんです。ただ、システムとして公正性、経済性が担保できていないんでしょうと言っているんです。個別の事件について、あの裁判官はあの弁護士だけ優遇しているとか、そういうことを言っているんじゃない。システムとして公正性、経済性が担保されていないと言っているんだよ。それをよく検討してください。 以上です。
○葉梨委員長 以上で井野俊郎君の質疑は終了いたしました。 次に、遠山清彦君。
○遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。 私は、先週に引き続きまして、山下大臣に、死刑制度の問題について質疑を重ねていきたいと思っております。 きょうも、配付資料を二枚だけお配りをさせていただいております。 一枚目は、先週と同様でございますが、国立国会図書館につくっていただいた、死刑制度の存廃に関する主な論拠を挙げているものでございます。資料を余りふやさないために目次的なものしかお配りをしておりませんが、前回の議論で幾つかカバーをさせていただきましたので、きょうも残りのところをカバーさせていただきたいと思います。 二枚目のところが、内閣府が二〇一四年、平成二十六年十一月に死刑制度に関して国民の皆様の民意をはかるために行った世論調査の結果を、日弁連の方でわかりやすくまとめたものでございます。これは、後ほど質疑で言及をして、大臣の御見解を伺いたいと思っております。 まず、この配付資料一の2、「死刑存置論の主な論拠」の(5)を見ていただきたいと思います。ここには端的に、「死刑は犯罪予防のために必要である」というふうに書かれております。確かに、一般的な常識といたしまして、加害者の命を奪う死刑のような重大な刑罰の存在が凶悪な犯罪を抑止する、予防する効果を持っているだろうという認識は、日本国民の間で広く共有されているように私も思います。よって、死刑制度維持派が多いということになろうかと思います。それは後ほどの世論調査にも出ているわけです。 ところが、多くのアカデミックな、専門的な研究は、この認識、つまり死刑が犯罪を抑止する効果があるという認識を基本的には否定をしている。言い方をかえますと、立証されたことはないということなんですね。 例えば、ちょっと具体的な論考を一つ、最新のを挙げますが、二〇一七年、岩波出版から出版された「シリーズ 刑事司法を考える」第六巻収録の「日本における死刑と厳罰化の犯罪抑止効果の実証分析」という論考によりますと、一九九〇年から二〇一〇年までの日本における死刑執行人数、死刑判決人数の変動及び凶悪犯罪にかかわる法改正が、殺人、強盗殺人、致死認知件数に与える影響について、月次データを用いた実証分析を行ったと。ちなみに、過去には余り、こういう統計学的な研究は日本では極めて少ないということでございます。 ちょっと本文に戻りますが、その結果、死刑執行、死刑判決人数の増減によるこれらの犯罪に対する抑止効果は見られなかったというふうに結論づけられております。私も、この論考を読みましたけれども、詳細なデータを挙げて、死刑が執行されていること、その死刑執行によって命を奪われた加害者の数等が、実際の日本の社会で起こっている殺人等の凶悪犯罪にほとんど影響はないということが示されているわけでございます。 ちなみに、他の死刑ではない刑罰の厳罰化を行った法改正は一定の抑止効果があったという指摘がこの本ではなされております。 ちなみに、諸外国、私の知る限りでは、アメリカ合衆国におきましては、かなり、統計学的なデータを用いた研究が百以上はなされてきたかと思いますが、結論的に申し上げますと、死刑制度の存在が犯罪抑止、予防につながっているということは一度も明確には立証されていないということでございます。一部の有識者からは、日本のように死刑を存置している、置いている国や地域によって、より多くの凶悪犯罪が発生しているケースもあるという指摘すらあるわけでございます。 ここまで、つらつらと私の考えというか所感を述べさせていただきましたが、山下法務大臣あるいは法務省として、この死刑の犯罪抑止効果についてどのような御所見を持っているか、お聞かせください。
○山下国務大臣 死刑を含む刑罰の犯罪抑止力、これを科学的、統計的に証明しようとする試みはさまざまなされているところでございまして、委員御紹介の論考もその一つであろうかと思いますが、それを統計的に証明するということは困難を伴うということもまた事実でございまして、一般には、死刑を含む刑罰は犯罪に対する抑止力を有するものと認識されているところでございます。 そういったところとして、例えば、一般にどのように受けとめがされているのかということも一つあろうかと思いまして、その指標の一つとしてあり得るのが世論調査ということになりますと、これまで政府が行った死刑制度に関する世論調査において、死刑がなくなった場合、凶悪な犯罪がふえるという意見とふえないという意見がありますが、あなたはどのようにお考えになりますかとの質問に対し、ふえると回答した者がいずれも過半数を占めているなど、死刑の犯罪に対する一般の受けとめから考える抑止効果、これが広く認識されているということが認められますところ、死刑が抑止力を有することのあらわれではないかと考えられます。 さらに、死刑制度の存在が長期的に見た場合の国民の規範意識の維持に有用であることは否定しがたいと考えておりますので、死刑制度は凶悪犯罪の抑止のために一定の効果を有しているものと理解しているところでございます。
○遠山委員 大臣の御答弁は大体予想していた内容でございますが、もちろん、一般的に、刑罰とか罰則、罰則がないと法の実効性がないというのは、別に刑法以外の分野でもよく言われていることでございますので、罰則とか刑罰が何らかの不正行為、犯罪行為を抑止する効果はあるという一般的な見解については、私も、大臣の答弁にあったその部分は共有をさせていただきます。 また、世論調査を見て、国民の多くの皆様がそういう意識を持っているということは、その国民の中からそういう犯罪を犯す人が少なくなるのではないかという推測も立つことも一定の理解をいたすわけでございますが、先ほど私が引用した論考にありますとおり、科学的には立証されていない。死刑制度があるから死刑に値するような重大な凶悪な犯罪が抑止されているということは立証されていないということは、私、あえて申し上げておきたいと思います。 そこで、次の質問になるわけでございますが、死刑制度存置を支持する人が多い日本においても、仮に死刑を廃止したとしても、その死刑の代替刑が、具体的に申し上げますが、終身刑といったものを提示すれば、国民の意識、考え方は変わるのではないかという指摘もあるわけでございます。 大臣御承知のとおり、無期懲役というのは終身刑と異なるわけでございます。この点で参考になるのは、私、イギリス、英国ではないかと思っております。 イギリスでは、実質的に一九六四年以降は死刑が執行されておらず、いかなる罪に対しても公式に死刑が全面廃止されたのは一九九八年でございますが、その後、二〇〇三年に、刑事司法法、これは英語でクリミナル・ジャスティス・アクト2003というものでございますが、これによって終身刑改革が行われております。 すなわち、凶悪犯罪、これは計画性のある複数謀殺、児童殺害、テロ行為、再犯などを指しますが、この凶悪犯罪に対しては、仮釈放のない完全終身刑がイギリスで導入をされました。二〇〇三年でございます。 この改革の影響かどうか不明でございますが、従来、死刑が廃止された後も国民世論の七割前後が死刑制度を支持しているイギリスの世論調査で、二〇〇七年二月には、死刑支持が五〇%、廃止が四五%と拮抗をしております。 ちなみに、英国におきましては、世論調査では死刑制度存置が多数であっても、死刑制度を復活させる動きを政府や議会がとってきていないことは注目に値すると私は考えております。 いずれにしても、仮に日本で犯罪抑止効果が立証されていない死刑制度をやめるとしても、その代替刑は問われるわけでありまして、私は、仮釈放のない完全終身刑を提示することで国民の理解が得られる可能性はあるのではないかと思っております。 そこで、配付資料の二を見ていただきたいと思います。端的に、この世論調査も従来の世論調査とトレンドは変わっておりません。一番左上のグラフを見ていただきますと、死刑制度に対する意見の賛否を国民の皆さんに聞いたところ、「死刑は廃止すべき」は九・七%、「死刑もやむを得ない」が八〇・三%、実に八割を超える国民の皆さんが死刑制度を維持に賛成だということでございます。 しかしながら、この右側の、死刑もやむを得ない、死刑制度を維持すべきだと答えた人に再質問しているわけでございますが、これは、「状況が変われば、将来的には死刑を廃止してもよいと思いますか。」という更問いになっておりますが、この結果は意外と関係者には驚きを与えたものでございまして、「将来的には死刑を廃止してもよい」が四〇・五%、「将来も死刑を廃止しない」と答えた方が五七・五ということになっております。 よって、この下の三つ目のグラフを見ていただきますと、これは日弁連の方で計算をし直しているわけでございますが、死刑は廃止すべきに賛成をした方と、将来的に死刑を廃止してよいに賛成をした方の合計は、回答した方の全体に占める割合は実は四二・三%で、死刑もやむを得ないに賛成をし、将来も死刑を廃止しないという選択をした方は四六・二%でございますので、実は、法務大臣の、山下大臣に限りませんけれども、その前の大臣の方々もそうですが、国民の八割以上が死刑制度を支持しているんですという紋切り型の御答弁が多いんですけれども、二〇一四年の世論調査に依拠して見直すと、実に、将来的に状況が変われば死刑を廃止してもいいという人も含めると、四割以上の方が死刑の廃止を排除していないというのが出ているわけでございます。 また少し前置きが長くなったわけでございますが、そこで、私は、仮に死刑を廃止するとしても、問われるのは代替刑という意味で、仮釈放のない終身刑自体にもいろいろな御議論があるんですが、とりあえず大臣にお伺いしたいのは、代替刑として仮釈放のない終身刑というものを導入するという意見があるということについてどういうお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
○山下国務大臣 まず前提として、私は、累次御説明しているとおり、死刑を廃止することを前提としているわけではなくて、死刑の存置もやむを得ないというふうに考えているところでございます。 その上で、仮釈放のない終身刑につきましては、さまざまな問題が指摘されているところでございます。どのような指摘があるかについては、必要があれば事務当局から説明させますが、このことについては、やはり刑罰のあり方の根幹にもかかわるものでありますから、今後幅広い議論が行われていくことが望ましいと考えているところでございます。
○遠山委員 ちょっと今大臣から御指摘がありました、仮釈放のない終身刑の問題点、事務方、答えられるなら今答えてください。
○小山政府参考人 お答え申し上げます。 仮釈放のない終身刑につきましては、社会復帰の望みがなく生涯拘禁されるという、受刑者に絶望感を抱かせる過酷な刑罰である、あるいは、長期間の拘禁により受刑者の人格が破壊されるとの指摘があるものと承知しております。 また、仮釈放のない終身刑につきましては、受刑者が、仮釈放による社会復帰への希望が持てないことから自暴自棄になり、身を賭しての逃走や自殺行為に及んだり、職員の指示に全く従わなくなることも十分に考えられ、その結果、刑務所内の規律及び秩序の維持が極めて困難となるとの懸念も指摘されているものと承知しております。
○遠山委員 今の御見解は御見解として理解をしますが、大臣、この問題は、要するに、死刑制度自体が、私がお配りした配付資料一に、上の方にありますとおり、死刑自体が人権を侵害する刑罰だとか、あるいは、日本国憲法の第三十六条の残虐な刑罰に当たるのではないかという指摘が、そもそも死刑について、ある。 死刑を廃止あるいは事実上停止している国が世界で百四十二カ国に及ぶ中で、私は、真剣にこの死刑制度の問題について、日本で、特にこの立法府の国会で議論すべきだという立場でずっとことしはやらせていただいているわけでございますが、死刑自体が人権上どうなのか、人道上どうなのか、憲法上どうなのかという議論がある中で、じゃ、その死刑を廃止しようとしたときに、今度、仮釈放のない終身刑なら国民の理解が得られるかもしれないとして、それを導入しようとすると、今度は、生きる望みのないままずっと何十年も拘禁されることの弊害ということの御指摘が今あったということです。 この点については、私も勉強不足ですし、また、法務省の関係者には、この仮釈放のない終身刑を既に導入済みの国がヨーロッパ諸国等にございますので、今御指摘になったような課題というのはそういう国は今現実に直面しているわけでありますから、そこをどういうふうに対処しているのかというところにも着目をして研究をしていかなければいけないという点だけ、私は指摘をしておきたいと思います。 それで、時間も余りありませんが、今度、世論調査のことについてちょっとお伺いをしますが、政府参考人、死刑制度に関する政府の世論調査は定期的に行われていると。前回は、今指摘しましたように、二〇一四年の十一月でありましたが、法務省として、この世論調査の目的は何なのか、端的に御説明をいただきたいということと、また、次回は、ちょうど前回から五年後に当たる来年度に行われるという認識で間違いないか、お答えをいただければと思います。
○小山政府参考人 死刑制度に関する世論調査は、長期間にわたり継続して死刑制度に関する国民意識の動向の推移を把握するために、昭和三十一年以降、十回にわたり実施されてきております。 それで、また、今後のことでございますが、一般に、世論調査につきましては、調査の中立性を確保するなどの観点から、調査が終了するまで公表しないこととされているところでございまして、お尋ねの死刑制度に関する世論調査につきましても、その実施予定の有無、実施時期等についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○遠山委員 わかりました。 大臣、もう最後の質問になりますが、昨年の六月に、日弁連が死刑制度に関する政府世論調査に対する意見書というのを出しております。 時間がないので、簡単に私の方で集約して質問いたしますと、これまでの世論調査というのは、先ほど私が説明したように、二択なんですね。死刑は廃止すべきであるか、死刑もやむを得ないという二択なんですが、日弁連の提案は、五択にして、死刑は廃止すべきである、どちらかといえば死刑は廃止すべきである、どちらとも言えない、どちらかといえば死刑は残すべきだ、死刑は残すべきであるという五択にした方がより正確に国民の意識がわかるのではないかという提案で、私も一定の妥当性のある意見だと思いますが、これについての御意見を伺いたいと思います。
○山下国務大臣 まず、局長が答弁したとおり、内閣においては世論調査を実施するか否かについてはお答えを差し控えるということで、その前提でお話をさせていただきますと、あくまで一般論として申し上げれば、世論調査においてその個別の選択肢をどういうふうにやるかということについては、これはまずは事務方において適切に検討してもらうものだと承知しておるところでございます。
○遠山委員 二〇一四年の世論調査の前には、当時の大臣の御指示で死刑制度世論調査検討会という組織がつくられて、いろいろ検討されて、表現も変わったと理解しております。 時期はわかりませんけれども、ぜひ、次の世論調査が行われる際にも、そういった検討会を設置して、さまざまな関係者の御意見に耳を傾けていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で遠山清彦君の質疑は終了いたしました。 次に、松田功君。
○松田委員 お疲れさまでございます。立憲民主党、松田功でございます。 気候もだんだん暖かくなってきたというか、暑くなってまいりました。ぜひ熱い思いを持って政治に、大臣も始め、私も向かってまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。 実は、通告の質問に入る前に、丸山穂高議員が北方領土でビザなし訪問団に参加した際、戦争による北方領土奪還に言及した発言がございました。非常に大きな発言で、この発言に対して山下法務大臣の御見解を一言いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○山下国務大臣 私はこの場に法務大臣として立っておるわけでございます。で、北方領土に関する一議員の発言でございます。これは、報道上も明らかなとおり、重大な発言でございます。ただ、その点に関して私が個人的な意見を申し上げるのは、法務委員会の場では差し控えさせていただきたいと考えております。
○松田委員 大臣からもうちょっと御発言がいただけるかと思ったんですが、それぐらい、大臣も発言に慎重にならなければならない、大きな発言であったということを改めて感じるところであります。 戦争などという言葉を出すということもあり得ない、原爆が落とされたこの日本の国にあって、そういったことが発言として出るなんという、また、北方領土に住んでおられた皆さんの過去の経緯を見れば、安易にそんな言葉が出るということが本当に不思議なぐらいでありますが、大臣がそういった発言が非常に厳しい状況であるということは、逆説にそういったことであるというふうに認識をさせていただいて、質問に入らせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 それでは、実は、昨年の参議院法務委員会におきまして糸数議員が日本語能力試験について質問をされましたとき、当時の入国管理局長が、既存の日本語能力試験あるいはJ.TESTあるいは民間団体が新たに作成する試験など検討している、いずれの試験においても必要な日本語能力水準が確認できるものと考えていると答弁されております。 既存のテストで十分、日本語能力水準が確認できると答弁されたにもかかわらず、なぜ今回、新たな日本語能力判定テストを導入されたのですか。 しかも、この新テストを開発したのが国際交流基金ということで、国際交流基金には、現在、日本語能力試験のJLPTがあります。こちらの試験も今回の特定技能に係る日本語能力の判定基準となっております。同主催で二つの試験を適用させる意味があるのか、また、同じ国際交流基金がつくっている、従来からある日本語能力試験と、新たにつくった日本語能力判定テストの違いというものは何なのだということです。 以前、私が、既存の試験のN4よりも簡単な試験をつくって、多少日本語が怪しくても合格をさせるために新たな試験を導入するのではないかと質問をさせていただきました。そのとき、佐々木出入国管理庁長官が、この二つの試験の間に上下の関係はないとおっしゃいました。ならば、なおさら、この新しいテストをつくる意味がないと思うんです。 法務省は、必要ないと思っていたものが、どの段階で、誰の指示によって新たなテストをつくることになったのか、御説明をいただきたいと思います。
○志野政府参考人 失礼いたします。 昨年六月に閣議決定されました骨太の方針二〇一八により、外国人材に求める日本語能力水準は、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することが日本語能力試験等により確認されることということ、これを基本としつつ、さらに、各受入れ業種ごとに業務上必要な日本語能力水準を考慮して定めるということが決定されております。 今回導入いたしました基礎テストでございますけれども、これは、業界各分野の方から頂戴いたしましたニーズ等を踏まえまして、コンピューター・ベースト・テスティング、CBT方式を導入し、頻度を上げて、また迅速に結果判定を行うことにより、人材の受入れニーズに対応しようとするものでございます。 一方、国際交流基金が、御指摘のとおり、既に海外の八十五カ国・地域の二百四十九都市において、日本語能力試験を最大年二回、実施しておりますけれども、各業界、分野のニーズ等を踏まえまして、人材の送り出しが想定される国におきましては、より頻度を増して、迅速に日本語能力を判定する必要があるということでございますので、このCBT形式のテストを実施するものでございます。
○松田委員 済みません、どの段階で、誰の指示かというふうに聞いておるんですが、それをお答えいただけますか。
○志野政府参考人 失礼いたしました。 一番大もとの指示は、昨年六月に閣議決定された骨太の方針二〇一八でございます。 さらに、これを踏まえまして、昨年十二月二十五日の、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議の決定によりまして、平成三十一年度に人材の送り出しが想定されるアジアの九カ国におきまして、一号特定技能外国人の生活、就労に必要な日本語能力をはかる国際交流基金日本語基礎テストを実施することというふうにされております。
○松田委員 それでは、次の質問にさせていただきたいんですが、予算についてですけれども、外国人人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議において、外国における日本語教育基盤の充実などとして三十四億円の予算が計上されております。 内容は、日本での生活、就労に必要な日本語能力を確認する能力判定テスト、二つ目に、国際交流基金などによる海外における日本語教育基盤強化、三つ目は、在外公館などによる情報発信の充実となっておりますが、この中で、日本語能力判定テストにかかった予算はどれくらいでしょうか。
○志野政府参考人 この基礎テストの実施に当たりまして、純粋に試験問題の作成、CBT試験の開発、運用、テストを海外で実施する等に必要な予算といたしましては、平成三十年度補正予算と平成三十一年度当初予算を合わせまして、約九・〇億円を国会で御承認いただいております。 また、このほか、現地の新たな学習ニーズに応えるための日本語教育カリキュラム、教材の開発、普及、また、現地の日本語教師の育成、現地日本語教育活動の強化支援、その他、こうした取組にわたって必要な体制構築等の経費、全てを合わせて約三十四億円となっております。
○松田委員 先ほどもちょっと申しましたが、方針によって試験等々をつくっていくということもありますが、基準的なものが、現場で日本語をある程度しゃべれて理解できてということでも十分使えるというふうに法務省でも認識していた中、新たなテストをつくっていくということで、予算的な無駄を少し感じる部分があるということなんです。 本当にこれはごく単純な部分で、今あるものを有効に使えば、それだけの予算を使わなくていいのであれば、それをまた別のものに、いいことに使っていけばいいという、実はこの単純な話なんです。 すごくきちっと御説明はいただいているんですけれども、大切な税金の、いろいろなことに使う意味では、いいことにどんどん使っていただいて、できるだけそういったことで無駄を省いて、有効なもの、今あるものでも十分活用できるし、試験問題だって少し変えるとか、いろいろそういうことを工夫して、新たな予算を追加する必要はないというふうに私は思うんですが、いかがでしょうか。
○志野政府参考人 予算の効率的な執行につきましては、当省としても最大限の努力をしております。 今回の基礎テスト導入に当たりまして最大のポイントは、コンピューターを使いましてCBT形式で試験を行うということでございまして、これによりまして、頻度を上げて、つまり、これまでは最大でも年に二回しか行えず、その結果が出るまでに数カ月かかっておりましたけれども、頻度を上げて、また迅速に結果判定を行うことによりまして、人材の受入れニーズに迅速にかつ的確に対応しようとするものでございます。
○松田委員 そういうことも言えると思うんです。ならば、今ある制度にそれを少し流用してできるというふうにアシストすることも考えられるような気がするんですが、いかがでしょうか。
○志野政府参考人 今回は、人材の送り出しが平成三十一年度に想定される国ということで特に指定がございましたアジアの九カ国においてのみ実施するということになっておりますが、国際交流基金が行っております試験の範囲全部に行うということはまだ想定しておりません。 そういうことで、必要なところに必要な方式を導入するという形で、効率的な予算の執行を図っていきたいと思っております。
○松田委員 要は効率の部分で、余りたくさんお金を使うんじゃなくて、今ある現行の部分でそれに補助をしてとか、できるだけ予算を使わない方向の中でやっていくことだっていいことじゃないかというふうに思うんですね。 御理解はされていると思うんですけれども、そういったことで、つまり、予算、三十四億円のほとんどが国際交流基金の方にということで、いろいろなこともありますからあれですけれども、流れて、実は国際交流基金が外務省の天下り先として批判されたことがあるということも含めて、そういうふうに思われてしまう部分の一つになりかねないということもあるんですね。本当に、普通の人から見ればそういうふうに見えちゃう部分もありますから、効率的予算という部分だけれども、その効率的な部分をまた、よりという部分を含めて私は思っているところでありますが、その辺についての、天下り先として批判をされてしまっている部分とかそういったことについて、お考えはいかがでしょうか。
○志野政府参考人 かかる御批判を受けないように、効率的な執行に努めていきたいと思っております。
○松田委員 そういった意味において、そう批判をされないようにしていくことというのは非常に重要だと思いますし、いろいろな、会社経営をしたりとか、庶民の人も、できるだけ無駄に使わないように一生懸命頑張って仕事をしていることがあるので、また、額もでかいし、こんなにいっぱい試験があるのに何でそれを上手にやっていかないんだというふうな部分というのは感じられる部分もありますので、ぜひそういったことはしっかりと進めて、無駄なくやっていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、日本各地の入管に収容されている技能実習生の人数をまず教えていただきたいと思います。
○佐々木政府参考人 私どもの収容所、収容場は日々刻々と被収容者の出入りがございまして、その被収容者につきまして、もとの在留資格で集計をとるということを行っておりませんので、きょう時点でどれだけというお答えができないのですが、御参考に、退去強制手続をとった外国人全体のうち、最終の在留資格が技能実習であったという外国人につきましては精査をしております。 御紹介申し上げますと、平成二十八年が全体で一万三千三百六十一人のうち三千三百四十三人、平成二十九年が一万三千六百八十六人のうち三千百四十六人、平成三十年が一万六千二百六十九人のうち三千四百六十一人でした。
○松田委員 三十年で三千四百六十一人ということでございまして、年々、大体三千二百ぐらいの平均でということかと思われます。 強制退去手続を行う場合、収容者がどのような経歴で収容されて、また、この状況の中で、収容者の経歴、職員の皆さんが、いろいろな人が入っていますけれども、技能実習生以外の人も含めてですが、例えば、収容施設の中で、麻薬の売人をやっていた人だとか、技能実習生で、技能実習先でDVやセクハラやいろいろな人権侵害に遭って逃げてきた収容者が同じ部屋でいるということもあると聞いておりますが、いかがでしょうか。
○佐々木政府参考人 今委員御指摘のように、被収容者一人一人のこれまでの日本での在留歴ですとか、どのような理由で退去強制手続に入ってきたのか等々につきましては、担当入国警備官がよく承知の上、処遇に生かしているところでございます。 部屋割りということですと、今御指摘のようなことも、瞬間的あるいは少し長きにわたってということも含めて、あると思います。
○松田委員 一緒にいるという時期もあるということかと思われます。 その中で、また次に、ちょっと続けますけれども、強制退去手続のときに技能実習資格者だった者のうち、技能実習制度の運用にかかわるPTの調査で不正行為の被害者と認定されたのは何人でございますか。
○佐々木政府参考人 今回のPTでの調査におきまして、調査対象者五千二百十八人のうち、その時点でまだ本邦に在留中で、かつ、調査への協力を得ることができたのが七十四名でございました。このうち、協力を得て再聴取を行ったときに収容中であった、かつ、調査の結果、今御下問の実施機関による不正行為等の疑いが認められた方は二人でした。
○松田委員 二人ということ。 この七十四人の中で、調査をする場合に協力できなかった方も二人という意味、もうちょっといるはずだと思うんですけれども、どうですか。
○佐々木政府参考人 対象者が三人いたのですけれども、一人協力を得られなくて、先ほど御報告したとおり二人でございます。
○松田委員 収容されている先の中で、実際、私も入管の方に技能実習生で収容された方にヒアリングを行わせていただいて、支援団体の方も言っていたんですけれども、なかなか本当のことが言いにくいという問題がある。なかなか、本人たちに会いたい、ヒアリングしたいといっても、怖くて本当のことを言えない、それを言うともうすぐにでも強制退去させられるんじゃないかとか、そういったことが現場として感じ取れている部分があるというふうにお伺いいたしておるんですが、その辺についてはいかがでしょうか。
○佐々木政府参考人 今御指摘の点につきましては、そのようなお声があるということは十分承知をしております。 私どもが被退去強制者にインタビューをしたり、警備官であったり審査官であったり、インタビューをするときに、できるだけ事実について語っていただくように、長時間かけて、あるいはその方が十分理解できる言語でゆっくりお話をするということに努めています。
○松田委員 先ほど言ったお二人の方、そのお二人の方は今どのような状態にされているのか、お答えいただきたいと思います。
○佐々木政府参考人 申しわけありません。きょう時点の状況をチェックしてまいりませんでした。
○松田委員 まだわからないということなので、強制退去手続を粛々とということもされるのかと思いながらも、やはり、その方たちに対してケアをせずに、そのまま粛々として帰国をさせていくのかというふうに、どういう状態でいるかをちょっともう一度聞きたいと思います。
○佐々木政府参考人 これは技能実習の方だけではなくて、不法就労をしていて退去強制手続に乗ってこられた方も共通でございますけれども、退去強制手続をする中で、例えば未払い賃金が会社でまだあるというようなお話を受けて、もちろん労基署などとも協力をするのですけれども、担当している入国警備官あるいは調査をしている他の職員がその会社にお話をして、この方の未払い賃金、まだ払われていないことがありますよねというようなことのサポートといいますか、きっちりと働いた分だけのものを入手してお帰りをいただくというような手続も、退去強制手続の中で警備官あるいは審査官が行うことがございます。 ちょっとこのお二人の方にどうなっているかということについては、確かめてまいりませんでした。
○松田委員 未払い賃金の問題はその人たちというよりも雇っていた側の問題ですから、そういったケアはしっかりぜひしていただきたいというふうに思っております。 次の質問に移りたいと思います。 人身取引対策推進会議の「人身取引対策に関する取組について」という年次報告書についてお聞きいたします。 平成二十九年中、外国人被害者十八人のうち、技能実習で入国した者がお一人いるとあります。このお一人が人身取引の被害者として認定されたのはどういうことでしょうか。
○佐々木政府参考人 個別の事案の詳細につきましては、関係者のプライバシー等に関係するために、細かくはお答えを差し控えさせていただくのですが、お尋ねの人身取引被害者につきましては、実は、技能実習先での被害ではなくて、技能実習先から失踪した後の就労先において、入管法に定める人身取引等に該当する被害に遭われていたという案件でございます。
○松田委員 この報告書の中に、労働搾取を目的とした人身取引の防止として、外国人技能実習制度についての項目がございます。 これこそ、暴力や欺罔、権力の濫用、これは、言うことを聞かないと母国に帰すぞという、技能実習生にはよく言われるおどし文句なんですね。言うことを聞かないと母国に帰すぞと言えば、それは誰でも、その人たちはびびっちゃう。本当に言うべき言葉ではないのでありますが、これらのことにより、技能実習生の受けるべき賃金を搾取された場合は、人身取引の被害者と認定されるというふうに思われますが、いかがでしょうか。
○佐々木政府参考人 人身取引問題が、日本国内でも、そして国際的にも非常に問題になったという経緯を受けまして、入管法を改正し、人身取引の定義につきまして入管法の中に定めております。 その定義に当てはまる方につきましては、その在留資格を問わず、これに該当をして、その後の保護、入管としての保護措置をとっていくということになりますので、技能実習の現場で、この定義に当てはまるような暴力的なこと等が、あるいはわいせつ的な行為等が行われていて、この定義に当てはまるということになりますと、人身取引の被害者ということで認定をいたします。
○松田委員 被害者ということで認定をしていくということでお答えいただきました。 そこで、在留特別許可についてお伺いします。 ガイドラインでは、人道的な配慮を必要とするなど特別な事情があること等、積極的要素とされております。 人身取引の被害者と言える元技能実習生たちは、一人もこの在留特別許可が出ていないようです。では、このような人権侵害を受けたこと以外にどの要素が必要なのでしょうか、お答えください。
○佐々木政府参考人 人身取引の被害者である外国人の保護の観点から申しますと、今御紹介をいただきました、法務大臣の、ある意味ガイドラインで明確化をしている、さらに、裁量がございまして、在留特別許可をするというものよりも、更に一段高い、高いといいますか、強力な保護措置をとっております。 この在留特別許可といいますのは、入管法の第五十条第一項三号に、人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるときには在留特別許可をするということが、もともと法定をされているものでございます。 在留特別許可は、この法定をされているものの中に、法務大臣が在留特別許可に適当だと認めるというものでございますけれども、人身取引につきましては、法務大臣の裁量のもう一段階前に、人身取引につきまして被害と認められれば在留特別許可をするのだということが法定されているということでございます。
○松田委員 在留特別許可の許可権者が法務大臣ということであります。でも、実際は、各地の入管の退去強制手続を行うのは、入国警備官の裁量で行っているというふうに伺っております。具体的な例がなければ、それぞれの入管職員によって判断が変わってきてしまうということもあります。これは問題だと思います。 以前は強制退去手続の調査は収容から四十八時間以内と決まっていたわけですから、技能実習生の話の裏づけをとる時間も実習先を調査する時間もない。その実習生の話だけで入国警備官が在留特別許可を出すか出さないかを判断するのは無理かと思われます。判断できなければ、できない方向に傾いてしまいます。それが在留特別許可が一件も出ていない理由なのでしょうか。もう一度、再聴取すべきではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。
○葉梨委員長 佐々木長官、質疑時間が終了していますので、簡潔にお願いいたします。
○佐々木政府参考人 今おっしゃっていただきました入国警備官が限られた時間で聴取をするというのは、せんだって聴取票を入国警備官がとることから入国審査官に変えるということの理由になっていたのでございますが、退去強制全体でいいますと、その後にまだ何段階ものプロセスがございまして、入国審査官そして地方入国管理局長が判断をするまでに大きな何段階ものインタビューの中で実態をお伺いをし、きちんとした判断をするように努めるということでございます。
○松田委員 新制度になっても変わらず技能実習生の失踪というのは起きやすい状況であるということも含めて、人権侵害がなくなってはおりません。そして、捕まって入管へということが繰り返されていくことでありますので、ぜひその意味で被害者としての方たちの救済を真剣に考えていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 以上で終わります。
○葉梨委員長 以上で松田功君の質疑は終了いたしました。 次に、山尾志桜里君。
○山尾委員 立憲民主党の山尾志桜里です。 私からは、一般質疑で繰り返し取り上げていますけれども、やはり個人情報のルール化の問題を取り上げていきたいと思います。 知らないうちに個人情報が爆発的に取得をされていて、知らないうちにそれが分析をされていて、そのデータの蓄積と分析結果がもはやビジネスには不可欠な価値を持つようになっている。そういう中で、そのデータが民から民へと移転されたり共有されたり売買されたりする。本来はそのデータというのは別に犯罪捜査に使うことを目的にとられているわけじゃないんですけれども、そういった結果として蓄積されているという状態の中で、それが捜査結果に利用されていくことの功罪、両方ともあり得るという中で、やはり事業者の自主的な判断を尊重するべきところは尊重すべきでしょうし、一方で、そこは自主判断の前提として、やはり法律等々でルールをつくっていくということがもはや喫緊の課題になっているのではないか、こういう問題意識で質問をさせていただきたいと思います。 私、いつも二つに分けておりまして、民から民へ流れていく一つの象徴的な事例としての、タクシーのタブレットで乗ったお客さんの情報が収得されて利用されているという問題、これは後でやります。 その前に、今度は民から公、この場合でいえば、やはり捜査機関に流れていくことの問題点として、スマホゲームのアプリ事業者が保存するゲームユーザーの位置情報、これを捜査上どのように取得していくことが適切なのか、この話を挙げております。 まずは、その話を一つの例にとって質問を進めていきたいと思います。 まず、法務省民事局にお伺いをしたいんですけれども、刑事訴訟法百九十七条二項に基づいて捜査関係事項照会というのは行われます。いわば法令に基づく照会ということになるわけですけれども、事業者が、そういった法令に基づく捜査関係事項照会を受けて、顧客の個人情報提供を判断で拒否した場合、法律上の罰則や制裁を受けるということは予定されているんでしょうか。 民事局ではないですか、刑事局ですかね。じゃ、刑事局、お願いします。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 刑事訴訟法百九十七条二項に基づく捜査関係事項照会につきましては、相手方に報告すべき義務を課すものと解されているところではございます。もっとも、今議員御指摘の、相手方が照会に応じない場合でございますが、この場合であっても、強制する方法はございませんし、また、刑罰などの制裁を受けることもないところでございます。
○山尾委員 強制は担保されていないということでありました。罰則もないということであります。 紹介しますけれども、捜査関係事項照会の回答を拒絶した場合ではないのですが、同じく法令に基づく照会を拒絶して、損害賠償請求を求められた事案というのがあります。これは、弁護士会がその弁護士会照会を拒絶した照会先に対して不法行為に基づく損害賠償を求めた事案というのがあります。その結果、最高裁の判決は、そういった拒絶の行為が当該弁護士会に対する不法行為を構成することはないということで、その賠償請求は棄却されています。 こういった判例を見ると、まず、世の中のそういった照会を受ける事業者等々に知っていただきたいのは、照会を受けることはあるでしょう、しかし、自律的な判断でそれを拒否したとして、法律上の罰則や制裁を受けることもなく、こういった損害賠償請求も最高裁は認めていないということであります。 では、逆を聞きます。これも法務省に聞きます。 逆に、照会があって、それに対して、本来であれば照会で応じるべきではなくて、やはり令状で応じるべきだった事案だとします。それでも、しかし、回答してしまったと。私、あると思うんですね。これだけ、照会で応じていいのか、令状を必要とするのか、何度国会で議論してもグレーな点がさまざまある中で、ましてや、その照会を突然受ける事業者さんからすると、ちょっとどっちだったかわからなかったよ、あるいは、そこまで問題意識を持ち切れていなかったよというようなことはあり得ると思うんですけれども、そういった場合に、その事業者さんが、個人情報を流出させられた人がいるわけです、そのユーザーなり顧客の方から、民法上の不法行為責任を負うという可能性はあるんでしょうか。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 捜査関係事項照会に応じて個人情報を提供した事業者が民法上の不法行為責任を負うかどうかは、個別具体的な事実関係に基づいて裁判所が判断するものでありますので、一概にお答えすることは困難であります。 その上で、一般論として申し上げますれば、裁判所がこの点についての判断をする際には、当該個人情報の内容や性質、当該照会の必要性、これについての当該事業者の認識可能性等を考慮することになるものと考えられます。
○山尾委員 一概に答えることはできないでしょう。ただ、個別の判断によるということで、今、判断要素を言っていただきましたので、そういった判断要素を判断して、裁判所が不法行為責任を認める場合はあり得るという御回答だと思います。 これはちょっと過去のことなので、確認なんですけれども、きょうは、経済産業副大臣の関副大臣にもお越しをいただいています。質問です。 昔の、個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドラインのQアンドAというのがあったそうです。私、ちょっとネットで見てもそのQアンドAまでは入手をできなかったので御質問するけれども、このQアンドAでは過去にこのように記載されていたか否かということです。 照会により求められた顧客情報を本人の同意なく回答することが民法上の不法行為を構成することは通常考えにくい、こういう記載があったのではないか。そして、あったとするなら、このガイドラインは今も有効なのか。有効でなければ、どのように経済産業省としては認識、現在の認識はどういう認識でおられるのか、それをお伺いしたいと思います。
○関副大臣 山尾委員御指摘のガイドラインでございますが、平成二十九年五月に改正個人情報保護法が施行される以前に、個人情報保護法を所管する一省庁といたしまして、同法の解釈を示したものでございます。 当時、その参考資料でございますQアンドAでございますが、捜査機関等からの照会により求められた顧客情報について、本人の同意なく回答することが民法上の不法行為を構成することは通常考えにくいとの見解を示していたと承知をいたしております。 ただし、平成二十九年五月の改正個人情報保護法の施行によりまして、同法の所管が個人情報保護委員会に移管がされまして、当該ガイドラインは廃止されました。 このため、現在の政府としての解釈でございますが、個人情報保護委員会で示していただけたらと思っております。
○山尾委員 そうしますと、経済産業省として、そのガイドライン、QアンドAに載っていた見解は今はとっておらず、今現在の見解は個人情報保護委員会の見解に従っていくというようなことで受けとめてよろしいんですか。
○関副大臣 はい、そのとおりでございます。
○山尾委員 ありがとうございます。 こういうふうに、個人情報の価値が変わっていって、それを規律する法律が変わっていけば、やはりそれに対する認識も変わっていかなければならないということだと思います。 ですから、私は、今までの捜査がいい悪いを言っているんじゃなくて、やはり、個人情報を入手する際の捜査手法やそのルールというものも、もう変化を求められている、あるいは、時代に沿った明確化を一定程度求められている、こういう時期に入っているんだろう、こういう認識で質問を続けたいと思います。 関副大臣におかれましては、もう質問の方はこれで終わりますので、戻っていただいて構いません。 そこで、ちょっと問題意識を整理しますと、結局、照会を受けた事業主は、それを拒否したからといって法的な制裁を受けることはない。ただし、逆に、うっかりと回答してしまうと、それが適切でなかった場合は責任追及を受ける場合がありますよ、こういう状況にあるわけであります。経済産業省の方も、以前は、不法行為を構成することは通常考えにくいという立場だったけれども、やはり法が変わって、その立場は今とっていないということがきょう明らかになりました。 それでは、これはやはり捜査関係事項照会をかける立場の警察、そして法務省と両方聞きたいんですけれども、そうすると、捜査関係事項照会も弁護士会照会も法令に基づく照会ですので、それでもやはり責任追及をされる余地があるということは、照会を受けた事業主というのは、これは少なくとも法令に基づいているなという形式的な判断だけすれば足りるのではなくて、今、先ほど民事局長おっしゃっていただきましたけれども、請求された情報の性質等々、やはり実質的な判断を一定程度必要とされているからこそ、その判断が誤ったときには責任追及をされるんだというのが私の自然な理解なんです。端的に言うと、照会を受けた事業主等は、形式的判断のみならず、やはり実質的判断もそれぞれしてくださいねというのが政府の見解と考えていいんでしょうか。法務省と警察庁にお伺いします。
○小山政府参考人 議員から御指摘のありましたとおり、先ほど答弁申し上げましたとおり、こちらとして、捜査機関としては、相手方が照会に応じない場合であっても、強制する法はない、刑罰などの制裁はないというところでございますが、その上で、捜査関係事項照会により必要な事項の報告を求められました事業者が、関係諸法令などを踏まえて、個別具体的な状況のもとで、どのように判断し、どのように対応するのかにつきましては、その事業者側の判断でございまして、法務省としてお答えする立場にはないものではないかと考えております。 ただ、一般論として申し上げますと、捜査機関におきましては、捜査関係事項照会を含めまして、個別の事件における捜査上の必要性あるいは対象となる事項の内容、議員がいろいろ御指摘になっていますこの種の性質などを考えまして、適正に証拠収集を行っているものと考えております。
○田中政府参考人 捜査関係事項照会を受けました事業者の御判断につきましては、警察においてコメントする立場にないというふうに考えております。 また、刑事訴訟法の解釈につきましても、警察庁としてお答えする立場にないと考えております。
○山尾委員 そうしますと、警察にもう一回お伺いをいたします。 そういった照会を求められた際の事業者の判断に対しては、警察庁としてコメントする立場にないということを今、明確におっしゃいました。したがって、過去に数回やられているように、うちは照会では応じませんという事業者に対して、いや、照会で応じてくださいよというようなこと、TSUTAYAの関係であったわけですけれども、今後そういうことをやらないというふうに理解してよろしいんですか。
○田中政府参考人 都道府県警察におきましては、捜査上必要があれば、刑事訴訟法の規定に基づきまして捜査関係事項照会を行うということは今後もあり得るというふうに考えております。 また、そのことにつきまして、警察庁から、警察庁組織令にも規定がございますけれども、民間事業者に対して要請をするということはあり得るというふうに考えております。
○山尾委員 今、矛盾する答弁だと思いますので、明らかにしていただきたいと思います。 事業者の判断については、警察はコメントをする立場にないということを今おっしゃりながら、一方で、今後も要請をする可能性はあるというのでは、ちょっとつじつまが合わないんです。 今後も要請をする可能性があるというのが、警察の判断として、これは照会で応じてほしいと思う者に照会をかけるという要請があるということならわかります。 私の質問は、それに対して、事業者、うちはこういうルールにのっとって、自主的な判断で決まりをつくっておりますというような事業者の判断があるときに、その判断をいわば踏み越えるような形で、いや、ここまでは照会で応じてくださいとか、そういう要請をこれまでかけた例があるものですから、もうそういうことは今後はしないんだ、こういうお立場になるかと思います。それ、どちらなんですか。
○田中政府参考人 捜査上必要がある事項につきまして、照会に応じていただきたいということを今後とも要請するということはあり得るというふうに考えておりますけれども、ただ、事業者側の意向に関しましては、事業者が照会に応じない場合に回答を強制する方法はないところでございまして、その場合には、裁判官から令状の発付を得て必要な情報を取得する、こういうことになってまいります。
○山尾委員 ちょっとしつこくいきますね。 強制する手法はないんですよ。ただ、実際に起きたのは、警察からの要請という形で特定の事業者に対して要請をかけた。それも、白紙からの要請をかけるのはあるでしょう。そうじゃなくて、うちは照会ではこの点、応じていませんという判断をしている事業者に対して、強制ではないけれども要請をかけたという事例が実際に存在をし、それは存在したということはこれまでもるる、警察自身も認めているものですから、もうそういうことは今後はなさらないのですねということを申し上げている。確認を求めます。
○田中政府参考人 繰り返しの御答弁になってまいりますけれども、捜査上必要がある事項につきまして、都道府県警察が刑事訴訟法の規定に基づきまして捜査関係事項照会を行うということは今後ともあり得るところでございまして、その点につきまして、必要な照会に対しまして要請に応じていただきたいということにつきまして、警察庁からお願いをするということはあり得るというふうに考えております。
○山尾委員 質問に答えていただきたい。 再要請をかけるということがあるんですかと、わかりやすく言えば。つまり、照会をかける、でも、その事業者は、うちではそういうものは照会に応じていませんというルールを決めている。それに対して、いや、TSUTAYAさん、例えばですね、あったわけですから、もうこの件については令状ではなくてちょっと照会段階で応じてくださいよというような要請をかけたということがあるので。 そういうことは、今のお話でいくと、当事者の判断について、一旦なされた判断についてコメントする立場にないとおっしゃっているんだから、国会でコメントしないと言うだけではなくて、その事業者に対しても、もうそういう場合には令状をとるというような手続にしていただくのが自然ではないですかということです。
○田中政府参考人 実際上の問題といたしましては、要請をしたけれども、令状を出してくださいというふうな事業者がなかったわけではございませんで、その場合には、その後は令状によって情報を取得しているということでございます。
○山尾委員 明確な回答はいただけていないんですけれども、ただ、私はこの件をずっと内閣委員会、法務委員会で質問し続けていて、CCCの一件以降、実際そういった事業者に要請をかけたということはしていないというお話も伺っていますので、ぜひ、やはり自主的な判断を顧客や社会に対してしている事業主の判断というのは、警察として、あるいは本部も含めた捜査機関の判断として、尊重するということはきちっと保っていただきたいというふうに思います。今までは違ったというふうに思いますので。 それで、次に、先ほどの話ですけれども、やはり法令に基づいて照会を受けた事業主は、それぞれ、形式的判断だけでは足りず、幾つかの判断要素に従った実質的判断も求められるということであります。そうでないと、当然、それが違えば不法行為責任を追及される可能性があるということなんですけれども、これは誰に聞けばいいんでしょうね。 今、これだけ個人情報の性質も多様化し、さまざまな情報が入手される時代にあって、自分が持っている個人情報について警察から回答を求められたとき、それは刑事訴訟法だけじゃなくて、個人情報保護法令もあれば電気事業者に対するものもある、さまざまな省庁がさまざまな規範をつくっている。そういう中で、その事業主というのは、自分が回答を求められたときに、どの法や規則や通知やガイドラインに依拠し、どういう具体的な判断要素を考慮して実際にその判断をすればいいのかということは、大変事業者にとって困難な状況が今あるんだというふうに思うんですけれども、その点についてのお考え。これは、でも、やはり捜査関係事項をやっているのは法務省と警察だから、まあ法務省ですかね、お伺いしたいと思います。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 非常に難しいお尋ねでございまして、まず前提として、個別の具体的な状況下においてどういう捜査手法がとられるか、それはまたケース・バイ・ケースにまずなってくるところでございます。 それで、また、先ほどもお答え申し上げましたけれども、それは、捜査関係事項照会により必要な事項の報告を求められた事業者はどのところを考えればいいのかという委員の問題意識、ございます。それは、その事業者が関係している関係諸法令というのがあると思いますので、そういうものなどを踏まえつつ、個別具体的な状況の中で御判断されるんだろうと。その点の中身につきまして、先ほど申しましたように、法務省としてこれをお答えする立場にはないわけでございますが、そういう利益状況にあるのかなと思っております。 また、あるいは、その情報の性質に従いまして、捜査機関側としては、必要があればこれは捜査関係事項照会ではなく令状をとっておりますので、そういう中でやっているというところで御勘弁をいただきたいと思います。
○山尾委員 特定の事案でちょっとお話を進めていきますけれども、ずっと取り上げてきた、スマホゲーム事業者が保有する顧客の位置情報ですね。 総務省にお伺いをいたしますが、その位置情報について、電気事業者あるいは営む者に当たる事業者が捜査機関から捜査関係事項照会で情報提供を求められたときは、当該事業者は、何に依拠してどのような対応をするべきなのでしょうか。
○國重大臣政務官 お答えいたします。 全てのスマホゲームアプリ事業者が電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの適用対象になるわけではありませんけれども、先ほど委員が言われたとおり、スマホゲームアプリ事業者が電気通信事業者や電気通信事業を営む者に該当する場合には、同事業者には同ガイドラインに従った対応が求められることになります。 同ガイドラインにおきまして、通信の秘密に該当する位置情報につきましては、電気通信事業者又は電気通信事業を営む者は、あらかじめ利用者の同意を得ている場合、裁判官の発付した令状に従う場合その他の違法性阻却事由がある場合に限って、第三者に提供できる旨を定めております。 したがいまして、捜査機関から、裁判官の発付した令状ではなくて、捜査関係事項照会によって通信の秘密に該当する位置情報の提供を求められた場合には、電気通信事業者又は電気通信事業を営む者に該当するスマホゲームアプリ事業者は、同ガイドラインに基づいて、利用者の同意又は違法性阻却事由がない限り、その提供を拒むべきということになります。 また、通信の秘密に該当しない位置情報についても、あくまで一般論として申し上げれば、電気通信事業者又は電気通信事業を営む者がこれを捜査当局に提供することができるのは、同ガイドラインに照らして、先ほどと同様、原則として裁判官が発付した令状に従う場合に限られるものと考えます。 したがいまして、電気通信事業者又は電気通信事業を営む者に該当するスマホゲームアプリ事業者がとるべき対応としても、先ほどと同様の結論になるものと考えます。
○山尾委員 よくわかりました。 ここはちょっと法務大臣と議論したいんですけれども、政務官とはちょっとほかの委員会でもやっているんですけれども、やはり事業者には、今の場合は、ガイドラインに基づいて、通信の秘密に当たる場合、仮に、場合によっては当たらない場合であっても、この位置情報の回答についてはやはり照会での回答は拒むべきだ、原則令状で回答すべきだと。もうちょっと多分、國重さんは丁寧に言っていると思うんですけれども、わかりやすく言うと、そういう判断をしているわけですね。 これについて、やはりそこまで明確に一定の判断がある以上は、翻って、むしろ、照会をかける側の捜査機関も、刑事訴訟法百九十七条二項でこれは令状が必要なのか照会で足りるのかと判断をするときに、今の見解というのもしっかりと加味した上での判断が必要になるというのがまず節理だと思うんですけれども、その点、法務大臣の答弁を求めます。
○山下国務大臣 お答えいたします。 まず、法務大臣として、所管する刑事訴訟法上の観点から申しますと、刑事訴訟法百九十七条二項に基づく捜査関係事項照会については、相手方に報告すべき義務を課すものと解されている。もっとも、相手方が照会に応じない場合であっても、強制する方法はなく、刑罰などの制裁を受けることもないということが刑事訴訟法の観点でございます。 そして、国賠、国家賠償法上のお話もございましたけれども、これにつきまして、最高裁の判例上、捜査関係事項照会に関して裁判所が判断した事例はないというところでございまして、一概には申し上げがたいところでございます。 先ほど委員が御紹介ありましたが、これは弁護士法二十三条の二に基づく照会に関してでございますけれども、この最高裁判例においても、「他に立証方法がないような場合」など引用されまして、「弁護士法二十三条の二に基づく照会に応じて報告することも許されないわけのものではないが、」ということを言われておりまして、「その取扱いには格別の慎重さが要求される」ということで、当該「市区町村長が漫然と弁護士会の照会に応じ、犯罪の種類、軽重を問わず、前科等のすべてを報告することは、公権力の違法な行使にあたると解するのが相当である。」ということで、こういった判例に照らしても、一概には言えないんだろうというふうに考えております。 捜査関係事項照会により必要な事項の報告を求められた事業者がどのように対応するのかにつきましては、関係諸法令などを踏まえつつ、先ほど御紹介のあったガイドラインというものの法的性質等も問題になろうかと思いますけれども、個別具体的な状況のもとで、どのように判断し、どのように対応するのか、どのような内容の情報を提供するのかにつきましては、これはさまざまな要素があり得るわけでございまして、法務省としてはお答えする立場にないと言わざるを得ないということでございます。
○山尾委員 最後の方がどうして言わざるを得ないになるのかがちょっと私の頭ではうまく理解できなかったんですが、ちょっと時間がありませんので、この議論は引き続きやりたいと思います。回答させられる側は場合によっては責任をとるのに、むしろ回答を求める側は基本的には無答責ですから、やはりそのギャップというのは埋める必要があるんだろうというふうに思います。 あと一分になりましたので、きょうは国交政務官と個人情報保護委員会にも来ていただいているので、ちょっと一点ずつお伺いをして、終わりにしたいと思います。よろしいでしょうか。 タクシーの搭載タブレットの問題であります。 まず、国交省にお伺いをいたします。 この搭載タブレットによる個人情報の入手や使用が一定の事業者で問題になったわけですけれども、これは、ほかの会社も含めて横断的に調査を五月の中旬をめどにやっていくというような答弁を前回いただいていますけれども、今、その状況はどうなっておりますかということ。 個人情報保護委員会の方には、その問題となったジャパンタクシーの事案について、現在、その変化した対応を十分と見ているのか、まだ検討中なのか。 この二点についてお伺いして、終わりにします。
○葉梨委員長 まず、田中国交政務官、簡潔にお願いします。
○田中大臣政務官 お答えします。 御指摘の点につきまして、国土交通省が全国ハイヤー・タクシー連合会を通じて実態の把握を行っているところであり、現在のところ、全国ハイヤー・タクシー連合会において、タクシー事業者に対して調査を行っているところであります。 国土交通省といたしましては、現在までのところ、ジャパンタクシー社と同様の事例は承知しておりませんが、同社の対応状況について引き続き注視をしながら、個人情報保護委員会と連携をしながら、適切に対応してまいりたいと思います。
○其田政府参考人 お答え申し上げます。 当委員会からの指導を踏まえまして、ジャパンタクシー社におきましては、四月の十日から、顔画像を撮影すること、その画像データにより性別を推定し広告の配信に利用することについて、車載タブレットの上で明示する対応を行うということ、それから社内体制の整備を行ったということにつきまして報告を受けております。 さらに、その後、説明文の表示時間を長くする、あるいは表示される文字を大きくするといったような対応をとっておりまして、この点につきましては委員会においても確認をしております。
○山尾委員 当該社の対応の十分性だとか、あるいは、広げて、ほかの社にもきちっと目を配る必要があると思いますので、これからも質問を続けていきたいと思います。 ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で山尾志桜里君の質疑は終了いたしました。 次に、源馬謙太郎君。
○源馬委員 国民民主党の源馬謙太郎です。 きょうも質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。 これから審議入りされる特別養子縁組制度があると思うんですが、それに先立って、生みの親のもとで育つことができない子供たちを養育していくという児童福祉の問題について、きょうは伺っていきたいと思います。 この日本において、生みの親のもとで育つことができない子供たちというのが四万六千人いると言われておりまして、そのうちの八五%が児童養護施設とか乳児院などの施設で暮らしているのが今の日本の社会的養護の特徴だというふうに言われていると思います。 このような子供たちが生まれる背景としては、虐待であったりとか、貧困、死別、いろいろな理由があって生みの親のもとで育てられないという背景があると思うんですけれども、国や自治体が保護をして、そして、施設であるとか、きょう取り上げたいと思っている里親家庭などの社会の受皿で育てていこう、これが児童福祉法に基づいて行われているというふうに理解をしております。 この社会的養護の中には、養子縁組の制度のほかに里親の制度がありまして、これは、保護を必要としている子供に対して家庭での養育環境を提供するためというふうに理解をしております。 そういった中で、これから特別養子縁組制度についての議論がされていくわけだと思いますが、その第一段階としての里親制度ですね、子供を育てることができない親のかわりに一時的に家庭内で子供を預かって養育をする、親子関係は生まれないんだけれども、そういった制度を使って子供を一時的に養育してあげる、この制度について少し伺っていきたいと思います。 まず初めに、この里親の制度と養子制度、養子制度の中には普通養子制度と特別養子縁組制度があると思いますが、この三つの違いと定義というか、そういったものをまず伺いたいと思います。 〔委員長退席、石原(宏)委員長代理着席〕
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。 まず、里親制度と民法上の養子制度との違いでございますけれども、里親制度は、児童相談所から委託を受けた里親が実親にかわって子供を養育するものでありますけれども、里親となる者と子供との間には、委員御指摘のとおり、法律上の親子関係を生じさせるものではございません。これに対しまして、養子制度は、養親となる者と子供との間に法律上の親子関係を生じさせるものでございます。 次に、養子の中で、普通養子制度と特別養子制度の違いでございますが、普通養子制度におきましては、養親となる者と養子となる者の合意によって縁組が成立しまして、縁組が成立した後も養子と実親との親子関係が存続いたします。また、離縁につきましても、養子、養親いずれの側からも求めることができ、合意による離縁も可能でございます。 これに対しまして、特別養子制度でございますが、家庭裁判所の審判によって成立したものでございまして、これが成立いたしますと、実親及びその血族との間の親族関係が終了いたします。また、この特別養子縁組の離縁につきましては、厳格な要件のもとで例外的にしかできないといったことでございまして、普通養子縁組によって創設される親子関係よりも強固で安定した法的地位を与える点に特別養子制度の特徴がございます。
○源馬委員 ありがとうございます。 法的にしっかりと親子関係をつくって、そして権利も保護してあげるという意味での違いが大きくあるというふうに思います。 一方で、やはりちょっとハードルも高くて、親子関係を結ぶところまではいかないけれども社会貢献をしようとかそういった意味で、困っている子供たちを助けてあげようという意味で、里親ならという、入り口としての制度も非常に重要であるというふうに思います。 きょうは、特にこの里親制度について伺っていきたいんですけれども、国の方針としても、やはり、さっき申し上げたように、施設で育つ子供たちが大半ということよりも、それよりも家庭での環境ということで、二〇一六年の児童福祉法の改正もそうですけれども、養育環境をしっかりと整えてあげよう、こういうことが国の方針でもあると思います。子供の権利、子供が権利の主体であるということを考えても、実親による養育が困難であれば里親や特別養子縁組などで養育されるようにという理念も規定されているというふうに思います。 その中で、その入り口とも言える里親委託率が、平成十八年度末は九・五%であって、平成二十九年度末でも一八・三%と、見方によっては十年間で八・八%伸びた、倍増したと言えるかもしれませんが、まだまだやはり低いのではないかなと思います。 そこで、国としてこの里親委託率というのをどこまで伸ばしていくことを目標としているのか、また、新しい社会的養育ビジョンというのを打ち出されたと思いますが、その後の進捗状況などについて伺いたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 委員御指摘いただきましたように、最近の里親への委託率でございますけれども、新しい社会的養育ビジョン、これが平成二十九年の八月に策定をいたしておりますけれども、その直前の二十八年度末の委託率が一八・三%、その後、一番直近の平成二十九年度末の数字が既に出ておりますけれども、二十九年度末では一九・七%というふうになってございます。 この新しい社会的養育ビジョンでは、今後の目標といたしまして、三歳未満についてはおおむね五年以内、それ以外の就学前のお子さんについてはおおむね七年以内に里親委託率七五%以上を実現をしようというふうなことが提示をされたところでございます。 これを踏まえまして、厚生労働省においては、都道府県に対しまして、里親等への委託の推進に向けた体制構築も含めまして、社会的養育の推進計画を今年度中に策定をいただくようお願いをしているところでございます。 また、この際、都道府県におかれましては、これまで地域の実情、さまざまあるかと思いますけれども、地域の実情を踏まえつつ、ただ、子供の権利や子供の最善の利益はどの地域でも実現されるべきものであるということ、そして、今申し上げました国の目標を十分念頭に置いて、その上で、自治体ごとに数値目標や達成期間を設定していただくということをお願いしているところでございます。 こうした中で、国としては、これらの目標の実現に向けて、取組をしっかり進めていきたいというふうに考えております。
○源馬委員 ありがとうございます。 今一九・七%のものを五年以内に七五%にするというのは相当ハードルが高いんじゃないかと思います。都道府県別で見ても、一番いいところでも五一%ぐらいしかないわけです。 それは達成可能なんでしょうか、七五%というのは。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、ただいま直近の委託率が約二割ということでございますので、かなりハードルの高い目標ではあろうかというふうには思っております。 ただ一方で、自治体によって、かなりこの委託率、差がございまして、高いところも、まあ五割とはいえ、五割ぐらいを達成しているところもあれば、あるいは、まだまだ全然進んでいないところもある。そして、ここ数年で非常に急激に伸びている自治体もございます。 こういったことも踏まえまして、自治体によってさまざまな好事例もございますので、そういった好事例をしっかり把握をして周知をするというふうなことですとか、それから昨年の十二月に児童相談所の強化のプランを策定をいたしましたけれども、この中で、今後、二〇二二年度までに約二千人の児童福祉司の増ということをプランで策定をしておりますが、この中には、各児童相談所ごとに、里親の支援を行うという担当者についても配置を行っていけるというふうな形でプランを組んでいるということもございます。 こういったこともあわせながら、先ほど申し上げました都道府県における計画の策定、こういったことで進捗管理をしながら、しっかり対策を進めていきたいというふうに考えております。 〔石原(宏)委員長代理退席、委員長着席〕
○源馬委員 少し通告の順番が前後しますけれども、今おっしゃっていただいたように、自治体ごとで、うまくいっているところもある。それでも、目標七五%に比べれば、五割なので、まだまだ低いと言わざるを得ないと思いますが。 一方で、政令指定都市と都道府県のデータを見るだけでも、一番低いところは八%ぐらいで、高いところは、新潟市なんかは五〇%、静岡県の静岡市も四五%と、非常に高いところもあるというデータがありますけれども、この差というのはどういうところから出てくるんでしょうか。 もちろん、自治体の努力が一番大きいと思うんですけれども、どのように努力しているところは高くなって、一方で、一割にも満たないところもある。その分析をどの程度されているのか、伺いたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 委員御指摘ありましたように、里親等の委託率につきましては、自治体ごとに大きくばらつきがございます。この理由でございますけれども、自治体によって事情はさまざまでございますので、一概には申し上げられないのでございますけれども、やはり、里親を含めた社会的養護の受皿の状況が相当地域によって異なるということだろうと思っております。 ただ一方で、先ほど答弁申し上げましたように、委託率が近年上昇しているという自治体もございます。例えば、福岡市ですとか大分県などですけれども、児童相談所への専任の里親担当職員の配置ですとか、それから里親支援を行う民間のフォスタリング機関と申し上げておりますけれども、民間の機関との積極的な連携、あるいは、非常に地道な活動ではありますが、体験発表会ですとか、市町村と連携した広報、NPO法人や市民活動を通じた口コミによる紹介など、さまざまな工夫や努力を行っていただいて、里親登録の増加と里親支援の充実を図っていただいているところがあるというふうに承知をしております。 ですので、厚生労働省といたしましても、こうした自治体の里親支援の後押しですとか、これには財政支援も含まれますけれども、後押しですとか、里親に関する広報啓発の推進を通じまして、各自治体の里親等委託率の向上に向けて努めていきたいと考えております。
○源馬委員 ありがとうございます。 諸外国と比べても、日本では、こうした里親ですとか養子制度、これが活用されている割合が非常に低くて、里親委託、この委託率も本当に諸外国に比べると低いのが現状だと思います。 いろいろな分析があると思うんですけれども、歴史的な背景があって、戦争孤児を収容するために施設ができて、それの活用を続けているから施設の利用が多いのではないか、そういう分析もあると思うんですけれども、それだけじゃないと思うんです。 例えば、オーストラリアなんかでは約九割がこうした里親であったりとか養子縁組、これを使っている。イギリスでも七割、韓国でも四割。一方で日本は二〇%以下ということなので、この差というのは、先ほど申し上げた施設ができた背景以外にどのようなことがあるのか、教えていただきたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 諸外国との比較でございますけれども、もちろん、日本と制度が、各国、異なりますので単純な比較をすることはできないものの、やはり、委員御指摘のとおり、欧米主要国はおおむね半数以上が里親委託であるというふうに承知をしておりまして、日本は施設養護の割合が高いというふうに承知をしております。 当然、歴史的な経緯として、委員が今御紹介いただいたように、戦争孤児といいますか、終戦直後の身寄りのない子供について現在の児童養護施設が中心となって受け入れてきた、そういう歴史的な経緯がもちろんあるわけでございますが、現状としての認識といたしましては、やはり里親制度に対する認知度がまだまだ低いということ、その結果、委託する里親の登録数が不足をしているということ、そして、具体的なケースの場面では、里親委託に対する実親の同意を得ることが難しいケースがあったりですとか、里親さんの希望とお子さんの条件がなかなか合わない、マッチングが苦労するとか、そういったさまざまな要因があるというふうに考えております。
○源馬委員 これもちょっと通告の順番がずれますけれども、これから議論をしていく特別養子縁組制度とか普通養子縁組制度、この養子となるには、やはり、さっき一番最初に御答弁いただいたように、しっかりと法的な位置づけをつけて親子関係をきちっと持つということで、一段高いハードルにはなると思うんですが、実際に今の現状で、里親制度を使って里子を受け入れて養育をして、そこからその里子をそのまま養子にするというケースというのはどのぐらいあるのか、教えていただきたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 子供の委託を受け入れている里親がそのまま子供を養子にするというケースの数ですとか、全体に占める割合、そのものについては把握はしておりません。 ただ一方で、里親の類型によらないデータといたしまして、平成二十九年度中に里親委託、この里親には、通常の養育里親もあれば養子縁組を目指した里親も、両方含まれるわけでございますけれども、里親委託を解除になったお子さん、これが平成二十九年度中に千九十八人おられました。この方々のうち、解除後に特別養子縁組や普通養子縁組になったお子さんの数が三百七十七名、割合にいたしますと三四・三%というふうに把握をしてございます。
○源馬委員 ありがとうございます。 こうした養子縁組制度に向けての入り口の里親制度ですけれども、先ほども少し御答弁にありましたけれども、そもそも里親の登録率を上げていくということが課題だというふうに御答弁がありましたが、これについての具体的な方策とか取組、どのようにその門戸をまず広げてやっていこうとしているのか伺いたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 里親委託を促進するための具体的な取組についてというお尋ねがございました。 まずもって、厚生労働省といたしましては、里親委託を促進するためには、まず第一に、さまざまな広報活動を実施をしているところでございます。 特に、毎年十月を里親月間というふうにしておりまして、この間、ポスターやリーフレットを自治体や鉄道事業者等に配布いたしまして掲示をお願いをしているですとか、新聞やインターネット、テレビ等を活用しました広報啓発活動、そして、地方自治体が取り組む広報活動を当省のホームページでも紹介をする、こういった広報の里親月間における取組を行っているところでございます。 あわせまして、里親支援をしっかり進めていくために、やはり自治体における体制を整備をするということが重要でございますので、昨年十二月に取りまとめました児童虐待防止対策体制総合強化プラン、新しいプランにおきまして児童福祉司の増を盛り込んでいるところでございますが、その中で、各児童相談所に里親養育支援の担当の児童福祉司を配置をするということにしてございます。 またさらに、子供と里親家庭のマッチングなどを円滑に行うためには、民間の里親養育包括支援機関、民間フォスタリング機関と呼んでおりますけれども、こういった事業者の方々の活用も非常に重要でございます。 このため、厚生労働省では、里親のリクルート、あるいはマッチング、里親家庭への継続的な支援、こういった業務を一貫して行えるようなガイドラインの策定ですとか、予算措置としては、里親養育包括支援事業といたしまして、予算を大幅に拡充をするといったことにも取り組んでいるところでございます。 今後とも、これらの取組によりまして里親委託の推進に努めてまいります。
○源馬委員 ありがとうございます。 最後に、一つだけ伺いたいと思います。 今御答弁いただいたように、いろいろ啓発活動ですとか、そういったことはやっていると。それそのものは、里親制度というのがあるんですよということの啓発であったりとか広報だと思うんですが、日本財団が調査したところによると、里親になってもいいという意向がありながらなっていない理由の一番大きな理由が、子供の人生を左右するので責任が重いんじゃないか、で、ちゅうちょするというのが三割近くあったという調査がありました。 里親制度を知っているか知っていないかもそうですけれども、こういった不安を取り除くということが、これからの養子縁組も、特にやはり負担は大きくなると思うので、そのような懸念を払拭するための取組みたいなことはされているんでしょうか。最後に伺いたいと思います。
○葉梨委員長 藤原室長、簡潔にお願いします。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。 委員御紹介のありました日本財団が行いました調査結果、おっしゃるとおりの結果でございます。 そもそも、里親に関する認知度も、まだ六割の方々が、里親について知らなかった、名前を聞いたことがある程度というふうに回答しておられるということ、また、手当があるということを知っていらっしゃる方については一・九%ですとか一・二%というふうな非常に低い状況でございました。 ただ一方で、そういうふうな知られていない、あるいは精神的な負担感が重いというふうなこともありますけれども、同じこの調査の中では、全体の六・三%の方が、里親になってみたい、どちらかというと里親になってみたいという気持ちがあるというふうに意向も示されておられますので、やはり地道に広報活動ですとか、それから自治体によっては、実際に里子を経験された、里親家庭の養育を経験された方の経験談などを身近な形で広報するような取組もなされておりますので、こういったことを通じましてしっかりと取組を進めていきたいというふうに考えております。
○源馬委員 ありがとうございました。終わります。
○葉梨委員長 以上で源馬謙太郎君の質疑は終了いたしました。 次に、山井和則君。
○山井委員 二十分間、質問時間をいただきまして、ありがとうございます。 前回も質問をさせていただきましたが、性暴力犯罪で不起訴が相次いでいる、この非常に深刻な問題について質問をさせていただきます。 これは本当に与党も野党も関係がないと思います。日本という国で女性の方々が安心して本当に暮らすことができるのか、本当にこれは本質的な、深刻な問題であります。 先日、五月十一日にも、福岡、東京、大阪でフラワーデモが行われまして、三月に性暴力犯罪の無罪判決が相次いだ、そのことに関して、不安、怒り、危機感、そういうものを多くの方々がこのフラワーデモでも表明をされました。そして、性暴力犯罪、性暴力を許さないというかたい思いが語られました。 同時に、おとつい、山下大臣も面会してくださったと思いますが、きょうの配付資料二ページにもありますように、「相次ぐ無罪「刑法改正を」」、「性犯罪「司法判断おかしい」」ということで、性暴力被害者、当事者団体スプリングの方々が、司法の判断は被害実態を反映しておらず、市民感覚とずれているとして、法務省に刑法改正を求める要望書を出したと。山下大臣も面会してくださったということであります。このスプリングの山本代表は、一連の無罪判決では、被害者が性行為に同意していないと認定されながら、無罪になっている、当事者として苦しい、刑法の見直しの審議を始めてほしいということを要望しておられます。 この右にありますように、刑法については、法律の施行後三年をめどとして見直し作業をして、その結果に基づいて所要の措置を講ずるということになっております。 前回の質問の中で、私は、ここ数年、悪質な性暴力犯罪に対して不起訴率が高まっているのではないかということを指摘をさせていただきました。 それで、最新の資料が法務省から出てきましたので、この配付資料に入れさせていただきました。 その配付資料の下のところには、伊藤詩織さんの記事が出ております。「性被害者救済の仕組みを」。この伊藤詩織さんについても、ある男性と飲食をした際に、意識を失い望まない性行為をされた、しかし不起訴になってしまったと。会見で伊藤さんは、強制性交罪も、被害者が抵抗できないほどの暴行、脅迫を受けたと証明できないと罪に問えないことは変わらない、三年後の見直しでさらなる議論が必要だと述べておられますし、また、会見では、公にしてからバッシングを受けて、前のように生活できなくなった、しかし、隠れなければならないのは被害者ではない、話すことでよい方向に変えていきたいと。この伊藤詩織さんも、今、日本を離れ、ロンドンに住まざるを得なくなっている。 そういう中で、このスプリングの方々も含めて、被害者の当事者の方々が顔を出して、名前を出して、何としても、自分のような被害が二度と起こらないように食いとめたいという声を上げておられる。このことを本当に、与野党を超えて、政府、国会を含めて、重く受けとめて、今こそ私は、行動に移さねばならないと思います。 ついては、最初の質問ですが、ここにありますように、平成二十六年、起訴率四三・三%から平成三十年、三四・七%へと下がっていって、五年間で約一〇%、強制わいせつ、強制性交等の起訴率が低下しているんです。 この大幅に下がっているということに関して、大臣としては、深刻な問題だという認識はされておられますか。
○山下国務大臣 お答えいたします。 まず、起訴、不起訴につきまして、不起訴の理由というのは、犯罪の嫌疑が十分でない場合における嫌疑不十分、犯罪の情状や被害者の意向等の犯罪後の状況から訴追を必要としない場合における起訴猶予など、さまざまでございます。 一般論としては、検察当局においては、個別具体の事案に即して、法と証拠に基づき、適切に起訴、不起訴の判断をしているものと承知しておりまして、御指摘の数値も、その結果としての判断の集積であろうというふうに考えております。 起訴率というのが下がっているということは見られるわけでございますが、他方で、起訴人員は二十九年から三十年にわたってふえているということもございます。ただ、それらはいずれもそういった判断の結果の集積でございまして、その評価を一概に述べることは困難であろうと考えております。
○山井委員 ここ、大事なんですが、改めてお聞きしますが、この起訴率が下がっていること、つまり、無罪がふえているということに関して、山下大臣は、深刻な問題だというふうに受けとめておられるのかおられないのか、そこはいかがですか。
○山下国務大臣 犯罪というのは、もちろん、犯罪被害者になられる方、それはもう個々でございます。そして、その当該、いわゆる処理件数ということで挙げられていますけれども、それに対してどのような処分を行うかどうか、あるいは不起訴の理由がどうであるのかというのは個々の事案事案によって異なるわけでございます。そうしたものを、例えば起訴率ということでまとめて、どうかということについては、これはもう個々の事案の集積ということで受けとめざるを得ないわけでございまして、その評価を一概に述べることは私は困難であろうと思います。
○山井委員 いや、私は非常に残念な答弁です。こういう、起訴率が低下し、無罪が相次ぎ、多くの女性の方、男性も含めて、怒り、不安、抗議の声を上げている中で、責任者の山下大臣が、起訴率が下がっていることに関して一概に評価できない、私はこれは市民感覚とずれていると思います。国民の不安、心配とずれていると思います。 これは十ページにもありますように、睡眠薬を使った性犯罪の急増、就活OB訪問の女子大生に大林組社員がわいせつ行為、就活生にわいせつ、不起訴、また、準強姦で起訴の男性会社役員に無罪判決と、多くのこういう報道もなされておりますが、私は、責任者である山下大臣、危機感がないと言わざるを得ないと思います。 そんな中、当然、いても立ってもいられぬ思いで、配付資料の三ページにありますように、一昨日、スプリングの、被害者、当事者団体の方々が、刑法改正、性犯罪の運用及び附則第九条における見直しに向けた要望と。重要な部分を読み上げさせていただきます。十行目ぐらいから読み上げさせていただきます。 相手の同意のない性的言動は性暴力です。国連は、身体の統合性と性的自己決定の侵害を性暴力と定めています。性的自己決定権とは、いつ、どこで、誰と性関係を持つのかを決める権利です。これは、全ての選択肢をお互いが十分に把握し、その瞬間の自由な意思に基づいて同意や拒否ができるときに発揮されます。 同意がなく、対等性がなく、自分の意思を無視され、望まない行為を強要されるとき、人は深く傷つきます。性暴力とは、決して許されない人権侵害です。 性暴力被害には、レイプ神話という社会通念上の誤解や偏見があることは周知の事実ですが、そのレイプ神話は、いまだに払拭されていません。 この刑法改正、見直しを必要とする大きなこれは枠組みであって、被害当事者だけではなく、これからの社会に必要不可欠な概念だと私たちは考えております。それで、刑法改正をすべきだというこの要望が来ているわけですね。これは私たちも思いを同じにしております。 それで、先ほどの二ページにありますように、三年後の見直し規定があるわけですね。三年後の見直しというと、来年の夏から秋であります。早ければ、大急ぎでやれば、これは検討を加え、所要の措置を講ずるということですから、来年秋の臨時国会で刑法改正をするということも、この附帯決議からすると理論上は別におかしくない、最速、来年の秋の臨時国会だというふうに理解をしますが、法務大臣、その理解でよろしいですか。別に、やるやらないはまずおいておいて、この附帯決議の理解としては、三年後の見直し規定で検討を加え、所要の措置を講ずるということですから、最速だと来年の秋の臨時国会で刑法改正ということも含め、この附帯決議は検討を要請しているということでよろしいですか。
○山下国務大臣 お答えいたします。 刑法一部改正法の附則九条においては、性犯罪における被害の実情や改正後の規定の施行の状況等を勘案して検討を加え、そして、必要と認められる場合には必要な措置をとるということでございます。 我々としては、まずはこの実態把握、これに努めておるところでございまして、その上でさまざまな措置を検討していきたいと考えており、この附則九条に基づいて適正に対応していきたいと考えております。
○山井委員 今言ったように、附則第九条ですから、三年後の見直し、これは計算すれば、早ければ来年秋の臨時国会ということになるんだと思います。 今、実態把握に努めていますとおっしゃいますが、それは当たり前の話なんですよ。それは何も頑張っていますということにならないわけで、実態把握に努めているのはいつでも実態把握に努めているわけで、ついては、その実態把握をしつつも、早く検討会を立ち上げる、あるいは法制審を再開させるということで検討に入らないと、来年の秋の刑法改正には間に合わないと思うんです。 山下大臣、これを深刻に受けとめていただきたいと思いますが、もちろん、刑法というのはそう簡単に変えられるものじゃない、この間変えたばかりじゃないかという理屈が一方であるのはわかります。 しかし、こういう被害者の方々が要望され、全国各地で集会が行われ、デモが行われ、私ははっきり言って、これは異常事態だと思いますよ。緊急事態だと思いますよ。ここで動かないと、本当に、山下大臣そして日本の法務省、存在意義を問われかねないと思いますよ。 ついては、実態把握は前回の答弁でも聞いています、当たり前です、やるのは。いつから検討会をするのか、あるいはいつから法制審を再開するのか、そのめどぐらい、そろそろお答えいただけませんか。そうしないと、ここまで大問題になって、当事者もお願いしているのに、ゼロ回答だということになりますよ。ゼロ回答ですか。やはり一歩踏み出して、検討を始めたいとか法制審を再開したいとか、何らかの、一歩でもいいから前向きな答弁をお願いします。
○山下国務大臣 まず、実態把握を進めていかなければならないと考えております。 なぜなら、これは、その構成要件を改正すべきものであるのか、あるいは無罪判決が相次いでいるのが事実認定の問題であるのか、あるいはそれが捜査上の立証の問題であるのか、それらについて、やはり実態を把握しなければなりませんし、やはり被害者の思い、それもしっかり慎重に見る必要がございます。 御案内のことと思いますが、強制性交等罪においての構成要件は、「暴行又は脅迫を用いて」というところでございます。これを全てなくすということがどういう効果をもたらすのかということも、やはり我々、慎重に検討しなければならないというところでございます。 また、これに関連して、この「暴行又は脅迫を用いて」の暴行、脅迫についてどのように最高裁判決が解釈しているのかということについては、昭和二十四年判決で、相手方の抗拒を著しく困難ならしめる程度のものであるということを言っているわけでありますが、昭和三十三年の判決においても、それのみを取り上げて観察すればこの程度に達しないと認められるようなものであっても、四囲の環境その他具体的事情のいかんと相まって、相手方の抗拒を不能にし又は著しく困難ならしめるものであれば足りると解すべきであるということで、現在、検察等においてはこの四囲の状況等の立証について努めていると承知しておりまして、そうしたさまざまな実態の把握、そして、その構成要件自体、これを改正する必要があるのかどうか等についても、我々、見ていかなければならない。これについては、罪刑法定主義がございまして、やはり明確性の問題等もございます。そうしたことを今、実態を把握して、検討しなければならないというところでございます。
○山井委員 結局、今までの答弁と全然、一ミリも前進していないじゃないですか。いつまでに実態把握をして、いつから検討会あるいは法制審の再開をするのかということを聞いているんです。 きょうの配付資料七ページにも入れていますように、諸外国に比べると日本の刑法は非常に緩過ぎるんじゃないか、加害者に甘過ぎるんじゃないかということがやはり明らかになっているわけですね。 例えば、最終ページも読み上げさせていただきますと、一例になりますけれども、この久留米、九州での犯罪でも、男性は、二〇一七年、飲食店で、当時二十二歳の女性が飲酒して深酔いして抵抗できない状況にある中、性的暴行をしたとして起訴された。裁判で裁判長は、女性はテキーラなどを数回一気飲みさせられ、嘔吐しても眠り込んでおり、抵抗できない状態だったと認定。その上で、女性が目を開けたり、何度か声を出したりしたことなどから、女性が許容していると被告が誤信してしまうような状況にあったと判断した。無罪を言い渡したということなんですね。 もちろん、個々の裁判についてとやかく、とやかくというか、私たちが評価するのは難しいかもしれませんが、やはり一般市民の常識として、意識できなくて、酒を飲まされて、深酔いさせられて抵抗できない状態でこういうことまでされても、不起訴、無罪になってしまう。日本じゅうの国民がこういう報道に連日接しているんです。これは一例ですよ。こういうことが相次いでいると言っているんです。私は個別のことだけを言っているんじゃないんですよ。こういう報道が相次いで、被害者の方も、女性も男性も含めて、いても立ってもいられないんです。そういう状況なのに、実態把握、実態把握と。 だから、いつまで実態把握して、いつ検討会を立ち上げるのかということをお答えください。今言ったように、附則によると、早ければ来年九月、刑法改正が可能なんですから。 繰り返し言いますよ。緊急事態ですよ。異常事態ですよ。被害者は続々と残念ながら出ているんですよ。放置していることになりかねないんですよ。私たちには、女性の人権、人間の人権を守る責任が、政府にも国会にもあるんですよ。被害者はどんどんどんどんふえる可能性があるんですよ。 やはりここは、山下大臣、対立する問題でもないので、ぜひ踏み込んで、いつごろまでに実態把握して、検討会、法制審を立ち上げるかぐらいの、一ミリでもいいから前向きな答弁をしてもらわないと、これだけの大問題になっても、相変わらず実態把握しかしませんと言ったら、何にもしていない、放置しているというふうにとられても仕方ありませんよ。ぜひとも踏み込んだ、前向きな答弁をお願いしたいと思います。
○山下国務大臣 性暴力が憎むべき犯罪でありまして、これに対して厳正に対応しなければならないという思いは私も山井委員と同じでありますし、また、私も検事の経験がございます。そういった中で、本当に悲惨な思いをし、そして、これはもう魂の殺人でございます。ずっとずっと被害が精神的にも続くんです。そうした思いは私も目の当たりにしておりまして、その思いにおいては、山井委員といささかも異なるところはないと考えております。 また、個別の事件については、これは申し上げません、論評は控えますが、例えば、事実として申し上げますと、先ほどの引用された裁判例におきましては、これは控訴になっているというふうに承知しております。そして、その控訴理由についてつまびらかにすることは差し控えますけれども、そういった中身の中で、なぜこれがこういった無罪判決が出るのかということについては、検察当局において適切に検討されていると思います。 そういったことも含めまして、やはり実態把握をしっかりとやった上で、性暴力に泣く被害者が出ないようにするためにはどうすればよいのか、適切にこういった犯罪者に対して処分が下るようにするにはどうすればよいのかということは、これはやはり実態を把握した上で適切な対応が必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
○山井委員 全く納得できません。 今、実態把握とおっしゃいましたが、一つの重要な実態把握の方法として、委員長に最後にお願いしたいんですけれども、ぜひ性暴力犯罪の被害の当事者の方々を呼んで、参考人としてお越しいただいて、集中審議をこの国会中にぜひともやっていただきたいと思います。これは本当に、日々刻々とこういう悪質な事件が残念ながらふえています。起訴率も下がっています。そういう意味では、与野党超えて、この法務委員会のやはり責任にかけても、ぜひそういう集中審議を早急に行っていただきたいと思います。 委員長、いかがですか。
○葉梨委員長 後刻、理事会で協議します。
○山井委員 また引き続き質問させていただきます。ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で山井和則君の質疑は終了いたしました。 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時九分休憩 ————◇————— 午後一時開議
○葉梨委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。藤野保史君。
○藤野委員 日本共産党の藤野保史です。 私は、きょうは再審制度についてお聞きしたいと思います。 再審制度は、いわゆる無辜の救済、無実の人が冤罪に問われることはあってはならないという立場で、確定した判決をやり直すものであります。これは、無実の人を救うための非常救済手段であって、その判断は非常に重いというふうに思います。 まず大臣にお聞きしたいんですが、大臣も同じ認識ということでよろしいでしょうか。
○山下国務大臣 再審制度につきましては、委員御指摘のとおり、確定判決の存在を前提として、主として、事実認定の不当を是正し、有罪の言渡しを受けた者を救済するための非常救済手続であります。
○藤野委員 そうした大事な非常救済手続ということなんですが、しかし、その手続の中身を見ますと、これは、実体は非常に少ないし古いということであります。 再審に関する現行刑訴法の条文は二十条に満たないものでありまして、しかも、審理に関する条文というのはたった一つ。その一つの条文には、裁判所は事実の取調べができるとあるのみで、具体的に何ができるのかとか、そういったことは全く規定されていないわけですね。このもとで非常に裁量に基づいた運用が行われているということであります。この再審法の近代化あるいは法制化というのは緊急課題になっているというふうに思います。 その再審における証拠開示について見たいんですが、証拠開示の規定も全くありません。二〇一六年の改正で、証拠開示について、通常審では非常に詳細な制度もつくられたわけですけれども、再審については適用がない。 弁護士の方々は、再審格差という言葉を使われるんですね。これは、裁判所が積極的に証拠開示を認めれば出てくる場合もあるけれども、裁判所がそういう立場に立たなければ出てこないという言葉。 加えて、仮に裁判官が積極的に証拠開示しなさいよと求めたとしても、第二のハードルがありまして、法律上その裁判所の指示を実効あらしめる規定がないために、今度は検察官が、裁判官が幾らそういうことを言っても証拠開示を拒むという事例が頻繁に起きているわけですね。 袴田事件、これもまだ係争中、大変な問題ですけれども、この事件でも、裁判所は、例えば二〇一一年の十二月五日、あるいは二〇一七年の七月五日など、証拠の開示をしなさいと勧告を繰り返すわけですが、検察はこれを何だかんだ言って一部しか応えないとかいう対応を繰り返してきたわけですね。 ところが、例えば二〇一三年の勧告の後、二〇一四年の八月になって即時抗告審が前になってきたというもとで、実はありましたとか言って写真のネガを出してきました。裁判所が繰り返し開示を勧告したにもかかわらず出てこなかったものが、いきなり出てきたわけですね。 ほかの事例もあります。 これは、二〇〇九年五月に有罪確定した大阪強姦事件というのが、今でいえば強制性交等になるんですが、強姦事件、当時の名前でいえばそうなります。 これは、服役して六年後に、被害を訴えた少女が、被害は実はなかったというふうに証言をして、冤罪になっているわけですが、この事件でも、大阪地方裁判所は証拠を出しなさいというふうに言いました。しかも、この場合は、勧告ではなくて、それより一段ステージを上げた決定なんですね。 配付資料の一を見ていただきたいんですが、この左側がその決定文書であります。主文で、平成二十七年一月三十一日までに証拠の一覧表を交付せよというふうにあります。これは正式な手続なんですね。これに対して検察は、その右側の意見書という文書で、これを拒否いたしました。拒否したんですね。左側が裁判所の決定で、右側が意見書。 大臣、これは、片や法律上認められている訴訟指揮権ですね。刑訴法の二百九十四条とか二百九十七条などで、これに基づいて裁判所が明示的にここまで、決定まで出して一覧を求めたんですが、それに対して検察側は、刑訴法上の例えば三百九条二項では異議申立てというのもできるわけですけれども、そういうこともせずに、A4一枚のいわゆるこのペラ紙、意見書なるよくわからない形で、これを拒否して、一覧表の開示に応じないわけです。 大臣にお聞きしたいんですが、裁判所が勧告したり、あるいは勧告を超える決定で求めたケースでさえ、それを検察が拒否できてしまう。手続上のいろいろはありますけれども、結局、拒否できてしまうんですね。これはやはり問題ではないかというふうに思うんですが、率直に言って、どのような感想をお持ちですか。
○山下国務大臣 これはちょっと通告をいただかなかったですし、また、これはやはり個別の再審請求手続における個別の検察官の対応でございまして、その状況についてちょっと私自身が所感を述べるということに関しましては、差し控えさせていただきたいと思います。
○藤野委員 通告の問題は、こういうことを再審について聞くということで、しておりました。 加えて、個別のということなんですけれども、一般論で結構なんですが、大臣は、大臣といいますか法務省は、この間、証拠開示、再審について、私も昨年の四月四日に、当時上川法務大臣にお聞きをしました。お聞きをしましたら、そこは例えば、手続上、手続構造が異なる、当事者主義と職権主義で違うとか、あるいは一般的なルールを設けることが困難だというふうに答弁いただいているわけですけれども、これはいずれも、やはり形式的な理由だと思うんです。 要は、実際に事件が起きていて、実際に再審で、冤罪の被害者の方やあるいは弁護団の血のにじむような努力で、一定ですけれども、再審で証拠開示が実現しているというのもあるわけです。具体的に新たな証拠が出てきた例もあるわけですね。それを例えば蓄積していって、日本におけるルールを定めるということは可能だというふうに思います。世界的に見ても、そうした取組が行われ、世界各国でそういうルールが、一般的ルールがつくられております。 問題はやはり、ルールを設けることが困難だということではなくて、ルールを設けよう、無辜の救済のためにはやはりルールが必要だという立場に政治が立つかどうかだと思うんですね。 大臣、お聞きしたいんですが、非常救済手段という答弁がありました。であれば、例えば二〇一六年の改正で、いわゆる公判前整理手続、これもやはり証拠開示で大きく扉が開いたというふうに思うんですね。これは一応、通常審までということで今運用されているんですが、これをやはり再審でも、このいわゆる公判前手続があった、当時なかったんですけれども、多くの再審ではなかったんですが、これができたわけだから、再審でもこの公判前手続にのっとってやはりそうした証拠開示が行われるべきじゃないかという指摘が、東京高裁の判事からも、門野博判事からもされております。 こういうやはり対応というのは必要じゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○小山政府参考人 ちょっと技術的な部分を含みますので、私の方からお答え申し上げます。 先ほど委員お話しになりました、再審請求審における証拠開示制度の議論に関してでございます。 この制度につきまして、先般の刑訴法の改正の前、法制審議会、新時代の刑事司法制度特別部会……(藤野委員「それはもう理由はわかっていますから」と呼ぶ)結構でございますか。はい、申しわけございません。 それでは、この再審請求審における証拠開示につきましては、平成二十八年に成立した刑事訴訟法等の一部を改正する法律附則九条三項において検討することが求められております。 そこで、平成二十九年三月に、最高裁判所、法務省、日本弁護士連合会、警察庁の担当者で構成する刑事手続に関する協議会を設けまして、協議、意見交換を行っているところでございます。
○藤野委員 今、附則のお話もありましたけれども、今、協議会というお話がありました。しかし、これも、議事録も公開されておりません。今まで幹事会が十二回、協議会が一回開かれているんですが、何を議論しているのかもわからない。先日、報告書が出るんですか、中間報告なりが出るんですかと聞いたら、よくわからないというお答えなんですね。 結局、国会の要請、今附則とおっしゃったように、国会の要請に基づく協議会にもかかわらず、ブラックボックスになっております。ですから、こういう状況で今検討中と言われても、これは本当にわからないわけであります。 もう一点、お聞きしたいんですけれども、検察の抗告権の問題、これは逆に明文規定があることによる問題だというふうにも思うんですが、名張ブドウ酒事件では、奥西勝氏は、第七次の再審開始決定が取り消された後、第九次請求の途上で、八十九歳で獄死をされております。 松橋事件では、左袖、有名な左袖の存在が判明し、再審開始決定が出された後に、検察官が即時抗告を行い、特別抗告も行って長引かせた。再審無罪判決が出ましたけれども、おくれました。その間に、宮田さんの病状は悪化して、再審請求人だった御長男は亡くなってしまった。 私も取り上げました大崎事件では、三次にわたる再審請求で、三回も再審開始決定が出たにもかかわらず、いずれも検察が抗告をしたということで、今も審理が続いている。原口アヤ子さんは既に九十二歳です。 冤罪被害者の人生を更に深く、更に長く傷つける。これが今の検察の抗告権の実態であります。そのもとで、雪冤する、汚名を晴らすことができずにこの世を去っていくという取り返しのつかない事態が繰り返されている。 大臣、やはり、これ以上こうした事態を生むことは、人道的にも許されないと思うんです。検察官の抗告権というのは廃止していくべきじゃないですか。
○小山政府参考人 検察官が再審開始決定に対し抗告をし得ることは、公益の代表者として当然のことであろうかと考えております。これにより、再審請求審における審理決定が適正かつ公正に行われることが担保されるところでございます。 検察官の抗告権を排除することにつきましては、違法、不当な再審開始決定があった場合に、法的安定性の見地から、これを是正する余地をなくしてしまうという問題もございます。 また、司法制度全体のあり方とも関連するところでございますので、慎重に検討すべきものと考えております。
○藤野委員 違法、不当な再審開始決定って、今まであったんでしょうか。 戦後に発生して、死刑若しくは無期懲役が確定した事件のうち、これまで再審開始決定が確定したのは九件です。この九件全てで、その後、無罪が言い渡されております。不当、違法な再審開始決定なんてないんですよ。 これらの事件の中には、むしろ、検察側が被告人に有利な証拠を隠蔽していて、にもかかわらず、それが後に明らかになって、無罪になった。そのことへの反省もない。一片の謝罪もなく、何か権利として抗告権を行使する。こんな不正義が許されるのかというふうに思います。 あと、司法制度一般といいますけれども、そもそも憲法三十九条一項で、二重の危険の禁止が定められました。そのもとで、現行刑訴法は、不利益再審を廃止したんですね。被告人にとって不利益再審というのは廃止されました。その上でなお、刑訴法が検察官に再審請求権を残した、この意味は何か。要するに、不利益再審が廃止されたもとで、被告人の有利な再審しか認められないわけです。そのもとで検察官は役割を果たしなさいというのが今の現行法なんです。 そのもとで、公益の代表者とおっしゃいましたけれども、そういう公益の代表者となれば、被告人に有利な、誤って処罰されるべきでない人の証拠が発見されたら、むしろそれは積極的に開示すべきだし、抗告権などによって再審公判の扉を閉ざすべきでないというのが、まさに今の現行制度全体の精神ですよ。それも踏まえずに、何か司法全体にかかわるとかいうのは、とんでもない話だというふうに思います。 これらのことを考えるにつけ、私は、大臣、検察官の倫理の問題、これが問われていると思うんです。証拠開示とか抗告権といった個別の論点、個別の制度論に隠れるというとあれですけれども、その背景にあるのは、私はやはり検察官の倫理の問題というのが大きいと思います。 実は世界では、一九九〇年代からこの問題が非常に深められております。世界各国で冤罪事件が明らかになって、それを契機として検察官の倫理についての議論が深められ、具体的な規定やガイドラインに結実をしております。国連にもあります。EUにもあります。アメリカ、イギリス、ヨーロッパなどにあるわけですね。日本でも、実はあります。あの大阪地検特捜部による厚労省元局長無罪事件を契機にして、初めて、検察官の倫理が具体的に議論をされました。 配付資料の二を見ていただきたいんですけれども、これは、その検察のあり方検討会の提言の一部であります。 そこにありますけれども、「検察官は、「公益の代表者」として、有罪判決の獲得のみを目的とすることなく、公正な裁判の実現に努めなければならない。」、その下に行きますと、「厚労省元局長無罪事件において、元局長に有利な証拠の存在には目を向けず、中央省庁幹部の逮捕・訴追にひた走ったとしか思えない大阪地検特捜部の有り様は、真実の解明ではなく、社会的影響が大きい事件を立件することが第一の目的と化していたものと評されてもやむを得ない。」。 そして、もう一点だけ紹介したいんですが、「訴訟の勝敗へのこだわりから、無実の者を処罰することへの恐れを失うこととなっていないかを、絶えず省みることが大切である。」「公判段階においても、有罪判決の獲得のみを目的とする悪しき一方当事者となることなく、公正な裁判の実現に努めなければならないことを肝に銘じるべきである。」、こういう指摘であります。 大臣にお聞きしたいんですけれども、訴訟の勝敗へのこだわりから無実の者を処罰することへの恐れを失うことになってはいないかを絶えず省みることが大切である、この提言の趣旨というのは、私はこれは再審段階にも当てはまると思うんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。
○山下国務大臣 お答えいたします。 これは「検察の基本的使命・役割」ということでございまして、御指摘につきましては、検察の職務全般に及ぶであろうというふうに考えております。
○藤野委員 重ねて、右側を読んでいただきますと、やや表現があれなんですが、「単なる精神論にとどまらず、「引き返す勇気」を実効化するための仕組みが必要である。」というふうに言っていまして、これは要するに、一旦起訴したけれども、いろいろな証拠が出たり自白が覆されたりした場合には、「引き返す勇気」という表現をこの提言はされているんですが、それが必要であって、それを実効化するための仕組みが必要だというふうに提言しております。 前提として、重ねての質問になりますが、やはりこの引き返す勇気が必要だという趣旨も、これは通常審だけでなく再審にも当てはまると思うんですが、大臣、そういう理解でよろしいでしょうか。
○山下国務大臣 まず、この提言自体、「検察の基本的使命・役割」というところでございまして、その提言で職務上相当するところは相当するのであろうというふうに考えております。 他方で、再審につきましては、刑事訴訟法第四編の規定に基づいて対処されているところでございます。検察において適正に対応を、法令に基づいてやっているというふうに承知しております。
○藤野委員 趣旨は当てはまるということだと思うんですね。 法務省にお聞きしたいんですが、要するに、この「「引き返す勇気」を実効化するための仕組み」というのは、いろいろつくられていると思うんです。この後、三年後に出されたレビューというのも私、読ませていただきました。 その上で、適用事例というのが何件あって、そのうち再審にかかわる適用事例というのは何件あるのか、教えてください。
○小山政府参考人 お答えを申し上げます。 この適用事例を網羅的に把握しているものでございませんので、その件数をお答えすることは困難でございます。 その上で、事件関係者の名誉、プライバシーの保護の観点から、事例の内容をつまびらかに御説明することは困難でございますが、例としては、責任能力の有無に関し、公訴提起前に収集された証拠と、公訴提起後に収集された証拠を比較検討した結果、責任能力を認めることが困難であるとして公訴を取り消した事例、あるいは、犯人性に関して、公訴提起後に判明した証拠関係をもとに検討した結果、被告人が事件に関係していないとして公訴を取り消した事例などがあるものと承知しております。
○藤野委員 そのうち、再審にかかわる部分はあるんでしょうか。
○小山政府参考人 当局として把握しているものはございません。
○藤野委員 やはり、大臣おっしゃったように、こうした勝敗にこだわって無実の者を処罰することに恐れを失うことになっていないかを絶えず省みるというのは、これはやはり全体にかかわる精神だと思いますし、この表現であれば、例えば引き返す勇気というのも、再審段階でも必要になると思うんです。 この報告書によりますと、検察改革三年間の取組という報告書を読ませていただきますと、やはり幾つかそういう事例もあるわけですね。ですから、やはり一定そうした努力もされていると私は認識をしているんです。ただ、この報告書の中には再審にかかわるものが出てこないということなんです。 やはり、再審段階では、むしろ検察において見られるのは、抗告権、これをやはりどんな事案でも使ってくるということによって、審理に到達しないわけですね。審理の扉の前でいろいろ争っている。これが問題を長期化させているというふうに思います。 ですから、やはり、せっかくといいますか、こうした検察官の倫理に関する、日本で初めてのこうした検討も行い、ある意味、規範もつくられたわけです。いろいろな批判もあります、この規範については。しかし、一応つくって、制度もつくって、運用もしているわけですから、それを、再審にもその精神を及ぼしていくということがどうしても必要だと思うんです。そうしなければ、実際は無辜の救済というのが実現しないということになってまいります。 とりわけ、抗告権との関係で、世論を紹介したいんですけれども、これは読売新聞の社説、二〇一八年六月十二日ですけれども、こう言っているんですね。再審請求審は本来、裁判のやり直しをするかどうかを決める非公開の手続だと。有罪か無罪かの結論を出す場でないにもかかわらず、再審開始の是非をめぐり、入り口で延々と争いが続いている。一旦、再審決定が出たら、原則として再審に移行し、公開の法廷で決着をつける。こうすれば、結論に至るまでの時間を短縮できるのではないか。これは読売新聞です。 日経新聞の社説でも、二〇一八年六月十七日ですが、「一度再審の開始が決まったらその扉の外で延々と争うのではなく、すみやかに再審裁判に移る仕組みに改めるべきではないだろうか。」、こういうふうに指摘しております。 これはもはや、再審を長引かせるなというのは圧倒的な世論だというふうに思います。これを阻んでいるのが、先ほど言ったように、刑訴法上の規定が全くない。全くないんです。そのもとで、証拠開示も行われないし、検察官は抗告権を濫用するという事態になっているということで、この今の現行再審法の改正は待ったなしだというふうに思います。 その改正の方向性で御紹介したいんですが、配付資料の三、これを見ていただきたいんですが、これはアメリカの検察官倫理に関する規定であります。ABA法律家職務規範規則というものですけれども、これは、検察官について、三の八条として、検察官の特別な責任が規定されております。右側は、刑事訴訟法の第一人者で、当委員会にも参考人としてお越しいただいた成城大学法学部教授の指宿教授による翻訳であります。 d項というのは、時間の関係でこっちで言いますけれども、要するに、通常審における、被告人に有利な情報とか証拠が見つかったらば、それを検察官がきちんと開示しなければならないよというのが、この三の八条のdであります。これが、実は二〇〇八年に改定されておりまして、改定されて、その下のg項とh項が追加をされました。 g項といいますのは、確定判決後の話であります。d項は通常審なんですが、g項は確定判決後。もし再審請求がされていたら、その場合も含む規定であります。 この場合、検察は同様の義務を負う、要するに、被告人に有利な証拠が見つかったら開示しなければならないよという義務を負うと書いてあるのがg項の第一項でありまして、同時に、g項の第二項、これは誤判救済の義務まで負いますよということを規定しておりますし、ちなみにh項も、誤判救済の義務も書いております。 g項とh項の差といいますのは、その冤罪の可能性を示す蓋然性の程度であります。そこに紹介していますように、g項の場合は、合理的な可能性、リーズナブル・ライクリフッドというものであって、h項の方は、それより更に上の、明確で確実な、クリア・アンド・コンビンシングな証拠について知った場合ということでありまして、その差であります。非常に蓋然性が高い場合は直ちに救済せよというのがh項なんですね。 大臣にお聞きしたいんですけれども、アメリカも一応、当事者主義的訴訟構造でありますけれども、アメリカでここまで検察に義務を負わせている。こうした例も参考にしながら、やはり日本でも再審法というのの改正、これに取り組んでいくべきじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
○小山政府参考人 資料につきましては、けさ頂戴いたしまして、これは、ABA、アメリカ法曹協会の定めた検察官の行動準則であることは承知しております。 ただ、検察官でございますが、公益の代表者として、厳正公平、不偏不党を旨として、誠実に職務を行い、事案の真相を明らかにすべき立場にある、日本の検察官でございますけれども。刑事事件における訴訟活動は、刑事訴訟法の規定等に基づきまして、これは大臣からも御答弁申し上げました、判決確定の前後を問わず、適正に行われているものと承知しているところでございます。
○山下国務大臣 局長の答弁を前提に、これはアメリカン・バー・アソシエーションということでございまして、必ずしもデパートメント・オブ・ジャスティス、すなわち司法省が出したものではないというところでございます。で、これがモデルルールズということになっておりまして、モデルということで、その法規範性については、ちょっと私、現在承知していないところでございますが、いずれにせよ、こういった思想といいますか、ということで、こういうモデルをつくっておられるということであります。 我が国におきましても、先ほど申し上げた刑事訴訟法第四編の規定、あるいは、さらには、例えば刑事訴訟法に定める実体的真実の発見と、基本的人権の尊重あるいは擁護、あるいは適正手続の実現、その他検察庁法等の規定に基づいて、検察としては適正な職務執行を行っているというふうに承知しているところでございます。
○藤野委員 今、司法省のものでないという答弁がありましたけれども、実際は、きょうは紹介していませんけれども、司法省はガイドラインをつくっております。それは、国連で既に一九九〇年につくられたものが二〇〇〇年代に改正されて、それを受けて、アメリカの司法省がガイドラインをつくっているんですね。検察官の倫理で、具体的にこういうことをしなさいと。これはアメリカのですから、これまたちょっと違いますけれども、方向性としては同じく、こうした義務があるんだと、証拠開示等でですね。 実際、アメリカでは、例えばテキサス州では、二〇〇六年にデューク大学というところで起きた暴行事件、これで、被告人たちに有利な証拠を検察官が隠して訴追を行ったわけですが、そのことが後で判明しまして、この隠した裁判官、ナイフォン検察官というんですけれども、裁判官じゃなくて検察官。この方は、その後、懲戒手続を経て、法曹資格を剥奪されております。これはナイフォン事件といって有名なんですけれども。 ですから、そういう具体的結論まで至るような規定なんですね。それが実際アメリカでも運用され、実際にワークしている。ところが、日本は全く、隠しても検察官も全く処罰されないで、隠しても処罰されない検察官が抗告権を行使するという、とんでもない不正義が起こっているわけですね。これはもう絶対に許されないというふうに思います。 時間が来ましたけれども、やはり、本来であれば、この再審の問題というのは、単に死刑とかそういう、かかわる重大問題だけではなくて、痴漢の冤罪とか万引きとかいろいろな問題で、やっていないのに有罪判決を受けたという方がいらっしゃるわけですね。そうした方にとっても、現行の再審制度というのは、汚名をそそぐ上で非常に難しい制度になっている。そういう意味では、いろいろな事案と地続きであるというふうに思っております。 そういう意味で、今は一刻も早く再審制度にかかわる立法を行って無辜の救済を実現すべきだということを強く求めて、質問を終わります。
○葉梨委員長 以上で藤野保史君の質疑は終了いたしました。 次に、串田誠一君。
○串田委員 日本維新の会の串田でございます。 きょうは、高齢者運転事故防止に関連する質問をメーンにさせていただきたいんですが、その前に、前回、性犯罪に関する質疑をさせていただいて、時間がちょっと限られていたものですから、条文の関連のまとめというものを説明させていただくことができなかったので、最初に、ちょっとその点を触れておきたいと思うんです。 十八歳未満は、刑法百七十九条で、現に監護する者であることの影響力があれば、性犯罪が同意があっても成立をするというのがこの百七十九条なんですが、日本は、年齢に非常にずれがある条文があるんです。 それは民法八百二十二条で、未成年者、ですから二十未満なんです、今はね。十九歳も入るわけです。二十未満は、親権者によって懲戒を受けることがある。そして、前回の質問ですと、懲戒に対して逆らっちゃいけない。国が、子供に対して、親に逆らっちゃいけないという規定を八百二十二条で置いてあるわけですね。 そうだとすると、今これが、懲戒に体罰が入るかどうかという議論があるぐらいですから、現に有形力の行使が行われているというのは事実としてずっとあるわけで、要するに、体を押さえつけられても子供は逆らっちゃいけないというのを国が法律でつくられているわけです。 そして、この百七十七条の強制性交罪に関する最高裁の判例が昭和二十四年五月十日にありまして、これによると、著しく抵抗することが困難な暴行、脅迫でないと犯罪が成立しないというふうになっていて、現在、十九歳に対してもこれを適用する判例がある。 これは大変子供の人権に対して問題であるということを私は指摘しておきたいのは、一般人の場合は、ちょっとでも有形力の行使があったら、逆らうことができる、それをはねのける、抵抗することが許されているわけです。 そういう中で、抵抗もしないということは、ある意味では承諾ということもあるのかなというような意味で、著しく抵抗することができないような状況になって初めて犯罪が成立するんだよというのがこの最高裁の昭和二十四年の五月十日の判例だとすれば、未成年者は、八百二十二条で親に逆らっちゃいけない、要するに、どんなことがあっても親に逆らっちゃいけないんだ、それが体罰であったとしても親に逆らっちゃいけないんだということを国で定めていながら、一般人の逆らってもよいという定義を逆らっちゃいけない子供にもそのまま当てはめて判決をするということは、これは子供にとってどうしようもないことを要求しているのと私は同じだと思うんです。 親に逆らっちゃいけないという状況の中で、十九歳の女の子がやめてくださいと言うのは、せいぜいそれぐらいしか国は認めていないわけですよ。逆らっちゃいけないと言っているんですから。 そういう状況の中で、通常の最高裁の判例をそのまま適用して、著しく抵抗することができないという状況ではないから無罪なんだというのは、これは、一般人と懲戒を受けている状況の子供と、同一のメルクマールで処分しようとしている、処理しようとしている過ちを犯しているんじゃないか。私は、子供の人権の観点から非常に問題があると思います。 逆らっちゃいけないという子供に対して逆らうことを要求するような規定をここで単純に適用していくということは大変問題だと思うので、一点だけ、この昭和二十四年五月十日の最高裁判例は、親子の状況までをも想定して、この定義、要するに、著しく抵抗を困難という定義というのは親子の場合までをも想定して定義づけられているというふうに考えているのか、いや、これはその場面ではそういうことを想定していないというふうに考えているのかだけ、次のメーンの質問をする前にお答えをいただきたいと思います。
○小山政府参考人 済みません、御用意のないところの御質問でございまして。 ただ、私どもとして、今、これが親子のことを考えたか考えていないかということについて、明確な答弁をすることは難しゅうございます。ちょっと考えさせていただきたいと思います。
○山下国務大臣 御指摘でございますが、その八百二十二条の懲戒というものは、これは「監護及び教育に必要な範囲内で」ということで成っております。そして、子の利益のために監護、教育をする権利を有しておるというのが民法のたてつけでございまして、いやしくも、刑法百七十七条の構成要件に客観的に該当する行為がこれに当たるということはあり得ないということでございまして、御指摘のところとこの民法の規定というのは関連がないのではないかと私は思っております。
○串田委員 この懲戒がその犯罪行為と合致しているとは一言も言っていないんですよ。ただ、暴行、脅迫というその有形力の行使が懲戒という体罰として行われるようなことも子供は受け入れなければならないという状況が今あるから、体罰はやめましょうという法律をつくろうとしているんじゃないですか。 もしそうじゃなかったら、子供はそれは妨げることができるというんだったら、懲戒という名のもとに体罰が行われて悲惨な事件が起きたとしても、これは子供がいけないんですか、大臣、抵抗すればよかったんですか。
○山下国務大臣 まず、御質問として、刑法百七十七条の文脈でお尋ねということであれば、それは先ほど答弁させていただいたように、これは監護、教育のために必要な行為とは到底解し得ないわけでございますから、それは関連性がないのであろうということでございます。 また、その百七十七条一般ではなくて有形力ということになりますと、これはもう八百二十二条の解釈ということで、監護、教育に必要なのかどうか、およそ虐待に当たるような行為についてはこれは当たらないというのは私が累次御説明しているところでございまして、そういったことで御理解賜ればと思います。
○串田委員 だから、この暴行、脅迫ということの部分の中で、懲戒という名のもとに暴行、脅迫が行われたときに、子供が、これは正しい懲戒じゃないからこの部分だけは抵抗させてもらいますよという判断が子供にはできないじゃないですか。だから、体罰ということが起きてしまって、悲惨な事件が起きているわけでしょう。正しい懲戒であるかどうかを子供に判断させるということ、できないじゃないですか。そこが一番の問題だということを指摘させていただいているんで、百七十七条の暴行、脅迫が懲戒に入るなんということはあり得ないなんという答えを聞きたいわけじゃないんですよ。 これは引き続いて井出議員がやるかと思いますので、そちらに回したいと思います。 きょうのメーンの質問をさせていただきたいんですが、自動車運転致死傷の第五条に、「自動車の運転上必要な注意を怠り、」とあります。「運転上必要な注意」というふうになっているんですが、この文言、「運転上必要な注意」というのは何でしょうか。
○小山政府参考人 お答えいたします。 自動車運転致死傷処罰法第五条、過失運転致死傷に規定する「自動車の運転上必要な注意」とは、自動車の運転者が自動車の各種装置を操作し、そのコントロール下において自動車を動かす上で必要とされる注意義務を意味するとされております。 その注意義務の具体的内容につきましては、個別具体的な事案に即して認定されることになります。
○串田委員 自動車の運転というのが、自動運転でない限りは人間の運動能力というものに依存していることは、これは間違いないわけなんですが、通常の自動車運転をする能力というものは、年齢的には何歳から何歳までの運動能力を要求している、想定していて免許というものがつくられているんでしょうか。
○高田政府参考人 お答え申し上げます。 運転免許を取得することができる年齢は、例えば、普通二輪免許や原付免許等は十六歳以上、普通免許や大型二輪免許等については十八歳以上などと規定されております。 一方、高齢運転者につきましては、七十歳以上の方は運転免許証更新時に高齢者講習を受講し、さらに、七十五歳以上の方は、認知機能検査を受検した上で高齢者講習を受講していただくことになっております。 しかしながら、反射神経や注意能力を含む身体機能の加齢に伴う低下の程度というものは個人差が大きく、どの程度の年齢までの方が運転に必要な能力を備えているかを申し上げることは困難であり、このため、一定の年齢に達した場合に一律に運転を制限することとはしておりません。
○串田委員 今のお答えのように、認知症の試験はするにしても、運動神経がどこまで要求されているのかという試験がなされていないという中で、高齢者の事故が多いというのは、これは単なる認知症だけが問題なのかどうか。要するに、何かを記憶をするというようなことだけが怠っているから事故が起きているのかどうかというところなんですね。 これは、反射神経や、視野も狭くなってくる。そして、自分だけが正しい運転をしていればいいだけじゃなくて、例えば、前の車が何かを落下させた、それを回避する能力や、あるいは、突然左右から車が飛び出してきたところの回避能力。自分が正しい運転をしているばかりじゃなくて、相手方が違法な行為を行ったときにも、それを回避することができる能力というものは年齢がたっていくことによってどんどんどんどん減退していくということ自体は、これは事実として認めなければいけないんじゃないか。 この減退していくことをどうやって事故を妨げる形として防止していけばいいのかということは、やはりこれは国としてもしっかりと検討していかなければいけないと思うのですが、この中で、免許にオートマ限定というのがありますが、これはどういうことなんでしょうか。
○高田政府参考人 お答え申し上げます。 御質問のいわゆるオートマ限定免許とは、オートマチックトランスミッションその他のクラッチの操作を要しない機構、これをAT機構と呼んでおりますが、このAT機構がとられており、クラッチの操作装置を有しない自動車に限って運転することができる免許をいいます。
○串田委員 オートマ限定の免許取得者がマニュアル車を運転するとどういうことになるんでしょうか。
○高田政府参考人 お答えいたします。 いわゆるオートマ限定免許は、道路交通法第九十一条の規定により、運転することができる自動車をオートマチック車に限定する条件を付した運転免許です。 したがって、オートマ限定免許を有する方がマニュアル車を運転した場合には、道路交通法第九十一条の規定により都道府県公安委員会が付した条件に違反して自動車等を運転したこととなります。普通免許保有者が大型自動車を運転したような場合と異なり、無免許運転にはならず、条件違反となります。
○串田委員 無免許運転ではなく条件違反ということになるんですが、非常に単純な質問なんですが、なぜオートマ限定の免許取得者はマニュアル車を運転しちゃいけないんですか。
○高田政府参考人 お答えいたします。 いわゆるマニュアル車については、クラッチを適切に操作してギアを切りかえる運転技能が必要となります。 いわゆるオートマ限定免許を有する方については、このような運転技能を有していることが確認できておらず、安全に運転することができないおそれがあることから、運転することができる自動車等をオートマチック車に限定する条件を付しております。
○串田委員 オートマの免許取得者はマニュアル車を運転すると条件違反であるから、オートマ免許を取得した人は、運転したいと思ったらオートマ限定の車を用意しなければいけない。それはなぜかというと、マニュアル車を運転する技能がないからオートマ限定車の取得をされているんだということだとすれば、高齢者がどんどんどんどん運動神経が減退していくというのは、これはデータ的にも証明できていると思うんですが、きょうは参考人に通告をしているんですけれども、どういったようなことで数字的にあらわれているんでしょうか。
○藤江政府参考人 失礼いたします。 スポーツ庁におきましては、毎年度、体力・運動能力調査という調査を実施しているところでございまして、このうち、六歳から七十九歳までを対象とした調査といたしまして、握力、上体起こし及び長座体前屈の三種目を行っているところでございます。 本調査の結果によりますと、例えば、四十歳から四十四歳の男性の平均値と七十五歳から七十九歳の男性の平均値を比較いたしますと、上体起こしの回数は約二分の一に減少、また、握力の数値は約四分の三に減少するなど、加齢による低下が確認されているところでございます。
○串田委員 きょうは参考人を呼んでおりませんけれども、視野も随分狭くなると言われておりますし、運動神経、反射神経もかなり下がっているという、これは、あえてここで明らかにしなくても皆さんは周知のことだと思うんですね。 運転というのも、モータースポーツと言われているぐらい、やはりこれは運動であるし、そして、誰もが適正な遵法精神のもとに運転していればいいんですけれども、そうでない運転をしていることに対して、先ほども申し上げたように、回避能力というものも要求される。その回避をすることに対しての反射神経や今言ったような運動神経というものが減退していったときに、慌ててしまってアクセルとブレーキを踏み間違えるということは十分考えられるわけで、これを、認知症ということのチェックをするだけではこの運動神経というのは確認できないわけですよ。 そうすると、マニュアル車をオートマ限定の免許の人が運転できないというのは、技能が足りないから技能を補う車両に限定して運転させるということであるならば、高齢者によって反射神経が減退した場合には自動運転停止装置つきの車両に限定するというような形にしていかないと、いつまでたっても、高齢者の認知症だけでは事故防止にはつながらないと思うんです。 それは、じゃ、法律の改正をしなければいけないかというと、道路交通法の九十一条によれば、「公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要があると認めるときは、必要な限度において、免許に、その免許に係る者の身体の状態又は運転の技能に応じ、その者が運転することができる自動車等の種類を限定し、その他自動車等を運転するについて必要な条件を付し、及びこれを変更することができる。」という規定がしっかり置かれているわけですね。 運転の技能に応じ、種類を限定する。まさに、オートマ限定の技能に応じてオートマ限定車に種類を限定する。高齢者であるならば、自主的に返納した方がいいよとか、あるいは、何歳になったらもう免許は更新は認めないというような、一律的な、どちらかということではなくて、自動停止装置つき、もう条件反射的には若い人には勝てないんだから、機械がとめてあげるしかないんだから、こういったようなことに対して車両を限定するということに対しては、法律改正しなくても、九十一条で十分、これは自動運転装置つき車両に限定するという免許として、更新のときはですよ、更新のときはそういうことをすることができると思うんですが、九十一条の解釈論としていかがでしょうか。
○高田政府参考人 お答え申し上げます。 委員から今御指摘がございましたように、道路交通法第九十一条には、必要な限度において、免許に、その免許に係る者の身体の状態又は運転の技能に応じて必要な条件を付すことができると規定されているところでございます。 したがって、現在の規定では、運転者が一定の年齢に達したことのみを理由として、その者の限定免許に衝突被害軽減ブレーキつき車両に限定するといった条件を付すことはできないのではないかというふうに考えております。 ただ、なお、平成二十九年七月の交通対策本部決定においては、安全運転サポート車限定免許の導入といった運転免許制度のさらなる見直しについて検討するということとされておりまして、この決定を受けて、現在、有識者の検討会を開催して検討を進めているところでございます。
○串田委員 非常に特別な車両を用意して、それに限るということであれば、ちょっと無理があると思うんですが、今、テレビのCMでも非常にそういう車が宣伝されています。 今の、現在の自動停止装置つき車両の販売の車両の割合、これがおわかりになれば、教えていただきたいと思います。
○島政府参考人 お答え申し上げます。 国土交通省では、高齢運転者などのドライバーの操作ミスによる痛ましい交通事故の防止のために、今御指摘の衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全技術を搭載した車の普及に取り組んでございますが、今申し上げました衝突被害軽減ブレーキの新車の乗用車搭載率でございますが、二〇一七年で七七・八%でございます。
○串田委員 二〇一七年でももうそこまでいっているわけですよ。だから、免許更新のときには、運転をするんだったらそのぐらいのことをすることが、こういう被害者も発生させない、そして自分自身も加害者にならないというようなことで、ぜひとも、免許制度、これを限定するということをお願いしたいと思います。 また金曜日、特別養子制度はちょっと通告はしておりますけれども、また金曜日にさせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で串田誠一君の質疑は終了いたしました。 次に、井出庸生君。
○井出委員 よろしくお願いします。 きょうも性犯罪について伺いますが、きょう午前中、山井委員が、前々回でしたか、続いて来てくださいまして、山井先生は大変正義感の強いと申しますか、大変パッションの強い方ですので、ただ、私は、十一日に、そうした性犯罪の刑法改正を求めるようなデモが各地であったりとか、残念な事件が後を絶たないとか、そういう報道に接している人で、本当に頭にきている方も大変多いんじゃないかと思うんですね。 ただ、大臣がおっしゃるように、人を処罰する構成要件に係るところですので、大変難しい問題だなということは私もよくわかっておりまして、だからこそ、早いうちから議論をしていきたいなと思っていまして、山井先生の御議論は、まあ質問というのは、正義感のパッションの質問と、きょうの井野さんのような理論とパッションに基づいた質問と、私のようなパッションも理論もない質問というのもあるんですが、私も問題意識を持ってやっていきたいなと思っておりますので、山井委員がせっかく他の委員会から来てくれておりますので、皆さんも懐深く聞いていただければなということを冒頭お願いします。 きょう、資料を配付しておりますが、一枚目、ちょっと細かい数字が並んでおりますが、これは、私が、検察統計や犯罪白書の数字を拾いまして、強制わいせつや強制性交等罪の数字を分析したものです。 山井さんの、不起訴がふえているというような話もあったんですが、まず私が少し考えたのは、強制わいせつも強制性交等も、認知件数は、平成十年代の多かったころに比べると最近は減ってきている。平成二十九年に至っては本当に、両罪とも多いときの半分ぐらいじゃないかなと思うんですが、ただ、これが率直に、じゃ、性犯罪が減っています、性犯罪をきちっと取り締まっています、そういう数字として評価していいものなのかどうなのか。それを、捜査の届出のある、ちょっと現場の感覚も含めて、警察庁にまず伺ってみたいと思います。
○田中政府参考人 まず、件数でございますか。(井出委員「はい」と呼ぶ)認知件数につきましては、この表に出ているとおりかというふうに考えております。 現場の感覚というところの趣旨が必ずしも理解できているかどうか、心もとないところでございますけれども、警察に性犯罪被害の届出をしたものの被害届が受理されないものの割合があるのか、そのような御趣旨だといたしますと、警察におきましては、被害の届出に対しましては、その内容が明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものである場合を除きまして受理することといたしているところでありまして、そのような、受理しない、即時受理しない、このような例外的なケースの割合については、警察庁として把握をしていないところでございます。
○井出委員 受理をしていないものは把握をしていないというお話がありましたが、ただ、前段で、受理がされていないものがあるという可能性も含めて答弁をいただきました。 そこで伺っていきますが、実は、裁判所の司法研修所の研修でも講義をされたことのある目白大学の斎藤さんという先生が、最近被害者に聞き取り調査をしまして、十九人にインタビューをしたところ、そのうち警察に相談があった人は九人だったんですね。 また、大阪の、性暴力救援センター大阪、SACHICOの方の、これはことし一月にあった講演を私、聞いてきたんですが、その方も、その大阪のセンターで取り扱っている被害者が二〇一〇年から一七年までに九百八十九人いる、そのうち、警察への通報がなされているものは四三・五%、半分を切っている。 それから、これは法務省も御存じだと思うんですが、東京の性暴力救援センターのSARCが、たしか去年の九月だったと思いますけれども、再改正に向けた実態把握の一環ですかね、検討チームでヒアリングをされていると思いますね。そのときも、そのSARCの方が資料を提示されていまして、たしか二〇一七年一年間のSARCに相談があったものの中で、警察へ被害届、相談をしたものというのも、やはり半数以下にとどまる。 被害支援センターに駆け込む人ですとか、被害者支援をしている方のところに来て、ある程度自分が受けた、被害に遭って、そのことをお話しできる方、それでも、たった半数しか警察への通報、被害届に至っていない。このことは少なくとも警察庁には承知をしておいていただきたいし、承知をしていると言っていただきたいんですけれども、その点はどうでしょうか。
○田中政府参考人 ただいまお示しをいただきました各種の数値等につきましてでございますが、警察としては、具体的にどのように集計されたものであるか把握しておりませんので、なかなかコメントするというのは難しいわけではございますけれども、いずれにいたしましても、被害者の方の心情を踏まえた、警察におきましても対応を徹底することが重要と認識しているところでありまして、警察庁におきましては、被害者団体の方々の声もお伺いしつつ、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
○井出委員 ぜひ、被害届の不受理も少し把握というか、調べていただきたいなと思うんですけれども、そういうことというのは警察庁において可能なんでしょうか。手法として難しいんでしょうか。
○田中政府参考人 一部、先ほどと繰り返しになりますけれども、警察におきましては、被害の届出に対しましては、その内容が明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものである場合を除き受理することといたしているところでありますが、このような例外的なケースの割合につきましては、警察庁としては現時点で把握をしていないところでございます。
○井出委員 これも東京の性暴力救援センターの方が、これは二〇一八年ですね、十一月に院内で開かれた集会でお話をされているんですが、実は、二十九年に性犯罪の刑法改正があって、よくなった点もあると。刑法改正後の警察の対応として、女性刑事を希望すれば女性刑事が対応するようになった。それから、支援センターの役割も周知をされて、警察署によっては支援員の同席も相談の段階で認めてくれているというようなこともあったんですね。一方で、二十九年改正では非親告罪となったんですが、警察の対応、捜査に余り変化がないと。 少し私が問題だなと感じたのは、例えば、被害相談に行くと、事件性はないと言われて、被害届をしないという念書を書かせるようなことがあると。これはSARCに相談に来ている中の方から恐らく聞き取りをされていると思うんですが、被害届の受理や認知件数の増加にはつながっていないというのが実感であると。 被害届を出さないというような念書を書くということは、おおよそ通常考えられないと思うんですけれども、そういうことというのが万々が一にも可能性として認められるということがあり得るのかどうか、そのことはちょっと確認しておきたいと思います、警察庁に。
○田中政府参考人 手元に資料がございませんで、具体的な事例につきまして承知をいたしておりません。
○井出委員 先ほど、よほどの虚偽でなければですとか、そういうこと以外では被害届を受理するという話がありまして、ただ、被害者が私は被害を受けたんですとどんなに訴えても、警察の側がそれは虚偽だと判断をされてしまえば被害届は受理されない。本当に被害を受けたんだということで訴えても、警察の側が虚偽だと思っていたら、溝は深まっていきますよね。そういう中で、何か、じゃ、話は聞くけれども被害届は出さないと約束してくれ、紙に書いてくれ、一筆書いてくれと。 いや、私も、この被害届をしないという事例が、いつ、どこの、どなたのケースかということまでは把握しておりませんので、一般論でお話をしますけれども、少なくとも、被害者救援センターで多くの性犯罪被害者と向き合っている方々からこういう声が、救援センターの方が虚偽でこんなことを言う必要はないですからね、恐らく事例としてあったから、お話をされていると思うんです。 これを機に、こういうことのないように、ちょっといま一度、周知を図るなり、少し認識を、組織内で統一をしていただきたいと思いますけれども、その点、ちょっと田中さんにお願いいたします。
○田中政府参考人 繰り返しになりますけれども、警察におきましては、被害申告の意思が明確である届出がございましたら、その内容が明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものである場合を除きまして、受理することといたしているところでございます。 犯罪被害者の警察への相談の態様は、個々の事案によりさまざまでございますが、性犯罪の被害に遭った直後に警察に相談をしたものの、被害の届出をためらうケースもあるところでございます。しかしながら、警察におきましては、被害申告の意思が明確でない場合であっても、事後に改めて被害の届出がなされることもございますので、被害状況の聴取や証拠の採取を行うなど、必要な捜査を行うこととしているところでございます。 警察庁といたしましては、引き続き、被害者の心情に配意しつつ、適切な性犯罪捜査が行われるよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
○井出委員 被害者側の主張を虚偽かどうか判断されるのは警察だと思うんですね。ただ、後段の答弁で、しっかりやってきている、しっかりやっていくんだというお話は、私も前向きに捉えたいと思うんですが、それをしっかり、組織として、これから来年以降の再改正の議論もございますので、被害届の受理、不受理についてやはり少し調べをしていただきたいなと。答弁で言われても、では実際どうなのかというところの疑念が拭い切れないわけですね。 もう一つ、伺います。 二十九年の七月に警察庁が、二十九年の法改正を受けて全国に通達を出されていますね。その通達は、被害者の心情に配慮した性犯罪捜査の推進について。「被害の届出等の適切な対応」というような項目もあるんですね。「性犯罪被害に係る届出や相談をしやすい環境の整備に努めること。」と。 私にここで聞かれるまでもなく、ですから、警察庁としてはやってきていただいているんですが、その効果が上がっているのかどうか、それをきちっとこの場で御説明をいただきたいですし、御説明ができないんであれば、きちっと効果が上がっているよという説明を今後できるように、少し現場の状況把握に努めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○田中政府参考人 御指摘がございましたが、刑法改正の際の附帯決議を踏まえまして、都道府県警察におきましては、性犯罪の捜査に当たる捜査員に対しまして、るる研修を重ねているところでございまして、その効果を定量的に測定するのはなかなか難しいわけでございますけれども、そういった方向で都道府県警察は動いておるものというふうに考えております。
○井出委員 余り責めてばかりいても、少し前向きな議論をと思っておりますので、今の答弁をよしとはしないんですけれども、また法改正の議論、必ず議論が出てくると私は思っておりますので、そのときに、警察としてはこういう取組をこれまでやってきたんだ、現場でこういうことだったのがこういうふうになった、そういう、ちょっと現場の実態把握というものはお願いをしたいなと、これは強くお願いをしておきます。 それからあと、警察の関係で、性犯罪の指定捜査員というのが全国に八千人、九千人いらっしゃると。警察署が大体千二百、交番が六千六百あると言われておりますので、県警本部や警察署、交番には一人はいるのかなという、数字上ですね。ただ、しかし、泊まり勤務ですとか非番ですとか、そういうこともございますし、性犯罪の指定捜査員というものがきちっと足りているのか。被害者が来たときに、先ほど女性の捜査員を希望できるようになったという好事例もありましたが、人員の方でもう少し充実をさせたい、充実をする必要があるんだ、そういうお話があれば、そのことも、今度は私の方で受けとめさせていただいて、国会の審議でやってまいりたいと思いますが、性犯罪の指定捜査員の人員状況等について少し教えてください。
○田中政府参考人 各都道府県警察におきましては、警察本部の性犯罪捜査担当課及び警察署において、性犯罪捜査に係る知見を有する警察官を性犯罪指定捜査員として指定しておりまして、平成三十年四月現在、全国で九千二百四十一名が指定されているものと承知をいたしております。 性犯罪指定捜査員は、性犯罪被害者からの事情聴取や証拠採取、性犯罪被害者を立会人とした実況見分、性犯罪被害者に対する刑事手続や被害者支援制度等についての説明等をみずから実施するほか、こうした事項について他の捜査員への指導助言を行うことといたしております。 性犯罪指定捜査員はほぼ全ての警察署に配置されておりまして、交番での被害申告等にも対応しているところでありますが、夜間等で性犯罪指定捜査員がみずから一次的な対応ができない場合もございますが、その場合であっても、対応に当たる捜査員に指導助言をするほか、各都道府県警察の本部の性犯罪捜査指導官が、認知等の段階から適切な捜査が行われるよう、警察署に対して指導を行うこととしているところであります。 警察庁といたしましては、引き続き、都道府県警察に対しまして、被害者の心情に配意した適切な性犯罪捜査が推進されるよう、指定捜査員制度の充実等について指導してまいりたいと考えております。
○井出委員 では、次は少し法務省に伺いたいんです。 配付資料の細かい数字の表に戻っていただいて、認知件数が、強制わいせつも強制性交等も減少しているということは先ほどお話をしまして、その起訴、不起訴、起訴率も一応出してみましたが、これは捜査を尽くして不起訴ということもあろうかと思いますので、ここは、数字、参考程度にとどめておきます。 ちょっと気になったのが、認知をして捜査を始めれば、起訴か不起訴かの結論は出すと思うんですね、終局処分。それと認知件数の割合を立件率ということで一番右端に並べたんですが、強制性交等罪は極めて高い数字、ほぼ一。ちょっとこの一を超えているのは、何かエクセルの調子が悪かったのか、ちょっと私も原因不明なんですが。 一方で、その上の強制わいせつの方は、終局処分がなされた件数が認知件数と比べると極めて少ないなと思うんですけれども、これは、終局処分されないものというのは一体どこへどう行ってしまうのか、ちょっと教えてください。
○小山政府参考人 ちょっと、この統計について御説明させていただきます。 認知件数というものでございますが、これは、警察が発生を認知した事件の数をいうものと承知しておりまして、警察が認知しましてその捜査を経たものにつきましては、検察官に送致され、その後、検察官による起訴や不起訴の処分がなされることになります。 ただ、一般論ですが、認知されても犯人が見つからないケース等もございまして、その場合は、事件数として、事件としては認知されましても検察庁に送致されないという場合もございます。 ですから、いろいろあるとは思いますが、あるいは、もうちょっと細かいことを申しますと、警察の認知年と検察官が起訴や不起訴の処分をした年が同じ年であるとは限らないとかいうことも更にあるわけでございます。 ですから、そういうこともございまして、認知件数が起訴件数と不起訴件数の合計よりも多くなっているということ自体は不自然なことではないと考えております。
○井出委員 そうすると、それは確かに犯人がいなきゃ起訴も不起訴もしようがないんですけれども、強制わいせつ事件に比べれば、強制性交等罪、旧強姦罪というものは、確実に犯人がいて、起訴か不起訴にしているという、そういうことなんですか。
○小山政府参考人 これは、個別の事案ごとに、やはりその集積でございますけれども、要は、被疑者が特定され、送致されやすいという傾向にあるのかなとは考えております。
○井出委員 確かに、強制わいせつ罪と強制性交等、強姦罪を比べれば、たとえそれが見知らぬ人間であっても、強制性交等罪、強姦罪の方が、状況として、その犯人に対する情報は多いと思うんですね。犯人をすぱっと特定することもあろうかと思います。 ただ、私はちょっと逆に疑問を感じているのは、強制性交等罪、強姦罪の終局処分の率が高過ぎやしないかと。見ず知らずの人に強姦、強制性交等罪をされたときに、そういう事件があったんだけれども相手が特定できないというようなケースがもう少しあるんじゃないかなと思う。で、捜査したけれども、結局犯人が見つからなかったという。 これは、見方によっては、こういうことを申し上げるのはちょっと失礼かなと思うんですけれども、犯人が、きちっともう、被害者が申告した段階で、どこそこの誰それとわかっている事件であることが、その起訴、不起訴、立件の、もっと言えば認知の前提になっていやしないかというのが、少しこの数字を分析して出てきた疑問なんですけれども、それについてちょっと。
○小山政府参考人 お答えいたします。 認知を行っておりますのは検察当局ではございませんので、ちょっとお答えできかねるところでございます。
○井出委員 じゃ、警察、どうですか。
○田中政府参考人 先ほど被害届の受理につきまして御答弁申し上げたとおりでございまして、特にその点につきまして、強制わいせつと強制性交と分けて取り扱っているわけではございませんけれども、ちょっとこの点につきまして、直ちに答弁できる状況にはございません。
○井出委員 認知するのは警察で、送致されてきて起訴するのは検察なんですけれども、そこは私、事実上かなり一体性が高いと思うんですけれどもね。ちょっと、そこで区分けされると、どうしたらいいんじゃいみたいな話なんですけれども。 要は、私は、強制性交等罪、強姦罪に関して言えば、起訴率が低下しているという低下よりも、認知件数が減ってきていることに、一番冒頭に申し上げたんですけれども、本当に、じゃ、性犯罪が減ってきていて、警察のところに被害届が出るものは減ってきていると捉えるのか、それとも、警察に相談があった段階で、いや、これはもう何か虚偽の話だ、これはもう事件にならないといってはじかれてしまうのが多いのか。その両面を、私、どっちだときょう決めつけるつもりもございません。ただ、両方の意見があるということで、この数字というものを今後見ていっていただきたいなというふうに思います。 あと、それと、最高裁と法務省にまとめて伺いますが、十三日に被害当事者団体の方がそれぞれ要望された。それは、発端は三月の無罪判決が一つあったのかもしれませんが、その内容は別にその判決云々という話ではなくて、法改正であったり裁判官の研修であったり、そういう制度論の要望であったと報道等で承知しておりますが、それに対する対応をそれぞれ教えてください。
○安東最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 今月十三日に一般社団法人スプリングの方々からいただきました御要望の内容ですが、本年三月以降の性犯罪に関する無罪判決を受け、一点目として、平成二十九年の刑法改正における衆議院附帯決議第二項を踏まえ、暴行又は脅迫それから抗拒不能の認定につきまして、性暴力の実態や精神医学、心理学の知見を踏まえた研修を行うこと、二点目としまして、同じく参議院附帯決議第八項を踏まえまして、子供及び障害者など社会的弱者の事件では司法面接を必ず行い、そのビデオ証言を採用することを要望するというものでございました。 この御要望につきましては、当局の方ではこのようにお答えいたしました。 個別の裁判の当否については、事務当局としてお答えを差し控えさせていただきますが、裁判所としましても、性犯罪に直面した被害者の心理等の適切な理解は重要と考えております。これまでも、裁判官を対象とした司法研修所の研究会におきまして、性犯罪の被害者の心理に詳しい精神科医を講師として研修を実施したほか、平成二十九年十月には、今御紹介しました決議の趣旨も踏まえまして、性犯罪被害者の支援に長年携わっている臨床心理士を講師として、被害時の被害者の心理状態、その後の精神状態について理解を深める講演と意見交換を行いました。 また、司法面接につきましては、平成三十一年二月に司法研修所で行われた研究会におきまして、認知心理学、発達心理学等に造詣の深い大学教授をお招きして講演と意見交換を実施しております。 裁判所としましては、今後も、以上のような研修等を通じまして、性犯罪に直面した被害者の心理、それから司法面接の意義や内容について適切な理解に努めてまいりたい、そのようにお答えいたしたところでございます。 以上でございます。
○小山政府参考人 法務省といたしましては、大臣が直接対応されておりまして、私も同席させていただきましたけれども、スプリングの皆様から、刑法のさらなる見直しに向けた要望を伺いまして、性犯罪の被害に直面した際の被害者の心理などについて、改めてお話をお聞きしたところでございます。 もちろん大臣からもお言葉がございましたけれども、私どもといたしましても、貴重な御意見としてしっかり受けとめさせていただくところでございます。
○井出委員 一点だけ、最高裁。 被害者の心情にいろいろ気を使っていただいているのはわかるんですが、ニュースで大きい無罪判決があって、要望行動があって、聞いたら、裁判官の人というのは、ほかの事件の裁判がどんなにニュースになっていて、じゃ、自分もちょっとその判決を見て勉強してみよう、話題になっているから見てみようと、その判決全文すらも何か裁判官は見ることが、ほかのやつはできないというような話を事前に聞いているんですけれども、そういうところも少し改善してはどうでしょうか。
○葉梨委員長 安東刑事局長、最後ですから、簡潔に。
○安東最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 裁判官は、民間の判例情報検索システムに掲載している裁判例については入手できます。それから、掲載されていないものにつきましても、新聞、テレビ等で大きく報道された事件につきましては、裁判官の方から執務の参考として判決書を閲覧したいと要望が最高裁にございましたら、最高裁の方で仮名処理等を適切に行った上で写しを提供する、そのようにしているところでございます。 そのような手続をとられなかった裁判官もおられるということですが、そのように努めてまいりたいと思っております。
○井出委員 今後も、一人集中審議で、他党にも自主的に賛同していただける方が出るように頑張りたいと思いますので、きょうは終わります。 ありがとうございました。
○葉梨委員長 以上で井出庸生君の質疑は終了いたしました。 ————◇—————
○葉梨委員長 次に、内閣提出、民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。山下法務大臣。 ————————————— 民法等の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○山下国務大臣 民法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、特別養子制度の利用を促進するため、民法等の一部を改正しようとするものであります。 現在、児童養護施設等には、保護者がいないことや虐待を受けていることなどが原因で、多数の子が入所しておりますが、その中には、特別養子縁組を成立させることにより、家庭において養育することが適切な子も少なくないと指摘されております。そこで、特別養子縁組の成立要件を緩和すること等により、この制度をより利用しやすいものとする必要があります。 この法律案は、特別養子縁組における養子となる者の年齢の上限を引き上げるとともに、特別養子縁組の成立の手続を見直すことにより、特別養子制度の利用を促進することに寄与するものと考えております。 その要点は、次のとおりであります。 第一に、この法律案は、民法の一部を改正して、現行法では原則として六歳未満とされている養子となる者の年齢の上限を、原則として十五歳未満にまで引き上げることとしております。 第二に、この法律案は、家事事件手続法の一部を改正して、特別養子縁組の成立の審判の手続に関する規定を見直すこととしております。具体的には、まず、特別養子縁組の成立手続を、養子となるべき者が特別養子縁組をするのに適する者であることを確認する段階と、養親となるべき者が養親として適する者であることを確認する段階の二つに分けることとしております。その上で、養子となるべき者の実父母は、第二段階の手続には参加することができないこととするとともに、第一段階の手続においてされた実父母の同意は、一定期間の経過後は撤回することができないこととしております。 第三に、この法律案は、児童福祉法の一部を改正して、児童相談所長は、みずから第一段階の審判の申立てをすることができることとするとともに、養親となるべき者が第一段階の審判の申立てをした場合には、その審判の手続に参加することができることとしております。 以上が、この法律案の趣旨でございます。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○葉梨委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時二十五分散会