文部科学委員会 第18号
- 発言数
- 22 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2019/06/19
会議録
○亀岡委員長 これより会議を開きます。 本日付託になりました参議院提出、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員神本美恵子君。 ————————————— 視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○神本参議院議員 ただいま議題となりました視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律案につきまして、その提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。 読書は、教養や娯楽を得る手段であるのみならず、教育や就労を支える重要な活動であり、障害の有無にかかわらず全ての国民が読書することのできる環境を整備していくことが求められております。 平成三十年の常会においては、いわゆる視覚障害者等による著作物の利用機会促進マラケシュ条約の締結の承認とともに著作権法の改正が行われ、本年一月一日に施行されました。これにより、著作権者の許諾なく録音図書の製作等を行うことができる権利制限規定の対象者の範囲が、視覚障害者や読字障害者のほか、肢体不自由により書籍を持てない者等にまで拡大されました。 このように、制度面の改善はなされましたが、実態として、視覚障害者等が利用可能な点字図書や録音図書等はいまだ少なく、図書館におけるサポートも十分ではないことから、視覚障害者等が利用可能な書籍等の製作支援や図書館等の体制整備等の施策が求められております。著作権法改正時の衆参両院での委員会の附帯決議においても、視覚障害者等の読書の機会の充実を図るために法制上の措置等を講ずることが盛り込まれており、必要な取組を速やかに進めていくことが重要であります。 本法律案は、このような視点に立ち、障害の有無にかかわらず全ての国民がひとしく読書を通じて文字、活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与するため、視覚障害者等の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進しようとするものであります。 以下、本法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、基本理念として、視覚障害者等の読書環境の整備の推進は、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等が視覚障害者等の読書に係る利便性の向上に著しく資する特性を有することに鑑み、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の普及が図られるとともに、引き続き、視覚障害者等が利用しやすい書籍が提供されること等を旨として行われなければならないことを定めております。 第二に、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、政府は、必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならないとしております。 第三に、文部科学大臣及び厚生労働大臣は、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため基本計画を定めなければならないとするとともに、地方公共団体は、基本計画を勘案して、当該地方公共団体における計画を定めるよう努めなければならないとしております。 第四に、基本的施策として、国及び地方公共団体は、視覚障害者等による図書館の利用に係る体制の整備等、インターネットを利用したサービスの提供体制の強化、著作権法第三十七条の規定により製作される視覚障害者等が利用しやすい書籍及び電子書籍等の製作の支援、視覚障害者等が利用しやすい電子書籍等の販売等の促進等の必要な施策を講ずるものとしております。 第五に、国は、これらの施策の効果的な推進を図るため、当事者である視覚障害者等も含めた関係者による協議の場を設けること等としております。 以上が、本法律案の提案の趣旨及び主な内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。 以上でございます。
○亀岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○亀岡委員長 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長橋本泰宏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○亀岡委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申出がありますので、これを許します。畑野君枝君。
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。 視覚障害者等の読書環境の整備の促進に関する法律案について質問いたします。 提案者に伺います。 第一条、目的にかかわり、日本共産党として、本法律案の検討段階で読書権の明記を提案してまいりました。 最新図書館用語大辞典によれば、読書権とは、何らかの理由により読書することができない又は困難な環境にある者が、自由に読書できるような条件を整備することを国や自治体に要求する権利とされています。 法案第一条、目的では、「視覚障害者等の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進し、もって障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与すること」をうたっています。 この規定は、こうした読書権の理念を含んだものと考えてよろしいのでしょうか。
○大野(泰)参議院議員 委員御指摘のとおり、今、読書権の理念を含んだものかということでございますが、まずは何より、この法案において、障害の有無にかかわらず自由に読書できるような条件を整備していくことが極めて重要であると私どもは考えております。 本法律案もそのような考え方に立って立案されたものでありますが、今の御質問からいいますと、本法律案は、一定の政策分野に関する基本方針を定めるプログラム法であり、国や地方公共団体に対する請求権を定めるものではございません。 読書に困難を抱える視覚障害者等の方々が自由に読書できる環境を整備するための施策を実施することを国や地方公共団体に求める内容となっております。このような意味において、第一条は、読書権の理念を含んだものと私は考えております。
○畑野委員 確認させていただきました。 障害者権利条約やマラケシュ条約、文字・活字文化振興法等では、障害者等が文化的な活動を享受するための措置をとることを国に求めています。 しかし、視覚障害者の読書環境は、日本点字図書館にも伺ってまいりましたが、例えばサピエ図書館での利用可能な書籍は、電子データでいいますと、点字で二十万、録音で九万というふうに限られております。また、点字や音訳、拡大写本など、書籍を視覚障害者が利用可能な形態に変換する作業は専らボランティアにお願いしている状況です。今、ボランティアの方が減りまして、大丈夫だろうか、もっと支援をしてほしいという声も伺ってきたところです。 法案は、こうした現状の改善にどのように資するものになるのでしょうか。
○神本参議院議員 御質問ありがとうございます。 今、畑野委員のおっしゃるとおり、御紹介いただいた国際条約やそれに基づく国内の既存の法制度のもとでは視覚障害者等の読書環境の整備というものは必ずしも十分に進んでこなかったということは、同じ認識を共有しております。このような現状を変えるべく、本法律案を提出した次第であります。 その内容としましては、まず、視覚障害者等の読書環境の整備に必要な施策を網羅的かつ具体的に規定しております。 例えば、委員御指摘のサピエ図書館、これに関しましては、第十条においてその運営に対する支援を規定しております。また、録音図書等の製作に関しましても、第十一条においてその支援について規定しています。さらに、第十七条において人材育成等についても規定をしております。加えて、これらの施策をより具体化し計画的に進めるために、第七条において基本計画の策定を政府に義務づけているところであります。 さらに、十八条では、これらの施策の効果的な推進を図るために、これは視覚障害者当事者団体の方々からも強い御要望があったんですけれども、当事者も含めた関係者による協議の場を設けることとしております。 このように、本法律案によって、視覚障害者等の読書環境の整備について計画性や実効性がしっかりと確保されて、委員が御心配されているような現状の改善に資するものになると考えております。 以上です。
○畑野委員 ぜひ進めていただきたいと思います。 視覚障害者団体の皆さんやボランティアの皆さんからは、出版者から障害者への加工しやすい電子データの提供が強い御要望として出されております。 例えば、高校生が大学受験をする。今、合格されて、視覚障害者の方が応用物理学を学んでいらっしゃる、日本点字図書館の近くの大学に通われているというお話を伺いました。その際に、物理の勉強をしようと思うときに、どうしようか。それで、鹿児島のボランティアの方の御家族の大学教授の方に訳していただいたと。ですから、学習とか、あるいは専門、あるいは就労というときに、本当に必要になってくるというお話がありました。 一方で、データの流出や著作権保護、あるいはコスト面でいろいろな課題への対応が必要になっているというふうに思っております。 法案第十八条は、国として、関係行政機関、国立国会図書館、公立図書館等、点字図書館、サピエ図書館、ボランティア、出版者、視覚障害者等その他の関係者による協議の場を設けるというふうに、先ほどもお話がございました。出版者から障害者への電子データの提供の具体的なあり方についても、ぜひこの協議の場で扱って進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○神本参議院議員 ボランティアの方に多く負っているというところは、私自身も、もう大分前になりますけれども、高校の拡大教科書を実際につくっていらっしゃるボランティアの方たちから大変な御苦労を聞いておりました。教科書に電子データが提供されるようになって随分よくなったんですけれども、出版者から視覚障害者等の方々へのテキストデータ等の提供に関して、今申し上げましたように強い御要望がございます。それについては私どもも十分に認識しているところであります。 そのような現状を踏まえまして、本法案の十一条二項におきましては、点字図書や録音図書等の効率的な製作を促進するために、出版者から製作団体に対するテキストデータ等の提供を促進するための必要な施策を講ずるとしております。また、十二条二項におきましては、出版者から、今度は書籍を購入した視覚障害者等に対するテキストデータ等の提供、これも促進するために、必要な施策を講ずるものとしております。 他方で、委員御指摘のように、データ漏えいのおそれとかそういうことが指摘されていることから、これらの施策を講ずるに当たっては、障害者団体や出版者を含む関係者間で、出版者からのテキストデータ等の提供の具体的なあり方について必要な議論が行われ、合意形成が図られることが必要であると思っております。 提案者といたしましては、そのような議論や合意形成の場として、委員のおっしゃるとおり、十八条に規定する関係者による協議の場が十分に活用されることを期待しているところでございます。
○畑野委員 プレーンテキストへの政府の支援やセキュリティー、アクセスの道具の具体的な使いやすさなども要望が出ておりますので、よろしくお願いいたします。 視覚障害者への支援は、障害者総合福祉法に基づいて対応されております。個々の視覚障害者ごとに、自立した生活のためのきめ細やかな対応が求められております。地元の市や県の点字図書館に伺ってまいりましたが、例えば、外出一つとっても、まず訪問をして、お話を聞いて、そして一歩ずつ外に出られるような、そういう丁寧な支援をされております。 第七条は、文部科学大臣と厚生労働大臣が、その他の関係行政機関の長との協議や視覚障害者等の関係者の意見を反映させて、基本計画を策定するとしております。 その際に、地方負担の軽減によるきめ細やかなサービスが行われるよう、厚生労働省の立場からも取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか。
○橋本政府参考人 視覚に障害のある方々の読書環境を整備するということは大変重要なことでございます。 厚生労働省におきましては、視覚に障害がある方に対しまして、例えば、同行援護などの障害福祉サービスによる支援を行うですとか、あるいは地域生活支援事業による意思疎通支援、あるいは読書をする際に必要となる機器の利用支援、こういったさまざまな支援を行っているところでございます。 法案が成立した暁には、文部科学省を始め関係行政機関と協力して基本計画を策定していくこととなるわけでございますが、私ども厚労省といたしましても、視覚に障害のある方に対してきめ細やかなサービスが行われるように、関係施策の着実な推進に努めて、努力していきたいと考えております。
○畑野委員 最後に伺います。 法案第九条では、公立図書館、学校及び高等専門学校の附属図書館、学校図書館、国立国会図書館が、点字図書館とも連携して、視覚障害者等による図書館利用について体制整備が行われるよう、国及び地方公共団体が必要な施策を講じることとしております。 柴山昌彦文部科学大臣に伺います。 学校図書館の学校司書の配置状況は、小中学校では六割弱にとどまっております。常勤の学校司書は、小学校で一二・四%、中学校で一六・七%という水準です。視覚障害等のある児童生徒が利用できるように、環境整備が必要だと思っております。 専任、専門、正規の学校司書の配置を求める声に応えて、学校司書配置を拡充する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○柴山国務大臣 学校図書館の学校司書の配置でございますけれども、視覚障害等を持つ児童生徒への支援を行うためにも、その役割が大変重要だと考えております。 今御指摘の配置については、平成二十九年度からの第五次学校図書館図書整備等五カ年計画において、単年度約二百二十億円の地方財政措置を講じることとされておりまして、これは一・五校に一名の配置ということが可能となっております。 私どもといたしましては、引き続き学校司書の配置についてその十分な活用を促してまいりたいと考えております。
○畑野委員 ぜひ国としても進めていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○亀岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○亀岡委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。 参議院提出、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○亀岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○亀岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○亀岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時十八分散会