予算委員会公聴会 第1号
- 発言数
- 158 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 2018/03/13
会議録
○委員長(金子原二郎君) ただいまから予算委員会公聴会を開会いたします。 本日は、平成三十年度一般会計予算、平成三十年度特別会計予算及び平成三十年度政府関係機関予算につきまして、六名の公述人の方々から順次項目別に御意見をお伺いしたいと存じます。 この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 本日は、平成三十年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 次に、会議の進め方について申し上げます。 まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構です。 それでは、働き方改革・社会保障について、公述人株式会社日本総合研究所理事山田久君及び東京過労死を考える家族の会代表中原のり子君から順次御意見を伺います。 まず、山田公述人にお願いいたします。山田公述人。
○公述人(山田久君) 山田でございます。本日は、大変貴重な機会をいただき、ありがとうございます。 私の方からは、裁量労働制と高度プロフェッショナル制度に焦点を当てながら、労働時間規制見直しを中心とした働き方改革の在り方についての意見を述べさせていただきます。 まず、そもそも今なぜ働き方改革かということに関して、二つの大きな背景があるというふうに考えてございます。 第一は、日本が人口動態の大きな変化に対応しなければならないということかと思います。従来は中核的な労働力と考えられてきた男性の現役世代の数が大幅に減少し、更にこれが見込まれております。そういう中で、女性、さらにはシニアといった多様な属性の人々の活躍の機会を増やしていく必要がある、そういう中で、育児や介護など生活上の必要から労働時間に制約のある方々が増えてくるということで、そういう中で残業時間の削減、それから柔軟な働き方、この二つが大変重要な課題になっているということかと思います。 もう一つは、産業の方の変化ですけれども、ビジネスモデルの在り方の大きな転換が求められているということです。労働力が持続的に減少していることによって、いわゆる労働集約的な薄利多売型のビジネスモデルというのは限界に近づいてきております。一方で、知識集約的な高収益型のモデルへのシフトというのが必要になってきているわけです。そういう中では、働く人々がめり張りを付けて働いて、いわゆる余暇時間を有効に使い、自己研さんあるいは人的な交流などに使うことによって、生き生きと働いていく中で知的生産性を高めるということが必要になっている。この大きな二つが背景にあるということかと思います。 そういう中でいいますと、まさにその労働時間全体の縮減と高い生産性の両立ということが求められているわけですけれども、そういう意味ではヨーロッパの働き方というのは大きな参考になると思います。そういう文脈の中で、今回の労働時間制度の見直しに関しましては一つの大きな柱が残業上限の設定ということで、これ自体はまさにヨーロッパの文脈であり、高く評価されると思います。 ただ、これに関して一点申し添えたいのは、人材育成の在り方を見直していくということが重要だということです。と申しますのも、ヨーロッパでは学校教育に実務能力が身に付くプログラムがある意味ビルトインされているわけです。このため、労働時間が短くとも効率的に人材が育つ仕組みがあるわけですけれども、日本の場合は、これまではそういう仕組みが十分整わず、言わば企業内でのOJT、職場内での訓練ですね、これが基本で、仕事と育成が一体化してきたという部分があったと思います。 これが大きな問題の根源にもあったわけですけれども、ただ、単純に労働時間を機械的に短くするということはこれは必要なんですけれども、一方で、人材育成を新たにやはりやり方を考えていかないと駄目だ、これに関して、各企業がいろいろ工夫をすると同時に、政策的な支援も必要ではないかなというふうに考えております。あるいは、ヨーロッパを参考にした産学連携による人材育成の仕組みを強化する必要もあるかと思います。 続きまして、裁量労働制に関して意見を述べたいと思います。 冒頭申し上げましたように、日本経済というのは産業構造の知識集約化という大きなうねりの中にあるわけですけれども、そういう中では、いわゆる創造的なホワイトカラー業務というのが重要になってきております。そこの分野では、必ずしも労働時間の投入とそれによる成果が連動しないということがあると思います。現状の労働時間規制の基本的な仕組みを前提にしますと、言わば必ずしも生産性が高くない、結果として長く働く人の方が、生産性が高くめり張りを付けて短く働く人よりも給料が多くなるという、ある意味矛盾が生じるという側面もあるかと思います。 一方で、生活サイドのニーズもあるということかと思います。家族形態が多様化し、子育てや介護を始め生活上の様々な制約から、業務時間と生活時間を柔軟に自ら設定していくという仕組みのニーズが高まっているというものもあると思います。 そういう意味では、私自身は裁量労働制の制度そのものは必要な制度ではないかと。ただし、問題は、これが適正に運用が行われるか、ここに関しては様々な課題が残っているというのが実態かと思います。 具体的に言いますと、そのところに二点書いておりますけれども、一点は、制度が想定しているのは裁量性の高い労働者のみに限定するということなんですけれども、これが今必ずしもそういう状況になっていない。これがきちんと適用されるかという課題があります。もう一点は、過重労働を防止するやはり有効な健康確保の措置、これも十分に講じられているのか。この二点においてやっぱりまだ様々な課題が残っているということかと思います。 第一点の問題に関しましてもう少し詳しく申し上げますと、本来適用できない裁量性の低い労働者に濫用しているというケースがこれは見られるわけですけれども、これはある意味論外ということかと思います。ただ、裁量性の有無の判断は実務的に難しい面もあるというのも事実かと思います。この点に関しましては、その裁量性というものを二つの軸で分けて考える必要があるんじゃないか。それは、仕事の手順の裁量性ということと仕事の量の裁量性、この二点を分けて考えるというのが重要かと思います。 ある意味、手順も仕事の量も自ら働き手が裁量性があって決めるケースは、ある意味これは大きな問題ではないんですけれども、現実には、手順は確かに裁量性があるんですけれども量がコントロールできないというケースが往々にしてある。ここに関しては、やはりそれを適正に制御する仕組みを導入するということが必要かと思います。 そういう面から、今回提出予定であった、結果として取下げとなったということかと思いますけれども、この改正案でも、例えば少なくとも三年以上の勤務が必要であるということを明確化するといった一定の改善策が盛り込まれていたということは、これはそれなりの評価があっていいかなと思います。 ただ、制度が想定する裁量性の高い労働者のみにきちんと適用されるかは、なお漠然としているというふうな印象を私自身は持っております。先ほど言いましたように、手順の裁量性はあるんだけれども仕事量の裁量性がないという場合のこの適正運用を担保する仕組みの導入が極めて重要かと思います。 具体的に言いますと、これは労働政策研究・研修機構の研究員の方が分析をしているわけですけれども、そういう裁量性の、手順上はあるんですけれども業務量の裁量性が乏しいタイプには二通りある。一つは、結局上司が業務量を決めているというケースですね。もう一つは、お客さんの、顧客の都合で結果としてその業務量が決められているケース。この二つに関しましては、やはり一定の歯止めを掛けていかなければ適正な運用ができないということかと思います。 まあ一つのアイデアとしては、最初のケースに関しましては、すなわち上司が業務量を決めているケースには、きちんと労働者の方から業務量のコントロールに関しての声がきちんと反映される仕組みですね、これをしっかり確保していくということが必要だと思います。それから、お客さんの都合で決められるケースというのは、むしろ上司が適切にコントロールして、間に入って、お客さんとの間に入って調整をしていく、そういう仕組みをやはりきっちり導入していく、こういう部分を何らかの形でしっかりワークしていくような仕組みを考えていくということが必要条件ということになってくるんだと思います。 一方、もう一点の過重労働を防止する有効な健康確保の仕組みということでいいますと、これが必要なのは、本来は、本当の意味で裁量性があれば労働者の自由度に任せるということなのかもしれませんけれども、日本の特徴として、多くの職場で実態的には長時間労働がある意味習慣になっているわけですね。ですから、この部分をやはり何らかの形で歯止めを掛けないと、結果として過重労働の問題が起こるということかと思います。 そういう意味では、今回の提出予定であった改正案でも、例えば客観的な方法とその他適切な方法により労働時間を把握するというようなこともあって、その辺の改善策が盛り込まれていることはあるんですけれども、ざっと見まして、後ほども見ます高プロ制度、高度プロフェッショナル制度に比べても、やや今の状況では不明瞭という印象を持っております。やはりその最低ラインとして、高度プロフェッショナルというのが後ほど見ますところにもありますし、さらには、特に先ほど申し上げてきました手順の裁量性があっても量の裁量性がないケースには、具体的にはいわゆるインターバル規制とか絶対上限の規制ですね、どちらかを少なくとも導入するという、この辺りを義務付けをしていくというのは必要なのではないかなというふうな考えを持ってございます。 続きまして、高度プロフェッショナル制度に関しましての意見を申し述べさせていただきます。 これに関しましても、先ほど申し上げましたように、制度そのものの妥当性というよりも、やはり適正運用の二つのハードル、これが重要なんだと思います。 ただ、この高度プロフェッショナル制度に関しましては、ある意味、労働基準法の適用除外という制度ですので、裁量労働制に比べても、例えば深夜労働とか休日労働に対する割増し賃金制がないということで、かなりそういう意味ではしっかりしたコントロール、管理というのが必要かと思います。一言で言いますと、個人として労使、本当の意味で対等の立場に立つバーゲニングパワーのある労働者に限定されるべきというのが前提だと思います。 そういう視点から見ると、今回、考え方としては、高度の専門的知識等を必要とし、時間と成果との関係性が高くないもののうち政府が定める業務というふうにした上で、労政審の報告では、金融商品の開発業務、ディーリング業務、アナリスト、コンサルタント等々が想定されているということで、さらには年収要件等も想定されるということであります。 これはいろいろ議論があると思いますけれども、一応一定の労働市場が存在する分野であり、年収が一定以上ということを見ますと、いざとなれば転職という対抗手段を基本的には持っている人たちなのではないか。そういう意味では、改めて法律が成立したという前提に立ったときに、もう一度労働政策審議会において精査が必要ですけれども、まあ、差し当たり今想定されているのは、それなりの趣旨に合った形の妥当なものかなというふうに一応考えております。ただ、もう一度これを改めて精査していくことは必要かと思います。 健康管理措置に関しましては、高度に、もうまさにプロフェッショナルな、そのままの方ですと今の前提のままでいいかと思いますけれども、措置のままでいいと思いますけれども、ただ、いわゆるこの精査の中で、例えば転職という対抗手段が小さい人たち、あるいは仕事量の裁量性が相対的に低いというふうに、これが本来、この制度の導入で考えられております労使委員会の方がしっかりと精査した上で、そういう相対的なまだ疑念が残るケースの場合にはインターバル規制とか上限規制を義務付けるという、そういう補正も考えることは必要なのかなと、そういうふうに考えております。 最後に、働き方改革全体への、今回の特に裁量労働制とか高度プロフェッショナル制度の位置付けということに関して少し意見を申し上げたいと思います。 大きな流れでいいますと、日本経済の発展のためには知識労働者を増やしていくということが必要であり、その過程では、本来の意味での裁量労働制とか高プロ制度が適用されるような、そういう労働者のタイプの割合が増えていくこと自体は望ましいと思います。ただし、日本の場合は、現実にはそういう人たちがそれほど多くないというのが実情かと思います。 資料の方に図表が載っております。これは、いわゆる先進国の主要なところで、労働生産性の水準と専門的・技術的職業の人の割合なんです、を見ているんですけれども、全体で見ると、やはりその専門的・技術的な職業の方の割合が高いほど生産性高いんですけれども、日本の方は非常に低いということであります。ですから、やはりこういう専門的・技術的職業の人たちを増やしていくような全体の改革ということも必要なのではないか。それはまさに日本特有の就社型の働き方ということと関係があるわけで、ある意味そういう、職務が曖昧な形ではなくて、仕事が明確で、その結果として仕事の量がコントロールしやすい方々を増やしていく、そういう全体の労働市場改革との関わりということを考えていく必要がある。 もう一つは、今回の実の問題は、いわゆる集団的労使関係が必ずしも十分にワークしていないんじゃないかなということとも関係がしているんだと思います。形の上では、これは労使協約あるいは労使委員会の中でしっかりとルールを決めるということになっているんですけれども、そこが今の段階では必ずしも十分ではない面がある。そういう意味では、本来の意味での集団的労使関係をしっかり再建していくような取組ということを別途進めることが重要になっていると、そういうふうに考えております。 以上、私の意見でございます。 どうもありがとうございました。
○委員長(金子原二郎君) ありがとうございました。 次に、中原公述人にお願いいたします。中原公述人。
○公述人(中原のり子君) それでは、貴重なお時間を頂戴して、ありがとうございます。東京過労死を考える家族の会、中原のり子と申します。 私の方からは、高度プロフェッショナル制度の取下げについての発言をさせていただきます。 今日、こちら、随行に来ている者も含めて、私たちは働き過ぎなどの業務が原因で大切な家族を失いました。また、長時間労働やパワハラで体調を崩している仲間もいます。その悲しみを越えて、悲劇が繰り返さないことを願う仲間たちです。 政府が進めようとする働き方改革において、不誠実なデータが象徴するように多くの問題点が明らかになり、裁量労働制の拡大は取り下げられました。裁量労働における時間外労働が一般労働の時間外労働より長いことは、家族を失った私たちの目には一目瞭然です。あってはならない過労死を根絶するためには、労働者の命や健康を守り、安心で安全な生活を保障し、企業と労働者が納得する生産性の向上を目的に、共に考え、手を携える必要があると考えます。 まず、労働時間の上限規制は当然としても、上限がなぜ月百時間なのか、私は理解ができません。厚生労働省の過労死と労災補償状況に関するデータによれば、脳・心臓疾患に関わる支給決定件数の半数以上は月百時間未満の時間外労働で起きています。人が死ぬ可能性が高い長時間の時間外労働を上限とするのは、ある程度人が死んでも残業代を支払わない方が企業に好都合なのでしょうか。過労死の合法化の上限設定には強く反対します。 さらに、除外業種、職種が広範囲に存在しているのも大きな問題です。建設、運輸、医師、研究開発、教師、とりわけ長時間労働による過労死が問題になっています。労基法の例外をつくり残業代ゼロにすれば、長時間労働に歯止めが掛からず、過労死が増え、人が死にます。二月下旬に面会した加藤厚労大臣にも私は裁量労働制と高プロのセット削除を強く求めましたが、なぜ裁量労働だけを削除としたのか、その理由も報告も私には届いておりません。 また、安倍総理は、電通遺族、高橋幸美さんとの面談の際に、長時間労働の是正を是非実効性のあるものにと訴える高橋さんに対し、何としてでもやりますよと応じています。施政方針演説でもまつりさんの死に言及し、二度と悲劇を繰り返さないとの強い決意で長時間労働の是正に取り組むと述べています。二月二十八日の院内集会では、高橋さんは再度、高プロの撤回を強く求めます、過労死を増やす法律、人の命を奪う法律はやめてください、過労死をなくし、人の命を守る法律を作ってくださいと発言されました。約束は守ってほしいです。高プロ制のような過労死促進法を強行するのは過労死遺族に対する裏切りです。 国会議員の皆様、どうか高橋さんや私の言葉に耳を傾けてください。働き方改革という名の下に、人の命を奪う、過労死を増やす法律を強行するのはやめてください。私たち遺族は、三十年も前から過労死防止の声を上げ続けています。あと何人犠牲者が出たら皆さんに分かっていただけるのでしょうか。一日の上限時間、インターバル規制、健康確保措置の全てが整っていない究極の労働時間規制撤廃制度を社会に送り出すことはやめてください。 高度プロフェッショナル労働制は、スーパー裁量労働制、つまり残業代ゼロの最たるものです。裁量労働制だけを削除して高プロ制を削除しないのは矛盾であり、絶対に認められません。裁量労働制の被災者は、会社による時間管理がなされていないため、労災認定が困難です。認定を得なければ社会的支援も受けられません。多くの裁量労働制の被災者が国から救済されず、泣き寝入りを強いられているのです。その上を行く強烈なスーパー裁量労働制、すなわち高プロ制が施行されたら、更に多くの被害者の涙と悲鳴が積み上がることは間違いありません。 以下、高プロの問題点を挙げます。 一つ目、高プロ制は、時間外規制を外し、時間外、休日、深夜を含め、残業という概念自体をなくすものです。これは、第一次安倍内閣のときの残業代ゼロ法案として強い社会批判を受け、国会提出が見送られたホワイトカラーエグゼンプション法案の焼き直しです。 二、高プロ制は時間ではなく成果で支払うと言われていますが、これは間違いです。あらかじめ決められた額しか支給しない固定賃金制度です。 三、対象業務が定まっていません。ディーラー、アナリスト、コンサルタントなどが例示されていますが、法律が一度成立されたら、国会審議を経ずにも簡単に広がる危険性が大きいです。現在過労死などが多発しているIT産業のSEなども対象になる可能性があります。 四、年収要件の切下げの危険があります。年収一千七十五万という一部の高所得者だけが対象と言われますが、それは最初だけです。実際、塩崎前厚労大臣は小さく産んで大きく育てると発言されていますし、以前、経団連は、ホワイトカラーエグゼンプション、残業代ゼロ制度のときには年収四百万円以上が望ましいと発言していました。高プロ制が万一今回導入されたら、あっという間に年収要件が引き下げられるのは明らかです。そもそも、高収入であれば過労死ラインを超えて働かせることができる理由には決してなりません。高収入であれば過労死しても構わないはずがありません。 五、長時間労働から発生する健康悪化の歯止めがありません。政府は、長時間労働の懸念を否定できないために新たに健康確保措置という言葉を出していますが、今年の一月に新潟で起きた過労死事案は、保健師に相談した翌日に亡くなっています。健康確保の時間数設定は過労死防止の歯止めにはなっていません。 六、高度の専門職という規定では、三十代、四十代、五十代の働き盛りの専門職、管理的職業従事者が該当します。この年齢層のホワイトカラーでは過労死と過労自殺が多発している実態があります。 私の夫、中原利郎は、都内の民間病院に勤務する小児科医師でした。十九年前、一九九九年に長時間労働、過重労働が原因でうつ病を発症し、勤務先の屋上から投身自殺しました。享年四十四歳でした。 十一年の裁判終了後、死んでからでは遅過ぎる、労働者の命や健康を守るのは政府にも責任があるはずと思い立ち、過労死防止法制定に尽力しました。二〇一四年六月二十日に過労死等防止対策推進法が全会一致で制定されたときには、ようやく過労死をなくす活動に踏み込めると思いました。 しかし、その僅か四日後に、裁量労働制の拡大と高度プロフェッショナル労働制を盛り込んだ文書が閣議決定されて、私の夫は高プロ制を先取りしたような働き方をして亡くなったことが分かりました。高プロ制には人が亡くなるわながあると気付きました。 医師は高プロ制の対象業務として想定していないといっても、その働き方はまさしく、残業代なし、勤務時間無制限の高プロ制先取りの勤務体系でした。亡くなる前には、愚痴などこぼさない夫が、馬車馬のように働かされている、病院に搾取されている、病院に殺されるとつぶやいていました。小児科医は天職と自負していた夫が、小児科医師なんて誰からも感謝されない、くだらない職業だと言い残し、社会に絶望して亡くなりました。しかし、中原先生が部長になって売上げが上がりました、葬儀委員長だった院長の挨拶に、私は愕然としました。ベッドの稼働率を上げ、成果を上げ、病院に尽くした代わりに命を落としたのです。 そもそも、超長時間労働と果てしなく成果を求め続けられる働き方をすることで、高度のプロの仕事が果たせるのでしょうか。健康確保措置は効くのでしょうか。医師の面談といっても、医師の働き方そのものが過労死ラインを超えての超過重労働です。小児科医師だった夫の健康を確保する手だてはありませんでした。院内で働く医師たちは、それぞれ自分のことで目いっぱいでした。高プロ制の働き方では、人は過労死します。長時間労働は、過労事故死、業務上のミス、医療者でしたら重大な医療事故、それから過労死、過労自殺を生み出す最悪の働き方です。 皆さんおなじみの詩があるので、ちょっと聞いてください。 僕の夢 大きくなったらぼくは博士になりたい そしてドラえもんに出てくるような タイムマシンを作る ぼくはタイムマシンに乗って お父さんの死んでしまう前の日に行く そして仕事に行ったらあかんて言うんや 大きくなってもぼくは忘れはしないよ 得意な顔して作ってくれた パパ焼きそばの味を ぼくはタイムマシンに乗って お母さんと一緒に助けに行こう そして仕事で死んだらあかんて言うんや 仕事のための命じゃなくて 命のための仕事だとぼくは伝えたい だから仕事で死んだらあかんて言うんや これは、マーくんという子が、小学校一年生のときに、父親を就学前に亡くして書かれた詩ですので、皆様も聞いたこと、読んだことがあるかもしれません。こういった遺児を出さないということも大切な仕事なんじゃないでしょうか。 我が家の場合では、高校三年生のとき被災した長女は、医者にだけはなるなと言い続けていた父親の言葉に背いて、今小児科医になり、夢中で父親の後ろ姿を追い続けています。反抗期真っ盛りの十五歳だった長男は、今三十四歳になっていますが、世界中で尊敬できる人間はおやじ一人だけ、もっと話をしたかったとつぶやきます。十二歳だった末の息子は、父親と同じように大のサッカーファン。ワールドカップの試合を見ながら、一緒にこのゲームを見れたらよかったのにな、ばかだな。父親に触れた発言は十九年間の中でそのたった一回、その言葉だけです。それぞれに心の傷は癒えません。これからも一生消えない悲しみを胸に秘めて過ごすのでしょう。こんなに苦しい思いをするのはもう私たちだけでやめていただきたいのです。 裁量労働の拡大や高度プロフェッショナル制度の新設が過労死を促進することは、これまでの議論で十分はっきりしました。政府には、法案提出は取り下げていただき、是非、過労死の促進ではなく、過労死を防止するためのより具体的で実効性のある対策を議論することに時間を費やしていただきたいということを強く申入れいたします。 御清聴ありがとうございました。
○委員長(金子原二郎君) ありがとうございました。 以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○渡邉美樹君 質問の機会をいただき、ありがとうございます。自由民主党の渡邉美樹でございます。 お二人の公述人の貴重なる御意見に対して感謝したいと思います。特に、中原公述人の御意見には心深く共鳴しつつ聞かせていただきました。ありがとうございます。私も十年前に愛する社員を亡くしている経営者でございます。過労死のない社会を何としても実現したいと、そのように私も考えております。 〔委員長退席、理事丸川珠代君着席〕 その上で、幾つか質問させていただきます。 まず、働くということの概念についてお話を聞かせていただきたいと思っております。 私は、もちろん過労死は絶対にいけませんが、働くということは決して悪いことではなく、それぞれについて生きがいであり、自己実現であり、人は働くことでたくさんのありがとうを集め、そして成長していく、そんな大事なものだと思っております。ましてや、人しか資源のないこの日本であります。それが、国を挙げて働くな働くなということでは、これからますます増える高齢者の方々も守ることができないと、そのようにも感じております。 公述人のお二人の働くということについてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○公述人(山田久君) 働くということは、いろんなやはり意味合いというか意義が我々にとってあると思います。 直接的には、当然、働くことによって、今の日本経済というのはいわゆる市場経済ですので、所得を得るために働くということは必要なんですけれども、もちろんそれ以上の、ある意味社会に参画をしていくということですね。働かないということは、やはり社会から隔離されてしまうというふうな可能性も出てくるというわけですから、そういう意味では、働くというのは、極めて単純にその生活の糧ということを超えた非常に重要な側面があるということだと思います。 ただ、この働く、もう一つ重要なのは共に働くということなんだと思うんですね。一人で働いているんじゃなくて一緒に働いている。ですから、いろんな健康管理とかの今回の話もそうなんですけれども、やはりその集団として、組織として健全な組織であればそういう過重労働のようなことも避けられるということで、働くというのは共に働くというところの重要性というのが再認識されるべきなのではないかというふうに考えております。
○公述人(中原のり子君) 私は、やはり労働に関しては、先ほどのマーくんの詩ではないんですけれども、やはり仕事は、仕事と命と比べたらやはり命を大切に、その命を守るための仕事であるというふうに私は考えます。 私自身も家族を過労死では亡くしていますけれども、私自身薬剤師として働いていれば、医療者の方あるいは患者さんたちとのコミュニケーションとかそういった社会的参画ができるということで、やっぱり仕事はきちんとするべきだと思います。もちろん、知識も高めて、そして喜びを持って生き生きと生活するための仕事、それが本当の仕事、苦しいとかノルマだけを課せられる、ちょっとそういうのは違うんじゃないかということで、決して私は労働に関して全てを否定するものではありません。
○渡邉美樹君 どうもありがとうございます。 中原公述人にお聞きしたいんですが、御主人が本当に残念ながら亡くなられたわけで、小児科は天職だと、まさにその仕事を生きがいだということで働かれていたわけですが、その後、自ら命を絶つということになったと。これにつきまして、じゃ、なぜその生きがいから苦痛になってしまったのか、一体それは何が理由だったのか、それはどうすれば防ぐことができたのかということをできれば教えていただきたいと思います。
○公述人(中原のり子君) 先ほども発言いたしました、やはり本当に生きがいを持って、子供が大好きで、自分は小学校の先生になるか小児科医になりたいという、それがもう小学校のときからの夢だったようです。それが、大学で小児科医になるということを決めてから、本当に生き生きと小児科医としての誇りを持って、夢と希望を持って始めた仕事がやはり長時間労働。特に夫が亡くなる前に、六人いたスタッフが三人に半減してしまったということですね、そこが一番大きなターニングポイントだったと思います。 じゃ、三人になったんだったら増やせばいいじゃないかという。実は小児科というのは、学生たちや医学生たちが一番なりたい科が小児科、でも一番なりたくない科が小児科と言われるほど、研修をしてみれば非常にやっぱり厳しい科であるということで、その長時間労働ですね。特に当直というのは、夫が亡くなって分かったんですけれども、医者の当直に労働性がないということを労基署の方から言われて、やっぱりそのシステムがなってない、それを私は痛感しました。 ですから、本当に一生懸命、医療者にもっと国民の健康と命を守ってもらうために、彼らに生き生きと働いてもらうためには、まさしく今も、医師の働き方改革五年猶予されていますけれども、毎年医師の過労死のニュースが複数、毎年出ています。そういったことをなくすために、五年猶予ではなく今すぐ待ったなしに取りかかるということが大事なんじゃないかということを思っています。
○渡邉美樹君 どうもありがとうございます。 では続いて、先ほど御意見いただきました高度プロフェッショナル制について御質問をさせていただきたいと思います。 もちろん、私も安易な導入については反対であります。単純にこれが長時間労働につながるならば決して働く人の幸せにならないと、そう思っております。ただ、これは山田公述人の論文にもございますが、労働時間の投入と成果の関係性が薄い業務に従事する労働者のみであり、そして、徹底して労働者の健康管理が行われることを前提としてこれらの制度を導入することは働く方々にとって、会社にとっては私はどうでもいいと思うんです、働く方々にとっていいことなんではないかなというふうに実は思っております。その本人にそれだけの力量があり、そしてそれを上司がしっかり認めている前提で、なおかつ本人が望んでいること、これがもう大前提ですが、その中であれば、時間に縛られないで成果を約束した仕事をする、労働者の生活の充実や生産性向上にそれはつながり、結果として労働時間も収まり、みんながハッピーなことになるんではないかなと、そう思っております。 〔理事丸川珠代君退席、委員長着席〕 先ほど申し上げましたように、仕事が時間とお金のやり取りだけではなく、働く一人一人の自己実現や成長につながる、それが社員の幸せにつながるということを考えたならば、この制度を全面否定することはなく、何かしらの前提条件、これならばいいよということで導入した方が、この制度を望んでいる方もいらっしゃるわけですから、それを是非導入させていただいた方がいいのかなというふうに思うんですが、そのことについて、その条件等の御意見いただきたいと思います。山田公述人と中原公述人、お願いいたします。
○公述人(山田久君) 先ほどの意見陳述の中でも申し上げましたが、やや繰り返しになりますけれども、二つの大きな重要な論点がございます。一つは、本来、制度がまさに想定をしている裁量性の高い、自由度の高い本当のプロに適用されるためのその仕組みをどうつくるのかという問題。それともう一つは、そうはいうものの、日本人はどうしても長時間働いてしまうというやはり習慣を持っていますので、結果としてやっぱり過重労働につながってしまう。ですから、一定程度の健康確保措置ということはやはり導入する必要がある。その二点ですね。 一点目に関しましては、今の一応想定されているものに関してはほぼ妥当なというか、一定程度のやっぱり転職ができる人たちであり、給料も高い。給料が高いというのは、それなりの企業がそれなりの能力があり評価している人たちなので、やっぱりそれだけの、転職するだけの能力がある人たちですし、列挙されている、今例示されているのは専門性の高いというところなので、原則は大丈夫じゃないかなと思うんですけれども、それは具体的なそれぞれの職種についてのやはりもう少し詳しい議論というのも必要ですし、労働政策審議会の報告の中では、法案が通った後、もう一度労働政策審議会の中で具体的なところは議論をするというふうになっていますので、再度それは精査していって、本当にそういう形に適用していくというのが一つ重要だと思います。 健康管理措置に関しましては、これも本当に、ちょっと申し上げましたように、裁量性といっても、手順の裁量性は多くの場合は認められるんですけど、量のところの裁量性が必ずしも担保されていないケースがあります。こういうところも、これは人によって違うわけですね、そこの実態を見ながら、やはり量のところがなかなか難しいということであれば、一定の健康管理措置を強化していくという、そういうふうな形でやることが必要なんではないか、そういうふうに考えております。
○委員長(金子原二郎君) 時間が来ておりますが、中原公述人、何か、簡単に。
○公述人(中原のり子君) はい。 私も山田先生と大まか同じような形なんですけれども、基本的に、インターバル規制も取れていない、インターバルを導入できているのは日本の企業の約三%、労使協定も守れない、今一八%を切っているような状況で、これが本当に労使協定なのだろうかとか、あと、やはり一日の上限時間の規制もなくて、私たちの家族会の中では、二十二時間連続勤務の後、帰宅のときにバイクで自損事故、居眠り運転をして亡くなってしまった過労事故死というのも起こっていますので、様々なところのあの手この手の手当てがないときには、ちょっとかなりこの導入は難しいのではないかというふうに考えます。
○渡邉美樹君 貴重な意見ありがとうございました。 質問を終わります。ありがとうございました。
○熊野正士君 公明党の熊野正士です。 本日は、山田公述人、また中原公述人、貴重な御意見を賜りまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。 また、中原公述人は、御主人の御冥福を心からお祈りしたいと思います。子供さん方が本当に力強く生きていらっしゃるお話を聞きまして、大変感動いたしました。中原公述人、本当に子供さん方を一生懸命育てられたんだろうなというのが大変伝わってまいりました。 私も二十五年間医者をしておりまして、今、医者の、医師の働き方改革ということで特出しで検討会等でも議論がされているわけでございますが、特に医者の、医師の働き方ということに関しまして今議論がされているわけですけれども、中原公述人が今ここは一番特に議論してほしいと、大事だなと、いろいろあると思いますけれども、その辺の御意見を賜れればと思いますが、よろしくお願いいたします。
○公述人(中原のり子君) そうですね、先ほどの話にもちょっと、渡邉議員のお答えにもちょっとつながるかと思うんですけれども、やはり医者はどうしても長時間労働に陥りやすいということで、長時間労働というのはやはり人間の思考をストップさせてしまうという大きな落とし穴があるんですね。どんなに優秀な方でも自分でコントロールできなくなってしまうという、そこに当たってしまうことが多いのではないか。 医師の場合には、やはりまだ各地で、例えば奈良の産婦人科の最高裁の判例とか、あとは神奈川の医師のように、固定残業代プラス残業代を払うべきだという最高裁の判決などもあり、何かそういう個別に少しずつ少しずつ決まってはくるんですけれども、やはりもう本当に抜本的なきちっとしたルールがないという。昔の赤ひげ先生をそのまま今も踏襲させるというのは、昔の医療と今の医療の進歩とは懸け離れていますので、やはりそのベースが違うので、昔の働き方をそのまま医師の働き方で持ってくるのは。あと、応招義務ですよね、そういうのの廃止のことについても、今、医師の働き方検討会でも行われているかと思います。そういう本当に現場の労働者、医療者に有効なものは早急に導入していただきたいというふうに思っています。
○熊野正士君 ありがとうございます。 確かに、責任感が強ければ強いほどどうしても働いてしまうという側面がございますし、患者さんのためにというところで一生懸命に働き過ぎてしまうと。そういった意味でいうと、本当に本人は働きたいんだけれども、働かなければならないと思っているところをどうやって抑制していくか、健康確保措置をしていくかというところが非常に大事になってくるんだろうというふうに思います。 そこで、お二人の公述人にお聞きしますけれども、この健康確保措置について、そこのところで、例えば労働時間が超過しているから休みなさいというふうなことであったり、あるいはしっかりと健康診断を受けなさいというふうなことであると思いますけれども、山田公述人の方からもこの健康確保措置について課題もあるんだというふうなこともございましたので、この健康確保措置について御意見をお二人から伺えればと思います。
○公述人(山田久君) これも先ほどの陳述の中にも申し上げたんですけれども、大原則として裁量性がないと駄目ということなんですけれども、その裁量性で問題になってくるのは、その仕事量が結構コントロールできていないケースが実際はそこそこある、そこのやはりコントロールをどうするかということなんだと思います。 元々そこが本当に自分なりに決めれるような人であれば、ほとんど健康管理措置というのは本当に必要最低限、必要最小限でいいということだと思うんですけれども、実際には徐々に、トレードオフというか、非常にグレーなところが実際存在するわけで、そこに関しましては、やはりその実態を見ながら徐々に、その量がコントロールできないのであれば、いわゆるインターバル規制であったり全体の上限の規制ということをやはり考えていかなければならない。 ここのやはり実態が、やっぱりそこを、本来はやはり一番よく分かっているのはその現場の人たちですので、理想でいうと、やっぱり労使委員会とかをしっかりつくって、ただ、ここの部分が場合によっては余りワークしていないケースもありますので、ここは私も今の段階で完全にどういうふうにしていけばいいのかといういいアイデアというのはないんですけれども、非常に良心的にやるところはほとんど問題ないんですけれども、そうでないときにどうしていくのか。まあ一定の、基本的にはそれを、協定したものを労基署なんかに出すわけですけれども、そこのチェックみたいなところでやっていくのか、抜き打ちのような検査でやっていくのか、短期的にはそういう話だと思います。 でも、中長期的には、最後にちょっと私が申し上げたんですけれども、やはり改めて従業員代表制のようなものをしっかりつくっていって、しっかり労使対等の、日本での集団的労使の関係をきっちり制度的に担保していくというようなこともやっぱり考えていくということが必要になってくるんじゃないかなと思います。
○公述人(中原のり子君) 夫の場合は、やはり仕事量に関して、当直のときには寝れる日もあれば眠れない日もあるというような、いつ何が起こるか分からないという常に緊急態勢の下でのその仕事の長時間労働ということですね。要するに、時間管理ができていないということが一番の問題なのではないかと思います。 私の夫の場合もやはりタイムカードがなかったので労働時間の実態が把握をすることができませんでした。裁判所の方で私の夫の時間外労働は八十三時間という時間を出されたんですけれども、それは当直を除いての八十三時間で、どこからどのように算定していただいたのかもちょっと分からない状況で、ですから、その時間管理ということは最も大前提なのではないかと思います。 特に、夫のようにやっぱり忙しい、そして病院に働いているのに、忙し過ぎて、誕生月には健診を受けるという病院の内規があるにもかかわらず、忙し過ぎて病院にいながら健診もできない。それから、産業医制度についても、やはり今の産業医制度においては、ちょっとそれを健康確保措置に、いきなり産業医に任せるというのは非常に不安を覚えます。眼科医の方とか皮膚科医の方でも、現場が余りにも忙しいので、産業医の講習を受けて産業医になろうという方もいらっしゃるのが現実です。私の夫も実は産業医していましたので。会社の顧問の産業医していました。 ですから、そういったところで、本当にその産業医というのが循環器内科がふさわしいのか精神科医がふさわしいのかということを、もっときちっとした形がないと、今の状況ではとても不明確なまま、ただ健康確保措置、医者に見せるというのは、医者だってもうへろへろなのに、そんな、そこに任せるというのはかえってまた医者を追い込むことになるのではないかと思って、私は非常に危惧しています。
○熊野正士君 ありがとうございました。 続いて、裁量労働制ということに関して伺いたいと思います。 山田公述人の方からは、裁量労働制あるいはまた高度プロフェッショナル制度というのは、これ、制度そのものはある意味必要だと、その運用をどうやっていくかということが非常に大事なんだというふうな御意見を伺いました。 その上で、裁量性の低い労働者の方にこの裁量労働制を適用するのはもう論外だと、問題があるということで、先ほど非常に分かりやすく、仕事手順の裁量性ということと、それから仕事量の裁量性ということでお話伺いまして、手順の裁量性はあっても仕事量での裁量性がない場合が問題なんだと。例えば、上司から言われて仕事量が決まっているとか、あるいは顧客の方からの仕事量で、どうしてもそれやらないといけないみたいなときに、どういうふうなことでやっていけばいいんだというふうなお話を伺ったんですけれども、その辺のところをもう少し詳しくお話を伺えればなと思うので、よろしくお願いいたします。
○公述人(山田久君) もう先ほど先生がおっしゃった枠組みですね、その量に関しましては、大きく原因としては、上司の方が結果としてどんどん仕事を与えていくと、手順は決まっていても量がコントロールできないと、これはもう本当に過重労働になってしまう。それから、上司はそれをやらなくても、お客さんのやっぱりニーズからどうしてもそういうものが増えてくると、これは対応せざるを得ないということですね。ここに関しては、そういうケースであればやはり単純に放置はできないわけですね。 前者の上司の方は比較的これは分かりやすいというか、まだそこはその会社の仕組みですから、上司の方が、もう一度上司の再教育をしていくとか、そういうことをやっていくということなんですけれども、顧客に関しては、顧客ですので、これは実は上司がその間に関与してコントロールするとかというふうなことが逆に重要になってくるという。だから、ケース・バイ・ケースで、やはりどういうケースではその量が増えやすいのか、そのときの対応みたいなことをやはり整理をしていって、何らかのやはり行政としてもそういう指針なり、ものを作っていくということがやっぱり大事なんだと思います。 それと、大前提として、今回実はこの改正案、取下げになりましたけど、そこに入っていて一つやはり評価されるのは、これまでは裁量労働制は労働時間の全体の記録を必ずしも取らなくてもよかったんですけれども、客観的に取れというのが入っていますので、これをやることによって、これは第一歩なんだと思うんですね。それを把握することによって、実態としてどれぐらい長くなっているのか、であればどう対応していくという、非常に大きな枠組みでいいますと、そういうふうな考え方でアプローチしていくべきじゃないかなというふうに考えております。
○熊野正士君 ありがとうございました。 本日のお二人の御意見を参考にして、これからも議論してまいりたいと思います。大変にありがとうございました。
○片山大介君 日本維新の会の片山大介と申します。 今日は、山田さん、中原さん、大変貴重な意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございました。 それで、私は、日本維新の会は多様な働き方を認めていこうという考えではあるんです。ですけれども、私、議員になる前は記者をしておりまして、記者というのももう時間管理が全くない中で働いてきました。だから、その厳しさというものは大変よく分かっていますし、記者時代に医師の勤務の過酷さ、私の場合は産婦人科医の取材だったんですが、それも取材して本当によく分かっているので、中原さんの言われることが本当に身にしみて分かりました。本当にありがとうございました。 それで、まず高プロについてお伺いをしたいんですが、高プロについてお二人の意見、それから文献も読ませていただきましたが、意見は分かれていると思います。 それで、山田先生は、高プロの導入に当たっては、裁量労働制と同じく、まず適当な労働者にきちんと適用されるのかどうかというのと、あとは健康管理、これが大切だというふうに言っていて、高プロについては健康管理のための労働時間の把握をするので無制限に働かせることはないというふうに一応言っています、厚労省としては。だけれども、その労働時間の把握の仕方について、会社の外で仕事をすることもあるので、そこは自己申告に任せるというふうになっています。 私、この自己申告というのはすごく厄介だと思っていて、私もかつて記者時代に自己申告で勤務時間把握したことがあるんですが、なかなか自己申告になると正直に言わなくなってしまう。そして、今あるサービス残業の問題も、労務管理が自己申告になっているケースから生まれることというのはよくある、そう思っています。 それで、中原さんの対談記事も読ませていただきましたが、そこではやはり、病院は医師の勤務時間の把握に消極的だったとか、あと、現在でも医師による自己申告による病院もあるというふうに書かれています。 そこで、まず最初にお伺いしたいのが、その自己申告による労働時間の把握、これは本当にできるのかどうか、これについてお二人の意見をお伺いしたいと思います。
○公述人(中原のり子君) やはりタイムカードがないと、全く、時間の申告というのが、こちら側が主張するものは認めてもらうことができませんでした。特に、裁量労働ということで、私たち家族会の仲間でも裁量労働で何人かお亡くなりになっているんですが、皆さんやっぱりその時間管理が、会社が時間管理していないので、こちら側が、原告というか遺族の方が主張する時間をなかなか労基署とか裁判官の方たちが認めてくださらないというのが実情です。これはもう本当に、やはり会社が時間管理をするということ、きちっとその前提がないと非常に危うい制度なのではないかと思います。 今日、私の後ろに随行でいらっしゃる、NHKの佐戸未和さん、過労死した佐戸未和さんのお母様もいらしていますけれども、やはり事業外みなし労働ということで、こちら側から主張する時間と認定された時間とはやはり乖離があるということで、そのやっぱり時間把握のところが一番大切なんじゃないかと思います。 やはり労基法の中で、もう時間外労働は四十五時間過ぎたら健康に被害が少しずつ出てくるというそういう医学的所見もあるわけですから、やはりその四十五時間を私は守るべきだと思います。もう八十時間過ぎたらこれは過労死ラインだねということで、私の夫も八十三時間で労災認定をすることができました。百時間はもう本当にもってのほかで、もう大分亡くなってしまっている方もおられる。脳・心臓疾患では労災認定の半数以上が百時間以内で亡くなっているという実態から考えて、やはりその時間管理はきちっとしていただかないとこれはいけないのではないかということを強く思います。 以上です。
○公述人(山田久君) 本来、この適用のところですね、元々やっぱりまさにこの趣旨というのは、労働時間と成果というのが乖離する人たち、労働時間を投入すればするほどアウトプットが増えるところにはこれは適用しては駄目な制度ですので、本来はそれは入口のところでしっかり考えていく、規制していくという話なんですけれども、ただ、実際のところはグレーなところがあるというのは、もう先ほど来から申し上げているところかと思います。 そのときに、やはり欧米というのは、もちろん過労死の問題、過重労働の問題、ないわけじゃないんですが、相対的にこの問題が日本ほど言われない背景にはやっぱり二つあると思うんですけれども、一つは、日本はやっぱりいわゆる仕事の内容が曖昧で、就社型の働き方ということで、それをやはりもう少し仕事の範囲を明確に、責任を明確にしていく。全体としてのそういう働き方に、まあ欧米はそうなっているわけで、変えることによって、おのずと一定程度の抑制が利く部分が出てくる。 それともう一つは、働く人たちの意識の問題というのもあると思います。何かやはりめり張りを付けていって、やっぱりこれだけは休まないと駄目だ、それが結果として、日本の社会、これは本人というか社会の感覚としてそうなってきたからということだと思うんですけれども、そういうふうなところの部分も欧米とは違う。だから、そういう部分も含めて、やはり全体としてめり張りを付けて働いていく、長く働くということは良くないんだという考え方自体を社会にやっぱり浸透させていくということも大事なんじゃないかなと思います。 ただ、いきなりそれができませんので、これまで申し上げてきたような、全体としての、場合によってはやっぱり上限規制を入れていったりインターバル規制を入れていくというふうな、いわゆる裁量労働制であってもケースによってはそういうことも考えていっていかなければならないというふうな、そういう話なのではないかなというふうに考えております。
○片山大介君 それで、山田先生の文書を見ると、業務時間と生活時間を柔軟に配分できる仕組みが必要というふうにあるんですが、裁量労働制とか高プロとかになると、会社じゃなくて家で仕事を持ち込むことも出てきますから、そうすると私は生活の中に仕事が入り込んでくることになるんじゃないかなと思っているんです。 例えば、家で食事をしながら仕事をしたりだとか、それから休みの時間に仕事のことを考えたりだとか、要はめり張りの問題が出てくるんじゃないかなと思っていて、そうした中で、今言ったように、きちんと分けて、労働時間は労働時間としてやれて、そしてその時間まで把握までできるのかということに対しては、これはどういうふうにお考えか、お二人の意見をお伺いしたいと思います。
○公述人(中原のり子君) やはり私たちの被災した仲間の中には、上司からの、昔でしたら仕事のやり取りは書簡とか切手貼って郵便物で受け取ったり、あるいは会社でいろいろ書類の受渡しでできたかと思うんですが、今は会社の中で上司から部下にLINEで連絡が来るというような状況で、LINEで連絡が来たときに五分以内にLINEを返さない、返事を返さないと翌日お叱りを受けるというような、その情報システムの、もう昔とはちょっと違う本当にスピーディーな、今すぐ回答を求めるというような、そういうような働き方を強いられているというのが実情だと思います。 今、パソコンなどでも、もうどこでもビジネスという、ハード、ソフトみたいな、そういうのもあるみたいで、もう家でもどこでも外回っていても、パソコンを開ければすぐ仕事ができるよねというような、そういうものも出回っているようですし、実際に多くのビジネスマンがそういった形で、もう既にいつでも二十四時間臨戦態勢という形で仕事をしているのが実情ではないかというふうに思います。 以上です。
○公述人(山田久君) なかなかこれ、仕事の内容として、ホワイトカラーの非常に特定のいわゆるプロ的な仕事というのは、例えば研究職のようなところというのはそれに近いと思うんですけれども、いわゆる自己啓発的な部分と労働のアウトプットというのが混然と一体となっているケースがありますので、そういうところを明確に分けるというのは難しいというのも事実なんだと思います。 ただ、それを、一種の、仕事がアディクションというか、仕事中毒になってしまうと、いつの間にか健康被害になってしまう、あるいは本当に責任感からそうなってしまうというケースが出てきますので、やはり一定の休むということに関しての、例えば長期の休暇を取るとか、これはケースによるんですけれども、業務によってこれが入るケースと入らないケースがあると思うんですが、やっぱりインターバル規制みたいなものを入れていくことによって対処していくということが、これなかなか、仕事とかというのは非常に多様になっていますので、そこの部分が一般論としてはなかなか難しい。 それが先ほどの話にも戻ってくるんですけれども、幾つかのパターンを例示しながら、最終的にはやっぱりその場の労使であったりということで決めていくしかないんですけれども、そういう形で、実質的に一定のやはり時間、仕事から完全に解放されるということを人間はやっぱりやっていかないと健康管理ができませんので、そういうことを社会として全体として共有する中で工夫しながら考えていくということをやっていく、それが必要なんじゃないかなというふうに考えています。
○片山大介君 ありがとうございました。 それで、ちょっと最後時間ないので、あと業務や成果の評価についてなんですけれども、ただ、これが合意された業務内容であっても評価の仕方が不適切だったりだとか、あと業務量が多ければ、これどうしても働き過ぎになっていくんですが、ここの歯止めというのはきちんと作れるものなのかどうか。この評価基準というのはなかなか簡単に基準作れるものではないんですけど、それの考え、簡単にお二人からお伺いして終わりたいと思います。
○委員長(金子原二郎君) お二人にですか。
○片山大介君 はい。簡単で。
○委員長(金子原二郎君) じゃ、簡単に。済みません、時間が来ておりますので。
○公述人(山田久君) それは、最低として、やっぱり通常の労働時間で一定の収入が確保されるような成果の、何というか、報酬制度になっていないと、これは悪用になってしまうということですね。それは少なくとも最低は言えるということだと思います。
○公述人(中原のり子君) やはり評価というのが、誰がどう評価するのかというのが非常に難しいと思います。私たち家族会の中でも、やはり、叱られ続けて評価をもらえなくて、残業代を申請したいと言っただけでAランクからBランクに落とされた労働者も、若者もいましたので、誰が評価してくれるのか、どう評価してくれるのかということですね。 うちの夫なんかも、やはり長時間労働で誰も評価してくれる人がいなくて、更に売上げを上げてほしいということで、小児科の先生たち頑張ってねってハッパ掛けられて、その中でやはり追い込まれていったので、誰も評価してくれなかったというところがやっぱり大きな問題だったと思います。
○片山大介君 ありがとうございました。
○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。よろしくお願いいたします。 今日は、お二人の公述人の、本当に私も胸が打たれるような場面もございましたけれども、私自身のまず話をさせていただきたいと思います。 私も医師でございまして、実は産業保健を専門としている産業医でございます。中原公述人がおっしゃったように、産業医って腰掛けでできるものじゃないんですよね。本当は、もっと産業保健の分野というのはこの日本の中で確立していくべきだというふうに私は思っておりますし、そのためにこれまで厚生労働委員会でも議論をさせていただきました。 そういう前提があって私はお尋ねしていきたいんですけれども、まず山田公述人、海外の様々な事例の中で、これ産業保健を上手に取り込みながら労働環境を整備していっているというものがございましたら教えていただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○公述人(山田久君) 済みません、申し訳ありません、産業医に関しての海外の事例に関して私はそれほど知見がございませんので、この場でお答えするだけの知識を持ち合わせておりませんので、申し訳ございません。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。やっぱり、これは各国かなり様々、その背景も違います。 でも、私、一番産業医やっていて困りますのは、働き過ぎであったりメンタル系の病気でもう休まなきゃいけないよねということが分かっている、でも御本人が納得していただけないんですよ、そういう場合って一番。もう一週間、二週間説得してもやはり会社にいらっしゃる、病院には行っていただけない。だから、そこの、私はもっと、山田公述人がおっしゃったように、教育の場面からやっぱりワークルールというものを学び、そしてしっかりと自分を自分で守るということを、労働者として、その権利としてももちろん持っておかなければならないし、知識としても持っておかなければならないと思っているんです。 ワークルール教育法案というのも私ども超党派で今考えておりますけれども、その辺りのところにつきまして、お二人の公述人の方々に是非何か、アイデア、若しくはこういうことを盛り込んでもらったらもっと上手に環境整備ができるんじゃないか、お話しいただきたいと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。
○公述人(中原のり子君) ワークルールにつきましては、主に今、労働弁護団の先生方が一生懸命活動していらっしゃると思いますけれども、私たち、四年前に過労死防止法ができて以来、厚生労働省が後押しをしてくださって、私たち遺族と弁護士がセットになって、中学、高校、大学、専門学校などへのそういう過労死の啓発授業ということで、ワークルールを取り込んでもらおうということで、積極的に私たち動いております。 ただ、何分にも、遺族の数も、まあ変な話、限られているのは当然ですけれども、なかなかこうやって声を上げることのできない、遺族が、もう限定されているということ。それから、あと、学校側が、やはりいきなり過労死の話をすると生徒が刺激が強過ぎるんじゃないかというようなことで、受け入れてくださる学校がまだまだ、どこの学校も両手を、もろ手を広げて受け入れてくれるという状況ではないので、私もこんな過労死の、いつも泣き出してしまうような、そういうことはふだんは言っていませんので、若者たちが社会に飛び立つときに、せめて先生がおっしゃったように、やはり自分を守るための意識とかそれから知識、それを備えてほしいということをいつも訴えていますので、ワークルールは、これはもう本当に、労働弁護団、過労死弁護団も共に今、一生懸命私も協力させていただいているところです。 ありがとうございます。
○公述人(山田久君) 一つは、私はメディアの影響力とか力というのはすごく大事なんじゃないかなと思います。結果的にこの十年ぐらいでそのワークルールとか働き方に関してメディアとして取り上げたりするというケースが増えてきていると思いますし、そういう流れをやはり増やしていくことによって、結果として個々人がいろいろ考えていくということになっていくんだと思います。 それと、ワークルールというと、ちょっと、何ていうんですかね、少し法律の世界とかとなりますので、普通の人はかじりづらいというか、ことがあるので、もうちょっと、キャリアというんですかね、そのキャリアを考えていく。その中に当然、働く人たちの最低限の主張、必要なルールというふうなことも一緒に教育していくような、そういう何かキャリア全体を教育していくようなプログラムをどこかもう学校の、まあキャリア教育みたいな話って最近入ってきていますので、そこの中にワークルールのものを一緒にセットしていくというのも一つの考え方なのかなというふうに思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。 私、オーストラリアで介護職になろうという方の専門教育の一緒に受けさせていただいたことがあったんですね。そうしましたら、一時間目にこれがあるんですよ、働き方。こういう働き方をしなさい、あなたたちにこういう権利があるんですよ、だから、ハラスメントというのはこういうものを示すんですよと。まず、介護とは何ぞやというよりも、まず第一時間目にそれがあるって、私はすごくそのときに衝撃を受けました。やっぱりそこが多分、意識がこれだけ国によって違うのかなというようなものも感じたところなんですけれども、やはりこういう意識の中で日本人が日本人的な働き方を強いられてきた。 でも、これから私たちは様々な法案も出してまいりますけれども、私も産業医の現場にいて一番難しいのが企業の理解なんですよ。結局は、管理職にしてしまえばとか、スイッチのオンオフで、今パソコンで管理されているところも多いですけれども、でも、それを抜き取って自分でやっていらっしゃる方もたくさんいらっしゃるんです。だから、企業としてどうやってこれを、法を遵守していただくのかということもひとつ私ども考えていかなければならないと思うんですけれども、それに当たりまして何かアイデア等々ございましたら教えていただけますでしょうか、お願いいたします。お二人にお願いいたします。
○公述人(山田久君) ある意味今は、そういう意味では企業が考え直さないと駄目な時代になっていると思うんですね。それはやっぱり人手不足の問題で、よくブラック企業だというふうなレッテルが貼られますと、これは当然そこに人がやっぱり入ってこないわけですね。これは大手はもうまさにそうで、大手、中堅はそうですね。中小企業でも今はまさに絶対的に人手不足になっていますので、やはりその部分で、結果として働く人たちの企業を選ぶという力というのが今出てきているんだと思います。 逆に言うと、これを機会に、企業が働く人をやはり長期の視点でしっかり健康確保もして育成もしていくということが実は企業の発展につながるというところをある意味学習する今機会なんだと思うんですね。 いろんな研究があるんですけれども、ある研究を見ていても、やはり労使関係が極めて良好なところというのは長く継続的に成長できるというふうな研究があります。やはりワンマン企業というのは、短期的にはいいんですけれども、長期的に成長するというのはなかなか難しいということがあります。 ですから、そういう今追い風が吹いていますので、その中で企業自体がそういうことをしっかり築いていくような仕組みを、いろいろそれはメディアの発信も含めてやっていくということが重要なんじゃないかなというふうに考えています。
○公述人(中原のり子君) 私は、今日、私の発言の中であたかも働き方改革大反対というふうに聞こえた方もいらっしゃるかと思いますけれども、今、社会の中では、それぞれの分野で働き方改革という言葉がまず入っていっていると思います。ただ、働き方改革のそのシステムにおいては、皆さん、国民は、まだちょっとよく分からないけれど、取りあえず何か改革が起きるのかなということを期待を持っているんじゃないかと思います。 ただ、企業は、やはりワーク・ライフ・バランスのこととかワーキングシェアとか、そういうことがまだまだ企業の方でうまくいっていない、うまく進んでいないというのが実態かと思います。例えば、電通の場合には罰金五十万円ということで、そういう判決も下りましたけれども、これからも、この働き方改革の中で罰則規定というのがあるんだけれども、やはり私は罰則規定だけではなく、そこの会社がどういうふうに改善できるかというのを、やはりホワイト企業とか、厚労省の中では、くるみんとかいろんなマークで優良企業を推奨しているそういう制度もありますので、もっともっとそういうことを活用して、一度過労死は起こしてしまったけれども、でも、そこで意識改革、会社が、経営者側が意識改革して、これからホワイト企業になるんだという、そういう意識を持ってくだされば、別に私たちはずっと敵対意識で闘うなんていうことは思っていませんので、やっぱりそういうお互いにウイン・ウインであるべきだというふうに思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。 やはり、今回のこの法案というのは厚労省から提出されておりますけれども、おっしゃったように、健康経営って今経産省がやってくださっておりますし、ワークルール教育ということになるとまた文科省、様々やっぱり省庁がこれ、一丸となって取り組んでいっていただかないと、本当にこの日本の産業を取り囲む今、環境整備というのは難しいんではないのかなと思うんですけれども、山田公述人、その辺りのところで何か御意見ございましたら教えていただけますでしょうか。お願いいたします。
○公述人(山田久君) まさに、でも、働き方改革というのをやはりこれだけ政治の世界で取り上げていただいているというのは、非常にある意味、何というか、大きな変化の流れが生まれているんじゃないかな。 これはあくまで、私なんかも感じるのは、その出発点であって、いろいろ今日幾つか申し上げました、例えば、日本の就社型の働き方をどう変えていくのか、それとか労使、集団的労使の対等な関係をどうつくっていくのか。非常にこれは大きな問題なんですけれども、そういう大きな問題の中に実はこの労働時間の問題、過労、過重労働の問題というものなんかもあるということですので、短期的にはいろんな法律の規制も大事、これはもう必要ですけれども、同時に、そういう大きな改革を継続してやっていく。あくまで今が出発点だということを全体として共通認識を持ちながら継続していくということが大事なんじゃないかなというふうに考えております。
○公述人(中原のり子君) 私も山田先生と同じ意見です。 やはり人が死なないそういう働き方を、やっぱりせめて私たちのこういう被災した遺族も納得できるような、そんな働き方改革であってほしいというふうに思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。終わります。
○委員長(金子原二郎君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。 この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げます。 本日は、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手) 午前十一時に再開することとし、休憩いたします。 午前十時二十二分休憩 ─────・───── 午前十一時開会
○委員長(金子原二郎君) ただいまから予算委員会公聴会を再開いたします。 平成三十年度総予算三案につきまして、休憩前に引き続き、公述人の方々から御意見を伺います。 この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。 本日は、平成三十年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 次に、会議の進め方について申し上げます。 まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構です。 それでは、外交・安全保障について、公述人慶應義塾大学名誉教授小此木政夫君及び沖縄国際大学大学院教授前泊博盛君から順次御意見を伺います。 まず、小此木公述人にお願いいたします。小此木公述人。
○公述人(小此木政夫君) 最近の朝鮮半島情勢の著しい変化というのは、私が説明申し上げなくてもよく御認識のとおりだと思います。しかし、それがどのような性質のものなのかということを率直にお話し申し上げ、日本国としてもそれに対備していくということをお考えいただきたい、このように思う次第でございます。 南北の間の平昌オリンピックを媒介とする交流の始まり、そこから北側そして南側の特使が相互に訪問するというような事態になったわけで、その結果をもって、鄭義溶国家安全保障室、大統領府のですかね、大統領府の国家安全保障室長が情報院の院長とともにワシントンを訪問するというようなことになったわけであります。 それから先のことは御承知のとおりですが、この性質、この時代の流れの性質はどういうものかといえば、南北間で話合いが先に進展して、そのためには北朝鮮側の政策の転換というものがなければいけません。ですから、北朝鮮側では、去年の十一月の末に火星15というICBMを試射して、その後、ミサイル体系が完成したんだといって、そして新年に入ってからこれまでの瀬戸際外交のようなものを一気に転換して対話の方針に転じたわけでありまして、そのやり方を私は先南後米と言っています。まず南、後から米ですね、まず南との対話を推進して南北関係を改善した後、米朝関係の新しい展開に向けて突き進むというやり方であります。 そういう意味で、去年までの北の外交と今年の外交は質的に違うんだというふうにまず認識する必要があろうかと思います。つまり、瀬戸際政策から先南後米への変化というものがあったということなんですね。そして、平昌オリンピックを経て南との関係を著しく改善した後、今回の動きというのは、南北の共同のプロジェクト、米朝首脳会談という共同プロジェクトをワシントンで売り込んだということなんですね。売り込みは成功したと、一旦成功したと見なければいけないと思います。 もちろん、様々な留保は必要だろうと思いますが、しかし、四月の末に南北首脳会談が行われ、その後五月に、これは五月ですから五月の初めなのか後なのかによって随分違いますが、かなり連続的な形で米朝の首脳会談が開催されるというふうに考えた方がいいと思います。ですから、大変な衝撃が、この時期に外交的な衝撃が訪れるだろうというふうに私は想像しております。 伝えられたメッセージを見ますと、幾つかのポイントがございますが、しかし、余り注目されていない重要なポイントがございます。例えば、北側から南を通して伝えられたものの中には、非核化の協議をアメリカと行いたいんだ、ここが注目されている部分ですね。もう一つ、それから、米朝関係の正常化に向けての協議も行いたい、つまり米朝関係正常化を非核化の過程で実現したいと彼らは考えているということなんですね。この二つが大きなテーマになってくるわけであります。 それから、もう一点、余り注目されていない部分ですが、対話が持続している間には追加の核実験や弾道ミサイル発射試験など行わないと言っているわけですが、ここで言っているのは戦略的挑発を再開することはないと言っている。戦略的挑発という意味は、例えば、核兵器はもちろん戦略兵器ですね、ミサイルは、戦略的ミサイルといった場合は通常短距離のミサイルは入りません。ですから、IRBMからICBMまで、つまりハワイ、グアムから西海岸、東海岸に届く火星シリーズですね、いわゆる火星シリーズの実験はやりませんと言っているだけであります。 我々が最も警戒しているスカッドERというのは西日本をカバーするもの、まあ境界線にあるのは北極星2号と言われるものですが、これはまあ戦略ミサイルの部類に入れてもよろしいかと思うんですが、日本列島全体をカバーする、あるいはノドンミサイルと、こういったものの実験をやらないとは言っていないということなんですね。 彼らがここで言っていることは、つまり、アメリカとの協議の対象になるのも多分戦略的なミサイル、核であって、それよりも短いスカッドミサイルのような類いのもの、例えば、我々は経験したわけですが、三発、四発のスカッドERを続けて発射するような映像が御記憶にあろうかと思います。あれはこの北朝鮮側の約束には入っていないということでございます。 しかし、そのようなことを気を付けなければいけないわけですが、南北が今回行った共同のプロジェクト売り込み作戦みたいなものは、トランプ大統領によって受け止められているわけです。なぜ受け止めたんだろうかということに関しては、これまたいろいろな推測が可能になります。 しかし、重要なのは、これが南と北の共同のプロジェクトであった、共同の提案であったということですね。ですから、もしこれを拒絶すれば、北朝鮮の提案を拒絶しただけでなくて韓国の提案も拒絶したことになります。そうなると、残された選択肢というのは、結局軍事的なオプションと言われるようなものにかなり限定されてしまうわけであります。あるいは、拒絶された韓国が、韓国の世論がどう反応するかとか、つまり米韓同盟というものにひびが入ってしまうわけでありますから、そういったことを考えると、合理的にも受け入れなければいけないというふうに考えたと思います、これは瞬間の判断でしょうが。 もう一つの理由として、私は、トランプ大統領、最大限の圧力ということでこの間やってきましたけれども、しかし同時に、最大限の関与ということもちらほら言っていたわけでありますし、ツイッターでささやいている中には、金正恩委員長との会談を望むようなことも時々言っていたわけであります。それから、最も印象的なものは、今年の一月の十七日でありますが、トランプ大統領が記者の質問に答えて、そんな質問に答えることはできない、なぜならば、私は今重要なポーカーゲームを金正恩委員長との間でやっているんだ、手のうちを見せるわけにはいかないという趣旨の反応がありました。 私はそれを聞いて、はっと思ったわけですよね。あっ、この大統領はポーカーゲームをやっているのかと、それならば分からないではない。多分、そういった種類のもの、言葉に語弊があるかもしれませんが、ワンマン経営者特有のそういう取引のようなものをやってのけるという気質のようなものが双方にあったんではないか、あるんではないかと思うんですよね。それが今回の合意に至る背景にあるような気がいたします。 もしこれが会談が続けて行われるということになれば大変な衝撃だろうと申し上げましたが、失敗したらどうするのかということになると、これまた大変な衝撃でして、先ほど申し上げたようなこと、つまり即決した理由が逆の方に裏返ってくるわけで、軍事的なオプションしかないような状況がたちまち生まれてしまうわけですから、それはそれでまた大変な事態だと言わざるを得ないわけですが、多分、双方の間で、北側から伝えられた特別のメッセージというようなものというものは、トランプ大統領の心証に大きな影響を与えたんだろうというふうに私は思います。例えば、非核化は本当にやりますとか、裏切りませんとかというようなメッセージというのは、金正恩委員長からトランプ大統領に伝えられた可能性というのは十分にあるだろうと推測しております。 そんなわけで、今、日本外交が直面している事態というのはそれなりに深刻なものだと思います。これからまだ時間があるとはいえ、そうそう長い時間があるわけではありませんから、そのような外交的な衝撃に備えて、そしてそれにどうやって対応していくのかということが真剣に検討されなければならないと思います。 少し大げさに申し上げますが、一九七二年のニクソン訪中ですね、上海コミュニケが出て米中関係が正常化しました。この年のこれは二月のことですが、七月に南北共同声明というものが出ました。当時の朴正熙大統領と金日成主席、首相でしたね、まだ、の間で密使が交換されて共同声明が出されたわけですが、自主、平和、民族大団結という、こういう共同声明が出ました。そして、九月に田中首相が訪中されて日中関係が正常化したことは御承知のとおりです。 これは大げさ過ぎるかもしれませんが、そういう類いの衝撃、つまり、南北首脳が会談して、米朝首脳が会談した後、次に残ってくるのは、次に浮上してくるのが何かと言われれば、私は、日朝関係正常化とか日朝首脳会談というようなテーマが、こちらが望むか望まないかに関わりなく、浮上してくるだろうと推測しているわけであります。 その辺りのことをまだ、質問の過程でいろいろお答えしたいことはございますが、時間が参りましたので、私の公述はこの辺りにさせていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○委員長(金子原二郎君) ありがとうございました。 次に、前泊公述人にお願いいたします。前泊公述人。
○公述人(前泊博盛君) 今日は野党の皆さんからお招きをいただいたんですが、欠席ということで、おわびの電話もありました。沖縄出身の先生もいらっしゃるので、頑張っていきたいと思います。 沖縄の方は非常に米軍基地問題が激しく被害をもたらしておりまして、その解決をということで政府にも要請をしているんですが、その実効性がほとんどないままに繰り返されているということで、これを是非何とか改善をしてほしいというふうに思っています。特に、子供たちが学ぶ小学校あるいは保育所の上にも部品が落下するという事故が多発をしていると。それから、普天間周辺だけではなくて嘉手納基地についても同じような状況が起こっているということで、これをどういうふうに解決をしていくかということを考えなきゃいけない時期に来ていると思っています。 今、小此木先生から北朝鮮情勢についての変化がありましたけれども、北朝鮮情勢の変化によって沖縄の基地問題についても変化があってほしいというふうに思っているんですけれども、実際には、もうそれと関係なく、新しい基地の建設も含めて、今強行されようとしているような状況にあります。 今日は資料を皆さんにお配りをしましたけれども、沖縄問題というふうによく言われていますけれども、本当に沖縄問題なのかと。この問題自体は、実は日本問題であるのにかかわらず、沖縄問題という形で矮小化されて報道され、そして議論されることによって、解決が遠のいてしまっているような感じがします。 特にこの基地問題、これ、米軍被害の問題がクローズアップをされて、それを負担を軽減するという形で普天間問題も取り上げられたはずだったんですけれども、いつの間にか、その普天間撤去問題が返還問題に変わり、そして移設問題というふうに、普天間移設問題という形で印象操作されてしまって、普天間は移設しなければ解決できない問題というふうに言われるようになっています。 それからもう一つ、与党の皆さんからもよく言われるんですが、普天間は世界一危険な基地だというふうに言われています。そして、その普天間の世界一危険な危険性を除去するためには辺野古移設が唯一の方法であるというふうにも言われています。 しかし、本当にそうなのかというところでは、皆さんに今日資料をお配りをしましたが、後ろから二枚目の方ですけれども、米軍機事故を調べてみると、復帰後だけでも七百九件の米軍機事故が起こっています。その中で、世界一危険な普天間基地、そこで起こっている件数は十六件です。これが世界一危険な基地と言われています。菅官房長官も同じように世界一と何度も繰り返していますけれども、世界一とする根拠はどこにあるのか、その数字を示した上で危険性を示さなきゃいけないんですけれども、これまでの過去のデータを見ると、嘉手納基地は四百八十九件も事故が起こっています。そして、宮森小のあの悲惨な事故も、子供たちがたくさん犠牲になりました。こういった事故も含めると、嘉手納は普天間の三十倍も事故が起こっているのに、そのことについては触れない、これは政治の欺瞞性ではないかというふうに沖縄県民からすると批判をせざるを得ない内容だと思っています。 そして、もう一つ大きな事実は、実は事故が基地の外で起こっているケースがヘリ事故の場合には多いということですね。九十三件は外で起こっています。つまり、普天間基地を辺野古に移設をすれば解決するという問題ではなく、その飛び立つ場所を辺野古に移しても、飛び回るのは沖縄本島周辺、あるいは周辺海域又は本土まで飛んでいくわけですけれども、事故は基地で起こるのでなく基地の周辺で起こるんですね。飛び立った米軍機が危険であって、基地が危険ではないということになると思います。ですから、沖縄からすれば、その基地をどこかほかに持っていってほしいというふうにお願いをしているわけですね。ところが、それがなかなか伝わってくれないということがあります。 それからもう一つ、このページに入れましたけれども、この尖閣の問題ですね。尖閣諸島については、日本を代表する軍事スペシャリストの方あるいは防衛大臣を経験なさった方にも、八枚目の方に入れましたこの日米安保と基地に関する基礎検定というのを院内の勉強会でも解いていただきました。これ学生たちにもやってもらって、実は、赤くなっている部分がありますけれども、尖閣を構成する五つの島の名前を国会議員の皆さんに挙げてもらったんですが、正答率は一割にも満ちませんでした。知らないんです。知らないのに尖閣が危険だというふうにあおられてしまう。 そして、その尖閣諸島、この中で大正島、久場島というのがあります。これが先ほどの資料に入れてありますけれども、大正島、久場島という二つの島は、実は米軍に、アメリカ軍に射爆撃場として提供されている、地位協定上基地になっている部分です。それは、基地になっているにもかかわらずアメリカ軍が、その周辺を中国やロシアの艦船が行き来しているにもかかわらず全く関与しないということはどういうことなのかということです。そして、基地に提供されていることを防衛大臣経験者も知らないということも問題だと思っています。 こういう、まあ名前です、まず。尖閣の二つの島、久場島、大正島という名前で地元では呼んでいるにもかかわらず、国土地理院はこの名前を赤尾嶼、黄尾嶼という名前で登録をしています。そして、提供施設名の名前は、赤尾嶼射爆撃場、黄尾嶼射爆撃場という名前で提供しています。これ、何度も、私も衆議院の予算委員会でもお願いをしました、せめて日本の領土だと言うのであれば日本名で呼んだ方がよい、この赤尾嶼、黄尾嶼というのは中国名ではないかと。 こういうことが、むしろ防衛の専門家たちからも存在を忘れられている射爆撃場。射爆撃場として昭和五十四年以降一度も使われていないにもかかわらずその返還要求もしていないというのは、政府として怠慢ではないかということです。地位協定というのはいろんな問題がありますけれども、せめて地位協定に決められている条文ぐらいは守らせるというのが主権国家としての最低限の矜持ではないかというふうに思っています。 まず、地位協定の二条三項ですね、合衆国軍隊が使用する施設・区域は、この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも日本国に返還をしなければならないと書いてあります。そして、合衆国は絶えずそれを検討するということが合意をされています。しかし、この赤尾嶼、黄尾嶼については、昭和五十四年以降三十九年間も全く使用していないということです。 もしもこの尖閣危機を打破するということで射爆撃を開始するとしたら、周辺海域は危険だということで中国艦船は寄れないかもしれません。しかし、それをやるとアメリカにとってプラスなのかどうかという判断が働いているというふうに聞いています。じゃ、使わないのであれば返していただくということになれば、今返していただけば、日本の領土であることをアメリカが認めることになります。そのことは日本にとっては非常にプラスになると思います。これは与党でなければできない解決方法だというふうに思っています。是非そのことについても御検討いただければというふうに思っています。 次のページの方に、色刷りのページの方ですけれども、十三枚目の方ですけれども、最後のページですけれども、嘉手納ラプコンという問題もあります。これも地位協定上、日本の航空管制についてアメリカ軍が占有して使用している空域があります。 嘉手納ラプコンというのは、既に五年ほど前に返還をされました。アメリカ軍が日本の領土、領空、領海内におって、特に領空を制圧をしている状況、おかしいだろうということで。沖縄に旅行に来られる方たちが、沖縄本島に航空機が近づくとぐっと低空飛行をしてきます。観光立県として、青い海、青い空を見学をしていただく観光サービスの一環だというふうに勘違いをしている方もおりますけれども、これは、嘉手納基地と那覇空港が交差するために、上空でその交差を避けるために高度差をもって分けています。その高度差が、米軍優先のために、上空を米軍が使い、そして下の低空を民間機が使うという、脱出装置もないような民間機がなぜ下をくぐるのかということで抗議を続けて、その原因として嘉手納ラプコンがあると。管制権を日本側に移管させて、安全な空域を日本側が使用できるようにしてほしいというふうにお願いをして、動いて、そしてようやく五年ほど前にそれ実現をしました。 ところが、結果、状況は変わっていないんです。これ、ラプコンの返還要求の際に求めたものは、この安全を確保するために要求したにもかかわらず、外務省の交渉は、条件としてたった一つだけアメリカ軍から要求された、ラプコンは返還するけれども、たった一つの条件、運用はこれまでどおり。これをのまされた外交というのは、まさに屈辱的な敗北であります。こういったことを知らない外交官がもし決めたとしたら、あるいはそれを与党が認めたとしたら、対米譲歩の外交になってしまっていると。国民の安全よりも米軍を優先するような外交をしていることをどういうふうに見ているのかということを是非国民の前でも説明をいただければと思っています。 それから、下に写真を付けましたけれども、辺野古問題というのが今クローズアップをされています。 辺野古に新しい基地を造る、そのことに対して、沖縄の民意は何度もノーということを示しました。名護の市長選でも市議会議員選挙でも、そして県会議員でも、それから国政の選挙でも、そして知事選挙でも、何度もノーと言ったにもかかわらず建設が強行されるというのは、この国には民主主義はないのかという話になります。いわゆる選挙による民主主義というのが否定されてしまっているのが沖縄ではないかということになります。何度示しても駄目なら、もういい、振興策を取って我慢して生きていこうかというような選択も出てくるかもしれません。そういう選択を強いてしまっているようなこの国というのは何だろうと思います。 そして、辺野古に新しい基地を造るということに対しても、なぜそれが必要かという議論、あるいはそれに幾らお金が掛かるかということの予算の説明もないままに建設が強行される。環境の合理性の問題、政治の合理性の問題、軍事的合理性でも、これは森本敏元防衛大臣も発言をしていますけれども、MAGTFが、海兵隊の抑止力が機能するのであれば沖縄でなくてもよいという発言、これは中谷元防衛大臣も発言をしています。にもかかわらず沖縄にこれだけの基地を集中させる理由は何なのかということをしっかりと国会議論の中で説明をいただきたいというふうに思っています。 そして、この源流となっている辺野古の新基地については、一九六六年、六七年に既にアメリカ軍が構想として持っていた計画です。この計画は、ベトナム戦争のさなかでもあったということで、お金が掛かり過ぎる、あるいは新たな脅威を招くことになるということで、却下され、棚上げされた計画です。これが、あの少女暴行事件の後で出てきた問題として浮上して、そして日本政府の負担によって新たな基地建設ができるという、アメリカによるタフネゴシエーターたちは、こういう形で自己の負担を減らし、そして日本に新基地建設までも任せることによって見事な基地を確保していくと。そして、アメリカの軍需産業、ベクテル社が造っているこのフルセット型の基地の建設といったものを九七年から指摘してきたんですが、実際にはこういう形に今近づきつつあるということも皆さんに是非知っておいていただいた上で議論をしていただければというふうに思っています。 お伝えしたいことはたくさんありますけれども、課題については資料の中に入れてありますので、是非皆さんのお知恵を発揮していただいて、国民が安心、安全を確保できるような生活を沖縄にも置いてほしいというふうに思っています。 ありがとうございました。
○委員長(金子原二郎君) ありがとうございました。 以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○青山繁晴君 ありがとうございます。 公述人におかれましては、わざわざ国会においでいただき、ありがとうございます。心からお礼を申し上げます。 冒頭、ちょっと認識していただきたいことがありまして、実は、公述人の方々の御意見を含めまして全部で十一分です。したがって、非常に限られた時間ですので、そこは御理解いただきたいと思います。 まず、小此木先生にお伺いします。 小此木先生は、例えば国連を支援するための団体への論文でとても印象的な指摘をされています。現在の韓国の文在寅政権というのは親北政権であると一般に言われているけれども、実は違うと。韓国特有の左派民族主義の政権であって、それは基本的には統一を目指しているんだと。例えば、今、日本にたった今おいでになっている徐薫さん、国家情報院長も、元々は盧武鉉の政権のときに南北サミットを準備した人であるということを小此木先生が指摘されています。 それを踏まえますと、もし五月に米朝首脳会談があった際に、私たち日本国民は核とミサイルの話が中心になるとあらかじめ思っていますけれども、トランプ大統領と金正恩委員長の間のトピックは、核とミサイルももちろんあるでしょうけれども、実は南北のある種の統一、それは元々北朝鮮が言っているところの連邦制かもしれませんけれども、ある種の統一、それによって、米朝の例えば相互不可侵条約ないしは平和条約の締結、ということは、在韓米軍、合同軍事演習どころではなくて、在韓米軍の存在自体が、実は発表はされなくても米朝首脳会談のテーマ、本当のテーマになるんじゃないかという懸念があるということを小此木先生もお考えでしょうか。そこをまずお聞かせください。
○公述人(小此木政夫君) 私はそこまでは考えていないです、議論はよく存じ上げていますが。 今、南北で目指しているのは、統一ではなくて共存だと思います。最近の文在寅政権の統一政策、朝鮮半島政策に関する公式的な説明、パンフレットの類いを見ますと、統一という言葉はほとんど出てきません。そうではなくて、共存、どうやって共存を達成して制度化していくかという、そういう問題です。 それから、北朝鮮側も、多分、今、統一ということを考えるよりも、制度統一はしないということを言っていますから、ですから、連邦制、統一という言葉は残ると思いますが、これはずっと年来の主張でございますから取り下げることはないと思いますが、ただ、内容は、実際には制度は統一しないという意味でのやっぱり共存ということになるんじゃないかと思うんですね。 在韓米軍の撤退の問題、平和協定の問題、これはなかなか難しい問題ですから、実際にどう決着が付くかは予測できませんけれども、しかし、ちょっとその辺の議論も昔とは変わってきているんじゃないかなという気がします。
○青山繁晴君 今先生がおっしゃった在韓米軍の撤退はないという認識では、実は不肖私も同じなんですが、先ほど、小此木先生におかれては、五月の米朝首脳会談が行われるとすれば、まだ分かりませんけれども、行われるとすれば外交的衝撃が訪れるだろうと、とても印象深い言葉をおっしゃいました。 それは、これもやはり先生がおっしゃった、アメリカの核の問題を話しても、実は日本をターゲットにするスカッドERとかノドンとか、そういうミサイルの話はしないと。したがって、日本の国益に衝撃が走るんじゃないかという意味というふうに理解してよろしいでしょうか。
○公述人(小此木政夫君) 先ほど申し上げた中で私は強調したつもりなんですが、米朝間の今回の議論というのは、非核化の問題だけでなくて、国交正常化、つまり米朝国交というのが相当大きなテーマになってくる可能性があるというふうに思います。 これは、そういう意味で、その衝撃というのは、日朝は国交正常化しなくていいんですかという、そういう方向に多分働いていくんじゃないかというふうに思っているんですが。
○青山繁晴君 ちょっと話を戻すようで恐縮なんですが、そもそも本当に五月に米朝首脳会談は実現するとお考えですか。これは小此木先生と前泊先生にもお答え願えますか。
○公述人(小此木政夫君) ええ、私はそう思っています。 一言付け加えさせていただければ、今、南北は、何というんでしょうか、オールインと言ったらいいんでしょうか、全て懸けているんです、この瞬間に、米朝会談に全て懸けていますから。もし、これを裏切るというようなことは、この会談を取りやめるというようなことがあれば、会談をやったとき以上の大きな衝撃になると思います。
○公述人(前泊博盛君) 私も実現を非常に期待をしておりますし、その可能性は高いというふうに思います。 これは、ジョン・ホプキンス大学が試算をしていますけれども、万が一交戦した場合には日本の被害はどれぐらい出るか、東京で数十万人の死者が出ると、あるいはソウルでも数十万人、合わせて数百万人の死傷者が出るという数字を出しています。これは、同じようにアメリカ本国においても死傷者の数は出ていると思います。そういった数字も情報が入っているとしたら、このチャンスを生かさない手はないというふうにトランプ政権は受けていると私は思っています。
○青山繁晴君 五月に本当に米朝首脳会談が実現するんでしょうかとあえてお聞きしたのは、基本的には、今、小此木先生がおっしゃったことと僕も認識は同じなんですけれども、ただ一方で、実際に、米朝首脳会談がどのように行われようとも、北朝鮮は恐らく核を捨てない。個人的意見を申しますと、恐らくではなくて間違いなく捨てない。どうしてか。核を捨てたフセイン大統領やカダフィ大佐が死に至ったというのを北朝鮮は中東で学んでいますから、その経験を生かさない北朝鮮でないので核を捨てることはないと。 それはしかし、アメリカも実はよく分かっていることで、その上で、米朝首脳会談をやってしまうと核を捨てない北朝鮮を事実上認めることになると。そこをやっぱり懸念する意見がホワイトハウスの中も国務省も国防総省もありますから、そうしますと、意見の対立の後、トランプ大統領の御決断で中止ではなくて延期ということがあり得るのかとも思うんですが、北朝鮮は結局は核を捨てないという懸念については、小此木先生、前泊先生、それぞれいかがでしょうか。
○公述人(小此木政夫君) その指摘は分からないわけではありません。私も、そんな簡単に捨てるとは思っていません。短期的に捨てさせようとすれば、それは軍事的なオプションしかないような気がいたしますが。 ただ、長い間北朝鮮を見てきた者として一言申し上げれば、北朝鮮の核、ミサイルというのは軍事的な意味での抑止力であるだけではありません。それは外交力なんです、ある意味で。つまり、なぜ我々は北朝鮮と交渉しようとするか、アメリカまで交渉しようとするのか。それは、彼らの観点からいえば、自分たちが核、ミサイルを完成させようとしているからだというふうに彼らは考えているんですね。逆に言うと、これを造っていればアメリカは交渉に応じてくるというふうに考えてきた、そういう意味での外交力なんですね。ですから、捨てないためだけにそれを造っているわけでなくて、これを使って、外交の手段として使っていく取引の材料であることもまた事実だろうというふうに思うんですね。 ですから、どこまで取引が成立するかというのは、おっしゃるとおり大変難しい問題で、ただ、それを五年後であるか十年後であるかというふうに考えるのか、あるいはもっとこの二人の間でディールが成立すれば短期間に一気にある程度のところまで行くんじゃないかというふうに考えるか、これはやってみないと分からないような部分だろうと思います。
○公述人(前泊博盛君) 北朝鮮に限らず、中国も含めて、核を持っている国に対して、核をどう減らし、そして最終的にそれに頼らない外交あるいは地域政治を実現するかというのが最大の課題だと思っています。 北朝鮮だけが、じゃ核を捨てればいいのかではなくて、核保有国全てがそういう、将来的に、じゃ北朝鮮と同じような道を選べるのかどうかということが問われていると思います。そのことなしに議論をしても発展性はないと思いますね。
○青山繁晴君 一分しかないんですが、やはり最後は日朝のことを当然、本当は冒頭に聞きたかったんですけれども、小此木先生から、米朝が終わればその後は日朝なんだというお話ありました。日朝にとっては、拉致被害者の救出というとても重大な問題も横たわっています。 日朝の進め方なんですが、総理は四月にトランプ大統領にお会いになります。そのときに、国会においでになった専門家のお二人として、それぞれお二人として総理に、この拉致被害者の救出に絞って言えば、救出するのは日本ですけれども、トランプ大統領にどのように協力を要請すればよいと、専門家としてどのようにお考えでしょうか。それぞれにお願いできますでしょうか。
○公述人(小此木政夫君) もちろんトランプ大統領に対していろいろなことを要請することはあろうかと思いますが、私は、基本的には交渉によって日本自身がやらなければ駄目だと思っております。 率直に申し上げて、拉致の問題、国交正常化の問題、それから先ほども申し上げたミサイルを含む安全保障の問題、これは、全ての問題に関して北朝鮮側と正面から交渉する気概が必要だと。そうしない限りこの地域には平和は訪れない、核問題も解決しないということじゃないかと思います。
○公述人(前泊博盛君) 日本は小泉政権において交渉の成功経験を持っています。なぜその成功経験が継承されていないのか不思議です。そのことについては、特にアメリカの配慮なしに日本が独自の外交によって勝ち取ってきたというふうな誇りを持っていいと思います。特に、アメリカにはそういう形で余計な関与をしないように言った方がいいのではないかというふうに私は思っています。
○青山繁晴君 ありがとうございました。
○三浦信祐君 公明党の三浦信祐でございます。 本日は、小此木公述人、そして前泊公述人、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。何点か質問をさせていただきたいと思います。 まず、この近日における北朝鮮に関する問題で、こんなに速いスピードで大きな動きがあるというのは正直想定を超えているような部分はあると思います。その上で、小此木公述人にお伺いしたいと思います。日本政府にとってみれば、圧力と対話の道を模索するということで、世界の面から見た部分と日本から見た部分の圧力の効果は出ていると率直に理解していいかどうか、お聞かせいただければと思います。
○公述人(小此木政夫君) 効果は出ていると思います。ただし、我々も気を付けなければならない、あるいは謙虚でなければいけない。それは、北朝鮮が瀬戸際政策を実施した後、対話の方向で路線を転換するだろうというのは予想できたことです。予想できたことというのは、彼らが計画していたということですから。ですから、ミサイル、ICBMがほぼ完成する段階になったら路線を転換するという計画性を彼らは持っていたというふうに考えたらいいと思います。 ただし、去年の秋から年末にかけて採択された国連決議の内容というのは相当に厳しいものですから、今年以後それが相当効果を発揮してくるだろうと思いますから、ですから、北朝鮮としては、長くそれに耐えられるというふうにも思えないですね。 そんな意味で、計画性はあったけれども、やっぱり制裁の効果というものがあって、その二つが重なって一気に動き出したというふうに理解するのが適当ではないかと思います。
○三浦信祐君 ありがとうございます。 その上で、先ほど具体的な日中の国交正常化へのプロセス、今年は大事な年に当たるという意味では非常に御示唆に富むような御表現をいただいたと思いますが、一方で、二国間の協議を基本としてこれから進んでいくと思います。まずは南北が対話に移っていこう、そして米朝に移っていく、そのときに日本が一番最後で本当にいいんだろうかという不安も残ります。当然、いろいろな観点から考えますと、日本が隣接国であるという位置付けでもありますけれども、国民の皆さんにとってみて、この先に南北、そして米朝の対話が進んでいく効果というのをどう享受できるか、また一方で、そのリスクというのもしっかり明確にしておかなければ、日本外交にとってみれば非常に判断を誤るリスクも高まると思います。この辺について、小此木公述人に御示唆をいただければと思います。
○公述人(小此木政夫君) すばらしい質問だと思いますが、過去において日朝で国交正常化の交渉が行われたことは二回あるわけですね。一九九〇年の金丸・田辺訪朝団のとき、自民党を含む三党の共同宣言が出ました。それから、二〇〇二年の小泉首相の平壌訪問、日朝平壌宣言が発出されました。この二つの機会、大変大きな、それこそ戦略的な機会で、私は、もう個人的には、あのとき日朝が本当に動いていれば、関係正常化していれば、こんな核問題は今あっただろうかと時々考えるのであります。 しかし、この二つのときのアメリカの態度はどうであったかというと、それは決して好意的なものではなかったですね。特に、最初のときにはアマコスト大使がすっ飛んできて、すっ飛んできてなんて言っていいのかどうか分かりませんが、写真を持って飛んできたわけですね、原子炉の写真を。そして、ブッシュ大統領は小泉総理との個人的な関係がありましたから比較的好意的だったかと思いますが、その周辺のアメリカの官僚たちは、率直に言ってこれを何とかして止めたいというふうに思っていた。 そのときと比べると全く違うんですよ。今は、米朝が先に動く、動こうとしている。ですから、またとない機会が訪れているというふうに考えた方がよろしいんじゃないかと、私はそう理解しています。
○三浦信祐君 ありがとうございます。 ならば、日本で米朝対談やってもらうぐらいの、リーダーシップを取るぐらいのことがあったっていいぐらいだと思うんです。それが本来、一遍に物事を動かすときには大きな決断が必要なんじゃないかなという観点で質問をさせていただきました。 その上で、お二人の公述人にお伺いしたいんですけれども、実は、先日の平昌オリンピック・パラリンピックを見たときに、アイスホッケーチームの合同チームのときの若者の韓国の世論というのは、どちらかといったら、むしろ今、我々の青年世代にとって失業問題が大きいんだ、それを、統一であるのか共同であるのかは別としても、リスクを抱え込むことよりも我々のことを見てほしい、だから、昔のような感覚で南北の一緒のイメージというのは、どちらかといったら、頑張っている青年を応援したいのに、それを剥ぎ取られることに対するイメージというのがあって、決していい方向にはなかったかなと思います。 ただ、私もパラリンピックの開会式行かせていただきましたけれども、一方で、米朝対話が行われますといった瞬間の後の反応というのは、少し変わったなという印象もあります。 そういう意味においては、実は、韓国においても、この国内問題というのを抱えながら南北問題がいろいろ進むに当たって、むしろ政権にとっての課題として明示をされてくる。そういう部分において、今後の米朝の接近と国内問題を抱えている韓国の捉え方、そこと日本はどう付き合っていけばいいかというのも、是非御意見、お二人からいただければと思います。
○公述人(前泊博盛君) 韓国の若者たちの意見もよく分かりますけれども、ドイツも同じように、東西が統一をされるときにいろんな意見がありましたけれども、一つになったことを今否定する人はいないと思います。同じように、北朝鮮あるいは韓国についても、同じ民族として同じものを持ちながら分断をされている、この分断国家をどう解決するかというのは、若い人にとってもとても重要なテーマだと思っています。 対立をし合うことによっていつまでこういう関係を続けるのかというところでは、そのトップがこういう歩み寄ったというのは非常に大きなものでありましょうし、そのことについては是非、平和政党である公明党も積極的に動いてきたということもありますから、引き続き、その若者の意識改革まで含めて、むしろ韓国の若者たちに語りかけてほしいというふうに思っています。
○公述人(小此木政夫君) 韓国の保守政権が十年近く続きましたから、その間、南北の対話というのはほとんどありませんで、厳しい局面ばかり出ていましたから、若者がそういった反応を当初示したというのは、ある意味では当然だったんじゃないかと思うんですね。ただ、御指摘のとおり、オリンピックが始まる前と後で随分違うんじゃないかという気も同時にします。 ですから、韓国外交が南北と米朝とを結び付けるような形で成功しているということは、国民的な支持を現在受けているわけですから、そのことは正当に評価しなければいけないんじゃないかと思うんです。
○三浦信祐君 少し話題を変えさせていただきます。 日米地位協定の理解についてですけれども、報道ではよく、沖縄への負担であるとか、また地位協定を変えるべきということは議論をされていますし、この国会でも時たま出てくるのはよく承知をしております。 一方で、国民負担の位置付けというのが、正直、米軍基地を抱えていない地域であったりとか、また、外交、安全保障についてなかなか知見が分かりづらいなという方にとってみれば、この日米地位協定の本質的な課題であったり、また今後どうあるべきかという議論に入る前のところで止まっているというふうなことが、私にとっては少し感じるところがありますけれども、前泊公述人に是非その辺の御意見いただきたいと思います。
○公述人(前泊博盛君) 今日資料の中にも入れましたけれども、大きな問題としては、改定を阻む九つの壁というのを私、指摘をしました。一つは、一番大きな壁は無関心の壁ですね、それから無知の壁、無気力の壁、無能力の壁、難解さの壁、秘密主義の壁、そして米国依存の壁、そして他国と結んだ日本の新地位協定の壁、で、最後の問題が、メディアによる無視あるいは国会による無視という無視の壁が大きな壁になって議論が進んでいないというふうに思っています。 そして、基地を抱えている地域だけの問題というふうに思っていますけれども、最近私もいろんな都道府県から呼ばれます。三十一の都道府県が基地を抱えていますけれども、基地のないところからも、オスプレイの低空飛行、あるいはF15、F16の低空飛行の被害を受けている、基地がないのにという指摘を受けます。全国の沖縄化が進んできている中で、この問題についてようやく気が付き始めて、今、地位協定に対しては関心が非常に高まってきているというふうに思っています。 先日、北海道矢臼別にも取材に行ったんですけれども、沖縄の一〇四号越えの実弾射撃演習、移転をした、沖縄の負担を我々が軽減するために受け入れたと言っていたんですが、行ってみて驚くのは、十七キロまで長距離砲の演習をしているんですね。それからクラスター弾のような新型爆弾の訓練をしています。これ、沖縄ではやっていない訓練です。やっていない訓練を沖縄の負担軽減という形で移転をしている。これ、移転ではなくて新設です。こういったものを検証していく形でしか本来の地位協定の問題について触れることはできないのではないかと。あるいは、これだけ、七五%もの駐留経費の負担をしている、このことについても国民にしっかりと知らせていくことが必要だと思います。 是非、憲法というものとの兼ね合いの中でも、この専守防衛、盾を持っている日本に対して矛がない、その矛と盾の関係だという米軍駐留の問題を是非指摘をしていただいて、この矛盾の関係を解消するにはどうしたらいいか、これは地位協定問題の中に全てその解決方法が入っているような気がします。
○三浦信祐君 ありがとうございました。今、地位協定のこと、しっかり理解を深めるような議論を進めてまいりたいと思います。 以上で終わります。ありがとうございました。
○浅田均君 日本維新の会、浅田均と申します。 小此木先生、前泊先生には貴重な御意見を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。御礼申し上げます。 それで、まず小此木先生にお伺いしたいんですが、米朝会談の可能性ということで、南北共同プロジェクトをアメリカに売り込んで、それをトランプ大統領が受け止めようとしているというふうにおっしゃいました。私は、日本の一番重要な問題としては、拉致問題を解決するということと、それから朝鮮半島の非核化をこれ戦略的な目標として実現する、この二つのことが日本政府あるいは日本にとっては一番重要なことであると思っております。 そういう観点からお伺いしたいんですが、南北の共同プロジェクトをトランプ大統領が受け止めるという流れになりつつありますけれども、同じような、同じようなって、去年のたしか今頃だったと思うんですけれども、アメリカのティラーソン国務長官は、核、ミサイルの開発をやめるならば体制維持を認める、それから三十八度線を越えて北へ侵攻することはありませんと、そういう提案をしておったわけでありますが、今回、北だけでなしに南北がこういう共同プロジェクト提案をするに至ったその背景に、私にしたら一年間で態度が非常に変わったと思うんですが、その背景に、北がこの核、ミサイルの開発をある程度完了して投射能力をある程度持つに至ったと、そういう強気からの態度変換なのか、あるいは、国連制裁を一番厳しくされて非常に弱気になっての態度変換なのか、どちらとお考えでしょうか。小此木先生にお尋ねいたします。
○公述人(小此木政夫君) 先ほど申し上げたことですが、北朝鮮の指導者たちは恐らく、核、ミサイルを完成させることによって外交的な立場が強化される、このように考えていたというふうに思います。ですから、彼らの考えていたことというのは、それを獲得した後、外交を展開するということだったわけですが、しかし、それ以外にもあるのではないかということでいえば、やっぱり戦争の恐怖だと思うんですね。 アメリカがこの間行った最大限の圧力という政策は、経済制裁だけではありません。軍事的な意味でも、いっときには三隻の空母が日本海に展開するというところまで行きましたし、B1を含めてF35が韓国上空に展開したりというような様々な軍事的な圧力があり、その上、斬首作戦だとか、鼻血作戦というのはちょっと変な言い方、訳し方だと思いますが、ブラッディーノーズですね、血まみれの鼻ということなんですが、そういうようなことが公然とささやかれたことに対する恐怖感というのは我々が想像している以上だと思います。それは、ただ北が感じた恐怖感だけではないんです。日本人はそこのところは鈍感なんですが、南も同じように恐怖感を感じたんです。 ですから、それが南北が一緒になる動機なんですね。つまり、大国の軍事的な脅迫だとか権力政治とかというのは、結局は南北の、何というんですか、結託と言ったらいいんでしょうかね、接近を生むという、そういう政治の力学が働いていたんだと思うんですね。今回はそれがはっきりとした形で出たというふうに私はあえて申し上げたいと思います。
○浅田均君 それで、南北が一緒になって共同プロジェクトという形でアメリカに提案をしていると。北にとりましては、アメリカとの対話というのは、一番求めていたことですから、それが実現できるというのは、北にとってのメリットというのは物すごく大きいと思うんですが。 そこで、米韓同盟にどういう影響を与えるのかというのと、先生先ほど、ひびが入らないかというところでちょっと言及されていますけれども、米朝がすごく関係が改善されるということがもたらす米韓にどういう効果を与えるかというのと、日米関係にどういう効果を生じさせるのかと、この二点に関してお尋ねいたします。
○公述人(小此木政夫君) もしそういう形で非核化とか軍事的な圧力というのが軽減していけば、つまり、非核化の交渉が進展して米朝関係が改善されていけばと言っていいと思うんですが、それは米韓同盟はやっぱりだんだん緩んでいくと思います。それは避けられないと思うんですね。軍事的な連携を維持するために今行っている合同軍事演習のようなものを定例的に行うことが可能かどうかというところまで緩んでいくんじゃないかと思います。基地は維持するけれども攻撃的な軍事演習はやらないとか、規模を縮小するとかというようなことは、事態の展開によっては十分来年以降考えられることだと思いますね。
○浅田均君 それで、南北共同プロジェクト提案というところで、当初、北の方は、核問題には触れるなというふうな言及をしていたと思うんです、核問題をテーマにするならば南北対話は行わないと。ここに至って、韓国政府として、北が核問題をテーマにはしないと言っていたけれども、今アメリカと共同プロジェクトを提案するまでになっているわけですよね。この段階で、北と南の間における核に関してはどういう認識だと小此木先生はお考えなのか、お尋ねいたします。
○公述人(小此木政夫君) ですから、おっしゃるとおり、去年までの段階はそういうふうに言っていたわけですね。核が完成するまでは、核をもっては交渉はしません、この問題をめぐって非核化の交渉なんか絶対やりませんと言い続けてきたわけです。完成したから、彼らはそれを外交のカードとして使って、放棄してもいいですよという、本当にどこまで放棄するかは別として、これを議題とすることを了承したというふうに私は理解しているんですが。 韓国も同じじゃないですか。韓国側の、韓国政府の立場からいえば、一つには、先ほど申し上げたように、軍事的なオプションに対する恐怖感というもの、それから二つ目には南北間の関係をもっと改善したいという気持ち。これは先ほど話が出たように、韓国の左派政権というのは、そういう意味では自分たちは民主化勢力だと思っているし、統一勢力だと思っているわけですから、ですから、当然、保守の政権とは違った政策を取らなければいけないし、それは可能であるということを信じている政権だと思うんですね。
○浅田均君 前泊先生にお尋ねしたいんですが、今、単に日本政府だけでなしに、沖縄から定点的に見ておられて、北朝鮮がこれだけの核兵器あるいはミサイルを開発したと。その核、ミサイルの脅威がある程度解消に向かうというふうに沖縄の方から見られてお感じになっているのかどうかというのをお尋ねします。
○公述人(前泊博盛君) まさにこの北朝鮮情勢によって沖縄が翻弄されている部分もあります。それから、北朝鮮の非核化の問題に加えて、今、沖縄の非核化の問題というのは非常に重要なテーマになっています。つまり、在日米軍による核配備の問題、そのことを現外務事務次官が認めた、過去、認めたというような発言があったということで大きな報道がされています。そういう核による迎撃、そして核での対立といったものが沖縄の安全性について非常に重大な危機を及ぼしているということです。 万が一の場合にどれだけの被害が出るかという想定については、沖縄国際大学にも韓国出身の教授がいます。彼は、万が一の場合にはソウル市民一千万人が人質に取られている、万が一のときにそういうことになり得る、それがある限り韓国としてまず北朝鮮と戦争することはあり得ないということを言っています。ところが、日本のメディアの報道を見ていると、いかにも明日あさってにもあるかのような報道をされているのは非常に心外であると言っています。 韓国の第一次情報をやはり見ていく限りでは、この米朝会談といったものが実現をしていくことも非常に重要だと。沖縄の安全についても非常に重要なインパクトを持ってくる。これは日本全体についても同じようなことが言えるのであって、北朝鮮の高官は、まず戦争になったときに真っ先に被害を被るのは日本だという発言をしている。その発言についての受け止め方が非常に弱いのではないかという政府に対する不信感といったのも、日本、まあ沖縄県民の中にはあります。 ですから、国民としてこういう問題を共有して、南北対話といったものの動きについても注目をしてほしいというふうに思っています。
○委員長(金子原二郎君) 浅田君、時間が来ております。
○浅田均君 貴重な御意見ありがとうございました。 これで終わらせていただきます。
○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。よろしくお願いいたします。 私も外交防衛のプロではございませんので、まず一問、これは私、一人の女性として、主婦としての目線でお尋ねしてみたいと思うんですけど、いつもこうやって様々な報道がなされる中で、一般の方々がマスコミから報道されるいろんなものを目にします。でも、その目にできるものというのは実は一の部分でございまして、あとの九九%の部分というのは実は水面下で行われ、それは我々に知らされることはありません。ということは、その九九の部分が本当は一番大事じゃないですか。 しかし、何でやはり日本というのはここまで交渉力がないのか、いわゆるインテリジェンスにおいても弱いんではないかというようなことを、済みません、やっぱり我々主婦仲間の中でも話題になるんですよね。何で日本はそうやっていつも負けているんだろうねというような印象を受けてしまいます。 そのようなことについてお二人の公述人の御意見をいただきたいのと、もしそれが弱いとすればどういう形で強化していくべきなのかという御意見ございましたら教えていただけますでしょうか。よろしくお願い申し上げます。
○公述人(前泊博盛君) 外交力については、何度も提起をしていますけれども、軍事力を強化するよりも外交力を高めてほしいというのは、先ほどの嘉手納ラプコンの返還時の問題ですね、こういったことでも明らかになっていますし、それから、今日の資料の中にも入れましたけれども、実際に米軍機の事故が起こったときに、この報道によると、例えば一昨年のオスプレイが墜落をしたとき、これ不時着というふうにメディアで報道されました。ところが、アメリカのメディアはこれクラッシュということで、いわゆる墜落です。なぜ日本のメディアは不時着あるいは着水、不時着水というような報道をしたかというと、政府がそう発表したからと言っています。政府発表どおりにしたために世界とずれが生じてしまっている、メディアの検証力みたいなものが問われるような部分もある、ある意味では大本営発表をそのまま流してしまうような状況になっていないかという、一読者として懸念があります。それから、同じようにこれ調べてみると、防衛省も墜落と一時報道、伝えたけれども、アメリカ側のことに懸念をして、そんたくをして不時着に変えたというような報道もあります。 次々にそういうものが出てきますけれども、同じようにヘリが墜落したときの様子も、あるいは不時着のものもありますけれども、抗議をしに行っても現場にすら、元、前ですね、外務大臣が入れない、そして四軍調整官を呼んで米軍のトップにそのことを聞こうとしても面会を断られてしまう。こういう状況の中では、事実はあるいは真実はどうやって知ることができるのかという問題点が出てきます。 そして、事故対応についても、防衛大臣が飛行再開に当たっては自衛隊としてもしっかりと検査して結果が分かった段階で交渉したいと言ったのに、その数時間後には飛行再開がアメリカ軍によって発表されるという屈辱的な対応をされているにもかかわらず、国民が怒らないんです。怒らない国民のために政府も動かなくなってしまう。 韓国やドイツやイタリアでは、こういった問題が起こったときには国民がまず怒るんです。それに政府が対応して外交が始まるという感じがありますね。そういう意味では、もう一つ問題は、国民のまず感性をどう高めるか、その情報を正しく伝えていただくにはどうしたらよいか。 そして、もう一つ大事なポイントは、日本は外交官の数が少な過ぎるというのがあります。今五千六百人ぐらいと聞いていますけれども、アメリカは二万人を超しています。フランスでも一万人を超す、そして中国やロシアも外交官の数を増やしてきています。そういう意味では、外交小国の日本ということもありますので、是非外交官の強化といったものもテーマにしてほしいというふうに思っています。
○公述人(小此木政夫君) なかなか難しい問題だと思いますが、私も、何というんでしょうか、日本人の気質のようなものというのはかなり影響しているように思います。 分かりやすく今回の事例で説明したいと思うんですが、例えば日本の製造業、この国は製造業の国ですね、日本の製造業の業者たちは、海外に輸出するときに自分たちの競争力はどこにあるかを考える。いい製品を作ってできるだけ安い価格で売れば売れるはずだということで、そこに一生懸命努力を費やすわけですけれども、韓国人はそうではないですね。見ていますと、まず彼らはマーケティングから始めるんですね。市場調査から始めて、この国にはこういう製品が売れるんだと。必ずしもトップレベルのものじゃなくてもいいんです、何が最適なのかということを調査して売り込みを図る。 今回もどこかの段階で南北の力が合体して、まあ共同プロジェクトなんて言ってしまったんですが、この米朝首脳会談を何とか実現させるというふうに意見が一致したとき、彼らは一生懸命市場調査をやったと思う。どうやったらトランプ大統領にこれを納得させるか、納得させてこれを実現できるかということをそういう観点からやったんじゃないかと思うんですね。 それは余り日本的な発想で出てこないように思います。それはでも日本人にみんなギャンブラーになれと言っているわけではありませんから、日本は、日本人は日本の特性を、日本人の特性を生かしながら、しかしそういった部分も学んでいくということ、結局勝負力というものをどうやって付けていくかということになってくるんだと思うんですね。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。 様々、各国、その辺りのところのスキルアップ、例えば海外に留学しながら言語力を獲得しながら、若しくはそういう情報収集能力もそうですし、交渉力というのも付けている、そういう人材を育てていくプロセスってはっきりしているんですけれども、なかなか日本は見えてこないんですよね。ですから、私はこういうところも、もちろん対外的な問題というのはこれからますますこの日本というものに厳しい状況、迫られてくると思いますので、必要だと思っております。 そういう中で、前泊公述人のお話、私もすごく実は身につまされる問題なんですけれども、私ども小会派の中で、沖縄の風といつもいろんな話をします。そうすると、糸数先生のお話というのはなかなか私ども自身が自身のこととして考えられないんですよね。ですから、一生懸命に主張していらっしゃること、お聞きすればなるほどと納得ができるんですけれども、先ほどございました島嶼の問題もございます、様々な、尖閣諸島、尖閣諸島って、じゃ、どういう島があるの、言われてみればまさにそのとおりなんですよね。そういう知識さえも持っていないこの日本人に対して、これからどうやって、我が事として考えることができるような、そういうもし何か方策ございましたら教えていただけますでしょうか。お願い申し上げます。
○公述人(前泊博盛君) 是非、検定試験については学生のみならず議員の皆さんもチャレンジをしていただいて正答率一〇〇%まで持っていってほしいと思いますけれども、せめて防衛問題について議論をするときに、この国に一体米軍基地が幾つあるのか、そして、ある都道府県、ない都道府県、どれだけの数があって、そしてその百三十一もあるその基地はどういう役割を果たしているのか、そういったことをしっかりと確認をした上で議論を始めてほしいと思っています。これ、尖閣問題について言えば、そこがその提供施設であることすらも知られていない、防衛大臣経験者ですらそういうことを知らずに議論をしているということは非常に残念です。 そして、アメリカに対してそのことをどう言えるかと。ある意味では尖閣カードといったものが日本にもあるような気がします。日本がもしアメリカ軍に対して、アメリカに対して、尖閣を返せと、その提供施設を返せという話になれば、アメリカがどう判断するか。これを認めた場合には、日本の領土であることを認めたということで、中国に対するインパクトは非常に大きくなります。しかし、もし返さないというので、じゃ、地位協定上使わなければ返すということになっているので使ってくださいというふうに言った場合、中国に対するインパクトがどうなるか。尖閣に対する射爆撃を中国が本土に対する攻撃だというふうにみなした場合にどういうリアクションが起こるのか。 こういった難しい問題、解決できないような問題、まあ普天間の問題、嘉手納の問題もありますけれども、こういう問題に対しては、日本のおきてというのがあると官僚から聞きました。難しい問題、解決できない問題はまず先送りをするんだそうです。で、それでも解決できなければなかったことにするというのがこの国のおきてだそうです。そういうことがこの国会の中でまかり通っているのであれば、大変な問題だと思いますね。 それは、我々大学の方でもそうですけれども、難しい問題あるいは難解な問題は先送りをするというのがセンター試験でやってきた経験です、あるいは共通一次から。そういう難しい問題に最初にチャレンジして、簡単な問題をたくさん解くというような形をどう変えていくかも我々教育の側の問題でもありますけれども、是非、先送りをしない、そしてなかったことにしない政治をしっかりやってほしいというふうに思っています。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。 本当に先生がおっしゃるように、教育というものはすごく重要だと思います。 小此木公述人に一問お尋ねしたいんですけど、先ほど、様々なお話の中で、もし米朝首脳会談が実現しなかった場合、日本はある対応を迫られるんではないかというようなお話も、ちょっと受け止めさせていただいたんですけれども、もう少しその辺りを詳しく教えていただけますでしょうか。よろしくお願い申し上げます。
○公述人(小此木政夫君) 成立すれば、成立してある程度話合いが進展する、これは、トップ同士の議論というのはそんな細かいところまで行くわけではありませんが、しかし、非核化のプロセスについて大ざっぱな合意が成立するということになれば、それは米朝関係も改善されていくわけですから、日本はやっぱりそれに付いていかざるを得ないですね。日本だけ北朝鮮との関係をこのままでいいですということには多分ならないと思うんです。あるいは、そうしようとしてもできない状況が出てくるだろうと思うんですね。 だけれども、これが流れてしまうとか決裂してしまうという逆のことを考えた場合は、これは逆に、日本がそこで一生懸命北朝鮮との関係を改善しようなんというのは何か冗談のような話になってしまいますから、その衝撃というのは悪い方向で働いて、日本も何もできない、手の打ちようがないというようなことになっていくんじゃないかと思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。 今日は本当にいろいろな御意見いただきまして、感謝申し上げます。
○委員長(金子原二郎君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。 この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げます。 本日は、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手) 午後二時に再開することとし、休憩いたします。 午後零時十六分休憩 ─────・───── 午後二時開会
○委員長(金子原二郎君) ただいまから予算委員会公聴会を再開いたします。 平成三十年度総予算三案につきまして、休憩前に引き続き、公述人の方々から御意見を伺います。 この際、公述人の方々に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 本日は、平成三十年度総予算三案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 次に、会議の進め方について申し上げます。 まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、御発言は着席のままで結構です。 それでは、公文書管理・行政の在り方について、公述人独立行政法人国立公文書館長加藤丈夫君及び株式会社政策工房代表取締役社長原英史君から順次御意見を伺います。 まず、加藤公述人にお願いいたします。加藤公述人。
○公述人(加藤丈夫君) 国立公文書館の館長の加藤丈夫でございます。 私は、国立公文書館長としての立場から、現在の公文書、特に行政文書の管理の実態と今後の課題についてお話をさせていただきます。 お手元の資料に沿って御説明をさせていただきますが、一ページおめくりいただいて、第一ページ、これはもう改めて御説明するまでもございませんけれども、公文書管理法の理念が三点書かれております。 現在の公文書等の管理に関する法律、公文書管理法が施行されましたのは平成二十三年、七年前になりますけれども、その前の平成二十年に国の有識者会議で公文書管理の在り方に関する検討が行われまして、ここに示す公文書管理の基本理念、主な三点が最終報告書に盛り込まれました。この理念が現在の公文書管理法の各条文に反映されていると言ってよろしいかと思います。 改めて読むまでもありませんけれども、一番のポイントはこの一番でございまして、民主主義の根幹は、国民が正確な情報に自由にアクセスし、それに基づき正確な判断を行い、主権を行使することであると。その意味で、国の活動や歴史的事実の正確な記録である公文書は、民主主義を支える基本的インフラであり、それを適切に保存し、国民の利用に供することは国の責務であると。これが第一点でございまして、あとは、国民のアイデンティティー意識を高めること、それから、公文書の管理は作成から公開まで一気通貫で行われるということがこの公文書管理の理念となっております。 続いて二ページ、おめくりいただきまして、ここでは行政機関における文書の作成、保存、移管、利用の流れをまとめたものでございます。 これも大半については御承知だと思いますけれども、図を簡単に御説明いたしますと、まず左の端の、各府省、省庁で毎日膨大な公文書が作成されております。この公文書には、一つ一つに保存年限が決められております。一年、三年、五年、十年、三十年という保存年限、これをレコードスケジュールと呼んでおりますけれども、この保存期間が満了したものについて、国の歴史的な重要資料として永久保存すべしというふうに決まったものがこの青の横棒の移管という形で国立公文書館に移ってまいります。これが大体今、年間約三万冊ございます。 国立公文書館では、これを受け取りまして、一年以内に、傷んだ箇所の修復を行いまして、それからさらに目録を作成して、そして一年以内に国民に原則全部公開ということで公開しております。ただし、この中には個人情報に関わるもの、ごく一部ですけれども、この公開が公共の利益に反すると思われるものについては館長の判断で閲覧をお断りするというケースがございますけれども、個人情報はたくさんありますけれども、公共の利益というのは私が赴任いたしましてからほとんど、数件あった程度でございます。 一方で、重要じゃないということで決められたものは、保存期間が満了すると廃棄処分ということになります。ただ、公文書管理法では、これは各省庁は勝手に廃棄してはならないことになっておりまして、内閣総理大臣の承認を得る、具体的には、内閣府の担当課、公文書管理課でございますけれども、この専門部署の了解を得て廃棄をするということになっております。これが今、大体年間で約二百十万冊ございます。 この保存の三万と二百十万が多いか少ないかということについてはいろんな御意見がありますけれども、私の理解では、欧米の先進国でも大体三%程度ということで、日本の水準が著しく懸け離れたものであるというふうには理解をしておりません。 この移管と廃棄に当たりましては、ここの、公文書館が、オレンジのラインで書いてありますけれども、レコードスケジュールを決めるに当たって、公文書館としてこの保存年限でいいかどうかということについて各省庁との打合せをいたしますし、それから廃棄処分に当たっては、専門的な立場からこの文書の廃棄が適当かどうかということについて専門的助言をする、私どもは廃棄同意と言っておりますけれども、そういう仕事を行っております。 昨年、御承知のように、内閣府では行政文書の管理に関するガイドラインの見直しを行いまして、ここの注一に書いておりますけれども、従来不明確で、昨年から大変問題になりました保存期間一年未満の文書の取扱い、それから各省庁における文書管理者の設置など、それについて管理体制の整備を取りまとめたところでございまして、これはこれから展開するということになっております。 今申しましたように、国立公文書館では、文書管理の専門家という立場から、この各府省におけるレコードスケジュールの是非、あるいは文書の廃棄に関する適否についての助言を行っておりますけれども、実は現在、国立公文書館でこれを担当している専門家は約十名でございまして、二百万冊からの書類についての点検ということはかなりの重労働になっております。相当の専門的な知識がある、経験があるという人が必要ですので、これが業務量に比してかなり人員が不足しているという実態でございます。 続きまして、次のページで、先を急ぎますけれども、適切な文書管理のためにということですけれども、今申しましたように、昨年来、ガイドラインの見直しなどの公文書管理体制の整備に取り組んでおりますので、今後この管理レベルはかなり上がってくるだろうというふうに私は思っております。 ただ、ガイドラインというのは、その性格上、管理手続の明確化ということに重点が置かれております。もちろん、そのことはそれで非常に重要なことなんですけれども、作成する文書が重要であるかどうかというのは文書の価値判断に関わる問題なんですね。むしろこれは法以前の問題と言っていいと思います。したがいまして、公文書管理に携わる者は、法律やガイドラインの内容を理解することはもちろんなんですけれども、そのもっと基礎的な問題として、公文書とはどのようなものかと、あるいは公文書の意義というものについてしっかり理解をする、学ぶということがこの公文書管理の充実にとって一番重要なことであるというふうに考えております。 そのための提言として、ここにもありますように、私どもとしては、一つは研修の充実、公務員、公文書管理に携わる人たちがしっかり勉強していただく、大変口幅ったい言い方ですけれども、研修の充実を行うということと専門家の育成に取り組んでいくということの二つを挙げてあります。 この中で、研修につきましては、今回のガイドラインの見直しの中で、文書管理の総括責任者が、職員が毎年一回は研修をできるような環境を整えなさいということが初めて織り込まれました。そういう点で、公文書管理に携わる人が年に一回は公文書の意義について学ぶ機会ができたということは大きな前進だと思います。 ここにお示ししてあります表は、現在国立公文書館が行っております公文書管理等に関する研修の受講者数の推移でございます。この数が多いかどうかですけれども、この数年、各省庁、それから全国の公文書館から、この研修を受けたい、公文書を学びたいということが年々増えておりまして、恐らく今年度は千五百人の規模を超えることになると思います。 そのほかに、現在各省庁でも独自の研修が行われていまして、私どもから講師を派遣して研修のチューターとか講師を務めておりますけれども、これも年々活発になってきております。 一方、公文書管理の専門家であるアーキビストといいますのは、先ほど私どもの実態をお話しいたしましたけれども、国立公文書館だけでなく、全国に約九十か所ある県や市町村レベルの公文書館でその数が不足している、深刻な問題になっております。今、この専門家の確保と育成というのは、国の公文書管理にとって私どもの喫緊の課題だというふうに考えております。 しかも、この人材の育成というのは、公文書館がやる、あるいは役所がやるということではなくて、大学なり学会なり関係機関総ぐるみでやらないとこれは人材の育成になりませんので、これは国家的な取組として推進していく必要があるというふうに思っております。 そういうことを控えて、私どもの国立公文書館では、昨年、アーキビストは何をする人なんだと、その仕事をするためにはどんな能力要件が必要かという職務基準書を取りまとめました。欧米の公文書館では全部これが仕事の基準になっているわけですけれども、日本にはこれがこれまでありませんでしたので、一つの試案を作りまして、今、全国の公文書館でその内容について点検をしてもらって、意見聴取を行っております。できれば本年中に取りまとめたい、そしてその結果を人材育成のベースに役立てて、将来的にはこれを権威のある認証資格、できれば国家資格に持っていきたいと思いますけれども、そのことを目指した専門家の育成ということに取り組んでいきたいというふうに思っています。 その絵を描いたのが次のページにありまして、アーキビストの確保・育成の構想というところで、ぐるっと回った絵がありますけれども、まず、何としても一番上のアーキビストの積極的な配置、育成が必要だと。そのためには、アーキビストの専門性ということを国として認めていただく、そのための認証制度というのをつくりたい、その基礎資料として職務基準書というのをしっかりしたものについて確定したい。外国から見ますと、まだ日本はこの程度のことなのかというふうに言われるかもしれませんけれども、この辺のところから始めることが重要だというふうに思っております。 最後になりますけれども、公文書館の活動としては、やはり国民に開かれた公文書活動と。外国の公文書館に参りますと、多くの中学生、高校生が公文書館にあふれておりますけれども、若いときから公文書館に親しみを持ってもらう、この活動を充実させていく、これが専門家の育成と同時に大事だというふうに思っておりまして、最後のページにこの公文書館の利用者の推移を書いておりますけれども、例えば、資料についてデジタル化を進めましてデジタルアーカイブというのを発信しておりますけれども、このアクセス数が紫色の棒グラフで示した線でございます。年々着実に増えております。それから、青い、この横にある、棒グラフの、急に立ち上がっている棒がありますけれども、これは近年公文書館が取り組み始めたツイッターのフォロワー数でございまして、これは急速に伸びております。このほか、青い棒グラフは展示その他で公文書館を訪れる方たちの来館者の数と。着実にこの活動がだんだん進んでいるということは実感しておりますけれども、諸外国に比べますとこの活動はまだまだ遅れておりますので、今度、新館の建設ということで、建設地についてほぼ決まりましたけれども、この新館建設に向けてむしろ中身を充実していく、人材育成を含めたソフト面の強化ということが大事だというふうに考えております。 簡単ですけれども、私からの御説明は以上でございます。 ありがとうございました。
○委員長(金子原二郎君) ありがとうございました。 次に、原公述人にお願いいたします。原公述人。
○公述人(原英史君) 原でございます。本日は、このような機会をいただきまして誠にありがとうございます。 私は、政策コンサルティングの会社を運営しております。その以前は、二十年ほど国の役所に勤めておりました。また、現在、本業のほか、政府の規制改革推進会議や国家戦略特区のワーキンググループの委員などを務めております。そうした経験を踏まえて、公文書管理の在り方、行政の在り方に関してお話しいたします。 まず、公文書管理の在り方、とりわけ政策決定過程に関わる文書の保存についてお話ししたいと思います。 政策決定プロセスを事後的に検証、分析できるようにするため、正確で十分な文書情報が残されることは極めて重要です。公文書管理法の目的にもあるとおり、これはまさに民主主義の根幹を支えるものだと思います。 私自身は政策決定に二つの立場で関わっております。一つは、純粋に民間人として政府の外側から政策決定を見て、これを分析するなどの仕事を行う場合、もう一つは、先ほど申し上げました規制改革推進会議、国家戦略特区ワーキンググループの委員などとして政策決定の内側で関わっている場合です。 前者の立場で政府の外側から政策決定を見ようとするときは、しばしば得られる情報が不十分で、どんな経過で決定がなされたのかよく分からないと感じることがあります。一方で、後者の立場で、内側で自ら政策決定に関わっているときには、不正確な情報が平気で残されている、これが大変気になることがあります。両方の立場から考えますに、正確性、十分性という双方の観点で公文書管理の仕組みには改善の余地があるのでないかと思います。 正確性と申し上げましたが、さらに、保存段階での正確性、それから作成段階での正確性という二つに分かれると思います。 保存段階と申しますのは、一旦残された記録が後から都合よく書き換えられるなどといったことなく正確に維持されるということであります。作成段階というのはそれ以前の段階で、そもそも文書を作る段階で事実が正確に記録されているかどうかという問題であります。ここ数日大問題になっているのは、保存段階の正確性の方の問題かと思います。 そこで、以下では、保存段階の正確性、それから作成段階の正確性、十分性という三つの観点それぞれについて、現状にどのような問題があって、どのような改善策が考えられるのかをお話ししたいと思います。 第一に、保存段階の正確性です。 今回のケースもそうなのかと思いますが、特に紙媒体で管理をしている場合、後から差し替えられることがごく容易になされる可能性があります。これは、電子化を進めること、そして、文書に誰がアクセスして誰が修正したのか、こういった履歴を全て残すようにすることで一定程度問題の解消が可能です。ここ数年、国の行政機関でも電子決裁への移行が急速に進められています。この場合は、今回のような単純な差し替えは生じにくくなっているものと思います。 さらに、今後に向けては、ブロックチェーンの活用が重要な方策になり得ると思います。先週の当委員会でもこの御議論があったと承知をしておりますが、ブロックチェーンは、分散管理によって改ざんを事実上不可能にし、低コストで人手を介さず事務処理を可能にする技術です。 ブロックチェーンというと、仮想通貨、フィンテックが思い浮かべられがちかと思います。また、コインチェックの問題が最近あって、大丈夫なのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、仮想通貨をめぐって現在起きている問題は関わる事業者の信頼性の問題であって、ブロックチェーン技術そのものの信頼性の問題ではないと思っております。 ブロックチェーン技術は、金融分野以外でも様々な事務処理、転々と移転、変更が生じる場合の履歴管理などに幅広く活用ができます。世界各国では、公共部門において、登記、文書管理、個人認証など様々な形でこれを活用する取組が始まりつつあります。 例えば、エストニアでは官民でデータを共有して活用するプラットフォームにブロックチェーン技術を活用しています。また、ガーナやホンジュラスなどの途上国で土地の登記システムにブロックチェーンを導入する実証実験が始まっています。これは、遅れていた国が中間を通り越して一気に最先端に飛び出す、言わば階段飛ばしの事例かと思います。また、ドバイ政府は、報道によれば、政府の全ての公文書管理を二〇二〇年までにブロックチェーンに移行し、情報の永久保存、省力化を実現しようという取組を始めています。 今回の問題を契機として、是非最先端の文書管理システムへの移行を検討すべきでないかと思います。 第二に、作成段階での正確性の問題です。 現状では、文書を作成する段階で、事実が必ずしも正確に記載されていない場合が決して少なくありません。 一つ例を申し上げます。今月、三月五日の毎日新聞で、私が関わっております国家戦略特区に関わる話ですが、自動走行の実験を円滑化する制度を新たに設けることについての記事が出ました。記事の中で、制度創設までの調整段階で、国家戦略特区の会議の民間委員と警察庁、国土交通省などの関係省が激しく対立した、民間委員が官邸の影響力をちらつかせて譲歩を迫って最終的な決着に至ったと記載されています。 この民間委員というのは、名前は記事では書かれていないんですが、明らかに私のことでございまして、そして、官邸の影響力をちらつかせたという部分は全く事実ではありません。私は、国家戦略特区や規制改革の会議では関係省に対して改善すべきことを改善するように求める役回りでありますので、厳しい指摘はするんです。このときも、関係省に対して、皆さんがやっていることは閣議決定違反じゃありませんかといった指摘を繰り返しいたしました。 しかし、官邸の影響力をちらつかせたというのは、これは全く事実ではありません。この件で私は官邸の方とお話ししたことも全くありませんので、そんなことをするいわれもありませんでした。この議論をした会議は公式の会議でした。記録の要員も入っていましたし、二十人以上の同席者もいましたので、私はこれは事実を実証できるんです。 ただ、問題は、記事として表に出たのは氷山の一角であって、このように誤解や悪意に基づいて私の言動をゆがめて記録している文書が恐らく政府内には大量に残されているのだろうということです。それも、私の目には触れないままに残されているんだろうということであります。 今、私はあえて自分の例を挙げましたが、日頃行政官に対して厳しい指摘をなさっていらっしゃる国会議員の先生方におかれましては、恐らく私とは比べ物にならない規模でそうした記録が大量に政府内に残されている、これはもう間違いないと思います。これは、いつ何どき表に出されて悪用されるか分からない、公文書管理の在り方として大変危うい状態ではないかと思っております。 この点について、昨年十二月、政府では、行政文書管理ガイドラインの改正がなされました。外部の者との打合せなどの記録に当たって、可能な限り相手方による確認などにより正確性の確保を期する、また、相手方の確認ができない場合はその旨を判別できるように記載する、つまり、この部分は先方の確認が取れていないといった記録を文書上に残すという指針が示されました。 こういったルールの明確化がなされたことは大きな前進だと思います。ただ、問題は、これを今後どうやって運用していくのかです。相手方の確認を得るということは、文書ではそう書いても現実的でない場合が少なくありません。例えば国会議員の先生方、恐らく毎日のように役所の人たちから説明を聞いて、無数のもう数限りない指摘をされているのでないかと思います。しかし、そこでのやり取りについて役所の担当者から、記録を作りましたので確認してくださいという連絡が来たことは恐らく余りないのではありませんでしょうか。逆に、あらゆる打合せについてそんな依頼が来たら、とてもお仕事にならないんじゃありませんでしょうかと思います。 そこで、解決の方策として考えられるのは、自らに関わる記載はいつでも閲覧、チェックできるようなシステムを整備するということでないかと思います。国会議員の先生方や私のような民間委員また他省の職員などが、行政機関の中に残されている記録文書のうち、自分の発言などに関わるものについてはいつでも閲覧できるようにする、さらに、確認してそれで構わない場合はそう記録し、認識が異なるという場合には指摘して修正を求める、あるいは少なくとも認識が異なりますよということを追記できるような仕組みを構築する、こういったことができないかと思います。 いつでもチェックできると言われてもチェックしている暇なんかないよと言われるかもしれませんが、それでも本人がチェックできる仕組みにするというだけで、少なくとも、客観性に十分配慮して事実をねじ曲げることのないよう、一定の抑止力は働くと思います。先ほど申し上げましたブロックチェーン活用の可能性も含めて、こうしたシステムの整備を是非早急に御検討いただけないかと思います。 第三に、十分性の問題です。 必要な記録が十分に残されていない、また、保存期間が短くて必要なときに廃棄されてしまっているといった問題が続けて起きました。昨年十二月のガイドライン改正では、この面でも一定の前進が図られたと思います。行政機関内部の打合せ、外部の者との折衝など、政策立案や事務事業の実施方針などに影響を及ぼす打合せについては文書を作成しなければいけないとの指針が示されました。また、保存に関しては一年未満で簡易に廃棄されてしまうということが問題になっていましたが、意思決定過程などの検証に必要となる文書は原則として一年以上の保存期間を設定しなければならないとされました。例外的に保存期間を一年未満にできる文書の類型も明確にされました。これは前進だと思います。 ただ、残された問題が幾つかあると思います。 一点目は、期間の問題です。 現状では一年、五年、十年といった期間がありますが、これは元々紙での保存を前提として、保管スペースの限界を考えて設定されたもののはずです。今後電子化を進めれば、保管スペースの問題は大幅に解消します。紙の前提から電子化の前提に切り替えて、保存期間の設定については抜本的に見直すべきでないかと思います。 二点目は、規則設定、運用が各省ごとに委ねられていることです。 現状では、政府統一のガイドラインは一応示されていますが、実際に拘束性を持つ規則は各省ごとに制定することになっています。 報道でも出ていますが、財務省は、今回の問題を受けて契約決裁文書の保存期間を五年間にするという規則改正案を示されたそうです。ただ、この規則は財務省だけに適用されるものです。こうしたことは、省によってルールや運用が異なるということが妥当なのかどうか、より統一的なルール設定についても検討すべきでないかと思います。 三点目に、記録を正確、迅速に作成するための手間とコストの問題です。 今後、技術の進展によって音声認識などによる自動記録も進むのでしょうが、少なくとも現時点では記録の作成、確認には相応の手間が掛かります。私自身もいろいろな会議の記録確認に相当の時間を費やしています。さらに、公式な会議以外での打合せ、折衝などの記録も残そうとすれば、それは膨大になります。全てをテープに取って専門業者にテープ起こしを頼むなんてことはできないわけです。行政官や政策決定に関わる者は記録を残すのは当たり前だというのはそのとおりなんですが、精神論だけでは片付かないと思いますので、手間とコストについても是非目配りをいただきたいと思います。 以上、公文書管理については、ブロックチェーンの活用、自らに関わる記録の閲覧、チェックをできる仕組み、保存期間の抜本見直し、規則制定などの統一化、文書管理の手間への配慮など、是非更なる改善を図っていただければと思います。 最後に、行政の在り方についても意見を申し上げます。 今回の事案については報道以上のことを存じ上げませんが、仮に国会答弁とのつじつま合わせのために不正な書換えがなされたとすれば、到底あってはならないことだと思います。 その上で、今後に向けて不正防止のために何をすべきかと考えますと、横断的にできる重要な方策は外部人材を組織に入れることでないかと思います。役所に限らず、組織において、同質性の高い閉鎖的な組織では、組織が良い方向に向かうときは良いのですが、一旦不正に向かったときにはそれを止められなくなりがちです。組織の中に内輪の論理から離れて物事を見られる人がいれば、内部の人たちもその人の目を意識して立ち止まって考え直す可能性があります。その意味で、組織の中に一定数の外部人材、平たく言えば、上司に従わなければ一生冷や飯といった類いの心配にとらわれなくてよい人たちを入れておく、これは重要なことだと思います。官民の人材交流は公務員制度改革の分野で長年の課題ですが、まだ道半ばだと思います。行政全般において更に進めていくべきかと思います。 以上で私の公述を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○委員長(金子原二郎君) ありがとうございました。 以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○島田三郎君 自由民主党の島田三郎でございます。 本日は、お二人の公述人、本当に有意義な御意見を頂戴いたしました。本当にありがとうございます。 公文書管理については今まで余り議論する機会がなかったと思っております。本日は、文書管理について、情報公開の観点で幾つかの御所見を伺えればと思っております。 我が国の公文書管理については、平成十三年四月に施行された行政機関の保有する情報の公開に関する法律により、行政文書を適正に管理をすることが決められました。情報公開制度は公文書が適正に管理されていることを前提とした制度であったわけでございますが、その後、残念ながら幾つかの公文書管理が適正に行われなかったことが発生いたしました。そして、平成二十三年四月に施行されました公文書等の管理に関する法律により、統一的な文書管理のルールが定められたものと理解をいたしております。 まず、お二人の公述人の方にお伺いいたします。 我が国の行政機関の意思決定や許認可の経緯などを、情報公開法により一定のレベルの透明性が確保されてきたと思います。公文書管理法が必要となったものも情報公開の進展によるところであるのではないかと思っております。 まず、公文書管理において情報公開法が果たしてきた役割、また評価、課題について、それぞれのお立場で御所見をお伺いいたします。
○公述人(加藤丈夫君) 加藤でございます。 御指摘のように、情報公開法と公文書管理法が密接な関係を持っているということは事実でございますけれども、主として情報公開法は現用文書の、現在各省庁に保管されている文書の公開ということが中心になっておりまして、公文書館では、非現用文書、一つの保存期間が満了したものの保存ということで、これについての公開ルールについては、先ほどお話ししましたように、一年未満に全部公開ということが基本原則で、その辺については問題ないというふうに思っています。 ただ、現用文書の公開について、各省庁のそれぞれの思惑でいろいろな問題が生じているということは事実であろうというふうに思っております。
○公述人(原英史君) 文書管理と情報公開、表裏一体であるということはまさにおっしゃるとおりだと思います。その上で、私なりに少し実務的なコメントを申し上げますと、起こりがちなことは、情報公開されるのであれば最初から文書をなかったことにしてしまおうといったようなことも起こりがちである、こういったことがないように運営していかないといけないという問題があるかと思っております。
○島田三郎君 ありがとうございます。 行政において比較的に大きな意思決定を行う場合は、審議会や研究会、検討会などを開催し、利害関係者や有識者の方々の意見を聴取するなどし、意思決定過程をオープンな場で議論すること、公平中立な場で議論することが一般的になっております。これも一つの情報公開制度の成果ではないかと思っております。 先ほど原公述人から御所見をいただきましたが、公文書の適正な管理とは、言うまでもなく必要なことであります。一方、保存している文書が基本的に全て公開になると、行政側も必要最低限の文書しか作成しなくなることも想定されます。公文書は、実は国民共有の知的資源であるとともに、行政内で過去の意思決定や調査、起案の根拠や経緯など、行政内部の事務運営のノウハウを記した引継ぎ資料的な性格もあるのでないかと思っております。そのノウハウを集めた資料を作成しなくなり、またメモとして保存しなくなるなど、行政事務のノウハウが引き継がれなくなる、これについて私も実は心配をいたしております。 公文書として管理すべき文書の範囲、情報公開すべき文書の範囲についてお考えがあれば、原公述人にお伺いいたします。また、行政内の御経験もおありですので、この御経験を踏まえてお答えをいただきたいと思っております。
○公述人(原英史君) ありがとうございます。 私、先ほど冒頭にお話をする中でも十分性と正確性ということを申し上げましたが、その両方をきちんと確保するということが重要であると思っております。 十分性という観点だけから考えれば、できるだけ多くの情報を残す、しゃべったことについては全て一言一句残していくというぐらいに全ての打合せの記録を残していくということが重要なわけですが、これをやろうとした場合に、しばしば不正確な記録が大量に残される、それをチェックもし切れないということも起こりがちなわけであります。 〔委員長退席、理事二之湯武史君着席〕 これを回避するための方策としては、これはまだ政府の中においても昨年の十二月のガイドラインを受けて取組を模索中だと思いますが、何らかの形で、その関係者が合意した形での合意議事録のようなものを作る。これは、雑多な情報全てを残しておくというのではなくて、合意された範囲での合意議事録を残すといったようなやり方を非公式な打合せや非公式な折衝も含めてやっていくといったようなことがあり得るのかと思っております。そんな取組が今後必要になるのかと思います。
○島田三郎君 最後になりますが、加藤公述人から公文書管理をいかに実効性のあるものにしていくかについてお伺いできればと思います。 公文書は、先ほども申し上げましたように、国民共有の財産でありますし、この財産が過って、若しくは意図的に廃棄などをされないよう、文書の管理、保存を実効性あるものにしていくためには行政内で具体的にどのような方策を取っていかなければならないか、また、公文書を実際に管理や公開されている立場の加藤公述人から御意見をお伺いいたします。
○公述人(加藤丈夫君) 今の御質問については、お手元にお配りいたしました公文書作成、保存の資料の二ページを御覧いただきたいんですが、ここの左端に、新しくガイドラインの見直しで決まった各省庁における文書管理担当者と、大体課長補佐級の人ですけれども、これを決めなさいということがルールとして示されるようになりました。 この人たちの存在が非常に重要でして、先ほど第三者の目でというお話もありましたけれども、フランスなんかの場合には、これをミショネールということで、内閣府から派遣された人が各省庁に駐在すると。これは文書管理のプロなんですね。その人が文書の保存あるいは廃棄、移管ということについて専門的立場から助言をする、むしろ決定権を持っている、そういう仕組みで公文書管理が回っていると。 これからの、今の御指摘の文書管理に有効に生かせるためには、先ほど申しました目利きをそれぞれの分野に配置すると、このことがポイントだろうというふうに思っております。
○島田三郎君 今回の一件、大変あってはならないことであると私も思っておりますし、実際このようなことが各省庁で慣例化しているということになれば、非常に国民に対して大変な私は欺瞞であると思っております。そういう中で、やはり私は、公文書管理というものを改めて全役所、これがきちんとある意味で規定を作り、共通項で議論をできるいわゆる仕組みというものを、やはり真剣に今回の一件を考えましてしなければならないと思っております。 また、そのためには、私は、役所の中である意味指導的な立場である組織というものを実際使っていくと。大変公文書の管理というのは、役所においては本当に嫌な部分だと思います。その嫌な部分をはっきりと物の言える部局というものをやはりしっかりと権限を与えやっていく、そういう体制をつくっていかねばならないと思っております。 今日は、お二人の公述人の皆様方には本当に参考になるお話を伺いまして、感謝申し上げ、私の質問とさせていただきます。 ありがとうございました。
○竹内真二君 公明党の竹内真二です。 本日は、加藤公述人と原公述人におかれましては、大変にお忙しい中を御出席をいただき、大変にありがとうございます。 まず、昨日、森友学園への国有地売却に関する財務省の決裁文書、これが書き換えられていたということが判明いたしました。行政への信頼、公文書への信頼、これを揺るがす前代未聞の事態であるというふうに思っております。国民を裏切る行為であり、まさに断じて許されるべきものではないと。政府、財務省は、全容解明に全力を挙げていただき、国民そして国会にしっかりと説明責任を尽くしていただきたいと、このように考えております。 また、国民の皆様の信頼を取り戻すために、再発防止それから公文書管理の強化に取り組んでいく必要があり、財務省はもちろんですが、立法府としても与野党の別なく、しっかりとこの問題に対しては対応をしていかなくてはならないと考えております。 そこで、お二人の公述人にお聞きします。 先ほどから紹介されていますけれども、二〇一一年に施行された公文書管理法では、公文書というものは、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であるというふうに位置付けておりまして、さらに、目的としても、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることだと、このように定めております。 その上で、この管理法というのは、先ほど加藤公述人からも紹介がありましたように、公文書の作成、それから保存、それから移管、利用と、こういう各段階でのきちんとしたルール作りというものを七年前に定めたわけですけれども、今回のこの財務省における書換えというのは、この最初の段階でやはり非常にまずい対応があったと、こういうふうに思いますけれども、率直にこの今回の書換えについて受け止めをお二人の公述人にお聞きしたいと思うんですけれども、よろしくお願いします。
○公述人(加藤丈夫君) 今回のことについて、公文書館長としてという、コメントする立場にはございませんけれども、今の御指摘でいいますと、先ほどもお話ししましたように、現在の公文書管理法が想定していない様々な問題が起きていると。 このことは法律策定のときから、この法律についてはかなり、拙速とは申しませんけれども、短い時間で仕上がったので、これからの五年以内に中身を見直して充実させていこうという附帯決議があったと思います。そのことを補うためにガイドラインというものでその手続を決めてきたわけですけれども、そこでも十分にカバーし切れなかった事務手続上のいろんな問題があったと。先ほどお話ししましたように、今度更にガイドラインの見直しをして、そのことについては今問題になっていることがかなり解決されるのではないかなというふうに期待しております。 昨年来、国会でも公文書管理法の見直しも視野に入れた検討をというような御議論があったというふうに伺っておりますけれども、こういう見直しを積み重ねて、改めて公文書管理法の整備ということにつながればというふうに思っております。
○公述人(原英史君) 今回の事案そのものは、よく事実関係を存じ上げませんが、今報じられている事実を前提にして申し上げれば、役所の中にいた経験からして、これだけ国会で大問題になっている事案に関して、わざわざ中心的な材料になっている文書をいじる、書き換えるというのは、ちょっと何を考えているのか信じ難いということではないかと思います。 おっしゃられるように、こういった公文書、国民共有の貴重な資源でありますので、こういった共有の資源を毀損することに対しては重大なペナルティーをもって臨むべきなのかと思います。
○竹内真二君 それから、昨年も、陸上自衛隊が南スーダンPKOの日報という行政文書について保存期間一年未満ということで廃棄したと当初は説明したと、これが後になって存在することが分かった、こういうこともありました。 こうした公文書管理の在り方が厳しく問われまして、昨年末に先ほどから御紹介していただいているようにガイドラインの改正があったわけですけれども、二〇一七年度中に各行政機関で行政管理文書規則の改定が行われていくわけですけれども、このガイドラインの改正について、先ほど一定の評価をされているというコメントもいただきました。 それから、ただ、これ、この先ずっとガイドラインが強化され続けていくのかという問題と、先ほど原公述人からは、一つの御提案として、運用が大事であると、それから自分の発言はいつでも閲覧できるようにする、又は外部人材の活用というような幾つかの指摘がございましたけれども、こういうものをやっていく上で、実際に行政の中で導入していくには、また、それをクリアしていくにはやはり様々な問題、課題があると思うんですが、そういうネックになるものは現時点でどういうものなのかをお二人の公述人にお聞きしたいと思います。
○公述人(加藤丈夫君) 昨年南スーダン等で起こった問題あるいは財務省で起こった問題について私なりの感想を申しますと、公文書管理法のガイドラインで保存期間一年未満と決めたものについては担当者の判断で廃棄してよろしいということになっていたわけです。これは、さして重要じゃない文書は保存期間一年未満にしようということで決まったルールなんですけれども、逆に一年未満と決めたから廃棄は自由なんだと、この論理がどこかですり替わっていたかもしれない。重要じゃないから一年未満としたんだけど、一年未満としたから重要じゃないんだということに捉えてしまったかもしれない。 こういう問題を解決するには、先ほど申しましたように、やっぱり法の解釈、法の理解以前に、公文書というのはどういうものなんだという公文書の意義というものについての理解、教育といいましょうか、そういう場をしっかりつくっていくということがまず基本だろうというふうに思います。
○公述人(原英史君) ガイドラインの改正、私、先ほどのお話の中でも一定程度大きな前進をしていると申し上げました。こういった形で制度をより改善していく、良くしていくということは重要だと思います。 一方で、今まさに加藤公述人もおっしゃられたんですが、そもそも公文書管理の意義をきちんと共有するという、この問題は非常に重要だと思います。やはり今役所の人たちからすると、文書管理なんというのは片手間にやっておけばいいというような仕事である場合が間々あるわけです。しかも、面倒くさい仕事で、適当にやっておけばいいということにもしばしばなりかねないということであります。 これが国民共有の財産として、また未来に向けてこういった資料をきちんと残しておくということがいかに重要なのかということを共有する、そのために先ほど加藤公述人もおっしゃられたような人材の育成もしっかりと行うということは大変重要なのではないかと思います。
○竹内真二君 今まさに公文書の管理の在り方の理念とか教育、研修の重要性についてお話があったんですけれども、次の質問もまさにそれをお聞きしたかったんですけれども、やはりこの各種の問題というものをしっかり防止していく、そのためにはやはり行政側の意識変革がやっぱり鍵を握るというふうに考えます。 その意味では、この作成、管理等を行う職員の皆さんへのしっかりとした研修というものが当然必要になってくるわけですけれども、先ほど加藤公述人からも、年一回研修を行っていまして、先ほどの数値を見ましても右肩上がりに伸びているわけですね。実際、もっと研修を受けたいというような要望もあるというふうにお話がありましたけれども、やはり、ただ、外から見ていると、実際にそういう研修というのは、じゃ何をしているのかと、具体的にどういう研修をしているのかというのがなかなかよく分からない。その研修の結果というのはどういう効果が出ているのかというのもまた外から見てはなかなか分からないんですけど、もう少し、研修というのは今どういうふうに行われているか、又は研修について今後もう少しこういう面をしっかりと取り組んでいかないと効果というものが、意識が強まるとか、そういう効果というのは現れにくいんだと、そういう課題についてお二人の公述人からお聞かせ願えたらと思います。
○理事(二之湯武史君) それぞれ、時間が来ていますので、簡潔にお願いいたします。
○公述人(加藤丈夫君) 先ほどお話ししました研修というのは、私どもがやっている研修は二つございまして、一つは現職の公務員を対象にした公文書管理研修でございます。これは各省庁の公文書担当者の方たちに行っております。これが三段階に分かれておりまして、初級、中級、上級ということで、初級、中級は主として公文書管理法の解釈の問題、理解の問題、これが中心テーマでございます。三級になりますと、これは大学でいえば大学院レベルでございまして、かなり技術的な問題、デジタル化の技術の問題、それから公文書の歴史的背景の問題を含めたかなり専門的な教育をしております。この一級、二級、三級課程を通過した人は一つの認証をしておりまして、これは公文書のプロであると、アーキビストであるというふうにしております。 そういう点ではかなりきめ細かいことをやっているんですけれども、実は、参加する方たちは入門者、入門編がほとんどでございまして、それから上級に進もうという人は実態的にはかなり少ないということであります。 同じような研修を、全国の九十か所ある公文書館の各公文書の非現用文書を取り扱っている職員の方たちにも初級、中級、上級という研修を行っております。その合計値がここに示してあるんですけれども。 私としては、この上級のアーキビスト、専門家ということについて、もっとたくさん受講していただきたいという希望を持っております。
○公述人(原英史君) もう簡単に申し上げますが、プロの外部人材を入れること、また内部の人材の意識を高めること、この両面が重要でないかと思います。
○竹内真二君 時間になりました。 本当にありがとうございました。
○浅田均君 日本維新の会、浅田均でございます。 両公述人におかれましては、本日、貴重な御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございます。 それでまた、公文書館の概要をつまびらかには存じておりませんので、加藤館長にまず事実関係から教えていただきたいと思っておるんです。 私ども、この予算委員会でこの間、問題になっております財務省の文書を提出してくれということを要求をしまして、そのとき紙文書しかないということだったんですけれども、結局PDFが出てきたというのは、電子化、電子ファイルも残っておったということが分かりました。 それで、保存期間が満了した歴史資料として重要な行政文書の移管は年間約三万冊というふうにお書きになって、先ほど御説明いただいたわけでありますが、この三万冊というのは紙だけですか。あと、電子データというのも付随しているんでしょうか。
○公述人(加藤丈夫君) 最後の御質問からお答えいたしますと、現在、三万冊の九七、八%が紙文書でございます。電子文書については、順次移管が始まっておりますけれども、現在、公文書館が受けている電子記録、保存、移管対象になった電子ファイルというのは百ファイル以下でございます。ですから、ほとんどが紙文書でございます。 〔理事二之湯武史君退席、委員長着席〕 改めて、公文書館の概要だけごく簡単に御説明いたしますと、公文書館は、一九七一年に設立されまして、国の重要な歴史文書を保存し、公開するのを役割としておりまして、ここにお配りいたしました資料の二ページ目に、現在の所蔵資料は約百四十五万冊でございます。このうちの百万冊弱が憲法、法律、条約等のいわゆる公文書、それから五十万冊弱が江戸時代以前の幕府、公家、寺社等が保存していた古書、古文書の類い、この二つに大きく分かれておりますが、古書、古文書の類いは増えませんけれども、この公文書というものが年間三万冊ずつぐらい増えて、間もなく、七一年に建ちました、ここの写真にあるのが現在の本館でございますけれども、もう数年で資料で満杯になってしまうという状態でございます。 今デジタル化を一生懸命進めておりまして、ここにありますように、現在、所蔵資料の一七%がデジタル化、これは紙文書を私どもがデジタル化しているわけですけれども、このデジタル化した資料はいつでもどこでも誰でもそれぞれが御自宅のパソコンで御覧になれるということでやっております。
○浅田均君 ありがとうございます。 それで、ちょっとしつこいんですが、一七%がデジタル化済みで、今そういうデジタル化の作業は継続して行っておられるわけですね。それで、全て、古文書とか古書とかですね、そういうものもデジタル化をされる御予定なんでしょうか。
○公述人(加藤丈夫君) 今、力を入れておりますのは、どちらかといいますと、古書、古文書の類いのデジタル化ということに力を入れております。といいますのは、私どもの公文書館を利用される、調査研究をされる方は、どちらかというと、古書、古文書の研究者が多いんです。そういう御要望にお応えするために、そちらのデジタル化をまず重点的に進めようということでやっております。
○浅田均君 質問の続きですが、リトリーバルというか、検索とそれからダウンロードとかもできるんでしょうか。
○公述人(加藤丈夫君) デジタル化された資料は、現在所蔵しているものの約一七%ですけど、これはいつでもどこでもダウンロードして、公文書館のホームページをチェックしていただきますと、そこの資料を閲覧できるようになっております。例えば、学校の社会科の授業で日本国憲法の原本を教室で展示するなんというときは、教室に備えてあるディスプレーが直接公文書館のデジタルアーカイブズと連結して、教室などでも教材として使えるようになっております。
○浅田均君 それで、加藤館長、先ほど、アルシビストといいますか、確保、育成の構想とかお話しいただきまして、そのアーカイブの価値を判断できる人を育成するというのは非常に重要なことだと思うんですけれども、これは、館長には大変失礼な言い方になるかも分かりませんけれども、現行のシステムを前提としております。先ほど原公述人の方からお話ありましたブロックチェーン化ですよね、文書をそういう電子化して、かつ暗号化して、誰でもリトリーブできるような仕組みを分散システムでつくるということになりますと、まず何が要らなくなるかというと、公文書館というのはなくなってしまうわけですね。 しかしながら、時を貫く記録という発想というのか、これが私たちが求めておるものだと思うんですが、時を貫く記録というものを残すために、改ざんとかいろいろ防止するためにそういう技術がここまで進んできておるということでございまして、現行のシステムを前提としてそのアーキビストとかお話をされておりますけれども、現行のシステムをそういった新たなシステムに移行させようというようなお話はないんでしょうか。
○公述人(加藤丈夫君) 一つは、是非御理解いただきたいのは、公文書館の性質というのは、基本的には公文書の原本を保存するということは、これが大使命なんです。ですから、電子化が進んで原本がなくてもいい、デジタル化された資料があればというわけにはいかなくて、近くになくてもいいんですけど、どこかに必ず原本はしっかり保存する、で、その利用を便利にするためにデジタル化のシステムを活発に取り入れると、そういう両面でやっていくことになります。 現在は国の公文書の作成が、最近電子決裁が進んでまいりましたけれども、まだ文書決裁が主流で、各省庁に保存されている記録もほとんどが紙文書なんですね。これを移管してやっぱり順次デジタル化していく。ですから、将来的な姿は今御指摘のとおりだと思いますけれども、ここ十年、二十年の仕事というのは、やっぱり紙文書を取り扱いながら合理化を進めていくということになるだろうと思います。
○浅田均君 そこで原公述人にお尋ねしたいんですが、私たちは、電子化というのか、ブロックチェーンあるいはハッシュ関数を使って絶対改ざんのできない分散型の公文書管理システムを実現したいと思っておりますけれども、今、加藤館長がおっしゃったのが現実なんですよね。紙で出てきて、紙で送られてきて、それを原本は保管しつつ電子化するという言わば二重の作業をやっておられるということになるんですが、これはやっぱりある期間を経ないと私たちが望んでいるようなシステムへの移行というのは難しいとお考えでしょうか。
○公述人(原英史君) おっしゃられるとおり、歴史的には紙の文書が大量に残っていますので、それをどうするのかという問題は、これは扱っていかなければいけないと思います。 ただ、その中で、当面は二重にということになるのかもしれませんが、紙の文書と電子化されているものがある、電子化されているものについては新しい仕組みにどんどんと移行していくという形で、紙の文書はもう残さなくてもいいというような段階がどのタイミングで来るのかは分かりませんが、これは技術の進展にもよると思いますが、新たな技術に常に乗り遅れないように移行していくということになるんじゃないかと思います。
○浅田均君 加藤館長にお尋ねしますけれども、そのデジタル化というのはどういう作業をなさっているんですか。スキャナーで読ませてファイルを保存という理解でいいんでしょうか。
○公述人(加藤丈夫君) 基本的には、紙の資料をスキャニングをしてそれを電子ファイルに収めるという今御指摘のとおりのスタイルが作業の基本でございます。
○浅田均君 その電子化、簡便のためにファイルをスキャナーで取って電子化して保存する、それとは別に原本の保存も必要であると。それは何か法律で定めがあるんでしょうか。
○公述人(加藤丈夫君) 法律の定めということではございませんけれども、研究者にとっては、これは研究者の立場に立ってみないと分からないんですけれども、この紙触りですとか、この墨の濃淡とか、そういうものから一つの歴史を解き明かしていく、そのことも一つの重要な研究要素だということなんですね。 そういうことで、誰でもが利用するわけじゃないけれども、やっぱり原本というのは一つ国の基本資料として残しておく、これはやっぱり変わらないだろうと思います。
○浅田均君 もう一つだけ、済みません。 そうしたら、紙ベースのやつは資料館としてそこに残す、公文書は電子化して別のところに残すと、そういう方向性は考えられるわけですね。
○公述人(加藤丈夫君) 今新館の建設構想が進んでおりまして、議事堂の近くに新しい公文書館を建ててくださるという計画が進んでおりますけれども、そのときに、多分この近くにあるのは、電子化された、余り場所を取らない、ディスプレーで資料が検索できる。原本として大事なものは、私どもはつくばに分館がございますけれども、つくばの学園都市、少し離れておりますけれども、保存にしっかりしたスペースが取れるところ、将来的にはそういうようなすみ分けをしながら皆様の御利用を図っていただくということになると思います。
○浅田均君 ありがとうございました。終わります。
○薬師寺みちよ君 無所属クラブの薬師寺みちよでございます。よろしくお願いいたします。 今日、公文書の在り方というものを拝聴させていただきまして、こんなに面白いものだったのかというのを改めて気付かせていただきました。その上でお尋ねをしていきたいんですけれども、今、いわゆる法律というようなものがあり、それをガイドラインでブラッシュアップしてきたという歴史がございますけれども、もうそろそろ法律もしっかりと書き込んでいくべきことというのが出てきたんじゃないかとお考えになっていらっしゃるようでございましたら、加藤公述人、御意見いただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○公述人(加藤丈夫君) 先ほども申しましたけれども、現在の公文書管理法が成立したときに、かなり早い時間ででき上がった法律ですので、五年後に見直しをするということが成立当初からの目標になっておりました。五年を経過して、今、公文書管理委員会というのが内閣の中に組織がありますけれども、その五年後見直しを含めた検討が進んでいるというふうに伺っておりまして、これ国会でも、先ほどお話ししましたように見直しを視野に入れた整備を検討しているということですので、遠からぬうちにそういうことの取組が具体的に始まるというふうに思っております。
○薬師寺みちよ君 もしこの部分がと、何か御要望などございましたら、教えていただけますか。
○公述人(加藤丈夫君) 今、ガイドラインで整備をされていることが、先ほども御指摘がありましたけれども、その運用の実態というのはかなり各省庁の判断に委ねると。ガイドラインは作るけれども、運用は各省庁の独自性に委ねている部分がかなりあるわけですね。そういうことも原因になって今起こっている問題というのが発生していることもあると思うんですけれども、法律で決まりますと、それは全省庁、全役所に共通のルールとして定着いたしますので、そのことはやっぱり大きな前進になるだろうというふうに思っています。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。 それから、先ほどから何回も出てきておりますアーカイブをするための専門職、アーキビストという方でございます。今、これ学会認定という認識でよろしゅうございますか。
○公述人(加藤丈夫君) 今、アーキビストの専門家というのは、正式には認定資格というのはございませんで、唯一あるのは、日本アーカイブズ学会という学会がアーキビストとして登録するという登録制度があるんです。これは、一応世間的には専門家として認められておりますけれども、百人弱の人数でここ数年ずっと数が変わっていないんです。アーキビスト学会でもこれは何とかしなきゃならないと。我々が今取り組んでいる職務基準書の整備ということも併せて、改めてこの専門家の資格制度と認証制度に取り組もうということで考えております。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。 今百人弱ということで、将来的にどのくらいの人数が必要だというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○公述人(加藤丈夫君) 非常に端的な例で言いますと、今、私どもの国立公文書館にアーキビストと言われる専門家が約三十名でございます。将来、新しい公文書館ができて文書量が増えてまいりますと、私の計算で最低でも百五十人は必要だというふうに思っております。 これは、一朝一夕に人が育つ問題でございませんで、今アーキビストということの国際比較でいいますと、日本はまだその専門資格がないんですけれども、アメリカの場合にはアーキビストと言われる人が六千二百人いると言われているんです。それからイギリスで二千四百人だと、こう言われている。ですから、この公文書管理の中身というか充実の力の差というのは、残念ながら歴然としていると言わざるを得ないです。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。 いわゆる専門職の皆様方を国家資格化していくというときに、そのメリットとして一つ挙げられるのが、しっかりとした専門職としてのサラリーが確保できるということと、そういうポジションというものが明確化していくということだと思いますけれども、どのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。 例えば、今事務職としていらしてくださっている方が専門職としての何かスキルアップができるような、そういう形で何か構想をお考えになっていらっしゃいますでしょうか。お願い申し上げます。
○公述人(加藤丈夫君) 非常に端的な例で申しますと、図書館には司書という専門職がございます。それから、博物館、美術館には学芸員という専門家がいます、英語で言えばキュレーターですけれども。日本の場合にはアーキビストと呼んでおりますけれども、それに相当する日本語がないんです。それだけやはりアーキビストとしての日本での専門的職業としての地位というのが確立していない。そのことの結果として、先ほど全国で問題だと言いましたけれども、全国の公文書館での専門家というのは、正規職員として雇用されている方が非常に少ないんですね。有期の非正規で、かなりの高学歴の高い専門性を持った方での処遇が必ずしも安定していない。 そのことが専門性を育てる障害になっていると思いますので、まずはこのアーキビストの専門家としての、専門的職業としての地位を明確にするということが大切だと思っています。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございました。多分みんな、ここ納得できたと思います。 やはり、公文書としての価値をいかに高めていくのかということも私どももしっかり考えていかなければならないと思いますし、ただ建物を建てればいいというだけではなく、ハード面そしてソフト面ということで、両輪となって充実していくためには何が必要なのかということも、実際に今回その法改正も考えられているのであれば、その中で私は織り込むべきではないのかなと考えておりますので、是非これを超党派でも取り組んでいかなければならないと思っております。ありがとうございます。 原公述人にもお尋ねをしてみたいんですが、今この議論を受けまして何か御意見ございましたら、まず一言いただけますでしょうか。お願いいたします。
○公述人(原英史君) こういった専門の人材を育成していくというのは大変重要なことであり、また、議論がありましたように、そのキャリアパスをしっかりと構築をして育成をしていくというのは大変重要なことだろうと思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。 なので、公文書というものの重要性というものが、私は、こちらの一方の専門職では高められていっても、じゃ、それを作る人間がそういう価値があると思ってもらわなければならないという一方の問題、これをどう解決していったらいいのか、大変これは難しいと思います。 原公述人も、もちろん省庁の中で様々お仕事をしてこられて、今も外部委員として様々な審議会にも関わっていただいているんですけれども、公文書としての、いわゆる責任を持って作成をしていくような教育というのが、実際に勤務していらっしゃる皆様方には行われているんでしょうか。そういう価値のあるものを自分たちが作成しているという意識を持っていただいているのか、済みません、OBとしての意見でも結構でございますので、いただけますでしょうか。
○公述人(原英史君) 残念ながら、私、役所を辞めてもう大分時間がたってしまいましたが、私が役所におりましたときは、実務的な情報提供や研修はあったと思います。行政文書というのはこういうもので、こう扱うんだという、そのルールについての説明はあったと思いますが、理念、意義の部分について私は少なくとも説明を聞いた記憶がないですし、そこが本当は一番肝腎なんだろうと思います。 それは、研修ということも大事だと思いますし、やはりこういった政治の場で是非そういった議論をしていただいて、より国民から、公文書を作成する、管理するということの重要性が国民にも共有されて、役所の人たちがやらざるを得なくなる環境がつくられていくということが重要ではないかと思います。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。 原公述人から、様々いろいろシステム的にどういうふうなものを構築していけば抑止力になっていくのかという説明も一方ではあったかと思いますけど、やはりそこを遵守しなければならないといったようなことにつきましても、私どもはもっと教育、研修というものが必要ではないかと思うんです。 ということは、まさに加藤公述人のような、アーキビストの皆様方にも御協力をいただきながら、しっかり、公文書とはこうあるべきであって、歴史的にやっぱりこういう意味を持ってということ、もっと省庁とも連携していければ更に皆様方にも意識も啓発できるんではないのかなと思いますけれども、原公述人、こういうソフト、ハード両面でどのような形にしていくべきだと、もし構想をお持ちでございましたら教えていただけますでしょうか。
○公述人(原英史君) 両面が極めて重要だと思います。 私、冒頭のお話の中では、どちらかというと制度面でこういったことが解決できるんじゃないかということを中心にお話をいたしましたが、今日も加藤公述人のお話を伺っていても、やはりこの意義の部分、人材の部分、しっかりやっていかないとこの問題は解決しないということを改めて思いましたので、このソフト面とハード面、しっかりと併せてやっていくということが重要ではないかと思っています。
○薬師寺みちよ君 ありがとうございます。 本当に、今回このようなことがあって初めてこの公文書の在り方というものが見直されてきたと、でも、本当にもう私は遅かったんではないのかと思います。さらに、こういう意識付けというもの、私自身も、今日、原公述人の話を伺いまして、多分、厚生労働省関係の文書にはたくさん名前が載っているんだろうなというようなことも思いましたんですけれども。こうやって透明性が高いものに今後高めていく必要性について、原公述人、もう少しお考え聞かせていただいてもよろしゅうございますでしょうか。
○公述人(原英史君) 先ほどのその正確性、特に行政機関の外の人たちが発言した内容について正確性を確保するというのは、これはもう大変な手間が掛かって難しいことだと思います。これは本人たちがチェックするといっても、なかなかその本人たちだってそこまでやることに時間を割けませんから、少なくとも仕組みを整備をしてできる限りのことをやっていくということで改善していくしかないと思います。 その意味では、まさに、先ほどのお話に戻りますが、制度、システムは整備しつつ、また、きちんと正確な記録を残すことが本当に未来にとって重要なことなんだということをみんなで共有してもらうというこのソフト面と、両方をしっかりやっていかないといけないんだろうと思います。
○薬師寺みちよ君 終わります。ありがとうございました。
○委員長(金子原二郎君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。 この際、公述人の方々に一言御礼を申し上げます。 本日は、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手) これをもって公聴会を散会いたします。 午後三時十六分散会