法務委員会 第14号
- 発言数
- 264 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 9
- 開催日
- 2018/06/05
会議録
○委員長(石川博崇君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、中西哲君、櫻井充君及び岡田直樹君が委員を辞任され、その補欠として山谷えり子君、榛葉賀津也君及び太田房江君が選任されました。 ─────────────
○委員長(石川博崇君) 民法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本日は、本案の審査のため、四名の参考人から御意見を伺います。 本日御出席いただいております参考人は、早稲田大学総長鎌田薫君、弁護士平澤慎一君、公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会理事・消費者教育委員長窪田久美子君及び青山学院大学法務研究科教授・前内閣府消費者委員会委員長河上正二君でございます。 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。 本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。 参考人の皆様方から忌憚のない御意見を賜り、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 議事の進め方について申し上げます。 まず、鎌田参考人、平澤参考人、窪田参考人、河上参考人の順に、お一人十五分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、よろしくお願いいたします。また、各委員の質疑時間が一人十五分と限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いいたします。 それでは、鎌田参考人からお願いいたします。鎌田参考人。
○参考人(鎌田薫君) 民法成年年齢や婚姻適齢に係る民法の一部を改正する法律案に賛成する立場から意見を述べさせていただきます。 まず、民法成年年齢につきましては、第一に、国民投票年齢、公職選挙年齢、民法成年年齢を一致させることが望ましいこと、第二には、少子高齢化が急速に進む我が国においては、若年者が一人前の社会人として主体的、積極的に活躍することが望まれていること、第三に、世界的には十八歳又はそれ以下を成年年齢とする国が多数を占めており、グローバル化の進んだ社会では世界標準に準拠することが望まれること、そして、社会生活の高度化、情報化により若年層が取引活動に参加する機会は飛躍的に増加しており、責任ある取引主体としての地位を早期に確立することが望ましいことなどから、これを十八歳に引き下げることに賛成いたしております。 その理由につきましては、平成二十一年の法制審議会民法成年年齢部会最終報告書に記したところと同旨でありますので、これを援用させていただいた上で若干の補足をさせていただきます。 国民投票年齢、選挙年齢と民法成年年齢との関係についてでありますが、理論的には両者は必ずしも一致する必要はありません。とはいえ、取引社会、言い換えれば市民社会の一員としての行動について、親の権威の下にある者が国家の行方につき責任ある判断をなし得ると考えることは余り適切ではないように思われます。 やや場違いなエピソードを引用させていただきますが、私の所属する早稲田大学の前身であります東京専門学校の開校式におきまして、その開学を実質的に牽引した小野梓は次のように述べています。「国を独立せしめんと欲せば、必ず先ずその民を独立せしめざるを得ず。その民を独立せしめんと欲せば、必ず先ずその精神を独立せしめざるを得ず。而してその精神を独立せしめんと欲せば、必ず先ずその学問を独立せしめざるを得ず。」と。これは、福沢諭吉の一身独立して一国独立すという名言と同様の趣旨でありまして、当時、上からの近代化が目指され、そのために官立大学で専ら官僚養成を主目標とした教育が行われていたのに対し、むしろ一人一人の市民が、統治、支配の対象としてではなく、主体的に独立した判断をなし得る自立した市民として市民社会を支えるとともに、その判断力を基礎として積極的に国政に参加するのでなければ真の発展は実現し得ない、そのために広く市民に高度の教育を受ける機会を提供していかなければならないという、こういった趣旨のものと理解しております。 グローバル化と科学技術の発展によって産業構造、社会構造が劇的に変化しつつある一方で、我が国では少子高齢化が急速に進み、若者の政治離れが指摘されています。こうした我が国の現状に鑑みると、十八歳、十九歳の若者を社会的、経済的に大人として処遇することによって、市民社会を構成する一人前の大人としての自覚を高め、それを基礎として国政選挙や地方選挙への主体的、積極的な参加を促すことが望ましいように思われます。こうした観点から、成年年齢と選挙年齢とを一致させることに賛成する次第であります。 また、世界的には十八歳を成年年齢とする国が多数を占めており、グローバル化の進んだ社会では世界標準に準拠することが望ましいとも考えております。 これも若干エピソード的になりますけれども、近時、我が国における外国住民比率も、そしてまた外国からの訪問者、外国への旅行者も急速に増加しつつあります。私の所属する大学でも、昨年度の在籍外国人学生数は七千五百名に及んでいますし、短期留学も含めれば四〇%程度の学生が一度は海外での学びを経験するに至っております。こうした留学生や旅行者が海外で取引行為をするケースはますます増加していますし、インターネットを通じて若年者が海外取引をするケースも増えています。 外国での取引、あるいは外国人との国内取引について限って見ますが、法の適用に関する通則法第四条は、人の行為能力は本国法によって定めることを原則としつつ、本国法によれば制限行為能力者であっても行為地法によれば行為能力者となるべきときは、当該法律行為の当時その全ての当事者が法を同じくする地にあった場合に限り、当該法律行為をした者は行為能力者とみなすものとしています。 したがって、例えば十八歳の日本人がイギリスや中国など満十八歳を成年年齢とする国を訪問して契約をする場合には、取引の相手方は日本人顧客が未成年者であることを前提とした配慮をする必要がなく、この日本人も未成年者取消しはできないということになります。 他方、満十八歳のイギリス人や中国人が日本で契約をするときには、その契約の相手方である日本の事業者は、当該契約が未成年者取消しの対象となり得ることを考慮する必要はありません。これに対し、日本人青年が顧客である場合には、それが全く正当な取引であっても、慎重な事業者であればあるほど未成年者取消しの可能性を勘案して、未成年者単独での契約を避けるべきことになってしまいます。 民法成年年齢制度というのは、このように、未成年者との取引の相手方にとって、通常の取引における独立的な登場人物としての資格があるかないか、これを形式的基準に基づいて一応と、例外がありますので一応と言うのが正しいと思いますけれども、一応確定していくと、こういう機能を有しているものであります。 グローバル社会の一員として日本の若者が諸外国の同世代の人々と対等な立場で活躍をしていくためには、我が国が民法成年年齢に係る国際的な趨勢と歩調を合わせることによって、先ほど述べたような複雑な事態を避けるとともに、十八歳、十九歳の日本人青年について、一人前の市民としての自覚を高めていくことが望ましいと考えております。 このような形で、民法の成年年齢を引き下げることに大きなメリットを認めているところでございますので、国民投票年齢及び選挙年齢が十八歳と定められたことを契機として始まった議論ではございますが、民法の成年年齢を十八歳に引き下げることが妥当であると考えております。 ただし、民法成年年齢部会最終報告書におきましては、民法成年年齢を引き下げた場合には、十八歳、十九歳の者の消費者被害が拡大する危険があること、親権の対象となる年齢が引き下げられると、自立に困難を抱える十八歳、十九歳の者が親の保護を受けられにくくなり、ますます困窮するおそれがあること、高校教育における生徒指導が困難になるおそれもあることなどの課題を指摘させていただきました。 そして、消費者被害の拡大のおそれに対しては、消費者保護施策の充実と消費者関係教育を充実させること、精神的、社会的自立の遅れについては、社会全体が若年者の自立を支えていくような仕組みを採用し、若年者の自立を援助する様々な施策も併せて実行していくこと、高校教育との関連では、高校教育におけるルールづくりをすること、国民一般に対する周知徹底等の方策、こうした方策を取るべきことを提案するとともに、法整備の具体的時期につきましては、それらの施策の定着度等も勘案し、国会におかれまして国民の意識を踏まえつつ御判断いただくことといたしております。 これらの点につきましては、平成二十年に同部会が設置されてから約十年の間に、青少年育成施策大綱の策定、子ども・若者育成支援推進法の制定、消費者庁の発足、消費者教育の推進に関する法律の制定、学習指導要領の改訂と消費者教育の実施、成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議の設置、さらに、今国会での消費者契約法の一部を改正する法律案の上程など様々な施策が講じられてきたところであり、これらを踏まえて、民法成年年齢を引き下げる立法措置を講ずるための環境が整えられたという御判断がなされたものと理解しております。 とはいえ、これらの課題につきまして、万全の対策を完了したというような概念とはなじみにくいものでありますから、今後とも、不十分な部分の克服や新たな課題の解決のために不断の改善を図られることを期待いたしております。 なお、養親年齢については、養子を取ることが他人の子を法律上自分の子として育てるという相当の責任を伴うものでありますから、民法の成年年齢を引き下げる場合でも、現状維持、すなわち二十歳とすべきであると考えております。 また、婚姻適齢につきましては、男女とも十八歳とすべきであるという平成八年の法制審議会の答申があり、これを変更すべき特段の事情もないことから、男女とも十八歳とするべきであると考えております。 以上で私からの意見を終わらせていただきます。
○委員長(石川博崇君) ありがとうございました。 続きまして、平澤参考人にお願いいたします。平澤参考人。
○参考人(平澤慎一君) 平澤です。 本日は、このような場を設けていただきまして、ありがとうございます。感謝いたします。 では、私の意見を述べさせていただきます。 私は、民法の成年年齢を二十歳から十八歳に引き下げる本法案について反対です。 私は、弁護士として、消費者被害救済事件を多く扱ってきました。引下げによって十八歳、十九歳の者が未成年者取消し権を失い、若年者の消費者被害が拡大することを特に懸念していますが、今国会の審議を見ても、残念ながら十分な議論が行われているように見えません。極めて重要な法案であるにもかかわらず、国民的議論も行われず、イメージ先行の議論の下で成立に向かっていくことに大きな危機感を覚えます。 以下では、一、そもそも成年年齢を十八歳に引き下げなければならない立法事実はない、二、引下げに伴って予想される若年者の消費者被害の予防、救済策が全く不十分である、三、国民的議論がなされていないという三点に絞って意見を述べさせていただきます。 第一に、百四十年間も続き、社会的に定着している成年年齢二十歳を、なぜ今十八歳に引き下げる必要があるのかという積極的な理由、すなわち立法事実が見出せません。 二〇〇九年の成年年齢引下げについての法制審議会は、引下げの意義について、十八歳をもって大人として扱うことは、若年者が将来の国づくりの中心であるという国としての強い決意を示すことになるとしています。今国会において、上川法務大臣も、十八歳、十九歳の若年者の社会参加の時期を早め、社会の様々な分野において積極的な役割を果たしてもらうことは、少子高齢化が急速に進む我が国の社会に大きな活力をもたらすものであると答弁されています。そして、引下げは、新たに成年になる若年者の自己決定権を尊重し、参政権に加えて経済取引の面でも一人前の大人として扱うことでこれらの者の社会参加を促すということが述べられています。 しかし、若年者の社会参加が活力ある社会をもたらすとしても、そのために民法の成年年齢も引き下げるべきというのは論理の飛躍です。 民法の成年年齢は、日本社会における大人を何歳とするかということに大きな影響を与えるものですけれども、法律的には、未成年者取消し権を使える年齢、親権の対象となる年齢を決めるという二つの点に大きな意味があります。十八歳から積極的に社会参加できる国にすることと直接的な結び付きはありません。若年者の社会参加という意味では、既に実現されている国民投票権や選挙権の付与が重要なのであって、民法の成年年齢引下げについてはその法的意味を踏まえた上での慎重な議論がなされるべきだと思います。 また、十八歳、十九歳の自己決定権が尊重されるという理由も、日本の現状からすると大きな違和感があります。 個人の自己決定権は、年齢や属性にかかわらず極めて重要で、最大限尊重されなければなりません。しかし、一人前に成熟する一定の年齢までは自己決定権とその者の保護とのバランスが必要です。現行法はその線引きを二十歳としているわけですが、十八歳、十九歳の若年者が未成年者取消し権や親権による制約によって自己決定権を行使できず、大きな問題や不都合が生じているということは聞きません。逆に、日本では、二十歳を過ぎても経済的、社会的に独立していない若年者が多く見られるのであって、あえて成年年齢を引き下げる必要が見出せないのです。 第二に、若年者の消費者被害の予防、救済策が全く不十分であることを指摘します。 成年年齢を引き下げるべき積極的な理由が見出せない一方で、引下げによる多くの具体的な問題点が指摘されています。特に、若年者の消費者被害拡大のおそれが懸念されますが、それに対応する施策は全く不十分です。 私は、弁護士として、今まで消費者被害救済事件を多く扱い、また、国民生活センターのADRの仲介委員や消費生活相談員の方の事例相談などを通じて生の消費者被害事件に接してきました。 消費者トラブルの態様は多種多様で、被害者も高齢者、若年者だけでなく、会社員や公務員、主婦の方など様々です。消費者トラブルは複雑多様化、巧妙化していますが、その背景にあるのは事業者と消費者との情報量や交渉力の格差です。消費者は、ちょっとした心の緩みや気分などからうまい話に乗ってしまい、あるいはうまく断れず被害に遭ってしまいます。その被害救済や予防は極めて重要で、多くの消費者被害に対応する法律、例えば消費者契約法や特定商取引法などが整備されてきました。 その中でも、民法の未成年者取消し権が未成年者の消費者被害の予防と救済に絶大な効果を発揮しているということを実感します。 若年者の消費者被害は、社会経験や知識の乏しさ、判断力、交渉力が乏しいことなどを原因としており、特徴的なものとして、マルチ商法、キャッチセールス、エステ、インターネット取引などによる被害があります。また、若年者は友人関係や上下関係などの人間関係の影響を受けやすく、被害が拡大する傾向があります。被害に遭ったときの問題対応能力も乏しく、問題を抱え込んでしまい解決ができず、被害を拡大させてしまうことも見られます。被害は経済的な損失にとどまらず、精神面に大きな傷を残すこともしばしばです。これらの若者に特徴的な消費者被害については、国民生活センターの資料を今般御配付していますので、是非御参照ください。 このような被害について未成年者取消し権は絶大な効果を発揮します。未成年だったことさえ証明できれば、説明が違ったとか強引な勧誘だったとか証明しなくても契約を取り消せるからです。また、後で簡単に取り消されるリスクがあるため、事業者はそもそも未成年者を勧誘しません。このことは、既に衆議院の議論の中で鉄壁の防波堤などとして再三述べられているところです。 十八歳を成年とすれば、高校三年生の間に成年になります。また、高校卒業という進学、就職、転居という人生の大きな節目で必ず成年ということになります。このような、多感で社会と接触する機会が格段に増える時期に未成年者取消し権を十八歳、十九歳の者が失うのであれば、それに見合う効果を持った制度が必要不可欠です。二〇〇九年の法制審議会意見も、十八歳引下げを適当としながら、その条件として、消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決に資する施策が実現されることが必要であると明記していました。ところが、本法案の成立に当たって、そのような施策が全く盛られていません。 法務大臣は、今国会に提出されている消費者契約法改正法案について、若年者を中心に発生する消費者被害事例を念頭に置いた取消し権の創設等を内容とするものと位置付け、成年年齢引下げに伴う消費者被害拡大のおそれを解決するための施策が実現していると繰り返し答弁されています。しかし、この答弁には無理があります。 今国会で審議されている消費者契約法改正法案に盛り込まれた取消し権は、消費者が抱いている不安や勧誘者に対して恋愛感情を抱いていることに付け込んだ勧誘を理由とするものです。その趣旨は、不当な勧誘により消費者が合理的な判断ができなくなったことを理由に取消しを認めようとするものであって、若年者の特性に着目したものではありません。内閣府消費者委員会の消費者契約法専門調査会の報告書でもそのように整理されています。それが、今国会の法案提出の段階で社会生活上の経験が乏しいことからという要件が付され、特に若年者の特性に配慮したような文言になってしまったものです。 不安を抱かせるような就職セミナー被害やデート商法による被害を受ける若年者はいるかもしれませんが、そのような悪質商法被害からの救済の必要性は若年者に限られません。この消費者契約法改正法案は、直接若年者の消費者被害を念頭に置いて創設されたものではないのです。そして、これらは消費者被害のごく一部の類型についてのものでしかありません。 法制審議会の言う消費者被害の拡大のおそれを解決する施策というのは、そのような特定の商法に着目した被害救済を行うような小さな施策ではありません。もっと広く、若年者の知識、経験、判断力不足から生じる消費者被害の救済や予防を実現する施策だったはずです。そして、それはさきに述べた若年者の消費者被害の実情に対応した施策であり、消費者契約法に関して言えば、広く、判断力、知識、経験等の不足に付け込んで締結させた消費者契約についての取消し権創設ということです。このような取消し権創設すら実現していない状況での成年年齢引下げは、法制審議会が指摘する条件を無視するものです。 また、消費者被害の拡大のおそれを解決する施策として、消費者教育の充実も極めて重要です。この点、法務大臣は、二〇〇八年の現行学習指導要領によって充実した消費者教育が展開され、国民に浸透しており、引下げの環境整備が既に整っていると答弁されています。しかし、これも実態と離れたものです。二〇〇八年当時は、成年年齢引下げの議論も具体化しておらず、引下げを前提に学習指導要領が改訂されたり、その後、引下げを見据えて消費者教育が全面的に展開されたという実態はありませんでした。 消費者教育は、生の社会で生じる消費者問題への考え方や具体的な対応を扱うものであり、教科書を使った従来型授業では限界があります。その限界を超えて実践的な消費者教育が行われ、その効果が国民生活上に現れるには長い時間を要するのでして、今までそのような消費者教育は行われていないのです。 政府は、消費者教育について、今年二月に決まった関係四省庁による三年間集中のアクションプログラムを施策の実現として強調します。しかし、これは逆に言えば、今年二月の時点で実現されていなかったことを示すもので、これによりどれだけ効果が上がるのかは全く未知数です。本来、その効果を丁寧に検証し、その後に成年年齢の引下げを行うというのが法制審議会の意見なのでして、順番が違うと言わざるを得ません。 第三に、国民的議論が行われていないことが挙げられます。 百四十年間も続いて特段不都合が生じておらず、国民の生活に深く根付いている成年年齢二十歳を十八歳に引き下げるのであれば、国民的な議論の盛り上がりが必要です。ところが、議論の盛り上がりどころか、多くの国民は成年年齢が引き下げられようとしていること自体を知りません。また、引下げによってどのようなことが生じるかについての正しい知識も持っていません。そして、世論調査でも反対意見が多くを占める結果となっています。 この点、成年年齢引下げは国民投票法制定時の政治判断であり、弊害についてはそれまでに論じるべきで、本法律案の審議で議論することは時期遅れだとする賛成意見が衆議院本会議で述べられました。しかし、これは耳を疑う暴論です。国民主権の我が国において、国民の意見を無視し、あるいは国民の意識に浸透しないまま国民生活に密着した重要な制度変更がなされるなどということはあり得ません。だからこそ、法制審議会意見は、引下げを国としての強い決意としながらも、国民の意識に現れることを重視しているのです。本法案については、成立前に国民的議論がなされることが絶対に必要だと考えます。 最後に、今、我が国の二十歳以上の人は、婚姻によって成年擬制となった人を除けば、全員二十歳まで未成年者取消し権や親権による保護を受けていました。その我々成年者が、将来の若者に対して、十八歳から社会に出て活躍してほしいので、保護を外すけど頑張ってくれというのであれば、自分たちが受けてきた保護に匹敵する別の手当てを将来の若者に与えなければ、余りにも自分勝手で無責任だと思います。 若年者が社会に参加し、柔軟な視点で日本社会を変革してくれることを期待するならば、若年者が安心、安全に暮らせる社会的基盤を保証することが必要不可欠です。未熟な若者に重い責任を与えて自覚をさせるのではなく、社会全体で若者を育てながら社会に参加させる制度が必要なのではないでしょうか。そして、それは国民的議論の下で、社会的意思として構築されるべきものです。そのような国民的議論もなく、十分な施策もなく、今拙速に成年年齢を十八歳に引き下げることに反対です。 御清聴ありがとうございました。
○委員長(石川博崇君) ありがとうございました。 次に、窪田参考人にお願いいたします。窪田参考人。
○参考人(窪田久美子君) おはようございます。 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会、通称NACSの窪田と申します。今日は、このような場で発表する機会をいただき、誠にありがとうございます。 私どもは、消費生活に関する有資格者で構成された会員約三千名の団体です。会員の多くは、ふだんは企業のお客様相談室やCSR部門、消費生活センターの相談員など別の仕事を持っており、平日の夜や休日の空いた時間で活動をしております。 NACSの活動は三本柱です。消費者教育、消費者トラブルの解決、消費者と行政、企業、消費者団体等との連携を通じて、健全で持続可能な消費生活の確立を目指しております。 私は消費者教育委員長ですので、今日は、消費者教育に特化してお話をさせていただきます。 NACSの消費者教育委員会では、民法の成年年齢引下げの議論が本格化した平成二十八年度から、成年になる前に必要な消費者教育とは何かの研究を始めました。そして、この「思わず伝えたくなる「消費者市民社会」の話 「買う・支払う・使う・捨てる」の4ステップで育てる消費者市民の芽」という教材を作成しました。 お手元の資料の別紙一に、買う、つまりこの契約の基本のテキスト、こちらですね、それからあと、これめくっていただきまして、途中から指導書の数ページ、そして一番最後のページにこのテキストを使って行うワークシートと授業案、授業展開例ですね、こちらを抜粋して掲載してありますので、御覧ください。 この教材を作成する際に、私どもでは、高校の家庭科と公民科の先生にお願いをして、十数回にわたり授業をさせていただきました。私がこの二年間の活動で痛感したのは、高校では、今回の法改正によってどのようなリスクがあるのか、一部の熱心な先生方を除いてほぼ全くと言っていいほど理解されていない、認識されていないということです。 今までの活動を通して私が先生方から伺った言葉でよく聞いたのは、民法の成年年齢が引き下げられると何が問題なんですか、民法の成年年齢引下げってお酒とたばこの話かと思っていました、そして家庭科の先生に授業をさせてほしいというふうにお願いをしますと、民法は公民科の先生の分野ですから、そして今度公民科の先生に御挨拶に行けば、○○教育は主権者教育で十分かと思っていたとか、うちの学校では消費者教育は家庭科の先生に任せているからなどとおっしゃいます。 この先生方の御事情というのは私もよく分かります。先生というのは物すごくお忙しいですし、そもそも授業時間に余裕がないのです。 どういうことかといいますと、まず、御承知のとおり、消費者教育というのは家庭科の授業がメーンになっています。この家庭科の授業は、全国の高校のうち約七割は高校一年生のうちの一年間だけ授業をしています。学習指導要領には、この授業のうち五分の三は調理実習などの実技を行うということが決められていますので、結局その残された時間で衣、食、住、消費生活の勉強をしています。つまり、やらなければいけない項目がとっても多いのです。ですから、私たちが講座をさせてほしいとお願いに行っても、消費生活だけにたくさんの時間は使えないということになるわけです。これは公民科の先生にもお聞きいたしましたが、事情は全く一緒で、やらなければいけないことはとても多く、民法に充てられる時間は年間で一時間のみと、せめてあと一時間授業が増やせればということをおっしゃっていました。 このような状況の中でも、私たちから未成年者取消し権を喪失することの影響について説明をしますと、最初の資料の真ん中のところに受講した高校の教員の感想よりというふうに書かせていただきましたが、先生は、うちの生徒たち、大丈夫かしらと、まるで我が子のように大変心配されるのです。そうはいっても、先生は生徒にどうやって伝えればよいか、専門知識がないから難しい、分からないともおっしゃいます。 この家庭科の先生が、専門知識がないから自信がないとか、それから民法は公民科の先生の領域という気持ち、私もよく分かります。家庭科の先生というのは、そもそも食や衣服、被服ですね、そちらの大学を卒業して家庭科の免許を取得します。大体が理系の出身で、法律の勉強はしていません。ですから、民法の基本的な考えである、たとえ相手がどんなに大企業であっても人と人とは対等、だから、長時間粘り強く交渉されたとしても、一度成立した契約はどちらか一方の都合では取り消せない、それほど契約には強い拘束力がある、逆に言うと、その民法で規定されている未成年者取消し権はトランプで言うとジョーカーのように非常に強い権利を持っているということもほとんど理解している先生はいらっしゃらないと思います。 先生のお話を伺いますと、民法の基本的な考え方は公民科、特別法である消費者契約法やクーリングオフは家庭科で学習することになっているようです。学校内でこの二教科が連携して授業を行っていれば生徒たちも理解ができるのだと思いますけれども、まあ大体は連携はしておりません。違う時期にそれぞれ単独で学習、授業をしますと、家庭科の場合ですとクーリングオフばかりがクローズアップされる傾向があります。そうすると、未成年者取消し権がなくなると何が問題、クーリングオフがあるからいいんじゃないというような感覚になりがちです。 さて、私どもが授業に伺う際、高校は学校によって特色があるため、事前にその学校の生徒さんたちの様子や学習の理解度というのを確認させていただいております。今回の成年年齢引下げについては、経済的に何の問題もなく、親の経済的に何の問題もなく進学できるような環境にある生徒さんたちにとっては、今まで未成年者で一人で、単独で契約ができないということで困ったことはないし、法律が変わってもまあそんなに余り困らないというふうに思っているようです。これに対して、うちの生徒、大丈夫かしらと先ほどお話ししました先生方が心配する生徒さんというのは、経済的に進学を諦めざるを得ない状況にあることが多いのです。 こういった学校の先生に、高校三年生に成人と成人でない生徒が入り交じり、高校でもマルチ商法がはやるかもしれないというお話をすると、大変先生方は心配されます。私の人生、これで変わるかもしれないと思い込んでマルチ商法を始めてしまう生徒さんがいるだろうとおっしゃっていました。ほとんどの大人は、簡単にもうかるなんという言葉は誰も信じません。しかし、この進学を諦めざるを得ないような経済状況、それもまだ十八歳という年齢の子にとっては、この簡単にもうかるという言葉は何か魔力を持ったような言葉に聞こえるようです。 今回この法律が改正されますと、経済的には自立していない十八歳、十九歳の子が親の承諾なく一人で契約し、さらに借金もできてしまうのです。これは、悪質業者にしてみたら、今まで鉄壁の防波堤と思っていたこの未成年者取消し権がなくなることで、判断力が未熟な十八歳、十九歳の新たなおいしい市場ができるようなものではないでしょうか。もし高校でマルチ商法がはやったら、現場はどうしたらよいでしょうか。実際に、私は大学でマルチ商法がはやった学校で対応に右往左往しているという話をお聞きしました。これが高校でも起こる可能性があるということなんです。 消費者教育については、今年の二月に、若年者への消費者教育推進に関するアクションプログラムを四省庁合同で出されました。これは今までになかったとても画期的なことだと思います。アクションプログラムでは、今後三年間で、消費者庁が作成した「社会への扉」というテキストを全県、全学校に配付して授業をすることが数値目標となっていますが、高校の生徒の理解度、それから特色は様々です。私どもの消費者教育のメンバーがお世話になった先生に、どんなにいい教材であっても自分たちの生徒に合っていなかったら意味がないというふうに言われたことがありますが、全くそのとおりだと思います。 テキストを配って消費者教育を一回やればこれは終わりというようなものは消費者教育ではないと思っております。そして、現場の学校の先生は大変お忙しく、このテキストの内容を勉強している時間というのもほとんどないと思います。このような中、誰がこの問題を子供たちに伝えるんでしょうか。 最後に、私は、この国会の参考人の機会をいただくと決まり、慌ててNACSや身近な友人に民法の成年年齢の引下げに関するマル・バツクイズ五問と、今回の引下げに関する感想を聞きましたので、これで御報告をして、終わりにしたいと思います。 一枚目の資料の一番後ろ側を御覧ください。お出しした問題は、この三番の成年年齢引下げに関するクイズ及びアンケート結果からというところの一番の問題です。仮に民法の成人年齢が二十歳から十八歳に引き下がるとしたら、次のうち何が十八歳でできるようになりますか、マルかバツかで答えてください。一番、十八歳で酒が飲めるようになる。二番、十八歳で十年間のパスポートが作れるようになる。三番、十八歳で性別転換の届けを出せるようになる。四番、十八歳で馬券が買えるようになる。五番、十八歳で親の承諾なくクレジットカードが作れるようになる。全問正解した正答率は全体の四三%です。内訳は、NACSの会員は元々興味があるものですから高く出がちなので、一般とNACSの会員と分けて書かせていただきましたが、一般の人は三二%、NACSの会員は五七%でした。 そして、別紙の二ですけれども、その次にまとめさせていただいたのが、この三番のところに書いてある成人年齢引下げに関して御意見がある方は是非お願いしますということで、書いていただいたコメントがこちらに寄せられています。三日間で百五十六人の回答がありましたけれども、これだけの意見が寄せられています。この中には、必要性を感じないとか、あと、なぜ今引き下げるのかとか、酒とたばこは年齢を引き下げないでほしいといったコメントが多く書かれています。 法制審議会の最終報告書では、成年年齢引下げの法整備は、若者の自立を促す施策や消費者被害の拡大のおそれ等の問題解決のための施策が実施すること、そして、その効果が十分に発揮されること、それが国民の意識と現れた段階で速やかに行うのが妥当となっていますが、このクイズの結果やコメントからも、社会的に認識されているとはとても思えません。 このように、教員も保護者も社会的にも認識していない人が多い中、成年年齢の引下げを進めることは、特に学校現場で混乱が起きるのではないかと大変危惧いたします。 以上、NACSの報告を終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
○委員長(石川博崇君) ありがとうございました。 次に、河上参考人にお願いいたします。河上参考人。
○参考人(河上正二君) 青山学院大学の河上と申します。 こうした機会を与えていただいたことについてはお礼を申し上げたいと思います。 実は、私自身は、内閣府の消費者委員会で成年年齢引下げに対する対応のワーキング・グループというのをつくって、そこで報告書を取りまとめたり、その後の答申の発出に関与していたということもありまして、この問題に対しては非常に強い関心を抱いておりました。反対論、賛成論かと言われると、慎重論ですというところになろうかと思います。 あらかじめ意見書をお配りさせていただきましたので、少し省略しながらお話をさせていただきたいと思います。 最初の方は今回の法案が出るまでの経緯等について書いた部分ですが、これは既に御承知のとおりと思われますので省略いたしますけれども、一言だけ申し上げるとすれば、今回の改正への直接の契機が選挙権年齢の十八歳への引下げにあったということは私も承知しているところですけれども、先ほどももう既に指摘がありましたけれども、私法上の成年とそれから公法上の成年というのは、必ずしも一致させる必然性はないということであります。個々の法律ごとに、その立法目的、立法趣旨に照らして成年の年齢設定を異にすることが合理的であることは少なくないわけであります。 民法の第四条の成年という、二十歳以上という数字、これは明治三十一年の民法施行以来のものでございますけれども、御承知かと思いますけれども、太政官布告の中で、強壮のときにあたる年齢、あたるというのは丁という字を書きますけれども、この丁の年と書いてあったこの言葉を成年というふうに置き換えたんだというふうに言われています。 日本では、社会的に一人前であるというふうに考えられる労働能力とかあるいは戦闘能力ですね、これは伝統的にはもう少し若くて、おおむね十三歳から十五歳前後でいわゆる元服式とか成年式を迎えていたとされていたわけですけれども、成年年齢を二十歳と定めたこの太政官布告というのは、諸外国の例を参考に、諸外国では当時二十四歳から二十一歳ぐらいだったわけですが、その例を参考にして、日本でももう少し成熟した判断力を求めたというふうに考えられるところでございます。 先ほど鎌田先生からもお話ありましたけれども、諸外国ではもう十八歳が圧倒的に多くなっているということでしたけれども、諸外国で一九七〇年頃から二〇〇〇年ぐらいにかけて成年年齢の引下げが行われて、かなり多くの国で十八歳にされたということでございます。実は、この十八歳になったということの前提には、必ずしもそれだけではないのですけれども、徴兵制が絡んでいたということであります。つまり、戦闘能力があるということで、もう既に徴兵に掛かっている十八歳の子たちが、自分たちはこういうことがあるのになぜこの成年年齢が二十一歳であったり二十四歳であったりするんだというような意見があって、それにも応えたと。まあ一筋縄ではいきません、いろんな要素があったわけですが、そういう声に応えたものだということであります。 ただ、現在では、若者の身体あるいは精神年齢の成熟度、あるいは本人の意思の尊重と社会的責任への自覚を促すという声に応えたものだというふうに言われていることが多くて、昔はどちらかというと家の財産である家産を守るために親が財産管理をするというところに重点があったところが、今は親権者による財産管理よりも本人の意思決定を尊重するというところに裏打ちされて年齢が下がってきているというのが現状かと思います。 既にお話ありましたけれども、法制審議会が十分議論をした上で平成二十一年に取りまとめた答申では、十八歳に引き下げるのが適当であるということと、ただし書がございまして、現時点で引下げを行うと、消費者被害の拡大など様々な問題が生じるおそれがあるため、引下げの法整備を行うには、若者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれ等の解決に資する施策が実現されることが必要であるというふうに書いておりまして、その時期に関しては国会の判断に委ねるということにしてあったわけであります。 その基になった最終報告書では、消費者保護の具体的施策として、例示ではありますけれども、若年者の特性に応じて事業者に重い説明義務を課すこと、若年者の社会経験の乏しさによる判断力不足に乗じた契約の取消し権を付与することなどを例として挙げていたとおりでございます。後に述べますように、この点は非常に重要な指摘であると考えています。 人の能力の成熟度を制度に反映させようとする試みは、これはもう古くローマの時代から存在いたします。ローマの時代、三十一歳でございました。いずれにしても、人間が社会的に見て一人前になったかどうかについて、古くは、どちらかといえば生殖能力、戦闘能力というものが問われたわけでありますが、現在では、身体的能力よりも精神的能力、つまり自分の独立した意思を形成する能力を重心に移して私法上の能力が問題とされているわけであります。 民法は、基本的に、能力をその人の一定の法的資格というふうに考えて、そのうちの精神的能力、判断能力に着目した制度をいろいろと用意しております。人は生まれながらにして権利義務の帰属点となり得る能力、すなわち権利能力が備わるわけですが、行為の法的効力を考える場合には、その背後にある意思活動に対する評価が加わりまして、成熟した意思能力あるいは事理弁識能力が必須であると。さらに、完全で単独で有効な法律上の行為をなすには、成熟した財産管理能力、判断能力としての行為能力が必要であるというふうにされて、これが民法の成人という概念と結び付けられているわけでございます。 この行為能力が制限されている未成年者の行為に対しては、原則として取消し権が付与されておりまして、これが未成年者取消し権と呼ばれるものでございます。他方、未成年者であっても、法定代理人の個別の同意があったり、あるいは包括的な同意を受けますと、行為能力者と同様に認められる場合があります。つまり、未成年者取消し権制度には、法定代理人の包括的同意によって、その時々の本人の成長段階に応じた能力制限の緩和措置があらかじめ組み込まれているというものでございます。婚姻による成年擬制で親権から解放されることとか、あるいは営業許可によって成年擬制が行われるといったようなこともこの観点から説明されることが可能であります。その意味では、現行の未成年者取消し権制度というのはかなりよくできた制度であるというふうに思われます。 未成年者取消し権が果たす機能というものには幾つかの側面がございます。第一は、その経験未熟な子供あるいは若者の財産を守るということでありまして、自らの軽率な判断の誤りを是正して致命的被害に陥ることを回避する、そういう機会を付与する財産保全機能というのがございます。第二は、親権者等の法定代理人による財産管理機能と、これによって未成年者の不適切な判断を是正する教育的機能でございます。また、幾つかの例外的措置を設けることで段階的に未成年者の独立的判断を支援し尊重する措置を組み込むことで社会取引安定との調整を図るという機能を未成年者取消し権制度全体が果たしていると、こういうふうに言えるかと思います。 ですから、基本は本人を保護するというところが未成年者取消し権の目的ではあるわけですけれども、結果として、未成年者取消し権があることによって本人の行為能力は制限される。相手はそんな取消し権がある相手とまともに取引をしようとはしないというようなことがあるのかもしれません。しかし、完全に有効な法律行為をなし得る能力を認めるということは、本人の意思を尊重するということと同時に、自ら一旦なされた意思決定について責任を取らせると、そしてその決定に拘束されることを意味します。それゆえ、若者に対する攻撃的で不当な勧誘行為があった場合、これに対して、これまでは未成年者取消し権が非常に大きな防波堤になっていたという事実は、これは間違いないことでございます。 もっとも、若年者の具体的成長過程は多様でありまして、二十歳という年齢で画一的に保護の要否や程度を考えるということは本来的には困難でありまして、その要保護状態については、実はむしろ一定の幅を持って検討されるべきだろうと思います。その結果、十八歳から二十二、三歳の幅を持った年齢に対する配慮による若年成人の保護と支援というものが必要だというのが実態に即しているように思われるわけでございます。 消費者委員会で消費者問題について扱っていたこともあって、消費者法の世界でこの若年者がどういうふうに位置付けられるかということを更に申しますと、消費者法の中では、成人を前提としても、やはり情報の質、量、交渉力の格差というものが非常に強く考慮される、取引に際しては、消費者の知識、経験、財産状況への配慮というものが基本法によっても要請されているところでございます。 これらは、精神的能力を考える上での前提となります認知能力、あるいは理解力、分析力、判断力と、そのための情報収集能力や意思貫徹能力というものが問われると同時に、自らの財産を管理する財産的能力、資力、その背後にあるいろんな力があるということに法が配慮していることを示しております。 従来、消費者政策の課題は、どちらかと申しますと、高齢消費者の財産被害あるいは身体的危険からの保護や見守りが重視されておりまして、消費者教育に関しても、高齢消費者を念頭に置いた消費者啓発というものに重心が置かれてまいりました。しかし、翻って考えてみますと、相対的に弱い立場にある傷つきやすい消費者というものには、高齢者のみならず、児童、少年、障害者、そして若年者層が存在するということでございます。 特に、成長期にある若年者は、知識、社会経験が乏しいためにトラブルに巻き込まれやすく、身体的にも成人のような体力がないために思わぬ事故に遭遇することがございます。取引とか社会のリスクに対する耐える力、耐性と申しますが、耐性の乏しさを始め、これらの点は、ちょうど高齢者問題とパラレルに考える、あるいは語ることが可能であります。その差は、衰退途上なのか成長途上なのかという差にすぎないと思われます。 意見書の六ページのところに、高齢者の場合とそれから若年者の場合で一覧表にして左右に書いてありますけれども、こういうふうに対応してそれぞれの弱さというものがございます。財産管理能力の弱さ、攻撃的な勧誘に対する耐性の乏しさということを考えますと、こうした者を守るということは、高齢者、若年成人に共通課題というふうに考えられるわけでございます。 これまでのところは、高齢者に比して若年者はまとまった財産を有しないことが多いために欺瞞的取引のターゲットになることは比較的小さくてあったわけですけれども、それに対して、やはりこれからこの若年者に対するいろんな措置が必要になると。 これについて、消費者教育が重要な課題になるということはいろんなところで論じられておりますけれども、ただ、この教育に関しては、やはり実際に育て上げていくためには少なくとも五年程度の猶予期間は必要だというのがワーキング・グループでのヒアリングの実感でございました。 それからもう一つ、制度的な手当てとしてですけれども、インターネット被害、あるいはマルチ取引被害、エステティックサービス被害、サイドビジネス商法など、若年者に特有の被害に対処するための特商法のような特別法上の手当てと、それから消費者契約法において、年齢に配慮しつつ、高齢者、子供、若年者を含めて判断力、知識、経験不足に付け込まれた脆弱な消費者一般を保護する形での受皿的な取消し権の付与、そして、こうした脆弱な消費者を念頭に置いた説明義務、情報提供義務の強化が必要であろうと考えております。 今般の消費者契約法改正では、実は必ずしも十分な対応をしていただいていないというふうに認識しております。十八、十九の若者から未成年者取消し権を失わせるに当たって、一定のセーフティーネットを張っておいてやるということは、これまで未成年者取消し権の恩恵を受けて生活をしてきた大人たちの若者に対する義務であろうとさえ私は思います。 その意味で、今後、そうした制度的な支援というものを是非考えていただいて初めて成年年齢の引下げということに向かっていただければと思います。 少し時間が超過してしまいました。どうもありがとうございます。
○委員長(石川博崇君) ありがとうございました。 以上で参考人の先生方の意見陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○福岡資麿君 自由民主党の福岡資麿と申します。 今日は四人の先生方、ありがとうございました。 まず、鎌田先生にお伺いをさせていただきたいと思います。 これまでの審議でもそうでしたし、今日の御意見の中でもそうでしたけれども、成年年齢引下げの必要性や目的について様々な御意見がなされたところでございます。 若年者が将来の国づくりの中心であるという国としての強い決意を示すというような目的があるというふうな一方で、立法事実といいますか、これが成立しなければ今の十八歳、十九歳の方、どういった不都合があるのか、不利益を被るのかといったところについてなかなか見えづらいというような御指摘があったことも事実でございます。 今日、先生の御意見の中でも、外国の同世代の人々に比して単独契約を避けられてしまうんじゃないかというような御懸念も一つあるんじゃないかというようなお話もございましたけれども、こういった立法事実について、法制審議会民法成年年齢部会ではどのような議論がなされてどういうふうな取りまとめをなされたのかということについて、改めてお聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(鎌田薫君) 御質問いただきましてありがとうございます。 ただいまの御質問では、この改正法に立法事実はあるのかということでございますけれども、立法事実論は大きく二通りあるんだというふうに考えておりまして、一つは、この新しい法的な対応をしないと喫緊に困ったことがあるのでそれに対応するという場面と、これはむしろ国全体の方向性としてどっちの方向に向かっていくかということを決めると。例えば、選挙制度で普通選挙制度を導入するとか、あるいは男女同権にするとかという、こういう歴史を今までやってきたんですけれども、今から振り返ると、それはまさに立法事実があって、必要性があってというふうなことであるんですけれども、むしろそこでは、国民たちがそれがないと困るというケースもありますけれども、国として一つの方向性を示し、そちらに向かっていくと。 それから、やはり日本が諸外国と比べて今や少数派になっているところをもう少し平準化していくと、こういうふうなことであって、これがなきゃどこが困るんだという類いのものとは少し違うだろうという認識で出発をさせていただいております。
○福岡資麿君 もう一問鎌田先生にお聞かせをいただきたいと思います。 法制審議会の民法成年年齢部会におきましては、法律家以外にも幅広い有識者の方々で構成されておりまして、またその中でも、各種専門家、高校生、大学生等から幅広い御意見を聞きながら慎重に取りまとめをされたというふうに承っております。その中で、取りまとめにおいては、成年年齢の引下げが妥当としながらも、あえて具体的な時期は明示せずに国会の判断に委ねるというふうにされたわけでございます。 それについては、若年者の自立を促すような施策や消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決に資する施策が実現され、これらの施策の効果が十分に発揮され、それが国民の意識として現れた段階において行うのが相当であるというようなことから国会の判断に委ねたというようなことであろうというふうに思いますが、先ほどの先生のお話の中では、環境が整えられたと政府において判断されたものだというようなお話がございました。 この答申取りまとめられて以降、今日において様々な施策が講じられてきていますが、このタイミングの環境整備の状況について、どのような御認識かについてお聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(鎌田薫君) 正直申し上げまして、一つ一つの施策についてどういう形での効果が出ているかということを、やっぱりエビデンスベースドで語るほどの資料を残念ながら持ち合わせておりません。 しかしながら、やはりこの民法成年年齢についての議論が始まったことを契機として、様々な立法、法令上の措置が講じられ、またいろいろなプログラムが展開され、そして消費者教育も徐々にではありますけれども実施されてきたということで、それなりに提案した内容についての全体としての施策は前向きに進んでいるというふうに考えております。 ただし、ここで十年たっていますけれども、これ、いつ法律になるか分からないというふうな前提での作業でありましたけれども、これが仮に法律が制定されて数年後に施行されるということになれば、これを契機にして、それならばここのもっと足りないところはこういう形で補充すべきである、これをもっと実践、現実の問題として実施していかなければいけないということで加速の勢いが付く、あるいはそうしなければいけないだろうというふうに考えております。
○福岡資麿君 今の案では平成三十四年施行となっていますから、これから更にまた環境整備を進めていかなければならないという御認識を示されたものと思います。 続きまして、河上先生そして平澤先生、窪田先生にそれぞれお聞かせをいただきたいと思います。 成年年齢の引下げによりまして、未成年者取消し権を喪失する十八歳、十九歳の若年者が悪徳商法などの消費者被害に遭うおそれがあるのではないかという懸念が一貫して示されてきたところでございます。これに対しましては、若年者の取引すること自体を制限し続けるということもありますが、一方で、若年者の経験不足に付け込むような取引の方をむしろ制限すべきではないかというような考えもあるというふうに承知をしています。 そういった中で、今日もいろいろお話の中に出ておりましたが、今、参議院においても消費者特別委員会で消費者契約法の改正案について審議がなされているところでございます。私も今こういう消費者問題の特別委員会の委員をさせていただいておりまして、一つ感じていることが、今回この法律の中に、専門調査会の報告書には元々なかった社会生活上の経験が乏しいというような文言が入ったことによりまして、どちらかというと、それによって御高齢者だったり中高年が保護されないんじゃないかというようなところの議論がかなり先行しておりまして、そもそも今回この法律案によって若年者が必要なだけ守られるかどうかという、そういったそこの議論がなかなか深まっていないんじゃないかというような思いを私個人は持っているところでございます。 そこでお聞きしたいんですが、先ほど、消費者契約法の改正案につきましても、河上先生、まだ十分じゃないんじゃないかというようなお話がございましたけれども、その消費者被害の拡大の防止策として十分かどうか、十分でなかったらどういったところに課題があるのかどうかといったところにつきまして、それぞれ河上先生、平澤先生、窪田先生から御意見を伺えればと思います。
○参考人(河上正二君) ありがとうございます。 先ほども申し上げましたように、現在、消費者契約法で一定の対応をしようということで、個別の不当な勧誘行為について若干細かく、非常にワンポイントで、最初は二つ、あとは高齢者分が二つ付け加わって法案が審議されている段階でありますけれども、実は元々消費者委員会に諮問があった段階では、十年近くたって消費者契約法について全然手付かずでしたから、この間の社会経済的な変化に対応したどういう実体的な法律上の手当てが必要かということを聞かれた。そのとき消費者委員会が考えておりましたのは、やはり高齢化であったり情報化であったりですね、そういう話でありました。その途中で、実は消費者庁の長官から、成年年齢の引下げがあるということに対応してどういうことがあったらいいだろうかということの諮問があったわけで、ワーキンググループをつくって集中的に検討して、その中で、消費者教育とかいろんな話を出した一部で消費者契約法についてもこういう手当てが必要だということで、今度は消費者契約法の専門調査会に振ったという、こういう経緯がございました。 ですから、本来であれば、消費者契約法というのは、高齢者それから若年者両方、あるいは障害者にも妥当するようなルールを必要としていたわけでありますが、どうも最初に出てきた段階でこの社会生活上の経験が乏しいという言葉が独り歩きしてしまいまして、そのために高齢者の話が後ろに行ったんじゃないかとかいろんな議論が出たという経緯でございました。 ただ、それでも、ワンポイントでやっているので、ないよりましなんですが、しかし、一般的に年齢等に配慮した情報提供であるとか、あるいは年齢等の弱みに付け込んだその付け込み型勧誘についての取消し権というものを入れてくださいということは、消費者委員会の親委員会から付言で申し上げたにもかかわらず、その点については一貫して先送りという形になったというのが現状でございます。
○参考人(平澤慎一君) じゃ、私の方からも回答させていただきますが。 私の方の先ほど述べた意見の中でも多少申し上げましたけれども、今、国会にかかっている消費者契約法改正については、今、河上先生がおっしゃったように、元々、その合理的な判断ができない事案についての取消し権を議論する中で出てきたものであって、成年年齢引下げとの関係性というのがそもそも、元々はあったわけではないんじゃないかというふうに考えています。 その中で、この取消し権自体は非常に重要なものですし、立法されることに私も賛成しているんですけれども、なのに、その社会生活上の経験が乏しいという要件が付いてしまって議論が混乱してしまったのではないかと。その要件を付けたことがこの民法の成年年齢の引下げの一つの理由として使われているのではないかというふうに私などは考えていて、先ほど述べましたように、それは理由としてされるような取消し権ではないのではないか。やはり、もっと広い付け込み型の勧誘についての取消し、これは若年者に限らずなわけですけれども、そういう経験、知識不足等に付け込むというのは若年者に限らないわけですが、そういう取消し権の導入が必要だし、それがあって、そういう施策があって、手当てがあって初めて引下げが適当になるということを法制審議会の意見としても述べられていたのではないかというふうに考えています。
○参考人(窪田久美子君) 若者にとって、消費者契約法が、勧誘方法でこういう勧誘方法だったら取消しができるとか、そういうところに加えて、この人だったら取消しができるというその条件が加わることはそもそも分かりにくい、非常に分かりにくいと思います。本人が理解していないことを取消しとして申し出るのかということになりますと、申し出ること自体しないのではないか。そうすると、期間があっという間に過ぎてしまうということで、この未成年者取消し権に代わる、そういうような中身になっているということには大変疑問を感じます。
○福岡資麿君 以上で終わります。ありがとうございました。
○若松謙維君 公明党の若松謙維です。 今日は、四人の参考人の先生方、大変にありがとうございます。 私も先週、自民、公明を代表して本会議で代表質問をさせていただきました。また、消費者特別委員会の理事もさせていただいておりまして、昨日も消費者生活協議会の増田理事長ですか、にも質問をやらせていただきました。そういう中で、やはりいろいろ参考人から様々な御意見、本当に貴重な意見だと思っておりまして、改めて感謝申し上げます。 そこで、四人の参考人の方々にそれぞれ質問させていただきたいんですが、まず、先ほど賛成を述べられました鎌田参考人にお尋ねをいたしますが、特に御説明の中で、賛成論の一つとして、いわゆる国際的な比較というんでしょうかね、流れというんでしょうか、そういった観点からということを私非常に印象を受けました。 そういう中、平成二十一年に法制審の最終報告書で十八歳ですか、引下げという一つの結論を、方向性を出したわけでありますが、その後に、三年前には初めての国政選挙での十八歳投票ということでありますが、今日に至るまで十年掛かっているわけであります。この十年というのがいわゆる長過ぎるのか、それとも、いろいろな課題はあるかと思うんですけれども、それについてどういった御意見かということと併せて、やはりいわゆる教育ですね、消費者教育大事だということで、特に高校生、特に高校三年は大事なんですが、やはり今、早稲田大学の総長というお立場からも、大学に入ってからのやはり教育も、やっぱり受験のときにはどっちかというと受験のための勉強で恐らく精いっぱいで、その社会的などうのこうのというのは余り入らないと思うんで、どちらかというと入学時のオリエンテーションが大事じゃないかなと、そう思いますので、そういう意味の消費者教育というんでしょうか、どういう対応されるのか、その点お願いいたします。
○参考人(鎌田薫君) 第一点でございますけれども、この十年間というのは長過ぎたかどうかという点でありますが、十年前に報告書を出した立場からいえば、十年長かったなと正直思います。ただ、これは何年かたてば自動的に良くなるというわけじゃなくて、どれだけいろんな体制が整備できるか、あるいは国民全体がそれを理解できるかということが一番問題であって、それに十年掛かってしまったということだと思いますけれども、この十年間の中でやはり具体的にこの立法スケジュールが見えるようになってからの加速度というのは大きいなというふうに思っておりますので、こういった形で国会で実際に御議論をしていただき、制度の行方が見えるようになると、現実的な課題として様々な法令以外の部分、あるいは学校教育の部分でも更に一層進行していくんではないかということを大いに期待しているところでございます。 それから、御指摘のありました、教育は別に中等教育だけじゃなくて大学でも重要だという点は御指摘のとおりでありますし、この間のほかの参考人の方からもお話がありましたように、これ十八、十九の保護を奪うのはけしからぬという御議論ありますけれども、じゃ、今の二十歳、二十一歳はどうなんだという、実際にも二十歳、二十一歳、さらには、物によってはもう少し財産のできた三十代が大きな犠牲になると、こういうふうなこともございますので、一貫した教育というものが必要だし、社会人教育も必要だというふうに思っております。 ただ、日本の場合には、消費者教育というテーマがありますけれども、そもそもが法教育というものが非常に弱いという特色を持っているように思います。これ、十八、十九が被害者になるということが今話題ではありますけれども、これ十八、十九の加害者もいっぱいいるわけですね。悪徳商法の手先、セールスを行うような人たちもたくさんいるわけで、そういう意味で、やはりもうちょっと基本的な法教育というのがまず必要、その上に具体的な消費者教育が必要。 大学では、今、入学式のその日からこういった消費者被害が新入生相手に頻発しているということを前提にしてしっかり行っておりますけれども、これはでも単発の講演だけで済まされる問題ではございませんので、もっと組織的に継続的にやっていく体制を整えていきたいというふうに考えておりますし、社会人向けにもこうしたものを提供していきたいというふうに考えております。
○若松謙維君 ありがとうございます。 それでは、平澤参考人にお尋ねをいたしますが、平澤参考人は明確に反対ということでありますが、先ほど鎌田参考人に説明した同じ質問を反対の平澤参考人がどんなふうに、いわゆる十年議論ですか、機は熟していないということなんですけど、そういうことであれば、じゃ、いつ引き下げるべきなのか。当然前提条件あるでしょうけど、それを、やはり手をこまねいていてもいけない話だと思いますので、そういった点についてはどのようにお考えでしょうか。 あわせて、この法律が平成三十四年の四月から施行ということで、あと四年、ひとつ期間がありますので、やっぱり先ほど鎌田参考人が御指摘になった、いわゆる法律が、ひとつスケジュールができたというところから具体的なやはり問題意識も対応も始まると思いますので、これもやはり重要かなという観点も含めてどのようにお考えでしょうか。
○参考人(平澤慎一君) 十年が長いか、その十年の意味ということなのかもしれませんけれども、やはり国民のその議論がどれだけなされているのかという話なのではないかと思います。 先ほどNACSの窪田さんからも報告がありましたし、これは日弁連が配っている、お手元に配ったものですけれども、民法の成年年齢って何かということ自体を知らない国民の人が非常に多いですね。やっぱりお酒やたばこですかとか、ギャンブルはどうだろうとか、成人式がどうでしょうとか、そういうような話にどうしてもなりがちで、その未成年者取消し権が使えなくなることの意味とか、親権から外れることの意味ということについての十分な認識がないと思うんです。 そういうことを国民的に話をして、一つの国の方向を決めるんだということで法制審議会の方ではまとめられたと思うんですけれども、そうであれば、その国の方向は国民としてどうなのか、その辺りを議論して、選挙権を十八に下げるけれども、そのほかの制度をどうするのかということを十分議論し、その弊害とか被害のおそれについての施策をつくって、これで十分なのかというのを検証して初めて進むという、そういうことが法制審の意見なのではないかというふうに考えているんです。ですので、十年間それがなされていたのかというと、そうではないのではないかというふうに考えています。 そうであれば、じゃ、その方向でということで今こういう形で法案が出されていますし、三十四年四月からということで期限も区切られていますけれども、その三年間、三年余り、三年半ぐらいですかね、四年、約四年ですか、の間にどの程度のことが整うことができるのかということについては非常に懸念しているところで、先ほどから出ている、消費者契約法の大きな、付け込み型の取消し権とか、それと消費者教育がすごく重要だと思うんですけれども、その消費者教育が、今後十八歳になる子、今中二とかの子にその教育を与えてそこまで行けるのかということについては非常に懸念しています。なので、そういう検証をなされて初めてその引下げの議論になるのではないかというふうに私は考えています。
○若松謙維君 ありがとうございます。 鎌田参考人、平澤参考人共に、いわゆる教育、法教育ですか、この重要性を指摘されました。これも改めてこの当委員会の大きな課題ではないかと思って、ちょっと附帯決議等何か議論しなければいけないのかなと思った次第でございます。 次に、窪田参考人にお尋ねしたいんですが、特に消費者生活アドバイザーというお立場から、本当に現場のまさに対応されていただいていると思うんですが、ちょうど昨日の増田理事長のお話だと、特に若者の方は、いわゆる問題のこの整理というんですか、がまだまだうまくできないので、消費者センターのところに行かないというお話も聞きました。 そういうことで、特に私が法務大臣にお願いしたのは、いわゆる、まあ法律だけで世の中が、成年の成熟化が進むわけではありませんので、様々な省庁、全省庁的な対応が必要だということで、いわゆる連絡会議ですか、これが設置になりまして、四月に第一回目の会議が行われたということであります。そして、私もそこで法務大臣に要求をいたしましたが、当然、既存の、例えば恋愛感情とかそういう今回の法律に盛り込まれた以外に新たな課題が出てくると思うんですね、それもしっかり対応してくださいということでも、それも対応しますという決意も述べられた上で、ちょっと質問させていただくんですが。 結局、その消費者、皆さん、消費者に直接対応されるお立場から、恐らく、明確な言葉は言わなかったんですけど、説明の流れでは恐らく反対かなという認識をしているんですけど、まあそうはいいながらも、やはり必要性も恐らく認識した上での先ほどの御主張だと思うんですけど、やっぱり特に消費者に直接関わられるお立場から、なかなか質問難しいんですけれども、今回の特に法律が恋愛とか、ちょっと消費者契約の方になりますけれども、恋愛とか就職ですか、どっちかと絞った上で更に今プラスアルファで高齢者とか出たんですけど、まあいっぱいあると思うんですね、リスクのところって。だけれど、どこかで決めなくちゃいけないというところなんですけど。この法律、さっき反対、賛成ちょっと明示されていないんですけど、この特に恋愛、就職、こういった、取りあえず若者に対象を絞ったこの法律のプロセスについては、直接消費者と向き合っているお立場からどんなふうにお考えでしょうか。質問、難しいですか。
○参考人(窪田久美子君) お答えになっているかどうか分からないんですが、まず、マルチ商法はどうなるのというのが非常に申し上げたいところです。 一番やっぱり心配なのは、簡単にもうかるという言葉に非常に若者は、特に経済的に困窮していたり、自分の進路がそれで諦めざるを得ないという状況になった生徒たちは、非常にここにやっぱり食い付きやすくなっていると。そこについては、是非何か法的な対処というものをお願いしたいと思っております。
○若松謙維君 ありがとうございます。今後の委員会の審議の参考にさせていただきます。 それでは、河上参考人にお尋ねいたしますが、先ほど慎重というお立場で、恐らく慎重というのは、悩んでいらっしゃるのか、その胸のうちを是非開陳していただきたいんですけれども、先ほども、やはりここ、衆議院も含めてそれなりの、民法改正も、あと消費者契約法の改正の議論も進んでおります。そういう中で、先ほど私も御紹介したような新たな対応ですか、もちろん具体的には今後ですけれども、いろいろと対策も練っているわけであります。 そういう中、先ほど行為能力というお話をされまして、確かに、民法ですか、民法というのは非常に、社会生活を法にいわゆる規範としてまとめるってはっきり言って大変な作業だと思うんですよね、それ自体が。そういう中では、じゃ成年とはどういう意味なのかというのを本当に法教育でどれだけ伝わるかというと、これも限界ありということなんですけれども。 ちょっと端的に、さっき慎重ということですけど、もうちょっと突っ込んで、今後、この民法の成年の引下げについてどういうふうにすべきなのか、ちょっと御意見いただければ。やはりある程度結論を出して、それで課題を今後進めていくのか、それとも、それはもっと慎重に、いわゆるスローダウンするのか、それについてどのようなお考えでしょうか。
○参考人(河上正二君) いや、ちょっとずるい言い方をしてしまいましたけれども、ただ、これまで随分な方が議論をしてきて、二十歳から十八に下げるのが適当であろうという判断をされてきたこと自体については私は反対するつもりはございません。ただ、実際に下げるに当たって、そこに何らのセーフティーネットも張らないで、十八、十九の子供たちをそのまま出してしまうというのが本当にいいんだろうかというところでございます。 車の運転免許で申しますと、若葉マークぐらいは付けて、そこで一定の情報がきちんと渡るようにしておくということとか、ほかの高齢者なんかもそうですけれども、その判断力が十分でないということを前提にして、そこに付け込まれたような場合にまで取消し権を認めないという理由はこれはないんじゃないかという気がするわけであります。 元々、暴利行為という概念が民法にはあって、窮迫とかそういうところに付け込まれて不当な利益を追求されたら無効になると。ただ、これ立証するのがとても難しいので、せめて消費者契約法でそうした受皿となるバスケットクローズを入れてくださいということをお願いしているので、これが入ればまあいいかなという感じがしております。
○若松謙維君 ありがとうございます。終わります。
○榛葉賀津也君 国民民主党の榛葉賀津也でございます。 四名の参考人の先生方、今日は貴重な御意見を誠にありがとうございました。 国会の冒頭に、私は全ての省庁の法案を、政府提出法案を全てヒアリングをしてレクを受けるわけでございますが、今国会、いろいろな目玉の法案がございます。マスコミの注目を浴びる働き方改革であるとかIRであるとかTPPであるとか。今国会、いろいろ私、法案を見させていただいて、この法務委員会のこの法案というのは、この国にとって大きな影響を与えるとても大事な法案だと思ったんですね。ところが、全くニュースになっていないんです。日本大学のアメフトも大事かもしれませんが、何でテレビでこの問題をもっとPRしたり、国民世論を惹起して議論をされないんだろうと非常に思っていたんですね。 今日、私、国会議員になって十八年目になるんですが、初めて法務委員会に来させていただいて、全くの素人ですので、素人の立場から先生方に幾つかお伺いをしたいと思います。一問目は窪田先生に、二問目は平澤先生と河上先生に、そして最後の三問目は鎌田先生にお伺いしたいと思います。 平成二十一年の法制審議会で選挙年齢と民法の成年年齢、これは必ずしも一致する必要がないという見解が出されました。今回、それを一致させるということなんですけれども、法務大臣は少子高齢化を理由の一つにされているんですけれども、人口が減ったから子供に早く大人になれというのは少し論拠が乏しいのかなと思いますが、我々一般国民からすると、二十歳が成人年齢で何が困るんだろうかと純粋に思います。 窪田参考人に、この立法事実について少し先生のお考えをお伺いしたい。私、個人的には、私の息子が十八歳になるんですが、彼がクレジットカードを持ったらえらいことになるなと、親の立場からすると純粋に思います。これが一点目。 二点目は、平澤先生と河上先生に。 これ、読売新聞の調査なんですが、成人年齢を十八歳に引き下げる民法改正に賛成と言っている国民が、賛成四二、反対五六、反対が賛成を一四ポイント上回っているんです。他方で、少年法の適用年齢を二十歳未満から十八歳未満に引き下げることについては、何と賛成が八五%と圧倒的なんですね。この数字についてお二人の先生方はどのようにお考えか。 最後に、三点目は鎌田先生にお伺いいたします。 十八歳から大人になって、投票も十八歳からするということになりますと、これ被選挙年齢も引き下げるという議論が当然あってしかるべきだと思うんですけれども、この点について鎌田先生のお考えをお伺いしたいと思います。
○参考人(窪田久美子君) 難しい御質問なんですが、その選挙年齢を引き下げたことについて、次は民法、刑法という形でどんどん一致させていく方が望ましいというようなお話があったかと思うんですけれども、一致させることの必要性というのは私にとってはよく分かりませんでした。なぜ一致させなければいけないのかというのは、幾ら考えても分からない。 そして、今回、私は、余り私も詳しいわけではないので、当初は、お酒もたばこも一緒に下がると本当に思っていたんですね。だから、民法が下がると、書いてあることに対して全て一致しているのかといったらそうでもない。あるものは二十歳、あるものは十八、別にそろっていないわけです、ほかのものに関して。今回もたばこは二十のままですし、民法の成年が下がったからといって、十八のものもあれば二十もあるということであるのであれば、統一させる必要はないのではないかなというふうに思っております。
○参考人(平澤慎一君) 先ほどの世論調査の結果についてどう考えるかということです。 それで、民法の成年年齢については、賛成四二、反対五六で反対の方が多いということですけれども、このチラシにも書きましたけれども、内閣府の世論調査、二〇一三年によると、十八歳、十九歳の者が親などの同意なくても一人で高額な商品を購入するなどの契約をできるようにすることというふうに具体的に聞くと、反対八割なんですね。 先ほど先生の方の話もありましたけど、我々、我々というか日本の社会において、二十歳でもかなり、何というんですか、頼りないと言ったら弊害があるかもしれませんけれども、そういうときに、十八に下げるということが現実的なのかなというふうに考えながら世論調査に答えると、反対がやっぱり増えるのかなという感じがしていますのと、今言ったように、一人でそんな高額なものを親の見ないところで買われちゃ困るというところがあるんだと思います。 一方で、少年法の方は、少年犯罪自体は以前に比べればすごく減っているわけですね、件数はすごく減っていて、そういう実態がある。それにもかかわらず、マスコミでかなりセンセーショナルに取り扱われてしまう、あるいはネットの中ですごく簡単に拡大してしまう。こんな悪いことをやるやつは十八、十九だって重く処罰すべきだというような簡単な議論が広がりやすいと思います。被害者はかわいそうだという話になりやすいと思います。 ただ、やはり、少年法のその趣旨、若い人には可塑性があって、社会的に更生させるんだという、少年は刑罰の対象じゃなくて保護するんだという理念はやっぱり重要だし、今までも機能しているところだと思います。 なので、民法の成年年齢と少年法の成人年齢というのは切り離して考えるべきだと私は思うし、世論調査としてこうなってしまうのは、ある程度センセーショナルな部分が感情的に訴えて高い比率を出してしまっているのではないかというふうに考えて、国民の冷静な意思判断でこういう数字が出ているんじゃないのではないかというふうに私は思います。
○参考人(河上正二君) 私もよく分からないのですけれども、ただ一方で、民法については法律行為が問題になると。法律行為というのは基本的には財産関係に関わるものでありまして、財産管理能力ということを考えたときに、果たして今これで下げて大丈夫だろうかということを懸念する方が多いんじゃないかというふうに思います。 特に、数値としてももう既に出てきていることですけれども、十八、十九辺りの人というのは八割近くがまだ就学時であって、自らの財産を稼ぎ出すような力もない状態で、親のすねをかじっているわけですよね。それを考えると、勝手に自分でいろんなことができるとはいえ、多くの借金を抱えたりカードを作って好き勝手なことができるにはまだ早いんじゃないかという感覚は確かにあるだろうと。 他方で、何が正しいかとか、そういう行動についての規範意識に関しては、もう十八を超えればきちんと対応してしかるべきだという、その責任能力という点でいえば下がってもそれは仕方がないという判断をされてあの数値が出ているんではないかという気がいたします。
○参考人(鎌田薫君) 直接のお尋ねは、被選挙年齢の引下げもということでございます。 私の基本的な考え方は、もうこれは時代遅れなのかもしれないんですけれども、先ほど申し上げたように、私は、市民社会と国家という、分けて物を考えているんですけれども、まずは市民社会でしっかりとした市民社会の構成員としての内実をつくっていく、これが今必要ではないかというふうに思っています。 高校生に、自分は駄目な人間であるとか社会の役に立たないというのが七割というふうなアンケート結果が出されていて、それから、この中にも出ていますけれども、外国からの留学生なんかと議論すると、何で日本の大学生はこんなに子供っぽいんですかという。こういう現状をじゃどうやって変えていくかという、そういう手段として使うことについては逆に若者から物すごい反発があるのかもしれませんけれども、十八、十九、よその国ではやはり市民社会の一人前の構成員という自覚を持ちながら自分の人生設計をしているという中で、まずは市民社会、それができた後に、そこでの基本的な自立した市民として国政に参加していく。 国政への参加の仕方は、選挙をする参加の仕方と、被選挙権者として、代表者としてなっていくと。私、行く行くはもうどんどん若くしていっていいじゃないかというふうには思っておりますけれども、当面、この民法成年年齢だけでもこれだけ議論があって、若者は弱々しい、判断能力低いと言われている中で、これはとても被選挙年齢を一気に下げていくという議論は通用性がないだろうなというふうに思っております。 発言したついでに二点だけ、一点だけで結構ですから追加させていただければ、十八、十九の人にとって、成年年齢が下がるということで悪徳商法の餌食になるというところが非常に強調されているんですけれども、成年年齢が引き下げられる、未成年者取消し権というのは、典型的には、極めて合理的で、経済的に見ても社会的に見ても全く正当な取引でも何の理由もなしに取り消せるというのが未成年者取消し権なわけでありますね。こういうものをいつまでも適用していいかと。だから、国によっては全く合理的なものは未成年者であっても取り消せないというふうな、こういう規制もあったりするわけで。それと、悪徳商法の犠牲になるのは、これは十八、十九の子だけではなくて、二十歳、三十、六十、七十の人も犠牲になっているわけですから、今求められていることの網をどこまでかぶせるかということが一つ。 それから、財産管理権について河上先生からありましたけれども、未成年者の法定代理人は通常では親権者ですから、未成年者が固有の財産を持っているというのは極めてレアケースですけれども、固有の財産を親は子供の意思に反して処分することができるというのが法定代理権ですよね。だから、そういう下において完全に、ある面では庇護の下に、半分は自分の処分権能を大きく制約された状態に置き続けることがいいかどうかという点もちょっと考慮の中に入れていただければというふうに思っております。
○榛葉賀津也君 何年か前に、実は地元の県立高校で消費税の勉強会、私はやったことがございます。そのときに、消費税というのは子供からも取る税ですから、高校生、三年生でしたが、消費税反対か賛成かという挙手を求めたところ、びっくりすることにほぼ全員が賛成と言うんですね。私はてっきり子供からも税金取るなんて反対だと言うと思ったら、賛成と言うんです。なぜと聞いたら、おじいちゃん、おばあちゃんは逃げ切ろうとしていると言ったんです。 私、びっくりしまして、少し子供だと思ってなめていたら、彼らたちなりに将来の自分たちの人生や税の在り方、そして今の国の借金や社会保障、彼らなりに真剣に考えて皮膚感覚で、大人たちはずるいと、借金をして逃げ切ろうと思っている、それを負わされるのは僕たちだよねということを堂々と言った高校生がいました。私は、是非十八歳、十九歳の社会参加を国として真剣に考えること大事だと思います。 他方で、まだまだ問題点もたくさんあることも事実ですので、今日の四名の参考人の先生方の御意見を参考に、これからも本委員会で議論していきたいと思います。 ありがとうございました。
○有田芳生君 立憲民主党の有田芳生です。 まず、鎌田参考人にお伺いをしたいんですが、これまでの法制審での御発言というものを拝見いたしました。その中で、例えば二十歳が十八歳に引き下がることについて、自己決定権であるとか活力であるとか自立であるとか、そういうものの自覚を促すという、そこは物すごくよく分かるんですが、同時に、鎌田参考人の法制審意見の中で、一人前の大人として行動していくという自覚を形成する段階に現時点ではまだ至っていない、九年前の御発言ですけれども、九年たってその条件というのは大きく変更されたんでしょうか。 確かに、自己決定権である、活力であるという理念はよく理解できるんですけれども、同時に、今お話しなさったように、あるいは後でもお聞きをしますけれども、例えば保証人になるとかあるいは消費者被害の拡大という現実の観点から考えた場合、この九年間で鎌田参考人の憂慮された自覚を形成する段階に現時点ではまだ至っていないというその現実というのは変わっていないと思うんですが、変わったんでしょうか。
○参考人(鎌田薫君) これ変わったと、ここにこれだけの証拠があるじゃないかということを残念ながらお示しすることができません。 ただ、二十歳、実際には十八、十九の子がこういう保証であったり消費者被害に巻き込まれてというケースはほとんどありませんので、二十歳、二十一の子供たちについて、子供というか若年者についてどうかという点では、この辺のところの被害の状況は減少しつつあるというふうな指摘も伺っておりますので、全体としての消費者保護体制が徐々に整いつつあるのかなというふうには思っておりますし、これをもっと加速する上でも、この立法提案が一つの大きなきっかけになってくれればというふうに期待しているところでございます。
○有田芳生君 今、お話の中で、二十歳以下の人たちが消費者被害にそんなに遭っていないだろうというお話がありましたけれども、平澤参考人及び窪田参考人にお聞きをしたいんですけれども、現実として、十八歳、十九歳の被害というものは、それは二十歳以上、三十歳、四十歳、例えば闇金だったら一番四十代が多いわけですけれども、二十代、三十代の消費者被害というものは現実問題としてそんなに少ないものなんでしょうか。
○参考人(平澤慎一君) そんなに少ないことはないです、と思います。それから、十八歳、十九歳で被害が少なくて、二十歳になってから被害が急増するということも言われているところで、実際にデータとしてもそういうことが出ています。 今日、この緑色のチラシの方には、これは日弁連が出したチラシですけれども、マルチ取引は、十八から十九歳の一年の平均と二十から二十二歳の一年の平均で十二・三倍に増えるとか、あるいはローン、サラ金の相談は十一・三倍に増えるとかいうような数字が出ていますし、衆議院の議論の中でもそれは増えるのだということが前提で議論がされています。 これは、やはり取消し権を、未成年者取消し権を失った途端に事業者が狙い撃ちをしてその被害が増えるという傾向がありますので、こういうことになります。 実際に事件をやっていても、誕生日を聞いて、二十歳になったらもう一回来てねと言って契約をするとかいうようなことは全然珍しくありません。なので、それが十八歳成年になれば、十八歳の誕生日になったら来てねということになるだろうし、その十八歳は高校三年生だったりするわけですので、その影響が非常に大きいんじゃないかというふうに懸念しているところです。
○参考人(窪田久美子君) 私の方は、私はふだんは相談員ではないので詳しく、その相談が少ないかとか多いとかというのは実感としてはないんですが、データ的には、やはりそのマルチ商法の被害とかそういったものが、今こちらで日弁連の先生が書かれているとおり、被害が増えるのではないかと言われているのと、それからあと、私もふだんは相談センターには、勤めてはいるんですけれども、違う仕事はしているんですが、実感として、その若者の被害というのはやはり少ないということはないと思います。 それからあと、私が先ほどお話しした、大学でマルチがはやったというお話なんですが、こちらは非常にやっぱり、何というんですかね、マルチって、普通に生活している方たちには余り影響がなくて、例えばちょっと学力で大学の勉強に付いていけないとか、それからあと、ちょっと地方から来て友達になじめないとか、そういった方たちをうまく引き込んでいって、学校に居場所がないわけですから、そういう方たちに悪質業者の方たちは、よく来たね、ここに、もうどうぞどうぞって、すごくあなたは頑張っているねみたいなことを言うわけですから、そういうところに居場所ができてしまうわけです。そこにまた一人お友達が出てきてというわけで、広がり始めたら一気に広がるというのが特徴ですので、これは、もしこの状態のものがある特定のところに広がると非常に、十倍から十二・三倍に広がるというのは非常に、ああそうなんだろうなというのは容易に想像ができるというような状況でございます。
○有田芳生君 今、被害者の方の立場からのお話も御紹介いただきましたけれども、例えば、被害者ではなく加害者の立場に立った場合、まあ霊感商法だけではなく、キャッチセールスなどなど、その加害者の立場に立ったときに、例えば渋谷の駅前で若い人を狙う。その彼らの話を聞くと、大体狙いを定めて、ちょっと寂しそうな顔をしていたりうつむいて歩いたりしている人たちを一つのターゲットにして、あるいは、都会から出身した人ではないなというような人だなという判断をしたら、大体百人に声掛けると一人は引っかかるというんですよ。 平澤参考人にお聞きをしたいんですけれども、そういう加害者の立場からの、いろんなマニュアルなんかも当然あるわけですけれども、そういう実態については、例えば若者を狙うとか、そういうものは何かこれまでの御経験で、ケースはあるでしょうか。
○参考人(平澤慎一君) そうですね、スカウト詐欺みたいな事件があって、モデルにならないかということで誘って、写真を撮って審査をして、受かったら連絡するからといって連絡して、受かりましたよという連絡して来させたら、二次審査に行くためにエステの契約をしなさいとか、そんなようなのもあります。 そういうような場合は、やはり若くてもう一回来れるような、要するに首都圏の人で若い女性を狙う。先ほども申し上げましたけれども、必ずその生年月日は聞きますね。だから、二十歳に行っていない子を勧誘しちゃったらこれは駄目だから、また来てねということで名刺を渡すとか、そういうような話になります。 だから、未成年者取消し権がその一定の歯止めというか防波堤になっていることは確かで、それはもうその勧誘、苦労して勧誘してもどうせ取り消されちゃうのであれば、事業者側もばかばかしいですので最初から誘わないと、勧誘しないと、そういうことになると思います。
○有田芳生君 更に平澤参考人にお聞きをしますけれども、サラ金あるいは闇金、闇金というのはもうとんでもない犯罪行為で、しかし、彼らはそのターゲットを絞ればそこを集団的に検討して、この人を次にどう持っていこうかというようなことを含めて様々な、巧妙な、言ってみれば手口のアップデートというのを常にやっている。今でも闇金被害というのは二十歳未満でもいるわけですけれども、これが十八歳、十九歳にまで年齢が下げられた場合には、約二百四十万人の新しいプールが加害者の側からすればできてくる。だから、そういう深刻さがあるだろうと私は思っているんですけれども、つまり、闇金被害というのは、単に自己破産するだけではなく命をも失うようなケースがありますから、そういったことへの危惧というものを感じているんですけれども、そこら辺の問題点というのはいかがでしょうか。
○参考人(平澤慎一君) 当然そういう危惧があります。若い人は、お金を借りるということについての意味が分からないとか、あるいは利息とかいうことについても十分経験もないまま社会に出てしまうことがある。その中で、人間関係、友人関係とか先輩、後輩とかの関係でお金をどこかから借りてしまって返せない、親に言えないとなれば闇金に手を出すということだって十分考えられるし、闇金業者の方は、その若者はお金自体は持っていないかもしれませんけど、親から引っ張れるとかいうことがあれば、そういうことでどんどん貸すというようなこともあり得ると思うんです。 なので、そういう防波堤としての意味が、防波堤としての年齢が下がるということによる闇金とかサラ金とか、そういうような被害ということも当然予想されるし、十分注意しなければいけない、十分な施策がなければいけないというふうに感じます。
○有田芳生君 河上参考人にお聞きをしますけれども、消費者契約法が改正されたことによって、例えばマルチ商法あるいはキャッチセールス、もっと言えば、知識がないために高額なものを買ってしまった人たちがそれを免れる方法というのは今あるんでしょうか。
○参考人(河上正二君) 現時点で確実に免れる方法というのはまだ確立しておりません。ですから、消費者委員会からのその報告書でも書かせていただいたんですが、例えば特定商取引法のような法律でもってマルチなんかについては対応しないといけないだろうというふうに思います。そのほかにも、フリーローンとかサラ金なんかに関しては、実は消費者契約法では全く対応ができていない状態です。ですから、場合によっては貸金業法とかそういうところで対応していただくとか、幾つかまだ立法的に対応を必要としているものがあります。 今回の消費者契約法の対応というのは、まさにその不安に付け込んだ非常にワンポイントの不当な勧誘行為についてやったということになりますので、せめて消費者契約法でも受皿的に、いろんな手がありますから、若者のそうした判断力不足に対して付け込んで不当な利益を得る行為について取消し権を与えるということは、これは必須ではないかと個人的には考えているところです。
○有田芳生君 鎌田参考人、それから河上参考人、大学でお仕事をなさっているのでお二人に最後お聞きをしたいんですけれども、例えばカルト教育、言ってしまえばオウム真理教のような熱狂集団などなどですけれども、もう一九六〇年代から早稲田、青山学院大学などではそういった活動が続いているわけですけれども、例えば大阪大学などでは、カルトというのは危ないんだよと、こういうふうに近寄ってくるよ、だからそれには注意をしなさいというパンフレットまで作られて、それはまあもちろん大阪大学だけではなく全国にも広げる努力を皆さんされているんだけれども。 この消費者教育という観点で鎌田参考人にお聞きをしたいんですけど、例えば早稲田大学でこういうことをやっているというもし例があれば御紹介いただきたいのと、あるいはこれからこういうことをしなきゃいけないんではないかと、各大学でですけれども、それがあれば是非教えていただきたい。それを最後に、河上参考人にも大学で教えていらっしゃる立場としてお聞きをしたいというふうに思います。
○参考人(鎌田薫君) これもう有田先生御専門のところでありますけれども、本学はカルトで重大犯罪を犯した学生も出しておりますので、先ほど、入学と同時に、入学式のその場で新入生向けの学生生活上のガイダンスを行っているという中で、マルチその他以上にこういったものについての注意喚起というのを行っております。 かつては、入学試験とか、それ以上に合格発表の場というのがそういう場にも利用されていて、今は、だから合格発表でみんな学校へ来いというのをやめて、ネットで、あるいはメールで通知をするというような形の対応もしておりまして、最近は余り目立った動きは減っていると思いますけれども、これは常に警戒を怠らないようにしていきたいというふうに思っています。
○参考人(河上正二君) 私は青山に移ってまだ半年なものですから、ちょっと青山のことは申し上げる力がないのですけれども、ただ少なくとも、私三十年近く大学生を見てきて、やはり大学の一、二年生というのは幼稚化しています。ですから、彼らはだまされやすくなっているんじゃないかという気がするのです。 小さい頃からやはり親の言うこととか大人の言うことをよく聞くという子たちがいい子だというふうにされていますから、そういう子たちが攻撃的な販売勧誘とかそういうのにぶつかったらもうひとたまりもないんじゃないかという気がするわけで、その意味では、私は今、青山でも消費者法の講義をしながら、学生たちに、いろんな新しい手法でアクセスがあるからこういうときにはこういうふうに気を付けていきなさいとか、そういうことをやるようにしています。 できれば大学の入学式の直後に、何日間かオリエンテーションの中でもそれをきちんとやっていかなくちゃいけないなというふうに思いますし、大学でやったときにはもう遅いので、できれば中学校の三年生ぐらい、一、二年生から始めてやはり育てていかないと、本当に市場でうまく判断できる学生には育たないんじゃないかという気がいたします。
○有田芳生君 ありがとうございました。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 今日は、四人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。 今の質問に続きまして、若者の特質ということについてまずお尋ねをしたいと思うんですけれども、今、河上参考人からお話ありました、ひとたまりもないという表現も大変胸に刺さったんですが、窪田参考人、今の河上先生のお話も踏まえてといいますか、窪田参考人が感じていらっしゃる若者の契約の知識の問題だったり、あるいは、これ、昨年の消費者委員会のワーキング・グループの報告書でいうと、知識としてクーリングオフという言葉を知っていても、正確な知識がないためにかえって被害に遭ってしまうとか、マルチ商法は知っていてもネットワークビジネスと言われるとその区別が付かないとか、様々な若者の実情ということあるかと思うんですが、これまでお話しになっていることに加えてお話があれば、是非聞かせていただきたいと思います。
○参考人(窪田久美子君) そもそも学校の先生もよく分かっていらっしゃらないと思います。先ほどもお話し申し上げましたけれども、そんなに学校の中で消費者被害のことを知っていらっしゃる方ってまずいらっしゃらないんですね。 その中で、教科書にはクーリングオフのことがやけに詳しく書かれています。だから、クーリングオフの細かな要件はよく知ってはいるんですけれども、じゃ、それがどうやって使われるかということは多分分かっていないと思いますので、とっても単純な質問で、「社会への扉」にもあると思いますが、一度した契約ですね、それはたしかお店で買った恋人へのプレゼント、それを振られてしまったからお店に返したい、これは返すことができるかできないかという、法律上の話での返すことができるかできないかという質問に対して、先生でも返せるんじゃないですかとおっしゃる方もいらっしゃいます。 そのぐらい、実際にはよく分かっていらっしゃらない。そして、これは高校一年生に授業をしますので、全くもってよく分からない子たちに教えるというようなのが現状だと思います。
○仁比聡平君 今日、冒頭御説明をいただいた現場の実情を伺って、家庭科と公民の連携が極めてなされていないということだったり、あるいは、その中で民法という授業をできるのは僅か一時間程度だったりというようなお話を伺って、消費者教育の分野で効果の測定ということが大きな課題にもなっていると思うんですけれども、その前にといいますか、体制が整ったとはまだ言えないんじゃないのか、現実には。 その下で、皆さんのような担い手、専門家の育成だとか、あるいはそれを保障する予算だとか、やっぱりこれは大きな課題があるんじゃないかと思うんですけれども、その辺りの実情はいかがでしょう。
○参考人(窪田久美子君) おっしゃるとおりだと思います。やっと消費者教育が、私、消費者教育に十五年ぐらい携わっているんですが、まず、学校に入れてもらえるということ自体も厳しいですし、そんな状況の中で消費者教育をやる担い手というのは、当然やる場もないわけですから、育つのも大変だというような状況なんですね。 今、活性化基金がありまして、消費生活センターの相談員さんたちが現場に行って消費者教育というのをやり始めたところですけれども、どちらかというと、それは高齢者向けが多くて、学校にまだまだ行けるような状況には全くなっていないと思います。 ですから、学校もそういう土壌もないですけれども、実際には消費生活センターの方でも、今から学校に行けるような場がないわけですから、育ちようもないというのがまだ現状だと思います。
○仁比聡平君 河上先生にお尋ねしたいんですが、その昨年のワーキング・グループの報告書では、そうした下で、「成年になった時点で全て自己責任ということで責任を負わせるのではなく、社会人としての出発点あるいは助走期間とも言える時点で多額の負債を負い、また、その支払いのためのアルバイトで学業や就職活動がままならなくなるなどの回復不能なダメージから保護しつつ、段階的に経験を積んで成熟した成人に成長することができる社会環境を整備し、若者の成長を支える必要がある。」という言葉があるんですけれども、今回の成年年齢引下げというこの法案の提出に当たってそうした環境が整ったと言えるのか、そこはどうお考えでしょうか。
○参考人(河上正二君) 結論から言うと、言えないというふうに思います。 先ほど来、私は受皿的な取消し権の話をさせていただいておりますけれども、未成年者取消し権というのはオール・オア・ナッシングで、つまり未成年者であるということだけで取消し権を認めてやるというやり方ですけれども、そのやり方がどこまで下に下がるかというよりも、一定の幅の中で、本当に悪質な勧誘行為があったときに、それに対して取消し権で守られるという状況を早くつくっておいて、セーフティーネットを張った中でトライしたりエラーが生じたりということで育てていくということにせざるを得ないんじゃないかという気がするわけでございます。 その意味では、ワンポイントで、これは駄目よ、あれは駄目よというのを事業者のためにつくっていくというやり方は、それは一つの方法ですけれども、逆に言うと、ここぐらいまでやらないと取り消されませんということを消費者契約法がメッセージとして出すわけでありまして、それはやはりまずいんじゃないかという気がしているところです。
○仁比聡平君 そこに関わるお話だと思うんですけれども、河上先生の意見陳述の要旨の三ページ目にもありますが、消費者被害をなくすための施策の問題で、具体的施策として法制審の最終報告書が、若年者の特性に応じて事業者に重い説明義務を課すこと、若年者の社会経験の乏しさによる判断力不足に乗じた契約の取消し権を付与すること、ここを具体例として掲げていることは極めて重要だというお話がありました。 そのことも踏まえて、この若年者の消費者被害をなくすための防止策ですね、先ほど時間が少し足りなかったようにも思いましたので、河上先生の方でお考えになっている重要な事項というのを御提言もいただきたいと思うんですが。
○参考人(河上正二君) どうもありがとうございます。 いや、実は、今の段階で被害がたくさん起きているものについてはワンポイントで手当てをするということが必要で、これは特定商取引法とか先ほどの貸金業法等々の手当てがまずは必要だということと、もう一つが、もう少し一般的な形で、消費者契約法の中で、そのような重要事項説明に関して年齢等に配慮した説明の仕方を要求するということ、そして、受皿的な規定の中で、やはり年齢等、あるいは経験不足やそうした知識不足について、そこに付け込まれたというような場合の取消し権を用意しておいてやるというぐらいの手当ては段階を追ってつくっておかないといけないんじゃないかという気がします。 でも、もちろん、消費者教育の問題は他方であるわけでして、私は、中学生ぐらいからその教育のための教材作りとか、それから人材養成といったようなことをやらなくちゃいけなくて、これは五年ぐらいは絶対掛かるという気がしております。もうその意味では、今予定している施行日は恐らく間に合わないという気がしているところでございます。
○仁比聡平君 そうしますと、そうした消費者保護の施策というのは私もとても大事だと思うんです。それが現実にはまだ今の時点でできていないと。もちろん、その効果が国民の中に浸透しているということもあり得ないわけで。 そうすると、この成年年齢の引下げというのは、法制審の最終報告書の立場に立ったとしても、その具体的時期はまだ来ているとは到底ちょっと言えないんじゃないのかと、それは国会の判断だということにはなっているけれども、その具体的時期というのは来ていないんじゃないのかと私は思うんですが、先生、いかがでしょうか。
○参考人(河上正二君) ただ、いつまでもこの宙ぶらりんの状態に置いておくということがいいとは私も思いませんで、法制審では、十八にすることが望ましいというふうにした上で、一定の状況が整うのを国会の審議に委ねました。ですから、それを考えると、どこかで十八歳成年制というのは国会としてお認めになっていただいて構わないんじゃないかと思うわけです。 ただ、その施行時期を、少し時間的な余裕を取って、いろんな施策がある程度完了するまで待っていただくと。それまでの間に、様々な法的な制度整備、それから消費者教育についての整備というものを急速にやっていただくということでどうかというふうに考えているところでございます。
○仁比聡平君 同じ質問を三人の参考人の皆さんに伺いたいと思うんですが、まず窪田参考人、いかがでしょう。 つまり、法制審の言った三つのハードルというのは、これクリアできたと言えるのかと。
○参考人(窪田久美子君) 先ほども申し上げましたとおり、まず施策が実現されているとも思いませんし、その後の効果が十分に発揮されたということでもないと思っております。
○仁比聡平君 平澤参考人に、その点と、あわせて、先ほど河上参考人もおっしゃられたんですけれども、私、包括的な取消し権というこの消費者契約法の問題、それから加えて若年者勧誘に対する事業者への規制措置、それからクレジット契約をする際の資力要件やその確認方法を厳格化する、あるいは貸金業者からの借入れを行う際にその資力要件や総量規制というのをこれははっきりさせるし、その確認方法を厳格化すると、こういうことをやらないまま未成年者取消し権を外してしまったら、これやっぱり被害にさらされてしまうということになるんじゃないかと思うんですが、その点も併せていかがでしょう。
○参考人(平澤慎一君) 法制審議会のいわゆる三つのハードルと言われているものはやはり達成できていないと私も思っていて、それが、法制審議会の意見を読めば、それを達成してから施行じゃなくて、まず成立という話なんじゃないかなというふうにまず理解しています。 それから、消費者被害の拡大のおそれを解決する施策ということで、今、消費者契約法の付け込み型のことを大分議論になっていますけれども、それだけではなくて、特定商取引法は特に被害に遭いやすい特別な形態の取引を定めているわけで、そこでの規制、特に若い人が引っかかりやすいマルチ取引とかエステなどの美容医療サービスとかキャッチセールスとか、こういうものに対する事業者への規制、あるいは、更にいけば、そこについての取消し権等の民事ルールを付与するような制度ができないか。 それと、今、仁比議員おっしゃったように、若い人はお金を持っていないので、クレジットやキャッシングをしなくちゃいけないので、そこへの貸金業法や割賦販売法の資力要件や審査については厳格化、より厳格化するものがないと被害が簡単に広がるのではないかということで懸念しています。
○仁比聡平君 最後、鎌田参考人に、今のハードル、クリアしたかという点と、それから、冒頭の意見陳述で、万全の体制を整えたとは言えないのではないかと、不十分な課題の克服や新たな課題への対応が必要であるという御認識も示されたと思うんですが、そうした不十分な点とか新たな課題とかいうことの中身で、もし教えていただければ。
○参考人(鎌田薫君) これ、ちょっと法制審の報告書を作った立場としてなかなか答えにくいところもあるんですけれども、これ、この方向性で、ここでは、これらの施策の効果が十分に発揮され、それが国民の意識として現れた段階においてというところまで完全に達しているかというと、まだ不十分だというふうには思っております。 他方で、いろいろな提案について、実際にも消費者保護法制を作っていくときには、これ要件立てをめぐって、できるだけ幅広く救済できるような要件立てをすると正常取引が引っかかってくるというふうな問題もあって、一朝一夕に解決できないような部分もありますので一気呵成には行けないだろうというふうなことも他方で考えております。 と同時に、どれぐらいの数の若年者被害が出てきて、それに対してどれぐらいのコストを掛けることが妥当なのかと、こういうふうなことを多分総合的に考えていくし、規制をすれば、逃げ水現象で、それを逃れる新たな手法というのは常に出てきますので、その二重の意味で完璧というのは、これが完璧でないというのじゃなくて、これからも完璧な対応というのは、達成するような性質のものじゃないので、常にそれらをフォローアップして次々とやっていかなきゃいけないと。 そういうときに、今の時点で、まあここが一つの現時点での妥協点だという御判断は国会の側でやっていただいて、それを前提にして次のステップを考えていくというのはあり得るんじゃないかという趣旨を申し上げさせていただきました。
○仁比聡平君 その国会の判断というのはもう極めて重いということを言わなきゃいけないと思います。 今日はありがとうございました。
○石井苗子君 ありがとうございます。日本維新の会の石井苗子です。 今日は先生方、大変ありがとうございました。よろしくお願いいたします。 用意してきた質問、多くもう質問の方がされてしまいましたが、私は、いろいろと教えていただきたいと思いますので、感想も含めてお聞きしたいと思います。 まず、鎌田参考人にお伺いをいたします。 日本をグローバル的な目で見たときに、社会を世界の標準と歩調を合わせるべきではないかという御意見がございました。日本の十八歳は誠に幼いと、なのでこれは最初に制度をもって社会とグローバル化という意味で歩調を合わせたらいいのではないかと。先生は法制審の部会長をしていらっしゃいまして、その答申を読ませていただきましたが、平成二十一年の九月十七日ですね、そこで、その法制審議会で、親、若者、社会全体に対し、十八歳は大人だという、この意識が成就されることが最も重要であると、こう述べていらっしゃいます。そのときから九年たちまして、こうした年齢の引下げが国会で審議されているわけですが、ここのところで、なぜ社会がこの腑に落ちないと思うかという点なんですけれども、この意識というものが先に上がってきている国際的な国と日本とに多少ギャップがあるように感じております。 先ほどからは、このグローバルなものに歩調を合わせるべきだと、社会は先に法を作ってもっと厳しくあるべきだというのが、どうもこうぴたっと腑に落ちない。片っ方で、その腑に落ちる諸外国は何かというと、これ徴兵制がある。成熟とは、医学的には生殖能力なんですが、社会的には戦闘能力という、ああ、そうなのだと私思ったんですが。十八歳で従って、徴兵制度で十八歳で行くのだというときに、何で我々は大人扱いされるときに二年待って、二十歳になるまで待たなきゃいけないんだという、こういう社会のその腑に落ちないというものが成長してきて成就されていって、では十八歳に下げようかという形になるんですけれども、どうも日本だと選挙権、投票することが十八でなりました、したがって社会人としてというと、どうも、えっ、別に棄権したって罰せられるわけじゃないし、この親と若者と社会全体に十八歳は大人であるということが、別に余り、棄権しても罪にならないような投票権でと言われても、ぴんとこないわけですよ、腑に落ちない。 ところが、片っ方で、親子の問題だったり学校の教育の現場での問題であるとなると、先ほどから出ております直接影響を受ける十八歳での取消し権ですね、これが実害を持ってくるのではないかと、こちらの恐怖の方が強いわけで、ここが、何も二十歳から十八に変えなくたっていいじゃないかというところに、すごく国民の皆さんの腑に落ちないというのが強くあると思うんですね。 なので、鎌田先生が、九年たって、最近の各新聞の世論調査でも反対が五六%とか、多いところは七九%となっているという、この現在の日本社会全体で十八歳は大人だという意識は成就されているとお思いでしょうかという御質問をさせていただきます。 また、様々なトラブルが起きますと、社会全体の意識と法の規範は車の両輪のようなもので、社会の意識が付いていかないのに法律だけ変えても機能しないんじゃないのかという、この実害が多くてと。社会が子供だと思っている人間を法律的に大人だとして扱うといろんなトラブルが起きてくるのではないですかという具体的なお話がありました。 これをお役所に聞きますと、周知図るべく広報活動に力を入れてまいります、いつも同じ答えしか返ってこないんですが、先生はその社会意識ということはどうすれば変わっていけるか、三年で変わるとお思いか、あるいは学校教育現場だけでいいのか、社会の意識を変えようとするなんという努力は間違いであって、あくまでも法律は先に作るものだとお考えなのかどうかをお聞きしたいと思います。 平澤参考人の方にお伺いします。 反対のお立場でいらっしゃいますし、弁護士としての経験がすごく生きている陳述をいただきました。今回の民法改正によって、十八歳となると取消し権が行使できなくなると。これは大きなことかもしれませんが、取消し権が行使できなくなることだけじゃなくて、十八歳が加害者になることもあるかもしれないと私は思います。 十八歳の犯罪、少年法のことをおっしゃっていましたが、犯罪は減ってきていると平澤参考人はおっしゃいましたが、もしそうであれば、この悪質商法によりますこういった犯罪は今増えてきているのか、そして、十八歳が取消し権がなくなれば加害者となって犯罪が増えていくという、この可能性があるのかどうか大変心配しておりますが、私個人的で、問題意識として。ここをひとつお答えいただきたい。 と同時に、十八歳、十九歳の若者が単独で契約できる能力というのはどこで判断するのでしょうかということ。そして、クレジットカードとか買物を買いまくってしまうとかといういろんな実害のことが例として出てまいりましたけれども、ここで弁護士の御経験を生かして、実害を考え出したら切りがない、怖くてたまらないということであれば、これは河上先生もおっしゃっていたんですが、若者の保護を一定の年齢で画一的に考えるのではなくて、それがもし困難であるならば、十七歳、十八歳から二十二歳、二十三歳ぐらいの幅を持って考えるということが現実的にできるでしょうか。もしあるとしたら、具体的な制度というのはどのようなことが考えられるか、これをお聞きしたいと思います。 窪田久美子参考人には、アクションプログラムというのがあるのは分かっているんですけれども、今の御説明だと、公民と家庭科の中では一体どうすればいいんだか分からないというような現場の雰囲気が伝わってきたんですけど、例えば、小学校からやるということでずっと高校までというような可能性は考えられるのかどうか、できるとしたらどんな方法があるのか、お聞かせください。 以上です。
○参考人(鎌田薫君) 十八歳は大人かと、これは社会的なそういう意識が醸成されていない、これはどうやってそれは醸成できるのかという趣旨のお尋ねだったというふうに理解しておりますが、そういうことでよろしいでしょうか。とりわけ、それを社会がそう考えていないのに法律で先行してそういうものを牽引していくということでよいのかどうかと。 これは、私は、前提としてやはり十八歳は大人であるべきだというふうなことが、それが実際には、やっぱり十八歳の子供たちのかなり多くも親の庇護の下にいたいというふうに実際には考えているんだと思います。 しかし、このままそういう状態をいつまでも続けていいかどうかという点で、三年間いろいろな教育をすれば意識は変わるかというと、それは難しいと思います。むしろ、やっぱりここで立法措置が具体的に出てきたことによって、自分たちはそういうふうに言われるような存在なのかということを真剣に考えていただくというのが一番大きいんじゃないかなというふうに思っています。 これは実は、十八歳の子供たちよりも、その親御さんたちがどう考えるかの方が大きいかもしれません。私の大学では、十八歳はもう大人だという前提で、我々の時代から通知表は本人にしか渡さないというふうにしてきたんですけど、最近は親御さんが、けしからぬと、青山では親に通知表を送ってくるのに早稲田はなぜ送らないんだというふうなことで、だんだんやっぱり、それは二十歳を過ぎてからも親御さんにという、こういうふうになっています。 他方で、今の教育費無償化の議論の中で、これは実現する可能性は低いのかと思いますけれども、J―HECSという議論が出てきていますけれども、あれは、今の日本の学費は、私立大学なんかの場合には特に、八割以上は家計が負担しているわけですね、九割。これを本人が負担する、しかし後払いにする形に変えようという。家計に支えられて高等教育を受ける、家計が支え切れなくなったから高等教育に、特に低所得者層は行けなくなっているというのをどう打開するかというときにも、やはり家庭に大学出るまでは育てられるという発想から自分で自分の生き方を決めていくという発想に変えないと、これから先、長続きしないんじゃないかと。それが、大学入るのは十八歳だという、こういうふうな考え方とも連動して幅広く議論を巻き起こしていく中で、意識の変革というのが引き起こされていくべきではないかなというふうに考えております。 ちょっとずれた話になってしまいましたかもしれませんけれども。
○参考人(平澤慎一君) 一つ目は、十八に下げたことで加害者になる人が出るのではないかというような御質問だったかと思いますけれども、ちょっと、その引き下げたからといって十八、十九歳の人が加害者になるというような因果関係みたいのはないのではないかなと思います。ただ、一方で、十八、十九歳が消費者被害に遭う中で、例えばマルチ取引なんかでは、被害者は加害者になって勧誘しなければいけなくなったりすることで精神的にいろいろな傷を負うということもありますので、そういうような影響があるのかなということを考えました。 それから、今の関係で、少年法のことも多少出てきましたけれども、少年法とは、成年年齢引下げとは法の趣旨が違うので、これについては関係しないのではないかというふうに考えております。 それから、契約能力について、じゃ、いつにするべきかということで、それはいろんな考えがあると思いますけれども、行為能力という意味では画一的に決めないと、取引の安全、要するに、事業者側はこの子、この人がどれだけの能力があれば後で取り消せないかということが分からないと困るので二十歳とか十八とか決めることがあるので、画一的に決めなければいけないわけですけれども、今、私の立場としては、二十歳で契約する能力が備わるという今までの積み重ねでいえば、それで適当ではないかという意見ですけれども、そのほかに、若年者が引っかかりやすいような契約とかについて、十八、十九に限らず、二十歳、二十一、二十二ぐらいでも非常に経験不足から引っかかったりするわけですから、そういうことを見込んだ消費者契約法なりのそういう別の法律というのについては私も賛成というか、そういうことはある、あっていいのではないかというふうに思います。
○参考人(窪田久美子君) 学校では、小学校から結構、消費者教育という形ではないんですが、消費生活の中で消費者教育というのは行われています。特に家庭科なんかでは、商品を比較して、その比較したところから情報を読み解くということで、価格以外の情報を比較しながら、例えばこれは食品ロスにつながらないためにはどういうものを買ったらよいのかとか、そういうことを比較しながらいろいろ検討するというのは小学校でも中学校でもやっているんですね。 ですから、そういうことが消費者教育につながるんだという意識をまず持っていくことと、それから、物を買うという行為が、何というんですかね、世の中に影響を与えるだけの力を持っているんだということを繰り返し繰り返しやっていくことで消費者教育ということの重要性というのが分かっていくのではないかと思っています。 こちらのページの、先ほどテキストの御紹介をさせていただきましたけれども、後ろから二ページ目のところに、河上先生のところでやられた、内閣府消費者委員会の成年年齢引下げ対応ワーキング・グループで消費者教育が重要だというふうに書かれているところに、一番下の方に、意思決定のスキルや批判的思考力、判断力など消費者教育にて育成すべき資質を高める消費者教育が一層推進されるのが重要であるというふうに書かれていますが、被害を教えるだけではなくて、物を買うという選別する目、それから社会に関わっていく力ということを育てることでそういった力が備わっていくのではないかと考えております。
○石井苗子君 ありがとうございました。終わります。
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。よろしくお願いいたします。 参考人の皆様には大変貴重なお話を伺うことができました。大変感謝申し上げます。 私の方からも幾つか質問させていただきます。 まず、前回の委員会でも政府にお尋ねしたのですが、窪田参考人に是非御意見を伺いたいと思います。 日本では、消費者が事業者に比べて非常に弱い立場にあり、被害の救済を得にくい状況にあります。それは、消費者が事業者に比べて情報量や交渉力において不利であり、その因果関係を立証していくということもありますが、根本的な原因としては、欧米に比べて、日本では積極的に自らの権利を主張し利益を確保するという自立性を伸ばす教育が根付いていないため、泣き寝入りしやすいという国民性という特性があるのではないかというふうに思います。 そこで、そのような環境下で、本来行政が積極的に関与して消費者を保護していかなければならないところを、逆に成年年齢を引き下げて、十八、十九歳の若年者に対する保護を失わせるのではという思い、更なる被害者を増やすことになるのではないかというふうに懸念しておりますが、このことについて窪田参考人の御見解をお伺いいたします。
○参考人(窪田久美子君) 私も全く同感でございます。
○糸数慶子君 ありがとうございます。 それでは、鎌田参考人と河上参考人に伺います。 私は、IRに反対の立場でございます。これは、ギャンブル依存症が引き起こす生活破綻、そして自殺増、さらには治安悪化と関連していることを指摘してきた立場でありますが、その立場に立ちながらも、あえて御質問申し上げたいと思います。 本改正案は、附則第十条のこの規定中、未成年者を二十歳未満の者に改める旨の改正を行っており、いわゆる公営ギャンブルができる対象年齢を二十歳で維持することというふうにしています。 法務省は、成年年齢を引き下げる意義について、十八、十九歳の者を独立の経済主体として位置付け、経済取引の面で言わば一人前の大人として扱い、その結果、若年者の自己決定権が様々な場面で拡大をする、こうした取扱いが新たに成年として扱われる若年者の自己決定権を尊重し、自らその生き方を選択することができるようにするものであるとして、若年者個人にとって大きなメリットをもたらすものであるというふうに述べています。 その一方で、十八、十九歳の公営ギャンブルを禁止し、彼らの自己決定権を制限しています。成年年齢引下げに伴う若年者の消費者被害の拡大への懸念について、消費者教育の充実でカバーできるのであれば、公営ギャンブルの対象年齢についても、若年者にギャンブルの依存症リスクに対する体系的な教育の充実を図って実施することでカバーすれば十八歳まで引き下げることができるという、そのような理屈になるのではないでしょうか。 このことについて御見解を鎌田参考人、河上参考人にお伺いいたします。
○参考人(鎌田薫君) 民法成年年齢と比較的近いところにある課題だというふうに思っております。喫煙とか飲酒については、これは全く健康の観点からという別の視点があるので、それに対して、普通の経済活動ではないかというふうにおっしゃると、そういう考え方もあり得るかなというふうには思いますけれども。 ただ、これは、論理必然的にどう決まらなければ法律論として正当でないというふうな性格のものでは私はないというふうに思っていますので、現在その公営ギャンブルが二十歳まで許されないとか、あるいは、あれは学生生徒も禁じられているんですかね、何かそういう規制があるものをわざわざ緩めてやる必要はないじゃないかというだけの問題で、これはある種の政策判断であって、そこを十八に下げないからといって論理矛盾を来しているとは考えておりません。
○参考人(河上正二君) 私も鎌田先生と同じような発想ですけれども、恐らく酒、たばこに関しては依存症の問題があるというのと、それから、ギャンブルもまたギャンブル依存症という問題があって、若いうちにそれに対して入り込んでしまった場合のその後の様々な問題を考えた場合に、この段階でそこに参加させることが適切かどうかというやっぱり政策的な配慮があるのだろうというふうに思います。 ですから、ここの部分で矛盾しているという感じは持っておりません。
○糸数慶子君 平澤参考人にお伺いいたします。 若年者の消費者被害の危険が高まるということであれば、被害救済の、防止のための相談窓口や啓発機関など、地方消費者行政の役割が極めて重要になってくるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(平澤慎一君) そのとおりだと思うんです。若年者の被害が増えたときに、それを救済する体制というのが非常に重要になりますし、それが引下げのための施策としても位置付けられなければいけないということになっていると思います。 ところが、現状は、地方消費者行政はなかなか厳しい状況に置かれていまして、平成三十年度、今ですよね、交付金が大幅に減少されたり使い勝手が非常に悪くなっていたりして、地方では消費生活センターの方を縮小したり人員を削減するという、本当に深刻で具体的な弊害が出ています。 そういう方向性と、この、今、民法成年年齢を引き下げて、若年者もそうやって責任を持たせるけれどもちゃんとフォローアップするんだよという方向性にすごくギャップを感じるところです。それは、今、まさに平成三十年度で大幅に下がったものですから、そういう声を各地から弁護士としても聞いたりしまして、そういう中で今施策がされているということ、この法案が審議されているということにすごくギャップとか不安とかいうことを感じるところであります。
○糸数慶子君 引き続き平澤参考人に伺いますが、一応、先ほども質問ございましたけれども、改めてお伺いしたいと思います。 若年者の消費者被害防止についてでありますが、消費者契約法以外の法律の必要性について、マルチ取引、それからエステ、キャッチセールス、インターネット取引などについてのこの規制は不要なのか、伺います。
○参考人(平澤慎一君) 今御指摘にあったマルチとかエステとかキャッチセールスとか、これらは特定商取引法で規制がされています。ただし、特定商取引法上のマルチ、マルチは連鎖販売取引といいますけれども、その要件に当たらなければ保護されないわけで、その要件に当たるか当たらないかで随分違うわけです。 だから、未成年者取消し権のようなオールマイティーな権利が非常に重要だということなんですけれども、特定商取引法でそういう形で規制はされていますけれども、それをさらに十八歳、十九歳から未成年者取消し権がなくなるのであれば、更に強化する必要があるのじゃないかというふうに感じています。 例えば、そういう十八歳、十九歳の者についての知識とか経験についての確認をするとか、その確認義務を事業者に課すとか、それを適切に確認していれば取り消せなくする、逆に言えば、適切でなければ取り消せるとか、何かそういうような手当てをする。あるいは、マルチ取引については、やはり先ほどからも幾つか話が出ていますけれども、非常に深刻だし、それから広がりやすいので、もうその勧誘自体を禁止するような何か重い義務をつくるとか、そういうようなことが必要なんじゃないかというふうに考えています。
○糸数慶子君 続けて平澤参考人に伺いますが、やはりこの若年者の被害が高額化するのはクレジットの利用やそしてキャッシング利用によるものが多いかと思いますが、その規制については改めてどのように考えるべきでしょうか、お伺いいたします。
○参考人(平澤慎一君) 若年者は、先ほども述べましたけれども、お金がないわけですね。勧誘をして何かをさせるというときにはクレジットを組ませる、それによって被害金額が何十万になる。キャッシングもそういう形になります。 割賦販売法とか貸金業法では、それぞれで貸付けとかクレジットを組むについての規制を、要件とかその審査条件を定めていますけれども、それが例外規定があったり、あるいは自己申告でよいとか、そういうものが随所にあります。それを若い人についてはちゃんと厳しく、審査を厳しくするという形を取るべきなのではないかと思っています。 内閣府の消費者委員会の成年年齢ワーキング・グループでもそのような提言がされていますけれども、取りあえずは自主規制でやりましょうというような流れになっているかと思いますけれども、やはり真面目な業者は自主規制でやるかもしれませんが、そうじゃないところも多く出てくるのが常ですから、ちゃんと法令で規制をするということをやらないといけないのではないかというふうに考えています。
○糸数慶子君 ありがとうございました。終わります。
○山口和之君 無所属の山口和之と申します。 本日は貴重な意見をお聞かせいただいてありがとうございます。 最後ですので、いろいろ触れられていないところをなるべく質問したいとは思うんですけれども、参考人の皆さんの話を聞いていると、若者は判断能力が低い方が多いという話と、一方では、護身術を学んでいない、泳ぎ方を学んでいないのに海に出されるという話ですよね。低いと言われながら泳ぎ方を教えてもらっていなくて、おまえ、泳げないぞと言っている話があって、これはやはりそこに浮き輪を付けて取りあえず海に出ろと言われているような話みたいな話なんですよね。 あと、先ほど若葉マークの、河上参考人の方から若葉マークという話が出てきましたけれども、若葉マークでスピード違反しても点数は低く設定されないし、罰金も同じなんですね。やっぱり大人、教育をしっかり受けてきて自動車運転ができるようにして出てくるものですから、やっぱりそれなりのものをしっかりやってそれだけの責任というのは必要なのかなというふうに思います。 たくさん出てきたので、ちょっと切り口が若干違いますけれども、河上参考人さんと、あと鎌田参考人さんにお伺いしたいんですが、大学のあるべき姿、日本の中でなんですけれど、親のすねをかじって大学をずっと出ると、それで日本の未来はそのまま行くのか、それとも、十八歳になって大学に行くとなれば、それなりの、自分でそういうことは、生きていける、大学で学んでいけるような体制にしていくべきなのか、ちょっと教えていただきたいなと思います。
○参考人(河上正二君) 私は、ヨーロッパの大学生とかアメリカの大学生なんかの様子を見ていると、これはもう大学の学費とか生活費は基本的に自分で賄って、そして大学生活を送るというのがもう基本的な認識になっているんだろうというふうに思います。ですから、その意味では、親のすねをかじりながら大学に行くという日本の状況は、やっぱり若者にとっては少し優し過ぎるという気がいたします。 ですから、今回、これから大人だぞというふうに言ったからどうなるかというのは分かりませんけれども、基本的には、自立する以上は経済的にも自立しなさいというふうに言うべきだろうと思います。
○参考人(鎌田薫君) 先ほども少し申し上げましたけれども、日本の特に高等教育の学費負担者は誰かという目で見ると、世界でもまれな家計に大幅に依存しているという構造を持っていて、ある研究者によると、無理する家計というふうに言われているんですけれども、その家計が教育費を負担し切れなくなりつつあると、高額所得者は別ですけれども。 そういう中で、どうこれからの教育問題考えていくかと。若者は減っていきますから、生産年齢人口極端に減るわけですから、これからは、まあ言ってみれば、一人は従来の二人分ぐらいの生産性を上げなきゃいけない時代になる。しかも、知識社会ですから、高度の専門的な知見を身に付けなきゃいけない時代になるにもかかわらず、経済格差が高等教育を受けられる人と受けられない人を分けていく。 そういう中で、もう家計に頼り切るのではなくて、自分で学費は負担しますと。ただし、大学出るまでは収入がないわけですから、大学を出てから収入に応じて返還を、返還ではないんですね、支払っていきますという、要するに、借りているわけじゃなくて、学費後払い方式というのがオーストラリアで採用されている方式で、それに倣った制度を導入することによって、貧富の差がなくなると同時に、自分でどれだけの経済負担を引き受けて何を学ぶかということを決められるようになっていく。そして、国費に依存する部分が全体としては少なくなっていくという、こういうふうな提案が今なされているところで、私学団体としてはそれを一つの方向性として共同で提案させていただいているところであります。
○山口和之君 ありがとうございます。 先ほどの、護身術を学んでいない、あるいは泳ぎ方を学んでいないのにも、また、大学生になって自分で稼いでいない、自分で方向をしっかり決められていないという者が、そういう人たちが多い中で大人ですよと言われても、それはちょっとなかなか厳しいかなというふうに思います。 参考人の皆さんの意見は、どうも年齢で大人か否かという基準にしているようには聞こえなかったんですが、年齢を大人か否かの基準にすることについてはどうお考えでしょうか。また、年齢よりも大人の基準として適切というものはないのでしょうか。年齢ではなくて、大人の条件というか、そういう適切というものはないのでしょうか。ちょっと皆さんにお聞きしたいと思います。
○委員長(石川博崇君) それでは、どなたからにしましょうか。
○山口和之君 河上先生から。
○参考人(河上正二君) 実質的な判断力とか社会生活能力みたいなものを個人個人で見ていくというふうにすることができれば、それが本当は一番いいのかもしれません。 昔は、例えば、軍隊に入って、戦闘能力があるかどうかというのが大事にされた時代は、それぞれの人を切り株から馬に一人で乗れるかというのを見て、もう乗れたらそれで大人、乗れなくなったらもうその大人も力をなくすというようなことをしていた時代があったぐらいで、個人個人でもって能力を測った時期があったわけですが。 ただ、財産管理能力の話をするときに、それをなかなか試験で調査するというのは難しくて、基本的にはやっぱり年齢しか今のところは指標はないんじゃないか。やっぱり年齢でありますれば、ある程度社会的にもそれを把握しやすいということがあるので、もし未成年者取消し権のようなものをつくるとしても、社会に対してそれほど大きな脅威にはならないということなので、その意味では、私は年齢というのは一つの次善の手段というふうに考えております。
○参考人(窪田久美子君) これは、財産管理能力に関しての大人という意味でよろしいですか。どういうことですか。
○山口和之君 どれでも、何にでも結構ですけれども。
○参考人(窪田久美子君) はい。 そうしますと、どこかで年齢は切らなければいけないと思うのですが、今の時点で二十歳で何の不都合もなくて、それで引き下げる、なぜ引き下げなきゃいけないのかという、こういう世論がある中、不都合がないのであれば、今のままというのが私としては一番理想ではないかと考えております。
○参考人(平澤慎一君) 大人ということでの最初の質問だったと思うんですけど、その大人という言葉は、法律用語ではなくて一般的な言葉だとして捉えるといろいろな、多義的だと思うんです。自立できる、一人で生活できるとか投票するとかいろいろあるとは思うんですけれども、やはり今の財産管理能力としての成年年齢というのを何歳にするかということが議論されているのであれば、やはりそれは年齢で区切らざるを得なくて、その二十歳という形で、今決まっている中でそこを引き下げる必要はないし、大人が何歳かというところに影響することではありますけれども、個々にこの人は今大人、この人は大人じゃないという形にはやはり決められないので、二十歳という形で決めざるを得ないんじゃないかなというふうに考えています。
○参考人(鎌田薫君) ただいまの御質問ですけれども、現在二十歳で全く問題ないというのにちょっと違和感を感じて、二十歳になった途端に被害者がいっぱい出ているという話が一方でありながら二十歳で全く問題ないって、本当にそれ、それでいいんですかという感じもしなくもないんですが。 この二十歳で、年齢で線を引くというのは妥当かどうかという点につきましては、現在の制度は二十歳で線を引いて、二十歳以下は原則能力なしなんですね、行為能力なし。ただ、例外的に許容すると。それが二十歳を境にして、原則全ての能力を持っていて、人によって後見なりなんなりという形で制限していくという、ここの境目を今二十歳で引いている。 この線を十八歳に下ろすのが妥当かどうかということですけれども、なぜ年齢なのかと、一人一人の能力をもっと注目すればいいじゃないかという点については、これは本人の保護だけを考えていれば、一人一人、私は何歳まで保護してくださいでいいんですけど、取引社会の問題ですから、取引の相手方から見て一々この人はどうなっているかを調べなくてもいいように、一応の線をまず引く必要があるということで二十歳という線を引いて、そして、二十歳を超えているけど能力に不足がある人はそれを補う制度、二十歳以下であるけれども一定の能力のある人は一定の行為に限っては許可をすると、こういうふうな仕組みになっているわけで、これは十八になっても同じ仕組みだと思います。 ただ、中間的な準成年、成人というふうな段階をつくるという提案もこの審議会の中で出されていますし、フランスでもこれは個別に裁判所の関与の下でそういう準成年の段階を設けるというのがありますが、これは、今の任意後見でもそうですけど、あなたは本当に能力者なんですかということを一々こっちが調べなきゃいけない。本人が能力者ですと言うのはうそが入っている可能性が非常に大きいですよね。能力がない人は、私は実は能力ないんですけど契約しましょうとは絶対言ってくれないわけですから、こういう本人の言明以外に何によってその能力の有無を確認するかということが非常に難しくなってきます。 特に、最近の個人情報保護の範囲内で、本人は能力あると言っているけれど実はバツが付いているんですよみたいなことをどうやって確認しながら個々の取引をやっていくかという意味では、制度のつくりが非常に難しくはなっていくんだろうなというふうには思います。
○山口和之君 ありがとうございます。 先ほど、あなたは成年です、大人ですと、だから責任持って行動してください、自動車を運転していいですよ、スピード違反は駄目ですよといろいろやるんですけれども、そしたら、日本の国としてその運転ができるようにしっかりと指導しなければいけないわけで、そうすると、最も有効なのは義務教育というものがあって、しっかりとその中で教えていくというふうに考えたときに、成年と義務教育の関係についてどのようにお考えか、今中学生までなんですけれども、よろしければ鎌田参考人から。
○参考人(鎌田薫君) この成年にふさわしい中身をつくっていくという点については、二つの側面があると思っているんです。 今の若者、弱々しい、頼りないというふうには申し上げましたけど、能力は高いんですよね。能力は高いけれども、自分がチャレンジして自分で責任を負おうと、こういう部分が物すごい弱いという点で、こういうふうな部分のカバーをすることの方が重要、あとはこの消費者保護の制度というのは、これ詳細を、先ほど来おっしゃっている、先生でも知らないということがいっぱいあるので、これはどこかで教えなきゃいけないというふうに思います。 ただ、これはもう私は義務教育からやるべきだと、義務教育から法教育をやるべきだと思いますが、今、高等学校進学率が九〇%という、八〇を超えていますよね。かなりの進学率になっているんで、義務教育であって高校は抜くということはないし、むしろ職業高校の方が消費者教育は非常に一生懸命やっていられて、卒業した途端にビジネスの世界に入られますので、まあそういう意味では、義務教育、それから高校、さらには大学も通じて、常に繰り返しそういう教育は、あるいは学ぶ機会は提供していかなきゃいけないというふうに思っております。
○山口和之君 時間が過ぎているので、少し短くお願いします。
○参考人(平澤慎一君) はい。 私もちょっと、義務教育はどうあるべきかということについて意見持っているわけではありませんけれども、いずれにしても、高校進学率高い中で、小学校、中学校から十分なその契約、特に契約についての教育というのが非常に重要だというふうに考えています。
○参考人(窪田久美子君) 義務教育ということであれば、おっしゃるとおり、成年年齢の引下げに伴って学習指導要領上に中学校の家庭科で消費者信用、クレジットカードの話をすることに新学習指導要領には入っています。 ただ、現場の話から言いますと、普通の契約のその基本の話も分からない上に三者間契約は非常に難しいと。ましてや、子供たちはクレジットカードを作った、使ったこともないのにこの内容をどうやって教えるんだという混乱、どうしていくのかということはやっぱりちょっと懸念材料としてあると思っております。
○参考人(河上正二君) 私も義務教育の時代からちゃんとした教育をやっていかなくちゃいけないという意見を持っております。ですから、せめて、先ほど五年は要ると言っていたんですけれども、中学校の時代からやはり育てていくということをしないと、高校三年生のときに、さあやれといってワンポイントで教育をされても、これはできないだろうということです。 ただ、どの段階で何を教えるかというのは、これもう少し練っていかないと、なかなか、基礎から教えていくための教材作り、それから教え方から考えていかないといけないので、かなり時間が掛かると思いますが、急いでやらないといけないと思います。
○山口和之君 どうもありがとうございました。
○委員長(石川博崇君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 本日は、長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見を述べていただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。 午後二時に再開することとし、休憩いたします。 午後一時一分休憩 ─────・───── 午後二時開会
○委員長(石川博崇君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、太田房江君及び榛葉賀津也君が委員を辞任され、その補欠として高野光二郎君及び櫻井充君が選任されました。 ─────────────
○委員長(石川博崇君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 民法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、法務省民事局長小野瀬厚君外二十一名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(石川博崇君) 休憩前に引き続き、民法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○元榮太一郎君 自由民主党の元榮太一郎です。 今回の民法改正案は、明治九年の太政官布告以降、約百四十年ぶりの成年年齢を変えるということで、歴史的な法改正であります。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。 人口減少が急速に進む現代においては、私は、一人でも多くの国民が高い当事者意識を持って生きていくことが日本の発展につながると思っております。 この質問の機会をいただきましたことをきっかけに、十八歳、十九歳の起業家と話す機会を持ちました。それぞれ、十六、十七歳で起業をして、今もう立派に年上の方を社員として抱えてやっていると。学生起業家でありますが、成年年齢の引下げについて聞きましたところ、確かに起業するときいろいろ大変だったと。会社を設立するのに親権者の同意、そしてオフィスを借りるのも、そして資金調達をするのも親権者の同意が必要ということで、一人は地方に両親がいましたので、郵送でやり取りをして何とかスムーズに進めるべく努力したということでありました。また、やはり、未成年ですと取引先として期待して営業を掛けた先に伝えますと、少しびっくり、残念な顔をされて取引につながらなかった、ほかの事情もあるかもしれませんが、そんなことを感想として述べておりまして、世の中からしますと意識高い系と言われてしまうのかもしれませんが、でも、これだけもう十八、十九で頑張っている若者がいるということで、こういうとんがった人材をしっかりとこの日本の発展につなげていくということが必要なのかなと私は思っておるんですが。 立場が人を育てるという言葉がありますが、若者へ自分で決める自由を与えて自立させることが、若者が社会の中心で活躍できるよう力を引き出すことにつながり、我が国に大きな活力をもたらすと考えています。また、この深刻な人手不足ということですから、一人でも多くの若者が自覚を持ち、そして活躍することが大事だと思っております。 今回の成年年齢の引下げが我が国においてどのような意義を持つのか、法務大臣の見解を改めて伺いたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) 成年年齢を引き下げるかどうかにつきましては、この十八歳、十九歳の若者を我が国の社会においてどのように位置付けるのかという基本的な問題でございまして、少子高齢化が進展する我が国の行く末に関わる重要な問題であると認識をしております。 今般、成年年齢の引下げが実現した場合には、明治九年の太政官布告以来、約百四十年ぶりの改正となるものでございまして、今後の我が国の在り方を規律する歴史的な改正になるものというふうに考えております。 本法律案によりまして、成年年齢の引下げによりまして、十八歳、十九歳の者は、自ら就労して得た金銭などを自らの判断で使うことができるようになるほか、自ら居所を定めたり、また希望する職業に就いたりすることができるようになるものでございます。また、未成年であることが職業の欠格事由とされるなど、民法の成年年齢につきましては他の法令により様々な意味を与えられているものでございます。民法上の成年年齢が引き下げられることによりましてこれらの内容も変更されることになり、また、その結果として若年者の自己決定権、これが様々な場面で拡大することにもつながります。 こうした取扱いは、新たに成年として扱われる若年者の自己決定権、これを尊重をし、自らその生き方を選択をすることができるようにするものであると考えられておりまして、若年者世代の一人一人にとりまして大きな意義があるというふうに考えられるものでございます。 また、人口減少や超高齢社会といった多くの構造的課題を抱える我が国におきまして、若年者が一人前の大人としての自覚を高め、また様々な社会分野で積極的に活躍をしていただくこと、これは社会に大きな活力をもたらすことにつながるわけでございます。このことにつきましては、社会全体にとりましても大きな意義があるというふうに考えております。 このように、成年年齢の引下げには、若者が積極的に活躍できる社会をつくり、また若者の力を社会の大きな活力とすることができるという大きな意義があるものと考えております。
○元榮太一郎君 一人前の大人としての自覚を高めることを期待するということですが、欧米諸国では一九七〇年代前半頃から成年年齢を二十一歳から十八歳に引き下げた国が多かったと承知しておりますが、実際に大人としての自覚向上へつながったと評価される事実はあるのでしょうか。御存じであれば御教示ください。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 諸外国におけます法律の改正後の状況を厳密に把握しているものではございません。また、成年年齢ではなく選挙権年齢の引下げに関するものではございますけれども、オーストリアにおきましては、二〇〇七年に選挙権年齢を十六歳に引き下げたことにより、十六歳、十七歳の者の政治知識や関心が向上したという研究結果があるものと承知しております。 また、一九七〇年代に成年年齢を十八歳とした先進諸国の中では、選挙権年齢と成年年齢を同時に引き下げたフランスにおきましては、その法改正の目的として、国の将来を担う若者の政治的欲求に充足感を与え、政治における責任感を醸成することが挙げられていたと、こういったことがあるというふうに承知しております。
○元榮太一郎君 これまでの審議でも出てきたかと思うんですが、世界各国の成年年齢についてデータを把握している国ということで、先日は百八十七国・地域がありまして、そのうち成年年齢を十八歳以下にしている国、地域は百四十一ということで、百八十七か国・地域のうち七五・四%が成年年齢を十八歳以下としているということですが、それでは、OECD加盟国三十五か国において成年年齢が十八歳以下の国は何か国なのでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 OECD加盟国三十五か国中、成年年齢を十八歳以下と定めている国は三十二か国であると承知しております。
○元榮太一郎君 三十二か国ということで、残りは日本と、そして十九歳の韓国と、そして二十歳のニュージーランドということでありまして、それ以外は皆十八歳以下ということになっています。 午前中の参考人の鎌田薫先生のお話にもありましたが、十八歳が世界標準ということで、つまり、一人前の大人に育てるためのリードタイムは十八年間というのが世界水準だと考えております。そして、私は、日本の若者が諸外国の若者と比べて大人に必要な資質、能力が劣っているというふうには思わないわけです。 そこで、日本も他国の大人を育成するためのスピード感を意識する必要があるのではないかと思っているのですが、大人を育成するスピードの世界水準との比較という観点で、政府の御見解をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 御指摘のとおり、諸外国の多くでは成年年齢が十八歳と定められておりまして、十八歳までに成人として認められる程度の成熟性を備えていることを前提とした制度になっております。 我が国におきましても、消費者教育の充実などが図られてきておりまして、このような教育を受けた我が国の十八歳の若者の能力が諸外国の若者に比べて劣っているとは考えていないところでございます。その意味で、我が国において、若者を育成するために必要な期間が諸外国に比べて長くなっているということはないものと考えております。 本法律案が成立し、成年年齢が十八歳に引き下げられた場合には、御指摘の大人を育成するためのスピード感という点も意識しつつ、引き続き、成年年齢の引下げの環境整備に努めてまいりたいと考えております。
○元榮太一郎君 ここからは前回の委員会の審議を踏まえたいと思いますが、やはり私も想像が付きますのは、この十八歳、十九歳の若者が悪徳業者の標的になり、消費者被害が拡大するのではないかという懸念については、それは常識的に理解をしております。 まずは、今国会において、その社会生活上の経験が乏しい消費者の被害事例を念頭に置いた取消し権の追加等の措置を講ずる消費者契約法の一部を改正する法律案が提出され、衆議院で修正が加えられ、五月二十四日に参議院送付されたと承知しております。 この改正案は、成年年齢引下げに伴う若者の消費者被害拡大防止策として十分だとお考えなのか、あるいは更なる改正に対する課題があるのかどうか、御認識を伺います。
○政府参考人(井内正敏君) お答え申し上げます。 消費者契約法改正案では、主として若年者に発生している被害事例を念頭に置き、消費者の不安をあおる告知といった不当勧誘行為に対して取消し権を追加すること等を規定しているところでございます。また、事業者の努力義務として、個々の消費者の知識及び経験を考慮した上で必要な情報を提供することを明示しております。 これらの改正事項は、成年年齢の引下げに伴う若年者の消費者被害の拡大防止に資するものと考えております。
○元榮太一郎君 それでは、日本の若年者に対する消費者保護の観点からの制度、消費者保護制度、消費者契約法や特定商取引法などは、OECD加盟国と比較して手厚いものになっているんでしょうか。比較法的な観点で御見解を伺います。
○政府参考人(井内正敏君) お答え申し上げます。 まず、我が国の消費者契約法は、消費者契約の締結過程及び消費者契約の条項について規定を設けているところでございますが、消費者契約の締結過程に関する規定については、ドイツのように法律に規定を設けている国もあれば、アメリカのように判例法等に委ねている国もございます。また、消費者契約の条項に関する規定については、EU加盟国においてはEU指令に基づいて法整備が図られていると承知しております。 また、特定商取引法について見ますと、訪問販売等の特定の取引類型に関し、若年者を含めた消費者の保護を図るための諸外国の法制はおおむね消費者への情報提供義務や契約の撤回権を中心として構成されており、その点においては我が国の特定商取引法と類似しているものと認識しております。 消費者契約法及び特定商取引法のいずれにつきましても、各国ごとの法体系の相違もあり一概に比較することは困難であって、他国と比較して手厚いかどうかを評価することは難しいと考えておりますが、いずれにしましても、我が国の法制度は、我が国の消費者被害の状況に応じ、消費者保護の観点から適切に整備されてきたものと考えております。
○元榮太一郎君 今回は若年者の消費者被害ということなんですが、今までの質疑にも出てきましたが、何も若年者に限られるものではないということで、お配りの資料一にも、学習院大学教授山下純司先生の論文において、国民生活センターのデータが出ております。 こちらは、消費者被害の相談事例を相談者の、これは相談者と訂正しますが、相談者の職業別に分類した場合に、給与生活者の相談件数は、御覧のとおり、白い棒グラフですが、三十代から六十代に向けて一貫して減少傾向にありますけれども、黒い棒グラフの家事従事者の相談件数は年代を通じてそれほど変化がないということでして、これは、消費者被害を減らす要因というのが、ただ年齢を重ねることではなく、社会人として特に家庭外での活動実績を積むことであるという可能性を検討する必要があるということで、可能性を言及されているということですが。 私も、これを見ますと、消費者被害リスクというのはまさにエージレスということでして、また、この給与生活者の相談件数が減ってきているのは、もしかしたら、自ら苦い経験をもって学び、その結果消費者被害が抑えられている可能性すらあるのではないかなというところで、やはり私としては、消費者教育といいますか、法律を実学的な知識として若いときから、そして生涯を通じて学ぶような環境が必要なのではないかと強く思っておるわけですが。 こういうようなデータも一例としてうかがえるこのエージレスな法的リスク、消費者被害リスクの中で、幅広い世代に対して実際的な法教育、消費者教育、金融経済教育が必要と考えますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(神山修君) お答えいたします。 消費者被害から身を守るためには、法教育、消費者教育、金融経済教育などの消費者に関係する教育が極めて重要であると考えております。文部科学省としては、学校教育及び社会教育を通じて、幅広い世代に対する消費者教育を推進しているところです。 小中高等学校におきましては、平成二十、二十一年の学習指導要領改訂の際に、主に社会科、家庭科などの関連する教科において消費者教育に関する内容の充実を図っており、例えば高等学校の授業において高金利問題や多重債務問題などを扱い、消費者としての権利や責任について考察されるなどの学習が行われているところです。 大学等においては、それぞれの自主的、自律的な判断によって、例えば消費者契約に関する授業科目等が開設されているほか、学生に対するガイダンスや学生相談などにおいて消費者トラブルやその対処方法についての啓発などが行われています。 社会教育については、消費生活センターや弁護士会などと連携しつつ、公民館等の身近な学習の場で、幅広い年代に対する、幅広い年代の住民を対象とした消費者教育に関する講座が展開されているところです。 今後とも、関係省庁と連携をし、法学、法律を実学的な知識として学べることを始め、法教育、消費者教育、金融経済教育の充実に向けて取り組んでまいります。
○元榮太一郎君 法は社会のルールということで、スポーツをするのにルールが必要なように、社会でプレーする上での法律というルールを知っておくのも非常に重要だと思っておりますので、私としては、消費者法、憲法、そして刑事法、さらには家計や金融などの実学というものが義務教育段階、中等教育段階で独自の科目であってもいいかなと思うくらい重要だと思っておりますので、御検討といいますか、そのようなことを申し添えたいというふうに思います。 続きまして、養親年齢について伺っていきますが、時間の関係で少し飛ばさせていただきまして、特別養子の養親年齢について伺います。 民法八百十七条の四において原則二十五歳以上となっていますが、これについては、今回の成年年齢の引下げに伴って引下げなどの議論はされたのでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 御指摘のとおり、民法第八百十七条の四は、特別養子縁組に関しまして、原則として二十五歳に達しない者は養親となることができない旨を規定しております。これは、特別養子の制度が養子となる者とその実方の血族との親族関係を終了させるという効果を有するものであり、離縁も困難な制度であることから、養親となる者が親としてより安定していることが望ましいため、普通養子の場合よりも高く、成年年齢とも異なる二十五歳をもって養親となる者の最低年齢としたものでございます。 今回の成年年齢の引下げに当たりまして、この特別養子の養親年齢の引下げ等につきましては必ずしも明示的に議論されたわけではございませんが、先ほど述べましたような特別養子の制度における養親年齢の趣旨からしますれば、成年年齢の引下げに伴ってこれを変更する必要はないと考えられるところでございます。 なお、民法では、養親となる夫婦の一方が二十五歳に達していない場合においても、その者が二十歳に達しているときは特別養子縁組をすることができる旨を規定をしておりますが、この例外に係る年齢要件を二十歳から変更する必要があるかどうかも別途問題となり得るところでございます。この点につきましても、養子をするということは、他人の子を法律上自己の子として育てるという相当な責任を伴うことであることから、この法律案では、普通養子の制度についても養親年齢を二十歳で維持することとしております。 そういったことに照らしますと、この例外要件につきましても、同様に二十歳を維持するのが相当であると考えられたものでございます。
○元榮太一郎君 この特別養子については、子の福祉の充実の観点から、現状六歳までとなっている養子となる者の年齢の上限を引き上げるべきだとの意見もあると聞いておりまして、政府においてもこれ検討しているというところと伺っておりますので、御質問の予定でしたが、言及のみで次に移らせていただきます。 続きまして、成年年齢と労働問題の関係についてお伺いします。 労働基準法において、親権者等による未成年者に不利な労働契約の解除を規定した労働基準法第五十八条第二項というものがあります。民法の成年年齢引下げに連動してこちらも十八歳に変更されるとのことですが、その理由をお聞かせください。
○政府参考人(井上真君) お答え申し上げます。 労働基準法第五十八条は未成年者の労働契約に関する規定でございますが、これについては、民法上、未成年者がその判断能力等から法律行為を単独で完結できないことや親権者や後見人が未成年者の法律行為に関与できるとされていることを前提とした規定でございます。 今般の民法改正により、満十八歳をもって成人と同一視すべき判断能力を持ち、単独で法律行為を行うことができることとなりましたならば、労働基準法第五十八条の改正はいたしませんが、同条の未成年者については、民法の一部を改正する法律案と同様、十八歳未満と解釈されるようになるものであると考えております。
○元榮太一郎君 法文上、未成年者と規定されていることにより、今回の成年年齢の引下げによって十八歳、十九歳の者が五十八条二項の適用除外になるということで、この若年者がいわゆるブラック企業やブラックバイトによって労働条件、労働環境の良くない下での労働を強いられ、労働者被害が拡大するおそれがあると、こういうような指摘もあります。 厚生労働省としては具体的な対策等の検討があるのでしょうか。また、学生アルバイトの労働条件を適切なものに維持確保するための現状の対策についても御教示ください。
○政府参考人(井上真君) 厚生労働省では、学生アルバイトの適正な労働条件を確保するため、文部科学省とも連携し、全国の大学等におきまして多くの新入生がアルバイトを始める四月から七月までの間、労働条件の確認を促すキャンペーンを行っているところでございます。また、労働条件ほっとラインを設置し、夜間、休日にも労働条件に関する相談を受け付けるとともに、労働条件ポータルサイト「確かめよう労働条件」の運営を通じまして、労働基準関係法令や事案に応じた相談先等の情報提供を行い、また、大学、高等学校等に対する講義やセミナーの開催などの対策を実施しているところでございます。 厚生労働省といたしましては、成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議において関係省庁と連携を図りつつ、これら施策が更に充実するよう取り組んでまいりたいと考えております。
○元榮太一郎君 労働被害の防止のためには、政府の取組ももちろんでありますが、若者自らがそれを未然に防止する必要があると思っておりまして、先ほどの消費者教育もありますが、学校教育、特に高校教育の中で、社会に出る準備としてこの労働契約、労働関係の法律を実践的に学ぶ機会を設ける必要があると考えますが、どのようにお考えでしょうか、御教示ください。
○政府参考人(下間康行君) 学校教育におきましては、現行の学習指導要領及び解説に基づき、例えば高等学校の公民科では、労働保護立法の動向やワーク・ライフ・バランスなどと関連させながら雇用の在り方や労働問題について考えさせる学習などを行っているところでございます。 また、厚生労働省と連携いたしまして、働くときのルールなどを取り上げたハンドブックやアルバイトのトラブルQアンドAリーフレットの学校における活用の促進、生徒や教員に対して労働関係法規等の講義を行うための都道府県労働局による講師派遣の学校現場への周知、モデル授業案を記載した高校教員用資料の作成及び周知を行うなどの取組を行っているところでございます。 文部科学省といたしましては、引き続き、厚生労働省とも連携を密にしながら、学校における労働契約や労働関係の法律に関する教育が充実されるよう努めてまいります。
○元榮太一郎君 ありがとうございます。 この成年年齢の引下げに関しては、やはり、この消費者保護制度のたゆまぬ見直しというのが非常に重要だと思いますし、あとは消費者教育、そして労働教育、こういったものも重要だと思いますが、いざトラブルに巻き込まれたときの相談アクセス、窓口がよく分からないということもあろうかと思います。 今日の参考人の質疑で、消費生活センター、一八八という三桁の番号、私ちょっと知りませんでしたということで、やはりこういうような番号をしっかりと周知徹底していくということが、被害を未然に防止をしたり、そして救済が早まる、そんな可能性にもつながると思いますので、更なる周知の徹底をお願いいたして、私からの質問を終わります。 ありがとうございました。
○若松謙維君 公明党の若松謙維です。 今回の質問で、民法改正に関して、本会議、代表質問を含めて四回目になります。ちょっと関連質問が多くなると思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 まず、被災三県、もう東日本大震災も八年目に入っております。特に、その被災三県の成年年齢を迎える若者への支援ということについてお伺いしたいんですが、これまで、民法成年年齢引下げに伴いまして新たに必要とされる若者の消費者被害防止、救済策や自立支援策等について今まで議論が行われてまいりました。東日本大震災によりまして、被災地の若者たちですけれども、被災地からの避難等による人口の流出、産業の衰退、そして雇用の減少という状況が今でも続いておりまして、他の地域以上に、精神的にも経済的にも大変困難になっているという状況がございます。その後、政府によりまして多くの支援策が取られてきたわけでありますけれども、経済的な理由で進学を諦めざるを得ないとの話も多く聞きます。 そういう厳しい状況にある被災地の若者に対する支援についてでありますけれども、いわゆる地元での正社員として就職したい若者、又は非正規から正社員へのキャリアアップしたい若者への支援、これ現制度あると思うんですけれども、今後、震災から七年を経過して、是非今後とも継続していただく必要があると考えるんですけれども、その際に、成年年齢引下げに当たりまして、こういった被災三県の若者に対する国としての人的、物的支援、更に厚く支援すべきと考えますが、今後の取組についてどのようにお考えでしょうか。
○政府参考人(和田純一君) お答え申し上げます。 議員御指摘のとおり、被災三県の若者に対する正社員としての就職を支援、実現するといった取組は、引き続き重要な課題と認識しております。 厚生労働省としては、これまでも、産業政策と一体となった雇用面での支援として、被災三県を対象に、被災した求職者の雇入れ費用を助成をしてきております。また、新卒応援ハローワーク、あるいは、わかものハローワークといった専門の窓口におきまして、新卒者やいわゆるフリーターの方に対して、担当者制によるきめ細かな就職相談、職業紹介を行いまして、正社員としての就職実現を支援してきておるところでございます。 さらには、非正規から正社員への転換等を行う事業主の皆様に対してはキャリアアップ助成金という助成金をもって支援を行ってきております。 今後とも、被災三県のニーズをよく踏まえまして、また御指摘の成年年齢の引下げといった点も念頭に置きながら、引き続き、若者の正社員就職に向けた支援をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○政府参考人(信濃正範君) 若者の進学についての支援についてお尋ねがございました。 意欲と能力のある学生が経済的理由により大学への進学を断念することがないように、安心して学ぶことができる環境を整備することは非常に大事だと考えております。 東日本大震災によりまして、災害救助法適用地域に指定された地域の方、この方々で経済的に厳しくなった方に対しましては、平成二十三年度以降、これまで日本学生支援機構の奨学金事業におきまして、特別措置として無利子奨学金等を希望者全員に貸与してきたところでございます。 また、奨学金の返還につきましても、経済的に厳しい方には、通常、返還期限を十年間まで猶予できるというふうにしておりますけれども、これに加えまして、東日本大震災で被災された方には、例えば立ち退きにより自宅に居住できない方は自宅に戻れるまでの間、それからそれ以外の方にあっても五年間、これは通常の十年間とは別に返還を猶予するということにしております。 また、今のは福島に、東日本大震災に特に限った話でございましたが、これに加えまして、被災地に限らず全国的な制度としまして、平成二十九年度から、例えば給付型奨学金を新たに創設する、あるいは所得連動返還型の無利子奨学金の制度を創設するといったように奨学金制度の拡充に努めているところでございます。 また、昨年十二月に閣議決定されました新しい経済政策パッケージにおきましては、給付型奨学金と大学等授業料減免の拡充によって、所得の低い家庭の子供たちについて高等教育の無償化を実現するということとされておりまして、制度の詳細について検討を行っているというところでございます。 これらの取組も活用しまして、引き続き、被災地の若者の進学について支援を続けてまいりたいと、こう考えております。
○若松謙維君 今、様々な支援の御紹介もいただきました。あわせて、非常に長期化しておりますので、また課題等もそれぞれ個々にケースが違うということもありますので、是非今後ともきめ細やかな対応をまずお願いしたいと思っております。 特に、教育費の負担軽減、これはもう公明党として大変力入れている政策でありますけれども、特にいわゆる帰還困難区域という、福島、これから五年掛けてやっと帰還できる環境をつくるという、そこに新たな帰還の環境が変化すると、今までもう戻らないと思っていた人たちがやっぱり戻りたいという、非常に人間の揺れる心というものに対して、また教育面からも寄り添っていただきたいと思っております。 次に、養育費についてお尋ねしたいんですが、この養育費の支払終期がこれ早まるという一つの問いかけがあります。 まず、成年年齢引下げに伴いまして、養育費の支払終期が十八歳になるという懸念があります。これは、例えば離婚の際に終期を大学卒業までということで双方が合意すれば、これは養育費しっかり保証されるわけでありますが、そうでない場合には裁判で決めるということになるわけであります。そうすると、いわゆるこれ判例なんですかね、満二十歳、現行の成年ですか、に達するまでというのがどうも原則というんですかね、判例が多いようでありますけれども、そういう中、今回の民法改正によりまして成年年齢が二歳引き下げられるということになるわけでありますが、しかし、特に生活実態が変化するわけでもありません。法律が変わっただけであります。そうしますと、あわせて、我が国の高校卒業後の進学率八〇・六%と。こういう現状に対して、年齢で一律にこの養育費の支払というものを下げるということは恐らく適当ではないかと思います。 そういうことですので、この養育費の支払の対象となる子供が経済的に自立できる時期かどうかという、そういうことでしっかりと判断するというような、家庭環境に課題がある場合にはしっかりと配慮すべきであると思いますが、法務省のお考えはいかがでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 御指摘のとおり、養育費の存否及びその具体的な内容は、子が未成熟で自ら稼働して経済的に自立することを期待することができない場合に、両親の経済状況等の個別の事情を踏まえて判断されるものでございます。 したがいまして、養育費の支払期間の終期につきましても、その子の置かれた家庭環境や大学進学の可能性など、その子が経済的に自立することが見込まれる時期といった個別の事情によって定められるものでございまして、成年年齢が引き下げられた場合にも、十八歳という年齢で一律に画されることにはならないものと認識しております。 法務省といたしましては、本法律案が成立した場合には、これらの点も含め、必要な周知をしっかりしてまいりたいというふうに考えております。
○若松謙維君 今、個別事例をしっかり対応しながら、さらに十八歳一律にはならないという答弁でした。 それでは、例えば子供が成年に達した後も、これ当然合意前提なんでしょうけど、養育費の支払を受けることができるという、実はこれ余り一般的に知られていないという面もあるわけであります。そこで、養育費の支払確保のために、これ大変残念な話ですけど、これから離婚しようとする者に対して養育費の取決めに関する事項をしっかりと周知する必要があるのではないかと思いますが、これまでの取組についてどのようにしているか、法務省にお伺いいたします。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 先ほど申し上げましたとおり、養育費は子が未成熟で経済的に自立することを期待することができない場合に支払われるべきものでございまして、必ずしも子が未成年である場合に限定されるものではございません。養育費の取決めが適切に行われ、その取決めが確実に履行されることは、子の利益を図る観点から極めて重要であるものと認識しております。 こういった観点から、法務省では、平成二十八年十月から、養育費等の重要性について分かりやすく解説するとともに合意書のひな形を掲載したパンフレットを作成し、全国の市町村で離婚届用紙を取りに来た当事者の方への配付を行うなどの周知活動に取り組んできたものでございます。 なお、このパンフレットにおきましては、養育費についての合意書の記入例として、支払期間の終期を子が二十二歳に達した後の三月までとする合意を記載しておりまして、養育費が支払われるのは必ずしも子が未成年である場合に限定されるものではないことを前提とする記載になっております。また、この記入例につきましては、法務省のホームページにも掲載しているところでございます。 法務省といたしましては、今後も、養育費の支払義務が生じるのは子が未成年である場合に限定されるものではないことについて、更に周知に努めてまいりたいと考えております。
○若松謙維君 私、今持っておりますけど、恐らくこの青い、まだ、ペーパーだと思いますけど、「夫婦が離婚をするときに 子どものために話し合っておくこと」というのが、平成二十八年ということで、結構最近なんですね。 それで、実際に今後民法の成年年齢引下げが行われた場合、この養育費の取決めのパンフレット、当然改訂すると思います。それを確認するということと併せて、子供が十八歳に達した後も養育費の支払を受ける旨の取決めをしっかりと周知すべきではないかと思います。これ、改めて確認したいと思いますが、法務大臣のお考え、見解はいかがでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) 法務省といたしましては、この成年年齢の引下げが養育費の支払期間の終期に影響を及ぼすのではないかと、こうした御懸念を払拭するために様々な周知活動を行うことを予定しているところでございます。その一環として、御指摘いただきましたように、またパンフレットの改訂、これに当たりましては、養育費の支払義務は必ずしも子が未成年である場合に限定されるものではないことをより分かりやすく明記をするとともに、養育費の支払期間の終期につきましては、紛争予防の観点からも、子が成年に達する日までといった定め方を避けまして、具体的な年月日や、また、子が二十二歳に達した後の三月までといった定め方をすべきであることを明記をしっかりしてまいりたいというふうに思っております。
○若松謙維君 是非、やはりそれぞれ夫婦であったわけでありますが、それぞれの事情で離婚ということでありますが、やはり一つの親の義務として、やっぱり養育、養育費ですか、やっぱりしっかり確保するというんですか、お互いにどんな事情、最大の努力をするということはやっぱり社会の土壌としてやっぱり築くべきだと思いますので、今後の法務省のこのパンフレットですか、改正に当たってもしっかり配慮していただきたいと思います。 次に、成年年齢引下げに伴いまして、いわゆる未成年であることを欠格事由とする職業の取扱いということで、いわゆる未成年であれば資格が取れないという一つの事例があります。特に、民法の成年年齢引下げに連動して十八歳に変更されるということになるんですけど、その趣旨と、実際に十八歳、十九歳の者が資格を取得することがあり得るのかどうかということについて、特に法務省所管では司法書士、あと土地家屋調査士、これが挙げられるんですが、その職業に対する、今後の十八歳年齢制、成年年齢引下げ、これがどういう影響を与えるのか、特に、やはりこれらの資格者に対して、十八歳、十八、十九ですか、非常に若いんですけれども、それに対して国民の皆さんがどういう信頼を維持するかどうかということも大事になってくると思いますので、そういった観点から質問をいたします。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 民法の成年年齢の引下げに伴ってほかの法律の年齢要件を引き下げるかにつきましては、それぞれの法律の趣旨に基づきそれぞれの所管省庁において個別に検討したものでございまして、必ずしも一律の基準があるわけではございません。 しかしながら、各種の国家資格に関する年齢要件など、民法を前提に二十歳と定められている年齢要件につきましては、成年年齢の引下げに合わせて基本的に十八歳に引き下げることとしております。十八歳の者の中にも、各種の資格を得るのに必要な知識や資質を有する者がいると考えられまして、成年年齢の引下げに伴って各種の資格を取得する年齢要件が十八歳に引き下げられた場合には、十八歳、十九歳の者がこれらの資格を得ることが可能となります。 その例としまして、司法書士について見ますと、司法書士の業務は国民の権利義務に密接に関連しますことから、法律上の判断能力が不十分であるとされている未成年者は司法書士の業務を行うことができないものとして、欠格事由とされております。 民法上の成年年齢が十八歳に引き下げられる場合には、十八歳をもって法律上の判断能力があるものとされることから、司法書士法上の欠格事由となる年齢もこれと合わせて十八歳に引き下げるのが相当と考えられます。その結果、十八歳又は十九歳の者でありましても、司法書士試験に合格すれば司法書士となることができることとなります。 そして、この試験におきまして、司法書士として業務を行う上で必要な知識が要求されていることに加えまして、司法書士となった後においても、日本司法書士会連合会が実施する研修等により司法書士としての業務を行うために必要な能力の担保が図られ、これらを通じて司法書士に対する国民の信頼が確保されるものと考えております。
○若松謙維君 なるほど。いずれにしても、成年年齢引下げが十八歳になるということで、十八歳、十九歳、今までの方が、いわゆる行為能力が付されるという言い方が正しいんですかね。 そういうことで、私、公認会計士、税理士、行政書士、三つ士を持っているんですけど、当然、会費大変です。でも、そういった方々が十八、十九でいわゆる行為能力を持ってしっかりと社会に専門家として進出できるというこれは機会の拡大につながるというふうに理解しておりまして、恐らく今後、各士業でですね、いろんな検討が加えられると思うんですけど、今回のいわゆる十八歳引下げによる行為能力ですか、がしっかり担保されるということが私は大事だろうと思いますので、あえて触れていきたいと思います。 それでは、先ほども元榮議員からありました、諸外国の動向ということで、百四十年ぶりの成年年齢引下げということでありますけど、OECDはほとんどが十八歳ということでありますけど、じゃ、他の例えばOECDで引き下げた国の、諸外国はどういう理由で十八歳ということにしたのかということについてお尋ねをいたします。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 欧米諸国では、一九七〇年代前半頃に成年年齢を二十一歳から十八歳に引き下げた国が多いというものでございます。 その理由は、国ごとに異なるものではございますが、例えば、若年層の成熟化が進んでいること、若年者の参加によりコミュニティー全体が利益を受けること、国の将来を担う若者の政治における責任感を醸成することになること等を理由に成年年齢を引き下げた国があると承知しております。 また、兵役義務が十八歳以上の者に課されているのに対して、政治に意見を述べることができる選挙権年齢が二十一歳であることは不公平である、こういったことなどの意見が高まって選挙権年齢が引き下げられ、それに伴って成年年齢も引き下げることとされた国もあるものと承知しております。
○若松謙維君 理解いたしました。 それでは、経過措置についてお伺いをいたします。 この民法改正が成立すれば、施行日まで四年の経過措置を経て、平成三十四年四月から施行されるというふうになっております。 それでは、例えば、施行前、平成三十四年四月前に十八歳、十九歳の若者が契約をしましたと。そして、平成三十四年四月以降、当然法律が変わって、いわゆる十八、十九も成年になるわけであります。そのときに、この平成三十四年四月前に行った契約、そのときは未成年扱いになるんですけど、四月以降になると成年扱いになっちゃいますから、取り返しができないと。 そういう解釈は私は取るべきではないと思いますけれども、その点についてこの法律はどのように解釈していますか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 御指摘のとおり、施行日前に十八歳又は十九歳の者が締結した契約につきまして、その施行後は、その方々は成年年齢が十八歳に引き下げられているために成年に達すると、そのために施行後に取り消すことができるのかといったような疑問が生じ得るわけでございます。 そこで、この法律案におきましては、そういったような疑問が生じないように、結論的には、なお取り消せるということを条文でもしっかりと規定しておるというものでございます。 具体的に申しますと、この改正後の民法第四条の規定を遡及的に適用することはしないとした上で、附則の第二条でございますが、既に成年に達していた者も含めまして、全ての人について成年に達する時点を明示する規定を設けております。具体的には、今委員御指摘の例で申しますと、施行の際に十八歳以上二十歳未満の者は施行日に成年に達するというふうにしてございます。 この規定によりますと、施行日前に十八歳以上二十歳未満の者が法律行為をし、その取消しの可否が施行日後に問題となりましたとしましても、法律行為をしたのは行為者が成年に達するときより前の時点ということになりますので、こうした法律行為は施行日後も引き続き未成年者がした法律行為と取り扱われるということになるわけでございます。 したがいまして、施行日前に十八歳以上二十歳未満の者がした法律行為は改正法の施行後も取り消すことができると、こういうことに規定上なるということでございます。
○若松謙維君 是非、この点も恐らく悪用されないように、改正の際にはしっかり周知徹底もお願いを申し上げまして、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。
○櫻井充君 国民民主党・新緑風会の櫻井充です。 まず冒頭、委員長、それから理事の先生方、政府参考人の出席、追加していただいて感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。 本題に入る前に、午前中、内閣委員会で、昨日出されました森友学園に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書について質問させていただきましたが、答弁が余りにひど過ぎたので、またこの委員会に来ていただきました。 改めて財務省に質問したいと思いますが、今回、二十人の職員が処分を受けることになりました。これは一体何の法律に違反したからこういう二十人の人たちが処分を受けることになったんでしょうか。
○政府参考人(百嶋計君) お答え申し上げます。 昨日公表いたしました調査報告書では、決裁文書の改ざん等の一連の問題行為の経緯等を可能な限り明らかにいたしました上で、こうした行為について、行政府における文書管理の在り方として、公文書管理法の趣旨に照らしても不適切であったと結論付けたところでございます。大臣からも御答弁申し上げておりますように、こうした対応はあってはならないことでありまして、深くおわびを申し上げます。 今委員から、何の法律に違反して処分を受けたのかということでございますが、こちらの一連の問題行為は、財務省ひいては行政全体の信頼を損なった行為でございますので、国家公務員法第九十九条、信用失墜行為の禁止に違反すると言えるかと存じます。そのため、それに対する制裁といたしまして、国家公務員法第八十二条に基づき懲戒処分を行ったところでございます。
○櫻井充君 午前中、どの法律ですかと言ったときには、公文書管理法上は趣旨に違反しているわけではないと、そういう話でした。明確に今御答弁いただきましたが、国家公務員法の九十九条にも違反していますが、私は九十八条にも違反していると、そう思います。 国家公務員が「職務を遂行するについて、法令に従い、」と、こう書いてあるわけであって、法令に従っているわけではないので九十八条違反にも問われるべきだと私は思いますが、いかがですか。
○政府参考人(百嶋計君) お答え申し上げます。 ただいま御答弁申し上げたところでございますけれども、一連の問題行為は、やはり官職の信用の維持と服務に従うということに対する違反行為といたしまして、第九十九条、信用失墜行為の禁止に違反するとして処分したものでございます。このことについて御理解を賜ればと存じます。
○櫻井充君 済みません、私は、九十九条の違反だというのはこれは分かった上で、更に九十八条にも違反しているんじゃないですかと質問させていただいているんです。九十八条にも、ちゃんとここに書いてあるじゃないですか、「法令に従い、」と。法令に従っていないからこういうことになったから、九十八条違反でもあるんでしょう。
○政府参考人(百嶋計君) お答え申し上げます。 様々な一連の問題行為がございました。このことは大変、国会の先生方との関係でも不適切なものがございましたし、先ほど来御指摘のございました公文書管理法等の趣旨に照らしましても不適切であったと考えております。こういった行為が国家公務員としての信用を失墜したということで、私どもといたしましては国家公務員法九十九条に基づいた処分をいたしたというところでございます。
○櫻井充君 済みません、答弁になっていませんよ。まあいいです、後で質問主意書で文書で出しますから。もう全部、今の答弁でおかしかったものは質問主意書で出させてもらいましょう、そうじゃないと時間の無駄なので。覚悟しておいていただきたいと、そう思います。 なぜならばですよ、なぜならば、今回の報告書を見ていると、やっぱり相当ひどかったわけですよ。近畿財務局の職員が相当抵抗したと書いてありました。ここの抵抗した職員の中には自殺した人は入っているんでしょうか。
○政府参考人(百嶋計君) 職員がこの事案の関係で自ら命を絶ったことについては大変悲しいことでございまして、心から冥福をお祈りするところでございますが、その職員が具体的にどのように関わっていたかということ等につきましては、プライバシーや御遺族の感情もございますので、答弁としては差し控えさせていただきたいと存じます。
○櫻井充君 済みませんが、処分されている人たちは誰なのかというのは、ここの改ざんなりなんなりに全部関わった人たちがそこで処分を受けていることになるから、これ、調べること自体それは当然のことだと思いますし、御遺族の方々が本当にそれを望んでいないんでしょうか。ちゃんと明確にするべきだと、私はそう思っていてですよ、済みませんが、財務省、人が亡くなっているんです、人が亡くなっているんですよ、あなた方のために。いや、これは総理のためになんだろうと思いますが、そのことをもう少しちゃんと重く受け止めていただきたいと思いますが、財務省、もう一度答弁をお願いします。
○政府参考人(百嶋計君) お答え申し上げます。 ただいま委員御指摘の点につきましては、私どもとしても極めて重く受け止めているところでございます。ただ、この職員が、その亡くなった職員がどのように関わっていたか等々ということにつきましては、プライバシーあるいは御遺族の意向もございますので、この場では答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。よろしく御理解をお願い申し上げます。
○櫻井充君 後でまた、これも追加して聞かせていただくことにしましょう。 それからもう一つは、政治家等の関与、それから昭恵夫人の関与等についてリストアップして、この文書をなかったことにしようと、そういう動きがあったわけですよ。そうすると、なぜこういうことをしなきゃいけないんでしょうか。政治家からの何か要求があり、それから昭恵夫人から何かあったとしてもですね、あったとしても、その決定プロセスに一点の曇りもないのであれば、そういうことをする必要性は全くなかったわけです。なぜこの人たちがそういうようなまずリストを作らなければいけなかったんでしょうか。
○政府参考人(百嶋計君) お答え申し上げます。 決裁文書につきましては、昨年二月下旬から四月上旬にかけて国会等で厳しい御質問を受けることになりかねない記載を削除するとの改ざんを行ったものでございました。この決裁文書の改ざんの主たる目的は、昨年二月以降の国会審議において森友学園案件が大きく取り上げられる中で、更なる御質問につながる材料を極力少なくするということでございました。 しかしながら、午前中も大変恐縮ながら申し上げましたけれども、本来ですとこうした元々の決裁文書、また応接録といったものをきっちりとお示しをして、そこから先生方が御疑問に思われる点については一つ一つ真摯にお答えしていくことが本来あるべき姿であった、あるべき、取るべき道であったと思います。ところがこういうことを起こしてしまったことについては、誠に痛恨に存じます。
○櫻井充君 午前中もずっとそうやって時間稼ぎしていて本質に答えてもらっていませんよ。何回でも呼ばせてもらいますからね、これから委員会に。 いいですか、私が聞いているのはそういうことじゃないんだ。ここの決定過程においてですよ、何の一点も曇りもないと。政治家や、それから昭恵夫人の関与が全くないんであれば、それを削除する必要性は全くないじゃないですか。そこについて答えてくださいよ。なぜ削除しなきゃいけなかったのか。
○政府参考人(百嶋計君) お答え申し上げます。 ただいまも申し上げましたとおり、本来ですとそういった応接録等を全てお出しして、その上できっちりと一つ一つの御質問にお答えすることは決して不可能ではなかったと私も思います。しかしながら、何と申しますか、更に厳しい御質問をいただくことに対して、やはり、まあ理財局の方、幹部としては、大変これを回避したいという気持ちが働いてこういうことに至ってしまったということかと存じます。(発言する者あり)
○委員長(石川博崇君) どうぞ続けてください。 速記を止めてください。 〔速記中止〕
○委員長(石川博崇君) 速記を起こしてください。
○櫻井充君 政治家の関与をなぜ消さなきゃいけなかったんですか。政治家は関与していないんでしょう。そして、昭恵夫人も関与していないんでしょう。であったとすれば、なぜ削除する必要性があったんですか。厳しい質問になるって、なぜそういうふうに思われるんですか。関与しているからこそそういうふうになることであって、特に総理から、自分自身や、それから自分の奥さんが関与していれば、総理だけではなくて国会議員をお辞めになるという趣旨の発言をされたと。それを受けたから、だから皆さんで一生懸命かばおうとしてこういうことをやったということになるんじゃないですか。 つまり、私は、財務省が実は犠牲者だと思っているんですよ。財務省が自らやったことではなくて、そういうことがあって仕方なくやったと、そういうことではないんですか。
○政府参考人(富山一成君) お答えをいたします。 昨日の調査報告書の中におきましては、各職員からの聞き取りを行った上で取りまとめたものでございますが、その中で、今委員御指摘の点を申し上げますと、決裁文書が改ざんをされたということでございますが、本省理財局の局長以下の幹部職員の認識としまして、政治家関係者からの照会状況に関する記載など、決裁の内容には直接の関係がなく、むしろ国会審議で厳しい質問を受けることとなりかねない記載は含めないことといったことも、五つほど挙がっている、この回避する目的での改ざんという理由として挙げているところで、政治家関係者との関係は、今申し上げたような点が、職員からの聞き取りでの理由として記載をしているところでございます。
○櫻井充君 私が財務省にいたときには、こういうことをやるような職員は僕はいなかったと思いますよ。現時点も、恐らく本当は皆さんがやりたくなかったんですが、結局は、今は官邸をおもんばかってやっていかないと自分たちの地位も危うくなるからこういうことをやらざるを得なくなってきたんじゃないのかなと、そう思います。 本題に入っていきたいと思います。 先日、結婚年齢の引上げについて質問させていただいたときに、私が見ていた資料と、それから法務省から提出した資料の中でちょっと違いがあったので、その点について質問させていただきました。 まず、その結果、こういうことが分かったんですが、その法務省から出していただいたのは、若くして結婚した人たちの方が、女性は、十代は特に離婚率が高いと。一方で、私が見ていた資料は何歳のときに離婚していたのかという数字だったので、十六歳は四%程度で少ないと。当たり前なんです、十六歳の人しか含んでいませんから。二十歳ぐらいの方々が離婚する割合はかなり高くなってきているということなので、いずれにしろ、若い人たちが離婚する傾向にあることだけは確かなんだと、そう思います。 そうしてくると、例えば、十六歳や十七歳で出産し、今までであれば結婚していたかもしれないけれど、この人たちが結婚しなくなったら、ハードルもっと、ハードル下がるというのはどういうことかというと、離婚するというハードルは相当重いと思っているんですよ。ですが、この人たちは十八まで結婚できないということになると、結婚しないままそのまま過ぎてしまうようなことになってしまうんじゃないだろうかと。そうすると、親権の問題や養育費の問題とか、様々な問題が逆に起こってくるような気がしているんですが、その点についていかがでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 御指摘のとおり、十六歳、十七歳で女性が出産した場合、十八歳まで婚姻することができないということになります。ですから、そこまで時間を掛けて婚姻に行ける、婚姻をすることになるかどうかというのは、またそれはそれぞれの具体的な御事情によるかと思いますが、仮に婚姻しなかった場合ということになりますと、十六歳、十七歳の女性が出産した子は、民法上は嫡出でない子というふうになるわけでございます。そして、嫡出でない子につきましては、原則として母の単独親権に服するということとなります。 ただ、養育費につきましては、父親の方が認知をするということになりますと、これはその父親の方が法律上の父親ということになりますので、そちらの方、その父親につきましては養育費の支払義務が生じると、そういう関係になると考えております。
○櫻井充君 そうだとすると、ちゃんと認知しなさいというルールにしておかないと、本当にこのかわいそうな子供さんたちが増えるような気がするんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 もちろん、認知は、任意にその父親の方が認知をするということも当然できるわけでございますけれども、仮にその父親の方が認知をしないということになりますと、強制認知ということで、最終的には認知の訴えを起こすということによって認知をするということも可能でございます。
○櫻井充君 分かりました。ありがとうございます。 あともう一つ、こういう場合に、やはり結婚を認めるということにはならないんでしょうか。特例で仕方がなく、子供さんのことを考えれば、僕はこういうのを特例として婚姻を認めてもいいような気がするんですが、この点についていかがでしょう。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 委員御指摘のとおり、この女性の婚姻開始年齢に例外を設けることにつきましては、これは法制審議会におきましても議論がされた、検討がされたところでございます。しかしながら、元々この婚姻開始年齢といいますこの制度が、若年者を保護すると、こういう制度の趣旨でございまして、そういったその趣旨、例外を設けることはその趣旨にそぐわないというようなことから採用はされなかったというふうに理解しております。 この法律案におきましても、このような法制審議会における検討、この理解に基づきまして、例外を設けるという考え方は取らないこととしたものでございます。
○櫻井充君 親の要件だけを今議論されてきていますが、生まれてきた子供さんたちにはそういう選択権はないんですよ。子供さんをどう守っていくのかということを考えた場合には、やはりきちんと両親がいるという環境にしてあげた方が私はいいと思うんですよ。 国会の議論って、聞いていると、割と、済みませんが、女性を前に怒られることは覚悟で申し上げれば、働く女性のためとか、どうするかという議論がすごくあるんですが、例えば子供さんは一体誰に育てられたら幸せなのかとか、子供が主語になっている議論というのがなかなか行われていないんじゃないかと、私はそう思っているんですよ。 そういう点でいうと、法律で定められてしまっているから、そうやって、子供さんが生まれました、二人で育てていこうと決めているのであれば、こういう人たちについて結婚を認めてあげた方が私はその子のためになると思うんですが、大臣、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) 先ほど、民事局長の答弁ということで、今回のこの例外措置をとるかどうかということにつきましても法制審議会で検討をされたということでございます。今回はその趣旨にそぐわないということで、この女性の婚姻開始年齢に例外を設けるということにつきましては採用されなかったと理解をしております。 この成年年齢に関わることにつきまして様々な御議論をしていただいておりますし、また、この委員会におきましても様々な視点から御指摘をいただいているところでございます。今、この法律が制定した段階におきまして、三十四年の四月スタートまでどのようなことに取り組んでいくのか、いろんな角度から更に充実した形での施策を打つことは大変重要であるというふうに思っておりますので、そういう意味で、委員御指摘の子供の視点の部分についての考え方あるいは取組ということについても大変重要な御指摘であるというふうに考えております。
○櫻井充君 前向きな御答弁いただきまして、本当にありがとうございます。子供は親を選べるわけではないので、その子供さんたちがどうなのか、どういう立場にいた方がその子供さんたちが健全に育っていってくれるのか、そのことを改めて検討していただきたいと、そう思います。 最後にもう一つ。これは、少年法はまだ結論が出てきていませんが、この少年法との関連はいつぐらいまでに結論を出す予定なんでしょうか。
○政府参考人(辻裕教君) 少年法の上限年齢に関しましては、これまで申し上げているとおり、現在、法制審議会にお願いをして調査審議をしていただいている最中でございますので、その行方がどうなるか、あるいはその結論が出る時期がいつになるのかというのは、ちょっと私どもの立場から申し上げることはなかなか難しいということを御理解いただければと思います。
○櫻井充君 この法案に反対されている皆さんの中にはこの少年法との関連性を本当に危惧されている方々がいらっしゃって、そこの結論が本来は出てからこの民法の改正などの議論をするべきだったんではないのかなと、個人的にはそう思っていて、そういう意味合いでは時期尚早ではないのかと、そう感じているところがあります。 済みません、個別の改正の必要な点について項目立てしていたんですが、財務省の答弁が長くなってしまったので聞けなかったことについておわび申し上げ、これは後日質問させていただくと、そのことを申し上げて、質問を終わります。 どうもありがとうございました。
○小川敏夫君 立憲民主党の小川敏夫です。 前回に続いていろいろ意見交換させていただきたいと思うんですが、大臣、今回、十八歳、十九歳が成年になるんですけれども、十八歳ですと、高校三年生のときに十八歳になる人が多い。四月生まれですと、高校三年になったすぐに十八歳になるわけです。それで思うのは、どうも、積極的に社会に参画してもらいたいということで年齢を引き下げるというんだけど、この高校生に焦点を当てますと、やっぱり実情に合わないんじゃないかと思うんですよ。 高校生、高校三年生ぐらいですと、当然学費は親に出してもらっているし、塾に行く、部活に行くということがあっても、当然親に費用を出してもらっているでしょうしね。生活は、朝起こされて、御飯もお母さんが作っていて、帰ってきて御飯もお母さんが作ったものを食べてということで、また、多少遊びに行く、何か着るもの買いに行くといったって、親からもらったお小遣いで生活しているわけで、もう完全に言わば親に扶養されている、そういう生活実態なわけでありましてですね。そして、一生懸命社会に貢献しろと言っても、高校三年生はやっぱり学校で一生懸命勉強して社会に出るための学業をしっかりと深めるということが本分だと思うので、ですから、若い人に積極的に社会に参画してほしいと、その社会に参画する、それを、自己決定権を認めて、自分で道を選ぶんだというふうに言っても、私は今の高校三年生の生活実態には合わないと思うんですよね。 十八歳全員が高校生というわけじゃないけれども、今の日本の社会状況ではもうほとんどが高校生だと思うんですが、そうした高校生の生活実態考えると、私は、高校生に、もう社会に貢献する自己決定権を持った大人なんだと、もう親の監護は要らない、そういうのは合わないように私は思うんですが、大臣はそこのところはどうお考えですか。
○国務大臣(上川陽子君) 十八歳という年齢につきましては、時代の変化というのが大変大きなものがあるなというふうに思うわけでございますが、今委員御指摘のように、十八歳になりますと、もう九十何%高校に、十八歳になりますと高校生の状態であると。 かつてはそうした高校生の進学率等につきましても非常に低い時代があったということでありまして、そういう意味では、急速に社会全体が大きく、そうした教育を受ける権利やそしてその態様について成熟した国になってきたなというふうに思っているところでございます。 そのような状況の中で、親の扶養下に置かれているというような生活実態があるのではないかと、こういう御指摘がございました。 今回の民法の成年年齢の引下げにつきましては、この改正の中で、多くの構造的な課題を抱えながら、我が国におきまして、若年の若者が積極的に社会に参加をしていただく、そしてその活力を見出していただく、こうした要請もあるわけでありますが、同時に、様々な選択の幅を、自己決定権を付与することによって広げていくというチャンスをつくっていくという意味でも、若い世代の皆さんに対して大変意義があるものであるというふうに思っております。 先ほど、委員からの御指摘で、若い十八、十九歳の方と面談をしたというお話がございましたが、商業高校とかあるいは工業高校などに通っていらっしゃる皆さんの中には、やはり仕事を積極的にしていくとか、あるいは新しい業を起こすというような形での支援もこの間非常に大きく取り組んでいるところでもございまして、また、そうしたチャンスをうまく利用して、そして社会の中で活躍をしていただく、いろんな若い人の視点での活躍の仕方というものを生み出していただく。そういう意味では、高校生活の勉学とともに、社会の中で様々な多様なチャンスがあるということにつきましては、その可能性そのものを広げていく、そしてそのことが日本の社会のこれからにとって大変重要な要素にもなろうかと、こんなふうにも考えるところでございます。 様々な視点があろうかと思いますので、今先生から御指摘がありました、今の高校三年生の置かれている状況はどのような状況かということにつきましても真剣に向き合ってまいりたいと思うところでございますが、今回の改正におきましては、若者にとって自己決定権を付与すること、それに伴いまして様々な可能性を開いていくということにつながるものというふうに考えております。
○小川敏夫君 私は、高校三年生に絞ってお尋ねしたので、卒業した後の職に就いた人とか高校に行かないで職に就いている人のお話をしたんじゃないんですけれども。同じことを何回も言ってもあれですけれども、社会に出て活躍する場をといっても、高校三年生はやっぱり学校で勉強するのが本分でしょうし、それをおざなりにしてということもないと思うんですがね。 私は、そういう生活実態と合わない中で、しかしこの一方で、今度は高校三年生の方はこれまでの未成年者の保護というものがなくなるので、そうした面で不利益を被る危険性が出てくるので、そちらの方をもっと心配してよく考えるべきじゃないかというような考えであります。 消費者保護という視点からの議論が中心的になされているわけで、法制審議会の方も、その消費者保護という面に焦点を当てて、それでそちらの方をということを言っているわけですけれども、私自身は、それは消費者問題は未成年者に限らずお年寄りも若手の方も全部共通した問題であって、この未成年者の保護という問題は、消費者保護ももちろん大事なんですけれどもという視点でだけ考える問題じゃないと思っているんです。 例えば、一つの私が経験した、経験したというのは実際に遭ったという意味じゃなくて、担当した事件の中でこういうのがありましてね。被害者は大学生だったんですけれども、先輩が来まして、ああ、いいところにいた、ちょっと俺困っているんだけど、済まないけど、こういうことで、ちょっとすぐ、すぐ返すからお金貸してくれないかと。でも、学生はお金持っていないわけです。いや、お金ないんだけど。いやいや、分かった、分かった、だから、ちょっとこっち来て、ちょっとこのサラ金でお金借りて、それでその借りたお金を自分の方で使わせてくれと、もう間違いなく僕の方で返しておくから、返済するそのカードも書類も全部僕にくれと言って頼みまくるだらしないというか悪いのがいましてね。結局、まだ若い学生の方は、そうか、じゃあといって、サラ金で借りてお金をその先輩に渡したんだけど、先輩はそれで、はいさようならと。結局、そのツケは必ず来るわけでしてね。 これ、今まではサラ金が十九歳には貸さないから、その被害に遭ったのは何人もいたんだけど、みんな二十歳以上、二十歳とか二十一歳で、これ消費者被害じゃないんですよね。悪いやつがいて、悪いやつに引っかかっちゃったという民法固有の問題なんですけれども。こういうとき、私は思いまして、十八歳、十九歳がなぜ被害に遭わなかったかといえば、結局未成年だからお金を貸さないわけです。そういうことで、間接的にそういう形で保護されておったわけですけれども。 結局、若い人は、やっぱりずっと子供の頃から、困った人は助けなくちゃいけないよというふうに思っているもので、誰かが何か助けてくれと言ったら、まず前向きに取り組んでしまうと。悪い人間も悪くない人間も余り区別が付きにくい、だからこそ、それをもって社会経験が浅いと思うんですがね。 そういったことであるんですけれども、今度は、じゃ、高校三年生に先輩が来て、おい、ちょっとお金貸してくれと。持っていないよ。じゃ、ちょっとこっち、ここのサラ金でお金借りて、そのお金を貸してくれなんということになったら、被害に遭っちゃいますよね。 だまされる方が、甘いのが悪いんだというかもしれないけれども、その甘いのがまさに若者の未経験だと思うんですよ。これがやっぱりそういうことを経験すれば、世の中には、それは困った人は助けなくちゃいけないけど、しかし、助けるべき人間とそうじゃない人間がいるし、助けるべき場合と助けるべきじゃない場合という、だんだん区別が付いてくる。だけど、そういうことを経験しないとなかなか分からない。だから、私は、この経験が浅い未成年者は守ってあげなくてはいけないというのがまさに今の民法のこの成年年齢だと思うんです。 どうでしょう。そうした面で、私は、やはり社会に積極的に参画してほしいというのは、もちろんそれは全く大賛成なんですけれども、そういう面だけでなくて、やはりそうした経験がまだ足らないという人についてしっかりと配慮する、保護するというこの民法の精神はやっぱり守っていくべきだというのが私の考えなんですが、何となく大臣の答弁は予想が付くんですけれども、一応、念のためにお考えをお聞かせいただければと思いますが。
○国務大臣(上川陽子君) 先ほど、この御質問の冒頭におきまして委員から、消費者保護の視点につきまして、これは未成年者であるないにかかわらず消費者保護の視点を全体として考えるべき問題であると、こういう御指摘がございました。リンクをして考えるというよりも、この消費者被害の問題については非常に大きな問題であるというふうに考えておりますので、その御意見に対しては、大変貴重な御意見であるというふうに思っております。 そして、この若年者の消費者被害への対策ということでございまして、若年者自身がこの被害から、様々な手口の被害から逃れるための必要な判断能力、これをしっかりと備えるということが極めて重要であるということで、その中におきまして、この対策としては、消費者教育の果たす役割というものの重要性については、何度も繰り返し申し上げても足りないぐらい重要なものであるというふうに思っております。 そして同時に、成熟の過程にある若年者の経験不足、こうしたことに付け込むなどして消費者被害を惹起する悪質な事案等、これを対象として取消し権等の保護を与えること、これにつきましても大変適切であるというふうに考えているところでございます。 今、高校三年生の途中で成年に達するということでありますが、同時に、この消費者教育を、更なる充実を今後とも図るということで取組を進めているところでございますが、高校三年生、まさにこのことを自らの問題として、より意識をして、強く意識をしてこの高等学校等における消費者教育をしっかりと受けていただくということが極めて大事ではないかと、こんなふうにも思うところでございます。 その上で、今般、消費者契約法の改正をお願いしているわけでございますが、これは、若年者を中心に発生している消費者被害事例、こうしたことを念頭に置きまして、取消し権、これを追加するものでございます。先ほど申し上げた消費者教育の充実等の他の施策と相まって、若年者の消費者被害の拡大防止に資するものというふうに考えております。 法務省といたしましても、この施行日である平成三十四年四月一日まで四年間、しっかりとこれを活用させていただいて、そのような施策に取り組むことによりまして、若年の消費者被害の拡大を防止すること、このことについて可能な限り万全を処すために努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○小川敏夫君 消費者被害だけじゃなくて、さっき言った例も一つですけれども、例えば保証という問題があるんですよね。未成年者の保護、一般的には資産を持っている人がその資産を不利益な形で処分してしまうということを守るということもありますけれども、私も学生時代、民法を習って、自分は資産なんか持っていないし、子供で資産を持っているのは、そんな恵まれている人を何で保護してやるんだろうなんて勝手に思った時期もありましたけど、ただ、その持っている資産をそうして不利益な形で失ってしまうというだけじゃなくて、借金を負うという場面もこの民事の取引ではあるんですね。一番典型なのが保証です。 私は練馬なんですけれども、東京辺りですと、かつて農家の方が、たくさん土地を持っている方がたくさんいらっしゃる。そういう中で、私自身は弁護士という経験の中で、うまいことを言われて担保権設定した、いわゆる保証した。事業があって、これこれこれ、こういう大変成功するから、成功したらおたくには名誉会長になってもらいますよとかなんとか言って、もう地元で名士になりますよとか、何かいろいろうまいこと言われて判こを押しちゃったが最後で、結局ほとんどの土地を取られちゃった、そんな例があるわけでありまして。 そういうのも一つの例でしょうけれども、もっと広く保証というのがあるわけで、その今十八歳、十九歳を取り巻く、先輩もいる、悪い友人もいる、中には親族ででも、おじさん、おばさんでもいる。そういう人たちが来て、頼むよ、保証してくれと言って保証しちゃったら、その保証はもう有効ですから、少なくとも詐欺とか強迫とか、ほかのことは要件があれば別ですけれども、きちんとそれを承諾して保証した以上、それは有効ですから。これは消費者問題じゃないんですよね。民法固有の問題なんですけれども。 こうした面で、やはり私は、若年者については保護の必要性があるんじゃないかな、十八歳、十九歳でもやっぱりその必要性はあるんじゃないかなという観点からるる質問したわけでございます。この点は、何となく大臣の答弁は想像できますので答弁は要りません。 それで、民事局長にちょっとお尋ねしますけれども、これまで出てきた議論の中で、諸外国のほとんどが十八歳を中心とした年齢で成人というお話を聞きました。ただ、もう一つ私は確認したいのは、その諸外国の何をもって成人としているのかということをお尋ねしたい。つまり、日本だって十八歳成人の国なんですよ。十八歳で選挙権認めているんですから。あるいは、十六歳、十八歳で結婚できるんですから。だから、選挙権とか結婚年齢を基準にすれば、日本は十八歳で成人と認めているんです。十八歳で成人として認めないのは、少年法とか民法のこの取引の関係の点です。 私はちょっと疑り深いものですから、海外が成人として認めているという、その成人の根拠が選挙権なのか徴兵制なのか、何か別の理由、少なくとも日本の民法と同じ法制度が、OECD諸国が全部同じ法制度ということはないんで、それぞれ法制度は違うでしょうし、日本の国内、我が国の民法に、この未成年者の保護の制度が諸外国にあるとも限らない。 そうした中で一つ確認したかったのは、諸外国ではほとんどの国が十八歳成人だというけれども、その十八歳成人だというその根拠ですね。どういう法律のどういう分野で成人として扱っているから成人としているのかについて御説明いただけませんでしょうか。
○政府参考人(小野瀬厚君) それぞれ諸外国の私法上の成人の制度、それぞれでございます。ただ、私ども調べたところでは、この成年年齢と、あるいは婚姻年齢ですとか、あるいは酒、たばこの年齢というのは、それぞれ別々に調べているわけでございまして、一般的にそこで、私どもで先ほど来申し上げております成年年齢といいますのは、一人で契約、単独で契約した場合にその契約の効力が認められると、こういったような年齢をもって成年年齢というふうに私どもは理解しているところでございます。
○小川敏夫君 我が国でも、今の現行法でも、親の承諾を得れば、あるいは親から一定の許諾を受けた範囲、要するに普通の日常生活に使う支出ですね、これは有効なんですよね。ですから、何にもできないんじゃなくて、言わばそれを超える大きな取引については取消し権があるということで、ですから、完全に何にもできないというんじゃなくて制限的にできないというだけの話なんです。逆の言い方すれば、できる部分はあるんですよね。できる部分があるんだったら、日本だって十八歳成人制と言ったっていいんじゃないですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) 御指摘のとおり、どこまでの例外をもって本質的な成年の意義といいますか、そういったものに反映して考えるかというところで、そこはいろんな考え方があろうかと思いますけれども、一応今の日本の民法の場合でいいますと、あくまでもそこは親の同意ですとか、親の同意ということが必要ということは、逆に言えばそれは単独では有効な契約はできないということになろうかと思いますし、ただ、親によってその処分は許されたというような例外がございますけれども、そういったその例外をもって、じゃ、二十歳というものを成年というふうには見ないというところまでの大きい例外なのかと、そういう問題かと思います。 そこは、恐らく各国の成年につきましても様々な例外というものはあろうかと思いますけれども、あくまでも私どもが調べた範囲では、一般的に十八歳というふうに成年年齢として捉えられるというふうに理解はしております。
○小川敏夫君 話題を変えますが、お酒、たばこ、競馬は二十歳のままだと。酒、たばこは健康に影響するからということでした。じゃ、競馬の方は健康に関係ないので、競馬という仕組みをよく理解しているかどうかということだと思うんですが、なぜ競馬は二十歳のままなのか。それは、要するに競馬というものに対する理解力がまだ十八歳、十九歳じゃ足らないからということで、十八歳、十九歳を一人前扱いしていないからだということだと思うんですが、そういうことじゃないんですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 民法の成年年齢の引下げに合わせてそれぞれの年齢要件を引き下げるかどうかというのは、またそれぞれの法律の所管官庁の方でその法律の趣旨を踏まえて御検討いただいたというものでございます。 この競馬法のことで申しますと、この競馬法におけます勝馬投票券の購入の制限年齢は、射幸心などを醸成、助長するといった弊害が生じないよう、青少年保護の観点から定められたものというふうに承知しております。また、購入制限年齢の引下げにつきましては、学校関係者を始め反対する声も実態として根強く存在しておりまして、国民の理解が十分に得られていないという状況でもございます。 こういった中で購入年齢を引き下げた場合には、競馬に対する否定的な見解を招き、その目的である畜産振興等の公益貢献に支障を来すおそれもあるところであると、こういったような所管省庁の御判断というふうに承知しておりまして、そういったことから、競馬法における勝馬投票券の購入制限年齢は現行の二十歳未満を維持したと。 要すれば、やはりここにつきましては、青少年の保護といった観点というものがポイントかなというふうに思っております。
○小川敏夫君 だから、青少年の保護がポイントかなというけど、大人には認めているわけですから。じゃ、その十八歳、十九歳には認めないというのは、十八歳、十九歳がまだ判断力が未熟だからというから認めないんじゃないですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) そこは、先ほど申し上げましたとおり、勝馬投票券の購入禁止年齢は、その射幸心を醸成、助長すると、こういったような点で、青少年保護の観点から定められているというものでございます。 今回、成年年齢を引き下げるわけでございますけれども、成年年齢の引下げということになりますと、十八歳、十九歳で契約をすることができる、そういう点でその自己決定権が広がると、こういったようなメリットがあると、そういったことも一つの理由でございます。 しかしながら、この勝馬投票券につきましては、やはり十八歳、十九歳の者にそういったものを認めるといったような積極的な理由といいますものが、先ほど申し上げました、射幸心、青少年の保護の観点からは見出せないと、そういったことで、今回、この勝馬投票券につきましては年齢要件を維持したものと、そういう御判断だというふうに承知しております。
○小川敏夫君 今度、十八歳になれば、かなり投機的要素が強いFX取引とか、そうしたものもできるわけですよね。ある意味じゃ競馬よりももっと大きな、賭けに近いような要素がある。どうもそこら辺のところが私は、もし競馬の方で射幸心を助長するから保護するんだというんであれば、これはFXのような投機的な取引についてもやはり保護する必要があるんじゃないか。しかし、FXについてはそういう規制がないですよね。ということは、この民法の規制ですから高校三年生もできるようになってしまうわけで、私は、そうした射幸心というものを理由にして青少年を守るんであれば、やはりFXのようなそうしたものについて、少なくとも民法上許されている契約であっても若い人間を、十八歳、十九歳も守らなくてはいけないというものがあると思うんです。であるなら、やはり十八歳、十九歳、守らなくてはいけないというふうに思うわけです。 もう時間が来てしまいましたけど、例えば、ギャンブルはギャンブル依存症というような問題もありますけれども、依存症でいえば買物依存症というものもあるわけで、買物していると楽しいですよね、どんどん欲しいものが手に入るから。だけど、結局、自分のその支払能力というものを理解できなくて、どんどんどんどん買物をやめられないという依存症の方がいる。今度はそれが、特にその買物依存症はクレジットですよね、現金持っていれば余りあれですけれども。 今度は高校生もそうした買物依存症のチャンスが、悪い意味のチャンスが開けてしまうんですけれども、やはりこうした面でもっと配慮が私は必要だというふうに思うんですが、もう時間が来ちゃったんで、最後、こうした面でやはり、例えばFXのような投機的な取引、あるいは買物依存というような問題、そうしたことを十八歳、十九歳に私は広げてはいけないんじゃないかと思うんですが、いかがでございましょうか。その答弁聞いて、今日の質問を終わります。
○国務大臣(上川陽子君) 成年年齢の引下げにつきましては、冒頭におきましてもるる申し上げたところでございまして、大変大きな意義があるというふうに思っております。同時に、様々な御懸念ということについても、この間、具体的事例をもって御紹介をしていただいたところでございます。 今後、様々な施策を十分に果たしてまいりたいと思いますが、なお不十分な点があるかどうかと、こういうことにつきましても謙虚に見詰めてまいりたいというふうに思っておりまして、その意味で、三十四年の四月一日施行ということで、四年間弱でありますが、この期間を活用して万全な措置を講じてまいる努力をしっかりとやってまいりたいというふうに考えております。
○小川敏夫君 終わります。
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。 皆さん、お疲れさまでございます。今日は午前中から四人の参考人の皆さんに大変重要な御意見、問題提起を受けた上での対政府質疑になっておりまして、私、未成年者取消し権の意義、とりわけ若年者の消費者被害を防止する上で果たしているこの未成年者取消し権の重要性についてお尋ねをしたいと思うんですけれども、ちょっと抽象的な話から入ると、この時間ですので、具体的な事案についてお尋ねをしたいと思います。 午前中も、例えばマルチ商法などが話題にもなりました。お手元にお配りをいたしましたのは、AV出演強要と契約の関係なんですね。一枚目の資料にありますように、このAV産業ですが、入口として、ネットの広告とかスカウトを入口にして、プロダクション、それから、おおよそメーカーの場合が多いですけれども、制作に関わるこれは個人の場合もある、DVDなどのプレスという業者がある、そしてこれを、アダルトビデオを販売する、あるいは動画を配信する、一々挙げませんけれども、資料にあるように、有名どころも含めて様々なプレーヤーが複雑に絡み合っているわけです。 このAVに出演を強要する、あるいは強要されるという若年女性、男性の場合もありますが、スカウトだという人間から独特の業界用語だとかイントネーションで、法律用語らしきものもちりばめながら勧誘を受けるという、こういうことになるわけですね。 PAPS、ポルノ被害と性暴力を考える会の皆さんの作っていただいた資料なんですけれども、性を取り巻く法律と年齢という表がありますが、御覧のとおり、十八歳までは児童ポルノ禁止法だったり、あるいは青少年保護育成条例だったりというこうした法制度がありますけれども、十八歳以上になると、これ、未成年者取消し権以外はないと言っていいという、こういう状況にあるわけですね。 そうした下で、ちょっと私の方でもう少し説明して、まず男女共同参画局の認識をお尋ねしたいと思うんですけれども、二枚目に、当事者、若者あるいは被害者とプロダクションとの間での契約書の一部が掲載をされています。これ、専属芸術家契約書、専属モデル契約書などという場合もあるんですけれども、このプロダクションに対して若者が被害の損害を請求される、それは出演義務を怠った場合であるというようなことが麗々しく書いてある。 下の営業委託契約書というのは、これ、若者がプロダクションに自らの肖像権だとか財産権などの管理などを営業として委託をするという、この言葉遣い自体、法律関係自体、これ、私たちにもなかなか分かりにくいんじゃないかと思いますが、こうやって包括的に自らの肖像権も永久に渡してしまったというようなことにサインをさせられて、この義務に反すると損害を賠償しなければならないということが書いてある。 その次のページにあるのは、若者を中心にした被害者と、それからメーカー、制作会社との間で結ばれることのある出演同意書というものですけれども、赤枠で囲んであるとおり、「私は、本件コンテンツの出演にあたっては、貴社が本件コンテンツ撮影のため選定したスタッフの指示に従うものとし、演出・撮影方法について一切申し立てを行いません。」とありますね。 これ、演出とか撮影方法というのは、これは相手、例えば女性の出演であれば男優ですね、相手の男が誰なのか、それからその人数、それから果ては避妊するかどうか、そういうことも全部演出あるいは撮影方法だと強弁して、つまり、性的行為、とりわけ性交の具体的な態様について全てをメーカーサイドあるいはプロダクションサイドに委ねてしまうという、驚くべき、あり得ない契約なんですね。 下のAV出演同意書には、これは前回、三月の質疑でもちょっと触れましたけれども、この赤枠のところにあるように、撮影終了後以降における甲、甲というのは当事者、若い女性たちのことですが、甲の妊娠、性感染症への感染に関しては乙、これはメーカーサイドですが、に一切の賠償や責任を求めないものとしますなどと書かれているわけです。 こういう契約条項が仮に書面としてあったとしても、これは、本人の承諾があれば、真摯な承諾があれば別の議論があるかもしれませんが、本人が嫌だと言っている、こんな覚えはないと言っているということであれば、その外形というのは、これは著しい性的プライバシーの重大な侵害であって、人権侵害であるということを私は問題にしているわけですけれども。 こうした同意書なり契約書なるものが実際に、何というんですか、存在するという実態。その説明というのは、これはされていないということが多い、女優とされた当事者の側が持っていないことも多い、アダルトビデオと明示されていないものも多いなど、私が申し上げたような実態というのは、これ内閣府としてはどのような御認識でしょうか。
○政府参考人(渡邉清君) 内閣府男女共同参画局でございます。 ただいま御指摘いただきましたように、先生が御指摘いただいた全く同じような内容につきまして、私ども、ヒアリングで実態を聞いてございます。 内閣府が平成二十八年六月に強要問題の実態に関して民間団体の方からヒアリングを行いました。簡単に御紹介しますけど、ほぼ同じというのが実態、分かっていただけるかと思います。 メーカーとの契約では、肖像権や著作隣接権を包括的に譲渡してしまうということが一般的になっている。一たび被害者が契約に署名捺印すると、プロダクションは多くの場合、契約書を女性に交付しない。被害者側は契約書をよく読む時間が与えられなかったり、親族等に相談する機会も与えられない。また、最終的な危険性としまして、撮影された映像が本人の意に反して繰り返し使用、流通され、インターネット等にも掲載され続けることで二次被害に悩み、苦しみ続けることになる。 こういった実態を直接団体の方からお聞きしておりまして、実態の一端でございますけれども、認識しておるところでございます。
○仁比聡平君 そのとおりだと思うんですね。 民事局長にお尋ねをしたいと思うんですけれども、これは一般的な制度の説明として、未成年者取消し権、この要件と立証の責任がどのようになっているか。その観点からすれば、今、私が問題として、具体例として挙げているこうしたAVの出演強要という契約、これについては、これ全て未成年者であれば取り消せると思いますが、いかがですか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 未成年取消し権は、法律行為をした者が未成年者であることと取消しの意思表示をしたことを要件とするものでございまして、取消しを主張する者はこれらの事実について主張立証責任を負うということになります。 したがいまして、そのAVの出演契約につきましても、今のような要件が主張、立証できますれば原則的に取り消せるということになろうかと思います。
○仁比聡平君 つまり、そうした契約を結んでしまっても、その契約で、出なければ、出演しなければ損害賠償だとか、あるいは演出なんだから何人もの男性とやらなければ駄目なんだとかいうことを万が一言われるということがあったとしても、私はそのサインをしたかもしれないけど、そのときに二十歳になっていませんでしたということを示しさえすればこれ全部なかったことにできるというのが、これ未成年者取消し権なわけですね。 これ、民事局長、それでいいですね。
○政府参考人(小野瀬厚君) 御指摘のとおりでございます。
○仁比聡平君 この未成年者取消し権が若者の消費者被害を防止するために極めて大きな役割を果たしているというのが、午前中も参考人の皆さんおっしゃったとおりなのであって、もう一つ、ちょっと現場から、警察庁の御認識伺いたいと思うんですけれども、昨年の五月に、このAV出演強要の前線での相談に当たる警察の皆さんに、契約書みたいなものが、あるいは合意というものがあるような相談になっていたとしても、これは無効だったり取り消せたりする場合があるんだから、この外形に縛られて物を考えちゃならないという趣旨の通知も出していらっしゃいます。実際、その現場での相談というのがどんな実態になっているか。 それから、私は、今申し上げているようなケースがあって、相手が未成年者だということであれば、それは未成年者取消し権というのがあるんだから、これは取り消せるよと言って励ますというのが相談の現場だと思いますけど、いかがですか。
○政府参考人(小田部耕治君) まず、相談の内容でございますけれども、例えば、スカウトされてアダルトビデオへの出演契約をしたものの、出演に抵抗を覚え拒否したが違約金を請求されたといった相談でありますとか、スカウトされてタレント契約をしたと思ったが、スタジオに行くとアダルトビデオの撮影をすると言われたため拒否したところ、脅されて出演を強要されたといったような相談事例が見られるところでございます。 警察におきましては、アダルトビデオへの出演に関する契約等の相談を受理した際には、一般論としていえば、民事上錯誤に基づく契約は無効であるほか、その契約が詐欺や強迫に基づくものであったり、女性が二十歳未満であればアダルトビデオへの出演を承諾した意思表示を取り消すことができることなどを踏まえながら、個別的、具体的事案に応じまして所要の助言を行ったり、法テラス等の専門機関の紹介を行うなどしているところでございます。 今後とも、こうした相談があった場合には、被害者の心情に配意しながら、事案に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 そのような現場の実態なんですよ。だからこそ、こうしたアダルトビデオへの出演強要の契約というのは二十歳になった直後に行われることがもう極めて多いです。 町で例えばスカウトなるものをして、その女性が十八歳だと、あるいは中学生のときだってある、その彼女たちを二十歳になるまで囲い込むんですね。二十歳になったら、その途端に、大人になったんだからと、君も自分で決められるよね、成人式も来たんだからと、もう親の相談なんて要らないでしょうなどとまことしやかにいろいろいろいろやってサインをさせる、で、出演を強要するという実態が現実に私は存在すると思うんですが、内閣府、もう一度、そういう、二十歳になって契約という、そういう実態はありますね。
○政府参考人(渡邉清君) 私どもの専門調査会におけるヒアリングにおきましても、被害者の年齢は若年層に集中しておりまして、特に二十歳を超えたばかりの女性の被害が多いという実態が明らかになりました。 また、先ほど先生もおっしゃっておられましたけれども、二十歳を超えますと契約を取り消すことができなくなるため、まさに囲い込みといいますか、二十歳になるまでは露出の多いイメージビデオといったものに出演をさせておいて、二十歳になるとアダルトビデオの方に転向させる、移行させると、そういったケースが見られるというような実態を私どもも聴取してございます。
○仁比聡平君 現実にそういう被害があるわけです。 これを、未成年者取消し権が二十歳から十八歳に引き下げられてしまうということになると、高校三年生も含めたそうした若い若年の女性たちがそのターゲットになり、JKビジネスも含めてもっと若い女性たちにターゲットが移行するのではないか。その被害の重大性というのが更に更に大きくなる、ちょっと計り知れない思いもするんですね。 これ、どうにかしなきゃいけないと思うんですが、ちょっと先に消費者庁に伺いますが、今回、今国会に提案をしておられる消費者契約法改正での取消し権の新設で今申し上げているようなこうした被害は防げますか。
○政府参考人(井内正敏君) お答え申し上げます。 消費者契約法の消費者とは、事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く個人とされております。反復継続的に同種の行為が行われるようなときは、事業として又は事業のための契約ということになり、消費者には該当しないと考えられるものの、声を掛けられた女性が単発でアダルトビデオに出演する契約を締結するようなケースでは消費者契約法の適用があり得ると考えられます。 改正消費者契約法についてということでございますと、例えば、事業者が出演契約を締結する前に、出演契約の締結を目指して撮影の準備をしてしまい、出演をしないのであればその費用を支払うよう告げて勧誘したため、消費者が困惑し、契約を締結してしまった場合には、新設される第四条第三項第八号の規定により契約を取り消すことが可能になるときがあると考えております。
○仁比聡平君 今の御答弁でお分かりいただいたと思うんですけれども、つまり、取り消せる場合がごく一部あるというふうに変わってしまうんですよ。しかも、声を掛けられて、単発で、最初に引っかかってしまったときのことしかそもそも消費者契約法の対象にならないと、そういうふうにおっしゃっているわけですよ。 消費者庁、そういうことですね。
○政府参考人(井内正敏君) お答えを申し上げます。 先ほども申しましたように、反復継続ではなくて単発のときに適用があるということでございます。
○仁比聡平君 いや、それでいいのかということを私は問うているんです。 大臣、今示していただいたように、未成年者取消し権がその取消しの対象としている範囲、これは二十歳であれば絶対なんですね。だから鉄壁の防波堤だし、だから悪質な業者はここに近寄れないわけですよ。これを十八歳に引き下げてしまうと、引き下げるということになったら、これ、その保護はなくなるわけですよね。それを大臣はなくそうと提案をしておられる、それを国会に判断しろと言っておられる。 そうやっても消費者被害の防止には十分だと大臣、繰り返し答弁されるけれども、消費者契約法で新設される取消し権では、今申し上げているように現実に保護されなくなってしまうんです。これ、何とかしなきゃいけないじゃないですか。大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(上川陽子君) 当事者のこの性的自由、これを不当に拘束する契約、先ほど委員から様々な場面をお示しをいただきましたけれども、当事者が速やかに解放する必要性、これが高いということにつきましては委員御指摘のとおりというふうに思っております。 これは成年年齢を引き下げるかどうかにかかわらず取り組むべき大変重大な問題であるというふうに認識をしております。また、成年年齢の引下げによりまして、十八歳、十九歳の若者に対しましてこうした不当な契約が拡大するということについて大きな御懸念があると、こうした御意見があるということも承知をしているところでございます。 未成年者取消し権以外につきましても、公序良俗違反や錯誤による無効、詐欺又は強迫を理由とする取消しなど、契約の効力を否定をする手段、これは存在するところでございます。また、消費者契約法に基づく取消しができる場面もあるということで、先ほどの答弁のとおりでございます。 このように、現行制度におきましても、不当な契約から当事者を解放する手段、存在するわけでございますが、御指摘の問題に対する対応として、これらの既存の手段で十分か否かにつきましては、政府としても検討を続けなければならない喫緊の課題であるというふうに認識をしております。
○仁比聡平君 時間がなくなってしまいましたのでここで今日は終わらなければなりませんけれども、十分か否かを検討し続けなければならない喫緊の課題だと、その答弁の意味が一体どういうことになるのか、ここをちょっとこの委員会ではっきりさせていただかないと、これちょっと議論が前に進まないと思うんですよね。 今大臣が例示に挙げられた民法九十条、公序良俗違反による無効、あるいは錯誤や詐欺、こうした要件というのは極めて厳しくて、これ民事局長にお尋ねをすれば一発だと思いますけれども、これ被害者、とりわけ若年女性が、あるいはその保護者が自ら主張、立証して不当な拘束から解放されるというのは本当に極めて困難ですよ。弁護士が代理人に立って徹底的に闘ったって裁判所は不当判決を次々に出してきていますよ。そうやって不当な契約に拘束をさせるようなことを若年層にはしちゃならないと。それは自己責任じゃなくて、それは成長を保障するためにそういう被害に遭わせちゃならないというのがこれまでの未成年者保護の理念じゃありませんか。ここは壊しては駄目だということを厳しく申し上げ、次回また質問させていただきます。 ありがとうございます。
○石井苗子君 ありがとうございます。日本維新の会の石井苗子です。皆様お疲れさまです。 先ほど櫻井議員から、子供は親を選べないと、この日本は、子供をどう守るかというところに焦点を合わせて議論している割には子供が主語になっていない。私ずっとそれを言ってまいりまして、今年に入って二回、子供が親を選べるというふうな方向に法律を変えていってほしいとお願いしてまいりました。 特に今、二〇一七年のデータで、貧困、虐待を理由に保護を必要としている子供、約四万五千人、ところが、これに対して特別養子縁組の成立件数はたった五百件と。これは六歳未満しか年齢がそこに設定されていないから。それでは子供に自負心も分別もない。で、四万五千人の子供が助けを求めていても、もう六歳未満じゃないと。ここは子供が親を選べるように、私は養子になりたいです、特別縁組のセットをしてくださいというふうにしていくには分別の付く年齢に上げていってくれないかと申し上げましたところ、動いていただけたということで、特別養子縁組の対象拡大、十二歳又は十五歳までと。 これ、大臣は対策が急務であるとおっしゃっていただけたということですけど、私大変有り難いと思うんですが、御決意は、どのくらい早くしていただけるのかというようなことをお聞かせください。
○国務大臣(上川陽子君) 今回の特別養子縁組の制度につきまして、法制審議会に諮らせていただきました。今回、通常のコースでいきますと年二回の定例のものがありますけれども、その点につきましては臨時の法制審議会を設けて、この検討をある意味では急いでいただきたいという思いも込めて今の時期にさせていただいたところでございます。 いずれにしても、法制審議会での審議にしっかり付して御議論いただくということでございますので、結論を待ちたいというふうに思っております。
○石井苗子君 早く結論が出ることを祈っております。 そして、今回も、これも民法改正ですし、今回も民法改正でありまして、年齢ということについては本当に私たちの生活に密着して影響があり、実害もあり、今、仁比議員のお話聞いていますと、女性に対してはなかなか、法が子供を守るということは外してはいけないんだなと思っております。 その反面、先ほど元榮議員の方から、十八歳で起業している方にインタビューをされたと。私もこれはもろ刃のやいばだと思っておりまして、自分も稼ぎながら大学に出た人間だったんですね。で、今の年齢になって今度大学で教えることがありまして、どうして大学に来ているんだというと、ほとんどの学生が、仕方がないから、就職をするために来ているんだと。何をしたいんだ、それはよく分からない。じゃ、何したいんだ、就職したいんです、就職したいんですと。じゃ、何の仕事をしたいんだといっても、よく分かりませんと。女子に質問すると、ああ、結婚して、働いて、子供を産み育てしてと、頭が痛くて考えたくないですということで、もうため息が出てきちゃうなと思いながら講義をしていたと。 これが、十八歳で、もしかしたら起業できる職業が昔と違うかもしれないし、大学を一律出なくては就職ができないという世の中も間違っているかもしれない。大学二年生から就職活動して、何のために大学来ているんだ、あんなに大変な思いして、親もと。そうすると、十八で、才能があるかもしれないし、もっと言いますと、年功序列でなければ、十八歳の人が、男女が起業をして、例えばユーチューバーだとかAIだとかサービス業だとかコンテンツ産業だとかということで非常に才能があった場合に、目上の方を雇えるかもしれないじゃないですか、六十五歳以上でも。そうでしょう。そういうチャンスもあっていいかなと思うんです。 それが先ほどの、子供をどう守るか、どう法律で十八歳に決めるかというところ、いろんな質問がありますが、私は高校三年生の子供たちというのは非常に頭が柔軟だと思いますし、これから三年掛けてうんとマスコミを使って教育を徹底するんだといえば、もう子供にセメント流し込むみたいにして教育をすれば、私もかつて一回聞いたら覚えられるというような十八歳の年齢がありましたから、十八歳の子は覚えると思うし、世の中の勢いが付けば勉強しようと思う。 そこで質問なんですけれども、先ほどから、アクションプログラムというのがあるんですけれども、なかなか高校にそういう、公民と家庭科ですか、で教えるシステマティックなものが整っていないと午前中の参考人の方からお聞きしました。 とすると、今日ここにいらっしゃる議員の方々は弁護士の方、多いんでございますけれども、こういう方々を高校という学問の場所に持ってきて、先ほどのような、仁比先生だったり小川先生だったりのこの事例といいますけれども、うわっと事例を出して、こんなに危ないんだというようなことをする授業を設けたりすることに支障はありますでしょうか。つまり、学問の場所にそういうものを持ち込んでレクチャーということをするという。これ、どなたかお答えになれますでしょうか。つまり、先にお答えしていただこうかな、いかがでしょう。
○政府参考人(神山修君) お答えいたします。 消費者教育等につきましては、中学校や高等学校におきまして、例えば消費者の基本的な権利と責任について実際の消費生活と関わらせて具体的に考えさせたり、契約や消費者信用、多重債務問題などを具体的に扱うというようなことを行っております。 その際、学習指導要領等に基づきまして、弁護士の先生あるいは消費者相談員等の実務者を積極的に活用して、具体的な事例等も交えながら具体的なものに即して実践的な教育を行うということに努めているところでございます。
○石井苗子君 これ、通常のカリキュラムの中に入れると、先生多忙で忙しくてやっていられないという御意見が参考人の方からお聞きしたんですけれども、であれば、どなたか専門の方を呼んで、しかも、カリキュラムの中に入れるのではまずいのであれば、事例教育というような感じで、できれば、お母さんでもその地域の人でもみんな聞きに来ていいんだというようなことを、予算を付ければどこか自治体がやるというようなことも可能でしょうか、これから三年間でぐわっとやるために。アイデアとしてはいかがでしょう。 〔委員長退席、理事若松謙維君着席〕
○政府参考人(神山修君) 予算ということにつきましては、財政上の問題がございますのでこの場で即答はいたしかねるところでございますが、消費者庁の方で、そのアクションプログラムの中で、全国の、全県、全ての都道府県に消費者教育コーディネーターというものを配置することを計画してございます。このコーディネーターがいろいろな調整をしながら、先ほど申し上げたような弁護士の方とか消費者相談員、あるいは公認会計士等々の方々と学校現場とのアレンジ等も行いながら、御指摘いただいたような実践的な教育が進められるように努めてまいりたいと考えております。
○石井苗子君 ちょっとお聞きしたことなんですけれども、レクチャーで、学問の場所にそういう人たちが入ってくると、ビジネスを妨げることになるというクレームが来ることがあると。事例ばっかり並べて、こんな悪いことがある、こんな悪いことがある、こんな悪いことがあるというようなことを、ビジネス対ビジネスで摩擦が起きるんだというようなことをちょっと伺ったんですけれど、それはないですね。ここは学問の場所だから、そういうような実際のビジネスの事例を出してくるなというようなことを、クレームを受けるということはないと、ここで確認したいんですが。 そこで、厚労省の方にお伺いしますが、十八歳、十九歳という社会経験が乏しい年齢という、これは再三出てきておりますけれども、社会経験が乏しい年齢は十八、十九だけではないので、社会経験が乏しい人は幾つになっても乏しいわけなんです。 しかし、ここでの教育というのはやる意義があると思っております。両親の同意、片方の同意でもいいんですが、労働契約を締結できるとすると、ブラック企業というのも含めまして後で後悔するというケースが多いと思われます。二十歳未満を雇用する場合、雇用主に時間外労働などの労働実態の開示義務を負わせることも必要ではないかと思うんですが、これ、厚労省の方、お答えできますでしょうか。 〔理事若松謙維君退席、委員長着席〕
○政府参考人(小林洋司君) お答え申し上げます。 先生御指摘のように、自らの働く環境をきちんと確認、理解した上で就職先を選択できるということは非常に重要であると考えております。そのために、職業安定法あるいは労働基準法におきまして、使用者が労働者の募集あるいは労働契約の締結を行うに際して、賃金、所定労働時間、時間外労働の有無などの労働条件を明示することが義務付けられております。 その上で、御指摘のような社会経験が少ない若者の問題でございますが、より配慮が必要であるということに鑑みまして、新卒者等を対象とした求人につきましては、若者雇用促進法におきまして、所定外労働時間の実績など幅広い職場情報の提供を行っていただくようにしております。これは法律に基づく指針も設けまして企業の取組を促しているところでございます。 こうした取組を更に進めることによりまして、社会経験の少ない若者が適切に就職先を選択できるように引き続き努めてまいりたいと思っております。
○石井苗子君 ありがとうございます。是非その開示義務を負っていただきたいと思います。 次に、文科省にお聞きいたしますが、社会で働くとなりますと、自分を守る法律、その法律、先ほどから勉強した方がいいと言っていますが、その知識を持っていると持っていないとではかなりの差が出てきてしまうということが今日の午前中と午後の今までで分かりました。 例えば、長時間労働とか過重労働、今すごく、今、今問題になっていることを今若い人たちに勉強してもらいたいと、これを法律として勉強することが必要であって、何も六法の一ページから勉強する必要はないと私は思うわけです。 この差をなくすため、例えば過重労働に起因する問題になっているのがうつ病だったり過労死だったりするわけですが、こういう深刻な問題があると、現在、今日、基本的に自衛できるにはどうしたらいいかという知識を身に付けてもらいたい、これが重要だと思うんです、教育を十八、十九にしていくときにですね。 そのとき、高校などで労働契約や労働法制、先ほどから出ておりますが、それも大事ですが、あるいは会社でパワハラとは何なんだ、セクハラとは何なんだというような、そういうときに遭ったときはこういう方法があるんだというのを、先ほどの仁比先生の御発言も、御質問もそうでしたけれども、こういうことが社会であったときの対処方法と、これを教育に力を入れていただきたいんですが、対処方法の教育に力を入れていただきたいんですが、文科省の方、お答えいただけますでしょうか。
○政府参考人(下間康行君) 委員御指摘のとおり、高校などで労働契約や労働関係の法律などを理解し、雇用と労働について考えることは大変重要であると考えてございます。このため、高等学校においては、現行の学習指導要領等に基づきまして、例えば公民科で労働保護立法の動向とかワーク・ライフ・バランスなどと関連させながら雇用の在り方や労働問題について考える学習などを行っているところでございます。 具体的に、教科書の中でも、そうした求人票を確認しよう、あるいは労働条件を確認しようということでございますとか、あるいは問題が起きた場合にはどうするか、どう対応するかといったようなことで、どこに相談をするか、あるいはどういった制度があるかというようなことについての指導等も行っているところでございます。 また、厚生労働省とも連携いたしまして、具体的に働くときのルールなどを取り上げたハンドブックやアルバイトのトラブルQアンドAリーフレットの学校における活用の促進でございますとか、生徒や教員に対しまして労働関係法規等の講義を行うための都道府県労働局による講師の派遣をいただきまして、しっかりと実践的な内容についても取り組んでいただく。また、厚生労働省とともに作成をいたしましたモデル授業案を記載した高校教員用資料の作成及び周知ということでございますが、その中でも、問題が起きたときにどのような対応を取るかというようなことについての言及もございます。 文部科学省といたしましては、今後とも、厚生労働省と連携しつつ、労働関係法制も含めた雇用や労働に関する教育の充実に取り組んでまいりたいと存じます。
○石井苗子君 私、消費者教育のパンフレットを見ましたけれども、あれだけじゃちょっと教育には到達していない、もう少し細かくて丁寧で具体的な、そして、今変化しつつあるもの、社会に関心を持ってもらうんだったら、過去ではなくて現在からの教育をしていただきたいと思います。 そこで、先ほど結婚年齢のことについて、私は十六歳という既得権を維持するということは議論されなかったのかと、前、質問させていただきましたけれども、櫻井議員が例外というものの措置はできないのかというそのお話がありました。是非、子供をどう守るかと、生まれてきている今ある命をどう守るかという国になっていっていただきたいんですが。 一つ、ギャンブル依存症のことについてお伺いします。 私、今病院に勤めておりまして、非常勤でカウンセリングをやっているんですが、ギャンブル依存症という病名はございませんで、いろんなものの依存症がございますけど、それが臓器にどのような影響を与え、どういう疾病につながっていくかという病理の処理とか治療はあるんですが、ギャンブル依存症はどうやったら治るかという治療法とか診断術というのは聞いたことがないんです。 だけど、依存症というのは、どうしてもやめられない、これが依存症です。それに依存している、人は何かに依存して生きているわけなんですが、はっきり言ったら水分にも依存しているわけですけれども、何かに依存するときに、ギャンブルに依存しなきゃならないということで、二十歳まで守るんだったら、どうしてパチンコは十八歳なんでしょうか。これ、登壇で御質問したんですけど、はっきりとしたお答えがいただけませんでした。私は依存症として質問しているんであって、あれはギャンブルではないとか遊技であるとか賭け事ではないとかって、そういうことを聞いているんじゃなくて、依存症ということで健康と精神面で二十歳とやっているんだったら、どうしてパチンコだけ十八歳なのかと。 あれっ、これはいらっしゃいませんでしたでしょうか。あっ、いらっしゃらなかったですか。それは大変失礼をいたしました。では、違う方向。あれっ、おかしいな……(発言する者あり)駄目。大臣、駄目。(発言する者あり)かつての所管だから駄目ですか。はい、失礼いたしました。 それでは、今回の改正について、養親となる年齢が二十歳に据え置かれた点でございますが、十八歳は無理で二十歳じゃなければならないと、他人の子を引き受けられないということですけれども、自分の子の親にはなれるが他人の子の親になってはならないと、私は余り理解ができないんですけれども。 十八歳から二十歳の間の男女が、自分の子供は育てることができるが他人の子供を育てることはできないとした、その考えた理由というのは一体何で、二十歳にならないと他人の子供を引き受けられないという判断は何らかの調査かデータ、エビデンスに基づいたことでしょうか、お答えいただきます。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 委員今御指摘されましたとおり、養親になることは他人の子を法律上自分の子として育てるという重い責任を伴うものであること等に鑑みて、養親になることができる年齢については現状の二十歳を維持することとしたものでございます。 この理由でございますけれども、この点につきましては、諸外国におきましても、私法上の成年年齢を十八歳としながら、養親年齢をこれよりも高い二十一歳から二十五歳程度に設定している国が多く見られるということも一つございます。 また、平成二十五年に行われた世論調査におきましても、養親になることができる年齢を十八歳に引き下げることに賛成する意見の割合が五・九%であったのに対しまして、現状のまま二十歳とすべきであるとの意見の割合が五一・五%と全体の過半数を占めている状況にございました。 このように、養親年齢を現行の二十歳に維持することにつきましては、こういった調査結果もその裏付けになるものと考えております。
○石井苗子君 調査結果があったということなので、あと一つだけ質問して、何種類の調査をなさいましたでしょうか。一回だけ。
○政府参考人(小野瀬厚君) 先ほど申し上げました世論調査でございますけれども、これは質問項目としては養親となることができる者についてということで、引下げ賛成、現状維持、また引き上げるべきと、こういった三つの選択肢で御回答いただいています。また、それは平成二十年と平成二十五年、二回の世論調査におきまして同様の質問をしているということでございます。
○石井苗子君 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
○糸数慶子君 沖縄の風、糸数慶子です。 まず、婚姻適齢について改めてお伺いをいたします。 五月三十一日の法務委員会で、私が憲法の条約実施義務規定に従わなかった理由をお尋ねいたしました。これに対して上川大臣は、政府といたしましては、現行の規定は男女の心身の発達の差異に対応したものでありまして、条約に違反するものではないというふうに認識しております。もっとも、社会経済が高度化、複雑化しておりますし、また今日の社会におきましては夫婦として共同生活を営むのに必要とされる社会的、経済的な成熟度も高度化していること、また社会的、経済的な成熟度といった観点からも男女間に差異はないと考えられることなどを考慮して、今回の改正により男性及び女性の婚姻開始年齢を共に十八歳としたものでございますというふうに答弁されています。 男女間に差異はないと考えられたのは最近ではありません。遅くとも一九九六年の法制審答申時には差はないとされておりました。上川大臣の御答弁ですと今回の改正で考慮されたということだと思いますが、法務省が男女差がないと認識されたのはいつでしょうか、大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(上川陽子君) 前回の五月三十一日の法務委員会におきまして、社会的、経済的な成熟度といった観点から男女間に差異がない旨の答弁をしたところでございます。 この点につきましては、前回答弁したとおりでございますが、夫婦としての共同生活を営むに当たって必要とされる成熟度、これにつきましては、社会経済の複雑化、高度化などを踏まえますと、身体的な成熟度よりも社会的、経済的成熟度をより重視すべき状況になっておりまして、社会的、経済的な成熟度といった観点からは男女間に差がないと考えられることから申し上げたものでございます。 このことにつきましては、女性の婚姻開始年齢を十八歳に引き上げること等を内容とする平成八年、御指摘の法制審議会、この答申におきましてもその引上げの理由とされたところでございまして、このこと自体は従前から認識していたものでございます。
○糸数慶子君 上川大臣は、現行の規定は男女の心身の発達の差異に対応したものであり、条約に違反するものではないと認識していると答弁をされています。立法当時の女性の置かれた状況、早婚の防止や女性の高等教育への進学率の低さなどからもあったと理解をしています。 しかし、条約を批准した一九八五年には、既に高校進学率は女子が男子を上回っていましたし、大卒も、一九八〇年代までは男子が女子を上回ったものの、短大進学率の増加などにより、一九九〇年代は女子が男子を上回っていました。これで条約に違反しないと言えるのでしょうか。 また、人口動態統計では、女性の平均婚姻年齢が、一九七五年の二十五・一歳から、二〇一五年には三十一・〇歳となっています。立法当時に合理性があったと主張されることは理解できますが、十六歳、これは国際的には児童婚とされ、引上げが求められた年齢でもあります。十六歳を見直すには遅過ぎたと言えるのではないでしょうか、上川大臣の御見解を伺います。
○国務大臣(上川陽子君) 先ほど答弁をしたとおりでございますが、女性の婚姻開始年齢を十八歳に引き上げることにつきましては、平成八年に法制審議会から答申を得ているところでございますが、女性の婚姻開始年齢の引上げを含みますこの答申の内容につきましては、国民の間にも様々な意見があったことから、答申の内容に沿った法律案を国会に提出するに至らなかったものでございます。 もっとも、社会的、経済的な成熟度といった観点から男女間に差異がないことにつきましては平成八年の法制審議会の答申でも示されたところでございまして、これを理由とする改正が遅きに失したとの御批判につきましては真摯に受け止めたいというふうに考えております。
○糸数慶子君 婚姻最低年齢に男女差を設けることは、性による分業を理由として合理化されてきたばかりでなく、性による分業の固定化するものであるため男女の婚姻最低年齢を同じにすべきであるという、その主張から欧州でも婚姻最低年齢をそろえてきたと承知しています。日本がお手本としたフランス民法は、二〇〇六年に十五歳から十八歳に女性の婚姻最低年齢を引き上げ、男女共に十八歳にそろえました。 そこで、上川大臣にお尋ねいたしますが、フランスが女性の婚姻最低年齢を引き上げた理由をお示しください。
○国務大臣(上川陽子君) 諸外国の法改正の事情を厳密に把握をしているわけではございませんけれども、法務省が把握している限りということで申し上げると、フランスの婚姻開始年齢は、一八〇四年に制定されましたナポレオン法典以来、男性が十八歳、女性が十五歳であったわけでございます。女性に対して差別的であり、特に移民家族の少女が婚姻を強制される結果をもたらしているという批判があることを踏まえまして、女性の婚姻開始年齢を十八歳に引き上げる民法改正が二〇〇六年四月に成立したものと承知をしております。
○糸数慶子君 フランスは、婚姻最低年齢に男女差を設けることは性別役割分業を固定化するものであるから男女の婚姻最低年齢を同じとすべきであるとして法改正に踏み切ったということでございます。 内閣府に伺います。 一九九四年に女性差別撤廃委員会が条約加盟国に対して、一般勧告二十一号、婚姻及び家族関係における平等において、男女で異なる婚姻最低年齢に関してどのように勧告をしているのか、お示しいただきたいと思います。
○政府参考人(渡邉清君) 内閣府男女共同参画局でございます。 先生御指摘の国連女子差別撤廃委員会による一般勧告第二十一号、婚姻及び家族関係における平等におきましては、女子差別撤廃条約の第十六条二に関するコメントとして、第三十八パラグラフにおいて次のとおり述べられております。 読み上げさせていただきます。女性と男性の間で異なる婚姻最低年齢を設定する国がある。かかる規定は、女性の知的発達の度合いが男性とは異なり、若しくは、婚姻に際して女性の身体的及び知的発達の段階は無関係であるという誤った前提に立つものであるから、廃止されるべきである。 以上でございます。
○糸数慶子君 上川大臣にお伺いします。 国連は、この法制審答申の二年も前の一九九四年に、男女間で異なる婚姻最低年齢の規定は、今内閣府がお示しいただきましたように、誤った前提に立つものだから廃止されるべきであるという勧告を行っています。 この勧告について、上川大臣はどのような御感想をお持ちでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) 先ほど来答弁をさせていただいておりますが、女性の婚姻開始年齢の引上げにつきましては、平成八年の法制審議会の答申に盛り込まれているところでございます。 そこでの理由に従って今回の法改正を行うのであるから遅きに失するのではないかという御批判を今いただいたところでございますし、また、国連での勧告の内容につきまして、誤った認識ではないかと、こういう御指摘もございました。いずれも真摯に受け止める必要があるというふうに思っております。 世論調査の結果、また日本学術会議の提言、さらに国連からの勧告、こうしたことについては、いずれも女性の婚姻開始年齢を引き上げるべきだとする平成八年の答申の内容に沿ったものとなっておりまして、これらにつきましても真摯に受け止めているところでございます。
○糸数慶子君 ありがとうございます。 二〇〇六年、二〇一二年の政府の世論調査においても、女性の婚姻適齢を十六のままでよいとする割合、女性も男性と同様に十八歳とする方がよいという考え、それを割合でお示しをいただきたいと思います。法務省にお伺いいたします。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 平成十八年十二月に内閣府が実施した世論調査の結果におきましては、女性は満十六歳になれば婚姻することができるということでよいと答えた方の割合は二三・三%、女性も男性と同様、満十八歳にならなければ婚姻をすることができないものとした方がよいと答えた方の割合は四一・八%でございました。 また、平成二十四年十二月の世論調査の結果におきましては、同様に、女性は満十六歳になれば婚姻をすることができるということでよいと答えた方の割合は二〇・九%、女性も男性と同様、満十八歳にならなければ婚姻をすることができないものとした方がよいと答えた方の割合は四六・〇%でございました。
○糸数慶子君 今お示しいただきましたように、世論は、婚姻適齢を男女とも十八歳とする方がよいと考える割合が圧倒的に多かったことが分かりました。また、日本学術会議は、二〇一四年に、民法第七百三十一条には合理的理由はなく、性による差別である、男女の婚姻適齢を十八歳に統一して、男女差別をなくすべきであると提言しています。 世論や提言を法務省はどのように受け止められたのでしょうか、お伺いいたします。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 先ほど大臣から答弁がありましたとおり、御指摘の世論調査の結果、日本学術会議の提言、さらには国連からの勧告等につきましては、いずれも女性の婚姻開始年齢を引き上げるべきであるとする平成八年の法制審議会の答申の内容に沿ったものとなっておりまして、これらにつきましても真摯に受け止めているというものでございます。
○糸数慶子君 ありがとうございました。 では次に、前回通告をいたしましたけれども時間の都合で質問できませんでした成年年齢についてお伺いいたします。 法施行日を平成三十四年、二〇二二年四月一日とした理由と、法施行までの周知期間についてお伺いいたします。 本改正案は、附則の第一条において、法施行日を二〇二二年四月一日からと定めています。これに対し、二〇一六年九月、法務省が実施した民法の成年年齢の引下げの施行方法に関する意見募集、つまりパブリックコメント結果では、消費者教育などの消費者保護施策の効果を生じさせることや成年年齢が引き下がることを社会全体に浸透させるためには相当長期の周知期間が必要であるとして、施行までのその周知期間については、三年より長い周知期間、具体的には周知期間は五年程度とすべきとの意見、周知期間は五年より長い期間とすべきとする意見が多数となっています。 また、消費者委員会成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループも、先ほどのパブリックコメントで、少なくとも五年間は周知期間を設定すべきという意見が多く寄せられていると紹介した上で、十分な消費者教育がされるまでの準備期間を確保する等が重要であると指摘しています。 そのようなパブリックコメントの多数意見や消費者委員会のワーキング・グループの意見をなぜ反映していないのでしょうか、法務省に伺います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 委員御指摘のとおり、平成二十八年九月に実施しましたパブリックコメントの手続におきましては、民法の成年年齢の引下げの施行までの期間について、五年程度が相当とする意見や、五年よりも更に長期の期間とすべきであるとの意見が寄せられております。また、消費者委員会の成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループにおきましても、施行までに十分な消費者教育がされるために必要な期間を確保することが重要である旨、指摘がされております。 この法律案におきましては、施行日を平成三十四年四月一日として、三年以上の周知期間を確保しているものでございますけれども、これは成年年齢の引下げが、十八歳、十九歳の若年者本人やその親権者のみならず、国民一般の生活に広く影響を及ぼすものであるため、相当長期の周知期間を設ける必要があること等を考慮したものでございます。 もっとも、周知期間が長くなり過ぎますと、改正法への国民一般の注目度が低くなり、差し迫った問題であると受け止めてもらうことができずに、かえって効果的な周知活動の妨げになるおそれもあると考えられます。 この法律案におきます周知期間は、このような要素を総合的に考慮した上で定めたものでございまして、法務省といたしましては、十分に合理的な期間であるというふうに考えております。
○糸数慶子君 改正法施行時点で既に十八歳、十九歳に達している者が、改正法の施行日に一斉に成人に達することによる支障の有無について伺います。 本改正案は、附則の第二条第二項において、「この法律の施行の際に十八歳以上二十歳未満の者は、施行日において成年に達するものとする。」と定めています。この場合、約二百万人の人が施行日に一斉に成人に達することになるため、二〇一六年九月実施のパブリックコメントでは、二百万人以上の若者が一斉に契約年齢に達すると、悪徳業者による勧誘が集中する弊害が生ずる可能性があるとの懸念の声が多数であります。そして、まずは十九歳まで成年年齢を引き下げ、若者の消費者被害の状況や福祉的な側面等を精査して、その後十八歳まで引き下げるべきかどうかを検討すべきであり、一斉ではなく段階的な施行とするべきであるとの意見や、当該者の次の誕生日をもって成人とする等の扱いとすべきであるとの意見もありました。 そのようなパブリックコメントの多数意見があったにもかかわらず、本改正案の附則第二条第二項のような定めとしたのはなぜでしょうか。また、そのような懸念を解消するためにはどのような取組を行うつもりなのか、伺います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 御指摘のように、平成二十八年九月に実施しましたパブリックコメントの手続におきましては、施行日前後に悪徳業者による勧誘が集中するのではないかとの懸念が示されたところでございます。 しかしながら、施行日に一斉に多数の者が成年に達すると、こういうことを避けるには、施行の際に十八歳、十九歳の者は各自が施行日後に迎える最初の誕生日に成年に達するものとせざるを得ないわけでございます。しかしながら、こういった方策によりますと、施行日の直前に十九歳になった者は二十歳になるまで成年に達することがないのに対しまして、施行日の直後に十八歳になった者は直ちに成年に達してしまうということになるなど、その成年に達する時点の先後が逆転してしまうといったような問題も生じます。そのため、こういったような方策を採用することは相当ではないというふうに考えられたものでございます。 こういった検討を踏まえまして、本法律案におきましては、施行日に十八歳以上二十歳未満の者が一斉に成年に達することとしております。 なお、委員御指摘の御懸念につきましては、施行日に向けて重点的な注意喚起を行うことなどによりまして十分に対応することが可能であると考えておりますが、こうした施策になお今後も万全を期してまいりたいというふうに考えております。
○糸数慶子君 成人と成年の用語の違いを含め、成年年齢引下げについて国民に分かりやすく周知する必要性についてお伺いをいたします。 成年年齢のその問題に関する新聞報道などを見ますと、成人年齢といった用語が多く用いられることが多く、一般的にも成人の日や成人式など、成年よりも成人の方がなじみのある用語だと思います。法務省は同じく夫婦別姓についても夫婦別氏という用語を用いていますが、この用語一つを取っても、法務省と国民との感覚には乖離があるというふうに感じます。 そのような状況下で、成年年齢引下げという国民生活に大きな影響を及ぼす法改正について、果たして国民に分かりやすく周知できるのだろうかと危惧するところでありますが、国民に対する分かりやすい周知についてどのような工夫を考えているのか、法務省に伺います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 法務省といたしましても、この法律案の重要性に鑑みまして、法律が成立した場合には徹底的な周知活動を行いたいと考えているところでございます。 具体的には、現在の高等学校等への進学率が九八%を超えていることを踏まえまして、引下げの直接の影響を受ける若年者に対して効果的に周知活動を行うために、高等学校等に対し、成年年齢の引下げの意義や、ほかの年齢要件がどのように変わるのかといったような内容を周知するためのポスターやパンフレットを配布することを検討しております。そのほか、幅広く今回の法律案、影響がありますものですから、幅広く説明会を開催したり各種メディアを活用するといった形で国民一般に対する周知活動を進めていきたいと考えております。 なお、成人という言葉は、一般的には民法第四条に規定する成年に達した者という意味で捉えられているものと認識しておりますけれども、こういった周知活動に関しましては、御指摘の成人と成年という二種類の言葉が存在することも踏まえて、国民に誤解が生じないように周知活動を工夫していきたいというふうに考えております。
○糸数慶子君 時間が参りましたので終わりますが、通告をいたしまして質問できなかったのは次にまた質問をさせていただきます。 ありがとうございました。
○山口和之君 無所属の山口和之でございます。 今日の午前中の参考人質疑の中で、参考人の方々のほぼ全員が、若者は判断能力が低い人が多いという言葉を耳にしました。一方で、教育の現場では自己防衛の護身術は学んでいないと、ほとんど学んでいないと。これは、泳ぎ方も分からず海に放り投げられて、あとは自己責任でしょうと言われているようなものです。一方で、じゃ、引き下げたときに、泳ぎ方分からず行ったときにはちょっと浮き輪を与えましょうかという話もあったりしていると。もう根本的に、これは教育の問題を避けて通れない、国の責任において教育をちゃんとしていかなきゃならないというふうに思います。 前回、成年ということを考える上で義務教育について考えるべきではないかと提言をさせていただきました。本日は、そのことに関して更に議論を深めるために文部科学省にお越しいただいております。よろしくお願いします。 早速質問に入りますが、現在の日本の義務教育の終了年齢は十五歳となっております。では、諸外国における義務教育の終了年齢はどうでしょうか、教えていただきたいと思います。
○政府参考人(塩見みづ枝君) お答え申し上げます。 お尋ねの諸外国における義務教育の終了年齢につきましては、文部科学省が百八の国や地域について昨年取りまとめました諸外国の学校体系に関する調査結果によりますと、義務教育の終了年齢を我が国と同じ十五歳としている国、地域は、韓国や中国、ドイツなど、調査対象国中最多の三十六の国や地域でございます。また、十五歳よりも上とする国はイギリスなど五十か国であり、十五歳よりも下とする国はインドなど十八か国ということになっております。
○山口和之君 義務教育の終了年齢については国によって様々ですが、近年、諸外国では延長される傾向にもあるようです。 資料の一を、このA3の資料なんですが、資料の一を見ていただきたいと思います。 特に、これはアメリカの州による義務教育の年数なんですが、ローマ字のⅣのところの黄色のマーカーのあるところを見ていただきたいんですが、二〇〇二年以降、十七もの州において相次いで義務教育の終了年齢が延長され引き上げられております。また、資料一の数字のⅢの二〇一四年のbのところを見ていただきたいと思いますが、この列は二〇一四年における各州の義務教育の年齢上限についてのデータです。この列で黄色のマーカーのあるところは義務教育の年齢上限が十八歳の州であり、二十一州あります。 次に、裏面の資料の二を見ていただきたいと思いますが、アメリカを含む諸外国の義務教育年齢に関する表ですが、この表では、アメリカの二十一州のほかに、オランダ、ドイツ、ベルギー、そしてカナダの一部において義務教育の終了年齢が十八歳となっているところが分かります。 続いて、資料三を見ていただきたいと思いますが、こちらは各国における成年年齢についての一覧表です。ほとんどの国で成年年齢が十八歳となっていることが分かりますが、黄色のマーカーのあるところは成年年齢と義務教育終了年齢が同じ十八歳になっている国です。 以上から、大まかな傾向として、諸外国では日本に先立って成年年齢の引下げが行われてきましたが、その一部の国々では、近年、義務教育年齢の引上げが行われることにより、義務教育の終了年齢と成年年齢が一致しつつあるということが言えると思います。さきに述べた国々での義務教育年齢の引上げは必ずしも成年年齢を意識したものではないようですが、現代国家が国民を成年として扱うべき根拠として義務教育の終了、それよりも実質的なものはないと思いますので、諸外国のこういった傾向も踏まえて日本では成年と義務教育を結び付けた議論を行うべきと考えます。 そこで、そもそも義務教育とは何なんでしょうか。全ての国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う、義務教育はこれを無償とすると定めている憲法二十六条二項の趣旨及び現在の日本における義務教育の目的についてお教え願いたいと思います。
○政府参考人(下間康行君) 憲法第二十六条第二項に言う普通教育とは、一般に、全国民に共通の一般的、基礎的な教育を言うものと認識しておりまして、この規定は保護者が子に対してこのような普通教育を受けさせる義務を課す趣旨であると考えております。 また、義務教育として行われる普通教育につきましては、教育基本法第五条第二項におきまして、「各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。」と規定されているところでございます。
○山口和之君 現在は、義務教育を終えたとしても、参政権の面でも経済取引の面でも一人前の大人としては扱われておりません。なぜ義務教育という制度の中で一人前の大人として扱われるための教育を完了するようになっていないのでしょうか。また、現在、中学校卒業から二十歳までの間に五年の期間がありますが、その間に、一人前の大人に成熟することを担保する制度で、かつ、全ての国民が対象になっているものはあるのでしょうか。
○政府参考人(下間康行君) 先ほど申し上げましたとおり、義務教育として行われる普通教育につきましては、教育基本法第五条第二項において、「各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。」と規定されているところでございます。 こうしたことから、お尋ねの参政権の面や経済取引の面については、義務教育段階にある中学校においても、学習指導要領に基づき、法教育、消費者教育及び金融経済教育を適切に実施しているところでございますが、義務教育終了後におきましても、学校教育の場又は学校教育以外の場において必要な教育を受けたり、社会的経験を積みながら必要な資質が培われていくものと考えております。 学校教育以外の場としては、各個人の必要に応じて教育が受けられるよう、公民館、図書館、青少年教育施設等における各種の講座などを始め、様々な学習機会が設けられているところでございます。
○山口和之君 先ほどの参考人の皆さんは、なっていないと、判断できないと、判断力が劣っていると皆さん、全員がおっしゃっていましたけれども、一人前の大人とは、年齢を重ねれば当然になるものではなくて、一定の教育を受け、経験をし、覚悟を持つことによってなるものであると思われます。 仮に年齢を基準として一人前の大人とするのであれば、その年齢までに必要な教育を終えるような教育制度が不可欠であり、成年年齢の議論においては義務教育制度等の抜本的見直しが避けて通れないと思います。これは国の責任だと思います。文部科学省においてはそのような議論は行われているのでしょうか。
○政府参考人(塩見みづ枝君) お答え申し上げます。 先ほどの答弁にもございましたように、義務教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家、社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うということを目的として行われております。 一方、成年年齢につきましては、一人で有効な契約を締結することができる年齢や、親権に服することがなくなる年齢を何歳とするかといった観点から定められるものと承知しております。 このように、両者はその趣旨、目的が異なるものでございますので、現状におきまして義務教育の年限と成年年齢を一致させるという観点からの検討は行ってございません。 一方で、国民一人一人が成熟した成年となるためには、義務教育を終えた後もそれぞれが自らに必要な教育を受けたり経験を積んだりするということが必要なわけでございまして、そのための環境整備が重要と考えております。 この点に関しまして、学校教育につきましては高等学校等の教育機関が整備されているわけでございまして、現在、義務教育終了者の九八・八%がこれらの機関に進学しております。また、社会教育につきましては、先ほど答弁がありましたとおり、公民館、図書館、青少年教育施設等における各種の講座等を始め、様々な学習機会が設けられているという状況でございます。 今後、成年年齢の引下げも見据え、こうした環境の一層の充実を図ることが重要と考えるところでございまして、学校教育、社会教育を通じまして、消費者として主体的に判断し責任を持って行動できるようにするための消費者教育の充実でございますとか、あるいは若者の自立支援等を政府全体で推進していく必要があると考えております。 文部科学省としましては、法務大臣を議長とする成年年齢引下げを見据えた環境整備に関する関係府省庁連絡会議に協力しつつ、しっかりと対応を進めてまいりたいと考えております。
○山口和之君 義務教育とは何ぞやというところをもう一度考え直さなければいけないというのは、国の責任において教育というものをしっかりやっていこうとすれば、普通にもう義務教育終わったんだからあとは自分で学んでいきなさいと言われても、それはなかなか無理な話だと思うんですね。 何歳になったら大人なのかという議論については本末転倒ではないかという疑念が拭えませんが、やはり、まずは一人前の大人とは何かをしっかり考えて、そして、そのように成長できる教育体制をつくって、教育課程を修了した者をもって成年と扱うことこそ正当だと思います。 その上で、日本でも、大学は親に頼らずとも自分の力で行ける、あるいは大学は出なくても自立できる教育を受けて社会に出れるというものをつくっていかなきゃいけないので、国の責任と考えたときには義務教育が一番適当かなというふうに思います。 次に、成年年齢とその他の法定年齢について伺います。 成年年齢とその他の法定年齢について、私はこの法務委員会で度々、法制度は分かりやすいものであるべきと発言しておりましたが、しかし、現在は成年年齢に合わせて国の多くの法定年齢が二十歳とされているところ、本法案が成立すると、一部は十八歳に引き下げるものの、その他は二十歳のままとされ、法定年齢の理解が非常に困難となっております。 このような、法制度を分かりにくくする法改正は良い法律案であるとは言えないのではないかと思いますが、上川大臣のお考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(上川陽子君) 各種の法律におきましてこの年齢要件がございますが、それぞれの法律の趣旨に基づいて、様々な要素を総合的に考慮して定めているものと考えているところでございます。 民法の成年年齢の引下げを行った場合に他の法律の年齢要件をどうするかにつきましては、それぞれの法律の趣旨に基づきましてそれぞれの所管官庁が検討したものでございまして、成年年齢が二十歳であることを前提に二十歳と定められている年齢要件につきましては、基本的に成年年齢の引下げに合わせて十八歳に引き下げることとしているところでございます。 他方で、健康被害の防止や若年者の福祉といった観点から現行の年齢要件を維持する必要があると考えられるものにつきましては二十歳を維持することとしているものでございます。 以上のとおり、法律案につきましては、それぞれの法律の趣旨を考慮いたしまして年齢要件を引き下げるかどうかを適切に判断したものでございまして、全体として合理的なものであるというふうに考えております。 もっとも、これまで二十歳でそろっていた年齢要件が一部十八歳と二十歳に分かれることによりまして国民の皆様に混乱が生ずることがないように、本法律案の成立後におきましては、施行日であります平成三十四年四月一日までの約四年間を活用をいたしまして、その内容について十分なる周知活動を行ってまいりたいというふうに考えております。
○山口和之君 十八歳で取りあえず海に放つと、でも、ちょっと泳げない人がいるから浮き輪を付けましょうというふうにもちょっと聞こえるんですけれども。 飲酒、喫煙等の法定年齢を二十歳のままとする理由としては、健康被害の防止、先ほどおっしゃっていましたが、などの自己加害の防止が挙がっております。しかし、自由主義に基づく日本国憲法の下では、他者加害を理由とする人権制約はやむを得ないものとして肯定すべきですが、自己加害を理由とする人権制約は原則として肯定すべきではないとされております。 成年である十八歳と十九歳の国民に対して、飲酒、喫煙に関してパターナリスティックな制約を行い自己決定権を奪うことについて、上川大臣はどのようにお考えでしょう。
○国務大臣(上川陽子君) 民法の成年年齢の引下げを行った場合にその他の法律の年齢要件をどうするかにつきましては、先ほど答弁申し上げたとおり、それぞれの法律の趣旨に基づきましてそれぞれの所管官庁におきまして検討を行ったものでございます。 十八歳、十九歳の者の飲酒、喫煙等を禁止することにつきましては、その者の自己決定権を制限するという側面もございますが、健康被害の防止等を考慮いたしまして一定の範囲でこれを制限することにつきましては、合理的な制約として許されるとの判断が所管官庁、所管省庁によりましてなされたものと認識をしております。
○山口和之君 これまでの政府からの答弁を聞いておりますと、十八歳、十九歳の者に対して、成年ではあるけれども、いまだ成熟の段階であり、完全な大人ではないとの認識が示されているように思われてなりません。 では、完全な大人の条件とは何なのでしょうか。現状において、成熟し切って完全な大人と言える年齢、支援が必要のない年齢は何歳だとお考えなのでしょうか、お教え願います。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。 今日の社会におきまして、人間として成熟したと言えるかどうかを判断する基準としましては、例えば、社会生活を営むのに必要な知識、判断能力、コミュニケーション能力等が挙げられるように思われますけれども、人間としての成熟性と申しましても、精神的な成熟性、社会的な成熟性、経済的な成熟性といったように様々な要素があり得るというふうに考えております。また、完全に成熟した大人と言える年齢が何歳かについては個人差が大きいとも考えられます。 これは、法制審議会の民法成年年齢部会の審議におきましては、これは例えば精神医学の世界からのお話でございますけれども、若者が成熟する年齢は三十歳であるとか、三十五歳から四十歳ぐらいであるという意見があることが紹介されておりますが、この点につきましても、いかなる意味での成熟性に着目するかによって結論が異なるのではないかと思われます。このため、完全に成熟した大人と言える年齢につきましても、これを一概に申し上げることは困難であると思っております。 もっとも、成年年齢につきましては、取引の安全等の観点から、年齢によって一律に定める必要がございます。そこで、一般的に言えば、通常、この年齢に達すれば経済取引を単独で行うことができる程度の社会的、経済的成熟度に達していると認められる年齢をもって成年年齢を定めたものでございます。
○山口和之君 成年を完全な大人とそうでない者に分けて後者について支援をしていくようなやり方は、一定の年齢に達した者を一人前の大人として扱うという成年年齢制度の趣旨を没却するように思われます。 仮に年齢によって成年とすることを維持するのであれば、現状を分析して何歳になったら大人と言えるのかなどを考えることは意味がなくて、十八歳なら十八歳と決めて、その成年年齢までに完全な大人になるように育てるためにはどういった教育が必要か、教育制度を抜本から見直すことこそ重要だと考えますが、上川大臣の御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) 成年年齢は、一般的に言えば、通常、その年齢に達すれば経済取引を単独で行うことができる程度の社会的、経済的成熟度に達していると認められる年齢をもって定められるものでございますが、成熟度につきましては個人差があるから、成年に達したからといって直ちにその者に対する支援が不要になるということにはならないものと考えられるわけでございます。むしろ、個別具体的な事情に応じて支援を必要とする者に各種の支援策を講ずることは、取引の安全等の観点から成年年齢を定めた結果として生ずる不都合を解消することにもつながるというものでございまして、成年年齢制度の趣旨を没却するものではないというふうにも考えているところでございます。
○山口和之君 日本の立法府や行政府については縦割りの弊害がいろいろと指摘されておりますが、今回の法案審議は特に縦割りの弊害が大きいと言わざるを得ません。法務委員会、法務省の所管であるために、国家の中で一人前と認められる資格についての議論の中から教育制度そのものについての議論がすっぽりと抜け落ちており、議論を矮小化させてしまっているようにも思います。成年に関する議論の本質は教育にありということで、上川大臣には、文部科学大臣等に積極的に働きかけ、一人前の大人に育て上げることのできる義務教育制度の構築に向けて御努力いただきたいと思います。 一方で、法務省としては、成年年齢であろうがなかろうが、自己責任とはいえども、国民一人一人の命、財産を守るための法整備の担保は不可欠であることを申し上げて、終わりたいと思います。
○委員長(石川博崇君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。 ─────────────
○委員長(石川博崇君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 民法の一部を改正する法律案の審査のため、来る七日午前十時に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認めます。 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(石川博崇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三分散会