内閣委員会 第21号
- 発言数
- 173 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2018/06/26
会議録
○委員長(柘植芳文君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、こやり隆史君が委員を辞任され、その補欠として藤木眞也君が選任されました。 ─────────────
○委員長(柘植芳文君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房TPP等政府対策本部政策調整統括官澁谷和久君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(柘植芳文君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(柘植芳文君) 環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、内閣総理大臣に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○豊田俊郎君 おはようございます。自由民主党の豊田俊郎でございます。 限られた時間での議論でありますので、早速質問に入らせていただきます。 我が国がTPP協定を締結するメリットについてまず伺いたいというふうに思います。特に、米国が離脱したTPP11協定は、政府の経済効果分析を見てもGDPの押し上げ効果が四割減少するなど、効果を疑問視する意見もございますが、我が国にとってどのようなメリットがあるのか、総理にお伺いをしたいというふうに思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 残念ながら、確かに米国は現在離脱をしておりますが、それでも十一か国の人口の合計は五億人でございまして、GDPは十兆ドルという大きな経済圏が生まれるのは確かでありまして、その経済効果も、我が国のGDPを八兆円押し上げ、四十六万人の雇用につながります。大きな経済効果が見込まれます、大きな効果が見込まれます。 そして同時に、TPPは、単に関税を下げるだけではなくて、知的財産の保護、環境、労働規制、そして国有企業の競争条件の規律など、幅広い分野について二十一世紀型の自由で公正なルールを作り出すものであります。そのことによって、消費者の皆さんが域内の様々な良い商品をより安く安心して手に入れることができるようになるとともに、良いものが良いと評価される広大なマーケットが生まれることで、品質の高いものをこしらえてきた我が国の農業者や中小企業にとって大きなチャンスが生まれると考えています。 サプライチェーンのグローバル化が進む時代にあって、こうした二十一世紀型のルールが、ベトナムなどのASEAN諸国やメキシコ、チリなど北米、中南米諸国十一か国が参加してアジア太平洋地域に広く共有される意義は大変大きいと考えております。
○豊田俊郎君 TPPに対しては、遺伝子組換え農産品の輸入増大や国民皆保険への影響を始め、依然として国民の間に不安の声や懸念がございます。特に我が国の農業に与える影響については、今国会の議論でも大きく取り上げられてまいりました。 政府としては、国民の不安や懸念の払拭に向けて、今後、TPPの内容などに関する情報の提供についてどのように取り組んでいくのか、総理のお考えをお尋ねしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まず、TPPには、国民皆保険やあるいは食の安全を脅かすようなルールは一切ありません。また、TPPについて様々な不安を持っておられる方々がいらっしゃることは承知をしております。総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、農林漁業者等に対してきめ細やかな対策を講じることにより、そうした不安や懸念にもしっかりと向き合ってまいります。 こうした点については、TPP協定の大筋合意後、合計百三十時間を超える国会審議や三百回以上に及ぶ説明会を通じ、国民の皆様に丁寧に説明をしてまいりました。政府としては、今後とも、一層の国民の理解を得ることを目指し、引き続き積極的な情報提供と丁寧な説明を行うなど、不断の努力を重ねてまいります。
○豊田俊郎君 今御説明ありましたとおり、政府は総合的なTPP等関連政策大綱を策定し、TPPの発効を見据えた国内対策を講じてきたとのことでございます。 しかし、例えば農業の一部施策について、農家の皆さんから要件緩和を求める声が既に出されております。せんだっての当委員会において、我が党の藤木委員からまさに現場の声が届けられたわけでございます。今後、こうした声に対してどのように対応されていかれるのかについてお尋ねをしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 農林水産業は国の基であります。その信念の下に、これまで、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現するため、安倍内閣は農林水産行政全般にわたるそのための改革を進めてまいりました。 この結果、生産農業所得は直近で三兆八千億円と過去十八年間で最も高い水準まで伸び、四十代以下の若手新規就農者は、統計開始以来、初めて三年連続で二万人を超えています。農林水産物・食品の輸出も五年連続で過去最高を更新し、一兆円の目標もとうとう視野に入ってまいりました。 TPP11を契機に、この流れに更なる弾みを付けるとともに、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、御指摘の事業も含めた体質改善強化策を実施することで、意欲ある農林漁業者の皆さんが安心して再生産できる環境を確保することとしております。 これらの事業については、現場からの意見も踏まえ、意欲ある農林漁業者が取り組みやすい事業となるように、これまでも要件の見直しを行ってきたところでありますが、今後とも不断の見直しを行ってまいりたいと、このように考えております。
○豊田俊郎君 どうもありがとうございます。是非よろしくお願いをしたいというふうに思います。 次に、TPP協定の附属書には、協定発効後の七年後、再協議の規定がございます。他の締約国から我が国の農産品について更に関税の撤廃、削減を求められることになるのではないかとの指摘が出されておることは御承知のとおりだというふうに思います。 これまで政府は再協議を求められても我が国の国益に反するような合意は一切しないと答弁してきておりますが、改めて総理から御決意をお伺いしたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 改めて明確に答弁をさせていただきたいと思います。 御指摘の再協議条項は、関税の撤廃や削減の義務を我が国に負わせるものではありません。いずれにせよ、我が国としては、いかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはありません。
○豊田俊郎君 明確な答弁をいただきました。是非そのようにしてもらえればと、国民も安心するのではないかなというふうに思います。 さて、最後の質問になりますけれども、昨今、世界的な保護主義の動きに対して懸念が強まってきておりますが、我が国はGDP世界第三位の経済大国として世界の安定や繁栄に大きな責任を有しております。今後の我が国の通商政策において、経済連携協定の推進は言うに及ばず、多角的貿易体制の維持強化に向けて総理はどのように取り組んでいくお考えか、最後にお尋ねをしたいというふうに思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 戦後、日本は自由貿易体制の最大の受益者として現在の繁栄を実現してまいりました。 自由で開かれた国際経済体制こそ、日本を始めとする国際社会の繁栄を約束するものであると確信をしております。世界で保護主義の動きが広がる中、我が国は今後も自由貿易の旗を高く掲げ続けてまいります。 EUとのEPAやTPP11はその象徴であります。日EU・EPAは人口六億人、世界のGDPの三割を占め、TPP11は、先ほど申し上げましたように、人口五億人、世界のGDPの一割を超えます。双方とも、巨大な経済圏をつくり出し、アベノミクスの新しいエンジンとなるとともに、アジア太平洋地域や世界に二十一世紀型の高い水準の自由で公正な経済のルールを広げるものであります。 御指摘の多角的自由貿易体制の中核は、引き続きWTOであります。我が国は、種々の課題に直面しているWTOの機能強化に努め、今後とも、多角的自由貿易体制の維持強化に可能な限り貢献していきたいと考えております。
○豊田俊郎君 以上で終わります。ありがとうございました。
○矢田わか子君 おはようございます。国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。 まずは、先週月曜日に大阪北部の地震において被災された皆様に、まずは心よりお見舞いを申し上げたいと思います。 私の自宅も実は寝屋川でして、家財始め多くの被災をしました。私の母は枚方におりますので、枚方で、ガラスの割れた中で震えていたというふうなこともありまして、大都市圏に起こるこういった地震に対するやはり備えが必要だなということを改めて感じている次第です。 今もって避難をされている方々、四百名を超す方々がいらっしゃいます。少しずつ生活のインフラは整備されてきておりますけれども、是非とも引き続き、政府、自治体を始め関係各位の皆様の御尽力をお願い申し上げておきたいと思います。 そして、その翌日に当たる六月十九日の日に、加計学園の理事長が急遽記者会見を開かれました。そして、平成二十七年二月に安倍総理と首相官邸で面談したことは記録にも記憶にもないということを明言されております。しかしながら、会っていないことを証明する明確なファクトを示されたわけではありません。この週末の調査によっても、国民のまだ七〇%の方々がこの件については疑惑を払拭できていない、納得できていないという、そういう調査結果も出ております。 この内閣委員会は、戦略特区に関する法案を審議する本丸の委員会でもあります。今まさに、サンドボックスを設定して、自動運転そしてドローンの活用等も審議していかなければならない、そういう局面にありますが、こういう疑惑が払拭されなければ私たちはこの法案の審議を前に進めることすらできない、そういう状況にあります。 総理、是非とも、こうした今の状況に対して、何かコメントがあればお願いを申し上げたいと思います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 獣医学部の新設をめぐっては、省庁間の直接のやり取りが言った言わないの水掛け論に陥り、これが国民的な疑念を招く大きな要因となりました。 そのため、特区の運営については、先般、省庁間の直接のやり取りに関わる合意済議事録の作成や議事公開ルールの明文化など、民間有識者の主導により特区基本方針を改定し、その透明性を更に高めるための対策を講じたところであります。岩盤規制改革のエンジンとして更なる機能強化を行ったところであります。 同時に、御指摘のドローンや自動運転を始め最先端の技術の実証事業が迅速に行われるよう、地域限定型の規制のサンドボックス制度について国家戦略特区法の改正案を今国会に提出をさせていただくなど、民間ビジネスの多様な挑戦を後押しする改革にも取り組んでいるところでございます。
○矢田わか子君 本来であれば、くどいようですけれども、戦略特区というのは、経済の成長を見据えた、私たち自身が一つの区間を設けてビジネスを発展させるためのイメージを持って取り組まなければいけないことなんです。ところが、今、戦略特区というと、疑惑というか黒いイメージが余りにも広がっていて、そういうまともな審議ができない、そんな環境にあるということを改めて総理には御認識をいただきたいと思います。 今日のマスコミの一面の見出しにも、昨日の参議院の予算委員会を経てもまだ、首相の疑惑一掃至らずというふうな見出しが躍っております。是非とも、この国会中含め、真摯に対応いただいて、こうした疑惑の払拭に向けてお取組をいただきますよう改めて御要請を申し上げておきたいというふうに思います。 それでは、TPPの論議ということで質問に移りたいと思います。 安倍総理、まず、国際通商問題について質問をさせてください。 アメリカが保護主義的な傾向をますます強め、まず三月には鉄鋼、アルミの輸入制限をしたのに続きまして、アメリカと中国、またアメリカとEUとの間の関税引上げの競争が激化し、まさに貿易戦争の様相を呈しております。このようにアメリカを軸とする保護主義が台頭する一方で、今、協定の発効に向けた国内法の整備をこの国会で論議しているように、いわゆるTPP11という環太平洋地域におけるメガFTAの準備が進められているわけであります。 既に、安倍総理大臣、最近二回の日米首脳会談においてアメリカへTPPの復帰を呼びかけられていると思います。現在、アメリカが自国中心主義を貫こうとしている中で、TPPの復帰の際は恐らくその中身についても再協議を求めてくると思われます。また、日米二国間協議によって、日本に一層の市場開放を求めてくる可能性もあります。 まさに今日、こういった国際情勢の下でアメリカへのTPP復帰を求めることは本当に真に日本に対する国益をもたらすことになるのかどうか、安倍総理の御見解を伺います。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 昨年、残念ながら、米国はTPPからの離脱を表明したところでございます。しかし、その中にあってもなお私は、このTPP11として発効させることには十分な意義がある、我が国にとっても、まさに世界経済にとっても意義があると、こう判断し、決断をしたところでございます。世界的に保護主義への懸念が高まる中で、自由で公正なルールに基づく経済圏をつくり上げることの重要性について、その結果、十一か国で共有し、協定を署名するに至ったということでございます。 しかし、元々、TPPは、日米がリードして十二か国としてやってきたものであります。最終的には米国を含めて合意に至ったものであります。こうした自由で公正なルールに基づく経済圏を世界に広げていくという観点からは、基本的な価値を共有し、そして世界最大の経済大国である米国の参加は極めて大きな力を持つ、つまり、自由で公正なルールを世界に広げていく上においては世界最大の経済力を持った米国の参加は大きな力を持つと、現在もそのように考えております。 新興国経済の台頭や経済のグローバル化が急速に進展する中で、保護主義によるものではなく、むしろTPPへの復帰こそ米国の経済や雇用にとってもプラスになるものであるということを今までも訴えてまいりましたが、引き続き粘り強く訴えていきたいと、このように考えております。
○矢田わか子君 アメリカによる鉄鋼やアルミに関する関税の引上げ措置というのは、ほぼWTOでも違反だというふうにみなされております。トランプ政権のやり方は、本当に極めて強引であるというふうに言えると思います。そのトランプと本当に太刀打ちができるのかということであると思います。 アメリカ抜きのTPP11というのは、特に日本の製造業にとってはアメリカという大きな輸出の最終仕向け先がなくなったということで、工業製品を中心とした関税の撤廃など、メリット感というんですか、享受が少し小さくなったという向きもあります。しかしながら、一方で農業においては、日本・EU・EPA協定を含め、牛肉、豚肉、乳製品、この輸入の増加が見込まれる中で、我が国の農業に与える影響は大変大きなものがあると皆さん懸念を広げていらっしゃいます。日本の食料そして食品市場にオーストラリアやニュージーランド、EU諸国が進出してくるのをアメリカが黙って見ているわけがないというふうにも思います。 今後、TPP11がアメリカからの要求に対する防波堤になるというふうなことでこれを進めていこうとされているわけですけれども、本当に防波堤になるのでしょうか。なぜならば、今、例えば自動車の関税についても、アメリカはEUにも関税を掛けるということを言い始めておりますし、中国も含めてそうした姿勢をTPPの枠外でやろうとしているということも含めて考えれば、本当に防波堤になるのかという疑念を持たざるを得ません。 いずれにしましても、日本はFFRなどにおいてかなりタフな交渉を強いられることになってくると思われます。安倍総理として、今後のアメリカとの交渉上の戦略としてTPP11をどのように位置付けていらっしゃるのか、御見解をお願いします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPPについて、TPP11を我々これはアメリカに対する防波堤と考えているわけではなくて、元々米国が入ったTPP12でこれは合意をしたものでありまして、できれば米国が入ったまま発効させたいと、こう考えていたわけでありますが、残念ながら米国は離脱を表明した。しかし、その中でもなお、TPP11においても、人口で五億人で、そして十兆ドルのGDPという大きな経済圏ができるわけでありまして、そこで、自由な公正なルールの下に、物やお金やそして人が行き交う経済圏ができる、これは日本にとっても大きな利益であり、地域の成長にとっても大きな利益という判断から、TPP11において新たに我々は署名を、合意を行ったところでございます。一日も早い発効を我々は望んでいるところでございます。 一方、米国は残念ながらTPPに復帰をするという判断を今ではしていないわけでございますし、米国は二国間の協定を望んでいるということは我々も承知をしているわけでございますが、私どもはあくまでもTPPが最善と、こう考えているところでございます。経済交渉はどの国とであれ常にタフなものでございますが、我々はしっかりと国益を守っていきたいと、こう思っております。 トランプ大統領との間では、四月の日米首脳会談において、茂木大臣とライトハイザー通商代表との間で、FFR、自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議を開始することで合意をいたしました。この協議は、公正なルールに基づく自由で開かれたインド太平洋地域の経済発展を実現するため、日米双方の利益となるよう、日米間の貿易や投資を更に拡大させていくという目的で行われます。この協議は日米FTA交渉と位置付けられるものではなく、その予備協議でもありません。 米側は二国間ディールに関心を有していると承知をしておりますが、先ほど申し上げましたように、我が国としてはTPPが日米両国にとり最善と考えており、その立場を踏まえ、引き続き議論に臨んでいくわけでありますが、最初に申し上げましたように、いずれにせよ、我が国としていかなる国とも国益に反するような合意を行うつもりはございません。
○矢田わか子君 先ほども申し上げましたとおり、トランプは相当手ごわいというふうに思います。TPP11を進めていく中でも、今後も呼びかけていくのであれば、是非とも、トランプに対しても言うべきことは言う、日本の姿勢をしっかりと示すと、これは総理にしかできないことだと思いますので、是非ともお願いを申し上げておきたいというふうに思います。 加えて、次に、RCEPということに少し触れていきたいというふうに思います。 これは、日本の製造業にとっては、十一か国内における生産ネットワークの構築ということも大変重要なことではありますが、東南アジアを中心とした日本が高いレベルの質を確保した投資網を構築していくということが、特に多くの日本企業が東南アジアに進出して、現地で活動している企業多くいらっしゃいますので、そういうものを見ると、RCEPの動きの方も加速していくべきではないかというふうに思われます。 資料一を御覧ください。現在交渉中を含めた日本と他国とのFTA、EPA協定の参加国を図にしたものであります。このRCEPを始め今後の多国間の交渉について、政府として我が国の製造業についてどのような展望を持っておられるのか、また、今後製造業のためにどのような交渉を進めていかれるのか、方針なり戦略があればお答えをいただきたいと思います。
○大臣政務官(平木大作君) まずTPP11についてでありますが、この協定では、我が国から輸出をされます工業製品の九九・九%について関税が撤廃されることとなります。加えまして、原産地規則については、TPP11に参加するいずれの国で生産されたものにつきましても、一定の付加価値が付与される、こういった要件を満たせば関税メリットが受けられる、こういった仕組みになっているわけであります。こういったものを通じまして、TPP11参加国の間において多様な生産ネットワークによるサプライチェーンの構築が可能となるわけであります。 他方で、今委員から御指摘もいただきましたとおり、TPP11はASEANの一部の地域しか参加していない、かつ、域内の一部の地域はTPPのハイスタンダードなルールに直ちに参加することが難しいという状況にありますことから、アジア太平洋地域を網羅的にカバーすることができていないという状況にございます。 その中で、ASEANと日中韓、オーストラリア、ニュージーランド、インドの十六か国で構成をされますRCEPですが、発展段階の異なる多様な国々で共通のルールを構築するものでありまして、TPP11と並行して進めていくことによりまして、アジア地域でより広範囲な製造業の生産ネットワークの構築に資するものと考えております。 RCEPにつきましては、今年に入りましてこの交渉妥結の機運というのが高まっておりまして、我が国からも、本年三月、市場アクセスとルール分野並びに協力のバランスを取りながら、一定の質が確保されることを前提として、年内妥結を目指すASEANを支持する旨表明したところでございます。まさに今週末、七月一日に東京での閣僚会合を控えているところでありまして、市場アクセスとルール分野のバランスの取れた質の高い協定の早期妥結に向けまして、政治課題を整理しながら道筋を付けてまいりたいと考えております。
○矢田わか子君 ありがとうございました。 広くアジアを見据えた自由で公正な貿易が推進されますように、関税の引下げとかそういったことだけではなくて、労働条件や知財も含めて自由な公正なルール作りを是非ともお願い申し上げて、質問とさせていただきます。
○相原久美子君 立憲民主党・民友会の相原久美子でございます。 今日、総理に対する質問の時間をいただきました。私、国会議員になって七月で十二年目に入るんですけれども、一番最初に委員になりましたときに、ちょうど安倍総理、第一次のときでございまして、本来は最初の代表質問が総理にするはずだったのですが、残念ながら体調を崩されたということで、今日初めて総理に質問をする形になります。どうぞよろしくお願いいたします。 その前に一点、本当に私たちは、国会議員として何を役割として私たちはこの立場にいるのかということをやっぱりお互いに確認し合わなきゃならないなと思っておりますのが、この一年間、様々な形で行政府、そして立法府、これに対する国民の不信感が高まったということに対してでございます。これは、私も国会議員になりましたときに、何をなすべきかということを考えましたときに、国民の安心、不信は抱かれないようにすると、ここが第一の原点だというように思ってまいりました。是非、うみを出し切ると総理はずっとおっしゃっております。まだまだ、先ほど矢田議員が指摘されましたように、国民の中には不信があるということでございますので、是非ともそこは真摯に対応いただきますように要請をしたいと思っております。 そして、このTPP。政策というのは、時の社会状況ですとか財源ですとか世界の状況等々で私は変わっていくものもあるというふうに理解はしております。また、このTPP協定では、交渉参加の是非を検討するということで言い出しましたのは民主党政権のときでございました。これもまた、党内では賛否両論あったことは間違いございません。結論が得るという状況にありませんで、その後、安倍政権によって協定交渉に入るということになりまして、ただいまの現状があるわけです。 このTPP参加について、メリット、デメリット、様々に指摘があります。私も様々な方たちから伺いますと、確かにメリットもあるなと。ただ、デメリットもある。じゃ、このデメリットに対してやはり不安を払拭しなければならないというところが私たちの役割なんだろうと思っております。 ここでお伺いをしたいと思いますが、関税撤廃の輸入品が増えるということは、食品の安全面等の指摘はありますけれども、消費者の目線から歓迎すべきことかもしれません。しかしながら、物価の持続的下落というのは、デフレ状態を引き起こし、景気が冷え込むと指摘する方もいらっしゃいます。安倍政権は、デフレからの脱却を目標に、異次元の金融緩和策、そして経済政策を打ってきました。ここで、このデフレを引き起こすという指摘に対して総理はどうお考えでございましょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 相原委員から大変重要な指摘があったと考えております。 もし詳細についても必要であればまた内閣府から中身について説明させたいと思いますが、一般に、輸入価格が下落した場合でも、購買力の増加によって需要が増えて、そして国内製品の価格は低下しないので物価は必ずしも下がらないと、こう考えております。 また、TPPによって成長力が高まりGDPが増加するとともに雇用がしっかりと増えていけば、全体の国内需要が確実に増加することから、最終的には物価を押し上げる効果を持つと考えているところでございます。つまり、このTPPを行うことによって、経済は成長し、そして一人当たりの所得も増えていく中において購買力は高まり、物価に対しても今申し上げましたような影響も出てくると。 こうしたことから、マクロ経済全体として考えれば、TPPがデフレを加速するという指摘は我々は当たらないのではないかと、このように考えております。
○相原久美子君 これ、それぞれの見方なんだろうと思いますけれども、是非、デフレを引き起こさないという、やはりこの対策はしっかりと打っていかなきゃならないんだろうと思っております。 そして、購買力が増えるとおっしゃいました。確かに所得が上がっていくと購買力というのは増えていく、量的なものはあるとは思います。ただ、アメリカが離脱するというこのときに指摘されましたのは、国内からの声としては、雇用が失われるというこれまた指摘もあったことは事実でございます。是非、その辺はしっかりと見極めながら対応をお願いしたいと思います。 そして、そもそも、早くから、このTPP協定というのは日本の畜産農業に大きな影響を与えるとして農業従事者の方たちから反対の声が上がっておりました。そのような中、政府というのは、守るべきものは守るとして交渉を進めてきたわけです。先ほど総理も、国益、これに反することは決めないという形でしたが、私、国益とは何なんだろうというようにまずは疑問に思うわけです。そして、総理が考えられるその国益とは何であるか。そして、そもそもこの交渉の中で守られたものは何なのかということをやっぱり国民の皆さんは具体的に知りたいというふうに思っているかと思います。 また一方では、自動車等の輸出、これは対象として、やはりターゲット、ターゲットと言っちゃ失礼ですね、対象としてはアメリカを恐らく想定していたであろうと思われるわけです。ところが、ここへ来てアメリカが離脱という結果になりました。予想もしないアメリカの離脱によって、私は輸出に関しては相当やはり予想が変わってきたのではないかと思うのですが、我が国の経済見通し、これは変わらないのでしょうか。そして、その中でなぜTPP11を進めるという形になったのでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 最初に、国益とは何かという大きな御質問がございました。確かに、それはそれぞれの立場の方々にとって、受け止めあるいは状況が異なる場合、その影響がですね、があるのは事実でありますが、総じて国民にとってプラスとなるものであると考えております。 その中において、例えば輸入品が、様々な輸入品が安く多岐にわたるものが入ってくれば、消費者としてはプラスになるわけでございます。しかし、そうしたものを製造している方たちにとっては、むしろ自分たちの生活が脅かされるかもしれないという不安に直面するわけでございます。 そういう不安にも我々きめ細かく応えていきながら、総じて国民の皆さん全体にとってプラスとなる、生活が豊かとなるような方向にしていくことが私たちの義務であろうと、こう考えているところでございます。 先ほども答弁の中でお答えをさせていただきましたように、TPP11によって、人口は五億人、そしてGDPは十兆ドルという大きな経済圏が生まれ、その経済効果は、最終的に我が国のGDPを毎年八兆円押し上げ、四十六万人の雇用増につながるという大きな効果が見込まれております。また、米国は離脱することになりましたが、サプライチェーンのグローバル化が進む時代にあって、ベトナムなどのASEAN諸国やメキシコ、チリなど北米、中南米諸国十一か国が参加して広いアジア太平洋地域に自由で公正なルールに基づく新たな経済圏が生まれる意義は大きいと考えています。 さらに、本年一月に、TPP11の交渉が大詰めを迎え現実味を帯びる中、ダボス会議において初めてトランプ大統領から米国がTPPに参加する可能性について言及があったところでありまして、そうした意味で、TPP11の早期発効を目指すことは、TPPのメリットを具体的に示し、TPPが米国の経済や雇用にプラスになるとの理解を深める大きな力ともなると、こう考えているところでございますが、いずれにいたしましても、このTPP11においても、これを発効させる意義は日本にとっては大きいと考えております。
○相原久美子君 民主党政権のときにTPP参加を検討するというときに、自民党のパンフレットを見ますと、情報公開が甚だ低いと、情報公開をしないということに対しての指摘がございました。できれば、八兆円のこの根拠、それから四十六万人の雇用というものも国民の皆さんに分かりやすいような形でやはり示していただく必要があろうかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 そして、TPPというのは畜産業への影響が大きいと言われています。私も出身は北海道でございます。北海道の農家の皆さんのやはり不安というのはいまだ払拭はされておりません。農林水産基本データによりますと、六十五歳以上の農業従事者の割合が六六・四%を超える状況にあります。TPPで、この機会に離農をというように言っていらっしゃる方も結構いらっしゃるんです。やはり不安が払拭されていない。 また、輸入に対抗するには大規模化を推進しているようでございますけれども、北海道は除きましたとしても、中山間地の多い日本にあって、どの程度大規模化が図れると考えているのでしょうか。大規模化というのは、土地の収用金、そして機械化の資金が大きく、日本の農畜産業のように家族経営の多い体制で大きな借入金で経営するメリットはあるのでしょうか。先日、参考人においでいただきました。その方も、規模を大きくすることによって億の借金を背負ったというようにおっしゃっておりました。 農水省の調査で、確かに、平成十九年度から二十一年度まで農山漁村振興基金による無利子化の措置で一億円以上の投資が増加しています。大規模農家の経営意欲、これに応えたというようにも言われておりますが、残念ながら、にもかかわらず、基幹的農業就業者、これは年々減少しているという実態があります。ここも直視していかなければならないと思うのですが、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPP交渉においては、我が国が世界に誇る牛肉、水産物など、輸出拡大の重点品目の全てで相手国の関税撤廃を獲得する一方、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかりと確保し、関税割当てやセーフガード等の措置を獲得したところであります。攻めるべきは攻め、そして守るべきは守ることができたと考えています。 それでもなお、様々な不安を持っておられる方がいらっしゃることは十分に承知をしております。総合的なTPP等関連政策大綱に基づいて、例えば農地の大区画化や高収益作物への転換、あるいは規模拡大のための畜舎整備などの体質強化策の実施、そしてまた牛・豚マルキンの補填率を八割から九割に引き上げるなど協定発効に合わせた経営安定対策の充実など、きめ細やかな対策を講じることとしております。これによって、意欲ある農林漁業者の方々が安心して再生産できる環境をしっかりと確保していく考えであります。 これらの対策を講じることで、TPP11の影響については、関税削減等の影響で価格低下による生産額の減少が生じるものの、生産コストの低減や品質の向上が図られることによって、引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると見込んでいるところであります。 もちろん、今、北海道と違って中山間地域はそんな簡単に大規模化できないではないかという御指摘もございました。我々も十分にその点は認識をしているところでございまして、例えば、今申し上げました対策を行っていく上において面積要件のようなものがあるんですが、中山間地域には中山間地域へ対応するように、この面積要件というものを中山間地域には対応していくことができるように、柔軟に対応していくことができるようなものにしているところでございます。 農林水産業はまさに国の基であります。現在、農業従事者の平均年齢が六十六歳を超える中で、農林水産業の活性化は待ったなしの課題でありまして、TPPを攻めの農林水産業に切り替えるチャンスと捉え、若者が夢や希望を持てる強い農林水産業をつくり上げ、しっかりと次の世代に引き渡していく決意であります。
○相原久美子君 終了したいと思いますけれども、とにかく、この日本の国の先行きが懸かっているこの議論でございますので、是非慎重な議論を進めていただくようお願いし、終わりたいと思います。
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。 せっかく国家戦略特区を所管する内閣委員会に総理にお越しいただいたので、私も獣医学部や加計の問題を聞きたいところをぐっとこらえまして、時間が十分しかありませんので、TPPのことについてのみお聞きをいたします。 TPP、またTPP11について、安倍総理は、単に関税を引き下げるだけでなく、知的財産保護、環境、労働規制、国有企業の競争条件の規律など、幅広い分野について二十一世紀型の自由で公正なルールを作り出すもの、あるいは、自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々が力を合わせてアジア太平洋地域における新たな経済秩序をつくり上げることは、将来にわたってこの地域に安定と繁栄をもたらす共通の基盤になるなど、すばらしい協定だという御答弁を繰り返してこられました。もう、今私が読み上げた答弁は繰り返さなくていいです。そこはもう十分分かりました。 しかし、アメリカはトランプ大統領が批准を拒否する。アメリカ抜きのTPP11では、第二条で凍結事項、これが定められ、附属書で二十二項目凍結されました。また、今月来日をしたマレーシアのマハティール首相が再協議の必要性ということを言及しております。 TPP、そしてTPP11が総理のおっしゃるようにすばらしい協定ならば、なぜ批准の拒否、あるいは凍結、再協議、こういう意見が次々と各国から示されるのか、総理の見解をお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今、もう田村委員が既に御指摘いただいた点はもう繰り返しません。 TPP11の凍結項目については、米国が離脱したことに伴う知財関連などごく一部のルールのみに限られており、むしろ最小限にすることで十一か国がハイスタンダードかつバランスの取れたTPP協定の早期発効を目指したところであります。そのため、各国から見直しを求める声が上がったとの認識は、これは事実と異なると私たちは考えております。 また、マハティール首相の発言も、新政権発足に当たり、他の重要政策とともにTPPについても一定の時間を取って検討するという趣旨でありまして、何らかの特定の規定について見直しを要請することを決めたといった事実はないと承知をしております。 保護主義の台頭が懸念される中で、TPPが目指した自由で公正なルールに基づく経済圏をつくり上げるという十一か国共通の意思は全く揺らいでいないと考えております。
○田村智子君 マハティール首相が、貧しい国と富める国との自由貿易とはどうあるべきか、正しい自由貿易とは何か、これを考えることが必要だということも述べられたわけですね。私、大変ここに注目をしています。 また、TPP協議のときに、やはりアメリカが圧倒的な経済力と交渉力で、例えば巨大製薬メーカーあるいは製薬業界の利益独占のために生物製剤のデータ保護期間の延長をTPP協定に盛り込んだけれども、TPP11では、これは高い新薬を買い続けることになるという不安がTPPのときからずっとアジアの国々の中にあったわけで、だからこそこれは凍結という事項に入ったんだというふうに私は理解していますよ。やはり、TPPそのものが多くの懸念や問題を含んだまま合意となったということが、様々な凍結事項を見れば、私、明らかだと思うんです。 今日の御答弁聞いていても、何かメリットばかり強調されるんですよ。だけど、あるこれだけ大きな貿易協定を結ぼうと、しかも関税の原則的撤廃という方向に向かおうというときには、メリットだけでなく当然デメリットがあるはずなんです。だけど、日本政府からそのデメリットについてのまともな説明なんて受けたことないですよ。GDPは伸びます、経済成長しますと。それも、私もどうして経済成長するのかちっとも具体的に分からないんですけれども。ちゃんと、トランプ大統領が批准拒否という事態になった、TPPそのものが発効しないことになった、だったら、国会審議や様々な方々から指摘されたTPPの問題点、関税撤廃という方向だけでそれでいいのかという問題点、こういうことなどをしっかりと協議し、デメリットとして言われたことに目を向けてやっぱり立ち止まるということが私は必要だったというふうにも思うんですけれども、その点についての見解もお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPPのメリットについては最初に田村委員から御紹介ございましたのでもう繰り返すことはいたしませんが、このTPP11になってもそれは変わらないということでございます。 そこで、米国はなぜ離脱をしたのかということでございますが、基本的にはトランプ大統領の方針というか、もう選挙の際に既に約束をしていることでもあるんですが、二国間のディールでやった方が米国にとっては利益を出せるという考え方にあるんだろうと推測をしているところでございます。 しかし、現在もトランプ大統領に対して、また米国に対しては、TPPに復帰することがいかに米国にとってメリットがあるということを申し上げているところでございますが、それはつまり、やはり自由で公正なルールをしっかりと作っていくということがこの普遍的価値を共有する我々にとっては大きな、将来的にも大きなメリットがあるということではないかということを申し上げているということでもあるわけでございます。 そこで、なぜ立ち止まらなかったのかということでございますが、当然、私たちはTPP12で想定をしてまいりました。では、果たしてTPP11において我が国にとって十分なメリットを享受できるかということをもちろん考えたわけでございますが、12が11に変わってもなおかつメリットがあるということはもう先ほど申し上げたところでございますので繰り返しはいたしませんが、それでもなお我々は、人口五億人で十兆ドルのGDP規模の新たな経済圏の中で、ルール、自由で公正なルールの中でしっかりと我々が成長することができると、こういう結論に至り、今審議をお願いをしているところでございます。 デメリットという言葉を使われましたが、これ影響がある、それぞれの方々のお仕事に影響があり、ある意味脅威を感じている、不安を感じておられる方々がいるのは我々も十分に認識をしておりますから、そういう皆様に対しましてはしっかりと対策を打っていくということは今まで何回か説明をしてきたとおりでございまして、そうしたところにもしっかりと目配りをしながら、多くの人たちがこのTPPのメリットを享受できるようなそういう社会を目指していきたいと、このように考えております。
○田村智子君 結局、政府の側からデメリットというのは何も示されないわけですよ。懸念があると、周りの方々がデメリットを言っているだけだというふうにも聞こえるわけですね。 そもそも、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖原料の重要五項目、これ国会決議では交渉対象から除外又は再協議、こういうふうに決議を上げた。それで、ここについては、国会決議違反かどうかということは国会が御判断になることだ等々の答弁があるので、じゃ、端的にお聞きしたいんですけれども、この五項目のうちに無傷だったものがあると言えるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) TPP交渉においては、重要品目については、乳製品などでは、関税割当てを導入することにより枠外の関税については従来の関税を引き続き維持するとともに、牛肉などでは、十年を超えるような長期間の関税削減期間を確保することなどによって関税撤廃の例外をしっかりと確保したところであります。実際に生産者に影響が出るかどうかということにしっかりと注目をしながら交渉をし、結果として生産者が再生産可能となるような措置を交渉を通じて勝ち取ったものと考えております。 そうした意味で、交渉結果が国会決議にかなったものかどうかは最終的に国会で御審議いただくものではありますが、政府としては国会決議の趣旨に沿うものとして評価いただけると考えております。
○田村智子君 これ、除外又は再協議と言ったのは、輸入枠が増えないようにということの決議ですよ。自給率がこれだけ低くて、これ以上輸入が増えてしまったら、主食である米でさえも大打撃を受けるよということだと思いますよ。 そこで、もう一点お聞きしたいんですけれども、じゃ、輸入が増えるのかどうかと、これ連合審査のときにも質問されましたら、輸入が増えるかどうかと、TPP11によって、これについては分析を行っていないというふうに農水大臣が答弁されて、非常に驚きました。 これ、もう時間がないので、総理、こんなことでは駄目ですよ。輸入がどうなるのかということを農水省に対してちゃんと調査しなさい、分析しなさいと、これ指示を出していただきたいと思いますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 輸入量についてでありますが、重要なことは、輸入量が増加するかどうかではなくて、国産品が輸入品によってどの程度置き換わるかどうか、それによって意欲ある農林漁業者の方々が再生産できるかどうかということでありまして、政府としてはその観点から試算を行っています。再生産可能な環境を確保するという政策目標に照らせば、国内生産とは関わりなく輸入がどれだけ増えるかだけを取り出して試算する意義はないと考えております。 その上で申し上げますと、今回のTPP交渉では、重要五品目を中心に関税撤廃の例外をしっかりと確保し、関税割当てやセーフガード等の措置を獲得しました。加えて、総合的なTPP等関連政策大綱に基づいてきめ細やかな体質強化策や経営安定対策を講じていきます。これらによって生産コストの低減や品質の向上が図られることから、政府としては、TPP11の発効後も引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持されると試算をしております。
○田村智子君 時間が来ましたので終わります。
○清水貴之君 日本維新の会の清水です。どうぞよろしくお願いいたします。 私も、まずは、アメリカ・トランプ政権によります輸入制限措置についてお伺いをしたいと思います。 昨日の予算委員会でも、そして今日も、これまでの質疑でも同じような質問が出ております。重なるところはあるかとは思いますが、でも、それだけ質問が重なるということは、今国内において大変その点が懸念されている、注目されているところだというふうに思っております。 まず、総理の見解をお聞きしたいと思いますが、その輸入制限措置に対しましていろんな国が対抗措置、報復関税を取っていて、大変なもう混乱状態に陥っていると思うんですが、これについて、総理、まずはどのようにお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先般のG7についても、自由貿易体制等について割と激しい議論があったところでございますが、貿易上の一方的措置の応酬はどの国の利益にもならない、そして、世界市場を混乱させ、WTOルールに基づく多角的貿易体制にも悪影響を及ぼしかねないものであり、極めて遺憾であります。その考え方から、この考え方にのっとって私もG7では主張したところでございます。 我が国は、ルールに基づく多角的貿易体制を重視しており、いかなる貿易上の措置もWTO協定と整合的であるべきと考えております。
○清水貴之君 でも、そういう状態で、じゃ、日本はどう対応していくのかということです。日本だけ何も手を打たなければ取り残されてしまう状況になるわけですし、日本としてはどのようなトランプ政権に対して姿勢を示していくのか、どうお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日本がどのような対策を打っていくかということでございますが、対抗措置をとること自体が目的ではないわけでありまして、米国の二百三十二条による輸入制限措置の我が国製品への適用を回避するという結果を出していくことが最も重要であると考えております。 日本からの鉄鋼やアルミの輸入が米国の安全保障に悪影響を与えることはなく、むしろ、高品質の日本製品は米国の産業や雇用にも多大な貢献をしています。こうした日本の基本的な立場についてはこれまでの日米首脳会談において私から大統領にも申し上げているところでございますが、米国商務省の製品除外、製品別除外に関する発表の中には日本企業が含まれており、我が国としては、追加関税措置の適用除外につき引き続き米国に粘り強く働きかけていく考えであります。 そして、日本は、WTOセーフガード協定上のリバランスの権利を五月十八日付けの通報で留保したところでありますが、対抗措置というオプションは常に持ちながらも、様々な手段をしっかりとした戦略の下に効果的に組み合わせ、結果が得られるよう最善の戦略を取っていきたいと考えております。
○清水貴之君 今、日本企業の除外があったという話ですが、これは結局、日本のためを思ってということではなくて、アメリカにとって、じゃ、どうメリットがあるかということですよね、これ、アメリカにとってやっぱり必要な鉄鋼製品だからこれは除外したということですから。となりますと、基本的にやはり、日本のためというよりは、やっぱりアメリカのことのみを考えての対応だというふうに思うんですね。 総理、これはもうトランプ大統領とも何度もお話しされて人間関係を築いていらっしゃると思いますが、果たしてその本当に交渉がうまくいくのか、話を聞いてくれる相手なのか。やっぱりこれも、今日も質問出ていますけれども、みんな、本当にその交渉だけで事態は解決できるのか、打開できるのか、ここは疑問に思ってしまいます。総理の考え、お聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 貿易交渉というのは、残念ながら、相手のことを考えてくれる国というのはこれ、相手の国のことを考えて交渉するということはなかなか想定されない、事実、そういうことは余り起こり得ないんですが。お互いに、自国の国益を何とか確保しようと、あるいは増進しようと激しい交渉を行うわけでございまして、米国もそういう観点から行っておりますが。 例えば鉄鋼、アルミについては、我々からは、それはもう日本が困るからやめてくれというアプローチではなくて、これは米国にとっても全然、言わば安全保障上の脅威にもならないし、あるいは鉄鋼について言えば、六割は日本製品をアメリカで代替できないものであって、日本製品に関税を掛ければアメリカの消費者がただ二五%上乗せでコストが、を掛かるだけになりますよという話をしておりますし、残りの四割についても、そう簡単に日本製品からアメリカの鉄鋼製品に替えるものはなかなか難しいものが多いのも事実でございます。そういう中において、除外品目を勝ち取りつつ、実際にこの二五%の関税という措置がなされないような今努力をしているところでございます。 と同時に、基本的にこれはWTOに整合的でなければならないわけでございますから、先ほど申し上げましたように、リバランス措置をしっかりと持っているということでございまして、我々としては、こうした対抗措置というオプションは常に持ちながらも、米国に実際に除外ということを、日本製品を除外させるように働きかけていきたいと考えているところでございます。
○清水貴之君 総理、あともう一点、貿易という観点から、北朝鮮についてお伺いをしたいというふうに思います。 北朝鮮には大変多くの資源、エネルギーが潜在的に眠っている、埋蔵されているというふうに話が広がっております。ただ、ああいう国ですから、実際のところがどうか、なかなかつかみにくいわけですが、日本政府としては、そのような北朝鮮の資源については今のところどのように認識をしているんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 北朝鮮の潜在資源については、韓国統計庁が公表している二〇一七年版の北朝鮮の主要統計指標では、例えば石炭二百五億トン、鉄五十億トン、マグネサイト六十億トン、銅が二百九十万トン、そして金が二千トンの埋蔵量があると推定されております。
○清水貴之君 その資源に対して、じゃ、日本としてどうアプローチをしていくかというのもお聞きしたいと思います。 この資源の開発には、ロシアですとか中国、非常に興味を持っていて、今後その資源開発に共に乗り出していくんじゃないかという話が出ています。じゃ、日本として、日本は技術力がありますから、協力してやっていったら、日本は資源のない、少ない国ですから、日本にとってもメリットがあるんではないかと思う一方、やはり現在国交がないわけですからなかなか難しい状況だとは思うんですけれども、ただ、何もしない状態で手をこまねいていたら、やっぱりロシア、中国というのがどんどんどんどん先に進んでいくと思います。 日本としてその資源に対してどう今後アプローチしていく、考えていくのか、総理の考えをお聞かせください。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今委員が御指摘になったように、中国やロシアが関心を示しているという情報があることは承知をしておりますが、累次の安保理決議において、先ほど私が述べたものを含む主要な鉱物資源の北朝鮮からの輸出は禁止されており、ロシアや中国も安保理決議は遵守するとの立場であります。 我が国としては、拉致問題、そして核問題、ミサイル問題の解決に向けて、安保理決議の履行を含め、引き続き日米、日米韓で協力をして、中国、ロシアとも緊密に連携して北朝鮮問題の解決に全力を挙げていく、まずはですね、まずはそうした資源のことではなくて、今申し上げましたような問題の解決を強く求めていくことが大切であろうと考えております。その中で、私がいつも申し上げておりますように、北朝鮮がそうした問題を自らの決断として判断して解決をしていけば、まさにこうした資源を生かして自国の未来を切り開いていくことができるということを申し上げているところでございます。
○清水貴之君 質問を終わります。ありがとうございました。
○山本太郎君 ありがとうございます。自由党共同代表、山本太郎です。社民との会派、希望の会を代表し、TPPや外交について安倍総理にお聞きしたいと思います。 六月の十二日、シンガポールでの米朝首脳会談の後、トランプ大統領会見では、日本と韓国が北朝鮮の非核化の費用を負担する、アメリカは負担しない、このように一方的に発表されたと。トランプさんの口から初めて聞いたという人が恐らく圧倒的多数なんじゃないかなと思うんですね。 確かに、二月の十五日にウィーンでIAEA天野理事長との会談、三月の韓国の国家情報院長との都内での会見で、北のIAEAによる核査察に対する費用について日本も負担するとの発言は外務大臣からはあったんですが、恐らく多くの国民の知る話ではないと思うんですね、これ。こういった重大な問題こそ、即座に国民に対して丁寧に説明をしていただきたいなというふうに思うわけです。そういう事態が外国のリーダーから聞かされるという前に、総理から、こういうことがあって、私たちこういうつもりだよということを多くの国民に知らせていただきたいなというふうに思うんですけれども。 さて、北朝鮮の非核化、この実現するためであれば、日本も幾らかの負担をするというのは私も反対ではございません。当然、東アジアの安定ということを考えれば、協力していくということに異議はありません。ただ、北朝鮮の非核化に係る費用について、朝鮮戦争の当事者アメリカが負担しないなど、これ全く許されない話だと思うんです、私。アメリカは負担しないって、何言っているんだという話なんですね。 当然アメリカも応分の負担をするべきだと、総理はしっかりとトランプさんに言えますか。いかがでしょう。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現在まだ、言わば誰がどのように、もし北朝鮮が非核化あるいは弾道ミサイルのCVID化を行ったときに、これによって生じる平和の配当に対する負担をそれぞれ行うかということについて議論をしているわけでは全くありません。その段階ではなくて、北朝鮮をいかに、我々が出しているあらゆる大量破壊兵器そして全ての弾道ミサイルをCVID化していくかということについて、結束して対応していくことが求められているんだろうと、こう思うわけでございます。 その中において、例えばIAEAについては、これは河野大臣から、それを、もし査察を行うということになれば、その費用については日本は一部負担する用意があるという発言をしているということは今御指摘になったとおりでございますが、全体の額についてどこがどういうふうに負担するかということについては全く協議する段階ではないということでございまして、そのことで我々がお互いの国といろんな指摘し合うということは非生産的であり、まずは、これは目的を、北朝鮮によってしっかりとCVIDを進めさせるように結束をしていくことが大切であろうと考えております。
○山本太郎君 何も具体的な話決まっていないんだよというお話だったと思うんですけど、具体的な話決まっていないのに、トランプさんは日本と韓国が払うということをもう言っちゃっているんですよ。恐らく、物すごく、お隣にいらっしゃったと思うんですけど、あのときにね。日本と韓国が北朝鮮の非核化の費用を負担する、IAEAの視察とかじゃなくて非核化の費用を負担する、日本と韓国がということを言っているんですよ、公式の場で。お二人でお話しされた後のトランプ大統領の会見で。アメリカは負担しないって言っちゃっているんですね、ここで。 この話について、アメリカの応分の負担、いいですか、総理、済みません、こういうことをおっしゃっているわけだから、応分の負担、もちろん求めるということは、それ、総理としてやられる話なんですよね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 日米首脳会談の後の共同記者会見では、トランプ大統領、その趣旨の発言はしておりません。発言したのは米朝首脳会談の後の単独の記者会見でございますので、隣に私は、シンガポールに行っておりませんから、私はおりませんから、私はそこで何かそれを論評する立場にはないわけでございます。 いずれにいたしましても、確かに費用が掛かるのは事実でございますし、例えばKEDOのときには、日本と韓国がそれぞれ軽水炉を造る費用を負担し、そして、それができるまでの間、たしか米国が毎年五十万トンかな、重油を提供するという、そういう仕組みであったんだろうと、このように記憶をしているわけでございますが、いずれにせよ、今まだどこが負担をするということを相手に対して指摘し合う段階ではもちろんないわけでありますし、それはむしろ、私たちはしっかりと、まずは北朝鮮にしっかりとこのCVIDを実現させる、日本にとっては拉致問題を解決させるということが重要ではないかと考えております。
○山本太郎君 済みません、私自身が混乱しておりました。米朝会談後のトランプ大統領の会見ではということですから、そこにテレポーテーションできるわけないですから、総理のおっしゃっていることが正しいんですが、日本と韓国が非核化に関して、北朝鮮の非核化に関してその費用を負担するともう勝手に言われちゃっているわけですよね。でも、さすがにドナルド・シンゾウのお仲であるわけですから、このような一方的な話、何も話が詰まっていないのにこういうことを言い出すということに関して、ここは一足飛びにこの話に行けるわけですよね。 要は、細かい、非核化までのそのスケジュールの中でどこを負担するかとかという話ではなく、もう向こうはざっくりと、非核化に関してはおまえらの安全保障問題なんだろうということで、おまえたちが負担しろよというようなことをメッセージとして出されているわけだから。でも、ちょっと待ってくれと、朝鮮戦争、あなたたち関わっているじゃないですかと、アメリカがね。と考えたら、この北朝鮮の非核化に関してアメリカが負担しないということは、私、あり得ないと思っています。それを負担させようという意図があるというのは分かりますけれども、そこを総理にしっかりと、いやいやいやと、日本と韓国だけじゃないよと、アメリカも負担すべきなんだということは、直接トランプさんに言えるんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 今後どのように例えば北朝鮮のCVIDが推移していくかということをよく見ていく必要がありますし、そもそも日本にとっては拉致問題が解決に向かっていくかということが極めて重要であります。その点については、トランプ大統領に累次の首脳会談において申し上げてきたところでございますし、国民感情においてもしっかりと伝えているところでございます。 そういう中において、最終的にCVIDが実際に進んでいくということが起こる中において、どのようにこの負担をしていくかということについて、日本の立場としては、日本は核、ミサイルの脅威がなくなるということにおいて大きなこれは利益を、ある意味では平和になるということは日本の安全にとってこれは非常にプラスになるわけでございますから、その分、日本が応分の負担をしていくということは考えなければならないということは既に私も申し上げているところでございますが、そうした具体的に、しかし、中で、どの国がどのように分担するかということをまだ議論する段階ではないと、こう思うわけでございますし、そのことについて今米国にそのことを強く指摘するよりも、しっかりとまずはこの問題を解決をしていくために連携していくということを重視するべきであろうと、こう思っておりますし、日本の拉致問題についてはまた更に北朝鮮に対して米国からも求め続けていただきたいと、こう思っているところでございます。
○山本太郎君 はっきりとは言わないし、はっきりとも言えないしって感じですね。拉致問題もあるんだし、ここはこのことで、非核化に関して日本と韓国が払うんだ、アメリカは負担しないと言われたことに対してとやかく言うよりも、推移を見守ろうということで、いつもみたいにずるずるATMみたいな役割になるんじゃないかなということを懸念しています。 先ほど清水委員の方からもお話がありましたけれども、WTOのルールというものを全く無視したような鉄鋼であったりアルミニウムに関しての追加関税の話なんですけれども、世界のやり方としては、WTOルールにのっとって闘うか、若しくはもう譲るかという二つの闘い方があるんですけど、恐らく、私は、日米で対話をしていきながら、この部分を何とか是正してもらえないかというような交渉をなさっていくんだろうなというふうに想像します。 心配しているのが、譲るというのをどこまで譲るんだという話になってくると思うんです。例えば韓国、米韓FTAという部分を見てみると、これは自動車の分野で譲った。それだけじゃない、為替ですよね、為替の部分でも譲ってしまったということがある。これ、非常に心配しています。なぜならば、この通貨安の誘導禁止という部分を握られてしまったら、ここをアメリカ側に譲ってしまったら、お得意の金融緩和できなくなるじゃないですか。アメリカ側からもしもこの先の交渉の中で通貨安誘導禁止という部分を要求された場合、ここは絶対に譲らないと約束していただけますか、いかがでしょう。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 私どもが取っているというか、日本銀行が行っている金融の緩和というのは、これはまさに政府と合意をした二%の物価安定目標に向けてマクロ経済政策を進めていく中において行っている緩和でございまして、為替を円安に誘導していくための政策ではないということは明確でございまして、これはもう米側にも説明をし、我々は理解をされているものと承知をしているところでございますが、今後ともそういう観点からしっかりとアメリカ側の理解を確保していきたいと、こう思っております。
○山本太郎君 まとめます。 もちろん、目的としてはそういうことだと、日銀がやっていることなんだから、政府はそんなふうに無理やりやらせているわけじゃないというお話だと思うんですけれども、でも以前、アメリカからこの為替の報告書、警告として出されたときに、リストアップされたときに、本来ならば金融緩和されるべき二〇一六年のところで、熊本の地震があったりとか、その年の初めに中国の経済がちょっと揺らいだりしたときとかに、緩和をするべきだというところで全く緩和しなかったという実績を持っているんです。要は、アメリカ側にそんたくしたような、金融緩和がなされなかった。 考えるならば、国益を損なうような交渉はしないということをずっと言っているんですけれども、今まで見た限り、はっきり言うべきことも言わずに、金融緩和さえもそんたくしたような金融緩和のされ方がしているという部分を見たところ、ほかにも言いたいことはあるんですけれども、TPPにおいても国益を損なうような交渉がなされていないということは全く考えられないということだと思います。 断固反対と申し上げて、終わります。
○委員長(柘植芳文君) 以上で内閣総理大臣に対する質疑は終了いたしました。 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。 引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○矢田わか子君 続けて質問させていただきます。国民民主党の矢田わか子です。 まず冒頭、茂木大臣、前回の農水との連合審査において、茂木大臣の答弁の一部が質問者に対して不適切であったのではないか、不誠実であったのではないかという指摘があります。これに対して何か御答弁があればお聞きしたいと思います。
○国務大臣(茂木敏充君) 委員会におきまして答弁はできるだけ簡潔にとの御指摘を何度かいただきまして、そのように心掛けてきたところでありますが、今御指摘のような御意見も踏まえまして、一層丁寧な国会答弁に努めてまいりたいと考えております。
○矢田わか子君 ありがとうございます。 茂木大臣は、米国との間でも当然交渉でメーンで臨まれるお立場からかもしれませんが、眼力があります、迫力があります、私たちにとっては威圧感があります。どうしても怖くて縮み上がって本音も言えないというようなこともありますので、是非とも優しい目をしていただきたい。この場では論議を深めたいと思いますので、是非ともお願いを冒頭申し上げておきたいと思います。 〔委員長退席、理事藤川政人君着席〕 さて、前回のTPPの12の協定の際には、もう一度一年前を振り返ってみますと、衆参それぞれで特別委員会が設置されまして、百三十時間にも及ぶ慎重な審議が行われました。しかしながら、今回のこの11の協定関係法律の整備法案に当たっては、衆参それぞれこの内閣委員会での審議となっています。そして、衆議院でも僅か十七時間強の時間で採決が行われている。今日のこの場も含めて、総理にもお出ましいただきましたが、私たちは、審議を深めることによってこのTPPへの御理解を仰ぎたい、多くの国民の方々がまだまだ不安を抱えている中にあって少しでも安心感を高める、そういう審議を深めたいという思いでこういう場を持っているわけでありますが、なかなか、今日の論議も含めてどこまで国民の理解が進むのか、不透明であります。 なぜここまでこの発効を急がれるのかという、そういうことも疑問として上がってきております。特に農業関係者の方々、消費者の不安を拭っていくためにも十分な審議を尽くしていただきたいと思いますが、担当大臣としていかがでしょうか。
○国務大臣(茂木敏充君) 国会の運営につきましては、また委員会の運営につきましては、国会でお決めいただくことでありますので、私の立場からコメントは控えさせていただきたい、その上で丁寧な答弁、丁寧な説明を心掛けてまいりたいと考えておりますが。 TPP11協定、これは、一部の凍結項目、二十二項目でありますが、これを除きましてTPP12の内容をそのまま組み込んでおりまして、また、今回のTPP整備法の改正内容も実質的に施行期日のみを改正するものでありまして、TPP12のときと比べて、十本の法律に係る改正事項に変更はございません。 政府としては、TPP12の大筋合意後、TPPの内容について丁寧に説明をしてきているわけでありますが、実際に、説明会、三百四十四回開催をいたしておりまして、四万八千人の方に御参加をいただいておりますが、TPP11の大筋合意、昨年十一月のダナンでありますが、その後もTPP11の合意内容についての説明会を改めて開催する等、引き続き丁寧な説明を心掛けているところでありまして、今、各国におきましてTPPの国内手続が進んでおります。 御案内のとおり、メキシコは四月に既に国内手続終えているところでありまして、我が国におきましても、TPP協定そしてこの国内法と早期に国内手続を終えることによりまして早期発効に向けた機運を高めてまいりたい、こういうふうに考えておりますが、いずれにしても、政府としては、今後とも、一層の国民理解を得ることを目指して、引き続き丁寧な説明を行ってまいりたいと考えております。
○矢田わか子君 ありがとうございます。 どうしても国民の不安が払拭されないもう一つの要因は、説明を何度も繰り返すということではありますけれども、去年から鑑みても、その交渉の記録が残っていないというか、ない、ほとんど公開されていないということもあるのではないかと思っています。 当然公開できないものもあると思いますが、過去の答弁を調べてみますと、茂木大臣は、その交渉経過について記録残していないんだというふうに答弁をされています。いや、本当にそうなのかなと。民間企業でも何か大きな交渉をする際には、当然相手が何を言ったかエビデンスをきちっと残していく必要がありますので、こう言ったでしょうということを後々振り返るためにも、当然議事録なり記録は取るんです。それが当たり前のことだというふうに思いますが、こういった重要な国際協定の交渉の経過、公的文書として当然保管、管理されるべきと考えます。 この文書自体本当に記録がないのか、それともあるけれども公開できないだけなのか、それはどうなのでしょうか。
○国務大臣(茂木敏充君) 今、矢田委員の方から、私が交渉記録はないと、そう答弁したと御指摘いただきましたが、ちょっと、もしよろしければ後でこの部分だとおっしゃっていただきましたら確認をさせていただきますが、TPP11につきましては、昨年三月、米国が一月に離脱した後も、米国抜きでもしっかりと十一か国が結束してこのTPPを進めていこうということで認識を共有いたしまして、各国の様々な利害関係を調整した上で、ハイスタンダードかつバランスの取れた合意ができたものだと思っております。 そして、節目節目、首席交渉官会合、これも四回開催をいたしております。そのたびごとに、その概要については報告をしております。また、調整の結果、最終的に合意した内容についてはしっかり協定等に反映がされているわけでありまして、協定文等を公表し、記者会見等でその内容についても説明をしてきているところでございます。
○矢田わか子君 ありがとうございます。 一部表現に誤りがあるのかもしれませんが、重要な局面こそ、情報公開をして皆さんの安心感を高めていくということが大事だと思いますので、引き続き真摯な公開をお願い申し上げておきたいというふうに思います。 今後、茂木大臣は、アメリカとFFRの交渉に携わられるわけであります。今後、よりタフな交渉が必要になるという前提の下で、どうか国益を守るために、茂木大臣におかれましては、冷静かつ慎重に交渉に挑んでいただきたいというふうに思いますので、お願いを申し上げておきます。 次に、食の安全問題について触れていきたいと思います。 TPP11に関しては、TPP12のときもそうであったように、日本農業に与える影響、食の安全の問題など、国民のいまだ多くの不安や懸念が残っているというふうに思います。様々な工業製品を輸出する物づくりの国家としての日本においては、自由貿易体制を維持発展させる意義は分かってはいるものの、やはりTPPにおけるこれら生活に関わってくる問題は見過ごすことができません。 一つ目には、急増する食料品の輸入に対する検査や検疫体制が追い付くのだろうかという素直な疑問です。抜き打ち検査だけで済ませてしまわないでしょうねというそういう疑問。二つ目には、残留農薬や防カビ剤、あるいは食品添加物や遺伝子組換え食品に対する規制が本当に大丈夫なのかという課題。三つ目には、多くの人がちょっと忘れているのかもしれませんが、いわゆるBSEに対する対策、検疫体制が縮小されているというようなそんなことを踏まえて、今後、日米間の交渉が本格化すれば、これらの課題も更に懸念や不安が生じてくることになると思います。 TPP12では、日本、検疫体制や安全基準はそのままであるとされてきましたが、この11においては、今後の再交渉、再協議を含め、本当に守られていくのかどうか、御見解をお願いしたいと思います。
○大臣政務官(田畑裕明君) お答え申し上げます。 〔理事藤川政人君退席、委員長着席〕 輸入食品の安全性確保におきましては、食品衛生法に基づきまして、まず輸出国の段階で、また輸入時の水際段階並びに国内の流通段階の三段階で対策を実施をしているところでございます。特に水際段階におきましては、輸入事業者に対しまして、輸入前の事前相談に対応するほか、輸入の都度届出を義務付けをしております。検疫所では、これに基づき審査を行うとともに、違反リスクに応じて検査を行っております。今後の輸入食品の増加の可能性を踏まえまして、検疫所職員の資質の向上、必要な職員や検査機器の確保等、適切な監視指導を徹底するための体制の整備に加えまして、事前に違反食品の輸入を防止する効果の高い輸入前相談の充実を図ることといたしているところでございます。 また、今回のTPPの締結に伴いまして、科学的な根拠に基づき食品の安全の基準を定める我が国の制度の変更が求められるものではございません。厚生労働省といたしましては、引き続き、科学的な根拠に基づきまして人の健康に悪影響を与えることがないように適正な基準を設定することにより、我が国の食の安全を確保してまいりたいと考えております。
○矢田わか子君 食は、やはり命の基本であります。是非とも、安全性を高めるということ、守るということについて、厳重なお取組を御要請申し上げておきたいというふうに思います。 続いて、農家の支援の在り方について農水省の方々に御質問をしていきたいと思います。 日本は、今後とも自由貿易体制の維持、推進を政策に、基本に据えていくことになると思いますけれども、日本の農業においては多くの農産物が価格競争で負けるというふうに言われてきていることから、関税の引下げ、撤廃に対しては、今後も農業を継続させ、農家の経営基盤を維持していくための施策を継続していかなければならないと思われます。 この負担をどうするのかという論議、民主党の政権下から戸別所得補償制度というものが創設をされまして、その後、現在は経営所得安定政策として継続されてきています。 TPPに関しては、二十七年度の補正予算から総合的なTPP等関連政策大綱を実現するための予算が順次組まれ、農林水産業の体質強化や経営安定策が講じてこられました。この点、生産者は、直接支払型の支援策に重点を置いてほしいとの要望がやっぱり今も強くあります。 今回の牛マルキンや豚マルキン制度の改善を含め、農家への政策の今後の在り方について見解を伺いたいと思います。
○副大臣(谷合正明君) お答えします。 まず、米の直接支払制度、いわゆる旧戸別所得補償制度でございますけれども、これは委員御案内のとおり、全ての主食用米の販売農家を対象としておりまして、一定額を一律に支援するなどしてまいりまして、例えばこれ、農地集積を図る上で課題があったというふうに認識をしておりまして、更に加えて申し上げますと、十分な国境措置がある米につきまして交付金を交付することは、ほかの農産物の生産者や他産業、納税者の理解を得難いなどの課題もあったところでございました。このため、この旧戸別所得補償制度につきましては、段階的な見直しを経まして、平成二十九年産までの時限措置といたしました。また一方で、強い農業の実現に向けまして、農地集積バンクによります農地集積、また需要のある麦、大豆、飼料用米の生産振興による農地のフル活用を図るなど、そうした前向きな政策を強化してきたところであります。 また、天候要因のみならず、農産物の価格下落等による収入減少、こうした問題に対応するために、今般、経営全体の収入に着目したセーフティーネットとして収入保険制度を導入したところでございます。 さらに、地域政策といたしましては、農業、農村の多面的機能の発揮を促進するために、平成二十六年に日本型直接支払制度を創設いたしまして、地域の共同活動でありますとか、また中山間地域と平地との生産コストの差に対する支援などを行っているところであります。 引き続き、農業の成長産業化とともに、美しく活力ある農村の実現に向けて、この施策をしっかりと推進してまいりたいと考えております。
○矢田わか子君 ありがとうございます。 食料の自給率三八%、これを維持していくためにも、農家の皆さんにやはりやりがいを持って働いていただける、そういう施策の推進を今後ともお願い申し上げておきたいと思います。 それから、今、このTPP発効に当たって、どれだけ農業に対して影響があるのかということで試算がされておりますけれども、EUとのEPAと相まって、昨年十二月二十一日の試算では、この生産額の減少額について、TPP11で最大で一千五百億円、日本・EU・EPAで約一千百億円、合わせて最大二千六百億円という試算がなされています。その主なものが牛肉、豚肉、牛乳の乳製品であるということでありますけれども、まずこれが、過去、一年前は、発効前は三兆円という試算もあったわけで、大きく、二千六百億ということで目減りしているのはなぜなのかという疑念も出てきております。 まずそれを一つお聞きしたいのと、それと併せまして、今回、特にこのTPPとEUとのEPAで大きな影響を受けるのが北海道であるということでありまして、先日の内閣委員会の参考人質疑、参考人の意見聴取においても、北海道の農家の皆さんにはどうも詳しい説明がなされていない、あるいは様々な対策に対して当事者の意見反映ができていないというようなお話がありました。 今回の二つの貿易協定で、畜産物の関税引下げなどによって影響を大きく受ける地域にどのように説明を今後されていくつもりなのか、今までも三百何十回もやったよというふうなお話ありましたけれども、実際には理解できていないというふうに今現在おっしゃっている方々に対してどうしていくのかということについて、何か施策があればお答えをいただきたいと思います。
○副大臣(谷合正明君) まず、最初の問いでございますけれども、平成二十五年、二〇一三年の影響試算と、平成二十七年、二〇一五年の影響試算、平成二十九年、二〇一七年です、影響試算の違いについてということなんですけれども、まず最初、これは当初、平成二十五年の場合はTPP交渉参加前の試算でございまして、全ての関税が即時撤廃される、また追加的な国内対策は行われないという極めて単純化した前提で試算をした結果、約三兆円の農林水産物の生産減少額を見込んだというところでございます。 一方、平成二十七年、二〇一五年の影響試算は、対象品目また対象国は平成二十五年のときと同様でありますけれども、関税撤廃の例外措置を獲得して長期の関税削減期間やセーフガードなどの措置を確保したこと、また、総合的なTPP関連政策大綱に基づく国内対策を実施することを踏まえて試算を行いまして、その結果、一千三百億から二千百億円の生産減少額が生じるものというふうに試算をしたというところでございます。 同様に、平成二十九年のTPP11の影響試算につきましては、対象国については米国を除いたTPP11参加十か国を対象として行った、その結果の試算額になったということでございます。 後段の質問でございますけれども、特に北海道という話がございました。特に、このTPP交渉の結果でございますとか国内対策の内容につきましては、北海道のみならず国民の皆様方に理解を深めてもらうために、平成二十七年十月のTPP大筋合意以降、本年五月末までに、政府全体で合計三百四十四回、四万八千人の方が参加されたということになりますけれども、うち農林水産省としては百十三回の説明会を開催してきたところでございます。なお、北海道では、合計二十一回の説明会を道内各地で開催してまいりました。 これに加えまして、平成二十七年十月から、地域の実情に応じて現場と農政をつなぐという意味で地方参事官制度というものを農林水産省に置いておりまして、農林水産省の出先機関であります地方農政局、北海道農政事務所に配置されている地方参事官から農政について現場への丁寧な説明を行うとともに、地方参事官に直接質問できるホットラインも活用しているところでございます。なお、北海道では五つの拠点にこの地方参事官が配属されているところでございます。 当然、TPP対策のポイントを説明したパンフレットなどをこうしたホームページにも掲載するなどの取組を行っているところでございまして、国内の経営安定対策でありますとか体質強化策、具体的なところを、これをしっかり、より一層の御理解に向けまして丁寧な情報発信に努めてまいりたいと思っております。
○矢田わか子君 ありがとうございます。 説明会の場で一方的に説明するだけではなかなか理解は得られないというふうに思います。しっかりとコミュニケーションを取っていただく、感情と意思のやり取りをしていただく。意思疎通、合意形成を図るには手間暇が掛かります。けれども、それをやっぱり繰り返ししないと皆さんの安心感が高まらないというふうに思いますので、引き続きよろしくお願いを申し上げたいと思います。 続いて、農業の競争力の強化について触れていきたいと思います。 今日、資料を一枚お配りしております。政府が示されている農業競争力の強化プログラムの一覧ということになります。行政、農協、農家の連携によって農業における様々な経営の高度化対策進められており、これは評価するものがあります。特に、農産物の輸入自由化による海外からの輸入農産物への対抗ということで、ここまでやれば競争に勝てるという、自由化に太刀打ちできる水準というものは見通せることができるのでしょうか。なかなか難しいと思います。 かつて、それでも日本農業は、オレンジやサクランボの自由化、あるいは中国からのネギの緊急輸入などに対して、当時では危機的見通しであったんですが、農家や農協あるいは試験場などの努力で品質改良、経営の効率化が進められ、この危機を乗り切ってきたケースもあります。 ここに示されているようなプログラム、本当に施策が有効に作用して生産を維持する結果をもたらすことができるのかどうか、絵に描いた餅にならないように御努力もいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○副大臣(谷合正明君) まず、現政権におきましては、農業の成長産業化と農業者の所得向上を実現するために農政全般にわたりまして改革を戦略的に進めてきたところでございます。 その上で、TPP協定の大筋合意後の新たな国際環境の下においてもこれらの成長産業化と農家の所得向上を実現するために、TPP交渉で獲得した関税割当てやセーフガード等の措置を前提といたしまして、総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、万全の対策を講ずることとしているところでございます。 具体的には、輸出につきましては、我が国の農林水産物の輸出額、二〇一九年に一兆円にするとの目標達成に向けた輸出拡大対策を講じているほか、産地競争力を強化するための産地パワーアップ事業、また畜産、酪農の収益力強化のための畜産クラスター事業、さらには農地の大区画化、高収益作物への転換を図るための基盤整備事業などの我が国の農業の競争力を強化して海外からの輸入農産物に打ち勝つための対策を講じてきているところでございます。 しっかりとこうした取組を推進させていただきまして、新たな国際環境の下でも農業の成長産業化と農業者の所得向上を実現できるように全力で取り組んでまいりたいと思います。
○矢田わか子君 ありがとうございます。 ここにしっかりと記載されていることを一つ一つ具体的に、やはりロードマップが必要だというふうに思います。そして、PDCAサイクルを回していく、きちっと検証して、どこまで進んだのか照らし合わせをしながら進めていくことが農家の方々の安心感にもつながり、ひいては農業の競争力につながっていくということでもありますので、改めてもう一度、この具体的な推進については御要請を申し上げておきたいというふうに思います。 最後の質問に移りたいと思いますが、ILOの条約批准の問題について触れておきたいと思います。 資料三を御覧いただきたいと思います。こちらは、TPP11の加盟国、そして一応米国も少し、一番右端に書かせていただきましたが、ILOの中核的労働基準に関する条約の批准状況をまとめたものであります。この11の協定における労働章では、各締結国はILO宣言に述べられている次の権利を採用し、及び維持するとして、ILOにおいての中核的労働基準と呼ばれる四つの基準を列挙しています。この資料にありますとおり、具体的な条約は基本的条約の八本を指します。我が国は百五号の強制労働の廃止に関する条約と百十一号の雇用及び職業についての差別待遇に関する条約を批准していないという今現状にあります。 TPP協定を遵守するためにはこのILO条約を批准できる国内法の整備が必要であると思いますが、今回はこれを見送られているという状況にあります。今後、どのように対応されていくのか、説明をお願いします。
○大臣政務官(田畑裕明君) お答えを申し上げます。 今ほど委員述べられましたとおり、TPP11協定の労働章におきましては、一九九八年のILO宣言に述べられている働く方の権利を各締約国が自国の法律等において採用し、維持することを定めております。 これは、御指摘の中核的労働基準、いわゆるILO基本条約を批准することが求められるものではございませんで、いかなる国内法令等を採用、維持するかについては一義的には各締約国が判断するものでございます。我が国では、TPP11協定の労働章の規定で求められている働く方の権利確保については既に国内法令等により担保されており、労働関係法制度の変更は求められていないものでございます。 なお、ILO基本条約のうち、我が国が未批准であります御指摘ありました第百五号条約と第百十一号条約を批准することにつきましては、国内法制との整合性についてなお検討すべき点がありますので、慎重な検討が必要であるというふうに考えているところでございます。
○矢田わか子君 ありがとうございます。 全て満たしているのは、御覧のとおり、ここではチリしかないということでもあります。今後、日本がグローバルに競争を仕掛けていく、自由貿易の中でもリーダーシップを発揮していくためには、こういったことに対しても是非一歩前に進めてリーダーシップを取るべきだというふうに御意見を申し上げ、質問を終わらせていただきます。
○相原久美子君 先ほどに引き続きまして質問をさせていただきます。 まず、TPP発効によりまして農産品の輸入が増えるということを基本にいたしまして、そして、なおかつ今離農者も増えているという状況も鑑みまして、食料自給率についてお伺いしたいと思います。 日本の食料自給率、これも農林水産基本データによりますと、カロリーベースで二十八年度で前年比一%減の三八%です。目標は三十七年度四五%としておりますけれども、TPP協定発効で輸入量が増えまして、農家の皆さんの不安を考えると、到底この目標は難しいのではないかと、そして更に落ち込んでいくのではないかと思われるのですが、今後の食料自給率についてどうお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
○大臣政務官(上月良祐君) 平成二十九年の十二月に公表いたしましたTPP11の定量的な影響試算におきましては、国内農林水産物の生産額への影響と併せまして食料自給率への影響もお示しをしたところでございます。 その中で食料自給率の水準は、平成二十八年度、カロリーベースで三八%、生産額ベースで六八%という水準と同程度となるということでお示しをさせていただいたところであります。一方で、委員御指摘のように、カロリーベースでは平成三十七年度で四五%、生産額ベースでは七三%に引き上げる目標というのを設定いたしております。 自給率を上げていくのは、どれか一つだけをやれば端的に効果が現れるというものではなくて、あらゆるものを常に改革を進め、様々な施策を打っていく必要があるというふうに考えておりまして、一つは国内外での国産農産物の消費拡大をまずきちっと図っていくということ、まあ食育の推進といったところからしっかりやっていく必要があると思っております。 また、消費者ニーズに対応した麦や大豆の生産拡大、こういったこともしていかなければいけませんし、飼料用米を輸入飼料と代替させていくためにも進めていく必要もあろうかと思っております。 また、付加価値の高い農産物で生産、販売や輸出も促進することで農家が持続的に生産ができるようにということもやる必要がありますし、それらのためにも優良農地を確保すること、あるいは担い手の育成、こういったこともしっかりやっていく必要があると思っております。 また、個別品目ごとにもいろいろ施策をやっていく必要があると思っておりまして、例えば消費が今減退をしております米につきましては、パック御飯といった食の簡便化志向にしっかり合っていくような対策というんでしょうか、対応をしていかなきゃいけない、あるいは健康志向等の消費者ニーズ、外食、中食、そういったニーズへ対応していくような米作りをしなきゃいけない。牛肉につきましても、消費者ニーズの多様化が様々ありますので、そういった多様化に対応した牛肉の生産や輸出促進等もしっかりやっていく必要があると思っております。野菜については、やっぱり加工や業務用野菜の生産基盤の強化、こういったことをしっかりやっていく。そういったことで、個別品目の対策についてもしっかりやっていく必要があると思っております。 こういう横断的な対策と個別品目ごとの対策をしっかり組み合わせて積極的にやっていく、そういったことで、自給率の向上に向けまして基本計画に基づいて各種の施策を総合的、計画的に進めていきたいと考えております。
○相原久美子君 内閣委員会で御一緒でした上月先生の御答弁ですので真摯に受け止めたいとは思いますけれども、しかし、自給率が変わらない、同程度というのに、本当ですかと私は疑問を抱かざるを得ないなと思っております。 保護主義がもたらした世界大戦、これは反省を口にする方もおりますけれども、天然資源の少ない日本の基幹産業である農林畜産業というのは、私は自給率確保のためにも一定のやっぱり関税による保護は必要なのではないかなと実は思っているのですね。それとも、政府としては、自由貿易の下で、国内生産で間に合わないんだったら輸入に頼ればいいじゃないかというようなお考えなのかなと。 皆さんも、オイルショックを経験していらっしゃる方もいらっしゃると思うんですね。実はあのとき、本当に様々な商品がなくなって、非常に国民生活に影響を与えた。予想のできない要因によって食料の供給が影響を受けるような場合を想定して対応を図るのも政府の役割である、これを指摘していかなければならないと思っておりますが、やはり食料自給率というのは、先ほどおっしゃっておりました飼料米等々ということよりは、基本的に人間が食べる、そのやっぱり担保をするということが一番重要なんだろうと思っております。 あわせて、食料の安全保障についても見解があればお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(上月良祐君) 食料の安定供給を将来にわたって確保していくということは、国家の国民に対する最も基本的な責務の一つだというふうに考えております。そういう意味で、食料安全保障というのは大変重要な御指摘だと思っております。 我が国において、食料・農業・農村基本法に基づいて、そこにどう書いてあるかというと、国内の農業生産の増大を図ることを基本とすると、これと輸入及び備蓄を適切に組み合わせると、そのことで食料の安定供給を確保するというふうに書いておりまして、これはTPP11の下でももちろん変わることではございません。 他方で、我が国の農業は、御案内のとおり、人口減少に伴いますマーケットの縮小が見込まれます、しております。そして、農業者の減少、あるいは高齢化の進行、耕作放棄地の増大といった大きな曲がり角にあることも事実でございます。 こういった中で、我が国の農業に活力を取り戻して若者たちが創意工夫を存分に発揮できる魅力ある成長産業にしていくためには、攻めと守りと、これが非常にバランスを取ってどっちもしっかりやっていかなければいけないと思っておりますが、特に消費者ニーズに応えた付加価値の高い農産物の生産、販売、先ほども申し上げましたけれども、あるいは、やっぱりこれからどんどん人口が伸びていく海外、成長著しい海外マーケットの開拓というものも是非やっていく必要があると思っておりまして、そのためにも農業の構造改革というものを進めていかなきゃいけないと思っております。 ここ数年、もう集中的にこれを進めておりまして、法案も大変たくさん、そういう意味では出させていただいておるわけですが、農林水産業や地域の活力創造プラン等に基づきまして、米政策の改革や六次産業化、輸出の促進、農地集積バンクによる農地の集積や集約化、それから、六十年ぶりになりますが、農協、JAの系統系につきましても改革をして、自己改革をやっていただくということでやっていただいております。 あと、生産資材価格の引下げや流通加工構造の改革など、農業者が自分で努力しても改革できないようなものは制度的にやっていく必要があるということで、農政全般にわたる改革を本当に精力的にここは進めさせていただいております。 それに加えて、TPPの関連政策大綱に基づいて、産地パワーアップ事業でありますとか畜産クラスター事業でありますとか、あるいは輸出拡大対策としてもう一歩のところまで来ております一兆円の目標でありますとか、そういったものを目標に置きつつ、体質強化策を取っております。あわせて、協定発効後の経営安定に万全を期するために経営安定対策の充実も図ったところであります。 こういったことを、やはり先ほどの自給率と同じ、裏腹かもしれませんが、総合的にきちっとやっていくことで、食料安全保障の確立というのは大変重要なことだと思いますので、しっかりやってまいりたいと考えております。
○相原久美子君 先日の連合審査でも、ここに今日いらっしゃいます藤木委員でしたか、自民党の議員からも、交渉の経過の情報が開示がないということで生産現場から非常に大きな不満や不信感が広がっていると指摘されました。民主党政権時の交渉参加の検討に当たって、当時野党であった自民党は、政府の情報提供が不十分であることを指摘されていました。 二〇一三年の衆参両院の農林水産委員会における決議では、「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。」、また二〇一六年のTPP協定等の特別委員会の衆議院における附帯決議には、「TPP協定の内容及び効果について広く国民の理解を得て、その不安を払拭するため、引き続き情報提供を積極的に行うとともに、わかりやすく丁寧な説明に努めること。」と、これは国会の意思が表明しました。 TPP11承認案が既に衆参両院で可決されている現段階で、この本委員会で行われているTPP11関連法案の審議が最後の機会となります。政府にあっては、是非、真摯でかつ丁寧、国民に分かりやすく説明を尽くしていただくことをまずはお願いしたいと思います。そして、関係者の皆さんが、これなら大丈夫、自分たちにとっても生産力アップの機会になるといった理解を得た上で、改めて発効手続のための関連法案の国会への提出を図ることが我が国の取るべき戦略であると思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(茂木敏充君) 国会の運営、委員会の運営につきましては委員会の御判断に委ねたいと、そのように思っておりますが、その上で、TPP12の大筋合意後、これまでの国会審議や三百四十四回にわたります説明会等で合意内容に関しては情報を幅広く提供して丁寧に説明、心掛けてきたところであります。この過程におきまして、協定の内容等に関する各資料、そして分野別や中小企業向けの資料など、計四千ページ以上に及ぶ資料も公表してございます。また、TPP11協定においても、協定文、そしてサイドレター、各国で結んでおります、これについても全て和訳付きで公表するとともに、会合ごとに情報を公表しておりまして、ダナンでの大筋合意に際して、また署名時にもその内容を公表するとともに、説明会等で合意内容について丁寧に説明をしてきているところであります。 政府としては、今後とも、一層の国民理解を得ることを目指して、引き続き丁寧な説明を行ってまいりたいと考えております。
○相原久美子君 丁寧というのは、相手が丁寧に説明していただいたと理解するのが丁寧です。情報の提供をただ単にしたということでは丁寧な説明とはなりません。まさに今、畜産それから農業、ここの方たちは、まだまだ自分たちが確信を持てるという情報の提供に接していないというような指摘がございます。是非そこを真摯に受け止めていただければと思います。 ちょっと時間がなくなりますので、ちょっと飛ばさせていただきます。農業分野の人材不足についてお伺いしたいと思います。 現状でさえ高齢化と人材不足が深刻化されている状態の中で、今後、政権がどう対応しているのか伺いたいと思います。 現在でも、技能実習制度の中で外国人労働者が全国の農畜産業の現場で働いております。これは、以前から指摘されていますように、自国に帰って習得した技術等を生かす、そういう制度でありますが、残念ながら単純労働に労働者として使われている例が多々あります。 今後、農業分野の人材不足に対応するために新たな外国人労働者政策を考えているのでしょうか、伺います。
○大臣政務官(上月良祐君) まず、農林水産分野においては就業者の減少、高齢化が大変進行しておりますので、経営者である担い手の確保とそれから経営を支える労働力としての労働をしていただく農業者の確保が、これはどちらも大きな課題になっていると思います。 そして、農林水産省としましては、まずはもちろん国内の特に若い方々に是非とも農業分野に入ってきていただきたいということで、青年就業者あるいは雇用就業者の就業に際しての支援、これ教育の部分から含めて、今一生懸命そういったことも取組をさせていただいております。 それから、新規就業者向けの相談活動に対する支援等により新規就業を促進しますとともに、やっぱりITも使わなきゃいけない、省力化もしなきゃいけないということで、その人手の前の前提として、できる限りロボットであるとかICT技術を使う、先端技術も、せっかく日本はこれだけ先端技術が進んでいるわけですから、そういったことによる生産性の向上といったことも推進をしております。 加えて、当面の人材不足に対応する観点から、私も茨城県なもので、大きな農業県でございますので、たくさん外国人研修生の方も農業分野では一番使わせていただいておるんでありますけれども、当面の人材不足に対応する観点からは外国人材の受入れについても議論ももちろんしておりまして、例えば、今、即戦力となる外国人材を労働力として受け入れます国家戦略特区の農業支援外国人受入事業が創設をされましたので、活用が今始められつつあるという、そういった段階にあります。 こういった施策を通じて、農林水産の担い手の確保、育成と併せて、担い手の経営発展とともに必要となる人材、こういったものを確保していきたいと考えております。
○相原久美子君 人口減少というのは我々の日本においては避けられない現実だろうと思っていますし、労働力不足というのもこれは伴った形で出てくるとは思います。ただ、非常に諮問会議等々では安易に外国人労働ということを言っていらっしゃる方たちがいらっしゃるということは、本当に私どもはしっかりと考えて対応していかなければならないと、ここは指摘させていただきたいと思います。 そして、関連いたしまして、今月発表されました経済財政諮問会議の経済財政運営と改革の基本方針二〇一八について一言申し上げたいと思います。 この基本方針で、新たな外国人材の受入れが提示されておりますけれども、この間、安倍政権は、成長戦略のために外国人材の活用を多用しています。この表現は私は改めるべきだと思っています。女性活用と言われてうたわれたときも、本当に多くの女性の反感を買いました。女性も外国人労働者も商品ではありません。特に、この方針に掲げられている外国人は、労働者として、生活者として人権があります。 活用という言葉は人権国として使うべきではないということを指摘したいと思いますが、いかがでしょうか。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) 今御指摘のありました受入れにつきましては、深刻な人手不足に対応するために、現行の専門的、技術的な分野における外国人材の受入れ制度を拡充をして、真に必要な分野に限定して一定の専門性、技能を有し即戦力となる外国人材を受け入れようとするものであります。 今後、骨太の方針二〇一八に新たな外国人材の受入れのための在留資格の創設等が盛り込まれたことを受けまして、まずは出入国管理及び難民認定法の改正を含む新たな受入れ制度について、法務省始め関係省庁等において速やかに検討を進めていくものと承知をしております。 また、今御指摘の労働者に対する不当な取扱いが行われることがないように、骨太の方針二〇一八においても、新たに受け入れる外国人材の保護や円滑な受入れを可能とするために、的確な在留管理、雇用管理を実施することとしております。 政府としては、人手不足の改善に加えて、外国人が円滑に共生できるような社会の実現を目指して、引き続き関係省庁等とともに受入れ制度の構築を進めてまいりたいというふうに思います。
○相原久美子君 私、外国人材を受け入れることに対してどういう方向性なのかということを確認しているわけではないんです。少なからず人間を、人を活用という言葉で書き表すということに対して反省を求めているわけです。この骨太の方針もそうでしたし、それから女性活用のところもそうでしたけれども、やっぱりまずは基本をしっかりと受け止めていただきたいと思います。 これはちょっと私の質問通告の内容が違ったかもしれませんけれども、野上さんであれば私はそこは受け止めて、しっかりとこの言葉に対するやっぱり思いは語っていただけるのではないかと思うのですが、改めて、こういう人を活用するという言葉の使い方、政府として使うべきではないと思っているのですが、いかがでしょうか。
○内閣官房副長官(野上浩太郎君) 申し訳ありません、ちょっと通告受けておりませんでしたので、今詳細な答弁はできないと思いますが、ただ、今申し上げました外国人材について受入れを拡大していくという趣旨につきましては、今申し上げたところでございます。
○相原久美子君 再度指摘だけはさせていただきたいと思います。 これは、そこに座っていらっしゃる皆さんも含めて、私どももそうです、人を活用するという言い回しというのはやっぱり人権を無視しているとしか思えませんので、ここは気を付けていただければと思います。 最後になるかと思います。 またちょっと農業分野についてお伺いしたいと思います。八番でお願いしていた国内対策についてでございます。 農業分野における影響評価について、多くの委員が指摘しておりましたけれども、納得のいく答弁ではないので、再度お伺いしたいと思います。 先日、礒崎副大臣が、輸入品と国産品の競合関係を踏まえて、国内対策の効果を考慮しながら積み上げて試算をし、九百億円から一千五百億円の影響であると答弁されました。 しかし、国民的に言っても、私にとっても、なかなかこの試算、理解ができないんですね。本来は、どれだけの影響が出るからそれに対応する国内対策をするという、その後でのやっぱり評価なんだろうと思うんですね。ところが、当初から、影響がどの程度出るか分からないのに、国内対策を打ったということを前提としてこの九百から千五百億円の範囲内に国内対策をという、いつからいつまでの対策と考えてこの政策対応、いわゆる前提の対応ですね、九百から一千五百の、そこの部分について御説明をいただきたいのと、また、現在の生産量は維持されるとの答弁もありましたけれども、その根拠についても伺いたいなと思います。 白議員が前回指摘しましたように、人は胃袋四つも五つもあるわけではありませんので、いや、生産量は維持される、輸入量も一定増えてくるという根拠がちょっと不明確なんですね。是非そこの部分についてお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(上月良祐君) 何点かあったと思いますけれども、まず、影響試算につきましては、これはもう累次御説明をいたしておりますが、現実に起こり得る影響を試算すべきものと考えておりますので、国内対策の効果も併せて考えることが適切だというふうに考えて、国内対策なしの試算ではなくて国内対策をやった上での試算ということで出させていただいているところでありまして、その国内対策といいますのは、一番長いホエー、二十一年でありますけれども、そこまでの間の、長い間の、最後の結論としてこれぐらいになるという、対策も当然その間に累次打っていくわけでありますけれども、そういった対策を踏まえての影響ということで出させていただいているところであります。 あと、国内生産の量との関係でいいましたらば、置き換わりのところを見ておりますので、置き換わりは来年全部の効果が出るわけではなくて、十年以上、長いものであると二十年以上というんでしょうか、それぐらいの期間を掛けて徐々に出てくるものにきちっと対策を取ることで、こちらの方も、国内生産物の方もきちっと競争力を確保することで、今と同じ、置き換わるような形ではないということで示させていただいているところでございます。
○相原久美子君 やっぱり、ちょっと理解ができないんですね。国内対策をしてから影響がどのぐらい出るかということ、本来でいえば、やっぱり輸入をすることによってどれだけの影響が出る、だから、どれだけの対策を打ってそれをゼロにするということなんじゃないかなというふうに思っておりまして、ここについてはまた再度質問をさせていただきたいと思います。 時間が来ましたので、終わりたいと思います。ありがとうございました。
○委員長(柘植芳文君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午後零時六分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(柘植芳文君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、藤木眞也君が委員を辞任され、その補欠として野上浩太郎君が選任されました。 ─────────────
○委員長(柘植芳文君) 休憩前に引き続き、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○田村智子君 日本共産党の田村智子です。 私も冒頭、あの十九日の連合審査での茂木大臣の答弁についてやはり一言申し上げなければなりません。 我が党紙議員が、午前中に私も指摘しましたマハティール首相の再協議ということにも触れて質問をいたしましたところ、大臣は、マハティール首相がなぜ発言をされたかについては是非御本人に御確認いただきたいという答弁でした。 そしてまた、カナダが対日輸出量が八・六%増加する、その大半が農林水産物だというふうに言っていると、こういうことについてもどうなんだと見解をお聞きしましたら、カナダの試算が正しいという根拠をお持ちでしたら是非御質問くださいという答弁で、ちょっとこれは本当に驚きました。 昨日の理事懇談会でも私このことを指摘したんですけれども、例えば、この輸入量のどうなるか、これ本法案の肝とも言える問題で、他国の政府が対日輸出増の試算を示していれば、そのことを指摘して質問するのは当たり前のことだと思うわけですよ。その根拠を、他国の政府の試算の根拠を示して質問せいというのは、これは事実上答弁拒否と言えるようなことだというふうに思うんですね。 一言、まず茂木大臣に求めたいと思います。
○国務大臣(茂木敏充君) 答弁はできる限り簡潔にと何度かこの委員会でも御指摘をいただいておりましたので、そのように答弁をさせていただきました。 ただいま御指摘のような御意見があるのであれば、今後一層丁寧な答弁を心掛けてまいりたいと考えております。
○田村智子君 ちょっと、これは簡潔ということではないと思いますからね。ここで改めてはやりませんけれども、簡潔ということと失礼は違います。 意見の違いがあるのは分かりますよ。私たちはTPPをずっと批判をしてきましたので、恐らく大臣と私たちは見解や立場が相当異なるでしょう。だけれども、その異なる立場で私たちが懸念を示せば、そのことについて大臣としての見解をお示しになるということをやっていただかなければ、これは議論になっていかないわけですよ。民主主義ですから、立場が違う、意見が違うのが前提での議論だと思います。 立場が違うことをもって切って捨てるようなことは是非ともやめていただいて、様々な出されている懸念や私たちの指摘に対しても真摯に耳を傾けて御答弁いただきたいということは重ねて要求しておきたいというふうに思います。 まず、中身での質問では、やはりこの間ずっと、今日も午前中も議論になっていましたTPP11の六条の見直しの規定なんです。 これまでの答弁読み直してみても、やっぱりよく分からないんですよ。TPPつまり12が発効する、つまり米国が、アメリカがTPPに戻ってくることになれば見直しを、そのための協議をやる、これは分かりますね。TPP11がある意味、そのTPPの中身を含んでいますから、11をTPPの中に融合するのかどうか、そういう協議が必要になるというのは分かるんですけれども、アメリカがTPPに戻ってこない、このことが決定的になったときも見直しと。だけど、元々TPPはイレブンで、アメリカ抜きの協議で進めているわけですから、最初からアメリカ抜きの条件でいろんなことを決めているはずなんですね。そのときに、アメリカがTPPに戻らないことがはっきりしたというときにもう一度見直しを行いますと、これはどういう意味なのか、どういう条件のときにアメリカが戻ってこないとみなして何を協議するということになるのか、御答弁ください。
○政府参考人(澁谷和久君) お答え申し上げます。 第六条、先生御指摘のとおり、アメリカがTPP例えば12に戻ってくるということになりますと、12も発効して11も生きているとなりますと、これ完全に例えばTPPワイド枠がダブルになってしまいますので、これは何としても調整が必要だという、そういう趣旨でございます。 そうじゃない場合というのは、なかなかアメリカの今後の通商政策、予断して申し上げることもなかなか難しい上に、政府としてそういうことを実際に予見しているのかということを言うのもややためらうところがありますので、それでなかなかはっきり申し上げにくいところがあるんですけれども、いずれにしましても、皆さん方の懸念は、TPPワイドの枠、それからセーフガードの枠数量でありますけれども、これが結局、アメリカを含むことを前提に入れたものが、結果としてTPP11の外で同じような枠ができて、結果として当初想定した枠以上の枠になってしまうということを皆さん懸念されている、そういうような事態がアメリカの通商政策の動向によって現実のものとなるという可能性が高い場合には、我が国としては、これは一つの締約国の判断で六条の見直し要請ができますので、我が国としてはそうした場合には六条の見直しの協議の要請をすると、このように考えております。
○田村智子君 だから、そこが本当にそもそもの矛盾で、もうイレブンでアメリカ抜きなんだから、最初からセーフガードの枠についても見直し求めればよかったんですよ、日本の側が。それを求めないで、TPP12のアメリカが入った状態のままで、セーフガード発動の基準というのもそのままにしちゃっていて、訳の分からない見直し規定になっていると言わざるを得ないんですけれども。 ちょっと改めて確認したいんですけれども、それじゃ、TPPそのものがもう発効しない、アメリカが戻らないというふうに判断されたとき、何を日本側は見直しの対象として求めたのか。大臣は発言、しっかりやったんだ、何度もやったんだというふうに言われていますので、もうちょっと具体的に示していただきたいんですよね。何を見直しを必要だというふうに主張されて、それが確認されたという御判断なのか。
○政府参考人(澁谷和久君) 昨年の三月以降、私も含めて関係国にずっと働きかけ、それから協議、調整を行ってきたところでありますけれども、我が国としては、第六条を発動する必要が生じた場合にはTPP全ての締約国、これTPP12ですけれども、TPP12の全ての締約国を対象とした関税割当ての数量及びセーフガード措置の発動基準数量、これを見直すということを明言をしているところでございます。すなわち、第六条を発動した場合には、TPP11協定の枠数量、それからセーフガードの発動基準数量、数量そのものを我が国としては見直しをしたいということを明確に各国に伝えているということでございます。
○田村智子君 それで、じゃ、それがいつ判断されて見直しを求めるかということについても、これまでの答弁の中では、アメリカがTPP11の加盟国と個別の交渉などをもう結んでいくというふうになったらTPPには戻らないという判断ができるんだというような答弁もあったやに聞いています。でも、もう日米で交渉始まっているんですから、これTPPに戻らないという判断が近々もうできるということじゃないかとも思うんですけれども、いかがですか。
○政府参考人(澁谷和久君) 日米というのはFFRのことだと思いますけれども、FFR、議題そのものも含めてまだ調整中でございます。どういう議論をするかということも含めて、これからの議論ということでございます。 先ほど私が冒頭の御答弁で申し上げましたとおり、乳製品などのTPPワイドの枠がTPP11の外で同じような感じで枠が出てしまうという、そういう事態が現実のものとなるような場合ということでございますので、まだFFRでそういう議論がされるということは何ら決まっておりませんので、まだそういう段階ではないというふうに考えております。
○田村智子君 それを議論しないで何を議論するんでしょうか。アメリカから何を輸入しということの議論になるんじゃないんですかね、TPPではない議論をするわけですから。本当におかしな答弁だというふうに思うんですけれども。 大臣にもお聞きしたいんですけど、これまでもずっと、じゃ、その主張されたという輸入量の数量、セーフガード発動基準、これがもう見直しになるんだと、アメリカが戻らないという判断ができた場合にはということなんですけれども、私たちはそれを示す文書が何もないじゃないかということで野党が追及をずっとやっているわけですけれども、そもそも私、疑問なんですけれども、TPP11は秘密交渉じゃないわけですよね。それじゃ、例えばその会議録を作ってちゃんと確認をしましょうよと、もちろん公表するしないの判断っていろいろあるかもしれませんけれども、少なくとも会議録を作るということを、大臣は共同議長も務められたわけですから、なぜ日本側はそのことを主張されなかったんでしょう。会議録必要だと、協議の中身をちゃんと記録することが。そのことをお聞きしたいんですけど。
○国務大臣(茂木敏充君) TPP11につきましては、米国、昨年の一月二十三日に離脱を表明したわけでありますが、それ以降、昨年の三月に、米国抜きでもこのTPP進めていくことが大変重要である、こういう参加国で認識を共有して、結束を固め、当然各国様々な利害関係があったわけでありますが、それを調整した上で、ハイスタンダードかつバランスの取れた合意ができたと考えております。 その調整の結果、合意した内容につきましてはしっかりと協定等に反映をされております。そして、協定文、さらにはサイドレター、これも公表いたしまして、それを日本文にもしております。また、記者会見等でその内容についての説明も行っております。さらに、首席交渉官会合、四回にわたって開催をされました。そのうち三回は日本で開催をいたしておりますが、こういった首席交渉官会合や閣僚レベルでも個別の協議も行いました。そういった会談の後には、できる限りその概要説明をしているところであります。 なお、合意に至ります詳細な経過につきましては、相手国との信頼関係、さらには、今後、類似の交渉案件、こういったものも出てくる可能性もあるわけでありまして、そういったことへの悪影響等々も考え、慎重な取扱いが必要だと、このように考えております。
○田村智子君 大臣、丁寧な答弁というのと聞いていないことにいろいろお答えになるということはちょっと違いますのでね。私が聞いたのは議事録作成をなぜ主張しなかったのかですから、最後のセンテンスのところだけで十分だったわけなんですけれども。 いや、生じる悪影響といえば、議事録を作成しないことによって生じる悪影響は大きいと思うわけですよ、言った言わないという話にならないようにするためにも。もうこれ聞いても、作っていないと、交渉事だから様々な相手国との関係もありということになっちゃうのかもしれないんですけど、これ、午前中やっぱり議論があったんですけれども。 じゃ、正式な議事録はないにしても、日本側は大臣が御発言になったものは原稿があるでしょう、発言されているんだから。それに、日本側が、その発言に対してどういう対応を、誰がどういうふうに言ったか等々の記録というのを取っていないとは到底思えないわけですよ。これ、あるでしょう。少なくとも大臣が何を発言されたのかというのは原稿としてあるでしょう。また、その記録についてもどうなのか、あるのかないのか、ここをお答えください。
○国務大臣(茂木敏充君) 御指摘の発言の内容につきましては、第六条、これが発動する必要が生じた場合、我が国としては、TPP全ての締約国を対象とした関税割当て数量及びセーフガード措置の発動基準数量、これを見直すということをダナンの閣僚会合の際もしっかりと申し上げたところであります。 そして、先ほども答弁させていただきましたが、最終的に合意した内容についてはしっかりと協定等に反映をされておりまして、その協定文、さらにはサイドレター等も公表して、記者会見等でもその内容についてしっかり説明させていただいております。
○田村智子君 それは答えていないんですよ。 だから、大臣が発言されたのも、じゃ、その輸入量の数量やセーフガードの発動基準についての見直しをというのはどういうニュアンスで、なぜその見直しが必要というふうな御趣旨で発言をされたのかということを確認したいですよ。 だって、ほかの国にしてみたら、元々アメリカ抜きのじゃないかと、それで、日本はそもそもアメリカ抜きだと分かっていてセーフガードの見直しも発動基準の見直しも国別の輸入数量等々の見直しも求めなかったわけですから。それを求めずして協定が合意になっていると。にもかかわらず、アメリカが入らない協定の下でですよ、なのに、アメリカがTPPに入らないということが明らかになったときに、見直しをお願いしますと言うときに、その合理的な説明が必要になるでしょう、普通考えたら。 それをどんなふうに御説明されたのか、これ、何か記録見ないと私たち確認できないわけですよ、どういう条件付で主張されたのか。だから、あるでしょうと聞いているんですよ、発言されているんだから。そんな、大臣が外交交渉の場で何にも持たずに発言されるんですか。当然そのTPPの皆さんの中で確認されて、政府の方針として確認したものがあって、それに基づいて発言されているでしょう。それがあるでしょうと聞いているんですよ。
○国務大臣(茂木敏充君) 発言した内容につきましては、先ほど明確に答弁をさせていただいたとおりであります。 そして、詳細については申し上げられない部分はありますが、我が国と同様のTPPワイド枠を持っている国、それはほかにもあると承知をいたしております。そして、これはダナンの閣僚会合だけではなくて、昨年の三月のチリでの首席交渉官会合以降、首席交渉官及び澁谷統括官から会合のたびに、あるいは関係国の首席交渉官が来日するたびに説明をして、我が国の考え方を理解を一つ一つ得てきたところでありまして、さらには、ダナンの会合の直前の舞浜での首席交渉官会合までに主要国との間の理解、これが事務レベルで得られていると、こういうことを踏まえて、確認の意味でダナンの首席交渉官会合におきまして私の方からそのような趣旨の発言をさせていただきました。
○田村智子君 やっぱりお答えになっていないんですよ。 出してくれとか言っているわけじゃなくて、記録があるでしょうと聞いているんです。記録はありますよね、発言した中身の記録。その会議の日本側が何か取った記録、ありますよね。
○国務大臣(茂木敏充君) ダナンの閣僚会合、これにおきましては、閣僚会合が開始される以前に、各国間で議事録を作りますと、こういう合意をして、閣僚会合終わってからその内容について確認を取った、そういった意味での議事録はございません。
○田村智子君 それは分かっているんです。日本側が取った記録があるでしょうと聞いているんです。
○国務大臣(茂木敏充君) 何度も恐縮でありますが、様々な会合での詳細なやり取りと、これにつきましては、相手国との信頼関係もあります。相手国がどういう主張をしたかと、それに対してこちらがどういう主張をしたかと、まさに外交上のやり取りでありまして、相手国との信頼関係も出てまいります。 そして、こういった交渉、今後我が国として様々な経済連携協定を進めていく、こういった中で類似の交渉案件、これが今後出てくる、それに対する悪影響を与えることがないように慎重に対応したいと思っております。
○田村智子君 いや、済みません、ここでこんなに時間を食うと思っていなかったので。 出してくれとか言っているんじゃないんですよ。出したら、それは相手国との関係で機密文書とかということはあり得るでしょう。政府側の記録があるでしょうと聞いているだけなんですよ。
○国務大臣(茂木敏充君) 先ほどから申し上げておりますように、各国で合意をした、そして内容を確認した正式な議事録というのはございません。
○田村智子君 委員長、済みませんが、これ、私、議事録を聞いているわけじゃないんですよ。日本側がメモしたものとか、だって、外交交渉っていろいろあるじゃないですか、確認しなくたって記録として政府側が取っているものって。なかったらおかしいですよ、そんなの。 この国会、加計学園、森友学園の問題で、安倍政権の中でだって言った言わないと、省庁の側が片っ方記録が残っていると、それに対して内閣府は自分のところは記録がないから分からないとか言っているわけですよね。これ、まあレベルが違うので、外交はこんな低レベルな話じゃないとは思いますけれども、それにしたって、日本側の記録があるのかないのかぐらいちゃんと答弁してくださいよ。
○委員長(柘植芳文君) 大臣、明確な答弁をお願いいたします。
○国務大臣(茂木敏充君) 相手国との証拠という形でおっしゃっているんだと思いますけれど、そういったものがあるなしにかかわらず、基本的に、じゃ、例えば仮に日本がメモを持っていましたと、誰かがメモを作りましたと、それは恐らく今後見直しを行う際に、それは日本のメモでしょうと。それよりも、きちんとそういった会議の場で発言をさせていただく、それに先立って、累次の会合におきまして事務レベルでも日本側の主張をし相手の理解を得る、そして様々な利害関係を日本が主導して調整をしてきた、こういう各国との信頼関係と、これに基づいて見直しというのは行っていきたいと思っております。
○田村智子君 済みません、時間が来ちゃって、上月先生に来ていただいて、私、輸入量の問題等々を質問したかったんですけれども、まさかここでこんなに時間取るとは率直に思わなくて、大変農水省の皆さんもごめんなさい、申し訳なかったです。次回、たっぷりその輸入の枠のことについては御質問をしたいというふうに思います。 それと、ちょっとこれは本当困りますよ。もし日本側のメモでしょうなんて言われてしまうんだなんて答弁だったら、だったら何で議事録を作ることを主張しなかったのかということにもなるわけですから、ちょっと今の大臣の答弁についても次回また取り上げさせていただきます。 終わります。
○清水貴之君 日本維新の会の清水です。どうぞよろしくお願いいたします。 前回の委員会での質疑に続きまして、このTPPの大綱にも入っておりますクールジャパンの日本の戦略、そしてクールジャパン機構について質問をしていきたいと思います。 まず初めに、これは前回でも質問をしたんですが、日本発のハリウッド映画を作るということで設立されました、結局その後売却をされているANEW、オールニッポン・エンタテインメントワークスなんですが、これまでの投資額、そして事業の売却額、教えてもらえますでしょうか。
○政府参考人(吉田博史君) お答えいたします。 株式会社オールニッポン・エンタテインメントワークスは、コンテンツの海外市場展開を行うことを目的に、日本のコンテンツを原作としたグローバル市場向けのリメーク映画等の共同プロデュースを行っている企業であります。 この会社は平成二十三年十月に設立され、産業革新機構より二十二億二千万円の出資を受けています。その後、平成二十九年五月に全株式を三千四百万円で売却してございます。
○清水貴之君 ということは、投資が二十二億、三千四百万円で売ったということは、もうほぼほぼ二十二億円弱の損失が出たということですね。何か成果が生まれていたらいいんですけど、結局、映画は七本作ると言ってこれは一本も作られていないということです。 何か意義があったんですか、この会社のこの事業はとこの前お聞きしたら、権利処理等のノウハウ蓄積など一定の成果はあったという答弁をされました。権利処理の蓄積、ノウハウ、どんなものなんでしょうか。
○政府参考人(吉田博史君) お答えいたします。 国内コンテンツの海外におけるリメークに際しては、既存作品の権利の整理、処理が必要であります。株式会社オールニッポン・エンタテインメントワークスの投資事業の中でこうした権利関係の調整、整理を行うことで、海外のリメークを実施する際の経験、ノウハウが蓄積されたものと認識しております。
○清水貴之君 それは二十二億円出して手に入れる必要のあるノウハウなんでしょうか。
○政府参考人(吉田博史君) こういう面で一定のノウハウの蓄積はあったと考えておりますが、私どもとしても、投資としてはうまくいかなかったものとは認識してございます。
○清水貴之君 その権利関係のノウハウは、その後、今後どうやって生かしていくんでしょうか。
○政府参考人(吉田博史君) 同社が、産業革新機構が出資している期間中に企画開発を行った案件が複数ございます。そこに我が国の企業というのも参加してございますので、そういう中でそのノウハウが生かされることになると考えております。
○清水貴之君 それは同じような話なんですか。日本の映画をリメークして外に出す、それは同じ、今回蓄積したノウハウが生かせる、同じようなことが次に生きてくるという話になるんですか。
○政府参考人(吉田博史君) 映画の海外におけるリメークに際しましては、まず企画立案をして、そこからまず権利処理をして、それで権利を使える形にした上で、そこから今度は脚本制作、そしてそれを販売ライセンスをして、その販売先で制作するというような流れになってございます。 そのうち、この権利処理におきましては、既存作品の原作者とか脚本家における著作権、著作者人格権の権利処理が必要になりますので、その点におきましても、もちろん個別の作品において様々なケースがあるかと思いますけれども、ノウハウというのは活用できるものと考えております。
○清水貴之君 サンディ・クライマン氏、御存じでしょうか。
○政府参考人(吉田博史君) 済みません、もう一度お願いします。
○清水貴之君 サンディ・クライマン氏、サンディ・クライマンです。
○政府参考人(吉田博史君) 株式会社オールニッポン・エンタテインメントワークスの社長をなさっていた方と承知しております。
○清水貴之君 その方は今はどういう立場に、何をされているんでしょうか。
○政府参考人(吉田博史君) その後、産業革新機構が株式を売却して以降、同社あるいはその方がどうなさっているかということについては承知しておりません。
○清水貴之君 このサンディ・クライマン氏、そのANEWのCEOを務めていらっしゃいました。結局二十二億円使って何も残念ながらできなかった方ですけれども。この方以外にも、アンマリー・ベイリー氏、ニコラス・ザバリー氏、鈴木萌子さんという、このANEWで幹部を務めていた皆さんが、日本のスマホのゲーム会社アカツキという会社の子会社アカツキ・エンターテインメントのUSA、アメリカの会社のそれぞれ代表取締役などに、幹部に就かれているわけですね。サンディ・クライマンさんというのもそのアドバイザーとして就任されているという話なんですが、こういった動きというのは御存じでしょうか。
○政府参考人(吉田博史君) 承知しておりません。
○清水貴之君 これ、アカツキ・エンタメという新しくつくったこの会社、もう同じなんですね。ANEWで幹部を務めていた皆さんが全く違う会社をアメリカで同じメンバーでつくっているんですが、これ事業内容が、説明のところを見ると、日本とハリウッドの橋渡し役と、同じことをやろうとしているわけですね。 ということは、先ほどおっしゃった、例えば二十二億使って、五、六年で結局、まあノウハウは蓄積されたという話ですが、成果は出なかったわけですね。で、そのノウハウだとか、例えばその時点で種をまいていたことがあったとしたら、今度新しくつくった会社でそれがある意味生かされるなり使われるなりしたら、この日本の使った、この国の税金を使った二十二億というのが私は非常に無駄になって、結局そこでかすめ取られて、いいところだけということになってしまうんじゃないかというふうに思うわけですね。 この辺りはしっかり見ていくべきではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(吉田博史君) 産業革新機構から株式会社オールニッポン・エンタテインメントワークスに対する出資については、当時の産活法の規定に基づき、支援基準に従って、社会ニーズへの対応性、成長性、革新性の観点から産業革新機構が評価し、出資決定したと思っております。 さらに、その売却についても産業革新機構における判断において行われたものでございますけれども、それぞれ個別の案件についてはどうしても、全てが投資でございますので、うまくいかない場合もございます。 産業革新機構の投資につきましては、いろんなリスクの程度が異なる様々な案件を組み合わせて全体としては収益を確保するということを目指しており、機構全体の収支としてはプラスをしているという状況でございます。
○清水貴之君 質問にちゃんと、かみ合っていないなというふうに思うんですけれども。 新しい会社ができて同じようなことをしようとしているわけですね。おっしゃるとおり、投資ですから成功することもあれば失敗することも、これはもちろん理解はしているんですけれども、でも一方で、投資だけして、もうある程度一定のところでああもう駄目だって売った後にまた同じようなことをされていて、こっちの方で利益を出されてしまったら、じゃ、これまで六、七年やっていたことは何だったんだということになるわけです。 ですから、もう売却しているから関係ないと、もうあとは民間会社のことだからということなのかもしれませんけれども、僕はここはしっかりと、こういう方を雇った責任もあるわけです、二十二億も投じた責任もあるわけですから、しっかり見ていくべきではないかというふうに思うんですけれども、これはいかがですか。
○政府参考人(吉田博史君) そのときに、投資している間に培ったノウハウというのが新しい会社の方でもしそれが活用しているという指摘であれば、それはもちろん、それがおっしゃるとおり二十二億の価値があったのかどうかということは別としても、一つの成果ではないかと思いますが、それは、済みません、御指摘の趣旨をよく理解していなかったら申し訳ないんですが、その間に蓄積したノウハウを何らかの形で生かしていくということにはつながっているのではないかと考えますが。
○清水貴之君 そのつながっているは、ただ、国が、このANEWをこのクールジャパン機構がやっているときには生きなかったわけですね。で、全く新しい民間企業で今度はそれが生かされるということは、形としてはこれはもう当然あり得るのかもしれませんけど、何かやっぱりすっきりしないところがあるわけですね。(発言する者あり)そう、食い物にもうされてしまっているなというふうに思うわけですね。この辺りをしっかりチェックしていただきたいなと思うんですけれども。
○政府参考人(吉田博史君) 御指摘のような面はあるかと思いますが、一般論として申し上げますと、映画の海外におけるリメークの企画開発、やはりどうしても時間が掛かるということがございますので、そういう点も考慮しなければならないかと思っております。
○清水貴之君 いや、ということは、ごめんなさい、時間掛かるのは分かっています、映画ですから。でも、ここで売却をしてしまったわけですね。じゃ、時間掛かってもし成功する可能性があるならば、売却などせずに、まだ五年、十年延ばしてちゃんと収益を取ってから売却する、若しくは会社を残しておけばよかったわけですね。もう駄目だと思ったから売ったわけですよね。それは、ですからちょっと違うんじゃないかと思いますけど、いかがですか。
○政府参考人(吉田博史君) 同社は全体で七本の、産業革新機構が出資している間に七本の企画開発を行っておりますが、やはり権利処理の、あるいは整理ということに時間が掛かりまして、そのうち共同開発契約を締結した第一号というのが二十八年十月ということで、やっと一本出た状況でございます。そういう形で一つの成果が上がった段階で産業革新機構としてはエグジットをする判断をしたということかと思っております。
○清水貴之君 ここ、そんなに粘るつもりなかったんですけど。 ということは、二十八年に一つ結んだわけですね。これが、じゃ、今実が出ました、成功しましたとなったら、リターンというのはあるんですか、クールジャパン機構、産業革新機構若しくは国に。
○政府参考人(吉田博史君) 二十九年五月に三千四百万で売却を決定しておりますので、その時点で本件に関する投資の収支というのは確定しているかと存じます。
○清水貴之君 それはそうですよね。ということは、結局そこで権利、何か契約を結んだとしていても、もう売ってしまっているわけですから、それは次に全くつながらない話ですよねということになると思うんですけど。 ちょっとポイントを変えて、じゃ、結果的に投資は、でも、うまくいかなかったというのは認めていらっしゃいますけれども、この責任というのは誰がどのように取る、若しくは取ったんでしょうか。
○政府参考人(江崎禎英君) お答えいたします。 まずクールジャパン機構でございますけれども、これに関して申し上げますけれども、株式会社形態を取っておりますので、その経営責任につきましては一義的には会社法などの法令、法規に基づいて判断されることになります。 ただし、クールジャパン機構は、民間が投資をためらうようなハイリスクな事業を支援することで文化や商慣行が異なる地域を対象とした事業化の可能性を広げること、これを目的にしております。したがいまして、案件の難易度は必然的に高くなります。 このため、監督官庁としましては、クールジャパン機構の適切な運営に向けて、株式会社海外需要開拓支援機構法、いわゆる機構法ですけれども、この法律に基づきまして、年度ごとにクールジャパン機構からの事業報告を受けて、業務実績の評価や必要な監督命令を行います。さらに、官民ファンド幹事会、これは閣議決定された幹事会でございますけれども、半年ごとに行われる官民ファンド横串での業務状況や収益性に関する検証も踏まえて適切な措置を講ずることとしております。 以上です。
○清水貴之君 次に、同じような案件というか、出資している案件で、マレーシアのジャパン・モールですね、マレーシアの伊勢丹ジャパンですけれども、これは二〇一六年開業で、残念ながら、もうたった一年半で、今月末ですね、これ株を売ってしまうということなんですね。 これは、幾ら出資をして幾ら回収することになるんでしょうか。
○政府参考人(江崎禎英君) 御指摘のジャパン・ストア事業でございますけれども、これは今御指摘のように、日本最先端のライフスタイルを発信することを元に始まったものでございます。当初は日本食やファッションの一部が好評だったんですけれども、他部門の赤字の苦戦により、今回エグジットをするということになったものでございます。 ただし、個別の金額につきましては、実際今、売却等の関係で申し上げるわけにはいきませんけれども、一つの形として、これは元々、伊勢丹の現地を抜本改正して、上から下まで全て日本のブランドで統一するというものでございました。したがって、今回は現地別法人との一体化を図るということで伊勢丹全体での事業再建を図るということになって、株式を売却したということになります。 金額については、申し訳ございませんが、公表はできません。 以上です。
○清水貴之君 支援、これ決定額、十億七千万出しているわけですね。ということは、幾らか分かりませんが、それ以上高いことはもちろんないと思いますから、これはこれでもう損失が出るわけで、しかもたった一年半で撤退です。 さっきおっしゃったような業務形態という、まあこれ、残念ながら僕これ行ったことがないので実際には見ていない、目にしていませんが、ネットとかで評判を見ますと、本当にお客さんがもうほとんどいない状況で、しかも、日本のものだけじゃなくて、ディズニーのものが並んでいる、レゴが並んでいる、決して日本を一推しでという感じでもなかったという話も聞いております。 この案件で僕が問題だなと思うのは、先ほどおっしゃったとおり、やっぱりなかなか民間ではなし得にくいところ、リスクがあるところを、官だからということで一緒になってやっていくというのがこういう官民ファンドであったりクールジャパンの戦略だというふうに思うんです。それは理解しているんですが、ただ、これ、三越伊勢丹ホールディングス、非常に大きな日本を代表する大企業です。ほかにも、浙江省で阪急百貨店、エイチ・ツー・オーリテイリングと、これ百十億、一緒にやると、この後時間があったらやりたいんですが、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ソニー系列とも一緒にやる。本当に、そんな大企業が自力でもできそうな案件に果たして官が一緒に乗ってやる必要があるのかなと思いますけれども、これはいかがですか。
○政府参考人(江崎禎英君) 御指摘のとおり、まさに大企業が相手ではありますけれども、その大企業に任せていたのでは進まないということもありますし、全館統一して日本のブランドで占めるというのは初めてのことでございます。 報道等で確かに人がいないフロアもありますけれども、食品とかメンズファッションのところは結構いっぱいになっていまして、現地の方からもそこだけを指摘するのはどうかという議論が出てくるものでございます。 ただ、もう一点申し上げたいのは、実は、一年ということでありますけれども、実際投資をして状況が変わったのであれば、そのまさに毀損をする額を減らすための取組だとか、そういう形によって、議論を重ねて、実は継続その他もかなりやりました。ただ、実際には一括、ほかの店舗とも一緒に、一体の方が経営上やりやすいということで、今回我々は撤退をし、その代わり、毀損する額を最小限にとどめてエグジットすると、そういう判断に至ったものでございます。
○清水貴之君 何かエグジットと言うと格好いい、何かもう成功してここでもう退出だみたいな感じになりますけど、売却ですからね、これは、損失が出るわけですから、何かそんな甘いものではないなというふうに感じるわけですが。 もう一点、ジャパン・チャンネルというのがあります。ワクワク・ジャパンというもので、これもクールジャパン機構が最大四十四億出資すると、スカパーJSATと共同出資して日本のテレビ番組とかコンテンツを海外で配信するというものですが、ここも大変状況が厳しいというふうに聞いていますが、今はどんな状況でこれ運営されているんでしょうか。
○政府参考人(江崎禎英君) ジャパン・チャンネル、ワクワクでございますけれども、これはスカパーのJSATによる海外向け有料放送チャンネル、これワクワク・ジャパンを通じまして、アニメ、ドラマ、スポーツ、音楽、映画等の日本コンテンツを二十四時間三百六十五日現地語で放送すると、こういう事業でございます。 当初、これは二か国が対象だったんですけれども、これ広げまして、八か国で放送を行っているものでございます。特にここについては今事業拡大の途中でございまして、今御指摘のような、今まさにオン・ザ・ウエーの状況でございます。 以上です。
○清水貴之君 今八か国で、目標はこれ二〇二〇年には二十二か国にするということですね。ということは、かなり伸び悩んでいるんじゃないかと思います。これ、収支でいったら今どんな状況なんでしょうか。
○政府参考人(江崎禎英君) 御指摘のとおり、これはどんどん広げていくということなんですが、当初は、やはり日本のコンテンツの魅力を発信するということでございますので非常に高い目標値は掲げておりますけれども、実際には相手国があることでございまして、実際に向こうとの契約もありますので、実際には八つというのが今の状況でございます。今後、これが二十まで広げられるか、それとも途中段階で変えるかというのは、まさにこれからでございます。 経営状況につきましては、まさに今投資を交渉している最中でございますので、個別の金額については差し控えさせていただきます。 以上です。
○清水貴之君 これ、過去二年間、最終赤字四十億に迫るという報道がありますが、これは事実でしょうか。
○政府参考人(江崎禎英君) それは全体でということですか。(発言する者あり) 御指摘のとおり、クールジャパン全体では……(発言する者あり)ジャパン・チャンネル。はい。 これについては、実際の金額については差し控えさせていただきます。
○清水貴之君 これ、金額が、やっぱりここも僕は問題だと思っておりまして、途中の状況の、そうやってやっぱり公表できないというふうに言うわけですね。理由が、やっぱり民間企業の話だからというふうに言うんですけれども、結局、もう全部終わってエグジットしたもの、終わったものは公表するけどという話になっています。 そうなると、途中の状況というのは全く、まあ民間企業かもしれませんが、政府出資をしているわけですね。ここだってもう何十億、四十四億出資しているわけですよ。その経営状況が全く分からず、終わってみたら赤字がもういっぱいで、失敗しました、株は安く売りますという状況になって、誰の目にも触れることなく経営が行われていくようになるわけですね。 ここも、じゃ、会計検査院がこれずっと官民ファンド調べておりまして、ここでも会計検査院もやっぱり指摘をしています。支援を終了した投資案件が一件もない場合でも、何らかの情報開示が可能なこともあると考えられるということですね。収益性の確保が図られているかどうか判断できる情報は公表されていない、こういったところを会計検査院も問題にしています。ここは僕はしっかりとやるべきではないかと思いますが、いかがでしょう。
○政府参考人(江崎禎英君) 議員御指摘のとおり、実際に経営状況について把握しております。冒頭申し上げたように、半年ごとの経営状況を踏まえまして、あと今後の計画を見て、それで、我々の方から指導とか命令を出せる権限というのはそれに基づいているものでございます。 ただ、今回、会計検査院の方から、途中段階におけるKPIの中で、いろんなその波及効果について、これについては途中段階でも言えるんじゃないかという御指摘があります。これについては、実際にその波及効果の中身、どれぐらい国が行ったのか、どの地域にやるかというのは実は経営戦略そのものになりますので、もちろんこれは真摯に受け止めまして今後検討していきたいと思っておりますけれども、そこも踏まえて今後の検討はしてまいりたいと思っております。 以上です。
○清水貴之君 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
○山本太郎君 自由党共同代表、山本太郎です。社民との会派、希望の会を代表し、お聞きします。 TPPによって公共事業などが外資に食われてしまうおそれについてこれまで度々質問をしてきたんですね。 先週の農水との連合審査におきまして、TPP協定投資章の特定措置の履行要求の禁止条項の現地調達に関する規定は政府調達には適用されず、そして地方政府による現行の措置にも適用されないことになっておりまして、委員の御認識は若干違っていると考えておりますとの答弁、これ大臣から頂戴をいたしました。 これ、このとき私も、時間ももうオーバーしていましたので答弁がちゃんと聞き取れていなかったんですよね。ちょっと反射的に大臣にそれは違うということを伝えてしまったんですが、このときの大臣の答弁は一〇〇%正解です。もちろんです。当然です。政府側の答弁、大臣のおっしゃったことは一〇〇%正解だと、それについて少し簡単に説明してみたいと思います。 資料の一、ライン部分、(b)と(c)、大臣が答弁くださった九・十条、特定措置の履行要求の禁止。ざっくり言えば、外資系企業に対し、日本国内での現地調達を要求したり、物品購入やサービス購入について日本国内の業者から購入するよう要求するなど、特定措置の履行要求の禁止を規定と。しかし、政府調達においては、三(f)において適用除外されていることが確認できる。 そのほかにも、九・四条、内国民待遇。要は、外資でも国内企業と同じ扱いでなきゃ駄目だよというものですが、これも政府調達については、資料二にあるように、九・十二条六項にあるように適用除外になると。禁止されているけれど、事前に適用を除外していたから適用されないということになっていると。大臣の答弁のとおり、適用除外されているんだからという話だと思うんですけれども。 つまり、公共事業などで地元企業を優遇、地元経済優先も可能なんだよ、TPPでもということで、大臣、よろしいですかね。済みません。
○国務大臣(茂木敏充君) 恐らく、この議論の後、山本議員、第九の六条、そして第九の八条のお話に入られるんではないかなと思います。多分、実際にそういうふうになっていくんだと思いますけど、それまで含めて答弁させていただいた方が正確に答弁できると思いますので。 この九条の六条、公正衡平待遇義務及び九条八条は収用及び補償についてでありますが、これは、政府調達に関連して、投資受入れ国の政府、これは日本含めてでありますが、これが対象投資財産に対してとる措置にも適用されると、このように考えております。
○山本太郎君 ありがとうございます。 まるで予言者のようにお答えをいただきましたけれども、事前に省庁ともいろいろやり取りをさせていただきましたし、恐らくこの話の行き着くところはそこに行き着くんだろうと。九章、九・六条、公正衡平待遇義務と、九・八条、収用及び補償について政府調達は適用されるということを今大臣からお答えをいただいたと。ありがとうございます。 九・六条、公正衡平待遇義務、九・八条、収用及び補償は政府調達でも適用される。つまりは、大目には見てもらえないよと、免責にはならないんだと。これを除外しなかったことで公共事業が外資に食われるおそれ、地方の公共事業が地元企業を優先できなくなるおそれがあるんじゃないかと、ISDSで訴えられるおそれ高まるんじゃないかという懸念です。 適用除外されていなかったこの公正衡平待遇義務、TPP九章の、九・六条に規定されているものだと。資料の三の上が条文、この中に括弧で注という部分がありまして、この条の規定は、附属書九のA、国際慣習法の規定に従って解釈するとあります。 じゃ、九—Aには何と書かれているか。資料三の下。結論として、外国人の待遇に関する国際慣習法上の最低基準とは、外国人の投資財産を保護するためのあらゆる国際慣習法上の原則をいうと書かれているだけ。 先日、本委員会においでくださった磯田宏参考人は、「国民生活への罠 ISDSの狙い」という論文の中で、この九—Aについて、国際慣習法上の最低基準イコール国際慣習法上の原則と言っているだけで、同義反復の無意味なものであると批判されている。つまり、公正衡平待遇義務が極めて抽象的で不明確だということを言われているということなんですね。 加えて、磯田参考人は、この九・六条の条文のうち、具体性を持っているのは第二項(b)の十分な保護及び保障の部分だけであり、そのほかは不明確な内容ばかりが並んでいるとも指摘。第二項(a)では、肝腎の公正かつ衡平な待遇についての説明になりますけれども、結局、裁判を受ける権利を否定しないことを含むということだけが理解可能で、それ以上に何が含まれるのか全く規定がないと磯田さんは批判をされている。 実はこれ、過去の投資協定でも同様に、公正衡平待遇義務の内容についてはその意味するところは曖昧であって、結局、ISDSによる仲裁によって、仲裁廷の段階で裁量を加えた問題含みの裁定を多数下してきたとおっしゃっています。磯田参考人によると、アメリカの既存の通商投資協定下のISDSで外国投資家が勝訴したことが知られている案件は二十九件あるそうなんですけれども、二十二件が待遇に関する最低基準や公正かつ衡平な待遇違反を根拠としたものだといいます。 さて、TPP協定では、かつての投資協定の下で公正衡平待遇義務が濫用されたことを念頭に、附属文書九のAや九・六条三項及び四項を歯止めとして設けたとされているそうです。九—Aが意味がないということは既に述べたとおりなんですけれども、九・六条四項の、締約国が投資家の期待に反する行動を取る又は取らないという事実のみでは、結果として対象投資財産に対する損失又は損害があった場合であってもこの条の規定に対する違反を構成しないとあることも磯田参考人は何らの歯止めではないと指摘されています。投資家の期待に反する政府の行動という事実が公正かつ衡平な待遇違反を構成する重要な要素だということを改めて確認している意味であると、このように指摘されている。 結局、公正かつ衡平な待遇とは何かについて、最終的に仲裁の段階で裁量を加えて判断してきたので、要はISDSで訴えた後で公正衡平待遇とは何なのかを議論していくというものであると。どこまで行ってもこれ、解釈の世界でしかないという話になっていきそうなんですよね。 政府調達において、わざわざ適用除外にしなかった公正衡平待遇義務違反でISDSで訴えられた過去事例、UNCTADのウエブサイトで検索をしました。 全体での提訴案件は八百五十五件、そのうち公正衡平待遇義務違反で提訴があった数は四百十一件、極めて不明確な概念を持つ公正衡平待遇義務違反での提訴が全体の半分近くに及ぶと。例えば、経済危機が起こった国で水道事業を行う企業の株を外国の投資家が取得したと、国民生活が疲弊している中、水道料金を事業者が上げてしまった、水道代未払の家庭に対して水の供給を止めた事業者に対して国がペナルティーを与えると、そのような訴えられた案件もあります。水は命と直結するライフラインですから、料金の滞納があったとしても多少の温情で供給は続けなければならないと。だって、人死にますから。そのような判断で事業者にペナルティーを与えた国が訴えられ、仲裁廷は、緊急状態等の違法性阻却事由は存在しないとし、公正衡平待遇義務違反等を認定したと。 住民サービスなど民営化を急速に進めてきたけれども、時代が変わってやり方が変わった、そうなることは珍しい話じゃないですよね。そのような揺り戻しが来たときに、正当な市民の要求が通らないという可能性も考えられると。 例えば、選挙のときには絶対に国益を損なうような協定は結びませんと公約をしていた、政権取った瞬間に手のひら返し、国内の公共サービスをどんどん民営化して外国資本や大企業が活躍しやすい国にしていった結果、国民生活は疲弊、後々の選挙で政権交代が行われたとしますよね。自由貿易を名のる協定もどきからは抜けないまでも、今まで協定に基づいてやってきた民営化施策を新政府は見直していくことになった、若しくは、余りに投資家側に有利な条件を与え過ぎていたからそれを見直すということになっていった、こういったことが公正衡平待遇義務違反とか収用という問題にされて、実際にも訴えられている案件です。 このように、公正衡平待遇義務は非常に使い勝手のいいISDSに提訴するためのツールとして多用されているという現実がある。 磯田参考人の論文で、また一つ見逃せない部分があります。仲裁人やそれが所属する法律事務所とISDSシステムの関係における構造的な問題があるという指摘。一言で言えばISDSビジネス。その点を明るみに出した秀逸なレポートが、二〇一二年のプロフィット・フロム・インジャスティス、TPPの特別委員会のときにもそれ出させていただきましたけれども、その内容どういうものか。 第一に、ごく限られた少数の巨大法律事務所と有力弁護士がISDS仲裁人の多くを占めるという、言わば寡占産業になっているという指摘。国際貿易開発会議、UNCTADが把握した二〇一一年までの累積ISDS訴訟件数、四百五十ですけれども、このレポートの作成者が法律事務所自身の二〇一一年時点の公表情報から集計したところによると、仲裁関与件数が最大の法律事務所が七十一件、これ、四百五十件のうちの七十一件ですから一六%、上位三法律事務所が百三十件、四百五十件のうちの二九%、上位十法律事務所が二百二十一件、四百五十件のうちの四九%、そして上位二十の法律事務所で三百二十件以上、四百五十件のうちの七一%を担当していると。非常に偏っているという話ですよね。 また、弁護士個人に即して見ても、仲裁担当件数最多の弁護士は、たった一人で三十九件、上位五人で百六十件、上位十五人で三百三十一件、全体が四百五十件ですから七四%、上位十五人で七四%を担当していると。二百四十七件の裁定、上位十五人、三百三十一件を担当して二百四十七件の裁定を下したとレポートにあります。 第二に、ISDS訴訟で活躍する弁護士や法律事務所が、他方では投資協定や投資条項を持つ通商協定にISDS条項、しかも極めて広範囲な投資概念や待遇に対する裁定基準、公正かつ衡平な待遇といった不明確ゆえに仲裁廷の裁量的解釈を可能にする条項を挿入したり、条項草案を作成するために関係国政府の交渉団、アドバイザーや証人として活動しているとの指摘をしています。また、これらの弁護士が、アメリカの通商代表部幹部や大統領顧問になったり日常的に多国籍企業や医薬品業界団体の顧問や相談役としても活動しているとも報告。 第三に、これら弁護士や法律事務所は、数々の弊害をもたらし批判を浴びるこのようなISDSシステムの改革の動きが出ると、各国政府や議会に対するロビイストや国際法の専門ジャーナル編集者としてそれを妨害する活動を行っているという実態もあるといいます。 要するに、少数、有力なISDS専門法律事務所、弁護士たちが、多国籍企業とその本国になっている政府との間でそれぞれの重要役職を行ったり来たりすることも含めて、固有のコミュニティー、ISDS村を構築。ISDS条項入りの協定、ISDS訴訟の多発、一件平均八百万ドル超の仲裁費用、高ければ時給千ドル超にもなると。仲裁人報酬の獲得と損害賠償金の山分け、多国籍企業の対外投資権益の強力な保護を行うというマッチポンプ構造ができ上がっている。 TPP協定が仲裁廷の公平性、中立性確保の仕組みを有しているってよく聞きますよね。さらに、具体的手段、仲裁人の行動規範を作成することを約束しているので懸念は不要だと政府から説明はされています。だけど、これ説得力がないんだよと磯田先生はおっしゃっている。 その理由として、まず、そのような仕組みが利益相反の防止に効果を発揮できなかったさびついた規定の域を出ない点、次に、具体的手段の内容抜きに各国での承認を迫る反民主主義プロセス、それ自体が国の主権を損なうという点、さらには仲裁廷の公平性、中立性を侵害してきた構造に手を付けないという点が挙げられると。結局は、何重にも説得力とか合理性を欠くようなシステムをTPPの中には組み込んでいるんだと言わざるを得ない。ISDSというものが弁護士や法律事務所の巨大な利権になっているという磯田参考人の御意見なんですけれども。 この磯田参考人のおっしゃっていることであったりとか先ほどのリポートであったりとか、ISDSにそういうISDS村みたいなものがあるよということは、大臣はお読みになったりお聞きしたことはありますか。
○国務大臣(茂木敏充君) 国会としてお呼びをいただいた参考人の方の意見陳述でありますから十分参考にさせていただきたいと、このように思っておりますが、その上で、TPPの協定の投資章におきまして、先ほど御指摘のありました外国人の待遇に関する国際法上の最低基準、これ、山本委員の方から、裁判を行うことを拒否しないことだけしか書いていない、つまり、これが公正かつ衡平な待遇に関することでありますが、それ以外にも警察の保護を与えること等々が協定上例示をされていると、このように理解をいたしております。 それから、ISDSに関わる懸念、これについて意見表明等々をいただいたところでありまして、これはTPP協定におきましては、これらの規定についても、濫訴、何度もいろんな訴えと、こういったことを防止するために具体的な規定を置いております。九の六の三と、こういうお話がありましたが、衡平公正待遇につきましては、投資家に損害が発生しても、投資家の期待に反する行動を取る取らないという事実のみでは違反にならない、これが九の六の四、委員がおっしゃった点であります。そして、補助金を実施、維持しない、修正、減額したという事実のみでは違反にならない、これが九の六の五であります。こういったことを明記をいたしております。 さらに、九のAのお話がございましたが、これは収用に関してでありますが、これは、附属書の九のBにおきまして収用については詳細な規定を設けまして、締約国による行為が投資財産の経済的価値に悪影響を及ぼすという事実のみをもって間接的な収用が行われたことが確定するものではない、こういった収用と判断される要件、厳しく規定をしてございます。
○山本太郎君 今大臣から、濫訴防止におけるようないろんな設定がされているんだという御説明があったと思います。 例えば、今おっしゃった間接収用に関するTPP九章の附属書九—Bの話ですね。でも、そこにはトラップ的なものが仕組まれているんだという見解もあります。その中に、この章の規定に適合するものに限るという一文が入っているんですよ。これどういう意味かというと、投資の章違反でなければ投資の章の違反として扱われませんというふうな読み方ができる。違反でなければ違反でないって当たり前の話なんですよ。 るる御説明していただいた内容に関して、じゃ、どこでジャッジするんですかという話なんですけど、それはISDSじゃないですか、もうそれって。結局、仲裁廷に行って、解釈でどこまでもやり続けるという話でしかないんですよ。濫訴防止になっていないという話なんですね。 そこから一旦離れていただきたいんですが、政府調達では、九・六条、九・八条を利用して、先ほどの公正衡平待遇義務違反、そして収用及び補償を利用して投資家がISDSを使う可能性というのは、大臣、否定はできませんよね。
○国務大臣(茂木敏充君) 投資家の側がどういった規定、これに論拠して訴えを起こすかということにつきまして、予見を持って私が申し上げることは差し控えたいと思います。
○山本太郎君 当然否定なんてできるはずないんですね。仕事を地元で回すなどの地元企業優先や地元産品優先などの言わば既得権益、ここにドリルを入れて加盟国に自由な商売をさせようぜという、最大限、それを推奨させるのがTPPですからね。除外したものもあった、確かに適用除外したものもあったけど、されていないものがあるんだって、そこから入り込んで訴えることだってできるんだということですよ。大臣、否定できなかったじゃないですか。 それが嫌なんだったら、地元を守りたいんだったら、地方を外資に食われないためにもその部分の開放には加わらないという選択もできたんですよ。アメリカ、メキシコ、ニュージーランド、マレーシア、ベトナム、シンガポール、ブルネイなどなどはこの政府調達の地方の部分に関わっていませんよね。でも、日本は、そこに関わっただけじゃなく、訴えられるおそれがあるルールを全て適用除外にしなかったという話なんですよ。 それらに違反すれば、当然ISDS条項を使って国を訴えることが可能ですよ。地元優遇、難しくなるんじゃないですか、訴えられる可能性があるんだから。外資が食い散らかした残りさえも日本人で分け合うことが要求できない、要求しづらい。日本のため、日本の地域のために税金などで、税金を使って底上げしていくという考え方が公共事業にあるのに、そこに対して難しい状況がつくられている、それを見逃してきたという部分があるんですよね。 ISDS、やばいということを一番分かっているのは自民党の皆さんじゃないですか。そんなこと込み込みで言われていたんですよね。例えば森山裕さん、衆議院議員の方ですよね、ISD条項につきましては、やはりNAFTAの関係で、カナダとアメリカのいろいろな訴訟問題というのは我々も関心を持たざるを得ません、それぞれの国の法律を超えてしまうからですよというふうにおっしゃっているんですね。いっぱい、発言いっぱいありますよ。江藤拓さん、TPPが通れば、ISDS条項があるんですから、我々を排除するのかとやられたら、訴訟を起こされたら……
○委員長(柘植芳文君) 時間を過ぎておりますので、質疑をおまとめください。
○山本太郎君 日本はすぐに負ける。 ちょっと皆さん、もう一度戻っていただけませんか、政治家になったときの基本に。誰のために政治やるんですかということを思い出していただきたいんですよ。次の選挙のためですかって、公認もらうためですかって。野党のときには全力で反対していたじゃないかって。TPP断固反対でまとまりましょうよ。グローバル企業に差し上げるんですか、この国を。 というわけで、次回の質疑にまた譲りたいと思います。ありがとうございます。
○委員長(柘植芳文君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後二時二分散会