財政金融委員会 第13号
- 発言数
- 134 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 10
- 開催日
- 2018/05/22
会議録
○委員長(長谷川岳君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、辰巳孝太郎君が委員を辞任され、その補欠として小池晃君が選任されました。 ─────────────
○委員長(長谷川岳君) 理事の辞任についてお諮りいたします。 古賀之士君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申出がございました。これを許可することに異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長谷川岳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 理事の辞任及び委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長谷川岳君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に古川俊治君及び風間直樹君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(長谷川岳君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、金融庁総務企画局長池田唯一君外二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長谷川岳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(長谷川岳君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁黒田東彦君、同副総裁若田部昌澄君、同理事前田栄治君、同理事衛藤公洋君及び同理事吉岡伸泰君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(長谷川岳君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(長谷川岳君) 財政及び金融等に関する調査のうち、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件を議題といたします。 日本銀行から説明を聴取いたします。黒田日本銀行総裁。
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、毎年六月と十二月に通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、我が国経済の動向と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。 まず、我が国の経済金融情勢について御説明します。 我が国の景気は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが働く下で、緩やかに拡大しています。企業部門では、輸出と生産が、海外経済の着実な成長などを背景に、増加基調にあります。そうした下で、企業の収益や業況感は改善基調を維持し、設備投資も増加基調を続けています。家計部門では、雇用・所得環境が着実な改善を続けています。失業率が二%台半ばまで低下するなど、労働需給の引き締まりが続いているほか、今春の賃金改定交渉において五年連続となるベースアップが多くの企業で実現するなど、賃金も緩やかに増加しています。こうした下で、個人消費は、振れを伴いつつも、緩やかに増加しています。 先行きの我が国経済は、二〇一八年度は、海外経済が着実な成長を続ける下で、極めて緩和的な金融環境や政府支出による下支えなどを背景に、潜在成長率を上回る成長を続けると見られます。二〇一九年度から二〇二〇年度にかけては、設備投資の循環的な減速や消費税率引上げの影響を背景に、成長ペースは鈍化するものの、外需に支えられて、景気の拡大基調が続くと見込まれます。こうした中心的な見通しに対する先行きのリスクについて見ると、二〇一八年度はおおむね上下にバランスしていますが、二〇一九年度以降は、海外経済の動向をめぐる不確実性などから、下振れリスクの方が大きいと考えています。 物価面では、企業の賃金、価格設定スタンスがなお慎重なものにとどまっていることなどを背景に、エネルギー価格の影響を除いて見ると、景気の拡大や労働需給の引き締まりに比べて、弱めの動きが続いています。もっとも、マクロ的な需給ギャップが改善を続ける下で、企業の賃金、価格設定スタンスが次第に積極化し、中長期的な予想物価上昇率も高まると見られます。この結果、消費者物価の前年比は、プラス幅の拡大基調を続け、二%に向けて上昇率を高めていくと考えられます。このように、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されていますが、なお力強さに欠けており、先行きについては、中長期的な予想物価上昇率の動向を中心に、下振れリスクの方が大きいと考えられます。 次に、金融政策運営について御説明申し上げます。 日本銀行は、二〇一六年九月に導入した長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの下で、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するために最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促しています。四月末の金融政策決定会合では、短期政策金利をマイナス〇・一%、十年物国債金利の操作目標をゼロ%程度とする金融市場調節方針の維持を決定しました。我が国の長短金利の動向を見ますと、こうした金融市場調節方針と整合的なイールドカーブが形成されています。 現在、我が国では、内外需要がいずれも増加基調をたどり、息の長い景気回復が続いています。しかしながら、二%の物価安定の目標の実現にはなお距離があります。また、経済、物価の先行きの見通しに関する不確実性についても注意深く点検していくことが必要な情勢です。こうした下で、日本銀行としては、物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために、現在の強力な金融緩和を粘り強く進めていくことが適当であると考えています。 ありがとうございました。
○委員長(長谷川岳君) 以上で説明の聴取は終わりました。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○愛知治郎君 おはようございます。自民党の愛知治郎でございます。 本日は、せっかく黒田総裁お越しいただいておりますので、金融政策について議論したいと思いますが、その本題に入る前に、まず一点、ちょっと個別の案件についてなんですが、金融庁にお伺いしたいと思います。スルガ銀行のシェアハウス融資案件に係る問題についてであります。 まず、本件事案の構造はどうなっているのか。不動産会社スマートデイズと、またスルガ銀行、シェアハウスオーナーが登場するのでありますが、それぞれどのような位置付けにあるのか、またどのような問題があるのか、この全体像についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。 スルガ銀行のシェアハウス融資案件の構造につきましては、銀行の公表資料あるいは危機管理委員会の調査結果などによれば、次のとおりでございます。 まず、不動産会社でございますけれども、スルガ銀行のシェアハウス関連融資の営業推進に当たりましては、この不動産会社を窓口としたいわゆるチャネル営業が行われておりました。この不動産会社の中で、スマートデイズでございますけれども、シェアハウス建設用土地をオーナーに販売するまでに、自らあるいはその関連不動産会社を中間の買受人とすることで、土地転売によるマージンを得ておりました。これをオーナーに保証している賃料の不足分に補填していたと推察されます。これは、今から見れば自転車操業であったとされております。 また、スマートデイズ関連の販売会社でございますけれども、この販売会社によって、オーナーが自己資金の残高を証明するためにスルガ銀行に提出する通帳等の偽造、改ざんが相当数行われておりました。スマートデイズ関連の販売会社と顧客によって、実際の売買契約書とは別に、売買代金を水増しした銀行提出用の売買契約書が作られておりました。いわゆる二重契約でございます。これも相当数存在するとされております。 スルガ銀行でございますけれども、オーナーに対しシェアハウス用の土地購入及び建物建設資金の融資を行っておりましたけれども、融資に関しましては幾つかの問題が指摘されております。大きく三つ問題がございます。 一つは、顧客が割高な不動産価格を妥当と判断した大きな要因といたしまして、銀行が不動産販売会社に伝えた評価額を顧客が聞かされて、銀行のお墨付きが与えられていたというふうに判断したと考えられます。銀行においても、評価結果がそのように利用されていることは想像可能であり、銀行として何ら関知していなかったという弁解は容易には成り立たないというふうに思われます。 二つ目の問題でございますけれども、不動産売買の二重契約や通帳などの偽造、改ざんといった自己資金偽装の可能性につきまして、相当数の行員が認識していたと考えられます。 三つ目の問題は、横浜東口支店でのシェアハウス融資におきまして、営業担当者と不動産会社が一体となり、フリーローンを融資条件とするセット販売が行われておりました。 それから、シェアハウスオーナーにつきましては、先ほど申しましたように、不動産売買の二重契約につきまして、不動産売買の契約は顧客自らが締結しておりまして、顧客も認識の上で行われていたと考えられます。 以上がシェアハウス案件の基本的な構造でございますけれども、金融庁といたしましては、現在実施中の検査におきます実態把握の結果を踏まえまして、厳正かつ適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○愛知治郎君 ありがとうございます。しっかり調査をしていただきたいと思います。 まず、スマートデイズ等、この不動産会社はいいかげんな経営をしたおかげで破綻をしてしまいました。多くの人に迷惑を掛けたことになりましたが、一方で、スルガ銀行、相当問題があるようで、この点については金融庁にしっかり役割を果たしていただきたいと思います。 もう一点、シェアハウスのオーナーなんですけれども、もちろん全く問題がないというわけではないですけれども、実は、バブル後だったんですが、よく言われたことでありますけれども、金融機関が、今日みたいな晴れの日に傘を貸して雨が降ったら取り上げるとよくやゆされておりましたけれども、ちょっと無理やりオーナーに対して貸付けをして利益を上げようとしたというところがあると思いますので、さすがにこのシェアハウスのオーナーについてある程度守ってあげなければいけないんじゃないかと思います。不動産会社からの家賃保証収入が絶たれてしまっている中でありますので、銀行からリスケ、金利の引下げとか返済期限延長、これは計画しているようでありますけれども、それにしても債務は残りますから、返済が厳しくなる可能性があります。この点について、銀行としては今後どのような対応をしていくのか、金融庁の見方を教えてください。
○政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。 スルガ銀行におきましては、昨年十二月にお客さま対応チームというのを設置いたしまして、このシェアハウス案件の債務者からの問合せや今後の返済条件の見直しについての相談に応じているということでございます。 先生御指摘のように、債務者の方と面談の上、債務者の要望も踏まえながら、金利引下げでありますとか元金の据置きなどの条件変更というものを提案して順次契約手続を行っているということで、債務者の事情に応じた対応を行っているというふうに承知しております。 五月十五日の社長の記者会見によりますと、代物弁済でありますとか融資の白紙撤回というのは現時点においては考えていないけれども、このシェアハウスを別目的に使う、例えば特別養護老人ホームのように使用するなど事業が成り立つようなサポートをしていきたいということとか、あるいは今後の生活をどうするか、これはリテールの基本に戻って対応したいと。入居者が入ったところで元金の据置きとかやっているわけでございますけれども、返済を少しずつ増やしていくようなという形で個別の事情に応じた対応をしていきたいというふうに述べているところでございます。
○愛知治郎君 以前と違ってしっかり前向きな対応、銀行側もこれを反省をした上で取り組んでいってくれると思うんですが、ちなみに金融庁としては今後どのような対応をしていくのか、予定をお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。 金融機関における不適切な業務運営というのが顧客に対して利用者保護の観点から悪影響を及ぼしたという場合には、これはまずもって当該金融機関において顧客に対し真摯かつ適切に対応することが重要であるというふうに考えておりますし、当然金融庁といたしましては、スルガ銀行の顧客への対応がそうした真摯かつ適切な対応として行われているのかどうか、これはしっかりモニタリングしてまいりたいというふうに考えております。
○愛知治郎君 加えて、スルガ銀行に対して行政処分を含めてどのような対応をしていくのか、その点についてもお伺いしたいと思います。
○政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。 金融庁といたしましては、現在実施中の検査におきまして、この問題事案の実態についてしっかりと検証を行っていく所存でございます。あわせまして、スルガ銀行におきましても、中立公正な専門家で構成される第三者委員会というのを立ち上げました。事案の徹底調査と原因究明を行っていくということでございます。 金融庁といたしましては、この検査における検証結果あるいはこの第三者委員会の調査結果を踏まえまして、厳正かつ適切に対応していく所存でございます。
○愛知治郎君 是非よろしくお願いいたします。 いずれにいたしましても、今回の事案を見ていると、大分銀行側も前向きに取り組んでいるということなんでしょうけれども、行き過ぎて相当無理をしているなというのが実直な感想であります。 なかなか、今皆さん投資先を探しているんですけれども、その投資先が不足しているという状況の中での結果だとは思うんですが、もう一つ、この案件ではなくて広げてお話を伺いたかったんですけれども、アパート・マンションローン全般は大分増えているということを聞いております。そして、そのアパマンローンの増加によってマンションの空き室が相当増加して、オーナーが苦労しているという話、よく聞きます。この点について、現状における金融庁の認識はいかがでしょうか。
○政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。 アパート・マンションローンを含みます銀行の不動産業向け貸出しでございますけれども、まず、足下の残高はこれ過去最高水準にございます。直近、二〇一八年三月で七十六・五兆円ということでございまして、九〇年代の最高値でありました六十五・七兆円を上回っております。 ただ、その伸び率は、これまでの拡大局面との比較において必ずしも高くございません。二〇一八年三月期は前期比で五・七%の伸びでございますけれども、例えば二〇〇七年の六月は一一・三%の伸びでございました。バブル期はもっと高い伸びを示しておりましたので、この伸び率は、現在、過去の拡大局面との比較においては必ずしも高くございませんし、新規融資額も足下では減少に転じているといった状況でございます。 ただ、委員御指摘のように、一部地域で賃貸住宅の空室率の上昇が続いております。また、全国的に賃貸物件の新規供給に対する過剰感が見られるという分析がございます。 こうした中、アパート・マンションローンの借り手の実態をいろいろ見ていきますと、例えば、築年数の経過とともに賃貸物件の収支のみでは返済資金を賄えずに、給与などの他の収入で補填している者でありますとか、あるいは、アパート経営の知識が乏しくて、空室、賃料低下などのリスクを十分に理解しないまま、相続税対策目的で借入れまでして貸家業を行っている者などが存在されているというふうに認識しております。 金融機関におきましては、この金利上昇、空室、賃料低下などのリスクについて、まずは、自らの融資審査の際にそういったリスクを適切に評価した上で、それを分かりやすく借り手に伝えるなど、ローンの借り手の立場に立った顧客本位の業務運営に努める必要があるというふうに考えております。 我々は、そういった認識の下に、業界団体との意見交換等の場において、今年の三月も、あるいは昨年も、引き続きまして、金融機関に対して、そういった顧客本位の、ローンの借り手の立場に立った業務運営に努めるように要請しているところでございます。
○愛知治郎君 是非、しっかり状況を把握した上で、問題があれば適切に対応していただきたいと思います。 私は、アパマンローンが随分増えたその要因の一つとしてはやはり投資先の不足があって、何とか実績をつくるために銀行側、金融機関もローンを多く組んでお客さんを探している、これが絶対数を増やした要因の一つだと思っているんですが、是非注視していただきたいと思います。 資料を見ていただきたいんですが、今日お配りした資料、これは金融庁に出していただいた資料なんですけれども、これに基づいてお伺いしたいと思います。 バブル期以降の長期的な貸出金利、また利ざやですね、この推移についてお伺いをしたいと思います。資料について、ちょっと注釈も多いので、この点、この資料についての説明もいただきたいと思います。
○政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。 バブル期以降の我が国のこの貸出金利、利ざやの長期的な全体の傾向について記述した資料でございます。 青と赤がそれぞれ新規とストックの貸出約定平均金利でございますけれども、バブル期の一九九〇年頃は、見ていただきますと分かりますように、七%台でございました。貸出約定平均金利は、新規に関してもストックに関しても七%台でございました。その後、長期的に低下傾向にありまして、直近の二〇一八年二月ではこれ〇・六%、これ、青い折れ線グラフでございますけれども、〇・六%となっております。 ただ、普通預金金利は、バブル期の二%台からゼロ%台まで低下しております。貸出金利と比較してこの預金金利の方は下げ幅に限界がありまして、ゼロ%近くで推移しております。結果として、預貸し、預貸の利ざやは、バブル期は六%を上回る水準にございましたけれども、足下では一%を下回る非常に低い水準になっております。
○愛知治郎君 ありがとうございます。 この利ざやについて見ますと、一九九一年、六・二三、現在、二〇一八年の二月だと〇・五九九ですか、約十倍以上ですね、十分の一以下というんですかね、こんな状況でよく銀行はやっていられるなと思うんですが、ちょっとさすがにこういう状態だからこそ無理な投資先に投資をせざるを得ないということなのかなと思います。 是非この点、黒田総裁とこれからちょっと議論をさせていただきたかったんですが、こういった、金融機関の側からして、投資先を、皆さん、投資していかなくちゃいけないということで金利を下げたわけですけれども、別の問題が出てきているんじゃないかと私は思います。都市銀行なんかは今外国への投資をどんどん進めていますから、そこである程度の利益を上げていると思うんですが、特に地域の金融機関、これは相当厳しいと伺っています。この点の認識について、黒田総裁にお伺いしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 特に地域金融機関では、この表にもありましたとおり、長引く低金利環境の下で貸出金利が低下傾向を続けておりまして、預貸収益は減少傾向にあるというのは、まさに委員御指摘のとおりであります。 また同時に、地域金融機関は、地域の人口あるいは企業数の減少という言わば構造的な問題に直面しております。このような経営環境の下で金融機関の競争が激化しておりまして、地域金融機関の基礎的収益力は低下傾向が続いているというのが実態であると思います。
○愛知治郎君 もう一点、私、何度か議論をさせていただいたと思うんですけれども、この低金利環境の長期化が年金生活者や利子所得者に及ぼす悪影響、これは間違いなくあると思うんですね。この点についても、総裁の改めて認識を伺いたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 家計は、部門全体としては資金の貸し手でありますので、低金利環境が長く続きますとネットで見た利子収入の下押しに作用することになります。また、御指摘のとおり、いわゆる長期あるいは超長期金利が過度に低下いたしますと、年金などの運用利回りにも影響が出る可能性がございます。こうした家計収入の減少というものは、個人消費を押し下げる要因になり得ると思います。 ただ、一方で個人消費に対する金融緩和の効果を評価する際には、より広く経済全体を介した影響を考える必要もあろうかと思います。この点は是非御理解いただきたいと思います。
○愛知治郎君 この金利について、今の年金生活者、利子所得者に関していいますと、これは単純計算でありますけれども、今個人の金融資産って千八百兆円あるんでしたっけ。それに、仮に利息、利子が二%付いたら、年間三十六兆円ですよね。今まで政府の政策として、例えば定額給付金であるとか簡易な給付措置等いろいろやりましたけれども、数千億からマックスで二兆円ぐらいやったんですけれども、金利が付くだけで三十六兆円、もっとですね、何十兆円というお金がこれは消費する側、個人の皆さんに入るということでありますから、経済に対する影響、プラスの影響はすごくあると思います。是非その点も今後考慮していただきたいと思います。 総裁おっしゃったとおりに、一面だけではなくていい面、悪い面様々ありますから、金融政策、そんな簡単な話じゃないというのは十分理解をしております。 また、改めて伺いますけれども、黒田総裁、私は、再任されて、これからしっかりやっていかれるのをすごく期待をしております。やはり難しい、新しいことにチャレンジしているということなので、百点満点、全てうまくいくということはなかなか難しいとは思うんですけれども、どうぞ恐れることなく、いろんな可能性を考慮した上で、大胆に政策、取り組んでいっていただきたいと思います。 また、外国について、マイナス金利を導入してそのプラス面というのももちろんあると思うんですが、EUとはやはり、あそこはいろんな国の集合体でありますから、地域によって事情が様々違いますから、いい面、悪い面、いろんな面で出てくると思います。ただ、日本とはやはり状況が違うと思いますので、日本に合った政策しっかり取っていただきたいと思います。 最後に、総論でありますけれども、今後の政策について、黒田総裁の考え方をお伺いしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、この金融政策の運営に関しましては、個人、いわゆる家計部門に対する影響というものを、先ほど申し上げたような金利の低下が家計収入の減少あるいは個人消費を押し下げる要因になり得るということ、これは十分考慮していく必要があると思いますが、他方で、先ほども申し上げたとおり、個人消費に対する金融緩和の効果を評価する際には、特に金利が低下することによって経済活動が刺激される、あるいは雇用・所得環境が改善され、そうしたことを通じて個人消費を押し上げる方向に働くということも考えられるわけであります。 実際、強力な金融緩和の下で、失業率は先ほど申し上げたとおり二%台半ばまで低下しておりますし、五年連続でベースアップが実現するということで、賃金も緩やかに上昇しております。こうしたことを背景として、最近では、個人消費は振れを伴いながらも緩やかに増加をいたしております。 また、先行き、経済全体が更に一段と改善いたしますと、その影響は、年金収支の改善あるいは将来不安の軽減なども通じて、国民各層の消費活動にプラスに作用していくというふうに考えております。 したがいまして、こういった両面を十分考慮しながら、現在の金融緩和を粘り強く続けて二%の物価安定の目標を実現し、それを通じて、日本銀行法にもありますとおり、物価の安定を通じて国民経済の健全な発展に資するということでありますので、そういったことを実現するべく、あらゆる金融政策の手段を考慮しつつ、また、委員御指摘のような言わば副作用としての金融機関、特に地域金融機関に対する影響なども考慮しつつ、金融政策を運営してまいりたいというふうに考えております。
○愛知治郎君 ありがとうございました。 これからも継続的にいろんな視点から議論をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。 ちょっと早いですが、以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○宮崎勝君 公明党の宮崎勝でございます。 私は、日銀と金融庁が先月発表されました地域の金融機関に関わる報告書に基づきまして質問をさせていただきたいと思います。 最初に、日銀が先月公表いたしました金融システムレポートでございます。このレポートでは、金融緩和の長期化を背景にいたしまして、金融機関が貸倒れリスクに見合わない低金利の貸出しを増やしているということを指摘しております。こうした銀行にとっては採算が低い貸出先、低採算先貸出しが全貸出額に占める割合についてデータを示しておりますけれども、これでは、二〇一〇年度の一七%を底に拡大を続けて、一六年度は二五%まで上昇しているというふうに指摘をされております。 この今回のレポートでは、貸出し競争が激化する中で、金融機関が業績が優良ではないリスクの高い企業にも金利を引き下げて融資額を増やしているということがこの主因というふうに分析をしてございますが、その上で、リーマン・ショック並みに経済が悪化したときには約四分の一の中小金融機関が安定的な自己資本を確保できないといった懸念も示されております。 その上で御質問ですが、こうした中で中小金融機関のリスク耐性、リスクに耐える耐性といいますか、これを確保するために今後どう対応していくのかということにつきまして、日銀総裁とあと金融庁にお伺いしたいと思います。
○参考人(黒田東彦君) まず、私どものレポートの基本的な評価を申し上げますと、現時点で金融機関の自己資本は、リスク量との対比で総じて充実した水準にございます。したがいまして、御指摘のようなリーマン・ショック時並みの非常に強いストレスの掛かった経済状況を想定した場合でも、中小金融機関を含む国内基準行の自己資本比率は規制水準の四%を上回る水準が確保できまして、その下で銀行貸出しは増加を続けるなど、金融仲介機能は維持されるとの試算結果が得られております。 ただ、御指摘のように、ストレス発生時の自己資本比率への影響度を見ますと金融機関の間でばらつきがあるということでありまして、日本銀行といたしましては、今後とも、金融機関に対してリスクテークに見合った適切なリスク管理と十分な自己資本の確保を促すことによって、金融機関のリスク耐性の確保に努めてまいりたいと思います。 また、それとともに、引き続き、金融システムレポート、年に二回発行しておりますけれども、これにおいて充実した分析とその下での今後の進むべき道を示してまいりたいというふうに思っております。
○政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。 現時点におきまして、地域金融機関は充実した資本基盤を備えております。日本の金融システムは全体として健全で安定しておりますけれども、委員が御指摘の日本銀行が行った試算につきましては、これは極端な金融経済情勢の悪化というストレスが地域銀行の収益を下押しするという内容であるというふうに承知しております。 低金利環境の継続でありますとか人口減少などの構造的な要因を背景に、地域金融機関の経営環境は厳しさを増しております。そうした中で、金融経済情勢の悪化などのストレスが発生した場合であっても、金融システムの健全性が維持され、金融仲介機能が発揮されることが重要であるというふうに考えております。 金融庁といたしましては、地域金融機関のストレス耐性を向上させるために、引き続き、将来の収益性、健全性に問題のある地域金融機関に対しては深度ある対話を実施し、持続可能なビジネスモデルの構築に向けた取組を促してまいりたいというふうに考えております。
○宮崎勝君 ありがとうございます。 その上で、金融機関が低採算先貸出しを拡大させている中で、現在は、景気拡大、低金利に支えられて債務不履行による損失見込みは低く抑えられていますけれども、将来の景気悪化、金利上昇によってこの損失見込みの増加に伴うコスト負担が収益を圧迫してくる可能性があるということでございます。金融機関、とりわけ中小金融機関のリスク管理の在り方についても、日銀と金融庁にそれぞれお伺いしたいと思います。
○参考人(衛藤公洋君) 金融機関は、相対的に高い貸出金利を確保するため、このところミドルリスク企業向けの貸出しを積極的に行っております。現在は、景気改善と低金利という良好な経済環境が長期化しておりまして、企業業績が改善しておりますので、信用リスクが過小評価されている可能性がございます。このため、先行き、景気悪化などの負のショックが発生した場合、金融機関に想定以上の損失が発生する可能性がございます。 したがいまして、金融機関においては、先行きの経済環境の変化なども念頭に置いて、貸出期間中の信用リスクに見合った貸出金利を設定すること、それとともに貸倒引当金の水準の適切性を検証していくことなど、信用リスク管理の実効性向上を図っていくことが重要であると考えております。 日本銀行といたしましても、引き続き、金融システムレポートによる情報発信、それから考査、モニタリングでの働きかけなどを通じまして、金融機関のこうした取組を後押ししてまいりたいと考えております。
○政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。 委員御指摘のとおり、地域金融機関の信用リスクは、景気拡大の長期化あるいは低金利環境の継続から、低位に現在抑えられているところでございます。現在の低金利環境が反転して金利が上昇する場合には、この低金利環境の継続を前提にした貸出しにつきまして、経済、市場環境の変化により信用コストが発生し、地域金融機関の収益を下押しする可能性がございます。 金融庁といたしましては、民間非金融部門の債務支払能力が悪化した場合でも地域金融機関がその健全性を維持できるように、ポートフォリオ全体の構成でありますとか与信集中度などのリスク特性を把握してまいります。その上で、予期せぬ経済、市場の変化に対しても機動的なポートフォリオ管理ができる体制となっているか否か、引き続き注視してまいりたいというふうに考えております。
○宮崎勝君 ありがとうございます。 続きまして、金融庁の有識者会議が先月、地域金融の課題と競争のあり方という報告書を公表いたしました。この報告書は、人口減少による資金需要の減少など地域金融機関を取り巻く経営環境が厳しさを増す中で、将来にわたって金融機関の健全性と金融仲介機能の発揮を両立させる最適な競争の在り方ということについて議論をいたしまして、それを取りまとめたというものでございます。 この報告書では、東京都を除く四十六道府県の地域銀行の決算を基にして、地銀が本店を置く道府県内において、本業で稼いだ金利や手数料が人件費などの営業費を賄えたかどうかを調べております。その結果、人口減が進む二十三の県では、県内の地方銀行が一行になったとしても単独での存続は困難ということも例示をしているところであります。 こうした分析を踏まえて、この報告書では、経営統合は金融機関の健全性維持のための一つの選択肢であるとしております。でありますけれども、一行でも単独での存在は困難と指摘された二十三の県におきましても、これ報道ベースの話でありますけれども、今回の報告書について、銀行の頭取から金融庁の意図がよく分からないと、あるいは統合の必要性は感じないと、そうした声も聞かれているところでございます。 金融庁が一行でも単独での存続は困難と指摘するこういう地域においても引き続き持続可能なビジネスモデルを構築するためには、地域金融機関としてどのような取組が必要と考えているか、金融庁の御見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(遠藤俊英君) お答え申し上げます。 委員御指摘の今回の報告書の分析でございますけれども、これは事務的な経費と、それから現在のこのビジネスモデルというもの、特に地域においてはかなり金利競争をしておりまして、非常に低収益な貸出し競争が行われているわけでございますけれども、それを前提とした場合に、単純に計算した場合に将来その収益と経費というのがどういう大小関係になるかということを分析したものでございます。 委員御指摘のように、持続可能なビジネスモデルというのはそういう単純な金利競争ではないビジネスモデルに脱皮していかなければいけませんけれども、そういったことについて金融機関と今いろいろ議論しているところでございます。 地域金融機関は、人口減少でありますとか低金利環境の継続など経営環境が厳しさを増す中で、いわゆる担保、保証に依存した融資で量的拡大を図るというこのビジネスモデルは限界に近づいているというふうに考えております。 他方、地域を見渡しますと、企業なんでございますけれども、経営改善でありますとか事業再生でありますとか生産向上等が必要な企業が多数存在しております。地域金融機関がこうした企業の事業内容とか成長可能性を適切に評価し、企業の価値向上に資するアドバイス、ファイナンスを行うことが重要であるというふうに考えておりますし、こうした金融仲介の取組というのは、企業の経営改善とか生産性向上を通じて地域経済の活性化につながるとともに、金融機関自身にとっても安定した顧客基盤と収益を確保できるものというふうに考えております。 実際、地域金融機関の中には、こういう厳しい経営環境の中にあっても金融仲介機能の発揮に組織的、継続的に取り組むことによって持続可能なビジネスモデルを構築している先、あるいはその構築を目指している先もあるというふうに承知しております。 金融庁といたしましては、今後とも引き続き地域金融機関におけるこうした取組というものを促してまいりたいというふうに考えております。
○宮崎勝君 ありがとうございます。 さらに、この報告書でございますけれども、今いろいろ問題になっておりますふくおかフィナンシャルグループと十八銀行との経営統合の問題、これを取り上げております。この問題につきましては、公正取引委員会と金融庁におきましてそれぞれ独立して審査を行っている段階ではありますけれども、まだ結論が出ていないということでございます。 こうした事態を踏まえまして、この報告書の中では、日本経済の変化を踏まえた総合的な競争政策の在り方を政府全体として議論、検討する必要があるということを提言をしておりますけれども、これについて今後具体的にどのように対応していくのか、お伺いをしたいと思います。
○大臣政務官(村井英樹君) 宮崎委員の御質問にお答えをさせていただきます。 先生御指摘の有識者会議報告書におきましては、地域において人口減少など需要の構造的な減少に直面する中、金融始めインフラ的なサービスの確保が重要な課題となってきている、また、産業構造が変化する中で、商品、サービスの安価な提供にとどまらず、イノベーションの促進や付加価値の向上に資する競争の在り方を考える必要があるという認識の下、これまでの競争政策の枠組みではこうした変化に適切に応えることが難しくなってきているとの問題提起が行われているところでございます。 人口減少下で地域におけるインフラ的サービスを維持しつつ、企業、経済の成長、発展や一般利用者の厚生の向上につながるような競争の在り方を考えていくことが重要であり、報告書の問題提起を政府として重く受け止め、日本経済の変化を踏まえた総合的な競争政策の在り方を政府全体として議論、検討していく必要があると考えております。
○宮崎勝君 ありがとうございました。 続きまして、消費税の一〇%引上げに向けた対応についてお伺いをしたいと思います。 今、骨太方針二〇一八の取りまとめに向けた議論が行われておりますけれども、この中で、来年十月に予定されている消費税率一〇%の引上げに備えた対応策が検討をされているというふうに承知をしております。我が党としても、党内で議論をしておりますけれども、この消費税引上げに伴う需要の変動等を考慮に入れた万全の対応を行われるべきだというふうに今考えているところでございます。 これに関連いたしまして、ちょっと日銀と財務省にお伺いしたいと思いますが、日銀は、先月発表した経済・物価情勢の展望の中で、消費増税前後の家計消費の変動を考えるためには、消費税率の変化幅だけでなく、その他の家計負担も考慮に入れる必要があるとして、税率が三パーから五%に二%引き上げられた一九九七年度、それから五%から八%に三%引き上げられた二〇一四年度、そして税率が八パーから一〇パーに二%引き上げられる予定の二〇一九年度のそれぞれについて、家計のネット負担額を試算をしているところでございます。 この試算によりますと、家計負担額は一九九七年度が八・五兆円、二〇一四年度が八・〇兆円だったのに対しまして、二〇一九年度は、軽減税率とか年金の生活者支援給付金、教育無償化などの負担軽減策が予定されているということで、家計負担は二・二兆円にとどまるというふうにしております。これについて日銀は、この中で、家計のネット負担額という観点から見れば、二〇一九年度の消費増税の影響は過去と比べて小幅なものにとどまると見られるというふうに分析をしております。 こうした試算を行った意図であるとか、まず消費税一〇%引上げが物価や経済に与える影響について、日銀の御認識を伺いたいと思います。
○参考人(前田栄治君) お答えいたします。 ただいま委員御指摘のとおり、最近、私どもは消費税の影響の試算結果ということを公表いたしましたけれども、これは、四月末に開催しました金融政策決定会合、ここでは二〇二〇年度までの経済、物価の見通しについて議論し、その結果を展望レポートとして公表することといたしましたので、その際、二〇一九年十月に予定される消費税率引上げが先行きの経済、物価に与える影響、これは重要なテーマの一つであったということでございました。このため、そうした議論の材料とするために、日本銀行のスタッフが消費税率引上げ前後の家計負担額について試算を行い、その内容を展望レポートにも掲載したというものでございます。 ただいま御指摘のありましたとおり、この試算結果によれば、二〇一九年十月の税率引上げによる家計負担額は、過去の増税時よりも小さくなる見込みということになっております。この点だけを考慮いたしますと、一九年の消費税率引上げによる我が国の経済成長率への下押し効果、これは二〇一四年の前回増税時と比べれば小幅なものにとどまると、このように想定しているところでございます。もっとも、消費税率引上げの影響は、その時々の消費者マインドあるいは雇用・所得環境、そして物価の動向にも大きく左右されますので、不確実性が大きいと、このように考えております。 日本銀行としては、この点を含め、先行きの経済・物価動向を丹念に点検していく考えでございます。
○宮崎勝君 ありがとうございます。 その上で、財務省にも伺いたいと思いますが、今年三月の経済・財政一体改革の中間評価におきまして、その中ですけれども、この消費税引上げの影響を克服するということについて書かれておりまして、特に、二〇一九年十月の消費税率引上げに当たっては、二〇一四年の消費税率引上げ時の経験、欧州の付加価値税率引上げの事例にも学びつつ、財政健全化を進めながらも予算や税制の活用、また、価格設定の柔軟化に向けた検討も含めて効果的な対策を講じ、駆け込み需要と反動減といった経済の振れをコントロールしながら、消費税率引上げに対応していく必要があると、このように指摘をしているところでございます。 まず、このうちの欧州の付加価値税率引上げの事例に学ぶということで明記をしておりますけれども、日本が欧州に学ぶべき点、どういうところなのかということについてちょっと説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(星野次彦君) お答え申し上げます。 欧州の事例を見てみますと、イギリスにおけます二〇一〇年一月、ドイツにおけます二〇〇七年一月の付加価値税率引上げの例では、引上げ前後の一定期間で小売価格がなだらかに上昇したため、我が国ほどには税率引上げ前に大幅な駆け込み需要が発生し、税率引上げ後に消費が著しく減るといった実態は見られず、GDPが落ち込むほどの経済への影響は見られなかったところでございます。 我が国におきましても、欧州のように需給に応じた柔軟な価格設定がなされれば、消費税率引上げ前後の需要の変動についてもう少し平準化し、それによって経済の振れをコントロールすることができるんではないかという議論がございます。 こうしたことから、先般、内閣官房に設置されました消費税率引上げによる需要変動の平準化に関するタスクフォースにおきまして、経済の振れをコントロールし、需要変動を平準化するための具体策について検討することとしておりまして、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。
○宮崎勝君 ありがとうございます。 その上で、今御指摘もありましたとおり、中間評価にもありますけれども、価格設定の柔軟化をということで今検討されているということでございますけれども、やはり過剰に事業者の価格付けの自由を縛るべきではないといった主張もございます。 また、価格表示につきましても、現在、転嫁対策特措法がありますけれども、これが期限を迎えると消費税法に基づいて二〇二一年四月からは全て総額表示が義務付けられるという、そういうことでございますけれども、これにつきましても、例えば我が党が要望を受けました日本チェーンドラッグストア協会などは、現在の表示方式は商品や販売方法に合った事業者の価格表示が可能で全く混乱がないということで、現行の表示方式を恒久化した方がいいんじゃないかと、そうした意見もございます。 この価格設定や価格表示を柔軟化することについてどうお考えになっているか、検討中だとは思いますけれども、この認識をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(星野次彦君) お答え申し上げます。 価格設定、価格表示の柔軟化についてのお尋ねでございます。 まず、価格設定の柔軟化についてでございますが、小売価格につきましては事業者が任意に設定できるものでございますけれども、先ほど申し上げましたように、欧州では付加価値税率の引上げ前後の一定の期間でなだらかに小売価格を引き上げていくのに対しまして、我が国の場合、消費税率引上げ日に一斉に小売価格の引上げが行われる傾向にございます。こうした小売価格の一斉の改定といった慣行の原因、必ずしも明らかではありませんけれども、転嫁対策特措法などの制度的な要因のみならず、売上税の時代も含めて長年の経験を積み重ねてきている欧州諸国に比べまして、税率引上げに係る経験が我が国の場合浅いといったことですとか、それに伴って消費税の仕組みや関連する制度に対する理解が十分ではない可能性が考えられることなど、様々な要因があり得るところでございまして、どのような対応が効果的か、事業者の負担にも配慮しつつ検討していくことが必要と考えております。 いずれにいたしましても、先ほど申し上げたタスクフォースにおきましては、こうした観点を踏まえつつ、具体策について検討してまいりたいと考えております。 また、価格表示に関しましては、消費税の総額表示義務、これは消費者の利便性に配慮して消費税額を含めた支払総額が一目で分かるようにするための制度でございます。一方、消費税率が二段階で引き上げられることとなっていることから、事業者の事務負担等に配慮して、転嫁対策特別措置法によりまして、二〇二一年三月末までの間、総額表示を要しない特例が設けられていることは御指摘のとおりでございます。 小売業界等の一部にはこの特例の恒久化を求める声があることは承知しておりますけれども、総額表示義務の趣旨を踏まえれば、転嫁対策特措法の期限到来後は、基本的には事業者に総額表示を求めていくことが適当であると考えております。 タスクフォースにおきまして、転嫁対策特別措置法による特例の趣旨ですとか、価格設定の柔軟化との関係も踏まえまして、対応について検討を進めてまいりたいと考えております。
○宮崎勝君 ありがとうございました。以上で質問を終わります。
○大塚耕平君 国民民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。 今日は、日銀の半期報告に関連して質問をさせていただきます。 まず、総裁にお伺いいたしますが、四月に公表された展望レポートで物価上昇率二%達成のその目標時期を削除したという、これは報道も随分されておられますけれども、その理由についてお聞かせください。
○参考人(黒田東彦君) これまでの展望レポートにおきましては、二%程度に達する時期の見通しを本文で記述してまいりましたが、これはあくまで見通しでありまして、その変化と政策変更を機械的に結び付けているわけではございません。この点はこれまでも繰り返し説明してまいったところでございます。もっとも、市場の一部では、こうした見通しを二%の達成期限と捉えた上で、その変化を政策変更に結び付けるといった見方も根強く残っております。 また、現実の物価上昇が予想物価上昇率に波及するまでには相応の時間が掛かる可能性があるなど、物価の先行きに様々な不確実性がある中にあって、計数のみに過度に注目が集まるということは市場とのコミュニケーションの面からも必ずしも適当とは言えないのではないかというふうに思われます。そのため、四月の展望レポートから物価の先行き展望について、これが達成期限ではなく見通しであることを明確にするために記述の仕方を見直すことにしたわけでございます。 ただ、御案内のとおり、展望レポートにおきましては、政策委員の見通しの中央値あるいはそのリスクにつきましても、付表において詳しく見通しを説明していることは変わりございません。
○大塚耕平君 もう一回お伺いいたしますが、これは単なる見通しだったとおっしゃるんですが、過去にこの場において、これはコミットメントだということを何度も御発言されていると思うんですが、その御記憶はございませんか。
○参考人(黒田東彦君) 二〇一三年の四月に量的・質的金融緩和を導入した際に、二%の物価安定目標、物価安定の目標をできるだけ早期にという場合に、二年程度を念頭に置いてできるだけ早期に実現するということで、二年程度ということを明確にして進めたわけであります。 ただ、その結果として、二〇一四年には消費者物価の上昇率は一・五%程度まで上昇いたしましたが、その後、石油価格の大幅な下落等によりまして消費者物価の上昇率が下がっていったという中で、その時々に応じた金融政策、追加緩和措置等を講じましたけれども、そういった際には、できるだけ早期に実現するという二〇一三年一月の共同声明以来のコミットメントは引き続き続けておりますけれども、二年程度といった言い方はしておりません。 そういった中で、できるだけ早期に実現するということは、今回の記述の仕方の変更にもかかわらず、全く変わっておりません。その意味では、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するというコミットメントは全く変わっておりませんが、二%の達成時期というものが何か達成期限というふうに取られて政策変更と結び付けられてしまうというのは趣旨に沿いませんので、そういった記述を本文から削除したということでございます。 なお、この点は、御案内のとおり、FRBやECBも経済見通しとして物価の見通しを示しておりますけれども、本文等で達成時期というものは特に明示をしておりません。
○大塚耕平君 もう一回聞きます。この場において、コミットメントだと、単なる見通しではなくて、これは自分の強い決意で必ず達成するというような趣旨のことを何度もここでおっしゃったという記憶はございますか。
○参考人(黒田東彦君) 何回も申し上げますが、できるだけ早期に二%の物価安定の目標を実現するというのは、これは強いコミットメントで、日本銀行として二〇一三年の一月の共同声明以来一貫して示しておりまして、その点は常に申し上げているわけであります。 ただ、この見通しは、先ほど来申し上げているようなことで様々な経済状況によって変化いたしますので、その見通しと、それから何かその達成期限ということで、それまでに何が何でも達成しなければならないという時間的な期限を示したものではなくて、あくまでも、できるだけ早期に実現するというコミットメントの下でどのような見通しを持って金融政策を運営しているかということをお示ししてきたわけでございます。
○大塚耕平君 もう禅問答は繰り返しませんけれども、この委員会で総裁の一期目の任期の御発言をずっと聞いておられる委員も何人もいらっしゃいますので、今の総裁の答弁についてあえて論評しませんが、それに関連してちょっとお伺いしますが、この四月の展望レポートでその達成時期を削除したことでそれほどマーケットは荒れなかったと思いますが、それはなぜだと思いますか。
○参考人(黒田東彦君) この点は、マーケットの分析ですので、私から一方的なことを申し上げるのもいかがかと思いますが、政策委員会の委員の物価見通しについてはその前の展望レポートの見通しと全く変わっておりません。そういった意味で、見通しという意味では変わっていないということは市場には理解されたのではないかというふうに思いますが、マーケットは、御承知のように、最近の市場は極めて外国の様々な状況によって影響されますので、マーケットの状況を、常に何によって変動したのか、あるいは何によって変動しなかったのかというのを確定的に申し上げるのは難しいと思いますが、私としては、先ほど申し上げたように、見通しは全く変わっていないということは理解されたのではないかというふうに思います。
○大塚耕平君 随分楽観的な分析だと思うんですが、削除しても影響がなかったのはマーケットに驚きがなかったからなんです。つまり、もうそう短期間のうちには実現が無理で、日銀に対する信頼性が低下しているということによって、これだけ大きな変化が起きてもマーケットは大した材料にしなかったということだと私は思います。大変ゆゆしき事態だと思っております。 是非、日銀の信頼性、中央銀行の信頼性を立て直すために努力をしていただきたいと思いますが、そういう受け止め方をしておりますので、日銀の信頼性を立て直し、その使命を果たすためにも、黒田総裁に二期目の運営方針について二、三確認をさせていただきたいと思います。 平成二十七年頃のこの委員会で、やはりこれだけ大きな政策を、大きなというよりも重大な試験的政策をやっていることから、やはり継続的に様々な資料を配付をしてほしいということで、国債関係資料というものを毎月月末に全委員の皆さんにお配りをいただくようになりました。それはそれで結構なことだと思います。 そこで、そこに毎月添付をされているマネタリーベースと日本銀行の総資産の対名目GDP比率という表があります、皆さんもよく御承知のとおりでありますが。以前、この場において総裁に、二%の物価上昇率を達成するまでは、このマネタリーベースと総資産の対名目GDP比率に上限はなく、どこまででもやり続けますかということをお伺いしたところ、上限はないというふうに総裁は御答弁になりました。 今、直近のこの資料、五月分で見ても、マネタリーベースの対名目GDP比は、やはり過去最高を更新して九〇%、総裁が御就任時、スタートは二〇%台後半だったものが今九〇%です。そして、日銀の総資産の対名目GDP比は、これは四月末はやはり過去最高、二月と同じなんですが、九七%、こういう水準でございます。 改めて総裁のこれから五年間の基本的な考え方はいかがかということでお伺いをいたしますが、一期目と同様に、この比率については特段上限は考えず、青天井で運営をされるということでよろしいですか。
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行の総資産あるいはマネタリーベースにつきましては、特定の天井があるというふうには考えておりません。
○大塚耕平君 それでは、もう一つ、その計表と同時に公開をしていただいている日銀保有国債の平均残存期間であります。これも、直近の四月は七・五六年と、最長はその前の月の三月末の七・六年ですから、四月は若干短くなりましたが、引き続き、総裁が御就任されたときは三・八年でしたから、これが倍の長さになっているわけであります。この残存期間については何か一定の運営方針を今お考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 以前、平均残存期間については七年程度とかいろんなことは申し上げておりましたけれども、現時点では特別に、平均残存期間につきまして特定の、何というんですか、ターゲットというか目標というかシーリングのようなものは設けておりません。ただ、この平均残存期間がどんどん上昇していくかどうかということについては、国債買入れがどの期間のものをしていくかということによりますけれども、現時点で何かそのウエートを大きく変えるというようなことは考えておりませんので、当面余り大きく動くというふうには思っておりません。
○大塚耕平君 ちょっと確認をさせてほしいんですが、今平均残存期間については七年という、今ターゲットは特段置いていないというふうに御答弁いただいたんですが、それはいつ頃からそういう方針に変わられたんでしたでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 二〇一六年九月の長短金利操作付き量的・質的金融緩和というところで、金融市場調節方針をマネタリーベースあるいは国債買入れ額からイールドカーブコントロールというふうに変えた際にこういうふうにしたわけでございます。
○大塚耕平君 改めて今私も再認識させていただいて、それはなるほど、ある意味先々を考えると合理的な選択だったと思いますので、ということは残存期間については今特定のターゲットは置いていないということを前提に質問させていただきますが。 二%目標達成のためには、先ほど資産やマネタリーベースの対GDP比の上限は設けていないというんで、これをやり続けることは一つの緩和の手段にはなり得ると思うんですね。しかし、一方、いつかは出口に向かわなきゃいけないというときに、その出口にソフトランディングするためには、持っている国債の期落ちを言わば自然体で受け入れていくという対応がある意味モデレートですので、残存期間に目標を設けていないというのはなるほどというふうに思います。残存期間に目標を設けなかった、二〇一六年九月にそういう変更をしたというのは、ある程度そういったことも意識しての変更だったと理解していいでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 二〇一六年九月のいわゆるイールドカーブコントロールという形で新しいフレームワークにしましたのは、御案内のとおり、その前にいわゆる総括的検証というものを行いまして、それまで行ってきた量的・質的金融緩和の効果あるいは副作用等についてかなり詳細に分析をいたしましてフレームワークを変更したわけでございます。 その際の一つのポイントとしては、マイナス金利の導入後、イールドカーブ全体が下がって、しかも非常にフラット化したと。超長期の金利が非常に大きく低下したわけですけれども、それは、一方で、年金等に対する影響から消費者のマインドに影響するおそれがある一方で、超長期の金利が下がることによる景気刺激効果というのは余りないのではないかということで、イールドカーブコントロールにすると同時に、国債の買入れについて非常に、量的な目標を設けず、また平均残存期間についてのシーリングも設けず、弾力的に行っていくということで、ある意味でいうと、経済、物価、さらには金融情勢も踏まえて、より持続可能な形で強力な金融緩和を続けるということにある意味で、転換したというのは大げさだと思いますけれども、変化したということだと思います。
○大塚耕平君 もう一回御質問させていただきますが、つまり、残存期間に目標を置かなかったということは、事実上のテーパリングを行うための出口戦略を見越しての変更であったのかなかったのかということについてお答えください。
○参考人(黒田東彦君) それは、そういうことではございません。 量的・質的金融緩和を行ってきた下でも、御案内のとおり、経済への影響のチャネルというのはあくまでも、名目金利、特に中期、長期の名目金利を下げる一方で、強いコミットメントを通じて予想物価上昇率を引き上げて、中長期の実質金利を引き下げて経済を刺激していくということでありました。そういったことをある意味でいうとよりダイレクトにイールドカーブコントロールという形で、適切なイールドカーブ、特に中長期の金利を適切な水準に維持することによって経済への刺激効果を維持していくと。 さらには、イールドカーブコントロールの下では、実際の物価上昇率あるいは予想物価上昇率が引き上がっていく過程で実質金利はむしろ下がっていくということによって経済に対する刺激効果もより強力なものになっていくということも踏まえて行ったわけでありまして、これを通じて何かその出口あるいはテーパリングを始めるというようなことを意図したものではございません。
○大塚耕平君 質疑の内容はマーケットの皆さんも聞いていらっしゃるので、ある意味、マーケットの皆さんへのメッセージも発していただきたいという意味で質問していますので、もう一回確認をします。 ということは、今後、期落ちを自然体で受け入れて残高が減っていくという事象が起きたとしても、だからといって出口を模索しているわけではない、総裁としてはそういうつもりではないという理解でよろしいですね。
○参考人(黒田東彦君) そういったことまで言っているわけではございません。あくまでも適切なイールドカーブを実現するために引き続き長期国債を中心に国債の買入れを進めていくということですので、国債保有残高は増加していくわけですし、そういったことでは、何か期落ちで残高が減るとかそういったことをインプライしているわけでは全くありません。あくまでも適切なイールドカーブを実現するために引き続き長期国債の買入れを行っていくと。 ただ、金融調節方針は、かつての年間八十兆円国債保有残高を増やしていくというその量的な調節方針ではなくて、短期政策金利と長期、十年物国債の操作、金利の操作目標というこの二つの点を決めて、それが実現されるように国債を買い入れていくという形で、国債買入れの量がその調節方針の言わば目標から、イールドカーブコントロールという形で短期政策金利と十年物国債の金利の操作目標という、この金利の目標に変更したということでございます。
○大塚耕平君 なるほど。 そうすると、二期目の総裁の運営方針を確認させていただきたくて今るるお伺いをしているわけですが、マネタリーベースや総資産の対名目GDPの比率、これ一応上限はないとはおっしゃったものの、今総裁がおっしゃったような考え方であれば、上限はないものの、特定のこれは比率にターゲットを置いているわけでもないし、この残存期間についても特定の目標をもうもはや定めていないし、期落ちについても、その期落ちを自然体で認める認めないということが何か深い意味を持つかというと、そういうわけでもないと。つまり、今政策手段として駆使しようとしているのはイールドカーブコントロールであるということを今ずっと御説明されたので、ということは、量的緩和はやめたという理解でよろしいですか。
○参考人(黒田東彦君) そうではございません。 先ほど来申し上げているとおり、適切なイールドカーブを実現するために長期国債の買入れは引き続き行っていくということでございますので、長期国債の保有残高は増加していくわけであります。 それから、長短金利操作付き量的・質的金融緩和というフレームワークを提示した際に、いわゆるイールドカーブコントロールと、もう一つ、オーバーシュート型コミットメントというのも示しておりまして、消費者物価の上昇率、実績値が二%を超えるまでマネタリーベースを増加させるというオーバーシュート型コミットメントも示しておりますので、いずれの面でも、つまり国債について、例えば期落ちをして残高が減るようなことを認めるということでもありませんし、それから、マネタリーベースについても、引き続き消費者物価の上昇率の実績値が二%になるまでマネタリーベースの増加を続けるというコミットメントもしております。
○大塚耕平君 それでは、もう一回確認ですが、その前段の、今の御答弁の前の答弁だけお伺いしていると、イールドカーブコントロール、YCCが目標であって、そのためには量的緩和も手段として行うというふうに聞こえたんですが、今の直前の御答弁では、いやいや、必ずしも、目標はYCCで、量的緩和は手段ということだけではなく、量的緩和そのものも目標として行うというふうに聞こえたんですけれども、そういう理解でよろしいですか。
○参考人(黒田東彦君) やや長ったらしい名称ですけれども、長短金利操作付き量的・質的金融緩和ということに表れておりますとおり、長短金利操作を行うために長期国債の保有を増加させていくと。ただ、その増加額について、かつては八十兆円というものを設定して、それをターゲットにして金融調節をしておりましたけれども、現在はそうではなくて、八十兆円というのは単なるめどでありまして、あくまでも必要なことは短期政策金利と十年物国債の操作目標という二点を実現するために必要な長期国債の買入れを行うということ、それから、マネタリーベースについては先ほど申し上げたようなオーバーシュート型コミットメントをしているということでございます。
○大塚耕平君 僣越ながら、総裁、一回よく是非事務方の皆さんと御議論いただいて、政策の最終目標と中間目標と、それからそれを実現するための手段、これらについてもう一回整理をされた方がいいような気がいたします。そういうふうに何となく聞こえています、私自身には。 量的緩和については、今の御答弁では、これ、増加額についてはもう特段のメルクマールは設けていないと、これは何のためにやるかといえばYCCのためだというふうにおっしゃったので、やっぱり量的緩和はもう単なる手段ですよね。量的緩和そのものは、もちろん二%の物価目標を達成する、最終目標を達成するためのものであって、量的緩和そのものに操作手段としての中間目標を何か設けているわけではなくて、これを融通無碍に使っていくということをおっしゃっているわけですので。 そうすると、もう一回さっきの質問に戻りますけど、今やろうとしておられることは、中間目標としてはあくまでYCCだけであって、量的緩和というのは単なる手段なので、量的緩和そのものを中間目標として最初はスタートされたんですが、それはやめたんですねということをお伺いしているんです。
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げているとおり、金融政策の最終目標は、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということであります。そのための金融市場調節方針、金融政策の委員御指摘の言わば中間目標としては、従来は長期国債の買入れ額、それからマネタリーベースの増加額というものを示しておりました。それは二〇一六年の九月の長短金利操作付き量的・質的金融緩和という新しいフレームワークの下で変更になったわけですが、前段のイールドカーブコントロールについては、従来から申し上げているとおり、二つの点の金利をターゲットにして、それを実現するために必要なだけの長期国債の買入れを行いますと。そのめどとしては、従来どおりの八十兆円というめどは示しておりますけれども、現実の買入れ額は、その上下に変動して、今のところは八十兆円以下になっております。 ただ、従来の量的・質的金融緩和の場合も、あくまでも中間目標から最終目標へ向けての金融政策の効果のチャネルという点では、先ほど来申し上げていたとおり、名目金利、中長期の名目金利を引き下げ、そして物価予想を引き上げ、実質金利を引き下げることによって経済を刺激するという点は、今回の新しいフレームワークの下でも全く変わっておりません。 なお、マネタリーベースについては、先ほど来申し上げているとおり、オーバーシュート型コミットメントという形でずっとマネタリーベースの増加は続けていくということもコミットしております。
○大塚耕平君 それでは、ちょっと違う質問をさせていただきますが、出口戦略が大変我々は気になっているわけでありますが、二%の目標そのものは、達成時期は今回削除してしまったけれども、その目標自身は変えていないということは、二%に安定的になる、ないしは、オーバーシュートコミットメントしているというわけですから、二%プラスアルファが安定的に実現できるまでは出口には一切着手しないという理解でいいですか。
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、この二%の物価安定の目標の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続するということにしておりますし、また、オーバーシュート型コミットメントの下で消費者物価上昇率の実績値が安定的に二%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続するということにしております。いわゆる出口戦略も含めまして、今後の金融政策はこうした考え方に沿って運営していくことになるというふうに思います。 今後、先々、二%に向けて物価上昇率が高まり、物価安定の目標の実現に向けた環境が少しずつ整ってくれば、いずれ具体的な出口の進め方についても情報発信していくことになるというふうに考えられます。もっとも、そうした状況までにはなお距離があることを踏まえますと、現時点では出口戦略に着手するタイミングを検討する局面には至っていないというふうに考えております。
○大塚耕平君 いや、タイミングをお伺いしているのではなくて、着手基準、判断基準です。つまり、二%プラスアルファが安定的に実現できるまでは一切出口には着手しないという理解でよろしいですか。
○参考人(黒田東彦君) ここに申し上げていますとおり、二%の実現を目指して、これを安定的に持続するために必要な時点まで長短金利操作付き量的・質的金融緩和を継続するということはやっぱりはっきりしているわけですし、また、オーバーシュート型コミットメントもはっきりしておりますので、そういった意味では、当然、二%に達する前に何か出口に出てしまうということにはならないと思いますが、先ほど来申し上げているとおり、二%に向けて物価上昇率が高まって、物価安定の目標の実現に向けた環境が少しずつ整ってきますと、具体的な出口の進め方について情報発信していくということになると思います。
○大塚耕平君 もう質問はいたしません。あとはちょっと発言させていただいて終わりにいたしますが、その二%目標の合理性については、この五年間随分議論してきましたが、必ずしも何か合理的根拠があるわけではなく、海外がそれを目標にしているだけだという議論がここで繰り返し行われました。そして、日本においてなかなか物価が上昇しないのは、単に金融要因だけではなくてほかの要因もあるという中で、本当にその二%が安定的に実現できるまで、今の総裁の御発言のように、出口に一切着手しないで本当にいいのかということも随分ここでやり取りが行われました。 私も、どちらかといえば、今直前で申し上げた心証を持っている方であります。その二%にこだわることなく、やはりある程度金融政策ないしは中央銀行のバランスシートの健全化に向けてどこかで少し軌道修正をした方がいいのではないかというふうに思っておりますが、今日改めて総裁にお伺いしたら、二期目の五年間も、マネタリーベースも総資産も対名目GDP比は上限なく青天井で、とにかく目標に向かって邁進するということでございますので、若干の危惧を感じております。 その上で、もう質問はいたしませんが、通告した内容にありますように、全銀協や地銀協の会長が日銀の金融政策の転換を求めて、今のこの低利ざや、超低金利政策では金融機関の安定性が損なわれると言っているわけであります。日銀法の第一条の二項には信用秩序の維持というのも日銀の政策目的に掲げられているわけでありますので、是非バランスよく日銀法を理解していただくことが必要ではないかと思います。 最後に、委員長にお願いを申し上げます。 日銀総裁一期目の、つまり二年で二%を達成するということについて、どのような趣旨でここで御発言されていたかということは、これは日銀及び日銀総裁の信頼性に関わる問題でありますので、財金調査室で過去の発言を、この委員会での発言をきっちりトレースしていただいて、どのようにその発言が行われ、変化してきたかということを委員会に調査結果、整理結果を御報告いただくことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。
○委員長(長谷川岳君) 後刻理事会にて協議いたします。
○風間直樹君 よろしくお願いいたします。 〔委員長退席、理事三木亨君着席〕 今の質疑を聞いておりまして、黒田総裁の御答弁とおっしゃる内容が二〇一三年に就任された当初と様変わりしたことに非常に強い印象を受けました。同時に、この場で前任の副総裁からも何度か御答弁をいただきましたけれども、既に退任をされましたが、この前任の副総裁がるるお話しになった目的、内容も現在の日銀においては大きく変更されたのではないかと、こういう印象を受けました。 今日は、新任の若田部副総裁にお越しいただいておりますので、まず若田部さんにお尋ねをしたいと思います。 報道を拝見しておりますと、若田部副総裁は更なる量的拡大を主張されているというふうに私は認識しているんですけれども、それで正しいのでしょうか、またその理由は何でしょうか、お尋ねします。
○参考人(若田部昌澄君) お答えいたします。 報道などでは、確かに更なる量的拡大を主張していると言われたことはございます。それは私が日本銀行の副総裁に就任する前の報道でございます。 現状において私がどのように考えているかということについては、現状で行っている政策をつぶさに吟味して、それでもって二%の物価安定の目標に達成し得るかどうかということについての検討を続けております。 現段階におきましては、現状での政策でもっての達成というのも可能であるのではないかという心証を得ておりますけれども、ただ、それは現時点での判断でございまして、その後の情勢の変化などを踏まえまして、現状の政策が適切でないならばそれに対する変更ということを考えるということもあり得るというふうに考えております。
○風間直樹君 若田部さんがおっしゃる政策目標というのは物価上昇率の二%という目標のことでしょうか。
○参考人(若田部昌澄君) それにつきましては、政府と日本銀行の共同声明を受けまして、日本銀行の政策決定会合において採択されている二%の物価上昇率を目指すという、この物価安定の目標のことを指しているというふうに考えております。
○風間直樹君 そうすると、今の黒田総裁の御答弁との間に若干その乖離を感じるわけですね。 今、大塚委員との質疑の中で黒田総裁の答弁、私なりに受け止めたものを整理しますと、まず、二〇一三年の黒田総裁の就任時の記者会見のときの写真を私再度確認をしてみたんですが、写真、パネルを掲げられましたね、総裁。あの中で四つの数字を出されました。二%、二年、二倍、二倍以上という四つです。まず最初の二%は、物価安定の目標は二%と。二年というのは、達成時期は二年を念頭にできるだけ早期にと。マネタリーベースは二年間で二倍。国債保有額、平均残存期間は二年間で二倍以上ということです。 〔理事三木亨君退席、委員長着席〕 先ほどの御答弁を聞いていますと、まず最後の二倍以上に関しては、現在はもう旗を下ろしたという趣旨の御答弁をされました。つまり、二〇一六年九月にイールドカーブコントロールに変わったんですと、さらに保有額八十兆円は単なるめどに変えたと、こういう答弁をされた。 それで、私は、黒田総裁の今の御答弁を聞いていまして、日銀が金融政策の目的を変えたんだなというふうに受け止めました。その結果、この政策目標実現のためのフレームワークも変えたと。 当初、黒田総裁が二〇一三年に就任されたときには、明確にこの物価安定目標の二%を掲げられて、それを二年を念頭にできるだけ早期に達成すると。その二という数字を四つ並べたというのに相当の意気込みが表れたわけですよね。ここに明確にコミットするんだと。 ところが、現在は、このコミットメントしたという発言を記憶されていますかという大塚委員の質問に対して、そこは曖昧な答弁をされましたけれども、事実上この物価安定目標の二%というのは日銀のレポートからも削除されていますから、これは下ろしたんだという認識を持ちました。 その上で、この金融政策の目的を、フレームワークを変えたのかなと私が理解したのは、総裁就任当初は、いわゆる合理的期待形成というこの学説に総裁御自身も相当これでいけるんだという思いを持っていらっしゃったんだろうと思うんです。つまり、物価上昇率を二%にして、消費を拡大して、賃金を向上させて、景気を拡大して、税収を増やすと。 ところが、二〇一六年の政策変更でYCCに変えられた結果、先ほどの総裁の御答弁を踏まえると、実質金利を下げて景気を刺激するということに変えたと、こういうふうに私は受け止めたんですけれども、総裁、こういう理解でよろしいですか。
○参考人(黒田東彦君) 従来から申し上げているとおり、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するというこの日本銀行の金融政策の目的は全く変わっておりません。これは二〇一三年の一月の政府との共同声明でもうたっておりますし、この政府との共同声明は、先日、政府との間でも堅持するということが確認をされております。そういう意味で、金融政策の目標、目的は全く変化していないということでございます。
○風間直樹君 私、ちょっとその御答弁は苦しいかなと思いますのは、この合理的期待形成学派というのは、一番根幹の理論に何があるかというと、まず物価上昇のこの二%なら二%という時期を国民に対して約束をする、そして人々の物価が上昇するかもしれないという期待に働きかける、ここが根幹じゃないかと私は感じますので、今の御答弁は少し弱いかなというふうに感じます。 総裁に重ねてお尋ねをしますが、今日、私の配付資料で、先ほど大塚委員も言及された保有国債の残存期間について出してありますけれども、今なお三月末の数字で七・六年。それで、これ、あれでしょうか、総裁の率直なお考えとしては、長期国債購入の拡大は物価目標を達成する上でその効果に限界が見られたという認識でよろしいでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) そういうことはございません。あくまでも、二〇一六年九月の長短金利操作付き量的・質的金融緩和におきましても、実はその前の量的・質的金融緩和でも同様ですけれども、中長期の国債の買入れを通じて中長期の名目金利を引き下げると、他方で、物価安定目標へ向けての強いコミットメントを通じて物価上昇期待を引き上げると、両者が相まって中長期の実質金利が低下すると。そして、これが経済を刺激し、需給ギャップを縮め、現在のようにプラスの領域まで持っていって、賃金、物価が上昇し、二%の物価安定の目標に向けて進んでいくということを狙っておりまして、そういった全体の大きな枠組みは変化しておりませんが、現在の長短金利操作付き量的・質的金融緩和におきましては、金融市場調節方針という、言わば中間目標というか、中間の金融政策、金融市場調節に関する目標が、国債の買入れ額、年間八十兆円国債の保有残高を増やすというものから現在のイールドカーブというものに変わっておりますけれども、その手段としては依然として長期国債を買い入れていくということに変わりはございません。
○風間直樹君 もう一度お尋ねします、よく分からないので。この物価目標二%を達成する上で、そうすると、総裁は長期国債の購入の拡大に効果があったと、こういうお考えなんですね。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げているとおり、長期国債の購入を通じて名目長期金利を引き下げると、これは実際そのようになっておりますし、また予想物価上昇率も現時点では横ばいというところですけれども、一%前後というところでございますが、予想物価上昇率を引いた中長期の実質金利はマイナスで維持されておりまして、これが経済の拡大に貢献し、経済の拡大を通じて賃金、物価が上昇していくと、そうしたことを通じて二%の物価安定の目標が実現されるという全体のフレームワークには全く変更ございません。
○風間直樹君 終わります。
○大門実紀史君 大門です。 久しぶりの日銀報告質疑でございます。よろしくお願いします。 今日の議論をずっと今まで聞いていてやっぱり思うのは、この際、やっぱり二%のこの物価目標というのをもうやめたらどうかと思うんですよね。五年もやって駄目なんだからもう十分、もう十分だと思うんですよね。かえってこの目標があるために自分で自分の首を絞めているというか、日銀がですね、身動き取れない状況に陥って、いつまでも出口といいますか正常化のところに踏み出せないと。二%というのをやめちゃえば、いろいろもっと楽に、いろいろ考えられるんじゃないかと。もっと楽になったらどうかと思うんですよね。こういう議論ばっかり何年もやっているのはいかがなものかというふうに思うわけでありますけど。聞いても同じ答弁ですよね、ですのでやめておきますけど。本当に、こういうの、何年こんなことをやっているのかなと思いますけれど。 それで、ちょっと具体的なことでお聞きしたいと思うんですが、三月六日の議院運営委員会で、総裁の所信聴取ですかね、の質疑のときに、私の質問のときにこういうふうにお答えになっているんですけれども、正常化というか、あるいは出口というか、その際に論点になるのは二つあると。短期政策金利をどうするかということ、拡大したバランスシートの調整をどのように行うかと、この二つが議論になるでしょうと。ただ、それを具体的にどのような手順で動かしていくかは、やはり出口に差しかかったときの経済、物価、金融情勢を踏まえて最適な方法でやっていくということに尽きるということをおっしゃっていて、相変わらず、今具体的に議論するのはやはり早いということで、つまり、出口に差しかかってきたときに、そのときの経済、物価、金融情勢を見て考えると、まだ先の話だということをおっしゃっているわけですね。 同時に、日銀は長期金利を抑える等の十分な手だてを持っているからともお話をされております。本当に何があっても対応できる手だてをお持ちなのかと、あれば示してもらいたいなと思いますが、ないんじゃないかと私は思っていますけれども。 ただ、いざ正常化に踏み出すときの、総裁がおっしゃったように、何か日銀の手持ちの手だて、日銀の範囲でやれる手だてだけでは対応できないリスクも生じてくるんではないかと思います。日銀の手のうちの範囲を超えたリスクもあるんではないかと。今日はその点質問させてもらいたいんですが。 資料を用意いたしましたけど、国債マーケットにおける海外投資家の問題です。投機筋の問題です。 配付資料の一枚目は、国債市場における海外投資家の存在感ということで、先物、現物の売買に占める割合、あと保有割合ですね。売買でいえば現物で三割、先物でも五割を超えるという水準になってきております。保有割合もじりじり着実に伸びて一割強になっているというところですね。 二枚目は、期間別に見たものですけれども、海外投資家のですね、見たものですけど、注目すべきはやっぱり長期債、十年債で五割前後に海外投資家の比率が高まっているということで、特にもう売買に関していえば、国債の売買に関していえば、海外投資家、もうはっきり言ってヘッジファンド含めて投機筋が多いわけですけれども、が国債市場の中心的存在になってきております。 国債市場において、基本的認識をまずお伺いしたいんですけれど、総裁は、二年前の参議院の予算委員会のときに、国債市場というのは海外の人が買ったっていいんだと、誰でも自由に取引、売買していいんだというふうに思っていますというふうに、二年前は割と気楽なことをおっしゃっていたんですけれども、国債市場において海外投資家の存在が高まっていくことはいろいろ考えなきゃいけないと思うんですけれども、金利の水準とか、こういう海外投資家の存在が、プレゼンスが高まっていくことに対して、金利の水準とか国債の価格変動リスクにとってどういう影響があるというふうに、一般論でも結構なんですけれども、今のところ認識されているか、お伺いしたいというふうに思います。
○参考人(黒田東彦君) 御指摘のとおり、我が国の国債市場における投資家別の売買動向を見ますと、確かにここ数年、海外投資家のプレゼンスが高まっているということはそのとおりであります。 そうした海外投資家の動向につきましては、国内外の景気動向あるいは国債利回り、それから、海外投資家は特にそうでしょうが、外貨を用いて円貨を調達する際のプレミアムの動向など、様々な要因が影響しているというふうに見られます。この点、日本銀行では、こういった海外投資家など国債市場の主要な投資家の売買動向につきましても、その背景にある様々な要因も含め、日々注意深くモニタリングを行っているところであります。 御指摘のとおり、この海外投資家は海外の状況と日本の状況との言わば両方を踏まえて投資をするということでございますので、その動向というのは特に海外の経済、金融の市況、そういったものの動きにも影響されますので、そういった動向は注意深くモニターしております。
○大門実紀史君 資料の次のページにちょっと用意させてもらいましたけれども、これは財務省の、二〇一四年に債務在り方懇談会というのが開かれまして、その中で大手の外資系の金融機関の担当者が提出してくれた資料であります。 これは、日本国債の市場、マーケットにおける海外投資家の実態について報告をしていただいたわけですけれども、これのところのメモに線を引いておきましたけれども、要するに、ヘッジファンドが円債市場に本格参入するのは以下のタイミングだということで、最初に書かれているのが日銀の緩和縮小、つまり出口といいますか、正常化に向けてのところだと思うんですけど、この金融政策変更のタイミングだというふうに、こういうところを簡単に言えば海外投機筋は狙うだろうということを指摘されております。そういうことはきちっとリスクとして思っていなきゃいけないというふうに思うわけです。 もう一つは、具体的にこの海外のヘッジファンドが最も投機的な動きをするのが空売りの問題です。 この点では、一昨年の、これは衆議院の公聴会で発言されておりますけれども、投資会社の代表の方、松田さんという方で、トレードの現場にいる方が、衆議院の公聴会で国債に関するリスク提言ということで発言をされております。 これによりますと、三つ重なるんじゃないかと。そのヘッジファンドが国債に何かを仕掛けるときは、一つは格付会社、いわゆる勝手格付といって、海外の格付会社が日本国債のランクを下げるようなタイミングと、外国人勢の空売り、ヘッジファンドの空売りと、この三つが、先ほど申し上げましたけれども、日銀の政策変更のときに狙って仕掛けてくるのではないかということを、具体的に現場の方が国会の公聴会で指摘をしてくれているわけであります。 もちろん、今まで海外の投機筋が日本の国債に空売りを仕掛けて暴落、空売りを仕掛けて失敗をしたという例はもう承知しております。今までは防いできたとありますけど、ただこれからもずっと大丈夫と言えるのかと、言えない、あるいはそれも備えておかなきゃいけないのではないかという立場で、先ほど総裁も言われていましたけど、リスクを認識しておくべきだというふうに思います。 その点で、資料の四枚目に、この国債含めた空売り規制について日本とEUの状況を比較したものを金融庁に出してもらいました。 これ、池田局長ですかね、株と国債についての空売り規制の比較なんですけど、時間の関係で国債の空売り規制の部分だけEUと日本でどういう違いがあるのか、簡潔に説明をしていただけますか。
○政府参考人(池田唯一君) お答え申し上げます。 空売りについての、例えば上場株式等についての空売りポジション、こうしたものについては報告、公表制度がございます。これは、空売りの状況を投資家に周知することなどを通じまして、投資家における適切な投資判断を可能として公正な価格形成に資するようにしようとするものでございます。 こうした考えの下で、日本におきましては、御指摘のように、上場株式については空売りポジションの報告、公表制度の対象となっているわけですけれども、国債についてはその対象とはされていないところでございます。 他方、欧州につきましては、国債の空売りポジションにつきましては公表制度の対象とはなっていませんが、空売りポジションが一定水準を超える場合には当局に対して報告を行う義務があると承知してございます。この資料にございますように、空売りポジションが一定水準を超える場合については当局への報告が必要であると。この一定水準については国ごとに定められているという状況でございます。
○大門実紀史君 そういうことで、更に言えば、緊急時にはEUの場合は個々の投資家に対しても様々な金融取引の持ち高を、ポジションを報告させることができるというのがありまして、こういった仕組みは日本にはないということでございます。 アメリカなんですけれど、これはもう口頭で御紹介いたしますと、アメリカでも国債管理政策の一環として一九八〇年代に国債法というのが制定されまして、国債の市場取引に対して公的な規制が導入されております。大口の持ち高制度というのがございます。これも同じように大口の持ち高を当局に報告する制度でありまして、これ、国債の持ち高の集中状況とか支配力が過度に強まっていないかなどをモニタリングするというようなことを中心の目的にしております。 とにかく、EUでもアメリカでも国債の大口ポジション、大口の投資家に対しては一定の報告制度を求める公的規制が導入されております。それぞれ、EUの場合だと、二〇一〇年ですかね、ソブリン危機とか、アメリカだといろんな不正取引がありましたので、そういう背景があって導入されたものですけれども、日本においてもEUとかアメリカの教訓を踏まえて備えておく必要があると思うんですけれども、これは財務省の担当ですかね、こういう、投機筋がいざというときに狙ってくるという可能性があるわけなんですけれども、日本もこれからこういう報告制度とか規制の枠組みを、規制を作って備えておく必要があるんではないかと思いますが、財務省、いかがでしょうか。
○副大臣(木原稔君) 委員の問題意識はよく分かりました。 大量の国債の確実かつ円滑な発行、それと中長期的な調達コストの抑制というものを図るためには、市場のニーズを踏まえた国債発行を行う、それと併せて、流通市場の機能が十分に発揮され、国債の保有者がいつでも適正な価格で売買できるように、国内外の多様な投資家によって取引が活発に行われること、これが重要であるというふうに考えております。 このため、私ども国債発行当局といたしましては、今後とも国債市場の状況等を注視しつつ市場ニーズを的確に把握して、取引が活発に行われるよう流通市場の機能の維持向上に向けて、金融規制を所管する金融庁や、また金融政策を所管する日本銀行とも引き続き密接に連携してまいる所存でございます。
○大門実紀史君 せっかくなんでもう一つ財務省に聞きますけど、今現在、日本も国債市場特別参加者制度ですかがありますよね。これが一定機能しておりますというような話もあったんですけれども、実は、この現在の国債市場特別参加者制度、プライマリーディーラー制度では、二十ですか、プライマリーディーラーといって二十の金融機関、内外の、入っているんですけれども、これ二〇一四年にこの委員会で私、例のLIBOR問題、ロンドン銀行間取引の不正取引ですかね、そのときにこの委員会で取り上げた記憶あるんですけれど、この今ある制度の国債市場特別参加者制度に名前を連ねているJPモルガンとかシティグループとかドイツ証券とか、こういう、この二十のうち六社があのときにLIBOR問題で軒並み罰金を受けるというようなことがありましたので、今あるこの制度が必ずしも抑止力働いていないというようなこと思いますので、今副大臣おっしゃったように、きちっとした、EUあるいはアメリカ並みの、こういう投機筋の動きを少なくとも把握できるような制度を早急に考えていただきたいというふうに思います。 先ほど紹介した公聴会に来られた松田さんという現場のトレーダーの方がおっしゃっているのは、とにかく当局がなめられることが一番駄目なんだと、日本政府とかあるいは日銀とかがヘッジファンドとかになめられることが一番駄目だと、そのさせないためにもこういう報告制度をきちっと設けることが必要だということをおっしゃっておりますので、その点を踏まえて検討していただきたいというふうに思います。 最後に、そうはいっても黒田総裁にお伺いしたいんですけれども、出口について語らないといいますか、正常化への道に口を、何もおっしゃらないということなんですけど、ここまで来ると、逆に、何もおっしゃらないことがいざ正常化に踏み出したときのリスクをかえって高めると、何も言わないことがかえって踏み出したときのリスクを高めると。今日申し上げたようなことも含めて、いきなり正常化と、いつやりますとか何かはまたおいておいたとして、いろんな備え、いろんな構え、備えはやっぱりきちっとしておく、もう五年もたったんですから、そろそろ、今日御指摘したことも含めて、備えや構えをきちっと準備しておくことが必要ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 将来のいわゆる出口の局面では、従来から申し上げているとおり、金利水準の調整あるいは拡大した中央銀行のバランスシートの扱いなどが課題になるわけでして、その際、委員御指摘のとおり、国債市場の動向を始め様々なリスク要因に留意する必要があるというふうに認識しております。 その上で申し上げますと、日本銀行は既に長短金利を操作するためのオペレーション面での様々な手段を有しておりますし、また、各種の資金吸収オペレーションのほか、超過準備に対する付利金利の引上げなどによって対応していくことも考えられます。特にFRBを始めとする海外の先行事例なども踏まえながら、市場とのコミュニケーションを適切に行っていくということが必要であるというふうに考えております。 日本銀行といたしましては、海外の中央銀行の経験からも学びつつ、様々な政策手段を活用することで市場の安定を確保しながら、その時々の状況に応じて適切な政策運営を行うことが十分可能だと考えております。 なお、御指摘の国債の空売り規制の問題につきましては、日本銀行は規制の当局ではございませんので、具体的なコメントは差し控えさせていただきますが、常に国債市場の動向をモニタリングしている立場から、一部の市場参加者による国債の空売りなどが国債利回りに特段の影響を及ぼす動きにつながるかどうかという点も含めて、今後とも国債市場のきめ細かい把握に努めてまいりますとともに、その上で、日本銀行としては、引き続き関係当局と連携を密にしてまいりたいと考えております。
○大門実紀史君 よろしくお願いします。 冒頭申し上げたように、二%の目標にどれだけの意味があるのかということを本当に、大体二%というのは、議運のときにも申し上げましたけど、二%が続くという状況は、日本でいえば、戦後でいえば高度成長期あるいはバブルのときぐらいですから、ほかはありませんので、そんなものを目標にしてどれだけの意味があるのかということと、物価は金融だけで決まりませんから、やっぱり二%の物価目標というと、賃金でいえば三%以上の引上げがないと実現しないというふうな関係もあるわけですから、もう金融政策ではなくて、政府を挙げて本当に今賃金引上げ政策に専念すべきではないかということを与党の皆さん、財務省の方にも申し上げて、私の質問は終わります。 ありがとうございました。
○藤巻健史君 日本維新の会の藤巻です。よろしくお願いいたします。 今の大門委員の最後の黒田総裁の御回答に、まず今日はちょっと出口戦略についてお聞きしたいんですけど、大門委員の最後の質問に対する黒田総裁の回答に、出口の方法、手段としては二つあるというような例示をされていました、等ということですね。一つは日銀当座預金への付利金利の引上げとそれからバランスシートの縮小、これを、二つ例示を挙げられたと思うんですが、私自身もこの参議院の財政金融委員会でこれについてかなりお聞きしました。今までの感想としては、この方法では無理だなということですよね。 日銀当座預金金利を上げるといっても、アメリカが今、FRBがやっている方法ですけれども、何度も申し上げますけれども、FRBの方は保有している国債が、大量に買っている国債が利回りが三%ぐらいあると、国債並びにモーゲージバックセキュリティーの利回りが三%ある。だから、収入がたくさんあるから負債である支払の方のFRB当座預金に金利を払っても十分バッファーあるけれども、日銀の場合には大量に今買っている国債が平均〇・三を割るか割らないかという状況ですから、収入が少ない、今一兆二千億ぐらいだと思いますけれども。それが日銀当座預金に金利上げていったら損の垂れ流しになって、バッファーもたしか七兆幾らでしたっけね、引当金と準備金、しかありませんから、すぐ債務超過になるリスクがある。だから、FRBのようには日銀当座預金金利を上げるわけにはいかない。 そして、金利が上がってくれば、債務超過になる可能性がある上に、持っている国債の含み損がべらぼうに大きくなりますから、これは、総裁、副総裁も償却原価法という簿価主義を使っているから大丈夫だというふうにおっしゃっていましたけれども、マーケットはそんなことを見ないで時価会計で判断しますから、普通は。簿価会計で大丈夫なら、昔の、九七年に北海道拓殖とかいろいろ潰れましたけど、あんなこともないわけですよね。ということで、そうすると円が暴落してしまうんじゃないかということもありますので、日銀当座預金への金利を上げるというのはなかなか難しい。 それから、バランスシートを縮めるというのも、アメリカでさえ、FRBでさえ苦労しているわけです。FRBのバランスシートというのは、対GDP比でいえば日銀の四分の一ぐらいからテーパリングを始めているわけで、全然もう日銀と規模が違うわけですね。日銀はもうメタボで、物すごいバランスシートがでかいですから、FRBがあれだけバランスシートを縮めているのに苦労するんだったら、日銀はどれほど苦労するのかと思うぐらいで、私自身は、最初の二つの総裁が挙げた方法は難しくて、出口はないんではないかなと思うんですが、唯一考えられた一つの方法というのは、預金準備率を上げるという方法があるかなと今までは思っていたんですよ。 ところが、今日の議論を聞いていますように、まず地方銀行の収益が非常に悪化している。別に、地方銀行、これ、私ども財金で視察もありましたけれども、マイナス金利のせいで苦しいとおっしゃっていましたが、これはマイナス金利のせいじゃないですよね。なぜならば、マイナス金利というのは当座預金のせいぜい六%ぐらいにしか適用されていないわけですから、マイナス金利のせいではなくて、これは明らかに日銀の異次元の量的緩和のせいだと私は思っているわけですね。 要するに、私が現役の頃というのは、日銀さんは長期国債買っていませんでしたけれども、異次元の量的緩和で大量に長期国債を買う、長期国債を買えば値段は当然上がる、そして長期金利は当然下がるということで長短の金利差は全くなくなってしまうわけですよ。それがゆえに、今の地域銀行の苦しさ、それは地域銀行だけじゃなくて、都市銀行、五大銀行とかゆうちょ銀行もかなり収益が悪化していますですね。最近、決算報告出ましたけれども、ちょっとうろ覚えですけれども、地方銀行の、地域金融機関の収入が一兆円、あとが五大グループ、二兆五千億とか六千億とかそんなだったと思いますし、ゆうちょで三千億ということで、全部合わせても、私が昔勤めていたJPモルガンの四兆円にも、同じぐらいしかないわけですよ。もうべらぼうに金額が少ない。 特に、これ日経新聞にありましたけれども、五月十七日の日経新聞にありましたね、日銀の異次元緩和が始まる直前の二〇一三年三月期と比較すると、二〇一八年三月期の決算で、三菱UFJ銀行は六一%、三井住友銀行が五七%、みずほ銀行は三二%まで低下した、みずほ銀行単体の業務純益はこの二年間で半減し、三千億円を割り込んだと。もう明らかに長短金利差、銀行の最大の収益源である長短金利差がなくなってきている。総裁自身も中長期の金利下げていると言うんですが、まさにそのとおりで、どんどんどんどん金利が、収益が下がってきてしまっているわけですよね。 そんなときに、私が唯一あり得るかなと考えていた法定準備預金率を上げてしまえば、まさに金融機関は倒産の危機に陥るんじゃないかと。金融システムリスクですよね。となると、唯一考えられていた預金準備率の引上げというものができない、もう何にもないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 出口の局面で金利水準の調整、それからバランスシートの扱いが主な課題となるということは従来から申し上げているとおりでありまして、その際には、保有国債の償還あるいは各種の資金吸収オペレーションのほか、超過準備に対する付利金利の引上げなどによって対応するということが考えられるということも申し上げてまいりました。 日本銀行としては、これらの様々な政策手段を活用することで市場の安定を確保しながら、その時々の状況に応じて適切な政策運営を行うことは十分可能だと考えております。いわゆる出口の局面で実際にどの手段をどの順序で用いるかは、預金準備率の運用の要否も含め、その際の経済・物価情勢や金利環境によって変わり得るものでございます。物価安定目標の実現までなお距離がある中、出口の進め方を具体的に説明するということは、市場との対話という観点からもかえって混乱を招くおそれが高いというふうに考えております。 いずれにいたしましても、預金準備率の引上げそのものにつきましては、法律で通貨の調節を図るため必要があると認める場合には預金準備率等を変更することができるとされているわけですが、その際には金融機関の預け金の保有に伴う負担を考慮しなければならないというふうにされておりまして、そうした点も含めて慎重に検討する必要があると思いますが、いずれにせよ、出口の局面での手段あるいはその順序については、その際の経済、物価、金融情勢次第であるというふうに考えております。
○藤巻健史君 難しい、かなり難しいものを幾ら組み合わせて、どういう順番を考えても、私はかなり出口が難しいなと思いますし、先ほど来出口を、もう出口、二%、異次元の量的緩和やめろという、だったらどうかという御提案もありましたけれども、やめちゃうと、金利が暴騰して政府が資金繰り倒産するんじゃないかという危機もありますので、これはなかなか難しい状況に陥っちゃっているかなと私は思うんですが、そうはいっても、何かいろんな状況があったって別に日本が潰れるわけでもなくて、やっぱり金融システム政策というのは未来永劫に続くわけです。 そのときに、今回、私は失敗すると思うんですが、異次元量的緩和じゃなくて、また同じようなことが起こったときにどういう政策を考えなくちゃいけないかということも、まあ不幸中の幸いということで考えておかなくちゃいけないかなと私は思うんですよね。異次元の量的緩和というのは非伝統的金融政策で、明らかに副作用があるのに間違えてやってしまったと。私は、ゼロ金利に行った後すぐマイナス金利に行けばよかったと思うんですね。 日銀も今はマイナス金利やっていますけれども、今頃やっても遅いわけで、ゼロになった後に量的緩和をやる。量的緩和というのは日銀当座預金を極大化する政策ですし、マイナス金利というのは極小化する政策ですから、百八十度違う政策を一緒にやろうなんて思っても無理に決まっているわけで、ゼロ%になったらすぐその後マイナス金利に行けばよかったと私は思っています。 なぜかというと、マイナス金利というのは伝統的金融政策なんですね。景気が悪かったら金利を下げる、景気が良かったら金利を上げるということで、下げた先が単なるマイナスであるということで、マイナス金利政策にすればよかったと思うんですが、私は二十年来それを言っておりましたけれども、そのときに出てきた日銀さんの反応というのは、要するにマイナス金利にするとみんな現金に逃げるだろうと。要は、銀行もそうだし、個人も現金に逃げるだろうということだったんですけれども、それだったらば、将来的な話ですよ、将来的には現金なくしてしまえばいいんじゃないかと。 一つは、高額通貨をなくすという方法もありますし、若しくは日銀デジタル通貨、若しくは民間のデジタル通貨、そして仮想通貨を通じて、現金なんかなくしてしまう。現金さえなくせばマイナス金利の副作用というのはないんですよね。多少一時的に預金がマイナスになるかもしれないけど、それですぐ景気が良くなってまたプラスになればいいわけで、そのときの副作用も考えられないということで、将来的には、発行銀行券なく、要するにデジタル通貨若しくは仮想通貨の世界プラスマイナス金利を導入するということで金融政策全てうまくいくと思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 将来の金融政策運営の枠組みということについても、その際の経済、物価、金融情勢、あるいは金融市場の動向、決済システム、ITインフラなどの姿も踏まえて適切に検討していく必要があるということは、委員御指摘のとおりであります。もっとも、現在、日本銀行は、この長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みの下で強力な金融緩和を続けているところでありまして、現在の取組を粘り強く続けていくという考えであります。 なお、このデジタルマネー、中央銀行デジタルマネーの議論につきましては、様々なところで議論が行われておりますけれども、デジタル技術を活用する、特に支払決済の面で活用するということは十分考えられることであるというふうに思いますし、日銀としてもそうした決済イノベーションを推進する方向で様々な取組を行っております。 ただ、現金を代替するようなデジタル通貨を中央銀行が発行するということにつきましては、民間銀行の預金や資金仲介への影響など、検討すべき点も多いというふうに認識しております。
○委員長(長谷川岳君) 時間が来ております。
○藤巻健史君 終わります。
○中山恭子君 ありがとうございます。希望の党、中山でございます。 今朝、先ほど宮崎委員からも御質問がありましたけれども、日銀が二〇一八年四月二十八日に発表した経済・物価情勢の展望という冊子の中に、三十六ページに、消費増税前後の家計のネット負担額についてというグラフ、それから御説明があります。この資料はお手元に配付しております。このグラフについて、日銀の方から御説明いただけますでしょうか。
○参考人(前田栄治君) お答えいたします。 このグラフでございますけれども、私どもが四月末に公表しました展望レポート、これのボックス、分析を示したボックスの中で示しております私どものスタッフの試算値ということになります。 これの見方はちょっと複雑で難しいかもしれませんが、例えば左上、家計負担額、九七年度増税時とありますけれども、これは、当時の消費税率引上げ、二%だったというふうに思いますけれども、それによって五・二兆円の負担増になるということであります。やはり家計への影響ということを見る際には、消費税だけじゃなくて、同時にどのような家計への負担の増加あるいは軽減が行われていたかということを見る必要があるわけでありますけれども、当時はたまたま同時期に所得減税の打切りがあったということで二兆円の増加、さらには医療費自己負担増等で一・四兆円増えたということで、全て足し上げますと八・五兆円になったということでございます。 一四年度のときでございますが、消費税率引上げ、これは三%、八・二兆円ということでございました。それ以外の対策についてはほぼ変化なしということで、全体で見ましても八兆円ということでございました。 翻って、一九年度の増税時にどのようになるかという試算でございますが、二%の消費税率の引上げで五・六兆円増え、一番左のところ、左下のところでございますけれども、増えますけれども、それに対して、軽減税率の導入、支援給付金等、そして教育無償化、これを全部差し引きいたしますとネットの負担額は二・二兆円ということで、一四年度の八兆円に比べますとかなり小さい負担増額になるのではないかと、このように試算しているところでございます。
○中山恭子君 どうしてもこの図、図表B一の三に関心があるわけでございますけれども、今の御説明、それからこの図表についての説明の中でのこの二・二兆円の家計負担額であることについて、このように家計のネット負担額という観点から見れば、二〇一九年度の消費税増税の影響は過去と比べて小幅なものと、とどまるという指摘がされております。 この家計負担額二・二兆円程度にとどまるという、どちらかというと前の二回に比べて少ない、負担額が少ないと見通せるのでよいではないかというような表現になっていると思いますが、この家計負担額二・二兆円にとどまるということについて、総裁はどのようにお考えでいらっしゃるでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) この展望レポートのボックスのところにも右下のところに示されておりますとおり、過去の消費増税局面対比、小幅なものにとどまると予想されると、ただし、消費増税のインパクトは、税率引上げ時の経済状況によって消費者マインドに与える影響が大きく異なり得るなど、不確実性が高いことに留意する必要があるというふうに申し上げているわけでありまして、まさにこうした増税前後の駆け込みとその反動とか、その他増税前後の具体的な価格転嫁の状況などに左右される面もあるわけですので、日本銀行としては、こうした消費税率引上げの影響を含め、先行きの経済・物価動向を丹念に点検してまいりたいというふうに考えております。
○中山恭子君 確かに、経済状況によって、これは見通しでございますから変わってくるのであろうとは思いますけれども、日銀さんが出されるこの、どう言ったらいいんでしょう、試算というものはやはり広く大きく影響があると。まあ消費税上げても二・二兆円でいいではないかというような感覚が、全国的に影響があると考えると、非常に注意深くこういった試算を進めていただけたらというふうに考えております。 このB一の三という図表で非常に大きなマイナス要因となっておりますのが軽減税率でございます。それと教育無償化でありますけれども。軽減税率の場合には、どう言ったらいいんでしょうね、高額所得者の方に恩恵が大きいと考えられますし、企業からいえば恩恵者は特定の者に限られるということでございますし、教育の無償化は子供のいる家庭にのみ影響があると限定されていると思いますので、このある程度限定されている教育無償化それから軽減税率のマイナス幅でここを試算していくということについて、一点、懸念といいましょうか、疑問があるところでございます。 そういった意味で、日銀の皆様の試算について後で詳しく教えていただければと思いますが、この試算そのものについて少し疑問があるということと、また逆に、このグラフから二・二兆円の負担額があるということは、これ負担額の純増でございますので、逆に、このマイナス要因になっている支援給付等というのが五千億ですけれども、貧富の差が今相当広がっている中で、必要があるところに支援が足りていないということにつながってくる可能性もあると考えておりまして、そういった示唆を与えていただいているということはある意味では感謝していいことかもしれないんですけれども、そういった意味で、政府としてもこの点についてお考えいただきたい。 一つ、ここでは出てきません、消費税導入のときは、例えば、プラス・マイナス・ゼロ、所得税の減税、個別間接税の廃止というようなことをセットにして歳入歳出はプラス・マイナス・ゼロでスタートしたという、これは黒田総裁もよく御承知のことでございますけれども、いう点もありまして、そういったことから考えますと、この二・二兆円の純増ということはある意味では大きな負担になると。これは日銀だけの問題ではありませんので、この試算について、まさにこの試算でいいのかという疑問点がありますのと、支援者、貧困層、特にですね、そういった、今回このマイナスに当たらない人々への支援が必要になってくるのではないかという二つの疑問を持っております。 今日は質問する時間がちょっとありませんので、後でゆっくりこの点について政府等とも議論していきたいと考えております。 今日、もう一点、この消費税、財政諮問委員会において榊原議員が、前回の消費税引上げ後の二〇一四年四—六月期の実質GDP成長率は年率換算でマイナス六・八%に落ち込んだというようなお話の中で、次回、二〇一九年十月の消費税引上げに当たっては、補正予算ではなく当初予算をしっかりと確保し、消費税引上げ前後の需要変動をならすための歳出コントロールを行っていく必要があると発言されています。 二〇一九年十月に消費税率を二%引き上げるのであれば、その時点における景気をある程度過熱ぎみにしておかないといけないと考えております。過去二回経験したような大きな影響が出る……
○委員長(長谷川岳君) 時間が来ておりますので。
○中山恭子君 ということを避けたいと思っておりますが、本年度、早急に公共事業を大幅に増加する補正予算を組む必要があると考えております。 時間になっておりますが、この点について財務省から一言お答えいただければと思っています。
○委員長(長谷川岳君) 木原副大臣、一言でお願いいたします。
○副大臣(木原稔君) 厳しさを増す財政事情でありますけれども、公共事業関係費については所要額を確保して、その中で防災・減災対策、また生産性向上のためのインフラ整備など、重点化を引き続き推進してまいりたいと思っております。 加えて、内閣官房に設置された消費税率引上げによる需要の変動の平準化に関するタスクフォースにおいて、経済のぶれをコントロールし、需要変動を平準化するための具体策について現在検討されているというところでございますので、報告をさせていただきます。
○中山恭子君 ありがとうございました。
○藤末健三君 国民の声の藤末健三でございます。 本日は、日銀黒田総裁、お越しいただきまして、本当にありがとうございます。 多くの同僚議員の方々が金融政策について議論を深めていただいたわけでございますが、私はちょっとデジタルカレンシーについての日銀の見解をお聞きしたいと思っております。 まず初めに御質問申し上げたいのは、先ほど藤巻議員からもありましたけれど、中央銀行が発行するデジタルカレンシー、これについて日銀はどう見ているかということをお聞きしたいと思っています。 実際に、世界を見ますと、今例えばベネズエラはペトロ、これはベネズエラの石油を原資と、アセットとした中央銀行が出すデジタルカレンシーでありますし、またロシアはクリプトルーブルというものをつくり、そして今スウェーデンはeクローナ、これはもう実際に実証試験をやって、今年の末には第二フェーズを終え、そして次のフェーズ、実証のフェーズに移る段階まで来ているという動きがあるわけでございますが、そのような国際的な動きの中で、日本銀行はどのようにこのデジタルカレンシーを検討し、これから何をするかということを是非教えていただきたいと思います。お願いいたします。
○参考人(黒田東彦君) 中央銀行が発行するデジタル通貨というものには言わば二種類あると思っておりまして、一つは、まさに御指摘のような、一般の人々が現金代わりに使えるようなデジタル通貨を発行するかどうかと、もう一つは、中央銀行が金融機関、銀行との間で決済のためにデジタル通貨を、言わば既に日銀ネットで完全にデジタル化した形で決済が行われているわけであります。 そこで、問題は、この一般の人々が現金代わりに使えるようなデジタル通貨を中央銀行が発行するかどうかということでありまして、これは国民全般が言わば中央銀行に当座預金口座を持つのと全く同じでありまして、その場合に、銀行の預金、いわゆる商業銀行の預金とか貸出しへの影響など検討すべき点が多いわけでして、現時点では、多くの中央銀行と同様、日本銀行もこのような一般の人々に向けたデジタル通貨を発行するという計画は持っておりません。 他方で、新しい技術が支払決済など金融サービスの効率性あるいは利便性の向上に結び付いていくこと自体は大変望ましいことと考えておりますので、日本銀行としても、決済のデジタル化などの動きに適切に対応していく必要があると考えておりまして、実は日本銀行ではいわゆる分散型台帳技術に関するECBとの共同調査プロジェクトなども行っておりまして、新しい技術の理解を深め、さらに海外におけるデジタル通貨をめぐる動向について注意深く見てまいりたいと思っております。 御指摘の中央銀行が検討しているデジタル通貨につきましては、BIS等の場でも議論になっておりますので、引き続きフォローしてまいりたいと思っております。
○藤末健三君 是非議論を深めていただきたいと思っておりまして、来年はG20、我が国じゃないですか、初めて。恐らくこのデジタルカレンシーの議論が出てくるかなと思っております。 もう恐らく議論が大分混同してきているとは思うんですけれど、セントラルバンクが出すデジタルカレンシーの議論、これ非常に重要だと思いますし、同時に議論していただきたいのは、今ビットコインなんかの事件が起きたわけでございますけれど、プライベートな、全くアセットがなくて出されているデジタルカレンシーというかトークンの議論、その両方をきちんと日銀が仕分けて議論をしていただかないと、なかなか理解が深まっていないんじゃないかと思うんですね。 いろんな方とお話ししていると、セントラルバンクが出すデジタルカレンシーというのは、まさしく円に代わる新しい概念をつくろうということだと思いますし、同時に、全くアセットがないデジタルトークン、カレンシーじゃなくてトークンがどんどん出回って、ちょっと金融の不安定化を僕は招いていると思っておりまして、その点、いかがお考えですか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど来申し上げているとおり、まず、中央銀行のデジタル通貨、デジタルカレンシーという場合には二種類あって、一般の国民に発行する、逆に言うと一般の国民が中央銀行に言わば当座預金を持つという形のものと、それから、金融機関の決済を中央銀行を通じて行うという意味で、中央銀行が銀行との間でデジタル通貨を取引するというものと二つありますし、また、民間の場合も、御指摘のビットコインその他のいわゆる分散型台帳技術等を使って発行している、最近はクリプトカレンシーじゃなくてクリプトアセットあるいはクリプトトークンだと、こういうふうに言われていますが、これは実際上ほとんど、送金とか決済に使われるよりも、むしろ投機に使われているということであります。それとまた別に、民間が、商業銀行がデジタルカレンシーを発行しようという計画もあるわけです。これは、ビットコインのようなものと全く違いまして、銀行が言わば一〇〇%準備を対象にして、それをデジタルカレンシーという形で流通させるというもので、これもまた全然違うわけです。 ですから、言わば四種類あって、中央銀行のものについても二つあって、それから民間の場合も、ビットコインのような対象アセットのないものと、銀行が発行しようと計画しているきちっとした資産が背後にあるものと、これも違うので、その点、まさに委員御指摘のとおりごちゃごちゃになっていますので、そこははっきり区分して議論していく必要があると思います。
○藤末健三君 是非総裁にお願いしたいのは、恐らくここに参加している委員もみんなぐちゃぐちゃになっていると思うんですよ、正直言って。理解しにくいところがいっぱいありますので、是非議論を統合していただきたいと思っていまして、CBDC、中央銀行が出すデジタルカレンシーの議論というのをまずホールセールスとジェネラルパーパスで分けていただいて、かつ、次に御質問しようと思ったのは、一般的な金融機関、銀行が出す、例えば三菱UFJフィナンシャル・グループがMUFGコインをやろうとしたり、あとはみずほフィナンシャルグループがJコインをやろうとしたり、金融機関がやるもの、そしてそのほかにそういうビットコインが存在するという状況でございますが、是非統合した議論をしていただきたいというのが私のお願いでございます。 なぜならば、恐らく次のG20の一番大きな議論の論点が私ここじゃないかと思っていますし、同時に、金融庁が頑張って、その一番下のレイヤーにありますビットコインとかいう形の、ブロックチェーンを使った裏付けとなるアセットがないカレンシーじゃなくてトークンを一生懸命育てようとしていただいているわけでございますので、是非、日銀の方で連携をしていただきたいと思います。 是非、将来、このサイバーにおける資金決済、資金調達が私はメーンになると思っています。先ほど藤巻議員の質疑の中で、今は一人一人が、国民が口座を日銀に持って処理する形になるので考えにくいということをおっしゃっていましたけれど、実際にスウェーデンのeクローナの議論なんかを見ていますと、あれは何かというと、銀行に口座を持てないような国民がいますと、じゃ、そういう人たちに対するサービスをどうするかという議論からもう始まっているわけでございますので、是非、私は、日本銀行が国民個人の口座を持ち、そしてカレンシーをコントロールするというのは一つの在り方だと思うんですが、いかがでございますか。お願いします。
○参考人(黒田東彦君) これにつきましても実はBISあるいはG20その他で様々な議論が行われておりますが、現時点では先進国の中央銀行で中央銀行が一般向けのデジタルカレンシーを発行しようということを検討しているのはスウェーデンだけでありまして、米欧の中央銀行は、現時点では極めて消極的で、そういう計画は全くないということを断言しておられます。 その場合の懸念材料は、一般的なサイバーセキュリティーの問題もさることながら、言わば個人が中央銀行に当座預金をみんな持って、そこを通じて送金、支払決済を行うということになりますと、普通の銀行が言わば排除された形になるんじゃないかと。そうすると、銀行が預金を集めて貸出しをするという金融仲介機能の相当部分が失われるのではないかという議論とか、あるいは中央銀行に国民全部の取引のデータが全部分かるということのプライバシーの問題とか、いろんな点がBISとかG20の議論でも指摘されておりまして、現時点では、中央銀行が一般向けにデジタルカレンシーを発行するというのは、そういうことに踏み切ろうというところは、スウェーデンもまだ決定はしていませんが、年内に決めると言って、まあスウェーデンぐらいです。 スウェーデンは、御承知のように現金の流通が極端に減って、小売店も現金を受け取らないというような状況になっているので、それに代わる中央銀行デジタルカレンシーを一般向けに発行しようということになっているということで、やや特殊な事例ではあるというふうに思っております。
○藤末健三君 私は、スウェーデンは特殊じゃなくて、将来の事象だと思っています。日本はもう異常にキャッシュを使っている国でございまして、近いうちに私はキャッシュレスになると思うんですね。 是非、アメリカがやらないからとか、ヨーロッパ諸国がやらないから日本もやりませんという議論ではなくて、ほかの国がやらないから日銀やらなきゃまずいんじゃないですか、そこは、と思いますし、同時に、中央銀行が発行するデジタルカレンシーのみならず、ビットコインみたいなトークンも見ていただきたいし、そしてもう一つございますのは、やはり日本銀行は資金調達、決済というものもカバーしていただいているわけでございますので、イニシャル・コイン・オファリング、トークンを出すことによって資金を調達するという道も是非検討をしていただきたいと思いますが、幅広い検討を日本銀行にお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか、総裁。
○参考人(黒田東彦君) このICO自体については、御承知のようにいろいろな問題が各国で生じて、むしろ規制とか監視が強化される方向にあるようでありまして、特にICOへの投資が投機的であったり、あるいは中には詐欺的な事例もあったということで、ほとんどの国で規制を強化しているということであります。 ただ、そういった面で支払決済あるいは金融の安定の確保といった観点から十分注視していく必要があると思いますが、新しい技術を活用するという面も十分考慮していく必要はあろうと思います。
○委員長(長谷川岳君) もう時間が来ております。
○藤末健三君 はい。 是非、来年G20ございますので、日銀がもう深く研究をしていただき、世界に発信していくようなこと、成果を出していただくことをお願いしまして、終わらさせていただきます。 ありがとうございました。
○渡辺喜美君 渡辺喜美であります。 本日は、日本銀行の年二回の株主総会でございます。九〇年代の終わりに改正をされました日銀法において、この株主総会での説明責任というのは非常に大事なことになっております。ということで、本日は黒田総裁にはかなり耳の痛い話をさせていただきますので、お許しをいただきたいと思います。 まず、お手元に配りましたこの縦長の紙を見ていただきますと、ありますか、これは私が日銀に発注をして作ってもらったマネタリーベースの前年比、伸び率ですね。太い方の線がマネタリーベースの前年比であります。細い方の線が、これは日銀保有の長期国債が前年差、どれだけ増えたか減ったかと、こういうグラフであります。 黒田総裁が就任されたのが一三年の三月ぐらいでしたですかね。実は、あのとき投票を二回やりまして、私は一回目は反対をしております。二回目は、一か月足らずの間に異次元緩和をされましたので、賛成投票をいたしました。その頃は非常にいい勢いでこのマネタリーベース、長期保有国債を増やしていったんですね。ところが、安心しちゃったのか、この二〇一四年四月の消費税率の引上げ、この頃には低下傾向にもう既に入っていたというわけであります。 次に、その年の十一月、安倍総理が消費税率の引上げ延期を発表いたします。その直前に、黒田バズーカ第二弾、量的・質的金融緩和の拡大というのをやるんですね。安倍総理が景気悪化を相当心配をして延期を発表した、そこからこの長期国債の残高も増えていくんですよ。伸び率については、マネタリーベースについてはもうずっと一貫して低下傾向であります。 そして、二〇一六年六月、再び安倍総理が参議院選の直前に税率の引上げ時期の変更、再延期というのを発表をされます。そして、選挙が終わって九月にYCCが始まると、こういう話でございまして、私から見ていると、黒田総裁、相当増税のために金融政策で支援をしておられるなという感じがしてならないんですが、いかがでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 私どもの金融政策は、年に八回、金融政策決定会合で議論をしておりますけれども、その際には、当然、様々な海外あるいは国内の経済状況、金融資本市場の状況等を踏まえて、次回の金融政策決定会合までの金融政策、調節方針を決定するということであります。 その際には、当然、政府が決め、国会で法律が成立した予算あるいは税制の状況も踏まえて金融政策を決定しているということでありますが、特に何かその消費増税をサポートするために金融政策を行っているということではございません。
○渡辺喜美君 当然、日本銀行総裁としてはそういうお答えになろうかと思います。 ただ、相当、黒田総裁のパラダイムが日本銀行の説明責任を苦しくしているということは指摘をいたします。消費税の増税は軽微だとまず言っちゃったんですね。一四年の増税の前後だった、前だったかな、ちょっと忘れましたけれども。その後、増税延期、再延期とあって、私が聞いたうわさ話ですが、黒田総裁が、お酒の席だとは思いますが、後輩たちに、何でおまえらは増税やらないんだと、これが本当の黒田節というやつでしてね。恐らくそういう、増税を何とか正当化しないといけないというパラダイムが今回の説明責任の放棄につながっているんではないんでしょうか。国会に対する説明責任というのは、日銀の、新日銀法において責任の取り方として一番大事なことなんですよ。ところが、物価目標を六回延期した、今回は先ほど来話があるように削除しちゃった、これは説明責任の放棄以外の何物でもありません。 結局、来年の十月ですか、増税の予定が。ですから、そういうことも見越して、時期はもう今回削除をしちゃおうと。増税やれば、先ほどの中山先生の話に出てきたこの家計負担は二兆二千億円にとどまるといったって、この後段の日銀の説明の方が正しいんですよ。消費増税のインパクトというのはそのときの経済状況によって大きく異なる。早い話が、新興国の問題もあるし、イタリアの新政権の話もありますから、これから世界経済どう動いていくか分からない。ですから、そういう逃げを打っておられるんだと思いますが、この重大な日銀法違反、どうお考えになりますか。
○参考人(黒田東彦君) これまで展望レポートでは、消費者物価の前年比が二%程度に達する時期の見通しを記述してきたわけですけれども、先ほど来申し上げているとおり、市場の一部ではこうした見通しを二%の達成期限と捉えまして、それが変化すれば当然政策が変更に結び付くといった見方が根強く残っておりました。そうしたことから、このような時期に関する記述が達成期限ではなくて見通しであるということを明確にするという観点から、言わば市場とのコミュニケーションをより円滑に行うというために記述の仕方を見直すことにしたわけでございます。 ただ、先ほど来申し上げているとおり、経済、物価の見通しは示しておりまして、また、その上下のリスクについても各政策委員の評価を従来どおり示しているということでございます。
○渡辺喜美君 削除しちゃうんだったら、インフレ期待に働きかけるコミットメントはもっと目新しいもの、強化をしていかなきゃいけないんですよ。でも、先ほどからのこの議論聞いていて、目新しいものが何もないんですね。 総裁が、記者会見でしょうか、実質金利と自然利子率が大事だというようなお話をされました。一方、NAIRU、インフレを加速しない失業率のことでありますが、ノン・アクセラレーティング・レート・オブ・アンエンプロイメント、このインフレを加速しない失業率については一体何%だとお考えですか。また、自然利子率、それから実質金利は今現在どれくらいだとお考えでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) このNAIRUにつきましては、もちろん直接観察することができないわけで、様々な方法による推計が必要になってまいりまして、学者の方々の推計等もありますけれども、結果が大きく違っておりまして、日本銀行では現在、このNAIRUというもの自体は特に活用してはおりません。 ただ、その代わりにといってはなんですけれども、失業率、労働力化率、あるいは資本の稼働率といった労働、資本の稼働状況に関する様々な経済指標を基にマクロ的な需給ギャップを計算して、これも公表しておりますし、そういった経済指標自体も一般に公表されているわけであります。そうしたことを踏まえて、各種の賃金・物価指標を総合的にきめ細かく点検をいたしておりまして、経済全体の稼働状況や賃金、物価の上昇圧力を見る上ではこういったアプローチが適切なものではないかというふうに考えております。 なお、御指摘の実質金利と自然利子率につきましては、我が国の名目金利を見ますと、現在のイールドカーブコントロールの下で短期ではマイナス、十年物金利ではゼロ%程度で推移しているわけでありまして、他方、予想物価上昇率は、指標によって程度の差はありますけれども、いずれもプラス圏で推移しているということで、名目金利から予想物価上昇率を差し引いた実質金利はマイナス金利内で推移しているというふうに見ております。 なお、景気や物価に対して中立的な金利である自然利子率というものも、二〇一六年九月の総括的検証でお示ししたように、いろんな試算があってなかなか一つに割り切れないんですが、一応幅を持って見たところでも、自然利子率はおおむねゼロ%近郊にあるというふうに見ていますので、実質金利がかなりマイナスになっているということから、経済に対する刺激効果は十分確保されているというふうに見ております。
○委員長(長谷川岳君) 時間が来ております。
○渡辺喜美君 いずれにしても、NAIRU、自然利子率、それからイールドカーブコントロール、これらは完全雇用ということについて統一的に説明をされなきゃいけないと。達成時期を削除したんだったら新しいコミットメントをはっきりと説明をすべきことを申し上げて、終わります。
○委員長(長谷川岳君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十二分散会