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196回国会参議院2018/05/31

国土交通委員会 第16号

発言数
70
登壇者
11
会派数
8
開催日
2018/05/31

会議録

長浜博行国民民主党・新緑風会

○委員長(長浜博行君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る二十九日、赤池誠章君が委員を辞任され、その補欠として吉田博美君が選任されました。     ─────────────

長浜博行国民民主党・新緑風会

○委員長(長浜博行君) 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案を議題といたします。  本日は、公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー吉原祥子君及び水源開発問題全国連絡会共同代表嶋津暉之君の両参考人に御出席いただき、御意見を聴取し、質疑を行います。  この際、参考人の皆様に一言御挨拶を申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。  参考人の皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、議事の進め方について申し上げます。  まず、吉原参考人、嶋津参考人の順にお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。  御発言の際は、挙手していただき、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。  なお、参考人、質疑者共に御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、まず吉原参考人にお願いいたします。吉原参考人。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) 本日は意見陳述の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。公益財団法人東京財団政策研究所の吉原と申します。私どもは、民間独立の政策シンクタンクとして様々な政策課題について研究活動を行っております。その中で、私は日本の土地制度の課題について調査研究を行っています。本日は、これまでの調査結果に基づき、今回の法律案について所見を申し述べます。  近年、災害復旧や耕作放棄地の解消、空き家対策などにおいて、所有者の所在の把握の難しい土地が地域の取組の支障となる事例が各地で表面化しています。これがいわゆる所有者不明土地問題として広く社会の関心を集めるところとなっております。私ども東京財団政策研究所では、この問題の実態を定量的に把握をするため、二〇一四年秋に全国の自治体の税務部局を対象にアンケート調査を行いました。  所有者の所在の把握が難しくなる大きな要因として、相続未登記の問題があります。そこで、アンケート調査では、相続登記が行われないことで固定資産税の納税義務者、すなわち土地所有者を把握をする上でどのような影響が出ているかを調べ、間接的ではありますが、そこから所有者不明土地問題の実態把握を目指しました。全国八百八十八自治体より回答を得まして、回答率は五二%でした。  まず、これまで土地の所有者が特定できないことによって問題が生じたことがありますかという質問に対しては、六三%に当たる五百五十七自治体があると回答いたしました。具体的には、固定資産税の徴収が難しくなったが最も多く、次いで老朽化した空き家の危険家屋化、土地が放置され荒廃が進んだという結果となりました。  次に、死亡者課税について尋ねました。死亡者課税とは、相続未登記の事案についてやむなく死亡者の名義のまま課税を続けるものです。本来望ましくない課税ですが、一六%に当たる百四十六自治体が死亡者課税ありと回答いたしました。死亡者課税なしは七自治体、七百三十五自治体は分からないとの回答でした。  次に、こうしたやむなく死亡者名義で課税を続けるということが今後増えていくかどうか尋ねたところ、そう思う、若しくはどちらかと言えばそう思うという回答が全体の八七%、七百七十自治体に上りました。  その理由として最も多かったのは、今のままでは相続未登記は減らないからというもので、二百二十二自治体に上りました。相続手続の煩雑さを指摘する声や、また、土地の売買も鎮静化しており、正しく相続登記を行っていなくても当面実質的な問題が発生しないケースが増えているといった回答がありました。さらに、森林や耕作放棄された農地など、わざわざ相続登記をするメリットが相続人側に感じられなくなっているといった記述も見られました。  また、自治体外在住者、すなわち不在地主の死亡把握が困難であることや、地元を離れた子供世代が相続によって地域の土地の不在地主となるケースが増えることで、相続人調査が更に難しくなるといった回答がありました。現在の制度では、自治体内に住民登録のない納税義務者、すなわち不在地主が死亡した場合、死亡届の情報が土地が所在する自治体に通知される仕組みがございません。そのため、相続登記が行われなければ、自治体では不在地主の死亡事実を把握すること自体が難しいのです。  死亡者への課税がやむなく増加するだろうと考える理由のうち、次に多かったのが、土地の資産価値の低さや管理負担を理由とする相続放棄の増加、また、親族関係の希薄化に伴い、遺産分割協議が困難になるといったものです。  寄せられた回答の中には、相続人が地元に残っていない、山林、田畑について所有する土地がどこにあるか分からない方も多いといった記述もございました。さらに、寄せられた回答の中には、相続放棄によって所有者が不存在となった土地の扱いについて、相続財産管理制度などの仕組みはあるものの、費用対効果が見込めず放置せざるを得ない事例もあること、また、そうした財産管理人が選任されない土地について、その後の権利の帰属や管理責任の在り方が実態上定かでない点もあることなど、制度的、法的な課題を指摘するコメントもありました。  こうしたアンケート調査の結果から、人口減少、高齢化といった社会の変化に対して今の制度が十分に対応し切れておらず、結果として所有者不明土地が広がっているという問題の全体像が徐々に浮かび上がってきました。このような制度の問題は、基礎自治体の現場の努力だけでは根本的な解決は困難であり、国による制度の見直しが必要です。今回の法案は、こうした背景からその必要性が認識され、御審議が進んでいるものと考えます。  では、そもそも日本では土地の所有者情報はどのように把握されているのでしょうか。なぜ個人が任意の相続登記を行わないことが所有者不明土地という大きな問題につながっていくのでしょうか。  土地の所有、利用について様々な制度を洗い出してみると、見えてくるのが情報基盤の課題です。現在、土地についての基本情報は、不動産登記簿のほか、固定資産課税台帳や農地台帳など、目的別に作成、管理されています。しかし、台帳の内容は様々で、土地の所有、利用に関する情報を一か所で把握できる仕組みはありません。国土管理の土台となる地籍調査も、一九五一年の開始以来、いまだ五割しか進んでいません。その一方で、個人の土地所有権は諸外国と比べても極めて強いという特徴があります。様々な台帳のうち不動産登記簿が実質的に主要な所有者情報源となっているものの、権利の登記は任意です。  そもそも、不動産登記制度とは、権利の保全と取引の安全を確保するための仕組みであり、最新の土地所有者情報を把握するための制度ではございません。人口減少に伴う空き家や空き地の増加、また、相続した土地の管理に対する人々の負担感を考えると、今の制度のままでは、今後、相続登記が積極的に行われるようになるとは考えにくいでしょう。このままでは相続未登記による所有者不明土地の慢性的な拡大は避けられないと考えます。  空き家の放置や農地の耕作放棄を所有者による物理的な管理の放置と呼ぶとすれば、相続未登記によって死亡者の名前が何十年も登記簿に残り続けるのは所有者による権利の放置とも言えます。こうした権利の問題は目に見えにくく、ふだんはなかなか表面化しません。農地を利用する、空き家対策を進める、あるいは災害が起きるなどのきっかけがあって初めてその実態が見えてくるのです。  では、今後どのような対策が必要でしょうか。対策の方向性として大きく二つあると考えます。まず一つは、既に発生している問題にどう対応するかということ、そしてもう一つは、今後こうした問題を拡大させないためにどう予防するかということです。  この度の法案は、既に所有者不明となった土地の利用をいかに促進するかというものであり、まさに、この前者の既に発生している問題への対応策として極めて重要な第一歩であると考えます。本法案でうたわれている地域福利増進事業の創設、公共事業における収用手続の合理化、円滑化、さらに所有者探索の合理化の仕組みなどは、いずれも地域の土地利用において必要なものです。是非、今後、各種手続について基本方針やガイドライン、マニュアルなどにおいて具体的かつ分かりやすく提示され、これらの仕組みが各地域において広く活用されることが望まれます。  そして、更に必要なのは、二点目の、今後こうした問題を拡大させないためにどう予防するかということです。具体的には、相続登記の促進、土地情報基盤の整備、そして、管理の放置と権利の放置の拡大を防ぐために、土地の寄附受付など低未利用地の受皿の整備が必要であると考えます。人口が減少する中で、田舎の土地を相続したものの、利用予定がなく売却の見通しも立たないという人は今後増えるでしょう。土地が使われないまま放置され、相続未登記のまま荒れ地となっていくことを防ぐため、適切な受皿をつくっていくことが必要です。  現在の日本の土地制度は、明治の近代国家成立時に確立し、戦後、右肩上がりの経済成長時代に修正、補完されてきたものです。地価高騰や乱開発など過剰利用への対応が中心であり、過疎化や人口減少に伴う様々な課題を十分に想定した制度とは言えません。  所有者不明土地問題とは、こうしたこれまでの制度と社会の変化の間で広がってきた構造的な問題であり、問題を一度に解決できる万能薬はありません。まずは、人口減少を前提とした国土保全の理念を打ち立て、これまで明治の頃から築き上げられてきた制度を生かしつつ、国としての共通基盤の上にそれぞれの地域になじむ多様な方法を一つ一つつくっていくことが必要です。特に、土地についての制度改革は、財産権に関わる問題でもあり、国民の理解がなければ進めることはできません。  今回の法案はそうした制度見直しの第一歩であると考えます。本法案が是非成立し、そして、これからの土地制度の在り方について今後議論が更に進んでいくことを心より願います。  以上が所見でございます。ありがとうございました。

長浜博行国民民主党・新緑風会

○委員長(長浜博行君) ありがとうございました。  次に、嶋津参考人にお願いいたします。嶋津参考人。

嶋津暉之水源開発問題全国連絡会共同代表

○参考人(嶋津暉之君) 今日は参考人としてお呼びいただき、ありがとうございます。水源開発問題全国連絡会の嶋津と申します。この組織は、河川、ダム問題の市民団体の全国的なネットワークであります。  今日、私は、今日お配りしている資料がございまして、陳述書の内容と、もう一つ、それからスライドの代わりということでこういうのがあり、この二つを使って陳述をさせていただきたいと思います。  まず、陳述書の方を御覧いただきたいと思いますけれども、私は、本法案について反対の立場で意見を述べさせていただきます。  所有者不明土地の全国的な増加に伴って、公共事業の推進においてその問題への対応が必要であるということ、そして、所有者不明土地の利用の円滑化を図る必要があるという現状については異論はありません。そのとおりであると思います。  本法案は三つを柱にしております。一つは、国、都道府県知事が事業認定した公共事業について、収用委員会に代わり都道府県知事が裁定する収用手続に変えることであります。二つ目は、地域福利増進事業を創設し、利用権を設定して所有権不明土地の利用を図ることであります。三つ目は、土地の所有者の探索のために必要な公的情報を行政機関が利用できる制度を創設することであります。  このうち、二番目の地域福利増進事業の創設、そして三番目の土地の所有者を探索する制度の創設は必要なことでありますので、これについては異論はありません。  問題は、一番目の収用委員会に代わって都道府県知事が裁定する収用手続に変えることであります。土地収用法が定める収用手続は、憲法二十九条が保障する土地所有権そのものを公共のために権利者の意に反してでも奪うという財産権の侵害度が最も高い手続であります。権利者に対する十分な手続保障があってこそ公共目的で権利を奪うことが正当化されるのでありまして、その手続として収用委員会という第三者機関による公開審理は不可欠のものであると考えます。  収用委員会は、公共の利益と私有財産との調整を図るために、公正中立な立場で判断する権能を与えられた行政委員会であります。都道府県知事等の機関から独立して職務を行うものであり、収用が財産権の侵害度が最も高い手続であるからこそ、収用委員会による公開審理が必要とされているわけであります。  ところが、本法案では、所有者不明土地とされる土地は、収用委員会の公開審理をなくし、都道府県知事の裁定に代えることになっております。となりますと、都道府県の公共事業の場合は、事業者も、そしてこの収用の裁定者も同じ都道府県になります。都道府県の判断だけで進むことになり、公正な収用であるかどうか、所有者不明土地とされているが調査を尽くしたものであるかどうかについて第三者機関によるチェックが行われないことになってしまいます。  現状の土地収用法でも、この所有不明土地はいわゆる不明裁決、すなわち土地収用法四十八条四項ただし書の適用により、収用委員会の公開審理を経て収用することは可能であり、実際に今まで行われてきているわけであります。必要に応じて収用委員会の不明裁決を続ければよいだけの話であります。  そして、もう一つ問題があります。  本法案で、収用委員会の公開審理をなくし都道府県知事が裁定するようにすること、さらに、国土交通省が近く策定する事業認定の円滑化マニュアルを普及させることによって、事業認定申請から事業者が所有権を取得するまでの期間を大幅に短縮することになっております。しかし、所有者不明土地への対応が必要だということを名目にして収用手続の簡素化が進められれば、必要性が希薄な公共事業が一層まかり通る可能性が高くなることを強く危惧せざるを得ないわけであります。  反対意見を無視して、不要不急の公共事業、自然や地元住民の生活に多大な影響を与える公共事業が強行されているという現実があります。その事業用地の取得のため土地収用法により事業認定の手続が取られるわけですが、事業認定の制度は形骸化しておりまして、所定の手続さえ踏めば事業認定が得られ、強制収用が法的に可能となるようになっているわけであります。  公共事業の必要性の是非について厳格な審査が行われるよう、事業認定制度の抜本的な改善が必要であります。事業認定の厳格化への改善なしに土地収用手続の簡素化を進めれば、必要性が希薄な公共事業が一層まかり通ってしまうことになることを危惧します。  現行の事業認定制度がどれほど形骸化しているかを示す象徴的な例があります。もう一つのスライドの形になっております資料の二枚目を御覧いただきたいと思います。  長崎県が佐世保市に隣接する川棚町に建設を予定している石木ダムであります。目的は、佐世保市水道の水源確保と川棚川の洪水調節であります。  この石木ダムの予定地では、十三世帯の地権者が約四十年前から絶対反対の姿勢を堅持しております。この十三世帯の土地と家屋を強制収用すべく、長崎県と佐世保市は国土交通省九州地方整備局に事業認定の申請を行いまして、二〇一三年九月に事業認定が告示されました。そして、二〇一四年九月から長崎県収用委員会による審理が進められているわけであります。  しかし、この石木ダムの必要性は極めて疑わしいものであります。  三枚目は、これは石木ダムの問題を扱った、詳しく書いた新聞記事です。後で御覧いただきたいと思います。  四枚目を御覧いただきたいと思います。上の方のグラフですけれども、利水面の話です。  佐世保市の水道の水需要は、二〇〇〇年代に入ってから、このグラフで示すように、減少の一途をたどっております。かつては十万トンを超えておりましたが、今は八万トンを切っております、一日当たりですね。ところが、佐世保市の予測というのは、この実績を無視して、どんどん今後急速に伸びるという架空の予測を行っているわけですね。佐世保市にとって石木ダムが必要だという話をつくり上げているわけであります。  もう一つの治水についてはどうかということですけれども、下の方の図を御覧いただきたいと思います。  川棚川流域図を示しておりますが、石木ダムが造られるのは、川棚川に下流の方で合流する石木川に造られます。この石木ダムで対応できる流域面積は、川棚川流域全体の僅か十分の一です。余りにもこの石木ダムの効果は限定的なんですね。こういうものに河川予算を使うのではなくて、河川改修の方にその石木ダムの予算を回すべきです。ということで、この石木ダムの必要性は極めて疑わしいということです。  にもかかわらず、次の五枚目の資料を御覧いただきたいんですが、この事業認定が告示されて、実際に収用委員会の審理が進められているわけであります。ということは、どういうことかといえば、現行の事業認定制度に根本的な欠陥があるということです。この事業認定のフローチャートが下の方に書いてありますけれども、どういう問題があるかを次にちょっとお話をしたいと思います。  六枚目の資料を御覧ください。  まず第一の問題は、認定庁の中立性の問題であります。  事業認定は、国土交通省あるいは地方整備局ですね、国の事業あるいは都道府県知事が行う事業については国土交通省が認定庁になります。しかし、この国土交通省というのは公共事業の総元締であります。言わば、子分の行為に対して親分がお墨付きを与えるようなものであります。したがって、事業認定庁が国土交通省では、事業認定に関して公正な判断が行われるはずがないわけであります。事業認定庁を国土交通省から切り離して、中立性が担保される機関が事業認定の是非を審査するようにすべきであります。  二つ目の問題は、公聴会がセレモニーになっているということです。  この事業認定の過程で意見を述べることができます、公聴会で。これは三十分の範囲で意見を述べ、そして事業者とやり取りをすることができるんですが、どのような意見を述べようとも、これは事業認定に影響を及ぼすことはありません。この公聴会は、こういう今の形ではなくて、事業認定庁とは別の第三者が議長になった、そういう場で公述者と事業者が徹底した討論を行える、そういう双方向性の公聴会に変えなければなりません。  次の七枚目の資料を御覧いただきたいんですけれども、公聴会で幾ら公述しようとも、この上の資料に書いたように、こういう意見がありました、それに対してこう考えますという、そういう対比表が作られるだけでおしまいということです。  さらにもう一つ、三つ目の問題。学識経験者に意見聴取が行われます。これが形骸化しているということです。  この認定庁が国交省関係の場合は、国土交通省社会資本整備審議会公共用地分科会の意見が聞かれます。しかし、これは国交省が人選した委員会でありますから、公正な審議が行われるはずがないんですよ。事業認定庁から独立した中立性が担保される委員会でなければなりません。  次の八枚目の資料を御覧いただきたいんですけれども、しかもこの公共用地分科会は非公開で行われ、議事録も公開されません。秘密裏に行われて議事録も公開されないということですね。非公開が徹底されているわけであります。情報公開請求でこの議事録を取り寄せることはできるんですけれども、その取り寄せたものがこの下の資料です。委員の発言が全部黒塗りになっているんですね。こんなものなんですよ。これでは各委員がどういう発言、全く分からないということですね。  ただ、極めて簡単な議事要旨のみが公開されます。それがこの九枚目の資料ですけれども、これはもう本当に事業認定が相当だという、そういう議決の結果が主に記載されておりまして、僅かに主な意見が記載されておりますが、これは、この意見を見ると、石木ダムの是非について真っ当な審議が行われた形跡がないんですね。  ということでありますので、今の事業認定制度はこういうふうに形骸化しているわけです。必要性が極めて希薄なこの石木ダムについても、このように事業認定がされているということです。  ということで、この三つの問題を申し上げましたけれども、これを抜本的に変えて、真っ当な審査が行われる、事業の是非について、そういう事業認定に変えなければなりません。  あと、最後、この資料の十枚目ですけれども、石木ダムの現状を少しお話しいたしますと、今この強制収用の手続が進められようとしております。これに対して、余りにもこれはひどいではないかと、必要性が希薄な石木ダムのために十三世帯の家屋と土地を奪うのはおかしいという世論が大きく盛り上がっております。「強引な手法許されない」という新聞記事がありますけれども、これがそのことを表しているので、後でお読みいただきたいと思います。  ということで、最後のまとめになりますけれども、所有者不明土地への対応が必要だという名目にして、本法案により、土地収用手続の簡素化が進められれば、石木ダムのような必要性が希薄な公共事業が一層まかり通る可能性が高いということを危惧せざるを得ないということであります。公共事業の必要性の是非について厳格な審査が行われるよう、先ほど申し上げたように、事業認定制度の抜本的な改善が必要であります。この事業認定の厳格化への改善なしに土地収用手続の簡素化を進めるべきではないと私は考えます。  以上が私の意見でございます。

長浜博行国民民主党・新緑風会

○委員長(長浜博行君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

石井正弘自由民主党・こころ

○石井正弘君 自由民主党の石井正弘でございます。  本日は、吉原参考人、嶋津参考人には、多忙な中御出席をいただき、大変有意義な意見を頂戴いたしました。法案のこれからの審議に参考にさせていただきたいと、このように思っているところでございます。  それでは、私の方から少し御質問させていただきたいと思いますが、まず吉原参考人に対しまして御質問をさせていただきたいと思います。  実は、私も、自由民主党の所有者不明土地等に関する特命委員会ございまして、大体これに出席をさせていただいておりましたが、ちょうど三月二十三日にも、吉原参考人、お越しをいただきまして、御意見をお述べいただきまして、意見交換ございました。また、「法律のひろば」という雑誌にも、書籍にも御主張を述べておられるわけでございまして、これに基づいた今日は御意見を頂戴したと思っているわけでございますが、今回の政府から提案されている法案につきましては、現在におけるこの所有者不明土地問題の状況から見て、第一歩前進したというお話も今頂戴したわけでございます。  問題は、これから先こういった現象が少しでもなくなるようにということで、言わば予防策といったことで、吉原参考人、三点、以前よりおまとめいただいて、今日もレジュメに載っておりますけれども、分かりやすく御意見を述べていらっしゃるように存ずるわけでございますが、その中で、まず相続登記の在り方、これについて御意見を頂戴いたしたいと思うんですが。  実は、相続登記、これを義務化すべきではないかという議論が特命委員会でも大分出ました。そういった方向で今回もまとめてはいるわけでございますが、ただ、吉原参考人の御意見拝聴しておりますと、相続登記の申請を義務化して、そして罰則規定を設けるべきだといってもなかなかこれはハードルが高いのではないかと。  一つは、法改正がなかなか容易ではない、日本の不動産登記はいわゆる対抗要件主義を取っておるので、なかなか法律上のそういう義務化ということができるんだろうか、あるいは、もう一つは実効性の問題があって、まずは義務化してもなかなか急いで登記をするということにはならないんではないかといった点が主張されているようでございますが、これをしかし、いずれにいたしましても促進策を図っていかなきゃいけないということは御意見が一致しているのではないかと思うんですが、これにつきまして改めて御意見を簡潔におまとめいただければと思います。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) 大変この問題の中核となる点を御質問いただきまして、深く感謝申し上げます。  相続登記をどう考えるかというのは、今後の大きな論点であると考えます。まず、現行法制度の中でできることを考えるということが一つと、それから、これから先、中長期にどういう見直しを進めるかという二点があるかと思います。  まず、最初の現行法制度の中でできることについては、まず二つあると思います。相続手続の簡便化、一代ぐらい、自分の親から自分に相続手続をするのであれば何とか自分でできるくらいの簡素な手続にしていくということ。しかしながら、適正な手続を行うためには専門家の支援というものは不可欠ですから、そうした専門家の支援制度というものを充実を図っていくということがあるかと思います。これはこれからですね。  そして、既にもう数次、数代にわたって未登記が続いてしまっている場合について、ああ、こういう問題が起きているからやはり自分も登記をしようと思った方が、いや、これは随分、住民票から戸籍から大変な資料を集めなきゃ手続ができないというときに、個人の人が意欲はあっても手続の煩雑さから登記を断念することがないように、そうした過去のものについても手当てが必要であろうと思います。そうしたものについては、問題の種類に応じた複数の対応が必要であると考えます。  そうしたことを議論をしていく中で、なぜ土地については登記をきちんとすることが必要なのかということが、意識が共有されてくることがまずは義務化の前に必要であろうと思います。なぜ登記が必要なのかという理解が共有されなければ、幾ら国が強制したところで実効性は伴わないと思います。

石井正弘自由民主党・こころ

○石井正弘君 ありがとうございました。  それに続きまして、もっとこれを、情報の共有化といいましょうか、連携といいましょうか、そういった点から、今御案内のとおり、死亡届が出るのが市町村ですよね、それで相続登記の方はこれは法務局といったことで両者が切り離されているわけですから、これを連携して、届出があったときには必ずそれが、今のICT時代でありますから、情報が、その市町村の死亡届が直ちに法務局の方に伝わって、法務局の方から登記を促すような発信をその関係者に出していく。こういったような情報の更なる連携整備といった点についても意見が専門家から出ているようでありますが、それについての御意見をお願いします。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) この点についても非常に重要だと思います。  情報連携を考えるに当たって、まず重要なのは、情報連携自体を目的化してはいけないということだと思います。何が必要でどこまでやるべきなのか、技術的な進歩を生かして整備できること、それから、できないところについては法的な解決策を用意するということがまずあるかと思います。  それから、情報連携そのものにつきましては、今日御紹介申し上げましたアンケート調査の中で感じたことですが、三つ、情報連携に当たって必要なことがあると思います。  それは、各種台帳における情報の標準化、基礎情報をそろえておくということ。基礎情報というのは氏名、住所、生年月日、性別ですね。そうした基礎情報の単位をどの台帳であってもそろえて標準化をすること。それから、台帳間のデータの互換性を持たせるということ。台帳が複数あるのは、これは致し方ないことだと思います。それがうまく、データが互換性があって有効に共有できるような技術的仕組みを互換性を持たせること。そしてそれを、個人情報保護にも配慮をしながら、共有していくための利用ルールの統一というものを図っておく。そういう標準化、互換性、利用ルールの統一、それが大事ではないかというふうに考えております。

石井正弘自由民主党・こころ

○石井正弘君 ありがとうございました。  それでは、次に嶋津参考人にお伺いいたしたいと思いますが、最初に御提案いただきました三つのうちの最初の、事業認定した公共事業について収用委員会に代わり都道府県知事が裁定する収用手続に変えようという今回の法案について。  これについて、問題があるということでるる御説明があったわけでございますが、ただ、これにつきまして要件がかなり厳格になっておりまして、対象の所有者不明土地が、所有者が分からないような上に、簡易な建物等は除いて基本的には利用がされていないといったようなところについて、権利者の特に異論がない、こういった要件を付けて今回こういう特例を設けようという法案というふうに理解しているわけでございますが、そういう要件を付けていた場合でも問題がこの法案あるという御意見でございましょうか。

嶋津暉之水源開発問題全国連絡会共同代表

○参考人(嶋津暉之君) 御質問ありがとうございます。  問題は、所有者が不明な土地であるかどうかという、その判断誰が行うかということだと思うんですね。  現在の土地収用法では、所有者が不明な土地という判断は収用委員会で第三者機関が行っているわけです。一応調査を尽くした結果として所有者不明土地になっているかどうかという問題ですけれども、これをその事業者に委ねてしまいますと、実際に所有者がいるにもかかわらず、この調査の不徹底で所有者不明土地になってしまう、そういうことが懸念されるわけであります。  特に、都道府県が公共事業者の場合、事業者もそれから収用の裁定者も同じ都道府県でありますから、都道府県の判断だけで進むことになります。ですから、この所有者不明土地が調査を尽くした結果であるかどうかという判断の客観性が担保されないということですね。そこを私は問題にしております。  ということで、この点で、所有者不明な土地であっても収用委員会という第三者機関による公開審理は不可欠なものと考えております。

石井正弘自由民主党・こころ

○石井正弘君 終わります。ありがとうございました。

竹内真二公明党

○竹内真二君 公明党の竹内真二です。  本日は、吉原参考人と嶋津参考人におかれましては、お忙しい中を本委員会に御出席を賜りまして、心より感謝を申し上げます。ありがとうございます。  最初に、お二人の参考人にそれぞれお答えいただきたいと思うんですけれども、このまさに所有者不明土地の問題というのは、人口減少時代における我が国の土地制度の在り方をどうしていくかという根本的な問題が突き付けられているというものだと思うんですけれども、例えば、先ほどありましたけれども、東日本大震災で高台移転するときに、やはりその移転先に所有者不明の土地があってなかなか思うように進まない、大変自治体、住民の方々から何とかならないのかというような声も頂戴いたしました。  公明党もプロジェクトチームをつくりまして対策を議論してきましたけれども、増田先生や山野目先生ら専門家の方々から話を伺えば伺うほど、これはなかなか一筋縄でいかないなという課題がたくさんあるということが分かってきているわけですけれども、まさに今回の法案では既に存在している所有者不明土地を円滑に利活用できる仕組みを講じるんですけれども、私、神奈川県横浜市に在住しておりまして、都市部における所有者不明土地の問題についてお伺いしたいんですけれども。  東京財団でも様々な調査されていますけれども、NHKでも全国二十の政令指定都市と東京二十三区のアンケート調査というものを行っておりまして、この過去五年間に公共事業を行う際に見付かった所有者不明土地というのが、少なくても七百か所以上に上るというような調査をされているんですね。  私もいろんな方から問題をお聞きするんですけれども、都市の宅地というのはやはり一か所当たりの土地が大変狭くて、所有者が亡くなられて、子供が相続されて、分割が行われるともっと更に小さくなっていくわけですね。そうすると、建物を建てられるだけの広さというものがなかなか確保できなくて、土地の使い道というものがだんだんだんだん限られていくと。登記も更新されず、放置をされてしまうと。何代か続くうちに、どんどんどんどん連絡も取れなくなっていく、探索も難しくなっていくという、そういう特定の問題があると思うんですけれども。  まず、これ、先ほど吉原参考人からは対応策と予防策というのがあったんですけれども、所有者不明の土地の都市部における問題に限って言えば、どのような今課題があって、どのような予防策等を講じていけばいいか、お二人の参考人の方に順にお聞きしたいと思います。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) 御質問ありがとうございます。  まさに、この問題は地方の問題だけではなくて、構造的には日本全国どこでも起こり得る問題です。そして、現象としては所有者不明、相続人が複数に及んで権利関係の調整が難しいという現象面では類似はしておりますけれども、地方と都市部ではその性質において異なるものも御指摘のとおりあると思います。  例えば、地方においては、地価が下がっていてなかなかその経済的価値に相続登記の手間が見合わないからということで手続が先延ばしにされていく、あるいは、子供ももう東京、大阪へ出てしまって利用見込みがないということから所有者不明化していくということが傾向としてあると思います。  一方で、都市部においては、議員御指摘のとおり、財産価値が高いがゆえに、それを共有状態で、なかなか合意形成が難しくて、そして相続が発生して細分化をされ小さくなったり、あるいは小さな土地に多数共有で複数の相続人が存在し、合意形成が、資産価値が高いがゆえになかなか合意がまとまりづらいということが見えてくるんだと思います。  これは土地だけではなくて、例えばマンションとかでも、老朽マンションの建て替え問題などにおいても同じ構造の課題が、これから東京などにおいて、都市部においてより顕在化をしてくるだろうと思います。むしろ、都市部においては、土地以上にそうした集合住宅における合意形成の問題というのはより深刻なものだと思っております。  では、これをどう予防していくかということは非常に難しい問題で、やはり、相続登記に関する意識を喚起をしていくということ、それから、ちょっと抽象的になりますけれども、不動産を所有するということに対する責務と申しますか、所有者の責務ということについてもきちんと考えていくと。迂遠ではありますけれども、手続を促進するための支援策というものと、意識というものについても我々一人一人が考えていく必要があろうかと思います。

嶋津暉之水源開発問題全国連絡会共同代表

○参考人(嶋津暉之君) 今の御質問については、私はそのことについて研究している者ではありませんので一般論しか述べられませんけれども、この所有者不明土地の問題というのは非常に深刻な問題なんですけれども、やはり登記のデジタル化といいますか、これが必要だと思うんですよね。  国交省の二十八年度についての調査を見ますと、最初に地籍調査を行って、登記簿上所有者不明土地が全体の二割もあったと。そのうち、よく更に調べてみると、結局その本当の所有者不明土地は〇・四一%かな、もう五十分の一に減っちゃうんですね。じゃ、何がそういう登記上なっているかというと、三分の二が相続の登記がされていない、約三分の一が移転したけれどもその住所が変わってしまっているという、そういうことなんですね。  思うに、やはり登記とそれから戸籍とそれから現住所の住所、それがもうそれぞれ、住所と戸籍は連動しているんでしょうけれども、登記と全然連動していないと。ということは、やっぱり登記そのものが大変な作業ですけれども、これをデジタル化して、そして戸籍とか住所とそれが対応できるような、そういうシステムに変えていく必要があると思います。

竹内真二公明党

○竹内真二君 ありがとうございました。  では、吉原参考人にもう一問お伺いしたいんですけれども、予防策の中で、やはり受皿が必要だというお話があったんですけれども、地方自治体というのは、現在、道路用地など公的な利用が見込めない土地の寄附はほぼ受け付けないというふうに聞いております。その一方で、土地の流動化というものを促進していくためには、一時的な受皿として、権利を明確化した上で地方自治体などが土地を受け取るための仕組みが必要だということだと思うんですけれども、米国ではランドバンクといったような制度の導入もされていると聞くんですけれども、それをそのまま日本に持ち込むというのはなかなか難しいと思うんですけれども、我が国の現状に適した受皿づくりというのはどのように考えていったらいいのか、もう少し詳しくお伺いできますでしょうか。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) これも今後の大きな課題だと思っております。  この受皿をどう整備していくのかということ、様々な社会実験といいますか試行錯誤を我々はしていかなきゃいけないのだろうというふうに思っております。  アメリカのランドバンクがいろいろと話題になっておりまして、先行研究も調査される方もたくさんいらっしゃいます。そうしたいろんな先行研究を拝読いたしましたり関係者の方に聞きますと、そうしたランドバンクには、単に土地の権利をプールしておくだけではなくて、様々な法的課題を解決できるような専門性の高い職員の方がいると。それは民間ベースなんだけれども、NPOなんだけれども、州政府などの法的それから財政的支援を受けているということを伺います。  したがって、日本でも、全てを基礎自治体に任せるということはやはり厳しいですので、今の財政難とか人員削減の中、中間組織のようなものをつくりまして、そしてそうしたNPOに専門的な人員を置くということと、そして、土地という個人の財産を扱うということにおいてはいろいろなトラブルも想定されますので、そうしたところをきちんと、基礎自治体に押し付けるのではなくて、国が法的なバックアップ、そして財政的な支援というものをきちんとしていくということ。  もう一点付け加えますと、やはり日本は各地本当に地域性が様々です。そうした地域性を生かすことがまず大事で、その土台としての共通部分は国がしっかりとルール整備をする、共通基盤の上に多様性を生かせるような様々な仕組みの試行錯誤というものをこれからしていくことが重要だと考えます。

竹内真二公明党

○竹内真二君 時間が来ましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

羽田雄一郎国民民主党・新緑風会

○羽田雄一郎君 国民民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。  本日は、吉原、嶋津両参考人には、お忙しい中、当委員会に足を運んでいただきまして、ありがとうございます。忌憚のない御意見を伺いながら、今後の審議や、また附帯決議もまとめたいというふうに思っておりますので、その参考にさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  まず、吉原参考人にお聞きをさせていただきます。  平成二十九年十二月に公表されました民間の所有者不明土地問題研究会最終報告において、一般消費者の相続意識の希薄化、また、土地の所有や管理に対する負担感の増大等が進行する可能性が示され、二〇二〇年から二〇四〇年に発生する土地相続のうち、約二七から二九%が相続未登記になると予測をされました。  そういう中で、その結果を所有者不明土地面積に換算した場合、二〇四〇年までに新たに発生すると考えられる面積が約三百十万ヘクタールと推計され、そのために、将来的に所有者不明土地を増加させないための新たな取組がなされない場合、二〇四〇年には所有者不明土地面積が約七百二十万ヘクタール、北海道本島に相当するような形までに増加すると推計をされております。  そこで、まず、従来のように所有者不明土地問題に対して何らかの措置も講じられない場合の我が国の土地利用の在り方というものがどのような状況になると考えられているのか、御見解を伺わせていただければというふうに思います。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。  増田寛也先生が座長を務められました所有者不明土地問題研究会の報告書は大変貴重な先駆的なものでありまして、大きな話題になりました。  何も対策を講じなかった場合、これからの地域の土地の姿がどうなるかということですね。これは非常に難しい問いだと思うんですけれども、人口減少が進んで行く中で低未利用地が増えていく、つまり、土地を使わなくても、これまでのような公共事業の件数も相対的には減っていくかもしれませんし、そうしますと、問題が必ずしも表面化しない場合も増えてくるんだろうと思います。  しかしながら、今後、来るべき次の大震災など、そうしたときに、有事の際、あるいは地域でコンパクトシティーをつくりましょうとか農地の集約化を図りましょうとか、地域で何か一歩を踏み出そうというときになって、蓋を開けてみたら実は登記が二代前、三代前だったということになって、地域のやる気をそぐような問題になってしまうと思います。いざ何かをしようと思ったときに表面化をするというこの問題の特質があると思っております。  したがいまして、この問題は、平素、何もふだん問題がないときに問題意識を喚起するのがとても難しい問題ではあるというふうに思っております。そういう意味で、こういう将来推計というものは非常に貴重なものであるというふうに思っております。

羽田雄一郎国民民主党・新緑風会

○羽田雄一郎君 そういう中で、今回、本法案の提出へと至ったわけでありますけれども、本法案への評価、また、今回法案に反映されなかった事項で今後追加的に検討してほしいこと等ありましたら、両参考人にお伺いをしたいなと、こういうふうに思います。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。  本法案は、人口減少時代における土地制度の在り方を考える上での第一歩だと思っております。  財産権の問題、先ほど御指摘も嶋津参考人からありましたけれども、財産権というものとそれから地域の土地利用の促進というものとをどういうふうにバランスを図っていくのかということにおいて、非常に慎重な審議とそれから対応策が盛り込まれた法案だというふうに考えております。  手続においては非常に厳格に定められておりますし、この法律が対象となる土地というものも、明示的な反対者がなく、建物がなく、そして現在使用されていない土地ということで極めて限定的に対象が定められております。また、プロセスも適正なものが慎重な審議の結果盛り込まれていると考えております。  だからこそ、自治体においてこれを実際自治体職員が使おうとしたとき、あるいは地域のNPOが、じゃ、この利用権設定をしてみたいと思ったときに、どのぐらいスムーズにいくかというところが次のポイントになると思っております。今後この法案が成立した暁には、是非これが少しでも適用事例が増えていくように、そして地域の土地の利用の円滑化に寄与するように、基本方針それからガイドライン、マニュアルというものを分かりやすく具体的に作っていくということが大事であろうというふうに思っております。  今後、この次のステップとしては、先ほども申し上げましたが、受皿ですね、予防策としての受皿というものが、先ほど申し上げました三つの中、情報基盤、受皿、それから相続登記の促進の中では、受皿というものが一番難しく、また必要性が高いというふうに考えております。

嶋津暉之水源開発問題全国連絡会共同代表

○参考人(嶋津暉之君) 先ほど申し上げたように、私は二つを問題にしております。  一つは収用裁定、これを都道府県知事が行ってしまうということですね。これについては、私が申し上げたように、やっぱり収用委員会による公開審理は不可欠じゃないかということで、今回の法案を通すならば、その辺のところの慎重な審査をやはりこれは求めていただきたいと思うんですね。  先ほど申し上げたように、都道府県の公共事業の場合、事業者も収用の裁定者も同じ都道府県でありますから、そこでどういうことが行われるかということですね。やはり客観性が担保されないわけでありまして、いかにこの収用が適切であるか、あるいは所有者不明となっているけど本当にそうなのかということ、その審査をきちんと行われるように、それをやっぱり考えなきゃいけないということです。  それからもう一つは、先ほど申し上げたように、この今回の法案と枠外になるかもしれませんけれども、土地収用に至るまでの事業認定ですね。この在り方が今は形骸化しているということで、この事業認定の制度そのものを見直すというようなこともできれば附帯決議に入れていただけないかと思っているわけであります。  以上でございます。

羽田雄一郎国民民主党・新緑風会

○羽田雄一郎君 ありがとうございます。  最後になりますけれども、最近の地価の動向を見ていると、大都市圏と地方圏との二極化が進行して更に拡大する傾向が見られていると、こういうふうに考えます。特に、地方圏などの土地需要が低下傾向にある地域では、不在地主化や高齢化等も影響して、所有者による適切な管理がされない土地の増加などが進み、不動産としての土地の資産価値の低下、さらには土地を所有することへの負担感さえ見られるとのことであります。  そこで、地方圏における所有者不明土地問題の現状と課題について伺うとともに、大都市圏と地方圏のバランスを考慮した国土政策、まちづくりの在り方について吉原参考人に見解を伺わせていただきたいと思います。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。  まさに議員御指摘のとおり、この土地問題というのは、戦後のあるいは明治以降の日本社会の変遷というものを映していると思います。都市部への人口集中、そして田舎に残してきた土地や両親の家というものをこれから誰がどう管理していくのか、そして権利を保全していくのかという、本当に国づくり、地域づくりの在り方の根幹を問う問題だと考えております。  地価が二極化をしておりまして、例えば地方銀行の経営が苦しいということも最近話題になっておりますけれども、やはり相続に伴って資産が東京などの都市部に移動するのと同じように、相続に伴って地方の土地の権利も都市部に移動していくんだと思うんですね。都市部に出てきた息子、娘の代がもう田舎に帰らないと。都市部で田舎の土地の相続をすると結局不在地主となって、管理放置、権利放置をされた場合には、その田舎の土地がもたらす不利益というものは地域の人が被っていくわけです。そうした不在地主がもたらす不利益というものについて、どういうふうな対応策をしていくのか。  それについては、ランドバンク、それから空き家バンクなどは進んでいますが、利用促進策だけではもう手当ては不十分であろうと思います。やはり、利用を促す策と同時に、利用を前提としない最低限の保全の在り方というもの、そういったものを考えていく必要があろうかというふうに思っております。

羽田雄一郎国民民主党・新緑風会

○羽田雄一郎君 ありがとうございました。  以上で終わります。

山添拓日本共産党

○山添拓君 日本共産党の山添拓です。  参考人のお二人には、本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。  まず、吉原参考人に伺いたいと思います。  いわゆる所有者不明土地が発生し増加していくということは、土地の管理や利用において様々な問題、課題を生じさせ得るというのは確かだろうと思います。ただし、本法案では、そもそも所有者不明土地の発生を抑制するとか、あるいは解消したり、そういう仕組みは入っておりません。公共事業における収用や利用権設定などは、専らその利用のための手段を導入するものかと思います。  この利用権設定ということでありますと、将来的にもその現在の所有者不明土地そのものは解消されていかないかと思うんですね。本来、この問題の発生源への対応というものが求められて、そしてその問題の解決と一体に利用促進というものを図るべきでありまして、その利用促進だけを先行させるというのはバランスを欠くんではないかと、順序が逆ではないかという気も私するんですけれども、その辺り御意見いかがでしょうか。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。  まさに、根本的な発生予防策をどう考えていくのかということは次の課題だと思っております。  この問題は、万能薬はありません。特効薬もありません。今までの制度の生かすべきところは生かし、見直すべきところは見直していくということを、一つ一つ地道に地味に息長くやっていくことが大事で、今回の法案は、まずそのための第一歩です。  議員御指摘のとおり、利用権設定というものは問題の根本解決にはなりません。利用権設定のまま長期間使用をしても、それによって所有権がじゃどうなるのか。時効取得の問題とか、今後様々な、また法的な課題は出てくるわけですね。利用権設定において長期間使用した場合と実質的に占有をして時効取得を申し出る場合とどういう違いがあるのかとか、そうした難しい法的な問題も出てくるわけです。  したがいまして、今後はこうした問題の発生自体を予防していくということが必要となってきます。それについては、繰り返しになりますけれども、相続未登記をなるべく減らしていくということ、それから受皿の問題、情報基盤もありますし、そして、相続については、これはやはり専門家の支援というものが必要であろうというふうに思います。  いろいろな専門家の方のお話を私は伺っていく中で思うのは、日本社会においては個人の相続というものを余りにも個人任せにしてきたんじゃないかということを感じます。特に、土地という公共性のある財を引き継ぐことにおいては専門家の支援というものがこれから不可欠だろうと思います。  個人の都合、あるいは市場の動向によって、ああ、これはもう登記しなくていいね、管理も関心ないよという、そうした個人や市場の動向によって国土管理というものが危うくなるような仕組みではこれからは問題なわけでして、今後、そうした個人が維持管理し切れない、権利の保全もなかなか難しいなと思うような場合に、どうやって社会として個人の相続をサポートしていけるのかということを社会の仕組みとして考えていくことが重要だろうと思います。

山添拓日本共産党

○山添拓君 ありがとうございます。  次に、吉原参考人、嶋津参考人、それぞれに伺いたいと思いますが、憲法二十九条で保障する財産権は、正当な補償の下で初めて公共のために用いることができるとされます。公共事業のために土地を収用するというような最も直接的な財産権の剥奪の場合には、事業認定における公共目的の設定も、また収用裁決における補償の妥当性の担保も、これはいずれも重要な手続であろうと思います。  本法案の提出以前に所有者不明土地問題への対応策として国交省で議論されていたのは、公益事業のための利用権設定と所有者の探索手段の合理化が中心であったと私は認識しています。それ自体は必ずしも否定すべきことではないとも感じています。  ところが、法案が提出されてみますと、どうもその最大の目的は、公共事業などにおける土地取得の手続をスピードアップさせる、ここに目的があるように思われます。そこで反対する権利者がいないという前提などもありますけれども、収用委員会における審理手続を省略しようというものになっています。  ただ、先ほど嶋津参考人からもありましたように、所有者不明土地の収用手続は、現行法の土地収用法四十八条四項ただし書でしょうか、不明裁決によっても可能だとされておりますし、また、実際に探索しても、最終的に所有者の存在不明な土地というのは〇・四一%にすぎないんだと、こういう限られたケースかとは思うんですけれども、こういう所有者不明土地だからといって、収用委員会の公開審理、憲法二十九条に基づいて適切な手続が求められるこの大事な審理手続を省略するという必要性は乏しく、あるいはまた許容すべきではないと私は考えるんですけれども、なぜこういう制度が入れられることになったのか、これについての御意見をそれぞれ改めてお聞かせいただければと思います。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) 御指摘ありがとうございます。  この収用手続の合理化、円滑化という点については、やはり多くの関心を呼ぶところであろうというふうに思います。  まず、この法案の立て付けですけれども、この公共事業における収用手続の合理化、円滑化が適用される場面と申しますのは、国、都道府県知事が事業認定した事業です。したがって、事業認定がされるまでのプロセスというものは従来のものと何ら変わるところはありません。事業認定された後に、明示的な反対者がおらずに、現に利用もされていない、建物もないということから、補償金の算定などがこれは収用委員会の審理を経なくても都道府県知事でできるであろうという判断からこうした手続の円滑化というものが図られているわけです。  したがいまして、収用手続の本質的な部分というものには何ら抵触するものではないと考えております。

嶋津暉之水源開発問題全国連絡会共同代表

○参考人(嶋津暉之君) 御質問ありがとうございます。  先ほどの石井委員の御質問に対するお答えと重複いたしますけれども、問題は、この所有者不明土地であるという判断を誰が行うかということですね。そこが問題だと思うんですよ。  今の現行法では、土地収用法では、収用委員会を開いて、そこの公開審理を行って、所有者不明土地についても調査を尽くしたかどうかという、そういうことの判断はされるわけですね。第三者による客観性があるわけです、判断について。ところが、今回は都道府県知事に変えてしまうと。特に、先ほど申し上げましたように、都道府県が行う公共事業の場合は、事業者も、そして収用の裁定者も同じ都道府県になってしまう、そこが問題だと思うんですね。やはり、所有者不明土地であるかどうかという判断の客観性を確保しなきゃならぬと、そのために現行法のように収用委員会による公開審理が不可欠であると考えます。  たしか、私も、昨年、八ツ場ダムの予定地についてのそういう所有者不明土地についての収用委員会を傍聴したことがありますけれども、確かに、誰もいないところで、誰もというか権利者が出席していないところでやって、非常にむなしいところもありますけれども、そういう公開審理は無駄なように見えるけれども、やはりそういう手続として必要なものだということで、現行法による収用委員会による公開審理、これはやっぱりなくしてはならないと私は考えております。

山添拓日本共産党

○山添拓君 ありがとうございます。  嶋津参考人に重ねて伺います。  公共事業の事業認定制度そのものの問題点も御指摘をいただきまして、長崎県の石木ダムについては利水、治水両面で必要性が疑わしい、このダムに事業認定を与える、そして反対する十三世帯の家屋や土地が強制収用されようとしている、そういう問題点を御指摘をいただきました。事業認定の制度そのものを抜本的に改善をし、必要性に乏しい公共事業をストップできるようにするということは大事な問題であろうと思っています。  今度の法案では、反対する地権者がいる、所有者が分かっている土地については従来どおり土地収用法に基づいて収用委員会を開く、そして所有者不明土地については収用委員会の手続を省略できるという仕組みになっています。このことによって、公共事業の収用手続を行う上でどのような問題が起こり得るとお考えか、お聞かせいただけますか。

嶋津暉之水源開発問題全国連絡会共同代表

○参考人(嶋津暉之君) 公共事業に反対する地権者にとって、周辺の公共事業用地の買収がどのように進んでいくか、これは重要な問題であります。次々と買収が進めば外堀が埋められていく状況になっていきます。したがって、本法案により所有者不明土地の買収がスピードアップされますと、公共事業に反対する地権者がどんどん追い込まれていくという、そういう事態になりかねないということですね。そういう点で、本法案は公共事業の反対地権者にも影響を及ぼすものであるというふうに私は考えております。

山添拓日本共産党

○山添拓君 終わります。ありがとうございました。

青木愛希望の会(自由・社民)

○青木愛君 今日は、吉原参考人、また嶋津参考人、大変貴重な御意見をありがとうございます。  まず、両参考人にお伺いをいたしますが、平成元年の土地基本法というものが制定されておりますが、そこには、土地の保有状況というのを明らかにする、そうした責務が明確には定められておりませんが、先ほど来、所有者の責務というお話がございましたけれども、まずこの土地基本法の在り方について、もし御所見があればまずその点について、国民の責務として土地所有の責務、これを明確に定められていない今の土地基本法の在り方について御意見があればお伺いをさせていただきたいと思います。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) 御質問どうもありがとうございます。  土地所有者が持つ権利とそれに伴う責務というものをこれからバランスよく考えていくということが大事であろうというふうに思います。その権利というものが、利用する権利だけではなくて、低未利用のまま放置をしておくこともその権利に含まれるのだろうかという問題もこれから発生してくると思います。管理責任というものをどう考えるのかということですね。  それと、今おっしゃいました、議員御指摘のありましたその権利、所有者としての権利を適切に公示をしていく、自分がこの土地の所有者であるということを広く世の中にきちんと示していくということも、やはり所有者としての責務の一つであろうというふうに考えます。  御指摘の土地基本法については、時代背景としましては、高度成長の後、まだバブルの頃ですね、地価高騰、それからリゾート開発などの乱開発、そうした行き過ぎをどう抑制するか、土地を投機対象と考えることをどういうふうに抑制していくかと、そうした時代背景から定められたものであるというふうに理解をしております。  しかし、それから数十年経過いたしまして、今我々が直面をしている土地問題というものはその頃とは大分様変わりをしています。もちろん、都市部、東京都などにおいては地価高騰が起こっているところもありますし、オリンピックを前にやはり投資が進んでいるところもある。しかしその一方で、先ほども、前の御質問でありましたが、都市部と地方において随分土地をめぐる状況が違うと。そうした中で、我々が土地を適切に管理し、そして権利を保全していくということ、やはりその責務というものをいま一度こうした基本法においてもうたっていくことが今後求められるであろうというふうに考えます。

嶋津暉之水源開発問題全国連絡会共同代表

○参考人(嶋津暉之君) 今の御質問で、土地基本法についてのことで、ちょっと私はこのことについては特に専門的にやっているものではありませんので、意見を差し控えさせていただきます。

青木愛希望の会(自由・社民)

○青木愛君 承知いたしました。ありがとうございます。  今回の法案の仕組みの中で、公共事業に対する所有権の取得、そして地域福利増進事業に対する利用権の設定というふうに分かれているんですけれども、目の前の対応策として、利用権の設定の方は、所有者が後から現れた場合はその明渡しを求められるということで、原状回復をしてお返しをする、異議がない場合は延長も可能だというふうになっており、余り問題はないのかなというふうに思っておりますが、公共事業という内容ゆえに、後から所有者が現れたとしてもなかなかお返しできるような状況にはないというふうに思いますので、やはり、嶋津参考人が先ほど来御指摘されているように、本当に所有者の不明な土地なのかどうなのかということはやはり徹底的に調べ尽くす必要があろうかと思いました。  事業者と所有者が不明だという認定をするのが都道府県ということで、同じ者がそれを担うということに対して、やはり客観性を持たせた方がいいのではないかという趣旨の御発言を嶋津参考人はされているかと思うんですが、その点について、逆に吉原参考人に、嶋津参考人が御指摘する点について、またこの法案の中で何か今後対応策がないかどうか、何かアイデア等御意見がありましたら、是非、吉原参考人にお伺いしたいと思うのですが。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。  この所有者不明土地かどうかということの徹底的な追求というものは、まさにこの法律を生かしていくための大原則であるというふうに思っております。  また、その手続において、都道府県で同じ事業主体が事業認定を行うということについても疑問視するという御指摘もごもっともかと思いますが、しかしながら、この法案の審議の過程においては、国土審議会、それから国交省の中などにおいて丁寧な議論が尽くされておりますし、これは、繰り返しですけれども、対象となる事業というものが極めて限定的であり、また、この中においても知事がどのような裁定プロセスを踏むのかということもかなり厳格に定められております。これがむしろ、事業の促進の足かせにならないことを私はむしろ願っております。  この法律が適切に円滑に進むための必要な手続というものは十分盛り込まれておると思いますし、そこは財産権との兼ね合いで適切な運用がなされるというふうに期待をしておるところです。

青木愛希望の会(自由・社民)

○青木愛君 済みません、国、都道府県の事業認定、あるいは土地が不明であるということの認定については厳格な対応策がこの法案の中で図られているということなんですけれども、具体的にもう少し教えていただけますでしょうか。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。  例えば、今回の法案では所有者の探索を合理化する仕組みというものがうたわれておりますが、それと併せて、土地等の関係者関連情報の利用及び提供などについてもうたわれております。これまで利用の難しかった固定資産課税台帳の利用とか、あるいは地籍調査票など、そうした公的な書類についても利用できることがうたわれております。これは、なかなか今まで利用したくても自治体の方が入手が難しい情報もございましたので、やはり探索を尽くすという意味において手段が増えているということは明確に言えると思います。

青木愛希望の会(自由・社民)

○青木愛君 済みません、重ねて大変恐縮なんですが、その手段、方法については十分理解できるんですけれども、嶋津参考人がおっしゃる客観性という部分はどのように担保されていくべきだというふうにお考えでしょうか。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) 客観性におきましても、都道府県の中あるいは適切な部局において審議が尽くされるものであると考えます。むしろ、それができなければこの法案を適用することはできないわけであります。  そうした具体的な議論の検討の方法などにつきましては、これから、基本方針それからガイドライン、そうしたところにおいて丁寧に規定されていくものであると、政令などですね、そうしたものにおいて丁寧に規定されていくものであるというふうに考えております。

青木愛希望の会(自由・社民)

○青木愛君 大変ありがとうございます。  その客観性を担保する仕組みをより具体的に今後の基本方針ですとかガイドラインあるいは政令で定めていく必要があるということで、これはまた私たちの仕事でもあろうかというふうに認識をさせていただきます。  それでは、嶋津参考人にお伺いをいたしますけれども、今のお話についてでも結構ですし、また、今日は九州の事例も取り上げていただいておりますが、地方の方では、土地収用が途中までで終わってしまっていて、公共事業が途中でストップしてしまっているケースが多々あり、何億、何十億も税金をつぎ込んでおきながら、計画は止まったまま、途中まで公共事業が進み、そこで中止されているというケースがあるんですけれども、嶋津参考人の資料を拝見しますと、時のアセスメントというんでしょうかね、時の視点から公共事業を見直すという視点を御提案されているんですけれども、こういった地方で途中で止まってしまっている公共事業等についての御意見なども伺えればというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

嶋津暉之水源開発問題全国連絡会共同代表

○参考人(嶋津暉之君) 止まっている方は非常にまれでありまして、ほとんどはとにかくもう事業者が強引に押し切ってしまっているのが現状なんですね。ところが、それの評価がされていない。一応公共事業評価制度はあるんですけれども、それも先ほどの事業認定と同じように形骸化しちゃっているんですよ。一九九七年から国の公共事業評価制度始まりまして、行われているんです、実際に。ですけれども、それによって止まるというのは、事業者自らもうやめようという判断をしたときだけなんですね。合理的な判断がされた、いや、そういう評価をした結果じゃないんですよね。  だから、今の公共事業評価制度、これそのものを見直していただきたいと考えており、ここは国土交通委員会ですので、今の公共事業評価制度そのものを抜本的に見直すよう、是非この委員会でも審議をしていただきたいと思います。

青木愛希望の会(自由・社民)

○青木愛君 承知しました。  両参考人、貴重な御意見を本当にありがとうございました。参考にさせていただきます。  ありがとうございます。

行田邦子希望の党

○行田邦子君 希望の党、行田邦子です。よろしくお願いいたします。  お二人の参考人には、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございます。  所有者不明土地の問題について私が関心を抱いたのは今から七、八年前なんですけれども、二〇一〇年の秋に、国会で質問しようと思って、国土交通省、また森林の土地ということで農水省、林野庁に日本には所有者不明の土地はどのぐらいあるのかと聞いたところ、理論的にはありませんと、お亡くなりになった方も含めて誰かしらが土地を持っていますということを言っていたのを今でも覚えているんですけれども、それから七、八年たって、こうして国会で所有者不明土地の問題について、こうして法案が政府から出されるというのは隔世の感がありますが、こうした国民の関心も高まっているやはり背景には、吉原参考人のような研究者の方が様々な問題提起を熱心にされてきたことがあろうかと思っております。  そこで、まず吉原参考人に伺いたいんですけれども、土地という公共財を、いかに政府としても行政としても管理をし、利用を促し、また計画を立てていくということでありますけれども、ただ、全ての土地を一律にということにはもうもはやならないんだろうと思っております。  例えば、土地によっては行政がしっかりと所有者を把握し、また何らかの利用権や、また所有権も規制をするということが必要な土地もあろうかと思っておりますし、一方で緩やかな利用を促すような扱いの土地というのもあろうかと思います。そしてまた、先ほど吉原参考人もおっしゃっていましたけれども、最低限の管理さえすればいいということにとどめておくような土地もあろうかと思いますし、またそれ以外の土地という、めり張りを付けていかなければいけないんだろうというふうに思っているんですけれども、そうした件につきまして吉原参考人のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) 御質問ありがとうございます。  まさに私も、今議員がおっしゃいました、所有者不明の土地はないんですというあの発言はよく私も覚えております。本当に、台帳上には誰かの名前があると、それを現所有者を突き止めていくまでの行政コストの掛かり増しというものがだんだんと看過できない状態になって、今こうした法案が出されるようなところまで来たんだろうなというふうに思っております。  全ての土地を一律にとはいかないというものはまさに御指摘のとおりだと思います。例えば、経済活動の対象とすべきでない土地というものも当然あるわけです。自然環境保全とか、あるいは防災の観点から公有化をしておく方がいいとか、あるいは、これは限定的ですけれども、安全保障上こういう土地はやはり経済活動の対象とはするべきではないとか、そうしたところをきちんと考えていくということが必要であろうかと思います。したがって、これは国レベルで考えるめり張りということと地域それぞれで考えるめり張りというものがあるんだろうなというふうに思っております。  そうした土地政策において、土地行政において、国と地方の役割分担というものも今後どういうふうに協力をしていくのかということが一つ別の課題としてはあるなというふうに思っております。

行田邦子希望の党

○行田邦子君 ありがとうございます。  私が所有者不明の土地の問題に関心を持ったきっかけというのが、森林の土地の所有者についてであります。当時、今でも言われていますけれども、森林の土地が外資、外国人に買われているのではないかといったことが随分報道もなされていた時期でありました。私も当時、国会で質問をしたわけでありますし、また森林法の改正といったことも行いまして、森林の土地の所有権移転の届出制といったこともなされたわけであります。  国民の皆さんも、この森林の土地が誰に買われているのかということは結構今でも関心のお声をいただいております。じゃ、森林の土地ということに関心があるのかというと、よくよく聞いてみますと、多くの皆さんは水を守れ、水源地を守れというようなことをおっしゃっています。  そこで、嶋津参考人に伺いたいんですけれども、水源地を守るというような視点で嶋津参考人の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

嶋津暉之水源開発問題全国連絡会共同代表

○参考人(嶋津暉之君) 水源地を守るということで、森林そのものをこれも保全していかなきゃならぬわけでありまして、今お話があったように、一時は外国資本によって森林の用地が買収をされているという、そういうことがかなり問題になりました。今、最近はちょっと出てこないようですけれども。  この水源を守る点では、確かに、森林といっても、これは人工林の伐採も十分間伐をされないまま放置されているところもありますし、それから天然林は随分なくなってきているわけであって、水源を守るならば、森林の在り方そのものを根本的に見直さなきゃいけないと思うんですね。  同時に、土地そのものも外国資本にもし買収されているならば、確かにこれは問題であり、問題にしなきゃいかぬということで、やはり、まずその前に水源地ということで考えるならば、森林行政の在り方そのものというものを今見直さないと、本当にもう森林の保水力は今低下している状況にありますので、その辺のこともこれから改善していかなきゃいけないと思います。

行田邦子希望の党

○行田邦子君 ありがとうございます。  続いて、吉原参考人に伺いたいと思います。  所有者不明の土地の中に入るのかどうかも含めてなんですけれども、不動産登記簿を見ても真の所有者がなかなか特定できない、分からないといった土地が所有者不明の土地だと思いますが、それでは、無主の土地、不動産登記簿そのものが存在しない土地というものについてなんですけれども、これは民法上また国庫に帰属するということですし、国有財産法上も国有財産台帳を作るということになっていますけれども、私はこの無主の土地というものが結構あるのではないかなというふうに思っておりまして、そのことについての吉原参考人の御見解と、何か問題意識があればお聞かせいただきたいと思います。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。  無主地は国庫に帰属をするということが民法でうたわれております。今議員が御指摘の、想定されている無主の地には幾つかの種類があるとは思うんですけれども、私が先ほど申し上げました自治体アンケート調査の中でどのような無主地に遭遇したかということからお答え申し上げたいと思います。  自治体で遭遇する無主地というのは、相続人不存在の土地です。相続人がいない土地というのは二つあるんですけれども、相続人が全員相続放棄をして誰も権利を主張する人がいないという場合と、それから、元々もう親族が誰もいなくて、本当にその所有者が亡くなった後誰も引き継ぐ人がいないと、そういう意味での相続人不存在というものがあります。  そうした誰も所有権を主張しない土地が、じゃ、無主地は国庫に帰属するので自動的に国のものになるかといったらそうではなくて、民法上の相続財産管理人制度、相続財産管理制度という手続を経る必要があります。まず、利害関係人である第三者が申立てを家庭裁判所に行いまして、家庭裁判所で相続財産管理人を選任し、そして、残されたその土地を含む財産を清算するわけですね。売却したりして債権債務を清算した上で、換価、お金に換えて、そのお金を国庫に帰属をさせるという、そういう手続が必要になります。  財産管理人の選任に当たっては、予納金を四、五十万、都市部であったら百万ぐらい納める必要があるとも聞きます。そうしたコストと時間を掛けて国庫に帰属させるという手続が必要ですので、自治体においては、換価見込みがない経済価値の低い土地についてそこまでの手続はできないということで、結局、相続人不存在のまま放置をしていると、そういう問題も地域では出てきております。  したがいまして、こういう無主の土地をどういうふうに、繰り返しですが、管理責任と権利の保全を誰がどう行うのかということは、これまでの民法では十分に想定されていなかった問題だと思います。土地は財産であるという、そういう想定に立ったこれまでの仕組みですので、土地を要らない、管理が負担だ、もう権利も継承しなくていいという、そういう人が出てきた中において、これからの無主地の在り方、法的な課題というものは、まさに議員の御指摘のとおり、これから本当に必要な論点の一つだと思っております。

行田邦子希望の党

○行田邦子君 ありがとうございます。  最後に、また吉原参考人に伺いたいんですけれども、所有者を一生懸命探索すれば、これは国土交通省の資料ですけれども、二割の所有者の不明の土地が〇・四一%まで下がるではないかということであります。じゃ、探索をしっかりすれば所有者不明の土地はなくなるだろうと思うんですけれども、地籍調査もなかなか進んでいません。  地籍調査が進んでいない理由、また、〇・四一%まで下げることができるといっても実際には下がっていない、そこの根本的な原因についてお聞かせいただけますでしょうか。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。  二〇%が探せば〇・四%になるから、これは騒ぎ過ぎる問題ではないという、そういう見方も当然あるだろうと思います。  しかしながら、二〇%というのは平成二十八年度の地籍調査において登記簿上の名義人では本人に連絡が付かなかったという割合ですけれども、その二〇%を〇・四%にまでするためにどれだけの行政コストが掛かっているのか、それから計画などの地籍調査の遅れなどにつながっているのかということを考えれば、やはりこれは看過できない問題であるというふうに思っております。  本来、行政職員の方々、今地域で直面している様々な課題を考えますと、相続人調査にこんな時間を掛けている場合では今の日本はないと思います。やはり合理化できるところは合理化し、そして所有者が権利を主張していないような土地については、やはり何らかの権利の確定ということにおいては法的な解決策を用意しておくということも必要だろうと思います。そうしたことの相乗効果によって、今後、地籍調査などにおいても境界確定などの迅速化というものにもつながっていくのではないかなと思います。

行田邦子希望の党

○行田邦子君 ありがとうございました。

平山佐知子国民の声

○平山佐知子君 国民の声の平山佐知子です。  吉原参考人そして嶋津参考人、今日は本当にお忙しい中を、貴重な御意見、ありがとうございました。もう皆様の御質問の中で大体私もお伺いしたいこと出てきているんですけれども、事前に参考人の資料を読ませていただきまして、その中から吉原参考人にお伺いをしたいと思います。  国交省によると、全国四市町村から百地点ずつを選んで登記簿を調べた結果、そこにあったんですが、最後に所有権に関する登記がされた年が五十年以上前のものが全体の一九・八%、そして三十年から四十九年前のものは二六・三%に上っているというデータが記されていました。先ほど行田委員もおっしゃっていたように、七、八年前からずっとこの問題取り上げていらっしゃるというお話もありましたけれども、この相続未登記が地域の土地利用という公益に及ぼす影響については、一部の関係者の間では経験的に認識をされて、長年指摘されていたとも書かれていました。  これ、そもそもなんですが、長年こうして指摘をされて問題視されていたのに、結局なかなか前に進んでいないという状況はなぜなのか、その理由を教えていただきたいというふうに思います。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。  まさに議員御指摘のとおり、この問題は決して新しい問題ではありません。そして、こうした相続未登記が長期化したことで相続人調査が難航し、例えば農地の集約化の足かせになって、各都道府県にある農地中間管理機構での賃貸借の設定にも影響が出るとか、あるいは道路を地域で通そうとすると、本当ごく一部の土地であっても相続人が分からないがゆえに計画の遅延あるいは変更を余儀なくされるということは、実は以前からございました。自治体職員、道路用地担当の方とか、それから農業関係者、森林関係者などにおいては、この問題は全く目新しいことではないと思います。  では、なぜ今までここまで、政策課題として認識されるまでにこれだけの時間が掛かったのかということですが、この問題は慢性的に散発的に日本各地で起こっていたと思います。しかしながら、その当事者となった人たちは、その問題を何とか運用ベースでクリアをしたら、さあ、じゃ、農地の集約化に行きましょうとか、あるいは道路の建設に進みましょうという、その計画を推進することが先であって、その問題について、これは大きな政策課題だし根本的な検討が必要だから、是非何か不利益を被った人で集団化して動きをつくっていきましょうということにはなかなかならなかったんだと思います。その場その場で対応し、事務的な処理をしたら次のステップに進むということで、政策課題として形成されずに来た。  それが、じゃ、何でこういうふうに変化してきたかというと、東日本大震災でまず大規模に問題が顕在化したこと、それから、空き家対策などにおいて空き家の相続人調査が難航する事例が出てきたことで、都市部、地方の中核都市などにおいても、都市部の宅地においてこの問題が見えてきたことでようやく社会課題として位置付けられるようになり、所有者不明土地問題という名称が与えられて、こうした法案が作られるというところまでようやく政策形成プロセスがきたところなんだろうというふうに思います。

平山佐知子国民の声

○平山佐知子君 ありがとうございます。  本当に、前々からあった問題が、小さなものも積み重なって今大きな、そしてますますこれから問題化してくるだろうということだと思いますけれども、ここからお二人に伺ってまいりたいというふうに思います。  土地というのは、そこに暮らす人々、生活の基盤であることはもちろんですが、大切な国土であるという観点から見ても、これは重大な問題だというふうに思っています。先ほどからもありましたけれども、これは個人の思い、それぞれの思いに委ねるのはちょっと考えなくてはいけない問題でもあると。ただ一方で、私有財産でありますので難しさもある。  先ほど来からも、嶋津参考人の方からも、これは財産権で、誰が判断を行うかというところが一番難しく重要な点、指摘をしなくてはいけないということもおっしゃっていました。大変難しい問題ではあるとは思うんですが、一方で、土地というのは公共的な空間の一部でもあるんだと。先ほど吉原参考人のお話にもありましたけれども、地域の人が不利益を被るということも考えなくてはいけないというお話もありました。  その点で見て、公共的な空間の一部でもあるという認識を改めてこれは私たち共有する、そういう必要があるんじゃないかというふうに考えるんですが、その点についてお二人それぞれ御意見をいただけたらと思います。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。  土地というものについて本質的な御指摘をいただいたと思います。  土地というものはどういうものかと考えますと、我々の暮らしの土台であり、生産基盤であり、そして国土であるわけです。当然、個人の財産でもあるわけですね。先祖代々引き継いできた土地に対するそれぞれの思いというものは、本当にほかの人には分からないものがあるんだろうというふうにも想像いたします。  そして、この今起きている土地問題というのは、単位は個人なんですね。自分の土地、うちの相続の話であるわけです。うちの土地を自分が管理しようとしまいと、相続登記をしようとしまいと、うちの話でしょうという、個人の話です。  しかしながら、そういう個人の小さな行動の積み重ねが積もり積もってみんなの問題になっていくというのが土地問題の特色です。ふだん、例えば私が田舎の土地を放置をしていたと、それは私の個人の判断ですと。しかしながら、そういう行為、行動が長年積み重なっていくことで、もしかしたら、次、その田舎の土地で地震が起きたときに被災地の復興に影響が出るかもしれないと、そういう想像力を働かせるということが土地の所有に当たっては必要であろうというふうに思います。  その意味においては、そういうことをふだんから、問題がないときから考えていくという意味で、教育とか、あるいは我々世代もきちんと考え、また次の世代にもそうしたことを考える場を設けていくということも併せて必要ではないかなと思っております。

嶋津暉之水源開発問題全国連絡会共同代表

○参考人(嶋津暉之君) 確かに、おっしゃるように、私有財産というのはやはり公共的な面もあります。公共事業等に必要な場合は、土地なりそれをそれに使わなきゃならぬ場合もあると思います。  問題は、その公共的といった場合に誰がそれをまた判断するかという問題ですね、それが必要なんですよね。やっぱりこれは市民参画の下に、本当に公共的に使うならば使うということで、徹底した議論が必要なんですよ。今の、先ほどの繰り返しになりますけれども、土地収用の場合はその事業認定という制度が形骸化しておりまして、事業者の判断で一方的に行われてしまっているのが現実なんですね。  やはり市民参画の下で、市民が参加して本当にこれが公共に使うべきかどうかというところの徹底した議論ができる、そういう制度をやっぱりつくらなきゃいけないと思うんで、今はそうではないということで、市民参画が大事なんですよね、その辺の視点がないんではないかと。一応、形上の公聴会はありますけど、土地収用とかいろいろありますけれども、それも形だけのものになってしまうと。本当に皆が納得できるように徹底した議論が行われる、そういう場をつくっていくということが今後必要だろうと考えております。

平山佐知子国民の声

○平山佐知子君 ありがとうございます。  今、嶋津参考人の方から、徹底した議論ということ、私も本当にそれは重要なことだというふうに考えますし、それには、先ほど吉原参考人がおっしゃった、教育という、知らない、もう自分だけならいいだろうと思っている人がたくさんいらっしゃる中で、やっぱりこれをしっかりと周知をしていく、教育をしていくということも重要性を感じました。今日はありがとうございました。  以上で終わります。

野田国義各派に属しない議員

○野田国義君 吉原参考人、それから嶋津参考人、今日はどうもありがとうございます。  吉原参考人の方、三つのこれから先の取組、解決方法ということで書かれております。私も、今も話していただきましたけれども、今日朝から読ませていただきまして、まさしくそうだなということで感心しながら読んだところでございますけれども、それで、そのことについて少し中身を掘り下げてお聞きしたいと思います。  吉原参考人も今おっしゃったかと思いますけれども、この相続登記の問題ですね。やっぱり、義務化する、それからさらに罰則規定を設けないとなかなかこれ解決されないんじゃなかろうかと私も思ったところでございますが、ちょっとこの辺りのところを詳しく述べていただけないかと思います。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。  相続登記の義務化ということは、今、法務省の方で行われている研究会でも大きな議論、論点整理の論点の一つとなっております。  相続登記の義務化ということは、すごく分かりやすい議論だと思っております、新聞の見出しとかにもなりやすいですし。この議論は丁寧にしなきゃいけないと思っておりまして、思うのは、この所有者不明土地問題を考えていく上で、相続登記の義務化の是非ということが対立争点になって論点がずれていくことは避けなきゃいけないなというふうに思っております。なぜこういうことが起きるのかというやはり根本的なところを見据えた上で、相続登記の促進策ということを丁寧に、複数対策を用意をしていくということが必要であろうと思います。  義務化については、罰則規定を設けたとして、じゃ、その罰則が適用される事案をどうやって誰が見付け出していくのか。法務局の登記官、今でも本当にお忙しくて、人員削減の中でやっている中で、罰則適用のための様々な調査をどこまでできるのか。そして、罰則を適用されたとしても、それを適用された本人が、じゃ、罰則だから払えばいいんでしょうということで話を済ませてしまわないかと。相続登記の様々な手続のことを考えたら、罰則払っておしまいになるんだったらその方がまだいいというふうにならないだろうかと。  本当に我々がこの問題で目指すべきところは誰の土地かが分かるようになることであって、そこのところは、相続登記の義務化かどうかは別として、みんな同じ考えだと思うんですが、その同じ山にどの道から登るということで、少なくとも今の時点では、私個人としましては、罰則の適用というものは実際問題として容易ではないんじゃないかなというふうに思っております。

野田国義各派に属しない議員

○野田国義君 ありがとうございました。  それから、受皿づくりですね。まさしく、私も市長をやっておりましたので、十六年間やって恐らく二、三件あったと思うんですね、土地もらってくれと、市の方で。そうしますと、ここにも書かれてありますけれども、当然、課長か何か呼びまして、これは必要な土地になるのか、市にとってですね。不要な土地ということになれば当然受け取らないと。必要な土地、道路の土地なんかもそうでありましょうけれども、そうなると思います。このデータを見ますと、国が受け取った土地ですか、二〇一五年で、国全体で三十七件ですか、建物が二件しかないというような状況であります。  そこで、そのバンクの話をされているわけでございますけれども、やはりこのことについても、非常にその受皿という形で、その土地をどう活用していくかということにもつながるわけでございますので、必要なことだと思います。参考人は、モデル地区などをつくって、まあ特区みたいなことかも分かりませんが、でやったらどうだというような提言をいただいているようでございますけれども、ちょっとこのことについて深く話していただければと思います。

吉原祥子公益財団法人東京財団政策研究所研究員・政策オフィサー

○参考人(吉原祥子君) ありがとうございます。  モデル地区をつくっていろいろと試してみる、試行錯誤するということが本当に現実問題として必要な次のステップであろうというふうに考えております。  日本は本当に地域の多様性が豊かで、地方の中核都市における土地の事情と、それから中山間地域の農地が多いところ、山林が多いところではまた全く状況が違うと思います。したがって、モデル事業を、そうした地域を、少し特性の違うところを二つ三つ用意をしまして、その中で、人口規模も自治体によって随分違いますから、幾つかやってみるということが必要だろうと思います。  それから、自治体と一口に言いましても、人口数千人のところから百万人以上のところまであります。そこで、こういうバンク、モデル事業をやるときには、単体の自治体で完結させるだけではなくて、どうやったら広域連携で、合理的にうまくその地域の間でもいろんな調整とか便宜を図られ、利用促進とか保全ができるのかといった地域連携の在り方というものも併せて検討が必要なのではないかなと思います。  いずれにしろ、利用を前提としない保全の在り方、当面はコストばかり掛かってしまうかもしれませんけれども、これを放置することによるマイナスと、それから当面保全をすることのコストというものの見合いにおいて、慎重な検討の上、モデル事業をやっていくということが求められると思います。

野田国義各派に属しない議員

○野田国義君 ありがとうございます。  それから、土地情報基盤の在り方。ちょっと時間がないんであれなんですけれども、もうおっしゃるとおり、死亡届は市町村、相続登記は法務局ということで分かれていて情報の共有ができていないと。こういうことを今後しっかりやっていかなくちゃいけないということだと思います。  それから、嶋津参考人の方に、いろいろな提言を吉原参考人が今後のことを含めておやりいただいているわけでありますけれども、嶋津参考人としては、この問題どのような形を取っていったらいいのかという、何か提言でもあれば是非ともお聞きしたいなと思いますが、いかがでしょうか。

嶋津暉之水源開発問題全国連絡会共同代表

○参考人(嶋津暉之君) 所有者不明土地の問題についてのお話でございますか。  やはり、これは何といっても今の登記そのもの、これの在り方を変えなきゃいけないと思うんです。登記の在り方といいますか、非常にあれは、ほかの、戸籍とか、先ほど申し上げましたけれども、全然それぞれの国民の現住所との関係が取られていないんですよね。ですから、住所も変わってしまったらそれはもう所有者不明土地になってしまうとか、あるいは相続されないものはそのままになっているとか、登記がされていない、そういう状況ですので、まずは今の登記簿、登記そのものをこれデジタル化していくという、これは大変な作業ですけれども、それと、それから戸籍とか住所とか、それが連動できるようにそういうシステムを変えていくしかないと私は考えております。

野田国義各派に属しない議員

○野田国義君 ありがとうございます。  終わります。

長浜博行国民民主党・新緑風会

○委員長(長浜博行君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十二分散会

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